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#1
第061回国会 社会労働委員会 第29号
昭和四十四年七月三日(木曜日)
   午前十時四十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月三日
    辞任         補欠選任
     玉置 和郎君     矢野  登君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉田忠三郎君
    理 事
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                大橋 和孝君
                上林繁次郎君
    委 員
                黒木 利克君
                塩見 俊二君
                高田 浩運君
                徳永 正利君
                矢野  登君
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                山本  杉君
                横山 フク君
                上田  哲君
                小野  明君
                中村 英男君
                藤原 道子君
                渋谷 邦彦君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  原 健三郎君
   政府委員
       労働大臣官房長  岡部 實夫君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
       労働省職業安定
       局長       住  榮作君
       労働省職業訓練
       局長       石黒 拓爾君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       警察庁警備局警
       備課長      丸山  昂君
       法務省刑事局公
       安課長      豊島英次郎君
       文部省初等中等
       教育局高等学校
       教育課長     望月哲太郎君
       文部省初等中等
       教育局職業教育
       課長       大崎  仁君
       運輸省自動車局
       業務部長     見坊 力男君
       労働省労政局労
       働法規課長    大塚 達一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を
 改正する法律案(内閣送付、予備審査)
○労働保険の保険料の徴収等に関する法律案(内
 閣送付、予備審査)
○失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を
 改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に
 関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関
 する法律案(内閣送付、予備審査)
○職業訓練法案(内閣提出、衆議院送付)
○労働問題に関する調査
 (徳島本土連絡運輸株式会社の不当労働行為に
 関する件)
 (大鹿振興株式会社の工場閉鎖に関する件)
 (福岡県下のハイヤー・タクシーの労使紛争に
 関する件)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉田忠三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、玉置和郎君が委員を辞任され、その補欠として矢野登君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(吉田忠三郎君) 失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案、労働保険の保険料の徴収等に関する法律案、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を一括して議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。原労働大臣。
#4
○国務大臣(原健三郎君) ただいま議題となりました失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 失業保険法及び労災保険法は、いずれも、昭和二十二年に制定されて以来、数次の改正により逐次その内容を整備してきたところでありますが、両保険とも、労働者五人未満の事業所の多くについて未適用のままとなっている現状にあり、これらの零細企業に働く恵まれない労働者に両保険の適用を拡大し、その福祉の増進をはかることは、きわめて重要なことであると考える次第であります。
 また、失業保険につきましては、低所得層を中八に給付全般にわたってその内容を改善し、失業者の生活の一そうの安定をはかるとともに、失業保険経済の現状に照らし、保険料率の引き下げを伴ないまして、国民の負担を軽減する必要があると考えるのであります。
 さらに、失業保険におきましては、季節的受払者の現状、不正受給の状況等にかんがみ、制度の健全化をはかる必要があると存ずる次第でありオす。季節的受給者は、全受給者の約四〇パーセントに達し、毎年繰り返して全給付額の約三〇パーセントを受給しており、制度上種々の問題を生じているところであります。このため、短期循環に離職者を多数発生させる事業主から特別保険料を徴収し、これを通年雇用等の費用に充てることによって不安定雇用の解消をはかるとともに、拙保険者期間の計算方法を合理化する等の必要が在ると考えるのであります。また、不正受給が年々増加している現状に対処するため、これを防止する必要があると考える次第であります。
 以上のような事情にかんがみ、政府といたしましては、中央職業安定審議会及び社会保障制度的議会に諮問し、本年二月末及び三月初めにそれぞれ答申を得、また、労災保険審議会の承認を得た上、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案を作成し、国会に提出いたし一次第であります。
 次に、この法律案の内容の概略を御説明申し上げます。
 第一は、五人未満事業所に対する失業保険及び労災保険の適用範囲の拡大であります。まず、失業保険につきましては、労働者五人未満の事業主に雇用される者を新たに当然被保険者とすることといたしましたが、百万をこえるこれらの事業所を一時に適用することには、種々問題がございすので、当面は、製造業等から段階的に適用拡大を行なうことといたしました。
 次に、労災保険につきましても、労働者を使用する事業は、すべて当然適用といたしますが、失業保険と同様、危険有害でない業種は、当面、任意適用とすることといたしております。
 第二は、失業保険における給付のほとんどにわたって、その内容の改善をはかったことであります。
 その一は、一般失業保険における保険給付の改善であります。まず、配偶者の扶養手当につきまして、政令によりその日額を現行の二十円から三十円に引き上げるとともに、失業保険金の日額につきましても、告示により、賃金の比較的低い等級の日額を十円ずつ引き上げることといたしました。さらに、二十年以上の長期被保険者の給付日数を現行の二百七十日から三百日に引き上げるほか、技能習得手当の日額も改善することといたしております。
 また、受給資格者が死亡した場合や長期間の業務災害等の場合にも失業保険金の受給ができるよう、受給要件の大幅な緩和をはかることといたしました。
 その二は、日雇い失業保険における給付の改善でありまして、日雇い失業保険金の日額を、現行の第一級五百円、第二級三百三十円から、それぞれ第一級七百六十円、第二級五百円に引き上げることといたしました。さらに、賃金水準の変動等に応じてすみやかに日額の改善をはかることができるよう、告示により改訂することができることとしたほか、第一級の保険金を受けやすいよう、その決定要件を緩和することといたしております。
 その三は、就職支度金及び移転費の改善であります。これらの給付につきましては、いずれも福祉施設として支給することといたしておりますが、まず、就職支度金につきましては、従来、失業保険金及び扶養手当の合計額の三十日分または五十日分であったものを、一定の合場さらに二十日分を加算することとし、また、移転費につきましても、着後手当を新設することといたしました。
 第三は、失業保険の保険料率の引き下げでありまして、最近の失業保険収支の状況を勘案し、また今後の保険経済の推移等を考慮して、現行の千分の十四から千分の十三に引き下げることといたしました。
 第四は、失業保険制度の現状にかんがみ、制度の健全化をはかることといたしたことであります。
 その一は、三年間連続して短期離職者を多数発生させた事業主から、特別保険料を徴収し、これを通年雇用等季節的失業の防止のための費用に充てることといたしたことであります。なお、特別保険料の内容につきましては、事業主に過大な負担とならないよう留意いたしておりますが、特に中小零細事業主については、離職者五人までは徴収しない等特別の配慮を加えているところであります。
 その二は、通常の労働者に期待し得る通常の雇用期間さえ満たせば、給付に何らの差別を加えないという趣旨のもとに、受給資格を得るのに必要な六カ月の被保険者期間の計算につきまして、現在は最低四カ月二十二日の雇用期間で足りるとしているのを、原則どおり満六カ月の雇用期間に改めるとともに、一カ月間の賃金支払い基礎日数を現行の十一日以上から十四日以上に改めることといたしたことであります。なお、就労の実態を考慮し、二以上の事業主に雇用された者につきましては、被保険者期間の通算について特別の配慮を加えることといたしております。
 その三は、不正受給者に対しまして、現行の不正受給金の返還命令制度に加え、新たに納付命令制度を設けることといたしたことでありますが、労働者に対して過酷なものとならないよう、納付額は不正受給金額と同額以下とし、またその基準は、労働大臣が中央職業安定審議会の意見を聞いて定めることといたしております。
 以上のほか、失業保険におきまして、失業の認定回数、失業保険金等の支給方法、日雇い失業保険の保険料の納付方法等について整備をはかることといたしております。
 次に、この法律案の施行期日につきましては、失業保険及び労災保険の適用の拡大は、実施準備に万全を期するため、別に法律で定める日から施行することとし、その他の事項は、それぞれの内容により、昭和四十四年七月一日、八月一日、十月一日の三段階に分けて施行することといたしております。
 以上この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
 次に労働保険の保険料の徴収等に関する法律案及び失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 さきに提出いたしました失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案におきましては、両保険の当然適用の範囲を労働者五人未満の零細事業に拡大することといたしておりますが、これにより、今後新たに両保険の適用を受ける事業の数は、大幅な増加が見込まれております。
 これら零細事業について、失業保険と労災保険とでそれぞれ異なった手続方法によって、別個に適用徴収の事務処理を行なうことは、事業主に過重の事務負担をかけることともなり、また、保険事業運営の面から見ましても効率的な事務処理が期しがたく、このため、両保険の一元的な適用と保険料徴収方法の一元化を行なうことによりまして、保険加入者の利便と両保険の適用徴収事務の簡素化、能率化をはかる必要があると考えます。
 また、かねてより、関係審議会等各方面からも、労働者五人未満の事業への適用拡大の際、失わせて、両保険の適用徴収の窓口及び事務処理方法等の一元化をはかることを強く要請されてきたところであります。
 以上のような事情にかんがみ、さきに提出いたしました失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案に引き続き、これと関連する二法律案をここに提出した次第であります。
 まず、労働保険の保険料の徴収等に関する法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
 第一は、現行の失業保険及び労災保険の適用徴収につきまして、これを各事業ごとに労働保険という一つの保険関係とし、両保険の適用徴収事務を一元的に処理することといたしております。
 適用のしかたは、ほぼ現行の労災保険のとおり、各事業を単位とし、建設業等数次の請負によるものにつきましても、労災保険と同じく、原則として工事ごとに元請で一括して処理することにいたしております。
 第二に、保険料につきましても、現行の労災保険と同じく、毎年度の初めに、その事業で一年間に支払われる賃金の見込み額に両保険の料率を合算した保険料率を乗じ、これを概算保険料として徴収することとし、その年度末までに実際に支払われた賃金に基づき、過不足を精算することといたしております。
 通常の場合には、前年度分として精算確定した保険料の額を当年度の概算保険料として納付すればよいこととし、また、保険料が高額となる場合には、分割納付を認めることにより、加入者の事務的、財政的負担の軽減をはかることとしております。
 なお、失業保険の日雇い労働被保険者に関し、印紙で納付する保険料につきましては、従来の納付方法によることとしております。
 第三に、保険料の労使の負担割合は、現行どおりでありまして、労災保険に関する部分は全額事業主負担とし、失業保険に関する部分は労使折半を原則としております。
 また、労働者が負担する保険料は、現行の失業保険の場合と同様に、事業主が毎月の賃金から控除することができることとしております。
 第四に、現行の失業保険及び労災保険の事務組合につきましては、適用徴収事務の一元化に伴い、これを統合して新たに労働保険事務組合の制度を設けることとしております。
 次に失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の概要について御説明申し上げます。
 この法律案は、さきに提出いたしました失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案のうち、労働者五人未満の事業についての両保険の適用拡大に関する規定及びただいま御説明申し上げました労働保険の保険料の徴収等に関する法律案の施行期日を公布の日から起算して二年をこえない範囲内で政令で定める日とすることとあわせて、これらの法律の施行に伴い、関係法律の規定の整備及び必要な経過措置を定めるものであります。
 これらは、いずれも、各法律案の附則事項でありますが、立法技術上まとめて一法律案として整理することといたした次第であります。
 以上、二法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 なお、御参考までに申し上げますと、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案、及び失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、衆議院社会労働委員会におきまして、去る七月一日に修正議決され、三法案とも、本日の衆議院本会議において審議されることとなっておりますが、衆議院社会労働委員における修正の概要は、次のとおりでございます。
 一 被保険者期間の計算方法については、六年間、四カ月二十二日の雇用期間があれば、六カ月の雇用期間があったものとみなすこととする。
 二 政府は、農林水産業等を当然適用とするための適切な方策について調査研究を行ない、六年以内に必要な措置を講ずるものとする。
 三 施行期日のうち、昭和四十四年七月一日を同年九月一日に、昭和四十四年八月一日を同年十月一日に改める。
 四 以上の修正に伴い、この改正法案及びその整備法案の関係条文について、所要の字句整理を行なう。
 以上の四点でございます。
#5
○委員長(吉田忠三郎君) 本日は、三案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(吉田忠三郎君) 次に、職業訓練法案を議題といたします。
 御質疑のある方の発言を求めます。
#7
○上田哲君 職業訓練法が今日まで議論されてまいりましたけれども、私は、大体二つの点について御意見をただしたいと思います。
 その一点は、この職業訓練法が政府の雇用政策の下請法ではないのかという問題。もう一つは、激しい技術革新の中で、結局は労働力のスクラップ化を促進することにのみなるのではないか、こういうわれわれの見解に対して、いろいろ御答弁をいただきたいと思います。
 元来、今回の改正案の前に雇対法があるわけですけれども、雇対法十一条によると、「国は、職業訓練施設の整備、職業訓練の内容の充実及び方法の研究開発、職業訓練指導員の養成確保及び資質の向上等職業訓練を充実するために必要な施策を積極的に講ずるものとする。」と書いてあります。簡単にいえば、これだけあれば職業訓練そのものは充足されるのではないかという考えが成り立つわけですが、まず、その辺はいかがですか。
#8
○政府委員(石黒拓爾君) 御指摘のごとく、雇用対策法におきましては、雇用政策の観点から職業訓練の充実のことを第十一条で指摘しておりまして、こういう施策を講ずることによりまして、職業訓練の充実がはかられることは間違いないと存じます。
#9
○上田哲君 お話しのように、この条文が十分に生かされるならば職業訓練の充実がはかられると言われるのならば、新しい職業訓練法の改正を行なら必要がないか、あるいはこの第十一条が死文となっているか、いずれかでなければならぬと思うのですが、実情はいかがですか。
#10
○政府委員(石黒拓爾君) 第十一条は、職業訓練につきましての施策充実の非常に原則的なことを述べておるだけでございます。職業訓練法におきましては、職業訓練の本来の目的を明らかにし、それに伴って具体的にどういう施策を講ずるかということを規定しておるのでございまして、やや重複する点があることは、御指摘のごとくでございますが、片方が死文になると、片方が要らないというようなことはないかと存じます。
#11
○上田哲君 雇対法の十一条が死文になっていないと、しかも、それが生きていながら、さらにこれを具体化するような職訓法の必要があるんだということになると、一体雇対法十一条と職業訓練法との関係というのは、つまり主従の関係、おそらく対等であると、従属するもりではないと言われると思うのですけれども、その関係は、どうお考えですか。
#12
○政府委員(石黒拓爾君) 雇対法十一条は、雇用対策の観点から職業訓練は非常に必要だから充実すると申しておるわけで、職業訓練は雇用対策上の観点からも必要なものではございますけれども、雇用対策プロパー以外に、労働者の人としての完成のために必要でございまして、職訓法は雇用対策的見地のみならず、広く一般に職業訓練本来の目的を明らかにして、それを具体化したものであるという点におきまして、雇対法の規定とはやや趣旨の異なる点があると存じます。
#13
○上田哲君 結論的に言うと、職業訓練法は雇対法の従属法ではないという見解をおとりになりますか。
#14
○政府委員(石黒拓爾君) 従属法ということばをどういう御趣旨でお使いになっていらっしゃいますか、私、しかとわかりかねますが、ともかく職業訓練法は雇用対策法の下部に位する法律であるとは毛頭思っておりません。
#15
○上田哲君 関連があることは言うまでもない外ありましょうけれども、非常にえぐって言えば、この雇対法の十一条に基づいて職業訓練のあり方が規定されるのではない、極端に言えば、雇対比十一条がなくても、職業訓練法の改正は今回行なわれねばならなかったと言われるわけですね。
#16
○政府委員(石黒拓爾君) おっしゃるとおりでございます。
#17
○上田哲君 そうしますと、これはもうお経読みの段階ではなくて、もう少し具体的に、いま言われたような抽象論をもう一歩進めて、たとえばこの雇対法十一条は、私どもが実体的に把握する限り、これは死文化しておるわけです。このことによって、ほとんど具体的な何ものも果たされていないとわれわれは考えるわけですけれども、これが死文化されているのではない、しかも、雇対法に全然従属するのではない形で職訓法の方法論があり得るのだということであるならば、その具体的なビジョン、まあビジョンと言っちゃ少し答弁が抽象論に流れ過ぎるきらいがあるでしょうから、きわめて具体的に、たとえば数字的な観点も付して、もう少し御説明をいただきたい。
#18
○政府委員(石黒拓爾君) 数字的な観点も付してというあれでございますが、職業訓練法のビジョンと申しますのは、御審議いただいております法案の第一条にございますように、「職業人として有為な労働者」になるように、労働者を訓練あるいは技能検定をもってするのである。そうして「職業の安定と労働者の地位の向上」、「経済及び社会の発展に寄与する。」、そのために「労働者の職業生活の全期間を通じて段階的かつ体系的に」行なうものであるというのが、大ざっぱに申しまして、職業訓練法のビジョンでございます。このビジョンに従ら職業訓練法が行なわれますならば、これまた第一条にございますように、「雇用対策法と相まって、」その効果が発揮されるものであるという点におきまして、雇用対策法と関連があるわけでございます。したがって、十一条につきましては、職業訓練法の趣旨とするところと重複いたしますけれども、職業訓練法が十一条の趣旨に全部含まれるというものではないというふうな関係になると思います。
#19
○上田哲君 そういうことであるならば、雇対法十一条があれば足りるのですよ。だから、その程度の抽象論でならば、新たにここに職業訓練法を大改正して、新しい産業需要にこたえるための労働力を生産する云々というようなことは出てこないわけなんで、人格の涵養その他なんていう話しは、この際お経の部分として切り捨てるにしても、はなはだ具体性がないわけですが、私が数字的にと申し上げたのは、それじゃ、もう一歩突っ込んでお尋ねするけれども、労働省でお出しになっているデータによれば、四十三年中卒の進学率が七六・七彩ですから、具体的には二三・三彩というものがそのまま金の卵になるわけですね。その二三・三%に、じゃ、どれだけの職業訓練が可能となっているのか。これは、従属法ではないけれども、関連があると言われたけれども、法十一条と、どれくらいの関連があるのか。それではどういう部分が足りないから、この際、職訓法でその二三・三%をどのように吸収するのか。数字的なその見通しをしっかり出していただきたい。
#20
○政府委員(石黒拓爾君) 雇対法十一条では、先ほども申し上げましたように、職業訓練は大事だから一生懸命やるんだということを書いてあるわけでございます。じゃ、訓練というものは、そもそもどういう性格を持って、いかなる具体的方法でやるかということについては、雇対法は触れておらないわけでございまして、それは職業訓練法を待って初めて明らかになるところでございます。職業訓練法のもとにおきまして、中卒がどの程度職業訓練の対象になっておるかと申しますと、これはあまり自慢できる数字ではございませんが、四十三年の三月卒業の中学生につきましては、その十六・四%が養成訓練の訓練生と相なっております。
#21
○上田哲君 一六・四%というと、数字は――つまり二十三・三%というのはざっと三十二万人ですね。そうすると、数字はどうなりますか。
#22
○政府委員(石黒拓爾君) 二三・三%のそのまた二八・四%でございますから、中卒就職者は、四十三年三月でござまいますと、三十二万三千人でございます。それに対しまして、認定職業訓練、すなわち事業内職業訓練に入ります中卒者は一万九千六百三十三人、公共訓練に入ります訓練生が中卒のみで三万三千四百八人、両方合わせますと、気万三千四十一人でございます。三十二万三千人に対します五万三千四十一人が一六・四%ということになるわけでございます。
#23
○上田哲君 そうすると、二十七万人残るわけですね。三十二万人出るのに二十七万人残しておいて、それで、雇対法では十分でない、そこで職業訓練法をこの際大改正して、社会の需要に応ずるのだということになって、しかも三十二万人中二十七万人をそのまま放置しておる。これは、どういうことですか。
#24
○政府委員(石黒拓爾君) そのまま放置しておるわけではございませんが、この点は、まことに痛い御指摘でございまして、本来ならば、中卒者の全員を職業訓練の対象といたしたいわけでございます。しかしながら、いわゆる先進国を見ましても、一番高いところがドイツの八〇%、男子が八〇%、オランダあたりで五〇%くらいでございます。全員を一人も漏れなくというのはむずかしいわけでございますが、私どもとしましては、せめて半分くらいは職業訓練を現実に受けるものといたしたいと考えております。従来は、努力が不足でございまして、その段階に到達しておらず、わずか二八・四%でございます。今回の改正法のもとに、一そう努力いたしまして、せめてこの半分という目標に一日も早く到達いたしたいと考えております。
#25
○上田哲君 半分ぐらいは、いつころできますか。
#26
○政府委員(石黒拓爾君) ただいま御審議いただいております法案が成立いたしますると、職業訓練に対する基本計画というものをつくることに相なっております。この基本計画は、中央職業訓練審議会の議を経、かつ、都道府県知事その他いろいろな方の御意見を聞いた上できめるわけでございますので、私どもが何年で何万人ふえるということをいま具体的にお約束申し上げる立場にはございません。私どもといたしましては、あと二、三年の間に現在の水準を倍増いたしたい。それをざらに倍増すれば約半分になるわけでございます。そのさらに倍増というところにはさらにまた四、五年かかるのじゃないかという大ざっぱな目の子を持っております。
#27
○上田哲君 たいへんな発言なんでありまして、労働大臣そこにおられるけれども、先進諸国云々と言われるが、ドイツにおいても八〇%だと言われたが、八〇%というのは、たとえば日本の種痘の接種率ですよ。これはもう八〇%というのは、社会の参加率の最高なんですから、八〇いけば、文句は言わないと思うのです。ほかの道もいろいろあるでしょう。八〇と一六を比べて、先進国も八〇ぐらいなんだからというのは、これは数字の比較にならぬ。この程度で職業訓練云々と言われるのは、これは労働政策なきに等しいと思うのですが、この点労働大臣いかがですか。
#28
○国務大臣(原健三郎君) 職業訓練をやり出してまだ十一年だそうでございまして、それは先進国に比べれば、期間も年数も少ないし、御指摘のように、二八・四%、まことに申しわけない数字でございますが、この職業訓練法の全面改正によりまして二、三年に倍増という見込みでございますが、やはり倍増でございます。もとが少ないですからね、倍増三十万になれば飛躍的な訓練生の増加であるし・あと四、五年で半ば・半ばまでいくと、これはもう日本の現状から見るとたいへんな大成功だと思いますが、ぜひその方面にも、ここから法案を早くひとつ可決していただきまして、それに向かって全力を傾けていく考えでございます。
#29
○上田哲君 過去十一年しかたっていないからということは、一見もっともらしい理由なんですが、十一年の努力はかりに認めるとしても、問題はこれから先なんです。政府委員から御答弁があった中に、財政上の問題と基本計画の問題がありました。私は、財政上の裏づけの問題と基本計画の策定のプロセスのあり方から、この二つの問題は、労働大臣の御答弁にもかかわらず、可能性がはなはだ少ないと考えるのです。そこのところを後ほどゆっくりお話しをしたいと思うけれども……。
 では、少し観点を変えまして、現状における、たとえば施設設備基準なり、指導員の定数基準なりというものの充足率、これもはなはだお寒い状態にあるだろうと思うのですけれども、この数を率直にお聞きかせいただきたい。
#30
○政府委員(石黒拓爾君) 総合職業訓練所につまして、指導員の充足率は約八割でございます。それから施設設備につきましては、建物と機械で違うわけでございますが、建物につきましては耐火構造になるべきものでございますが、まだ耐火構造になっておらないものが約二割ございます。それから機械につきましては、これは新しい、古いという問題がございます。これは県の一般職訓練所におきましては、かなり古いものもございまして、これは今日何割というふうな数字では申せませんが、急速に改善されつつありますが、なお若干時代おくれの機械を備えておるところもございます。
#31
○上田哲君 そういう現状ですからね。そういう現状を踏まえて、たとえば二、三年後に五〇%に達するということは、これはもう不可能だと思うのですよ。これは率直な話が、そういうお考えはあるだろうけれども、腹を割った可能性として、どれぐらいに踏んでおられますか。
#32
○政府委員(石黒拓爾君) 二、三年後に五〇%と申し上げたのではございませんで、二、三年のちにこの一六・四%、すなわち五万三千人というのを倍にしたい。そうすると、率で言えば三二、三%になるわけです。もちろん中卒の数が変わりますので、その辺非常に大ざっぱな言い方でございますけれども、倍増にするにつきましては、公共訓練の充実と並びまして、大多数の者が訓練を受けるという状態にするためには、事業主にやってもらうよりしょうがないわけでございます。事業内職業訓練と言われておるわけでございますが、今回の法律でも、事業内職業訓練につきましては、あの手この手でやりやすいような方途を法律で考えておりますが、さらに、予算上の措置というものが非常に重要でございます。私ども、重大な決意を持ちまして、この予算上の措置も実現をしてまいりたい。それによって、二、三年後に何とか倍増に持っていきたい。さらに四、五年かければ、この倍増の倍増、四倍にすれば半分ちょっとになるわけでございますけれども、その辺に持っていきたいという一その倍増の倍増のほうになりますると、非常にまだばくたるものでございますけれども、そんなようなもくろみを持っております。
#33
○上田哲君 私は、まあ五〇%というふうに聞き違えたものですから、多少好意的に考えておったのですけれども、せいぜい二、三年たって三〇%台ということであれば、これはもうわが国を先進国であるといっても先進国の最低どころか、後進国の列に入ってしまうような職業訓練の実態であろう、あるいは条件であろうということをひとつ猛省を促したいと思います。問題は、そういう実態がどこから出てくるかということだと思うのです。私は、日本の労働政策の基本に、つまり職業訓練の基本に、この職業訓練が労働者の権利として把握されているかどらか、この問題があるだろうと思うのです。先ほど局長の御答弁の中に、従属法ではないけれども、雇対法では明らかにならないのが職業法でもって明らかになるだろう、こういうことばがありました。私は、ここで従属法であるかどうかについてのことばのやりとりは時間の関係から先に送りますけれども、少なくとも、そういうことばの中にあるニュアンスをわれわれ自身の反応の中でとらえれば、これは、しょせん、政府の雇用政策の下請法としての職業訓練法が理念として根底にあるのではないかという疑いに立たざるを得ない。そうでないと言われるならば、基本的に、この職業訓練というものが労働者の権利として保障されようとしているかどうか。そのことについて明確な御答弁をいただきたいと思います。
#34
○政府委員(石黒拓爾君) 権利ということばにつきましては、いろいろな意味がございますことは先生も御承知のとおりでございます。しかし、職業訓練を受けたいという者は当然受ける機会に恵まれるべきであるという、政治的方向といたしましては、当然そうあるべきであると思いますが、しかしながら、現実にはその機会に十分恵まれておらないわけでございます。そこで、実は、事業主は、すべて新卒を雇うときには職業訓練を施さなければならないという法的義務を課してしまえば、逆に労働者の権利が最も確保されるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたような数字の場合に、法律だけ先ばしっても、これは実行不可能でございます。この職業訓練法におきましては、事業主は雇用する労働者に対して必要な職業訓練を行なうようにつとめなければならないという努力義務程度でがまんをいたしておるというのが現状でございます。機会と権利につきましては、そのように御理解いただきたいと思います。
#35
○上田哲君 ここは、端的にひとつことばで御答弁いただきたいのですが、労働者の権利としての職業訓練を前面に立てているかどうか、イエスかノーかということを明確にお伺いしてからでないと、そこから先に議論が出ません。
#36
○政府委員(石黒拓爾君) 先ほど申し上げましたように、権利という意味は、法的請求権としての権利ではございません。しかし、国の施策として、その方向に向かってそれを均てんせしむべきであるということで、権利を生かすように努力いたしたいという意味でございます。
#37
○上田哲君 どうも秀才の局長の答弁だから、私はことばの解釈で一時間くらいやりたいと思いますけれども、もちろん、私は、法的請求権としての権利などと言っているつもりはない。民法上の問題でも何でもないのです。概念上、近代労働法といいましょうか、労働関係法上の概念の上で権利として認めるか、これも結局社会政策上の問題となってしまえば別でしょうけれども、そういう立場で政府にそれ以上のことばを求めることは無理かと思うけれども、私の言いたいのは、少なくとも、労働者の権利としての職業訓練ということを指向しようという、そういう労働政策ということに立っておられるのならばわかることは幾つかあるだろうと思う。どうもそうでないように見受けられるような項目がたくさんこの改正法の中にあるという点を指摘をしたいわけです。
 具体的にお伺いしますけれども、たとえば一番初めにありますこの「雇用対策法と相まって」ということばですね。もう一ぺんもとに戻って、執着するようでありますけれども、これは従属法であるのではないかという疑いは、ここから出てくる。さっきの御答弁の、雇対法が職訓法に至ってその内容が明らかになるという、そういう表現であれば、どうしたって二つが主従の関係の上に出たということは、これはいなめないということでありますが、それはあとに送るといたしましょう。たとえば五条3項ですか、「職業訓練基本計画は、経済の動向、労働市場の推移等についての長期見通しに基づき、かつ、技能労働力の産業別、職種別、企業規模別等の需給状況、労働者の労働条件及び労働能率の状態等を考慮して定められなければならない。」と、こういうことになっておりますね。私は、これは考え方が違うだろうと思うのです。こういう考え方であるよりは、労働者の基本的権利、社会的権利ですね。労働者の社会的権利の一つとして、十分な職業訓練を独自な立場で、労働者自身のためにまず開発されるべきではないか。まず、これが先に立って、こうした社会的諸条件を前提として、いわばこの社会的諸条件に適合するような目的において職業訓練が行なわれるという規定になってくると思うのです。これは権利という立場が非常に弱くなってくるのではないか、そのことを心配するわけです。
#38
○政府委員(石黒拓爾君) ただいま御指摘の点につきましては、私ども、いかに労働者の能力を開発いたしましても、それが現実の社会の場において発揮されるのでなければ、これは労働者の幸福にはならないと思う。すなわち、労働者が最もその適性に適した能力を身につけ、かつ、その適性に応じた職についてその能力を発揮するという方向におきまして労働者の福祉も確保いたしたいと考えるわけでございます。非常にすぐれた能力はあるけれども、それが現実の社会では、だれも雇うものはないというような職業訓練は労働者のためにもならないと考えておるわけでございます。したがいまして、そういった労働市場の動向というものは、訓練計画を立てます場合に、十分重点を置いて留意しなければならないと思っておりますので、その点につきましては、やや先生と考えが異るかと思いますが、私どもはさように考えております。
#39
○上田哲君 たぶんそれは考えが異るところだろうと思うので、この一点を突き破らなければ、社会党としては、改正案に反対するということになる。一番重要な点はそこにあるわけなんです。つまりそこに流れるものは、完全雇用をおうたいになるだろう、労働者のしあわせというものは完全雇用の中にあるということをおうたいになるだろう、それはそれでことばはきれいなんです。ところが、よく検討してみると、雇対法自身が制定をされたのは四十一年なんです。四十一年というのは、どういう年かといえば、明らかに労働力が過剰から不足に変わってくるときです。労働力が不足になってきてからあわてふためいて職業訓練をして、労働能率を向上して、それで企業の中に吸収する、金の卵ということばが出てきたのはそのころなんです。若年労働者が金の卵でないころは職業訓練に熱意がなくて、完全雇用に関心が薄い、若年労働者が金の卵になって、放っておいても完全雇用という状態になれば、企業の需要に応じて職業訓練に力を入れるというふうに見ざるを得ない法制定過程がここに存在をしている。こういう発想から出ているのでは、これはどう考えても、労働者の権利として職業訓練ということを重視した法制定とは考えられないのではないか。こういう指摘に対して、ひとつ明快にお答えをいただきたいと思います。
#40
○政府委員(石黒拓爾君) 金の卵になったからあわてふためいてというふうに申されましたけれども、現行の職業訓練法が成立いたしましたのは、すでに昭和三十三年の話でございまして、雇対法は四十一年でございます。職業訓練というのは、まだ労働力過剰と言われておったころから非常に力を入れまして、その後十年間で、まだ数は不足でございますけれども、二倍半ぐらいに数はふえておるわけでございます。決して労働力不足になったから雇対法をつくって、あわくって職業訓練に力を入れたということではございません。しかしながら、われわれといたしましては、職業訓練をさらに向上充実をさせるためには、労働力不足という状態はこれはフルに活用いたしたいとは考えております。そういう意味におきまして、今回改正案を提案したわけでございますが、足りない足りないと産業界から言われるから、その御注文に合わせるものをつくってはめ込もうという趣旨ではない、その辺の善意はひとつ御信用をいただきたいと思います。
#41
○上田哲君 これはだめですよ。それが基本的にだめなのは、その辺の雇対法と職業訓練法の制定の日付をじょらずにおっしゃっても説明はつかない。これは専門家である局長自身が十分御勉強になっておられるように、一九三〇年代に、すでにその職業訓練についての概念が西欧諸国から出てきておる。そこでの理論というものは、ある程度の定着を見ておるわけです。そういうものといまとは違うのですね、明らかに。だから、私がさっき申し上げたのは、職業訓練法が何も昭和四十一年にできたなどとは言ってない、雇対法が昭和四十一年にできたのです。雇対法は、完全雇用を目ざすものでしょうから、その雇対法ができたのは明らかに金の卵ということばが出てくるようになって、労働市場が労働力の過剰から不足に変わってくる時期に出てきたというところに、この符牒を合わしていたというところに問題があるんじゃないか。局長が言われるのは、職訓法は三十年代にできているのだ、職訓法の概念というのは、一九三〇年代に、西欧諸国ではそういう議論がされていて、そこで結論が出ているわけです。その結論は何かといえば、私がさっき言った中で、局長は、労働者の権利としての職業訓練を受けるためには、機械が少ないし、建物も古いと言われ、約五万名ということは、その受ける機会は一六%しかないわけですから、これは全くお恥ずかしい話だと言われた。私は武士の情で、数字についてはこれ以上追及いたしませんけれども、内容の問題にしぼっていけば、少なくとも一九三〇年代に、これからの技術革新を見通すならば、単能工でなく多能工でなければだめだという状態になってきて、その多能工をどんどん養成しなきゃならぬということのために、いま新たにイギリスであろうが、フランスであろうが、西ドイツであろうが、職業訓練法の大改正をやろうという機運が出てきている、また、実際には、やっている。いまや第二ラウンドですよ。第一ラウンドに戻って議論するんじゃない。いまや第二ラウンドです。二八%ではあるけれども、先進諸国並みに大いに追いつこうと労働大臣がさっき言われた観点からいうならば、雇対法は四十一年に金の卵と同時に出てきた。そして西欧諸国と同じように、いま法改正を職訓法で行なおうとしている。このレベルで議論をしなきゃならぬ。そういう意味では、明らかにこれは労働者の権利としての職業訓練を先に立てていこうということよりも、どう考えたって、いみじくも第五条第3項に述べられているように、こういう経済の動向、労働市場の推移、労働力の需給状況なりを第一に前提にすることによって、この職業訓練というものをはめ込まなきゃならぬということになっているように思われるのだが、どらかと、こら言うんです。
#42
○政府委員(石黒拓爾君) 一九三〇年代に、西欧で職業訓練の理念が完成したようなお説でございまして、私、実はそのことにつきましては詳しく存じておりませんが、しかし、最近におきまして、職業訓練というのは多能工の養成というものを主眼にしなければならないという説が、西欧におきましても、圧倒的になっているということは、十分承知しております。その西欧におきまして、先ほどうろ覚えの数字を申し上げましたけれども、どのくらいの訓練生があるかと申しますと、西ドイツにおきましては、これが最高でありまして、男は八〇%、女は五五%、それからスイスは男が七〇%、女は五〇%、イギリスにおきましては、男が三三%で、男女合計すると二二%、オランダは男女合計して四〇%というのが私どもの調べた訓練を受ける率でございます。そこで、一六%が三〇%になったぐらいじゃ全然話にならないというように、先ほどおしかりを受けましたけれども、別に自慢のできる数字とも思えませんけれども、三〇完前後が受けるようになりましたらば、まあまあ後進国並みとおしかりを受けるほどのことでもあるまいというふうに考えるわけでございます。
 それから雇対法との関連でございますが、雇対法が四十一年にできましたいきさつにつきましては、そう悪意があってやったものではないと私は思いますけれども、別にいま雇対法のことを申し上げる筋合いではないと思いますが、雇対法で、雇用対策上職業訓練も大切であるということに気がついて十一条で規定したということによりまして、職業訓練制度というものが雇対法に従属するとか、雇用政策に従属するとかと、こういうふうには私ども考えません。昭和三十三年以来、今日まで職業訓練法というものは厳として独立の存在としてあるわけでございます。それが雇用対策上どのように認められるかどうかということとは別個に存在しておるし、また、今回も職業訓練独自の立場からの訓練法の改正を考えたわけでございます。しかし、考える場合に、雇用情勢というのは、当然、先ほども申し上げましたような理由で、考慮に入れるべきものであるというふうに考えておる次第でございます。
#43
○上田哲君 私は、雇対法と職訓法との従属関係だけを重箱のすみを突っついて言っているんじゃないのです。そういう従属関係があるのではないかと考えられるほどに、つまり政府の雇用政策の下請法としての職業訓練法になっているんじゃないかという問いに対してひとつしっかりした――そうではなくて、これは労働者の生活、激しい技術革新ですね、これは世界で有数の激しい技術革新の中で、ほうっておけば、そのままスクラップ化してしまうであろう労働力というものをそうさせないために、少なくとも個人が十年か十五年くらい学校に行ったということでは、もうこの技術革新に労働者としては対応していけないわけですから、それはもっと本人が自分自身で勉強しなきゃいかぬということ、これは個人の責めに帰すべきことではないので、もしこの五条3項にいわれるように、経済の動向、労働市場の推移等、つまり社会経済環境そのものを問題にされるのであるならば、個人がこういう社会経済環境についていけない部分について、どうやって個人の生活安定のためにやるべきかということで政策は立てられなきゃならぬというのが私どものほうの主張なわけです。ところが、どうもこの法文をながめていると、順序が逆になっているのではないか。産業政策上、したがって、雇用政策上の理由に基づいて職業訓練の型がきまり、内容がきまり、計画のプロセスが出てくる、こういうことになるのでは逆ではないか。もし、そうであるならば、これは労働省側の、政府側の見解にもかかわらず、われわれとしては、やっぱり労働者の権利としての職業訓練というものが先に立っているとは認めがたいのではないかということを主張せざるを得ない。こういうふうに言っているわけでありまして、その辺のところは、ひとつ労働政策の責任者としての大臣から御答弁を願います。
#44
○国務大臣(原健三郎君) 職業訓練を労働者の権利として行ならべきである、こうおっしゃるわけでありますが、先ほど訓練局長から話がありましたが、権利ということばを使われますと、何と申しますか、こういう職業訓練所の訓練そのものについてどうもなじめないような気もいたします。しかしながら、われわれとして、決して雇用政策上そういうふうにやっているのではなくて、実に労働者の、ことに若年労働者諸君が技術を習得し、そうして技能労働者として進出するように、そういうまた人格の陶冶もそこでやるというような趣旨でやっているのであります。それが主であります。従として雇用政策も何も関係ないことばかりやる、そんなばかなことはない。労働力ばかり別にぽつんとやっているのではないのです。それはどっちが主かというと、労働者に職業訓練をやるのが主であって、全然ぽつんと雇用政策あるいは経済関係も何も考えていない、そんなことはない。それも考えますけれども、従的なものとしてそういうことを考えている、こういうことでございます。
#45
○上田哲君 非常にたくましい御答弁がありましたので、これはぜひその方向でお願いをいたしたい。これは職業訓練所で仕事をしている特に指導員の人たちのいま痛切な苦しみでありまして、労働大臣から明らかに主と従の関係をここに御答弁があったということは、非常にそういう人たちを励ますことになるだろう、私はこれは率直に申し上げられるのではなかろうか。そういう方向に御努力をいただきたいが、まだしかしそれだけではがまんいたしません。
 つまり、先ほど来、外国の例などを引いたから、そうなれば御答弁をいただかなければならないと思うのですけれども、たとえば労働者の権利としての職業訓練ということは、ことばとしては、どうもなじめないのではないかといういまの御答弁でありましたけれども、先進諸国ということばを使うのも私どももいやだし、皆さんもそれこそなじめないでありましょうから、そういうことばは使わないが、たとえばイギリスなり、スエーデンなり、この辺のところでは十分なじんでいるのですね、職業訓練ということが。たとえば全体の労働時間の五%を自己の欲するところに従って無償で訓練を受け得るとか、そういういろいろな制度がだんだん開花をしているように聞いておりますが、この辺は、専門家である労働省から、たとえばスエーデンの例でもけっこうです。スエーデンなり、イギリスなりのそういう例をひとつデータとして御開陳をいただいて、その上でそういう労働者の権利ということばがなじめないかどらかということを私もここで確認をしておきたいと思います。
#46
○政府委員(石黒拓爾君) 外国の例は、私、浅学非才で十分に研究しておりませんが、一番発達しておりますドイツにおきましては、ほとんどこれは権利であり、かつ、義務であると申してもよろしいようで、八年制の国民学校を卒業しました者は、原則として全部訓練生として入る。もっとも入れない者につきましては、訓練生に準ずるような取り扱いを受けます。そうしてその間公の職業訓練、職業学校に、週一回は事業主の負担で参りまして、そうして事業主だけの訓練によるひずみがもしあれば、そこで直されるというようなことになっておる。また、イギリスあるいはフランスにおきましては、訓練税あるいは訓練課徴金というようなものを事業主から徴収いたしまして、これを訓練を行なっている事業主に渡すというような制度もございます。スエーデンあたりは、これは労働市場の需給の調節に転職訓練を使うという、非常にユニークな制度を考えております。その功罪につきましては、ヨーロッパでも目下議論されているところであるというように聞いております。私どもといたしましては、目下のところ、職業訓練は労働者の権利であり、かつ、義務であるというふうにはなじめない程度にしかなっておりません。将来は、憲法にあります勤労権のごとく、人間は勤労の権利と義務を有するのと同じように、すべての若年労働者は職業訓練を受ける権利と義務を有すると言い切れるようなところに持っていきたい熱意に燃えているわけでございます。これは、私どもがいまそういうことを言い出しましても、とてもなじんでくれません。徐々にそういう事態に、徐々にじゃなくて、急速にそういう実態を備えるような努力をしたいと考えております。
#47
○上田哲君 たいへんけっこうだと思います。労働大臣、これはなじんでいるのです、外国では。だからなじまない日本が恥と考るべきでありまして、ぜひひとつ労働者の権利として、浅学非才であるというお話がございましたけれども、かなりなデータが出てまいりました。スエーデンのLOが結んだ産業訓練に関する労働協約とか、それから西ドイツの訓練基本法における権利という条項ですね。そらした問題は、もう明らかに時代はそこまで来ていることを示している。決して社会党が天下を取っている国じゃないのでありますから、労働市場の要請というのは、すでに労働者の権利としての職業訓練をここまでなじむように持ってきているということをぜひひとつ、先ほどたくましい御答弁をいただいた労働大臣も、いまの局長の御答弁のように、徐々にじゃなくて、急速にというところに特に力点を置かれて、その方向で御努力いただくということをこの場で強調をしておきたいと思います。
 私どもが心配していることは、雇対法の運用の中で、たとえば雇対法が四十一年にできて以来、たとえば失保の窓口規制というのが非常に強くなってきまして、青森県とかその他の県、東北なんか非常に多いのですが、給付をもらいに行くと、あなたはひとつ万博のほうに行きなさい、万博に行かなければ給付を打ち切るというような話が例として一番出ているわけです。そういうスクラップ化された労働力というのがどんどん多くなってきているという一方で、職業訓練のあり方というものが非常に問題になるだろうと思うので、ぜひひとつ、もう少し前の段階から、先ほど労働大臣が言われましたような、若年労働者の福祉のためにという、息の長いところから出発をしていただきたいと思います。
 もう一つは、やはり基本計画の問題です。これはさっき残しておきましたけれども、イギリスの例です。これはぜひ御開陳をいただきたいと思うのですが、イギリスの三者の構成による計画策定の機構がございますね。
#48
○政府委員(石黒拓爾君) イギリスにつきましては、詳細なことを直ちに申し上げるほどの私知識がございませんが、イギリスにおきましては、産業別に、二十四の産業別の訓練委員会というものがございまして、これが産業に属する事業主から賦課金を取ると同時に、訓練のほらの方向づけ筆もやっているというふうに承知しております。
#49
○上田哲君 イギリスでは、一九六四年の産業訓練法、これは基本法ですね。そこで産業訓練委員会、これが労使及び教育界の代表という三者構成ででき上がっていて、この仕事は賦課金の徴収、交付金の交付、訓練の促進指導に及んでいるわけです。私は、やはり産業革命までさかのぼることはないにしても、このイギリスの労使がたどりついたこの考え方、この形、これは非常に示唆に富んでいると思います。少なくとも、私がここで言いたいことは、労働者の側の、先ほどからの権利いうことばをここで援用したいわけなんですけれども、そういう立場を主張、強調するのであるならば、この基本計画の策定なんというところでらね。ここにこういう三者構成というものが設けられることが妥当だろうというふうに思うのですが、そういう考え方がこの法改正の中に全く見当たらないのは、どういうわけだろうか。
#50
○政府委員(石黒拓爾君) ヨーロッパの職業訓練につきましては、これは、日本の場合のように、職業訓練というのが必要だからというので、にわかに政府が法をつくってできたというようなものではございませんで、御承知のごとく、中世のギルド以来の非常に古い伝統を持っている。そのギルドにおける親方と徒弟の双方の代表の協議というような制度が長い間において自然に生まれてきた。こういう基盤に立ちまして、イギリスの産業訓練委員会というようなものも円滑に運用されているのだろうと思います。私どものほうでは、そういうような基礎はないわけでございます。しかし労使の意見を十分に反映させることが必要であるという点につきましては、全くおっしゃるとおりでございますので、私どもとしては、産業訓練行政の責任は政府にある。しかしながら、その運営に当たっては、基本的な重要な事項はすべて三者構成の職業訓練審議会の御意見を承りつつやるという形におきまして、労使の御意見の反映を行なっておる次第であります。
#51
○上田哲君 審議会が三者構成になっているとわれわれは全然理解できない。たとえば公益委員の中にも、明らかに中立性でない――具体的な人選について触れることは、今日は差し控えますけれども、そういう批判が労働者側からある。イギリスでは、ギルド以来、十分な歴史的な経過があって、したがって、そういう経過と歴史がないわが国では、それほどの体制がないけれども、四百二十万人を擁する総評以下ナショナルセンターもある。そらした部分も全然ネグレクトされるということは、議論をすれば議論せざるを得ない。金の卵ということばは、どこから出てきたか別にしても、その金の卵の供給源である労働界の組織改革を無視してはこうした産業訓練も成り立たないということになるならば、いまの三者構成を何らかの形で基本計画の策定の中に入れるのが至当である。審議会とおっしゃるけれども、審議会の構成自身にも問題がある。これはしばらくおくとしても、その審議会の答申がこの法案の中に出てこないわけです。審議会の中でいろいろ答申されたような問題は、実はここに出てきたというなら話は別だ。時間がないから触れませんけれども、これをやったら三時間や五時間かかるぐらいに、極端に言えば、政府の都合の悪い部分はネグレクトされていると言わざるを得ない。全部答申をそっくりそのまま持ってきて法改正なさるというならともかく、審議会があるのだから、三者の意見はおのずから三つになって出ているだろうということは納得しがたい。だから、その問題について反論するのであれば、今回の改正の中に、いまからでもおそくはないから、基本計画策定の中に三者構成の意見を入れられるという点について、いかがですか。
#52
○政府委員(石黒拓爾君) 法案につきまして、御指摘のありました点につきましては、私どものほうも多少申し上げたいことがございますが、その御議論ではないようでございますので、それは申し上げませんが、基本計画につきましては、中央職業訓練審議会の意見を聞くということを法律で保障しております。これは訓練審議会の構成について、多少御議論があるかも存じませんけれども、明らかにこれは三者構成で運営しておりまして、私どもといたしましては、中央職業訓練審議会の御意見は非常に尊重しているつもりでございます。至らぬ点があれば、さらに御叱正を得たいと存じますが、労使の意見というものを無視しておるということでは、少なくとも私どものつもりでは、そういうことは全然ないのでございます。
#53
○上田哲君 まあ、その辺は、政府としてはどうしても突っぱねなきゃならぬところでしょうし、われわれとしてもあとへ引けないところでありますから、これは反対の理由の大きな一点として残すよりいたし方がない。われわれとしては、やはり審議会の中で十分に議論がなされ、答申をされた部分が、法案として出される段階で消えてしまっているというところをとらえて、やはりこれは審議会の意見が十分に反映され得ない証拠であるというふうに考えるし、そうでないと反論されるのであるならば、基本計画の策定の中に、どうしても労働者側の意見というものを合法的に、有権的に入れられるように、法改正をさらに進められることを希望をするにとどめておきます。
 その点では、かなり強い反論があることも付言をして、時間がありませんから、先に進んでおきますが、先ほどそういう意味で、十分に職業訓練の内容の増進には努力してるんだと言われましたけれども、その内容それ自体、たとえば単能工、多能工の問題、あるいは基本計画策定のあり方について、私どもは、やっぱりどうしてもこの御答弁で満足できない部分を残します。
 そこで、二、三の問題について簡単に伺いたい。なお、この段階に至って、英断をもってわれわれの意見を入れて再改正をされるかどらかという点について、二つ、三つお伺いをするんですが、専訓と高訓ですね。もう専訓というのは、先ほど申し上げたように、また局長自身がお認めになったように、産業の実情の中から見るならば、単能工の育成ということは、単なる臨時的な、場当たり的な職業訓練に堕するおそれがあるし、そのことは、結局労働者自身のスクラップ化を促進するのみか、万博のエンヤコラ要員ばかりをふやすことになるのではないかという危倶を私たちは持ちます。これは、時間がありませんから、結論だけ申し上げるし、絶論だけの答えでけっこうですが、この際、専訓を廃止して高訓一本にしていく。こういう方向をおとりになる考えはありませんか。
#54
○政府委員(石黒拓爾君) 専訓の訓練内容がすべて単能工であるというわけではございません。専訓の内容も多能工的に切りかえていくという所存でございます。それから、御指摘のごとく、高訓に重点を今後は置いていくというところは考えておりますが、直ちに専訓を全部廃止するということは困難であろうかと思います。
#55
○上田哲君 私どもとしては、専訓を廃止して、高訓一本にしぼれという要求を主張しておきます。
 それから次に、職業訓練大学校ということが想定されてるようですけれども、何か短大ということが想定をされ、消えたようですね。短期大学、まあ消えたようですからいいんですが、こういうのがいろいろでき上がってくることになると、指導員の免許の問題が出てくると思うのです。その指導員の免許というのは、これは藤原委員から、前に指導員の待遇について質疑が行なわれておりますから、きょうは省きますが、一言だけ申し上げておけば、指導員の待遇というのは非常に問題があるわけです。しかも、まあオールラウンドの指導員が、英語も教えれば、数学も教えれば、物理もやる。これは小学校の寺小屋方式がそのまま延びているんですから、内容々々と言われますけれどもこれは小野委員もあとから御質問がありましょとから、私はそっちへ譲りますけれども、正読本にとんでもないものが出てきている。これは労働省でおつくりになって検定された教科書に――これは正読本ですが、正読本の教科書に、三百ぺージ足らずの中に三百カ所も誤りがある。これは事業団に正規に報告されてるわけですが、御承知なければここで出してもいいんですがね。そういう非常に内容的にもお寒い状況の中で、しかも、指導員は英語を教えた、その次には物理を教える、次には数学を教えるというような、これはほんとうに小学校教諭でなければできないような非常にお寒い状態ですが、また、冬だと言ったって、大きな棟の中にたった一つしかストーブがないような、そういう状況であるわけです。そういう意味で、指導員の待遇改善ということは、ぜひともひとつ御努力をいただかなければならぬ。われわれも、また、強い要求を続けていきたいと思いますけれども、それはしばらく置くとして、この際、いろいろな職業訓練大学校や、あるいは短大構想もささやかれる時点においては、専訓と高訓の指導員の免許に将来区別が強化されてくるというようなことになってはならぬと思うんです。われわれの主張としては、専訓、高訓――高訓一本にすべきだという主張でありますけれども、暫定的にそれが廃止されない段階においては、指導員の免許に区別をつけないような、こういう措置を保証していただきたいと思うのですがいかがですか。
#56
○政府委員(石黒拓爾君) 指導員があらゆる科目を全部教えなければならないというたてまえになっているのは、御指摘のとおりでございまして、これを専門化する必要があるかどうかという問題は別個ございますが、しかし、専訓と高訓で指導員の資格に区別をつけるという考えは毛頭ございません。
#57
○上田哲君 それから職業訓練法人連合会というのができると思うのですが、これは、私は、おやめになったらいいだろうと思います。これはどういう意図を持たれるかは、またお経読みになりましょうから、その辺の説明は要りませんが、私の見るところ、弊害のみ多いのではないか。つまりプレッシャーグループになるのではないか、こういうものがいろいろと訓練内容に注文つけるということになると、またしても、職業訓練というものは何かの傘の下に入ってしまうという心配を持たざるを得ない。私どもの主張としては、この職業訓練法人連合会という膨大な権限を付与されると心配される機構を、この際は、おつくりにならないことを主張するわけなんですが、いかがですか。
#58
○政府委員(石黒拓爾君) 職業訓練法人連合会というのは、申しわけない話でありますが、国からの補助金もいまのところ予定しておらないところの団体でございまして、プレッシャーグループとしてでも育ってくれれば、これは、われわれとしては、望外みたいなものでございまして、職業訓訓法人それ自体は共同訓練を行なう、その連中が集まってお互いに協力をするということを自主的にやってくれ、法律をつくってやるからあとは自主的にやれという、国としては、少してまえがってな法制であると、私のほらは感じておりますが、これが、むしろ弊害を持つ強力な団体になるということは、まず、当分の間あるまいと、私どもは考えております。
#59
○上田哲君 弊害を持つことは、当分の間あるまいと考えるということでは困るのです。これは、私たちは弊害を持つだろうと心配をするし、事実そういうことが今日までいろいろと議論をされてきた末に、しかも、こういう形態が出てくるというところに疑問を感ずる。私は、いまの御答弁の中に、ことばのはしりだと思いますけれども、プレッシャーグループにでもなってくれれば望外のことだというのは、これは国会議事録の中にとどめていいことばかどうかということについて御確認をいたします。
#60
○政府委員(石黒拓爾君) まことにことばのはしりで、不穏当なことばの使い方を申し上げました。まあ、とうていそんな強い団体にはならぬというつもりのことを妙な表現をいたしまして、おわび申し上げます。
#61
○上田哲君 御訂正がありましたから、そのことはそれで追及をいたしませんが、プレッシャーグループというようなことばは、これまで若年労働者、中学を卒業した三十二万人が、これから産業人として生きていくために、訓練を受ける、その訓練を受ける訓練所に向かって、プレッシャーグループなんというのは、いかなる意味であれ、あっていい道理はない。これは社会なり、国なりのそらした力があたたかく庇護していくのが当然でありまして、特殊なプレッシャーグループを想定するがごとき御発言というのは、はなはだ誤解を招くことばだと思います。
 もう一つ、技能検定の問題でございますが、技能検定協会というものができる、これはできることことならば、民間の検定協会なんかをつくるのではなくて、これは国の検定ということがいいだろうと思う。私どもの立場から言っても、本来は、できるだけ民間といいましょうか、法的に規制されてないものを求める立場ではありますけれども、こういう検定というものは、民間検定協会というようなものに委嘱することは、おそらく、これは手が足らないからそういうことになるのだというのが実情だと思いますから、そうであれば、できればひとつこういうものではなしに、民間の検定協会ではなくて、国の手によって検定するということが一つ。もう一つは、その検定によって技能士補ができて、次に技能士ができて、技能長ができる、私は、こういうことはやめたほうがいいと思う。これは明らかに意味のない労務管理に道を開くことになり、意味のない職務給への格差を助長することになるだろう。これは、やはり先ほど来、労働大臣からたくましく御答弁があったような方針に従らならば、この際は、検定を終わった人は技能士なら技能士にする、その区別を資格の上ではスタートにおいてつけないことが正しいのではないか、この二点を主張いたします。
#62
○政府委員(石黒拓爾君) 技能検定協会は、御指摘のごとく、役人の手が足りないのを補うという趣旨を多分に含んでおるものでございますが、これは当委員会でございましたか、ほかの委員会で御指摘を受けましたように、たとえば基準監督官が足らぬ足らぬといって、必死になって増員を要求をしてふえたのが二十何名というように、これは検定につきまして数百名、数千名人手が要るものでございまして、現在の職種を二百種くらいにふやしたいと思っておりますが、これに必要な増員はとてもいまの情勢では認められないだろうということで、いまのようなこういう協会方式にいたしましたので、その点は御了承いただきたいと思います。
 それから検定の種類につきましては、これは一段階がいいか、二段階がいいか、三段階がいいか、いろいろ議論のあるところでございまして、職種によりましては一段階でたくさんなのもあり、職種によっては三段階が必要なのもあるかと思います。基本的には現在の一級、二級の検定という体制を保持いたしまして、例外的には一段階のみの検定職種というのもあると存じます。また、三段階というのが必要な場合もあるかと存じますが、一ころ申されましたような技能長という、要するに熟練度においては変わりがなくて労務管理能力だけが少しよけいになった者を国が検定をするというような制度をつくるつもりはございません。
#63
○上田哲君 つくる気持ちはないということはたいへんけっこうであります。
 さて、いろいろお伺いしたいのでありますが、時間の制限もありますから、最終的なところに入っていきたいと思うのですが、先ほど来、御答弁の中で財政問題も含めて云々ということばがちらほら出ましたし、やっぱり財政的な苦しさが、考えとは別に、形を整えられないということもあるだろうと、これは私どもも想像いたします。まだ、まあ労働者の訓練を受ける立場に立って質問をする、その姿勢で言うならば、これははなはだ労働省側に鋭く反省を求めなければならない点が多いだろうと思います。つまり今日の財政的な裏づけなり、将来展望からするならば、とても先ほど来のお話に沿うような形での職業訓練の美しいビションというものは出てこないだろうと、財政的に見通せる。破綻をしておるのではないかとさえ思う部分もあるわけです。たとえば、冒頭に、この職業訓練法が雇用政策の下請法になっておるのじゃないかと言いましたけれども、別な言い方も使うならば、今日の総合職業訓練所などは完全な町工場の下請け機関になっている。こういう部分を具体的に指摘をしたいと思います。つまり今日激しい技術革新にほんとうに役に立つような職業訓練、技能訓練をしようというのであるならば、これは並みたいていのお金ではできないわけです。本来、先ほどの労働大臣その他の御答弁によるように、労働者の福祉のために、一生懸命こちら側から手を差し伸べて職業訓練をするというのならば、少なくとも、これは無償でなければならぬですね。ところが、実際には月五百円、年額六千円を取っているという事実がある。ところが、六千円でもこれは全く足りないのですよ。事実上平均して大ざっぱにいえば、二万五千円と言われておりますね。この二万五千円と六千円の差をどうやって埋めるか、この辺はどらやって埋められているか、ひとつ御説明いただきたいと思います。
#64
○政府委員(石黒拓爾君) 御指摘は、実習経費のことだろうと思いますが、おおむねその程度の金がかかっております。その経費は、実習訓練生から徴します実習負担金と、それから訓練生の実習による作品を売却した実習収益と、それから予算と、この三者でもってまかなっております。
#65
○上田哲君 雇用促進事業団が出している「雇用促進」というパンフレットがありますね。お読みでしょうけれども、この四月号の第十八ページに、米子総合職業訓練所の指導官が日記を寄せています。これは全部読むつもりはありませんが、ここの一番大事なところだけ読みますと、「本来ならこの作業は第一工程打抜き、第二工程第一絞り、第三工程第二絞りと三工程で仕上る製品なのだが、工程毎にプレス型を取替えていたのでは納期に間に合わないので、」、納期ですよ、職業訓練所に納期があるわけですよ。「納期に間に合わないので、第一工程打抜きだけと云うことで二十四万個受注したのだが、」、二十四万個ですよ。「やはり教材の導入には適当な個数と出来るだけ完成品になるようなものでないと訓練生には熱が入らない。」と書いてある。これはもう申し上げる必要もないかもしれないが、二十四万個なり、納期なりということは、これはもう全然職業訓練所の指導員のことばではなくて、町の中小企業の工場の事業主の日記であると考えてもふしぎがないようなそういう状態になっている。いま三つの要素から必要経費をまかなっているといろお話がありましたけれども、実際問題としては、六千円と二万五千円の差額というのは、こういう形でまかなわれている。しかも、これは親工場からすれば、実に低廉な工賃になるわけですから、実に低廉な下請工場になっているというところに、どうも私は本日初めから御質問申し上げてきた本来の基本的なあり方がさかさまを向いているということを、再びここで指摘をしなければならぬのですが、こういう実情をどうお考えですか。
#66
○政府委員(石黒拓爾君) 職業訓練の仕上げの段階におきましては、現実に現実社会において売れる製品ができるようにまで訓練をしなければならないわけでございますから、実習の成果が収益になること自体は、これはとがめるべきことではございませんが、それが往々にしまして、その収益をあげることのほうが目的で、訓練目的が二の次になるような弊害を生じている場合も間々あることは、先生御指摘のとおりでございまして、これは非常に間違ったことであると存じております。今後は、予算措置も十分に講じまして、そういう弊害をすみやかに絶滅いたしたいと考えております。
#67
○上田哲君 ついでにお伺いをいたしますが、中職審が労働省に答申いたしましたこの原案の中には、第十一その他の四として経費の負担等の条項がありましたね。これがそのまま最終的に労働大臣に答申をされているのですが、これがこちらに回ってきていない。これはどういう経過に基づくのですか。
#68
○政府委員(石黒拓爾君) 第十一の四でございましたか、経費の負担のことは、たいへん大ざっぱな表現であったと存じます。「国の経費の負担等に関し所要の規定を設ける」ということで、これが具体化いたしました場合には、負担金の条項とかあるいは補助金の条項とかというようないろいろな形になるわけでございます。具体化する姿におきましては、一般的な補助金は全部法律に書くことをやめて、負担金のみを書くということにいたしたわけでございまして、この点につきましては、審議会の御答申と異なることをしたわけではない。ただ、審議会で期待されたようなたくさんの補助金条項はつけなかったという点はあるかもしれませんが、違うことをやったとは考えておりません。
#69
○上田哲君 ということは、これは労働大臣にひとつ御確認をいただきたいと思うのですが、端的に言えば、六千円と二万五千円の差については、原案から審議会、審議会から改正法の上程へという過程のいかんにかかわらず、その差を国の力によって財政的な努力をしていくと、埋めるために。こういう点については、労働大臣も今後御努力をされますね。
#70
○国務大臣(原健三郎君) 御説全くごもっともでございまして、これは、衆議院のほらにおいても、激しくその点を主張されて、私どもよく了承いたしております。来年度から、国のほらで予算を持って、こういう不正や不当なことが行なわれないように全力をあげて措置いたしたいと、こう思っております。
#71
○上田哲君 労働大臣の御答弁はたいへん今回もたくましいので、ぜひひとつその方向で御努力をいただきたいと思うのですが、同じこの指導員の手記の中に、「試作中の乾燥炉の納品を急いでほしいと会社より電話、どらにか今日中には仕上ります」と返事はしたものの訓練生個々が云々と、これはまあ長くなりますからやめますけれども、まるで中小企業の事業主が親会社から催促を受けて苦しんでいるような、そしてそれがまたしわ寄せをされて、技能の修得というよりもなにか会社の経営の中で追いまくられている少年を想像させるような姿を浮きぼりにしているように思います。これは、わずかにと言いたいのですが、六千円と二万五千円の差を労働者の――同じことばを繰り返しますが、権利としての職業訓練の方向に努力をしようという基本的な方針が欠落をしていることがこういう部分にもあらわれているのだろう、やっぱり雇対法以来、職業訓練法の改正に至る考え方の中に。私は、やはり基本的には原案と考えを異にするのですけれども、すでに西欧諸国においては、完全な法規範の中で、規定の中で、権利として確認をされているような部分が、なおわが国の今回の改正の中には出ていないという点において明らかなように、労働者の権利としての社会的な職業訓練が、それ自体の立場において取り上げられていないと思います。これが事業主の、あるいは資本の要求の、使用者の都合による職業訓練ということに堕してしまうことは、一つには、日本の産業全体の発展のためにも憂うべきことであろうと私は御忠告申し上げたいし、そういう意味では、何か単能工のほらにはしきりに補助金も出るけれども、多能工のほうにはそうした点が薄いというような問題も含めて、何か結局は、職業訓練法それ自体が、政府の雇用政策の単純な下請法となり、あるいは町工場の下請作業の中で訓練という名の仕事がなされ、そうして結果的には単能工という、新しい時代の技術革新の進展に即応できない労働力のスクラップ化ということが進んでいくことにのみなるのではないかということを心配をいたします。その心配はただいままでの答弁にもかかわらず、私たちとしては、完全に払拭されなかったというふうに思いますので、この原案には基本的に反対の意向を表明せざるを得ません。どうかひとつ、それにもかかわらず、労働大臣なり、政府委員からたいへんたくましく御答弁をいただいた、少年たちに不安をかけないというふうに御答弁をいただいた。たとえば訓練を終わった生徒の資格に区分をつけまいとか、あるいは自費負担というものをなるべくなくしていくように努力をしようとか、あるいは一六%を二、三年のうちには倍にはしてみせるということで、いささかも先進諸国に劣っているなどとは言えないと、最後には逆襲をされた政府委員の根性を、ぜひひとつ財政当局にきちっとぶっつけていただいて、その中で、まさに労働政策ここにありと言われるような形をできるだけ早く目の前に見せていただくように、このことを強く要望して私の質問を終わります。
#72
○委員長(吉田忠三郎君) 午前中の質疑はこの程度にして、午後一時より再開をいたします。
 暫時休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十四分開会
#73
○委員長(吉田忠三郎君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、職業訓練法案を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方の発言を求めます。
#74
○中沢伊登子君 昭和四十三年の国民所得の統計によりますと、わが国の国民総生産は、自由圏諸国の中で第二位になったようでございます。しかし、一人当たりの国民所得は、やっとイタリアを抜いて、いまなお二十番目。このように、総生産で驚異的な発展を遂げましたその源泉の一つは、わが国が豊富で素質のすぐれた労働力に恵まれていたことにあると思いますが、国民所得の国際比較が著しく劣っておる。その原因の一つには、わが国の労働生産性がいまなお、欧米諸国に比べて、かなり低位にあると考えます。教育の普及は欧米諸国に比べて決して遜色がないように思われますのに、このような事態であるのは、生産の現場で、直接生産に携わる労働者の能力向上のための方策、あるいはまた職場環境が十分ではないのではないか、このように思うわけです。こうした観点から、私は、職業訓練、特に次代をになう青少年の職業訓練、また最近の女性の職業訓練に重大な関心を持っております。この点を中心に、ただいまから二、三の質問をいたします。
 その第一は、青少年に対する職業訓練ですが、今回の職業訓練制度の改正、いわゆる後期中等教育の完成との関係はどうなのですか、初めにそれを伺いたい。
#75
○政府委員(石黒拓爾君) いわゆる後期中等教育の完成につきましては、昭和四十一年に、御承知の中教審から答申がございまして、十五歳以上の青少年に対して「その能力を最高度に発揮させる」ような、「教育訓練を通じて、組織的な教育の機会を提供する。」、そのためには「教育の内容および形態は、各個人の適性・能力・進路・環境に適合するとともに、社会的要請を考慮して多様なもの」とすべきであるという答申がございました。今回御審議をいただいております法案におきましては、「労働者の職業生活の全期間を通じて段階的かつ体系的に行なわれなければならない。」ということを申しております。それから青少年につきましては、ことに、その個性と適性に応ずるようにということを申しておりまして、私ども中教審の答申の立場から申しましても、後期中等教育の非常な重要な柱をなすものであるというふうに考えておる次第でございます。一応そういうところでございます。
#76
○中沢伊登子君 事業主に対して青少年に対する養成訓練の実施を、先ほど伺っておりますと いまの段階では努力義務だと、このように伺いましたが、これは努力義務ではなくて、もう義務化すべきではないか、このよりに思いますが、いかがですか。
#77
○政府委員(石黒拓爾君) 御指摘の点、私ども、まことにそういたしたいところでございますが、先ほど上田委員の御質問の際にお答えいたしましたように、人数で中卒の一六・四%しか受けていない。事業主の数で申しますと、非常にわずかな事業主しか職業訓練を行なっていないわけでございまして、罰則をもって強制させるような義務づけをするというようなことになりますと、国民の事業主の大半を違反者とせざるを得なくなるような状態では、まだそこまではいかない。まず、もう少し省令措置をもって拡充をして、ある段階に至って義務づけるというふうに持っていきたいと思います。
#78
○中沢伊登子君 青少年に対する職業訓練は、個別の企業の思うままに実施をされてはならないと考えます。もっと大局的に、幅広いものにしなければならないと考えますが、そのための対策はどのようになっておりますか。
#79
○政府委員(石黒拓爾君) 御指摘の点も、まことにごもっともだと存じます。そこで、私どもといたしましては、訓練のカリキュラムであるとかあるいは期間、設備等については、国で基準を定め、その基準を定めるに当たっては、中央職業訓練審議会の意見を聞いて定める。さらに具体的な事案につきまして、都道府県知事が事業主を監督して報告をさせる。それから訓練を担当する指導員につきましては、国が資格を認定した者に限るというような方法で、できる限りチェックをいたしておりますし、また、ただいま御審議を願っている法案におきましては、教科書もできる限り国定のものを使うように、それから卒業のときには、技能照査という一種の国家試験的なものを課して水準を合わせるというようなことを考えておるような次第でございます。
#80
○中沢伊登子君 次に、職業訓練に関するその国の財源、これは失業保険特別会計に依存している面が非常に多くて、職業訓練の振興をはかるためには特定の財源を確保する必要があると思うわけです。先ほどの上田委員の御質問に対して、原労働大臣が予算の獲得には努力すると、このように申されておられましたが、ぜひそのことが必要であると同時に、先ほどの御質問の中にもいろいろ出てまいりましたが、イギリスや、フランスでは職業訓練税のような制度があるということを伺いました。このような制度を日本にも適用できるか、できないか、その辺のところ。それから先ほど相当イギリスやフランスの例が引用されておられましたが、もし、もう少し補足して外国の制度が御説明がいただけるのなら聞かせていただきたい。この二点をお伺いしたい。
#81
○政府委員(石黒拓爾君) 外国の制度は、私どももあまりつまびらかにはいたしておりませんが、私どもの承知しております限りでは、フランスでは職業訓練税というものを制度化しておりまして、賃金総額の〇・六%を職業訓練を実施していない事業所から徴収して、職業訓練の振興のための財源としている。それから、イギリスでは、職業訓練賦課命という制度がございまして、賃金総額の一%ないし二・五%の賦課金を徴収して、これを訓練実施事業所に配るというようなことをやっているそうでございます。
 私どもといたしまして、日本でもこのような制度ができれば、非常に有効であると考えますが、先ほど来申しておりますように、訓練が非常にまだ一般化しておりませんので、ほとんど大部分のところから賦課金をとらなくちゃならないという、逆の現象になるわけであります。したがいしまて、もし訓練をやってないところが例外的であるというならば、そこから賦課金なり、税金あるいはある程度の罰則的な金をとって、やっていいところに配る。現在は、やっているところのほうがむしろ例外的というほど少のうございまして、やむを得ず、これに予算をもって奨励金を与えるというような措置、裏返した制度でございますが、やはり強制的な賦課金制度に踏み切りますには、もう少し制度の普及と、それから一般的な知識の変化というものを待たなければならないのではないかと考えます。
#82
○中沢伊登子君 先日伺った話ですけれども、ある事業所で職業訓練のために講師を雇い、その講師は高等学校の先生をお願いをいたしましても、一時間に約二千円ぐらいの謝礼を払わなければいけない。こういうような話をされておりまして、とても普通の企業内でやることは、なかなか予算が獲得できなくて困る。こういうようなお話しされておりましたので、まことに恐縮ですが、労働大臣から、ほんとうに来年度もっともっと予算を獲得していただけるかどうか、この辺の御決意をひとつ伺いたいと思います。
#83
○国務大臣(原健三郎君) さいぜんもお答えしたのでございますが、これは衆議院の審議の過程におきましても、その点を希望される委員の方が々数ございまして、私も同感でございますので、いま中沢先生から御指摘がございましたが、ぜひ、来年度、私が陣頭に立って、予算折衝その他積極的にやりたいと思っております。
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
#84
○中沢伊登子君 職業訓練団体や技能検定協会公正な運営を確保するためには、使用者だけで心なくって、学識経験者や労働団体の代表もぜひ参画をさせるべきだと、このように考えますが、いかがですか。
#85
○政府委員(石黒拓爾君) 職業訓練団体と技能仏定協会とは、やや性格を異にするかと存じますが、職業訓練団体は、これは個々の事業主あるいは共同職業訓練をする事業主、あるいは労働組合で職業訓練を行なうものといったものが職業訓練法人となりまして、これが集まって連合会、中央会をつくるわけでございます。この会員の意思というものが適切に反映されることによりまして民主的な運営が確保されるものと存じます。
 技能検定協会につきましては、おっしゃるように、これは会員という制度でございますけれども、しかし、会員の自発性というものはかなり弱いものでございますので、従来とも労働省に関係する団体、参与とか運営協議会とかというような制度をいろいろ考えておりましたのですが、この検定協会につきましても、そういった労使の意見の反映するような制度を何らか考えたいと思っております。
#86
○中沢伊登子君 それでは、次には女子に対する職業訓練について御質問申し上げます。
 最近、女子の労働力は非常に高く評価され、また、雇用も増大しておりますし、事実、働く婦人の数はウナギ登りにふえております。このような情勢の中で、女子に対する職業訓練を拡充強化する必要があると考えますが、そのための対策はどのようになっておりますか。また、改正案では再訓練、転職訓練がうたわれておりますが、女子にも養成訓練を取り入れる必要はありませんでしょうか、いかがでしょうか。
#87
○政府委員(石黒拓爾君) 具体的なことは、婦人少年局長から申し上げると思いますが、女子の能力開発、活用が非常に重要であることは御指摘のとおりでございまして、現在公共職業訓練における女子の比率は、昭和四十三年四月に二二・六%でございます。との比率を一般的にもっと高めたい、それから女子専門の職業訓練施設がございますが、この訓練所では洋裁とかあるいは製図であるとか、あるいはタイピストであるとかいうような仕事が多うございますが、このごろは溶接その他一般工業的職種にも女子が進出してきている。こういうことで、そういう職種の訓練所にも女子が入れるようにいたした。これがいろいろ設備やなんかの関係もありましてむずかしい問題でございますが、検討いたしたいと考えております。
#88
○政府委員(高橋展子君) ただいま訓練局長から一般的な公共職業訓練における女子の扱いについてお答え申し上げました。特に私、婦人少年局の関係では、特に女子、それも中高年の女子を対象といたしまして、ややきめのこまかな訓練事業を行なっております。その一つは、家事サービス職業訓練でございまして、これは全国に八カ所に特別な訓練所を設けまして、そこで女子にいわば適合いたしました家事作業につきましての専門的な訓練を行なっております。そこで、この訓練所を終了した者は、主として工場や会社のまかない婦であるとかあるいは寮母であるとか、病院の看護補助であるとかあるいは個人家庭の家事使用人といったような家事的職業に従事いたしているわけでございます。その八カ所における訓練のほかに、特に最近は主要な府県におきまして、短期職業講習を婦人少年室が主催して行なっております。これは、特に中高年婦人が新たに職場に出るというような際あるいは長い間職場から離れておりました婦人が就職する際に、その職場適応を高めるというふうなことをねらいとした、また新たに中高年婦人にふさわしい職業を開拓するということもあわせて目標といたしまして行なっているのでございます。それで二週間程度の短い期間でございますが、たとえば医療事務あるいは経理事務といったような、今日の社会において需要の高まっております分野、職種につきまして講習を実施いたしているところでございます。
#89
○中沢伊登子君 そうしますと、その家事サービス訓練所、そういうところで訓練を受けられたつまりホームヘルパー、そういう人の一時間の平均賃金というのはどれくらいでございますか。この前、高橋局長さんはお休みでございましたけれども、私は、そのパートタイマーのことについて、多少ここで質問をさせていただいたことがございます。いわゆるパートタイマーというのも、いろいろ段階があって、三時間働く人やら、あるいは普通の労働者のように八時間働いている人やら、いろいろな段階が最近あるわけですけれども、そのパートタイマーのやっぱり一時間の平均賃金というものをひとつ伺わしていただきたいと思います。
#90
○政府委員(高橋展子君) 最初のお尋ねは、家事サービス職業訓練所の修了者の労働条件であるかと思いますが、これは、やはり職種あるいは地域によりまして、相当差異がございますが、最近のデータによりますと、最高のものが四万五千円という賃金で就職いたしております。最低は一万三千円ということになっております。それから、なお、いまお触れになりましたホームヘルパーでございますが、ホームヘルパーも、この家事サービス職業訓練所で養成いたしておりますが、ホームヘルパーのほうは、やや賃金の格差が少なくて、大体三万円前後といったところでございます。
 また、第二のお尋ねは、パートタイマーに関することでございましたが、パートタイマーにつきましては、非常にその実態の把握がむずかしいのでございますが、お尋ねの賃金につきましては、これも地域や職種で非常に差異がございまして、いわゆる平均賃金というような数字は出にくいのでございますが、私どもで把握いたしましたところでは、たとえば一時間の賃金につきまして、職種による格差が非常に大きいということの例でございますが、専門的、技術的、管理的職業といったところにお働きの方の場合は百八十四円というように出ております。また、反面、技能工、生産工程作業者、これは工場で組み立て作業等を行なっております、いわゆる単純労働に従事しております者でございますが、この場合は七十四円というような数字が出ておりまして、かなり幅がございます。
#91
○中沢伊登子君 いまいろいろな賃金の格差がよくわかりましたが、女子が、そういうふうな職場で働く前に訓練を受ける、その訓練を受ける場合に女子用の設備を必ずする必要があると思います。それは、女子が相当大量に進出し出したのは、つい最近でございますので、一般的には大体男子のほうは、何というのですか、設備がわり失いに行き届いているけれども、女子用のたとえば更衣室とか、洗面所とか、お化粧室とか、そういうようなものも訓練所に必ず設備をしなければいけないというようなのを義務づけてほしい、このように思いますが、その辺はいかがでございますか。
 また、同時に、私、まだ訓練所を――きょうまでに見て来るはずでしたけれども、それを見に行きませんでしたが、この前の藤原委員や、大橋委員の御質問から想像いたしますと、一般的に、訓練施設というものは相当老朽している。その辺のことも少し近代化をする必要があるのではないか。
 この二点について、お答え願いたいと思います。
#92
○政府委員(石黒拓爾君) 職業訓練所に女子用の施設を整備する必要というのは、御指摘のとおりでございます。どういう職種に女子が進出しているかというのが、なかなか予測しがたいわけでございまして、あらかじめ施設を整備して、女子訓練生を募集するというのもやりにくいわけでございまして、いまのところ、はなはだそれは不十分でございますが、今後は鋭意研究いたしまして、そのような方向に進みたいと考えております。
 それから訓練所の施設の老朽化という点につきましては、一般的には私どもかなり改善されておると存じますが、しかし、午前中も申し上げましたように、一部の訓練所におきましては、現実の事業所で使っていないような古いのを使っている点もございます。今後は訓練施設の拡充と並びまして、そういった訓練施設の内容の充実ということに、より一そう努力いたしたいと考えております。
#93
○中沢伊登子君 最後に、身体障害者の職業訓練所について、どのようになっておりますか、ご説明いただきたいと思います。
#94
○政府委員(石黒拓爾君) 身体障害者の職業訓練施設は、昭和四十四年度で全国十一カ所ございます。これは全国をブロックに細分いたしまして、その各ブロックに一カ所という方針で整備をいたしているわけでございます。身体障害者につきましても、その残存労働能力を十分に活用できるような訓練をするということは、これは単に労働力活用の面だけじゃなくて、身体障害者が真に幸福な生活をするためには、やはりみずから働いて、それによって世間に貢献し、その報酬として賃金をもらうという、生活に張りを与える上に非常に必要じゃないかと、鋭意努力をいたしておるところでございまして、現在までのところ、身体障害者職業訓練所の卒業生は、ほとんど全部が就職できるという状態でございますが、なお、まだ、たとえば重度障害者についての訓練施設が非常に足りない点がございまして、目下、労働省部内におきまして、身体障害者の総合対策も検討中でございます。これは量もございますけれども、その質の改善、内容の充実、改善ということにつきましても、一そう努力すべき余地があるように考えております。
#95
○中沢伊登子君 そうすると、その訓練手当というものは支給されるのでございますね。どのくらい支給されるのか。また、寄宿舎に入ったときに、寄宿手当といいますか、寄宿舎料といいますか、そのようなものは、どういうようになっておりますか。
#96
○政府委員(石黒拓爾君) 訓練手当は、これは地域により、職種により若干の差がございますが、平均いたしますと、月額二万一千四百五十円が訓練手当でございます。そのほかに、家族と別居して寄宿しておる者には寄宿手当が出まして、これは五千六百円でございます。したがって、寄宿手当受給者は二万七千円ほどの手当を受けておるということに相なっております。
#97
○中沢伊登子君 そうすると、いま身体障害者で訓練を受けている数あるいはいままで訓練を受けた数、大体どれくらいございますか。
#98
○政府委員(石黒拓爾君) 身体障害者の職業訓練所で訓練を受けております者の数は、一年間に千六百八十名でございます。累計の数は、いまは省かせていただきたいと思います。
#99
○中沢伊登子君 私ども、労働省のほうの身体障害者の職業訓練所というものをまだ実は見たことがないわけですけれども、厚生省のほうでやっておりますね、身体障害者の授産施設。こういうのでも、相当利益を上げている施設をほうぼうで見てまいっております。これを労働省と一緒にするわけにはいかないものでございますか。
#100
○政府委員(石黒拓爾君) 厚生省の更生指導所でございますが、あれはいわゆるリハビリテーションを目的としたもので、OT的な療法と、それから職業訓練的なこともやっておられますが、むしろ授産のほらが主体である。したがいまして、更生指導所で半年なり、一年なりいると、民間産業に雇用され得る能力がつくというふうには、必ずしも言えないように思うわけでございます。むしろ、その指導所に長くおりまして、そこでミシンを踏みながら、若干の手間賃をかせぐというような場合のほうが多いのじゃなかろうかと思うわけでございます、私よく存じませんが。そこで目的が違いますし、やっていることも違いますので、簡単には一緒にはならないわけでありますが、労働省の施設ともっと協力し、お互いに持ち分を調整したほうが能率が上がる面があるんじゃないかというふうに考えます。
#101
○中沢伊登子君 最後に交通事故がますますふえてくるわけです。そらして身体障害になる人は日に日に多くなってくるわけです。そういう人をどんどん今後収容をして、職業訓練をさして、その人たちに残存能力をもって生活ができるようにするためには、そういう身体障害者の職業訓練所というのは相当、何といいますか、拡大されていかなければ追いつかないんじゃないかと思います。その辺の計画はお持ちでございますか。
#102
○政府委員(石黒拓爾君) 先ほど申し上げました千六百八十人の身体障害者の訓練所の定員で間に合うのはおかしいわけでございます。ところが、現実に身体障害者職業訓練所に入所希望する者の競争率は、一般の訓練所は一・七倍の競争率でございますが、身障の場合には一・一倍であるということは、つまり初めから訓練なんかあきらめている人があまりにも多過ぎるんじゃないか。そこで、いまのやり方の訓練所ですと、この程度じゃなかろうか。むしろベッドにいるときからリハビリテーションをやって、そうしてその適性に従って直ちに社会復帰できる人もいるし、それからPTからOTの訓練を経て訓練所に入る者もいるし、また労災保険でやっておりますようなシェルタード・ワークショップと申しますか、特別の工場を国で建てて、そこで働かせてやるというのが必要な重度障害者、それから障害の部位、等級別にいろいろ異なった対策が必要じゃないか。いまあるのは中度と申しますか、中くらいな軽い障害者に対する訓練ばかりやっておるわけでございます。その辺大いに反省いたしまして、労働省全体として、もっと身体障害者全体をひっくるめるような総合的な身障対策が必要であろうというふうに目下鋭意検討しております。その結果によりまして、もう少し実情に即したお答えができるようになると存じます。
#103
○中沢伊登子君 いずれにいたしましても、産業が高度に発展をしていきますし、いろいろ技術は進歩してまいりますので、この職業訓練ということについては、相当力を入れてりっぱなものにしていっていただきたい、このように要望をいたしまして、私の質問を終わります。
#104
○小野明君 大臣がすぐ出られるようですけれども、最初に大臣にお尋ねをいたしておきたいと思います。
 最近、労働省が労働白書を発表されまして、閣議で了承をされておるようであります。これを読みますというと、心配になります点が二つほどあるわけです。一つは、最近の労働経済を分析しておる中で、所得政策を導入するかのような、必然的に導き出されてくるような書き方をしておる部分が一つあるわけであります。この点を確かめてみたいのと、いま一つの点は、職業訓練法とも上分関係がございますが、午前中の上田委員の質問にはああいう御答弁でございましたけれども、はり労働力の産業間あるいは職業間、あるいは地域間の流動化というものを強力に進める必要がある、こういう結論づけがなされているように思います。それで、午前中にずいぶん確かめられている点でありますけれども、再度大臣から、この二点について一体そういう心配はないのかあるのか、そういう方向を指向しているのかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
#105
○国務大臣(原健三郎君) 所得政策という定義にもよるのですが、日本でいろいろ皆さん方が御心配されているよらな意味の所得政策はやる考えはございません。ここにはっきりお答え申し上げておきます。
 それから、第二の労働力の流動化をはかる必要があるということですが、これはもう労働力が不足してくる一方でございますが、商業、サービス業などの低生産部門では一種の過剰就業が存在しております。でありますから、労働力の産業間、職業間、地域間の移動を円滑に進める条件を整備する必要があろうと存じて、鋭意これを進めてまいりたいと思っております。この場合、移動を希望する労働者に対して、その意思と適性を尊重して移動を円滑にはかろうとする過程で労働者をその意思に反して動かそう、そういうものでないことは言うまでもございません。また、その一つとして、この前も申し上げました上石神井に労働市場センターというのを設置して、ことしの十月から万博の関係の大阪、兵庫、和歌山、奈良、その地域にある職業安定所から上石神井の労働市場センター本部との間を電波でつないで、電送装置によって求職者と求人者がことしの十月ごろから二十分間ぐらいで直ちに結合する、そうしていわゆる適合する者があるかないか、なければどの程度のところが食い違い、その条件が一つだけ足るとか、足らぬとかいうのが二十分以内に申し込んだ職業安定所に返事がくる、こういうシステムをやる、いわゆるリアルタイムシステムというので、これは将来数年間のうちには全国ネットで、電波でつないでやるというので画期的なものでございますので、皆さん方もごらん願いたい。もうすでにアメリカ、ソ連、イギリス、最近西独等からこれを視察にきておりまして、ほうぼうでこれを参考にしてやるということをいうのでございますが、これも一例になろうかと思っております。
#106
○小野明君 これは念押しみたいなことになってしまうわけですけれども、先ほど午前中の石黒局長の御答弁の中に、こういうところがあります。産業界の要求に合わせて職業訓練をやるべきではない、きわめて明確に言い切られておるのであります。その辺が衆議院でもあるいは午前中の委員会でも、いろいろこの点については議論になっているようでありますけれども、どうもそういう疑いといいますか、はたして局長がほんとうのことを言っておられるのだろうか、どうだろうか、こういう気持ちがするのであります。というのは、この職訓法自体を見ますと、なかなかそういうふうな体制になっておらぬ。むしろ雇用情勢というものが非常に先行いたしておりまして、それに対応する施策、こういう感じが強いのであります。この法律自体の姿を見ましても、法人税あるいは所得税、地方税、こういうもの全般に改正を行なっているのであります。いわば、ことばは悪いですけれども、戦前の国家総動員法的な感じがしてならぬのであります。憲法にも、職業選択の自由あるいは国民が勤労の権利を有するとある。この勤労の権利というのは、請求権ではないということは、これはもう自明のことでありますけれども、そういう基本的な人権の項がある。そこで、いま大臣が言明をされておるのでありますが、やはり全職業生活のそれを通じて労働者にそういった機会あるいは労働者の自由な意思を尊重していく、いわば権利を尊重していくという職業訓練にしてもらわなければならぬと思うのであります。再度その辺について、若干の疑義がありますから、お尋ねをしておきます。
#107
○政府委員(石黒拓爾君) お尋ねの件につきましては、現行の職業訓練法におきましては、その第一条で「工業その他の産業に必要な技能労働者を養成し、もって、」云々というふうにございます。現行法では、どうも産業の需要に応ずることが目的じゃないかという疑いを招くおそれがある。しかし、御審議を願っております新しい法案におきましては「職業人として有為な労働者を養成し、」というふうに改めまして、「工業その他の産業に必要な技能労働者を養成し、」という表現をやめたわけであります。それからまた、第三条におきましては、「労働者の職業生活の全期間を通じて段階的かつ体系的に行なわれなければならない。」、ちょうど先生の御指摘にございましたような趣旨をあげております。法律に書きましても、そのとおり役人が実行しなきゃ何にもならないとおっしゃられれば、それはそうなんでございます。私どもは、法律を忠実に守るのが役人の使命であると考えておりまして、法律にこれだけはっきり出ておりますれば、先生の疑問とされるような御心配はないんじゃなかろうかと、われわれとしては考えておる次第であります。
#108
○小野明君 以下、若干小さい問題になるかと思いますが、質問をしてみたいと思います。
 読みまして一つ疑問に思いますのは、これは局長にお尋ねをしたいのですが、一般職業訓練所というのを専修職業訓練校、こういうことばに変えているわけですね。一般と専修との問題を言っておるわけじゃない。「所」と「校」の違いを言っているわけです。これは「所」であってもいいではないか。あるいは「校」でなくてはならないという理由がやはりそこにはありません。ことばは小さいですけれども、変えられましたね。一応法律の逐条説明を読みますと、その辺のところはないのですが、これはどういう御意図なんですか。
#109
○政府委員(石黒拓爾君) 実は、従来の職業訓練所という名称を何か改めたいという希望が非常に強うございました。これは昔職業補導所と申しまして、そのころは非常に細々とした失業対策的な仕事をやっておりました。それがだんだん発展いたしまして今日の訓練所になったわけでございますが、どうも訓練所という名前では、そういう補導所時代の何か消極的なイメージが残っておる。そこで、この名前をこの際変えて、訓練所全体のイメージアップをいたしたいという希望が非常に強うございまして、変えるについてこれを何とするか、訓練所のままにするかあるいは訓練学校にするか、技能学校にするか、いろいろな説がございまして、これはなかなかきめ手もないのでございますが、しかし、学校という名前を出すのは、非常にまぎらわしくなることもあり、「校」という名前は、辞書を引きますと、師弟を教育するところと書いてある。職業訓練というのは、そういう一種の教育訓練機関、訓練校とするあたりがいいであろうと考えまして、幸いにして、審議会でも御了承を得たといういきさつでございます。
#110
○小野明君 これは、職業訓練、文部省流に言うと技能教育施設というようなことを言っておられるようですけれども、文部省とも御協議をなさってこの問題を進めてこられたと思うのです。学校教育法自体がかなり大幅な改正を逐次重ねてきております経緯から見ますと、そういうことなんです。そこでいまの「所」を「校」に変えたということ、何といいますか、まあ私はたいしたことはないと思うのですけれどもね、問題は内容自体だと思うのです。そういう看板と中身といつわりがあったのじゃたいへんですからね。せっかく「校」とされたなら、中身はずっと充実したものにしていただかなければなりませんが、これは余談になりますが、文部省といろいろな協議をされてきた経緯があると思いますが、それのおもな点をひとつ列挙をしていただきたいと思います。
#111
○政府委員(石黒拓爾君) 職業訓練は、申すまでもなく、学校教育と非常にいろいろな関係がございますので、文部省と御相談することが非常に多いわけでございますが、訓練所を訓練校と改めるということにつきましては、これは文部省としては、学校という名前を使われては困ると、「校」という名前を使うことは、あまり文部省としてうれしいわけではないけれども、絶対困るとも言えないでしょうという趣旨で御了承をいただきましただけでございまして、あまりそこにややこしい筋合いはなかったと存じます。
#112
○小野明君 ちょっと、はなはだすみませんが、いま前段を聞き落した。「校」のところは聞いておったのです。前段の職業訓練、いわゆる文部省流に言えば技能教育施設、こういったものについて文部省とどういった打ち合わせをされてきておるのか。大きな改正が年次によってされておりますからね。そういう打ち合わせの経過というものを御説明をいただきたかったのです。
#113
○政府委員(石黒拓爾君) 文部省とは非常にしばしば、これは事柄の性質上、打ち合わせがあるわけでございますが、常時協議する機関といたしましては、中央職業訓練審議会に特別委員として文部省の方に入っていただいております。それから、文部省の産業教育審議会には労働省側がやはり特別委員として入っておるということで、両方が意思疎通がはかられるようなシステムに相なっております。そのほか、文部省と打ち合わせしたということはたくさんございます。たとえば、大きいのは、高校の課程の相互融通と申しますか、そんな点とか、いろいろ打ち合わせがございますけれども、大筋はそういうことでございます。
#114
○小野明君 あとのほらに説明をされた課程の融通というのが非常に大事なところなんです。――文部省見えておりますか。
#115
○理事(大橋和孝君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#116
○理事(大橋和孝君) 速記を起こして。
    ―――――――――――――
#117
○理事(大橋和孝君) 労働大臣が衆議院の本会議に出席される都合がありますので、本案に対する残余の質疑は後刻に行なうこととして、労働問題に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方の発言を求めます。
  〔理事大橋和孝君退席、理事上林繁次郎君着席〕
#118
○大橋和孝君 それでは、大臣がおられぬ間ではぐあいが悪いので、大臣が必要なんですが、あとから足りない部分は大臣のほうにもお話していただくことにしまして、私、本日は徳島本土連絡運輸株式会社、森本博始という人が取締役社長でありますが、この会社の問題に対しまして、非常にトラブルが大きく起きておるようでございますので、これにつきまして、ちょっとお尋ねをしたいと思いますが、まず、第一番目に、この会社で労働問題が起こっておりますのを、労働省のほらでは、どのように大体把握をして知っておるか。初めその報告を承って、逐次質疑に入りたいと思いますが、御調査の結果をちょっと御報告願いたいと思います。
#119
○説明員(大塚達一君) この徳島本土連絡運輸の争議に関しまして、私どものほらで聞いております争議の経過並びに現況につきまして簡単に申し上げますと、まず、徳島本土連絡運輸株式会社では、本年の三月に、労働組合が結成されておりまして、当初徳島の一般同盟に加盟したということでございます。当該組合は、その後、会社側が組合員に脱退を勧奨するというようなことで支配介入をしておるということを理由に、四月の二十二日に、地労委に対しまして、不当労働行為の救済の申し立てを行なっております。
 その後、五月の六日に至りまして、会社側が当該組合の組合長を勤務成績不良ということで解雇いたしております。これに対しまして、労働組合が、五月七日に、地方労働委員会に対しまして不当労働行為として救済の申し立てを行ならと同時に、この問題について、当初加盟しておりました一般同盟の態度を不満といたしまして、一般同盟から脱退いたしまして、五月の十三日に全港湾に加盟いたしております。
 その二日後、五月十五日組合が組合長の解雇撤回あるいは不当労働行為の撤回、それに通勤費支給あるいは労働協約の締結というような要求を提出いたしまして、十五日に会社に対して団交を申し入れたわけでございますが、会社側は、この二日前に、組合がいわば上部組織を変えております関係もございまして、その上部団体にどれだけ加盟しておるのかというようなことがわからないからというようなことを理由に、団交を拒否したというふうに聞いております。その後、組合が五月の十九日及び二十日に指名ストということで、十九日には運行中の貨物自動車六台、二十日は一台に対して指名ストを行なっております。会社は、その際に、指名ストによって車両が行くえ不明になったということで、警察に捜索願いを出しておりますが、また、同時に、この車両がわからなくなったからということで、トラックが戻るまでは団交に応じないということで、断固団交拒否をしたわけでございます。
 それから、五月の二十一日に、組合側がその会社側の団交拒否を、地労委に対しまして、不当労働行為として救済申し立てを行なっております。と同時に、二十四日以降、さらに断続的にストライキを実施しておるわけでございます。
 地労委におきましては、不当労働行為の審査の過程で、会社側は、その後、団交応諾の態度をとっておりまして、五月三十一日以降団交が行なわれたわけでございますが、その後、関西トラック協会の顧問の人が仲介に入りまして、団交が進展いたしまして、六月六日には、組合長の解雇撤回、賃上げは五千円、夏期手当は一人七万円、解決金二百四十万円というような条件で労使ほぼ合意に達しかけたというような状態に至ったわけでございますが、結局、最終的には、会社側がその内容を了解しないということによりまして、交渉が決裂するような事態に至っております。
 その間、五月十九日の先ほど申し上げました指名ストに関連いたしまして、トラックが行くえ不明になったということで、警察に捜索願いを出したようなことと関連いたしまして、徳島西警察署が全港湾の沿岸南支部事務所及び林副組合長の自宅を、五月二十七日に、威力業務妨害の疑いで捜索をいたしました。さらに、六月の十一日には、組合員二人をトラック隠匿の疑いで逮捕したということがございましたが、その後、六月二十日に組合員は釈放されたというふうに聞いております。
 なお、地労委は、その後、不当労働行為の審理を進めておるわけでございますが、同時に、早期解決のための事情聴取も行なっておりまして、今月の五日、七日に、さらに事情聴取を予定しておるというような状況を聞いておるものでございます。
 大体概略こんなことです。
#120
○大橋和孝君 概略を承わったのでありますけれども、この会社はですね、問題点を少しあげてみますと、いままで組合のなかったせいもありましょうけれども、休日がない。正月、それからまた、あそこは阿波踊りがあるそうでございますが、それにかけて数日、四、五日やっと願いを出して休むくらいでもって、あとは全部就労しておる。このように、非常に労働の条件は悪い状態でここはやられておる。また、時間外の労働に対しましても割り増し金が支払われていない。特に、年次休暇の有給休暇なんかは全然与えておらない。
  〔理事上林繁次郎君退席、委員長着席〕
 これは請求がないから与えてないのだというお話だそうでありますけれども、もういままでそういうものをもらえないものであるからして、組合員は案外あきらめざるを得ないというようなところに追い込まれておるという、非常に何と申しますか、過酷な労働条件に追い込まれておるわけであります。特に、この中の様子を見ますと、車に乗って遠方へ出かけるわけでありますからして、朝四時に集まる。そうなれば、家からは夜中の二時ごろに出てこなければならない。また、それで車を運転しながら大阪あるいは名古屋へ出かけて、その日に帰ってくるわけであります。晩、帰ったら十時ごろになる。こういうような状態で、十時ごろになって帰れば、また休んでその次の日の朝八時には、今度は近いところの自動車の運転をしなければならない。一日に四時間ぐらいしか寝てないというような、まあ言うならば、われわれが想像できないような悪条件で使われていたわけであります。こういうような実態は、私は聞いて非常に驚いたのでありますけれども、こういうような報告は受けておるのかどうか。それからまた、一昨年ですか、二・九通達というのがあって、トンボ返り運転が日常行なわれておる。この問題なんか、自動車に従事する運転手、助手としては非常に危険な状態で、こういうことをやっておるために、いまごろの交通事故も非常に多くなるのではないか。十分に休む時間もないから、睡眠不足のままで自動車を運行してあるくということで、非常にこの問題は、たいへんではないかと思われるわけであります。
 それからまた、ここはフェリボートによってあれをしますので、予約が取れないために――これは定期便でありますからして、運行する道路が占められておると思うわけでありますけれども、いろいろなそういう事情でもって、いままでの状態を考えてみますと、そのフェリに乗れないために、コースをかってに変えて、他のフェリボートに乗らなければならない状態もしょっちゅうある。こういうことでありますからして、やはり一定の道路を走らなければならぬというルールも――今後これからあと質問の中にも出てきますけれども、そういったことを守らないから、会社の規則を守っていないというので首切りの対象にしているようでありますけれども、これは、言うならば、この会社のむしろ慣行みたいになっておる。非常な無理な運行をさせているために、フェリボートの関係もあって、その指定された運行路も変えなければならぬ場合もあるし、あるいはまた、時間的にも、そういう無理なことをやっているから、ちょいちょい遅刻したりすることも問題にされている。二時間おくれたからといって、首になっているわけです。即日解雇されておる例がある。そういうことは、いまの会社の実態を先に聞いておかないとそれがかみ合わないわけでありますが、実態はそういうことであって、非常に過酷な条件で労働者を使い、しかも無理をして行き当たりばったりの運行をさしているために、フェリボートに乗るためには、やむなく道を変えなければならぬ。また、同時に、いままでのしきたりとして、たとえば助手席には、この徳島から出ておるところの名古屋詰めの人とか、あるいは大阪詰めの人なんか、行き帰りには非常に不便なところなんです。やはりそれを利用して、助手席に、何かの用があって連絡で帰る場合、これは乗せるのが一つのルールである。ところが、これもまたあとで問題にしますが、その助手席に女を乗せたとか乗せないとか、これが首切りの対象になる。こういうようなことで、会社の実態がそういうふうな悪条件で押しつけておきながら、それをあとで問題にするというふうな形であってはならぬと思うのですが、こういう会社の実態ということに対しては、労働省のほらでは、ある程度把握されておるのかどらか、ちょっとお尋ねします。
#121
○説明員(大塚達一君) ただいま先生のおっしゃいましたような、当該企業においていろいろ労働条件あるいはその業務運営の面でいろいろの過酷な条件なり、問題なりがあるという点につきましては、私どものほらで聞いておりますところでは、超過勤務手当が支給されないとか、年次休暇がないとかその他で、組合がそういうことを従来から主張しておられるということは、現地からの情報で聞いておりますが、実態として、どういう実態であるかまでを実は突きとめることができないでおりますので、そういうことが言われておることは聞いております。
#122
○大橋和孝君 ただいま私指摘をいたしましたのをお聞きになっているようでありますが、非常にこの会社は前近代的な、非常な悪質な会社だと、私は、そういうふうに実態を調べてみて、驚いているわけであります。ですから、こういう点が今後問題になるのでありますが、そういうような状態でありますから、これではどうにもならないというので、先ほど御説明にありましたように、ここでは、いつでしたか、三月に入りまして組合をつくった。しかも、これは同盟系の組合に入っていろいろやられたわけでありますけれども、それがどうもまだ十分うまくいかないというのでもって、今度は全港湾に入った。そういうようなことの経緯があったわけでありますけれども、その間に、何度となく、組合ができた当時からいろいろ団交を申し入れているわけであります。その団交の申し入れをすることなんかも、非常にそのたびごとに拒否をされて、なかなか団交がうまくいっていない。こういうようなことでは、組合をつくっても、組合の人たちも活動がしにくいわけでありますからして、いま言ったようなぐあいに、これはもうどうしてもだめだから、上部団体を所属を変えたように聞いておるわけでありますが、そういう経過の中で、いろいろ続けてまいりまして、五月中はずっと団交を続けて要求をしながら、団交がいれられてこなかったのであります。
 その中で、特に問題になりますのは、この会社は、言うならば、他のそういう運輸会社に比較いたしまして、その辺の地元の同じような種類の企業と比べますと、賃金においては一万円ないし二万円も低いわけでありますね。そういう低賃金に追い込まれておったわけでありますからして、組合としては、ベースアップを要求し、同時に、また、福利厚生施設も何にもありませんので、たとえば仮眠所をつくってほしいとか、あるいはまた宿泊ができるようにしてほしいとか、いろいろな福利施設がなければ、いまのようなぐあいでありますから、睡眠不足で事故のもとにもなるというので、言うならば、非常に欠くべからざるところのささやかな要求をしながら団交を申し入れているわけであります。こういうことに対して、非常に取り組みがなされておらなかった。そういういことでありますので、今度の春闘に際しましても、他の一般の会社は、相当ベースアップの額はいいぐあいにいっておりますし、しかも、あまりトラブルがなくて話が進んでおるという今度の春闘の特徴もあるのに、なぜ、この組合だけがこのように非常な苦しい状態に追い込まれているのか、また団交もろくにされないかということで、組合としては、当然の権利でいろいろ要求もしたと思うのであります。それでストライキにも入り、あるいはまたいろいろと要求を出してきたわけでありますが、しかもそれがなかなか受け入れられない。だからして、つい先ほどからお話になりましたような、指名ストに入って、大阪のほらから徳島に帰ってくる分のトラックに対してストライキを宣言しておる。しかも、そのストライキの宣言をしたときには、文書でもってその団交の要求もされると同時に、車両番号を明記をして、実は八時ごろからしたようでございますけれども、実際持っていく時間の関係上、十一時からストライキに入るという宣言をした。まあ、そこに二時間ほど余裕があるようでありますけれども、その時間は持っていく時間で言いあらわしかたが、二時間おくれておったというような、非常な良心的な立場で、車両番号もそれから荷物のある場所を全部通告をいたしまして、しかも、その件についての連絡は、日のらちはやはり沿岸南支部の組合事務所、夜であればその南支部の副委員長の林とい5人の自宅の電話番号をちゃんと明記をして、そこへ連絡をしてくれと、こう言っているわけでありますね。だから、これは団交もしないような不当労働行為をやっているときに、組合がストを決行ずるのは当然の権利であり、スト権をそこで発動するのは、当然で、やむを得ない状態であろうと思います。同時に、また、そうしたことで、用件はちゃんと連絡をしてある。別に隠匿も何にもしてあるわけじゃない。こういうところにちゃんと車を置いてございますと、こう言って通達をして、それの連絡はどこどこへしてくれということまで言うてあった。こういうことであれば、当然やるべき手段がここで行なわれておったというように、私は思うわけでありますが、その辺はどういうふうに把握をいたしておられますか。その点をちょっと聞いておきたいと思うのです。
#123
○説明員(大塚達一君) 実は、先生のいまおっしゃいました指名ストの際に、当該指名スト対象になりました車両について、どら処理したかという点は、労使の間で言い分に多少食い違いがいるようでございます。と申しますのは、組合の言い分といたしましては、いま先先のおっしゃいましたような、その組合の指名スト突入の際に、キーは持っておったけれども、トラックの所在は会社側に通知してあるので、それを隠匿してあったのでも何でもないという言い方をしておるわけでありますが、同時に、会社の側では、そういう連絡を受けておらぬという言い方をいたしております。で、車両が行くえ不明になったので、トラックが戻って来るまでは団交ができないというようなことを団交拒否の理由にその後いたしているというような関係で、多少労使の間で言い分一食い違っておるようでございます。が、しかし、いずれにしても、そういう言い方をしておる点は承知いたしております。
#124
○大橋和孝君 この点は、少し警察庁のほうに伺っておきたいと思うのですが、これはいろいろお調べになって、この点はどんなふうに把握しておられますか。
#125
○説明員(丸山昂君) 私どもが承知しております限りでは、会社側から数次にわたって返還の請求をしておるというように聞いております。
#126
○大橋和孝君 ちょっと聞き落としたのですが……。
#127
○説明員(丸山昂君) 会社側から、数次にわたって車の返還要求をしておるというふうに伺っております。
#128
○大橋和孝君 これは、その会社側は荷主の要がありまして、荷主が積み荷を返せと言われているので、それを返すのにも会社側と全然関連がなくて渡してしまえば、もし荷主が違っておって心困る、こういう関係で会社の代表の人も来てくれというて、渡したのですね。そのときには会社の代表の人も一緒になって、二回にわたってか三回にわたってか――私は詳しくは存じませんが、私が聞いている範囲では二回と聞いていますが、全部ではないけれども、荷を渡しているわけですね。そのときにはちゃんと一定のところに七台の車は置いてあるわけです。しかも、そのキーたるや、やはりちゃんとそこに置いてあるわけです。これは会社側は知っているか知っておらぬかは別として、ちゃんと置いてある。荷物を積んだやつがちゃんと置いてある。しかし、その荷物をもしだれかに取られてはいけないということで見張りはしておる。そらして手続を踏んでこられた場合には、荷物も返還しておるわけですから、荷物を返還したときには、会社側からの代表は、そこに荷物が置いてある、トラックが置いてあることは見て帰っているわけですね。それを荷物がどこにあるかわからないからとか何とかいって、それを返せとか――まあ返せということは言えると思いますが、返せ返さないも、それでいいと思いますけれども、そういうふうであるのにかかわらず、まあトラックとか、荷物を横領したとか、あるいはまた何とかしたとかいうふうな形でもって、会社側は何度も不当にこれを威力的に何かをしたような解釈をして、警察庁に訴えられておる、願い出しておられるというような話も聞いておるのですが、その点は、警察庁、どら把握していますか。
#129
○説明員(丸山昂君) 検証を実施いたしましたときの状況を申し上げたいと思います。
 大阪の大正第一突堤に車両が七台あったわけでございますが、これにつきましては、労組側の二人の見張り員がおりましたのですが、会社側から返還方を要求いたしましたところ、一人は逃走して、一人はこれを拒否した。その後、任意出頭を求めましたが、途中からこの拒否した方も逃走しております。エンジン・キーは同所にはなかった。したがって、車両は検証後会社側が合いかぎを使用して持ち帰った、こういうふうに聞いております。
#130
○大橋和孝君 この問題については、もう少しあとから警察庁のほらにいろいろお伺いしたいと思いますが、そういうよう「なふうなことが一方で行なわれながら、この会社では非常に不当労働行為のはなはだしいことをしておると、私は聞いておるわけであります。と申しますのは、そういうようにして団交を拒否し、そのような状態におりながら、実はこの組合長を解雇しておるわけであります。これを見てみますと、五月の六日ですか、あるいはまたその前に、この会社側の森部長とおっしゃる方なんかは、こうした組合はぶっつぶすのだというようなことをある方面でもおっしゃっておるという話でありまして、何か会社の非常に不当労働行為的な考え方が先行しておると、こういうふうに考えられるわけであります。特に、この坂本章というこれは委員長かなんかやっておった人でありますが、この方を不当解雇いたしました。これも先ほどちょっと申しましたが、午前四時に出勤しなければならないのに六時になった。これは二時間も遅刻をしたというので、会社側がトラックを運転して出ていった。この人は二時間おくれてきて、キーを改めてそれから車をさがして、そうしてフェリボートの港まで飛んでいって、おくれまして相済みませんと、だからしてこれから運転してまいりますと、こら言っておったところが、おまえ要らぬよと言って断わられて、この人は帰ってきて、その社で仕事をしておった。こういうような状態でありますけれども、先ほど申したように、こういうようなことは、労働時間の非常に過酷なために、ときには寝過ぎるということで、いままでもあったのでありますが、今度の場合には、それが一つの違法の対象になった。また、それに同乗させたとか、コースを変えたとか、これはもう先ほど申しましたように、非常にいままで日常茶飯事のように行なわれておった事柄を、今度の場合は不当解雇の対象にして即日解雇をした。しかも、その解雇手当もなければ、その働いただけの賃金を渡しただけでもって首にしてしまったという状態であります。こういうことに対して、非常に過酷なやり方であるために、いろいろこれに対して労働委員会なり、あるいはまた検察庁なりにその願いを出して話をしておるわけでありますが、これがなかなかうまくいっていないようであります。この辺の問題に対しては、労働省のほうでは、どのように把握しておられますか。
#131
○説明員(大塚達一君) 坂本委員長の五月六日の解雇につきましては、解雇事由として私どものほらで聞いておりますのでは、ただいま先生もおっしゃいましたが、遅刻したということなんですが、会社側では、過去数回遅刻しておるということを言っておるようでございます。これは、地労委の不当労働行為における申し立てに対するその説明でもそういう言い方をしておるようでございますが、過去数回遅刻をしたと、あるいは契約したフェリボートに乗らないで会社に損害を与えたと、それから勤務中にトラックに婦女子を乗せ、そして悪ふざけをして会社の品位をけがしたというようなことを言っておる、これは会社の言い分でございますが、そういうふらに言っておるというふうに伺っております。
#132
○大橋和孝君 こういう点も、先ほどのずっと会社の労働条件の関係から考えてみますと、私は、ある意味において、そうした不当労働行為の考え方のもとにこういうようなことがしばしば行なわれたのではないかと、こういうふうに考えておるわけであります。ところが、これは何月でしたか、こういうふうな不当労働行為等の問題も含めて、いろいろそのあっせん中に、民間側で高橋知三郎とおっしゃる方が仲裁に入られ、また組合の兼田委員長も加わられまして団交がもたれて、そうして仮調印の寸前までいったと、そこの中ではベースアップの問題は、初めには二千五百円、いわゆる六月の五日ごろの団交では賃上げ二千五百円ぐらい、それからまた坂本の解雇は撤回すると、交通費は八百四十円を支払うというようなふうな条件が出されたけれども、二回、三回と交渉し、その中で、いま申し上げたように、あっせんする人が入ってまいりまして、中央からも兼田委員長が参り、高橋知三郎という人も中に入られまして、いろいろ話をされて、賃金は五千円上げと、あるいはまた解雇は撤回すると、そしてまたいろいろな交通費も与えると、あるいはまた一時金として二百四十万ですか、これも差し上げようと、それから一時金として、いままでのいろいろな支給してない金、それが五万円と、その過去の割り増しの手当二万円と、合計七万円ぐらいを支払おうと、こういうふうなことで妥結して、福利厚生の関係はこれから考えようというような案が出されまして、これは会社側と労働組合側とはほとんど妥結をして、六日の日にそれができたわ…でありますからして、七日の日にちゃんと調印しようということで別れたところが、あくる日になってから電話がかかってきて、少し時間を延ばせ時間を延ばせということで、ずんずん延びて一まったというふうな状態になっているわけですね。こういうような事柄は一体どうしてこういうふうになったのか、ほとんどそういうふうな条件になったら、普通であればうまくいくわけでありますけれども、双方で、会社の代表も納得し、組合側も納得しておるのにそういうことがうまくいかなかったというふうなことは一体どこにあるんだということがよくわからないんでありますが、これは想像するところによれば、社長が変えたとかということがあるんだろうと思いますけれどもその辺のところについては、労働省にはどんなようなふうに報告がされておりますか。
#133
○説明員(大塚達一君) 六月六日に、先ほど先生のおっしゃいました高橋さんという仲介者が入って、会社側の専務、常務、経理課長、組合側は、全港湾の兼田委員長、関西地本の亀崎書記長、沿岸南支部の河本支部長が出席して、先ほど申し上げた四点で合意に達した、そして調印を待つというスタイルになったということは、そのとおり一あるというように伺っております。その後こちらの聞いた情報によりますと、会社側の中で非組人員から合意した内容について不満が出され、結局非組合員が六月八日から十日の間にサボタージュをやって会社側を突き上げた。そういうことがありましたために、会社側は組合と非組合員の間の板ばさみにあって、結果としましては、この調印を断わって、合意の内容を破棄した。賃上げ五千円回答しておったやつを二千五百円アップというふうな回答に切り変えてきたというふうに承っておるわけでございます。
#134
○大橋和孝君 これは、それほどまでに会社側と組合側とがうまくいっているのに、いま話によりますと、別な第二組合とか、ほかのものがあったかもわかりませんが、そこらの突き上げによってまたもとの二千五百円に戻したように見られる。ところが、その間に、別に七月二十八日には、先ほど警察庁のほうから話がありましたように、そのトラックのあり場所がわかっているのに、広島県警と大阪府警から相当たくさんの警察官が行って、そうして七台の分のキーがあるにもかかわらず、別なキーを持って行って、これを持ち帰った。それからその後そういうことがあるにもかかわらず、今度は警察のほらでは、たくさんの警官を入れて、そうして家宅捜索をしている。それから沿岸の組合の家宅捜索をし、あるいはまた委員長の宅の家宅捜索をしたりしているわけでありますね。ところが、組合の幹部と警察の警備のほらの、あれは三木さんと言ったか、その方とは話し合いをして、そうしてこれからの問題は、組合の幹部と警察側とよく話をしよう、そういう話し合いもちゃんとできておったわけであります。こういう話し合いができておるにもかかわらず、そのような家宅捜索をし、同時にまた、何名かを強制、何と言いますか、引っぱって、そうして拘置をした、こういうようなことでありますが、その辺はどういうふうになっておりますか、だれとだれを呼んで、どういう理由で拘置したか。一方では、話がすみかかっているやつをもとに戻して、しかも、そこに警察が介入して、そうしてやっていくということに対しては、ちょっと聞いたところでは、警察は、一方的にそういう不当労働行為に対して加担をしているようなやり方ではなかろうかというふうにまで想像されるわけでありますが、どういう根拠によってこれをやられたのか、一ぺん詳しく話を願いたい、こういうふうに思います。
#135
○説明員(丸山昂君) 警察といたしましては、五月の二十日に、会社側から所轄署である徳島西警察署長あてに届け出がございまして、そこで事案の発生を認知いたしたわけでございます。そこで、いままでに、実はただいま捜査を継続中でございますので、こまかい点につきましては御容赦願いたいと思いますが、ただいままでに令状を得て逮捕しておりますのは二人で、これは、先ほどお話しがございましたように、六月二十日に釈放になっております。
 それから、ただいま先生御指摘の地元の警察のたぶんこれは警備部長のことを言っておられるのではないかと思いますが、六月の七日に県労協の方が見えまして、会社側との間に、先ほど御指摘の十三項目について調印ができそうな段階になっておる。そこで、捜査について考慮してほしいというお申し入れがありまして、地元の警備部長は、本件につきましては、本来告訴を要しない事件でございますので、労使間のお話については十分考えるけれども、直接には事件の捜査には影響されないというふうに考えておりますと、それから、実はその段階におきましては、本件の威力業務妨害事犯でございますが、事犯の内容が明らかになりましたので、明らかになりました以上、これを放置しておくわけにはまいりませんので、事件についてははっきり黒白をつげたいと思います、こういう趣旨のことを地元の警備部長は申し上げておるそうでございます。
#136
○大橋和孝君 いろいろ調査のところで、いまおやりになってるようですから、いまここであんまり問題にしてもいけないと思いますが、一方にはそういうふうにして非常に話し合いが進んでおるのですね。ところが、まあ何かの事情で、会社側が、急転直下、一方では二千五百円と初め言っておったのが、話し合いで、よろしい、五千円にしましょうと、また解決金も何ぼ出しましょう、それからいままでにいろいろ払わなきゃならぬものが払われてなかったから七万円も出しましょう、それから福利厚生費の問題も話し合いましょろ、これは非常に前向きの、いわゆる団交ができたわけですね。しかも、それは調印をいついつしましょうというところまでいっておった。こういう状況であったところを、何かの一つの問題、まあ先ほどからいえば、ほかの組合のほうのあれもあっただろうし、会社側としては、そういうことでやったという話でありますけれども、そうなればそうなるほど、既定の組合に対するいろんな権利を、あるいはまた団交権あるいはまたいろんなそうした認められた三権に対して、これを踏みにじられるような状態になっておるんだと、こういうことに対して、やっぱり警察のほろでは、県労協ですか、まあ幹部だかしりませんけれども、話し合いをして、それなら私のほらから代表者を送ってお話をしましょう、こういうような話し合いができておるにかかわらず、そんなことは知らぬのだということでもって、これは独自に、そういうことが明らかになったからやるんだ、そういうことでもって勾留した。裁判に至っては、隠滅というようなことには当たらないからして、勾留は解除することになって、本人は帰ったわけですね。そういうことではありますけれども、そういう段階においては、私はそういうふうなことまで警察としての話い合いが進んでおるならば、やはりこういうことは一つの労働者としても与えられた権利をやってるわけでありますからして、これは組合側によく話を聞いてみれば、警察のほらではそういうような威力妨害だととっておられますけれども、正式に事はちゃんとやってるというわけですね。そういうことで、一方で労使関係がうまくいくときに当たって、ばっと介入をして、そしてこれをけ散らしてしまうということになれば、この労使間におけるところの労働問題に対しての不当な介入ということになるわけですね。それをやらなかったならば、そういうことが起こらずに済んだかもしれない。そういうことを考えてみますと、これは警察のほらでおやりになることに対して、われわれはとやかく申すことはできないに一ましても、やはり実際から言えば、これが労働行為、当然の要求としてやっているストライキあるいは団交することに対しての介入であるし、いろいろのことから言って、憲法できめられた労働三権を無視をする、影響を及ぼしたということになれば、私はゆゆしい問題だと思うのです。この間も、京都のほらで行なわれました畑鉄工の問題をここで問題にいたしまして、私は、そのときにも申し上げましたが、中小企業メーカーは、そういうことを言っちゃあ失礼になるかもしれませんけれども、かなりそういう運輸会社にしても、いまごろはなかなか苦しい状態にある。ところが、このごろは、何といいますか、労働者の賃金から言っても、やはりこの物価の値上がりで、ある毎度のものは支払わなければならない。中小企業になれば、そういう点で非常な苦しい中に経営をされているわけでありますから、必然的に労働者がそれのはね返りを受けまして、働いている労働者は非常に苦しいところに追い込まれるわけであります。そういったところの歯どめをするのが一体どこにあるのか。まして、働いている者にしわ寄せをすれば、それでいいのだということにはならないわけでありますから、こういうことを考えると、前にも労働省に対して、私は、労働者を守るために大きな力になってくれということを申し上げたわけでありますが、今度の場合は、それが逆に、警察のほうからも、何といいますか、ひとつは片棒をかついだようなことが行なわれるとするならば、ますます私は中小企業の労働者はたえられないことになると思う。ですから、私はここのところに対しては、私はもっと慎重にこういう問題については、警察としても考えてもらいたい。それはもうおやりになることが悪いというわけではありません。当然しなければならぬ、法に基づいてやられることだろうと思いますが、法に基づいてやられることがそういうふうに労働者の権威というものに対して、大きな影響を及ぼすというような事柄については、もう少し考えるべきことではないだろうか。ことに、今度の場合は、警備部長ですか、課長ですか、ちゃんと話をして、私のほうから代表を出して話をしましょうということになって、一方でそういうことを言っておきながら、その日のうちにもうそういうことの行為をしたりしておられる。こういうことは、やることにおいて理屈は立っておりましょうけれども、影響たるや実に大きい。この点なんかは警察庁におかれても、法務省におかれましても、私はこういうことなんかは十分配慮してもらってやってもらいたい。これに対して反対するわけではありませんけれども、それが影響を及ぶすか及ぼさないかということを考えてやってもらうべきではないか、こういうことに対しての明確な今後の方針を承わりたい。
 この問題に対して、労働委員会に提訴されて、労働委員会で調査されていたようでありますから、私はここで一歩進んで、こまかいデーターをたくさんいただいておりますから、一々のことに対して対決をして、お話を申し上げたい点もありますけど、それはまた必要があればやることにいたしますけれども、きょうはそういうことは言わないで、警察庁としては、いま確かに労働委員会にこれが提訴されて、話合いをしつつあるわけでありますから、やはり労働者が正しく権利を主張をして、その労働委員会において、どういいらさばきを受けるかというときに、やはり警察庁としては、大きな視野からこれに対してどら対処してもらえるか、こういうことのひとつお考えを聞いておきたい。法務省の考えも聞いておきたいと思います。
#137
○説明員(丸山昂君) ただいま先生御指摘の点につきましては、原則論といたしましては、もちろん私ども労働事案に伴います不法事犯の処理につきましては、十分本体である労働争議それ自体の推移について、慎重な配慮をしながら事案に対処をしていくというたてまえで考えておるわけでございます。また、地元の徳島県警も、おそらくそういった配慮でやっていると信じます。この先生の御指摘の点は、地元県警本部長に、私のほらからも御趣旨につきまして十分伝えておきたいと、こういうふうに存じております。
#138
○説明員(豊島英次郎君) 先生から御指摘がございましたように、労働争議関係の事件につきましては、その動機とか、原因とか、さらにまた現状の争議状態がどら発展していくか、どういうふうに終息していくかといったような、種々の問題がからまっているわけでございます。したがいまして、これに対しますところの警察、検察権の行使ということにつきましては、すこぶる慎重でなければならぬというふうに、基本的には考えております。すでに警察から被疑者二名につきまして、業務妨害ということで徳島地検は送致を受けておるわけでございますけれども、ただいままでのお話を聞いておりますと、組合側の言い分、会社側の言い分、それぞれ食い違うところも幾つかあるようでございますし、しかも、その中には非常に重要な問題点も含まれているようでございますので、地検といたしましても、双方の言い分を十分慎重に検討して、十分慎重な捜査を行なっていくということであろうというふうに考えております。
#139
○大橋和孝君 法務省のほらにおかれても、検察庁におかれましても、私は、この問題に対して、ひとつ十分な配慮をしながらこれを進めていただきたい。私は、もらしばらくこの問題は経過を見てみます。都合によりましては、警察からも、県警側からも、検察のほうの側からも、法務省の側からも、あるいはまた現地の会社、あるいはまた県の労政課、そういうような方々にもひとつ来てもらって、しさいにこれに対しての状態を聞かしてもらうということもあり得ると思いますので、そういうこともいま考えながら私はこの問題、もう少し見送ってみたいと思いますから、どうかひとつ今後、警察庁も、法務省のほらも、この問題に対しては十分な配慮をしながらひとつこの問題を進めていただきたいということを特に要望しておきたいと思います。
 それから、労働省の側に対しましては、こういう問題でこの前も私はこの点に触れてお願いをし、いま中小企業の中にはいろいろの問題が起きてきているし、京都においても、あるいはほかにもあるだろうといっておりましたら、その後、また徳島にもこういう問題が出てきたわけでありますから、こういうことを考えますと、中小企業の労働者に対しては、非常に苛酷な労働条件で働かせながら、このようなことでもってしばり上げるということがあったら、そこに働いている人たちは、これは交通事故を起こさざるを得ぬような状態になってくるわけで、いまの労働時間を考えてみても、朝四時か五時に出発して、晩の八時か九時に帰ってきて、そして片づけをして、夜、家に帰って寝て、もう朝八時には会社に出勤して、近回りのトラックに乗らなければならぬというような状態、それで普通の人間が十分な注意を払って、そして安全な運転ができると思うことは大間違いだと思う。こういうようなことがやられているような状態を労働省は早くキャッチをして、それを指導すべきだろう。そのために、各出先に労働基準局とか、監督署もあるわけなんで、こういう点からいって労働者をいたわる立場の労働省としては、実に手落ちが多いのじゃないか、こういうふうに感ずるのです。この問題にしましても、妥結するところまでいっているのにこういうふうにひっくり返ったりなんかする。これは労働委員会なりあるいはいろいろなところでこれから協議されるとは思いますけれども、やはりこれは県の労政課に対しては、こういうことがうまくいけるように強く指導をして、そしてその双方に  私は必ずしも労働組合だけによくせいとは言いません。双方ともに納得のいくような線でもって、もろ一応妥結点が一ぺん認められているわけですから、早くそういうことに持っていけるようなアドバイスをすることが必要ではないかと思います。そういう観点を申し述べまして、私はきょうは時間もありませんから長々申しませんけれども、これだけは十分に配慮をしてやってもらいたい。同時に、また、私は、これがやられなかったな二は、様子を見まして、こういう問題はほんとうに一ぺん洗って見よう、こういうことを徹底的に、ここで洗うことが、今後中小企業に働いている人たち、労働者を守る意味においては絶対に必要ではないか、また逆に労働省の使命ではないかという点からして、私は徹底的に論議をする機会をもう一ぺん持ちたいと思いますので、きょうはこの程度でとどめますから、どうぞ、この問題に対しては、労働省としては、徹底的にやってもらうようにお話をしてもらいたいと思う。担当局長もきょうはおりませんし、大臣もおりませんけれども、大臣なり、局長に対しては、課長のほらから十分に話をしてもらって、ひとつがんばっていただきたい。ちょうどそこに職安局長がおりますけれども、局長のレベルで、あなたもひとっこれを聞いておってくれたから、ひとつアドバイスをしてもらうようにしてもらいたいと思いますから、労働省と二人から私は気持ちを聞いて終わります。
#140
○説明員(大塚達一君) ただいまお話のように、中小企業におきます労働条件、あるいは労働者をめぐるいわばもろもろの待遇、環境等の改善ということは、いわば労働省の基本的な使命でございまして、労政局といわず、各局これに邁進しているわけでございますが、なかんずく本件のような、特に労使関係に関しましていろいろ問題があるというような場合につきまして、当該県当局、あるいは県の労働委員会等が援助の手を差し伸べまして解決に努力をするということは当然のことでございます。で、いろいろ問題はありますが、またその間にいろいろの警察の問題等もからんでいるというようなことで、たいへんもめてはきておりますけれども、本件の情報によりますると、きのうあたりは、社長が労政事務所に出頭して説明をするというようなことも言っているようでございます。また、五日には地労委であっせんが行なわれ、これには社長が出席するというような情報を聞いております。そういう意味では、解決にまあかなり近づくのではないかというふうに思っておりますので、なお、何か協力をし、あるいは指導するようなことがあれば、県の当局に対しましても十分お手伝いするように御連絡をいたしますと同時に、大臣、局長にもその旨を伝えることにいたします。
#141
○政府委員(石黒拓爾君) ただいま大橋先生のお話並びに政府側の説明、私、所管外ではございますが、拝聴いたしておりまして、中小企業には間々こらいったようなこじれた争議が多いようでございますが、所管の各局長にも十分この様子を伝えまして、善処いたすように努力させたいと思います。
#142
○委員長(吉田忠三郎君) 委員会は、後刻再開をいたすことにして、暫時休憩をいたします。
   午後二時五十人分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時十分開会
#143
○委員長(吉田忠三郎君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 労働問題に関する調査に対する質疑は後刻に行なうこととし、労働大臣も出席されましたので、職業訓練法案を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方の発言を求めます。
#144
○小野明君 文部省見えておりますね。高校教育の多様化ということで、いろいろ後期中等教育問題については対処されておるのですが、これは中教審の答申以来の方針であろうと思うのです。先ほどからお聞きをいたしますと、労働省のほらは、いわゆる産業界の要求をストレートに受けとめて職業訓練を行なうものではない、こういうきわめて明確な答弁をいただいておる。そういたしますと、あなたのほらは、いろいろこの労働省ともこの問題で、技能教育の問題では打ち合わせをされておると思うんですが、高校教育の多様化というのは、率直に申し上げて、労働省はやらないという、いわゆる単能工ですね。これはまあ直接比較することはむずかしいかもしれませんが、単能工養成で直接に産業界の要請に応ずると、こういう教育を目ざしておられるのではないですか。
#145
○説明員(大崎仁君) ただいま先生からも御指摘がございましたように、中央教育審議会の後期中等教育の拡充整備ということにつきましての答申を受けまして、主として理科教育及び産業教育審議会に高等学校の職業教育等の多様化ということで御審議をわずらわしまして、その結果、新しい学科というものをさらに検討する必要がないかということで、現在までに二度にわたりまして、十七の新学科と申しますものを御答申をいただきましたわけです。ただ、お話にございましたように、産業界の要求をそのままストレートに受けとめて新設学科を考えるということではございませんで、やはり進学率がこれだけ高まってまいりますという時点におきまして、生徒の側から見ましても、社会の側から見ましても非常に多様な要求というものが高等教育段階に寄せられているわけでございますので、そういう要求を受けとめていく姿といたしまして学科というものを考えていくのが、現段階では一番現実的ではなかろうかというようなことで、新学科の可能性というものを御審議いただき、各県にも指導申し上げておるといりことでございます。
#146
○小野明君 あなたのところがきょうは本筋でないから、質問も少し省略をしたいと思うんですけれども、実は一番現実的ではないかとあなたが答弁をしておる、これが一番問題なんです。まあ、高等教育というところは職業訓練施設と違う。それでやはりいまの熟練工があしたの無能工になる、こういう産業技術革新の激しい時代であるが、高等学校多様化の中でミカンの皮むきばかりやらしておるような学科もあるというわけですよね。そのミカンの皮むきをなんで高等学校でやらんならぬかというようなことで、これは社会に出たらミカンの皮むきだけしかやれないような職業人にしかならぬわけです。一番現実的な要求に即応していくといろあなたのところの教育方針というのは、実は一番簡単なのは、資本の要求、産業界の要求にストレートに応じていくというのが一番現実的なんです。それであってはいかぬと、やはり全人的な、いろんな技術革新の中でも役に立つような教育をしていくと、そこに基本がなければならぬのであって、その辺がどらもやっぱりあなたの答弁を聞いておりましても、根本が人間をスクラップ化していくための、単能工に育てていくための教育になっていると、こら言わざるを得ぬのですが、あなた課長ですから、その辺を言うと、上のほうから、おまえは首だと、こら言われるかもしれませんが、答弁要求するのも無理かもしれませんが、一体労働省がこれほどはっきりしたことを言っているんですが、どうですか。
#147
○説明員(大崎仁君) ただいまの御指摘の点につきましては、先ほど申し上げました中央教育審議会でも、教育内容の多様化ということと並びまして、大原則ともいうべきものとして普通教育を重視しろということをあげております。私どもといたしましては、やはり高等学校教育の共通の要素といたしまして、普通教育の重視ということが並んで当然あるのではなかろうか。現在職業高校におきましても、大体時間数の半分は普通教育に充てておるというのが現状でございまして、この普通教育も重視するというやり方は、今後とも、私どもとしては、当然留意していかなければならないことでございます。
 それから多様化につきまして、われわれとしては、いたずらに細分化をしろというふうな指導はいたしておりませんので、具体的に申し上げますと、たとえば職種ごとに分けたような教育というところまでの細分化ということは、現段階では考えておりませんで、やはり将来の変化に適応できるようなことを念頭に置きながらの検討というものを先生方にお願いしつつ進めておるということであります。
#148
○小野明君 中教審の答申にありましたというふうに言われるが、中教審の当時のメンバーというのは、産業界の代表ばっかり並んでおる。教育界の経験者というのは、校長が二人ぐらいしかおらぬわけです。八幡製鉄はじめ、大会社のメンバーが中教審にすわっている。これはちょっとひどいじゃないかということで、最近は少しずつ剱木文相時代から入れかわりつつある。中教審の顔ぶれを見れば、教育の内容をすぐ変えられるということになっているのですから、中教審の答申を金創玉条としておやりになるということは、労働省一いま配慮している点とストレートにあなた方が直結するということになって、会社の要求というのは、教育に対してはきわめて強いわけですから、こういうことを言っても始まらぬが、中教審の答申にございましたと言うから、中教審というメンバーは、そういうふうなメンバーである、 これは、ちょっと問題だということを指摘しているわけなんです。
 それから、高等学校の進学率というものは非常に上がっておる。いま平均して八〇ぐらいに行っているのじゃないですか。東京都はそういうふうになっている。労働省は中卒の訓練、これに重点を置いておる。ところが中学卒業の青年というのを一体高等学校で教育すればいいのか、こういうところで教育をすればいいのか非常に問題があるところなんです。それで、実際に働く青少年というものは、高校の定時制というところでやっぱり教育するのが主ではないか。これは文部省に向かって言うことは、あなたのほうがわが意を得たりと言うかもわからぬが、定時制あるいは通信制も最近は希望者は少ないですが、その辺に力を入れないから技能施設に押されてしまう。こういうふうに高等学校の進学率が高くなるということで、将来を見通してどういう勤労青少年の教育という面について方針をお立てになっているか、その辺をひとつ聞いておきます。
#149
○説明員(大崎仁君) お話しにございましたように、昨年の三月の数字で申しますと、中学校卒難者の七〇劣弱が進学をいたしておりまして、東京などでは大体九〇%というような数字が出ております。これは年々大体二%程度上昇の傾向を示しておりますので、今後ともこの傾向は続くのではなかろうかというように、私どもとしては見ております。それでこの十五歳から十八歳までの段階の教育のあり方につきましては、ただおしかりをこうむるかもしれませんが、中央教育審議会の答申を出しました考え方と申しますものは、基本的には、すべてのその年齢段階の青年に教育の機会を得させる。教育の機会を得させるについては高等学校もございましょうし、それからその他の教育訓練機関もあるであろう。それぞれに後期中等教育ということについての配慮をしながら整備充実を進めていったらどうかという御答申をいただいておりまして、私どもといたしましては、その趣旨に沿いまして、高等学校の段階で、できる限り青年の教育の機会というものを提供したいということで努力をしておるようなわけであります。お話にございました定時制、通信教育ということも、その観点から努力をいまいたしております。
#150
○小野明君 そこで、はっきりあなたは定時制、通信制ということに教育は重点を置いてやるということをおっしゃるわけですが、ここに一番ショート、短絡の道を開いたのが連携教育です。これは十分石黒さんのほうとも話をされておやりになっておるでしょうが、いまは、実習の単位だけについて連携を認められておるようですが、やはり将来は普通科目にまでこれを拡大して単位を認めていく、こういう傾向が見えるのですが、これは石黒局長からも答弁をいただかなければならぬのですが、私の質問の趣旨は、訓練施設でもって勉強をすれば高校資格を与えるということについて文句を言うわけではないのです。ただ、あなたのほうの要求で、安上がりの高校履修課程というものを要求しておられるのじゃないか。いまあなたのほうの要求を受けて文部省も、それじゃ、この程度でもって安上がりでひとつ高校資格を与えましょう、ねらいは単能工、すぐスクラップ化する労働者を養成すればいいわけですから、私から言わぜれば、すぐ短絡して安上がりの労働力をどんどん上げていく、こういう道をあけておるのまでワクを広げていくんじゃないか、こういうふうに思われるのですが、これについて、ひとつ石黒局長とあなたのほうの答弁をいただきます。
#151
○政府委員(石黒拓爾君) 私どものほうといたしましては、職業訓練生がやはり高校卒の資格を得たい、また、特に志を抱きまして大学にまで進みたいという者は、高校卒の資格がないと実際問題として大学に行けないので、そういった点から高校卒の資格を得たい、こういう要望にはこたえるべきである。そこで高校等の通信制、または定時制の高校との連携措置、こういうものを考えたわけでございまして、現在やっております連携措置というのは、大体実技あるいは実技に準ずる専門科目というものについての連携措置というものを認めていただいております。それ以上のものはなかなか困難であるかと存じますが、私どもの希望としましては、連携科目をできるだけ広くしていただきたいという希望は持っております。そうでなくても、定時制高校に通うことは、非常に子供にとって負担でございますので、できるだけ負担が軽くなるようにしてやりたいという希望は持っておる次第でございます。
#152
○説明員(望月哲太郎君) ただいまの御質問の点でございますけれども、小野先生の御質問は、おそらく技能教育施設の指定等に関する規則の第五条に、職業の科目以外に特に「高等学校のその他の教科に属する科目で、指定技能教育施設における技能教育の科目に対応するものとして文部大臣が適当と認めるものについても、同様とする。」という、この規定の動かし方の問題であろうかと存じます。そこで現在は、先生御指摘のように、職業に関する科目に現実には限定されてきております。ただ、将来、いろいろな産業技術の発展あるいはそれぞれの技能教育施設の内容充実等の結果、あるいは内容的にもそういう点について措置をすることが適当と思われるものというものが出てくることは、このように進歩の激しい世の中でございますから、ないとはいえない。した得る余地を規定の上に残しておくということでございますけれども、この問題については、いまのところ、それに該当するものはないということで、特にそういう御申請もございませんので、特に文部省として、これが適当であるというものを明示しておりません。また、将来この規定によりましていろいろな措置をとる場合にも、決して、小野先生がおっしゃったように、私どもも高等学校の教育というものを単に安上がりでどうこうということは考えておりませんので、十分慎重にこの問題を処理する場合には取り扱ってまいりたいと思っておるわけでございまして、当面、早急にこの規定によってどうこうというようなことは、具体的に現段階において考えているかということにつきましては、現段階ではそういう段階には達しておらないということでございます。
#153
○小野明君 いまのところはその段階にきておらぬということですが、従来の政省令の改正の方向から見ますと、また、文部省のほうも、高校教育の多様化というような間違った方針から見ますと、そういうおそれがあるわけです。そこで、やはりいま役に立って、あしたはもうだめになるというようなそういう教育ではなくて、すべての技術革新に応ずるような総合技術教育というものを十分重視した、一般教育を重視した専門教育、これを施して初めてその労働者がすべての職業に対応し得るような職業生活を営み得る、こういうことだと思うのです。その辺をひとつ重視をしてもらいたいと思うのです。しかし、いままでの経過を見ますと、六七年ですから、四十二年ですね。政令、省令が改正をされて、この連携教育というものが非常にゆるくなってまいりました。それで政省令の改正前の連携教育の数、その後の数、この違いですね。生徒数等、これはおそらく私は歴史的な転換をやっているのが六七年、四十二年の政省令の改正じゃないかと思うのですが、その辺から少し数字を出していただきたい。これは労働をひとつ出してもらいたい。
#154
○説明員(望月哲太郎君) 小野先生御承知のように、昭和四十二年の改正以前は、技能連携になじみます技能教育施設といたしましては、修業年限が三年である、それから年間の指導時間が八百時間以上であるということでございました。それを四十二年の改正で、修業年限は一年以上、年間の授業時間数は六百八十時間以上ということに改めたわけでございます。その結果、改正以前といいますか、四十二年の改正以前までは五十二施設、それから連携の教育対象となります訓練機関で単んでおります青少年の数が九千四百名、それから改正後に新たに指定をいたしました施設が百七十五で、そこで学んでおります青少年の中で連携教育の対象となりました者が三万四千名でございます。合計いたしまして二百二十七施設、四万三千四百名でございますが、改正以前と以後におきましては、いま申し上げたような数字になっております。
#155
○小野明君 これは石黒局長にお尋ねいたしますが、あなたも言われるように、高校卒の資格を得るということは、これは私はよろしいと思うのですよ。ただ、いま言われるように、四十二年の政省令の改正前と後とでは、非常に開きがある。ふえてくることはよろしいですけれども、そのために基礎教育、一般教育が軽視をされた。いわば、社会に出た際に単純にスクラップ化されるような連携教育では、私は意味がないと思うのですね。そこで、ただ単に片っ端から連携の密度を薄くするということであってはならぬわけです。いま、課長は二点言われたのですけれども、そのほかにも教育担当者の数が十人に一人だったのが二十人に一人になっておる。それから連携できる科目の数にしましても、これが三分の一であったのが半分になっておるわけですね。こういうふうに文献省があなたの要求を受けて――受けたか受けないか知らぬけれども、どんどん安売りしまして、簡単に単能工をふやしていくというような傾向が目タイアップして、かってに政省令を変えてしまって水増しをすればそれはできるのですが、そういうことがあってよろしいものかどうか。やはりこれは教師の質にしましても、資格にしましても、あるいは修得できる単位にしましても、通信教育を多く利用しておるのですが、やはり定時制を多く利用させるとか、それらは使用者負担で定時制を利用させるとか、そういうことで、みっちり年少の労働者に充実した教育を与える、そういうことによって水増しした高校卒資格を与えるというような弊害を避けてもらいたい。やはり労働者の将来を見通した連携教育にすべきである。そういう訓練をしてもらわなければならぬと思うのですが、その辺を局長から伺います。
#156
○政府委員(石黒拓爾君) 私どものほらといたしましては、職業訓練の目的は、御承知のごとく、多能工を中心とした技能労働者の養成でございます。高等学校教育と申しますか、学校教育一般につきましては、私よく存じませんが、高等学校では一般教養のほらに重きを置いておられるのではなかろうかと存じます。両方の重複する部分についてだけ連携措置がとられておるわけでございまして、私どもは、この連携措置によりまして、職業訓練生が多能工的に育てられるべきものが単能工的になるというふうに狭ばめられておるとは考えておりません。高校教育にどういう影響を与えるかという点につきましては、私ども、実ははっきりした把握をしておりませんのですが、御指摘のような弊害は、できるだけ避けるように措置されておるものと信じております。
 それからもう一つ、私どもとしましては、職業訓練生が高校卒の資格をとりたいという場合に、これを取りやすいようにしてやることももちろんけっこうでございますが、同時に、必ずしも高校卒じゃなくても、訓練生は訓練生としてみずから誇りを持つ地位につけたいというふうに考えておりまして、そこで技能士補というような称号も考えておるということで、両方の立場を考えておる点を御了解いただきたいと思います。
#157
○小野明君 局長にお尋ねしますがね、高校卒の認定は、単位制で行なわれていますか。
#158
○政府委員(石黒拓爾君) 単位制によって教科編成をいたしております。
#159
○小野明君 教科編成しておるというが、いわゆる高校というのは単位によって資格を認定されることになっているわけです。ところが、職訓のほうはそういった単位によって認定が行なわれるようになっているのですか。連携のことを言っているのですよ。
#160
○政府委員(石黒拓爾君) 私どものほらでは、教科編成は主として時間数によってやっておるわけでございますが、連携措置につきましては、単位制に編成いたしまして当方の何単位が高校の何単位に相当するというような連携措置をしておるわけでございます。
#161
○小野明君 その辺が……。これは神奈川県では、非常に技術高校が多い。雨後のタケノコのごとくできておる。それで簡単にやってもらいたくないと思いますのは、川崎技術高校では、同じ実習時間で去年は八単位、今年は十五単位、こういうふうに認定が違っているわけですね。そのことを申し上げたい。こういうふうに恐意によって認定単位が異なっていくということは、もっと技術高校の内容を調べてみる、あるいは充実したものにする必要があるのではないかということを申し上げたいわけですね。
#162
○政府委員(石黒拓爾君) 川崎の技術高校の認定単位数がどのようになっているか、実は私詳細に存じておりませんが、もし先生の御指摘になりましたような、恐意的なことがございましたら、これは直ちに改めるように措置いたしたいと思います。
#163
○小野明君 これは文部省にも言っておきたいのですが、この教育課程の認定については、実習の認定については、指導要領にきちっときめられておりますね。きめられておるというか、指導要領ですから、指導方針が出ているわけですね。こういうものに基づいてきちっとやっておるのかどらか。そうすれば、いまの川崎の技術高校みたいな例は出てこないはずです。どういう方針でおやりになっているか。
#164
○説明員(望月哲太郎君) 私どものほらで、技能連携施設の指定の申請がございました際は、そこで行なわれておりますところの科目の内容というものが、高等学校の学習指導要領に定めておりますところの各科目の教育内容に合致しておるかどうかにつきまして、十分検討いたしまして、合致しておることが明らかになりました場合に、それを連携科目として認めることにいたしております。
#165
○小野明君 そう言わなければいかぬでしょうね。そうなっておらぬと言えばたいへんなことでしょうからね。ただ、技術高校あるいはそのほか連携高校がたくさんあがっておりますが、この企業内訓練というものが、高校に比べて非常に中身が問題があるということは、ひとつ御承知をいただきたいと思う、あなたが言われるような実態になっておらぬわけですから。その辺で、これは方針ともかかわりがありますけれども、やっぱりなるべくは、この高等学校の定時制あるいは通信制、その辺を十分やっぱり活用させていくという方向で、まあ充実した青少年教育にしてもらいたい。また、同様に職訓局長のほうも、そういった将来のことも考えましてね、甘くすることばかりでおやりになるというようなことがないようにしてもらいたいと思います。一言ずつ答弁をいただきます。
#166
○政府委員(石黒拓爾君) 御指摘のごとく、科目をむやみにふやして、訓練内容が薄められるということのないように十分留意いたしたいと思います。
#167
○説明員(望月哲太郎君) もともと技能連携制度というものが設けられましたのは、働きながら学ぶ青少年が、二重負担のゆえに、高等学校の学習が困難になるということのないように、十分その青少年が受けております訓練の成果というものも、学校教育との関連において評価をするという考え方でございます。しかしながら、もちろん単校の教育でございますから、学校の教育の中でできるだけ教育を受けられるようにいろいろな角度から配慮をするということは、これは当然なことでございますので、私どもとしても、その点は、十分今後とも考慮をしてまいるつもりでございます。
#168
○小野明君 これは文部省に申し上げたいのですが、学校教育法の四十五条の二によって、技能教育の施設で文部大臣の指定ということがうたわれておる。それから、施行令では、三十二条でうたわれておる。しかし、文部大臣の指定に当たって、やはりそこには省令で一つの高校設置基準というものがきまっておるわけですからね。それによって、特に事業内の技能教育施設というものについては、十分な調査が必要ではないか、そこまで入る指導というものが必要ではないかと思うわけです。これを見過ごして、当たるの、さわるののと遠慮しておるという傾向がありはしないかということも心配するわけです。その辺を再度答弁を願いたい。
#169
○説明員(望月哲太郎君) 私ども、技能教育施設の連携施設としての指定をする際には、その施設あるいは連携教育にかかる科目の教育を高等学林教育と同様な水準で実施していくために必要な基本的な設備が整備されておるかどうかということを審査をして、そして施設の指定をいたすことにしております。また、その施設がそのような条件に満たなくなった場合には、指定を解除するというような制度も設けております。ただ、高等学校の場合には、いろいろな分野の教育を学校の場で総合的にいたすということでございますので、おのずから相当基準においても、いろいろの分野のものが含まれるということでございますけれども、技能教育施設の場合には、連携にかかる科目という限定された分野における設備の問題でございますので、高等学校の設置の基準そのものも直ちに適用するということにはならない面もございますけれども、ただ、連携にかかる科目につきましての教育を実施するために必要な基本的な設備が整備されているかどらかについては、十分検討をしてまいっておりますし、今後とも、その点については、十分配慮をしてまいりたいと思います。
#170
○小野明君 それから石黒局長に伺いますが、この中央職業訓練審議会の答申によりますると、高校卒の職訓の制度を設ける検討をすべきだという答申が入っているのですね。これは一体どうなっているのか。訓練所、訓練施設によっては、中学も、高等学校も、大学も込みでおやりになっているようですが、この答申の趣旨はどう生かされているのか、お尋ねします。
#171
○政府委員(石黒拓爾君) 現在の職業訓練施設は、大体中卒を基準としてつくっております。したがいまして、高卒のための特別の基準はございませんので、高卒者も訓練所に入所している例がかなりございますけれども、中卒と同じ基準でやっております。しかしながら、高卒者につきましては、特に普通学科につきましては、高校で訓練所以上のものをやっている。専門学科についても、しばしばそういう状態があるということで、高卒生と中卒生とを同じ訓練基準でやりますのは、かなり重複があるわけでございます。また、年齢の相違によりまする訓練基準の相違というのも当然あってよろしいわけでございます。したがいまして、訓練審議会におきまして、今後高卒者の技能労働者というものはふえるので、高卒独自の基準をつくって訓練すべきであるという答申をいただいたわけでございます。これは答申をいただきましたのが昨年でございまして、目下法律改正の作業と並行いたしまして、高卒者の訓練基準の整備に鋭意努力中でございますが、まだその成果は出るに至っておりません。
#172
○小野明君 将来は、そういう方向で、この答申に出ているような方向で新たに設けるものであるかどうか、あるいはいまのままでいくのか、その辺をひとつ説明をいただきたいと思うのです。
#173
○政府委員(石黒拓爾君) 私どもといたしましては、本年中に高卒訓練基準というものをつくりまして、将来は、高卒者は中卒と異なった別のクラスを持って訓練ができるように、すみやかに整備いたしたいと考えております。
#174
○小野明君 以下若干小さな問題になりますがね、訓練基準というものが、実態に合わない非常に古いものがある。これは午前中も、あなたの答弁にちょっとあったようですが、これは訓練施設によっては全くお話にならぬものがあるらしい。戦後、昭和二十年くらいにつくった訓練基準というものがそのまま残っている。機械、工具にしましても、昭和二十年の機械、工具をまだ使っているというような状態では、とてもこれは世の中に、いま社会に出ましても間に合うものじゃない。一向に古さが改まらぬというのですが、この法律は表向きだけは、ずっとかっこうだけはできているのですが、中身は、実際にはそういう古いものを改めていくような方向になっているのかどらか、その辺をひとつお尋ねをしておきます。
#175
○政府委員(石黒拓爾君) 訓練基準は、世の中の進歩に合わせまして、逐次改正するようにいたしまして、原則といたしましては、三年に一回レビューすることに相なっております。御指摘の点は、基準があるにもかかわらず、基準以下の古い機械で訓練しているところもあるのじゃなかろうかという御指摘だと思いますが、これは、一般職業訓練所は府県にまかしておりまして、府県の中にはまれにそういうところもあるように存じます。これにつきましては、補助金の増額等の措置によりまして、すみやかにそういう老朽設備の更新をはかりたいと考えております。
#176
○小野明君 まあ産業界の水準をそのまま持ってこいといっても、それは、まあ無理でしょう。しかし、まあ三年ごとに検討をされて基準を改定していく。昔は十年一昔だったけれども、いまは一年一昔ですよね。ですから三年ごとに当たったってこれは間尺に合わぬのではないか。一年ごとにやっぱり設備はずっと更新をしていくようにしませんと、これはやっぱり問題がありはせぬかと思うのですが、この三年ごとというのは、これを多少縮めていくということはどうなんですか。
#177
○政府委員(石黒拓爾君) 三年は原則でございまして、技術進歩の非常に急速なものにつきましては、必要を認めれば毎年にでも更新いたしますが、原則的には三年ごとということにいたしております。それから機械等の進歩も非常に早らございますが、しかし大企業で使った機械を二、三年で中小企業におろすというようなこともございまして、中には職業訓練所で訓練を受けた機械が非常に新式であって、中小企業に就職してみたらそれよりも旧式の機械であったという例もございまして、なかなかむずかしい状況がございますので、その辺はどんな機械でもこなせるように訓練をするというのが一番よろしいわけでございます。とにかく、世の中の進歩におくれないようにするためには、最大の努力をいたしたいと思います。
#178
○小野明君 訓練所でやった機械が新しくて、現場に行ったら古かった。それはたいへんけっこうなことです。それはできればそういう方向にやってもらいたい。ところが、現実はそれがさかざまだ、しかも古過ぎるわけだ。そらして、その古いのを先生が、指導員が苦労して、努力に努力を重ねて子供を教えているわけですよね。そういう実態にあるのですよ。そこで、指導の苦労というものを十分これは考えてもらわなければいかぬ。機械工具の古さをカバーしているわけですね、先生の努力によって。これはお医者さんでも、お医者さんがたくさんおられますが、機械設備の新しいところか待遇のいいところしかあまり行かぬということです。人間だれしもそうであろうと思うのです。いつまでも据えつけられて、公務員であるがために据えつけられて、自分の努力でカバーしなければならぬようでは、これはどうにもならぬと思う。そこでやっぱりいい訓練をやろうと思うならば、これは指導員が一番大切ですね。先ほどお医者さんの例を言ったのだが、非常に指導員の給与が悪いという話を聞くわけです。これだけおれたちは苦労しておるのに、こんな安い給料じゃどうにもならぬ、こういう話をよく聞くのですが、これは、十分過ぎる待遇ということは問題があるにしても、これだけあなたのほうでは一生懸命熱を入れる職業訓練の少なくともその中核をなす指導員であるならば、待遇の面はやっぱりそれ相当に引き上げていく努力をしてもらわなければならぬと思うのです。その辺の待遇の問題をお尋ねしておきます。
#179
○政府委員(石黒拓爾君) 職業訓練の実施の上で非常に大事なことは、もちろん優秀な指導員に喜んで働いていただくことでございます。私ども、従来からいろいろ努力しておりますが、必ずしも十分であるかどうかにつきましては、いろいろ御意見もあろうかと存じます。たとえば総合職業訓練所の指導員につきましては、他の一般の職員よりも、給与月額の百分の七に相当する特別の手当を職業訓練指導員に支給しております。したがって、一般のよりは七%だけ有利であるということに相なっております。また、都道府県の職業訓練所は、これは私ども直接統制はできませんが、これに対する補助単価は毎年引き上げておりますし、特に昭和四十一年でございましたか大幅な引き上げをいたしております。今後ともその引き上げに一そう努力をいたしたい。なかなか民間一流企業の技術屋と同様にというのは、非常にむずかしゅうございます。私ども、なお、今後相当に改善をしなければ間に合わないという覚悟をもって努力いたしております。
#180
○小野明君 七彩の手当というのは、産業高校では先生が皆それをもらっておるわけですね。これはよごれ手当ということでプラスになっておる。だから訓練所の先生だけ特に七%プラスされておるということではない。これは、やはり事業団、都道府県と、いろいろありますけれども、あなたのほらで力を入れられておる訓練施設の問題ですから、特によそと比べて低いから文句が出るわけですから、十分補助金の問題についても、七%でもう事終わりだということではなくて、これを引き上げるように努力してもらいたい。再度ひとつ答弁願いたい。
#181
○政府委員(石黒拓爾君) 御指摘のごとく、私ども、七%の手当がついておるからもう十分じゃないかという頭は全然持っておりません。なお一そうさらに改善するように努力いたしたいと思います。
#182
○小野明君 次に、これもいままで言われたかもしれませんが、ちょっと事が大事ですから重なってもお許しいただきたいと思いますが、訓練所の所長さんですね。これはやはり訓練に対して知識、経験を有する者ということに、おそらくはなっておると思うのでずが、全くのしろうとが所長さんになっておる例が非常に多い、たらい回しでね。そういうことは、やはり訓練施設の本質をゆがめることになるのではないか。これは山形県の場合ですが、堂々と教育勅語を教科書に使っておる。しかも、てんとしておとがめもなくおすわりになって、何だ、こういうことをというようなことになっておるらしいですが、税金を取るほの専門家が所長になったり、建設の専門家が所長になったり、そういうことが多いらしいですが、この所長人事についても、十分これは配慮すべきではないかと思う。こういう点をお尋ねします。
#183
○政府委員(石黒拓爾君) 職業訓練所の所長の大半は、訓練あるいは労働行政にかなりの経験を持った人がなっておられますが、一般職業訓練所につきましては、これは知事の人事権にゆだねてございまして、まれに県の人事の都合で労働問題あるいは職業訓練にきわめて乏しい経験しかお持ちにならない方が回されてくる場合もあるやに聞いております。これにつきましては、改正法によりまして、高い識見を有する者でなければならないと、一応抽象的な規定は置きましたが、これに基づきまして各都道府県であらかじめ訓練所長の任命の基準というものをつくっていただきまして、その基準に合致する人を訓練所長に任命する。その場当たりの人事の採用ではないようにしていただくように、都道府県にお願いすることにしております。
#184
○小野明君 その点は県の都合によってやられたんだからということではなくて、これは大臣ですね、この所長人事というのはきわめて重大ですから、その辺をひとつ十分な御配慮をいただきたいと思うのです。
 これは教科書の問題もちょっとお尋ねしておきますが、あわせて大臣  ここにありますが、教育勅語なんだ。これはごらんになったことありますか。これは山形の職業訓練所で教科書に使った。これはもうお話にもならぬのですが、個人的にそういうものをお読みになるということは自由ですけれども、こういう公共の施設でこういうものを教科書にお使いになるというのは、これは非常識もはなはだしい。これは山形県の県議会で問題になっておるのですけれども、一向にこれは労働省のほろでもお取り上げがないようです。こういう問題については、所長人事の問題とあわせて一体どのように対処しようとされるのか、あわせて大臣のお答えをいただいておきます。
#185
○国務大臣(原健三郎君) 労働省が直接監督しておる訓練所については、万遺漏なきを期して、積極的にやりたいと思います。
 それから県でやっていただいておるところでございますが、県の当局で人事をやりますので、それで、いまお話しのような所長に適当でない人や、県の多少の人事のやりくりで不適当な人も来る場合もあろうかと思います。いま局長から話がありましたように、これからこの法律案が通りましたら、所長についての基準をきめまして、それを各都道府県知事に指示をいたしまして、その一つの基準によって選んでもらいたいという行政指導を十分やります。その点で、いまお尋ねのありましたそういう教科書をいろいろかってに使ったりするのは、やはりその所長に適当でない人がおるということになるのですから、お説のごとく、所長については人選を一いままではちょっと各県によっていろいろでこぼこがございましたから、本省からいま言った所長選定の基準をつくって、より積極的に行政指導を将来やっていく所存でございます。
#186
○小野明君 それから、訓練施設の安全衛生の問題ですが、私の手元に、嘱託医とかあるいは看護婦がどらだろうか、配置されておるかどらかとい5調査のきておるところが非常にこれは少ないわけですね。所医、これは今度校医となるわけでしょうが、嘱託医については、ないというのが七一%。看護婦については、ないというのが九七・七尾。これは昨年の調査ですから、多少は変わってきておるかと思うのですが、ここの生徒が、けがをしたといった場合に、訓練所の指導員とかあるいは事務職員が応急手当をするというようなことで、非常にそらおそろしい感じがするわけです。しかも、事故が少ないからいいようなものだけれども、安全衛生という面については、これは実社会においては、一番重視されなければならない問題ですが、訓練施設においてこれが軽視されておるというようなことは、訓練の基本が間違っておるのではないかということさえも考えられるわけです。安全衛生委員会というのはかなりつくられておるようですけれども、実際のそういった設備というか、施設というものが非常に悪いというのは問題だが、この点をひとつ改善をしてもらいたい、お尋ねしておきます。
#187
○政府委員(石黒拓爾君) 御指摘のごとく、訓練所におきましては、災害は非常に少ないのでございますが、半年に一回の健康診断は実施しておりますが、専門の看護婦あるいは嘱託医というものを置いて、持っているところは非常に少ないのでございます。これは、万一の場合をおもんばかりますと、問題がございますのは御指摘のとおりと存じます。今後その充実に努力いたしたいと思います。
#188
○小野明君 以上で私の質問を終わりたいと思いますけれども、最後に総括的に大臣にお尋ねをしておきたいと思います。
 その第一は、職業訓練に要する費用は、失保の特別会計からこれはまかなわれておるわけです、全部ではありませんがね。この失保の特会における財政負担をやはり一般会計から支出をしていく、そういうオーソドックスな運営をしていくべきではないかと思いますが、その点はいかがですか。
#189
○国務大臣(原健三郎君) ただいまの問題はお説のとおりでございます。それで、訓練の経費は、一般会計から支出するように、来年度から財政当局に交渉いたしたいと思っております。
#190
○小野明君 第二点は、訓練生の負担をする費用というのが非常に多い。月に五百円、年六千円という実習負担は、これはありますけれども、そのほかにもPTAとか、講演会あるいは父兄会、自治会、機工具、あるいは製図用具、教科書、作業衣、個人のものになるものもありますけれども、やはりその訓練生の負担というのがかなり高額にのぼっておる。しかも訓練に入ります子弟の家庭というのは、わりあい貧困な家庭が多いわけですね、高等学校にいかないで入るわけですから。それから見ますと、やはりこの訓練については、無料の原則というものを立てるべきではないか、こら考えます。その点をお尋ねいたします。
#191
○国務大臣(原健三郎君) 訓練生の費用の負担も軽減あるいは皆無にすることは、職業訓練振興の上からも望ましいことであると存じます。でございますから、訓練無料の原則の確立実現に向かって努力をいたしたいと思っております。
#192
○小野明君 第二点ですが、職訓をやりますために必要な施設の整備拡充、これは先ほどから何点かお尋ねをいたしておりますが、いま御答弁をいただいた訓練に必要な経費負担の拡充、また、労働者が職業訓練を受ける機会を増すこと、また、その受けるような意欲を高めるような御努力を願いたい。同時に、都道府県、また市町村の設置をいたします高等職業訓練校を積極的に増設させるための経費補助を強めるように特段の御努力が願いたいと思いますがいかがですか。
#193
○国務大臣(原健三郎君) いま申されました御趣旨は、一々ごもっともでございます。職業訓練の振興をはかるためには、制度の整備にあわせて、職業訓練のための施設を整備拡充し、訓練生の経費負担を軽減いたしまして、訓練生の受講意欲を高めるとともに、今後は、都道府県、または市町村の設置する高等職業訓練校に要する経費につきましでも何らかの援助、助成を行なうことが必要であると考えますので、これらの点に関し、十分今後とも努力いたす所存でございます。
#194
○小野明君 第四点です。訓練課程、それから訓練基準は、先ほどもお尋ねをいたしておきましたが、これらはほとんど省令にゆだねられてしまっている。そこで、教科、また訓練期間、設備等の基準の作成に当たりましては、指導上に直接重大なかかわりが出てまいります。労働者側の意見を十分尊重して措置をすることが重要だと思われます。また、教科書の認定基準の作成に当たりましても、同様だと思いますが、この点についてお伺いをいたします。
#195
○国務大臣(原健三郎君) 訓練の教科、訓練の期間、また、設備等の基準は労働省令で定めることとしておりますが、これを定めるに当たっては、中央職業訓練審議会の意見を伺うことはもちろん、労働者その他関係者の意見を十分尊重して定めることといたしたいと考えております。また、教科書認定基準を作成するに当たりましても、中央職業訓練審議会を初め、各界の意見を十分配慮いたす所存でございます。
#196
○小野明君 最後に第五点であります。技能検定についてでありますが、技能検定の合格者は、一定の資格を与えるようになっております。その等級区分というのは省令で定めるようになっておりますが、この区分については、技能士の資格一本で十分ではないかと思います。これは先ほども御答弁あったと思うのですが、技能長検定というような、労務管理的な要素を含むものについては、これを否定すべきだと思いますが、省令の決定に当たりましては、この点を十分に御勘案をいただきたいと思うのですが、お尋ねをいたします。
#197
○国務大臣(原健三郎君) 技能長検定については、これは考えておりません。それから技能検定の等級その他議論のあるところでございますが、これを定めるに当たりましては、中央職業訓練審議会の意見を十分考慮することといたしたいと考えておる次第であります。
#198
○小野明君 終わります。
#199
○委員長(吉田忠三郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#200
○委員長(吉田忠三郎君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
――別に意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#201
○委員長(吉田忠三郎君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。職業訓練法案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#202
○委員長(吉田忠三郎君) 多数と認めます。よって、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
#203
○大橋和孝君 職業訓練法案に対する附帯決議案を提出したいと思います。
 この案文を申し上げます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
#204
○委員長(吉田忠三郎君) ただいま述べられました大橋和孝君提出の附帯決議案を議題といたします。
――別に質疑もないようですから、これより本案の採決をいたします。
 大橋和孝君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#205
○委員長(吉田忠三郎君) 全会一致と認めます。よって、大橋和孝君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
 ただいまの決議に対し、原労働大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。原労働大臣。
#206
○国務大臣(原健三郎君) ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても、これを尊重いたしまして、極力御趣旨に沿う所存でございます。
#207
○委員長(吉田忠三郎君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#208
○委員長(吉田忠三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ―――――――――――――
#209
○委員長(吉田忠三郎君) さらに労働問題に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方の発言を求めます。
#210
○小野明君 少し長くなりますけれども、お尋ねをいたしておきたいと思うのです。
 大鹿振興株式会社というのがございますが、これが、最近、抜き打ちで工場閉鎖を行なっている。さらに組合員だけ全員解雇をやっている。非常に不当な行為が行なわれておるのでありますが、これについて、労働省も当然これは御存じだと思うのです。簡単に経緯を説明いただきたいと思います。
#211
○説明員(大塚達一君) 大鹿振興株式会社の事件につきまして、私どもが把握しております事項につきまして、御説明をさせていただきます。
 この会社は、草加志村に工場を持つ会社でございまして、草加の工場が接着剤の製造、それから志村の工場のほうは合板の製造をやっておる会社でございます。
 近年に至りまして、志村合板工場が極度の営業不振におちいり、昭和四十二年には二千八百六十万、四十三年には九千八百万と、その累積赤字が一億二千万をこえるに至ったというふうに聞いておるわけでございます。この会社は、そのような状態を回避するために、四十二年には一億に余る設備投資を行ないますとともに、組合に対し合理化提案をするといううようなことによって、この事態の回避をいろいろ策したわけでございますが、合理化案につきましては、労働組合はこれを拒否しておるわけでございます。そのような経緯を経まして、会社側では、そのままでは会社の存立も危くなる、いよいよになれば退職金も出せなくなるというような状態であると判断をして、四十四年の、つまり本年の一月十一日に開かれた臨時株主総会で大鹿振興株式会社を製造から販売のみの会社に性格変更をする。そらして業績のよい草加の工場は切り離しまして、草加化学振興株式会社として独立させる、志村工場のほうは閉鎖をする、こういう決定をしたということでございます。
 会社は、この決定に基づき、一月の二十二日に、組合に対しまして、二月一日付をもって志村工場を閉鎖する、草加工場は新会社に独立させる、草加工場の従業員は新会社に身分を引き継ぐが、志村工場のほらは、十名の事務職員以外の二百十九名、これは三月三日をもって解雇する、その際、退職金のほかに、予告手当に類するものとして、三十日分の賃金を支給する、こういう提案をいたしますとともに、組合とこの問題について二十三、二十七、三十の三日間にわたって協議を行なったと聞いておりますが、組合側は、この閉鎖には強く反対いたしまして、結局結論を得ないまま二月に突入したわけでございます。会社は、二月一日に、既定方針どおり、草加工場の独立と、志村工場の閉鎖というものを実行いたしまして、志村工場の組合員に対しては、解雇の通知を内容証明をもって送付をしたというふうに聞いております。組合は、この通知については拒否をいたしておりますが、同時にこの作業場閉鎖を認めないという態度に立ちまして、その後十回にわたり労使間の交渉を行なったわけでございますが、結局、話し合いがつかないままに、三月六日、東京都労委に対して本問題のあっせんを申請したわけでございます。
 都労委は、直ちに事情聴取をいたしますとともに、組合側の要望をいれまして、十一、十三の両日、立ち会い団交を行なわせたわけでございますが、結局、両者の意見が対立して、非常に困難であるのであっせん打ち切りを覚悟したわけでございますが、さらにこのあっせん継続ということを、組合側の要望もございまして、あっせんは打ち切らずに延ばしたわけでございます。その後、あっせんはしばらく間を置きまして、三月二十日に行なわれておりますが、両方とも歩み寄りがなかったわけでありますけれども、その際に、組合側の上部団体の役員から、せめて金額の上でも誠意を示すならば別だというような趣旨の発言がございまして、都労委としては、その金額で話がつくならということで、会社側の意向をただしたところ、会社側は、ある程度の額は出すというような、会社側の腹も出てきた。そこで、都労委が、両者の要望によってさらにこのあっせんを行ないまして、五月の六日に至りまして、会社と組合と、それに組合三役及び全国一般の書記長等を交えまして、あっせん案を作成した。そらしてあっぜん案を五月六日に提示したわけでございますが、その内容といたしましては、まず四十四年二月一日の組合員に対する解雇は、会社側としては撤回をする、それから、第二に、組合のほらは工場閉鎖を認める、そうして、二月一日付をもって退職する、第三点といたしましては、会社は退職金と、これは総額で八千三百万円及び三十日分の予告手当相当額、これが総額で八百六十三万円、これを協定成立後三日以内に支払う、第四点といたしまして、解決金として三千四百五十万円、一人当たり二十五万円、これを昭和四十四年五月末日までに組合に支払う、そうして、その配分は組合に一任する、また、そのほか幾つか項目がございますが、そういうようなあっせん案をまとめたわけでございます。それで、そのあっせん案を提示したわけでございますが、会社側は、これを受諾いたしましてけれども、結局、組合側のほうはそのあっせん案をつくる際に、それはあっせん員があっせん案を出すことは、それは特に反対はしないけれども、そのあっせん案を受けるかどらかということは、組合が組合内部できめればいいのだ、こういう気持ちで、従来そのあっせん案作成に対応しておったというようなことで、結局、組合に持ち帰ったところ、金額で解決するというようなことには賛成できないということで、あっせん案を拒否したわけでございます。そういうようなことで、現在は、なお、この問題は解決しないままに残っておるというふうに聞いておるわけでございます。
#212
○小野明君 この事件については、大体いま御説明のありました経緯だと思います。それで、株主総会は一月十一日でしたか、そこで合理化問題について組合の協力は得られない、こういうお話でありましたが、そうではありませんで、これ昨年の十一月の二十二日以来、この合理化問題については団交があり、合意に達しておる。それから、団交が、経営協議会も含めまして、一月の二十二日の閉鎖の提案に至るまで相当回数持たれておる。ところが、この間に、一月の十一日の株主総会後の団交においても、組合側に閉鎖提案を行なっておらない。全然やっておらぬ。労働協約を見ますと、六条あるいは十八条には、閉鎖という場合には明らかにこれは協議の対象にしなければならぬということが明記してあるわけです。その辺は、この一月二十一日までは全然閉鎖提案が行なわれていない。二十二日提案、二月一日閉鎖、しかも、組合員解雇、こういう事実があることは、そのとおりかどうか、お伺いします。
#213
○説明員(大塚達一君) ただいま先生のおっしゃられましたのは、昨年の十月ごろから団交はしばしばしておるし、また、ことしの一月二十二日の閉鎖の提案までにも、しばしば団交しておるにもかかわらず、その閉鎖の提案はなかったということについて、事実なりやという御質問でございます。この点につきましては、私どもの聞いておりますところでは、そういう提案等はなかったというふうに聞いております。
#214
○小野明君 そういたしますと、第一点は、この大鹿振興株式会社というのは、明らかに労働協約違反と、こういうことになるわけですね。さらに、これは協約の第六条によりますと、「会社又は組合がこの協約の有効期間中に名称変更、分割、合併及び譲渡する等の事情が生じた場合は会社と組合は協議する。」というのが第六条、第十八条によりますと、「会社は、組合員を解雇する事情が生じた場合は、組合と協議する。」、こういう協約がある。なお、ついでですが、細則の三十三条によりますと、「会社の都合で解雇された者の解雇手当については、会社と組合で協議してきめる。」と、こういうことになっておる。会社は、明らかにこれは協約違反の事実を犯している。こういうことですね。
#215
○説明員(大塚達一君) ただいま先生がおっしゃいましたように、協約の十八条に「会社は、組合員を解雇する事情が生じた場合は、組合と協議する。」とあり、またこの協約細則の三十三条におきましては「会社の都合で解雇された者の解雇手当については会社と組合で協議してきめる。」というような規定がございます。この場合に、どの時点で協議するのか。たとえば本件のような会社の組織変更といいますか、会社の解散・閉鎖といいますか、そういう事態の場合に、工場閉鎖の場合に、どの時点で協議をするかというような点については、必ずしも明確ではございません。協約上あるいは規則上は必ずしも明確ではございませんけれども、そのことについて、会社側の言い分としては、その提案――十一日に会社の株主総会できめてから、組合に対してその提案をし、協議をした、こういうふうな言い方をしているようでございます。この点は、結局、との協約の解釈にかかわる問題になってこようかというふうに存じます。
#216
○小野明君 これは、労使とも、誠実に守らなければならぬものである、協約というのは。あなたも労働省の役人ですから、このくらいのことはわかるわけです。
 それで、組合側と協議をしなければならぬということは、会社が意思決定をした直後に、やはり組合と協議をする、これが協約の精神だと思う。社長の言明によると、十二月にすでに意思決定を行なっておる。そういう時点からやはりこれは協議をすべきものである。幾らおそくとも、株主総会直後には、あるいはそこにはかる事前にこれは組合と協議をしてしかるべきである。これが二十二日に通告、二月一日閉鎖、こういう不当な協約違反が許されてよいものであるかどうか、あなたのほうは、どうお考えになりますか。
#217
○説明員(大塚達一君) 先生の御意見のように、この協約をシビアに解釈いたしますと、確かに一月十一日の会社が株主総会で決定する前後、ないしはその意思決定をした時点に当然相談すべきだ、これはそういう意味の、何と申しますか、一般常識といいますか、そういうことからすれば、おっしゃるとおりかと思います。ただ、それが直ちに法的に――まあ、私ともぎりぎり限界として言った場合には、そういう協議というものが行なわれないことによって、たとえば解雇の効力に影響力を持ち、あるいはその解散決議に影響力を持つというような意味における、会社側の義務としての協議義務を尽したことになるのかどうかという問題になりますと、問題は、反対側の見解からすれば、なお、意見のある余地はあろうかと思います。したがいまして、常識的な意味で、そういう十二月からもう閉鎖することがわかっていて、しかも、こういう協約があるならば、早く話すべきではないかと、先生がおっしゃるような意味において、私どももそのとおりだと思いますけれども、それがあと法律的にもすべてそのとおりにいくかというと、そこにはいろいろのまた問題もあろうかと、法律上そうしないからどうというところまでは、言い切れない面がございますので、御質問に対して素直に、そのとおりでございますと、直ちに言えない点があるわけでございますが、気持ちとしては、先生のおっしゃるような気持ちだと思います。
#218
○小野明君 あんたのほらがそういう幅のある解釈をするから問題がある。もっときびしくあなたのほらは解釈すべき役所じゃないですか。少なくとも、会社が一月十一日に株主総会できめておれば、それはその直後に、何ぼおそくても、組合と協議をするというのがたてまえです、法的に見ても何から見ても。私はそうなければならぬと思うのだが、これはどらですか。
#219
○説明員(大塚達一君) それは、なぜ、私がそう何かあいまいな言い方をするかと申しますと、会社が意思決定をし、あるいは株主総会で決定をした後における具体的な会社側の事情なり、あるいはその時点における会社と組合の間の労使関係というものについて必ずしも明確にしていないという点から、そこのところをはっきり申し上げかねておるわけでございます。その辺は、結局、その全体から判断して、会社側が、たとえば先生が言われたように、意思決定をした直後に持っていくべきものを、何の理由もなく、全くいわば権利の乱用的に持っていかなかったのだ、意見を何ら相手に通告しなかったのだというような事情があるのか、あるいは何らかのそこに事情があったのか、その辺のことも、この問題について、厳格な意味においてそれが不当かどらかということを判断するとすれば、問題になる点でございます。したがいまして、その辺の事情を明らかにしないままに、判断として申し上げるのは差し控えさしていただきたいわけでございますが、ただ、気持ちとして、確かに、十二月中から社長がきめておったというのであれば、そういうふうにきめておったにもかかわらず、何らの相談をしないで置いておいたことは、世間的、社会的、一般的な意味において十分誠意を尽していないのではないかという非難は、これは言われてもやむを得ない事情であろうかというふうに考えます。
#220
○小野明君 あなたのほうは、調査は、きのうから始められておる。それぞれ労政の出先はあるのに、これほどの大事件をきのう吉田委員長から言われて、ほとほとあわてて調査をしたあなたのほらが調査不十分、怠慢である。そうして、きょういろいろな会社側の事情もあろうかなんというような解釈では、私はこれは不満だ。それは、あとで大臣から御答弁をいただくとして……。
 その次は、組合員だけ解雇しておるわけだね。これは非組合員は残しております。非組合員は十名ですか、解雇しないで残しておる。組合員だけ二百十九名ですか、解雇しておる。これは明らかに不当労働行為七条一項に該当すると思うが、いかがですか。
#221
○説明員(大塚達一君) 先ほど概況で御報告申し上げましたように、労働組合員である志村工場の従業員、これは解雇いたしております。その中で事務職員は残されておるという事実がございます。実は、先生おっしゃいましたように、これは労働組合員であるがゆえに解雇をし、非労働組合員であるがゆえに解雇を取りやめる、配置転換をさしたというような事実であるということになりますると、確かに、先生おっしゃいましたように、不当労働行為であるということになると思います。ただその辺の事実がどういう事情で組合員が解雇され、あるいは非組合員である数人が残ったのか、実は、その辺の事情が必ずしも、私どもにとっては、明らかでございませんので、それを不当労働行為と断定するというわけにはまいりませんし、また、そういう具体的な事件について不当労働行為であるやいなやを判断するのは、それぞれ裁判所なり、労働委員会なりが成規の手続で、成規の尋問を経てきめるべき事柄でございますので、ここで申し述べることは差し控えさしていただきたいと思います。
#222
○小野明君 少なくとも、不当労働行為の疑いがある。あなたのほうも、至急に調査をしてもらわなければならぬ。そういうことは言えると思うのだが、どらですか。
#223
○説明員(大塚達一君) おっしゃいますように、いまのような労働組合員は解雇され、非組合員が残されておるという事実からして、組合側は、これが不当労働行為であるという疑いを持ち、これを労働委員会に申し立てるということは、当然だろうと思います。
#224
○小野明君 組合側のことを言うておるのではないのです。あなたの見解を私は求めておるわけです。あなたは、不当労働行為があるかないか、そういうことを専門にやっておる人だから、組合員だけ解雇されてあとは残ったというのは、この会社がほんとうに苦しくて倒産をしたというのならば、事情はわわかる。しかし、そうではなくて、ほかに黒字の子会社を四社も持っておる。しかも、この会社は、販売会社として残すというわけです。こういうことをやりながら、組合員だけ解官するというのは、これは当然問題があると思うのだが、あなたのほうは、どういう見解を持っているのか、それを尋ねておる。
#225
○説明員(大塚達一君) いま先生のお尋ねで、口なはだ蒸し返すようで恐縮でございますが、先ほど御説明申し上げましたように、その事実を明らかにしないままに、私どもからこれは不当労働行為である、あるいは不当労働行為の疑いがあるということを断定的に申し上げることはいかがか、思って差し控えたわけであります。しかし、それを一般的に言って、不当労働行為の疑いがある思って、これが通常社会的に取り上げられることは、当然あり得るだろう。ただ、私どもが疑いがあるかどうかということを言うためには、相当の資料を要するということで、そういう意味で、私どもの意見としては、控えさしていただきたいというふうに申し上げ、かつ、あとで表現として、組合がそういうのは当然であると申し上げたわけで、そこのところは御了承いただきたいと思います。
#226
○小野明君 きのうから始めておるのだから相当の資料が要る、日数が要るということはわかるけれども、今後、この事件について、あなたのほうはどういうふうにされようとしておるのか、それを伺いたい。
#227
○説明員(大塚達一君) 本件につきましては、先ほどから御説明申し上げておりますように、あっせん事件といたしまして、東京都の都労委に事件が係属をいたしておりまして、労働委員会でも、この問題を取り上げておる事件でございます。結局、五月の六日に、案がまとまらない状態におちいったまま、その後特段の進展を見せないという状態ではございますけれども、なお、労働委員会に係属中であり、かつ、労使においてこの問題が相当程度の歩み寄りまで一時的にはあった問題だというふうに聞いております。そこで、この辺、実は先ほどから先生におしかりを受けておるわけでございますが、昨日、御指摘をいただきまして、私ども事情を調査いたしましたような事情でもございますので、具体的にこれをいまどう扱うかという問題につきまして、直ちに個別のケースについて、中央で労働省が取り上げるということはいかがかと思いますけれども、当然都の労政当局なりあるいは労働委員会なりを通じて、この辺の事態の解決というものに資するところがあれば資するようなことをいたしたいと、かように考えるわけでございます。
#228
○小野明君 大臣にお尋ねをいたします。これはいろいろ倒産、閉鎖というのはありますけれども、今度の場合は、非常にこれは悪質ですね。退職金等についても協議をしてきめると、こういうふうに三十三条では書いておりながら、ついに組合側からあっせんに持っていかなければ、とうとう退職金の額も何にも出なかった。あるいは株主総会やっても、組合側に相談をされない、業者側はこれを英断であると、企業から見れば、そういう評価が出るかもしれませんが、労働省から見ますと、これは英断であるというふうにほめるわけにはいかぬ。会社が苦しいということではなくて、ほかに黒字会社を四社持っておる。しかも、新潟の東港には、一万坪の土地の購入をすでに申請をしておる。企業自体非常にいい成績を持っておりながら、組合員だけ解雇する。ほんとうにこれが経営者が良心的な人間の気持ちを一片でも持っておったら、この二百何名かの組合員の再就職のあっせんとかあるいは退職金もいろいろ個別に相談をするとか、そういうことがあってしかるべきであると思うのです。これは、大臣、ほおっておくべき事件ではないと思うのですが、この問題についての大臣の御見解、方針等について伺いたいと思います。
#229
○国務大臣(原健三郎君) この大鹿振興株式会社の争議の件でございますが、まだ、労働省といたしましても、きのうから急ぎ調査を進めておるというような状態でございますので、なお、事態について調査の上、もう少し事情をよく調べて、必要があれば、可能な方法によって解決の促進をはかりたいと思いますが、いま具体的に、労働省としては、どういう策をもってどういう方法で解決するかというところまでのまだ結論が出ていない、それで事務当局でもしばらく御猶予を願いたい、こういうことでございます。
#230
○小野明君 大体大臣というのは、大胆率直にものを言われるということで評価がある。これは法案の審議の際もそうなんです。ところが、この問題は隣からメモをもらって、あなたがおっしゃるのではなくて、日ごろから労働者をかわいがるという精神で、あなたの頭でこれは判断をして答えてもらわなければいかぬ。この経過は、御承知のように、抜き打ちに閉鎖をしておる。この会社は黒字であるのに、退職金の相談も何にもしておらぬ。しかも、それらは協約できまっておるのに、それを踏みにじっておる。こういう事実がありながら、今後、なお調査をしてという、普通の大臣が言うような答弁では、私は問題がある。率直にあなたが感じたことろをひとつ表明を願いたいと思うんです。
#231
○国務大臣(原健三郎君) 最前から申し上げておるんですが、この詳細の事情がはっきりわかっておりませんので、あまり原則的なことを申し上げてはお気に入らぬし、具体的には言いようがございませんし、ちょっと、ほんとうは困っているんでございます。御指摘のように、同社において、解雇する場合は組合と協議する旨の労働協約があるようでございますから、したがって、組合員である従業員を解雇する場合には、当然この協約に基づいて組合側と協議をする必要があったであろうし、また、あるものであると、こういうことは、私ども、そういうふうに了承いたしております。大いに協議されて話がつげばよろしいんですが、現在、それがまだ都の労働委員会に提訴されておるというようなことでございますので、もうしばらく一どう言って答弁していいか、ちょっと私もむずかしいんで困っているんですが、もうしばらくの間進展を見て、もう少し調査をし、この次の機会までには労働省の態度その他等々、本日のところは、この程度にして、よくわかりませんので、ひとつ……。
#232
○委員長(吉田忠三郎君) ちょっと関連して私が発言しますが、どらもいつもの労働大臣らしくない答弁です。まことに、私は遺憾にたえないと思うんですよ。確かに、いま都の労働委員会に提訴されていることになっていますけれども、すでにあっせん申請をして、あっせん案が出た、そのあっせん案の出た内容を見ても、ただいままで小野委員が申されたように、ただ単に、大塚君が答弁しているような内容の会社でないということだけは明らかなんです。なぜかといえば、たとえば退職金の支払い等々について五月末日までに何億という膨大な金を支払うということについて、会社側は了承していますね。ですから、小野委員が言っているように、つまり今度の組合員のみ解雇したということについては、作為的なものがある。明らかに不当労働行為で、この協約三条の四項に違反をする、こういう内容のものなんです。ですから、この際、やっぱり労働省は、今日のこの労働力が不足をしている段階でかような不当な、しかもいわゆる労働法違反をしている。――労働協約というものを、大塚君、あなたは何と解釈するんですか。これは契約だったんでしょう。この契約に違反しているんですよ。そこで、なおかつ、これから調査をしなければ何とかかんとかという、そういうなまぬるいことだから、えてしてこういう違反事案が出て、いたずらに労使双方の紛争の原因になっている。この際、やっぱり労働大臣も明確な答弁をすべきだと私は思うんですよ。この点どうですか大臣。
#233
○国務大臣(原健三郎君) どうも、この不当労働行為があるかないかということになってまいりまして、それじゃ、私が、あるとかないとか、いう断定することは、事実きっぱり言いたいのですが、きのうこの話を聞いて、労働省も、何も知らずに、急いでそれを調べて、そうしてここへ来たような次第でございますから、不当労働行為がもしあるとするならば、これは労働委員会なり、あるいは裁判所において、あるかないか、もう少し時間をかけて審議して決定して、結論が出ると思います。なお、私どもとして、ただいま申し上げたい点は、こういう労働委員会なり、裁判所弧結論が出ましたら、そのあっせん等については、労使の双方において大いに協議して話し合いをし、そういう場合においては、労働省としても、両者が話し合いができるようなあっぜん、調停をいたすのにやぶさかじゃございませんが、いずれもう少し調査の上、はっきりした労働省の態度をきめたい。最前から申しますように、きのう聞きまして、労働省も全然知りませんので、あわてて調査しているので、どらも明快な答弁ができないことは、はなはだ残念に思います。
#234
○委員長(吉田忠三郎君) つまり不当労働行為があるかないかの断定については、労働委員会なりあるいは裁判所、こういうことですね、それはそのとおりであるけれども、あなたの下部機構で知らぬということはないのです。なぜならば、あっせん申請して、あっせん案が出ているのです。あっせん案の主文の第一項に違反があるからこそ、つまり労働組合員の解雇を撤回する、こうなっている。違反がなければ撤回する必要がないわけですよ。いいですか大塚君、ですから、この段階で、あなた方が断定が下せないとしても、その違反の疑いがある、だから調査をこれから継続するというなら了承しますよ、どらですか大臣。
#235
○国務大臣(原健三郎君) 私は、最前からくどく申し上げておるのですが、その事実がはっきりわかりませんので、感じといたしましては、不当労働行為の疑いがありそうだという感じがいたすところでございます。
#236
○小野明君 どうしてそんなに歯切れが悪いかと志らと、私もふしぎですが、大塚君が要らぬことを言っているのだと思うが、前回、災害の問題で総理に質問した際にも、総理は、労働者の安全を考えない経営者は経営者の資格がないと、ぴしゃっと言っているわけです。ところが、労働者を守るのが労働大臣の立場であるし、それこそ労働者側の身分の安定というか、これからの生活を考えない経営者は経営者として資格がない、こういうことばくらいは、大臣として、あってしかるべきではないか。職業訓練をして労働者の生活や権利、これからの生活を守ってやるのだというような法律案が可決されたばっかりで、そういう労働者を守るという大臣の御決意に触れられない。悪質な経営者には断固鉄槌を下すのだ、そういう疑いがある、あるというくらいまでは、おっしゃってしかるべきじゃないかと思うのです。あまりくごくど尋ねませんが、最後にこれだけお尋ねしておきます。
#237
○国務大臣(原健三郎君) 一般論としては、私は全然同感でございます。悪質な経営者に対して断固鉄槌を下し、労働者の福祉増進に寄与するのか、労働大臣としての意向でございます。もし、八鹿振興というものがそういうものであるならば、そういうことになろうかと思います。u大橋和孝君 ちょっと関連して一言大臣に伺いたい。いまの答弁聞いておって、実に歯切れが悪いので、据えかねるから、私も関連で質問しま丁。いまのような問題は、ずっと聞いておりまして、完全に不当労働行為であると考えられる。先ほこも私はいろいろと申し上げておるのですが、中小企業メーカーに働いている者はほんとうに産業の発展に寄与しているのだから、これを守るといり姿勢が完全になければならない。特に、こういうような経営者は、この労働協約あるいは労働基本権、こういうようなものを無視してやっているこいうことが明らかな話である、いまの話をずっと聞いていれば。こういう問題に対しては、労働大臣は、少なくとも労働者の権利を守る意味において、きびしい態度をもってもらわなければ困る。これは、労働大臣のいないときに、先ほど私も一つ別に徳島の運輸会社の問題をやりました。そのときに、これは労働大臣に十分意思を伝えて、こういう問題は即日に解決してもらいたいということを言ったのでありますが、この問題はさっきの問題と同じであります。こういうふうにして、あちらこちらにこういう問題があるから、かねがねあなたに対して善処方をお願いしておる。これはお願いじゃないが、こんなことになってきたら、私はどうも据えかねるわけでありますけれども、絶対に確固たる信念をもって、やはり労働者を守るという立場でそういうものに立ち向かっていただかなければならない。でないと、労使間の紛争はよけい紛争するばかりです。先ほどの徳島の問題では、警察権まで介入して、そうして会社側に大きく作用して、労働者を圧迫して不当労働行為をあえてしているということになっているのでありますから、こういう問題に対しては、明確な態度でもって、労働者を守るという立場でやってもらいたい。だからして、この問題が等閑に付されておれば、次々と燈原の火のごとく、不当労働行為が起こってくるわけでありますから、大臣のもうひとつ明確な信念を聞いておきたい。先ほど話した徳島の問題に対しても、いまの問題にしても十分配慮して処理するという前向きな姿勢を明言をしてもらわなければ、私は、どらも原労働大臣に対する信頼を欠いてしまうような感じがいたします。いままでの原労働大臣に対する期待を裏切られるようなことがあってはならないので、ここではひとつ前向きな姿勢をはっきりしてもらいたい。先ほど私が質問した問題といまの問題と同じであります。ともに、重ねて前向きな姿勢で解決してもらうように信念と御所信をはっきりとしてもらいたい。
#238
○国務大臣(原健三郎君) 私といたしましては、労働者の福祉を増進し、それを守るという信念は少しも変わっておりません。それに向かって積極的にやりたいと、こら思っております。地方の具体例をもって提示されまして、直ちにこれがどうかと言われますと、具体例になると、やはり多少調べて言わぬと、ことに、原則としては、やはり労使間の問題はやはり労使間で話し合うようにわれわれはあっせんをし、そういう場もつくるというようなことはいたしますが、まず、その話し合いをさすようにいたしたい。そうして、立場としては、労働者の擁護になるようにいたしたい、こら思っております。
#239
○小野明君 最後に、こういう非常に気の毒な労働者が二百何名も首切られて、ちまたにほうり出されておる。こういう事実から、人道的な見地からも、この事件の解決に大臣に十分御尽力いただきたいことを要請をしまして、最後に御決意を承って、この問題は一応終わりたいと思います。
#240
○国務大臣(原健三郎君) 事務当局にすみやかに調査をすることを命じます。そらしてそういう不当労働行為のないように善処いたすことをお約束申し上げます。
    ―――――――――――――
#241
○小野明君 それでは、この問題を一応おきまして、運輸省からも来ていただいておりますが、これは労政ともちろん関係ありますが、福岡県、北九州のハイタク争議というのが今度は延引をいたしまして、これは経営者にもちろん責任があるわけですが、いま地労委で係争中のものが例年にない二十一件にのぼっている。その原因をいろいろ探ってみますというと、こういうことがわかりました。福岡の県乗協、市乗協が二五%の運賃値上げをいま陸運局に申請をいたしておる。そこで非常にこじれた労使関係というか、労働者の賃金値上げを承認しないのは、この二五%アップを通さんがためのゼスチュアだ、こういうふうに言われておるのでありますが、この運賃値上げの実態を御存じだろうと思いますが、そういった事実があるのかないのか、その辺の経緯について運輸省から御説明をいただきたいと思います。
#242
○説明員(見坊力男君) 北九州地区から運賃値上げの申請が出ておりますが、申請の年月日を申し上げます。四十一年の三月三日付で申請が出されております。内容は、法人が八十七社、個人タクシー百五十四といろ内容でございます。
 現在の状況でございますが、ハイタクの料金につきましては、全国を百二十九のブロックに分けまして、ブロックごとに審査いたしております。どれを取り上げていくかということにつきましては、経済企画庁との協議によりまして、全体でそのブロックの業者の収支率が一〇〇を割っている場合あるいは収支率が一〇五以下であっても、過半数の業者が赤字である、そういうような条件に該当したものを審査の対象にずるということで現在事務を進めております。北九州地区につきましては、この中には北九州市、それから福岡その他筑豊とか、筑後とか、いろいろ申請は行なわれております。それぞれにつきまして、現在、局の段階で内容を詰めさしているところでございます。いずれ、四十三年度の収支状況も現時点ではわかっておりますので、それらの数字も入れまして、なお精査をいたしたい、終わり次第こちらにあがってくるというふうに考えておりますが、現在では、そういうような状況でございます。
#243
○小野明君 その審査の内容についてはまだ公表できませんか、いかなる事情にあるか。おっしゃるような一〇五を割るような実態にあるのかどらか、その辺をひとつ公表できれば教えていただきたいと思うのですが。
#244
○説明員(見坊力男君) 現在まだ私のほうに数字としてあがってくるほどまとまっておりませんので、収支状況がどうなってるか、詳細を申し上げることができません。御了承いただきたいと思います。
#245
○小野明君 そこで、との県乗協、特にこれは北九州の市乗協の場合ですがね。福岡市の場合は全部タクシーに冷房はついている。北九州市だけはついていない。これは市乗協の経営者の固い申し合わせということになってるようですね。申し合わせがあるようです。そのうちの一社が冷房をつけた、そうすると、他の経営者からいろいろいやがらせの電話がかかってくる。何でおまえのところだけがつけたんだと、こういう締めつけがきておるようですね。これは経営状態が、冷房をつけて採算がとれると見たからつけるわけでしょうし、それぞれ黒字なのに、一社だけが黒字ということは、これはないと思う。これはつけられるのに他はつけない。サービス低下さしている。しかも、つけたものに対して圧力をかけるなんという市乗協のあり方は、きわめて問題があると思う。しかも、これが二五%の賃上げが通るまではというようなねらいが奥にあれば、なおさらのことだと思うのですが、この辺はご存じであろうと思いますが、その辺の考えと処置をお尋ねいたします。
#246
○説明員(見坊力男君) 冷房装置の取りつけの問題につきましては、ただいまお話のありましたようなことがございまして、局からも本省に話がごさいました。私どもとしましては、タクシー協会へ、そういうような申し合わせをするということは適当ではないと、もちろん陸運局も同意見でございます。陸運局長から、六月の十八日の日付でございますが、県知事あてに通達を出しまして、具体的には県の事務所長までこれがおりておるわけでございますが、ハイヤー、タクシーの冷房装置取りつけ問題についてと題しまして、通達を出したわけでございます。その内容は、クーラーが現在は国民生活にかなり密着して、サービス業についてはその普及が著しい状態であります。まあ事業用自動車にクーラーを取りつけることについては、各事業者の責任と判断のもとに自主的に行なわれるべきものである。したがって、事業者団体が申し合わせをしてそれを強要したり、あるいは罰金等の制裁を課するというようなことは不穏当と言わざるを得ないということで、見解を明らかにいたしまして、それぞれの地区の具体的実情に即して適切な指導を行なうようにされたいという要請を知事あてにいたしたわけでございます。これに基づきまして、現在の状況でございますが、協会のほらは、その通達後、前の話は単なる申し合わせのことであって、あれはもうやめますということで、現在は、問題になった二社も、車は二十一台でございますが、クーラーをつけて走っております。いまのところ、その問題は解決をしたというふうに了解いたしております。
#247
○小野明君 今後ともそういう不当な申し合わせをしたりするような経営者に対しては、厳重にひとつ監視、注意をお願いしたいと思うのです。
 そこで、労政になりますが、この賃上げ問題で、いま地労委にあっせん申請がなされておりますが、この経営者協会が、地労委のあっせんに応ずるな、審問に出ていかないということが言われておりますが、それは事実ですか、どらですか。
#248
○説明員(大塚達一君) 実は、私ども現地の労政当局と連絡をとったのでございますが、現地の状況では、経営者協会が、あっせんに応ずるなということを通達したあるいは指示したというような事実については、必ずしも確認できないようでございます。したがいまして、それがあったかどらか、はっきりいたしません。
#249
○小野明君 そういうこともひとつ早急に、あなたのほらも下部機関があるわけですから、調査をしてもらいたい。その辺は注意をしてもらわなければならぬと思うのです。
 それから春闘の賃上げ闘争の中で、北九州の営経者というものは、かなりこれも悪質な人が二、三おられるようです。会社の警備員と称して暴力団を配置をした、これは警察でも知っておられるようですが、暴力団を配置をしたり、暴力行為を行なったりしている事実がある、この点は、あなたのほうは御承知ですか。
#250
○説明員(大塚達一君) 私のほらの調べでは、その点は聞いておりません。
#251
○小野明君 これは現地の新聞でも載っておったし、警察もたしかこれは検挙しているはずです。そういうふうに、警察のほうが早くて、あなたのほうの直接の担当のほらが知らんというのは、これはまた労働省のあり方として問題があるようですね。その辺はひとつ厳重に、早急に調査を願いたいと思うのです。この地労委のあっせんがいま行なわれておりますが、そのあっせん委員になっておられる方が、この県の乗協の顧問をされている、そういう事実がある。これは委員会規則の七十一条に違反するのではないかと思われるのですが、その辺の御見解を承わりたい。
#252
○説明員(大塚達一君) 実はこの県の地労委におきまして、タクシーの問題について取り扱っているあっせん員のうちの経営者側のあっせん員になっております方が、タクシー関係でどういう地位にあるかまで実は確認しておりませんので、その点はっきりいたしませんが、先生のおっしゃるような、タクシー協会の実力者であるというような事実がありましたといたしますると、この労働委員会規則の七十一条の関係が問題になるわけでございますが、直接的には、七十一条は調停についての規定でございまして、その趣旨は、調停に当たって特に強制調停のような、強制的な制度もございますし、その調停に当たる委員の使用者としての立場と、それから調停委員としての責任というものが相矛盾しないようにということからきめられてきておるというふうに考えておるわけでございます。その意味で、あっせん員には直接的には適用はございませんので、先生のおっしゃるような直接の違反の問題というのはないかと思います。ただ、趣旨といたしましては、あっぜん員といえども、やはり労使の間に割って入って何らかの提案を行ない、両者の手を結ばせるという意味においては、同じような性格を持つものでございますし、その意味において、あっせん員としての責任の遂行というものと、その人の使用者としての立場というものが抵触するような場合が起こり得るという点は、調停委員の場合と似たような問題が起ころうかと思います。その意味において、もし、そういう地位にある人があるとすれば、適当でない場合もこれは考えられる。ただその点、実は必ずしもはっきりいたしませんので、その点は断定的なことは控えさせていただきたいと思いますが、いまのようなことだろうと思います。
#253
○小野明君 あなたの答弁を聞いておると、初めはいいようであとが悪い。それにひっかかるものかどらか。私はやっぱりあっぜんであろうと、調停であろうと、直接利益団体の代表の方が参画するということは、役所流でいえば、好ましくないということぐらい言えるのではないかと思う。
#254
○説明員(大塚達一君) 私が申し上げた趣旨がいろいろあっちへ飛び、こっちへ飛びしておわかりにくかったと思いますが、答えをまっすぐ申し上げますと、まず法律的に言えば、労働委員会規則の七十一条は調停に関する規定なので、あっぜんに関しては適用がない。したがって、先生の御質問のような趣旨の、法律違反なりやということについては、もし、そうであったとしても、違反ではないとは言える。しかし、趣旨において適当なりやいなやという御質問の趣旨と解するので、そうであるとすれば、必ずしも適当でない場合もあり得る。ただ、その点について、その当該人の地位なるものを実は確認してございませんので、それで実は断定的には申されませんが、先生のおっしゃったような地位にあるとすれば、やはり問題であるというふうにお答えしたつもりであります。
#255
○小野明君 それで大臣、やはりわれわれもトラブルを大きくするということが目的ではないわけで、春闘が今日まで長引いて、暴力団は入るわ、良心的な業者が冷房をつければ圧力をかけるわ、こういう経営者であるならば、これは当然長引くだろうというふうな点をひとつ是正してもらわなければいかぬ、こういう気持ちで申し上げた。早く解決をするということが、やはり市民の足ですから、命をあずかって走る運転手諸君の問題ですから、早急にこの問題もひとつ御調査をいただいて、早く解決を見るように御尽力をいただきたいという、ものわかりのいい質問だと思いますが、ひとついい御答弁をいただきたい。
#256
○国務大臣(原健三郎君) 御趣旨の点は、ただいまの福岡県のハイ・タク業者の件、御趣旨はよくわかります。労働省においては、すみやかに調査させまして、そうして労使双方において、すみやかに話し合いができて、円満に解決するようにあっせんをいたしたいと、こう思っております。
#257
○小野明君 終わります。
#258
○委員長(吉田忠三郎君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめておきます。
    ―――――――――――――
#259
○委員長(吉田忠三郎君) この際、参考人の出席要求についておはかりをいたします。
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、また、オレンジ学園における児童虐待に関する件について調査を行ならため、それぞれ参考人の出席を求め、意見並びに事情聴取をすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#260
○委員長(吉田忠三郎君) 御異議ないものと認めます。
 なお、参考人の人選、出席の日時等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#261
○委員長(吉田忠三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日は、これにて散会をいたします。
   午後五時二十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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