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#1
第061回国会 文教委員会 第10号
昭和四十四年四月十七日(木曜日)
   午前十時二十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     斎藤  昇君     小林 国司君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         久保 勘一君
    理 事         楠  正俊君
                田村 賢作君
                小林  武君
                安永 英雄君
    委 員         小林 国司君
                中村喜四郎君
                永野 鎮雄君
                二木 謙吾君
                川村 清一君
                鈴木  力君
                内田 善利君
                萩原幽香子君
                小笠原貞子君
   委員以外の議員
       発  議  者  松永 忠二君
   国務大臣
       文 部 大 臣  坂田 道太君
   政府委員
       文部大臣官房長  安嶋  彌君
       文部省初等中等
       教育局長     宮地  茂君
       文部省大学学術
       局長       村山 松雄君
       文部省体育局長  木田  宏君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡辺  猛君
   説明員
       文部省初等中等
       教育局財務課長  岩田 俊一君
       文部省初等中等
       教育局中学校教
       育課長      奥田 真丈君
       文部省体育局学
       校保健課長    田  健一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○児童生徒急増地域等に係る小学校及び中学校の
 施設の整備に関する特別措置法案(松永忠二君
 外二名発議)
○国立学校設置法の一部を改正する等の法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数
 の標準に関する法律の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(久保勘一君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 昨十六日、斎藤昇君が委員を辞任され、その補欠として小林国司君が委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(久保勘一君) 児童生徒急増地域等に係る小学校及び中学校の施設の整備に関する特別措置法案を議題といたします。
 まず発議者から提案理由の説明を願います。松永君。
#4
○委員以外の議員(松永忠二君) 先にちょっとごらんをいただきまして、修正をしておきます。
 お手元の提案理由の一ページのところ、しまいから五行目、まん中に「増加率」とありますが、その上に「人口」を入れて「人口増加率」としていただきたい。
 それから二ページの六行目、一番上のほうですが、「教育施設設備費」というのは「整備費」です。
 それから三ページの一行目の下のほうですが、「住宅地の造成等の行われる」とありますが「な」というのが落ちておりますので入れていただきたい。
 ただいま議題となりました「児童生徒急増地域等に係る小学校及び中学校の施設の整備に関する特別措置法案」につきまして、提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
 最近十年間におけるわが国の経済成長及び社会構造の変化に伴い、人口移動が非常な勢いで起こっていることは御承知のとおりであります。昭和三十五年及び四十年の国勢調査を見ましても、この間の人口集中地区(一平方キロあたり人口五千人以上の地区)の人口増加率は一五・八%に達し、国民の半数が人口集中地区に集まり、七〇%は東京、大阪、名古屋の三大都市圏に集中し、なお札幌、仙台、広島、北九州、福岡等の中核都市及び県庁所在地でも人口増加が目立ちました。また、東京や大阪等の中枢管理機能都市ではいわゆる人口のドーナツ化現象が急速に進行しております。
 こうした全体状況の中で、人口急増に伴う児童生徒の急増地域では教室不足が著しく、すし詰め教室やプレハブ教室が出現しており、二部授業も行なわれております。当然新たに学校を建設したり、校舎の増築をする必要がありますが、高騰する地価や建築費のために、当該市町村ははなはだしい困難に直面しております。このような人口急増市町村では、予算の多くを教育施設整備費に回しておりますが、それでもなお足りずに不正常な授業を行なわざるを得ないというのが実情で、特別教室はもとより屋内体操場やプール、給食施設等は整備できず、教材、教具も不十分であり、他地域に比べて義務教育水準の低下が非常に憂慮されております。
 したがいまして、これらの児童生徒急増地域の小学校及び中学校の施設整備のため、国が行財政上の特別措置を講じ、義務教育の水準の維持向上をはかることは、焦眉の急務であると考えます。以上が本法案を提案した理由であります。
 次に、本法案の内容の概要を御説明いたします。
 第一は、本法案は、児童生徒急増地域及び住宅地の造成等の行なわれる地域にかかる小学校及び中学校の施設の整備に関して必要な行財政上の特別措置を定めることを目的としていることであります。
 第二は、児童生徒急増地域の定義を規定したことでありまして、同地域とは、集団的な住宅の建設、宅地の造成に伴う住宅の建設による児童または生徒の増加が急激であり、かつ著しい地域で政令で指定することといたしております。なお、政令で指定する場合におきましては、一定期間における過去及び将来の児童生徒の増加率等を考慮して行なうべきものと考えております。
 第三は、同地域にかかる小学校または中学校の校舎または屋内運動場の新築に要する経費につきまして、現在、義務教育諸学校施設費国庫負担法による国庫負担率が、小学校三分の一、中学校二分の一であるのを改め、これを一律に三分の二に引き上げたことであります。
 第四は、同地域の小学校または中学校の学校用地の取得または整地に要する経費につきまして、その三分の一を国か補助することができるとしたことであります。
 第五は、同地域の小学校または中学校の校舎または屋内運動場の新増築に要する経費及び学校用地の取得または整地に要する経費に充てるため、国が政府資金債の確保等必要な資金の貸し付けにつき、特別の配慮をすべきことを定めたことであります。
 第六は、都市及びその周辺の地域における市街地の無秩序な拡散いわゆるスプロール化を防止し、計画的な市街化をはかることを目的として、新たに都市計画法が制定されましたことは、御承知のとおりであります。それによりますと、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分し、両区域における宅地造成等の開発行為等は、都道府県知事の許可を要した規制を受けることになっております。したがいまして、将来両区域に関する都市計画が定められますならば、小、中学校の学校用地は確保される見通しであります。
 しかしながら、これが完全に適用されるまでの間は、旧住宅地造成事業に関する法律の規定による場合がありますので、その場合には、住宅地造成事業の施行地区内に住所を有することが予定されます児童生徒の数を市町村教育委員会に通知し、小、中学校の学校用地を必要とするかどうかの意見を聞き、その用地の確保に協力する義務を当該事業の事業主に課したことであります。
 第七は、土地区画整理事業の施行地区となるべき区域につきましても、両区域に関する都市計画が定められますまでの間は、当該施行地区となるべき区域内に住所を有すことが予定されます児童生徒の数を市町村教育委員会に通知し、小、中学校の学校用地を必要とするかどうかの意見を聞き、その用地の確保に協力する義務を当該事業の施行者に対し、課したことであります。
 第八は、本法案の施行期日を公布の日からとしたことであります。
 第九は、本法案は、昭和五十年三月三十一日までの時限立法としたことであります。
 第十は、本法案施行に伴う必要な経過規定を定めたことであります。
 以上が、本法案の提案の理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(久保勘一君) 以上で本法案についての提案理由の説明聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(久保勘一君) 国立学校設置法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 まず、政府側から提案理由の説明を聴取いたします。なお、この際、衆議院における修正点につきましても、便宜政府側から説明を聴取することといたします。坂田文部大臣。
#7
○国務大臣(坂田道太君) このたび政府から提出いたしました国立学校設置法の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 法律案は、昭和四十四年度における国立大学の学部、大学院及び国立養護教諭養成所の新設並びに国立工業教員養成所の廃止等について規定しているものであります。
 まず第一は、国立大学の学部の新設についてでありまして、三重大学に工学部を設置しようとするものであります。これは、科学技術の進展に即応して工学系の教育研究及び技術者の養成をはかろうとするものであります。
 第二は、国立大学の大学院の新設についてであります。
 これまで大学院を置かなかった国立大学のうち、充実した学部を持つ大阪外国語大学に修士課程を設置し、もってその大学の学術水準を高めるとともに、研究能力の高い人材の養成に資そうとするものであります。
 第三は、国立養護教諭養成所の新設についてであります。かねてから文部省におきましては、養護教諭の養成及び確保に努力しているところであります。このため、大学、短期大学及び文部大臣の指定する養護教諭養成機関の卒業者等で資格を取得したものによるほか、養護教諭として充実した教育を施し、計画的にその養成をはかることを目的とした国立養護教諭養成所を設置する等の措置を進めておりますが、昭和四十四年度におきましても、新たに千葉大学に付置しようとするものであります。
 第四は、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法を廃止することについてであります。
 国立工業教員養成所は、高等学校における工業教育の拡充に伴う工業教員の需要の増加に対処して、昭和三十六年度において、臨時に北海道大学ほか八大学に設置されたものであります。すなわち、当時、経済の成長に伴う技術者の需要の増大と、高等学校生徒の急激な増加に対応して、工業高等学校の急速な新増設が進められ、工業教員の需要の増大がきわめて著しいものがあったので、緊急の措置として国立工業教員養成所を設置することとしたのでありました。
 その後、約二千人に及ぶ養成所の卒業者が工業教員として就職し、工業教育の拡充についてその一翼をになう実績を示したところでありますが、工業高校の増設計画も達成され、今後は、最近新増設された大学の工学部の卒業者等でその需要をまかなうことができる見込みでありますので、国立工業教員養成所は、今回これを廃止することとしたものであります。
 なお、国立工業教員養成所の廃止にあたって所要の経過措置を講ずることといたしております。
 追って、この法律案は昭和四十四年四月一日から施行することといたしておりましたが、成立時期がおくれましたので、これを公布の日から施行し四月一日からさかのぼって適用する等の修正が衆議院で行なわれました。
 以上がこの法律案の提案の理由及び内容の概要であります。
 何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
#8
○委員長(久保勘一君) 以上で本案についての提案理由の説明聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(久保勘一君) 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を続行いたします。
 なお、政府側から坂田文部大臣、宮地初等中等教育局長、岩田財務課長、田学校保健課長、以上の方々が出席いたしております。
 本案について質疑の申し出がございますので、これを許します。鈴木君。
#10
○鈴木力君 この前に、学校がどういう業務を実際にやっておって、そしてその業務には職員がどういう関係で当たっているかというようなそういう筋からの御質問を申し上げたのですけれども、十分明らかでなかったものですから資料をお願いいたしました。この資料、だいぶ御無理いただいたと思いますけれども、御調査をいただいたのであります。よほど、これで私がお伺いしようとすることが、輪郭が出てきたと思います。
 最初にきょうはこの資料についてちょっとお伺いいたしたいのですけれども、第一の用務員のいない学校数の調査のうち、これは分校を含んでおるのか、分校は除外されておるのか、それをちょっと聞きたいと思います。
#11
○説明員(岩田俊一君) 分校を含んでおります。
#12
○鈴木力君 それからその次の学校薬剤師について、あとでもう少し詳しく伺いたいと思うのですが、たった一点だけお伺いいたしますと、学校薬剤師というのは、学校保健法できまっておるのですね。昭和三十六年までは置かなくてもいいけれども一、三十六年を過ぎたあとは置くものとすると、そういう法律があるのにこれだけの学校数が置いていない。これに対しては、文部省はどういう法律解釈をしておるのか、どういう指導をしておるのか、その立場だけをここでお伺いいたしたいと思います。
#13
○説明員(田健一君) 法律の趣旨に基づきまして設置を進めるように指導はしております。ただ、学校薬剤師そのものが非常に地域的に偏在いたしておりますので、学校によりまして学校薬剤師が置かれない、そういう実態になっております。
#14
○鈴木力君 大臣にお伺いいたします。
 これは法律の、文部省の考え方をお伺いしたいのですが、いまのこの学校薬剤師は、たぶん学校保健法できめられてあるでしょう。その学校保健法できめられておって、附則に当分の間「置かないことができる。」という条文がたしかあったはずです。しかしこれは、昭和三十六年までと限られてあるのですね。そうしますと、われわれが普通に法律を読みますと、三十七年からは置くべきものだというふうに法律を読むのです。ところがいまの御答弁ですと、学校薬剤師というのは地域的に偏在しているので置かないのもやむを得ないというふうにいまの御答弁を私は伺ったのです。この実情についてはあとでまた私は少し詳しくお伺いしたいのですが、この法律の、文部大臣がいつでも言う、法律法律とこうおっしゃるその法律の読み方について大臣の見解を伺いたい。
#15
○国務大臣(坂田道太君) ひとつ初中局長から答弁いたさせます。
#16
○鈴木力君 いや、いまのはね、このことを具体的にどうというのじゃなしに、法律で規定されている場合に、「置かないことができる。」というのは、どういう読みをすれば「置かないことができる。」ということになるのか。これは大臣の見解としてやっぱり責任のある答弁をほしいのです、具体的な項目じゃないのだから。
#17
○国務大臣(坂田道太君) その前にちょっと初中局長から答弁しますから。それからお答えいたします。
#18
○政府委員(宮地茂君) 一応私どもが法律を解釈いたします場合に、たとえば学校教育法二十八条には「小学校には、校長、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。」といったようなことで義務づけた規定のしかたと、それからいま先生の御指摘の学校保健法の学校薬剤師の規定のように、「学校には、学校医を置くものとする。」、これは学校保健法の十六条一項でございますが、あるいは二項の「大学以外の学校には、学校歯科医及び学校薬剤師を置くものとする。」というような規定で、若干法律の字づらにも「置くものとする。」という表現と、「置かなければならない」という表現がございます。したがいまして、これは趣旨におきましては、これは別に形式的なことをあげつらうよりも、「置かなければならない」も、「置くものとする」も、趣旨におきましてはこれは、置くべきであるというふうに趣旨はとるべきと思いますが、ただ法律解釈上若干の相違がある。したがいまして、「置くものとする」と書かれてあるほうは、いま保健課長が答えましたように、置くのを常態としますけれども、いろいろな都合でどうしても置き得ないというようなものまで義務づけておるというものではないというふうに、一応事務的な法律の解釈としてはそのように従来から解釈されております。一応私から事務的な点をお答えいたしました。
#19
○国務大臣(坂田道太君) ただいま局長からお答えいたしましたようなニュアンスがやはりあるわけでございまして、という法律の趣旨は、やはり薬剤師等の現実の問題として、なかなか僻陣地等におきまして得られないというような事情等もあるかと思います。まあ、現実を踏まえて漸次その趣旨を実行に移していくという意味において、置かなければならないが、「置くものとする」というふうに書かれておるものと思います。でございますけれども、やはり、ただいま局長も申しますように、必要である、そういうことはその法律に示されておるわけでございまして、私どもといたしましてはそれに基づいて、できるだけ全部の学校に近づけていく努力を怠ってはならないということが示されておるものと思うわけであります。
#20
○鈴木力君 これもいま学校薬剤師ということを一応離れまして、法律の読み方を一応私、勉強さしてもらいたいのです。いまの御答弁のうち、一方は置かなければならないということと、置くものとするという、これはニュアンスが違う、そこだけを伺うと、なるほどと思うんですね。ところが、もしもいまのような説明だったら、附則の二項で、三十六年までは置かないことができると、なぜうたったのかということですよ。事情によっては置かなくてもいいんだということが本条であるなら、附則の二項で、三十六年までは置かなくていいということをわざわざうたう必要がないじゃないか。これは私は、やはり法律はしろうとでありますけれども、しろうとらしく読みますと、いまのような解釈だったら附則が要らないはずだ。附則をつけたということは、「置くものとする」ということは、そんなに軽い意味には読めないのじゃないかと私は読むのですが、この辺はどうなんですか。
#21
○説明員(田健一君) この法律の制定当時は、学校医、学校薬剤師は古くから置かれておりました。したがいまして、学校薬剤師も置いていた学校はあったわけでございますが、急に全部置くものとするということでは現実に無理があるということで、こういう経過規定になったものと思っております。
#22
○鈴木力君 法律の制定当時、現実に無理がある、だから三十六年まで猶予期間を置いた、このことはよくわかるのですよ。そこで、三十六年以降は猶予期間がないわけだ。だから、そのことを私がいま言っているわけじゃない。法律の解釈として、本条にある二十五条の表現は「置くもあとする」というのであって、「置かなければならない」というよりはだいぶ軽いんです、という意味の御答弁だったでしょう。だから、それが軽いということは、たとえばほんとうに義務づけるというのじゃないんだ。都合によっては置かなくてもいいんだという意味を含んでいる、そういう御答弁だったから、それならば附則の二項をなぜつけたか、こういうことを聞いておるのです。
#23
○政府委員(宮地茂君) 私もあまり法律の面については法制局ほど明るくございませんが、一応、学校保健法の十六条には「置くものとする。」ということで、あくまで「置かなければならない。」とは違ったニュアンスの表現をしておる。しかしながら、この立法者の趣旨としては「置くものとする。」とはいっても、努力目標として三十六年までにはぜひ置くように努力したいという気持ちが一方にあって、それをこの附則で、したがって三十六年までは置かないでも一いいのだ、それまで努力して置くようにつとめるのだという意欲がこの附則のところにあったのだと思います。ところがいろいろな諸般の事情で三十六年になっても置き得なかった、だから厳密に言えば、その附則二項は、できないのであれば削るべきであったのだと思います。法律的に非常に趣旨を合わせればそうであった。だからこれを削っていないために、法律的には十六条だけ見ればすんなりとわかるのだのに、附則二項でわざわざ、「置かないことができる。」と時限的なことをいっておるものですから、いまの時点でこれを見ると非常におかしく感ずるというような経過があったかと思います。しかしながら、あくまで本則は「置くものとする。」、置くことが常態であるということでございますから、附則二項がありましても、だからといって違法であると一がいには断ずることはできないのではないかというふうに私なりに解釈いたします。
#24
○鈴木力君 この件は非常に重要だと思いますから、特に私は法律はしろうとだとおっしゃるけれども、今後の法律の解釈にはいつでもしろうとという立場で解釈してもらいたいのであって、何かいままでは最高裁よりもわかっておるみたいな答弁がよく飛び出しておる。都合の悪いときにはしろうとになって逃げられるのではぐあいが悪いですから、その点ははっきりしておいてください。
 それでこの法律の解釈論は、この法案全部にいろいろなところに響くと思いますから、私はあとでもう少し詳しくお伺いしたいと思います。
 ついでですからお尋ねしますが、この法律制定以来今日まで努力目標としてやってきた、具体的に努力をしてこられた。どういう処置を今日までとられてきたかを、これは具体的にお伺いいたしたい。
#25
○説明員(田健一君) 学校薬剤師が置かれない一つの理由には、先ほど申しましたように、地域的に薬剤師――学校薬剤師じゃございませんで、薬剤師そのものが非常に偏在をしておるという実態が一つございます。それと同時に、学校薬剤師の待遇がかつて非常に低かったというような問題もございましたので、これは交付税に積算をしておるわけでございますが、年々学校薬剤師の報酬の額の増額というものに努力をいたしまして、その設置がその面から促進されるようにというようにいたしてまいっております。
#26
○鈴木力君 これは基準の置き方で言い方が違ってくると思うのですよ。私はあとで保健管理の問題についてもう少し詳しくお伺いするつもりだけれども、少なくとも法律でいま言われたようないろいろなことがきめられておるものが、現在四千五百三十九校もまだ未設置の学校がある。これで努力の結果そこまできたというふうに聞くには、どうも私は本気になってこういう面の学校衛生なり学校保健なりということを考えているというふうにはどうも聞こえない。これはしかし私の感じでありますから、そういうふうにお伺いしておきます。
 きょうはどうも時間がないそうでありますから、もう少し全体についてお伺いしたいのですけれども、これは次回回しにいたしまして、いま学校薬剤師のあれをちょっとお伺いいたしましたから、学校保健、これについてもう少し関連してお伺いいたしたいと思うわけです。いま言われておる学校保健というのは一体どういうことをさしているのか、あるいは学校の実情というのは、保健衛生、それから保健指導、保健管理、そういう面でどういう実態になっておるのか御説明いただきたいと思います。
#27
○説明員(田健一君) 私どもは学校保健を大きく二つの分野で考えております。一つは保健指導でございます。これは、学校教育法に基づきまして、学習指導要領によって実施をしていくという立場でございます。
 それからもう一つは、学校教育法の特別法でございますところの学校保健法によりまして行なっております保健管理の面でございます。これには、重要なものといたしまして、健康診断というようなものが一つございます。この健康診断につきましては先生も御承知いただいておると思いますけれども、相当全国的にしっかり行なわれておるというように考えております。
 もう一つの問題として、保健管理の中に学校環境衛生の問題がございます。学校薬剤師の主たる任務は、この学校環境衛生の検査、検査の中で特に定期の検査と、それから伝染病等が発生いたしましたときの臨時の検査、こういうものに当たってもらっておるわけでございます。実態から申し上げまして、この学校環境衛生は、学校保健管理の中でおくれている面というように私ども考えております。
 それで、保健体育審議会にかつてこの学校環境衛生の向上につきまして御諮問申し上げて、昭和三十九年に一応基準の御答申をいただいているわけでございますが、その基準も非常に理想的にできておりますだけに、現実と非常に食い違いがございます。したがって、これをできるだけ現実の基準に近づけて、この基準を、法的な根拠をつけまして、全国の学校で実施してもらうように努力はいたしてきたのでございますけれども、まだなかなかそのところまで行っておりません。したがいまして、あらためまして現在保健体育審議会にさらにお願いいたしまして、学校環境衛生の改善についての具体的な方策というものについて、ただいま御審議を願っておるところでございます。
 このほか保健管理といたしましては、健康診断のあとの事後措置の問題あるいは健康相談の問題、あるいは健康観察の問題というようなものがございまして、それぞれ学校医、学校歯科医、学校薬剤師、あるいは常勤の専門職員であります養護教諭、保健主事というようなものにこれに当たってもらっているところでございます。
#28
○鈴木力君 全部にわたると時間が少しかかり過ぎると思いますから、いまのうちの、環境衛生の学校薬剤師についてもう少し聞きますが、おくれている面を認めているということは同感ですよ。ただし、学校保健法が通ってからもう満十年になるのです。満ですから、これはもう昭和三十三年の四月十日ですから、もう十年以上でしょう。義務教育でいうと、一年生に入学した者がとっくに卒業しているわけですよ。その期間で、努力をしたがおくれていますという言い方で、それで一体文部省の当局の責任というものは果たされるのかどうかということを、私は疑問に思うのですね。
 これは大臣にもこの前も申し上げておいたけれども、学校の正常なる運営というものは何かということは、これはよほどあとでまとめて議論しなければいけないことだと思うのです。
 それでいまの学校薬剤師の勤務日数をここに御調査をいただいたのですが、この最高十二日というのは、これは月ですか、年ですか。
#29
○説明員(田健一君) 年でございます。
#30
○鈴木力君 一年に十二日でしょう。これが最高の学校で業務をやっているあれですね。そうしますというと、月一回ですね。月一回学校に出て、環境衛生のことがやれるのかどうかですね。ない学校はもちろん別ですよ。
 そこで、これはわかり切ってるはずなんですけれども、法律にもあるんだが、学校薬剤師の服務基準というのは何々になるのですか。
#31
○説明員(田健一君) 学校保健法の施行規則にございます「(学校薬剤師の職務執行の準則)」、これが基本になっております。そういたしまして、先ほど申し上げました昭和三十九年に保健体育審議会から御答申いただきました学校環境衛生の基準に基づきまして、学校環境衛生の基準の解説という書物を文部省で出しまして、それに基づいて指導をいたしているわけでございます。で、この答申をいただきましてから今日まで、この解説によりまして、現場の学校薬剤師のお仕事を、講習会等によって指導しているというのが実態であります。
#32
○鈴木力君 試みに読んでみますと、施行規則の二十五条によりますと、「学校保健計画の立案に参与すること。」、それから「学校環境衛生に関し、定期に又は必要に応じ臨時に、次の事項に従事すること。」、「学校における飲料水及び用水の検査」、「教室その他学校における空気の検査並びに暖房及び換気方法に関する検査」、「教室その他学校における採光及び照明の検査」「便所その他学校内の消毒及び鼠族、昆虫等の駆除」、「学校給食用の食品及び器具の衛生検査」、さらに三となって、「学校において使用する医薬品、毒物、劇物並びに保健管理に必要な用具及び材料の管理に関し必要な指導と助言を行い、及びこれらのものについて必要に応じ試験、検査又は鑑定を行うこと。」、四が「前各号に掲げるもののほか、必要に応じ、学校における保健管理に関する専門的事項に関する技術及び指導に従事すること。」、「学校薬剤師は、前項の職務に従事したときは、その状況の概要を学校薬剤師執務記録簿に記入して校長に提出するものとする。」、こうあるでしょう。
 このことは少なくともいま課長が答えられた、この学校環境衛生については、最低これくらいやらないと、いまの学校の環境衛生は維持できないという立場に立っているのでしょう。そうして何か、この保健体育審議会に相談をして相談をしてと言ってるけれども、私が言ったのは、法律ができてからもう十年ですね。それで努力した努力したと言ってるけれども、いまのような状態、一体、課長にもう少し伺いますが、ずいぶん努力をなさっているその御努力には敬意を表しますけれどもね。一年間に最高十二日しか出勤していないということに気がついたのは、何年のいつなんです。
#33
○説明員(田健一君) 全国的にこれを調査いたしましたのは、昭和四十二年五月一日付で全国の調査をいたしました。
#34
○鈴木力君 そうすると、ちょうど満十年はほうっておいたということですね、それが一つ。これは確認できますね。
 それからもう一つは、四十二年の五月一日にこの調査をしてこれが出てきたとするなら、四十二年の五月一日以降、この調査の指導の結果、人数がふえたのかどうかこれと変化があるんですか、ないんですか。
#35
○説明員(田健一君) その後の状況でございますか。
#36
○鈴木力君 学校薬剤師の勤務の状況について私がさっきお伺いしたのは、どう見ても勤務日数が少ないと思う、私は。それを調査し、気がつかれたのはいつかと聞いたら、昭和四十三年五月の一日の調査でこれを把握したと、こうおっしゃる。その前のことについては、まあやらなかったことについてはほめるわけにはいかないけれども、それは過ぎ去ったことだからしようがないわけです。四十二年五月一日以降、あなたは盛んに努力をしたと、指導したと、こう言っておられるが、指導の結果、この数字にどういう異動があったかということを聞いておる。
#37
○説明員(田健一君) その後、まだ全国的な調査をいたしておりませんけれども、私どものできますことは、市町村教育委員会に対する指導、あるいはその他いろいろ講習会、あるいは研究協議会におけるいろいろの指導ということでございますが、この学校薬剤師の設置を促進するように私どもは指導をしているわけでございます。で、その後調べておりませんので、どのぐらい進んでおりますか、まだつかんでおりません。
#38
○鈴木力君 私のほうからもう少し申し上げましょう。私はある市の学校薬剤師の実情について調査いたしました。よろしいですか、そうしたら、いまの記録簿を書いておる学校というのはどんなにさがしても数えるぐらいしかない。三十数校も、持っている学校で、いろいろ全部の学校に当たってみたら、やっと執務日誌というものの写しを見せてもらうことができた。だから、これの中身を全部もちろん読みもいたしませんけれども、ある市の相当のところで、ほとんどがこれも日誌も記録されていない。それから記録されている、一番よくやられておると思う学校でも、これは古いのですけれども、昭和三十六年には五月の十八日に出ておる。その次は八月一日、その次は九月の五日、その次は九月の二十日、十二月の九日、そうして二月の十三日、三月十五日、こういう形です。そうすると、さっき課長の言われた学校薬剤師のやらなければならない仕事というのは、これはもうやられていないにひとしいということになると思う。それからずっと私が三十六年から、その後の文部省のせっかく御指導なさっておる変化がどうあろうかと思って、四十二年から四十三年のあとを私調べてみると、四十三年になりますと、四十三年は五月の二十日、六月の二十二日、七月の九日、八月の三日、これでおしまい。文部省が指導すればするほどその業務の量が少なくなっていく。こういうような状況についての御見解はどうですか。これは大臣にお伺いいたします。
#39
○国務大臣(坂田道太君) ただいま保健課長から答弁いたしましたとおりの実情で、おそらく全国でも不十分でありますことは言えるかと思います。そういうわけでございますから、今後努力をしなければならぬことは当然でありますけれども、もう少しやはりこまかく分析をして、そうしてその上でわれわれのほうでも計画を立てて努力目標を達成するようにしなければならぬと思うわけであります。ただ、御承知のように、学校にしましても地方の教育委員会にしましても、単に薬剤師のみならずその他の問題におきまして、いろいろこういう問題がございます。したがいまして、理想と現実とのギャップというのが起こり得ることは、これは当然考えられることでございますけれども、しかし、法律の規定がそういうふうにきまっております以上、われわれは今後努力をしていきたいと考えております。
#40
○鈴木力君 私はいまの大臣の御答弁はきわめて不満なんです。それは、ことばじりをつかんだようで恐縮なんですが、これだけもうなきにひとしいようなことを十何年間も放置しておいて、理想と現実の食い違いはやむを得ませんというような、そういう言い方でこういうことを過ごされておるのでは、いまの学校というのは一体どういうことになるのか、あるいはいまの子供たちが学んでいる学校環境というのは、文部省は放置しておると言わざるを得ないような状態なんです。だからいままでのように、課長に対して私は放置しているとは言いたくない。課長が一生懸命努力をしておられると、こう言いたいのですが、その努力をされた結果このような状態できて今日まで続いている。一体どこにそういう原因があったのか。これは私は非常に善意を持って言うならば、文部省も一生懸命だったかもしれない。その場合に、一生懸命やってみたがこのような状態で十何年も過ごしている。どこにその主たる原因があったのか。これは大臣にはちょっと恐縮ですから担当局長なり、課長なりからでも……。
#41
○説明員(田健一君) 設置のおくれておりました理由は、先ほどお答え申し上げましたように、一つは薬剤師そのものが非常に偏在しておるということでございます。これを具体的な数で申し上げますと、これは昭和四十一年度の厚生省の統計でございますが、全部で全国で薬剤師は七万一千八百十人おります。そのうち七大都市に二万七千七百二十一人、それからその他の市に三万四千二百九十九人、その他の地域に八千七百九十人ということで、これをパーセントで見ますと七大都市とかその他の市、いわゆる市部で、約八七・五%が市部に集中しています。その他の地域になりますと一二%しかいないというような全国統計がございます。それが一つの理由だと考えられます。それでこれの対策といたしまして、文部省は特に僻地校に対しましては、薬剤師を年二回学校に派遣できるような措置をいたしております。
 それからもう一つの理由としては、やはり、かつてはよほど待遇が低かったということが考えられます。それは最近、毎年交付税の中の積算の単価を改善はしてきておりますが、まだまだ私どものほうでは十分だとは思いませんけれども、改善はしておりまして、今年度もさらにこれが改善される見通しを持っております。この二つが主たる理由だと思います。
#42
○鈴木力君 第一の理由は、全体的にいない学校があるという場合に該当すると思われる。ただし、いまのように都市に偏在をしているでしょう。私はこの薬剤師は事実上仕事がなっていないですね。形式的にすぎない。そうして指摘している例は都市部を言っているわけです。私がいま申し上げたのは、これは相当な都市です。薬剤師か偏在しているその地域で行なわれていない例ですから、だから第一の理由は、いない地域については大体わかる。しかし、やはり私は、もう一つの、第二の点だと思う。待遇が悪いということだって、これは非常に大きな理由だと思うんです。一体いま薬剤師が手当がどのくらいもらわれているんですか。
#43
○説明員(田健一君) 四十三年度から年間一万二千円でございます。
#44
○鈴木力君 月千円でしょう。四十三年度から一万二千円だからね。そうすればとても学校保健法の施行規則と、それから一万二千円の、月千円の手当でこの施行規則の中身の仕事ができるなどということは最初から考えられない。最初から考えられないようなことを皆さんのほうは行政でやっておるわけだ。そうして行政の権威というものはそこにでんと坐っていらっしゃるわけです。そこにいまの学校の定数を検討していかなければならない主要なる事情があると私は思う。まあ繰り返してもしようがないんですけれども、これは初中局長さんにお伺いしたいんですが、いま学校薬剤師の例、薬剤師というよりも学校の環境衛生の扱いを見てもこれは薬剤師がいる、いないにかかわらず、この施行規則の二十五条に掲げられたことは学校ではやらなければならない業務だ、私はどうしてもそう思うんですけれども、局長さんの御見解はどうですか。
#45
○政府委員(宮地茂君) 二十五条は薬剤師という職務にある人の職務執行準則でございますけれども、やはり学校としてそういうことが行なわれることが法律としては期待しておると思います。したがいまして、いま先生のお尋ねのとおりの、気持ちとしては先生のおっしゃるとおりだと思います。
#46
○鈴木力君 学校の先生たちはいま行き届いた教育ということが合いことばになっているんですね。行き届いた教育というのは子供の一人一人をほんとうに頭からつま先までも先生が目を届かせて一つのあらもないようにというのが先生たちの合いことばだ。私はこの先生たちの行き届いた教育という合いことばにこたえるのは行き届いた行政というものがなければいかぬと思うんですよ。そして文部省にそれを期待したいという気持ちで聞いているんです。ですから気持ちの上ではなんということじゃなくて、行き届いた教育をやらせるには行き届いたこれらのことだって学校でやらないと行き届いていないわけです。まあ、しかし現実にはいま薬剤師なら薬剤師というのは事実私はなきにひとしいというふうに見る。これは言い過ぎかもしれませんけれども、とてもじゃないが便所の消毒を月に一回、平均で見たら一年に三回、やらないと同じですよ。そうすると、それはやらなければいけないわけだ、学校は。そこでそれをどういう人たちがやっていると思っていらっしゃるんです、これはどなたからでもよろしい。
#47
○政府委員(木田宏君) いま御指摘になりました学校保健法の施行規則二十五条に、学校で環境衛生に関しましてとるべき措置をあげてあると思います。こういうことは学校としてなすべきことであり、またそれを一般的には学校の教師に期待することでもないと考えられる関係から、学校薬剤師という別の専門を置きまして、その担当者にこういう職務内容をやらせるという趣旨で法律ができ、施行規則がつくられておる、このように了解をいたしております。その意味でできるだけ各学校に薬剤師を置いて、必要な点検をし、検査をするという仕事を進めていかなければならぬと思いますが、御指摘になりましたように、全部に置かれておるわけでもございませんし、またかなりその勤務の態様に格差があることもはっきりしております。ただ、私の思いますのに、この飲料水の検査あるいは換気の検査、これは必要な時期に行なうということで、常時学校の教育活動のごとくに行なわれるべきものというふうにも考えませんので、現在の学校薬剤師が必要な時期に学校に出まして職務をとる、こういうふうな考え方でこの専門職の委嘱をしておる、こういうふうに理解をしておるものでございます。
#48
○鈴木力君 そういう御答弁ですと、多少時間かかりますよ。必要な時期というのはどれだけのことを考えている。いいですか、いままで私が明らかにしてきたことは、いないところは全然必要な時期はない、あなたのおっしゃる論法をもってすれば。それから平均で一年に十二日、平均というよりも最高ですね、十二日出ている。六日以上が十四件、一年間に二日以下が三件ですよ。それで飲料水の検査の必要な時期というのは年に何回だとあなたは思っているんです。それから、この学校薬剤師の業務というのは飲料水の検査だけじゃない、便所の消毒まである。便所の消毒の必要な時期は一年何回ある。そんな言い方でいまの私が議論しておるようなことが済ませると思うなら、これは文部省は怠慢という以外に何もない。私がいま聞くことにはっきり答えてください。便所の消毒に必要な時期というのは一年に何回、いついつだ。飲料水の検査は一年何回やれば適当なんで、必要な時期はいつなんだ、かりに一年に一回とすれば、その時期に薬剤師の出勤日が集中しているかどうか、あなたはその日を調べているんですか。かってなことを言ってもらっては困る。
#49
○政府委員(木田宏君) 便所の消毒はほかの人がやらないで、薬剤師だけがやるものというふうにも考えません。まあたいへん恐縮な言い方になりますが……。
#50
○鈴木力君 私が聞いているのは、だからほかの人がやっているんだという前提で私は質問したでしょう。そうしてほかの人というのはどういう人がやっているのかという質問に対して、あなたはさっきのような答弁をしたんです。聞いたことに対してまともなことを答弁しないと時間がかかる。ほかの人というのはどういう人をさすのか、それを私はさっきから聞いている。
#51
○政府委員(木田宏君) 便所をくみ取りに来る人がその際にあわせて消毒薬をまくということは通常期待できることだと思っております。それからまた学校の用務員その他の職員が掃除の時期その他にあわせて薬剤を散布するということもあり得ることだと思っております。
#52
○鈴木力君 そうすると、薬剤師のやっている仕事をほかの人がやっている、ほかの人とはだれをさすかと言うと、あなたは用務員だとおっしゃるわけですね、そう聞いていいんでしょう。
#53
○政府委員(木田宏君) このくみ取りの問題につきましては、また市町村によってそれぞれ違いもあろうかと思うのでございますが、衛生車を持ってまいりまして、くみ取りに来ました際に、通常薬剤をやはり市の関係職員の手によって散布して消毒が行なわれるということはあり得ることだと思います。
#54
○鈴木力君 どうもそんなことでほんとうにあなたは担当局長としてこれに答えているつもりなんですか。私がいま聞いているのは、薬剤師のやらなければならない仕事というのは、これがある。ところが現実にいない学校もある。そのいない学校はなぜいないかという理由等も一応伺いました。いい悪いという評価のしかたは別としても、そういう理由があって、いないということは事実なんです。そうでしょう。それから、いる学校の薬剤師の一定の勤務の態様というのは、私はいままでずっとお伺いしたんです。よくないことははっきりしているでしょう。一年間に二日なんというのは、あるいは三日とか、これは勤務しているとは言えないでしょう。それにもいろいろな理由がある。だから機械的に直ちにいなければならないものを違法だとか、処分だとかいうことにはならない、いろいろな事情がある。これはまた評価のしかたは別だけれども、事実としてあるのです。だが現状は、これらの仕事というのは学校ではゆるがせにできないことだ、そこまではやはり皆さん認められているのでしょう。たまにくみ取りが来たときにそれをやっておけばいいんだというふうにしかあなた方考えないのですか、どうですか、木田局長のお考えは。
#55
○政府委員(木田宏君) 御指摘でございますが、薬剤師は環境衛生の検査をいたします。検査につきまして、技術的な知識を必要といたしますから、学校薬剤師を置くことが必要だと、こういうふうに規定されておると思います。
#56
○鈴木力君 そんな法律のことはわかっているのです。やっていないのです。
#57
○政府委員(木田宏君) 検査自体は学校の職員が普通にやれるものというふうには考えられないと思います。ですが、いま先生の御指摘の意味を考えますのに、衛生を管理するということ、あるいは消毒を行なうこと、そういう実施の日常的な業務につきまして、学校に常時いる職員が身近にそのことのめんどうを見るという問題は起こり得ると思います。
#58
○鈴木力君 問題は起こり得るのじゃなくて、現に起こっているのですよ。あなたが担当局長として、さっきも私が何べんも言った。この法律を出してからもう十何年になるのです。そのとき入った一年生は、もう卒業生が三回も出ている。それまでの間放置しておったでしょう。現状調査したのは十年たってから、四十二年に調査した。そうしておいて、法律の趣旨はこうでございますなんという話は、もう話済みなんです。そうすると、学校としてはやらなければならないことなんだから、先生たちがやっておるのです。先生たちだけじゃない、もちろん用務員さんもやっている。要するに、そこにいる学校職員全部がいろいろ手分けをしてやっているのです。そのことがはっきりしないと教員の定数ということが出てこない。実際は、その分も先生たちの仕事として現状としてはあるということは認めざるを得ないでしょう。どうなんです。
#59
○政府委員(宮地茂君) 鈴木先生の御指摘の点、薬剤師がいません場合、二十五条、薬剤師の職務準則ではございますけれども、いません場合には、たとえば保健所の人に頼めるところは頼むかもしれませんが、そういうこともできないとかいったような場合には、御指摘のように、やはりこれは専門的なことでございますから、いろんな検査ということであれば、特に理科の先生等で知識のあられる方があればその先生が中心になられましょうし、その他、要するに校長はじめ学校の教職員が、当該学校の教職員全体が分担をして、こういう職務をやらなければならない。また、薬剤師のいないところはそういうふうにしてやっておるであろうというふうに考えられます。
#60
○鈴木力君 すなおにそういうことを、現状として学校がいまどういうことをやっているのかということを、ほんとうにそのままの学校の状態を認識してもらわないと、私はこういう行政に非常に大きな欠陥があると思うのです。
 何かやっぱり、言うことは理屈に合っているかもしれないし、法律的に皆さんは違法でさえなければいいという言い方をなさるけれども、学校側からいえば、そういうものじゃないのです。だから、たとえばこれは東京の去年の学校一覧表です。これを見ても、職員の業務分担表なんか見ますというと、いまの薬剤師業務、薬剤師がいる学校なんですよ。ここは私に言わせれば最も日本で恵まれている小学校だと思う学校ですよ。そこの先生たちの業務分担表を見ても、この薬剤師のやる部分の業務というものは、相当数の先生たちが自分の担当としてすでにやっているわけです。そうやらないと、いまのあなたの法律の趣旨はこうでございますと言ったのじゃ学校が運営できないんですよ。そのことを御認識いただきたいということになるわけです。
 と同時に、私はついでですから申し上げますけれども、薬剤師につきましては、やっぱりこれは定数との関係、直接あるかないかわかりませんけれども、せっかくこういう御質問申し上げた機会ですからね、やっぱり薬剤師というのが要るような、そうして事実上やらなければならない仕事というのを皆さんは把握していらっしゃるわけなんです、実効があがるような方向では。私に言わせれば、もう少しまじめにこの問題に取り組んでいただきたいと思うのです。これは、私が言うのは薬剤師だけじゃありませんですけれども、いまの学校が置かれている環境からいいますと、保健衛生という問題はきわめて重要な問題だと思うんですよ。六・三制が出発したころと違っているのは、公害とか環境衛生とかいうことが非常に条件が違ってきているが、そのときに、その条件は一定のものとして、教員の定数だけをいじって、前よりいいとか悪いとかという議論だけしておったのでは、学校全体の進歩ということが、どうしても私はないと思う。そういう意味で、せっかく取り上げた薬剤師の問題につきましては、財源の問題等もありましょうから、直ちに、文部省が言えばそのとおりになるとも思いませんけれども、しかし、この面については相当の御努力をしていただきたい。少なくとも、いまのような手当では、月千円の手当なんというものは、学校薬剤師を学校保健法できめておいて、そうしてこれだけの業務をやらなければいけないとやってるんですよ。そんな、趣旨ですなんと言ったって、もうどうにもならぬのです。そういう点についても、ほんとうに努力をしなければいけないし、それからもう一つは、こういう状態に置かれておるから、地方行政の任に当たっておる人たちも、どうも薬剤師が足りないということについては深刻な気持ちがあまりないように見受けられる。私は全部に当たったわけじゃないけれども、最近、こういう学校保健衛生ということに多少関心を持っているものですから、機会あるごとにそういう人たちに聞いて見てるんですけれども、そんな法律あったっけかなというような教育行政の地方の責任者さえいる、事実として。そういうときに、国会では、指導しております、努力をしております、法律の趣旨はこうでございますと、これだけを何べん繰り返したって、行き届いた行政ということにはいかないと思う。私は残念ながらこの面の行政は、最も行き届かない行政の一つに入っていると思うんです。その点の御努力をひとつお願いいたしたいと思うんです。いかがですか、これは大臣に伺いたい。
#61
○国務大臣(坂田道太君) 鈴木さんおっしゃるとおりに、不十分だということはこれは認めざるを得ないと思うんです。ただ、御承知のように、いない学校というのは二〇%ですね。あるというところが八〇%ですね。しかも、御承知のように、また御指摘にありましたように、むしろ僻陬地にないというわけでございますから、むしろ重点は置かない、置かれないこの二〇%というものに対してどうするか。むしろ各学校に一人ずつやるというようなことだけで、ほんとうに指導して現実問題として解決できるかどうか。そうでなくて、たとえば無医村等の問題もございます。そういうような形において何か方法はないものかということは、検討に値する課題じゃないかということが一つ。
 それからいま御指摘の一万二千円というようなことも、これはやはり考えなきゃならない問題だと思うわけでございます。
 それから、まあこれは学校というところは種々おのおのの態様があるわけで、ただ確かに先生方に対して負担が多いということ。それゆえにこそこの標準法を出しているわけなんですが、しかし、先生方自身も一、生徒、児童に対する健康管理、あるいはその学校全体に対する衛生、あるいは環境というものをどう維持していくかということは、それぞれの先生方自身もお考えになって現実にやっておられるものだと思います。ただ、専門的な、そういうような課題についてはやはり専門の職のこういう薬剤師というものが置かれて初めてそれが全体的に生徒の健康管理が維持され、あるいは学校全体の環境衛生というものが周知徹底できるものだと考えておるのでございます。そういうことは現実問題としては、それぞれの学校においてそれぞれの先生方が、不十分なこういうような環境にありながらやっておられるということを私は知っております。でございますから、われわれといたしましては、この法律の趣旨に基づきまして、一段と今後努力をしていかなければならぬということは申すまでもないことでございます。
#62
○鈴木力君 もう時間があまりないそうですから、もう一つだけ私は同じような立場から、きょういただきました資料でお伺いしたいのですけれども、この学校給食ですね、これはまあ学校給食はよいことだ、これについては私どもも同感なんです。そうして文部省もずいぶんこの学校給食には力を入れていられる。その効果も着々あがっている、その点についても私はよくわかる。ただしこの中で、今度の法案を審議するためにどうしても私ははっきりしておかなければいけないのは、調理員のいない学校なんですね、調理員のいない学校の給食というのは、一体どういう状態で行なわれておるのか。いろいろなやり方があると思うが、どういうやり方で行なわれているのか伺いたい。
#63
○政府委員(木田宏君) お手元に差し上げてございます表にありますように、現実に、完全給食につきましても、小学校、中学校それぞれ調理員の置かれていない学校がございます。また補食給食、ミルク給食につきましては、かなりの数の学校が数字として出てまいっております。中学校に調理員のいない学校数が非常にたくさん出ておりますのは、僻陬の学校で、小・中併設校等で一緒に行なわれているものというのがかなりたくさんある。また小学校にありまして、完全給食をやっておりながら、四十九校調理員の置かれていないのは、結局常に雇う調理員として常勤の者としての調理員がいないわけでございまして、その学校の児童、生徒の規模等から、パートタイムの職員の応援ということで足りるものがこのようになっておるものというふうに考えるわけでございます。なお、補食給食、ミルク給食につきましては、ミルクの撹拌供給ということが、ミルク給食だけ行なわれておりますところにつきましては、その生徒数との関連等もありまして、比較的人手を要することが少ないという事由がある、また補食給食も、補食給食にはいろいろな態様のものがございますが、パンとミルク給食だけ実施いたしておりますものも補食給食に入っておりますので、そのような場合には人手をとることが少ないという事由によるものというふうに思っております。
#64
○鈴木力君 そうすると、局長は、いまの御答弁の趣旨は、いないところはこれでいいんだと、こういう趣旨に聞いていいですか。
#65
○政府委員(木田宏君) 個々の学校の一つ一つの事情をつまびらかにしておりませんので、全部についてそのように言い切ることができるかどうかについては、私も危惧を感じます。しかしながら、その大部分の実態につきましては、いま申しましたようなそれぞれの事情があって、その実態に即応した体制のもとで行なわれているものというふうに考えます。
 なお、もちろん財政上の事由等によりまして必要な調理員を置きたくて置けないというところもないわけではないかと思うのでございますが、個々の、御要求になりました数字の中で、そのこまかい区分けにつきましては、まだ私ども承知をいたしておりません。しかし想像できますところは、いま申し上げましたようなことでございまして、実際に給食を行なうにつきまして、その事務の合理化というものは、これからもやはり考え、必要な配置は進めていかなければならぬと思っております。
#66
○鈴木力君 聞いたことについて答えてもらいたいですね。あなたの趣旨は、こういういないところもあるけれども、いなくても間に合っていますという趣旨なのか、いないので困るという趣旨なのか、どっちなのかということを聞いている。
#67
○政府委員(木田宏君) かなりの部分はいない体制ではありますけれども、それぞれの実態に応じた処理ができておるものである、このように理解をしております。
#68
○鈴木力君 大臣もそういう御見解ですか。
#69
○国務大臣(坂田道太君) 私もやはり大体はそうだと思うんですけれども、中にはやはりほんとうにいないというようなところがあるかと思います。そういうところが発見されますれば、これは文部省として指導していかなければいけないと思っております。
#70
○鈴木力君 発見されますればとおっしゃるけれども、こういう面の調査をなさったことがございますか。
#71
○政府委員(木田宏君) この調理員のいない学校の調査は、四十三年九月一日の時点で調査をいたしまして集計をした数字でございますから、毎年私どもその実態につきましては留意をしておるわけでございますが、個別の学校につきまして、どういう事由によるものかというところまでは個別の調査を別途に行なわなければなりませんので、個々の学校につきましての事情は承知をいたしておりません。
#72
○鈴木力君 この法律の趣旨は、義務教育を向上させるというのが趣旨でしょう。もっぱら教育的な見地に立っているわけですね。だから、いまのような木田局長のようなことでいいということになれば、学校の先生は、平均点が上がれば、落ちこぼれていく子供が何人あってもそれはかまわないという趣旨なんですか。どっちなんです。
#73
○政府委員(木田宏君) 落ちこぼれておるものは上げていかなければならぬと考えております。
#74
○鈴木力君 教師に対しては文部省はそう言うんです。行き届いた教育をやれ、落ちこぼれたものを上げていかなければならない、しかし自分のやっていることはどうかというと、いまの答弁のとおりです。この中で、大方は集計すればこういうことになるから間に合っています、個々のものについては困るものがあるかもしれませんけれども把握しておりませんと。教師にしいておる教育に対する文部省の態度と、自分のやっていることの責任をたなに上げる態度はこれだけ違う。これがさつきから言っておるように、行き届いた教育を合いことばにしている教師に対する最も行き届かない行政をやっている事実だと私は思うんです。もし反論があれば反論してみなさい。
#75
○政府委員(木田宏君) 私ども学校給食を実施いたしますにつきまして、調理員の基準につきましては、一応のめどを立ててその実態を指導しておりまして、百人以下のものにつきましては一人という基準を示しております。調査の結果出てまいりましたその百人以下の学校の調理員の実数は一・一人でございます。でございますから、百人以下の学校の中で非常に生徒、児童数の少ない学校にありまして、幾つかその専任の調理員を置かずに別の者を置いているということはこの数字のごとく出てまいるわけでございますが、小学校で四十九校という実態から考えまして、かなりのところまできておるのではないかという感じで申し上げておるわけでございまして、全部が一〇〇%いっているというふうには必ずしも考えておりません。他の人数におきまして児童、生徒数に応じた指導をいたしておりますが、若干指導しておる線からなお下がっておるランクもございます。五百人、六百人のところでは四人という基準を示しておりますが、平均して三・六人、三・八人という実態もございますので、その辺のところは財政上の手当てその他もしながら今後の指導も進めていかなければならぬ、このように考えております。
#76
○鈴木力君 もう時間だそうですからこれでやめますけれども、この問題は、いまのような御答弁ですと、ここできょうはやめるけれども、この問題これでやめるわけにいかないと私は思うのです。そこで、この次の機会にまたさらに詳しく質問いたしたいのですが、いまの基準についてこの次までに私のところに資料としてお出しいただきたい。あとはこの次にいたします。
#77
○萩原幽香子君 学級編制を教職員定数の標準について昭和三十四年度以来二回にわたって改善五カ年計画が実施され、大幅な改善をみたという御説明がございました。そして四十四年からさらに第三次の五カ年計画によって改善を進めるというお話でございます。しかし私は、すし詰め学級の解消や学級規模縮小の成果は、就学児童生徒の減少がおもな原因であって、率直に申し上げて政府施策の効果が大きく貢献したとは判断できないわけでございます。その証拠に、人口急増の地域では依然としてすし詰め学級があり、二部教授も行なわれているといわれます。今後の教育は、進みゆく姿、変わりゆく様想を予測して進められるべきものだと考えるわけでございますが、ところがこのたびの改正案を見ますと、過密、過疎の激化に対するある程度の考慮はなされておると思いますけれども、今後の教育が情報時代といわれる新しい技術革新の時代にふさわしい内容に変わらなければならないということに対しての配慮がうかがわれないということをまず指摘したいと思うわけでございます。今後の教育のあるべき姿という観点からこのたびの改正案について二、三質問をさせていただきます。
 昭和四十四年度を初年度とする五カ年計画改善の最大のポイントは、第三条の学級編制の標準だと存じますが、そこでまずお伺い申し上げたいのは、小学校及び中学校の同学年の児童生徒で編制する学級がどちらも四十五人として固定しておられるという理由は一体何でございましょうか。もちろん東京都心の小学校や僻地小学校におきましては、一学級二十人以下といったところもあり、現実には平均四十五名以下かもしれません。しかし肝心なことは、同学年の単一学級の編制は、一学級どうしても三十五人、少なくとも三十七、八人というところに切り下げて、担任の先生がクラスの子供たちの一人一人の能力を徹底的に開発できるのでなければならないと思います。そういう意味で、四十五人に固定をされたというのは決して改善にはならないと考えるわけでございます。この最も基本的な学級編制について改善の目標がなく、しかもそれが五カ年も固定していこうとされる理由をまずお伺い申し上げたいと存じます。
#78
○政府委員(宮地茂君) 今回の改正案の趣旨なり要点は、大臣の提案理由の御説明でも申し上げたとおりでございますが、いまのお尋ねにつきましても、実は四十四年度から第三回目の五ヵ年計画に入るわけでございまして、もちろんいま萩原先生の御指摘になられましたような点も十分私どもとしては検討をいたしました。しかしながら過去五ヵ年計画を二回、十ヵ年にわたってやりました結果、ひずんでおるところはどこであろうか、いろいろ考えてみますと、僻地、過疎の地域が、従来、すし詰め学級解消という名のもとに複式学級等は十分な改善を見なかったといったような点、それから特殊教育、それからまた専科の教員、こういったようなものが過去の二回の五ヵ年計画ではすし詰め解消という主目標のために多少薄らいでおった、こういう点を今回におきましては重点を置いた次第でございます。したがいまして四十五名を四十名なり三十五名なりといったようなお気持ち、これは私どもも一応は検討はいたしましたけれども、今回の改善につきましてはそれ以上のところを、まず先ほど申しましたようなものを重点としたという点、それと、なるほど四十五人学級というのを改正はいたしておりませんが、しかしながら、全国平均の一学級当たりの収容人員を見てみますと、四十三年五月一日現在で小学校では三十三・四人、中学校では三十七・七人、こういった計算にもなりますし、また四十五人学級といったような、そういうものと、それから学級規模の小さいもの、いろいろ私のほうで調査をしてみましたが、四十五人学級のところを直すということと、先ほど私が申しましたような点をやることと、国全体として、現在のわが国のそれぞれの学校における学級規模のバランスから見てどっちに重点を指向すべきであろうか、やはり私どもが考えたようなことのほうが一応先になるべきものであろうといったようなデータも調査の結果ございまして今回のようなことにいたした次第でございます。
#79
○国務大臣(坂田道太君) この間からも私お答えを申し上げておりますように、この四十五名にするか四十名にするかという教育的な定数というものは、これは各国でも検討されているし、また日本の各大学においても検討されておるわけでございます。かと言うて、それじゃ少なければ少ないほどいいかというと、そうじゃない。むしろ二十人以下はいかぬということ、また同時に、五十人以上というのはもう絶対いかぬというようなことが出ております。しかし四十五名と四十名と比べてどうなのかというと、このところにはやっぱり議論もあるというふうに私は思います。現に全体の標準をきめるわけでございますが、上を四十五名に押えますと、実態として日本全体で八〇%はむしろ四十になってくるということであるとすれば、それはやはり現実に即したやり方ではないかというふうに思うわけでございます。現に現在のところで考えましても、四十一名から四十五名のところが二二・七%、それから三十六名から四十名のところが二九%、三十一名から三十五名が一七・四%でございますから、おおよそ、これ三十一から四十五までですでに、言うなら四十五名以下というのが七五%ぐらいになりまするか、もうちょっと上になりますかと存じますが、大体現在ですら三十一名から四十五名の間に集中してきている。今度のこの定数法ができますと、もう四十九とか四十八とかいうものは少なくとも五年間においては解消するわけでございますから、四十五名以下になり、全体としてはちょっとかっこいいあれになるではないかというふうに思うのです。しかし、先ほどの議論と同じで、何も四十五名がいいとも断定できませんけれども。やはり四十名があるいは理想かもしれません。しかし、現実の姿としては四十名ということに固まっていくということ、しかし同時にそのことを最も必要だけれども、四十五名にするか、四十名にするかという議論よりも、当面のこの問題としてはむしろ僻地あるいは小規模学校に先生方を配当するということのほうがより今度大事じゃないかという二つの問題があると思うんです。過密化におけるいわゆる定数の五十名以上とか四十九名とかいうものをやらないように、適正規模に持っていくという一つの施策と同時に、小規模学校において先生方が非常に足りないんじゃないかというようなこと、それから先ほど来の鈴木さんのお話しのように、学校を構成しております事務職員であるとか、養護教諭であるとか、あるいはこれには直接触れてはおりませんけれども、学校給食に対する調理員とか、あるいは用務員さんとかいうような問題が全体としてあるわけで、この定数として、私たちが今度御審議を願っておる中心というものはそういうように考えておるわけでございます。
#80
○萩原幽香子君 この改正案が大体過密過疎というところに重点を置かれているということは私もわかるわけなんです。それはまあ、ある程度納得のいくことでございますけれども、先ほど鈴木先生の御答弁にございましたように、そういうところに重点を置くから、四十人か四十五人かということよりもそういうところのほうへというお話でございますけれども、しかし、それがまだまだなされていないという現時点におきましては、やはり多数の子供をかかえた先生が、ほかの仕事をいろいろやらなければならないということは、やはりお考えをいただかなければならないと思うわけなんです。それともう一つ、私はそういった過密過疎の問題だけではなくて、文部省が、四十二年に義務教育の教材基準を設けて教材の高度化につとめておられました。そういうことはまことにけっこうで、視聴覚教材の導入によって授業を進めるということは、これはまことにけっこうなことだと思うんですけれども、そのときに四十五人といったような多数編制でございますというと、先生は機器を管理するだけで疲れてしまうのではないだろうか、こういうことを考えるわけなんです。文部大臣は先ほど二十名以下の学級は好ましくないようなお話で、この前の四月十五日の委員会でもそのようなお話があったわけでございますけれども、そういったような視聴覚教材というようなものを使って授業を進めますときには、これは何としても私は学級編制は小規模であるということが欠かせない条件ではないだろうかと、こういうふうに考えるわけでございます。
 いま義務教育というものは、集団学習から個別学習への変革期ではなかろうかと、こういうふうにも考えるわけでございますが、その点で、先進国におくれているのはわが国の初等教育だと聞いておりますが、大臣、その点はいかがでございましょうか。
#81
○国務大臣(坂田道太君) 私は、基本的には日本の小学校教育というものは、やはり世界に比べまして相当行き届いておると思っております。ただ、いま御指摘の学級編制につきましても、理科教育みたいなものと、それから一般の教育の面とについては、やはり理科のような場合はむしろ少なくするということが必要であって、それは指導の問題でできることではないか。それからもう一つ申し上げますと、こういうふうに視聴覚というものが非常に発達してまいりますと、あるものによっては三学級を一緒にしてやるということも試みらるべき課題ではないかというふうに思われるわけでございまして、これはやはりもう少し内容についてでないと議論はできないんです。これはもう確かに私は理科のような問題については少数ということが必要だというふうに、小グループに分けるということが必要だというふうに考えております。一般的な定数としましては、四十名、四十五名というのは、やはりこれは相当いい学級編制だと思います。しかも実体としましては、むしろ四十以下が非常に多い。こういうことを考えました場合には、標準として考えられますわれわれの施策としてはこれがいいんじゃないかというふうに考えます。これはやはり都道府県の教育委員会、あるいは市町村の教育委員会及び現場において、この一つの基準でもってある程度融通がつく問題ではないか、課題ではないかというふうに思います。
#82
○萩原幽香子君 いま大臣のおっしゃいました、理科教育なんかの場合には少ないほうがいい、しかし、やり方によってはというお話でございましたが、そのやり方によってはということはどういうことでございましょうか。
#83
○国務大臣(坂田道太君) いま申し上げましたように、たとえば三学級、六年生なら六年生があるという場合について、視聴覚教材を使いまして、そういうたとえば施設があるところでは、百五十人――四十人でございますと、三、四、十二ですから……。四十五人でございますと幾らでございますか、約百三十五名で、幻灯を使ってやるとか、あるいはまたテレビを使ってやるとか、あるいはまたその他のやり方でもって合併授業というようなものも、大学にもこれから考えられなきやならないけれども、小・中・高の段階においても考えていくべき課題だと思います。必ずしもクラス編制というものは四十五名、あるいは四十名であっても、その運用で、場合によっては少数に、二つに分けて二十名と二十名とでやる。あるいはまた、それを場合によっては百五十名でやるというようなやり方のほうがむしろ親切なやり方だということも言えるということ。あんまり画一的に考える必要はない。ただ標準としてはやはりこういうような考え方で押えていきたいという考え方であります。
#84
○萩原幽香子君 大臣のお考えになっておりますいわゆる視聴覚教材というのは、やはりラジオとかテレビとかそういうものだけを使っていらっしゃるわけでございましょうか。もう少し小人数でなければやれないような、そういう機器というものが私はあるように思うわけでございますけれども、そういうものについて大臣、どのようにお考えでございましょうか。
#85
○国務大臣(坂田道太君) やっぱり理科の場合でございますと、小グループに分かれて実験等をやらせるわけでございますね。ですから、そういうことはおっしゃるように単にテレビとかラジオとかいうことじゃなくて、幻灯を使いまして幕に映して、あるいは先生がそういうものを実験をやりながら、それを幕に映して全体で見ながらやるというような、いろいろなやり方はあるんじゃございませんでしょうか。また、現にやっていると私は思っております。
#86
○萩原幽香子君 そうしたものがこれからもだんだん私は導入されなければなりませんし、また、されていくと思うわけでございます。それは大臣のほうでももつと、初等中等教育におけるそういったものの導入ということについての御研究をお願い申し上げたいと存じます。この情報時代、あるいは知識産業時代といわれる現在及び将来における初等教育は、当然高度の教育資材の導入による新しいビジョンが入ってくると、こういうふうに思いますので、その観点に立っての学級編制の小規模化、すなわち教職員の大幅増員ということは緊急なことと思われますので、いまの大臣の御答弁では、いま少し私も納得いたしかねる面もございますので、この点につきましてはいろいろとまた御研究をわずらわすことにいたしたいと存じます。
 さらに、四十四年度予算で一県一中学あたり百万円を十六県計上して、今後二カ年にわたって学校向けのティーチングマシンの実用化を研究されていると聞いておりますが、これについての御説明をお願い申し上げたいと存じます。
#87
○政府委員(宮地茂君) これは先ほど大臣からもお話がございましたが、現在、先生も御指摘のように、世は日進月歩でございますが、同時にそれに即応した教育方法も取り入れてやる必要があるというような考え方から、一応ことしから初めての試みでございますが、中学校に十六校をいわゆる研究指定校といったようなことで、実験的に教育方法の研究をやってもらおうということでございます。大体貸与いたしますものは百万円の機械器具でございます。
#88
○萩原幽香子君 その十六校と申しますのは、大体どこでございましょうか。
#89
○政府委員(宮地茂君) 突然の御質問でございましたので、ちょっと資料の用意をいたしておりませんが、十六校程度ブロックを考えながら、それと、ただこれは文部省から一方的というよりも、希望の学校をつのりました。それですでに指定校の通知をいたしておりますので、御必要でございますれば、あとでその学校名を資料として提出させていただきたいと思います。
#90
○萩原幽香子君 これは大体希望校が十六だったわけでございましょうか。もっとあったけれども、その中からということでございましょうか。
#91
○政府委員(宮地茂君) 五十校程度の希望がございました。予算の関係等がございましたので、十六校にいたしました。
#92
○萩原幽香子君 どうも、これも私はいまからの課題としまして、五十校希望があったのに十六校ということになったわけでございますが、その選択の基準とでも申しましょうか、どういう基準でその十六校が指定されましたのか、ちょっとその間の事情を承りたいと存じます。
#93
○説明員(奥田真丈君) 指定の大体の基準といたしましては、数学、理科、外国語、社会科、この四教科を対象教科といたしまして、それを各学校で希望しておる種類によってまず分けました。それからまた指導に当たる教員の資質あるいは研究歴、こういうものも研究いたしました。それからさらに学校の規模あるいは生徒の数でございますとか、そういうものも勘案いたしました。それからその学校をめぐっての指導者のあり方、つまり大学の教師とかあるいは研究所の指導者がどのように関与し得るか、このようなことも検討の材料として指定校をきめた次第でございます。
#94
○萩原幽香子君 いろいろ指定の基準もあったようでございますけれども、五十校、とにもかくにもこういうことにいって新らしく取り組みたい、こういう希望が出たわけでございますから、できますなれば、予算の関係もございますでしょうけれども、いま十六件だけだというようなことでは、私は、進んでいく時代に対してのテンポが多少おそ過ぎるのじゃないか、こういう感じもいたしますので、ぜひ次の年度の予算におきましては、希望校に対しては大幅にこういったことがなされますように希望を申し上げておきたいと思います。
 さらに、これから少し具体的な問題についてお伺いを申し上げたいと存じます。
 まず第一に、養護教諭それから事務職員についてお伺いをいたしたいわけでございます。現場教師たちは、長年にわたりまして養護教諭、事務職員の全校配置を念願し続けてまいりましたが、まだ実現に至らない状態でございます。先ほどのお話を聞いておりましても、薬剤師のいないところは養護教諭に肩がわりをさせるといったような御答弁もあったかに承るわけでございますが、養護教諭もいないといったようなこともございますし、このたびの改正案によりましても、養護教諭は小学校八百五十あるいは中学は千五十、事務職員では小学校三百五十、中学二百五十、こういうことになっておりますと、過疎地域ではその適用の受けられない学校が残されるのではないかと思います。そこでお伺いいたしたいことは、四十四年度で養護教諭、事務職員の配置されない学校の数はどれほどございますか承りたいと存じます。
#95
○政府委員(宮地茂君) 実は、この養護教員、事務職員につきましては、先生がいますでにおっしゃいましたような基準で、小学校は千人の児童に対して一人という比率を八百五十人に一人というふうに直しましたが、そのようにいたしますと、僻地等の小規模学校では八百五十人もいる学校が僻地にはないといったようなことで、勢い僻地学校の多い府県の定数としてはいろいろ支障があるというようなことで、養護教員、事務職員いずれも僻地学校の数に応じまして、大体六分の一ぐらいの比率で、これは政令でそういう措置を規定いたしたいと思っておりますが、僻地校の数も勘案いたしまして、その他の場所と違った方法を講ずる予定でございます。で、文部省といたしましては、これらの教職員の改善を五年計画でやるということでございますので、今回は相当都道府県の教育委員会に、自分の県の五年計画を勘案してある程度の県の自主性を持たせたい、こういうふうに考えております。したがいまして、機械的にその五分の一ずつだけが補充されていくということでもございませんので、県として、まず文部省できめましたこの法律なり政令の基準ではじきました定数、それを見て県として五年間にどのような計画で充足していくかということは各県の自主性を尊重したいと思っております。したがいまして、計算としていま先生がお尋ねのように、何校に養護教員、事務職員がいかない学校ができるかという数字は、これは各県各県でこれは実情に即してやりまして、その集計を待ちませんと、いま直ちに養護教員と事務職員は何校に行き渡らないという数字は、ちょっと計算しにくうございます。
#96
○萩原幽香子君 そういたしますと、自主性を尊重してということでございますが、県がことしはどうしても全部に事務職員を置きたいあるいは養護教諭を置きたい、こういうようなことで自主的にそういうものを置いたといたしますと、あとあとそれに対しましては、国ではそれを県に返してくださるということになっておるのでございましょうか。
#97
○説明員(岩田俊一君) ただいま局長からもお答え申し上げましたが、この定数につきましては職種ごとに、この五年間の渡るべきワクが法律で定まるわけでございます。その年度間の渡り方につきましては、ただいまの局長のお話しのように、県の自主的な判断によりまして特定の学校の配置をきめるわけでございますけれども、ただ法律の規定が五年後には本則に原則として移るわけでございますから、その時点における定数をこえるということは国庫負担のワク外の問題になりまするので、一応県といたしましては、その時点におけるところの定数の成り行きと諸般の事情、つまり児童、生徒の移動の状況等も勘案いたしましてみずから計画を立てる、そういうことになるわけでございます。
#98
○萩原幽香子君 それではいつになっても教諭、事務職員が置けない学校ができるということでございましょうか。その点はっきりお伺いしたいと思うのでございますが。
#99
○説明員(岩田俊一君) 今度の改善計画におきましても、全学校に養護教諭ないし、また事務職員が満配になるということにはなりません。法の本則の限度におきまして四十八年、いわゆる五カ年後にその法の定めた本則に到達するということでございまして、到達の時点におきましてもなおかつその後の問題として改善の余地が残っておるということでございます。
#100
○萩原幽香子君 そうしますと、五カ年たってもまだそういうことがなされない学校が残るということを考えますと、私はこれはたいへんなことだと思うのでございます。小さい学校であっても大きい学校であっても、養護教諭の必要であることも事務職員の必要であることも、これは申し上げるまでもなくて、ほんとうにこれは現場の職員のたいへんな願いだと思うのです。そういうものがいつになっても何カ年計画、何カ年計画と繰り返されてもそういうところが残るということに対して、大臣はいかがお考えでございましょうか、承りたいと存じます。
#101
○国務大臣(坂田道太君) それはおっしゃるとおりだと私は思います。そこでやはりわれわれとしましては、こういう五カ年計画を立てましてあるところまで到達をする。しかし、その後また計画を進ましてその充足につとめる、こういうかっこうになるかと思います。最終的に何%不足になるかということは、事務当局で答弁ができますればお答え申し上げたいと思いますがまた同時に、養護教諭というような場合につきましては、養成計画がございます。この養成計画の供給力というものも見ないと実はなかなか法律と合わないということになりますので、そういう一面において供給計画、養成計画というものをあわせつつ、漸次一歩一歩前進をしていくということでございますから、今度のやつは確かに不十分ではありますけれども、一歩前進しているということだとはっきりしていると思います。
#102
○萩原幽香子君 一歩前進は私も認めるわけでございますけれども、やはり私は日の当たらないところに日を当てる政治というものが一番大事なことにもなりますし、そういう点からいっても、学校教育などというものは、最もそういう日の当たらないところから日を当てていくということが大事なことでなかろうかと考えるわけでございます。しかも、僻地のようなところは、特に市町村のいわゆる、また県のそういったような予算ということも非常に少ないということを考えなければなりませんのにもかかわりませず、そういうところが何がなしに取り残されていくといったような実態は、これはどうしても見過ごすことができないという感じ方でございます。そして、もしこの全校配置が不可能ということであれば、無医村のような過疎地域にこそ養護教諭を配置するといったような特例を認めていただく用意はございませんか。
#103
○政府委員(宮地茂君) 御指摘のように、私どもも養護教諭なり事務職員、とりわけ養護教諭等は一刻も早く本則どおりに各学校に置けるようにしたいという気持ちは先生と同様でございますが、先ほど来申し上げておりますように、そういう問題のほかに、まだ過疎地域における小規模学校といったような教育あるいは特殊教育、いろいろな点から今回養護教諭を、不満足ではございますが、一歩前進というようなことをいたしました。しかしながら、そのようにいたしますと、一応積算が八百五十人の児童に対して一人ということで、八百五十人以下の学校には行かない。機械的な計算をすればそういうことになります。したがいまして、それでは僻地があまりに格差が激しくなるという観点から、政令でそういった小規模学校の六分の一の数は加配をするといったような観点で措置したい。もちろん無医村の地域も計算の中に入れたいと思っております。しかしながら、それにしましても法律的には、そこへ、過疎地域の僻地の学校に優先して置くあるいは必ず置かなければならないという規定ではございませんので、あとは運用上の問題といたしまして、私どもとしては、都道府県に、そういった趣旨を実態に即して指導をしていくという努力はいたしたいと考えております。しかし、先ほどのお尋ねにもございましたし、大臣も先ほど答えられましたが、何分にもやはり全部の学校に行き渡るという定数の計画がなされておりませんから、勢い県内でくふうをしてもなお養護教諭を置かれない学校が相当数残ることは、十分私ども知っております。
#104
○萩原幽香子君 時間が参りましたようでございますので、あとの問題は後日に譲りたいと思いますが、しかしながら、この全体を通じて私は考えてみまして、学校教育といわず社会教育といわず、とにかく教育の面におきましても、日の当たらないところに日を当てるというその考え方がまだまだ乏しいのではないか、こういう感じがするわけでございます。そこでお願いをしておきたいことは、運用上の問題ということでございましたので、この運用ということ、私はここに希望を置いて、そうしてできるだけこういう日の当たらない場にいる人たちに日を当てていただくように運用をお願い申し上げることにして、きょうの質問、私は終わらせていただきたいと存じます。
#105
○小笠原貞子君 まず最初に、学級編制の標準について伺いたいと思います。
 きょうも大臣、おっしゃいましたし、この前もおっしゃいました四十五人というふうなきめ方について、先ほどもおっしゃいましたように、これは教育学的に見ても、まだはっきり、日本においても諸外国においても、きまった見解というものが出されていないというようなことをおっしゃっているわけなんです。そこで、お伺いしたいわけなんですけれども、四十五人というのは、決して数だけの問題ではなくて、現場でほんとうに教育をしようとする者にとっては、教育を質的に高めるにはどうするかということが非常に重要な問題なわけです。そこで世界的にもまた日本的にも、まだ結論というものが出ていないという中で、四十五名というのをおきめになったその根拠というものを、もう少し具体的にお示しいただきたいわけです。ほんとうなら三十人か三十五人でいいと思うのですけれども、財政的にはこういうわけでなかなかうまくいかないから、それじゃ四十五人ぐらいにでもしておこうかと、こういうふうになったのか。それとももう少し真剣に、この四十五という数について、当局として考えられたのか、その辺をはっきり具体的にちょっとお答えをいただきたいと思います。
#106
○国務大臣(坂田道太君) これは先ほども申し上げますように、イギリス、フランスでは四十人程度、それから西ドイツは四十人をこえているようでございます。日本でもたしか教育研究所で検討をいたしました場合に、とにかく五十人以上はいかぬと、二十人以下はいかぬと、しかし四十五人というものは、まあよろしいと、四十五人以下が望ましいというような、そういうこの「現在の学校教育の上に立って、平均的な知能の生徒に、平均的な教師の負担において、平均的な成績をあげるには、一学級の生徒数は四四人程度が適当である。これ以下は望ましいが、二〇人以下では好ましくない。」、これは国立教育研究所の三十二年の調査でございます。でございますけれども、これも一つの学説だと思うのです。
 しかしながら、慣習的にいいますと、やはりイギリスやフランスあたりで言っている四十人というのは、やはりある程度根拠のあることじゃないかというふうに思うわけです。この間も申し上げましたけれども、バトラーが教育改革をやりましたときにも、たしか四十人以下にする、それから理科の場合には三十人以下にするというようなことでございましたので、やはりそういうところは大体理想のところだと思います。
 しかし、先ほど申しますように、われわれ政府は社会主義国と違いまして、一応何といいますか地方の教育委員会に直接的にするというようなやり方はしておりませんで、やはりわれわれとして標準をきめまして、四十五名はもう最高だぞと、しかし、やはり四十名あたりに持っていく努力をしてほしいということで、現実的には今度の標準法が出ますと、全体としては四十名以下というものがおそらく相当大部分になってくるということで、望ましい姿になってくる、教育的に見ても効果のあがる学級編制が行なわれるということだと思います。一〇〇%ということはこれらの努力目標ではございますけれども、行政としてはそういうようなやり方、運用をいたしてまいりたいというふうに考えております。
#107
○小笠原貞子君 いまお話しになったことはこの前も伺いましたし、ほかの予算委員会なんかでも発言されていたのでよくわかるのです。ただ私が重ねて聞きたいと思いましたのは、たとえば国立教育研究所のほうで出された、三十二年でございますね、いまおっしゃったのは。もういま四十四年でございます。約十年たっています。そしてまた先ほどから出ていましたように、現場の教師にしてみればいろいろな雑用というものを引き受けなければならないというような、こういう現時点において現状の問題というものをほんとうに勘案されて、そして真剣にこの定数の問題で討議されたかどうかということをお聞きしたいわけなんです。何となくいままでの答弁聞いていますと、その辺のところの数だけの線で、四十五名以下だったら何とか望ましい方向にいくだろうというような非常に安直な考え方できめられたような気がするのです。数というのではなくて、やはりほんとうに教育というものを実際にこう重点的に力を入れてこれからどう考えていこうかというそういう姿勢でのきめ方がどうも薄いように思ったわけなんです。その辺のところはどの程度真剣に御討議になったのかどうかというところだけ簡単にお答えいただきたいと思います。
#108
○国務大臣(坂田道太君) やはりそれは十分とは申しませんけれども、教育的配慮をして定数を考えたわけでございます。それからまた、やはりこれから先は、先ほど申しますように、逆にある程度の視聴覚器材、ティーチングマシン等を導入することによって人数を減らすという部面も出てくるわけでございますから、その辺もあわせた新たなる観点の教育の効果あるいはあるべき姿というものが求められるべきだと私は考えております。そういうことについてはわれわれも非常に関心を持っておりますので、よく検討いたしたいと思っております。
#109
○小笠原貞子君 いろいろとこれからも研究されていくと思いますけれども、やはりその研究されている中で私が一番大事だと思いますことは、現場の教師がどういう状態に置かれて、現場の教師がどういう要求を持っているかと、こういうことだと思うのです。そうしますと、大体のところ現場の教師としては、もう上限は四十五人じゃなくて四十人に押さえてほしい多くとも、ということが出ているわけですね。そうすると、そういう要求、いまほんとうに切実に現場を持って悩んで、希望している要求というものが、今後五年間待たされてしまうというわけですね。そうすると、やはり五年間というものは、口で言えば五年間ですけれども、子供の教育の立場から言えばこの五年間というのは非常に大きな時期だと思うのですよ。そうしますと、この五年間というのがこのまま現場の要求、それは教師の要求であると同時に子供自身にとって必要なこれは権利としての要求だと思うのです。それが五年間置かれなければならないということについて、大臣はどういうように考えていらっしゃるのでしょうか。
#110
○国務大臣(坂田道太君) 現場の要求というのが非常に、大かた正しい場合が多いと思います、教師としまして。しかし、それが全部現場の意見だけにまかせておくべき筋合いのものでもないというふうに思うのです。これはやはり学者あるいはわれわれ等入りまして検討した結果、これがいいということもあるわけでございます。その意味合いにおいて現場の意見を聞くということは大切だと私は思います。それからまた五年間はこれでいくというわけでございますが、これは運用によってある程度不十分ながら、しかしながらこれでどうやって効果をあげるかということを現場でお考えをいただきたいというふうに思います。しかし何を申しましても、いままでのものよりも今度の標準法というのは一歩前進ということはどなたもこれは承認していただける事柄であると思いますし、その四十名、四十五名の問題は別として、小規模学校についての、あるいは複式の学級を解消していくという方向を示しているという点についても、それからまた特殊教育の面についても、先ほど萩原先生おっしゃいましたように、やはり日の当たらぬところに日の光をかかげるのだと、こういう気持ちというものは私は乏しい光かもしれませんけれども、これにはあらわれておる、にじみ出ておるというふうに思うわけでございます。
#111
○小笠原貞子君 先ほどから前進前進とおっしゃいますけれどもね、前進するのはあたりまえなんですよ、これ。去年に比べて後退していくなんと言ったら、これはもう大臣ほんとうにたいへんなことなんですよ。だから前進するのは、こんなことは前進するなんておっしゃらないほうがかえっていいと思うんです、前進するのは当然なんですから。ただ、その前進の速度が、いまのもうほんとうに教育的な立場に立ってこれだけ前進かといえるだけの前進であるかどうかということなんです。それ一つよけいなことでございますけれどもね。(「よけいでないですよ」と呼ぶ者あり)はい、そうですね、確かに……。
 時間がないものだからすごくせいちゃいますけれども、それじゃ次に数字的なことをお伺いしたいのですけれども一、この改正案が施行された場合、五カ年後に第七条にいうところの教員と第八条でいう養護教諭及び助教諭です。それから第九条の事務職員、それぞれの増員数がどれくらいになるか、また自然減というのを引いて実際的に増になる分というのを、済みません、ちょっと数字でお出しいただきたいと思います。
#112
○政府委員(宮地茂君) 今回の措置で五年間のを一応申し上げますと、現行法によります定数と今回の改正によるものとの差が二万八千四百九十一名でございます。それが一応増ですが、実質的には生徒の自然減等がございまして定数減になりますものが一万三千七百三十五でございます。したがいまして差引純増が一万四千七百五十六ということになります。で、ちなみに四十四年度では一応、以上の五年計画の四十四年度だけということにいたしますと、増が一万一千三百十八、自然減が八千七百八十九、差引純増二千五百二十九ということになります。それから、その全体のうちで特に養護関係を申し上げますと、五年間で養護が三千三百三十、事務職員が五千六百四十五の増、それに自然減がそれぞれございますので、差引純増は養護が三千五百四十一、事務が四千七百八十二ということになります。
#113
○小笠原貞子君 そうしますと、差引しますと純増が一万四千七百五十六とおっしゃいましたね、初めのところ。そうしますと、私ちょっと単純に計算してみたのですけれども、学校というのが三万五千七百十六校あるわけですよ。どの学校へ行ったって、先生ひまで、たいへんいい教育ができるなんという自信を持って教育できないような状態だということになりますと、これでいきますと約一万二千くらいの学校というのが全然一人もふやされない。たいへん大ざっぱな計算になりますけれども、そういうことになってくるわけなんですよ。こういうことになりますと、ほんとうにこの人数というものが全く少ないということになるわけなんです。その辺ひとつ私は、たいへんふやしてほしいという要求に対してたいへん大きな問題になるのじゃないかと、そういうことを思います。
 それからもう一つは、いわゆる第八条でいう養護教諭の問題ですけれども、小学校の場合は八百五十人、中学校で千五十人と、去年よりもよくなったといわれているわけですけれども、この八百五十人とか千五十人というようなその算定の基礎となった数というものは、一体どういう根拠でこういう数字が出されてきたのか。実際問題として養護の任務ということや子供の立場から考えてみて、この数字というものがどういうところからこういうふうに数えられてきたのか、それもあわせてお答えいただきたいと思います。
#114
○政府委員(宮地茂君) 現行法では、小学校は児童総数の千分の一、中学校は生徒総数の千二百分の一とされておりますのを、いまおっしゃいましたように八百五十分の一、千五十分の一といったようなことにいたしましたので、その根拠でございますが、きわめて科学的に、百五十名を減らしたのはこういった基礎的な科学的な根拠があるといったような意味での科学的な根拠は、正直言って薄うございます。
#115
○小笠原貞子君 養護教諭というのはやっぱり子供の教育面で、子供の立場から見まして、先ほどからどなたもおっしゃっていましたように非常に大事だと思うんですね。そうするとまあ、あまり根拠のない、薄いところで、去年よりはいいだろうというような点でされているというのは、一つはたいへん不満なんです。もっとほんとうに子供の教育上の立場から、健康上の立場から、その辺のところについてもどうもきょうの話題になりますところは非常に熱意が薄くって、たいへん私は不満に思うわけなんですよ。先ほど養護教諭の問題でお答えになったときには、それぞれ自主性にまかせると、都道府県にまかせるということばはいいことばですけれども、やっぱり学校教育法でもきちんときめられて、置かなければならない、当然、実際には置くべきだという立場から考えれば、自主性にまかせるなんというものじゃなくて、だから結果的には置けない学校が何ぼだというような数も出てこないとさつきおっしゃったわけでございましょう。そういうのじゃ非常に無責任だと思うんですよ。自主性にまかせるとしても、大体こういう計算でいったらどれくらいまだ置かれないところがあるのかと、これは一体教育の面からいってどういう問題があるんだというふうに考えていかなければ、ほんとうに文部省の立場としてやらなければならない、そういう立場が非常に無責任に私は流れていっていると思うんですよ。その辺のところどうなんですか。
#116
○国務大臣(坂田道太君) 先ほど私が都道府県の教育委員会のある程度の自主的な運用をお願いしたい、期待をしたいと申しましたのは、四十名、四十五名の問題について言ったわけなんです。全然関係がないわけじゃございませんけれども、ただ養護教諭の問題は御指摘のとおりと私は考えておりまして、これはむしろ直接われわれの責任であるというふうに考えます。したがいまして、これに対しては長期的な計画のもとにこれはやらなければいけないというふうに思っております。
#117
○小笠原貞子君 さっき一緒だったですよ。
#118
○政府委員(宮地茂君) いまの小笠原先生の御指摘のような趣旨のことを私申しました。それではあいまいではないか、もっと文部省として、各県の実態は一応別として、はじいたその数字から機械的にどうなるかという答えをしいて出しますれば、一応四十三年度では養護教諭の置かれておる学校が四〇%でございます。それが今回の児童数百五十名ずつ減じて養護教諭を配置するということで、きわめて、機械的にはじきますと五一・三%の学校には置かれる。ですから一一%ばかり伸びるという機械的な、あくまで機械的なこれは数字でございます。実態はそれを基準にして各県で実情に即してやり、また五年間の足どりが各県において毎年違うという意味でございます。小笠原先生、先ほど萩原先生のときにお答えすべきことをいまあわせてお答えいたしました。
#119
○小笠原貞子君 そうしたらあれですか、改正後でもいまの話だと大ざっぱに計算して五一・三%にしか置けないということになるわけですね、いまの答えだと。これはたいへんなことですよね。どうなんですか。私ほんとうにたいへんだと思うのですよ。もう次はよくなるのかと思ったら全くもうわずかしかないと、全体からいってほとんど半分くらい置けないということになるわけでしょう。そういう点、どうなんですか。大臣の所信をもう一回はっきりさせてもらいたいのですけれどもね。養護教諭というのはやっぱりもう非常にいま大事な役割りを果たさなければならないと思うのですよ。それが五年かかって今度の改正でもやっぱり、まあ大ざっぱにいっても半分くらいしか置けないということになればね、これでほんとうに文部省、文部大臣としてですよ、この問題どうなんだということをちょっと一言伺いたいのです。
#120
○国務大臣(坂田道太君) やはりその四〇%というものが現実なんで、これはやっぱり不十分だと私は思います。責任を感ずるのです。したがいまして、一歩前進でございますけれども、五一・三%まで今度は計画を立てて、そうしてまあやっておるわけでございます。しかし、まあ先ほど萩原先生にもお答えを申し上げましたように、これにはやはりこの養護教諭のその養成計画等の、この供給の面も一考えていかなければならない。
#121
○小笠原貞子君 ああ、両方やる……。
#122
○国務大臣(坂田道太君) 両方やらなきゃなりませんが、その養護教諭の養成計画とのにらみ合いもあるわけでございまして、やはり私たちが責任をもってやります以上は、着々とそれに合うようなことで、片方だけがいった、そうして先生はいないでは、これはまた皆さま方に申しわけないというふうに私は思っておるわけでございます。正直申し上げてそう思っておるわけでございます。
#123
○小笠原貞子君 文部大臣、大学問題のときの声はすごく大きいですけれども、きょうの声はとても小さいですよ。やっぱりほんとうにこういう一番基礎的な大事なことですから、ほんとうに真剣に考えて、善処してやっていただきたいと思うのです。
 で、今度の養護教諭自身の問題として、実際どういうふうに実態をつかんで考えていらっしゃるかということなんですけれども、まあいまの、たとえば東京なんかで見ますと、養護教諭の健康実態というのが出ているのを見て私びっくりしたわけです。これは四十三年の四月から十月まで集計されています。公立小、中学校三百十六校の一万千四百十人の教諭についての調べた結果なんですけれども、異状があるという、そういうのが七五・七%いるという数が出ているわけです、教諭の中に。そうして、病気がどういう病気かというと、内科的なものが八五・七%です。非常に大きな数を占めているわけです。で、その内科的なものがどういうのが多いかといいますと、胃腸障害が目立ち、高血圧、低血圧というようないろいろなものが出てきているわけですね。だから、養護教諭というのが、子供たちの健康を守るということをしながらも、まず自分の健康を守らなければならないという非常なところに立たされているというこの実態をはっきり知ってほしいと思うのです。で、養護教諭がそういう重荷を背負わされて、健康を害しながらやっていって、その休暇だとかというものは一体どの程度とられているかという調査、これも同じように四十三年の四月から十月までの集計で、まあ数は二百八十九名からとったのですけれども、一日ないし五日間。四月から十月までですからまあ半年になるわけですけれども、一日から五日間とっているというのが五〇・一%。半分が一日から五日間とっている。なぜその休暇をとったかという内訳を見ますと、七割はやっぱり病気だと、こういう答えが出てきているわけです。それからまた、いま妊産婦の死亡率というのが世界一になっていたり、それから出生率というのは非常に低出生率のグループに世界的にもなってきたというようなことから、私たちは母性保護ということを非常に重要視するわけなんですけれども、じゃあその生理休暇というのはどのくらいとられているかといったら、わずか三六%と、こういうような実態になっているわけなんですね。こういうような実態を大臣いままで御存じだったか。また御存じだったら、そういう実態を知って養護教諭のこの数の問題なんかというのは出されたのかどうか。その辺ちょっとお伺いしたいと思います。
#124
○国務大臣(坂田道太君) 私はまああんまり詳しくは知りません。知りませんけれども、養護教諭の団体の方々とは大臣になります前も、十数年になりますか、知っておりますから、実態につきましては非常に無理なんだ、場合によっては自分が欠席した場合に子供たちのことを考えるとぞっとするというようなことも聞いているわけで、幾ぶん知っているつもりでございます。でございますけれども、今度の法案で皆さん方に御審議をわずらわしているこの問題について、いままでなおざりにしたものを少しでも前進させようという意欲はひとつ御了解いただきたいと思います。
#125
○小笠原貞子君 意欲はあるけれども、現実にはやむを得ないと、そうですか。
#126
○国務大臣(坂田道太君) やむを得ないというわけではなく、やっぱり一歩一歩着実に前進したいという気持ちで一ぱいでございます。
#127
○小笠原貞子君 それじゃその辺のところをしっかりやっていただきたいという、要望みたいになってしまいますけれども、お願いして、次に進みたいと思います。
 次に、第七条の三項になりますが、「十八学級以上の中学校の数に一を乗じて得た数」というのが今度出てきているわけですけれども、この提案の趣旨説明の中で、生徒指導を強化しということばが入っていたわけですけれども、これをふやしたのは、十八学級以上の中学校の数に一を乗じて得た数というのは、生徒指導ということが中心になって、これのためにふやしたというふうになるわけなんでしょうか。
#128
○政府委員(宮地茂君) 一応、積算といたしましてはそういうことでございますが、学級数が多くなってまいりますと、やはり生徒指導につきまして計画的にやっていく、これはいろいろ学級の先生、あるいは教科の先生がいろいろ生徒指導、特別活動等をなさいますが、学級が多くなれば学校全体としての計画的な事務も必要になってくるであろうというようなことを一応念頭に置きまして、十八学級以上のところに一名という積算をいたした次第でございます。
#129
○小笠原貞子君 この生徒指導ということばとその問題については、またこれは時をあらためていろいろお伺いしたいと思いますけれども、それじゃいまのことばですと、一応は生徒指導ということを念頭に置いて積算はしたけれども、だからといって生徒指導専任ということではなくて、配置された学校で専科の先生が足りないからこれにやってもらいたいとかというような、そういう現場の要求に応じてその積算された一名というのは働くことができるというふうに解釈してよろしいんですか。
#130
○政府委員(宮地茂君) それはその学校におきまして、いま先生が具体的にお出しになりました音楽なら音楽の専科の先生がどうしても要るのだということでおやりになる場合、絶対にいけないとは申しませんが、それぞれ学級規模に応じまして専科の先生も置き得るような加算措置がなされております。したがいまして、趣旨といたしましては積算の基礎として置いただけであって、あと使うのは学校の自由であるといったように、全然関連なくおやりになるということは趣旨としてはちょっとそういう趣旨ではない。しかしながら、絶対にもう生徒指導だからといって専任のようにその先生を使いなさいという意味ではございません。
#131
○小笠原貞子君 実はこれを見てたいへん私も心配になったんですけれども、たとえば生徒指導というのは、先ほどちょっと言いかけてこの次と言いましたけれども、決して一人が担当して生徒指導をやるんではない、すべての教科においてすべての教師が総合的に生活指導を通してやっていくというやり方が本来だと思うんです。それを生徒指導という形で特にお出しになるということは、これは生徒指導という名前における管理職的な立場ということがこの裏に隠されているんではないかなと、いままでがいままでですからそういうふうに勘ぐらざるを得ないというところが出てきたわけです。それでお伺いをしたわけです。そうでないと、大臣横に頭を振っていらっしゃいますが、そのところをはっきりそうではないのだと、決して管理職みたいな立場ではない、やはり指導の立場に立って教育効果をあげる、こういう立場であるというならそのようにはっきり一応お答えいただきたいと思います。
#132
○政府委員(宮地茂君) 生徒指導という定数割り当ては、その人を管理職のものとして置くということを趣旨ともいたしておりませんし、文部省としてもそういったものを期待はいたしておりません。
#133
○小笠原貞子君 私がそういうふうなことを考えたのは、ただ疑心暗鬼で何も根拠がないわけではなくて、たとえば高校の定数法改正のときにこれが出てきているわけです。それは、高校で現在複数教頭制というのが置かれているのが、福島、冨山、愛知、徳島、北海道、こういうところに複数教頭制というのがしかれているわけです。この高校定数法のときに、第九条第一項四号のところで、全日制では生徒数四百五人から九百四十四人までのところは一人、学級数でいうと二十一学級から三十一学級未満は二人、三十一学級以上が三人、こういうふうにふやされてきたわけなんですね。そのふやされた理由というのが生徒指導の強化という理由でこれがふやされてきているわけです。そこで愛知県はどういうことになったかといいますと、四十四年三月二十三日に県教委が内示校長会というのをやっているんです。そうして三月二十七日に原案どおり強行ということで三月二十八日に新聞発表されましたのを見ますと、県教委が全く秘密裏に校長補佐四十六名を準備する、その内訳は二十七学級以上の全日制が三十九校、十六学級以上の定時制四校、二十七学級以上の特殊学校三校、こういうふうに、生徒指導の強化という名前でふやされたのが、結果的には複数教頭制というようなものに持ってこられているわけです。だから私は、ちょっとそれがいまここでもそうなのかと思って心配したわけです。愛知県がこういうことをやったというのは、では文部省として高校の場合はそういうふうな指導だったのか、それとも高校の場合もそうじゃない、とすれば文部省はこういう措置になったということに対して、別に行政指導なんかしていない、これは愛知県教育委員会の単独でやったことだ、こういうことになるんでしずりか。
#134
○説明員(岩田俊一君) いま御質疑のありました高校定数配置法の九条四号にその関係にかかわりある規定があるのでございますが、その規定の中で特に大規模学校につきまして定数加算の措置を講じておりますが、これはやはり中学校の場合と同じように、そのくらいに大きな規模になりますと、やはりこの生徒指導面にも手がよけいかかるであろうというようなことをもちまして加算をしたのでありますが、その場合も、何もこれは生徒指導専任だけに使うという意味じゃないのでございまして、学校全般の教員配置の考え方といたしまして一人を加算したにすぎない、しかもこの定数標準法は、管理職にするとかしないというような問題とは全然別問題でありまして、一応、学校に置かるべき教員の数、教員以外のほかの職種もございますが、そういう配置についてどの程度の数を見込んだらいいかというのがこの数字の内容でございますから、この規定をもって直ちにその置かれた分は生徒指導の管理職になるんだとか、あるいは教頭になるんだとか、そういう意味では決してございません。
#135
○小笠原貞子君 その趣旨はわかったんですが、私が伺いました愛知県の場合、高校の定数法からきているんですけれども、それは文部省と関係なく行なわれていると、こういうことになるんですか。
#136
○説明員(岩田俊一君) 愛知県のただいまの御質疑の事実につきましては、私も存じておりません。
#137
○小笠原貞子君 存じていないということは、文部省としては行政指導も何もしなかったということですね、そこのところ確認したいと思うんです。
#138
○説明員(岩田俊一君) いたしておりません。
#139
○小笠原貞子君 それではもう少し、残された時間で特殊教育の問題について伺いたいと思うわけなんです。
 今年度文部省予算の重点施策の一つとして、いわゆる特殊教育の振興ということが位置づけられているわけなんですけれども、今度の定数法一部改正でいいますと、一体五年間でどれくらいの教諭、それから寮母、事務職員というものがふえるか、その数をまず伺わせていただきたいと思います。
#140
○政府委員(宮地茂君) これは合計いたしまして特殊教育小学校で二千四十一人ということになりますが、そのうち寮母につきましては六百三人、それから舎監、これも専任の舎監ということではございませんで、舎監の仕事もする教員ということでございますが、二百九、技能訓練関係が五百七十二、それから学級編制の改善等に伴いますものが六百五十七、合計で二千四十一ということになります。
#141
○小笠原貞子君 この第十一条の算定のところなんですけれども、ここを見ますと、「一学級の部」というのが「乗ずる数」というのが「二・〇〇〇」と、改正前に比べますと一・二五がこういうふうになって、これを見たときに、ずいぶん大幅にふえたなとちょっと私そう考えたわけなんですが、こまかくこれを計算していきますと、結果的には変わってないところが非常に多いわけなんですね。去年よりは前進したとまたおっしゃるかもしれませんけれども、一体この変わり方でどういう学級がふえて、どういう学級がそのままかというのは、私のほうでちょっと計算してみましたら、ふえるのが三学級、四学級、それから六、七、十二、十三、十四、十五、十六と十八、こういう学級は改正ではふえているんですよ。ところが、一、二、五、八、九、十、十一、十七、十九、これだけは同じだし、中学校の場合にいっても結局同じなんですよ。そうしますと、計算してみますと実質的には半分しかふえていないと、半分の学級数のところでは前よりちょっとよくなった、まあ半分半分なんですね。そうすると、これでほんとうに重点施策の一つとして特殊教育の振興を位置づけていると言われるような内容かどうか、その辺どういうふうにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
#142
○説明員(岩田俊一君) ただいま局長から御説明申し上げましたように、この五カ年計画全体といたしましては二千四十一名増加することを策定いたしております。この数字は、ただいまの御質問でございますと、学校のほうではふえるとか、ふえないところがあるとかいうような状況のお話でございますが、全体のアウトラインで申し上げますと、二千四十一という数字は、現在の特殊教育小学校三百六十一校ございまするが、それを分母として割りますと平均いたしまして五人ないし六人現在よりも増加をする、職員の数が。こういうようなことで大体の感じをおつかみいただければ幸いかと思います。
#143
○小笠原貞子君 時間がもうなくなりましたので、具体的なことはまたこの次のときに伺わせていただきたいと思いますけれども、それでは現在、盲学校、ろう学校、それから養護学校というのがありますけれども、それに当然入らなければならない、つまりそこに入って教育を受ける権利というものを子供が主張する場合に、その子供たちは一体どれくらいあって、そうして収容できるというそういう数はどれくらい保証されているのか、その数だけいま出していただきたいと思います。
#144
○政府委員(宮地茂君) いわゆる特殊教育機関の対象となるべき心身障害児の数でございますが、まず視覚障害の障害児が一万一千五百八十五でございます。それに対しましてその子供たちがそれぞれ特殊学校、特殊学級に行っておりますものの在学率を申し上げますと四四・四%でございます。そういう関係で以下申し上げますと、聴覚障害が障害児一万五千九百二十九、そのうち在学率は七五・一%、精神薄弱関係が二十九万九千七百六十三人、それの在学率は三八・六%、肢体不自由児は二万六千六十六人、在学率は四九・一%、薄弱虚弱の子供が七万九百五十八人、在学率は七・八%、合計いたしますと四十二万四千三百一人に対しまして在学率は三五・六%ということになります。
#145
○小笠原貞子君 これ、いつの調査でございますか。
#146
○政府委員(宮地茂君) 四十三年五月一日現在で行ないました文部省の児童、生徒の心身障害に関する調査、その調査の結果でございます。
#147
○小笠原貞子君 いまのは養護学校と養護学級でございますね、いまおっしゃいましたのは。そうすると、盲学校とかろう学校とかいう場合の数字はお持ちになっていらっしゃいますでしょうか。
#148
○政府委員(宮地茂君) 先ほど一番最初に申しました視覚障害関係が盲、聴覚がろう、大体そういう考え方でございます。
#149
○小笠原貞子君 それじゃ最後、時間の最後になりますけれども、こういうのでみますと、就学率というのはわずか三五・六%なんですよ。教育の基本的な考え方として、義務教育という名前は使われているけれども、いま私どもが教育で一番大事だと思うのは、上に対する義務ではなくて、子供自身が教育を受ける権利があるというそういうところが非常に私は大事だし、これを伸ばしていかなければならない。ところがこの特殊教育の問題で考えると、わずかに三五・六%だと、それは就学免除という、これまた上から免除してやる、そういうところで抜け道になっておる場合が非常に多いわけですよ。そうすると、非常に熱意をもって重点施策として振興を考えるといわれておるけれど一、決意のほどはそうだけれども、現実にいままで、ずっと過去を見ますと、いつも後手後手でございますよ。だから、そういう点、私は非常に残念なので、次に今度具体的に伺わせていただきますが、最後に、大臣が所信として一体どういうふうに考えていただくかと、そのことを一言伺いたいと思います。
 それから、それに加えて、この特殊教育というものが、学校教育法の六章の七十一条の特殊教育というところの中にこういうのがあるのです。「幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施し、」と、こうなっているのです。で、肢体不自由児だとか、知恵おくれとかいいますけれども、好きで自分が病気になったわけじゃない。やはり子供が教育を受ける権利ということから考えれば、準ずるのではなくて当然同等の教育を受けるべきであるというふうに考えていかなければ本来の立場ではないと、そう思うわけなんです。で、そういうことからまたそのあとに、「準ずる教育を施し、あわせてその欠陥を補うために、必要な知識技能を授けることを目的とする。」、つまりそういう子供たちは何とか食べていけるようにというので、理容家だとか何とかいうので、その食べていけるための技能を与えるというところにみんな流されてしまって、まあヘレン・ケラーなんかを例に出すまでもなく、ほんとうに一般的な普通教育を受けるというこの可能性を押えられてきておるというのが基本的な私は問題だと思うのです。だから、そういう点からも考えて、大臣のお考えを最後にお伺いしたいと思います。
#150
○国務大臣(坂田道太君) 実は私、就任いたしまして一番最初に申しましたことは、大学問題と、それから先ほど萩原先生の御指摘になりました文部行政の中で一番おくれている部面、谷間になっている部面、それに光を点ずるということを申しておるわけでございます。したがいまして、本年度の予算の中におきましても、特殊教育総合研究センターというものを現実に予算もとりまして、そして久里浜で心理学的に、あるいは医学的に、あるいは教育学的、社会学的、あらゆる学問の総合的な研究と同時に、実際的に教育の方法をつかむということ、そしてまた、御指摘になりましたような生きる権利があるわけでございますから、それに対してどういうような職業を与えたならばこのハンディキャップを持った子供たちというものが生きていけるかということについての検討もいたしたいと、そしてまた、実際そういうような子供を選びまして、そこでその教育もやってみたい、また職業教育等についてもやってみたいと、こういうことで発足をいたしたわけであります。また、中央教育審議会のメンバーの中に全然特殊教育というものについて専門的な方がおられませんでしたから、専門的な方を中央教育審議会に入れておるわけでございます。率直に申しまして、やはり特殊教育についてはいまからだと思っております。私のおります間に全部が全部できるとは思いませんけれども、そのレールだけは敷きたいという意欲を持っておることを申し上げたいと思います。
 それからもう一つは、やはりこの三十何%しか就学をしていないというのは御指摘のとおりだと思いますし、これから先、就学の道を開きたいと思いますけれども、やはりその教育方法を、いままでのような教育方法でやることがはたして教育の機会均等かどうかということも検討しなきゃならないので、知恵おくれの人には知恵おくれに応じた教育のやり方がなけりゃならないので、普通の人はまあ十八歳で高等学校を出るという場合でも、ある場合においては二十歳をこえましてもそれだけのものをやっていくということも必要かと私は思うんです。そういうようなことはこれからのやはり科学的、学問的検討であると思います。
 それからもう一つは、日本の何といいますか、風習といいますか伝統と申しますか、親としてその知恵おくれ児やあるいはいろいろの心身に障害のある子供を隠すという面もあるわけでございます。でございますから、昨年度この調査をいたしたわけでございますが、なかなかその調査にあたりましても正確に実態が把握ができないという面のあることもひとつ御了承いただきたい。
 それからもう一つは、教育の可能性があるかないかというような問題。単に目は見えない、耳は聞こえない、しかしながら頭は非常によろしいという、こういう人は教育に値するということも、あるいはヘレン・ケラーもそうでございましょう。それからおととし参りましたミスター・スミスダスという、これは三重苦でございますけれども、これはヘレン・ケラーの出ましたパーキンスという学校で学び、かつ大学で学び、そしてニューヨーク大学の修士課程まで出ております。そしてけっこう自分も職業につきまして、そしてハンディキャップの仕事をやっておるわけです。あるいは本なんかも出しまして、詩人としてもその役割りを果たしておるわけです。そういう能力を持った人が教育を受けないままでおるということ、それが一人であっても二人であってもいけないことであって、これに対して私はやはり教育し、あらゆる現在の水準のものを与えることによってその能力を開発し、同時に世間に堂々と生きていくということが当然だというふうに私は考えるわけでございます。そのまた選定をする人というものが実は日本にいません。この点についての専門家を養成するということも必要かと考えます。特殊教育につきましては、私のおります間に少なくともこのレールだけは敷きたいという意欲を持っていることを申し上げまして答弁にかえたいと思います。
#151
○中村喜四郎君 私は、いままでの質問の中で、不満足ではあるけれども前進的であると、この定数法の問題に対してはそういう考え方を持っているわけですけれども、ただ問題は、私は定数が確保されただけで教育が十全にされないという面についてひとつ取り上げてお尋ねしたいと思うのですが、それは教員養成の問題と教育の免許状の問題、現職教育の問題と人事交流等の問題について、大臣及び文部省各局長にお尋ねしたいのですが、まず、大学紛争が各大学で起こっており、その中で教員養成を行なう教育大学及びその他の大学の教育学部において激しい紛争が起こっているのですが、このような情勢において次代の青少年を教育する教員養成について、文部省では抜本的に改善することを考えているかどうかということについてまずお尋ねしたいのです。教員養成の大学の学部等についての抜本的改善策を必要とすると思うがどうか。
#152
○国務大臣(坂田道太君) これは中央教育審議会の昭和一千三年の答申にも、この教員養成制度の改善についてという答申がなされているわけでございますが、いろいろの事情からこれのまあ完全な形においてはやっておりません。しかしながら、教員養成の大学、学部の目的、性格を明確にするために、国立の学芸大学、学芸学部の名稱を変更いたしまして、教育大学、教育学部に改めるとともに、これらの大学、学部の教官組織の整備充実を行ない、教員養成の研究体制の確立につとめてまいったわけであります。また、義務教育学校の教員の指導的立場に立つ者の養成を目的として、幾つかの教員養成大学、東京学芸大学、大阪教育大学に大学院を設置いたしまして、さらに教員養成の大学、学部の学生に対する育英奨学制度を拡充するとともに、教育特別奨学制度を設け、優秀な教員の確保につとめております。
 そこで、その抜本的な問題につきましては、やはり大学全体の問題として取り上げておるわけでございます。しかも中央教育審議会の三十八年の答申におきましては、やはりいまの大学というものを種類分けをする必要があると。たとえば大学院を中心とする大学、あるいはまた一般的な高等職業教育を主とした大学、それからまた教員養成を主とする大学というものを、目的、性格を明らかにすべきじゃないかという答申も出ておるわけでございますが、いま大学問題が新たな視野で今日の国民的要請にこたえていないということから、大学全体についての検討を迫られているわけでございますから、教員養成大学につきましても、そういう抜本的改正はそういう中央教育審議会等の答申を待ってわれわれは考えていきたいというふうに思います。そういうことになっております。
#153
○中村喜四郎君 いま大臣がおっしゃったように、改革はやりつつあるわけですけれども、私ども、中教審の答申が三十三年に出まして、三十七年には教育職員養成審議会から教員養成制度の改善についてという文部省に対しての建議がなされておるわけでございますが、その間文部省では、昭和四十年の四十八国会で、東北大学から分属して新たに宮城教育大学、あるいは学芸大学を教育大学に、学芸学部を教育学部という名称に変更したにとどまったような感じを私どもは強く持つわけでございます。少なくとも教師としての職業が専門的な職業として確立されて社会的に高い評価を受けるためには、それにふさわしい教養と専門的学力を必要とする、これが大学における教員養成の趣旨であるというような答申もされ、しかも建議もされている。しかるに現行制度において、この趣旨が不明確であり、今後教員養成を行なう大学、学部の目的と性格を明らかにして、その目的に応じた独自の教育課程が編成実施される必要があるという答申あるいは建議がされている現実から見ますと、私は教員養成の教育課程の問題については、十分これは考えなくちゃならないと思うのですが、こういう中教審の答申や、あるいは建議を受けて、それに対する対応措置はどういうふうにやっているか、もうちょっと具体的に御説明を大学局長からお伺いいたします。
#154
○政府委員(村山松雄君) 教員養成関係の改善措置といたしましては、大臣から御説明申し上げましたように、二つの答申、建議を受けまして、まずもって、少なくとも国立の教員養成を主たる目的としております大学、学部におきましては、その目的、性格を明確にしたいということで、名称変更を行ないました。
 それから教員養成のレベルの向上のために、教育課程につきまして免許法の免許状取得要件の改定を立案いたしましたが、これは国会で成立するに至りませんでした。そこで、国・公・私立を通じます一般的な免許状取得要件の改善も、教員の資質向上につながるわけでありますが、それはそれといたしまして、少なくとも国立大学における教育課程あるいは教育組織の充実には努力すべきであるという考え方に立ちまして、まず教員養成を主たる目的とする大学の内容の向上のために、東京、大阪の学芸大学及び教育大学に大学院修士課程を設置いたしました。
 それから、教員組織が教員養成を目的とする大学学部は若干遜色が認められましたので、これを年次計画によって整備充実をしております。
 それからなお、教員養成を主たる目的とする大学の入学志願者の状況等にかんがみまして、優秀な者を誘致する必要があるということからいたしまして、昭和三十九年度より教育特別奨学制度を設けまして、教員養成の学部につきましては、ほかの学部より高い採用率をもって特別奨学生の制度を導入して、資質の高い学生を誘致するようにつとめてまいっております。
 その他、特殊な需要に応ずるために、たとえば高等学校のための特別教科の教員養成でありますとか、あるいは特殊教育のための特別な教員養成課程でありますとか、あるいは養護教諭のための養成課程、あるいは大学以外のやり方といたしましては、養護教員養成所の設置といったような施策を進めておるのが実情でございます。
#155
○中村喜四郎君 私の尋ねたいねらいというのは、大学院設置とか、あるいは育英会資金の特別貸与ということではなくて、教員を養成する大学等において紛争が多く起こっている現状及び教育者が教育者らしい素養と専門的な知識と、そして教育者としての使命感に燃えた、そういうふさわしい教育者を養成するための国家的な要請があるのではないか、教育大学もあり教育学部もあるけれども、何かそこに不満を国民が感じているんではないか、坂田文部大臣、先ほどおっしゃったように、大学にも幾つかの性格があるけれども、特に小、中学校、高等学校の教員養成に対しては、特殊の目的を持った教育機関として取り扱うべきではないか、そういう点について欠けている点があるのではないかということをお尋ねしているんです。
#156
○国務大臣(坂田道太君) 私もその点を考えておるわけでございまして、従来、新制大学になりましてから一つの総合大学の中に教員養成大学を、いわゆる小・中・高の先生になる方々の養成をやっておったということが、はたして日本の教育的土壌になじむかどうかという問題は、ここらあたりでやはり考えてみる必要があるというふうに思うわけでございます。戦前におきます師範学校の教育というものについていろいろ批判が行なわれております。またそれには反省をすべき点もあるかと思います。しかしながら、同時にまた、戦後の新制大学一般の中に教員養成大学をそのまま位置づけたということが、どうも少し目的と性格とがはっきりしませんので、もう少し教員養成の大学というものが独立をして、そうしてその使命に応じた性格と目的を持たせ、また同時に、そういうような教育機関によって小・中・高の先生方になる人たちの使命感というものを与えるようなくふうがなされなければならないんじゃないかということは私も考えておるわけでございますが、何を申しましてもこういうような制度の問題でございまするので、慎重に考えなければなりませんので、現在中教審に諮問をいたしておる段階でございます。
#157
○中村喜四郎君 制度ですから私もお尋ねしているわけですけれども、中教審等において教育者養成等に対する特別のそういう養成機関等を必要とする場合には、新たな角度から検討するというように理解してよろしいか。それからもう一つは、教育課程の問題がこの前の国会で通らなかったわけで、教育課程の問題についてさらにこれを具体的に検討して、いつかはこの問題を具体的にする用意があるかどうかをお尋ねいたします。
#158
○国務大臣(坂田道太君) お尋ねの面につきまして私たちも検討いたしたいと思っております。
#159
○中村喜四郎君 そこで、先ほどの免許状の問題に触れるわけでございますけれども、免許状はどこの県でもどこでも通用するものかどうか。それからもう一つは、臨時免許状というものの性格について簡単にひとつお尋ねしたい。
#160
○政府委員(村山松雄君) 免許状の種類は御指摘のように学校別、教科別に分かれておりますほかに、共通な普通免許状とそれから臨時免許状という区分がございます。普通免許状は授与権者は都道府県教育委員会でありますが、これは通用は全国通用でございます。それから臨時免許状のほうは、これは、普通免許状を有する者で教員の需要をまかなうことができない場合に限って臨時に都道府県教育委員会、授与権者において授与する期限つき、有限の免許状でございます。
#161
○中村喜四郎君 そこで、学校で教育者を養成する、あるいはその他の教育学部等を卒業した者が、ほとんど自動的といっていいほどいまは免許状がとれるわけですね、単位を履修すれば。
#162
○政府委員(村山松雄君) 免許状取得の段取りといたしましては二つございます。一つはスクーリング、つまり学校に在学をして単位をとるということを要件とする場合、それからその次は、それに経験年数等を加味して授与する場合の二つがございます。前者につきましての御質問だと思いますので、これにつきましてもう少し御説明申し上げますと、免許状を取得するためには、まずもって、その大学が国によって課程の認定を受けておる必要がございます。免許状を受けるに必要な単位を授けるのに適当な課程であるかどうかという認定をいたします。これは国・公・私立大学の別なく、文部省に申請をして教育職員養成審議会の議を経て文部大臣が認定をいたします。認定を受けまして大学を卒業いたしますと、今度は教育職員免許法にどういう科目をどれだけ取らなければならないという規定がございますので、その規定に照らしまして、それぞれ当該本人が授与権者である都道府県教育委員会に免許状授与の申請をいたしまして、教育委員会では教育職員免許法に定める取得要件に合致するかどうかを審査いたしましてこれを交付するわけであります。まあ自動的というのは必ずしも当たりませんが、免許法に定める授与要件に合致しておれば授与されるという仕組みになっております。
#163
○中村喜四郎君 そこで、私がそういうことをお尋ねしたいのは、いまのように日進月歩の時代、子供も変わる、社会的環境も変わる、教育的な技術も変わる、そういった点から考えて、免許状を更新することの必要、たとえば三年に一回なり五年に一回なり免許更新の方法を考えてみたらどうかということを、新しい考え方、とっぴな考え方のようにとられますけれども、私は時代の進運に即してそういう必要があるのではなかろうか。たとえば普通自動車の試験等におきましても、御承知のとおり三年に一回は必ず更新をする。あるいは自動車学校に行った学生さんが学校内で技術の検定を受ける。技術は認定を受けるけれども、法規と構造の講義は受けてもなおかつ公安委員会の試験を受けて免許状になる。しかも、技術検定をした者は公安委員会と同じような処置をとるのであるけれども、公安委員会でもその自動車学校の卒業者の抜き取り検査をやって、ほんとうに技術がよろしいかどうか、法規、構造等が完全に履行されるような履修をしているかどうかという検査をするわけです。そういう検査を経て免許状になるわけですが、その者が三年目には必ずまた免許更新をする。免許更新をする場合には講習を受けたり、場合によっては試験を受けたりしなくちゃならぬ。これはほかの技術的な問題酸素溶接とか、整備士とか、調理師とか、こういう問題についても同様に日進月歩に即応するような体制を整えているわけですが、この教員免許状について全部試験するということは、突然の少し行き過ぎた考え方かもしれませんけれども、時代に即応する体制にするために更新をする方法、そういう問題について考えたことがあるかどうか、あるいは今後そういう問題について具体的に検討する必要があると思うが、文部省の考え方をお尋ねしたいわけです。
#164
○政府委員(村山松雄君) 教育というものの性格から見まして、大学で四年間履修したもので、教員として必要な資質、要件がすべて満たされるものでは必ずしもないかと思います。そこで、免許状に時限を設けて更新するという考え方は、考え方としては成り立ち得ると思いますし、かつて検討もなされたこともございますが、それは採用すべきだという方向にまとまるに至りませんでした。その理由は必ずしもつまびらかにされてはおりませんが、一つには、そういう教師の不断の研修が必要であるとしても、それを免許状に期限を設けてこれを更新するというような形でやるのが適当であるか、あるいは教育公務員につきましては、特例法の定めもありますように、研修を奨励することによって実質的に新しい教育内容あるいは教育方法についての資質の向上をはかるほうがよろしいか、どちらかといえば後者のほうが妥当なのではあるまいかというような考え方がありまして、普通免許状につきまして期限を設けるという考え方は、少なくとも文部省のレベルでそれを進めるという方向にまとまったとはございません。外国の例など見ますと、大体ヨーロッパの国々では教員免許状は恒久的なものが出されるのが多いようであります。アメリカは州によってかなり事情を異にしておりますが、大学卒だけではパーマネントな免許状にならず、その後の現職教育による研修でありますとか、あるいは大学院に入って勉強するとかによって漸次恒久免許状にもっていくというような制度をとっておるところもあろうかと思います。いずれにしまして、教員の資質の不断の向上をはかるためにどういうことをやったらいいかということにつきましては、一つの研究課題であろうかと思います。
#165
○中村喜四郎君 私がそういうことを申し上げるのはとっぴなようなことですが、私どもがよく国会に来る陳情書、請願書、手紙等を見ました場合でも、先生方の手紙が――先生方を軽べつするわけではありませんが、これでいいのかという誤字、脱字、あるいは文章の使い方あるいは私どもに出す手紙でも、様とも殿とも書いてないのを送り込んでくるという、こういう内容、東大に行きましたときに、檄文の中にある「努力せよ」という文字が努力ではなく怒る力と書いてある。こういう状況を見て、あるいは学校の黒板を見て、書いた字、そういうものを見て、私は現職教育の必要さというもの、それは試験か何かがあることによってやはり勉強するという、こういう気持ちも考えてみる必要があるのではなかろうか、先ほど私が申し上げますように各社会では確かに技術革新の時代に、あらゆる方法で刺激を与えつつ研究をしておるわけです。そこで、その点よく御検討いただくとしまして、大学の新しい卒業者に対して現職教育をする、すなわち答申や建議案等を見ると、専門職としての試補制度をつくって、ある期間は勉強させるというこういう建議案が出ておりますが、その試補制度についてどういうふうに考えておりますか。
#166
○政府委員(村山松雄君) 前回の中教審あるいは教育職員養成審議会の建議では、教員の資質の向上のために教育課税の改善はもちろん、大学を卒業した時点で必らずしも恒久的な免許状を与えないで、試補として研修を経たる後に教諭の資格を与えるというような考え方も出ておりましたが、この点につきましては、前回の答申、建議は全体的に関係者の受け入れるところにならず、全面的なこれに基づく制度の改善が行なわれなかったわけでありますが、試補につきましては、少なくとも、これを実施するためには、これの受け入れ体制であるところの小、中学校、これを管理する、公立でありますれば教育委員会というようなところと十分な実施上の問題点の討議を経て行なう必要があるわけでありますが、そこら辺でも、たとえば生徒急増で小、中学校の整備が追われておる、あるいは試補を受け入れて指導する体制を整備することも必らずしも容易でないというような御意見もありまして、試補の提案につきましても、これはいいことだ、だから、やるべきであるという方向に積極的に動き出せないままに今日に至っております。それらの経過等を考えまして、今後の改善にあたっては、十分検討いたしたいと思います。
#167
○中村喜四郎君 私は大学で勉強をして、単位を取って教員の免許状をもらって、すぐに現場に移るという、こういうことの中に、いわゆる教育者の気質、態度、教育者の精神それぞれのことを、特に新規卒業者に対しては特別な教育期間を置くことの必要性を特に痛感するのでございます。現実の教育のもろもろの課題の中に横たわっておる中で、教育者養成の中で教育者の資質を向上させるためには特に必要と思いますので、建議された試補の問題についてはあらためてひとつ御検討をいただきたいと、かように考えるわけでございます。
 最後に、人事問題で、この過疎とか過密現象が各地に起きたことも、今度の定数法の改革の一つのきっかけにもなったかとも考えられるわけですが、こういう過疎、過密の現象からして、人事交流というものは適切に行なわれなければならないことは言うまでもございません。過密地帯では先生方を求めることはできない。どういうふうにしてこれを受け入れるか、受け入れ措置についても検討を加えなければならない時期にきていると思うわけでございます。
 さらに、過疎地帯、過密地帯、一般地帯においても、教員の人事異動について問題が各所に起きておることを私は非常に残念に思うわけでございます。ことしの状況を見ましても福岡県で、御承知のように、高等学校の校長先生が校長先生になることを拒否された。選任の先生が拒否された。三百人もピケを張ってこれを拒否した。あるいは後任を要求した。あるいはまた配置転換のための人事異動に反対して、教育長の自宅に押しかけて大さわぎした。あるいは、これは福岡県の飯塚市でございますが、異動内示を承諾者のみにとどめさせて、さらに四月四日には人事異動に反対して十九校の中学校中十五校が始業式ができなかったということ。高知県の学校の場合においては、教頭の二人制度が生まれたことを、これは安保反対のときのための二人教頭制だといわれた。こういう反対運動が各所に起きておる。北海道でもそうです。あるいは佐賀県でもそうです。静岡県でもそうです。各所にこの人事異動の問題に関連して紛争が起き、すわり込みが起き、あるいは教育長宅に夜間押しかける。あるいは十何時間もカン詰めにして強制的に確認書に判を押させた。こういう現実は私は児童、父兄に与える影響というものはきわめて深刻だと思うわけです。定数だけの問題ではなく、先生方の考え方いかん、そしてまた教育委員会の異動の方法いかんということが大切な課題になってきたのではなかろうかと思うわけでございますが、この点につきまして文部省側のお考えを聞きたい。
 分けますと、一つは過密地帯の教員採用について、そして過疎地帯との交流あるいは人事の交流について、もう少し広い視野に立って、県なり教育委員会なりだけでなく、広い立場で人事交流ができるような方法、それから人事異動に対するこういう紛争に対して、教育委員会として今後の処置のしかた、文部省としての指導のしかたはどうあるべきかということについてお尋ねしたいと思います。
#168
○政府委員(宮地茂君) お尋ねの点の過疎、過密の関係におきます人事行政でございますが、御指摘のような問題が起こっております。で、過疎地域ではせっかく教員養成大学を卒業しましても、その県内での教員就職がむずかしい。また逆に、過密県ではその反対な現象で、他地域にまで教員採用に出向いていくといったようなことになっております。昨年の、四十三年三月末の人事異動におきましては、これは現職の教員でございますが、都道府県を越えて約千五百人が他地域に異動をしております。こういうようなことで、いろいろ教員の採用側にも支障もございますし、また、教員になっておる人の異動あるいはなろうとする人の就職、いろいろ問題がございます。そういうことで、これは各都道府県の教育委員会におきましても、ここ一、二年来、真剣な問題になっております。したがいまして、文部省といたしましては、教員養成側、採用側、さらに過密県、過疎県、こういった関係者で、いわゆる広域の人事行政ができるような方向につきまして今日のいろんな世論について検討すると同時に、あまりその県内にとらわれないようにといったような考え方で、予算はわずかでございますが、四十四年度予算で文部省でも事務経費を計上いたしておりますが、急いでその措置について検討もし、支障のないようにやっていきたいと思っております。
 ところで、一方におきましてこの人事行政を妨げるものは、いろいろ先ほどあげられたような点もございますし、また何といっても本人がそういうところには行かない、あるいは過疎、過密を離れまして自分の勤務地から他のところに転勤させられるのは自分としては好まない、また教育委員会としてもいろいろ支障が生ずるけれども、本人の意思が、どうしてもよそに行くのがいやだ、あるいは僻地に行くのはいやだといったようなことで、現実の問題として過疎、過密を離れましても、先生があげられましたような問題のほかに、個人の希望といったような点が相当隘路にもなっているようでございます。しかしながら、先ほど御質問ございましたが、過疎、僻地の教育というのは、極端に申しますれば、一般の先生よりも優秀な先生方が行って教えていただかなければ、いろんな教育環境が悪いところもございますから、より一そう優秀な先生に行ってもらう必要がある、しかしながら、教師としては、そういう僻地のような教育環境の悪いところは、あるいは文化的な施設、設備のよくないところは行きたくない、いろいろございます。そこで結局は御本人の意思を無視することももちろんできませんので、やはり教員が自分の与えられた使命、教育感というようなことを考えて、一応県として立てます基準につきましては、ただ個人の意思といったようなことをあまり主になさらないで、両方がお互いに教育のためというような観点からやっていただかないと人事行政はなかなかスムーズにいかないと思います。ましてや、そういう意味ではなくてやったことに対しましても、一方的にそれはこういう意図で自分を異動させようとしておるのだといったような、悪く言えばひがみでございますが、また、そういう理由のないひがみのことで人事行政が阻害されないような配慮も県としても必要だろうかと思います。地方の教員の人事行政、異動につきまして直接文部省が任命権を持っておりませんが、そういった趣旨で従来からも指導いたしておりますし、今後もそういう観点で努力すべきだろうというふうに考えております。
#169
○楠正俊君 関連。教員の定数についてこういつた配慮が行なわれるということはたいへんけっこうだし、そうならなければいけないのですが、先ほど中村委員からも言われたように、教員の資質の問題についても十分配慮していただきたい。特にこれは高等学校の、竹早高校の問題等に関連して、リベート、アルバイト、プレゼントなどといって、教員の資質について盛んに世間で批判をしておりますときですから、こういった面についても十分対策を考えていただきたいということの一点と、それから教員の政治的偏向に基づく教育から学園紛争、学生がああいう暴力をふるうといった面も考えられる、いろんな面もありましょうが、そういった面が非常に私はあると思う。この間私質問いたしましたが、岡山大学のことにつきまして山陽新聞に出ておりますが、「鉄鎖につながれた“犬”の死…」というような、一体どうしてこういう考えが出てくるのか、そういうビラを警官がなくなったあくる日、全共闘の学生が配っておる。それから全共闘の学生に聞いた記者に対する答えが、「機動隊は人間ではない。佐藤(総理大臣)のお先棒をかつぐ“物”にすぎない。つまり指令どおり動くロボットなのだ。だからわれわれにしたら“物”が三日のけがをしようと死のうと同じことなんだ」という意味のことを言っておるといったような暴力肯定、人命軽視といったような学生ができ上がっちまったということは、やはり私は子供心にそういったものを植えつけた先生たちにも責任があるような気がするのですね。そういったことも含めて、順法精神と倫理観の確立といったこととあわせて、教員の数をふやすということもさることながら、教員の資質について十分な対策を立てていただきたいということをお願いしておきます。
#170
○中村喜四郎君 いまの楠委員に関連するわけでございますけれども、私は先ほどの異動関係の問題で、確かに生活環境が変わるところ、あるいは自分の生活条件が異なるところに異動するということは非常に苦しいと思うのです、労働者として、俸給者として。一面においては、先ほど小笠原さんがおっしゃっているように、すべての子供が教育を受ける権利があるんだ、そこに先生が来られない、山間僻地に来られない、過疎地帯になかなか来られない、こういう状態につけようとしてもつけられない状況、こういう点も私は教育者みずからは、考える立場からみずから進んで行く、そして行かせるような、また待遇、環境もつくってやる必要があろうかと思う。行くことがいやだということで、あるいは異動が反対だということで、集団をなして教育庁や教育委員会に押し込めて、そして団体交渉をする、あるところにおいては、これは、北海道の例でございますけれども、十五時間にわたって異動内示撤回の運動をして、そして内示に対して確認書に判を押させた、撤回の判を押させた、こういうような、あるいは強制異動反対の署名運動をやる、子供を使って街頭でビラを配らせた、こういうことになっていきますと、異動する者に反対はあっても、私は教育者としての一つの資格が欠除するように考える。こういうことを見ておれば、子供たちは自然にそういうふうになることは当然だと思う。こういう点についてもひとつ文部大臣のほうで十分心して文教行政の確立の上に一段と力をそそいでいただきたい。向こうのほうから、だいぶいろいろな声もあるようでございますが、私はやむにやまれぬこういう気持ちをいまの教育者、いまの姿でいいのか、次代をになう子供たちに対して、こういう感じを深くするので、あえて付言して大臣の所信をお伺いしたい。
#171
○国務大臣(坂田道太君) 定数をやはり一定の教育的効果のあがる編制をいたしますことも、非常に大切なことでございますけれども、毎日教壇に立って生徒、児童に対して教育をしておられる先生方というものは、やはり自分たちの一挙手一投足というものが、どういうように幼い白紙の子供たちに影響するかということについての深い自覚と、それから反省とがなければ、私は教育者たる資格はないというふうに思うのでございます。その点、戦後多少ゆるみ出しているのではないかというような気がいたします。大部分の先生方はそうではないと信じておりますけれども、一部の教職員の中には、自分中心の考え方で、子供を忘れるというようなことも私はあったと思います。そしてその影響によって、子供たちがどういうふうに考えていったかということも、おおよそ想像がつくわけでございます。しかしながら、やはり教育は人であると申しまするように、そういう教育者に人を得るためには、人材を得るためには、先生方の待遇という問題についても、われわれ文部省としても十分考えなければならないし、同時にまた、勤務条件等についてもわれわれは責任を持って考えてあげるということと同時に、そういうような一つの教育者たるの使命感に燃えて、むしろ進んで僻地にも行くというような気概が生まれることを私は期待をいたしているわけでございます。非常にむずかしいことであるかと思いますけれども、しかし私はそういうような職分こそが、教育者に与えられた職分であるし、使命であるというふうに思います。そういう気持ちで今後教育行政に当たりたいと思っております。
#172
○委員長(久保勘一君) 午前中の委員会はこの程度といたします。午後三時三十分まで休憩いたします。
   午後一時四十五分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕
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ソース: 国立国会図書館
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