くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 文教委員会 第14号
昭和四十四年五月八日(木曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月七日
    辞任         補欠選任
     山本敬三郎君     青柳 秀夫君
     佐藤 一郎君     中村喜四郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり
    委員長         久保 勘一君
    理 事
                楠  正俊君
                田村 賢作君
                小林  武君
                安永 英雄君
    委 員
                小林 国司君
                大松 博文君
                中村喜四郎君
                永野 鎮雄君
                秋山 長造君
                川村 清一君
                鈴木  力君
                内田 善利君
                萩原幽香子君
       発  議  者  鈴木  力君
   委員以外の議員
       発  議  者  松永 忠二君
   国務大臣
       文 部 大 臣  坂田 道太君
   政府委員
       文部省初等中等
       教育局長     宮地  茂君
       文部省大学学術
       局長       村山 松雄君
       文部省管理局長  岩間英太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡辺  猛君
   説明員
       文部省初等中等
       教育局地方課長  別府  哲君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○児童生徒急増地域等に係る小学校及び中学校の
 施設の整備に関する特別措置法案(松永忠二君
 外二名発議)
○国立学校設置法の一部を改正する等の法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○国立及び公立の学校の教員に対する研修手当の
 支給に関する法律案(鈴木力君外一名発議)
○へき地教育振興法の一部を改正する法律案(鈴
 木力君外一名発議)
○教育、文化及び学術に関する調査
  (都教組事件についての最高裁判決に関する
  件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(久保勘一君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 昨七日、山本敬三郎君、佐藤一郎君が委員を辞任され、その補欠として青柳秀夫君、中村喜四郎君が委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(久保勘一君) 児童生徒急増地域等に係る小学校及び中学校の施設の整備に関する特別措置法案を議題といたします。
 本法案につきましてはすでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 政府側から岩間管理局長、宮地助成課長、以上の方方が出席いたしております。
 質疑の申し出がございますのでこれを許します。田村君。
#4
○田村賢作君 ただいま提案されました法案に対しまして五つばかりの質問をいたします。初めの二つの問題は提案者に対し質問をいたしまするし、あとの三つの問題は管理局長に質問をいたします。
 この提案の理由に示されておりますように、社会構造の急激な変革、経済の激動等によりまして、著しい過疎地帯ができました反面に、これまた好ましからざる過密地帯が生じておりますることは、まことに教育の問題から見ても大きな問題を投げかけておることでございまして、過疎には過疎の悩みがあり、過密には過密の問題点もあるわけでございまして、この法案に主張しておりまするような趣旨というものは私も全面的に賛成であります。ただこの法案の内容条件そのものは別といたしまして、この趣旨には私も賛成をするものでありますが、最初に提案者に質問をいたしたいと思いますが、児童、生徒の急激に増加した地域に対しまして、その施設を整備いたしまする等のための特別の措置を講ずべきであるということでございますが、特別措置を講ずる必要な地域を指定するその基準と申しますか、目安と申しますか、どういう地域には、あるいはこれこれのような条件の地域にはそのような措置を講ずる必要があるというようなその目安か基準か、そのようなことになりまする問題につきまして御説明をいただきたいと思います。
#5
○委員以外の議員(松永忠二君) 御質問のありました点、特に趣旨に賛成であるというお話でありました。特に私たちの聞いておりますところは、ここに提案いたしましたような特別の措置を文部省自身が大蔵省に要求をしておったということも伝えられておるのであります。しかし、なかなかその目的が達成されなかった、こういう話であります。一部土地について整地費が予算化された点があるわけでありますが、そういうふうな点からいえば、この趣旨を生かすのにはどうしてもやはり立法という措置を行なうということが必要である、そういうことによって、すでに政府自身も考えておる事柄が、関係の文部省だけでは実現できないという状況にも入っておる現段階において、こういうような措置が必要だということを私たちも強く考えておるところであります。ぜひこういう点について与野党一致しての推進を願いたいと思うのであります。特にまた、本法案を提案いたします際にも、実は当文教委員会が実情調査をしていただいたわけでありまして、その結果に基づいてこの立法の必要性を各党とも認識をされたわけであります。私たち社会党でも実は党内の文教部会でいろいろと討議をいたしますとともに、でき得るならばこれをほんとうの意味の議員提案としてまとめたいということから、当時の文教委員長でありました中村喜四郎氏にもこの点を特に申し上げて自民党内における対策の樹立をお願いしたわけであります。そうしてもしも自民党でそういう考え方ができるならば、お互いに素案を持ち寄ってひとつ合意に達するようにしていきたいというようなことも実は党のほうから申し入れたところであります。残念ながらそこまでいきませんでしたので、したがって、私たちとしては法案を提案するということになったわけであります。行政当局自身も必要性を感じておるところでありますし、そういう意味からいって議員立法として非常に適切なものであるというように私たち考えておるのであります。したがいまして、この法案ではできるだけ実現性がはかられるような考え方をとったわけであります。実はすでに予算は成立いたしましたけれども、予算成立後でも直ちにこの法案が通れば実施できるような配意を実はしておるわけであります。そういうたてまえから、いまお話になりました指定の基準についてもわれわれは十分なところを望みたいけれども、現実にそれを実施するのには金の面もあることでありますので、まず最初の段階でどの程度の金ができてどの程度の地域に実施できるのか、これを一方的にきめつけて法律化するというようなことについては実現に困難なところがありはしないかというふうな配意もあって、実はそこにありますように政令で指定地域をきめる、したがって、もっと広範囲なところにやってもらいたい、こういう考え方であったとしても、やむを得ない場合には特にその中の著しい地域を指定していくというような形の中で実現をはかっていきたい、こういう意味で政令で指定する地域をきめるというふうな実は法律にしたわけであります。したがって、そういう趣旨からそういうふうになったわけであります。ただ、その場合にどういう地域を指定していったらいいのかという点についてでありますが、実は首都圏の社会増地域の教育長協議会等がいろいろ調査したものをまとめておるのであります。で、この地域で、過去昭和三十年から四十三年までの実際の増加の小、中学校の状況と、四十四年以後に推定される生徒の増加数等を発表しているのであります。これらによりますと、たとえば小学校などについては四十一年に、前年に比べて七%、四十二年に三%、四十三年に九%、四十四年は一二%、四十五年は一二%、四十六年は一四%、四十七年は一三%、四十八年は一二%という増加が小学校で見られる。中学校については四十一年、四十二年は前年より減少してくるのでありますが、四十三年になって六%の増加を見、四十四年以後は、四十四年に五%、四十五年に八%、四十六年に九%、四十七年に一四%、四十八年一七%という割合で前年度よりも生徒数がふえていく状況であるようであります。したがいまして、過去あるいは三年間とかにおいて生徒の増加率が、あるいは三%から五%をこえている、今後の推定によって、年大体五%をこえているものとか、こういうようなことを考えていけば、この首都圏だけでなしに地方の中小都市における増加等についてもこの対策ができるのではないか。したがって、いろいろな選択のしかたがあるわけでありますが、過去数年の増加率と今後数年間の増加の率の推定に基づいて三%とかあるいは五%を前年と比較して増加していくような地域に適用していく、あるいは前年に比較して五%なり一〇%増加した地域は、その年にそういう地域に該当した地域として、その年から指定の地域に入れていくという、数年の実績と今後の見通しの上に立って地域を指定していく、あるいはその年度ごとに非常に過大な増加のものについて指定をしていくというようなやり方もあると思うわけであります。いずれにいたしましても、的確に何%が妥当であるかということについては、これはやはり相手が金のことでありますので、そういうこともかね合わせながら考えたい。まあ過去の実績三%ないし五%の増加、今後そういうものをこえるものについてその地域を指定していくというふうな、いろいろなデータも出ておりますので、これに基づいて予算の実現性の可能な範囲で、ひとつ政令で地域を指定していくということによって実際上それが適用できていくのではないか、それがまた実際的な趣旨を生かす道ではないか、こういうふうな意味からこういう考え方をとって立案をしたのであります。以上でございます。
#6
○田村賢作君 いずれにいたしましても、生徒、児童の急激な増加によって施設が間に合わないというようなことのために、あるいは二部授業が行なわれる、あるいはすし詰めの教育が行なわれる、はなはだしい場合には青空教室まで出てくる、こういうようなことで著しく教育の条件を悪化させておるわけでありまして、必然的にこれは教育の能率を低下せしめる、教育の水準の低下を来たすということは当然の結果でございますが、この趣旨説明に出てもおりまするように、屋内体操場とかプールとか給食施設とか、こういうような設備もできていない、また教材とか教具等も不十分であるということのために教育の水準が非常に低下しておるということが憂えられるという、いわゆるこういうことのためにこういうような低下の現象が起きているという具体的なことがございましたならばお聞かせをいただきたい。
#7
○委員以外の議員(松永忠二君) これは具体例もあるわけでありますが、ここに横浜市の小学校などについては、特別教室の保有状況が標準の一八%、プールの設備も五〇%である、あるいは東京都の町田市の場合には屋内体操場を持っている学校は全然ない、プールの設備も二十の学校の中で三校しかないというような具体的な事実もあるわけで、たとえばそのほかに教材、教具の設備などについては、東京都内の二十三区と三多摩地区では格段の差があるというふうに調査に出ているところであります。そのほか非常にプレハブ住宅を急増しているところの施設として使っているという実例も各地にあるわけでありまして、したがって具体的に教育の水準が非常に低下しているという事実が明らかに出ていると思うのであります。
 先ほど申しましたような問題等については後ほど、文部省等も調査資料を持っていると思うのでありますが、具体的に実情をよく把握をされていることだと思いますので、ひとつその方面からも御答弁をいただくし、また現に先ほど申しました指定の基準等についても、社会増のための施設補助についてのパーセントを持っているわけでありまして、したがって文部省が考えている社会増というのは一体どういう基準をもって現に実行しているのかというような面も明らかになると思いますので、そういう点もひとつ関係のほうからもお聞きいただいて、ぜひともひとっこうした教育水準の低下をできるだけ早く防ぐことのできるような措置が実行できるように私たちは期待をしているところであります。
#8
○田村賢作君 次に、文部省のほうに御質問いたしますが、過密地帯ですね。教育の施設を増設する場合に、校舎を建てるということについては政府の援助もありまして、まあ何とかやってやれないことはないと思いますが、問題は、いずれもそのような地域は地価が著しく高い。そのために学校をつくる用地の購入がきわめて大きいネックになっているわけです。これが私は地方公共団体の一番大きい悩みだと思うのですが、これを何とか解決してやらぬことには施設の整備ということは容易でない。そこで文部省はこれらの学校の用地を購入することに対してどのような財政援助の考えがあるか、その辺のことにつきましてお答えをいただきたいと思います。
#9
○政府委員(岩間英太郎君) ただいま御指摘がございましたように、急増地帯の社会増地帯の建築につきましては、特に土地の問題がきわめて深刻な状況にあるということを聞いております。文部省といたしましては、これに対しましては、たとえば国庫補助というふうな道もいろいろ検討いたしたわけでございますけれども、四十三年度をとってみますと、約二百六十七億程度の土地購入の実績があったようでありまして、きわめて多額にのぼるわけでございます。また土地の問題に対する補助につきましては、いろいろな問題がございまして、ほかの省との関係その他いろいろ問題があるように聞いておりますが、そこで文部省といたしましては、これは一応起債で措置をするというふうな方針をとりまして、四十三年度におきましては、政府資金約二十億円を用意したわけでございますけれども、その他の縁故債等を含めまして、先ほど申し上げました二百六十七億に対しまして、二百二億の起債の許可の措置をとっておるような状況でございます。四十四年度につきましては、文部省といたしましても、この二十億を大幅にふやしてほしいということを自治省にお願いを申し上げましたところが、結果的には、それが政府資金が五十億というふうなことになったわけであります。なお、その他の縁故債等の許可につきましては、これは今後自治省のほうで許可を行なうわけでありまするけれども、私どものほうとしましては、やはり四十三年度と同じような規模の土地買収の需要があるのじゃないかということを考えまして、この点につきましては、自治省とも十分連絡をとりまして、地方財政に大きな負担をかけないようにしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#10
○田村賢作君 これはできるだけ補助政策でいくことが考えられますが、なかなかこれは条件がむずかしくなりますから、やっぱり起債政策によることが一番妥当ではないかと思いますが、それには十分起債でまかない得るような対策を立ててほしいと思います。
 ところで本年度の予算に、用地の造成費ですか、三億円ほど用意してあるようですが、これも非常に時宜を得た処置だと私は思いますが、これは先ほど提案者の松永委員からもお話がありましたが、この三億円の用地造成費を具体的にどのような方法で助成していくかということ、それには何か一つの目安をつくるか、ものさしをつくるかというようなことにあるいはなるかどうかわかりませんが、これは松永委員に私は質問した第一番目の、地域指定というものともあるいは関係があるかもしれませんが、その辺の考え方をひとつお聞かせいただきたい。
#11
○政府委員(岩間英太郎君) 御指摘のとおり、松永先生が先ほど御説明いただきました問題とも関連するわけでございますが、ただいま田村先生からお話がございましたように、ことし三億の学校用地の造成に対する助成費が出されております。これは打ち割って申し上げますと、最終的に大臣折衝で三億というふうなことがきまったわけでございまして、積み上げて問題をきめたわけではないわけでございますが、まあ具体的に私どものほうでは社会増対策の一環としまして、児童または生徒が急増いたしました市町村につきまして小学校あるいは中学校を新設するために取得いたしました学校の用地を整地するために必要な工事、これはたとえば切り土、盛り土、あるいはがけの土どめ、地ならし、それから排水等も含めましてそういうふうな整地に要する費用について三分の一を補助するということにいたしておるわけでございますけれども、先ほども松永先生からお話がございました、児童または生徒が急増した市町村というのは何かという問題でございますが、これはただいまこの三億というワクがきまっておりますので、各都道府県と五月の末にいろいろ御相談することになっておりますが、その際にどういうような希望が具体的に出てくるか、それを見ましてできるだけ現実の実態に即したようなやり方を考えたいというふうに思っておりますので、はっきりしたことはまだ申し上げかねるわけでございますけれども、まあ私ども常識的に考えておりますのは、先ほど松永先生から数字をあげて御説明ございましたような点も考慮いたしまして、考え方といたしましては同じようなことになると思いますけれども、まあ抽象的に申しますと、平均増加児童、生徒数を上回る市町村、そういうものを一応第一次の対象にして考えていったらどうかということをただいまのところ考えておりますが、この点につきましては五月末の各都道府県との具体的な御相談の際に、もう少し具体的に掘り下げてまいりたいというふうに考えておる次第であります。
#12
○田村賢作君 最後に、義務教育施設に対する国庫の負担の問題ですが、これにはいろいろないままでの経過があったかとは思いますけれども、現在の小学校の施設の場合には三分の一、中学校の場合には二分の一という負担率になっていますが、この提案された法案ではどっちもこれはひとしく三分の二にせよということを主張しております。三分の二にできるならばこれにこしたことはないと私も思いますが、事財政に関する問題でありまするから、一挙にそのような状態にまではなかなか困難であろうかと思いますが、さしあたりは小学校の三分の一、中学校の二分の一という格差を解消してもらいたいと私は思うんです。したがって、小学校も中学校と同じようにこれは二分の一にすべきだ、ことに過密地帯で先に施設をしなきゃならぬのは小学校なんです。小学校から中学校に移っていくんでありまするから、その先に建てられる小学校が三分の一であとで建てていく中学校が二分の一だというのは実情に合わない。また小学校と中学校というものの区別をすることもこれも理論的にすっきりしない。したがって、ひとしく義務教育施設であるからこれは全部二分の一にするということと、それからもう一つは、いわゆる地方公共団体の超過負担ということが問題になっておりますが、その建築単価の基準がこれも実情に合っていない。だから二分の一という補助率でありまするが、実際は二分の一にならないという場合が多いわけです。これも実情に合わしてほしい。さしあたり私は小学校も中学校もこれは二分の一にしてほしい。これについての御意見をお聞かせいただきまして、私の質問を終わります。
#13
○政府委員(岩間英太郎君) まず、ただいま御指摘いただきました問題はごもっともなことでございまして、再三国会においても御指摘を受けておるような点でございます。私ども従来から引き続いて予算要求をしていたのでございますけれども、もうこういうふうに長くいつまでもこの問題を引っぱっているということは、いかにも私どもとしましてもまあ怠慢のそしりを免かれないと申しますか、そういう点がございますので、ぜひ近い機会にこれは何らかの解決をしたいというふうに考えておるわけでございますけれども、御指摘のございましたように、負担率が小学校と中学校で違うというのは確かにおかしいわけでございます。それからまた、特に急増地帯におきましては小学校の建築が先だというふうな点もございます。そういう点はございますけれども、この負担率の問題は従来から事業量、それからまた田村先生から御指摘がございました単価、構造比率の引き上げという問題と毎年競合するわけでございまして、負担率の引き上げにつきましてはこれはやはり数十億の費用がかかるわけでございまして、それにつきまして別に構造比率あるいは単価の引き上げ、あるいは事業量の増大というふうな問題とからみ合って、どちらかと申しますと、事業量をふやす、単価、構造比率を直していくというふうなことに従来力を入れていたというのが実情でございます。と申しますのは、負担率はかりに三分の一でございましても、あとの三分の二につきましては御案内のとおり七五%を地方債で、それから二五%を地方交付税で財源措置をするというふうなことにいたしておりまして、特に四十三年度から地方交付税におきまして二五%の裏財源の措置をするということが、これは実質的に別のことばで申しますと別の形で補助金的な財源措置をしたということにもなったわけでございまして、ちょうど三分の一がその二五%の裏財源の地方交付税の分を加えますと二分の一になるというふうな計算にもなるわけでございますが、いずれにいたしましても御指摘のございましたように、小学校三分の一、中学校二分の一というふうな姿はこれは好ましいことではございませんし、また特に社会増地帯におきましては御指摘のような点があるわけでございます。この点につきましてはできるだけ早い機会にこれを解消するように最大の努力をいたしたいというふうに考えております。
#14
○委員長(久保勘一君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#15
○委員長(久保勘一君) 国立学校設置法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 本法案につきましてはすでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 政府側から坂田文部大臣、村山大学学術局長、以上の方々が出席いたしております。
 本案について質疑の申し出がございますので、これを許します。安永君。
#16
