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#1
第061回国会 大蔵委員会 第6号
昭和四十四年三月二十五日(火曜日)
   午前十時二十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十八日
    辞任         補欠選任
     久保  等君     横川 正市君
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     鬼丸 勝之君     柳田桃太郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         丸茂 重貞君
    理 事
                青田源太郎君
                岩動 道行君
                戸田 菊雄君
                多田 省吾君
                田渕 哲也君
    委 員
                青木 一男君
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                津島 文治君
                中山 太郎君
                西田 信一君
                藤田 正明君
                矢野  登君
                柳田桃太郎君
                木村禧八郎君
                田中寿美子君
                鈴木 一弘君
                渡辺  武君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       大蔵政務次官   沢田 一精君
       大蔵大臣官房審
       議官       細見  卓君
       大蔵省主計局次
       長        相沢 英之君
       大蔵省主税局長  吉國 二郎君
       大蔵省関税局長  武藤謙二郎君
       大蔵省理財局次
       長        谷川 寛三君
       大蔵省国際金融
       局長       村井 七郎君
       文部大臣官房会
       計課長      安養寺重夫君
       運輸省航空局長  手塚 良成君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       首都圏整備委員
       会事務局計画第
       一部長      永井  陽君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○租税条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び
 地方税法の特例等に関する法律案(内閣提出)
○国有財産特殊整理資金特別会計法及び国の庁舎
 等の使用調整等に関する特別措置法の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 送付、予備審査)
○通行税法の一部を改正する法律案(内閣送付、
 予備審査)
○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣送
 付、予備審査)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(丸茂重貞君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。去る三月十八日、久保等君が委員を辞任され、その補欠として横川正市君が選任されました。また、本日、鬼丸勝之君が委員を辞任され、その補欠として柳田桃太郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(丸茂重貞君) 租税条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律案及び国有財産特殊整理資金特別会計法及び国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○木村禧八郎君 まず、租税条約のほうについて質問いたしますけれども、提案理由によりますと、税制の簡素化に資するため、各条約ごとに制定されている特例法を統合するとともに、「今後締結する租税条約の実施に備えて、所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する所要の事項を一般的に定めること」としてこの法律案を提案した、こう述べているわけですが、そこで、一見すると、これは法律の整理統合に見受けられるのでありますが、しかし、それにもいろいろ問題があろうと思うのですけれども、私は、この実体面について伺いたいのです。
 実体面について質問する前に、提案理由の中でちょっとわからない点があるので、それを具体的に説明してもらいたいのは、いま十七カ国と租税条約を結んでおりますが、この提案理由の説明の中に、「従来から各租税条約ごとに所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律を制定してきており、その数はすでに十五に達しております。」と、これはどうい弔意味なんですか。
#5
○政府委員(細見卓君) 数が二つ違っておるじゃないかという御趣旨であろうかと思いますが……
#6
○木村禧八郎君 いや、そうじゃないのです。その十七カ国と租税条約を締結しているが、各条約ごとに所得税法、法人税法、地方税法の特例等に関する法律を制定しているその数が十五になっているという、その具体的な内容がわからないのですよ。十五というのは、どうして十五になるのか。
#7
○政府委員(細見卓君) お答え申し上げます。
 現在十七の国と租税条約を結んでおるわけでありますが、そのうちの十五の国につきましては租税条約の実施に関する特例法を制定願っておりまして、うち、二つの条約、具体的にはインド、セイロンでありますが、これにつきましてはそういう特例法が設けられておらないわけです。なぜこういう差ができたかと申し上げますと、いま申し上げました十五の条約につきましては、主として投資、あるいは利子等の、いわゆる広い意味での投資所得につきまして、相手国での課税の税率を何%以下というような形にしておるわけです。つまり何%ときめませんで、何%以下としておるものですから、それを国内法で実施するときには、具体的に何%で源泉徴収するというのが特例法として要るというわけでございます。そういうわけで、十五の条約につきましては、そういうふうに制限税率が何%以下となっておるものですから、国内で施行するためには、具体的に何%という税率を盛った特例法が要る、こういうわけでございます。
#8
○木村禧八郎君 残りの二つは。
#9
○政府委員(細見卓君) これにつきましては、そういう制限税率がないものでございますから、つまりそれぞれの国内法が、そういう投資所得についてはそのまま生きるものですから特例法は要らない、こういうわけでございます。むしろそれらの国につきましては、情報の交換でありますとか、どういう場合にその国に源泉がある所得として考えるかというようなことだけが規定されておる。したがって、特例法が要らないということです。
#10
○木村禧八郎君 それはセイロンとどこですか。
#11
○政府委員(細見卓君) セイロンとインドでございます。
#12
○木村禧八郎君 わかりました。
 では、次に、実体面について伺いたいのですが、この租税条約は、御承知のように、二重課税を回避する、それによって資本取引を円滑にして外資導入、これに資するということが実体面での一つの、何というのですか、効果として期待されていると思うのです。そうでしょう、ちょっとその点。
#13
○政府委員(細見卓君) おっしゃるとおり、物的、人的な、ただ物的なものに限りません、人的交流を含めまして、交流がひんぱんになれば相互に課税ができるというような事態、つまり具体的には二重課税が起こり得る、それをどうやって排除するのかということが条約の実体をなしていると思います。
#14
○木村禧八郎君 その場合に、どちらの国がどういうふうに課税するかということですね、それについて国際間の取りきめがあるわけでしょう。
 そこで、具体的に伺いますが、ちょうど租税条約についてここで税法上の整理をするというような趣旨で出されておりますが、この際、租税条約についてあまりいままで質問していないものですから、一応おさらいという意味、また、総括の意味もあって、利子とか配当利子、使用料ですね、まあ使用料というのはロイアルティーのことだと思うのですが、いわゆる利子配当、こういうものについて十七カ国と条約を結びますが、それはその背景としてどういうような外資の導入状況になっているのか、あるいは、また、日本からどういう向こうに資本を輸出しているのか、そういう関係と、それから、国内法では、たとえば配当について国内法を適用する場合には、二〇%の課税を特例として一〇%にするという、そういう特例があるわけですね。そういうような場合に、じゃ相手国はどうなのか。それで、たとえばアメリカとの関係については詳しくお話を聞きたいのですけれども、たとえば日本はうんとアメリカから外資を導入しておりますね、それから、アメリカに対しても、たとえば多少は投資はしていると思うのです。また、預金なんかもしておりますね。ことに外貨準備の多くの部分ですね、これに運用したりなんかしておりますね。しかし、アメリカからものすごく外資導入しているが、その場合のぼくは租税条約の取りきめいかんによっては、何か非常にこっちに不利で、向こうに有利であるというような点、こういうことが起こり得るのじゃないかと思うのですが、そこのところは具体的にどうなっているのか。今後またいろいろ問題があると思う。外資導入自体についても租税条約上どういう関係を持っているのか。最近の日本の資本蓄積のやり方を見ておりますと、かなり行き過ぎもあるようです。それから、非常に国際的に経済情勢が最近うんと変わってきておりますね。こういう激動期においていままでのような租税条約のあり方で一体いいのかどうか、実体面に即してその点をひとつ総合的にいままでの実績を踏まえて説明していただきたいのです。実体面がさっぱりわかっておらないものですから。
#15
○政府委員(細見卓君) 具体的には国際金融局からしかるべき専門家が来て説明したほうが適当かと思いますが、手元にございます六七年度におきまする日米の資本の収支の関係を申し上げてみますと、受け入れといたしまして、証券投資で二億三千万ドル、それから、債券といたしまして二十六億九千万ドル、ロイアルティーの支払い額が二百八十万ドルというような数字が手元にございます。
#16
○木村禧八郎君 ロイアルティーの支払いが二百八十万ドルですか。
#17
○政府委員(細見卓君) はい。
#18
○木村禧八郎君 億ぐらいに達するのじゃないの。
#19
○政府委員(細見卓君) 元本はおっしゃるように大きうございますが、年々の支払い額としては二百八十万ドル、六七年の数字でございます。
#20
○木村禧八郎君 何の支払いですか。
#21
○政府委員(細見卓君) ロイアルティーです。この以後にふえているかどうか、この点、国際金融局から後ほど参って御説明することにしたいと思いますが、いずれにいたしましても、手元にございます六七年の計数といたしましてはそういう数字になっておりまして、これに対しまして、日本からの投資と申しますか、投資のサイドで見ますと、証券で二億一千万ドル、それから、債券で九千二百万ドルと、こういうようなことになっております。そこで、租税条約を結ぶ場合に、一方的に資本流出国のほうに有利になるのではなかろうかという御観点からのお話かと思いますが、その点につきまして、免税額が具体的にどちらでより大きな金額になるかという意味では先生おっしゃるとおりかと思いますが、これを国内の、資本を受け入れる側にとりまして考えれば、やはり租税条約を結ぶことによりまして自己の負担が軽減され、日本では、御承知のように、租税の条約によってまあ二〇%の税額ということで徴収するわけでありますが、利子でありますと。源泉徴収税率は二〇%というのが本則でありますから、これによって徴収するわけでありますが、今後状況は変わるかもわかりませんが、少なくとも、従来までのところは、債務者のほうが結局その利子にかかる課税分まで含めて負担を余儀なくされるというような事態がございまして、特にロイアルティーなどにつきましては、そういうような税引き手取りというような感触も国際取引の間にあったやに聞いておりまして、そういう意味で、結局は日本側の負担を大きくすることになっておりますので、この源泉徴収の税率の違いが、即、わが国として失っておったものであるというふうには考えなくてもいいのではないかと、かように考えております。そういう意味で、また、相互に制限する過程で互恵の条約をつくっておる問に、最近の日米の間のように、経済関係も変わってくるとか、あるいは最近のそのほかのヨーロッパ諸国との間のように、経済関係が変わってくるというような場合になりますと、むしろ日本側のほうが有利になるというような事態も考えられないわけではございませんので、そういう意味で、租程条約は、いわば二国間の二重課税を排除する純粋な技術的な取りきめというふうに了解して、この条約によって、ある時期には一方が有利になり、ある時期には一方が不利になるというようなことも考えられないわけではございませんが、そういうことではなくて、相互の企業がお互いに相手の国に行った場合にどういう課税を受けるかということをはっきりさせることによって両国の経済関係が親密になると、税以外の分野におきましてのいろいろな力関係というようなものはまた別の角度できまる問題ではないかと、かように考えております。
#22
○木村禧八郎君 もう少し整理してお伺いしたいのです。
 まず、いまお話の米国から日本に入ってくる資本ですね、証券投資二億三千万ドル、債券二十六億九千万ドル、これは六七年現在においてですね。六七年度末現在の証券投資額、それから債券、それから、ロイアルティーが二百八十万ドルというのは。それで、このロイアルティーのこれですね、技術導入の元本はどのくらいなんですか。技術導入の支払いはこんなものじゃないですよ。
#23
○政府委員(細見卓君) その点につきまして専門家じゃないものですから、手元にある資料でその点確認できませんので、いま至急省のほうに問い合わせさせておりますので、後ほどこの点についてはもう少し具体的なお話ができるかと思います。
#24
○木村禧八郎君 それにしても、われわれしろうとが常識的に考えても、ロイアルティーの二百八十万ドルというのはナンセンスですよ。大体億ぐらいこえているのじゃないですか、ロイアルティーは。だってそうですよ、技術導入は相当高いですよ。大体二〇%から三〇%ぐらいですね、ロイアルティーは相当高いですよ。二百八十万ドルなんていうのは非常識で、小学校の生徒だって――まあそれはあとに伺うことにしまして、それでじゃ今度はこの配当、利子、あるいはこの使用料について、いま現実には日本側で課税するわけですか。
#25
○政府委員(細見卓君) 利子なり配当なりを日本側の法人が支払います場合には、それは日本で課税され、日本側が、日本の企業なり個人なりが、アメリカの企業からなり、あるいは金融機関から受け取ります場合にはアメリカ側で課税する。相互に支払い地の支払う企業の存在する国で課税いたしております。
#26
○木村禧八郎君 そういたしますと、租税条約によってアメリカの日本に対する投資の果実ですね、配当、利子、使用料等について、いま国内法では二〇%、特例法によって一〇%。そうすると、日本の場合はどうなるのですか、アメリカ側ではどうなるのですか。アメリカの国内法は何%で、特例法は何%ですか。
#27
○政府委員(細見卓君) アメリカ側は源泉が三〇%で、特例は日本と同じように一〇%でございます。
#28
○木村禧八郎君 特例は……。
#29
○政府委員(細見卓君) 同じ相互主義で、利子につきましては一〇%、配当であれば、それはもちろん一五%に変わります。
#30
○木村禧八郎君 アメリカの場合、利子、配当ともにアメリカ国内法は三〇%ですか、利子、配当ともに。
#31
○政府委員(細見卓君) アメリカの源泉徴収税率は三〇%で、日本のアメリカと結んでおります租税条約は、御案内のように、利子は一〇%、配当は一五%、ロイアルティーが一〇%という形になっておりまして、この税率は相互に同じ税率でございます。
#32
○木村禧八郎君 そうすると、日本では国内法は二〇%ですか、全部。
#33
○政府委員(細見卓君) 国内源泉税率は二〇%でございます。
#34
○木村禧八郎君 それで、この租税条約によって、アメリカで日本の法人が得られる配当、利子、使用料、それはさっきお話があったように、利子が一〇%、配当一五%、ロイアルティーが一〇%ですか、それは日本の国内でも同じということですね。共通ですね。
#35
○政府委員(細見卓君) 両方共通でございます。
#36
○木村禧八郎君 そこで、日本はアメリカから、お話にならぬほど、日本の対米投資と比べて、非常に大きな外資を入れているわけですよね。そうすると、この免税による金額ですね、これは日本の場合はどのくらいになり、アメリカの場合どのくらいになるか、これは大体計算わかりますか、ラフで。
#37
○政府委員(細見卓君) いま計算をいたしますが、先ほどお話を申し上げましたように、本来の源泉税率と、特例によります源泉税率との差額がメリットだという意味で計算をいたせば、相互の投資関係は、日本のほうが明らかに受け入れ国でありますから、その意味においてはアメリカが有利になることは、日米だけをとれば当然であろうかと思っております。いま計算はいたしております。
#38
○木村禧八郎君 そうしますと、これは国税、地方税を通じまして、それでこういう国内法と特例法との差額ですね、これが減収になるわけですね、一応減収になる。その減収額が、債務国の日本は、債権国のアメリカと比べてすごくまた大きいと思うのですよ、全体が。それによるマイナスですね、マイナスと、それからアメリカから外資を導入することによって日本にこのメリットがある、プラス、そういうことを比較考慮して、そうしてこれは日本の経済を発展させるための、高度成長のためにこれはプラスである、そういうふうにお考えになっておるのですか。
#39
○政府委員(細見卓君) いまのように、少なくとも日米の租税条約は非常に早くできておるわけでありますが、当時の日本の外資受け入れの状態からして、この租税条約も、その意味で日米の租税関係が安定したという意味で、外資受け入れ上有効な措置であったと考えております。
#40
○木村禧八郎君 この租税条約は、いまアメリカについてこれを伺ったのですが、アメリカ以外の国々との間ではどうなっておるのか、たとえばイギリス、ドイツ、フランス、北欧ですね、ベネルックス三国、北欧三国、EEC諸国もありますし、パキスタン、インド、十七国ですか、よその国との関係はどうなるのですかね。
#41
○政府委員(細見卓君) 大体ヨーロッパ諸国との条約は、ほぼ、いま申し上げました投資所得につきまして、利子一〇%、配当は一五%で、特に親子会社との間の配当は一〇%、それからロイアルティーは一〇%というのを投資所得の基本的な制限税率といたしまして、そのほか短期滞在者の相互課税の問題とか、あるいは学者とか学生の交換の問題でありますとか、それから演芸関係の芸能者の課税のために必要なことを定めまして、その間、租税技術としては、どちらに源泉のある所得として考えるかというようなことについて、恒久的施設の概念でありますとか、相互の源泉配分の概念でありますとか、そういうようなものを内容にいたしまして、大体EEC並びにEFTA諸国と申しますか、そういう国と同じ型の条約を結びまして、ヨーロッパでは、いま申しました中で、スイスとかオランダという国はまだ締結されておりませんが、それ以外の国々とは大体締結を見、最近では、むしろ東南アジアの国々との租税条約締結交渉のほうに重点が置かれまして、東南アジアにおきましても、おもな国と妥結ないし交渉中であるというのが現状でございます。
#42
○木村禧八郎君 そのスイス、オランダというのはどうしてできていませんか。
#43
○政府委員(細見卓君) スイスについて申しますと、ロイアルティーの日本におきます課税をゼロにしろというようなことを言っておるわけであります。これはスイスとの間にロイアルティーが明らかに一方的に受け入れの状態にございますから、これはやはりOECDでモデル条約ができておるわけで、モデル条約まではつき合うが、それ以上はやはり困るということで断わっておるわけでございます。
 それから、オランダとの間にも、やはり投資所得につきまして具体的な制限税率が折り合わないということで、いまなお締結は見ておりませんが、日本側の条約に関する方針というようなものも、これら多数国の条約によりましておおむね理解を得たと思いますので、相当近い将来にこれらの国との条約も、先ほど申し上げました十七カ国とほぼパターンを同じにした条約ができるのではないか、そういうことを考えまして、ただいま御提案申し上げておりまする統一的な実施に関する法律の御審議をお願いしておるわけでございます。
#44
○木村禧八郎君 東南アジアとの租税条約は、いままでの先進資本主義国の租税条約とは趣きが違うんじゃないかと思うのですけれども、どういう方針で租税条約を結んでおり、また、今後結んでいこうとしているか。たとえば韓国、台湾、フィリピン、それから東南アジア、そういうところの租税条約というのは一体どういう意味を持っているのか、それから東南アジアとの租税条約は具体面でどういう意味を持っているのか。たとえば向こうのほうに日本の資本が入りいいような形でやるのか、まさか向こうからこっちへ資本が入ってくるというような場合はないと思うのですよ。だから、アメリカの場合なんかと逆だと思うのです。日本の資本輸出を優位ならしめる形にするのではないかと思うのですけれども、その点はどうなんですか。
#45
○政府委員(細見卓君) 誤解がないように申し上げておきたいと思いますが、日米は私どもは対等な条約で相互に同じ率をきめ合っている。ただ、経済の交流関係がまだ資本受け入れ国であり、あるいは資金の受け入れ国であったという時代には一方的にやや働いたきらいがございますが、先ほどの計数から申し上げますと、日本側の軽減額、これは非常に荒い数字でございますが、七十億円前後じゃなかろうか、それに対してアメリカ側で三十億円前後だろうかというような一応の計算をいたしております。なお、この点については、後ほどいま少し精査いたしまして御報告申し上げたいと思いますが、そういうことにはなっておりますが、私どもは、これは対等の条約であろうと考えております。ただ、東南アジアの国との問題でございますと、それぞれの国におきましてまだ税制が必ずしも確立されておらない、税法の上におきましても、また、執行の上におきましても必ずしも確立されておらないというようなことから、われわれ日本側の企業、あるいは日本人から見ればやや不当だと思われるような課税も間々起こる事例があったわけでございますので、そういう点につきまして、日本側の企業がそれらの国へ出ていきます場合に、やはり課税関係はしかじかになるということをわからせるような意味で、相互の課税関係を条約によって明らかにしていくというのが一つで、そういう意味では、外国にむしろこちらから、東南アジア諸国にはこちらの資本なり技術なりが出ていきやすい、ロイアルティー、あるいは資本として出ていきやすい形に、その場合には、必ずしも税額を軽減させるということに重点を置くと申しますよりは、課税関係が条約によって安定するということを第一義にして、なお、でき得ればそれは安いほうがいいというような形で交渉を進めたい、かように考えております。
#46
○木村禧八郎君 その場合、もっと高い立場から、特に今後の東南アジアのベトナム戦争が終わって、ポストベトナムにいわゆる日本の企業の、何というのですか、進出といいますか、そういうことが予想されるわけですが、それはよほどもっと総合的な立場で考えませんと、ただ租税条約によって日本の企業が向こうに行きやすいというような形だけで考えていきますと、たとえば向こうに日本の企業が進出して、向こうの低賃金を利用して、それで工場で安いものをつくって日本に逆にまた持ってくるなんというようなことは、日本の中小企業はそれで打撃を受けるということもあり得ないとも限りませんよ。ですから、ただ租税条約これだけ見ると何でもないように思うんですけれども、何か資本の交流を多くし、そして租税条約によって経済交流を円滑にするとここでは抽象的に書いてありますけれども、もっと高い総合的な今後の日本経済の立場から考えて、いろいろ、ことに東南アジアとの租税条約は進めるというようなことを言っておりましたけれども、そういうような点の考慮も当然私は必要じゃないかと思うんです。
#47
○政府委員(細見卓君) どういう形で東南アジアとの間に経済の交流なり、あるいは経済の援助なりをいたしていくかということにつきましては、もちろん高度の判断を必要とすることでありますが、私どもがここで取り上げております租税条約は、そういう高度の判断、あるいは国全体としての政策に合致するものとして、進出した企業なり資本なり技術なりがどういう課税を受けるかということを明らかにするようにしたいというのが念願でございまして、租税条約はその意味でわき役でありまして、これが何と申しますか、資本投資の誘導役の大きな役割りを占めておるとは思いますが、これが主たるものであるとは考えておりません。
#48
○木村禧八郎君 それは主役とはわれわれも考えておりませんけれども、わき役であることは、やはり影響があるんですから、特にその点、業者側からずいぶん要望も出てくるでしょう。今後やっぱりそういう点も考慮に入れなきゃならないと思うのですが、いままで租税条約についてはほとんど論議されておりませんので、この際、やはりそういうことも含めて、全体の立場からやっぱりこれは検討しなきゃならぬと私は思って質問しているんですがね。
 それから、先ほどのロイアルティーはわかりましたか。
#49
○政府委員(細見卓君) 先ほど申し上げましたのは、非常に恐縮なんでありますが、件数でございまして、払い額は二千万ドルでございます。たいへん失礼いたしました。
#50
○木村禧八郎君 これでも何か少ないような気がするね。さっきの七十億円程度、非常にラフな計算といいましたが、それはロイアルティーを二千万ドルとして計算したものですか。
#51
○政府委員(細見卓君) そのとおりでございます。
#52
○木村禧八郎君 だって、いまの数字は……。
#53
○政府委員(細見卓君) これを入れまして計算して七十億の数字をお話し申し上げたわけであります。
#54
○木村禧八郎君 そうですが。それにしても、金額としてだいぶ差がございますし、これはまあ過去において日本がアメリカとの関係において非常な債務国であった、そういうことが反映していると思いますけれども、しかし、これを見ても、これは国税、地方税それだけ減収になるわけなんですから、金額から言えば対等でありませんよね。それは率から言えば対等ですよ。しかし、そんなことは小学生の算術でね、単純平均で率が同じですから公平ですなんていうのは。うんと向こうから借金をしていて、借金のほうの、もし向こうが受け取る配当なり利子に対して国内法をそのまま適用すれば非常な増収になるわけなんです、こっちもね。それをまあこういうふうにアメリカの場合三十億円というのは、少し何か多いように思うのですけれども、とにかく非常に差があるということは、これは実体はわかりました。
 それから、OECDですね、この際お聞きしますが、OECD――ヨーロッパに対してはアメリカの資本投資が非常に多いわけですね。さっきOECDのモデル的な租税条約のパターンがあると言われましたが、それはどうなんですか。アメリカとの関係なんかではどうなっているのですか。
#55
○政府委員(細見卓君) OECDのモデル条約は、大体ヨーロッパとアメリカとの間にもほぼそのままの形で実施されております。私、OECD条約につきまして若干アローアンスがある点についていままで申し上げておりませんでしたが、OECD条約のロイアルティーにつきましては、実はモデル条約としてはゼロにしろということを言っておるわけで、アメリカとヨーロッパ諸国との間の条約などにはゼロになっておるものがございます。
 それから、なお、親子間配当につきましては、日本は一〇%にいたしておりますが、これを一〇%以下の税率にしておるのが、OECD条約のいわば勧告になっておる五%程度のものがむしろ多いかと思います。
#56
○木村禧八郎君 そうしますと、大体今後の方向ですね、日本の。OECDをモデルとして言うとということですから、そうするとロイアルティーなんか今後ゼロにしていくとか、そうすれば今度はスイスとの条約を結べますね、ゼロにすればね。それから、配当でも、親子関係ですか、このほうですか、一〇%というのは。それを五%にする。すぐにそうはしなくても、そういう方向でやはりいくわけですか、OECDをモデルとして。
#57
○政府委員(細見卓君) 先ほど木村先生とのお話の問にも出ましたように、資本的経済的先進国と、そうでない資本受け入れ的、あるいは後進的な国との間の租税条約に対する考え方、たとえばわれわれがロイアルティーにつきましては、少なくとも、いままでは一方的に受け入れ国であったというようなことを考えまして一〇%にいたしております。そういうような考え方は後進国の間にもございまして、別途このOECDのほかに、国連におきまして経済開発委員会と申しますか、エコソクと俗に申しておりますが、これにおきまして先進国と後進国と双方から代表が出合って、後進国の要求にもかなった新しい先進国、後進国間のモデル条約をつくってみようじゃないかというような動きも出ておるわけでありますので、われわれといたしましては、資本に関して申す限り、あるいは技術に関して申す限り、なお受け入れ国でございますので、いまの親子会社間の配当とか、あるいはロイアルティーの問題などにつきましては、今後の外資に対する政策いかんと密接に関係いたしておりますから、軽々にOECDのモデルに何から何まで従うというようなことを考えておりませんので、もっとそれこそ広い立場で総合的に判断すべき事柄であろうと考えておりまして、当分はいまの形で、ポリシーでまいりたいと、かように考えております。
#58
○木村禧八郎君 この租税条約、二重課税を避けるという方法を通じて外資を受け入れやすいようにする、また、あるいは日本からのいろいろの企業の海外への発展ですね、それをやりいいようにするというようなことがやはり期待されているようですけれども、ことに最近の日本の資本投資ですね、国内における。これが異常な高さになっているのですよね。これは大蔵省はこの間財政制度審議会で説明しましたね。ぼくも驚いたのですよ、あれで。実質ベースで四十三年度が二二、三%というのでしょう、民間設備投資で。それから、四十四年度も二二、三%というのでしょう。二十九年は一〇・九ですから、その倍以上、昭和三十六年の二二・四に匹敵する。それで今後のかげり論の一つの論拠にしたようですけれども、しかし、私は、いままで経済社会発展計画と、それから実績ですね、そういう実績と比較してもあまりに違い過ぎるのですね。こういう点についてもあらゆる政策が――租税条約もぼくはその一つと思っているのですけれども、それでぼくは注目はしているのですが、ほとんど資本蓄積を促進するためにのみ、ほとんどそれに重点が置かれていると思うのですよ。あとで出てくるあらゆる租税特別措置がそうでしょう。たとえば資本蓄積のための優遇措置、あるいは固定資産の耐用年数の短縮なんか、いわゆる特別償却、ものすごいものですよね、これは。それは技術革新で設備の近代化がどんどん進むから、ある程度耐用年数を短縮しなければならぬかもしれませんけれども、最近の短縮状況を見ますと、ものすごく資本蓄積を急速に推進するような面が非常に強いのですよ。そういうあらゆる政策ですよ。もう文教政策だってそうなっていると思うのですよ。産学一体だとかなんとか、みんなそうですよ、文教政策までが。やっぱりそういう一環として租税条約というものをぼくは考えたのですね。ですから、そういうものと切り離して考えることができないのであって、全体の日本の資本蓄積ですね、特に民間の設備拡張の問題、そういうものと関連してやはり位置づけて考えていかなければならないのじゃないか。そういう面が一つと、もう一つは後進国ですね、後進国と言っちゃいけない、発展途上国ですか、レベルアップ・カントリーですね、発展途上国に企業が進出する場合、これはやはりよほど日本の企業との関係を考慮しながらやりませんと、受け入れ国のほうでは資本がほしいですからいろいろの優遇措置を講ずるでしょう、なるべく入りやすいように。それをいいことにして租税条約を結んでどんどん日本の企業が進出する、しかし、向こうは低賃金を利用して、逆に安いものを日本に輸出するということになると、今後私はものすごい設備過剰、生産過剰、そういう状況があらわれる形勢がかなりあると思う。最近では昭和四十六、七年過剰生産恐慌説というものが出て、いわゆるかげり論がいわれておりますけれども、そういう状況と判断しまして、私は、この租税条約というものを、この際、やはり過去のずっと実績をよく点検してみて、メリットとデメリットをよく検討をして対処する必要があるのじゃないかと思う。法律上のこういうこともさることながら、私は、そういう実体面における総括的な再検討というものが必要じゃないかと思う。さっきのような、これはまあ突然質問したので正確じゃなかったから無理もないと思いますが、しかし、これについてあとで資料を出していただきたいのです。それで、できたら、アメリカと日本だけでなく、ほかの国との、十七カ国全部というのはあれでしょうけれども、とにかく日本の資本の向こうへの投資、向こうから入るもの、資本の交流関係と、それによるお互いの減収額、そういう毛のをわかったら資料として出していただきたい。
#59
○政府委員(細見卓君) いまの資料の点は、私どものほうでつとめて勉強いたしまして御期待に沿いたいと思いますが、先生おわかりのように、向こう側で一体どれだけまかっておるかというのは、かなり推定を入れざるを得ないということは御了承おき願いたいと思います。と申しますのは、税率を一応各企業ごとにわかる範囲のものは聞きますが、幾らの税率が幾らになっているか、具体的に幾らまかっているか、利子率が幾らになっているかなどにつきまして、若干推定が入るということはあらかじめ御了承おき願いたいと思います。
 それから、いまの蓄積との関係で、これだけはぜひ申し上げておきたいと思いますのは、日本の企業に対しましては、日本の税法は、それがどこで事業活動をいたしておりましても、すべて包括して課税するわけです。ですから、租税条約を結びますことによってその税金を安くするというようなことにはならないわけで、この租税条約を結ぶことによって具体的にどういうメリットがあるかと申しますと、相手の国で非常に大きな税をかけられますと、日本でそれを税額控除するシステムになっておりますが、それが引きされないというような事態が起こるわけです。そういうものを配慮するのが目的でございまして、日本の企業につきましては、あくまでもそれこそグローバルに全体の所得を課税所得として把握いたしておりまして、そのうち、外国でどれだけの税金がかかったからその税額を控除するというシステムでございますので、日本の企業に関する限り、これによって税をまけておるということはございません。また、相手方についても、先進国の税制であれば、ほぼ同じような税額控除方式をとっておる限り、特別なことはないのではないかと承知いたしておるわけでございます。
#60
○木村禧八郎君 それでは、さっきの資料についてはどうですか、資料の提出につきましては。
#61
○政府委員(細見卓君) 資料の提出につきましては、でき得る限り勉強いたしまして提出いたしたいと思います。
#62
○木村禧八郎君 外国の法人が日本で課税される場合には、もうグローバルでしょう。それで、その中で租税条約分についてはいまの特例の税率を適用するということでしょう。そうですね。
#63
○政府委員(細見卓君) そういうふうに特例の税率にいたしますことによって、本国の税額よりも、外でかかっておる同一所得に日本なら日本でかける税額が高くならないようにしておくというのが基本的な考え方でございます。
#64
○木村禧八郎君 それでは、資料はあとで提出いただきまして、この租税条約についての質問はここで終わりますが、国有財産のほうを一つだけ伺っておきます。
 それは、この法案ですね、国有財産のいままでの処理について、特定庁舎等特殊整備計画を改め、いままでは特定庁舎等特殊整備計画によって行なっておったが、今度は特定国有財産整備計画を定めて、この計画に基づいてこの施設の取得及び処分に関する経理のすべてをこの会計でやるということになっておるわけであります。そこで、この特定国有財産整備計画なんですが、整備計画として具体的にどういうことが予定されているか。今度は前よりは守備範囲が相当広くなるわけでしょう。今度は具体的にどういうものどういうものというのが今後予定されておるかということを伺っておきたい。
#65
○政府委員(谷川寛三君) 具体的にその金額等につきましては、各年度の全体のバランスの中において決定しなければならぬと思いますので、ただいま申し上げることができませんですが、私どもといたしましては、基本的にはあの法律に書いてあります範囲で、できるだけ広く各省の必要性も判断いたしましてこの計画に取り込んでやっていきたいと思っております。そこで、どういう範囲のものかをあらまし申し上げますと、従来、庁舎の合同立体化をやっておりまして、これはもちろん入ってまいります。それから、再配置でございます。これは非常に広くなりまして、従来は住宅適地にありました役所の施設を他に移すという再配置でございましたけれども、今度は、もうとにかく位置とか規模とかその他の状況から判断いたしまして、他に転用したほうが国民のためになるということで配置の判断をいたしますので、非常に範囲が広くなる、その配置、再配置の二つに分けて申しますと、合同庁舎の関係は、ただいま相当整理が進んでおりまして、中央官庁につきましてはほぼ終わったかと思っておりますが、地方の出先、これも第一官庁は終わりまして、第二次的な出先が残っておりますが、百二十三件ばかりただいま立体化しなければならぬ庁舎が残っております。その中からこれから拾ってまいるわけでございますが、あと地の処分ができるものを対象に取り込みます。まずこれが一つであります。
 それから、再配置につきましては、刑務所の関係と、それから、従来大きなものは刑務所でございましたが、その刑務所の関係とその他の再配置に分ける。
 それから、さらに今度は大きな問題になってまいります研究学園都市の問題があります。刑務所の関係で申しますと、ただいま、これは御案内のとおり、非常に古い建物が多うございまして、明治の建物とか、もう移転をしなければならぬ、それから、また、当該市等からよそへ移ってほしいという要請があるものが三十八カ所ございます。このうちから、さらにあと地処分ができるものを見まして、処分収入を期待し得るものは見込んで取り込んでまいりたい。
 それから、その他の再配置でございますが、これは大体従来いわゆる建築交換、今後私どもはこれを原則としてやめてまいりたいと思っておりますが、建築交換の方式でやっておりましたものがこれに当たると思いますが、年平均二十億くらいの規模でやっておりますが、今後もこの程度のものを、従来建築交換でやっておりましたものを大体この程度の規模でこの計画に取り込んでいくことが考えられると思っております。
 最後に、研究学園都市でございますが、これは御案内のとおり、筑波山麓に移ることが予定されておりますものが三十六官署ございますが、そのうち、特別会計に所属しておるものは、これは今度の法律で、たとえば文部省特別会計とかいったものがございますが、これは今度の法律で除外されておりますので、それから、また、新しい建物で他の官庁に宿借りしているといったものが、あと地処分の期待ができませんので、三十六のうちからそれを除きますと、二十五官署が一般会計でございます。その中から、さらにあと地処分の可能なものを拾い出しまして計画にのせていく、たいへんどうも具体的にどの程度の面積でどの程度の金額になるということを申し上げられませんので申しわけございませんが、今後整備計画の対象になってまいりますものは、おおむねその範囲から選ぶとか、私どもは冒頭に申し上げましたように、財政のバランスを失しない限り、できるだけ各年度幅広く計画を組んでいきたいというふうに考えております。
#66
○木村禧八郎君 この具体的なものは、たとえば王子病院の移転の問題とか、そういうものとか、あるいは何か飛行場の整備の問題とか、いろいろあるんでしょう、いろいろな計画が。そういうものを具体的に伺いたいわけです。
#67
○政府委員(相沢英之君) この特別会計の四十四年度の歳出において予定しておりますところの工事の総額は七十四億五千百万円でございます。そのうち、大きなものを申し上げますと、防衛施設庁の王子病院、これが九億六千四百万円、それから、従来の建築交換にかかわる分といたしまして、高根沢の新御料牧場、これは宮内庁の関係でございますが、これが二十二億円ちょうどです。それから、刑務所関係で大きなのがございまして、川越の少年刑務所が十億二千万円、岡山の刑務所が四億八千四百万円等ございまして、建築交換関係が総額で四十八億六千五百万円、それから、鹿児島の十三塚原に鴨池空港にかえまして新空港をつくることにいたしておりますが、この関係が十億円ちょうど。ほかに、従来の特定調査等整備計画に基づきますところの大阪港湾合同庁舎、これが五億七千五百万円、以上に事務費等を含めまして、先ほど申し上げました工事費の総額七十四億五千百万円ということになっております。
#68
○木村禧八郎君 この中で、この整備特別会計創設によって、従来一般会計でまかなったものを特別会計に移すわけで、それはどのくらいになるんですか。
#69
○政府委員(相沢英之君) 御案内のとおり、この特別会計は、従来、資金会計でございました財源を一般会計に入れるだけの歳出になっておりました。したがいまして、ただいま申し上げました七十四億五千百万円の総額が、従来ならば一般会計で処理することになっております総額をこの特別会計に移したことになります。
#70
○木村禧八郎君 そうしますと、こまかい計算ですけれども、前年度予算と正確に比較する場合、そのときはこの七十四億は、これは前年度と同じにすれば、加えて計算して比較すべきじゃないか。そうすると若干また前年度に対する増加率が少しふえる、こういう計算をすべきじゃないかと思うのですが、たとえば四十四年度予算の伸び率は一五・八%になっているでしょう。しかし、いまのこの操作――操作というと変ですけれども、この特別会計が新しくできますと、七十四億分はこれは加えて、それから前年度のあれは引いて計算しなければならぬ、そういうことになりませんか。
#71
○政府委員(相沢英之君) その点は先生御指摘のとおりでございまして、七十四億と申しますと、約〇・一%強になると思います。一般会計の予算総額の持ち込みが六兆七千億でございますから、ですから〇・一%ですね、対前年の実質比較では。伸び率は上がることになります。
#72
○木村禧八郎君 これでぼくはけっこうです。
#73
○多田省吾君 まず、租税条約のほうで質問したいと思います。
 この特例法案によりますと、先ほどからの説明を聞いておりまして、重複する点はなるべく避けたいと思いますが、いま租税条約は十七カ国と結んでいるわけですね。ところが、インドとセイロンは特例法を必要としないということですが、その辺の事情と、それから、あと十カ国ほどと新たな特例法を結ぶための準備をしているというように聞いておりますけれども、その国々の名前をちょっとお知らせください。
#74
○政府委員(細見卓君) 先ほどもごく簡単には申し上げたのでありますけれども、現在十七の国と租税条約を結びまして、それを実施するために、十五の実施のための所得税法、あるいは地方税法の特例法を御審議願ってまいったわけでありますが、このインド、セイロンにつきまして特例法が要らなかったのは、そのほかの十五の条約につきましては、利子とか配当とか、あるいはロイアルティーとか、あるいはそのほかの一部の譲渡所得といったようなものにつきましていろいろ制限税率を定め、その税率につきましても、条約におきましては、利子でありますと一〇%以下、配当でありますと一五%以下というふうに、以下で課税する、以上の課税は相互にいたしませんというような形の条約でありますので、具体的に、たとえば、アメリカならアメリカ、イギリスならイギリスに対します配当あるいは利子を支払うときに何%の税率できめるかということについては、これは別に国内法として何%の税率であるという法律が要りますし、また、ものによりましては申告等が必要なものがございます。そういうものにつきましては申告の手続等を規定するというようなことが要るわけでありますが、インドとセイロンとの条約につきましては、そういう税率にわたるところがなくて、むしろ相互に課税関係の協力とか、あるいはどういう所得は国内にある源泉所得として課税権をお互いに条約で定め合うというような形であるものですから、条約そのものでそれぞれの国に適用できるというわけで、この二つの条約につきましては、いまのところ特例法を設けておらないわけであります。
 それから、今後どんな国と条約を結ぶかということでございますが、いまいたしておりますのは韓国、フィリピン、これが東南アジアの国でありますが、さらにヨーロッパではスイス、オランダというような国を考えております。それから、また、南米につきましては、すでにブラジルとの間に条約ができておるわけでありますが、ブラジルと並んでわが国と経済関係の深いアルゼンチン等についても条約を考えております。そのほかイランでありますとかインドネシアでありますとかいうような国につきましても、時期が熟するのを待って漸次交渉を進めていく。こういう経済関係が、人的に、あるいは物的に交流のあるこういう国については、つとめて条約を締結することによって課税関係を明らかにして企業の進出なり企業の受け入れなりをいたしたいと、かように考えておるわけであります。
#75
○多田省吾君 二重課税の排除方式に、アメリカのように税額控除をする場合と、それから、スウェーデンのように、通常所得に対しては免除ですか、それから、投資所得に対しては全額控除と、二つの場合があるんですが、これはどういうわけでこういうようになったんですか。
#76
○政府委員(細見卓君) 一つのある企業が外国で活躍いたします場合に、それぞれの国でその企業については全面的な課税権を持つわけです。いわばグローバルな所得に対して課税権を持つわけでありますが、一方、属人的でなくて、属地的に自分の領土において企業活動が行なわれます場合に、そこに生じた所得について、また属地的に課税権というものが生ずるわけであります。それをどういうふうに調整するかというのが、いまおっしゃいました二つの方法で、属地的に、つまり自分の国の領土で行なわれた所得については、その領土主権の国だけが課税して、相手の国は事業所得について課税しないというのがいまの税額控除以外のいわば免除方式でありますが、わが国の場合は、やはり日本の企業は、それがヨーロッパであり、東南アジアでありましても、そこで生じた所得は日本の企業として、いわば一万円は同じ一万円として考えて課税するのがよくて、ただ、具体的に外国でも課税を受けておりますから、外国で事業活動することが特に重い負担にならないように税額控除をしておるわけです。このほうがいわば税の公平の理論という意味からは適当であろうかと思います。と申しますのは、国によりまして税率、税負担がかなり違いますので、ある国などが非常に恣意的に法人税のようなものを下げるというようなことになりますと、いろいろ国際的にもめんどうな問題が起こりますので、私どもは、いまの日本のように、どこで事業活動をしても同じように税をとるというのがいいのではないかと考えております。
#77
○多田省吾君 それから、二重課税回避のためには、当然二重居住者をなくするとかいうような問題も考えなくちゃいけないわけでございますが、まず現在では二重居住者が起こっている。これはどちらかの一方の居住者になるように各国間で調整することはできないのか。それから、所得の源泉のきめ方ですね、これは結局収益がどの国に生まれたかによって源泉地の決定がなされるんでしょうけれども、また複雑なきめ方もあるようでございますが、その点はどのようになっておるんですか。
#78
○政府委員(細見卓君) 二重国籍の問題は、御承知のように、一年間に双方に居住したという場合に生ずるわけで、その場合に何をもってルールとするかと申しますと、多くの場合、半年で切りまして、半年以上おったほうをいわば居住地国とするのが多くの場合は例になっております。ただ、ヨーロッパ諸国のように、非常に国境が入り組んでおり、また、民族的にも入り組んでおるような国につきましては、いろいろそうしたものだけでもきめられないときに、居住の意思を持っておったとか、あるいは生活の本拠がどうであるとかいうような、いろいろな、あるいはナショナリティというようなものまでとり出してきめるというようなことを考えておりますが、幸い、日本の場合は、そう二重国籍になるような事例の国と、少なくとも、いままでのところ条約を結んでおりませんので、そうした二重国籍的になった場合には両国の間で協議して、いずれかの国の課税とするというふうな、両国間の協議ということで二重国籍の排除を考えております。
 それから、いま一つ、源泉地の規定につきましては、これはお互いの国が自国の中に発生した所得であると申しましても、御承知のように、商活動とか、あるいは事業活動というものは一貫しておりまして、具体的には支店の活動をどれだけ支店固有の業務として考えるかということについて、やはり二国間である程度の話し合いのついた状態でありませんと、たとえば支店が本店から品物を送られて、それを売ったという場合に、本店国のほうでは、それはもう本店の業務をただ取り次いだだけだというようなことで、それは本店の所得であるとする。一方、支店の所在国のほうでは、いや、自分の国で売ったんだから、これは全く自国の中で発生した所得だというようなことで紛議も起こりますので、そうしたものにつきまして、OECDモデル条約が大体長い間かかりまして、相互にそうした所得の源泉を区分する上で有用な基準になっておりますので、そうしたものを選び、また、そうした事業所得は、恒久的施設のあるものに限って総合して課税する、それに帰属する所得に限って課税するというような考え方が漸次一般化しており、日本の国もそういう方向にその点については行っておるわけでございます。
#79
○多田省吾君 最近、韓国とかビルマ、インドネシア、こういった東南アジア諸国の日本の商社がだいぶ活躍しておりますけれども、不当に重い税金をかけられて、あるいは現地の法律に違反しているというようなことで捜索を受けたり、いろいろ商業活動が麻痺しているような状況もございます。これは商社の過当競争なんかの理由もありましょうけれども、こういったことについて各国間との外交交渉というものはどのように行なわれているか、これをお聞きしたい。
#80
○政府委員(細見卓君) 非常に具体的なことにつきましては、目下外交的な折衝の過程にもございますので、言うのをはばからしでいただきたいと思いますが、インドネシアにおきましても商社の課税の問題が起こっておりまして、ただ、このことにつきましては、現在のようにインドネシアの国がその主権に基づいて徴税を行なうということについて租税当局として申し上げることはできなくて、むしろそれは外交官による居留民保護という形でお願いする筋であろうと思っております。そういう意味で、インドネシアにおきましても、早く税制あるいは税務行政が確立いたしまして、われわれと課税のルール、行政の慣習というようなものにつきまして話し合えるようになりたいと思っております。また、フィリピンにつきましてもほぼ同様な問題がございましたが、これにつきましては、むしろ租税条約を結ぼうというような機運にございまして、過去三回ほど条約の交渉をいたしておりますが、フィリピン側のいわれるような、自国に非常に多くの課税範囲を取り込もうということにつきましては、他国に類例を見ない形の条約となりますので、われわれとしては、やはり租税条約は、先ほども申しましたように、それ自体としては直接どちらの国に有利とか不利とかいうことじゃなくて、純粋に税法技術的に考えて、執行の容易な、いわば交通信号というようなものとして結んでまいりたいと考えておりますので、そういう意味ではいまなお交渉中でございます。フィリピンとの間はさような次第でございます。
#81
○多田省吾君 まあいままでの租税条約といえば、どちらかといえばアメリカとか西欧諸国側のイニシアチブで結ばれてきたわけでございますが、これからは日本がだんだん投資国に移行しておりますから、開発途上国に対する租税条約の締結ということが重大課題となるように思いますけれども、いま韓国とフィリピンとの間に結ぼうと交渉しているというお話もございました。しかし、昨年の八月の第二回の日韓定期閣僚会議で、ソウルで行なわれたわけでありますが、この租税協定は年内に正式調印するのだという合意がなされたにもかかわらず、その後具体的にあまり進んでいないようにも思います。その理由はどういうわけか。
 それから、結局、日韓条約締結以来、日韓貿易は非常に盛んになっておりますけれども、輸出、輸入の関係が一対三から一対六くらいにまで逆に広がっているわけです。韓国も非常にそれを気にしておりまして、たとえば委託加工、保税加工の場合でも、原材料につきましては課税しないでほしいというような要望もかなりあったようでありますし、また、合弁会社の問題なんかもあったようでございますが、その点はどうなっているのですか。
#82
○政府委員(細見卓君) 韓国との関係は、まあいわば、人的にも非常にむずかしい、二重居住の問題というような点もございますし、また、事業活動におきましても、海一つ隔てておるだけでありまして、非常に事業活動の態様も複雑であり、非常に活発でありますので、それらを規制する条約というのが、どうしても、まあはるかな遠方の国との条約に比べまして、技術的にもむずかしい点があることは事実でございます。そういう点でかなり手間をとっておることも事実でございますし、また、一方、新しく独立した国の常といたしまして、課税権というものといいますか、自国の主権というものに対して非常に、何といいますか、強い感じを持っておりまして、課税権を極力拡張しようというような考え方がありまして、その点について日本側の、やはり国際的に妥当な基準で条約を結ぼうということとの間に意見の食い違いが起こっておるわけであります。さらに、なお具体的に申し上げますれば、お互いに恒久的施設と申しますか、支店のあるものにつきまして、そういう施設のあるものについてだけ課税をしようじゃないか、本店の直取引というようなものについては課税しないようにしようというのが、いわば先進国と結んでおる条約の型でありますが、韓国の場合は、その恒久的施設、つまり支店があります場合には、もう支店を通じて行なわれた取引につきましては、直接であると間接であるとに関係なく、その支店の所得として考えたいというようなことを申しております。しかも、その所得はすべて支店で発生したかのごとき考え方もあるわけです。それに対してわれわれは、やはり支店を通じて行なった取引といえども、本店の関与度の多い取引もありまして、韓国にすべて課税権を与えるということは必ずしも適当でないというようなこと、一例をあげればそういうような点を争点といたしましていろいろやっております。昨年の韓国におきまする閣僚協議会の申し合わせにも従いまして、この三月の十七日を中心といたしまして一週間前後、国会のさなかではあったのでありますが、韓国から税制局長も参りまして、何とか煮詰められるようにということで私どもも交渉に応じましたが、具体的な了解に達しられないで、相互にお互いの立場を確認し合ったという程度にとどまっております。しかし、これにいたしましても、従来は韓国側は条約の案文も何もなく、日本側の提示しました条約に対して一方的に拒否をしておったのでありますが、今回は韓国側としての条約案のいわば提示もございまして、その見解は食い違っておりますが、具体的な見解の違いの幅というようなものも明らかになりましたので、その意味では前進をしておると考えております。
#83
○多田省吾君 ちょっと先ほど質問したあれはお答え願えないですか、合弁会社とか保税加工関係の課税の問題は。
#84
○政府委員(細見卓君) これは関税局のほうからお答え願うのが筋かと思いますが、私どもに関しますことは、いまの支店なり事業所なりというものがありました場合に、それに合理的に帰属できるような所得に限って韓国側に課税権を認めたいという考え方でおりますが、向こう側の考えは、たとえば年金のようなものにつきましても、われわれは受領する国側の課税にしたいというようなことを言っておるわけでありますが、それらにつきましても支払い国でも課税するようにしたいとかいうようなことで、いろいろいまの段階での韓国側の主張には、いわば国際的に認められておる二重課税排除の具体的な方法というものとかなりかけ離れておりますので、今後の交渉の問題でございますので、いま具体的に韓国の課税がけしからぬとも申せませんし、技術的に双方詰めていかなければならない点は残っておりますが、少なくとも、いま端的にあらわれております考え方としては、われわれの考え方と大いに隔たりのある考え方になっております。
#85
○多田省吾君 それでは、特例法案に関しましては最後の質問をさしていただきますが、従来、自由放任に個別的に結んでおった特例法を一般的に書こうというわけでございますけれども、いままでの会議録等を見ますと、条約ごとに税率の最高限度を定めておるので、一般的、概括的に定めることはいかぬという表現もあったわけですね。今回のこの特例法案ではそういった点はどのように解決なすったのか、ちょっと御説明願います。
#86
○政府委員(細見卓君) その点につきましては、今度の一般法では、それぞれの条約に定める制限税率というような形で、全体としてあらゆる条約を受けれるような形にすることによって解決ができたわけでございます。
#87
○多田省吾君 次に、国有財産の問題で若干質問したいのですが、先ほどもお話が出ました、いわゆる筑波学園都市につきましては、これは過密、過疎対策、あるいは機能分散のためと称して昭和三十八年以来行なわれておりますし、昭和四十二年の閣議でも三十六官公署の移転を決定したわけでありますけれども、地元に行きますとそれがなかなか進んでいなくて、地元の方々は非常に疑惑、ふんまんを持っているわけです。中途はんぱになってとりやめになるんだったら、いままでせっかく売却した分が非常に損になる、あるいは代替地の問題でも、今度は予算が非常に少なかったと、まあいろいろ不満が出ております。それに関しまして、この面を閣議で建設大臣なんかがずいぶん強く要望したようでありますけれども、具体的にどの程度まで計画が進行しているのか、あるいは土地の買収、代替地の予算がどうなっているのか、それから、強制収用なんかはまさかやらないと思いますが、その点はどうなのか。また、計画が終了したあとに、東京に国有地がどのくらい残るのか、そしてその使用方法。それから、もちろんこういった国有地は住宅とか、あるいは公園等に充てるべきであるとは思いますけれども、具体的にどうなっているのか、その辺を一括してひとつお答えを願いたいと思います。
#88
○政府委員(相沢英之君) 筑波の研究学園都市の事業の進捗状況について申し上げます。
 研究学園都市に移転する機関として閣議で了解になっております機関の数は全部で三十六でございます。文部省が三、科学技術庁が三、農林省が十三、厚生省が四、通産省が十、建設省が三でございます。で、この機関のうち、すでに新営工事のための予算の計上が行なわれておりますのは、科学技術庁の防災科学技術センター、無機材質研究所の二機関で、四十四年度の計上額は五億九千万円でございます。なお、このほか調査費として関係各省に二千四百万円が計上されております。そして、この科学技術庁の二機関以外の機関につきましては、今後十年間に移転をすることになっておりますが、先ごろ前期の五カ年間において移転する機関として、いま申し上げました科学技術庁の二機関のほか、建設省が三機関、文部省が一機関、農林省がおおむね五機関、それの着手が予定されております。なお、そのほかに文部省と厚生省においてそれぞれ一機関の新設が検討されております。で、その他の諸機関につきましては後期に着手することになっておりますが、研究学園都市建設推進本部には各省の局長クラスによる幹事会が設けられておりまして、各省の連絡調整に当たっております。四十四年度の予算についてはただいま申したとおりでございますが、用地の買収状況について申し上げます。
 用地は住宅公団が買収に当たっておりますが、関係の町村は六カ町村、総体の所要買収面積は五百八十万坪、千九百十四ヘクタール、所有者は二千五百人でございまして、このうち、四十四年の二月末現在におきます買収の実績は、面積で四百七十一万坪、千五百五十四ヘクタール、八一・二%、関係所有者数は二千二百六十人、総体の三千五百人の六四・六%、平均の買収価格は坪当たり約千二百円ということになっておりまして、用地買収は全体として順調に進捗しております。
 なお、関連の公共事業につきまして、特に現地側から強い要望がございまして、現在も谷田川の改修、街路事業等、四十三年度の事業費で五億六百万円の工事を行なっておりますが、その全体計画につきましては、県側を含めて、関係機関の間でなお検討中でございます。
 あと地の処分につきましては、これは谷川局長のほうからお答えいたします。
#89
○政府委員(谷川寛三君) ただいま主計局から御説明申し上げましたように、移転を予定しております三十六機関のうち、建設に着手をいたしておりますのは、国立防災科学技術センター、それから無機材質研究所の三機関だけでございます。この二機関は新設の機関でございますので、処分すべきあと地がございません。したがって、あとの三十四機関につきましてあと地処分の問題が起こってくるわけでございますが、また、ただいま御説明がありましたように、移転の計画自体がきまっておりませんので、その具体化を待ちまして検討してまいりたいと思っております。なお、先ほど木村先生の御質問にお答えいたしましたように、その三十六機関のうち、二十五機関が一般会計において処理しておりますので、処分すべきあと地がありますものにつきましては、ただいま御審議をいただいております新しい事業会計で財産の取得及び処分を進めていくことになるわけでございます。
#90
○多田省吾君 地元の方がせっかく売却しても、代替地がまだもらえない、そういうふんまんが非常に強いわけですけれども、その代替地の予算ですね、昭和四十四年度はどのくらい見積もられたのですか。
#91
○政府委員(相沢英之君) 代替地は買収されました農家等が購入することになりますので、その買収の資金は買い上げられた土地の代金でございますから、これは特に公団の予算とは関係ございません。で、ただ、代替地の取得につきましては公団が適宜あっせんを行なっております。
#92
○多田省吾君 次に、旧軍港都市にあった旧軍財産ですね、これは当然平和産業港湾都市に転換するために、特別法に基づいて、公共用、あるいは産業用に活用するように処理されていると思いますけれども、現在それが残されているのがどのくらいあるか。それから、未契約財産について、こういう未契約財産が発生したおもな原因はどういうところにあるのか、その実態を御説明願いたい。この前も――法案の審議会がありますね、その審議会の審議状況を見ても、一年間に一回か二回しかやっていないというような状況も見られるようです。こちらも参考資料を取ってこの前ちょっと調べたのですけれども、非常におそいように思うのです。今後すみやかに処理できる見込みがあるのか、その辺を伺いたい。
#93
○政府委員(谷川寛三君) 旧軍財産につきましては、二十五年にこの審議会で御審議を願うようになりましてから、ことしの一月までの間に五十六回審議会を開きまして御審議を願っております。四百数十件の議案を御審議願ったわけでございますが、ただいま残っておりますのは、土地で申しまして八百五十四万平米になっております。したがって、残存率と申しますか、全体の当初大蔵省が引き継ぎました旧軍財産の一五%程度になっております。なぜこれだけ残っておるかと申しますと、きょう私は詳しい資料を持参をしておりませんですが、たとえば島にある要塞とか、山の高い所の要塞とか、とにかく自然公園というようなものなら別ですが、平和産業に利用すると申しましても、なかなかどうもうまくいかないというようなものが大体残っているような状態でございます。それから、私どもは、あの法律にもありますように、地元の平和産業港としての転換にできるだけ役に立つようにということでございますので、地元の県市御当局の御意向をいろいろ伺いまして尊重してやるわけでございますが、残っておる財産につきましては、そういったように、なかなかいいところがないものでございますから、市といたしましても、それから、また、県といたしましても、なかなか転用計画が立ちにくいということで現在きておる状況でございます。年に二、三回ではございますけれども、その機会にできるだけ促進してまいるということで、決して停滞しておるわけではございません。なお、二十五年の十月一日現在の引き継ぎ財産をどういうふうに処理してまいったか、八五%処理してまいったわけでございますが、と申しますと、平和産業に……。
#94
○多田省吾君 それはけっこうでございます。
#95
○政府委員(谷川寛三君) ということでございまして、決して停滞しておるわけではございません。残っているのは、単独ではなかなか利用がむずかしいという状態でございます。
#96
○多田省吾君 その点はまたおりをみてお尋ねをします。
 次に、準備をされていない面もあるかと思いますが、東京都区内、三多摩、神奈川、千葉、埼玉ですが、関東三県を通じて、まだ未利用の国有財産がどのくらいありますか。今後都市開発、あるいは土地対策のためにどのような利用を考えておられるのか。
#97
○政府委員(谷川寛三君) 都内でございますが、私ども特別会計につきましては、実は大蔵省は国有財産の総括の役所ではございますけれども、法律上ははずれておりますので、一般会計の普通財産についてだけ申し上げたいと思います。
 未利用地は、一応未利用地となっておりますものが百三万平米になっております。そのうち、宅地が約六十八万平米でございます。残りは田畑とか森林、高尾山のようなところがあります。それから原野、海浜地、河川敷、それから丘陵地、まあこの中には二十三区と分けておけばよかったんですが、統計そのままになっておりますのを申し上げますと、東京湾岸の例のゼロ地帯ですが、水没地帯も入っておりますし、八丈島、三宅島、大島も入っております。大部分はそういうところでございまして、ほんとうに利用できる土地は非常に少なかろうと思っておりますが、なお、いま未利用地と申しました中でも、一応都とか三多摩地区の市等で、公園とか緑地とか、そういう公共的な施設に使いたいという御要望がまいりまして、お話し合いをしておるものもございますし、それから、ただいま申しましたように、水没地帯とかいうようなことで、河川敷等で単独に利用できるものも少ないというようなところもございまして、さっき申しました、ほんとうに利用できるものというのがどれだけかというのを一応概算してみましたのですが、百三万平米のうち、二十九万平米ぐらいと踏んでおる次第でございます。
#98
○多田省吾君 同じような問題で、首都圏の整備委員会事務局からいらっしゃっておるかどうかですが、お答え願いたいと思います。
#99
○説明員(永井陽君) 私ども研究学園都市の関係でのあと地の利用ということにはタッチしておりましたけれども、首都圏内の未利用の国有財産がどのぐらいあるか……。
#100
○多田省吾君 研究都市だけでけっこうです。
#101
○説明員(永井陽君) 先ほど大蔵省のほうから御答弁がありましたように、研究学園都市に移転する予定機関としまして、三十六機関が昭和四十二年に閣議で了解されたわけでございますけれども、その移転を予定されておる機関が現在東京区内で使用しておる国有地が約九〇・四ヘクタール、それから、区部以外の都下におきましては約五四・七ヘクタールで、合わせて百四十五ヘクタールがあるわけでございますが、これはいわゆる移転したあとそっくり利用できるという面積ではございませんで、まあ移転いたしましても、一部が現在の地区に残存するという場合もございますので、現在使用している面積というふうにお考え願いたいと思いますが、なお、この移転のあとの利用につきましては、まだだいぶ先のことにはなりますけれども、原則といたしまして公園とか緑地等の公共施設または公営とか公団住宅等の住宅用地に活用するということで検討いたしておる段階でございます。
#102
○多田省吾君 それに関連しまして、これは建設省関係かと思いますけれども、附帯決議にも衆議院で出されたわけでありますが、国有財産の河川敷地関係ですね、これはゴルフ場とか、あるいは私的な自動車の訓練場みたいなものが非常に多いわけですけれども、これは公園とかあるいは野球場とか、そういった一般市民の活用できるものに転換してもらいたいという希望が強いわけですけれども、こういった点はどのように進んでおりますか。
#103
○委員長(丸茂重貞君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#104
○委員長(丸茂重貞君) 速記を始めて。
#105
○多田省吾君 それでは、先ほどの都内、三多摩、関東三県等の未利用の国有財産の一覧の資料、それから、同じく普通財産で、いままで譲渡、貸与したような契約書の写し等、できる範囲でひとつ資料提出をお願いしたいのです。
#106
○政府委員(谷川寛三君) ちょっと伺いたいのですが、いまの資料は一般会計だけでございますですね、私がお答えいたしました。どういうかっこうにいたしましょうか、宅地とか、いま言ったように森林とかいうふうに分けて。それから貸し付けの状況でございますが、これはあとで先生と細部を打ち合わせをいたしたいと思いますが、こまかいものまでわかりませんものでございますから、何万件もございますので。
#107
○多田省吾君 大体大きな範囲でけっこうです。
#108
○政府委員(谷川寛三君) わかりました。
#109
○多田省吾君 次に、文部省がせっかくいらっしゃっておりますのでお聞きしますが、このたびの学生騒動で、東京大学をはじめとして、いわゆる学生の暴力によって国有財産がどのくらい損害をこうむっておるか、簡単でけっこうですから、お答え願いたいと思います。
#110
○政府委員(安養寺重夫君) ただいま国立大学で紛争中のものが三十二校ございます。紛争の状態、原因等はさまざまでございまして、われわれ鋭意督励いたしまして、紛争の解除、教育研究の正常化につとめておるわけでございますが、その間、報告を微細にとりますように努力中でございますが、お尋ねの全体額としての見込みというものは、いまだ私のほうでは詳細を確認しかねておる現状でございます。このうち、明確に文部省、大学関係者と照合いたしまして、一応確定したものが二、三ございます。東京大学におきまして四億五千七百万円強、東京教育大学におきまして千二百万円強、電気通信大学におきまして千百万円強、京都大学におきまして約二千万円強、その他われわれ鋭意大学を督励いたしまして現状の確認につとめておるというような実情でございます。
#111
○多田省吾君 最後に、法案に関しまして、特定庁舎等特殊整備計画というものを、今度の改正案では特定国有財産整備計画としたわけでございますが、その相違と、具体的にその改正案の長所となるべき点を御説明願いたい。
 それから、もう一つは、これは一般会計と特別会計の経理を別々にすることによって、結局当初の予定以上に膨張したところの一般会計の規模を縮小させるための隠れみのではないかというような批判もあるわけでございますが、この二点について質問します。
#112
○政府委員(相沢英之君) 今回の特別会計法の改正を行ないます趣旨は、従来この特別会計が資金会計でございまして、特定庁舎等整備計画に基づくところの財産の売り払い収入を歳入とし、これと見合いに庁舎等を建設するために資金を要する場合に一般会計にこれを繰り入れるという形になっておりました。したがいまして、特定庁舎等の整備は一般会計で行なわれておりましたので、その財産の処分と取得の関係が必ずしも明確にされていなかったのでございます。今回この特別会計を改めまして、従来の資金会計から事業会計に改めることによって、この特別会計の中で特定の庁舎等につきましてその財産の取得と処分を行なえることができるようになるわけでございます。
 それから、従来、特定庁舎等整備計画の対象となっておりましたものは、公用等に使用する庁舎が主となっておりましたので、今回の改正によりまして、庁舎その他の施設がこれに含まれることになり、そのために、飛行場というようなもの、あるいは国の事務、事業の用に供するもの以外のもの、たとえば宮内庁の高根沢の御料牧場というようなものもこの対象になったわけであります。
 それから、従来、一般会計で建築交換という方法がとられまして、その位置、環境、規模、形態等からいいまして他の用途に供することが適当と認められる諸施設を処分し、これを見合いに新しい施設を取得するということを、いわゆる建築交換の方式でやっておったわけでございますが、これは双方の財産価格が見合う必要があるとか、その他いろいろ制約がございまして、必ずしも円滑に行なわれていない。それで、これを特別会計に移しまして、処分すべき財産は処分をする、そして、その財源をもちまして新しい施設を整備するというほうがいいのではないか、まあそういうようなことで、特定庁舎等の集約一体化、また、再配置だけでなく、その他の施設の整備も含めて、広く国有財産についての処分及びこれにかわる施設の取得を計画的に実施できるようにすることが今回の特別会計法の改正の趣旨でございます。
 それから、この特別会計を創設することによりまして一般会計の財政規模を減らす、いわばドレッシングを行なったのではないかという御意見でございますが、先ほど申し上げましたとおり、この会計の改組によりまして一般会計の歳出が減になります額は約七十四億円でございまして、一般会計の規模に比べますと〇・一%強であります。したがいまして、この程度の金額では、特にそういうドレッシングというようなことは考えているわけではございません。
#113
○多田省吾君 そういうわけで、効率的にやりたいという御趣旨かと思いますけれども、その点はそのように強く要望しておきます。
 次に、最後に、航空局長がいらしていただいておりますので、ちょっと関連して質問を申し上げます。
 日米間の安保条約第六条によりまして飛行場使用がなされておりますけれども、結局米軍関係の離着陸を認めている根拠は第何条にあるのかということです。
 それから、今度成田に新東京国際空港ができるわけでございますけれども、大阪の伊丹なんかのように、アメリカ軍からの要請があった場合に、これを断わることができないんじゃないか、断われるような仕組みがあるのかどうか。このチャーター機の離着陸が月に平均何機ぐらい行なわれているか、また、時間的にはいつごろ多いのか、それから非常にふくそうした時間帯において離着陸の制限を申し入れる意思はないのか、その申し入れをやった場合に、その効果があらわれるのかどうか、そういったことをまとめて御答弁願いたいと思います。
#114
○政府委員(手塚良成君) 第一の、米軍機が日本の飛行場に出入できる論拠でございますが、これは安保条約第六条に基づきますところのいわゆる地位協定、地位に関する協定第五条でございます。内容をお読み上げする必要もないかと思いますが、この第五条の一項によりまして、米軍は着陸料も課されないで日本の飛行場に出入することができる、こういうことになっております。
 それから、第二点の、成田の新空港に対する出入の問題でございますが、これは衆議院の本会議におきましても御質問がございまして、いろいろ話題にのぼりましたのですが、私どもの当初からの基本方針は、軍事基地として成田空港に米軍の出入を認めることは絶対いたしません。これはいたしませんというよりは、むしろ拒否をいたします。その根拠は、先ほどの地位協定第二条によりまして、基地ということになりますと合同委員会の議を経なければこの使用はできないということになりますので、われわれの方針として、合同委員会にそういう提案がなされても、それは拒否をする、こういう態度で現在いるわけでございます。ただし、先ほど御質問のありました協定第五条によりまして出入の権限を向こうはすでに持っておるわけでございますので、いわゆる技術着陸、燃料が不足してやむを得ずおりるというような、いわゆるわれわれの言うテクニカルランディングというような意味合いにおける出人というのは、先ほどの五条がございます以上、これを認めざるを得ないという考えでおります。ただ、こういうものが非常に数が多いというようなことになりまして、一般民港としての使用に支障を来たすという事態が想定されます場合には、後ほど申し上げます羽田等におきますものと同様に、正式外交ルートを通じて、要請的に極力これを抑制するという措置を講ずる、こういう考えでおります。
 それから、第三点の、現在着いております米軍機の羽田その他の模様でございますが、いわゆる米軍機そのものよりも、羽田等で問題になりますのは、いわゆるMACのチャーター機という、米軍の輸送部隊のチャーターをしております飛行機が羽田に離着陸いたしておるわけでございます。これが毎々相当な数にのぼるので一般の民航機に影響を及ぼしておるんじゃないかというようなことで話題になるわけでございますが、このMACチャーター機の離発着をいたしております現状は、数字で申し上げますと、昭和四十三年、昨年の一月から十二月まで合計いたしますと千九百二十一機。ちなみに、四十二年、その前年は二千二百二十六機、月に直しますと、昨年の二月、三月、四月という時期は大体二百機オーバー、二百二十八、二百七、二百十二という状態で離着陸をいたしておりました。ことしに入りまして、四十四年の一月では百十八機、二月では百九機という状態でございます。この千九百二十一機という昨年一年間の実績は、羽田に離着陸します飛行機の全体から見ますと、約二・九五%という離着陸の回数になっております。これらの離着陸いたします時間帯は非常にばらばらでございます。特に集中して民間の飛行機が離着陸いたします夜間であるとか、あるいは午前十時前後であるとかいうところに一斉にということにはなっておりません。昼間等も相当にございます。いずれにいたしましても、私どもは、こういった状態に対しまして、民間空港というたてまえでございます羽田にこう一いったMACが多数入るということは感心をいたしませんので、実は先ほどデータで申し上げました二月、三月、四月と、月平均二百機をオーバーいたしまして、昨年のちょうどいまごろに外交ルートを通じましてこの抑制方を向こうに要請をいたしました。向こうもわれわれの要請を受け入れまして、その後におきます状態は、先ほどもことしの一月、二月で申し上げましたような数でございまして、ずっと減ってまいりまして、百機前後という状態に落ちてまいっております。こういう状態から見まして、先ほど最後に仰せがございましたように、外交ルートを通じた場合に効果があるかということに対しましては、やはり向こうもいろいろ配慮をすると考えられまして、こういった実績をもっても十分効果があるというように考えられます。したがいまして、成田等におきましては、こういった問題が出ました場合には、当然同様の措置をとって、一般民間国際空港としての本質にもとらないような使用のしかたに進めていきたい、かように考えております。
#115
○委員長(丸茂重貞君) 午後一時再開することといたしまして、休憩をいたします。
  午後零時二十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十一分開会
#116
○委員長(丸茂重貞君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、「租税条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律案」及び「国有財産特殊整理資金特別会計法及び国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#117
○渡辺武君 二重課税を防止する方式として居住国の課税――居住国のほうで課税するという方式と、そして、いわば所得の生じた源泉国ですね、平たく言えば、資本輸出国で課税する場合と資本を輸入したほうの国で課税する場合と両方あると思うのですけれども、いままで日本が締結した租税条約ではどちらの立場をとっておられますか。
#118
○政府委員(細見卓君) 居住地国と申しますか、本店所在地国と申しますか、いずれにしても、資本を投資する側の国で所得の発生した側のほうの所得を免除するということをせずに、日本の場合は、全体の所得を、午前も申し上げましたように、総合して課税する。ただ、外国で源泉があって、外国で課税されたものには税額で控除するというやり方であります。
#119
○渡辺武君 ちょっと質問の趣旨がおわかりにならなかったと思うのですけれども、たとえばアメリカに居住する人が日本で所得をあげたという場合ですね、日本で課税する場合は、つまり源泉地国で課税するということになるだろうと思います。アメリカで課税する場合は居住地国で課税したということになるだろうと思うのですけれども、たとえば日本とアメリカとの間で結んでいる租税条約ですね、これはその二つの立場のうち、どちらの立場をとっておられるかということです。
#120
○政府委員(細見卓君) それは基本的には居住地国課税でありまして、その居住者は何であるかということを区分するときの基準として、個人の場合でありますと、例の百八十日ルールと申しますか、半年間以上おったほうが居住地国であるということにしておるわけでございます。
#121
○渡辺武君 そうしますと、日本の国内法で税額控除方式という方式がとられておりますね、その場合は、租税条約が結ばれなくても、たとえば日本に居住する者がアメリカその他外国で所得をあげた場合に、その外国で課税されるその場合に、日本の国での課税は控除するということになるわけですね。そうすると、その方式などが行なわれる場合を考えてみると、むしろ居住地国で課税されるということではなくして、源泉地国で課税されるということが原則になっているように思われますが、その点どうですか。
#122
○政府委員(細見卓君) あるいは質問の御趣旨を正確につかまえておらないのかもしれませんが、所得の発生した国で属地的に課税権があるというのは、これは当然の前提であろうと思うのですが、その場合にいかなる所得を課税するかということになりますと、個人でありますと、先ほど申し上げましたように、どちらに長くおるかということを基準にいたしておりますし、それから、多くの事業所得等の場合でありますと、これはそこで支店とかあるいは事業所とかいうような形で、つまり恒久的な、パーマネントな施設がある場合に、それに本来帰属して、つまりそれの活動によって生じたような所得については、その国で、つまり所得の発生した国で課税することをお互いに認め合おうということになっておりますし、利子とか配当とかいうものにつきましては、利子なり配当なりを支払う法人なり機関なりの所在地国で課税をして、そうしてそれを、日米の場合でありますとお互いに税額控除する、こういうことになっております。
#123
○渡辺武君 つまり源泉所得の生まれたところですね、源泉地国、平たくいえば資本輸入国ということになるかと思うのですけれども、そこで課税するというのが原則だと考えていいわけですね。
#124
○政府委員(細見卓君) どうも御質問の趣旨を正確につかまえてないのかと思いますが、本店なりあるいは住所がある国の主権として、課税権は、その人の、あるいはその事業の法人の全所得に及ぶわけでありますが、それが属地的に外国で発生しておる場合に、そこにもまた属地的な課税権が生ずる、こういうことで、それがいずれの国の法制をとりましても、いわば合法的に課税できるものである。しかし、そこに二重課税の問題が起こるので、それをどういうふうに解決しようかというのが二重課税防止条約の起こってくるゆえんであろうかと、かように思っておるわけであります。
#125
○渡辺武君 そうしますと、たとえばアメリカに居住する者が、これが日本の株式に投資をして配当をもらったという場合ですね、これに課税する権利というのは、これは日本にあるのじゃないですか。
#126
○政府委員(細見卓君) 配当についてはございます。
#127
○渡辺武君 そうしますと、日米租税条約で、先ほど午前中の木村委員の質問の中で明らかになったのですが、利子については一〇%、それから一般配当については一五%、それから親子会社の配当の場合は一〇%、それから使用料などについては一〇%の課税ということが条約によってきめられているということになっておりますね。ところが、日本で課税する場合には二〇%ですかが普通ですね。それがほぼ一〇%程度に税率が引き下げられているということになっていると思うのです。そうなりますと、本来、租税条約が結ばれていなければ日本では二〇%の課税ができるのに、租税条約を結んだために一〇%程度の課税しかできないということになっているのじゃないかと思うのです。
#128
○政府委員(細見卓君) その点は、まさに相互にそうなっておるわけでございます。
#129
○渡辺武君 この点は、日本の側からいえば、当然国として持つべき課税権をそれだけ制限されているということになっているのじゃないですか。
#130
○政府委員(細見卓君) それはおっしゃるとおりでございます。
#131
○渡辺武君 先ほどの数字から明らかだと思うのですけれども、午前中、木村委員の質問の中で答えられた数字で明らかだと思うのですけれども、日本はアメリカに対しては資本を輸出するというよりも、資本を輸入することのほうがはるかに大きい国だ。言って見れば、アメリカに対しては外資導入国であり、また、技術導入国だと思うのですね。したがって、先ほどおっしゃったように、双方ともに課税の権利を制約されているのだから、午前中の御答弁でも、これは対等なものだとおっしゃったけれども、しかし、経済の実態からいえば、日本はアメリカに対してはまことに不平等な条約を結ばされているということになると思うのですが、どうですか。
#132
○政府委員(細見卓君) そこは午前中にもたびたび申し上げましたように、見解の相違かと思います。
#133
○渡辺武君 見解の相違と言われましたけれども、実態が午前中の御答弁の中でも明らかですけれども、日本側は概算七十億円の減税をやっておる、事実上。それから、アメリカは約三十億の減税しかやっていないのだということになりますと、形の上では平等であるかのごとくに見えるけれども、アメリカに対してはまことに不平等な条約を結んでいるということに実態はなっていると思うのですが、どうですか。
#134
○政府委員(細見卓君) その点に関しましては、やはり特定の国とだけでなくて、ちょうど貿易収支につきまして、総合的な多数国間の貿易というもので一国の貿易政策がきまるのと同様に、この租税条約につきましても、OECDのモデルによりまして、多数国間同じ原則に従って課税するということになりますれば、そのときそのときの二国間の経済のあり方によりまして若干の変動はあるかと思いますが、最終的には資本なり人的な技術なりの交流を通じて相互に利得することになると、そういう意味で、貿易でも、出超国でない限り、貿易することが損でないかということが議論にならないのと同様のことではなかろうか、かように考えます。
#135
○渡辺武君 貿易のことを申し上げているのじゃないのです。貿易というのは、これは単純な商取引ですから。しかし、この場合は、いまここで問題になっているのは、主としては資本の輸出入の問題です。資本の輸出入ということになれば、これは利子、配当、利潤など、つまり資本を投下することによって搾取したその成果ということになろうかと思いますね。その場合には必然的に搾取、被搾取の関係がそれに内包されているということは明らかだと思うのです。したがって、これは商人の単純なる取引とは全く質の違う問題だと思います。そういう点で、日本はアメリカとの間で、課税という点で、本来、国が持っている経済的な権利の一翼である課税権について、日米租税条約でその多くの部分を制約されている。しかも、そのことから生まれますものは、先ほど言いましたように、日本のほうがより多くアメリカに対して減税し、アメリカのほうはより少なくしか減税していないという実態となってあらわれているということでありますから、これはどの側面から見ても不平等な条約というふうに言わざるを得ない。
 それでは、次に、日本とアジアのたとえば発展途上国、これとの問の租税条約について伺いたいと思うのですけれども、たとえば日本とタイとの租税条約、これではどういう税率になっておりましょうか。
#136
○政府委員(細見卓君) 申し上げます。
 利子については特別な定めをいたしておりません。それから、配当につきましては二〇%、それからロイアルティーについては一五%というようなことになっております。
#137
○渡辺武君 利子については、産業的企業にかかわる社債または貸し付け金に関する利子は一〇%ということになっておるのじゃないですか。
#138
○政府委員(細見卓君) いまおっしゃったものについてはそうでありますが、一般的にいわゆる金融機関の利子というようなものについては規定いたしておらぬ、そういうわけでございます。
#139
○渡辺武君 そうしますと、タイでこれらの所得に対してはどのくらいの税率がかけられているか、わかりませんか。
#140
○政府委員(細見卓君) 手元に資料がございませんので、後ほど調査してお答えいたします。
#141
○渡辺武君 先ほどの木村委員に対する御答弁の中で、発展途上国の場合は税率などがまだ十分に確定されない場合が多い、税制が確定されていない場合が多いというふうにおっしゃいましたけれども、大体、利子、配当、使用料などに対する税率が日本などよりも高いというふうに見て差しつかえないと思う、一般的な傾向として。それはどうですか。
#142
○政府委員(細見卓君) 大体そうなっておりますが、逆に、また源泉徴収制度ができておりませんので、ものによりましては全然課税が行なわれておらないというものもございますので、一般的に税率が高く、したがって、こうしたものについても、源泉徴収制度ができておるものについてはある程度高くなっている。しかし、たとえば逆に、先ほども申し上げましたように、韓国ではロイアルティーに一%の税率をかけるというようなこともございまして、一がいには言えないと思います。
#143
○渡辺武君 タイの場合はどうですか。
#144
○政府委員(細見卓君) 手元にタイの税法を持っておりませんので、後ほどお答えいたします。
#145
○渡辺武君 配当の場合は二〇%、それから、使用料については一五%というような御答弁があったわけですけれども、私は、タイのことのお答えがないものですから、ここではっきりその間どのくらい税率が軽減されているのかということはわかりませんけれども、これは軽減税率であることは明らかなわけですね、そうでしょう。やはりタイと日本との間の関係を考えて見ますと、ちょうど日本とアメリカとの関係と同じように、日本は圧倒的に資本輸出国、また、同時に、圧倒的に技術を輸出する国だ、タイから日本に投資しているという例は、私は寡聞にしてほとんど聞いてないような実情だと思います。そういたしますと、この場合も、ちょうど日米関係で日本が置かれた立場と同じように、タイは自国が固有の権利として持っている課税権、これを日タイ租税条約を結ぶことによって大幅に制約されるというふうに考えざるを得ないけれども、その点はどうですか。
#146
○政府委員(細見卓君) 大幅であるかどうかはわかりませんが、この条約が、少なくとも、日本側からの投資活動をより安定的なものにし、その意味において、より魅力的なものにしているということは事実でございます。
#147
○渡辺武君 そうしますと、アメリカのような大国に対しては、日本は従属的な立場で不平等条約を結び、そしてタイのような発展途上国、小国に対しては、いわば侵略的な、つまり資本輸出を促進するという意味での不平等な条約まで結んでおるというふうに結論づけざるを得ないわけですけれども、いま日本が租税条約を締結しようとしている国々、これはどういう国々がありましょうか。
#148
○政府委員(細見卓君) いままで締結しておりましたのは十七カ国で、それはヨーロッパと、それから東南アジアの一部の国をカバーしておるわけでありますが、これから考えておりますのは、近い韓国でありますとかフィリピンというような国、あるいは若干離れましてインドネシアというようなあたりも考えております。一方、ヨーロッパの中で、EEC、EFTA諸国は、午前にも申し上げましたように、大半はできておりますが、スイス、オランダ等とはまだ未締結でございますので、これらを考えておりますし、南米におきましてブラジルと並んで日本との経済関係の多いアルゼンチンについても締結を考えたいと、かように考えております。
#149
○渡辺武君 そうしますと、大体アジアの発展途上国が今後の租税条約締結の対象としていま日程にのぼっている、それの大体中心になっているというふうに判断できるかと思うんですね。そうしますと、やはりいま言ったような性格を持った租税条約、これをアジアの発展途上国との間に結ぶ、それを円滑にするために特例等に関する法律案なんか出されたということになってまいりますと、この特例等に関する法律案ですね、これは日本の大企業のアジア諸国に対する経済的な侵略を一そうやりよくさせるための措置というふうに考えざるを得ない、そう思いますけれども、どうですか。
#150
○政府委員(細見卓君) その辺になりますと全く見解が実は異なるわけでございまして、租税条約でこうした利子とか配当とかロイアルティーについていろいろ制限税率を設けて源泉地国での課税を制限いたしますのは、そのことによって最終的に税負担を軽くするとかいうことでなくて、先ほど午前中にも申し上げましたように、源泉地国で課税されたものが本国におきまして総合課税を受けるわけであります。そのときに税額控除の方式を日本の場合はとっておるわけでありますが、その税額控除でできる範囲額以内の課税になっておりませんと、結局外国で受けた税額というものは、日本で税額控除することによって、むしろ相手国へ持ち出すというような形になる。そういうものを防ぐ制限税率というのが大体わが国の法人税、所得税の税率構造等から見ますと、一〇%ないし一五%というのが妥当な、つまり本国で総合課税のときに調整し得る税負担であると、そういうことで相手国にもこういうことを要望しておるわけであります。このことによって総合的に税負担が軽くなる、つまり外国へ出ていくことのほうが税負担が軽くなるんだというようなことをいたしておるのではなくて、外国へ出ていった場合、日本国政府が税金として持ち出しになる、相手国でかかった税金が税額控除しきれなくて、日本の税でまけてやらなければいかぬというのは、やはり二国間の経済交流として適正なルールではなかろうということで租税条約をやるわけで、先生がおっしゃるように、これによって非常に容易になるということでなく、確かに条約によって安定することによって活動がより活発になることは事実かと思いますが、意図するところは負担の軽減でなくて、相互に調整し得る税率をもって国際間の交流にどちらが得、どちらが損ということがないようにしようというのが基本的な点でございます。
#151
○渡辺武君 課税技術という点からいえば、あなたの御説明したことも一応の妥当性はある。しかし、その持っている質的な内容は何かということになれば、それぞれの所得源泉地国で当然持つべき課税権を、それを租税条約締結ということを通じて制約していくというのが実態だと思うのです。したがって、これはやはり資本を輸出する側からの資本を輸入する側に対する主権の制約ということになるのですね、侵略的な内容を持ったものであるというふうに考えざるを得ない。その一方で、アメリカとの間の関係は、むしろ従属的な不平等条約というふうな内容を当然結論としてわれわれに教えてくれるのですから、このようなやはり租税条約、これは対等、平等な立場で国際的な経済交流を結ぶということからすれば、まことに好ましくないというふうに私は考えます。
 以上で質問を終わります。
 それから、次に、国有財産の問題を続けてよろしゅうございますか。
#152
○委員長(丸茂重貞君) どうぞ。
#153
○渡辺武君 伺いますが、いま鹿児島空港の移転の問題が日程にのぼっておりますけれども、鹿児島空港の計画実現に必要な用地面積はどのくらいを考えておられるか、また、現在予定地にあげられている十三塚原の土地ですね、これは何に使われている土地か、それから、また、計画に計上されている十億円の予算は、鹿児島空港建設に必要な費用の全部であるかどうか、そして、また、移転計画完成の予定はいつごろと考えておられるか、これについてまず最初に伺いたいと思います。
#154
○政府委員(手塚良成君) いま現在予定されております新鹿児島空港の予定面積は、これはまだ確定的ではございませんが、現在のところ、いろいろ計画上予定いたしておりますものについてですが、百三十八万七千平米、約百四十万平米というものを考えております。この土地の現状を申し上げますと、畑が全体の約七四%、これは茶畑も若干入っておりますが、これは通常の野菜の畑でございます。その次にパーセンテージの高いものは山林でございまして、これが全体の約一九%、そのほかに原野、果樹園の一部、桑畑、荒地その他、こういうような地目の所でございます。そういった現状と御認識願えればよろしいかと思います。
 それから、第三点の、十億円が新空港の全予算かというお話でございますが、全体として計画しておりますのは五十一億八千六百万という数字でございまして、明年度、四十四年度に出します予定のものが十億円、こういうことでございます。
 それから、完成時期は、地元情勢と申しますか、地元においていろいろ国体その他の行事もございますので、おおむね約三年、四十四、四十五、四十六年度というふうに考えております。
#155
○渡辺武君 そうしますと、この現在鹿児島空港のある所ですね、これのあと地、いずれこれは鹿児島県に譲り渡すことになると思います。これはやはり移転が完成した後にそういうことになるというふうに理解していいわけですね。
#156
○政府委員(手塚良成君) 現在の空港は現状として使わなければなりませんので、新しいものができまして完全に移転を完了した後に、あと地として本会計で整理するという計画でございます。
#157
○渡辺武君 そうしますと、この空港建設に必要な土地の取得に必要な経費ですね、それから工事費、これらは鹿児島県が負担して土地その他の造成を行なうということになっているかと思うのですけれども、そういうことですか。
#158
○政府委員(手塚良成君) 当面、県に新空港の計画造成を委託するかっこうになりますので、県が出費をしていくことになります。それで、最後にはこれをまた国で買い上げるというかっこうになりますので、最終的には相殺ができるわけです。その間の利子等の関係の金につきましての地元負担分を計上する意味合いで先ほど申し上げた十億円の金を出していく、こういう計画になって、地元には御負担のかからないように、こういう計画でございます。
#159
○渡辺武君 そうしますと、新空港ができて移転したあとですね、現在の、つまり旧空港になりますか、現在の鹿児島空港ですね、これは新空港建設を県が負担して行なったから、したがって、旧空港でもはや不要になったあと地ですね、これは県に払い下げる、それは交換という形になりますか。
#160
○政府委員(手塚良成君) 完全な交換といいますか、新空港はこの会計で買う、それから、でき上がりました後において、その時点で評価をして、旧空港といいますか、現在の空港を地元に売ると、こういう契約でございます。
#161
○渡辺武君 そうしますと、そのあと地を鹿児島県に売る場合、これは当然建築交換という形になるんでしょうから、したがって、用途指定を国が行なうということになるかと思いますが、どうですか、その点。
#162
○政府委員(谷川寛三君) そういうことになろうかと思います。
#163
○渡辺武君 用途指定を国が行なって鹿児島県に渡した場合、国の用途指定どおりに鹿児島県がそのあと地を使うかどうかという点は非常に疑問が残るんじゃないかと思うのです。それは昭和四十三年の二月二十八日の参議院決算委員会で問題になった点ですけれども、大津市の刑務所のあと地が、国の用途指定にもかかわらず、新しい刑務所建設の施工業者への代弁支払いのために使われたことが決算委員会で問題になりましたけれども、鹿児島県のような、言ってみれば、経済的にはそれほど豊かでない県が新しい空港の費用を当面負担させられて、そして建設をする土地の買収も行なうということになりますと、財政的にいろいろ行き詰まってきて、そして大津市の刑務所あと地で起こったような、国に用途指定を行なわれているにもかかわらず、建設業者などにこれを代弁その他の形で渡してしまうというような可能性が非常に大きいと見て差しつかえないと思うのですが、その点は十分にお考えなすった上でやっておられるかどうか。
#164
○政府委員(谷川寛三君) その点は心配をいたしておりません。実際問題といたしましては、大部分住宅団地として市民の方にお使いいただくようなことになるのであろうと思いますが、いま先生が御心配になったようなことは絶対にないというふうに思っております。
#165
○渡辺武君 全体の費用が五十一億八千六百万円ということでございましたが、やはり一つの県として見れば、かなり大規模な工事だというふうに考えざるを得ないわけです。ですから、この財政的に豊かでない県がこういう大規模な工事を行なうという場合には、財政上の理由から、一方では大きな営利会社というのが施工業者になる場合が普通だと思うのですけれども、いま言ったように、国にあと地指定されていながら、事実上それを実行することができないということにならないように、その点はひとつ十分に御注意いただくことが必要だと思うのです。その点重ねてひとつそういうことがないようにするということならば、その点重ねておっしゃっていただきたいと思います。
#166
○政府委員(相沢英之君) 十三塚原につくります新飛行場の経費につきましては、大体総体で五十一億八千万、先ほど航空局長が答弁いたしました程度を工事費と私ども見ておりますが、できるだけ県の財政負担にならないように、建築交換の方式ではなく、工事の進捗度合に応じて国から資金を渡せるように、今回はまず土地の取得に必要な経費十億円を四十四年度予算に計上することにしておりますが、四十五年度以降についても、できるだけ県の財政負担にならないように金の面では配慮したいというふうに考えております。
 それから、そのあと地の引き取りにつきましては、これはおそらく住宅用地として、県がこれを造成の上処分することになっておりますので、その処分に従って県にまた金を還元されることになると思いますし、その問の資金のつなぎ等につきましても、また適切な配慮もできるかとも思っております。
#167
○渡辺武君 この鹿児島空港というのは第二種空港だと思うのですが、どうですか。
#168
○政府委員(手塚良成君) そのとおりでございます。
#169
○渡辺武君 第二種空港ですと、これは当然国が直轄事業として工事をやるということが当然のことだと思うのですが、その点どうですか。
#170
○政府委員(手塚良成君) 仰せのとおり、第二種空港は、その設置、管理は国でやるというたてまえのものになっております。これは先生の御指摘のとおりでございます。
#171
○渡辺武君 そうしますと、工事は国が直轄でやって、そうして現在の空港のあと地ですね、これは県に、たとえば公営住宅の建設用地などを、ほんとうに市民の役に立つような用途指定などやるなどして、県に貸与するということも可能かと思うのですね。むしろそのほうが従来の第二種空港などについての処分の経過からすれば、当然そういうことになるんじゃないかというふうに私どもは考えますけれども、今度はそういうことをやらなかったというのはどういうわけですか。
#172
○政府委員(相沢英之君) この鹿児島空港の移転の話は、私承知しております範囲では、これは地元側の非常に強い要望から出たことでございまして、国体の開催期との関係もこれあり、将来の利用人口等を考えると、この際に滑走路の延長をしたい、滑走路の延長をするには現在の鴨池では不適当であり、十三塚原に適当な、かっこうの土地があるということからこの話が始まりましたものですから、当初は建築交換の方式で鹿児島空港をつくって、それと現在の鴨池とを交換するという形で話が進んでおったわけでございます。鹿児島県は、従来、三種空港ではございますけれども、種子島、屋久島、奄美の空港を建設するというような経験を持っておりますし、空港の建設技術についても習得している、また、土地取得も、これは県がやるほうが円滑にいけるだろうというようなことがありまして、これはおっしゃるとおり、第二種空港でございますから、国が直轄事業でやるのが本来の筋でありますが、そのような経緯がございまして、県が建設したものを国が買う、こういうふうな話になったわけでございます。
#173
○渡辺武君 この鹿児島空港へ行ってみますと、町のいわばどまん中にあるようなものでして、まことに危険ですし、あれがほかの所へ移転するということは、これは市民も望んでいるし、行ってみても実際すぐに感ずることなんです。これは移転するということは非常にけっこうなことだと思うのです。ただ、問題は、あと地がほんとうに市民の望むようなものとして役立てられるかどうかということと、それから、先ほど伺いました移転先ですね、これはほとんど農地、畑地が七四%、山林が一九%、その他ということになっておりまして、ほとんど大部分が農地ということになっているんじゃないかと思うのです。したがって、これは農民がほんとうに納得いくような形でこの土地の買収が行なわれるかどうかということも、これまた市民にとっては非常に大きな問題だと思うわけです。ですから、こういう問題については非常に重要な問題でもあるし、それから、従来の定めもありまして、こういう直轄事業は国の事業で、第二種空港ですから、当然国の直轄事業としてやらなきゃならぬというのが当然のことだと思いますし、これが先ほど来伺っているような形で行なわれるということになりますと、一番最初私が申しましたように、せっかく国が用途指定をやっても、これがそれぞれの地方自治体の財政事情その他でもって、あるいは鹿児島県が必ずそういうことをやるというふうに私も申し上げておるわけじゃないけれども、あるいはほんとうに市民に役に立つように利用されなくなる可能性というものはかなりあるんじゃないかということも案じられるわけです。そういう意味で、今度たとえばこの国有財産特殊整理資金特別会計法、この法律案でこういうような事業がほとんど今度は特別会計で処理されるということになっていくかと思うのですが、こういう特別会計で処理されるということになりますと、いま申し上げたような危険性を含んだままで特別会計で処理されるということになっていくかと思うのです。やはり一般会計で処理して、そうして一つ一つについて国会の十分な審議を経てやっていくということが望ましいことじゃないかというふうに私は考えるのですが、その点どうでしょう。
#174
○政府委員(相沢英之君) 鹿児島の空港が第二種空港として、本来、国が直轄事業でやるべきものを、委託と申しますか、地元の県が施行して、完成したものを買うという方式にした点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、確かに異例な措置でございますが、地元側の非常に強い熱意でこの話が始まって、建築交換の方式ということでかなり話が進展しておりましたこととの関連もございますので、今回はこのやり方でやらざるを得ないというふうに私どもとしては考えるわけであります。今後こういうような空港につきまして、その立地条件等からしまして、滑走路の延長その他のために移転を必要とすることがあると思います。たとえば大分の空港等がその例だと思いますが、そのような場合は、従来ですと、一般会計の中にありますと、相当な量の規模の工事になると、やはり建築交換の方式をとるということが多かったわけでございますが、この特別会計でやるということになりますれば、そういった点は、工事は工事で国が直接やる、それから、あと地の処分はこの特別会計の歳入に上げていく。ですから、その処分と施設の取得との間に、必ずしも現在の建築交換のようなややこしい制約のもとに、かつ、結果的に見て必ずしも好ましいことにならないようなことをしなくてもやれるんじゃないかというふうに考えております。また、予算について国会の御審議をいただく点につきましては、これはもちろん特別会計の歳入歳出として毎年度予算に計上されることになりますから、この点は一般会計で施行する場合と同様でございまして、御懸念のようなことはないのではないかというふうに思います。
#175
○渡辺武君 鹿児島空港について最後にもう一言だけ伺いたいのですが、あと地はどういう用途に活用されるつもりでおられるか、その点ちょっと……。
#176
○政府委員(谷川寛三君) まだ詳しく詰めてはおりませんが、このあと地が、先ほど航空局長からもお話がありましたが、いろいろな用途にほしいという御要望を聞いておるだけでございますが、大体のお考えを伺いますと、先ほどもお答え申し上げましたが、大部分は住宅用の団地をつくりまして市民の方に御利用願う、その他公園とか緑地といったようなことになろうかと思います。念のため申し上げておきますが、公園、緑地等につきましては法律でも規定がございますので、これは無償で処理をするということも考えて、できるだけ県の住民の御利用に供したいというふうに考えております。
#177
○渡辺武君 次に、三里塚空港に関連して幾つか伺いたいと思うのですけれども、いま用地の買収は相当進んでいると思いますけれども、売買契約の金額が国との間で明確にされている民有地は計画の何%ぐらいになっておりますか。
#178
○政府委員(手塚良成君) 三里塚御料牧場で買収を必要といたします民有地は全体で六百七十ヘクタールでございます。この六百七十ヘクタールに対しまして、現在完全に契約完了しておりますもの並びに地主との契約調印が済んでおるもの、一応売買契約のあと形式だけが残っておるもの、そういった調印の済んでおりますもの等を合計いたしますと、面積でもって四百二十四・八ヘクタール、全体の六三・四%が済んでおります。申しおくれましたが、これは三月十五日現在でございます。
 なお、この新空港は第一期工事と第二期工事に分けて建設することに計画をいたしております。第一期工事で必要といたします民有地は、先ほどの六百七十ヘクタールのうち、二百八十二ヘクタールでございます。この二百八十二ヘクタールに対応いたしましては、現在二百十五・四ヘクタール、すなわち、その全体の七六・四%というところまでが一応処理済みである、こういう実情でございます。
#179
○渡辺武君 契約完了もしくは地主との間の調印済みと言われましたけれども、その場合、あれですか、売買契約の金額に至るまで明確に決定されておるというものばかりですか。
#180
○政府委員(手塚良成君) いまの面積とパーセンテージで申し上げましたのは先生のおっしゃるとおりでございます。
#181
○渡辺武君 なお、買収をしなきゃならぬ土地が民有地がかなり残っておるわけでありますが、この買収が非常に困難な民有地については土地収用法を適用するというようなことが現地でも盛んに言われておりますし、現地の人たちは非常にその点不安に思っておるわけですけれども、実際土地収用法を適用されるおつもりがあるかどうか、その点伺いたいと思います。
#182
○政府委員(手塚良成君) この民有地の売買につきましては、実は昨年の四月、買収予定地内に住まわれる方々の二つの団体と実は売買の確約が一応取りつけられております。その方々の、合計をいたしますと、敷地の面積の約八八%という方々がこれに調印をしておられるわけです。それが昨年四月になされておりまして、現在はその線に沿って進んでおるわけでありまして、現実の問題として、調査なり、あるいはいろんな権利関係の複雑な問題等でただいま申し上げたようなパーセンテージの進捗率になっておるわけであります。私どもは、残った一二%の数の反対の方々に対しては、極力任意売買に持っていきたい、空港の趣旨を御理解いただいて円満に売買を進めていきたい。そのためには、すでに既売買の話のついた方々に対していろいろな対策を御提示申し上げ、御協力願って、たとえば代替地の提供、あるいは離職の対策、そのほかいろいろやっておりますが、そういったことについても全く同様の扱いをいたしますというようなことも申し上げ、その準備もして呼びかけをいたしておるわけでございます。今後におきましてもそういった努力はさらに一そう強く続けて、できるだけ任意に円満に買収を進めたい、こういうふうに考えております。ただ、この中には、御承知かとも思いますけれども、いわゆる一坪運動というような運動地が二、三ございます。すなわち、非常に小範囲の面積の所に多数の所有権を設定されるというようなかっこうの所でございまして、こういった所の方々に対しては、これはいわゆる一般にわれわれの言う反対者の敷地というふうなものとは、やや性格が違うのではないかと考えております。こういった一坪運動関係地につきましては、大体ただいまのところ、面積が二・二ヘクタールばかりでございます。そのうち、一期工事区域については〇・五ヘクタールという面積がございますが、こういった場所については、あるいは収用法を適用せざるを得ないのではないかというふうに考えております。したがいまして、先ほどの一般的な反対という方々に対しては、繰り返すようでございますが、極力話し合いで事を進めたいというふうに考えております。
#183
○渡辺武君 三里塚空港の予定地ですね、これは私が申し上げるまでもなく、よく御存じだと思うのですが、大体開拓民が多くて、十年以上苦労をしてあそこでもって土地の造成その他をやって、やっと営農のめどがついてきたというような人たちが非常に多いわけですね。したがって、自分の土地と営農を守るという立場からこの空港設置反対に立ち上がって強く戦うということ、これは私は当然のことだと思うのです。同時に、また、先ほど午前中のこの委員会の質疑の中でも明らかになりましたように、軍事基地としては成田空港の使用はお断わりするというふうにおっしゃりながら、同時に、他方では、たとえば米軍がチャーターして軍事要員を輸送するというような場合、そういう場合は離着陸できるというようなことも言われておるわけですね。そうしますと、いまの日米安保条約のもとで、日本が大きな国際空港をつくり、これが何らかの形で軍事目的に使われるということになってまいりますと、これは現地の農民からすれば、日本の国の平和を守り、独立を達成するという意味からしましても、これは当然強く反対するということは十分に考えられることだと思うのです。したがって、いまの反対運動というのは、そういう意味で少しも無理のものではない、全く日本人としては正当な意見に基づいた反対運動だと考えざるを得ないと思う。ところが、その反対している農民の土地について、いまあなたは一坪運動などの土地というふうに、きわめて局限された形で言われましたけれども、衆議院の決算委員会だったかと思いますけれども、とにかく反対している農民の土地は、まあ買収困難ならば収用法を適用せざるを得ないというような趣旨のことを政府委員の方も答えておられる。もしこういうことになりましたら、これは全く不当な措置だ、こういうふうに言わざるを得ないんじゃないかというふうに思うわけです。土地収用法というような、やはり強権的な手段によって農民の土地を無理やり取り上げるというようなやり方は、これは成田空港設置反対のために戦っているという農民に対しては、絶対やるべきじゃないというふうに考えますけれども、どうですか、その点。
#184
○政府委員(手塚良成君) ただいまのお話で、反対の理由が二つ大きなものがあると、私どももさように考えておりますが、一つは、やはり営々とここを耕してきた農民の土地に対する愛着といいますか、執着という問題から発するもの、農地を取り上げられる問題、この問題に対しましては、私どもは、実はこの空港の位置を決定いたしますときから非常にそういう点は気を配ったわけでございます。いろいろ紆余曲折はございますが、御料牧場をこの中にひっかけた、あるいは県有林がこの中に入っておる、百ヘクタールばかり敷地の中に入っておる、こういったような所に考えたというのも、実はそういう営農の皆さんの農地をできるだけ少なく買い上げるというような意味で一応決定した次第です。この位置はどういう所でもいいというわけではございませんで、いろいろ航空上の制約があるわけでございますが、そういう制約をもろもろ調整をいたしまして、まあそういった配慮で、最終的に地元の知事さんその他とのお話し合いがついてきめられたのがいまの所でございまして、そういう意味で、当初の位置決定からそういった点には配慮を払ってまいったわけです。
 なお、先ほど来申し上げております買収を進めていくにつきましては、やはりこの位置決定に伴います際に、こういった公共事業にはおよそ異例だと思われますような地元対策というものを閣議決定をいたしました。それは、やはり地元住民対策としての土地補償の問題とか、あるいは代替地の問題であるとか、あるいは騒音対策の問題であるとか、周辺の地元の道路関係の問題であるとか、排水であるとか用水であるとか、いろいろ地元の皆さんの問題をどういうふうに進めていくかという方針を決定をいたしましてこれに取りかかる、こういう配慮をしたわけでございます。こういうような配慮を背景にいたしまして、日本としてはどうしてもつくらざるを得ない空港、この空港をつくるということにいたしましたので、営農の点で、取り上げられるという方々には、まことにある意味ではお気の毒かと思いますが、そういった空港の趣旨並びにそういった当初からの配慮というようなことで、ひとつ何とか御理解を願うということで目下進めつつあるということでございます。
 第二の反対理由として軍事基地のお話でございますが、これはわが国の立場で、現在安保条約というものが前提になります限りにおきましては、先ほど仰せのとおりの実情になっておるわけでございまして、これはそういった前提の問題がどう解決されるかということいかんにかかってまいるわけです、現状として見る限り。私どもは先ほど申し上げたような方針で進む、絶対に軍事基地にはしない、しかしながら、テクニカルランディングのような着陸程度は地位協定上やむを得ないというような事態、しかし、それもできるだけ外交ルートその他を通じて制限をしていく、こういうような方針でございます。そういった効果は現に羽田でもあらわれておりますので、私どもはそういったことは可能であるとかたく信じておるわけです。こういう反対の皆さんは理由がおありかと思いますが、さればといって、いま残っておる皆さんに対して収用ということをまっこうから振りかざして、何が何でもというような強引なことは毛頭考えておりません。先ほど申し上げたような場合は、これは私はやむを得ないと思います。なお、話を進めていきます場合にも、あるいは絶対的に問題があるというような対象のものが出るかとも思いますけれども、できるだけそういったものについても、やはり話し合いということを前提に進めていきたいというのが基本方針でございます。絶対やるべきでないと仰せですけれども、空港の設定については、これまた一つの国としての基本方針であるかと思いますので、やむを得ざる先ほど来申し上げておるようなものについては収用もしかたがない、しかし、本質的には今後対策を講じながら話し合いで進むということを考えて進めたいと、かように考えております。
#185
○渡辺武君 できるだけ農民との話し合いで納得を得てとおっしゃいますけれども、御料牧場を一変さして四千メートルの滑走路がこれはできるわけでしょう。とにかく滑走路のほうは、これは既成事実としてつくってしまっておる。それから、反対運動をやっている中でも、特に強く戦っているような所を中心として、そうして土地収用法など振りかざして土地を取り上げるというようなことが、もうどしどし事実上進められておる。しかも、安保条約については、あなた方政府の立場ですから、そう言うのも無理はないのですけれども、いま安保条約のあるもとでは、米軍機が一時的に発着するのはやむを得ないのではないかというような立場に立っていって、そうして農民から土地を取り上げていくというようなことは、これは全く言語道断だというふうに考えざるを得ないのです。とにかくその問題はそれとして、まことにこれは遺憾な事態が行なわれているということでありますけれども、この今度の特別措置法の一部改正法律案を見てみますと、衆議院の論議でも明らかになっておりますけれども、大体一割程度の処分収入があれば施設整備計画はかなり大規模なものを実施できるということになっておるそうでありますが、実際そうでしょうか。
#186
○政府委員(相沢英之君) この特別会計の対象となる事業は、ただいまお話のございましたとおり、処分収入の伴う施設の取得でございます。その場合に、処分収入が取得価格の大体一割程度以上あればいいというふうに考えております。
#187
○渡辺武君 事業計画規模には特段の何か制限があるわけですか、ないんですか。
#188
○政府委員(相沢英之君) ございません。
#189
○渡辺武君 そうしますと、一割程度の処分収入があれば、かなり大規模な事業計画を立てて、それを実行することができるということになるわけですね。
#190
○政府委員(相沢英之君) さようでございます。
#191
○渡辺武君 そうしますと、そのような大規模な実施計画を立てて、特に土地の問題などが中心になってくるかと思うのですけれども、いま成田空港ではっきりしておりますように、それぞれの地域の住民が自分の生活や営業を守るために、あるいは日本の国の平和や独立のために政府のさまざまな事業計画に対して強く反対した場合に、土地収用法などを振りかざして強制的にその土地を取り上げるというようなことになってまいりますと、これはまことに危険きわまりない法律案というふうに言わざるを得ない。その点について伺いたいと思うのですけれども、この特別会計について、相沢主計局次長が、宮内省の御料牧場や刑務所等の施設の整備を促進するために特別措置法の一部を改正する法律案をつくったんじゃないんだということを衆議院で言明しておられるわけですけれども、また、その上に上村政府委員は、将来特定の施設について整備していこうということを考えているのだと、この法律案の趣旨はですね、そういうことを述べておられますけれども、そうしますと、この特別会計設置によって具体的に対象となるものは、あとは米軍への貸与施設、それから空港、王子野戦病院など、いずれも軍事的な性格の非常に強いものがあと残っているということになるかと思うのです。そこで、この特別会計のこういう制度をつくっていくということは一体何をねらっているのか、たとえば米軍が自衛隊の基地や演習場ですね、これを移転拡張するために、それを大規模にやりやすくするように、そのためにこういう措置をつくったのじゃないかというふうに考えられますが、その点どうですか。
#192
○政府委員(相沢英之君) その点、衆議院の質疑の際にも答弁申し上げましたが、特別会計を改正いたしまして、処分収入ともども施設を広く対象とすることにいたしましたのは、そういう施設の整備を一般的に促進したいということだけでございまして、特にいまお話のような特別な施設の整備を促進するというような考え方に基づくものではございません。
#193
○岩動道行君 私は、租税条約の特例法について一、二簡単に伺っておきたいのですが、第二条で「租税条約」ということばを使っておって、一方においてドイツなどは「租税協定」ということばを使っておるわけですが、租税条約と租税協定とは一体同じものと考えられるのか、あるいは外務省等の見解も聞いて、これは租税条約ということば一本で協定も含むと、こういうように解釈しておられるのか。英語で言えば、いろいろコンベンションとか、あるいはアグリーメントとか、用語が違うわけですが、この点についての見解を伺いたい。
#194
○政府委員(細見卓君) 条約ということばは、広く協定をも含むというふうに解釈いたしております。
#195
○岩動道行君 それから、資料をひとつお願いしたいのですが、これは木村委員からも御要求があったのと重複するかもしれませんが、最近は外人の株式取得等も相当盛んになってきておりますので、非居住者なり、あるいは外国法人の課税状況について、法人税あるいは所得税、あるいは源泉徴収の中身等についての最近の資料を、ひとつできることならば主要国別に資料を後ほど調製して提出していただきたい。
#196
○政府委員(細見卓君) 四十二年度の実績でございますと手元にございますが、資料として提出させていただきたいと思います。まあ、けさも木村委員の御質問に対してなかなか答えにくかったように、実は国別というのはなかなかむずかしくて、手元に資料がなくて、もし、しいてやるとすれば非常に推定になるというわけでございます。
#197
○岩動道行君 今度このように特例法を一本化することによって、これからは租税条約自体は外務委員会で審議をされる、大蔵委員会にはそれに関連した特例法というものが全然出てこない、こういう状況に相なるわけであります。そういたしますと、当委員会としては、一体どの国とどのような租税条約を結んでいるのか、それがどういう内容を持つものかというようなことが全くわからないという状況に相なろうかと思います。しかし、われわれとしては、どの国とどのような内容の租税条約を結んで、それがわが国の租税の中においてどのような位置を占め、どのように考えていくべきかということは当委員会としても承知をいたしたい、すべきものである、かように考えておりますので、これについて、政府側としては、適当な機会に当委員会に租税条約の説明であるとか、あるいはその実態等についての報告、説明をしていただきたい、かように考えておるわけでございますが、政府側のお考えはいかがでございましょうか。
#198
○政府委員(細見卓君) 御希望に沿うようにいたしてまいりたいと思います。
#199
○委員長(丸茂重貞君) 他に御発言もなければ、両案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#200
○委員長(丸茂重貞君) 御異議ないと認めます。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#201
○委員長(丸茂重貞君) 速記を起こして。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#202
○委員長(丸茂重貞君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 まず、租税条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#203
○委員長(丸茂重貞君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
 次に、国有財産特殊整理資金特別会計法及び国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#204
○委員長(丸茂重貞君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
 戸田君から附帯決議についての提案がございます。
#205
○戸田菊雄君 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党、以上四党の共同提案として、ただいま可決されました国有財産特殊整理資金特別会計法及び国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、次の附帯決議案を提出いたします。
 附帯決議案を朗読いたします。
   国有財産特殊整理資金特別会計法及び国の
   庁舎等の使用調整等に関する特別措置法の
   一部を改正する法律案に対する附帯決議
   (案)
 一、国有財産の管理及び処分については、その
  適正を期するため、一般会計及び特別会計を
  通じ、これを統一的に行なうよう努めるこ
  と。
 二、都市開発、土地対策問題の解決のため、未
  利用国有財産をできるだけ活用し得るよう留
  意すること。
 三、旧軍用財産等で、国有財産台帳に登載され
  ていない脱落地等の要登録財産の実態を把握
  するとともに、租税物納財産等未契約財産に
  ついては、その契約が可及的速かに行なわれ
  るよう適切な措置を講ずること。
 四、大都市周辺の河川敷地については、その公
  共用物たる性格にかんがみ、公園、広場、運
  動場等に開放するよう可及的速かに措置する
  こと。
  右決議する。
 以上でございます。何とぞ御賛成くださるようお願いいたします。
#206
○委員長(丸茂重貞君) ただいまの戸田君提出の附帯決議案を議題といたします。御質疑のある方は御発言を願います。
#207
○渡辺武君 この第一の項目の「国有財産の管理及び処分については、その適正を期するため、一般会計及び特別会計を通じ、これを統一的に行なうよう努めること。」というふうになっておりますが、国有財産の管理及び処分については、原則として一般会計で処理するということが正しいことではないだろうかというふうに思いますが、この第一の項目の中にはそのような趣旨が盛り込まれておりますかどうか、これをまず第一点として伺い。それから、第二点として伺いたいことは、第二項の「都市開発、土地対策問題の解決のため、未利用国有財産をできるだけ活用し得るよう留意すること。」というふうになっておりますが、この活用は、住民の利益のために活用し得るよう留意することというふうにしていただいたほうが、より趣旨は明らかになるのではないかというふうに考えておりますが、そのような趣旨がこの二項の中に含まれておりますかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#208
○戸田菊雄君 その点は、いま関係者と相談の結果、いま御質問の内容については十分織り込まれておる、そういう精神である、こういうことでありまするから、御了承を願います。
#209
○委員長(丸茂重貞君) 他に御発言もなければ、採決を行ないます。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#210
○委員長(丸茂重貞君) 全会一致と認めます。よって、戸田君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、大蔵大臣から発言を求められておりまするので、これを許可いたします。福田大蔵大臣。
#211
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの御決議に対しましては、その趣旨を尊重いたしまして、善処いたしたいと存じます。
#212
○委員長(丸茂重貞君) 次に、本院規則第七十二条により、議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#213
○委員長(丸茂重貞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#214
○委員長(丸茂重貞君) 次に、所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、通行税法の一部を改正する法律案及び関税定率法等の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。沢田政務次官。
#215
○政府委員(沢田一精君) ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外三法律案について、提案の理由及びその概要等を御説明申し上げます。
 初めに、所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を一括して申し上げたいと存じます。
 政府は、さきに経済の安定的成長に即応する税制のあり方とその具体化の方策につきまして税制調査会に諮問いたしたところでありますが、昨年七月、同調査会から三年間にわたる審議の結論として、長期税制のあり方についての答申、税制簡素化についての答申及び土地税制のあり方についての答申が提出され、さらに昨年十二月には、これらの答申の内容のうち、来年度の改正において実現すべき事項につき、昭和四十四年度の税制改正に関する答申が提出されました。政府といたしましては、これらの答申を中心として、昭和四十四年度の税制改正につきまして鋭意検討を行なってまいったのであります。その結果、最近における国民負担の状況にかんがみ、中小所得者の所得税の負担軽減を主眼として、課税最低限の引き上げ、給与所得控除の適用範囲の拡大及び税率の緩和等により、平年度一千八百二十五億円にのぼる所得税の減税を行なうこととし、また、当面の経済、社会情勢に即応して、住宅及び土地対策の拡充合理化、公害対策の促進、原子力発電の推進、中小企業の構造改善等に資するため、税制上の諸措置を講ずるとともに、交際費の課税を強化するほか、納税者の権利救済制度の改善をはかることといたしたのであります。今回は、これらの税制改正の一環として、所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
 まず、所得税法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 第一に、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかるため、課税最低限の引き上げを行なうこととしております。すなわち、基礎控除及び配偶者控除をそれぞれ一万円引き上げるほか、扶養控除を二万円引き上げることとしております。これらの諸控除の引き上げにより、所得税の課税最低限は、夫婦と子供三人の給与所得者の世帯では、現在の八十三万三千円が九十三万五千円となるのであります。
 第二に、中堅給与所得者層における所得税負担の累積を緩和するため、給与所得控除の改正を行なうこととしております。すなわち、現在給与所得控除の額が年収百十万円で頭打ちとなっているのを改め、年収三百十万円までは給与の収入の増加に応じ、給与所得控除の額も増加するよう、定率控除の適用範囲を拡大しております。
 第三に、税率の緩和を行なうこととしております。すなわち、課税最低限の引き上げ及び給与所得控除の適用範囲の拡大と関連して、主として中堅以下の所得者層の負担軽減をはかる見地から、税率の刻みとその適用区分の改善をはかることとしております。
 第四に、障害者控除等の特別な人的控除の引き上げを行なうこととしております。すなわち、障害者控除、特別障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除をそれぞれ一万円引き上げるとともに、いわゆる母子世帯への配慮から、配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族の控除も一万円引き上げることとしております。
 以上のほか、ノーベル賞を非課税所得として法定すること、二分の一課税方式の適用されない短期譲渡所得の範囲を保有期間五年以内の資産の譲渡による所得に改めること、予定納税を要しない限度額を現行の一万五千円から二万円に引き上げること、小規模企業共済掛け金を年末調整で控除できるようにすること、社会保険労務士の報酬を源泉徴収の対象に加えること等、所要の規定の整備を行なうこととしております。
    ―――――――――――――
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 まず、住宅対策等の当面要請される措置について申し上げます。
 第一に、住宅対策といたしましては、住宅貯蓄控除制度について、その対象となる住宅貯蓄契約の要件の緩和をはかるほか、新築貸し家住宅の割増償却制度及び新築住宅の取得登記等の登録免許税の軽減措置について、その適用期限を延長するとともに適用範囲を拡大することとしております。
 第二に、原子力発電の推進策といたしましては、電気事業者が建設する原子力発電所について償却準備金及び特別償却の制度を創設し、また、動力炉・核燃料開発事業団が行なう原型炉の建設のために企業の支出する出指金については、これを損金に算入する制度を設けることとしております。
 第三に、中小企業につきましては、中小企業近代化促進法に基づき中小企業構造改善計画の承認を受けた商工組合等の組合員について、割り増し償却制度及び合併、現物出資の場合の課税の特例を設けることとしております。また、協同組合の留保所得控除制度等についてその適用期限を延長するとともに、商工組合中央金庫の抵当権の設定登記等について登録免許税を軽減する措置を講じております。
 第四に、輸出振興につきましては、輸出割り増し償却、海外市場開拓準備金、海外投資損失準備金、技術等海外取引の所得控除の諸制度及び外航船舶の保存登記等の登録免許税の軽減措置について、それぞれ適用期限を延長するとともに、中小商社の海外市場開拓準備金の積み立て率を引き上げる等、制度の改善合理化を行なうほか、外航船等に旅客用として積み込む酒類等の免税措置を船員用等についても適用できるよう、その適用範囲の拡充を行なうこととしております。
 第五に、法人が支出する交際費の一部を損金不算入とする交際費課税の制度につきましても、その適用期限を延長するとともに、法定の控除額をこえる額に対する損金不算入の割合を六〇%に引き上げて、社用消費の抑制に資することといたしております。
 以上のほか、山林に関する課税の特例については、適用期限を延長するとともに、間伐のための伐採を特別控除の対象とする等の合理化を行ない、ガス事業者の特定ガス導管設備について特別償却制度を創設し、また、地方公共団体の行なう身体障害者扶養共済契約に基づく年金受給権、石炭企業が交付を受ける再建交付金及び日本万国博覧会の会場で行なわれる催しものについて、それぞれ課税しない措置を講ずることとしております。さらに、期限の到来するその他の措置については、効果が認められないものを廃止し、実情に応じ、簡素化ないしは合理的改定を加える等、所要の配意を加えた上でなお必要とされる措置については、適用期限を延長することとしております。
 なお、以上のほか、税制簡素化の見地から、納税準備預金の利子等について、目的外の引き出しの場合の課税計算の方法を合理化する等、所要の規定の整備合理化を行なうこととしております。
 次に、土地問題の解決に資するための土地税制の改善措置について申し上げます。
 第一に、個人の有する土地、建物等の譲渡所得について、他の所得と分離して課税を行なう特例を設けております。すなわち、土地の供給促進に資するため、個人が五年をこえて保有していた土地、建物等を譲渡した場合の譲渡所得については、昭和四十五年から昭和五十年までの間は、他の所得と分離して、比例税率による課税を行なうこととし、たとえば昭和四十五年から二年間は、一〇%の軽減税率を適用することとしております。一方、土地の投機的需要を抑制する等のため、保有期間が五年以下の土地、建物等及び昭和四十四年一月一日以後に取得した土地、建物等については、その譲渡所得の四〇%の額と、本来の所得税負担額の一一〇%に相当する額のうち、いずれか高い額により課税することとしております。
 なお、昭和二十七年以前から引き続き保有していた土地、建物等を譲渡した場合の取得費は、譲渡による収入金額の五%相当額とする特例を設け、所得計算の簡素化をはかることとしております。
 第二に、収用その他特別な事情によって土地、建物等を譲渡した場合には、それぞれの事情に応じてその譲渡所得から特別控除を行なうこととしております。すなわち、収用等の場合には一千二百万円、日本住宅公団の行なう土地区画整理方式による宅地造成事業等のために譲渡した場合には六百万円、特定の民間宅地造成事業等のために譲渡した場合には三百万円、また、現に自己の居住の用に供している家屋及びその敷地を譲渡した場合には一千万円をそれぞれの譲渡所得から控除することとし、さらに一般の長期譲渡所得については、百万円を控除することとしております。
 なお、従来の居住用財産を取得するための買いかえ制度は、一千万円の特別控除制度の創設に伴い昭和四十四年十二月三十一日限りで廃止することとしております。
 第三に、事業用資産の買いかえ制度の合理化をはかることとしております。すなわち、現行の事業用資産の買いかえ制度は、期限の到来を待って廃止することとし、その後は、首都圏の既成市街地内にある土地、建物等を売却して、既成市街地外にある土地、建物等を取得する場合等、土地政策または国土政策に合致する買いかえについてのみ特例を設けることとしております。
 第四に、収用等の場合の課税の特例について整理合理化をはかることとしております。すなわち、収用等を受けた場合のいわゆる四分の一課税の特例は廃止するとともに、土地区画整理事業等によってかえ地を受けた場合については、土地の譲渡及び取得がなかったものとする等、実情に即するよう措置することとしております。
 最後に、経過措置としまして、昭和四十四年分の個人の譲渡所得について選択適用の特例を設けることとしております。すなわち、これまで申し述べました土地税制に関する改正事項は、原則的には昭和四十五年以降の譲渡から適用することとしておりますが、昭和四十四年中の譲渡所得の全体について、新しい制度による課税を受けることを納税者が選択したときは、昭和四十四年分についても新しい制度による課税が受けられることといたしております。
 次に、通行税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 政府は、さきに国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を提案し、日本国有鉄道の普通旅客運賃の額の改定及び旅客運賃の等級の廃止について御審議を願っているところでありますが、これに関連して通行税法について所要の調整を加えるため、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容について、その大要を申し上げます。
 第一は、現在、汽車及び電車の一等の乗客については通行税を課税しておりますが、今回、日本国有鉄道の旅客運賃の等級が廃止されることに伴い、現在の一等車両を利用する乗客が支払うことになる特別車両料金につきまして、一〇%の税率による課税を行なうこととしております。
 第二は、現在、二等の寝台料金については、その利用の実態にかんがみ、非課税とするよう通行税の免税点を定めておりますが、今回の運賃改定により寝台料金も改定され、現在の二等寝台を利用する乗客が課税されることになりますので、寝台料金の免税点を現行の千四百円から千六百円に引き上げ、引き続き非課税とすることとしております。そのほか、所要の規定の整備をはかることとしております。
 最後に、関税定率法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 最近における内外の経済情勢の変化に対応して、関税率及び関税の減免制度について所要の調整を行なうとともに、旅具通関の一そうの迅速化をはかるため、簡易税率制度の拡充及び簡素化を行ない、また、最近における港湾の利用状況等にかんがみ、開港等の指定を政令で行なうよう改める等の措置を講ずるため、関税定率法、関税法及び関税暫定措置法について、それぞれ所要の改正を行なう必要がありますので、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一は、関税率について所要の調整を行なうことであります。すなわち、関税定率法及び関税暫定措置法を通じて四百三十七品目の実行税率を変更するとともに、暫定税率の適用期限が本年三月三十一日に到来する七十八品目につきまして、その適用期限を一年間延長することとしております。四百三十七品目の実行税率の変更は、一品目を除き、すべて税率を引き下げるものであり、このうち、三百五十一品目につきましては、昨年三月の当委員会における附帯決議の御趣旨に沿いまして、協定税率が適用されない国の産品に対する関税格差の解消を行なうものであります。
 第二は、関税の減免制度について所要の整備を行なうことであります。本年三月三十一日に適用期限が到来する重要機械類、給食用脱脂粉乳の免税等、関税の減免または還付制度については、その適用期限を一年間延長することといたしております。また、昭和四十五年三月三十一日までに輸出された貨物を原材料として加工再輸入品に対する関税軽減制度並びに外国船によって採捕された水産物に本邦船舶内において加工等を加え、これを輸入する場合の関税軽減制度を新設することとしております。
 第三は、簡易税率の改正であります。これは新たにアルコール飲料及び紙巻たばこについても簡易税率を定めるとともに、従来の対象品目の税率を十三区分から四区分に改めるものであります。
 第四は、関税制度の改正であります。従来、関税法に列挙しておりました開港及び税関空港の指定を政令で行なうよう改めるとともに、更正の請求及び不服申し立ての期限の延長を行なう等、若干の規定の整備をはかることとしております。
 以上が所得税法の一部を改正する法律案外三法律案の提案の理由及びその概要等であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#216
○委員長(丸茂重貞君) 次に、補足説明を聴取いたします。
#217
○政府委員(細見卓君) ただいま御説明のございました内国税関係三法案の改正案の提案理由を補足して御説明申し上げたいと思います。
 最初に、所得税から申し上げたいと思います。
 今回の所得税法の改正は、最近における所得税負担の状況に顧みまして、中小所得者に重点を置いて所得税の負担を軽減するとともに、あわせて所得税制の整備合理化を行なうことをその内容としております。
 第一は、課税最低限の引き上げでございます。すなわち、夫婦と子供三人の給与所得者の課税最低限を前年度に引き続き十万円程度引き上げることを目途といたしまして、先ほど提案理由で御説明申し上げましたように、基礎控除等の諸控除の引き上げを行なうこととしております。今回の諸控除の引き上げは、昨年七月税制調査会より提出されましたいわゆる長期答申において示されている具体的改正方向の二分の一を実現するものでありまして、この引き上げの結果、昭和四十四年度の所得税の納税人員は、改正前でございますと約二千六百四十八万人と見込まれておりますが、改正後では約二千五百四十一万人となりまして、約百七万人の減少となるわけでございます。
 第二は、給与所得控除の適用範囲の拡大でございます。すなわち、現行法では、給与の収入金額が百十万円をこえますと給与所得控除は二十八万円で頭打ちとなるのでございますが、このような頭打ちとなっている給与所得の納税者の数は年々増加いたしており、昭和四十三年分で推計いたしますと、給与所得の納税者総数のうち、約二〇%に達しております。これが今回の改正によりまして、年収三百十万円までその適用範囲が拡大されます結果、給与所得納税者の九九%以上は給与の収入の増加に応じて給与所得控除も増加することになります。なお、この給与所得控除の改善も、税制調査会の長期答申の二分の一を実現するものであります。
 第三は、税率の緩和でございます。これは従来の所得税の減税が課税最低限の引き上げを中心に行なわれてまいりまして、税率構造については基本的な見直しが行なわれていなかったため、最近の所得水準の上昇に伴う所得階層分布の大幅な変化に即応しなくなっているのを改善するものでございます。この税率の改正は、税制調査会の長期答申で示されている改正方向のおおむね三分の一以上を実現するものでありまして、具体的には、従来、税率の刻み方が一律五%刻みであったものを、中堅以下の所得階層については四%刻みに改めるとともに、税率の適用階層区分を改善することにより、所得税負担の累進度合いをなだらかなものにいたしておるわけでございます。
 第四は、障害者控除等の引き上げでございます。すなわち、障害者控除や寡婦控除等の特別な人的控除につきましても、現行の八万円の控除額を九万円に、また、いわゆる重度障害者については現行の十二万円の控除額を十三万円に引き上げますとともに、母子世帯等の負担の軽減をはかるために、配偶者のいない世帯の一人目の扶養控除額につきましても、現行の十万円から十一万円に引き上げることとしております。
 第五は、所得税制の整備でございます。すなわち、ノーベル賞の賞金はすべて非課税であるということを法律の上で明記することといたしますとともに、いわゆる半額課税が適用されない資産の短期譲渡所得及び五分五乗の課税方式が適用されない山林の譲渡による所得の範囲を、従来、保有期間が三年以内のものの譲渡による所得と定めておりましたが、今回、別途御提案申し上げております土地税制の改正との関連から、五年以内のものの譲渡による所得に改めることにいたしております。また、予定納税を要しない者の範囲を、予定納税基準額が二万円以下のものに引き上げますほか、小規模企業共済掛け金を年末調整の段階で控除できるよう措置することなどによりまして、納税者の手数の省略と徴税事務の簡素化をはかることといたしております。
 以上、簡単でございますが、所得税法の一部を改正する法律案の提案理由を補足して説明いたした次第でございます。
    ―――――――――――――
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由の補足説明をいたします。
 この法律案は、当面の経済、社会情勢に応ずる各般の要請にこたえて、住宅対策、原子力発電の推進、中小企業の構造改善の促進等、所要の措置を講ずるとともに、特に現下の土地問題の深刻さに顧み、その解決に資するため土地税制の抜本的改正を行ない、土地供給の促進をはかり、土地の投機需要及び不急需要の抑制等に資することとしております。なお、当面の要請に応ずる原子力発電の推進等の新規措置の財源は既存の特別措置の整理合理化による財源をもって充てることとし、交際費の損金不算入割合の引き上げを行なうとともに、あわせて、期限の到来する特別措置について、その措置の効果、合理性を厳格に判定し、実効性に乏しい中小企業海外市場開拓準備金制度の廃止など、所要の措置を講ずることとしております。
 初めに、当面の経済、社会情勢に応じて要請される住宅対策等についての税制上の措置につきまして御説明申し上げます。
 第一は、住宅問題の解決に資するための措置を講ずることであります。まず、住宅貯蓄控除制度の対象となる住宅貯蓄契約の要件につきまして、住宅貯蓄に基づき融資される住宅資金の返済期間を二十年から十年に短縮するほか、融資金額の最低限の引き下げ、適用利率の範囲の拡充等を行なうこととし、この制度が広く利用されるよう配慮しております。
 次に、新築貸し家住宅の割り増し償却制度について、その適用期限を二年間延長することといたしておりますが、さらに、最近の建築単価の状況に即応するため、別途政令の改正でその適用要件である取得価額の限度の引き上げを予定いたしております。
 そのほか、新築住宅の取得登記及び抵当権の設定登記の登録免許税の軽減措置について、その適用期限を二年間延長するとともに、その適用範囲を拡大し、従業員が企業から住宅を取得する場合等にも適用することとしております。
 なお、住宅問題は、言うまでもなく土地問題が中心となるものでありますが、この土地問題の解決に資するための土地税制の改正については、後に述べるように、別途、思い切った措置を講ずることとしております。
 第二に、技術革新の先端をいき、かつ、原子力平和利用の中心となるべき原子力発電については、エネルギー対策として、諸外国においても国が国費をもってその開発に当たる等の積極的措置を講じてきており、わが国でも近来その開発が具体化してまいりましたので、今回、その推進をはかるための税制上の措置を講ずることとしております。
 まず、民間の電気事業者が建設する原子力発電所について、原子炉等の機械装置を取得するために支出した金額の合計額の四分の一を限度として、原子力発電工事償却準備金をその工事期間中に設定することができることとしております。なお、この場合、原子炉等の国産化を促進するため、準備金の積み立て率につき国産分を輸入分より厚くするよう配慮しております。なお、その機械装置を事業の用に供したときも、原子力発電工事償却準備金と同様の額を限度とする特別償却の制度を設け、両者を連結することとしており、民間の原子力発電の開発の一そうの促進をはかることとしております。
 次に、動力炉・核燃料開発事業団が行なう高速増殖炉及び新型転換炉の原型炉の建設のために電気事業者等が支出する出損金について、出指金とともに支出する出資額を限度として損金に算入できる制度を創設し、原子力による動力炉の研究開発の促進に資することとしております。
 第三は、資本の自由化等に対処する中小企業の構造改善を促進するための措置を講ずることであります。
 その一は、中小企業近代化促進法に基づき承認を受けた中小企業構造改善計画を実施する商工組合等の構成員である中小企業者について、工場用建物、機械装置等につき、五年間二分の一の割り増し償却を認めるとともに、合併、現物出資の場合の清算所得に対する課税の特例及びその合併、増資の登記等に関する登録免許税の税率の軽減措置を講ずることとし、中小企業の構造改善の一そうの促進に資することとしております。
 その二は、商工組合中央金庫がその業務に関して抵当権の設定登記等を受ける場合について、二年間登録免許税の税率を千分の一に軽減することとし、中小企業金融の円滑化に資することとしております。
 その三は、事業協同組合が公害防止事業団から譲り受けた土地をその組合員が取得することとなる場合の所有権の移転登記について、登録免許税の税率を千分の六に軽減することとしており、中小企業の公害防止に資することとしております。このほか、協同組合の留保所得控除制度及び中小企業近代化促進法の承認を受けた合併または現物出資の課税の特例制度について、その適用期限を二年間延長ずることとしております。
 第四に、国際経済情勢がなお流動的であることにかんがみ、輸出振興のための措置につき適用期限の延長等を行なうこととしております。
 その一は、現行措置の延長でございまして、輸出割り増し償却、海外市場開拓準備金、海外投資損失準備金、技術等海外取引の所得控除の諸制度及び外航船舶の保存登記等の登録免許税の軽減措置について、それぞれ適用期限を二年間延長することとしております。
 その二は、政策目的の合理性、政策手段としての有効性の観点から整理縮小する措置でございまして、外貨を対価とする輸入運賃について、輸出割り増し償却及び技術等、海外取引の所得控除の対象となる海外運賃から除外するとともに、制度の利用が低調な中小企業海外市場開拓準備金の制度については適用期限の延長はしないことといたしております。なお、これらの整理合理化の措置については、いずれも所要の経過措置を講じて負担の激変緩和をはかっております。
 その三は、広義の輸出振興のための制度の新設、拡充でございまして、まず、外貨の節約及び国産品の海外市場開拓に資するため、わが国の外航船等に旅客用として積み込む酒類に対する酒税及び特定の物品に対する物品税の免税措置を拡大し、船員用等についても適用できることとしております。このほか、前に述べました中小企業海外市場開拓準備金制度の廃止とも関連しまして、中小企業の海外市場開拓の充実に資するため、中小商社の海外市場開拓準備金の繰り入れ率を千分の一引き上げることとしております。
 その四は、交際費課税の強化でございます。最近における社用消費に対する社会の批判を考慮いたしまして、交際費課税の特例について、その適用期限を延長するとともに、法定の限度額をこえる額に対する損金不算入の割合を現行の五〇%から六〇%に引き上げることとし、これによって社用消費の一そうの抑制に資するとともに、今年度の新規特別措置の財源に充てることとしております。
 以上のほか、わが国の森林資源の開発、特に計画造林等に資するために、個人の植林費特別控除制度及び森林計画特別控除制度、法人の造林費の特別償却制度及び計画造林準備金について、それぞれ適用期限を二年間延長するとともに、間伐のための伐採を森林計画特別控除制度及び計画造林準備金の対象に加えるほか、法人の造林費の特別償却と計画造林準備金については、いずれか一方の選択適用とするなどの合理化を行ない、また、大都市周辺の開発に資するため、ガス事業者の特定導管について初年度四分の一の特別償却を認めることといたしております。さらに、心身障害児対策に資するため、地方公共団体の行なう心身障害者扶養共済制度に基づく年金受給権について、相続税及び贈与税を課税しないこととし、また、石炭対策の一環として、石炭鉱業が交付を受ける再建交付金を前事業年度から繰り越された欠損金額の範囲内で法人税を課税しないこととするものの対象に加えることとし、さらに、万国博覧会の趣旨及び国際的な慣例等にかんがみ、日本万国博覧会の会場内で行なわれる催しもののうち、一定の条件に適合するものについては入場税を課税しないこととしております。
 なお、期限の到来するその他の措置については、それぞれその政策目的の合理性、効果等を再検討し、効果が認められないものは廃止し、実情に応じ簡素化ないし合理的な改定を加える等、所要の改正を行なった上、なお必要とされる措置、たとえば特殊の外貨借り入れ金の利子の税率の軽減、農業生産法人または協業のために現物出資した場合の納期限の特例、鉱業用坑道の特別償却制度、証券取引責任準備金制度及び商品取引責任準備金、増資登記にかかる登録免許税の軽減等は二年間、航空機の燃料用揮発油等に対する揮発油税等の免税については三年間、それぞれその適用期限を延長することとし、また、黒糖に対する砂糖消費税の非課税及び転化糖水に対する税額算定の特例を当分の間継続する等の措置を講じております。
 以上のほか、税制簡素化の見地から、納税準備預金及び納税貯蓄組合預金について、納税外の目的で引き出しが行なわれた場合の課税の対象となる利子の計算方法を簡略化する等、所要の規定の整備合理化を行なうこととしております。
 次に、土地税制の改正につきまして御説明申し上げます。
 第一は、個人の保有する土地、建物等の譲渡所得につきまして分離課税方式を導入したことでございます。従来、土地、建物等を譲渡したときに生ずる譲渡所得については、他の所得と合算して累進税率を適用し、所得税額を算出することとしておりましたが、改正案ではこれを他の所得と分離し、原則として比例税率で課税を行なうこととし、切り売りや売り惜しみの防止に資することとしております。この分離課税の対象となる資産は、個人の所有している土地、土地の上に存する権利、建物及び構築物であり、たなおろし資産である土地、家屋等は除外することとしております。
 また、分離課税を行なうにあたりましては、これらの土地、建物等の保有期間の長短によりまして、長期譲渡所得と短期譲渡所得に区分し、長期譲渡所得については低い税率を、短期譲渡所得につきましては高い税率を適用することとしております。すなわち、保有期間が五年をこえるものの譲渡所得については、昭和四十五年、昭和四十六年中の譲渡は一〇%、昭和四十七年、昭和四十八年中は一五%、昭和四十九年、昭和五十年中は二〇%の税率をそれぞれ適用することとしております。一方、保有期間が五年以下の土地、建物等及び昭和四十四年一月一日以後に取得した土地、建物等の譲渡所得については、四〇%相当の税額か、通常の所得税法で計算した場合の税額の一一
〇%相当額かのいずれか高いほうの税額を適用することとし、これらの短期譲渡所得の負担額が、現行負担よりもかなり高くなるような仕組みとしております。なお、長期譲渡所得の計算にあたり、昭和二十七年以前から引き続き所有していた土地、建物等を譲渡した場合の取得費の計算については、従来、昭和二十八年の相続税評価額によることとしておりましたが、納税者の便宜と税額計算の簡素化のため、一律に売却価額の五%を取得費とすることとしております。
 第二は、譲渡所得の特別控除制度でございます。提案理由でも御説明のありましたように、売却の態様に応じ、千二百万円、千万円、六百万円、三百万円、百万円という各種の特別控除を設けることとしておりますが、これらの特別控除額は、同一人については年間千二百万円を限度として控除することとし、また、居住用財産の譲渡についての千万円の特別控除は、乱用を防止する見地から、三年間に一度だけ適用することとしております。
 なお、千二百万円、千万円、六百万円、三百万円の各種の特別控除は、それぞれ譲渡にあたっての特殊な事情を考慮して設けました関係上、長期、短期ともに適用することとしておりますが、
 一般の譲渡の場合の百万円の特別控除は、もっぱら長期譲渡所得の負担軽減という観点から設けたものでありますので、短期譲渡所得の場合には適用しないこととしております。
 以上申し上げました改正の結果、たとえば個人が長期保有資産を昭和四十五年中に任意譲渡し、千万円の収入があった場合を考えますと、現行法による所得税額は累進税率が適用されますので、かりに他の所得が課税最低限と一致する人を例にとりますと百四十三万円となりますが、改正後でございますと、千万円の収入からまず五%に当たる五十万円の取得費と百万円の特別控除を差し引きました八百五十万円に対し一〇%の税率を乗じた八十五万円が税額となり、また、同様に譲渡収入が五千万円の場合では現行の千二百十四万円の税額が改正後では四百六十五万円というように、計算が簡略化さつ、かつ、その所得税負担も大幅に軽減されることになるわけでございます。
 第三は、買いかえ制度の合理化でございます。すなわち、居住用財産の買いかえ制度は、千万円の特別控除制度に改め、事業用資産の買いかえ制度は期限到来をもって廃止し、その後は土地政策等に合致する等、一定のものに限り特例を設けることとしているのでございます。これを具体的に申しますと、一、首都圏等の既成市街地内にある商工業用の土地等を譲渡し、既成市街地の外にある商工業用の土地、建物等に買いかえる場合、二、市街化区域内にある農業用土地等を譲渡し、市街化区域以外の農業用土地、建物等に買いかえる場合、三、公害規制区域内にある公害発生施設の移転に伴い土地等を譲渡し、公害規制区域の外にある土地、建物等に買いかえる場合、四、計画工業団地、流通業務地区等の企業誘致区域外にある土地等を譲渡し、これら誘致区域内の土地、建物等に買いかえる場合、五、新産業都市等の外にある土地等を譲渡し、新産業都市等内にある土地、建物等に買いかえる場合、六、長期間保有の土地、建設等を譲渡し、減価償却資産に買いかえる場合などが新しい買いかえ制度に該当することになるのでございます。
 なお、事業用資産の買いかえの特例の適用を受けました場合には、この制度自体が課税上の特典となりますので、さきに申し上げた特別控除の適用は認めないこととしております。
 第四は、収用等があった場合の課税上の特例についても合理化をはかっていることでございます。すなわち、収用等に伴い資産を譲渡した場合には、従来、個人についてはいわゆる四分の一の課税の特例、法人については二分の一の課税の特例がありましたが、新しい土地税制全体との均衡等を考慮しまして、これを廃止することとしているのでございます。したがって、収用等があった場合の譲渡所得については、千二百万円の特別控除か、収用等を受けた場合の買いかえの特例適用かのいずれかによることになり、特別控除後の残額または買いかえ差額に対しまして長期、短期の一般の税率がそれぞれ適用されることになるのでございます。
 以上御説明いたしました今回の土地税制の改正は、原則として昭和四十五年から適用されることになりますが、例外的に、個人の譲渡所得につきましては、納税者の選択によりまして、昭和四十四年分からも適用することとしております。なお、この場合の選択は個々の資産ごとではなく、年中のすべての譲渡について旧制度をとるか新制度をとるかの選択となっております。
 以上、租税特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由を補足して説明いたした次第でございます。
    ―――――――――――――
 次に、長くなりましたが、通行税法について申し上げます。
 今回の通行税法の改正は、先ほど提案理由の御説明で申し上げましたとおり、別途御審議を願っております国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案において、日本国有鉄道の普通旅客運賃の額の改定及び旅客運賃の等級の廃止が予定されておりますので、これに関連して所要の調整を加えようとするものであります。
 第一は、現在の通行税は、汽車及び電車の一等の乗客、汽船の特等の乗客及び航空機の乗客について課税していることと関連しての調整であります。この場合、その等級は、現在、日本国有鉄道につきましては国有鉄道運賃法において等級の定めがございまして、通行税法上の等級もそれに従うこととしておりますが、他の一般の汽車、電車につきましては旅客運賃の格差の設けられていないものは二等とし、格差の設けられているものはその旅客運賃の格差に応じて二等、一等、特等としております。今回の国有鉄道運賃法の改正により、日本国有鉄道について旅客運賃の等級が廃止され、運賃の格差がなくなりますので、通行税法上も、日本国有鉄道の旅客運賃につきまして、他の一般の汽車、電車と同様、二等の運賃として取り扱うよう改正を行なうこととしております。
 第二の調整は、現在、汽車及び電車の一等旅客について通行税を課税しておりますのは、その利用の実態が、一般の旅客と比較して、より高い水準にあり、それに担税力があるものと認めていることとの関連でございます。すなわち、日本国有鉄道においては、今回の国有鉄道運賃法の改正により等級が廃止されるため、一等及び二等の呼称はなくなりますが、従来の一等車両は名称を変えて引き続き特別車両として存続し、これを利用する乗客は旅客運賃のほか特別車両料金を支払うこととなっており、現在の一等乗客の利用の実態は、今回の改正によって変わるものではございませんので、従来と同様、この特別車両料金についてのみ一〇%の税率で通行税を課税することとしております。
 第三は、現在の二等寝台は、大衆の長距離旅行者が利用している現状にかんがみ、これに課税関係が生じない配慮で、昭和四十一年の旅客運賃の改定の際に、当時の二等寝台料金の最高額千円の一等寝台の税抜き最低料金千四百円とを考慮して免税点を千四百円未満と定めていることと関連しての調整であります。今回の国有鉄道運賃法の改正に伴い、現在の二等寝台料金に該当するものの最高額が千六百円に引き上げられることとなっておりますので、現行のままでは現在の二等寝台を利用する乗客のうち、一部のものだけが課税される結果となりますが、現在の二等寝台については従来どおり課税しないことが相当と考えられますので、寝台料金の免税点を千六百円に引き上げることとしております。
 以上のほか、特別車両料金の新設に伴い、所要の規定について用語の整備を行なっております。
 以上、簡単でございますが、通行税法の一部を改正する法律案につきまして提案理由を補足して御説明申し上げた次第でございます。
#218
○政府委員(武藤謙二郎君) 関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を補足して御説明申し上げます。
 まず、最初に、関税率の改正について申し上げます。御参考までに提出いたしました「昭和四十四年度関税改正案一覧表」というのがございます。一覧表の一ページA、目次の次でございますが、昭和四十四年度関税改正案総括表にございますように、実行税率を変更するもの四百三十七品目、分類変更に応じ税率の調整を行なうもの一品目、暫定税率の適用期限を延長するもの七十八品目、計五百十六品目が改正対象品目となっております。やや、技術的になりますが、これらの改正のうち、関税定率法別表の改正によるものは十二品目、関税暫定措置法別表の改正によるものは五百四品目となっており、それぞれの品目についてはこの一覧表の二ページ以下に列記してございます。これらの改正は、いずれも最近における内外の経済情勢の変化に対応して行なうものであり、その内容は、すべて関税率審議会の答申のとおりであります。
 関税率改正のおもなものについて御説明いたしますと、まず第一に、協定税率が適用されない国の産品に対する関税格差の解消がございます。これにつきましては、昨年三月の当委員会における附帯決議の御趣旨に沿いまして、新たに、エビ、ロジン等三百五十一品目につきまして協定税率と同じ暫定税率を設けることといたしております。これらの品目は、昭和四十一年及び四十二年の両年において中共からの輸入実績があったものについて、逐一検討の上、生糸、絹織物などのように、国内産業保護上特段の事情のあるものを除き、すべて関税格差の解消をはかることとして整理したものであります。今回の改正の結果、中共産品のほとんどのものにつきましては、協定税率適用国の産品と同等の待遇が与えられることとなると考えております。
 第二に、トウモロコシ、この一覧表の四ページのちょうどまん中辺でございますが、トウモロコシについて御説明いたします。昨年、コーンスターチ及びイモでん粉の原料価格の変動に対処いたしまして、水あめ、ブドウ糖用、すなわち、糖化用でん粉の需給の安定をはかるため、輸入トウモロコシにかかる関税割り当て税率を改め、糖化用トウモロコシの一次税率を無税に引き下げ、二次税率を一キログラム当たり八円六十銭に引き上げました。この措置は本年三月末に期限が到来いたします。昨年四月以来の経過を見ますと、でん粉市場はおおむね順調に推移しておりますが、現在この制度を直ちに打ち切りますと需給の混乱を再発することは必至であると思われますので、これを一年間延長することといたしております。
 第三に、バナナ、これも四ページでございます。四ページの上から三番目、バナナにつきましては、国産果実の価格が最近特に低迷している情勢を考慮いたしまして、六〇%の現行暫定税率をなお一年間延長することとしております。
 第四に、大型の乗用車、二ページに戻りますが、大型乗用車につきましては、関係業界の生産及び輸出が大幅に増加していることにかんがみ、また、昨年の日米自動車交渉の結果をも考慮いたしまして、関税率をケネディラウンドによる最終譲許税率である一七・五%に引き下げることとしております。
 第五に、一万トン以上の大型船舶、これも二ページでございます。これにつきましては、わが国の生産及び輸出は世界各国の中で圧倒的な地位を占めているところでありますので、昨年秋の海運造船合理化審議会の答申のとおり、関税率を無税に引き下げることとしております。
 第六は、銅関係の五品目、二九ページでございますが、五品目について御説明いたします。このうち、精製銅につきましては、昭和四十二年度より輸入価格の変動に応じて関税が定まるような制度といたしておりますが、今回の改正におきましては、近年の市況、需給関係等の推移を勘案いたしましてその税率を改めるとともに、新たに製錬用の銅の塊等、四品目をもこの制度の対象に加え、銅関係全体の関税体系を整備することといたしております。
 第七は、ペットフード、これは七ページでございますが、ペットフードにつきましては、本年四月に予定しております輸入の自由化に対応し、これは関税率を二〇%に引き上げることといたしております。
 以上が関税率改正のおもなものでございます。
 次に、関税減免制度の改正について申し上げます。
 関税暫定措置法の関係の減免または還付制度につきましては、現行の十一の制度、これは三九ページにございます。十一の制度の適用期限を延長ずるほか、加工再輸入品の原材料相当部分の関税の軽減制度を新設することといたしております。これはわが国から輸出された原材料に外国で加工等をして得た製品がわが国に輸入される場合には、その原材料分に相当する関税額、すなわち、その原材料がそのまま再輸入されるものとした場合にかかる関税額を軽減しようとするものでございます。なお、この制度の採用により国内加工業に圧迫が加わることのないよう配慮し、その適用品目は、電気冷蔵庫、コアメモリブレーン等、四〇ページにございますが、国内産業に打撃を与えるおそれがない十一品目に限定いたしております。
 このほか、関税定率法の規定を改正し、外国船によって採捕された水産物に本邦船舶内において加工等を加え、これを輸入する場合、本邦船舶内における加工費に相当する部分の関税を軽減する制度を設けることとしております。これは最近の水産業の実態にかんがみ、外国の領海において本邦船舶が採捕した水産物の製品につき、従来から加工費用も含め免税となっておりますので、これとのバランスを考慮したものでございます。
 次いで、簡易税率の改正について申し上げます。簡易税率は、昭和四十二年六月から実施され、旅具通関の迅速化に大きな効果をあげてきております。しかしながら、本邦に入国する旅客は毎年急速に増加しており、また、航空機の大型化により旅客の到着が集中する傾向が強まってまいりますので、これらに対処するため、簡易税率制度の拡充及び簡素化をはかることとしております。
 改正の内容といたしましては、まず、アルコール飲料及び紙巻きたばこにつきまして、新たに従量税率による簡易税率を定めることといたしますほか、従来から簡易税率の対象となっている品目につきましても、税率を十三区分から四区分に統合することとし、思い切った簡素化をはかることといたしております。なお、この改正では、ケネディラウンドの最終譲許税率を基準として税率を定めたこともありまして、税率引き下げとなるものが多くなっております。
 最後に、関税制度の改正について申し上げます。
 まず、従来、関税法別表に列挙しておりました開港及び税関空港の指定を政令で行なうよう改めることとしております。開港と不開港との実質的な差異は、外国貿易船等の入港に際し、事前の許可が必要かいなかという行政手続的なものでありますが、最近におきましては、国民経済の発展に応じ、外国貿易が行なわれる港も増加してまいりましたので、この際、政令によって弾力的に開港等の追加を行ない得るようにすることが適当になったとの考えに基づくものでございます。なお、これにより従来の開港の指定ないし廃止の基準を変更する予定はございません。
 次に、関税にかかる救済制度の改善に資するため、更正の請求及び不服申し立ての期限を延長することといたしております。
 このほか、外貿埠頭公団の建設する埠頭の完成に備える保税地域の規定等、所要の規定の整備を行なうこととして一おります。
 以上で関税定率法等の一部を改正する法律案についての補足説明を終わります。
#219
○委員長(丸茂重貞君) 四案の自後の審査は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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