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#1
第061回国会 社会労働委員会 第26号
昭和四十四年六月二十四日(火曜日)
   午後一時二十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十一日
    辞任         補欠選任
     中沢伊登子君     瓜生  清君
 六月二十三日
    辞任         補欠選任
     阿具根 登君     上田  哲君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉田忠三郎君
    理 事
                上原 正吉君
                大橋 和孝君
                上林繁次郎君
    委 員
                黒木 利克君
                塩見 俊二君
                玉置 和郎君
                徳永 正利君
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                山本  杉君
                横山 フク君
                小野  明君
                中村 英男君
                藤原 道子君
                渋谷 邦彦君
                瓜生  清君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
   政府委員
       厚生省公衆衛生
       局長       村中 俊明君
       厚生省薬務局長  坂元貞一郎君
       厚生省児童家庭
       局長       渥美 節夫君
       厚生省援護局長  実本 博次君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       総理府特別地域
       連絡局援助業務
       課長       岸  良明君
       厚生省薬務局細
       菌製剤課長    山中  和君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○出産手当法案(藤原道子君外一名発議)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○社会保障制度等に関する調査
 (血液に関する件)
 (沖繩の風疹障害児対策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉田忠三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十一日、中沢伊登子君が委員を辞任され、その補欠として瓜生清君が選任されました。
 また、昨二十三日、阿具根登君が委員を辞任され、その補欠として上田哲君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(吉田忠三郎君) 出産手当法案(参第三号)を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方の発言を求めます。
 本日のところ、別に御発言もないようですから、本案に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(吉田忠三郎君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方の発言を求めます。
#5
○上林繁次郎君 今次大戦において、わが国は相当な人的、物的にも被害を受けたわけです。そこで、その被害の状況について、まず軍人、軍属あるいは準軍属、一般邦人、こういうのを対象にして、その死傷者数、これらをまず明らかにしていただきたいと思います。
#6
○政府委員(実本博次君) 今次の大戦におきます人的被害につきましては、日華事変以後終戦に至りますまでの間に軍人、軍属で死亡された方が約二百万人、それから一般の邦人まで加えますと約二百七十万人でございます。それから傷害者が軍人、軍属関係で約二十四万でございますが、一般まで入れますと約五十万というふうな数字になっております。なお、終戦時におきます傷病者でその後死亡した者が約三十万人ありますので、これを先ほどの数字に加えますと、今次大戦の死亡者は、総計約三百万というふうな数字になっております。
#7
○上林繁次郎君 数のほうは大体三百万と、こういうことですが、そうしますと、その三百万の戦没者のうち軍人、軍属あるいは準軍属、一般邦人、これらの法律等によって援護の措置を受けている数、それはやはり四つに分けましたけれども、分けた状態の中でそれぞれどのくらいあるのか。
#8
○政府委員(実本博次君) 昭和四十四年の四月までに軍人、軍属にかかります御遺族の年金、それから弔慰金の裁定、その件数は恩給も含めまして、約二百十五万件になっております。それから準軍属関係の遺族給与金、あるいは弔慰命の裁定件数、これが約十一万件になっておりまして、こういう人たちに対しましては、恩給法、あるいは戦傷病者戦没者遺族等援護法での処遇がなされておるところでございます。それ以外の身分関係のございません、あるいは動員学徒とか、徴用工ように、国家から特殊の命令、規制を受けなかった一般の邦人の方々につきましては、そういう人の処遇はそれ自体として何らいたしていない状況でございます。
#9
○上林繁次郎君 そうしますと、まあ相当な数が未処遇で、その対象になる人たちは相当あるわけです。それらの方たちに対する今後の援護措置、こういった問題についてどういう考え方を持っておるのか、その点ひとつ……。
#10
○政府委員(実本博次君) いま申し上げ属した人たちの中で、軍人、軍属、あるいは準軍属というような、国との間に一定の身分関係、または、一定の権力関係の中で犠牲になられた方々につきましては、主として戦傷病者戦没者遺族等援護法、または恩給法によりまして処遇をしてまいっておるわけでございますが、そういう人たちの中で、やはりなおいろいろな条件の障害があって処遇がされていないというふうな方々につきましては、援護法の問題といたしまして、学識経験者からなります援護問題懇談会というものを、一昨年の十月以来、厚生大臣の事実上の諮問機関としてお願いいたしまして、その懇談会におきまして、そういういわゆる援護法上の未処遇者をどういうふうに処遇すべきかというふうな御意見を承っておるところでございまして、今年度におきましても、そういう懇談会の未処遇問題の御意見をいただいたもののうちから、旧防空法の防空監視隊員を準軍属として処遇をする、あるいは勤務に関連する傷病によりまして死亡いたしました被徴用者等の遺族に遺族給与金を支給する等の措置を講じることといたしておるわけでございます。この懇談会からは、すでに十五項目についてそういう処遇の措置の御意見をいただいておりまして、いま申し上げましたような問題につきましては、さっそくこの援護法の改正あるいは恩給法の改正ということで、この国会に一部改正の御審議をいただいているわけでございますが、そのほかに、まだ御意見をいただいておりまして、これからまだ処遇をしていかなければならぬという問題も相当ございます。それからまた、先ほどの十五項目以外にも、なお数項目につきましてそういう未処遇問題の意見を徴しておる向きもございますので、そういう事項に関します御意見が出てまいりましたら、これはその意見に従いましてそれぞれの処遇をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
#11
○上林繁次郎君 準軍属までは援護の対象になってきているわけですね。そこで、一般邦人の場合ですが、これは全然何にも考えられておらないのかどうか。いままでの状態からいえば、これは何にも考えられておらない、こう言っていいのじゃないかと思いますが、一般邦人についても、当時の状況を考えれば、当然準軍属とみなされる、そういう対象者がおるわけですから、当時は一億一心で全員があの戦争に参加しておった、こう考えていいと思います。そうなりますと、やはり一般邦人に対しては何にも考えられないということであれば、これは片手落ちじゃないか、こういうような感じがするわけですが、そういう点について一般邦人の問題についてはどのような考え方を持っておられるか、この点ひとつお答え願いたい。
#12
○政府委員(実本博次君) 一般邦人の場合には、一般の邦人がその傷害によりまして、あるいはその災害によりまして、非常に大きな打撃を受けているという、その打撃の多い者につきましては、たとえば長年海外で養ってきた生活地盤を一挙に失って内地へ引き揚げてこられ、内地では生活の根のないところへ、荒廃した終戦直後の内地に、根なし草でやってこられた一般邦人たる引き揚げ者、こういう方々に対しましては、引き揚げ者の応急援護ということで事実上の援護措置をやり、あるいは引き揚げ者の給付金の支給法というものを三十四年に制定いたしまして、引き揚げ者の更生援護のためにそういう立法措置をした経過がございますが、それ以外の一般戦災者と申しますか、一般のそういう戦争犠牲者につきましては、その持っているニードそのものが、そういう手を差し伸べるというふうなところまでまいっていないといういままでの認識で推移してまいっておるわけでございます。現在一般の戦災者の方々の中で、たとえば原爆被爆者という方々に対します場合は、これは身分関係も、国家の規制関係もない方々の戦争犠牲者の最も痛ましい犠牲者のグループでございますが、これらに対しましては、先生も御承知のように、三十四年に原爆の被爆者の特別医療の法律ができまして、そういった方々の持っておられます特殊のニードを満たすための措置もとってまいったという経緯もございます。しかしながら、いま申し上げたようなケースを別といたしまして、一般的に身分のなかった、あるいは特別の規制を受けなかった一般の戦争犠牲者というものについては、それほどの措置をするというふうな認識でなくて推移してまいっておる現状でございます。
#13
○上林繁次郎君 いろいろとお話しになりましたけれども、たとえば原爆被爆者に対しての援護はあるわけですね。たまたまそれが原爆という特殊な爆弾が使われた、その後の状態も非常にお気の毒な状態である、そういうようなところから、これは特別にそういったことが考えられてきた。ところが、傷を受けた立場というのは、これは原爆であろうが、普通の爆弾だろうが、これは変わりはないわけです、受けたほうの身にすれば。いまなおそのときの古傷が残っておって、それで悩まされておるような人もおると思います。そのほか、ケースとしてはいろいろなケースがあると思う。当然そういったことを考えたときには、一般の邦人に対する援護という、こういう問題は当然私は考えられていいと、こう思うのですね。そういう立場で、この問題処理については、内閣にたとえば審議会のような機関を設けて、そして落ちこぼれのないように、言うならば、だんだん社会保障的な性格を持ち出しておるというわけです、援護法というものが。だから、そういう立場で、落ちこぼれのないようにこれはしていくべきである、こういうふうに考えるわけです。その辺についてどういう考え方を持っておるか、そういう考え方があるかどうかという点についてひとつお答え願いたいと思います。
#14
○政府委員(実本博次君) 先生のいまのお話、一般の戦災者のような方々に対する援護の措置の考え方がどうかというふうなお話でございますが、先ほどから申し上げておりますように、そういう犠牲の結果、その持っておられるニードが非常にはなはだしいものである、それともう一つは、その犠牲に対してやはり国としてある一定の補償をしなければならないケースであるというふうな立場にあるものにつきましては、なおこれからそういう方々についての処遇を考えていかなければならないのじゃないか。それからそれほどのニードもない、それからそれほど国として相対的に補償の対象として考えなくてもいいのじゃないか、むしろそれよりは一般の社会保障制度なり、社会福祉制度の充実によってそういう人たちの処遇を考えていくべきではないか。たとえば戦災を受けられて手足をなくされたというふうな障害者については、一般の身体障害者福祉対策というものを充実していくことによってそういう人たちの更生をはかる、あるいは援護をはかっていくというふうな線で考えていっていいのではないかというふうな、二つのグループに分けて整理していってはどうかというふうに考えておりまして、先生の御指摘のような方法で今後考えていかなければならないとしても、必ずしも厚生省だけでの所管として考えるべきではない、一般的な犠牲者の対策というものは、やはりお話のように、そういうものを整理してしまりをつける審議会のようなものがあれば、そういうところで審議していただきたいというふうに考えておるわけでございます。
#15
○上林繁次郎君 いずれにしましても、いまも申し上げたように原爆被爆者にしても、また一般の、何といいますかね、普通の爆弾ですね、こういうもので傷ついた、あるいはまた命を失ったという状態は、いわゆる命を断たれたという状態は、それは原爆であろうと何だろうと同じですが、そういう立場からいえば、これはやはりそこに手が延びてしかるべきじゃないかと、 こういうことなんですね、考え方としては。問題は、真剣に国のほうがそういう問題を取り上げ、考えていくかどうか、その姿勢があるかどうかということを先ほどお尋ねしておるわけです。あるとすれば、そういう落ちこぼれのないように、審議会等、そういう制度をつくって、その中で検討をしていく。もちろん、いまあなたのおっしゃったように、社会保障的な面からの考え方といいますか、そういう面からの救済という方法もあるでしょう。いろいろあると思うのです。とにかく戦争によって被害を受けたという方たちが、何の手も伸ばされないで、そのまま放置されておるということは非常に気の毒である。そういった点を私は強調しておるわけです。その点をもっともっと明確にして、落ちこぼれのないように、そういう制度、機関というものをつくっていくべきであるということを先ほどから言っておるわけです。そういったはっきりした考え方をお持ちなのかどうかということをお尋ねしておるわけですね。
#16
○政府委員(実本博次君) 一般戦災者につきまして、いま先生のお示しのような、戦後二十数年たった現在において、どういうふうに処遇の締めくくりをするかということは、非常に必要なことである。したがって、そういうふうな観点からの対象の整理あるいはそれの処遇の選び方というものをはっきりこの際整理して、一つの処方せんが得られれば、その処方せんに従って措置をしていくべきであるというふうに考えておるところでございます。
#17
○上林繁次郎君 では、先に進みますが、ちょっと問題が具体的になります。たとえば西独の戦争犠牲者――同じような条件にあるわけでございますけれども、ここでは、たとえば親を扶養していた子供さんがいたが、その子供さんがなくなった。しかもその親御さんが現在困窮をしておると、まあいろいろな形が私はあると思うのですけれども、そういった対象に対しては、特別に親年金といいますか、そういったものが支給されておる、こういうふうに聞いておりますけれども、日本の場合にはその辺のところが配偶者というものにちょっと、ちょっというよりも相当重きを置いておる。そういう親に対する処遇が配偶者から比べるとずっと低い、こういうことが言えるわけです。そこで、やはり西独のような親年金、こういうようなものをやはり早急につくってあげるべきではないかというふうに思うわけです。こういうものについてどのような考え方を持っておりますか。
#18
○政府委員(実本博次君) お話しのように、手元にあります資料によりましても、同じ敗戦国である西ドイツの戦争犠牲者に関する援護の法律の中での処遇といたしまして、戦没者一柱について、妻がある場合には妻に年金を、それから父母があります場合には父母に、やはり妻とほとんど同額の年金が支給されるというふうになっておるわけでございます。その点、確かにドイツのほうが進んでおりまして、わが国の恩給法におきます公務扶助料、また遺族援護法におきます遺族年金につきましては、妻があります場合の戦没者につきましては、妻に主たる年金がまいります。恩給法の場合は妻に年金がまいりまして、あと父母がおられます場合は、妻と生計を同一にしておられる父母に年間一人四千八百円の加給金というものを差し上げておるにすぎないわけでございます。これも、妻と生計をともにしていない、別居しているという父母の場合には何らそういう措置がとられない。それから、援護法の遺族年金におきましては若干様子が違っておりまして、妻に主たる年金がまいりまして、父母がおります場合には生計同一関係でなくても、父母に対する後順位の年金――加給金ではなくて年金がまいるしかけになっております。この辺は若干西ドイツの――援護法は、御承知のように、あとからできた法律でございますので、ドイツのその制度をまねしたわけでございますが、ただしその年金の後順位の年金が非常に低い。年間五千円、こういうふうな状況でございまして、この点確かに、特に遺族が老齢化してまいっております現状におきましては、妻の年金のほかに父母というものについての処遇の方法もいま少し考えるべき筋合いの状態になってきているのじゃないかというふうに思われるわけでございますので、最近、すべての子供をなくされた父母については特別給付金を差し上げる等の措置もやっておりますが、父母の老齢化あるいは家族関係の変化等を考慮いたしまして、先生のいまのお話にもございましたことも勘案いたしまして、今後やはり父母に対する処遇を検討していかなければならないのじゃないかというふうに考えておるところでございます。
#19
○上林繁次郎君 これはまだ同一家族の場合にはいいですよ。しかし、御承知のように、時代が変わってまいりまして、核家族時代になってきたといわれておるわけです。だんだん親のめんどうをみるという傾向が薄れてきている。そういう時代に、やはりこういう親年金などというものは適切な処置ではないか、こう思うわけです。ですから、やはりこの問題については、相当突っ込んで検討する必要があるのじゃないか、こう思うわけです。こまかい点はいろいろ聞いてもみたいと思いますけれども、きょうはそれだけにしておきます。
 また、次に進みますが、昭和三十八年四月一日までの戦没者、その妻に対して特別給付金が支給されたことがございますね。それはいま申し上げたように、昭和三十八年四月一日までの戦没者の妻が対象になっております。三十八年四月二日以降の戦没者の妻に対しては何らのこういう処置がとられていない。このときには二十万円ですか、支給されておるのです。その後全然そういう処置がとられていないわけであります。そうなってくると、非常に不公平ではないか、こういうふうに考えるのですが、この点について今後どのような方向にこういう問題を進めていくお考えか、その点ひとつお聞きしたいと思います。
#20
○政府委員(実本博次君) お話のように、昭和三十八年の十月現在で戦没者の妻であられる方にその特別の御心労を慰謝申し上げるという趣旨で二十万円の特別給付金を差し上げる立法をいたしたわけでございますが、それはその時点で――昭和三十八年の十月の時点でそういう状態にあられる方についての特別の慰謝を申し上げた、こういうことになっておりますので、その後の時点でまたそういうふうな必要の生じた場合においてはその処置をするということが適当であると考えられますものでございますから、その後のものにつきましては、その時期を考えて処置をすることにいたしておるわけでございます。ただ、お話のように、その後であろうと、戦没者の妻であるというふうな法律上の資格を取得された方には、その前にそういう状態になられた方と同一にすべきではないかという御意見も十分意味があることでございますので、そういうことも勘案いたしまして、ある時点でまたそういう処置をすべきではないかというふうに、現在のところ考えておる次第でございます。
#21
○上林繁次郎君 ちょっとあとのほうがわからなかったのですがね。
#22
○政府委員(実本博次君) そういう一つの時点でそういう必要があるかどうかという判断をすべきであるというふうに考えておる次第でございます。
