くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 社会労働委員会 第33号
昭和四十四年七月十七日(木曜日)
   午後三時二十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月十六日
    辞任         補欠選任
     塩見 俊二君     鬼丸 勝之君
     阿具根 登君     中村 英男君
 七月十七日
    辞任         補欠選任
     中村 英男君     阿具根 登君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉田忠三郎君
    理 事
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                大橋 和孝君
                上林繁次郎君
    委 員
                鬼丸 勝之君
                黒木 利克君
                高田 浩運君
                中山 太郎君
                矢野  登君
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                山本  杉君
                横山 フク君
                阿具根 登君
                上田  哲君
                小野  明君
                藤原 道子君
                渋谷 邦彦君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  原 健三郎君
   政府委員
       厚生省保険局長  梅本 純正君
       労働大臣官房長  岡部 實夫君
       労働省労働基準
       局長       和田 勝美君
       労働省職業安定
       局長       住  栄作君
       労働省職業訓練
       局長       石黒 拓爾君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       辻  敬一君
       大蔵省理財局資
       金課長      岩瀬 義郎君
       農林省農政局参
       事官       中沢 三郎君
       林野庁職員部長  田中 慶二君
       自治省行政局給
       与課長      潮田 康夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○労働保険の保険料の徴収等に関する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を
 改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に
 関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉田忠三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十六日、塩見俊二君が委員を辞任され、その補欠として鬼丸勝之君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(吉田忠三郎君) 失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案、労働保険の保険料の徴収等に関する法律案、及び、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方の発言を求めます。
#4
○小野明君 最初に大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 この失業保険の特別会計を見ますというと、ほかの会計と比べまして、非常に大きな黒字になっておる。二千億という黒字が出ておるようでありますが、これから見ますと、相当、失業保険の本旨にのっとった改正が行なわれなければなりませんし、また行なわれるだけの余裕もあると見られるのであります。今回の改正を見ますというと、それにもかかわらず、微々たる改正がなされておる程度です。これではやはり問題にならぬのではないか。また、衆議院におきます附帯決議を見ましても、雇用期間の問題で、六年間の凍結という措置もあるのであります。でありますから、相当この改正というのは、長期にわたりまして計画的に、しかも大幅な改善を行なう必要があろうかと思います。そういう点から今回の改正を踏まえて、今後の改正の構想、たとえば六割給付というものも、どうしてもこの点はバランスの上からということで、譲られないという答弁があったのでありますけれども、この給付率をやはり八割にするというのが本質ではなかろうかと思うのですが、そういった問題を中心にいたしまして、今後いかなる構想をお持ちであるのか、大臣にお尋ねをしておきたいと思います。
#5
○国務大臣(原健三郎君) いまお尋ねのように、この失業保険は黒字が出ておるし、もっと本質的改正をなすべきものであるという御意見、まことにごもっともでございます。それで、改正の一番中心になっているのは、いまおことばにもありましたとおり、給付率を上げるというところが中心になってまいります。この点につきましては、今回の衆議院の附帯決議にもそれを要望されております。さらにまた、中央職業安定審議会においても、次のように指摘されておるところであります。すなわち、今後における失業保険制度の改善の方向について、給付内容、受給期間等に関し、引き続き検討を行なうもの、こういうことばがついております。でございますから、こういう御趣旨に沿いまして、さらに諸外国や、他の社会保険を参考にしつつ失業者の生活の一そうの安定をはるために、関係審議会等において、今後とも十八検討して善処いたしたいと、こういう決意でございます。
#6
○小野明君 そういたしますと、あとで、これは附帯決議等の問題につきましても、かなり掘り下げてお尋ねをしておきませんというと、はっきりした今後の構想というものが見えないのであります。やはり本質的には失業者というものがなくなる方向でなければならぬ。したがって、失業保険というものもこれは当然要らぬものでなければならぬ。しかるに、現実はそうではない。とするならば、やはりこの本質にのっとった抜本的な改正というものが行なわれてしかるべきである。しま、大臣は、それぞれ手続等の問題をおっしゃられておるのでありますが、この会計の使い方をますと、福祉施設、これでは末端の微々たるものの改正しかされておらぬということなので、やはり本質は、この給付率を中心にした改正がされなければならぬと思うのです。そういった点から、いま少しこの改正の方向というものがお示し願えるならば、再度お尋ねをしておきたいと思うのです。
#7
○国務大臣(原健三郎君) やはり給付率の引き上げというのがもう本質的な大問題であります。いままでは、私どもも、外国の語例を見ましても、六割というのは、まず決して低いことはないというように聞いておりましたが、衆議院の附帯決議にもあるし、いま、お聞きしますと参議院にもありそうでございますので、この給付の改善について、私のほうといたしましては、あらためてこの関係審議会にその給付改善の案を提出して御審議を願うことといたしたいと思っております。
#8
○小野明君 これは職安局長にお尋ねをしておきたいと思うのです。
 提案理由によりますと、第一からこまかく改善の点を――改善ばかりではなくて、もちろん非常な改悪もあるところなんです。金がかかっておる改善の点といいますかね、五人未満の事業所に適用するようにするのはどうだ、こういうふうな点が第一にあがっておりますが、それぞれ提案理由にあげられております改善の点、それがどれくらいの改善の額であるかという全高を一応お示しいただき、当然最後にはどれだけの額になっておるかということが出てくると思うのですが、それをひとつ簡潔に要領よく御説明をいただきたい。
#9
○政府委員(住栄作君) 今回の改善によります金額でございますが、給付改善につきまして、本年度、つまり七月実施の場合を考えてみますと五十八億円、平年度におきまして七十七億円。保険料率の引き下げによりまして平年度百三十二億円。それから五人未満への適用拡大、これは二年先になりますけれども、いろいろな計算方法があるのでございますが、大体五十億ないし六十億程度の給付増、こういうような見当で試算をいたしております。
#10
○小野明君 そういう点から見ますというと、いまの特別会計の額から言いますと、非常に改善の幅が小さい、こう思うわけです。また、福祉施設といったような面に多く命が向けられて、料率アップあるいは期間計算を有利にしていく、こういう点ではあまり配慮がない。本質的な点においてぬかっておいて、いわば、これは枝葉、末節と言えば悪いですけれども、総額においてもかなり低目のものである、そういう指摘ができるかと思うのです。大臣の言われておるように、本質的な引き上げを行なわなかった、それが非常に遺憾だと思うのですが、将来、いかなる方法で、どういう構想をお持ちであるのか、大臣の御答弁もいただいておりますけれども、さらに局長のほうで説明ができるならば、その問題にも説明をいただきたいと思います。
#11
○政府委員(住栄作君) 大臣が申し上げましたように、今回の改正は、いままで失業保険法が適用されておりません五人未満への適用拡大ということで、今後の失業保険を全労働者に適用していこう、こういうのが大きな眼目になっておるわけでございます。そういう意味で、今回の改正は、失業保険制度の適用拡大、それから、そういう面におきまして、今後の失業保険制度が健全な発展を遂げていく、こういう意味で、失業保険制度の基盤を確立しておきたい、こういう点も含んでおるわけでございます。
 そこで、先生御指摘の今後の給付改善につきましては、いま大臣が申し上げましたとおり、そういう体質の強化と相まちまして、今後の保険財政の推移をもあわせ考えながら、給付の改善をはかっていきたいというように考えております。
#12
○小野明君 いまの御答弁をさらに後ほど具体的にお尋ねをいたしたいと思います。
 林野庁にお尋ねをしておきます。
 国有林野の作業に期間要員として働いておる労働者の数、これは非常に流動的で、臨時職員が非常に多いという話を聞いておるのですが、そういった労働の実態、あるいはこの保険法の適用についてどのようになっておるのかお尋ねをしたいと思います。
#13
○説明員(田中慶二君) ただいま御質問のございました林野庁の臨時職員、いわゆる作業員でございますが、作業員の実態について申し上げます。
 お話にございましたように、国有林野事業は、非常に季節的な制約を受けておるわけでございまして、臨時的な職員が多いわけでございますが、昨年の七月が――これは大体私どもの林野の最盛期でございますが、四十三年七月の最盛期におきまして、常用作業員、これは年間を通じて雇用をいたしております作業員でございますが、常用作業員が一万五百六十一名でございます。それからその次には定期作業員、これは毎年六カ月以上きまった時期に雇用をいたします作業員でございますが、これが二万七千三百五十九名でございます。さらに臨時月雇い作業員、これは、毎年四カ月以上、月単位で雇用いたしておる者でございますが、この数が三千九百三十九名でございます。そのほかに、日々雇用いたしております全くの臨時作業員が、七月の最盛期におきまして、六万六千二百二十一名、計十万八千八十名という数字になってございます。
 これらの職員の失業保険の適用の関係でございますが、作業員の離職期間中の保障につきましては、国家公務員退職手当法及び失業保険法によって行なわれているということになってございます。定期と、六カ月以上の月雇い作業員は、雇用と同時に、失業保険にこれは当然適用になっておりますが、そういう適用を受けております。しかし、この者の退職手当の受給資格、これは二十二日以上勤務した月が引き続いて六カ月をこえるというのが受給資格になってございますが、そういう受給資格を得るに至りますると、自動的に退職手当法の適用に切りかわるわけでございます。そういう受給資格を得ることができないという者につきましては、失業保険法の適用を受けるということになっているわけでございます。したがいまして、これらの作業員については、退職のときに、失業者の退職手当を受ける者あるいは失業保険金を受ける者というふうに分かれてまいるわけでございます。四十二年度の実績では、失業者の退職手当を受ける者が、人員にいたしまして約二万五千名でございます。金額が約十七億六千万円となっております。失業保険は、人員が約五千六百名でございまして、金額は、これは推定でございますが、三億五千万円ほどであるというふうに見ております。
#14
○小野明君 そういたしますと、常用を除きまして、あとの数が八万幾らですね。
  〔委員長退席、理事上林繁次郎君着席〕
その中で退職手当を受ける者が二万五千名、失業保険の受給資格のある者が五千六百名。八万から見ますと、非常に失業保険も受給できないという者の数が多いということがわかるわけですね。これらについては、やはり政府自身が雇用の安定ということを打ち出しておきながら、政府が雇用したものが臨時で、一時、雇ってぽんとほうり出して、失業保険もくれないという状態にしておるというのは、これは問題がある。労働省のほうも、こういった実態については、やはり何とか対策を講じなければならぬのではないかと思いますが、これらについては、林野庁は、いかなる計画でおやりになっておるのかお伺いいたします。
#15
○説明員(田中慶二君) いまお話がございましたように、また先ほど御説明をいたしましたように、全く日々短期に雇用をいたしております者が六万六千をこえる数でございまして、これがいわゆる失業保険の適用を受けておらない者になっておるわけでございます。これらにつきましては、御承知のように、森林施業を進めてまいります場合に、夏場におきましては、下草を刈る必要がある、あるいはまた、臨検といいまして、いろいろ境界を見て回るとか、そういうような非常に臨時的な場合に、一緒に行ってもらって、いろいろ枝打ちをしてもらうとか、そういう草を刈るとかというふうな作業員がおるわけでございます。こういう人たちは、国有林といたしましては、地元におきます山村労働の余剰と申しますか、兼業労務に委譲といいますか、そういう人たちに臨時に来て働いてもらっているということでございまして、短期の雇用をいたしておる者を頭数で申し上げましたので、非常に大きな数字になっておりますけれども、実際の人数で申せば、それほどの量になっているわけではございません。しかしながら、先ほど申し上げましたように、大体三万名程度のまだ毎年大体きまって雇用いたします者で離職をするという作業員がおるわけでございまして、これらにつきましては、私どものほうも、最近の農山村の労働の実態等を考えまして、雇用安定という見地から、できるだけ通年にわたって雇用していきたいということでいろいろの施策を進めておるわけでございますが、たとえば生産事業と造林事業を組み合わせていく、あるいは技術開発によりまして、植えつけの期間を伸ばしていく、拡大していくというふうなこと等をやっておるわけでございます。御承知のとおり、森林施業を進めてまいりますと、どうしても適期という自然的な制約を受けてまいります。また、事業のある場所におきましては、もうこれ以上、木がない、立木がないというふうな問題等もございまして、なかなか困難があるわけでございます。私どもといたしましては、できるだけこれを通年に雇用しようということで努力いたしておりまして、最近におきましては、もう常用作業員の率が総体的に上がっておるわけでございます。
#16
○小野明君 職安局長にお尋ねをしておきますが、総体的には通年雇用というものが上がっておる。しかし、いまお聞きのように、不定期雇用というのが三万名もある。こういうことをお話になっておる。まあ、日本の林業というのが非常に不健全な状態であるというのは、林業白書を見てもわかるわけですが、それかといって、そういった政府の政策の不備もあるんだが、やはりこの三万名からの不定期雇用をそのまま許しておるということは、また、労働省としても、問題があるところではないか。この辺で、林野庁といかなる協議をざれ、いかなる計画でもってこれを安定雇用にするか、通年雇用にして、あるいは失業保険受給者の資格者をふやしていくということをやってきておるのか。どうも、この受給資格期間なんかを見てみましても、さらに月十五日あるいは十四日以上の稼働日数がなければならぬというような期間の計算――これは固定、氷づけと言いますか、凍結をされたから、一応六年間はこのままの状態であるとしても、いまの三万の不定期な労働力の状態をさらにふやしていくということになりはしないかと思うのです。問題は、いまのように、三万人もある不安定雇用の状態をどう解消をする努力をされたか、また、こういう実態を御存じであるのか、どう解消されようとしておるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
#17
○政府委員(住栄作君) 雇用行政の立場からいいまして、先生御指摘のように、雇用の安定が非常に望ましいわけでございまして、こういう臨時日雇い労働者ができるだけ通年雇用化され、そして雇用が安定する、こういう立場をとっております。そういう意味で、過去におきましても、農林省、特に林野庁と定期的に会合等も持って、そういう方向で労働省として協力できる面では私ども協力いたしておるつもりでございます。先ほども御説明ございましたように、そういう臨時的な雇用形態の者の割合も下がってきております。さらに引き続き林野庁のほうでも努力されることでございますから、労働省としても、御協力できるところは全面的に御協力いたしてまいりたい。
 さらに、失業保険の適用の問題でございますが、一般失業保険の適用につきましては、これは、先生御指摘のように、要件にかなっておる者につきましては適用をいたしておるわけでございますから、日雇い的、臨時的な者につきましては、日雇い失業保険の適用の問題があるかと思います。そういう意味で、月雇い失業保険の適用区域の問題とかあるいは月雇い失業保険が適用になっておりましても、資格がつかない――日雇い失業保険の場合は、御承知のように、二カ月で二十八枚の印紙が貼られるというのが前提になっております。そういう意味で、臨時的、日雇い的な雇用であっても、二カ月の期間に二十八日以上の就労が確保できるような対策を林野庁にもいろいろお願いをいたしておるわけで、そういうような意味で常用雇用を進めますとともに、残っております月雇い、臨時的な労働者に対しましては、失業保険の適用等につきましても、林野庁と協力してまいりたい、こういうように考えております。
#18
○小野明君 それでは、林野庁も、いま言った不安定雇用をなくするように、今後計画的に十分ひとつ積極的な御努力をお願いをしておきたいと思います。
 次に、自治省お見えですが、これにも非常に問題があるようですが、臨時職員で、これは、当然、退職手当の期間には入らない人が多いと思うのですが、これの失業した場合の失業保険の適用あるいは退職手当の適用という問題については、どのようになっておるか。臨時職員を多く雇い入れたままで、そのままほったらかしという雇用の状態ではないのか、この辺をお尋ねしたい。
#19
○説明員(潮田康夫君) お答え申し上げます。
 私どものほうも、いま先生が言われました臨時職員というものに対する一般的な考え方というものは、いま林野庁のほうから御説明がありましたような、そういう取り扱いに準じて、地方公共団体が各個にやっておるわけでございます。しかしながら、地方団体の場合、三千数百の団体がございまして、しかも、地方団体の仕事というものがいろいろございます。たとえば統計事務であるとか、あるいは選挙事務とか、そういうごく短期間の仕事がある。しかし、そのあとはないというような仕事も非常にございますものですかう、やはり短期雇用のいわゆる臨時職員というものは、ある程度は発生せざるを得ない、こういう実情になっております。したがいまして、一般にはアルバイトというようなものまでひっくるめますというと、相当の数がございますが、そういうアルバイト――一週間ぐらいのアルバイトとか、そろいうようなことで入ってきておる者も相当ありますので、正確な数字を、全地方団体について、私どものほうでは掴んではおらないというような実情でございます。しかしながら、退職手当あるいは失業保険の取り扱いということになってまいりますというと、私どものほうで、そういうような臨時的に雇用されておるいわゆる臨時職員の中で、常勤職員と同じような勤務が一月のうちに二十二日以上あるというようなものについて、また、そういう月が六カ月以上継続しておるというようなものが出てまいりますというと、それは一般のいわゆる常勤の職員、普通の吏員と同じように退職て当を、同じ方式によった計算方法をして退職手当を支給する、こういうことは、国のほうと同じような取り扱いで各地方公共団体が条例でやっております。したがいまして、いま申し上げましたしうに、二十二日以上にならない、六カ月に達しないというようなものにつきまして、失業保険の受給資格が発生するものにつきましては失業保険のほうでやっていきたいと、こういうような制度になっております。したがいまして、たとえば選挙事務なんかで、ポスターの検印のための仕事で、臨時に二十日間くらい職員がいるということになってアルバイトを雇います。そういうものにつきましては、失業保険のほうでも、もちろん私どもの退職手当のほうでもはずれてくる、こういうことになっております。しかしながら、そういう事務も継続的にやれというわけには、これは事務の性質でなかなかまいりませんから、そういうものについては、やはりある程度しかたがないんじゃないか。それはひとり地方公共団体だけでなくて、国におきましても同種の事態が発生するのではないか。あるいはさらに、民間にもそういう事務がやはり存在し得るのが当然じゃないか。だから、そういうものにつきましては、私どものほうとしては、国全体、制度全体として考えていただくというようなことで、地方公共団体側としては考えておるというふうなことになっておるわけでございます。一応そういうような御説明を申し上けます。
#20
○小野明君 民間も、政府もそういう状態だからしかたがないではないか、こういうことでは問題があるわけです。雇用の安定ということをはかる以上は、政府の施策として打ち出されている以上は、まず政府機関あるいは市町村の自治体、こういうものがそういう不安定な労働力をつくり出すということ自体に問題がある。雇用した以上はすべて失業保険法の適用を受けるようにしていく。退職手当にいくものは、これはいいですよ。ですから、そういうものに適用させるような努力を自治体にさせるべきではないか。登録されておる臨時職員、これはまあいいかもしれません。しかし、登録されていない臨時職員というもの、たとえば自治体の工事現場の工事雑費あたりで雇われておる人たち、こういう人たちが非常に数が多いと聞いておるわけです。こういう人たちは、失業保険の適用を受けずに、一時雇われてすぐはき出されておる。いわば、そういう政府の労働力流動政策の一番被害を受けておる層がたくさんいるのではないかということを申し上げておるわけです。ですから、そういう数がどのくらいあるのか、登録されておる県、市町村の臨時職員の数はどのくらいであるのか。それと、工事現場で工事雑費あたりで雇われておる臨時職員というのはどのくらいあるのか、失業保険を受けておる人はこの中でどのくらいいるのか、それを御説明いただきたい。
#21
○説明員(潮田康夫君) 数の問題につきましては、いまも申し上げましたように、なかなか私どものほうで、全国の地方公共団体を悉皆調査したというものがございませんので、確かな数字を申し上げるにはまいらないわけでございますが、一応、私どものほうでつかんでおります数字は、いわゆる臨時職員ということで、私どもが問題にと申しますか、それの正常化に努力をしておりますが、いわゆる臨時職員と申しますのは、一日につき八時間以上で月二十二日以上が一年以上になったもの、こういうことで限定して調べたものにつきましては、大体二万五千人程度でございます。これは全部おやめになるときには、地方公共団体のほうで、退職手当の支給が行なわれるというものでございます。そのほかに、いま申し上げましたように、先生もおっしゃいましたけれども、工事現場なんかで一月あるいは二月でやめていくというような者、また、私が先ほど申し上げましたように、いわゆる一般には、俗にアルバイトというように言われておりますが、日にちを限って採用しておる者、そういうようなものにつきましても、正確な数字は私どももつかんでおりませんが、一応失業保険のほうに入っておるところの、地方公共団体で保険料を払っておる者ということから推定いたしまして、大体六万から七万くらいいるのではないか、こういうふうに考えております。しかし、それは、くどいようでございますが、正確に私のほうで統計的に調査したものではなくて、一応の失業保険のほうから推定していただいた大体の数字というふうに御了解いただきたい、こう考えております。
#22
○小野明君 そういうところに問題がありますね。この登録をされておる臨時職員の数も明確でない、ましてや、工事現場で働いておる人の数も自治省は明確に把握されていない、これは非常に問題があると思う。先ほどあなたが御説明になった一カ月二十二日以上で十二カ月以上、これは当然共済組合の資格がとれますから、これは退職手当がもらえていくわけですが、しかし、登録されていない、あなたのほうでにぎっていない労働者が非常に多く雇用されておる。おそらくこの数は相当な数にのぼる、十万人近くにのぼるのではないかと思う。ですから、こういった数をあなたのほうも正確にやはり御調査をしていただきたい。その上で失業保険の適用なりを十分はかるような措置を講じていただきたいと思うんですが、この二つについてお尋ねをします。
#23
○説明員(潮田康夫君) その数を正確につかめといわれることにつきましては、ごもっともでございます。私どものほうも、いろいろ努力をして、今後またやっていきたいと、こういうふうに考えております。ただ、職が、仕事がいろいろ千差万別でつかみにくいということで、いままでなかなかうまくいかなかったんですが、ぜひ今後努力いたしていきたい、かように考えております。また、その上で失業保険法全体の問題になろうかと思いますけれども、それについては、できるだけ労働省のほうにもお願いしまして、御趣旨に沿い得る方向でやっていただけるようにお願いしていきたい、こう思っておりますけれども、実態をつかんで検討させていただきたいと思います。
#24
○小野明君 ですから、実態をつかんだ上で御答弁をいただきませんと、お互い正確な議論になりませんから、その辺は、やはり自治省も、臨時だから、いやこれは工事現場で雇われている労働者だから、雑費で雇われている労働者だからというので、いいかげんにして置くことがないように、十分自治省も気をつけてもらいたい。
 次の問題は、非常勤職員の問題ですが、これは厚生省関係の事務を下におろしていることが多いんですが、母子相談員とか、老人家庭奉仕員とか、婦人相談員あるいは身障者の家庭奉仕員、こういった非常勤の特別職員ですね。この勤務の実態をお調べになったことがあるかどうか。この人たちは、失業保険の適用を除外されておる。ところが、勤務の実態から見ますと、一日八時間以上、週で七日働くというような人たちが非常に多い。退職手当さえもらえるような条件でこれらの人たちは働いておるにもかかわらず、失業保険ももらえない。これは非常勤の特別職だからこういった扱いをするというのは、不当ではないかと思う。これらの数はどうなのか、勤務の実態はどうなのか、失業保険の適用はなぜできないか、その辺をお調べになっておれば御説明をいただきたい。
  〔理事上林繁次郎君退席、委員長着席〕
#25
○説明員(潮田康夫君) 私どものほうでは、いま言われましたような非常勤職員の数――直接母子相談員とかそういうものはやっておりませんので、数も正確にはつかんでおりませんのでお答えいたしかねますが、ただ母子相談員とか、そういうものは、それぞれの法律で一応たてまえが非常勤ということで法律的に書かれておるわけでございまして、そういうことで、やはり法律的には職の性格が非常勤ということに相なっておりますので、いま申し上げましたような、いわゆる常勤的非常勤職員ということで救おうとしても、なかなかこれは救えない、こういうことであります。しかも、非常勤職員には、自治法の規定がございまして、ほかに仕事も持ち得るというたてまえになるわけでございまして、退職手当の根拠も法律上はございません。そういうことで、いまのところ、先生の言われますような状態になっておる、こういうことでございます。しかし、それもそれぞれの主管省がございまして、それらのところで実態をよく調べるなり、研究するなりして、それらの事情を明らかにしていきたい、こういうふうに考えております。
#26
○小野明君 制度上そうなっておると、おっしゃるとおり、臨時職員もそれはそうでしょう。これは、正式の採用の試験を通りあるいは任用を通りませんと、本採用にならぬわけです。しかし、その勤務の実態を私は言っておる。非常勤の職員ではなく、臨時の職員でも、七年も八年も、十年近くも臨時職員で雇用されておるという実態がある。また、この非常勤の問題でも、勤務の実態から言えば、あなたの言うのは、ほかに仕事を持っておられるという場合を言いますけれども、そんな人はごくまれであって、これを本務にしている人が一体どれぐらいあるのか、この数をお調べになったことがあるのか。これは非常勤だから、もう適用できないんだというふうにきめつけることは、一体失業保険法の趣旨からいってもどうなのか、そのあたりにさらに検討すべき問題があるように思う。職安局長ね、五人未満の事業所に適用するんだという遠大な――遠大といってはなんですが、そういう計画さえもお立てになる。ところが、肝心の政府機関にも問題はたくさんあろうと思うのですが、地方自治体にもこういった不安定な雇用の状態がある。しかも、勤務の実態等も把握されておらない。こういう状態があることに対して、職安局長としては、さらに検討すべき余地はないのか、この点はいかがですか。
#27
○政府委員(住栄作君) 先ほど申し上げましたように、雇用の安定をはかる、これはもう当然のことであると思います。林野庁の関係につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、国、地方公共団体の臨時職員につきましても、総理府なり、自治省に雇用の安定についていろいろ従来からも要望してきておるわけでございます。それで、大体現在公務に従事する者の失業保険適用の対象者は、約十万人でございます。林業関係がそのうち三万人でございますので、大体、一般公務としては、七万人くらい適用されておるのじゃないか、こういうふうに考えております。
 いま、御指摘のような問題につきましては、五人未満への適用拡大をはかるわけでございますから、そういう面におきまして、適用漏れがあるということは、五人未満も絵にかいたもちにもなりかねませんので、十分各省と連絡いたしまして、実態の究明、保険の適用、こういう点について検討をしてまいりたいと思います。
#28
○小野明君 各省と連絡をいたしましてというようなことでは、これはそういう弱腰じゃいかぬわけです。こういう不安定雇用の実態がある。すべての失業者にこの失業保険というのは適用すべきである。保険制度になっておること自体が問題だと思う。やはり社会保障という面からとらえなければならぬのだが、そういうことを言っておっても始まらぬから、すベての失業者に適用するという精神でなければならぬのだが、肝心の政府機関がその数字も知らぬ、あるいは地方自治体もそういう状態をほおかむりしておる、こういう遺憾な実態があるのを処理するのに、ただ単に連絡程度のことでは、これは問題にならぬ。これは大臣ですね、まあ局長も、ちょっとご無理な点があるかと思うのですが、ひとつもう少し局長も思い切った答弁をしてもらわなければならぬ。大臣、ひとつこの辺は、まず隗より始めよということことがあるんだが、肝心の政府機関や地方公共団体がこういう実態では、この失業保険法自体が絵にかいたもちになりかねない。しっかりした答弁をひとつ大臣からいただきたい。
#29
○国務大臣(原健三郎君) 小野先生の御説、全く同感で、私は、労働大臣としては労働省関係になりますが、国務大臣としても、各役所に、もう少し積極的に前向きに、いままで少し放任してある傾向がございますので、善処いたす決意でございます。
#30
○小野明君 それから次の問題に移りますが、衆議院で四党共同提案で若干の修正が行なわれておる。その二項に「農林水産業等を当然適用とするための適切な方策について調査研究を行ない、六年以内に必要な措置を講ずるものとする。」という項があります。それで六年以内というのは、非常に長期の見通しになるかと思うのですが、こういった議決がされております以上、労働省としては、具体的な方向というものが考えられておらなければならぬと思います。そこで、いかなる方法によって、いかなる計画によってこの農林水産業に適用していくのか、これを説明していただきたい。
#31
○政府委員(住栄作君) 農林水産業等に対します失業保険の当然適用の問題でございますが、これは衆議院におきます修正案の趣旨に基づきまして、他の業種に対する五人未満への適用拡大の状況等をも考慮いたしまして調査研究をし、六年以内に適切な方策を樹立したい、こういうように考えております。しかし、それは当然適用の段階の話でございまして、それに至る間におきましても、いろいろな策を進めなければならないと考えておるわけでございます。たとえば農業等におきまして、畜産あるいは施設園芸等につきましては、年間通じて事業を行ない得る、こういう業種もあるわけでございまして、そういう業種につきましては、任意適用の活用によりまして、当然適用に至るまでの間におきましても、適用範用の拡大をはかっていく、こういうことで進んでいきたいと考えております。
#32
○小野明君 どうもいまの御答弁では、決議がついたばかりでもあるし、こういった点についてさらに具体的な検討をなさるひまがなかったのではないかと思うのですが、当然、当面は任意適用でも適用してと、こういうふうなお話ですが、農林水産業を当然適用にするための調査研究を行なう、ですから農林水産業だっていろいろな方面がある。じゃ、どの職種についてはどうなのか、こういった職種はあなたのほうが専門ですかう、これは当然適用できる職種である、これをどう拡大していく、いかにして調査研究をやっていくか、こういう方向くらいは答弁を願わぬとぐあいが悪いのですがね。
#33
○政府委員(住栄作君) 調査研究の方向の問題だと思いますが、現在、農林水産業が当然適用になっておりませんのは、やはり季節性があって、年間通じて事業が行なわれていない、こういうことが当然適用からはずれている最も大きな理由であるわけでございます。ところが、ただいま申し上げましたように、たとえば施設園芸とか、畜産事業等につきましては、季節性を克服しておるものがございます。したがいまして、そういうような実態が各業種――こまかい業種でございますが、そういう業種においてどういう実態にあるかということにつきまして、さっそく調査にかかって、そういうような点についての検討をいたしまして、六年後には、それに失業保険が当然適用になるように、こういう方向でいまから具体的な計画を立ててまいりたい、こういうように考えております。
#34
○小野明君 次に、時間もあまりないようですかう進みたいと思いますが、被保険者期間の計算方法の改正という問題があります。これは凍結をざれたという性格上、衆議院でも議論がされておらぬようでありますが、一番最初に大臣から、抜本的な改正の方向に向かってと、こういうふうなお話がございました。また、局長もそういった御趣旨でお話があったと思うんですが、どうもこの点で、十四日以上の賃金を受ける日数がなければならぬ、稼働日数がなければならぬ、そうしませんと、これを一カ月と計算をしない、こういうことなんですが、これについて抜本的な改正を加えるとすれば、いかなるお考えであるか。六年先の話だからいいではないかといっても、当然それまでには検討ざれると思うんですが、いかなるお考えであるのか、お尋ねしておきます。
#35
○政府委員(住栄作君) 改正法案におきまして、被保険者期間の計算は、歴月でなく、月をもって計算する、こういうことでございます。したがいまして、一ヵ月に満たない期間は切り捨てる、こういうことでございますけれども、通算を容易ならしめるために、十五日以上の雇用期間で賃金支払い基礎日数が十四日以上あれば、一カ月未満であっても、〇・五カ月として計算して積み重ねていこう、こういうのが改正の趣旨でございます。それが衆議院における修正によりまして、御指摘のように六年間延びたわけでございます。したがいまして、この措置をどうするかということになるわけでございますが、御指摘の点を十分考慮いたしまして、その時期まで結論を得たいというように考えておる次第でございます。
#36
○小野明君 十分考慮をしてその時期までにと、こう言われるんですが、この十四日以上というのは、非常に条件がきびしい。ですから、その日までに検討をされる内容の目安としては、私どもは七日ということを主張したい。ですから、さらにその検討の目安というものもお示しをいただきませんと、これはぐあいが悪いわけです。あなたの言われるのは、六年たちましたらやりましょう、これはあたりまえの話じゃないですか。そこのところを、一体どうやるのかということを聞きたい。
#37
○政府委員(住栄作君) 実は非常に技術的なことになりまして恐縮でございますが、一カ月の場合に十四日の賃金支払い日数を必要とするわけでございます。したがいまして、一カ月であっても、十三日であればこれは一カ月として計算されない。ところが十五日以上の場合、七日にいたしますと、十五日以上でございますから、二十九日の場合もあるわけでございまして、二十九日の場合も七日でもう計算される、三十日ではゼロになり、二十九日の場合は〇・五カ月になる。実はこういう非常に一カ月の場合と半月以上の場合との均衡の問題もございまして、そこらあたり単純に七日にするのか、それとも十五日以上の場合の日数に応じまして比例的なものの考え方をするのか、そこらあたりも非常に技術的にも検討しなければいかぬ問題もございますので、そういうものも含めて、ひとつ前向きの方向で検討してまいりたいというふうに考えます。
#38
○小野明君 この問題は、十分いま言った方向で御検討を願うことにいたしまして、次の問題に移りたいと思います。
 追徴金の問題、この前から、どうもこの一点だけはということで、なかなか大臣もお譲りにならぬ点でありますが、やはりいまのこれは給付そのものが八割ということになっておれば私はあまり申し上げたくない。しかし、六割という低率である、しかも、保険財政はきわめて余って、趣旨に合わないところにまでその金を使っておる。こういうことになった上に、さらに、故意ではないと思うのだが、不正受給の額だけでもってこの追徴金を取り上げるというのは、いかにもこれは酷である。この点をさらに検討をする用意はないのか、それをお尋ねします。
#39
○政府委員(住栄作君) 前にも申し上げましたように、この問題につきましては、前回の改正案の関係審議会において、それから今回の改正案を国会に提出するにあたりましての関係審議会の御意見、これを尊重いたしまして、原案では納付命令額を不正額の二倍以下というふうにしておりましたのを、同額以下ということに改めまして改正案をお願いしておるわけでございます。前回にも申し上げましたように、いろいろ失業保険の保険事故としての特殊性から、他の社会保険と違いましてこういう制度が必要である。しかしながら、それが一般おおよその不正受給すべてについてその制度を発動するということではなくて、安定審議会の御意見を聞いて定めます基準によって適当な運営をやっていこうと、こういうように考えておりますので、お含みおき願いたいと思うわけでございます。
#40
○小野明君 この基準が問題だと思うのです、適切な運営というのは。私どもはこれをやはり全廃をしてもらいたい、あるいは全廃の方向で基準というものは当然こしらえられると思うのですが、これは附帯決議もつけられておるのですから、この点でさらにいかなる方向であるのか、具体的に説明ができますならば、この基準の内容にわたって御説明がいただきたいと思います。
#41
○政府委員(住栄作君) これは先回からいろいろな各方面からの御指摘をいただいております。したがいまして、非常に悪質な事案に対してこの制度を発動するというような意味での基準をつくりたいというように考えております。
#42
○小野明君 この点はどうもすっきりした御答弁にならぬのでありますが、やはり前回申し上げておりますように、この行政罰でもってこれをなくしていくというのは、少しやっぱり思い過ぎというか、権力の乱用になるのではないかと思うのです。悪質なものについては刑法上の処罰がちゃんとあるわけですから、その上で二重のこれは処分になるとしか考えられぬわけです。ですから、二倍とあったやつを同額以下とやったという点については、まあ、私も若干の前進は見られると思うのですけれども、その辺で、再度これは撤廃すべきであるということを私は主張したいのですが、その後、この前の委員会から一週間たっておるわけですから、答弁してもらいたいとお願いをしておりましたが、いかなる検討をされておるのか。いまの答弁では、一週間前と少しも変わらぬわけだ。何もこの前の質問から前向きになっておらぬわけです。これじゃ、どうにも私も引き下がれないわけです。一体、いかなる検討をされておるのか、さらに説明をいただきたいと思います。
#43
○政府委員(住栄作君) 御指摘のように、行政をやるに当たりまして、摘発というようなことはできるだけ避ける、やはり行政努力による指導、予防につとめるべきだと思うわけでございます。そういう意味で、御指摘の御趣旨に沿いましたような納付命令制度の運用を考えていきたい、これが基本的な考え方でございますが、その基準につきましては、法文にもございますように、職業安定審議会の意見を聞けと、こういうことになっております。したがいまして、職業安定審議会にはかります基準につきましては、特に悪質な事案に対してのみ納付命令制度を発動する、こういう基準をつくりまして安定審議会の御意見を承りたい、こういうように考えておるわけでございます。
#44
○小野明君 その特に悪質というのは、一体、どういう事例がありますか。
#45
○政府委員(住栄作君) これは前回も御説明申し上げたのでございますが、たとえば架空会社をつくりまして、架空の解雇をして失業保険金を受け取る、あるいは賃金の水増しなり、雇用期間の水増しをやる、そういうような点に限って考えていきたいと思っております。
#46
○小野明君 次の点は、失業保険の適用事業所を拡大をしていくということですね。この事業所を拡大いたしますと、数はどのくらいになりますか。
#47
○政府委員(住栄作君) 現在五人未満の適用事業所の数は、事業所で大体百二十万、労働者の数で約二百五十万ないし六十万、こういうことになっております。当面、御説明申し上げておりますように、四十六年の四月からは、製造業、電気、ガス、水道業、運輸、通信業、それから建設業に適用を拡大していく、こういうようになりますと、適用事業所で大体二十八万、それから労働者数で六十四万程度になろうかと考えております。
#48
○小野明君 そういたしますと、それだけの事業所がふえて、あるいは適用者がふえるということになりますと、当然この末満における事務がふえてくるということになりますね。その担当事務職員の増という点はお考えであろうと思いますが、その辺は、どれくらいの職員の数が要るのか。
#49
○政府委員(住栄作君) 御指摘のように、いま申し上げました事業所の数、労働者数が当然ふえます。それから失業保険料の保険料徴収事務もふえるわけでございます。これに対しまして、現在、両保険の適用徴収事務に従事します職員は二千百人でございます。それから資格の得喪、給付事務に従事する職員は約四千四百名でございます。ころが今回両保険の適用徴収の一元化をはかることになっておりますので、こういう意味で、適用徴収事務は約四〇%減るというように考えられますので、大体二つの保険合わせまして千五百人程度の職員で足りるのではないだろうかというように考えておるわけでございます。
#50
○小野明君 ちょっと聞き落としましたが、そうすると、これを担当する職員数は減になるわけですか。
#51
○政府委員(住栄作君) 人は減らしませんので、むしろいま申し上げましたように、千五百人前後の増をはからないといかぬ、こういうことです。
#52
○小野明君 それから、全日自労の諸君の言い方ですと、非常に職安の窓口がきびしいと、こいうい指摘があるわけです。就職、求職に行く人たちを犯罪者扱いにしておるのではないか、こういう指摘があります。との窓口の民主化というのは、直接就職、求職に来られる人たちの窓口の問題ですから、特にこれは民主的なサービスというものを念頭に置いた事業所でなければならぬと思うのですが、この辺のあり方については、いかなる御指導があったのか、そういう実態については、一体どういうふうにお考えになっておるのか、お尋ねもしておきます。
#53
○政府委員(住栄作君) 御指摘のような事例は、特に就職促進措置の適用をめぐって安定所の窓口において行なわれていると、こういうような面からの御指摘かと思いますが、一般的に申し上げまして、現在、非常に労働力が不足いたしておりまして、企業の求人に対しまして、その充足率も非常に低い。求人があるのにかかわらず、むしろ安定所の立場からはその求人を充足することはできない、こういうのが全般的な大勢でございます。先ほど来申し上げておりますように、できるだけ民間の安定した雇用に就職させるという意味で、就職促進措置の実施をいたしておるわけでございますが、一部地域におきまして、必ずしも求人が十分でないという観点から窓口におきまして御指摘のようなトラブルも起きておるのではないかと思いますけれども、趣旨は、ただいま申し上げましたように、民間の安定した雇用に就職させるということでございますので、いままでもそうでございましたが、今後もそういう考え方で、第一線の安定所の指導に当たってまいりたい、こういうように考えております。
#54
○小野明君 一応私の質問は以上で終わりたいと思いますが、大臣にお尋ねをしておきますが、失業保険の適用拡大という問題は、やはり雇用の安定ということが先決でなければならぬ。失業保険制度というのは、これは当然だんだん減少していかなければならぬ問題ですけれども、いまの制度の中ではそれも無理だし、これをやはり充実拡大をしていかなければならぬ。こういう点を最後に申し上げておきたいと思うのですが、いろいろ先ほどありましたように、政府機関等にも問題があります。やはり抜本的な検討というものをしていただかなければならぬと思います。そういう点で、保険適用の拡大について具体的に、積極的に詰めていただく必要があるわけです。そういった点で、最後に大臣の所信を承っておきたいと思います。
#55
○国務大臣(原健三郎君) 小野先生からいろいろ非常に力強い御意見をるる拝聴いたしましたが、われわれ労働省といたしましても、前向きの姿勢で積極的に実現をはかっていきたい、こう思っております。御了承願いたいと思います。
#56
○小野明君 一応終わります。
#57
○上林繁次郎君 最初に農林省のほうにちょっと聞いてみたいのですが、新総合開発計画に基づく農業政策をどのようにこれを今後講じていこうと考えておるのか、その点からまず聞かしていただきたいと思います。
#58
○説明員(中沢三郎君) 新総合計画を農政上どういうふうに受け取っていくのかという御趣旨の御質問かと思いますが、まことに恐縮でございますが、私担当じゃございませんので、直接的にお答えできるかどうかわかりませんが、お許しいただきたいと思います。ただ、先般、企画庁で公表せられました新全国総合開発計画につきましては、事務的には事実上農林省も参画いたしておるわけでございます。したがいまして、基本的なラインといたしましても、あの計画を頭におきながら、各地域別の農業の振興をはかるという方向で、現在、農政審議会におきまして新たな農政の方向、特に地域的な生産構造というようなものをいかに持っていくかというようなことを含めまして検討しておる段階でございます。
#59
○上林繁次郎君 現在の農業政策の貧困、これが出かせぎ労働者の実態から見て、現在の農業政策の貧困というものかういわゆる失業保険にしわ寄せがきておるのじゃないか、こういう感じもしないわけじゃないのですが、この点については、どういう考え方を持っておりますか。
#60
○説明員(中沢三郎君) 農家からの出かせぎ者が相当ありますことは、御案内のとおりでございまして、私たちのほうの調査から申しますと、ほぼ二十二、三万台でずっとここ数年推移しておるわけでございます。現在御審議なさっておられますところの失業保険との関係でいいますと、これはあるいは労働省のほうからお答え申し上げてあるかもしれませんが、季節的な受給者は、ほぼ五十八万のうち農家出身者が約三割でございまして、十八万ほどでございます。このうち、特に冬ですね、農閑期を利用した出かせぎ者は七万ほどでございまして、あとの十一万ほどは、むしろ農繁期と見られる夏に出かせぎに参りまして、冬に失業保険の受給を受けるという形の出かせぎ者でございます。したがいまして、どちらかと一言えば、出かせぎが主で、農業が世帯員によって家計補充的に行なわれておる、こういう農家は出かせぎ者だというふうに考えられるわけでありまして、問題になりますのは、したがいまして農繁期、もちろん農耕期には農業に従事し農閑期に出かせぎに出るという方々の問題でございます。七万ほどございます数字を地域的に見ますと、七割以上が東北等の出身の方でございますので、やはり米単作という季節性によるところが非常に多いだろうと思いますが、御質問の趣旨の中にございますように、農政の貧困がそういう事態を起こしておるのではないかという御指摘に対しましては、そういう七万ほどの失業保険を受給しなければならないような出かせぎ者がある。その方々が米だけで生活し得て、いわゆる現在の社会におきますところの生活水準を維持し得るならば、私たちもそれに越したことはないというふうに考えますが、ただ、先生御承知のように、農家といわれるものの数が全国で約五百四十万ほどございまして、そのうち八割は兼業農家でございます。出かせぎといいましても、兼業の一つの形態でございまして、しかも、通勤できるような兼業がないということかう、遠くへ妻子と離れて出るという形態をとうざるを得ないということでございます。兼業自身が非常に悪いということのおしかりを受けるならば、これは何ともいたし方がないわけでございますが、現実問題といたしまして、現在の流動化する成長経済下におきまして、五百数十万農家が農家のままで社会的な一般的な生活水準を維持することは、なかなか事実上困難でございます。そういう観点からいいますと、やはり東北等におきましても、でき得る限り雇用の拡大化、地域において拡大されまして、家庭を離れて出かせぎに出るというようなことのないようにしたいわけでございますが、それもなかなかむずかしい問題でございます。現実がそういうことでございますので、農林省といたしましては、家庭を離れ、農業を若干離れまして出かせぎに出るというようなことから起こる弊害をできるだけ少なくしようという観点から、農業委員会を中心に、まあ出かせぎする場合には出かせぎ者の実態を調べまして、グループで講習会を開き、あるいは希望をまとめ、これを職安行政機関に御連絡申し上げまして御協力を得る、あるいは留守家族の生活面なり、農業面におきますところのめんどうを見るというようなことで、現実の行政としては対処しているわけでございます。しかし、何といいましても、農研の面からいいますと、そういう農家ができるだけ農業だけで自立できるということが何よりも中心の政策の目標であるべきでありますので、いろいろの施策を講じてその面の充実をはかってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#61
○上林繁次郎君 あまり的確じゃないと思うのですがね。私の聞いているのは、いわゆる出かせぎあるいは日雇いですね、こういう失業保険の赤字というもの、これが現在の農業政策の貧困、そういう中からしわ寄せされているんじゃないか、こういうことを聞いているわけですね。ですから、総合農政、農業構造の近代化、こういったことを考えているわけですね。そういう中で、そういったものを解消していく方途、農林省としては、そういうものを含めた上で構想を考えているかどうか、こういったことを聞いているわけです。その点どうですか。
#62
○説明員(中沢三郎君) 再度の御質問でございますが、先ほどそういう御趣旨の御質問に答えたつもりでございますけれども、十分でなかったようでございますので申し上げますが、申し上げました趣旨は、出かせぎをやめて、その地域で農業だけを行なうことができる条件が現在の農業の中にないということが一つ考えられるのではないか。もちろんそういう出かせぎ農家を含めたところの農業経営の近代化ということは進めていたしております。共同利用だとか、あるいは集団的な生立組織の育成というようなことを通じまして、そういう出かせぎ農家を含めました農業生産なり、農業経営の向上という施策は行なっておるわけでございますが、それによって出かせぎをやめさせることができるかということになると、なかなか農業サイドだけでは追い切れない問題がございまして、農業をも含めました雇用構造、特に雇用の地域的な構造の問題ではないかというふうに考えるわけでございますが、しかし、現実にそういう農業面におきまして悪影響の起こるような問題もございますので、そういう面につきましては、十分農政面から対処してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#63
○上林繁次郎君 じゃ、労働省のほうでは、いま私が聞いている問題について、どういう考え方を持っていますか。
#64
○政府委員(住栄作君) 率直に申し上げまして、私ども、農業の専業の方は農業だけで生活ができる、こういう体制が望ましいと考えております。なお、そうでない農業従業者の方でもって二次産業、三次産業に就職を希望される方、こういう方につきましては、いろんな援助措置を講じながら再就職がスムーズにいくように、労働省の立場として、いろんな政策を講じていくべきである、こういうように考えておるわけでございますが、その間においてみられます、たとえば農業からやむを得ず季節労働に出る、こういう方につきましては、いろいろ問題はございますけれども、従来講じてきております施策の線に従っていろいろその生活の安定に協力をしていく、こういう考え方で進めていきたいと思います。
#65
○上林繁次郎君 それから、出かせぎ労働者は、建設業というような単純業務が非常に多いわけですね。これらの人たちに対して、いわゆる職業訓練を今後指導していくという、そういう考え方を持っているかどうか、その点ひとつお答え願います。
#66
○政府委員(石黒拓爾君) 農業から二次産業、三次産業、特に建設業、製造業の二次産業に行かれる方につきましては、私どもといたしましては、できる限り職業訓練いたしまして、技能を身につけて技能的な職種についていただくようにしたいと考えております。しかしながら、現実の問題といたしましては、たとえば特に出かせぎの方の場合は、四カ月二十二日と言われますように、一日でも賃金になる仕事をしたい、その間、かりに一月であっても訓練に時間を費したくないというようなお気持ちがおありのようでございます。いままでのやり方におきましては、農業から出られる方に対する職業訓練というのは、きわめて微々たるものしか行なわれておりません。今後は、農業の実態を十分勘案して、何とか訓練を受けていただけるような訓練方法をひとつ開拓いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#67
○上林繁次郎君 それでは、今後の雇用の見通しということについてどういう考え方を持っておるか。現在の状況から言えば、大量の失業というようなことは、ちょっと考えられない、こう思うのです。そういう意味で、この雇用の見通しをどのように立てておるのか、その点についてひとつお答え願いたいと思います。
#68
○政府委員(住栄作君) これは一口に申し上げまして、若年労働力、技能労働力が現在非常に不足しておりますが、この不足基調はますます深刻になっていくのじゃないか、こういうふうに見通しております。これは数字ではっきりわかるわけでございますが、たとえば学卒全体としてみまして、就職希望者が四十一年の百四十九万というのをピークにいたしまして、たとえば五十年においては百十七万になるというような状況でございます。さらに労働力人口の増加数をとってみましても、私どもの計算によりますと、昭和四十年から四十五年間の総数におきましてふえた数が四百八十六万、それが四十五年から五十年、これは推計でありますが、百八十五万、三百万ほど減る。これは五年間の総数でございますけれども、そういうように非常に逼迫基調が続くのではないだろうか。それから、そういう意味で、大量の失業があるかどうか、こういろ問題でございますが、国全体の問題といたしましては、失業者の数にはそう極端な変動はないかと思いますけれども、いろんな企業の合理化、産業構造の変化等によりまして、たとえばある企業、ある地域において失業者が多く発生するというような事態も考えられるのではないかと思いますけれども、全体としては、失業者はそうふえない、こういうように考えております。
#69
○上林繁次郎君 ちょっとめんどうになるかもしれませんがね、日雇い労働者の賃金実態ですね。これをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#70
○政府委員(和田勝美君) 日雇い労働者の賃金を労働省の毎月勤労統計調査によって見ますると、昭和四十三年では、一日当たり千百五十二円でございます。これは昭和三十年に比べますと、約三倍ぐらいの金額になっておりまして、最近著しく改善をされている、こういうことでございます。また、労働省でやっております屋外労働者職種別賃金調査によって見ますると、日雇い労働者の方の賃金は、職種によって多少の差はございますが、常用労働者と比べまして、おおむね八〇%かう一〇〇%をこえるくらいのもので、非常に最近は常用労働者と日雇い労働者の間の賃金格差が縮小してまいっております。
#71
○上林繁次郎君 そうしますと、日雇い労働者の形態というものは、非常に複雑なものがありますね。そこでそういった面、その実態を十分に握っておりますね、労働省のほうでは。
#72
○政府委員(和田勝美君) 日雇い労働者につきましては、基準局といたしましても、また安定局といたしましても、その形態については、大体の把握はできておる、かように考えております。
#73
○上林繁次郎君 問題変えますが、同じ日雇い労働者ですね。そういう立場でありながら、失業保険は保険料を徴収する場合に二段階になっております。今度の法律を見てもそういうふうになっております。日雇い健康保険から言いますと、これは三段階になっております。その区分ですね。いわゆる失保のほうでは二段階になっておる。健康保険のほうでは三段階になっておる。なぜそういう二段階と三段階に分けておるか。これは両方、失保の場合も当然三段階にすべきではないか、こういうふうに考えますが、その点どうですか。
#74
○政府委員(住栄作君) 従来日雇い失業保険におきましては、御指摘のように二段階制をとっておるわけでございます。そこで日雇い健保と違うのではないか、こういう御指摘でございますが、日雇い失業保険の対象になっております労働者は、失対労働者では九割くらいが日雇い失業保険の適用を受けて、一割程度のものが民間の日雇い労働者、こういう状況になっておりまして、そういう意味で日雇い失業保険の対象となる労働者の賃金格差が少ない、こういうことも大きな理由になっておりまして、従来から二段階制をとっておるのでございます。
#75
○上林繁次郎君 それでは、その日雇いの実態ですね、業種別実態をちょっとあかしてくれませんか。こっちで考えていることとちょっと違うんですがね。
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
#76
○政府委員(住栄作君) いまの説明はちょっと間違えておりまして、受給者が失対就労者が九割で、民間の日雇い労働者が一割、こういうことでございますが、被保険者につきましては、失対就労者が六割で、民間の日雇いが四割、こういう構成になっておるわけでございます。
#77
○上林繁次郎君 私の言いたいことは、最近日雇いの賃金というものもぐっと上昇してきております。そこで、たとえば、あれは幾らですか、健康保険のほうでは一級、二級、三級、こういう三段階に分かれておりますね。千円未満と、その次二級が千七百円未満ですか、そうですね。それから二千円以上ですか――そういうことなんで、それは二千円以上の日雇い労働者というのは相当あると思います。そういう面からいうならば、当然この失保の適用に当たってもこの段階をそのように三段階に分けたほうが非常に計算方法も緻密になるし、受けるほうとしても、その中で適正に保険料を受けることができる、こういうふうに考えられるわけです。そういう意味でいま私は聞いているわけです。その点をどう考えられるかですね。
#78
○政府委員(住栄作君) 御指摘のように、日雇い失業保険は千円を境にいたしまして千円以上が七百六十円、千円以下が五百円、改正案ではそうなっております。これは先ほど申し上げましたように、日雇い失業保険の被保険者及び受給者の実態から見まして、賃金の分布がかなり制約されておる、こういうことが一点と、それからもう一点は、日雇い失業保険は日々失業を認定して日々失業保険を払う、そういうことで非常に件数としては多くなりますので、そういう意味で健保と違っております。そういうような理由に基づきまして、制度発足以来、二段階制をとっておる、こういういきさつになっております。
#79
○上林繁次郎君 その辺のところがちょっとはっきり理解できないのですがね。それじゃ、二千円以上をとる日雇い労務者、それは数においてどのくらいあるのですか、段階別に言ってください。
#80
○政府委員(住栄作君) 一般の日雇い労働者の賃金額による区分は、これを確実につかむ資料がちょっと見当たらないのでございます。
#81
○上林繁次郎君 見当たらないと言いますが、どういうことですか、あとでちゃんとするということなんですか。
#82
○政府委員(和田勝美君) 一つの例で申し上げたいと存じますので、お許しをいただきたい。四十二年の屋外労働者職種別賃金調査報告の中で軽作業人夫、男について見ますると、全部で三万九千百七十八人の中で、一番多いのが千二百円から千二百九十九円までの三千五百七十五人。それからその次が千二百円から千二百九十九円までが二千四百六十四人。大体ここらあたりが一番多うございまして、二千円以上になりますと、二千円から二千九十九円までの者が五百四十五人。それから二千百円から二千百九十九円までの者が三百人十人。こういうように、いま申しましたような職種では、そういうばらつきがございます。
#83
○上林繁次郎君 じゃ、結論的に聞いてみますが、私はいま言ったように、やはり三段階にしたほうがきめこまかいのじゃないか。労働者のほうも、上がったとはいいながら、比較的低賃金と、こう言われているわけです。そういう立場から、それをもう一歩やはり三段階にして、きめこまかく見てあげたほうがいわゆる非常に公平になるのじゃないか、こういうふうに考えるのです。そういう立場からこれを三段階にしていくという考え方はあるのか、ないのか。
#84
○政府委員(住栄作君) 現在の三百二十円とそれから五百円、この保険金を受けている者の割合でございますが、五百円の保険金を受けておる者が九五%、三百三十円の者が五%、こういうことになっております。これが七百六十円、五百円、こういうことになった場合に、その比率はどうなるか、こういうように申し上げますと、七百六十円を受ける者が大体三五%、五百円を受ける者が六五%、こういうように私ども推定をいたしておるわけでございます。したがいまして、先ほどから申し上げておりますように、日雇い失業保険の現在対象になっております労働者の賃金の分布から言うならば、非常にそういう千円前後の区分に集約されておりますので、極端な不公平はない、こういうように考えておるわけでございます。
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
なお、前回の改正案のときには、三段階の原案で国会に審議をお願いしている、こういう経緯もございます。したがいまして、先先の御指摘のとおり、賃金の実態にかんがみまして三段階、二段階、こういうような点は十分検討に値する問題でなかろうかというように考えております。
#85
○上林繁次郎君 日雇い労働者の保険料、これは千分率にすると、どのくらいになりますか。
#86
○政府委員(住栄作君) 千分の二十八でございます。
#87
○上林繁次郎君 そこで、一般労務者の失業保険料は千分の十四、いままでは。これを今度千分の十三、こういうふうに引き下げているわけです。不安定な日雇い労働者の場合には逆に引き上げられておる、給付は別としてですよ。この率からいってもそういったことで引き上げられている。そういった点はどういう考え方でこういう状態になっておるのか。片一方は千分の二十八である、片一方は今度は十分の十三である、こういうことなんですが、その辺の考え方は。
#88
○政府委員(住栄作君) 現在の日雇い失業保険の保険料でございますが、一級が二十四円、それから二級が十六円になっております。これを一級につきましては三十六円、二級につきましては二十四円、約五〇先引き上げるわけでございますが、考え方は保険金日額が三百三十円が五百円、五百円が七百六十円になる。この率が五二%強になります。したがいまして、保険金日額のアップ率に比例いたしまして保険料を引き上げる、こういう考え方でございます。
#89
○上林繁次郎君 いまお話ししたことは、日雇い労務者の立場というのは、非常に不安定である、そういう点からいまのような話をしたわけですが、そこで、そうなりますと、この社会保障の定義というものをどういうふうに考えているのか。社会保障の定義をどのように考えておるのか、その点についてひとつ。
#90
○政府委員(住栄作君) 社会保障につきましては、憲法の規定にもございます。私ども、そのように考えておるわけでございますが、失業保険は保険でございますので、やはり社会保障、広義の社会保障ではございますが、やはり保険の原理にのっとった社会保障である。したがいましてやはり収支計算がその前提になっておるものと考えております。したがいまして、収支の観点から保険料というものも規制を受けている、こういうように考えております。
#91
○上林繁次郎君 それでは、あなたの考え方からいうなうば、すべてそういうふうになっていますか、いまの制度は。すべてあなたの考えているとおりになっていますか。
#92
○政府委員(住栄作君) 御発言につきましては、従来、千分の十四が料率になっております。最近の保険の収支状況から考えまして剰余等も出ておりますので、千分の一引き下げまして千分の十三にいたしております。日雇い失業保険の収支状況を見ますと、大体ここ二、三年十数億の赤字になっております。しかしながら、従来の保険料率で申しますと、改正後も千分の二十八、こういう料率は変わらないのでございますが、そういう点につきましては、日雇い労働者の状況をも考慮いたしまして、率としては、従来の率を維持しておる、こういう状況になっております。
#93
○上林繁次郎君 私は、そういうことをほんとうは聞いたのじゃないのですよ。そんなことを聞いたのじゃないのです。
 そこで、わが党では、社会保障制度を制定するについて、憲法第二十五条の規定の理念に基づいて、こういうふうに言っております。国民はひとしく疾病、負傷、廃疾、死亡、老齢、分べん、失業等によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同行為、連帯によって防止し、所得の再配分、再分配的な効果をあげ、もってすべての国民が健全な生活の維持及び向上に寄与すること、こういうふうに言っているわけです。わが党のこういった考え方について、労働省はどういうふうに考えますか。
#94
○政府委員(住栄作君) 先ほど申し上げましたように、憲法の規定からきます社会保障の概念につきましては、御趣旨のようなことも十分考えられると思うのでございます。私ども、同時に、保険制度によってこの制度をとらえておりますので、やはり収支という観念も入らざるを得ない、こういうふうに考えております。
#95
○上林繁次郎君 いま聞いたのは、わが党の社会保障基本法案ですね。それがこういうことを言っておるのだ、それに対して、あなたはどういうふうなお考えを持っているかとお聞きしたわけです。あくまでもあなたは保険料という立場で、収支ということを基本にして考えている、こういうことですか。社会保障という精神、そういうものは全然無視していこう、全然考えない、こういうことですか。
#96
○政府委員(住栄作君) 私ども、先生のお示しのような社会保障につきまして、趣旨としては、けっこうだと思うのでございますが、同時に、失業保険という制度の上から考えまして、やはり保険の原理というものがここに働くのもやむを得ない、こういうふうに思っておる次第でございます。
#97
○渋谷邦彦君 ちょっと関連して。いまの御説明を聞いておりますと、ボーダフイン層――こういうことを申し上げましては、はなはだ恐縮でありますけれども、要するに収入が少ない、保険料率は高い、これはいつも相矛盾した方向できているんですね。失業保険ばかりじゃないと思いますけれども、したがいまして、保険制度のたてまえからということをしきりに強調なさいます。しかし、保険の精神というものは、危険を相互に扶助する、こういうところにやはりねらいがあることは、言うまでもないと思うんですね。したがいまして、一方から見れば、やはり負担を軽くしてあげることも当然必要でしょう。あなたは、先ほど広義の意味に解釈すれば、社会保障という、そういう定義も成り立つということをおっしゃられている以上は、やはりその上に立脚して広義の解釈をなさることがまず適切ではなかろうか。そうなれば、必ずしも収支、収支と一それはわかります、収支の帳じりがきちんと合わなければそれはまずいということは。しかし、その合う合わないということよりも、いかにしてそういう困窮者に対しての救済の手を差し伸べるかというところに政治の恩恵があうわれるかどうかという問題でありますので、その辺は、もっと考慮できないか。私は、いま上林委員の質問を聞きまして、趣旨はそこにあるんじゃないか。こういう点で、労働大臣はいかがでしょうか。
#98
○国務大臣(原健三郎君) 御趣旨は賛成であります。でありますから、そういう御趣旨に沿うように料率その他等々も若干考慮して、はなはだ歩みはおそいんですが、そういう線に沿ってやっていくつもりでございます。
#99
○渋谷邦彦君 念のため。私も、この問題については、過般、本会議においても質問をさしていただきました。あれ以来、前進的なおことばをいただいてないわけです。考慮する、まことにけっこうな、響きのいいことばでありますけれども、考えるならば、いつ、どの時点までに具体的に考えて検討するか、やはりそこまでの親切さがあってよろしいのではないか。やはりこの委員会においては、全国のこうした立場に置かれている人が見守っているだろうと私は思うので、当然そこまで具体的に、政府としてはこう考えていると、期日は大体この辺をめどとして一応の方向づけをする、こういうことならば、まだ話はわかりますけれども、ただ、われわれの質問に対して、御趣旨まことに賛成、これではわれわれ歯がゆい思いですよ。ですから、その点もひとつ労働大臣におかれましても、非常に責任感の旺盛な方だと伺っておりますので、私は、単に調子のいいことばじゃなくて、やはり具体的に、具体性がなければ政治ということはいけないのでありますかう、具体的なやはり回答を特に私は要望しておきたいと思います。これからの審議に当たっても、特にその点は強く希望をしたい、こう思います。
#100
○上林繁次郎君 そういうわけであります。
 そこで、現在、失業保険から傷病手当金というのを支給しておりますね。これを受けている数はどのくらいであるのか、そして金額はどのくらいになるのか、この点ちょっと聞かしてもらいたい。
#101
○政府委員(住栄作君) 四十二年度が最近の実績で一番新しいので、それについて申し上げますと、支給人員が二万五千六百八十人、それから支給金額にいたしまして五億五千四百万円という数字になっております。
#102
○上林繁次郎君 そこで、丁寧にやりますが、失業保険法の第一条を見ますと、「失業保険は、被保険者が失業した場合に、失業保険金を支給して、その生活の安定を図ることを目的とする。」というふうにあるわけです。この点からいくとどうなんですか。
#103
○政府委員(住栄作君) 私ども、傷病手当金は、その趣旨に沿ってつくられた制度であると考えております。
#104
○上林繁次郎君 ちょっともう一ぺん……。
#105
○政府委員(住栄作君) 私どもは、先生お読み上げいただきました第一条の目的に沿った制度であると、こういうふうに考えております。
#106
○上林繁次郎君 そうしますと、これを失業保険のほうから傷病手当金を出すという、そのあり方ですね。それはちょっと筋違いじゃないですか、あなたがそういう第一条というものをはっきり認めるならば。
#107
○政府委員(住栄作君) 期間の問題にもなるかと思いますが、私ども失業中、短期の傷病にかかる、そういう場合もあり得ると、その場合でも、再就職には必ずしも相対立する概念ではない。失業という概念にはまるというような考え方でおるわけでございます。
#108
○上林繁次郎君 第三条を見ますと、「この法律で失業とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいう。この法律で離職とは、被保険者について、事業主との雇用関係」云々、これはいいですね。こういうように第三条にあるのです。能力あるのですか。
#109
○政府委員(住栄作君) 私ども、失業保険で考えております傷病手当金は、非常に短期な場合に、なお、この三条に言っております「労働の意思及び能力を有する」という状態にあてはまり得るものだというように考えておるわけでございます。
#110
○上林繁次郎君 そこで、失業という問題にみんなひっかかってくると思います。それはそれとしておきましょう。そこで、筋からいえば、国民健康保険にしても、いまは皆保険の時代ですね。強制保険です。そういう中で当然この傷病手当金というこの名目のものは、そっちのほうで見るべきじゃないか。そういう制度がないなら別ですが、皆保険という体制下にあるわが国においては、当然そうあるべきが筋でもあるし、正しい行き方じゃないか、こう思うのです。いま聞いてみれば、金額にすれば、今日支給しておるのは五億ですね。日雇いの赤字が幾らなんですか。この五億円というものは、やはりそういう制度を明らかにすれば私は解消できるのじゃないか。また、筋がらいっても、決して間違った筋ではない。いま私が言っておることは、当然そうあるべきがほんとうの姿勢ではないか、こういうふうに考えるわけです。その点どうですか。
#111
○政府委員(住栄作君) 短期でない、長期のものにつきましては、先生の御趣旨ごもっともと思います。そういう意味で、失業保険につきましては、私ども申し上げておりますように、非常に短期のものについて考えておる。こういうように理解しております。
#112
○上林繁次郎君 短期、長期というのはわかりませんけれども、そういう何といいますか、暫定措置といいますか、そういったものがちゃんと明らかになっておるのですか。
#113
○政府委員(住栄作君) 要するに労働の意思、特に能力だと思いますが、それにひっかかる傷病であるかどうか。そういう意味で、傷病の程度の問題あるいは期間の問題、こういうことが関連してくるかと思います。
#114
○上林繁次郎君 短期と言いますけれども、それじゃ、この五億の実態はどうなっていますか。
#115
○政府委員(住栄作君) 私ども、そういうような趣旨で運用しておりますので、その実態については把握いたしておりません。
#116
○上林繁次郎君 その実態をつかんでいなければ、短期だ、長期だと言っても雲をつかむようなものじゃないですか。その辺がわかっていて、いわゆるこの人は何カ月以内であるとか、この人は五カ月以内であるとか、そういうようなあれが明らかでなかったら、うやむやのものになってしまうのじゃないか。そういう意味で、私は大事な問題だと思う。この五億円が浮くか浮かないか、いわゆる日雇い失保の赤字に大きく関係する問題として大事な問題だから聞いているので、その辺を明らかにしてもらいたい。
#117
○政府委員(住栄作君) 非常に遺憾ではございますが、実態を現在つかんでおりませんが、先生の御説もございますので、至急その実態を把握いたしまして真相の究明に当たりたいと思います。
#118
○上林繁次郎君 それでは、その資料を出してもらうとしまして、筋からいえば、私は当然そう思うのです。皆保険下にあって、五億の金があるわけですよ、体制をちゃんとすれば。そこで、当然皆保険下ですから、失業した場合には、直ちに国民健康保険でこれを見るというような体制でいくのが正しいやり方だ、こう思うわけです。その点については、厚生省のほうはどう考えていますか。
#119
○政府委員(梅本純正君) 先生のいままでのお話でございますと、傷病手当金の問題でございまして、医療の保険につきましては、国民健康保険が適用になるわけでございます。現在のところ、国民健康保険には傷病手当金という制度がございませんので、被用使用の関係にございます被用者保険であります健康保険に傷病手当金がついておるわけでございまして、いまの御議論になっております失業保険金を受ける資格のある人々に対する傷病手当金の問題を失業保険法でなくて、健康保険なりあるいは医療保険の部面で見たらどうか、こういうお話だと思いますけれども、この点は、現在、国民健康保険にはこういう傷病手当金その他現金給付の面が非常におくれておりますし、ついておりませんので、今後、少なくとも失業保険金を受けております者につきましての問題といたしまして、社会保障制度審議会の勧告もございますので、将来の問題といたしまして、労働省ともよく相談して検討してまいりたいと考えております。
#120
○上林繁次郎君 そういうわけなんですよ。国民健康保険に傷病手当金がないという、それもわかります。そこで、当然そういった点を早く整備しなければいかぬと思うのです。ですから、厚生省のほうで、そういういま言った問題についてはピックアップしている形になってはまずい。やはりきちんとした体制の中でやっていくべきじゃないか。そういう国民健康保険制度というものがなければ、これは別ですけれども、そういう体制がある以上は、当然、傷病手当ということについては、そっちで見るというのが筋だと思うのです。ですから、そういった意味で、一日も早くその確立というものを考えてもらいたいと思います。
#121
○政府委員(梅本純正君) 御承知のように、被用者保険でございます健康保険につきましては、現在、医療保険の体系におきましては、被用使用という関係で割り切っております。たとえば事実的な問題でございますと、保険料にしましても、事業主負担との折半原則というふうな形をとっておるわけでございまして、失業という形で雇用関係が切れた人を被用者保険にかかえて傷病手当金を出すというふうなお話でございますが、これは、相当基本線に触れる問題でもございます。医療保険の抜本改正その他の際におきまして、労働省とよく相談しまして、前向きの姿勢で検討いたしたいと思っております。
#122
○上林繁次郎君 しつこいようですけれども、私は、それが当然の姿勢である、こういうふうに考えるわけです。
 そこで、一言労働省のほうに聞きたいんですげれども、そういった点をやっぱりもっと積極的にやるべきですよ。赤字だ赤字だと言って、賃金の低い人たちに対して、これを値上げをする、また何日働かなければどうだとか、そういうような規制を加えておる。それは何のためだ、赤字だと言う。そういうところをちゃんと整理して、もっと労働省は積極的に厚生省に呼びかけて、私がいま言ったことは決してそんなに筋が違うわけじゃない、かえってそのほらが当然の姿なんで、そういろ立場からこれを強くやっぱり労働省の立場で押していくべきである。そうすれば、五億という問題は一応解決できる。そうでしょう。ですから、それを言っておるわけです。もっとひとつ真剣にその問題考えて、ほんとうは、そういった問題を解決した上で法律というものを出すべきだ、こら私は言いたいんですが、そういう点どうですか。
#123
○政府委員(住栄作君) いろいろこの制度ができました当時の他の制度との関連等もございまして、先ほど申し上げましたような趣旨で、この制度ができ上がってきておるわけでございます。ただいま厚生省から御答弁がございましたように、他の制度においてその措置が十分できますれば、御指摘のような問題でもございますので、今後は積極的にそういう方向に向かって努力してまいりたいと思います。
#124
○上林繁次郎君 期待しています。
 そこで、今度は大蔵省に聞きたいのであります。昭和四十三年十一月に財政制度審議会の意見が出されました。それを見ますと、こういうことが言われておるんですよ。「最近のように失業保険は経常的に多額の剰余を生じ、他方同じ短期の社会保険である医療保険は経常的に大幅な赤字を生じている状況にかんがみると、社会保険制度相互間において費用負担の調整を行なう必要があろう。」、こういうふうに、昨年の十一月に意見を述べておるんですね。これについて、大蔵省はどういうふうに考えていますか。
#125
○説明員(辻敬一君) ただいま御指摘ございましたように、財政制度審議会におきましては、失業保険の収支状況等にかんがみまして、ただいま御指摘のございましたように「社会保険制度相互間において費用負担の調整を行なう必要があろう。」ということを指摘いたしております。一般論といたしましては、私どもといたしましても、そのとおり必要であろうと、かように考えております。
#126
○上林繁次郎君 先ほど渋谷議員からもお話があったわけですけれども、一般論としてはそういうふうに思っている、そういうふうに考えているということは、そういう方向に今後進めていこう、こういう考え方を持っているのかどうか。そういう考え方を持っているとすれば、その考え方をもとにして、どれだけそういう対策がいままで練られておるのかどらか、こういった点どうですか。
#127
○説明員(辻敬一君) たとえば、御承知のように、昭和三十五年でございますが、このときに社会保険の費用負担を総合調整する、こういう考え方に立ちまして医療保険、年金保険、失業保険通じまして保険料率及び国庫負担の調整を行なったわけでございます。これは御承知のとおりでございます。今回におきましても、たとえば失業保険の保険料率を千分の一下げるということで御審議願っておりますのは、そういうことに関連をたしておる、かように考えております。
#128
○上林繁次郎君 今度の国会で、わが党では社会保障基本法案というものを提出しておるんです。その中で、特別会計を設けるように、この問題については、当然そういう行き方でなければならぬ、こういうふうに言っているわけですが、この点をどういうふうに理解しておるか。特別会計をつくってやっていくべきである、こういうふうに、大蔵省では考えておるかどうか。
#129
○説明員(辻敬一君) 社会保障基本法案に示されておりますような特別会計制度で、一本で運用しようという御提案につきましては、いろいろ点示唆に富むものと考えております。そういうことも参考にいたしまして、今後、社会保障の体系の整備、充実に当たりまして、そういうものを委にいたしまして検討してまいりたいと考えております。
#130
○上林繁次郎君 どうも参考にして考えていくとか何とかいうことは、先ほど渋谷委員にも言わたことばですが、的確に答えていない、こういう感じがするわけです。先ほどから失業保険の問題についてずっとお尋ねをしてきたわけですけれども、いわゆる赤字の場合なんかは国庫負担の弾力規定というものがございますね。どうですか、この弾力規定をもっと目一ぱい生かしたらどうなんですか、その点どう考えておりますか。
#131
○政府委員(住栄作君) 先ほど申し上げましたとおり失業保険全体としましては、現在収支償っておりますので、三分の一の国庫負担の規定の適用はないわけであります。
#132
○上林繁次郎君 それから日雇い失保については四分の一ですか。
#133
○政府委員(住栄作君) 日雇い失業保険につきましては、国庫負担は三分の一でございます。
#134
○上林繁次郎君 それで、一般の失保については、これはどうですか。
#135
○政府委員(住栄作君) 四分の一でございまして、赤字になれば三分の一ということになっております。
#136
○上林繁次郎君 そのところは、もともとがらがら計算をしているわけですから、日雇の失保の場合には、現在三分の一でやっておる。しかし、一般の場合は四分の一ということですね。それを三分の一に上げてもいいんじゃないか、こういうふうに考えるんですが、そういう点についての国の考え方はどうですか。
#137
○政府委員(住栄作君) かつては、失業保険の一般保険につきましては三分の一が原則でございましたが、三十七年の社会保障制度審議会の答申に基づきまして、一般失業保険につきましては四分の一、赤字の場合は三分の一、こういう原則が定まりまして、自来、申し上げたような国庫負担の率になっておるわけでございます。
#138
○上林繁次郎君 いま答えてくれましたか、ぼくの聞いておることに対して。ですから、それは弾力規定からいえば、三分の一まで持っていけるわけですよ、そうでしょう。いずれにしてもがらがら計算をやっておるのじゃないかと思うんです。ですから、国はもっとその弾力規定というものを生かしたらどうだ、日雇い失保に対して。なるほど三分の一いま出ておりますよ。だけれども、一般の場合は四分の一にとどまっているわけですから、三分の一だって持ってこられるわけです。そこで、ぼくの言っていることは、もともとがらがら計算やっているんだから、一般の場合も三分の一まで持ってきたらどうだ、こういうことなんです。そうすれば、それだけあれじゃないですか。
#139
○政府委員(住栄作君) 申し上げておりますように、がらがら計算ではございませんで、日雇いにつきましては三分の一、これは日雇いの保険料の収支によりまして勘定をしておるわけでございます。一般の失業保険の収支につきましては相償っておりますので、と申しますのは、赤字でありませんので四分の一になっておるわけでございます。
#140
○上林繁次郎君 あとから多少その問題に触れますがね。
 それでは、今度は積み立て金についてお伺いしたいんです。これは大蔵省ですね。この積み立て金については、昭和三十五年十月十二日、社会保障制度審議会において答申がなされておる。それは内容はこういうことです。そもそも社会保障制度の総合調整の見地からすれば、社会保険の積み立て金は、将来それが国民年金や厚生年金保険の積み立て金であると、また失業保険のような短期保険の積み立て金であるとを問わず、その一切をあげてこれを総合的な基金制度のもとに管理運用することが本来の行き方である、こういうふうに注目すべき答申をしているわけです。これに対して、どういうふうに考えますか。
#141
○説明員(岩瀬義郎君) ただいまの積み立て金の現行の法律の関係から申し上げますと、失業保険の特別会計法によりまして、決算上の剰余金が生じた場合にはそれを積み立て金としなければならない。そこで、資金運用部資金法のほうに、政府の特別会計の積み立て金はあげてこれを資金運用部に預託しなければならないという規定がございます、いまの年金資金の関係の積み立て金も、失業保険の関係の積み立て金も、すべて資金運用部に預託されるわけでございます。そこの段階で、資金運用部といたしましては、これを特に国民経済、国民生活に非常に密接に関係のある部分に重点をおきまして統合的に運用いたしておるということによりまして、先ほど先生が御指摘になりましたような趣旨のことを、現在、資金運用部の資金の運用の中で行なっておる、こういうことでございます。
#142
○上林繁次郎君 四十四年度末の積み立て金累積額はどのくらい見込んでおりますか。
#143
○説明員(岩瀬義郎君) いま申し上げましたように、決算上の剰余金でございますので、四十四年度末の積み立て金の累積額をただいま適確に見込むことは困難であります。
#144
○上林繁次郎君 失業保険ですよ。
#145
○説明員(岩瀬義郎君) 失業保険の積み立て金は、四十四年三月末で千九百三十億でございます。
#146
○上林繁次郎君 四十四年度ですよ。
#147
○説明員(岩瀬義郎君) ただいま私が申し上げましたのは、決算上の剰余金でございまして、四十二年の決算上の剰余金までが現在積み立てられておりますので、四十四年三月末現在におきましては、千九百三十億でございます。
#148
○政府委員(住栄作君) 失業保険の積み立て金で資金運用部資金へ預託している金は千九百三十億円であると、御答弁申し上げたわけでございます。
#149
○上林繁次郎君 四十四年度は、どのくらい見込んでいるかですよ。
#150
○説明員(岩瀬義郎君) これは各会計が決算を結了いたしまして、剰余金が確定いたしますまでは、積み立て金として計上するわけにはまいりませんので、四十三年度末の決算の剰余金は、ただいままでまだ積み立てられておりません。(「見込み」と呼ぶ者あり)見込みは、したがいまして、推計では出せるかと思いますが、確たる数字は、現在のところ、申し上げられません。
#151
○上林繁次郎君 見込みだから、一応出ぜるのじゃないですか。正確に言えということならば、言えないけれども、見込みを聞いている。ぼくも資料をどうかしたのですが、大体二千三百億くらいになるのですよ。そういう膨大ないいわゆる剰余といいますか、こういったものが出てくる見込みがあるわけです。そこで、この積み立て金の管理運営方針ですね、いろいろな意味からいって、このほかの年金やなんかと違う性格を持った短期のものですね、失保は。そういう立場から、この失業保険の積み立て金に対する管理運営、その点についての方針、それを大蔵省はどのように考えておりますか。
#152
○説明員(岩瀬義郎君) 先ほどから御説明申し上げましたように、積み立て金は、各特別会計からその剰余金が積み立てられて、積み立て金として資金運用部に預託いたされますと、それを一括して統合して運用いたしております。したがいまして、失業保険特別会計の積み立て金も、全体の積み立て金等の資金の運用の中で見ていただくと、う形に相なるわけでございます。
#153
○上林繁次郎君 それでは、最近五カ年間の年次別に失保の積み立て金、この還元融資の状況についてお聞きしたい。
#154
○説明員(岩瀬義郎君) 失業保険特別会計の積み立て金につきましては、還元融資ということはは、実は私ども使っておりませんで、資金運用部資金全体としてどういうふうに運用しておるかという、そういう運用の内容というふうに理解して答えさせていただきたいと思いますが、私ども、いま手元にございます四十年から四十二年までの実績、先生、いま五年間とおっしゃいましたが、三年間でまずとりあえず説明させていただきますが、失業保険の預託金の増は四十年度におきまして九十七億ございます。四十一年度の実績では六十二億、それから四十二年度は百六十億でございます。これは資金運用部の原資全体から見ますと、四十年度においては〇・八%に相当いたします。四十一年度は〇・五%、四十二年度は一%でございます。資金運用部原資全体のそれぞれの各年度におきますところの運用の実績でございますが、これはいま申し上げましたように、それぞれ九十七億、六十二億、百六十億を含めて資金運用部資金全体として運用されておりますので、そのどこに失保の積み立て金が入ったかという御説明は、ちょっとできかねるかと思いますが、資金運用部資金全体の使途別分類によりますが、パーセンテージで申し上げますと、住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、文教施設、中小企業、農林漁業、いわゆる使途別に申しますと、国民生活に最も密着せる部分に対しまして、四十年度の実績では、全体の資金の五五・七%が使われております。四十一年度では六〇・二形、それから四十二年度においては五八・七%。この率は、おおむね年次を経て上がってまいっております。なお、このほかに、国土保全・災害復旧、道路、運輸通信、地域開発を加えて以上の部分で約七七%の資金が使われておる、こういうことでございます。
#155
○上林繁次郎君 この昭和四十四年度の財政投融資使途別分類表、これによりますと、失業保険はどの区分――いまある程度言いましたけれども、ある程度正確に言えるのじゃないですか。どの区分に入っているのか。
#156
○説明員(岩瀬義郎君) 申し上げます。失業保険特別会計預託金の増加額は、先ほど申し上げたとおりでございますが、資金運用部資金といたしましては、年金資金関係と、それから郵便貯金その他の関係とに、二つの大きな分類をいたしております。そこで、失業保険関係の積み立て金のほうは、郵便貯金と同じ分類の中に入れて計上いたしております。したがいまして、明確に出ておりますのは、年金資金関係の使途別の分類は直ちに御説明申し上げられますが、失業保険のほうは、一般の特別会計の積み立て金と同じように、郵便貯金を大部分といたします部分に入れて計上して、お手元に使途別分類表として差し上げてある数字になっているわけでございます。
#157
○上林繁次郎君 分類表はありますよ。ただ、これではどの部分に入っているかということがわからない、失業保険が。
#158
○委員長(吉田忠三郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#159
○委員長(吉田忠三郎君) 速記つけて。
#160
○説明員(岩瀬義郎君) 使途別分類の大分類の中では、全部資金運用部資金の中に一括して計上しております。この失業保険特別会計の分だけを抽出しろということにつきましては、この手元の資料では、全部の中に入っている、こういうことでございます。
#161
○上林繁次郎君 それじゃおかしいので、零細ないわゆる労働者から受けている保険料でしょう。いまそれが全体からすれば、一般のを含めれば約二千億くらいの黒字になってきている。それがどこに入っているのかわからないのじゃ困る。その点もっと明らかにすべきじゃないか。
#162
○説明員(岩瀬義郎君) どこに入っているかわからないということを申し上げているわけではございません。資金運用部資金の中で「年金資金等」というのと「郵貯資金等」という二つの分類をいたしておりますが、この「郵貯資金等」という中に入っているということでございます。
#163
○上林繁次郎君 失業保険というのは、大体短期の収支決算です。こういうものですね。それが約二千億、こういう剰余金を残して、そうしてそれが財政投融資、それによって運用されるということは、そういういま言ったような意味からいって、これはちょっと問題があるのじゃないか、こう考えるのですがね。いわゆる短期の収支決算、そういう立場から、年金や何かと違うわけですから、ですからそういった点をどういうふうに考えるのか。むしろ、もし、そういう金が残っているとするならば、剰余金があるとするならば、保険料を一定期間免除するとか、あるいは給付内容の改善を行なう、そういう面で還元していくべきじゃないか、こういうふうに思うのですがね。その点どうですか。
#164
○説明員(岩瀬義郎君) これは法律のたてまえから論ずることになって恐縮でございますが、積み立て金の運用というのは、決算上出てきた結果としての積み立て金をいかに運用するかという段階でございます。したがいまして、いま先生の御指摘の問題は、そういう積み立て金が生じた場合に、それを制度としてどう考えるかということでございまして、私ども、責任のがれを申し上げるようで恐縮ですが、資金運用部の関係といたしましては、積み立て金が生じた場合には資金運用部に預託して、それを運用するということになっておりますので、発色する積み立て金をどうするかという問題は、制度の問題として別途、先生のお考えになるような考え方もあり得るかと思います。しかし、現在のたてまえからいたしますと、特別会計に生じました決算上の剰余金は、すべて積み立て金としてそれを資金運用部に預託せよということになっておりまして、失業保険特別会計だけでなく、すべての特別会計の積み立て金が預託されている、こういう形になっているわけでございます。
#165
○上林繁次郎君 私は、そんなことを聞いているんじゃないのですよ。いわゆる短期収支決算をする、そういう立場だ。そういう立場で財政投融資――それは法律の上からいえば、そういうふうに郵便貯金なら郵便貯金に預かる、それはわかります。そういったことを言っているんじゃない、いまの段階では。そういうものを財政投融資の中で運用されるということには問題があるんじゃないか、こう言っているわけですよ。
#166
○説明員(岩瀬義郎君) この積み立て金が生じました場合に、それを運用しないで、どっかに積み立てておくということは、国の立場から見ますと、非常にむだがあるかと思います。それから、各特別会計に生じました積み立て金をそれぞれいろんな目的に、ただばらばらに運用いたしますということも、これまた国としてむだがあるかと思います。そこで資金運用部というものがございまして、そういったいろいろな金をそこに集めまして、総合的に運用していくというところに資金運用部資金というものの意味があるわけでございます。いま、たいへん恐縮でございますが、資金運用部資金法第一条に――これは郵便貯金が主体でございます。これも国民の零細な金でございますが、郵便貯金とそれから特別会計の積み立て金、こういうものを総合して資金運用部に集めて、それを国民の生活に役立てるように効率的に運用しろということが法律の第一条に書いてございます。その趣旨で失業保険特別会計の積み立て金も入れておるわけでございまして、それを特別に別途運用しろと、こういうことにつきましては、私ども、いまの制度の上から御説明いたした場合には、そういうふうになっておらないという御説明をしたわけでございます。
#167
○上林繁次郎君 ですから、あなたの話を聞いていると、余っているものは、いまの制度の中でこういうふうにする以外にないのだ、こういうふうに言っておるわけです。そのあとに、私はこういうふうに言っておるわけです。むしろその保険料がそういうふうに黒字になって余ったということならば、これを一定期間たとえば免除する、外国の例からいってもそういう例がある。そういうことで給付の内容を改善するとか、そういう面でこれを使ったらいいじゃないか、こういうふうに言っているんです。また、あと議論としては出てきますけれどもね。
#168
○政府委員(住栄作君) 失業保険に余剰金があるのだから給付改善に充てたらどうか、こういう御指摘かと思いますが、失業保険は、短期保険ではございますけれども、単にある一年度だけの収支ということではなくて、ある程度中期的な意味での不測の事態にも対処しなければならない。現に、失業保険法におきましては、失業保険の保険料の年間総収入額が千分の十六を下回り、千分の二十四を上回った場合は、労働大臣は保険料率を下げろという規定がございます。現在の約二千億円の積み立て金は、保険料収入額の一・三倍程度でございます。したがいまして、その程度の積み立て金は諸外国の例から見ましても、決して多いものではございません。そういう意味で、失業保険としましては、その程度の積み立て金を持って失業の不測の事態に対処していく、そういう意味で余剰金を資金運用部に預託をいたしておるわけでございます。
#169
○上林繁次郎君 さっきは、こういうことを言いましたね。そういう不測の事態ということは、応考えられない、いわゆるいまは産業の発展から人が足りない時代ですから、雇用というのは、率からいえば非常に高まっているわけですよ。そういう中で不測の事態ということは、あなたは、どういうことをさしているのか。さっきそういう答えをしたのですよ。そういった大量に失業とか、そういう不測の事態は、ちょっといまのところは考えられない、部分的にはあるかもしれない、全体からいえば、そういうことはおそらくあり得ないであろう、こういう答弁だったと思う。それと食い違うじゃないですか。
#170
○政府委員(住栄作君) 私が申し上げましたのは、全体として失業が特に増加する、こういうことでは必ずしもないのじゃなかろうか、ただ地域なり企業の合理化等に伴う失業は、これは考えられる。しかしながら、と同時に、最近の状況をいいましても、労働移動ということがかなり高まってきております。と申しますのは、企業間の労働者の移動、その間における摩擦的な失業、こういうものはやはりある程度、今後とも現在程度はあるのではなかろうか、こういうように考えております。
#171
○上林繁次郎君 その点は二千億という金ですよ。ですから、ことしの見通しからいっても、大体二千三百億くらいになるだろう、こう考えられるわけです。そういった面からいえば、あなたの心配は要らないのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。
 そこで、じゃ、それはそれとして、もう一面から、外国で積み立てているのを見ても、この程度の積み立てば決して多いものではないだろう、こういうことを言ったわけですよ。あなたは、そう言ったけれども、同じ敗戦国である西ドイツでは、一カ年の保険料を取らなかったときがあるのですよ。これをあなたはどういうふうに考えますか。ただ、あなたの立場から、一面からだけでなくて、西ドイツではそうやって剰余金が出た、いわゆる零細なそういう失業保険受給者にこれを還元し、一年間保険料をストップした、こういうことが実際に行なわれておる。こういったドイツの状況と日本の状況とどう違うか、あなたのいままでの論理からいって。
#172
○政府委員(住栄作君) 西ドイツでは、現在積み立て金が三倍、オランダでは二倍、アメリカでは三・五倍、スイスでは十倍、この程度の積み立て金を持っております。
#173
○上林繁次郎君 それじゃ、日本ではまだそこまで積み立ててないからやれないと、こういうわけですか。
#174
○政府委員(住栄作君) 先ほども申し上げましたように、失業保険法の規定では、積み立て金が年間の保険料収入額の一四%を下回り、保険数収入の積み立て金が一倍以下になる、その場合には保険料率を上げなさい、それから二倍以上になると保険料率を下げなさい、こういう規定になっております。現在の積み立て金は、収入総額に対しまして一・三倍でございますので、大体そう多い積み立て金ではないというように考えております。
#175
○上林繁次郎君 だから、私の言っておるのは、多いとか、少ないとか言っておるのじゃないのです。あなたは、積み立て金が二倍あるいは三倍よその国ではあるのだ、こういう話をしたから、だから日本では二千億というの少ないのか、こう聞いておるわけですよ。いま、あなたは、失業保険のほうの規定ですか、そういったことを持ち出しましたよ。しかし、西ドイツではそういうふうに還元したときに法律がなかったのか。やはりそれは法律を改正をしてそういったものを還元をしていくと思うのです。ですからそういう積極的な考え方を、あなたが持っているのかどうかということをさっきから聞いているわけです、結論的には。
#176
○政府委員(住栄作君) 私は、少ない、多いということではございませんが、現在の給付の規模等から比較いたしまして、そう過大な積み立て金ではない、このことを申し上げておるわけであります。失業保険の給付の改善につきましては、いろいろ不十分ではございますけれども、いろいろな点で給付の改善はいたしておるわけでございます。と同時に、申し上げておりますように、保険料率も千分の一下げて、その間の収支の状況を調整をしておる、こういうことでございます。
#177
○上林繁次郎君 それはわかりますよ。いま、あなたの言ったことはわかる。だけれども、見通しとしては、いま言ったように、ことしは二千三百億、このくらいになる見込みですよ。あとで計算しなさいよ、わからなけりゃ。そうなると、あなたのほらの論法から言えば、西ドイツではそういった還元方法を考えて、実際に実行されたわけだが、あなたの話を聞いていると、決して多いとは考えられない、日本のいまの剰余金は多いとは考えられない、こういうわけです。それならば、これがだんだん積み重なって、三千億あるいはそれ以上になったときには、そういうことをやる考えがあるんだ、裏を返せば。そういうように解釈をしていいですか。
#178
○政府委員(住栄作君) 先ほど申し上げておりますように、そういう場合は、まず料率を下げるという措置を講ずべきだと思います。
#179
○上林繁次郎君 どうもぴったり当てはまらないんですがね。そうなりますと――きょうは、ちょっとむずかしいのじゃないかな。どうもはっきりしないですがね。
 それじゃ話題を変えますがね。使途別分類表によると、二千億からの金が郵便貯金等の資金に入れられているわけですよ。郵便貯金というのは、任意性のものでしょう。失業保険というのは、これはあくまで強制加入ですよ。そういうものと同一の項目に取り扱うというところに私は問題があると思うのですがね、どうですか。片や任意、こっちは強制です。
#180
○説明員(岩瀬義郎君) 御指摘のように、郵便貯金と同じ性質ではございませんが、年金資金のほうは、これは非常に長期の積み立てを目的として、積み立てられた資金でございます。それから失業保険のほうは、御承知のように、短期給付でございまして、先ほど御議論がございましたが、場合によっては、一たん緩急ある場合は引き出される可能性があるという資金でございまして、その点においては、郵便貯金と、預けられるところの目的は違いますけれども、資金の分類としては、同じ分類に入れたほうが適当であるというふうに考えております。
#181
○上林繁次郎君 そうしますと、私の言いたいところは、この郵貯――この分類表を見てもわかるのですけれども、いわゆる直接被保険者に関係のない、大企業、大資本に還元されておる、そういうふうに考えざるを得ないのですよ、この表を見ると。よく見てください。それは、私は、問題があるんじゃないかと思うのです。そういう意味で言っているわけですよ。
#182
○説明員(岩瀬義郎君) 使途別分類を先ほどちょっと申し上げましたので、繰り返して恐縮でございますが、四十二年度の実績では、先生のお手元の資料では、財政投融資全体となっておるかと思いますけれども、資金運用部に預けられているものでございますから、資金運用部資金だけで見ました場合には、資金運用部資金の全体で、原資が、四十二年度に一兆七千三百十七億ございます。それからその中で、失業保険の積み立て金が百六十億でございます。全体としては、要するに一%に当たるわけでございますが、その一兆七千三百十七億をどういうふうに分類しているかということを申し上げれば、その一%分が同じように分類されているとごらんいただいてけっこうかと思います。そこで、先ほど申し上げました住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、中小企業、農林漁業、ここまでで約五九%を運用している、こういうことでございます。そのほかに道路、運輸、通信、地域開発、国土保全、災害復旧を入れますと、全体で約七七%に相当するものがそれに使われているということでございます。したがいまして、資金運用部の中での使途別分類では、先生御指摘のような国民生活に密着した部分というものに約七七%近いものが使われている、こういうことになるわけでございます。
#183
○上林繁次郎君 それでは、聞きますがね。この分類表を見ますと、基幹産業というのがある。年金資金等ではこの基幹産業というところには使われていない。実際、郵貯には、いわゆるこれが幾らなのだ、郵貯のところを見ますと、基幹産業に相当な額がやはり出されているわけですよ。この分類をしてください。この失保の剰余金ですね。そこからどのくらい、パーセントじゃなくて、どのくらい使われているのか、この基幹産業に。そういう心配があるから、いま聞いているわけです。
#184
○説明員(岩瀬義郎君) 資金運用部資金の使途別分類は、いま申し上げました以外に、基幹産業、輸出振興という分類があるわけでございますが、これとても、国民生活というか、国民経済の発展の上においては重要な部門であるというふうに考えておりますが、ただ、この使途別の分類は、年次によって、昭和三十六年ごろからの傾向をとってみますと、相当変わってきております。ということは、日本の基幹産業が、国際競争力をつければつけるほど、国としては、その部分に対する資金の使途を少なくて済ませるというかっこうになっております。また、いまの分類でいきますれば、基幹産業、輸出振興の中に失保の資金が幾ら入っているかと言われれば、その部分は、お手元の表の中から一%分、それぞれの一%と一応お考えいただいてけっこうでございます。
#185
○上林繁次郎君 まあ、突っ込んで聞けばいろいろ出てくるのですけれども、そこで、基本的な考え方としては、先ほど言ったわけです。こういうものは大資本に流れるということじゃなくて、還元すべきである、こういうふうに言っているわけです。そういう考え方が正しいのじゃないかということを言っている。だから、少なくとも、あなたのいまの論法からいけば――大企業の発展というものは大切なんだ、国民生活に。そんなことは、あなたに言われなくたってわかる。それならば、なぜ年金等、こういったのは大企業に支出しないのですか。
#186
○説明員(岩瀬義郎君) 資金運用部資金につきましては、資金運用審議会の委員が、いわゆる学識経験者七名の方によってその資金運用部資金の使い方についての御審議をいただいております。そこで建議がございまして、年金資金につきましては基幹産業、輸出振興については使わなくてよろしいが、その郵便貯金その他につきましては基幹産業、輸出振興に対しても、必要なものは使ってよろしいという御建議に基づきまして、この使途別分類ができ上がっているわけでございます。
#187
○上林繁次郎君 私の言っているのは、あなたの先ほどの話のいわゆる基幹産業というものは大事なんだ、国民生活に非常に大きな役割をなすのだ、だから、それならば年金資金等もその中に入れたらいいじゃないか。ここではそう言っていないのですよ。こういうふうに言っていますね。厚生年金と国民年金とには、大蔵省と厚生省の間でもって、積み立て金の運用方針についてと――失業保険の積み立て金については運用方針がないわけですよ。この厚生省と、それから大蔵省とですか、この間には年金についてはあるわけです。ところが、失業保険についてはないのです、はっきりした運用方針というものが。これを見ますと、国民年金積み立て金等の運用方針と、こうあります。これは私が読まなくても見ればわかるわけです。こういうものはあってしかるべきだと思います、失業保険にも。こういうものがないから郵貯に入って、どこへ使われているかわからない、こういうふうに言えると思う。だから、少なくとも、この失業保険というのは、もし還元できないとするならば、少なくとも1、2、3、この辺のところまでにとどめるべきである、こう思いますね。少なくとも大企業に、大資本にこれを融通するというような姿にはならない。もっともっと被保険者に還元されるような、そういう姿勢で臨まなければならないと、こういうふうに思うわけです。だからそらとすれば1、2、3、この辺のところまででとどめるべきではないか、こういうふうに考えるのです。その点どらですか。
#188
○政府委員(住栄作君) 失業保険の剰余金は資金運用部資金に預託しておるわけでございますが、その場合、融資をする場合の項目の整理等につきましては、大蔵省と、先生の御趣旨を体しまして、今後の問題として至急検討はしてみたいと思います。
 それから、もう一点、失業保険につきましては、そういう明瞭な還元ということではございませんけれども、雇用促進事業団を通じまして、失業の予防と再就職の促進という観点から、たとえば労働者住宅あるいは労働者の福祉施設、あるいは職業訓練施設、通年雇用設備、身体障害者の作業施設等に対しまして融資制度をとっておるわけでございまして、私ども、失業保険の金につきましては、先生の御趣旨を体しまして、そういうような意味で、融資等でできるだけ被保険者の役に立つように考えてまいりたいと思っております。
#189
○上林繁次郎君 いま、たとえば大蔵省と厚生省の間では厚生年金について積み立て金等の運用方針がある。こういったものを失業保険にもつくるべきだ、こういうことです。こういうものがないからいけない。それを明らかにすべきだ、こういうことです。
#190
○政府委員(住栄作君) 失業保険につきましては、短期保険の性格等もございまして、年々積み上げてきました結果が二千億に現在なった、非常に膨大な金額になってきた現在におきまして、厚生省の例にもありますように、そういう趣旨で大蔵省と折衝してまいりたいと思います。
#191
○上林繁次郎君 そこで、きょうは大臣からは何にもお答え願わなかったが、全般にわたって、大臣が、いままで議論された中でどのようにこの問題について考えているか、その点についてひとつ確信のほどを伺います。
#192
○国務大臣(原健三郎君) 上林先生の御趣旨、終始一貫して、やはり積み立て金が多過ぎるから給付改善をやるべきであるということが根本的に非常に強調されましたのですが、その線に沿って給付の改善等については、衆議院のほうでも附帯決議がついておりますので、これを必ず前向きで積極的に給付の改善につとめます。
#193
○中沢伊登子君 上林先生は、だいぶこってりと奮闘されましたから、私は、委員長の初めの御要望もございますので、簡潔に明瞭に御質問申し上げます。なお、いまの上林先生の質問では、大臣のあまり御答弁がございませんでしたので、私は大臣に五、六問の質問をして終了したいと思います。ほんとうは、ずいぶんいろいろ私も考えてまいりましたが、質問も相当重なっておりますので、端的に御質問を申し上げます。
 まず、初めに、季節労働者の通年雇用の対策を強化すべきだと思いますが、この点について労働大臣の御所見を伺います。
#194
○国務大臣(原健三郎君) このことにつきますて、季節労務者の通年雇用対策をやるべしということを各委員の諸先生から強調されておりますが、私も同感でございます。
 それで、いま考えておりますことはだいぶいろいろございますが、季節労働者の通年雇用につきましては、労働省においては、四十一年度から通年雇用設備融資制度を設け、通年事業のための設備の導入等による企業基盤の強化をはかっていきます。
 第二番目に、昨年度からは通年雇用奨励金制度により、冬期事業の実施に伴う諸経費の増高を一部補助することといたしております。
 第三は、関係行政機関に働きかけて、公共事業の冬期施行の促進をはかる等の措置を講じているところであります。
 今後におきましても、さらにこれを積極的に推進する必要があるため、今回の改正においては、関係事業主から特別保険料を徴収し、これを季節労働者の通年雇用対策のための費用に充てることとした次第でございます。これらをきわめて積極的にやる考えでございます。
#195
○中沢伊登子君 次に、女子の結婚退職者に対しては、失業保険金は支給されておりません。しかし、失業保険にかわる何らかの給付金を支給すべきだと考えております。たとえば脱退一時金的なもの、このようなものを支給すべきだと考えております。結婚したために、自宅が非常に遠くなって働けなくなったというような場合もございますし、制度として、働く意思があってもやめさせられるというような事業所もございますし、また、自分が働こうと思っても、いままでの慣行として結婚のために何か働きにくくなる、そういうような場所もございますし、あるいはまた労働力が非常に不足しているので、結婚をしますかうということでなければやめられないような場合もございます。そういうようないろいろな例がございますから、かけ捨てにならないように、何らかの給付金を支給すべきだと思いますが、その点はいかがでございましょうか。
#196
○国務大臣(原健三郎君) お説は、いろいろ非常にこれは微妙な点がございまして、いままで結婚には差し上げないことになっておりましたが、いろいろ御意見を聞いてみますと、まことにごもつともな点もございますので、脱退給付金を差し上げるというような方向に向かって、関係審議会にそういう答申を求めて、その答申を基礎にして前向きに考えてまいりたいと思っております。
#197
○中沢伊登子君 先日から、労働問題では、女子のパートタイマーのことについて二、三質問を申してまいりましたけれども、きょうは、ここでもひとつパートタイマーについて御質問申し上げておきたいと思います。それは、一般パートタイマーの雇用というものが一般の労働者の就業規則を適用せずに、またパートについての特別の就業規則も作成をしていない場合がございます。そのために、労働条件が不明確で、その地位が不安定となったり、いろいろな問題を生ずるおそれがございます。そのために、特に失業保険あるいは健康保険、厚生年金等への加入率は低いのではないかと考えられます。それは臨時的の性格のために、現行の社会保険制度になじめないのか、あるいは手続が非常にめんどうだから加入しないのか、あるいはパートタイマー自身が夫の被扶養者として保険の適用があるので、社会保険加入を好まないのか、これらの三つの例があるかと思いますが、その辺はどうでしょうか。そこで積極的に社会保険に組み入れていくような指導や助言をして、社会保険に組み入れていくような方向をとられてはどうか、この点についてお伺いいたします。
#198
○国務大臣(原健三郎君) 御指摘の点は、最近においては、就労時間も長くなり、雇用期間も長期化するという傾向がございます。それで賃金などの労働条件についても、就業規則等において明らかにされる例も増加して、だんだんよくなっておるようでございますが、まだ依然としてどうも一般雇用の人と差別をされていることは、御指摘のとおりであります。でありますから、このような実態をよく考慮して失業保険の適用を行なうことといたしておるのであります。今後も、パートタイマーの就労の実態等に即応して、適宜適用の拡大をはかって、失業保険で処理いたしたい。社会保険でなく、失業保険でこれの適用をもっと緩和しながらやっていきたいと、こう思っております。
#199
○中沢伊登子君 不正受給の納付命令制度について、前回からずっといままで各委員の方々の御質疑が行なわれてまいりました。おおよその問題点が明らかになってまいりましたが、不正受給そのものの取り扱いはどうなっているのか、説明をしていただきたいと思います。たとえば一種類の給付で不正受給があれば、他の保険給付の取り扱いはどうなるのですか。具体的に言って、今回の扶養手当の十円の不正があっても他のすべての給付がもらえなくなるのでは、あまりにも酷ではないか。ともかく納付命令の問題以前に不正受給金の取り扱いに問題がないのか、あるいは福祉施設に移した就職支度金に不正受給があれば一体本来の保険給付はどうなるのか、こういったような点について、もう少し詳しく説明をしていただきたい。
#200
○政府委員(住栄作君) 御指摘のように、従来失業保険の基本給付と扶養加算、扶養手当、こういうものが失業給付として一体になっておりましたので、たとえば扶養加算額について不正がございますと、失業保険全体の不正といたしまして、その返還命令が全体にかぶっておりました。今回の改正におきまして、扶養加算と基本給付と別にしておりますので、扶養加算の間違いによる基本給付への影響がないようにいたしております。さらに、就職支度金等につきましても同様な事例があったわけでございますが、いま申し上げましたような趣旨におきまして、それぞれの給付について考えてまいりたい、こういうように考えております。
#201
○中沢伊登子君 最後に、労働大臣にお伺いをいたします。
 私どもは、原案に賛成をしている立場として、いまのお話しのように、軽微な不正受給に対してはその扱いをゆるめて、悪質なものに対しては納付命令制度を設けるなり、厳格な態度で臨むことには賛成でございます。しかしながら、やはり納付命令制度を運用するに当たっては、労働者に酷にならないように、格段の御配慮をお願いしたいと思いますが、労働大臣の御決意を伺いたいと思います。
#202
○国務大臣(原健三郎君) いま中沢先生の御意見、全然同感でございまして、軽微な、善意な多少の不正などにつきましては寛大にやる考えでございます。ことさらに悪質な、最前も質問がありお答えしましたが、そういう悪質の最前申し上げたようなものに対しては、こういう制度を適用いたしますが、なるべく働く人々自体に酷になるようなことは一切やらないようにしていきます。
#203
○中沢伊登子君 いろいろ質問がありましたが、相当重なっておりますので、私の質問は、これで終わらしていただきます。
#204
○大橋和孝君 それじゃ、ただいままでいろいろ詳しい質問が出ておりましたけれども、私は最終的に詰めまして、大臣に要約した点を九点ひとつ質疑をしてみたいと思います。時間もだいぶ迫っておりますし、ひとつ簡単にやりますから、明確な答弁でぴしぴしとやっていただきたい、こう思います。
 第一問は、この被保険者の期間の端数の計算方法をさらに緩和をいたしまして、たとえば基礎日数十四日を七日とするなど、二以上の事業所で通算して資格をつけることを容易にすべきである、こういうふうに思うのでありますが、いかがでありますか。
 また、六年後の新法施行の際に、この計算方法によって改正すべきである。新法が施行された際には、こういう計算方法に改正すべきであると私は思うのでありますが、大臣の決意はいかがですか。
#205
○国務大臣(原健三郎君) 大橋先生にお答えします。正確を期し、明確にお答えいたしたいと思います。
 今回の被保険者期間の改正に伴い、二以上の事業所で通算して資格をつけることを容易にするため、満一カ月未満の端数でも、雇用期間が十五日以上であり、かつ賃金支払い基礎日数が十四日以上の場合には、これを切り捨てず〇・五カ月として計算する制度を新たに設けております。
 この端数計画の方法は、満一カ月として計算される者との均衡を考慮し、また、通常の場合は、雇用期間と賃金支払い基礎日数とは一致すること等を考慮して定めたものであり、これによって相当な効果があるものと考えております。
 なお、新法施行の際、端数計算方法の緩和に関する改正については基礎日数を七日とするなど、御指摘の点を十分考慮し、改正の方向で対処する所存でございます。
#206
○大橋和孝君 次に、不正受給の納付命令制度は、他の社会保険にも例はなく、失業者に酷なものと考えるのでありますが、不正受給が増加しておるのは、不正受給防止のための行政努力が足りないからではないか。また、不正受給の実態の把握が不十分であると見られるのでありますが、このようなことで納付命令制度の適正な運用がはかられるのか疑問に思うのでありますが、この点はいかがでございますか。
#207
○国務大臣(原健三郎君) お答えします。
 不正受給につきましては、職業安定行政の本旨にかんがみ、摘発よりも指導、予防につとめるべきであることは、御指摘のとおりでございまするので、この趣旨を十分に生かした納付命令制度の運用をはかりたいと存じております。
 なお、本制度の基準は、中央職業安定審議会に諮問することとなっておりますので、その諮問の際には、御質問の趣旨を十分尊重し、特に悪質な事案についてのみ本制度を発動する考え方を基本といたしまして、慎重に基準を作成してまいりたいと存じます。
#208
○大橋和孝君 次に、失業保険制度は、保険給付によって失業者の生活の安定をはかることを本旨とするものであります。福祉施設は、従たる事業であるにもかかわらず、行政庁の一方的な判断によって運営していることは不当であると思うのであります。何らかの形で適正な運営をはかることを考えるべきだと思いますが、いかがでございますか。
#209
○国務大臣(原健三郎君) 福祉施設は、失業の予防と就職の促進を目的とするものであって、失業中の生活の安定を目的とする保険給付に対しては、御指摘のとおり、その性質上従たる立場にあるものであります。したがって、今後、福祉施設につきましては、失業保険制度の本旨に従い、中央職業安定審議会の意見を十分に尊重して、一定の基準を作成し、節度ある適切な運営をはかってまいる所存であります。
#210
○大橋和孝君 五人未満事業所への適用拡大に伴い、労働保険の適用徴収の一元化を行なうこととなっておりますが、将来、大幅に増加することが予想される適用事業所の事務処理については、行政サービスの低下をもたらすようなことがあってはならない。また、そのしわ寄せが事務担当職員の労働強化をしいることになることも許されない状態だと思うのであります。この点について、政府は、いかに対処するお考えでありますか、お考えを聞いておきたいと思います。
#211
○国務大臣(原健三郎君) 労働保険の適用徴収の一元化に当たりましては、行政内容の低下、関係職員の労働強化をもたらすことのないようつとめるとともに、労使関係者に過重な負担がかかることのないよう必要な予算措置、定員の確保等、保険事業の運営に十分留意してまいりたいと思っております。
#212
○大橋和孝君 被保険者期間の改正が延期される六年間に全面適用を実現し、地元の就労機会の拡大を行なうことが必要であると思うのでありますが、この条件がととのわない場合には、六年の期間を延長するか、あるいは現行に戻す考えであるか、この点についても、明確にひとつ答弁を願っておきたいと思うんです。
#213
○国務大臣(原健三郎君) 今回の被保険者期間の改正は、制度の健全性を確保するための必要やむを得ない措置として行なうものでありますが、その影響を緩和するために、被保険者期間の通算についての措置をとっているところであります。この通算の措置は、適用範囲が拡大され、地元での就労機会が多いほど実効があり、したがって、被保険者期間の改正の影響も緩和されるものと考えられます。衆議院における修正は、このようなことも考慮して行なわれたものと考えますので、政府としては、御指摘のようなことが実現するよう努力し、できるだけ影響の緩和につとめるつもりであります。なお、万一御指摘のような全面適用がなされない場合には、被保険者期間の改正規定の施行については、これを延期するなど、御趣旨が実現するよう対処してまいりたいと存じます。
#214
○大橋和孝君 物価の高騰、賃金の上昇のおりから、一般失業保険金の低等級を削除し、最低日額を引き上げるべきだと思うのでありますが、いかがでございますか。
#215
○国務大臣(原健三郎君) 失業保険金の最低日額につきましては、昨年十月に、二百四十円から三百円に引き上げたばかりのところでございます。
 また、最低日額の引き上げは、従来は、最高日額の引き上げの時期に合わせて行なってきたところであります。しかしながら、最低日額及び低等級者についての給付率の引き上げにつきましては、最高日額の引き上げとは別個の見地から、低等級者の失業中の生活実態等を考慮し、等級別受給者の推移、最低賃金の決定状況等も見ながら、今後におきましても、十分に検討してまいりたいと存じております。
#216
○大橋和孝君 労災保険の給付基礎日額の最低額についても、失業保険の最低保険金額の引き上げに準じて、すみやかに引き上げを行なうべきであると考えるのでありますが、いかがでございますか。
#217
○国務大臣(原健三郎君) 給付基礎日額の最低保障額については、労災保険審議会において、保険給付の改善に関連して審議されておりますから、その結果を待って御意見に沿うよう善処いたしたいと存じております。
#218
○大橋和孝君 今回の労災保険法の改正案は、適用拡大についてのみでありますが、最近の諸事情を見ると、労災保険についても保険給付の改善が必要であると考えるのでありますが、御意見いかがでございますか。
#219
○国務大臣(原健三郎君) 労災保険の保険給付については、昭和四十年の労災保険法改正によって、年金化を中心とする改善を行なったところであります。しかし、その後、遺族補償など保険給付を改善することについての要望があり、昨年来、労災保険審議会においてこれらについての検討が行なわれております。審議会の検討の結果は、本年秋ごろまとまるとのことでありますので、政府としては、この結果に基づき、御意見に沿うよう善処いたしたいと存じます。
#220
○大橋和孝君 農林水産業につきましても、すみやかにその適用拡大をはかるべきと思いますが、いかがでございますか。
#221
○国務大臣(原健三郎君) 農林水産業の当然適用につきましては、附則修正の趣旨を尊重し、他の業種に対する適用拡大の状況等をも考慮しました上で、適切な方策について検討してまいりたいと考えております。
 なお、農林水産業のうち、年間を通じて事業を行ない得る業種については、任意適用制度の活用により、極力適用範囲の拡大をはかってまいる考えであります。
#222
○大橋和孝君 最後に、特別保険料の制度によって、労働者が事実に反して任意退職として取り扱われ、不利益をこうむることとなるのではないかと思うのでありますが、この点について、明確に御答弁をいただきたいと思います。
#223
○国務大臣(原健三郎君) 公共職業安定所におきましては、正確な離職事由の把握につとめているところでございますが、これを一そう徹底し、労働者が事実に反して任意退職として取り扱われることのないよう、従来にも増して行政運営上特段の配慮をしてまいる所存であります。
 なお、特別保険料の徴収対象から除外されます任意退職者のすべてが給付制限を受けるわけではないのでありまして、正当な理由のある者は、給付制限を受けないこととなっております。
#224
○大橋和孝君 終わります。
#225
○委員長(吉田忠三郎君) 他に発言もなければ、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案外二案についての質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#226
○委員長(吉田忠三郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより三案について討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#227
○委員長(吉田忠三郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案、労働保険の保険料の徴収等に関する法律案、及び、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を問題に供します。
 三案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#228
○委員長(吉田忠三郎君) 多数と認めます。よって、三案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#229
○大橋和孝君 それでは、いまの失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案外二案に対しまして、附帯決議案を提出いたしたいと思います。
 その案文を読み上げたいと思います。どうか御賛同を願いたいと思います。
#230
○委員長(吉田忠三郎君) ただいま述べられました大橋和孝君提出の附帯決議案を議題といたします。
 ――別に質疑もないようですから、これより本案の採決をいたします。
 大橋和孝君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#231
○委員長(吉田忠三郎君) 全会一致と認めます。よって、大橋和孝君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
 ただいまの決議に対し、原労働大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。原労働大臣。
#232
○国務大臣(原健三郎君) ただいま御決議をいただきました附帯決議の御趣旨を体しまして、善処いたしてまいる所存でございます。
#233
○委員長(吉田忠三郎君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#234
○委員長(吉田忠三郎君) 御異議ないものと、さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後六時五十四分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト