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#1
第061回国会 文教委員会 第17号
昭和四十四年六月十七日(火曜日)
   午前十時十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         久保 勘一君
    理 事
                楠  正俊君
                田村 賢作君
                小林  武君
                安永 英雄君
    委 員
                小林 国司君
                大松 博文君
                中村喜四郎君
                永野 鎮雄君
                平泉  渉君
                二木 謙吾君
                吉江 勝保君
                秋山 長造君
                川村 清一君
                鈴木  力君
                内田 善利君
                柏原 ヤス君
                萩原幽香子君
                小笠原貞子君
       発  議  者  安永 英雄君
   国務大臣
       文 部 大 臣  坂田 道太君
   政府委員
       文部大臣官房会
       計課長      安養寺重夫君
       文部省初等中等
       教育局長     宮地  茂君
       文部省大学学術
       局長       村山 松雄君
       文部省管理局長  岩間英太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡辺  猛君
   説明員
       警察庁警備局参
       事官       後藤 信義君
       文部省初等中等
       教育局特殊教育
       課長       寒川 英希君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国立学校設置法の一部を改正する法律案(安永
 英雄君外一名発議)
○教育、文化及び学術に関する調査
 (東京経済大学に対する警察の捜査及び機動隊
 出動に関する件)
 (特殊教育に関する件)
 (高知県における教員人事に関する件)
 (幼児教育に関する件)
 (紛争大学に対する予算に関する件)
 (東京教育大学の筑波研究学園都市への移転に
 関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(久保勘一君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、発議者から提案理由の説明を願います。
#3
○安永英雄君 国立学校設置法の一部を改正する法律案について、その提案の理由と内容の概要を御説明申し上げます。
 本法律案は養護教諭の養成をはかるため、国立の教員養成大学または教員養成学部を有する大学に教育短期大学部を設置しようとするものであります。
 養護教諭につきましては、昭和二十二年に学校教育法が制定された際、義務教育諸学校及び高等学校における児童生徒の健康管理、保健指導等の重要性に着目して、その任に当たるものとして、学校看護婦を廃止して昭和十六年に養護訓導として制度化され、学校教育法制定に伴って養護教諭の全校必置制が規定されましたが、その養成が緊急に間に合わないため、附則において当分の間これを置かないことができることとされたのであります。
 法制定後の養護教諭の養成と設置の推進の状況を見ますと、行政当局等の職務の重要性に関する認識の不徹底や地方財政の貧困等の理由によってこれが遅々として進まなかったため、国会においてしばしば問題とされるようになりました。すなわち第四十回国会以来参議院文教委員会において養護教諭の設置の推進とこれに即応する養成計画の拡充について数度の決議が行なわれましたことは御承知のとおりであります。政府でも、この意を受けて二回にわたる学級編制と教職員定数の標準の改善五カ年計画の実施、養護教諭の増員五カ年計画の昭和三十九年度からの発足等養護教諭の充足計画を進めてまいりました。
 しかしながら、学校教育法施行以来二十余年を経過した今日、養護教諭の配置はきわめて不十分な状況であって、その対策も十分とはいえない現状であります。
 すなわち、昭和四十三年度における公立の小中学校における養護教員の配置状況を見ますと学校数三万二千七百四校、養護教員数一万三千百六十四人、配置率四〇・三パーセントという状況であります。また、本年度から発足した義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準の改善五カ年計画の終了年度である昭和四十八年度においても、公立の小中学校の養護教員数一万六千四百九十四名、配置率五〇・四パーセントという見込みでありますが、私どもの指向する全校必置には、ほど遠いものがあります。
 養護教諭の養成は、現在大学、短期大学、国立養護教諭養成所及び文部大臣の指定する養護教諭養成機関で行なわれているほか、公立学校に養護職員として勤務する者に対して昭和四十年度から資格付与講習会を開催して正規の資格を付与し、これを採用する方法で行なわれております。
 これら養成機関から公立の小中学校への養護教諭への就職者数は毎年度約千二百名程度と見込まれているにすぎません。したがって、現在の養成計画でまいりますと、全校必置制を実現するためには、約三パーセントの退職者の補充をはかる必要もありますので、昭和四十八年度以降なお二十余年の長年月を要する見込みであります。
 このように全校必置制の実現がおくれることは、児童生徒の健康の保持増進等をはかることが学校教育の円滑な実施とその成果の確保のための基本的要件であることにかんがみ、許されないところであります。したがって、養護教諭の養成機関を増設し、その充足につとめる必要があります。
 養護教諭の養成は一般教員の養成と同様に四年制の大学で行なわれるべきでありますが、現状ではこれを一挙に実現することは困難と思われますので、当面、もっぱら養護教諭の養成を目的とする教育短期大学部を設置することによって対処することが最も適当と考え本法案を提案した次第であります。
 本法律案の内容といたしましては、国立養護教諭養成所が設置されていない都府県の三十七の国立の教員養成大学または教員養成学部を有する大学に教育短期大学部を設置し、その教育課程は、当分の間、養護教諭の二級普通免許状の取得に必要な授業科目によって編成することとしております。
 なお、本法律案は昭和四十五年四月一日から施行することとしております。
 何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#4
○委員長(久保勘一君) 以上で本法案についての提案理由の説明の聴取を終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(久保勘一君) 教育、文化及び学術に関する調査を議題といたします。
 政府側から坂田文部大臣、後藤警察庁警備局参事官、村山大学学術局長、以上の方々が出席をいたしております。
 本件についての質疑の申し出がございますので、これを許します。小林君。
#6
○小林武君 警察庁の後藤参事官にお尋ねをいたします。
 実は、土曜日に突然、社会党の国会対策委員会で調査団を東京経済大学並びに武蔵野美術大学に派遣する、それで調査団の責任者としておまえが行ってこいということでございまして、私はまあ出かけたわけであります。
 それまでは、事情についてはあまり新聞等もよくそこのところは見ておりません、知らないのです。調査をいたしました結果、東村山署、それから小金井署、その両方に行きました。
 その点について、二つの大学の問題、それから二つの警察署とのかかわり合いの問題で質問するわけです。結論的に私の質問する気持ちを先に言いますと、その調査の結果持った私の態度は、警察庁は不当だという考え方、手続上にも一体こういうことがいいことだろうかどうか、あるいはこれは今度の大学問題と関係はないのだろうかどうか。あるいは日ごろ荒木さんが言っている、学校の中にどしどし警察官が入り、学校当局は警察官の入ってくることに協力して、警察官アレルギーなるものから抜け出なければならぬ、こういう考え方が警察官全般にあるのではないかという考えを持っているわけです。いまこれについて質問するわけではありません。そういう気持ちで私があなたに対して質問するということを先に言っておかぬというと、賛成していると思われても困るので申し上げるわけです。
 お尋ねしますが、武蔵野美術大学は、どこの市にあって、どこの一体警察署の所轄であるかということを最初にお尋ねしたいわけです。
#7
○説明員(後藤信義君) 東村山警察署の管内にございます。
#8
○小林武君 所在は、小平市小川町であるということは間違いございませんか、武蔵野美術大学。
#9
○説明員(後藤信義君) おっしゃるとおり間違いございません。
#10
○小林武君 これは、何か田無署、それから東村山署、それから小金井署、この所管関係というのはどういうことになっているのですかね。田無署所管の警察であるというふうに学校のほうでも考えているようなんだが、そういう事実はありませんか。
#11
○説明員(後藤信義君) 土地管轄から申しますと、東村山署と記憶いたしておりますけれども、いま、先生たってのお尋ねでございますので、いま田無署の管内に属しておる部分があるかどうか、そういう点を直ちに確かめたいと思います。暫時御猶予をいただきまして、直ちに係員の者をしまして調査いたしまして御回答いたします。
#12
○小林武君 後ほどでけっこうであります。田無署でないかということを言っているわけです。私は先ほど来のように、どこの所管だかわからぬ。これはおかしいということを考えたものですから、後ほどまた申し上げますけれども、問題の起こったのが小平市、機動隊が乱入したのはこれは国分寺だというし、これはまことに何だかわれわれとしては、同じ事件に関連してちょっとふしぎだという感じもしますし、所管の警察の動き方についても、多少われわれの常識から言えばふしぎなものであるからお聞きしたわけです。この武蔵野美術大学に現場検証というのですか、われわれ専門用語を知りませんけれども、何か引き当たり捜査とか、引き当て調査とか、何とか、こういうことで東村山署捜査係、巡査部長一人、巡査長一人、その他二人の警官が出かけた、こういう捜査の場合には令状を持参するものなのか、捜査令状持参しないものなのか、この点。
#13
○説明員(後藤信義君) 冒頭にまず管轄でございますけれども、これは具体的に事件が発生しましたり、あるいは犯人を逮捕したり、そういう場合には土地管轄というのが一応ございます。今回の場合は東村山署で検挙いたしました窃盗犯人の自供に基づきまして、自分はどこからこういうものを盗んだという自供があって、はたしてそうであるかどうか、こういうことの裏づけをするために被疑者を同行しまして、現実にどういうところから、どんなふうにして取ったかということの証拠の資料を収拾するために行なった捜査活動の一端でございます。
 そこで第二の、令状が要るか要らないかという問題でございますけれども、通常は被害者のところに行きまして、お宅からこういうものを盗んだという話があるが、それはどうでしょうか、心当たりがありますかといったようなことで、被害届けが出ておればほとんど問題ございませんけれども、出ておらぬような場合に、そういえばさがしてみたらそういうことがあったというようなこともございます。あるいはすでに気がついておりながら届けていないということもございますので、そういう場合に、被害者のところにまいりますと、通常はそのまま被害者のほうからの供述が得られるわけでございます。したがいまして、それが被疑者の言っていることと一致するということで証拠価値を持ってくるわけでございます。そこで、もし管理者のほうで、そういうことには応じられない、つまり自分のほうに被害があったかと言われることについて、そういうことはお答えできないとか、あるいはそんなことで立ち入ってもらっちゃ困るとかいうようなことになりますと、これは裁判所から検証令状をいただきまして、それによって強制的に立ち入る。そうしてどろぼうの言っておるところがほんとうであるかどうか、そういうことを見きわめる、さらにその被害者から調書をとるということになるわけでございます。もっともこれも、被害者からの調書は任意でございますから、もし被害者が供述を拒んだ場合には、これを強制する手というのは原則としてはございません。非常に例外な場合ございますが、警察としてはそれはないわけでございます。
#14
○小林武君 この場合において、あなたのほうの見解では、警察官に対して令状を持たなくてもけっこうだと、こういう指導をやっているのですね。ところが当初、令状を持ってきましたかという質問に対して、持ってきた、こう言った。持ってきたら見せてください、こう言ったら、最後は、押し問答をいろいろやったんだと思うのですけれども、持っていないということが明らかになった。この辺はいささか私はちょっとおかしいじゃないかと思うのですよ。令状を持ってこなくてもいいものなら、令状を持ってこなくてもいいものなんです、こうこうこういうあれですと、あなたのようにおっしゃればいい。令状は持っておる、こう言って、かなりいたけだかに言ったらしい。このことはひとつあなたから御答弁いただかなくてもけっこうですから、後ほどまた何か関連することがあったら申し上げます。
 そこで、こういう捜査をやる場合、これはあれでしょう、犯人の自供によってやるわけでしょう。どこどこへ行って何を盗んだということがなければならぬのだと思うのだけれども、その間の事情、実地検証をやる、裏づけ捜査をやるという場合には、一体どういう普通状態なのか。またここで特にこれが別な形のものであったら、その点説明してもらいたい。
#15
○説明員(後藤信義君) 先ほど申し上げましたことを訂正さしていただきます。私、東村山署の管内であると申しましたが、土地管轄は田無署でございます。田無署の土地管轄に属しております。
 それから、いま先生おっしゃいました犯人が自供をした、ここからこういうものを盗みましたという自供がありますと、それがほんとうであるかうそであるか、これを調べる必要がございます。往々にしてでたらめなことを言う被疑者もございます。行ってみたところで、そういううちがないとか、あるいはそういうところには窓がなかったとかいうようなことがございまして、これは裁判上問題になりますので、被疑者の自供が正確なものであるかどうかということにつきましては、これを裏づけ捜査をやるのが原則でございます。そのときには、これは土地の管轄に限りませんので、要すれば隣の県にも行って捜査をすることが可能でございます。そこでそういう場合には、これは原則としては任意捜査でございます。と申しますのは、先ほどから申し上げておりますように、被害者のお宅に行くわけでございますから、被害者のほうから、令状持ってこなければ、被害者が被害があったかどうかということは話ができぬなどということは、通常考えられないことでございますから、これは令状持っていかないのが普通でございます。
#16
○小林武君 あなたは、持ってこないというのは、先ほど議論をここでしないと言った、だからそのことはいい。そこで、これを裏付け捜査に行く場合に、容疑者の自供によってやるわけでしょう。だからこの場合に一体どういう自供に従って出かけたのですか、それはいつどこでどういうところへ入ったということを聞かないで行ったわけではないでしょう。そこらじゅうかき回して来いという捜査ではないと私は思うのですが、その点は具体的にどうであったかということです。
#17
○説明員(後藤信義君) 問題になりましたのは二つの大学でございますけれども、この被疑者は学校荒らし、事務所荒らしという窃盗犯でございまして、これは東村山署、小金井署のみならず、ほかの警察署管内においても相当に荒らしております。そういうところを一々捜査いたしておりますと、午前十時に出発しまして、問題になりました武蔵野美術大学に到着いたしましたのは午後四時ごろでございます。そこで、いまおっしゃいますように、被疑者がこういうところからとってきたというようなことを言いますと、それはどの道を通ってどんなところに行ったのかということは一応聞くわけであります。そうしてそのとおり合っておるかどうかということを被疑者を連れてこれはその場を当たったわけであります。当日はこの被疑者の言うとおりに順々に当たっていったわけでございますけれども、この武蔵野美術大学の場合におきましては、被疑者の言うとおりの道を通りまして、そうして食堂から盗んだということがございましたので、その食堂に到着をした、こういうことでございます。
#18
○小林武君 それではこの場合にはどこかわからぬと、全然あてもなくどこか盗んだらしいところを、容疑者を連れてぐるぐる回っていたら、たまたま美術大学に突き当たった、こういうことでございますか。
#19
○説明員(後藤信義君) 簡単に申し上げますとそういうことになります。これは武蔵野美術大学のみならず、次にはどこどこ大学というふうに行っております。この点はやはりあとで問題に先生なさるのじゃないかと思いますが、私ども十三日の段階では状況がよくわからなかったのございますけれども、この武蔵野美術大学の食堂というのが、学校の構内であるかどうかわからぬような状態でそこに到着しておる。したがって、刑事は学校の構内であるという認識がなかったようでございます。
#20
○小林武君 先回りして答弁してもらってたいへんけっこうだけれども、それじゃ、あなたのおっしゃるところだというと、それは美術大学であったか何だかわからぬ、こうおっしゃるのですね。ただ、これは学校荒らしだから、学校のようなところへ入っていけばいい、こういうことですか。どういうあれで行かれたことになりますか、大事なことだから。
#21
○説明員(後藤信義君) これは先生おっしゃる意味がちょっとどういうことか明確ではございませんけれども、学校荒らしであるから、学校に行けば全部当たるという筋のものではございません。これは被疑者がこの道を通ってこういうふうにということで、そのとおりに行ったわけでございますから、全然かいもく当てもないのに回ったということではございません。
#22
○小林武君 あなた、何を持って行ったか知っていますか。警察官が盗品持って行ったでしょう、それを知っていますか、盗品を持っていったそれを知っていますか。あなたね、盗品を持っていった、そうでしょう。そうしたら、この盗品はどこでおまえかっぱらったかなんというようなことを調べないとしたらおかしいじゃないですか。おまえどういうところでやった。何だかわからぬけれども、おまえのあとついて行くからどこかへつれて行けと、そんなこと言いますか。ぼくならそんなこと言いませんよ。ぼくが刑事ならそんなこと言いません。この盗品を持っているのだからこの盗品は一体どこでどういうふうにやったかというふうに、あれですか、あなたの部下の、あなたえらい人だからあれだけれども、この報告については何だかわからずに行ったということになっていますか。
#23
○説明員(後藤信義君) わかっていったということになっております。つまり被疑者が盗んだということで、それじゃどこから盗んだか図面を書いてみろというので、被疑者が図面を書いて、それに従って行ったわけでございます。そして被疑者から、この道をということで行ったわけでございますから、これは当然盗んだ場所というのは一応見当つけて行ったわけでございます。
#24
○小林武君 どういう場所であるか盗品によってわかりませんか。それはあなたたちくろうとだから、そうでしょう、ダイヤモンドの指輪かっぱらってきたというなら、これはやっぱりダイヤモンドの指輪かっぱらうような場所へ行かなければならぬ。そうでしょう。桃のかん詰めとグリンピースのかん詰め持っているのに、一体どこでかっぱらったのだということになるでしょう。そのときにそのあれはどんな状況であったか、ぼくならもう刑事やってなくてもそのぐらいのこと聞きますよ。どういう場所でどういうところでやったか、付近に何があったか、どういうあれでやったか聞きますよ。聞かないように刑事というものはなっているのですか。あなたそういうことをぼくに答弁すると何だか人をばかにしたような答弁になっちゃうよ。そうでないでしょう。大体この盗品の所在というものはどういうところでやったか。食堂へ上がっていったというなら、食堂だけは間違いないでしょう。そうでしょう。食堂へ容疑者があがっていった、食堂へとにかくまっすぐ行ったのですよ、警察官は。そうしてそこへちゃんと車をとめて上がっていった。盗品もそういう性格のものだから食堂へ上がったのでしょう。あなた先ほどの御答弁の中に、大学のものやら何のものやらわからぬということだったけれども、それは後ほどやるにしても、全然の見当なしに行ったということはこれは納得できませんよ。それはあなたごまかしだといわれてもしかたがないけれども、どうですか。
#25
○説明員(後藤信義君) どうもその辺がちょっと、私の申し上げているところがあるいは十分でないかもしれません。いずれにしましても、全然めくら見当で見当なしに行ったということを申し上げておるわけじゃございませんで、被疑者がこういうものを盗んだと、これはたいへんたくさん盗んでおりますものですから、あちこち当たっているわけでございますが、その中にこの一カ所か二カ所入っておったわけでございます。したがいまして、先ほどかん詰めからどこのものであったかわからぬかというお話がございましたが、これはどういう食堂であるということは被疑者が言っておるわけです。それはどの辺だということで、それは地図も作成さしておりますし、調べておるわけでございます。全然無見当にやるなんということはございません。一応見当をつけて行ったことはたしかでございます。
#26
○小林武君 私はいかに粗漏なものであるかということを考えたわけですが、何か警察署というところはこのごろつまらんことに力こぶ入れて、大事な、どろぼうとか三億円かっぱらったとかという話についてはあまり熱心におやりになっていないのじゃないかという気がするのですが、第一そうでしょう、持っていったのは、あなたどう思っておるか知らんけれども、ダンボールの箱に桃のかん詰五個、グリンピース二個持っていった、そうしてとことこ上がっていった、あなた先ほど、これはもう大学だか何だかわからぬということをおっしゃって、行ってごらんになりましたか。私は行ってみて、地図をもらってきて、私も相当方向のほうだとかそういう周囲のことになると、これは全くとんでもない勘違いをする男なんですけれども、あの中へ入って大学の一部でないなんということを考える人がいたらこれは精神状況がどうかしていると思う。片一方のほうに大学のグランドがあって、そこに、グランドの境にちゃんと選手の控え室なんかがあって、ちょうど私が行ったときアメリカンフットボールの試合をやっておった、その間の道路なんです。その大学のあれに入っていく食堂なんです。食堂というのは一番奥深いところにグランドのわきにある、さらに第二食堂というのはその手前のほうに一つある、この大学の一角で、周囲はあれですよ、あまりうちのないところですよ。ここへ行って、これは一角であって、大学でなかったというような判断をくだす刑事がいらっしゃったとしたら、これはとても犯人捜査なんというのはできないですよ。よく大学へ入るときはそういうことをやるらしいですが、岡山大学へ行ったら門がなかったと盛んにがんばったとか、門がないところから大騒動になったそうですけれども、大学に行ったら門がわからなかったり、私道だか公道だかわからなかったりするということはおかしい。あなたこの地図ごらんください。これは現地に行って見てきたものです。あすこに行ってわからないということなら私は重大な問題だと思う。能力を疑うということになる。これが美術大学でないということを最後までがんばるというならひとつあなた行ってごらんなさい。それは逃げることばだと思うんだね。これはあなたのほうで責任をもって、これはとてもきょうじゅうに終わりませんから、時間が来ればやめますけれども、再度やりますから、ひとつあなたが行って、あなたは警察官の人たちを指導し指揮する立場にある方のようですから、またそういう御経験もおありの方のようだから、だからひとつあすこに行って、これが美術大学の構内でないというようなこと、これはどっかの単独の食堂であるということを考えたらだれを相手にして食堂やっているのかということになりますわね。人間のいないところに食堂つくったってしょうがない。だから私はあなたたちが武蔵野美大に入ったということがわからぬというような、これはどうしても納得いかないですね。あすこには朝鮮大学がそばにあります。それから白梅の短大ですか、そういう大学がずっとそろっているところです。それがわからぬようじゃ困る。そこであれですか、あなたのほうへちょっと参考に聞いておきたいんですが、このグリーンピースと桃のかん詰めばおまえのところから盗んだとどろぼうが言ったから返していくといって返したそうですが、そういうことをやるものですか。金を盗まれたと、おまえのところから盗んだと言っているからここへこの金を置いていくというようなことをやるのですか。これはまだ容疑者でしょう。あるいは盗んだか盗まぬかはっきりしない。あなたのほうだって裁判にかけてそうしてほんとうに自白をしたといったところで、ほんとうにこれが証拠が十分成り立って、そうして確かにここから盗んだということになったら、あとの処分はどうするのか知らぬけれども、その桃のかん詰とあれをおまえのところから盗んだから置いていきますよということをやるものですか。そういうことは桃のかん詰めだからいいということなのか、グリーンピースだからいいということなのか、どういうことですか。
#27
○説明員(後藤信義君) 窃盗事件では通常被害者のほうから確かに私のところから盗まれましたというような供述が得られた場合には、それを調書にとりまして、そしてこれを仮還付という形でやっております。この仮還付をいたしまして、いつでも裁判上必要があれば提出いたしますということをやっているわけでございます。そしてもしそのものがたとえば腐敗しやすいとか、あるいは急に使わなければならぬというようなもの、証拠品として非常に重要なものでございますとそういうことはいたしませんけれども、通常窃盗事件のような場合でございますと被害者のほうに仮還付という手続をとります。そしてそれは必要があれば出すということもございますし、この場合はあるいは売ってしまうかもれませんが、その場合には被害届けを出したその食堂の管理者が場合によっては法廷に出て証人になってもらうというようなかっこうでございますから、これは別にそう変わったケースではございません。
#28
○小林武君 お手軽に返していったということについては、私は仮還付であろうが何であろうがなかなか納得いかぬですよ。それは日常茶飯事だとあなたがおっしゃればたいへんな話だ。盗んだか盗まぬかまだきまっていない。容疑者なんだ。
 それにもう一つ問題なのは、このことに直接の責任者として出た木村というマネージャー、このマネージャーが二通の書面に判を押さされておる。何の判だかわからぬ。何で押したかわからぬ、この二通がどういう書面であったか。この点についてはあなたたちのほうは、そんなばかなことはない、よく見ておりましたということを言うだろうと思うが、大体警察官が来て、車で乗りつけて、そうしてそれに応待ができて、出してきたものを十分見て、これはおれに不利であるかどうか、事実と違っているかどうかということを見てやるとかというようなことは、なかなかできないものです。一体どういうあれをあなたのほうは納得させてきたと言っております。これは大学当局に対しては、この人はともかく判を二つ押したけれども、何を押したかはっきりしないと言っている。どういうあなたは報告を受けておりますか。
#29
○説明員(後藤信義君) これは被害届け、それから被害者としての供述、その調書、これに対して署名捺印を求めたと承知いたしております。
#30
○小林武君 そういう点について、そういう際にろうばいしたというか、冷静な気持ちを失ってよく見分けもつかぬというような人に、そういうやり方をやるということは気をつけたほうがいいですね。大体筋違いのことをやるから、そういうことになるので、もう一つ、ここに入ったときに身分証明書も何も見せていない、警察手帳も。おれは警察の者だという式でやっている。そのことをよく知っている者からすれば、あなただれですかと聞くはずですが、それもできなかった。しかも見せないでやっておる。そういう点がどうも……。
 ここで私が言いたいのは、自由に大学の中にどんどん入っていってけっこうだ、こういう指導をあなたのほうでやっているのじゃないですか。最近はどうなんですか、大学であろうとどこであろうがかまわないで入っていって、身分証明のために警察手帳を見せる必要がないからやれと言っているのじゃないですか。
#31
○説明員(後藤信義君) さようなことはございません。大学に限りません、工場でも事業場でもそうでございますが、一定の管理者のいる場合に、あるいはその管理者の意思に反して入るということは、これは一定の条件が要りますから、そういう条件を満たさない限りは、管理者の意思に反して中に入ってもいいというそういう指導もいたしておりませんし、そういうことがいいとも考えておりません。
#32
○小林武君 考えておらないけれども、警察官がやっているとしたら、どういうことですか。
#33
○説明員(後藤信義君) この点は、先ほどおっしゃいましたように、私も時間があれば現場を見たいと思ったのでございますが、その略図を書かして、そうしてそれに従って車に乗せて被疑者を連れて行った。その言ったとおりに行ったら、食堂にぶち当たったということである。これが大学構内という認識があれば、大学はおそらく最近やかましい問題を起こしておるというので、その辺は特に注意をいたしまして、大学の管理者に一応断って、こういうことで来ましたということを言ったのだろうと思いますが、この点は手落ちでございます。これは不用意でございます。したがいまして、今後その点は十分注意をするようにいたしたいと思います。
#34
○小林武君 あなたにちょっとお尋ねいたしたいのですがね。ここにわび状を書いておりますね。本日無断で直接武蔵野美術大学学内と知りながらホールの食堂まで捜査裏づけのため立ち入りしたことは、まことに申しわけありません。今後はこのように無断で学内の捜査に立ち入りすることないようにいたしますから、今回限り寛大にお願い申し上げます。東村山署の警察官四人連名で武蔵野大学自治会殿と学校法人武蔵野美術大学殿と書いて、それに拇印を押している。その事実は、もっともだと認めておりますか。
#35
○説明員(後藤信義君) 私どもは、その点は問題があると思います。まずその内容でございますが、私の報告に接しておるころによりますと、最初は学校の構内とは知らないでと、こう書いたのに対して学生が、知りながらと直せと、こういうことを言って強要いたしました。この巡査部長は被疑者を連れておるわけです。被疑者と一緒に教室の中に連れ込まれて、そこでいわゆるつるし上げにあっておるわけでありますから、これは被疑者に問題があってはいかぬ。たとえば逃られるというようなことがあってはいかぬというようなことがありまして、向こう側の言うとおり、つまり学生側の言うとおりに書き直して署名、拇印を押しているようでありますが、この点は大学当局がはたして容認しておられたかどうか。この点は私どものほうで目下調査中でございます。と申しますのは、学生が、なぜ学校の中に無断で入ったかというようなことは、そういう権限は通常持っていないはずでございます。したがいまして、管理者の意思によって、警察官四名を含めまして被疑者一名で計五名でありますが、これらを一定の場所に連行して、そこで無理やりにそういうわび状というのですか、そういうものを取ったということにつきましては、これは無断で立ち入ったということとは別問題として、これは問題になるところであると、こういうふうに考えます。
#36
○小林武君 ちょっとお尋ねいたしますが、それは学生がそんなことを言う権利がない、学校がそれに関知していなかったとあなたはおっしゃるのですか。
#37
○説明員(後藤信義君) 関知しておったか関知しておらなかったかを目下調査中であるということを申し上げたわけであります。
#38
○小林武君 調査中、どこをどういうふうに調査をやっているのですか。大学側とこの間について話し合いをしているということですか、調査をしているということですが、どういうことですか。そのことは大学側と話せばわかるということでしょう。そういうことですか。
#39
○説明員(後藤信義君) おっしゃるとおりでございます。大学側と話をすべく、また現に大学側も来られたようでございますから、この間においても話をしております。さらに続けて、一体ほんとうに知らないで入ったのか、あるいは入ってからあとどういう状態で、まあ端的に申しますならば、これは不法に逮捕したとか、あるいは不法監禁したとかいったかっこうになろうかと思いますし、場合によりましては義務なき人になさしめたという、強要という問題でございます。したがいまして、最初に断わりなしに入ったということが、そのことがそこまで尾を引いておるわけでございますけれども、そういうことがはたしてそこまで許されるのかどうか。こういうことは、これは一つの別問題であります。そういう意味で調査中、こういうことであります。
#40
○小林武君 大学が全然関知しなかったとあなたのほうで言う証拠はどういう証拠によってやられているわけですか。そういう判断を下した根拠はどこにあるのですか。私は大学側に対して十分な調査をやってきている。大学側が出している文書を持ってきている。いいですか。どういう根拠であなたは大学の学生がそういうことをやったと、大学は関知しなかったという、そういう証拠はどこにあるのですか。あなたはいま調査中だと言った。私のほうはすでに土曜日の日に調査をしておる。大学側と会っている。大学側の地図ももらってきている。調べるというのはどういうことですか。大学側のだれもが学生がやったので私は知らないと、こういうことを言っているということですか。この点どうです。
#41
○説明員(後藤信義君) 大学側が全然関知していなかったということを私は申し上げているわけじゃございません。先ほどから申し上げておりますように、大学側の意思であったかどうか、その点は問題であると、こういうことを申し上げております。第一に、警察官の自動車を見まして、これに被疑者が警察官と一緒に乗っておりましたが、調書をとっております者以外は自動車に乗っておったわけです。これに対しまして学生が数名あらわれましてけ飛ばしたりしておるのであります。それで、そんなことをせぬでもいいじゃないか、こういうことを言っておりますが、それから問題が発展したわけでございます。そこで、当初こういう学生の行動に対してまで大学というものはそういう行為を容認しておられたか、あるいはさらにわび状を取るということまで大学当局は、学生側に対してそういうことを、学生側に対してそういう権限といいますか、それを与えておられたのかどうか。あるいは学校側当局も一緒になってわび状を書かせるべきであると考えられたのかどうか、その辺が問題だ……。
#42
○小林武君 学内に無断で入ってきた、そうしてかってな行動をしたことについて、釈明を求めたり、それからそれについてけしからぬというようなことはあやまりですか。あなたのほうはどういうことを言うのですか。
#43
○説明員(後藤信義君) これは一定の限度までは許されると思います。しかし、ある程度をこえた場合には、これはたとい相手のほうに非がありましても、それに対抗する手段としてとりました行為がすべて免責されるものではない、こういうふうに考えております。
#44
○小林武君 しかし、あなたのほうで非を認めているのでしょう、ここへ無断で入ってきたと。無断で入ってきて、そうして立ち入ったことはまことに申しわけないと、こう言っている。これは逃げられるとか逃げられないということをおっしゃるが、逃げられなかったらどうするつもりです。この際、その中で一体被疑者はどういうふうにされておったか、あなた知っていますか。どういうふうにしておったか。一緒にみんないたわけでしょう。その中で皆さんどういうふうにしておったか。それから学生の諸君はどういうふうになっておったか知っていますか。どういうふうに報告を受けておりますか。その情景、あなたそれだけの結論を出すまでの情景をよく言ってみてください。
#45
○説明員(後藤信義君) 非常にこまかい点までの報告は受けておりません。これはなお関係者に聞いて、十分に調査をした上で報告があるものと思います。したがいまして、どういう状況であったかというこまかい点までに立ち入って私どもは報告を受けておりませんが、被疑者は一緒にこの教室の中でつるし上げられておる。そういう報告には接しております。
#46
○小林武君 あなたどうですか。先ほどどうして問題が起こったかということは、警察のやり方が悪いから起こったと思いませんか。これは一度問題解決しているのですね。裏門のほうに入っていって、そして裏門から出ていけと言われたから出ていったのでしょう。出ていったその段階ではもう事が終わっている。それをあなたのほうは今度は正門から入っていって、自動車をけ飛ばしている、け飛ばしたから自動車がこわれたといって入っていった。また再びそこに入っていって、われわれのことばで言えば因縁をつけている。そういうことを知っていますか。
#47
○説明員(後藤信義君) 知っております。
#48
○小林武君 あなたのほうの常識から言ったら、間違って入ったとあなたはおっしゃるね、大学でないと思って入った。大学であったということが明らかになった場合には、学内に無断で入ったことは申しわけないということを大学の当局者に対して、特に大学問題がなかなかいまむずかしい時期にあるから、しかるべく責任者に謝罪をして立ち去るくらいの礼儀があっていいでしょう。ところがそれどころか、あなたのほうでは学生がとにかく自動車のうしろのほうをゴム底の靴でけ飛ばしている。それはどろがつく程度でこわされるきづかいはない。それをあなたのほうはまた正門から入っていって文句をつけた。そういうところに結局学生が集まってきたのでしょう。ちょうど下校の時間であったから、学生の諸君が集まってきて何だ何だということになったのでしょう。種をまいたのはあなたのほうじゃないですか。あなたのほうがあたりまえのことをやってまともなあいさつをしていけば、これは問題が起こっていなかったのじゃないですか。そういうことについては調べられましたか。
#49
○説明員(後藤信義君) それは私のほうでも報告を受けております。つまり警察の車がなぜこんなになったのかということで、これは学校でだなということを気がついたようでございまして、け飛ばさんでもいいじゃないかと言っております。け飛ばしておる、け飛ばしたことについては一応大学当局と話をつける必要があるということで、先生おっしゃったとおりでございます、正門のほうに参りまして守衛所のところに参っております。そういうところからさらに問題が発展していったわけでございますけれども、これは無断で入っているからけ飛ばしていいと、こういう筋合いのものではございません。それから無断で入ったということについての意見の表明ということと、それから学生がそういう行動に出るということとはこれは別問題である、こういうふうに私は考えます。
#50
○小林武君 あなたと話しているとちょっとおかしくなるけれども、あなたどうなんですか。大学に無断で入っていって、しかも間違えて入ったというんでしょう、あなた方。どうでしょう。間違えて大学の中に警察官が入っていったので学生が騒いだ。大学の中にそう気軽に入ってこられては困るというのが大学の考え方。先ほどからあなた言ったように、方針を変えてこれからそうじゃないのだ、おれらが入るところに文句を言うなというなら、最初から言ってくれ、ぼくは言っておる。それに答えがないということ。あなたもそこに無断で入るということは不用意だと思っているでしょう。そうしたらあなたその自動車をけ飛ばされる前に、大学の学長とかその他教官の皆さんとかに対して一言、実はきょうこういうことで間違いまして入りましてまことに申しわけございません。誤解を受けましたとわびるのがそれは必要ないですか。け飛ばされたことには文句はあるけれども、間違って入っていったことについては、学校であろうと大学であろうと何文句あるか。こうおっしゃるのです、あなたの論理は。そうですか。
#51
○説明員(後藤信義君) 間違って入ったことに対する責任というのは、これは別にあると思います。それからまた通常、この点は先生どうも御納得いかぬようでございますけれども……

#52
○小林武君 いかないさ、それは、あたりまえだ。
#53
○説明員(後藤信義君) 窃盗の被疑者が、自分のところに入って被害状況を聞きに来た者を断わるなどということでは、これは刑事の職務は遂行できません。それではおそらく大学問題が最近やかましいということは新聞などで承知しておったと思いますけれども、それは先ほど言ったような状況で、その点は確める必要がございますけれども、いずれにしましても、結果的には大学の構内であった。したがって、私どもの方針からいたしますならば、立ち入りをもし管理者当局が拒絶されるということになりましたならば、これは裁判所の令状を取って入るというのが筋でございます。したがいまして、その点の手続に手違いのあったことは間違いございませんし、それは不用意でございます。したがって、その点についての謝罪ということは、これはあってしかるべきだろうと思います。しかし、だからといってその謝罪のさせ方が問題ではないか。こういうふうに私どもは考えるのであります。
#54
○小林武君 いやあなた、警察官を相手にしてやっているんでしょう。警察官のある程度指導的立場に立っている官庁なんだ。その中にあるあなたが、たとえば警察官が大学の中に入ってそういう問題を調べるという場合には、協力を求めるのには求めるだけの手続の必要であるということはお考えになるでしょう。その場合、当面の責任者というのはだれであるかということを考えなければいけませんわね。食堂のマネージャーであるというものに責任があるのか、もっと別な責任者があるのか、そういう点はあなたどうですか。役人をなさっておってお気づきになりませんかね。間違って入ったとなったら少なくとも間違って入ったということについてわびるぐらいのあれがなければならないですわね。誤解を与えて申しわけありませんでした。あなたにその考え方がないから、その次の問題が起きてくるのだ、これから言う。あなたの場合にはひとつも自分に対する反省はない。入ったのは何悪いという考えでしょう。け飛ばしたのはけしからぬ、こういう考え方だけあなた頭にある。そういう指導をやると、これは部下の人たちはたいへんなんですよ。私はずいぶん非常識なことを言っていると思う。学長に出頭せいといったようなことを署長が言っている。何の話ですか。間違ってやった者が学長に出頭せいなどということを言える柄ですか。そういうあれをあなたはそれは当然だと思っているらしいね。当然ですか。け飛ばしたという、どろがついたということに文句がある。しかし大学の構内にかってに入っていって、そして学生がそれに対して非常に憤慨するというような事態を起こしたことについて、警察側は済まなかったなとか、これはひとつ配慮が足りなかったとか、あなたの言うことを一〇〇%信用してもそれぐらいのことは感ずるのはあたりまえじゃないですか。ましてやいまのいろいろな事態のことを考えたら、あなたもっと謙虚にものを考える必要があるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
#55
○説明員(後藤信義君) これは先生、私は先ほど何度もお答えをしたというつもりでございます。つまり大学の構内、食堂でございますけれども、結果的には大学の構内であるとすれば、これは大学の管理者に断わって入るのが当然である。これは任意調査でございますから、その手続を怠っておることはまことに遺憾なことでありますから、これは十分今後注意するように努力を、警視庁のほうに厳重に話をしてございます。したがってその点は、間違って入ったことについては、これは当然であるというようなことを考えておるわけじゃございません。また管理者に対して全然断わりなしに入っていくということについては、この場合については少なくとも当を得ておりません。したがいまして、これは間違いでございます。ですから私はこの点はさっき全然いいとも何とも考えておりませんし、これは不用意である、今後は十分に注意しなければならん、こういうふうに考えておるわけでございます。
#56
○小林武君 そう考えたらどうなんですか、文句をつけに行くというの、おかしいんじゃないですか。それを聞いているんだよ、ぼくは。自分が間違ったことをやって、それについてかりにどろ足でもって自動車をけ飛ばされたとしても、間違っておったらあまり大きなことを言えないのはあたりまえじゃないですか。もしそれについて、そんなことまでしなくてもよいと言えば、わびるものはわびるもので、その点についてはどうもあまりひどいことをしないでくれということを言うのがこれは常識じゃありませんか。あなたのほうには、警察の権力というようなものは何でもやれるのだというような考え方があるんじゃないですか。そんな思い上がった気持ちがあるから問題がたくさん起こるんじゃないですか。
 もう一つ問題がありますが、学校当局が何か調べているようなことをおっしゃった。どうなんですか、これについて。学生側が再三、その自動車中のにいる人間に対して車外に出て話し合いに応ずるように要求したときに、断固拒絶してきた。その際に小久保学生課長、星川教授、小林講師が学生に対しては、暴力行為を避けるようにということを、ちゃんとそのそばでこれを指導しておる。注意も与えておる。学生課長は車中にある者に対して、とにかく車外に出て釈明してくれ、再三要求しておる。これに応じなかった。だんだんそのうちに人間もふえてきて、事態が深刻になってきた。このことの経過を知っていますか、あなたは。
#57
○説明員(後藤信義君) 大かたそのようなことに考えております。
#58
○小林武君 大かたそのように考えた……。責任ある課長が、車外に出てひとつ釈明してくれと、学生にはとにかく乱暴なふるまいをしてはいかんということをそのそばでたしなめながらやっているので、学生もきびしい態度ではあったけれども、常軌を逸したりするような態度は一つもなかった、こう言っておる。そうしたらどうなんですか。あなたのほうでものを間違ってやったことについて責任を感じておるなら、出てきて一応のあいさつをしたらそれでおさまるんじゃないですか。それについてあなた大学側の何を調べようというんですか。
#59
○説明員(後藤信義君) いまおっしゃったのは一連の行動のうちの一端でございますけれども、それからずっと状況は続いておるわけでございます。それで、現場に到着いたしました四時ころから事件が起こりまして、解放されましたのは五時過ぎでございます。その一時間あまりの時間帯において行なわれました行為、これが警察官の個々において十分にまだ調査が済んでおりません。したがいまして、いま先生のほうで先にお調べになったようでございますけれども、私自身が知らない事実もございます。この点は至急に調査をいたして結論を出さなければならぬと思いますが、全般的に見まして、やはり最後にわび状を書かしておる。大勢で囲んでわび状を書かしておる。そういうところが問題だというふうに申し上げたわけでございます。
#60
○小林武君 あたりまえじゃないですか、自分がかってに入っていって、間違って入っていって、そしてそれが終わった。早く出ていけといって、自動車をけってどろがついた、そのくらいのことはあたりまえだと思って帰らなければいかぬですよ。これがまた入っていって文句をつけた。そうしたら学生が集まってくるから、今度は学校側が出てきて、とにかく車の外へ出て学生に釈明してくれ、学生らには、おまえらあまり変なことをしてはいかぬ、そう言って教授側はなだめておる。再三にわたってやった。それでもやらない。それで学生は、それではしようがないから、第三講義室へ行って話をはっきりつくようにしよじゃないかといって、第三講義室に入ったのじゃないですか。なぜその前に謙虚な気持ちで、いや実は間違いであったという点を述べて、今後こういうことはしないからということを一言言えばおさまることじゃないですか。教授もついておる、学生課長もついておるのだから、そのことはそこでおさまった、二度、三度あなたのほうでやっていったというのは挑発行為みたいじゃないですか。しかし、武蔵野美術大学の場合は、最後までそれについては学生は冷静さを失わないで対処した。しかし、そういう中でわび状を書かされたということはどうなんです。悪いから書いたのじゃないですか。あなたのほうでは拷問やったとかやらないとかいう話がよく出るけれども、警察の中で調べられるというのは容易じゃない。そうでしょう。あなたは調べられたことがないかしらぬけれども、警察で調べられるということはたいへんなことなんだ。その中でとにかく自分の真実を貫き通すということはできるはずですよ。いままで日本人のたくさんの人間は、その場合に真実を貫いてきた、警察官が暴力も何もふるわない学生の前で、何でそんなうそを書かなければならない。犯人逃げますなんて、逃げるはずないじゃないですか、部屋の中に入っている。とにかく学生は、それでも犯人の顔を見られるのは気の毒だといって、一人の学生がワイシャツを脱いで犯人の頭にかぶしてやった、それまでのことをやっているでしょう。その中であなたは書いておいて、何をいまごろ文句を言っているんです。その第三講義室の中にもちゃんと学校側は参加して、学生に対して冷静にやれということを指導しているじゃないですか、どうなんです。そういう点は、あなたのほうで知らないのですか。
#61
○説明員(後藤信義君) その点は目下調査中でございます。そこで問題は当然とるべき手続をとらなかったから、取り囲んでわび状を書かした、こういうことになるわけでございます。端的に申せばそういうことになるわけでございます。そしてこのことが一応許された範囲内であるかどうか、このことが問題でございます。学校当局の意思によってそういうわび状を書かされたのかどうか、あるいは学校当局がそうじゃなかったのだけれども、学生が学校の意思をそんたくしたのかどうか知りませんが、大ぜいで取り囲んでおる。そういう状態のもとにおいてやむを得ず書いたものかどうか、その辺は調べております。いまおっしゃいましたように、こういう場合にわび状を書くなどということは、きわめて不見識であると私は思います。これはこういうわけである、わび状を書くということはいかぬ。しかし、断わりなしに入ったということについては、これは大学当局に謝罪をするのは当然でございましょう。謝罪と申しますか、遺憾の意を表するのは当然でございましょう。しかし、そのやり方はいろいろなやり方があるわけでございますが、大ぜいで囲んでおってそうしてわび状を書け、わび状を書いたからこれでいいだろうということで出ようとしたら、それじゃいかぬ。一人一人読み上げろというようなことまでやっているというような話を私ども聞いております。そうなりますと、これはその点においてはたして妥当であるかどうか、これは調査をしてみなければならぬ、こういうことでございます。
#62
○小林武君 時間がありますから最後にまた聞きますが、どうせもう一ぺん来てもらわなければならぬ。
 それはおかしいじゃないですか。学生のほうでもって、第三講義室の場合には先生たちも立ち会ってくれておる。謝罪せいというのは、学生が言ったからといって別にどうということないでしょう。謝罪すべきことでないのなら謝罪しないと言えばいい。謝罪しなさいと言ったら謝罪文を書いた、そうでしょう。書いたものについて読み上げてみるというのはあたりまえじゃないですか。あなたのほうだって調べたときに言いますよ。書いたり、書かぬでもこちらの言ったことを、あまりじょうずでもない文章で書いて読み上げて、さあ記名捺印しなさいと言うじゃないか。そうでしょう。確認しただけの話でしょう。そのことについて何か文句あるのですか。書いたんだ、四人もいて、警察官が。取り調べるとは何のことですか。学校の意思かということは何のことか。それはどういうことなのか、学校の意思というのは。
#63
○説明員(後藤信義君) 学校の管理権者という意味で私は学校当局ということを申し上げております。そこでわび状を書かせるということが学校当局の意思であるのかどうか、これは調査を要すると思います。それから、読み上げるのは当然だとおっしゃいましたが、一人一人読み上げているようでございます。この辺はよく調べてみたいと思います。
 それから、私は先ほど申し上げましたように、わび状を書くこと自体がすでに不見識であると一般的には思っております。ただ、その状況がどうであったか、この点はよく調べてみないとわかりません。そういうことを申し上げたわけでございます。
#64
○小林武君 書くことが不見識ではなくて、書くような事態をおかしたことが不見識なんでしょう。間違っちゃいけませんよ。どうなんですか。
#65
○説明員(後藤信義君) どうも先生のお話と私のほうの申し上げていることが若干かみ合わない点がございますけれども、窃盗の被疑者、これについて被害者に当たっておるわけでございますから、通常はこういう事態というものは考えられません。このようなことはきわめてまれでございます。たまたま場所が悪くて大学であった。その大学に警察官アレルギーというようなことばは言いたくありませんが、そういうものを持っておる、そういうことから紛糾したものと思いますが、これはやはり一連の行為として見ましたときに、これはやはり学校当局の意思でこういうことになったのか。それとも学生だけが大ぜい取り巻いてわいわいしておるので、やむを得ないでこういうことになったのか。そういう辺は十分に調査をしなければならない。こういうことに考えております。
#66
○小林武君 あなたのものの言い方は、警察官は何やってもわびる必要はないという言い方だ。そうして警察官がわびることを求めたら、これはもうとにかく取り調べの対象になると、こういう言い方、こんな非民主的な警察というものは世の中にありますか。そんなばかなこと世の中にありますか。警察官だって悪いことしたらあやまらなきゃならぬでしょう。あたりまえでしょう。その内容について読んでくれというのはあたりまえでしょう。ほんとうにわびているかということになればあたりまえだ、そのくらいのことは、主権者としての国民はするだけのことはありますよ。あなたたちのほうがまともなことを言って、一つも欠点のないときにはそんなことが行なわれるということはない。しかし学内に入るということ、無断で入っていっている。しかも責任者でない、単なる食堂のマネージャーというような者に事をやらしておいて、それが見つかって、自分のほうで手落ちだとあなた言っているじゃないですか。手落ちなら手落ちのようにやるのがあたりまえじゃないですか。そのことはまずここでひとつ、この問題は後日またやることにいたしまして、ところでどうなんですか、この問題で一体東京経済大学へ機動隊を入れたというのは、どうもぼくは理屈に合わぬと思うのですよ。あなたどこに東京経済大学があるか知っていましょう。これは国分寺ですわね。これはどういうことですか。どうしてこういうことをやるのですか。問題が、武蔵野美術大学で多少何かそういう問題があった。今度機動隊連れてきて東京経済大学へ入れるというのはどういうことですか。
#67
○説明員(後藤信義君) いまの先生の御質問にお答えする前に、ちょっとお断わりしておきたいと思いますのは、私はわび状を書くということについて取り調べをしておるということばは一回も使っておりません。また捜査をしておるということばも使っておりません。調査と申し上げたのでありまして、犯罪の容疑がある場合には、それは、調査ではなくて、捜査でございます。私のほうではその使い分けをいたしておるわけでございますが、その点につきましては、犯罪として立件し得るものであるかどうか、あるいは立件し得ざるものであるかどうか、そういう点を目下調査をしておる、こういう意味で目下調査ということばを使ったのでございます。
 それから、先ほどけっ飛ばした程度ということをおっしゃいましたが、実は、小さな損害がございました。それで、前々、言っておるわけでございます。
 そこで、その次の問題でございますが、いまの御質問で、東京経済大学、これは私のほうのまさしく今度は連絡のミスでございます。で、調書をとっておりました警官が、終わりまして出てまいりましたところが、いまのような状況を現認した。つまり、あったところに自動車がない。そこでさがして、正門付近で問題が起こっているという状況を見ましたので、これを東村山警察署――自分の署でございますが、ここに電話を入れているわけでございますが、このときにこの武蔵野美術大学というのを間違えて、東京経済大学ということを言っております。なぜ間違ったのかということを――こういうまあ間違いでございますけれども、この窃盗の被疑者は、東京経済大学においても荒らしをやっておるわけでございます。それで、これが終われば東京経済大学に行くという、そういう考えがあったようでございます。それから、この正門の前に、東京経済大学の寮の看板が出ておったわけでございます。それを見まして、東村山警察署に事件が起こっておる、警察官が取り囲まれておるということを報告したときに、誤って東京経済大学ということばを使ったようでございます。
#68
○小林武君 間違ってあたりまえだというようなものの言い方ですね。どういうのか、これはあなたのほうは。そうして、機動隊が入って、どういうことをしたということをあなたのほうで知っているでしょう。負傷者を出したでしょう。ここの学長さんは、必死になって、とにかくそういうことのないように、門の外ででもって二人の警察署長との間で話し合いをしたでしょう。それを乗り越えて行って、門をぶち破って入って行って、学生をけがをさした、こういうことでしょう。それで、間違ったのですと言うことだけですか。これはミスでございますと、そういうことだけで済むものですか。自信をもって済ませようと思っているわけですか。
#69
○説明員(後藤信義君) これは、私のほうでは電話のかけ違いという点がミスであったと思います。しかし、その後にとりました手続については、あるいは警察官の行動については、これは問題がないというふうに思っております。
 まずそれが総括的な話でございます。と申しますのは、間違って受けたにいたしましても、警察官が取り囲まれておるぞということを聞きましたために、これは刑事課長以下十名でまず東京経済大学にかけつけております。そうして、門をちょっと入ったととろの守衛所に行って、警官が取り囲まれているそうだがどこか、ということを聞いております。それで、守衛さんはこれに対しまして、そういう状況を聞いておらぬけれども、それじゃ心当たりをというので、電話をかけておるそうでございますが、そういううちに学生に取り囲まれてしまった。中に入りましたものは、岡田という刑事課長と二名でございます。あとの八名は門の外に待たしておった。でございますから、間違ったにいたしましても、ここで何かトラブルがあったそうだということを聞きに行くこと自体は、これはまきに間違った電話に基づいたものではございますけれども、そういう情報が入った以上、そこに行って、そういうことがあったかどうか、確めるそのこと自体は何ら非難されるべきものではないというふうに思います。そのことに端を発して、非常に大きな問題といいますか、学生が取り囲む、こういう状態でこの東京経済大学のほうは起こっておるわけでございますから、これはどうも武蔵野美術大学のほうとはその発端からしても違うと、こういうふうに思っております。
#70
○小林武君 じゃ一つ一つ聞いていくわね。東村山署より次長と名乗る者が学生部に電話して、三名の警官が学生につかまっているという電話が一一〇番に入った、真偽のほどを教えてほしい、こういう電話をかけたわけですね。これは認めますね。これを受領したのは岩崎という学生部室長だ。そこで大学側としては――これからもう数分後に今度小金井署から電話があって、庶務課長さんが出て、そうして応待したところが、前と同じような趣のことを尋ねた。そこで大学側としては、学生部の室長である岩崎という人が守衛所に電話をした。そういうことがあるかどうか、思い当たる節があるかどうかという電話をした。それで守衛の村越さんという人は、電話を受けたので、構内を巡回したが、異常が発見できないから守衛所に引き返した。岩崎さんが守衛所におもむいて、さらに状況を、今度はまた、どうであったかということを聞いたところが、そういう事実がいま巡回したけれどもないというふうに言った。それで学生部に引き揚げた。これは学校側はそういう事実がないということを調べに調べ抜いたわけですね。そうでしょう。これは認めるでしょう。両方の警察から問い合わせがあった。それでそういうことがあるのかということで、守衛並びに学生部の責任者はそれぞれ行動を起こして、事実そういうことがないということを明らかにしたわけです。そうしたら、今度は、そのころはもうすでにパトカーその他が大学のまわりを巡回している。それから一人の警官が生協食堂の方向へ歩いて行った。そうしてそのときに警察官がつかまったのだね。警察手帳を示して、おれはこういう者だということを示して入ったのでしょう。その点は認めますか。その点はどうですか。
#71
○説明員(後藤信義君) 私どものほうで聞いておりますのは、いま申し上げましたように、間違った電話が入ったということで、直ちに刑事課長以下十名が東京経済大学におもむいた。そのうちの課長と係官二人が守衛所に立って、そのことを確かめておりますその間、岡田というこの課長のほうは、それはひょっとすると、あるいは学校の間違いかもしれぬ、あるいは場所が違っておるのかもしれぬ、もう少し具体的に聞かなければいかぬというので、一たん外に出まして電話で連絡をいたしております。引き返してみましたら、取り残されておったもう一人のほうの警察官が学生に取り囲まれておって門は閉まって入れない、こういう状態であるというふうに聞いております。それからまた、次長から大学当局に連絡をとったということは聞いております。
#72
○小林武君 聞いて何……。聞いておらない……。
#73
○説明員(後藤信義君) 聞いております。
#74
○小林武君 そのうち、どんどんどんどんそこへ警察官を回わしてきたというのは、それから機動隊が入ってきたというのは、いつなんですか、あなたのほうの調査だと。
#75
○説明員(後藤信義君) 機動隊が中に入りましたのは……。
#76
○小林武君 いや、中に入ったのじゃないんだ。そこの現場にかけつけた……。
#77
○説明員(後藤信義君) 現場にかけつけた正確な時間は、私どものほうで報告を受けておりませんが、連絡をいたしましたのは、東村山警察署にいま被疑者の引き当たりに来ておって取り囲まれておるということの第一報が入りましたので、先ほど申し上げましたように、刑事課長以下が急行いたしましたが、同時にこれは事態が署だけではおさまりそうもないというふうな考え方でございましたのでしょう。これは機動隊に連絡をいたしておるわけでございます。機動隊が現場に到着いたしましたのは大体五時四十分ごろであるというふうに聞いております。
#78
○小林武君 五時四十分。それは何かの間違いだよ。五時四十分というのは間違いでない……。それは間違っているわ。
#79
○説明員(後藤信義君) 失礼しました。五時四十分というのは正確でないようでございます。時間の点は確実にわかりませんので、また機会をあらためまして、あるいは必要があれば即刻これはあれしてもよろしゅうございます。
#80
○小林武君 その前にお聞きしたいがね、この機動隊を呼ぶというのはだれが呼んだのですか、これは。機動隊のほうでやったのですか、それとも警視庁のほうでこれをやったのですか、どうですか。
#81
○説明員(後藤信義君) これは、東村山署と警視庁とのやりとりは、小金井の警察署においても傍受しておったようでございまして、これに基づきまして、小金井警察署の管内の事件でもございますし、小金井の警察署長も現場にかけつけておるわけでございますが、そのときに次長から、いや失礼しました、この小金井警察署から、小金井警察署の幹部から警視庁本部に対しまして機動隊の出動方を要請しておるわけでございます。
#82
○小林武君 小金井署ですね、私、ここでね、ちょっとふしぎだと思ったことがあるのです。小金井署に行ってね、署長さんにそれはどういうことになったんだと聞いたら、署長さん、やっぱりそこへいったらちょっとわからなくなったんだね。はてな、これ、おれ言ったような気もするし、どうだったかなっちゅうことになってね、次長かどうかしらぬけれども、一人の幹部に、はてな、あのときどうだったと言ったら、次長が、いま監禁されているということで、ときによったら機動隊を呼ばなければならぬかもしれんなというようなことを言ったというわけですね。私は、それを聞いていてね、これはやっぱり私が警察署長なら、こういう事態ならこうするというやつは、ほかのことを忘れてもそのことだけは忘れないものだと思うのだけれども、はてどうだったかなということになった。私はそのとき非常に不審を抱いたのです。どうも話の中に――警視庁のほうが先だったらしいのじゃないですか。何かそういう何とか室というのがあって、そこからの情報じゃなかったですか。正直いってどうですか。
 それと、何時に出たか知らんけれども、第三機動隊というのは目黒ですね、第七機動隊というのは調布だ。
 あなたのおっしゃるように五時ころそこへ到着したとまず仮定しても、目黒から来て一体どういうことになる。目黒のどこだか知らんけれどもね、どのくらいの時間で来るのですか、そこへやって来るのに。
#83
○説明員(後藤信義君) おっしゃるとおり第七機動隊は調布にございます。これが一番早うございました。それから、第三機動隊、これは目黒の、玉電のございましたときの、玉電の大橋と池尻の中間あたりにございます。時間はどのくらいかかりますか、正確にわかりませんが、いずれにしましてもこの機動隊が出たわけでございます。
 それで、いま先生のお尋ねの中に、警視庁の本部のほうから指令が出たのかということでございましたが、これは機動隊の出動ということになると本部のほうからそういう指令が出るわけでございますが、そのもとになりましたのは、先ほど申し上げましたように、小金井警察署の幹部がこれは機動隊の出動方を、ということで警視庁の本部のほうに連絡しておるわけでございます。それに基づいて出動したと、こういうことでございます。
#84
○小林武君 いや、時間どうでもいいなんといっちゃだめだよ、時間がどのくらいかかるかということによって、出た時間がきまるわけですよ、そうでしょう、出た時間によってきまるわけですよ。そのくらいのことをあなた、警察じゃなくたって、ぼくだってわかる。
#85
○説明員(後藤信義君) 出発した時間及び現場に到着した時間につきまして、ただいますぐに調べましてこの委員会が開かれている間中にお答え申し上げたいと思います。
#86
○小林武君 それはいま調べてもいいわ、この次聞きますから、いいがね。そこらのところがなかなむかずかしいところですよ。ぼくは調布から出かけていって、そして二時に着くということ、なかなか容易じゃなかったのです。二時までに行こうというやつがなかなか簡単にいかぬですわ、込んでいるときに。出ている時間というのはきわめて重大なんですから、ここで聞かぬというと、あとであなたのほうで適当な時間をつくられればこれはしようがない。そこは警察だからあなたのほうを信頼して、何時に行ってどうやったということをはっきりしてください。それであなたのほうで警察官のやったことに誤りがなかったということを先ほどから強調しておられる。誤りなかったということはどういうことであるのか。一つは、水村という東村山署員が学生にまわりを取り巻かれたからそれを救うためには、監禁から解放するためには、機動隊を入れて、学生をけがさせてもこれは当然だと、こういうことになるのか。そんな危険な状況にあったかどうかということは抜きにして、解き放すためにはとにかく話も何も、問答無用ということなのかどうかということを、あなたどう解釈しているかということによってきまるのですよ、この騒ぎは。四時五十分ごろには石川という学生部長が連絡を受けてここに来ておりますし、学生もここでもちゃんと立ち会ってくれということをいっておる。五時五分ごろにはもう学長がその場所に来て、学長がそれについては警察官に意見を述べているわけです。ゆえなく入った件について、学生の要望であるから学生の前で釈明しなさいと、こうできないかと、こう言った。そうしたら水村という署員は署長の許可があれば釈明する意思がありますと、こう言った。そこで学長は、それでは署長さん、ここへ来てくださいと、とびらの外のあれに二人の警察官、署長が来た、それで釈明を求めたのですね。釈明すればこれは問題ない。そういう釈明を求めるという、学生がそういうことをするということについて学生を納得させるように釈明してくれという学校の態度は、あなたのほうでは聞く耳持たぬことで、直ちに飛び込んでいって機動隊を導入してやるという、そういう理屈になりますか。
#87
○説明員(後藤信義君) これは先ほど先生のおことばの中にありましたが、警察官である、そしてこういうことでここに来たのだということは言っておるわけでございます。これは守衛にも言っております。それから学校の当局の方々にも言っておる。これは学長も最後に出てこられたわけですから、学長にも申しております。学生のほうに対して、学生に向かって言ってくれというような要求、たしかこれは学長だと思いますが、やられたようでございます。そこでそれは学校の管理者当局に対していきさつを説明しておるということで済んでおるわけだから、これ以上別に学生に釈明することは必要ないということで、これを拒んだということだと思います。
 それから、こういう事態であるから機動隊を入れて、かりにけがをさせてもいいかという問題でございますが、けがをさせていいということは、いかなる場合でもこれは禁物でございます。ただしかし、一時間余にわたって警察官が門のところで囲まれておる、外からも見える状態であった。しかも自由意思によって、これは離脱ができないということになりますと、これは形の上では監禁罪が成立いたします。したがって、本人自身を救出するというのみならず、監禁罪の現行犯である、これは一応の形としてはそうなります。そして、その問題につきましては、警察のほうでこれに対して所要の措置をとる、これは当然のことであるというふうに考えております。
#88
○小林武君 そこで、大学に無断で入っていってやったことについて、学長は、ひとつ釈明してくれということについて、水村署員は、もう釈明していいです、こういった。ただし、これは署長がいいといえば言います、こう言った。署長はたいへんこれは高圧的な態度になってきて、なかなかそれを許さぬもんだから、水村は言わぬ。その際水村は、一体監禁というのはどういう状態に置かれていたということをあなた聞いておりますか。
#89
○説明員(後藤信義君) 刑法にいいます監禁罪は、申し上げるまでもございませんが、一定の区域から出ないような状態に置くこと、これは監禁でございます。そこで、彼は門をあけて出たい、出してくれということを何べんも要求しておりますが、それを許しておりません。学長が最後に出てこられましたが、これも許しておりません。学長の口から、これは出たかどうかということは、私、その点は非常に重要であると思いますので念を押しましたが、不法に侵入したということを言っておられるようであります。一体門の中にある守衛所まで行くことが不法侵入という、そういう非常識なことは、これはとうてい考えられない。しかも、間違ったわけではございますけれども、要請があって、学生が警察官を取り巻いているそうだが、ということを聞きに行ったわけでございますから、こういう点は、およそ刑法百三十条にいうところの不法侵入には断じてならぬのではないかと私は思います。そこで門を締めて出さないということでございますから、これは監禁でございましょう。それからまた釈明ということでございますが、学長に対しましては、再三水村は言っております。署長の許可がなければ言えないというのは、おそらく、それはどういう意味であるかわかりませんが、あるいは学生の面前に、大勢の前で、三、四百おったようでございますが、そういう前で、そういうことを言うということであるかもしれません。その点は、まだ私ども確認いたしておりません。いずれにしましても、学校当局は、学長並びにそのほかの職員もおられたようでございますが、その方々には自分の身分を明かし、なぜここに立ち至ったかということを話しております。それは、結果的には全然間違った事態であったんでございますけれども、門をちょっと入ったところの守衛所に行くまでのことが、これが不法である、不法侵入であるというようなことは、これははなはだしく非常識なことである、こういうふうに思うわけでございます。
#90
○小林武君 あなたのおっしゃることを聞いてるというと、警察というのは何でもできるということになるんだね。よその大学に起こったこと、その起こったことを、先ほど来やりとりやってるように、たいへんな行き過ぎをやった。よその大学のことを違う市へ行ってね、そして、おまえのところで起こってるからといって、起こってないという事情わかっていながら、そこへ入り込んでくる。これはおれの当然のあれだと、とにかく何がかんでも、文句言ったり取り巻いたりしたら監禁罪だというような、そういうやり方を、これから大学でとろうとする考えですね。あなたの考え方は間違いないですな、それは。
#91
○説明員(後藤信義君) 東京経済大学において事態が起こっていないということがわかりながらと先生おっしゃいましたけれども、これは岡田も水村もその段階においては、東京経済大学に起こっておると信じ込んで守衛所に至っているわけでございます。
#92
○小林武君 信じ込もうが信じ込むまいが、間違いじゃないですか。そうしたら、そのことについて釈明するというのはあたりまえじゃないですか、警察だから釈明できないということはどこにありますか。これは大きな間違いでした、私はそういう事態が起こっているということだと思ってやって参りました。間違いでしたからこれはすみませんということを言ったら、これはそれで話はおしまいになるんじゃないですか。それだけのことを言わんから問題になったんでしょう。それについて、あなたそれ言いなさい、学生も納得しますからというのは、これはあなたあたりまえじゃないですか。そうするととにかくことがおさまるのだから、あなたそこで釈明しなさい、これが学長のはからいとしては当然じゃないですか、あなたも、しかもいまの大学のいろいろの事情については知っているでしょう、必要以上に。そういうことを知っておるとしたならばなおさらじゃありませんか。なるたけ事態を大きくしないで、普通のあれで、とにかくおさめたいという学長の気持ちというものをあなたわからないわけじゃないでしょう。それについて教授の諸君から、みんなが心配して、いろいろやっているじゃないですか、学生に対してもたしなめているのじゃないですか、からだに手を触れてはいかぬということを言っておる。学校の報告によれば、水村さんという男の服装にも何ら乱れもできないくらいにやっておるという、写真もここに来ておりますが、水村も学長も並んだようなところに立っておる、そうしたら、それに対して答えることはいけないことですかね、どうですか。あなたのほうで指導する立場だったら、そういうときにはどうしたらいいのです、一体。
#93
○説明員(後藤信義君) 釈明とおっしゃいますけれども、私先ほどから申し上げておりますように、守衛所に対しては来意を告げておる。それに基づいて守衛も電話をかけたりしてくれております。そこに学生があらわれた、学生に対しても理由を説明しております。大学当局者があらわれますと、これに対しても話をしております。なぜそこにおるかということについて。ところがそれがどういうわけか、たくさん集った学生に向って言ってくれ、こういうことになりましたので、これは拒否しておるようでございます。この点はこれは拒否していいのか、あるいは拒否しないほうがいいのか、これは場合によりましょう。しかし、学長がそこにおられて、一応その理由がそういうことで来たのだということがわかったならば、自分は責任を持って警察から聞いた、問いただしたところが、こうであるということで、学校当局が学生側のほうに納得させるといいますか、その話を取り次いでくださるというのが、これは管理者としては当然であるべきことじゃなかろうかというふうに考えます。ただし、いまのような次第でございますから、あるいは学生の前で言ったほうがよかったのかもしれません。あるいはそういった状態でなかったかもしれません。それはなお調査する必要がございます。
#94
○小林武君 あなたの警察の中では、お前らだまっておれ、ここで話はわかったから帰してあげなさいというようなことを、教育の中ではなかなかそういうことはできない。理屈が立たないじゃないですか。この人は間違ってきたのだからということが明らかなら、間違ってきたということを一言言ってください。そうしてその間違ってきたということを了解させれば、学校のほうではそう言っているのだから、もうこれはそれでいいじゃないですかということは、これは言える。それは軍隊や警察と違う。おれが責任者だと、おまえらだまっておれ、戸をあけて帰せと、こういうことは大学であろうと、小学校であろうと、中学校であろうと、そうはいまはいかぬ。やはり納得さして帰すということをやらなければいかん。しかも、あなたは水村は先ほどから守衛所に行ったというが、守衛所に行ったというのは、ここにとにかく監禁されておるということだったんでしょう。監禁されていないということがわかったでしょう、その事態では。学長が来ているときには誤まりであったということを承知している。私は監禁されていると思ってやって参りました。しかし、これは全く警察側の誤まりでございました。その点はまことに申しわけありませんということを言えばそれで終わりじゃないですか、守衛所に来て、おれは監禁されておるから来たんだと、それに何か文句あるのかということを言うのですか、あなたは。そうですか。それが警察の一体大学に対する態度であり、国民全般に対する態度ですか。
#95
○説明員(後藤信義君) これは時間的な経過はさらに明確にしなければいかんと思いますけれども、学長が最初にあらわれて、学内どこを探してもそういう状態はないということを言われたわけではありません。これは最初に守衛所に行ったときにおいては、先ほどお答え申しましたとおり、これは彼ら二人は、誤解ではございますけれども、この中に東村山の署員が監禁されているということを信じ込んで、その事実の有無を聞きに行っているわけです。それで、その中の一人は、これは場所がわからない、もう一ぺん確めなければならぬというので、外に出た。その間に学生に取り囲まれた、それで引っ返して入ろうとしたら門を閉ざされていたという段階です。そうなりますと、中にいないということがはっきりわかったのにもかかわらずという時点は、もうちょっとあとでございます。でございますから、学長が来られた時点においては学長がいないのだとおっしゃられれば、なるほどそのとおりだということで、引き下がったでございましょう。それですからその理由をつけて、じゃ帰しますということになったのだが、帰してくれない。これがその筋でございます。経過でございます。
#96
○小林武君 一人は逃げたのです。それで扉が締められた。というのは、かってに理由も言わずに、おまえのところに警官が監禁されているだろうというようなことで簡単に考えて入って、それが間違いだった。そこへたくさん学生が集まってきた。ちょうど下校のころだから、しかも二部の学生が今度登校の時間だ。そういうものがごっちゃになって非常にたくさん人数がふえてきた。学校側も非常な配慮をして、その事実がないことがそのころにはすでにもうわかっているわけだから、守衛も回って学内も調べたということは先ほども言ったでしょう。それだから、間違いであったということで学長は、あなた間違って入ったということを言いなさい。釈明しなさいと言う。それで言えばいいじゃないですか。そのことを認めないで、機動隊入れるぞ、いいかというようなことを言って学長をおどかすような言辞を弄することでいいのですか。あなたの立場として。私ならば、むしろ水村署員にそう言わしたならば問題は起きない。あなたのほうでは機動隊を入れてめった打ちにしなければいかぬのですか。そこらあたりおかしいのじゃないですか。時間的な経過ということがあるからなおさらじゃないですか。
#97
○説明員(後藤信義君) 署長がどういう気持ちであったか、その辺私のほうでなお聞いてみたいと思いますが、そのときに監禁状態になりました警察官をしてそういう行動に出てしめることが適切であると判断したのか、しなかったのか。その辺の問題があると思います。先生おっしゃるように、何ら危害を加えられるような状態でなかったというようなお話でございますけれども、別に物理的に頭をちょっとなぐったとかということでなくても、監禁罪というものは成立するわけでございますから、これはまた別問題でございます。それで、警察のほうで電話のかけ違いからとんでもないところへ飛び込んで、そこに警察官が監禁されているということを聞くということはそのこと自体をとらえてまずいことであるというようなことを学校当局もお考えになるというのはいかがなものか。こういうふうに私は思います。
#98
○小林武君 どうかと思うということよりも、学校側はそのことについてちゃんと調べたわけです。先ほどから言ったように、守衛も巡回をしたし、それから学生課の人たちも調べた。そうでしょう。それだから、それについて学校は何ももう自分のところに問題のないところだから警察官が入ってくるのは迷惑なことだと思うのです。すでにその回りには警察官が配置されておった。これは重大なことと思うのはあたりまえじゃないですか。大学に一体何でこれだけの警官が来るのかということを感ずるのはあたりまえじゃないですか。正門のほうにも、裏門、西門のほうにも来た。そのときにそういうことが起こったのでしょう。問題がないということが明らかになったら、誤りから起こったのだから、これは誤りでしたということを言うのはあたりまえじゃないですか。たいへん失礼しましたということを釈明をすればいいじゃないですか。そのことができないで、機動隊を入れるというのはおかしいだろう。機動隊が一体そんなに早くやってきたということ自体もおかしい。一体始まったのは何時だと思いますか。何時ころだと思っているのです。このことを電話で照会した時間はあなたは何時だと聞いていますか。
#99
○説明員(後藤信義君) 東京経済大学へ東村山の次長が電話を入れているのは四時四十分と聞いております。
#100
○小林武君 そうだな、四時四十分……この機動隊がすでに姿をあらわしたのは何時ごろだと思いますか、それはあなたがわからんというから言わぬけれども、きわめて短時間の間に来ている、そんなことはなかなかできないと思うのです、相当手順よくやっている。そうしたら一体学校側がそれについて衝撃を受けるのはあたりまえじゃないでしょうか、何でこんなことをやるのだということになりませんか。そういう学校側の不安感があったならば一そう、どうですか、学長がひとつ釈明してやってください、学生にそれを釈明しなさいということを言うのはあたりまえじゃないですか。それがあなたわからん、管理者としてどうだとかということはどうですか、おかしいじゃないですか。
#101
○説明員(後藤信義君) 先ほどから繰り返してお答え申し上げておりますように、署長の判断がその時点においてどうであったか、それからまた監禁状態に置かれております警察官の状態がどうであったかという問題も十分考えなければいかんと思います。それから、最近いわゆるそういう形において釈明と申しますか、学生の前でしばしばそういう一種のつるし上げが行なわれるということも常態化しておりますから、そういうことについて、あるいは有害である、無益であるというふうに判断したのかもしれません。いずれにいたしましてもこの武蔵野美術大学において事件が起こりましたのは四時ちょっと過ぎのようでありますから、その時点においてすでに機動隊のほうには連絡がいっているわけでございますから、それはこちらのほうにかけつけるのが、そんなに常識では考えられないほど早いというものでもあるまいというふうに思います。いずれにしましても、どういう連絡があって、何時ごろ出発し、何時ごろ着いたかということは、これはただいま調査をさせております。さらに先生先ほど調布からおいでになったというお話でございますが、警察の場合は緊急用の自動車で参りますから、信号が赤でも通るというようなことでございますから、比較的早く現場に到着し得るということになるわけでございます。
#102
○小林武君 そこで参事官、そこを言うのさ。相当早く現場に着いたでしょう、自分の大学に何もないということが確認された、調べたのだから。そんなにどんどん警察官は入ってくるわ、機動隊もちらほらするわということになったら、そこへ、とにかく下校時と登校時の二つがぶつかって相当たくさんの学生が集ってくる時期に、学校当局としてみれば、これについて学生がふしぎに感ずるのは、緊張を感ずるのはあたりまえじゃないですか。何とかこの事態を平穏のうちに済ましたいと考えるのはあたりまえです。それはあなた警察の署長がどうとかというのじゃなくて、あなたの判断を私聞きたいです、警察庁の判断を。そういう事態に水村氏に対して、あなたはとにかく釈明しなさい、学生に釈明してくださいと言うことは、学生はそうすればおさまるということなんです。そういうことが大事なことじゃないんですか。そのことはあなたはわからないで、学校の意思がどうとか、管理者としてどうとかというのは、ちょっとそのほうがおかしいじゃないですか。
 これ以上のことは聞きませんから、あなたのほうでそれでいいということならばここでおっしゃってもらいたい、そのことを。そんなこと言おうが何しようが、機動隊入れて断固やるというのが正しいというなら、正しいということを言ってもらえばいい。
#103
○説明員(後藤信義君) この間の事態について私どもの承知している限りにおいては、機動隊を入れることもやむを得なかったというふうに判断をしておりますし、先ほど来申し上げておりますように、これは刑事上の責任という点でも問題にしなければならぬ事案である、こういうふうに考えております。
#104
○小林武君 そういう判断をした、それはもっぱらあなたが調査の上に立って、そういう判断をあなたが下した、そういうわけですか。
#105
○説明員(後藤信義君) これは時間が若干ございましたら、もう少し詳しく調べれば調べられたのかもわかりませんが、御承知のように日曜日もたいへん大きなデモがございましたりして、なかなか警視庁の手がとられておって、そちらのほうの調査も十分でないようでございます。私のほうはなるべくその点は控えております。しかし先生の先ほどの御指摘もございますし、私自身も現場を見てみたいと思います。その状況が、これは先生もその現場におられませんし、私もおらぬわけでございますから、また聞きになるわけでございます。この事態を一番よく知っている者からなお事情をよく聞いた上で判断しなければならないと思いますが、私どものほうで承知をしている限りにおきましては、やはり一時間余にわたって警察官を門のところに監禁状態に置くということは、これはやはり許されないことである、こういうふうに考えておるわけでございます。
#106
○小林武君 あなたの大体話を聞いているというと、あなたの判断というかむしろ署長の報告に基づいてそういう判断をしている、署長のやったことについて認めるという態度ですね。そうするとあなたが指導的な立場に立ってこうこうこういうような状況の中でどうあるのが正しいという判断はあなたの口から聞けなかった、こう私は言えると思う。大事なところへいくと、そのときの署長の心境がどうだったとか、署長の判断がどうとかいうことをおっしゃる。そういうことを聞いているのでない。そうすると二人の署長に来てもらって聞くよりしようがないということになる。なるべくそんなつまらないことをしたくないと思っているけれども、あなたのほうでそういう言い方をすればそういうことになるわけです。そういう判断をしてよろしいですね。
#107
○説明員(後藤信義君) 私が署長ないしはこの当事者それらについて十分に調査をいたしまして、そしてお答えをする機会があればお答えする、そういうふうにしたいと思います。一般的に、学生の前で釈明をすることがいいかどうかというようなことはこれは一がいには言えない。その現場の状況によると思いますので、したがって現場におらぬ私が云々というわけにはまいりません。そこで十分に調査をいたしまして先生の疑念に思っておられる点などについても十分明らかにした上で、機会を見てその状況をまた報告さしていただく、こういうふうなおとりはからいを願えればありがたいと思います。
#108
○小林武君 あなたに希望しておきますが、いまのようなあなたの態度ですというと、日本の大学問題というのはなかなかおさまらない、そうでしょう。何にも問題のないところにまで機動隊をぶち込むようなことをやっている。そうやられてもじっとしているような学生であってほしいというあなたのほうの何か希望のようだけれども、そんなうまいことには世の中いかない。そんなことがいいかどうかも問題がある。でありますから、私は、いまの警察当局の、警察庁の責任ある方々の考えというのは非常に危険だと思います。しかし、きょうの判断を聞くというと、警察庁の判断というものも確立していないようです。それは調査が足りないということです。
 それからもう一つは、部下のとった行動を十分に把握しておらぬということだと思うのです。しかし私はそういうことを考えたくないから、具体的な問題の上に立って少なくとも警察庁という高い立場での判断というのは、単なる警察官の問題ばかりでなく広く教育の問題、それらの問題も踏まえての解釈があってほしかった。こう思うから質問をしたのですが、それは望みが達せられなかった。しかもきょうの質問だけではなかなか時間不足で十分でなかった。いずれまたひとつ十分な御調査をされてきてもらいたい。
 そこで、大学学術局長にお尋ねいたしますが、これは大学学術局長としてはどうお考えですか、次官通達が出ておりますから、その際にどのようにしたらよかったのかという御判断をひとつお聞かせいただきたいと思います。あなたは責任の局長ですから。
#109
○政府委員(村山松雄君) 武蔵野美術大学事件はこれは窃盗事件の裏づけ捜査でございますので、これは当初に警察側から連絡されて大学の協力を得て捜査を実施されればそういう問題が起こらなかっただろうということで、警察に対しましても、それからまた問題が大きくなってからの大学の態度に対しましてももっと慎重にやっていただきたい、かように思います。
 それから東京経済大学事件、これは派生して連絡の手違いから大事になったという感じがいたすわけであります。
 連絡の手違いから大学に入ったということにつきましては、警察側はそれ相応の釈明をされたようでありますが、それが大学側としては納得が十分いかなかったために、ついに機動隊が入るという、だんだん大ごとになったという経過をたどっております。それらの経過につきましては警察庁の御説明のように、当事者でないと的確なところがわかりかねる点もあるようでありますが、警察側も立場上許される限りの釈明をしていただきたいし、それから大学側においても間違って入ったということがわかればその釈明のしかたにそうこだわらないで、警察官が外へ出るのを拘束すべきではなかったのではなかろうか、これまた月並みな言い方でありますが、両者にもっと慎重な対処のしかた、これはまあ結果論としてやや第三者的に言ううらみが残るわけでありますけれども、問題の事件、誤解から起こって両方とも疑心暗鬼の状態でエスカレートしたということがあるようで、あとからどうこうということはたいへんはばかりがあるわけでありますけれども、あえて申しますならば、もっと慎重にやっていただきたかった。こういう手違いとかミスとかで大学と警察との間がこじれるということが、これを不幸な前例として今後絶無であるように希望いたす次第であります。
#110
○小林武君 局長あのね、大学側の慎重であったということについては、ちょっと私はあなたに具体的な問題を一つ聞いておきたいと思います。
 学生の諸君が慎重というのは大学側の教官、大学当事者側に対して言ったことばだと思うのだけれどもどうなんですか。大学の学長にしろ、あるいは教官にしろ、あるいはその他職員にしろ、いまのような大学の事情の中でわけもなく警察官が入ってきたというときに、事態を一体平穏裏におさめようとすれば、学生というものを目の前にして学生に納得させるという手だてを講ずるということが慎重を欠いたということになりますか。これ、具体的な問題ですよ。先ほど言ったように、君ら何だというようなことを言って一喝を食らわせるようなそういうやり方が正しい慎重な態度であるのかどうか。私は、慎重な態度というのは、なるべく事を大きくしないでそこで乱闘が起こったりしないように処理するというのが慎重だと思う。そのためには、たとえば学長が釈明をしてそういう学生を納得さして、そうして帰ってくれということを言うのが私は慎重だと思うのだけれどもね、慎重を欠くというのはどういうことですか、その場合にどうしたらいいのですか。あなたは第三者的と言ったが、きわめて第三者的で、文部省もここまで問題がこじれている大学問題をかかえている時期ですから、慎重というのはこうやることが慎重なんだということを言ってもらえばいいです。
#111
○政府委員(村山松雄君) たとえば武蔵野美術大学の場合は、食堂で窃盗事件があったというようなことにつきまして、これまあ、あとでは被害品を認めておられるようでありますので確かに窃盗があったことをお認めになったようでありますけれども、窃盗が起こった時点では別に被害届けも出ておらなかったようでございます。一例として、警察との連絡が不十分じゃなかろうかという感じがいたします。
 それから、東京経済大学の場合、学長が警官に対して直接学生に釈明をしてやってくれという前に、まず御自分で警察側の釈明の説明を聞かれたようでありますので、やはり警官と学生とを直接向き合わせる以前に、学長あるいは学生部長でも同じでありますが、大学側として、警察も間違って入ったようであるから、これは何か特定の意図を持って入ったのではないようだから、身柄を拘束したりしないで帰すのが至当であるというような説得をまずもってなさるべきではなかったろうか、かように思います。ほんの一例でございますが、そういうことを意味しているつもりでございます。
#112
○小林武君 これから大学問題解決するのにお互いにやらなければならぬという立場から言うのですけれども、そんなことが通用するようなときじゃない。そうでしょう。へたなことを言ったらかえっておかしくなる。警察の肩を持つようなお話になるのだということになっらたいへんだ。その際の慎重というのは別なんです。あなたは文部省の中にいて考えているようなものではないということを考えなければいけません。
 それから盗難届け云々と言うけれども、大学の食堂の中で盗難が起こったというのは、グリンピースや何かではない。はっきり何かたしか盗難があったというのは、豚肉十キログラムなくなったでしょう。しかし同じメーカーのものを、かん詰め持ってきたから取った、取ったというところで戸惑いしてしまってはっきりしないというのだ。その点はそれはきちんと一体幾ら買って幾ら残っていてというあれができていないということの問題はあるとしても、置いていって、おまえのところから盗まれたのだから、盗んだのだから、置いていくと言って、置いていったのだそうだけれども、ある意味から言えば押しつけかもしれない、よその物かもしれない。そういうことをたてにとるなんていうことは、それはおかしい。もっと慎重ということをひとつ具体的に検討しなさい。あなたのほうでそれをやらぬというと、大学の指導なんてできやせんですよ。
 それから、最後に文部大臣にお願いいたしますけれども、次官通達が出ているということで、こういう問題が起こったということは、これは明らかです。いっそこういうものでもって激化するというおそれがあると思う。だから、次官通達というものは、これはよけいな刺激剤だと思っておる。いま、そのことについてここで議論する気持ちはありませんけれども、非常に御苦労なすっているが、どうか慎重の上にも慎重な態度をとられるように、これは閣僚として各方面との連絡をとりながら、横の連絡をとってやっていただきたいと思うのです。警察官アレルギーだなんて妙なことを言って、警察官を見て喜んでいるというような大学なんていうことを考えたらうまくいきません。終わります。本日はですよ。
#113
○委員長(久保勘一君) 午前中の委員会はこの程度にし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十五分開会
#114
○委員長(久保勘一君) ただいまから文教委員会を再会いたします。
 午前中の委員会に引き続き、質疑を行ないます。
 政府側から、坂田文部大臣、宮地初等中等教育局長、以上の方々が出席いたしております。
 質疑の申し出がございますので、これを許します。
#115
○楠正俊君 最初に大臣にちょっとお答え願いたいのですが、国立特殊教育総合研究所に関連をしまして、その特殊教育ということばなんですが、どうも私はこの特殊教育ということばはあまり気に入らない。それはおかあさんの立場に立って考えてのことなんですが、わざわざ養護学校――学校の場合には養護学校といいますね。学級になると、特殊学級といっておるのですが、たとえばそういったところに通っていらっしゃるお子さんのおかあさんが、おたくの坊ちゃんどこの学校にお入りになったのですかと聞かれて、ある学校に入った。どこの学校にお入りになりましたと言ったときに、うちの子供は特殊学級に行っているというのじゃやっぱり言いにくいのですね、おかあさんの気持ちとして。せっかく養護ということばが学校にはついているのですから、学級の場合も養護学級でよさそうなものだが、養護学校、特殊学級というふうに分かれたのはどういう意味なのか。愛情のある政治ということだったら、そういった小さなことばであっても母親の立場に立って考えてあげるということがほんとうの意味の政治であり、行政ではないかと、こう思うのですが、そのあたりの感想を聞かしていただきたい。
#116
○国務大臣(坂田道太君) 言われてみますると、御指摘のような感覚があることはわかるわけでございますけれども、実は私も突き詰めてそこまで考えてみなかったわけでございます。何かそれにかわるべき適当なものがあるかと申しますと、ちょっと私としましても思い浮かばないということでございまして、何かこれについてそのことを、特殊な考え方が文部省にあったのかどうか、局長からひとつ……。
#117
○政府委員(宮地茂君) 私もあまり詳細を存じませんが、従来特殊学級という学級は戦前はなくて、特殊な教育といたしましては盲学校、ろう学校というものがございました。戦後学校教育法が二十三年にできましたときに、学校教育法の中に章を設けまして、盲学校、ろう学校、養護学校合わせまして、特殊教育学校という章を設け、自来そういった学校を総称しまして、特殊教育学校と呼び、また一般学校に学級をつくります場合に、特殊学級と呼んだという経緯でございまして、あまり詳細存じませんが、諸外国ではスペシャルエジュケーションとかスペシャルクラスということばを使っているのだそうでございます。それであるいはそういうところにヒントを得たのかとも存じますが、大体そのように私ども心得ております。それにつきましては、いま大臣が申されましたように、別にこれにこだわるつもりはございません。いま楠先生おっしゃるお気持ちに何ら私ども反する気持ちも持っておりませんので、日本語でいいことばがあり、皆さん方が非常にいいといわれるようなものが考えつきますれば、それは何も特殊学級をどうしても墨守しなければならないという筋合いのものではなかろうかと思います。
#118
○楠正俊君 昭和四十二年の文部省の調査によりますと、私はここで便宜特殊学級と使っておきますが、その特殊学級の対象になる子供は、精薄と肢体不自由児と病弱、弱視、難聴、言語障害その他と書いてありますが、このその他ということは、どういう子供が入っておるのか。おそらく自閉症、いま非常に問題になっております自閉症あたりもその他の中に入っていると思いますが、その点はどうでしょうか。
#119
○説明員(寒川英希君) 御質問のございましたその他の特殊学級といたしまして現在百六学級ございます。その他の中身は先生ちょっと御指摘になりましたような情緒障害児あるいは自閉症あるいはまたダブル・ハンディの子供あるいはまた場合によりましては非行児なんかも含めた混合的な学級、そういうようなことではっきりと障害が区別できがたい子供、そういうものが入っておるわけでございます。
#120
○楠正俊君 この研究所の、まあ大臣が今度この研究所の予算を取る場合に、非常な力を出されまして、私は文部省の今度の予算の中では非常にピカ一であるとこう思っておるものですが、この構想ですね、まだはっきりした構想は立ってないかもしれませんが、大まかな構想でけっこうですからそれを聞かしていただきたい。
#121
○政府委員(宮地茂君) 久里浜に敷地を予定いたしております特殊教育総合研究所でございますが、これは現在特殊教育総合研究所をつくりますにつきまして、いろいろ専門家の方々にお集まりいただきまして、総合研究所調査協力者会議というものをつくっていろいろいま検討を願っております。しかしながらそういうことでございますので、まだはっきりしたものではございませんが、一応私どもが予算要求をいたします段階、今日までに考えております基本的な考えといたしましては、この研究所では総合的にたとえば教育学、心理学あるいは心身の諸機能に障害を有するものを対象といたしますので、そういった方面の医学あるいは社会復帰、社会適応の面からの社会学、こういったいろんな総合的な学問分野の研究を行ないたい。あくまでもこれは特殊、ことばは適当でございませんが、そういった心身障害児を対象として、いま申しましたような総合的な科学を集めました研究をいたしたいというのが一点でございます。それから同時に他に実験研究の場が得られない重度重複障害児といったような、一般の都道府県等でやっております盲学校、ろう学校、養護学校というような範疇だけではどうも十分でないような子供たちの教育の研究もあわせてやる。それから同時にそれらの子供の教育をする施設も設けたい。まあ具体的に言えば学校でございますが、それからたとえば学校に通えないで病室に寝ておるというような子供に、いわゆるベッドサイド・ティーチングでございますか、そういったようなことを施すために、これは特にその研究所が付属の病院を持つということは理想ではござしましようが、そこまで考えられるかどうかということで、まあ協力機関としての病院をそばに持ちたい。大体こういったようなこと、それから都道府県でこういう教育をやっております先生方の研修をそこでやる。まあ学校の先生方の現職教育といったようなこともいたしたい。大体大まかに申しますとそういった考え方の研究所を構想いたしております。
#122
○楠正俊君 この総合研究所は主として重度の重複障害児を対象にして研究をしていきたいと、これはまあ治療もやるのですね。病院を持たなければ治療はやらない。ただ研究対象としてだけその子供を扱うということなのか、その病院ができなかったとしても、入院をさせて治療も行なうのか、その点明らかでないのですが、いずれにしても重度の障害児を対象にしておるというように聞いておりますが、その点はどうなんでしょうか。
#123
○政府委員(宮地茂君) 一般の都道府県立の特殊教育学校ではできにくいようなことを、この研究所で全国的な視野に立ってやりたいというのが考え方でございます。
 それから治療をやるかどうかということですが、もちろん虚弱児その他自閉症なども、自閉症にしましても教育的な作用でこの子供は常人のようになるのだという説もございますし、しかしそうじゃない、精神病だといったような説もあるようでございます。私あまり知識がございませんが、そういった意味でベッドに寝て治療を受けつつ、同時にその教育もやっていくといったような形態の子供もできてこようかと思います。したがって、理想を言えば、その研究所が付属の施設として病院を持つことが適当と思いますが、いまの段階で病院をこの研究所に付置するという構想を立てますと、非常な金額にもなりますし、またちょっと所管といたしましても、病院ということであればこれは厚生省所管にもいろいろな指導を専門にした指導病院等もございましたりいろいろございますので、いまのところはそういう病院の協力を得るということで、その研究所自身の付属病院というふうにいま考えておりません。将来の問題としてはいろいろ発展して、病院を持つことも考えるのがいいかもしれません。
#124
○国務大臣(坂田道太君) 重症の心身障害児を主としてやるということのお尋ねでございますけれども、私どもが考えておりまする特殊教育総合研究所というものにつきまして、どの程度のものならばはたして教育をやることによって才能を伸ばすことができるか。あるいはある程度の社会復帰ということができるか。そのセレクトする、そういう人たちをピックアップするということ。そのことが実は非常にむずかしいのであって、日本にはまだそのような経験が実はない。アメリカでパーキンスのブラインド・スクールでは一応三重苦についてはそういう経験もありますし、その方法、つまりピックアップする方法というものが一応学問的にも医学的にも確立をしておるわけでございます。でございますからそれを日本で見分ける人というのが、実はまだいない。そういうようなものの訓練やなんかも必要だ。そういうものもあわせてこの総合研究所で考えなければならないのではないかということを考えております。ダブル・ハンディキャップのものはみな収容というふうにはならないのではないか。そのようにまだ日本では初めての経験でございますので、そういうようなことについて十分検討しなければいけないと思っております。
#125
○楠正俊君 この間私この予定地を見に行ったんですが、隣が国立の久里浜病院で、あれはいま結核だけではなくて、総合病院になっておるようでございますが、将来、当然あそこに持っていくならば、いま局長が言われるように、病院も予定するということであったら、すでに病院があるわけですから、そこと何か協力し合ってやっていくという構想があるのかないのか。
 それからなお、いま文部省も持っております予定地、あれで十分なのか、それとも不十分であるということで、厚生省の持っておりますあれはどのくらいの坪数ですか、私はよく覚えておりませんが、隣接をする土地の買収をしたいというようなお考えのようですが、そのあたりの折衝がどういうことになっているのか。それから、私は行ってみまして、何も手がついていない。ブルドーザーでも動いて整地でもやっているのかと思ったらまだ何もやってなくて、ただ、木が生えて、山があって、どこが予定地かさっぱりわからない状態なですが、あんなことで一体せっかく予算取って、今年度分だけでも整地が間に合うか、そのあたりのことも聞かしていただきたい。
 それからなお、先ほど自閉症の話が出ましたが、自閉症の研究は非常にまだ日本では、ほかの特殊教育のことと違っておくれておりまして、おかあさんたちが一番心配しているのは、この子が三年たつと、研究所ができるのが三年後だとすれば、いま小学校の六年になっておって、三年後には中学に入る。中学に入っている子供は三年後には高校に行く、どんどんどんどん育ってしまう。私の願いとしては、こんなことを親としては思ってはいけないのだが、このまま大きくならないで、小さいままでいてくれたらいいが、このままの状態で大きくなったら一体どんなことになってしまうのだろうかということを非常に憂えておられるわけです。その教育研究所ができたからといって、直ちにその子供たちが自閉症から解放されて、りっぱな子供になるということは考えていないけれども、研究所ができ上がることに対して、われわれが予想する以上に非常に期待をしているということを知りまして、私は実はびっくりしたのですが、みんながあそこを見にいってみたいというくらいに期待を持っている。ところが三年後でなければできない、ところが三年後にはずいぶん子供は大きくなってしまう。しかも聞くところによると、重度の子供しか見てもらえないというようなうわさを聞いておる。そうすると自分は研究所の対象にもならない。それから特殊学級に入れたいと思うけれども、特殊学級はおもに精薄を扱っておる、あなたのようなところの子供は手がかかってしようがない、精薄ならいいけれども、自閉症と聞いただけで、全然コミュニケーションはないのだから、こんなものは私の手に負えないといって特殊学級でも扱ってくれない。普通学級に入れている場合には、おかあさんがわざわざ教室に行って、先生の補助教員のような形になって、教室におかあさんがすわって補助教員のような役目をしながら、苦労して教育を受けさしておるというような現状でございますが、その教育研究所が、三年後にいまのような状態で実際りっぱにやっていけるかという、期待にこたえられるのか、何かその点を、そのあたりの予定と、それから先ほど言ったような病院が隣接しておりますから、その病院との協力関係はどうなるのか、そういうことをあわせてお答え願いたい。
#126
○政府委員(宮地茂君) まず一点の、病院との関係でございますが、予定地には国立療養所の久里浜病院が隣接地にございます。そこで先ほど来申し上げておりますように、心身障害児、何としましても、この研究所は教育という面で心身障害児を扱うわけですが、心身障害児はやはり一般児と違いまして、まあ医学的にもいろいろ研究してもらう必要もある。治療をするということは別にしましても、医学的にもいろいろ研究が必要だということで、隣接の久里浜病院とは、十分これは協力を得たいと思っております。そこで先ほど申し上げました協力者会議にも、久里浜病院長等にもお願いをいたしまして、これとの関連は十分協力者会議でも御相談願う予定にいたしております。
 それから敷地の問題でございますが、先生行ってごらんになられたそうですが、一応ここの地域は国有地でございますので、文部省といたしましては無償で所管がえをしてもらうという考え方で、厚生省のほうと話がついておりますのは全体で、先ほど先生が買収とか、もう少し厚生省と話し合いを詰めたかとおっしゃいますその地域を除きまして、九万一千四百六十一平米ですが、九万平米、約三万坪ばかり、これを無償で所管がえを受けることにいたしております。
 それから久里浜病院に隣接しておりますが、特にその中で平地部分が少のうございますので、あと一万三千平米くらいの個所がほしいと思いまして、これは久里浜病院なり厚生省とも相談いたしまして、この一万三千平米の土地は文部省が買う、買って所管がえをするという計画で、昨年この研究所創設に当たりまして大蔵省とも予算折街いたしました。一億七千万円ばかりになるのですが、これは大蔵省との折衝で予算化することができませんで、そこで将来の問題として、この土地は私どもとしてはぜひほしい。そういうことで今後厚生省とも相談いたしますが、大蔵省とも十分相談してまいりたい、このように考えております。
 それから進捗状況でございますが、いま先生がおっしゃいますように、三年、まあ三年ですが、四十四年度は測量、地質調査、整地、こういった関係で七千万円ばかりの経費が計上されております。そこで先ほど申しました協力者会議で、いま運営に関する部会と建設に関する部会、二つ部会を持ちまして検討いたしておりますので、そのほうが一応めどがつきますれば、この整地にもかかりたいというふうに考えております。それから、一方、来年から建物を建て始めますので、建設省のほうのこれは官庁営繕になります。したがって、建設省のほうで基本設計もいま計画してもらっておるところです。そういうところで、順調に進みますればこの夏から秋にかけまして整地に着工できれば今年度中に整地ができ、来年からまあ第一期工事にかかれる、こういう予定で進んでおります。
 それから最後の、自閉症の子供が三年たたなければ云々という御質問でございますが、私どもも現在全国的に就学該当年齢の自閉児が三千名余りおるというふうに承知いたしておりますが、現在まだ自閉児に対する対策、教育上の対策というものが十分解明されておりません。で、先ほど申しましたように、これは教育の対象として教育上、とりわけ子どもの心理あるいは環境、こういったようなことを整えることによって教育の可能性があるという説をなされる方と、いやこれは精神的な病気であるというようなことをおっしゃる先生もあったり、まあ学説的にもはっきりいたしていないようでございます。そこで私どもといたしましては、はたして教育的にどうやるべきかといったようなことば、原因の解明されていない、教育方法のまだ確立されていないこういう子供に対しましては、やはりこの総合研究所で研究をしていただいて、教育的にこういうふうにやれば可能であるということを、できれば成案を出してもらって、まあそこの研究所でそういう子供の教育をしていくかどうか、これはいろいろ問題があるとしましても、自閉症の子供への教育研究ということはぜひしてもらいたいと思っております。その間でございますが、まことに言いわけがましいのですが、現在三重県の津と、千葉の市川に小学校それぞれ一校ずつ二校が文部省実験学校として指定いたしております。ここは自閉症の子供ばかりではございませんが、自閉症の子供が数十名おりまして、一応全国的にそういう子供の教育をここで実験的にやってもらっておる。しかし必ずしも十分ではございません。そういったことで先生のお尋ねに対しまして、三年間の間にこういたしますということをお答えできないのは申しわけないのですが、大体そういうようなことも、施設もございますので、そういう特別な父兄の方がそれまでの間心配だということでございますれば、まあ二校程度でございますが、そういうところへごあっせんするなり、まあ十分御相談に応じてもよいのではないか、こういうふうに考えます。
#127
○楠正俊君 自閉症の正体というとおかしいけれども、自閉症というものがどういうものであるかということがはっきりつかめないと、学問的に。したがって、三年後にできる特殊教育研究所でそれを解明してから、後どういう教育的な措置を講ずるかということを待っておるということは、母親としては耐えがたいことなんですね。したがって、杉並の堀之内の小学校で、今度自閉症の特殊学級というのができたということが新聞に報道されておりましたが、つまり正体がわからなくてもそういう特殊学級をつくるということはマイナスでないということはわかっておるからつくったわけですね。だからそういう特殊学級をつくるということは、いうならばプラスになることなんですから、その特殊学級をつくるということはまだ日本全国でたった一つしかないわけでしょう、特殊学級というのは。それは一体考えておられないのか、いまひとつ先ほど申し上げましたように、それはなかなかできがたいところがあるならば、普通学級に対して補助教員を配当するということについてはどう考えておるのか、その二点について。
 時間がないから私これで終わりますが、三年後なんということを言わないで、来年ひとつもっとうんと大臣がんばっていただいて、予算をとってそういったかわいそうな子供さん及びそれの父兄に対して、大いにこたえられるようなこの研究所を早くつくるということを、大いに努力していただきたいということをお願いいたします。それから最初の名称の問題も、いい名称がないから考えてということじゃなくて、少なくとも学級と学校で養護と特殊ということがあるんだから、学級の場合に養護学級とつけても別に悪いことはないんですから、すでにいい名前を皆さん方つくっていらっしゃるのですから、それもお考えおき願いたいと、要望と質問を合わせまして、私の質問はこれで終わりますが、お答えだけお願いいたします。
#128
○国務大臣(坂田道太君) 身心障害児の教育総合研究所につきましては、来年度の予算には三年というようなことを考えないで前向きにひとつ大いに努力をいたしたいと思っております。皆さん方の御協力を賜わりたいと思っております。
#129
○政府委員(宮地茂君) 先ほど堀之内小学校に実験学級をこの九月から設けるということは、そのように聞いておりますが、その前に、先ほど申しましたように、少のうはございますが、三重県の津と千葉県の市川にそれぞれこの堀之内小学校につくろうとなさるような子供のための実験学校を文部省も指定いたしております。そこで、自閉症のみではございませんが、自閉症の子供が数十名おるという学校でございます。で、申しわけないことでございますが、やはり自閉症の原因なりこれに対します、自閉症をなおす方法が教育的なものを主にすべきなのか、これは病気であって病院というものが中心になってやるべきものなのか、そこらすらまだはっきりいたしておりませんので、そういう意味で実験学校が少ないわけでございます。しかしながら、じっとぼう然としておるよりも、わからないままにも教育的にもいろいろ実験的にやっていこうという試みはまことにけっこうだと思っております。したがいまして、堀之内小学校でもそういうことのための学級をつくられるということにつきましては文部省としても非常にいいことだと思っております。ただ特殊の学級をつくられる場合には、これは教員定数で、私どものほうとしましてもクラスをつくられる場合は定数上勘案をしております。ただ、どの程度を見ていくかという点につきましてはいろいろ十分でないという点もございましょうが、学級に対する教員定数の措置はいたしたいと考えております。
#130
○楠正俊君 補助教員。
#131
○政府委員(宮地茂君) 補助教員というところまでは定数上考えておりません。
#132
○川村清一君 私は高知県の教育委員会が行ないました不当人事の問題を中心といたしまして人事問題について若干質問をしたいと思うのです。実は四月十一日に私は衆議院の斉藤議員とともに党から派遣されまして高知市に参りまして、高知県教育委員会の教育長、あるいは高知市教育委員会の教育長等にお会いをしいろいろ実態を聞き、また関係の教職員にもお会いして実態を調査してまいったわけであります。したがって、その調査に基づきまして文部当局のお考えをただしたいとこう思っておったわけでありますが、その後法案の審議等がずっと続いており、法案の審議が終わりましてからは、また初中局長が御都合で出席されないというような点がございまして、今日まで延び延びになってしまったわけであります。しかし、この問題はこの間においてもはや衆議院におきましては質疑がかわされておりますけれども、また高知県の教育長なども参考人として招致されまして衆議院の文教委員会でいろいろ参考意見を述べております。そういうような経過がございますので、もはやこの問題につきましては文部当局におきましては十分御調査されまして問題点を的確に把握されておると思いますし、また結果につきましても相当の経過を経るわけでありますから、私どもの知らないものも現在承知しておるかとも思うわけです。そこでまず、そういうような経過を経て文部当局が御承知になっておることにつきましてどういうような問題点があり、どういう経過を経て現在どうなってきておるかというようなことについて御報告をいただいて、その御報告を聞いてからまた私の調査とあわせて質問をいたしていきたいと、こう思います。
#133
○政府委員(宮地茂君) この高知県の人事異動の問題につきましては、いろいろ先生お尋ねの、いま川村先生のお気持ちはどの程度か存じませんが、私どもが一番そのうちで大きく衆議院の御質問等通じて承知いたしておりますのは、去る三月末、四月初めの人事異動で組合関係者が相当異動をさせられたということは、組合員に対する不当行為ではないかといったような点で具体的な御質問がございました。そこで、たとえば高知市の教員組合の組合長をしておりました細川教諭をはじめといたしましていろいろ転勤させられたその事情につきまして、高知県から係官にも来てもらい、資料も徴して承知したところでございますが、高知県といたしましては、現在の状況は小・中学校の教員のうち約三分の一は高知市並びにその周辺、もしくは平たん地に住宅を持っておる、それから学校の数におきまして約半数、教員数において約三分の一の者が僻地もしくは準僻地に勤務しておる、こういうような状況で人事をいたす場合に、従来とかく人事が硬直して、端的に申しますれば、僻地におる者はいつまでたっても僻地、平地におる者はいつまでたっても平地というようなことで、いろいろ教育上にも支障があり、また教員個人としてもいろんな意見も出ておるというようなことで、従来からの硬直した人事を是正いたしたい。こういう観点から昨年の三月から七年ないし五年計画といったようなもので原則を立てて教員の異動を行なったようでございます。で、それを引き継ぎまして、ことしの去る四月一日の人事異動もやったということでございますが、御承知だと思いますが、簡単に申し上げますと、原則として小・中学校の教員は平地七年、僻地三年以上勤務した者は人事異動の対象とする。しかしながら具体的には年齢別に六段階を設けておりまして、五十才以上の者で平たん地の学校に引き続き二十年以上勤務した者は異動させる。四十五才から四十九才の者は、平たん地の学校に引き続き十八年以上勤務しておればその者を異動の対象にするといったようなことで、以下省略いたしますが、六つのグループに分けましてそういう基準で行なったということでございます。
 ところで、その一番問題になっております高知市の組合長細川教諭は、これは教職員組合の組合長をしておった、それが他の地に転勤させられると当然市の組合長という職にとどまれなくなるということで、不当ではないか、その証拠には、たとえば実験学校とかあるいは体育研究大会の準備のためにいろいろそういう仕事をしておる教師は、その基準に当てはまっておるにもかかわらず転勤させられていないではないかと、不公正ではないかといったような意見が出てきたということでございますが、これも一応先ほど申しました六つの段階に分けての異動でございますが、これはあくまでも原則であって、そのとおりにやりますとこれはそれぞれの学校で適正な人事構成ができない。たとえば県のほうで申しておりますのは、高等学校等は教科担任になっている。それをこの基準だけでいきますとある教科の先生が不足するが、ある教科の先生がダブるといったようなことになるので、これの基準を原則とするけれども、中には二十年たっても今回は異動しなかった。したがって、二十一年か二年目に異動しているようなこと、それからその逆に本人がかわって二年か三年でもいろいろな事情で、その地元との折り合いがしっくりしていないというようなときには、むしろ当人を異動してやったほうが当人のために、学校のためによいのだ、あるいは病気の者とかいろいろなことで原則としてその基準を適用するが、必ずしもその原則どおりにいっていない。それをもって特に組合員には不利にし、組合員以外は有利にする、そういう扱いはしていないというふうに聞いております。先生のお尋ねがどの程度かわかりませんので、一応その程度でお答えしておきます。
#134
○川村清一君 ただいま局長のお話しになりました個人の具体的な問題等につきましては、またあとで質問をすることにいたしまして、これは県費負担教職員の任命権というのは、明らかに法律的に県の教育委員会にあるわけでありまして、県の教育委員会は、市町村教育委員会の内示に基づいて人事をやる、こういうことになっておるわけでありますが、高知県には地教委連絡協議会というものがあって、これが相当の権限を持っているようでございますが、地教委連絡協議会というものは、法的に何か権限を持っているわけでございますか。
#135
○政府委員(宮地茂君) 法律的には、権限というものはございません。
#136
○川村清一君 これは各県にこういうものがあると思うのですが、地教委連絡協議会というものは、一体これはどういう目的でつくられておるのか また文部省はこの地教委連絡協議会というものをどういう立場で行政指導をされておるのか、ひとつ御説明願いたい思います。
#137
○政府委員(宮地茂君) これは法律にはございませんけれども、地方教育委員会が各県にございます。そういたしますと、まあ市町村の教育委員会としてお互い横の連絡をとる、あるいは自分のところでやっていることと他のやっているところとの違いを聞き、結局は自分のところの教育委員会の運営をスムーズにするという目的のために横の連絡会を持っているわけであります。これは文部省といたしましても、たとえばこれは教育委員会という機関でなく、教育長さん方にも教育長協議会がありますし、県とかあるいは市町村あるいは市でも五大指定都市といったようなところで、お互い似たような仕事をしている場合に、横の連絡会を持ち、その教育委員会の行政運営をスムーズにやるために連絡会をお持ちになることばいいことであろうというふうに考えております。
#138
○川村清一君 私どもが高知県の教育長にお会いしたときに、藤本教育長ははっきり私たちに言っておるわけであります。それはどういうことかというと、現在われわれは腹背に敵を持っておる、こう言っておる。両方に敵を持っておるということなんです。そこでその二つの敵というのは何か考えてみるに、これはいい悪いは別にして、彼らの率直な気持ちとして、それは腹であるか背中であるかわからぬけれども、一つは教職員組合である。もう一つは何かというと、いま私が質問した高知県の地教委連絡協議会、これが一つの敵である。こう名前は指してはっきり言いませんけれども、話の中からどうしてもそう受けとられるので、それではそれが敵ですねと、こう聞きましたら、はいそうですとも言いませんけれども、違いますと否定もしないのです。でありますから、腹背の敵というのは一つは教職員組合であり、一つは地教委連絡協議会である。いわゆる法律的には何にも権限を持っていない、ただ単に連絡機関にすぎない。その地教委連絡協議会というのが現在高知県の教育委員会に対して重大な影響力を持つ。ある意味では敵であるといわれるくらい圧力をかけてきている団体に変わってきておる、こういうことを御存じですか。
#139
○政府委員(宮地茂君) 腹背の敵といわれるかどうかあれですが、大体それに似たようなことは聞いております。
#140
○川村清一君 藤本教育長の話を聞きますと、三月二十九日に人事異動を発表することになって、すっかりそういう計画表が出て予定が立てられておった。ところが急に予定を変更して三月三十一日に発表したわけです。その理由は何かというと、いまの問題とつながるわけでありますが、人事権を持つ県教委が立てたこの方針に対しまして、地教委連絡協議会から猛烈な圧力がかかって、ついに予定どおり発表することができなくて、そのためにその人事の計画表というものは一部訂正して、そうして予定日を過ぎてから発表した、こういうことになっております。局長はその後、人事発表後、新聞記者団との会見をいたしまして、こういう重大なことを言っておるわけであります。それはどういうことかというと、教育正常化の旗じるしのもとに問題が再びそこなわれた。今回ほど教員みずからの売り込みが活発化したことはない、こういうことを記者団に発表しておるわけであります。このことは一体何を物語っておるか。これは先ほども申し上げましたように、教育委員会に、地教委連絡協議会というものがこの人事権を持つ県教委に対して猛烈な圧力をかけ。そのことによってもう計画を変更せざるを得なかったということを言いあらわしておるわけでございまして、そういうことにつきましては、ただいま局長も全然否定されない。そういうこともあったかもしれない、あるようだといったような御発言があったわけでありますが、そこで問題になるのは、先ほどもお聞きしたのですが、地教委連絡協議会というものに対してどういう行政指導をしておるのか。このもののためにもう県教委は人事権を放棄しておるといっても過言でないような。そういう実情があらわれてきておる。これはたいへんなことだと思うのですが、これであなた正常な姿であるとお考えになっておられるのかどうか。その後、あなたはいまある程度それを認められたのですから、高知県の県教委に対してどのような行政指導をなされたか、その点をひとつ明らかにしてください。
#141
○政府委員(宮地茂君) ちょっとお断わりしておきますが、先生が県教委が腹背に敵を受けておるというがどうだとおっしゃいましたので、そういうことばを使っておるかどうかは存じませんが、似たようなことは聞いておりますということで、ちょっと付言させていただきます。これはいま先生がお話しになっておられる連絡協議会の一部でございましょう高知市と吾川郡と土佐郡、長岡郡、これらの連絡協議会等から県教委に申し入れがありますが、その中にいろいろございますが、たとえば人事管理については特定の職員団体とは話し合いをしない云々とか、あるいは特定の職員団体との行政的取引はしないとの基本的方向に立っているかどうかといった、何と申しますか、いろいろなことを言ってきておるといったような意味で、教員組合のほうとしては従来教員組合としてもいろいろ人事についての意向は述べておられたでございましょうし、また片や地教委のほうからもいろいろ人事についていま私が申し上げましたようなことを言ってくる。そうしますと、そういう状況から、人事につきましては任命権を持っておる人、あるいは県教委として、地教委の内申を待って任命を行なうというその法律のそこのところだけをやっておれば県教委としても一番楽なんでしょうが、事実問題としていろいろなことを教員組合のほうからも申し出なり、あるいは話し合いがあり、地教委のほうもまたそういうようないろいろなことを言ってこられるというようなことから、県教委としてはそれを大げさに、腹背に敵と申しますか、自分だけで思うようにいかない、いろいろのことを言う人がおるという意味で言ったのではないか、そういった意味で私が似たようなことを聞いておりますと申しました前提は、いろいろな申し入れ書が出てきておるからそういう感想を漏らされたのであろうというふうな意味で申し上げたような次第でございます。したがいまして、この申し入れにつきまして、後ほどこれは先生からも御質問がおありなんだろうと思いますが、県教委としても、これの回答書も出したりいろいろしております。そういう観点から私どものほうといたしましては、この申し入れ書の点についても感想を申し、またその回答書につきましても必ずしもそのとおりの回答ではたしてよいのかといったような感じを含めまして、それを指導といえば指導ということでございましょうが、県教育委員会には伝えております。
#142
○川村清一君 そこで私は連絡協議会というものの法的権限を先ほどお尋ねした。法律的に何も認められた団体でもない。いま局長は教員組合と同じ次元においてとえられておるが、教職員組合は職員団体として法的に認められておる団体なんです。そこで職員団体はその人事権を持つ県教委と人事の問題について話し合おうというのは当然なんです。ですから、今年高知県県教組と県の教育委員会は、三月十一日、十二日、十八日、三日間にわたって人事の問題についていろいろ話し合って一つの確認した事項もきちっときまっているわけです。それから、三月二十二日には、教育長藤本さんが高知県教職員組合委員長に対してきちっと回答書を出しておる。これはどこの県も同じとは限りませんが、県のいろいろの事情によってこれは程度の差はあって、県当局と話し合うことは当然なことなんです。そうして公正な人事が行なわれるように、組合員が不当な人事によって不利益を受けないように守る。これは組合の本来の姿なんだ。これは当然なんだ。しかしながら人事権を持つ教育委員会というものは、法律的には明らかに市町村教育委員会の内申を待って、内申によって県教育委員会が人事を行なうわけだ。したがって市町村教育委員会が法律に基づいて内申の場合にいろいろ意見を述べるならばこれはわかる。しかし法的に何ら権限も持たないところのただ単なる連絡機関にすぎない連絡協議会というものが、この人事権を持つ県教委がつくった原案に対してとやかく文句をつけて、そして圧力をかけてその計画を変更させるということは、一体これは正しい姿のものであるかどうか、こういうようなことが人事を誤らせる原因にならぬかどうかということを私は心配する。だからこういうことを文部省は認めるのかどうか。認めないとするならばこういうようなやり方に対してどういうような行政指導をするのかということをお尋ねしたい。
#143
○政府委員(宮地茂君) これは人事権のないものが人事を行なっておるというふうには形式的に取れません。人事権は県教委がやって、県教委が発令をしておるわけです。ただ、まあその過程におきまして、いろいろ希望等が述べられるということは、これは連絡協議会に限らずやはり内申権を持っておる教育委員会、地方の教育委員会といたしまして、その連合体が一般的な包括的な意見を申し出るということは、私はこれは何も法律に規定がないからどうという問題ではなかろうというふうに考えます。まあ先生がおっしゃいますように、そういうものを発令するのであったらどうだ、どの程度具体的に影響を与えたか、私はその点は県からも十分聞きましても、いま先生のおっしゃるような意味では聞いておりません。申し入れ書に書かれております一般的な考え方、それを県教委としてどの程度実感として申し入れを受け取られたか、そのことはよくわかりませんが、したがいまして人事権を侵すといったようなものではないというふうに考えます。
#144
○川村清一君 それでは、局長がそういうふうにおっしゃるならば、冒頭私が申し上げましたように、その時点から今日までは数カ月たっているのですから、その間においては衆議院において質問もあり、現地から局長もあがってきて参考意見を供述しておるわけでありますから、あなたのほうは十分御承知だと思う。で、三月二十九日に発表を予定しておったのを三月三十一日に延ばさなければならなくなった。そうして原案を変更して発表した。その裏にはこの地教委連絡協議会からの強い申し入れがあったことは事実なんですから、どういう申し入れをしたか、その文書、あなたのほうにあるはずですから、どういうことを申し入れたか、そして何日に申し入れたか、どういう内容のものを申し入れたか、ここでひとつ読んでください。
#145
○政府委員(宮地茂君) これは四十四年三月二十六日づけになっておりますが、先ほども一部お読みいたしましたが、六項目ございます。
 一、人事管理については、特定の職員団体とは話し合いをしないとの基本的な確認事項が守られているか。
 二、特定の職員団体との行政的取引はしないとの基本的方向にたっていると思うが、この点についてはどうか。
 三、昭和四十四年三月未人事異動については、地教委連絡協議会と再三に渉って基本的事項が確認されているがこの点が守られているか。
  1.昭和四十三年三月末異動の是正はしない。
  2.職員団体研修団体等の役員については、特に考慮しない。
 以下長いのですけれどもみな読みましょうか。
#146
○川村清一君 いいです。そういうような申し入れによってこれは変更せしめられた。それはまあ一般的なものであって、そうしてそれに基づいて具体的な話し合いがなされておる。それは文書化されておるが、あなたのところには来ておらない。そしてその文書に明らかにあるように、その連絡協議会というものは職員団体とは一切話をするな、職員団体とそういうような取りきめをやったりするようなことをやっては絶対にいかん。そしてわれわれ連絡協議会から申し入れたことはしっかりよく聞いてやれと、こういうことなんです。まことにそれは一方的なんだ。職員団体とは人事については一切話してはいかん。こういうふうにきめつけておいて、われわれが申し入れたものはよく尊重してやれということなんだ。そういうことでそれはあたりまえであると思うのか、正しいと思っていらっしゃるのか。そうしてこれは何か法的に権限を持たないつまり連絡協議会のやることとしてはいささか少し越権行為ではないかというようなお考えにならないのかどうか。それは新しい線だと文部省ではお考えになっておられるのですか。そして職員団体と話をすることは、こんな職員団体と、だれをそう、かれをそうといったような具体的な話を何もさしているのではない。職員団体も職員団体の立場から言うべきことはこれは言わなければならない、当然だと思うのですが、それは一切いかんというふうにあなたたちもそうお考えになっていらっしゃるのですか。
#147
○政府委員(宮地茂君) これは三月二十六日の申し入れに対しまして、二十七日に高知県教育委員会が文書で答えております。その中にいま先生が御指摘になられました、私が読んだ一でございますが、それにつきましては、職員団体との交渉事項については、事務の管理及び運営に関する事項は交渉の対象ではないが、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する事項は交渉に応ずべき事項である。すなわち事務の管理及び運営に関する事項とは云々と、こういうふうにいろいろございまして、したがって職員の人事異動は上記四の事項に当たり交渉事項ではない。上記四と申しますのは人事権の行為に関する事項、以下こういうふうに答えておるわけでございます。したがいまして私この県教委の方に来てもらい、また資料等の提出をお願いしたときも、この申し入れ書にありますことと答えておることを照合してみるとよくわかるのですが、この聞いておりますものがそれぞれの項目が長いんですけれども、人事管理については特定の職員団体とは話し合いをしないとの基本的な確認事項が守られているか。そのことは県教委が答えております職員の人事異動ということであるとすれば、交渉事項ではないからそういう話はしておりませんよというようなお答えになっておるわけです。そこで聞くところによると、答えるほうの両方の予算を見ましても、いま先生がお尋ねのように、この文書だけを見ましたのではよくわかりませんで、はたして聞いておることが何か、また具体的には何を問題にしておるのか、そういうようなことをこの申し入れ書と回答書と照合して県教委のほうに聞きましたが、まあこれはそう越権的なことを言っておるわけではなくって、したがって県教委としては何らこれに影響されていないというようなことを答えております。したがいまして、抽象的に人事問題と言いましても、先ほど先生おっしゃいましたように、職員の給与と昇給のこと、特に先生が先ほどおあげになられました四十年の協定書ですか、職員組合と県の教育長のほうで取りかわしております。こういうこともただ人事について協定をかわしているではないかというふうに言う人もあるかもしれませんが、読んでみますと、これは特別昇給とかあるいは懲戒等の訴訟になったことの取り下げということで、一般の語感として人事についてその協定書をつくったといいますと、何か異動するときにはどうだこうだというふうなものを想像しますが、読んでみますとそうではないということでございますので、私はやはりこういう問題につきまして、この権限がないからどうと言いましても、やはり関心があることは言いましょうし、そのうち幾ら関心があっても、そのことばおまえとの話し合いの対象ではないということは相手に明らかにしてやればよいのであって、一がいに、先生がおっしゃいますように、このことは越権であり、法律に基づかないからいけないのだというふうにも言えませんし、また逆にこういうものをどんどんどんどん出してもよいかと言われますと、そういうものを、どんどん出す筋合いのものでもないでしょうといったような答え方になろうかと思いますが、大体そのように考えております。
#148
○川村清一君 私が申し上げておるのは、まず議論の出発点において、藤本教育長が私どもは腹背に敵を受けておる。一つの敵は地協委連絡協議会、これは言わぬから私のほうから聞いたのですよ、ですねと言ったら違いますとも言わない、はい、そうですとも言わない、否定しないのです。否定しないところからわれわれはそういうふうに見ているわけです。
 それから今回の人事ほど教育自身が売り込みが激しかった、ということは、売り込みというのは教員自身が言っているわけではない、やはり連絡協議会がある特定の者をさして、これをこういってやっているわけなんです。またこれから明らかにしますが、そういうことをひっくるめて私は申しておるのであって、これは私は正常な姿ではないと思う。ある意味においては県の教育委員会は、自分の持つ人事権というものを完全に行使しておらない、放棄しておる、こう断言しても、決して過言ではないと思うのです。ですからこういう点については、もしもあなたのほうでこれは行き過ぎでないのだと、もっと大いに奨励するのだというのなら別ですが、これのどこを読んでも地教委連絡協議会というものはないでしょう。本来ならば市町村教育委員会の内申権に基づいて、この都道府県教育委員会が人事権を行使するのでしょう。ですから地方へ行って市町村教育委員会が内申に伴ってそういう意見を具申するなら話はわかるんですよ。しかしながら、これをその連絡協議会というものが全然口を滅してものを語るなというのではない。語ることもあるでしょう。あってもこれは圧力をかけて県教委がやろうとしている計画を変更せしめるくらいの圧力をかけるということは、これはまことに越権行為である。またこれを聞いて従った教育長というものは、まことにつまらない教育長だと言わざるを得ない。だからそういうものに一体行政指導をしないのかどうかということをお尋ねしておる。しないというのならこれはしかたがない、文部省は何を考えておるかということにならざるを得ない。何も法律にこういうものはないでしょう。連絡協議なんていうものはどこを読んでもないでしょう。ないものがそういう力を持っておるというのはおかしいでしょう。一応意見を述べるのはよい。これを動かすくらいの圧力というものは困る。県のほうはそういうふうにあなたのほうにあれしておるかわからない、報告をしておるかわかりませんが、この辺は衆議院の文教委員会でもいろいろ追及されたと思うのです、どうですか。
#149
○政府委員(宮地茂君) 何も地教委連絡協議会に限りませんで、何事に限らず圧力をかける、権限のないものが圧力をかけるということは、私はこれはよくないことだと思います。また圧力に屈して、権限を持っておる人がやるということもよくないことだと思います。それから、ただこの申し入れ書なり回答を読んでみましても、先生がおっしゃいますように、具体的に何のたれべえをどうしろというふうなことは書かれておりません。したがいまして、何のたれべえでなければならないということじゃなくて、先ほど三番まで読みましたが、その続きを読んでみますと、たとえば五番には、「県教委事務局職員等の任命行為については、四項の主旨より考え服務監督権者の意見を充分尊重すべきであるが、その方向で対処されているか。」という項がございます。で、県教委の事務局職員の任命、これはたしか県教委が任命権を持っているわけです。しかし高知県の教育委員会の職員に高知市の小学校の先生を任命したいというときに、高知市の教育委員会として、その者についてこれは内申も必要でしょうし、そういった意味で服務監督権者の意見を尊重してほしいということは、これは連絡協議会としてそういう教育委員会の連合体が一般的な問題包括的な問題として何のたれべえということじゃなくて、このようにやることを考えたい。これが越権であるとか、権限がないのにやるなんとかいう事項ではなかろうと思います。しかし、かりに具体的に何のたれべえをぜひこうせよというようなことであるとしますれば、これは好ましいことではない、好ましくないと申しますか、すべきことではないと思います。しかし、少なくとも私どもが聞いておりますこの申し入れ書なり、あるいは回答なり、こういうものを読んでみますと、具体的なことをこの中では少なくとも語っていないという点で、その具体的な教育委員会が内申権に基づいてでなければ言えないということじゃなくて、一般的な問題として地教委のそういう服務監督権者の意見を十分尊重してほしいということは、これは法律の精神にも反していないと思います。内申を出すという権限は、これは教育委員会に、地教委に認められておることでございますので、それを十分尊重してほしいということであればこれはかまわないことではないかというふうに考えます。
#150
○川村清一君 先ほど局長のほうからお話がありました、高知市教職員組合の委員長、この人は二月の市の組合大会で、組合員の信任を得て民主的に選任せられまして委員長の職についた人でありますが、この委員長を全く本人の意思も聞かないで、この四月の人事異動で転任をさした。転任させた場所が、高知市の組合委員長として職務ができる、そういう地域の学校に転任させたならまだ話はわかるとしても、全然そういう職務が遂行できない遠い地域に転任せしめてしまった、このことは、これはもう明らかに不当労働行為であるとわれわれは考えるのでありますが、文部省としてはこういうことはどうですか。あたりまえのことだと、こういうふうにお考えですか。二月の大会で選任せられて、組合委員長となった。この四月の人事異動で、委員長たることはわかっているのですね。本人の意向を一つも聞かずに、ぽんと仕事のできない遠いところに飛ばしてしまった、これは労働組合法に明らかにされておるところの、いわゆる不利益を与えるので、不当労働行為と言わざるを得ないのですが、どうですか。これはやむを得ないことだ、あたりまえのことだと、こうお考えですか。
#151
○政府委員(宮地茂君) これは衆議院でも、文部省というよりも労働省、労働組合関係の所管の省の意見も、衆議院では徴されたところでございますが、まあそういうような点も勘案いたしまして私から申し上げますが、いま先生がおっしゃいますように、この細川組合長個人だけを異動させたということでございますれば、いろいろ問題が起こるかもしれませんが、先ほど一番冒頭にも申し上げましたように、高知県の実態から人事の硬直状態がはなはだしいから、教育効果を十分あげるためにも、人事異動をスムースにしたいということで、七年計画を立てまして、将来は平地に七年以上、僻地に三年以上勤務したら、そういうことを原則として人事異動をしよう、しかし一ぺんにはできないので、五十歳以上の者であれば平地に二十年以上、あるいは四十五歳から四十九歳の者なら平地に十八年以上といったような基準を立てたようでございます。
  〔委員長退席、理事楠正俊君着席〕
 ところで、この細川さんは、四十五歳で高知市内に二十二年、現在の学校に八年おられるわけなんです。それで、昨年の三月に、この人が四十四歳でございますから、四十歳から四十四歳までの人は平地に十五年以上おれば異動させるという基準があった。しかしながら、そういういろいろな点から、去年、この人の異動はさせてないということで、それから二月云々というそのことまで、私、聞いておりませんでしたが、いままで聞いておりましたのは委員長ということでございましたが、二月ということであれば、そのときにまた再任せられたんだと思います。で、初めて二月に委員長になったということじゃなくて、四十三年三月のときにもそういうことであったが、十八年以上十五年ですか、それで今度四十五歳以上なら十八年以上ですが、御当人はそういうことで二十二年もつとめておる。それから、これは多少本筋ではございませんでしょうが、奥さんが、やはり教師をしておられまして、高知市内におられる。この方も学校の先生になられてから、高知市内でずっと十九年間つとめておられるというようなことで、昨年も異動のあれであったが、御主人だけを異動して奥さんを異動させないとか、いろいろあると、また夫婦別居ということになるというようなことを配慮して、この奥さんのほうは新規採用以来十九年つとめておられる。本来なら、三十五歳から三十九歳なら十三年、四十歳から四十四歳なら十五年で動かすという原則を昨年とらないで、本年、御主人も転勤されるので、その近くの学校に転勤してもらったというふうに、この夫婦別居というふうなことも十分考え、また、昨年からことしにかけても、この原則、基準に来たからといってすぐ容赦なくということじゃなくて、原則の基準よりも数年オーバーしておる、昨年のそういうこともあるというようなことでございました。したがいまして、組合長だから、しかも、細川さんだからというので、御本人だけということじゃなくて、一般の人事異動の基準を立て、しかも、だれが見ても二十年近く平地におれば動いてもらうということも、そう無理ではない。そういう基準で今回の人事をしたのであるから、不当行為にも該当しないであろうというふうにまあ県も考えておるようでございますし、私どももそのように考えておる次第でございます。
#152
○川村清一君 高知県の教育界の教職員の配置の実態はちょっとよそのほうと変わっておることも私現地に行っていろいろ調査してわかりました。高知市を中心としてその周辺の平たん地に非常にたくさんおって、それが長くそこにいらっしゃるということで、確かに人事が硬直しておることはわかるわけです。したがって、平たん地と僻地とを人事交流して全体の教育の振興をはかるという原則の基準は、私はわかるのです。ところがいまの細川さんの問題ですが、私は、教育長に対して、それでは細川さんと同じような条件の人はほかにいないのかと言うと、やはりまだいるわけです。それからそういう該当者でどういう人を残したかということを聞きましたら、先ほど局長もこれは報告されましたが、教育研究指定校に勤務されている職員、それから全国学校体育研究大会がことし行なわれるそうでありますが、この研究大会に関係する教職員、これは同じような条件であっても除外しておるわけであります。
 そこで私が申し上げたのは、この研究指定校、それから体育研究大会に該当しておる先生を全部残したのはけしからぬというわけじゃないわけですが、はかりにかけて軽重をはかるわけではないが、一体この研究指定校につとめている先生の仕事や体育研究大会の実施校につとめている先生の仕事よりも、この高知市の教職員組合の組合長という仕事は軽いのか。同じような条件であって、こういう学校につとめておる先生方は残す。そうして高知市の教職員組合の委員長、職員団体のいわゆる責任者、二月の大会で組合員の絶大なる信頼のもとに選任されたこの組合長の職務というもの、仕事というものを軽く見ておる。だから、これは動かしてもいいのだと、こういうような考え方は一体われわれは納得できないのです。こういうことを申し上げたのです。で、そういうことであるならば、まことにこの職員団体、教職員組合なんというものを軽視しておる。むしろ私は教育全体の振興の立場から考えたならば、こちらの研究も大事だけれども、それ以上にこの組合の委員長の仕事のほうがもっともっと何倍も大事だと思っている。その感覚が私は納得いかない。どうですか、局長。
#153
○政府委員(宮地茂君) 確かに先生がいまおっしゃいます研究指定校、それから体育研究大会高知大会、こういう関係者が細川さんと同じような条件でありながらというそのお尋ねでございますが、その中にございますが、ただ県の考えといたしましては、第八回全国学校体育大会高知大会というのがことしの十一月二十日と二十一日に高知市におきまして、関係者が相当高知県外からもずいぶん来られるというようなことで、この四十四年十一月二十日にあるので、それが計画しておるから、その中心的役割りを果たしておる人がこれは七名、一人ずつ拾ってみておるようですが、小学校五名、中学二名の者が原則の基準に該当するのに動いていない。それから研究指定校のほうはいずれも小学校二名の人がそういうことになっておる。これはあと半年、一年でその計画されておるものが終わるということで、今回、そう言われてみれば結果的にはそういう形になっておるということのようでございます。そこでそれをたまたまてんびんにかけまして、組合委員長なら動かすが、研究指定校なら動かさないと、そういうふうにまあ無理に考えればそういう理屈も成り立つかもしれませんが、そういう意図でやったわけではない、この十一月にある大会の中心的役割りを果たしておるんだからそうさせよう、そこまで強く考えたというよりも、結果的にそういうふうな人が、これは衆議院でございましたか、斉藤先生の御質問では、三十何名ということでございましたが、そのうち原則としての基準に該当しておる者は、一人一人高知県で調べてみまして、七名のようでございます。したがいまして、先ほどから申しておりますのをまた重複いたしますが、細川さんも十八年というととで、昨年からもう基準には該当しておる。御本人は、もう二十二年もつとめておるというようなことで、昨年該当しておったが、ことしは異動をしておる。ただ、組合長だから異動させようとかなんとか、あるいは組合長だから絶対に異動させないとかというような配慮もいたしていないようですが、一般の人事行政の基準に照らして無理ではないという考えでやったというふうに私どものほう、県教委から聞いております。
 ただ、これはお尋ねございませんが、ついでですから申し上げますが、先ほどから申しております地教委の申し入れ書とその回答がございます。その回答につきましても、私のほうで申しましたが、こういう組合のほうは差別容赦しないが、こういう研究大会なら非常に優遇するんだというような考え方ではない。かりにそのような響きを外部に与えるような表現が使われるとすれば、それは適当ではなかろうという指導は――指導といいますか注意は私もいたしております。したがいまして、高知県のほうの真意を聞いてみますと、先生がいま比較されましたような、組合だから遠慮会釈しないんだ、研究団体だから非常に優遇するんだというような考えでやったものではございませんということでございますし、一人一人私のほう、事情を聞きましても、そのように受け取れるふしがございますので、県の教育委員会の言っておることを私のほうは了としておる次第でございます。
#154
○川村清一君 そこで先ほどの連絡協議会というものの存在というものが大きな意義を持ってくるわけなんです。連絡協議会というのは、各郡の教育長の連絡、教育委員会の連絡協議会になるわけでありますが、それは高知県の場合は、教育事務所管内が集まってできているようであります。その事務所というのが五つありまして、一番強力なのが中央事務所管内で、その中央事務所管内の中には、高知市が入り、土佐郡、吾川郡、あるいは南国市が入っているわけであります。そして、この中央事務所管内の会長は高知市の教育委員長であって、この高知市の教育委員長が連絡協議会の会長であって、この人が非常な強力らしいです。力を持っているらしい。で、この人の発言力というものが全体を動かすような力になっておるということを聞いております。そこで、この高知市の教育委員長、これがどういうような動き方をしているか。これとずっとつながって見れば、細川氏の異動のそれがよくわかるわけです。局長はいまおっしゃっておりますが、あなたのおっしゃる点、言っていることは、それはそれとして、別段反発することはない。しかし実際はそうなっていないのですよ。それからまたあなたは組合というものをもっと研究してもらいたい。どうも組合の認識が足りないですね。組合の認識が足りないで、民主教育の発展なんというものはとてもあなた、やれないわ。初等中等教育を民主的に発展させるなんというのにはもう少し教職員組合を勉強してもらわないと、そういうあなたのような考え方ではとてもじゃないが日本の初等教育なんて発展しないと思いますよ。この点私はひとつ御要請申し上げておきたいと思いますよ。
 それからあなた何も組合の委員長の細川さんが、自分がなりたくて委員長になっているわけじゃないのですよ。組合の委員長は、おれが委員長になりたいからおれをひとつ委員長にしてくれといったところでなれるものじゃないですよ。それからおれはやりたくない、やりたくないから頼むからやらせないでくれといっても、おまえはどうしてもやってもらわなければ困るといって出てくる委員長もある。そういうことなんですよ。ですからそういうことは結局一細川の問題ではなくて、いわゆる高知市の全教職員の考えを無視したということにつながるわけなんですよ。その点をひとつ考えてください。それから細川さんだって死ぬまで委員長やりたくたってできるものじゃないのです。これはあなた、ことしは委員長だけれども、来年はやめるかもしれない。おまえはもうやめてくれといって、これはやめさせられるかもしれぬ。やめさせられるのですから、自分がやめるのでないのですから、やめさせられたとき、それならおまえはだいぶ長くなったから、それでよそへ転任してくれといってもこれは遅くないでしょう。何も私は研究指定校や体育研究大会関係職員を残したことはけしからぬといっておこっているわけじゃない。これは残すような理由があって残したのでしょう。それはいい。しかしながらこの人を残してなぜ委員長を動かさなければならなかったか、同じ条件であったらば残していいでしょう。そうして来年委員長をやめたら、ひとつここらで転任してくださいといって転任してもらったらいいじゃないですか。そのくらいの考え方を持たなければどうも民主教育の発展なんということはちょっと遠いです。そうしていつも組合とけんかした教育行政をやっていて教育の発展なんかあり得るわけがないじゃないですか。
 時間がありませんからもう一つだけ聞いてやめますが、一宮小学校の問題をお聞きになっておるでしょう。この一宮小学校は同和教育をやっている学校、同和教育を非常にいま熱心にやっておる学校です。この学校で何か問題が起きた。それでこの人事異動で、校長を入れて十四名先生がいるのですよ。その十四名のうち十一名転任させてしまった、校長も含めて十一名。十四人の学校で十一人転任を命じてしまった。これはまことに常識を疑いますよ。こういう人事をやっている報告を受けておりませんか。受けておらなかったら、この次また聞きますが、受けておりましたらこういう十四名の学校で十一名も転任させてしまって、そこで一体教育が成り立つものかどうか。どういう問題が起きたかはそれは別として、同和教育を一生懸命やっている学校だ。同和教育、一生懸命やることはいいことでしょう。それでやっている学校で何か問題が起きたらしいのですが、とにかく十四名のうち十一名も転任させてしまった。これで一体正常な人事異動といえるかどうか、文部省の御見解をお尋ねしておきたいのです。
#155
○政府委員(宮地茂君) お尋ねの一宮小学校の件でございますが、おっしゃいますような大量の転勤ということは一般的に申しますとそのように大量の教職員が一度に転出するということは学校運営上望ましいものとは考えません。しかしながらこの一宮小学校につきましてはいろいろ問題がございまして、特にある女子教員が児童に対して体罰的な行為があったとか、まあ聞きますと、体罰ではない、笛を持ってちょっとさわったという言い方もあるようではっきりいたしませんが、要するにそういうような問題もございましたし、またこの同和教育もございますし、いろいろな点で、端的に申しますと、その一宮小学校の中で教職員が二つのグループに分かれて対立しておるんではないかといったような感さえ呈しておったというような特異な状況になっておったように聞いております。したがいまして、一般論といたしますれば、大量に過半数の教師が転勤するということは好ましいことではございません。しかし、特別なそういうような事情があって、教職員の人心を一新すると同時に、村人との対立関係もこれは解消する点が教育上有意義であるというふうに考えて、一般論としては適当ではないが、例外的な措置として、十分そういうことを承知の上、県教委としては教員の異動をせざるを得なかったというふうな状況のようでございます。
 それから、いま同和教育云々というお話でございましたが、そこへ新たに来ました先生は、それぞれこの同和教育につきまして非常な、まあ俗っぽいことばでいえば、ベテランと申しますか、そして他の学校で非常に優秀な先生で、同和教育に非常に精通しておられ、教育に熱心な、そういう先生に来てもらって、いままで一宮小学校が教育間で対立があり、地元民としっくりいかなかった。それをそういう人々によって、より一そう同和教育を推進できるような、その後任人事をやったというふうに私ども聞いております。したがいまして、この一宮小学校につきましても、一般論としては、確かに先生がおっしゃいますように好ましいとは思いませんが、例外的に一宮小学校の場合はこういう人事異動やったもあだというふうに私どもも考えた次第でございます。
#156
○川村清一君 いまのお話ですがね、私もうやめようと思ったんですが、いま御答弁を聞いて、もう一言だけ、私の意見だけ申し上げますが、同和教育に関しての問題なんです。私がまあ参りまして、一宮小学校の父兄の方で、おかあさんが二人見えられまして、
  〔理事楠正俊君退席、委員長着席〕
 それで、私にいろいろとお話をされたのですが、非常に熱心な先生、子供にも非常に慕われ、父兄から絶大の信頼を得ておった先生が、やっぱり転任させられた。それはなぜかというと、何か学校の内部に先生同士の問題があったようです。それは事実あったようですが、そこで、結局けんか両成敗といいますか、ええ先生も悪い先生も何もかも一ぺんにばっとやってしまったということらしいんです。そしてほんとうに父兄からも慕われていた先生も同じように飛ばしてしまった。私のほうへ来て懇々とその実情を述べておられる。いずれにいたしましても、高知県、特に高知市の人事異動はおかしいです。それはやっぱり、あるボス――ボスというと語弊かありますが、そういう者がおって、それが圧力をかけておる。その市教委連絡協議会なるものは、全く越権もいいところです。そういうことをやっておる。そして、県の教育委員会はそれに屈服しておる。これが事実です。もう少ししっかりした、文部省で御調査になって、しかるべき、きちっとした行政指導をしていただきたい。まだまだ材料がたくさんあるわけですが、時間がなくなりましたから、これで終わりますが、この点を要請をしておきたいと思います。以上です。
#157
○柏原ヤス君 幼児教育、また幼稚園のことについてお伺いいたしたいと思います。
 文部省の調査によりますと、四十三年度の幼稚園の就園率は四九・四%です。これは就学前の幼児の約半数が幼稚園の教育を受けているということで、十年前は約二五%であったことから考えますと、幼児教育の重要性から見てたいへんに喜ばしいことと思います。しかし、幼児教育の将来を考えてみますと、いろいろと疑問が出てまいりますので、その点についてお聞きしたいと思います。
 まず、幼児教育の機関は大きく分けると幼稚園と保育所に分かれておりますが、質問の第一は、幼稚園教諭の資格と、保母の資格はどのようになっているか。第二は、幼稚園における保育の指導基準と保育所のそれとはどのようになっているか。第三番目は、設置基準はどのようになっているか、第四は、幼稚園、保育所に対する国の財政援助はどのようになっているか、この両者を比較しながら説明していただきたいと思います。
#158
○政府委員(宮地茂君) まず教員の資格でございますが、幼稚園のほうはこれは御承知のように、教育職員免許法にも規定されておるところですが、実態を申しますと、短期大学ないし大学でそれぞれ必要な一般科目の単位、またさらに、専門科目の単位、それにプラスするところの教職単位、これを取りますと、幼稚園教諭一級あるいは二級の普通免許状が授与される、こういう形になっております。保育所のほうでは保母の資格といたしまして、厚生大臣の指定する保母養成学校その他の施設を卒業した者ということになっております。それともう一つは、保母試験に合格した者ということになっております。その厚生大臣の指定する保母養成学校には、これは正規の大学、短期大学もございます。それで大体取得単位は、特に教職という点等は、まあこの比較をするということは、必ずしも十分な比較はできませんが、常識的な感じを申しますと、幼稚園教員のほうが保育所の保母よりも必要とされる教育的な単位は多いというふうに、まあ一般的に言えようかと思います。それから指導基準でございますが、幼稚園のほうは、これは学校教育法の施行規則にございます、文部省で定めます幼稚園教育要領、小学校以上の学習指導要領に当たります幼稚園教育要領に準拠した教育をするようになっております。それから保母のほうは、保育所保育指針というものを、これは厚生省の局長通達で出ているようでございますが、したがいまして、中身は幼稚園教育要領に似たような点もございますが、しいて比較いたしますれば、幼稚園教育要領のほうが教育的に完備した内容のものであるというふうに考えられます。それから設置基準でございますが、文部省令に幼稚園設置基準というのがございますし、保育所のほうは児童福祉施設最低基準という厚生省令がございまして、その第五章に、保育所というのがございます。これは若干基準につきましては、保育所のほうが幼稚園よりも詳細のきめ方がしてある、一般的比較で恐縮ですが、そのような感じがいたします。
 それから財政援助でございますが、幼稚園のほうは公立、私立の幼稚園に対しましては、園具等設備整備費補助というものを文部省のほうで出しております。新設で補助率は三分の一でございます。詳細必要でございますれば、また後ほどお答えいたします。それともう一つ、公立の幼稚園につきましては、建物施設の整備補助金が出ております。補助率は三分の一でございます。
 それから、私立の幼稚園につきましては、一昨年から私立幼稚園施設整備費補助金が出るようになっております。大体その金額は公立幼稚園と私立幼稚園、予算費目は違いますが、実態はほぼ一園当たりあるいは一クラスあたり大体同じような金額でございます。それから、幼稚園のほうは私立大学幼稚園教員養成課程設備費補助というものが補助率二分の一で出されております。大体そういったものでございますが、これに対しまして、保育所のほうは保育所施設整備費補助というのがございます。これは定額で一つの保育所当たり百万円ということになっておりまして、補助率は出てまいりませんが、幼稚園のほうと比較いたしますと、一つの幼稚園と一つの保育所とをしいて比較いたしますと、幼稚園にも大きいところ、小さいところがございますが、定額ではございますが、保育所の百万円というほうが金額的には少なかろうかと思います。
 それから、保育所のほうは措置費というのが出ておりまして、補助率は十分の八ですが、幼稚園のほうには人件費補助がございませんが、この保育所の措置費の中を見ますと、保母の給与が措置費の中に積算されております。したがいまして、一部人件費補助的なものがこの中にあるようでございます。全般的に保育所は厚生省の所管でございますので、大体のところを申し上げます。詳細につきましては、あまり申し上げましても、あるいは具体的なやり方が多少違うかも知れませんので、その程度で申し上げます。
 それから、その他に保育所のほうは保育材料費とかが、園児一人月額二十円という計算で出しておりまして、文部省から出しておりますのは、一つの幼稚園あるいは一つのクラス当たりという計算をしておりますので、ちょっと比較ができにくうございます。大体そういうものでございますが、費目的にはまだ保育所のほうが措置費の中身が非常に多うございますので、金額は別として具体的な補助品目としては保育所のほうが若干多いように感じられます。
 それから、財政援助で地方交付税関係でございますが、これは幼稚園のほうはそれぞれ公立でございますれば、地方交付税のほうで小学校、中学校と同じように単位費用は違いますけれども、それぞれ交付税の中で措置されております。標準都市――十万の都市で四つの幼稚園を置くといったような計算でそれぞれ交付税が積算されております。
 それから保育所のほうは、公立の市町村立保育所では、先ほど措置費が十分の八の補助金があると申しましたが、その裏金の十分の二の財源として、都道府県と市町村に十分の一ずつの地方交付税が積算されているようでございます。
 以上、いま先生のお尋ねに対しまして、大ざっぱで恐縮でございますが。
#159
○柏原ヤス君 いま説明していただきまして思いますことは、この幼児期において保育の行政が二元化されている。幼稚園と保育所を比べて見ますといろいろな違いがございますが、文部省はこれに対して、将来どのように考えていらっしゃるか、現在のまま進めていくつもりでいらっしゃるか、こういう点についてお願いいたします。
#160
○政府委員(宮地茂君) この保育所といい幼稚園といい、同じようなことをやっているのではないか、これは厚生省と文部省があるから、お互いにセクショナリズムで同じようなことをやっているのではないかというような御質問がかねてからございます。そういうようなこともございまして、文部省と厚生省で、これは昭和三十八年ですが、当時の初中局長と厚生省の児童局長の間で協議をいたしまして、両局長連名で通達を出しております。そこでは結局基本的には、保育所のほうはこれは法律にも書いてございますように、保育に欠ける児童の保育をする、しかし幼稚園のほうは、もちろんその家庭の保護者の保護が、十分でない子供も幼稚園に入りましょうが、保育に欠けるとか欠けないとかというようなことを考えないで入れております。したがいまして保育所のほうは、保育に欠ける子供の保育をする。その保育の中身としては、やはり幼稚園でやっていることと一部似たようなことは、これはどうしても避けられないと思います。先ほど申しました幼稚園の教育要領と保育所の保育指針、これはそれぞれ違うのでございますけれども、この部分はダブっておるのではないかと言われれば、確かにその点はございます。しかし非常に基本的に違いますのは、保育に欠ける子供――対象児が違うということでございます。そこで文部省といたしましては、保育に欠ける子供以外は幼稚園の対象として充実していきたい。したがって保育に欠ける児童、一応保育所の対象になる子供を、全体の一八%ぐらいあろうというふうに見込んでおります。そのほかに幼稚園に行かしても十分でないいわゆる特殊学校の対象になるような、盲とか、ろうとか、精神薄弱といったような子供、そういうような者を除き、また非常に山深い僻地等で、ごくわずかな一人か二人、こういったような子供も全国的に計算すると相当な数になります。そういうような者を除きまして、大体幼稚園の対象になる子供を六三・五%というふうに押えております。したがいまして、その子供が幼稚園の教育を受けられるようにという気持ちで、現在三十九年度から幼稚園整備七年計画というものをつくってやっているわけでございます。そこで、先ほどのお話しの厚生省と文部省との関係、幼稚園と保育所と基本的に違うわけですが、教育内容面においては一部似たようなことを行なう、しかし基本的に違うのだから、いま申しましたような点でお互いに厚生省の保育所と文部省の幼稚園を今後充実していくということで支障はないと、こういう考えで推進しておる次第でございます。
#161
○柏原ヤス君 私は同一年齢の時期において、幼児の保育が、やはり教育の機会均等の精神から違いがあるというこの行政に対して不満を持っております。そこで、幼児はあくまで同じ資格を持つ教員によって、同じ内容の教育を受けるという原則の上に立って、保育所をすべて幼稚園と同じものにする、幼稚園の指導要領で定められた授業の時間をきちんとやる。なお保育に欠けている児童に対しては、保母によって保育するというような方法をしてはどうかと、こう考えておりますが、これに対して文部省としてはどうお思いでしょうか。
#162
○政府委員(宮地茂君) いま先生のおっしゃいました点、非常に傾聴すべき御意見だと存じますし、またそういう考え方も私どものほうとしてもいままで考えた中にもあろうということは十分いままで検討いたしました。しかしながら、そこまで一元的保育に欠ける子供も幼稚園に入れて、そのためにはまた児童福祉的な保育に欠ける子供の保育をする人をそこにつけるとかいろいろ財政事情もございまして、いま先生のおっしゃいますのは傾聴すべき御意見で、あるいは遠き将来到達すべき理想の姿かもしれませんが、少なくとも先生のおっしゃいますのに異議を唱えるという意味ではございませんで、現状としてはいろいろな事情からむずかしい点もこれは私ども感じられますので、先ほど来申し上げておるような考え方で文部省としては推進していきたい。また将来の問題として理想的なものにいける段階になりますれば、いま先生がおっしゃいますことも実現する時期もくるであろうというふうに考えます。
#163
○柏原ヤス君 幼児教育の重要性というものは最近非常にいわれておることですが、文部省の幼児教育に対する予算を見ますと非常に少ないと思います。その辺に幼児教育の種々の問題点の原因があるのではないか。幼児教育を充実するためには強力な財政援助が必要である、こう思いますので今後の方針について文部大臣にお願いいたします。
#164
○国務大臣(坂田道太君) 幼児教育がいかに人間形成の上に大切であるかということは、先生の御指摘のとおりだと考えております。また、同時に先ほど局長がお答えをいたしましたことに関連するわけでございますが、確かに日本の国において片や保育所、片や幼稚園ということで同じ年齢のところをとらえ、しかもこれが一応たてまえといたしましては、ただいま局長から申し上げたとおりでございますし、またその沿革でわれわれは歩んできたわけでございます、しかし日本全国を地域的に考えた場合に、どうも保育所といいながら、実を言うと保育所の中において幼稚園と似たり寄ったりのようなことをやっているんじゃないかという面もございますし、ある県においては非常に幼稚園というものが発達をして、ほとんどもう小学校と同じくらいに幼稚園が発達をしているという県もございます。たとえば四国あたりはそうでございます。一方、長野県あたりはむしろ保育所、新潟県あたりは保育所というものが非常に発達をして、幼稚園は発達しておらない。その辺もいろいろその県の教育委員会のやり方やあるいは戦前における教育に対する考え方の違い、あるいは産業構造に基づくところの考え方の違いというようなところからも私はきているんじゃないかと思います。しかし、たとえば、私はドイツへ行って幼児教育を見ましたところが、これはむしろ日本における保育所みたいな考え方でございまして、あまり知的あるいは音楽その他非常に何か学校という感じはしないのでございます。就学前教育だからむしろ情緒性であるとかあるいは健康管理をよくしてけがをさせないとか、そういうようなことに重点があって、そのめんどうを先生がやっておるというような感じを受けました。それからイギリスでは御承知のように、五歳から義務教育であるわけであります。いままでわれわれの言う幼稚園教育というものも現在まだ残ってはおりますけれども、いまではもう新たにその幼児教育、つまり幼稚園というものをつくるということは認めないということで、いわゆる幼稚園のほうの一番指導者になっておられる人はその政府のやり方に対して非常な不満と批判とを持っておられる。ただ年齢を六歳から五歳に引き下げて、それを義務教育にするということで一応インファント・スクールで一年あるいは二年というものは、日本で申します幼稚園教育と似通った教育はやっておるものの、しかし本質的に言うならば、それはあくまでも学校教育であって、就学前教育と呼ばれる幼稚園教育じゃないのだと、こういう考え方、これも私は傾聴すべきだと思います。
 フランスでは大体において幼稚園教育というものがたしか八割から九割、二年保育のものがずっとありまして、これが日本と大体同じような考え方で、しかも日本よりも幼稚園が普及しているということでございます。
 先生の御指摘の点については、私は非常に人間の発展段階ということを考えた場合に、この時期をどうとらえるかという場合に、いまのような日本の幼稚園教育そのものがいいのかどうか、むしろそういう保育的な要素というものを含めたような就学前教育というふうに考えたほうがほんとうの意味における三つ子の魂百までで、才能を開花させることにつながっていくのじゃないか、そういう根本的な問題をも含んでおるというふうに私は思います。でございますけれども、これは私の乏しい知識で云々すべき問題ではなくて、やはり相当、専門家の方々の衆知を集めましてこの制度は考えてみなければならない。しかし御指摘の点につきましては、非常に含蓄のあることを含んでおるということを私は考えております。しかし、また幼児教育の大切だということ、そうしてこれに対して、もう少し国として予算措置を考えなければならないということについては先生と全く同感である、今後とも努力を続けたいということを申し上げましてお答えにいたします。
#165
○柏原ヤス君 先ほど幼稚園教育振興七カ年計画のことがちょっと出ましたが、この進行状況はどのようになっておりますでしょうか。
#166
○政府委員(宮地茂君) 先ほどちょっと触れましたが、三十九年から四十五年度までの七年間で六三・五%まで高めるということを目標として計画いたしました。したがいまして、今後の増加目標学級数は一万五千八百学級ということでございます。ところで四十三年度当初までに八千三百五十三学級、当初の目標は一万五千八百学級ですが、あと四十四年と四十五年が残っておりますが、八千三百五十三学級までいっております。したがいまして、当初の計画に比べまして若干のおくれはございますが、多少不十分でございますが、一応いままでの計画とそう、そごを来たさない程度で進んでおる、ただしかし、この四十四年度、四十五年度あと二カ年の間におくれも取り戻し、当初計画をぜひ実現したい、このように思いまして先ほど大臣も予算等の増額につとめるという御意見の御回答でございましたが、そういうことで私ども今後この計画の推進のために全力をあげたい、こういうふうに考えております。
#167
○柏原ヤス君 いま教えていただいたように、進行状況は若干おくれているというようなお話ですが、そういうものではないんじゃないか。数の上ではいまおっしゃったような数が出ておりますが、内容的に、また地域的に見ますと、非常に計画は困難な状態にあるのではないか、こういうふうに思います。昭和四十四年度の予算を見ましても、昨年度に比べて特に幼稚園振興に力を入れているというふうには思えません。この七カ年計画は達成する見込みがあるかどうか。達成できるとおっしゃっておりますけれども、くどいようですけれども、もう一度お聞きいたします。
#168
○政府委員(宮地茂君) 先ほど申しましたように、一万五千八百学級の計画に対しまして、七カ年計画の五年間で八千三百五十三学級でございます。しかしながら、いま先生がおっしゃいましたその中には重複もある。と申しますのは、私どもが幼稚園の足らないところにつくっていきたい。一応、幼稚園は、ある程度整っておるというところはこの今回の計画には入れていない。したがいまして、計画に入れておるものが八千三百五十三学級で、そうでないものまでも入れますと一万五千学級できておるわけでございます。五年間でそういうものを除きまして純粋に幼稚園を置きたいと思うところで、まだのところだけを考えまして、到達度がまあ八千学級になっておるということで、したがいまして、若干のおくれがあるということを申し上げました。しかし、ここで四十五年度絶対にできると言い切るほどの確信は、これは率直に申し上げまして、大いに努力いたしますが、この場で私そういう確約をいたすほどの自信もございませんし、またできません。したがいまして、あと二年間できる限り努力いたしまして実現いたしたいと思います。
#169
○柏原ヤス君 いまのそういうお話を非常に力強く思いますが、就園率がぐんぐん上昇しております。そうして親も幼稚園に入れるのが常識のようになっております。しかし幼稚園といいましても公立と私立がございまして、公立幼稚園が非常に少ない。そうしてほとんど私立の幼稚園に依存しているんじゃないか。現在公立と私立の割合はどのようになっているか。またこの七カ年計画の終了の時点においてどのくらいの割合にするつもりでいらっしゃるか、お聞かせいただけませんか。
#170
○政府委員(岩間英太郎君) いま公私立の割合でございますけれども、私立の幼稚園はただいま御指摘いただきましたように、全体の園数にいたしまして六三・八%、園児の数にいたしまして七四・九%というふうなかなりの部分を占めているわけでございます。あと、計画の将来につきましては初中局長から。
#171
○政府委員(宮地茂君) いま岩間局長から私立の数だけ申しましたので、私、公立のほうを申し上げます。私立が幼稚園数六三%ですから、公立のほうはそれを引きました三六%でございます。それから幼児の数は私立が約七五%でございますので、公立は二五%、それにほとんど数字になりませんが国立が若干ございます。それで、今後公私立の比率をどれだけの比率で保っていくかということは、これは大学などと同じように国・公・私立の比率をこう保ちたいと思いましても、これはなかなか結果的にこうなっておるというだけで、はっきりした計画が立ちませんので、三十九年度に七年計画を立てましたときに、ここで自信を持ってお答えするほどの比率というものは持たないで出発したようでございます。
#172
○柏原ヤス君 その点希望として、公立幼稚園をもっとどんどん建てていただいて、国の力が、そのように幼児教育のために尽くしているなという実績を示していただきたいと思います。
 続いてお伺いしたいことは、私立への依存が高いと、これは親にとって非常に大きな負担になっております。幼稚園の教育費と小・中・高校等の教育費を比べてみますと、幼稚園は年額四万三千円かかっております、これは私立。公立の場合は八千八百円、これは文部省の四十三年度の調査によりますと、それに比べて小・中・高校等の調査を見ますと、小学校は一万八千円、中学校は二万五千円、高等学校は五万七千円というデータでございますが、これは幼稚園の場合は、授業料のみで小・中・高校の場合は参考書とか、学用品、給食費、PTA会費、そういうものを含めた金額です。これを比べてみましても、いかに幼稚園が高いかということがわかると思います。私立幼稚園に入った場合は、高校へいっている生徒よりも費用がかかるということになるわけです。文部大臣もこのことば御存じだと思います。また、東京のある区では私立と公立との教育費の差が非常に大きい、不公平だというので園児手当を出すようになったところもございます。このような点も大臣は御存じだと思いますが、この格差を是正するために国でもっと積極的に援助すべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。
#173
○政府委員(岩間英太郎君) 御指摘のとおり、私立幼稚園に通わしておりますと、ただいま御指摘がございましたように、年額四万三千円というふうなかなりの金がかかるわけでございます。
 そこで、文部省といたしましても、従来から私学振興会を通じまして、四十四年度は約八億四千万の融資をいたしておりますけれども、そういうふうな施設費に対する長期低利の融資を行なう。それからそのほかに施設設備に対する補助金を計上いたしておりますが、その内容を改善していく、それから、さらにいま御指摘のございましたように、各地方公共団体におきまして経常費の助成などを行なっておりますけれども、そういうことがやりやすいように地方交付税におきます財源措置につきまして毎年拡大はいたしておりますけれども、さらにそれを強化していくというふうな点で、できるだけ公私立の差が大きくならないように私どもも今後努力していかなければいけないというふうに考えております。
#174
○柏原ヤス君 七カ年計画の数字の中に、学校法人以外の幼稚園がどのくらい入っているか。宗教法人立、個人立というふうに分けてお示しいただきたいと思います。
#175
○政府委員(宮地茂君) 学校法人以外の個人立、宗教法人立の学校でございますが、昭和三十五年の六月一日現在で私立の幼稚園は四千三百五十ございます。その後の設立については、基準未満は認めておりませんので、三十五年にございました四千三百五十園の中の数字が今日もなお個人立、宗教法人立で残っておれば、その三十五年のときの数字を上回ってはおりません。いま手元に私立幼稚園、三十五年のときの四千三百五十のうち宗教法人立が幾つ、個人立が幾つというちょっと資料を手元に持っておりませんので、もし何でございましたら後ほどお届けさしていただければと思いますが。
#176
○柏原ヤス君 あとでお願いします。
#177
○政府委員(宮地茂君) それではあとでお届けさしていただきます。
#178
○柏原ヤス君 学校法人以外の幼稚園は設置基準に満ちていないものがたくさんあると思うのです。この設置基準に満ちていない、合っていない幼稚園を認可した理由はどうしてか、またこれに対してどのように指導しているか、またそれに対して国庫補助の裏づけというものが行なわれておりませんが、それはどうしてか。またこれらの幼稚園に対する強化策をどのように考えていらっしゃるか、この点についてお聞きいたします。
#179
○政府委員(宮地茂君) 先ほどお答えいたしました昭和三十五年の私立幼稚園四千三百五十でございますが、そのときに基準に満たない幼稚園の数は、運動場関係で基準に満たないというのが八百六十、それから園舎が基準に満たないというのが三千百三十ございました。その後は先ほど申しましたように基準に満たないものは認可いたしておりませんから、その数字を上回ってはいない、むしろ三十五年当時基準に満たないそれらの幼稚園は基準に達するように指導もいたしましたし、幼稚園設置者もそのように努力いたしておりますので、相当数字は減っておると思います。なぜこれができたかということでございますが、幼稚園設置基準ができましたのが三十一年十二月でございます。それまで幼稚園というものは先生御承知のように、従来小学校以上が学校であって、幼稚園は正規の学校教育法で言います一条学校としての取り扱いが不十分であった、新しい学校教育法ができまして幼稚園も一条学校として、小学校、中学校と並んでやるようになった。しかしながら、小学校、中学校は御承知のように義務教育でございますが、幼稚園のほうは義務教育でない就学前教育だ、しかもできる限り就学前教育を受けたい者には受けさしてやりたい、そういうときに設置基準であまりむずかしいことを言っておるよりも、多少不備であっても幼稚園教育を行なうものは幼稚園を認めていこうというような行政上の態度であったために、この基準に満たないものもできたり、また学校法人立以外の個人立等もあったというふうに考えておる次第でございます。で、こういうものが経過的に残っておるわけですが、文部省といたしましてもいろいろ指導等もいたしておりますが、こういうものを国の力で基準にまで達せさせるというためには、よほどの財源も必要といたしますし、また沿革的に古くから個人立でやっておられる方は、これは感情的に学校法人になると何か自分がつくった学校が自分のものでなくなるといったような、古くから幼稚園をやっている人の中にはそういう気持ちの方もございまして、私ども幼稚園の会合等で、そういう問題出しますと学校法人でなければもう許すなという説もございますし、しかし個人立でずっと経過的にきているところは、自分のほうでもいままで非常に幼稚園教育をやってきたのに、そういう残酷なことをするということはよくないというような説もあったりしまして、なかなかこの個人立の方と学校法人立の方では幼稚園経営者間にも意見が一致いたしません。そういうようなことでございますが、文部省といたしましては、学校法人立で、しかも基準に合ったものをつくって子供に幼稚園を提供することがよいにきまっております。そういうことで今後とも設置者の指導なりあるいは予算措置なりできる限りのことを講じまして、一刻も早くいま先生が御質問のような幼稚園が解消することに努力したいというふうに考えます。
#180
○柏原ヤス君 最後にもう一問お願いいたします。都市の過密化によって、大都市の周辺に非常に人口が急増している、これに対して過密化対策として小・中学校についてはある程度考慮されてまいりましたが、幼児も同様にふえている、ところが公立幼稚園の設置がほとんど行なわれておりません。最も人口の急増の著しい川崎市とか船橋、習志野、埼玉県の福岡町などを調べてみますと、ここ数年間の間にほとんど公立幼稚園が設置されておりません。船橋市、福岡町などはゼロ、川崎市はやっと四十三年度に一園設立されたという現状になっております。この辺の世帯は皆若い世帯が多くて公立の安い幼稚園を非常に望んでいる、こういうことに対して何の対策も講じていないのではないか、一方では七カ年計画を打ち出していろいろと希望あるような御意見でございましたけれども、この七カ年計画も、こういう点から見ますと、ただ数だけふやしている、机上の計画ではないかと思われるような感じがいたします。単なる数字合わせといわれてもしかたがないというような七カ年計画ではなくて、こういうところにはぜひ公立幼稚園をどんどん建てていただくようにしていただきたいと思います。その点いかがでしょうか。
#181
○政府委員(宮地茂君) まあいま御指摘のような点もございまして、実は地方交付税で、もちろん単位費用は違いますが、小、中学校、高等学校と同じように、幼稚園につきましても人口十万の都市で四つの幼稚園といったようなことで交付税の積算はなされておるわけでございます。ところで、幼稚園をつくらないところ、あるいはつくっていくところ、こういうようなことでございまして、積算はしても幼稚園をつくらないところは幼稚園の積算の交付税はもらっても幼稚園はつくらない、だから同じような金額をもらって熱心なところはそれ以上幼稚園をつくるといったようなことで、交付税の交付上不合理でございます。そういうようなことから園児の密度補正といったようなことをすることにいたしまして、交付税を積算して出してもそれまでの幼稚園をつくらないところはむしろ割り落としをしていく、それから基準以上に幼稚園をつくるところは割り増しをしていくといった、交付税の積算上の密度補正といっておりますが、そういうようなことを交付税上やるように自治省とも文部省相談いたしまして、自治省にもお願いして、そういったようなことに最近なることになっております。それからまた、私ども先生と同じように、人口がふえれば幼稚園もふやすべきだ。しかし、地方公共団体の財政上の状況等でなかなか思うようにまかせません。ところで、日本住宅公団等が行ないます大規模な宅地開発あるいは住宅建設、こういうようなことをします場合は、文部省、大蔵省、建設省、厚生、自治、こういった関係各省五省の間で協定をいたしまして、一、二の例を申しますと、日本住宅公団が行ないます大規模な宅地開発もしくは住宅建設または住宅金融公庫の宅造融資を受けたものが行なう大規模な宅地開発に関連する幼稚園等の建設及び整備並びにその財源措置については特別な措置を講じていくと、だからそういうような大規模なところには、これは小学校、中学校、こういうものを建てなければいけない。同時にそれに比例して幼稚園も必要であるということから、この五省協定をいたしました中身でそれぞれそういうところには幼稚園が建てられる、また融資も受けられるといった特別な措置を講ずるようにいたしております。こういったようなことは一、二の例で、先生のおっしゃいますように、それでだいじょうぶかといわれますと決してだいじょうぶではございませんが、結局は公立幼稚園でございますと当該市町村がやるという気持ちになってくれませんと、義務教育ではございませんので、機械的に小・中学校のようにできてまいりません。まことに不十分ではございますが、そういったような措置を講じておりますし、結局は市町村が小・中学校と同じような気持ちで、法律的に義務ではございませんが、義務設置といったぐらいの気持ちで措置をしてくれるという熱意と財政上の措置が一番であろうと思います。そういうことで今後とも文部省としても努力いたしたいと、こういうように考えております。
#182
○楠正俊君 関連。新設じゃなくて、既設の宗教法人立の幼稚園に対して近い将来に学校法人に切りかえろという指導を何か具体的な通達を出すとかなんとかいった方法でやってこられたかこられないか、それはイエスかノーでけっこうですから……。
#183
○政府委員(宮地茂君) そのようなことを通達等で指導したことはございません。気持ちといたしましては学校法人立というのがよいであろうといったような話し合いはいろんな会合等ではなされておると思いますが、通達等では出しておりません。
#184
○小笠原貞子君 前回この委員会で、大学の紛争校に対しての経費を保留、カット、このような問題についてちょっと私触れましたけれども、今回はこの問題について、具体的にその内容と実態についてお伺いしたいと思います。
 先だってうち新聞に出ていましたのを見ますと、紛争大学には年度当初に年間予算を一括配分することをやめるようになっているわけなんです。紛争が事実起きているということは事実としてよくわかるんですけれども、紛争校だからこういうことをやる、紛争中の大学だからこうだということで、いわゆる紛争校という、そういうものの認定というのは一体どういう基準で行なわれるものだろうか、その紛争校という基準をまず具体的にお伺いしたいと思います。
#185
○政府委員(村山松雄君) 予算の配分の問題というような特別な問題はまた閣内で判断されると思いますが、大学局といいますか、私どもとしては、紛争というのは、学生の授業放棄あるいは教室、研究室等の封鎖等、物理的な教育研究に対する妨害活動があって、かつ教育研究が現実にとまっておる状態というぐあいに考えております。
#186
○小笠原貞子君 そういう意味はわかるんですけれども、具体的にこの学校が紛争校だという認定をする場合でも、たくさんの大学を見ましたら、学部の一部封鎖されているところや全学封鎖されているところ、また何日間か封鎖してすぐ解除になったというように、その規模についても経過的な時間についても非常にまちまちでございますよ。実際いまの大学の現状を見ますと、そういう現状の中でこれは紛争校だと認定するにはやっぱりそれなりの基準がなければ認定できないと思うんですよ。そういうような具体的な基準というのはどういうふうに考えられていらっしゃいますか。
#187
○政府委員(村山松雄君) 具体的な基準は、教育研究が行なわれていない状態という基準で判断いたしまして、今度は部局別な基準といたしましては、総合大学などは一部の部局でそのような教育研究活動の紛争状態があった場合に、全学的にそれだからということでいろいろなことをやることは、必ずしも実情に合いませんので、部局ごとにそのような紛争状態があるかどうかというのを判断いたしております。部局と申しますのをもうちょっと具体的に申し上げますと、典型的な部局は、学部でございます。それから研究所あるいは付属病院あるいは付属の研究施設といったような区分でその区分ごとに紛争状態があるかどうかを判断いたします。
#188
○小笠原貞子君 大臣にお伺いしたいと思います。いままでの答弁では、やっぱり非常に具体性に欠けているわけなんです。学部といってもその学部全部が封鎖されているとか、あるいはある学部が封鎖されている場合、あるいは時期的に、そういう非常にばらばらのことで紛争校を指定することは、非常に困難だと思う。この紛争校をどういう基準で認定するということは、今度準備されております大学運営に関する臨時措置法でこの紛争校というのが出されているわけです。この辺があいまいになると、そのあとに続いてくるいろいろな措置があいまいになります。そこで大臣としては、紛争校という認定の基準は、こういう法案を出す過程でお考えになっていると思います。それをひとつお伺いしたいと思います。
#189
○国務大臣(坂田道太君) ただいま局長がお答え申し上げましたようなことでございます。
#190
○小笠原貞子君 それだけしかお答えできないということは、結果的に見たら非常にあいまいで基準がない中で紛争校が指定されてくるわけです。それじゃ紛争校という指定は、基準がいままではあいまいだと言わざるを得ない。その紛争校であるかどうかということは、一体どこできめるわけですか。だれがどういうふうにしてきめるのですか。
#191
○政府委員(村山松雄君) 目下のところは、法案を提出している段階でございますので、そのような明確な法的基準がないままで判断をいたしております。したがって判断については当該大学と、それから文部省ということに相なります。たとえば東大でありますと、自分のところの紛争について大学のほうから報告をいただいております。報告では学部別ごとに紛争によって授業がとまった日時が記載してございます。文部省でもそれで客観的に紛争によって教育研究活動がある学部についてはとまっているということを判断してお互いに合意しているわけであります。それからまた授業が再開されますと、これまた報告がございます。報告によって授業が再開されているということにつきまして、文部省も納得いたしますと、その時点においてその学部については紛争が収拾というぐあいに判断するわけであります。端的に申し上げまして当事者である大学と文部省とでお互いに報告し、それを了承するという形で判断いたしております。
#192
○小笠原貞子君 それから、先だって経費保留というようなことを出されているわけですね。その経費保留に対する大学紛争校というようなところはどういう基準で判断されたわけですか。
#193
○政府委員(村山松雄君) まあ、ただいま御説明申し上げておるような、教育研究活動がとまっておるという状態の大学につきまして、文部省のほうに関係者の来省を求めて、お互いに話し合って、予算の配当について、とりあえず教育研究の停止状態にあるところについては、臨時的な経費については保留をするという話し合いをいたしたわけであります。
#194
○小笠原貞子君 現在大学の紛争が起きているというのは、特にあの法案が出てから、たくさんかえってふえちゃったわけなんですけれども、そのたくさんの中で、文部省のほうで経費を保留したという大学は、数は知れてますよね。そうしますと、ほかにたくさんおんなじような条件があるのに、そこだけを経費保留の学校として認定するというのには、何か基準があってなすったんじゃないんですか。もしそうでないとすれば、非常にたくさんの学校、みんなあてはまるわけなんです。その辺のところが、先ほどからも全然あいまいに、基準というものが出されていない。そんなやみくもで大体この辺だなんてやられちゃったらたいへんなことで、何かそこに基準があると思いますが、お答えいただきたいと思います。
#195
○政府委員(安養寺重夫君) 四十四年度の予算の当初示達に関連するお話でございますので、私から申し上げます。東京大学、東京教育大学二校は除きまして、保留いたしました大学は、群馬大学ほか十八大学ございます。認定と申しますか、そういうこといたしました判断の基準と申しますか、標準と申しますか、四月十日現在、これらの大学の全学もしくは教養学部を含む多数の学部の授業放棄もしくは授業開始にいたらない状態、または全学もしくは教養学部を含む幾つかの部局の施設の封鎖もしくは占拠、こういうような実態をいろいろの角度から点検をいたしまして、そのいずれにも該当しておるということで、要するに新入生の授業が、当分開始の見通しがつかないという状態にある時点におきまして予算の示達を一部保留をしたということをしたわけでございます。
#196
○小笠原貞子君 いろいろな条件と、それから新入生が授業ができない、自宅待機中の大学というところへの経費を保留されたところの基準というのが、ちょっとわかってきたわけですけれども、むろんそういうことになりますと、私ちょっと全体を見てみましたんですけれども、五月十四日現在で、文部省調べというのが出ておりましたが、そこの調べの中では、富山、和歌山大学というのは、やっぱり新入生が授業できないで自宅待機ということになっているわけでございますね。そうすると、いまおっしゃったその基準というのもまたここのところでずれてきている。こういうところは一体どういうふうに考えたらいいんでしょう。
#197
○政府委員(安養寺重夫君) 予算の当初示達に際しましては、先ほど申しましたような該当大学がございます。現在ただいま、その中でもすでに正常化という形で授業が始まっておる学校も数校ございます。で、これらにつきましては、秩序が正常化された時点以降において、大学側、文部省と予算の支出の計画について、またあらためて相談するということにいたしておりまして、いわば現在協議の段階に入りつつあるということでございまして、そのような新しい処理をいたしまして、いま御指摘のように、当時はたまたま学園にそのような不正常な状態が発生していなかったということによりまして、経費の年間示達をいたしました大学で、現在ただいま不幸にして不正常の状態に立ち至ったというものにつきましては、その立ち至った時点から、大学が文部省に予算の支出の計画について協議をするということになっておりまして、逐次現在それらの大学からいろいろ事実上の御相談を受けており、われわれといたしましては、いずれこれも正式の協議というような形で御相談に乗るというつもりでおります。
#198
○小笠原貞子君 いま私が具体的に質問したのにお答えいただけなかったのですが、また質問いたします。ここのところをあまり時間をとりたくないのですが、ただ、おっしゃった基準では基準がちょっとあいまいだということを伺ったわけです。文部省のほうで四月十日に四十四年度当初示達において、群馬大学以下十八校とございますのを予算保留をきめられたわけですね。この十九校の中に、いまおっしゃったような紛争中である、封鎖されておると、新入生が授業ができないというような条件の基準でこの十九校が出された、こういうわけなんです。ところが五月十四日のおたくのほうの調べで、ちょっと私が比べてみましたら、まだ新入生が自宅待機中の大学というので、冨山大学と和歌山大学というのが出てきたわけです。そうすると、五月十四日で自宅待機だったら、当然四月十日のときにも授業に入っていないわけでしょう。そうすると、こういうのが抜けちゃっておるというのは、一体どういう区別をなすったのか、その紛争校の基準というものがどうも私はあいまいで、はっきり基準がなされていないということをお聞きしたかったわけです。
#199
○政府委員(安養寺重夫君) いま御指摘の二大学は、当初示達を留保するということの事前の会議に実は来ていただきまして、いろいろその大学の見通しを聞きました。その時点におきまして、この両大学いずれも正常化は確実であるという表明がございまして、しからばそういうことにいたしましょう。実は帯広畜産大学もそれに該当いたしておりまして、直ちに正常化に入るという言明がございましたので、これは除外いたしたわけであります。
#200
○小笠原貞子君 わかりました。それでは先ほども村山学術局長おっしゃいました。けれども、こういうような予算の経費を留保するというような場合には、文部省と大学とで話し合いをなさるわけですね。いまのお話を聞いたら、話し合いをしたら、これはもう再開できるという見通しだったからこれは除いたのだと、こうおっしゃっわけですね。そうすると、この予算経費を留保するという場合には、そこの大学の意向を聞いて、そうして話し合ってきめると、こういうふうに見てよろしいのですか。
#201
○政府委員(村山松雄君) 現在そのように運営をしております。
#202
○小笠原貞子君 いま伺いましたら、こっちの大学ではこういうふうに紛争解決できると言われたから、ここのところで抜かしたとおっしゃいましたね。そうすると、ほかの大学の、この十九校の場合は、ちょっと授業再開、紛争解決は見通しがないということで、その大学側としてはこれを承認して、納得した結果、これだけがきまった、こういうふうに解釈してよろしいわけですね。
#203
○政府委員(安養寺重夫君) そのようにおとりいただいてけっこうでございます。
#204
○小笠原貞子君 それではちょっと伺いますけれども、その御相談なさるときに、大学側のほうは、いやうちのほうは紛争というものは非常に軽度だから、もうすぐなおる。文部省のほうでは、いやそういうわけにはいかないだろう、こういう意見が対立したような場合は、どっちが優先しますか。
#205
○政府委員(安養寺重夫君) 私の最近の予算のことに関する限り、そういう経験がございませんので、まあいずれ後日、まだまだ紛争が継続しておる、あるいは新しく紛争状態に立ち至ったという事例がございますので、これはまたよく大学と相談をいたしたいと思っております。
#206
○小笠原貞子君 それじゃあ、まだ今後の問題だからわからないというところで、大学の意向を非常に尊重するというお答えはいただけないものでしょうか。
#207
○政府委員(安養寺重夫君) 予算の示達の関係でございますので、非常に時間を限るというような仕事の性質の問題もございますので、いろいろ大学とよく相談をしたいと思います。まあ大学のいやがるものを無理無理何とかせんならぬというような必要もございませんので、これはとくと意見を聞いて相談したいと思います。
#208
○小笠原貞子君 私が心配いたしますのは、たいへんこのごろ文部省が高姿勢でいらっしゃって、そしてもういろいろな法解釈をなさって、この辺で押えてしまおうと、特に財政面できゅっと押えるのは非常に効果的だと、そういうことはそちらはないとおっしゃるだろうけれども、客観的に私たちのほうから見ますと、非常に多分に危険的に考えられるわけなんです。そういうような問題のときには十分いま大学と話し合いをするということを再度確認をして、決して財政面で大学を締めつけて脅やかすというような、そういう態度だの内容だので強制されないようにということを強くもう一度確認してお答えいただきたいと思います。文部大臣。
#209
○国務大臣(坂田道太君) いま小笠原さんから御質問があって、そして局長やあるいは会計課長からお答えしましたとおりに、非常に何といいますか、その相手の大学の実情をちゃんと聞いた上で、そして相談をしてやるというふうにしたいと思っておるわけであります。いままでは疑問に思っておられたかもしれませんけれども、きょうの答弁でおわかりいただいたであろうと思います、われわれの考え方は。
#210
○小笠原貞子君 大体こういう予算経費を保留するということを出すそのことがやはりこう財政的に押してきていらっしゃるので、いまのお答えで納得するというわけにはいかないですけれども、そこで突っ込んでいってもしようがありませんから次に移りたいと思います。
 そこで、具体的に経費を留保なすった分というのの各大学別に学生当たり積算校費と、それから一般修繕費というのに分けられているわけなんですけれども、これを各学校別に学生当たり積算校費と一般修繕費の額をこまかく分けたのをお答えいただけますか、すぐに。
#211
○政府委員(安養寺重夫君) これはいまやりました全体を多少申し上げないと、いまやっておること自身が御理解いただけないと思うのです。たまたま先ほど申しましたように、年度当初教養課程の授業が始まらないというような状況にございました大学にさしあたり年間示達という措置をとりませんわけでしたが、その内容としましては、教養課程の学生当たり校費の四分の一を示達をする。四分の三を保留をしておく、預っておくと。一般各所修繕費につきましても、教養課程の占める面積相当分の四分の一、当初第一四半期分というような形で単純にお配りしておこうと、あとはお預かりしておくということの二点をしたわけであります。ただし、全体の大学につきましては、紛争等の原因によりまして正常な教育研究活動ができない際には、年間を通して不要な部分を節約していただく分、もしくはこのために必要になった分というようないろいろ諸経費の出入りがございますので、そういうことのしさいな点については年間を通しての締めくくりをきちっとやっていただこうということにいたしております。当初教養課程に限らず専門の学部も、封鎖、授業が再開の見通し立たずという大学も相当ございましたけれども、そういうことについて逐一のことはいたしませんで、さしあたりそういうものは大学の自主的な御判断によって文部省と御協議の上で年間の予算の効率的な適正なむだでない使い方ということに努力をしていこうということの約束をしておるわけなのです。そういうような仕組みの中の当面とりました措置ということでございます。金額につきましては、先ほど申しました群馬大学ほか十八大学の教養課程の年間示達予定額の四分の三の留保、当該大学の教養課程の占める面積にかかわる一般各所修善費の年間予定額の四分の三の留保という二点でございます。なお、東京大学と東京教育大学につきましては、第一学年次相当分の学生経費はこれはカットということにいたしたわけでございます。
#212
○小笠原貞子君 それでは、いただいた資料の中で施設費については全部留保、こういうことになっているわけですね。この施設費の中には学生寮というようなものが当然入っているのだろうと思いますけれども、この施設費というものの中身はどういうようになっていますでしょうか。
#213
○政府委員(安養寺重夫君) 施設整備費につきましては、前年度から継続の事業等がございまして、本年度におきましてさっそくにも契約の結果として支払いをしなければならぬというようなものにつきましては、これは支出をする予定で示達をいたしたわけでございます。その他につきましては、個々の実態を調査してから配るということにいたしたわけでございまして、施設費の中身は、学校あるいは病院、研究所、このすべてに属する部分を含んでおるわけでございます。
#214
○小笠原貞子君 寮の分はどうなっていますか。
#215
○政府委員(安養寺重夫君) 学生寮につきましては、愛知教育大学の学生寮を引き続き建築をするという関係部分を示達をいたしまして、他につきましては検討いたしております。
#216
○小笠原貞子君 寮のほうの要請というのは相当そちらのほうにいっていると思うのですけれども、どれくらいいっていますでしょうか。
#217
○政府委員(安養寺重夫君) 学寮の建築につきましては、昨年の概算要求の時点で十をこえる大学から希望の表明がございまして、愛知教育大学以外の分につきましては、今後大学のお話を伺いまして相当の部局で結論を出すということに相なると思います。
#218
○小笠原貞子君 現在出ているのがどれくらいあるのですか、昨年のところで十とおっしゃったが。
#219
○政府委員(安養寺重夫君) 概算要求のございましたのは十二校でございます。
#220
○小笠原貞子君 その十二校の名前わかりますか、すぐ。
#221
○政府委員(安養寺重夫君) ちょっと手元の資料では具体的な名前はございません。
#222
○小笠原貞子君 それじゃ、その十二校の名前あとでお知らせいただきたいと思います。私がいま寮の問題で突っ込んでお伺いしたのは、大学のいわゆるいま問題が起こっている原因に寮の問題が非常に多いわけでございますね。共産党のほうで調べたときにもその原因が寮問題が一四・三%だと、こういうふうになって出てきたわけなんです。そういうふうに寮の問題が非常に大きくなっているということになれば、この紛争を解決するためにはこの寮の問題をどういうふうに解決していくかということが具体的な解決の課題だと、こう思ったわけでお聞きしたわけなんです。実際にいま十二校というところから十二の寮の新設、増築の要請がきているわけなんですけれども。それに対してどういうふうにしようというふうにいま文部省としては措置を考えていらっしゃいますでしょうか。
#223
○政府委員(村山松雄君) 寮につきましては、これは寮はいかなるものであるべきかというはっきりした理念はたいへん迂遠なことでありますが、確立したものはございませんが、戦前から旧制の学校以来、特にこの師範学校あるいは旧制の高等学校は学寮を持っておりまして、それが新制大学で、あるいは教育学部、文理学部等になった場合に継承いたしております。そのほか、特に新制大学発足当時は居住施設の困窮ということから、できるだけ建てたいという気持ちは文部省として持っておりまして、改築それから新設につとめておりますが、現在のところはなお学生数に対して一五%程度の収容率でございます。さしあたっては、そのうちで昭和三十三年以後の鉄筋コンクリート造につくりましたものが約五四%。それから、それ以前のもの並びに木造のものが四六%ということで、寮の程度がよくないものですから、これを居住に適当な施設に改めたいということで大学と相談をしながら改築につとめてまいっております。一つの問題は、寮につきまして、はっきりした指導理念が確立しないままにやってまいった関係で、この寮の運営管理について非常にまちまちでございます。そこで、昭和三十三年以後、鉄筋コンクリート造の新しい寮をつくります際に、寮の管理のたてまえを明確にすると、明確な理念に基づいて管理の見通しのついたものにつきまして新設するというやり方をしてまいっておるわけであります。これを非常に学生自治を侵害するとか、抑圧的だとかという向きがございますけれども、そういう考えは全然ございませんので、学生は寮においてもやはり学生自治の一環として自主的な生活を営むことは非常にけっこうであるけれども、やはり国立大学の寮ということになりますと、寮も国の施設でありますので、国有財産法上及び大学が教育的な見地からするところの管理、たとえば入寮、退寮の最終的な権限であるとか、それから財産保全の最終的な責任を保持する方法とか、そういうものについては最小限度の規定を設けて、中における生活管理等はおおむね寮生の責任によるというような指導をしてまいっておるわけでございます。そういうことをやってまいって現在収容率十四、五%、人数にいたしましても、三万八千人という状況になっております。
 今後の問題でありますけれども、そういうことでやっておりますので、大学としても寮をつくるにつきましては、いろいろ問題がありまして、ぜせ寮をどんどん建ててほしいというようなことでも必ずしもございません。昨年度の状況からいきますと、寮の概算要求をするに至ったものが十二大学ということになっております。これらにつきましては、寮につきましての基本的な指導理念の確立ということを検討いたしますと同時に、とりあえずの問題としては木造老朽で学生の居住施設として適当でないものにつきまして、寮の管理につきまして、見通しの立つものについては改築してまいりたいと、かように思っております。
#224
○小笠原貞子君 その寮の問題については、〇管規といっていた問題、この前もここで質問いたしまして、まだ結論が出ておりません。またそれはときをあらためてやりたいと思いますけれども、現在のところではその十二校の、寮の問題については要請されているという問題について、この中で幾つかは今年度につくってやろうというようなところは全然ないわけなんですか。文部省のいまのところの考えでは、その十二校の分も全部含めて、経費留保ということに入っちゃっているわけなんですか。
#225
○政府委員(村山松雄君) 現在、いま取り上げましたのは、先ほど会計課長から説明した愛知教育大学だけでございます。
#226
○小笠原貞子君 だけですね。それではこの間の留保された十九大学のうちの幾つかは、授業が再会されたというようなことを伺っているわけなんですけれども、この十九大学の中で、そういう授業が再開されたというような点、大学の名前とそうしてそれらに対しては留保分というのをどういうふうに扱われておるのかということを、お伺いしたいと思います。
#227
○政府委員(安養寺重夫君) 六月十六日現在の大学からの報告によりますと、留保いたしました大学のうち、大学では正常化と申しておりますが、群馬大学が今週から授業再会をするということになっております。それから電気通信大学ではすでに授業を開始しております。静岡大学は一応正常化というような形になったということになっております。それから神戸商船大学、これも今週からやることになっているということであります。鳥取大学がすでに授業開始いたしております。山口大学も授業をすでに開始いたしております。保留いたしました大学は以上申し上げました六つの大学、いま申し上げたような状態になっております。
#228
○小笠原貞子君 そういう大学については当然この保留分というのは解消になるというふうに考えていいわけですか。
#229
○政府委員(安養寺重夫君) まだいってみえない大学もございますが、当然最初に申しました約定が、大学からもお話がございましょうし、われわれと今後の施設の計画について相談をするということについて、正常化ということを前提にしての予算の相談ということになるわけです。
#230
○小笠原貞子君 じゃいま伺いましたけれども、これから開始ができそうだ、やってしまったというところは、そこではっきり判断がつくと思うのですけれども、これから正常化できそうだというようなところは、やはり現実に授業再開で授業が開始しなければいまのところで留保をやめるということにはならないわけなんですね。
#231
○政府委員(安養寺重夫君) もう一刻も早く正常化をして、教育、研究が常態に戻るようにということは、常日ごろ関係者の願いでございまして、そういうことをやってさえいただければ、予算をどうこうというような理由もございません。効率的に使っていただくのが特別会計予算の本旨でございますので、いろいろそういう意味では、早く常態に予算が執行されるというようなことをおすすめというとおかしいのですが、勧奨申し上げているということでございます。
#232
○小笠原貞子君 先ほど紛争校という規定が非常にむずかしいということを申し上げたわけですけれども、今度紛争大学で、紛争解決への見通しというものについてもまた、非常に判断がむずかしいのじゃないかというふうに考えられるわけなんですね、たとえばこの経費留保の問題とは違いますけれども、たとえば東大なんかの場合、確かに紛争が起きていた、しかし現在非常に解決への見通しというのが出てきたという場合に、いま東大の場合なんか大臣どういうふうに見ていらっしゃるでしょうか。
#233
○国務大臣(坂田道太君) とにかく教育大学と東京大学はいまだかつて歴史にないような入学中止をやったわけですから、これは異常事態だと私は考えております。もちろん法学部、工学部、経済学部、その他八学部は一応授業も行なわれ、この六月の末には卒業生も出る、あるいは進級も可能という状況を得ておりますし、また一番問題の発端となりました医学部も一部ではございましょうが授業が再開をされておる。文学部におきましても多少授業を再開しようという動きのまたその前の動きがあるというくらいになってきておる。それから駒場におきましても一部においては授業再開をしている。しかしながら、同時にカリキュラムの問題等について、あるいは一般教養をどうするかということについても真剣に討議が繰り返されておる。またそれを発表しておるようでございます。また東大のいろんな面における再建計画、まあ八十島委員会の準備調査会でございますけれども、次々にいろいろな面についての提案がなされておる。まだこれは東大自体として最終的に東大の意思としてきまったものではないかと思いますが、そういう再建への意欲あるいは授業再開への意欲あるいはまた秩序回復への意欲というものは、私は十分認めておるわけでございます。しかしながら、いま申しましたように、教育大学と東大とは入学中止という異常な事態を招いたわけでございます。またこれを常態だというふうには考えるわけにはいかないと思います。
#234
○小笠原貞子君 大学の紛争を解決するというそういう点から、まあこの予算経費留保という問題が出てきたのか、それともはっきり言って国費の乱費だという立場から出てきたのか、どっちの立場でこういう問題をお出しになってきたのか。
#235
○国務大臣(坂田道太君) 教育大学及び東京大学に象徴されておりますように、一年生の入学者というものはないわけでございますから、その経費をむだ使いしないようにということは当然なことだ。まあそういうようなことから出発しておるということでございます。
#236
○小笠原貞子君 大学紛争を解決したいということはほんとうにいま大事な問題なんですけれども、その解決のしかたですね、解決のしかた、ほんとうにこれで解決になるだろうかということなんです。たとえば解決するためにはその原因というものを具体的に明らかにしてその原因を解決しなければ紛争というのが解決しない、そう思うわけなんですよね。ところが文部省のほうがお出しになっているいろいろなやり方というのを見ますと、その原因というものの解決にちっとも努力もされていないし、具体的な問題提起はされていない。むしろその原因というものを抜きにしちゃって紛争というものを財政的に押さえていって、何とか落ちつけちゃおうというような考え方にどうしても取れるわけなんですね。実際に学生たちがどういうふうに紛争を起こしてきたか、その原因を見ればはっきりすると思うのですよ。その原因というものの処理というのがさっぱりされないで、経費保留だの予算カットだのというまさに財政的に押さえていくというやり方で、はたしてこういうやり方で文部大臣としていまの紛争というものの解決のたしになるというふうに考えていらっしゃるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#237
○国務大臣(坂田道太君) この大学の紛争についての原因、またそれに対してどう解決をするかという手段方法等については、われわれ自身もいろいろ考えておりますし、またいろいろの方法がある。まあ共産党や小笠原さんのほうでもその原因についての分析をやっておられると思います。またその解決の手段もお考えと思います。しかし残念ながら小笠原さんのおっしゃるとおりにわれわれは思えない節も多々あるわけでございまして、それをただやらないから紛争解決は何もしないとは言い切れないのじゃないかと思うわけでございます。でございますから、私たちといたしましては、やはり国立大学といたしましては、国民の税金を支払っているわけでございますから学生が入ってこないで、入ってこないものに伴うところの経費というものは当然これは保留すべきである。あるいは紛争が激しくてあるいは占拠されて授業再開できておらない。教育するのができておらない、そのところにおいても、いろいろの設備やその他またこれから破壊されるかもわからないようなところにある程度保留するということも私は当然なことじゃないかと、そういうやはり特に国立の場合はその内容においても施設設備においても国民の税金そのものでまかなわれておるわけでございますから、そういうことに対してこういう施設のもとに、あるいは国民の費用のもとに教授がわれわれに教育研究をやっておるんです。われわれ自身もそこに学んでおるんだということのつながりもやはり学生たち自身がわかるというふうなことは、やはり私は教育上も必要なことであり、一人前の人間として当然わからなければならないことだというふうに考えております。そういうようなことに対する大学当局自身の社会的責任というものが、あまりにもいままで身分保障等が手厚くなされておるがために、大学教授というあるいは大学自治という美名のもとにその特権に甘んじて、そうしてその社会的責任を感じないような人たちが非常に多かったということも今日国民から問われていることではないか。また学生自身から問われていることではないか。そういうようなことはやはり大学教授というものもよく自覚し反省をされるべきことではないかというふうに思うわけでございます。筋道というものはやはりある程度わかっていただくということは必要じゃないかというふうに思います。まあ原因については、単にそれだからといって一部の暴力学生だけを責めるつもりもございませんし、また管理運営の能力を欠いた教官だけを責めてみても、それでもってその大学の紛争が解決するとも思いません。文部省としましての役目はどちらかと申しますと、御指摘のような教育条件の整備というようなものにもう少し力を入れなければならぬ。それがすべての原因だとは思いませんけれども、しかし原因の一つはそこにあるということはいろいろのデータからも指摘をされておるわけでございますし、その点につきましては文部省としましても文部大臣としても責任を痛感しておるわけであります。そういうようなことにつきましては今後とも努力をしてまいりたい、かように考えます。
#238
○小笠原貞子君 いつもお伺いする趣旨なわけなんで、またお伺いしたわけですけれどもね。結局いまも政府が一番何をしなければいけないかということを考えれば、政府においてまずしなければならないことをやっておかなければならないと思うのですよ。そういう面で財政というような面をにぎっているというようなことで、いろいろと具体的にはそれが圧力になっているということは確かだと思うのですよね。たとえば紛争校として指定をすると、こういうような場合でも、一部暴力学生が自由にいわゆる私たちで言えば泳がしておく状態をつくっておる。再開した、またぱっと攻めてきた、また再開した。これではいつまでたってもだめじゃないかという状態ではほんとうに解決ができないと思うのです。そうするとやはりほんとうに学生たちが民主的に解決していこうというその努力をどういうふうに評価するか。その学生自身の評価というものをどういうふうに評価するか、文部省としてはっきり出してもらいたいし、また何度も出しておる管理運営能力がなくて、大学の先生というのはいい待遇のところに落ちついてしまってということをよくおっしゃっております。そういうような問題を解決するためにも、上からの力で解決するんじゃなくて、大学自身の中で民主的に大学自身が解決していくという方法をとらなければ、上から押さえていって、はいと言うことを聞くような、文部大臣の言うことを聞く先生になってしまうわけですが、そうではなくてやはり一番大事な解決方法というのは、大学自身の中で私たちがいつも言っているような学生や教授や教職員や院生、その中でほんとに大学というものはどういうものでなければならないか、そういう民主的な解決への道を育てるようなそういう文部大臣の考え方でやってもらいたい、こう思うわけです。坂田大臣の考え方というのは幸か不幸か毎日、毎日新聞で読ましていただいております。だいぶわかってまいりましたけれども、大学の自治ということを守るということをよく口にされますけれども、いまやっていらっしゃいます大学の自治というのは中身がどうもわからない。たとえばこういう財政の問題で紛争校として指定してカット保留するというような立場でやっていらっしゃるということが、ほんとに文部省の教育行政というのは普通の一般行政と違うんだ、だからこそ文部省設置法があり、いろいろ教育基本法があり憲法がありという、憲法のもとから出てきている大事に措置されている問題だと思うわけです。そうすると教育基本法でいわれているいわゆる第十条との関係とか、それから憲法の関係から考えて一体どういうふうに、紛争解決をいまやっているやり方というのはどういうふうに考えていらっしゃるのか、まさに教育基本法にも私は反しているやり方ではないかとそう思うわけです。
 また、ついでにお答えいただきたいけれども、私は国民に責任を持っている文部大臣だからと、こういうふうにおっしゃいますけれども、国民に責任を持っているという国民というのは非常に抽象的なものです。非常にばくぜんとしているものでしょう。その国民の中には、大臣しっかりやれというのもいるし、いや、大臣のやり方は間違いだというようなものも現実にいるわけです。そうすると、国民に責任を持つ私は大臣だからというのでは、やはりそれは大きな間違いじゃないか、自分の判断で国民というものを使っていらっしゃる。やはり大臣が責任を持たなければならない。そうして教育基本法にいわれている国民に直接責任を持つということは、やはりそれは日本の憲法のあの精神に責任を持ってやることだし、教育基本法のあの立場というものを厳守することが直接教育が国民に責任を持つという立場でできるんじゃないかと思う。その辺のところ大臣に考え方を最後にお伺いして終わりにしたいと思います。
#239
○国務大臣(坂田道太君) 共産党や民青の考え方というのは、いまの大学というものを、大学を構成しているものは教官である、それから学生である。学生の中にも学部学生と院生がある、それから事務職員がある、この四者が構成要素である。この構成要素が民主的に考えたこと、それにすべて従いなさいと言わんばかりの言いかたなんですね。そういうことは昔の中世時代におけるボローニャ大学みたいな考え方ではないか。私はいつも申しているのです、今日は国民のための大学、大学のための大学、いうならば税金を出しておる国民の意思というものを反映した意味の大学の自治というものが考えられなければいかぬのじゃないか。構成要素が四者だから四者できめたものはオールマイティであるという、こういうものの考え方こそ改められなければならないことだという考え方を私どもは持っているわけです。そこが小笠原さんと共産党と私たちと違うところです。しかし、あなた方はあなた方の一つの主張があるわけです。それもまた支持する人も現にあるわけです。しかしながら私は大多数の人はそうではないと思う。また、今日学生たちが大学を批判をし、あるいはまた反代々木の人たちが民青を批判しておるというところは、やはりそういうようなところにもあるんじゃないだろうかというように思うわけです。私たちはやはり憲法のもとに、一つの選挙によって選ばれてきておるわけですね。そういう形で政治をやろうということになっているわけです。ですからその意味においてこの内閣もできておりますから、その内閣のもとにおける文部大臣といたしましては、やはり国民に対して責任を持っておるわけでありますから、そのことに対してその責任を果たすためにやはりいまの大学のやり方というものはどうも国民、特に国立大学については親方日の丸であって、そうしてその特権に安住して、一般庶民の、あるいは一般の自由社会におけるような普通の何といいますか常識と思われることすらも平気で非常識なことをやっても大学自治だから許されるのだと言わぬばかりの風潮がある。これはやはりあまりにも大学というものが特権的な集団あるいはお城の中にとじこもっておったいわば閉ざされた大学であったからではないか。かつてはそういうことも意味があっただろう、しかし今日ではそういう閉ざされた象牙の塔式の大学というものは改められなければならないのじゃないか。国民のために、万民のために開かれた大学という、国民のための大学自治というあり方は、国民大多数の自由社会のその人たちの気持ちを踏まえた大学自治というものを構成をしておる、おっしゃる教職員も学生も大学院生も事務職員も考えていただかなければならないのだ、かように私は考えるわけでございます。
#240
○中村喜四郎君 時間がおそくなっていますからできるだけ要点をつまんでお尋ねしたいと思いますが、特に私は僻地における教育の振興、人事交流等の問題について文部省側の意向をただしたい。
 いま人事が停滞している僻地教育というものを振興しようとしておっても僻地には行かない、生活のしやすい、住みよい場所にいたいという、こういう考え方が各地にある。たまたま高知県の場合に、小笠原さんが現地を調査に行かれ、衆議院の斉藤さんと、川村さんが行かれ、私自身も四日間にわたって現地を調査し、そうして問題になった細川あるいは内田というようなそれぞれの教員の異動の問題、一宮小学校の問題、こういう問題についても自分は自分なりに調査をしてまいったわけですが、この場で私どもがそのことを文部省側に意見の開陳をしてもおそらくやはり川村さんあるいは小笠原さんというようにおのおのの考え方もありますから、この点をいまさら突っ込んでどうこうじゃなく、先ほどの川村さんの御質問に対する初中局長の答弁、それから申し入れ書に対する県教委の考え方あるいは地域振興や僻地教育の振興、そうして僻地におった者を、経験のある者を、平たん地における学校長、教頭に抜てきする場合に僻地経験者をとると、こういった措置については私どもはさもあるべしと、そうなければならないという考え方を持っているので、このことにつきましてことに文部省側の意見を求めることなしに、私は、閣議における大臣の研究学園都市問題に対する決定と、その以後における新聞記者会見の問題について大臣の真意をお尋ねしたいと思うわけであります。
 御承知のように、十三日に閣議において筑波研究学園都市に移転する機関について決定されまして、そのことが地元受け入れ側に対しましても、政府としてはこのような閣議決定をして移転機関についての態様を整えるのだと、こういうことの意思表示が正式に閣議決定をなされたわけでございますけれども、たまたま閣議のあとにおける文部大臣の記者会見における内容を私どもが新聞等で見ますと、ちょっと閣議の考え方と大臣の考え方が違っているのではないか、あるいは新聞の伝え方が間違って伝えられたのじゃないか、そのことによってたまたま紛争校である移転校である教育大学にも波紋を投げかけ、同時に受け入れ側の地元茨城県に対しても、大学移転をはたしてやるのかどうか、こういう疑問がわき起こってくるわけでございます。そうしますと、閣議決定されたことと、今日まで紛争の原因であった教育大学、そして紛争の原因を除いてできるだけ一体にしようとしたこういう行き方と、それから地元側が受け入れるためには、紛争の大学は私どもは受け入なない、来たくないものは受け入れる必要はない、こういう考え方とか、地元には行くことになったから地元側は了承してほしい、こういう政府側の意思表示とか、各所において食い違いができるわけです。したがって、私は大臣が東京教育大学の移転についてはどういうように考えておるか。この間の閣議了解、そして閣議了解だけでは地元は納得できない。あるいは移転機関も納得できない。閣議決定しようというので、閣議決定事項にまで盛り込んだ中で、文部省の移転機関は教育大学であるという、はっきりした念を押されたものであるか。その以後の発言は私どもによく了解できない。その間の経緯あるいは新聞紙上に出たことが誤りであるかどうか、日経新聞あるいは毎日新聞、読売新聞等に出たのは、これは読売、毎日にはいわゆる新幹線大学のような意味のことで、別の大学をつくるという形で出ておりますが、大臣の真意と政府の閣議決定に対する考え方をお尋ねしたい。
#241
○国務大臣(坂田道太君) 研究学園都市の建設につきまして、昭和四十四年の六月十三日の閣議決定では「筑波地区における研究・学園都市に移転を予定する機関等の建設については、高水準の研究教育が効率的に行なわれるよう諸条件の整備を図りつつ、昭和四十三年度を初年度として、前期五か年、後期五か年の二期にわけ、おおむね十か年で実施することとする。
 昭和四十七年度までの前期期間には、科学技術庁二機関、文部省一機関、農林省おおむね五機関」云々と、ずっとございますわけでございますが、つまり文部省一機関ということが予定としてあるわけでございます。この文部省の一機関というものは、予定をしておるのは教育大学だということでございます。でありますから、この閣議の原則というものにつきましては、私としては応援をするし、協力もするしということを発言いたしたわけでございます。ただ、そこで文部省の一機関であるこの教育大学というものは、ただいま紛争をしておる。その点は閣僚の皆さま方も御承知のとおりであろうから、予定になっております。そしてその紛争が最終の段階にきているから、いずれその解決を見ることであろうということで、すぐ行きます。ですから、というふうにおとりになると、そう簡単にはいかない。いま大学が紛争しておりますから、ちょっとそこに不明確な点が実は新聞発表のときにあったわけでございまして、その点があるいは誤解されたのじゃないかというふうに思います。正確にはそういうことでございます。
#242
○中村喜四郎君 私も新聞に出たことだけを取り上げて、大臣には問題の内容の事前通告もしておりませんから、おそらく考え方はかみ合わない、かみ合わないところに大臣の率直なところをお聞きしたいから、私は御質問しているわけですから。そうしますと科学技術庁二、農林省おおむね五、建設省三、そして文部省一機関、こういうのは具体的には文部省ではこの機関、建設省ではこの機関という内容が閣議の決定される内容の中にはすでに了解されておるわけです。したがって教育大学は、前期の四十七年度までに移転するという閣議の方針も、いま大臣がおっしゃったようにきまっているわけだと思います、移るということ。しかも、それはその前提としては、そのことで大臣のおっしゃるのは、もし、この教育大学が意見がまとまらなければこの大学の移転はやめて、別の大学をつくるという意味の私は御発言をなさっておるかどうかということを大臣にお確かめをしているわけです。私の言わんとするのは、すでに閣議決定で文部省の一機関というものは、教育大学であるということが、全閣僚によって了解され、地元側にも、あなた方は用地をぜひ提供してください。ここへ教育大学が来るのだから、不満であろうけれどもがまんして土地を譲ってください、坪当たり千二百円程度。あの当時は、御承知のように、現在一反歩二百万以上する土地が、三十六万から三十八万くらい。もしあなた方が土地を譲ってくれなければ土地収用をかけますよ。教育大学が来るという大義名分、あるいは政府の役所がくるという大義名分のもとに、土地収用をかけるからといって地元の地主の協力を求めて、地元もまた文化機関、頭脳センターができるのだから、あえて協力しましょうといって、不服はあったけれども協力したわけです。ところがいまの、かりに大学が移らない、教育大学は移りませんよと、こういった場合には、土地を渡した地主はどこに問題を持っていく、不満を言えるか。当然土地収用という法律行為は、そこへ政府の機関がいかないですから法律効果を失うわけです。私はそう解釈する。しかし、私はそのことは大臣にお尋ねするわけではないのですけれども、問題は教育大学が移るという政府の決定、すでに教育大学では評議会でもって大学が筑波に移りますからどうか土地をほしいのです。用地買収を求めて七十万坪に近い教育大学の敷地が確保された、そうして今日において片っ方は文学部の一学部が反対することによって評議会の決定が最終決定されたものも今日なお履行されないまま、一部の人の反対があればどこまでも問題解決できない。閣議決定もそのままにじんぜん日を延ばされる。地元にも土地を提供さして、憤慨させておく、こういう事態は私は政治として許されるべきものではなくして、したがって大臣が御発言になった趣旨が、私はもしまとまらないならばあそこに今度別の大学をつくりますよというならば、そうなれば教育大学は移転する必要はない。教育大学は教育大学で措置する。私は教育大学がいまの紛争のままおるならば、来年もおそらく、ことしはもうすでに紛争開始して六月も七月もなっている、来年進級できないでしょう。入学試験もできないでしょう。単にあの人たちが、いまの学生たちが筑波に移るわけじゃないのです、三年、四年後に移るわけじゃないのです。一つのものの考え方で移転反対している。もしそうだったならば、私は教育大学を廃校にしても、つぶしてもしかたがない。私はしかし教育大学というものはそんなものではない、大学の意思も決定された、政府の意思も決定された、地元の意思も決定された。だとするならば、教育大学のあり方ということについて、別な意味の大学ができるとか、あるいはこういう構想でこれを返上するとかと、こういう形は閣議の決定の経過から文部大臣が御発言なさらないと思うのですが、新聞をずっと読んでみると、御発言内容が、まとまらなければほかの大学をつくりますよというような意味のことが私には受け取れるのですが、そういうふうにおっしゃったのか、はっきり、すっきり、地元に納得できるような、教育大学もはっきりできるようなひとつお答えをいただきたいと思います。
#243
○国務大臣(坂田道太君) 私ども申し上げましたように、文部省の一機関というものを予定をしておる。その予定をしておるのは教育大学でございます。しかし、この教育大学はただいま紛争をいたしておりますので、まだ最終結論には達しておりません。しばらくお待ちをください、これだけでございます。
#244
○中村喜四郎君 そうすると、次は毎日新聞、読売新聞、特に毎日新聞の中には新しい大学構想、これは坂田文部大臣とは指しておりません。しかし政府部内、自民党部内の中では過去のものにとらわれない新しい構想の大学をつくったらどうか。いわばそういうふうな紛争やその他のものにとらわれない、そうして将来も起きないであろう特に新しい大学のビジョンを持った大学をつくれ。そのためにはいわばそれがモデル大学であるから、モデル大学のための調査団を派遣しろというような具体的なものまで話に出ておるようですが、私はそういう新しい大学、新しい構想、これはもう根っから賛成なんです。そうあるべきだと思うわけです。しかし、こと教育大学の今度の閣議決定とそれとはおのおの別であるという観点は、これは明瞭にしておかなければならぬわけですが、いままで政府部内なり、党部内で、読売新聞や毎日新聞に出ているような内容、特にこれは坂田文部大臣としては非常に高い大学の理想を持っている、ヒューマニスティックな感情を持って、新しい大学の理想を求めている方ですから、もしそういうことが内部で話し合いになって、そうして調査をするというような考え方がおありならば、一つの調査よりもむしろ具体的に大学の新しい像が今後つくられるとすれば今後どうするかということをひとつ御意見をまず伺っておきたい。
#245
○国務大臣(坂田道太君) 新しい全く時代の要請にこたえる新しい大学ということにつきましては、やはり私の考え方の中にはあるわけでございます。あるわけでございますけれども、それを具体化する場合にはどういう時点でものを言うかということは、これは非常にデリケートな問題だと考えておるわけでございます。やはり相当の具体性とそれから将来の見通しということがなければ軽々に申すべきことではない、かように考えておるわけでございます。
#246
○田村賢作君 関連。私は、新聞に報道されたという新しい構想でその大学を筑波につくるということが報道されたというから、文部省も今度は腰がすわったなという見方をしていたのですが、実は現地も私はこの間見たのですが、なぜ教育大学があんなりっぱな理想的な環境のところへ移ることに反対するのか、私にはちょっと理解ができない。にもかかわらず、それが解決できない。しかも反対をするというのが、過半数が反対するならこれも文部省が反対の意見をよく調整するということもあり得るけれども、七学部のうちの一学部じゃないかと思う、反対しているのは。その一学部の反対のために国の方針というのがくねくね非常に曲げられてしまっているということは、私は、行政の姿勢というものが正しくない、そういうふうに考えていたのですが、たまたまそれとは関連なしに、反対するなら反対でもよろしい。政府は筑波学園都市に新しい構想をもって大学をつくるということをきめたという新聞が出たというから、むしろそのほうが大臣いいんじゃないでしょうか。そのことは、学生がいま反対していますが、この学生は決して筑波学園都市に行く学生じゃない。あすこで卒業してしまう学生なんです。何の関係があってそういう反対をするのかということは疑問なんです。むしろ向こうの広いところに理想的な施設と設備をもってやるべきじゃないか。政府はその閣議というものを尊重して断行する姿勢というものを持つことができないのかどうか。ことに私は教育大学の紛争地にも行ってみましたが、入った右側の管理棟ですか、あすこにバリケードが張ってあって表からもわきからも入れない。校舎のわきの窓から出たり入ったり教授もやっておりました。それから、壁にペンキのはけで書いたと思いますが、直径一メートルぐらいある大きい字で、官憲を殺せというすごい字を書いてあるのであります。これが教育大学だと全くびっくりするわけですが、その教育大学、あそこでいい学生は、あそこで卒業させて、同時に筑波学園には新たな構想で大学を建てて、そこで新たな学生は向こうへ入るし、希望がなかったらこないだけなんですから、そのほうがよほどすっきりするから、大臣はその考えを持ってこの問題を解決するという方針が打ち出せないものですか。
#247
○国務大臣(坂田道太君) 非常にお答えが実はしにくいわけでございまして、田村先生、中村先生、るる何を言わんとされておるかということは十分私承知をいたしております。心の琴線に触れておるということを御了解を賜わりたいと思うのでございまして、十分傾聴に値する御意見でございますので、私にも考えさしていただきたいと思います。
#248
○中村喜四郎君 心の琴線の触れ方が少し私は違っておるような感じがするものですから、田村先生のおっしゃるのは、文部大臣は、理想の大学をあそこへつくる、教育大学がいやだと言うならば理想の大学をつくってよいものだけを集めるのが、それがいいじゃないかということだと、私の考え方は違う、教育大学ということをことをきめた以上、イエスかノーか、どっちかきめておいて、そうして移るべき内容については、やはり文部大臣の考えていること、多くの人の考え方が集約されたものが新しい理想の図としていかなければならない。たとえば教育大学は、もう移らないのだということによって、あれだけ、理学部、農学部、体育学部等々がやっている。文学部の先生方は、この非条理なストライキだけやって、勉強したいという子供に教えないという先生方と一緒にやっていけない。三十八名の人は、自分で、文学部の教授会から抜けて授業を開始した。授業を開始して、それに対しては教授会の議決を無視しているのだから単位を与えないよと言っておどかしているような、いわゆる反乱軍と、両方出ているような姿、そういう姿を大臣がもし先ほどのように教育大学は移らないのだよ、別の大学をつくるよと言った場合には、私は非常な混乱ができると、こういうことが一つ。それから、もう一つは、土地の買収の場合に、先ほど文部大臣は、大学の教授たちの意向がまとまってから問題を解決する。おそらくこの考え方では一年たっても二年たってもまとまりません。大学側が意思合一するということはおそらく不可能である。これは移転ということそのものに反対するのだということが、もうスタートポイントが違っているわけですから。だとすれば、かりに合意のできなかった場合には文学部の全体の合意がなかったというふうな、それは、私どもは政府の閣議方針どおりぴしっとやるというふうに理解すべき性質のものと考えるわけなんです。そこで、大学がもし大学だけの意思でやるんだということならば、百五十五万坪にわたる文教施設団地の用地提供者に対しても、先ほど申しましたように不信義な行為が行なわれるということになると思うのです。この間の関係を私は政治的判断で、大臣が大学をつくるということと、新しい理想図をつくるということと、そうして、教育大学のことをやるのだということと、すでにきまったことはやるんだということ、そうして、それをどう具体的に、いつ移転を開始するだけの措置をするかということを、私は、実は大臣に聞きたいんです。それがお答えいただければ私の琴線に触れて、よく理解ができるわけです。
#249
○国務大臣(坂田道太君) ちょっとそうだとすると、なかなか琴線に触れるようなお答えにならないのではないかというように思います。ですから、むしろ、冒頭に申し上げましたことが正確だと思います。
 もちろん、先ほどお答えしました場合も、田村先生と中村先生と多少ニュアンスが違うということは、私も聞いておりましてわかっておったわけでございます。まあそれだけになかなか申し上げにくい、問題か――ということで、まあわかっていただけないのかなあというぐらいの実は気持ちがあるわけなんです。
#250
○中村喜四郎君 私は、実は、そのようなことを大臣に言わんとすること、そしてまたこの場で言えないことの点をさらに追及するのは非常に苦しいのですけれども、しかし、やはり、もののけじめだけはつけておかないとならないと思うものですから、あえて私は与党でもこれを突かざるを得ない。
 というのは、私自身、この用地買収の問題については、にがい経験を持っている。五百六十万坪の用地買収のために、私は政府がやるこの学園都市については強い賛成の意向を、当時、持っておった。私は、県議会におりました。むしろ旗で来られて、次から次へ県会の人も知事も、これは反対の方に巻き込まれて、私自身が土地の説明をしようとすると、学園都市ができればこうなると言って一しゃべりすると、すぐ竹やりでわき腹へやられる中で、ずいぶん長い時間かかって、この用地取得に対する地元の考え方をつかんで政府にも要請された。で、政府がそういう態度で、たとえ土地は安くともここに世界的な頭脳センターができるのだ、教育大学というひとつの大学が、総合大学ができて、工業技術院やあらゆる機関が来るのだからという、こういう理解が地元民を三十六万や四十万でこれは了承させた。このために、いつかも私は大臣にも申し上げましたように、町村長が七人死んでいる。議長さんが二人死んでいる。毎日説得に歩いたがために、その犠牲になって、この間も、つい一カ月も前に死んで、補欠選挙がきょうから始まっている。こういう事態が、県会議員三人とも、これは死んでやめている。こういうこと以来の、いろいろな地元の状況があって、そうしてだんだんまとまってきて、政府の閣議決定が十三日に行なわれたのです。十三日に行なわれても、建設省やあるいは科学技術庁はもう来年度からどんどん工事に移るというのに、文部省は文学部に反対があるということで、いつになったらこれをどういうふうにするか。来ないならば来ないという断を下す。来るなら、文学部はたとえ来なくても、新しい大学は新しい構想でやるのだから、あるいは反対するものは反対してよろしい。新しい坂田さんらしい理想の図を描いて、あそこに大学をつくるというこの決意がなければ、私は学園都市が生まれても、学校ができても、仏つくって魂入れざる政府のいわゆる文教行政に対する、あるいは研究機関に対する処置が十全ではない。今日まで閣議了解してくれ、閣議決定してくれ――閣議決定がされても、三年、五年、七年後にできなくて、あの五百六十万坪の用地買収をした土地が荒れ野原となったならば、どこに政府に対する県民の、地元民の信頼があるか、こういうことも予見される。そのうちの一番中心は坂田文部大臣の判断なんです。建設省も科学技術庁も農林省もすでに移ると、しかも四十五年度から工事に着工する。公社もこれは移る。問題は文部省の考え方。これは文部大臣として非常に悩みはわかりますよ。これはもう大学の自治と紛争を解決するため、いろいろと苦労していることはわかります。理想図もしたいことはわかっています。わかっていますが、私はこの前の予算委員会のときに申しましたように、いわば乱世に処する剣の道があるはずだ。決断すべきときはあると思うのです。このままでずっと延ばしていったならば、たいへんなことに、大学だけではなくて、地元に、あらゆるところに問題を起こすこととなるものです。どうです。私の考えに対して、ひとつ率直なこう、ぴたっと触れるようなことをお答えしていただきたい。
#251
○国務大臣(坂田道太君) 少しわかってきたのですけれども、と申しますのは、これは朝日の六月十三日の夕刊、「短信」というのがあります。「「文部省が前期分として予定している東京教育大の移転は、同大学の紛争が最終段階に来ていることから、しばらく事態を見守りたい」」と、こう言っているわけですが、いまおっしゃるように、もう最終的に私として断を下さなければならない時が近ずいておる。しかし、閣議決定しました十三日には、それをまだ申し上げる段階ではない、こういうふうに申し上げるならば、中村先生、わかっていただけますでしょうか。
#252
○中村喜四郎君 それならそれもまたわからないのですが、日経新聞で
  政府は十三日「筑波研究学園都市構想」を閣議了承したが、
 これは閣議決定したがでしょうけれども、了承と書いてありますが、
 この構想で四十七年までに移転する予定になっている東京教育大について、坂田文相は閣議後の記者会見で次のように語った。
  計画では、四十七年までに東京教育大を筑波に移転することになっているが、学内紛争が続いているので、もうしばらく見守ることにしている。文部省としては同大の紛争は最終段階にはいっており、遠からず決着がつくものと見ているが、
 ここまではいいのですよ。
#253
○国務大臣(坂田道太君) そこまででとめておいていただきたい。
#254
○中村喜四郎君 ああそうですか。その次はこれは言わなかったのですか。
#255
○国務大臣(坂田道太君) はい。
#256
○中村喜四郎君 それじゃまあこれから先は深追いしてもしようがないですから。
 それで私はそういう政府の立場、地元の土地提供者の立場、特に私は、文部大臣としては、この紛争の中で新しい大学の像をみずからの手によってつくり上げようとし――それは私非常に高い理想だと、しかも時期もいいのです。場所もあれだけの広大な土地が、地元の犠牲は喜んで受け入れられるだけのものができているときに、決断は私は大臣一つにかかっておると思うわけです。紛争にも関係している微妙な点もありますから、この席上で速記をつけた中でお話しすることができなければ、後刻私は大臣にひとつ詳しくお尋ねし、私の考え方も申し上げたいと存じますが、要はただ大学の一部で反対だ。わからないまま反対している。私自身があの教育大学の中に入って、革マルと言われる、中核と言われる学生諸君と地下三階で会った。あなた方は筑波に移転することについて先生方には聞いているのか、どこに反対の理由があるのだと、マスタープランというのは見せてもらったのか、文学部の教授にも会いました。文学部の先生方はなぜ反対するのだ、反対理由はどこにあるのだ、こうお尋ねしましても、具体的なものは持っていないし、そのプランは見せてもらっていない。一部においてはただ移転するのだ、移転するのだ――私は少なくとも閣議決定して教育大学は移るということならば、大学の像はどうあるべきか、こういうことを衆知を集める方法、あるいは外国のロンドン郊外のスティーブニッシュのあの新しい大学、あるいはスエーデンのストックホルムのそばの新しい大学、そうしてニュータウンに移転することが困難で新しい大学をつくった姿を、どうしてなされたか、こういうことは少なくとも文部省自体が積極的に調査して、具体的な手を早く打ってくださることを強く要望するわけですが、お答えはけっこうです。
#257
○委員長(久保勘一君) 本件に対する本日の質疑は、この程度といたします。本日はこれにて散会いたします。
  午後五時二十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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