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#1
第061回国会 社会労働委員会 第31号
昭和四十四年七月十日(木曜日)
   午前十時四十七分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 九月九日
    辞任         補欠選任
     高山 恒雄君     中沢伊登子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉田忠三郎君
    理 事
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                大橋 和孝君
                上林繁次郎君
    委 員
                黒木 利克君
                高田 浩運君
                矢野  登君
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                山本  杉君
                横山 フク君
                阿具根 登君
                小野  明君
                藤原 道子君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  原 健三郎君
   政府委員
       労働大臣官房長  岡部 實夫君
       労働省労働基準
       局長       和田 勝美君
       労働省職業安定
       局長       住  栄作君
       労働省職業訓練
       局長       石黒 拓爾君
   事務局側
       常務委員会専門
       員        中原 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○労働保険の保険料の徴収等に関する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を
 改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に
 関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉田忠三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨九日、高山恒雄君が委員を辞任され、その補欠として中沢伊登子君が選任されました。
#3
○委員長(吉田忠三郎君) 失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案、労働保険の保険料の徴収等に関する法律案、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を一括議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方の発言を求めます。
#4
○大橋和孝君 私は大体三点くらいについてちょっと質問したいと思います。
 第一番の問題は、この被保険者期間の計算方法の改正についてであります。今回の改正によりますと、これまでは四ヵ月二十二日の雇用期間があれば六カ月と計算されていたものが、今後は百八十日の雇用期間が必要とされるように改正されたのでありますが、このことは明らかに既得権の侵害ではないか、こういうふうに考え、不当な改悪のように私は思うわけであります。これにつきまして、大臣は、通算制度の新設によって改正の不利は相当緩和されると答弁しておられたわけでありますが、どのような理由で緩和されるのであるか、これについてひとつお答えを願いたい。
 それから、問いの第二点は、季節労働者が出かせぎから帰省してから通勤可能の地域において就労することのできる機会がはたしてあるかどうかということが問題だと思うのであります。もしも、就職できないとするならば、通算制度があっても、実際は意味がないのではないか。たとえば北海道、東北、北陸、そのようなところから出かせぎをしているような人たち、この地域では、もともと働く適当な場所がないからこそ、初めて妻と別れて、そして遠方のところまで出かせぎしているわけですからして、こういう関係から言いましたら、実際問題として、地元で働くことができないのではないか、こういうようなことも考えられるわけでありますが、この二点についてひとつお答え願いたい。
#5
○政府委員(住栄作君) 第一の御質問でございますが、今回の被保険者期間の改正の趣旨でございますが、これは、現在、失業保険の被保険者が約二千万人強ございます。
  〔委員長退席、理事上林繁次郎君着席〕
 そのうち、季節的な受給者が五十九万人、全被保険者に対しまして季節的受給者が三%でございますが、その三%の方々が失業保険の全給付額の三分の一に当たります三百七十億近くの保険給付を受けておられる。こういう状態でございまして、非常に受給者という観点から見まして、不均衡な状態が見られるわけでございます。
 そこで、この改正法案では、五人未満の事業所への適用拡大をはかる、あるいは給付の改善をはかっておるわけでございますが、また、今後も、機会あるごとに給付の改善をはかっていかなければならないことは当然でございますので、そういう意味から、この際、失業保険制度の健全な運営、健全性を確保するために、従来の四ヵ月二十二日で資格がついておりましたのを、原則どおり満六カ月ということに改正をいたしたわけでございます。したがいまして、従来よりも資格がそれだけシビアになるわけでございまして、影響が出ることはやむを得ない、こういうように考えておるわけでございますが、受給の実態を考えまして、そういう影響ができるだけ少なくなるように、御指摘の被保険者期間の通算についての規定を考え出したわけでございますが、これは、従来、一カ月未満は切り捨てになっておったわけでございます。それを十五日以上であれば〇・五カ月として計算するという制度にいたしたわけでございます。これによりまして、従来、出かせぎ先で資格をつけるために、非常に無理な就労をする、あるいは無理な雇用をする、こういうようなことがなくなるように、たとえば出稼ぎ先でそういうことができなければ、帰郷いたしまして、地元で就労すれば、そういう場合通算できる。こういうことになりますので、先ほど申し上げました受給者に対する影響はよほど緩和されるのではなかろうか、こういうことで通算の措置を設けたわけでございます。
 第二点でございますが、はたして就労機会があるかどうか、こういう問題でございます。これは、季節労働者の実態から御説明を申し上げたらいいかと思うのでございますが、私どもの調査によりますと、先ほど申し上げました五十九万人の季節労働者の約八割のものは、いわゆる四月から五月にかけまして就職して、十一月、十二月に離職して、それから失業保険金を受ける。いわゆる冬型受給者と申しますか、冬に失業保険金をもらう、これが大体八割ございます。それから、あとの二割は農閑期利用の季節受給者でございまして、大体農閑期に入ります十月、十一月に出かせぎに出まして、そして農作業の始まります四月に帰るという型の季節受給者が約二割あるわけでございます。そこで、はたしてその就労機会があるかどうかという問題と関連しまして、夏働きに出る方は、これは完全に六カ月の受給期間を満たして、冬期間の受給ということで、影響は少ないと思うのでございますが、農閑期利用の方は、従来、四カ月二十二日の資格で失業保険を受給される、こういう方でございます。そういう方が、四月に故郷にお帰りになった場合に、積雪寒冷地は冬の期間こそ就労機会がないのでございますが、春先から夏、秋にかけまして、冬できない事業をやるというようなこと等もございまして、積雪時期以外の時期になりますので、これは非常に就労の機会があると、こういうように考えておるわけでございます。もちろん積雪寒冷地でございますので、一般の工業地帯における求人、求職の状況ほど緩和されてはおりませんけれども、そういう意味で、就労機会はかなりあるというように考えておる次第でございます。
#6
○大橋和孝君 これらの点について、もう少し私は詰めたいと思いますけれども、きょうはさらっとひとつやっておきまして、あとからこってりとお話を聞きたいと思います。
 いま、お話になったこの地域における人がいかに就労の機会があるようにおっしゃいますけれども、私は、それは、なかなか考えられないと思うのでありますが、しかし、このような地域におられるところの中高年齢の労働者の求人の実情は、一体どうなっておりますか。かりに今後六年後において、夏季型の受給者の約十三万人の者に、たとえ短期間であっても、就労する機会があるかどうか、どう考えていらっしゃいますか、この点について。
#7
○政府委員(住栄作君) まず、たとえば積雪寒冷地帯でございます北海道とか、東北、北陸地方におきます一般的な、特に中高年齢者でございますので、そういった中高年齢者の求人求職の状況を御説明申し上げますと、ちょっと資料は古うございますけれども、昭和四十二年の十月について見ますと、求人が北海道では約五千四百人、それから東北では八千人、北陸では七千八百人という状況でございますが、求職者は、これに対しまして北海道では一万三千人、東北では一万四千四百人、北陸では一万人ということでございまして、一求職者当たりの求人は、たとえば北海道では〇・四倍、東北では〇・六倍、北陸では〇・八倍、全国平均は〇・八倍でございますので、北海道、北陸ではそういう事情がやはり悪い、こういうことが言えると思います。
 それから、今後六年間にどうなるかと、こういう問題でございますが、先ほど申し上げましたように、そういう季節循環的な受給者の態様をよくつかみまして、これに対する職業紹介なり、求人開拓の方法を考えていくということを、きめこまかい対策をこれから六年間そういう機会をふやすようにやっていきたいと考えておるわけでございますが、根本的には、やはりそういう地域の産業開発というものが必要になってくると思うわけでございます。そういう意味で、特に建設省とか、農林省とか、通産省というような関係各省と十分連絡をとりながら、そういう地域の産業開発が進んで、そこに就労機会が生まれるという政策を進めていく必要があろうかと思います。もちろん、この問題は、さきに新しい全国の総合開発計画がつくられまして、それに基づきましてそういう地域の開発も政府が一体となって進めていきますので、六年間の期間があれば、その間の事情は非常に変わるだろう、こういうように考えております。
 それから労働省といたしましても、たとえば、現在、そういう雪積寒冷地におきます冬季間の事業ができますように、建設業とか、食料品製造業に対しまして、そういう冬季間の作業をするための設備、施設に対する融資を実施しておりますが、そういう制度を拡充していく、あるいはまた、昨年度から季節受給者を雇い入れる事業主に対しまして、労働者一人当たり三万五千円の雇用奨励金を事業主に払っているというようなことで、通年雇用を積極的に奨励をいたしておるわけでございます。さらに今度の改正法案におきましては、そういう季節的な産業の通年雇用を促進する、そうして季節的な失業を予防するために、特別保険料を徴収することにいたしております。その特別保険料はいま申し上げました通年雇用なり、通年事業ができるために事業主に還元する制度でございますので、そういった業種の特殊性に応じて、季節失業の予防なり、通年雇用ができますように施策を講じていきたい、こういうように考えておる次第でございます。
#8
○大橋和孝君 特にまあ局長がおっしゃるように、この問題に対しては、特にそういうような考慮が払われなければならぬ。また、おっしゃるように、地域開発のための政策を相当やらなかったら、そういうことはもう空文に終わってしまう。これは考えてみると、いまの全体の政策として考えたら、これは太平洋ベルト地帯にかなり集中されておる。こういう現況を考えますと、いま、あなたの話を聞いて、きれいなことを聞いておりますけれども、逆に、むしろ太平洋ベルト地帯の労働力が足りないから、それを追い出すためのひとつの締め手になる、私は、こういう解釈も、裏から考えてしております。あなたのいまの話を裏から考えれば、そういうことが言えると思う。そういうことになったらたいへんだと思う。そういう点に対しては、これは、口でおっしゃるのは非常に楽なんだけれども、実際問題としてはむずかしい問題だ。実際からいうと、太平洋ベルト地帯に集中されておるわけですから、そこが問題じゃないかと思いますので、特にそのことについて、あなたの考え方も聞いておきたい。
 それから、次に労働省は、衆議院において、農村なんかの失保の未適用の全労働者に対して、今後六年間において全面適用を行なうように答弁していられるわけですが、事業としては、未適用の事業はどのような事業があるのか。それからまた、これに雇用されておる労働者は、一体どのくらいあるのか、これをちょっと聞かしていただきたい。
 もう一つ、ついでにもう一つやっておきましょう。農村あるいはまた畜産、それから水産などの事業においても、直ちに任意適用で適用できるものが多いと、こう思います。ですが、政府としては、認可の条件をたてにしまして、事実上認めていないのではないのか、今後どのようにこの任意適用を拡大するつもりか、この点についてもちょっと伺いたい。
#9
○政府委員(住栄作君) 第一点の現在失業保険が適用されていない事業所、労働者でございますが、まず、五人未満について申し上げますと、これもちょっと統計が古いのでございますが、これしか全体を把握する統計がございませんので申し上げますと、四十一年度の総理府の事業所統計から推計をいたしておるわけでございますが、五人未満の事業所の数は、約百二十万事業所、そこに働く労働者が約二百五十六万、こういうよう考えております。これに対しまして、現在五人未満の事業所にも任意適用を進めておるわけでございますが、失業保険に加入しております事業所は、十四万事業所、労働者数は三十二万と、こういうように考えております。
 それから、農林水産業に対する適用問題でございますが、これは、御指摘のように、任意適用でございまして、認可によって失業保険の適用をはかっております。現在、農林水産業で適用されておる事業所は六千八百事業所、約八万七千人の労働者に適用をされております。これは一定の基準に基づいて認可をしておるのでございまして、それは年間の離職率が二五%、特に従来三十九年度以上のものについては五〇%、こういうようにしておるわけでございまして、しかも、それが通年、年間を通じて事業を行なっておる、こういうものに任意適用を行なっております。そこで、最近の適用状況をみますと、別に押えているわけではございませんで、四十年以降の任意加入の適用状況をみましても、約二千六百事業所が認可されておりまして、一万四千人の労働者が失業保険に加入しておる。こういう状況になっております。
#10
○大橋和孝君 それでは、次に六年後において農林業についても当然適用となった場合、季節性のある業務もあるが、四カ月以上の雇用期間であれば適用することとなるのかどうか。この点についてもひとつ伺いたい。
 また、農業の協業化なんかが進歩してまいりますと、法人化されると思いますが、こういう場合も非常にふえてくると思うのです。このような法人に雇用されておるものは、当然適用されると、こう思うのでありますが、この点もどうか。それから、また、地方自治体の公共事業あるいはまた、個人の農業なんかに雇用されておる場合などの失保の適用はどのようになるのか。政府としては、当面、出かせぎ労働者が帰省後、どのような就労であっても、失保の適用が行なわれるようにすべきであると思いますけれども、このような場合については、どのようなことになるのか、ひとつどう対処されるか。この点ちょっと聞きたい。
#11
