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#1
第061回国会 社会労働委員会 第25号
昭和四十四年六月十九日(木曜日)
   午前十時二十八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉田忠三郎君
    理 事
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                大橋 和孝君
                上林繁次郎君
    委 員
                黒木 利克君
                塩見 俊二君
                高田 浩運君
                徳永 正利君
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                横山 フク君
                藤原 道子君
                渋谷 邦彦君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  原 健三郎君
   政府委員
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
       労働省職業安定
       局長       住  榮作君
       労働省職業訓練
       局長       石黒 拓爾君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働基準法の一部を改正する法律案(藤原道子
 君外一名発議)
○職業訓練法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉田忠三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 労働基準法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないたいと思います。
 御質疑のある方の発言を求めます。――別に御発言もなければ、本案に対する質疑は後日行なうことにいたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(吉田忠三郎君) 次に、職業訓練法案を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方の発言を求めます。
#4
○大橋和孝君 ただいまの職業訓練法の問題に対しまして、私、初めに一言伺っておきたいと思います。と申しますのは、審議会に提出された要綱と、それから国会に提出された要綱に非常に大きなへだたりが、違いがあるということであります。これは、審議会の経過や、問題点あるいはまた答申の内容、あるいは法案要綱についていろいろと調べてみたのでございますが、この審議会に諮問された法案要綱と国会に提出された法案要綱との相当な相違があるにもかかわりませず、この審議会に正式に伝えられてないばかりか、資料の作成に対しましても、この法案要綱に基づいて審議し、答申したかのようなことが感じられる。こういうようなことも言われているわけでありますが、このような経過をたどりながら答申後にこれほど大幅に修正が行なわれて国会に出されるということは、やはり審議会のある程度は無視ではないかという声もあるわけであります。この点について、いろいろいきさつはあったように聞いておりますけれども、いずれにいたしましてもこういうような大幅な開きがあるということは、どういうところに起因をしているのかひとつお答え願いたい。
#5
○政府委員(石黒拓爾君) 中央職業訓練審議会におきまして審議を願いました要綱をもとにいたしまして法案を作成しまして、その過程におきまして関係各省庁と折衝いたし、かつ法制局の審議を受けたわけでございます。その際に、字句上の整理を法制局でやりますのは、これは当然でございまして、そのほかに一般的には今回の法案要綱に訓示規定が非常に多過ぎる、実質的な権利義務を定める規定はともかく、訓示規定はできるだけ少なくしたほうがいいのではないかというような観点から、関係各省からかなり意見がございました。そのほかに実質的な意見もありまして、調整いたしまして、私どもといたしましては、審議会の答申にありました要綱と法案とは実質的にそれほど大きな食い違いはないものと考えております。しかし、形式上は、訓示規定の整理等によりまして、若干相違をした法案となり、したがって要綱も変わってまいったわけでございまして、変わりました点につきましては、はなはだ残念に思う点もあるわけでございます。審議会に対しましては、その旨御報告を一応いたしたわけでございます。
#6
○大橋和孝君 法制局へ行って字句的な改正をされたりあるいはまた訂正される、これは常識的に考えてわかると思うのですが、そのあとに出されたものは非常に重要な部分が修正されておる。おそらく、それだから、あなたのほうは、また審議会に対していろいろな処置をしておられるようなことになっていると私は思うのですが、こういうようなことは、やはり審議会の中には労働者側の代表もおる、こういう中できめられたものが一方的にそれが大幅に修正されて、その内容たるや大きな問題点があると私は思うわけでありますが、あなたのいまおっしゃっているのは、たいした変わりはないとおっしゃっているのですが、あなたは一体そういうことが言えるかどうか。私は、もしそうであるというならば、あとから逐条的に、こういうふうなことはどうしたかということを一ぺん尋ねざるを得ないと思うのですが、その点いかがでしょうか。
#7
○政府委員(石黒拓爾君) 審議会の要綱と国会に提出いたしました法案の要綱とにおきましては、表現の上におきましてかなり数カ所にわたりまして違う点ございます。これは率直に認めざるを得ないと存じます。ただ、そのために法案の本来の骨子が大きく曲げられるようになったかと申しますと、私どもは骨子は維持することができたというふうに考えております。いずれにしましても、審議会の答申どおりでなかったことは遺憾に存じております。
#8
○大橋和孝君 これは、いままでの衆議院の段階での論議を調べてみましたが、それでも、まだ私は明らかにされてないように思う。あなた本人としては、そういうふうに運営の面でカバーをすればできるようにお考えかもしれませんけれども、しかし、法案となって出る限りにおいては、非常にそういうところに問題があるのではないか。その運用の面でできるという範疇はどちらにもできるわけなんで、やらないほうにもできるわけですね。そういうことを考えてみると、この法律そのものを改正する場合には、そういう点は少なくとも明確にしておくほうがよりベターだと思うわけです。そういう点からいって、私は、どうも今度の法案を初めからこう見まして、そうして何でこんなことがされるのだろうか。少なくともわれわれが見まして、労働者側、あるいはまたその職業訓練を受ける人たちの側から考えてみますと、財政措置の面につきましてもあるいはまたいろいろな問題に対しても、非常に後退しているという感じがするわけですね。だからこういう問題に対して、私は、冒頭にあたって、むしろこうしたまやかしの状態で、あるいは企業のほうが優先するような形での法案になっておれば、私は職業訓練そのものの全体が、こういうことをすることによって非常に遺憾な点が残るのではないかという感じが先行するわけなんです。
 あなた、いまおっしゃっていますが、ほんとうにそれが曲げられずにできるということは、どこに、どういうふうな考え方で、たとえば五項目ぐらいありますね、削ってあるところが。それらに対して、一つ一つ、あなたはそれはどうだからこうだということをおっしゃることができますか。
#9
○政府委員(石黒拓爾君) 要綱に変更を加えました点につきましては、総体的には訓示規定の変わった点が多うございます。これにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、審議会にも御報告を申し上げたわけでございます。また、衆議院の御審議の段階におきましても強い御指摘を受けましたが、そのつど私どもの考えておりますことは申し上げております。これは審議会に対するお約束でもあり、また現在までの段階では国会の、衆議院に対するお約束でもあるわけでございますので、それは必ずそうせざるを得ない。特に審議会は非常にひんぱんに開かれる審議会でございまして、その約束をたがえるようなことは、私ども実際問題としてできない、またたがえるつもりはないというかたい決心でございます。
 具体的の個々の問題につきましては、たとえば「労働者が職業に必要な技能及び知識を習得しようとする機会と意欲を高めるように努めなければならない」というような字句が審議会では入っております。この「機会と意欲を高める」というような点につきましては、国会に提案いたしました要綱におきましては、まとめて「職業訓練の振興を図る」というように総括してございます。しかし、特に「機会と意欲を高める」点につきましては、まず、とりあえずは四十五年度の予算措置におきましてそのような予算措置を講ずるということ、さらに先日来、御承知かと思いますが、技能労働者の士気高揚のためのいろいろな施策を講じております。この点は今後一そう努力をすることでございまして、要綱が変わりましたためにその点をなまけるというようなつもりは毛頭ございません。
 それから補助条項につきまして、若干の点がございますが、これもすべて四十五年度予算において従来以上の進歩を必ず獲得するつもりでございますので、その際をごらんいただきたいと思うわけでございます。
 それから、都道府県立の職業訓練所の所長の人事につきまして、労働大臣の定める基準に従って高い識見の者を選任するようにというのが審議会の要綱でございましたが、労働大臣の定める基準というのを法文に入れますことは、知事の人事権について、自治権の侵害になるから、ぜひそれはやめてほしいという強い意見がございましたので、労働大臣の基準ということはやめたわけでございますが、しかし、これは都道府県ごとにその府県の実情に合った基準を知事みずからにつくってもらうように、これは強力に指導いたしたい。その場当たりだけの人事の都合だけの所長任命がないように、これは強力に指導いたすつもりでございます。そのほかにも若干の点ございますが、いずれも誠意を持ちまして、必ず審議会の要綱の趣旨が生きるように、努力をするつもりでございます。
#10
○大橋和孝君 そのいまの訓練所長の職務ですね、しかしいままでを考えてみるならば、この職業訓練所の所長となってこられる人は、たとえば職業訓練にずっと携わっていた人で造詣の深い人が所長になってこられる、いまあなたのおっしゃるように、それが知事の権限を侵食しないようにということであればいいのですが、過去を振り返ってみると必ずしもそうではないわけですね。これは何でもない、全然職業訓練所に関係のない人が天下り的に、全然畑の違った人がその訓練所長になってきているわけですね。そういう例は私も知っておりますが、局長のほうではずいぶんわかっていると思うのですよ。しかし、そういう事実が過去にありながら、それは行政指導でやりますということは、これは一つのまやかしととらざるを得ないわけですね。それがなければいいですよ。いままでそういうようなことで行政指導がうまくいって所長さんがこられて、ほんとうに訓練所の業務をうまくこなされるような経験者がやってこられたのならいいわけでございますけれども、全然畑違いのような人が、しかも、その人は比較的高官である。一般に従事している先生たちとか、あるいはまたいろいろな人たちが、偉い人だからものが言いにくいというような人がぱっと所長になってこられる、これはやはり職業訓練そのものをほんとうに生かすものではないという例を私はたくさん知っているわけです、いままで。だから、そういうところからいうと、せめてそういうことをあらわすことがむしろ――そうした人事権を云々ということにさわらないようなことばにしても、こういうものを入れておくということが、今度の改正には最も必要なことではないかと思うわけですね。こういうように、たとえばこれ一つを取り上げてもいいですよ、私は、そういうことが言えると思うのです。また局長のほう、あるいは労働省のほうでは、指導していいものにしていきたいという気持ちはわかるけれども、実際問題はできないわけですね。こういう点に対してどうなさるのか、どういうところで歯どめのできる行政指導ができるのかということが次にお聞きしたい点なわけです。これはどうですか。
#11
○政府委員(石黒拓爾君) 都道府県立の職業訓練所の所長も大部分はりっぱな方でございます。しかし、まれに先生御指摘のごとく、少なくとも経験の上から申しますと、この方がすぐに訓練行政をやるに十分な経験があるか、問題のある方もまれに任命されているのも事実でございます。これにつきまして労働省といたしましては従来は何らチェックをしておりませんで、できるだけいい人をやってくれというくらいでございます。それではいかぬということに今回気がつきまして、一気に大臣が基準をきめてしまうということも、審議会段階では考えたわけでございますが、そこまで知事さんの人事権をチェックされては困るという意見もございます。そこで中間的な方法といたしまして、知事みずからにあらかじめ基準をつくらせる、そのつどの御都合人事ではなくて、あらかじめ基準をつくらせて、その基準に従う人を任命してもらうようにして、これにつきましては、自治省もそういう行政指導でけっこうでございますと申しておりますので、両省協力いたしまして遺憾のないように指導いたしたいと考えておりますので、従来とはだいぶ異ってくるという確信を持っている次第でございます。
#12
○大橋和孝君 それからまだこういうような問題が非常に改革された中にたくさんあるわけですね。私もずっと調べてみたわけですけれども、たとえば職業訓練所に必要な教科書その他の教材を整備するための措置を講じなければならないものとするというような、これも飛んでしまっている。これは小さい問題といえば小さい問題でありますけれども、こうしたことはいままで訓練所あたりでみれば、比較的これが受ける人の個人負担になっている面もあるわけですね。そういうことからいえば、こういうものを整備するということが大臣のほうで言われておれば、これはひとつ今後改革されていくいい道を開かれる、こういうふうに考えるわけでありますけれども、こういう問題に対しても十分でない。それからあとから財政措置に対しましても大事なところでオミットされておるけれども、こういうような問題が比較的、何と申しますか、話を展開していくならば、この訓練所というものの持ち方ですね、ここに本質的な問題が出てくるのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。こういうふうな問題点を、まあ言うならば訓練を受ける人の側から考え、あるいはまた国民の側から見るならば、そういうところの大事な問題点となるところがこうぼやかされてきておる。だからして、そういうことをもう少しできるだけ明確にしてもらう改正が、この職業訓練というものをよりりっぱなものに将来していくという方向に対しては、必要欠くべからざるものである。それを何でもっと勇敢にそういう点を打ち出さないのか。ずっと見ていくならば、非常に後退したもので、省かれたもの一つずつがみな後退で、法律上からの制約を受けないように、こう逃がれてしまった形の職業訓練の今度の法律になるというように解釈するならば、今度の改正は一体何だということを言わざるを得んことになるわけです、先ほど言ったように。この問題ささやかなようでありますけれども、非常に重大だと思うのです。この問題なんかも、行政的にやろうといっても、それはやらなくてもいいことにもなるんじゃないかと思うわけですが、この点なんかどうですか。
#13
○政府委員(石黒拓爾君) 職業訓練全体が労働者のためではなくて、むしろ事業主の都合ばかり考えるようになりはしないかという点につきましては、それは法律の第一条におきまして、従来の法律は、「工業その他の産業に必要な労働者を養成し、」とございましたのを、今回は職業人としてりっぱな労働者を養成するのだというふうに変えまして、法律の基本的姿勢というものはここではっきりしております。私どもといたしましては、その個々の条文は別といたしまして、基本的姿勢におきましては、もう後退を許さないようにはっきりされたと考えております。そのうちに、さらに具体的な個々の点につきましては、ずいぶん前進した点があると思っておりますが、しかし、若干の点につきまして審議会の答申にありました点が、法文では消えておるじゃないかという御指摘は、残念ながら、ごもっともでございます。たとえば、御指摘にありました教科書、教材等につきまして、教科書その他の教材を整備するための措置を講じなければならないというように審議会の要綱にありましたのが落ちました点につきまして、一生懸命努力するといっても、実績ほどうなるかわからぬじゃないかという御指摘でございますが、たとえば教科書、教材の整備につきましては、すでに雇用促進事業団に教材課という新しい課を設けるというようなことで、すでにその点では前向きの姿勢を示しておるわけでございます。四十五年度予算におきましては、さらに前進をいたしたいという決意でございますので、必ず御期待にそむくことにはならないものと考えておる次第であります。
#14
○大橋和孝君 そういう姿勢ならば、これをもう少し具体化して、削らないで入れておいたらいいじゃないかと思うのですが、これをもし何だったら修正する気持ちありますか。あなたが申された今後事業団でこうやっていこうとするかまえだとすれば、そういうかまえだということを入れてもいいじゃないかと思うのですが、さらにそういうふうな形で入れていくようなことも考えられますか。
#15
○政府委員(石黒拓爾君) 最初に申し上げましたように、今回の法案では訓示規定が非常に多い。訓示規定というのは、幾ら訓示規定を設けましても、政府にそれだけの誠意がなければ、ちょびっとやって全部済んだような形にすることができるわけであります。それよりも実態の充実が大事じゃないかというようなことも、審議会でも御説明申し上げました。私どもはその実態の充実こそが目的であって、訓示規定は、その実態の充実を順守するものであると考えております。したがいまして、訓示規定がありますればベターでございますけれども、訓示規定がないということを口実にして、実態の充実をなまけるつもりは毛頭ございません。訓示規定が多過ぎるから多少整理をしろというような意見につきましては、ごもっともな点やあるいはやむを得ない点につきましては、訓示規定を少し減らした点があるわけでございますけれども、実態の充実につきましては、私どもそのゆえをもちましてなまけるつもりは毛頭ないということを申し上げておきます。
#16
○大橋和孝君 そう言われますと、私は今度の職業訓練の質疑の中では、そういうのが出てくるだろうと思いましたが、私この間藤原委員と一緒に労働省のごやっかいかけずに、かってに見せてもらって来ました。一カ所しか見ていませんが、これからまた二、三カ所回らしてもらおうと思っています。訓練所の問題を審議するというのでその実態を見せてもらって、あとからどうせ藤原委員のほうから、それについての御質問があると思いますから、私から触れませんけれども、そういうことが言えるほど、いまの実態の職業訓練所、しかも、政府が相当力を入れてやっているひざ元の訓練所でそれがなかなかやられてない実態を実際見るわけですね。ですから、そういう実態がなければ、あなたがおっしゃるとおり、なるほどけっこうでございますと、そういうような運営の妙を得てやってもらえればよろしいなということで、私も了承ができるわけですね。それがどうであるかということを見定めるために私は実際訓練所を見てきました。その状態から見て、そんなことをいまここで議論をして、ああそうですかと言って引き下がれないような状態に現在あるでしょう。あなた自身が見られても、あれでいまあなたおっしゃるような状態でうまくやっていく、こういう配慮をしていくという状態でいまやられているかどうか、その問題が。だからして、少なくとも国あるいはまた公共団体がやるところのそういう訓練所で、公の訓練所であってそうなんだ。企業の中でやられている分は、企業の目的に沿ってこれはやられるわけですから、これはまただいぶニュアンスが変わってくるわけですからね。だからそういうことから考えてみると、これはやはり今度の改正にはそういうことを、いわゆる受ける人たちの側に立ってその訓練所がどうなされておるかという状態がはっきり出てくるようなものをつくっていかなければ、これはやっぱりかすみのような話をしていて、この職業訓練所の法案を改正してみましても、これはもうほんとうにいま言われるようなナンセンスみたいなものになるんですよ。そういった意味から言って、この第一番目の問題、こまかしい逐条につきましては、最後のほうに、私はもっといろいろ御質問さしていただきたいと思いますけれども、きょう大まかなところだけを申し上げましても、そういうふうな取り組み方では、これは職訓法そのものがほんとうによりよく発展するための、大きな役割りを果たすための今度の法改正ではないというふうなことが考えられるわけです。だからして、そういう観点からこの職訓の問題は、根本的に問題がある、こういうふうなことで、私はひとつこまかしいことはあとから議論さしていただきます。これはいまあなたおっしゃいました、たとえばこのたてまえが今度は筋を通しているとおっしゃっていますけれども、第一条に書いておられますところの雇用の何という項目だったか、「雇用対策法と相まって」と書いてあるんですね。これは雇用対策ということからだけでやるんじゃなくして、職業訓練というものは、先ほど局長もちょっと触れられましたように、非常にいまの技術の進歩というものは、これは外国に比べて日本は特に進歩が早いわけですね。それから技術の進歩のテンポがアメリカよりも日本のほうがずっと早いと言われているわけです。こういうものに合うだけの技能をつけるような訓練が必要だと思うわけです。ただ、いままでは、何か失業者を救済するような補足的な職業訓練と考えられておったかもしれないけれども、最近ではそうじゃないわけですね。だからして、ある程度技術が進歩していけば、それはもうその労働者は間に合わなくなって、スクラップになるわけです、首切られるわけなんですね。それをある程度職業訓練所に持っていって、いまの技術進歩に合うような教育をしていかなければならぬというのが今後のやっぱり職訓の目標ではないでしょうか。そういう点から考えますと、雇用対策だけに依存をして、根本的なものが失われるようなことでは、あなたがいま筋は通したとおっしゃいましても、今度の第一条の文句を見まして、また、その目的たるややはりまだいままでの形骸、やはり企業内で、企業に即した労働者をつくるための一時的な職業訓練というたてまえが先行するんではないか。現在においてそういう課程しかない、だから今度は職訓法出すならば、これによってこうするんだという、ほんとうの技術を次々にやっていく、これが私は労働者側の最も切なる希望であると思うんです。技術がどんどん進歩していくのに、それに合うだけの教育をつけるところがなかったらその労働者はスクラップになるわけですから、労働者側からこうしてもらいたい、ああしてもらいたいという要望が出てくるわけですから、そういうものがきちっと入るような職業訓練所でなければならない。こういう観点から言ったならば、今度の条文、目的なんかを見ましても、私は不十分だと思うんですよ。もう少しそういうことをぴしゃっと打ち出すべきじゃないかと、こういうふうに思うわけなんですね、その点なんかどうですか。
#17
○政府委員(石黒拓爾君) 法案の第一条におきまして、「雇用対策法と相まって、」云々と書きました点に関連しての御指摘でございましたけれども、私ども、雇用政策に訓練政策が従属すべきものであるとは毛頭思っておりません。しかしながら、また広い意味の完全雇用――量的のみならず、質的な完全雇用ということを考えます場合には、雇用対策法の目的が完全雇用にあることは申すまでもございません。職業訓練といえども、質的な意味の完全雇用、すなわち、すべての労働者がそのところを得てその能力を十分に発揮できるようにするということは、職業訓練にとりましても大きな目的である、すなわち、それが労働者の幸福につながるゆえんであると考えております。そういたしますと、雇用政策というものと職業訓練というものとは両々相まって進むべきものである、片っぽうが片っぽうに従属すべきものではないけれども、しかし雇用対策法の雇用政策というものと相まっということは必要なんじゃないか、従属ということではなくて、相まっていうことは、私どもは間違っておることではないというふうに考えておる次第でございまして、従来の法律に比べますと、先ほども申し上げましたように、職業人として有為な労働者を養成するのだということもございますし、また高い、高能訓練ということばは使っておりませんけれども、高等訓練校等の充実等の点から、労働者の技能の幅をできるだけ広くすると、さらに従来ございませんでした再訓練とか、向上訓練とかいうものをはっきりその位置づけをするというような点を考えておりまして、まだまだこれでは不十分であるという御指摘につきましては、私ども遺憾ながらこれで完ぺきであるというふうに申し上げられないかもしれませんのですが、先生の御指摘になりましたような気持ちは、私どもとしても十分持っておりまして、その方向で努力するつもりでございますし、法文にも幾ぶんなりともその気持ちはあらわしておるつもりでございますので、御了承いただきたいと思います。
#18
○大橋和孝君 これは、そうした話を聞いておりまして、総括的にずっと言われると、なるほどとなるわけですが、しかし、それが実際問題としては、なるほどとならない。私どもは、その現実を見ているわけですね。ですから、きれい事をここで言い合うだけでは何にもならないわけですね。だから、これをやるならば、そこのところでもう少しはっきりしてほしい。せっかく手をつけるのですから、それをやってもらう。職訓法というものは、非常にうまくやってもらえば、いいものだと思うのです。ところが、そういうようなきれい事ですっといって通るだけでは何もよくならないのだ。いま日本でやっていることと外国と比べたらどのくらい差があるか、もうそんなこと私がちょうちょう言わなくても十分御案内のとおりだと思います。それからして、いまあなたが雇用対策とにらみ合わしてやることは、それは当然でしょう、そう言われれば、それは当然でありますけれども、なかなか現実的に、あなたがおっしゃっているような意図がこの職業訓練の中に生きているかどうか。いま若い人たちが魅力を持たぬからなかなか行かぬでしょう。というのは、それはやっぱりそういうようなことがきちっとできていない、こういうふうなことに原因をするわけです。金はかかる、あるいはまたやられている内容はマンネリ化している、そういうようなことでひとつも、むしろ何といいますか、企業におんぶをしたそうした雇用対策というものを先行した考え方がそこにあるためにもう一つぴしゃっとしたものが出てこないと、こう思うわけです。もっと技能的に多能工をつくりあるいは技術的に進歩したものにしていくのだという、こうしたものがないわけですね。だから若い人は魅力を持たないわけです。また行ってみるならば、そういうことがめちゃくちゃである、こういうわけですね。そういう意味におきましても、どうしてもいま労働力が非常に少ない、こういう時期ですから、これはもう私はたいへんなことではないか。
 一体、いま中学校や、高等学校を出た人、あるいはまたそういう人たちが就職されるのは一体何人あって、その離職の人がどれくらいあるかという、そのことは御存じだろうと思いますから、ひとつその点ちょっと教えていただきましょうか。相当の数があって、何かあれは五〇%ぐらい何だか離職してしまっているように思うのですが、そういう点からいっても、一ぺんちょっと知らせてください。
#19
○政府委員(石黒拓爾君) 職業訓練所、特に都道府県立の職業訓練所は戦前からございました職業補導所というものを逐次改善してまいったわけでございます。相当な進歩が、従来職業訓練法施行以来、十年間にあったと存じますが、先生のお目にとまってたいへん恐縮でございますが、まだ現実の訓練所というものがこれで十分であるとは、率直に申してほど遠いわけでございます。それをヨーロッパ並みの職業訓練に持っていきますためには、非常な努力が必要であろうかと考えておるわけでありまして、この法律を契機といたしまて、なお一そう努力をいたしたいということでございまして、現状の足りない点につきましては、おしかりは十分お受けいたしますけれども、しかし、現状で満足していてこの法案をつくったんではないという点は、御了解いただきたいと存ずるわけでございます。
 それから、青少年の離職状況でございますが、一般的に訓練所に対する競争率は、場所によりまして非常に違いますけれども、平均的に申しますと、全国で一・七、八倍の競争率にはなっておるわけでございます。それから新卒者の就職後の離職率というのは、これは職業安定局のほうからお答えするのが筋であるかと思いますが、私が手元に持っております資料では、卒業後一年間に二一・九%、二年間に四〇%が離職、転職をするという資料がございます。職業訓練所の終了生の離職あるいは定着状況というものにつきましては、完ぺきなる資料、調査を持っておりませんが、昨年来調べております調査におきましては、この一般の離転職状況よりは、訓練所終了生のほうが若干よろしい。たとえば昨年の十一月で調べました調査では、訓練終了後一年半ないし二年の間の転職は一二ないし一六%、養成訓練の場合。ということで、一般の二〇%前後に比べますると、若干いい定着率になっておるというふうに考えております。
#20
○大橋和孝君 それはほんとうにわずかな――私もそれを調べましたけれども、数字ではそう出ておりますけれども、ほんとうに微々たるものであって、私はそれほど訓練所に魅力を感じていないというふうに感じています。それから、これは感じ方によって多少違うかもわからないけれども、あなたが胸を張ってそこで答弁されるほど案際問題としてほんとうにあるのかとうか、あなた自身もちょっとうしろめたい点はあるだろうと思いますね。そんなことは言ってみても始まりませんけれども、まあ、そういう意味からいって、外国の水準に引き上げるという目的、ILOのほうでもそういうことをいろいろ指摘しておりますし、もう世界全体のそういう労連のほうからもそうした意見は突き上げられているわけですね。そういうことは十分御存じのことでありますからして、私はこの改正をするときに、それはいまあなたがおっしゃったように、完全なものだとは思っておりませんけれども、これで一歩進めるのですと、その気持ちもよくわかりますけれども、やるからにはもう少しそういうふうなところに歯どめができるようなものをきちっとつくっていかなければ進歩にならないわけですよ。そのときの結局雇用需給関係とか、あるいはまたそのときの経済の状況によってどうでも変わるような職業訓練であっては相ならぬと思うわけなんです。そういうことがある程度きちっと歯どめのできる法律をつくらなければ、法律の改正の意味をなさぬわけです。これによって、運用なり何なりによってよくしていくんだから、今度の改正でも一歩前進であると言いたいと言うんですけれども、それは一歩前進ではありますけれども、また一歩後退にもなり得るわけです、運営いかんによっては。そういう法律では何にもならないということを指摘しているわけですから、そういう意味において、今度の法律なんかに対しては、まだまだ考えなければならぬ点が多々あるのではないか、こういうふうに考えます。特にそういうことが考えられたとしたら、はじめて若年の労働者あたりも非常に魅力を感じていくだろうし、いま、あなたが苦しいデータをもって御説明なさらなくても、もっとりっぱなデータがぱっと出てくるだろうと思います。そういうことを想像して、今度の職業訓練法というものをもう少し見直していきたい、こういうふうなことで、私は、いま議論を進めておるところでありますが、こまかしいところはまだたくさんありますから、それはまたこの次の機会に譲りまして、藤原先輩のあれがありますから、ここでちょっと終わります。
#21
○政府委員(石黒拓爾君) 大橋委員には、現地もわざわざ御視察いただきまして、実情もたいへん御承知の上でおしかりと申しますか、叱吃御激励をいただきまして、恐縮に存じております。先ほども申しましたように、現情で決して満足するものではございません。この法律を手がかりといたしまして、飛躍的に強化いたしたいと存ずるのでありますが、それにつきましては、私ども至らない点も多々ありますので、当委員会の審議過程におきまして具体的な御指摘、御叱正をいただければ非常に幸いでございます。私ども誠意をもちまして職業訓練の前進のために努力するつもりであります。
#22
○藤原道子君 ただいま大橋委員から御質問がございましたが、私も、どうしても納得できなかったのは、審議会の答申されたことと提案されたこととあまりに違うという点でございますが、それはこの次に譲らしていただきますが、私は具体的な面について二、三お伺いをしていきたいと思います。
 私も、地方の訓練所を一カ所と、それから心身障害者の訓練所、それから、過日、大橋さんと一緒に都内の訓練所を視察させていただきました。まあ、かってにふらりと行って視察してきたので、実態がよくわかったと思うのです。私は、いまの局長の御答弁で、よくするのだということをお答えになっていらっしゃいますが、どのくらいかかるでしょう。いまの訓練所は建物は狭隘で、指導員が足りない。こういう状態で、一体、どうしてあなたが言うような訓練所ができるかということが不安なんですが、年次計画をお持ちでしょうか、まず、それからお伺いいたします。
#23
○政府委員(石黒拓爾君) 現在は現行の職業訓練法施行後、間もなくつくりました計画によってやっているわけでございますけれども、今回職業訓練法の全面改正案が成立いたしました際には、この法律に基づきまして、職業訓練基本計画というものをつくることに相なっておるのであります。現在のところでは、年次計画をもちまして訓練所の構造の改善等をやっておりますけれども、これは古いやつで、私どもまだ手ぬるいと考えております。法律改正後は、基本計画においてさらにもっときちっとしたものをつくりたいと考えておるわけであります。
#24
○藤原道子君 私は、どう考えても労働者の職業人としての訓練というよりも、資本家に奉仕するための訓練というようなにおいが強いわけなんです。こういう点は、労働省が労働者のサービス省として出発したはずでございますので、そういうことがいささかでもあるといたしますならば、これは心して真に労働者のためになる訓練、こういうことに力点を置いていただかなければならないと考えておりますので、この点は強くここで指摘させていただきます。
 訓練所の指導員ですか、訓練所の指導員が非常に足らない、こう思います。それから待遇が非常に悪いですね。ここで仕事だけ大幅に押しつけても意欲を失っていくのじゃないかしら。現在でもたいへん足らないようですね、指導員は。欠員を講師とかなんとかいう名目でごまかしていらっしゃるけれども、いま指導員が定員に対して欠員となっております数がおわかりでございましょうか。
#25
○政府委員(石黒拓爾君) 手元にあります数字では、四十三年度一般職業練所の定員については三千七百二十九名でございます。それに対しまして、現員は指導員が三千七十四名、講師を千四十三名使っておりまして、合計四千百十七名ということで、御指摘のごとく、指導員の欠員がございますのも講師で補っているという面が、平均いたしますと大体二割弱くらいあるというふうに考えております。
#26
○藤原道子君 その講師も、非常に高年齢化してきている傾向がある。あるところへ参りましたら七十歳の人がおりましたよ。七十歳でもそれは現役でばりばりやっていらっしゃる人はけっこうでございますけれども、そういう人に過重な仕事を押しつけていくということはいけないと思う。では、なぜ足りないかということになりますと、非常に待遇が悪いんじゃないですか。かりに高校の教師と比べますと、東京都内でも四千円ぐらいの差があるやに伺っておりますが、この点はどうなんでしょうか。今後、待遇等を改善していく御意思がおありになるかどうか。
#27
○政府委員(石黒拓爾君) 講師につきましては、いろいろな方をお願いしておりまして、実はたいへんうかつでございますが、七十歳というような高齢者をお願いしているということは私存じませんですが、一般論といたしましては、あまりに高齢な方は、特に訓練のごとき実技を若い者に教えるのには無理が多いのではないかと思いますので、今後注意いたしたいと思います。
 それから訓練所の指導員につきましては、一般の公務員よりは、調整号俸を加えまして、若干優遇いたしております。御指摘のごとく、高校の先生に比べますと、総合訓練所の指導員は、高校の先生に比べて劣らないのでございますが、一般訓練所の指導員は、高校の先生に比べて若干下回っております。これはここ数年改善につとめておりますが、まだ追いつかない点があるのは事実でございます。
#28
○藤原道子君 私が最初にこれを取り上げましたのは、どんな意図でおやりになるとしても、要するに人でございます。よき指導員を得なければ、せっかく入った訓練生が不幸だと思います。したがって、この待遇という面につきましては、特段の配慮をしていただきたい。ぜひとも、誇りをもって指導員として働くことができる、こういうふうに改善していただきたい。高校の教師よりも上回って私はしかるべきだと思う、仕事の内容から申しまして。大臣どうですか。
#29
○国務大臣(原健三郎君) 藤原先生のお説は、まことにごもっともでございます。この職業訓練の重要性を考えておりますので、その指導員の諸先生にはやはりその待遇がよいことが大事でございます。それで来年度予算要求におきましては、いま局長からもお話しがありましたように、一般職業訓練所の指導員の給料が高校の先生よりも若干下回っているということでございますから、これは、少なくとも、高校の先生と同等くらいまでに引き上げるように予算要求で……。
#30
○藤原道子君 もっと、以上にしてください。
#31
○国務大臣(原健三郎君) 同等ないしは以上のほうに向かって予算要求をして努力することをお約束申し上げます。
#32
○藤原道子君 大臣のおことばでございますので、御信頼いたしておきますので、せっかく新しく出発しようとする職業訓練校ですか、こういう衣がえをして出発しようとするわけでございますから、それにふさわしい内容をまず指導員の面から御努力を願いたい。
 それから、行ってみますと、教材費というのが非常に少ないのですね。教材費が少ない。でございますから、私どもが考えているのは、訓練所ではやはり訓練費ですか、外国で失業手当に同等ぐらいな金を出して訓練しているところもある。
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
ところが、こちらはそうじゃないのですね。身障者は別でございますけれども。それで、教材費が少ないために、訓練していく上にいろいろ支障を来たすので、業者からの委託加工というというのですか、何というのですか、業者から委託を受けて、その収入を上げることによって運営しているというようなところが多々ございますけれども、これについてどうお考えでございましょうか。私は、訓練校と銘打っていく以上は、教材費等にこういう苦労をかけてはいけない、その点について。
#33
○政府委員(石黒拓爾君) 一般職業訓練所につきましては、教材費と申しますか、訓練事業費は、訓練生一人当たり補助に対応する額といたしましては、四十四年度は六千八百円を計上いたしております。この教材がどのくらいかかるかというのにつきましては、職種によりまして、非常に大きな差がございまして、教材費が非常に安くて済むのもございますれば、高くつくのもあるわけでございまして、平均六千八百円というのは、私ども決して十分な額ではないと考えております。衆議院でも実は御指摘を受けました。教材費をさらにふやすということは来年度の予算の重点事項の一つである、こういうふうに考えておるわけでございます。
 それから実習によりまして収益を得るという点につきましては、これは、訓練生は就職しまして現実に売れる製品をつくらなくちゃならぬわけでございますので、企業の委託を受けて製品をつくるという実習をすること自体は悪いことじゃない。それをやったその結果の製品というもの、これは当然売れるものでなければいかぬわけですから、収益が上がるということもこれはまたけっこうなことでございますが、収益を上げなければ実習ができない 実習させることが目的なのか、それとも収益を上げるのが目的なのかわからないほど、その実習収益に重点を置いているところも間々あるやに聞いておるのでございまして、これは本末転倒もはなはだしいことでございますから、そういうことは絶対にないようにということを指示しておりますが、それにつきましても予算が不足なので苦しまぎれにそういうことをするというところもございます。実習経費につきましては、来年度一段と強化いたしまして、そのような無理をしなくても済むように配慮いたしたいと思います。
#34
○藤原道子君 配慮配慮といったって、どの程度信用していいかわからない。それは委託されてつくった製品が売れないようじゃ困る、お説のとおり。ですから、それをつくって売るということはかまいません。けれども、それにたよらなければやれないとなると、収入の上がるようなものに重点が置かれて大事な指導がおろそかになる。こういう例をここで指摘しろとおっしゃれば申し上げてもいいんですけれども、そこまでは、私、きょうは押えておく。そういう例があるということはお認めになりますか。幾ら指導してもやはりそこに予算が伴わなければ、かえってどういうことになりましょうか。それを私はおそれるがゆえに、予算で十分配慮していただきたい。
 それからだんだん技術が進歩いたしまして機械もだんだん更新されてきている。ところが、十年も十五年も前の機械をそのまま使ってやっているところがある。これでは訓練生も魅力がなくなっちゃう。と同時にせっかくそれで訓練を受けましても、時代に即応しない結果を来たすのじゃないでしょうか。したがって、四十一年だが二年の統計からいくと、そういう十年以上たっておるものを使っているところが六八・一%ぐらいある。その後、どの程度更新されているか、これをちょっとお聞かせ願いたい。それからそれをお認めになって努力なさる決意があるかどうか。
#35
○政府委員(石黒拓爾君) 機器等の整備につきましては、これは都道府県立の一般訓練所と、それから雇用促進事業団の総合訓練所と若干違いがございます。総合訓練所につきましては、私ども直接の監督にありますので、そう古い、使いものにならぬような機械がないようにできるわけでございます。一般訓練所につきましては、これは補助金は出しておりますけれども、これは都道府県の御方針によりまして、いろいろの差がございますが、実は都道府県立の訓練所の中ではかなり古い機械を依然として使っているところもあることは現実でございます。私どもそれを督励いたしまして、すみやかに整備をするようにいたしておりますが、先ほど御指摘の数字は、私ちょっと存じませんが、機材整備率というものを私ども調べております。整備率につきましては、一般の訓練所で申しますと、四十年度が六五・二%でございます。四十一年度には六九・〇%、四十二年度には七二・〇%というふうに逐次向上はしておるわけでございます。さらにこれをスピードアップいたすように努力いたしたいと思います。
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
#36
○藤原道子君 指導員が足りない、それから教室というのですか、訓練室が狭い。こういうことで、中学卒業者も、高校卒業者もさらに中高年齢層も一緒の混合訓練というのをやっておりますね。この間の牛込でもそうでしたね。そうすると、中卒者も、高卒者も、中高年齢層も一緒のところで指導するというと、指導員も骨が折れるでしょうし、また受ける人も、ある人は劣等感を持つでしょうし、ある人は何だつまらないという気持ちも起こるだろうと思う。これらに対しては、今後もこの方針でおやりになるのですか。
#37
○政府委員(石黒拓爾君) 御指摘の点は、二つの問題点があると思います。一つは、養成訓練の中で中卒と高卒を込みにやっている点、もう一つの点は、新卒――中高卒の養成訓練と、それから中高年の転職訓練とを込みでやっている二点でございます。
 第一の点につきましては、実はいままでの訓練所というのは中卒を目的としておったわけでございます。ところが、非常に進学率が上がりましたので高卒も入るようになってきた。そこで、当然中卒訓練と高卒訓練というのは、基礎教育が違うわけでございますから、分けてしなければならなかったのでございますが、ただいままでのところ実は分けておりません。そこで、中卒訓練基準のほかに高卒訓練基準というのをつくるということは、焦眉の急に相なっております。これは、中央職業訓練審議会でも御指摘がございました。実は、私どもこの法案改正作業が終わり次第、最も急ぐ仕事の一つは高卒基準の整備であるということで、ただいま局の中で職員を督励いたしまして、高卒基準の整備に努力をいたしておる段階でございます。これはやや手おくれでございまして申しわけございませんが、急速に整備いたしたいと思います。
 それから転職訓練と養成訓練を一緒にするということは、これは非常に好ましくないことでございますが、実際には、たとえば板金工なら板金工で養成訓練の受講者は四十名おる、転職訓練の受講希望者は五名しかいないという事態がしばしば起こるわけでございます。そうすると、五名だけ別のクラスにするというのは非常にむずかしいわけでございます。そこで、やむを得ず、養成訓練と転職訓練を一緒のクラスに入れてしまうということがしばしば起こってくるわけでございます。これは非常にむずかしい問題で、どうしても転職訓練というものは、職種の希望が割れまして、一クラスのまとまった人数にまとめることが非常にむずかしいわけでございますので、ともかく込みになりがちでございます。これをいかに転職訓練は転職訓練として別に行なうかということにつきましては、非常にむずかしい問題がございまして、率直に申しまして苦慮しておるのが実情でございます。予算と人員が無制限にございますれば、五人でも一クラスにできるわけでございますが、実際問題としてそれはむずかしゅうございます。何とかもう少し職種を幅広くして、転職訓練所を大きくまとめるとか何とかして、別のクラスがつくられますように、あるいはクラスが一つでも、必要な場合には、授業だけ別にするという、いろいろなくふうをさらにこらしたいと思っております。非常にむずかしい問題であるということを御了承いただきたいと思います。
#38
○藤原道子君 それから、私どうも納得がまいりませんのは、つくるときには大体スケジュールができていなければいけないのですよ。法律が通りましたらそういたしますということを、いつも聞くのですけれども、大体審議会へかけてそれでお出しになる。お出しになるときには、こうこうこういうふうなスケジュールでやりたいと思いますという答弁を期待しているわけですよ。それが法律を通すまでは、皆さん非常に熱心なんですよ。いつでも、どの法律でも、法律が通ってしまうとまことに冷淡になる。過去においてほとんど全部といっていいぐらいそうです。だから、せっかく今日職業指導を受けて大いに張り切っている人たちに示す案としては頼りない。はたしてできるのかしらと、まず第一に私たち危惧を持たざるを得ない。この点はそういうことのございませんように――いろいろな職種があるわけですね。それからいろいろな経験者とか何とかでもって、いまおっしゃるような非常に減るところもございましょうけれども、少ないものならばこれはどうするかということを一つお考えおきを願わなければ、できてから考えるじゃちょっと困ると思います。
 それから、この間、身障者の訓練所へ参りまして、私は指導員の先生方にほんとうに頭が下がる思いがいたしました。手の不自由な子、足の不自由な子、こういう人たちをほんとうに手をとり、何というのでしょか、愛情を込めて指導していらっしゃる姿を見て、私は非常に頭が下がりました。ところが、ここで申し上げたいのは、普通の訓練所も、それから身障者の訓練所も、指導員の定員は同じなんですね。これはどういうわけでしょうか。それは普通の訓練所の指導員の先生もたいへんですけれども、身障者の場合は格別だと思います。にもかかわらず、定員が同じだ。先生方は気の毒なぐらい過重労働にたえていらっしゃる。それはやむにやまれぬ人類愛というのでしょうか、人間愛というのでしょうか、そういうものに立っておやりになっているという感じを強く受けてまいりました。でも、やっているからいいでは済まない。今後身障者の指導員の定員というようなものについては、格別の御配慮があってしかるべしと思いますが、いかがでございましょうか。
#39
○政府委員(石黒拓爾君) 身障訓練所につきまして、たいへん御理解のあるお励ましをいただきましてありがたく存じております。私も、身障という特殊な分野につきましては、特別の勢意とそれから愛情がなければいけないと思いまして、特に力を入れているつもりでございます。
 指導員の数につきましては、御指摘のごとく同数でございます。ただ健康管理の職員というのが別に加わっているだけが違うわけでございます。これは非常におかしなことでございますと、私も思うわけでございます。実は、身障問題につきましては、まず訓練所に入れる人が限定されているわけでございまして、やはりいまの訓練を受ければ就職できるという人しか訓練所に入ってこない。しかし、身障者の種類というのはもっと数限りなくあるわけでございます。したがいまして、病院の治療からリハビリテーションの段階を経て、そうして訓練所に入る。さらに、それが職業安定所におきまして、ケースワーカーのような人たちの特別の配慮のもとに就職するという一貫した体制が必要であると思います。ただいま労働省の中で、身障の職業対策の委員会というものを労働省の職員でつくって、とかく従来労働基準局、職業訓練局、職業安定局、ばらばらになりがちでございましたが、一貫した体制をつくろうじゃないかということで、鋭意研究して、非常に無理でございますけれども、来年度予算で何とか間に合うように案をつくろうということで検討しております。案全体の中で、身障訓練所につきましても、御指摘のような点ももちろんございますし、そのほか多々問題がございますので、一ぺんにはまいりませんけれども、少しでも進歩する方向で総合的な対策を考えようということで目下努力中でございますので、御了承いただきたいと思います。
#40
○藤原道子君 どうもこういうところに抜けたところがあるのですよね。私は、身障者の職業訓練というのは、これからますます大事になってくる。入りたくても入れない人もたくさんあるし、もっとこれは数をふやしていただいて、また身障者の訓練を受けている姿を見ると涙が出ちゃう。片手は全然きかない、その片っ方の手でタイプを習ったり、全くよくやっております、先生も、そして子供も。こういうところで人材を生かすということの大きな使命をお持ちになる指導員の方に格別の待遇があってしかるべしで、それも健康なところと同じ数であるというどころはどうしても納得がいかない、こう思いましたので、今後の真剣な御配慮をいただきたいと思います。それから、私、この間大橋先生からもお話ございましたが、牛込の訓練所に行った。あそこは歴史は古いんですね。非常に歴史は古い。行ってみますと、あまり狭過ぎる、それで廊下で裁断をしたり、廊下でいろいろやってるんですね。そして迷路のような建物でございましてね、ちょっと、案内者がいなかったら迷っちゃうような建物なんです。それでも指導員の先生もよくやってらっしゃるように見受けましたけれども、あれでは指導員の先生方もたいへんだと思うんですがね。洋裁なら洋裁の教室に、いまいう中卒もいれば、高卒もいる、それから再就職の訓練を受ける人、それから男性の方も、大学出の方が四人だか五人だかおりましたね。デザイナーになるんだということで指導を受けていらっしゃいました。ところが、私が見ていて、先生方はたいへんだなあと思うのは、立ち通しなんですね。いろいろ違う人たちを指導していくんでございますから、たいへんだと思う。あれは歴史の古い訓練所で、相当な評価をされておる訓練所だと思いますのに、あの状態を放置されておるということはないと思いますが、あれをほんとうに近代的に、そしてまたあれを受ける子供も安心して受けられるようなことを考えていらっしゃるでしょうか、どうなんでしょうか。あれは東京都のでしょうか。
#41
○政府委員(石黒拓爾君) 実は、たいへん申しわけございません。私、牛込の職業訓練所はまだ自分で見ておりませんのですが、都会地の普通訓練所は、非常に施設が狭隘で、かりに中の機械は新しくても、建物が老朽しているというのがたくさんあるわけです。これは大都会の中でございますから、拡充するといいましても、土地が手に入らないので、非常に苦しいやりくりをしているというところがたくさんございます。こういうのは、逐次、やはり数カ所に分散しているのを一カ所にまとめて大きなものにして、建物を立体化していくという形で解決する上りはかなかろうと存じておりますが、大阪あたりでは、そんな方針で非常にりっぱな訓練所を郊外につくるということをやっております。東京都におきまして、その辺についてどういう方針がありますか、まだ、私、具体的に確かめておりませんのですが、一般論といたしまして、非常に小さな訓練所をたくさん方々にばらまくよりは、それを統合した、しっかりした訓練所をつくるほうが県の訓練所のあり方としてもいいんじゃないか、一般論として。地理的な配分の問題ももちろんあると考えておりますが、何ぶんにも、これは都道府県の予算でもってやっていることでございますので、強制はできませんが、十分都とも相談をして、もう少し効率的にできますように考えたいと思っております。
#42
○藤原道子君 一カ所にまとめるといっても、いまのところでも八王子から通っている人、それから草加あたりから来ている人、それから大森のほうから来ている人、ずいぶん遠くから来ているんですよね、あそこへ。それだけ訓練生というものは、訓練所に魅力を持って来るんです。それに値する内容でなければならない、こう私は思うんです。それからいま一つ考えましたのは、これは困ったなと思うのは、教材費が足りないものですから、写図工というのですか、写す図の。その教室へ参りましたが、あれがコンパスを使いますね――こんなことするのだから。それにつける鉛筆ですか、何というんですか、私よく知らないのですが、そういうものは、先生も言っておりましたが、新しく入ったつどこれを買いかえてやりたいと思いますけれども、予算がございませんので、従来のものをそのまま使う。そうすると、なかなか図を書くのがきれいにあがらないんですね。こんな費用は大したことじゃないと思いますけれども、これも一般的な教材費が足りないというようなことからそういうふうになり、生徒も苦労すれば、指導員も苦労する。こういうところにも教材費があらわれてまいりますので、ぜひ来年度の予算の獲得におきましては、きょうの約束を忘れないように、ぜひ予算を獲得していただいて、訓練を受ける人も、指導する人も快適な状態でやることができるようにおはからいを願いたいと思います。
 それから、訓練所修了者の待遇ですね、これはどういうことになっていましょうか。就職状況、その待遇、訓練を受けない人と受けた者との就職の状況について、もし調査がございましたらお聞かせを願いたい。
#43
○政府委員(石黒拓爾君) 訓練所修了生と訓練所を修了しない人との待遇の違いというのは、実は調査をいたしておりませんのです。私どもの知る限りにおきましては、一年の訓練は一年分の年功給が違うだけでございまして、訓練所を出たから特別に高く待遇しているという例はあまりないように承知しておりますが、具体的な、正確な調査はいたしておりません。
#44
○藤原道子君 おかしいですね、これは、四十年だか四十一年だか知りません、二、三年前の労働省から出た資料でございますよ。学卒一年の職場経験者と比較してどう扱うか、訓練修了者のほうを高くするもの四八%、同じに扱うもの三〇%、技能程度などによりそのつど決定する、これが八%、訓練修了者のほうを低くするもの、これが八%と、こういうふうに出ている。ところがこういう調査は一回出たきりで労働省はしておりませんね。なぜなさらないかというふうなことの理由もあわせて聞きたいのです。それをまず聞かしていただきたい。
#45
○政府委員(石黒拓爾君) ただいまのは、検定合格者の調査ではございませんでしたでしょうか。訓練修了者ですか。
#46
○藤原道子君 ええ、訓練修了者。
#47
○政府委員(石黒拓爾君) 実は、訓練修了者の就業状況につきましては、昨年の十一月に調査いたしました調査を目下集計中でございます。ただ、その場合には、同じ事業所における訓練を経た者と幾ら賃金が違うかという項目の調査はいたしておりません。実はこれは、なかなか各会社ごとに調べましても、一般論は出にくかろうと思って実は調べておらないわけでございます。しかし、そのほかの労働条件あるいは待遇等につきましての調査は昨年初めていたしました。今後は隔年あたりに続けてやるようにいたしたいと考えております。
#48
○藤原道子君 それで訓練受けた人の定着状況はどうでしょうか。
#49
○政府委員(石黒拓爾君) これが昨年の十一月の調査でございまして中間の集計でございますので、まだ完全なあれではございませんが、訓練修了後調査時点までの期間というのが大体一年半から二年でございます。その間に事業所を変わったことのある者は、養成訓練のうち、一般訓練、すなわち都道府県立の訓練所に一二%、それから総訓では一六%、転職訓練では三〇%というのが事業所が変ったことがあるということになっておりまして、転職訓練の場合が著しく高くなっております。養成訓練につきましては、一般の若年者の離職率に比べますと、かなり定着がよろしいと申すことができると思います。
#50
○藤原道子君 私は、きょうは大体のことをお伺いいたしまして、この次にこまかくお伺いしたいと思います。
 ここで、婦人少年局長がおいでいただいておりますから……。行ってみますと、婦人がずいぶん訓練を受けております。これらの者のその後の状況等は調査したことがあるかどうか。それからあそこで聞くと、訓練を受けた初任給というものが非常に安いのですよ。一万五千円くらいというのですよ。洋裁、和裁ともに初任給はそのくらいだということでございましたが、一般の就職者に比べまして、少し低いような気がするのですが、そういう点の調査をされたことがあるか。
#51
○政府委員(高橋展子君) 公共職業訓練を修了いたしました女子の就職の状況等につきまして、私どものほうで特に調査をいたしたことはございません。ただ、私どもが所管いたしております家事サービス職業訓練という、こちらは全国に八カ所訓練所を設けまして、家事的職業の訓練をいたしておるわけでございますが、こちらの修了生につきましては、その後の就職の状況等について調査をいたしております。
#52
○藤原道子君 せっかく訓練を受けたその人の初任給が非常に低いということは残念だと思う。これは、私が一カ所だけ見てそういうことを言ってもいけませんので、ひとつ御調査を今後していただけたら幸いだと思います。
 それから、このごろ。パートタイマーがずいぶんふえてきているのですね。これに対して、これはどこですか、どっか渋谷のほうでパートタイマーに対する一時訓練というのでしょうか、そういうことをしているところがあるやに聞きましたが、いかがでしょうか、その成果。それから。パートタイマーに対しましても、ちょっとした訓練、二週間なり、三週間なりというものが必要じゃないかと思いますが、これは婦人少年局長からお伺いしたい。
#53
○政府委員(石黒拓爾君) 渋谷でパートタイマーの専門のコーナーを設け、それに対して若干の訓練をした話は私も聞いております。実は職業訓練局ペースのものではございません。職業訓練局の場合におきましては、養成訓練は二年または一年、転職訓練は半年または一年、例外的に三カ月。一週間、二週間あるいは一カ月程度のものは、職業訓練法上の訓練としては実はやっておりませんので、詳細は申しわけございませんが、存じておりません。
#54
○政府委員(高橋展子君) 先生の御指摘のように、パートタイマーにつきまして何がしかの職業訓練と申しますか、職場に適応できるような技能を付与しあるいは職業生活にふさわしい態度、意識といったものを涵養するための訓練のような教育訓練が必要であるということは、私ども考えております。いま訓練局長から御説明いたしました、渋谷の職安で行なっております。パートタイマーに対する教育は、これはたしか三日間程度のもので、職場適応のための講習というようなことでやっておると思います。私どものほうといたしましては、パートタイマーも含めまして、一般に家庭の婦人が再就職をしたいというような気運が非常に高い今日におきまして、その中高年の家庭婦人――従来家庭におられた方が、職場に初めて出るあるいは再就職をするというときに、十分な技能をもって、また職業生活にふさわしい意識、態度をもって就職できるように、そしてまた、そのことが有利な就職にもつながりますので、特に近年、中高年婦人を対象といたしました短期職業講習を行なっているところでございます。主要都道府県における婦人少年室におきまして、二週間程度の短期職業講習を行なって、中高年の家庭婦人の職業能力の向上と適職の開発につとめておるところでございます。
#55
○藤原道子君 私は、今後も婦人少年局にそういうことのお仕事をお願いしたいと思います。
 このごろ、最近の新聞によりますと、第一次産業、第二次産業、第三次産業の就職というか、雇用率を見ますと、第三次産業が非常に多いのですね。飛躍的に多い。これに落ちていくのは地方から出てまいりました、また集団就職で出てきて、あき足らないで転々として、ついにそういうところへ転落したり、あるいはつまらない不平不満から、えいっというようなことでそういうところへ落ちていく。それで片一方は、「いらっしゃい、いらっしゃい」という宣伝が至るところにたくましく行なわれている。こういう状態、それで一方でどうかといえば、労働力が足りない。労働力が歓楽方面へ流れていく。この青少年に希望を与え、職業に対する自信を与えるという意味でも、職業訓練所の訓練法ですか、これの果たす役割りは重かつ大だと思うのです。ところが、せっかくそこへ入っていったところで、古ぼけたところで古ぼけた機械で、先生も足りないということでは魅力がありませんので、きょう私は約束したつもりでございますから、教材費をふやす、それから訓練所の内容の拡充整備をやっていただく、指導員の待遇をよくしてもらう、それから教材費の問題、それから心身障害者の職業訓練の内容の充実等、指導員の定員をふやすこと、こういうことにつきましては、格段にやっていただきたいということを強く主張いたします。これに対する大臣の責任ある御答弁をいただきたいと思う。欠員補充も早急にやってもらいたい。
#56
○国務大臣(原健三郎君) いま藤原先生の御指摘、本日の質問をよく拝聴いたしまして、御趣旨の点は一々ごもっともでございます。賛成でございます。それで、指導員の待遇をよくする、指導員の不足を補う、あるいは教材費の問題、あるいは訓練所の機械その他内容を充実していく、わけても身体障害者に対してもっと指導員をふやしたり、あたたかい訓練をやる等々、一連のことでございますが、全然同感でございまして、来年度予算要求の際には、こういうことを労働省の重点施策の一つとしてこれを大蔵省とも折衝し、私みずから折衝して、予算の獲得をいたして御期待に沿いたい、こう思っております。
#57
○藤原道子君 最初に申し上げましたように、このごろ高校の職業訓練、職練工ですか、職業訓練工にしても、労働者のためというより企業にサービスするのじゃないか、企業の求めるものをつくりつつあるというような批判がちまたには多いのでございます。そういう声を聞きます。いやしくもそういうことのございませんように、真に働く者――日本経済が世界第二位になったって、外国の新聞では、それは日本の労働者の勤勉と低賃金にある、こういう批判をいたしております。どうかこの物価高にあえいでおるお互いの立場をお考えいただきまして、おれは労働力を搾取されているという気じゃなくて、自分の労働が高く評価されている、自分も社会の伸展のために役立つ人間だというような気魄を持つことのできまするように、企業中心の訓練じゃ困る。労働者の持っております能力を伸ばし、労働者のこれがしあわせに通ずるのだ、労働者のためにというところをひとつよくお考えになって、その方向で訓練法の運営がなされまするようにお願いしたい。
 きょうの質問は、この程度にいたしておきます。ありがとうございました。
#58
○政府委員(石黒拓爾君) ただいま、最後に藤原委員のおっしゃいましたことは、大橋委員からも御指摘がありましたことで、私どもまことにそうでなければならないと考えております。訓練所の衝に当たっております者に、万一その考えの間違っておる者がございましたら、この際徹底的にものの考え方を正しくいたしますように、十分指導をいたしたい覚悟でございます。
#59
○渋谷邦彦君 関連でちょっと聞きたいと思うことは、技能士という資格がございますね。それと、たとえば工業学校等を出た人と、受け入れ側である企業者はどういう評価をしているでしょうか。
#60
○政府委員(石黒拓爾君) 企業の評価を一律に申し上げますことは非常に困難でございますが、技能士は、単に学校を出ただけの者がなれるものではございませんで、相当の経験年数を経ました後に、厳格な国家検定を経て初めてなるわけでございます。技能士の処遇につきましての調査を最近いたしたわけでございますが、技能士はかなりいい処遇を得ておりまして、工業高校を出ただけの者よりは、これを上回る処遇を得ておるものと考えております。
#61
○渋谷邦彦君 非常に最近は厚遇を受けておるというお話でございますと、企業者側から相当照会がございますか。こういう技能士をほしい、またこういう技能士がいたらぜひ紹介してもらいたいという、その点についてはいかがですか。
#62
○政府委員(石黒拓爾君) 私、職業紹介の実務につきましてはつまびらかでございませんが、技能程度の高い労働者に対する求人というものは一般の求人よりさらに強い。逆に申しますならば、技能労働力の不足というものは一般の労働力不足よりもさらに強い程度にあるわけでございます。大部分の場合は、技能士は、すでに就職しておる者が技能検定を受けて技能士になっておりますので、特に技能士でなければという求人はそれほど多くないのじゃないかと存じますが、私、ちょっとつまびらかにいたしておりません。
#63
○渋谷邦彦君 その場合、これからも問題になるだろうと思うことは、職業紹介所――安定所ですね、のほうと訓練所のほうの関連はどうなっておりますか。
#64
○政府委員(石黒拓爾君) 職業安定所と職業訓練所の関係は、まず職業訓練所への入所につきましては、原則として職業安定所から、あなたは職業訓練を受けたほうがよろしいという紹介を受けて訓練所に来る者が多数でございます。それが訓練所に入るほうの関連でございます。
 それから職業訓練を卒業した者につきましては、原則として職業安定所の紹介を経て就職するわけでございます。その間職業訓練所と職業安定所というものは、どの職種が何年の何月に何人出るということは、訓練所で十分わかっておるわけでございますが、安定所と十分連絡をして紹介につとめておるところでございます。
#65
○渋谷邦彦君 それに関連してですね、この訓練を受けられた方がそれぞれに就職しますね。それについての意識調査みたいなことをおやりになったことはございますか。つまりこの職場において非常に満足している、また自分の技能は最高度に発揮することができたという……。
#66
○政府委員(石黒拓爾君) 御指摘の調査につきましては、昨年の十一月に、公共職業訓練修了者就業実態調査というものを行なっております。この最終集計はまだできておりませんのですが、中間的な集計におきまして若干のデータが出ておりまして、大体におきましては、多くの者は訓練を受けてよかったと、現在の職業に職業訓練は役立っているというふうに評価いたしておるようでございます。
#67
○渋谷邦彦君 現在の労働人口の実態を見ますと、むしろ非常に少ない、足りないと、そういうことが指摘されておる昨今でございます。しかし、その反面、技能があることによって相当収入もよくなるはずである。しかし、それを希望しながらも、実際にはどうしたらいいのかというようなことで、だいぶ逡巡をされている方も多いのではないか。そうした方々に対する啓蒙宣伝ということは、どういうふうに行なわれておりますか。
#68
○政府委員(石黒拓爾君) 職業訓練を受けたほうが有利であるということは、一般にかなり浸透していると存じます。職業訓練所の入所生の募集ということを毎年いたしておりますし、また、特に学校方面には、毎年の就職時期には訓練所の紹介も十分にいたしております。現在のところ、訓練所というものの存在を知らないために入れないということは、特に養成訓練につきましては、まれであろうと存じます。逆に訓練所の数が少ないために入れない、あるいは地理的に遠いために入れないというような者が多くあるのじゃなかろうか。訓練所の競争率というのは全国平均では一・七倍ほどになっております。しかしながら、新卒のうちの一二%程度しか職業訓練を受けておらないわけであります。これはヨーロッパの国々に比べますと、率がはなはだしく低い。事業内及び公共訓練を含めまして、職業訓練施設収容能力を飛躍的に拡充することが目下の急務であろうかと考えます。
#69
○渋谷邦彦君 関連ですから、最後に一つお伺いしておきたいことは、先ほど来の御答弁を伺っておりますと、やはり、いまだしという感じをぬぐい切れない、そういう印象を強烈に受けるわけであります。特に施設の不完備、それからそうした施設に従事するいわゆる職員、こういう方々に対する処遇の問題等も、何回かこの委員会を通じて繰り返しそうした問題についての配慮方を努力すると――われわれはそういう努力をする、検討するということは聞きあきているわけですね、実際問題。具体的にどうなるのか、一体いつまでをめどとして、そういう問題を手がけてこうするのだという、いわゆる年次計画というものをきちんと持っているかどうか。当然それは持っているとおっしゃるかもしれません。しからば、その年次計画に基づいて具体的にいまどういうふうに進捗しているか。こうしたような具体性のある明確な答弁が伺えないということは、非常に残念に思うわけです。いま申し上げた中でも、特に心身障害者の施設に従事している職員の場合には、私も実際現場を見ておりますから、痛いほど知っております。かわいそうなくらいです。この間も厚生関係で、私、そのことを申し上げました。むしろ現在の国家公務員よりも、二倍ぐらいの給料やってもいいじゃないかというぐらいに私は感じております。必ずしもお金やなんかでもって、どうこうする問題ではないかもしれませんけれども、やはり一面においては、それに携わる方々が希望を持ち、そうしてほんとうに聖職といいましょうか、そのように感じて、熱意と真心をもってやれるという雰囲気をつくってあげることが、何といっても先決ではなかろうか。けれども、いままで聞いた答弁は、いずれもわれわれは納得できない。だから繰り返し同じような質問がここで展開される。やはりこういう愚は再び繰り返していただきたくない。少なくとも前進したその過程において、新しいそこに審議というものが展開されていくことを強く私は要望したい。最後にその要望について労働大臣の御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#70
○国務大臣(原健三郎君) さいぜん藤原先生、いままた渋谷先生から御質問をいただきましたが、年次計画もさることながら、来年度予算要求には必ず労働省の重点施策の一つとして予算要求し、私自身が大蔵省と交渉して、その不備な点を改めることに全力をあげたいと、こう思っております。よろしく御了承願いたいと思います。
#71
○委員長(吉田忠三郎君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にして、これにて散会いたします。
   午前十二時散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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