くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 大蔵委員会 第7号
昭和四十四年三月三十一日(月曜日)
   午後五時十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     柳田桃太郎君     鬼丸 勝之君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         丸茂 重貞君
    理 事
                青田源太郎君
                岩動 道行君
                戸田 菊雄君
                多田 省吾君
                田渕 哲也君
    委 員
                青木 一男君
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                鬼丸 勝之君
                小林  章君
                今  春聴君
                津島 文治君
                中山 太郎君
                西田 信一君
                矢野  登君
                木村禧八郎君
                田中寿美子君
                野上  元君
                横川 正市君
                鈴木 一弘君
                渡辺  武君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       大蔵政務次官   沢田 一精君
       大蔵大臣官房審
       議官       細見  卓君
       大蔵省主税局長  吉國 二郎君
       大蔵省関税局長  武藤謙二郎君
       大蔵省国際金融
       局長       村井 七郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       農林大臣官房参
       事官       小沼  勇君
       農林省畜産局参
       事官       平松甲子雄君
       通産省通商局次
       長        楠岡  豪君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(丸茂重貞君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る三月二十六日、柳田桃太郎君が委員を辞任され、その補欠として鬼丸勝之君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(丸茂重貞君) 大蔵大臣官房細見審議官から発言を求められておりますので、この際これを許します。細見審議官。
#4
○政府委員(細見卓君) 去る三月二十五日の租税条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律案の御審議に際しまして、木村委員の質問に対して私が答えました日本からアメリカに向けてのロイアルティーの支払いが約二千万ドルと申し上げておりましたのは、手元資料の不備のためで、正確には約七千八百九十五万ドルでございますので、この点訂正させていただきたいと思います。
#5
○木村禧八郎君 あれは四十年ごろの統計ですが、もう少し最近のものがありましたら、最近の資料をお願いしたいと思います。
#6
○政府委員(細見卓君) 帰りまして、なるべく新しいものを調べまして、御連絡したいと思います。
#7
○委員長(丸茂重貞君) 関税定率法等の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#8
○木村禧八郎君 大臣が来てから質問をしたいと思っていたんですが、それでは事務当局で答弁していただける点について事務当局から答弁していただくとして、質問いたします。
 今度の関税定率法の改正案の中で、中国とのいわゆるケネディラウンドにつきまして輸入税率を引き上げるにあたって格差があったわけであります。これはいろいろいきさつがありまして、提案理由の補足説明にもございますが、大体今回の改正でおもなるものについては格差が解消されるのではないか。しかし、まだそれだけでは不十分で、ケネディラウンドは今後五年ぐらいにわたって適用されるわけでございますから、これについては、今後、中共産品につきまして、まだ格差があるものについて、協定税率適用国の産品と同等の待遇を与えられるように今後も努力されるのかどうか、もうこれでおしまいなのかどうか、その点をひとつ……。
#9
○政府委員(武藤謙二郎君) 先生御承知のように、昨年の附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、私ども大部分のものについては格差の解消ということで、いま御審議願っておる法案の中に入っているわけであります。ただ、これは、まだ全部ということにはなっておりません。そこで、残っている品目は、現状では、一つ一つ見ますと問題があるということで、格差の解消ができていないわけでございますが、今後さらに事態が格差を解消してもいいということになれば、前向きでそういうものも格差を解消をする、そういう方向で進めたい、そう思っております。
#10
○木村禧八郎君 今度の改正ですが、これは提案理由の補足説明にもございますが、四十一年及び四十二年の両年において中共からの輸入実績があったものについてその是正をしているわけですね。したがって、六五年――四十年以前に輸入されたものについては是正されていないわけですね。そこが問題なんですね。そこで、いま、大部分であって、まだ全部ではないというお話、それはいろいろ生糸とか絹織物とか日本の国内産業に影響のあるものもございましょうが、四十年以前のものについて今後ケネディラウンドの期間内においてだんだん格差を解消する方向に努力されていくのか、その点もっと具体的に四十年以前のものについてはどうですか。
#11
○政府委員(武藤謙二郎君) 実は、今度の改正は、非常に大作業でございまして、先生おっしゃいましたように、二年間の輸入の実績のあるものは全部当たりまして、そうして問題があるもの以外はみなやるということで均てんさせておるわけでございます。そこで、さらにさかのぼって、もう一つの問題は、もう一年前の年度について実績のあるものについてどうかという御質問でございましたが、これにつきましても支障のないものは前向きで解消いたしたいと思いますが、一つ技術的にむずかしいことがあると思いますのは、格差を解消して支障がないかどうかというときに、一つは輸入の金額が非常に安いかどうかということが指標になります。そのときに、最近輸入の実績がないということですと、もし輸入が起こったときにどうなるかという調査にちょっと手間どるということはございますけれども、そういう品目につきましても、私どもがいたしました今度の改定のような大作業はたいへんでございますけれども、なるべく御趣旨を尊重して勉強していきたいと、そう思います。
#12
○木村禧八郎君 前向きということばはいつも使われるんですが、ちょうど四十一年、四十二年の輸入実績について行なったと同じように前向きの形で努力したいというふうに理解していいわけですか。
#13
○政府委員(武藤謙二郎君) そういう方向で進みたいと思っております。
#14