#23
○上林繁次郎君 その時点でということですか。いまの時点では必要ないという、こういう考え方ですか。
#24
○政府委員(実本博次君) 昭和三十八年の十月現在で考えたその時点でとっておる処置は、それでもう完結したい。ですから、その後またそういう一定の、たとえば終戦後三十年になったときの現在において、またそういうことを考える必要があるかどうかということを、その時点に立って検討すべきではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#25
○上林繁次郎君 これは昭和三十八年ですからね。それからもうすでに六年経過しているわけです。もしそういう考えがあるとすれば、年数の上からいってもこの辺でそういう検討をする必要があるのじゃないか。これはもう支給されていないとすれば別といたしまして、すでにそういう前例があるわけです。ですから、そういう問題について、やはり大きい期待を持っていらっしゃる方たちも相当多いのじゃないか、こう思うわけです。そういった問題は、前例がある以上、やはり今後も続けてこれは考えていくべきである、こういうふうに思うわけです。時代の変遷によって、またいろいろな情勢の変化によってと、こういう理由によってもうそういう必要がないのだというはっきりしたものがあれば別といたしまして、そういうものがないとするならば、当然この前例にならって私はこれをまたあらためて機会を見て実施すべきである、こういうふうに考えるのですが、その辺のいわゆる考え方ですね、はっきりしたものがあるのかないのかということ。考えてみますということは、なるかならないかわからないわけですけれども、国のほうとしては、そういうふうにしていきたい、そういう方向に持っていきたいのだ、こういうような積極的な姿勢を持っておるかどうか。そういった点を聞いておきたいのです。
#26
○国務大臣(斎藤昇君) ただいまの問題につきましては、昭和三十八年に、妻に対する特別給付金、一時金を国会において審議をしてもらって出したわけであります。そのときの提案理由の説明はどうなっておったか存じませんが、よく私は調べてみたいと思いますが、当時の私たちの感覚といたしましては、とにかく戦後二十年近くも――当時はまだまだ妻に対する給付金といいますか、遺族扶助料その他も非常に低い。しかも若い身空で戦後の非常に困難なときによく子供や家族をかかえて、そしてやってこられた。まあその労苦に報いようという意味が私は非常に大きかったと、かように思います。したがいまして、その後、病気でおられた主人がなくなられた場合に、やはり同様に一時給付金を出すべきだという考えではなかったのじゃないかと私は思っておるわけであります。一時給付金はこれっきり――それは戦後のあの非常に苦しいときに、若い身空で十何年も子供をかかえて、そしてよくやってこられたという、そういったあれが一時給付金という形になったと、かように私は国会審議の際に理解をしておったわけでございますので、したがっていま援護局長の申しますように、そういった機運が出てまいればまた格別でございますが、ただいまのところ、あの一時給付金を三十八年以降に戦傷病のためになくなられた人に対してどうするかということは、考えていないと申し上げるほうが私は率直だと思うわけでございます。したがって、あまり期待を持っていただかないほうがいいのではないか、かように思います。
#27
○上林繁次郎君 それじゃ、大臣がいまそういうような意味で、二十年間なら二十年間という長い間子供をかかえて苦労してきた、だからそういった労苦に報いるためにこの措置が考えられた、こういうことなんです。それなら、戦争が終わった時点というのは昭和二十年ですよ。それから今日、いまなおつい最近までその戦争で傷ついた夫をかかえておった人がおるとするならば、その人のほうがよほど私は苦労が大きいと思います。ですから、いま大臣の言ったような理由は、私は成り立たないと思います。昭和二十年に終戦になって、そして三十八年を限度として、それまでに戦没した人たち、こういうわけでしょう。その人たちの奥さんたちが子供をかかえて苦労をなさった、たいへんな時代に。こういうわけでしょう。その時代を経て、いまなおそういった戦争で傷ついた夫をかかえて苦しんでおる人、また最近までそれをかかえておったという方たちは、私はもっともっとその労苦に報いてあげるべきじゃないか。大臣がいま言ったような、そういう意味のもとに措置がとられたというならば、私はそう言いたい、こういうわけなんです。ですから、その辺のところは、そういう理屈でなくて、もう少し突っ込んでお考えを願いたい、こういうふうに思うのですね。これに対しては答えていただく必要はありませんが、そういう考えを持っているわけです。
 それでは、先に進みます。御承知のことと思いますけれども、ことしの五月三日付で朝日新聞に掲載されました敵前逃亡という問題がございましたですね。この問題につきまして、経過といいますか、これをひとつ詳しく御説明を願いたい、こう思います。
#28
○政府委員(実本博次君) お尋ねの敵前逃亡のケースは、吉池袈裟次という方の御遺族から、法の四条二項の問題として、さきに敵前逃亡で処刑された、これは公務上の死亡でないから年金は差し上げられないといって二十八年に却下いたしました国の措置に対しまして、いまのような四条二項の適用ができるはずじゃないかということで異議の申し立てが出てまいったわけでございます。その異議の申し立てが厚生省にまいりましたのが昭和三十四年でございますが、その申し立ての事項で敵前逃亡で刑死、処刑されたといっているが、敵前逃亡だという事実について、たとえばそういう処刑をした裁判記録等がないじゃないかというふうな訴えの事項がございました。それにつきまして、厚生省といたしましては、そういう一連の戦争裁判の記録あるいはそれの関係書類というものの調査をずっと続けてまいったわけでございますが、それともう一方、そういった書類上の問題と同時に、当時の関係者あるいは同僚の方方あるいは上官の方々といったような人々からのいろいろな事情聴取というようなこともあわせて調査なり、資料の整備をしてまいったわけでございますが、それが大体四十一年一ぱいまでかかりまして、その結果、敵前逃亡による処刑が公簿上の誤りであったというふうな積極的事由も発見できませんし、かつ、また申し立てが事実であるという傍証も得られなかったわけでございますが、しかし、とにかく全部の調査を大体概了いたしましたので、その調査の結果を付しまして、この不服の問題を処理する場合には、必ずかけなければならない厚生大臣の諮問機関である援護審査会というところに、いまその諮問をするための準備をいたしまして現在に至っている、こういうところでございます。
#29
○上林繁次郎君 これはその異議の申し立てがあって、十五年くらいたっているのじゃないですか。少し長過ぎると思うのですね、その辺が。はたしてこれでほんとうに結論を出す自信があるのかないのか。あまりにも長過ぎる、そういう疑問を抱かざるを得ないのですが、この辺はどうでしょう。
#30
○政府委員(実本博次君) これは地元のいろいろ県との関係その他で、書類整備というふうなことで、現実に厚生省の援護局にまいりましたのが三十四年でございまして、ちょうど十年ということでございますが、その間、先ほど申し上げましたような非常にむずかしい記録の調査ということで、あるいは関係者からの事情聴取というようなことで時間がかかったわけでございます。まあ先ほど申し上げましたように、いろいろ調査をやってみましたが、結局は、最初の敵前逃亡であるという軍法会議の判決によって処刑されたんだという公簿が誤りであるということがはっきりと積極的なあかしが発見できなかったわけでございまして、これは先生も御存じのように、全部戦没者につきましては、どこそこでどういうかっこうで戦死をされた、なくなられたというふうな、当時のその人たちが属していた連隊からの死亡者連名簿というものが全部元帳に備わっておりまして、その元帳の中にそういう敵前逃亡で処刑されたというふうな記録がございますものでございますから、それの積極的に誤りであったというあかしが立たなかったわけでございます。その辺のところが時間がかかったわけでございますが、それともう一つは、いろいろ関係者からの事情聴取というものも、傍証もとってみたわけでございますが、それもはっきりしたきめ手が出てこなかった。こういうことで、普通なら原処分でどうにもならぬという判定が出るところでございます。まあ、しかしそれは一応形式的に資料の上での調査ということで、できるものを全部網羅して、やはりそういうものの最後的に判断をつける援護審査会にはかってその判定を受ける、そういう手続を経て結論を出してまいりたい。そこではどちらかに結論が出るということになるわけでございますから、その諮問の準備をいまいたしておるところでございます。
#31
○上林繁次郎君 いまあなたがおっしゃったように連名簿ですね。連名簿を否定するだけの強固な根拠、それがない。そういうお話だったですね。もし、それがない場合には、そのままいままで判定されたとおりに処置していく以外にないと、こう考えているのか、あるいはまた十年なら十年の長い間に、厚生省は調査の結果何らかの救済といいますか、そういう処置を考えておるのか、その点はどうなんでしょう。
#32
○政府委員(実本博次君) これは、あくまで恩給法にいたしましても、援護法にいたしましても、そのなくなった方が公務の遂行上の死亡あるいは傷害というふうな条件が絶対条件になっておりまして、そういう意味でこの敵前逃亡、処刑ということが、一応その死亡者連名簿の記録上はっきりいたしておる。それをくつがえすだけの有力な資料がないということになりますれば、やはり援護法上ではあるいは恩給法上ではどうにも処分のしようがないという結論になるわけでございますが、そのいまある死亡者連名簿の記載が誤りであるかどうかということについてのきめ手になるような反証が、十年間やったけれども、あがってはこなかったのですけれども、さればといって、いま一番われわれのほうでも、この援護審査会がどういうふうに判断されるかという疑問を持っておりますのは、そのもとの裁判記録というものがなくなっている。そういう問題が一つございますので、それをどう判断するかというふうなこともございまして、そこら辺が一つの形式的な審査の上での疑問点である。援護審査会がどういう結論を出すかということが、やはりそこで一つのかぎになるのじゃないかと思うわけでございます。いずれにいたしましても、しかしそれがどういう結論が出ましょうとも、戦没者――なくなった人の公務上の問題というよりは、その戦没者の遺族のほうの立場だけを考えた何かの措置が必要ではないのだろうか。遺族の側からの言い分を聞いてみますと、これはもう全くある日突然に召集令状なりあるいは入営のために、兵隊さんにとられて外地へ行っちゃった。そのままもう終戦になって、帰ってこない。何かわけがわからぬが、とにかく何のごあいさつも国からされてない。そのあげくのはてに、敵前逃亡ということで、何か肩身の狭い思いをしなくちゃならぬというふうな、まあ、御遺族の立場を考えました場合には、その御遺族だけのほうを向いて何かの措置をする必要があるのじゃないかというふうなことを、われわれのほうでも考えたわけでございますので、これは、先ほどから申し上げていますこの援護問題懇談会に、そういう観点からの措置、処遇をどうしたらいいかというふうな御意見をいただくようにはかってまいっておるわけでございまして、そういうふうな立場から、こういうケースを考えていかなければならぬというふうな心がまえはいたしておるところでございます。
#33
○上林繁次郎君 いろいろ聞いてみたいのですが、たとえばブーゲンビル島と、こういうのですね。これは、この問題があったというのは、いつの時点ですか。
#34
○政府委員(実本博次君) このケースがありましたのは、昭和二十年の七月でございます。逃亡したという事実がありましたのは、昭和二十年の七月でございます。
#35
○上林繁次郎君 新聞によりますとね、八月とあるのですね。八月というふうに私は信じておりますが、新聞によると、八月の十二日、これはもう終戦三日前ですね。またブーゲンビル島のその当時の情勢というものもこれは十分考えてみなければならぬ。ほんとうはその辺のところが私は伺ってみたいのですよね。平静な状態であったのかどうか、非常に混乱しておったのかどうか。こういったことも、やはり正確とまでいかないかもしれないけれども、相当突っ込んで掌握する必要もあるのじゃないかと思います。そういった問題と、それからこの新聞を見ますと、その当時の一憲兵の報告によって、その記憶をたどってこの連名簿がつくられたと、こういうふうにあります。記憶をたどってつくられたとするならば、それは正確なものではないということが言えるわけです。その辺のところを、厚生省としては、どういうふうに考えるか。あくまでもいわゆる連名簿を否定する何らかの強固な根拠がなければどうにもならぬのか、あくまでもその考え方を持続するのか、あるいはまたそういう状況から判断をして、それが正確である、こういうふうに判断するか、その辺どうですか。
#36
○政府委員(実本博次君) 先生のお話のように、この方が処刑されたのが八月の十二日でございまして、敵前逃亡の事実があったのは、その前の七月というふうな記録になっております。この処刑された旨の通報というのは、これはこの人が所属しておりました所属部隊の者が、昭和二十一年の二月二十八日に内地に復員してまいりました。その際に、この方が昭和二十年八月十二日にブーゲンビル島ムグァイにおいて処刑された旨の通告があったわけでございまして、そういう死亡者連名簿というものは、そういう所属していた部隊の責任者が内地に復員されたときに、全部そういった部隊からの報告というもので死亡者連名簿ができ上がっているわけでございまして、厚生省が仕事をいたします場合には、その死亡者連名簿に記載されているそのものを事実として全部のケースについて、吉池さんだけじゃなくて、いろいろほかにそういうケースがあるわけでございますが、その死亡者連名簿の出し方というものが中心になって遺族年金がいくとか、こういうふうな不幸なケースとしてどうにもならぬというようなことをきめてまいっておるものでございまして、この部分だけを疑ってかかるといいますか、この部分だけが不正確であるということでいろいろな仕事が進んでまいっておるわけじゃございませんで、そういう意味では、全部死亡者連名簿に記載されてあるところに一律に準拠して事を運んでおる、こういうことでございます。ただ、このケースにつきまして長い間かかっていろいろ調査したところでは、裁判記録そのものがないということが、ここで記録について若干審査会の意見を聞いてみる必要があるのじゃないかという、唯一の疑点ということになっております。
#37
○上林繁次郎君 そこで、その連名簿は、あくまでもこの吉池さんという方ですか、この方だけを特別に考えているのじゃない、一律に連名簿をもっていままで処置がなされている、こういうお話です。ところが、これはあなたのほうではそうかもしれないけれども、新聞にも発表されているように、多くの戦友、その当時の何というのですか、連隊長というのですか、そういう方たちまでの十何名かが、そういった事実は全くない、こう言っているわけです。そういう証言があるわけですね。それと同時に、事この吉池さんの問題については、たとえばこの新聞を読んでみますが、「ブーゲンビル島での軍法会議関係の書類いっさいを引継いだはずの福岡第一復員地方裁判所検事局(現在福岡地方検察庁)に、吉池軍曹に関する裁判書類だけが全くない」、吉池軍曹に関する裁判書類だけが全くないというのです。ほかのはあるということです。こうあるのです。「当時の軍法会議の裁判長はじめ裁判官、検察官とも、吉池軍曹の裁判、処刑について、いっさい記憶がない、と証言している」、こういうような回りからの証言あるいはまた書類上の証拠というものが明らかでないわけです。吉池さんだけの裁判書類がないというのは、これもまたふしぎな話です。ですから、あなたが言うように、連名簿が吉池さんを特別な扱いをしているのではなくて、一律にやっているんだというけれども、その中で特に吉池さんの問題だけが問題になっているんです。ほかの人は問題になっていないんです。それだけにその連名簿という問題について、これはいま申し上げたように、憲兵の報告なり、連名簿をつくった人、そしてその人の記憶によってつくられた、こういうふうにあるわけです。そうだとすると、回りの証言あるいは裁判所にはないという、こういう証拠のほうが私は強いんじゃないか。常識的に判断をしてもそういうふうにだれが考えても思わざるを得ない。ですから、連名簿をくつがえすだけの確固たる証拠がないわけです。そういう中であらゆる周囲の状況、情勢というもの、そういったものを判断した上で、これは結論を出していく以外にないんじゃないか、こう思うわけですね。ですから、そういう意味で、厚生省としては、今後この問題に対する取り組み方、その考え方は、いま私が申し上げましたが、どういう点に重きを置いていままで調査し、また今後どういう点に重きを置いてこれを審査会のほうへ回していくのか、こういった点を明らかにしてもらいたい。
#38
○政府委員(実本博次君) これは先ほどから申し上げておりますように、死亡者連名簿の記載の中で、いま先生がお話になっておられるそのことが、私も先ほどから申しますように、唯一の疑点があるから、その問題を中心にして判断してくださいということで、援護審査会に出すよう準備をいたしておるところでございます。
#39
○上林繁次郎君 まあ、その辺のところだけを添付をしておいて、そうして審査会へ回す、こういうわけですね。ですから厚生省としての考え方というものは何もないんだ、いまの段階では結局四条の第2項、これに基づいて審査会に回して審査してもらう、こういうわけですね。審査会のほうは、――審査会のメンバーがどういうメンバーか知りませんよ。だけれども、いままで十数年、実際に審査会の方たちが、言うならば全員がこの審査に当たってきたのかどうか、その点はどうなんですか。
#40
○政府委員(実本博次君) これは審査会にかけますまでの準備は全部事務当局がやるわけでございます。かかってからなお事務当局の調査だけでは不十分だということになれば、審査会からも調査がさらに命じられるということはありましても、審査会がいきなりこちらを差しおいて調査をするということはありません。
#41
○上林繁次郎君 その順序はわかります。わかるけれども私が言っておることは、全然事情のわからない人が書類の上だけの感じの問題で、はっきり言うならば、感じの問題でやられたのではたいへんだ、こういう意味で私は申し上げておる。ですから、当然調査をがっちりやってこられた厚生省の意見というか、こういうものが強くここに取り上げられなければならぬじゃないか、こういうふうに思うわけです。そこでそういうものを危倶して、いまあなたにお尋ねしているわけなんですね。そこら辺のところ、もちろん審査会が初めから審査しているというようなことを言っておるんじゃない。少なくとも厚生省が長い間調査をしてきたんだ、それをやはりそこに反映できるだけのそういう強力な態度を厚生省は持ってもらいたい、私はこういうふうに言いたいのです。それで、こまかい点に触れますと、今度はいろいろあるのですよ、問題は。たとえば書類が――これは何ですか、宮崎県と、長野県ですか、長野県の県庁の厚生課のほうから四十一年四月二十二日に、それからまた宮崎県の援護課では四十一年六月二十七日にそれぞれ厚生省に書類を配送している、こういう事実。それがあるとかないとかというような際であれば――全くそういう問題もいままでこの問題が厚生省の手によって握りつぶされておったのではないかと、こういうような疑問を国民の間では抱いているわけですから、非常に年数からいっても長い年数でもあるし、またそういう書類を紛失したということであるならば、また関係の課長はそんな書類は見たことはない、こう言うけれども、両県から行っているわけですよ、宮崎県あるいは長野県、両県から行っている。配送されている。それを全然見たことはないというその姿勢も私はおかしい。こういった点を局長はどういうふうに考えていますか。
#42
