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#1
第061回国会 社会労働委員会 第28号
昭和四十四年七月一日(火曜日)
   午後一時三十二分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 六月二十六日
    辞任         補欠選任
     瓜生  清君     中沢伊登子君
 六月二十七日
    辞任         補欠選任
     成瀬 幡治君     藤原 道子君
 六月三十日
    辞任         補欠選任
     阿具根 登君     上田  哲君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉田忠三郎君
    理 事
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                大橋 和孝君
                上林繁次郎君
    委 員
                黒木 利克君
                塩見 俊二君
                高田 浩運君
                徳永 正利君
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                横山 フク君
                小野  明君
                藤原 道子君
                渋谷 邦彦君
                中沢伊登子君
   衆議院議員
       発  議  者  山本 政弘君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
   政府委員
       厚生省公衆衛生
       局長       村中 俊明君
       厚生省環境衛生
       局長       金光 克己君
       厚生省児童家庭
       局長       渥美 節夫君
       厚生省援護局長  実本 博次君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       公正取引委員会
       事務局取引部長  吉田 文剛君
       経済企画庁国民
       生活局参事官   小川りれい君
       大蔵省主計局主
       計官       辻  敬一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○児童手当法案(衆議院送付、予備審査)
○国民年金法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○社会保障制度等に関する調査
 (保母の待遇に関する件)
 (食品の添加物等に関する件)
 (オレンジ学園における児童虐待に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉田忠三郎君) ただいまから、社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る六月二十六日、瓜生清君が委員を辞任され、その補欠として中沢伊登子君が選任されました。
 また、六月二十七日、成瀬幡治君が委員を辞任され、その補欠として藤原道子君が選任されました。
 さらに、六月三十日、阿具根登君が委員を辞任され、その補欠として上田哲君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(吉田忠三郎君) 児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。斎藤厚生大臣。
#4
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま議題となりました児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案について、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
 児童扶養手当制度は、昭和三十七年に発足して以来数次の改正を経て、今日まで手当額の引き上げ、所得による支給制限の緩和等の改善が行なわれてまいりましたが、なお一そうの内容の充実を必要とするところであります。
 また、特別児童扶養手当制度は、昭和三十九年に重度精神薄弱児扶養手当制度として発足し、その後手当の支給対象に重度の身体障害児が加えられて、名称も特別児童扶養手当と改められたものであり、その手当の額の引き上げ、所得による支給制限の緩和についても数次にわたり改善がはかられてまいりましたが、今後とも内容の充実が望まれるところであります。
 今回の改正法案は、以上の趣旨にかんがみ、児童扶養手当及び特別児童扶養手当の額を引き上げるとともに、所得による支給の制限に関する規定の整備を行なうものであります。
 以下、改正法案のおもな内容について、御説明申し上げます。
 まず、児童扶養手当に関する事項について申し上げます。
 第一に、手当額の引き上げについてでありますが、その月額を二百円に引き上げ、児童一人の場合は月額二千百円、二人の場合は月額二千八百円とし、三人以上の場合は月額二千八百円に三人以上の児童一人につき四百円を加算した額とすることといたしております。
 第二に、所得による支給の制限に関する規定の整備についてでありますが、支給対象者本人の所得またはその配偶者もしくは扶養義務者の所得により支給を制限する場合の限度額に関する規定を改め、政令で定める額とすることといたしております。
 次に特別児童扶養手当に関する事項について申し上げます。
 第一に、手当額の引き上げについてでありますが、その月額を二百円引き上げ、児童一人につき二千百円とすることといたしております。
 第二に、所得による支給の制限に関する規定の整備についてでありますが、児童扶養手当と同様に改め、支給対象者本人等の所得による支給制限の限度額を政令で定める額とすることといたしております。
 最後に、児童扶養手当及び特別児童扶養手当のいずれも、手当の額の引き上げに関する事項は昭和四十四年十月分の手当から、所得による支給の制限の規定の整備に関する事項は昭和四十四年五月分の手当から、それぞれ適用することといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#5
○委員長(吉田忠三郎君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(吉田忠三郎君) 児童手当法案(衆第三〇号)を議題といたします。
 提出者衆議院議員山本政弘君から提案理由の説明を聴取いたします。山本君。
#7
○衆議院議員(山本政弘君) ただいま議題となりました児童手当法案につき提案者を代表いたしまして、提案理由並びに内容の概要を御説明申し上げます。
 社会保障は、国民が共通の生活上の困難から、ひとしく守らなければならないことを理念としていることはいまさら申し上げるまでもないことであります。
 しかし、国民の生活権を確保するための老齢、失業、疾病、死亡、出産、養育等に伴う困窮に対して、その不安を解消するための経済的保障は決して十分とは言えません。この立ちおくれている日本の社会保障水準を経済成長にふさわしいものに充実させるために政府は努力すべきであります。
 御承知のように、児童手当制度は、すでに世界の多くの国々で、社会保障制度の最も大きな柱の一つとして実施されております。
 わが日本社会党は、今日まで児童手当制度は現体制下に残された社会保障制度の最後のものであるとして、その実現を強く訴えてまいりました。特に昭和四十一年以来、毎年国会において、質問、提案をし、政府もそのつど次年度実施を約束してまいりました。
 児童手当制度が社会保障制度の大きな柱の一つとなっているのは、児童の養育が家計を大きく圧迫する原因となっているからであります。昭和四十二年の政府の調査を見ても明らかなように、養育費の家計に占める割合は、義務教育終了前の児童が二人いる家庭の場合には三一%、三人の家庭では三八・八%となっており、養育費が大きく家計を圧迫していることは事実であります。
 昭和二十四年十一月二十日の国連第十四回総会において採択された児童権利宣言には「児童が幸福な生活を送り、かつ自己と社会の福利のためにこの宣言に掲げる権利と自由を享有することができるようにするため、家庭に属する児童について、その援助のため国その他の機関による費用の負担が望ましい。立法その他の措置によって、これら児童の権利を守るように努力することを要請する」と述べており、さらに昭和二十六年五月五日、わが国において制定された児童憲章にも「すべての児童は心身ともにすこやかに生まれ、育てられ、その生活を保障される」とあります。このように児童手当は、児童が享有すべき当然の権利なのであります。
 ところがわが国においては、これまで児童を家庭で養育することは家庭の本来的な機能であるとされておりました。このため児童の養育は、親の能力、資産の許す限度において、また家庭のアンバランスの上において行なわれてきたのでありますが、これは決して健全な姿ではありません。またそのような環境においては児童の心身ともにすこやかな成長は期待できません。
 申すまでもなく児童は次代の大切なにない手であります。その児童を心身ともに健全に育成するために社会は当然一定の責任を負うべきであります。
 昭和二十二年、社会保障制度調査会が児童手当制度の必要性を答申してからこの二十年間に、いろいろな審議会が、それぞれの立場から児童手当の実現について、勧告、答申などさまざまな形で早期実施を訴えてきています。これらの声に押されて歴代厚相、また佐藤総理みずから児童手当の早期実施を約束し、四十三年度をめどとすることを表明いたしました。さらに四十一年には制度創設検討のために、厚生省に準備室まで設け、昨年末には懇談会の結論を見ることができましたが、その創設は引き延ばされております。
 他方、地方自治体の中には、額は別としても児童手当を実施しており、その数は九十六市町村にものぼっており、社会党の市長である武蔵野市では全国に先がけて四十二年度より実施しているのであります。
 政府は財源難を理由に実施を引き延ばしていますが、その実施は財源問題というよりは、むしろ政府の姿勢にかかっているといえましょう。
 社会党は、さきに参議院に出産手当法を提出いたしましたが、世界第二位の生産力を持つ国にふさわしく、児童福祉のために一歩進んで胎児から児童の養育まで、一貫した国の責任として行なうべきであると考えます。
 次に本法案について、その概要を簡単に御説明申し上げます。
 この法案の基本理念として、児童は次代をになう者であり、社会は児童の福祉の増進をはかる責任を負い、児童はそれを受ける権利を有する、と社会の責任、児童の権利を明らかにしたのであります。
 その主な内容は、
 一、児童手当は義務教育終了前の全児童に支給するものとする。ただし心身に障害を有する者の場合は満二十歳までとすること。また居住地主義をとり、日本国民でない児童にも支給することといたしました。
 二、手当額は月額六千円とするが当面、昭和五十年三月までは三千円とする。
 三、手当額は国民の生活水準その他の変動に応じて改定の措置を講ずること。
 四、手当の支給に要する一切の費用は、原則として国の負担といたしますが、必要な範囲で企業も負担する。その負担割合は国が七割、企業三割とし、その企業の賃金総額の二%以内の負担とする。ただし、五人以下の企業は負担能力がないので免除することにいたしました。
 五、手当は毎月分をその翌月に支給するものとし、受給資格の認定は、都道府県知事が行なう。
 六、本法の施行に伴ない児童扶養手当及び特別児童手当は廃止する。七、この法律の施行期日は四十五年四月一日とする。などであります。
 以上がこの法案の提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#8
○委員長(吉田忠三郎君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(吉田忠三郎君) 国民年金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。斎藤厚生大臣。
#10
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま議題となりました国民年金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 国民年金制度は、昭和三十四年に創設され、同年十一月から福祉年金の支給を開始し、昭和三十六年から本制度の中心である拠出制年金の実施に入り、現在では、被保険者数約二千二百万人、拠出年金の受給者約十三万人、福祉年金受給者約三百十万人を擁する規模に成長しており、被用者を対象とする厚生年金保険と相並んでわが国公的年金の二大支柱を形成する制度であります。その間、昭和四十一年に制度初の財政再計算期を迎え、給付水準の大幅な改善を行ない、夫婦一万円年金を達成したところであります。しかしながら、現行の給付水準は、この数年間の著しい経済成長に伴う生活水準の大幅な上昇により、老後の生活を保障するには不十分なものとなりつつあります。一方、人口構造の老齢化現象、農村における生活水準の急速な向上などの事態に際して、老後の生活保障施策はますますその重要性を増しているのでありまして、これに対する国民の要望もきわめて強いのであります。このため、今回予定されている厚生年金保険の改善にあわせて、国民年金につきましても、本来の財政再計算期にあたる昭和四十六年を待つことなく、その大幅な改正を提案することとした次第であります。
 以下、改正法案の主な内容につきまして、御説明申し上げます。
 まず、拠出制年金に関する事項について申し上げます。
 第一に、年金額の引上げについてであります。
 老齢年金の額につきましては、現行は保険料納付済期間一月につき二百円で計算することといたしておりますのを、一月につき三百二十円に引き上げて計算することといたしております。この結果、二十五年納付の標準的な老齢年金の額は、現行の六万円から九万六千円に引き上げられることになるのであります。
 この改正によりまして、二十五年納付の場合、夫婦で受給する年金の月額は、通常、夫の定額分八千円、今回導入される所得比例分四千五百円、妻の定額分八千円を合わせますと月額二万五百円となり、いわゆる「夫婦二万円年金」が実現することとなるのであります。また、全期間四十年納付の場合では月額三万二千八百円となるのであります。
 なお、昭和四十六年には、国民年金の最初の拠出制老齢年金いわゆる十年年金の支給が開始されますが、資格期間が特例的に短縮されているこの経過的老齢年金の額につきましては、先に申し上げました単なる期間比例計算にとどまることなく、年齢に応じて特例的に加算措置を講ずることといたしまして、この十年納付の場合の年金額を二万四千円から六万円に、月額にして二千円から五千円に引き上げることといたしております。この措置によりまして、明後年には、夫婦で一万円年金が現実に支給されることとなるのであります。
 次に障害年金につきましては、現行法では、二級障害年金の最低保障額を二十五年納付の老齢年金の額にあわせて、六万円と定められておりますが、今回も同様な考え方のもとに、老齢年金額の引き上げに準じて、その額を六万円から九万六千円に引き上げることといたしております。また、一級障害年金の額につきましては、現行は二級障害年金の二〇%増になっておりますのを、厚生年金保険にわあせて二五%増とすることといたしております。
 次に、母子年金、準母子年金の額につきましても、従前どおり、二十五年納付の老齢年金の額にあわせて、子二人を扶養する場合で六万円から九万六千円に引き上げ、遺児年金につきましても、これにあわせることとし、三万円から九万六千円に引き上げることとした次第であります。
 第二に、所得比例制についてでありますが、他の公的年金制度におきましては、保険料及び給付の額が所得に比例する仕組みを設けているのでありますが、国民年金におきましても、今回、これにならうこととし、被保険者の実態を勘案いたしまして、まず、当面はきわめて簡単な仕組みの所得比例制を取り入れた次第であります。なお、これに伴い、政府の行なう所得比例制を代行いたしますと同時に、業種ごとの特殊の要請にこたえる上積みの給付を設計することができるようにするため、厚生年金保険における厚生年金基金に準じた国民年金基金を設立する道を開くこととしております。
 第三に、高齢者の任意加入の再開について申し上げます。
 昭和三十六年に拠出制年金が発足いたしました当時、任意加入する機会を逸した高齢者につきまして、今回、再び国民年金に任意加入する道を開くこととしております。しかしながら、この方々がすでに相当高齢であることを勘案いたしまして、保険料の納付は五年間にとどめております。
 第四に、保険財政について申し上げます。
 第一点は、保険料の額の改定についてであります。今回のように給付水準を大幅に引き上げますと、これをまかなう保険料についても当然相当額に改定する必要があるわけでありますが、今回はさしあたり百五十円程度の引上げにとどめ、四百五十円とした次第であります。なお、この保険料の額は以後段階的に引き上げることとしております。
 第二点は、今回新たに導入されました所得比例制についての国庫負担でありますが、国庫は、その給付に要する費用の二五%を負担することといたしております。
 次に福祉年金に関する事項について申し上げます。
 第一に、年金額の引き上げについてでありますが、昨年の引き上げに引き続き、昭和四十四年度におきまして老齢福祉年金の額を、現行の二万四百円から二万一千六百円に、障害福祉年金の額を、三万二千四百円から三万四千八百円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金の額を、二万六千四百円から二万八千八百円に、それぞれ引き上げることといたしております。
 第二に、夫婦受給制限の廃止等について申し上げます。障害福祉年金と老齢福祉年金を夫婦で受給する場合の支給制限につきましては、すでに昭和四十一年の改正の際に廃止いたしておりまして、今回は、夫婦がともに老齢福祉年金を受給する場合につきましても、その支給制限を撤廃することとしたものであります。これによりまして、現在この支給制限を受けておられる二十八万組五十六万人の方方の年金額が、夫婦で六千円増加することと相なるわけでございます。このほか、所得による支給制限につきましてもその緩和をはかることといたしております。
 次に、経過措置についてでありますが、現に、年金受給中の既裁定年金の額につきましても、本則の改正と同様に引き上げることといたしております。
 最後に、実施の時期につきましては、福祉年金の額の引き上げ及び夫婦受給制限の廃止は、昭和四十四年十月から、高齢者の任意加入の再開は昭和四十五年一月から、拠出制年金の額の引き上げ及び保険料の改定は同年七月から、所得比例制及び国民年金基金に関する事項は同年十月から、それぞれ、施行することといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに、御可決あらんことをお願い申し上げます。
#11
○委員長(吉田忠三郎君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#12
○委員長(吉田忠三郎君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方の発言を求めます。
#13
○中沢伊登子君 先日来、この委員会での質疑をいろいろ拝聴してきて、納得のいかない点がございます。それは、終戦後二十四年も経過をいたしながら、いまなお戦争犠牲者について未処遇のものが相当残されておるということであります。政府は、恩給法や援護法関係はもとよりでございますが、それ以外の戦争犠牲者、たとえば阿波丸、戦犯あるいは抑留者、あるいは警防団、長崎医大の学生の問題、大久野島のガス問題等々の戦争犠牲者についても、早急に戦後処理を行ない、この問題については終止符を打つべきではないかと、このように思います。これは内閣全体の問題として早急にやるべきだと思いますが、いかがでございますか。
#14
○政府委員(実本博次君) 戦争犠牲者のうちで、国との身分関係のあります者、あるいは総動員法のように、法律で国が強制命令を出してその行動をチェックした人たちにつきましては、御存じのように、恩給法または戦傷病者戦没者遺族等援護法等を中心といたしまして、処遇をしてまいっておるところでございます。先生がおあげになりました中で、そういう身分関係のあります者あるいはほんとの特殊の制約関係の対象になった方々以外の、たとえばあげられました阿波丸事件の問題、あるいは学童疎開におきます対馬丸の問題、そういった方々につきましては、別の観点からそれぞれ処遇のできるものはしてまいっておるということでございまして、そういう特殊の観点から措置するものはしてまいっておるわけでございますが、現在恩給法あるいは援護法上の未処遇問題につきましては、先般来、本委員会でもだんだんと御質疑がありました際にお答え申し上げましたように、援護問題懇談会というふうな、援護法に関しましての未処遇問題の処理計画を、その答申の線に従って処理していくというふうに進めてまいっておるわけであります。そういう法的な処遇の対象になります方々以外の犠牲者の問題につきましては、これはもう御指摘のように、戦後二十四年を経た今日におきまして、やはりそれぞれのニードに応じての処遇というものを振り返って考え、そしてここで整理をするというふうな立場に立つべきであるというふうに考えておるわけでございますが、援護法の立場からいたしますものにつきましては別といたしまして、一般戦争犠牲者の問題につきましては、そういうふうな整理が行なわれてしかるべき時期が来ておるというふうに感じるわけでございます。
#15
○中沢伊登子君 この問題は、非常に基本的な問題なので、私は、きょうは総務長官の御出席をお願い申し上げたわけですが、まあ衆議院のほうやその他内閣委員会、いろいろ重要な問題がございまして、総務長官がきょうはここにお出ましになれない、こういうことでございましたので、この問題は、斎藤厚生大臣から、国務大臣としてひとつ御答弁をいただきたいわけでございます。なお、この問題については審議会とか、あるいは審議会ができなければ懇談会、こういうようなものをつくって、もう一日も早く終止符を打つべきだと、このように考えておりますので、厚生大臣から国務大臣として御答弁をいただきたいわけです。そして、そのための予算確保のために最善の努力をしていただきたい、このように考えるわけでございますが、厚生大臣から御答弁いただきたい。
#16
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほどおあげになられました方々に対する援護と申しますか、補償と申しますか、まだ残された問題が相当ございますことは、政府委員から申し上げたとおりでございます。おっしゃいます点、ごもっともに存ずる点も多いと存じますので、総務長官ともよくお話を申し上げまして、なるべく早い機会に戦後処理の完了をいたしたい、かように思います。
#17
○中沢伊登子君 その際に、予算をぜひ獲得するような御決意がおありになりますかどうですか、もう一ぺんお答えいただきたい。
#18
○国務大臣(斎藤昇君) 援護をすべきものと決定いたしましたものにつきましては、予算は十分獲得をいたさなければならないと、かように思っております。
#19
○中沢伊登子君 それでは、次に老齢者対策について御質問申し上げます。
 まず、このたびのこの改正で遺族年金の額は増額されることになっておりますが、この増額措置と恩給法上との公務扶助料との関係はどうなっておりますでしょうか。
#20
○政府委員(実本博次君) 今回の遺族年金等の増額措置につきましては、恩給法の公務扶助料等の増額に準じて行なうことでございまして、今回の恩給の増額は、昨年の三月の恩給審議会の答申に基づく経過措置の一部といたしまして、恩給年額の定額の算定の基礎となります仮定俸給と、それから国家公務員の給与との格差を是正するというために行なうものでございます。援護法におきましても、同趣旨の遺族年金につきましては、従来から恩給法の公務扶助料の例にならって増額することとしてきておりますので、今回も全く恩給法と同様の趣旨で増額する、こういうふうになっております。
#21
○中沢伊登子君 その増額措置の内容を見ますと、現在の遺族年金等の額の別による三段階制がありますね。その三段階制を廃止することはしておりますけれども、それはなぜそのようにしたのでしょうか。今国の措置では、老齢者に対する年金の増額率が他のものに比べて低くなっているような感じがありますが、どのようなことでございますか。
#22
○政府委員(実本博次君) 恩給法におきまして、先生御指摘のように、公務扶助料の額が年齢等によりまして支給の額に差があるということになっておりますのを、恩給審議会の答申といたしまして、それは定額に、一本の額にしぼるべきである、こういう答申が出ておりましたので、その線で恩給法としては一本の額にしぼって改定をする。援護法も恩給法にならっておりますのでそういうふうにならった。ただし、そういったいままでつけておりました格差の解消のために出てまいります優遇を受けていた人たちに対する特別な配慮は同時に考えるべきである、こういうことになっていますが、一応その答申の線の前段を受けて今回の改正の線に出したわけでございます。
#23
○中沢伊登子君 老齢者の厚遇措置を考えるにあたっては、老齢者の実態調査を行なって、そのニードに即応できるような老齢者厚遇措置としての体系的な援護対策を講じていく必要があるのではございませんでしょうか。
#24
○政府委員(実本博次君) お話のように、老齢遺族の生活実態というものをいま調査いたしておりますが、その中で出てまいりますニードを的確に把握いたしまして、現在やっておりますその年金給付というふうな方法で満たされない分野のニードを的確に把握して、それを踏まえまして措置を考えていきたい、かように考えております。
#25
○中沢伊登子君 老齢者対策の一環として、次のような措置を講ずるお考えはないでしょうか。
 その一つは、戦没者の配偶者が遺族年金等を受給している場合、父母等は後順位の遺族年金等を受給できますが、たとえば老齢の父母等についてこの後順位年金等を増額する等の厚遇措置をすること。日本の家庭の現状の中でいろいろなむずかしい問題がございます。また、老齢者はいま働けなくなっておりますし、この辺を考慮して後順位者の五千円から七千円に引き上げはいたしましたけれども、これではなお低過ぎるような感じがしますが、これをもっと引き上げるべきではないか、このように思いますがいかがでございましょうか。
#26
○政府委員(実本博次君) 御遺族の老齢者対策といたしましては、答申の趣旨に沿ってそのような措置を進めてまいりたいとは思っております。ただ、お話のように、後順位年金の増題の問題、今回もこの改正で出しておりますが、その線もだんだんと後順位年金そのものとして意味を持つ額に進めてまいりたいと、かように考えております。
#27
○中沢伊登子君 軍人の父母等で――現在公務扶助料を配偶者が受給しておりますね。その者と生計関係を有しないため、すなわち別居しているために公務扶助料の加給対象とならずに、かつまた、軍人恩給の復活した昭和二十八年当時、六十歳未満であったために、後順位の遺族年金の受給権をも有しない者にも後順位の遺族年金を支給することを考えることはできませんでしょうか。当時六十歳未満であった人たちはもうすでに七十歳をこえております、ほとんど五〇%以上が。たとえばこういう例を私は聞いているわけです。若い奥さんと老夫婦が仲たがいをした、全然別居をしているわけですね。そうすると、老父母に扶養加算というのが来ないわけですね。実際に墓守をしたり、お位はいをお守りをしているのはその老父母なんです。ところがその老父母に全然扶養加算が来ない、これは実情に合わないではないか、こういうような話がずいぶんあちこちで聞かれるわけです。また陳情を受けるわけです。そこで先ほどのような質問を申し上げたわけですが、この辺のお考えを承りたいと思うわけです。
#28
○政府委員(実本博次君) お話の点、ごもっともでございまして、恩給法の公務扶助料の出し方といたしましては、そういうふうな不便があるわけでございますが、援護法におきましては、後順位年金ということで、妻との生計維持関係がない父母に対しましても、独立しての後順位年金を差し上げているわけでございます。お話のように、恩給法施行当時に六十歳未満であった方々については、まことにお気の毒なことでございます。この問題につきましては、援護問題懇談会にもおはかり申し上げましたところ、そういう方の処遇は援護法でやれというふうな御意見も出てまいっておりますので、その線に沿いまして改正の運びにいたしたいと、かように考えております。
#29
○中沢伊登子君 その遺族も、だんだん老齢化してまいりますと、いろいろな具体的な問題が起こってくるわけですね。たとえば戦傷病者相談員というのがございますけれども、それにならって遺族相談員というものを置く考えはございませんか。たとえば病気になったときの入院のことやなにか、十三日も水を飲んだままで寝ていたというような話も聞いておりますし、入院のことやあるいはホームヘルパーの世話の問題あるいは年金額が上がったときも、それをうっかり知らないということもありますので、そういうことの手続やあるいはまた老人ホームに入るときの世話など、いろいろなそういう具体的な問題が起こってまいりますから、それの相談に乗ってやるための相談員を置くことが必要ではないか、このように思います。
#30
○政府委員(実本博次君) そういう御遺族につきましての御要望は、実はたくさん出てまいっておりまして、現在、そういう方々は、民生委員さんあるいはもっとそういう人たちに関係のある相談相手といたしましては、戦傷病者の特例法に基づきます戦傷病者相談員のほうに相談に参っておる方々もありますが、やはり御遺族特有のニードの相談相手として、おっしゃるような相談員は置いてまいりたいというふうな方向で検討をいたしておるところでございます。
#31
○中沢伊登子君 その戦傷病者の相談員というのは、どのくらいあるのでしょうか。
#32
○政府委員(実本博次君) いま全国で約七百二十人ということでございます。
#33
○中沢伊登子君 その人たちの給料というのは、どのくらい出ておるのでしょうか。
#34
○政府委員(実本博次君) これは、常勤の職員ではございませんので、全く民生委員さんと同じような、ボランティアとしてのサービスということで、その実費弁償として月額五百円手当を差し上げております。
#35
○中沢伊登子君 そういう世話係ですね。そういうのは、それは確かにボランティアの精神を持たなくてはいけませんし、また持っておる人もおるわけですけれども、言うならば、最もたいへんな仕事ですね、いやがられる仕事。それに月額五百円くらいの実費弁償ということでは、ちょっとあまりにも非常識じゃないか、このように思います。今後こういうふうな老齢者が多くなればなるほどこのような人は必要なものですから、もっと給料を上げたらどうかと、このように私どもは希望するわけですね。それから特にホームヘルパーですね。ホームヘルパーというのは、どれくらいの給料を払っておるのでしょう。それはきょうはわかりませんですか。
#36
○政府委員(実本博次君) ホームヘルパーの問題は、社会局の所管でございまして、ちょっといまどの程度の手当を差し上げておるか、的確な資料がございませんので……。
#37
○中沢伊登子君 非常勤であっても、その相談員はもう少し予算をとって、月五百円や千円ではなかなかむずかしいのじゃないでしょうか。そういう相談員をたくさん獲得するためには、やはり人並みの、あまりおかしくない給料を差し上げるようにもう少し努力していただきたいと思いますが、その辺の御決意はどうですか。
#38
○政府委員(実本博次君) いまやっていただいております戦傷病者相談員といいますのは、先ほど申し上げましたように、常勤の公務員ではございません。非常勤の公務員でもございませんで、実は戦傷病者の方々が、戦傷病者仲間でめんどう見る、こういうかっこうになっておりまして、全くほんとうに自発的に仲間同士で仲間の世話を見る、こういうかっこうになっておりますので、給料ということでなくて、ほんとうに弁当代といいますか、そういう意味で差し上げておるのでございますので、そういう弁当代の高はなるべく物価に応じて上げていきたいとは思っておりますが、一般的な給料というような意味での上げかたをしていくとか、処遇をしていくとかいう趣旨の制度のものでございませんので、その点御了承願いたいと思います。
#39
○中沢伊登子君 それでは、その次に障害年金等の不均衡の是正についてお伺いをいたしますが、この障害年金等の不均衡というのは、どんな不均衡があるのですか。
#40
○政府委員(実本博次君) お話の点の不均衡というのは、恩給法におきます増加恩給あるいは傷病年金と、それから援護法におきます障害年金との不均衡の話だと思いますが、恩給におきます場合には、第五款症の障害を有する者だけ支給されておりますが、援護法の場合には第三款症という、款症の程度が高いところでとめられておる、こういう不均衡がございます。それから障害年金の加給が七千円の定額でございますが、ただいま審議を願っている改正法案におきまして、第一款症以上の障害年金を受給する者に対しましては、恩給の扶養加給に準じまして、その扶養親族の数に応じて加給を行なうというふうに、これもこの差の是正はしてまいりたいということになっております。なお、恩給法では、第二款症以下の障害者であっても、その方に妻があります場合には扶養加給の対象となっている、こういうふうな現状でございます。
#41
○中沢伊登子君 戦傷病者の妻に対する特別給付金ですね、これも第五款症の障害年金受給者の妻まで支給すべきではないかと思いますが、その辺はいかがですか。
#42
○政府委員(実本博次君) お示しのように、現在は第三款症の障害を持っておる方の奥さままでに給与金を差し上げるということで、いま御審議いただいております法案の中にその改正が行なわれております。それをいま先生は五款症までというふうにおっしゃいますが、その点は先ほど申し上げましたように、御本人に対します年金支給が第三款症までになっておりますので、これもやはりまず五款症まで下げて支給するという対象範囲の拡大を行ないまして、そのあとでその妻に対します分も検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
#43
○中沢伊登子君 それでは、次に準軍属の処遇改善について、軍人軍属と準軍属の処遇には格差があるようでございます。これを是正すべきではないかと思いますが、その点はいかがでしょう。
#44
○政府委員(実本博次君) 準軍属は、国との身分関係あるいはその勤務の態様等におきまして、軍人軍属と異なる面がありますので、処遇の面である程度の差ができておるということは、しかるべき理由があってのことであるというふうな従前の考え方で推移してまいっております。しかし、準軍属にかかります年金額が軍人軍属にかかる年金額の七割相当程度の額であるという現状が、はたして絶対的に適当であるものかどうかという問題につきましては、いろいろ議論のあるところでございます。今後ともそういう差のあり方につきまして検討してまいりたいと、かように考えております。
#45
○中沢伊登子君 それでは、次に遺骨の収集について御質問を申し上げます。昭和四十三年度までにおける海外戦没者の遺骨の収集状況、あるいはまた今後の計画はどのようになっておられますか、お伺いいたします。
#46
○政府委員(実本博次君) 海外におきます戦没者の遺骨収集は、政府派遣団によりまして、昭和二十八年から三十三年にかけまして、共産圏地域を除く主要戦域について実施いたしてまいったところでございます。しかし、この遺骨収集は、広範な地域に対しまして限られた人員と日数をもって行なったものでありまして、その後これらの地域から未処理の遺骨が発見されるような事態が出てまいりましたので、政府といたしましては、昭和四十二年度以降、従来の遺骨収集を補完するため、新たな計画に基づきまして、重点地域について最終的な遺骨収集を実施することといたしまして、すでにフィリピン、マリアナ諸島等について相当の遺骨収集の成果をおさめてまいっておるところでございます。本年度におきましても、東部ニューギニア及びフィリピンの末収骨地区につきまして実施いたします予定でございます。このほか、現に小笠原諸島の硫黄島につきましては実施中のところでございます。
 なお、明年度以降におきましては、引き続き実施の地域につきまして、当該国とも交渉の上、計画的に遺骨収集計画を推進してまいりたいと、かように考えております。
#47
○中沢伊登子君 この遺骨収集については、遺族がもう待ちきれなくて、自分でも出かけていこうか、自費でもやってみようか、こういうような人たちも出てまいっておる現状でございますから、その遺族の心情を十分に察して、一日も早くこれを片づけなければ、たとえばジャングルなんかにあった遺骨なんかも、非常に大雨があったりなんかすると、そういう遺骨がどんどん流れたり、くずれたりしていくわけですね。なかなか費用もかかることでしょうし、人の問題もあり得るかと思いますけれども、遺族の心情を察して、これを一日も早くやっていただきたい、このように思います。ぜひひとつやっていただきたいと思います。
 それから最後に、未帰還者について伺います。未帰還者の状処はどうなっていますか、その辺を知らしていただきたい。
#48
○政府委員(実本博次君) 昭和四十四年の三月一日現在の未帰還者は、数字で申し上げますと、四千三百四十六名ということになっておりまして、その内訳を申し上げますと、ソ連地域が四百十名、それから中共地域が三千四百八十七名、それから北朝鮮地域が百三十四名、それから南方諸地域が三百十五名というふうな状態になっておりまして、主として中共地区に集中いたしております。
#49
○中沢伊登子君 中共地区は、調査はまだむずかしいのですか。
#50
○政府委員(実本博次君) 未帰還者に対しますこれまでの調査の方法といたしましては、その未帰還者の最後の消息があった場所が国交のある国の場合につきましては、その国にございます在外公館等を通じましていろいろ調査をいたしてまいっておりますが、国交の開かれておりません国々につきまして、特に中共地区につきましては、そういう在外公館ルートが通じませんので、赤十字その他の民間団体のルートでもっていろいろ調査をいたしておりますが、なかなか思うような、こちらが期待するような調査の結果が出てまいらないということで、実は御心配をいただいております。
#51
○中沢伊登子君 この四千三百四十六名の消息はあるということですね。まだ生きてはいるということでございますね。
#52
○政府委員(実本博次君) この四千三百四十六名の中で、お話しのように消息があるというものと、それから過去七年以来全然たよりがないというもの、大体三分の二程度が消息がありますが、三分の一の者はほとんど消息がないと、こういうふうなことで、その生存が危ぶまれる。ほとんど希望が持てないというようなものは、三分の一程度の方々がそういう状況になっております。
#53
○中沢伊登子君 過去七年以来その消息があるという、その三分の二くらいの人ですね。こういう人に一日も早く帰還のできるような方法を講じて帰ってきてもらう、こういうことはできますか。
#54
○政府委員(実本博次君) 国交があります国につきましての活動と、それから国交のない国につきましてのそういう方々に対する調査活動とは、先ほど申し上げたように差があるわけでございますが、ない国につきましても、人道上の問題でございますので、あまりそういう外交上や、政治上の問題に制約をされるべき問題でないので、そういう面での努力はねばり強く続けてまいりたいと考えております。
#55
○中沢伊登子君 遺族の心情を察して、残っている人の御家庭の人たちの心情も察して、できるだけ早く帰れる者は帰す、こういうふうな手続をとってあげるようにしていただきたい。このことを要望して、私の質問を終わります。
#56
○大橋和孝君 それでは、私、ちょっといままでに議論をされていなかった問題を二、三点取り上げて、同時にまた、私の援護法に対する考えを申し上げまして、厚生省の考え方をただしてみたいと思います。
 この中で、先ほどからお話が一部出ておりました、公務扶助料及び遺族年金の増加は、中途で年齢によって年額に階段が設けられたのでありましたが、今回の改正では、年齢によっての格差はなくして、同一の年金額となって、国家補償の精神に基づくところの本来の援護措置となったことは当然であろうとは思いますが、しかし、この中で一言だけお伺いをしたいのは、従来から老齢者に対しましては特別な格差を設けてやってきた経緯にかんがみますと、老齢者加算というものを設けよとの要望が非常にあるわけでありますが、これに対して一体どう考えておるか。
#57
○政府委員(実本博次君) この点につきましては、恩給審議会の答申も触れておりまして、従来とってきた三本て立を一本立てにするために生じます老齢者等に対する措置は考えよ、こういうことになっております。これは恩給法の問題といたしましても、おそらく次の機会に、その是正措置をとることと思いますが、その方法にしたがいまして援護法もそういう措置をとってまいりたい、かように考えております。
#58
○大橋和孝君 この点は、特にひとつ配慮していただきたいと思います。
 それから、障害年金の加算のほうでありますが、今度は逆に現行の障害年金の加算加給は一率加給であったのを、今度の改正で扶養親族の数に応じて加算することにされたわけですね。これは前からやられた処置を、今度は反対に階段を設けたわけであります。障害年金受給者の扶養家族の実態をほんとうに把握しているのかどうか。第一点として伺いたい。
 同時にまた、障害年金受給者で扶養家族のない者、こういう者は現行から比較すると非常に手薄くなっているわけです。手当の額が減っているわけであります。こういうものに対するいろいろな要求があるのでありますが、これに対してどう対処されるか。この二点について伺いたい。
#59
○政府委員(実本博次君) 第一点の障害年金の加給を受ける方々の受給者の実態でございますが、これはこの制度が発足いたしました当初、大体平均一・五人の被扶養家族数であったわけでございますが、それが現在軍属につきましては三・五人、準軍属につきましては三・七人というふうなふえ方をしてまいっております。したがいまして、発足当初一・五人と申しますと、ちょうど一人四千八百円といたしまして、一・五人分で七千二百円の加算を一律にしてまいったわけでありますが、現状といたしましては、先ほど申し上げましたように、被扶養者の数がふえてまいっておりますので、数に応じた扶養加給をつけるほうが実態に即しているということで、今回の改正に踏み切ったわけでございます。なお、これは援護問題懇談会からもそういう意見が出てまいっておりまして、援護法においても、恩給法でやっておりますように、被扶養者の数で加給額をきめるべきであるというような答申の線に沿って今回の措置に踏み切ったわけであります。
 それから第二点の扶養加給のもらえない者、つまりひとり者の方々については不利になるのではないかというお尋ねでございますが、今回の改正によりまして、すべてベースアップが行なわれまして、一番少ない上がり方をする方でも八千円ということになっておりまして、実額の補償ということは十分考えながら今回の措置に踏み切ったわけでございます。
#60
○大橋和孝君 非常に差が出てくるわけでありますから、こういう点も将来はぜひ考えてもらわなければならない。幾らかの増額になってはいるけれども、差は非常に大きくなるわけですね。やはりアンバランスをなくするという考え方からいけば逆行しているわけですから、こういう点は大きな問題じゃないかと思いますから、特に注意してもらいたいと、こう思います。
 それからもう一つは、先ほど中沢委員のほうからも話が出ておりましたが、障害年金の受給の範囲を――これは最後のところを私はちょっと聞き漏らしたのですが、これは相当考慮してもらわなければいかぬ点じゃないかと思うのですが、これは相当考慮するということで踏み切ってくれているのですね。それだったらけっこうです。
#61
○政府委員(実本博次君) その方向で検討いたしております。
#62
○大橋和孝君 それから今度は準軍属の処遇についてでありますけれども、広島、長崎の原爆による被害者、これは言うまでもなく、非常に戦地以上の、ことばに絶するような惨状であった。それで、戦争末期における内地はちょうど戦地とちっとも変わらない状況で、あるいはより以上きつかったかもしれない。こういう点から考えますと、戦後二十四年を経過しました今日、国民の感情からいっても、こういう援護法における学徒動員等でやっておる準軍属の処遇、これはどうしても同一に取り扱うべきだと思うのであります。これは強く関係方面からも要請が来ておるわけでありまして、厚生省のほうで十分御案内だと思うのでありますが、この問題について特に配慮をしてもらいたいと思うのでありますけれども、それについての決意のほどをひとつ聞いておきたいと思います。
#63
○政府委員(実本博次君) 準軍属の処遇の問題、先ほど中沢先生からもお話がございましたけれども、これは同じく公務でなくなっておるわけでございますから、現在の軍人、軍属の処遇の差が適正であるかどうかという問題につきましては、いろいろ検討を加えてまいりまして、適当な線で処遇されますように努力してまいりたいと、かように考えております。
#64
○大橋和孝君 特にその差のないようにひとつ努力してもらいたいと思います。
 それから、今度は旧防空法による防空監視隊の隊員を戦傷病者の範囲に加えられたが、防空従事者のうちでも特に技能者、たとえば医師だとか、看護婦、その医療従事者が何らいま措置されていないわけでありますが、これはどういうわけかと思うのであります。これらの人の実態はどのくらいであって、それを把握しておられるのだったら、これに対してどうされるのか、このことの考え方を一ぺんはっきりさしていただきたいと思います。
#65
○政府委員(実本博次君) お尋ねの旧防空法によります特殊技能者、医師、看護婦さん等の方々でございますが、防空監視隊員とはその性格、勤務の態様等において異なる面がありますし、またその死亡等の実態も把握することが非常に困難なものでございました関係上、今回の処遇からは除外した結果になっておりますが、今後とも引き続き調査を行ないまして、その取り扱いについて検討する所存でございます。
 なお、いままでの調査によりますと、約五百人程度の方々がこういう犠牲者であるというふうに把握いたしております。
#66
○大橋和孝君 数からいってもそうたいしたことじゃないわけでありまして、こういうものを落としておくのじゃなくて、ぜひこれはひとつ入れていってもらいたい、こういうふうに思います。
 それから、今度は軍人、軍属で死亡した人で、公務性の立証困難な者の遺族に対しましては遺族一時金が支給されるが、これを準軍属の遺族にも私は適用すべきじゃないか、こういうふうに思います。これは戦傷病者戦没者遺族等の援護の問題に関するあれは援護懇談会ですか、こういうようなものがあるわけでありますが、その報告の中にもこれは出ているはずであります。そういう観点からして、こういう準軍属にも当然適用すべきじゃないかと思うのですが、この点についてもひとつ明確にしておいていただきたい。
#67
○政府委員(実本博次君) 準軍属の処遇改善の問題といたしまして、今回は勤務関連の準軍属の方々についての特例年金を法改正で出しておりますが、いま先生がお話しの面につきましても、それが済みまして、懇談会からの報告が出てまいっておりますので措置してまいりたい、かように考えております。
#68
○大橋和孝君 それから閣議決定に基づいている分はもうやられておると思うのですが、閣議決定に基づかないで、それ以前に村をあげて満州開拓に出たりした人々があるわけですが、そういったものについては援護上の処置がしてもらえてない。これについてしてもらいたいという要望が非常にあるわけですね。これにつきましては、どうお考えになりますか。
#69
○政府委員(実本博次君) お話は、満蒙開拓団員のことだと思いますが、この関係は、援護法は、大体日華事変が始まって以降の犠牲者についての適用期限になっております。それ以前の問題につきましては、ちょっと援護法の問題としても困難でございますが、日華事変以降の方につきましては、この満蒙開拓団員としてではなくて、戦闘参加者ということで、開拓団員なんかで犠牲になられた方々につきましては、その観点から処遇いたしておるわけでございますが、満蒙開拓団員そのものといたしましては、国との身分関係あるいは特別の強制関係がなかったというものでございますので、国家補償の精神に基づいた援護というものを行なう趣旨のものでないというふうに割り切っておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、現実に戦闘参加の要請があって、その要請に基づいて犠牲になられた開拓団員の方々につきましては、これはその面からの処遇をいたしておるところでございます。
#70
○大橋和孝君 それはちょっと、割り切っていると言うから割り切ったのかもしれませんけれども、やはり満蒙の開拓団で行ったその状態は、閣議決定による前でも受けた実情は同じことになっておるわけですね。だからして、これはまあ内地で言えば、爆撃されたときと同じことになると言えますけれども、そこまで拡大していくべきであって、当然悲惨な状態でもってなくなっている人はたくさんいるわけでありますから、私は、これも含めてもらいたい。それぐらい拡大していかなければ、実際それが行かなければそういう被害は受けなかったであろうし、また、それはむしろ国からの要請がなくても、あったと同じような状態に置かれているわけですから、特に内地よりはそこまで行ってやってた人のほうがもう少し一段と高いわけであります。そういうことで、これは内地で爆撃を受けた人も同じように国の責任である程度すべきだという考えを私ども持っているわけであります。それより一歩前に、満蒙においてはそういう条件で縛られておってそうなってしまっておるわけでありまして、その決定前であっても、決定後とあまり変わりはないわけですね。紙一重のところですから、これは当然配慮してもらいたいと思います。この点については特に考慮してもらいたいと思うのですが、あまり割り切らでないで、そこのところひとつ考慮してもらう余地はあるのですか、ないのですか。
#71
○政府委員(実本博次君) 開拓団員は、全くもう援護法の対象になじまないのですが、その前の青年義勇隊員のほう、満州開拓青年義勇隊員のほうは、これは一つのそういう閣議決定に基づきます実際上の勧奨に従いまして行かれた方、しかも青年義勇隊員という一定の隊員として縛られた中での行動、その中での犠牲ということにつきましては、これは考えなければならないということで、現在とっております昭和二十年八月九日以前の方々について、いま検討いたしておるところでございますが、開拓団員のほうは全くそういう隊、組織から離れまして、自由に入植した自由人であるというふうな身分関係でございますので、これは援護法なり、恩給法なりというふうな国家補償の対象としてなじまないものでございますので、いまのところ、満州開拓青年義勇隊員の八月九日以前の犠牲者について検討いたしておる、こういう現状でございます。
#72
○大橋和孝君 特にそういう点については、いろいろ解釈の点もあろうと思いますけれども、そういうふうな紙一重のところは拡大解釈をすることによって初めてそれが十分できると思いますので、この点については特に配慮をしてもらいたい。
 それから私、最後にちょっと――いろいろ質疑が行なわれましたが、もう戦後も二十四年を経過しておりますので、この点についていろいろ審議をされましたものを取りまとめて考えてみますと、やはりこの二十四年を経過した今日、未処理のものは、これを一挙にひとつここで解決をするというかまえを見せてもらわなきゃならない。そういうためには、どうしても予算の確保をしてもらわなければできない問題でありますからして、その予算の措置を含めてこれをひとつやってもらいたい、こういうふうに思うわけであります。
 特にこの中で議論をされました問題は、このいわゆる公務死の特に故意または重過失の認定に際しましては、戦没当時の事情を十分しんしゃくして、その立証については弾力的な運用に配慮してもらいたい、これが一つの意向であります。もう一つは、扶養するすべての子が死没した親に対する遺族年金なんかについても改善をはかるほか、受給者の老齢化に対する対策をやってもらわなければならない。こういうふうにしていろいろいままで質疑をされておりますので、この質疑の中を十分にくみ取ってもらって、そうして私はここで予算措置をしながら、この二十四年もたっておる現今、ひとつここらで全部が解決がされるという解決策を講じてもらいたいと思うわけです。
 そこでこの援護法ができましてから紆余曲折、いろいろな法律が一ぱいつくられてきまして、非常に積んだりくずしたりという状態でありますので、ここでもうしっかりと、大臣のほうにおかれましても、終止符が打てるような十分な解決をはかってもらいたい。同時にまた予算措置をしていただきたいということで今度はひとつ徹底的なかまえをもって処理に当たっていただきたい、こういうふうに思うわけでありますが、大臣の御意見を聞いて私の質問を終わります。
#73
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほどから中沢さんや、大橋さんからいろいろ御意見がございました。政府委員からもお答えをいたした次第でありますが、衆参両院を通じまして、まことに適切な御意見がございました。中でも予算の獲得、未処遇者の完了というようなことにつきましては、できるだけ来年度でも終了をするというような気がまえで努力をいたしてまいりたい、かように思いますのでよろしくお願いします。
#74
○委員長(吉田忠三郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#75
○委員長(吉田忠三郎君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#76
○委員長(吉田忠三郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#77
○委員長(吉田忠三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#78
○大橋和孝君 附帯決議案を提出いたします。
    戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を
    改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の各事項について、格段の努力を
 払うべきである。
     記
 一、過ぐる大戦後二十四年を経過した今日、な
  お戦争犠牲者で未処遇のものについて、早急
  に解決すること。なお、そのための予算確保
  について更に努力すること。
 一、公務死における故意又は重過失の認定にあ
  たっては、戦没当時の事情を参酌して、弾力
  的運用を配慮すること。
 一、扶養する子のすべてが死没した親に対する
  援護措置について改善をはかるほか、受給者
  の老令化に対処する対策について検討をする
  こと。
 一、動員学徒等準軍属の処遇について、軍人軍
  属との格差を解消すること。
 一、満州開拓青年義勇隊員であった者につい
  て、昭和二十年八月八日以前における障害及
  び死没に対する援護措置を講ずること。
 一、国債交付による特別給付金及び特別弔慰金
  については、その実額を保証するよう措置を
  講ずること。
 一、未帰還者の調査及び遺骨収集を積極的に推
  進すること。
 一、戦傷病者に対する障害年金の加給について
  は、扶養家族がいない場合も適正な措置を講
  ずること。
 一、旧防空法関係犠牲者の援護については、さ
  らに検討するとともに、すみやかに改善をは
  かること。
 一、戦没者の妻に対する特別給付金の支給の基
  準時について、実情に則するよう措置を検討
  すること。
   右決議する。
 以上であります。
#79
○委員長(吉田忠三郎君) ただいま述べられました大橋和孝君提出の附帯決議案を議題といたします。――別に御質疑もないようでございますので、これより本案の採決をいたします。
 大橋和孝君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#80
○委員長(吉田忠三郎君) 全会一致と認めます。よって、大橋和孝君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、斎藤厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。斎藤厚生大臣。
#81
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま決定せられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、今後一そう努力をいたしたいと存じます。
#82
○委員長(吉田忠三郎君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○委員長(吉田忠三郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#84
○委員長(吉田忠三郎君) 次に、社会保障制度等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方の発言を求めます。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#85
○委員長(吉田忠三郎君) 速記つけて。
#86
○藤原道子君 私は、最近の保育所の問題、保母さんの処遇に対しまして若干御質問したいと思います。
 最近働く婦人の増加は目ざましいものがございまして、保育所の必要性は言うまでもなく、特に乳児保育所が非常に要望されております。ところが、これが非常な不足でございまして、どちらへ行ってもその悩みを訴えられております。したがって、これは可及的すみやかに要望にこたえるというような答弁をいままでしばしば伺っておりますが、来年度はどれだけ予定しているか。また、現在、乳児保育所はどのようになっているかということをまず最初にお伺いしたいと思います。
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
#87
○国務大臣(斎藤昇君) 乳児保育所は、御承知のように、非常にむずかしい問題であり、保育としてはたして今後大いにやっていくべきかどうかという問題はあるわけでありますが、しかしながら、実際問題として乳児を保育してもらいたいという要請が強いわけでありますから、したがいまして、できるだけその要請にこたえてまいりたいと、さように考えておるわけであります。今年は、そういう意味で予算は、率直に申しまして、十分にはとれませんでした。若干でございますけれども、今後その趣旨に沿うて増してまいりたい、かように思っております。
#88
○藤原道子君 今年はあまりとれなかったけれども、来年度は強い要望にこたえてぜひともこの点は要求が通りますように、ということは、日本の高度成長をささえているこの中で婦人の果たしている役割りは大きいと思います。乳児は母親が育てるのが一番いいと言われますが、それができないところに問題がある。それならば、よりよき方向を念願するのは当然でございまして、乳児保育は緊急な課題と思いますので、ぜひとも大臣の御努力をお願いしたいと思います。
 それから、保育所の増設とともに、保母さんの増員が問題になっております。この問題はどうもあまり進んでいない。特にいま大きな問題になっておりますのは保母の処遇であります。その改正にあたりまして、公務員並みというようなことで号俸の決定がなされたわけです。ところが、これによりますと、施設長とか、主任保母さんは若干プラスになりますが、一番肝心な保母さんの処遇が、四十六年度になりますと非常にダウンしてくる、一号分ダウンする。こうして収入も千三百十八円がマイナスになるわけです。私はいまの時勢に待遇が低下される、所得が減ってくる、こういう決定がなされましたことに納得がいかないわけです。これに対して保母さんの研修会とか、また過日は超党派の婦人議員懇談会がございまして、そこへも児童家庭局長にお出ましを願いましていろいろ質問が出ましたが、局長は今年度中に是正をして、来年度はこれを一号俸くらい上げたいような御意思を発表されておる。はたしてそれができるのか、どういう方法でおやりになるのかということを、非常に重大な問題でございますので、幸い大臣から直接に御答弁が願えることは、私、しあわせでございます。どうか全国の保母さんたちも非常な心配をいたしておりますので、ひとつその方針についてお伺いいたしたいと思います。
#89
○国務大臣(斎藤昇君) 保母さんのみならず、施設に働く方々の処遇を改善をし、充実いたしますことは、昨今の事情にかんがみて、非常に緊要であると、かように考えまして、できるだけ三年間にその処遇を改善をいたしたい。そのためにいわゆる措置費の計算の基準になりまするものを、三年間で大体公務員並みの給料の支払えるような、そういう基準をつくろうということで厚生省と大蔵省で作業をいたしたわけでございます。御指摘のように、特に保母さんの処遇は非常によろしくないということで、私も、保母さんの処遇の改善というものは、これは重大だと、かように考えて指示いたしておったわけでございます。予算の編成が終わりまして後に、よく最後にセットしたものを聞いてみますと、いまおっしゃいますようなところが私の目にも入りまして、
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
 これはどうもよろしくないではないか、他の施設に働いておる保母さんとまた基準が違うということも、まことにおかしい。さっそく大蔵省とお話をして、予算は一応決定したけれども、何とかこれは筋が通らない話だから、ひとつ折衝をし、協議をするようにということで、ただいま折衝をいたしておりますので、本年内にはぜひこれを解決をいたしまして、御指摘のようなことのないようにいたしたい、私自身そう思って指示をいたしておるわけでございます。おそらく事務当局間で話し合いはつくものと思いますから、つかなければまた私も交渉に当たりたいと思います。
#90
○藤原道子君 大臣からいまのお答えがございましたが、全国の保母さんたち非常に心配なので、局長にもいろいろな場所で御説明はいただきましたけれども、さらにその確約が私この場でほしいわけであります。この間の局長のお話によりますと、無資格者が保母さんの中にある。これを込みで計算したからこうなったんだ、こういうことでございましたが、こんなばかげたことはないと思うのです。そこに無資格者を認めて入れているから有資格者まで込みでこういうことをされるという、その計算の基礎もおかしいと思います。いま大臣からもそういうことのないように、年度内にはやる、事務当局が交渉しているから相当煮詰まったものと思うということでございましたが、さらに局長からこの点を聞きたいことが一つ――時間がないからあらましだけなんです。それと同時に、無資格者を将来このまま認めておいでになる方針なのか。大事な子供さんを預かるわけでございますから、将来無資格者はなくしていくのでなければ、いつまでもごたごだが絶えない。これに対しての考え方をひとつ伺いたい。現在一四%くらい無資格者がいるということでございますが、これを解消して、保母の位置づけをはっきりとしてもらいたいと思います。
 それから、もう一つは、保母が非常に必要になってきますが、保母の養成計画というようなものをひとつこの際聞かしていただきたい。
#91
○政府委員(渥美節夫君) 第一点の実態調査によりますところの結果によりまして、職員の処遇改善につきまして、毎年給与を改善しているところでありますが、保母の格づけが一号俸下がっておる、三年後でございますが、その点につきましては、大臣からも強い御指摘もございましたし、私自身といたしましても給与改善の予算化を実現するためにやむを得ない措置であったと、その当時は思ったのでございますが、そういうわけにいかないというふうなこともございまして、いま大臣がお答え申し上げましたように、この点につきましては、保母の今後の士気にも関係があるというふうなことで、最大の努力を払いまして、できるだけすみやかな機会に、三年後ということでなしに、年度内でもこの格づけの是正をはかりたい。目下懸命な努力をしておるわけでございます。大蔵省の関係の向きにおきましても、その点については、十分好意的に御配慮をいただいておると存じておりますが、まだ確定的な段階に至っておりません。しかしながら、最善の努力を払って、大臣の御答弁のような方向に進んでいきたい。かように思っております。
 それから、第二点の無資格の問題でございますが、実は実態調査の際におきましては、約一四%の無資格の保母がおったのでございますが、これは実は数年間この無資格の状態がだんだんと逓減しておることは事実でございます。したがいまして、この一号俸格づけの改善を行なうということ自体におきましても、無資格者の解消には非常に役に立つ、かように思っております。と同時に、私ども事務当局におきましても、毎年、保母養成所の数を二十校ないし三十校くらいふやして、その養成に当たるということとともに、都道府県の行ないまするところの保母試験におきましても、県によりましては、従来、年一回というところもございましたのですが、これをともかく少なくとも二回以上やって、保母の確保につとめる、かように指導しておるところでございます。したがいまして、無資格の保母さんにおきましても、こういった機会を十分に活用されるようにして、その無資格の状態を解消するということに進んでまいりたい、かように考えております。
#92
○藤原道子君 それからもう一つ。いままでどこの給与改定でも、現在よりダウンをする格づけなんというのはおかしいと思うのであります。保母さんの仕事の内容からいきましても、非常な問題だと思いますので、この点今後大蔵省も折衝に応じまして年度内に――どうも局長のいまのおことば、少しこの間の話よりも弱いように聞こえますので、年度内にこの点を解消してほしいと思いますが、いかがでございましょうか。
#93
○説明員(辻敬一君) 保育所職員の処遇の問題は、御指摘のとおり、重要な問題でございますので、四十四年度予算におきましても、その給与改善のために、特に十二億六千七百万円という金額を計上いたしておるところでございます。ただいま御指摘の問題は、措置費の積算の基礎となります給与単価の問題でございまして、厚生省、大蔵省、自治省、三省共同の実態調査の結果に基づきまして算出した単価なのでございますが、この格づけによりまして、個々の保母さんの給与の格づけが現実に規制されたりあるいはまた給与の引き下げが行なわれるというような性格のものではございません。しかしながら、この点につきましては、厚生省とも相談をいたしまして、予算執行上の問題といたしまして、検討してまいりたい。かような考えでおります。
#94
○藤原道子君 個々の問題ではないといっても、現実には保母の給与がこうなることは事実です。ですから、私は、厚生省だって有資格者と無資格者を分けて規定づけるべきだと思う。これは込みでやるからこういうことになる。私はその点非常に不満でございます。でございますから、大蔵省もこの点お考えいただきまして、なるべく早急に……。保母さんたちにはプライドもございます。いま、こんなに骨を折って働いていて給料を下げられるなんというべらぼうなことはございませんので、早急な是正を大臣お願いいたします。いかがですか。よほどしっかりしてくれなければだめです。
#95
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほど申し上げましたとおりでございます。
#96
○藤原道子君 それから、このごろたいへんお母さんたちの仕事場の関係で、お迎えにくるのがおそくなる傾向があるのですね。ですから、保母さんが非常に過重労働になっているのです。こういうところも十分お考え願いまして、非常に過重労働になるところは交代して時間の延長をはかるとかなんとかしなければ、そういうことが全部保母の過重労働で済まされていくということは非常に問題だと思いますので、この点もひとつ考慮してほしいと思いますが、いかかでございますか。
#97
○政府委員(渥美節夫君) 御指摘のとおりと思います。したがいまして、これも毎年給与の改善とともに、保母さんの受け持つ児童の数を減らしていくということも一つの大きな方法でございますので、その改善につとめてまいりまして、本年度におきましては、三歳児の保育につきましては、保母さん一人につきまして、従来二十五人の子供を持っていたのでございますが、これを二十人の子供を受け持つというふうに改善したところでございますし、また、特に社会的な要望が強い乳児保育というふうな制度も起こしまして、このような保母さんの就業条件の改善に進んでまいりましたが、さらにこういった点につきましても努力してまいりたい、かように思います。
    ―――――――――――――
#98
○藤原道子君 その点につきましては、児童福祉法の精神にのっとりまして、万遺憾なきよう今後の努力をお願いいたしておきます。
 時間の関係がございますので、保母さんの問題は次回に譲ることといたします。
#99
○藤原道子君 私は、この際食品問題について御質問をいたしたいと思います。
 まず、厚生省設置法第四条には、厚生省は国民の保健に関する国の行政事務及び事業を一体的に遂行する責任を負う行政機関である、こう規定されております。そこで、私がお伺いを申し上げたいと思いますのは、最近、食生活の高度化と食品の多様化で、飢餓と貧乏のどん底にあった二十年前の食品衛生法制定当時の社会情勢とは著しく異なってきた状態にあることは、御案内のとおりでございます。いままでは、衛生面だけに目を向けてきた過去の食品行政を、これから国民生活優先の姿を明らかにして、健全な食生活の確保と不良食品の排除へ転換すべき緊急の時期であると、私はこう考えます。
 日本社会党におきましても、あらゆる機会にこれを主張し、その毒性の人体に影響するところ、また胎児への影響等を指摘し、その対策を要求してきたのでございますが、きょうまでなかなかやらず、そのまま放置されてきたことはまことに残念でございます。今日、各方面において食品に対しての不安が頂点に達しておるといっても過言ではございません。厚生省はじめ各省庁とも、きょうまで業者保護優先とも言える態度できたことは、まことに遺憾でありますが、この際食品の安全と衛生についてどのような対策を持っておいでになるか、まず、この点からお伺いをしたいと思います。
#100
○国務大臣(斎藤昇君) 御意見のとおり、厚生省といたしましては、国民の健康を守るということがとにかく厚生省の使命でございます。したがいまして、健康を守る上に食品というものは非常に重要な役割りを果たしておるわけでございますので、国民の健康を保持するという見地から、毒性はもちろんのこと、不良食品、健康に害あると認めるようなものにつきましては厳重に規制をしてまいりたい、かように思って、食品衛生法が制定せられまして以来、十一回でございますか、関係省令等の改正をいたして今日までまいっておるわけでございます。今日も、なおそういった考え方から、あるいは添加物について、あるいはまた標示の方法、そういうような事柄について検討を進めまして、健康の保持につとめるように努力をいたしたい。かように思っておるわけでございます。
#101
○藤原道子君 私は、この際非常に大きな問題になっております添加物の洗い直しをしてほしいと思います。現行食品衛生法は、大体一九三八年に制定されたアメリカの法律を参考にしてできたものというふうに私は聞いております。ところが、その後、アメリカでは数次にわたってこれの改正が行なわれております。日本においても、サリドマイドの発生以来、国民も薬品とか、食品添加物に対して非常な関心と不安を持ってきております。以前に許したものでも再点検すべきときではなかろうか。年次計画を立てて必要とする予算を大蔵省などに強く要求して、まず添加物の再点検をしていく、こういう御意思はおありではないでしょうか。
#102
○政府委員(金光克己君) 食品添加物の再点検の問題でございますが、御承知のように、添加物の非常に数が多うございます。そういう意味におきまして、添加物につきましては、厚生省としましては、非常に重要視しておるわけでございます。そういうことで、最近におきましては、特に毒性試験につきましては、慢性毒性というのが最近は非常に大きい問題になってきておるわけでございます。そういう意味で、以前におきましては、たとえば毒性試験三カ月というような動物実験でございましたが、最近は二年間の慢性毒性検査をするというような方法にいたしまして、逐次点検をいたしておりまして、そういうことで、たとえばタール色素等につきましても再点検をいたしまして、すでに従前許可しておったのを削除したというようなこともしてきておるわけでございますが、いずれにいたしましても、食品添加物については、やはり最小必要限度にとどめていくべき筋のものとかように考え、また、さような方法をとろうと考えておるわけでございまして、今後におきましても、そのような考え方で強化して、十分点検をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#103
○藤原道子君 私は、どうもやっております、やっておりますと言うけれども、一向に国民にぴんときていない。最近問題になっておりますサリチル酸等につきましても、外国ではすでにとっくにこれを禁止しているんです。ところが、日本ではこれを許可しているんですけれども、これはまことに理解に苦しむ、そういうことはほかにもありますが、一つの例といたしまして、この点まことに理解に苦しむ点でございますが、これはどういうふうに解釈しておいでになるでしょうか。
#104
○政府委員(金光克己君) サリチル酸の問題につきましては、私どもの立場でも研究はいたしておるわけでございまして、長年の間日本におきましてこれを酒等に使っておるわけでありますが、研究の結果におきましては、その使用量の基準をきめまして、安全性は守っておるわけではございますけれども、やはりよりよいものに切りかえていくということが必要であるというような考え方を持っておるわけでございまして、そういう意味でサリチル酸にかわるべきよいものを開発する必要があるというふうなことで、業界におきましても研究はされておりますが、最近におきましては、まずある程度期待の持てるようなものも出てまいっておりまして、国としましても、そういったものの開発を推進して、早くかわりのものができるようにいたしたい、かように考えて現在進めております。
#105
○藤原道子君 私は、外国では禁止されてどこの国でも使っていないと思うのです。それが日本で使われておる。ずいぶんやかましく言われましてズルチンは禁止になりましたけれども、まだまだほかにもあるのでございますが、そういう点、検討はしているけれども、いつごろそういうものができ、研究が実るお見通しでございましょうか。この点をちょっとお聞かせを願いたい。
#106
○政府委員(金光克己君) 大体この一年間ぐらいの間には見通しはつくのではないかという期待を持っておるわけであります。
#107
○藤原道子君 それはもっとひとつ熱意を持って推進していただきたい。基準を定めていると言うけれども、これは食品について幾らというようなことになりますね。それは飲む量にもよりましょうし、ほかの問題等と競合するということもございますから、そうのんびりしてはいられないと私は考えるのです。
 それから、過日の新聞によりますと、食品衛生調査会が六月の二十六日付で答申しておりますね。これは生鮮食品に着色、漂白料を使うことは一切これを禁止すべきであるという答申が出ておりますね。これはこのとおりに実行できますか。
#108
○国務大臣(斎藤昇君) 実は、厚生省といたしましては、その答申を期待をいたしておったわけでございます。期待どおりの御答申をいただきましたので、許す限りの短時日の間に実施をいたしたいと、かように考えております。
#109
○藤原道子君 ところが、その厚生省が言っておるところによりますと、この答申は尊重するが、タラコとか、桜エビとか、ハム、ソーセージなど、現在、最も広く市場に出回っている色づき食品については、着色が風味を引き立たせる面もあるので、消費者側の意見を十分聞いた上で検討すると言っておられる。ところが、私は着色が風味を引き立たせるとか、魅力を持たせるとかいうところがわからないのです。あのタラコであるとか、ハムや、ソーセージの着色は毒々しいものでございます。ところが、これを主婦が好んで買うというようなことを業者は宣伝しておりますけれども、いまの主婦たちは、自然のものから遠ざけられて、着色してあるものが本物だというふうに考える人がまだ多いのです。しかし、これを食品衛生調査会が答申しております中から、わざわざこれを検討にゆだねるというようなことは、どういうわけでございましょう。何か意味があるのでしょうか。
#110
○政府委員(金光克己君) 今回食品衛生調査会から答申のありましたものは、生鮮野菜とか、生鮮の魚類とか、そういった生鮮食品ということにまず限定をして考えておるわけでございます。それで、それ以外のものの色素というものにつきましてどう考えるかという問題でございますが、一応いままでの考え方におきましては、やはり一応食べものの中には目で見ると申しますか、そういうような食べ方もあり得るわけでございますが、ただそれがだましになるとか、まやかしのものになっては困るわけであります。また、害になっては困ると、こういうことでございますが、たとえば、卑近な例でございますが、タラコのようなものでございますが、これはそのままの色でいいかどうかということにつきましては、やはり消費者の側に立ちましても、いろいろ考え方があるわけでございまして、そういうような問題もありますので、そういった点は今後検討をしてまいりたい、かように考えておるわけであります。
#111
○藤原道子君 私は、納得がいかないところがあるのです。添加物を許可する理由として、その原則が六つあげられておりますね。「安全性を実証確認されたもの」、「消費者の利益になるもの」、「食品製造上不可欠なもの」、「保存性を高めるもの」、「栄養価を持続させるもの」、「食品を美化し魅力を増すもの」、こういうことばがあるのです。この「食品を美化し魅力を増すもの」、これは業者が言うならばわかる。けれども、厚生省が添加物を許可する理由として、その原則の中に入っておるということはちょっとわからない。この六のことについては、食品衛生調査会でも問題になったということを私は聞いておりますけれども、これはどういうわけなんでしょう。と同時に、いま添加されておりますものは安全性が実証され、確認されたものだけでございましょうか。
#112
○政府委員(金光克己君) この美化の問題でございますが、これは御指摘のように、食品衛生調査会の審議をいたします場合の内部的な基準の一項目にあげておるわけであります。これはやはり国際的なWNOあるいはFAO等におきます添加物の扱いにおきましても、かような性格のことをうたっておるわけでございますので、それを受けておるわけでございます。したがいまして、そういう意味で、やはり物によりましては、そういったような考え方の必要なものもあるという一応は前提に立っておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、それがまやかしものになったり、あるいはそれが害を生じたりするというようなことでは、これは許さるべきことじゃないわけでございますので、そういう意味で、実際上の問題としては、こういった考え方も考え方の中には入っておるということで、他の弊害は伴わないような考え方で処理をしていく、かような考え方であります。そういうことでありまして、この現在の添加物につきましては、現在の段階におきましては、まず安全であるということが言えると考えております。
#113
○藤原道子君 この添加物に使用しているものは、責任をもって安全であると言い切れるわけですか。
#114
○政府委員(金光克己君) 現在の学問におきましては安全であると考えておりますが、なお、さらに学問的には十分研究いたしてまいりたい、かように考えております。
#115
○藤原道子君 政府では、急性毒性を――先ほどあなたもおっしゃったけれども、中心に検討され、許可しておる。ところが、これが慢性毒性ということについてはまだこれから検査するわけですね、実証されるわけですね。そうでしょう。それと同時に、標準としてどれだけのものは許可するということになっていますが、これがはたして守られているかどうかということをどこで実証するのですか。
 それからもう一つは、A、B、Cと、それぞれが添加され、これがお互いに作用し合った場合には、どういう結果が出るかというところまで検討しておいでになるのでしょうか。
#116
○政府委員(金光克己君) 慢性毒性の試験につきましては、十年前から実施いたしておるわけでございます。いたしておるのでございますが、先ほど申し上げましたように、その慢性毒性の試験期間というものが、以前は短く考えておりましたが、最近におきましては、慢性毒性試験は約二年間行なうというように改正をいたしてきております。この点が、慢性毒性につきまして、特に慎重に検討するようになったということでございます。
 それから、添加物等のA、B、Cが重なりあった場合の相乗性という問題でございますが、これは非常に重要な問題だと考えております。WHOあるいはFAOの添加物部会等におきましても、この点につきましては、いろいろと論議が出ております。したがいまして、添加物の使用量を規定する場合に、安全度を十分見越した量を使うようにする、こういうような方向で考えていっておるわけであります。
#117
○藤原道子君 安全度を見て許可しているということでございますけれども、これが守られておるかどうかということまでは、どうして計算するのですか。最近の新聞、ゆうべだか、おとといだかの新聞に、マカロニサラダに防腐剤を不正使用をしておった。これは松戸市の大塚商店、あるいはパイン濃縮ジュース、これに防腐剤、デヒドロ酢酸ですか、これを基準量の九倍も使っておって、これが摘発されておる。こういうことを知らずにいままでどれだけの人が飲んできたでしょうか。基準量の九倍といえばおそるべき問題でしょう。こういうことに対して、お考えになったことがあるでしょうか。
#118
○政府委員(金光克己君) 食品の安全性を期するための検査でございますが、これは御承知のように、食品衛生法に基づきまして、第一義的には都道府県と、それから政令市がこれを扱っておるわけでございまして、そういう立場で、県あるいは政令市におきましては、食品衛生監視員というものをつくっておりまして、なお、試験研究所もあるわけでございます。そういうことでございまして、食品衛生法に基づきまして、必要に応じ収去検査を行なって点検をしておる、かようなことで安全を期しておるわけでございます。
#119
○藤原道子君 政令市各県がやっておる、こういうことで厚生省の責任は逃れぬ。指導監督は厚生省でしょう。たまたま氷山の一角としてこれが摘発された。われわれは、それを知らずに飲んでいるのですよ。身ぶるいがするような思いがいたします。こういう点について、私が言わんとしますことは、この際食品に添加物の標示をしてもらいたい。加工食品に全部標示をして、国民が安心してこれが食べられるように、なるほどこれにはこれだけのものが入っておる、これにはこれだけのものが入っておるというような国民にめどを与えなければ、何にも知らずにこうしたものを食べさせられておる国民というものは、まことに悲惨だと思う。かつて、私は、サリドマイドが被害がある、諸外国でこれを禁止して、接収したという新聞を見たので、日本でもサリドマイド睡眠剤は収去というのですか、収去すべきじゃないかということを当委員会で言いましたら、日本ではまだ被害が起こっておりません、あまり目立っておりませんのでというような答弁が厚生省からなされて、一年放置した。もし、諸外国が禁止したときにこれを禁止しておりましたならば、日本のサリドマイド児の悲劇は三分の一くらいで押えられたはずなんです。今日の医学は、最近出生する心身障害児は、妊娠中に原因がある。妊娠初期に三〇%、周産期に六〇%の原因があるということを専門家が発表しておいでになります。そういうときに、わけのわからないものを食べさせられる、これが胎児に影響がないとはいえない。私は、かつてのサリドマイドのときに、ほんとうに涙を流してここで言ったけれども、厚生省は取り上げなかった。そうして多くの不幸な子供を産んだんです。だから、今日、国民が非常に不安を持っておるときでございますから、この食品の添加物はとりわけきびしく規制をしてほしい。たとえば外国の例をあげますると、アメリカあたりでは、人造肉のときには肉を含まずとはっきり書いてある。日本のは一体どうなっておりますか。あるいはハムとは豚肉でつくったものをいう。ところが、最近、ハムはいろいろなものでつくられておるということを私は聞きます。したがって、大胆率直に、これはこういうものでできている、どういうものを添加をしている、使用しておるということを標示すべきだと思いますが、いかがでございますか。
#120
○国務大臣(斎藤昇君) おっしゃいますように、たとえば添加物の基準容量をきめましても、それを守らない業者をどうするかということが第一点だと思います。これは、監視員その他の職員を督励をいたしまして、できるだけ随時抜き取り検査をやって、そういう法を守っていないものがあるかどうかということを監視する以外に道はないと思うわけでございます。食品に添加物その他の標示をいたしますことも、標示が中身と一緒であるかどうかということを随時検査、監視をしなければならぬわけでございますから、標示がこうなっているからといって安心はできません。したがって、そういった監視網というものを十分確立してまいらなければならぬと思っているわけであります。ただ、標示をすることによって、使用者の方々もまたいろいろと、先ほどおっしゃいました相乗作用というものもありましょうし、あるいは肉であるのか、人造肉であるのかということを明瞭にしておいたほうが、使用者に便利なこともあるだろうと思います。そういう意味で、今後できるだけ標示をしなければならない品物をふやしてまいりたい、かように思っております。近く包装された食品には、いまおっしゃいますような事柄を標示をさせるように関係法令を改正をいたしたいと、かように考えております。
#121
○説明員(吉田文剛君) ただいまの食品の標示につきましてお答えをいたします。
 私ども公正取引委員会といたしましては、景表法――不当景品類及び不当表示防止法に基づきまして、不当表示は禁止しておるわけでございますが、特に商品の表示につきましては、公正競争規約という業界の自主規制がございます。それをつくるのを指導しておりますが、その指導をする際に、全部成分であるとか、製造年月日、あるいはまた、原材料とあわせまして、食品添加物を全部標示させる。人工甘味料であるとかあるいは人工着色料、あるいは人工糊料、人工香料というようなものは全部標示をさせるというように指導いたしております。現在まで公正競争規約は、食品に関しましては八件できておりますが、その中には全部そういうことの標示を義務づけるようにしております。そのほかに、排除命令でもって不当表示を規制する場合におきましても、標示してないことが場合によっては不当表示ということになる場合もございます。たとえば上白糖――お砂糖といいながら、中に人工甘味料が入っている場合には、これは人甘というのを標示しろというふうに排除命令で指導をいたしております。
#122
○藤原道子君 それは、これからやるのですか、いまやっているのですか。
#123
○説明員(吉田文剛君) 現在までもやっておりますし、これからもそういうことで指導してまいるつもりでございます。
#124
○藤原道子君 標示をしてもごまかす者もいるでしょうが、標示しておれば検査もしやすいわけですよね。国民も安心して食べられる。そういう点でぜひこれはひとつ誠実に履行していただきたい。これからは科学技術が発達すると、一体何を食わされているのだかわからない。おそらく皆さんの奥さん方も毎日不安にかられておると思う。全国民の保健衛生の立場からも、ひとつこの点はぜひ実行していただきたいと思います。
 それから、どうも見ておると、業者保護という面がいつも優先するのです。私は、この間、衆議院の物価問題等に関する特別委員会の議事録を拝見いたしました。コカコーラが問題になったときに、あれに使っている燐酸とか、カフェイン、こういうものが問題になっているようでございます。しかし、われわれも子供には、なるべく飲まさないように努力しておりますが、きょうはどこそこでコカコーラ二本飲んできたということで、子供がお友だちの家へ行って、コーラが出ると、つい飲んじゃうわけです。それが審議されたときに、会社で――きょうは時間がないので、そろそろサインが来ると思いますので省略いたしますが、局長のお答えの中に、カフェインをどこで取っておるかというようなことが問題になったときに、十七条で「必要があると認めるときは、」収去し、また検査する、報告も求めることができるようになっているはずだけれども、会社が拒否した場合には、できないのだと、会社が言うことを聞かないからやれないのだということを言っていらっしゃる。その解釈は、非常な危険が予想されるという前提のもとに収去検査ができるのだ、こういうふうに答えていらっしゃる。この質疑応答をずっと見ておりますと、そんなに弱いものかしら、非常に危険ということは、死ぬかどうかしなければだめんなでしょうか。これだけ大きくなっているときには立ち入り検査等もできてしかるべきではないかと思いますけれども、そういう答弁を見ておると、これから前向きにしっかりやりますと言われても、何らか私は不安が残るのです。お考えを伺いたい。
#125
○政府委員(金光克己君) カフェインの出所の問題に関連いたしまして、コカコーラの会社から実情を聞きましたところ、それにつきましては、企業の秘密としてお話することはできないということでございますが、これは、過去二回ばかり事情をお聞きした場合の結果としてそういうことでございまして、私どもといたしましては、やはり十七条で相当に収去して検査する必要があるという根拠がある場合に収去するわけでございます。それからまた、いろいろ報告も求めることができるわけでございますが、ただ、普通の場合において、これは企業の秘密だと言われた場合には、なかなか強制的にはその報告を求めることはむずかしいというお話を申し上げたわけでございます。しかしながら、食品衛生を進めております上において、どういう材料を使ったかということは、私どもとしても、ぜひ知りたいところでございますので、私自身も直接会社側とも話して、その実情は明らかにしたいということで、いま話し合いをしておる状況でございますので、近くできるだけその点は解明をいたしたい、このように考えております。
#126
○藤原道子君 時間がなくなり残念ですが、とにかくコカコーラに対しての疑惑はずいぶん大きいのですよ。ちまたでは、最近厚生省が弱腰なのは自民党の有力者が関係している会社だから手が出ないのだ、こういうことさえまことしやかに流布されている。私はそういうことは信じたくないのです。あくまでも法は厳正であるべきだと、こういうふうに思います。そこで、初めはコカ樹からとるのがコーラとか何とか、このごろはお茶からとることがわかってきた。外国から来ているといわれながら、外国からは入っていない、これを見ると。そうしてインドからくず茶が来ているから、それでやるかというと、そうでもない。そうすると、静岡のお茶だとかいうことが問題になっておる。それから燐酸の問題にしても、外国ではいろいろ検査しているのですね。子供の歯がぼろろけるとか、あるいは麻繩がぼろけたということを、イギリスやイタリー等においても実験しているのです。これだけ騒がれているときに、これに対してこの酸をクエン酸と変えることができないという理由はどこにあるのかということで、非常な疑いが国民の中にはうはいとして起こっているということをきょうは申し上げまして、ぜひ立ち入り検査もできるはずだし、企業の秘密だと言われれば、あなたが秘密をばらさなければいいのですから、とにかくそういうところは徹底的に調査して、国民の安心を得るようなことを強く要望しておきたいと思います。
 さらに二、三点、昨年技術表示とか、いろいろ厚生省でやろうとされたけれども、設置法を変えなければならないというようなことにぶつかっちゃって、危険防止を政令、省令の改正でやる、こういうことだったと記憶いたします。ところが、七月一日の予定が延びて七月十五日を予定しているというふうに聞いていますが、これは実行できるのでしょうか。
#127
○政府委員(金光克己君) 何日とははっきりしたことは申し上げられませんが、できるだけ早く改正をいたしたいということで、現在作業を進めております。
#128
○藤原道子君 厚生省のできるだけ早くは、あまり安心ができないのです。この問題は、命に関する問題ですから、ほんとうにできるだけ早くやっていただきたいと強く要望しておきます。
 そこで、物価特別委員会の消費者保護の附帯決議に対して企画庁がやることになっておるというようなことを答弁された、あるいは企画庁では厚生省が乗ってこないといっているとも聞いておりますが、一体これはどうなっているのですか。事実は一体どうなのか。私は、食品問題が各省庁にまたがっているために、責任のがれの口実になっておるように思う。したがって、この際、法律と行政の整理をして、厚生省設置法にあるように、厚生省が責任の省である、こういうことを明確にすべきと思いますが、この点はどうでございましょうか。
#129
○国務大臣(斎藤昇君) 厚生省は消費者保護の立場から、さらに何と申しますか、先ほどおっしゃいました国民の健康の保持という立場から厚生行政をやっているわけであります。この消費者保護行政といいますと、非常に幅が広く相なります。助長行政もありまするし、また物価、価格の問題もありまするし、なかなか広いわけでございますので、したがって、消費者保護という見地から、すべてのものを一つの機構にまとめるということは非常にむずかしい問題だと思いますが、せっかく企画庁を中心に検討をしてもらっておりますので、私どもは企画庁の案がよければ、これに賛成するのに決してやぶさかではございません。しかし、それが国民の健康を保持するという面に役立つという面においては、私どもとしては決して消費者保護行政を統一することにはやぶさかではないわけであります。ただ、健康保持と全然無関係な消費者の保護を私のほうでもしやれというようなことになった場合には、とてもやるだけの自信がないということだけは申し上げておきたいと思います。
#130
○藤原道子君 そんなことは言いませんよ。ところが、やることをやっていないから問題になる。これを強くやってもらいたい。
 これ企画庁では、そういうことを私が聞いたのはうそでしょうか、どうなんです。
#131
○説明員(小川りれい君) 企画庁といたしましては、いまおっしゃられました御趣旨は統一食品法というようなことかと存じますけれども、当面は食品衛生法、農林物資規格法などの関係法令の改正、あるいはまた運用の強化というようなことで、現制度の改善でできるだけ統一食品法のいわゆる意図に即するように、各省と十分連絡をとってやってまいりたい、こういうふうに考えております。一方、長期的には国民生活審議会の下部機構でございます消費者保護部会で、将来の措置としては食品法ともいうべき必要性についても検討すべきであるというようなことも言っておりますので、この点も現在まだ下のレベルでございますが、検討はいたしております。
#132
○藤原道子君 私、もうこの際食品法に踏み切るべきだと考えておりますが、いま、たまたまそういうことばが出てきた。前向きでひとつ厚生省と十分協力して、国民の食生活が守られるように御努力を願いたい。
 きょうは時間がございませんので、そこで、食品について現在年間五百億円ぐらいの輸入があるように私承っておりますが、このばく大な輸入食品を検査いたしますものはわずか三十名。三十名でこれだけばく大な食品の検査はできません。日本よりももっとゆるやかな国もあるでしょう。また、過日も私の求めましたイチゴジャムが変なのがあって――世間的にも問題になりましたが、こういうことは、五百億を上回るような輸入食品に対してたった三十名の検査員で検査ができるはずはないと思います。したがいまして、ほんとうに国民の生命を尊重するならば、もっと検査員をふやす。いま抜き取りで五%にも及ばないような検査と聞いておりますけれども、その問題は、人員をふやすことは不必要なんだろうか、また、必要とするならば、どうしてこれをふやすことができないのか、予算上の問題があるのかどうか、その点をこの際明確にしていただきたいと思います。
 それから諸外国で許可しているものと、日本で許可しているもののデータをあとで出してほしい。
#133
○国務大臣(斎藤昇君) 輸入食品が最近ここ十年あるいは五年間とってみましても、非常に件数がふえております。したがいまして、現在三十名の監視員ではなかなか十分な監視ができません。したがいまして、来年度は相当人員を増加いたしたい、大蔵省に十分な予算を要求いたしたいと考えております。しかし、御承知のように、人員の増加がなかなかむずかしいことは、御承知のとおりであります。しかし、国民の健康保持に欠くべからざる人員はどうしても要求いたさなければなりません。御趣旨におこたえをいたしたいと考えております。
 それから、食品添加物等において日本では許しているが外国では許していない、外国では許しているが日本で許してない、いろいろなものがございますが、できるだけ御趣旨に沿うような資料をつくって差し上げたいと思います。
#134
○藤原道子君 大蔵省来ていますね。大蔵省ね、予算削るのもいいけれども、こういう大事な予算は思い切って出してほしいと思うのですがね、どうですか。
#135
○説明員(辻敬一君) 輸入食品の検査関係の職員につきましては、たとえば三十五年度は十四名でございましたけれども、その後漸次増員あるいは定員化を行なってまいりまして、現場のところは御指摘のとおり三十名ということに相なっているわけでございます。これらの職員の配置の適正化でございますとか、あるいは検査方法の効率化という問題もございましょうし、あるいはまた、これらの職員は、御承知のように、検疫所に駐在いたしておるわけでございますが、その検疫所との共同体制と申しますか、連絡を密にするという点もあろうかと思いますので、それらの点も考え合わせまして、業務量の動向等を勘案いたしまして検討いたしてまいりたいと思います。
#136
○藤原道子君 十四名だったというのがあきれてものが言えないくらい少な過ぎたのですよね。それが今日三十名になったと言ったって、これだけばく大な食品の輸入があるときでございますから、ぜひ思い切って増員ができまするように、厚生省も姿勢を正して、ぜひ要求を厳にしていただきたい。
 最後にお伺いしたいことは、洗剤と農薬でございますが、洗剤の害についての問題は次に譲るといたしまして、洗剤を野菜洗いに使っている国はないと聞いておりますが、これはどうですか。日本ではこれを野菜洗いにまで使っておる。農薬が洗剤でなければ落ちないというようなことで、野菜洗いに洗剤が使われておる。いま、厚生科学研究費で幾つかのグループに実験をさしているそうでございますが、それでもやはり農薬が残存するというような答えが出ているやに私は聞いております。もっと農薬の規制をきびしくすべきではないか。さらに現在四十八食品について年次的に実験を計画していると聞きますが、きょうまでにリンゴ、ブドウ、トマト、キュウリに使う四種類の農薬の基準をきめたと聞いておりますが、間違いございませんか。アメリカでは、あらゆる農薬の実験をしている、くだものの皮から中へ浸透する浸透度など、綿密な研究が大がかりにされていると聞いておりますが、日本での今後の方針等ひとつ伺わしていただきたい。
 それから容器ですね、食品の容器。すずだとか、プラスチック容器等を使っておりますが、非常に危険な薬品が使われ、さらに内容等によっては、すずが溶けるかなんかして、ときに問題を起こしていますが、これにはどのような規制が行なわれておるか、今後これらに対してどう対処されるつもりであるか、これもあわせお伺いいたします。
 まだいろいろ準備してまいりましたが、委員長からおしかりを受けますので、この程度で私の質問を終わりたいと思います。
#137
○政府委員(金光克己君) 洗剤につきましては、野菜を洗う習慣は、アメリカにおきましても、ヨーロッパにおいても同じでございます。使っておるわけでございます。
 それから、農薬の問題でございますが、これは御説明ございましたように、キュウリ、トマト、ブドウ、リンゴ、この四食品につきましては砒素、鉛、BHC、DDT、パラチオンといった五つの農薬の残留許容量を昭和四十三年に決定したわけでございます。なお、引き続きまして、農薬の残留許容量をきめようということで作業を進めてまいるわけでございまして、近くイチゴとか、キャベツ、大根、お茶、ナシといったようなものにつきまして許容量を決定すべく、いま準備を進めておるということでございますが、さらに引き続きまして、食品につきましては数多くやってまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
 それから、プラスチック等の問題でございますが、かつて、これは非常に問題になったことがございます。プラスチック試験法等につきましても四十一年に改正等を行なったわけでございますが、この問題につきましては、やはり今後もいろいろと問題も生ずるおそれもあるわけでございますので、今後十分注意をして研究も進めてまいりたい、また監督をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。それから農薬が食品に入ってくるという問題につきましては、いろいろな立場からやはり検討しなければならぬ問題でございますので、こういった研究面につきましては、今後さらに強化してまいりたいということで、いま、いろいろと検討を進めておるような状態でございます。
#138
○藤原道子君 外国では使っているというのですが、私が不勉強かもわかりませんが、こうした資料を見ると、あまり使っておるところが見当たらない。これは後日に譲ります。
 大臣、いろいろお伺いをいたしまして、きょうは時間にせき立てられて、あっち飛びこっち飛びいたしましたが、とにかく、国民の健康を保持し、さらに生まれ出る胎児の保護等にも及ぶ非常に重大な食品問題でございます。したがって、大臣におかれましても、特段に御努力願いまして、国民が安心して食生活ができまするように御配慮が願いたい。さらに経済企画庁あるいは公取の皆さんにも、ぜひこういう問題を心に踏んまえて、御努力を願いたい。それから大蔵省には、厚生省予算はとかく削られやすいように、ひがみじゃございませんが、私たちは考えております。幾ら高度に経済が成長いたしましたといっても、それをささえるのは国民なんです。その国民の健康が破壊され、あるいは心身障害児の出産がふえる。これでは国の将来も危ういのじゃないでしょうか。そういう意味で、どうか大臣にも、この厚生省予算に対しまして、看護婦の問題にしてもそうだし、保母の問題にしてもそうだし、さらにこの食品問題が非常に重大でございますので、ぜひ特段の御協力が願いたいということをお伝えになっていただきたい。
 私の質問を終わります。
#139
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま藤原委員のおっしゃいましたことは、私も、重々厚生行政の重要な指針として考えているわけでございます。昨日も、国立衛生試験所を視察して、ただいまおっしゃるような事柄を実地に見てまいりましたが、衛生試験所でもいろいろと考えてまいったわけでございますので、おっしゃいます御趣旨に従って、さらに努力をいたしてまいりたいと考えます。
#140
○説明員(小川りれい君) 藤原委員の御趣旨を踏んまえまして、これからも企画庁といたしましては進めていきたいと考えております。
#141
○説明員(吉田文剛君) 藤原先生のおっしゃいました御趣旨に従いまして、ことに加工食品の標示規制の点につきましては、排除命令、または公正競争規約とか、食品添加物の点などに特に重点を置いて指導していきたい、こういう考えでございます。
#142
○説明員(辻敬一君) 国民生活に関係の深い厚生省の予算につきましては、従来から、私どもといたしましても、できる限り充実に努力してまいっておるところでございますが、なお、御趣旨の点につきましては、よく大臣にも伝えることにいたしたいと思います。
#143
○委員長(吉田忠三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#144
○委員長(吉田忠三郎君) 速記をつけて。
    ―――――――――――――
#145
○渋谷邦彦君 私は、鹿児島県福山町所在の「オレンジ学園」の問題について、これから質問をするわけでありますが、先般、八王子の中央学院の事件につきまして、厚生省当局の不備を申し上げたわけであります。
 またまた、あれからそれほど時間の経過もない現在、中央学院と類似するというか、あるいはそれ以上の内容を持つ事件と申しますか、不祥事が起こったということはきわめて残念なことではないか、こう思います。
 そこで、まず第一に伺いたいことは、昭和四十一年にこの「オレンジ学園」というのが創立されておりますが、まず、創立の経過について述べていただきたいと思います。
#146
○政府委員(渥美節夫君) 御指摘の鹿児島県所在の「オレンジ学園」でございますが、これは児童福祉法に規定しますところの重症心身障害児施設でございます。これが昭和四十一年に認可になったのでございますが、この経営主体の社会福祉法人「たちばな会」でございますが、この会は、その前にすでに精神薄弱児施設を経営しております。さらに同園長――理事長でおられる松下兼知先生におかれては、その以前から精神科、内科の病院を経営されておる、こういう事情でございまして、当時重症の心身障害児に対する施設が非常に不足しておりましたものですから、そのような経験を生かされまして、全国では、民間の施設といたしましては、第四番目の「オレンジ学園」を昭和四十一年に開設された、こういうふうな経過でございます。
#147
○渋谷邦彦君 国から幾らお金が出ておりましょうか。
#148
○政府委員(渥美節夫君) 国からは施設の整備費に対します国庫補助といたしまして、昭和四十一年度に百床のベッドを整備するということで四千三百七十八万八千円補助をいたしております。さらに、その運営につきましても、児童保護措置費を、法律の規定によりまして、支出しておるところでございます。
#149
○渋谷邦彦君 おそらく、それだけの国としての支出をしているということは、要するにそうした社会福祉施設としては理想的なものをつくろう、こういう含みがあったろうと私は思うのですね。現在も、愛知県をはじめとして二カ所に、数十億の予算でもって、コロニーの建設がいま進められておるわけでありますけれども、この「オレンジ学園」なども、まずその先駆として、そういう趣旨のもとに国としても本腰を入れて援助したと、こういう経過があるだろうと私は思うのでありますが、まず、設立にあたって一番問題になりますことは、許可基準でありますけれども、その条伴にその当時合致しておりましたかどうか。
#150
○政府委員(渥美節夫君) 社会福祉法人「たちばな会」からの申請によりまして、その基準に合致しておるということで、この施設の認可をいたしたわけでございます。
#151
○渋谷邦彦君 現在その基準を持続的に満たしておりますか。
#152
○政府委員(渥美節夫君) 設備の関係につきましては、認可いたしましたときの状況と同じでございます。その後、百ベッドばかり増床をいたしておりますが、その増床分につきましての基準は、もとよりこれは守っておるわけでございます。ただ、職員につきまして見ますると、医療法に定めるこれは病院の性格を持っておりますが、職員のうち、たとえば医師につきましては、医療法に定める基準よりも若干下回っておるように報告を受けておるわけであります。
#153
○渋谷邦彦君 そこまでおっしゃっていただいたならば、職員構成をきちんとおっしゃってください。
#154
○政府委員(渥美節夫君) 鹿児島県の報告によりますと、医師が十一名、このうち常勤が三名でございます。医療法の規定によりますと、十三名が必要でございますが、二名ばかり足りないということであろうと思います。看護婦、看護助手合わせまして五十名でございます。ベッド数が二百ベッドでございますから、医療法に定める基準には該当しているわけでございます。
 なお、私どもといたしましても、このような重症心身障害児施設につきましては、看護婦なりあるいは保母、児童指導員、保母助手、こういった職種のものを全部合算いたしまして、子供の数に対しまして二対一、子供の数二に対しましてこのような介護職員を一ということで配置するように指導しておりますが、その数からまいりますると、看護婦、看護助手、児童指導員、保母、保母助手を合わせますと、約二・一対一ということで、その点におきましても、多少基準を下回る、かように見受けられます。
#155
○渋谷邦彦君 いまの御説明によりますと、医療基準を満たしておるというお話でございますけれども、たとえば、いま常勤の医者が三名と、こうおっしゃった。その三名になったのはつい最近だということを私伺っておるんですけれども、いかがでございましょうか。
#156
○政府委員(渥美節夫君) この常勤の三名の方々は、年によりましていろいろと交代をしておられるようでございまして、一時はそれよりも少なかったという報告がございますが、昭和四十三年九月以来は、常勤の方は三名でそのまま勤務をしておられる、かように鹿児島県からの報告は参っております。
#157
○渋谷邦彦君 そうしますと、四十三年の九月まで、創立以来、常勤の医者は一名ということでございましょうか。
#158
○政府委員(渥美節夫君) 鹿児島県の報告によりますれば、昭和四十三年の九月以降常勤が三名である、それ以前は一名のときもあった、かような報告でございます。
#159
○渋谷邦彦君 鹿児島県の児童家庭課長が鹿児島県会で述べられた内容を全部持っているんですけれどね。その課長が言われた、要するに一つの裏づけと申しますか、によりましても、認可基準による職員構成というものは条件を満たしてない、こういう結果になっているわけでありますから、たとえば保母の場合でも、有資格者、無資格者、見習いと、こういう三段階あるわけでございますけれども、その辺の取り扱いはどういうことになるのか。つまり無資格者でもよろしいのか、あるいは現在見習い中である者でもよろしいのか、そのバランスは、一体どういう割合になるのかという点について述べていただきたいと思います。
#160
○政府委員(渥美節夫君) 保母のお話が出ましたが、報告によりますると、資格を持っている保母さんよりは保母助手のほうが相当多いということでございます。もちろん、この点につきまして、私どもも有資格の保母を確保するようには指導しておりますが、たいへん確保がむずかしいという問題もあります。
 これは蛇足でございますが、たとえば東京にございまする島田療育園あるいは秋津療育園というような民間の経営されております重症心身障害児施設等につきましても、やはり保母の確保が非常にむずかしく、私ども常に指導しておるわけですが、非常にむずかしい。秋田県からいわゆる「おばこ天使」というような保母助手のような方々も来ていただきまして、その充足にはつとめておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、資格のある保母を採用していただくということに御努力を願わなければならないことは、当然であるわけでございます。
#161
○渋谷邦彦君 そうしますと、無資格者、見習いでも、その状況に応じては万やむを得ないという考え方に立って、保母としての扱いを正規の保母と同じように受ける、このように判断してよろしいんですか。
#162
○政府委員(渥美節夫君) 資格を持った保母、それから保母助手、それに看護婦、看護助手、児童指導員、こういった方々の職種を全部集めまして、こういった方々が直接子供さんの介護をするわけでございますから、その子供さんのお世話をする人が子供二人につきまして一人になるように指導しているというのが現状でございます。残念ながら、この「オレンジ学園」につきましては、保母助手が保母よりも数が多いというふうなことで、この点については改善をお願いをしておったところでございます。
#163
○渋谷邦彦君 園長の談話が載っておりますけれども、改善すべきところは改善したという言明があるんですね。しかし、いま局長のお話ですと、必ずしもそういう方向に現在いっていない。何回かそういう行政指導をされて、なおかつ、認可基準を満たさない場合には、どういうことになるんでしょうか。
#164
○政府委員(渥美節夫君) 先生も御承知のように、こういった施設に入っておりますところの子供たちは、手足も動かない、あるいは知恵も非常におくれている、御飯も自分じゃ食べられない、大小便も自分ではできない、いわば生死の境をうろついているというふうな、非常なむずかしい子供でございます。したがいまして、私どもといたしましては、正規の看護婦あるいは正規の保母で介護するように望んではおるのでございますが、何せ非常にむずかしい仕事でございますので、この種の職員も、相当むずかしい仕事というために、職場を変える、交代をするというふうな問題も現実には出てくるわけでございます。したがいまして、そのように資格を持った方々の確保をお願いをしておりますが、なかなかそれがむずかしい、常に指導はしておりますがむずかしいわけでございます。そういった仕事の重要性も考えまして、全部が全部保母でなければならないというふうなことにはならないのではないか、かように思います。
#165
○渋谷邦彦君 保母がなかなか来手がないというお話については、いま、それなりの理由を開陳されたわけでございますけれども、よって来たるところの基本的な原因はどこにおありになると思いますか。
#166
○政府委員(渥美節夫君) いま申し上げましたように、たいへん仕事自体がむずかしいということと、それからやはり考えてみますれば、このような重要な仕事に対しまして、私どもは常に努力をしておるのでございますが、国の予算の補助のしかたがまだまだ足りないんではないか、かように思っております。なお、同時に、非常にベッドが少ないのと、やはり民間の方々のまだ御理解がなかなかむずかしいというふうな点で、非常にむずかしい環境の中でこういった施設を経営している苦労を十分私どもは今後とも応援をしていかなければならない、かように考えております。
#167
○渋谷邦彦君 結局は、仕事もむずかしいということもございましょう。ただ、抽出的に現地において調べてみますと、やはり単純な考え方で保母を志願したという人はあまり多くはない。ただお金をもらいたいというような単純な考え方を持っていない、やはり保母としての使命感と申しますか、あるいはやはりそうした施設において誇りを持った仕事をしたいというのが共通した意見であったというふうに、私ども現地の報告を聞いておるわけでございますけれども、そうなりますと、いまの話とはだいぶ趣が異なってまいりまして、そういう人がいる限りにおいては、あながちに仕事がむずかしいから来手がないということは、ちょっとその結論を急ぎ過ぎることになりはしまいか。やはりそれなりの背景といいましょうか、理由づけというものがほかにあるように感ずるわけです。やはり人手が足りないことによって、いま二対一ということの原則をお話しされましたけれども、それが充足されているときには運営そのものも、実際のめんどうというものも理想的な形態でいくかもしれません。けれども、非常に勤務時間等も過酷である、酷使されているというようなこともあるようでございますし、その他学園そのものの運営について問題があるというようなことが結果論としては指摘されるのではないか。非常にやめる人が多過ぎるんですね。この三、四年間の間に数十名以上の保母が交代しているということが言われているようでございますけれども、これなんかはどうなんですか。ちょっと激し過ぎるような気がいたしますけれどもね。
#168
○政府委員(渥美節夫君) 私どもが報告を受けましたところによりますると、施設ができましてから昭和四十四年六月までに、保母さん二十三名がおやめになっている、交代されております。この中でやはり結婚によるもの、あるいは希望退職というものが圧倒的に多いわけでございますが、先ほどもちょっと触れましたように、私ども、こういった施設を指導している者といたしまして、やはり民間の施設におきまする退職者というものは相当多いわけでございまして、特に「オレンジ学園」の退職者が他の施設に比べまして非常に多い、むちゃくちゃに多いというふうなことではなかろうと、かように考えております。なおこういった点につきましては、さらに鹿児島県からの詳細な調査による報告が後刻まいるというふうに聞いております。
#169
○渋谷邦彦君 その際の結婚という問題については、これはやむを得ないとしても、希望退職というと非常に聞こえがいいんですよね。ただ、今後の先々の問題を考慮した場合に、当局として当然その人の意識調査なんというものもときには――画一的にやるということではなくして、ときには、施設の内容が内容だけにやるべきではないか。そうした点から新しい問題点を拾い上げて、やはり全体観に立った、今後の社会福祉全般の問題の検討というものをやるべきではないかと思うんですけれども、そこらあたりはいかがですか。
#170
○政府委員(渥美節夫君) 確かに、保母の交代が特にこのようなむずかしい施設におきましては多いというところには、いろいろな理由があろうかと思います。その点につきましては施設長会議その他でも議論をしているところでございますが、いずれにいたしましても、こういった看護婦さんあるいは保母さんが定着しまして働くことができるような環境づくり、それに対する国の援助というものがどうしても必要であろうと、かように私は考えております。
#171
○渋谷邦彦君 ともあれ、こうした職員構成、いわゆる最低基準を満たさないというところにいろんな問題の発生というものがございますし、過般の中央学院の場合でもやはり共通した問題点が指摘されているわけでございますね。ただむずかしい、やりにくい、不可能であるというようなことでは、一向にこれが前向に解消されていかない。これはもう言わずもがなだと、私は思うわけでありますけれども、やはりここで基本的な保母なら保母育成の問題というものを考える必要が当然起こり得る。それにはそれなりの教育施設というものがはたして充足されているのかどうか。看護婦の問題についても、当委員会でしばしば問題にされてまいりました。けれども、こうした特殊児童あるいは心身障害児を扱う場合、やはり全体の患者の数に見合うだけの数というものは常に確保しておかなくちゃならぬということは、もう当然の課題だと私は思うんですね。はたして現在入院しているものと、それからいわゆる潜在患者を含めて――潜在患者がいつ重症患者になるかわからない。そういう可能性も十分あり得るわけでございますので、そういう可能性も踏まえた上で、現在こうした保母の養成あるいは看護婦の養成というものについては、いままでも問題にはなったとしても、特に保母だけにその焦点をしぼってお答えいただきたい、こう思うわけです。
#172
○政府委員(渥美節夫君) 確かに、御指摘のように、児童福祉施設の整備というものは、保育所もそうでございますが、いろいろな面におきまして緊急に整備することが必要でございます。なかんずく重症心身障害児につきましては、まだ施設に入所を必要とする子供たちに対しまして、約四分の一程度しか整備がされておりません。そのような観点に立ちまして、こういった施設の拡充に伴う保母の確保というものは最大の問題でございます。私どもといたしましても、まず保母の養成機関、これを拡充しなくちゃいけないということで、今年末におきましては、保母の養成施設二百二十一カ所と拡充してまいりました。これは、毎年約三十施設以上の拡充のテンポでございますので、このような養成施設の拡充を行ないたい、かようにまず思います。
 それから次に、保母の資格を得るためには、御承知のように、都道府県の保母試験という制度もございます。したがいまして、都道府県の保母試験の回数もふやしてもらう、県によりましては年一回の試験を実施するという県もございますが、こういった県に対しましては、特に二回やってもらうように要請をしておりまして、そのような方法も講じておるところでございます。
 さらに、何といいましても、やはり保母さんが働かれる環境と、その労働条件がよくなるということが保母を志向する女性をふやすわけでございますので、私どもといたしましては、児童福祉施設で働くところの保母さんのそのようないろんな就労条件、労働環境、こういったものをよくするように、これは毎年努力をいたしまして、多少の前進を示しておるわけでございます。
#173
○渋谷邦彦君 これは、もう当然厚生省でも努力されたことだろうと私は思いますけれどもね。内容が非常に重要な要素を含んでおるだけに、これは早急に、そしてまた強力に推進をせねばならない問題ではないか、こう思います。
 それから関連して、看護婦の問題にいたしましても、実際、正看、准看、見習というものを入れた場合に、正看は非常に少ない。しかも、この学園の代表者の方は、「福山病院」の院長ですか、理事長を兼務されていらっしやる。その「福山病院」の着護婦が「オレンジ学園」のいわゆる看護婦と兼務しているという事実があるそうでございますけれども、その問題についてはいかがでございますか。
#174
○政府委員(渥美節夫君) 鹿児島県の報告によりますると、この「オレンジ学園」が発足当時におきましては、やはり人を確保するという点から、兼務をしておったという報告がきておりますが、現在におきましては、そのようなことがないという報告をもらっているところでございます。
#175
○渋谷邦彦君 私は、責任ある立場の方からの答弁でありますから、それ以上の真偽についてはとやかく申し上げたくございませんけれども、ただ通り一ぺんの報告をそのままうのみにしていいのかどうなのか。なぜ、こうしたような問題が起こるかということのいろいろな事実関係というものを追跡調査してまいりますと、必ずしも、その県なら県の報告を全面的に信用できないというような場合もあり得るのではなかろうか、こう思うわけですね。したがって、当然また厚生省は厚生省として、別な立場から、やはり国からも多額の補助金が出るわけでございますので、そうした行政指導をするという、そうした監督の責任のある立場においても、急拠こうした問題の経緯というものがどうなっているのかは当然手を打たなければならないことではなかろうかと、かように思うわけでございます。たとえば、先ほど医師の問題について――逆に私いま話をしてきましたけれども、医師の場合でも、つい最近三名になった。常勤は一名である。しかも、収容されている子供は約二百名。それで、あそこには、報告を受けられたと思いますが、新館と旧館があって、医者は新館のほうにしかいない。ところが旧館のほうの子供がぐあいが悪くなったという知らせを持っていきましても、電話一本で医者が指示を与えるだけで、実際は見てくれない。それは、ときにはそういうことがあったかもしれませんけれども、これでは何のための医者かと疑わしめることがきわめて強いわけです。しかも、その医師については、これも伝え聞くところでございますので、私も現地に行ったわけでもございませんが、産婦人科の医者である、こういうことを聞くわけですよ。だから、それじゃ全く、医者が配置されているといっても、もしそれが事実であるとするならば、こんな矛盾したことはございませんので、これは当然強力なる行政指導をやって、改めさせるところは改めさせなければならないのではないか、こう思いますが、いま、私申し上げた点については、どのように報告を受けられて、それからその報告を通じて、今後どのように処置されるおつもりなのか。
#176
○政府委員(渥美節夫君) この「オレンジ学園」の問題が先月の二十五日に鹿児島県の議会におきまして取り上げられたと報じられております。二十六日には鹿児島県の児童家庭課長が現地に参りまして、ある調査をいたしました。さらに鹿児島県におかれましては、七月の初旬には衛生部、民生労働部が合同いたしまして調査班を編成し、施設におきまして実地に詳しく調査をするというふうなことであります。したがいまして、厚生省におきましては、その詳しい調査を待ちまして、いかにするかということを検討したい、かように考えておるわけでございます。
 次に、「オレンジ学園」の配置図を見ると、実は、私も現地には参っておりませんけれども、県からの報告によりますと、二百ベッドのうち百ベッドは旧館にありまして、あとの百ベッドは新館にある。その新館にあるベッドに常勤のお医者さんが三人おります。したがって、旧館の百ベッドにつきましては、医学的管理について問題があるのじゃないか、こういうようなことも考え得るわけでございますが、この点につきましては、新館、旧館との間が約六十メートルございますかの、いわば比較的近い距離にあるわけでございますので、医学的な措置を、あるいは医療を実際に行なうというような場合にはそう遠くない、きわめて至近距離である。こういうふうでありますので、その点については間違いがない、かように報告がまいっております。
 なお、配置されておりますところの三人の常勤医師の専門科名は産婦人科でなしに、専門は小児科である、かように報告がまいっております。
#177
○渋谷邦彦君 先ほど冒頭に私お尋ねした中で、認可基準にもし満たない場合には、そうしてまた、それについての当局としてのたび重なる行政指導にもかかわらず、改善されなかったという場合の措置については、どのようにとられるおつもりか。
#178
○政府委員(渥美節夫君) この重症心身障害児施設の基準がございまして、その基準に該当するように指導しているわけでございますが、なかなかこういった施設でありますので、完全にはそこに至っていないという点はたいへん残念でございますが、しかしながら、経営主体もいろいろとお骨折りをいただいているところでございますので、再度この基準に達するように改善の措置をとるようにいたしたい、かように思います。
#179
○渋谷邦彦君 もちろんこの罰則規定というものを直ちにどうこうしようというようなことをわれわれ毛頭求むべきもございませんし、そんなことは考える必要も毛頭ないと思いますけれども、こういう特殊な施設である関係から考えてみた場合、はたしてどの点が改善されたのか、それは表向きは改善しましたから見てくださいといって、いいところだけ見せられて、ああ、そうだ、よく改善されたなあと、あるいは人事の構成にしましても、名簿を提出する、名簿に載っているから、これはオーケーだというようなことであれば、これはだれにでもできることであって、私は、やはり本質をついた問題ではない、こういうように考えるわけですね。したがって、今後とも、そういう一片の疑惑も差しはさまないような、理想的な形態に持っていくことが当然監督官庁としての責務ではなかろうか、こう思うわけです。
 それで、いろいろ話の行き方が逆になったりしますけれども、現在名簿に連なって、担当されている医者の専門は何ですか。
#180
○政府委員(渥美節夫君) 先ほどお答え申し上げましたように、常勤の三名の方は、三者とも小児科が専門でございます。そのほか、非常勤の方々につきましては整形外科あるいは外科、耳鼻科、眼科、そのような各科の方が担当されていると私は考えますけれども、そのほかの非常勤の方につきましても、専門科名については、まだ報告を受けておりません。
#181
○渋谷邦彦君 当然それは報告を待つのでなくて、こちらからやはり積極的に完備されているかどうかということを掌握することは、当局としての態度であろうと、こう思いますので、こうした点についても、やはり抜かりがあるんじゃないかという感じがするのですね。それは厚生省全般の仕事の上から見ても、忙しい面は重々わかりますけれども、さりとて、こういう重大な問題を放置していくわけにはいかない。時間もなかったから等々の、そういう言いわけはやはり通用しないということをあえて訴えておきたい、こう思うわけです。
 次に、収容されている子供が最近死亡が相次いでおると、こういうような問題が起きているわけですね。これについては、どういう報告をお受けになっていらっしゃいますか。
#182
○政府委員(渥美節夫君) 昭和四十一年開設されましてから、昨年末までに合計三十二名の子供が死亡しておる、こういうことでございます。内容といたしましては、急性肺炎でございますとか、急性心不全あるいは自家中毒、呼吸麻痺、先ほど御説明申し上げましたように、生死の境をさまよっているというふうな非常に重症の子供でございますので、そういった子供にありがちな死亡原因が報告されております。
#183
○渋谷邦彦君 そうしますと、死亡については、これはもうむしろ不可抗力である、当然なすべき手は十分尽して、これはやむを得なかった、このように判断してよろしいのでございますか。
#184
○政府委員(渥美節夫君) この重症心身障害児施設は、児童福祉法によりますところの児童福祉施設ではございますが、同時に、医療法による病院でございます。したがって、その管理者たる者は医師でございます。したがいまして、医師が最善の手を尽くした上でさらになくなったと、かように判断せざるを得ないのではないかと思います。ただ一つ、最近の例でございますが、ベッドワクとマットの間に頭をはさんでなくなったというのが一件、これは報告を受けておりますが、この点につきましても、多少問題を感ずるわけでございますが、この内容につきましても、いま調査をされているようでございますから、その調査の結果を待たないと正確な判断がつかないのじゃないかと思います。ちなみに、他の施設、重症心身障害児施設におきましても、やはり入所されてから間近いうちに、たとえば一週間とかあるいは一カ月以内とか、こういうような、入所後短い期間になくなられるという例は、各施設とも相当多く報告されております。
#185
○渋谷邦彦君 症状が症状だけに、その可能性はなきにしもあらず、わからないわけでもございませんが、たとえば、四十三年の一月だけで十名ほど死んでおる。それから多いときには三日間に七人から八人の死亡がある。四十四年の四月から五月、一カ月の間に六名が死亡している。こういう報告を私は受けておるのでありますけれども、これは事実かどうか。
#186
○政府委員(渥美節夫君) 私どもにまいっておりますところの調査の報告と、先生のお手元にこられました報告は同じものでございますので、いまちょっと数字を案じませんでしたけれども、おそらくそのようなことではなかろうかと思います。
#187
○渋谷邦彦君 先ほどほかの施設の例をお引きになって、必ずしも多いわけではないということをおっしゃられた。しかし、この事実に関する限りは、いかがでございますか。
#188
○政府委員(渥美節夫君) 他の施設のことを例に取り上げましたけれども、同じ重症心身障害児施設でございましても、その施設に入りますところのやはり子供の症状でありますとか、その状態でありますとか、いろいろありまして、一律には言えないと思いますが、いまの御質問でございますが、これも詳しい調査を待った上でお答えをしなければならないと、かように思います。
#189
○渋谷邦彦君 私のほうには、いろんな証言をしていただいた方の内容が相当たくさんあるんでございますけれども、その一つを申し上げますと、この学園ができましたときに、九州でも非帯に評判であった、先ほども御説明あったとおりであります。そこで、ぜひともそういう施設に入れたいものだと、こういうことで福岡から十五名の子供が入園をしたそうであります。これはちょうど四十三年六月三十日に入園をした。しかし、その後二カ月もたつか、たたないうちに子供が骨と皮のような状態になって、たまたま面会に行った親があまりの変わりようで引き取ってきた。こういうようなことがございますし、また中には死亡したのがすでに二名出ております。――ここにも実際こういう写真があるのです。これは入園する前と入園してからの一カ月間の違いでこういうふうに骨と皮ばかりにやせてしまった。いかにして一カ月の違いでこういう極端な違いがあるのだろうかと、われわれしろうとながら考えざるを得ないわけです。実際におっしゃってくだすった方の名前も全部ございます。そこで、福岡の県議団が、これはおかしいということになって、つい最近現地におもむいて調査したそうであります。そうしますと、先ほど来から話の中に出てまいりました新館、旧館の建物の中に収容されているその状態が非常に違いがある。とりわけ旧館においては、要するに社会福祉法の中に規定されている条件とは全く違う。そういうところに収容されているありさまを見て、腹が立つやら、憤りを感ずるやらという報告を、私は、昨日、電話で受けております。したがいまして、厚生省のほうで県当局から受けられた報告とは、ちょっとその辺のいきさつが違い過ぎやしないか。あまりにも懸隔なり、開きがあるような気がするのです。実際片方は現地に行って見てきた、そうしてまたいろいろな人の話を聞いてみた。自分の目で確め、自分のはだで感じたことほど正確なことはないわけです。特に、いまの旧館の問題については、臭気ふんぷんで、しかも、通風の設備は全くない。しかも、子供の訓練なども定期的に行なわれていない、ほったらかしである等々の、そういう施設にはあるまじき状態が見聞されたということでございますので、その点については、どのように当局としてはキャッチをされて、今後の改善策をお持ちになっていらしゃるのか、まずその辺を伺ってみたいと思います。
#190
○政府委員(渥美節夫君) 福岡の子供十五人の措置をいたしておりますことについての福岡県及び鹿児島県からの報告がございますが、六月二十八日、二十九日に福岡県から児童家庭課長、それから肢体不自由児の施設長、児童相談所の職員七名が現地を調査しており、実際入所児童の処遇に問題があるということは報告されていない、県としては、引き続き「オレンジ学園」に措置を依頼する考えであると総括的に言ってきております。
 なお、御指摘の十五名のうち二名の方がなくなっております。二人とも女の子でございますが、十一歳の女の子が急性気管支炎でなくなっております。それから、もう一人の子供でございますが、先ほどちょっと私触れましたが、ベットワクとマットの間に頭をはさんでなくなった、こういう子供さんでございます。それから退所されました二人の方の報告も来ておりますが、これは報告によりますと、両者とも保護者の希望退所でございまして、お写真を見せていただきましたが、どちらかわかりませんが、一人の方が入園時の体重が十三・五キロ、それから退園時の体重が十四・〇キロ、つまり回復をされて体重が増加して退所されておるという報告もありますが、いずれにいたしましても、これらにつきましては、詳しい調査、データによりまして判断をさしていただきたいと思います。
#191
○渋谷邦彦君 おそらく、きょうの限られた時間の範囲ですべての結論を迫ることは、私は不可能であろうと思いますし、また、場合によっては、参考人を呼んで具体的にもっとその真相というものを究明してもらいたい、こう思っておるわけでありますが、いずれにしても、厚生省当局では、いま、私のほうでキャッチした情報以前の段階の報告しかお受け取りになっていないようなきらいがあるように思うわけです。こうした問題については、やはり迅速を第一義としなければならないことは当然と思いますね。しかし、現在調査中ということでことばを濁されたのでは、われわれとしても、はなはだ心外であるわけでございますけれども、いずれにしても、こういう状態が続いているということは、きわめてまずい。しかも、こうしたことがあるようでございます。たとえば、これは幼児だと思いますが、おむつカバーを取りかえない、寝具がよごれても取りかえてくれない。旧館の子供は、先ほど申し上げたように、医者が配置されていないので、よく見てくれない。それから旧館の軽症心身障害児七十八名は、何ら訓練措置を受けない。さらに、精神病の経験ある保母や、軽度の精神病患者を保母の補助者として使っている。中には子供をさかさづり――これは訓練の一つとしてあるというふうなことも外国では聞いておりますので、これは、必ずしも虐待であるかどうかということの判定はむずかしいと思いますけれども、子供をさかさづりするようなこともある。あるいは子供が歩けるようなときになると、鉄の棒に足をくくりつけて歩かれないようにする。ほかの子供のめんどうが見られないということも理由にあるようであります。食事を早くするために、口に押し込む。これは症状によっては食べものがのみ込めないということもあるようでありますけれども、こういうことも指摘されているようであります。こういうようなことについては、報告をお受けになっていらっしゃいますか。
#192
○政府委員(渥美節夫君) いまのような、おむつの取りかえの問題あるいは寝具が不潔ではないか、あるいはくくりつける、歩けるようになると木につなげたりしておる、こういうようないろいろ御指摘のこまかい点につきまして、私どもも報告をもらっております。先生がいま御質問になられましたように、たとえば歩けるようになるとくくりつけをする、それは、それ自体起立訓練という訓練の方法でもあるわけでございます。また、食事の時間に食べものを口に押し込む、こういうふうな問題につきましては、たとえ時間の節約のためでも、そういうことはしていない、あるいはまた、おむつにつきましてもきまった時間に取りかえるし、場合によりましては、一日に十回、夜も数回取りかえるということである、寝具につきましても週一回は定期的に取りかえる、こういうふうに私のほうへは報告が参っておりますが、これらすべて詳細につきましては、七月の初めに、民生労働部なり、衛生部におきまして相当詳しい調査が行なわれるわけでございますので、そういった報告を待ちまして、どういうふうな経営状況になっておるか、私どもといたしましても、十分正確に判断をいたしまして、今後のこういった施設の運営のあり方につきまして勉強してみたい、かように思っております。
#193
○渋谷邦彦君 いまの御答弁でも、私が質問している内容とずれがあるんですよね、かみ合わない。結局、先ほども申し上げましたように、県なら県がたまに行ったのでは、これはそれなりの一番いいところしか見ない場合もあるかもしれないことは十分予想されるのですね。ところが、何十人かの人がときおり子供に面会をするということで行くわけです。それが不特定なときに行くわけです。そしてたまたまその現場を目撃する。そうした人の証言というものは、やはり非常に強烈ではないか。中には、それが全面的に信用できるものかどうかというようなこともそれはありましょうけれども、しかし、自分の子供に関する限り、やはりいい取り扱いをしてもらっているかどうかということは、当然の親の願いでございましょう。したがって、もっとよくしてもらいたい、もっと安心して子供を置けるような状態にしてもらいたいというのが当然の願望だろうと、私は思うんですね。そういう観点から、決して当初は感情的な、それをむき出しにして、子供の置かれている状態がひどいものであると思わずに行ったろうと思うんですね、面会なり何なりに。しかし、実際自分の目で確かめてみると、事ほどさようにはいかない。実際いろんな問題が、指摘されているような事実が判明してきている。これじゃたいへんだということでこれが表面化したという経過をたどったんではなかろうかと思うんですね。いま、七月上旬において、詳細にわたっての民生労働部の調査を待った上で、はっきりした結論をお出しになりたいという御答弁もございました。もちろん、ただその報告を待つのみではなくて、当然当局として、現地へおもむくなりして、積極的にこの問題の解決に当たるということが重要ではなかろうか。こう思いますが、その点はいかがでしょうか。
#194
○政府委員(渥美節夫君) この事件が県議会で取り上げられました翌日に児童家庭課長が行っております。それから七月の上旬には衛生部あるいは民生労働部と、相当多くの方々が詳しく実情調査するということでございますので、私ども厚生省は、その結果を待って――詳しい調査であろうということを私は十分期待できるわけでございますから、その詳しい調査を待った上で、国といたしまして、どうするかということを決定したほうが能率的ではないかと、かようにも考えております。したがいまして、いま直ちに厚生省からすぐ調査団を派遣するというふうなことよりも、その県の調査を待って善処いたしたい、かような気持ちでございます。
#195
○渋谷邦彦君 この「オレンジ学園」というのは、社会福祉法人の「たちばな会」が「福山学園」――これも重度精薄施設になっているそうでございますけれども、これと並行的に「オレンジ学園」を設立された、こうなっているそうであります。この「たちばな会」の会長には寺園さんというのですか、前鹿児島県知事をやられた方、そのほかに、鹿児島大学の医学部の教授が四名顧問として名を連ねている。そういう有識階層の方々が名を連ねた福祉施設としては、あまりにも手抜かりがありはしまいかというふうに思うのでありますけれども、こうした人たちの、何といいますか、関係性ですね、理事長や園長との関係性はどんなふうにして実際に――先ほどちょっと経過は伺いましたけれども、どんな話し合いでこの社会福祉法人というものができて、それで政府の認可を受けたのか、どうなんですか。
#196
○政府委員(渥美節夫君) この社会福祉法人「たちばな会」の理事長は松下兼知氏ということでございます。いま、先生の御指摘の前鹿児島県知事の寺園氏そのほかの方が会をつくっておられますが、それは「たちばな会」の後援会のほうではなかろうか、かように思うわけであります。したがいまして、この社会福祉法人「たちばな会」自体は精神薄弱児施設を経営し、さらに、昭和四十一年には重症心身障害児施設の「オレンジ学園」を開設された。この方が理事長である。かように相なっておるわけでございます。
#197
○渋谷邦彦君 そうした有名人の方々が名を連ねているわりにしては、ちょっとお粗末な状態ではないか。この点についても今後の一つの課題として問題になり得る。ただ、そういう人たちが名を連ねているからこれは当然社会福祉法人として、もう無条件に認可をするというようなもし先入感があるとするならば、今後のそうした施設についての運営というものは、きわめて危険な方向をたどる可能性が十分にあり得る。この点は、ひとつ重々警戒をしていただきたい事柄ではなかろうかと、このように思うわけでございます。いずれにしても、今回のこの「オレンジ学園」に発生したところの、言うなれば、児童虐待というふうなことになり得るかどうか、それは今後の結論を待たねば、何ともいまここで断定するわけにはいかないにしても、これはどう見ても、憲法第二十七条あるいは児童福祉法第一条、あるいは児童憲章という精神に立脚した観点から見ましても、これはやはり相当猛反省をしなければならない内容を持った問題ではなかろうか、こう思いますけれども、いかがでございますか。
#198
○政府委員(渥美節夫君) 前半で御指摘の、有名人であるから認可云々の問題でございますが、私どもといたしましては、あくまでも厳正に、冷静にこういった仕事をやっていただく方々、その設備なり、基準なり、こういったことを判断の上で認可をしております。したがいまして、有名人だからどうというふうなことは決していたしておらないのでございます。
 なお、児童の虐待になるかならないか、こういった点につきましては、私どももただいままでの県の報告等も伺っておりますし、また、調査団が現地を徹底的に、詳細に調査されるというふうなことでございますので、その調査を待った結果でなければ、何とも申し上げられない、かように思うわけでございます。いずれにいたしましても、こういうふうな問題が一応取り上げられておりますので、今後、私ども、こういった重症心身障害児施設に対する運営等につきましても、その調査を待ちまして、はっきりと正しく指導をしなければならない、かように思っておるところでございます。
#199
○渋谷邦彦君 それから、いまのお話しのように、これは確かに先を急ぐべき問題ではなかろうと私は思いますので、その時点においてあらためてお話を申し上げたいと、こう思います。
 先ほども申し上げたように、私どものほうでキャッチした内容とは、やはり開きのあるのもございますし、ずれているのもございます。相当克明に私のほうも報告をとっておりますので、また、後日にその点は譲るといたしましても、ただ、「オレンジ学園」あるいは「福山学園」、それから「福山病院」、いずれも同族的な色彩が非常に強い内容が感じられるわけでございますけれども、これは実際に社会福祉法人としての運営をやる面からは、やはり好ましくないという印象を私どもは持つわけでございますけれども、その点では、どのような見解をお持ちになっておられるか。
#200
○政府委員(渥美節夫君) この社会福祉法人「たちばな会」の理事長の松下氏が御関係といいますか、御関係になっておられるのがこの「たちばな会」と精神病院――精神科、内科の病院を経営されておりますところの医療法人「仁心会」というのがございます。「たちばな会」の役員につきましては、役員の六名のうち松下さんを含めまして二名の方が同族である。したがいまして、これは社会福祉事業法の第三十四条に規定されておりますところの役員に関する制限規定、つまり二分の一以上が同族であってはならないという規定には触れておらないのでございます。なお、医療法人のほうにつきましては、この「仁心会」という医療法人でございますが、この関係では、役員のうち四名の方が同族であるというふうな報告が参っております。社会福祉法人につきましては、そのように法律には触れておらない。したがいまして、認可も受けているわけでございます。ただ、これも鹿児島県からの報告でございますが、役員でなくても、職員の幹部の中に比較的同族系統の向きが多いというふうなことで、その点については、ややもすると、運営に問題を生ずるというふうなことで、鹿児島県におきましては、そういった点については、何らかの指導をしたと、こういうふうに言っておるわけでございます。
#201
○渋谷邦彦君 そういうやむを得ない場合もあると思いますけれども、ただ、立ち入ったことを申し上げますと、給与の問題やなんかにつきまして、どのような状態になってるのか。また、その収支決算というものがどのように行なわれてるのか、その点はいかがですか。
#202
○政府委員(渥美節夫君) 経理の内容等につきましては、まだ詳しい報告は得ておりませんが、県の議会におきましては、精神薄弱児の施設長である福山学園長が「オレンジ学園」でも事務長の補佐という資格で給料を二重に取っておるのではないか、こういうふうな議論がされたようでございます。これに対しまして、こういうふうなことが三カ月間ばかりあったけれども、その後は、この兼務を全部解いてしまった、こういうふうになっておる。このような、まあ一つの例でございますが、その問題がございます。しかし、いずれにいたしまして、給与全体につきましてのそのほかのこまかい報告は、まだ私どもは伺っておりません。
#203
○渋谷邦彦君 これは、厚生省としては、年間の収支決算については、とる義務がございますか。
#204
○政府委員(渥美節夫君) 社会福祉法人でございまするから事業報告、現況報告は、年に一回、私のほうに届けられることに相なっております。
#205
○渋谷邦彦君 昨日の毎日新聞に、これは現地の鹿児島の支局長さんと松下さんの対談がここに載っております。これによりますと、まず冒頭の見出しに、県の監督は筋違いだと、また、実際いまの給与問題に触れまして、五十万もらおうと百万もらおうと、そんなことはよけいなお世話だと、こういう答えをされているんですね。こうしたことが許されていいのかどうか、いかがでしょう。
#206
○政府委員(渥美節夫君) その新聞を私まだ拝見しておらないわけでございますが、まあ社会福祉法人の「たちばな会」の経営いたしておりますところの重症心身障害児施設及び「福山学園」という精神薄弱児施設につきましては、児童保護措置費によりましてその運営費がまかなわれておるわけでございます。したがいまして、もし、そのようなことをおっしゃったといたしましても、それだけの保護措置費というものは、そこには計上され得べくもないと思うのでございます。したがいまして、そのような金額でございますれば、その点は当然病院を医療法人「仁心会」というふうなことで経営もされておりますし、そのほうの関係の分であるいはあるかもしれない、かように思います。いずれにいたしましても、社会福祉法人の「たちばな会」の経営する児童福祉施設につきましては、そのようなことが考えられもしない、かように考えます。
#207
○渋谷邦彦君 考えられもしないということは、どういう意味を含んでいらっしゃるのかわかりませんけれども、先ほどお答えもありましたように、とにかく国費が四千三百七十八万円、県の費用が二千百八十九万円、合計六千五百六十七万円、これが出ておる。それから年間の措置費として四千五百四十二万円、保険給付として二千三百三十五万円、これは年間の運営費として出ているわけでございますね。これは当然こうして国から出ている、県から出ているということになれば、その収支については明確を期することが、言うまでもなく、当然の事柄だと思うのですけれども、そうした場合に、それはどっちのほうからお金をもらっているか知りませんけれども、こうしたことは「オレンジ学園」というものを前提として話をされているわけですね。そうしますと、何ぼもらおうと、そんなことはよけいなお世話じゃないかということは、ちょっとことばが過ぎはしまいかと私は思うのですがね。国費といい、県費といい、国民の税金であることは、言うまでもない。それを幾らもらおうとかってだという、この言いぐさは、私は、ちょっとふに落ちないのですけれども、もう一ぺんその辺の明確な答弁を願えませんか。あと、大臣に一まとめに全部やってもらいますから。
#208
○政府委員(渥美節夫君) 重症心身障害児施設において使われますお金は、御承知のように、健康保険あるいは国民健康保険という医療費とともに、自己負担分につきましては、国費、県費が出されているわけでございますが、これが昭和四十四年度の予算におきましても、人件費、それから子供さん方のいろいろな費用を全部合わせまして、一人につきまして一月約五万円程度でございます。これは、人件費と子供さん方のいろんなおむつ代その他全部ひっくるめてございますので、この五万円につきましても、私どもは、絶えず、これではとてもやっていけないというふうなことで、毎年予算の増額については最大の努力を払っておるような状況でございますので、とてもそのような大きなお金が――園長さんでございますか、動くということは、私自身は想像もできないことでございますので、もう一つその新聞の記事にあらわれた内容等につきましても、御本人がそのようなお気持ちでほんとうに言われたのかどうか、そういった点もまだ私もわかっておりませんし、何とも私自身としてはお答えができそうもありません。
#209
○渋谷邦彦君 それは無理からない問題だと思いますけれども、いずれにしても、これはちゃんとした、れっきとした新聞に出ているわけでございますので、そのときの感情的な質問に対しての発言というふうなことも考えられないではありませんけれども、しかし、これが本意だとすると、非常に残念なことだと思います。しかも、まだあるのですよ。もし、そういうことで責任をとってやめるということになれば、自分の所有されている土地一万坪ですね、この地代を取る、それから、いままで出資した「オレンジ学園」のお金ですか、三千五百万円、これも返してもらう、カッコして、語気も荒げにと書いてあるのですね。私は、松下さんという方はやはり篤志家の一人だと思うのですね。私は人柄についてはわかりませんけれども、なかなかこうした施設を進んでやろうなんということはできないことだと思うのです。けれども、それほどの方がせっかくここまでやってきて、こういう何か腹のうちを見せられるということになると、九仭の功を一貫に欠く事柄ではないかと、残念に思うのです。もしも、この方の真意というものがこのとおりであったとした場合、これは、おれの一万坪を返してくれ、いままで出資した三千五百万円返してくれ、こういった場合に、政府としては、どういう措置をとりますか。
#210
○政府委員(渥美節夫君) 松下先生が、日本では第四番目の民間の施設といたしまして、もうそのころからいままで最悪の条件の子供を引き受けて、一生懸命やってこられたということから、この領域のほとんどすべての方は存じ上げておるわけでございます。したがいまして、いまのようなおことばがほんとうであるかどうか、私もちょっと判断がつきかねますし、また、そういうふうなことは、ちょっと想像もできませんので、そうなったらどうなるかという点につきましては、なかなかむずかしい問題でございまして、もう少し様子を見せていただきたい。いま、私といたしましては、たいへん遺憾でございますが、お答えできかねるのでございます。
#211
○委員長(吉田忠三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#212
○委員長(吉田忠三郎君) 速記を起こして。
#213
○渋谷邦彦君 いずれにしても、いまずっと答弁を伺っておりますと、全体の事件の内容というものが正確に掌握されていない。また、調査の段階でもあるということですので、この程度にいたしますけれども、しかし、園長がおっしゃっておることの中で、やはり、こうした社会福祉事業というものは、国が積極的にやってもらいたいということを最後に強い希望として言われているのですね。もうこれは切実な本心だと私は思うのです。こうあるべきだと思うのです。こういう問題で、やっと緒についたというものの、いまわしい不祥事というものを起こさないように、厚生省としても、全力をあげてやっていただきたい、こう思いますし、大臣にいままでの話の経過を通じまして、その所信と、今後のこうした問題に対処する決意というものをお聞かせいただきまして、本日のところは、一応この問題については留保しておきますので、そのつもりでお聞かせいただきたい、こう思います。
#214
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほどから一時間余り、渋谷さんと局長との間の応答を私も聞いておりまして、厚生省といたしましては、まだ調査不十分でございますので、十分なお答えができなかったことは申しわけないと存じております。事柄の全体を通じまして、私は、こういった重症な心身障害児の施設というものは国でやるべきだと、かように思うわけでございますが、何ぶんにもこういった経営をいたしますことそれ自身非常にむずかしいわけでございます。したがいまして、個人の方がこういう仕事を一生懸命やってくださるということについては、私は、非常に敬意と感謝をいたしているわけでございます。よくもやってくださっていると思うて、感謝をいたしておるわけでございます。私は、松下さんにはまだお目にかからないので、よく存じておりませんけれども、伺いますと、りっぱな方だと伺っておるわけであります。ところが、いま言ったような事柄が出まして、もしこれが事実であるというのなら、私は、先ほど申しました感謝の気持ちを裏切られるような気がいたすわけであります。事実を十分調査をいたしました上で、とるべき措置はとらなければならぬ、こう思っておるわけでありますが、はたして、いまおっしゃるような事柄で、まことにむごたらしい虐待をやっておられるだろうかということで、私の心境としては信じられないくらいでございますけれども、しかし、事実はおおうべくもございませんから、事実をよく調査をいたしまして御期待にこたえるようにいたしてまいりたい、かように思います。
#215
○委員長(吉田忠三郎君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#216
○委員長(吉田忠三郎君) 速記をつけて。
 他に御発言もなければ、本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。
  午後五時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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