○木村禧八郎君 大蔵大臣が見えましたから、この際伺いたいんですが、いま、日中貿易との関連で、ケネディラウンドは昨年七月一日から実施して、そして今度その結果関税定率法の改正案になってきて、かなり政府も努力されたと思うんです。そこで、協定国との格差があったのをその格差もだいぶこれでなくすわけですけれども、いままだ全部じゃないわけですね。その残りについては、今後も五年間のケネディラウンドの期間において前向きに努力するといま事務当局の御答弁があったんですが、それについて大蔵大臣のお考えも伺いたいのと、それから日中貿易につきましてはまだいろいろ懸案があるわけです。この際、大蔵大臣としてお考えいただきたいことがいろいろあるわけです。それは、一つは輸出入銀行の問題です。輸銀問題です。これは前から吉田書簡等でいろいろいわれておったんですが、大蔵大臣よく御存じのように、政治的な対外融資につきましては、海外経済協力基金法を改正しまして、あそこでもう整理したと思うんですよ。輸出入銀行は、ほんとうの純然たる経済取引ですね。コマーシャルベースによる融資を行なうということで、非常にすっきりしたと思うんです、改正でですね。したがって、日中貿易につきましては、金融はもう純然たるコマーシャルベースでやっていくことになるわけですから、そこで、前に台湾政府の蒋介石のほうから政治的な融資であるとかいろいろ言われましたけれども、それは輸出入銀行に限ってはもう政治的な融資ということは行なえないことになっているわけですね。そういう立場から、日中貿易について輸出入銀行の融資を行ない得るようにする必要があるのじゃないかと思うんです、大型のプラントとかそういうことになりますと、相当資金量も多くなりますがね。この点について、大蔵大臣、いかがお考えになりますか、前向きにやはりお考えになりますか。
#15
○国務大臣(福田赳夫君) わが国は、世界の多数の国、ほとんど全部というぐらい多数の国と通商条約を結んでおるわけです。つまり、国交を経済的にも持っておるわけです。ただ、それに例外が中共など四カ国あるわけなんです。それで、いま、世界の大勢は、ケネディラウンドということで関税障壁を下げていこうと、こういう大勢にあるわけなんであります。ところが、ケネディラウンドによるそういう世界の大勢にもかかわらず、わが国が国交を開いていない国との間に関税の協定のしょうはもちろんないわけなんですね。しかし、さらばといいまして、特に中共のごときはあれだけの大国でございます。また、日本にとっては非常に地理的にも近い。そういう国とのつき合いにおきまして、他の諸国とのつき合いにおける関税の率と比べて差異がある、ハンディキャップがつくと、こういうことであることは適当ではない、そういうふうに考えまして、今回の関税法の改正におきましてもずいぶんそういう配慮が入ったんです。ただ、生糸の関係だけはわが日本の国内産業というような関係がありまして手をつけることが非常にむずかしい関係ですが、大かた中共の関係も今度の法改正で救われると、かように見ておるわけなんであります。なお、今後ともそういう考え方をもって国交のない国との関税問題は対処していきたい、かように考えております。
 それから第二の輸銀の問題、これは古くてしかも常に新しく、かつ困難な問題でございますが、これはその後も政府のこの問題に取り組む考え方というのは変わっていないんです。いま木村先生の御指摘のように、輸銀の性格は変化してきたわけでありまするが、吉田書簡とか、ああいう問題で論議されたときの輸銀の使用問題、その輸銀の関連部門というのは輸銀にまだそのまま残っておって、決して海外経済協力基金のほうに移っておるその種の問題じゃないんです。そういうようなこともありまして、むずかしさは依然として続いておるわけなんでありますが、中共との間の貿易に輸銀を使うかどうかという問題、これは政府が常に言っておるように、ケース・バイ・ケースだと。そのケースが、輸銀の資金を使う、延べ払いを長期にやるにふさわしい案件であるかどうかということで輸銀当局に決定をゆだねておる、これが実情なんでございます。かつて二、三の延べ払い、輸銀を使ったケースがありますが、それが途中でつぶれちゃうというようなケースも出てくるというような状況で、どうもまだその後の形勢は輸銀になじんでおらぬというような事情もあるわけであります。私は、当然、ケース・バイ・ケースと、この考え方でこの問題を見ていくというほかはないように考えておるのであります。
#16
○木村禧八郎君 それは、大蔵大臣、ケース・バイ・ケースということはだいぶ前から言ってこられたんですが、いま大蔵大臣も言われたように、海外経済協力基金と輸銀との性格を非常にはっきりしちゃうんですね、法律改正によりまして。それはぼくは非常に前進だと思うんです。非常にすっきりしたんです。賢明なる福田大蔵大臣は、よくその点は御存じだと思うんですよ。ですから、せっかくそういうふうに変えたんですから、そこでいわゆる吉田書簡なんか入る余地がなくなってきているんです。大蔵当局でずいぶん苦心して、それはぼくは非常に賢明なる政策をとったと思うんですよ。ですから、大蔵大臣、そういう意味で、これをうまく活用されるようにですね。いままで、政治的な貸し付けだというふうにいろいろ批判されたんですけれども、そうじゃない、輸銀は。政治的なものは海外経済協力基金に整理した。だから、縦から見ても横から見ても輸銀の貸し付けというものは政治的な要素はない。そういうふうに整理されたんですよ、大蔵省がはっきりと。それをここで活用されないというのは、大蔵大臣、せっかく前向きのいいあれでありながら、効果をなくしてしまうんじゃないか。そういう点で御質問しているんです。
#17
○国務大臣(福田赳夫君) 私の最も尊敬する木村先生の貴重な御意見として、とくと拝聴さしていただいたわけであります。この問題はなかなかやっかいな問題でありまして、私一人でこうするんだというふうにお答えできませんので、非常に尊敬する先生の御意見でありますから、十分頭の中にたたき込んでおくことにいたしたいと思います。
#18
○木村禧八郎君 それでは、いつも大蔵大臣は前向きということばを使われるのですが、輸銀の性格をはっきりさしたり、また経済協力基金の性格をはっきりさした法律改正の趣旨にのっとって、積極的にこういう考えでいかれるという、その程度の御答弁はいかがですか。そういうふうに努力されたいと思うんですが。
#19
○国務大臣(福田赳夫君) 中共との貿易で輸銀を使用するという問題、これはなかなか背景がむずかしい問題なんですね。そういうことからどうも中共貿易の延べ払いが輸銀になじまないで今日に至っておるという事情にもなっておるというふうに思いますが、とにかくいままでケース・バイ・ケースでこの問題は検討しておるというのが政府の統一見解になっているのです。これを私はここで変えるとかなんとかという御返事をいたしかねることはまことに遺憾でありますが、先生のせっかくの御意見は十分私頭にたたき込んでおきますと、こうお答え申し上げます。
#20
○木村禧八郎君 この問題だけで時間を経過しますことは、他にも私は質問がありますから、やめますけれども、いままで吉田書簡の問題でいろいろ長い間論議されてきた。しかし、それについては、せっかく事務当局の苦心のあるところなんですよ。海外経済協力基金の性格をはっきりさした、それは大蔵大臣はよく御存じだと思う。だから、せっかくそういうふうにしたのに活用しないのは、これは私はまずいと思う。いままで吉田書簡と輸出入銀行の性格についてはずいぶん論議された。それで、その性格をはっきりとさせたわけです、政治的な貸し付けはしないんだと。その点は、大蔵大臣、よく御存じのとおりです。これはせっかくそういう新しい事態になっているのにちっとも問題にされないのはおかしいと思っていたんです。ですから、これをここで提起いたしますから。
 それから次に、円・元決済の問題です。日中貿易の決済通貨の問題、これは、国際通貨が動揺していますので、いつも問題になるんですね。日中貿易が要らないというならとにかく、やはり日中貿易は促進させなければならない。今後の日本の非常な高度成長を考えた場合に、どうしたって中国は大きなマーケットでございますから、したがって、日中貿易を促進させなければならない。そういう観点に立つと、決済通貨の問題は非常に重要になってくる。前にポンドの切り下げがあったですし、フランもまた不安定である。どうも、新聞などでは、国際貿促とそれから中国側では大体円・元決済は了解が得られているように出ているんですよ。ですから、大蔵当局がその点について踏み切られればできるのじゃないかというふうにも思うのです。この点については、大蔵大臣、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#21
○国務大臣(福田赳夫君) 日中間の貿易は、いまお話しのように、長い間ポンド決済ということになっておった。それがフランに移り、またフランが不安だというのでポンドに帰っていくとか、非常に不安定な状態のように聞いております。そこで、わが日本は、とにかくそういう決済面から日中貿易が阻害されるというようなことがあることは好ましくないことでありますから、何とかそういう状態は是正されたほうがいいというふうに考えておるのですが、いわゆる円・元決済、これなんか、私は、わが国の通貨も世界各国から見てその安定性において決して劣っているものじゃございません。また、元といえどもそういう状態にあるとも思いません。であるから、円・元決済でいいじゃないか、そういうふうに思いますが、そういう話が提起されれば私どもは積極的に前向きで考えてみたいというふうに存じますが、まだそういう話に接しないので……。
#22
○木村禧八郎君 非常に積極的な御意見を持たれているようで、これはぜひとも実現されるように努力されたいと思います。
 それからこれは一般的な問題なんですけれども、これは直接大蔵大臣だけの問題じゃないと思いますが、私今度の関税定率法の改正を見まして思うのですが、非常に多くの品目について引き下げされるわけですね、税率が。毎年ほとんどこういうことがあるわけですね。それで、私はこういうことを考えているんですよ。これは、大蔵大臣、私が間違っているかどうかお考えを承りたいと思うのです。いま、日本の円は、円安といわれていますね、一般に。そうなりますと、円安の場合は輸出に有利でして、御存じのとおり輸入に不利だと思うんです。最近国際通貨が非常に動揺していますが、そこで、アメリカなんかでも、ボルガーという財務次官が、二月十九日に、アメリカの上下両院合同経済委員会で、為替の変動幅の拡大論を提唱しているわけなんです。いま、IMFのあれでは、一%の範囲内ですね、変動幅が認められているのは。ところが、いまの平価は、御承知のとおり、一九四四年ですか、ブレトン・ウッズ協定ができたときの平価ですから、その後経済情勢が非常に変わってきております。にもかかわらずあのときの平価ですから、どうも実情に合わない。そこで、マルクの切り上げの問題とか、フランの切り下げの問題とか、いろいろ出てくると思うんです。それを、為替で調整しないで、関税とかあるいは為替管理とかそういうことで調整している面があるんじゃないかと思うのです。この間、マルクの平価を切り上げないで、ボーダー・タックスですか、それの調整でやった。フランなんかも、フランを切り下げるかわりに為替管理でやった。日本の場合、以前だったならば当然為替調整でやるべきところを、為替調整のかわりに、輸入についてはいま円安ですから不利ですから、それを関税率の調整によってやっているんじゃないか。ですから、円安の条件が続く状態のもとでは、いつでも税率の引き下げということがずっと問題になってきていると思うんです。そこのところの関連ですね。どうも、毎年毎年、こういうずいぶん多くの品目について税率の改正をやる、それもたいがい引き下げなんですね。それはケネディラウンドもあるかもしれませんけれども、全体としての流れとしてはそういう為替との関係があるのじゃないか。そうなると、為替変動幅の問題について大蔵大臣はどういうふうに考えられるのか。いま、実態として、そういうものがあるのかどうか、日本の場合ですね。為替で調整すべきととろを関税率の変更によって調整している面があるのじゃないか。それで毎年かなり大幅に多くの品目について税率を引き下げるのかどうか。それを今度為替調整をやれば、為替のほうで調整できるのであって、そうたびたびこれを変えなくてもいいのじゃないかと思うんですが、その辺のところはどうなんでしょうか。ぼくも実態がよくわからぬものですから、どうもそういう気がするんですが、いかがでしょうか。
#23
○国務大臣(福田赳夫君) 端的に申し上げますと、わが国は円為替の価値の調整を関税率でいたすということはやっておりません。そういうことを考えての改正じゃないんです、この考え方は。いま御指摘のように、ドイツでマルクの切り上げ論があった。切り上げはいやじゃ、それならどういうふうに調整するかということで、ボーダー・タックスを課する、こういうことからまあ始まってきて、為替変動の際に、為替の率を変えないで、そのかわりに国境税調整でやろうという考え方が国際社会で論議されるようになってきておるわけなんです。それで、いま現実にはヨーロッパでフランは切り下げるべきであるというのに対して、あまり切り下げ幅が大きいとこれはまた他の国の為替にも波及する、そういうような議論があり、それじゃフランの切り下げ幅は小さくして、逆にマルクのほうの切り上げということをやったらどうじゃろうというようなことから、為替変動に対してボーダー・タックスというものが代替手段として登場したというような状態でございますが、いまSDRというのをこの国会に御審議をお願いしておりますが、これが今後の国際決済の社会におきまして大きく物を言うだろうと思います。しかし、これだけが万能薬じゃなくて、いろいろなことが検討されているようですが、その一つとしてのいまのドイツがやったボーダー・タックスという考え方を一ぺん普遍化してみたらどうだろうというような考えを言う人もあるわけです。あるいは、為替変動幅を設けて、五%というような幅の中の変動は認めるというようなことにしたらどうかというような議論をなす人もありまするが、まあ今後いろいろな構想が国際決済を順便に行なうという見地から出てくると思いますが、わが円の価値は、いま円安というふうにお話しですが、円高なんです、傾向は。しかし、そうまた飛び抜けて高いというような状態でもない。調整を要するほどの状態でもありません。まあ強含みというような状態かと、こういうふうに見ておりまするが、いま円の問題を関税率で調整するという必要には迫られておりませんし、また、かりにそういうことをするほうがいいなという際には、国会から関税率の変更については全権を政府のほうに与えてもらわぬことには、これはそういうふうに動きません。そういうようなことを考えますと、なかなかこれは困難な点もありますので、わが国の今日の実情では考えておらぬということだけを申し上げておきます。
#24
○木村禧八郎君 いま、大蔵大臣、円高と言いますけれども、三百六十円が円安だというんです。いま日本のあれは、三百六十円じゃなくて、ほんとうは、三百円か、あるいは、二百五十円まではならぬが、とにかく実際はもっと円の価値が高かるべきものが三百六十円じゃ安いと、こういうことを言っているんです。こういう意味ですから、大蔵大臣の言うことと実は同じことなんです。ですから、そういう状態は、円はもっと高かるべきものが安いから、輸出が有利なんですよ。そこで、輸入は不利だ、その関係から言えば。それで、私は、輸出に有利なほうは円安で、しかし輸入に不利だから、そこを関税率でカバーすると、こういうふうに理解をしたわけなんです。その点は、ですから、まだかなり将来に属する問題です。IMFの為替変動幅の拡大、これはまた為替変動論でもいろいろピンからキリまでありますから、五%説もあれば、あるいは無限大に自由にしてしまえという説も、いろいろありますから・その点はSDRのときにまた伺いたいと思います。
 時間がありませんから、最後に一言伺いたいと思いますが、いま実際問題として外貨集中制をとっていますね。外貨がどんどんたまってきておる。この外貨集中制というのはずっと今後も続けるのかどうか。そうなると、いまの、大蔵大臣のことばでは円高ですね、安く輸出して、それで得た外貨を高く売るんでしょう、政府が。高く売ると、円が損をしますね。外貨集中制をやっていくとそういう情勢が出てくるんだというふうにも聞いております。だから、集中制はどんどん続けていくのかどうか。前は、外貨保有高というのは、民間の為替銀行分も含めて計算したものですが、現在は正貨準備という形で政府と日銀のいわゆる金及び外貨を言っておるわけです。その点、今後どんどん外貨がたまっていく場合に、いまのような外貨集中制というものを続けていくのかどうか。
#25
○国務大臣(福田赳夫君) 外貨の保有はどんどんふえてまいりまして、三十二億ドルになると、こういうことですが、まあ一貫してずっと外貨集中制ということをたてまえとしてはとっておるわけなんです。これは、いま、このたてまえを変更するという必要はないように思うのです。三十二億ドルといいますけれども、いまことしの輸出は百五十億ドルをこえるであろうと、こういうふうに見られておるくらいなんです。そこへもっていって三十二億ドルの外貨保有高だと。これは諸外国の外貨保有率に比べまして決して高い保有状態ではない。むしろ低いくらいな状態であります。ただ、去年のいまごろは二十億を割っておるというのが、急にそういうふうになったということで、ちょっといろいろ新しい問題を考える時期には来ておると、こういうふうには思っておるのですが、しかし、静かに考えてみますと、日本の外貨保有がこれで多過ぎるというふうには考えておらない。したがって、いま御指摘のような集中制、これを基本的に変えていくということを考える時期ではないのではないかと、こういうふうに考えております。
#26
○木村禧八郎君 その外貨保有につきましては、前に政府で試算をしたことがございますね。これは通産省でやっておりますね。「適正外貨準備の考え方」というので、通産省の官房調査課で四十二年の六月に、多少古いですけれども、非常に詳細に調査しておるですね。それを見ますと、いわゆる外貨準備水準について考慮すべき要因がいろいろ書いてあるんですけれども、あのときの調査結果によりますと、昭和三十六年で十七億から十九億ドル必要だという試算なんです。
 これからいきますと、現在ではもっと大きな外貨が必要じゃないかと思いますね。これは考え方いかんによってはずいぶんいろいろな幅が出てきますけれども、大体どの程度を予想しておるのか。それから外貨がだんだんたまっていく場合に、ドルが相当多いですから、そのときに、将来のドルの切り下げというものも考慮に置いておけば、ドルで持っているよりは、金、あるいは最近ドイツマルクをだいぶ保有すると政府は転換しているようですが、もう一つは、輸入をして日本の生産力自体を高めておいたほうがいいんじゃないですか。そういう生産力化しておく。もっとも、生産力があまり過剰になりますと困りますが、生産力化しておいたほうがドル切り下げをされたよりもいいのじゃないかという気もするんですよ。そういう点を、ただ漫然といままでの状態でドルをどんどん積み上げていっていいのかどうか、私はその点を非常に疑問に思うのですが、いかがでしょうか。
#27
○国務大臣(福田赳夫君) 適正なる外貨保有量が幾らであるか、これはなかなかむずかしい問題で、また、むずかしい問題に対して回答を与えましても、はたしてそこまで一体行けるのか行けないのかという現実問題もありますが、いまの三十二億ドルという保有高は、私は必ずしも大きいという感じは持っておりません。まだもう少し拡大しておいたほうがいいんじゃないか。と申しますのは、昨年の経済というものが、昨年というか、四十三年度ですね、四十三年度が始まる前には、どうも国際収支は三、四億ドルの赤字じゃないかという見方だったんですね、大かたが。それから政府も、大かたの見解に従ってそういう見方をした。ところが、これを実施してみるということになると、これは世界情勢の変化もありましたが、逆に十二億ドルの黒字になった。そこに十五、六億ドルの変動幅というものがあるわけなんです。私は、これを見て、非常にびっくりしておるのです。今度はこの短期間の間に十三億ドルばかり一年間にふえましたが、逆にこの外貨が十三億ドル減ったら一体どうなるんだということを考えまするときに、いままでの二十億ドルの外貨というのでは非常に不安だ。ことに、国際貿易の面ばかりでないんです。いま日本の国のために非常に大事なことは、経済が安定的に谷間のない形で成長を続けていく、高さが高くないほうがいいと、こういうふうに考えておるのですが、それにはどうしても国際収支の天井を高くしておかなければならない、こういうふうに思うわけです。そうすれば、多少海外が不景気だ、輸出が不振であるといっても、わが国は、外貨の保有高の犠牲において輸入をして、そして国内景気をつなぐことができる、こういうふうに考えます。しかし、まあそう無理をしちゃいかぬ。ことに、私は、短期資金なんかを持ち込んで、そしてただ外貨保有の額面だけをふやすというようなことは、絶対にしちゃ相ならぬと、こういうふうに思っておりますが、しかし、貿易収支の黒字により、あるいは健全な長期、中期の資金というようなことによりまして、外貨保有高がもう少し自然によくなるということはまことに日本の経済のために好ましい状態である、こういうふうに考えております。
 いま、木村先生が、最後に、何か資材をこの際輸入して設備でもしておいたらいいというのは、非常に珍説で、まあ木村さんがどこからそういう発想をされてきたのか、私ちょっと理解に苦しむわけなんですが、そういうことでお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
#28
○木村禧八郎君 もう時間がございませんから最後に質問いたしますが、いまの外貨保有の問題については、ただ一つ、適正外貨といいますか、もう三十五億ドルぐらいにすぐなると思うんですが、それ以上になるような傾向の場合にどうするのですかということなんです。だから、適正はどのくらいかということが問題になるのであって、どうもそれ以上になる可能性もありますね。そういうときどうされるかということです。それが一つ。
 あとは項目的に申し上げます。大臣がもし項目によっては答弁されにくいところがあれば、それは事務当局でもよろしいです。
 いまの問題と、それから次には、中国の食肉輸入の問題をひとつ伺わしていただきたい。
 それから重要機械類の免税措置が三月三十一日で期限が来ますね。これを延ばすわけです。ところが、最近、こういう問題について汚職問題が起こっていますね。非常に問題になっている。この問題についてその真相を伺わしていただいて、今後どういうふうに処理されるのか。ですから、われわれは、漫然と重要機械の免税措置をここで認めるわけにはいかない。やっぱり、非常に問題になりましたから、その真相をよく伺いたいと思うのです。
 それから小麦協定による日本の援助、これについて、これがまだ履行されないでいるということを聞きまして、これは低開発国の食糧事情がよくなったというように聞いておりまして、これも問題になっているようであります。これがわかったら、どうなっているのか、聞かしていただきたい。
 それから最後に、特恵問題ですね。特恵問題はいまどうなっているか。これはもうガットにリストを持っていく段階に来ていると思うのですけれども、その実情、経過を伺いたい。
#29
○国務大臣(福田赳夫君) 外貨保有高が三十五億ドルをこえたら一体どうするのかと、こういう御質問でございますが、あるいは近い時期にそのような事態になるかもしれないというふうに考えております。そういう際に、先ほども申し上げたのでありますが、いたずらに外貨保有高の多きを望んではいけない、こういうふうに考えております。問題はその内容なんです。いつどういう状態で引き揚げられるかもしれないというような短期の資金、これをかかえておるということは好ましくない。いま四十三年度につきましても外貨保有高が十三億ドルもふえたといいますが、日本の証券買いというのが非常に多いのです。この十二カ月の間に実に五億ドルをちょっとこえるくらいの証券が、外国人、特にヨーロッパ人の手によって買われておるわけです。これなんかは、日本の状態がちょっと悪いといえば、今度売ってまたどこかへ行っちゃう。あるいは、もうこの辺が日本の株の天井だからという見方になると、またそれを売り払ってよそに行っちゃうかもしれません。こういうふうなあれなんで、そういうことによって外貨保有高がふえたんじゃ、保有高のふえたこと自体で決して安心するわけにはいきません。ただ、こういうことは言えると思うのです。諸外国の人が日本の証券というものに目をつけて買うのは、必ずしも日本の企業を買うという意味じゃないと思います。日本の経済を買い、日本の円の価値を買う、こういうことだろうと思いますが、そういう点を考えますとこれはありがたいことなんですが、しかし、保有額の増加がそういう形によってできているということ自体は、これは決してそれで安心だというわけにはまいりません。そういうことで、まあ日本経済全体としては貸借対照表があるわけですから、その貸借対照表の資産の部に不良資産がないように、そういうことに気をつけて、見てくれだけにとらわれないという考え方を強く出していくべき時期になってくるのだろうと、こういうふうに考えます。
