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#1
第061回国会 文教委員会 第15号
昭和四十四年五月十五日(木曜日)
   午前十時二十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         久保 勘一君
    理 事         楠  正俊君
                田村 賢作君
                小林  武君
                安永 英雄君
    委 員         小林 国司君
                大松 博文君
                中村喜四郎君
                吉江 勝保君
                秋山 長造君
                川村 清一君
                鈴木  力君
                内田 善利君
                萩原幽香子君
                小笠原貞子君
   国務大臣
       文 部 大 臣  坂田 道太君
   政府委員
       文部大臣官房会
       計課長      安養寺重夫君
       文部省大学学術
       局長       村山 松雄君
       文部省管理局長  岩間英太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡辺  猛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
 〇国立学校設置法の一部を改正する等の法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(久保勘一君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 国立学校設置法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を続行いたします。
 政府側から坂田文部大臣、村山大学学術局長、以上の方々が出席いたしております。
 本案について質疑の申し出がございますので、これを許します。安永君。
#3
○安永英雄君 本法案は、三重大学に工学部を設置するという問題や、あるいは大阪外国語大学に大学院を設けるという内容でありますが、どうしても学部という問題、大学院という問題について考えたときに、現在大学紛争とこれが非常に大きな関係を持っていることは事実でありますし、またこの前の委員会で大臣にも質問を申し上げて、そうしていわゆる大学の紛争を処理するための臨時措置の法律案、こういったものについてただしたわけでありますが、前の委員会では、この問題についてはまだ政府としては白紙である、こういう立場で各党と話し合いをするのだ、しかし文部省としては事務的なそういった検討はやっているのだということで、新聞報道等を私のほうから出しまして、ある程度文部省の考え方というものが察せられる程度であったわけでありますが、その後党首会談も行なわれ、あるいは大臣も出られて、そうして各党のそれぞれの党の幹部とも折衝を加えられて、そうしてきょうあたりの新聞報道によりますると、大体二十日をめどに成案をつくるという報道も出ているわけでありますが、いまの時点で、この前確かめておきましたように、政府としてあるいは文部大臣としてこの立法に踏み切ったというふうに解してよろしいかどうか、まずその点お伺いしておきたいと思います。
#4
○国務大臣(坂田道太君) この前の委員会でお答えいたしましたとおりでございまして、まだ社会党さんとの会談がきょう行なわれるわけでございますので、きまっておりません。
#5
○安永英雄君 きょう社会党との打ち合わせが済んでいないということだから、この前の立場と同じで白紙と、こういうことだろうと思うのですけれども、しかし、現実にあらゆる方面で政府なり大臣の考え方を聞いて、まあこの前は推測あるいは憶測と言われたのですけれども、非常に具体的に出てきております。この前のいわゆるうわさ程度、あるいは新聞の推測だとおっしゃったそういう項目の中でも、たとえば紛争大学の認定をどうするかという問題、あるいは一時大学の方針に従わないという教授がおれば、教員がおればこれを一応隔離をする、こういった問題等も、きょう現在等では、もう堂々とこういった問題についても、あるいは修正をするとか、あるいはもう少し話し合いをするとかということで実際に具体的に進んでいる、こんなふうに思うわけです。したがって、文部省のおっしゃるような準備段階であるとはいえ、文教委員会には明らかにやはりそういった過程は説明すべきではないか。特に超党派でやっていこうなどという考え方も発表されておるようでありますし、そのための努力らしい形はとられているようでありますけれども、少なくともこの文教委員会には、そういった作業段階とはいえ、私は文部省のそういった具体的な内容等について、それははっきりしたものでないかもしれないけれども、少なくとも文部省ではこういうことを考えておるということは、私は文教委員会に対して報告をなさってしかるべきだと思いますが、その点についての見解と、もし明らかにされるという点があれば明らかにしていただきたいと思います。
#6
○国務大臣(坂田道太君) 私のところで事務的にいろいろの場合に対処する具体的な作業ということを進めておることは事実でございます。しかし、それを申し上げるということは、やはり党と党との約束という点から考えまして慎しむべきことであるというふうに思っておるわけでございます。やはり白紙で臨まないと社会党さんは応じていただけないということになっておりまするので、私どもとしては白紙で臨んでおるわけでございます。
#7
○安永英雄君 まあそういう立場をとられるということであれば、こちらのほうから聞かなければしようがないのですけれども、それでは九日の日に、いわゆる国大協というものの理事会が開かれて、ここで大学紛争処理の問題について検討をいたして、その結果を文部大臣に一応具申をしたと、こういう報道があります。その点についてどういう内容をこの国大協のほうが大臣に進言をしたのか、その点についてお伺いいたします。
#8
○国務大臣(坂田道太君) 五月の九日に国立大学協会の会長の奥田さんから私あてに「「当面する大学教育の課題に対応するための方策について」の中教審答申の取扱いについて(要望)」ということで、要望書が来ております。まあこれに対しまして、「大学の当面する問題の解決方策として有効なものであるかどうかについても疑念なきを得ない。」それから大学問題は、「大学の自主的な努力の結実によってこそ真の解決が得られるものであって、本来立法による強制によっては処理することの困難な性質のものである。文部当局が、この趣旨を十分に理解し、答申の取り扱いについては慎重を期せられたい」という要望書が出ております。
#9
○安永英雄君 国大協の組織そのものについては、今日までのいろいろな協議をやった経緯を見て、私自身も多少問題点もいままではあった点を感じますけれども、しかし当面いまの動きの大学立法という問題について、これほど明確に出したことはないし、いわゆる各国立大学の最高の責任者、こういった人たちの大体集まりであるわけです。で、現在も紛争が続いておりますけれども、この紛争をとにかく先頭に立って何とかおさめようと、こういう努力を日夜されていることもまた事実です。そして、その責任者がみずから集まって、そうしてこの立法の動きに対して、これは一応慎重を期されたいというふうには言っておるようでありますけれども、これは総じてこの大学の立法措置については反対だという意思表示ととらなければならぬと私は思います。いませっかく努力をしておるあらゆる学内における施策というものが、この大学法によって非常に阻害されていく。自分たちの責任というものを果たすためにもむしろ害だという立場をとって、これは一応の明確な申し入れはないわけでありますけれども、これについて大臣はきょうあたりその責任者と会って、そして文部省の方針あるいは政府の方針というものを説明をされる、そうして協力を求めるという報道も出ておるようでありますが、大臣としては、この国大協の方針に基づいて、そしてきょう会うというふうな報道もありますが、事実あるのかどうか、あったらどういう立場でこの国大協の申し入れをどのように解釈し、どのようにこれ説明し、協力を求めるというふうなお考えなのか、この点明らかにしていただきたいと思います。
#10
○国務大臣(坂田道太君) 本日、国立大学協会の会長、副会長並びに理事の方々とお会いをいたしたいと思っております。したがいまして、この間お出しになりましたこの要望書というもののこの文面を見ればこうでございますけれども、この真意というものをよく伺いたいというふうに思っております。同時に、私のほうからも、現在国立大学におきましては三十校紛争中であります。施設の占拠とか、封鎖中であるとか、あるいは授業放棄だとか。この三十校というのは、七十五校のうちの三十校でございますから四〇%なんです。公立の場合は四校でございますから、三十四校の中で一二%ぐらいでございます。私立は二百七十校のうちに九校でございますから、三%程度でございます。そうしますと、私立と国立と比べますと、御案内のように、施設、設備、あるいは授業料、あるいは教官一人当たりの学生数ということから考えますると、はるかに私立のほうが劣悪な状況にあるにもかかわらず、二百七十三校のうちにわずかに九校であって、国立はそういうふうな教育環境、条件は私立よりもはるかにいいにかかわらず、なおかつ四〇%のところが紛争をしておる。こういうことは、国民の目から見るならば、これはおかしいじゃないか、またそれに対して文部大臣というのは何もしないのかと言われてもしかたがない状況がある。
 これに対して自主的解決ということをおっしゃることはわからぬではない。また、われわれもあくまでも原則的には、基本的にはそういうふうな考え方を持っておる。しかし、あなた方国大協でこの前の三十八年の際、大学管理法をつくるときに何とおっしゃられたか。自分たちの手で何とかひとつやらせてもらいたい、したがって法案はやめてくださいとおっしゃった。それから何年たっておりますか。何らかの改革というものが各大学に出たことがあるでしょうかということを私は聞いてみたいというふうに思います。そうしてこのような全体の七十五校のうちに三十校、四〇%の紛争校がなお続いておる。そして現在約一万七千人の学生が入学はしたけれども、自宅待機を余儀なくされている。この事態を一体どう考えられる。あるいはまたこの授業ができない二年生、三年生というのが、これまた数万おる。こういう事態を一体どう考えられておるのかということを私は申し上げ、そしてまた、おたくの大学ではどういうふうに解決をしようと考えておられるか、これでもなおかつ何らの措置も必要でないとお考えなのかどうか、最小限度の皆さん方の紛争解決をなさるというその自主努力に対する手助けをするということくらいはお考えいただいてもけっこうじゃなかろうか、どうでしょうかという向こう方の御意見も承ってみたいというのがきょうの国大協との懇談の意味でございます。
#11
○安永英雄君 私がおこられているような錯覚を起こすのですがね。しかし、いまのようなことをきょう国大協の方々におっしゃるということは、私は大学を全く信頼していない、こういう立場に立たれておると思うのです。それは一万七千人の自宅待機もおるかもしれませんし、あるいは四〇%のこの紛争をやっている学校があるかもしれない。しれないが、当面の紛争を静めていこうという立場にあるならば、私がさっき受けた感じでは、きょうは国大協の代表がおどし上げられて、とにかくおまえたち、大体何をしたのだ、その処置を明らかにせよ、この前も約束したけれども、一つもやっていないじゃないか、そうしてそういったまとまった考え方がけしからぬじゃないかという立場をとられそうな私は気がするけれども、たとえば東大においては近々のうちに、全学生と討論集会をやろうじゃないかという、東大の学長の意向もうかがわれるわけであります。これが東大だけにとどまらず、私の知っているところだけでも、いま大学のこの臨時措置法に対してこの国大協の理事会の決定あるなしにかかわらず、この法案が出た場合に、自分たちとしてはどういう立場をとらなければならないか、この理事会の決定というのは、これは正しいのだという立場でむしろこの法案を前にして東大ではありませんけれども、東大に似たようないわゆるこの大学の臨時措置法に対して、われわれとしては反対だという立場を明確にするような集会というのが続々いま用意されているというふうに私は聞いております。なるほど一万七千人の自宅待機があるかもしれない、四〇%の紛争校があるかもしれないけれども、そういった立場をとるならば、私は来年の入学はおろか、ますます大学紛争というのは、これはこの前も申し上げたのですけれども、火に油を注ぐような状態になっていくのではないかというふうに私は考えます。この点についての立法についてはなるほど白紙だと言われますけれども、私の言ったことについての文部省の考え方を、私は大臣からお聞きしたいと思います。
#12
○国務大臣(坂田道太君) この国大協でもこういうような要望書が出ておるわけでありますから、要望書のことについても、これはおそらく新聞等に出た案をもととしての要望書だと思います。ですからこちらのつもりも、つもりと申しますか、国大協としてどういう点がそれじゃ気にかかるのか。あるいはいまの申し上げましたようなことに対してはどういうスケジュールを持っておるか。たとえば来年度の入学試験についてはどういうようなスケジュールを持って解決をはかられようとしておるのか、そういうようなこともいろいろ御懇談を申し上げたいということでございます。この東大で全学集会を今度やるということでございまするが、これもやはり東大としては解決の方法の一つかと私は考えておるわけでございまして、私どもが考え、また中教審が権限集中ということを申されておるのも、そしてまた学長のリーダーシップをとって、そして学長を補佐する機関、あるいは企画にあたるとか、あるいは広報委員会を設けて学内における学生の意思の反映、そういうようなことに対して十分のコミュニケーションの場を提供するということ、あるいは大学というものが社会的にどういうようなことをこの大学が考えているのかという、そういう考え方を内外に周知徹底させるという意味の広報委員会としての役割り、あるいは管理運営についての専任をするような立場の特別補佐官というような、そういう学長を中心としたスタッフでございます。そういうものを設けなければ、今日の学部自治の弊害におちいっている大学というものはその自治機能というものが有効に働かないんだと、したがってそうすべきではなかろうか。いわんや紛争校においては、場合によっては評議会、あるいは教授会というようなこともたてまえとしてはあるけれども、紛争校になった場合にはむしろ権限の集中というものを学長がやって、そうしてその方にまかせて、そうして適宜、適切な管理運営、あるいは対処のしかたをすべきではなかろうかということにつきましては、ほとんど考え方といたしましては中教審の答申も、それから東大の考え方も同じ。逆に言うならば東大のあの混乱の中から生まれました経験というものを中教審が取り上げたといっても差しつかえなかろうと思うんでございますが、それは論理的にそういうことになって、結果的に同じになったのかもしれませんけれども、そういうようなことがいわれるわけでございます。したがいまして、私はむしろ東大のような、ああいうやり方というものが、その他の紛争校の大学においてとられてしかるべきではなかろうかというふうに思うわけでございまして、そういう自主的努力というものはあくまで私は尊重してまいりたいというふうに考えるわけでございます。それでもなおかつどうしても長期にわたって紛争が続く、そして授業も全然できないという場合に、ただ、こっちは黙って大学側の自主解決を見守っておるかどうかということについては、もうその段階では何か考える必要がなかろうか。そういうようなことにつきましてもひとつ御相談も申し上げてみたい。当事者と御相談も申し上げてみたいという気持ちでございます。いきなり、われわれが介入いたしまして、そして紛争を終結させるとか、あるいはどうかするということではなくて、あくまでも大学の当局の非常な努力というものを見守り、かつそれを援助するということをやって、なおかつどうしてもいかぬ、もうこれはだめだ、われわれの力ではどうにもいけない。少しこの点突っかい棒をしてほしいという、むしろ大学側の希望があったときにこっちが手助けをできるような方法が何かないのかということをわれわれは考えておる。そういうことについて御相談を申し上げてみたいという気持ちでございます。それは先ほど少し非常に何だか段平を振り上げたような話にお受け取りになったわけでしょうけれども、むしろ現実認識としてこういうような三分の一の国立大学というものが紛争をしておる、ほかの私立大学についてはいろいろ教育条件が悪いにかかわらずわずかに三%程度じゃなかろうか、これは一体どうお考えですかということは申し上げてみたいということでございます。
#13
○安永英雄君 私は東大のこの学生との討論集会というものを一応紹介したわけでございますが、その中でそういう討論集会はけっこうだし、大学自体も大いにやってもらいたいと、また中教審の答申もそう示しておりますと、こう言われておりますけれども、実は現在政府なりあるいは文部省のほうで強硬な、内容は示されませんけれども、立法措置ということで強くこの紛争に介入をしていこうという姿勢があらわれておるということから、こういう討論集会の内容はすべてこういった立法措置はやってもらいたくないという、そういった方向の討論集会になり、結論になってくる。特にその長である学長の集まりであるこの国大協あたりの結論もこの問題については早くも出ておる。また、きょう大臣がこれについてのいろいろ説得をされ、説明をされても、私は自分自身で、いまの場合、能力をある程度失っておるということはあっても、それだから私は立法措置をしなさいということに対して賛成をするとは考えられないし、私は大学はどう紛争をおさめていくか、民主化をどう進めていくかといった問題についての討論集会ではなくて、こぞってこの立法措置に対する抗議集会みたいな形にこれは学長はじめすべてがなっていくという、そのためにさらに紛争が広がっていく、こういうことをどう考えられるかということをお聞きしたわけです。
 たとえば、いま中教審の答申でも、これはもう東大その他長い間の紛争の経験の中からとうといものが出てきているんだとおっしゃるけれども、私は答申を見てそういった感じは受けません、私自身は受けません。それはある程度新聞なり、いろいろなことを聞いて、当然あの答申が現在長い間続いておる大学紛争と無関係な形で純粋な机の上の作業とは私は申しませんけれども、少なくとも現地に飛び込み、ほんとうに学長の苦悩、教授の苦悩、学生の苦悩というものをほんとうに身に体して、それが答申となってあらわれたとは全く私は考えられないと思うのであります。ことにいまの東大の問題に関連して言われたけれども、これはもう東大の加藤学長自身も言っておられることで、この中教審の答申に対して早くも見解を出されておるわけであります。全部は読み上げませんけれども、紛争から得られた体験や苦悩というものが織り込まれたあとが十分見られないことは遺憾であるということでございます。したがって、大臣のことばじりをとるわけじゃありませんけれども、私は中教審の答申そのものもすなおに学生も大学側も受けておるというふうに考えられないし、またこの答申を受けてさらに法的な措置をするという政府の、あるいは文部大臣の考え方に対してすなおに私はいくとは考えられない。そういう面を私は申し上げておるのであって、そういった立場から考えるならば、私は立法措置というのはすべきでないという考え方を持っておるわけです。
 そこで、なかなか内容はおっしゃいませんけれども、中教審の答申の中から、これは現行法の中で指導、助言という形でやっていける。しかし、よくよく答申をながめてみると、これはどうしても立法措置というものを最小限にしなければならない、こういう結論が出た。中教審の中からどういったところが法的にしなければならないのか、新しい立法措置をしなければならぬのか、そういった点について、これは社会党といまから打ち合わせをするから白紙の何のということではなくて、私のほうの質問に対してお答えを願いたいと思います。
#14
○国務大臣(坂田道太君) 中教審の答申に対してあまり世間あるいは当事者は賛成でないというようなお話でございますけれども、お聞きになったかどうかわかりませんが、NHKで全国の大学の先生、相当数につきまして調査をいたしました結果は、七十数%以上がおおむね賛成という形になっているということは事実でございますから、ひとつ頭の中に入れておいていただきたいと思います。それからまた、新聞論調にいたしましても、もうこれはお読みいただいたと思いますが、かなり賛成でございます。そういうようなことから考えますると、やはり学長という立場にある場合には、紛争中の大学でございまするから、なかなかほんとうのことをよう言えない、率直に。そういうようなことも考えておかなければいけないんじゃないかというふうに思います。それから一般の市民社会の人々、常識を持った人たちから考えるならば、現在のこの紛争の事態ということについて何らかの措置がとられるべきであるということについては相当数が賛成をしてくれておるというふうに私は思います。その結果がたとえばこういうような新聞論調にもあらわれてきているし、あるいはまた、NHKの当事者の、大学の先生でも総計としてはそういうような形であらわれてきている。これをやはりわれわれとしては世論の動向等をも考えて、たとえ学生の一部において反対はありましても、場合によってはそれを説得することがやはり大学問題を解決する一つの端緒になるというふうに考えるわけでございまして、単に学生が反対するから、もう反対するものは何でもやってはならないということになれば、結局無法者の学生の言うがままになるということであって、一体、われわれおとなであり、政治家である者は何をしておったんだというふうに私は思われると思いますし、われわれもそうあってはならないのであって、世論の動向等を十二分に把握し、また当事者の真意というものを十分にくみとって、そうしてやるべきときにはちゃんとやらなければいけないんじゃないかというふうに思いますが、何と申しましても大学問題は全国民の関心事でございます。また全党の関心事でございまするから、なるたけ国民的合意をたくさんいたしましてこういうような解決に当たらなければ、最終的には大学紛争ということも解決がいたしませんし、また大学の正常化というものも期しがたいし、同時に国民のための新しい大学というものも生まれてこないと私は思うのでありまして、その意味合いにおきましては、いろいろの御意見、たとえそれが少数の反対御意見であろうとも十分耳を傾けなければならないと考えているわけであります。
#15
○安永英雄君 大きく国民世論とか、そういったものをデータにしてどうしても立法措置に踏み切らなければならぬという御意見でありますけれども、私の聞いておるのは、世論とか、そういったことも私承知いたしております。ただし、この立法措置という問題については、これは私は相当な反撃があると思いますが、私のいま聞いておるのは、当面の責任者である大学というものがそういった動きをしているということに対しての私は質問をしたわけであります。ここで私はお聞きしたいのですけれども、当面は、何かいままでずいぶん努力をしてきたけれども、しかしその努力に対して、大学側も自治能力を失っているし、学生は無法者だと、したがって何か当面の問題は立法措置をし、きびしくこれを取り締まる、こういった形で解決するのが最上の何か当面の問題のような言い方をされますけれども、それではいままで学生紛争の原因であったたとえば大学の予算あるいは人件費あるいは施設、たとえば東大の問題については、医局員の問題が、医局から起こった問題があるし、あるいは学内における寄付行為、こういったものや、経理の面等が紛争の原因になっている。大臣に言わせれば、ルネッサンスから、明治維新から、ずいぶん教育が変わってきたという、そういった問題から人間疎外の問題等も出ましたけれども、そういった分析をされて、それに対しての私はたとえばことしの予算、この前私は質問をいたしましたけれども、ことしの予算というものが去年の大学に要する予算にどれだけ伸びておるか、また、どういうところにそれを重点に大体計上しておるのかという質問をいたしました。非常に機械的なこういうものを、現在当面している大学の問題について、紛争という問題について、どうこれを処置していくかというための大学の紛争の原因である予算という金の問題等については全く私はないというふうに局長の説明を聞いたわけです。