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#1
第061回国会 大蔵委員会 第8号
昭和四十四年四月三日(木曜日)
   午前十時三十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月三日
    辞任         補欠選任
     津島 文治君     土屋 義彦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         丸茂 重貞君
    理 事
                青田源太郎君
                岩動 道行君
                戸田 菊雄君
                多田 省吾君
                田渕 哲也君
    委 員
                青木 一男君
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                鬼丸 勝之君
                今  春聴君
                土屋 義彦君
                西田 信一君
                木村禧八郎君
                田中寿美子君
                松井  誠君
                横川 正市君
                鈴木 一弘君
                渡辺  武君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
       労 働 大 臣  原 健三郎君
       国 務 大 臣  菅野和太郎君
   政府委員
       総理府統計局長  岡部 秀一君
       経済企画庁長官
       官房長      岩尾  一君
       経済企画庁国民
       生活局長     八塚 陽介君
       経済企画庁総合
       計画局長     鹿野 義夫君
       大蔵政務次官   沢田 一精君
       大蔵大臣官房審
       議官       細見  卓君
       大蔵省主計局次
       長        相沢 英之君
       大蔵省主計局次
       長        海堀 洋平君
       大蔵省主税局長  吉國 二郎君
       国税庁長官    亀徳 正之君
       労働省労働基準
       局長       和田 勝美君
       労働省労働基準
       局賃金部長    小鴨 光男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       厚生省大臣官房
       統計調査官    前田 正久君
       厚生省社会局保
       護課長      宮嶋  剛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(丸茂重貞君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、津島文治君が委員を辞任され、その補欠として土屋義彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(丸茂重貞君) 所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
#4
○木村禧八郎君 私は、ただいま議題になっております所得税法それから租税特別措置法の改正案につきまして、その前提となる基本的な問題について一、二質問いたしたいと思います。
 いま、現在の日本経済は、大蔵大臣もよく御存じのとおり、いわゆる大型景気、いざなぎ景気と呼ばれております。一体、これは健全なものかどうか。大蔵大臣は、私は新聞で拝見したのですが、今後、成長率については、実質二けた的な、つまり一〇%程度の成長率を実現していきたい、こういう話をされて、また、総理もそういうようなことを述べておると伝えられているのですけれども、そうした高成長率、これが特に昭和四十一年ごろからそうした実質において二けた的な高成長を遂げてきたのですが、しかし、これを健全な成長率と見ているのか。あるいはまた、この中身ですが、成長率は高くさえあればいいというものじゃなくて、経済社会発展計画でも均衡のとれた経済成長というものを目標にしていると思うのです。そこで、一〇%以上の高度の成長を遂げて、それによっていま大型景気とかいざなぎ景気といわれておる、それが健全なものかどうか、まずその点を伺いたい。もし健全でないとすれば、財政、税制等からこれを是正する政策をとらなければならぬと思うのです。そういう立場から、いま議題になっております二つの法案との関連においてその前提としてまず伺っておきたいと思います。
#5
○国務大臣(福田赳夫君) 私も、大蔵大臣といたしまして、国の経済が健全な状況であるかどうかということは、不断たゆまざる注意をいたしておるわけであります。私は、健全であるかどうかという診察、その指標というものはどこにあるかというと、国際収支と物価だと、こういうふうに考えているわけであります。そういう国際収支、物価、これに異常のない範囲の成長、これが好ましい形である、基本的にはそう考えております。もっとも、もう少し掘り下げていきますと、成長の過程において成長がかもし出すひずみ、これの是正克服という問題もありますが、常に私が経済を診断する立場において注意を払っておりますのは、物価と国際収支、これに支障ない範囲において経済を成長発展させる、こういうことです。これが第一であります。
 それからいま一〇%の問題がありましたが、このあいだここで羽生三七さんからの御質問があった。それで、今後五カ年間にどのくらい成長が見通せるかというお話でございましたが、私は、それに対して、成長はこの三年間のうちに一二%という成長であったが、これは好ましくない。もう少し低目にしなきゃいかぬ。しかし、数年前にわれわれが安定成長速度として考えた七、八%、これも日本経済の現在のエネルギーから見まして適当でない。もう少し上がっていくべきである。まあ国際情勢の変化等とあわせて、どういうふうになっていくか、これははっきりした見通しはできないけれども、いろんな前提がそう大きく狂わなければ、波はありましょうけれども、大ざっぱに大体実質一〇%ぐらい、五年間ぐらいの見通しとするとそんなところが考えられるんじゃありませんでしょうかと、こういうことを申し上げたんですが、その考え方はいまでも変わっておりませんです。このあいだ、総理も、大体同じようなことを予算委員会でお答え申し上げておりました。
#6
○木村禧八郎君 いま、大蔵大臣は非常に重要な発言をされたと思うんです。今後の財政なり税制をやっていく場合の目標ですね。いま自由資本主義経済ですから、独占が非常に進んでも、一応私的所有、まあ生産設備その他私有財産を基礎にしておりますから、自由資本主義だと思うんですけれども、そのもとで計画経済を行なうことは困難と思うのですけれども、しかし、ある一定の目標を掲げて努力しておることは、これは周知の事実です。その目標として、いままでいろいろ政府が発表してきているわけです。何カ年計画とかいうですね。特に一番最近の目標作業としては、「経済社会発展計画」というのがあるわけですね。そこで、はっきりと政策努力の目標として掲げているのは、もちろん国際収支とか物価というもの、これも重要でありますけれども、社会資本、これも一つ重要だと思うんですけれども、その前に、国民総生産の構成比ですね、これが非常な重要な目標になっておると思う。あるいは国民総支出の構成比と言ってもいいですが、たとえば個人消費にどの程度の割合を振り向けるか、設備投資にどの程度の割合を振り向けるか、政府財貨サービスのほうにどの程度振り向けるか、あるいは住宅投資とか、あるいは在庫投資とか、あるいは貿易上の問題もありましょう。これが非常に重要じゃないかと思うんです、均衡のとれた経済成長としまして。そうした努力目標を掲げておるわけなんです。いま、「経済社会発展計画」は、これからつくり直すと言っております。実態と非常に合わなくなって、成長率についても、物価についても、見通しについても、非常に合わなくなったといわれておりますが、昭和四十四年度の予算を編成し、それぞれの関連で税制改正をやるわけです。われわれは、これから審議する場合に、ただその場限りではいけないわけですね。場当りではいけない。やはり長期の目標との関連において判断しなければならないし、ことに、その場合に判断する目標というものをどこに求めるかということは、国際収支も一つです。しかし、国際収支だけではいけないと思う。その場合に、個人消費を犠牲にしてうんとデフレ政策をとって、それで国際収支の均衡をとろうと思えばできますよ。それではいけないのであって、均衡のとれた成長ということになる。ですから、政府は、均衡のとれた成長の中身は、一体、現にどういうふうに考えているのか。それから四十四年度予算を編成するにあたって、均衡のとれた成長をしてどういう中身を前提とされて、四十四年度予算を編成したのか。また、税制を、均衡のとれた成長を前提として税制を考えたと思うんですよ。そうしなければならぬと思うのです。その場限りに税制改正をやったのではないと思うんです。たとえば資本蓄積の問題があるでしょう。それと関連して、設備投資の問題が個人消費者との関連において所得税の減税が問題になってくるわけです。ですから、いま、均衡のとれた成長として政府は何を具体的に目標にしているか。それは、設備投資についてはどの程度の国民総生産の構成割合を考えておるのか、個人消費にはどのくらい、政府財貨サービス購入にはどのくらい、これを私はまず示してもらいたい。そうでなければ、その場限りの財政であり、その場限りの税制改正にすぎない。ここをまず問題にしなければなりませんし、さらにここにまた非常に重大な問題がひそんでいると思いますから、まずこの点から伺いたい。ほんとうは経済企画庁長官でもいればいいんですが、大蔵大臣は予算を編成されたのですから、財政との関連において御答弁願いたい。
#7
○国務大臣(福田赳夫君) 財政は、あなたのお話のとおり、国全体の経済運営に非常に大きな関係があるわけですね。国民の消費、産業活動、政府の活動、この三つに国の活動というものを大きく分類することができる。その構成比というか割合というものは、常ににらんでいかなきゃならぬと、こういうふうに思います。そういうことで、四十四年度も大体そういうふうな傾向にはなっておりますが、大ざっぱにわが国の動きを見ておりますと、個人消費活動が国民総活動の半分から半分をちょっとこえるという程度です。五〇%ちょっと出るという程度、それから残りの五〇%近くのものが産業設備投資、これが二〇、それから政府の財貨サービスというのが二〇、これが上がったり下がったりしますけれども、これが大体大きなパターンだというふうに見て、それを頭に置きながら、さあ世界の情勢がどうだとか、国内のいまの景気の段階がどうだというものと合わせながら、その割合というものを弾力的にその年度年度考えていく、こういうことですが、四十四年度で言いますと、住宅政策というものに相当力が入っております。そういうことで、住宅なんかの個人住宅なんかは幾らかいつもよりは多いような傾向になっておると思います。それから産業投資のほうは、ポジション指導というようなこともありまして、例年でいうと二〇%近く行きますのが、おそらく一八%台、一八、九%というところに押えてまいりたいと、こういうふうに思います。それから政府の財貨サービスも大体それと肩を並べる。こういうような状態で、全体のバランスをとっておる。これは毎年毎年同じ比率だと、こういうわけにいかないのです。これは世界情勢の変化に弾力的に対応していかなきゃならない。それから国内の景気動向、それによりましては設備投資を押えなきゃならぬ時期もありまするし、あるいは政府の財政投資を押えなきゃならぬ時期もある。そういうようなことで多少の変化はありますけれども、これは、お説のとおり、常にそういう国民経済の中における個人の消費生活、それから産業活動、政府の行政活動、このバランスにつきましては深甚の注意を払っておるというふうに御了承願います。
#8
○木村禧八郎君 ただいま現状を大蔵大臣は説明されているのですが、国民総生産、あるいは国民総支出と言っても同じですが、その中の構成割合として、個人消費は、大体半分かちょっと上回る。それは、目標をそこに置いているのか、四十三あるいは四十四年度はそうなるというのであるかですね。今後、政策目標として、諸外国ともいろいろ比較勘案しまして、個人消費をどの程度の割合に持っていくのがいいと考えているのか。「経済社会発展計画」では五五%となっています。ところが、最近は、実質計算でいきますと、昭和三十五年の物価基準でいきますと、五〇%じゃないんですよ。四十三年度は五〇%を割っていますよ。それから四十四年度については、四十三年度と同じような計算方法でやりますと、これはデフレータがいろいろありますから計算が困難ですけれども、四六%くらいになります。五〇%をはるかに割るのです。ところが、「経済社会発展計画」のわれわれのもらった資料によりますと、諸外国では、三十九年ですが、アメリカは六三%です。イギリスが六五%、西ドイツが五六%。そこで、「経済社会発展計画」は五五%程度を目標にしたわけですね。中進国ということでおそらくしたと思う。ところが、最近は、個人消費割合がずっと低下しているんです。これは経済企画庁で実質で計算してもらったんですけれども、昭和二十九年は六二・四%、三十六年は五四・八%、四十二年が五〇・九%です。四十三年が四九・三%です。五〇%をずっと割っているんですね。そこで、今度は、逆に民間設備投資が、昭和二十九年は一〇・九、三十六年は二二・四、四十二年が二一・六、四十三年が二二・八、四十四年がおそらく二二、三%じゃないか。そうしますと、昭和二十九年に比べて民間設備投資は倍以上です。比率としては倍以上になっている。個人消費割合が六二%がずっと下がって五〇%を割っているんですよ。そうすると、この傾向は、「経済社会発展計画」で示しているものとは逆に行っているんです。ずっと逆なんですよ。「経済社会発展計画」では、固定設備投資を大体一五%程度。一時ものすごく三〇%程度まで行ったのをだんだん漸次比率を低下して、そして個人消費は五五%程度、こういう状況になっている。いまの日本経済の特徴は、イザナギ景気とか大型景気の特徴は、個人消費率がずっと下がっていて、民間設備投資がものすごくずっと大きくなっているんですよ。そこに特徴があると思う。ですから、技術革新を中心とするいわゆる民間設備投資はものすごく多くなる。そして、いわゆる工業社会化というものが急速に進んでいるわけですよ。あらゆる政策がみんなここに集中しているわけです。ですから、政府の目標は、民間設備投資の割合を国民総生産の中で比率でふやすようにさらに持っていくのか。「経済社会発展計画」ではむしろこれを低下させて、そうして均衡のとれた発展とは個人消費比率をもっと比率をふやしていく。そして、資本主義国におけるように、大体六〇%程度までに、戦前も六〇%くらいでしたから、そのように持っていくように政策努力をするのが今後の課題じゃないか。これは税制についても今後の財政政策の重要なきめ手になると思う。どっちを選ぶかによってうんと変わってくるんですね。いわゆる一〇%の実質成長率を実現しようとすれば、ますます設備投資重点の資本蓄積重点の税制になり、資本蓄積重点の財政政策になる。いままでそうだったんですからね。特に昭和四十一年ころからずっとそうなっている。あらゆる政策が資本蓄積を促進させるために重点が置かれ過ぎたと思うのです。その点は、大蔵大臣、非常に重要な分かれ道に来ておると思うんです。これは、経済企画庁で「経済社会発展計画」を今度練り直すにあたって、どっちの道を選ぶか。いままで発表したこういう資料があるんですが、そういう方向を選ぶんですか。私はこまかい数字についてどうこう言うのではないのです。一つの傾向について逆の傾向に行っているんです。均衡のとれた経済成長とはいま逆の方向に行っている。均衡のとれていないいわゆる設備拡張重点型の経済になっている。また、経済政策もそういうふうになっているわけですよ。これは、今後の税制等にも非常に重要な関係がある。特に租税特別措置とは非常に重要な関係がある。所得税の減税とも重要な関係がありますから、その点をここではっきりして、よく大蔵大臣は前向きとか言いますが、いままで政府がいろいろ言ってきたことは私は三百代言みたいなものだと思う。前向きだとか、安定成長だとか、物価安定だとか、資源の適正配分だとか、全く中身がない。ですから、私はここでこの際一つの大きな曲がりかどに来ていると思う。転換期に来ていると思う。それで、荒川の建設工事でああいう惨害が起きたり、また茂尻炭礦の爆発でいろいろな鉱害が起こっておるんです。そういう問題もこれとは無関係じゃないんです。安定成長の線で行っていないんですよ。ものすごく民間設備投資重点主義でやっているから、あらゆる問題が犠牲になっている。そこで、物価の値上がり、社会資本の立ちおくれ、そういうひずみが出てきているわけでしょう。これは責めているんじゃないのですよ。責めているんじゃなくて、大蔵大臣、率直にいまの事態をそういうふうに認識して――私は大蔵大臣一度ゆっくり議論してみたいと思っておったことの一つはここだったんです。ここのところを十分に認識し合って、確かに民間設備投資重点主義、これは行き過ぎている。個人消費割合というものは非常にアンバランスになっている。逆の方向に行っているんですよ。安定は均衡のとれた成長だ。だから、これをこれから調整する段階に行かなければいけない。いままでは高成長が必要だったとかりにしましても、これから今後は、たとえば三年先、五年先くらいは、いままでと違って調整の段階に行くのだというような目標をはっきり出すべきだと思う。そうでなくて、一〇%の高成長で、いままでの高成長によって何が起こったかというと、ものすごいいろいろな公害とか、交通難とか、住宅不足とか、いわゆる急速な工業社会化によっていろいろな弊害が出ているでしょう。そういうものとの関連で、設備投資重点、最優先型のイザナギ景気とか大型景気、こういうものをここで再検討しなければいけない。「経済社会発展計画」をここで練り直すのですから、ちょうどいい機会ですよ。その点をひとつ前提としてどうしてもはっきりさせていただきたい。
#9
○国務大臣(福田赳夫君) 木村先生が、一度ゆっくり議論をしてみたいという話があり、いまお話しの点がその点に触れておるのだというお話ですが、私は、いま話を伺っておりまして、いささか所見を異にするのです。つまり、いま日本での国づくりとして非常に重大なのは、蓄積の立ちおくれである。いま、公害だとか、いろいろお話がありましたが、そこからみな来ているのだろうと思うんです。あるいは交通の状況を見ましても、社会資本の、つまり国家的蓄積ですね、これの立ちおくれということ。それから家庭でもそうであろうと思う。いま、わが国の国民総生産は世界第三位。しかし、一人一人の家庭をとらえてみると、イタリアに次ぐ地位、つまり二十位だ。いまの経済情勢が続くと、おそらく相当の確率をもって五年後では一人当たりの国民の所得もヨーロッパ水準に行くと、こう思います。しかし、そのときに、数字からはそう出るが、われわれの生活感がはたしてヨーロッパ水準まで行くかというと、私はそうではないと思う。非常に大きな違いがありますのは、家庭においても、蓄積の立ちおくれ、ことに一番大きなあれは住宅です。西欧諸国のは、いわば、何十年も続くような堅牢な住宅をみな構えておる。わが日本はどうだ、こういうことです。数において足りない。まして、質においては非常なる立ちおくれである。家具調度、そういうものにおいてもみんなおくれを感ずるわけです。そういうことで、私は、経済全体として見るとき、これは企業においてもそうなんです、企業でも蓄積が非常に弱い。だから、景気に対する抵抗力がない。
 そこで、問題は、国民経済計画というか見通しというか、その構成ですね、これを見る場合において、個人の消費は少し減るという傾向にあって、財政が大きくなって政府の財貨サービスがふえるとか、あるいは住宅投資がふえるとか、あるいは設備投資がふえるとか、そういう置きかわりをしているわけです。私は、その形というものは、必ずしも排斥すべきものではない。その日限りの消費が住宅になるんだ、悪くないじゃないか。その日限りの消費が道になるんだ、あるいは河川の備えになるんだ、港になるんだ、われわれの共同の財産になるんだ、私はこれは悪くないと思う。あるいは、わが国の経済を世界において発展させるエンジンになる、起動力になる、工場の増設になる、決して悪くないと思うんです。ただ、私は問題があると思いますのは、その中においてもやはり生活を享受する態勢、これを進めなければならない。それはこの構成比を狂わせなくとも、構成比の国民消費を上げなくても、そのワク、総生産というものが上がっていくんです。ですから、国民の消費生活水準というものはそれだけ上がるんです。しかし、私はそう国民消費を押えるという積極的な考え方はとるべきじゃないと思いまするけれども、これが上げなきゃならぬ、六〇まで持っていかなければならぬ、そういう考え方はどうもいただけない。そういう気持ちにはなれない。むしろ、いまや日本が急ぐ問題は、社会資本というか、われわれ家庭で消費しなくとも、われわれの生活にはね返るわれわれの生活の環境を整える問題だ。また、われわれの家庭のその日その日の消費でなくして、われわれの生活の基盤になる住宅だとか、土地だとか、そういうものを整える問題である、そういうふうに考える。そういうふうにいまおっしゃられる点は苦にしておらぬということを申し上げます。
#10
○木村禧八郎君 それは苦にしておらぬというのは、もう全く問題の所在を大蔵大臣はわかっていないし、それは誤解していますよ。資本蓄積は必要だ。必要だというのは、住宅が必要だ、道路、港湾、まさにそういうものが民間設備投資が行き過ぎちゃって犠牲になっているんですよ。そのことを言っているんですよ。社会資本の立ちおくれというのはそれなんです。
#11
○国務大臣(福田赳夫君) こういうことならわかるんです。個人消費対個人消費以外の投資的支出、これの比率の問題をいまあなたが力説しておったから、それに対して私は意見がある、こういうふうに申し上げたのでありますが、しかし、今度は、個人消費以外の国民総支出五〇%の中の配分だと、こういう点になると、私は、社会資本のほうが立ちおくれている、民間資本のほうが進み過ぎている、こういうふうに思います。この辺によほど気をつけなきゃならない。つまり、財政と金融ですね、このバランスを一体どういうふうにするか、この関係をどういうふうにするかという問題です。私は、ですから、木村さんが、ことしは予算が膨大に過ぎるとかいうような話もされますが、いま私が急いでいるのは、そうじゃないんだ、社会資本だ、道路の立ちおくれはどうです、港湾はどうです、航空の状態はどうです、こういうことで予算の量も多くならざるを得ないんだ、こういうことを申し上げたように記憶しておりますが、個人消費以外の国民経済活動、この分野においては、私は、社会資本の立ちおくれ、それからまた住宅投資、こういう個人生活の蓄積面ですね、これに重点を置き、産業設備投資は押えぎみに行く、これが今日必要じゃあるまいか、さように考えております。
#12
○木村禧八郎君 その実態認識において、大蔵大臣は私と多少違う。それから、私に言わせれば、大蔵大臣は正確に把握していないですね。これは経済企画庁あるいは企画庁長官がおればいいんですがね。とにかく、いまの実態は、すなおに実態をまず明らかにしなければならないと思うんですが、民間設備投資が、「経済社会発展計画」では、三十年−三十三年では一五%、三十四年−三十七年では二〇%、三十八年−四十年では一七%、四十六年に一五%と、こういう比率になっているんですよ、政府の発表では。ところが、実際は二〇%をこえているんですね。二二%くらい。実質ですよ、昭和三十五年の物価にしまして。そうして、実態は、この民間設備投資の比率がうんと大きくなることによって、社会資本が立ちおくれ、個人消費比率が低下しているというのが実態なんですよ。ですから、個人消費比率の低下と、民間設備投資の当初の予想より倍くらいに比率がふえているのですから、これはそれとの関連があるのであって、社会資本の立ちおくれというものもそこから生じている。だから、私は、あまりに民間設備投資優先型のいまのやり方が行き過ぎていると言うんですよ。それで、住宅とか道路とかその他は、これは政府のいわゆる投資になってくるので、政府固定投資として見ているので、これは別ですよ。さっき資本蓄積が重要だというのは、それは私も否定していないんですよ。だから、その辺の認識を間違えると、今後の政策だって全く逆になってくるんですよ。だから、いまのような民間設備投資優先型の税制なり財政なり、これを続けていってごらんなさい。公害はちっともなくならない。ますますエスカレートされてきますよ、公害は。それから交通難はますますエスカレートされてきますね。そういうもとでの一〇%もの実質成長をやっていったら何になるか。むしろそれは逆なんであって、今後はそういう国民総生産の構成比を是正しなければならない段階に来ている。いままでは、世界第二位とか第三位とかGNPを高めるという努力をしてまいりました。百歩を譲ってそれは必要だったとしましても、高度成長が結局民間設備投資の大幅の急スピードの増強によってもたらされたものですから、それが中心になって原動力になっているのですから、したがって、今後は、それによっていろいろな障害が出てきたのですから、そこでこれを調整する段階に来ているのではないか。必要なら、まだ二年くらいこの成長が必要だとか、三年は一〇%が必要だが、四年目からは個人消費のほうの割合を高めるとか、何かそこにけじめがなければならないと思う。ただ、今後、高成長が必要だ、一〇%の実質成長だとこのままで行ったのでは、このアンバランスがますます拡大されるだけだと言うんですよ。ですから、この点をはっきりさせないと、今後、税制の問題を考えるにも、財政の問題を考えるにも、方向が違ってくるのですからね。いままでは、「経済社会発展計画」が、私がいま指摘しているように、個人消費、民間設備投資、政府財貨サービス、この均衡のとれた方向に四十六年まで持っていくという、こういう目標になっているんですよ。それが実態が逆の方向に行っていると言うんですよ。だから、それを、「経済社会発展計画」のこのような方向に戻すのか、あるいは逆の方向に続けていくのか、ここが重要だと思うんですよ。ここのところをはっきりさせなければ、じゃ租税特別措置によって資本蓄積を促進する、こういう政策がいいのか悪いのか、あるいはもっと促進させる必要があるのか、あるいは個人消費割合のウエイトを大きくするためにはもっと減税が必要なのか、たとえば租税特別措置を整理して、もっとこれは個人所得の減税のほうに向けるべきか、いろいろそこに政策的な重点の置き方が違ってくるわけなんですよ。私は、社会党としては、そういう点に着目して、全体の政策の方向をまずそこからスタートして、いままでの設備投資はあまり優先し過ぎた、そのことをこれから是正するという方向で行かなければいけない、こういう考えなんですよ。そこが聡明なる大蔵大臣がわからぬはずはないと思うんですよ。これは経済企画庁が今後「経済社会発展計画」を一体どういうように持っていくのか、これは重大な問題だと思って、基本的な問題として私も問題を提起しているんですけれども、どうも大蔵大臣とそこのところがぴったりかみ合わないんですよ、議論として。だから、かみ合うためには、実態認識をもう少し正確にする必要があるのじゃないかと思うんですよ。ここにありますよ、「経済社会発展計画」が。これをごらんになって、うんとこの実態は違っています。五%に持っていこうというのがいまは五〇%程度だったら、五〇%程度を五五%にしていくのかしていかないのか。実質的にはもう五〇%を割っているんですからね。どっちなんですか。
#13
○国務大臣(福田赳夫君) 今後の経済のかじのとり方ですね、これについての御意見でございますが、木村さんは、国民経済構成費の中で個人消費の占めるシェアですね、これを私はあんまり強調し過ぎやしないかと思うのです。その点が私は違うのです。しかし、考え方の筋道、道筋は全くそのとおりで、その構成費、どれを優先しなければならぬかというその順序をちゃんときめて、そうして財政金融諸政策がそこから出てくるのだということにならなければならぬわけですが、第一の国民消費のシェアを上げろという議論が非常に強く出ておりますが、その考え方には私は賛成できないんです。これはやはり住宅だとか――個人消費でも、五五%の中に住宅投資というものは入らない。これは別の問題です。そういうものをふやすとか、われわれの共同の財産である道路をつくるんだとか、橋をつくるんだとか、市街地の形成をするとか、こういう問題ですね、こういうことをもう少し社会というものはわれわれの社会であるという考え方で考えるべきじゃないかと思うのです。一人一人がアパートにマイホームで閉じこもって、これが城だという考え方じゃ、これからの進んでいく社会には対応できない、そういうふうに考えます。しかしですよ、しかし、その次の問題です、五五%を引いた四五%の中のその問題のとらえ方、これは私は賛成です。ですから、そういう方向で一生懸命努力しているのだけれども、社会主義じゃありませんものですから、金融統制能力というものがそうない。そこで、設備投資がうんと動くという状態であります。これには今後ともくふうをこらして、木村さんと同じ考え方で対処していきたい、かように考えております。
#14
○木村禧八郎君 大蔵大臣は議論をそらしちゃっているんですよ。このごろ、大蔵大臣、なかなかそらすのがうまくなりましたね。(笑声)人をいろいろとほめるんですよ。あとの面については同じ考えだとか、尊敬する木村さんだとか、そんなことを言って、どうもそらすのがうまいですね。私もだいぶ年をとってきましたから、おだてには乗らなくなってきましたから、もう少し冷静にひとつ……。
 しかし、私は、強調し過ぎているのじゃないんですよ。大蔵大臣、「経済社会発展計画」では五五%になっているんです、目標が。そうなっているんですよ。それで、いままで、実際に、三十四年−三十七年が五五%、三十八年−四十年は五五%、三十年−三十三年が六一%です。六一%からずっと下がってきているのですね。それで、いまでは、五〇%あるいはそれを割るということになってきているんです。ですから、「経済社会発展計画」では五五%になっておるし、また過去においてもそうなっていたんですから、その程度までこれを上げていくのか。このままで行けば下がっていくんですよ。そこを聞いているので、強調し過ぎているということでそらそうとするんですがね。
 それからもう一つ、私が強調しているのは、むしろ民間設備投資のほうなんです。これは社会資本の立ちおくれの原因にもなっていますし、それから物価の値上がりの原因にもなっていますし、住宅不足の原因にもなっているのです。そこのところなんですよ。これからの政策目標として問題なのは、この調整をどうするか、これは非常にむずかしいのですね。金融で調整するのか、財政で調整するのか。しかも、これは、かりにヨーロッパ並みの六三%、六五%、そこまで個人消費支出を高めるとしましても、民間設備投資の調整と個人消費割合とこれは密接な関係があるんですからね、どうしても。そこを私は言っておるわけなんですよ。ですから、それはお互いに党派は違っても実態認識の上においては違わないんですから、事実は一つしかないんですから、それからスタートして、今後の安定成長の方向として、いままでは民間設備投資優先型、確かにもう最優先ですから、そういう方向で行くのか。これは一つの是正の段階にきておるんだと、それで社会資本なり物価の安定なり見ていかなきゃならぬじゃないかと、私はこういう考えなんです。実質一〇%というと、たいへんなものですよ。それからどこのたいていの先進国を見ましても、長期にだんだん経済が発展していけば、成長率は下がるものなんです、長期的傾向としてはですね。長期的傾向としては、アメリカだって、イギリスだって、成長率は低いでしょう。それは実質的な資本蓄積が多くなりますから、したがって、成長率はむしろ下がるのがあたりまえだと思うんです、長期的な趨勢としては。それを実質一〇%、一〇%でずっと行くようになったら、いまお話ししましたように、そこに非常な他との不均衡が出てくると、こういうことなんですよ。
#15
○国務大臣(福田赳夫君) 西欧諸国と比べますと、計算の基礎も違いましょうが、大体において西欧諸国の国民生活消費は六〇%を出るような傾向の国が多いですわね。それはなぜかというと、西欧諸国はもう古い国なんです。道もできておりますね。あるいは町もきれいに整っております。住宅ももう整っております。そういう国なんです。わが日本ではそういうわけにいかないんです。われわれの共同の財産、社会資本が非常に立ちおくれている、これを急がなきゃならぬ。われわれ個人個人の蓄積も立ちおくれている。そこで、そういう政策が進められておるわけで、財政は非常にいま膨大化しておる。戦前に比較してみると、六倍の高さの財政があるわけです。しかも、戦前は、軍事費が半分も占めておる。いま、わが国では、軍事費は〇・八%だ。ものの数じゃないわけです。ほとんど全部が国の一般行政に使われておるんですから、諸外国と比べてみますと飛び抜けている。わが国がその財政の中で何をねらっているかというと、公共事業です。公共事業にばく大な金が一般会計、政府諸機関を通じてぶち込まれておるわけですが、それは西欧諸国並みのわれわれの生活環境を整えようという努力が行なわれているわけなんです。そういうことを考えると、全部整っておる国の個人消費のシェアが高いという国とは、国柄がだいぶ違っておる。西欧諸国のような国に早くなりたい。ならすためには、いま大いにそういう蓄積を急がなきゃならぬと、個人的にも社会的にも蓄積を急がなきゃならぬと、こういう立場にあるので、その本質を少し考える必要があるんじゃないかと思います。
 それからぼくは社会党の基本的な考え方から発想として理解できないのは、 マイホームというか、個人の城ばかりに重点を置くような議論にあなたがなっておりますが、私どもは逆なんです。そうじゃなくて、社会全体がわれわれの財産なんだと、そういう考え方なんですよ。そこのところがどうも社会主義政党の理論を代表される木村さんのお考えとも思えないような議論なんで、ちょっと当惑するんですがね。まあ、私も、しかし、産業資本というか設備投資が行き過ぎておる、こういう点については全く同感でございまするから、その辺は注意してまいりたいと思います。
#16
○木村禧八郎君 そこを議論しているんです。設備投資の行き過ぎているということを認められたんですよ。大蔵大臣、わかっているくせに妙に議論をそらす。社会主義政党の基本的構想が個人消費に重点を置き過ぎているとか、そんなことは子供の議論ですよ。国民総生産の構成比の場合は、国内総固定投資、民間住宅投資、企業設備投資、政府固定投資、政府消費、個人消費、輸出超過、これだけあるんですよ。あるんですけれども、一番重要なアイテムは個人消費と民間設備投資と政府財貨サービス購入、この三つが一番大きい柱であって、このコンビネーションが重要なんです。そこに住宅投資もありましょうし、在庫投資もありましょうけれども、この比率が低いんですよ。かなり低いから、一応ネグレクトして議論しているのであって、そういうようなあげ足をとるような議論は大蔵大臣らしくないですね。そういうことはお互いに百も承知しているということで議論しませんと、うっかりここで黙っちゃったらそうなっちゃう。(笑声)時間でもなかったらどうします。時間切れだということで、速記にはそれだけしか載っていない。そうすると、社会党の経済理論というのは全くへんぱであって個人消費だけを大きく言うと……。そんなへんぱな議論をしているのでないんで、そういうことはもうお互いに知っている。長い間お互いに経済専門でやってきているんですから、そういうものは百も承知として、そう言っちゃあれですけれども、まだそういうことを勉強していない議員さんには、それでごまかせますけれども、(笑声)お互いにそういうことはわかっているということで少し前向きの議論をしてみたいと思います。
 そこで、次に伺いたいのは、設備投資の行き過ぎということは一応認められたわけですよ。そうすると、一〇%実質成長論はどうなんですか。やっぱり設備投資が原動力ですからね。
#17
○国務大臣(福田赳夫君) 今後のことは、どうもまだはっきりその見解を申し上げる段階まで至っていないのです。つまり、「経済社会発展計画」ですね、この計画が著しくそごを来たしたわけです。これの反省もしてみなければならぬ。その上に立って、また今後の世界経済の情勢なんかも展望して新しい考え方をつくっていかなければならぬ。こういうちょうど境目の時期なんです。ですけれども、私がここではっきり申し上げられることは、過去三年間に続きましたような一二、三%というような成長ですね、これは高きに過ぎる、こういうことであります。それからまた、数年前、これが日本の国の安定成長速度かなと考えた七、八%という線ですね、これは低きに過ぎる、こういうふうに思うわけであります。私は、その年々の高さはデコボコはあると思いますけれども、将来五年くらいの見通しでは、ますます一〇%ぐらいかなあというような気持ちであります。しかし、それにはよほどこれは工夫の要りますのは、日本経済の活力、これは相当強いのですけれども、しかし、それを押えぎみにしないとそういう結果が出てこないのではないか、そんなふうな感じがいたします。これは、政治家としての勘ですね。総理大臣の勘、私どもの勘、それがたまたまそういうようなところへ来ておる、こういう段階でございます。
#18
○木村禧八郎君 そうしますと、設備投資が行き過ぎであるということは認められたわけですから、今後、行き過ぎであれば、調整する必要があるわけです。ことにかげり論との関係で財政制度審議会で大蔵省は説明されたそうですが、実質価値は三十五年前は二二、三%くらいの設備投資のシェアですね、国民総生産の。そうしますと、四十三年が二二・八%でしょう。三十六年に、すごく設備投資が多くなって、国際収支が赤字になりましたね。あのときをこえているんですよ、四十三年は。そうしますと、これが四十四年、四十五年に稼働してくると、四十六年ごろ三Cの需要の頭打ちと関連してそこで過剰生産の問題が起こってくるという、そういう見通しだと思うんですよ。大蔵大臣はやっぱりそういうふうにお考えですか。
#19
○国務大臣(福田赳夫君) そういうことがあってはならないのです。経済運営上一番心配されることは、デフレギャップというか、需要が供給に足りないという状態ですね。そういうことが出てきた場合に、さて、その需要を充足する、需要を追加する、こういう目的をもって設備投資をする。これは需要の喚起にすぐ役立つわけでございますから、需要の喚起をいたす。そうすると、需要は喚起されますから、デフレギャップは解消に近づくわけでございまするが、それが二年、三年たつと今度は供給力にまたなってくるのです。ですから、そこでまた設備投資をして需要を喚起する。これは、何というか、非常な有害な治療方法で、そんなことをほんとに続けておったら、インフレ化しちゃうことになるわけなんです。そういうことがあってはならない。で、デフレギャップというような事態が起こらないように、常に、設備投資、やがては供給力化する設備投資、これの案配ですね、これに気をつけていかなきゃならぬ、こういうふうに思うのですが、その設備投資が行き過ぎだという問題は、一面において、公害だとかいろいろ問題を引き起こします。不均衡問題を起こしますが、同時に、そういう景気調整面に大きな害悪がある、こういうふうな見方をいたしておるわけです。そこで、四十四年の経済見通しでは、説明書にも差し上げておりますが、一八・五%、設備投資のシェアはそういうふうになっておるわけです。
#20
○木村禧八郎君 一八・五%は、これは名目なんですよね。三十五年の実質価値にしてデフレートすると、二二、三%になるわけですね。そういうことです。ですから、相当行き過ぎている。大蔵大臣も、設備投資重点型のいまの大型景気とかイザナギ景気とか、それが公害とかその他生活環境をひどく悪くしているということも認められたわけなんです。ですから、非常に問題なんです。設備投資の行き過ぎということがいまの日本経済の一番の特徴的な現象です。それからいろいろの害悪が起こっているんです。物価の値上がりもそうでしょうし、いろいろの公害の問題もそうですが、その調整が必要なんです。それを財政、税制面から言うと、私は今年度の個人所得税の減税は少な過ぎると思うけれども、それにしても資本蓄積の面から言って租税特別措置についてはもっと改正すべき点があったのではないかと思うのです。登録税とかあんな程度ではいけないのであって、それから交際費の損金不算入を一〇%ですか、あの程度じゃ話にならぬと思うんですよ。
 そこで、今後の税制改正として、大蔵大臣は、いま言われたような方向で考えるのですね。ということは、資本蓄積が行き過ぎ、つまり設備投資が行き過ぎないように考慮していくという措置が税制面から必要じゃないか。それから個人消費のアンバランス、これは私はいま一挙に六〇%にせよと主張しているのじゃなくて、最終目標としては、だんだん日本は先進国型になるのですから、戦前はやっぱり六〇%ぐらいだったんですから、六〇%ぐらいを目途といたしまして、「経済社会発展計画」では五五%なんですが、いまそれを割っているんですから、したがって、その面についても税制上もっと個人所得税の減税に重点を置いていく。今後の税制改正ということはその二つの点ですね。設備投資の行き過ぎを調整する面の税制改正と、もう一つは個人消費をもっと割合を大きくするような方向での税制改正ですね。
 それからこれは本気で言ったかどうかこの際聞いておきたいのですけれども、もし本気にそうだったら私は非常に評価していいと思うんですけれども、配当の分離課税ですね、源泉選択の分離課税、あれをやめられると言われておるのですが、ほんとうにできるのですか。証券業者からものすごい反撃を食ってもおやりになるのならけっこうです。やってもらいたいんですよ、あれだけお約束したのですから。今度期限が来たらやめると。現在の法律は源泉二〇%で総合ですから、そこに戻るのか。そうだったら大英断ですよ。大したものです。ああいう御発言をなさってあとで取り消さないように、本気におやりになっていただきたい。これは財界からのものすごい抵抗があるに違いないですよ。それを覚悟でお言いになったと思うんですよ。そうしたら、自民党というものもなるほど少しは見直してもいいですよ。
#21
○国務大臣(福田赳夫君) いま、特別措置の中で、分離課税の問題について、総理が、あれは期限切れの来年の三月を期としてとりやめたいというふうに言ったという木村先生の御発言でございますが、私はその発言のありました衆議院の大蔵委員会の席におったんですが、検討いたします、真剣に検討いたします、こういうことで、やめますという宣言をしたわけじゃないんです。そういうことでございますが、この国会の論議を通じましても税のあり方については非常にいろいろな意見がなされておるわけで、財政の面から言うとこの国会は税論議国会であると言ってもいいくらい税に議論が集中されてきております。そういうような議論もよくそしゃくいたしまして、私ども、これからの税制はどうあるべきかということを国会が終わればすぐにとりかからなければならぬ、さように考えておるわけでありますが、特別措置の大口のものにつきましては、来年の三月三十一日に期限が来ますので、こういう機会でもありますので総ざらいをしてみたい、こういうふうに思います。特別措置のみならず、所得税法、あるいは法人税法、そういうものにつきましてもいろいろの角度から検討してみたい、こういうふうに考えております。
#22
○木村禧八郎君 次に伺いたいのは、いまの設備投資の行き過ぎが、ことに民間企業でどういう形で行なわれているかというと、これはもう大蔵大臣御承知のとおりに借り入れ金でやっているんですね。大蔵省の法人企業統計を見ましても、四十二年は、自己資本比率が一七・五%、それで他人資本が八二・五%ですね。非常に大きな部分、八〇%以上が他人資本ですよ。これは諸外国ではちょっと珍しいと思うんですよ。自己資本と他人資本の比率が、借り入れ金が非常に多いものですから、銀行に対する利払いが非常に大きいわけですよね。金利払いが。その結果コストが高くなりますから、どうしても損益分岐点が高くなりますね。損益分岐点が高いから、フル運転をしていかなければならないですね。高度の操業をしていかなければならない。そこで、高度成長がいいとか悪いとかという議論をする前に、こういう企業の経理内容であるから、もう好むと好まざるとにかかわらず、一〇%以上の高成長を遂げていかなければならなくなってきちゃっているんですよ、いま。まあ早くいえば自転車操業的にどんどんやっていかなければ、多少ここで金融でも締めて少しでも生産制限をすれば、借金でやっているのですから、コストが高くなって立ち行かなくなる。だから、絶えず高い高い成長を続けていかなければならない、こういう状況になってきている。また、借金が多いから、どうしてもインフレを要望する。価幣価値が低下することによって負債を軽減したいという要求が強くなってきています。いまは、負債過剰、借金政策によってものすごい設備拡張をやっている。そして、ソ連を除いて世界第二位に生産力が高くなったと、こういうことだと思うんです。だから、いまの実態が健全であるかないかということを最初に大蔵大臣に伺いましたが、高度成長のもとになっている企業の資本構成が非常に不健全だと思うのです。これは、長期的に見れば、これがだんだんまた是正されていくのかもしれませんけれどもね。大蔵省もいままで是正是正と言っていましたけれども、是正じゃない、ますます拡大しているんですね。今度は、四十三年度の短期の速報を見させていただきましたが、少しは是正されていますね。ちょっと是正されている。一七・五%が一八%くらいになっている。それにしても、八二%が他人資本でしょう。これは、大蔵大臣、何とか是正しなければ、非常に不健全ですし、無理に無理な高度成長を続けていかなければならない状況になってしまう。それで、また、どうしてもインフレを要望するような実態になっていますから、物価安定といったって実際にはできなくなります。こういう状況なんですが、これを何とか是正しなければならぬ。税制の面からも財政の面からもこれは是正しなければならぬ時期に来ているのじゃないかと思うのです。いかがでしょうか。
#23
○国務大臣(福田赳夫君) 御指摘の点は、私も非常に心配をいたしております。いま、企業の資本構成が非常に悪化しておる。これはなぜかというと、一つは成長の速度があまりにも速い、こういうこと。それでありますから、資本構成において自己資本というか株式資本にまついとまがない、手っとり早い金を借りることは金融だ、こういうことになっている。そこへもってきて、第二には、それをまた助けている要因というものがあるのは、これは資本市場がまだ日本では未熟である、こういうことですね。そういう両々相まって、株式よりは借金だという傾向になり、それがまた税の問題にもつながっておるようにも思うのです。配当しようと思うと、その配当原資としては税のことを考えなければならぬ。倍くらいのものを用意しなければ所期の配当はできない、こういうような状態です。それを考えると、配当よりも借金のほうがいい、こういう気持ちに企業家がなってくる、そういう点があると思うのです。それらを考えてみる必要があると思うのであります。企業税制のあり方というものにつきましてもよほど考えてみる必要がある段階ではあるまいか。しかし、これは非常にむずかしい問題です。むずかしい問題ですが、変わった結論が出るのか出ないのかわかりませんけれども、これは考えてみなければならぬ段階に来ている、こういうように考えております。とにかく、借金ばかりで仕事をする、これは日本の経済の大きな流れに不純な要素を与える問題でありますから、これは何とかして是正しなければならぬ、努力をしたいと思っております。
#24
○木村禧八郎君 これはいままでもやってはきているんですね。やってはきておりながら、いまの資本市場がまだ育成されていませんから、社債発行とかが不十分である。これは政府の公債政策も影響していますわね。こういう時期に政府が公債を発行すると、資本市場で政府の公債を消化しなければならぬから、そこで民間の社債に対する資金のシェアが少なくなるということも相当ありましょう。だから、これはいろいろの点から検討しなければなりませんけれども、しかしこれはもう異常な状態だと思うんですよね。これは大蔵省の法人統計で調べたのですが、たとえば昭和三十一年の長期負債は一兆七千二百六十二億円です。それで、総資本は十二兆千四百七十五億円ですから、一四・二%。ところが、四十二年は、十七兆一千七百四十三億円に対し、総資本が八十一兆三千百二十一億円ですから、総資本に対する比率は二一%ですね。比率も一四・二%から二一%に大きくなっており、金額も一兆七千二百六十二億から十七兆千七百四十三億にものすごくふえている。ですから、金利負担が、支払い利息が、三十一年の四千六十六億から、四十二年の二兆九千六百五十四億と、ものすごくふえております。ですから、こういう不健全な状況ですから、そこで、非常に無理な税制面のやり方が、たとえば支払い利息が多くなるものですから、税金負担を軽くする。そのために減価償却がものすごく大きくなっているんです。これも私は特別措置の問題として考えなければならぬと思うのですが、それは、陳腐化がどんどん進んでおりますから、耐用年数は短縮しなければならぬと思います。しかし、耐用年数短縮による減免措置というのは利益から減価償却を引いた残りですから、実効税率が低くなる、そういうことになるわけですよ。これは急速に短縮されております。私はその短縮すること自体は否定はしないのです、技術革新で陳腐化が急速に進んでおりますからね。しかし、それはどうも適正以上にやっているのじゃないか、企業によって産業によって違いますけれども。ですから、そういういろいろな税制面にゆがみが出てくる一番の基本は、いまの資本構成ですね。そのために、物価対策をやろうとしてもできないわけですよ。前に、菅野企画庁長官は、物価安定政策は簡単だ、デフレ政策をすればすぐに物価は安定すると言ったけれども、デフレ政策なんかとれるような実態じゃないですよ。こんなに負債をかかえて、八二%が借金でしょう。十七兆以上の大きい負債であってデフレなんかができっこない。むしろインフレをやって貨幣価値を低下さしてこの負債の負担を軽くしたいという、そういう欲求をどうしても持たざるを得なくなるのですね、資本家の要求としましてはね。ですから、これはほんとうにラジカルにいま一気にやるとしたらたいへんでしょうけれども、大蔵大臣ね、八二%も他人資本なんというのはあんまり極端ですから、何とかこれは今後是正していく。そうでないと、もうインフレ的な体質になっちゃっているんですから。資本構成を是正することによってそれを改善していくということが必要じゃないかというふうに、これは私のようなしろうとがそういうふうに考えてみたのですが、この点はどうなんでしょうか。
#25
○国務大臣(福田赳夫君) 資本構成是正に関する御所見につきましては、私も全く同感でございまして、まああれやこれやと頭をひねっておるのですが、なかなか名案もないままに今日まで立ち至っているわけです。まあいろいろ卓見、名案でもありました際は、ひとつ御教示にあずかりたいと思います。(「いい知恵を出してくださいよ」と呼ぶ者あり)
#26
○木村禧八郎君 確かに、非常にむずかしい問題です。そう一挙にはなかなかできませんですね、ラジカルにやると混乱が起きますからね。しかし、方向としてはそういう方向で行かなきゃならぬ。いろいろ、税制上、それから資本市場の問題もありますしね。とにかくそういう方向で考えていく。いい知恵があったらというよりも、姿勢が問題ですよ。われわれはしろうとですから、それはもう財政当局とかそういうほんとうの専門家が姿勢さえはっきりすれば、みなエキスパートですから、有能な人がいるんですから、技術的なことはもちろんおまかせしますよ。ですけれども、その方向、姿勢ですよ。まあちょっと改善されましたけれども、結局、本格的に改善された方向なのか、一時的なものか、判定がつかないんですよ。少しは改善されましたけれども、しかし、私は一時的じゃないかと思うんです。ですから、その点は、姿勢としてそういう姿勢で行く、その点をはっきりさしていただきたい。資本市場の問題、税金の問題、いろいろありますけれどもね。
#27
○国務大臣(福田赳夫君) 全くそのとおりに考えております。今後とも努力いたします。
#28
○木村禧八郎君 まあいまの租税特別措置法それから所得税法の改正案の前提としての基本的な問題を伺ったのですが、ここで一応この点について整理をして伺っておきたいのですが、具体的にいまの日本経済が資本蓄積優先型、民間設備投資優先型であることは大蔵大臣もお認めになり、設備が行き過ぎたことになった。したがって、租税特別措置について今後これを整理される必要があるんじゃないか。特に、資本蓄積を適正にするという意味でいまちょっとついでに伺っておきたいのですが、租税特別措置によりまして四十四年度どのくらい減収になり、これが地方税にどの程度はね返り、地方自治体として独自でまた特別措置によってどのくらい減収になるのか、その点を事務当局でいいですからちょっと金額を伺っておきたいと思います。
#29
○政府委員(吉國二郎君) 四十四年度におきまする租税特別措置の減収額は、国税の減収分が三千二百二十六億円、この国税の制度が地方税にはね返って地方税が減っております分が千八十九億円、地方税だけで地方税についての独自の特別措置によります減収分が千百十三億円、地方税分は合計いたしますと二千二百二十一億円でございまして、総体を合計いたしますと五千四百四十七億円ということになっております。
#30
○木村禧八郎君 この中には、資本蓄積のための借金、さっき問題にしました配当分離課税とか、あるいは利子の源泉徴収とか、そういうものもありますし、それから企業に対する設備近代化の特別償却とか、貸し倒れ準備金とか、価格変動準備金とか、いろいろありますね。これはやはりこれから整理して、それともう一つは、これは前に私ずいぶん主張したんですが、結局取り入れられました。イギリスあたりでは設備調整のための設備近代化の特別償却をストップさせるとか、もう一つは、法人税の延滞利子の滞納分に対する措置とか、二つばかり歯どめを設けたんですよ、制度的には。しかし、延滞利子のほうはやりましたね、ちょっとだけれども。もう一つのほうの設備近代化の特別償却のあれについては、法律としてはできていますが、発動したことはないんです。今度そういうものを有機的に発動させる必要があるんじゃないかと思います。それからいまの国税、地方税合わせて五千四百四十七億円、これは全部じゃありませんが、この中には医師の社会診療報酬に対する七二%の問題、いろいろありますけれども、とにかく資本蓄積に関連してのそうした減免措置があります。それはやはり今後それが設備投資が行き過ぎだというんなら、こういうものも弾力的にもっと税制面から運用して調整する必要があるんじゃないかと思うのですが、そういう点はどうですか。
#31
○政府委員(吉國二郎君) ただいま御指摘がございましたように、特別措置の中にはいろいろな種類がございまして、国税の三千二百二十六億円のうち千八百億円ばかりは、実は、貯蓄奨励、いわゆる利子配当の源泉選択あるいは分離課税、あるいは少額貯蓄の免税、生命保険料控除、これらによる減税でございまして、残りの千四百億円のうち、いま御指摘のような、社会開発というような意味での資産の買いかえとか、あるいは社会診療報酬の特別措置といったようなものがございますので、資本蓄積と申しますか、あるいは設備近代化の関係の特別措置というのは、額としては三千二百億円に比べるとかなり少ないものになっております。もちろん、特別償却にいたしましても、その対象設備は常に洗いかえております。二年ごとに洗いかえて、不必要なものは落としております。そういう意味では、継続的にずうっと指定されているというわけではないようになっております。また、御指摘のございました景気調整のための税制でございますけれども、これは延納の利息につきましては自動的に発動するようになっておりますので発動いたしておりますが、近代化特別償却の停止につきましては、御指摘のとおり、時期が熟せずに現在まだ発動はいたしておりません。いろいろこの制度には技術的なむずかしい問題がございます。なお一そう検討を要するものがあるかと考えておる次第でございます。
#32
○木村禧八郎君 次に、大蔵大臣にもう一つ伺っておきたいのですが、これは基本的な問題なんですが、いわゆる総合予算主義ですね。これは何回も議論になったのですけれども、私はまだ大蔵大臣とこの点について議論したことがないんですが、総合予算主義というのは、いわゆる財政政策からいいましてもいわゆる単一予算主義といわれておりますけれども、近代的な財政から見ますと、総合予算主義、単一予算主義は好ましいけれども、実際問題としてこれを貫くとむしろ非常に非弾力的になるんじゃないか。近代の経済が急速に発達し変化するもとで、この総合予算主義や単一予算主義は、財政民主主義では原則として正しいですよ、われわれもそれは主張しているんですけれども、それに固執したら非常に非弾力的になる。だから、財政法二十九条で補正を認めているわけです。それから特別会計というのも認めているわけでしょう。総合予算主義を貫くなら、特別会計はやめるべきですよ。全部やめて、単一予算主義にすべきですよ。それから補正というものも追加予算もすべきじゃない。そうしたら運用ができない。財政民主主義で総合予算主義、単一予算主義は原則としては正しいけれども、それでは運用がいわゆる硬直化してしまう、むしろ逆に。だから、特別会計あるいは二重経理になって補正予算を認めている。そこで、政府の言う総合予算主義というのは一体何を意味するのかよくわからないのですが、実際具体的に総合予算主義というのはどういうことであり、本年度も来年度も貫こうとしているのですから、今後実際に貫こうとしていくのかどうか、総合予算主義についてこの際伺っておきたいと思います。
#33
○国務大臣(福田赳夫君) 総合予算主義とは、年度に先立ってその年度におけるあらゆる行政需要を想定し、これに対して必要なる財源を整備する、こういうことでございます。これはまああたりまえといえばあたりまえのことなんでございますが、これを非常に重要視していとう。したがって、その結果、その年度間におきましては補正予算を組むという必要がなくなる、こういうことでございます。しかし、これは、木村先生御指摘のごとく、政治は生きものであり、国の客観情勢も刻々に動いておるわけでございます。したがって、異常な事態があり、あるいは非常な事態が起こり、それに伴う行政需要があるという場合においては、補正予算の編成を妨げるものではない、こういうふうに考えております。
#34
○木村禧八郎君 「昭和四十三年度予算編成方針」で初めて総合予算主義というのを採用するにあたって、「総合予算主義の採用」という項目がある。これは昭和四十二年十二月二十九日の閣議決定事項ですが、これによりますと、これは前にもちょっと大蔵大臣に申し上げたんですが、そんな抽象的なものじゃないわけです。四十三年度、四十四年度は、総合予算主義というのははっきり書いてあるんです。「総合予算主義の原則により、公務員給与改定に備えて予備費の充実を図るとともに、食糧管理特別会計繰入れについては、年度途中における米価改定等、事情の変化があっても、これにより補正財源を必要としない方式を確立する。」と、こうなっているんですよ。ですから、いま大蔵大臣が言われたように、それはもう一般論はそうかもしれませんが、一般論であったらむしろ近代的財政で総合予算主義を貫くなんてそんなことはできないことですよ。それでなければ弾力的な運用はできません。だから、補正というものが二十九条で許されているんですよ。それから会計とは一般会計、特別会計になっているんでしょう。だから、具体的にいえばこのことをいっているのじゃないですか、総合予算主義は。
#35
○国務大臣(福田赳夫君) 私が申し上げたことを一、二例をあげていっているのがただいまお読みあげになられたことかと思います。総合予算主義とは、あくまでもこれは年度の始まる前に年度問のあらゆる事態を予想いたしまして財源を整えておこう、したがって、結果として補正を必要とするというような事態にならないのが普通でありますが、しかし、去年度のように米が千二百万トンと見たのが千四百万トンもとれたというような事態、これになりますと、これは補正を組まざるを得ない、こういうことになろうかと思うのです。また、大災害があったというような際にも補正の必要がある、こういうようなことになろうかと思います。
#36
○木村禧八郎君 そうなりますと、私は非常な疑問が出てくるのですけれども、一般論としては、総合予算主義をとることはむしろ財政を硬直化させる、そのことは大蔵大臣はお認めでしょう。一般論としては、どうなんですか、単一予算主義というのはむしろ硬直化させるわけでしょう。
#37
○国務大臣(福田赳夫君) 一般論として、ただいま申し上げたような意味における総合予算主義を励行するということは、私は財政運営としては前進した考え方である、こういうふうに思います。
 それから特別会計のことにお触れになりましたね。特別会計まで包含して総合予算主義というふうには考えていない。特別会計には特別会計でまたその総合予算主義というものが当該特別会計において貫かれなければならぬ、こういうことであります。
#38
○木村禧八郎君 それは議論になりますが、あれですよ、いわゆる総合予算主義は単一予算主義ということから出てきている。これは、国民が財政について総合的に判断してそこでこれを納得できるという、そういうたてまえから来ているんです。フランス革命から来ている。単一予算主義というのは財政民主主義から来ているのであって、しかし、それだけではもう近代財政はまかなえないんですね。前は、特別会計というのは、ほんとうに特別会計だったんです。今度の新しい財政法では、会計は区分して一般会計と特別会計とするということになって、ままっ子じゃなくて、はっきりした、予算と一体になっております。しかし、経過から言えばそういうことなんです。それは財政理論を言ってもしょうがないけれども、そこで実際問題としてこういう疑問が出てくるんですね。これまでたびたび自然増収がありますね。そうすると、総合予算主義は、最初予算を編成するときにはあらゆる要素を勘案して予算に組んでおく。公務員給与のあれも五%今度組んでありますね。足りないのは予備費に若干組んであるそうですけれども、自然増収が相当出ますね。四十三年度も自然増収が二千四百億くらいあって、それで補正を組みました。また四十四年度もあるのじゃないかと思うんですけれども、ついでに伺いますが、四十三年度の自然増収は、大体二千四百億程度なんですか、もっとあるように思うんですが、いかがなんですかその点は。
#39
○国務大臣(福田赳夫君) 補正予算を編成したときに御説明申し上げました、まあ大体そんな見当でございます。
#40
○木村禧八郎君 その点ちょっとこの際伺っておきますが、これは技術的になりますけれども、いままでの四十二年の自然増収の計算のしかたですね。従来、マクロ的にやるやつがありますね。経済成長率と弾性値を掛け合わせて、そうして前年度の当初の歳入と比較して計算しますね。四十二年度は大体三千億近いものでしょう。これはそういうマクロ的なやり方で大体合っておりますよ。それと、四十三年度の計算をしてみますと、最初一二・一%の成長率でしょう。それが一七・六%でしょう。約五・五%。それが、弾性値一・五、あるいは一・四でもいいんですよ。そうしたら、二千四百億どころではないんですよ。数字が出てくるのは四千億以上出てきますよ。まずそこが一つ疑問なんです。そこのところはどうなんですか。
#41
○政府委員(吉國二郎君) 私どもが税を見積もっておりますときは、いつも弾性値というのは結果として見ているわけでございます。弾性値で事前に計算をするということはやっておりません。ことし、御指摘のように、一二・二%が一七%も伸びたのに、なぜ出ないかという問題は、法人税でございますと、法人税の場合の見積もりは、実績が歳入になってまいります時期と、その歳入のもとになる所得の発生の時期は、かなりずれております。ですから、たとえばことしの四十三年の法人税を見積もる場合には、四十二年度中の活動が相当入っておりますから、そういう意味では、四十二年度の非常な自然増収が出たときの活動の後半、つまり三月決算の分がそっくり四十三年度に入っているわけです。したがいまして、経済成長の伸びの時期と、法人税の伸びの時期とは、非常にずれております。そういう関係で、弾性値がぴたりと合わない場合があります。ことしなどは、そういう意味で、かなり国民総生産が伸びたにかかわらず、法人税の伸びはそれほどではないという結果となりまして、差し引きいたしますと、いま大臣が申しましたとおり、二千四百億ぎりぎり、ややこれを切るかもしれぬという程度に現在の実績がなっております。
#42
○木村禧八郎君 そうすると、今度四十四年度にそれが出てくるということになるですか。
#43
○政府委員(吉國二郎君) 四十四年度の見積もりをいたします際には、十二月現在で相当実績が伸びてまいります。したがいまして、三月決算の伸びが相当大きく見られますので、ことし一兆二千億近くの自然増収を見積もれたわけであります。
#44
○木村禧八郎君 それは成長率が一七・六として計算したのじゃないでしょう。一兆二千億は一二・一じゃないですか。
#45
○政府委員(吉國二郎君) 四十四年度はもちろん一四・四でございますけれども、四十三年度の実績に対してどれだけの伸びが出てくるかという計算になりますと、四十三年度の実績を計算をいたしました場合には、すでに四十三年度の伸びというものが出てまいっておりますし、それから四十三年の三月、四十三年の三月と申しますか、四十四年に決算されます三月決算、この分は来年度に入りますから、この分は相当大きく見積もったところで四十四年度見込んでおるわけです。ですから、四十四年度は相当大きくなって出てきたという結果になります。
#46
○木村禧八郎君 そこで、最後に一点大蔵大臣に伺っておきたいのは、総合予算主義をとって、あとで自然増収が出た場合ですね。四十三年度でもそうでしたが、その多くの部分を公債の減額に充てているわけですね。私は、総合予算主義をとって自然増収が出てきた場合に非常に疑問に思うのは、最初予算をつくるときには、公債をある程度財源にしておく。財源にしてそれで予算審議して、歳入のほうの公債をある程度含めたバランスのもとに歳入構成ができていますね。そして、今度は、自然増収が出た場合に公債を減らす。第一に問題なのは、公債は、これは建設公債であって、歳入補てん公債ではないと言っているんですね、政府は。歳入補てん公債でなければ、公債を何も減額しなくてもいいんでしょう。健全公債である。それをなぜ減らすのかというと、これは歳入補てん公債という頭があるから減らさざるを得ないということが一つ。もう一つは、税金を取り過ぎたら、これを公債減額に充てるか、減税に充てるか、あるいは歳出に充てるか、これは国会の判断をやはり求めるべきじゃないかと思うんですよ。政府一存で、自然増収があった場合、これを勝手に国会の審議を経ずに公債減額に充てていいのかどうかということですね。今度は補正を出してきましたけれども、その補正を出す前に減額しちゃっているんです。そうでしょう。十二月に実際減らしちゃっているんですから。そういうことはいいかどうか、ここは、大蔵大臣、研究問題じゃないですか。私は、総合予算主義をとればとるほど、自然増収をどうするかという問題が重要になってくると思うんですよ。いままでは補正を組めばいいわけですけれども、補正をなるべく組まないのが原則でしょう。そうすると、総合予算主義で自然増収が出てきた場合、公債減額にもっぱら充てていいのかどうか。
 それから公債火種論といったようなものがありますが、大蔵大臣が言われたですが、公債は何もなくなしたって、建設公債ならまたやればいいでしょう。火種など残しておく必要はないですよ。公債を残しておくから、まただんだん累積してくるんですよ。そんな火種なんか、こういうときにこそ公債はなくしてしまうほうがいいんですよ。そうじゃないと、アメリカやイギリスなんか累積しちゃって困っているでしょう。日本は、インフレーションで全部切り捨てちゃったから、いまは公債負担が軽い。それがまた昔のようにだんだん公債が累積されていったら、これはかえってよくないと思うんですね。この二つの点です。
#47
○国務大臣(福田赳夫君) 公債を歳出の財源とした予算について国会の御審議をお願いする、それで御了承を願ったという場合における、その公債財源ですね。これは、私どもの考え方は、これを何が何でも借金せいと、こういう御意思じゃないと思うんです。これだけまでは借金をしてもよろしいと、こういうお指図だ、こういうふうに理解をするわけであります。したがって、公債をぎりぎりまで出さない、こういうことにいたすことについては、国会は黙って歓迎をしてくれる、こういうふうに理解をするわけであります。
 それから、大体私どもは、税でもそうでありますが、自然減収になりそうだ、こういう際に、一々これもまた御承認をいただくわけじゃございませんで、歳入のほうは、国会できめられたルールに従いまして、税について言えば税法であります、それに従いまして政府が見積もりを行なう。その見積もりに変化が来るということにつきまして、これをまたあらためて御承認ということを必要とするようには法的にも考えておりませんが、国債の場合は、先ほど申し上げましたように、特にそういうこともあろうかと思います。ただ、税の収入につきまして、自然減収、自然増収がある、そういう変化が出てきた、あるいは、歳出、自然増収というようなものに関連して国債の発行額が減少してきた、減少する見込みになってきたという場合に、関連して補正予算を御審議を願うという際には、その歳入の状況の変化等も一切これを盛り込んで御了承願うという手続をとったほうがよろしかろう、そういうふうに考えておるわけであります。
#48
○木村禧八郎君 いま、公債は、借金をどの程度までしていいか最高の限度をきめたんで、必ずしも全部借金しなきゃならぬものじゃないと言われましたが、私は総合予算主義なんということを政府が言い出さなければ別に問題にしなかったんですけれども、総合予算主義をとりますと、自然増収が出ると、この自然増収をどういうふうに処理するかについては、これはやっぱり国会の判断が必要だと思うんですよ。それを、いま、それじゃ借金を減らすほうに使うのか、あるいは減税に向けるのか、あるいは歳出をふやすほうに向けるのか、これはもう重要な政策的な選択になるのであって、だから、政府が勝手に、まあ法的にいえば、最高限度を与えるのだから、何も全部借りなくてもいいといいますけれども、ただ、自然増収の使い方をそんな借金の返済だけに国会の承認を求めないでやっていいのかどうか、そこが私はやはり非常に疑問に思うんですよ。総合予算主義をとれば、そういうことが絶えず出てくるわけです。自然増収が起こったとき、ことに税収の見積りが非常に違ってかなり巨額の自然増収が起きたとき、そういうような場合に、私はこれは公債を減らすならば減らすでいいですよ、減らしちゃいけないと言っているわけじゃないんですが、最初当初予算を組むときにはそういう約束じゃないわけなんですから、当初予算を組むときにもし自然増収があったら公債を減らすとか、そういうことじゃない。ちゃんと歳入として公債財源が計上されているわけでしょう。減税なりその他、もし公債を発行しないとすれば、あまり減税もできなかった。そうでしょう。公債を発行することによって、減税することができたとか、歳入構成に非常に変化を生ずるのですからね。そうでないと、非常に不安定な要素のもとで予算を審議するわけでしょう。今後の自然増収いかんによって変化するのですから、その点では、何だか予算の審議というものが実に不安定な要素に左右されますから、実際当てにならぬということになる。議論の立論のいろんな前提条件が狂ってきちゃうのです。そこを私は問題にしているわけですよ。
 それからもう一つは、四十四年度は、私は、食管制度なりそれからいまの人事院制度なりその他の制度的なものが改正されないで総合予算主義は貫けないと思うのです。四十四年度も四十三年度と同じことが必ず起きると思う。それを、大蔵大臣は、それでもやはり総合予算主義を固執していかれるのか、補正を組まないと。四十四年度は私は組まざるを得ないと思うんです。四十三年と同じことになると思う。制度が改変されないでそういうことは無理だと思うんです。総合予算主義にあまりとらわれるべきではないと、これが私の考えです。むしろ硬直化しちゃう。その点を再度……。
#49
○国務大臣(福田赳夫君) お説のように、総合予算主義というのにあまりとらわれるとそういうことになるかもしれませんけれども、これは年度の始まる前に総合的に歳入歳出を見ておりますから、補正予算はまあ大体必要がないように思うんですよ。ただ、総合予算だからといって、国の必要な事態に対して補正を組まない、こういうことはないんです。これはもう何にしたって財政が立って国が相立たず、こういうようなことじゃ困るんで、国が立って財政がはじめてある、財政というものは国を動かす方便である、こういうふうに考えておりますから、その辺はどうか御心配ないようにひとつお願いします。
#50
○委員長(丸茂重貞君) 午後一時三十分に再開することといたしまして、休憩いたします。
   午後零時二十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十二分開会
#51
○委員長(丸茂重貞君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
#52
○戸田菊雄君 大蔵大臣もおられるのですけれども、またあとで出席されるそうですから大蔵大臣のほうはあとにしまして、労働大臣が時間がないようですから、その方面について若干質問をいたしたいと思います。
 一つは、現在の労働者の賃金は確かに名目賃金は上がっていると思いますが、そういった現金給与総額の上昇傾向について、一九六〇年、それから六五年、六七年、この三年間のあれでありますけれども、給与総額の上昇傾向、それからもう一つは初任給の上昇傾向について、高卒、中卒、それから男女別、その年間別でけっこうですけれども、概要がわかっておったら教えていただきたい。
#53
○国務大臣(原健三郎君) だいぶこまかい数字でございますので、労働基準局長から答弁させます。
#54
○政府委員(和田勝美君) 名目賃金で申し上げますと、昭和三十五年は二万四千三百七十五円、それから昭和四十年は三万九千三百六十円、四十二年が四万八千七百十四円、指数的に申し上げますと、四十年を一〇〇といたしまして、三十五年は六一・一、四十年は一〇〇、四十二年が一二四・二でございます。
 それから中卒の初任給は、男子が、昭和三十五年が五千九百十円、昭和四十年が一万三千百九十円、四十二年が一万五千四百九十円でございます。女子が、三十五年は五千五百九十円、四十年が一万三千三百三十円、四十二年が一万五千五百二十九円でございます。
 それから高卒は、男子が、三十五年八千百六十円、四十年一万六千四百三十円、四十二年一万九千百九十九円、女子が、三十五年七千三百円、四十年一万五千六百七十円、四十二年一万八千百十七円でございます。
#55
○戸田菊雄君 いまの発表でもわかるように、確かに名目賃金というものは三十五年と比較をしまして約二・五倍程度四十二年までの間に上がっていることは事実だと思うのですね。同じように、初任給の問題につきましても、高中卒ともにそれぞれ上昇していることはわかると思うのですが、ただ、問題は、いまの賃金の実体ですね。こういう問題について、はたして基準内賃金一本で各労働者あるいは勤労者の皆さんが生活ができておるのかどうかということなんですね。そういう意味で、いまの日本の最も最低の程度をなしておる賃金の内職工賃ですね、これは一時間一体どのくらいですか。それからパートタイム賃金、これは時間当たり大体どれくらいですか。ことに、地域は京浜地帯ですね。京浜地帯の場合にはどのくらいいっておるのか、そういう問題について第二点としてお伺いをしたい。
#56
○政府委員(小鴨光男君) ただいま御質問の内職工賃でございますけれども、いろいろな業種と種類がございまして、一がいには言えないのでございますが、主として紙製品あるいは玩具という点が最近調べた数字ではございます。内職工賃の四十二年の五月の調査では、京浜地区が一時間当たり九十一円、中京が六十九円、大体そういうことになっております。
 それからパートタイムの賃金でございますが、これは四十二年の私どものほうの調査では一時間当たり八十円から百十円と、こういうのが比較的多くなっておるという状況でございます。
#57
○戸田菊雄君 地帯別はどうですか、京浜地帯はどうかとか。
#58
○政府委員(小鴨光男君) 手元に京浜地区を特に取り上げました数字はございませんけれども、大体大都市というものを中心として賃金工賃の分布を見ますと、百円から百十円までが全体の二四・三%、これが一番大きい。パーセントになっております。
#59
○戸田菊雄君 いま発表になったように、内職工賃やパートタイム賃金というものは決して高くないのですね。非常に低い。私の調査によりますると、一時間当たり五十円です。ですから、このとおりで月でいいますと五千三百四十一円になります。それからパートタイム賃金の場合は、一時間当たり、大体いまの発表と似通っておりますが、七十六円五十七銭、月にして八千九百十六円、京浜地帯の場合には一時間当たり百円ないし百五十円というのがいまの相場だ、こういうことになっておる。こういうきわめて低い賃金を土台にしていまの法律第十六条による最低賃金というものが仕組まれているということは、そのとおりだと思う。それで、いま、その最低賃金の一日当たりは労働省の調べというものは幾らになっていますか。
#60
○政府委員(小鴨光男君) 四十三年の十二月末の最低賃金の決定状況でございますが、四十三年一月から十二月までの決定状況から割り出しますと、大体六百五十一円というのが平均でございます。七百円以上というものも最近相当件数出てきておりますが、全体の中位数をとってみますと六百五十円というのが平均でございます。
#61
○戸田菊雄君 こまかく聞きますけれども、労働大臣職権決定による石炭産業坑内作業は幾らですか。もう一つは金属鉱業の坑内作業。それで、そういう最低賃金該当者は一体数にしてどのくらいおるか、これを発表してください。
#62
○政府委員(小鴨光男君) ただいまちょっと資料を調査しておりますので、間もなくお答えしたいと思います。――石炭が二万一千円、それから金属鉱山関係が二万三千円でございます。
#63
○戸田菊雄君 数はどのくらいですか。
#64
○政府委員(小鴨光男君) 鉱業関係全体を合わせまして四十件決定してございますけれども、適用労働者数が十三万五千五百五十一人ということになっております。
#65
○戸田菊雄君 いまの内職工賃。パートタイム賃金、こういったきわめて劣悪な低賃金を土台にして、さらに職権による最低賃金というものをやって、いま発表になられたような、まあ一つの例でありますけれども、石炭産業なり金属鉱業の坑内作業、こういうものについても相当低額な賃金ということをやられているわけですね。そういう全体の低賃金を下積みにして、いまの賃金ベースというものが、公務員なりあるいは公企体なり大企業なり、こういう総体的な労働者へ波及してくることは間違いないと思う。そういうことでありますから、公務員なり大企業なり公企体なり、こういうところの初任給は、十八歳の高卒が二万円見当ですね。その上に、さらに年功序列型といわれます賃金、さらに職務給的賃金、こういうものの積み上げによって大体組合員といわれる資格を持っておる人で八万円見当で頭打ち、こういうことになっていると思うのです。いまの賃金の平均は、四万ないし六万、この辺の層が一番多いのではないかというふうに考えます。これはあとで課税の問題等に非常に影響してくると思うのでありますが、こういういまの賃金状況について、労働大臣は、一体どういうふうに考えておるか、安いと思いますか、高いと思いますか。
#66
○国務大臣(原健三郎君) これは一言で言いますといろいろ誤解を招くと思いますが、最近の上昇率を見ますと、もとは非常に安かったのでございますが、最近経済成長に伴いまして賃金の上昇率もぐんぐん伸びていっておるような実情で、さいぜんから名目賃金のことを申し上げましたが、実質賃金を見ましても、昭和四十年を一〇〇としますと、三十五年が八二・六、それから四十三年にいたしましても一二三・二――あまり賃金は良好だとは申し上げられませんが、もとが大体非常に安かったことは事実でございます。でありますが、最近だんだん上昇の機運で上がっておる、そう申し上げていいと思います。
#67
○戸田菊雄君 厚生省の四十一年度生活総合調査によりますると、労働者の月平均取得五万円以下の所帯が五二%、三万二千四百円以下の世帯が二九%であるというふうに出ておるわけです。この五万円の内容でありますけれども、これは基準内賃金一本ではとうてい五万円の取得が得られないというのがいままでの実態だ、こういうことを調査の中で言っている。したがって、基準内賃金ではそこまで到達しませんから、勢い家族のパートタイムとか内職ですね、こういうもので補うしかない。あるいは残業する、こういうことになっているのがいまの労働者の実態ではないかと思うのであります。そういうことからいきますと、いずれにしてもいまの厚生省発表の四十一年度生活総合調査に示される五万円の収入内容、こういうものはすべて家族総ぐるみによって得られているという賃金であるわけです。こういうふうに考えるわけでありますけれども、その辺について労働大臣はどのように理解されておりますか。
#68
○国務大臣(原健三郎君) さいぜん基準局長から申し上げました名目賃金は、これは本人が受けている賃金で、家族の内職等のものは入っておりません。ただし、これは一切がっさい本人の収入、ボーナスとか時間外を入れた給料からなっていることは、そのとおりでございます。
#69
○戸田菊雄君 ですから、基本給を、いまの経済情勢、物価上昇あるいは税金等の見合いから上げる必要があると思っているのですけれども、そういう面に対する考え方ですね。大体、内職工賃やあるいはパートタイムや残業などで取得した収入によって労働者が生活をしなければいけないという、こういう問題に対する今後の賃金政策をどのように考えるか、その二点についてひとつ伺いたい。
#70
○国務大臣(原健三郎君) 基本給におきましても、さいぜんも申し上げましたが、漸次上昇のところでございます。それがいわゆる時間外に働くとかいうような問題になりますと、その事業の企業体の実情によりまして、仕事が多いとき、忙しいとき、等々のことがございますが、もちろんでき得るならば基本給が上がってそれで生活ができる、それが上がっていくことはまことに望ましいことであると思っております。
#71
○戸田菊雄君 大臣、基本給が望ましいと、こう言うのですが、いま労働者全体が春闘に取り組んでいるわけでしょう。さしあたってそういう具体的な方針を労働省としては持っていなければいけないと思うのです。そういうものをかみ合わせて賃金政策についてどのような考えか持っているのか、その辺について具体的に説明してください。
#72
○国務大臣(原健三郎君) 春闘を控えましていろいろ労働者側から要求も出ておりまして、私ども政府といたしましては労使の間で自主的に平和的に話し合ってきめていただきたいということで、政府がこれに介入して云々することはこの機会にさし控えておきたい、こう思っている次第であります。
#73
○委員長(丸茂重貞君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#74
○委員長(丸茂重貞君) 速記を起こして。
#75
○戸田菊雄君 それじゃ、労働省にもう二点ほどお伺いをしておきたいのですが、一つは、私の統計ですからあるいは間違っているかもしれませんが、私鉄労働者の場合ですが、五万円台収入世帯の内容を見ますと、基準外賃金は一万二千七百三十五円、内職で二千三百五十八円、それから七万円台の場合は、基準外賃金が二万四千七百四十円、内職が九千三十六円。それからもう一つは、電機産業労働者の場合ですけれども、世帯主賃金総額は、残業を含めて四万円ないし五万円に集中していて、半数以上が家族収入によってその収入を補っておる。それで、家族収入ありが三五%、共働きが二八%、こういうことになっておるわけですね。
 結局、基準賃金では不足なので、基準外賃金で補充している。それでもなおかつ足らないものですから、いま言ったように内職やパートタイム、こういう形で家族総ぐるみで生活費をまかなっていると、こういうのがいまの実態でございます。ですから、そういういまの労働者の実情というものは、私たち何としても無視し得ない状況がいま来ているんじゃないか。そういうことから、これらの低賃金体制について、労働省は、抜本的に今後改善をするための検討ないしそういうものに向けて意欲的に取り組む姿勢があるのかないのか、そういう問題について若干伺っておきたい。
#76
○政府委員(和田勝美君) わが国におきましてもなお相当数の低賃金の方々が存在するということは、先生の御指摘のとおりであります。ただ、最近におきまして見てみますと、十万円未満の労働者の割合は、昭和三十六年が一八・五%でありましたものが、四十三年になりますと二・五%、こういうように激減をいたしておりますし、あるいは、二十万円未満にしましても、三十万未満の労働者にしましても、その中で底上げ現象が非常に活発化してきておることは、先生の御存じのとおりだろうと思います。そういう中にありまして、私どもとしましては、労働者のいわゆる不公正に存在する低賃金につきましては、これをできるだけ早くなくしまして適正な賃金が得られるような施策を講ずべきであると、こういう考え方に立っておりまして、昨年最低賃金法の改正を国会に提案をいたしまして御議決をいただきましたのもそういう趣旨でございます。
 最近におきます最低賃金の傾向を見ますと、この三、四年の間に最低賃金は大体五割方上がってきております。なお低いことは先ほど賃金部長から数字で御説明をしたとおりでありますが、五割方上がっておりまして、普通の標準的な賃金の上がりぐあいよりは高い率で上がってきている、こういうことでございますが、この傾向をさらに助長するように、最低賃金の施行の姿につきましても現在最低賃金審議会でいろいろ御議論をいただいておりますが、その結果を待ってただいま先生がお述べになりましたような趣旨に従って上げていきたいと、かように考えております。
 また、家内労働の工賃につきましても、いま衆議院のほうに家内労働法案を提案いたしまして、最低工賃のきめ方等もその法案の中に盛り込まれておるわけでございますが、これらの議決がされました暁には、この法律を活用いたしまして、低い工賃というものを漸次なくするような方向で努力を続けてまいりたいと、かように考えております。
#77
○戸田菊雄君 じゃ、総理府にちょっとお伺いしたいのですが、都市勤労者の場合、四人ないし五人世帯の平均支出、これは消費支出ということになると思いますが、これの支出内容が、総理府の調査したところによりますると、住居費六千八百四十一円、食料費一万四千四百三十一円、光熱費二千百六円、被服費五千百六十七円、保健医療費九百四十四円、美容衛生費千五百八十八円、交通通信費一千六百六円、教育費百三十円、文房具費六十九円、教育娯楽費三千八十六円、たばこ代五百十七円、仕送り千六百十五円、負担金三百五十四円、損害保険料百八十円、その他八千百十六円、合計四万六千七百八十円ということになっておるのでありますが、この調査は間違いありませんか、四十二年です。
#78
○政府委員(八塚陽介君) ちょっと突然でございますので、手元に四十二年の資料を持っておりませんが、昭和四十三年の暦年の一カ月の家計調査の数字がございますが、それによりますと、勤労者世帯では、世帯人員数は三・九六人、有業人員数は一・五四人、世帯主の年齢は四〇・八というところでございますが、支出の実質消費支出は六万五千三百九十五円、そのうち、食料費が二万一千九百四十七円――その中に主食その他がございますが、それは省略いたします――それから住居費が八千百八十八円、光熱費が二千七百五十八円、被服費が七千百七十六円等々でございます。非消費支出といたしましては、勤労所得税が二千二百三十七円、他の税が千六百五十三円、社会保障費三千百六十九円等々となっております。ちょっと私手元に先生のいまお話しになりました四十二年を持っておりませんし、あまり詳しい統計書そのものを持っておりませんので、恐縮でございますが、そういうことが昭和四十三年の全国の勤労者世帯の数字であろうかと思います。
#79
○戸田菊雄君 詳細の資料を持っていないということですから、それはあとで御提出を願いたいと思います。
 それじゃ、やむを得ませんから、私が収録した調査内容によって質問をしてまいりたいと思いますが、公務員関係で夫婦二人生計費、これが四万八千五百円となっておりますが、これが五万円に近いので、それを標準にして一応お伺いしたいと思うのですが、この調査によりますと、住居費が七千円です。それから主食が千五百円、副食費が一万六千円、食費が合計で一万七千五百円です。月に二人でもって一万七千五百円の食費、一体この食生活とはどんなものなんですかね。一人一食分九十六円程度です、これでいきますと。それから小づかいは月三千円ですから、まさしくこれは百円亭主ということですね。経済企画庁関係の国民生活研究所の発表によりますと、団地サラリーマンの小づかいは最近二百円ないし二百六十円ということがいわれております。住居費七千円というのは、おそらくアパートの一室ぐらいしか借りられないでしょうね、いまの状況では。こういうのが総じて五万円見当の収入者なんです。これが憲法にいわば保障された最低の生活かということになるのでありますが、この辺に対する見解はどうですか。
#80
○政府委員(八塚陽介君) まことに恐縮でございますが、手元に持ち合わせております数字が、先ほど申し上げましたように総理府でやりました全国の家計調査の数字でございます。これは全国の世帯数のうち五千世帯を抜き出した調査であることは御存じのとおりでありまして、これが一応勤労者世帯の代表の数字であるということになりますと、恐縮でございますが、先ほど先生のお話しになりました調査と対応いたしておりませんけれども、食料費につきましては約二万二千円、そのうち主食が約四千三百円ということでございまして、まあこれが価値判断としていわゆる憲法に定められた水準であるなしということになりますと、いろいろな御議論があろうかと存じますが、いずれにいたしましても、その項目はあらゆる面に及んでおりましてたとえばいまのような平均の家庭でございますと、教育費につきましてもあるいは教養娯楽費につきましても月に約四千六百円払っておる、交際費におきましても四千二百円払っておるというようなことで、これは平均でございますから、最低ではもちろんございません。そういうこともあろうと思いますが、これは現在の日本の中庸な家計の水準であると言っていいのではないだろうかと思います。
#81
○戸田菊雄君 いま回答があったように、この実体がいまの日本の勤労者階級のいわゆる生活水準だと思います。一日一食九十六円、こういうのがいまの実体なんですね。
 そこで、これは一九六七年の「経済白書」でありますが、それによって、各国との比較で、イギリス、フランス、西ドイツ、こういったものを一〇〇とした場合に、日本の国民生活の実体というのはどの程度にいっておるのかということをちょっと拾い上げてみたのでありますが、それによると、一人一日当たりカロリーは七七・三%です。それから一人当たり年間の野菜消費量は一二一・六%、これは若干これらの三国よりも上回っております。それから繊維の年間消費量でありますが、これは九四・八%。それからテレビの普及率、これがものすごくいいのでありますが、一六六・七%。それから電気洗濯機の普及率が一五三・二%、初等教育生徒千人当たりの教師数が一○七・九%、道路舗装が二二・四%、自動車一台当たり舗装が二〇・四%、下水道の普及が二一・九%、水道利用人口比率が七三・一%、世帯員一人当たりの住宅室数六八・四%、こういうのが経企庁が発表しておる一九六七年の「経済白書」の中身なんですね。こういう状態について、経企庁長官としては、今後の政策としてどこに重点を置いて国民生活全体を引き上げようとしておるか、この辺についてお伺いしたい。
#82
○政府委員(八塚陽介君) 確かに、いまお話しになりましたような傾向を示しております。日本のいわば一人当たりの所得というものはかなりな程度に伸びてきておりますが、なお絶対額において先進国にまだ及ばない。よく国際的には世界二十一位であるというようなことがいわれておりますが、それにいたしましても、いわば所得あるいはフローの面ではかなりな速度で追い上げておる、あるいは充実の方向へ歩んでおるということがいえると思いますが、いま御指摘になりましたように、たとえばいわゆる生活環境という面におきましては、これはやはり長年の蓄積の関係もあろうかと思いますが、欧米先進諸国にはまだはるか及んでいないというような点が多々ございます。そういう点からいたしますと、今後の国民生活の水準の上昇ということは、もちろん経済が活発になりまして所得がふえるということも必要でございますが、所得がふえることが即生活水準の上昇には必ずしもならない。そういうような面におきましては、現在やはり先進国から見ればなおおくれていると思われるようないわゆる生活環境の社会資本の充実というような点が今後はかられていくことによって所得とバランスのとれた生活水準が実現するのではないか、実現させなければならないというように国民生活の観点からは考えるわけであります。もちろん、そういう点におきましても、たとえば医療の問題とかあるいは教育の問題等におきましては、国際的に見てかなり高い水準にあるというような点もございますが、しかし、一般的には、生活水準の上昇のためには、所得と同時にいわば環境の整備という点がなお必要であろうというふうに考えております。
#83
○戸田菊雄君 さらに物価上昇の問題についてですけれども、これは大体平均値は全部出ているわけですけれども、「週刊読売」の編集部でもって調べた一九五八年から一九六七年までの十年間の百品目調査内容というのが週刊誌にも出ております。これは一々読み上げるのは時間がかかりますから省略いたしますが、ただ、問題は、総理府統計局が発表している消費物価指数には、比較的価格が下がっている耐久消費財のようなものが含まれていることは間違いないと思います。国民の実際消費生活に密着している肉類や野菜類、こういったものに対してはこの指数の中には正しく反映をされていないわけです。この統計のとり方に実は問題があるわけです。きょうはこの問題はやりませんけれども、そういうことになって、いずれにしても消費者価格というものが相当数上がっていることは間違いない。こういうことから、国民の生活というものは政府が出している五%程度の平均物価上昇の見合いとはおおむね実感としては非常に違うのじゃないか、こういうことでありますが、その辺についてどう一体経企庁では理解をされているのか、お聞かせを願いたいと思います。
#84
○政府委員(八塚陽介君) 御承知のように、消費者物価指数がどういうつくり方になっているかということでございますが、まず、現在の消費者物価指数は、昭和四十年の先ほど私が申し上げましたような全国の家計調査をもとにいたしまして、その中で約一万分の一以上の支出金額になるアイテム――品目を約三百四十ばかり選ぶ。そうしまして、その三百四十ばかりの品目の月々の小売り消費者価格の動向を調べる。その際、ただいまお話しになりましたように、それではテレビと肉とはどうだということでございますが、いま申し上げましたように、五千なら五千の家族が、毎月、肉のようにテレビを買うわけではございませんから、支出金額はきわめて小さなウエートになってくる。一方、一回購入する単価としては比較的少額でありましても、毎月毎月買うというような品物は、当然にウエートが高いという仕組みになっているわけでございます。したがいまして、五千のその家計調査が適正にサンプルされており、かついまのようなことで適正に調査をされておりますということであれば、当然にきわめて平均的な消費者物価の動向というものが反映されるという仕組みになっているわけでございます。
 ただ、そこで、実感上の相違という点について問題がありますのは、比較的値動きのない、ないしは若干下がっている耐久消費財は、いわば毎月あるいは毎年買うというようなものではない。ところが、比較的上げ足の速い、あるいは騰落の大きい生鮮食料品等が毎日の主婦の購買ということになりますので、そういう意味できわめて平均的なあるいは統計的な数字というものが若干実感とかけ離れるということ等もあるわけであります。それからただいまのウエートは、これは平均的家計のウエートでございますから、必ずしも具体的な自分の家の家計とは密着しないというようなこともございます。それからさらに統計技術的に申し上げますと、毎年毎年家計の構造は変わるわけでございますが、統計のいわば約束として毎年毎年ウエートを変えるということは一面非常に煩瑣でもございますし、過去との対比もむずかしくなるということで、現在は四十年、その前は三十五年をそれぞれ基準といたしております。四十年のわれわれの家計の内容と四十四年の現在とではやはりかなり変わっております。そのあたりも実感との相違というようなことの一つの原因でなかろうかというふうに考えるのでございます。
#85
○戸田菊雄君 そこで、主税局のほうに質問したいのでありますが、いままでの総理府のほうの統計によりまして、六八年の八月現在で、七万円以下の家計は赤字だということを家計調査で明確に発表されていると思います。さらに、六八年の物価上昇で、平均一世帯の家計は二千円ないし二千五百円支出増になっているのではないかと思うのでありますが、そういうことから推して、いまの課税最低限について、はたして法制上生活費に食い込まないという所得税態様になっているのかどうか、その辺の理解についてどういうふうに判断されているのか。
#86
○政府委員(吉國二郎君) ただいま伺ったところでは、必ずしも家計費がいまの形で赤字になっているかどうかということが明らかでなかったように思いますが、この家計費自体というものが、支出が収入を超過するという場合ももちろんこれは実質的に赤字ということも言えましょうが、消費の態様によってさようなことがあるわけで、いわば最低のと申しますか、最低生活に対していまの課税最低限がより低いものであるかという御質問であるならば、現在の課税最低限がちょうどいま御指摘があったような平均的な世帯に対してほぼ一致する程度でありますから、少なくとも最低生活を割っているものではないということは申し上げられると思うわけでございます。
#87
○戸田菊雄君 それじゃ、その具体的な内容についてお伺いしますけれども、六万円の勤労所得者で、所得税は一体どのくらいかかりますか。それから市町村民税、都道府県民税は。かりに晩酌一本やるについて、酒一級一・八リットルを飲んだ場合、あるいはビールを月に十本程度飲んだ場合、ハイライト三十個――一日一個当たりすって――それから砂糖一キログラム、それから映画を一回見るということで、比較的健全な家庭生活ということになると思いますが、この辺に対してどのくらいの税金が直接税、間接税を含めていまの品目で考えられますか。
#88
○政府委員(吉國二郎君) 個々の税金については直ちに計算ができませんが、直接税について申し上げてみたいと思いますが、いまのお説で六万円であるということになりますと、賞与等を合わせましてかりに百万円という数字が想定せられるかと思います。この場合に、夫婦にいま平均世帯といたしましては子二人というのが普通でございますが、私どもはいつも夫婦子三人というのが従来からのつながりから便利であるというので計算をいたしておりますので、百万円と夫婦子三人という給与所得者で申し上げますと、改正前の所得税法では一万三千三百十円という所得税がかかっておりますが、改正案でございますと七千二百六十一円、それが平年度化いたしますと五千三百十円ということになります。住民税をこれに加えた場合は、四十四年分で二万一千八百円ということになります。
#89
○戸田菊雄君 急でありますから、その資料については、申し訳ないと思うのですが、私が調査をした内容を読み上げますから、間違っておったら指摘をしていただきたい。これは六万円の収入者でありますが、年間四カ月分のボーナスが入るということで、年収九十六万円。この場合に、所得税は、一カ月一千九百円、年間にして二万二千七百円。それから市町村民税、これは平均税率に掛けたものです。それで見ますと、千百三十三円、年間にして一万三千六百円。都道府県民税、これは七百五十八円、年間で九千百円。その計が、三千七百九十一円、年間にして四万五千四百円で、大体一カ月の賃金が全部吸い取られるというかっこうになるわけです。そのほかに、さらに消費生活の部面を見ますと、酒一級一・八リットルでもって、三百十三円七十四銭、これが年間で三千七百六十四円八十八銭。それからビールですと、六百七十円九十銭、八千五十円八十銭。こういうことで、砂糖、映画、電気代、ガス代などを含めて申しますと、この間接税が二百六十二円六銭、年間にして三万一千七百四円七十二銭程度を納めなければならない。そうしますと、大体いま言った品目を含めてトータルで見ますと、七万七千百四円七十二銭程度六万円の月収平均の収入者の皆さんは税金を納めていかなければならないようになっている。こういういまの税金が、生活費に食い込んだ形、相当過重に来ていることは間違いないと思う。この辺に対してどういう理解を持っていますか。
#90
○政府委員(吉國二郎君) これはおそらく世帯……
#91
○戸田菊雄君 世帯四人、夫婦子供二人です。
#92
○政府委員(吉國二郎君) 現行法でございますと、夫婦子二人の給与が百万円で所得税が二万一千三百十円というのがいまの数字でございますが、大体近いところでございますので、おそらく保険料控除その他が違っているせいだと思います。そういうことでお答えいたしますが、この課税最低限が適正かどうかという点につきましては、御承知のとおり、昭和三十七、八年ごろまでは標準生計費というものを用いまして、家計調査の結果標準的な世帯の家計というものを前提にして計算をしてまいりました。その後課税最低限は、ほとんど毎年引き上げをいたしまして、現在では、当時に比べて、消費者物価が上がった程度をはるかにこえる割合で増加をいたしました。そういう意味では、現在としては課税最低限は実際の標準的な世帯の生計費というものに対してかなり高いところにあると私ども考えておるわけでございます。もちろん、課税最低限というものが高いところにあるということによって低所得者の課税が排除されるということはこれは必要なことでございますので、政府におきましても、御承知のとおり、一つの百万円という目標を求めまして、これが税制調査会においても妥当と認められて、昭和四十五年度までに百三万円程度に課税最低限を夫婦子三人の世帯で引き上げる。したがって、その他の世帯についてもそれに対応した課税最低限度とすべきものであるということが結論づけられましたので、今年もそれに近づく第一の道程といたしまして十万円の引き上げをいたしました。平年度九十三万円の課税最低限になったわけでございます。したがいまして、九十三万円まで課税最低限がまいりますと、ただいまの例でも九十六万円は夫婦子二人でございますからまだ余地がございますけれども、四十五年になればこのクラスの所得者もほとんど税がかからなくなる。しかも、このクラスの所得者というのは、先ほど来のお話のとおり、平均的なところでございます。平均的な所得者がほぼ課税最低限すれすれという程度には私どもやはり課税最低限を求めていく必要があると思いまして、四十五年に百万円というものが実現されれば、ほぼその水準に達するものと考えているわけでございます。
#93
○戸田菊雄君 非常に疑問に思うのは、課税最低限というものはどういうところから割り出して設定をしているのか。確かに、政府は、一貫して、四十五年まで百万円は最低控除を持っていきます、こういうことは再々言明しておるところでありますけれども、その最低課税の限度をきめる判断は一体どういうことによってきめられているのか、その辺はどうですか。
#94
○政府委員(吉國二郎君) 所得税をどの程度の階層から負担すべきかという問題が理論的にはあると思います。所得税自身が、収入目的と同時に、いわゆる所得再分配効果を持つということになりますと、全体から所得税を取るということが無意味であることも事実でございます。そういう観点から、ある程度の所得階層を前提にし、それと必要な収入とにらみ合わせながら課税最低限度のラインを求めていくというのも一つの考え方であると思います。また、同時に、国民的に見て、生活に必要な最低限度の保障というものを求めて、それをこえたものにだけ課税をするという配慮も必要だと思います。そういう点がいろいろ勘案されまして課税最低限というものはきめられていくと思いますが、具体的には従来課税最低限を求める方法といたしましては私が申しましたあとの方法を中心にして考えてきた面が強いのでございます。つまり、いろいろな方法で標準的な世帯の生計費というものを求めまして、それを人数別の世帯に合わせて課税最低限をほぼ適正なものに求めていく、そういう努力が続けられたわけでございますが、それが続けられた場合に問題になるのは、結局は、ある適正なものが得られましても、物価騰貴があればそれが常に変わってまいりまして、また、所得水準全体が上がってまいります場合には、物価騰貴がなくても同じ所得のものが何年かたった後には非常に低所得の階層に属するという結果にもなりますから、所得水準の非常に激しく上昇する場合には、所得水準の上昇というものにも見合ってこれを再調整していく必要があると思います。現在の課税最低限は、そういう意味では、従来の標準生計費というものを前提としながら、その後は毎年の消費者物価の伸び等を勘案しつつ、それを上回る引き上げを実施してまいりました結果といたしまして、現在では標準生計費的なものを用いておりません。そういう意味では実際的な数字から離れてはおるかと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、課税最低限の伸び率というものは、この数年間、四十年から四十四年までの間に、大体において一二、三%の平均で伸びておる。したがって、消費者物価の伸び方の倍以上で伸びておりますので、現在としては、税制調査会の判断は、むしろ最低生計費的なものから離れまして、一つは家計に余裕ができてある程度の貯蓄が発生するところというものを一つの限界として見ていく。さらに、国際的な水準というものもございますので、その国際的水準というものを一方においてはながめていこうという態度でこの百万円というものを検討したと考えられるわけであります。それを見ますと、現在、諸外国では、これは単純に計算をしたので、適正かどうかわかりませんが、夫婦子三人の世帯で見ますと、イギリスが七十八万円、西ドイツは八十八万円、フランスが百十七万円、アメリカが百三十万円、こういうのが現状でございます。それらを勘案した場合に、百万円という数字が国際的に見ても国内的に見ても妥当であろうかということで答えが出たわけでございますが、これはやはり四十五年前後を前提としたものでございますので、その後の所得水準の動き、あるいは物価の動きに応じて調整が加えらるべきことはもちろんと思いますけれども、当面一つの目標としては百万円というものが課税最低限としてはわが国として妥当なものであるという結論が出た、かように考えておるわけであります。
#95
○戸田菊雄君 物価の伸びよりも税金の控除の引き上げは倍に行っておる、こう言っておるのですが、時間がありませんから私の調べた内容でいきたいと思うのでありますが、国民一人当たりの税金負担の内容を見ますというと、一九六〇年を一〇〇といたしますと、税金は六七年が二三五・七%、それから賃金関係は、同じく六〇年を一〇〇といたしますと、六七年が二〇五・八%、物価の上昇は一四七・六%、こういうことになっておるのですね。ですから、確かに名目賃金は七年間で三倍程度にはね上がっておりますが、税金は二・五倍、それに物価上昇が四割程度、こういうことで来ておるのです。ですから、結局、二重三重の重税収奪といいますか、そういう形になっておるのがいまの実態ではないか。ですから、六七年で国民一人当たり総額六万四千二百五十二円――国税が四万三千七百五十五円、地方税が二万四百九十七円、とにかく一カ月以上は必ず持っていかれるという仕組みになっておりますね。だから、政府は一貫して減税だ減税だと言っているけれども、内容は実際重税に置きかえられている。だから、今度の一千五百億減税にいたしましても、物価上昇に見合えば五%ですね。これは四百二十億差し引くと一千八十億。実際は減税の対象の一千八十億の配分、いわば税率の問題に非常に影響があるわけですけれども、これがどの層に向けて一体減税措置がとられようとしているのか、この辺も検討すれば明らかなんです。低所得者は全くその恩恵を受けないようになっているんですね。こういう減税あるいは税率改正という問題について、私たちはきわめて不当なものだというふうに考えるんですけれども、そういう点についてどういう判断をされておるか。
 それからついでにお願いをしておきますが、国税庁調査の国民階層別所得内容一覧、これをあとでひとつ資料として提示をしていただきたいと思います。これは国税庁で調べていると思うんですね。
#96
○政府委員(亀徳正之君) ちょっと、いま……。
#97
○戸田菊雄君 国民の階層別所得です。
#98
○政府委員(亀徳正之君) なお検討いたしてみます。
#99
○政府委員(吉國二郎君) ただいま御指摘がございましたように、税金が所得がふえた程度ではないけれどもやはりふえているのではないかという御指摘でございますが、所得税は、御承知のとおり、累進課税でございますから、所得がふえれば本来なら所得税はべらぼうにふえるはずのものでございます。それを減税をして現在でもほとんど負担は同じであります。たとえば国民所得の中の個人総所得に対する個人所得税の割合をとってみますと、昭和二十五年当時は七%近かったわけでございますが、その後低下をいたしまして、三十年代を通じて四%前後、現在でも五%前後でございます。ということは、所得が実際上昭和二十五年から十倍程度に名目ではふえておるにかかわらず、税負担率は、平均的に申しますと、ほとんど変わっていないということでございます。それだけ減税が行なわれているわけでございます。累進課税であるにかかわらず、所得税は現在減税によって比例税率と同じ運用がされておる、これはもう歴然たる事実でございます。もしシャウプ税制のとおりいま所得税を課税したとすれば、所得税収入は二十兆円になると私どもは計算をしているわけでございます。それだけ減税をされているということは、これはもうはっきり申し上げられると思います。
 それから今回の減税で税率をやり過ぎておるのではないかという御説でございます。これは確かにことし初めて三十二年以来税率に手をつけたわけでございますが、御承知のとおり、いままで三十三年以後の減税に使いました所得税の減税の八七%が課税最低限の引き上げによって使われた。したがいまして、課税最低限は、先ほど来申し上げておりますように、非常に急速に引き上げられてまいっております。すでに西独水準をこえるというところまでまいりました。ところが、課税最低限が二倍、三倍に引き上がったにかかわらず、税率の適用のきざみが依然として昔のままでございますので、課税最低限に取りかかったとたんに税の負担が急激に上がっていくような形にある。そのために、百万円をこえて三百万ぐらいまでのところ、所得が一〇%伸びた場合の税負担の増加が二八%というような非常に極端なものになってきている、これが現在税が重い重いといわれている一つの大きな原因だと思われます。したがって、課税最低限がかなり高くなれば、その上に適用されるべき税率もかなりの幅をもって累進するのが適当だと考えられますが、それが従来据え置かれておりましたので、ことしはその点を是正して、全体のバランスをとろうという意味で税率の改正の第一歩に着手したわけでございます。それで、税率の適用の幅を広げることと、逆に下のほうの税率の刻みをやや低目にして累進させるという二つの考え方がございます。税制調査会では、その二つを併用して一つの新しい税率の形を提案しております。これは下のほうの税率を二%、それから漸次三%、四%、五%、こういう累進を適当とするという考え方でございまして、ことしはその一部を実施するという意味で下のほうの税率を四%にする程度にとどめておりますが、いわばそれだけ初めて税率に手がついたということでは、御指摘のようにことしだけの数字をとってごらんになりますと、上のほうの階層の減税額が大きいという結果は、これは否定できないと思います。ただ、昭和四十一年にこの百万円という構想が出てまいりましたが、その昭和四十一年から累計で考えてみますと、たとえば夫婦子三人で申しますと、百万円の給与所得者は今度の改正で実に八四・五%はもう軽減されてしまった結果になりますが、二百万円の所得者が四〇%、五百万円の所得者が一九%という程度に、やはり下のほうの所得者が優先的に減税になっている姿が見られると思います。確かに、単年度だけでごらんいただくと、税制改正というものがゆがんだ形に見える場合があると思いますが、税制調査会の答申を二年に分けて――私どもは二年でできればいいと思っておりますが、少なくとも二年ないし三年に分けて実施するとすると、単年度ではやや形の悪い姿も出るかと思いますが、四十一年以来の税の姿を総合して考えるならば、税率にあまりにウエートが置かれ過ぎているということは言えないのじゃないか、かように考えております。
#100
○戸田菊雄君 税率の問題はあとでまた触れたいと思いますが、四十四年度の歳入構造をちょっと見ますと、所得税関係は一兆九千六億円、三三%ですね。それから法人税が大体同じで三二%、それから酒税が一〇%、揮発油石油ガス税が八%、こういうことになっているわけですが、しかし、所得税の納入人員というものは一向に減っておらない。むしろ逆にふえてきているわけなんです。たとえば三十五年と四十一年の比較でいきますと、六百六十七万人程度が増加している、こういう状況ですね。それから年収五十万円以上七十万円未満の層で約三倍にふえ、それから七十万円以上百万円未満の層が約六・七%増。賃金労働者全体の中で所得税を納めているのが、三十五年は五一・六%でございましたけれども、四十一年は六三・四%。これは、納入人員にいたしましても、割合にいたしましても、軒並み増加の傾向にあることは間違いない。いま、主税局長が、最低限は物価を上回るくらいどんどん上げている、こういうことを言っておりましたが、その一面、所得税の納入人員なり割合というものはどんどんふえている。これは、あとでも出てきますが、税率の設定、それから課税最低限の問題、こういうものが二つ巧妙にからみ合ってそういうふうな増加というものを見ているのだろうと思います。一面、国民の生活度合というものが、さっきも言ったように、五万円の所得ですと、一回の食費が九十六円程度の生活をしなければいけない。まさしくこれはラーメン一ぱいです。そういう生活条件の対象者に対してこれくらいどんどんふやして、税金を高く納めて、国家収入としてもふえてきていることは間違いない。だからいまその辺を抜本的に改善する時期に来ているのじゃないか。そういうことを言いますと、政府は、四十五年度までに最低控除をとにかく百万円に上げますと。これでは、いまの経済変動、物価上昇、税率から組まれた重税には間に合わないのじゃないか。だから、早急に、そういう部面の所得者の税率を、低いほうに対してもっとこまかく区分をして、緩和措置を大大的にとるべきじゃないか、こういうふうに考えるのですが、いずれにしても、いま政府が出されているそういう税率、課税最低限、控除の改正の問題については税調の意思を完全に果たしていない。自民党の税調ですらもっと税率を緩和しなさいと言っている。そういう案になっていないですよ、今回出されたやつは。これは一体いつやるのか。来年度やりますか。ひとつこの点についてお答え願います。
#101
○政府委員(吉國二郎君) ことしの所得税の改正案は、四十四年度分といたしましては、政府税調、それから与党の税調の結論と一致をしているわけでございます。ただ、政府税調では長期税制答申というものを出しております。それには一致しておりません。政府税調といたしましては、四十四年度の税制改正答申におきましては、四十五年度には財政事情の許す限り長期税制の内容を実現すべきであるということをいっております。与党の税制調査会におきましても、同様に政府税調で提案いたしました案を採用いたしましてこれを四十五年に実現を期する、その前提として四十四年度はこの程度の改正を行なうということをいっております。そういう意味では、両税調とも四十五年には長期税制を実施するという意思ないし希望を表明しているわけでございまして、大臣からもしばしば御答弁申し上げていると思いますけれども、財政事情が許す限り自分としてはこれを四十五年に実施したいということを希望を大臣も漏らしておるわけでございます。
#102
○戸田菊雄君 まあ、いま急速に最低限なり税率を極端に緩和できないと。いずれにしても、重税体制であることは間違いないです。われわれの理解では。
 給与所得者に対して、何か必要経費というようなものですね、たとえば大学の学者であれば当然図書を購入するとか、そういうものは必要だろうと思う。あるいは、労働者全体が通勤をして歩くわけですから、交通費の負担の問題ですね。それから子供に対する教育費ないしは社会保険料ですね、各種やっております。こういったものが考えられないかどうかですね。これはやっぱり真剣にいま検討する段階ではないか。諸外国の例を見ましても、私の理解する範囲では西ドイツもそういうことをやっておる。西ドイツなんかすでにもう源泉徴収まで申告体制に切りかえつつある、こういうふうにいわれておりますけれども、そういう面からいって、日本のいまの税制態様というものは、年々長期税制答申とかいろいろなことをやっておりますけれども、もっと複雑にして国民にはわからないようなかっこうに持っていって重い税金をかけているというふうにしかわれわれには理解できない。だから、いまそういうものを救済する方法としては、給与所得者に対してもそういういわば必要経費的なものを検討できないのかどうかですね、この辺の考えはどうですか。
#103
○政府委員(吉國二郎君) もちろん、給与所得についての必要経費控除という考え方があり得るし、また、それをいつも検討していることは事実でございます。ただいま御指摘がございましたように、西独、イギリス、アメリカ等におきましても源泉徴収はもちろんやっておりますけれども、申告の際に必要経費控除をしてその所得によって課税を受けるという方法が選択できるということは事実ですが、この内容をしさいに検討いたしてみますと、やはり給与の収入を得るに必要にして合理的なものという限定がついております。内容を洗ってみますと、たとえば職務上の旅行、つまり出張をした場合の旅費等については、収入金額を課税するかわりに実費を必要経費控除するというようなこと、いろいろございますけれども、わが国におきましては、従来から、実費弁償的な旅費というものは、もう最初から、受け取ったときから課税しないという形で非課税所得にするし、通勤手当にいたしましても、これは受け取ったときに非課税にするという措置で、必要経費という形をとらずに扱っております。給与所得控除というものを一般的に認めておりますが、これはアメリカ、イギリス等では認めていないわけであります。日本で給与所得控除というものを認めましたのは、一つは、資産と労働とが共同して得られる所得というものに比べて、労働だけの所得は担税力が弱いという意味で、何らかの配慮をしなければならないというのが第一点。それから第二点には、給与所得の課税については必要経費控除制をとらないために、それにかわるべきものとして概算控除的な意味の何らかの控除が必要であるということ。それから源泉徴収制度をとっているために若干先どりになっているものに対する手当てをしなければならないこと。こういう三つの観点から給与所得控除というものを設けて、それで代替をしているわけでございます。もちろん、西独などでは、そういう意味では、実額控除と、そういう給与所得控除的なものの選択も認めております。認めておりますが、私ども考えますのに、選択を認めた場合にはかなり所得控除のほうは低い額になるのが普通だと思います。しかも、先ほど来生計費の調査で御議論がございましたが、あの中を分析してみますと、給与の収入を得るために必要な経費に相当するものというのがきわめて少ないと思います。したがって、実際に給与所得の必要経費控除というものをやって、それと選択をして給与所得控除を認めるということになれば、現在のような高い給与所得控除はとうてい認められないのじゃないかという問題があると思います。それらを考え合わせますと、現在の給与所得控除というものをできるだけこの三つの要素というものを含めて実際に合うように引き上げていくという形でやっていくほうが現在のわが国においては実際的ではないか。また、必要経費が多いということが立証される方もあると思います、大学教授などの場合。これはきわめて例外のケースだと思います。大多数の労働者というものは、おそらく給与所得控除のほうが有利であるという結果になるのじゃないかと思うのであります。しかも、必要経費であるかどうかというのがきわめて微妙な差があるところから、立証の巧拙によって非常な不公平も起こる可能性がある。それらを勘案いたしますと、結局、いろいろ検討いたしましたが、当面は給与所得控除を合理的に引き上げていくという方法で対処するのが実際的であろう。将来の問題としては別であるけれども、当面はそういう形で行くべきであろうというのが税制調査会の最後の結論だったわけでございます。
 私どもも、必要経費控除というものを考える時期が来るということも考えております。十分検討もいたしてまいりたいと思いますが、当面はこの制度が一番実際的であるということは事実だと思うので、今回並びにさしあたりは給与所得控除の改善ということで対処していくべきではないかと思っております。
#104
○戸田菊雄君 私は、二者択一というようなかっこうでなくて、確かに税調の態度はそういうかっこうでいっているかもしれませんが、やはり両面を相互検討という形で、なぜかというと、いわば最低限税率の問題については四十五年までの政府の方針はちゃんときまっちゃっているんですね。だから、いま主税局長が、さもあしたからでも検討して、もう少し何かいい案が出るかというと、それはもうそうじゃないと思う。もうすでにそれは百万円まで四十五年度にはしますという、その限度額はもうきまっちゃっているわけです、政府の態度というものは。だから、そういうことだから、当面一面では必要経費等に対して十分検討していただいて、何らかの緩和策をとってもらう必要があるのじゃないか。こういう意味合いで言っているのであって、その辺はいずれにしても将来検討するということですが、その将来を少し早めてやってもらいたいと思うのです。
 それと、もう一つですけれども、自然増収の問題ですね。少なくとも一兆円をこす自然増収を見積もっているわけですけれども私の調査ではそのうち五千五百億程度がいわば勤労者等から吸い上げる自然増収の見積もりです。かりにこれから労働者が軒並み賃上げを要求しているのですから一〇%程度上げると、いま言ったように五千五百億程度は勤労者階級から吸い取るということになる。そして、今回の減税額は一千五百億、実質的には千八十億、そういうことになっております。そして、その内容は部課長クラスに有利になっているわけですから、低所得者はあまり恩典をこうむっていない。こういう全く不合理だらけのいまの税の体系というものは早期に全般的に改善しなければならないということが考えられるわけであります。そういうところから、税率を下のほうをもう少し緩和して、小刻みにして、来年度あたりまでには少なくともやや向上したというようなぐらいまで検討されてしかるべきではないか、私はこのように実は考えるわけです。
 ちょっと試算をしてみますと、今度一〇%賃金が上がった場合、税金で、年収四十万以下の人は二〇〇・四%増になるわけです。それに比較をして、百万円の収入の人は二四・九%しか取られないんですよ。それから一千万以上は一四・九%。これくらいいまの税率というのは不均衡体系ですね。一〇%の賃上げをされただけでそういうかっこうになっている。だから、上には非常に親切にやられているけれども、下には全く過酷なんですね。だから、こういう一例をもってしても、いまの税率がいかに下のほうに強く不合理に収奪体制をとっているかということは明らかだと思う。これはひとつ早期に検討していただきたいというふうに考える。来年の減税等についても、そういう多くの自然増収という形で税金を取っているわけですから、もっともっといまの一千五百億の二倍ないし三倍に持っていってもいささかもおかしくないんじゃないか、こういうように考えるわけですけれども、その辺の見解はどうです。
#105
○政府委員(吉國二郎君) 御指摘のとおり、来年度見積もりました自然増収のうちの四割五分程度が所得税から生ずるという見込みになっております。そのうちおそらく七割程度が勤労所得者からあがる税金だろうと思うのです。その中で千五百億というのはあまりにも少ないのではないかという御指摘でございますが、もちろん来年の自然増収が出るためには来年度一〇%以上の所得の増加というものが予定されているわけでございますが、所得が増加すれば、その部分だけは当然税金はふえるわけです。それに累進がかかるのがきつ過ぎるというところから減税をするという問題だと思いますが、決して多いとも申しませんが、やはり相当程度の減税ではなかろうかという感じがいたします。
 それから一〇%伸びた場合に下のほうが重くなるという御指摘は、そのとおりだと思います。と申しますのは、御承知のとおり、課税最低限がかりに七十万円といたしますと、その場合に八十万円の所得者の方は課税所得はわずか十万円だけです。それが一割伸びたといたしますると、所得が八十八万円になります。その場合の課税最低限を上回わる課税所得の伸びは実に八割になり、したがいまして、比例税率が適用されても、その場合は税金が八割伸びてしまう。ところが、七十万円の課税最低限に対して百七十万円の所得者がいたとしますると、この人は課税所得は百万円でございますから、一割上昇して十七万円伸びましても、その伸び方はわずかに一七%、それに比例税率ではなくて当然累進がかかると思いますけれども、累進がかかったにしても二〇%から二四、五%ということになるだろうと思います。つまり、下のほうの所得者は、所得のうち課税所得の部分が非常に小さいために、所得が伸びるという場合には税のふえ方が相対的に大きい。これはやむを得ないものでありますので、それだけに毎年毎年課税最低限を引き上げてきたと申しますのは、そういう意味の急激な負担の増をできるだけ課税最低限の合理化を通じて抹消していこうというところに大きな意味があったと思います。したがいまして、一〇%伸びた方も、去年の税の負担と改正後の負担でお考えになると、ふえ方が減ると思います。また、来年になれば、また来年課税最低限の引き上げが行なわれるということを考えますと、この課税最低限の引き上げが続けられる限りは、いまおっしゃった現象、下のほうがふえるという現象がそれによって救済されてくるという問題だと思うのであります。
#106
○戸田菊雄君 時間ありませんから、あと二、三でやめますけれども、一つは地方住民税の問題です。これはいま人頭割りでいっていますから、非常に低額の所得者からどんどんかかる。総体では人口の三分の一、三千万程度が地方住民税を取られているという状態ですね。だから、これは一挙に国税と同等の最低控除に持っていくということはなかなかむずかしいかもしれませんが、税率を含めましてこの辺の改善措置が必要ではないかと思うんです。この辺の問題が一つあります。
 もう一つは、今回の租税収入一覧を見ますと、酒税の税収見積もりが非常に少ないように思われるんですね。私の調査ですと、一九六六年が四百六十九億、六七年が四百九十四億、六八年が一千四十一億、六九年の本年度は百三十六億円です。これは一体見積もりの上でどういう判断をされているのか、この辺の内容について一つであります。
 もう一つは、老齢者控除とそれから寡婦控除、勤労学生控除というのが今回あるのですけれども、これは九万円にそれぞれ上がっているのですが、この内容についての考え方について御説明を願いたい。
#107
○政府委員(吉國二郎君) 住民税の課税最低限が所得税に比べましてかなり低くなっておりますのは、御承知の昭和三十六年に両制度を分離したため、その後国税のほうが非常に早く引き上がったのに対して、住民税が、市町村の中であまり課税最低限を引き上げますと納税者がほとんどなくなってしまうという事情があることも一つで、なかなか引き上げができなかったということによって生じてきたということも言えると思いますが、同時に、税制調査会でも申しておりますように、住民税は同じ所得を対象とする税ではございますけれども、税率は国税に比べると非常に低くて、その地域住民にできるだけ応益的に費用を負担させるという性質を持っているだけに、所得税の再分配効果を考えた税率とはやや趣きを異にしてもいいのではないかということから若干の差があることはある程度やむを得ないかと思いますが、やはり所得水準、物価水準が上がってまいりますと、適正に直していくのが筋道であろうということを税制調査会も言っておりますし、私どももあまり差があるのは所得税との間で非常に困るという気もいたします。御指摘のように、できるだけ地方財政を考えながら合理化をはかっていくべきものだと私も思います。
 それから酒税の収入でございますが、これは実はことしの酒税の実績見込みが遺憾ながら非常に減ってまいりました。補正予算でも、実は当初予算に対して三百十数億の減収額を出しておりますす。したがいまして、それよりは相当伸びておりますけれども、ことしの当初予算に比べますと自然増収が非常に少ないというかっこうになっておりますが、これは、昨年、ビールが、夏非常に寒かったために売れ行きが落ちましたのと、清酒が、あるいは値上げの関係かもしれませんが、かなり売れ行きが落ちたということから実績が自然減収になりまして、それに対して増収を見積もりましたが、当初予算に対してはほとんど伸びないという姿になった原因でございます。
 第三番目の老齢者控除、寡婦控除、勤労学生控除等を一万円引き上げた理由でございますが、これは従来御承知のように税額控除でございましたものを所得控除の形に変えまして、ちょうどそのときの額が扶養控除の金額と一致しておりまして、そのために扶養親族控除が上がるたびに同額ずつ上げてまいったわけであります。ことしは扶養親族の控除を二万円上げましたので、当然また上がるべきだという考え方があったわけでありますが、老齢者控除とか寡婦控除はもちろん必要なものではございますけれども、むしろ一般的な課税最低限というものが低い時期にできるだけこまかく配慮して不当な結果を避けるようにという配慮から出ていると思いますので、一般の課税最低限がだんだん上がっていけば相対的には減っていくべきものだという考え方があり得ると思います。従来は税額控除でございましたが、税額控除でございますと、ほかの控除が上がるたびにその効果が大きくなってまいります。そういうこともございまして所得控除に変えたわけでございますが、その後も所得控除に変えながらなお扶養控除の引き上げと並行して引き上げてまいったという点は、ある意味ではいつか考え直すべき時期が来るのではないかと思います。そういう意味で、ことしは、扶養控除を二万円引き上げましたが、これらの控除は引き上げを一万円にとどめるということにいたしたわけでございます。
#108
○委員長(丸茂重貞君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#109
○委員長(丸茂重貞君) 速記を起こして。
#110
○木村禧八郎君 企画庁長官がまた衆議院に行かれるそうですから質問いたしますが、先ほど質問を保留しておいたんですが、午前中の質問は、いま議題になっております租税特別措置法とか所得税法、この改正を考える場合に、その前提の問題としまして、日本経済の持っていき方をどういう方向に持っていくのかと、それに関連して、国民総支出あるいは国民総生産と言ってもいいですが、その構成内容を質問したわけですよ。それで、いま、現状は、あとで具体的に質問したいと思うんですけれども、とにかく設備投資優先型というのですかね、それがもう非常に先行しているわけですよ。そこで、今後の税制を考える場合に、そういう面から個人消費の割合が低下してきて、設備投資がふえてきている、そういう点から、税制面でも、資本蓄積を調整するというような方向で考える必要があるんじゃないか、また、個人消費の割合を少なくとも「経済社会発展計画」で目標としている方向に近づけるような形でやはり現状の問題も考えるべきじゃないかということで質問したんです。
 そこで、具体的にまず質問いたしますが、四十四年度の国民総生産の構成割合です。これは四十四年度の予算を編成するときに経済見通しをやっていますね、あれに経済指標がございますから、あれに基づいて総生産の構成割合を、大体三つでいいです、個人消費の割合、それから民間設備投資、それから政府財貨サービスと、それを簡単にお知らせください。
#111
○政府委員(鹿野義夫君) お答え申し上げます。
 名目の数値でございますが、総生産を一〇〇といたしますと、個人消費が五一%、政府財貨サービスの経常購入が九%、資本形成が九・九%、民間の企業の設備投資が一八・五%でございます。
#112
○木村禧八郎君 実質ではどうなりますか。三十五年の物価でデフレートすると、三十五年の物価だけというのは無理かもしれませんが、四十三年度でデフレートしたのがあるんですよ。なかなか計算はむずかしいようですが、四十三年度は五〇%を割っているんですよ、実質では。四十四年度はどのぐらいになりますかね。
#113
○政府委員(鹿野義夫君) 正直に申し上げまして、四十四年度の実質の構成比の数字は持ち合わせていないのでございます。四十三年度までの数字は出ておりますが、四十四年度のは……。
#114
○木村禧八郎君 じゃ、四十三年度のを言ってください。
#115
○政府委員(鹿野義夫君) 四十三年度の数字では、個人消費の数字が四九・三、民間設備投資が二二・八%でございます。
#116
○木村禧八郎君 政府財貨サービスは。
#117
○政府委員(鹿野義夫君) ちょっと持ち合わせの数字を忘れましたが、政府投資の関係は九・一でございます。
#118
○木村禧八郎君 それで、経常が六・五で、一五・六というように聞いております。それはそれでいいです。すると、企画庁長官ね、これで明らかになったことは、名目で四十四年度個人消費割合は五一%、それから実質では四十三年が四九・三なんですよ。四十三年は名目で五四・三なんです。名目五四・三、実質四九・三となると、四十四年は、この割合で計算していきますと、四六ぐらいになりますよ。おそらく四六ぐらいになると思うんですよ、機械的にたとえば名目で五四のときに実質四九・三ならば。
#119
○政府委員(鹿野義夫君) 名目で五一・二でございます、四十三年が。
#120
○木村禧八郎君 四十三年は四九・三じゃないですか。さっき言われたでしょう、実質ですと。
#121
○政府委員(鹿野義夫君) 実質では四九・三ですが、その名目のほうでは五一・二でございます。
#122
○木村禧八郎君 いや、名目でですよ。
#123
○政府委員(鹿野義夫君) 四十三年度でございましょう。四十四年度ではなくて四十三年度は五一・二でございます。
#124
○木村禧八郎君 それじゃ、名目五一・二のときは実質四九・三ですね。その割合で四十四年を計算してみますと、少なくとも四九・三よりは低いだろうと、その。パーセンテージははっきりしなくてもいいですが、そう想定していいでしょう。
#125
○政府委員(鹿野義夫君) はい、若干下回ると思います。
#126
○木村禧八郎君 そこで、「経済社会発展計画」における構成割合はどうなんですか。
#127
○政府委員(鹿野義夫君) 個人消費の割合を名目では五五%というふうに見ております。
#128
○木村禧八郎君 それで、これは企画庁長官に答弁していただかなければならぬと思うのですけれども、名目でも「経済社会発展計画」の目標五五%を割っているわけですよね。それで、今後この五五%に近づけていくような政策をとっていくのか、あるいは、さらにこのままで行きますと低下していくと思うんですよ。そのことは、反面において民間設備投資が非常に大きくなっていますよ。民間設備投資は、「経済社会発展計画」の倍くらいになっていますよ。そうしますと、「経済社会発展計画」が、個人消費割合を五五%くらいを目標にしている。それから民間設備投資ですと、一五%くらいが目標ですね。ところが、実態はその逆になっているんですよ。個人消費割合が低下して、設備投資のほうがふえているでしょう。ですから、こういう状態を続けていくと、私どもの考えでは、そこに設備投資の行き過ぎが――行き過ぎというよりも、それはもう優先ですね。最優先になっているんです。税制面でも、財政面でも、あらゆる政策が技術革進を中心として設備投資のほうにどんどん集中的にされているでしょう。それから公害の問題とかいろいろな問題が起こっている。無計画に過密過疎の問題も起こってくるでしょう。そこで、総合的な計画調整やる経済企画庁としては、この点は非常に重要だと思うのです。それで、「経済社会発展計画」を再検討すると言われていますが、物価の面でも成長率の面でも調整しなければならなくなってきているので、今後、企画庁長官としては、いままでの目標と実態とは逆の方向に行っているのですから、これをどういうふうに持っていこうとしているのか、この点をまず伺っておきたい。
#129
○国務大臣(菅野和太郎君) 「経済社会発展計画」と実勢とは違ってきておりますが、そこで、木村先生も御存じのとおり、いまおあげになりました公害の問題でも、これはこの二、三年間の大きな問題になってまいりましたし、今後また大きくなっていくと思います。そういうこともあわせ考えて、大型の工業自体も、民間設備投資がだんだんふえてきたというのは大型の工業がふえてきたということになりますが、公害というようなそういう面から見てそういうことがはたしてわれわれの国民生活にいいのか悪いのかということはやっぱり再検討する時期に来たと思うのです。だから、いたずらに国民総生産がふえたふえたといって喜ぶことよりも、実質上われわれの生活がほんとうによくなったかどうかということを考え、「経済社会発展計画」もひとつ検討し直す必要があるんじゃないかということを言っておるのでありまして、そういう意味で四十二年から始まりました「経済社会発展計画」をわれわれ補正したいという考えでいまおるわけであります。
#130
○木村禧八郎君 その補正するにあたっての根本的――私は補正じゃもう足りないと思うんですよ。補正じゃいけないのであって、根本的に、何というか、そうですね、この目標自体は私はいいと思うんですよ。しかし、問題は、政府のいまの政策なんですよ。問題は、これに近づけていくのか、いかないのかですね。いまのままではこれと逆の方向に行っているんですからね。それを伺っているんですよ。これを補正するといったって、たとえば福田大蔵大臣とか総理は実質一〇%説を言っているでしょう。実質一〇%説になると、これと逆の方向に行くんです。そこで、伺いたいのは、「経済社会発展計画」が実質平均八%というのをなぜ設定したかです。その設定した理由はどこにあるのか、それを伺いたい。設定した理由は三つあるはずです。
#131
○政府委員(鹿野義夫君) 「経済社会発展計画」を策定いたします場合に、成長率をどのように考えるかというのが一番大きな政策の柱になるわけです。これは、政策といいますか方法論としては、先生の御存じのように、近代経済学の計量モデルを用いまして非常にたくさんのシミュレーションといいますか試算をいたしまして、その中から最も適当な姿を四十六年度の目標年次に描いたわけであります。そのときに八%程度というふうに考えた一つの大きな原因は、一つはやはり物価の問題でございます。物価の安定をはかるということで、大体三%程度に目標年次で落ちつけていくということを考えましたことが一つでございます。それからもう一つは国際収支の関係で、八%程度の成長で四十六年度までいきますと、その当時の試算としましては、いまはだいぶ様相が変わっておりますけれども、当の試算といたしましては、総合収支で二億ぐらいの黒字になれる。それ以上の成長であると、その黒字幅がだいぶ狭くなってくるし、外貨の繰り回しもだいぶ困難になってくる。また、経済援助というものも十分できないというふうな考えも出てきまして――その当時の予想でございます。もちろんいまはだいぶ輸出力その他も強くなっておりますが、当時といたしましては大体八%という程度で、国際収支、もう一つは物価、この二つの大きな制約でございます。さらに、その裏としましては、労働力が、戦後のベビーブームを峠にいたしまして非常に減ってくるであろうというふうに想定いたしました。これがやはり一つの大きな制約条件になるだろうという感じを持ったわけでございます。この点は、企業の内部に労働力をかなり保存しておるとか、あるいは省力的な仕事をやるというようなことで現在きておりまして、その当時の想定よりかなり食い違いが生じております。
 大体、その三つでございますね。物価と国際収支と労働力ということが一つの制約で、八%程度がそう無理のない成長ではなかろうかというふうな感じをもって設定したわけであります。
#132
○木村禧八郎君 それはその前置きが一つあるのであって、三十年当時の実質一〇%ではいまお話しのような問題が起こるから、そこで八%にしたのでしょう。ここに書いてありますよね。三十年程度の実質一〇%では今後労働力が非常に不足になると、それで労働力不足によるいろいろなひずみもふえると、そういうことを排除する必要があると、それには三十年代の一〇%を若干下回る必要があるというのでしょう。そういうことでしたよね。それからもう一つは、いまお話しの雇用状態の改善と生活水準の向上、産業の近代化、物価安定をどういうふうに達成するか。それで物価上昇率を三%に持っていく必要がある。もう一点は国際収支。そういう前提になっているんです。国際収支についてはその後心配なくなったというので、そこで、とにかく八%以上に、とにかく実質一二、三%まで行っているわけです。一体そういうことでいいのかどうかですね。それで、その裏の現象として、実質個人消費割合は五〇%を割っているんですから。四九・三でしょう。今度四十四年度はそれより若干下回るということになっているんです。そうすると、生活水準の向上とか物価の安定とかということとこれは矛盾してくるんですよ、そこのところが。ですから、何で実質八%を設定したかということを考えてみると、その基本的な考え方は変わらぬと思うんですよ、現在でも。それで、それ以上に設備投資のあれがこう大きくなってしまって、ただ、国際収支が幸いにいいから、問題になっていないと思うのですけれどもね。ですから、そこのところは、今後方向として、これで打ち出したように、個人消費の比率を五〇%程度に持っていくようにしていくのかどうか。
 それから民間設備投資ですね。これはさっきも大蔵大臣に質問したのですが、財政制度審議会で四十四年度は実質二二、三%だと。四十三年度は二二・八ですか。もう三十六年より上回っているんですよね。こういう状況では将来また非常な設備過剰の問題が起こる危険がある。もう行き過ぎている。だから、ここで調整段階に来ていると思うんですよ。いままでは逆の方向に行っているんです。だから、一つは、どういうふうにどういう作業をやっていくのかですね。さっき言われた、補強と言われたのですか、あるいは改定と言われたのですか、いま具体的にどういう作業をしてどういう目標でやっているのか。それからこれらの実際の政策をそういう方向に持っていくのかどうかですね、その点です。
#133
○政府委員(鹿野義夫君) 「経済社会発展計画」の補正ということで、まあ一種の改定でございますが、作業に入っております。政策的な方向といたしましては、現在の「経済社会発展計画」に掲げている大きな柱である物価の安定、社会開発の推進、それから経済の効率化という問題はあくまで今後もそれを貫いていくという姿勢で計画を補正していきたいというふうに考えておりますが、ただ、当時、よく申し上げるわけですが、四十年度の不況のどん底からちょうどはい上がる時期に計画を作成いたしました。それで、そういう意味から、日本の経済の成長力といいますか、バイタリティといいますか、あるいは企業の投資意欲につても、三十年代の動きから少しの屈折がある程度あるのじゃないかというふうな感じを当時持って作業をしていたということも事実かと思います。そういう意味では、日本経済の成長力の効果をもう一回ここでじっくり検討する必要があるのじゃないかというふうにも考えております。また、八%の成長のときに、いま先生がおっしゃられたように、民間設備投資あるいは個人消費、あるいは政府財貨サービスの関係の姿というのは、一つのやはり均衡のある姿として「経済社会発展計画」で描いたわけでございますから、もし成長力がより以上あるとした場合に、程度の問題でございますが、八%以上の成長の場合にもそういった均衡をとりながらある程度の高い成長が可能であるかどうかという問題も今後の検討課題になると思います。しかしあくまで、いま申し上げましたように、物価の安定、社会開発の推進、経済の効率化という観点から十分検討していきたい。しかし、根底にいままで考えられた成長力の問題についてもう一回ここで振り返って検討しようというふうには思っておるわけでございます。
#134
○木村禧八郎君 そこで、くどいようですが、一番重要な点を端的に承りたいんですよ。個人消費の割合をこんなにどんどん低下さして、それでこれは実質で二十九年は六二・四、三十六年は五四・八、四十二年は五〇・九、四十三年は四九・三と、こんなにずっと低下しているんですよ。四十四年はさらに若干低下することになっているんですよ。こういう傾向ですよ。そこを聞いているんです。
 それからもう一つは、これは重要な問題ですからどうしても長官から承っておきたいんですが、これまではとにかくいい悪いは別としてものすごい民間設備投資優先型でやってきました。そうして、設備投資の割合が二一%とか何とかということ。しかし、それによっていろいろフリクションが生じたでしょう。今後、そういう方向を高度成長を続けていくのか。日本は世界第二位の生産力を持つようになった。そこで、また、成長力にも潜在的な成長力を自信を持ってきた。そこで、今後は、こういう状態を来年も続け再来年も続けるのか。二年続けるのか、あるいは、二年後になったら、今度は設備投資優先型ではなくて、それから生じたひずみのほうに重点を置いていくと、そういうふうにはっきりと政策を打ち出さなければ、国民は不安でしようがないですよ。高度成長ばかりがずっと出てあらゆる政策を推進している。もし高度成長が必要なら、一〇%必要なら、来年まではそうなんだからしんぼうしてくれとか、今度は再来年になったら切りかえて個人消費の割合をふやしていくほうにいく、あるいは住宅投資とか社会資本の立ちおくれのほうにやっていくというように、計画的にはっきり出すべきだと思うんです。そうでなければ無責任だと思うんですね。ただ、高度成長、高度成長と、そこら辺がはっきりしないから不安でしょう。それで、こういうしょっちゅう高度成長によるひずみによる被害ですよ。最近の炭鉱の問題だって、荒川のああいう災害の問題だって、みんなそうなんですよ。その調整が必要です。それによって税制なり何なりも考えていきませんと、ただ場当たり的に目先で一千五百億の所得税の減税とか、租税特別措置法の登録税の減税とか、そういう部分的に考えることもむだじゃありませんけれども、やはりはっきりした政策目標を持った税制改正なりが必要だと思うのですよ。この点が肝心の点がはっきりしなければ、逆のほうに行くのでは意味がないんですよ。いま逆のほうに行っているんでしょう。率直にその点はよく実態を見きわめて責任をもって企画庁長官はお答えしていただかなければ、重要な今後の課題ですから。
#135
○国務大臣(菅野和太郎君) ただいま局長が申しましたとおり、「経済社会発展計画」というものは、経済の効率化ということは産業の生産性を高めるということですが、それと同時に、物価を安定さす、それから社会資本の開発をやるという目的であの計画を立てたんですが、実勢はそうじゃなくて、なるほど生産は伸びましたけれども、物価は上がるし、それで、お話のとおり、社会開発という点においてはおくれておるということは事実であります。そこで、われわれといたしましては、生産は高めると同時に、やはり物価は安定さすし、社会開発ということも考えていきたいということで、この計画をもう一ぺんひとつ検討して、そうして再出発というと語弊があるかもしれませんが、われわれは補正ということばを使っておりますけれども、実質上においては再出発になると思いますが、それも昭和四十五年あたりから五十年までの間でそういう再出発という観点からひとつ計画をやり直してみたい、こう思っておるのであります。いままでのような弊害の生じないようにひとつやっていきたい、こう考えておる次第であります。
#136
○木村禧八郎君 物価の問題、これはほかの方からも質問があると思うのですが、いま一番大きな問題ですし、また、企画庁の担当ですから聞きたいのですが、いまの物価の問題について重要なことは、経済企画庁長官が、横川委員が参議院の本会議で質問したときに、物価を安定させるのは簡単であると言われたでしょう。デフレ政策をとればすぐに物価は安定するとあなたは言われたんですよ。そのかわり失業者も出ますと言われた。しかし、いまの日本の経済の実態からいって、そういうデフレ政策をとって物価安定はできるかどうか。できないでしょう。私はできないと思うんです。できないならば、なぜできないか。できないなら、どういう形において物価の安定をされるのか。何回も物価安定策、物価安定策と言いながらできない一番根本原因はどこにあるのか、それがはっきりしてくれば、これまでのように無責任に物価を安定させますと言えないわけですよ。だから、物価が上がるのはしかたがありませんと、そう言わざるを得ない、実際問題として。それから四十五年、三%ということになっていますが、「経済社会発展計画」では、はっきりと具体的に、政府関係の一番効果のある物価対策は政府関係の料金を上げないことだというように書いてあるんですよ。それを国鉄運賃を上げちゃうんでしょう。これじゃ全く矛盾しちゃうんですよ。全く矛盾する、なってないと思うんですけれども、企画庁長官は職を賭してでもあれに反対して、ほんとうはやめるべきですよ。(笑声)それを平気で言うんですから私はおかしいと思うのです。責任感が薄いように思うのですけれども、いかがですか。
#137
○国務大臣(菅野和太郎君) 物価をただ単に下げる目的ではデフレ政策でもやれぬことはありませんけれども、それを私やると言っていないのです。デフレ政策をやったらいいということは言っていないのです。それは、いままでの世界の歴史を見て、物価を下げようと思ったらデフレ政策をみなとっている、日本もとっておりますから、そのことをただ言っただけであって、デフレ政策をとるとは言っていないのです。いま、日本は、われわれの考える政策の目標は、一方では安定した経済成長を持続せしめるという一方では物価を安定せしめるということであって、二つを二つながら全うさそうと思ったらよほど困難です。そこで、問題は、どうして物価が上がってくるかという問題は、日本の御存じのとおり産業が二重構造であるということ。これはそれについていろいろ手は打っておりますけれども、すぐ効果は出ない。そこで、一方では公共料金という問題、これは政府ができることですからして、これは政府が手をつけなければいけないということで公共料金は抑制するという方針を立てて、もちろん鉄道料金も私は極力反対してまいったのであります。が、しかし、国鉄の事情を見ると、国鉄自体がもうあぶない状態にあるので、そこで国鉄を何とかして生かしてあげたいということで、料金の値上げということは私は最後の最後の手段だと考えるのです。それで、国鉄自身が体質改善をしなさいということ。それからいままで独立採算制であったけれども、独立採算制は今日とるべきではない。ここまで国鉄の事情が財政状態が悪くなった以上は、これは政府並びに市町村がこれを援助しなさいということで、御承知のとおり、利子の立てかえをするとか、あるいは納付金を二十五億円減らすとかいうような方法をとってもらって、最後にそれでなお不足する場合にはやむを得ず適正な料金の値上げということにしたのでありまして、これは決して何も値上げしたことは私の本意ではありませんが、しかし、国鉄を救うという意味で値上げを認めたわけではありますが、そこで、問題は、国鉄の料金を値上げをしますと大体〇・二%の上昇寄与率でありますからして、そこでそれだけはほかでひとつ補おうじゃないかということで、そうしてこれは非常に困難なことではあるが、私は各大臣にもお願いをして、各省において物価の引き下げに役立つような政策をできるだけとってほしいということをお願いしたわけでありますけれども、それで国鉄の料金の値上げをカバーしていきたいということで、いま政府としては各省ともに協力してやろうということでやっておるのでございます。
 でありますからして、私は、国鉄料金の値上げを認めたけれども、しかしながら、この際政府がほんとうに協力一致して物価の安定ということをやりさえすれば目的を達成するのではないかという考えをいたしておるのであります。先般も、三月二十日に物価対策の閣僚協議会を開きまして、そうして政府の物価に対する態度をはっきりいたしまして、そうして閣議の了解を得まして、こういう方針でやります、それで物価を安定させるようにしますという態度をきめたのであります。御承知のとおり、西ドイツも三月二十日に物価安定の態度をきめましたし、それからアメリカも三月二十六日にニクソンが物価安定の教書を発表しておるのでありますが、そういうことで世界各国ともにいま物価の問題でみな苦しんでおりますが、そのうち日本としては最も消費者物価の上がり方がいままできつかったためにいろいろ問題を起こしておりますから、今日の日本の国情においては、物価を安定さすことが日本の国民生活を安定せしめるゆえんであるし、ある意味においては政治不信感をなくするゆえんでもあるというようなことで、いま、政府といたしましては、物価を安定せしめることに全力を注いでおる次第でありますからして、しばらく情勢を見てもらいたいと思うのであります。それで、国鉄料金が上がったから責任をとれといっても、それは少し早過ぎやせぬか。もう少し経過を見て、そうして責任を問うてもらったらけっこうかと思います。
#138
○木村禧八郎君 〇・二%カバーというのは、何でカバーするのですか。
#139
○国務大臣(菅野和太郎君) カバーする方法としましては、たとえばいままでの物資が高くなった場合には海外から安い物資を輸入するというようなことで極力やるということ、あるいは、生産性の高い商品でそれが一つも値下げをしていないというような場合には、それは値下げしてもらって、業者だけで利益を分配せずして、消費者にもその利益を均てんさせるようにやるというような対策をとることにしたのであります。それで、私は、もう一つ心配なのは、国鉄の料金値上げをすると、私鉄が便乗値上げをする。これがいままで非常な問題であったと思いますが、これはこの便乗値上げを極力押えるという方針をきめておりますし、それから物価の上昇に一番役立つと言いますと語弊がありますが、これは米価です。米価が上がれば、必ず物価が上がっていきます。いままでの例を見てもそうです。そこで、米価は、生産者米価と消費者米価を抑制するという政府の態度ははっきりしておるわけでありますから、そういうことで物価を安定させようというととでせっかくわれわれ努力しつつあるわけでありますから、どうぞひとつ御協力のほどをお願いいたします。
#140
○木村禧八郎君 主税局長にちょっと伺っておきますが、事務当局として、総理が、配当の分離課税、配当の源泉選択の分離課税ですか、ああいう問題について発言されて、さっき大蔵大臣は、これは来年期限が来るので、ただ検討すると言っただけだと、こういうんでしょう。そうすると、非常に無責任に感じられるのですが、ほんとうに事務当局としてこれからそういう作業をやるんですか、やめるという。そうじゃなかったら、あれは非常に無責任だと思うんです。選挙向けの放言みたいなもので、実際いまの実情としてあれをもとの法律に直す。それから利子についても、二〇%の源泉で、あと総合ですからね。それを実際やる姿勢なのかどうかですね。どうも、これは、ただ検討すると言ったところで、いつでも検討している、いままでも検討しているんですから、ほんとうにその点はとうなんです。――大蔵大臣がちょうど見えましたが、ほんとうに取り組んでやるつもりなのかどうか。
#141
○委員長(丸茂重貞君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#142
○委員長(丸茂重貞君) 速記を起こして。
#143
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のように、利子所得の特例は、一つは分離課税、それから税率といたしましては法定税率の二〇%を一五%に下げている、二つ特例があるわけでございます。配当につきましては、一定の金額以下の配当については申告不要限度というものがあります。それからそれより多額で五十万円以下の配当につきましては、一万円から五十万円以下の配当については二〇%の税率で源泉選択ができる。この四つの特別措置が四十五年の三月三十一日に期限が到来をするということになっておるのであります。御承知のように、従来から税制調査会ではこの問題を検討しておりまして、長期的に見ればこれを廃止すべきであるけれども、一度に従来から定着してきた制度をドラスティックに改正するということは困難であるので、漸次その方向に向かって改正をすべきだということを申しまして、五%時代から出発をいたしまして一〇%に引き上げ、さらに期限が到来いたしました際には先般一五%に引き上げまして三年間の経過期間を置いたわけであります。そういう趣旨から申しまして、方向として税制調査会が今回の期限到来に対して相当強い態度で出てくるであろうということは私どもも想像できるところと思うのですが、その方向をとるというのを現実の経済情勢なり財政事情なりと合わせてどの程度にするかというのは、これから全く税制調査会の審議に入るところでありまして、私どもとしていま予測する段階ではないわけでございますが、御承知のとおり、一方において、税制調査会は、法人税の課税体制についてことしはかなり思い切った結論を出さざるを得ないところまで来ております。これについてほんとうに結論が出せれば、それと合わせてかなり合理的な改正がはかられると思いますが、この法人税の合理的な課税体制というものがなお検討の余地があって、ことしじゅうに実現できないといたしますと、これと切り離して問題を検討することになりますので、その場合の答えがどうなるか、この辺が一つの分かれ道であるというふうに私は思っております。
#144
○木村禧八郎君 大蔵大臣の腹づもりは。
#145
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十四年度税制はただいま御審議を願っているとおりでございますが、四十五年度以降をどうするかという、こういう問題かと思います。四十五年度の税制改正は、私は、まず、政府の公約であります課税最低限百万円、これを解決しなければならぬ、こういうふうに考え、おそらく税制調査会もそういうふうに向いてくるのじゃないかと、かように考えております。それから同時に、来年四十五年度の問題としますと、特別措置の大口のものの期限が到来する、これに対する対策を考えなければならぬという問題に当面するわけなんです。そこで、これは、税制調査会また国会の皆さんの御議論等を十分そしゃくいたしまして対処いたしていきたい、こういう基本的な考え方をいたしておるわけですが、それで、さらにもう一つの問題点は、所得税の問題があるわけです。また、その前にちょっと法人税の特別措置に関連して法人税自体の根本問題といろものがあるのですが、第三に所得税の問題、税率その他の問題ですね、そういう問題がある。これは、税制調査会から、昨年の夏、長期税制答申というのをいただいておるのです。それが四十四年度においてはまだ四分方どおりしか実行されておらない。六分方がまだそれを実行しないで残っておるわけですが、それを四十五年度の問題にできるかできないか、これは財政の状況によると思うのです。財源ができますればこの問題にも取り組んでみたい。つまり給与所得の問題、そういう問題があるわけですが、そういう三つの問題が当面の私どもの検討課題になっておる、かようにお含み願います。
#146
○木村禧八郎君 これで終わりますが、配当の分離課税については、いま主税局長言われたように、いま一挙になくすということはたいへんだと思うのです。漸進的に改める。今度期限が来るわけですから、そのときには、来年はただ検討だけではなく、どの程度にこの分離課税の問題に対処されるか、これは非常に重要だと思うんですよ。それから利子も、現在の分離課税が特別措置を廃止すれば総合課税になる、そこは非常に重要だと思うので、ちょっと……。
#147
○国務大臣(福田赳夫君) それこそがこれからの問題なんでありまして、いま私どもが御審議願っている問題は四十四年度税税の問題で、四十五年度どうするかということは、国会が済みましてから特に精力的に取り組んでみたい、かように考えておりますが、その取り組み方は、国会における御論議、また税制調査会の意向、さようなものを十分そしゃくした上で臨んでいきたい、かように考えております。
#148
○鈴木一弘君 最初に、課税水準のことで伺っておきたいのですが、国民所得に対する租税収入の割合ということですが、それについて現在二〇%前後ということで続いておるわけです。ところが、戦前のは、一二・九とかなんとかいう、つまり一三%程度。これが昭和二十六年に新しい推計方法というものがとられたわけですが、古い旧の推計方法でやれば事実問題としてこれより二%以上は高くなる。したがって今回のを見ても、一九・七というのも二一ないし二二になるというふうにその。パーセンテージが上がってくるわけだと思うのです。こういうような措置をとられてきた。これで私ども一つ心配するのは、これは戦前の推計と合わなくなってくるわけですし、今後もまたいろいろ所得の水準あるいは国民所得の水準が上がってくると、再び新しい推計方法を使って、現在は二〇でございますと、それが実際に二二、三になるということになると、新しい推計方法をとって再び二〇に押える、こういうことが考えられるわけです。そういうようなことをしますと、どこまでいってもごまかしであると言わざるを得なくなります。そのことの懸念がないかどうか、また、そういうような推計方法については、今後このままずっと確定をしていく、そういう点についてはどうなのか、伺っておきたい。
#149
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま鈴木さんの御指摘のように、いま、わが国の国民の租税負担というのが、GNP比較では二〇と、こういうことになるわけです。これが西欧先進諸国に比べてどういう位置づけになるか、こういうこと。先進諸国では、大体三〇%をこえるというような状況です。ですから、大きく見ますと、わが国の二〇%という現在の負担、これはそう重い状況ではないのじゃあるまいかというふうに考えておるのですが、先ほどからもいろいろ御議論がありますが、日本の国が当面している最大の問題は、社会資本の立ちおくれ、こういう問題がある。つまり、政府のする仕事の量が多くなる、こういう傾向を持つわけです。ですから、傾向といたしますと、この二〇%という水準を維持できるかできないか。なるべく国民負担は軽いほうがいいとは思うのですが、その辺に非常に私どもは不安を持っておるわけです。あるいはこれが多少なりとも上がる傾向を持つ、そういうことじゃあるまいか、そんなふうに考えるわけです。しかし、それがかりに上がりましても、多少の上がりがありましても、所得の増加、これは一生懸命やるつもりです。切れ目のない息長い成長政策、これを続けまして、割合において多少の負担率の向上がありましても、国民生活はびくともしないのだというふうにしなければならぬかなと思っておる次第でございます。
#150
○鈴木一弘君 いまの大蔵大臣の答弁から伺うと、政府の財貨サービスあるいは補助金、社会資本等もありますが、そういう増加が今後ますます見込まれるというお話のようです。この前も予算委員会で私は申し上げたのですが、財貨サービスの引き上げと、いま一つは、補助金の中からも非常にそれが投資的なものに使われるものが出るわけですから、これが一つの大きな物価を押し上げていく形にならないか、あまりにも政府介入が過ぎるのじゃないかということをぼくは心配しているわけです。だから、そういう点では、むしろ税制体制全体から見て税の負担というものは国民所得の二〇%以下に押える考え方をしたほうがいいのじゃないか。そうしないと、ありとあらゆることに政府の役割りが多くなってくる。そうでなくても、政府介入が多過ぎるということから、物価を押し上げたりいろいろなことがあり過ぎる。もう一つには、公務員の数の膨大な膨張ということも出てくる。当然増経費がどうにもまかないきれないことになる。こういうことが起きてくるわけですから、この点から見ると、いまの大臣の御答弁だと私はちょっとうなずけない感じがするのですが、その点はどうですか。
#151
○国務大臣(福田赳夫君) どうも、近代国家というか、そういうたてまえから言いますと、政府の介入というか、政府財政の占める割合というものが広まってきておる、こういうふうに思うわけです。ことにわが国は社会資本の立ちおくれというようなことで、他の先進諸国に比べてなおそういう傾向が強く要請されるのじゃないか、そういうふうに思うわけであります。戦前の予算を見ますと、戦前の標準値というのは、九年、十年、十一年ですね。まだ支那事変も始まらぬというころです。そのときの予算が、平均して二十二億五千万円ぐらい。これを五百八十倍という物価換算をすると、一兆三千億に相なります。しかも、一兆三千億、当時のあれで言うと二十二億五千万円という中では、四五%が軍事費ですわね。ですから、一般の経費というと七千億ぐらいのものです。それが今日六兆七千億というふうになっておる。軍事費はその中でわずかに五千億というのですから、一般経費は七千億から六兆二千億にふくれ上がっておる。こういう膨張をしておるのですが、その中身を分析すると、公共事業と、社会保障と、それから文教費、そういう経費をとる。わが国とすると、社会資本費はどうしても充実しなければならぬ。これは社会保障体系も整えなければならぬ。こういうので、国家の介入というか、担任すべき分野というのがだんだん広がる。それにもかかわらず、税負担二〇%という水準はできるだけ維持したいと、こういうことでもあって、一つは公債政策というようなものもとっておるわけでございますが、その二〇%を大きくこえるというようなことは万あるまいと思いますけれども、これをだんだん下げていくという方向にはなかなかなっていかないのじゃないかと思うし、また、国づくりということから見まして、どうも多少のパーセンテージの向上、租税負担率の向上というのはまあやむを得ないところではあるまいか、そんなふうにいま考えておるのですが、御了承願いたいと思います。
#152
○鈴木一弘君 この論議はどうもすれ違いになると思いますが、一点だけこの問題でお聞きしておきたいのですが、大蔵大臣は、これから社会資本がおくれているからその充実をしなければならぬと。そういうことはわかるんです。それはよくわかるんですが、政府のいわゆるストックに比べると民間のストックのほうの伸びが悪いとか、そういうことが考えられている。きょう具体的な数字を持って来ないのであれですけれども、そうなると、私の心配しているのは、大臣の言うように、課税水準が二〇%をこえるということも御覚悟願いたいというふうに私には聞こえた。しかも、財貨サービスというものがだんだんふえてくるということになれば、政府のストックはますます増大するけれども、民間のストックというものはそう大きな増大というものは望めなくなるのじゃないか。そうすると国は栄えるけれども、国民は豊かでないということになりかねない。そういう方向ではいけないのじゃないかという感じがするんですよ。その点の御懸念はどうですか。
#153
○国務大臣(福田赳夫君) 国民総生産をなるべく継続的にふやしていくという政策をとりますから、したがって、国民の所得は向上するわけなんです。でありますから、たとえ非常に軽微な租税負担率の向上がありましても、国民に残るものは大きなものがあるであろう。また、そうさせなければいかぬというふうに考えておるのですが、どうも、国民の家計の費用を、つまり生活費用を充実させるということ、これも大事な問題でございまするけれども、同時に大事なことは、われわれの共同の家計、つまりわれわれの生活環境をよくするための国づくり、これのほうのことも考えなければならぬ。私は、一人一人の家計の充実はかり頭に置くという考え方は、経済面から見た国づくりからいうと、どうも消極的な考え方じゃないかと思う。もっと広くわれわれ共同の財産をつくるんだと、こういう構え、そういう側面もだんだんと考え方、思想として出していっていい問題じゃあるまいか、そういうふうに考えるのです。たとえば、それが同時にわれわれの家計につながるという端的な例を示せば、住宅です。住宅は、公営住宅が中心になって住宅政策が進められておりますが、これは国が関与する。しかし、これははねかえってわれわれの生活にすぐ影響する問題である。公害だと言う。まあずいぶんほこりっぽい東京でありますが、これなんかきれいに先進国並みにしなければならぬ。これもわれわれの生活自体の問題である。そういう考え方も、私は、近代国家というものは思想として、考え方として取り入れていかなければならぬ問題じゃないか、そういうふうに考えるのです。
#154
○鈴木一弘君 まあこれはすれ違いになりますので、ここでやめておきます。
 次は、現在の租税構造全体から見ると、わが国の場合は所得課税が一番大きいわけです。それに次いで財産課税であるとか消費課税というものがくっついているという感じがするわけですけれども、これは戦前の場合とはだいぶ違ってきているわけですけれども、ヨーロッパのタイプ等を見ると、消費課税が一番多い。そこで、いま、サラリーマンの課税が高いというような声がいっぱい出てきている。これはわが国の所得課税に重点を置いていることが間違いではないかという一つの大きな声だろうと私は思うのですけれども、そういう点で方向転換をぼつぼつおやりになる必要があるのではないか、こういうふうに考えるのですけれども、その点については構想はないのですか。
#155
○国務大臣(福田赳夫君) 税制の体系として、戦前に比べますと、非常に大きな変化をしてきているそれは、直接税と間接税との比率だろうと思うのです。戦前は直接税が四で間接税が六というような比率であった。いま、それがひっくり返って、逆になっている。租税というものは、三つのことに重点を置かなければならぬ。第一は公平ということ、第二は応能ということ、能力に応ずる国への奉仕、それから第三は税の徴収のしかたが円滑に行なわれるということ、こういう三点に特に注意しなければいけないというふうに考えておるわけでございますが、応能という面からいいますと、所得税、ことに累進型の今日の所得税というようなものは、そういう性格が非常に強い。ところが、一度ふところに入って国民のものとなった、あるいは、源泉の場合にはそこまで行きませんけれども、なるべきものが税として徴収される、こういうことになるので、直接税方式というのは国民の負担感というものに大きく響いてくるように思うのです。第三に私が申し上げました円滑なる税制の執行という面から見ますと、これは相反する性格を持っていると、こういうふうに思うのです。それをあれやこれやを考えまして、いま、所得税それから法人税という企業、個人の所得が中心になる税制になっておりますけれども、順便に円滑に税制が執行される、国民の負担感というものをあまり強くしないで、それをやわらげながら税というものが執行されるという面から見ると、もう少し間接税的な考え方を導入したらどうだろう、こういう基本的な考え方を持っているわけです。ただ、いま、当面の問題としますと、間接税の導入ということは物価問題に直結してくるわけであります。ちょっとこれはむずかしい。むずかしいが、少し長い目の問題といたしますと、どうもそういう問題も深く考えておかなければならぬのじゃないか、そういう感じを持っているわけであります。
#156
○鈴木一弘君 まあ国民の声のほうから言えば、消費課税では、生活必需品等においては軽くしてもらいたい、奢侈品については重課をしたらいいじゃないか、あるいは、大所得には重課をかけて、小所得には軽くするとか免税にするべきだと、こういう声があるわけです。いま一つは、財産所得や不労所得には多くかけなさいと、そのかわり労働所得については軽くすべきである、こういうことが国民の声としては一番大きいわけです。いまの大臣の答弁から、直接税の関係については、いわゆる個人所得についての課税、こういうものについてはそういう方向へ持っていきたいということですけれども、こういう声をすなおに反映するということが私は一番大事だろうと思うんですね。その点、まだまだという感じを受けるわけですよ。そうでなければ、政府が今回九十何万という所得税の課税最低限を出すと、もう税についての不満とかそういう声がぽっと消えていいわけですけれども、かえって何となく強くなってくるような感じを受けるわけです。その点では、まだまだ所得税についてはすごく重課であるというふうなお考えは持たないですか。
#157
○国務大臣(福田赳夫君) 税の負担は国際的に見るとそう高いほうじゃないということは、先ほど申し上げたとおりなんですが、これを戦前に比べますと、たいへんな重課になっておるわけです。ですから、私どもとすると、これはまあ前はこうだったというようなことで税負担というものを非常にきびしく感じるという傾向はあると思います。しかし、先ほど申し上げましたように、国の担任する仕事というものがずいぶんこれからふえていくものですから、税を全体として軽くしていくんだという、そういう考え方はなかなか言うはやすいが実際はむずかしいんじゃないかと思うんです。ですから、私は三つの点を重要視しておると申し上げましたが、同じ税は税だがその負担感というものがなるべくわれわれのはだに強く響かないような方式ですね、そういうものを考えていく必要はある、そういうふうに感ずるわけです。それはいろんな問題があるわけです。たとえば所得税について言えば、所得自体の税率の刻みの問題だとか、そういうものがあるわけです。それから所得税ばかりじゃございません、直接税と間接税とのつり合いの問題、あるいは資産税なんかに対する配慮、いろいろあると思いますが、とにかく考え方の方向としては私はあなたのお考えはよく理解できます。なるべく負担感がそう重くのしかからないように、しかし社会の需要、国の需要というもの、これの動向というものを充足しなきゃならぬ、この二つの要請をどういうふうに解決していくか、これがうまく解決された場合にまあ税制というものがあるのではあるまいかと思います。
#158
○鈴木一弘君 法案に入っていきたいと思います。
 最初に、配偶者控除について伺いたいんですが、現行十六万から一万上げて十七万にした。しかし、私どもは二十四万ぐらいに引き上げるべきだと訴えているわけですけれども、いろいろ声が出ているのは、配偶者の場合には、いわゆる所得を得るためになくてはならないものである。その配偶者の活躍、活動というものを考えれば、これは二分二乗という方式をとるべきじゃないか。つまりアメリカ式のですね。そうするのがほんとうではないかという声が非常に多いわけです。今回の場合は、いままでに比べて、基礎控除並みにだんだんなって、しかも今回また一万円上がったわけですから、一つには二分二乗方式に近づけていくという努力のように受け取りたい。しかし、現実としては一ぺんにはいかないかもわからないけれども、みんなの声としてはすみやかに二分二乗にしてもらいたいと、こういった声が非常に多いと思う。特に個人事業をやっているような人は、奥さんが専従者控除だけだなんということじゃしょうがないので、はっきりとやるべきだ。サラリーマンの場合だって同じように思う。そういう点で、ひとつこの二分二乗方式に移行していこう、こういうような考え方がないかどうか、この点からまず伺っておきたいと思います。
#159
○国務大臣(福田赳夫君) それは、思想としてはよく理解できる問題でありますね。ことに、最近、妻の座というようなことが激しく論議されるような時期でございますから、一つの構想だというふうに思います。思いますが、いまの所得税制、ことに税率の刻みのもとにおいて直ちにやるということになると、税収に非常に大きな変化が来るわけです。この問題は、そういう思想としては私は理解し、また、そういう方向の考え方というもの、つまり妻の地位というものを尊重するという考え方、これについては今後の税制上考えなければならぬというふうには考えますが、その時期は、所得税制というものを根本的に変えるという際でないと、にわかに二分二乗というものには移れない。これは非常に貴重な御提案ということで、今後じっくりと熟考さしていただくということでお答えにかえさしていただきたいのであります。
#160
○鈴木一弘君 貴重な御提案なんということを言わなくても、アメリカにすでにありますのであれですが、確かに基礎控除と配偶者控除が同額になったというのが男女平等という民主主義の一つのあらわれだと思いますが、それをさらに民主主義のことから考えると、所得を二分して二乗するというのがほんとうだろうと思う。そこまで行かなければならないと思うのです。いまの大蔵大臣の言うような、たとえば著しく税収が減るという御心配があるならば、所得制限を設けたらよろしい。たとえば、七百万円以上の収入の場合認めないとか、五百万円以上の所得には認めないとか、そういう方法をとることもできるだろうと思うのです。その点はどうお考えですか。特に今度の、あとで申し上げますけれども、給与所得控除を見ても定額が一向変更にならないということは、これは低い所得の者については非常な打撃なわけですから、本来はここら辺が引き上がってくれればどんなにありがたいかわからないのです。いずれ所得税そのものを根本的に変えるときが来ればというお話ですが、もはやあれだけ大きな声が起きておるということは、根本的に考え直せという一つの声だと思うのですが、そういう点はいかがですか。
#161
○国務大臣(福田赳夫君) 私は考え方としてはこれを否定しておるわけではない。むしろ考え方としてはそういう方向のことを考えなきゃならぬ、こういうふうに思いますが、なにせやり方によりましては税収にたいへんな影響のある問題であります。頭打ちというか、所得制限をしたらどうだということでありますが、これも所得制限を受けた人と受けない人、これの間で断層ができる問題でありますから、そう簡単にはできません。そういうふうなことを考えますと、これは今後の検討問題であると、そういうふうにお答えするほかないのですが、じっくり勉強さしていただきます。
#162
○鈴木一弘君 今後の検討問題だということで逃げられてしまったんですけれども、ほんとうを言えば、ただ、妻の座を守ってとか、男女平等である、民主主義であるからということで口だけでは片づかないことですから、実際の実行問題としていつごろということをお答えいただきたいのでありますけれども、早々考えてもらいたいと思います。
 次に移りたいのは、いわゆる扶養控除の問題でありますけれども、一律今回の改正で二万円ずつ上がっていく十万円ということになったわけです。一人当たり十万円ということでありますけれども、人口の問題、そういうものから見ると、私はこういう行き方というのはいけないんじゃないかという感じがするんです。厚生省の人口問題研究所で出したこれを読んでみましても、出生率等が非常に低下をしてきている、そういうことが一つはっきりと言われております。出生率が低下してきているのもいろいろある。一つには核家族化したとか、あるいは、現在の生活様式が電気洗濯機、カラーテレビ、電気冷蔵庫というような耐久消費財に非常に支出が出るから、そういうためにどうしても子供をもうけないとか、あるいは、一番大きな問題は、何といっても子供の数を制限して、よい教育をしたいと、こういうことが出ているわけです。これが出生率の大きな減退の大きな理由になっているわけです。ところが、これから先の人口というものをよく見ていくと、労働力人口を見ていっても、一九五五年から六〇年には年平均の増加数が約八十万。六〇年から六五年が八十六万人。一番ピークが六五年から七〇年までの間が九十七万ですね。ところが、それを最後として、七〇年から七五年には三十七万に減るというわけです。つまり、現在の三分の一になっている。七五年から八〇年代になれば二十二万人になるし、八〇年から八五年になれば十九万人というふうにものすごい減少を示しておるわけです。こうなると、ただ優生保護法がいけないとかなんとかということだけじゃ相済まないことだろう。生活様式が変わってくる、しかも、子供の教育もしたいし、文化的な生活もしたいということから、子供を生む制限ですか、そういうことにまでなってきている。こういうようになりますと、人口構成比率がこれから先のことを見ると日本の将来を危うくするほどにまで考えられるわけです。そこで、税のあり方としても、そういうところまで本来は考えておくべきじゃないか。ただ税のあり方だけでもってそういう問題を解決しようということではありませんけれども、一環として考えなければならない。
 だから、私は、ここで、十万円の基礎が一体どうして出たのかということを聞きたいことが一つと、いま一つは、三子、四子ということになれば、特別にそのほかに児童控除というものを設けてよろしいんじゃないか。三子の場合よりも四子の場合はさらにふやすとか、そういうような控除というものを考えないと、将来一生懸命労働人口をふやそうというわけじゃないでしょうけれども、子供が三人も四人もいる家庭とたった一人しか生まない家庭と同じ控除というのでは、これはおかしいんじゃないか。国家に奉仕する、尽くすという、そういうことが将来において大きく変化をしてくるわけですから、そういう貢献の度合いから考えたら、三子、四子以下については優遇をする、こういうことで、扶養控除のほかに児童控除というものを設けるような時がいま来ているんじゃないか。いまやらなければ、あと二十年でもって最低のところに来るわけですから、これは本気になって考えなければならないときだと思いますが、いかがお考えですか。
#163
○国務大臣(福田赳夫君) 確かに、人口問題は、わが国が当面しておる大きな問題だと思うのです。そういうようなことをどういうふうに打開していくか。これは税だけでとても解決できる問題じゃないので、税はどこまでも誘導的、補完的な役割りだと思います。しかし、それにしてもいろいろ考えなければならぬですが、いまそういう面で大きな問題になっておりますのは、児童手当ということが問題になっております。これはいま政府のほうではいよいよ成案を得る最終の段階というところへ来ておりますが、そういうものとの均衡をどういうふうに税の面ではとっておるかというような問題もあるわけでございます。いまとにかく扶養控除という制度がありますが、これを今度の四十四年度税制でも伸ばしていく、また四十五年度以降においても税制調査会ではこの考え方を伸ばせということを答申をいたしておるわけで、税の面でもやっていきますが、本体は、税ではなくて、もう少し直接的に人口問題にどう対処するかという問題にあるのではあるまいか、そういうふうに考えます。税の問題でも、しかし、そういう重大な問題がただいま今日ありまする限り、前向きで対処していきたいと思います。
#164
○鈴木一弘君 大臣、確かに補完的な役割りあるいは誘導的な役割りというものも、税のほうで救うのはこれは当然のことであります。私も税だけではこれはいかないでしょうと申し上げたんですけれども、いままで言われておる政府のいわゆる児童手当にしたって、年間三万六千円ぐらいしかない、三千円として。二千円としても二万四千円。これは、実際問題としては、三子、四子に特に多くするとか、五子にはもっと多くするとかいう児童手当を出すというわけにはいかないでしょう。手当としては一律だろうと思う。そういう点から考えると、どうしても税以外のものでというウエートはもっと減ってくるのじゃないか。一方の児童手当が、月に直しても五千円とか、あるいは年間で五万円、六万円とかまでの問は、むしろ税のほうで、ある程度の補完というよりも誘導していくという主体性まで持てるんじゃないかという感じがするんです。そういう点で、児童手当ができたら扶養控除を減らすという考え方はやめてもらいたいと思います。その点はどうお考えになっているか一つと、いま一つは児童手当以上にこちらのほうが積極的に考えないとまずいのではないか、こういう点はどうお考えですか。
#165
○国務大臣(福田赳夫君) 児童手当ができましたら扶養控除のほうは減らすんだという考えは、いま持っておりません。
 それからこの問題は、日本の人口問題をどういうふうにするかという大きな問題の一環なんですから、その中の一こまですから、いま浮かび上がっているのが児童手当というような問題ですが、そういうものばかりじゃない、おそらくいろんな考え方が出てくると思いますが、その中の一つの問題点であるというふうに理解をいたしまして多くの問題をながめていくということにいたしたいと思います。
#166
○鈴木一弘君 これは十万円にした根拠はいかがなんですか、扶養控除を。
#167
○政府委員(吉國二郎君) 扶養控除の金額を幾らにするかという点は、基礎控除、配偶者控除等と合わせまして、世帯人員がふえることによる負担力の減殺というものを測定する意味で、相互に均衡をとってきめられていたわけでございますが、今回は、御承知の基礎控除、配偶者控除が一万円であるのに扶養控除を二万円引き上げた。これは、税制調査会の長期税制答申におきまして提案されましたのが、基礎控除、配偶者控除を十八万円、つまり現行法より二万円多くするということに対しまして、扶養控除を十二万円、四万円多くするということにいたしておりますことから、その半分ぐらいを実現したわけでございますが、特に扶養控除を高くいたしましたのは、過去の課税最低限の引き上げの結果を累計して考えてみますと、夫婦子三人の世帯が課税最低限の引き上げ率が一番不利になっている。そういう意味では扶養控除の引き上げが不十分であるという点が認められたために、扶養控除の引き上げをより大幅にする必要があるということと、御承知のように各種の教育費控除等の要求が出ております。しかし、税制といたしましては、こういうわずかな経費を別に個々にしんしゃくしていくということは、税の体系としても、また税の姿としても、複雑になり過ぎるという点がございますので、それらの要求を含みながら扶養親族の控除を解決していくのが適当ではなかろうかということから、今回、基礎控除、配偶者控除等のバランスをややくずしまして、扶養控除の額を大幅に引き上げることにしたわけでございます。
#168
○鈴木一弘君 基礎控除にちょっと戻るのですけれども、今回の基礎控除、配偶者控除、扶養控除、これを見ても、結局、平年度九十三万円というものを実現するためにということではじき出したにすぎないのじゃないか。いま私が心配しているのは、十七万円で一人で生活ができていくかということなんです。月に一万四千円ちょっとということですね。それで生活が十分であるということから、そのくらいの生計費がかかるものとしての十七万円という計算なのか。私は、はっきり申しますが、そういう生計費のほうから見れば、どうしても一カ月二万円は見てやらなければいけない。これはぎりぎりいっぱい。そういう点から見ても、基礎控除は二十四、五万に上げなければならないのがほんとうだろうと思う。十七万円の基礎控除でやっていけるというお考えがあるのかなあという非常に大きな疑問を持つのです。
#169
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のように、所得税は各種の所得というものを課税対象にするわけでございますけれども、所得があるというだけで担税力があるというわけではございませんので、その担税力を配慮して、基礎的な控除として基礎控除、さらに担税力の減殺要素としての扶養控除というものを組み合わせて課税最低限というものをつくっているわけでございます。そういう意味では、いま御指摘のように、百万円なら百万円という課税最低限というものを考える場合には、これを夫婦子三人の世帯として考え、それから演繹して各控除のあり方をきめていくということもあり得るわけでございますから、九十三万円に対応するものが十七万円ではないかという御指摘は一部当たっているかと思います。ただ、この基礎控除というものが、それすなわち最低生計費かどうかという点については、はっきりした計算というものがここでお示しできる性質のものではないと思いますけれども、多人数世帯それから単独世帯を通じた生計費等を基礎として、バランスをとった控除の組み合わせによる課税最低限というものをそれぞれ世帯別に設定をして割り振った結果として、基礎控除が十七万円という数字が出たわけでございまして、基礎控除を単独に計算をしてきめたという性質のものではないわけであります。
#170
○鈴木一弘君 基礎控除、配偶者控除、扶養控除、それから給与所得控除というものを見ていくと、給与所得控除は、御承知のように、それだけの所得を得るための費用というふうに一応は考えられるわけです。そうすると、これは生計費じゃないわけです。生計費等に目されるのはどこに入るのかといえば、これは基礎控除のほうに入らざるを得ないというふうにぼくは思うのですけれども、それの考え方を全然固めないで、とにかくいままではこうだったから今後はこうしようという考え方だけでいくのですか。そうすると、計算の基礎が全然なしでやっているという感じになるのですがね。
#171
○政府委員(吉國二郎君) 御指摘のとおり、給与所得控除は生活費は入っていないことは当然でございます。そういう意味では、必要経費の概算的な意味が強いと思います。基礎控除その他をきめる場合にどういうふうに考えていくかという問題は、先般も御説明申し上げましたが、一定の時期に担税力の基礎になるような程度の生計費というものを推計いたしまして、それが各世帯ごとに異なる度合い等から推計をして、単独の世帯、多人数世帯というものに応じた基礎控除、配偶者控除、扶養控除の割り振りというものが一応きめられまして、その後もちろん毎年それを検討する必要もございましょうが、その後の動き方というものは、所得水準の上昇とか、あるいは主として物価水準の上昇というものを対象に考えていけば、大体の適正な額が得られるはずでございます。そういう意味では、現在の課税最低限というのは、こういう一定の生計費を基礎にしつつ毎年の物価動向等を勘案して適正な水準に引き上げを行なってきた結果でき上がったものでございますが、毎年毎年の生計費がどうであるかというようなことに直ちには結びついてはおりませんけれども、基礎的にはやはり標準的な生計費というものを基礎に置いた控除であるとお考えいただいてよいのではないかと思います。
#172
○鈴木一弘君 そうすると、非科学的と言うとことばが過ぎるかもしれませんが、科学的な根拠に基づいた基礎控除の出し方ではないということになるわけですね。もとは一番最初は生計費というものが一つの基礎になっているのだということから、それから毎年毎年家族数やそのほかを考えて、大体この辺がいいだろうということになってくると、これは標準五人世帯の家族ということだけで計算されると、本来なら基礎控除もバリアブルなものでいいのじゃないか。単身世帯の場合にはどのくらいか、そういうことになっていくのがほんとうじゃないかという感じがするのですが。
#173
○政府委員(吉國二郎君) もちろん、世帯控除という考え方で、世帯人数、世帯ごとに控除をきめていくという考え方も税制調査会で検討したところでございます。ただ、基礎控除というものを基礎にいたしまして、扶養人員のふえるに応じた加算をするという形をとっていけば結果においては同じではないかというところから、現在は基礎控除と扶養控除を区分し、そのうち配偶者に関する部分を配偶者控除に独立さしたというのが現状でございますが、もちろん先ほど御指摘のように子供の人数によって扶養控除の額を変えるというようなことも立法例はございますけれども、わが国におきましては、かつては長子――一番上の子供から順々にむしろ逓減をしておりまして、その傾向が実際にふさわしくないというので現在一本にしたのでございます。将来、先ほどのようなお話が非常に深刻になってくれば、扶養控除についてもバリエーションをつくるという必要が出てくるかもしれませんが、現在のところは、基礎控除と扶養控除を組み合わせれば寡人数世帯と多人数世帯とのバランスはとれるという前提で考えておるわけでございます。
#174
○鈴木一弘君 次に、いわゆる給与所得控除の中の定額控除の部分について聞きたいのですが、これは今回の改正でも十万円のままということです。なぜそれを据え置いたのかということですね。私が聞きたいのは、まず、定額部分、定額控除のほうを十万円を引き上げることが必要じゃないか。労働者のあるいは勤労者のあれを見ても、中卒、高卒、大学卒、そういうことで大きく違ってくるわけです、収入が。そうすると、この定額控除の据え置きということは、言いかえれば、学歴のあるほう、高所得者、こういうところをのみ――それから以後の給与所得控除額はパーセンテージで上がっていきますから、そちらのほうをだけ優遇をされて、いわゆる中卒、高卒というような方々の優遇というものはなされなかった、こういう考え方が出るわけなんです。だから、本来ならば、定額控除を思い切って引き上げるということが必要じゃないか。その上に給与所得控除のパーセンテージとしての金額を入れると、これが普通じゃないか。二〇%適用あるいは一五%適用を置くべきじゃないか、こう思うのですけれども、その点はどうでしょう。
#175
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のように、この定額控除と申しますのは、給与所得に対してある程度最低限絶対に必要な費用というものがかかるであろうという前提で、昭和三十六年に一万円として設けたものでございます。当時としては、この一万円の基礎というのはなかなか十分説明ができない点もございましたが、最低一万円はかかるだろうという前提であったわけでございますが、その後、いま御指摘のような低額所得者をできるだけ免税したいという趣旨から、昭和四十年、四十二年、四十三年と続けて定額控除を引き上げました。非常に大幅に引き上げてまいったわけでございまして、三十六年に一万円であったのが、四三年の改正で十万円まで引き上げたわけでございます。それで、定額の控除としてはこれがある意味では限界ではないか。たとえば五十万円の収入の金額の所得者は、この定額控除がございますために、給与所得に対する控除率は三六%という非常に高い率になります。また、八十万円のところでも二八%程度の控除になるわけでございますから、むしろいま問題になっている給与所得控除の不足分というのは、百十万円で現在頭打ちになっておってその後幾らふえても全部収入が所得になってしまうという階層に問題があったのじゃないか。すでに下のほうは上げ切れるだけ上げてしまったという感じでございますので、今回は百万円から三百万円までの間に、やや低目ではございますが、追加の控除を認めて、大体納税者の九八%くらいまではカバーできると思いますが、その部分までは、給料がふえればその中に幾らか経費部分があるという形にすることが適正ではないかということでやったために、今回の改正では下のほうはあまり有利になりませんけれども、いままでの改正を累積してごらんいただきますと、現在少額の所得者は非常に大きな控除率を得ておるということが言えるのではないかと思います。
#176
○鈴木一弘君 私が言っているのは、それは確かに定額控除後の二〇%、あるいは五%、二・五%適用というのは出てきた、これはわかるんです。これは当然しなければいけないわけです。そうして、九八%まで適用さしたことはわかるのだけれども、それだけじゃなくて、定額のほうも思い切って引き上げる必要があったのではないか。いま、八十万円の人はこういうふうになるというパーセンテージを示されたけれども、それは当然のことだろうと私は思うんです。もう少しやってほしいのではないか、こういう考えなんです。どうですか。
#177
○政府委員(吉國二郎君) この給与所得控除の性質が、何と申しましても、先ほど来申し上げておりますように、三つのポイントでできているだけに、定額控除を無限に引き上げていくということは困難でございまして、むしろそれは給与所得控除をやったあとの基礎控除その他の諸控除で配慮していく面が強いのではないか。そういう意味で今回は――もちろん、先ほどの五十万円の所得者は三六%の控除率と申しましたが、その控除した後にさらに基礎控除があるわけでございますから、そういう意味で収入金額から直接控除する給与所得控除としては、定額控除はやはり十万円程度が限度ではなかろうかというのが率直な気持ちでございます。
#178
○鈴木一弘君 いわゆる再び所得を得るための費用としての定額控除としては、私は十万円じゃ非常に納得できないんですけれども、話が同じところをぐるぐるしちゃいますので、必要経費そのものについての考え方、これを聞いてみたいと思います。むしろ給与所得控除の場合も、人によっては必要経費というもののほうで申告をする、それから一方はこの給与所得控除を適用する、こういう選択制というものを考えてもぼつぼついいのではないか。といいますのは、ただぽこっとこういうふうに給与所得控除ということで必要経費はこうじゃないかということでやるんですけれども、たとえば単純労働なんかの場合には、戦後の傾斜生産のときにも、酒であるとかお米の特配があった。これなんかも、一つの必要経費とみなされるわけですね、当時とすれば。そういう単純労働の人にはお酒の特配をしたりお米の増配をしてやらなければ次の生産ができないという考え方がある。ところが、必要経費の計算ということになれば、いまのところはそういうものは入っていないだろうと思う。実際問題としてそれが次の再生産に使われるということから考えますと、私は必要経費そのものの内容を少し検討して拡大することと、給与所得控除のほうでやれるものはやる、こういう考え方は持たれないのかどうか。
#179
○政府委員(吉國二郎君) 給与所得者の必要経費というものを考えるということは前からもいろいろ問題になっておりましたし、少なくとも選択制をとったらどうかという御意見も前からございました。ただ、給与所得者の場合の必要経費と一般の事業所得者の必要経費とが非常に違うということを御認識いただきたいと思うのであります。たとえば同じ三百万の収入があるという場合でございましても、たとえば物品販売を業とする者の場合には、三百万の収入金額に対しまして、たとえば、かりに計算をすると、二百万の仕入れ金額というものが要るわけでございます。販売のための手段として店舗の設備等の償却その他を考えますと、かりにそれらが経費として三十万とすれば、所得は七十万になるわけでございますが、給与所得者の場合にはそのような種類の経費というものはまずないわけでございます。そういう意味では、よく言われるように、同じ三百万で給与所得者は何十万の税金を払っておるのに、一般の商業者あるいはお医者さんは三百万でもわずかしか払っていないという誤解があるやに受け取れますが、給与所得者の必要経費というものは、事業所得者がいま申しました七十万円になったところから引かれるべき経費に相当する部分でしかないということになるわけでございます。その点から申しますと、給与所得者の必要経費というものは、一般的に定義しにくい。非常にいろいろあると思いますけれども、画一的には定義しにくい面が多いと思います。そういう面から申しますと、私どもは、必要経費を控除させるという場合にも、その必要経費は一体どこまでが必要経費であるかということを明確にしかも公正にきめるということはなかなかむずかしいと思います。それだけに、逆にまた、主張のしかたによっては、非常に大きなものが必要経費だと主張される可能性もあるわけです。現に、現在でも、裁判等におきましては、必要経費として洗たく代まで入るのだという主張もされております。それらを考えあわせますと、現在の段階では、税制調査会としても、いろいろ検討した結果、給与所得の控除というこれを改善していくという方向が現実的であるし実際的ではないだろうか、必要経費というものを認めるという考え方は、もちろん基本的には正しいと思われるけれども、それを公正な税制というものにのせていくためにはなお研究が必要であるということを言っておるわけでありまして、私どもも、ここに国税庁長官がおりますけれども、実際のトラブルということを考えますと、いまの解決方法を当分続けていくことが現実的ではないだろうかというように考えておるわけでございます。
#180
○鈴木一弘君 給与所得控除についてはそのくらいにしますが、必要経費の問題で、これは法律で一切きめられておるものである。実際は、自主申告という制度になっておる。それなのに一方で率が決定されるということは、非常に矛盾があるという感じを受けるわけです。事業所によったり、人によったり、あるいは計画によっては、右にも左にもされるということにもなるわけです。一定率をいえば、一定率を突破した必要経費を使っておるところもあるでしょうし、そういうことを考えると、これを一つの法律で決定しておるということは非常な矛盾ではないかということを感ずるのですけれども、どうお考えですか。
#181
○政府委員(吉國二郎君) 必要経費を率できめておる制度と申しますのは、現在、税制上では、特別措置法の中で社会診療報酬に関する所得についてであると思います。これは、御承知のとおり、社会診療報酬の収入に対しては、その実際の経費にかかわらず、収入金額の七二%を経費として控除することができるという制度でございます。したがいまして、御指摘のように七二%をこえておる者も七二%になるわけではなくて、七二%をこえておる者は実際の経費を控除してかまわないわけでございます。七二%に達していない者だけが七二%の控除をし得るという制度でございます。これは、昭和二十九年でございますか、医療費の一点単価の決定の際に、総合的な立場から税で一部その収入の不足分をてん補するという趣旨で、これは国会の議員提案という形でおきめになった制度でございます。これは、特に期限の定めがございません、古い特例でございますので、いままで続いているわけでございますが、問題とすれば、おそらく七二%未満の方が七二%で済んでしまうというところに問題があろうと思いますけれども、これは、ほかの所得者との間だけではなくて、お医者さんの間でも、専門によって経費の率が非常に違うという点から、一律では困るじゃないかといういろいろな議論もあるようでございます。税制調査会等も問題としてこれを検討するように言っておりますが、経費率を法定するということは、一種の便宜であって、本質的な問題ではないというふうに言わざるを得ないと思います。
#182
○鈴木一弘君 再び給与所得控除に戻るのですけれども、一つの考え方としては、今回の改正では定額から一〇%あるいは五%適用ということをやるわけですけれども、そうじゃなくて、収入や、あるいは家族構成や、あるいは勤務している職能別でございますか、そういうものによって、概算表をつくってそれを選択させるとか、あるいはその場合には自主申告をせざるを得ませんけれども、そういうようなものの考え方をなさったほうがいいんじゃないか、そのほうがよけい実態に即していくではないかということが考えられるのですけれども、そういうお考えはないですか。
#183
○政府委員(吉國二郎君) 西ドイツではややそういう形をとっておるようでございますが、西ドイツの場合では勤労所得という範疇が広くて、日本でいえば給与所得に相当する分をいわば標準率的に率をきめておるようであります。ほんとうの意味の勤労者といいますか、普通の意味のサラリーマンにはそういう職種別の率をきめていないようでありますが、一つのお考え方だとは思いますが、これがまた非常にむずかしいことになるのではないか。将来の検討問題としては考えられますけれども、直ちにはどうも私は何とも申し上げかねる次第であります。
#184
○鈴木一弘君 次は医療の問題でありますけれども、厚生省の方はお見えになっていますか。伺いたいんですけれども、病気と貧困ということはつきものであると、こう言われているわけです。いわゆる生活保護世帯であって医療扶助を受けているのはどのくらいの率になっているのか。あるいは、概算でけっこうですから、生活費の中に占めている医療費の割合、この点がわるかったら言っていただきたい。
#185
○説明員(宮嶋剛君) 現在、全国で約百四十五万人の人員について生活保護をやっておりますけれども、そのうち医療扶助を受けておられます人々は約七十万人でございます。
 なお、生活費の中で医療費がどの程度の割合を占めているかというお話でございますが、生活保護費全体に占める医療扶助費の割合は六割程度でございます。
#186
○鈴木一弘君 その六割というのは、生活保護世帯の場合ですか。
#187
○説明員(宮嶋剛君) 生活保護世帯におきまして現に医療を受けていらっしゃる世帯における費用の割合でございます。
#188
○鈴木一弘君 これは保護課長じゃちょっとあれですけれども、国民全体の一世帯当たりでもっての生計費の中からはどのくらいの。パーセンテージがあるか、厚生省ではわかりませんか。
#189
○説明員(前田正久君) 厚生省で実施をしております国民健康調査という調査がございます。これは、生活費を調査するものではございませんで、国民の疾病の質と量とを把握する調査でございます。ただ、この中で、患者負担分に属しまする直接治療費と、それから病気にかかりました場合に、移送費であるとか、あるいは特別に滋養のある食事をとらせる、あるいは患者に付き添いいたしますようなものを間接治療費といっておりますが、こういう費用の調査をしております。それと、この一カ月間に現金でどれほどの家計支出が行なわれたかということを、きわめてグローブな形で調査をしたものでございます。これの結果を申し上げますと、全国では、家計現金支出額に対しまして、直接治療費が二・五%、間接治療費が〇・三%でございます。これを若干業態別にながめまして、常用勤労者世帯で見てまいりますと、従業員規模が三十人未満でございますと、直接治療費が一・九、間接治療費が〇・二、それから三十人以上九百九十九人までの事業規模の常用勤労者世帯では、一・八と〇・二、従業員が千人以上または官公庁職員の場合では、直接治療費が二・二%、間接治療費が〇・二%でございます。ただ、この直接治療費、間接治療費ともに、十月一カ月間に病気になりました場合、それに対応すべきものとして支払うべき金額という形で調査したもので、一般の家計調査で言うその月の家計支出の中での支払った金額という意味にはなりません。治療費のほうはその病気に対応するもの、家計支出はその一カ月間の家計支出、こういうことになります。
#190
○鈴木一弘君 これは大蔵大臣に伺いたいのですけれども、病気と貧困というのはつきまとっておるというのは、生活保護をいただいておる百四十五万人の中に医療扶助が七十万人という大きな事実からよくわかると思うのです。いまの国民健康調査では、両方合わせても二・八%であるとまあ家計の現金支出額に対するパーセンテージは出ております。二・八%じゃたいしたことないじゃないかというんですけれども、実際問題としてガンなんかで入っているのを見るというと、健康保険が適用されないようなところもものすごくあり、借金もしなきゃならぬというところもあるわけですね。そういう人もあるのです。それが、現在、医療費控除である程度見てくれるわけです。ところが、医療費控除の場合は、今回は改正にならなかったんですけれども、とにかく所得金額の百分の五をこえたときに、こえた部分の金額について云々というふうに、その半分を控除するということですね。そういうことになりますので、かなりの医療費を使った場合でなければこれが適用にならない。ところが、実際考えてみると、五%もの医療費の支出というのは、いまの例からいっても少ないわけです。本来ならば、そこまでいかない、医療費控除は受ける資格はないけれども、非常に生活に響いてきている、そういうことでぎりぎりいっぱいの生活でもってあっちこっちに障害を起こしているわけです。そういう点で、医療費の控除については、たとえば収入金額が五百万以下の場合には全額認めてやるとか、それに、いま言われたような間接治療費、いわゆる雑費ですね、患者を移すときの費用であるとか、付き添いで田舎からおばさんを呼んだとき必要な費用がかかってきます、そういう雑費と医療費とは全額引いてやったらいいんじゃないか。あるいは、五百万以上ということになれば、非常に収入が多いから、この辺は全部認めないで二分の一にするとか、そういう考え方を私は持ってもらいたいと思うのですが、いかがお考えでしょうか。
#191
○国務大臣(福田赳夫君) その問題は、率直に言ってあまり考えたことがない問題ですから、よく検討してみます。
#192
○鈴木一弘君 大臣はよく検討するということですが、これは事務当局でも全然検討したことがございませんか。
#193
○政府委員(吉國二郎君) 医療費控除の問題につきましては、最低を切るという点が一つの問題であることは確かだと思います。これは新しくシャウプ改正のときに入れられた制度でございますけれども、その他にいまの間接医療費となりますと、証明が非常に困難であろうということが一つと、それから一般的に、いま御指摘がありましたように、平均的に三%程度のものをほとんどが負担をしているのじゃないか。そういう意味では、基礎控除その他の担税力の補助の問題で考えていくべきものであって、その上の特別に担税力を減殺する部分を考えたらいいだろうという理論であったようであります。これは、アメリカなどは全部引いていったわけでございますが、ケネディ改正のときに日本と同じように下を切ることを入れてしまったような経緯がございますが、上のほうは三十万でとどめている点は、これも一ついま御指摘のとおり問題であったと思いますが、上のほうを切った点は、おそらく、医療にいたしましても程度が非常に違う、例の特別室にするとかいうようなことから生ずる医療費というようなものがむやみやたらに引かれるというのはおかしいという思想であったようでございます。その当時から三十万円という限度はたしか引き上げをした結果だったと思いますけれども、その後の実際の医療費の実情等を考えて、将来この額等を再検討するということも必要であるかとは思いますけれども、一応理論的な根拠はそういうところにあったように思います。
#194
○鈴木一弘君 いまの答弁からおわかりになると思うのですけれども、やはり現行では少しきついのではないか。いまの基礎控除のほうで何とか補えるというような考え方は、基礎控除の考え方自身が生計費保護ですから、それに食い込んでいくということですから、それはちょっとひど過ぎるのじゃないかという感じがする。だから、医者にかかったりなんかすると、税について、なんだ、あれだけかかったのに医療費控除が全然ないのかという声が大きいわけです。この点、大臣はあまり御病気をなさらないからお聞きにならないかと思いますけれども、私は、そういう点で、ただ検討するだけではなくして、ほんとうにこれは考えなければならない一つの――医療行政全体から見て国民の健康を促進していくということは当然のことですし、そういう意味の費用というものは、ある程度の所得制限以下については全額認めてやったらいいのじゃないかと思いますが、こういうことはいかがでしょうか、もう一度お返事を承りたいと思います。
#195
○国務大臣(福田赳夫君) とくと検討いたしたいと思います。
#196
○鈴木一弘君 租税特別措置に移りたいのですが、交際費課税が今回強化をされて、五〇%から六〇%に損金不算入の割合が上がったわけです。これはいい傾向だと思いますけれども、その交際費そのものの範囲というのは非常にむずかしいのじゃないか。そうなると、いままで交際費と目されたものの中にも、あるいは飲食代もあるでしょうし、あるいはその他のものもある。場合によっては、交際費と思っていたのが広告宣伝費である場合もありましょうし、非常にややこしい感じがするんですね。たとえば、名前を大きく書いた時計を贈れば宣伝費である、小さく書いてわからないように贈れば交際費であるというように実際上の実務はなるわけです。そこで、交際費というものの範囲を、飲食代に使ったものあるいはそうでないものというものがいろいろある、それによってはもう少し仕訳をはっきりした分離をいろいろ考えたらよいのじゃないか、こういう感じがするのですけれども、ただ一がいに交際費ぽんということだと、定義がどうしてもあいまいにならざるを得ない。広告宣伝費なのか、あるいは交際費なのかということになりまので、見当がつかなくなってくる。そういう点についての考え方はございませんか。
#197
○政府委員(吉國二郎君) 今回の交際費の損金不算入制度の期限切れの際には、実は交際費課税全体を考え直してやっていくべきではないかという御意見もありました。いろいろ検討もいたしましたが、今回、この特別措置を勘案いたしました結果、この程度の改正にとどめたわけでありますが、確かに、御指摘のように、交際費の範囲については、現在法律で一般的な規定を置きまして、通達でこまかくきめておりますが、国税庁におきましてもこれをもう一回再検討したいという気分もございますし、また、確かに飲食代だけに限定をすればもっと否認額を高めてもいいのじゃないかという主張もあり得ると思います。この制度も二年間期限を延長いたしましたので、その間に現在の制度に今回の引き上げの結果がどう影響するか等を考えながら検討を加えて、制度全体を一括して再検討いたしたいというのが私たちの現在の気持ちでございます。
#198
○鈴木一弘君 次に、土地税制の関係ですが、いわゆる長期譲渡所得の特例がありますね。ここのところが、四十五年、四十六年は一〇%、あるいは一五%、あるいは二〇%、こう出てきます。この比例税率ですか、これは何億円でも資産の譲渡があったときはこういうふうになるということなんですか。
#199
○政府委員(吉國二郎君) これは分離課税の特例にいたしましたので、結果としてはそうなるわけでございます。
#200
○鈴木一弘君 そこで、私は、その点が、収用を適用したというような場合はよろしいのではないかという感じがいたしますけれども、そうでないと、これは、結局、大きいところだけ、大資本、大企業だけの擁護ということにならないか、その点の何か歯どめを置かないとまずいのではないかという感じが非常にする。傾向から見ると、いわゆる大どころだけを擁護したような感じを強く受けるわけです。
#201
○政府委員(吉國二郎君) との土地税制の改正につきましては、御指摘のように、土地の譲渡による所得にはむしろ重課して不労所得徴収をはかれという議論もございます。逆に、税が一つの障害になって土地供給が押えられているから、思い切って税を軽減しろという、極端な対立があったわけでございます。それを調整したのがこの結果でございます。いま御指摘の点は、確かに重大な問題でございますけれども、実績を出してみますと、従来ございました居住用財産の買い換えとか事業用財産の買い換えの制度が意外に乱用されておりまして、たとえば階級別にこの譲渡所得を調べてみますると、大きな額の譲渡所得の八〇%までは買い換えで全然課税を免れているわけです。小さな譲渡所得は、買い換え物件も適当なものがないとか、あるいは譲渡によってあと生活費を生み出そうというようなわけでございますので、代替資産を取得しないというわけで、これは逆に買い換えしたら二〇%程度つまり結果としては軽減はしてしまったけれども、それによって土地の供給が非常にふえるという結果が出れば――課税の不公平というものは現在も実は存する、むしろこの買い換え制度を廃止してしまって一律の課税にしたほうがなおより公平ではなかろうかという、結果としてはそういうととが考えられたことと、限度を切ってみましても、切り売りをされますと結局においては結果的には同じことになってしまう、それらを勘案いたしました結果といたしまして、長期保有のものだけを低い軽減税率の分離課税といたし、そのかわり短期の譲渡については、これはことしの一月一日以降取得するものを含めまして、むしろ最低四〇%以上の累進分離課税ということにして、両者の調整をはかったわけでございます。
#202
○鈴木一弘君 これは、一つには地価の騰貴を押えるということ、そのほかいわゆる地価の安定ということが大きな目的だろうと思うんですがね。そういう点で、私は、地価対策に基礎的な問題で関連してちょっと聞いておきたいのですけれども、実際問題がこれでほんとうに効果があがるというのかどうか、この点が疑問なわけです。日本不動産研究所の調査結果では、市街地の平均価格が、三十年三月を一〇〇とすると、地価対策閣僚協議会ができたちょうど一年前の三十九年三月が六七七で六・七倍、そうして四十年三月が七・六倍になっております。四十一年三月が八〇八、四十二年三月が九九四、四十三年九月が一〇七三というふうに、とにかく十一倍近く上がってきているわけです。しかも、大都市の住宅街では、これがそれ以上にとにかく十三倍、十四倍というようなふうに上がってきているわけです。いままで、地価対策閣僚協議会が四十年十一月九日に閣議了承までしているわけです、一つには。ところが、実際問題いままで手がついていなかったというようにしか私ども思えないので、こういう点では全然効果が上がっていないのじゃないかと思うのですけれども、これは大臣もいらっしゃることですし、その点についてこの協議会の一員でもいらっしゃるでしょうから伺いたいのですが。
#203
○国務大臣(福田赳夫君) 地価の問題はなかなかやっかいな問題で、いま的確にこれをどうしようというきめ手はむずかしいかと思うのです。しかし、それにいたしましても、これは物価対策であるという見地から見ましてこれを解決しなければならない。そういう努力をしなければならぬ問題です。そこで、今度の税制でも、税制だけでしょうというわけにまいりませんけれども、とにかくこの地価の問題はやはり需要供給というこの関係で動いておる。そういうところに着目しますと、どうしても土地の供給をふやさなければならぬ。使われていない土地がどんどん使われるように、こういう遊休の土地の稼働ということを始めなければならぬ。そういうような面で土地の供給に役立てばと、こういうことが税制の主眼になっておるわけであります。いまお話がありましたが、どんな高額の土地といえども一〇%課税かと、こういうことについては首をひねります。ひねりますが、そうでもしないと、刻み売りになる。土地の供給に抜本的な影響というものが出てこない。これはきわめて大胆なやり方でございますがひとつやってみよう、こういうふんぎりをいたしたわけです。まあ見通しとすると、この税制の効果というものはかなりあるのじゃないか。ずいぶん私どもにそういう接触があるんです。いつあの法律が通るのですか、その法律は確実ですかと、こういうようなことをずいぶん照会してくるわけですが、そういうところから見ましても、かなりこれは供給を刺激する、こういうふうに見るわけでございます。同時に、供給面ばかりでなくて、需要面も押える効果があればと、こういうふうに考えまして、短期取得の土地につきましての税の高額課税というようなものも考えるということにいたしたわけであります。
 私は、土地というものは、ほんとうは、これはもう限られたもので、生産できるものじゃありませんから、普通の品物と違うと思うのです。やはり、国民全体が、私有地という制度にはなっておりまするけれども、しかし、その土地を持っている一人一人が皆の信託を受けてこれを管理しているというような理解をすべき性格のものだというふうに考えておりますので、今後いろいろむずかしい問題がありまするけれども、土地はなるべく国家的にだれにも納得されるような形で私有され、管理されるという方向に土地政策全体を持っていくべきだ、こういう考え方で税制も及ばずながらそういう方向に仕向けていきたいと考えております。
#204
○鈴木一弘君 去年の十一月二十六日の閣議了承で地価対策についてあらためて出ておりますが、この中で、未建築地の利用促進ということで、あわせて土地利用促進のための空閑地税等の創設についても検討をするということがうたわれているわけです。あるいは、固定資産税の評価の適正化ということが、これは地方税になりますけれども、こういう点が出てきている。こういう点については今後いかがなさるつもりですか。
#205
○国務大臣(福田赳夫君) 私がただいま申し上げましたような考え方から言いますと、空閑地税でありますとか、未利用地税でありますとか、そういう考え方が出てきていい問題です。それからまた、固定資産税の問題の再検討というようなことも出てきていい問題だと思います。ただ、実際の問題とすると、アイディアはアイディアでいいにいたしましても、実際これを手続をするということになると、なかなかむずかしい。そこで、なかなか未利用地税、空閑地税というようなものが実行できない。これをどういうふうにすればうまくいくか。やはり、土地政策というものがちゃんとできて、何が未利用地であり、何が空閑地であるということがはっきり定義づけられるようになりませんと、これはなかなか実行がむずかしいのじゃあるまいか、そういうふうに考えておるのであります。まあいま固定資産税という考え方もできるわけですが、これは空閑地にもまた空閑地でない大いに土地の効用を発揮しているものにもひとしく適用されるわけでありまするから、空閑地税とは多少違いますが、資産税という点においては一致する面があるわけです。いろいろの問題があると思いますが、まあこれらの問題はそういう方向で何かできることが可能であればやるというのが現在の段階でございます。
#206
○鈴木一弘君 自治省でいわゆる宅地開発税ですか、あれができていると思いますが、ということになると、これは一つは増税による開発利益の吸収ということになるわけです。これは、場合によれば土地の価格を引き上げるという原因になりかねない。一方では供給を促進して安定をしたい。一方では開発利益を引き上げてということで土地の高騰を招く。となると、何となくこの二つがすっきりしない、矛盾しているような感じを受けてならないのですが、その辺の調整は一体どういうふうな話し合いでやられているのでしょうか。
#207
○国務大臣(福田赳夫君) 土地開発税のほうは、ただいまお話しになっております空閑地税とかそういう問題とは全く関係のないところから発想されております。つまり、いま、土地開発業者が土地の開発に当たる。そういう際に、その土地開発事業によって利益を受けるそういう開発業者に対しまして、地方団体が、さあこの下水道はおたくでつくってください、市やあるいは町のほうではそれはいたしませんよというような仰せつけ事業ですね。場合によると、ひとつ道も業者のほうでお願いしますというようなことなんです。そういうことがいかがであろうか、ばらばらにやるのは。そこで、これを統一的にひとつ業者に負担をしてもらおう、こういうことからああいう考え方になってきたわけなんであります。空閑地とかなんとかという問題とは全然関連なく発想されたものです。
#208
○鈴木一弘君 それは確かにわかるんです。新しい宅地が開発されて公共団体の負担がふえると、どこから持ってくるかといえば、その開発利益を吸収しろ。確かに、暴利になっている場合もあるでしょうから、その開発利益を吸収することもわかるんですけれども、逆の一面にそれが今度は地代であるとか家賃であるとかということにはね返ってくるということがある。これは、建設省でやっている建設五カ年計画にも影響が出てくるような問題になる。一方では、今回の税制においても、供給をふやせというととでめんどうをみている。非常なちぐはぐがあるわけですね。何かそこに一貫性というものが、省が違ったら勝手におやりくださいというわけにいかないだろうと思うんですがね。大蔵大臣の説明はよくわかりますよ。わかるんだけれども、今度土地価格というスポットから当てていくと、何となく矛盾があるのじゃないかということが私は腑に落ちないわけです。
#209
○国務大臣(福田赳夫君) これはよくその利害得失を相談いたしまして内閣としては提案するというふうにきめたわけです。お説のとおり、地価という問題から言えば、軽微ではあろうかと思いますけれども地価抑制とは逆作用を持つ面があると思います。あるとは思いますけれども、一面に利益する者にその負担をしてもらおうという考え方もまたうなづけられ得る立場にある、そういうふうに思います。まあいろいろのことをいろいろの角度でやりますから、多少ちぐはぐなこともありますけれども、そのちぐはぐをどっちを重しとするかという選択の問題にかかってくると思うんですが、政府のほうでは、とにかく都市開発税という方向のことを考えたほうがこの際いいんじゃないかという感じがしております。
#210
○鈴木一弘君 地価公示制度のほうでありますけれども、いままでの土地の評価額というのは、土地の形状とか、便利さとか、需給関係とか、ほかの似ている土地のそういうところの均衡ということで不動産鑑定士からはかってもらう、いわゆる鑑定の評価というのがある。それからいま一つは、税務署が行なっている相続税上の評価。いま一つは、地方公共団体の行なっている固定資産税の評価。こういうように、みんな価格というものが違っているわけです。それで、鑑定の評価額が一〇〇だと、相続税の評価額が七五、それに対して固定資産税の評価額が五〇と、こういうふうにばらばらになっておるわけです。こういうことが出てくるわけですけれども、こういうばらばらというものをどういうふうに調整していくか。私どもは、少なくとも公的機関の評価額は一緒にしたらいいんじゃないかという感じを受けるんです。公的機関の評価額というのは一定にしておいて、課税比率で変えればいいじゃないかという感じがするんです。それが三つも四つも違っているということになると、どうも納得がいかなくなってくる。
#211
○政府委員(吉國二郎君) 御指摘のとおり、公定評価が違っておるというのは非常に困った問題ではございますが、現に、固定資産税と相続税の評価を統一するということで新しい評価制度が始まったのでございますけれども、実際はその間に非常にズレができてしまったのも事実であります。今回土地公示制度ができましたのを機会に、この統一をはかれという声は当然出てまいります。特にいまの土地評価制度がかなり限られた地区で行なわれているということが一つの問題になります。固定資産税の場合は全国にわたってすべて個別に価格を付さなければなりませんから、相続税の場合もどこで相続が行なわれたといえば、その土地で必ず評価をしなければならない。その点がいまの土地公示制度の荒さで標準値をきめております。それとのつながりその他になりますと非常に結びつきがむずかしいという問題が起こります。まあ将来の問題としてこれはやはり考えなくちゃいかぬ問題だと思いますけれども、土地公示制度の運用の姿が将来どうなるのか、それらも合せながら、もちろん全体の土地の評価の統一ということを将来の目標にしながら検討していく必要があると思いますが、いますぐに公示制度にのろうとしましても、範囲から言いましてもちょっとむずかしい点があるので、今回の制度では租税関係にこれを適用するというところまで踏み切れなかったわけでございます。
#212
○田渕哲也君 それでは、最初に大蔵大臣に質問したいと思います。
 現在、景気のかげりというものについてだいぶ論争されておるようでありますが、その理由は、鉱工業の生産並びに出荷の停滞、あるいは設備稼働率の増勢、また生産在庫率の上昇等でこういうことが言われておると思います。ただ、これに対して二つの見方がございまして、一つは、これは特殊事情による一時的局部的な現象である、だからそう心配しなくてもいいんだと。それからもう一つの意見は、これは全般的な需給の不均衡のきざしである、将来供給力先行型の一つの不況というものに突入するのではないかと。この見方を、大蔵省、経済企画庁、日銀あたりでは前者の見方をしているようでございますが、通産省あたりは後者の見方が強いようですが、これについて、現在、大蔵大臣はどう考えておられますか。
#213
○国務大臣(福田赳夫君) どちらかと申しますれば、かげり現象というそういう説にまだ踏み切る段階にはなっていない、そういうふうに見ております。確かに、通産省は、いま田渕さんの御指摘のかげり諸現象、これを強調します。つまり、通産省の置かれておる立場からそうさせる。通産大臣に、どうなんだと言うと、私のほうは私のほうの役所柄そういう見方が強くなるんです、しかし、いま、私どもは、金融政策、財政政策の変更を必要とするような状態ではない、そこまでは考えておりませんと、こう言っておりますが、やはり立場立場で見方が多少ニュアンス的な違いはあろうかと思うのですが、在庫がふえてきたから卸売り物価が軟調を呈してきたとか、先行き需給が鈍化してきたとか、いろんなことがありますが、一進一退の状態でありまして、これが固まった傾向であるというふうには見ておりません。また、その中心となる在庫にいたしましても、自動車の問題、それから繊維の問題、そういう限られた面での現象でありまして、これが一般化されておるというふうには見ておりません。ただ、世界経済が、通貨の混乱なり、あるいはアメリカのニクソン政権のドル防衛の立場からの緊縮政策、そういうものから場合によると停滞、不況、そういうような方向に行くかもしらぬ。世界経済の動きがそういう方向でありますると、わが日本の景気に非常に大きな影響を及ぼすであろう。だから、一つは、資金需要が非常に旺盛だという過熱の心配、一つには、世界経済の動き、また国内一部の産業に見られる諸現象、そういうようなものでどういう傾向をとるか、ここはよほど慎重に景気の動きというものを見定めて、その誤らざる判断に立って処置をしなければならぬ大事な時期である、こういうふうに考えておるわけであります。
#214
○田渕哲也君 ただいま大蔵大臣がおっしゃいましたように、特に海外景気の見通しというものが、どちらかといえば非常に暗いのではないかという気がいたします。これは、アメリカにおきましても、また、イギリス、フランス、ドイツにおきましても、やはり事業引き締めというものを強化しつつある。これがわが国の輸出環境という面から見た場合に非常に大きな影響を持ってくるのではないかという気がいたします。特にイザナギ景気といわれる今回の景気上昇の基調となったものは、やはり何といっても需要の強力な伸びでありますけれども、この最終需要の伸びに対する寄与率というものを見てみますと、民間消費が二六%、それから民間の固定資本形成が三九%、さらに輸出というものが二〇%、大体この三つが主軸となっているように思います。言うならば設備投資並びに輸出というものがささえてきた景気ではないか。ところが、その一つの柱である輸出というものが先行き非常に暗くなってきた。供給過剰的な要素が出てくるとするならば、民間設備投資というものも当然鈍化せざるを得ないし、また、鈍化しなければよけいにたいへんなことになるわけでありまして、そういう点から見た場合に、景気、経済の情勢としては非常に困難な時点に来ておるのではないかという気がしますが、これについてどう考えておられますか。
#215
○国務大臣(福田赳夫君) お話のとおり、いま先行きをどういうふうに判断するか、これは非常にむずかしい時期だと思うんです。幸いに、わが国は、外貨保有高が三十二億ドルをこえる、こういう状態になってきておる。多少世界景気は鈍化するというようなことがありましても――まあ輸出は減りますが、しかし輸入を維持することはできる状態になっておるわけであります。したがって、国内の景気を、財政、金融の運用によって、この高い国際収支を天井に支えながら維持していくということが可能な状態にあるわけなんです。ですから、基本的には、いままで戦後こういうような強い経済体制にあった時期はないというくらい恵まれておるわけですが、世界経済の動きに応じてどういう手を打つか、その打つ手に誤りがあってはならない、そういうふうに考え、金融、財政両政策を、これを弾力的に、また機動的に、また適正に運営していきたいと、こういう考えであります。
#216
○田渕哲也君 確かに、外貨が三十二億ドルありまして、国際収支の面では非常に天井が高くなったということがいわれております。しかし、反面、景気の見通しとしましては、供給力が過剰になり、需要とのアンバランスが生ずるおそれが出てきていると思います。従来の設備投資なりあるいは輸出の伸びにかわる一つの需要をつくり出すということも必要ではないか。今後の日本経済をささえる需要というものは、民間消費それから社会資本の造成、こういうものにやはり重点が置かれるべきではないかというふうに考えるわけです。今回の減税かあるいは国債減額かということをきめられる過程でだいぶ論議になった問題だと思いますけれども、当初は減税を優先にすべきだという論議もかなり強かったように思います。しかし、結果として出てきたものは、自然増収の一兆二千億の中で一二・五%の千五百億は減税だと、それから同じく千五百億は国債減額だ。この結果を見ますと、あまりにも加えて二で割ったような安易なきめ方という気がするわけですけれども、もちろん千五百億程度の額は景気の将来の動向にそう大きな影響を持たないかもしれませんけれども、先ほど申し上げたような情勢を考えた場合には、あまりにも足して二で割るというような、景気の先行きに対する配慮というものは全然できていないように思うのですが、この点はいかがですか。
#217
○国務大臣(福田赳夫君) それは御見解がだいぶ違うんですが、私どもは景気の先行きというものをとくと考えてこういう財源の配分というものをしたわけであります。私は、予算の編成の初期におきましては、大臣というんじゃなく、自民民主党の幹事長として、そのとき、私は、一兆円をこえる自然増収があるという話で、それはどうするか、歳出にもかなり要るだろうが、残った額は主として公債の減額に充てたい、こういうふうに思ったわけなんです。それはなぜかというと、景気の非常にいいときには公債発行額を減らしていく。ということは、先行き経済がどういうふうになるかもしれない。もし経済に落ち込みがあるという際には、財政が出動してこれをささえるという役目を演じなければならぬ。こういうことを考えますと、やっぱり公債というものが非常に大きな働きをなすわけで、その公債の発行が、これは建設公債という性格でありますから、どうしても公共事業費というその限度内にとどまらざるを得ない。そうすると、ここで公債を今日のような好況のときに多額に出しておくと、景気調整の安全弁を失うということになるわけです。この際ひとつ公債をうんと減らして公債の発行の天井を高くしておいて、そして不況がありますれば、社会資本の充実ということを公債を財源としてやる。これで日本経済をささえる基盤というものが国際収支から出てくる。こういうふうに判断したんですが、一方、減税の要請も、一兆二千億円もあるのに減税がちっともないのはどうだこういうような要請もありますので、減税という問題も取り入れることにした。そこで、その額をどうするか、比率をどうするかという問題ですが、大体公債を五千億を割るということを考えたわけです、公債の発行額を。そういうことを考えると、大体千五百億だと。発行額は四千九百億になりますが、そこから千五百億というものが出てくる。そうすると、残る財源は幾らというと、千五百億ということになる。三千億の剰余財源ですから、千五百億が残る。それで税制調査会の答申にも応じていこう。こういう考え方をとったので、決して足して二で割るというような安易な考え方でやっているわけじゃないのであります。
#218
○田渕哲也君 外貨が三十二億ドルもあると。それから反面、生産力と需要とのバランスが、いままでは需要が堅調であったけれども、若干先行きが不安定になってきておる。私は、こういう時期であるだけに、減税をやって民間消費を伸ばすという方向に行くべきではないか。言うならば、ことしは、景気の見通しからしても、それから政府の財政事情からしても、大幅減税を行なう絶好の機会ではないかという気がするわけです。したがって、結果として足して二で割ったようなかっこうになりましたけれども、思い切って三千億近い大幅減税をやることが、景気に対しても悪影響を持たないし、また、国民の声にこたえる道ではないかという気がするわけであります。私も自民党の内部においてさえ減税を主張する方々がかなりおられたということを聞いております。参議院の二百五十名の議員の中で、個々に意見をほんとうにたたいてみれば、案外減税主張というものが多数を占めるんではないか。ところが、現在は政党政治で、政党ごとに意見を求めてやるということになっておりますので、言うならば政党政治の機構を通じて政府なり大蔵大臣の独断専行というものが行なわれつつあるのじゃないか、まあこういう気がするのでありますけれども、したがって、大蔵大臣においては、この国会審議における過程の意見というものを十分取り入れるだけの柔軟な姿勢というものを持っていただきたいと思います。この点についてはどうでしょうか。
#219
○国務大臣(福田赳夫君) まあ減税と言えば、これは国民全体が喜ぶ、歓迎するわけです。ですから、減税、減税をしていれば、われわれ議員の立場というものは非常にいいんです。しかし、一歩下がって、当面はいいが先はどうだという国民の立場というものを思うときに、いまここで大減税をする、公債は多額に発行しておくということになったら、さてその先、半年先、一年先、二年先は一体どうなる、このことを真剣に考えてみますと、私はそういう大幅減税論こそはほんとうに国民の立場を思っている考え方であるかどうかを疑いたくなる。私は、日本の国のため、国民のことを考えると、景気の将来に誤りなからしめるということこそが中心でなきゃならぬと思うのです。ただ国民がいま当面希望しているから減税だ減税だという行き方だと、これは先々どうなるか、非常に不安を持つわけです。そういうようなことも考えながら景気の先行きに対する備えをする。同時に、国民の声も聞かなきゃならぬ。こういうので、千五百億、千五百億、まあなかなかいいところをやったと、こういうふうに考えておる次第であります。
#220
○田渕哲也君 それでは、次に、減税の政府案の内容について質問したいと思うのでありますけれども、今回の減税は、政府は、給与所得者を中心に中小所得者の負担軽減をはかる、言うならばサラリーマン減税、あるいは中堅以下のクラスに対する減税だということを非常に宣伝をしておられるわけです。ところが、この中堅というのは大体どれくらいの所得の人を考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
#221
○政府委員(吉國二郎君) 今回の減税におきましては、従来どおり課税最低限を十万円引き上げております。それに加えまして、給与所得控除の適用限度を引き上げるということと、税率の調整をはかったわけでございますが、このいずれもが大体三百万以下の階層に適用になるような形で行なわれているわけでございます。従来、御承知のとおり、課税最低限だけで改正しておりました。三十年代におきましては、百万をこえる所得者というものは一、二%であったわけです。それが漸次ふえてまいりまして、現在では百万をこえる所得者というのは三〇%をこえる程度に立ち至っておりまして、三〇%と申しますが、給与所得者の納税人員から申しますと、約六百万でございます。この階層が課税最低限の引き上げだけでは負担がほとんど軽減にならない。それがずっと放置されてまいりましたために負担が重くなっているという点がございますので、その点を追加いたしましたわけでございます。そういう意味では、三百万以下の階層が一番大きく負担の軽減を受けておる、かように考えております。
#222
○田渕哲也君 そうすると、中堅というのは大体三百万程度の年収というふうにお考えですか。
#223
○政府委員(吉國二郎君) 三百万円以下の階層というふうに考えております。百万円ないし三百万円……。
#224
○田渕哲也君 国民の意識としましては、ことしの正月に「讀賣新聞」が発表した意識調査の結果によれば、国民の中で四二・二%の人が自分はまあ中堅だというふうに思っておるそうであります。年収別に見ますと、百万前後から二百万、この層に一番中堅意識が強いということがいわれております。ところが、実際の収入分布を見てみますと、百万円以下が三分の二ぐらいおるわけでございまして、二百万円以上というのはわずか二・三%しかいない。ところが、今回の減税というのは、どちらかといえば二百万、三百万のクラスに重点が置かれておるように思うわけです。もちろんこのことからいえば、百万の人が六〇%税金が少なくなり、三百万の人が一九・八%しか税金が少なくならない、どういうことを大蔵大臣は言われると思いますが、しかし、額にすれば非常に違うわけです。三百万の人は九万円減るから少しは減税してもらったような感じを持ちますけれども、百万の人は年間わずか八千円です。これは、物価の値上がりとかそういうものを勘案しますと、ほんとうに減税してもらった感じをあまり持たないのじゃないか。ところが、実際中堅と感じている人は百万円前後の人が多いわけで、中堅クラスの減税だといいながら、おれたちはたったこれだけの減税だ、どうも政府の言うこととだいぶ違うのじゃないか、こういう一つの不信感というものを持つんじゃないかと思う。したがいまして、中堅以下の減税というならば、給与所得控除にしても、定額所得の控除分を据え置きにしないで引き上げる、あるいは課税最低限度額の引き上げに重点を置くべきである。今度の場合こういうやり方も必要であると思いますけれども、今度のような場合なら中堅以下に重点を置くというような言い方はされないほうがいいのじゃないか。むしろ部課長クラスに重点を置くんだ、こう言われたほうが国民の信を裏切らないで済むようなことになるのじゃないかと思いますが、どうですか。
#225
○国務大臣(福田赳夫君) どうもそういうふうには考えておりませんが、これはもうほんとに下に厚く上に薄い、中堅階層の税率調整、こういうことで、名実ともにそういうふうになっております。百万円ぐらいの人はどのくらいの減税になっているかというと、実に百万円の給与所得者は六〇%減税になるわけです。たいへんな減税です。これが三百万円の人が何%ぐらいになりますか、一五%の減税になる。ですから、これはよくお調べくださいますと、私どもが言ってるところには全然看板に偽りはない、こういうことが御了解願えると思います。
#226
○田渕哲也君 確かに、数字の上では、大蔵大臣の言われましたように、下のほうほど低くなっております。ところが、この低くなり方を見ても、百万円の人が五〇%、百五十万円の人が二五%、それから三百万円のクラスの人が率で一九・八%、こういうやり方で見ますと、額と率と両方にらんでみますと、やはり重点は二百万ないし三百万という気がするのであります。確かに数字の上ではそういう。パーセンテージになりますけれども、国民の受ける実感といたしまして、低所得者はそれだけ税金をたくさん減らしてもらったという感じを受けないのではないか、こういうことを申し上げたわけであります。数字の上では、大蔵大臣の言われるとおりですけれども、国民の実感とそれとは若干ズレができるのではないか、その点を考えていただきたいと思います。
 次に、給与所得控除の性格は、先ほど主税局長もおっしゃいましたように、第一点は労働だけの所得に対する担税力を考慮したものである、第二点は必要経費概算控除、第三点は源泉徴収による前払いに対する一つの見返りだと、こういうふうに言われましたけれども、これは内容は具体的に数字的な根拠があるものではないと思いますが、この点はいかがですか。
#227
○政府委員(吉國二郎君) 御指摘のとおり、数字的な根拠というものを割り振ってあるという性質のものではございません。したがって、給与所得控除を設けた根拠としてはその三つぐらいが考えられるという言い方をしているわけであります。
#228
○田渕哲也君 私は、サラリーマンの税金と、ほかの事業所得者あるいは農業者に対する税金との間に、やはりかなり大きな不公平があるのじゃないかという気がしております。これは最近サラリーマン諸団体の結成等でも騒がれておりますけれども、実際に大蔵省の資料に、これは四十二年度で少し古いのでありますけれども、「財政金融統計月報」の中に説明が出ておる数字をあげますと、納税者の比率、所得のある者の中で納税者が占める。パーセンテージは、給与所得者では五九・一%、自営業者では二三・八%、農業者では六・九%が納税者だということがいわれております。これはそれほど給与所得者が自営業者や農業者に比べて高い所得があるからこうなっておるのか。私はどうもそうは思われないわけです。これはやはり税金のかけ方そのものに差があるために納税者の比率がこういう結果になって出ておるのではないかという気がするのでありますけれども、この点について納得のいくような説明をしていただきたい。
#229
○政府委員(亀徳正之君) 私たちは、やはり税法をいかに公正に執行していくかということに全力をあげておるわけでございますが、いまのサラリーマンと事業所得者との不公平感は、確かに執行面の問題がありますとともに、先ほど主税局長が説明いたしましたように、事業所得者の場合の売り上げと給与所得者の場合の俸給というものを同じベースで比較するという誤りをよくおかしておられると思いますので、そういった点の理解はまず正していかなければならないのではないか。それからその他の点は、いろいろ事業所得者に特に甘くということを考えているわけではもちろん決してございませんし、むしろ、率直に申して、源泉徴収制度がございますために、給与所得、特に一カ所からしか給与をもらっておられない方々につきましては、率直に申して、年末調整という道で正確に税額が計算されておりますので、まあ完全に把握されているということでございます。したがいまして、その点、源泉徴収の監査ということは当然いたしておりますが、それだけ手が抜けて、ある意味では所得が捕捉されにくい分野に私たちいろいろ力を注ぐ余力がそれだけ出てくる、こういうふうに考えております。もちろん、われわれ人間のやることでございますので、おのずからの限界は率直に申してございます。しかし、現在五万の税務職員がいるわけでございますが、あげて課税の公平ということに全力を尽くしているような次第でございます。
#230
○田渕哲也君 これは感じでものを言うわけで、なんですけれども、その不公平にやるということを言う場合に、実際の所得から計算してやればいろいろむずかしい問題があると思いますけれども、たとえば同じような税金を払っておる人ですね、年間十万なら十万の税金を払っている人で比べてみますと、サラリーマンに比べて、商売をしている人とかあるいは農業をしている人のほうがはるかにいい暮らしをしておるということがよくいわれておるわけです。これは感じで言うわけで、詳細なデータがあるわけでありませんけれども、まあこういうことはある程度当たっているのじゃないか。その一つの理由は、なるほど税法上では公平にきめられておるかもしれませんけれども、税法の運用にあたって、サラリーマンの場合は運用の幅というものがないわけです。きちっと取られるわけです。ところが、自営業者とかその他になれば、これは厳密に言えば違法ということになるのでしょうけれども、ある程度合法的な範囲で、たとえば生活費を経費に回したり、あるいは家の修繕費を店舗の設備に回したり、そういうことが実際可能なわけです。そういう運用の幅によってもこれだけの差が出てくるのではないかというふうに考えるわけです。そうしますと、先ほどの給与所得控除の性格から見て、特にこれは数字的なはっきりとした根拠で出ているものではないと言われるならば、やはりいろいろな業種の人のバランスということをまず考えるべきではないか。他の仕事を持っておる人と公平になるように給与所得控除というものを設けるべきではないか、こういうふうに考えるわけです。そうすると、必要経費はどれだけかかるとか、源泉徴収による前払いの利息はどうだとか、そういうこまかな理屈は抜きにして、バランスをとるということから考えるならば、もう少し引き上げるべきではないかという気がしますが、この点についてお伺いしたいと思います。
#231
○政府委員(吉國二郎君) なかなかその点がむずかしいところでございますが、実際に他の所得者が税法どおりにはいっていないということを前提にいたしまして給与所得控除の説明をするということになりますと、ほかの所得者は一〇〇%の申告をすればそれだけ税法上は損になるという結果になるわけでございます。そこら辺が非常にむずかしいところで、やはり申告納税制度でございますから、一〇〇%申告をすべきものであるという前提で税法を組み立てませんと、税法全体がおかしなものになってしまう。そういう意味で、私どもは、さっき申し上げた三つの根拠を理由にして給与所得控除を設けておりますが、給与所得控除の額をどの程度にするかという点については、十分に今後も検討をしていきたいと、かように考えておるわけでございます。
#232
○田渕哲也君 それでは、時間もありませんので、次の問題に移りたいと思いますが、未成年控除の問題について本会議で質問いたしましたときに、総理大臣並びに大蔵大臣は、そういうものは必要ない、むしろ課税の最低限度額を引き上げる中でカバーすべきだというように言われましたけれども、現在所得税法では老年者控除というものがあります。これはどういう根拠で設けられたものでしょうか。
#233
○政府委員(吉國二郎君) 老年者控除は、老年者が本人である場合、扶養親族が老年者である場合、いずれも認められることになっておりますが、老年者というものが、老齢ということから、同じ所得を獲得しても担税力に差異があるということを考慮して、課税最低限のかなりきつい時期に設けられた特別の制度でございます。先ほど申し上げたように、将来は、課税最低限が改正されれば、これも漸次縮小されるべきものであろうかと考えられるわけでございます。
#234
○田渕哲也君 それからこれは地方税ですから、自治省のほうになると思いますが、地方税には未成年者控除があるわけですね。これはなぜ設けられておるか、もしこれについて御見解があれば、お伺いしたいと思います。
#235
○政府委員(吉國二郎君) 地方税のほうは、むしろこれは昔の戸数割り時代からの一つの引き継ぎだと思いますが、応益性という意味で世帯課税というものを考えていた時代に未成年控除というものをつくったように覚えております。それが現在ずっと継続して、他の事業所得控除等とともに残ってきたという感じがいたします。
 一つ訂正しておきますが、老年者控除は、本人だけが控除されておりまして、扶養親族の場合は控除はございません。さっき間違えましたので、取り消しておきます。
#236
○田渕哲也君 大蔵大臣は、本会議で、未成年者控除の問題を考えた場合、たとえば大学生、学生との比較においては感傷的にならざるを得ないというふうに言われたわけですけれども、私はこれはむしろ感傷の問題ではなくて、平等の原則の問題ではないかというふうな気がいたします。片方で学生である人は国からたくさんの補助というものを受けながら勉学をしているわけです。ところが、片方で働いておる者は税金を一人前にきっちり取られる。また、未成年者には権利の面で制約を受けております。たとえば選挙権もないとか、言うならばこの期間というものは、一人前の人間ではなくて、何らかの形で国や社会から保護されるべき期間である。そういう面から考えまして、未成年控除ということを設けるということは別に不都合じゃないと思うのです。この点はいかがでしょうか。
#237
○国務大臣(福田赳夫君) 未成年者といえども、多額の所得がある。これは税は納めぬでいいんだと。これは非常に社会正義というか、そういうことと相反することになるのじゃないでしょうか。まあ悪く思えば、未成年者の名義で所得をするというような人が出てこないとも限らない。いろいろのことを考え、とにかく控除というものもだんだんと諸控除が上がってきて、最低限も高くなっておるわけでございますから、その最低限をこえて所得を得るという人がありますれば、国家にそれだけ奉納されたらどうでしょうか、こういうふうに考えて、どうも未成年者に課税しないという原則には、にわかには賛成できないのです。
#238
○田渕哲也君 確かに、未成年者でも、たとえばタレントとか、そういう多額に取っている人は問題があると思いますが、しかし、ある程度の控除を設けるということぐらいは差しつかえないのじゃないかという気がします。全額無税にするということは、そういう問題が出てくるでしょうけれども。それから、名前をかたってということは、これは大蔵大臣の答弁としてはちょっとどうかと思うのですが、冗談ではないかと思いますが、また、学生との関係とか、選挙権との関係から見れば、理屈からいえば未成年者控除というものを設けても何らおかしくないと思いますが、この点はどうですか、重ねてお伺いしたいと思います。
#239
○政府委員(吉國二郎君) いろいろの控除が設けられました理由を考える場合は、やはりそれによる担税力を減殺する要素というものを何らかの形で見ていこうという趣旨のものだと思うのであります。そういう意味では、寡婦が子供をかかえておる場合とか、老年者あるいは重度身障、あるいは障害者といったようなものを対象として控除を考えておるわけでございます。いま御指摘のような理屈も確かに考えられるわけでございますけれども、選挙権がないから担税力がないとも言えないと思います。そういう意味で税法の上に乗せるといたしますと、別のほうの政策的配慮からすればまた考えられるかもしれませんが、担税力の配慮をするという意味の控除を諸控除の中に入れるのはやや筋が違うのではないかと考えられます。
#240
○田渕哲也君 それでは、最後に土地税制の問題について質問したいと思います。大蔵大臣は、先ほど、今回の土地に対する特別措置というものは非常に効果が期待できるというふうに言われましたけれども、私はこれは非常に疑問ではないかというふうに考えております。といいますのは、最近の土地の値上がり率を見ましても、日本不動産研究所の調べによりますと、過去十年の平均で市街地について見まして、年率二〇%近い値上がりをしております。それから最近の率を調べてみましても、四十年下期の対前期比は七%、四十三年上期の対前期比は八%、年率にして一五・五%程度の値上がりになるわけであります。これだけ値上がりがあるのに、二年間で五%の税の刻みを設けた程度で、供給が促進されるというふうには考えられないわけです。それからまた、五年以上持っておる者に対してこれが適用されるとなれば、五年にならない土地は五年になるまで持っていようかということになるわけで、必ずしも大蔵大臣が言われるような効果は期待できないと思います。しかも、もっと大きな問題は、大体、土地値上がりによる利益、これは明らかに不労所得であります。経済の発展なり都市化によって土地の経済的な値打ちというものは上がってくる。あるいは、需要供給のバランスによって土地の値段が上がってくるわけです。言うならば、不当にたくさんの利得がある者に対して優遇措置をとるというのは、基本的にこの税制というものは誤りではないかという気がするわけであります。この点について御意見をお伺いしたいと思います。
#241
○国務大臣(福田赳夫君) まず、この土地税制の効果いかんという問題でありますが、これは、私どもがこの税制改正案が発表されましてから人に会います際に、非常にいい制度ができると言ってくださるのです。これはどこかというと、いま田渕さんは税率のことがお話しがありましたが、そこではなくして、分離課税ですね。軽率の分離課税だと、非常にすっきりする。土地を売って総合的に課税される、一体どうなるのかわからぬと、そこに非常に不安を持っておったようでありますが、分離課税でとにかく一割と、こういうことにはっきりしておると、こういうようなことから、これはもう非常な歓迎を受けているというふうに私は感じ取っておるのであります。したがって、土地政策の供給面に裨益するところは相当のものがあるだろう、こういうふうにまあ見ておるのです。
 それから不労所得だからという御疑念、これは私もそういうふうに思います。思いますが、いま、土地の問題というものが、当面する非常に大きな問題になっておるのです。土地の価格問題、それがひいては物価問題にも関連してくる、そういう際に、公平の原則というか、不労所得に対するその感触、そういうものに目をつぶってもここでふん切りをつけるべきかどうか、こういう選択の問題に当面したわけでございますが、これはまあ御批判のような点は重々承知しておるのですが、この際土地政策に大きな前進を見なきゃいかぬという見地から、まあ限度額は設けないということにいたしまして、大小にかかわらず一律分離課税と、こういう考え方をしております。
#242
○田渕哲也君 時間が来ましたので、最後に一つだけ質問をして終わりたいと思います。いま、大蔵大臣は、土地の価格の安定のため思い切ってこういう措置をとったと、問題があるけれどもこういう措置をとったと言われましたけれども、私は、いかに土地の価格安定のためとはいえ、どちらかといえば社会正義に反するようなかっこうで税金の制度を設けられるというのは反対なんです。むしろ土地の問題は、ほかにも打つ手は幾らでもあると思います。これは憲法第二十九条で財産権の不可侵ということをうたっておりますけれども、第二項では、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」ということがあるわけです。やっぱり公共の福祉というものを考えなければならない。ところが、現在の土地の問題を考えた場合には、財産権の尊重のあまりに、公共の福祉を侵害しておる状態になっているのじゃないか。この根本的な問題について政府は一つの対策を打つべき時期に来ていると思います。すなわち、公共の福祉を優先して、もっと土地に対する公的制限を強化すべきである。それからもう一つは、土地の値上がりによる利益すなわち開発利益というものは公共に還元すべきである。この二つの原則に立って手を打つならば、地価の問題というものは改善されるのではないかというふうに考えます。もちろん、これは、税制だけですべてが行なわれるというわけではないと思います。しかし、税制というものは、補完的な役割りとはいえ、非常に大きな影響を持つものであります。たとえば、土地の保有税的なものを強化する。これは、現在、固定資産税というものがありますけれども、さらにその考え方を進めて、国民の生活に必要な一定の土地の面積の保有というものは認めなければなりませんけれども、それをこえて過大に土地を所有しておる者についてはもっと重い税金をかけていいんじゃないか。それから先ほど話の出ました余裕地、空間地に対する税制の問題、こういうものをまず設けるというのが先決ではないかという気がいたします。それと並んで譲渡利益に対する課税というものは、軽減するよりもむしろ強化すべきではないかというふうに考えるものであります。こういう問題については、ここですぐ大蔵大臣もその方向で行きましょうとは言われないと思いますが、今後長期的に取り組むにあたって検討していただきたいと思います。さしあたって今回の土地税制の問題につきましては、私は、少なくとも税率の引き上げの刻みというものをもう少し大きくすべきではないか、二年間に五%ということではなく、たとえば一年間に五%にするとか、そういう刻みを大きくするならば、非常に悪い制度でありますけれども、その悪さというものが改善されるんじゃないか、こういうふうに考えるわけですけれども、いかがですか。
#243
○国務大臣(福田赳夫君) いま、保有税といいますか、そういうお考えが述べられましたけれども、とにかくそういう方向で事は考えなければならぬと思います。先ほど申し上げましたが、そういう考えを持ちながらも、さてこれを現実にどうやって実行するかということになると、これは租税の公平というような見地からもなかなかむずかしい問題でありますが、なお今後の問題としてよくこれはひとつ勉強してまいる課題といたしたいと思います。
 それから税率の刻みの問題、これもいろいろ論議があった。税制調査会でもいま田渕さんのおっしゃるようなお話もずいぶんあったわけでありますが、そのあまり急激にというのもいかがであろうかということで五%刻みということになりましたが、しかし、とにかくこれでやってみて、私どもとしてはその効果を見て、そうしてなお考えていきたい、さように考えます。当面二年で五%刻みという方針でやっていきたい、かように考えておる次第であります。
#244
○渡辺武君 大臣に伺いたいのですが、日本は戦後急激な経済的発展を続けてきまして、国民所得の総額は資本主義国の中でも第二位になったというふうにいわれております。ところで、国の財政規模のほうですけれども、年によって若干の変動はありますけれども、昭和三十五年以降、すなわち政府が高度成長政策を取り出してから、傾向としては国民所得の増加よりも急速に財政規模のほうが膨張しておるという状態だと思います。したがって、国民所得の中に占める財政規模の比重は上昇する傾向になっております。税制調査会が昨年の七月に出した長期税制についての中間答申の中でも、「経済の進歩と拡大に伴い国民経済に占める財政の比重は増大する傾向がある」というふうに言っておりますし、事実、私ども調べてみましたところが、これは予算で計算したのですが、たとえば国民所得の中に占める一般会計予算の比重を見てみますと、昭和三十五年が二二・六、昭和三十六年が一三・七と二二%台。昭和三十七年になると一四。九%、三十九年も一四・八%と一四%台。ところが、その後になりますと、四十年が一五。〇%、四十一年が一五・三%、四十二年度が一五・一%という形で、最近数年は一五%台にせり上がってきておるという状態であります。これは、言うまでもなく、大企業を中心として急激に経済的発展を遂げているわけですから、大企業のために、高速自動車道路をつくるとか、あるいは工業用地、工業用水、港湾などの造成をやる、いわゆる公共事業費と呼ばれる費用が急膨脹する、あるいは、大企業に対する特別な補助、援助というようなものが国の予算の中からたくさん出されて、それらが財政規模を膨張さしてきた一つの大きな要因になっておるし、同時に、高度成長に伴って、住宅不足だとか、交通難だとか、その他国民の生活と健康という問題が非常に重大な問題になってきて、これを自民党なりに大企業の立場に立ちながら一定の解決をはかるということで財政規模の膨脹が出てきたのじゃないかと思うのです。
 ところで、このあいだ、防衛庁は、第四次防衛力整備計画は総予算約四兆円必要だというようなことを言っておりますし、それから従来海外経済協力五カ年計画では約一兆八千億円を計画しておりましたけれども、OECDなどで国民所得の一%ということを日本政府が約束しているたてまえからいっても、今後の軍事費あるいは海外進出のための費用、さらには、ことしは、大都市の警察機動隊などもだいぶふやしましたので、こういう弾圧関係の費用などが、つまり別のことばで言えば政治的、軍事的な費用がかなりふえていくのじゃないかというふうに思うのです。大臣も首相も今後経済成長率は一〇%程度が望ましいというような意味のことを言っておられるようでありますけれども、この経済的発展に伴う費用に加えて、いま申しましたような政治的、軍事的費用が加わってくるということになれば、今後の財政規模は相当急速に膨張していくのじゃないかというふうに考えるわけですが、今後、大臣は、財政規模は何%ぐらいずつ拡大すると見ておられるか。それからまた、国民所得の中に占める財政規模の比重ですね、これは何%くらいが適当と考えておられるか、その辺をまずお答えいただきたいと思います。
#245
○国務大臣(福田赳夫君) 財政の規模は、大体今後国民総生産――GNPの伸びというものを目安に拡大していくであろう、こういうふうに思います。それから今後、軍事費また海外経済協力費、これが急増するであろう、こういうふうなことを言っておられますが、軍事費というか防衛費につきましては、自衛力漸増という方針をとっていくわけであります。したがいまして、国力の伸展に即応した程度の拡大があるであろう。それから海外経済協力につきましても、これも国民総生産の一%というふうな、これはなかなかむずかしいことでありますけれども、総生産の伸びとともにこれもふえていく傾向を持っております。で、GNPの中で一体予算の規模がどうかというと、一般会計ばかりじゃございませんが、一般会計政府諸機関、また地方団体、それを通じまして大体目安は二〇%、この辺がめどになる。しかし、多少ずつとも国のまた地方団体の担当する仕事は拡大してまいりますので、あるいは多少そのめどがゆるやかなカーブで伸びるということは想像できると思います。
#246
○渡辺武君 そうしますと、財政規模が大きくなるということでありましょうが、それに伴ってその支出をまかなう財政収入のほうも大きくならざるを得ないというふうに、これは当然の結論としてなるわけです。調べてみますと、これは大蔵省の発表した数字ですけれども、国民所得に対する税の負担率は、特に佐藤内閣になりましてから、傾向として――若干年によっての変動はありますけれども、国債発行下にもかかわらず、傾向としては増大する傾向になっているというふうにはっきり数字が示しております。税制調査会の中間答申によりましても、今後税負担の水準はある程度上昇せざるを得ないであろうというふうに述べているわけです。そこで、伺いたいんですけれども、今後財政収入の重点をどこへ置いてやっていこうとされているのか。特に、われわれは赤字公債の発行は反対しておりますから、赤字公債発行はやめてほしいと思いますけれども、もし政府が今後も公債を発行しようとするならば、公債発行は財政規模の中のどのくらいの点をめどにして考えておられるか。
 それからもう一つは、やはり税制調査会が、答申の中で、「今後においても基本的には直接税を基幹とする現行の税体系に大きな変更を加えていく必要はない」というふうに述べておりますけれども、直接税中心で収入をはかっていこうとされておるのか、その辺をお答えいただきたいと思います。
#247
○国務大臣(福田赳夫君) 財政の財源としての公債、これにつきましては漸減方針をとっていきたいと、かように考えております。
 それから税の中で、直接税つまり所得税、法人税、これを基本とする考え方は変えないかというお話でありますが、これは大ざっぱな考え方としては変更いたしません。ただ、しかし、先ほどもちょっと申し上げたのですが、どうも直接税はその響きが国民に対する圧迫感というのが強い。そういうようなことで、適当な間接税というものが考えられるならば、少し先の問題になりますが、物価問題が落ちついてからの問題になりますが、考えていきたい、かように思っております。
#248
○渡辺武君 公債を漸滅されると言われましたけれども、大体のめど、たとえば大臣は五%程度を考えておられるというような答弁も衆議院のほうではなさったと思うのですけれども、この辺はどうですか。
#249
○国務大臣(福田赳夫君) ことしの公債発行額が七・二%ですね、それを来年あたりは五%ぐらいに――来年というのは四十五年度です、四十五年度は五%くらいに持っていきたいなという希望を持っておりますが、公債というのは、もう少し申し上げますれば、景気がいいときにはなるべく減らす。私は来年の景気はよかろうという判断から五%くらいに持っていきたいということを申し上げたんですが、もし景気が悪く、景気を持続させなければならないというときには、その発行額、また発行依存度、これも変わってくる、上がってくる、こういうふうに御理解願いたいのであります。
#250
○渡辺武君 そうしますと、公債は、景気の変動によって多少の動きはあるけれども、漸減を望んでおられるということであります。そうしてまた、直接税を基幹とするということについてあまり概略変わらぬというお答えでありましたが、直接税の中には、いま大臣もおっしゃったように、法人税もあれば所得税もあるという状態ですね。その法人税を支払う法人企業を見てみますと、その中で最も大きな役割りを占めているのは大企業です。ところが、その法人税を調べてみますと、法人の発表した益金の中に占める法人税の割合というのはここ数年一貫して急速に減っているというのが実情だと思うんです。念のために数字を申し上げておきますと、これは国税庁の発表した「法人企業の実態」という統計からとったんですが、昭和三十五年度は法人益金に対して法人税は三四・七%でした。ところが、三十九年度は三二・一%、四十年度は三一・一%、四十一年度は二九・七%、四十二年度は二八・九%というふうに、一貫して低下しているという傾向をたどっております。こういう現象が起こる最大の理由は、租税特別措置その他によって特に大企業を中心として政府が大幅な税の減免をやっているというところに最大の原因の一つがあるし、また、同時に、現行法人税率は、三百万円以上はどんなにたくさんもうけても税率は三五%で据え置きということになっている。それで、そこにもう一つの大きな根源があると思います。いまの日本のように大企業の役割りが非常に大きいというようなときに、そこに税収の重点を置かないで、ここはかえって税の特別な減免をやる、そうして法人の益金の中に法人税の占める比重が年々低下していっているというような事態のもとでは、直接税に中心を置くと言われても、結局のところは、もう一つの直接税つまり所得税に中心を置かざるを得ないということになるんじゃないかと思う。
 ところが、その所得税です。これは税制調査会の答申自身も言っております。「いわゆる中小所得者層になおかなり税負担を求めている」というふうに言っておりますけれども、全くそういう実情だと思います。これは大蔵省は昭和四十一年度までしか数字を発表しておりませんので、四十一年度の数字しか申し上げられませんけれども、所得百万円以下の納税者、ですから、いまのひどい物価値上がりのもとでは全く最低の生活をしている人たち、これが所得税総額の三一%を納めている。かりに二百万円以下をとれば、この人たちが五九・九%、つまり所得税総額の六〇%を納めていると、こういう形で、いまの所得税というのは勤労大衆の生活に食い込む重税になっているんじゃないかということがはっきりと物語られているわけです。私は、蔵相が直接税を概略重点としてやっていかれるともしされるならば、こういう大衆に対して重税になっているような所得税を中心にするのではなくして、租税特別措置などは撤廃して、大企業やそれから高額所得者、これにもっと税金をかけるべきじゃないか。このあいだ大蔵省から提出された資料によると、租税特別措置によって約三千二百何十億円かの特別な減免がなされているという数字がありまして、この中にはおそらく中小企業も入っているだろうと思う。しかし、概略、中小企業がこれによって特別な減免を受けている額はどのくらいか。概略二百億か三百億くらいのものじゃないか。そのほかはほとんど大企業が特別に潤っているという状態だと思います。私どもきょうは時間がありませんので詳しく発表できませんけれども、私どもの計算したところによると、租税特別措置その他によっていま政府が大企業あるいはまた高額所得者にやっている特別な税の減免、これは一兆数千億円にものぼるんじゃないかという数字が出ます。したがって、こういう租税特別措置その他による大企業や高額所得者に対する税の特別な減免は撤廃して、さらにまた、法人税は高度累進にするという形をとって、今後の税収の重点を大企業や高額所得者からの税収に置くべきだというふうに考えますが、その点はどうですか。
#251
○政府委員(吉國二郎君) 数字の点だけ私から申し上げておきたいと思いますが、ただいま法人の利益の中における法人税の比率が下がっているという御指摘がございましたが、これは、御承知のとおり、税率を四十一年に二%下げておりますことと、それから配当軽課ということが行なわれております。配当軽課が反面において配当控除を切っておりますから、その意味では軽減ではないわけでございますが、法人のほうから見ると配当した分は税率が低くなっておりますから、その分が作用して減ったことでありまして、実際上軽減をしたことではないということになります。
 それから所得税につきましては、先ほど、百万円以下の人が四十一年で二十数%の税を負担しているという御指摘がございましたが、そのとおりでございますが、その当時の百万円以下の納税者の人員は八二%、八二%の人たちが二五%の税を負担し、それをこえる一九%ばかりの人が七五%を払っているわけでございますから、これは決して大衆課税であるとは言えないと思います。
 それから租税特別措置について御指摘がございましたが、租税特別措置は、これは数年前にやった軽減措置が累積して現在まで残っているわけでございます。毎年、毎年の減収とは申しますけれども、昭和二十何年以来の税制改正の結果が積もり積もったわけでございます。そういう計算をするならば、昭和二十五年以来の所得税の減税額は合計して二十兆ぐらいになるわけでございますから、減税という点からいえば特別措置の減税はごくわずかなものである、いままでの一般減税に比べれば問題にならない数字だと私は思います。
#252
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま主税局長から詳細に申し上げたとおりであります。
#253
○渡辺武君 時間がなくて、あなたのおっしゃったことを十分に論駁するあれがないのでまことに残念ですけれども、一つ、そのいまの法人税の占める比重が下がっているという問題についてだけ一言だけ言います。それは配当の軽課措置だけじゃないです。あなた方、いま、租税特別措置で、あるいはまたそのほかのあれで、減価償却についての特別償却を認めるとか、あるいはまた貸し倒れ準備金についての非課税措置だとか、その他等々、たくさんのことをやっているでしょう。たくさんの利潤が出ても、これは利潤として計上されていないような形をとっているんですよ。だから、配当軽課ということを一つだけとって、そうしてしかも配当軽課でいまのような擬制説をとっているから、片っ方で配当軽課をやっても片っ方で取るからいいんだというような、そういう理屈のつけられるものだけ出して説明しようといったって、これはちょっと無理ですよ。
 それからもう一つ申しますけれども、百万円以下の納税人口が、総納税人口の八二%を占めている。これが所得税総額の二十何%と言いましたか。四十一年度は三一%でしょう。
#254
○政府委員(吉國二郎君) 四十二年度でございます。
#255
○渡辺武君 ということで、大衆課税になっていないというこの論法も、これは全くもう議論の余地はないですよ。なぜかといえば、百万円以下の所得しかないというような人たちは、これはもう全くぎりぎりの生活をしているとしか考えられない。その人たちが納税人口の八一%を占めている。この事実の中にこそ、いまの所得税がどれほどの大衆課税になっているかということがはっきりあらわされている。その点に入っていくとあとの質問ができませんので、次に移ります。
 税制調査会は、課税最低限は百万円に上げたほうがよろしいということを答申したそのあとで、次のように言っております。 「その後においては、所得、物価水準の上昇に見合って適宜所要の調整を講じていく必要はあるとしても、従来のように、一定の金額的な目標をあらかじめ掲げて、これを税制改正の指標とすることはもはやその必然性が失われたものと考えるべきであろう。」というふうに言っておられます。大臣は、昭和四十五年度までには五人家族百万円まで課税最低限を上げようということを言っておられるようでありますけれども、この五人家族百万円というのは、これはまことに国民の目を欺くものじゃないだろうか。いまは大体四人家族というのが家族構成からいえば普通の構成になっている。それ以下がほとんど多いというような状態でありますから、衆議院のほうで大臣が答弁されたように、四人家族で約九十万円ということだそうでありますから、それはそれなりにそういう形で国民にはっきり言ったらよろしいかというふうに思います。しかし、その問題は抜きにしても、税制調査会がこういう形で目標をあらかじめ掲げて減税することはもう必要でないという趣旨のことを言っておりますけれども、大臣は、そうすると、昭和四十五年以降は、いままであったように、たとえば千五百億円減税というような減税ですね、これはもうおやりにならないつもりですか、それとも、なお今後継続してやるつもりか、その点をまず伺いたいと思います。
#256
○国務大臣(福田赳夫君) それは昭和四十六年度以降の問題ですね。四十五年度は百万円までですからね。四十六年度以降の問題につきましては、よく考えてから結論を出したいと、かように考えております。
#257
○渡辺武君 そうしますと、税調のこの言い分については、積極的には反対でないということでございますね。
#258
○国務大臣(福田赳夫君) これは田中さんにあやまらなきゃいかん問題で……。
#259
○田中寿美子君 だめです。あしたやりますから。(笑声)
#260
○国務大臣(福田赳夫君) そうですか。ただいま申し上げましたとおり、四十六年度以降においてとくと検討する問題であります。
#261
○渡辺武君 そうしますと、今後、財政規模が膨張し、税収は大幅にならざるを得ない。ところが、公債のほうはできるだけ減らしていきたい。それで――その前に、先ほど伺いました租税特別措置その他の特別な減免を撤廃すべきだという点についてはお答えなかったけれども、その点はどうですか。それを伺ってからにします。
#262
○国務大臣(福田赳夫君) 特別措置の大口のものですね。これは貯蓄に関係するものですが、来年の三月いっぱいで時限の期限が到来するわけであります。その機会に、特別措置につきましては根本的に再検討して、適正な解決をいたしたい、かように考えております。
#263
○渡辺武君 先ほど申しましたように、法人益金の中に占める法人税の比重は下がっている。この傾向を依然として続ける方向で再検討するのか、それともまた、こういう傾向をとめる方向で再検討されるのか、その点をもう一回……。
#264
○国務大臣(福田赳夫君) それは、前提が少し私は違うのです。法人益金の中で法人税の額が下がっておるというふうな見方をしておりません。これは、税率の改正だとか、そういうものがあります。そういう関係で、関係はありますけれども、そうでない徴税の上において法人税額が利益に比べて低下しておるということはあり得ないことなんでして、それを根拠としての御議論では、どうもお答えいたしようもありません。
#265
○渡辺武君 これは、先ほども申しましたように、国税庁が発表した「法人企業の実態」ということの中からとった数字で計算したものです。だから、これは、私がいいかげんなことを言っているのではなくて、客観的な事実ですよ。わかるですか。――大臣はわからぬそうでありますので、そうしますと次に質問を移さざるを得ないわけですが、間接税の問題について先ほど一言言われましたけれども、いずれも物価問題などが解決したあとで考えるというようなお答えだったと思いますけれども、どういう内容のものを考えておられるか。たとえば税制調査会の三十九年十二月の長期税制についての答申ですね、これによりますと、「現行の直・間比率を改めようという見地からの税制改正を行なう必然性に乏しいものと認めた」ということをいっておられます。つまり、直・間比率を変える必要はないということだと思うんですね。ところが、その直・間比率を見てみますと、直接税と間接税のそれぞれ税収に占める比重ですが、間接税だけ申し上げますと、この税制調査会の長期答申が出た年の翌年四十年が四〇・八%です。これがずっと一貫して下がってまいりまして、四十四年度は、これは見込みですが、三七・三%という数字になっていますね。つまり、直・間比率はずっと下がっている。この直・間比率を考えて三十九年度の辺で変える必要はないということを言っているにもかかわらず、直・間比率は下がっているわけですから、もとに戻そうというようなおつもりがあるか、この点を伺いたいのと、それからもう一つは、税制調査会は、従来間接税は奢侈品などにかかっていた、これでは経済発展あるいは景気の変動などに応じた間接税にならないので、そこのところを是正をしたい、それからまた、従量税でかけられているのはできるだけ従価税にしていきたいというような趣旨のことを言っておられました。すでに四十二年度、四十三年度で、印紙税、登録税、それから酒税などについてはそういう方向での改定が行なわれたと思うのです。そうしますと、いまの議論を考えてみますと、奢侈品ではない方向で間接税をやりたい、特に消費水準の上昇に見合うような間接税の取り方をしたいというように税調で言っておるわけですから、そうなってくると、普通、日常生活に使っておるいろいろな物資、いまでもマッチだとか砂糖だとかに間接税かかっておりますけれども、とにかく大衆生活の中で日常使っているいろいろな物資に間接税をかけろというこの方向で答申が行なわれているというふうにしか見えないわけです。大臣は、先ほど、間接税の問題を検討すると言われたけれども、そういう方向を考えておられるかどうか、この点を伺いたいと思います。
#266
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、いまの税制をほうっておきますと、三七%という間接税の比率がさらに下がってくる、つまり、直接税のウエートがだんだんと高まってくると、こういうふうに思うのです。それだけに国民の税負担感という問題が重要視されなければならぬ状態になっていくと、こういうふうに見通しておるわけなんです。そういうようなことから、何か適当な間接税あるいはその他の税を考えてみたいと、こういうふうに考えておるのですが、間接税というのはいずれにいたしましても物価に直ちに直撃的に影響する。そこで、いま物価問題とまっ正面から取り組んでおるこの段階じゃ、間接税構想というものはなかなか打ち出しにくい。しかし、もう少し長い目の問題としては、あんまり直接税にたより過ぎるこの傾向を是正し、かつ、それに伴って国民の税負担感というものを軽減するようにしたいと、こういう考えなんです。まだ固まった考えは持っておりません。
#267
○渡辺武君 長期税制についての中間答申の中には、附加価値税、売上税についても言われているわけですけれども、いま大臣の言われた適切な間接税というものの中には、この附加価値税や売上税の問題も含まれているというふうに理解していいでしょうか。
#268
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま固まった考えは持っておりませんです。
#269
○渡辺武君 もう一つだけ。以上で大まかな点の質問は終わりましたが、特に大臣に伺いたいのは、入場税の問題と、それからみりんについての酒税ですね、この問題について伺いたいと思います。
 御承知のとおり、入場税撤廃の請願は五十七国会で衆参両院で全会一致で採択されているという事実がございます。これに関してわが党の須藤議員が昨年四月の十一日に参議院予算委員会の分科会で質問したのに対して、当時の水田大蔵大臣は、「請願が採択されたのだから、その点を含めて、この際、入場税制度全体をもう一ぺん検討したい」というふうに述べております。つまり、「その点を含めて」というのは、撤廃を含めてということであります。こういう日本の国の文化、芸術の発達を阻害するような悪税、しかも、日本の税収総額からすれば〇・二%にすぎない、四十四年度に百三十七億ということでF4Eファントム十機分程度の費用だという状態で、これは当然のことながら、文化国家と言っている手前からいっても、これは当然撤廃すべきだというふうに考えますが、その点についての大臣の積極的な答弁をお願いしたい。
 もう一つは、これは、業界から、全国旧式みりん協議会というところからの陳情書が出ております。その要点は、みりんというのは、これは酒じゃない、調味料だ。ところが、アルコールが若干含まれているというために、普通の酒と同じように税金がかけられている。したがって、一升当たりでは百二十一円八十六銭の酒税となっている。値段の三七%が税金と、こういうことになっているのです。いまの化学調味料が、以前には税金がかけられていたけれども、いまほとんど税金をかけられていないという状態のもとで、同じ調味料であるみりんがこれだけ高率の税金がかけられているというのは実に不当ではないかということを言っております。私もそのとおりだと思う。特に、こういうみりん業者なんというのは、中小企業家が非常に多い。ですから、こういう悪税はぜひとも一日も早く撤廃したいというふうに思います。
 以上、二点について積極的なお答えをいただきたい。
#270
○国務大臣(福田赳夫君) 入場税のことについては、ほうぼうからいろいろ意見を聞いております。それからみりんについては、きょう私としては初めて伺うわけなんです。両方ともよくこれからも検討してまいりたいと思います。
#271
○委員長(丸茂重貞君) 両案の質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後六時四十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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