 なお、日本の外貨の保有高が三十五億ドルということになりますと、二十億ドルのとき三億ちょこちょこの金を保有しておったわけです。また、三十五億ドルの外貨保有高の中で三億ちょこちょこ――三億六千万トルの金でいいか、こういう問題が起こってくるわけです。しかし、いまは、金買いに出るということは、国際経済に対しまして非常に悪影響があるというふうに考えまして、それをあえていたすことは考えておりませんけれども、長い目で見た場合には、外貨保有高の中における金の割合というものにつきましても問題がある、こういうふうに考えておるわけなんでございます。まあなかなか外貨が多くなれば多くなるでそれなりに悩みがありますが、慎重に対処してまいりたい、かように考えております。
 あとは、政府委員のほうからお答え申し上げます。
#30
○政府委員(村井七郎君) 食糧援助の状況のお尋ねがございましたが、KRの食糧援助におきましては四十三年度は約七百万ドルを予定いたしておりますが、何ぶんスタートしたばかりのことでもございますので、いろいろ仕組みその他につきまして、供与すべき各国と話し合いをいまいたしておる最中でございまして、いろいろその使用方法についてもございますし、各国も、一国じゃございませんで、数カ国にも分かれておるということでもございますので、目下鋭意交渉中でございます。来年度はその倍額の約千四百万ドルということになるわけでございますが、本年度そういうことでスタートのときに仕組みその他がきまりますと、来年度の実施は比較的早いのではないかというふうに考えておりますし、そのための予算措置については、すでに予算で御審議願っておるところでもございます。
#31
○政府委員(武藤謙二郎君) 特恵の問題でございますが、特恵の問題につきましてはOECDで先進国の間で原則の問題を議論してまいりましたが、これはなかなか結論が出ませんので、一応三月一日を目標にして具体的に特恵を適用しない例外品目を各国出し合おうということになりまして、日本も多少おくれましたが一応出しましたが、まだアメリカ等提出しない国がありますので、そういうことでそれが出そろうまでちょっとこれからどういうふうに事を運ぶかペンディングというふうな状況になっております。
 それから重要機械の免税については通産省が来ておりますし、食肉の問題については農林省が来ておりますので、そちらから答弁していただきます。
#32
○説明員(楠岡豪君) 重要機械の免税の問題でございますが、私ども、通産省の一員としまして、まずかかる不祥事を出しましたことを心からおわびいたしたいと思います。それと同時に、監督者の一員としまして、非常な責任を痛感いたしております次第でございます。
 今回の事件の経緯でございますが、起訴されました堀田禎輔は、昭和三十六年以降、専門職でございます通商関税官に任ぜられておりまして、その仕事は重要機械類の免税に関しまして大蔵省との折衝及び省内の取りまとめに当たっておりました次第でございます。堀田は、三月の一日に収賄の疑いで逮捕されておりまして、その後警視庁の取り調べを受けておりましたが、三月二十日に起訴をされております。その起訴事実は、大昭和製紙の後藤という者から、昭和四十二年八月から四十三年九月までに飲食代の約五十五万円余りをかわって支払ってもらったということでございます。なお、そのほかに追加して起訴があるようでございまして、なお取り調べ中でございますので、さらに詳しい内容はまだはっきりしていない状況でございます。
 私どもといたしましては、従来かかることのないよう十分気をつけておった次第でございますけれども、かような状況に立ち至ったことはいかにも申しわけないと存じております。
 非常にこまかくなりまして恐縮でございますが、私どもがこの重免制度につきまして通産省の意見を大蔵省に持ち込みますに際しましては、機械を使う関係の局、それから機械をつくるほう、たとえば重工業局、それから一般的な技術に関します工業技術院、それに合理化問題を取り扱っております企業局、さらに通商局が入りまして、審査の上、持ち込むわけでございまして、私ども、一部の新聞に報ぜられておりますような曲げたものを大蔵省に持ち込むというようなことはなかったつもりであります。ただ、今後やはりこういうようなことがございませんように仕事のあらゆる面にわたりまして再点検をいたしまして、再びかかる不祥事を繰り返さないよう、十分気をつけてまいる所存でございます。
#33
○説明員(平松甲子雄君) 木村先生の御質問は、中国からの食肉輸入の現状はどうなっておるのだというふうなことだと承知いたして、お答えを申し上げたいと存じます。
 牛肉及び豚肉につきましては、現在、IQ物資でございまして、国内の需給事情に応じて輸入割り当てをいたしまして輸入をいたしておるという実情でございますが、食肉につきましては家畜伝染病の媒体になるということがおそれられておりますために、家畜伝染病予防法上、家畜伝染病の中で口蹄疫とか牛肺疫とかいうようなひどい伝染病の流行しておるおそれのある地域からの食肉の輸入は禁止しておるということになっておりまして、現在中共地区はその禁止区域になっておるわけであります。過去三回にわたりまして民間の調査団が参りまして調査をいたしまして、大体予想以上によくなっておるということははっきりいたしたわけでございますが、その調査団の調査結果を踏まえまして、一昨年の八月でございましたか、国内の家畜衛生の専門家に参集を願いましていろいろ意見を徴したわけでございますが、大方の御意見として、まだ中国から食肉を輸入するということは完全に安全ではないであろうということで、いわゆる五項目と称されておりますところの、過去における発生状況及びその被害、あるいはその撲滅対策なり撲滅の方法、それから診断方法、ワクチンの正常なる使用方法、その他不明疾病の発生状況というような項目について中国に問い合わせをいたしたわけでございますが、一昨年の十月問い合わせをいたしたわけでございますが、回答に接しない、こういうふうな形で、五項目に執着しておりましても事態が全然進まないということでございますのでその対策に苦慮いたしておりましたところ、中国からは生肉を輸入して船の上で加工するという方式でやれば国内に伝染病を持ち込むことはないではないかという考え方の提示がございまして、いわゆる洋上加工方式といわれておるわけでございますが、そういう考え方で今回の覚え書き貿易の交渉に際して代表団が中国側に提案をされたというふうに承知いたしておりますが、その結果は、新聞紙上で報ぜられるところによりますと、中国側のいれるところとならなかったということでございますが、私どもまだ詳細承知いたしておりませんので、代表団の帰国を待って詳細承知をした上で対処してまいりたいというふうに考えております。
#34
○木村禧八郎君 質問じゃありませんが、いままでの特に最後の食肉の御答弁については満足できませんが、もう時間がございませんから、別の機会に御質問することといたしまして、これで私の質問は終わります。
#35
○鈴木一弘君 いま、通産省のほうから、税関行政の運営のことで、例の堀田関税官の問題が出たわけですけれども、これは大蔵当局のほうには全然責任がないというふうにお考えなのか、あるいは関税行政の改善ということでどういうふうに考えておるか、この点を最初に伺っておきたいと思います。
#36
○政府委員(武藤謙二郎君) 先ほど通産省の御答弁の中にもありましたように、重免は、それぞれの省と大蔵省が相談いたしまして、その結果こういう機械は法律の要件に該当するから免税しようというふうなことになりますと、これが政令となって出るわけでございます。で、政令に出るのは、抽象的な形で出ております。そこで、今度の通産省の事件にかんがみまして、私どもも、これは通産省からの説明は堀田君一人じゃありませんで、詳しい方がいろいろ来て説明しておるわけでございますけれども、今後こういうことがわれわれのところでも起こると困りますので、自粛自戒して、それでなるべく多数の者が縦から横から検討してきめる、従来からも会議ではきめておりましたが、そういうことで弊害が発生しないように努力していきたい、そう思っております。
#37
○鈴木一弘君 これは、結局、一人のエキスパートをつくったということから起きた事件ですから、そういうことのないようにという、そういう方向ということですね、合意ということは。
 それから関税定率法がきょう一日のわずかな時間でということになってまいりました。期限切れであるということが一つの大きな問題になってきたわけですけれども、具体的にきょうもし成立をしないという結果になったときにはどんな障害が起きてくるか、そういう点について聞きたいと思います。
#38
○政府委員(武藤謙二郎君) いろいろ問題がございますが、二、三の例を申し上げますと、一つはトウモロコシでございます。これが関税割り当てということになっておりまして、二次税率が従価に直しますと約四〇%、こういうことになっております。二次税率というのは大体これは利用されないだろう。したがいまして、一次税率、これは無税でございますが、その関係で割り当て証明書をもらった分だけが輸入される、その分が三十七万九千トンあるという上期のワクでございますが、これがもしお願いしております法案が通りませんと、一日になりましてトウモロコシが基本税率の一〇%ということになりまして、いま飼料用として待機しております大量のトウモロコシがどっと入ってくる。そうしますと、国内のイモでん粉の市況に非常に甚大な影響を与える。これが一つでございます。
 それからもう一つ例をあげますと、バナナは暫定税率が六〇%になっておりまして、これをもう一年延ばすということを御審議をお願いしておるわけでございますが、これがおくれますと基本税率の三〇%になってしまう。そうしますと、その中間のときに非常に安い税率でバナナが入ってくる。そうしますと、国内の果物の市場に影響を与える。それからその他、暫定増税や減税の関係でもって、たとえば法律が通れば減税になるというものが、法律が通るまで港に待機するだろう。そういうことで、この月末月初の船込みの港が非常に混乱するだろう、こういうことを憂慮しておる次第でございます。
#39
○鈴木一弘君 トウモロコシの場合も、前回の関税率審議会では一年限りというようなことが言われておったように私は思うのですが、再びここで変わってくる、変わるというか、つながってくるわけですけれども、そういうようになってきたということについて、一年限りが動いたということがわからない。いま一つは、バナナについても、六〇%を三〇%に早くしなさいということも一応言われているわけですね。それが今回の輸入の問題でというんですが、この点については私は多少納得ができないところがある。バナナ等については、三〇%にしても影響なかろうという感じを受ける、というのは、食品の嗜好というのは、たとえばスイカを食べる人がバナナにかえたいということはございませんから、そういう点についてもこれはよく考えていったほうがよろしいのではないか。そういう点で、この審議会では、一体、どういうような結論というか、どういう審議の過程があったか、その点について伺いたい。
#40
○政府委員(武藤謙二郎君) 関税率審議会の模様でございますが、先生おっしゃいましたように、トウモロコシについては、昨年の暫定措置を一年で打ち切って、もっと関税の安い措置を講ずるようにということでございました。しかし、一年間いろいろと研究しましたが、どうも名案が浮かばなかったものですから、やむを得ずもう一年延ばすということになっております。
 それからバナナにつきましては、御承知のように五%引き下げて六〇%ということになったのでございますが、最近の国内の果物の状況が非常に悪いということで六〇%をもう一年延ばすことはやむを得ないということに相なった次第でございます。
#41
○鈴木一弘君 農林省の方、いらっしゃいますね。いまの嗜好の問題ですが、バナナの関税率を基本税率に早くしないほうがいいというようなことは、嗜好の関係からいえばこれは関係がないじゃないかという感じがしてしようがないのですが、その点……。
#42
○説明員(小沼勇君) バナナと関連いたします果物関係はかなりございますが、中でもリンゴ等は実際に店頭に並びまして競争関係に立っているようでございます。特に、最近のように、果物が非常にとれまして、そのためにやや供給過剰のような状態を呈しておりまして、産地では果物の生産者の値段がかなり下がっているという状況でございますが、こういう情勢の中でバナナの関税を三〇%に下げていくという傾向で処理をすることははなはだ問題であろうというふうに思いまして、私どもやはり現行の税率をもう一年続けていただきたいというふうにお願いした次第でございます。
#43
○鈴木一弘君 事情はわかりました。わかったんですけれども、関税率審議会で可及的すみやかにということをいわれている。その辺の解釈はどういうふうに受けとめられておりますか。
#44
○説明員(小沼勇君) 消費者の立場から考えますと、できるだけ豊富に安い果物を摂取するということが必要でございましょうが、同時に、生産者の立場から考えますと、採算のとれる形で農業生産を続けていく、果樹生産を続けていくというととが必要であろうかと思います。その点をどういうふうに調整するかということが重要な課題でございまして、漸次国内の果樹生産の生産性を上げて国際水準に接近させていくということが農政上必要でございますが、そのような措置を講じつつ関税につきましても漸次低下の方向をはかっていくということであろうかというふうに思っております。
#45
○鈴木一弘君 はっきり言って、私は、農政の貧困がこういうことになったんだろうということしか言えないわけですけれども、実際に果樹の問題等を考えていけば、これは、一つには、ここの委員会のあれではありませんけれども、価格差補給金等について真剣に考えていけばこういう問題は起きない、おそらく基本税率というものが適用されても影響を受けないということができるだろう。そういう点のところが非常に欠けていることが、やはり関税においてもゆがんだ形を出さなきゃならぬだろうと思いますが、そういう点については、意見になりますから答弁は求めませんけれども、真剣に考えてもらわないとまずい問題だと思います。
 時間があと五分だそうですので、しょうがないので、関税法についての法の改正でありますから、それについて伺っておきたいと思います。
 今回、「「開港」とは、」云々ということになりまして、開港等の指定が、いままでと違いまして、現行は法律でありますけれども、今度はこれを政令で指定するということになってきております。本来は、こういうような場合は、国会にはかった上で法律の形で行なうというのがよろしいんじゃないか。主権在民の上からいうと、政令で自由自在というよりも、やはり法律でやるべきではないかということを思うわけです。場合によると、行政府の専断ということが行なわれるということで、開港等の指定が勝手に動かされる、そういう点については私ども非常な心配があるわけですけれども、その点はいかがですか。
#46
○政府委員(武藤謙二郎君) 開港については、御承知のように、開港、不開港とどういう差があるかということでございますが、主たる違いは、入港の際に事前の許可が要るかどうかという点でございます。従来は、お話のように、法律できめておったのでございますが、現在いろいろな港へ外国の貨物が着くということになりまして、開港が非常にふえております。港だけで八十七というようなことになっております。そこで、主として工業地の造成が進んでおるせいでございますが、そういうことを考えますと、政令で具体的に機動的にきめられるということにしたほうが実態に即するのではないかというふうに考えまして、今度改正をお願いしておる次第でございます。
#47
○鈴木一弘君 なるほど、補足説明等を読めば、「政令によって、弾力的に開港等の追加を行ない得るようにすることが適当」だと、こういう考え方でもって、「従来の開港の指定ないし廃止の基準を変更する予定はございません。」と、こういうことがあるんですけれども、これはこのとおり守るということがはっきりしませんと非常に心配になるわけですが、その点はいかがですか。
#48
○政府委員(武藤謙二郎君) 新しく開港をする基準も、それから廃止の基準も、従来どおりにやっていこうと、そういう考えでございます。
#49
○鈴木一弘君 いま一つは、現在の羽田の国際空港等を見ていましても、事実発着陸が非常にふえてきている。また、今度成田の新空港ができる、こういうことがいろいろ出てくるわけですけれども、税関の設備、あるいは税関の事務の問題こういうことが現状――まあ今度の法改正で多少通関は楽になるようですけれども、人員や設備等の問題を見てみれば、いつまでたっても旧態依然たる感じがいたすわけです。現在でもパンクしそうな状態です。こういうことについては、一体ほんとうに本気になって考えているのだろうかということを思わざるを得ないわけです。その点について、これは早々にやらなきゃならないことだと思うんですが、そういう考え方について今後の計画等について伺っておきたい。
#50
○政府委員(武藤謙二郎君) 空港の関係は、先生のおっしゃるとおりの実情でございますので、たとえば羽田につきましては、いまの施設では非常に狭隘だということで、入国の関係は新しい施設をつくるということを考えております。それから成田の新空港につきましても、私どもの仕事がやりやすくて旅客に便宜なような施設をつくってもらいたいということで公団といろいろ研究を重ねていると、そういう実情でございます。
#51
○鈴木一弘君 一つだけこれは大蔵大臣に伺っておきたいのですが、いわゆるケネディラウンドでだんだん税率は下がってきますけれども、それ以外の非関税障壁の問題がこれから大きくなるという傾向にあります。それに対しての対応策は、ただこちらがお願いして何とかという、交渉だけということの姿勢じゃなくて、そういうものも今後は取り払っていくというような国際的な機運というものをつくらなきゃいかぬだろう。そういうことに対しての政府の考え、それを伺っておきたいと思います。
#52
○国務大臣(福田赳夫君) わが国は貿易日本というような立場をとらざるを得ない国でありますので、関税障壁に対するケネディラウンド、これに対しましては全面的に協力し推進する、これが国益だ、こういう考え方ですが、同時に、関税外の障壁、これにつきましても同様の基本方針というものを持っておるわけであります。どうも、通貨不安だというようなこと、それからそれに関連して国際収支の不安な国が出てきておる、その国が通貨を守るいろんな施策をとりがちでございます。その施策が、関税というようなところへ行きにくいものですから、勢い関税外の方向に向けられていきます。それに対しましては、私ども日本政府としては、断固としてケネディラウンドと同じ考え方を進めるべきである、これが世界の繁栄につながるゆえんである、こういう態度で取り組んでいく考えであります。
#53
○渡辺武君 この提出されている法律案によりますと、委託加工方式によって外国でつくられた製品を再輸入する場合の原材料に関する関税は軽減されるということになっておりますけれども、この委託加工方式で日本はどこの国とどこの国に製品をつくらしているのか、また、その規模はどのくらいなのか、それからつくられた製品が日本に再輸入されている量はどのくらいなのかということ、それからつくられている品目でおもなものはどういうものがあるのか、それから日本でどういう企業が委託加工方式で他国に進出していっているのか、またはその進出している場合に、どんな形で、たとえば、合弁形態などが考えられるわけですが、あるいはまた、資本を貸してそして向こうに工場などをつくらして委託加工方式をとるという場合が考えられるのですが、その企業形態、及び概略の規模ですね、どのくらいの会社に委託加工方式でやっているのか、それらの点について実情をお聞かせいただきたい。
#54
○政府委員(武藤謙二郎君) 委託加工につきましては、後ほど通産省からも詳しい説明があると思いますけれども、概略を申し上げますと、韓国につきましては、四十二年の加工賃の支払いが二百五十万ドル、四十三年の一−六月が六十一万ドル、こういうスケールでございます。この九割以上がしぼりとなっております。御承知のように、今度御審議をお願いしております法案は、しぼりは関係ございません。
 それから次は台湾でございますが、台湾が、四十二年が四十万ドル、四十三年の一−四月が三十十万ドルという加工賃の支払いになっておりますが、この九割程度はコアメモリプレーンで、今度お願いしております電子計算機の記憶装置の関係でございます。
#55
○渡辺武君 その二国だけですか。
#56
○政府委員(武藤謙二郎君) 現在のところ、この二つがおもなものだと承知しております。
#57
○渡辺武君 続いて通産省のほうからお願いいたします。
#58
○説明員(楠岡豪君) 委託加工を行なっております会社でございますが、ただいま手元に具体的な会社名等は持ち合わせておりませんけれども、先ほどお話の出ました韓国のしぼりの委託加工でございまするが、これは京都周辺のしぼりを扱っております問屋さんの委託加工が多いように聞いております。あと、品目を申しますと、件数が非常に落ちますが、繊維製品がほとんどでございまして、いずれもこちらの小規模の業者が向こうの小規模の業者に委託をするという形が多いようでございます。
 それから台湾につきましては、メモリプレーンにつきましては技術的な問題もございますので、こちらの製造業者が台湾に子会社を設立しまして、先方でメモリプレーンをつくらしているというようなケースが多いようでございます。
#59
○渡辺武君 この委託加工方式の場合、こちらが原材料などを向こうに委託する場合に輸出をする、その場合は相手国では輸入関税はどういうことになっておりますか。
#60
○政府委員(武藤謙二郎君) 相手のほうは、これは保税でやりますので、関税は払わないで済むということになります。
#61
○渡辺武君 そうしますと、原材料を向こうへ持っていったときは輸入関税がかからない、そして製品になってこちらに再輸入される場合にも、その原材料分については輸入関税が減額される、こういうことになるわけですね。
 そこで、もう一つ伺いたいのは、先ほどもお話がありましたが、今後特恵関税方式などが採用されていくことになりますと、韓国、台湾などからの輸入品についてはやはり特恵関税方式が適用されるということになろうかと思うのですけれども、こういう再輸入品ですね、これについても特恵関税制度が適用されるということになりますか。
#62
○政府委員(武藤謙二郎君) 特恵と再輸入の関係は、御指摘のようになかなかデリケートな問題がございます。しかし、いまのところ、それを結びつけて議論するということは行なわれておりません。それからなお、特恵につきましては、各国とも国内産業に重大な支障のあるようなものについては特恵関税を適用しないという方向で進んでおりますが、具体的にそれをどのぐらいの範囲にするかということは、これからの話し合いの問題でございます。
#63
○渡辺武君 この委託加工方式が日本と韓国なり台湾なりの間で行なわれるということの経済的条件を考えてみますと、一番問題になるのは、韓国、台湾などの労働者の賃金が非常に低いということにあるのじゃないかと思うのです。そうでなければ、国内で加工して十分やれることだろうと思うのです。大体、韓国の労働者の賃金は、日本の労働者の賃金の、資料によっては半分もしくは三分の一というふうに普通いわれておりますので、そういう低賃金の労働力を求めて委託加工方式に進出するということになっているのじゃないかと思うのです。そうしますと、これが、いま申しましたように、原材料を輸出した場合も向こうは輸入関税がただだ、そうしてまた、それが製品になって再輸入されたときにもその原材料について輸入関税は非常に軽減されるということになりますと、非常に有利な条件がつくられるのじゃないかというふうに考えられます。そうして、もしかりにこれにまた特恵関税制度などが適用されますと、関税という点ではきわめて有利な条件に立つのじゃないかと思うのです。そうなりますと、こういう委託加工方式による再輸入がますますふえてくるということにもしなるならば、日本の労働者の賃金に対する圧迫、それからまた中小企業に対する圧迫というのが、国内の面からしても非常に問題になってきはしないかというふうに思いますけれども、その辺はどう考えておられますか。
#64
○政府委員(武藤謙二郎君) 御指摘のような問題があると思いますので、いま御審議願っている法案でも、たとえばしぼりは入らないというようなことになっております。そこで、いま御審議願っているのは、そういう問題のないという品目だけに限定しておりますし、これからもそういう方針で行きたい、そう考えております。