○政府委員(実本博次君) これはちょっと私も言いわけをさしていただきたいのですが、この援護法の事務が非常に複雑でございまして、特に、最初の請求の場合につきまして窓口になる課と、それから吉池さんの場合のように、不服審査のほうで出てくるときに窓口になる課と、これが別の課になっておりまして、その不服審査のケースでもって扱っている課のほうに出てきた書類が、記者の方の尋ね合わされたときには、そうじゃない初度請求のほうに出てまいります課のほうに問い合わされたので、そこでわからないということであったのですが、それはその時点において、不服審査のほうに出てまいります審査課のほうに書類が厳然としてあったわけでございまして、その辺、横の事務連絡も悪かったといえばそういうことでございますが、決して書類そのものが紛失したわけでもない、そのままほったからしてあったわけでもございませんので、こういう事が事だけに非常に慎重にそういうものを取り扱って調査してまいったということに終始いたしておるわけであります。そういう内部組織の役所の仕事を処理していきます上についての窓口があっちこっちに分かれているということは、はなはだ御遺族なり、請求される方々、あるいはまた府県との間の場合でも、非常に非能率というおしかりはときどき受けるわけでございますが、これはなるべくそういうふうな御迷惑のかからぬような方向で、できるだけ能率的に仕事のさばきをつけていきたいというふうに考えておるところでございます。
#43
○上林繁次郎君 時間がもうだいぶんたちましたので、そろそろ結論を出したいと思いますが、この種の問題はいままでどのくらいあるのですか。
#44
○政府委員(実本博次君) こういうふうな形で不服審査の形で出てまいりましたのは初めてでございます。
#45
○上林繁次郎君 いまお互いに事情を検討したわけですが、一方から言えば、なるほど理屈はあるかもしれない。ところが、一方からまた言わせれば、やはりそれなりの理由がある。こう判断してみますと、非常に何となくあいまいという感じしか受けないわけです。そういうあいまいなこの状態の中で、吉池さんに対する戦友等の証言がなければ、こういう問題にもならなかったかもしれない。しかしそういうものがあらわれた以上は、これはやはり一つの大きな問題です。真剣に、慎重に取り組まなければならない問題だと思います。と同時に、言うならば、あいまいな認定の中でこういう処遇を家族の方も受けておる。またなくなった本人も汚名を着ておる、こういうようなことになるわけです。もちろんいまの立場から言うならば、また、私から言わせれば、ああでもない、こうでもないという問題ではなくて、そういう確固たる証言があり、また裁判所の書類も不備であった。この方の分だけはないという、そういう情勢の中で、これが何となく、いわゆるいままでの処刑が正当であったようなそういう方向に今後進んでいくということは、私は考え方としては間違いじゃないか。言うならば、なるほど戦争の時期は二十年前です。逃亡するということはその時代にはなるほど悪かったかもしれないが、いまの時代で考えたら一体どうなんだ。どれほどの罪悪なのか、あるいはまたその逃亡自体も事実かどうかもわからない。そういう状況の中で、私は人道的にいっても、人権問題の上からいっても、あるいは家族の援護の問題からいっても、これは当然そういった問題は、いまの時点で考えるならば、これはくつがえしていくべきである。いわゆるそういった問題はなかったのだという証言がある。そういう方向に、われわれとしては考えて問題を処理して進めていくべきである。考え方としてはそうなければならぬと思う。こういうふうに強く主張をしておきたいわけです。そういった点を私は主張をしてこの質問を終わりたいと思います。
#46
○小野明君 私は、四点ばかりお尋ねをいたしておきたいと思います。
 先般の委員会でも出ておりましたが、旧満洲の開拓青年義勇隊の問題ですね。これについては、いろいろ結論の出ている問題点もあるようであります。ソ連参戦以後については処遇をする、こういうことなんですけれども、これを時期的に見ましても、閣議決定の時期にさかのぼってはどうか、また、さかのぼってもらいたいという強い旧隊員家族の意向もあるわけなんです。この問題についてこれは何回も附帯決議等でもあげられておる問題でありますから、いまのところどういった段階になっておるのか。まず説明をいただきたいと思います。
#47
○政府委員(実本博次君) この問題は、未処遇問題の一つといたしまして、援護問題懇談会のほうにその処遇のしかたについて御意見を求めておるところでございまして、近々にその御意見がいただける模様でございます。
#48
○小野明君 懇談会が近く結論を出されるということなんですが、その中でどういう話になっておるのかということは、御承知だろうと思うのです。もし私が先ほど申し上げたように、さかのぼって適用ができないとするならば、その辺の理由というのは、一体いかなるものなのか、この点をひとつ説明をいただきたい。
#49
○政府委員(実本博次君) 援護問題懇談会におきましてだんだんと御審議をいただいておりますが、消極的な意見の論拠といたしましては、ソ連が参戦いたしました昭和二十年八月九日以前の満洲ではそう大きな混乱はなかったのではないだろうか。もしかりにあったといたしましても、それは準軍属の別の項目でございます戦闘参加者という項目がございます。これは一番代表的なものは、例の沖繩の一般島民が米軍が上陸してきましたときに老若男女みんな戦闘に参加して散っていった、そういう方を準軍属として処遇しておるわけでございますが、そういう軍の命令に基づいた戦闘参加者というふうな取り方が、かりに八月九日以前の満洲開拓青年義勇隊にあったとしても、これはそれにとれる。また現実にそれでとってきている。ですからわざわざ満洲開拓青年義勇隊の準軍属の取り方というものを考える必要はないのではないか、わざわざそれだけを特に取り上げて考える必要はないのじゃないかという御意見でございます。それから積極論のほうは、これはソ連参戦以前でも、たとえば大東亜戦争と申しますか、太平洋戦争が開始されました十六年十二月以降の満洲は、われわれよく専門家でないのでわかりませんが、関東軍のほうで十九年の中ごろでございますか、非常に大きな演習――演習と申しますか、実際上のソビエトのほうに向けた訓練演習でございますね。そういうものを大きく取り上げたというふうな時点があるから、そういう時点以降の満洲においては、開拓青年義勇隊員も相当な場面にぶつかっている。また、現に軍のそういう戦闘参加命令に従って行動した者も多いというふうなことで、少なくともそういう時点以降のものにさかのぼらす必要があるのじゃないかというふうな積極論もございます。そういうことで消極論、積極論相半ばしておる状態でございますが、やはりソ連参戦以降、ある一定の時点以降のものは、それ自体として考えたらどうかというふうな意見が強い現状だとわれわれのほうは見ておるわけでございます。
#50
○小野明君 特に閣議で決定をされて募集もし派遣もしたということ、これは当時の空気といたしましても、閣議で決定をして募集をするとすれば、やはり本人の恣意というものはあったにしても、これは非常に少ないものだということが私は考えられると思うのです。ですから、そういった点をやはり論拠にされるのは、私は、理由としては弱いのではないか。さらに、満洲に行きまして、戦闘配置的な意味から入植地をそれぞれ決定をされておるということになれば、やはり消極論というのも、何か渋るといいますか、けちくさい考え方のように思われてなりません。そういった面で、ひとつ局長のほうも推進をしていただきたい、このように考えます。
 さらに懇談会の結論はいつごろ出る見通しであるのか、それもあわせてお答えをいただきたい。
#51
○政府委員(実本博次君) 懇談会のほうからの結論でございますが、これはほかの件もございまして、大体八月か九月、九月にはその結論をいただけるというふうに考えております。
#52
○小野明君 ずいぶんこの問題は、最初に申し上げたような附帯決議等でも出ているんですから、やはりそれに応じて方針といいますか、結論を急がれるように措置をしてもらいたい。さらに内地に帰還をして参りましても、ああいった酷寒の地でもありましたし、非常にからだをいためておられる方も、目の見えなくなった人もある。こういった傷病の関係については、あるいはなくなられた方もあるわけですね。これらの遺族についてはどういうような処遇になっているのか、あるいは懇談会の話になっているのか、これをひとつあわせてお聞きをいたしておきたいと思います。
#53
○政府委員(実本博次君) お尋ねの満洲開拓青年義勇隊員の御遺族の問題でごさいますか。――これは満洲開拓青年義勇隊として満洲でなくなられたという方の御遺族は、もし八月九日以前のものが、先ほどからのお話のように、援護法の準軍属として処遇されるということになりますと、当然準軍属の御遺族として、父母でありますとか、あるいは妻でありますとかいったような、妻の場合はおそらく少ないと思いますが、父母のほうに遺族年金が、遺族給付金が参るということになるわけです。御本人が傷害を受けておられるという場合には障害の年金がその方に出るということになるわけでございまして、いずれもそのもとの準軍属に入るか入らないかということによりまして、御遺族なり御本人に一定の処遇がされる、こういうことになると思います。
#54
○小野明君 そうすると、当然現在は未処遇であるということなんですね。これは、大臣にもこの点は、いろいろな方も取り上げられておりますから、そういった閣議決定あるいは赴任をしたときの実情、こういうものをお考えいただいて、ぜひひとつ処遇をしていただくようにお願いをしたいと思います。一言御意見をいただきたいと思います。
#55
○国務大臣(斎藤昇君) 御意見を伺っておりまして、いろいろごもっともな点もあるように思います。したがいまして、援護懇談会の結論の出次第善処をいたしたいと思っております。
#56
○小野明君 次の問題ですが、この援護法をずっと読ましていただいて、非常にひっかかる点は、先ほど上林委員も説明をされておりましたが、この四条の2項「故意又は重大な過失」、この点がどうもやっぱり私は問題ではないかと思うのです。というのは、この吉池さんの問題にいたしましても、あるいは未処遇の方にいたしましても、本人は、軍刑法なりで、その当時もうそれに従って処分を受けておるわけですね。それならば、遺族給与金にせよ、一時金にせよ、あるいは年金にせよ、全部受けられないような、これは遺族に対する処分としか見られないわけなんですが、いわば旧軍隊の秩序というものがそのままこの中にいま生きてきておる、こういうふうに見ざるを得ないと思うのです。この「故意又は重大な過失」というのは、いかなる運用をされておるのか。これを私は削除してしかるべきではないかとさえ考えます。この点をひとつ再度質問をしておきたいと思います。
#57
○政府委員(実本博次君) こういう方々を処遇いたしております恩給法の公務扶助料あるいは増加恩給、それから援護法におきます遺族年金というものは、すべてその公務の執行上傷つきあるいはなくなられたというふうな条件が絶対条件になっておりまして、公務でないことでつまり死傷病とか、あるいはそれ以外の自殺とかいったようなことでなくなられた方については、それは公務上の死亡ではない、こういうふうになっております。公務上のそういう死亡とか、傷害でない者については、恩給法も、それから援護法も全然作用しない、こういう法体系でございますので、これはどうしてもそういう職務上の死亡あるいは傷害ということでなければ、どうにも処遇のしようがないということで、問題にいまなっておるわけでございます。したがいまして、特に恩給法の場合におきましては、そういう恩給権の発生しておる者でも、刑法上のある一定の禁錮なり、懲役に処せられた場合には、恩給の受給権が停止されるというふうなことにもなっておりまして、その点では非常に厳格に、そういう公務遂行上の原因が絶対要件になっておるわけでございます。そういう関係から、逃亡をしたというのは、これは職務上の中での死亡なり、傷害ではないんじゃないか、こういうことで、これはどうにも法体系では処遇のしようがない。援護法の四条2項というのはむしろゆるやかである。恩給法では、故意または過失であるということであれば――重大過失であることは問いません。全然処遇のしようがありませんが、援護法のほうでは、これは若干そういう公務じゃないということが明らかでなければそれはみなしましょうというふうな規定が、特に援護法の中に昭和三十年に入れられたのでございまして、主としてその対象になっておりますものは病気の場合が多いわけでございますが、こういう敵前逃亡というふうなものも入ってくる、あるいは自殺というふうなものも入ってくるというふうになっておりまして、若干恩給法よりは、その点四条二項はゆるやかな規定として入れられたものであるわけでございます。
#58
○小野明君 そういたしますと、この項の運用については、みなし解釈がついておるように、きわめてゆるやかな運用をしておると、このようにおっしゃるわけですね。ところが、いま上林委員が説明をされておりますように、この敵前逃亡の場合も事実がかなりあいまいだというふうに私はお聞きをいたしております。それから自殺あるいは病気、こういった点を考えてみましても、あなたは公務ということをおっしゃるけれども、戦地または事変地に行くということ自体がもういわば公務に服しておることになる。そういった点から考えても、もう本人が刑罰を受けておる、こういうことになれば、それが遺族まで及ぶというのはこれは多少問題がありはしないか。この点は、私はむしろ大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、これはもう憲法前文にも言われておりますように、政府の行為による戦争はしない、あるいは戦争放棄ということがはっきり憲法にはうたわれておるのに、それがいまだに「故意又は重大な過失」ということで処遇をされないということは、こういった憲法に照らしてもいかがな規定であるか。これは多少やはり考慮すべき余地があるのではないか。これは当然吉池さんの場合も適用されなければならないし、その他の場合も、ゆるやかなみなし解釈というような点まではやっておるけれども、こういった点もやはり根本から言えば誤っておるのではないか、こういう見方をせざるを得ないと思うのですね。この点についてひとつ大臣の御意見を伺いたいと思います。
#59
○国務大臣(斎藤昇君) この問題は、おっしゃるように、遺族には罪がないじゃないか、しかも召集その他の公務によって、戦地に連れて行かれたという問題でございますが、そこでそういった御遺族に対して何らかやはり処遇をしたほうがいいじゃないかという御議論はもっともだと思います。私もそう思います。同時に、そうかといって、おっしゃるように、何といいますか、軍律を守っていた人と、あるいは故意に何らかの事由で軍法会議に付されて死刑になったというような人と全く同様に扱っていいかどうかという問題もあるだろうと思います。憲法問題とおっしゃるかどうか知りませんが、うちの主人はまじめにつとめて戦死した、それと、逃亡してもかまわないというならば、逃亡してあるいは生きていたかもしれない、あるいはそれがたまたま見つかって軍法会議に付された、それとを同じように一体扱っていいのかどうか、遺族の中にもそういうあれもあるのじゃないだろうか。したがって、まあ恩給の問題として考える場合にはさておいて、そういった場合にでも、先ほどおっしゃったような場合にも、戦地にとにかく国の命令でやられた、あるいは召集軍人でない人は別かもしれませんが、それにしても遺族援護という問題で何らか考えたらどうなのかということで、いま援護問題懇談会で審議してもらっておりますので、この結論によって善処いたしたいと思います。
#60
○小野明君 そういたしますと、その故意または重過失にひっかかる点といいますか、これについては、これは局長がいいと思うのですが、懇談会で何か検討しておられるわけですか。
#61
○政府委員(実本博次君) 懇談会のほうは、遺族のほうの立場だけを見てそれに何かの処遇をすべきじゃないかということをはかっておるわけでございます。この吉池さんの事件そのものの処理は、これは先ほど上林先生にも申し上げましたように、長年かかって調査した結果どちらとも判断のつきかねる状態でございまして、その一切がっさいの資料を援護審査会にかけまして、そこで結論を出していただいて処遇する、こういう段階にきておるわけでございます。したがいまして、援護審査会のほうの審議というものは、あくまでこれが公務上のあれですね、公務と見なされる死に方であったのか、あるいはそうじゃなくて敵前逃亡ということで職務放棄をしたのだと、だから職務放棄をしたあとの死亡だからこれは恩給法なり、援護法ではどうにも手がつけられぬ、こういうことになるのか、その点を中心にして審査をされる、こういうことになると思います。
#62
○国務大臣(斎藤昇君) いまの局長のお答えでおわかりだと思いますが、私の申しましたのは、立法論として、たとえ故意または過失であっても、遺族に対してはある程度の処遇をしてみたらどうか、これは援護問題懇談会で審議をしてもらっております。それから現行法のままで故意または過失と見るかという場合に、この故意または過失だという実証がなければ、なるべくそれは故意過失でなかったというように解釈をしていくのが実情に合っているのであろうと、これは審議会の審議のしかたとしてわれわれ原局もそういうように考えて、そして意見を出すべきである、こういうふうに考えております。
#63
○小野明君 それでわかりましたが、私も大臣に御質問申し上げましたのは、やっぱり立法論として申し上げておるわけです。というのは、やはり軍刑法によりまして、もう本人は処分を受けておるわけですね。それじゃ、大もとになる政府の責任による戦争と、これに帰す責任というものははたして問われなくていいのかと、この辺から私は遺族の援護という考え方が出てこなければならぬのではないか、こう考えるわけです。そこでこの懇談会につきましても、大臣のいま言われたようなお考えをひとつ反映をされて、この旧軍隊の秩序なるものがそのまま今日まできておるという点については、やっぱり若干の問題なしとしないということで、故意または重大なる過失というものをこれを撤廃するか、さらに極限に縮めていくか、その点をひとつお願いをいたしたいと思うのです。
 次にまいりますが、この問題もいまの考え方と私は根は同じなんですが、準軍属については、かなり軍人軍属とこの処遇に差がありますね。遺族給与金にいたしましても、障害年金にしても、別表にあらわれておりますように、差がある。また、十分の七ですかね、これぐらいの違いがある。ところが、性質は違うかもしれませんが軍人軍属のほうには障害年金あるいは恩給といったものがある。そういたしますと、ここで十分の七という差をつけることは二重の差になるのではないかということが考えられておるのです。この十分の七というものを、この点だけは、遺族年金とかあるいは給与金というものについては十分の十にできないものであるかどうかですね。これも公務上の差と言われるかもしれませんが、多少開きがあり過ぎるように思いますが、この点はいかがですか。
#64
○政府委員(実本博次君) 現在、先生のお話しのように、援護法の中での準軍属と軍人軍属との処遇のしかたが、軍人軍属十に対して七の年金を差し上げていると、こういう差は撤廃すべきじゃないかという御意見でございますが、いまの時点でとらえてみますとそういうことになっておるわけですが、これは、最初この援護法ができました二十七年の発足当初は、実は準軍属については一時金ということで年金にはなっていなかったわけでございますが、それが、最初そういうことで出発したのが、一時金が切れます直前に有期年金に切りかえ、そうしてその有期年金であったのを無期年金にしてしまった。その無期年金にいたしますのについて、前に恩給法と援護法の、どういうふうにそういう問題を処理していったらいいかという、恩給制度調査会という総理大臣の諮問機関が設けられまして、その諮問機関からの答申で、年金にした場合に少なくとも六割から七割の年金に準軍属はすべきであるというふうな答申が、これは三十四年でございましたかに出されたわけでございまして、その結果、最初出発したのは五割で出発したわけでございます。有期年金じゃなくて無期年金になりましたときには軍人軍属の五割で出発した。それを、この四十一年に、答申の中で六割から七割と書いてあったその最高限の七割までにもっていったという改正が行なわれて現在に至ったわけでございます。ですから、現在までの経緯を振り返ってみますと、だんだんとそういう軍人と準軍属との処遇の差が詰まってまいっておるわけでございまして、現在、ものの考え方によりましては、お話しのように、同じく公務上でのことでなくなったあるいは傷ついた方でございますから、軍人軍属といわず準軍属といわず、同じ額で処遇すべきであるという意見も現段階においてもう一度よくかみしめてみる状態でございますので、その点は、いまついておる差そのものが絶対的であるというふうには考えておりませんで、だんだんとそういった差をもう少し縮めていくというふうな方向で検討いたすべきではないかというふうに考えております。
 なお、この問題につきましては、援護問題懇談会からはすでに報告が昨年出ておりまして、これによりますと、現在のところ、この差を縮めるという必要はないのではないかというふうな意見が出てまいっておるところでございます。
#65
○山下春江君 関連質問。私たいへん恐縮ですが、遅刻をいたしましたので前のほうの質問よく存じませんので、必ずしも関連になっているかどうかわかりませんが、私こちらへ来る前ですから、たぶん三十五年ごろだと思いますけれども、太平洋戦争が終わりまして、南方の諸地域で武装解除されたときに、その列から離れていってそして山林に入って餓死したという、今度の戦争で犬死にと言われるケースはこのケースだ。その人たちを、厚生省では現地復員という名前をつけたものですから、軍人の籍からはずされましたから、もちろんその親も遺族扶助料をもらっていなければ、本人も何の処遇も受けていない。全く南方の地域で消えてなくなったというケースがあります。しかし、それはかわいそうではないか。いまのゲバ棒をふるっている青年と同じように二十一から五でございます。非常におとなに見えますけれども、全く子供でございます。その子供が武装解除されて並んでいるときに、隣の先輩から肩をたたかれて、おまえは補助憲兵をしていたから、もし見つかると戦争裁判にかけられて二十年を食うから、いまこの列から離れて海を泳いででもおかあさんのところに帰りなさいと肩をたたかれて、ああそうか、それじゃ先輩ごめんなさいと言って列を離れた。しかし、町を歩くと見つかって戦争裁判にかけられるといけないというので、ジャングルに入ってしまった。生身で十年も、二十年も生きられるものではありません、そのとき、私の調査ではたぶん一万人ぐらいでございましたか、詳しいことはわかりませんが、大体大ざっぱにそのくらいでございました。それはたいへん気の毒な、かわいそうなことだから、これを戦後の処理の中で最もあたたかみのある、いわゆるこれを家庭裁判所にかけて、家庭裁判所で死亡の宣告をしてもらって、その死亡の宣告ができたときにこれを戦死にして、そして遺族扶助料をあげて靖国神社にお祭りする。こういうことを私がきめまして、皆さんの御賛同を得てこれが処遇をしたことがございます。大体一万人くらいで、ほとんどそれはいまもう全部済んだと私は聞いておりました。そのケースは、いまの小野議員の御質問、上林議員の御質問は聞いておりませんからわかりませんが、たぶんそんなようなケースを言われているのではなかろうかというふうにいま考えましたので、いまの厚生省の御答弁は、審議会にかけてどうとかとおっしゃいますけれども、かつて厚生省はそのようなあたたかい御処遇もされたことがございますので、これは審議会の答申はしかるべく――いまの違いますか。そういうことでございますので、もしそれに似たようなケースならばそういう前例もございますので、ひとつあたたかく……。その当時の青年が、こういう死に方をしたら、こういう逃げ方をしたら、あとで靖国神社に祭られないだろうとか、遺族扶助料がもらえないだろうと考えて死ぬ者はだれもおりません。きびしい戦地のことでございますから、あたたかい処遇をしていただくことを希望して、違うなら答弁を求めてもだめですから答弁は求めませんが、私は心からそういうことを希望いたしておきます。
#66
○小野明君 あまり違わぬのです。ですから、やはりその当時の秩序というものをそのまま持ち込んで援護を考えるということに考え直してもらわなければならぬ点があるのではないかということなんですね。そこで、これもえんやらやっとここまできたのだぞ、この辺の御苦労もわかるわけです。そこで、遺族給与金、遺族年金だけの問題ならいいんですけれども、これは旧軍人、軍属もたいへん御苦労なさっておることですから、それにふさわしいやはり処遇というものは必要である。普通恩給あるいは傷病恩給というようなものもあるわけですからね。せめてここに援護の問題でいくときにはやはりこの十分の十で見てあげるように努力をしていただきたい。こういうふうに申し上げておるわけですね。
#67
○国務大臣(斎藤昇君) 私は軍人軍属と、準軍属と差を設ける理由がほんとうはよくわからないのです、ほんとう言いますと。ただ当初準軍属は何も保障されていなかった。いま援護局長が申し上げましたように、それを処遇するようにはだんだんなってきた。おそらく予算の関係から準軍属というのにも処遇をすべきだろうというようなことから、だんだんこうなってきたと思いますが、しかし処遇すべきだと、こうきまった以上は、私も同じにすべきものであろうと、そのように考えますので、次の段階にはぜひそのようにいたしたいと存じます。
#68
○小野明君 全くいい御答弁をいただいてお礼を申し上げたいと思うのですが、今度これが実現をするようにひとつ御努力をいただきたいと思うわけです。
 次は、この援護の関係法律がたくさんありますからたいへん苦労するんですが、見ておりまして、問題点は、この戦没者の妻に対する特別給付金にしましても、遺族に対するもの、戦傷病者の妻に対する給付金、あるいは戦没者の父母に対する特別給付金にしましても、みな国債なんですね。これは法律事項になっておりますから、これを変えるというのはなかなか骨が折れるのですけれども、額面通りのやはり保障をしてもらわなければならぬと思うわけです。というのはたとえば戦没者の妻に対する特別給付金にしましても、十年償還の記名国債、無利子二十万円ですね。そういたしますと、この十年償還ということになりますと、二十万円あげますよと言いましても、十年のものが十年先になりますと、額面通りのものにならぬ、とにかく無利子ということは書いてあるわけですからね。せっかく大臣の言われるように労苦に報いるということであるならば、額面通りの処遇をやはりすべきではないか、そういうふうに私考えます。参議院のこれは大蔵委員会でありますか、附帯決議がついておりまして、生活困窮者等については買い上げ償還等も考えろ、こういうことがありますが、その辺はいかがなっておりますか、御説明をいただきたいと思うのです。
#69
○政府委員(実本博次君) 戦没者の妻、あるいは戦傷病者の妻、あるいは戦没者の父母等に対します特別給付金の公債の償還期限の問題でございますが、これはまあそれぞれの給付を受けます方々の特殊性を考えまして、たとえば老齢な方々が多いと思われます父母に対します特別給付金というのは、一般の場合たいてい十年の償還期限でございますが、五年に、半分に縮めて、この特別給付金の設定をはかったというような配慮はしてまいっておるわけでございますが、ただいまお話のように、この額面通りの償還ということは、まあこれは大蔵省の理財局ともいろいろ相談しながらやっておることでございますが、なるべくそういうふうな特別給付金の設定された目的に合いますように、御遺族の手元に届けて差し上げたいと考えておるところでございます。ただ、現在、そういうふうな償還期限の普通の場合のペースに乗っていけない事情にある方々、たとえば、非常に生活が困窮しておられます方々とか、あるいは災害による罹災者、あるいはまた、一つの事業を始めたいので一時的に多額の金が所望であるというふうな方々につきましては、前二者については買い上げ償還をやっております。それから後者につきましては担保貸し付けをやっておりまして、そういうふうな便宜の措置を並行して御遺族の方々の御要望の一部に沿っていく努力をいたしておるところでございます。
#70
○小野明君 父母に対するものは五年償還十万円と、これには特別な配慮をしたんだということはわかりました。ところが、戦没者の遺族に対する特別弔慰金、三万円で十年償還というのがありますね。三千円ずつ、これは十年やらにゃいかぬわけですね。こういうのは、こういう条文を入れるということ自体が私は問題ではないか。買い上げ償還とか、あるいは担保貸し付けということをおやりになっておるようですけれども、二十万の額面の国債をもらったからそれじゃ二十万担保貸し付けるかといいますと、そうじゃないでしょう。そうじゃありませんね。買い上げにしても半分でしか買い上げない。初めからもうそれは半分ぐらいの値打ちしかないように見ておる。戦争による被害者に対する援護も、こういうふうに、何といいますか、誇大広告みたいなことになって、私は戦争が終わったとたんに国債一ぱいもらってみな破って捨てた記憶があって、もう戦争と国債というと非常にいやな印象しかない。この法律を見ていると、また国債が出てきておるから、最近の国債は昔よりちっとはいいかもしれませんが、額面どおりのやつ。はりやっぱり保証にすべきではないか。この辺大蔵省とのやりとりで少しあなたのほうは腰が弱いのではないか。だから、買い上げにするにしても、あるいは担保貸し付けにしても、どういう実情になっておるのか、ひとつ説明してください。
#71
○政府委員(実本博次君) 買い上げと貸し付けの問題に関して、これを利用いたしております方々の比率をちょっと申し上げて参考に供したいと思いますが、戦没者の妻の特別給付金の対象者で、買い上げあるいは貸し付けについての資金ワクを利用している率が三二・七尾というふうな数字が出てまいっております。それから戦傷病者の妻の場合でございますが、これは三一・一%というふうな利用率になっております。それから、先生先ほど御指摘の十年間で三千円という特別弔慰金につきましては七・九%という利用率でございまして、特別弔慰金につきまして一言いいわけをさせていただきますと、特別弔慰金の場合は、本来五万円の弔慰金が支給されました御遺族に、その五万円の弔慰金が十年間で――これはまあお灯明料、お線香代と申しておりましたが、それが燃えつきた時期に特別弔慰金ということで立法措置をいたしましたわけでございまして、先に五万円差し上げてある方たについてのあとから追加しての十年間三万円ということで、まあちょっと線香代がだんだん五千円から三千円に下がって非常に恐縮なことになってきたわけでございますが、そういう意味での長くお灯明を上げていただくというふうなことで少額のものを長くひっぱったシステムでございまして、非常に苦しい趣旨でございますが、そういうことでこういう仕儀になっております。ただ、いま申し上げましたようにやはりこの買い上げ資金、あるいは貸し付けワクの資金の利用者がいま申し上げましたような率で利用されているというふうなことでございますが、なお大蔵省理財局との話し合いでこういうふうな向きの利用者があるだけのものはなるべく資金ワクを設定してもらうように常時交渉をしておるところでございます。
#72
○小野明君 これは大臣にお尋ねをいたしますが、かなりいまお聞きをいたしましても買い上げ償還の実績があるわけですね。そういたしますと、たとえば二十万にしましても、その買い上げ償還をすれば半分しかくれぬわけですよね、十万。しかも、利子は二万円取られて、残る八万円を十年間にくれる。そういうシステムになっておるわけです。おまけに物価が大体上がるのをほぼ年五%としますと、二十万を十年と言いますと、一万円ずつ値打ちがなくなってくる。十年先には半分しかない。二十万の額面でも十年先になると十万円の値打ちしかない。こういうふうなやり方はやはりこれはいんちきくさいやり方ではないか。このような非難を受けてもしかたがないと思うんですね。そこでこの期間を縮めるか、やはり額面どうりの償還をするか、いまの市場の通り相場の償還をするか、あるいは償還する期限を縮めるか、何らかの方法でもって、やはり看板にいつわりのない労苦に対する報いをしていただきたい。このように考えますが、御答弁をいただきたいと思います。
#73
○国務大臣(斎藤昇君) 買い上げ償還をする場合に、少したたき過ぎるじゃないかということだろうと思うのです。この点は、いわゆる市価相場というものよりもなおたたくというようなことは、これはよろしくないと思いますが、もしそういうことであれば、買い上げ償還の条件についてさらに十分大蔵省と相談をいたしたいと思います。当初こういうような発行のしかたと申しますか、やり方はどうか――これはそのときの立法の問題でございまして、十カ年の均等償還で幾らの額面の国債、そういうものが適当であるかどうかというのは、立法のときの御議論であろうと考えます。物価はある程度上がることは今日の状態では既定の事実でございますから立法の際に考えるべきものだと、かように考えます。
#74
○小野明君 そこで、買い上げ償還と同時に、これは事情によりましょうが、法律改正を要しますけれども、期間の短縮という問題も合わせて御考慮いただきたい。お願いをいたしておきたいと思います。
 それから最後にお尋ねをいたしたいと思いますが、ソ連の抑留者の問題であります。これは軍人軍属については考慮をされておるようですが、この考慮というのもやはり恩給期間に通算をするということぐらいしか考えておらぬ。それで、さらにこれは一般邦人の問題にもなりますが、満蒙開拓団という、これも特殊な使命を帯びて入植したんでしょうが、この人たちが抑留された場合には何ら処遇されておらぬ。あるいは軍人、軍属にしましても、ソ連に二年ないし三年抑留をされた場合には、別途何らかの処遇をするのが適当ではないか。これは私の友人にも二十一で兵隊にとられまして、三十六で帰ってきまして、すぐ病気になった。これはもう恩給期間だけしかないわけです。生きるか死ぬかの病気をしまして、何らその間の処遇というものがなされておらぬ。この法律が昭和二十七年にできておりますから、何とか上積みの――ソ連抑留期間が長いですからね。処遇ができないものがどうか。これを局長にお尋ねしておきたいと思います。
#75
○政府委員(実本博次君) ソ連の長期の抑留者あるいはそれに似たケースといたしましては、まあいわゆる戦争裁判によって、戦犯として拘禁されていた人々に対します処遇の問題でございますが、これが恩給法なり、援護法なりの処遇の対象になるような、いわゆる身分のあった方々、国との関係においての身分のあった方々に対しましては、援護法なり、恩給法の中で、たとえばその抑留期間は在職期間として通算する、あるいは御遺族についてはいろいろな処遇をして差し上げるというふうなことをしておるわけでございますが、お尋ねのように全然そういう身分関係のなかった方々に対します問題、特にそういう方方がなくなられたり、抑留期間中になくなられたり、病気になられた場合には、これは援護法におきます準軍属として扱っておりますが、そういうことでなくて、長期抑留されて帰ってこられて、とにかくいまは病気でもなければ、もちろん障害もないというふうな普通の方々ですね、そういう人たちに対します処遇というものは何らなされていない。これは先ほど上林先生のときにもお話が出ましたが、一般の戦争犠牲者と申しますか、戦災者というような人たちと若干似たグループとしてその処遇がいまなされていない。そのなされていないことにつきましていろいろ問題があるわけでございますが、これは一体そういうふうな方々をどこで、どういう観点から取り上げて考えるべきかというふうな問題もございまして、たとえば戦争裁判で考えますと、戦争裁判中巣鴨に拘禁されておりましたが、無罪として放免された身分のない方というものにつきましては、ちょうどよく似た制度としては国家賠償法と申しますか、裁判の関係で、そういう犠牲者のケースとして取り扱っているというふうなことがありますので、そういう戦争裁判と、そういう司法裁判との違いがあっても、同じ裁判の犠牲だから、国家賠償法の対象として法務省で扱ったらどうかというふうな考え方もあるわけでございますが、そういった、どこでそういう人の世話を見るかという問題もはっきりしないということもございます。
 それからまた、はたしてそういうふうな、なるほど長期抑留された、しかしいまの状態を見ると、ある程度のやはり社会復帰を十分されて一般の生活水準の生活しておられる。ただ、しかしその抑留されておった期間の精神的な苦痛に対する慰謝というようなものを補償してくれというようなニードというものが、一体国としてそういうものを取り上げて何か補償の対象にするものであるかどうかという判断も一度してみなければならない、こう考えるわけでございまして、そういう方方に対する処遇というのはそういう意味でいまだなされていないという現状でございます。
#76
○小野明君 処遇をされておらぬから、どうするか、こういうことになるわけですがね。ただこれは一般の方とやはり抑留されておったという事情とは違うわけですね。一般の方でも引き揚げてきた場合には、引き揚げ者給付金また特別交付金というものが支給をされるようになっている。これと同等の処遇でよろしいかといいますと、その上にさらに二年ないし三年、長いものは十五年抑留をされておるわけですからね。それと同等の処遇でよろしいということは私は結論は出てこない。特に軍人にせよ、軍属にせよ、抑留をされておった期間については恩給通算だけでよろしいか、その上に何らか考えなければならぬのではないか。あるいは満蒙開拓団として入植されておった方がたまたま抑留をされる、二年、三年おられる。それは一般引き揚げ者と同じように処遇をしてよろしいか。これは軍のいわば奉公で協力をして抑留されたわけですからね。この辺が私は大きな問題があるのではないか。ああいうところですからね。シベリアに抑留されるということになりますと、からだも非常にいたんでくる、ほとんど栄養失調になって帰ってきておるのが実情ですからね。ほかに病気も併発してくる、誘発してくるという実態が非常に多い。そういたしますと、いまのままで何ら処遇をしないでよろしいか、放置しておいてよろしいという結論にはならぬと思う。ですから、何らかここで処遇の方向を引き出していくべきではないかと私は思うわけです。この点を私はお尋ねをして、今後の方向なりについてお答えをいただきたいと思うんです。
#77
○政府委員(実本博次君) 先ほどこの問題について申し上げましたように、こういう戦争犠牲者のほかにも、こういう方々と同じような犠牲者がございまして、先ほどの上林先生の御質問の場合にも出てまいったわけでございますが、それからあのお話の中には出てきませんでしたが、たとえば引き揚げ途上で事故にあわれた一般邦人と申しますか、身分のない一般の邦人の方々ですね。そういう方々、たとえば樺太から終戦後引き揚げてきて北海道の留萌沖で国籍不明の潜水艦に襲撃を受けて沈んだ、その船に乗っておりました引き揚げ者の方々、それで一般の身分関係のない方々、そういったような引き揚げ途上で事故で倒れられました方々、そういう方々の処遇と、先ほどの一般戦災者の問題とか、あるいはそれ以外の学童疎開に付き添っておった父兄の船での難破の事故による処遇の問題とか、いろいろそういう戦争犠牲者と申しますか、の方々の問題を同時に取り上げようとすれば、同じようなつらがまえをしたものがたくさんまだそのままでおるという状態でございますので、先ほど申し上げましたように、どこの役所で一体そういうものを取りあげてどういうふうにするかというふうなこともまだきまっておりませんし、そういうふうなものを一度どういう部類のものが残されておるか、それはどういうふうなかっこうで処遇したらいいのかということをどこかひとつのところでもって整理して処方せんを書いてもらうという舞台があれば非常にいいんではないかというふうに考えておるわけでございますが、これは全くそういうふうな気持ちだけでございまして、現実にそういうふうな運びがまだまだなされていないという状態でもって、いまのところこういう方々の処遇がそのままになっておる、こういう状態でございます。
#78
○小野明君 ソ連からの引き揚げですから、総理府来いといったところが、いや、これは援護局関係でできるはずだという話で、総理府がやるのかおたくがやるのか、外務省がやるのか、それぞれわけがわからないようになっておるし、それがいまの御答弁になってあらわれておると思うが、でき得べくんばやはり援護関係をおやりになっておるわけですから、ひとつ私はどこがリーダーになってもいいと思っておるが、援護の厚生省がやっぱりイニシアティブをとって、ひとつそういった未処遇の方の処遇を進めるようにしていただいたらどうだろうか、こういう気持ちで質問申し上げておるんですがね。その辺をひとつ、だれもかじとりがおらぬから船が前に行かぬ、沈んでしまったということにならないように。そういうものをやらないと、ほんとうの戦後処理のことはできないのではないかと思いますから、ひとつ積極的な意欲をもって進めていただきたいと思うんですが、その辺の御決意のほどをひとつ承っておきたいと思います。どうもおれはやりたくないんだけれどもというお気持ちが見えてしかたがないんです。
#79
○政府委員(実本博次君) 大臣は別といたしまして、はなはだ私のところは非力なものでございますから、援護法のほうの未処遇問題だけでもう手一ぱいでございます。これも先ほどから先生方に責められておりますように、たくさんの問題をこれから処理していかなければならない上に、今度は援護法ではない一般のそういう人たちの処遇まで援護局でみろと言われましても、これも意欲はありましても、とても現実に荷がかち過ぎて倒れてしまうというふうに考えておるわけでございます。この点は消極的な、権限争いで申し上げるわけではございませんけれども、たとえばこの前の、一昨年の予算では、長崎医大の学生さんで防空活動に従事しておって、原爆で倒れてなくなられたという方々に対する処遇としては、われわれのほうと話し合って、文部省がそういう学生の見舞金を出すという措置を予算措置でやっていただいた。それから防空法関係におきましても、今回の法律改正では、軍の作戦指導に従って犠牲になった防空監視隊員は、援護法に縁があるから準軍属として処遇するということになりましたが、警防団の方々の犠牲者につきましては、これは消防庁のほうでそういう犠牲者の処遇を、見舞金の七万円の処遇をしていただくというふうなことで、それぞれそういう縁のある役所で分担してやっていただくというふうな措置をとってまいっておりますので、できましたならば、なるべくわれわれのほうがそういう口を切ることはしてもようございますが、なるべく分担管理をしていただいて、それぞれの処遇をしていただくというふうなことで、援護局といたしましては、援護法上の未処遇問題に全力を注いでまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。
#80
○小野明君 いまの御答弁聞いておりますと、手一ぱいでということですが、戦後処理をやるといういまの内閣の大きな使命から見ましたときに、やっぱりそれはこぼれてはいけない点ではないかと思うんです。それで大臣、この援護法関係でも法律が次から次に必要なものが出てきまして、七本ないし八本、まあ恩給法は母法になりますけれども、これは別として、体系が非常に複雑になってきておる、こういうことがやっぱり一つあるのではないかと思います。こういったものを整理しながら未処遇の問題を、いまのソ連の抑留の問題等は一体どうするんだということで、大臣のほうからやっぱり問題を提起願って、内閣全体の責任として、閣議でもっていろいろ御検討願って、戦後二十四年になるわけですから、ひとつ早急に仕事が能率的に運ぶような、局長からいまのような悲鳴が出ないようにひとつ御推進をお願いしたいと思うんです。最後にお尋ねいたします。
#81
○国務大臣(斎藤昇君) 御意見ごもっともに存じます。大体考えてみますると、現に援護をされておる、あるいは国家補償の対象になっておる、それと非常に似たもので、あまり差別をつけるべきでないのに落ちこぼれがあるという問題ですね。これはそれぞれ所管しているところでその落ちこぼれのないようにやっていきたいと思います。厚生省関係においても、それはたくさんあると思います。もっと広い意味で、いわゆる戦争犠牲者をどうするんだということになりますと、いままでの落ちこぼれなしにという考え方をさらにもう一段飛躍させるかということになりますと、これは非常に大きな問題になってまいりますが、それはまあ社会全体の要望、また国会の各位の御意見等に従っていかなければならぬと思いますが、さしあたってはいまおっしゃいますような、またおあげになったようないろいろな落ちこぼれの問題は、これは各省にまたがっておりましても、統一をしてなるべく早く落ちこぼれをなくしていかなければならぬ、そのために十分努力をいたしたいと思います。
#82
○委員長(吉田忠三郎君) 他に発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめておきます。
    ―――――――――――――
#83
○委員長(吉田忠三郎君) 社会保障制度等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方の発言を求めます。
#84
○大橋和孝君 それでは、私時間もあまりありませんので、できるだけはしょりまして、この間うちから藤原委員からもあるいは他の委員からも血液の問題について論議がされまして、またいままでの過ぐる長い間、血液に対する質問も繰り返されたのでありまして、こういうものについて一ぺんよく厚生省のお考え方をお伺いしておきたい。同時に、また、あと沖繩の風疹の問題についてもお伺いしたい、こういうようなわけでありまして、たくさんお聞きしたいことがありますけれども、できるだけかいつまんでお話を承っておきたい、こういうふうに思います。
 第一番目に、昭和四十二年十一月の十六日の決算委員会で、坊厚生大臣に質問をいたしまして、血液の対策について厚生省は最重点的な政策の一つとして四十三年度予算に取り上げていくというふうな抱負を示されたのでありますが、この予算の推移について少しお伺いいたしたいと思うわけであります。
 血液事業関係の予算を見ますと、三十九年度には九千八百八十三万円、四十年度と四十一年度は二千万円、それから四十二年度だけが一億二千百七十六万円、ここで非常にいろいろおやりになったようであります。それからまた四十三年度は三千五百五十五万円、四十四年度は四千九百五十二万円。四十二年度をピークといたしまして、それからまた非常に減っておるわけであります。このような状態を見まして、この血液関係の予算について十分配慮されてないためにこの血液行政というものがいろいろ影響されているのではないかと思うわけでありますが、こういうふうな状態は、一体厚生省としては、どういうふうにお考えになっておるのか、これでもって大体のいろいろなことがこなしていかれるようなふうなお考えであるのか、一応ちょっと伺っておきたいと思います。
#85
○政府委員(坂元貞一郎君) 血液対策の予算は、いま御指摘がありましたように、四十二年度から実は年次計画をもちまして、当面最も重要な問題としまして血液の受け入れ体制の整備をはかる、こういうことで四十二年度、四十三年度、四十四年度ということで今日までまいってきているわけでございます。若干ずつ金額が減っておりますが、これは整備計画というものが少しずつ、第一年目をピークとしまして減ってきている、そういう事情に相対応するものでございます。一応私どもとしましては、四十二年度から始めました受け入れ体制の整備というのは、大体全国的に一応網の目が張られた、こういうふうに考えております。もちろん若干血液センターの出張所なんかがまだ不十分でございますので、こういう点は今後整備をしてまいる所存でございます。
 これからの血液行政としまして、予算的に、私ども、最も力を入れてまいりたいと思いますのは、四十四年度予算にもその一つの芽が出ておるわけでございますが、いわゆる血液の分画製剤の開発研究でございます。こういう点につきまして、四十四年度予算でだいぶ予算措置をしておりますが、明年度以降もこういう点を重点的に整備をしてまいるための予算措置を講じていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#86
○大橋和孝君 何か四十二年度をピークにやられて整備が終わっているようなお話をいま伺って、私は意外に思うわけです。現在は、むしろ、率直に言うならば、日赤に依存をして、国としての責任を十分に明らかにしない、国でやらなければならぬことが十分やられていないために予算的にこういうふうにあらわれてきているのではないかと思います。それから同時に、分画製剤のほうに力を入れて今度は予算を要求されて組まれているようでありますが、それは一体どのくらいの計画のもとに何ぼ組まれたかをあとで伺いたい。同時に、また、予算面で不十分なために、現在でもこの血液そのものがなかなかスムーズに動いていない。こういうふうに思うわけであります。特に、いまおっしゃいましたように、受け入れ体制は整備されたとおっしゃっておりますが、この採血のための機構を考えてみますと、これは血液行政で、四十一年の十一月十六日の社労委員会でありますが、またその一年後の同じ日の四十二年十一月十六日の決算委員会、二回にわたって委員会でいろいろお話を伺っておったわけであります。そこの中でお話し申し上げておったのは、医療機関がいわゆる血液がうんと要る場合に、その必要な血液を手に入れるのに責任体制が整備されてもらってないから、一体その責任体制はどういうふうに整備してもらうのか、こういうことをお尋ねしたときに、そのときの答弁では、各保健所管内に一カ所ぐらいの採血機関を早急に整備し、その基礎的な整備には四十二年、四十三年の二カ年間で充実する、こういうようなことの御答弁がありました。それから四十四年の三月の三十一日現在で血液センター設置状況の表を見ますと、これは表を前にいただいたわけでありますが、これは本所四十七、支所十六、出張所百十九、合わせますと百八十二であります。全国の保健所の数からいいますと、八百三十二あるわけでありますからして、四十二年のときの答弁と実績は一つも合っていない。こういうようなことから、この問題に対して一体どういうふうに理解したらいいだろうか、こう考えるわけであります。こういう点をからみ合わせるならば、いまのような予算というものは、もっともっとそういうことを完全にしなければ、やっぱり採血そのものだけでもうまくいかぬのではないか。そういうことから考えて、いままで論議の中でやられておりましたように、日赤だけに依存していては、私は十分それができていかないのではないかという心配をいたしているわけでありますが、一体、前の答弁の、各保健所に対して一カ所ぐらいずつを設けるというその大きな予算が四十二年、四十三年でやられているにかかわらず、四十四年度の報告ではそのような結果になっているわけでありますからして、その点は一体どういうふうになっているのか、あわせて両方の御答弁を願います。
#87
○政府委員(坂元貞一郎君) 第一点の血液の分画製剤の研究体制の整備でございます。これは大橋先生御承知のように、わが国は非常におくれておりますので、今年度四十四年度の予算におきまして、国立の予防衛生研究所の中に血液関係の施設を増築をいたしております。金額にして三千六百万程度でございますが、
  〔委員長退席、理事上林繁次郎君着席〕
建物を増築しまして、明年度以降におきましてそれに必要な機械等の設備を整備してまいりたい、こういうことに計画をつくっているわけでございます。したがいまして、今年度はまだ建物ができるだけでございますので、これが本格的に研究活動が始まるのは一、二年先になろうかと思いますが、いずれにしましても、国の研究機関の中に血液関係の当面問題になっております分画製剤の研究開発をやるというような任務を持った機構が一応、まだまだ貧弱ではございますが、形としてはでき上がったわけでございますので、今後十分われわれは国際的な情勢をにらみ合わせながら、この機構の整備充実をはかっていきたい、かように考えているわけであります。
 それから第二点の、受け入れ体制が非常に不十分じゃないかという点でございますが、四十二年度から年次計画をもちまして受け入れ体制を逐次整備してまいってきたわけでございますが、確かに、当初保健所単位ぐらいに受け入れ施設をつくりたいという構想を持っていたわけでございますけれども、なかなか技術者の確保という点が一つの障害になりまして、各県当局あたりの意見を聞きますと、なかなかいま医師なり、衛生検査技師なり、そういうような専門技術者というものの確保が急速にはまいらぬというような点が大きな障害になりまして、実ははなはだ申しわけないのですが、三年計画では当初のわれわれの考えていた線が実現できなかったわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、今後こういう方面の専門技術者というものの養成等を十分考えながら受け入れ施設を整備してまいりたい、かように考えているわけでございます。まだまだ全国的に見ますると、この体制というものが十分でないことは、私ども十分承知しておりますので、今後そういうような条件の整備をはかりながら受け入れ施設を整備していきたいと、かように考えているわけでございます。
#88
○大橋和孝君 全くその技術者の少ないことはよくわかりますけれども、ほんとに献血をやっていこうという場合に、先ほど考えられましたような、少なくとも保健所単位で最小限一カ所ぐらいの受け入れ機関をつくらなければ、日赤だけに依存しておるということでは、なかなかここにむずかしい問題が起こってくる。これが進めば進むほどボランティアの精神だけで推し進めていくことが非常に障害になっていくんじゃないかと思うんです。特に、私はお尋ねいたしたいと思うんでありますが、血液の需給の機構を見る中で、国の責任というものがどうしても明確さを欠いているんではないか。これは三十九年の八月二十一日ですか、調べてみますと、閣議決定をされておるわけであります。そこの中では、献血の組織化をはかる責任は国及び地方公共団体にある旨を明らかにされたと思うんでありますが、その後具体的な施策になってまいりますと、献血受け入れ体制の整備主体は結局日赤と地方の公共団体であるということになっておると思うんであります。こういうふうな考え方から申しますと、国の責任というのはどういうふうになっておるのかということが具体化されてないということが非常に疑問に思われるわけでありますが、一体国が何かの責任を持つように具体化されているのかどうか、こういうようなことについて伺ってみたい、これが第一点であります。
 それから、日赤が設備を拡充されて、採血車など最近はたくさんおつくりになっておる。ところが、先ほど局長がおっしゃったように、非常に人が少ないし、運営費も非常に少ない。これは日赤のほうのお話で私承ったわけでありますけれども、そういうふうな状態になっております。これは、日赤としても、引き受けた以上これを何とかしょうというので一生懸命やっておられる点は私もよくわかるわけでありますが、現実には動けないという状態がここにきていると思うんで、こういうことから考えてみますと、先ほどの予算の面ともひっかけてみて、日赤にこうしたことを押しつけていると言っては、ことばがあれかもしれませんが、日赤と地方自治体との責任というふうな形では十分にいかないのではないか。もっと国が責任を持って何かこれを処理する体制、これをまた予算の面にも反映さしていくということでなければ、日赤と地方自治体だけの関係で、これだけの人員の確保から、運営の費用からたいへんではないかと思うんでありますが、その点についてどのようにお考えになっているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#89
○政府委員(坂元貞一郎君) 三十九年の閣議決定の基本的な考え方については、現在も全然変わっていないわけでございます。いまお述べになりましたように、国の責任というものが非常に不明確ではないかという御指摘でございます。この点につきましては、私どもは、いろいろこの制度を発足さぜる当時から研究をしてまいったわけでございます。一番ティピカルな国の責任というものを具体的にあらわす方法は、おそらく大橋先生もお考えになっておられるかと思いますが、いわゆる全国的に国立の施設等を拠点としまして、国の責任で、文字どおり国の責任で血液事業を運営するということかと思いますが、この点につきましては諸外国の例もこれあり、またわが国におきましても、国の関係、国立病院等も持っておりますが、国が直接血液事業を運営管理するという点につきましては、いろいろ問題点もあろうかと思います。むしろ、やはり国際赤十字連盟等が勧告をしておりますように、国際赤十字の事業として最も適当であるといわれているこの赤十字社というものが持っております病院等の協力を十分求めながらやっていくことと同時に、また都道府県なり、市町村等がそれぞれ地域住民の福祉のため、あるいは保健衛生の向上のために、地方公共団体等が積極的に協力をしていくと、そうして、政府としましては、より高い立場から全国的な指導、監督、調整等をやっていくと、こういうような形がやはり一番スムーズにいくし、現状に即したやり方じゃなかろうかというようなことで今日まで運営してきておるわけでございまして、私ども決して国の責任をのがれる意図はないわけでございまして、今後とも予算措置等をできるだけやっていきながら、日赤の不十分な面を都道府県なり、市町村等でカバーしていく、そうして国は全般的なスムーズな運営がなされるような指導監督をしていく、こういうような配慮をしていくことが一番いいんじゃなかろうかと、私どもはかように考えておるわけでございます。
#90
○大橋和孝君 それではちょっとお伺いしますが、一回のオープン採血には、少なくとも医者が一人、これは献血の希望者が三百人になると二人要ると、こういうわけでありますが、少なくとも医者が一人、看護婦が五、六人必要である、こういうふうにいわれております。中央のセンターには医者が三人で看護婦が十二人勤務をしておるだけであって、全国には百三十二台の移動採血車があるわけでありますから、一回の採血に医者は百三十二人から二百六十四、まあ二人となれば二百六十四人要るわけです。看護婦は六百六十名から七百九十二名が必要となってくるわけですね、この採血車のために。これはおたくのほうが示しておられるあれによってそうなるわけです。この採血の要員のやりくりがこれは一体日赤だけの責任で行なえるのでありましょうか。また公共団体がもしこれに参画するとしたら、どういうようなことを一体政府のほうでは、厚生省のほうではこれを指導しようとされるのか。
 それから、また、各地の医師会に協力を求めるためには半日で五千円だとか、これは手当を出しているというようなことを聞いているんでありますが、この費用は一体だれがどこから捻出されるのかということも私は問題じゃないかと思うんです。あるいはいまおっしゃっておりました大学病院なんかに臨時の採血所を開設して協力を要請される場合、手当は一体どのように、どこが出すのか、だれが捻出するのか、大学でやらすのか、どこでやらすのか。運営費は国がめんどうみようということで国の責任を明確にしなければならぬと思うのでありますが、その運営費は、一体どのように明確に考えておられるのか。この五点についてちょっと伺いたい。
#91
○政府委員(坂元貞一郎君) 現在の日赤がやっております血液事業の問題につきましては、確かに先般から申し上げておりますように、専門の技術者というのが現状においても非常に不足しております。逐次、日赤自身も補充なり何なりをして養成をやっておるわけでございますが、まだまだ兼任勤務職員等が非常に多いわけでございます。日赤病院等と兼務している職員等が多いわけでございまして、こういう点を今後われわれは何らかの形においていろいろ協力をしていかなきゃならぬというふうに思っておるわけでございます。先般藤原先生からもお話がございましたが、民間の血液銀行等からそういう方面の専門家というものを日赤のほうに活用するような方法を考えたらいいのじゃないかと、これはまことに私ども同感でございまして、今日まで相当数のものが日赤のほうに民間銀行あたりから入ってきております。そういうようなことと同時に、また都道府県のほうなり、市町村のほうの地方公共団体等においても、いろいろ県立病院なり、公立病院等の専門家というものを日赤のほうにできるだけ割愛していただくように、われわれ地方団体にお願いしておりますし、たとえば先ほどお話がございましたが、血液センターの出張所、こういうものは県立病院あるいは市立病院等につくっている例が実は非常に多いわけでございます。そういうような場合は、当然当該地元の県立病院のお医者さんなりあるいは市立病院のお医者さんなり看護婦さんに協力をしてもらう、こういうようなことで実は日赤と地方公共団体、こういう持ちつ持たれつの関係でこの血液の事業を運営をしていくということであります。それから医師会なり、地区の医師会等なりあるいは大学病院等も、最近においては、非常に実は血液事業に応援していただいております。埼玉県なんかの医師会等については非常にこの血液事業に積極的に応援してもらっているわけであります。大学病院等についてもしかりであります。そういうような技術的な面での応援、それからいろいろ専門的な職員のやりくり等の点についての応援、そういう点もいろいろ今後もう少しわれわれも考えながら、日赤なり、都道府県等が血液事業を運営する際に技術者の面でいろいろ支障がないように、まあちょっと時間はかかるかと思いますが、やっていきたいと、かように思っているわけでございます。
 それから、日赤がやっております事業の運営費というものが非常に不足がちであるという点でございますが、私どもも、過去の日本赤十字社の運営の実績というものをずっといままで調査をしてまいっております。そうしますると、確かに一面苦しい面もございます。と同時に、また逆に、やはり経済効率という面から見て不適当な面もございます。そういうような点を考えながら、今後日赤の事業というものをわれわれは適正に運営してもらうように監督をしていきたいと思っております。先般行ないました保存血液の価格決定の際は、そういうふうに非常に苦労している面と、それからまたもう少しやり方いかんによっては安上がりでできる面、そういう面を彼此勘案しながら実はあの価格を決定いたしたわけでございます。でありますので、先般も藤原先生から御指摘を受けましたが、非常にサービス精神が不足していると、そういう点につきましても、できるだけ予算的な面で片一方めんどう見ながら、同時に、また適正な運営をやっていくというような点も考えながら、今後この日赤の事業運営に遺憾のないようにしてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
#92
○大橋和孝君 それはもう局長の答弁を伺っておって、場当たりの言いのがれの説明じゃなくて、もう少しほんとうにこの問題を掘り下げて考えてもらった説明が私はもらいたいわけですよ。
  〔理事上林繁次郎君退席、委員長着席〕
いまおっしゃっているように、それは日赤が気の毒な運営の面もあるけれども、また一面安上がりな効率的な面もあるのだと、そんなでたらめなことを言っても、いまそれなら日赤はそういう状態ですか。いま申したように、いろいろな面で非常に人が不足な問題もあるし、金も非常にかかるわけで、実際に日赤としても、その日赤の利益からこういうものをみな生み出せるとお考えなんですか。あなたのおっしゃるように、これは国があまり責任を持たないで日赤がうまくやるのも安上がりな方法だと、日赤の収入は一体どこから上がってくるかというと、日赤に通っている患者さんから利益が上がってきている。しかも、設備を拡充して建物を建てたり何かするのも所管はその中からしていかなければならぬ。日赤に行く患者さんが病気をなおしてもらいに行って、その支払った医療費からこういうものが出てくるということになれば、その医療費で日赤がうまくやるのが非常に効率的で安上がりでいい方法だとおっしゃるなら、そのもとはどこかといえば、みんな日赤に行っている患者さんにそれが負荷されてくるわけであります。そういうようなことから考えてみますと、あなたの言われている事柄には重大な問題があるとぼくは思うわけですよ。ですから、日赤なら日赤にもしどこかのほうからそういう金がきちんと出てきてその金がそういう方面に振り向けられておるというのだったら私は話はわかるのであります。ただ、日赤といえども、独立採算をされておるために、日赤のどの院長に話を聞いても、かなり苦しいと、こういう立場に追い込まれて運営をしておられる。しかも、私がいまちょっと申し上げたように、御返事はいただいておりませんけれども、非常に運営をするための医者にしても、看護婦にしても、あるいはまたそういうことを、たとえば大学病院あたりに臨時の採血所か何かを置くにしても、こういうものに対してはみんな相当お金が要りますね。ところが、半日で五千円も手当として払っておる例があるわけですね。こういうお金は一体どこから出るのか、こういうようなことを私はお尋ねをしておるわけでありまして、そういう問題に対して、あなたのほうは、地方公共団体からどれだけ援助をさせると、それからまた国はどういうふうにするとかいうことであれば、私はそれで納得ができるけれども、いま日赤でやることは、一面には効率的であるし、いいこともあるけれども、一面には苦しい面もあるのだ、だからもう少し苦しい面を何かうまくすることによってこれが行なわれていったらいいなあとお考えになっていたろうと私は想像いたします。しかし、それをひっくり返して考えてみれば、そのお金のもとはどこかといえば、かかっておる患者さんにひっかかってくるということに私は解釈をしなければならないと思うが、その点はどうなんですか。
#93
○政府委員(坂元貞一郎君) 私が申し上げたのは、日本赤十字社やってのおります現在の血液事業というものについては、苦しい面だけではないと思います。たとえば、御承知のように、日本赤十字社の各県支部というのがそれぞれ独立採算制をとっております。私どもの調査によりますと、先般改定しました保存血液の価格の際の調査でございますが、全国的に、現在の状態でまいりますならば、大体半数の県が黒字で、半数の県が赤字、大体大ざっぱに申しますと、こういうふうな決算の結果からの実績が出てきております。そこで、私どもとしましては、やはりこういう国全体の事業というものを日赤が担当する以上は、そういう独立採算制というものに若干問題がある。したがいまして、全国的にプール制を考えていくことがむしろ望ましい方向じゃなかろうか。そうすることによって、赤字の県へは黒字の県からと、お互いに助けてもらう。やはり各県ごとにやっておりますと、どうしても血液事業というものはうまくまいりません。先般来、お話しございましたように、ブロック単位あるいは全国的な単位で事業全体を運営していく、やはりそういう配慮がわれわれは大事だろうと思います。したがいまして、経理面の操作等につきましても全国プール制、血液事業については大体プール制を考えて、お互いに彼此融通し合うと、こうようなやり方でやることが一番効率的であるし、また経済的である。私どもはそういうプール制の観点から日赤のやり方を調べました結果、非常に苦労している面もございます。と同時に、またプール制という観点からながめますと、非常に非効率的な、非経済的な予算の運営をやっているという点もございます。そこで、先ほど申し上げましたように、日赤の運営というものが、やはり国民の期待する方向に日赤の血液事業というのが進んでまいるためには、そういう不合理的な面というものは、われわれ是正していくべきだというようなことで、先般の価格決定を大臣の決裁を得まして行なったわけでございます。私どもは、日赤のそういう各県支部単位の独立採算制というようなものは逐次解消していくという方針で、今後日赤当局も考えてもらおうということで、この点については、日本赤十字社当局も原則的に了解をしているわけでございます。そういう事情を先ほど申し上げたわけでございます。
#94
○大橋和孝君 そうすると、医師会なんかに、半日で五千円出したり、あるいは臨時に採血所をつくったりするのは、これはみんな日赤持ちなんですね。
#95
○政府委員(坂元貞一郎君) 質問を忘れまして、失礼しました。
 医師会なり、医療機関等に協力を求められた場合のいろいろな費用というものは、日本赤十字社のやっております血液事業の予算からしかるべき方法で出している、私どもは、かように承知しております。
#96
○大橋和孝君 いまちょっと局長もお触れになりましたが、大蔵省は、今度決定しました血液代金千五百五十円、これはまあいろいろ企業ベースに乗ったところの価格だから、別に使途も、運営費もめんどうをみる必要はない、こういうようなことをおっしゃっているように、私は、聞いているのですが、血液代金の千五百五十円をおきめになった内訳をもう一ぺんひとつ聞かしてください。いま日赤でも、黒字と赤字とが両方出るというお話ですから、これをちょっと……。
#97
○政府委員(坂元貞一郎君) 先般の千六百五十円というものを百円値下げしまして千五百五十円という格価に保存血液の価格を決定いたしたわけでございますが、この考え方といたしましては、私ども、日本赤十字社のやっております血液事業の特別会計――これは特別会計になっておりますので、この特別会計の四十二年度の決算実績というものを基礎としまして、これにいろいろな推計なり、試算等を加えまして算出いたしたわけでございます。その場合の基本的な考えとしましては、今後日本赤十字社のやっております血液事業のうち、採血数量なり、採血本数というものがどんどん伸びてまいります。伸びてまいるということは、逆にいいますと、それだけ大量生産になるわけでございますので、まあ経費の点においては金のかかる面もありましょうし、また逆に安上がりになる面もございましょう。そういう点を推計したということが第一点でございます。
 それから第二点は、特に最近人件費、物件費というものが非常に上がってきております。したがいまして、こういうような人件費、物件費というものを現在の時点でいろいろな推定を加えまして推計をし、と同時に、また人件費等については今後職員のベースアップ等も勘案をしながら一定の比率を出して計算をしたということが第二点でございます。
 それから第三点としましては、先ほど申しましたように、独立採算制という基本的な体制を、これは一ぺんにはまいりませんが、逐次今後全国プール制という考え方に切りかえていこう。たとえば、簡単に申しますと、ある物資の調達等を各県支部で調達する場合と、全国プールして一括調達の場合とでは若干経費が違ってきます。そういう面の是正をしながら、今後赤十字社の適正なる運営費なり何なりがどうなるかということを考えたわけでございます。そういうような点を考えながら、先般の千五百五十円という価格決定をいたしたわけでございます。先ほど企業的な観点で価格決定云々というお話がございましたが、確かにこれはものの見方だろうと思います。やはりある程度企業的なセンスというものを入れながら、今後血液事業は運営しなければならぬ点もございます。と同時に、また先般来お話ございましたように、サービス的な精神というものを経費面である程度見込むということも必要かと思いますので、そういう両面をそれぞれ適正に判断をしながらこの価格をきめていく。やはりこの価格というものが今後の日本赤十字社の運営の基本になるわけでございますので、私どもとしましては、実は三年越しのこれは懸案であったわけでございますので、いろいろ事情がありましておくれましたけれども、そういう点の精細なデータを取り寄せ、また調査をしながら価格決定をいたしたわけでございます。
#98
○大橋和孝君 もう少しその価格決定に当たって、何をどういうふうに見てあるか、たとえばあなたはいまPR費とかなんとかおっしゃいましたけれども、それは何ぼに、それから何は何ぼに見るとか、あるいは手帳を出したり、あるいはRhの検査料を出したり、あの五百円に対してはいろいろ示しておられましたが、その他の問題に対しても大体それの積算基礎は何を何ぼにおいておられるかということをもう少し詳しくおっしゃってください。それでないと話がわからぬ。
#99
○政府委員(坂元貞一郎君) 原材料費と、それから人件費、それからいろいろな活動費、こういうようなものが非常にことこまかにそれぞれの項目ごとに積算をしてございます。したがいまして、一括して申し上げるのもなかなか困難だと思いますので……。
#100
○大橋和孝君 大まかでいいです。ぼくの聞きたいことは、一体、この千五百五十円でもって黒字になったり、一方では赤字になると、あなたはおっしゃっておるけれども、PR費はどれだけ、設備費はどれだけ、人件費はどれだけという大まかなことを聞かないと、一体全体黒字になるかどうかわからぬのですから、大まかなことを聞かしてください。検査費は何ぼ使っている、何を何ぼ使っているということを聞かないと……。もしわからなかったら資料でもよろしい、時間がないから。
#101
○政府委員(坂元貞一郎君) 非常にこまかくなっておりますので、大まかに申し上げると、かえって誤解を招きますので、後ほどそういう点を勘案した資料で御説明を申し上げさしていただきたいと思います。
#102
○大橋和孝君 では、次に急いでいきます。
 日赤がボランティア活動によって非常にいま活動をしてくださっておるわけですが、この血液を日赤だけでやられるということの根本的な事由がよくわからないのです。先ほどから話してみますと、独立採算制で黒字になったり、赤字になったりしているけれども、一面ではボランティア活動として、この献血を清らかな精神でもってやっていくのだ、営利性はないのだ、あるいはまたこういうふうな献血の精神で、そうして組織をしてやっていくのだというこの考え方、一面では、またやはり独立採算でやって赤字も、黒字もあるからプールにしていけば予算ができるのだという考え方、何か初めの日赤だけにゆだねてやろうという清らかな気持ちと、何かいま話を聞いていると、そこらに食い違いがあるような感じがするわけでありますが、そこらの点はどうでありますか。
#103
○政府委員(坂元貞一郎君) 赤十字精神によって献血事業をやっておるということになっておるわけでございますが、やはりその事業運営というものは、これはやはり一つの事業でございますので、効率的に、経済的に運営するということは、これは理の当然だろうと思います。したがいまして、やはりある程度医療機関なり、血液を求める患者さん等に十分行き届いたサービスをするということは、もう運営面で配慮をしなけりゃならぬわけでございますが、同時にまた、一つの事業としまして、ロスのないように効率的に予算を使い事業を運営していく、こういう面も忘れてはならない重要な点だろうと、こういうふうに私は考えておりますので、先ほど来からそのような趣旨の御答弁をしているわけでございます。
#104
○国務大臣(斎藤昇君) ちょっと御質問と答弁と伺っておりますと、かみ合わぬ点があるように思います。少し誤解が……。
 黒字と赤字と局長が申しておりましたのは、日赤が各県の日赤病院単位でやっているから、たとえば、東京の日赤は黒字だけれどもある県の日赤は赤字だと、そういう状態であるから、これを全部プールにして、日赤を全国一つの計算でやれば効率的なものが出てくるんじゃないか、そういうように指導したと、こういうことでございますから、したがって、献血事業は日赤を全国一つのものと考えて、そして原価計算をやり、いままで千六百五十円は高過ぎるというように相当非難があったようでございます。そこで、いろいろと内容を分析して、まあ千五百五十円なら、これで日赤はそうもうけもせず、また損もせず、この程度ならば適正な価格であろうというので、千六百五十円を千五百五十円にというように先般きめまして、私もサインしたような次第でございます。
#105
○大橋和孝君 かみ合わない議論のように見えますけれども、私、この考え方は非常におかしいという考え方からいま質問をしているわけですから、これはひとつ大臣もよく聞いてもらいたいと思います。私、この問題は大事だと思うんです。
 それで、結局、日赤に献血をやらしたらいいという一番のねらいは、やっぱりボランタリー活動、そういうことが主体であったわけですね。しかし、いま現在としては、ボランタリー活動としてだけではなかなかいけない。これを阻害している要因が何かあるのではないかと思っているわけです。これは何かということでいろいろ考えてみると、やっぱりこれは医師会に対しても応援を求める。これに対しても、社会的な責任で協力を要請するのは要請するが、この仕事が公益性があるからということを強調して要求されているわけであります。ところが、また、血液の今度は「もの」を見てみますと、これは薬剤と同じように考えているんだからして、そうするとこれは企業のベースで、大きな利益はないが、しかしある程度利益が上がるから、黒字と赤字とちょんちょんぐらいでいけるのではないかということで、百円下、げたけれども、千五百五十円というものはある程度企業ベースで考えられておる。こういうことになると、やはり公益性をある程度没却した考え方が一方で設定されている。私は、そういうところに矛盾が来たされていくのではないか、こういうふうに思うわけです。特に、企業ベースで価格なんかが決定されていくというならば、別に日赤だけがやらなくても、ほかのところでもできるんではないか。千五百五十円であれば、ある程度、プラスでもない、赤字でもないという、ベース的に考えればとんとんにいけるではないかという考え方からスタートするならば――少なくとも利潤を追求するものがやっちゃいけません、いままでのように。ですから、公益性を持った財団法人とか、あるいはまた何かの法人格をとらして、いままでやってきた、いろいろな技術員を擁しておるところの民間の血液銀行なら銀行があるとすれば、これをきちっとボランタリーの活動にふさわしい、利益を追求しないところの公益性のものにするとか、日赤と同じようなものにしていけば、必ずしも日赤だけにしなきゃならぬという理由が、今度はまた根拠がなくなってくる、こういうふうに思うのでありますけれども、その点どうですか、大臣。
#106
○国務大臣(斎藤昇君) 日赤と同じような考え方で、日赤以外のものにやらしてもいいじゃないかという御議論も、あるいはごもっともかと思いますが、しかし、こういった血液は、全国彼此融通して使われなければならぬものでございまするし、せっかく日赤を組織の中核としてやらせるということでいまやっておりますので、しかし、具体的にいま医療法人でボラソタリーにやろうという空気が非常に強くて、そのほうがいいということであれば、これは考慮の余地なしというわけではないと思いますが、私は、現在の日赤活動を中心としてやるのが適当であろう、かように考えておるわけでございます。いろいろこっちの財団法人、あっちの財団法人というものでやらせるよりも、いまの組織で欠点はないのじゃないだろうか、かように考えております。
#107
○大橋和孝君 大臣のおっしゃることはよくわかるんです。やはり日赤といえば、国民の受け取り方も、非常に日赤精神で献身的にやってもらえると、私はそれは非常に賛成なんです。そのことに対してはとやかく申さないんですが、先ほど私が申し上げて、前御答弁をいただいたみたいに、保健所単位ぐらいで、やはりそういうように受け入れ体制ができたほうがよりベターではないか。どこに行きましても、日赤がそんなにうまく配置されてない。こういう状態ですが、これは日赤だけじゃなくて、日赤の支社でいいと思うのです。日赤の支社というか、支所というか、出店というか、そういう形でいいと思うのですが、そういうことでもって、もう一つそういうものを――たとえばそういう機関もあるわけですね。いままでの銀行とか、それはいままではそういう考え方がまずいからやめさせようということだったから、それはいいと思う。だから、今度は逆に言えば、日赤の支店とか、支社とかという形で活用していけば、たとえば私は京都におりますけれども、京都府で考えてみれば、日赤は京都府の中に中心があるわけですが、ところが舞鶴や、福地山とか、そういうところではとてもうまくいかないために、今度はよそのところに京都府が血液センターをこしらえた。ぼくはセンターということばはいいと思う。いままでのように血液銀行とか何とかと言えば、まだ悪いイメージも残っておりますから、センターでいいと思いますが、日赤センターの支部でもいいと思うんです。これは一つのものになってもいいと思いますが、そういうことでもっとうまくやればもう少し受け入れ体制もうまくいくのではないか。特にボランタリー活動として組織化されていくならば、そういうものがあって中核をなしていくほうがよりスムーズに動くわけでありまして、いまのやり方は、いろいろ巷間のうわさを聞けば、比較的組織されているところに入っていくのは入っていきやすいが、未組織の部分から採血することが非常に困難になっている。こういうことをアメリカあたりと比べてみると、アメリカあたりでは、もうコミュニティとか言って、血液の銀行にかわるようなものが並行してやってるわけですね。だから、私はそのことばにはとらわれないけれども、日赤と同じようなものがあって、支社でも何でもいいわけです。そういう形でもって周囲からそういうことができれば、アフターサービスもいろいろな意味でできやすい。いろいろなことができるわけであります。特に、ここでひとつ考えてもらいたいのは、血液センターというのは研究体制を伴わなければならぬと思うのです、実際から言えば。いま現在でもおそらくあの日赤の中には、センターの中には本質的にやはりいろいろな権威者で指導をするところの体制ができているだろうとは想像しますけれども、私どもいま伺っている範囲内では、そういう研究体制というものがもう一つ明確化されてないわけですね。そういうことは、なぜかといえば、この血液センターである日赤がほんとうに第一線でばかり骨を折ることできりきり舞いをしているわけでありますから、そこでほんとうに血液というものはどうあるべきかというその血液の研究体制というものがついついなおざりになってきている。私は、ここらには少なくとも権威者を集めて、預血の問題に対して、あるいは献血の問題に対してほんとうに研究する体制をつくっていくほうがよりベターではないかと思います。そういうところから考えて、この受け入れ体制は、いまの形の日赤ばかりじゃなしに、日赤の仕事の外郭にもいろいろなものを動員して、あるいは公共団体の病院でもよろしい、あるいはまた京都府がやってるような府のある一つの療養所を血液センターにしてしまって、そして日赤と同じようにやっていくということになれば、私は同じことにも思うわけでありますからして、前も言ってるような預血的なものをやめてしまっていいと思うけれども、しかし献血と一つにして、じゃ預血と献血とどう違うのかといえば、いまの状態ではかわってないわけです、事実問題、内容は。ですからそういうことにとらわれずに献血一本にして、そういうものをうまく組織化して、そして少なくとも前から言われておったところの保健所に対して一つぐらいのそういう受け入れ体制を公的に持てば、よりベターではないかと、こう思うわけでありますからして、そういう観点からして根本的に一ぺん考え直してもらわないと、ただプール制にすればいいんだというふうな安易な解釈では、なかなかいま人件費もまた高くなりましょうし、また人も得られない時期であろうからして、そういうことの抜本改正がどうも私は手ぬるいのではないかと思いますが、その点はどうでございましょうか。
#108
○政府委員(坂元貞一郎君) 仰せの点は、私どもも方向としては賛成でございます。できるだけ全国的にきめこまかい網の目を張りめぐらすということが一番望ましい姿でございます。先ほど来お話ございますように、保健所単位ぐらいに受け入れ施設をつくるという考え方については、私どもも、今後そういうような方向で努力をしたいと、かように先ほども申し上げたわけでございますが、ただ、その際、どうしても私ども一つの障害にぶつかりますのは、医療機関なり、そういうような医療施設と密接な関連がなければ、この血液の受け入れ施設というものは円滑に運営ができない。したがいまして、病院等の医療機関というものが近所にありまして、そういう医療機関と絶えずタイアップしながら血液センターを運営していくということが一番やりやすいわけでございますので、できる限りそういうような官公立等の医療機関の近辺に血液センターの出張所といわれるようなものを今後つくっていきたい。いままでも少しずつではございますが、公立の出張所ができてきております。今後そういうような点を配慮しながらセンターを数多くつくっていくと同時に、また片一方で医者等の専門技術者というものがなかなか得がたいという面もございますので、そういう面も一つの障害になるわけでございますけれども、できる限り官公立等のほうから今後応援をしていただくというようなことを絶えずそれぞれの方面にお願いをしているわけでございます。なかなかこういう医師、看護婦等が、ただでさえ都会に集まりやすい傾向がございまして、若干へんぴなところには、なかなかそういうセンターが現実問題としてできにくいというような障害もございますので、そういう点を逐次名案を考えながらやっていかなきゃならぬのじゃないかと、こういうふうに思っているわけでございます。
#109
○大橋和孝君 いま伺っておりまして、なかなか研究のほうも大事だと思うんですが、いろんな問題でむずかしい点はむずかしいと思いますけれども、いままた血液の問題については、血清肝炎の問題を含めまして、血液の長期の保存の研究だとか、あるいは代用血液の研究だとか、血液の疑固の問題あるいは血液型なんかの問題で非常に大きな研究課題が幾つもたくさんあると思うわけでありますよね。しかし、これはなかなかこういう問題に取り組めばお金もかかるし、非常にたいへんだということで、血液の行政の中では、ちょっと見送れがちで、大学かどこかでやられるだろうというような見方が非常に多い。そればかりじゃなくて、私承っているところによれば、東大あたりでは、血清肝炎の研究が内科のほうに委託されておるようなことも聞いておりますし、ことしですか、四百五、六十万出ているはずですね。そういうようなことも聞いております。また、冷凍血液の研究等、また血液製剤なんかの研究なんかでも予研のほうに、先ほど局長がおっしゃったように、四千万円ほど出しているわけですね、こういうこともよくわかるんでありますけれども、しかし、いつだったか、日赤の外山部長でしたか、血液の研究に力を入れますというような抱負を委員会でもお話しになっておりました。だからそういうことも私十分承知しておりますが、しかし、ほんとうに日赤の現状でこういうようなものの費用が出していけるかといえば出していけない。つい大学かどこかでやってもらって、やってもらった結果を出してもらうというような形に私はなると思うのですが、これはやっぱり国のほうで、もし日赤にそういうふうにしてやらせるとするならば、そういう費用としてつけるというような、何か励ますというか、日赤に援助する。さらに日赤以外にいろいろな組織がほしいと思いますけれども、そういうことを含めて、もう少し国からお金を出すというようなことはいま考えられないものですか、大臣。
#110
○国務大臣(斎藤昇君) 血液の、先ほど議論になっておりました値段をきめるということの中に、そういう研究費もこめて値段をきめるという行き方もあろうかと思いますが、このたびのきめ方には、いまおっしゃいますような今後新しい研究開発という意味のものはこめてありません。そこで、他の研究費として日赤につけたらどうだと、血液事業もやらしているのだからということも一応ごもっともに存じます。日赤で特に血液研究をするからということであれば、そういう研究費もつけたいと思いますが、厚生省といたしましては、ただいまは予防衛生研究所で、いまおっしゃいましたような特殊の研究を今後相当大幅にやりたいと思っていま着手をいたしておりますので、そのほうの充実と相まちまして、いまおっしゃいますような趣旨のことを考えていきたいと考えております。
#111
○大橋和孝君 ひとつできるだけこの問題には積極的に取り組んでいただいて、ことにいま申しておられたように、分画製剤とか、血液製剤というものは、いま相当アメリカあたりでも進んでいるようにも聞いておりますし、今後も日本でそういうことに取り組んでもらったならば、非常に大きな成果が得られることが目の前に見えているわけでありますからして、そういう方面には四千万円といわないで、また、日赤が血液センターとしてやるならば、日赤あたりにもかなりつけていただきたいと思いますので、特に大臣にお願いしておきたいと思います。
 それから、同時に、血液製剤の対策ですが、先ほど聞いているのでは、まだまだ非常に今後問題があると思いますが、私は、その血液製剤の問題では、この原料が一番問題ではないかと思います。ですから、その原料を一体どうするかということが非常に大事にされるだろうと思うのでありますが、この間、もう藤原委員のほうから何かそれにお触れになりましたから、重ねて私は触れたくはないと思いますけれども、最後に一言それについてお聞きしたいのは、日赤のいまやっておられる廃液というか、使えなくなった保存血液ですね、これは相当量に達しておる。これは私の伺ったのが間違いかもしれませんが、伺いましたところでは、各日赤の府県単位でもって分離をして、血清と分離をして中央に届ける、こういうふうに聞いておるのでありますが、やっぱり各所でやられるのに多少の技術的誤差といいますか、そういうものがあったり、これはまた古くなったりすることも原因でありましょうけれども、そういうことのために、比較的使えないものがたくさん出てきているのじゃないか、あるいはまた長く冷凍に置いておかれたためもあるかもしれませんけれども、それが聞くところによれば、出されているのが半分も使えなかったというようなことになりますと、分画製剤をつくるのに非常に要望が大きい。これは一万リッターの三倍、三万リッターも必要になる。その実態は、これはいまどのくらいになっておりますか。おそらく三分の一もいまできていないと思います、医療機関の要望に対して。ですから、そういう点からいえば、もっとそういうものもつくらなければならぬし、あるいはまたガンマグロブリンにしても、アルブミンにしても、そういったものも私は必要じゃないかと思うのです。そうした分画製剤の要望というものは非常にきついと思うのですが、そういう点から考えるならば、私はこの廃血がもっと十分に利用されるようなことを考えていただきたい。特にいま日赤でやられるのは、わずかガンマグロブリンを少しおとりになるだけだと聞いておるわけでありますが、もし、そういうことがほかのほうでできるなら、そういう研究機関を設けるなり、あるいはまたそういう審査なり、あるいはまた何とか懇談会とか、何か日赤の中にそういう研究機関を設けて、廃血になったらすぐそちらに、製剤所にまかせて、製剤所をまた指定してもらうのはむずかしいでしょうから、何かそういう機関で合理的にいい製剤所を指定してもらえばいいわけだと思うのでありますが、そういうところで製剤をさす。と、いまのように製剤をさすためにそんなところで分離をしたり何かしないで、もう保存血として使えなかったらすぐにほうり出してしまって、期限切れたものは保存血に間に合わないのでありますから、それはもうそこで日赤から切ってしまって、製剤所に移してしまう、これくらいのことをやれば、残った保存血は、献血として清らかな気持ちで出しておる血液でありますから、せめて、それが使えない状態になったならば、それは十分血液製剤に使うということで、合理的にさしたほうが、国民の側から、献血をする人の側からすれば納得がいくようなものになるのじゃないか、こう思うわけであります。何のためにそれを分離して、日赤の中央にまでそれを集めなければならぬのかということが、私は勉強も足りませんからかもしれないと思いますが、そういう点からいっても、私はいまやられていることが納得できないわけですね。ですから、そういうことに対しては、もう少し中央で、厚生省のほうで指導されるとあらば、そういうことはもっと具体的に早くして、そして材料に困っておるときですから、材料をそういうふうにしてもらうということに踏み切っていくべきではないかと思うのですが、この前はそこまで聞いておりませんので、そこまで踏み切ったお考えを聞いておきたいと思います。
#112
○政府委員(坂元貞一郎君) 先般の藤原先生の御質問にもお答えしたとおりでございます。廃棄血液を有効に活用するということは当然のことでございます。いままでのやり方を私ども見ますると、確かにこの点についての配慮というものが不十分であったことは認めざるを得ないわけでございます。そこで、いま日本赤十字社がやっておりますようなやり方というものにつきましては、この際根本的に考え直しまして、この廃棄血液の有効活用という観点から、この廃棄血の利用方法をどういうふうにすればいいかということは、現在、案を練っておるところでございます。したがいまして、いままでのやり方をこの際反省をしまして、仰せのように、有効活用という面から、この廃棄血の処理方針をできるだけ早く結論を出しまして実施に移したいと、かように考えておるわけであります。
#113
○大橋和孝君 特に、その点は血液製剤の原料としては非常に大事なことだと思いますので、特にその配慮をしていただいて、早くそれを進めていただきたいことを強く要望しておきたいと思います。
 それからもう一点だけちょっとここで触れてお伺いしておきたいと思う点は、この採血をするところの受け入れ体制の面は、そういうようなことでいろいろ問題はありましょうが、いま私がお願いを申し上げましたように、外郭的にそうしたいろいろな、少なくとも保健所に一つぐらいの、将来は、そういう受け入れ体制をできるだけつくってもらいたいと思います。同時に、廃血になる量、それは、私もお伺いしましたら五%内外あるいは多くて一0%ということでありますから、これは外国に比較しましても、ほぼ同じくらいの程度だと思うのでありますから、その点は問題はないように思うのでありますけれども、これを効率化するために、この間もちょっと触れましたけれども、その後明確な処置はあまりとられていないように考えますが、もう少しこれも研究してもらって、いわゆるこのごろ機械がたくさんできておるわけでありますし、航空機もまた交通機関も非常に便利になっておるわけでありますから、この間うちも新聞を非常ににぎわして、私どもも心配したわけですが、東京都にO型がなくなったとかで大騒ぎなこともあったわけでありますね。ですからして、そういうことから考えてみますと、当然いまのような設備で、機構でいけば、なかなかそういうことは、うまく進められつつあるとはしましても、何かのときにはそうしたアンバランスといいますか、そういうことが起こり得ると思うわけであります。ですからして、私はもう少しコンピュータも使い、あるいはまたいつも中央でコントロール・センターならコントロール・センターでそれがはっきりとつかめておるという形で絶えずそれが指令によって現在高が各府県でわかるように、最近は、何か電話やいろいろなものでそれがわかるようにしていただいておるようでありますけれども、もう少しそれをむしろ国の責任で、その受け入れ体制は日赤にたのみながらも、それを与えるほうの体制はもう少し国のほうで指令を出して、各都道府県のこうしたセンターに対していつも連絡をとって、いまどこには何ぼのあれがあるから、どこには何丈の血液をどういうふうにとらす、こういう計画くらいは絶えず出されていって、スムーズにそれが動くことによって、いまの五%、一0%のものがもっとそれが低下するならば、日本においてはこのように低下した実績ができたということになれば、外国に対しても大きな、誇らしげな行政になり得ると思うのですね。だから、そういう点からいっても、外国並みであるからそれでいいという考え方でなくて、大事なボランティア活動として集めてきた血液をこのようにして集めて、これに対してこういうふうに報いているのだということを示してもらえるような配給機構、こういうようなものをひとつ日本で一ぺんやってもらいたい、こういうふうに私は思うのでありますが、その点いかがですか。
#114
○政府委員(坂元貞一郎君) 需給調整のやり方につきましては、仰せのとおりでございまして、やはり都道府県というような区域等で血液の需給調整をはかることは、もうすでに時代おくれであります。したがいまして、私どももいま仰せられましたような観点で数年前から考えておりまして、昨年から日本赤十字社に対して、コントロール・センターというような構想を実現するように指導してまいったわけでございます。それを受けまして、日本赤十字社は、現在全国的に七ブロックにコントロール・センターというものを設け、中央に中央のコントロール・センターというものをつくりまして、各県ごとの在庫量あるいは採血量、そういうものをそのつどそのつどブロック単位のコントロール・センターから中央のコントロール・センターまで報告をしてもらっているわけでございます。現に、昨年の例でございますが、まだ発足したばかりではございますが、大体五%程度のものがこのコントロール・センターによって、都道府県の区域を越えて需給調整がはかられてきております。いま御指摘のような方向は、われわれもぜひ早く実現いたしたいわけでございますので、今後こういうようなコントロール・センターというものを機械化する等の措置を講じながら内容を充実し、そして軌道に乗せていく、そういうようなことによりまして血液の需給調整をはかっていくということがこれからの大きな課題であろうと、こういうふうに考えまして、いまいろいろな施策なり何なりを研究中でございます。一応コントロール・センターというのが昨年から実施をされておりますが、まだ完全に軌道に乗っておりません。したがいまして、まだまだ検討をしなければならぬ点が多々ございますので、そういう点を十分考えながらこの全国的な需給調整のセンターというものを軌道に乗せてまいりたい、かように考えているわけでございます。
#115
○大橋和孝君 もう時間がなくなってまいりましたから急ぎたいと思うのですが、ここのところ大事な問題ですからちょっと大臣にお伺いしておきたいのですが、先ほどからちょっと私ひっかかってはお伺いしておるところは、日赤にお願いをして、そういうような配給の機構まで日赤にやらさせるというような局長のお話でありますけれども、これも一つの方法かもわからないのですが、それに対して私は抵抗を感じてはおりませんけれども、しかし、そこの中でやはり私は国が責任をどこまでとるかということをある程度考えないと、ただやらしているやらしているということで、まだうまくはいっていないけれどもこういうことだということではなくて、この程度までは国が責任をもって、たとえば配給機構であればコンピューターを何とかするものだけは国から補助するから、こういう線に乗せなさいというような、もっと強力な何かの指導方針といいますか、あるいはまたそういうことをするような何か厚生省の中に機関をこしらえていただくとか、何かそういうようなことで、もっと踏み切っていただかないと、こういうようなことがなかなかうまくいかぬのではなかろうか。たとえば先ほど申し上げましたような何%に下げるかということは、何かいろいろなことをずっと一連のものとして考えてみますと、これは製剤の問題に対してもそういうことは言えると思うのですが、何か一つの基本的なものとか、これだけのものは国が見るから、あなたのほうではこれだけをぜいというような、強力な指導というものをひとつ考えていただきたいと思うのですが、大臣、そのお考えはありませんか。
#116
○国務大臣(斎藤昇君) 大橋委員のおっしゃることはよくわかります。国自身がやると同様に、たとえば日赤にやらせるなら日赤が動けるように、配給が円滑にいくためには国がやろうと思うとおりに、自分の手足のように動けるように予算なり、人的要求なりも見ていかなければなりません。あるいは配給だけは国が取り上げてやるということも考えられると思います。おっしゃいますことはよくわかりますが、現在進めております事柄を充実させる意味で、十分配慮してまいりたいと考えております。
#117
○大橋和孝君 じゃ、私この分画製剤の中身についてちょっとお伺いしたいと思うのでありますが、これはプラスマネートとか、アルブミン、ガンマグロブリンと、いろんなものができるわけです。私は、このガンマグロブリンについてちょっと薬務局長にお伺いしておきたいのですが、このガンマグロブリンというものは生物学的製剤からこのごろはずされて、普通の薬品としてやられている。生物学的製剤というものには、やはり血漿たん白とか何かの検査が要るものでなかったらそんなものに入らない。何かそういう規定のもとにこれは普通薬に落ちているというふうなことを聞いているわけでありますが、先ほどからお話しになっておりましたように、血液を原料として、あるいはまた胎盤やらいろんなものも使われておりますが、しかし、こうした非常に高価なものであり、しかもその製剤たるや、これはいろんな免疫原を含んでおりますからして、いろいろ破傷風だとか何とかいろんな免疫に使われるという、ことにはしか――あとでちょっとお伺いしたい風疹などにつきましても、このガンマグロブリンというものはよくきくわけであります。そういう観点から申しますと、このガンマグロブリンなんかは、なぜ普通薬品に落とされていくのか、むしろ私はこういうのは生物学的な製剤としてやはり細菌製剤課のほうでこれは取り上げていくべきじゃないか、こういうようなことを考えておりますので、ここらのところはむしろ後向きになっていくのではないかということを考えて、一応ちょっと質問しておきたいと思います。
#118
○政府委員(坂元貞一郎君) 所管の細菌製剤課長から答弁いたさせます。
#119
○説明員(山中和君) ただいま先生からガンマグロブリンを普通薬に落としたということでございますが、そういうことはございません。前と同じように、生物学的製剤として取り上げまして、予研の国家検定品として扱ってございます。ガンマグロブリンのこれからの開発におきまして、ガンマグロプリンは免疫が人っておるわけでございますが、それも現在は破傷風の免疫のガンマグロブリンだけができておりますが、今後、開発が進みますと、その基準は順次つくっていくという方針でやっております。
#120
○大橋和孝君 そういうふうな細菌製剤課長のお話だが、これは実際は健康保険のほうではいまほとんどこのガンマグロブリンは普通薬として取り扱われているのですよ。だからして、いまあなたのほうで、製剤課のほうで、ガンマグロブリンをいまのように、予研で考えられているように、生物学的製剤としてつくっておいて検定さして出しておられるならば、これはもう私のほうでは一ぺん保険局長のほうと話をして、それをしてはいけないということにしないとぐあいが悪いと思うのですが、事実は、これはもうみな点数からいいましても、大きな差があるわけです。生物学的製剤として取り扱う場合と普通の皮下注射の製剤として、薬品として使う場合とは大きな差があるわけです。いままでそれは非常に何べんも問題になってきておりましたが、最近はそれが生物学的な製剤とされていないために問題が起きているわけでありますから、あなたのほうでそういうふうにしておられるということであれば、これはまた別な機会に私は質問さしていただこうと思いますが、これはそれでけっこうであります。
#121
○説明員(山中和君) ただいまの、保険で普通薬として扱っておるということでございますが、薬価基準にこれは収載してございまして、人免疫血清グロブリンという一般名で収載してございます。したがいまして、保険で請求なさる場合には、この薬価基準をもとにしまして請求できるはずであります。
#122
○大橋和孝君 それは生物学的製剤としてでありますか。
#123
○説明員(山中和君) そうです。
#124
○大橋和孝君 わかりました。けっこうでございます。
 それからもう一つだけ、原料の問題で局長に伺っておきたいのですが、アメリカあたりでは、プラスマフェレーシスといって、分離採血なんかしておりますが、これは日本でも行なわれておるのでありますが、私はこういうようなことがあれば、赤血球をその場で返すわけでありますから、血液をあげたほうの人の側には貧血を起こさないで非常にいい方法じゃないかと思います。外国でも行なわれておる方法でありますから、これは血液センターのほうでは、日赤のほうではどう考えておられるか。そのことを一言伺っておきたいと思います。
#125
○政府委員(坂元貞一郎君) アメリカ等で行なわれております血球の返還採血でございますが、このやり方は、いま御説明ございましたように、血球と血漿を分離いたしまして、血球を供給者のほうに戻しまして、血漿部分だけを採用するという方式のようでございます。この方式は、確かに現在の医学的な面から申しますと、非常に合理的な面があるわけでございまして、アメリカ等で非常に実施されているように聞いております。そこで、わが国の場合は、現在民間の血液銀行等において一、二このやり方を試験的に実施をしている段階でございます。こういうやり方が人体に影響がないかどうか、採血する前と採血したあと等でどういうような影響があるか、そういう点についてまだ若干不明確な点がございますので、いま民間血銀等で試験的に実施しているわけでございます。私どもとしましては、このやり方等が今後十分実証的に裏づけられまして、非常にいい方法だというようなこと等が学界等でも認められますならば、十分考えてまいりたいと思っておりますが、何分にもこの方法は、やはり一種の医療行為として現在なされておりますので、そういう面もひとつ法制上の問題として問題点がございますから、そういう問題もあわせまして検討をしていきたいということで、現在専門学者等と相談をしている段階でございます。
#126
○大橋和孝君 これは、アメリカではカッター社あたりでは、こういうようなやり方で、二万五千リットルくらいとっておるということでありますね。それから、また非常にこれが進んでいって、まだこの数倍になるだろう、それからまたとる量も非常によけいとっておるようであります、向こうのほうを調べてみますと。こちらのほうからいっても、いまのところではおそらく一万リットルくらい。いろいろなことで、いわゆる例の悪評高いところの乾繰血漿なんかつくる材料としても全部で一万リットルくらいでございますね、いま使っておりますのは。ところが、原料としての必要量からいえば三万リットル以上であるということですから、これからの問題として血液の材料というか、そうした分画製剤というものをやろうと思えば、そういう材料というものが大きな問題になってくるわけであります。外国においてはいま研究されつつあるのでありますが、日本においても外国をしのぐだけの医学的な研究設備もされているわけでありますから、ここで話は戻りますけれども、助成金でもつけて、こういうことがいいとなれば、いいという結論が出るように早くやっていただきたい。ことにプラスマネートのようなものができて、うんと使われる率が多くなっていけば、これはまた肝炎や何かの心配もありませんから、これは非常にいい。最近の医療機関の話を聞くと、入ってすぐある程度たてばそれでもう売り切れだということになっておるようであります。そういうことを含めて、非常にものが高くつくことになっておるわけでありますから、もっとこれが自由に――自由といってはおかしいけれども、もっと楽に原料が手に入ってできるようになれば、コストも下がってくるわけであります。そういう点からいっても、稀少価値にいつまでも置かないで、やはり材料がうまくできるような研究も早くしてもらって、そうして分画製剤をたくさんつくってもらう、こういうことが私は必要じゃないかと思うわけです。特にガンマグロブリンは、風疹あたりでも――あとからちょっと質問しますけれども、こういう問題を考えてみても、非常に大事な制剤で、ガンマグロブリンは比較的たくさんできているようでありますけれども、そのほかたくさん利用すれば利用できるわけであります。それが高いから非常に利用しにくいという欠点がありますから、何か少し原料を考えて、これを十分うまくやっていただくように努力していただきたいと思います。どうぞその点お答え願います。
#127
○政府委員(坂元貞一郎君) ただいまの血球返還採血の問題にしましても、現在やっております試験的な研究の結果を十分見まして、学者等、学界等の意見を聞きながら、こういう問題について意欲的に研究を進めてまいりたいと思っております。
 それから、それ以外の血液の分画製剤の研究につきましても、先ほど来から申し上げておりますように、非常にわが国の水準がおくれておりますので、今後、この点については、相当積極的に研究体制を整備しながらやっていかないといかぬのじゃないかというようなこともございまして、これからこういう面を血液行政の最重点の項目として鋭意やってまいりたい、かように考えております。
#128
○大橋和孝君 えらいおくれましたが、もう一つ、十分か十五分沖繩の風疹の問題についてちょっとお伺いしたいと思います。
 これは、厚生省のほうも非常に大きく取り組んでいただきまして、調査団も出していただき、あるいはまたいろいろしていただいているわけでありまして、いろいろその調査の結果、あれは一九六四年、五年だったと思うのでありますが、猛烈な風疹の大流行がありまして、そのために妊婦の病気になられた方々から相当たくさんな障害児が、わずか半年近くの間に三百何十人とか、四百人近いような人ができたように聞いております。特にそれがトリオと言われておるところの三つの症状、たとえば心臓に欠陥のある人、目に白内障、緑内障のある人、それに難聴というのがそろってある人、あるいは別だにある人というので、非常にたくさんできたわけであります。難聴が三百何十人でしたか、六十九人だったか何ぼ、それから心臓に奇型のある人が五十二人だったか、それからまた白内障二十八人とか、報告書を私読ましていただいたわけでありますが、こういうようなことが起こって、おそらくいままでにも想像されぬようなことが起こったわけでありますからして、その後調査団の報告書によりますと、非常にいろいろろうばいをされていると思うのでありますが、その中で私が聞きたいことが三、四点あるわけなんです。
 それは、どうも私不可解なんで、十分に納得できない点はどういう点かと申しますと、こういうような大流行があったときに、もうそういうことはすぐ考えられなければならない、風疹が妊娠初期の人に起こったならば、子供さんにそうした障害児が出るということは、もう十分に前からわかっておるわけです。それに対して、そのときに対応するような処置がなぜ行なわれなかったのか。これは考えてみれば、この風疹そのものが非常に軽いものですから、おそらく内地でも、かかっておっても医者にかからずに済んでいる分もあると思いますし、特に沖繩ではそういうことがあり得たというので、さも、あたりまえのように言われるかもしれませんけれども、やっぱりこういう問題は、特に注意してもらわなければならない点だと思うわけであります。そうした公衆衛生活動というものが非常にうまくいっていない。考えてみるならば、沖繩では保健所の数からいっても四カ所か五カ所ですね。それで非常にうまくいっていないということがこのような悲惨な状態になったんだろうと思うのでありますが、こういうことについても、今後日本と同じような形で沖繩を復帰させるという考え方からいえば、私は、この問題に対して非常に積極的に取り組んでもらわなければならない、そういう点であります。それにかかわらず、今回の報告を見ておりますと、たとえばNHKから百何台とか、あるいはまた耳鼻咽喉学会から三百何台、こういうものが寄贈されてやられている。私は、そういう方々が善意でやられておることに対して感謝するし、また国としてもそれで非常にいいと思うわけでありますけれども、そこで不可解に思う点は、そういうことであれば、もっと国が積極的にやろうという――乗り出した方が善意でやってもらうからそれでいいという形でおられること自身に対して非常に私は不満に思うわけです。特に、そういう問題が出たならば積極的に取り組んでもらって、そうして早く調査団を出して、これに対してはこれだけのあれをしようというようなことをどんどん提案してもらうべきではないかと思うのでありますが、第一点に、私はそういうふうな報告書を見て、善意な形でもって三百何ぼか寄贈されてやられておるということに対しまして、私は非常に心細く思う。特にその中でもう一点私は不可解に思った点は、非常に難聴なんかも進んでおりますので、やはりいまの政府で考えておられるような一万円ぐらいの補聴器ではなく、もっと高性能のものを使わなければだめだという結果になって、こういった善意でやられておる方々も三万円近くするものを出しておるんですから、こういうような点でも、政府が先に旗を振っていただく、こういうようなことでなければならぬ。そうして善意のものは善意のものとして受けて、また善意で受けたならば、それに対してあとの対策ではこういうふうに向けてやるんだということをやっていただきたい。こう思うわけです。ところがこの対策を見てみますと、これはもちろん文部省と厚生省でいろいろ話を分けてやっていただきますからうまくいっているだろうと思いますけれども、話を聞いてみますと、そこのところに非常に問題があるわけです。今年度は何でも心臓の手術を五人とか、それから目のほうの処置を十七人とかおきめくだすったと聞いておるわけですが、それはそういうふうなものであるかどうか。もし、そういう考えでいくならば、こういう方面にもっとどんどん金を出して十分なことをやったらどうか、こういうふうなことを考えると、何か厚生省の取り組み方が消極的ではないか。
 また、総理府のほうでも向こうのほうに対してのあれをされるわけですから、厚生省ばかり言ってもいけないわけでありますから、総理府あたりもそういうことを考えて、そうして厚生省と話し合いをつけて、これに対してもっと前向きな姿勢でやるべきじゃないかと思うんですが、この三点について。
#129
○委員長(吉田忠三郎君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#130
○委員長(吉田忠三郎君) それじゃ速記をつけて。
#131
○政府委員(渥美節夫君) 御指摘の沖繩におきますところの風疹障害児の問題でございますが、第一点の、もうすでに昭和三十九年から四十年にかけて風疹がはやっておるということがわかりながら、対策が非常におくれておるじゃないか、こういうことでございます。もちろん、風疹が流行した場合におきまして、その後障害を持つ者が発生するという学問的な問題はあるわけでございます。ただ、やはり生まれた子供が二つ、三つ、四つということになりませんと、難聴の問題にいたしましても、先天性心疾患の問題にいたしましても、なかなか発見がしにくいというふうなことがございますし、御指摘のように、沖繩におきますところの公衆衛生活動、その拠点にありますところの保健所の活動につきましてもやはり遺憾の点があったと思って、この点につきましては、今後そういった予防活動につきましての重点を考えなくちゃならない、かように思っております。
#132
○大橋和孝君 はっきりしていますから問題点だけ言います。ぱっぱと答えてください。その問題点は、結局五人と十七人にきめた。だからこれは当然もっと国が出さにゃいかぬということに対する考え方、それからいま話によると五人というのは心臓のほうにやっていますけれども、これは何とかして公費でやりましょうということを言っているけど、目のほうに対してはこれは金がないからやらぬと言っている。こういうことではいけない。当然金はわずかな金、二百万円くらいですね。ところが、話を聞けば、百万はNHKから出してもらう、また民間に頼っているわけです。そういうようなやり方ではいかぬので、これはもっと国がどんどん前向きにやるべきじゃないか。民間では千六賞九十万も金を集めているわけです、こういうことに使おうと言って。この中からまた百万もらう。あっちこっちから金をもらってやろうとするこの態度は実にけしからぬ。ですから、これはもう国のほうで、あとの対策はこうやりましょう、特に文部省と厚生省とで、難聴の人をいかに教育していくかということに対してはどういうものをつけましょう、こういうようなことを少しかっちりやらなければいかぬ。
 もう一つ伺っておきたいことは、来年の一九七〇年は風疹の大流行期、こう言われているんです。内地に対してもこれは何もやられていない。ワクチンの開発もやらなければいかぬ。ワクチンの開発に二、三年かかると言っているが、日本のいまの状態でちょっと腰を入れてやりさえずれば、こんなものはすぐ開発ができる。もし、これが開発できないで、来年こういうものが起こったら、日本にも同じようにまた難聴の人が何千人かできてくるわけですよ。こういう点はどうするか、この四つの点に対してぱっぱと答えていただきたい。
#133
○小野明君 私も関連していますから、大臣にひとつ明確な御答弁をいただきたいと思います。というのは、いま大橋君が指摘していますように、民間だけに全くげたを預けてしまいまして、いま手術をすれば救えるものを、人数を限ってしかやらない。まことにおそまつな話で、しかもこれは新聞報道によりますと、佐藤総理ほか福田大蔵大臣、現閣僚が全部で二十万円かお出しになった。けたが二つほど違うんじゃないか、こう思ったのです。それぐらいの慈善的なことでおやりになるよりも、来年度の予算、本年度の予算なりで措置するということで緊急に――三百六十五名くらいおられるというんですが、救えるものなら、早くやっぱり措置をしておくということがいいんじゃないか。わずか総理以下閣僚そろって二十万というのは全くこの問題に対する政府の姿勢を私はあらわしておるものだと、こうとしか言えない。ですから、この問題について大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
#134
○国務大臣(斎藤昇君) 沖繩の風疹児対策につきましては、私はやはり政府ベースでやるべきだと考えます。民間ベースに依存することなしに。そういう意味で、本年の施策におきましても、殊に来年度予算におきましても、総理府に連絡をいたしまして、御趣旨のようにやるべきものだと、かように考えます。
 一九七〇年には、日本にも風疹が大流行をするのじゃないか、それに対する備えいかんというお尋ねでございますが、私どもの考え方としては、日本にはそう流行すまいという考え方でございますが、その詳細は専門家からお答えをします。
#135
○政府委員(村中俊明君) 風疹の流行についてでございますが、現在ビールス学者の研究によってわかっておりますことは、日本の風疹の流行のときのビールスと、それからアメリカで数年前流行いたしましたビールスと、毒性において相違があるということが動物実験において証明をされた。しかも、日本国内におきましては、小規模で次から次から流行していく。二十歳を過ぎますと、大体九〇%以上の免疫を持っているというふうな実態から、ただいま大臣が申し上げましたように、爆発的な流行は、まず来年についてはないだろうというのが一般のビールス学者の意見でございます。ただ、問題は、ビールスが同じでございますので、こういう毒性というのが、一体アメリカと日本でなぜ違うのかという点の究明がまだ残されている。御承知のとおり、ビールスの毒性復帰は、人体を通じて強くなるというふうな学問的な常識があるわけでございまして、この毒性が強くならない段階で、早くワクチンの開発をやるというのが私は方法だ、こう思います。
#136
○政府委員(坂元貞一郎君) 風疹に対する生ワクチンの開発でございます。今年度の研究費ですでに研究に着手しております。しかし、これでは不十分でございますので、明年度予算で風疹の生ワクチンの開発研究をやるようなことを現在考えております。おそらく明年度の研究開発の予算がもし計上されますならば、明年度限りで風疹ワクチンの開発は明るい見通しができる、こういうふうにわれわれは期待をしております。
#137
○説明員(岸良明君) 総理府のほうで沖繩に対します予算を算定しております関係から、御説明申し上げたいと思いますけれども、風疹に対しまして、先ほど先生が御指摘になりましたように、民間の寄付にたよっているというおことばですが、私ども実を申しますと、そういう意志は全然ないわけでございます。もともとこれは総理府のほうから援助策といたしまして、厚生関係につきましては、約一九六九年度で二十七億出しております。また一九七〇年度は四十四億出しております。したがいまして、そういうような援助予算に基づくところの沖繩の琉政の予算で、これに対する対処ができるかということをまず検討してみたわけでございます。ちょうど年度の半ばでございまして、すでに予算等も確定いたしておりますから、非常にその点やり繰りに苦労いたしました。その結果、心臓疾患については、これは政府予算でできる。それから、いわゆる調査団を出しまして、教育指導に関しましては全部これは政府予算でできる、こういう結論が出たわけでございます。なお、目の疾患につきましては、実を言うと、既定の予算がなかったので、これはどういう形でやるか。一九七〇年度の予算が七月一日からでございます。そこで琉政のほうでいろいろ検討させましたけれども、御存じのとおり、歳入欠陥等のいろいろの財政事情から、なかなかそれが出てこないというような状態になりましたので、幸いと申しますとおしかりを受けるかもしれませんけれども、民間でそういう御寄贈の申し出がございました。当面はこれを活用してこの目の治療をやろう。何しろ早急にやりませんと失明になる、こういうことでやったわけでございます。もちろん一九七一年と言いますか、四十五年度以降の予算をどうするかということについては、当然これは国の責任において、何らかの措置を講ずると、こういうことを検討中でございます。
#138
○委員長(吉田忠三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#139
○委員長(吉田忠三郎君) 速記をつけて。
 委員の退席者も多く、定足数も欠いておりますので、本件に関する質疑は、後日引き続き行なうこととして、本日はこれにて散会をいたします。
   午後五時三十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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