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#1
第061回国会 社会労働委員会 第24号
昭和四十四年六月十七日(火曜日)
   午後一時三十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十六日
    辞任         補欠選任
     上田  哲君     阿具根 登君
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     大森 創造君     藤原 道子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉田忠三郎君
    理 事
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                大橋 和孝君
                上林繁次郎君
    委 員
                黒木 利克君
                高田 浩運君
                徳永 正利君
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                山本  杉君
                阿具根 登君
                小野  明君
                中村 英男君
                藤原 道子君
                渋谷 邦彦君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
   政府委員
       厚生政務次官   粟山  秀君
       厚生省医務局長  松尾 正雄君
       厚生省薬務局長  坂元貞一郎君
       厚生省援護局長  実本 博次君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○出産手当法案(藤原道子君外一名発議)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○社会保障制度等に関する調査
 (血液に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉田忠三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、上田哲君が委員を辞任され、その補欠として阿具根登君が選任されました。
 また、本日、大森創造君が委員を辞任され、その補欠として藤原道子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(吉田忠三郎君) まず、出産手当法案(参第三号)を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方の御発言を求めます。
 先ほど理事会の協議事項を申し上げたときに、私からも申し上げておるとおり、これはきょうから質疑するので、委員長とともに質疑者も十分勉強して――勉強ということはおこがましいですけれども、調査資料を収集する時間を与えます。したがって、きょうは出産手当法案については質疑に入った、こういうことを委員長は確認いたしまして、別に発言がなければ、本案はこの程度にとどめておきます。
#4
○委員長(吉田忠三郎君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方の発言を求めます。
#5
○大橋和孝君 それでは、いまの法律案に対しましてお伺いするわけでありますが、太平洋戦争が終わりましてもう二十四年余りになっておりますが、まだ戦後処理というふうな問題が残されておるわけでありますが、今後これをどういうふうに解決をなさいますか、政府の基本方針を先に伺っておきたいと思います。
#6
○政府委員(実本博次君) 今次の太平洋戦争におきます戦争犠牲者の中で、国と一定の身分関係にありました軍人、軍属、あるいは総動員法関係によりまして、法律上の強制命令を受けて部署についた動員学徒等の準軍属の方々の犠牲者につきましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法、あるいは恩給法を中心といたしまして、その処遇をしてまいっておるところでございます。先生のいまのお話のように、もうすでに二十四年余を経ております今日、まだそういう人たちの処遇についてさらに検討を要する問題もございますので、この人たちの未処遇の問題等を中心にいたしまして、どういうふうに処理すべきかということで、厚生大臣の事実上の諮問機関であります援護問題懇談会というものを一昨年から設けまして、そこにいろいろ意見を求めておりました。昨年、その懇談会から、一応中間的でございますが、意見の提出がございました。それに基づきまして、未処遇の問題、援護法を中心といたしました問題を処置してまいっております。本国会におはかり申し上げております援護法の一部改正案も、そういう答申から得ました未処遇問題の解決の一端といたしまして、御提案申し上げたわけでございます。なお、その残余の問題につきましても、懇談会の報告が出てまいることになっております。そういうものを踏まえまして、最終的な処理を行なってまいりたいと、こういうふうなことで進んでおるわけでございます。
#7
○大橋和孝君 基本的な考え方は、そうすると、懇談会の意見によってということでありましょうが、しかし、この処理の問題が非常に複雑なままにされておりまして、毎年毎年改正されながら、何と申しますか、こう薬ばり式なことで過ぎてきておる。この基本的な方針の中には、どこまでのものを含めるかということを十分掘り下げて考えてもらわないと、不公平が残るでありましょうし、いろいろ問題が起こってくるわけでありますからして、この基本方針を立てるに当たっては、もちろん懇談会の報告もさることながら、特に、落ちこぼれのないように、基本的にここまでやるということを明確にひとつ討議を進めらるべきではないか、こういうふうに考えているわけです。いま、おっしゃいました戦傷病者戦没者遺族等の援護の問題に関する懇談会、これがつくられましたが、この報告及び今後の状況について二、三点ちょっと伺ってみたいと思います。
 これは結論が出た問題で今回の改正案の中に取り入れられたもの、それからまた結論は出たけれども改善することの必要でないもの、あるいはまた、行政措置によって、法律以外で解決できるもの、あるいはまた、今後これらの再検討を要するもの、こういうふうなものにいろいろ分けられると思いまするが、そういうものが一体どういうふうにして処理されて、どういうふうなものはどういうふうにやっていくかということがあれば、それをここでお示しいただきたいと思います。
 それから、その次の点は、法体系の問題でありますが、援護法関係の法規は、昭和二十七年に制定されて以来、毎年この改正が行なわれているわけですね。いまちょっと触れましたけれども、これは非常に複雑多岐にわたって、この際この法律体系を一ぺん整理する必要があるのじゃないかと私は思いますけれども、それは一体どうされるのか、この点をひとつ伺いたい。
 その次の問題は、これはいま援護法は国家補償の精神に基づいたと言われておりますけれども、実際は、この法の内容はむしろ社会保障的なものですね。それが強められておりますが、そのときどきの政策、いわば財政的な事情なんかによって左右されて一貫性がないわけであります。こういうふうに思いますが、本来の法の目的に返すべきで、いわゆるほんとうに社会保障的な考え方のもとにもっとぴちっとしたものにしなければいかぬのじゃないか。そのときの財政状況なんかであまり左右されるべきものではないのではないかという感じを持つわけでありますが、その点について、以上お考えをお知らせいただきたいと思います。
#8
○政府委員(実本博次君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法の問題につきまして、援護問題懇談会の意見だけを聞いて処理するのかというお尋ねでございますが、もちろんこの問題につきましては、衆参両院で、十数次にわたります法律改正の御審議の際に、いろいろ有益なる附帯決議等もいただいておりまして、そういうものも全部踏まえまして、懇談会には、各界からのそういう問題についての学識経験者を集めまして、その人たちによりましていろいろな各方面からの検討をするようなお尋ね方をいたしておりますので、大体その辺でいろいろな問題が総ざらいされて出てまいるというふうにいま考えているわけでございますが、昭和四十三年七月の二十九日に、一応先ほど申し上げましたように、検討を終了して懇談会から報告をいただきました事項のうちで、処遇をすべきであるというふうな事項が数項ございます。そのうちに、防空監視隊員の処遇の問題、それから勤務関連で死亡いたしました被徴用者等にかかります遺族給与金の支給の制度、それから障害年金の加給のやり方を是正する問題、あるいは父母等の後順位者に対します遺族年金、遺族給与金の増額等につきまして、今回の法律の内容に織り込んでいるところでございます。その他相当な項目がございますが、その事項につきましては、処遇すべきであると言われた事項について残っておりますところは、四十五年以降について措置をしてまいるということでございます。全部報告を求めました事項は、この中間答申が出ますまでには総項目で十五項目ございましたが、そのうち、七項目については現在の措置のままでいいのじゃないかというふうなことに意見がなっておるところでございます。ただし、そういう、現在のところ現行の処遇でいいのじゃないかと言われた事項につきましても、いろいろとまだ問題があるというふうな御意見も衆参両院からいただいている項目もございます。そういう問題につきましては、処遇すべきであるというふうに出ております事項を片づけまして、またその上でさらに再検討を加えていくというふうなことを厚生省としては考えておるところでございます。なお、まだ、先ほど申し上げました十五項目のほかに、いま検討いたしてもらっております問題といたしましては、満州開拓青年義勇隊員の日ソ開戦前の死亡等にかかる処遇をどうするか、それから故意または重過失による障害者または死亡者の遺族に対する処遇をどうするか、それから遺族の老齢化に伴いまして老齢遺族のニードをよく把握して、それに何か考えたらどうかというふうなことの数項目をまだ御意見をまとめておるところでございます。
 それから仰せになられました、財政上の都合で、いろいろこういう問題の処理のしかたを、そういう意味から左右するというふうなことがないだろうかというふうな御懸念でございますが、援護法の対象になりますものは、もうほとんど数も限られておりますし、相当なお年の場合の方が多うございますので、そういった方面からのしわは絶対に寄せないつもりで、筋を通して、その処遇の最適と思われます方向にもっていくように、厚生省としては、努力いたしておるところでございます。
#9
○大橋和孝君 いまの御説明で大かた考え方は了解できますけれども、最終的ないろいろ今後の処理問題、政府の基本的な考え方、こういうものがやはり懇談会の結論、中間報告ではあるけれども、それによっておるわけで、いまそれについていろいろ考え方をお示しになったわけでありますが、お聞きした中で、まだ検討を要する問題がたくさん残っていますね。こういうような問題に対しては、一体どういうふうにされるのか、それからそれに対してもっと法的にもいろいろ考えなければならぬ点が多いだろうと思うんですが、その点についてはどういうふうにされるのか。まだそこのところが明確でない部分もあるかもしれませんけれども、特にそういう点はもう少し明らかにしていい点があるのではないか。その程度の考え方では了解できないような気がするわけですが、できたらいまのをもう少し具体的に御説明してもらいたいと思います。
#10
○政府委員(実本博次君) 先生のお話のうちで、いま援護問題懇談会から答申をいただいた十五項目と、それからいまはかっております三項目の問題について処理すべきであるという意見が出てまいっております事項につきましては、これはもうことしあるいは来年、少なくとも再来年の予算措置なり、法律改正で全部仕上げをいたします。それから、現在の状況では、いまの措置が適当ではないかというふうに出ております事項につきましても、こういった処遇をすべきであるといって出ております事項は、やはり二年ないし三年計画で行ないますから、その過程において、やはりいろいろなバランスを考えながら、もう一度厚生省としては検討してまいる、こういうふうに考えて処遇していきたい。