#65
○渡辺武君 この表を見てみますと、今度軽減措置をとられる品目ですね、電気冷蔵庫、コアメモリプレーン、ベアリング、受信用真空管その他、主としてこれは電子電気工業に関係したものが多いと思うのです。これは、国内で考えてみても、大きな電機会社が中小企業に下請させているという場合が多いものだと思わざるを得ないのですね。大体、国内の中小企業でつくれるような品物ばかりですね。ですからして、いま中小企業に影響のないようなことを考えていると言われますけれども、これ自身を一見しただけで、国内の中小企業に非常に大きい影響がありはしないか。もしこの制度を突破口にして今後こういう委託加工方式について有利な条件がつけられるということになりますと、委託加工方式が非常に拡大されて、国内の労働者や中小企業家に大きな打撃を与えるばかりではなくて、日本の大企業が韓国、台湾その他の諸国にますますもって経済的に進出するというふうになってくるのじゃないかと思う。これは戦前のあの在華紡の例でもわかりますけれども、こういう経済的な進出が日本の権益を守るというような口実で、やがては政治的、軍事的な侵略を招き寄せる一つの重要な足がかりになるんじゃないかというふうに考えざるを得ない。この点で私どもは非常に危惧を持っておりますけれども、その点はどう思いますか。
#66
○政府委員(武藤謙二郎君) 今度品目を選定いたします場合に、御心配のような点を考えまして、下請に出しているというようなものでないものを選んでおります。
#67
○委員長(丸茂重貞君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(丸茂重貞君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#69
○渡辺武君 私は、日本共産党を代表して、関税定率法等の一部を改正する法律案に反対するものであります。
 この法律案は、第一に、アメリカが他の資本主義諸国に輸出を拡大することを目ざして提起したケネディラウンドを受け入れ、これに従って輸入関税を引き下げることをおもな内容の一つにしております。したがって、アメリカの日本への経済的進出を促進するものであります。そもそも、ケネディラウンドは、ベトナム侵略や国際競争力の低下をおもな原因とするドル危機に苦しむアメリカが、その主要な輸出商品に対する他国の輸入関税を引き下げさせようとして提起したもので、この法案も、このアメリカの要求にこたえて、アメリカの主要輸出品である大型乗用車、各種原料品、大豆、ラード、皮革などの関税を引き下げ、小麦、米、重要機械類、原子力研究用品、石油化学触媒品などに対する免税措置を延長しようとしています。日本のように、サンフランシスコ条約、日米安保条約などによってアメリカに半ば占領され、経済的にも深くアメリカに従属、依存している国が、このような措置をとることは、日本経済のアメリカへの従属、依存を一そう深めるものであります。
 第二に、この法案による関税率引き下げは、日本の大企業に大きな利益を与え、農民や中小企業家に大きな打撃を与えるものであります。この法案によれば、銅、銑鉄、アルミニウムなど主として大企業の使う原材料や、重要機械類などの関税を引き下げ、免税措置を延長する反面、ハンドバック、カバンなどの皮革製品、家具、文房具など中小企業の多くが携わる分野の製品の関税引き下げによって中小企業家に打撃を与え、また、鶏や食肉類、大豆、農産物加工食品などの関税引き下げ、小麦、大麦、米などの主要農産物に対する免税措置の延長など、農民に大きな打撃を与えるものであります。
 第三に、この法案は、アジア諸国に対する日本の大企業の進出を一そう促進しようとするものであります。すなわち、この法案は、現在日本の大企業が韓国その他の国々の人民を低賃金で搾取することを目的として行なっている加工再輸入品の原材料相当部分の関税を軽減する制度を新設しようとしております。この加工貿易方式は、日本の労働者の低賃金の条件を強め、国内中小企業家に打撃を与えるものであります。さらにはまた、韓国政府などアメリカのかいらい政権に対してテコ入れしながら、大企業のアジア侵略を促進する重要な手段として行なわれるものであり、やがては日本の権益を守ることを口実とした政治的、軍事的侵略に導くものであることは、かつてのいわゆる在華紡などが日本の中国侵略の足がかりになった例に照らしても明らかであります。
 わが党は、以上の理由によってこの法案に反対するとともに、アメリカに対する日本の経済上の従属、依存と、アジア諸国への帝国主義的進出をやめ、すべての国々と自主、対等、平等の立場で貿易を発展させるとともに、国内の農業や中小企業を保護することを中心として関税政策を根本的に転換すべきことを主張するものであります。
#70
○委員長(丸茂重貞君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#71
○委員長(丸茂重貞君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 関税定率法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#72
○委員長(丸茂重貞君) 多数と認めます。
 よって、本案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
#73
○岩動道行君 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党、以上四党の共同提案として、ただいま可決されました関税定率法等の一部を改正する法律案に対し、次の附帯決議案を提出いたします。
 附帯決議案を朗読いたします。
    関税定率法等の一部を改正する法律案に
    対する附帯決議(案)
 一、加工再輸入品の関税軽減措置により、国内
  関連中小企業及び勤労者に不当な圧迫が生じ
  ることとならないよう、政府は今後とも対象
  品目の選定にあたり十分配慮すべきである。
 二、開発途上国に対する特恵関税供与について
  は、これが国内中小企業に及ぼす影響の甚大
  なるにかんがみ、関係中小企業の体質の改善
  強化等について、十分配慮すべきである。
 三、関税の引下げにより、国内農業に重大な不
  利益を及ぼすことのないよう適切な措置をす
  べきである。
  右決議する。
 この附帯決議案の内容につきまして若干の説明を加えさせていただきたいと存じます。
 第一の加工再輸入品につきましては、近隣開発途上国の低廉豊富な労働力等の利用が国内関連産業を圧迫している例が最近問題になっておりますので、この制度の創設により、わが国の中小企業や勤労者に圧迫が生ずることのないよう、慎重に配慮する必要があるということであります。
 第二の項目については、すでに国内中小企業に手当てが施されてはおりますが、今後ともその施策に万全を期せられたいということであります。
 第三項目については、場合によって緊急関税の措置をとる等の配慮が必要であるということであります。
 以上でございます。何とぞ御賛成くださるよう、お願いいたします。
#74
○委員長(丸茂重貞君) ただいまの岩動君提出の附帯決議案を議題といたします。
 岩動君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#75
○委員長(丸茂重貞君) 全会一致と認めます。
 よって、岩動君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、福田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。福田大蔵大臣。
#76
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府は御趣旨を尊重して善処いたしたいと存じます。
#77
○委員長(丸茂重貞君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#78
○委員長(丸茂重貞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト