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#1
第061回国会 文教委員会 第9号
昭和四十四年四月十五日(火曜日)
   午前十一時十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         久保 勘一君
    理 事
                楠  正俊君
                田村 賢作君
                小林  武君
                安永 英雄君
    委 員
                大松 博文君
                中村喜四郎君
                永野 鎮雄君
                吉江 勝保君
                川村 清一君
                鈴木  力君
                内田 善利君
                柏原 ヤス君
                萩原幽香子君
                小笠原貞子君
       発  議  者  安永 英雄君
       発  議  者  川村 清一君
   国務大臣
       文 部 大 臣  坂田 道太君
   政府委員
       警察庁警備局長  川島 広守君
       文部省初等中等
       教育局長     宮地  茂君
       文部省大学学術
       局長       村山 松雄君
   説明員
       文部省初等中等
       教育局財務課長  岩田 俊一君
       文部省大学学術
       局教職員養成課
       長        手塚  晃君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡辺  猛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (都教組事件についての最高裁判決に関する件)
 (岡山大学に関する件)
 (中央大学に関する件)
○日本育英会法等の一部を改正する法律案(安永
 英雄君外三名発議)
○産炭地域における公立の小学校及び中学校の学
 級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関
 する法律案(安永英雄君外三名発議)
○産業教育手当法案(川村清一君外三名発議)
○高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一
 部を改正する法律案(川村清一君外三名発議)
○公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数
 の標準に関する法律の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(久保勘一君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 教育、文化及び学術に関する調査を議題といたします。
 文部大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。坂田文部大臣。
#3
○国務大臣(坂田道太君) 十四日の都道府県教育委員会委員長・教育長会議におきまして私が行ないましたあいさつは、先般の都教組事件の最高裁の判決は、公務員についても原則的には労働基本権の保障を受けるものとし、都教組幹部の行なった争議行為のあおりは刑事罰の対象とならないと判示しておりますが、組合側の行なった一斉休暇闘争は地方公務員法上違法であり、懲戒処分を否定するものではないことを判示しておる。このことからも従来文部省及び教育委員会のとってきた方針に変更を加える必要はないものと考えております。各位におきましてもこの点に十分御留意の上、教職員の服務の厳正かつ公正な指導をされることを希望いたします。
 なお、このあいさつに関しまして、一部新聞の報道記事から若干の異論がある向きもありますので申し添えますが、最高裁判決によるように、地方公務員の具体的な行為が禁止の対象たる争議行為に該当するかどうかは、争議行為を禁止することによって保護しようとする法益と労働基本権を尊重し、保障することによって実現しようとする法益との比較較量により、両者の要請を適切に調整する見地から判断することが必要である、その趣旨は私といたしましても当然のことと考えておる次第でございます。
#4
○小林武君 ちょっと一つだけ。
 大臣のいまのことについての御趣旨はわかりましたけれども、これからいろいろまだこの問題は議論されることが数あると思いますが、できるなら、あんまり初めのほうから蒸し返していつでもがみがみやり合うようなことがないほうが好ましいのですが、この一点ちょっと大臣の、この間私が二度目の質問のときにお互いに理解し合った点だけは、ここだけはお互いに間違いなく共通の理解であったということを確かめたいと思います。簡単に言いますれば、ここで判決は三十七条一項というもの、これは文字どおりこれをとにかく処罰する趣旨と解するならば、これは限度を越えて刑罰の対象としているものとして違憲の疑いを免れないだろうという、こういう考え方が一つ出されている。同時にまた、三十七条一項は違憲であるというそういう考え方に対しては、ただいま大臣が言われたように、二つの法益の調和した解釈、可能な限り憲法の精神に即してこれを調和し得るよう合理的に解釈されるという、こういう見地に立てば違憲ではないというこの二つ、この二つがこの最高裁の判決で明らかにされているという点は、いまの御趣旨の中にあったものと確認してよろしゅうございましょうか。そのこと一つだけです。
#5
○国務大臣(坂田道太君) そのとおりでございます。
#6
○小林武君 そうですが。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(久保勘一君) 日本育英会法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず発議者から提案理由の説明を願います。安永君。
#8
○安永英雄君 ただいま議題となりました日本育英会法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
 日本育英会は、昭和十九年日本育英会法に基づいて設立されまして以来、国家的な育英奨学事業として人材の開発と教育の機会均等に大きく貢献してまいりました。しかし、その事業等については今後なお一そうの充実改善をはかることによりその発展を期待しなければなりませんが、当面特に急務と考えられる次の諸点について改正を施そうとするものであります。
 まず、その第一は、日本育英会の学資の貸与及び貸与金の返還免除の対象に、文部大臣の指定する養護教諭養成機関及び教員養成機関を加える問題であります。
 養護教諭養成機関は、養護教諭の需要を満たすことが困難な事態に対処するため教育職員免許法第五条第一項の規定に基づいて、また、その他の教員養成機関は、幼稚園教諭等を確保するため同条別表第一の備考第二号の規定に基づいて、それぞれ文部大臣が教員養成の機関として適当な条件の整ったものについてのみ指定するものであります。現在前者は四十七校、後者は五十九校が指定されておりますが、通常の各種学校とはその性格、実態を異にするものであります。しかも、ここで所定の単位を取得した者に対しては、養護教諭、幼稚園教諭等の免許状が授与されているのであります。
 かように、厳格な条件を付して、文部大臣が指定した養成機関で修業し、教育職員免許法によって同一の資格を与えられるものが、学資貸与の対象にされておらず、またこれら養成機関の教育の職についた者が貸与金の返還免除の対象にされていないことはまことに不合理といわなければなりません。
 さらに、養護教諭、幼稚園教諭等の充実は、学校教育の当面の重要な課題でありますが、その充足はきわめて困難な現状であり、一そうの養成確保につとめなければならないにもかかわらず、これら養成機関が日本育英会の学資の貸与及び返還免除の対象に加えられていないことは、その養成確保の面からも著しい障害となっているところであります。
 したがいまして、現在学資貸与の対象の決定は政令で規定すべき事項となっておりますが、文部大臣指定の養護教諭養成機関及び教員養成機関に在学する者への学資貸与の道を開き、その貸与金について返還免除措置を認めるとともに、それら養成機関の教育の職についた場合にも貸与金の返還免除の法的措置を講ずべきものと考えます。
 第二には、日本育英会の貸与金の返還免除に関する条件の緩和に関する問題であります。
 現在、学資の貸与を受けた者が教育または研究の職についた場合の貸与金の返還免除の条件として、日本育英会法施行令第十八条ないし第十九条は日本育英会法第十六条の四第二項の規定に基づいて、原則として、大学等を修業または退学後一年以内に教育または研究の職につくことを要するものとしております。ただし、文部大臣の認可を受けた特別の事由のある場合にはその期限を延長することを認めております。すなわち、大学、高等専門学校等の奨学生であった場合には、傷痍疾病等の事由がある場合さらに一年以内、大学院の奨学生であった場合には、傷痍疾病のほかに返還免除の対象とされていない教育または研究の職への就職、留学等の事由がある場合はさらに四年以内と、それぞれきわめて限られた事由のある場合に限って延長することが認められているにすぎません。
 教員または学術研究者の需要供給の関係が各都道府県ごとに完全に計画的に行ない得るものとしたら、現行の一年の猶予期間で十分でありますが、児童生徒の減少、教員または研究者の志望者数の変化等の事情もあり、また、教員養成について開放制のたてまえをとっていることでもありますので、その需給関係を完全に計画的に行なうことは不可能といわなければなりません。
 特に最近の過疎過密現象の急激な進行は教員の需給関係に深刻な影響を与えております。
 したがいまして、教員または研究者の需要の少ない年度におきましては、修業後一年以内に教育または研究の職につくことのできない者、あるいは返還免除の対象とされていない教育または研究の職すなわち、助教諭、非常勤講師等の職にしか就職できない者が多数生じておるのであります。
 かように、修業後一年以内に法令の定める教育または研究の職につくことのできなかった者は、その後せっかく法令の定める教育または研究の職についても、貸与金の返還免除は認められないのであります。
 これは、本人の責任ではなく、たまたま修業時の教育または研究者の需給事情等によるものでありまして、そのため返還免除措置に差異が生ずることはきわめて不合理、不均衡といわなければなりません。
 少なくとも、貸与金の返還を免除するため修業後教育または研究の職につくことを要する期間を三年に延長すべきものと考えます。
 なお、貸与金返還免除の条件として、日本育英会法第十六条の四第二項は「一定年数以上継続して」教育または研究の職になければならないものと規定し、同施行令第十八条ないし第十九条はこの年数を二年と規定しているのでありますが、上述の改正に対応する意味からも、また返還免除に関する基本的条件という意味からも、これまた日本育英会法に明確に規定することが望ましいものと考えます。
 なお、日本育英会法第三十六条の二において、当分の間沖縄における教育または研究の職についた場合も、同法第十六条の四第二項に定めると同じ条件で返還免除に関する規定が適用されることになっておりますので、以上述べました二点についても同様の措置を講ずべきものと考えます。
 第三には、日本育英会の貸与金の返還免除措置の適用に関する過去の不均衡を是正する問題であります。
 まず、過去の不均衡の実情について申し述べますと、その第一点は、日本育英会の貸与金の返還免除の制度は、昭利二十八年の法改正によって、まず、義務教育の従事者と高度の学術研究者を確保する目的で発足したものでありますが、その実施については、法改正前に貸与した貸与金についても適用することとされたのであります。しかるに、その実際の適用に当たりましては、日本育英会法施行令附則によって、大学院における貸与金については法の規定どおり全面的にさかのぼって適用されましたが、大学における貸与金については国立大学の教育学部または学芸学部の小学校または中学校の教員養成課程に在学する者に対してのみ、昭和二十五年度以降に貸与した貸与金についても適用されたのであります。したがいまして、一般の国公私立大学の修業者の貸与金については、昭和二十五年度にさかのぼることなく、昭和二十八年度以降この制度が適用されたのであります。
 第二点は、昭和三十六年の法改正によって、高等学校進学者の急増に対処するとともに、科学技術者の養成を促進する目的で貸与金の返還を免除される職について、大学、高等専門学校等の貸与金については従来の義務教育に従事する教員のほかに高等学校、大学、高等専門学校等の教育の職を、大学院における貸与金については従来の大学のほかに中学校、高等学校、高等専門学校等の教育または研究の職をそれぞれ加え、公布の日から施行され、その施行の際、現に大学等に在学する者に対しては、その在学期間中に貸与した貸与金については返還免除の措置がとられたのでありますが、それ以前の貸与契約により学資の貸与を受けた者について返還免除措置を講じられなかったのであります。
 第三点は、昭和四十年の法改正によって、貸与金の返還を免除される職に幼稚園の教育の職が加えられましたが、その施行についても第二点に述べたと同様の措置が講ぜられたにとどまったのであります。
 以上申し述べましたように貸与金の返還免除の制度は、教育または研究の職に優秀な人材を確保するための政策として行なわれたものでありますが、法による利益の供与はできるだけ平等であることが望ましく、同じく重要な教育または研究の職にありながら、その出身学校の差異あるいは修業年度の相違によって貸与金の返還免除の措置に差異を生ずることはきわめて不合理、不均衡といわなければなりません。また、教育の現場においても、このような不平等の存在は教員相互間に好ましくない影響を与えているのであります。
 したがいまして、このような不合理、不均衡を是正するため、昭和二十五年四月一日以後に日本育英会から学資の貸与を受け、修業後教育または研究の職についた者の貸与金で、その返還を免除されなかったものについても、その返還を免除できるように措置すべきものと考えます。
 なお、この法律は公布の日から施行することとしておりますが、貸与金の返還免除の対象の拡大及び返還免除の条件の緩和に関する改正規定は、昭和二十五年四月一日以後の貸与契約により貸与した貸与金についても適用することとしております。
 以上が本法律案の提案と理由と内容の概要であります。
 何とぞ十分御審議のうえ、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#9
○委員長(久保勘一君) 以上で本法案についての提案理由の説明聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#10
○委員長(久保勘一君) 産炭地域における公立の小学校及び中学校の学級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関する法律案を議題といたします。
 まず、発議者から提案理由の説明を願います。安永君。
#11
○安永英雄君 ただいま議題となりました「産炭地域における公立の小学校及び中学校の学級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関する法律案」につきまして、その提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
 わが国におけるエネルギー転換政策と炭鉱合理化政策とによって、産炭地域における経済の破綻、離職者の大量の発生、生活保護家庭の急増、自治体財政の危機等を招来してから、すでに十年余という歳月が経過しております。
 この間、国、地方公共団体等の産炭地域振興対策、離職者対策等が行なわれてまいりましたが、極端な経済的貧困と社会不安による産炭地の荒廃した事態は解決されることなく、今日まで悪化の道を歩んできたのであります。
 このような現状は、教育の面に最も強い影響を与えているのであります。
 すなわち、子供は抵抗力が弱いため環境の影響を強く受けやすいとともに、教育の面での対策がおそくかつ不十分であったからであります。
 産炭地域における教育がどのような状況におかれているかについて以下申し上げますと、まず第一には保護者の子供の教育に対する関心が乏しく、子供の教育が放置されていることであります。
 炭鉱の閉山後、産炭地域に残された者は、その多くが老齢者、病弱者、労働障害者、災害未亡人と子供たちで、ほとんどが貧困家庭であり、朽ちてゆく炭鉱住宅で長年にわたる生活保護に依存しながら、将来に何の希望もなくかろうじて暮らしており、また、出かせぎ、家出、別居、離婚等による欠損家庭や共かせぎ家庭もきわめて多い実情であります。このような社会環境、家庭環境の悪化のもとでは、保護者の子供の教育に対する関心は欠除し、子供の教育は完全に放置されているのであります。
 したがいまして、学校がすべての教育活動を一手に引き受けなければならない状態の中で、教職員は学習指導のほかに夜間の家庭訪問、生活指導等に献身的努力を払っているのであります。しかしながら、産炭地域における教育は依然として次のような憂うべき状況が続いております。
 すなわち、第二には、非行少年や問題児の発生が著しいことであります。過去十年間その非行は年々若年化し、悪質化、集団化の道をたどってまいりました。
 福岡県のある町の例を申し上げますと、小学校児童数の二三・八%、中学校生徒数の五四二二%に相当する非行事件が発生したことが報告されております。
 また、産炭地域の最も多い福岡県が全国で一番刑法犯少年の発生率が高く、その半数以上が小・中・高校生で占められていることにもあらわれております。さらに、これら非行少年のほかにも、多くの問題児をかかえており、これらの子供達の将来が憂慮されているところであります。
 第三には、勉強する意欲を失い、長期欠席、怠学常習の児童、生徒の数がきわめて多いことであります。福岡県における産炭地域の全就学児童生徒数に対する長期欠席児童生徒数の割合は、産炭地域外に比べてはるかに高い比率を示しております。
 第四には、炭鉱の閉山に伴う児童生徒の激減や生活のため一カ所に永住することなく、転々と職場をかえ住居をかかえる家庭が多いことによる児童生徒の転出入の著しさは、子供の心理に大きな不安を与え、落ちついた生活態度を困難にするとともに、教師の子供の十分な把握による教育を不可能としております。児童、生徒数が炭鉱の閉山以前に比べて五〇%以下になった学校はきわめて普通の状態であって、はなはだしい学校にあっては三分の一以下に減少しております。また、長崎県の例によりますと、転校歴三回から五回といった子供が多数存在するのであります。
 第五には、一般に児童生徒は、学習意欲に欠ける、怠惰で生活に活気がない、根気に乏しい、注意力散漫で落ちつきがない、情緒不安定で道徳意識が低い、陰うつである等教育の危機的状況を示しているのであります。
 第六に、これらのことは、当然に学力の著しい低下をきたしております。たとえば、福岡県のある中学校の一年生の学級では、整数計算、九九算のできない者、アルファベットの読めない者がそれぞれ三分の一近い数を占めていることが報告されております。
 第七には、産炭地域における児童生徒の体位、衛生状態の劣悪や疾病の著しい増加が見られることであります。
 第八には、産炭地域の特殊条件や生活環境から特殊児童生徒数及び促進該当児童生徒数が著しく多いのでありますが、特殊学級に収容されている児童生徒はきわめて少数にとどまっていることであります。
 また、以上申し述べましたことは、一般家庭の児童生徒等にも大きな悪影響を与えているのであります。
 さらに、経済的貧困のため産炭地域における要保護、準要保護児童生徒数の増加が著しく、窮迫した地方財政を圧迫すると同時に、他方教職員のこれら児童生徒に対する扶助費、補助金等の支給に関する事務量のはなはだしい増大をもたらし学習指導の著しい障害となっているのであります。ちなみに、全児童生徒数に対する要保護、準要保護児童生徒数の一割合のはなはだしい例を申し述べますと、北海道においては九四%、福岡県においては、七七%、長崎県においては六九%といった実態があり、四・五〇%を占める学校も数多い現状であります。
 このほか、市町村財政との関係上、保護の対象とならないボーダーライン層が相当数あるのが実情であります。
 以上申し述べましたように、産炭地域における教育はきわめて憂うべき状況にありますが、これが対策については、他の石炭産業の不況対策等に比べて着手がおくれ、わずかに四十年度から生活指導主事の少数配置、就学援助費の補助率の引き上げ等が行なわれるようになってまいりましたが、きわめて不十分な現状といわねばなりません。
 したがいまして、かような教育環境のもとにある最も抵抗力の弱い児童生徒に対して十分な教職員を配置して学校教育の維持向上を期し、また、激増した要保護、準要保護児童生徒の教育に必要な補助をなし得るよう、疲弊した地方公共団体に対して一そうの援助策を講ずることは国の責務と考え、この法律案を提案する次第であります。
 さらに、今回の新石炭政策の実施によって、今後ますます炭鉱の閉山が増加することが予想され、その教育への悪影響が憂慮されているところであります。過去の実情が示すように一度荒廃した教育の立て直しは非常に困難であります。したがいまして早急な対策が必要であります。
 次に、この法律案の内容について申し述べますと、石炭鉱業の不況による疲弊の著しい地域及び、これに隣接し、当該不況による影響の著しい地域で、別に政令で定める産炭地域の公立の小、中学校について、次の特別措置を講じようとするものであります。
 まず第一に、学級編制の基準について、同学年の児童または生徒で編制する学級は三十五人以内とする等の特例を定めることによって、不安な教育環境のもとにおかれている児童生徒の教育水準の維持をはかろうとするものであります。
 第二に、もっぱら児童生徒の生活指導をつかさどる教員を学校規模に応じて三名ないし六名置かなければならないものとし、就学の奨励、非行の補導等十分な指導をはかろうとするものであります。
 第三に、養護教諭を各校に必置することとし、貧困家庭の急増等により、児童生徒の健康管理がきわめて重要となっている事態に対処しようとするものであります。
 第四に、事務職員を各校に一名配置または増員することとし、要保護、準要保護児童生徒の急増に伴い、扶助費、補助金等の支払事務が激増し、生活指導はもちろん日々の授業にも支障をきたしている現状を打開しようとするものであります。
 第五に、義務教育諸学校における教育の教材に要する経費並びに要保護、準要保護児童生徒にかかる学用品費、通学費、修学旅行費、給食費、日本学校安全会掛け金、医療費及び通学用品費に関する国庫補助金の補助率を十分の八に引き上げることとし、これによって、窮迫した財政のもとで、炭鉱の閉山に関連して派生する諸般の財政需要や、せっかく措置された特別交付税も一般財源のゆえに就学援助費に優先充当することの困難な事情など、援助措置が徹底を欠いている事態の解決をはかろうとするものであります。
 なお、附則において、この法律は公布の日から施行し、生活指導担当教員の配置等に関する規定を除き、昭和四十四年四月一日から適用することとするとともに、昭和四十八年三月三十一日限り効力を失うものとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び内容の概要であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
#12
○委員長(久保勘一君) 以上で本法案についての提案理由の説明聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#13
○委員長(久保勘一君) 産業教育手当法案を議題といたします。
 まず、発議者から提案理由の説明を願います。川村君。
#14
○川村清一君 ただいま議題となりました産業教育手当法案について、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
 現在行なわれております産業教育手当の支給は、申すまでもなく、農業、水産、工業又は商船に係る産業教育に従事する国立及び公立の高等学校の教員及び実習助手に対する産業教育手当の支給に関する法律に基づいております。
 また、この法律が、去る昭和三十二年に、その母法でありますところの産業教育振興法の第三条の三の規定の趣旨に基づいて制定されましたことも、御承知の通りであります。
 自来約十カ年にわたり産業教育手当の支給が行なわれてまいりましたが、その経過並びに実施の状況をつぶさに調査し、検討いたしますと、必ずしも産業教育振興のために満足すべき現状にあるとは申しがたく、むしろ、産業教育手当の支給の対象とされるべき教職員、学校、教科及び手当の額等について、早急に改善を行なう必要があることを痛感いたすものであります。
 第一は、産業教育手当の支給対象が、産業教育に直接に従事する教員及び政令で定められた助手のみに限定されている現実の矛盾を解消する必要があるということであります。
 現在、農業、水産、工業または商船に関する専門教育を主とする学科を置く高等学校においては、ひとり産業教育に直接に従事する教員及び実習助手のみに限らず、普通教科を主として担当する教員及び実習助手はもとよりのこと、事務職員から用務員に至るまで、すべての教職員が産業教育振興の一翼をになって、それぞれ欠くことのできない重要な役割りを演じているのであります。まずこの現実の姿を直視し確認すべきであると存じます。
 そもそも、これらの学校において、本来の使命である産業教育振興の実をあげるためには、その基礎となるべき一般教養教科が、普通課程の高等学校におけるよりも、なお一そう重視されなければならないことは、論をまたないところであります。したがって、これらの学校において普通教科を担当している教員は、教科内容についても教授法についても、絶えず真剣な研修を怠ることなく、特に限られた短い授業時間内に最も効率的に生徒の学力を涵養するため、常に創意とくふうをこらしているのであります。その教育的責任度は、専門教科を担当する教員に比べ、まさるとも劣るものではありません。
 さらに、これらの学校においては、生徒の組主任はほとんどすべて普通教科の教員の担任するところでありますから、個々の生徒の保健体育の面をはじめ、進学就職についての進路の指導に至るまで、それらはあげて組主任の責務とされておりますし、加うるに、教務関係、図書館等の広範複雑な事務処理は、すべてこれら普通教科の担当教員にゆだねられておりますから、専門教科の担当教員よりも、むしろハード・ワークが課されていると申しても過言ではありません。
 また、これらの学校の事務職員は、一般的事務以外に、機械器具の購入整備、保管、その会計の処理等についての責任を持ち、用務員もまた、実習後の機械器具の整とん、清掃等、それぞれ、普通課程の高等学校における場合よりは、はるかに労働量の加重にたえながら、産業教育振興のための縁の下の力もちとして、たゆまぬ努力を続けているのであります。
 今日、産業教育を行なっている学校にとっては、過去の徒弟式教育を矯正し脱却して、総合的教育を実施することが最も大きな課題の一つであり、そのためにこそ、教職員の層が幅広く配置されております。そうして、おのおの教職員が個々の持ち場においてその責務に専念し、十分にその能力を発揮し、こん然一体となって使命の達成に邁進するとき、はじめて教育の成果を期待することができるものと信じます。
 第二は、商業及び家庭科に関する教育も、当然本法の適用対象に含めるべきであるということであります。
 産業教育振興法第十二条の産業教育の定義には、商業及び家庭科に関する教育が含まれておりますにもかかわらず、これらの教科が産業教育手当の支給対象から除かれていることは、納得のできないところであります。
 それゆえに、農業、水産、工業又は商船と同様に、商業及び家庭科に関する教育を実施している高等学校の教職員に対しても、産業教育手当を支給できるように措置する必要があると考えます。
 第三は、盲学校、ろう学校及び養護学校の高等部において、高等学校におけると同様の産業教育に従事している教職員にも、産業教育手当を支給すべきであるということであります。
 盲、ろう及び養護学校の高等部における産業教育に関しては、これまた産業教育振興法第二条の産業教育の定義に含めて規定されており、現にこれらの学校の高等部の中には、産業高等学校におけると同様に木工、被服等に関する産業教育を実施しているものがありますにもかかわらず、まだその教職員に対し産業教育手当が支給されていないことは、妥当を欠くものであります。
 一面、これらの学校の高等部においては、産業教育に従事する適当な人材を確保することがきわめて困難であるため、人事交流の面からもしばしば支障を招き、ひいては教育不振の一因ともなっております。このような実情にかんがみ、すみやかに産業教育手当支給の道を開くよう措置する必要があると考えられるのであります。
 以上申し述べました理由により、ここに新たに本法律案を提出し、従来の不備を改めて産業教育の一そうの振興をはかろうといたすものであります。
 次に、法律案の内容については簡単に申し上げます。
 第一に、農業、水産、工業、電波、商業、家庭または商船に関する専門教育を主とする学科を「産業に関する学科」と規定し、これら「産業に関する学科」を置く高等学校と、盲学校、ろう学校及び養護学校でその高等部に産業に関する学科を置くものを「産業高等学校」と規定しております。
 第二に、国立の産業高等学校の校長及び教員、事務職員その他の職員で、本務として産業に関する学科または産業に関する課程における教育、事務その他の職務に従事する常勤者には、その者の俸給月額の百分の十に相当する額をこえない範囲内において、産業教育手当を支給するものといた
 しております。
 第三に、公立の高等学校の校長及び教員、事務職員その他の職員の産業教育手当は、国立の産業高等学校の産業教育手当を基準として定めることといたしております。
 なお、この法律は、昭和四十四年六月一日から施行するものとし、現行の農業、水産、工業又は商船に係る産業教育に従事する国立及び公立の高等学校の教員及び実習助手に対する産業教育手当の支給に関する法律は廃止することといたしております。
 何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛同くださるようお願いいたします。
#15
○委員長(久保勘一君) 以上で本法案についての提案理由の説明聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#16
○委員長(久保勘一君) 高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、発議者から提案理由の説明を願います。川村君。
#17
○川村清一君 ただいま議題となりました高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案について、提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
 最近、技術革新を基軸とした社会改革が急激に進行する中で、国民の資質及び能力の展開向上に対する期待が一そう高まり、教育の責任はいよいよ重大になってきております。
 すなわち、義務教育はもとより、後期中等教育、大学教育の拡充整備が切実な課題として取り上げられております。特に、後期中等教育については、高等学校、各種学校、その他の教育訓練施設に学ぶ青少年の、就学率が年々高まっており、いまや後期中等教育の義務制化が真剣に論議される段階となりました。このような情勢の中で、戦後の新教育制度として発足した高等学校の定時制教育及び通信教育は、一段の飛躍が期待されておりますものの、実は、問題を数多く含んでおります。伸び悩みの状態にあります。
 その理由としては、国全体として勤労青少年教育に対する理解、認識がいまだ不十分であるということに尽きるのではなかろうかと考えます。すなわち、各種の施策が、これらの教育施設に対して行なわれてきましたが、画竜点睛を欠くといいますか、一番根本のところにまだ手が届いていないと思うのであります。
 その第一の点としては、御承知の求人難、人手不足の深刻な現在、使用者は好むと好まざるにかかわらず、勤労青少年を労働過重に追いやり勉学の機会や学習の意欲を阻害しております。また、すでに就学している勤労青少年も、昼間の労働・夜の通学というぎりぎりの生活の中で疲労こんぱいしております。
 したがって使用者側の理解、協力を一段と促進し、通学、勉学の諸条件を整備してもらいたいのであります。
 第二点といたしましては、この教育施設を経営する側、主として地方公共団体並びにこれに援助している国の責任として、全日制高校に劣らない適切な施設、設備を整備することはもちろん、生徒を教育指導する教師その他の職員に対する配慮を一段と厚くする必要があると信じます。現在、校長及び教員並びに政令で定める多数の実習助手に対しては、定時制通信教育手当として、本俸の約七%の手当が支給され、国はその三分の一を補助しておりますが、実習助手に対しましては従来からその手当の支給範囲を制限いたしておりました。去る昭和四十二年の政令第一四七号によって、一部支給範囲の制限が緩和されましたものの、なお、若干の実習助手はいまだにこの手当が支給されておりません。現在、定時制教育及び通信教育にたずさわっている教員に対しましては、全員この手当を支給されているにもかかわらず、同じ勤務態様における実習助手に限って支給対象を制限しておりますことは、不合理であると言わなければなりません。また、特に夜間定時制高校においては、校長、教員、実習助手のみならず、事務職員その他の職員ともどもに、困難な条件の中で勉学している生徒を指導し、かつ学習環境をよりよくする必要もあり、この手当を事務職員その他の職員にまで拡大する必要があると思います。
 また、定時制通信教育手当は、先にも申し上げましたように、現在、昼夜の別なく支給されております。しかし、夜間課程に勤務する教職員は、昼間勤務者に比べて、本人はもとよりその家族をも含めて、肉体的にも精神的にも苦労や疲労が非常に多いのであります。帰宅が毎晩おそいこと、食事もしたがって一日四回となり、しかも家族と一緒にとることがほとんどないありさまであります。
 このような職務内容の困難度という観点に立てば、昼間定時制にも支給されている手当を、若干、夜間に限って増額することも当然であり、この際、定時制通信教育手当のほかに定額五千円を支給したいと考えるのであります。
 以上、本法律案の提出理由を申し述べましたが、次に、本法律案の内容について、簡単に御説明いたします。
 本法律案は、第一に、勤労青年を使用する者に対し、勤労青年が定時制教育または通信教育を受けることを希望したとき、就学させる義務を課するとともに、当該教育を受けるのに支障がないよう労働条件に関し、労働時間の短縮その他の特別の措置を講ずるようにつとめる義務を課することにいたしました。
 第二には、本務として定時制教育または通信教育に従事する実習助手で、従前定時制通信教育手当を支給されなかった者に対して、また、本務として夜間において授業を行なう定時制課程の事務その他の職務に従事する事務職員その他の職員に対して、定時制通信教育手当を支給することといたしました。
 第三には、夜間において授業を行なう定時制課程の教育に従事する校長、教員、事務職員その他の職員に対し支給する定時制通信教育手当の額を一律五千円増額することといたしました。
 第四には、本法律の施行期日を昭和四十四年六月一日といたしました。
 以上でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#18
○委員長(久保勘一君) 以上で本法案についての提案理由の説明聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#19
○委員長(久保勘一君) 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本法案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 政府側から坂田文部大臣、宮地初等中等教育局長、岩田財務課長、以上の方々が出席いたしております。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。鈴木君。
#20
○鈴木力君 公立学校の義務教育諸学校の定数法の改正は今度で三回目であります。提案理由でも申されておりますように、相当この初等教育といいますか、義務教育の教育の維持向上のためにということで努力をされていらっしゃる。だが、私が伺いたいのは、三回も改正をした。今度三回目でありますから、まあ六・三教育が始まったときにはいろんな事情があったと思いますので、そのときのことはあまりどうこう言うわけにはいかないと思います。しかし、もうこの教育制度が始まってから二十数年になりまして、いよいよ義務教育学校というものがどういう学校でなければならないかということが、要するに当初に義務教育というものを描いたものが、そろそろもう魂を入れてもいい時期になっているんじゃないのか。これが教員の定数だけでこれをどうこうと言うわけにはいかないのでありますけれども、しかし、何と言ってもやっぱり教育職員の定数というものが、教育職員というのがこの義務教育諸学校の教育の相当重要な柱になっておる、そういう観点で実は伺いたいのでありますけれども、どうも私が法律の改正案とそれから提案理由の説明を伺いますというと、私が先に申し上げたように、本来であれば当初のときに義務教育ということを考えた。ある一つの理念を掲げてそこに進んできた。そろそろもうそこへ向ってもう少し、何といいますか、本格的な義務教育のあり方ということを相当検討した上で、この定数法の改正というものを提案さるべきではなかろうかという感じを実は私は持っておったのです。だが、拝見をし、あるいは提案理由の説明を伺いますというと、何か昔のまま母物語を思い出すような感じがしてならない。食事が足りなくてやせている子供に対して、まま母が世間ていが悪いものですから、近所隣に、毎日ごちそうを食わせているのにどうしてあの子はやせているんでしょうと振れ回っているように、提案理由の説明はどうもまま母が近所に振れ回っておるように見える。そして学校の姿は毎日やせているこのまま子のように見えてしようがない。これは私がひがんでおると言われればしようがないのですが、だからそういうことで、もう少し本質的なことを伺えば、一体義務教育小学校、中学校というものをつくってどういう学校にしよう、どういう機能の学校にしょうと思ってつくったのか。そして坂田文部大臣は特に教育通であらせられるわけで、そういう面から単なる行政的な手続とかそういう議論よりも、義務教育というのはどういう形で、どうしなければならない。つまりそこの義務教育が行なわれる学校とは一体どういうものでなければならないという基本的の考えをまず伺って、それから具体的に御質問申し上げたいと思うのです。
#21
○国務大臣(坂田道太君) 非常にむずかしい問題でございますが、義務教育におきまして、教育をいたします学級編制といいますか、それはやはり教育的に見て一人一人の適性や能力やあるいは家庭状況までもこの学級担任が把握できる、そういうようなことが望ましい姿であるというふうに思うわけでございまして、終戦直後のような六十名とかあるいは五十名をこえる学級とかいうようなことは、やはり教育的でないというふうに私は考えるわけでございます。したがいまして、文部省といたしましても従来何とかしてそういう五十名以上の学級を四十五名というような程度まで下げる努力を考えてきておったわけでございますが、今日の御審議を願っております標準法によりまして、最高限度四十五名ということに押えたわけでございます。これに対しましては、諸外国でも四十名とかあるいは三十五名とか、あるいはまた学者の間にも五十名はもうよくないとか、あるいは、かと言って、あまり少な過ぎてもこれいけない。たとえば二十名以下であったらとても教育的でないというようなこともございます。私はやはり学級の編制というものは、教育の上において非常に本質的な問題だと思います。その意味合いにおきまして、イギリスが一九五五年だったと記憶をいたしますけれども、当時のバトラーがバトラー・アクト――教育法というものを提出いたしまして、それで四十名以下というしぼりをかけた。実際現実はどうなっているか私は知りません。しかし、その意欲というものは、しかもそれを私立学校まで及ぼしたというところはなかなか教育の本質をつかんでおるという感じがいたして、当時感心をし、私といたしましても、日本において学級編制ということについて文部省も考えなければいけないということは考えておった一人でございます。ところが、これは四十三年の五月の調査でございますが、日本の実態は御承知のように、非常に山村、僻地が多うございます。都市集中が行なわれて社会増のところで、また非常に一学級当たりの数が多くなっておる現状は、当然われわれとしても考えていかなきゃならないわけでございますけれども、実態から申しますと、四十三年の五月現在の標準にいたしましても、三十五名以下が大体四五%、それから三十六名から四十名が三〇%、合わせまして七五%という数字になっておるようです。いまちょっと私ここで計算さしたものですから、多少狂いがあるかと思いますけれども、四十一名から四十五名というのが二五%、それから四十五名からこえますのが二%ということになっておるわけでございます。そういうふうに見てまいりますと、もう現在でも三十一から四十までの間が七五%ということになっておりますということでございます。この実態を踏まえまして、一応最高限度四十五人といたしましたことは、この法律が通りますると、相当に改善をされ、そして先ほど申しました、あるいは御指摘になりましたような、一つの理念に本格的に取り組んでおるという姿勢が見えるというふうにお考えいただいても差しつかえないんではないか。そしてむしろ、今度は小規模学校におけるところの定数というものについて、きめこまかな配慮をなすことが一つの方向ではないだろうかという仕組みに今度の法案というものがなっておるということを御了承いただきたいと思います。
#22
○鈴木力君 いまのような数字もいずれ承らなければならないと思っておりましたから、いま伺いましたが、この点につきましてはあとでさらにお伺いするんですが、私が実はお伺いしたがったのは、学校とは何かということ、つまり学校というのはいまどういうことをやっているのか、義務教育学校が。したがって、そのやっている実態、学校の機構といいますか、機能上からどういう人間が配置されているのか、必ずしもそれは教職員だけのことではないわけです。義務教育学校の小学校なり中学校なりをほんとうにわれわれがねらっている学校にするために、その場ではどういうようなことが行なわれているのかとまあ言えば、それは教育活動が行なわれている、あるいは児童・生徒の保護活動、衛生管理ということも行なわれている、そういういろいろな側面があるわけです。それらについて文部省はいま義務教育というのはどうなければならないのか、いまやっている実態はどういうことなのか、そういうもの全体がほんとうに議論されたその中で、教師の役割りが何であるか、どの程度の教師がいなければならないか、学級編制はどうあるかという議論をしないと私は意味がないだろうと思っております。そういう意味で私はお伺いしたのですが、もう少し具体的に伺いますと、いまの義務教育学校で大体どういう職種の人たちがどう機能的に構成をされて、その仕事の分野がどう統一されて義務教育というものをやっているのか、実態と考え方とをお伺いしたい、こう思います。
#23
○政府委員(宮地茂君) お答えいたします。
 学校におきましても教職員関係につきましては、鈴木先生御承知のように、学校教育法に校長、教諭その他の職員の規定がございますが、一応国の姿勢といたしまして、義務教育学校の国庫負担をいたします。それにつきましては市町村立学校職員給与負担法に掲げられてある職種が一応基幹的な職員というふうに考えられようかと思いますが、市町村立の小学校、中学校、盲学校等におきましては校長、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、寮母、講師及び事務職員というふうになっております。ただ、これらにつきましては、この法案の中にもございますが、とりわけ養護教諭あるいは事務職員、こういった職員、教職員につきましてはその他の教諭――一般の教科なりクラスを担当いたします教諭の定数につきまして若干見劣りすると申しますか、一般教諭のところまでいっていないというのが実態でございます。したがいまして、私ども事務職員なりあるいは養護教諭等につきまして完全な姿に持っていきたいという気持ちはございますものの、一応今回の措置におきましては、その前年度までのものを改善するということで努力いたしておりますが、義務教育学校の小、中学校は新しい学校教育法で制定されて二十年にもなりますが、まだその理想の域に今日達していないということは率直に申し上げられると思いますが、しかし一歩一歩それに近づくべく努力しょうという気持ちをあらわしておりますのが今度の改正法案である、こういうふうに御了解いただきたい。
#24
○鈴木力君 その養護教員につきましても、やはりあとで時間をかけてもう少し私は伺いたいのです。私はこの定数法をつくる前提としてのいままでの法律とか、そういうことにこだわらなくて、文部大臣が、義務教育が行なわれる小・中学校というものはこういうものでなければならないといって考えたものがあるかということを伺ったんですけれども、いろいろいまの御答弁を伺いましたが――それからちょっとよけいな話ですが、私はひがみっぽいと先に言ったんですが、校長、教頭、その他の職員といって、いつでも校長と教頭だけが職員で、働いている人は「その他大ぜい」に、こういつもやられるような感覚は、これはことば使いの問題だからそうは思っていらっしゃらないだろうけれども、ことに苦労している学級担任とか、それらはその他その他といわれて、その他扱いされるところにどうも学校教育の指導の問題に間違いがあるのじゃないかという感じがしますので、もう少し大事に扱っていただきたい。これはよけいな話かもしれません。
 そこで伺いますが、国庫負担法にある職種は、これはわかるんですね。ところが、学校という場所は、国庫負担法で決定されておる職員だけでは学校が回らないわけですよ。だからいろいろな職種というのは、そのほかにかみ合っているわけです。それらの職種というのがどういう職種があってどういう役割りを担当しておるのか。それが私は学級の編制なり、あるいは教師の授業時間数なんと相当大事なかかわりがある。いままでここらのところを抜いて法律をつくってきているから学校の問題がいろいろとあるんです。出てくると思っているんです。今度は三回目だから、そういう基本的な問題をほんとうに議論をして、そうして定数法の位置づけというものをはっきりしていかなければいけない。そう思って伺っているんで、もう少し広い視野で御答弁をいただきたい。
#25
○政府委員(宮地茂君) 御答弁する前に、先ほど校長、教頭、その他というお話でございますが、先生のおっしゃいますような趣旨ではございません。かりにそのようにおとりになったとしますれば、そういう意味ではございません。それから私は校長、教頭、教諭、その他と言ったつもりでございますが、もし教諭が落ちておったとしますれば訂正いたします。
 市町村立学校職員給与負担法に掲げられております職員は、一応義務教育といたしまして国が負担する場合の根拠になっておる職員でございますが、もちろんこれだけで十分であるというふうには私ども考えておりません。学校教育法には七条に、「校長及び相当数の教員を置かなければならない。」養護教諭のような教員ももちろん必要でございますが、その他、たとえば教科担任であるとか、あるいは生徒の進路指導を担当する教員とか、あるいは生徒指導をつかさどります教員とか、まあ理想の姿として考え得る学校に置くべき職員につきましては、教員についてだけでもいろんな分担によって必要なものが考え得ると思いますが、そういう理想の姿を一応頭には置きつつも行政という立場に立ちましては、やはり国としてぜひここまではというものを法律なり政令で書くのが適当である、こういうふうに考えて今回の標準法に示しますものが国としてはっきり申し上げ得る教職員の種別なり数である、このように私どもは考えておる次第でございます。
#26
○鈴木力君 大臣にお伺いしたほうがいいと思うんですが、そうでないといまのような議論を繰り返しても時間がかかるだけで意味がないと思いますから。私が伺っているのは事務的な学校じゃなしに、たとえば局長だってもう少し答えてもらえると思うんですよ。法律にあるのだって、学校医を置かなければならないとあるでしょう。学校歯科医を置かなければならないとあるでしょう。これは理想は何か学校教育法にあるのだけであって、あとは理想でないというふうにおっしゃられるけれども、私はどうもその理想ということばがどうしても私にはわからない。たとえば前にも言ったことがあるんですけれども、土木建築を考えてみてください。コンクリートをつくる場合に、鉄筋というのがあるでしょう。砂もあれば砂利もある。セメントもあるでしょう。このうちのどれが理想であり、どれが理想でないとか、そういう差別はないと思うのです。これらが全部理論的に科学的に出されたものが調和して、これが一体になったときにコンクリートというものが出てくると思うのです。私は教育だってそういうものだと思うのです。精神的であるけれども、ちょっとこわれたり、もろい、強いというのは、いきなりは見えないけれども、そういうものだと考えたときには、鉄筋は学校教育法であるから、これが理想である、あとはわからぬというような、そういう見方でいまの義務教育の学校を見ておる。何回定数法を改正しても義務教育というのは実質的に維持向上できないじゃないか。この定数法の目的だってそうです。義務教育の維持向上をはかるのが目的だとちゃんと書いてある。定数法が基準になるけれども、まわりのものが有機的に統合されていなければいけない。そのまわりのものの検討をいつまでもしないでいると、学校は旧式のコンクリートで新式の建築はできないということになってしまう。だからこの定数法を検討いたします場合に、まわりの条件を検討しないで定数法を検討すると、重大なあやまちをおかす、そういう前提で私は、まわりの条件をどう考えているのかということを聞いているのです。大臣にお答え願います。
#27
○国務大臣(坂田道太君) 鈴木さんの御指摘の意味も私はわかると思うのです。学校を構成するのには、昔のことばで言うと――いまのことばで何と申しますか、小使さんのような方もおられるわけです。それから給食の世話をする人もいる、それからいまお話しの教諭もおられる、あるいは校長もおられる、教頭もおられる、こういうことだと思う。それなんですが、負担法でやるものと、それから設置者が市町村でございますから、市町村でやるものと、おのずとやはりそこに限界がある。しかも――私たちの考え方として言っておりますが、そこでこれには長年来の日本の沿革というものがあって、この沿革というものも全然無視はできない。その辺をどこまで負担法の対象にするのか、あるいは市町村の負担にするのかということは、やはりいま御指摘のような、義務教育というものは何なのか。小学校、中学校についてどういうものが必要か。しかし、その中でやはりおのずと領域と限界がなければならないのじゃないかという私は考えを持っております。また、一方のお考え方からすると、小学校や中学を構成している者は、それぞれの教諭でもあり、事務職員でもあり、あるいは給食に携わる人もいるし、経理やその他をおやりになるような人もあるのだけれども、それを全部これはもう義務教育なんだから負担法の中に入れてしまうという考え方もあると思います。しかし、私たちのほうではそうじゃなくて、従来の沿革等もあって、それにはおのずと限界があるというふうに考えております。しかし、それをどこまでをそれでは負担法の対象にするか、現在はそこまでいっていないというようなことはあるかと思うのです。その点の厳格な意味における基本的な義務教育のあるべき姿、学校のあるべき姿というものを踏まえて今度のこの法案を考えたかということだと私は思うのでございます。でございますけれども、一応基本的にはわれわれはやはり市町村の負担すべきものもある、それから半額国庫負担法によるものもある。しかしながら、いまは市町村の負担になっているけれども、将来としてはやはりむしろ負担法の対象にしなければならない部面もあるのではないかということは、われわれも考えております。それはやはり財政上の問題等もございます。あるいはそういうような養護教諭なら養護教諭という人たちの養成計画というものもございます。そういうようなことで、現実としては一つの理想に向かって少しずつ近づくように努力をしていく、大まかに申しますと、そういうふうなことを考えておるわけでございます。
#28
○鈴木力君 いま負担法の職員かどうかとか、それから市町村費の職員が何かという、それをどうどっちにやるべきだという議論は私は早いと思うのです。それはつまり私が御質問申し上げて御答弁いただきました限りでは、文部省は学校の実情というものの理解の度合いが足りないのじゃないかという感じがどうしても私するのです。法律だからというので、帳面でいじっておって教育を考えてやっているような気がしてならない。職員の区分は一応とっておいて、たとえば変な話になりますけれども、学校の清掃というのは一体どこの責任なんであって、現状はどうやられておるのか、あるいは現状でやっていることにはどういう教育的な意味合いがあるのか、これはほんとうにこまかい話で恐縮なんですけれども、しかし、この問題だって、いまの義務教育の中の重要な教育的な一つの行為だと思っている。そうすると、そういう問題についてもやっぱり検討してみなければいけない。そうすると教員定数を考える場合、学級規模を考える場合に、それとの関係がどうなのかというような、それだけじゃないのですけれども、そういう検討をしてもらいたいし、しておったろうと思ったから伺ったのですけれども、その辺はどうなんですか。これは大臣には恐縮ですけれども。
#29
○政府委員(宮地茂君) 学校教育法の二十八条には「小学校には、校長、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。ただし、特別の事情のあるときは、事務職員を置かないことができる。」という規定以上にはございませんが、御指摘のように、たとえば学校で給食をすれば炊事婦も必要でございますし、また学校の掃除をすれば、先ほど大臣が小使さんのようなと言われましたそういう用務員等も必要でございます。ただ、これらにつきまして法律的に制度として学校にはこういう職員をぜひ置かなければいけないというその規定の中には、やはりこう言いますとまた語弊があるかもしれませんが、学校を運営していく場合に、何と申しましょうか、基幹的というと語弊がございますが、そういう最小限どうしてもという職員が学校教育法に規定されておる。その他もちろん炊事婦なり用務員なりということをそのために必要でないという意味ではございません。したがいまして、実情に即しまして設置者である市町村が実態としてそういう職員を置き、そういう職員の給料も市町村が負担しておるというところが現実に存在しておることは承知いたしておりますし、そういう職員が必要であることも私ども別に否定する者ではございません。
#30
○鈴木力君 どうもくどいようで恐縮なんですけれども、この法律を審議するのに三回目ですから一回目、二回目というときには、まあまあいろいろな事情もあるが、ここらあたりで学校というものを本気に考えなければいけないですから伺っているので、しつこくて恐縮ですけれども、もう少し私御質問をさしていただきたい。学校教育法にこうありますというようなことは答えていただかなくても私も読んがいるんです。皆さんのような専門家じゃないから、読み落としはありますけれども一応は読んでいる。だから学校教育法にこうありますという答弁は、しばらくは置いておいていただきたい、あとでだんだん条項に入りますと法律の考え方でいろいろお伺いしたいので。たとえば、いま用務員という話が出たでしょう。用務員というのをどうこうと言っておるけれども、これもあとでもう少し詳しくお伺いしたいと思うんですが、たとえば分校で学級数だけ教員がいないところがある。そこでミルク給食をやらしているという学校が現にあるんです。そして給食というのは、いまいろいろな教育効果やら何やらの必要、趣旨が徹底いたしましてやっている。そういたしますと、お昼の時間の前の時間は必ず教師がそのミルク練りをやっているわけです、当番か順番かどうかしらぬが。そうするとその分だけは授業が行なわれていないんです。そうでしょう。そうするとそういう分校ではどこかに大きな欠陥がある。局長は学校教育法ではと、こう言うかもしれませんよ。給食婦は市町村負担だからそれは市町村が考えればいいと言うかもしれない。しかし、そういうことを一応抜きにして、学校等の現に教育が行なわれている姿を見ると、そういう問題を全部洗ってみないと、教員の定数がどうあればいいのか、あるいはいまの給食なら給食関係の職員というのはあと回しでもいいのか、場合によってはどういうところには絶対いなければならないのか。法律の体系は別としても、そういう議論がされなければいけないでしょう。だから私はそういう立場からの学校という、いまの機能的な学校というものを、この法律改正を作業する過程で検討してみたのかどうか率直に伺いたいんです。
#31
○政府委員(宮地茂君) 先ほどから申し上げておりますように、給食なりあるいは学校の掃除なり、そういうことで法律のことは聞いていないとおっしゃいますが、法律には書いてない職員が実態としておるということも承知いたしておりますし、そういうものが不必要だとは考えておりません。したがいまして、理想の姿といたしますれは、そういったようなものが置かれる。また置くべき手だてをすることも十分検討に値すると思いますが、今回の定数法を改正いたします場合に、現在学校教育法で規定しておる職員を適正に配置をするときに、それらの人につきまして考えましたほどの詳細な考え方を前提として炊事婦とか用務員とかいうものには考えませんでした。
#32
○鈴木力君 わかりました。私はやっぱり原案はこういう趣旨だということは、いまの御説明でわかるんですよ。しかし、われわれが審議しているのは、原案にもし欠陥があれば、それを直さなければいけない役割りを持っているわけですね。そういう立場で聞いておるんですから、原案の趣旨はこうです、こうですと何べん言われても、原案は私も拝見しているんです。しかし繰り返しますと時間ばかりかかって恐縮ですが、ちょっといますぐということは無理でしょうけれども、文部省でちょっと調べておいてもらいたい。この法案の審議中に、どうせ私きょうは時間が少なくてあとまでいくだろうと思いますけれども、つまり法律的には大体私もわかっておりますけれども、全国の義務教育学校で用務員のいない学校が何校あるか。
 それから、ついでに申し上げますが、学校薬剤師の、これはもう法律できまっておるからいないはずはないのですけれども、現に不在の学校もあることも私は承知しておる。だから不在の学校がどれだけあるのか。それから学校薬剤師のおる学校で、薬剤師の勤務日数は大体一年間に何日であるか。これは一年間に一日の学校が幾ら、一年間に十日ぐらいの学校が幾ら、あるいは一年間にもっと二十日ぐらいが幾ら、そういうことで調べていただいてもよろしいと思います。あるいは一週間に一回というふうにきまっておるものがあればそういう実情でもよろしい。それから学校薬剤師には、学校保健法とそれから施行規則によって仕事をした記録簿ですか、あれは何と言うのですか、局長さん、法にあるんですよ。文部省の施行規則にある。――まあいいです。それがどんなように実施をされておるのか、その状況。
 それから学校給食が行なわれておる学校で、給食の専従の従業員のおる学校。専従がいなければ給食がどういう形で行なわれているのか。これらについてひとつ調べてみていただきたいと思います。
 この件については、その調査ができましてからあとで御質問を申し上げたいと思います。
#33
○政府委員(宮地茂君) まことに恐縮ですが、所管のことを申し上げて失礼ですが、体育局関係のものの資料もございますし、それから、たとえばお出しになられました用務員につきましては、先生が御要望されているほどの厳密な調査はないかもしれませんが、御趣旨にできるだけ沿い得るような資料は整えたいと思います。体育局につきましても、その旨ほぼ同じ趣旨で可能な限り出し得るものは出させていただく。不可能なものはまたあとで御連絡いたします。
#34
○鈴木力君 私は、ほんとうはこの法案を検討、改正案をつくるときに、このくらいのことは調査した上で教員が幾ら必要なのか、それが文部省としたら常識だと思ったからお伺いしたのですけれども、その点は欠けておった。私はさっきまま母の話をしましたけれども、如実にまま母ぶりをこれで見せられたような気がしてもどうも困るのであります。しかし、いまはそういうまま母がいないのですから。できないものはやむを得ませんけれども、それからまた、全国全部といっても、これまたそう御無理なことも申し上げませんけれども、可能な限り、要するに教員定数のあり方と学級編制というものの基礎になる学校全体の条件というものをやはりはっきりと検討しないと、いまのほんとうのところの討議というものは私はやるべきじゃないという気持ちだから、その点よろしくお願いします。
 それで、直接にはこれも初中局長さんの担当じゃないかもしれませんが、国立の小、中学校の職員構成、これは担当はやはり違いますね。
 それではついでですからお願い申し上げたい。国立学校では一体職員構成というものはどうなっておるのか。専従の教育職員、それから事務職員その他専従も、それからPTAとか何かその他の費用をもってやっておる職員がおればそれも含めてです。それは全部でなくてもよろしいのですけれども、これもついでにお調べいただきたいと思うのです。それはよろしいでしょうか。
#35
○政府委員(宮地茂君) 直接の所管ではございませんが、大学当局のほうへ連絡いたしまして、先ほど同様できる限り可能な資料を提出させていただきます。
#36
○鈴木力君 実はこれらの問題の全部状況が出てまいりますと、大臣がいつでもおっしゃる学校の正常な運営という問題がはっきりしてくるだろうと思うのです。どうもいままでやっぱりこの委員会でも、学校の正常な運営ということばを何べんか大臣がおっしゃることを伺ったのですけれども、私にはよく理解ができない。この点につきましては、いま御調査をいただいたらこの次にそういう点についても伺いたいと思います。
 その次にお伺いいたしたいのは、いまのそういう職種のことは別といたしまして、いま義務教育学校で、よく法律、法律規定ということを伺いますから、現に行なわれている学校でのいろいろな行事あるいは業務等について、法律で規定をされている以外の行事なりあるいは業務なりというものがどういうものがあるかお調べになっていらっしゃいますか。
#37
○政府委員(宮地茂君) 行事等につきましては、学習指導要領で儀式的な行事であるとか、その他修学旅行のような行事、学習指導要領に五つ六つの例示がなされておるわけでございますが、それ以外の行事の調査につきましては、いま私、直ちにどういうものがあるかわかりませんが、いまお尋ねの御趣旨はかわりますので、それもそういう資料がございますればあわせて提出させていただきたい。
#38
○鈴木力君 これも私はやっぱり教員定数を考える場合に、ここのところを調べていただかないで、何か教員の定数がこれが適正だとおっしゃる文部省の意図がわからないのですね、私は。と言うのは、前にこの法律案を改正した五年前の時点と今日では、学校のそれぞれの教師がやらされている仕事の態様というのは変わっていると思うのです。変わっている事実を私も知っている。それを指導要領でこうこうこうと、それだけ見ていらっしゃるから、その他のことでどうしてもやらなければならない業務、やらされている、やらされているというのはことばが悪いが、やっておるものはたくさんある。それを調べないで、教師の仕事はこれこれこれというから、いまの学校が非常にいろいろな時間的な問題なり、あるいは教育的な問題なりも起こっておるのです。これもお調べいただいていないとするとやむを得ませんけれども、私はやっぱりこれをこの法案を検討していくためにはぜひ必要だと思う。ですから、その行事というものは大体、まあそれ以外のものがなければないでよろしいのですけれども、職員の業務以外の業務が何々かということは、現に行なわれているものは何々か。これはやっぱりある程度調べられるようにしていただきたいのです。文部大臣が組合活動なんてごそごそ言っていらっしゃやる。それもありますよ。それから校長会の何々なんて集まって私的なこともある。だが、それらは私的なことというのじゃなしに、たとえば学校長でその村の何々の委員というような委員を兼務させられているものがたくさんあるでしょう。そういうようなものをひとつ検討してみていただきたい。私は非常に残念なのは、こういう大事なことをお調べいただかないで、法律以外の業務は何があるかというと、組合活動なんてささやかれる大臣の態度について私はきわめて不満だ。私はまじめに聞いておるのです。いまささやかれたのはどういう意図でささやかれたのですか。
#39
○国務大臣(坂田道太君) 私もあまりつまびらかにいたしませんけれども、組合活動というものもやはり事実としてはあると思います。それに相当の時間がさかれておる。それはまた正常な意味において好ましいことでもあるというふうにも思うわけで、その実態を何もどうというわけじゃございません。
#40
○鈴木力君 わかりました。組合活動というのがあることは私も知っておるし、正常なというか、好ましいことでもあるということで、大臣のおっしゃったことはよくわかりました。さっき私が誤解したとすれば私のほうもいけなかったということです。ただ、校長さんも法律にあるなら別としても、社会教育関係でもずいぶんいろんな役務を持っているでしょう。図書館長でありますとかあるいは社会教育委員、あるいはもっとひどいのになりますと、消防の顧問まではないかもしれませんが、消防法によって校長さんもそちらのほうの業務を持っておるわけですね。そうすると、校長さんがそういう業務を持っていますと、それが校長に発令をされたものが職員にその仕事がいっている例が相当数あるのです。これも全国全部の学校を調べろといっても非常にむずかしいのですけれども、そういう業務を頭から離しておいて、事務職員は当分置かなくてもいいとか教員が一学級当たりどれだけいればいいというふうに計算をすることに間違いのもとがあると思う。その業務というのが学校でどれだけやられておるかということはこれは的確な把握ということが大事だと思う。何々仕事があるかということを考えないで人数を計算するというのは、さっき土木の話をいたしましたけれども、家を建てる大工さんはそういう計算はしないはずです。コンクリート打ちはだれだれ、そうするというとその仕事をする土工の人が何人あるいは木工関係は何人、屋根ふきは何人要る、外回りの付帯工事が何人と、そういう計算をして設計というのは出てくるのじゃないですか。そこのところ付帯工事も何も全部計算しないで、定数法改正というものを機械的に改正をしていくというやり方に、さっき私が言ったどうしても愛情が足りないということを繰り返し思うのですが、まあいずれにしてもそういう面についてはこの法案ではぜひ私は関係づけてこの審議をしていきたいと思いますので、よろしくその資料等も御調査をいただきたいと思うのです。どうもあと時間がないのだそうでありますから、あとは資料でちょうだいいたしまして、この次の機会はまた重ねて御質問さしていただきたいと思います。
#41
○内田善利君 今度のこの法改正によって、義務教育の諸学校の教職員の定数の増減についてまずお聞きしたいのですが、五カ年計画が終了した四十八年にどのくらいの教員の増加になるのかお聞きしたいと思います。退職と転職、その他いろいろ減少すると思いますが、純増は幾らになるかお聞きしたいと思います。
#42
○説明員(岩田俊一君) この数字に関するお尋ねでございますが、この五カ年計画が終わりますところの四十八年度の時点で御説明申し上げますと、この法律による改正を行なわなかった場合、つまりいまのまま推移した場合と、法改正に基づくところのそのために増加する分の差額、いわゆる制度上の差額が増が二万八千四百九十一名でございます。ところが四十八年度までの時点におきまして、なおかつ児童生徒数の全国的な減少傾向のある県が相当ありますので、その減少部分が教員定数にはね返る、いわゆる教員定数の減が一万三千七百三十五と推定いたしております。つまりその差の一万四千七百五十六が純増となってくるということであります。でございますから、制度面で言うならば二万八千四百九十一人の増。自然減を見込んだところの純増を申し上げますと、一万四千七百五十六、こういうようなことになっております。
#43
○内田善利君 現在、国で教員養成を目的とした大学学部、この教員養成の大学を卒業する学生数についてお聞きしたいのですが、今後五カ年の間に、大体でいいですがどのくらいの学生が卒業するのですか。
#44
○説明員(手塚晃君) いまのお尋ねに対してお答えいたしますが、あるいは若干間違っておりましたら重ねてお答えいたします。教員養成学部の卒業者は、四十三年三月の卒業者が、四十三年十月一日現在の調査によりますと、卒業者は一万三千一名でございます。そのうち教員に就職いたしましたのは一万七百十七名になっております。
#45
○内田善利君 四十三年三月で一万七百十七名が教員になったわけですね。そうしますと五年間で大体六万人ということになりますか。
#46
○説明員(手塚晃君) 将来につきましては、教員養成学部関係では、四十年度と四十一年度におきまして、入学定員の改定をいたしておりますし、それから特殊教育関係の養成課程の人員増等もございまして、全体といたしましてはこれよりふえることになると思います。ただ現実問題として、いま一番問題になります小、中学校の教員に限って申しますと、特に小学校関係の入学定員が若干ふえておりまして千六百名ほど増加しております。先ほど申し上げました国立の教員養成大学学部の卒業者は一万三千名でございますが、入学定員といたしましては約一万六千名ほどに最近なっております。もちろん、入学しました者が全員卒業しないということもございますので、全体が卒業すると勘定できませんので、そういうことからいたしますと、卒業者が約二千名近くはふえるんではないかという感じがいたしますので、教員就職者も一万二、三千名にはなるんではないか、毎年平均が次第にそういう方向に増加していくんではないかと思います。そういたしますと、平均して約一万二、三千名ですと、五年で約六万ぐらいになるかと思います。
#47
○内田善利君 私が聞きたいのは、法改正によって教員数が約二万名増加するわけですが、その間に教員養成の大学を出た学生数が一体どれくらいなのか。また現在何名ぐらい教育職に就職しておるのか。そういったことから、また現在各県で教員の採用試験が行なわれておりますが、この中から大体現況は何名ぐらい教員になっておるのか。そういうことからはたしてこの学級数から割り出した教員増というものが妥当であるかどうか。その辺をお聞きしたいと思って質問したわけですが、教育学部に、あるいは大学の教員養成学部に入学した学生が卒業して何名ぐらい、何%ぐらい教育職に就職しておるか。私の聞きましたところでは、ある県では現在教員養成学部あるいは大学を卒業した生徒のうち、学生のうち約半分が県外に流れておる。そして残りの、半分の二分の一ですが、これが他に転職しておる。あとは待機の姿勢と、そのように聞いておるわけですが、教員養成学校を卒業した学生がどの程度教員になっておるか、その辺を伺いたいと思うんです。
#48
○説明員(手塚晃君) まず、初めに前段の御質問にちょっとお答えしたいと思いますが、と申しますのは、今度の改定に伴って教員の需給関係についてのお尋ねでございましたので、その点について申し上げますが、実は小学校と中学校では教員の需給関係ではなはだ相違がございます。と申しますのは、中学校関係は教員養成学部出身者で全部をまかなうという考えはとっておりませんで、一般の大学学部の卒業生で教員免許状の課程認定を受けております大学の卒業生は、非常に多数の者が教員免許状をとっております。したがいまして、中学校関係の、何と申しますか、必要数の確保につきましては、むしろ今度絶対的には定数減になりますので、その点心配ございません。問題は小学校の需給関係が一番問題だと思います。そして、今後の五カ年間の需要を見越しますと、先ほど初・中局のほうから御答弁がありましたように、おおよそ約一万二、三千名の定数増があるわけでございます。一方、小学校教員につきましては毎年約一万名の退職補充がございます。それは大体退職率を三%と見て一万名というふうな勘定をしたわけでございますが、五カ年間に五万名の退職補充が必要となります。むしろこれのほうがはるかに大きい数字でございまして、合計いたしますと、五カ年間に約六万二千名以上の者、大体平均いたしますと一年間に約一万二千名の需要が見込まれるわけでございます。ちなみに、中学校のほうを申しますと、中学校はむしろ定数は減少するわけでございますが、やはり退職補充が毎年六千三百名程度が一応退職補充として考えられなければならぬ。したがいまして、それを五カ年間には、相殺いたしまして二万四千名のやはり採用が必要でございまして、一年間に平均いたしますと約四千八百名という需要が見込まれます。これに対しての供給でございますが、まあ国立の教員養成大学学部における入学定員に関しましては文部省では、先ほどちょっと申しましたが、三十九年当時、昭和四十四年度以降における児童生徒数の増減を推計をいたしまして、四十年度と四十一年度の二カ年におきまして、国立の教員養成大学学部の入学定員を、小学校教員養成課程につきましてはその当時八千十一名でありましたのを九千三百四十名に約千三百名の増員をしております。一方、中学校の教員養成課程につきましては、六千二百七十四名であったのを約二千百名減員いたしまして四千百十名にいたしております。そういうふうなことである程度将来の予測を立てながら入学定員を改定したわけでございます。
 今後の需給の見通しといたしましては、小学校教員につきましてはここ二、三年間の新規採用者数は大体一万一千名ないし一万二千名、毎年採用しております。中身は国立の養成大学学部の卒業者のほかに一般大学、短大等の卒業者も充当してきております。今後年平均一万二、三千名程度の需要数が見込まれるわけでございますが、この数字はこの二、三年間の実績と比較しましてこれが著しく上回わるというものではないわけでございまして、国立の教員養成大学学部の小学校課程の卒業者が、先ほど申しましたように四十年度と四十一年度に定員を増いたしておりますので、その卒業生はこの四十四年の三月にまず第一回の増員が出てまいります。来年はさらにふえたものが出てくるようなことになっておりまして、そういう小学校課程の卒業者の増とか、地域間の需給の調整措置等を進めることによりまして、一応必要数は確保されるという見通しに立っております。中学校の教員につきましては、先ほど申しましたように一カ年平均約四千八百名の需要でございますから、これは従来の実績をむしろ下回るぐらいの数字でございまして、先ほど申しましたように一般学部の卒業生による供給が非常に多いわけでございますから、これについての確保についての心配はないわけでございます。
#49
○内田善利君 よくわかりました。しかしながら教育学部に入学した学生というものは、先生に、教育者になることを目標として入学しておるわけですけれども、卒業したら、はたして全員目的の学校で教師になれるかといいますと、実情は先ほど申しましたような実情のところもありますし、非常に教員として就職することが困難なように聞いておりますが、この点について文部大臣にお伺いしたいのですが、教員諸学校を出ても就職できない実情について一体どう考えられか、あるいはこれに対してどう対策を講じていかれるのかお聞きしたと思います。
#50
○国務大臣(坂田道太君) ちょっと事実関係を先に申しますから……。
#51
○説明員(手塚晃君) 先ほど御質問に対して後段の分を漏らしまして失礼いたしました。
 先生のおっしゃいますように、三月末あるいは四月当初におきましては教員養成学部で、特に過疎地域といいますか、人口の減少しているような地域におきましてはおっしゃいますように県内の就職が非常にむずかしくて県外の就職が相当多い。それはいろんな地域でございますが、なおそれだけではなくて採用試験で、一応登録したままの形で、そのまま教員になることを志望しておるために他の民間の企業にも従事せずに待機しているような者があることは事実でございまして、それが十月まで、私が先ほど申しましたように十月一日現在でいろいろ調査いたしました理由も、年度途中でもって欠員のでき次第採用されていくものが多い現状でございまして、その当時におきましては若干そういうふうな相当数のものが待機した形になっておりますけれども、十月一日現在になりますといろいろな意味で就職率はあがり九〇%を下るものがほとんどないのでございまして、大部分の地域が九〇%を越えております。ただ過疎地域におきまして八〇%台のものが若干ございます。これは教員以外の就職も含めての数字でございますけれども、十月一日現在、半年間たって就職率がそこまでいかないものも若干あることは事実でございますが、十月一日になりますと、ほとんどの地域におきましてまず九〇%を越える、平均いたしますと九六・四五%というふうなことになっております。
#52
○国務大臣(坂田道太君) ただいま課長から御答弁を申し上げましたような状況でございまして、まあ、どうしても教員をやりたいというのになれないという若干の者がおるということは、これは事実だと思いますが、また一方におきまして、資格は持っておるのだけれどもなってくれないという部面もある。そういうようなことでほかの産業に走っていく者がある。この教員養成の需給関係というは非常に大切でございますが、非常にまたむずかしい面も持っておるわけなんです。もう少しこれは県内の事情等を考えないといけないので、文部省全体としては――その需給のバランスは一応ただいま申し上げましたような状況かと思いますが、これはむしろ県におけるところの人事交流の問題にかかっておるのじゃないか。それのほうに非常にウエートがあるという考えを私は持っております。しかしながら、私といたしましては、本人がどうしても学校の先生になろうと思うのになれないということはやはり今後考えていかなければならない問題だと思っております。
#53
○内田善利君 県の問題であろうと思いますが、やはり県については余っているところもあるし、あるいは不足しているところもあるのじゃないかと思います。その辺のアンバランスを何とかして国で対策を講じていったらいいのじゃないかと、このように思うのです。
 それから、ある広範な地域ですけれども、ある場所では三十歳までの教員が全然いないという地域もあるようです。こういった年齢的なアンバランスも生じておるようなところもありますので、こういった面についてもやはり文部省として、国としてこういったことに対する対策を早く講じないと、これはとんでもないことになるのじゃないか。若い世代の人たちの教育ということが等閉視されているのじゃないか。このようなことも生じておりますので、この点についてもひとつよろしく助言なり対策を講じていただきたいと、このように思います。
 それから、教員の採用試験ですけれども、先ほどちょっと申しましたが、各県で採用試験を行なっているわけですが、この採用試験に合格した者が長い間待機して、結局最後は就職できない、あるいは長い間待機している間にほかの職業にいってしまうとか、いろいろあるわけですが、この各県で教員の採用試験をやっておることについてどのように考えられておるのか。特に待機している人たちに対する処置等――私もこの県の教員採用試験を受けて教員になった者ですけれども、非常に長い間待機して困った体験がありますが、こういった人たちに対する考慮あるいは対策、そういうことについてお伺いしたいと思います。
#54
○政府委員(宮地茂君) いまのお尋ねの前段の、いわゆる教員が不足している地域あるいは過員を生じている地域、こういうところのその間の人事交流の配慮という御質問がございましたが、御指摘のようなことが各地で起こっております。特に従来からの僻地でない過疎現象を起こす地域におきましては、非常に教員が過員を生じてくるといったようなことで、この問題につきましては、文部省といたしましては、都道府県の教育委員会にもこの旨を話しまして、教育委員会としても、一県内だけでなくて、広域の人事交流をぜひ推進していきたい、このように考えまして、今年度わずかではございますが、私のほうにも事務的な経費を予算に計上した次第でございます。ただ、人事交流の場合に、何と申しましても、最近では一方的にどこへ行けというようなことがなかなかできませんので、本人の同意と申しましょうか、できれば本人の希望する土地ということが先決になりまして、いろいろ思うにまかせない点がございます。先ほどおっしゃいました年齢の問題もございますし、また住宅の事情等もございますし、また生来日本人というのは生まれ故郷をあまり離れたがらないといったようないろいろな阻害状況がございますが、そういうことにつきまして、過疎県と非常に過密になります県、こういったようなものが幾つかのブロック的に広域の人事交流をやりたいということで、真剣に本年度から取つ組むように私のほうも指導いたしておりますし、県の教育委員会もそういうふうに努力したいというふうに申しております。
 それから教員の採用の問題でございますが、実は、御承知のように、教員の採用試験は一般の公務員のように競争試験でなくて、教育公務員特例法に規定するように選考をするということになっております。したがいまして、各地で行なわれておりますいわゆる教員採用試験も、厳密に言えば、いわゆる競争試験ではなくて、選考の一つの方法としていろいろな採用試験と称されるものが行なわれておるのが実情でございます。したがいまして、各県におきましては、多少の相違はございますが、まず来年度のその県内の過不足状況を考えまして需給計画を立てて、一定の数の教員を採用するという計画を立てるわけでございますが、やはり四月一日から新規採用するといたしますれば、やはりその日よりも前でございますので、大体におきまして、その県で百人なら百人というふうに一応の合格線を出しましても、百人全員が採用されないというようなことでまあ待機者も出るということでございますが、全国一律ではございませんが、大体の府県におきましてABCといったようなランクをつけまして、絶対に採用されるとか、それから三月末までの欠員の状況を見て採用されるでしょうとか、あるいは次の年度中には採用できるかもしれませんけれども、おそらく無理だろうとかといったような状況が、その採用試験というか、選考を受けました者には大体通知されておるのが実情ではなかろうかと思います。しかし、先ほど大臣も答えられましたように、教員になりたいと思いましても、選考のときに多少その他の者と比べて遜色があるというようなことで、その意を得ない者もございますし、またこっちが援用したいという者でも他の職種に逃げていくというような面もあります。したがいまして、これは各県で、教員の採用は、新しい年の四月に採用するという者は大体前年末、早いところは十月とか十二月あるいは一月に入ってやるとかといったようないろいろな形で、また、いろいろな経験も積んでおるようでございますが、できるだけ御趣旨のように教員を志望する者で教員になれないことがないように努力することはもちろんでございますが、また教員になろうとする者も選考に落ちないだけの成績をとって教員になるような努力もまたあわせてしてもらいたい、こういうふうに考えております。
#55
○内田善利君 時間がありませんので、あと二つ質問したいと思います。
 先ほど質問がありましたけれども、用務員あるいは栄養士という職は、学校にどうしてもなくてはならない職種だと思うのですが、この用務員あるいは栄養士はどうして本法案の中で定数化しなかったか、もう一度教えていただきたいと思います。
#56
○政府委員(宮地茂君) これは先ほどもお答えいたしましたが、私どもといたしましては、市町村立学校職員給与負担法なりあるいはこの標準法なりは、やはり義務教育費国庫負担ということと直接間接に関係がございますので、市町村で、設置者で勝手にあるいは自由に職員を採用して、その給料は国の負担を必要としないというようなものを、どんどん必要なものだけは書くということも方法でございましょうが、やはり国が持つのはこれだけだということが関連をしてまいりますので、必要でないということではございませんが、お尋ねのような職員については、まあ規定を従来からしなかったし、今回もしなかったというのが率直なところでございます。繰り返しますが、さればといってこういう職員が不必要であるとかいうつもりは毛頭ございませんで、最少限これだけは置いてほしいし、これだけは国が半額持ちますというように一応目標を置いたというふうに御了承いただきたいと思います。
#57
○内田善利君 寄宿舎を置く小、中学校には教員を一名置くということでございますが、現在寄宿舎を置いている小、中学校はどれくらいあるのか。
#58
○説明員(岩田俊一君) 通年制のものと、冬季の一定期間だけ臨時に置かれるものがございますが、今回のものは通年的に置かれるものを目しまして職員配置を予定いたしておるわけでございますが、その数が百七十三とこういうふうになっております。
#59
○内田善利君 五カ年間の見通しはどうなっていますか。五カ年間でどのくらいになるから置くというふうになっておりますか。
#60
○説明員(岩田俊一君) ただいまの申し上げた数は、現在の時点における数字でございまして、この寄宿舎の設置と申しますのは、御案内のように、学校統合に伴って起こるわけでございまするけれども、統合の今後の状況の推移にもよりまするけれども、五カ年間の数字というものは現在は計上してないのでございまするが、法律の規定でございまするから、これは当然今後来年以降さらに寄宿舎が増加するならば規定に従ってその定数は算定される、そういうことになるわけでございます。
#61
○内田善利君 以上で質問を終わりますが、やはりそういったことも勘案してきめるべきじゃないかと、このように思います。以上で終わります。
#62
○田村賢作君 いままで二人の委員の質問と答弁をお聞きいたしまして、これはもう了解をいたしておりまするし、せんだっての大臣の趣旨説明と局長の補足説明で、もう大かたのことは了解をできますから、私はきわめて常識的な問題でありますが、簡単に幾つかの問題だけをお尋ねをいたします。私も教職の経験がございますが、おそらく教育という現象と申しますか、作用と申しますか、そういう営みが成立をするということの基本的な条件というものは、児童なり生徒が生まれかつ育っておる社会環境、教育が行なわれておるところの社会の実態、学習環境と申しますか社会環境という問題と学校の教育を考えた場合に、教員の数をどのように充足していくかという問題、これは直接この法案と関係のある問題でありますが、要するに、教育者の数というものを、どのようにそろえるか、しかしながら、それは教育者の数という物理的な条件のみならず、教育者の質という問題が、非常に大きな教育の要素になってきますが、これは本日論議すべき問題じゃありませんから、いつか論議したいと思います。要するに教育者の数、教員定数、それから三番目は教育を行なうところの施設あるいは設備と申しますか、そういう条件というものが、基本的に教育を成立せしめるための大事な要件だと思うのであります。そこで社会環境については、本日は論外であり、施設の問題につきましては、昭和四十四年度の予算編成によって見ますると、公立文教施設に、例年よりは若干前進した予算措置をとっておるように考えておりますが、しかし全国の施設の整備改善という問題から見ると、まだまだ不十分であります。そこで、問題のこの定数でありますが、なかなか定数を改善するということは容易なことではなかったろうと私は思います。政府も行政の簡素化と申しますか、行政機構の改革によって、公務員の定数を削減していこう、こういうことで行政監理委員会からの答申に基づいて、一般公務員の定数は五%減にする、こういう方針をとっておるときでありまするし、行政官庁のごときは、前年度一省一局削限というような措置までとられておるときでありまするから、教職員の定数を増すということは、私は文部省当局としては容易ならざる努力であったろうと思いますが、しかし教育というものの質を考えましたときに、いま出されておりまするような定数の改善というものでは、まだまだこれはたいへん不十分である。これは先ほど鈴木委員からも、その他の委員からも出されたとおり、私もきわめてこれは不十分だと思う。したがって、なお今後改善を要すべき問題が非常に多いと思うのでありますが、この問題をめぐりまして、具体的な問題を幾つか質問をしてまいりたいと思います。
 まず第一に、説明にもありまするように、昭和三十四年、三十九年ですか、二回にわたりまして、この定数の標準法を改正することによって、定数の改善を行なってまいったわけでありますが、その経過なり、結果につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
#63
○政府委員(宮地茂君) お答えいたします。
 私どもといたしましては、昭和三十四年から第一次の五カ年計画、続きまして、三十九年から四十三年にかけて第二次五カ年計画、この四十四年度から第三次五カ年計画を実施したいと考えておりますが、今日まで十カ年間二回にわたります五カ年計画を実施いたしました。で、法律を制定しました当時、小学校の一学級の最高収容人員が六十人程度でありましたが、これが四十五人まで引き下げられたという点でございます。かりに改善措置を講じないで、三十三年度当時の学級編制とか、教職員定数の配置率を現在まで維持していたといたしますと、この十年間におきまして約四百二十六万人の児童生徒数の減少に伴いまして、現時点の教職員総数は約十四万人程度になっているということになります。したがいまして、過去二回にわたりまして五カ年計画を実施したことによりまして、実質的には教職員数にして十四万人程度の改善がなされたというふうに見ることができようかと思います。このような改善措置を講じました結果、一学級当たりの全国平均の児童生徒数におきまして、三十三年当時小、中学とも四十四土二人でございましたものが、四十三年度には小学校三十三・四人、中学校三十七・七人となっておりますし、また教員の配置率の指標となりますところの教員一人当たりの平均児童生徒数を見ましても、三十三年度当時小学校三十七・八人、中学校二十八・一人であったものが、四十三年度は小学校二十七人、中学校二十二・二人というふうに大幅に改善されているということが言えようかと存じます。以上が今日までの経緯でございます。
#64
○田村賢作君 いうならば、これはすし詰め学級を解消したいということに努力をしてきたと思うのでありますが、確かにそれは戦中戦後のあの学級編制と比べますると画期的に改善をされたと思います。しかしながら、国際的に見てよその国の教職員の配置状況と比べての比較をした場合どうなりますか。
#65
○政府委員(宮地茂君) 諸外国との比較でございますが、わが国と全く同じ学校制度をとっておる国ばかりでもございませんので、勢い比較いたします場合、大体似たような学校と同種の比較ということになろうかと思いますが、過去二回にわたります五年計画の実施によりまして、総じて申しますれば諸外国、まあ欧米のアメリカとか、イギリスとか、フランスとか、西独といったような諸国に比べてさして遜色はないというふうに考えております。学級編制で申しますると、わが国の一学級当たり平均児童数が四十三年度小学校が三十三・四人、中学校三十七・八人ということでございますが、欧米諸国は大体三十五人程度で、まあ大体遜色がない、欧米並みであると考えてよいのじゃないかと思います。多少もう少し変わった面から比較いたしてみますと、教員の配置率の指標になります教員一人当たりの平均児童生徒数というふうなことで見ますと、わが国は小学校が二十七人、中学校が二十二・二人でございますが、アメリカの場合は平均して小学校が二十六人、中学校が二十一人、イギリスの場合は小学校が三十人、中学校が二十人、フランスの場合は小学校が二十五人、中学校が二十二人といったようなことで、こういう比較をしましても遜色はないと言えようかと存じます。
#66
○田村賢作君 ただいま局長の申しました数は、アメリカなりイギリスなりフランスと比べて若干の遜色があるように思うのだが、しかし、いままでのことを考えますると、たいへん画期的に改善をされた。そこで文部省の考えとしては、一般の計数というもので、国際並みにこれを持っていこうと努力をされるのかあるいは一般の教職員の定数というものの考え方をどういう配慮によってなお今後改善していこうとしておるのか、その辺ひとつお願いします。
#67
○政府委員(宮地茂君) もちろん教職員の定数なり学級編制の標準を考えます場合、私どもとしまして当然諸外国のことを頭に置く必要のあることは申すまでもございませんが、今回の四十四年度から始めようと考えております五カ年計画では、いわゆる過去の二回にわたります五カ年計画が、いわゆるすし詰め学級の解消ということに重点を置き、先ほど申しましたような諸外国をしのぐほどには至っておりませんが、比較してそう遜色のないところにまいりました。そこで今回は、そういったすし詰め解消ということのために、多少残されがちになっておりました単級複式学級の改善とかあるいは専科教員、生徒指導、こういった教員の充実をはかり、また養護教諭や事務職員、これは従来から問題になっておるところでございますので、そのようなことに力を置いて、いわば学校経営の近代化を促進する、こういう観点に重点を置きましたことと、また、とかくおくれがちになります特殊教育の充実のために、学級編制なり教職員の定数の改善をはかる、大体こういうことを主眼として今後の五年計画を実施してまいりたい、このように考えております。
#68
○田村賢作君 大体ねらいとするところの目安はそれでわかったたんですが、現場の学校管理者、運営者が一番充足してもらいたいのは養護教諭並びに事務職員等であります。児童生徒の体位も体力もたいへんよくはなってきましたが、一面、衛生管理の面から見ると、非常に劣悪な条件に置かれている場合が多いわけです。したがって養護教諭を完全に配置をするということと、それから先ほども出ましたが、学校医とか学校薬剤師とかこういうもの、あるいはこれは設備の面になりますが、保健衛生室の整備であるとか、こういういわゆる健康教育と申しますか、養護教育の問題が非常に大事な問題でありますが、これはたいへん条件が悪い。したがって学校長はぜひこの養護教諭を配置してもらいたいという要望がたいへん強いわけであります。
 それからもう一つは、教職員が教育本来の仕事以外のいわゆる雑務に忙殺される時間、これまた非常に多い。先ほど組合活動のお話も出ましたが、確かに組合活動のごときも教育の能率を阻害する一つの要因になるかもしれません。しかしながら、大体学校の先生の引き出しかポケットには一年じゅうざら銭がチャラチャラ入っている。それは何の集金だかんの集金だというような、そういう本来事務職員がやるべきような仕事にまでたいへんな時間を費やすのであります。そこで養護教諭を置く必要があると同じような意味において、私は事務職員というものをあまねく必置していただきたい、こう思うのですが、今度の定数標準の改正によってどの程度それが改善できるのか、お聞きいたします。
#69
○政府委員(宮地茂君) 今回の改正につきましては、現在養護教諭で申しますと、小学校での児童千人に対して一人ということ、それから中学校は千二百人に対して一人という標準で定数を考えておりましたのを、小学校は八百五十人に一人、中学校は千五十人に一人といったようなことを考えました。と同時に、このようにいたしますと、いわゆる僻地学校の多い府県等では、都会地の多い府県と比べまして非常にアンバランスになりますので、以上申しました基本的な考えのほかに、僻地学校の一定数に応じて養護教員を特にプラスして定数上見るというふうに考えております。
 事務職員につきましては、中学校では四百人以上の学校、小学校では三百人以上の学校に一人というふうに定数を考えておりましたのを、今回は、小学校では三百五十人以上の学校、中学校では二百五十人以上の学校というふうにそれぞれ定数を改善すると同時に、養護教諭と同じように、僻地学校の多いところ、さらに要保護、準要保護児童生徒の多いところ、こういうところは、先生の生徒指導等にいろいろ仕事が多忙ですから、事務職員を特にそういう地域には配当するといったような考え方で今回の改正案は考えておる次第でございます。
#70
○田村賢作君 おっしゃることはわかりましたが、養護教育学校の学級に対して改善が行なわれておるかどうか、これが一点。養護教育学校の学級編制。
 それから、僻地の学校に多いわけですが、単級学級と申しますか、そういうのがあります。これが複式学級に改善をされる場合も考えられます。で、現在のように過密、過疎の状態が強化されればされるほど、いわゆる過疎地帯というものが残存するわけだから、児童生徒の数からいうと、当然これは従来の編制基準でいけば単級小学校になるというものであっても、教育の条件をよくしてやろうとするためにはこれを複式に編制をしてやるというような改善措置が行なわれなければならないという問題があります。
 それから、これも先ほど出ましたが、過疎状態が進んでまいりますると、学校の統廃合という問題が出てきます。統廃合というものが進むと、今度は寄宿舎と申しますか、寮と申しますか、そういうものを設置する問題がまた出てくる。そういうものがやっぱりこれはまた教職員の過重な負担になってくるわけです。そういうものに対する今度の法の改正によってどの程度配慮が行なわれているものか、お聞かせをいただきたいと思います。
#71
○政府委員(宮地茂君) 一番目のお尋ねは、養護学級のことでございましたが、それを含めての特殊教育の振興という観点から、いろいろ特殊教育学校には、標準法上配慮をすることを考えております。たとえて申しますと、学級編制を改善します。従来十人であったものを八人の編制にするとかいった学級編制の改善、それから機能訓練関係の教員の定数を加配するといっようなこと、その他寄宿舎のあります学校には、舎監の職務を考慮して教員を加算するとか、また寮母の定数についても増をはかるといったように、今回の標準法では特殊教育学校につきましては多角的な面からその改善をはかるという考えでおります。
 それからもう一つ、過疎あるいは僻地等の小規模学校に対します措置でございますが、従来四十五人というものを基準にいたしておりましたが、しかし同一学年が四十九人までのときは四十九人学級といったようなものが存在しておりました。その四十九人の基準学級を解消するということが一点でございます。それから特殊学校のうちの一番程度の激しい単級、それから五個学年、四個学年の複式、これを五年間で解消していくということでございます。また従来の三個学年複式、二個学年複式というのは残りますが、それぞれたとえば二十五人を、小学校であれば十五人にする。中学なら二十五人を二十二人といったように学級編制基準を改める、こういうふうに考えております。
 それから第三の、学校統廃合の場合等に設けられます寄宿舎のお尋ねがございましたが、これにつきましては新規に舎監の定数を考えるといったようなことを予定いたしております。
#72
○田村賢作君 教職員の数がたいへん異動をするわけですが、学級編成の基準はこれによって変えることではないのですから、過密過疎の現象によってある地域は現在の教員が非常に過剰になる、ある地域は非常に教員が供給し得られない、不足である、こういう地域ができる。そこで先ほども話が出たのですが、この需給のバランスをどうするかということと、それから従来の編制でいくと過剰になってくる教職員、これを首切るということはあり得ないと思いますが、そういうような措置を避けて合理的な調整をとった編制がどのように考えられているか、その辺についてお答えいただきたいと思います。
#73
○政府委員(宮地茂君) お尋ねのようなことは最近特に顕著になってきておりますが、こういった過疎現象の事態も十分考えまして、主として過疎地域等に所在します小規模学校の教育条件の改善に力を入れたい、こういう考えでおります。すなわち先ほども申しましたが、四十九人基準学級だとかあるいは四個、五個学年の複式を解消する、それから小規模学校におきましても一人ないし二人の学級担任外の教員が確保されるように配置率を引き上げる。また過疎地域に所在します僻地の養護教員や事務職員が配置されるようにする、こういうようなことを講じてまいりたいと思いますが、なお非常に過疎が進みます地域におきましては、前年度の九八・五%以上の定数が減る計算になるところでは九八・五%に押さえる、こういったようなことで措置したいというふうに考えております。
#74
○田村賢作君 時間がきたようでありますから、これでやめますが、私は冒頭に申しましたように、この改善案というものは最善のものではないが、いままでの現状からいたしますると、数歩前進した措置になると思います。ただこれは、この定数の問題とは直接つながらないかもしれないが、学校の先生は頭数だけそろえればそれで教育ができるというものではないから、問題は教員の質である、りっぱな意欲に燃えた教員の充足こそ一番大事なことでありまするので、それがためにはやはり教職員を優遇する措置というものを講ずる必要があると思います。優遇されないところに教職員が集まってくるはずはないのでありますから、やはりこれは社会的な地位というものと優遇措置というものを十分講じまして、数をそろえると同時に質の改善をはかっていくということに、文部省はなお一そうの努力をされますることを要望いたしまして、私の質問終わります。
#75
○委員長(久保勘一君) 本法案に対する本日の質疑は、この程度にいたします。
    ―――――――――――――
#76
○委員長(久保勘一君) 再び教育、文化及び学術に関する調査を議題といたします。
 本件について質疑の申し出がございますので、これを許します。中村君。
#77
○中村喜四郎君 私は岡山大学の警察官の殉職事件について緊急の質問をしたいと考えておったわけですが、文部大臣が二時から本会議に行かなくちゃならぬという制約また他の議員さんも御都合があるというふうなことがありますので、できるだけ簡単に質問したいと思います。ただ、この問題は楠委員あるいは田村委員からも質問の要請があったのを私がいたすことにしておりますので、その間関連の質問があると存じますので、委員長のほうでもぜひお取り計らい願いたいと思います。
 私は、岡山大学の警察官の殉職事件については、そのことの内容を十分聞いた上で文部大臣にお聞きしたいのでございますけれども、文部大臣の時間の関係上、私は大臣にまずお尋ねしたいと思うのでございます。今度の有本さんが学生の投石によって痛ましくも殉職されたと、こういう事件は非常にショッキングな事件でございます。大臣はこういう警察官の、大学の問題で、しかも岡山大学の赤木五郎学長が告発して、そして学生課長あるいは坂手教養学部長事務取扱の暴行事件に関連して警察が捜査に当たった問題で殉職したわけでございます。この殉職に対して大臣はどのようなことを考えておられるか、というのは、私は国民に対しても十分陳謝をしなくちゃならないし、また全国の学生諸君にもこの事件を訴える必要があるというふうに感ずるわけでございますが、文部大臣いかがでしょうか。
#78
○国務大臣(坂田道太君) 今度の岡山大学の紛争に際しまして、有本巡査がなくなられたということに対しまして、私は非常なショックを受けておるわけでございます。当の御本人に対しましても哀悼の意を表するとともに、事が大学の紛争で起きたという、そしてまたこの岡山大学におきましては、かつて入学試験を実施いたしまするときに、一部の法学部の教授の中においては、警察官に守られてやるようなそういう入学試験には協力しないというような意味の声明までも出して、そして学校に出てこなかったというようなことも伝えられておるわけでございまして、そういうようないわば学内体制と申しますか、学校側の体制というものに対しまして、非常に私は遺憾なことであるし、同時に、そういうような学校管理に対する責任、あるいは国民に対する責任、あるいはまたほんとうに入学をしようとして来ておる人たちに対して、もうどうでもしても入学試験を実施しなければならないという、そういう責任というものを一体教官たちはどのように考えておるだろうかというふうに私は思うわけでございます。したがいまして、大学というものが学問の自由あるいは大学の自治ということを叫ばれる以上は、学内におけるところの暴力の横行というものは絶対に許すべからざるものだという意識がまず第一に、全教官になければならないというふうに私は思うのでございます。そういうこの意識の欠如というもの、あるいは教官の統一したものの考え方ということがないところに今日むしろ学生の横行を許しておるところの原因があるのではないか。もう少し大学、学長をはじめとして評議会、教授会もき然たる態度で、むしろ学問の自由を守るために、大学自治を守るために大学の先生方の教育、研究及び学生の学ばんとする自由を守るためにこそ自分たちが力を持たない場合においては警察にお願いをして御協力を願ってこういうような暴力学生を排除すべきものであるというふうに思います。また教育の正常化のために協力して当たらなければならない。犯罪の事実があった場合は、学内は治外法権の場ではないわけでございますから、これに対して、捜査当局に対して協力をするということは私は十分やっていただかなければならない。そういうようなことがはたして岡山大学において行なわれておったかどうかということについて、反省をし、また私の指導と助言の足りなかったことについて、あるいはこういうような不祥事を招いたのではないかということに対して非常な責任を私は感じておるものでございます。日曜日でございましたけれども、私テレビ、ラジオ等でそのことを知りまして、直ちに文部省の学生課長を岡山にやりまして、そして有本巡査に対する哀悼の気持ちを表明をいたし、お通夜にも参列をさせました。また同時に、大学の学長にも会ってもらって、病院に入院しておったそうでございますが、そこに学部長に寄っていただいて今後の措置についての検討あるいは指導というものをやってまいったわけでございます。そういうわけでございまして、ほんとうに私はこういうことが二度と再び起こってはならないというふうに思います。昨年、日大の紛争の最中においても警察官の方がなくなられたわけでございますが、あの際にも、もうこういうことはこれ限りでという気持ちであったわけでございます。その際に国立大学においてこのような事態が起きましたことに対して、ほんとうに私は哀悼の意を表しますとともに、こういうことを未然に防がなければならないと思います。そのために大学当局並びに学生諸君に対してもう少し良識的な、あるいは理性的な行動をとってもらいたいと思います。暴力、ゲバ、そういうようなことは学内においては一切やるべきじゃないというき然たる態度を大学当局がお持ちになると同時に、学生たちもゲバを捨てて理性ある話し合いによって自分の主義、主張というものを表明をするというふうに変わってもらわなければ、もう大学としての意味がなくなるのではないかというふうに思っておるわけであります。たまたま私は一月の十八、十九日、機動隊を導入していただきまして、数カ月にわたりましたあの安田講堂というものの暴力学生が排除されました翌日、総理大臣と一緒に東大に参りまして、いろいろ話を聞きました。そのときの警察官あるいは機動隊の方々がいかに周到な注意を払いながら、自分たちの傷を受けることは覚悟の上で、学生たちを守りながら、そして荒れ狂う学生をおんぶしていくその姿、そういうものも聞かされました。また、警視総監からも直接私は伺ったのでございますが、こういうような警察官の気持ちというものを踏みにじるようなことというものは、自由社会において許されるべきことではないというふうに考えるわけでございます。ことに、このたびの有本巡査は大学を出ておられますけれども、一般の方々は多くは高等学校を出た方々である。そうしておいて、大学生のほうが秩序を無視し、あるいははでな行動をやるというような、この風潮というものはなくなさなければ、もはや私は大学というものは存立をしないというような気持ちさえ感じておるわけでございます。そういう気持ちを持ちまして、微力ではございますけれども、今日の大学の問題とも取り組んでまいりたいと思います。直接問題の起こりました岡山大学に対しましては、今後とも強い指導を行なってまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
#79
○楠正俊君 ちょっと関連。いま文部大臣が深く遺憾の意を表されたのでありますが、例の「マスコミQ」で、一月十三日に九大の井上教授が、警察官は敵だ、こういう非常に無責任な発言をテレビでやり、また週刊誌でございましたか、そこでも警察官は敵だというようなことを発言しておるのでございますが、敵であるからには殺すというような意識を学生に植えつけるというようなことで油を注いだということは、いくら井上教授が弁明なさっても、私はそういったことがあるということを考えるのでございます。必ずしも、警察官が敵だと言ったことが、岡山大学で警察官を殺した、殺人事件が起きたという因果関係があるとは思わないけれども、先ほど申しましたとおり、そういったような警察官との対決意識に油を注いだということは確かであるというように私は考えておるわけでございます。したがって、こういった事件を契機にして、京都大学の井上教授にしても、あの暴力学生をあおり、また九大の教授が警察官は敵だと言った、それから何日もたたないうちに、敵であると彼らが見ておる警察官を殺したという事件があるわけですから、この際、ああいった暴力学生をあおり、暴力学生に対して教唆、扇動をするような教授に対しては、文部大臣としてはりりしい態度で、きびしい態度で臨んでいただきたい、こう思うわけでございます。これは質問ではございませんが、私の考えをここで述べさせていただきました。
#80
○中村喜四郎君 私は大臣の悲壮な気持ちもよくわかる。しかし、次から次に学生の暴力行為がエスカレートしてくる。しかも大学内部ではこれをとめる道がない。警察官が出て、しかも警察官がけがをし、死ぬ。いままで、羽田事件以来で一万名以上の人が負傷し、三百五十数名の人がいまだに入院している。こういう状況が各所にある。私はゆゆしき問題だと思う。そこで大臣がいまの考え方を国民の皆さん方にも、全大学の皆さん方にも訴える必要があると思う。かつて哲学者フィヒテが、レーデン。アン・ディ・ドイツチェ・ナッィオーン、「ドイツ国民に告ぐ」と言って、若い学生たちに訴えた。その心境は別ですけれども、私は、文部大臣はその考え方を国民に訴え、学生諸君に訴える必要があると思う、何かの方法を通じて。そういう方法をぜひやってもらいたいと思う。大臣は忙しいですから、もし私のいまのことに対してお答えがあれば、お答えしていただいて、退席していただいてけっこうです。
#81
○国務大臣(坂田道太君) 中村さんの御意見に対しまして、十分私考えまして対処いたしたいと思っております。
#82
○中村喜四郎君 じゃ大臣けっこうですから。
 では、大学学術局長に。岡山大学では、こういう事件が起きて、現場でなくなったりけがした学生の姿を教授も見ておったはずです。そういう状況で岡山大学側としては何か反省する、これに対処する考え等がにじみ出ておるかどうか、それをお伺いしたい。
#83
○政府委員(村山松雄君) 岡山大学側の直接な意思表示といたしましては、赤木学長が、有本巡査の死亡直後に、病床から声明を発しまして、次のように述べておられます。これは四月十二日の午後九時十分に声明を発せられたわけでございますが、「私どもの大学が、紛争のために何物にも代え難い人命が失われたということは、今更申上げる言葉もなく、まことに痛恨のきわみであります。私は、大学の責任者として、深くその責任を痛感しております。有本さんならびに御家族の方々に対して衷心からお詑び申上げるとともに、故人の御冥福を心からお祈りしております。私は、この尊い犠牲を無にしないよう覚悟を新にして全学の反省を求めるとともに、大学の正常化のために一層の献身的努力を払うつもりであります。」これが学長の意思表示であります。で、こういう学長の決意のもとに岡山大学では十三日並びに昨十四日大学の評議会を開きまして、対策を練っております。事柄が直接の事件は大学が告発した容疑者の捜査にからむことでありますので、この捜査に大学として一そう協力の態勢をとるという方向がひとつあるわけでありますし、それからまた、こういう事件の根底となりますものは、それ以前から存在する岡山大学の紛争問題でありますので、この紛争問題の解決にも一そう新たな決意のもとに取り組むという態勢で現在進んでおるわけでございます。
#84
○中村喜四郎君 なくなった有本さんは、三年前までは香川大学の学生であった、卒業生であった。しかも警察官としてすばらしい成績で、中国管区で第一等の成績で出た警察官、二十六歳でなくなった。しかもそれは教授や学生の見ている前で傷ついて、そうして死んでいったんだ。私は、大学側の赤木学長がまことに遺憾である、責任を痛感するというそのことばはわかりますけれども、何かもう少し大学側で、先生側で反省があってしかるべきであり、なおかつこれに所属した全共闘会議の諸君も、人を殺したんだ、石を投げればけがをするということはわかっている、死ぬということはわかっている、それをあえてする。なくなった、こういうことに対して学生諸君も反省の色が見えていると思うんですが、大学側からのいろいろ報告ではいかがですか。
#85
○政府委員(村山松雄君) 大学側の態勢はいま御説明したとおりであります。
 それから、学生側の反応といたしましては、岡山大学では現在まで授業が始まっておりませんので、一般学生は大学にはあらわれておりませんので、大学にあらわれておりますのは、この紛争を起こしておる全学共闘会議のいわゆる過激派学生でございます。そういう関係もありまして、現在までのところ過激派学生がこの事件によって反省をし、態度を改めるんではないかという傾向はまだ感得されておりません。それからまた一般学生の反応については、まだ盛り上がりを大学側もキャッチするところまでいっておりません。
#86
○中村喜四郎君 赤木学長が告発して、そしてその事件――学生課長が軟禁、暴行され、また教養学部長がつるし上げられて頭にけがしたという、こういう告発事件に関連して問題が起きたわけでございますけれども、この十二日の日に、午前三時ごろに警察側が入る際に、事件を大学側、学生側でキャッチして防備態勢を整えたというように新聞には出ておりますが、警備局長、警備状況はわかりませんか。
#87
○政府委員(川島広守君) ただいまの御質疑に関連してでございますけれども、岡山大学の今回の場合におきましては、確かに新聞が報じておりまするように早朝から学生が集まってまいったことは事実でございます。元来、前日までの私のほうの判断では、籠城中のものは大体五、六十名であろうというふうに判断をしておったわけでございます。しかしながら、他の大学の例にもございまするように、相当数の部隊を、今回の場合八百人でございますが、この部隊を招集をして部隊編成を組むわけでございますので、県下各署からそれぞれ臨時編成をいたしますものですから、そういう意味合いでは事前にその動向が外部に漏れるということはこれは当然あり得ることでございます。したがって、今回の場合、まだ詳細に、どのような経路でこれが外部に事前に察知されたかいま検討中でございますけれども、結果論から申しますれば、事前にこれが外部に漏れておったことは明らかであろう、こう判断をいたしておる次第でございます。
#88
○中村喜四郎君 局長に、頭に入れるために事件の概要と警察官の負傷者状況を簡単にひとつ……。
#89
○政府委員(川島広守君) 先ほど中村委員のお尋ねの中にもございましたように、この岡山大学の今回の捜査に関しましては、実は本年の二月の十五日、学生課長の部屋に過激派の学生が乱入いたしまして学生課長をつるし上げをする、なぐるけるという暴行があり、さらにまた部屋の内部の器物等につきましてもかなり手荒な損害を行なった。この事案は二月十五日に発生をしております。同時にまた、学生課員がその日の午後にやはり同様につるし上げを受け、さらに暴行を加えられた、こういう事案。引き続いて三月二十五日に、教養学部長事務取扱をしておる坂手さんに対しまして、これまたかなり激しい暴行傷害を与えておる、こういう事案が実は二月、三月に起こっておるわけでございます。これにつきましては、かねて警察も独自で捜査を進めてまいった経緯がございますけれども、三月三十日に赤木学長からの告発がございました。四月十日にそれぞれ必要があれば逮捕令状を用意する、それから押収、捜索、検証令状等の発付を受けまして、そこで四月十二日の早朝に八百名の警察官を動員をいたしまして執行をいたしたわけでございます。その間、先ほどお話し申しましたように、本来、内部におりましたのは五、六十名でございまするが、早朝からどんどん集まってまいりまして、おおむね百五十名から百七十名程度の学生、これが東門と西門の二手に分かれまして、その門前に机、いす等によりますバリケードの強固なものを築き上げる、こういう事態に進展をいたしました。そこで警察側といたしましては、押収、検証のためにそれぞれのバリケードを撤去をまずいたしまして、それから、逐次、学生課長の立ち会いを求めて一切の措置を終わったわけでございますけれども、たまたま五時四十分過ぎでございますけれども、東門のバリケード撤去のために出動しておりました二中隊、四中隊、そのうちの有本警部補は二中隊の二小隊の隊長の伝令兼記録係ということで小隊の標識灯を左手に持ち、右手に携帯無線機を携行いたしまして、それで非常に激しい投石が東門の正面から行なわれましたので、これを防石網及び大だてでもって防ぎながらバリケードの撤去をはかっておったわけでございますが、大だてに石がぼんぼん当たるものでございますので、携帯無線機で送受話をやっておったわけですが、なかなか難聴でございましたので、やむなく有本警部補は右のヘルメットを若干上に上げましてそうして通話を終わったその直後に、有本警部補から見ればちょうど右側でございますけれども、死角のほうから飛んできました大きな石が耳のちょうど上の頭のところへ直撃をいたしまして、その衝撃でヘルメットが全部飛んでしまいまして、その場に一たん転倒したのでございますけれども、また地上に立ち上がりました。讀売新聞の一面に報道されたのは立ち上がった直後の写真でございます。立ったまま原隊に、前のほうへ、小隊のほうへ歩いていったのですが、出血が多量でございましたので、同僚にとめられて救急車で市内の川崎病院に収容した。午前中、大体六時過ぎまして十分ほどまでは痛い痛いということで意識はあったのございますが、二十分程度から意識が不明になりまして、そこで八時半から二時間にわたって、非常に慎重な和田医師の執刀で手術をしたわけでございます。われわれさっそく報告を受けまして案じておったわけでございますけれども、午後になりまして、大体容態は手術もたいへん順調にいったし生命には心配あるまいという実は報告を受けて安堵しておったわけでございますけれども、夕方になりましてから急に呼吸困難を訴えまして容態が悪化して、午後八時四十分についに殉職をいたした、こういうふうな経緯でございます。昨年の九月の日大事件におきます西条警部の死に続いて二人目の殉職でございまして、私といたしましてもまことに遺憾に存じ、また責任を感じておる次第でございます。
 概要でございますが、以上のような経緯でございます。
#90
○中村喜四郎君 そういう暴力行為から結局殺人行為になったわけですけれども、今後の捜査方針等について簡単にひとつ……。
#91
○政府委員(川島広守君) 有本警部補が殉職をいたしました同日の午後十時に、岡山県警には特別捜査本部を設置いたしまして五十二名の専従員をもっていま懸命に捜査をしておる次第でございます。現在までのところ捜査の状況でございますが、一応有本警部補が倒れました場所付近を、東門の門前でございますが、おおむね門の、投石しておりました学生の集団から約八メーター程度のところで倒れたのでございますけれども、その付近からいわゆるコンクリートの敷石それから土木工事に使います石その他二十七個を領置しました。そのうちの十六に血痕が付着しております。目下これを鑑定中でございます。
#92
○中村喜四郎君 局長さん、おそれ入りますが、時間がないので、大学の教授陣やその他がこれに、捜査に協力しているかどうかということをお聞きしたいのです。
#93
○政府委員(川島広守君) これにつきましては、学校当局からもいま協力を得つつある次第でございます、目撃者もございますので。
#94
○中村喜四郎君 この有本という殉職警官の遺族、あるいは補償、こういうことについての対策はどうですか。
#95
○政府委員(川島広守君) 有本警部補の補償の問題でございますが、いま試算をいたしておりますけれども、直ちに今回警察庁長官から警察官勲功章、これは最高の栄誉でございますが、これをまず贈られる、それから賞じゅつ金二百万円、これはすでにお届けをいたしております。見舞い金五万円、総理大臣から特別報償費百五十万円、さらに県の条例に基づきますところの賞じゅつ金が約四百万程度、まだこれは予定でございますけれども、そのほか退職金その他一切を含めまして一応私のほうでいま試算をいたしましたところでは、おおむね千二百万程度、それから遺族年金が十二万円というようなことになっております。もちろんこれで十分ではございませんので、さらにまた一そう努力してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
#96
○中村喜四郎君 もう一つ問題は、中央大学が学生の管理になっている。ここで火炎びん、あるいは硫酸、あるいはその他の凶器類が数多く押収された。これはどうですか。
#97
○政府委員(川島広守君) 三月十四日に中央大学の学生会館の押収捜索をいたしたわけでございますが、その場合に押収しましたおもなるものは、火炎びんが九十二本、それから塩酸――びんに入ったものでございますが、これが十四本、角材百八十本、シンナーでございますが、これが一かん、その他ハンマー、あるいはヘルメットその他の類が相当数ございまして、全体で約七百点という程度の押収をいたしておる次第でございます。
 元来、まあいまお話しございましたように、中央大学の学生会館は完全に――日にち間違えました、四月十日でございました。学生の武器庫といわれておった場所でございますので、現在学校側のほうでもこれを閉鎖をするというふうなことで、教授にはかっておる、そういうふうに聞いておる次第でございます。
#98
○中村喜四郎君 学生の武器がどんどんエスカレートしていくわけでございますが、これに対する今後の警察庁の対処策はどんなふうにしていますか。
#99
○政府委員(川島広守君) 新聞等でも御案内でございまするように、一昨々年の羽田事件以来、次第に彼らの使いますところのいわゆる凶器というものの質、量ともにエスカレートしてまいっておりますことは、御承知のとおりでございます。中でも一月の東大事件、一月十八、十九の東大事件にはっきり出てまいりましたように、最近では火炎びんを使いますのが一般化しておるというふうな情勢でございます。ある学生の派閥の一部の出版物には、銃砲をも使うというようなことを広言をしておる。そういうふうなこともこれありまして、彼らの使いますところの凶器は、いま申し上げましたようなことで、次第に激しさを加えていくであろう、こういうふうに予想しなければならぬと考えておるところであります。したがって、これに対するわがほうの基本的な考え方でございますが、あくまでも警察官の受傷の防止をするという観点から、ヘルメットなり、あるいは防護衣なり、その品物については極力装備の充実につとめてまいっておる経緯でございますけれども、しかしながら、ヘルメットにいたしましても、あるいはいま申しましたような個人装備を、いかにこれを完全に着装いたしたといたしましても、完全に安全であるというふうなことは、とうていこれはもう言い得ないのでございまして、現場におきまして、いま申しましたような、事前における学校側の、管理者側のそれぞれの措置というものにも大きく期待をいたさなければなりませんことは、いまの中央大学の学生会館の例に徴しましても明らかであろうと考えます。もちろん、われわれが使います装備というものは、あくまでも防護的なものだけでございますから、今後さらにまた量におきましても、質におきましても、研究開発を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#100
○中村喜四郎君 そうだと思います。幾ら防護施設をしても、次から次にしていく。私は大学学術局長に、全国至るところで、次から次にこういう問題が起きておる。入学試験の妨害だけでも、文部省に入っているのではおそらく十四、五の大学ではそういう問題が起きていると思います。今後、こういうエスカレートしようとする紛争問題、これに対しては学術局長もしっかりひとつ性根を据えた対策を大臣に進言してもらって、二度と再びこのような警察官の殉職事件が起きないように、文部省でも対策を立てていただきたいと思います。
 なお、警備局長のほうには、今日まで羽田事件以来の負傷者、警察官の負傷者の数、あるいは入院している者、むち打ち症等の後遺症の残っている者、それらの家族の状況、こういう問題につきまして資料を後刻いただきたいと存じます。
 以上が警備局長への私の資料要求です。
#101
○政府委員(川島広守君) ただいまの資料は、さっそくにつくりましてお届けいたしたいと思います。
#102
○楠正俊君 関連。日本大学の経済学部に古田を殺せというのがずいぶん書いてあった、大きく。それはいま消えておるようですが、それから学校の先生を養成する教育大学の門を入っていきますと、正面に官憲を殺せと書いてある。殺せ、殺せといったことが各所に書かれておる。そういった状況下にあって、学生の武器はますます、先ほどお話しのようにエスカレートしていく。こういったときに、いよいよ警官の負傷者がふえていく。第一次羽田事件から現在まで一万三十三名警官が負傷しておる。それから入院患者が三百五十六名と聞いておりますが、入院患者の三百五十六名の中で、再び警察官として働けないのではないかと思える警察官がずいぶんおるのじゃないかと思う。そういった方々に対する将来の保障、これはどういうことになっておりますか。
#103
○政府委員(川島広守君) 御指摘のような警察官に対しましては、公務災害補償法によりますところのいろいろの補償なり、その他のことは法の定めに従って補償をいたしておるわけでございます。それ以外に長官から見舞金その他を出しておる次第でございます。
 さらにまた来年度、予算をお認め願えましたので、東京都下にリハビリテーションの施設をつくることに相なっております。初年度分で、これは補助金でございますが、約四千万円程度の予算を認められましたので、一応二カ年計画で、約二億のリハビリテーションの施設をつくる予定でございます。
 それから現に、過去におきましても、羽田事件以前に、それぞれの大衆運動その他、不法事案に伴います警備についてけがをいたしました者、こういう者につきましては、警察官として制服でなかなか勤務できない、そういうような者につきましては、やはりリハビリテーション的な教養を行ないまして、たとえば活版を、謄写を切るとか、特別な特殊技能を実は与えまして、それで職場の中で孤独感を味わわないような、そういうような職場環境を実はつくってやっておる次第でございます。
 何よりもまして精神的な激励が最も大事でございまするので、警察といたしましてはそういう意味合いで、あたたかい目で今後の補導なり、更生なりについて努力しておる、こういう次第でございます。
#104
○小林武君 関連。これは人命に関係する問題、それから非常に銃器の使用とかいうような問題も起こって、学園紛争の問題は重大な段階に入ったと私は考えております。で、文部省の学術局長、あなたにおさめろといったところで、これはこんなことをおさめられるわけのものではないと思っている。これは全体の責任としてどうしなきゃならぬかということになるんだけれども、これについて、私は根本的に、一体これをおさめようとする場合にどうするかという考え方がないわけじゃない。機会があったら申し上げようと実は思っておるわけでありますが、このことについては、中教審でおさまるような問題では私はないと思います。中教審の答申を待ってどうするなんということでおさまることであるならば、これはまあ楽観しておいてもいいということになるけれども、そうはなかなか簡単にいかない、こういう事情があるのです。したがって、これを一体おさめるのにはどうするかということについて、ひとつ文部省としては、一体相談したことがあるのかどうか、文部省として一体どうやるべきなのか。私はいまのところの文部省の考え方ではなかなかおさまりきらないという考え方できておるわけです。それが一つです。
 それからいまの岡山の話を聞いても、非常に人命を失うということ、また家族のことを考えるとこれはたいへんなことである。そこで私は、同時に警察官にもそのぐらいの負傷は出ておるだろう、これは学生のほうも負傷とか、あるいは学生の中にもわれわれ聞いたところでは全然失明したとかなんとかいうことも聞いておる。これはもう対立して考えるのじゃなしに、今度の紛争を中心にして第一線の警察官も傷ついている、学生も傷ついているというなら、これについて、あなたのほうで両方の負傷者について数とかあるいはどういう状況であるとかいう調査があるのかどうか。それから大学学術局では、その点について、大学紛争以来、一体学生はどういうあれになっておるかという調査があるのか。あったら、はっきりしたらここで言ってもらいたいけれども、なかったらひとつ十分調査をして、それも資料として提出してもらいたい、こう思うのです。何かここで簡単に概数、このぐらいということあったらどちらからでもけっこうですからひとつ御答弁いただきたい。しかし、この問題は一つの側面からだけ見て対策を立てようとしてもだめだということです、私の考えでは。この重大問題をどうするかということで、これは国会の責任きわめて大きいというよりかも、国会の中における責任というようなものはだれよりかもなかなか大きな責任を持っているのじゃないかと私も考えて、この問題については多少いろんなことをいま頭の中で計画したりあるいは記録にしたりしているわけでありますけれども、そういう意味でいま何かおわかりであったらそういう負傷者その他について御答弁をいただきたい。
#105
○政府委員(村山松雄君) いわゆる過激運動をやっております学生につきましては、その初期はともかくといたしまして、活動に専念するに至りますと教室にも出てまいりませんし、大学の補導更生の範囲内に入ってこない。もっぱらかれらのセクトの間でことをやっておる。大学にあらわれるときはいわゆる過激活動といったような形で出てくる、そういうことでありますし、また、負傷等の事実がありましても、これは事実はあるようでありますが、いかなる者がどういう負傷をしたかというようなことにつきましても大学側の調査に応ずるような態度でございませんものですから、遺憾ながら文部省並びに当該大学においても過激派学生の負傷状況等についての実態はつまびらかにしておらないのが実情でございます。
#106
○政府委員(川島広守君) ただいま学術局長がお答え申したのと同じでございますが、実はなかなか本人からの申告等もございませんものでございますから、正確なけが人の数が把握できないのが実情でございます。ただ、一月の十八、十九の東大事件のような場合には、私のほうでも、消防署関係、病院等にせっかく御協力を得ました上で、あの十八、十九の両日にわたりました事件では、学生のけが百四十六名、これは東大病院、警察病院、関係病院全部当たったわけでございますが、その中には、いまお話しのございました失明という者は、幸いにして、目に当たった学生もおりましたけれども失明はとりとめております。その場合、警察側のけがは六百五十三名でございまして、大きな事件等について、極力私どものほうでも、学生側の負傷についても取り調べ、努力はいたしておりますけれども、正確な数をこれは把握いたしかねている次第でございます。そのように御理解をいただきます。
#107
○小林武君 いまのところ調査はなかなかめんどうでしょうが、まあ調査してどうするというあれもないけれども、たくさんの若い人たちが、日本の将来を背負うような若い人たちが、どっちの側にいたしましても、そういう傷つき倒れていくという現状は、これはやはり見のがすことのできないものであるというふうに考えますので、きょうは時間が足らなくて十分な討論できませんでしたけれども、いずれ機会をみて、国会の中においても努力しなければならぬし、文部省においても、その点については、やはりどうしたら一体この問題を解決できるかということについて、ほんとうに純粋な立場に立った私は考え方がなければならぬと思うのです。それぞれの立場でそれぞれの案を立ててますます状況を深刻なものにしていくというようなことも心配はないかというと、私はないわけではないと思うのです。これは警察官も迷惑かもしれぬけれども、そういう状況をつくらないということのためには、政治の責任というものは十分あるわけでありますから、特に行政面を担当しておる文部省側としては特段の御努力をいただきたいということを希望しておきます。いずれしかし討論の機会あるでしょう。私の質問終わります。
#108
○委員長(久保勘一君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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