○政府委員(住栄作君) 私ども、五人未満の事業所に対する適用につきましては、全面適用ではございますけれども、そういう事業の実態なり、それを十分把握できるかどうか。適用する以上、十分把握せぬといかぬわけでございますから、そういう把握できるかどうかという問題、あるいは他のいろんな社会保険の制度等も関連いたしまして、段階的に失業保険の適用、五人未満の事業所への適用を考えていく、こういうことで進めておるわけでございますが、まず当面は、建設業とか、製造業だとか、ガス、電気、水道等の事業所に対する適用を、四十六年の四月ごろから始めていきたい。それから、そういう事業に対する適用状況等も見、あるいは処理体制の整備を進めまして、それから三年後をめどにいたしまして、農林水産業を除く事業所に対する全面適用を考えよう、これが改正法案の趣旨でございます。
 そこで、衆議院におきまして、農林水産業に対する当然適用の問題が議論になりまして、御指摘のような修正案が可決されておるわけでございますが、私ども、この五人未満の事業所への適用拡大の問題、非常にむずかしい問題があると思っております。そういう意味で、段階的な適用も考えておるわけであります。
  〔理事上林繁次郎君退席、委員長着席〕
 しかも、特に農業につきましては、これは東北、北海道等の積雪寒冷地におきましては、冬期間どういう仕事をするか、こういう問題等もありまして、産業自体の季節性がどのように今後克服されていくか、これはやはり農林政策の問題も非常に関係してくると思います。その他農業とか、林業につきましては、そういう点は、よほど緩和されると思うのでありますが、そういうような今後六年間で変わるであろうところの実態を考えながら、修正の趣旨にございますように、十分な調査研究を行なわないといかぬ。それで適切な方策を樹立して適用ができるような態勢をつくりあげてまいりたいというように考えておるわけでございます。それから、たとえば農業の場合に、協業化が進むというような場合に、それに対する失業保険の適用の問題でございますが、これにつきましても、やはり季節性の克服がどのような形で行なわれるか、たとえば農作業外の時期におけるそういう協業化された法人の事業がどのようなものになるか、またどのようなものにして、そういう農業で生活が維持できるという態勢になるかと、こういうようなこと等につきまして、農林省とも十分連絡しまして、農業政策も積極的に進めていただかなければならない、こういうようにも考えております。そういうようなことも考えて適用をはかっていきたい。それから、個人業種につきましては、これは雇用関係がないわけでございまして、これは、当然失業保険が適用されない、こういうことになろうかと思います。
#12
○大橋和孝君 ここらの問題に対しては、だいぶ今後、今度の法律改正によって非常な問題点が出てくるわけです。これはもう少しこれを詰めていこうと思うと、だいぶ私質問があるわけでありますが、これはもうきょうはさらっとさわるということでありましてこれはのけておきまして、あとでまた、この次にひとつ十分お尋ねしたいと思いますが、これはきょうはこれでやめます。
 それから、労働省としては、今回の被保険者期間の計算方法の改正が季節的な受給者に非常に不利となるということを、私、先ほどから言っておるわけでありますが、これを緩和するために、六年後において、全面的な適用が実現することのできるように、地元における就労の可能性を拡大すると、こう言っておるのでありますが、もし、この条件が実現しない場合、今回の改正の影響は緩和されなくて、そうして、出かせぎの労働者に対しては、死活の問題になってくるわけです。もし、働くところがなくて通算できないとなると、このような場合が予想されるわけでありますが、労働省といたしましては、今回の被保険者期間の計算方法については、もし、できない場合には、もう一ぺん再度延長するということは、当然だと私は考えるわけですね。六年間のうちにあなたは完全にやると言っているが、できなかったら、当然もう一ぺん延長すべきだと思いますが、その点どうですか。
#13
○政府委員(住栄作君) その点につきましては、実は六年間という期間、かなり長期間だと思うのであります。先生に申し上げるまでもないところでありますが、最近のいろいろな経済なり、社会の変わり方、六年間の変わり方も非常に大きいものがございます。今後もそういうような変化が十分予想されるわけでございまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたような意味合いにおきまして、十分な調査研究を行ないまして、効果的な措置を考える、そういうことで、六年後には大体御指摘のような問題がなくなるのではないか、こういうように考えておりますが、そこらあたり、六年間でございますので、私どもはそういう覚悟を持ってやっていきたいということで、できなかったならばというのは、ちょっとまだ考えるのには早いのではないかと、こういうように考えております。
#14
○大橋和孝君 私は、それをいまから心配いたしておりますので、特にその点は考慮しておいてもらいたい。これはまたあとから聞くことにいたします。
 それから、次は追徴金制度の創設でありますが、追徴金制度というのは、不正した金額について、これと同額以下の罰金を課そうとしているわけでありますが、このような制度の創設につきましては、失保制度が社会保障制度の一環である、こういう観点から見ますならば、この受給者が見る場合と、もう一つこの受給者が失業者である、こういうような、非常に生活に対しては余裕がなくて困っておる人もあると、こういう二点を考え合わせますならば、これは非常に問題があると、私は思うわけであります。昭和四十二年の四月ですか、この問題が諮問されましたときでも、中央職業安定審議会あるいはまた社会保障制度審議会におきましても、この点につきましては、明らかにこのような制度は否定する答申が出された、こう思うのでありますが、これは、もう労働省も、十分肝に銘じておられるところだと思うのでございますが、それにもかかわらず、このようなまた法案を提出された、私はこれは非常に不可解だと思うわけであります。私も社会保障制度審議会にも加わっておりますし、この点では相当その場でも強調したつもりであります。そのときには、かなりよく理解をしていただけたと、労働省のほうは十分反省をしていただけた――反省といっては悪いかもしれませんが、十分考慮を払っておいていただけたと考えたわけですが、依然として出てきているわけです。この点については、どうですか。
#15
○委員長(吉田忠三郎君) 関連して。社会保障関係の各種の法律がございますね。さらには、保険についても、失保だけではなくして幾つかの保険制度がございますね。その中で罰則を規定している法律がありやいなやという点、この点をひとつ、ぼくは関連ですから、あわせて答えていただきたいと思います。
#16
○政府委員(住栄作君) この納付命令制度につきましては、一昨年の改正案につきまして、先生御指摘のように、たとえば職業安定審議会におきましては、社会保障制度全般に関連する問題であるので、慎重に検討しなさい、それで、当面の課題としては、不正受給の発生を防止するための行政指導の強化及び返還命令制度の活用につとめるとともに、きわめて悪質な事例については、告発措置を厳正に行なうことをもって対処すべきだ、こういうようなこと、それから、社会保障制度審議会におきましては、今回の追徴金制度の創設については、なお慎重に考慮すべき点が少なくない、こういうような御意見をいただいておったわけでございます。私どもとしましては、そういういきさつもございまして、審議会の御意見にもございますように、行政努力によってそういった不正受給が起こらないようにつとめたのでございますが、その後の状況を見ましても、依然として不正受給が減らないし、むしろ増加を続けている、こういうような状況でございます。私ども、なぜそういうことになるかということを考えてみます場合に、いろんな点があると思いますけれども、一つは、不正が発見された場合に、現在返還命令制度があるわけでございますが、返せばいいじゃないかというような気持ちが受給者の中にあるのではないかということ、それから、もちろん不正の場合には、現行制度におきましては、刑罰規定の適用がございます。これは詐欺罪になるわけでございますが、詐欺罪には、罰金刑がなくて、懲役刑のみになっております。そういう意味で、刑罰規定の発動ということにつきましては、失業者という点からもなかなか発動しがたい、こういうようなことでございます。それから、もともと失業保険制度は、こういう不正受給が起こりやすい本質を持っている。他の社会保障制度と比べてみた場合に、失業は、老齢とか、病気、こういうものと違いまして、労働の意思と能力があって求職活動を続ける、こういう状態でございますので、事実の認定につきましても、本人の申告に待たなければならない点が非常に多いということ。他の社会保険制度においては、ほとんど不正受給がございません。統計すらないような保険制度もございます。しかし、失業保険制度には、先ほど申し上げましたように、現在でも約三万件近く、不正受給金額にいたしまして、五億円近い不正受給額がございます。こういうことを考えまして、今回の改正案に再び納付命令制度を設けて御審議をお願いしておるわけでございますが、これにつきましては、たとえば安定審議会におきましては、労働者に酷なものとならないように、運営について慎重な配慮をすべきだ、あるいは社会保障制度審議会におきましては、不正の認定、不正の種類に応じた納付金の基準など、実際の運用に当たっては、慎重な配慮を必要とするということで、この制度そのものについてはお認めいただいたと思っておるのでございますが、その改正案にいたします場合におきましても、原案では、納付命令額を不正受給額の二倍以下といたしておりましたのを不正受給額と同額以下、それからその納付を命ずる場合におきましても、どういう状態の場合に納付命令を出すかということにつきましては、職業安定審議会の意見を聞いて定める、一定の基準に基づいてやる、こういう制度にいたしておりまして、失業者にとって酷にならないように、いろいろ配慮をいたしておるつもりでございます。
 なお、委員長から御質問の、他の保険制度におきましても返還命令制度、それから罰則の規定はございます。納付命令制度は、わが国の場合ございません。今回の改正案に初めて顔を出してきた制度であります。
#17
○大橋和孝君 他の社会保障制度において、特に生活が困窮しておる者、これが受給に対して不正があった場合に、行政罰として追徴金を課する制度は、健保あるいはまた労災などではどうなっておるか、これはないと思うのでありますが、いまちょっとお触れになりましたが、ないと思うのであります。これは、今回失保の中でこういうものをおつくりになることは、他の社会保障制度に対して拡大していくおそれがあるわけで、軽々にこういうものを失保の中におつくりになることは、十分運用で配慮するといっても、他に及ぼす影響が非常に大である。言うならば、労働省がつくる失保というやつは一番右傾の先がけをして、社会保障制度の中に悪いくさびを打ち込むことになると考えます。そういう点からいっても非常にけしからぬことだと思いますが、どうですか。
#18
○政府委員(住栄作君) 先ほど申し上げましたように、特にこの制度を設けました趣旨は、やはり失業保険の場合には他の社会保険の保険事故と違った保険事故としての性質を持っている。したがって、そういった保険事故の本質からくるやはり問題があるのではなかろうか。と申しますのは、私どもの行政努力にもかかわらず、非常に不正受給が多い。他の社会保険制度には、もうないのだけれども、失業保険には非常に多い。そういうことでございますので、失業保険の特殊性からくる一つの問題と考えておりますので、これが直ちにそういう不正受給のない他の社会保険制度に導入されるものかどうか、これは非常に問題かと考えております。
#19
○大橋和孝君 これは大問題ですから、ちょっと労働大臣に聞きたいと思うのです。今度これを入れられたほんとうのねらいは一体何か。
#20
○国務大臣(原健三郎君) いま局長から御答弁申し上げましたとおり、この失業保険がどうも不正受給が起こりやすいようなものでございますので、故意でなくても知らず知らずのうちに、そういうことになる場合も多かろうと思います。それで、まあ金額にして五億円、二万九千件。一年間のうちに五億円の不正受給があるし、二万九千件というのは少ない額ではございません。そんなことをほかの社会保障のほうで給付してやっているかというと、そんなことはやっていない。これは非常に特殊だからといって、これを失業保険で一年間にこんなばく大なものをほうっておくと、ますますこれは悪質化するのです。ますますふえてくるから、まずこの程度でおさめていきたいというので決して特別に、おっしゃるように、先がけて右翼化したようなことをやる、そういうことではございません。そういう特殊事情でこれだけが、この程度はやむを得ないのかということで、前から金額をどの程度に取るかという点なども、きわめて慎重に検討した結果、こういう結論が出たので、現行の法律では、これを詐欺罪として法廷へ持っていくと、先ほど申し上げたように、体刑になる。そんなようなことでございますので、不正受給もだんだん額もふえるし、件数もふえるし、また悪質化していくのであるから、これをほうっておくと、何となしに、これはやらなければ損だということになることを非常にわれわれはおそれておりますので、不正の人よりも不正しない人のほうがもちろん多いのですから、まあ、この程度のことをこの際この保険制度に限ってやっても、ほかの社会保障制度その他のものにこれは波及しないだろう、こういう考えでございます。
#21
○委員長(吉田忠三郎君) 一つだけ聞いておきますが、労働省の職安局が持っておられます使命、任務とは、一体何であるか。私は労働省の職安局が持っておる本来の任務、使命は、雇用の促進をはかって、失業者をなくするということがその本旨ではないかと理解しておるのです。この理解、間違いであるかないかというようなことが一つ。それから他の社会保障制度、他の保険にはこういう罰則規定はないのだ、先ほど住君の御答弁にあるとおり。いま大臣が大橋君に答えられた趣旨は、私は私なりに承知しておるし、理解をしておりますけれども、労働省が本来、冒頭に申し上げたような任務であるならば、刑法、刑事訴訟法と相まった一つの罰則規定をここに設けるということは二重処罰になるわけです。私はいま大臣が答えられたような内容のものであるとするならば、労働省が本来の本旨にのっとって、立ち返っていわゆる行政指導をして、さような欠陥のないようにするというのが労働大臣の私は答えではないのかと、こう考えるが、この点はどうか。
#22
○国務大臣(原健三郎君) 第一点の労働省の政策、職安のやり方が雇用の促進をはかり失業者をなくする、そのとおりでございます。そういう方針に向かって、鋭意こういう失業保険その他の法律の改正をなすのも、その趣旨に沿うて、きわめて積極的にやった方針であると、こう思っております。
 第二の他の保険制度ですが、他の社会保険制度の中には、返還命令制度とか、罰則等はございます。それから、ただし、このたびの失業保険のような納付命令制度というのは、これは新たに、非常に最小限この程度は他に波及することもないだろうし、まあまあよろしいのではなかろうかと、こういうところでございます。
#23
○大橋和孝君 先ほどのやりとりの中においても、これは非常に行き過ぎたやり方だと言わざるを得ぬと思います。
 私は、ここでちょっとあわせて尋ねておきたいと思いますが、外国における失業保険制度には不正受給について、どのような罰則を設けておるか、主要な資本主義国でいいのでありますが、その例についてひとつ説明してもらいたい。
#24
○政府委員(住栄作君) お答え申し上げますと、不正受給が行なわれた場合に、ほとんど全部の国におきまして、不正受給によって支給を受けた金額の返還、それからそういう行為に対する罰則規定、これは持っております。さらに、その罰則規定の適用につきましては、イギリスとかカナダにおきましては、ちょうど交通違反の場合の即決裁判とか、即決処分というようなことで処分をするというような制度を持っております。それから、不正受給をした者に対しまして、一定の期間失格を定める国といたしましてノルウェーとか、ベルギー、フランス、ギリシャ、イタリア、スイス、アメリカの国がございます。それから今回問題になっております納付命令制度ときわめて似た制度といたしまして、オーストリアでは職業安定機関が一定額以上の制裁金を課する、これは二百シリング、大体三千円近い制裁金だそうでございますが、そういう国もございます。いずれにいたしましても、各国それぞれの国の実情に即しまして、不正受給の対策をとっておるようでございます。
#25
○大橋和孝君 私は、外国あたりでも、いまお話によると、あると言われますが、そういうことを前提に置いていまこの制度をつくられて、あなたは、それでほんとうは行政指導をさぼりながら、この制度をこしらえて、当てはめては、がちがちゃっていくと言うが、いまの職安の状況で、この制度ができても、実際問題としてはできないように思う。結局は、表面に弾圧的にそうしたものをふりかざしていくという、むしろ、言うならばだんびらを切って進むというような勢いでありまして、私は、そこに考え方において、非常に悪い考え方を推し進めるような感じがいたします。実際においては、それはあると思いますけれども、先ほどからのお話にあったように、これは行政指導でやらなければならぬ。そう考えるならば、いまの職安の状態で、いわゆる行政指導ができるような状態に、いまはないのだ。このほうがむしろ大きな問題ではないかと思うのでありますが、その点はどうでしょうか。
#26
○政府委員(住栄作君) 先ほども申し上げましたように、こういう不正受給につきましては、たとえば保険料を納めておられます被保険者、つまり労働者あるいは事業主、あるいはほんとうの善意の受給者に対します観点から考えまして、やはり不正受給の存在は、これは断固なくすると、これはもう当然のことであろうと思います。そういう意味で、われわれ非常に忙しい安定所の業務にもかかわらず、こういう不正受給の防止につとめておるのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、なかなかこの件数が減らない。それはやはり失業保険の場合は、先ほども申し上げましたように、事実の認定というのが申告に待っている、こういうことでございます。したがいまして、非常に安易な気持ちで、見つかれば返せばいいと、こういうような受給者の態度も非常に問題があろうかと思うのでございます。そういう意味で、行政努力をやっておりますけれども、それにはやはり限界もある。わが国の場合、ほんとうにやむを得ない措置としまして、こういう制度の導入もやむを得ないというように考えておる次第でございます。
#27
○大橋和孝君 行政努力をしている、しているといって、実際行政努力をしておったら、それは起こらないわけです。先ほど委員長のお話にもありましたように、どうも大体失業をつくらないということがもう前提になるべきであって、できた人に対しては、もちろんそういうことをさせない、こういうような職業安定行政の主体の目的が実際行なわれたならば、こんなふうな罰則規定で押えつけるというようなことをしなくても、私は、解決できるであろと思う。それよりも、むしろ職安の行政の中で、職安行政に携わる人たちをもっと拡充するように行政的に指導するとか、こういうことであって、これをやろうとする努力のほうが先行すべきであるのであって、いろいろやっておりますけれども限度がありますからと、その限度を大きくふりかざして、実際問題としてやらなければならぬことをさぼっておると、これしか解釈はできないわけであります、いままでの質疑の中では。こういう根本的な問題をあなたのほうでは先に進めて、もう少し職安の行政の中で拡充をして、そういうことがないような指導ができるものを先行させましょうという気持ちがなかったら、もう自分の働きには限度がありますといっても、私は、限度まで働いているとは思わない。いまの行政の中で指導できるような態勢にあるとおっしゃるならば、ある事実を示してごらんなさい。行政の指導によってこういうものはカバーできることは、もっともっとやれば考えられるはずです。それは限度があります、うそを言って、見つかったら払えばいい、これが悪いんだと――あとからそういうことが起こってくる原因について一、二尋ねたいと思いますが、その態度自身、私は間違いだと思うのです。こういうことについて、あなたとしてこれから考え直していくかどうか、こういうことについてどういう心境にあるか、大臣から聞かしていただきましょうか。
#28
○国務大臣(原健三郎君) 大橋委員の御趣旨はよくわかりました。大体、究極的に、あなたと労働省の意見はあまり変わらないと私は思うのですが、実際は、そういうわれわれのやることも、かなりおわかり願えると思いますが、結論的には、こういうことをきめておいて、これをただ押しつけて苦しめるということでなくて、一応こういうことをやっているということを知らせて、今度改正がこういうようになったんだから、よく気をつけてくれという注意を与えておく程度にして、行政指導をやさしく、あまり衝突が起こらないようにうまくやっていくという、こういうことだから、それほど隔たりがあるとは思いません。
#29
○大橋和孝君 これを威圧的につくったというのではないということですが、いままでやっておられるのでも、刑事訴訟法があって、刑事事件としてがつんとやるぞというかまえがあるわけです。だから、こんなものはつくらないでもいいと言いたいわけですが、また、これからひとつゆっくりと次の質問の中で伺いたいと思います。
#30
○小野明君 関連して。追徴金の問題が出ましたが、大臣、わかったようなわからないような、趣旨はあなたたちとあまり変わらないようだというような、じょうずな答弁がありました。私どもは、不正受給を認める、こういう立場ではないわけですよ。不正を助長するというような立場ではない。
 そこで、一つは、この申請をやる、この制度の中にもっとやはり行政として努力しなければならない点があるのではないか。一つの点は、この失業保険が六割であるという非常に低い点に問題があると思うのです。もう一つは、申請の中で、前に申し上げたのですが、すべてを故意または詐欺的な行為だと見て懲罰をするという意味が非常に前面に出てきておると思うのですね。だから、あなたたちの努力によって、これがはたして過失なのか、指導の努力が足りないのではないか、あるいのは、失業保険の低さというものも、やはりこの際再検討をすべきではないのか、こういった制度自体をよりなおして、そうしてこの点を改めていく、いわば指導的な意味というか、そういうものを助長していくことがやはり原則ではないか。それを、出たものをぴしゃっとたたけばこれを是正することができるであろうというような、懲罰的な意味を強化しておる点に、私は、問題があると思うのです。この点は、やはり何とか考え直してもらわなければならない点であろうかと思うのです。
 そこで大臣にその辺を御答弁いただきたいが、先に局長のほうからそういった申請の際に是正する点はないか、あるいは制度として問題はないのか、その点を答弁いただいて、あとで大臣に御答弁をいただきたいと思うのです。
#31
○政府委員(住栄作君) 不正受給防止のための行政努力でございますが、不正受給の態様を見ますと、これは一番典型的なのは、就職しているにかかわらず、その事実を届けないで失業保険金をもらう、こういうケースがございます。これは、実は失業保険制度におきます被保険者期間の通算を労働市場センターで処理しておるわけでございますが、その場合に、その資格を喪失したものでなければ失業保険が受けられない。ところが、その方が就職した場合には、資格取得で入ってきますので、そういう意味での不正受給は、最近そういう処理のしかたによって、非常に少なくなってきております。
 それから、また最近は、特に賃金の水増し、あるいは雇用期間の水増し、そういうことで、これはおそらく労働力不足の原因もございまして、労働力確保のために、事業主が労働者と共謀してそういうような水増し記載をするという意味での不正、あるいは極端なものでございますと、架空会社をつくりまして、架空雇用による失業保険金の詐取――不正受給でございますか、そういうようなケースもふえてきておるわけでございます。そういう問題に対しましては、給付調査官を、これは不正受給の増大に伴いまして、今年度予算におきましても、二百十八人、各所に少なくとも一名の給付調査官を置きまして、不正受給の防止に当らせておる。それから、事業所に対しましては、各府県におります失業保険の監察官をしていろいろそういう不正受給の防止をしておる。やはり先ほど申し上げましたような趣旨におきまして、不正受給の防止、減少に非常に大きな努力を払っておるつもりでございます。
 それからもう一つ、それじゃ、こういう制度をつくった場合に、どういう配慮をするかということでございますが、これは先ほども申し上げましたように、安定審議会では、労働者に酷なものとならないよう慎重に配慮すべきである、あるいは社会保障制度審議会におきましては、不正の認定、不正の種類に応じた納付金の基準も、実際の運用に当たっては慎重な配慮を必要とする、そういう意味で、納付命令を発する場合の基準につきましては、非常に悪質なものに限ると、こういう観点から、私ども、法律にございますように、その基準をそういうものに置きまして、安定審議会の御意見を聞いて基準をきめて、その基準に基づいて、労働者に酷にならないように十分配慮していきたい、こういうように考えておる次第でございます。
#32
○国務大臣(原健三郎君) いまお説を承りまして、さいぜん私が申し上げたように、皆さん方と労働省の意見がそうあまり食い違っていないこと、距離があるとは考えられない、そういうふうに思っております。いま、おっしゃられたことは、われわれが不正を認めておるということではないと、私もそう思っておりまして、ただ、いけないのは、いまおっしゃったことばにおいては、懲罰ということを前面に出してきて、その他の行政努力がはなはだ不足しておる、私もその点は認めます。結局、私どもは、懲罰のために懲罰をしたいとか、そんなものを前面に出したいという考えではなくて、できたらもうちょっと、善意の人もあるし、不正の人もあるのですから、不正の人に少し考えてもらいたい、こういうことで、私どもとしては、行政指導をもっと積極的にやりたい、こう思います。それをやらぬじゃないかとおっしゃるが、たとえば、私の私見では、納付命令制度が新たにできた、この法律が通りましたら、そういうことを保険の人に納付書と、小さい紙に書いたものを渡して、今度こう変わったのだからよく気をつけてくれ、これだけでも若干効果があるのじゃないか。それから局長も言いましたが、いろいろそういう点をよく知っていただいて、決して検事のように、懲罰にひっかけるというのではなくて、もっとよく話し合って、こういう法律改正はこういう趣旨でやったのだから、よく守ってやってくれというように、御期待に沿うように、円満に解決していく考えであります。
#33
○小野明君 大臣、行政の努力というのは、それなりにされなければなりませんが、今回設けられようとする制度は、どうもあなた方が努力をする方向ではないのではないか。むしろそれは、たとえば架空会社をつくって受給するとかなんとかいうようなものがふえた、局長はこういう極端な例を言われるのですけれども、それには刑法上の処分がある。むしろ法務省がやらなければならないようなことを、行政努力というが、あなた方の行政権力をふやして、これをなくしていくという努力の方向がどうも間違っているような気がするわけで、そういった点で、むしろ善意の指導というものに労働省は努力をすべきであって、刑法上の処分がある上に、また行政罰がある、こういうことはどうも私は納得がいかない点なんです。間違っているのではないか。
#34
○国務大臣(原健三郎君) それは、たとえばこの納付命令制度というのができましたら、納付してもらえばそれでいいと、こういうことになりますので、もし、これをやらずに、それなら現行どおりにやっておいて、詐欺罪をもってやる、やり得ることはやり得るけれども、そういうことが可能であるというようなことをやっておくよりも、納付命令でこの程度のひとつ罰則があるから、よく気をつけてやってもらいたいというのでございますので、一応、この程度はやってもらって、ただ、これを表面に出すか、あまり表面に出し過ぎるかもしれぬですけれども、われわれとしては、こういう制度にしておくほうが、よほどやはり不正の人もだんだん考えてくれるからよくなるであろう。それからもう一つは、いまおっしゃったように、善意の行政指導が足らぬ、これも私は認めますが、これから善意の行政指導をもっと前面に出して、懲罰のほうはもうちっと引っ込めておけという御趣旨ですけれども、まあまあ大体似たり寄ったりの議論で、これはよく指導していきたいと考えております。
#35
○小野明君 大体似たり寄ったりの議論じゃない。
#36
○国務大臣(原健三郎君) 結論は……。
#37
○小野明君 あなた方の努力の方向が間違っておるというわけです、私の言うのは。完全にこれは意見が違うわけです。これは当然所管外のことまであなたたちが権力を握ってやろうとされておるので、似たり寄ったりとは、とんでもないことなんです。これはひとつ是正をしてもらわなければならぬし、この点については、私ども譲ることができぬわけです。なお、この法案の審議については、あとの日取りもあるようですから、私もこの次に質問をやりますが、それまでに十分ひとつ努力の方向が間違っておるという私の意見について、御検討をいただいておきたい、要請をしておきます。これで、私のは関連質問ですから、本日はこの程度で終わっておきます。
#38
○大橋和孝君 特に私は行政努力に主体を置こうというその気持ちをもっと具現をしてやってもらいたい。特にこんな制度をつくらなくても、もっと行政指導の中には、たとえばいま局長の言ったような問題であれば、これはもう刑事訴訟法にかかわるのだ、そういうことまで行なわれるから注意せいということは、あなた方、みなPRをしておりますか。パンフレットを出しておりますか。そういうようなことまでやるならば、いまの現行のままで、こんなものをつくらなくても、PRをもっとうんとして、そういう不正受給のないように努力できるわけであって、必ずしもそういうものをつくる必要はさらにない、そういうように私は思うのですが、その点は大臣どうですか。
#39
○国務大臣(原健三郎君) 私は、そういう詐欺罪が成立するような過酷な法律をそのままほうっておくよりも、この納付命令制度をやったほうが、実情に合っておる。事実そういうことをさしても、それくらいのことで裁判にかけたりするようなことは穏便でもないし、やりたくもないし、それよりも実情に即応した納付命令制度をやって、これでケリをつける、解消する、こういう方向が実情に即した、またどちらかというと、懲罰的でなくて、非常に穏健で実情に合った――穏健ということばはいかぬが、こういうふうに考える。私どもがこういう処置をやらずに、ただ何の罰則もなくて、行政指導だけでそれを具体的にやるといいましても、それはそれでいければいいのですが、いままでやってみたところが、だんだんこれがふえてきたわけですから、この程度でひとつやって、行政指導と私のほうは両々相まってやると、こういう考えでございます。両方でやる……。
#40
○大橋和孝君 どうも、しかし、いまの労働大臣の答弁はけしからぬ答弁だと思う。あなたの言われることをそのままふえんして言えば、労働省は労働者の味方となっていくやつが労働検事局だとか、労働法務省とかいう形になってしまって、ほんとうに職安行政というもののこれは根本的な考え方の間違いということになってまいりますし、これは大問題であるので、この論点からいけば、私どもとしては、どうしてもこれは看過することができなくなってくる。これは、きょうは初めからさっとさわろうということで始めておりますから、先ほど小野委員から話がありましたように、この問題について、これを設定するということについては、ひとつ真剣に考えておいてください。私は今後の質問におきましても、このことについては、私は、きびしく一ぺん大臣と渡り合わなければならぬ。そんなような考え方でこれから職安行政が行なわれるとするならば、これは問題だ、こういうことを申し上げて、この問題に対しての慎重なひとつ検討を願っておいて、これからの質問によって明らかにしていきたい、こう思います。
 それから次に、かわりまして、失保受給者の生活の実態は、一体どういうふうになっておるか。現在受給者の平均の月額の保険金はどのくらいになっているか、平均家族数はどうなっているか、こういうようなことが私は非常に大きな問題で、先に考えなければならぬことだと思うのですが、この水準は、一体生活保護基準の水準と比べてみたらどうなっているか。私はこれはかなり低いと思うわけでありますが、この点は、どうなっておりますか。
 次に、もうひとつついでに、第二問として尋ねておきますが、不正と言われるものの実態をどう理解しておられるか。労働省では、いま不正受給、不正受給と言われていますが、その不正と言われているものの実態をどう把握しておられるか、どういうふうに考えておられるのか、これを明らかにしてもらいたいし、それからまた失業者に対して六割の給付ですね、先ほどちょっと話にありましたが。これで、一体生活ができるかどうか。これらの点が大きな問題として残っているために、私は不正と言われるようなものが起こってくるのではなかろうかと思うのですが、その点について、一体どういうふうに思われますか。
#41
○政府委員(住栄作君) 失業保険の受給者の平均受給月額でございますが、現在大体二万九百五十三円、こういうことでございます。それから世帯人数等につきましては、ちょっとそういう調査をしておりませんので、必ずしも明確にはわかりません。それから御指摘のように、現在給付の水準は六割ということになっております。この給付の水準は、大体諸外国の給付水準に比較いたしましても、決して見劣りのする制度ではない。そこで大体六割というのは失業者の離職前の所得を六割保障する、こういうことでございまして、わが国の社会保障制度においてとられている原則でございます。今回の改正におきましても、そういう六割原則を大前提としながら、たとえば低等級者に対する保険金日額に十円の積み上げとかあるいは扶養加算の定額積み上げということによりまして、その六割が少しでもよくなるように、こういう考え方で今回の改正もいたしておるわけでございます。そういうことで給付の改善につきましては、従来からも努力いたしましたし、今回の改正案においてもいろいろ考えておるところでございますし、今後ともその改善の努力は続けていかなければならない、こういうように考えておるわけでございます。
 それから不正の態様でございますが、これは先ほど申し上げましたように、就職しているにもかかわらず、その就職を隠して失業保険金を受ける、それからたとえば賃金を水増しする、雇用期間を水増しする、そういうことで離職証明書を、離職票を変えて、それで高い失業保険金を受ける、あるいは架空雇用による失業保険金の受給、こういうようなのがおもな不正の態様になっております。
#42
○大橋和孝君 それだからして、まだ、私の質問に答えられていないのですが、生活保護基準に比べたら一体どういうふうになっておるか、差ですよ。それから、いま、まだ家族数なんかわからぬとおっしゃっておりますが、これはこの次までに必ず聞かしてください。それから、私がいま聞きたいのは、一体その不正が行なわれる理由ですね、何で行なわれるかという。あなたのほうは、それをどういうふうに把握しておられるのか。それはいまの不正受給というものがあるというのは、何でそういうものが行なわれるのか。行なわれるのには、一体失業者は六割もらって実際食える状態にあるのか。いま比較的賃金がほかの人より低いですね。低くてその賃金はしかも平均して六割しかもらってなくて、家族数は、あなたのほうはわからぬ。たとえば平均して三人なり、四人なり家族がおって、そのもらった金で食えますか。そういうようなことが一つの基盤になるからして、そこに私は問題があるのじゃないかというふうに思うのですが、その辺、どういうふうに把握しておられるか。どうくらいのものをもらって、どのくらいのパーセントのものは十分食えるのかということ、あなたのほうは、どう把握しておるかということを聞きたいのです。
#43
○政府委員(住栄作君) 少しこれは生活保護基準との比較におきまして、失業保険の受給金額がどうなっているか、こういうことかと思いますけれども、大体平均的な考え方をしますならば、やはり現在の全産業の平均賃金、かりに四万円ぐらいなところだろうと思いますが、その六割というところが大体の失業保険の受給月額になろうかと思うのでありますが……。
#44
○大橋和孝君 いま二万何ぼ言うたじゃないか、平均実額。
#45
○政府委員(住栄作君) 二万九百五十三円になっておりますけれども。それから、大体生活保護との比較は、これは十分いたしておりませんが、とえば十八歳の単身者で平均が八千七十一円と、こういうことになっております。それば扶養家族数ごとにどのようになるかということは、失業保険の場合は、離職前の賃金の六割ということになっておりますので、直ちに生活保護基準と比べて、それが妥当な額かどうか。こういうことは、失業保険は最低生活を保障するということよりも、直接の目的は、離職前の賃金の六割を保障してやろう、こういうのが大前提になっております。そういう意味で、私どもそれによって失業者が生活が維持できる、これは、もうそうあってほしいと考えるのは当然なことでございますが、やはりその前に、賃金の水準の問題もいろいろ問題になろうかと思います。やはり労働者が働いて賃金を受ける場合に、その賃金がどういう額がいいのか、どういう水準でなければならぬのか、その結果としまして、失業した場合に、失業保険で離職前賃金の六割の所得を保障すると、こういうようなたてまえになっておりますので、そういう意味で、生活保護と直接比較してどうのこうの、当然それは考えぬといかぬと思うのでございますが、直接比較しての議論はちょっとやりにくいのじゃなかろうかというように考えております。
 それから、なぜそれじゃ不正受給をするか。それは御指摘のように、やはり生活が苦しい。そういうことで心ならずも、たとえば就職しているにかかわらず、その就職の事実を隠して、失業保険金を受けられるという方ももちろんあると思います。それから、見つかれば返せばいいというような、先ほど申し上げましたような、そういう気持ちからの例もあると思います。そういう意味で、私ども、一がいにこれが不正受給の原因だと断定をするようなもの、きめ手になるようなものは、現在のところ持ち合わせていないのでございます。
#46
○大橋和孝君 私は、いまこの生活保護基準と比べることはせぬでもいいのだ、いままでの賃金もらっていたのの六割を保障するのがたてまえだ、こうおっしゃいますけれども、労働省の職安局の立場からいえば、やはりその働いている労働者が、これは賃金の低いのは、賃金をアップするよう、最低賃金制の問題もありましょう、まあいろいろあると思いますけれども、現段階において、やはり一応保険金を考える場合に、もう生活保護基準というものは、これは最低のものですね。それは、いま生活できないと言われておるくらいの最低のものだ。しかし、私どもの考えでは、実際それ考えてみたら、それ以下の人が非常に多いじゃないかと思うのです。だから、そういう人が多いような状態で置いておいたら、あなた、食えぬようにしておいて、そうして、何かちょっと不正なことをしたら今度は罰則を与える。法務省みたいなことになりますよ。そこらのところは、あまり血も涙もないような職安行政ではなかろうかと思われるわけです。
 ですから、私はここで資料を要求しておきます。生活保護と比べて何%、これに対して、生活保護以下であるか、あるいはまた生活保護以上にどれだけプラスになるものが何%あるかという一ぺんデータ出してください。それでなかったら、いまここで失保なんかやっていること自体がおかしくなってくる。六割でなくたって、それは八割やらなくちゃ食えぬ状態であったらば、八割も考えなきゃならぬのじゃないかと思うのです、それにはまだいろいろな問題がありますけれども。職安行政をもっと熱の通い、血の通った方法にしなきゃならぬので、家族数の、家族の構成数はどういうふうになっているのか、平均の受給はどのくらいになって、どういう人がどういうランクのときにはどれくらい、つまり保険金がいっている、これは生活保護に比べたらどういう状態になるのか、一ぺんそういう表を出して、示していただきたい。そうして、この問題を審議しなければ、根本的な問題点が解明されぬじゃないか。こういうふうに思いますが、それをひとつお願いしておきたいと思います。
 それから、私はいまはっきり言って不正というものの考え方ですね。それの実態、先ほどちょっと聞きましたけれども、私は、いままであなたのほうでつかんでおられる不正の実態をもっと明確に、いろいろなものについて、一ぺんこれもまた資料として出してください。
 それから、同時に、この不正が行なわれる理由を、あなたのほうはどういうふうに把握しているか。まあ、そんなことはとてもなかなかわかりませんと、こういうようなお話しでありますけれども、こういうようなものも私は一ぺんよく調査をして、各出先の機関でどういうふうなことになっているかということを、これは根本的な調査をして、そうして指導に移らなければ、安易に法律でもって罰するというような形に持っていくということに踏み切るまでには、もう前段階としてしなければならぬ段階がたくさんある、こういうように思いますので、こういう点について、ひとつこの次までにいろいろそのデータなり、あるいはまた、いろいろな私がいま言っているようなものが明快になるようなその資料を出していただきたい、こういうように思います。その点について、どうですか。
#47
○委員長(吉田忠三郎君) これまで大橋委員から、生活保護法との関係と保険金の最低額の点ですね、ちょっといま触れられました。だから、関連して、ごく簡潔に労働大臣に伺っておきたいと思うんです。関連ですから、あまり委員長がものを言っておりますと、委員会の運行もたいへん危ぶまれますから、全く簡潔に言いますから、簡潔明瞭に労働大臣らしい答弁を期待をしておきます。
 最近、非常に賃金の水準が上昇してまいっておるわけであります。たいへんけっこうだと思う。こうした推移にかんがみまして、低所得者の生活の安定をやはり積極的にはかってまいらなければならないのではないか。その一環として、この失業保険金の日額の最低額の引き上げが私は絶対必要だと考える。これに対して、労働大臣は、どう考えているか。これが一つ。
 あわせて、これと関連しますが、労災保険についても同じようなことが言えると思う。したがって、これに準じてすみやかに給付基礎の日額の最低額の引き上げが必要だと思うが、労働大臣は、その要ありやいなや。きわめて簡潔に。
 それから労災保険給付について、他の各種の制度との均衡を考慮する必要があるじゃないか。この場合、可及的すみやかに、その内容の改善と充実をはかる必要がある、こう思う。そのように、私は、この三法を審議するに当たって認識を持っている。この認識は一体どうか。
 この三点、関連して、大臣に伺っておきたいと思う。
#48
○国務大臣(原健三郎君) 簡単に明快にお答え申し上げます。
 第一点の失業保険の最低の日額の引き上げにつきましては、早い機会に十分検討し、御期待に沿うような方針でいま進んでおります。
 第二点の労災保険の給付額を上げるということにつきましては、いま、その審議会にそういう方向で意見を伺っているところで、この答申を待って善処いたしたいと、こう思っております。
#49
○委員長(吉田忠三郎君) 三つめの労災保険。
#50
○国務大臣(原健三郎君) 第二点も第三点も同様でございます。一緒にやってまいります。
#51
○政府委員(住栄作君) 大橋先生の御要求の資料でございますが、特に最初におっしゃいました失業保険と生活保護とのいろいろな資料でございますが、私どもできるだけ御趣旨に沿うように資料をつくってみたいと思いますけれども、そういう観点から統計がとられておりませんので、御期待に沿えるような資料ができるかどうか、ちょっといまのところ自信がございませんけれども、できるだけ御期待に沿うような資料をつくりたいと、こういうように考えておりますので、お含みおき願いたいと思います。
#52
○藤原道子君 ちょっと資料の要求……。
 どうもさっきからの質疑応答を聞いておりまして、納得いかないのですが、この失業保険は最低生活を保障するというものとは意味が違う、こういう御答弁がございました。そこで、それなら最低生活はできないはずでございまして、私は質問は後日といたしまして、資料要求したい。いま、現に働いている人でも生活保護基準より低い給与の人があるはずです。いろいろ陳情を受けております。生活保譲基準よりも下回る俸給より受けていない人があるのです。それがどのくらいあるか、調べてほしい。そうしてそれの六割ということに問題がありますから、これは別に質疑の方向としまして、生活保護基準を下回る労働者が相当あるはずでございます。これが、もし、お調べがつきましたら資料としていただきたい。
#53
○委員長(吉田忠三郎君) 資料要求に対して、どうですか。
#54
○政府委員(住栄作君) 賃金関係の資料でございますので、そういう統計が直ちにあるのか、ないのか、ないとするならば、再集計をする必要があるならば、早急に間に合わぬと思いますけれども、ひとつ内部の所官の部局と連絡いたしまして、御期待に沿えるように努力していきたいと思います。
#55
○藤原道子君 賃金のあれがないはずがないですからね、賃金を早速出してください。できないということは怠慢です。
#56
○政府委員(住栄作君) 関係部局と連絡いたしまして、やりたいと思います。
#57
○大橋和孝君 じゃ最後に一つ。
 いままでの質疑の中を見ておりまして、大臣は、今度の行政罰をつくったら、それでこの乱用が防止できると、こう言っておりますけれども、私は、実際はこの行政罰ができたって乱用防止はできないと、こう思うのですが、その点はどうでありますか。ことに悪質なものがいまいろいろ言われておりますが、悪質なものを行政的に指導するならば、むしろこの刑事罰があるのだから、特に注意しなければいかぬよと、そんなものをみんなのところにパンフレットを回すとか、いろいろなやり方があると思いますが、この行政罰をつくったからといって、乱用を防止すると言ったって、これは防止にならないのではないか。だからして、私はこれは何かいままでのいろいろ話を聞いてみていると、先ほど言ったように、生活保護以下の給付しか与えないで、食えないような状態において、これはまたいまの話を聞いてみたら、一体家族構成もわかっていない。それなら、これだけ保険金を六割やっておいて、食べられないものをやっておいて、今度は、悪いことをしたから、いけないから行政罰で罰しようという、これは非常に不謹慎きわまる。こんなやり方に対しては、これはもう許すことのできないような感じがいたします。だから、そういう意味において、私は最後の質問として、一体行政罰をつくったって何にもならないという、こういう私は結論を持っておるのですが、それに対して、大臣、どうですか。
#58
○国務大臣(原健三郎君) その返還命令制度で、その返還の金額等についても審議会でそれ以下にきめてもらうと、こういう法律になっておりますが、それが効果があるかないかとおっしゃいますが、私は、これはもうこの程度のものをやはりつくっておくほうがけじめがつく。そうして何もなしに、ただ行政指導をしていても、このごろの人は指導だけでは言うことをきかぬ人もございますので、やはりけじめをつけて、私どもはやはり両々まってやりたいと、こういう趣旨で、効果はあるものと存じております。
#59
○大橋和孝君 まあそういうふうな大臣の答弁でありますから、この失業保険法というのは、大間違いな法律だ、こんなものは容認できないと、私は言わざるを得ぬと思います。ですからこれはひとつ十分考え直してもらって、この次にまた私いろいろ詳しい質問いたしますから、保険制度全体の問題について十分の配慮をしておいていただきたい。いまの御答弁のような態度では、私どもとしては、こんな法律は通すことはできぬ、こういうふうに思うのですが、その意見を述べて労働省のほうに、大臣にひとつ十分配慮をしていただきたいということをお願いしておきます。
#60
○委員長(吉田忠三郎君) 他に発言もなければ、三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめておきます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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