たとえば、まあ大臣は、この前の定数のときでも胸を張っておっしゃいましたが、そうじゃないのだということで、たとえば東大の紛争の原因になった医局の問題にしても、無給医局員というものの一万五千を三万五千に上げた、あるいは自治省の研修に対して一万五千というのを二万七千五百に上げた、こういうことでこの予算をとるためには大蔵省と刺し違えるという気持ちでとったのだということであったわけですけれども、私はこれは一つの、いわゆる現在の文部省の行政指導の中で、指導助言という中で一つの動きをされたというふうに聞きますけれども、こういう努力というのが私はことしの予算、たとえばいまから問題にします三重大学に工学部を設置するという問題あるいは大阪外語に大学院を設置するという問題、これはいままでの惰性的なような行き方で、そうして文教委員会で審議しろと、こう言われますけれども、私はこの学部のあり方あるいは大学院のあり方、そこに持っていく予算、こういったものをこれを契機にして私は例年にない国立学校の設置という問題については斬新な、しかも現在の紛争の原因になっているというところをえぐってそれが今度はこういう形で出ているのだというふうな提案は私は見受けられない。あろうことか、私は新聞を見てびっくりしたのでありますが、二十三大学に施設費の配分、こういったものをストップする、保留すると、こういった手だてというものは現在の紛争に対してどれだけの効果があるものか。私は大臣に大まかにまずお聞きしたいと思うのですが、ことしの大学の予算という中で、大学紛争に関連してそれを少しでも行政施策としてこれを解消していこうという努力はどのような面に払われたか。私は皆無だと、どんどん予算というものは例年どおりやっておると、そのことは関係ないです。これは先々中教審の答申等が出ればそういうところから考えていこう、こういうのじゃなくて、私はいまの紛争の中で立法措置という問題も、ある側面逆に原因になっておる。少しでも今度の国会の審議の中でそういった紛争を処理していくための行政的な措置と、こういうものが出てこなければうそだと、そういった面を明らかにしないと、例年のように出されておる、審査に通った、そうしてあそこの三重大学の中に工学部を設置する、千葉大学に養成機関を置く、こういうことをただ単にここで審議せいなんていわれたって、私はどうしても納得できないような気がする。そういう私の気持ちから、大体どういうふうな施策をいまとられておるのかお聞かせ願いたいと思います。
#16
○国務大臣(坂田道太君) 昨年から、御承知のとおりに、東大におきましてはあのような紛争を続けて、そうして国民の税金をとにかく四億数千万円を破壊した。また、その破壊を許したままにしておる。そして、たとえば医学部、文学部のごときは今日まで授業をしていない。それから、ほとんどの学部におきましては、最近授業再開したようでございますが、ろくに正常な教育研究というものは行なわれなかったままにあった。そして、東大入学を目ざして何年間も苦労してきた学生、これを入れることのできないような状態にしてしまった。そして、入学中止というふうにせざるを得なくなった。こういうような状況というものを一体国民はどう見ておるのかということです。これに対して大学側はどう考えておるか、いま文部省はどうしておるかということでございます。われわれの指導、助言が足りなかったことは反省いたします。しかしながら、御承知のとおりに、大学は大学自治ということをいわれ、われわれはその大学自治を尊重してまいりました。尊重したからには、この社会的責任を一体どう第一義的に東大は考えるか。そういうようなことを考えないところに今日国民からも問われておるし、学生たちからも問われておるのじゃないかと私は思います。そういういわば管理運営の能力というものが極度に麻痺したような状況になっておるところに貴重なお金を注ぎ込んで、一体どうなのかと私は思うのでございます。こういうような管理運営をして、効率的に大多数のまじめな学生、まじめな教官の研究を静ひつに行なわせるという保障があって初めてわれわれはそれに対して貴重な税金を注ぎ込むべきであると思う。そういう管理運営の体がなさないところに私は予算を注ぎ込むべきものではないと思うのでございます。したがいまして、入学中止をいたしましたからには、入ってくる三千人の学生経費を削減する、保留するということは当然なことであって、そういうことをやらないというところに、今日この大学の先生たちというものが、その厚き身分保障に甘えて、安住して、そうしてその自治能力を失いかけておるのではなかろうかと私は思うのでございます、ここが私は一番大事だと思います。われわれはやはり教育というものにつきましては、高等教育というものは相当お金のかかるものである。われわれは出したいと思っておる。しかしながら、こういう状況で、はたしてそれはやり得るだろうか。それがほんとうにたくさんの学生のためになることであろうかというふうに疑わざるを得ないのであります。ここが今日私は問われておるところであると思います。そういう真因、よってきたる原因というものをよく調査をし、明確にせずして、私はこの貴重なお金を使うわけにはまいらぬというふうに思うわけでございます。
#17
○安永英雄君 それでは二十三大学に対して施設費の配分というのを保留したというのは、大臣の考えでは紛争という問題で、これは自治能力を失っている、あるいは学生も騒いでいる、こういったところにやるべきでない、こういう信念でやられたと言うんですが、これは局長でけっこうですが、この施設費の配分がとまってしまうというと、大体どういった施設、設備、こういうったものがとまることになるんですか、内容的に。
#18
○政府委員(村山松雄君) 施設費というのは、砕いて言いますと建物を建てる費用であります。これは費目といたしましては、国立文教施設費ということになっておりまして、積算は個々の大学の事情を考慮いたしますが、一括計上という形で、四十四年度予算で言いますと五百億程度のものが計上されております。この執行にあたりましては、各大学の建物建築の計画を聞いて、個々にまたきめて配当するわけであります。したがって、紛争をやっておる大学については、個々に相談してもなかなか話が詰まらないから、紛争が一段落するまで待とうということを話し合ったわけであります。
#19
○安永英雄君 私の聞いているのは、この施設という問題については、どういう施設というものがいま進行しておって予算も大体きまっておる。この保留を受けてやっていく。そういった場合に、どういう施設といったものがストップするのか、それが心配だから言っているのです。それは大臣のほうでそういう自治能力のないところにだれがやるか、一時ストップだ、そしてもう少し出直せ、こういった強い態度らしいですけれども、それはそれで態度として大臣持たれたとしても、実際そこのところ、施設そのもの、学校運営あるいはその他に支障を来たすと、こういったものまでとまっておるのかどうか、それを聞きたいから私はもう少し詳細な、どういったものがとまっておるのか、とまるのか、それをお聞きしているのです。そんな十ぱ一からげな話をしてもらっては困る。
#20
○政府委員(岩間英太郎君) 私どものほうでいま保留いたしておりますものは、大体校舎そのほかに図書館、それから寄宿舎等含まれておりますが、現実の問題として、たとえば本部封鎖が行なわれておるというふうな場合は、当然中に事務的な施設の関係も含まれておるわけでございます。そういう意味から申しますと、設計施工そういう点におきまして現在能力が欠けておるというふうな技術的な面ももちろんあるわけです。そこで私どものほうは、紛争の見通しがついてそういう本部封鎖等の措置が解除されるというふうな時期までは実際の執行を見合わせるというふうな立場をとっておるのでございます。なお新聞紙上等で相当な金額が出ておりましたけれども、私どもの予算全体が四百四十億程度でございますから、五百六十億という数字も出ましたが、これはちょっと金額から申しますとオーバーでございます。しかし、実際問題として本部封鎖等が行なわれておりますと、そういう事務上不可能な面がございます。そういう点をお含みいただきたいと思います。
#21
○安永英雄君 これだけで一応大学問題は終わりますが、紛争処理についてどの学校が紛争だという問題が今後問題として起こってくると思いますが、いまの二十三校、これの選定、私も一部、二十四校目にきたところで、ほっとしたということも私どものところにも話があったのですが、この二十三という、紛争校の一つの選別をする基準にもなると思うのです。これはあらたまって大臣のほうでお聞きするということにはならないと思う。この線を引いたのはどういうことですか。二十二校のこの施設、これをストップしようという立場で紛争校を選定した根拠といいますか、それを一応お聞きしておきたいと思います。
#22
○政府委員(村山松雄君) 大学局のほうでは、大学紛争といいましてもいろいろ段階があるわけでございますが、授業放棄、施設占拠、封鎖といったような物理的な状態の激しいものにつきまして三十校取り上げまして、今回会計課のほうで経費につきまして配当上の考慮を加えましたものは、この範囲でさらに、著しく経理能力等について疑いがあるものということになっております。
#23
○安永英雄君 直接いま施設費の配分ということと紛争の認定という問題とは、これは直接は結びつかない問題かと思います。しかしこの点については、大学の施設の問題のところで多少お聞きしたいと思いますが、次の問題に移ります。
 この前資料請求しておりましたが、いただきまして、いろいろ学部の設置の申請あるいはそれを審査する、こういうことが大体わかるような資料をいただいておりますが、この前、学部を設置する場合のいろいろ基準等をお聞きしましたけれども、どうもふに落ちないのは、何かこれを審査する機関ですね。いわゆる大学設置審議会ですか、これのところで相当なやはり作業がされる。そしてそこから文部省のほうが予算とにらみ合わしてやっていかれるような大体気持ちがするのです。たとえば昭和四十三年では大蔵省にも請求をしなかったこういったものが、急速に四十四年度では申請に入ってくる。とにかく過去の申請決定ぐあいを見てみると、非常に一つの基準というものがないような気もするのです。そこで設置基準というのはどういう大体変遷をたどってきたのか、大まかにちょっとお聞きしたい。
 それからそれに伴って大学設置の審議会、こういったものは大体どういう構成で、どういう審議を年間やっておるのか、またそれは内容的には記録は公表できるものかどうか、そういった点をお聞きしたいと思います。
#24
○政府委員(村山松雄君) 大学設置基準でありますが、これは国・公・私立を通じまして、大学をつくりこれを維持させる場合の最低の基準という性格で、現在は昭和三十一年度に制定、公布されました文部省令という形になっております。そこで内容は、学部、学科、講座、教員組織等の基準、それから教員の資格要件、それから授業科目、これが一般教育科目、専門教育科目、外国語、保健体育、基礎教育等に分かれて、どういう系列でどういうものが基本的に取り上げられるというようなことが書いてございます。それから所要単位、単位の計算方法、たとえば一単位は講義によるものは毎週一時間十五週の講義をもって一単位とするというような単位の計算方法がきめてございます。それからたとえば授業、三十五週にわたって二百十日を授業するのが原則であるというようなことが書いてございます。それから教育課程の編成の方法、教育課程は必修、選択に分け、各年度に分けて編成するというような基準が書いてございます。それから卒業の要件といたしまして、大学を卒業するには四年間に一般教育、専門教育等を含めまして百二十四単位をとるというようなことが書いてございます。それから校地、校舎等、物的施設設備の基準、それから付属施設のこと、それから図書等の基準、それから事務組織、それから外国人教育の場合の特例というようなことが、要するに大学をつくり、これを維持する場合の最低基準というかっこうになっております。
 沿革を申し上げますと、三十一年に文部省令になる前は、御質問のありました大学設置審議会の審査基準、審議会がみずからきめる審査基準という形をとっておりました。
 さらにそれの制定当時のいきさつまでさかのぼりますと、現在の学校制度は、昭和二十二年の学校教育法によってきまったわけであります。学校教育法の制定によりまして、小学校から大学までのいわゆる新制度への編成がえが行なわれたわけであります。下から順次、なるべく早くということで、大学につきましては昭和二十二、二十三年の二年間に準備をやったわけであります。当時は占領行政なんかの関係もありまして、大学の基準であるとかそういうものは、なるべく大学人の自主的な意見を尊重するということで、民間団体といたしまして大学基準協会というのが、率直に言えば司令部の肝いり、大学人の話し合いによってできました。これは現在では財団法人になりまして現に存在しております。その大学基準協会において、新制大学というのはいかにあるべきか、その基準をどうするかということを議論いたしまして、そこで大学基準の案をつくりました。それで実際に、学校教育法で公立大学は文部大臣の認可制度になりましたし、認可をするにあたりましては、大学設置審議会に諮問をしなければならないという規定が定められましたので、民間団体であるところの大学基準協会とは別に、文部大臣の諮問機関といたしまして大学設置審議会が昭和二十三年に発足いたしました。大学設置審議会の構成といたしまして、民間団体である大学基準協会やその他の大学団体との関連を考慮いたしまして、発足当初は大学設置審議会のメンバーは総員四十五人でありまして、その半数を基準協会、その他を、これも漸次変遷がございますが、今日の組織で申し上げますと、国立大学協会でありますとか公立大学協会、私立大学、いま三つに分れまして連盟、協会、懇談会となっておりますが、発足当初は私学団体は一本でございました。そういう私学団体、それから関係行政庁の職員、学識経験者というような構成で四十五名のメンバーから成る大学設置審議会ができまして、そこで、大学設置審議会では、大学を審査すべき基準として、大学基準協会がつくりました大学基準の案をみずからの審査内規として若干の修正を加えまして、ほぼそのまま採択して、これをものさしとして大学の審査に当たったわけであります。
 そこで、法的に申しますと、公私立の大学を文部大臣が認可をする場合には、大学設置審議会に諮問しなければならないということになっておりますので、公私立大学の認可につきましては、設置審議会の審査というのは法律上の必要要件になります。国立大学につきましてはそのような規定が学校教育法にはございませんので、文部大臣としてはみずから大学の基準にあてはめて設置をして、国立学校設置法をもって審議を経れば法律上の所要手続としては足りるわけでありますが、昭和二十三、四年の当時の関係者の話し合いもありまして、内容的な実質的な基準については、公私立大学と同等に扱うのが適当であるという判断のもとに、公私立大学同様、大学設置審議会に意見を聞き、その意見をもとにいたしまして所要の予算的、法律的な措置を講ずることにいたしました。それらの諸手続は、大体、実際問題としては並行的に行なわれます。以後ずっとそのような形でやっております。設置審議会の構成とか、大学基準の性格等につきましては、先ほど来申し上げますように、若干の変遷がございましたけれども、大筋はずっとそのような方向でやっております。
 したがいまして、手続を申し上げますと、毎年、翌年度に大学を設置しようとするものは、九月の末日までに文部大臣に設置認可の申請をいたします。文部大臣は九月末日に締め切りました大学設置認可の申請書を大学設置審議会に諮問いたします。これと並行いたしまして、国立大学につきましては、七、八月に大学の意見を聞いて大蔵省に予算の概算要求をいたすわけでありますが、概算要求で学部、学科の設置を一応文部省として考えましたものにつきましては、公私立大学の設置認可申請の期限であるところの九月末日までに同じように大学設置審議会に対しまして必要書類を整えまして設置の可否につきまして意見を伺います。その後の手続といたしましては、公私立大学は法律上の必要要件でありますし、予算、法律という関係がございませんので、これを先に設置審議会は審査いたします。おおむね公私立大学につきましては年度内に翌年度設置の可否を判断して文部大臣に答申し、答申に基づきまして文部大臣から認可書を設置者に交付するという手続をとっております。なお、私立大学につきましては、大学設置審議会において大学設置基準に照らして教育上の組織としての可否を判断するほかに、私立大学審議会に諮問いたしまして、学校法人としての可否、経営能力といったようなものを別途審査いたします。文部大臣としては私学の学部等につきましては、大学設置審議会の答申と、それから私立大学審議会の学校法人の面からの答申とあわせまして、設置認可の手続をいたします。国立大学につきましては、予算が見込みがなければその可否を論じても実質上意味がございませんので、予算の政府原案がまとまりました段階で設置審議会では実質的な審査を始めます。そうしまして、大体年度内には可否を決します。したがいまして、国立学校設置法の御審査を願っておる間に設置審議会の意見も固まるわけであります。現にお願いいたしておりますところの三重大学につきましては、もちろん設置審議会のほうもよかろうという御意見をいただいておるわけであります。そこで、予算が成立し、国立学校設置法も成立いたしますと、この三つの、行政的、予算的、法的手続が完了して初めて発足、こういう順序になるわけであります。
#25
○安永英雄君 よくわかりました。私は、この設置基準の問題についてはこれでとどめたいと思いますけれども、いまの審議委員の四十五名ですね。四十五名の方の名簿と、それから大体、出身、こういったところを出していただきたいと思います。私は、この問題についてはちょっと不審な点がずいぶん出てきておりますので、私は一応これについては調査いたしておりますが、まだきょう言える段階でありませんので、この点はやはり先週もわざわざ聞いたわけでありますけれども、やはりここは相当やっぱり厳正な立場で、そうしてやはり予算の問題もあろうけれども、いまもおっしゃったように文部省としては必要性という問題、置かなきゃならないという正当な理由だけじゃだめなんだ、やっぱり予算との関係があるとおっしゃるけれども、私は今後設置の問題については、この前も申し上げたように、将来のやはり大学像というものを描きながら、そうして学部をどう育成するか、大学院も同じでありますが、そういったやっぱり長期展望に立った中で必要性というものを十分実現できるような立場に立たなければ、いまのようないろんな暗い面も出てくるだろうというふうに考えます。この点はこの前大臣からもはっきり基本的な御意見も承っておりますので、早急にやはりこの点も手をつけなければならぬ点が非常に多いというふうに考えます。
#26
○川村清一君 関連。ただいまの、安永委員の質問に関連して私はちょっとこの表で一言御説明願いたいことと、それから私がさらに資料をお願いすることと二点申し上げたいと思います。
 この資料を見ましてちょっと理解できませんので、この点御説明願いたいんですが、「昭和四十四年度」ですね、「学部」という欄がありますね。これちょっと下がっていきますと、「上記のほか、大蔵省に要求したもの」という欄の中に、たとえば秋田大学というのが一番上にありますね。そこに「創設準備費計上」となっておりますね。それからずっと下にきまして京都大学というところがありますね。そこには「創設準備費要求」となっておりますね。すなわち計上と要求と二つのことばがあるのです。これはどういう意味か、この点がわからないので御説明願いたいことと、それから学部についてのことはわかりましたが、この学部の中に学科というものがありますね。ただいまの大学局長の御答弁の中にもありましたが、学科の設置を認可してくれということで申請されて、それをやっぱり大学設置審議会で審議をして、それに基づいてかまた文部省自体でやるのか、その辺はまたさらにお聞きしないとわかりませんけれども、大蔵省に要求するものと要求しないものと出てくると思うのですが、そこで学科のところも私は知りたい点がある。ですからこの次までこの学科の面のところも資料をひとつ出していただきたいということをお願いをしたいわけです。
#27
○政府委員(村山松雄君) 第一点でありますが、秋田大学は創設準備費として要求をして認められて計上された、こういうかっこうになっております。それから大阪大学は要求の段階では学部創設の予算要求をいたして、創設が認められないで準備費計上にとどまったいきさつになっております。それから京都、徳島は創設準備費として要求をし、その要求が認められなかった、こういう結果になっております。
 それから学科の問題でありますが、これは沿革的に申し上げますと、新制大学発足以後は、かなりの期間は学科につきましても大学設置審議会の議を経ておりますが、ただ法律上は大学または学部を創設する場合には、大学設置審議会に諮問しなければならぬとありまして、学科についてはその点法律の形式論理としては不分明であったわけでありますが、当初は大学というものも関係者の間で基準の理解等が熟しておりませんでしたし、また学科というのは学部の要素であります、要素である学科を審査しないで、学科でこま切れにだんだんやっていけば結局学部ができるわけでありますので、学科についても学部同様に設置審議会の審査を経たほうが適当であろうという配慮に基づく措置であったと思われますが、あれはいつごろでありましたか、三十六年か七年だったと記憶いたしますが、新制大学も発足以来相当の年数を経て、大学基準についての理解も熟し、それからすでに学部があればその中で学科を増設するという場合において、その編成について設置基準の判断を誤ったり、不適当なことをするということは――まあ大学をもっと信用してまかせてもよろしいのではなかろうかという意見がございまして、学科につきましては設置審議会に付議することを取りやめにいたしました。なおこまかく申しますと、学科につきましては、計画を公私立大学につきましては文部省に届け出を願って、文部省として設置基準とその計画書を照らし合わせて、適当なる場合にはすなおにそのまま受理し、それから若干意見がある場合には基準に照らしてここら辺に問題があるというふうな助言をいたすというようなことをやっておるわけであります。国立大学につきましても、公私立を諮問しないことをきめましたので、学科につきましては予算措置のみにとどめまして、予算措置ができますと、大学からこれと並行して学科設置の計画書を取り、文部省としても基準に照らして考慮いたしまして、両者の意見が調整された段階で、大学としては所要の措置を学則等において講じて発足をする、こういうやり方をやっております。
#28
○川村清一君 そう詳しく御説明願わなくてもけっこうなんです。私お聞きしているのは、学科についても大蔵省に要求して、要求がいれられて、予算がつけられて、実現するものもありますので、その点についても、その欄では学部だけはわかりますけれども、学科のほうがわからぬから、学科についても大蔵省に要求したもの、大蔵省に要求しなかったものというふうに分けて表示をいただきたいということをお願いをいたしたいのです。できるでしょう。
#29
○政府委員(村山松雄君) わかりました。
#30
○安永英雄君 これはいまから三重大学なり、あるいは大阪外語の問題について予算その他で聞く前に、大臣から一応基本的なことをお聞きしたいと思うのです。
 終戦後新制大学という形で発足をしてまいったわけですが、現在の講座制とか、あるいは学科別制、こういったものの今日までのずっと進展をしてきた状態を見たり、あるいは今度の紛争の中でも多少あらわれておりますけれども、新制大学のいわゆる建学の精神といいますか、こんなものはどこにあったのか、多少いま混乱しているのじゃないか。たとえば旧七帝大、こういう旧制の帝国大学というものと、師範学校とか、旧制の高等学校その他一緒になって新制大学として新しい大学の姿が発足したわけですが、現在の予算その他制度を見てみますというと、どうしても私にとっては旧制のいわゆる帝大と、こういったものをいまの大学としては、完成された新制大学としては求めているのか。またあのとき確かに新しい一つの、旧でもなければ新でもない、あそこで新しい一つの決意のもとに発足をしたわけですけれども、ここらあたりが基本的にいま非常に混乱をしておると私は思います。その中からやっぱり予算の配分その他の問題も出てきているというふうに思いますが、いまの時点に立って振り返った場合に、あの当時の新制大学の建学の精神というものはどこにあったのか。そうして今後新制大学としてはどうあるべきか、こういった基本的な問題について、大臣の御見解をまず承っておきたい。
#31
○国務大臣(坂田道太君) 私もその点は非常に重要な点だと思っております。したがいまして、わが国の戦前におけるところの旧帝国大学というものは、ヨーロッパで成熟いたしました大学、ヨーロッパと申しましてもヨーロッパ大陸のほうです、イギリスはちょっと違いますけれども、とにかくヨーロッパ大陸で育ちました大学をモデルにしておる。ところが、終戦後の新制大学の理念というものは、むしろそういう閉鎖的な大学じゃなくて、閉ざされた一部エリートのための大学ではなくて。万民のための大学であるというふうに変わってきた。つまりアメリカで成熟しました大学制度というものを取り入れた。ところが、取り入れたわけでございますけれども、その理念にそれを受けとめた大学当局も、それからまた指導、助言をすべき文部省も、その点についていささかとまどったのではないかという反省を私は持っておるわけでございまして、したがいまして、万民のための大学、開かれた大学というからには、やはり国民の意思というものが反映した大学自治ということが求められなければならないのではないかというふうに思います。ところが、その機能というものを試みられたのでございますけれども、取り入れられなかったというところに今日の大学が頭は旧、ヨーロッパの大学であるし、胴体はこの国民のための、大衆のための大学という形になって頭と胴体とが意思がうまく働いておらないというところにこれは大きな欠陥があるのじゃないかというふうに思うわけであります。やはりその理念に徹すべきであると私は思うのです。その徹することについてわれわれはちゅうちょすべきではなかったというふうに思います。これは六・三制自体についても私はそう言えるかと思うのでございまして、一時あまりにわれわれも戦前における日本の制度というものに対する郷愁というものがあって、どうもドイツでは、教育使節団が来たときに、これをさすがにドイツは拒否したと言った、われわれがあのときに六・三・三・四制度を採用したことはいかがであったろうかというようなこともつぶやかれた時代もあります。しかし、いろいろ検討いたしました結果、六・三・三・四制度そのものについての一面の欠陥もあることは承知をいたしておりますけれども、しかし私どもといたしましてはここまで定着してまいりますと、むしろ六・三・三・四のいいところというものに徹し、かつ強化し、六・三・三・四の持っている欠陥を補うという形において今後高等教育機関の問題も六・三・三・四制の手直しの問題も考えていかなければならないのじゃないかというふうに思っております。ただ、この基本的な問題についてはいま中教審においても小学校から大学までの総合的な検討がなされつつあるわけでございますから、確たるお答えをいたすわけではございませんけれども、そういうような気持ちを持っているということは申し上げていいかと思うわけでございます。
#32
○安永英雄君 最後に、中教審ということばが出たので私もちょっと困るのですが、すべて中教審の答申を待ってと逃げられるのですけれども、私は先ほどの大学紛争の問題にからんで確かにけなしは決していたしませんけれども、医局員の待遇の問題、これは確かに大臣が努力されたことはわかっております。これも一つのやはり大学紛争の処理として非常に高く評価しておるわけであります。たとえばいまの見解で、やはりあのときに決意をした旧制の七帝大を中心にああいう形に持っていこうとは考えていない、こういうところなんですが、そういった点も私はやっぱり中教審の答申を待つというのでなくて、先ほどの、医局の待遇を改善するくらいはやはりそのつど、そのつどつかまえて、そうして改善できるものは年々にやっぱりやっていく、中教審の答申も諮問機関ですし大事なことだと思いますけれども、やはり日常の行政の中でやっていかなければならぬ、問題はそこらにあるのじゃなかろうか、こんなふうに思っておりますし。たがって、その中でも特に講座制の問題あたりは今度の紛争の中でも講座制の持つ一つの閉鎖的なそういったものが原因になっているというふうに私は一応感ずるわけであります。で、大学のほうでいろいろ話をしてみますというと、やはり現在の講座制という問題についてはいま大臣がおっしゃった新制大学の学校の基盤を築いていくためにはやはり大きな障害になっている点もある。私はここで講座制を直ちに廃止せいとかなんとかいう立場でいま申し上げるのじゃないけれども、少なくともこの旧制の帝大というものの残滓がこの講座制の中にずいぶん残っており、それがひいてやはり大学紛争の原因にもなっているというふうに私は考えます。結局徒弟制度というふうなものが残っている。私はびっくりしたのですけれども、私は東大の近くにおりますから、東大の紛争のまっ盛りにあそこの若い助教授に聞いた話なんですが、かつて世話になった老教授が来られて、紛争で一生懸命になっておるのに追い回されて、ようやく池の端でつかまって、先生何ですかと言ったら、おれの就職どうなっているんだ、おれのことをほったらかして大学紛争とは何事だということで、あれを聞いてうんざりしましたが、しかし実際にはそういった徒弟制度というようなあれに縛られて、こういう忙しいときでもやはり縁につながる教授の就職運動というのもしなければならぬということをこぼしておりましたけれども、やはりそういった何といいますか、たての系列で、結局、教授、助教授、講師、助手あるいは教務員、こういう職階的な系列が非常に強い。そこから閉鎖的な点も出てくるし、そして家長的な存在に主任教授はなってしまう、こういうことをあちこちの大学に実際に飛び込んでいって講座制の問題については聞き及んでおるわけであります。そこで、講座の長である教授に対しては絶対服従、もう権力で押えられておる。そういうことから学問の自由、研究発表の自由、こういったことがもう教授のことば一つで行なわれていって、自由はそこにはない、こういうことがある。あるいは講座と講座との間の関連は全くない。医局あたりにまいりますというと、どうかしたところでは、同じ胃なら胃の研究をしていたところが二つもありまして、相互に関連して研究をお互いに若い連中はしたいと、こう言っているけれども、全く治療法が違うんだとか、その研究のテーマが違うんだとか言って全然交流もない。ましてや他大学との研究の交流、こういったことも実際この講座制の中から縛られて出てこない、こういう弊害もいろいろ聞いております。ひどいところでは、助教授、助手、このあたりが一生懸命研究したものもその集約したものはどこにいったのかわからないし、また一年くらいするとひょっこり主任教授の名前でそれが発表される、こういうことではとてもやっていけない、こういう点があるわけで、この講座制の問題について私はたくさんの問題を実は研究してみたのですけれども、また実際に教授連中とも話をしたのですけれども、どうしてもやはりこの講座制の問題については、私先ほど言ったように、こわす必要はないけれども、いま言ったような点あたりは早急に改正する必要がある。特に三重大学でいよいよいまから工学部が発足する。こういったところあたりでこういった問題が――あそこはたしか農学部は大学院かあったと思いますね、大学院があります。その大学院で、あそこで講座制をやっている。いまから始まるのは学科制でやっていく。同じ学校でやっていく。そういったところの落差も問題になってきます。そういった点でまず講座制の問題について、中教審の答申を待つということじゃなくて、大臣としていろいろな講座制の弊害なり、今後の紛争との関連を御研究になっていると思いますが、何か直ちに手をつけるというような点はないかどうかお伺いしたいと思います。
#33
○国務大臣(坂田道太君) この講座制というものは旧帝国大学の一つの象徴されたものだ、新制大学になってから学科制というふうに一応言えるかと思うのですけれども、しかし、いま安永さん自身もお考えのように、講座制だけの原因によっていま御指摘のいろいろな欠陥が出てきたかということ、必ずしもそうじゃないんじゃないかというふうに思います。しかし、やはりこれは検討の課題だというふうに思います。
 それからいまお話がありましたように、やはり教官も学問の自由を唱えておる。また学問の自由あるいは言論の自由というものが一番なければならない大学がいま最も不自由になっておるということも安永さん自身もお認めなんですよね。実際そうなんですよ。だからそれはなぜなのかということを私たちはやはり考えなければならぬので、それはやはり国民の意思というものが、もう少し大学の中に入れられなければならない、また国民の声に耳を傾けなければならない、それなのに大学を構成しているのは教官、学生あるいは事務職員、だからおれたちがきめたことはもう絶対なんだ、おれたちは国有の権利があるのだ、こういうものの考え方というものは、私はボロニア大学に、五百年ばかりあと戻りするなら別だけれども、この国民のために開かれたこの近代社会においては、もう少し国民の意思あるいはタックスペーヤーとしての意思の反映を踏まえた大学自身というものが考えられなければ、一体あのお城の中で自由自由と言いながら、その大学の先生たちが、あるいは助手の人たちが、助教授たちが不自由を味わっておる、何たることだというふうに思うわけです。これは単に講座制の問題だけじゃない、むしろ学部の自治と称しながら学部の閉鎖性にある。大学自治と言いながら国民の意思を踏まえない、聞こうとしないそういう閉鎖性にある。そこに欠陥というものを改めない限り、私は国民のための大学、万民のための大学という新制大学の理念というものは生まてこないというふうに思うわけでありまして、そういう意味から申し上げますると、いま安永先生御指摘のとおり、私は講座制にも幾分そういうような縦社会というような因習が残っておると思います。しかし、それ以上に、むしろ教官がああいう教育公務員特例法というような形において一般公務員よりもより以上にこの身分を保障されておる。保障されておるということは学問の自由ということを守るという一つの考え方から出ておる。しかしながら、同時に、その大学の先生がそういう手厚い保障をされておるのがなぜかというならば、大学というところは理性の府であり、良識の府である、一般社会、一般の市民社会より以上のモラルというものが求められておる、そういうものを身につけておるということを前提として、それが許されておるし、手厚い保障がなされておる、こう私は思うのでございます。したがって、私はやはり大学教授の言動ということについても、いかなる学説をお持ちになろうとも、それは守られなければならないけれども、一般市民よりも以下のようなモラルではだめなんだ、言動はひとつ注意してもらいたいということを私は繰り返し繰り返し申し上げたわけですけれども、とにかくそういう意味合いにおいて、もう少し大学教授の選考あるいは在任期間あるいは人事交流というようなことを考えていかなければ、いま御指摘のような弊害というものがなくならないではないかというふうに私は思うのでございます。この問題はまさに御指摘のとおりで、十分検討に値する問題だというふうに考えますが、しかし中教審に聞くのは悪いようですけれども、私自身が一つのこう恣意的な、私自身の乏しい、貧しい頭で考えましたことで、ずばりとやるということは、やはり危険を伴いますので、+分そういうふうな中教審においても御検討いただく、また皆さん方におかれても御検討いただき、こういうような御意見を承わるという形によって慎重にやはり改革、改善を進めていかなければならない。しかしこの課題というものは、まさに大学紛争の一つの課題であるということだけは、はっきり言えると私は思うのであります。特にその医学部、医局の制度の中に象徴的にあらわれておる。そうしてその象徴的にあらわれているところから東大紛争が始まったという認識は安永先生と私と同じだということを申し上げた次第です。
#34
○安永英雄君 意見はあまり一致していないので、私の言いたいことは、大臣いまおっしゃった人事の交流一切、そういうことをやらなければならないということをなぜいまやれないのかということを私はお聞きしたかったのです。あくまで中教審そうして皆さんの意見、これはまた長引きそうな気がします。私は大学紛争の処理のためにも、あなたが医局の人件費を取ってこられたような形でこれはもう文部省でできることなんです。指導、助言の中ですぐできることなんです。しかしこれが紛争の発端なんです。これはひとつ中教審にはかるまでもなく――ここらあたりを中教審にはかるとなれば文部省は要りませんよ。私はこんなことはすぐやらなければならぬ問題だと思うし、いまから発足する三重大学なりあるいは大阪外語大、ここらあたりを起点にして、これぐらいのことはまず二校から始めたらどうか。こういう気がしましたからまず申し上げたのです。早急に打つべき手は打っていってしかるべきだと思う。大学全部の全構想の中からこれが生まれてくるというそのことも大事だけれども、とりあえずやっていただきたいということを注文をいたします。
 次に、先ほど大臣もおっしゃったが、いわゆる新制大学という中にも依然としてやはり旧七帝大の遺物として講座制の問題も残っておるし、それが予算の上に出てきているのです。たとえばことしの予算で教官当たりの積算校費あるいは研究旅費、こういった予算が組まれておりますけれども、この点について著しく講座制と学科目制とを差別しているような気がするのです。これが残っていれば、依然として大臣がねらっておられるような新しい大学にはならぬような気がする。こういう小さいことにも私は改正していかなければならぬ点がありゃせぬかという意味でお聞きをするわけですが、まずこの積算の基礎になります単価、あるいはその学科目制と講座制との違いという問題について説明を願いたいと思います。
#35
○政府委員(村山松雄君) 教官当たり積算校費で申し上げますと、博士課程大学院のあるところの講座制、これは三段階に分かれておりまして、非実験、俗に言えば文化系でありますが、これが百三万三千円であります。それから実験、これは理科系でございますが、四百七万七千円であります。それから臨床、これは医学部のうちの臨床部門でありますが、四百四十二万四千円であります。
 それから修士課程を置いておる講座制の場合で申し上げますと、これは非実験、実験の二段階でありまして、非実験が、これは教授、助教授及び助手という構成になっておりますが、非実験が五十五万三千二百円ということになります。それから実験が百九十三万三千円という形になります。
 それから大学院の置かれていない場合、これを予算上学科目制といっておりますが、非実験で、かりに教授、助教授、助手半人分という計算をいたしますと、四十三万八千円ということになります。それから実験で教授、助教授、助手各一ということで計算をいたしますと、百五十一万二千円という形になります。
 ここで校費に差がありますのは、形式的に言えば大学院のあり、なし、それからまた大学院につきましても博士課程まであるか、修士課程まであるかということが、その教官当たり校費の予算単価の積算を異にしておる最大の理由でございます。
#36
○安永英雄君 確かに講座制があるし、学科目制がありますから、その性格からいって多少の差はあるといたしましても、大臣が先ほど来おっしゃっておるように、私はこれは本来差があるべきでないというふうに考えます。
 そこで、いまのたとえば講座制のほうが講座当たりに計数をかけますね、そうして学科目制には一人当たり、こういうような形をとっておりますが、それはなぜですか。
#37
○政府委員(村山松雄君) 一つは沿革的な理由でございます。従来旧制度の学制におきましては、いわゆる国立総合大学、俗に帝国大学と申しますが、ここでは制度上講座という制度がございまして、それから官立大学、医科大学とか商科大学、そういうところは制度上の講座は必ずしもはっきりいたしておりませんが、総合大学の講座制に準じた扱いをしておりました。新制度になりましても予算上はその扱いを踏襲いたしたわけであります。それから、その他新制度の国立大学で旧制の総合大学あるいは単科大学でなかったものにつきましては、これは専門学校、高等学校あるいは師範学校でありますが、これを基礎にして改組しまして学部大学を編成したわけでありますが、その際に先ほど来申し上げております大学設置基準との関連におきまして予算上も講座制をとらず、学科目制、つまり大学設置基準上学部、学科の教育を行なうに必要な学科目を並べまして、その学科目に教授または助教授、それらが得られない場合には講師というものを配置いたしまして、それで学部、学科を編成したわけであります。そういう関係がございますので、講座というようなはっきり教授一、助教授一、助手一あるいは二というような組織がとられませんでした裏づけとして、予算もそれぞれの教官職種別の単価をきめまして、それの合計をもって当該大学の教官当たり積算校費として配当をいたした、こういう沿革でございます。
 なお、修士課程を置く大学につきましては、これは沿革的に見ますと、大体旧制では大学でなかったところ、つまり専門学校、高等学校等から改組されたものを母体とするところでありますが、修士課程の大学院を置く機会に講座制度と学科目制のほぼ中間的な予算積算単価をくふういたしまして、それによって実施いたしているわけであります。
#38
○安永英雄君 いまの考え方はわかりますけれども、私はどうしても新しい大学、新制大学の本質に立てば、この講座制をぶっこわすということではないにしても、これにひっつける努力をやはりしなければならぬのじゃないか。私は二十三年、二十四年のころのあの予算をちょっと見てみたのですけれども、あのころはやはりそういう新しい発足だものだから、こういった研究費とかあるいは研究旅費等はわりにひっついているのですよ。計数をここへ持ってきていないのですが。ところが、特に最近だんだん開いているような気がして、大臣はそうおっしゃるけれども、やはり旧制度の七帝大の頭と言われたあの部分はいつまでも残していこう、そうしてそれをだんだんからだ全部に及ぼしていくのじゃないかというぐらいに、予算の面等を見てみると同じようにだんだん開きが大きくなっている。こんな気がするのです。やはりそれは、もちろん大学院を置いているということから、あるいは研究という面からいっても、私は全然認められないということではない、当然差がそこに出てくるだろうけれども、私はあまりに差が開き過ぎている、こんな実は気がするのです。それと関連して、大学院という問題については次のときに質問したいと思うのですけれども、大学院そのものを認めながら、大学院の予算というのは何かぶっ込みでこちらに入ってきているから、大学院の予算というものはきちんときめて、それでそこに教官の数なり人件費でも何でもきちんとやれば、わりにこれはひっついてくると思います。そういった点も確かにある。たとえば、教官の研究旅費などというものは、講座制をとっているところ、それから学科目制をとっているところ、これは私はあまりにみみっちい話ですけれども、単価としては一応四万四千二百円というふうになっているけれども、こちらの学科目制のほうは三万一千九百円。ここらあたり、たとえばの話ですけれども、一つをとってみても、研究旅費、こういったもので講座制と学科目制とが開くというのはどういった理由なんですか。
#39
○政府委員(村山松雄君) 前段のお話でございますが、講座制、学科目制といったような設置基準上の制度論は一応たな上げにいたしまして、予算の区分という角度からとらえますと、これは先ほど来御説明申し上げましたように、もっぱら大学院のありなしによる差ということでとらえております。そこで、問題は、その差が一体合理的であるかどうかということでありまして、御指摘のように、最近その差が少し開き過ぎておるではないかという御意見、大学側からもございます。それから、大学院を込みにして、講座制、学科目制の教官当たり積算校費の差として扱うのが妥当であるかどうか。むしろ大学院に必要な経費と、それから学部に必要な経費というぐあいにはっきり分けたらどうかとか、そういういろいろな御意見ございます。それからまた、教官の研究旅費のほうにつきましては、大学院のありなしによって差等を設けるのはどうも合理的でない、こういう御指摘は大学関係者からもありまして、もうこの点はかなり私どもとしても説得力のある、合理的な御意見だと思っております。それらの合理化、それから差が不合理であるとすれば、これを詰める努力というのは現在も若干はしておりますし、これからもよく関係者の御意見を承って、できるだけ納得のいくように合理的に積算されるように努力いたしたい、かように思っております。
#40
○安永英雄君 私の説得力があったかどうか知りませんが、大学の説得力があるそうでありますから、ぜひひとつこの点は、先ほども何回も申しますように、小さいところからやはりしないと、今度の大学紛争の問題にしても、よくよく聞きますというと、たとえば三重大学で農学部、これは講座制を持っている。いまから発足する、こういった場合に、同じ教官、教授というのがみんな一緒にやるわけですよ。そういうところに差がつけられるというところに、多少大学の中でいろいろ教授間においてイデオロギーとか、あるいは学問の上で意見が違うとかいいますし、まあ紛争自体についても意見が分かれるところも出てくる。こういった点も案外大学教授の人はしぶいですよ。私の接した大学教授は、わりに金銭的な問題については非常にしぶいですよ。たとえば例を言うと、なまなましいのはちょっとぐあい悪いですけれども、新しい大学をつくる、そしていなかのほうに移転をした。そのときに移転をするのに全部の教授が反対をする。よく私も相談がありましたから行ってやってみると、いわゆる給与の暫定手当、いわゆる地域給なるものですよ。ずいぶん、学校へ行くと変わるというのですよ。これは小学校でも中学校でも起こる問題。人事異動のときに非常に弊害になる問題ですけれども、大学教授の連中でも地域給が、疎開した、いなかのほうに行くと、これだけ金額が下がるということで、教授会あたりではそれが一番大きな問題になって、反対理由になって、私もあいた口がふさがらずに、しかったことも実はあるわけですけれども、同じ大学の中で講座制をとっている学部があるかと思えば、学科目制をとっている。そこに持って研究旅費その他一切が違う。案外そういった点がありますから、私はこういった点も先ほどのように、すぐに私は手だてをしてほしいという意味で申し上げたわけであります。
 次に、時間もあまりありませんから、三重大学の工学部設置でどれだけの金がかかり、それからその内容のあらましをちょっとおっしゃっていただきたい。
#41
○政府委員(村山松雄君) 三重大学につきましては、前回も御説明申し上げましたが、とりあえず機械学科、電気学科の二学科で発足することとしております。そこでこの二学科の工学部という場合に、ある程度予算的に定型的になっておりまして、初年度は教授二人、助教授二人それからその他の職員が八人、合わせまして十二名の人件費と、必要な運営費あるいは施設設備費ということになります。そこで、予算面では二学科で初年度第一年次を運営いたしますのに約五千四百万、それから設備費といたしまして初年度約四千万、それから施設費、建物でありますが、約一億三千八百万が予定になっております。なお、大学の新設計画というのは四年間を通じまして、私どものことばでは学年進行という形で逐次、人もふやし、施設設備も増強いたしまして完成させる予定になっております。
#42
○安永英雄君 そうすると、いま私が申し上げた、いわゆる校費あるいは研究旅費というのは、先ほどおっしゃった基準で入っておるわけですね。
#43
○政府委員(村山松雄君) すべて基準的な経費は従来の基準によりまして積算されております。
#44
○安永英雄君 先に進みたいと思うのですが、この研究費の問題で問題になりますのは、いわゆる国の予算で組んである以外の予算がいろいろ入ってきておる。私も二、三実際に調べてみたのですが、非常にあいまいな形で入っているということが言えると思います。そこで、現在、企業とか、あるいは他の省あたりの研究委託それから研究費の交付を受けることがあれば、それはどうなっているか。それから学者自身が奨学金をそういった企業とか、そういったところから受けているもの、こういった現状についてお聞かせ願いたいと思います。
#45
○政府委員(村山松雄君) 大学が部外から金銭的な援助を受け、また部外にサービスするということにつきましては、若干制度的にも取り上げております。たとえば受託研究といったようなことで、部外から研究の受託をし、大学がこれに応じて契約を結んで研究をし、成果を還元する。これは予算といたしましては大体三億円程度計上いたしております。これは俗に、から予算でありまして、年間に委託研究の申し込みがあって、それが成立して金が入ってくるとそれを使う、こういう形に相なります。それから他に、金だけを御協力を願うというのは奨学寄付金というのがございます。これは部外から大学における教育、研究等を援助する意味で金銭的に応援するわけでありますが、これも国立学校特別会計で受け入れのワクをつくっておりまして、現実に申し込みがあって金が入ると、それがそっくりそのままその大学の教育研究活動に使われる、こういう形になります。それらのほかに、そういう正規のルートを通らない援助というのが若干あるようでございます。その点につきましては必ずしも実態をつまびらかにしないわけでありますが、特別会計制度を昭和三十九年にとって以来、部外から協力を受ける、あるいは部外に逆にサービスするということにつきましては正規の道も開けたわけでありますので、必ず正規の道によって処理するように通達もいたしますし、それから指導、助言等もいたしまして誤りのないようにやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
#46
○安永英雄君 これは五月の十三日の新聞なんですが、長崎大学の医学部の医療器械購入をめぐって汚職があった。これとあわせて、ちょっと驚いたことに、同じ事件にかかわっております秦野という教授、この人が、長崎大学の体育館あるいは講堂、こういったものを設置するということで、九州、中国地方などの公私立の病院、それから薬業業者、医療器械業者、こういったところから千六百万の寄付金を集めておる。そして、そういった体育館あるいは講堂をつくるためには八千七百七十万が必要であるわけで、この中で、体育館建設費の一部、千二百万の予算というのは、新聞の報道では文部省予算に入っている。予算の項目には入っている。こういうことが出ておるわけですね。長崎の大学で講堂を建てたい、あるいは体育館を建てたいということでこちらのほうに申請があっておって、その中のわずかな金額が文部省で組まれておるということであれば、現地でそういった建物を建てたいという意向は十分わかっておっただろうし、また、医薬の会社あたりから金をどんどん集めてきたり、医療器械を購入するための便宜をはかったり、汚職がそこについておるわけですがね。この一つの例を見て、こういった点は文部省は知っていたんですか、こういう建設をしたいということは。金も幾らかくることになっておったというんですが、文部省から。
#47
○政府委員(村山松雄君) 御指摘の点は、長崎大学記念講堂の建設の問題だと思います。これは主として寄付でやるということで、原爆復興二十周年医学同窓記念事業会というものができて、そこで募金をやっておるようであります。寄付受け入れにつきましては、昭和四十三年に文部大臣にも申請があって、承認がなされておるようであります。
#48
○安永英雄君 私はそういったところが非常にわからないんですよ。あとで東大病院の爆発事故、あの事件等も詳しく考え方を聞きたいと思うんですけれども、文部省としてはこれだけ、あとは寄付にたよるということだからわしの知ったことではない、これでは私は済まされる問題じゃないんじゃないか。国立大学ですよ。そういった点が、私は、この前から聞いていますように、たとえば申請するにしても、いまから学部を設置するにしても、文部省は下から言ってくればそれで考えようという考え方が各面に出てきている。それは大学の自治というのを守ることではない、筋違いのものですよ、そういうことは。大学の自治と関係ないと私は思う。はっきりしなきゃならぬことははっきりしなきゃならぬのです。それがすべて、それぞれの大学、それぞれの地域というものにまかせておる。寄付金集めて建てなさいと言ってはいないでしょうけれども、少なくとも金は幾らか出している。建てなさいという意向は十分ある。足らぬことはわかっておる。わかっておるから、寄付を集めなさいと言わんばかりじゃありませんか、こういうことは。私はそう思うのです。特に私はもらう相手が当然そういった業者というのとからんでくると思うのです。私の知っているところだけでも、ある県に二つの師範学校があって、その師範学校が一つになって学芸大学をつくるというので、なかなかむずかしいというところで、新しい地域をつくろう、開発しようといったところが、そこでは大きな、まあ日本で有数な資本というものが土地を全部買ってくれて建ってしまう。あとはその土地を買ってもらったり提供してもらったり、いわゆる寄付行為を受けたということで、あらゆる面でその企業というもののさしずを学校の中に受けている。しかし、いまの考え方からいけば文部省は金がないからとにかくどこでもいいから集めて来なさいと言わんばかりで、わずかな金をやっている。金を全然やらないで、あすこに講堂が建つか建たぬか、文部省は知らないというのだったら私はあえて言いませんけれども、すべてこういうやり口をしていて、金がないから幾らかやって、あとは寄付でやりなさいとか、あるいは施設をつくっても金はありませんよというのでは、地元でそれだけの負担ができますか。こういった形では私は新しい大学の確固たる使命を果たすことはできないというふうに常に思っているのですが、この点あまりに野放しではありませんか。本人の汚職が出た。本人これについては業者と結託をやっている、医療器械を購入するので。それは処分する。処分すると言っただけじゃ済みませんよ。その医療器械を入れるところは寄付して、片や文部省は推進してないけれども、少くも建てなさいと、建てるという意向に賛成しているのに、それはあなた金がきますよ、その医療会社から。医療器械を送り込んだことによって、そこから寄付が来ますよ。汚職をすすめているようなものではありませんか。私は少なくとも国立大学なんだから、これについては大体大部分のものをとにかく国がきちっと施設設備そのの他一切を見る。こういった立場で堂々とした大学の立場というものを私はつくってあげなければならぬのじゃないか。こんなふうに思いますが、大臣、その点の基本的な考え方を教えていただきたい。
#49
○国務大臣(坂田道太君) その点は御指摘のとおり私はまことに遺憾だと思うのでありまして、この秦野教授というものの収賄の問題については、大学教授として断じて許すべからざることと思っております。こういうようなことが今後ないように指導いたさなければならないと思っております。また同時にいま申されましたような講堂であるとか、あるいは体育館であるとか、大学として当然持つべきものについて全額国で持てというような御主張に対しましても、私はそのように考えます。またそのように指導をしてまいりたいというふうに思います。まあこういうようなことがやはり起こりますのも、われわれの指導、助言も足りなかったし、同時に大学自身がたるんでおるということも言えるのじゃないかというふうに思いますので、十分今後注意してまいりたいと思っております。
#50
○安永英雄君 まだこの問題については資料を持っておりますし、もう少し今後の施設といった面についての文部省としてやらなきゃならぬ問題についてはずいぶん私自身も質問もしたいし、要望もしたい点がありますが、時間がございませんので、次に譲りたいと思います。
#51
○委員長(久保勘一君) 午前中の委員会はこの程度にし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二十分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時二十七分開会
#52
○委員長(久保勘一君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 午前中の委員会に引き続き質疑を行ないます。内田君。
#53
○内田善利君 去る四月の二十二日、文部省から、国立の紛争大学に対して予算の配分のたな上げ、カットの通達がなされたわけですが、その内容と、その後どのようになっているか説明していただきたいと思います。
#54
○政府委員(安養寺重夫君) 四月二十二日に、会計課長名をもちまして、各国立大学長あてに、昭和四十四年度の学校、病院、研究所にかかわる予算の示達をしたわけでございます。その内容と申しますれば、これはきわめて中身は事務的な話でございまして、かくかくの経費が別途示達されるので、その使用について適正な効率的な支出ということに努力をしていただきたいというような形になっております。ただ本年は、いま御指摘もございましたが、大学の紛争等の異常な状態のさ中における国費の支出でもございますので、紛争大学に対しましては、当初におきまして、当面必要な経費、まあ教職員の給与費、建物その他学校の管理運営にさっそく必要な経費等々につきましては、その必要最小限、支出計画というものについての協議を求める条件のもとに負担行為をする、また、その時点におきまして幸い紛争等がございませんで正常な運営がなされている大学に対しましては、年度途中におきまして紛争等があれば、ただいま紛争中の大学にとりました措置と同様の手続等を求めるというような条件を付しまして、必要な経費の示達をしたわけでございます。その後、そういった関係から、支出負担行為担当官ということで大臣が委任をしてございます各大学の事務局長、予算示達につきまして条件を付しましたところの当面の大学の事務局長の集まりを先ごろいたしまして、具体的にどのような手続をとってその協議というものが実施に移されるか、しさいの指示をいたしたわけでございます。
#55
○内田善利君 この特別措置の対象となる大学は何校か。それからたな上げされる金額ですね、その総額。それからたな上げ分の内訳、これについてお聞きしたいと思います。
#56
○政府委員(安養寺重夫君) 東京大学、東京教育大学、二校につきましては、第一学年の入学試験が実施できなかった等々の異常な事例でございますので、これは別といたしまして、当面紛争に該当するということで、予算の示達につきまして当初留保いたしました大学の数は十九校でございます。中身は大きく分けまして、予算の中身は人件費、物件費とあるわけでございますが、これは人件費は特別問題ございませんで、現員現給で支給するということでございます。問題は物件費になるわけでございますが、総額約五百六十億、ただし、これは文部省いつもやっておる方法でございますが、施設設備等につきましては、毎年度、前年から計画をいたしました継続中というような特殊なものを除きますと、新年度におきまして、各大学の要求等をしさいに点検をいたしまして必要な調査等を行ない、実施可能というような点で、予算の示達をし、実施の具体化をはかっていくわけでございまして、このような、当初には配らないというようなものが、この金額の中には入ってございますので、十九大学に限ってどれだけとまっておるかというような年間通じての予定額というものは、実は見込みが確とは立たないわけでございます。そういう意味も含めまして、当面物件費におきまして保留したというようなのが、先ほど申し上げたような額になっておるわけでございます。
#57
○内田善利君 施設、設備と言われましたが、具体的にはどういうものがあるわけですか。
#58
○政府委員(安養寺重夫君) 設備はこれもいろいろございます。特殊装置というような何大学にこういう大がかりな装置を設けるというような種類のものもございますれば、設備更新ということで一応古くなったものを買いかえるというようなもの、いろいろございます。また施設につきましては、もうこれはいわゆる国立文教施設費ということで、大がかりな建物の新設、あるいは増設というようなことをするわけでございまして、いずれも大学の要求を聞きまして調査をし、必要かつまた可能な時点において示達をしておるというのが例年の方法でございまして、本年もその点につきましては、やり方を変えるつもりはございません。ただ、本年多少配当のしかたとして変えました点は、当初、前年度から継続中というような、どうしても経費の支出が義務的になっておるというような施設費にかかわるもの以外は、当面じっくり調査をし、大学の可能性、要望等を聞いた上でやろうということで保留をしたというような実情でございます。
#59
○内田善利君 五百六十億円の膨大な予算がたな上げされているわけですが、これは各大学にとっては非常に大きな影響を与えている。このように思うわけですが、このような五百六十億というような膨大な予算をカットした、こういう強硬手段を講ずるという以上は、当然出てくる影響等も考慮されてのことだと思いますが、このカット、たな上げによって生ずると思われるような事態そういうことはどのようなことを予想されたか、教授等の研究費等は減らないのかどうか。いろいろなことが起こってくると思いますが、その起こり得べき事態、そういうものは考慮されてなされたのかどうか、わかれば教えていただきたい。
#60
○政府委員(安養寺重夫君) 国立大学、不幸にしてさまざまな原因でいろいろな紛争の実態に当面しておるわけでございます。われわれ各大学にもいろいろな立場におきましてこういう事態の解決のための努力を促し文部省としてもできるだけのことはしているつもりであります。御指摘のように予算の執行等につきましても事柄は全く同断でございまして、各大学とも協力一致いたしまして、この事態の正常化ということに予算が適正に効率的に使われるというような責任をそれぞれ分に応じて果たしたいということにつとめているわけであります。大学とのいろいろ話し合いというものも、これは新年度を迎える前からやっております。今回の予算の審議をお願いしている最中に国立大学協会、あるいは紛争に当面しております各大学の経理部課長、あるいは事務局長、さような人たちの再三再四にわたる御参加を求めまして、いろいろ予算の執行についての適否あるいは可能であるかどうか、そういうようなことについてのわれわれといたしましては教官各位のお気持ちもそんたくし得る最大限のいろいろな情報交換なり対策を立てたつもりでございます。特にせんだって、二十三大学となってございますが、二十三大学の事務局長を集めまして最終的に決定いたしましたことの説明の際にも、そういう点はとくと文部省の意のあるところが学長によく伝わり、学長が責任と自信を持って執行にあたっていただけるような依頼もいたしたわけであります。
#61
○内田善利君 その通達の中に、現在紛争のない正常な大学に対してですが、いまも言われましたけれども、こういう正常な大学に対してまでも条件がつけられている。たとえばこれまでどおりに予算額は一括配分する、だけれども年度途中に紛争が起こって経費の支出が不適当と認められる場合には減額する。こういうことなんですが、これは経済面による大学に対する圧力といいますか、そういうことではないかと私は思うのですが、その不適当と認められる場合ということなんですが、これは一体どういうことなのか教えていただきたい。
#62
○政府委員(安養寺重夫君) 具体的に申しますと、授業をやらない、やれないという状態が続いている限りは、学生の教育費というものはそれとしては予算の積算どおりの使用ということはいたしかねるわけでございますし、たとえば封鎖あるいは占拠というような状態が続いております限りは当該部局における修繕費というような一般的な用意いたしました経費の支出は、これは不可能でございます。事務局本部が占拠されておるというようなことともなりますと、やはり事務当局を経ていろいろ仕事がなされておるわけでございますので、そういうことが不可能になる、著しく困難になるというようなことで事務も渋滞するわけでございまして、そういう点にかんがみまして、われわれ適正に、効率的に経費を有効に使ってもらう、あるいは不必要な部分は節約をしていただくというようなことも考えなければならぬ。また東大等の不幸な経験からいたしまして、初めからああいうような大きな損害に対して修繕費を組んでおるとかということはないわけでございますので、そういうような用意も国立大学全体の予算の中で取りしきるという用意もいたすのが当然だというようなことも考えまして、不幸にして今後学園が紛争等に当面して不正常な状態になったということがあれば、また残念ながらあり得る予測がなされます今日でございますので、そういうときには文部省とさっそく経費の支出について協議をしていただきたい。文部省でもいろいろと連帯の責任において経費の適正な処理をやりたいというように考えておるわけでございます。形式的に会計法規で申しますと減額示達ということもあり得るわけでございます。そういうようないろんなことを考えました上で申し上げた措置でございます。
#63
○内田善利君 そうしますと、不適当と認めるのはだれが認めるのか。
#64
○政府委員(安養寺重夫君) 当該大学が一番そういうことがよくわかるわけでございまして、これはまた別のことでございますが、国有財産の管理であるとか、物品の管理であるとか等々につきましては、いろいろそういう事態の変化に応じて報告を求めるという制度ができております。そういうような観点から大学が第一義的にはそういう判断をなされましょうし、またそういう報告、いろいろの連絡等を通じまして、われわれ事務当局におきましてもこういう状態ではまずいじゃないかということは申し上げて一向差しつかえないんじゃないかというようなことで、これは両方で協議をし、よく連絡をとって事態の処理に臨みたい、かように考えておるわけでございます。
#65
○内田善利君 東大と教育大の場合ですけれども、新一年生はいないわけですから、全部カットして三年分を支給するということですけれども、いま大学には留年になった四年生もおるわけですが、こういった学生が非常に困っておる。それと育英資金の停止でありますけれども、こういったこと等で目には目を、歯には歯をというような、そういった経済面における圧迫を感ずるわけですけれども、そういった面に対してどのように考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思うのです。
#66
○政府委員(安養寺重夫君) 東京大学と東京教育大学に対する措置でございますが、入学試験を中止いたしまして、第一学年生が現実に入ってこない。また在来文部省と大学との間におきまして、留年学生というような事態に対して特別の経費を配当するということはいたさないということでずっときております。そういうような両々相考えまして、両大学につきましては第一学年次に相当分の学生経費を留保するという措置をとったわけでございます。個々別々に学生への授業ができていない専門学部につきましても、学生の教育経費は留保してはございませんけれども、結果につきましては同じ結果を出していただくように大学に努力をお願いをしておるというような状態でございます。
#67
○政府委員(村山松雄君) 後段の育英資金の問題でありますが、育英資金の貸与は育英会法の趣旨に基づきまして育英会が奨学規定をきめて、それによって実施しておるわけでありまして、条件は、成績が優秀であって経済的に困難なものということになっております。そこで育英会では、毎年前年度の成績を審査いたしまして、良好なる成績が継続しておると認めた上で継続するわけであります。したがって、紛争のあるなしにかかわらず、前年度の良好なる成績の立証がなければ育英資金が継続できない、こういう仕組みになっております。
#68
○内田善利君 一年生がいないわけですけれども、予算は四分の三で教育を実施するということですが、全体的な教育という立場から見て、やはり総合的な予算配分ということが必要なんじゃないか。はたして一年生がいないからということで四分の三の予算だけでいままでと同じような教育が二、三、四学年に対してできるかどうか。その辺はどういう見解でしょうか。
#69
○政府委員(安養寺重夫君) 両大学とも一応事前にはこういうことあるべしということで実際の授業再開の見通し等とも関連をいたしまして、授業が著しくこれで困難になるというようなことはないというような見通しのもとで、たてまえ論ということとも関連をして措置をしておるわけであります。お話でございますが、当面、当初の相談におきましては、東京大学等におきましては六月までには第四学年が卒業するというようなことでございますし、そうなりましたあげくは、他方、三個学年に相当する諸準備ということになりますと、これはえらいへ理屈でございますけれども、四年分で組んである他の経費についてはどうするかというようなこともいろいろございます。われわれといたしましては、最も見やすい、しかも一応予算配当のルールになじんでおるというようなところの極限を抑えまして当面の措置をしたわけであります。お話しのような、どうしてもこれで授業ができないというような事態がかりに、まあそういうことはないと思いますし、あってはならぬと思うんですが、かりにあるようなことがあれば、これは全体予算の執行の相談はいつもいたしておるわけでございまするが、当面いま申し上げましたような観点、大学の見通し等に立っての措置でございます。
#70
○内田善利君 大学側をこういった予算で締め上げるといいますか、こういったにらみをきかすというようなことは、やはり大学側も非常にこれでは困るんじゃないか。六月に四年生卒業見込みだということですが、それまでの間財政上のやりくりにしてもたいへん大学側は困っているのじゃないかと、このように思うわけです。こういった学生の経費が苦しいということからこれが原因になって紛争の起こっている大学もありますし、こういった予算削減ということは、文部省のもくろみと相反して、かえって紛争の根を深くしているのじゃないか、このように思うわけです。この大学紛争にいたしましても、最近はだんだんだんだん大学、学生歩み寄って、そのめどもだんだんついてきておるように思うわけですけれども、そういうやさきにこういう予算措置をする。またその次に大学立法を考えておるというような、こういうことではたして現在の大学紛争が解決できると、このように思っておられるのかどうか、この点文部大臣にお聞きしたいと思うのです。
#71
○国務大臣(坂田道太君) 先ほど安永先生にも御答弁申し上げましたように、何と申しましても私立大学に比べまして教育条件、あるいは施設設備、教官一人当たりの学生数といういろいろな面から考えまして国立大学のほうはいいわけでございます。にもかかわらず、全大学数の三十校までが紛争に巻き込まれておるというような状況からいたしまして、やはり私は紛争が続き、学生が入らなかったから学生経費は落としていくと、そういうような一面においてきびしい、一般自由社会においては当然そういうようなことが起こり得るというようなことが大学にあっても出てくるということを、やはり教官もあるいは学長もまた学生もわかるということで、私はむしろ当面しておりまする大学紛争に対するきびしい姿勢といいますか、あるいは自律的な、自主的な力というものが出てくるんじゃないかと思うわけでございます。それだからといって、正当な経費までもわれわれが意地悪く落としていくというようなことがあってはならないというふうに思うわけでございまして、その辺のところについては十分配慮をしていかなきゃならないというふうに思います。何と申しましても国立大学のこのような経費というものはお互いの、国民の税金によってまかなわれておるわけでございますから、十分この執行については留意をして効率的な配分をいたさなきゃならないというふうに思います。そのことがかえって紛争を激化するということには私はつながらないというふうに考えておる次第でございます。
#72
○内田善利君 会計課長からお話がありましたように、よくひとつ事務局長あたりと相談して実施していっていただきたいと、このように思います。
 最後に、私立大学に対してですけれども、文部省はいろいろ助成金を出しておるわけですけれども、紛争中の私大に対して国立大学と同様に助成金を停止したりして、減らしたりされるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
#73
○政府委員(村山松雄君) 私学助成は管理局の所掌でございますが、便宜御説明申し上げますと、私学の助成金といたしましては理科設備あるいは教育研究費、それから大学所管の研究設備費等々の補助金がございます。これを補助する場合にはやはり補助金の目的に応じて有効かつ会計諸法規に適合した状況で使用される見通しがあって初めて文部省としては補助の決定をなし得るわけでございます。そういう観点から紛争のあります大学を一律に紛争があるから対象にせぬ、補助金をとめるというような措置は講じておりませんが、紛争の実態をよく御説明を受けまして補助をした場合それによって理科設備なり研究設備を目的どおり購入して、また目的どおり使用し善良なる管理がなされるかどうか、そこら辺の見通しをはっきり立てた上で補助し得るものは補助し、その見通しが立たないものについては補助をしない、これは事後の会計検査等のことを考えましても当然の措置ということでやっております。結果的に四十三年度の予算につきましては補助金を交付しなかったというのはきわめて少数例外的な事例になっております。
#74
○内田善利君 あまり時間がありませんが、こういった経済的な面で大学当局に対して圧力をかけるのじゃないと言われますけれども、こういった姿で、やはりいま大学紛争中でありまするし、経済的なこういう処置は、特に育英資金の問題でありますけれども、いま育英資金を頼りにして大学に行っている者等はこの育英資金の停止で大多数の学生は非常に困っていると、このように聞いておりますし、またいまの予算措置にいたしましてもやはり私は撤回したほうがいいのじゃないか、このように思うのですけれども、この点の御見解をお聞きして終わりたいと思います。
#75
○国務大臣(坂田道太君) 私は、やはり紛争をいたしておりまする大学、そして学生が入ってこないその経費ということはやはり落とすべきが筋であると思います。また同時に成績、単位がとれないあるいは授業が常ならずというようなことについては、やはり育英会の規則に基づいてやることでございますから、そういうような条件が整ったならばやはりこれは支給しないということは貫かれるべきものだというふうに考えております。しかし、いやしくも何かそういうことによって妙に、こらしめるというようなことがあってはいけないのじゃないかというふうには思います。十分に注意はいたしてまいりたいと思います。
#76
○委員長(久保勘一君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#77
○委員長(久保勘一君) 速記を起こしてください。
 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後二時五十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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