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#1
第061回国会 大蔵委員会 第5号
昭和四十四年三月十八日(火曜日)
   午前十時三十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十四日
    辞任         補欠選任
     横川 正市君     久保  等君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         丸茂 重貞君
    理 事
                青田源太郎君
                岩動 道行君
                多田 省吾君
                田渕 哲也君
    委 員
                青木 一男君
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                鬼丸 勝之君
                津島 文治君
                田中寿美子君
                野上  元君
                鈴木 一弘君
   政府委員
       大蔵政務次官   沢田 一精君
       大蔵省国際金融
       局長       村井 七郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に
 伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案
 (内閣送付、予備審査)
○国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣送付、予備審査)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(丸茂重貞君) ただいまより大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。去る三月十四日、横川正市君が委員を辞任され、その補欠として久保等君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(丸茂重貞君) 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。沢田政務次官。
#4
○政府委員(沢田一精君) ただいま議題となりました「国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案」につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
 わが国経済の持続的成長を達成するためには、世界経済が着実に発展していくことが欠くべからざる前提であり、また、そのためには、世界貿易が順調に伸びていくことが必要であります。さらに世界貿易の伸長には、世界全体としての準備資産の総量、すなわち、国際流動性が貿易の伸びに見合って適度に増加していくことがぜひとも必要であります。ところで、現在、国際流動性は、主として金と米ドルとから成り立っておりますが、金の生産は自然の条件によって左右され、また、米ドルの供給は、米国の国際収支の赤字にほかならないので、今後準備資産としての増加に多くを期待することはできないと思われます。
 このような状況を考えますと、今後、国際流動性の適正な増加を確保するためには、各国の共同の責任のもとに、計画的に新しい準備資産をつくり出して命や米ドルを補っていかなければなりません。このようなものとして考案されたのが国際通貨基金の特別引出権制度であります。この特別引き出し権制度を設けるためには、国際通貨基金協定の改正が必要であり、協定改正案については、別途、本国会において御審議をいただいております。
 さて、わが国としても、その外貨準備を増強して経済の一そう健全な発展を確保するため、この特別引き出し権制度に参加する必要があると考えております。このためには、「国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律」に所要の改正を行なら必要がありますので、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、政府は、特別引き出し権制度に参加することができることといたしております。
 第二に、政府は、国際通貨基金に対するわが国の出資額に相当する額を限度として、特別引き出し権の配分を受けることができることといたしております。
 第三に、大蔵大臣は、外国為替資金特別会計の負担において、特別引き出し権の取引を行なうことができることとしております。
 第四に、日本銀行は、大蔵大臣から特別引き出し権を譲り受けることができるとともに、その保有する特別引き出し権を日本銀行券の発行の保証に充てることができることとしております。
 このほか、外国為替資金特別会計法につきまして所要の規定の整備をはかることといたしております。
    ―――――――――――――
 次に、「国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案」につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 国際開発協会は、昭和三十五年十一月に創立され、開発途上にある国々に対し、長期、かつ、低利の融資を行ない、低開発地域の経済開発の促進にきわめて大きな役割を果たしてまいりました。わが国は、その原加盟国として出資したほか、昭和三十九年の同協会第一回増資の際にも応分の寄与をいたしました。しかしながら、開発途上にある国々の国際収支事情等から、同協会の行なら融資に対する需要は年を追って増大し、その保有する資金の大部分は遠からず貸し付けられる見通しとなったため、昭和四十年九月の総会において同協会の第二回増資が提案されました。その後、昨年三月八日の理事会において、総額十二億ドルの増資及びその分担についての合意が成立し、これを内容とする増資決議案が直ちに総務会の投票に付されました。これに対し、わが国は昨年五月八日賛成投票をいたしましたが、各国総務の投票も逐次行なわれ、同年九月二十日に至り、所定の要件が満たされ、決議が成立いたしました。ここにおいて、わが国といたしましては、決議の定めるところに従い、同協会に対し、新たに六下六百四十八万ドル相当額の本邦通貨二百三十九億三千二百八十万円による出資を行なうため、所要の国内措置を講ずる必要が生じたものであります。したがいまして、この法律案により、新たな出資についての規矩を設けることとし、この法律案の成立後、出資の分担を引き受ける旨の正式通告を行ないたいと考えております。
 さらに、決議によれば、少なくとも十二カ国が出資を行なう旨の正式通告を行ない、かつ、それらの国々の出資額の合計が九億五千万ドル以上とならなければ決議に基づく増資は発効しないとされております。しかし、最近に至り、国際開発協会の資金が枯渇している事情及び開発途上にある国々の資金需要等にかんがみ、同協会が持続的に活動し得るよう決議に基づく増資が発効する前においても、出資国が個別の理事会の合意に基づき出資を行ない、後日、増資が発効した場合には、これを決議に基づく出資とみなす措置をとろうとの動きが関係国の間にみられ、すでにカナダ、西独、デンマーク、スウェーデン、オーストリア、ノルウェー等はこの措置をとるに至りました。わが国としても、これら関係国の動向にかんがみ、個別の理事会の合意に基づき、これと同様の措置を、この法律案の規定により、とることも考慮しております。
 なお、国際開発協会に対する出資は、本邦通貨にかえて、国債で行なうことが認められておりますので、今回の出資も前回と同様、さしあたり国債で行なうことを予定しております。
 以上二法律案について申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(丸茂重貞君) 次に、補足説明を聴取いたします。
#6
○政府委員(村井七郎君) ただいまの国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由説明に関連いたしまして、特別引き出し権制度が創設されることとなった背景、経緯及びこの制度の内容等につき、私から簡単に補足説明申し上げます。
 世界経済の成長と繁栄をはかるためには、世界貿易の着実な発展が必要であることは申すまでもありません。ところで、世界貿易の規模が拡大すれば、対外決済に要する金額がふえ、それに伴って各国の国際収支の変動も大きくなり得るわけであります。したがって、各国は金や米ドルなどの準備資産の保有を厚くしてこれに備えようとするようになり、世界全体として、準備資産に対する需要が増大します。もし、これに応じて適正な量の準備資産が供給されない場合には、各国の国際収支の悪化を懸念して、引き締め的な政策をとりがちとなり、世界貿易の発展と世界経済の成長を阻害することにもなりかねません。
 さて、今日、世界各国の準備資産は、主として金と米ドルから構成されております。このうち、金については、その産出が自然の条件によって左右されるほか、投機の対象となって退蔵されるおそれがあり、最近は、工業用の需要も漸増してきておりますので、今後、準備資産としての増加に多くを期待することはできないと思われます。
 次に、米ドルにつきましても、その国際流動性への供給は、米国の国際収支の赤字を意味するため、その供給が増加すればするほど米ドルに対する信認が低下するという、いわゆる流動性ジレンマの問題を内包しております。このように、金と米ドルによっては、今後、国際流動性の適正な供給を確保しがたいという問題が出てまいりました。
 この問題が初めて公に検討の対象としてとりあげられたのは、一九六三年十月の十カ国蔵相会議においてでありました。以後、四年の歳月をかけ、時にIMF理事会の協力を得て検討を続けた結果、一九六七年九月のIMF総会においてIMF内に特別引き出し権制度を創設することが決定されたのであります。
 特別引き出し権制度の概要を御説明いたしますと、特別引き出し権はIMFによって計画的に創出され、この制度に参加した加盟国に対し、それぞれのIMFの割り当て額、すなわち、IMFのクォータに比例して配分されます。特別引き出し権は、そのままの形で対外決済に用いられるものではなく、国際収支が悪化した場合には、いつでもこれと引きかえに、IMFの指定する他の国から必要な外貨を入手することができるというものであります。これに対応して、この制度に参加した国は、IMFから指定を受けたときは、いずれかの国から特別引き出し権を受け取り、これと引きかえにその国に交換可能通貨を提供する義務を負うこととなっております。この通貨提供義務は、IMFから配分を受けている特別引き出し権の額の二倍までとされております。なお、特別引き出し権は金価値保証が付せられているきわめて優良な資産であります。
 このように、特別引き出し権制度は、金や米ドルを補充する新しい準備資産を各国の共同の責任のもとに計画的につくり出していこうという制度であり、国際通貨制度における画期的な前進を意味するとともに、今後の世界の貿易及び経済の発展に大きく寄与するものと考えられます。また、特別引き出し権の配分を受け入れることは、そのままわが国の外貨準備の増強につながるものであり、今後におけるわが国経済の安定的成長にとってもきわめて益するところが大きいのであります。
 最後に、法律改正案についてでありますが、まず、政府がこの特別引き出し勘定に参加し得る旨の規定を設けております。
 次に、特別引き出し権が金や米ドル等の既存の準備資産と並ぶ資産であることにかんがみ、その配分の受け入れや取引等は外国為替資金特別会計において行なうことといたしております。
 さらに、特別引き出し権が金価値保証のついた優良な資産であることにかんがみ、一定の限度を設け、これを日本銀行に譲り渡すことができることといたしております。
 このほか、外国為替資金特別会計法につきまして所要の規定の整備を行なうことといたしております。
 以上でございます。
    ―――――――――――――
 次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして、これに関連いたしまして、国際開発協会が再度増資を行なうことが必要となりました事情及び今回の増資に参加することがわが国にどのような影響を及ぼすか等につき、私から簡単に補足説明申し上げます。
 まず、増資が必要となりました事情等について申し上げます。
 御承知のように、開発途上国の経済開発促進は、今日の世界経済における重要な課題の一つでありますが、これら諸国の国際収支事情等から、これら諸国が経済開発を進めていくためには、できるだけ寛大な条件で融資を受けることが必要であり、特に開発のおくれている国、国民所得水準が低い国についてはその必要性が大きいのであります。このため、国際開発協会の行なう融資に対する需要は年々増加し、すでに協会の保有する資金の大部分は遠からず貸し付けられる見通しとなりました。すなわち、協会が創立されてから昨年六月末に至るまでの間、協会が受領いたしました貸し付け可能資金の総額は、当初出資及び第一回増資等を含めまして、合計十七億九千五百万ドルとなっております。これに対し、同期間に協会が締結した貸し付け契約の総額は十七億八千八百万ドルに達したため、昨年六月末現在で協会が新規の貸し付けに使用し得る資金は七百万ドルを残すにすぎず、協会が今後とも円滑にその活動を継続していくためには、再度の増資による資金の追加がぜひとも必要となってきたのであります。
 なお、協会が持続的に活動することが強く要望されているにもかかわらず、このように資金が枯渇している事情にかんがみ、協会は、各出資国に対し、それぞれの国内手続を終了次第、すみやかに出資を実行してほしい旨を要請しており、すでにカナダ、西独、英国、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー及びフィンランドの諸国は出資を実行し、オーストリアも近く出資を行なうこととなっております。さらに、イタリア及びオランダも目下そのための国内手続を進めております。わが国といたしましても、協会の要請及びこれら関係国の動向にかんがみ、これらの諸国と同様の措置をとることも考慮しております。
 次に、今回の増資がわが国に対していかなる影響を及ぼすかという点につきまして簡単に説明をいたしたいと存じます。
 協会が行なっている貸し付けは、通常の貸し付けの条件よりも弾力的な、かつ、借り入れ国の国際収支に対する負担が軽い条件による貸し付けであります。この融資は主として開発途上国の道路、交通、かんがい、上下水道、電力等の基礎的資本の充実のために使用されており、開発途上国の経済開発を促進する上に大いに寄与しているのであります。このように開発途上国の経済開発が促進されることは、先進国と開発途上国との間の貿易の拡大をもたらし、これがひいては世界経済全体の繁栄にも資するものであり、わが国経済の持続的発展にとっても好ましい影響を与えるものと考えられます。
 なお、開発途上国が協会から受けた融資の大部分は国外からの物資役務の調達に充てられており、協会資金によって開発途上国がわが国から調達した額は、わが国の出資からの引き出し額の二倍をこえている状況であり、協会の活動がわが国の国際収支に寄与する結果となっているともいえましょう。
 以上御説明いたしましたように、協会の融資はわが国経済の発展に直接間接に資するものであることのほか、近年目ざましい経済発展を遂げ、世界有数の先進工業国となったわが国に対しましては、国際機関を通ずる開発途上国援助についても応分の協力を行なうことが強く期待されているのであり、また、かかる期待にこたえて増資に参加することが国際経済社会の場におけるわが国の発言力を一そう強めることになるものと考えられるのであります。
 最後に、今回の増資の内容に関する説明を若干補足いたしますと、増資の総額は一二億ドルであり、これを日本、米国、英国、西独等、関係十九分国で分担することとされております。また、払い込みは三回の分割払いで行なわれることになるのでありますが、全額を現金にかわる国庫債券で行なうことが認められております。以上簡単ではございますが、補足説明を終わらせていただきます。
#7
○委員長(丸茂重貞君) 両案の自後の審査は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時四十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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