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1949/05/31 第5回国会 両院協議会・合同審査会等 両院協議会会議録情報 第005回国会 両院法規委員会 第9号
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1949/05/31 第5回国会 両院協議会・合同審査会等

両院協議会会議録情報 第005回国会 両院法規委員会 第9号

#1
第005回国会 両院法規委員会 第9号
昭和二十四年五月三十一日(火曜日)
   午後二時十五分開議
   〔参議院両院法規委員長藤井新
一君が会長となる〕
 出席委員
   衆議院両院法規委員長
           高橋 英吉君
   理事      松澤 兼人君
           尾関 義一君
           佐瀬 昌三君
           眞鍋  勝君
           林  百郎君
           鈴木 幹雄君
   参議院両院法規委員長
           藤井 新一君
   理事      新谷寅三郎君
   理事      伊東 隆治君
           鈴木 安孝君
           羽仁 五郎君
  委員外の出席者
   衆議院法制局長 入江 俊郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
 國会法第十三條の解釈に関する件
  ―――――――――――――
#2
○会長(藤井新一君) ではただいまより両院法規委員会を開きます。
 前会に引続き、まず最初に議題とすべきものは、國会法第十三條の点ですが、前回の委員会においては、採決に至らずして、次会にこれを決定しようというところまで持つて來ておつたのですが、本日はまずこの問題から取扱つて議題にいたします。
 参議院の方では、この十三條は参議院の権威のために、このままの方がいいではないかという意見がその後において擡頭して來ておる。これをかりに、前回の委員会においてのようにしても、このままに置いても同じものじやないかという意見でございます。しかしながら十三條の解釈は、衆議院の解釈をもつて決議をするということになればはつきりするので、そういう意味合いからするならば、この前に申したように、参議院が議決しないときは、衆議院の議決したところによるとしても同じことですが、この十三條の解釈については二つの解釈があるところに法律の妙味があると思うのです。
#3
○衆議院両院法規委員長(高橋英吉君) 法律の妙味というのもおもしろい表現ですが、しかし具体的に問題が起るたびに紛爭の種をまいて、その紛爭の具体的な現われがああいうふうな大騒動だというようなことになる可能性が十分あるような重大な條文ですから、これはやはり、解釈の妙も含むというのでまかせておくばかりでなしに、はつきりしたことにしておいた方がよいと思うのです。現に参議院でもその点について、今言われたように二つの解釈があるわけでしよう。だからどうしてもこれは一つの解釈にできるような法文にした方がよいと思うのです。たとえばこれは別な問題だけれども、國会に証人を呼んだときの僞証罪の問題ですが、親告罪であるかどうかというので、一審と二審とで判決が違つた、解釈が違つたというので、これは向うの方でもそういうふうな一審と二審で解釈が異なるような法文でなしに、もつと明確なものにしろというので、今度親告罪にすることになつて、來議会に出すようになつておるのです。そういう意味で法律は疑義が少い方が、すべての点においてよいのでないかと思うのですが、いかがですか。
#4
○委員(羽仁五郎君) 國会法第十三條が制定せられましたときに、この「両議院一致の議決に至らない」というときは、参議院が議決しない場合も含めて理解されるのか、理解されないのか、その当時の速記にそれが含むと理解された意味の速記があるという方と、それから、いやそういうのはないというのと二説あるようですが、これは事実どうなんでしようか。
#5
○衆議院両院法規委員長(高橋英吉君) これはたしか参議院が議決しない場合も包含しておるのだという答弁であつたと、私は記憶しております。
#6
○委員(羽仁五郎君) 私もこれははつきりしたいと思つておりますが、御承知のようにごたごたしておるものですから、はつきりしないのですが、私の部屋の藤田議員の知る限りでは、それを含めたというような速記はないといわれるのですが、はたしてその点はどうなのか。
#7
○会長(藤井新一君) 本日記録を拜見いたしたいというのは、羽仁委員の御希望でしようが、私もその希望です。
#8
○委員(羽仁五郎君) それによつて決するか決しないかは別問題として、記録の上でわれわれの先輩たちはどういう御意見を持つておられたのか、参考になると思うのです。
#9
○会長(藤井新一君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#10
○会長(藤井新一君) 速記を始めて。――ただいま羽仁委員から御質問がございましたが、十三條はこういうことをいつております。
 大池説明員から、國会法十三條について「以上二箇條、第十一條、第十二條の場合におきまして、両議院の議決が一致しない場合はどうなるかと思われますので、本條文におきまして、これらの場合においては、衆議院の議決が優先するというように規定されました『両議院の一致の議決に至らないとき』と書いておりますのは、これは必ずしも参議院と衆議院の議決が一致しないときだけをさすものではなくて、衆議院側において議決したにもかかわらず、参議院側において議決しなかつた場合も予想しておるのでございます。」とございます。昭和二十一年十二月十九日の第九十一帝國議会衆議院國会法案委員会会議速記録第一回に右のように載つております。
#11
○衆議院両院法規委員長(高橋英吉君) 解釈論としては、多数説はおそらくそういうような大池氏の説明通りだと思うのですが、現にその解釈に二つがあつて、その解釈に承服しない人があつて、紛爭の原因となつておるし、先ほども言つたように、この問題は、会期がいよいよ切迫して分秒を爭うというときに、必ず問題が起つて來るのです。その分秒を爭つて会期を延長するかしないかというときには、とかく関係者は必死になつておるので、どうしても今度のような間違いが再び三たび以上繰返されることになりはしないかと思うのです。そういう意味において、そういう紛爭の禍根を永久に断つという意味で、これをはつきりさせておいた方がよいのではないか。
#12
○委員(羽仁五郎君) 今御説明がありました第九十一帝國議会衆議院國会法案委員会速記録の大池説明員の説明は、よく私わかりましたが、大池説明員の説明が必ずしも決定的だということにもならぬわけで、本会議等におきましてはどういうふうになりましたものか。また当時の貴族院においてはどういうふうに理解されましたものか。それらの点も詳しく調べてみなければならない。これは前会にも私の考えを一應お聞き取りをお願いしたわけですが、これがあまりに解釈の余地がないように決定されてしまいますと、つまりあり得ます六つの場合において、六つとも衆議院の議決によるということになります。つまり第十一條で「臨時会及び特別会の会期は、両議院一致の議決で、これを定める。」この場合に、三つの場合があるわけです。両議院が一致の議決に到達して場合、これはもちろん衆議院の議決がそのまま通るわけです。両議院の議決が一致しない場合、この場合ももちろん衆議院の議決が通るわけです。それでこの場合は参議院が議決をしないということはあり得ないことです。臨時会あるいは特別会の会期を当然参議院は定めるわけですから、第三の場合というものはあり得ない。この三つとも衆議院の議決によらなければならない。さて今度は会期延長の場合三つの場合があるわけです。一致した場合は、もちろん実質において衆議院の議決による。それから一致の議決に至らない場合には衆議院の議決による。残された最後の第六の場合が、衆議院が延長を議決したけれども、参議院がその與えられたる使命に從つてこれを考えて、そうして延長すべきでないというように考えられるように場合があつて、それで参議院が議決しないというように場合があり得るのではないか、もしこれがないとすれば、――想像される六つの場合において、いずれも衆議院の議決によるというのであれば、法律の文面においても、この前申し上げましたように、両議院一致の議決という言葉を必要としない。臨時会及び特別会の会期並びにこの延長は衆議院の議決によるというようにせられるのが正しいのであつて、この前田中委員から実質においてはそうだが、しかし両議院一致の議決ということが法律の上に書いてあることによつて、両議が一致しようとする努力をする、そのためにこれがあるのでという御意見がありました。この御意見もなかなか傾聽すべき御意見ゐありますけれども、しかしながら、そういう両議院に一致の努力をさせようとするならば、その六つある場合の一つぐらいの場合は、あるいは参議院の意思というものが何らかの意味を持つようにせられることが妥当ではないか。それで第二院が設けられておるわけですから、第二院は第一院をあくまで尊重する。これはいうまでもないことですが、しかしそのことは同時に第一院が第二院の意思を完全に無視せられてよろしいということにはもちろんならない。從つてこの二つの間をどう調和するか、六つある場合、五つの場合において、衆議院の議決によつて決せられる。しかし六つある場合のただ一つの場合ぐらいにおいては、参議院の意思というものがある程度の意味を持ち得る。これが先ほど委員長の言われた法律のうまみというようなものであるのでないか。そうでなければ、これがはつきりきまつてしまつて、六つとも結局実質において衆議院の議決によるのであるということになるのであれば、田中委員が言われましたような意味の両議院が一致の努力をするという必要もなくなつてしまうのです。ある程度までは参議院の意見を聞くが、しかし参議院がなお議論を続けておるならば、結局これは衆議院がきめるのであるというのであつて、一致の努力をするという貴重な努力が、おそらくはなされにくくなるのではないが。ただいま高橋委員のおつしやいましたような紛擾が起ることを、われわれはおそれなれればなりませんが、しかし弊害をおそれるの余り、その法律が目的としておるところの最も高い目的、すなわちできるだけ両院が一致の努力を盡すという余地をもなくしてしまうということは、あるいは角をためて牛を殺すというようなことになりはしないか。そういう意味でいわゆる法律家は成文法の体裁を整えることに全力をあげるのですが、われわれとしてはそういう從來の日本の法律家の考え方というものを打破しなければならぬ。長い間日本にはいわゆるコンモン・ローというものがなくて、ただ成文法だけしかない。成文法の体裁を整え、成文法の解釈によつて万事を決する。このために根本的に悲惨な結果をも招いたことでもあるので、このコンモン・ローの精神をわれわれが徐々につくつて行かなければならぬ。これは法律の條文によつてつくられるものではなくして、衆議院及び参議院が一年一年を実際の事実の上において。その事実はあるいはときには悲しむべき事実もあるかと思いますが同時に喜ぶべき事実もあるので、その悲しむべき事実が起つたからといつて、ただちにそのコンモン・ローを建設することの努力をなくして、成文法の体裁だけを整えて行く方向に行かれることは、日本の民主主義及びこの國会の発展というもののために、私は愼重に考えなければならぬのではないかというように考えます。結論といたしましては、十三條は、制定せられた時にもいろいろな解釈があつて、いろいろな討論が行われて、われわれの先輩もさまざまな討論をした結果、現在のような條文に落ちつかれたのだと考えますので、今日ただちにこれを改めるということがない方が妥当ではないかというように考えます。
#13
○会長(藤井新一君) ただいま羽仁委員からこれが制定当時の氣持を聞きたいという、重大なる御発言があつたと思うのですが、入江さん御承知ならば、國会法をつくつた当時の氣持を御説明願いたい。
#14
○衆議院法制局長(入江俊郎君) この國会法をつくりました当時、私は政府の法制局におりましたが、この國会法の立案につきましては、衆議院及び貴族院の事務局が主になつてつくりまして、そうして制府の方は國会のことであるからして、できるでけそれにおまかせしようということで、きわめてパァッシブな態度をとつておりました。内容についていろいろな説明を聞き、意見を申し上げた点もありましたけれども、そういうことであつて、今の十三條等についても、それほど深い意見なり研究なりを当時の制府としてはしておらなかつたのであります。大体において立案者として衆議院の当時の大池書記官長が説明をした。それでもつて立法したときの氣持は現われておると思うのでそれ以上私として他につけ加えて申し上げる事項は、この十三條についてはないのであります。
#15
○衆議院両院法規委員長(高橋英吉君) 羽仁委員の至妙な理論を拜聽いたしまして、大いに敬意を表する次第でありますが、この問題は総理大臣の指名の場合と同樣に、はつきりした結論を出さなければ、非常に大きな弊害を惹起する事案だと思うのです。それで総理大臣指名の場合にも、参議院が議決しないでも、衆議院の方の議決によるというようなことになつておる。これは憲法の方ですが、憲法は非常に愼重にやつたから、そういう場合も予想してやつたと思うのですが、國会の方の場合は、法制局なんかも充実していないし、運営委員会で大ざつぱにやつて現実に今度のように場合が生ずることはおそらくなかろう。参議院において議決をしないというような場合は、絶対なかろうということで、了承したのではないかと思われるので、この点に対して大した議論もなく、結局こうした方がよいということでなくして、現実にそういう場合の予想がなかつたがために、こういうような程度の表現でとどまつたと思うのですが、精神は結局総理大臣の場合と同樣に、國会の会期の延長なるものは、差迫つた重大問題で、絶対的な結論を早急の間に出さなければならぬというような問題で、ほかの議案のように審議未了のままでよいとか、次の國会に持ち越してもよいというものとは違うのですから、ただいま羽仁委員のようないろいろの考え方から余裕を持たすということも、一應考えられるかもしれませんが、とにかく絶対的のものであると思うので、そういう意味において、どうしても、これは明確にしておいた方がよいと思うのです。大体今度は議長とか副議長なんかも、解釈論としては大池氏の説明のように解釈しておつたために、大した問題も起らなかつた。ああいうふうな紛擾が起つたにすぎなかつたと思うのですが、もしこれが反対の解釈も持つておる議長、副議長であつたら、たいへんなことになつたのではないかと思うのです。だからこれはどうしても何かその点についての解釈に承服しない方があり、説が二つにわかれておることになれば、ここでどつちかはつきり一つにしておいた方がよいでないかと思いますが、いかがですか。
#16
○会長(藤井新一君) ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#17
○会長(藤井新一君) 速記を始めて。
#18
○委員(羽仁五郎君) さつきも申し上げたことを繰返すようなことになつては、はなはだ恐縮ですが、やはりイギリスなんかの例を見ても、アメリカの例を見ましても、両院が一致し協力して行くということは、何によつてできるかと言えば、やはり両院の法律の條文によつてではなくして、事実の行動によるのである。またその際には、場合によつては、いわゆる輿論がこれに反映して行くという余地をも存せしめておく必要があると思うのです。あまり微細にわたつてことごとく決定せられておれば、輿論も働きかけるすきがないし、從つて輿論も興味を失つてしまいます。いわゆる法律のメカニズムが自動的に、オートマティックに動いて行くということになつてしまつて、両院の議員としてもまた輿論としてもここに働きかける余地がないということになつてしまうことは。やはりおそるべきことではないかと思うのであります。大体において今落ちつくべきところに落ついていると考えられますので、これ以上はつきりさせるというお考えならば、私としてなお議論しなければならぬと思うのですが、現在のようなところで、最初に会長が言われましたような、そういう意味の法律のうまみというものも存して置かれることを、私としては希望するわけであります。
#19
○委員(新谷寅三郎君) 十三條の問題につきましては、立法論は別としまして、解釈論としましては「両議院一致の議決に至らないとき」と書いてありますのは、両議院が議決をして、その議決をした結果が一致しない場合も、一院が議決をする運びに至らなかつたときも、両方包含されるということは、ほとんど明瞭じやないかと思う。この点につきましては、手続上いろいろな規定が欠けておりますし、またこまかい規定がまだ追加されないと、不備であるということは認められるのですが、この國会法全体の精神を通じまして、この十三條の解釈論は、今申し上げたように解釈する以外に方法はない。私もこの解釈が決して不当なものではないというように考えます。
#20
○委員(伊東隆治君) 私も意見をちよつと申し述べてみたいのですが、私はむしろ解釈論としては、十三條は不作爲の場合は含んでいないと、こう思うのです。それは憲法第六十七條との関係ですが、憲法のごときこういう大綱をきめる法律の中で、不作爲の場合がはつきりきめてあるのに、その下に申しますか、こまかいことをもつときめてもよい國会法において、不作爲の場合をきめてないということは、その対象から見ましても、この場合はどうしても先ほど羽仁委員からしきりに言われたように、両議院の議決の一致をあくまでも要求しておるということをきめた非常な貴重な條文じやないか、こう思うのです。しかしこれの運用にあたつては、また別の問題でありますけれども、解釈論としてはそういうような見方でこの解釈の立て方を考えてみていただくわけには行かぬでしようか。
#21
○委員(新谷寅三郎君) 伊東委員と多少意見が違うのでございますが、憲法第六十七條には、第二項で「意見が一致しないとき」「指名の議決をしないとき」というように書きわけてある。ところがこの國会法十三條は「両議院一致の議決に至らないとき」という字を特に使つてある。これは両議院一致の議決をしないときというふうに憲法六十七條の第二項の前段と同じような書き方をしておりますと、片一方の参議院が議決しないときはもちろん入らないと思うのです。しかし言葉は書きわけてある。違つた字が使つてありますので、「両議院一致の議決に至らないとき」というのは、両院が議決をして、その結果一致しないときも、一方が議決をするに至らないときも、両方入る。解釈論としてはそう考えざるを得ない。字句が違いますから私はそう解釈します。
#22
○委員(佐瀬昌三君) 羽仁さんの御意見も、私非常に一理ある解釈だと思うのですが、解釈論としては、この前の法規委員会の意見として大体まとまつた結論が妥当である。ただいま懇談的に尾関、新谷両委員から述べられた通り、私はその解釈に賛成したいのであります。先ほど高橋委員から言われたように、政治論として、もし反対の解釈で参議院の行動を律せられた場合には、実際問題として非常に國会の運営上支障を來すということはこれは明白なことで、そういう弊害を避ける意味においても、私はこの忠実な憲法及び國会法に対する解釈によつて、これを避ける態度をとるのが法規委員会としてのとるべき道ではないかと考える次第であります。新谷委員が言われたように、文理解釈としてもこの用語を区別しておるということは、やはりそこに憲法五十九條、六十條、六十七條に対して國会法十三條を比較した場合に、当然出て來る結論である。解釈論としてはもう異論を入れる余地がないという確信を持つものです。
#23
○衆議院両院法規委員長(高橋英吉君) この解釈論としては、ほぼ一致しておつたと思いましたから、いろいろなことを申さなかつたのですが、たとえば文字解釈としても、國会法の八十六條の内閣総理大臣の指名のときの第二項に「内閣総理大臣の指名について、両議院の議決が一致しないときは、参議院は、両院協議会を求めなければならない。」すなわち両議院の議決が一致しないときとなつておつて、十三條の「両議院の一致の議決に至らないとき」というこの文字と違うわけである。「議決が一致しないとき」というのと「議決に至らないとき」というのは、相当そこに同じ國会法の中にある文章としては、意味を異ならしめておるものだというように私ども解釈するわけです。そういう意味から言つても「両議院一致の議決に至らないとき」は、不作為の場合も含めた廣いあらゆる場合を包含しておるものだというように解釈してよいのではないかと思う。
#24
○委員(羽仁五郎君) 私は皆さんの御解釈に別に反対する意味ではないのですが、私自身としては、いわゆる世間一般の法律解釈、ことに日本の從來の解釈のやり方の弊害を非常に思うものですから、うるさく申し上げてはなはだ恐縮ですけれども、この國会のほんとうの会期をきめるということが、非常に重大なことだと思うのです。私はほんとうの会期をきめた以上は、延長ということについて、かなり問題がここに起つて來ると思う。延長を別に重大な問題だと考えない考え方には私は承服しかねるのですが、やはり本会期をきめるということは、かなり重要なことであつて、從つてこの場合には参議院が議決をしないということはあり得ないのです。從つてこの場合には、参議院が議決に至らないときということを規定する必要がないのですね。しかし延長することがよいか惡いかということは、ある意味においては輿論の批判にもまつべきものがあると思う。これはちよつと話が違いますけれども、どういう場合に議事を遷延することが許されるかといえば、フィルバスターの場合、議事が遷延しておる間に輿論が起つて來て決定してくれる。その決定によつて國会は議事を促進し、あるいは議事を促進しないというように、やはり國会として輿論が反映する幾ばくかのチャンスというものを持つべきではないか。本会期の場合は、両院ができるだけ一致の努力をして、それでも一致しないときは衆議院がおきめになる。これが重大なことなんです。延長の場合に、いわゆる大した問題ではないというようには、私はどうも考えられないのです。先ほど伊東委員も発言せられましたように、この十三條はやはり両院が一致する、その努力を求めた意味において、非常に貴重な條文であると思うので、この点についての解釈についても、相当愼重を期する必要があるのではないかというように考える次第です。
#25
○委員(尾関義一君) ごもつともな理論ですが、前会すでに私は解釈の問題は決せられた問題だというように考えていました。皆樣の御意見にも相当な理由があるのであります。しかし私は「一致の議決に至らない」という規定の中には、議決しなかつた場合も当然含めておるものであると解釈をすべきであると深く信ずるものであります。ことに國会法案が委員会において審議せられました場合の大池氏の説明によりましても、單に議決が一致しない場合のみでなく、いわゆる議決に至らざる場合も含まつておるものであるという趣旨の説明があつた次第であります。それによつて、委員会もその趣旨によつて國会法十三條の制定がなし遂げられたのである。立法の当初における精神を尊重いたされまして、解釈は今申しましたように、当然議決の一致に至らざる場合も含まれておるものであるというように御解釈を願いたい。ただ今後これをいかに疑義のないように定めるかという問題は、これは愼重研究の上後日に讓るということにいたしまして、本日は十三條の一致の議決に至らないという場合も、当然衆議院の議決が優先的な効力を持つものであるというように決定せられんことを希望いたします。
#26
○衆議院両院法規委員長(高橋英吉君) ちよつと羽仁さんが根本論をせられたから、私も根本論をしてみたいと思うのですが、大体休会というのはみだりにすべきでないと思うのです。それでここで嚴重な規定があるのです。しかし会期延長というのは、かりに政府が要請したような場合には、絶対に審議してもらわなければならないという一つの議案があるのだから、これは会期を延長すべきが原則だというように私は思うのです。しかしその議案というのは政府が考えておるほど必要なものではないまたそういう法律案なら法律案をつくるべきでないということになれば、それはその審議によつてそれぞれの使命に基く修正なり否決なり意思表示をすればよいわけだから、政府が國政上必要だと称し、信ずる議案を出した場合に、会期の延長に應じないということは、これは國会としてとるべき態度でないと思う。國会の会期を決定する自主性というものは、これは決して政府の提案を審議しないというような形において、この会期との関係を解決するということではなくて、その出た議案がかりに政府提出でなくても、議員提出にしても、その議案の審議期間は、自主的に決定するということであつて、出た議案というものは必ず義務的にそれを審議すべきものである。審議しなければならないところの義務があり、それに対する明確な意思表示をしなければならぬ義務と権利があると私たちは信じておるわけです。從つてそこにどうしても審議してもらわなければならないという政府なり國会議員の意思表示があれば、大体において原則としては審議をしなければならない義務がある。從つて会期を延長するのが原則だというように私ども考える。從つて会期を延長するということに対しては、会期の長短は別問題として、意思表示をしなければならないにもかかわらず、参議院が意思表示をしない場合においては、衆議院が長短いかんにかかわらず会期の決定をした場合には、それに從つて会期は延長せらるべきであるというように、会期は延長すべきことが原則だというような考え方から、私どもは今の解釈も、その結論が結局その大原則に合致するという意味において賛成するのです。休会の方は権限の縮小であり、いろいろな意味においてよほど嚴重にしなければならぬということの反面から言つて、そういう結論になるのではないかと思うのですが、どうでしよう。
#27
○委員(羽仁五郎君) 御説まことにごもつともですが、今御説を伺つておりましても、現在の政治的雰囲氣の中で、高橋委員長が今の御説をなさるということはごもつともだと思うのです。しかし政治的雰囲氣がかわれば、あるいは違つた御議論をたまわるようなこともあるのではないかと思います。やはり両院法規委員会としては、さまざまの場合を考えて行く必要がある。また最近ああいう事件が起つたばかりのところですから、これも私は決して高橋委員長の主観をあげつらうのでなく、私自身の議論も、現在の政治的雰囲氣の中で非常にゆがめられておるのではないかということを自分でもおそれますので、いま少しわれわれが大局に立つて、いろいろな場合を考え得るような場合に讓るべき節も少しあるのではないかという感じがするのですが……
#28
○委員(佐瀬昌三君) 大体論議は出盡したと思うのですが、要するにこれをいかに取扱うかというだけの問題が残つておるように見受けるのであります。これを改正するということは、今まで羽仁委員その他から出た意見を勘案してみましても、十分愼重に檢討する余地がまだあるので、この際は前会の解釈を当法規委員会として再確認する程度で、今後両院がこれを実際上いかに解釈するかということをもにらみ合せた上で、將來の改正問題に移るということに扱つておいたら穏当な行き方ではないかと思うので、一應私の意見を申し上げておきます。
#29
○委員(羽仁五郎君) ただいまの御意見に私賛成です。
#30
○委員(新谷寅三郎君) 私もただいまの御意見に賛成です。少くとも改正の問題につきましては、なお他に問題もありましようし、この問題につきましても、先ほど申し上げたように、いろいろ詳細な点を考慮した上で改正案をつくる方がよいと思います。この際には、解釈といたしましては、法規委員会としては十三條は両方が包含されるのだという解釈だけでも大体おきめ願つておけばよいと思います。
#31
○会長(藤井新一君) どうですか、大体御発言が済んだと思うのですか。
#32
○委員(眞鍋勝君) 私もそう思うのです。解釈はどつちでも、お話を聞くと皆さんごもつともですが、根本は法の運営は人にありで、事実は私ら法規委員会がその名の通りとすれば、法規ばかり取扱うのでしようが、よつて來たるところは私は人であろうと思う。運営にあり、人にあると思う。そういう点から見ると、いわゆる法規をこまかくきめたところが、人によるのであつて、今日われわれが最も痛感をするのは、どうも法規ばかりをやつておるけれども、法律なんていうものは時の政府が都合のよいように法規を解釈しても困る。それは大所高所から見る必要があるのであつて、われわれ皆さんのような法律くろうとではないけれども、十三條あたりも簡單明瞭であると思う。「至らないとき」というのだけれども、いろいろなことを含んでおるのであつて、それを論議するのは私は実はほんとうから言うと氣にいらぬ。私はもつと参議院にしろ衆議院にしろ、道義というか、道徳というような点から見ると、いくらこまかくきめておいても、幾らでも議論が出ると思うので、運営委員会に行つてみても、われわれなら五分やれば結論が出るものを、五時間もやつて結論がつかぬのだから、結局人の問題であると私は思う。しかしてこの法規委員会に私お諮りしたいことは、われわれの方もそうですか皆さんの方から見てもそうであろうが、参議院のあり方という点からひとつ皆さんの方も御研究を願いたいのです。実は今日伺つたのは、そういう話を皆さんと御相談しようと思つたわけです。
#33
○委員(伊東隆治君) 私解釈論について異論を申し述べました関係から、もう一言会議の大体の方向と正反対のことを申してほんとうに恐縮しごくでありますが、こういう考え方もあるということを御参考までに聞いておいていただきたい。第十三條の不作爲の場合を含む含まぬの問題を論議しておりますのは、参議院が、この前のように会期をおしまいにしてしまおうとか、流すことを考えた場合に、どうしても政府側の立場からいえば、今までのような議論が強く生まれると思いますが、反対に参議院の方において、どうもこの議案は、衆議院の方においては十日延長とおつしやるけれども、参議院はじつくりと審議してみたい。二十日間を要する。今度はそれを延長することを考える場合があると思います。私なんか現に今まで國会においてはむしろもう少し延長してもらいたい。重要な案件がわずか二分、三分によつて決せられるということは、ほんとうに参議院の存在理由がないとすら思われて、非常に遺憾に思つたことがあります。そういうことからして、むしろ引延ばす――アメリカにフィルバスターという言葉がありますように、先ほど來羽仁さんがおつしやつておられるように、やはりその間輿論の反響をも見るということからして、参議院がことさらに長くすることはよろしくありませんが、そこにやはり十分の審議期間をとつてやることがよい。参議院の方から考えますと、そういうように考える。その意味におきましても、私はどうしてもこれは両院の一致した議決によるのだとまで、はつきり解釈を主張するわけでもありませんが、その心持がむしろ七割、八割盛られてこそ、貴重なる條文ではないか。なるほど議決に至らないときという言葉の上の解釈はありますが、この種の解釈論はすでに当代においても、おそらくあとを絶つておる議論だろうと思います。やはり精神を見て、また両院の運用の妙味をそこに考えて、この解釈論だけははつきりしないで、またその勧告もしないのでございますから、一應このままやつて行くというところに妙味がありはしないかと思います。
#34
○委員(羽仁五郎君) ちよつと問題が別のようなんですが、先ほど参議院のあり方ということについて言及せられましたが、道徳上ある人が自重する心持を持つか持たないかということは、その人に対してわれわれが相当重きを期待するかしないかということと、よほど関係があると思う。そういう意味で、参議院の権限を縮小せられれば、参議院として自重せられることがますます軽くなるのでないか。そういうような意味合いからも、これはデリケートな問題でありますが、参議院の態度について衆議院側からいろいろ御批判のあることは承知しております。また参議院においてももちろん私たちの尊敬する同僚各位は、十分反省しておられると思いますので、どうしたらば参議院がみずから重んずるという方向に向つて歩くかという点についても、愼重にお考え願い、この際の解釈におきましても、参議院の解釈の余地がないような方法をとりますことは、あるいは御期待の目的と反対の方向に行くことがあるのでないかとも考えられますので、その点愼重なるお考えをいただきたいと思う次第であります。
#35
○委員(伊東隆治君) 賛成。
#36
○会長(藤井新一君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#37
○会長(藤井新一君) では速記を始めて。――参議院が議決に至らないときは、衆議院の議決によるというような解釈をして行きたいと思います。これに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#38
○会長(藤井新一君) 多数でございます。よつてそういうような解釈をいたすことに御異議ないものと認めます。――ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
  ―――――――――――――
#39
○会長(藤井新一君) 速記を始めて。
#40
○委員(新谷寅三郎君) 実は國会法の六十八條の問題について聞かれて、私の一應の意見を言つておいたのですが、ちようどこの法規委員会が開会中でありますので、できれば法規委員の方に六十八條についての御意見を伺つてくれということを緑風会の方から頼まれておりますが、六十八條には「会期中に議決に至らなかつた案件は、後会に継続しない。但し、第四十七條第二項の場合は、この限りでない。」そうして四十七條第二項に「常任委員会及び特別委員会は、各議院の議決で特に付託された事件については、閉会中もなお、これを審査することができる。」結局継続審査の規定です。これは具体的に申しますと、今、参議院の方では懲罰問題がございます。会期が延長になるのかならないのかこれは知りませんが、おそらく今日だけの会期ではこの懲罰事犯は結論に至らないのでないか。ところで第六十八條から参りますると、継続審査をして、次の会期まで持ち越して結論を出すことができるかどうかという六十八條の解釈問題になるのでございますが、六十八條の解釈を一應してみますと、会期中に議決に至らなかつた案件は、後会に継続しないのが原則であります。但し、第四十七條第二項の場合はこの限りでない。四十七條の第二項の場合は、後会に継続するということを但書でうたつておるものと考えるのでございます。新憲法ができます前は、おそらく会期不継続の原則によつて、すべて、ことに懲罰事犯のごときは、あとに続かなかつたという建前であつたと思いますが、懲罰委員会というのはやはり四十七條のいわゆる常任委員会になつております。常任委員会に特に付託された案件で、会期中に議決に至らなかつた案件は。後会に継続するということを六十八條の但書はうたつておるのであります。こういうように、この点は十三條の問題よりも、もつと明らかなように私は考えるのでございますけれども、ちようど入江法制局長もおられるようでありますから、立法当時のこともお聞きしたいと思います。またできれば法規委員の方の御意見もこの機会にお聞かせ願えれば非常にけつこうと思います。
#41
○委員(羽仁五郎君) 私は先ほど申し上げましたように、両院法規委員会が常に冷靜に、常に大所高所から審議をしなければならないという特別な任務を持つておる。そういう意味から、この事件が起つておるその雰囲氣の中で、ことに私自身を顧みまして、なかなか冷靜に大所高所の議論がしにくいことは私自身はなはだおはずかしいのですが、痛感しておりますので、ただいまのような問題が本日ただちに取上げられることは私としては希望いたしたくないのであります。
#42
○委員(新谷寅三郎君) 羽仁委員に申し上げますが、私はこれは別に懲罰事犯をどうしようというような考えで言つておるのではないのです。ただ國会法の解釈について、両院法規委員会のような超党派的な委員会で、冷靜な判断をしておかないと、またそのときになつて問題を起すようなことがあつてはいけないから、むしろそういう混乱を避ける意味で、冷靜に解釈をしたらどうか、こういう意味で申し上げておるので、決して今の具体的な懲罰問題をどういうように持つて行こうという意図を持つて申し上げておるわけではない。だから別にここで御決議になるとか、結論を得るとかいうところまで行きませんでも、そういうことについてちようどよい機会ですから、入江法制局長の立法当時のお話も伺つたり、各委員の懇談的にでもけつこうですから、解釈論について御意見を伺つておけば、参考になるのでないかという意味で申し上げておるのですから、その点誤解のないようにお願いしたい。
#43
○委員(羽仁五郎君) その点新谷委員の御意思は十分私了解いたしておりますが、問題はやはり政治的な解決にあるわけなんで、現在私は最も正しい、そうして最も高い政治的な解決がなされることを期待しておりますし、そういう際に、あるいは両院法規委員会におけるいろいろの御意見というものが、よい方に作用することを希望するのですけれども、あらゆる問題がやはり法規及び法規の解釈によつて解決せれるのではなくて、高邁なる政治的識見によつて解決せられるわけですから、今そういう問題が現実にあるときに、ここで取上げられることはどうも望ましくないように考えます。
#44
○委員(眞鍋勝君) 会期が切れるときに限つて、惡いことをした者がそのままになるということは、惡い者があつてやることですから、そういう処理をする上においても、今後のこともあるから一應話をお聞きしたらどうか、何もこちらはちつとも興奮したりしない、ほんとうにきわめて公平な判断をしてこれに対処しなければ……
#45
○委員(羽仁五郎君) しかし惡いか惡くないかということはまだ決定した問題でないので、現在懲罰委員会がそのためにこそ開かれておる。今惡いことをしたからということをおつしやるところに、すでにわれわれが冷靜を失つておる点がある。
#46
○委員(眞鍋勝君) しかしよいことでない……
#47
○委員(羽仁五郎君) 惡いか惡くないかは懲罰委員会が決定することで、法規委員会が決定することではない。
#48
○委員(鈴木幹雄君) 今の話を聞いておると、興奮しておりますから、そういう懲罰の問題でなしに、私もこの問題は疑問にしておる点がある。私の方の党でもこの六十八條と四十七條の第二項との関連があつて、どういうようになるだろうかというので意見を交換したのですが、結局二つにわかれまして、そのまま結論を見なかつたのです。私のお聞きしたい点は、立法のときにそれをどういうように考えておつただろうか、あるいは今まで第五回までやつておりますが、第一回から新しい憲法が施行になつてからの関連もあるだろうと思うので、これの取扱いについては、そういう点を一ぺんお聞かせ願つたらどうですか。それは懲罰委員会だけの問題でなくほかの委員会にも通ずる問題です。
#49
○衆議院両院法規委員長(高橋英吉君) 羽仁さんの御配慮もわれわれ了解できぬことはないけれども、新谷さんの先ほどから言つておられるように、惡用されることもありませんから、冷靜にこれはひとつこういう際に檢討して、法規委員をやつておる関係から人に聞かれる場合もあるだろうから、一種の見識を持つておるのがよいだろうと思う。これは大体読んで字のごとく疑問はないが、鈴木さん疑問でもあるのかね。
#50
○委員(鈴木幹雄君) 原則論を嚴重に行きますと、後会に継続しない。たとえば農林委員会なら農林委員会に継続審議を付託してやつた。その次の会期のときにもう一ぺんその法案は新しく提案してやるか、提案は要しないかということは、前例あるいは法律解釈の上からどうでしようかね。
#51
○委員(新谷寅三郎君) 私が問題を出したので法規委員会が対立的になるといけませんから、なるべく速記をやめていただいて懇談的に話合つてみたらどうですか。
#52
○会長(藤井新一君) よろしゆうございましよう。速記をとめて。
   〔速記中止〕
#53
○会長(藤井新一君) 速記を始めてください。本日はこの程度において散会いたします。
   午後三時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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