 なお、それ以外に、先生の最初のお話のように援護法にかかってまいります以外の戦争犠牲者なんというものもございますが、それにつきましては、ちょっと援護法で取り扱うかどうかという問題もございますので、それはまた別の舞台で取り上げていただくべき問題ではないかというふうに考えておる次第でございます。
#11
○大橋和孝君 その詳しい点については、これからあとまた私質問したいと思います。きょうまだ基本的な問題だけについてちょっとお話を承っていたわけでありますが、私の真に問いただしたい要点というのは、いろいろな範囲の問題で、特にそうした戦争によって起こされた犠牲者はもっと広くある、こういうものはこの法律ではいけないというようなことじゃなくて、どの程度までそれが拡大して考えられるか。そこのところの援護の基本的な考え方を私は問いただしたい、こう思っておるわけでありますが、これはいろいろ範囲の広いものに対しては、特に、またあとから今後ともいろんな場合に乗じて私の気持ちを申し上げて、同時に政府のほうの考え方もただしたいと思うわけでありますが、基本的に言って、いまのような形では、私はほんとうに終戦処理ができたということにはならない。もう二十四年たってもできていないと、こう思うわけでありますから、こまかい話はあとから一ぺんいたしますが、基本的にもっと拡大して考えるべきものは考えて、責任をとらなければならないものは責任をとるという形で処理をしてもらわなければ片手落ちのものになるのではないかということを思いますので、そうしたことに対しては十分ひとつ考えてもらいたい。まだ抽象的で、大臣からお答えを願うところまではいっていないと思いますけれども、いまのような形でこの懇談会を通じて出たものと、それから今後に対してそれを処理する基本的な方針としては、どういうふうに持っていくんだというふうなことを一言大臣から聞いて、私はきょうは基本問題だけに触れて、あと詳しい問題はこれからあと次の機会に質問さしていただきたいと思います。
#12
○国務大臣(斎藤昇君) 戦争犠牲者の未処遇の問題をいつまでに片づけるか、次から次と新しい問題が出てまいりまして、これはやはり日本の経済の成長発展に伴って、いままではそこまではがまんしてもらっておってよかったじゃないかという程度のものが、そうではないということに、日本全体が変わってくるものですから、そういうことになってくるのだと思うわけでございますが、まあ考えられる問題、ただいま援護局長から申し上げましたそれらの点につきましては、できるだけ早く解決をいたしてまいりたい。一般の戦争被害者の問題と関連をいたしまして、援護局だけでは処理できない問題もあろうと思いますが、関係省とも連絡を密にいたしまして、いつまでも戦争問題の未処遇の問題あるいは戦争被害の問題を延引さしておくわけにはまいらないと、かように考えておる次第でございます。
#13
○徳永正利君 委員長のお許しを得まして私は二、三お尋ねをいたしたいと思います。
 その前に、いま大橋さんの御質問の中に出てきた問題でございますが、懇談会の結論を得て、あるいは懇談会にどういうふうに御相談なさっておるのか、あるいは懇談会というのがいつまでこれを続けておやりになる気なのか、まずその辺をお伺いしたいと思います。
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
#14
○理事(大橋和孝君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#15
○理事(大橋和孝君) 速記をつけてください。
#16
○政府委員(実本博次君) 援護問題懇談会の性格でございますが、これはあくまで戦傷病者戦没者遺族等援護法の対象として、どういう人をさらにつけ加えるべきかということを諮問いたしております。そのほかに、現在、援護法の中で処遇いたしております人たちの適用条件の緩和、たとえば傷害年金の受給の対象の範囲といたしまして第三款症まで援護法では支給をいたしておりますが、それを第四、第五款症まで広げるべきであるかないかというふうな適用条件の緩和という問題、それからいま処遇をいたしております、たとえば年金の支給額を増額する、処遇の改善の問題そういうふうな問題を類型別にいたしまして諮問をいたすことにいたしております。援護法で見る縁のない、たとえば先ほど申し上げましたような軍人軍属というふうに、それが国との間での身分関係のない者、あるいは動員学徒のように、総動員法の協力命令によって法律上強制された犠牲者でない者、この戦争犠牲者の問題そういった人たちの問題については、この問題懇談会にはもちろん荷が勝っていると申しますか、そういうものになじんでおりませんので、そういう問題につきましては一切諮問いたしておりませんので、あくまで援護法の処遇を中心にいたしまして、いまのような観点から意見を聞いておるわけでございます。
 これにつきまして、いつまで一体やるのかというふうなお話でございますが、これは大体先ほど申し上げましたように、十五項目についての意見をいただいておりまして、あと残すところ三、四項目、数項目でございますが、なお相当いろいろ重要な問題がそれ以上にあるというふうなことでありますれば、存続さしてまいりたいと思っております。いまの見通しでは、いまお願いしております数項目の御意見がいただければ、当分、ここ二、三年の間は、一応そのいただきました意見の処理に没頭してまいりたい、かように考えておりますので、そういうふうな考え方で進んでいきたい。
#17
○徳永正利君 いま援護局長はたいへんなことを言いました。私はびっくりしているんですが、十五項目か、何項目か知りませんが、数項目にわたる諮問をした――諮問ですか、相談ですか知りませんが、とにかく御意見を聞く、これを出してもらうと、あと二、三年はその整理で用事はないだろう、だからまたさらにいろんなところで問題が出てくれば、またそれはそのときのことだというようなことをおっしゃる。一体、援護法の対象はどういうものが対象であるかということは、私が説明するまでもなく、援護局長は百も承知しておられる。それを答申をもらってから二年なり、三年なり、その整理の期間を置きまして十分検討いたしますなんということは、これはまことにもってのほかのことでございまして、答申なり、あるいは御相談の結論が出たら、それをいかにこれを早く処理するか。あしたにでも死んでいく遺族、あるいは傷疾者、年寄りばかりです。そういう者にどうして一日でも早くやってやるという態度をお示しにならないのか。これはひとつ政務次官から、大臣のかわりに御答弁をいただきたいと思います。
#18
○政府委員(粟山秀君) 徳永先生のおっしゃることはごもっともで、局長のことばが十分でなかったのでそのような思いを先生にお抱かせしたことは、たいへん恐縮に存じます。もちろん懇談会から意見をいただきましたら、早急にその実現をはかるべきであると思いますし、そういたします覚悟でございます。
#19
○徳永正利君 ひとつお帰りになりましたら局長によく大臣の、政務次官の意思を伝えてそのように処理していただきたいと思います。
 それから、懇談会に、あるいは審議会等に諮問されるときに、どうも、お役所では、これを隠れみのにされていることが多いわけなんです。これはどうも、支持団体なり、あるいは要求団体なり、利害関係団体は非常にやかましいけれども、これはあなた方のところの結論で、これは無理だと言ってもらえば、私どもは逃げるのに都合いいからというような諮問をされたのでは、これはもうまことにたいへんなことでございまして、厚生省が懇談会に諮問されるときには、こういう問題はぜひやってやりたい、関係団体がこういうことを要望しておる、しかも、老い先短い、あるいは傷を受けた人たちは、こういうことを要望しているんだということを言って、少しでもそれが促進になるような御相談をしてもらいたい。これは、この援護懇談会ばかりではございませんけれども、その点は十分御注意をいただきたいと存じます。
 それから、この援護法の質問となりますと、皆さん同じようなことばかりでございまして、私は、大橋先生とほとんど重複するのではないかと思って心配しておりましたが、途中で大橋先生がおやめになりましたから、私がこの質問を続けたいと思いますが、職務に関連して、なくなっていった方々の遺族に対する処遇でございますが、これは私が申し上げるまでもなく、日華事変当時に、内地におられた方については何ら処遇をされていないわけです。これのいわゆる特例扶助料というものの発祥のものの考え方というのは、援護局長もよく御存じと思いますけれども、だんだんと日本も戦争が苛烈になっていく、そうして徴兵なりあるいは召集をした方々が必ずしも昔のように五体が頑健そのものである人ばかりではなくなる。だからその恩給法の適用、あるいは援護法の適用等については、そういうときを十分考慮して、その時期がいつごろであったろうか、サイパン陥落という一つの線を引いたこともございます。あるいはだんだんとそういうような一時的な制限を加えて、特例法というものができ上がったのです。ところが、いま振り返って考えてみますと、少なくとも、職務に関連してなくなった者でございますから、そういう時期的なものを乗り越えて、支那事変――日華事変でございますか、正式な名前は。日華事変当時にもさかのぼってこの特例法を適用すべきである、また適用していただきたいという大方の意見があるわけなんです。しかも当時の人間というものはどのくらいおりますか、わずかなものだろうと思います、予算面にいたしましても。金の問題はともかくとして、ものの考え方としてそういうことは私は当然であると思いますが、厚生当局の御見解を承りたいと思います。
#20
○政府委員(実本博次君) お話のように、特例の公務扶助料、あるいは特例の遺族年金につきましては、太平洋戦争の特殊事情を考慮いたしまして、特にその末期におきましては、非常なる弱兵を召集したというようなこともございまして、内地で勤務に関連してなくなられた方々につきましての特例年金制度を、先生のお話のような趣旨で設けられたわけでございます。その設けられました理由につきましては、特に先ほど先生も御指摘ございましたように、太平洋戦争の末期におきます特殊事情ということが、一番大きなこの制度の眼目になっておりますので、これを支那事変まで、日華事変までさかのぼり適用するという問題につきましては、従来そのころ勝ちいくさであったという関係から、そう大した弱兵は無理してとっていない、したがって、そこまで勤務関連を考える必要はないというふうな考え方のもとに、太平洋戦争だけに限ってそういう勤務関連をとるというふうな措置になっておるわけでございます。この問題につきましては、もちろん軍人の方々が中心の措置でございますので、恩給の問題といたしまして、例の恩給制度審議会の答申にも、この問題の取り扱いについて意見が出てまいっておりまして、それによりますと、現行の措置で適当であるというふうなことが出てまいっておるわけでございますが、先ほど先生ちょっとお触れになったかと思いますが、遺族援護法のほうでは、例の四条2項というものがございまして、いわゆる事変地におきましても、公務でないものを公務とみなして年金の適用範囲に加えるというような特殊の措置がございますので、そういう点も考慮しながら、また、一つには、やはりこれはあくまで軍人に関する問題でもございますので、恩給局とも相談いたしまして、そういう面での検討を続けてまいりたい、かように考えております。
#21
○徳永正利君 まあおっしゃりたいことは、支那事変のころは兵隊に合格、入隊したのもみんな五体も元気であるし、また、当時は、陸軍なり、海軍なりあるいはその他のりっぱな組織が厳然としておって、少しくらいの病気ぐらいなんというのは手当てもいい、また、もしも何か疑問のある点は抜かりなく富国強兵の時代でありますから手当てをしているはずだ、だからその当時のものは、一応恩給審議会等においては、そういうことをやるのは適当でないという結論が出ているということをおっしゃりたいと思います。また事実そうおっしゃったと思うのですが、しかし、いまの現状から考えてみて、現在から考えてみて、当時ほんとうに職務に関連した、自分たちが命令に従っていろんな作業をやっておったり何なりしたときの原因で病気になったというようなことでございますから、この点はひとつ、恩給法で手がつかぬものならば、援護法で何とかひとつもう一ぺんお考え直しをいただきたいと思います。
 それから満州開拓青年義勇隊員のことでございますが、これはまあ若い青年たちが内原道場に集まって、あるいはそうじゃなくて、各県の知事が太鼓をたたいて青年を集めて、青年というよりも、むしろいまでいえば少年ですが、青少年を集めて送り出した。当時の知事さんの話を聞くと、いやあ、わしは確かに先頭に立って満州開拓に行けといってすすめて送り出したことをよう覚えているが、あの人たちはどうなっちょるだろうかということをよくおっしゃいます。これは昭和十四年の十二月二十四日、私が言うまでもなく、厚生省ではおわかりだと思いますが、満州開拓民に関する根本方策に関する件として閣議決定しております一つの国策でございます。その国策に沿って出て行った。ところが昭和二十年の八月八日にソ連が満州に攻めてきた、それ以後のものはいろんなめんどうみるけれども、それ以前のものはこれは別だとおっしゃって今日まできておるわけなんです。これは何としても私は納得ができません。ひとつこの点は援護懇談会にも御諮問になっておるかもわかりませんが、どういうふうにお考えか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
 なお、時間がございませんからもう簡単に、皆さん各委員とも次の質問をお待ちでございますから、簡単にお答えをいただきたいと思います。
#22
○政府委員(実本博次君) 懇談会で意見をまとめてもらっておるところでございますが、厚生省の考え方といたしましては、これは衆参両院で、昨年もいろいろ御決議をいただいておる問題でもございますし、少なくとも太平洋戦争が始まりましたころ、あるいはとにかく満州自体が非常に緊急な事態に置かれたという態勢、そこまでさかのぼってのものをとってみようかというふうな点で検討をいたしておる次第でございます。八月八日以前はすっかり全部というふうな考え方もございますが、やはり以後にとっております意味からいいまして、やはりあまり前広にといいますと、やはり満州それ自体が、いろいろ事変当時と日ソ開戦当時との間では、ずいぶん差がございますものでございますから、その辺は、いま私が申し上げたような時点で考え、整理をしてみたらどうかというふうなことを考えておるところでございます。
#23
○徳永正利君 整理をしてみたらどうかじゃなくて、今度はもう厚生省は、原案をおまとめになって、大蔵省とそろそろ第一回の折衝をおやりになるのだろうと思います。ですから今年やる気なのか。大蔵省のやつが、出しても、またあれは銭を出すまいと思って切ってくるに違いありませんから、それを私どもがまた推進しなければ、バックアップしなければいかんし、国会の委員会でこういうような、いままででもずいぶん附帯決議もついているのですから、いつお出しになるのか、今年でもやろうという気を持っておるのか。十分検討いたしたいというのじゃなくて、その辺はもう少し正確にお答えを願います。
#24
○政府委員(実本博次君) 答申が出てまいり次第、その線で直ちにでも措置したいと、かように考えております。直ちにと申しますのは、来年度の予算以降の問題になりますが、直ちに措置をいたしたいと考えております。
#25
○徳永正利君 懇談会懇談会、答申答申とおっしゃいますけれども、これは政務次官にお伺いしますが、答申を出さなければ、懇談会がオーケー出さなければ、厚生省は国会の附帯決議がついておろうと何がついておろうと、おやりになる気はないのでございますか、その辺はどうなんでございますか。
#26
○政府委員(粟山秀君) 答申のほうで、しなさいというような結論が出ませんでも、やろうと思えばやれるわけでございます。
#27
○徳永正利君 それは当然なことなんです。懇談会に御相談なさるというのは、政府としてもどうもいい知恵がないと、だからひとつ知恵を貸してくれという問題について御相談をなさるのであって、当然これはやるべきであると思われることは、何も懇談会に御相談なさる必要はないと思います。ですから、あまり懇談会懇談会とおっしゃらなくて、腹をきめておやりいただきたいということを私はお願いをするわけでございます。
 それから、今度の改正案を見ますと、弔慰金の受給のことでございますが、昭和四十年の四月一日以降、遺族援護法による弔慰金の受給者が失権した場合にも特例弔慰金を支給したらどうか、またすべきじゃなかろうか、これは大して私は法律的に意味のある議論じゃないと思うのです。この点はどうお考えかひとつお聞かせいただきたいと思います。
#28
○政府委員(実本博次君) お尋ねの特別弔慰金の支給の関係でございますが、これは先生も御承知のように、戦後二十年を経過したという意味で、いわばそのめどとして記念と申しますか、そういう折り目切れ目で出した、そういう時点で弔慰金の支給をしたということでございまして、おっしゃるような事務的な理由と申しますか、そういうものではございません。したがいまして、これはまたたとえば終戦二十五周年とかあるいは三十周年とかというふうな折り目切れ目の時点で考えていくべき筋合いのものと、かように考えておる次第でございます。
#29
○徳永正利君 私は、その筋合いはおかしい筋合いだと思います。改正された時点で――今度改正されればその時点でおやりになる、その次に改正されればその次におやりになる、何も二十五年で竹みたいに節をおつけになる必要はないじゃないか、これは一ぺんお考え直しをいただきたいと思います。
 それから法律のことでございますから、いろんな解釈の問題とか、あるいは死に場所がどうだとか、いろんなことが問題になって、まだ処遇されないものがたくさんあるのは私が申し上げるまでもございません。そこで、少なくとも、厚生省は厚生省として――いまここで昔話をするのは恐縮でございますけれども、陸軍省なり、海軍省なりは戦死の公報だといってみな家庭に届けた。それには戦病死であるとか何とかかんとかうまいことを言ってごまかしたのだ。実際ふたをあけて見ると、それが戦病死でなかったり、いろいろな事件でなくなっている人があるわけなんです。いわば遺族をだましておる。遺族としてみれば、戦病死と書いてあるから病気で死んだんだろうと思うとそうでなくて、何で私のむすこは死んだんでしょうか、説明しようにも説明のできぬような事件がたくさんあることは御存じのとおりでございます。ですから、こういうものを一体総ざらい的に解決をつけなきゃならぬと思います。当時、あなたの息子は強盗やって、強姦やってそして殺された、だから国家の補償とか何とかいうことはありませんといって、はっきりしておけば、それはそれでぼくは考えがあると思いますけれども、当時はそれを戦病死といって出しておる。いまになって、どうも死因にいろいろ問題があるようでございますから、ちょっとぐあいが悪いということは、これはちょっと遺族側にしてみると、聞こえぬ話でございます。こういう点については、私は、ここでいろいろな事例をあげて、またあなたから具体的な事例をとって議論するのはいささか不適当かとも思いますが、十分ひとつ大援護法的なものでもつくるのか、あるいは国の戦争の総ざらいとしてどういうことを考えているのか、まじめにひとつお考えをいただきたいと思います。
 それから、この援護法の一番大きな欠点は、援護法ができたのが二十七年、戦争が終わってから七年たっているわけなんです。それから改正、改正で、いまだにこの改正をちょびりちょびりやっておられますが、二十年くらいたって改正されるのもあるわけです。そうして、この援護法は死因なりいろんな立証の責任を全部遺族に、あるいは傷病者に課している。傷病者の方々は生きておられるからまだ記憶もありますし、いろんな手続もまあまあというところだろうと思いますけれども、南のほうに行って、いつ死んだやらわからぬ。公報をひとつもらって、それをたよりに、おまえの息子はいつどこで死んだんだ、どういうもので死んだと。だから、こういうふうな書類出せ、書類出せでおっかけられるわけです。その書類の調査、申請する書類の調達のために、むずかしいものになればなるほど、私がこのところで大きな声をするまでもなく、局長は知っているだろうと思いますけれども、北海道の果てから九州まで、じいさんが弁当下げて判こをもらいに行ったり、戦友を探しに行ったり、たいへんなことなんです。そういうように、この援護法というのは不親切な法律なんです。ですから、そういうようなものも合わせて、一体国が最終的な責任をおとりにならなきゃならないんですから、国のために行けといって、そうして殺しているんですから、総ざらい的に一体そういうものに対してどういうふうな基本的な考えを持っておられるか、簡単でいいですから、御決意のほどを承っておきたいと思います。
#30
○政府委員(実本博次君) お尋ねの第一点の戦没者の、死没者の死因等によりまして、現行法では適用を受けられないというふうな御遺族もおられるわけでございますが、御承知のように、恩給法の中での公務扶助料あるいは援護法の中での遺族年金というものは、戦没者自体が国家公務で傷つき、あるいは病気になられて、その結果なくなられたというふうな在職中の事故に対します、公務上の傷害に対します年金給付というふうな仕組みでできあがっておるものでございますから、あくまでその死没者の死因というものが、死に方というものが給付の焦点になっておるしかけでございますから、やはりどうしても公務上の職務を遂行する上においての事故であるということでないと、いまの給付につながらない、こうなっておるわけでございます。それでやはり公務上でないというふうなことがはっきりいたしておりますものにつきましては、これは、どうしてもいまの援護法なり、恩給法の体系では処遇のしかたがない。ただし、その場合に、御遺族のほうだけを見て考えますと、先生の先ほどのお話のように、国が自分の責任においてとにかく赤紙を出して戦地につれていった。そして遺族のほうの面からいえばつれていかれたまま終戦になって、だれも帰ってこない。最愛の夫なり、最愛の息子がそのまま帰ってこないというふうなことで、その人たちには何のごあいさつも国からはしてない。こういう状態はあまりに御遺族に対して国が無責任じゃないか、こういう御叱責だと思いますが、その点私のほうも、厚生省を中心にいたしまして、御遺族の立場というものを何か考えるべきではないかというふうな考え方を非常に強く持っておるところでございます。また先生にしかられるかと思いますが、これも一応懇談会のほうに、どうやったらいいだろうかというふうな意見を聞いておるところでございますが、とにかくいま言ったように、遺族のほうを向いた何かの措置というものはすべきであるというふうにいまわれわれ考えておるところでございますので、そういう意味におきまして、それが大援護法になりましょうか、そういった措置を、法律でやるか、あるいはその他の措置でやるべきかは別といたしまして、何か考えるべきではないかというふうに存じておるところでございます。
 それから、何かこの援護法の中で、第二の問題でございますが、法律改正をしても、結局二十年あるいは二十数年前の時点におきます事故というものを証明する材料がないと、この遺族援護法の中の全部の規定が動かないという因果なしかけは、御指摘のように、全く請求される御遺族のほうにとってはたいへんな苦労だと思います。ただし、どうしてもこういう法律上のしかけになっておるものですから、これを全部一切免除してしまうというわけにもいきませんが、なるべく私たちのほうもそういうふうなむずかしい問題を、しかも年とった御遺族に課するということはなるべく避けていきたい。ですから、なるべくそういうことの世話を行政機関なり、あるいは相談員みたいな人の協力をかりまして、なるべくそういうふうな御苦労をかけないように、いま官のほうの側あるいは公のほうの側でサービスをできるだけしてまいりたいというふうに考えておりまして、できましたら遺族相談員といったようなものを、おそまきではございますかもしれませんが、もう少し地域ごとに置いてまいれたらというふうなことも考えておる次第でございます。
#31
○徳永正利君 いま残っているのは、もう一筋なわではなかなか及ばぬような、立証の困難なものであるとか、いろいろむずかしいものばかり残っているわけですから、私はいまいろいろ言ったけれども、ひとつ十分運用の妙を発揮されて、たとえば戦死の公報もあるいはその当時の書類も、宮崎台風ですか、当時の台風で全部流されましたと、死んだことは確実ですけれども、役場も何もかもなくなってどうにもなりませんというのには、おまえたちはだれか当時行った人もおるだろうから、そういう中の三人ぐらいの者の判こを取ってこいというふうなことをおっしゃらなくても、警察の証明も取れることでしょうし、あるいはしかるべき機関の証明等によってそれを裏づけされるというような、ひとつあたたかい私は運用の妙を発揮していただきたいということを暗に申し上げたところでございます。その点は十分ひとつ今後もお考えをいただきたいと存じます。
 それから、戦後二十年を経過してまいったのでございますが、老齢者、もう特に遺族関係で申しますと、親は七十を全部越しました。六十代の親というのは、ほんとうにもう数えるくらいしかいないんです。ほとんどがもう七十以上になってしまっている。で、恩給法のあの答申の中にもあるように、老齢者に対しては何かひとつ厚遇の措置をとったらどうかということが言われておりますが、おい先短かいんですから、もう十年たったら残るのは未亡人だけで、あとは親は全部いなくなります、特殊な長生きする人は別ですが。ですから、この際何かそういうものについてやってやろうというようなあたたかいお考えはないものかどうか、お尋ねしたいと思います。
#32
○政府委員(実本博次君) 御指摘のように、公務扶助料なりあるいは遺族年金をもらっておられる方は約百四十万人でございますが、そのうちの五二%でございましたか、いまちょっと的確な数字は忘れましたが、
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
その半数以上は、七十歳以上の方々で占められておるところでございます。終戦後二十四年もたちますと、まさしくもう父母の大部分はそういう老齢というニードが出てまいっておる実態でございます。したがいまして、従来の恩給法の上で年齢差等によりまして、ベースアップをします率をかえて、厚遇して、高くベースアップをやったという措置が今回一本化されておりまして、そのためにいままでとられてきた厚遇措置にかわるべき何かを考えるべきであるという恩給審議会の答申も出ております。援護局のほうの側からいたしましても、遺族援護の立場からいって、対象である遺族の大部分の方々がそういう七十歳以上の老齢化の状態になってまいっておりますので、そこに何かひとつ年金給付とは別に、切り離しても老齢化された御遺族が持っておるニードをもっと突き詰めて、措置のできるものならしていきたいということで、いまいろいろそういう実態調査の結果を集計いたしておるわけでございます。それらを踏まえまして何かやはり措置をすべきであると考えております。
#33
○徳永正利君 いままで三十分質問いたしましたが、その中で一番元気のいい、前向きなお答えをいただきましたが、どうか、その点はひとつ今後早急に御検討いただきたいと思います。
 それから学徒動員なんかで遺族給与金というようなものをもらっておるのでございますが、もう今日いくさが済んでから二十年たっておるんですから、これは七割とか割り引きをして差し上げるということは、もうそろそろやめていいんではないか、これは恩給法が動かなければなかなか困難なこともあろうと思いますけれども、少なくとも、援護法は、そのくらいのことはひとつ先行して踏み切ってもいいと思いますが、御意見を伺いたいと思います。
#34
○政府委員(実本博次君) 先生御承知のように、準軍属が、従来国との身分関係とかあるいは勤務の態様等が、軍人軍属と差異があるということで処遇の差が設けられてまいったわけでございますが、この問題につきましては、例の援護問題懇談会の報告の中でもこの問題にちょっと触れておりまして、現在のところは、この差を解消する必要はないというふうなことで報告が出てまいっておりますが、その後いろいろほかの処遇の問題等もからめまして、現在の給与金と遺族年金との差が適当であるのかどうかという問題、もう少しさらに検討してまいっていきたい。とにかく準軍属であっても公務なんでございますから、公務という点では軍人軍属と何ら変わらない。そういう意味におきましては、いまつけられておる差が適当であるかどうかということについて再検討したい、かように考えております。
#35
○徳永正利君 なくなった人の身分が違うというだけでございますから、この点は、私は、当然差を撤廃すべきであると、かように思うわけでございます。それから入営の途中であるとかあるいは応召の途中であるとか、また自分のうちに帰る――召集が解除になって帰る途中になくなった人の処遇がこれまた何にもされていないわけでございますが、朝鮮の羅南に入隊するというわけで、東京から勇躍出て行ったところが、途中で関釜連絡船が沈んでしまって、赤だすきをかけたまま沈んでいっておるわけです。またたしか帰郷の場合の問題としては、いろいろケースがあると思いますが、伊豫丸事件でございますか、愛媛に上がる前に船と一緒になくなった人は、これは集団でなくなったから適用しようということで救われておるはずですが、そのほか、個々の人が途中で事故でなくなったというような人は、死因が明瞭でないとかいろいろなことで、まだ残っておるのがたくさんあると思うんです。また、たしか舞鶴にシベリアから引き揚げて来たときに、あそこはみんな赤旗で騒ぐものですから、自分のうちに帰るまでは応召解除せぬ、それまではおまえたちの身分は前の身分であるぞよというようなことで、たしか、やったこともちぐはぐになっておることがあると思うんです、時期的に。ですからこの入営、応召の途上であるとかあるいは帰郷の途中であるとか、こういうものはもう少し、実際の身分は営門をくぐらなければならないんでしょうけれども、もう少し援護法というものはあたたかい気持ちを働かしていいんじゃないかと思うんですが、この点いかがでございますか。
#36
○政府委員(実本博次君) 入営途上の者は身分を発生してない、それから帰郷途上の者は年期があけて帰るんだから身分関係はなくなった、こういうことで形式的に割り切って援護法なり、恩給法の適用はないということで推移してまいったわけでございますが、いろいろケースによりましては、先生のいまお示しのようなことで、応召途上と入営途上といいましても、もうほとんどとにかく召集令状が来まして、本隊に入りますまでの間の期間というものは、相当制約されておりますし、もうそこに行かなければ兵役法上でものすごい処罰に処せられるというふうなこともございますので、そういう強制のかかった間のでき事ということで、何かやはりそこに考えるべき余地があるんじゃないかというふうな考え方が強く出てまいっておりますので、そういう入営途上の事故あるいは帰郷途上の事故につきましては、やはり援護法上あるいは恩給法上の年金の対象ということでなしに何か処遇することがないかというふうな考え方で、いまいろいろその措置を検討いたしておるところでございます。なお、帰郷途上の場合は、例の海外から引き揚げて来られました、復員して来られました兵隊さんにつきましては、これは適用されておりますので、公務と見なされてやっておりますので、そういうことも手がかりにいたしまして処遇を考えていきたい、かように考えます。
#37
○徳永正利君 なかなかいままでの既成の法律の恩給法なり、援護法では引っかかりにくいところがあるだろうと思うんです。ですから、ひとつこの際、戦没者に関する特別援護法、たとえば戦傷病者特別援護法というような法律ができておりますが、そういうぐあいに、一ぺんばらばらになっている法律をおまとめになってみたらいかがかと思うんです。いま数えるだけでも、特別給付金あるいは老齢者に対する特別給付金、未亡人の特別給付金、あるいはその他いろいろなやつが、遺骨の問題にしても、いろいろのものがばらばらに出ておる。それをそういうふうなものに――援護法、恩給法というものはその前に置いといて、それになかなか手の届かぬようなものを一ぺん集めて、そしてそれを運用していくというようなことを一ぺん考えられぬものかどうか。これは今後の問題でございますけれども、簡単でいいですが、厚生省のひとつ見解をお聞かせいただきたいと思います。
#38
○政府委員(実本博次君) そういった意味での考え方をもって、いま申されましたような未処遇問題のまとめ方をしていきたいというふうに考えております。
#39
○徳永正利君 戦没者の叙位叙勲の問題でございますが、これは衆議院の質問の記録を読みますと、厚生省でも五年計画で一生懸命やっていらっしゃるようでございますが、ここであらためて――私はそれで承知しておりますから、衆議院の今度の今度の改正の速記録を見ますと答えが出てるようでございますから、ひとつこれは一日も早いように促進をしていただきたいと思います。
 それから遺骨の収集でございますが、これはまあいろいろな考えが実はあるわけなんです。「海行かば水漬く屍山行かば草生す屍」と、当時行った者は、自分のかばねは海のもくずとなり、荒野にさらすんだと言ってみんな出ていったんだから、あれは持ってこぬでよろしいと言うような人もあります。しかし、おおむね、日本の多くの人間は、まあ自分の肉親の遺骨をせめて――から箱ばっかり帰ってきたんだから、ということなんです。ですから、この遺骨の収集はまあ意欲的にやっていらっしゃいますけれども、報道されるところによりますと、いろんなところにけ散らかされているというようなことがたくさん耳に入るわけでございます。これは陸上にある遺骨と、あるいは海の中にある遺骨とを問わず、できる限りは私はこれは国の責任によってやるべきだと思います。今度まあ「陸奥」を最近おやりになるようでございますが、けっこうなことだと思います。ですから、これも全部のものをやれと言ったって、二千メートルの下に沈んでいるものはどうこうなりませんけれども、まず調査をして、そしてやれるだけの努力はひとつやっていただきたい。その御決意を承りたいと思います。
#40
○政府委員(実本博次君) 遺骨収集の問題につきましては、二百十万に及びます海外の戦没者の、多数にのぼっておりますこの大東亜戦争の犠牲者のうちでの最も痛ましい傷あとの始末の問題でございますので、もう厚生省といたしましては、鋭意そういう水づくかばね、それから草むすかばねを問わず、内地にあたたかくお迎えをして、御遺族のお手元に届けたいということでいろいろ苦心いたしておるところでございます。この問題につきましては、特に四十二年度からそういう計画的に、主要戦域につきまして遺骨収集の政府派遣団を派遣いたしまして収集に当たっておるところでございますが、ことしもやはり三年連続の、一番戦没者の多かったフィリピンに送り込むことにもなっておりますし、それから東ニューギニアのほう、これはまだあまり手をつけておりませんのですが、これから向こうにも参ることになっております。それから硫黄島のほうは、これはもう内地、わが国になりましたものですから、これも目下出かけてまいっておりまして、本格的に収集をいたしておるところでございます。
 まあそういうふうに、できます限りの努力をいたしまして、早く遺骨収集に終止符を打ちたいと考えておる次第でございます。
 なお、その海没の戦没者の問題でございますが、これは日本近海と外国の領海とにおきます場合だいぶ違うわけでございますが、日本近海におきます場合につきましては、御指摘の「陸奥」のケースを残しまして、ほとんどサルベージの可能なところについては概了いたしております。ただやはり、水深五十メートル以上で外洋なり潮の流れのはなはだしいところには、とてもまだそういう手が技術的に伸びませんものですから、それにつきましては、場所、それからそういう沈みました船の調査資料収集ということを、いま鋭意やっておるところでございます。まあ外国の領域内に沈んでおります艦船につきましては、これはなかなか問題が相当複雑でございますので、まあ、これもしかし場所とか、それから船名とかというものの調査は、外国の官憲にも依頼して、こちらの持っております資料も突き合わせながら、まずそういう調査を開始いたしておるところでございます。いずれにいたしましても早くこういう問題につきまして終止符を打つべく、鋭意努力いたしておりますので、いましばらくお待ちを願います。
#41
○徳永正利君 私は、あと三問お尋ねいたしまして質問を終わりたいと思いますが、いまの遺骨の問題も、たとえばオーストラリアではカウラにみんなお墓を集めていますね。あれはソ連なんかも一カ所に集めて――これは私の思いつきと言ってはあれでございますけれども、御相談なさって、お墓参りにも行けるように、広い土地でございますから同じところに集めてもらうようなことはできぬものだろうかというふうに考えておりますが、これはまあ御検討いただきたいと思います。
 それから沖繩の、一家全滅で、いわゆる一家眷族がおらぬという全滅の家族のうちがあるわけです。いま行ってみても、もうだいぶなくなりましたけれども、当時は一家全滅のうちで親戚も何もほとんどないうちがあるわけでありますが、こういう方々に対する国は何かやっぱりお祭りをささやかでもしてくれという意思は、私は意思表示をしてもいいと思うのです。こういうようなことをお考えになったことございませんか。
#42
○政府委員(実本博次君) あと沖繩の問題でございますが、これはまあ総理府の特連局でございますか、ともよく相談しておるところでございますが、おっしゃるように、一家全滅でだれも見取り手がないということで、市町村長の計らいとか、あるいは沖繩の遺族会の計らいで、そういう方々の菩提が弔われておるというケースが多うございますので、そういうお世話を願っているところに何かやはり国としてそのお手伝いのできる――当然国がすべき問題でございますが、まあ現在そういうところでそういう措置をとっていただいているということに対する何かささえをしてはどうかというようなことを、特連局とも寄り寄り話をしているところでございます。
 それから最初のお話の、激戦地その他戦没者がたくさん出ました海外の重要地点に慰霊塔なりあるいは記念碑を建てて、遺族の戦跡訪問に便利ならしめよというお話でございますが、まことにごもっともでございまして、その問題につきましては、やはり遺骨収集の推進と待ちまして、要所要所にはそういう碑を立てまして、慰霊の誠を示したいと考えておりますので、またいろいろとお知恵を拝借さしていただきたいと思います。
#43
○徳永正利君 私は、碑を立てるということも大切でございましょうけれども、一つの方法でございましょうけれども、お墓をそこに一カ所にお集めになったらどうか。オーストラリアのカウラみたいにということでございます。
 それから、あと二点お伺いしたいと思いますが、いくさが終わって二十四年にもなりますが、いま未帰還者の現状はどうなっておるか、また、あるとすれば、国別にどういうところからまだお帰りになってないか。また、厚生省は、もしもそういう人がいまおられるとすれば、どういうふうなことをいまやってらっしゃるのか、その促進ですね、それをひとつ御説明いただきたい。
#44
○政府委員(実本博次君) 昭和四十四年の三月一日現在の海外の未帰還者は、全部で四千三百四十六人となっておりまして、その方々の地域別の分布でございますが、ソ連地域におきまして四百十名、それから中共地区、主として旧満州でございますが、それが三千四百八十七名、それから北朝鮮地域におきまして百三十四名、それから南方その他の地域におきまして三百十五名、そういうふうな地域分布になってございまして、大部分が中共地区におられる方々でございます。こういう方々に対しましては、鋭意調査究明の努力を続けてまいっておるところでございますが、いま申し上げました四千三百四十六名の方々のうちで、いままでの調査によりますと、過去七年以内に生存している資料が関係者の手紙とかなんとかいうようなことで、生存資料のあるものが千八百五十三名ということでございます。その四千三百四十六との差の方々は、全然そういう過去七年以内に生存資料がない。したがって、諸般の状況から見まして、生存の希望が持てないというふうな状態の未帰還者の現況でございます。こういう方々に対しましては、未帰還者の留守家族の方々とよく連絡をとりまして、そしてもう、例の未帰還者特別措置法によりまして死亡宣告をするものについてはそういう御相談をしますが、なお、そういうことで生存資料があるというさっきの千八百五十三名につきましては、これは個々のそういう方々の調査と申しますか、究明を、国内的にはもちろんのことでございますが、当該外国の、国交のある国はもちろん政府同士で、国交のない国につきましては、いろいろ日赤その他の民間ルートによりまして、そういう人たちの最終的な措置をきめるように交渉を行なっておる次第でございます。そういう国交のある国につきましての場合はさることながら、国交のない国におきまして、特に満州関係が非常に多うございますので、この問題につきましては、やはり外交上の大きな条件が横たわっておりますから、なかなか調査究明にはひまどり、あるいは障害が大きうございますので、厚生省といたしましても、その点につきましては、大きくそういうものの条件の好転するのを待って最終的措置をしたい。しかし、それまではやはりどうしても留守家族の心情を考えまして、たとえクモの糸のような細い糸でも、つかめるものはつかめるように、調査究明の努力を続けてまいる。こういうことでございます。
#45
○徳永正利君 千八百五十三名は生存資料が過去七年以内にあったことがわかったということでございますが、これは日本の国に帰りたくない人も中にはおるかもわかりませんが、これはほとんど全部連絡がついて、この中でどれくらい一日でも早く家に帰りたいという意思表示をしておられるというような人がおるかわかりますか。
#46
○政府委員(実本博次君) これは先生のお話のように、向こうのほうで帰りたいという意思を表示される方と、それからこちらのほうで帰ってもらいたくないという意向をもらされる留守家族の方と、この千八百何名のうちにはいろいろケースケースによりまして違ったものがおります。そのケースの総数は、詳細な数をいまちょっとここに持ち合わせがございませんが、私の記憶では、向こうにおられる方の半分くらいはもういまや向こうにいたいのだが、一時的に里帰りと申しますか、一時的にこちらへちょっと老父母なり何なりの顔を見に帰りたいというふうな意味の帰還意思を持っているような人が半数以上だと記憶いたしております。こちらのほうの留守家族の中でも、その程度の受け入れの意図はありましても、べったり帰ってこられるということの何か受け入れ意欲というものがないものもある程度ございまして、その辺のところは非常にむずかしい実態に置かれておるようでございますので、そこをわれわれのほうといたしましては調整してまいる。これはやはり未帰還者の留守家族のほうの受け入れ態度がはっきりいたしませんと、あまりしゃにむに未帰還者を帰すかっこうで努力をいたしましても、そこが一番大きな問題でございますので、われわれのほうの未帰還者調査の問題につきましては、いまの一つの重点は、こちらの留守家族の方々とさしで、個々に徹底して真意を確めてまいって措置したい、かように考えております。
#47
○徳永正利君 私は、ちょっといまお聞きしただけでは、逆ではないかという気がするのです。二十四年も五年も異国の地にあってですよ、帰りたいと言う人を何とか帰す、これの意思を優先するというのが当然のことじゃないかと思うのです。こっちのほうで、親戚がどう言ったから、留守家族がどう言ったからというようなことで、ちょっと待ってくれなんというのは言語道断の話だと思うのです。この辺のことは、世の中は広いのでいろいろあるでしょうが、また詳しく一ぺん御説明を伺いたいと思います。
 それから最後に、いろいろ厚生省も御心配いただいて、いろんな異議の申し立てであるとかあるいは不服の申請というようなことをやって援護審査会でいろいろ調査になった。この問題を最後に私は質問を終わりたいと思いますが、聞くところによると、現在月に一回しか審査会をやってらっしゃらない。月に一回というと、一年に十二回にきまっているのですが、先ほども援護局長言われましたように、もう半分以上が七十歳以上になっている。老い先も実は短いのです。ですからこういうものは、もう少し意欲的にひとつ解決してやるという姿勢なり、あるいは促進はやれぬものでございますか。
 それからもう一つは、いま現在異議の申し立てがどのくらい出ているのか、あるいは不服の申し立てがどのくらい出ているのか、一回の審査会によって何件ぐらい一体片づけているのか、あるいは、最後にこれが全部片づくとするならば、審査会にかけてあと何年くらいかけてやるおつもりなのか。それをお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#48
○政府委員(実本博次君) 援護審査会の回数でございますが、御指摘のように、月に一回、年に十二回ということでやっておりますが、その援護審査会にかかります案件と申しますのは、異議の申し立てのケース、それからそのほかに、御承知のように、事実上の父母というふうな制度を設けましたが、その事実上の父母であるかどうかの判定を審査会の議にかけておるということでございますので、その二種類のものが審査会にかかってまいります。最近審査会が非常にふくそうしておりますのは、この事実上の父母が設けられまして以降、この事実上の父母の判定の機能を営むために非常にふくそうしておりまして、本来の不服申し立ての処理の関係のほうに影響が出てまいっておる、こういうことでございます。われわれのほうといたしましては、厚生大臣側といたしましては、なるべくこの回数を、やはり先生のおっしゃるように、少なくとも月に二回ぐらいにふやしたいということと、それから、審査会のほうでも、定型的に審査の型のはまったものがございますので、そういうものにつきましては、小委員会等を設けて、そっちのほうで処理さしてもらって報告さしてもらう、こういうふうな、いわば権限委譲みたいなかっこうで進めていくのと、まあ二通りで早くこの滞貨を一掃してまいりたいというふうに考えております。
 ちなみに、四十四年の四月末現在で受け付けておりますこの審査会関係へかかります不服申し立ての件数が一万五千六百三十五件ございまして、処理いたしましたのが一万五千四百十八件、この不服申し立てに関する限りは、未処理は二百十七件ということに相なっております。こういうものをなるべく早くいま申し上げたような方法で滞貨を一掃してまいりたい。
 不服申し立てでなくて、この事実上の父母のように認定を受ける件数として出てまいっているものが約千三百件出ております。これが滞貨の大きな比重になっておりますが、このままでまいりますと、二、三年かかるということになりますが、これを、さっき申し上げましたような、回数をふやすなり、あるいは小委員会におろすなりしてもらいまして、一年以内ぐらいには片づけてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
#49
○徳永正利君 まあいろいろ援護法というやつは、戦後の処理の問題で困難のあることも私どももよく承知しております。よく承知しておりますが、対象になる人が傷痍者であるとかあるいは老人であるとか、未亡人であるとかいうものたちでございますから、どうかひとつそういうような気持ちを、局長以下局の皆さん、うしろにいらっしゃる局の皆さん方もひとつお持ちいただいて、一日もこれは早く何とか国の手が届くようなぐあいに、ひとつ結論を出してやろうというような気持ちで御処理をいただきますことを心からお願い申し上げまして、要望いたしまして私の質問を終わります。
 たいへん長い間ありがとうございました。
#50
○委員長(吉田忠三郎君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
    ―――――――――――――
#51
○委員長(吉田忠三郎君) 次に、社会保障制度等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方の発言を求めます。
#52
○藤原道子君 本日は、終わるのが四時までということでございますと、あまり時間がございませんので、ごくあらましのことをお伺いいたしまして後日に質問を残したい、かように考えておるわけでございます。
 まず第一にお伺いいたしたいことは、血液行政に対する基本的な方針、これを伺いたい。
 三十九年の閣議決定は献血中心ということになっておりますことは御案内のとおり。したがいまして、この基本方針と血液事業の現況についてお伺いいたしたいと思います。
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
#53
○政府委員(坂元貞一郎君) 第一点の血液行政の基本的な考え方についてでございます。
 これにつきましては、三十九年の閣議決定以来、献血運動というものを国家的な事業として推進してまいったわけでございます。それに必要なもろもろの態勢の整備、それから実際の運用面についての改善、こういうものを逐次考えながら今日に至っているわけでございます。
 お尋ねの、基本的な考え方というものにつきましては、今後といえども、われわれはこの基本的な閣議決定の線というものを大筋としては堅持していく、しかしながら、実際の運用面につきましては、まだまだ三十九年当時いろいろ気のつかなかった点、あるいは予想しなかった点が今後出てまいるかと思うのであります。特に、血液行政みたいに、日進月歩の技術革新というものが行なわれる行政分野におきましては、今後、そのようないろいろな技術的な再検討、そういうものが必要になってまいりますので、そういうことを今後基本線としてわれわれは進めてまいりたいと、かように思っているわけでございます。
 そこで第二のお尋ねの血液事業の現況でございますが、これは三十九年の閣議決定以来、逐次献血というものが国民的な支持を得まして、今日まで順調に進展をしてまいったわけでございます。ごく最近の実績によりますと、全国の保存血液の総製造量のうちで、献血の占める割合というものは大体九〇%をこえておるようでございます。片一方、民間血液銀行等でやっておられる預血といわれるものは、現在一〇%を割ってきているというような状況になっております。もう一つは、こういう献血事業というものを推進するための受け入れ態勢なり、国民に対する積極的なPRの方策あるいは献血の組織の育成、こういう点、あるいはまた血液の分画製剤等の研究開発、こういう面につきましてはまだまだ若干不十分な点がございます。特に最後に申し上げました血液分画製剤の研究開発という点については、まだまだ国としても大いに力を尽くさなければならぬ点が多々ございますので、今後はそういう点を重点的に配意をしてまいりたい、かように思っているわけでございます。
#54
○藤原道子君 血液需給の調整と申しましょうか、こういうことについて、いまのままでよろしいとお考えになっているのでしょうか。問題は、日赤が中心で、ほとんど日赤オンリーでやっていらっしゃる。九〇%をこしたということは非常に喜ばしいことなのです。ところが一方においては、日赤というイメージが戦争につながる、こういう警戒心が国民にあることも事実なんです。戦争のときには血液動員をきわめて容易ならしめることになった、こういうふうに、過去の戦争で、特にアメリカで経験されている等のこともございまして、非常に警戒心がある。私どももこの点は十分注意しなければならぬと思っておりますが、こういう点についてどうですか。
 また、日赤の献血の伸長のために、民間血液銀行はほとんど休業とか、廃業というふうになっておると思います。私はしばしばこの委員会で申し上げておりますが、ある時期には国がその方法をとられたのでございまして、民間血銀の果たしてきた役割りは評価しなければならない。最後にきてああいう事件が起きましたが、これが責められていまの形になったわけです。ところが、その民間血銀で働いていた労働者なり技術者、これらの人が失業の危機にさらされる。今日幾多の問題が随所に起こっておりますね。この技術者の養成というようなことに政府はどのような努力を払われておるのか。聞くところによると、アメリカあたりでは、この血液の技術者、医師及び専門技師の養成、確保のために十二万九千五百ドルも支出をして、その技師の養成のために努力をしておるというふうなことがデータにあらわれております。日本では、こうした大切な命を預る業務に対しまして、それに対する技師、技術者の養成にどういうふうな方法がとられておるか。民間でいままで働いてこられた優秀な技師も相当いると思う。これらの人の活用はどのようにされてきたか、この点についてお伺いいたします。
#55
○政府委員(坂元貞一郎君) 血液の需給状況でございますが、これは現在献血制度を提唱いたしましてから、それ以前の状態と若干血液の採血量が減っておりますが、ちょうど昨年、四十三年におきましては、全国的に四十七万リットルぐらいまできております。本年は、四十九万リットルから五十万リットルぐらいをおそらく目標とせざるを得ないと思いますが、ただ、この量では、全国的に見ますると必ずしも十分な量ではないということは、われわれも承知しております。したがいまして、やはり今後五十五万リットル前後の量を確保することが当面の最大の急務じゃなかろうかと、かように考えているわけであります。
 そこで、現在の献血の経営主体というものは、閣議決定の線に出ておりますとおりでございますが、いま御指摘のように、日本赤十字社というものが大部分その役割りを担当しているという現実になっております。この日本赤十字社の実際やっております献血事業の運営につきましては、これまでもいろいろ問題点がございました。したがいまして、私どもも政府として、日赤をそういう面においていろいろ指導をしてまいったわけでございますが、率直に申しまして、現在の日本赤十字社の運営の方法等につきましても、いろいろ問題がございます。したがいまして、なお改善すべき点がたくさんございます。逐次そういう面について日赤当局とも話し合いをしながら、われわれは日赤の経営というものがやはり献血者の意図に沿うように、また一般の国民の方々の期待する方向に日本赤十字社の運営全体が急速になっていくように、そういうような配慮をいろいろしながら、日本赤十字社に対して今後指導監督をしてまいりたい、かように思っております。
 それから最後に、技術者の養成等でございますが、確かに、私どもも、日本赤十字社等における技術者の養成というものが非常に不十分であるということは率直に認めております。したがいまして、いろいろな面において日赤当局に技術者の養成、訓練を通じて採血業務に遺憾のないような、技術者というものの確保ができるように指導してきておりますが、なかなかこういう方面の専門技術者というものが確保が困難だというようなこともございますので、いま仰せのように、民間血銀等における専門技術者というものを今後日赤の分野に十分活用と申しますか、そういう方々に日赤のほうに入ってきていただくということは、われわれといたしましても賛成でございます。したがいまして、従来から、日赤当局にそういう基本線で民間血銀等における専門技術者というものを、日赤のほうでできる限り採用していただくようにという指導をしております。若干現在民間血銀のほうから入っていかれるところまでいまなっておりますが、方向としましては、こういう分野の専門技術者というものがなかなか確保が困難だということでありますので、せっかくのそういう優秀な技術者というものが民間血銀等におられるならば、そういう方々にこの献血事業に協力していただくということは、われわれも大いに考えなければならぬ点だ、かように思っているわけであります。
 それから訓練の点につきましては、アメリカの例をお引きになりましたが、確かにアメリカ等とわが国との現状を比較しますと、非常にお粗末な養成訓練の状況になっております。年一回日本赤十字社等とタイアップしまして、現任訓練等の研修をやっておりますが、これもまだまだいろいろな点において不十分な点がございますので、今後さらに仰せのように、こういう訓練なり、研修というものを強化するように努力をいたさなければならぬと、私どもこういうふうに思っております。若干国の予算にも計上してございますが、非常にお粗末な予算でございますので、そういう点も十分配意してまいりたい、かように思っております。
#56
○藤原道子君 今度予算を要求していらっしゃるというけれども、お粗末といって、どのくらい要求しているのか。それからいまどんどん民間血銀が休止、廃止の状況にありますので、その労働者が失業の不安というようなものにかられているというような実態でもありますが、これらに対しても何かお考えになっておりますか。
#57
○政府委員(坂元貞一郎君) 国のほうで予算を考えておりますのは、非常にわずかな予算がその対策に入っております。したがいまして、明年度以降は、こういうかっこうではとうていわれわれも国民の期待にこたえにくいと思いますので、こういう面の経費等については、できる限り努力をいたしたい、かように思っておる次第であります。
#58
○藤原道子君 局長もお認めになりましたが、日赤のやっておりますことには幾多の問題点がある。ことに配給ルートの問題、非常に日赤は不親切だそうでございます。問い合わせてもなければ、ないというだけ。ところが民間でございますと、自分のところでなければ、ほかをかけずり回ってでも病院からの要請にこたえる、こういうことなんです。日赤はその点が非常に不親切だというようなことで、まだまだ入り込めない病院があるわけです。こういうことの指導はもっとやられるべきだと思います。と同時に、日赤血液センターだけでなくて、つまり県単位とかあるいは広域血液需給センターですか、それから中央には血液の需給センターというように、中央に一つ、広域に一つ、県単位に一つ、こういうことでやりましたならば、一方が足りなくてもあそこにある、血液の型がないために、この間もO型が足りないで大騒ぎいたしましたね。こういうことの解決にもなるんじゃないか。きょう集めた血液をすぐそれが中央に報告ができるというような体制に持っていくべきである。これは日赤オンリーでなくて、県単位で始めたところも若干あるのでしょう。こういうことをお考えになっておいでになるかどうか。
#59
○政府委員(坂元貞一郎君) 先ほども申しましたように、日赤の献血事業についての運営全般につきまして、非常に改善すべき点がある、考え直さなきゃならない点があるということは事実でございます。われわれも、できる限りこれまでもそういう線で指導してまいったわけでございます。いま、たまたま不親切だというような表現のおことばがございましたが、私どももそういう面についてのいろいろな方面からのお話を承っておりますので、もう少しそういう日赤全体のものの考え方、血液事業全般についての運営のし方等についてのやはり基本的な点が非常にまだ欠けているんじゃなかろうかという点を率直に考えておりますので、今後機会を見まして、逐次そういう点はできる限り早く直さしていくように厳に指導をいたしたいと思います。
 それから、第二点の血液のいわゆる広域的な需給センターというものについての御意見がございましたが、私どももこの点については全く同感でございます。従来からそういうような点を配慮しながら日赤等も広域的な需給センターという構想を、はなはだ未熟ではございますが、全国的に網を張って運営をしてきておりますので、全国を数ブロックに分けまして需給調整センターというものをそれぞれ設けまして、中央のセンターが全国的なコントロールをやっていくという一応の網の目は敷かれているわけでございますが、まだまだこの機能が十分に発揮されておりません。したがいまして、今後こういうような機能が発揮されますように、日赤の組織なり体制、それからまた機械化等も今後考えていくように現在案を練りつつある段階でございます。いずれにしましても、こういう血液事業というものは県単位でなかなかうまくいかない、やはりもっと広い立場において全国的な立場において需給の調整をやっていくということはもう当然必要でございますので、そういう基本線に沿いながら今後施策を逐次考えてまいりたいと、かように思っております。
#60
○藤原道子君 私は技術者の養成にしても、いろんな面にしても全部日赤へかぶせてしまって、国家が知らぬ顔ではこれは進展しない。血液の重要性は申し上げるまでもない。その技術者の養成にしても、あるいは血液の単価等にいたしましても、当然国がもっと積極的に責任を負うべきじゃないか、予算を出すべきじゃないか。そして中央に血液研究所というようなものも国がこれを持つことによって指導ができる体制を立てなきゃいけない。政府が知らぬ顔してて日赤だけ責めたって日赤がかわいそうだ。国としてどういう用意があるか、それを聞かしていただきたい。
#61
○政府委員(坂元貞一郎君) 決してわれわれ政府当局が怠っているわけじゃございませんが、確かに力の不十分な点はこれまでございました。われわれとしましても、日赤当局にいろいろこまかい指導をしながら、また国としてもやれる範囲の予算等も今日まで出してまいったわけでございますが、まだまだこの血液行政全般につきまして、今後のわが国のいろいろな問題点を考えてみますると、非常に不十分な予算措置等がございますので、いま仰せのように、今後さらにまた努力をいたしたいと思っております。特にお話の出ました血液研究所というようなものを国のほうで設けたらというような御意見ございましたが、私どもも、これは数年前からそういうような考え方を持っておりまして、実は本年度、四十四年度の予算に、これも非常に不完全な、まだ未熟なものでございますが、少なくとも構想の一端は四十四年度予算に血液関係のいろいろな研究をやる、特に当面問題になっております血液製剤、分画製剤の研究なり、冷凍血液等の研究をやるような研究施設というものを国立予防衛生研究所の中にことしの予算でつくりましたので、こういうものを土台にしまして、仰せのような血液専門の研究施設というものを今後拡大をしていきたい、かように思っているわけでございます。
#62
○藤原道子君 委員会ではとてもいい答弁をしてくれる。ところが、いまの技術者の養成訓練だって、とっくの昔から私言っている。それから国がもっと予算を出さなければだめだということも言っている。民間の技術者の起用という点についても最初の質問から私はこれをつけ加えているけれども一向進まない。局長、一時のがれでなしに、ほんとうにやらなければたいへんなことになりますよ。特にこれはお願いしておきます。
 それから、私は、この際血液行政機構の改革というのでしょうか、保存血液については医務局の所管にしたらどうだ、それから血液製剤、これは薬務局の所管にして、こうして両方で力を合わせてやっていったほうがいいと私は考えるのですが、その点はいかがでございますか。最近でも、千葉医大の輸血のミスがございますね。四十日も生きていらっしゃったけれどもついになくなってしまった。かっては岡山で献血のときにプロカインですかを注射して、それで患者を死なした事件がある。こういう点で、私は、所管はこの際医務局と薬務局に分離すべきじゃないか、こういうふうに考えますが、御所見を伺いたい。
#63
○政府委員(坂元貞一郎君) 私から御答弁申し上げたほうが適当かどうかわかりませんが、現在私のほうで血液行政全般を所管しておりますので、私どものほうの考え方を申し上げさしていただきたいと思います。
 当初、三十九年に献血事業を本格的にやろうというときに、実はいま先生申されたようなことが当時の厚生省において議題になりまして、今後血液事業というものを本格的に国の施策として推進する場合に、一体厚生省の内部機構としてどういうような機構が一番適当であるか、いまお話がございました医務局系統でやるべきか、薬務局系統でやるべきか、非常に当時の厚生省において議題になったわけでございますが、まあいろいろ討議の結果、やはり薬務局の系統でやるべきだということに相なって今日に至ったわけでございますが、いま藤原先生申されました趣旨は、おそらくいままでの血液行政であれば、薬務局系統でやってもまあまあということかもしれませんが、今後の血液行政の進展状況等をいろいろ予測いたしますと、非常にむつかしい技術的な問題なり何なりがたくさん出てくる可能性がある。したがいまして、そういうような点を配慮しながら、行政機構というものを考える場合は、どうしても薬務局系統で所管することはいかがなものかと、おそらくこういうことをお考えの上で御質問があったのだろうと私は思っておりますが、確かに私どもも今後の血液行政というものを厚生省のどういう局で所管するかという場合に、一番問題になりますのは、今後血液行政というものを国としてどういう方向に持っていこうとするのか、あるいはまたどういうような問題が出てくる場合に、どうそれに対して今後受けとめていくべきかという、より高度の、高次の立場で血液行政というものを今後ながめる必要がある。したがいまして、そういうような観点から申し上げますならば、現在私どもの局でやっておりますと、どうしても血液というものを物として見る、まあ、平たく申し上げますと、いわゆる医薬品的な扱いをしておるわけでございますが、こういうような基本的な考え方で今後の日本の血液行政というものがほんとうにいいものかどうかという点については、私ども部内におりましても、いろいろ問題点を感じております。したがいまして、この問題は、私ども所管をどういうかっこうで現在の組織上考えたほうがいいかという点につきましては、今後の血液行政というものの進展のぐあい、それからまた予想される問題点、こういうような問題点を総合的に勘案いたしまして、おそらく新しい立法というものも必要になってまいろうかと思いますが、そういうようなことも含めまして、この行政機構問題は考えていくのが一番適当ではなかろうかと、私どもはこういうふうに考えておるわけでございます。
#64
○政府委員(松尾正雄君) 基本的なただいまの段階における考え方は、薬務局長から申されたとおりだと思います。私どもも、御指摘のようなお気持ちも十分わかるわけでございますが、いまひとつは、おそらく今後相当血液の製剤化と申しますか、冷凍血液の話も出てまいりましたが、そういったものが相当進歩をしてくるであろうと期待されるわけでございます。そういったようなものは、したがいまして、やはりそういう系統で十分ひとついいものをつくる、こういう方向が妥当であろう。ただ、私どものほうといたしましても、いま御指摘になりましたように、全く無関係ではございません。当然それを使う立場あるいは実施上におけるいろいろの事故の問題、これは私ども十分責任をもって注意しなければならない問題でございます。また、すでに献血という問題がいろいろやられておるわけでございますが、この献血をもっと高めていくというためにも医療機関がうんと協力しなければならないという立場はたくさんあろうかと思います。身内に病院におる患者さんを持っておられる方々、そういう家族の方々というものが一番身につまされて輸血のことは承知しておられると思いますが、日赤センター等の技術がいいかどうかは別といたしまして、そういう献血の中心となります機関と十分連絡をとって、単に配給を受けるというだけではなく、積極的にそういう献血をその回りに開発をするということは、十分私どもの責任をもって協力すべきものだと考えております。
#65
○藤原道子君 血液は、申し上げるまでもなく、生命の一部でございますから、この採血にあたっても、保存いたします場合におきましても、さらに輸血をいたします場合におきましても、こういう点は医務局のほうが私ども適切であるというふうに考えているわけでございますが、今後十分協議をなさいまして、分担を明らかにして、この献血運動、輸血問題が全きを期することができますことを期待しておきます。
 そこで、血液製剤の開発の問題でございますが、いま期限切れの血液を有効に使用しなければならないことは、もう申し上げるまでもございません。ところが、病院で使う場合には二十一日以上経過したらだめなんですね。いま大体五%から一〇%くらいが廃棄血になっている、五%ぐらい――これは国際的に妥当な線だと思っている。そのくらいの余裕がなければ輸血というものは円満にはまいりません。だから、それはいいんですけれども、この期限切れになった血液の処理の問題がここで問題になるわけです。いま厚生省が指示しているというふうに聞いておりますけれども、血漿を分離して全部中央の日赤に集めている。そうすると、その間にロスが出るわけですね。私は、それよりも地方々々でもよりの、何といいますか、製薬施設にこれを渡すことによって、せっかく善意で献血いたしました血液がむだにならないように措置されるのが妥当だと思いますが、中央に集めなければならないという理由はどこにあるんですか。
#66
○政府委員(坂元貞一郎君) 廃棄血の処理につきましては、いろいろな問題点がございます。私ども、今日までこの廃棄血、いま五%というお話がございましたが、事実四・九程度の廃棄血が最近においては出ておるわけでございますが、これにつきましては、中央の日赤のほうに全国的に送らしているというたえまえをとっておりますが、一部九州地区等については若干現地の民間血銀等に渡しておりますが、たてまえとしましては、確かに仰せのとおりやっております。その間いろいろなロスあるいは非能率的な運営等がなされることは確かに事実でございますので、私どもも、今日まではやはりこの廃棄血の処理というのは、そういうような基本線でまいってきておりますが、今後献血による採血量等がふえてまいりますと、当然この廃棄血の量というやつもまたふえてまいる、しかもそれを処理する能力というものが現在日赤等についてみますると非常に不十分である。そういうような事実関係を勘案いたしましたときに、やはりこの廃棄血の処理につきましては、やはりもう少し実情に合った、また献血者の意図を無視しないような方法というようなものを明確に出しまして、廃棄血の処理方針というようなものを確立する必要があるということを考えているわけでございます。したがいまして、いまそういうような線で考え方をまとめつつありますが、確かに現状の行き方というものは、いろいろ問題点がございますので、改善をする必要があるということは、私どもも認めざるを得ないわけでございます。今後できる限り早く、この日赤の中央に集めるような方式が一番いいかどうか、そういうことも含めまして、この廃棄血の処理方針というものを確立をしていきたい、かように考えております。
#67
○藤原道子君 先進国では、一滴の血もむだにしてはならない、こういうことで非常に熱心に取り組んでおる。胎盤の血さえもしぼりとって、これを製剤に回すというようなことにして、いろいろくふうをしていらっしゃるようでございます。アメリカや、西欧ばかりではなくて、モスクワでは、御案内のように、血液研究所のローゼンベルク博士ですか、この人たちが非常に熱心にこの点については研究を続けておいでになって、そういう方法にしておる、こういうふうに伺っております。ところが、日本では、この間も業者に渡されました日赤の血液が半数以上製剤に役立たない、腐敗してしまって製剤に役立たない結果を来たしたというふうに伺っておる。私、なぜ日赤があっためて置かなければならないか、そこに問題があると思う。私は、より有効にという点から勘案いたしまして、アメリカでも、ドイツでも、スエーデンでもあるいはフランスでも、ほとんど期限切れになったものは時を移さず業者に製剤を委託して、そうしてできたものをまた国のほうで提供さしておるというようなやり方だというふうに伺っているんです。ところが、日本ではその点に対してたいへんおくれておるんじゃないか、こういうふうに考えますので、この点の今後の方針。それから九州の業者にお渡しになったとおっしゃいますが、そこでは何種類ぐらいの製剤をしておいでになるか、これも一つお伺いしたい。それからもう一つ、私はこの前決算委員会かどこかで取り上げましたときに、ある業者が血液からプラスマという化粧品をつくり、また乾燥血漿を海外へずいぶん出していた、これはけしからぬじゃないかということを申し上げました。それに対して、化粧品に使うことはやめさせました、海外へは出さないことを決定いたしました、こういう答弁をいただいたんです。いまでは献血が中心であるはずなのに、相変わらず目薬で、乾燥血漿を多量につくっているということを最近情報で得たわけです。ところが、最近血清肝炎が二六%くらいになったと新聞に出ていますね。非常に血清肝炎がふえた。アメリカでは、戦争中盛んに乾燥血漿を使って、朝鮮だの何かへ送ったらしいけれども、その後これは肝炎の巣であるというようなことで、倉庫へたたき込んでおいたわけなんです。乾燥血漿は血清肝炎の巣である、こうして倉庫へしまっていた。最近これを製剤のほうへ使っているんですね。どんどんこれを取り出して、最近の技術によるところの製薬に生かしておるというようなことを聞いている。ところが日本では相変わらずこれが目薬で多量につくられておるというが、それはどこへ使っているか、どこへ流れておるか。と同時に、この原料である血液は、どういう方法で日薬では集めておいでになるか。この点をお伺いしたいと思う。いま献血になったけれども、血清肝炎がふえてきた、こういうことをしきりに言われておりますが、一面において血清肝炎の巣である乾燥血漿が多量につくられているということになると、それが国内で使われているとすれば、そこから血清肝炎が起きているんじゃないかというようなことも、しろうと考えでございますが、心配でございます。その点についてのいきさつをお聞かせ願いたいと思います。
#68
○政府委員(坂元貞一郎君) 第一点の血液製剤等についての廃棄血を利用する方法でございますが、確かに現在のやり方等については、もう一くふう、二くふうをしなければならぬ点がございますのは、先ほど申し上げたとおりでございます。したがいまして、やはりこういう廃棄血を有効活用するということについては、だれしも異存がないわけでございまして、また、われわれも、今後技術力というものを向上させながら、この廃棄血の有効活用ということを考えていかなければならぬわけでございまして、そういう趣旨から申し上げましても、この現在の廃棄血の処理方法なり、やり方等については、大いにわれわれも検討をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
 それから、九州の血銀等で廃棄血を利用した製剤はどのようなものがあるかというお尋ねでございますが、ガンマグロブリンと人血清アルブミン等をつくっているようでございます。
 それから第三点のいわゆる乾燥血漿といいますか、人血漿のお話が出ましたが、人血漿については、これは現在日本の数社においてつくっております。もちろんその中には乾燥血漿なり、紛末血漿いろいろあるわけでございますが、これは一ころ、藤原先生がお話がございましたように、外国にはもう決して輸出しておりません。この点はもう法令上の手当てがしてございますので、現在は国内だけで消費している、こういうことになっております。生産量も、たとえば四十三年につきましては人血漿としましては一万九千リッターぐらいを製造しているようでございます。ただ、これが血清肝炎の発生の原因になるかどうかという点でございますが、この点につきましては、以前は必ずしもその点が発生の原因だというふうにははっきりしてなかったわけでありますが、どうも最近におきましてアメリカの学者等が、やはり血清肝炎の発生の一つの危険性があるということを警告しておるようでございますので、私どもとしましても、もしこの人血漿というものが血清肝炎の発生の危険性があるというものでありますならば、早急に学界等とも相談してしかるべき措置をしたいというふうに考えて、現在学界等と相談をいたしておりますが、なかなかすぐには結論が出ない問題だと思っております。
 それからもう一つは、やはり現在の血液分画製剤というものの生産が、わが国においては、御存じのように、非常におくれております。したがいまして、この人血漿、あるいはまた加熱人血漿たん白というようなものがございますが、そういうものの生産量というものも現状においては非常に不十分でございますので、人血漿というものをいま直ちにどうするということは当然学問的にも根拠を持った上で態度をきめなければならぬわけでありますが、今後の方針としましては、私どもはできる限り医療上の用途に応じまして、加熱したアルブミンとか、あるいは加熱人血漿たん白等の製剤に分画していく方向でこの問題を考えてまいりたい、そういう方向で民間のメーカー等も指導してまいりたい、かように考えているわけでございます。
#69
○藤原道子君 その目薬が使っている原料はどこから得ているんですか。
#70
○政府委員(坂元貞一郎君) 個々のメーカーの具体的なことは私承知しておりませんが、現在はやはり血液製剤、分画製剤というものを全国数メーカーがやっているわけでございます。その原料はやはり一般の方から採血をしてそれによって分画製剤をつくっている。したがいまして、その分につきましては、少なくともいわゆる昔の有償血というような形でおそらく採血が行なわれている。ただし、この点につきましては、私どもも、十分これが血液分画製剤にかわるという保証がない限りは、いわゆる有償血というような形の運営は従来のいきさつもございますので、厳に禁止をさしているわけでございます。したがいまして、原料は日本の各メーカーがそれぞれ一般の方から採血をしながらつくっておりますが、この原料が非常に現在は不足しておる。したがいまして、先ほどお話が出ましたように、日赤等で集めております廃棄血というようなものを民間の血液銀行のほうに回してほしいという要望が非常に強い、こういうふうな事情に相なっておるわけでございます。
#71
○藤原道子君 私がいま目薬と名ざして申し上げましたのは、業者には失礼かもわからないけれども、あそこは前にも血液協会ですか、民間の、そこでも問題になった業者ですね。しかも、いまこれが血清肝炎の原因かどうかわからぬようなことをおっしゃいますけれども、これはアメリカだけじゃないんですね、ほかでもそういうことが指摘されているはずでございます。それを問題になった業者がどんどんつくって、それが国内で使用されて、これがはたして血清肝炎の原因になるかどうかなんと言っておったけれども、それは怠慢だと私は思うんですよ。血清肝炎にかかった人の苦しみというものを考えるときに、少なくとも疑いがあった場合には、これは禁止するというのが薬務局の使命じゃないでしょうか。しかもアメリカでは、乾燥血漿というんですか何というんですか、それをあらためて他の方法で製薬に回しているでしょう。それだけ手をかけるということは、やはり血清肝炎の巣であるというようなことのおそれがあればこそやっている。命に関することですから、疑わしきはこれを直ちに処置するというのがあなた方の使命だと私思いますので、この点厳重に抗議をいたしておきます。直ちにお調べになっていただきたい、こう考えます。
 そこで、九州では、ガンマグロブリンとアルブミンというと二種類ですね。そうすると、外国のデータを見ますと六種類くらいできるんですね、血液から。使ったあとはパーになるんですか。私、もったいないと思う。それでね、やはりその方法を開発しているところもあると思うし、さらにそれが開発ができてから日赤の血液を委託するならいいけれども、いま原料がなくて困っている。いまガンマグロブリンかな、外国から入れておりますね、どんどん。そうすると、日本でつくるよりも高くなっているはずです。こういうときに、やはりせっかくの原料がむだにならないような考え方を、一つの感情的な問題とか、あるいは何ですか、メンツの問題というようなことでなしに、もう少し、せっかくの国民の善意でございますから、それをやってほしいと思うんです。ことに、私がこれをくどく申し上げますのは、献血として受け入れている血液の、アメリカでは製剤に回しているのが四〇%、ドイツでも四〇%、 スウェーデンでも二〇%程度と見られておる。だから、期限切れの生じるものの受け入れに対して、やっぱりそういうことも考えて、よそでは全血を入れるよりも、むしろ製剤を使ったほうがいいというような例がたくさん出てるんですよね。こういうことを考えると、そこに一くふうあってしかるべきではなかろうか、こう思うんです。それでやっぱりここにある私のデータから見ますと、ドイツではべ−リングウエルケというのですか、製薬会社、これに出している。スウェーデンではカビ、あるいはアメリカではカッター、アボット、シャープ・エンド・ドームというような三つの会社にそれぞれ渡して、より優秀な製剤を、そしてそれを国が受け入れるという方法をとっている。ところが、ひとり日本の赤十字は、もう献血してもらうものは、おらのものだという考え方でかかえ込んでいるから、せっかくの国民の善意がむだになる。これは私は何とかしてほしいと思うのですが、この点については、もう一度御答弁を伺いたい。むだにしないように、全部生かしてもらいたい。しかも、胎盤等も利用しているようですけれども、二割以上は入れられないんでしたよね、性質が落ちるから。だから、原料がなければ幾ら分画製剤をと言ってみたところでできないはずなんです。だから、あるものをむだにしない、より有効に生かす、こういうことはいかがでございますか。
 それから、もう時間がございませんが、このごろ、何と言うのですが、赤血球分離何とかというのをやってますね。赤血球を遠心器にかけて、とった直後にそれを生理食塩水にまぜて本人に返す。そうするとあれ二、三日で貧血だの、なおるんだそうですね。そうして赤血球以外のものを製剤に回して、より有効に生かしておるというようなやり方がやられておると聞きますが、日本では、その方法はどういうふうになっておるのですか。
#72
○政府委員(坂元貞一郎君) 廃棄血と言われるものを、できる限り有効活用するということについての考え方は、もうだれしも御異存がないことは、先ほど申し上げたとおりでございます。したがいまして、諸外国等の実例を見ましても、この点については、日本よりも非常に格段と進んでおります。これは、日本の血液事情というものが、ここわずか四、五年の間に、今日まできたということと、外国等においては、それよりはるかに以前からこういう問題についての基礎的な研究なり、体制ができていたということによる相違でございますが、いずれにしましても、わが国の血液分画製剤等についての技術というもの、技術力というものが非常に外国と比べましたら貧弱であるというようなことでございますんで、われわれとしましては、今後こういう分野を血液行政の最重点としまして取り上げていきたいということで、先ほども予防衛生研究所の中にそういう研究部門を設けたというようなことを申し上げたわけでございます。確かにこういう点は、仰せのように、今後本腰を入れてまいらなければならぬということを考えているわけでございます。そこで、たとえば五%の廃棄血、これを全部有効活用するということは、これは実際問題として非常に無理でございます。外国等においても一%なり、二%はやはり廃棄される。残りの三%くらいのものが血液製剤の製造原料になるというように言われておりますので、五%の廃棄血を一〇〇%完全に活用するということは、非常に現在の技術からいいますと困難かと思いますが、少なくともわれわれの考え方としましては、そのような考え方で廃棄血をできる限り有効活用するという基本線で今後は考えてまいりたいと思うのでございます。おっしゃったように、全血というものを使うよりも、それぞれの血液に含まれている成分というものに着目をして、その相手の症状なり状態に応じて血球部門なり、血漿部門というものを有効活用するということが今後の新しい血液行政のあり方でありますので、そういう点も配慮しながら、この技術力のレベルアップと、水準向上という点について今後考えてまいりたいと思うのでございます。
 それから最後に、血球返還採血と言われているものについてのお尋ねがございましたが、確かに血球の血漿というものを分離いたしまして、血球を供血者のほうに還元すると、そして血漿部分だけを採用するというほうが非常に理論的な方法、非常に合理的な方法ということでアメリカ等において行なわれております。この方法は非常にいろいろな点において利点があるかと思っております。わが国の学界等においてもこういうことが非常に最近学者等において検討、研究をされてきております。したがいまして、わが国においても一、二のメーカーが現在こういうふうなことを研究しております、試験的に。私どもとしましては、そういう試験的な段階というものを出まして、その結果これがどのような利点と、どのようなまたマイナス面を持つかというようなことをいろいろ勘案して、最終的な態度をきめなければいかぬと思っているわけでありますが、
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
いずれにしましても、この問題は、現在少なくとも医療行為、行為という形で行なわれておりますので、そこらあたりの法律制度的な検討というものも今後考えなければならぬわけでございますので、そういう全般的な問題、技術的にこの問題がどういう利点とマイナス面を持つかということ。それから法律制度的にどういうふうにこれを考えていくべきかと、そういう問題を総合的に考えまして、現在一、二のメーカーでやっている結果等を見まして厚生省としての態度をきめたい。かように思っているわけであります。
#73
○藤原道子君 私は当委員会から製薬会社を視察したことがございました。そのときにも、たいした設備が要るし、これは技術はたいへんだなとみんなと話し合ったわけでございますが、そこで大臣、お聞きのとおりでございまして、血液というものは生命の一部です。それが売血等の騒ぎで献血中心ということに閣議決定になった。その後、国はほとんど予算を出してないのです。献血技術、技術者の養成、これらに対しても、あまり日赤にやれやれと言っても、日赤だけではだめなんです。それから血液は献血であるのに、いろんな費用を取られておる。こういうものに対しても、国がもっと予算を出すべきであると、私は考える。それから、このごろは、世界的に生の血を輸血するより、血液製剤のほうが、出血がとまらないとか、あるいはお産のあとの出血、あるいははしかとかいうようなものに対して、それぞれの薬が開発されておりまして、今日ではむしろ分画製剤、この方向へ研究がいまやもう実行に移りつつある段階です。ところが、日本は、政府がわりあいに冷淡なんです。ですから、これに対する予算がほとんどできておりません。日赤中心でございますと、どうしても官僚的になる。それは配給ルートにおいて非常に冷たいのです。こういうことも一つの壁になっております。そこで、先ほど来、私が局長にお尋ねしておりますのは、もっとこの献血問題に国が責任を持って金を出すべきではないか、国の責任で血液研究所のようなものをつくって、そこでもっと真剣に研究してほしいということ。
 それからもう一つは、日赤が廃棄血、まあ二十一日以上たった血を抱き込んでためておくのですね、それがむだになっておる。半分以上くさっちゃって役に立たなくなってから業者に渡したって業者だって困る。そういうことのございませんようにひとつ処置してほしい。国がもっと金を出すべきだということをいま主張しているわけなんです。
 それから、PRが足りない。きょう時間がございませんからあらためてまた伺う予定でございましたが、PRが足りない。アメリカの話が局長からもしばしば出ておりますが、アメリカでは結局、保健省ですか、まあ厚生省のようなところと、それから血銀とが共催で、パネル方式による宣伝を各所でやっている。国が乗り出して国の手で宣伝計画をやっていて、金を出して技術者の養成をしているというようなときに、世界各国がこうしているのに、日本はおくれたからおくれておりますでは、済みませんね。おくれているならば、もっと追いつくべき努力をお願いをしたい、してほしいのです。
 さらに、製剤と、人の命を扱う採血であり、輸血でございますから、これを分離して、製剤は薬務局へ、その他は医務局で責任を持ってやってほしいということがきょうの私の質問の主たる要点でございます。大臣のお考えをお聞かせ願いたい。
#74
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほどから藤原委員のまことに御造詣の深いお話を承っておりまして、感銘をいたしております。ことに、血液は生命の一部である、まことに御名言であると、かように考えます。御意見の次第を十分にかみしめまして、ひとつできるだけ全力を尽くしたい、かように考えます。
#75
○藤原道子君 ぜひ技術者の養成にね、もう微々たる要求らしいので恥ずかしくて局長は答えられない。若干の要求はしたらしいのですけれども、そんなことではだめでございますから、ひとつ勇気を持って予算獲得のために御努力を願いたいと思いますが、いかがでございましょうか、もう一ぺん。
#76
○国務大臣(斎藤昇君) 予算につきましても、ひとつ大いに勇気を持って努力したいと思いますが、何とぞひとつ御援助、御協力をお願いしたいと思います。
#77
○藤原道子君 本日はこの程度で……。ありがとうございました。
#78
○委員長(吉田忠三郎君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にして、本日はこれにて散会をいたします。
   午後四時四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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