○安永英雄君 国立学校を設置する問題が議案となっておりますが、内容を見てみますと、三重大学に工学部を設置する、あるいは大阪外語大学に大学院を設置する、こういった、そのほか二件ほどの内容を持った法案でありますが、私はただ単に三重大学あるいは大阪外語という、この設置の問題に入ります前に、現在当面しております大学の紛争の問題について、すべてこの学部の運営、あるいは聞くところによりますと、この際教育制度を抜本的に改めて大学院大学の構想等も飛び出している現状でありますので、一応現在の大学問題に対する文部省の態度についてお伺いをいたしたいと思います。当面のただ単に工学部を設置するとか、大学院を設置するとかいうだけの問題にとどまらず、この法律案を検討する中で、やはり将来のあるべき大学の姿というものを検討する必要があろうかと思います。そういう意味で、私はここで当面しておる大学の問題について深く検討するというそういう気持ちはございませんが、六日の日に文部省として当面のこの紛争処理のための臨時的な立法をするという態度に踏み切られたやに聞いておりますし、ある程度の骨格を持って党との話し合いも行なわれたという報道がありますが、文教に私どもおります関係で、この点について現在の処理法案というものがまだどうなるかわかりませんけれども、その骨格について、大臣は今日まで、あるときは、この大学の紛争については現行法の中で強い助言と指導、こういったことで何とかこの紛争を静めたいと、こういう意向も発表されたこともありますし、あるいはまた、四月三十日には中教審の答申が出ましたが、この答申を待ってそしてこの紛争に対処する態度というものをきめたい、こういうことで、中教審の答申を待つというふうな気持ちでおられたし、内心ではやはり現行法の中で何とか処理できるものならという気持ちもあったと思います。それが、現在では、やはりこの紛争処理のための新しい立法をひとつやらなければならぬ時期が来たのだというふうに踏み切られた心境と、それからどういうふうにこの処理法案の内容を規制していくのかという腹案等につきまして大臣のお答えをお願いしたいというふうに考えます。
#17
○国務大臣(坂田道太君) 私はかねがね、この本委員会におきましても、中教審の答申を待って、もし必要があるとするならば立法措置も考えるということを言い続けてまいったわけでございます。その中教審の答申が去る四月の三十日に行なわれました。私といたしましては、この中教審の答申を尊重いたしたいと考えまして、さっそく事務当局に対しまして、このうち行政措置でやれる部分あるいはどうしてもこの点は立法が必要だというような仕分けをしてもらいたい、また同時に、立法するとするならばどういうようなことになるかということについての検討はいま命じておるわけでございますが、まだその成案を得たわけではございません。まあ新聞等には出ておりますけれども、それはおそらく推測記事だと思います。で、私は、この本委員会でも申し上げておりますとおりに、やはりこの大学の問題は、基本的に申しますと、まず第一には、大学みずからが自主的に紛争解決に当たるということでなければならないし、また、それに対して、われわれ政府、文部省というものが援助をする、あるいは指導、助言をするという形が望ましいというふうに考えております。で、これはやはり私は、基本にそういう態度がなければならないといまでも考えておるわけでございます。ただ、御承知のとおりに、今日国立大学三十二校、公立四校、私立七校、合わせまして四十三校がまあ紛争校と言われておるわけであります。これにつきまして、いろいろ紛争校の定義もございますから、新聞報道等でこの数を上回るということも伝えられておりますが、一応、われわれといたしましてそのような数字を把握をいたしておるわけでございますが、しかもその三十二校、国立大学全体の四〇%というものが三十二校ということでございます、それが、占拠されたり、あるいは封鎖をされたり、あるいは授業ができなかったり、ストライキの決議が続けられたままになっておったりという状況で、今年合格をいたしました入学者ですら、国立に関しますと、三〇%の一万九千六百十五人というのが自宅待機のやむなきに至っておる。まあ来年の入学試験も六月ぐらいからはこの準備を整えなければならない。こういうような状況をただ見過ごしていいかどうか。また来年になるとどういう事態が起こらぬとも限らない。それではたして文部大臣としての国民に対する責任を果たしたことになるだろうかということを考えました場合に、やはり何らかの必要最小限度の措置というものは考えざるを得ないのじゃないかというような心境にございます。したがいまして、私といたしましては、大学の問題というものは、国民の大多数の支持と協力あるいは合意という上に立って、しかも大学当局の協力、理解、また、したがいまして、政治の場におきましても、なるたけ多数の党の御理解を賜わることによって、もし必要であるとするならば、必要最小限度の立法措置も考えざるを得ないのじゃないかというふうに考えております。したがいまして、党のほうにおきましても、また総理のほうにおかれましても、近く各党に御協力方をお願いをするという段取りも発表されたようなわけでございまして、その辺の動きを踏まえまして、立法するかしないか、立法するとすればどういう程度にするかということは考えてみたいというふうに思っておるわけであります。
#18
○安永英雄君 いま大臣としては、最小限度の処置は現在のところ必要だと思うということで、私がお聞きしました、いわゆる文部省の考えの骨格といいますか骨子というか、言いかえますと、自民党との打ち合わせ、こういったところの内容についてはすべて新聞の推測だと、こうおっしゃいますけれども、まあこれは言えないところもあるかもしれませんけれども、少なくとも全国的に、いま大臣がおっしゃる最小限度の措置という内容が、もう国民全般に知れている。これはまあ誤報かあるいは推測かしりませんけれども、少なくとも出ている。したがって大臣の口からおっしゃれなければ、私が一応申し上げてみたいと思いますけれども、一応紛争収拾の四段階を設けていきたい。
 第一段階が、紛争が起きてから一ヵ月程度までとして、この間は紛争解決に大学の自主的な努力を期待する期間としております。
 第二段階では、大学の申し出に基づいて政府は紛争の認定をする。この場合、第三者的な機関を設けて、そこで紛争か紛争でないかという認定をさせる。まあこれは推測かもしれませんけれども、いわゆる大学正常化委員会、こういったところまでも報道がされておるし、仮称かもしれませんが、そういった第三者機関を設置する。そうしてその紛争というふうに認定を受けた大学は、学長に権限を集中する措置をとる。これを法文化したい。
 第三段階では、紛争の相当長期化した場合で、大学側が学内運営委員会のような機関にはかった上、一時休校の措置をとれるようにするという、休校措置というものを第三段階では考えている。
 第四段階では、紛争が半年以上も長期化して解決の見通しがつかない場合で、大学の申し出により正常化委員会の意見を聞いた上、政府は一時閉校などの非常措置をとれるようにする。こうした事態の場合、大学側は学外者も加えた再建委員会を設け、紛争収拾にあたることにするが、一年たっても紛争が解決しないときは、大学の申し出に基づいて文部大臣はその大学を改組するか、廃校にするか、これを正常化委員会というふうなところの第三者機関にはかってきめる。そうして一時閉鎖の場合、大学校内の立ち入り禁止や大学正常化に非協力な教員を一時的に隔離する措置をとるということも含まれている。
 まあこれは大臣が言われる、推測に基づいて報道機関が報道したというふうにとりましても、ただ単に最小限の措置というふうに大臣は考えられておりますけれども、これは相当な非常手段というふうに私は考えます。
 これはこれ以上私は突っ込んでこの問題について討論しようとか質問しようとかは考えませんけれども、少なくとも大臣が一応現行法の範囲内で助言あるいは指導という、こういった点でやりたいと思うけれども、現状を見た場合に最小限の措置にとどめるというふうに言われた内容とはずいぶんかけ離れた感じを受けます。
 そこで、もう一回お尋ねしますが、いま大体私が申し上げたような骨格だということは言えるのでしょうか。それともあるいは党首会談その他のところに出られて白紙で、こういうことは抜きにして、これは新聞の先走りの推測だということで、一切こういう内容ではないのだ、とにかく私としては最小限の措置が要るように思うが、皆さんどう思うかとおはかりになるのか、そこらあたりの御見解を伺いたいと思います。
#19
○国務大臣(坂田道太君) 私が必要最小限度と申しました意味は、一応中教審の答申というものを尊重するという立場、その尊重の仕方がいろいろこれはあると思いますけれども、やはり中教審で、たとえば「大学においてとるべき措置」、あるいは「政府においてとるべき措置」という、第五章に書かれております「当面する大学紛争の終結に関する大学と政府の責任」というこの項におきまして、「たとえば、大学の教育・研究の機能が相当の期間停止したり、また入学・卒業が正規の時期に行なわれないおそれが生じたときは、事態収拾を的確迅速に行なうのに必要な範囲内で、大学の意思決定とその執行の権限を適当な大学管理者に集中する必要がある。この場合、その管理者は、全学一体となって事態の収拾にあたるため、学内の協力体制を乱しその態度を改めようとしない教職員を一時的に職場から遠ざける措置をとる必要がある。」ということも、「大学においてとるべき措置」の中にも指摘をされておるわけであります。
 それからまた「政府においてとるべき措置」について、いま言ったようなことを「政府は、大学の自治能力の回復とその自力による紛争の終結を助けることを主眼として、」「大学のとるべき措置について大学管理者に勧告する」ということ。
 そうしてもう一つは、教育研究が妨害から排除をされてそうして再開をされるために、場合によっては「大学の設置者が六か月以内の期間休校または一時閉鎖をすることができるようにすること。」そうしてこの場合には、第三者機関を設けなければならぬ。それから最終的にもう大学が崩壊状態になった場合には、第三者機関の意見を聞いて、「その最終的な処理のため必要な、適切な措置を講ずべきである。」こういうことが書いてあるわけでございますが、「その最終的な処理のため必要な、適切な措置」、これは現行法ではあるいは不可能じゃないかというふうに考えられますので、こういう点についてはやはり法的措置が要るのじゃないか。あるいは第三者機関を設けるということについては、やはり法的な措置が必要ではないか。それからまた六ヵ月以内の休校あるいはまた一時閉鎖という場合についても、やはり法的措置は必要ではないかというようなことについて、いま検討を加えておるということでございます。でございますから、いまわれわれは文部省案として何か持って各党にお願いをするということは、これは非常に非礼なことでございますし慎しむべきことだと、私は考えておるわけでございます。
#20
○鈴木力君 ちょっと関連。いまの大臣の御答弁の中身は私は触れません、関連ですから。結局は、最小限度かどうかは別として、立法措置をやるということなんですか。
#21
○国務大臣(坂田道太君) 私のいまの段階では、答申を受けまして、この中に行政的でやれるものはどことどことどこだ。それからどうしてもやはり法制化は必要なんだという点はここだ、ということだけは明確にすべきじゃないか。あるいは不明確な点も残るかと思います。行政でもやれる、だけれども立法もやれるという部分も残るかと思いますけれども、そういうような検討だけはいたさなければならぬというふうに思っております。
#22
○鈴木力君 これから検討するということなのか、いまのところは立法措置が必要だという結論に達しておるのか、どっちかをお伺いしたいのです。
#23
○国務大臣(坂田道太君) まだはっきりはいたしておらないわけでございまして、ただ、いま申しましたようなところは、やはり立法しなければそういうことは行なえないのじゃないかというふうには思っております。しかし、やはりこれは立法いたしますには国会に提出をいたすことになりますから、国会に提出いたします以上はひとつ通していただかなければなりませんので、そのことこそが提出する意味もあるわけなんですから、私といたしましては、その点については十分慎重に考えさしていただきたい、またその時間をお許し願いたいと思っておるわけです。
#24
○鈴木力君 もう一言だけ。ちょっと速記をとめてもらったほうがいいと思うんですが。
#25
○委員長(久保勘一君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#26
○委員長(久保勘一君) 速記を起こして。
#27
○安永英雄君 そうしますと、結局事務的にはやはり文部省としては行政措置でいけるものと、それからやはり新たに立法しなきゃならぬ点もあるようだと、したがって、これについての検討を進めておる、しかし、大臣が先ほどやはり最小限の立法措置は考えなきゃならぬと言われた根拠は、ほとんど中教審の答申の内容だと思います。私も中教審の答申の内容は一応読んだんです。これについてはいろいろ各方面の批判もあるようですけれども、私なりに読んでみた場合に、あの答申の結論として集約されておるそこだけをいま大臣言われたんですけれども、それのよってくる前段の説明等を読みますというと、必ずしもぴったりその内容と結論的に書いてあることが合っていないような気もするわけです。したがって、いま作業段階ですから、いま文部省の作業されておる内容をのぞこうとは思いませんけれども、その根拠になっている答申をどう解釈されておるか、そういった点について方向を変えて質問したいと思います。
 そこでまず紛争校というものを第三者機関で一応これを、何といいますか、紛争の認定を下すという機関をつくるわけでありますが、これがはたしてどういうメンバーになるかは知りませんけれども、少なくともその当該の大学外の人がほとんど多いだろうと思います。そういった場合に、立ち入ってその学校の紛争の状態、こういったものをはたして認定できるものかどうか。ところが結論としてはやはりそういった第三者機関を設けてやれというふうな結論が出ておるようでありますけれども、私はやはりこの点答申の内容を見て、これは非常に不可能だと私は思うが、研究段階にあられる文部省の紛争に関する研究の見解として私が述べたような点についてどう思われるか、お聞きしたいと思います。
 次に、特に私は一番奇異に感ずる問題は、答申の中で「大学教員のあり方」というところがあるわけです。その中の四番目に「学問の自由を守るためには、学外からの不当な圧迫を排除するばかりでなく、学内においては、あらゆる思想に対して寛容であると同時に、個人の思想と良心を侵す行為に対して勇気と信念をもって立ち向かう責任がある。」こう書かれておるところがあるんです。私はこの答申を見て、そうして「大学教員のあり方」というものは、私はこの四項で尽きるのではないか。いろいろ本を読んで見ました。そして大学の教員としてのあり方について、私はこの答申の四番目以外にないような気がする。あとは何かこじつけたような感じがするのです。私は大学の教員というものはこの四項、これだけをしっかり守っておれば私は教員としての任務はつとまる。これが一番基本だというふうに考えるわけです。ところが、列記されておる一つの次元で、同じような形で一から五まであげてありますけれども、私は四項が一番大学の教員のあり方としては基本だというふうに考えます。したがって、そこから出てくる発想として、この教員を一時隔離をする、こういった考え方も出ておるようであります。学内において、何といいますか、意見が違う。こういったものは隔離をする。こういった考え方も出ておるようであります。私はこの点について、いま私が申し上げたような大学教授、あるいは教員のあり方としてあるとするならば、こういうことがはたしてできるかどうか、このことをやれば私は一つの公務員特例法に対する違法の行為ではなかろうかというふうな気もするわけですが、この点大学の教授として、教員としてあるべき姿としては、中教審の中で並列的に、そうしてしかも次元が同じような意味で五項目書かれておるけれども、私はこの五項目はウエートがあるし、どうしても四番目、これを最後まで守り抜くという立場でなければならぬ。そうすると、いま申したような中教審の結果としての措置のしかたについては非常に矛盾があるのではないか、こういうふうな感じがいたしますが、この点についての見解をひとつお聞きしたい。
 さらにいろいろの手だてはとりますけれども、最終的に強力な閉校、こういった措置をとられる、段階的には休校とかいろいろ措置が四段階に分かれておりますが、私はこれは続出するのではないか、また、現に大学の紛争の進行ぐあいというものを見た場合に、一にぎりの暴力的な学生、この暴力という問題については私は徹底的にこれは否定しなければならぬ問題でありますが、その行動の中で、あるときは入学試験のときをねらってみたり、あるいは試験のときをねらってみたり、一つの、闘争と称しておりますけれども、その闘争の一つのめどといいますか、目標というのをそういうところにおいている。いま段階的に区切ってまいりますというと、しごくそういったものが明確になってくる。それが強力に押し進められていくということになれば、私は閉校、休校が次々に続出する。もちろんこれにはちゃんと大学の申し出というものもありましょうし、機関もありましょうけれども、私はそういった紛争というものについては、ますますこの立法化という問題が火に油をかけるような形になってきやしないか、こういう心配も中教審の中から感じられてくるし、それを受けて検討されておる文部省の考え方がそこにあるとするならば、非常に危険な考え方だと思います。そういった点について見解をひとつ。
#28
○国務大臣(坂田道太君) 先ほど申しますように、われわれのほうでまだ固まっているわけではございません。したがいまして、あまり私がお話をすることはできないわけでございますが、ただ中教審の指摘をいたしておりまする第三者機関というものは、やはり文部大臣が恣意的に休校とか、あるいは閉校とか、あるいは廃校とかいうことをしないほうがいいのじゃないかということの意味において、第三者機関というものの意見を聞く、また第三者機関というものが構成をされる、こういうことが必要じゃないかということが述べられておるものだと私はこれを読むわけでございます。
 それから、あくまでも中教審のこの紛争終結に関する大学と政府の責任ということを貫いておりますることは、自治能力を失いかけておる大学ではあるけれども、やはりその失いかけておる大学であっても、まず第一には、その自治能力を回復するために、それを主眼として、そして政府はそれに援助をして、手を差し伸ばすべきなんだという基本的な考え方がこれの精神だと私は思うわけでございます。
 それからもう一つは、大学教員のあり方についての四番目のところの御指摘、これはそうだと思いますけれども、従来むしろこのことだけをあまりにも強調し過ぎたところに問題があるのじゃないか。つまり大学の教授というものは確かに学問の自由を守られた人々である。自由に研究をし、研究の成果を発表し、またそれを教授するという一つの面がある。しかもこれは非常に基本的な面である。それこそが学問の自由といわれるところだ。しかし同時に、教授するやはり教育者でもある。その一挙手一投足あるいは言動というものは慎重でなければならないという二つの面。もう一つは、もし学部長になり、あるいは学生部長になり、あるいは学長になるという場合は、管理者としてのもう一つの面を持つ。つまり社会的責任を持った管理者としての面を持たれるわけでございまして、学長の場合は、ただいまおっしゃるようなこの四番目の学問の自由を守るという面と、それからやはり教育者としての面と、それから同時に管理者としての社会的責任を果たす面と、この三つをかね備えたもの、その責任を負ったものという考え方が強調されなければならないのであって、いままではあまりにもこの四番目だけを強調されて、管理者としての責任、社会的責任、あるいはまた学校管理運営の責任というものについてそれをネグレクトしてきたのではないか。あるいは研究者としての面は非常に強調されたけれども、やはり大学は教授が学生に対して教育をする面を強く持っているわけでありますから、その教育者としての面というものがやはりもうちょっと強調さるべきものなのだという指摘は、むしろ今日大学問題を考える場合に非常に重要なポイントだというふうに私は思うわけでございます。
#29
○安永英雄君 当面の措置についての質問は以上で終わりたいと思いますけれども、しかし最後におっしゃった、大学の教員のあり方という問題については、私はどうしても並列的に、あるいは事務的にあるいは対外的にというふうな問題もあるのですけれども、どうしてもやはり紛争という問題を処理するために、大学の教員のあり方というものを非常に、いま申した自由を守っていくという、自治を守っていくという、こういった立場のものと並列的に考えていけば、これは長い目で見ればたいへんなことに私はなりはしないかという心配をいたしております。しかし、これはいつの日かまた徹底的に討論をされる時期がくるだろうと思いますが、やはり大臣として先ほどもおっしゃったように、現行法の中でできるだけとにかくものごとを解決していくという、このお考えについては依然として変わらないと認定いたしております。私は、ほんとうの意味の最小限という問題は、広くやはり各層から意見を聞いてきめないと、いくらたたき台に出されても、これはたいへんな問題になると思います。もう現在でも実際に学術会議あたりでは、新しい大学の自治の確立を目ざしてそれぞれの大学の自発的努力に期待すべきものであって、外部から早急に、また一律に大学のあり方を規制したり、これに干渉することは望ましくない、こういった方針も出しているようでありますし、東大あたりの改革案につきましても、治安対策措置に重点を置いて、上からの力で処理することは基本的に問題である。かえって紛争を激化させる。このような態度で紛争を収拾するのは不可能で、地道な解決への姿勢が必要である。まあ現在の学長あたりの見解も出ておりますけれども、あれだけの紛争の処理のために身を挺して闘ってきたこういった人々、こういったとうとい経験等もやはり十分に聞いていかないと、ただ目の先の紛争処理というだけで百年の大計を誤るようなことがないように、ひとつ十分な各層の意見を聞いて、そういった法律化をするか、しないかという問題もまだはっきりしていないという現在では、特に要望をしておきたいと思います。
 以上で大学の問題については一応終わりまして、次に、入試関係の問題についてお聞きをしたいと思います。
 昨年で学生の急増という問題は数の上では一応終わるというふうな線も引けるのではないかというふうに考えますが、四十四年度の大学入試志願者、あるいは入学した数、それから合格率、大学進学率、これはどのようになっているか、あるいは昨年に比べてどんなふうな状況かお聞きしたいと思うのですが。
#30
○政府委員(村山松雄君) 四十四年度の分はまだ集計中でございますが、ほぼ昨年と同様な見込みでございます。
#31
○安永英雄君 大体昨年と同様ということであるならば、今後もやはり、いわゆる浪人というものが多いわけです。これは深刻な問題になってくるわけですけれども、これの解消策といいますかね、こういったものを当局はどんなふうにお考えですか。
#32
○政府委員(村山松雄君) 御案内のように、生徒の急増期間は四十三年でほぼ終わっておるわけであります。四十四年、本年につきましては、昨年が急増の山であった関係で、なお浪人がやはり四、五十万は出るのじゃないかと思いますが、これからは高校卒業生も漸減いたしますし、急増によって拡大した大学の規模というものは縮小することは、原則としてないわけでございますので、浪人は今後減ることはあってもふえることはない。その間にベビーブーム以外の要素、たとえば社会的要請による大学卒業生の需要の増加、それから学問研究の進歩等々からいたしまして、今後も学部、学科の増設というようなことは、ベビーブームによる計画的な増加ということはないにいたしましても、個別的な増加はあると考えられますので、これらの受け入れ体制の整備並びに高等学校における進学指導の徹底あるいは、これは大学じゃございませんが、高専レベルの学校の拡充によって、中学校卒業以後そちらの方向へ進む者も今後ふえてまいります、等々の措置によりまして、浪人は漸次解消に向かうものと考えております。
#33
○安永英雄君 これはとうとう聞く間がなかったのですけれども、東大の入試を中止したということで、学校の入学定員の他大学への振り分けということがあの当時問題になっておりましたが、これはどういう結果になっておりますか。
 それから、このことが他の大学に与えた影響、こういったものはどんなふうになっておるか、お聞きしたい。
#34
○政府委員(村山松雄君) 東京大学募集停止によりまして約三千名という国立大学の入学者に穴があいたわけであります。この分につきましては他の国立大学においてできるだけ受け入れることを要請いたしまして、事前に約千人程度の受け入れ可能という数字が出ておったわけでありますが、先ほど申し上げましたように、大学の入学者数は、入学許可者からかけ持ち受験その他の関係がありまして四月一ぱいくらいは出入りがございます。そこで毎年五月一日現在で指定統計で正確な数を押えるわけで、それが出ませんと正確なことは申し上げられないわけでありますが、入学許可者の段階では他大学において予定いたしました千名を若干上回る程度の受け入ればなされておるものと思います。
 ただ、単に数だけではなしに、東京大学あるいは教育大学の募集停止による影響というものは、これも正確に因果関係をもって御説明することはなかなか困難なわけでありますけれども、大げさに申しますと全大学に影響があるというぐあいに考えられます。と申しますのは、東京大学の受験を断念した者は、できるだけ東京大学と似たような性格の大学、たとえば京都大学でありますとか、あるいは大阪大学、東北大学といったようなところに志願をいたします。そういたしますと、それらの大学に従来であれば志願する者は、ここで東大から回ってきた者と競争して入れるかどうかというようなことを考えまして、東大から回ってくる者があっても受けたいと考える者もありますし、東大から回ってくる者によって競争が激化すれば、自分の志望をまたもう少し考え直すという者もあったようであります。そういう波及効果は漸次その他の大学にも及びまして、報道機関等で報ぜられておるようでありますけれども、ことしの大学の入学志願あるいは入学許可の実情につきましてはまあ例年とかなり違った様相、端的に申せば関西地区の国立大学等は従来関西地区の高等卒業生でほとんど占められておったわけでありますけれども、ことしは関東地区の高校卒業生が相当数行っておるといったような現象がございます。これはほんの一端でありますけれども、東京大学の入試中止というものの影響はかなり広範に及んだと考えられます。
#35
○安永英雄君 次に、昭和四十四年度の国立学校関係予算の問題ですが、一応四十三年度の予算と比較してこれはどの程度伸び、あるいは同じか、こういった点についてお答え願いたいと思います。またその中で伸びているとすれば、そういった点では特に重点的に大学の予算の中で見ている点はどこかといった点をお聞きしたいと思います。
#36
○政府委員(村山松雄君) 国立学校特別会計の四十四年度の要求額は二千七百六十三億であります。前年度に比べますと二百五十九億の増加であります。比率にいたしますと一〇・四%でございます。内容的に申し上げますと、本年度も従来に引き続きまして、またベビーブームによって規模の増加に対する要請が一段落いたした関係もありまして、規模の増加よりはむしろ内容の充実というほうに重点を振り向けております。そこで大学院、学部、学科の新設等は比較的少なくなっておりまして、むしろ教官当たり積算校費あるいは学生当たり積算校費、こういうものの充実、おのおの八%程度の増額をいたしております。
 それから国立高等専門学校につきましては、一応各府県に一校程度つくるという計画は充足されたわけでございますけれども、各高等専門学校とも二学科ないし三学科という最小限度の規模でスタートしておりますので、この既設のものに対して漸次学科を増設するということで、四十四年度につきまして、十一校につきまして十一学科ふやしております。それから先年高専に切りかえました商船高等専門学校におきましても、海上技術者、海上要員の増加の要請に対応いたしまして、五校で五学級の増員をやっております。
 それから学生問題、これは暴力学生に対しましてはきびしい指導が必要でございますけれども、一般学生に対しましては、厚生補導の措置を強化する必要があるということを考えまして、学生に対するたとえば学内の事情がわからないままに疎外感を抱くことのないように、入学時からのオリエンテーションあるいは合宿、研修あるいは身体、精神衛生方面の配慮が従来国立大学では必ずしも十分でなかったことにかんがみまして、保健管理センターというものの増設というようなことに重点を置いております。ごく大ざっぱに申し上げまして、四十四年度の予算の重点事項は以上のようなものが考えられます。
#37
○安永英雄君 大学紛争というものをめぐって予算をやるかやらないか、こういった報道も一時されましたが、ことしの予算で昨年来の大学紛争という問題で一部いま計数的には出ておりましたが、何か大きな変化がありますか、予算を組む上に。
#38
○政府委員(村山松雄君) 予算面では特段の変化はございません。むしろ学生紛争、大学紛争のことなども考えまして、できるだけ厚生補導面の強化につとめておるわけであります。ただ成立いたしました予算のこの執行面におきまして、紛争のことも考慮いたしまして効率的な予算の示達執行をはかるように現在考えております。
#39
○安永英雄君 詳細な予算の問題につきましては、内容的に今後聞いてまいりたいと思うのですが、ここで一つお聞きしておきたいのは、特に三重の大学に工学部を設置する、あるいは大学院を大阪に設置するという提案でありますが、ことしの予算の中で学部設置準備費というのが入っておりますね、これはたしか秋田と大阪でしたか。この学部設置準備費という性格をちょっと説明願いたいと思います。
#40
○政府委員(村山松雄君) 大学あるいは学部をつくるということは決して容易ならぬ問題でありまして、基準に照らしまして人的物的な用意をしなければならないわけでございます。そこで、一般に学部などをつくる場合には、その大学に類似の学科等があって、そこを中心に企画を練り準備を整えてこれを拡充していく計画をつくるというようなことが普通でございますし、また、すでに何度か設置した例のある種類の学部につきましては、もう前例もあることでありますし、どういうものをつくったらよろしいかということも関係者の間でほぼ明らかでございますので、まあ準備を整えまして予算が計上されれば、同じ年度に国立学校設置法の改正もお願いいたしまして、予算と学部の設置、学生の募集ということを同時にやらせていただくというのが例でございますが、前例のないような学部の設置につきましては、準備に慎重を期する意味合いにおきまして、準備費的なものをまずもって計上して、一年ないし場合によってそれ以上検討準備を進めて、まあ自信を得た段階におきまして正式に学部設置の予算、法律を準備して学生募集を行なう、こういうことをやっておるわけであります。たとえば先年設置していただきました九州芸術工科大学などは、準備費を計上いたしまして準備を整えて本設置という段階を踏んだわけであります。で、今年度におきましても、秋田大学に医学部を、それから大阪大学に社会学部をということを考えたわけでありますが、社会学部というのは、これは前例は皆無ではございませんけれども、大阪大学における社会学部の構想というのはかなりまあユニークなもので、検討を要する点がございます。それからまた、秋田大学の医学部につきましては、戦後国立大学においては医学部を設置した例がなかったわけでございます。そこで大学設置基準の上でも、必ずしも、一応あることはございますけれども、まあかなり古い基準で、これによってつくることがはたして、いま医学部についてそのあり方から問われている現在において、適当であるかどうかというような問題もございますし、また、医学部というのは付属病院を備えた相当大規模な学部でありまして、これを同じ年度で予算計上、それから法律改正、それから準備を整えて学生募集をやるということは決して容易でない問題でございます。そこで、この大阪大学の社会学部それから秋田大学の医学部というものにつきましては準備費ということにいたしまして、準備を整えて、準備が整った上で本格的な設置に取り組む、こういう意味合いにおきまして、四十四年度は準備費を計上いたしたのであります。したがってこれは設置を前提とした準備費でございます。
#41
○安永英雄君 設置を前提とした学部設置準備費だから、私ちょっと奇異に感ずるわけです。やはりこれを改正する考え方はないかというのですがね。文部省としては、この規格に合った学部、こういうものは、申請されてくれば、あるいは申請されないでも、大学院も同じですけれども、大学院にしろ、こういった学部の新設ということは、これはもうどこの大学でも、そういったものを広めていくし前進させていきたいという前提に立っておられるのかどうか、まず第一にですね。言いかえますと、ここに学部を設置したい、こう言えば、できるならば全部そういう設置をさしてあげたい立場なのかどうか。そうであるとするなら、この準備費を渡すというのは、すでにその学部を設置する前提として渡しているということですから、やはり法律との関係も、一応その大学というものを設置するという正式の決定をして、それからこの準備費というのは支出すべきではないか。私はそこのところ法的によくわかりませんがね、新設させるのだという前提に立って、その前から準備費を渡していくと。これはさっき説明がありましたけれども、まあ生徒募集の問題であるとか発足の時期等で合わしていきたいという気持ちはわかりますけれどもね、おそらくこの秋田、大阪と、こういった形でこの準備費が文部省のほうから来るということになれば、もう新設オーケーということの大体証左になるのではないか。こんなふうに思いますがね。この準備費というのは、私は、前半に申し上げましたように、そういった、新設をしそうして施設も充実して、そうしてこの提案理由にもありますように、「科学技術の進展に即応して」「教育研究及び技術者の養成をはかろうとする」、そういったきわめて大事な方向を歩かせるということであれば、相当長期間の文部省としてこの計画を立て、それに要する準備費というものもそれに即応して準備をし、その前に、こことここではこういうふうに将来やりたいという法律案でも出して、すっきりした形で出発させるというほうがいいような気もするのですが、そこらあたり、法的にも多少問題があるのではないか。前提として準備費を渡すということ、その辺の見解をちょっとお聞きしたいと思います。
#42
○政府委員(村山松雄君) まず学部の創設の希望とそれを取り上げる関係でございますが、文部省といたしましては、たとえば一定の計画に基づいてやる場合と、それから一定の計画が必ずしもなくて当該関係者の要望を基礎にしてやる場合と、二つございます。たとえば、過去におきまして、理工系の技術者の増募計画がありますとか、あるいは所得倍増計画に伴う高等教育機関の規模の拡大の計画でありますとか、あるいは大学志願者の急増に伴う大学の規模拡大の計画、こういうような場合には、おおむねの規模を文部省のほうで想定いたしまして、それから社会的要請の強い分野等について文部省で調査をして、関係者に指導助言の形で流しまして、そういう範囲で希望があって、希望が堅実なものであれば、これは受け入れる、こういう対応のしかたをいたしております。現在は、それらの規模拡大の諸計画は一応済みまして、まあ次に高等教育の全体のあり方の再検討時期でありますので、文部省としての具体的な規模拡大の計画はございません。そこで、それぞれの関係者の個別の御要望を受けて、それを審査いたしまして、取り上げるものは予算の要求をしておるわけであります。そこで具体例で申し上げますが、秋田の医学部についていいますと、医学部というのは、戦時中に医学専門学校をたくさんつくった関係がありまして、専門学校を含めました医師養成機関の卒業生の数は、一時一年あたり一万人を上回っておったわけであります。そこで終戦という事態に対応いたしまして、軍医も要らなくなったわけでありますので、数もこんなにたくさんは要らない。医専というようなものでは医師の養成としては十分でない。そこで数を減らして、医師の養成機関はすべて大学に統一して内容を充実するという計画を当時立てたわけであります。一万人以上あった入学定員も、医専を廃止した関係もありまして、約二千八百名にしぼって、それでむしろ戦時中に急増した医師の充実といいますかをはかって、約十年近くやってまいったわけであります。
 なお、医師の需給計画につきましては、厚生省と十分協議いたしまして、医師の需給上の判断は厚生省の判断を尊重して、文部省としては医師の養成計画を立てておったわけであります。
 そういうことで推移いたしましたが、昭和三十五、六年ごろから、戦後久しきにわたる医師養成機関のしぼりと内容充実によって、医師の増加はとまっておったわけでありますし、また反面、医療機関の整備あるいは医療内容の進歩向上等々からいたしまして、医師の不足問題というのが起こってまいりました。なお三十五、六年当時は、厚生省としては医師の不足というのは絶対的な不足ではなくて、地方的な偏在であるということを言っておったのでありますが、だんだんと医師は地方的にもあるいは絶対的にも必ずしも十分でないということになりまして、三十年台の終わり、あるいは四十年台の初めごろから、公市立等につきましては増員の希望があればこれを認める。国立につきましても漸次各学部の規模に応じまして入学定員をふやす、こういうことをやっておったわけでありますけれども、偏在の問題については、既設大学の増員だけでは解決がつかない。
 秋田県というようなところをとってみますと、東北地方の一部でありまして、ただでさえ医師というのは偏在の傾向があるのでなかなか中央からはいかない。それから近在の医師養成機関は、近所は仙台に東北大学、岩手県盛岡に私立の岩手医科大学、隣の青森には弘前大学があるわけでありますが、秋田、山形には近くにはない。秋田県の医師は他県に比べて顕著に不足しておるということから、地元できわめて熱心に希望されまして、その御希望並びに立地条件等々を考え、医師養成の全体計画の変化等々もにらみ合わせまして、秋田に医学部をつくることが適当であると、こう判断したわけであります。しかしながら先ほど申し上げましたように、医学部をつくるということは戦後初めてのことでありますし、病院を含めてきわめて慎重な準備を要する課題でありますので、少なくとも一年間の準備期間を設けて十分案を練ってやりたい、こういうことにしたわけであります。準備期間につきまして、それじゃ設置法にその旨書いて進めたらどうかというお話は、これはそういうやり方もございますし、過去にやった例もございます。どちらがよろしいかということは、一つは立法政策の問題でもあろうかと思いますが、今回は事務的にきわめて謙虚に慎重に準備をさせるということで、設置法改正の措置を進めず、予算措置で準備費を計上して準備を進めるということに一応いたしたわけであります。決してこれでなければならぬ、このほうがいいとかということは必ずしもないわけでありますが、今回はこのような措置をとらしていただいた、かように御了解をいただきたいと思います。
#43
○安永英雄君 はっきりしたあれで、私が申し上げたように、ある程度の年月を区切って、そして国立大学にこういう学部をこういった地域にはつくりたい。あるいは地域からの要望も出てくる。これを集約して計画を立てて、準備のための経費その他も一切含めて私はある時期、時点では、総ざらいにとにかく国会に提案して、そうしてすっきりした形で準備費その他も含めて交付していくというほうが、私はすっきりしていると思う。なぜかならば、実際各大学のあれは、いま局長がおっしゃったけれども、もう文部省としてはこれ以上国立のほうにつけるのはあまり考えていない。まあしかし、要望その他があれば考えていく、あるいは歯学部とかそういった関係も考えていく、こうおっしゃったけれども、実際国立関係でこれはお願いをしたいのですが、現在まで学部を設置したいという例、工学部に限らず、今日まで文部省のほうに地元から申請してきているという学校、これをひとつ一覧表で出していただきたい。そうしてその審査をやって落ちておれば、どういう理由で落ちたのか、簡単でいいからそこのところにひとつ書き込んでもらったような資料を出してもらいたい。と申しますのは、この学部設置には地元も必死になってそうしてもう文部省に日参しているとか、あるいはお役人に地元に来てもらって見てもらう、いろいろ手を尽くして、これは冗談でしょうけれども、いろいろなとにかく手を尽くしてやるけれども、自分のところまでこの学部は回ってこない、とにかく陳情合戦をしてようやくという、そういったことをよく聞くのですよ。とにかく文部省を拝み倒しに行って、自分のところに――これだけこの学部を新設するということには必死になって、県議会の決議とか、あるいはお役人が来られると接待をするとか、いろいろなことで苦労をするという話はちょいちょい聞くのですよ。そういったことじゃなくて、長期を見渡して、そうしてやはり準備金あたりをもらったらオーケーをとったというのですよ。準備金がついたときはオーケー、前から、国会は来年は通りますからなんというちぐはぐなことを言う者もある。私は、ああいう不明朗なことじゃいかぬと思う。いまのお話しのように、秋田に医学部が要るということであれば、これははっきり出すべきだと思うのですよ。やはり準備期間から予算を出して、そういった実態が、その条件がまだ足りないといったら、国のほうがそこに必要だと思ったら、地元からわざわざ陳情してくるのじゃなくて、確信を持ってここにする、ここに医学部を置くという長期の計画を立てて、予算にきちんと組んで正式の手続をとったほうがいい、いつの間にか拝み倒されて準備金をかっぱらわれて、これは国会にかけなくてもおれのところは準備金がもらえるのだ、学部ができるのだという印象で、陳情したほうが勝ちだとか、接待したほうが勝ちだとか、こういう印象をぬぐわないといけない、こういう感じがしますので、実は準備金のところで聞いたわけです。
 それで、これは今後のこともありますから、秋田と大阪分の準備金というのは大体どの程度のものをどういう項目で渡すのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#44
○政府委員(村山松雄君) 秋田につきましては、四百五十万円ほど計上いたしております。それから大阪大学につきましては百万円ほど計上いたしております。
 中身は、秋田につきましては、準備の人員を含めた物件費であります。何と申しますか、学部長になるような人を含めまして三名の準備要員とその人が動き得る物件費、こういうことでございます。それから大阪大学につきましては、現在社会学部は文学部にその基礎となるものがありまして、必ずしもその準備のための人員を計上せずとも準備のための物件費を計上すれば足りるということで、人員なしの物件費百万円を計上しておるわけであります。
#45
○国務大臣(坂田道太君) ちょっと安永さんのおっしゃいましたことで私も同感のところが非常に多いわけなんでございまして、従来、私たち文部省としましても、長期的な展望に立った長期的な教育計画というものがなされておらなかった、私立大学を設置する場合におきましても、設置基準を満たしてさえおれば、もうそれをどんどん設置していくという安易なことをやってきたことは、私はやはり反省すべきだと思うわけでございます。したがいまして、中教審の答申の中にその問題に触れまして、これはたとえば三ページの下のところでございますが、国立、公立及び私立の大学の区別の意義を再検討し、それからまた御承知のように国立に対する公費負担と、私立に対する公費負担がこれまであまりに格差がある、これは解消すべきじゃないか、もう少し考える必要があるんじゃないかというような、「高等教育機関の計画的整備に関する公的な調整機能の充実とにより、高等教育全体の質的水準の向上をはかるとともに、その全体規模、専門分野別の割合、地域的配置などの適正化をはかること。」ということが指摘をされておりますし、また同時に、この六ページの「政府の任務」のところにおきまして、「さらに政府は、今日の世界のすう勢にかんがみ」、「高等教育の計画的な整備充実をはかるべき時期に際会している。」云々と、このように教育の長期計画は総合的、国家的な観点から強力に実施されなければならぬということがあるわけであります。おそらく中教審としましても、今後六月以降の基本的大学問題の検討の際にもこういう問題をもう少し掘り下げて検討することだと思います。私どもといたしましても、やはり安易に陳情があるからやるというようなことではいけないというふうに思っておるわけでございます。
#46
○安永英雄君 大臣から賛成していただきましたので、一応ここで質問を終わりますが、先ほど資料をお願いしましたが、大学院の申請も一緒にひとつやっていただきたいと思います。国立大学の現在の学部申請とそれから大学院の申請、これをごく最近の例でもけっこうですから、どれくらい申請が出て、そうして審査の結果落としたとか、あるいは将来の見通し、そういったものが出るような資料をお願いしまして終わります。
#47
○政府委員(村山松雄君) 承知いたしました。
 将来の見通しは、先ほども申し上げましたように、目下根本的な長期計画を中教審にお願いしているので、文部省としては現在は少なくとも国立大学につきましては量の拡大よりは内容の充実ということで、学部、学科等の新設は比較的緊急必要なものに限定するという考えでおりますので、あまり将来の見通しははっきりしたものがございません。
#48
○委員長(久保勘一君) 午前中の委員会はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十四分再会
#49
○委員長(久保勘一君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 午前中の委員会に引き続き、質疑を行ないます。安永君。
#50
○安永英雄君 現在国立大学の中で工学部の設置がないところはどのくらいありますか。どことどこですか。
#51
○政府委員(村山松雄君) これは大学別でございますか、それとも地域別でございますか。
#52
○安永英雄君 私の調査したところではそうはないでしょう。工学部をほとんど置いておるから。ないところは少ないのじゃないですか。
#53
○政府委員(村山松雄君) 現在国立大学は七十五校ございますが、そのうち工学部系の学部のあるのは、たしか過半数に工学部系の学部がございます。
#54
○安永英雄君 これは違っておったら訂正してもらいたいと思いますが、弘前、秋田、福島、滋賀、奈良、和歌山、島根、香川、高知、大分、それにいま問題になっている三重、こんなふうに考えますが、違いますか。
#55
○政府委員(村山松雄君) 正確に申し上げますと、工学部は三十九ございます。そのほかに工学部という名前でございませんが、工学系と考えられるものに理工学部、鉱山学部、工芸学部、繊維学部、基礎工学部、芸術工学部等がございます。これら七つ合わせまして工学部系の学部が四十六になっております。
 県別に申し上げますと、ただいま先生仰せのとおりでありまして、そのうち秋田につきましては、鉱山学部というやや工学部系の学部がございます。その他の県につきましては、御指摘のように工学部系の学部はございません。
#56
○安永英雄君 これを地域的に見ますと、個々の、たとえば奈良、和歌山、こういったところは大阪あたりがあるから、そういった問題で、地域的に工学部を設置する場合に、ずっと大きな都市がないとか、あるいは工業地帯がないとか、これは私の推測ですからお聞きするのですが、そういった何か配慮というものがあるわけですか。
#57
○政府委員(村山松雄君) 学部をつくります際は、午前中にも申し上げましたように、当該学部に対する社会的な地域的な需要、それから当該地域における主観的な御希望、それから志願者や卒業生の状況、これは推測を含めましてそういうことを勘案して判断いたします。したがいまして工学部について申せば、工業地域等はそういう要望も出てまいりますし、したがって取り上げられることも多いと思います。なお、工業地域といいましても、大都市近接の地域ですと、交通の関係もあって、その県になくても少し足を伸ばせばある。たとえば奈良、和歌山などはそういう例になろうかと思います。あるいは滋賀もそういうことになろうかと思いますが、そういうことで工学部がない。それからこういうことも一応ございます。工学系の高等教育機関がほしい。そこで大学の学部を希望するか、あるいは先年来新設されております高等専門学校を希望するか、まず高等専門学校のほうを希望するというような傾向もございました。たとえば和歌山ですとか奈良ですとかそれから三重などには、高専のほうがまずもって置かれております。大分につきましても、高専はすでに設置済みでございます。秋田も同様でございます。三重などでは高専をまずつくってやってみたが、高専は高専としてけっこうであるが、工学部もその上にほしい、こういうことで三重県の工業地域であるというようなことも考慮いたしまして、今回設置することにいたしたわけであります。
#58
○安永英雄君 先ほども私言ったように、文部省のほうからこういう地域にこういう学部を置くべきだという方針で学部を設置される場合もあるし、あるいは地域の要望なり、あるいは当該の学校、大学から申請がある、こういう私は二種類があるというふうに午前中お話があったのですが、そういった場合に、工学部の問題は多少いま説明がございましたのでわかりますけれども、一般的にどういう基準でこの設置をきめていかれるのか。と申しますのは、資料を要求しておりますからこの点ちょっとないのでわかりかねますけれども、私は相当な数、各地域から学部の新設等は来ているだろうと思う。それについて審査をし、それをえり分けていくという形ですが、そういう過程の中で、どういう基準をもって、たとえば、今度ことしの場合には三重大学に工学部を設置する。先ほどの準備費じゃございませんけれども、秋田、大阪に医学部あるいは社会学部を置く。こういったのは、私の感じでは、何か優先順位といいますかね、そういったものがあるんじゃないか、何か基準があるんじゃないか。そういう基準についてお伺いしたいと思うんです。
#59
○政府委員(村山松雄君) 仰せの基準というのは、設置基準ではなくて、設置基準に合うであろうものをさらにしぼって取り上げる選別の基準だと思います。そういうことに了解いたしますと、選別基準として具体的にこういう項目をあげて書いたものというようなものはございませんので、文部省としては、毎年予算を処理する場合に内部的に協議いたしまして、個別的に見まして取り上げるわけでありますが、とは申しましても何ら基準なしに取り上げておるわけではございませんので、基準めいた事柄を申し上げますと、先ほど来申し上げておりますように、学部をつくりますには、一つは、客観的といいますか社会的といいますか、地域的な要請、これを考えます。たとえば、工業地域で工業技術者の需要が多くてそれに対する供給というのが不足であれば工学部といったようなものを考えるというのが一つの基準でございます。それからその次は、これは順序は前後いたしますが、大学として主観的な希望並びにその準備というものが必要だと考えております。客観的な要請はありましても、現在学部等をつくります場合は、その地域の国立大学においてそれを取り上げてつくりたいという主観的な希望並びに準備をすることが必要でございます。そこで、今度は、そういう希望があって、それに対する、たとえば教員の準備でありますとか、それから敷地の準備でありますとか、そういうことを考慮いたしまして、それからまた、今度は予算編成のワクというものがございますので、ワクの範囲内でそういう主観的、客観的な要請、希望の強いものから取り上げる。はなはだ粗漏でございますが、選別の基準といったものを説明しろということでございますと、大体そういう筋道で取り上げてまいります。結果的には予算のワクというのがかなり大きな制約になりまして、御希望があり文部省でも取り上げてもよかろうと思うものでも、必ずしも全部が実現を見るに至っておらないというのが実情でございます。
#60
○安永英雄君 どうも私まだすっきりしないんですが、たとえば、九州大学に行ってみたりどこの大学に行ってみましても、ようやく新学部が新設されたこの苦心談を聞きますと、相当な日時を要し、それから文部省に日参をし、いろいろやっておるけれども、そこでどういう基準になっておるのか。私もよくわからない。そこでいまおっしゃったように、地域の要請もあれば、産業の要請もあるでしょうし、あるいは予算のワク、こういったものもあると思いますけれども、一つの例を一応引いて、これがどうして新設にならないのか。具体的に聞いてみたいと思うのです。
 これはたまたま文部省のほうも一緒に行ったのですけれども、徳島県の教育視察に参りまして、ここで徳島大学のほうから陳情これつとめられた中で、徳島大学に歯学部を設置する要望を続けておる。こういうことであるわけです。そこでいろいろ理由をあげられておりますけれども、現在歯科の診療を受ける患者が全国的に急増しておることは間違いないのでありますが、歯のお医者さんの増加率は全国的に非常に低いわけです。昭和二十五年十二月末の医師数を一〇〇として、十六年後の四十一年の増加率は三一・四%、こういう率である。それから四国全般の歯科医の数は全国平均をはるかに下回っておる。全国平均では人口十万人当たり三六・四人ですが、四国地域では三〇・四人。それから次に強く主張されたのは、現在の歯科系の大学に在学する四国地域出身の大学生は二百七十名。ところが四国地域に歯科系の大学がないために、海を渡って他のところに遊学する。そして多額の学費を負担しておる。また大多数の歯科大の卒業生は大都市に定着をして、要するに四国に帰ってこない。で、ますます四国地域の歯科医の不足を来たしておる。これは詳しい数字をあげて説明がありました。さらに現在開業している歯科医の研修も、地元に大学がありませんから、結局そういう研修の場も、なかなか中心センターがありませんから、できない。さらに四国には歯科系の大学というものは一校もない。そこで地域的な要求、あるいは地域的な条件というものは、四国に一つの歯学部を設置することが望ましい。こういうことで、いまおっしゃった地域の要求というのが非常に強いことは間違いないし、また学校に行こうという生徒もずいぶんおるにかかわらず、出て行って、大都市の歯科大を卒業したら四国に帰らずにほとんど大都市のほうで開業をする。こういうことで、いよいよ歯科医の不足を来たしておる。これは四国全般についての署名等もずいぶんありました。それから医科に総合病院があるように歯科にも総合病院が必要であって、結局現在発達している歯学の関係からいけば、もう医科と歯科との境目というのはほとんどないような状態になっておって、ちょうど四国には、徳島には徳島大学の医科がありますが、そこにそういった総合的な研究組織をつくろうと思えばこれは非常に施設の上からも条件が整っている。こういうことで、いまおっしゃった条件の問題も、私もあすこに行きましたが、現在総合的に校舎等も建築途上にあって、いまならばこれは力を入れてもらえば歯科の学部は絶好の設置の時期ではないか。こんなふうに思ったわけです。全国的に歯科関係の学部というものを見ましてもブロック別に北海道にもあるし、東北にもあるし、関東、中部、近畿、中国、九州、これにはあって、ブロック別に考えたら四国だけが国立の学校の中に歯学部がない。こういうのも事実です。したがいまして、一つの例を出して、直ちに徳島の大学から頼まれたからここで促進しているわけじゃない。この徳島のいま申し上げた例を一応申し上げますので、これが現在まで実現しない――審査の上で欠格になるぞと、これだけの条件が整っておると私は見ておるわけですが、これができないという理由、これをちょっと説明してもらえば、ひとつの優先順位というもの、そういうものもわかろうかと思って実は出したわけです。これについてひとつ説明願いたい。
#61
○政府委員(村山松雄君) 歯学部増設の場合は、その障害となるものがいろいろございますが、最大の原因は有資格の教員の不足だということだろうと思います。と申しますのは、歯学の教育は戦前はすべて専門学校でございまして、大学ができたのは戦後でございます。しかも戦後大学になりましたものが、国立では東京医科歯科大学の歯学部と、それから少しおくれまして大阪大学の歯学部、この二つでございます。それから私立では日本大学の歯学部、それから東京歯科大学並びに日本歯科大学、少しおくれまして大阪の歯科大学、この程度しか大学がなかったわけでございます。それで戦後十数年やってまいったわけでありますが、歯科医師も不足である、歯学の教育も拡充しなければならないということになりまして、国立においてはここ数年来まず東北大学、新潟大学、広島大学に設置いたしました。それから続いて九州大学、北海道大学にも設置いたしました。それから私立でも神奈川歯科大学ですとか愛知学院ですとか、そういうところに増設がされておりますし、公立で北九州大学というのができております。そこで、僅々数年の間に歯学教育の規模は倍以上になったわけであります。この倍以上に拡大された新設の学部の教員というのは当然それ以前に既設であった大学、大学院等から供給されるわけでありまして、最近これだけ急激に歯学部の拡充が行なわれました結果、既設の医科歯科とか大阪とか、あるいは日大、日歯、東歯等におりました若手の有能なる人はほとんどこの新設の学部に行っておりまして、端的に言えば現在教員はかなり枯渇状態になっております。そういう状況でございますし、また歯学部は医学部に次ぐ単一の学科としては大規模で、付属病院も持つ施設でございますので、予算面の困難というものもほかの学部に比べればかなり大きいというようなことが原因となりまして、歯学部の増設というのは必要でありますけれども漸進的にやっていかなければならない。徳島にといいますか、四国地方に歯学部が必要であるという点については否定できないわけでありますが、これをいついかなる形で設置するかというようなことは、やはり徳島大学としても既設の学部の整備の問題もございますし、全体的に最初から申しております教員充足の問題もありますし、それからまた予算のワクもありますし、文部省としては前向きに漸進的に検討しておるというのが実情でございます。
#62
○安永英雄君 徳島大学の場合はいまおっしゃったように予算の問題を言われれば、これはワクがありましょうから問題ありますが、教員の充足という問題、これあたりは、こういった場合は地元が整えなければならぬ問題ですか。たとえば地元では歯学の関連学部として医学部、薬学部それから栄養学科、こういったものがあるし、施設、場所あるいは教官の協力条件、こういったものが整っておるというふうに言っておるわけです。で、文部省のほうで必要だということで学部を持っていく場合には、関連としてここで聞いておきますが、たとえば三重大学の教官、これは地元でそういった形でやり出したのか、その人選ですね、これはここで通らないと正式にはならないと思いますが、準備はしてあると思うんです。こういった場合、国立ですから地元のほうで需要だとか歯科の適当な教授がいないとかなんとかでなくて、これは両方とも協力してやっていかなければならぬ問題だと思うんですけれども、その点はどうですか。
#63
○政府委員(村山松雄君) 国立の新設の学部の教員の充足でございますが、これはいろいろな方法がございますが、一般的に申し上げますと、当該大学で学部設置のための準備の組織をつくりまして、学長が中心となりまして人選をいたします。そしてこれは教員組織だけじゃなしに、学部の設置計画全体につきまして文部省にお出し願いまして、予算の要求をするのと並行いたしまして大学設置審議会に付議をいたします。大学設置審議会に付議をすることは、法律的には公私立の大学を認可する場合の必要条件でありまして、国立につきましては必ずしも法律的に必要条件というふうには読めないわけでありますけれども、新制大学が発足以来公私立と全く内容的には同じ形で大学設置審議会に文部省から付議いたしまして、その教員組織を中心とした全体的な可否の判定を受けてこれで国立の学校設置法の改正案を予算措置と並びまして出すわけであります。それら大学設置審議会の最近の歯学部設置の審査状況などからの経験に徴しまして、歯学部について大学設置審議会の審査に十分パスする教員の確保ということはかなりむずかしい状況であるということがわかっております。そういう関係もございまして、歯学部の設置は必要ではあるけれども漸進的に進めてまいりたい。それから教員の確保ということは文部省が知らないわけではございませんで、当該大学と協力してやるわけでございますけれども、やはりまずもってイニシアチブをもって考えるのは当該大学でございまして、これに文部省が協力してまいる、こういうかっこうになります。普通には、たとえば三重大学の場合ですと、あそこの学長は前に名古屋大学の工学部長などをされた方であります。大体そういう学問的あるいは従来の勤務等の関係で主として関係を持ち世話を願う、先輩の大学との関連を持ちながら、また広く人材を求めて教員組織を構成するというのが例でございます。したがって、教員組織をつくることが不可能であるというようなことはとうてい申せないわけでありますけれども、歯学部に関しては決して容易でないということだけははっきり申せると思います。
#64
○安永英雄君 大学の設置基準あたりを見ますと、やはりわからないんですね。結局学部というものは、専攻によって教育研究上から組織されるものであって、学科目または講座の種類及び数、教員数その他が学部として適当な組織を持っているものでなければならない、ということで、「適当な組織」という表現を使われてあるし、あるいは学部の種類、こういうものは文学部とかあるいは法学部、経済学、商学、理学、医学、歯学あるいは工学、農学、この各部のその他の部として適当な規模内容がある、認められたものについてということで、これも適当な規模内容というふうな表現で使われておるわけです。そこで私はくどいようですけれども、やはり学部の設置などという問題については、いまもちょっとことばの中でありましたように、教授あたりはそれはもう当該学校がイニシアチブとって云々ということですけれども、少なくとも国立学校、これにはやっぱり文部省は責任持ってやらなきゃならぬ問題で、下から持ってきて陳情これつとめ、申請をし、そして拝み倒して、その地域の大学が全責任を持って、そうしてこの学部を育てていくというふうなことでは私はいけないと思うんですけれども、何かこういった問題ですっきりした方法というのは、考えがありましたらひとつお答え願いたいと思うんですが、いまのままでいかれますか。
#65
○政府委員(村山松雄君) おことばでございますけれども、国立大学の学部学科の設置について、陳情の回数などが関係するということは決してございません。文部省にまずもって予算として要求があり、それから学部の設置計画として計画を添えて御相談があり、冷静かつきわめて平穏に御説明があって、納得がいけばそれで進める素地ができるわけであります。あとはそれが設置基準に合うかとか、あるいは予算のワク内にはまるだろうかというような行政的な判断になるわけであります。しかし、事が学部学科の設置でありますから、やはり大学がイニシアチブをとって文部省が協力するという形が望ましいと思います。もっともこれは既設の場合じゃなくて新設の場合でございますので、文部省がお世話する度合いが既設の大学学部の運営よりは強いということはあり得ると思います。その辺、どこら辺の限度が適当であるかにつきましては、事柄と場合によりましてよく考えまして、できるだけの協力体制をもって臨みたいと思います。
#66
○安永英雄君 私は別に文部省のほうで陳情の数を数えたり、それから接待を受けたからといって順番が差しかえられるような、そういうことは毛頭考えておりませんけれども、それにしましてもあまりにやっぱり散漫じゃないかと思いますのが、将来の日本の産業なり、そういったことを予測しながら、あるいは生活様式の変化、あるいは科学の進歩、国民生活も複雑になっていく、こういったことをある程度見通しを立てて、そして地域的にも種別的にも、こことここには、そしてこれだけの人間はぜひ必要なんだ、だからこういうところに、こういう設置をするんだという方式に一日も早く戻らないといけないということなんで、別に文部省を疑っているわけじゃないんですが、そういう計画というのは、たとえば高等学校のことしの生徒が何人出てくる、十年先には何人出てくる、そういうのが将来どういうふうに必要なんだ、こういったある程度の計画を持たれてあるところでは削るところがあるかもしれません、あるときは増していく、こういう計画も立てなきゃならぬと思うんですが、そういう将来の展望について大臣のほうでお考えがあればひとつ。
#67
○国務大臣(坂田道太君) 先ほどお答えいたしましたことはまさにそのことなんでして、これから文部省としてもこういう点を反省すべきじゃなかろうかということで、ことに世の中がこういうふうに変化をし、進歩をしてまいるわけでございますし、それに対応するところの大学というものはどうあるべきかということがいま問われているわけでありますが、単に個々の大学のあるべき姿ということだけではなくて、日本列島にどういうふうに大学というものを設置していったらいいか。あるいは高等教育機関に学ぶ人口というものはどの程度に考えたらいいか。あるいはまたその大学の種類というものはどういうふうな大学に分けられるべきかという課題がまさにいま中教審で指摘をされておる問題点でございます。この問題点については六月以降の大学問題特別委員会において検討をせられる問題である。また同時にわれわれといたしましても中教審にお願いをいたしますと同時に、文部省といたしましても本年度にはそういうような大まかな一つのビジョン、大綱、大学問題に対する大綱、あるいは長期的な展望というものを出さなければならないというふうに責任を実は感じておるわけでございまして、先生の御指摘のことをただいまから始めようとしておると、従来はその点についてはやっぱり反省すべきところが非常に多いということをけさも申し上げたわけでございますが、またあらためて午後も申し上げましたわけでございます。
#68
○安永英雄君 次の機会に質問をしたいと思っておりましたが、先ほどちょっと聞き落しておりました点で、四十三年のこの大学に対する予算の積算では研究教育費と管理費、設備費、これのパーセンテージ、どんなふうに予算の中でなっておりますか。一緒ですが、四十三年と、こう言ったのはですね、こういう意味です。四十三年の結果を見てですね、この積算の基礎ではある程度のパーセンテージ、割合を出されておりましょうが、その結果ですね、大学で使われた、この予算を使用された場合に、このパーセンテージは確かに変わってくると私は思います。変わるのもまた当然だと思います。大学のほうで裁量相当ありますから。その変化ぐあいちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#69
○政府委員(村山松雄君) 四十三年度の国立学校特別会計で、大まかに人件費と物件費と分けますと、全体で二千五百億でありますが、人件費が千八十五億、四三・三%に当たります。それから物件費が千四百十八億、五六・七%になります。この人件費、物件費の割合は、ここ数年まあほぼこういう状況でありまして、まあ人件費に比べて物件費のほうがやや多いというかっこうになっております。で、人件費につきましては法令によって別に弾力性なく使われるわけでありますが、物件費につきましては、積算としては教員一人当たり幾らとか、あるいは学生一人当たり幾らとかというぐあいに積算されましたものを、まあ積算基礎に応じて大学に配賦いたします。大学ではその大学としての自主計画を立てて使用いたします。それから、まあ物件費の中で臨時的なもの、たとえば建物のための施設費でありますとか、あるいは設備購入のための費用といったようなものは、それぞれまた予算のワクの中で具体的に大学としてまあどういう建物を建てたいという御要求を願って、それによって査定をして配当する、こういう形をとっております。したがいまして、最終の使用結果というのはまあ決算に出てまいるわけであります。
#70
○安永英雄君 予算の面については次の機会に質問さしていただいて、最後に、先ほどちょっと質問をいたしたのですけれども、この三重大学の一応の編成ですね、この学部を設置された。その中の人事問題ですね。こういうような新設をされたときに、その人事の問題ですね。実際の配置は設置基準の中にありますからわかりますが、どんな基準できめられるのですか。ここはいま農学部があって、それだけですね。
#71
○政府委員(村山松雄君) 農学部と教育学部です。
#72
○安永英雄君 それに新しく今度できた場合の人選、いわゆる職員組織、こういったものをどうつくり上げるか、基準をひとつ。
#73
○政府委員(村山松雄君) 三重大学の学部はとりあえず機械工学科と電気工学科の二学科で発足いたします。工学部は通例五学科ないしそれ以上でございますので、将来は漸次この二学科の完成に引き続きまして、あるいは後期からでも学科が増設されていくと思います。
 とりあえず二学科について申し上げますと、基準といたしまして、一学科当たり教授四人、助教授四人、助手四人ということになりますので、二学科あってその二倍、それに相当する事務職員がつきます。それからなお工学部創設によりまして一般教育というのがふえますので、一般教育につきましては、入学定員二十名に一人の割合で増員が行なわれます。この増員の分は、これは四年間を通じて予算が計上されます。
 で、どれだけをつけていくかということにつきましては、ことしの七月ごろ標準予算という形で大蔵省から一応の計画が示されますが、大体工学部の人員としては、いま申しましたような数が計上されるのが例でございますので、別段過不足はなかろうかと存じます。
 そこで大学としては、これは大学設置審議会に付議する関係がございますので、経験的に予想される全体の定数について一応予定の教員、これは助教授以上で助手は含みませんが、教授と助教授につきましては、予定の人員をリストアップして大学設置審議会の審査を受けるわけであります。リストアップするためには教員になるべき人と内交渉をしなければなりませんが、それについては、先ほど申し上げましたように、学長を中心として工学部創設のための準備組織が大学にできて、リストアップをし、それから本人と交渉して内諾をとって一応内定するわけでございます。
 そこで予算定員の配当は、四年間にわたって漸次学年進行でつけてまいりますので、具体的な任用行為は、一応予定した四年分の教員について毎年予算に計上される定員法で認められた数だけを任用してまいることになります。それが所要の教員定員の形状並びに実際の選考、任用の大ざっぱな段取りでございます。
#74
○安永英雄君 私の聞きたかったのはそういったことじゃなくて、だれそれの何という教授がどういった形で決定をされていくのかということを聞きたかったわけです。これは次のときにまたあれしますから、これで一応やめます。
#75
○委員長(久保勘一君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
 ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#76
○委員長(久保勘一君) 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
#77
○委員長(久保勘一君) 国立及び公立の学校の教員に対する研修手当の支給に関する法律案を議題といたします。
 本法案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 政府側から、宮地初等中等教育局長、岩田財務課長、以上の方々が出席いたしております。
 質疑の申し出がございますので、これを許します。楠君。
#78
○楠正俊君 最初に文部省にお伺いしますけれども、文部省が教育研修のために行なっております講習会の開催とか、それから教育研究団体に対する補助金、ことしもこれは一億八千六百万円ですか、出ておりますが、それから教育会館、それから各県にあります教育研修センターの設立というようなことで、教育研修に対して文部省がとっております努力というものは一応認めるといたしましても、そういった施設とか研究、講習会といったようなものは、一部の教員が利用するだけで、教員一人々々の自己研修、例の教育公務員特例法に「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」とありますように、教員一人一人が自己研修を促進していくといった面ではまだ不十分だという批判もあるのですけれども、その点につきまして文部省はどのようにお考えになっておられるか、その点を簡潔に御説明願いたい。
#79
○政府委員(宮地茂君) 教育公務員が職務の特殊性にかんがみまして、とりわけ研修が必要であるということは言うまでもないことでございますし、また御指摘のように、教育公務員特例法にも、その研修について当人はもちろん国なり地方公共団体でもそういう研修の機会を与えるべきであるということも規定されております。文部省といたしましてはそういう趣旨にかんがみまして、いろいろな研修に必要な教材なり図書の購入とか、その他研修を含めましての旅費関係とか、先ほど来御指摘のような研修センターもございますし、また各種の講習会等を行なっております。これを教諭一人当たりにいたしますると、これは予算参照表の上からはじかれる数字でございますが、国がそういう措置をし、都道府県はまた都道府県管内の教員に各種の講習会等をやるというようなことで総数を出してみますと、五十数万人に年間割り計算にはなるわけでございます。でございますので、教員一人が一年に一回というのにはちょっと足りませんけれども、ほぼそれに近いといったように言えるだけのものはいたしております。ただ御指摘のように、教員一人一人が、そういう文部省が主催し、あるいは都道府県が主催し、あるいは学校の施設設備を整備する、機械器具を整えるということでなくて、個人個人にたとえば研修手当のようなものが出されるといったような措置につきましては、御指摘のように、出しておりません。ただ、それを各人に給与の一部とも目されるようなそういうものを平等に出すということも、これは研修を進める上において一つの考え方であろうかと確かに考えますが、ただ今日の現行給与制度のたてまえからいたしましても、はたしてそういうことが適当であるかどうかということを慎重に検討する必要もありますし、また高等学校以下の先生でなくて大学の先生にも、大学というところは学校の性格上から教育と並んで研究を必要とするものでございますが、現在のたてまえでは、大学の先生に対しましても個人に研究費なり研究手当といったものがまんべんなく各人に渡るような、そういう措置は講じておらないのが実情でございます。たとえば大学などで教官研究費と俗称されるもの、あれも教官公費でございますし、またこれは個人に渡るのではなくて、積算上一人幾らということですが、学校にその経費はいくものでございますし、また私立なり公立の学校に研究設備費の補助もいたしておりますし、これも学校にそういう研究設備を備えつけるものでございます。そういうことで、個人にいきますものとしては大学関係では科学研究費がございます。特に高等学校以下の先生につきましては奨励研究費、これはAとBに分かれておりますが、特にBという項目の中で大体四十三年度千二百五十万円、四十三年度千六百万円というふうにふえてきておりますが、そういった個々の研究テーマに応じて個々人に奨励上やるのが適当であろうという考え方に立ちましていままでやっておるところでございます。
#80
○楠正俊君 次に、提案者の見解をお伺いしたいのですが、研修手当はこの案では直接教員に手渡すということになっておりますが、これはいろいろ問題があって、批判もあるわけでございますが、教育長協議会では、直接教員に手渡すのじゃなくて学校に支給するほうがいいじゃないかという要望が出ておるわけです。そのほうがどうも合理的であるというような意見も多くあるわけで、その点につきまして本案では教員に渡すというようになっておりますが、その点についてどうでございましょうか。
#81
○鈴木力君 ただいまの答えは、先ほどの文部省の初中局長のお答えに対する意見もあわせるとちょうど答えになると、こう思います。
 個人に手渡すことがいろいろ問題がある、御批判があるということは承知をしておるのですが、問題はこの教員の研修はどういう形の研修が大事かということが基本だと思うのです。で、私が提案申し上げました場合には、提案理由でも御説明申し上げましたように、教師の主体的な研修を行政側が助長してやるということが一番大事なことなんでありまして、いまの教員の研修につきましては、先ほど局長の御答弁にもありましたように、もう五十数万人が参加をするような研修の機会が確かにある。しかし、それはテーマが、官製というとことばが悪いのですけれども、行政側から与えられたテーマに従って下に研修がおりていくという研修なんでありまして、これではほんとうにいまの教育制度の中にある教師の主体的な研修が伸びるという考え方を私どもはとっておらない。もっと教師が自分でテーマを選んで自分がそれの研究に入り込んでいく、それをどの教師もがやらざるを得ないような教育の現場をつくるということにこの手当の意義があると、私は考えておるわけであります。
 それからもう一つは、教育長協議会で、いま御質問で申されたような学校に配分をすべきであるという御意見なのでありますけれども、実はこれなんかにつきましても、一つの考え方として私も認めるのでありますが、学校といういまの機構が、やっぱり教師の自主的な研究を保障するというような現場ではなくなりつつある、先ほど申し上げましたように、中央からこう系統的におりてくるというテーマに追われるような研修にこの費用が使われるとすると、提案の趣旨とはだいぶ違うということであります。
 それからもう一つの側面から、給与ということで、現行給与制度上から適当かどうか問題がある、こういう御批判があることも承知をしておるのであります。しかし現行給与制度を見ますと、現行給与制度そのものが教師に対する給与制度として適当かどうかということ、あるいは教師に現行給与制度の趣旨が生かされておるかどうかという議論を先にしなければいけない。たとえばいまの教育職の給与は一般職の職員の給与に関する法律によって規定をされておる。この第四条によりますと「各職員の受ける俸給は、その職務の複雑、困難及び責任の度に基き、且つ、勤労の強度、勤務時間、勤労環境その他の勤務条件を考慮したものでなければならない」これが給与の基本的な考え方なのであります。これを教育職に適用しようといたしますと、学級担任なり、学校教課担任なりのことを考えてみれば、新しく教師になった教師と、三十年くらい勤務した教師といまのこの各職員の受ける俸給のこの条件の度合いの差というのはないはずなんです。同じ学級担任であれば同じ条件で勤務をしておるわけでありますから、そうするとその給与はそれを相当考慮しなければいけないことになっておる。しかし、実際は一般職の給与制度が適用されておるのでありますから、一般職が基本になりまして、責任の度合いが職制によって変わっていく、この階段状の給与体系が適用されておる。ここにいまの給与制度が教師に適用されない大きな矛盾があるわけです。こういう矛盾を研究が必要であるという教師の職務の点から考えてまいりますと、これは給与上の問題があるのではなくて、給与の制度を教師に適用するこの矛盾を埋めるという役割りを果たすと思うのであります。そういう二つの考え方から、一人当たり手当として支給をする、しかも個人個人に支給をするという意味の研修の主体的条件の確立、その二つの点をねらったものであります。
#82
○楠正俊君 もう一回文部省にお伺いしますけれども、いま鈴木委員の御説明にありましたように、中央から御仕着せテーマとして天下りしてくるというような御説明でございましたが、その教師の主体的なテーマの選択といったようなことがないというように伺えたのですが、その点テーマの選択そういうようなテーマがどういうようなところでどういう手続によってできるのか、その点について御説明願いたい。
#83
○政府委員(宮地茂君) 確かに文部省が予算を組み、文部省の主催でやり、あるいはそれを委託、委任をし、あるいは補助の形をとりましょうとも、仰せられますように、文部省として適当であると思わないものには金が行ってないというのは事実だと思います。したがいましてそれをお仕着せという意味でおっしゃられれば、確かにそういうことも言い得ようかと思います。しかしながら内容といたしましては、教育課程の研修会、あるいは校長、教頭の研修会こういうものは一応のワクをつくりますが、これは長年やっておることでもございますし、こういう講習会が済みますれば受講者のエバリュエーション、講習会に対して受講者がエバリュエートする、そういった感想も出さしておりますし、そういうことも勘案して一応主催者であり補助者であるという形はとりますものの、内容的には相当参加者の意向はくみ取られておるというふうに考えます。また各教科につきましても、たとえば生徒指導だとか、同和問題だとか、道徳だとかいったようなところでは相互にこれはディスカッションも行なわれることでございまして、たとえば学習指導要領の趣旨徹底会議のようなものは、こういう意図でこういうふうに学習指導要領は直すことにしましたということですから、ある程度こちらの考えが出ますけれども、その他のものにおきましてはこういうふうにやりなさいといったようなことよりも、この問題をどのように考えていくかといったような形の運営が相当なされていると思います。また、養護教諭、司書教諭、幼稚園等、これももちろん資格賦与講習会をやりますが、これは法律に定められております単位をとる必要がありますから、単位に即して講習が行なわれる、受講生も、これは文部省でそういう形をとりますが、受講生としてはその単位を自分はほしいんだということで所定の講習に来るわけでございますので、まあいろいろ御意見はございましょうが、完全にたとえば一人の教師が自分は理科なら理科で、植物の自然観察でこういうテーマの研究をしたいというときに、自由にというものが比較的こういう講習会にございませんが、たとえばそれも内地留学といったようなものでは、大体本人のテーマを中心にいたしまして大学等でまあ特定の先生を中心に勉強していくという方法もございまして、今後一そうこれらの研修会、講習会を充実整備することによりまして、御本人のいろんなその研究テーマもかなえられるようになっていくんではないだろうかというふうな感じを持っております。そういう意味で、今後とも私どもとしましてはこの教員の研修のための研修会、講習会等は大いに充実整備する必要がある。今日で決してこれが理想であり満足すべきものというふうには考えておりません。
#84
○楠正俊君 提案者にお聞きしますけれども、先ほどの研修費の支給の問題に関連しまして、外国では研修費をどういうようにやっておるか、その制度をもしお調べがございましたら教えていただきたいと思います。
#85
○鈴木力君 いまの御質問に入る前に、先ほどの私の申し上げました趣旨について若干もう少し説明をさしていただきたいのであります。
 私どもでこういう例を知っているのであります。これは行政側が主催する研修会でありますけれども、授業を例にとってやる研修会、これは北海道に現実にあった問題です。僻地教育の研究会を教育委員会が主催をしてやる。ある学校のある教師がその研修会で研究をする授業をおやりになったわけなんです。ところがその授業の計画と教授案が指導主事によって、これは模範授業としては適当じゃないというので、朱筆を入れられ、書きかえられたと。そこでその教師は人のつくった授業案では私は授業ができませんという問題が起こったのであります。こういうような形で、行政の場でやる研修会というのは、その他の例もあげるとだいぶ時間がかかるぐらい知っているんでありますけれども、それ以上は申し上げません。そういう形で現場の研修がいま研修と称して行なわれているということに対しましては、教師はやっぱり自分の望む研修をほんとうに望んでいるということなんであります。そうして自分がやりたい研究をほんとうに望んでおり、それをやらせるということが、いまの教育にもう少し生き生きとした、枯木、枯草みたいな教育の現場からもう少し生き生きとした青葉のあるような現場に、潤いのある現場に、活動力のある現場に切りかえていかなくちゃいけない、そういう趣旨であります。
 それからもう一つの例を申し上げますと、これは東北の養護教諭の人たちが集まって勉強会をやろうといたしました。これはやりましたけれども、ところがある県の養護教諭の人たちは、主催者に教育委員会が入っていないからというので、もちろん出張扱いはされません、休暇も与えられないで戻されたという例がある。こういうような形の研修がいま表を通っておりますとほんとうの研修の趣旨をなさないということをひとつ御報告申し上げて、提案の私の趣旨の一つの例にさしていただきたいと思います。
 それから内地留学の例も出ましたが、これは定数法でも御承知のとおり、こういう制度が何人の教師にいま適用されておるのか、大体もう内地留学というのはほんのわずかの教師にしか機会が与えられていない、そういう意味であります。
 それからいま御質問にありました外国の例というのは、実は私はこういう教育職員の研修に対する制度といいますか、仕組みと、いまの研修手当というのが直接関連しておると、こう思うんでありますが、まあ手当の名前でちょっと申しますと、たとえばイギリスでは職責手当というのが見えております。その他の手当もありますけれども、これはどうも直接研修とは結びつかないと思いますが、職責手当というのはやっぱり教師としての職責の中に研究部門がある。あるいは教師としての主体的な責任部分がある。それに対する手当であると見るのが正しいのではないだろうか。それからフランスには教職担当特別手当というのがあるようであります。その他ベルギーなんかですと、専門資格所有手当という、教師の専門資格の所有に対する特別の手当がある、こういう形でやっておるようでありますけれども、これらの手当だけでもちろん論ずるわけにはいかないと思いますが、主体的な研修の場が与えられている。それと一緒に考えるべきものと思うのであります。
#86
○委員長(久保勘一君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#87
○委員長(久保勘一君) へき地教育振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本法案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 政府側から宮地初等中等教育局長、岩田財務課長、以上の方々が出席いたしております。
 質疑の申し出がございますので、これを許します。楠君。
#88
○楠正俊君 最初に文部省にお伺いいたしますけれども、この僻地の級別指定基準ですね、これは三十四年にできて三十七年に改正されて、それから交通機関の発達とか、道路の発達、そういったようなものから考えまして、非常にもう実情に即しておらないという声をしばしば現地で私聞いておるんですけれども、この暫定一級地の措置とあわせまして当然改正されなければいかぬのじゃないかと考えますが、文部省のお考えをお伺いいたします。
#89
○政府委員(宮地茂君) 現在の僻地学校の級別指定基準につきましては、いま御指摘のとおりでございまして、昭和三十四年に制定されてすでに十年も経過いたしております。ところで、この指定基準の根幹をなしますものは道路交通事情といったようなそういうことが相当要件になっているわけですが、そういうものが、世の中の交通事情の発達、産業の発達、いろいろな世の中の変化によりまして、十年前のそういう観点からやりました現行基準がはたして実態に即応しておるかどうか。こういうことと同時に、その当時僻地学校として指定された、各級別に指定されたものの間のバランスがやはり同じように保たれておるかどうかといったような点につきまして、私どもも、御指摘のように、必ずしもこれはそのようになっていないということを率直に認めたいと思っております。そういうことでございますので、こういうことに関連いたしましていろいろ僻地基準の再検討の要望も強うございますし、私どももそのように感じておる次第でございます。したがいまして、文部省としては、当面の措置として、暫定一級の指定期間が四十三年三月末でありましたのを、その後二年延長して、現在、四十五年三月末までというふうにいたしておりますが、そういう問題も含めまして、現在この指定基準につきまして根本的な検討作業を具体的に進めております。したがいまして、すみやかにその成案を得まして、今日までのことを十分反省し、将来のことも考えまして改正案を早急につくりたい、こういうふうに考えております。
#90
○楠正俊君 今度は提案者にお聞きしますけれども、いままでの級別指定基準を定める場合には市町村財政といったものを考慮しないで基準が定められておりますが、この案を拝見いたしますと、その市町村財政の状況を考慮するという形をとっておりますが、その点についてその理由を御説明願います。
#91
○鈴木力君 理案提由の御説明のときにも申し上げましたように、この僻地の市町村の財政力というのがきわめて貧弱である。昭和四十一年度の調査でありますけれども、僻地をかかえておる市町村数が千五百九十八市町村、そのうち財政力指数の二〇%未満が四百一団体もある。それから二〇%から四〇%未満というのが七百八十六団体ある。まあ七四%以上の市町村が、この財政力指数からいいますと四〇%以下になっておる。でありますから、この僻地教育の振興という側面から特に教育施設設備の充実等を考慮いたしました場合、どうしてもこの市町村の財政力というものを一つの基準に引き上げてやる、そうしていま申し上げましたような貧弱な教育環境を改善させてやるということがぜひとも必要である。これはもう貧弱というよりも、現実に僻地というのは財政力が非常に弱い、そういう面を取り上げることが一つの要素として重要である、こういう立場でございます。
#92
○楠正俊君 この僻地手当の支給率を引き上げましても若い給料の少ない人はたいしてその影響を受けないというところから、この最低保障額というのを設けておられますが、これはなかなか私もいいと思うのですが、このあたりのことをいま少しく詳しく説明していただきたいのです。
#93
○鈴木力君 これも御説明申し上げましたように、いまの給与体系ですと若い職員がどうしてもこの僻地の勤務を、まあ魅力を持たないというのは大部分かもしれませんが、逃げるというような、落ちついて教育をしないというような空気が非常にあります。そこで私どもは、いまの給与をずっと検討いたしまして、少なくとも、二等級で言いますと、大学を出てから五年経験の職員がちょうど三万五千五百円にいまなるわけであります。それから三等級でいきますと、これは中間値でありますけれども、三万五千四百円、まあ三等級は数が少ないと思いますが、せめて大学卒から経験年数五年くらいのところがやっぱり最低基準として押えられて僻地に行くべきである、そういう意味での最低保障額というものをとったわけであります。
#94
○内田善利君 同法案につきまして一、二質問したいと思いますが、まず提案者に質問いたしますけれども、僻地の定義が変わっておるようですが、「交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない山間地、離島その他の地域に所在する公立の小学校及び中学校をいう。」というのが、今回は、「交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれず、他の地域に比較して住民の生活文化水準が著しく低い山間地、離島」云々と、このように変わっておりますが、これによってどのように僻地が変わるのか。要すれば、僻地学校はどのように変わってくるか。この辺についてお伺いしたいと思います。
#95
○鈴木力君 こういう考え方であります。従来僻地の条件が固定されておる。そういたしますと、社会の進歩に伴って、たとえばバスの回数でありますというと、僻地の指定基準の中で何級地になったと、そう指定をされて十年ほどたちますと、バスがずっとふえてまいりますれば、指定基準が下がる。絶対的にその地域だけを見ますと、僻地性というのがだんだん解消されたという形になると思うのであります。しかし実際から言いますというと、やはりそういう社会的な文化的な進歩の度合いというものは、ますます平地のほう、いわば都会のほうが進歩の度合いが幅が大きくて、やっぱり僻地のほうは少ないわけでありますから、相対的に見ますと、逆にこの僻地と僻地でない地域の格差というのは開いているのではないか、そういう見方から、相対的に見るという見方をぜひ取り入れたいということであります。
 それからもう一つは、この文化という問題、文化というのは議論すると長くなると思いますからやめますけれども、教師にとって、やっぱり文化的な環境がどうなっておるのかということがこれはもう非常に大きな要素になっておるわけでありまして、そういう意味合いから、いろいろな基準を設けながら、相対的に低いところを、基準を決定をいたします場合の大きな要素といたしたい。こういうことであります。でありますから、かりにバスが、従来交通というものを主にして見てまいりまして、かりにバスの回数が、ダイヤが二、三本ふえたとしても、逆に僻地の級地が上がるということさえ考え得る。そういうような僻地対策が必要であるというふうに考えて、この点を提案を申し上げているわけであります。
#96
○内田善利君 文部省当局に御質問しますが、通学補助金の問題ですけれども、これは学校の統合などによって遠距離通学をしいられる児童生徒ですけれども、これは国が一部負担をしているわけですが、小学校、中学校、小学校は四キロ以上、中学校は六キロ以上、このようになっておりますが、学校は統合されたため、いままでは近所の学校に行っていたのが四キロ以上の学校に行くようになった場合に、四キロ以上が支給されることによって父兄負担は無料だ。ところが四キロまではどうなっているのか、その点をお聞きしたいと思います。
#97
○政府委員(宮地茂君) これは小学校でございますと、四キロ以上のところに学校があって、そこに通学します場合に、当該市町村は通学費の補助をするというふうに当該市町村できめますれば、その半額を国が見るということでございます。で、一応基準を設けましたのは、やはりせいぜい二キロや三キロなら歩いてもいけますし、ともかく一キロであってもかってにバスに乗って行くんだということで、その経費を見るということも公正の原則にも反しますし、また子供の教育上、健康上、わずかな距離のところを無理にバスに乗るよりも、健康上、教育上歩いて通学してもよろしいといったような観点から、一応の基準として小学校、中学校を四キロ、六キロといった基準を設けておるわけでございます。
#98
○内田善利君 私が質問しているのは、たとえばいまの学校、自分のうちから学校まで八キロあるその場合に、四キロ以上の、たとえばスクールバスでもいいですが、バスに乗って行く場合に、八キロの学校に行く場合に、四キロから先の費用を支払ってもらう。ところがあと四キロまで自分が負担しなきゃならない、こういう場合はどうなんです。
#99
○政府委員(宮地茂君) そういうことをときどき聞きまして私ども驚くんですが、これは、その当該町村が財政上の問題もあって、通学費は出す。しかし、四キロまでは出ないことになっておるんだから、それ以上の分だといったようなことで計算するんだと思いますが、これ考えてみますと、そういう理屈も成り立ちましょうけれども、私どもが考えております趣旨はそういうことじゃございませんで、五キロありますれば、四キロ引いた一キロ分だけじゃなくて自宅から五キロの通学費を払われるべきであろう。そうすれば、国はその二分の一ということでございます。しかし、たてまえ上、当該公共団体の申します二分の一ということになっておりますから、不合理とは思いますが、たとえばいま先生がおっしゃいました六キロなら六キロ、その場合に四キロ分を引いた残りの二キロだけにしか当該市町村が出していないものは、やはりそれの半分の経費ということにならざるを得ないわけでございます。でございますので、文部省の趣旨としましては、そういったような計算をすることを奨励をしておるわけでもございませんし、むしろそれはおかしいではなかろうかという気持ちは持っておるわけです。
#100
○内田善利君 そういうところがあるようですから、そういった点指導よろしくお願いしたいと思います。
 それから提案者に最後に第四点の、「市町村が行なう事務に要する経費のうち国の補助率を現行の二分の一から十分の八に引き上げております。」と、この根拠をお伺いしたいと思います。
#101
○鈴木力君 これもさっき申し上げましたとおり財政力を指定基準の一つの基準にする、要素にするということを申し上げたのですけれども、そういう実情から、いまの二分の一では、補助金が二分の一でありますというと、市町村それ自体がこの僻地教育振興の事務をやっていく能力がないと言わなければいけない。そういう意味から、少なくともこの十分の八全部補助という法律はあまり例がないわけでありますから、補助とすれば相当高い率というところで十分の八という数字を出したわけでございます。
#102
○委員長(久保勘一君) 本案に対する本日の質疑は、この程度にいたします。
 ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#103
○委員長(久保勘一君) 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
#104
○委員長(久保勘一君) 教育、文化及び学術に関する調査を議題といたします。
 政府側から坂田文部大臣、宮地初等中等教育局長、別府地方課長、以上の方々が出席いたしております。
 本件について質疑の申し出がございますのでこれを許します。小林君。
#105
○小林武君 前回、判決書について、大体中心になる問題については質疑をかわしましたが、その際申し上げましたように、今回の場合は直接教職員に関係の深い行政処分、懲戒処分についてお尋ねをしたいわけです。その前に若干、やはり根拠が判決書でございますから、多少くどいようでございますけれども、前提になる問題と考えられるものについてお尋ねをするわけでありますが、この答弁は初中局長にお願いをいたします。これをお持ちでございますかな、この判決書を。このページ数が合うかどうかわかりませんけれども、私のやつは裁判所側のやつをそのままあれしたものですけれども、七ページですね。こういうことが書いてあるわけです。読みますれば大体すぐわかると思いますが「「公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」とする憲法十五条を根拠として、公務員に対して右の労働基本権をすべて否定するようなことが許されないことは当然である」こういうことについては、これは御異議がないものだと思いますが、しかし、この判決の出るまでは、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者でないとする憲法十五条を根拠とするあらゆるものが、これは争議権というような労働基本権というものは否定されておったということは御存じだろうと思うのです。これの最高裁の判決というのが、昭和二十八年ですかあって、それに準拠してやられておったと思うのですが、その点については文部省はそういう立場でいままでやっておったんでしょうね。
#106
○政府委員(宮地茂君) いまのいろいろ意見のあるところでございますし、また受け取りようによって、そうではないといってもそうであったではないかと言われるような多少あいまいな点があったのは私も事実だろうと思います。しかしながら、この憲法十五条を根拠として云々と、いま小林先生がお読みになりました七ページのこの点については、私どもとしては異論がないということを、数回にわたって大臣も私も申し上げておるところでございます。
#107
○小林武君 判決が出たから、文部省はこの最高裁の判決に異議があるといったところでしようがない。それを認めるのは当然です。
 そこで、その以前です。その以前に、いわゆる先ほど言ったように、最高裁の判決によっても、憲法十五条の根拠によって国家公務員並びに地方公務員というものは一切の争議行為というようなものが違法であるという措置がとられておったことは、これは文部省としてそうであったとおっしゃるでしょう。そうでないですか。いやいやそんなものも初めから考えておらなかったというなら、そういうお答えでもけっこうです。
#108
○政府委員(宮地茂君) 地方公務員法の三十七条ですか、あの規定による争議行為については違法である。ただ争議行為と認めるかどうかというのは、これは従来から十分解釈してやっておったと思います。一分一秒たりともといったようなことでなくて、実態を見てやっておったと思います。その辺が多少先生のおっしゃるお気持ちがどういうお気持ちかよくわからないのですけれども、違法な争議行為はしてはいけないということを言っておったのが事実でございます。
#109
○小林武君 これは別に私の個人的意見を言っておるのでない。だから私の言っておるのが間違いがあれば、そういう最高裁の判決がなかったということになればこれは別です。しかし私の聞きかじってきたあれによると――何しろ私も法律についてはしろうとですから……。最高裁の昭和二十八年の判決は、いわゆる憲法十五条によって争議権というものは認められないで、争議行為の一切は違法として処分されてきた、こういうように私は覚えているが、文部省はこんなことをてんで頭の中にない、こういうことになるとこれはおかしいと思うがどうですか。
#110
○委員長(久保勘一君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#111
○委員長(久保勘一君) 速記を起こしてください。
#112
○説明員(別府哲君) 二十八年の最高裁判所の判決の骨子となりますのは、公務員は全体の奉仕者である、その全体の奉仕者ということを理由といたしまして、公務員の労働基本権が制限されるのはやむを得ないことであるということが二十八年の最高裁判所の判決の一番の要点であった、このように記憶をいたしておるわけでございます。したがって、そのような考え方を基礎にいたしまして、公務員のこのような争議行為等について、そのつど組合の計画をする争議行為についての教育委員会としての対処のしかた等指導をしてきたというのが従来の実態であろうかと存じます。
#113
○小林武君 たいへんすっきりとわかりました。
 そこで、先ほどのあれをもう一ぺん申し上げますと、今度の判決によっては「憲法十五条を根拠として、公務員に対して右の労働基本権をすべて否定するようなことが許されないことは当然である」という、こういうこの判決が出ているので、ここで違いが出たということを私は確認したかった。初中局長さんはその点については、この判決書のあれはそのとおりであると答えましたと、こうおっしゃっておる。
 そこで、次に御質問いたしますのは、九ページの「地公法三七条および六一条四号が違憲であるかどうかの問題は、右の基準に照らし、」前にいろいろありますけれどもそれは省略いたしまして、「ことに、労働基本権の制限違反に伴う法律効果、すなわち、違反者に対して課せられる不利益については、必要な限度をこえないように十分な配慮がなされなければならず、」云々とある。この法律効果の中に、いまから言うことは今度はわれわれは判決後のことを言っているのですからね。それを御理解いただいて、法律効果には懲戒処分を含まれていると考えておいでですか、どうか。これは初中局長でけっこうです。
#114
○政府委員(宮地茂君) いまおっしゃる労働基本権の制限違反に伴う法律効果の中には、行政処分は含まれると考えます。
#115
○小林武君 そうすると、この法律効果、すなわち、違反者に対して課せられる不利益については、必要な限度をこえないよう十分な配慮がなされなければならない、ということがこれは明らかになったわけでございますから、次に進みたいと思いますが、そうすると、次に、地公法三十七条一項同盟罷業、怠業その他の争議行為またはここに書いてありますね、云々。怠業的行為、そういうもののすべての行為が違法だというものではないとこの判決書の中に書いてあると私は読んでいるのですが、その点はどうでしょうか。
#116
○委員長(久保勘一君) 速記をちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#117
○委員長(久保勘一君) 速記を起こして。
#118
○政府委員(宮地茂君) これは判決にありますとおり、先生がページ数でおあげになりました九ページの終わりの「職員は」というところから一〇ページの四行目の「若しくはあおってはならない」とあります。それを文字どおりやったら、文字どおりに解しては違憲の疑いがありますよということを判決でいっておられるので、私どももそのとおりであろうというふうに考えております。
#119
○小林武君 そこで、そこをそういうふうに言ってしまうと具体性がなくなるのであなたに言っているんだが、そういうことは初中局長さん、あなたのほうでやれば、十万とか十何万という人間が一度争議行為が起こると処分されるわけです。これはわれわれが言う場合には訓告も含めていますけれども、これはやはり、するほうとしても気持ちのいいことではないと思う、されるほうもなおね。ですからそういうことを具体的に言えば、ここのところはこういう判決文で法律家の書いた文章とすればそうですけれども、いってみれば、文字どおり解釈してはだめなんだと、こういうことを言うからには、ここに書かれている三十七条の、この中身はこのとおり解釈していくべきじゃないと言うんだから、すべてここに書かれている内容のすべてが違法だということに解すべきものではないということ、この点をお認めになりますか。これ非常にぼくはくどいような質問をしているけれども、やはり一つ一つ詰めていかなければならぬものですから言っているんです。
#120
○政府委員(宮地茂君) これは規定があります。その規定を字づらだけを、うわべだけを見ないで十分その意味するところ、趣旨を考えてやりなさいという意味だろうと思います。したがいまして、字づらだけを読んで軽々にやるべきでないんで、その意味するところを十分行政官庁としては、いわゆる処分権者としては字づらだけを解さないで、十分この趣旨を体してやるということだろうと思います。
#121
○小林武君 体してやるということでしょうとおっしゃるがね、よろしいか。よく聞いておいてくださいよ、聞かないとわからない。もう一ぺんそこ、いま大臣も隣から何か知恵を授けたようだから、ここのところを、もうとにかく三つしか問題ないんだからはっきり確かめておきましょうよ、お互いにこれ大事なことだから。三十七条の問題について、まず、いま一項の問題について中身をそのまま文字どおりやったらだめだというのだから、その中で結局違法でないとして認められるものもわれわれのことばで言えばあるんだぞと、そう裁判所の判決書は言っているのですよと、このことが理解できますかと、こう言っている。
#122
○政府委員(宮地茂君) 先走って恐縮ですが、一二ページの三行目に「かように、一見、一切の争議行為を禁止し、一切のあおり行為等を処罰の対象としているように見える地公法の前示各規定も」云々とありますように、先生がおっしゃいますと同じように私どもも解しております。
#123
○小林武君 そこで、ここで重大なことをお互いが確認しなければならぬと思うのですが、これを間違うと憲法違反になるということをお考えいただきたい。お互いにちょっとあそこ失敗したなんということで済まされる問題じゃない、憲法違反。憲法違反を犯すというようなことがあってはたいへんだということを、お互いがやはりここで確認しなくちゃならぬということでいま言っているんですから、これはあなたにそういうことの答弁は求めません。しかし、そう御理解いただいて、異議があったら、いやいやそうじゃないということだったらまた御答弁あってもいいけれども、そういうことですから。
 そこで次の問題です。したがって、すべての同盟罷業、怠業その他の争議行為または怠業的行為をとらえてすべての懲戒処分の対象とするということは誤まりであるということがそこから出てきませんか。前を認めればそういうことが出てくると私は思うんですが、どうでしょう。
#124
○政府委員(宮地茂君) 大体先生おっしゃいましたとおりだと思うんですが、一切の争議行為を禁止しておるというふうに文字どおり解釈すると、先生おっしゃいますように違憲のおそれがありますよということでございますから、先生がおっしゃいますように私どもも解釈しております。
#125
○小林武君 それでは二番目までは同意したことになります。ただあとで間違ったと言わないように、ひとつお願いしたいんですが、これほどの重大なことですから、これはどうなんでしょう、判決が出たあと文部省はこれについて、懲戒処分について、この判決後にそれぞれの教育委員会等に従来のいき方とは違ったということを十分理解されるような指導、助言というようなものがあったのかどうか、この点ちょっとお尋ねいたします。
#126
○政府委員(宮地茂君) この趣旨につきましては、これは、この判決が出ました後の会合でも、大臣からも関係の者の会合のときには申されましたが、私も言っておりますし、なお、従来、文部省が都道府県で行政処分をやります場合の指導は、ここの判決にありますような一般論、抽象論としてでなくって一〇・何々ストライキについての問題についてはこうだというように、非常に具体的に従来は指導をいたしておると承知いたしております。したがいまして、一般的な考え方の指導ではなくって個々の事件に即しての指導でございますので、それについて、あのときの指導は間違っておったというようなものは思い当たらないわけです。
#127
○小林武君 だからぼくはさっき話したのです。昭和二十八年の最高裁の判決によるというと、だから、その前からずっとなかなかこれは問題があったところです。しかし、それは最高裁のあれが出なければどうこういう問題でなくして、憲法上の問題からいってこれは論争点であったわけです。だから、そういう立場から言えば、その結論が今度出たということです。前は十五条によってとにかく一切のあれは違法行為なんだというあれに立っておった。それが改まったとしたら前のやつとあとのやつとはちょっと違ってきやしないかということになるのでしょう。私は誤ったということまではここであなたたちに言いたくない、基準が違っておったと私は思う。そうじゃありませんか。これは認めないわけにはいかないでしょう。前は一切のやつが争議行為だと、違法だと、こう言っておった。ところが、それが今度はそうじゃないんだと、十五条によって労働基本権を奪うということは問題なんだぞという判決なんですから、やり過ぎたら憲法違反の疑いを免れないと、こう言っておるのですから、基準がまるっきり変わってきた。基準が変わってきたというのはもののはずみで変わったのじゃなくして長い間の両方の、労使の間の論争だ。最高裁が日本国憲法のたてまえに立ってやったのでしょう。だから、私は、前のやつはあまりそういうことは誤りございませんというようなことを言うのはちょっとおかしいと思うのですがね。この点は大臣どんなものでしょうかね、お考えをちょっと聞かしていただきたい。
#128
○政府委員(宮地茂君) 具体的な点を私から先に申し上げます。
 確かに、二十八年の判決と今回の判決は、ニュアンスと申しますか、違っておるように思います。しかしながら、それにのっとりまして、文部省が直接のストライキその他について行政処分等の話し合いを都道府県とし、また指導をいたします場合は、先ほども申しましたように、個々の問題について十分考えてやっておりますので、いま振り返ってみて、二十八年の判決と今回の判決では違いますが、従来の判決を文字どおりに指導をしていなかったという点で従来のやり方を反省してみても間違った点はないというふうに感じております。
#129
○小林武君 それは文章にならぬよ。それはだめだよ。
#130
○国務大臣(坂田道太君) 七ページのところをちょっと開いていただきたいと思います。
 先ほどお話しの「「公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」とする憲法十五条を根拠として、公務員に対して右の労働基本権をすべて否定するようなことが許されないことは当然であるが、」、その次にまたあるのですね。「公務員の労働基本権については、公務員の職務の性質・内容に応じて、私企業における労働者と異なる制約を受けることのあるべきことも、また、否定することができない。」、この後段もやはり読み合わせてこれは考えなければいけないと私は思うのでございます。そこでこの一二ページでございますが、「かように、一見、一切の争議行為を禁止し、一切のあおり行為等を処罰の対象としているように見える地公法の前示各規定も、右のような合理的な解釈によって、規制の限界が認められる」というふうにやはり合理的な解釈をするわけです。つまり労働争議の態様というものを考えなければいかぬ、公務員についても、というふうに考えております。
#131
○小林武君 わかっちゃいないのですね、文部大臣、私はそういうことを失礼のように言うけれども、聞いてください。大臣、あなたたちやはり耳をすまして聞いていただきたいと思うのです。これは重大なことだから、あなたがお読みになったものよりか。まず先に私は確めるために二十八年の最高裁の判決というようなものを出した、その場合には憲法十五条によって一切のものを認めないという一つのあれがあった、しかし今度の場合は、この十五条によって全体の奉仕者だからこれを根拠にして労働基本権のすべてを否定することは許されないのだ。しかし何ぼか問題がある。というのは何かというと、これは文部大臣の先ほど読まれた、何といってもそこに公務員の場合には私企業の労働者とは異なる制約を受けるべきことはこれは認めないわけにいかぬと、こう言っているのです。だからこの問題扱うについては、何べんか申し上げたように、労働基本権の全面的なものを望むところの法益と、それからいわゆる一部の奉仕者であるというこの十五条の立場に立つこの違法ということの法益とのその両方の立場に立って調和のとれた合理的な解釈をしなさいという、そういう結論が先ほど来言っておるような、最後にいって、もし、これ誤まるというと憲法違反の疑いは免れませんよというところにきているわけですよ。だから、この論理はわれわれも承知してちゃんと言っているわけなんです。しかし全面的にやるというものを、認めなければならぬというその認める範囲を広められたことば、先ほど来初中局長がその点そのとおりですと、こうおっしゃった。そのとおりなんです。さあそうすると、初中局長の言い分にこれはやはり論理上間違いがあると私は思うのは、あなたはどうもそこのところが、これはよく文章にして調べればこれは一目瞭然のことだと思うけれども、前にそういうことをやったが、あとこういうふうに変わった、そうすれば前の基準とあとの基準とあなたの頭の中に基準が違ってきているわけです。そうでしょう。その基準が違っている限りにおいては違いがあるわけでしょう。認めないわけにいかないでしょう。前のものが一切とにかく争議行為だといって許さないという立場に立ったやり方をやってきたのですから。今度の場合はそれは許されない、へたなことをやったら違憲の疑いは免れませんよというから違憲になったらたいへんだから、あなたたちの態度はその間において懲戒処分も同じですよ、含まれていますというあなたのお立場からいえば、これについては慎重を期さなければなりませんと、きわめてあなたたちの立場に立って言わなければならないのではないか。私は後ほどこの問題についてはいかにとにかくおかしなことが行なわれているかということを実例をもって申し上げますけれども、それはここに伏せておいて、それはあるでしょう、そのことを理解できませんか。そのことが一点。
 それからもう一つは、あなた個々の問題について指導しましたと言うがね、個々の問題というのはあなたそういうことを言うならばたいへんだ。個々の問題というのをわれわれ受け取れば、十何万なら十何万の人間の一体その処分の理由書というものを全部あれして、理由のあれを全部これは合理的であるというようなことを判断するわけはないでしょう。あなたのほうでは一般的に今度の一〇・八なら八は、これは違法でござるぞ、これについてはもう厳重な扱いをやりなさいと、これは新聞にもよく出ていますね。そうやった指導でしょう、結局。その限りにおいては、そういうことがあなたの指導で誤りないというならば、これはいままであなた私に答弁したところは全部口先だけの答弁で、もう考え方は全然変わっておらぬということになるのじゃありませんか。この二つについてもう少し説明してください。
#132
○政府委員(宮地茂君) 多少先生のお答えに、いままで尋ねられたのを復習するような点からお答えしますと、二十八年の判決と今回の判決は、先生は、違うではないかとおっしゃいます。それは確かに違いがございます。私はそれをニュアンスの相違と言ったわけでございますが、先生はニュアンスどころではないというようなお感じをお持ちのようでございますが、違うという感じはそのとおりでございます。しかしそれにしましても、手放しで労働基本権だけが尊重されるわけじゃございませんで、先生がかつてもお読みになられましたし、あまりいま言いますと、先走りますのであれですが、両者の――これは一四ページにございますように、「地方公務員の具体的な行為が禁止の対象たる争議行為に該当するかどうかは、争議行為を禁止をすることによって保護しようとする法益と、労働基本権を尊重し保障することによって実現しようとする法益との比較較量により、両者の要請を適切に調整する見地から判断することが必要である。」ということで、労働基本権の制約はやはり言われておる。ただその観点が、二十八年の判決のときには、全体の奉仕者ということを強調されておった面がございます。そういった点で違いがあるように思いますが、それにしても、労働基本権の制約があるということは、やはり今回の判決でもいわれておる点でございます。
 それから指導のしかたは、私が個々のと申しましたが、一人一人ということじゃなくて、今回の一〇・何々ストはといったような意味で、一般的に、そもそも争議行為はという指導は従来してなかったという意味の個々の点で指導したと申したわけでございます。
#133
○小林武君 ちょっといまのところわからなかったけれども、ぼくらの書類を見るというと、処分された人の三十七条違反、こう書いてある。もしあなたたちが昭和二十八年のあの判決の趣旨に沿うたようにやれば、三十七条の違反というあれからいえば、全面的に三十七条一字一句も違わずに文字どおり実施するということになる。そうでしょう。そういうことでしょう。あなた、それをしないというのか。そうじゃないでしょう。だから、処分にはみな三十七条違反と書いていますよ。そのことは認めないわけにはいかないでしょう。
#134
○政府委員(宮地茂君) どうも私あまり申しますと、三百代言みたいにおとりになられると思いまして、言いにくうございますが、その三十七条違反というふうに従来言っておりましたのも、文字どおり三十七条違反と、そうやっぱりお読みになられますと、こちら側が出しました通達には註釈がありませんが、やはりその出しましたものをもとに教育長会議等で申しておりますのは、ともかく争議行為は一分一秒たりともどうというようなやり方は、従来といえどもしていなかったということは御了承いただけるものと私は思います。
#135
○小林武君 そういうことをおっしゃらないのがいいでしょう。それじゃどういう通達を出したか、通達を読んでみてください。
#136
○政府委員(宮地茂君) ちょっとここへ、先生の御質問こういったことまで予想しておりませんでしたから資料が不十分ですが、とりあえず四十二年のが手元にありますから、それを読ましていただきます。
 四十二年の十月九日に初中局長から教育委員会の教育長に出しております。
   教職員のいっせい休暇闘争について
  日本教職員組合等は、公務員労働組合共闘会議の統一実力行使として、きたる十月二六日に全組合員が早朝最低一時間の勤務時間内における市町村単位の要求貫徹集会を実施しようと企図しています。
  さらに、公務員労働組合共闘会議は、十月六日に「十・二六ストライキ宣言」を発して、いっせいに争議行為を行なうことを公表しました。
  このことについて、別紙のとおり、総理府総務長官談話が発表されると同時に警告が出されましたが、いうまでもなく、その目的が給与等の勤務条件に関する要求実現のためのものであっても、公務員たる教職員が争議行為を行なうことはもとより、そのための準備行為を行なうことも地方公務員法第三七条によって厳に禁止されているところであります。
 以下省略いたしますが、大体こういうものでございます。
#137
○小林武君 だからね、その点は、あなたがいまお読みになったとおり三十七条一項、これは全部違法だといってやっておった。今度はその点はいかぬわけです。もちろん、これから行なわれるいろいろなものの中には違法行為がないとはいえない。判決書の解釈からいって違法行為というものも出てくるでしょう。しかし、違法行為でないものもあるという、そういう見方も今度はしているわけです。そしてその見方はどこから出てきたかというと、先ほどあなたが言ったように、労働基本権を守ろうという立場のものと、争議行為を許さないという、その行為との間の両方を調和させるというような解釈の上に立って出てきましたと、こういっている。だから、私は非常な大きな変革がそこに起こっているということです。それをあなたがお認めになったんだから、文部省というのは、それについて少なくともこの懲戒に対して文書等でもって間違いのないような指導をやってしかるべきだと私は思うんですが、やっているのかやっていないのかどうかと聞いている。あなたはそれについて前にやったことは間違いございませんというような式で言っているのはおかしくございませんかということです。
#138
○政府委員(宮地茂君) この判決で地公法三十七条を文字どおり読んでやれば違憲でありましょう。しかしながら、三十七条規定を文字どおり読まなければ、先ほど来申し上げましたような両法益を勘案してというふうに解すれば、憲法違反の規定ではございませんというふうに三十七条を言っているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、この三十七条ということは確かに通達で言っておりますが、この判決が指摘しておりますように、文字どおりどうこうというようなことは従来も言っておりませんので、先生のお尋ねにことばを返すようでございますが、どうも従来のやっておりましたことを、いやしくも懲戒処分というような不利益なことですから、これはいつやるにしましても慎重の上にも慎重を期するということは当然必要でございますし、そういう意味におきましては慎重を期する必要がございますし、そういうことは、これは教育長会議等でも言うてもよろしゅうございますが、従来とは違っておったんだから、今回はこうなんだというようなあらたまったやり方ということは、私は必要はないのじゃなかろうかというふうに感ずる次第でございます。
#139
○小林武君 あなた、そういうのを詭弁というのですよ。よろしいですか、そこの打ち合わせ……。あなたそういうことは詭弁ですよ。そこの文章の通達を読んだ人が、その中に、一体いまの四十二年の文章を読んで、十分勘案して違法でない争議行為というようなものもあるし、それからこの中には争議行為に入らないようなものもあるのだと、そういう判決書の中に書いてあるようなことを区分けしてやりなさいという意味が、その中に含まれているとあなた抗弁しますか、あなたはそんなこと言ってはいかぬですよ。あなたそういう逃げ口上はやめるべきなんだ。ぼくはいまあなたの責任を追求しているとか何とかいうことじゃないのですよ。最高裁の判決が出た。このこと自体について、私は最高裁の判決をもって満足だとは思っていない。しかしながら、出た最高裁の判決というものはお互いが守らなければならぬところであるという角度から、あなたに、お互いに正確にものをとらえて、そうして間違いのないように解釈すべきでないかということでここで議論しているのですから、あなた、そういうことを言うのはちょっとおかしくありませんか。そういうことを言わずに、前とは違いましたということを言わなければならぬでしょう。いま私が聞いておって、文章一々見て正確にあれしないけれども、違っていましょう。そのとおりやりなさいということでしょう。だからこそぼくは冒頭に何を言ったかというと、憲法十五条によって一切の争議権というのは認めないのだということを判決で昭和二十八年に出している。あなたいろいろなことを言うけれども、昭和二十八年からぼくはあなたの読んだところまでの間ぐらいは、ずっとそれをいただくほうの側にいたんだから、相当何べんもお目にかかったし検討もいたしました。ただ頭悪くて忘れてしまうものですから、いま思い出せぬけれども、読んでいけばなるほどといま回想している。そういうことを抜きにしてざっくばらんにいきましょう。前といまとは違うと、あなたが認めないと断言するなら断言してください。認められません、前もいまの判決書と同じ立場でやりましたと断言できるのならしてみてください。それならば私もひとつ覚悟をきめて、この問題はきょうあたりでやめようと思ったけれども、やらなければならぬということになりますわね。それはひとつ相談してあなたよく考えて答弁してくださいよ。
#140
○政府委員(宮地茂君) 二十八年と今回のでは、先生と私の感じ方の相違はあるのですけれども、違いますということは申し上げているわけですが、しかしながら、やりました指導なりあるいは処分なりというものは、今回の判決に照らして間違ってはいないというふうに私どもは考えているわけです。
#141
○小林武君 どうして間違っていない。理屈を言ってごらんなさい。具体的に例をあげて言ってごらんなさい。
#142
○政府委員(宮地茂君) ですから、少なくともその争議行為をした一分一秒たりともみな処分をし、賃金カットをしたといったようなやり方はなされていないわけですね。ですから、先生のおっしゃいます基準が違ったではないかとおっしゃられれば、私は基準とまで言えるかどうかは別として、多少相違はありましても、違うのは違うということでございますが、しかしながら、それに照らしてやりましたことは、今回の基準に照らしてみてこれは行き過ぎたことをやっておったということはなされていないということでございますので、どうも先生のお尋ねに、私は基準とおっしゃるその点はそのように、同じように解しますが、なされた行為まで、いままでやっておった処分と今後は当然もう違ってくるのだ、今回の基準に照らすといままでやられた処分はやり直す必要があるのだというふうなものはないということでございますので、先生のお尋ねに対して答えが並行するような感もしないでもないのですが、以上のようにお答えする以外にないと思う次第でございます。
#143
○小林武君 具体的に聞きましょう。それではひとつ、私この間出した資料はちょっと持ってこなかったけれども、懲戒という法律的なあれからいけば、私の計算から見れば戒告を入れていますから私どもの場合はずいぶん大きな数になりますが、懲戒と言われる処分の中に入った人たち、それはあれですか、あなたのほうで少なくとも処分をやった各県のあれをずっと見てきて、その処分というのは、よく聞いてくださいよ。ちょろちょろ出すとだんだんおかしくなるから、よく聞いてから、いま打ち合わせがあるならばひとつ速記でもとめてやってください。私の言うのは、懲戒処分をしたもの、そこからはずれたものと、これがあるのかどうかということです。いまの判決の中にあるように――いいですか、あなたのほうはたいへん進歩的でそういうあれをやったとおっしゃるのだけれども、これはどうも争議行為と銘は打っているけれども、これは争議行為の中に入らないもの、違法でないものである、これは違法に入るものだ、そういうふうに区分けして全然懲戒処分をしなかったものというのはあるのですか。同じ行動をやった者の中で、同じ行動といったところで県も違えば町も違い、学校も違えばみな違うのですよ。指令は一ヵ所から出ましても実際実施するときは、あなたのほうでも十分調べているようだが、これは違うんです。
 そうすると、それを一々全部あれして、これは違法の中に入らない、そういうものが何人あったのですか。そういうものがなくて、参加したものはすべてやったということになると、これはあなたのおっしゃることと違いますよ。今度の場合は、もしも一斉にどれもこれもみんな違法であるといってやった場合には違憲の疑いを免れないと、こう言っている。あなたのほうでそういう区分けをしてやったという、そういう事実があるならば、私に、何人そういうことをやって、どういうものはどうしましたということを述べてください。
#144
○政府委員(宮地茂君) これは最近の資料でございますが、いずれも今回の判決が出る前でございますので、二、三の例を申し上げます。四十一年の一〇・二一闘争のときの参加者総数、これは全国でございます、全国で十五万人余りでございます。そのうち懲戒処分をされておりますのは六万五千人余でございます。半数以下でございます。それから先生は訓告は懲戒の中に入れるというふうにお考えのようですが、私のほうは訓告は懲戒ではないというふうに考えております。それにしましても、訓告が五万四千余でございますので、懲戒が六万五千、訓告が五万四千、足しまして十二万でございます。参加者は十五万でありますから、懲戒も訓告も受けないで参加しておるものが三万人あるということになります。
 四十二年の一〇・二六のときは参加者が十四万人でございます。懲戒は二万八千人余りでございます。訓告が十万人でございます。したがいまして、このときも一万人余りのものは参加者でございますが懲戒も訓告も受けていないというものもございます。
 四十三年の一〇・八でございますが、参加者が十六万人でございます。懲戒が四万二千余りでございます。訓告が十万人でございます。したがって、訓告と懲戒を足しましても二万人ばかりが参加者の中で懲戒、訓告も受けていない。これは全国的な平均数字で、各県別のがちょっと出ておりませんが、以上のような次第でございます。
#145
○小林武君 その点をお尋ねいたしますが、そうすると、そのあれはあなたのほうでどういうふうに承知していますか。懲戒に入らなかったもの、あるいは訓告に入らなかったもの、これはどういう事情でそうなっているのか。それは違法でないという判定を下しておやりになったのですか。どういうことですか、それを言ってください。
#146
○政府委員(宮地茂君) これは争議行為に参加しておりますから、争議行為ではないということじゃなくて、争議行為ではあるけれども、懲戒に値しないと申しますか、懲戒する要なしというふうに考えた結果であろうと思います。
#147
○小林武君 どういうことに対してですか。それはそうでしょう。分け隔てすることはないでしょう。いかなる理由でということになるでしょう、人を処罰するのに。
#148
○政府委員(宮地茂君) 一般的なお答えで恐縮でございますが、たとえば参加者といいましても参加時間数が非常に短かい人もあれば長い人もありましょうし、また現実に授業時間、担任の子供の授業がある時間に食い込んだ人もありましょうし、授業がなかったと申しましょうか、そういった一般的なお答えになって恐縮ですが、そういったようなそれぞれによって状況が違うと思います。したがいまして、裏を返せば、争議行為には参加したが、参加した時間が短かいとか、あるいは授業に支障を来たさなかったとかいったような方は、争議行為ではあろうけれども、懲戒に値しないという判断であろうと思います。
#149
○小林武君 それではどうですか、あなた。処分しようにも報告がなくてできなかったのもあるでしょう。それはどれくらいですか。
#150
○政府委員(宮地茂君) 私のほうへは参加者名と処分者名ということでございますので、その参加者も県でまとめます場合には、地教委の報告に基づいて参加者が集計されておると思います。したがいまして、参加しておっても報告を県にしなければ、県としては掌握しようがないというようなことでございます。したがいまして、いま先生お尋ねの、報告されていない数字というものは取りようがございませんので、私のほうはわかっておりません。
#151
○小林武君 いかにもあなたの答弁がいい加減だということをよくあらわしていると思います。一番近いやつの例は、ちょうど私の出身地では内申していないが、ぼくが行っているとき、それに対して、文部省からの強硬なあれがあるということで、県の委員会から、それはもうたいへんなあれで押しかけてきた。その間の事情を詳細に私は知っている。私はそういうことについて、長い間、あなたたち知っているように、直接内部のことについても調査もしておりますから、当面の責任者でもあるわけですから、その間のものをずっと見れば、あなたのおっしゃることはみなうそですよ。ここでうそを言って、そうしてごまかすということはやめなさい。私は過去にさかのぼって、あなたたちのやったことをどうだということで、いま責任をとれということではない。しかし処分されたものが一体どれくらいおるかということは、あなたたちはみなわかるでしょう。あなたたちも役人生活をやっておったら、一つ何かしくじったらどうなるかということは一番おわかりだと思う。そういうことを考えますと、処分というのはたいへんなものなんです。特にこの種の処分というものは憲法上保障された問題なんです。その論争点のあれが出てきて、先ほどあなた冒頭に認めたように、三十七条にとにかく違反するような行為をやったものは、全部これは違法行為なんだということをやると、この判決では違ってくるのはあたりまえではないですか。そんなこと違いませんというのは、もうそれは詭弁もはなはだしい。しかし、いまあなたとそんななまくら問答をやってもしようがないから、これは後に残しましょう。この問題については、これから少しあなたとこの問題だけで一ぺんやらなければならないと思う。しかし、きょうは先に進まなければならないから、一つ最後のあれだけやっておきましょうね。
 あなたのところでは一体、違法のこの判断基準というのはどこに置いているのですか、文部省にはないですか。違法の判断基準、このことに関してですよ。違法の判断基準、ないの、あるの。
#152
○政府委員(宮地茂君) 委員長、ちょっと速記をとめてくれませんか。
#153
○委員長(久保勘一君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#154
○委員長(久保勘一君) 速記を起こして。
#155
○説明員(別府哲君) 従来争議行為と一般的にいわれます、いわゆる同盟罷業を行なった職員に対して教育委員会が処分を行なう、その法律上の根拠になっております三十七条の規定、これに違反をしたという理由で処分を行なう。そして実際に処分を行なう場合の基準と申しますか、その内容といたしまして、地方公務員法の二十九条に、地方公務員が懲戒処分を受ける場合に、あるいはまたその程度、種類といったようなものが書かれている。これらのものを基準として教育委員会が処分を行なっておる、このように考えております。
#156
○小林武君 ちょっと課長さん、失礼ですけれども、いまちょっと横からものを言われたものだから、聞き漏らしちゃったところがあるから、初めからもう一ぺん簡単に言ってください。
#157
○説明員(別府哲君) お答え申し上げます。公立学校の教員でございます地方公務員が争議行為に参加をしたという理由で懲戒処分を受ける、その根拠となっておりますのが地方公務員法三十七条第一項であることは、もう十分、先生も先ほどからるるお話になっているとおりでございます。この規定を根拠と申しますか、基準として、争議行為に参加したものを処分しておる、そういうことだと考えておりますが、お答えになりますか……。
#158
○小林武君 よくわかりました。そこで課長さん、せっかく言われたのだからお尋ねしたいのですが、その三十七条を基準にしてやったという場合に、今度の判決の出る前までは基準にこの三十七条にあるものはみな違法だと言うのでしょう。そういうことでやったわけでしょう。
#159
○説明員(別府哲君) 従来、文部省が地方公共団体の教育委員会に指導しておりました際には、今回の争議行為、統一行動というものは、三十七条一項に該当する怠業、同盟罷業、争議行為であるから、これは違法なものと考える。公務員が違法な行為をしたときには適正な処分をするようにという指導をしてきたわけでございます。
#160
○小林武君 あなたのおっしゃること、一番よくわかる。いい、悪いは別として。あなたのあれで申しますと、今度はこれでできないということになる。今度の判決というのは、いままでどおりにはいきませんよということになる。そうすると、いままでと今度とは違うということになるのじゃありませんか。それじゃ、さっきから私を二人かかってだましておる。なんです一体、汗を流すほどだますというのは。
#161
○説明員(別府哲君) 今回の最高裁判所の判決におきましても、この三十七条一項は結論としては合憲であるという判断には立ち至っております。その過程で、先生おっしゃるように、文字どおりこれを読めば違憲の疑いがあるわけで、実質論を展開いたしておるわけであります。したがって、今後の問題を先生仰せになりましたので、今後の問題について考えますと、今後この三十七条一項に該当するかのごとき行動が行なわれた場合には、今回の最高裁判所の判決というものを十分体して、その規定の趣旨に従った三十七条一項の解釈をしなければならないだろう、そういうことは考えられるわけでございます。
#162
○小林武君 明快。そのことを早く言えばこんなに長い時間かからないのですよ。それは局長さん、あなたのおっしゃることと違いますよ。いまの答弁は。そういうように私は言っておる。だから違法行為というものがない限りにおいては懲戒処分はできないということになるわけです。前といまとは違うじゃありませんか。そうなると、この中にいまお話しのように、今度の判決に従って地公法三十七条の問題についてもいろいろなものが段階的に考えられる。やはり違法だときめられるものもあるでしょう。しかしながらその中には違法に該当しないものもある。判決書の中に書いてある。そういうものもたくさん出てくるから、今度のあれは慎重にいかなければならぬということになると、前と違うということになります。これからあとのことについてはこれからじっくり意見が違いますからひとつまたお尋ねいたします。
 そこで一つ局長さんにお尋ねしたい。一体こういうことを言うのはどういうことでしょうか。あなたは一分とか一秒というものはなかったと言うけれども、授業時間二分以上カットは戒告、こういうあれが出てきておる。こういうことは、これは文部省のいままでの方針からいえば、二分以上は戒告と、こういうことは、するように言ったのですか、しちゃいけないと言ったのですか。そのことが一つ。
 それからこれはなかなかおもしろいですね。「十・八統一行動に関する処分について」、「この度の行政行為は懲戒の手続及効果に関する条例施行規則に違反している。このことは同時に地行法……」――地方教育行政の組織及び運営に関する法律、この法律に違反している。懲戒及び効果に関する条例施行規則等に違反している。これは同時に、いま言った法律ですよ、略して「地行法二十五条に違反している。」、こう違反しているといっている。しかし、そういう違反してはいるけれども、この処分はあたりまえだというつまらぬ決定ですね。この処分は何でもないのだと、こう言っている。おかしいと思うのだ。こういう混乱を起こすところにこれが指導されているのですよ。二分間は戒告。これはどうですか、誤りですか、まともだと思いますか、どうですか。法律に違反しているが処分は有効である、これは文部省の論理にだんだん似てきた。これの答弁をひとつ聞かしてください。県段階の話です。
#163
○政府委員(宮地茂君) 従来文部省として一分とか二分とかいったようなことを指導はしておりません。ただ、いまの先生お読みになられたのは、地方課長に聞きますと、山形県の例であろうということのようでございます。この場合、勤務時間には相当食い込んでおるが、授業の欠けておるのは二分とかいうふうに、過去のことでございますので私当時在職いたしておりませんが、地方課長の承知しておるところではそういう意味で、二分間というのは――二分と言えば二分ですが、勤務時間には食い込んで授業に二分というように聞いておるということのようでございます。
#164
○小林武君 いや、聞いているからというのでなく、あなた考えたらどういうことになる。
 それからもう一つ。やった法律的手続は全く違法であった。しかし、処分したそのことは、違法でやったんだけれども有効だというこの論理、これはどういうことになる。こういう解釈は妥当かどうか。
#165
○説明員(別府哲君) ただいま先生御指摘の山形県の処分の手続に関する問題でございますが、まだ詳しく県当局のほうから報告を受けておりませんので細部にわたっては十分な御説明ができませんが、一応の報告では、懲戒処分を行ないます場合、懲戒の手続及び考課に関する条例でありますとか、あるいはその施行規則といったようなもので、その懲戒処分を行なう場合の手続が定められております。その施行規則の中には、懲戒を行なう場合には本人立ち合いの上で地教委の教育長が本人にその懲戒内容を読んで聞かせるというふうな手続が必要であるということが規定されております。ところが、山形県である教員に対して行なった懲戒処分の中で、教育長が読み上げないで学校の校長先生がそれを読み上げたという事件があったそうでございます。これを厳密に言いますと、手続、考課に関する条例の施行規則では「教育長が」と書いてあるのを校長がやったわけでございますので、これが違法ではないかという申し立てが教育委員会のほうに来ておるということでございまして、そこで、県の教育委員会がこれに対する判断として、手続的にこれは教育長から校長にまかせたというふうに見るべきであろうから、この程度の問題では処分そのものが違法になるとは考えない、そういう指導をした、そのことではなかろうかと、このように考えます。
#166
○小林武君 その中で、地方教育行政の組織及び運営に関する法律二十五条、それの違法はどういうことになりますか。
#167
○説明員(別府哲君) 御指摘の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の二十五条には、それぞれの機関が行政を行なう場合には法律、政令その他もろもろの規則に従った行政を執行しなければならないという当然の原則が書かれておるわけでございまして、御指摘のように、懲戒処分を行なうといったような行政を行なう場合にも定められた法律あるいは規則といったようなものに準拠しながら行なわなければならないことは当然のことだと考えております。
#168
○小林武君 いや、それを聞いているんじゃない。二十五条には書いてあるでしょう、「それぞれ前二条の事務を管理し、及び執行するに当っては、法令、条例」と、「前二条」とあるわけだ。どこで一体これが違法になったのか。二十五条違反になったのか。どこです。
#169
○説明員(別府哲君) この「前二条」と申しますのは二十三条と二十四条のことでございますが、二十三条には地方で行なう教育行政についての教育委員会の職務権限が書かれてございますし、二十四条には市町村長及び都道府県知事の職責が書かれております。そこで、いま先生が御指摘になりました違法と言っておるのは、処分を受けた職員あるいはその職員を支持しております組合が、教育委員会に対して、これは手続に違反をしておるから違法だと、こう主張をしておるものだと考えますし、これに対する教育委員会側の説明としては、これは教育長がやれと、こういっておるけれども、教育長がこれを校長にまかせたといったような手続をとったものであろう、この程度の問題で処分そのものが違法になるのではないという説明を山形県が行なっておるのではないか、このように考えます。
#170
○小林武君 これは確認書の中には、昭和四十四年四月二十三日山形県教育委員会委員長木田清さん、教育委員沢井修一さん、三浦コトさん、近野正さんと署名している。これは教員組合が勝手に違法だ違法だと言っているのではないのですよ。確認したというのですよ。ただしこれは私は写しですから。写しだけれども、この写しは署名のやつが字がそれぞれ違って、判まであるから、これはうそだとも思っていないのですよ。そして私に来てくれと言う。ちょっと来て見てくれというわけですから、私は行くつもりですけれども、しかし私もここで絶対これはあれですということを言うほどまた厚かましくない。しかし私はうそでないと思う。片方の文書はちゃんと判を押した公文書で、とにかく組合から来ているわけですから、私はそんなばかなことを一つの県の組合の責任者がやるとは思えない。だから私はそれを信頼しているけれども、あなたに対して物を言うときには、何でも自分のほうが正しいのだということはよう言わないと言っている。だからあなたのおっしゃるのと違うのですよ。だから前二条の問題についてもどこが一体違反のあれに入るのか。それによって違うのですよ。任免とかその他いろいろなことについて教育委員会がやらなければならぬという条項もあるでしょう。だから私はそういう点で違反でございましたと、しかしここには書いておりませんけれども、違反は認めたけれども、処分は有効ですということは交渉の中で言っているかもしれぬ。違反のあれは出します、ただし処分は有効です、こういうことが教育界という世界で行なわれることがあるのかどうか。やり方はめちゃくちゃなことをやったが、そのめちゃくちゃのあとから出てきた結果については有効だというのならば、昔の極悪非道の役人でもようやらぬことですよ。だから私はそういう不合理なことは絶対許さぬということなんです。だから私はそういうことになるならば明らかに違憲ですよ。違法のないところにどこに処分が行なわれるのですか。しかもその手続が違法であるというばかな話はないということになるわけですよ。だから私はその点で、きょうはこれでおしまいにしようと思いましたけれども、もう一ぺんまた機会を改めてやることにいたします。
 そこで最後に私は局長さんにお尋ねいたします。一分か二分というようなことについて言ったことがないと、そうすると、一分、二分というような何分、何秒の秒きざみで物を一体考えて、お前は二分間おくれたから、これは争議行為である、違法であるという三十七条一項の判断をしたとしたら、これはあなたは今度の判決書の上に立って、どういう判定をくだしますか。
#171
○政府委員(宮地茂君) 判決書の趣旨に基づいて、ただ一分、二分だからどうというような判断は、これはなかなか私はむずかしいと思います。やはり具体的な事件が、こういう事件があった場合にそのうちの一分、二分はどうかというような判断に基づきませんと、一般論、抽象論として、一分、二分はよいのだ、それなら三分以上はいけないのかというような理屈がすぐ出てまいりますので、一般論としてこういうことをお答えするのはいろいろ誤解を生むと思いますので、具体的な問題に即してお答えすべきであろうというふうに考えます。
#172
○小林武君 それはこの中に書いていませんか。どういうものが問題になるのだということを書いておりませんか。どうですか、これ。この中に書いているでしょう。あなたそこを読んでくださいよ。私が読むまでもないでしょう。公共性というものをやっぱり認めているのですから、その場合に公共性の立場から見て、これはどう考えても違法だというのは、こうでなければならぬというような読みとれるように書いておりますよ。あなたのように行政面の責任を持ってやっている人はそういうことが正確につかめなかったらできないですよ。ここでは大学の先生が法律の条文をいじって理論的に構成するとか、分析するとかということでないのですから、あなたたちは出たらそのことを直ちに罰するとか罰しないとかという具体的な問題にぶつかるのがあなたたちの役目なんですよ。しかも初中局長の責任という立場から見れば、あなたの責任はきわめて重いですよ。そうしたら、どうしてこの中のあれをお読みにならぬのですか、具体的なとか何とか逃げ口上みたいなことを言わぬでくださいよ。
#173
○政府委員(宮地茂君) 先生のおっしゃいました時間的なことが書いてありますのは、これはいままで先生もたびたびお話の中にございました一四ページにございます。一四ページに争議行為が、「ひとしく争議行為といっても、種々の態様のものがあり、きわめて短時間の同盟罷業または怠業のような単純な不作為のごときは、直ちに国民全体の利益を害し、国民生活に重大な支障をもたらすおそれがあるとは必ずしもいえない。」こういうふうに書いてある。しかしながら、だからといって一分、二分はいいなどというようなことは、これを文字どおり解釈するということはこれはよくないと思います。ですからここに書いてはございます。しかし、必ずしも言えませんよということで、やはりこれは小林先生もたびたび御指摘のような、上すべりで一分、二分ならいいんだ、三分はいかぬのだという形式的、上すべりではなくて、やはり熟読玩味して個々のケースに応じて慎重に私はやるべきであるという意味でお答えした次第でございます。二一ページにいきますれば、またこれは包括的に本件の一斉休暇闘争は同盟罷業またはサボタージュに当たるんだということを言っております。しかし、本件の一斉休暇闘争だって本人として一分、二分しか参加しなかった人もおると思います。したがいまして、単にこれを字づらだけで読まないで、私どもこの判決から得ますものは先生もいろいろおっしゃいましたが、文字どおり上すべりじゃなくて慎重に読めという意味ですから、ただ一分、二分とかいうようなことでなく、慎重にやるという気持ちは私どもも十分感じております。
#174
○小林武君 ぼくは字づらだけ読んだというのかね。失敬なこと言うんじゃないよ。きみにそれじゃ聞くけれども、それじゃ二分という時間が一体国民の生活全体の利益に非常な問題をきたした、直ちに公務の停廃をきたし、ひいては国民生活全体の利益を害するとは言えないという、そういう二分が国民生活全体の利益を害する、公務の停滞をきたすという、そういう二分の内容をあなたはどう考えるのか、あなたは実施面の責任者だからそのことについて二分だってこういう問題がありますということがあったら言ってください。
#175
○政府委員(宮地茂君) これは小林先生が必ずしも字づらだけ読んでおるということで、先生と指摘したわけじゃございませんが、要するにここに書かれてありますけれども、必ずしもそうは言えませんよというふうにもありますし、また二一ページには、くどうございますけれども、もう一度読みますと、「本件の一せい休暇闘争は、同盟罷業または怠業にあたり、その職務の停廃が次代の国民の教育上に障害をもたらすものとして、その違法性を否定することができない」云々と、こういうふうにございます。争議行為というものはこれはやはり集団がやります集団的な行為だと思います。個々の人は一分、二分の人もありましょうし、五十分や一時間もありましょうし、要するにストライキというものは個々人もさることながら、やはり集団としてなされた行為というものを十分着目しなければいかぬと思います。学校におきまして、一分、二分授業がおくれるとかおくれないとか、ストライキでないときでも三分、五分おくれて教壇に立たれる先生はあると思います。授業の終わりだって五分も早く切り上げる先生もあると思います。したがって、その場合に五分切り上げたらどうだとか、三分早くやったらどうだとか、そういうことを一般論として言うのは私はやはり当を得ないので、そのときの教育上の都合で五分早く、あるいは十分早く切り上げるのも教育的によい場合もございましょうし、授業時間過ぎて五分、七分、鐘が鳴った以上にやるのが教育の効果をあげるという場合もございますので、御質問に対して、こういう場合に一分、二分が大事です、こういう答えは私はいま適正にできませんが、要するに気持ちとしては、一分、二分だからよい。あるいは何分以上だったら悪いというようなことは一般論としては私は言えないということだけは御了解いただきたいと思います。
#176
○小林武君 あなた根本的に間違っているよ。あなたは同盟罷業ということばを知っていますか。同盟罷業と使っているのですよ。この判決書は個人が二分間おくれたとかおくれないとかいっているのじゃないのです。同盟罷業、怠業、サボタージュ、サボタージュのような行為、きちんと分けておる。同盟罷業と、そういわれるようなものでもと書いておるのです。あなたそれを集団の場合はどうであるとか、集団でない同盟罷業というものはありますか。一人でやる同盟罷業というのはあまり聞いたことがない。あなたたちはそういう法律の用語をいいかげんにごまかしたり、労働上の用語をごまかしたりしたらいかんですよ。あなた同盟罷業やって、同盟罷業というようなものを取り上げる場合に、実際のあれが停廃されて、停滞されて、これが国民生活の上に重大な影響を及ぼしたというような場合には、これは問題なんだと、ここに書いてある。あなたが読んだとおりなんです。あたの考えているのは授業のことを考えればいい。ほかのことは考えなくてもいい。学校のことなんです。その場合に二分の問題、二分は戒告であるという、これも一般論じゃありません。その二分間について、こういう二分はよろしい、こういう二分はどうだということは何も書いてない。二分間というのは戒告だ、こう言っている。これほど明確なことが出ているなら、あなた出せるじゃありませんか。そういうことについて指導力のないようなことがやられるからとんでもないことが各県で行なわれるのですよ。そうして処罰をする。懲戒処分をするような立場にあるものがわいろなんかもらって引っ張られるような腐敗をきたすことになるわけです。いずれそういう問題出るでしょうけれども、私はそういう点についてもっと常識的にはっきりしたあれをやってもらいたい。なまくら答弁やって事をごまかそうなんという態度をやめてもらいたい。あなたのような答弁でものはおさまらぬということをよく考えておきなさい。きょうはあなた二分についてどういう考えがあるか、再度お伺いして、いずれも納得がいかなければこの問題はそれではまた次回にたっぷり時間をかけてやることにいたしましょう。二分についてあなたの考え方をきちんと言ってみなさい。あなたは一体どういうふうに二分ということについて考えるか。一般論ではなくて、具体的に、いままであなたずいぶん文部省長いわけだから、あの場合もこの場合もいろいろな場合想定できる。こういうのもあった、ああいうものもあったということはわかるわけでしょう。しかし、山形県で出している二分間というのはだれでもいい、どんな場合であっても二分間という時間を上回ったものは処罰すると、こういつている。そのことのあれは一般論ではどう考えます。
#177
○政府委員(宮地茂君) 先生がお読みになり、お持ちになっておられる資料を実は私は全然見ておりませんので、その一分、二分がどういうつながりで書いてあるのかわかりませんが、私はおそらく一般論、常識論として一分か二分遅刻した者がどうこうというようなことを一々処分をするということは一般的ではないと思います。しかし、それを解釈するものが、それでは毎日一分、二分おくれていってやろうというようなことになりますれば、それは一分、二分といって処分しないということもできないと思います。それから一分、二分というのは、授業に食い込んだことだと思うのです。その場合に、勤務時間に食い込んだ場合と授業に二分食い込んだといったような場合と、何か常識的に一、二分という場合と、やはりそれぞれ事柄が違うと思います。山形の場合は山形の事態に即して私はなされたものだと思いますし、それからいまのお尋ねをそらすつもりは毛頭ございませんが、先ほど来地方課長もその問題についてお答えしましたが、本日、ただいま先生があげておられます件は私ども十分承知しておりませんので、さっそく山形県のそれを取り寄せますし、事情も聞きまして、その上でお答えさせていただきたいと思います。繰り返しますが、小林先生どのようにおとりになられましたか、私どもはまじめに答えておるつもりでございまして、決してごまかそうとか何とかというつもりで答えてはおりません。これだけは御了承いただきたいと思います。
#178
○小林武君 これで終わります。あなたのおっしゃるようによく調べてということはけっこうです。私のほうも調べてやっぱりやらなければなりません。ただあなたが、口がすべったんだと思うんですけれども、毎日一分、二分おくれてくる者はというようなことで、それが何か懲戒になるような印象で、これは調べればわかるのですが、そんなことはない。一分、二分毎日おくれるような者があったら、みんなで、おまえそんなことではだめだと、おくれないでこいと、学校の先生じゃないかというぐらいのことを言えないような学校の雰囲気はだめです。それではないんだ。これは同盟罷業という問題の一分、二分なんだから。その場合に判決書の中に書いてある、このほんとうに国家のあれに影響するような、社会のあれに影響するような大ごとなのかどうか、幅のある何段階かの解釈の上に立って解決すべきでないかというのが私の意見。まあ大体そこまできておった。最後のほうでのらりくらりになったけれども、まあ事情がわからぬからそうなったんだろうと善意に解釈して、これはお互いにやはり十分に冷静になって物事を突きとめなければならぬと思いますから、これは了承いたします。きょうは終わります。
#179
○委員長(久保勘一君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト