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#1
第061回国会 大蔵委員会 第9号
昭和四十四年四月四日(金曜日)
   午前十時三十四分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 四月四日
    辞任         補欠選任
     土屋 義彦君    久次米健太郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         丸茂 重貞君
    理 事
                青田源太郎君
                岩動 道行君
                戸田 菊雄君
                多田 省吾君
                田渕 哲也君
    委 員
                青木 一男君
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                鬼丸 勝之君
               久次米健太郎君
                今  春聴君
                中山 太郎君
                西田 信一君
                藤田 正明君
                矢野  登君
                木村禧八郎君
                田中寿美子君
                野上  元君
                松井  誠君
                横川 正市君
                鈴木 一弘君
                渡辺  武君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       大蔵政務次官   沢田 一精君
       大蔵大臣官房審
       議官       細田  卓君
       大蔵省主計局次
       長        般後 正道君
       大蔵省主税局長  吉國 二郎君
       大蔵省銀行局長  澄田  智君
       国税庁長官    亀徳 正之君
       自治省行政局選
       挙部長      皆川 迪夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       大蔵大臣官房審
       議官       上林 英男君
       厚生省環境衛生
       局庶務課長    藤森 昭一君
       通商産業省企業
       局公害第一課長  小泉 孝夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○租税特別設置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(丸茂重貞君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
#3
○横川正市君 私は、専門家にしろうとが質問するので、ときどき脱線するかもわかりませんけれども、ひとつその点は教えてもらうということで若干質問したいと思います。
 最近の新聞紙上で国税庁長官の記事、それからテレビで婦人との対談等、だいぶにぎやかにデビューして、いろいろ税の不満に対して答えているようです。現行税法そのものの上で行政を担当しているわけですから、そのことに間違いがあるということは言えないと思うのでありますけれども、税の問題に対しては一般庶民からずいぶん恨みつらみの声が非常に高い問題だと思うのです。私たち自身、税といりのは取られるもので、取られてしまったら、取られたときにはしゃくにさわるけれども、そのあとはどうも忘れてしまいがちな過去の問題があったと思うのですが、最近はいろいろな意味で税に対しての関心が高まり、それから異常な形での運動が高まってきているという、そういう状態というのをとらえてみますと、やはりこれは一般の庶民、国民の受け方としては、税に対して相当不平不満というものを持っているし、それはちょっとやそっとでは忘れられない状態になってきているんじゃないか。これにどう政治としてこたえるかというのが当面非常に大切なことなんじゃないだろうかと、こう私は思うのであります。
 たまたま、これはずいぶん古い話でありますけれども、こういう川柳があるのをちょっと見ました。「積る庶民の恨みは税務署のほうへ人魂飛んで行き」という風刺したものでありますね。これは、戦後、差し押えだとか競売トラックが出動しているころにうたわれた川柳だというのであります。そういう当時を想起してみますと、これは日本にとってみては異常な事態でありましたし、それから急激に迫られるいろいろな仕事が政治の面でありまして、そういう点から徴税ということがきわめて重要な問題として出てきたと思うのであります。そういう戦後の状態から二十四、五年たってみて、恨みつらみを述べた庶民の心情というものは、一体、質的に変わっているのかどうかという点なんであります。その質的に変わっているかどうかという点で、どうもあまり変わっていないんじゃないか。だから、そのことは、政治をする者にとっては一番大きな問題であり、解決をしてやらなければならない課題だと、そういうふうに思うわけなんであります。
 そこで、私は、税の問題を、こういうふうに税率をしたから、あるいはこういうふうな理由だからという説明のやりとりでなしに、一つの税の根本の問題としてまず一つお聞きをしたいと思うのですが、それは、本会議の質問でもちょっと私はやったのでありますけれども、昭和二十四年に戦後荒廃の中で日本がきめた――というよりか、きめられたと言うほうがいいと思う為替レートの問題です。本会議での大蔵大臣の答弁は、いま、日本の円の価値が、国内では円安、外国では円高というような状態になってきたということと、それから通貨の安定という問題とを加味して、たとえば、株価の問題とか、あるいは外国からの短期の株の買い上げの問題とかが説明されたのですが、それだけではちょっと理解しがたいものがこの中にあるのじゃないだろうか、こう思っているわけです。実際に三百六十円をきめた当時の池田さんの秘書官をやっておった前の企画庁長官の宮沢さんの一問一答だとか、「日経」の三百六十円をきめられたいきさつのそのころの記事だとか、あるいはその他のいろいろなものも見ましたけれども、当時三百六十円ときめたことが妥当なきめられ方であったかどうかについてはいろいろ問題があったようですね。しかし三百六十円にきめられて、あるいは補助金その他を打ち切って、そして産業基盤の強化がされ、輸出への指向がだんだん正常な方向に向いてきたというそのコースが大体二十年たっているわけですよ。そうすると、この二十年の中で私は非常に不思議に思うのは、国内ではインフレ傾向にありながら、国際収支が黒字である。それから国際市場における円は円高の傾向にある。そういう流動しているというか、流動というよりか逐次基盤が変わってきた中での三百六十円というのはどういう地位なのか。依然としてこれは妥当な地位なのか、それともそうでないというふうに見られるのか。この三百六十円という問題をとらえてみた場合に、一体どういうふうに理解すれば正当なのか、これをまずお答えしていただきたいと思います。
#4
○国務大臣(福田赳夫君) なかなかむずかしい問題だと思いますが、確かに、三百六十円が一ドルというふうにきめられたそのころから比べますと、今日はかなり円の立場というものが楽になってきたと、こういうふうに思うんです。当時の三百六十円というのは、これはまあ数字的にいま説明する材料を持っておりませんけれども、確かに非常に重苦しい三百六十円だったと思うんです。だから、実勢といたしましても、あるいは四百円相場が出ましたり、三百八十円だというような相場がやみ取引として行なわれましたりいたしたわけです。そういう中でも、しかし、三百六十円というものをいわば歯を食い縛りながらという形で維持し、やってきたわけですが、その後わが国の経済が進歩発展するその姿、内容、これが鉱工業が中心の経済発展であります。しかも、その鉱工業の中でも大企業が中心になって経済の発展を来たしておる。それで、輸出商品貿易商品が、中小企業製品ももとよりありますけれども、大体において大企業の製品である。大企業の製品においては近代化、合理化が行なわれた結果、そのコストが引き下げられておる。それで、ずっと引き続く賃上げにもかかわらず、卸売り物価のほうは安定をいたしてきておる。ですから、海外との接触面は大企業製品が主たる部門を占めますので、したがって、海外においてはやや上昇傾向にあるにかかわらず、わが国における卸売り物価は安定いたしておる。その結果、円の価値というものがだんだん実質的に高くなる。三百六十円で重苦しかった時代がここでまあ解消というか終末を告げまして、いままずまず楽だと、あるいは強含みであると言ってもいいような状態になってきておる、こういうことかと思うのであります。
 それに反して、わが国の国内物価の動き、つまり消費者物価の動きはどうかというと、これは非常な高さで上がってきた。これを押し上げている要因は何だといいますと、農産物と、中小企業製品と、それからサービス業なんです。この三つが柱となって消費者物価の高騰になってきておる。この消費者物価の高騰ということが大企業の面におきましては消化し吸収されておる、近代化、合理化によって。その中小企業、大企業の構造的乖離というか違いが、いま疑問を投ぜられておるような結果を来たしておるのじゃあるまいかと、まあそういうふうに見ておるわけです。
#5
○横川正市君 いま説明をされたようなことでこれを理解できるかどうかということで、もう一つ観点を変えて聞きたいのですが、昭和二十八年ごろ、まあ大蔵大臣は当時どういう地位にあられたか、池田さんが一兆円予算を組む時期に、一兆円の大台をこえることの是非の問題が相当激しい論議をされて一兆何百億かの予算が組まれたという経験があるわけです。それから大体十四、五年たったいま、財投を入れますと、十二兆近い予算というものを組んでいるわけです。これは、三十五、六年当時から急激にふえたという状況と、それからもう一つは、昭和九年から十一年以降の必要に迫られてどんどん公債、国債が発行されたという時期の予算の上昇度合いと比較してみて、当時最大の戦争遂行の目的をもって組まれておった当時の予算の増額の動向と、それから成長経済に移行してから急激に予算が大幅になっていく動向と、この増高の傾向というものは、この目的は戦前は戦争遂行のため、それから戦後は一体どういう要因でこうふくらまっていくのか、その要因の違いについてどうお考えになっておるのか。たとえばきのうの木村さんの質問の中には、日本はまだ戦争の痛手というものとかあるいは資本投下の不足というものを補っていくために、ある程度の税というものが、あるいは個人消費を押えても必要なんだ。と言ってみますと、日本の戦後の復興の中に依然としてなお根強く残っている戦前の痛手というか、あるいはそれから形が変わってきて、西欧並みなら西欧並みになるための努力だとか、そういうものがかみ合ってきて、それが一つの目的になって予算の規模が増大している、こういう一面と、それからもう一つは、生産が増大していく、所得がふえていく、それに伴って規模が増大していく。この均衡をにらみ合わせてみて、それは均衡のとれた予算の増額なのか、それとも、いささか均衡を失しているのではないだろうかという国内のいまの状態、この予算の伸びていく状態というものを戦前と比べてみて、いささか私は異常に来ているんじゃないかという気がするのですが、これはただ通貨数量説みたいなまあ言ってみれば方程式でなしに具体的に答えてもらいたいのは、一例を言うと、私どもは地方都市なんか行きましても、レジャー産業とかそれに付随するようなものがあって、消費の面は非常に高まっているけれども、健全な地方自治団体の財政というものがそこなわれている傾向というものを見るわけです。それからもう一つは、きのうも社会資本がおくれていると言われましたが、社会資本に相当金を突っ込んでいきましても、なおかつそれではまかない切れない問題というのが出てくるわけです。そういったことはどこに原因があるのかという問題なんですね。私は、均衡がとれた問題であれば、こういう異常体制というものは出てこないがと思う。均衡がどこかで狂っている、失しておるから、こういう異常な状態というものが出てくるんじゃないか。こういうふうに現実にそういうものを見ながら、これはしろうと考えで見るわけなんですが、これを理論的に言ってみれば一体どうなんだろうか。いや、それはこういう傾向なんだというふうな明確な答弁がいただければ、ひとついただきたいと思います。
#6
○国務大臣(福田赳夫君) 戦前と申しますと、これは昭和十二年からが、軍事国家というか、財政から言うと軍事予算的な色彩がずっと強く出てくる時期になるわけですね。つまり、二・二六事件というのが境目で、それで昭和十二年度予算というのが軍事予算になってくるわけです。それから支那事変となり、大東亜戦争、こういうことになる。私は、この時期はいまと比較にならぬと思う。戦前で一番標準的な比較対象となり得る時期というのは、いろんな角度から考えて昭和九、十、十一年だと、こういうふうにされておるのであります。そのときの予算の規模、これは平均しますと、大体二十二億五千万円くらいであります。これをいまの物価で換算しますと、五百八十倍くらいですから、一兆三千億くらいになるわけです。その一兆三千億円に相当する今日の現実の予算は何だというと、六兆七千億円になっている。五倍半くらいになりますか、非常に膨張しておるわけであります。それで、戦前は、そういう五・五分の一のような小さい規模の国家予算で、しかも、その内容を分析してみると、実に四割五分が軍事費なんです。一般の行政費または社会資本というような関係の費用は七千億程度のものであったわけですね。その七千億円に比べますと、今日は八倍くらいの規模に引き上がっておると、こういうふうに言えるわけです。なぜそういうふうにふくれ上がったかという要因を分析してみますと、第一は、何といっても社会保障です。これが非常に膨大化しておるわけです。それから次に大きな膨張要因は、公共事業費であります。次に大きな膨張要因ば何だと言うと、教育費である。そういう面に大きな変化が見られるわけでありますが、マイナスの要因は何だと、こう言いますと、これは軍事費のことは先ほど申し上げましたが、軍事費のほかは、国債費が非常に減っておる。国債を出している額は非常に少ない。その二つですね。そういう変化がある。
 その変化がどうしてそういうふうになってきたのかという根源は、これは数字じゃなくて私の観察でありますが、戦前の明治、大正、昭和、これを通じての日本国の財政というものは、軍事的色彩が非常に強い。社会資本の充実、社会保障の諸施設、文教対策というものがわりあいに手薄であった。戦後、そういう方面に大きく努力目標が向けられている。たとえば、それは予算ばかりじゃない、国全体の経済として見てもそうなんですね。戦前においては、たとえば海上ビルディングができますというと、「海上ビルディングパイのパイのパイ」と歌にもなっていた。あるいはまた、丸ビルができ、これは東京第一の名物になったわけです。丸ビル一つつくるのに一万六千トンの鉄を要するわけですが、そういうのが今日は続々できております。戦前はそれを丸ビル一つに押えて、他の建物は建てさせない。そうして、丸ビル一つの鉄量、一万六千トンあれば、りっぱな巡洋艦ができる、そういう方向に持っていかれたわけです。道路舗装なんかも、西欧諸国ではもう百年前から始めておる。それがほとんどないような状態であった。それを整備しなきゃならぬ。それから河川と港湾、みんなおくれておる。そういうようなことも取り戻しをしなきゃならぬ。それからさらに住宅施設、そういうものもたいへんおくれておる。それにも手をつけなきゃならぬ。そういうようなことで、われわれの生活に密着する諸問題が西欧諸国に比べて非常におくれておる。そういうようなことで、今日、わが国の財政というものが、軍事費はほとんど五千億というわずかな額であるにもかかわらず、このように膨脹しておる、そういうふうに理解をいたしておるのであります。
#7
○横川正市君 私たちの考えとあまり違わないから、すなおに受け入れられると思うんですよ。ただ、もう一点問題なのは、たとえば日本経済発展のテコですね。これはバイタリティというようなことで言われておるわけですが、バイタリティだけではない。たとえば、アジアの環境とか、あるいは国際関係とかいうことのいろんな影響力というものが日本経済の発展の一つの基盤になっていると思うのです。たとえば、きのうの新聞記事なんかに出ておりますように、日本の商品の売れ行きはたいへんよくて、「アメリカで胸を張っている日本企業」というような見出しで記事が出されているわけです。安かろう悪かろうということからではなしに、良質なもの、信用が置ける、そういうことで販売が拡張されているというような記事が出ておるわけです。これは、一体に商品価値が高まり。しかもそれが他と競争して劣らないものになっていくということもさることながら、アジアの市場、あるいは国際市場というものが、日本のようにいわば工業生産を高めていけない一つの要因といいますか、それはバイタリティという問題におくとしまして、一つの要因というのがあるのじゃないか。それは、朝鮮戦争で日本経済の危機がいわば救われたという皮肉な現象が起こりました。それからアジアの紛争が、ベトナム、あるいは三十八度線というような状況、あるいは金門というような問題、さらにはパキスタンの内紛であるとか、あるいはインドの国内の事情であるとかという問題、あるいは中東の問題、あるいはアフリカ、ラテンアメリカというような、そういうようなそれぞれの国が持っている困難な事情というものが、日本のある程度のテコになっているのじゃないだろうか。いわゆる国際的な小さくても紛争があることによって、消費も高まるし、そのことによって、生産基盤がおくれているということから、日本の全く無風状態の中で生産に努力をされているこういう企業が基盤を強化する、そういう条件があるのじゃないかと私は思うのですが、そういう点は、これは通産省かあるいは外務省に聞く問題かもわかりませんけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#8
○国務大臣(福田赳夫君) 日本の国の経済が異常な発展をした。それにはいろいろ原因があると思いますが、やっぱり労働の生産性ですね。これは、明治、大正を通ずる日本の教育制度、それに根を持った日本の良質な労働力、これが一番根っこにあると思うのですが、戦前に比べてさらに日本が飛躍的に戦後発展し続けておる要因というのは、平和だと思うのです。明治百年というが、戦争前は十年十年に日本は戦争を経験してきたわけです。日清戦争以前の十七年という例外を除けば、十年十年十年に戦争ですわね。そういう戦争が、とにかく戦後は十年目の戦争というものがない。いま今日戦争の危機があるかといえば、私はどうもはだに感じない状態です。この戦争による無用の消耗がなかったこと。それから財政的に言いますと、これは軍事費の負担も戦後免がれてきた。戦前は、戦争になればたいへんな戦費ですが、標準時においても四割五分の軍事費というものが支出をされておったわけです。軍事費は再生産をしない。たとえば鉄について言いますれば、鉄の生産は、戦前に比べまして、今日、戦前の最高の生産額の十倍になっておる。戦前の十分の一の鉄は何に使われたかというと、ほとんど軍事費の対象になったわけです。軍事費または軍需工場です。今日はそうじゃない。その鉄がいろいろな工場になり、商品になり、再生産で加速度的に回転をし発展していく要因をなしておる。そこに最大の原因があるんです。それは一体なぜできたかというと、これは横川さんと見方が違うが、私どもは安保体制がそうさせたんだ、こういうことになるわけですが、私は、日本がとにかく先進国と比べて非常な発展を続けておるということは、貴重な資材を消耗しない、再生産に使っておる、つまり軍事費の負担を免れている、この点にあると、こういう理解をしております。
#9
○横川正市君 非武装中正論をここでやるつもりはないわけですが、認められているわけですよ、保守党の中にも。ただ、非武装中立という問題を言えば、何かそれがいかにも安保体制と対立したものとして攻撃の矢面に立つようですが、実はそうでなしに、根底に日本経済を今日あらしめたものは何かと言えば、昭和九年から二十年八月十五日まではいかなくても、当時の軍事費、臨時軍事費を入れると、当時の金で百四十四兆円ですか、それだけのものが再生産をしなかったという事実と、それから戦後あれだけ国土が荒廃したという中から今日あらしめた根底は何か、これはバイタリティの問題も教育の問題もあるが、本来一番大きな要因は何かと言えば、再生産部門への力の入れ方にこれが異常なまでに入れられた、こういうことにあるんだということは、これはそこに安保をくっつけるとちょっと取ってつけたようなことになるのですが、それは認めているわけですね、実際には。
 そこで私は、実は今日の問題でとってみて、かりに日本の円というものの価値が、物価と対比してみるというとこういうことが一番妥当と言われている中での円の価値、そういうものが、本来ならば、日本経済のあり方、いわゆる復興状態とあわせて、国内の円価値をそれほど下げないで済まされるようなことができるんじゃないだろうか。それが毎年物価の上昇率を五・五%ないし六%ずつやっていきますと、たとえば、金利との対比の問題も何回か論議されておりますし、それから蓄積をしていた人たちの蓄積額がそれに見合ったものに交換できないという円に対する信用の失墜といいますか、これが出てくるわけで、物価を上げるということは、先ほど言いましたように、生鮮食料品とか、あるいは中小企業の生産といような簡単なものでなしに、それにどう対処しながら円というものの価値を下げないそういう政策をとるかということがほんとうは大切じゃないだろうか。定量説で見ていってもそうなんですが、その前に、国内の円価値をもっと高める、そういう政策がとられていいのじゃないか。その中に、私はこのあいだもちょっと吉國さんと話したんですが、たとえば道路一本をつくる。これは絶対産業道路として必要なんだと。ところが、その必要な道路は、一メートル何万円もかかるわけですね。それを今度はガスが掘り返す、電気も掘り返す、水道も掘り返す、また上下水道で掘り返す。見ておりますと、いかにも金が必要以上に支出されている。それが所得と結びついて円価値というものにどういうはね返りをしているんだろうか。いわゆる政治の中にあまりにむだがあり過ぎるのじゃないか。そのむだが、実は、低所得あるいは低生産性とか生鮮食料品とかいうものの手当てをする以上に大きいのじゃないだろうか。その大きさが、一兆円予算のときにあれだけ一兆円をこすことについての影響力を論議したのに、いまはもう全く無抵抗に予算を増大させている、こういう傾向になってきているんじゃないか。その点を反省しなければ、私は大蔵省が出しました「二十年後の日本」というのを見たときに、二十年後の日本のときに、どれだけの日銀券が増発をされていて、そうしてもう大蔵大臣のふところの中に千円札よりか一万円札が多いのに、今度は十万円札を持って歩くというようなそういう状態が出てこないのかどうか。いわば夢のようなアイディアはいいけれども、いまのような状態で一体このまま無反省で伸びていったら、日銀券の増発というのはどこまで増発されていくのか、非常にこれは問題なんじゃないかと思うわけなんですけれども、いわば私は使われるほうの面からきょうはちょっとお聞きをいたしておきたいと、こう思うわけなんですが。
#10
○国務大臣(福田赳夫君) お話の一面は確かにそうなんですね。私どももそういうふうに考えております。つまり、国民のふところぐあいを豊かにしなければならぬ。それには、全体の経済の消費水準を上げる。つまり、これが成長です。これがないと、幾ら物価が安定しておりましても、私どもの暮らしは楽にはならない。そこで、所得の増大ということを考えなければならぬわけです。ところが、これが行き過ぎますと、物価にどうしてもはね返りが来るわけですね。そこで、成長も安定もこれを両立させる政策ですね、これこそが最も貴重な政策である、こういうふうに考えるわけであります。そういうことから、このあいだ羽生さんから御質問があって、今後どうなる、こう言うから、どうも一二、三%という成長は押えなければならぬ、こういうふうに思う。かといって、七、八%という三、四年前の理想目標、これは最近の推移から見ましてどうも低過ぎるのではあるまいか、そういうふうに申し上げた。申し上げた趣旨はそこにあるし、成長も安定もともどもにこれを実現しようと、こういうことなんです。そこは心してやっていかなければならぬ、こういうふうに思います。五%というような物価の上昇、これを続けさせる、これはよろしくない、こういうふうに考えます。だんだんそういう方向に来ているのじゃありませんか。日本の最近の物価の上昇の推移を見てまいりますと、三十六年、三十七年、三十八年、これで六%台ということになったわけです。その前はずっと安定しておったわけです。ところが、これじゃいかぬという反省もあって、公共料金のオールストップを三十九年にした。そして、それを中軸にして物価安定努力が払われて、三十九年の物価というものは四%になっている。ところが、公共料金の一切据え置きというのを二年も続けるわけにはなかなかいかない。これを四十年には解除しなければならないということになり、そこで物価もまた上がる傾向になりまして、四十年というこれは未曾有の大不況の年でありましたが、この年には七%をこえるようなことになった。そこで、佐藤内閣は、これじゃいかぬというので、いわゆる安定成長という基本的な考え方をとったわけです。それで、物価は、今度は、四十一年に四%台、また四十二年も四%台、それから四十三年度はげたという問題でちょっと窮屈な事情がありましたのでこれを四・八というふうに考えたのですが、これがどうも四・八になりますか四・九になりますかといういま境目に来ておる、こういうことなんです。そういうことで、大きく見ますると、この十年間の物価というものは、あなたがいまおっしゃるとおりの方向に動いておるのです。その方向の努力をすれば私は克服できる。しかし、成長ということを考えると、どうしても三%やそこらの上昇は避け得られないような感じがしますが、そういうあなたのおっしゃる方向へと動いておる、これはひとつ御理解を願いたいのであります。
 それから予算が膨張する歯どめがないというお話でございますが、これはもう国会の御協力を得なければどうしてもうまくいきません。国会議員から、歳出をカットせいというお話は、軍事費については聞きますが、その他の問題についてはほとんど聞いたことがない。あれもふやせこれもふやせ、これが予算を歯どめのないようなかっこうにしておると思うのでありまして、その点は何とぞひとつ御協力のほどをお願いいたします。(笑声)
#11
○横川正市君 どうも立ち会い演説をやっているわけじゃないんで、もっと実質的に、たとえば減らすべきものがあれば減らし、ふやさなければならないものはふやしなさい。そのふやすべきものが幾ら、減らすべきものはどうかという政策論議があって、それであれもつけなさい、これもつけなさいと言うんですが、減らしなさいという点についてはどうなんだという点は大臣のほうから答弁がないだけなんですよ。
 それで、いま言ったような方向で全体が動いているとすれば、これは部分的なんですが、租税特別措置の全体を見てみますと、こういう性質のものがあるわけなんです。たとえば飲食や交際費はある程度減額をし、その減額されたものを、たとえば公害対策だとか、それからもっと健全な予算へ振り向けていくという振り向け方ですね。私は、Aから取ってBにやるという政策もあるけれども、Aの中でもっと健全な予算の使い方をすることにもう少し奨励をする政策というものをとったらどうだろうか、これが前段の問題としてあると思うんですよ。ですから、七千億か八千億になるだろう、交際費というのが。しかし、交際費が、潤滑油で必要な部面というものもあるだろうが、不必要に刺激をする面もあるわけだから、その刺激をする面を正確にとらえて、たとえば八千億なら、そのうちの二千億なり二千五百億なりをもう少し生産基盤であるとかあるいは社会資本であるとかいう健全なほうへ転換をもっと重点に取り上げたらどうなんだろうか、これを考えているわけですよ。それで、さっき言ったように、胸を張ってやれる重工業といいますか、そういうような面になおかつ貿易関係の恩典というものが依然として続いているという、そういうような点は一体どうなんだろうか。もう少し、そうではなしに、もう競争力がついたところはどんどん健全な方向に向けていく指導をしたらどうだろうか。そういう指導をするのにいま一番問題なのは、この税法があるために、使わなくちゃ損だという傾向が出ていないか。その使わなければ損だということをもう少し締めていかないと、実際には必要だと思われるところへの予算というものをつかんでくることはできない、こういうふうに私どもは思うわけなんです。私は、水田さんが大蔵大臣のときに、そのことを予算委員会で個々に指摘をしたら、水田さんは、次のときにということでしたから、大蔵大臣が福田さんになってからの時期に、大幅に予算の健全化をはかっていく、そのためには、交際費その他については大なたをふるったということだったのですが、さて、いまのこれが大なたかどうかという問題ですね。実際上の金額の面からいって、交際費は七千億幾らですか、そういう点を、政策の面で、大蔵大臣としてはそういう方向をとりますという方向が一つ出たわけですが、さらにこれからどういうふうにこれを強めていくのか、それをまずお聞きをいたしたい。
#12
○国務大臣(福田赳夫君) 交際費七千億という話ですね、これは確かにことしあたりはそれを上回る交際費ということになると思います。思いますが、これは国の財政支出じゃないのです。これは、申し上げるまでもありませんけれども、会社の支出なんです。会社といえども、事業を経営する上におきましては交際費が要るわけです。企業会計から、交際費というものは、当然経費だ、利益じゃないんだというたてまえをとっております。税法もそれを率直に認めまして、法人税法本法においては、交際費は経費である、こういう考え方をしているんです。ただ、交際費というが、これがいわゆる社用支出になるというような傾向もあり、どうも交際費が交際費の名のもとに乱費されるのじゃあるまいかという風潮が高まってまいりまして、そこで、今度は特別措置でこれを是正しよう。一般企業会計原理からいえば当然経費なんだ、当然経費なんだから、特例的にこれを課税をするようにしよう、こういう考え方が交際費の特別措置というふうになってあらわれてきておるわけなんであります。これが、一定の額を引いたその残りの半分までは否認し、これを利益と見る、損金としない、こういうふうにしておった現行の制度、これをさらに前進させまして、そして六割まではこれを課税対象にする、こういうふうにしてみようというのが今度の提案なんです。それで、その結果、またどういう反響になりますか、また実際の結果どんなふうに動いていきますか、そういう問題はフォローしたみたいと思うのですが、まあそのフォローした結果、もっと詰めたほうがいいんだという判断でもつきますれば、またそういうふうなことも考えなければならぬか、こういうふうに思いますが、考え方としてはあなたのおっしゃるとおりの考え方で動いているんです。国の財政の支出の中で効率的に使うということ、これは財政当局としては、主として主張し努力をしておるところなのであります。しかし、なかなかこれが実際の問題となりますると、そう簡単にいかない。ふやせふやせという要請のみいたずらに強く、これを押えてもよかろうじゃないかということになると、支持者が非常に少ない。こういう現状で、そういう効率化ということを目ざしながらも、それがほんとうに実のある充実した形で実行できないということを嘆いておるというのが現状なんですが、嘆いてばかりおられませんから、この上とも努力はいたします。
#13
○横川正市君 私は、そういう問題で、たとえば企業が生産活動をしている。それに伴って起こってくる公害は、地方とかあるいは国がある程度めんどうみながら公害対策をする、あるいは補助金を出すという傾向がありますね。そうではなしに、会社自体が公害防止のために使われるということを奨励するように、その面についての特例を設けてやるというやり方をやれば、大臣が、困ることではなしに、企業としてはもっと非常に有効な金の使い方をするのじゃないか。これは一例だけですけれども、そういう方向に転換したらどうか。
 それからもう一つは、会社の経理だ、国の経費ではないというけれども、これだけ所得が増大し、あるいは生産があがってきて、全体の金で計算をいたしますとワクが膨大になってきますと、租税をかけるべき対象、いわゆる構造が幾らか変わってくるのじゃないか。だから、既定のかっこうのものではなしに、それに対応するような体制というものをとっておかないと、非常に大きなむだやらあるいはポケットができて、税の公平というものは、期せられないのじゃないか。そういうことを考えながら、いまの――経済とか産業の活動の体質を考えているわけなんですよ。そういう面で、今度の場合も幾らか特例でもってそういうことが行なわれているが、よりこれを強めることによって一挙両得の結果が出てこないか、それをもう少し前向きで考える必要があるのじゃないかということをまず言っているわけなんです。
 もう一つ、私は残念ながらあまり金持ちではありませんから、金の値段がどうなったか、そう心配しなくてもいいんですが、貨幣価値が下がっていくということで一番困っているのは、保険とか年金だとかそういう制度の中にある掛け金、それからその制度の中にあって生活をしているそういう人たちの実態というものが、非常に貨幣価値の下落によって不都合をこうむっているわけですよ。その点を考えると、何とはなしに膨張したんだというようなことでなしに、もう少し的確に膨張した点をとらえて、そして貨幣価値の下落を最小限度にとどめるその方向がもっと強力にとられてしかるべきじゃないか。そうすると、強力にとられる方便というのは何かというと、やはりどこにむだがあるかということをつついていかない限り、三%程度ならば容認できる、これは通説ですから、そういうふうに言えるけれども、それ以上に伸びていくとすれば、一体それは何なのか。健全な伸びなのか、それとも、むだな膨張なのか、その点をやはり的確にとらえていかないといけないのじゃないか。それで、所得税とか特別措置をやる場合のいわゆる税源の体系が構造的に変わっていくとすれば、その変わったものに対応する対応策というものがあってしかるべきじゃないか。それを、ただ、たとえば、配偶者控除を一万円上げました、あるいは扶養控除を一万円上げましたということでは、一体どういう判断をしたらいいのかというその判断がなかなかしにくいんですよ。そうすると、ある程度のものがちゃんときまっておって、そうしてこれだけの税収のためには一万円だというような逆算しか生まれてこないので、一万円というものはどういう効果をあげているのだといういわば自主的な効果というものがない。だから、一万円上げても、ありがたみというのが感じられないのじゃないか。もっとありがたみを感じさせるためには、これはこういう理由なんだということを明確に言う必要があるのじゃないか。そういう健全性というものをもう少し的確にとらえてもらえれば、私はこれは非常に抽象的な論議をしているようですけれども、納得するわけなんです。だから、三%なら私はそれば容認しましょう。しかし、それ以上の伸びというのはこれは困ったということじゃ済まされないが、その困ったで済まされないものが貨幣価値の下落につながっていくということになると、もう循環して不都合が起こってくるのじゃないか。それをどこで歯どめをするのだという点なんですよ。本会議では、たとえば日銀の通貨調整とか、あるいは公開市場だというようなものが単に卸売り物価だけを見ておって、そうしてその結果インフレ的な傾向を示す、国際収支は黒字だが。それでも大体安定均衡された成長なんだというような言い方をしているけれども、国内ではいろいろな不都合が起こってくる。その不都合は一体何が原因なんだろうか。しかも、お金の問題になってくると、これは貧乏人にしてみるとたいへん重要問題なんですね。その点をどういうふうにとらえておられるか。これは税というのはやはり一つの調節だと思うんですよ、ある意味では。もちろんこれは必要施策に対する裏づけとしての予算のための税というものは考えられるけれども、それも大半でしょうが、しかし、税というものはそういう意味では一つの調節をもしているわけですから、そういう点からの構造的な変化にどう対処する税制をとるか、これをお聞きしたいと思います。
#14
○国務大臣(福田赳夫君) 先進国はみんないま消費者物価の上昇に悩んでいるわけです。その共通した問題は労働問題ですね。イギリスが、いま、ポンドがどうなるか。これは賃金、物価ストップ令ですか、これにどこまで労働組合が協力できるかと、こういう問題ですね。それからフランの前途はどうだというと、ドゴール大統領が労働組合との間の賃上げ四%か一〇%かという問題、これをどこでふん切りをつけるか、結着がつけられるかという問題というように理解をされているわけですね。わが国においてもそういう側面があるんです。しかし、私は、わが日本においては、フランスやあるいはイギリスに見られるように強権的な形でこの問題を解決することはよろしくない、これはどこまでも当面物価引き下げ努力をする、そうしてそれにも勤労者の協力を得るという形、そういうほんとうに国民総コンセンサスという形でこの問題を解決すべきものだというふうに考えておるのですが、そういう非常にむずかしい問題が伏在しておるというふうに見ておるのであります。しかし、とにかく日本は日本なりの行き方で問題を解決していかなければいかぬ。それには、やはり生産性を高めて、賃金の上昇というものをこれに吸収していく、こういう努力ですね。これは横川さんのおっしゃる効率あるいろいろな問題の解決ということにも通ずるかと思うのでありますが、そういう努力は、財政の面でもそうでありますけれども、企業の面においてもいまぜひしてもらわなければならぬ問題だというふうに考えております。税の問題は、税でそういう問題が解決されるというふうな性格のものじゃないというふうに考えますけれども、まあ税というものはいろんな副次的な影響力を持っておりますから、そういう問題にも貢献するようにというふうにいま税制の改正というのを年々考えておるというのが実情でございます。
 御指摘の基礎控除を一万円引き上げれば一体どういう効果があるのかというような点も、いろいろそういう角度から考えながらやっておる状態でありまして、今後ともとにかく財政においてもあるいは民間の経済においても効率ある金の使用をうまくやっていく。これができれば、物価問題もおのずから解決できるんじゃないか、そっちのほうへ通じていくんじゃないか、そんな感じがいたす次第であります。
#15
○横川正市君 いま、いろいろな問題があるのを、それでどういうふうにそれじゃやっていくかという点で、効率とか労働問題とかいうことでのことを具体的に指摘をされたんですけれども、私は、そういうものではなしに、生産性をあげてそれに伴う所得が増大をするという傾向をとるというようなこととか、それから分配率を高めていくとかいうようなそういう方向をとられることについて、どうこうと言っておるわけじゃないんですよ。そうではなしに、正常な形の中に、なおかつ不健全性という要因というものがうんとあるんじゃないか。その不健全性というのは、所得が増大したという形で伸びていっているいまの構造上の中にだんだん不健全性というものが広がってきているんじゃないか。その広がっているものをもう少し的確にとらえたらどうか。たとえば譲渡所得というようなものとか、それから法人の税の課税にしても二百八十万までというようなその要因になっている法人と個人の関係の問題であるとか、そういったことが考えられなければ、どこにもふくらまっていく要因というものを押える手だてというものがなくなってくるんじゃないかというように思うわけですね。それから交際費の問題でも同じなんですよ。ただ、それが、先ほど言いましたように、公害だとかあるいは資本の蓄積だとかいうようなそういう形での転換をされるならば、それも会社なら会社の中の一つの転換だ、あるいは国なら国の一つの転換の方向だいうことで、そういう方法をとられるならば私どもとしてはそれは歓迎すべきことなんじゃないかと、こう思っているわけなんです。ただ、所得税の問題できのうも戸田君からいろいろ議論をされたのでありますけれども、その税というものを考えたときに、たとえば生計費というものがある程度上がってきますね、物価の値上がりによって。そうすると、それの計算が非常に低い時点に置かれていると、十八歳で就職した者でも課税の対象になるパーセンテージが高まってくる。そうでなしに、もう少し実態に合った生計費というものを計算して、何もそれが不純な消費につながるというんじゃなくて、健全な消費をしていって、妥当な生計費というものが出された場合には、それは一つのコンスタントに置く必要があるんじゃないか。あるいは、大学まで行かせなくてもいいじゃないかと言うが、大学に行く者は、これは言ってみれば企業家で言えば資本投下みたいなものですから、そういう者に対しての一つのいわば免税の問題も考えていいんじゃないか。それはできるかできないかというのは財源の問題ですからね。そうすると、そういうこまかなことでも、ある意味ではそういうふくらまった不労所得みたいになっているものを的確にとらえれば、それに見合ったものが生まれてくるんじゃないか、よりそれは健全な消費につながるんじゃないかという意味でその転換をやったらどうだ、企業内の転換もあるし、まあそういう転換もあるんじゃないか、その両面から税のあり方というものを考える必要があるんじゃないかと、そういう点を申し上げているわけなんですよ。これは、おそらく、賛成だと、ただ基準のとり方が問題なんだと、こう言われると思いますが、大体労働組合が出しました税金酷書の中にあるまだ成年に達しない者からも所得税を取っているじゃないかとかいう言い方も、成年に達しなくったって月三万も四万も取っているじゃないかというそういうアンバランスがあるから、そういうあまりにもかけ離れたアンバランスで説明されないで、生計費の面から見て成年独身者一人頭の所得税課税の最低額を比べてみて、これは一体妥当だというふうに考えられるか。それとも、大学に行かれるような人たちを持った親の立場に立って見て、その教育費というものがどれだけ大きな支出になっているかという点を考えながら、それは今日の課税対象の最低限としてはこれだけ大きく膨脹した中での最低限としては少し厳格に過ぎないかという問題と比べてどうお考えか、ひとつお聞かせいただきたい。
#16
○国務大臣(福田赳夫君) お話はまことにごもっともなお話なんで、そういうようなことを考えながらやっておるわけなんです。まあいろんな角度からの整理という要請があるわけです。それを調整していく、総合的な整理というところに持っていく、そういう結論がわれわれの提案というふうになって出てきておるのですが、神ならぬ人間のやる仕事でありまするから、いろいろ足らないところがあります。それは、その年々刻々見返りまして、悪いところは面していく、また、時代がどんどん進歩して変化をしていきますから、その進歩に応じた改定を加えていかなけりゃならぬ、さように考えております。
#17
○横川正市君 それと、もう一つは現物給与というような形のものへの考え方なんですがね。これなんかの説明で、たとえば官庁で制服を着ている者の制服は一体所得か所得でないか。しかし、それは所得と見ていない、そういうような意味でいろいろやっているようですね。ところが、たとえば北海道なんかの石炭手当などという制度があります。そういうような制度を、これは余分なものを支給しているという見方をするのか、それとも、全くの現物であるけれども、所得だから当然課税の対象になるんだという見方だとか、あるいは、税体系があって、その税体系の中からそれだけはずすことは体系に影響があるという考え方だとか、いろんなものがあって、対象からはずれてないわけなんですね。それは一貫して今日まで一つの体系をとっているわけですが、これは一例で申し上げるんですが、石炭手当というようなものとか、通勤費の一定額というような考え方とかいうものは、他の収入からそれだけのものは支弁すべきであるという考え方が入っている。たとえば生計費の中に全然通勤なんていうものはないから、ある程度のものは個人が負担しなければならない、それ以上のものはという、それ以上のもののワクをきめるという考え方だとか、あるいは、石炭ならば、たとえば御飯を煮るとかおかずを煮るためにはどれだけ必要だから、どれだけのものは当然生計費から支弁すべきであって、石炭はそれ以外の生活に必要な経費として見るとか、そういうこまかな一つの計算というものがあって額というものが決定されていくのだと私は思うんですが、こういうようなものに課税をするということの考え方ですね、これは当然課税対象外になっていいんじゃないかというすんなりした意見というものがあるわけですがね。
#18
○政府委員(吉國二郎君) 現物給与の問題は、終戦直後には給与体系その他の点からかなり多くございました。非常に問題が多かったわけでございますが、最近ではかなり現物給与というものは例外的になってまいったと思います。現物で給与される場合と現金で給与される場合に、現物の場合は現金に比べて一般的な等価物でないという点から申しますと、その用途がかなり制約されているという点から、その評価等につきましてはかなり考えるべき点がある。また、実際その評価についてはそれぞれ適正な考え方もとっておりますけれども、その評価額が確定されれば、やはり現金給与と同様に所得として把握されるべきものだと思います。そのうちで、現在、たとえば通勤手当などは、現金の場合も、パスその他で現物給与した場合も、合わせて一定額までを非課税としておりますし、制服等につきましては、その勤務が制服の着用を強制しており、その制服が勤務場所以外では使用できないというような場合に限って非課税にしているわけなんでございます。これの考え方は、その勤務を行なうにあたって必ず必要とされるという性質のものを現物として受け取った場合に、所得とすることは、結局においては、これがその勤務のために消費されなければならないという意味でそれをまた控除するという結果になるものでございますから、そこでいっそ所得自体を非課税にしてしまったほうがいい、こういう考え方でできていると思います。
 通勤費につきましては、御承知のとおり、一般的に、世界的に見ましても、これがはたして勤務のための必要経費であるかどうかということについては議論がございます。アメリカなどの学者は、通勤費というものは住宅の設定との間の選択の問題である、郊外に住まっておる一つの用役、郊外にいるということによって得られる用役というものの無差別的な曲線を引いたところに通勤費というものが出てくるのだということも言っておりますが、ただ、日本の場合はだいぶ事情が違っていると思います。アメリカのような土地事情がかなりゆるやかなところと日本の場合とでは非常に違っておりますし、また、そういう意味でほとんどの企業が現在通勤手当を支給するという形が見られ、公務員にも通勤手当を支給するという制度がつい数年前からできてまいりました。そういう意味から申しますと、日本では、アメリカで割り切るように全然必要経費ではないとも言い切れない面がある。そういう面から、合理的な範囲におきましては通勤手当を非課税とする方式で解決をはかるのが現実的であろうということで処置されていると思います。
 石炭手当につきましては、これは勤務するしないにかかわらず、ある地域に住まっておれば石炭をたかざるを得ないわけでございまして、そういう意味では純粋の家事的な経費であろうと思います。ただ、これは、現物給与が手当として支給された場合に、それを所得と言ってしまっていいのかどうか、その点がいまの御指摘の点であると思いますけれども、それがまあ所得でないということになりますと、一体それを自分で購入して使っているものはどう考えるべきか。それを純粋経費だと言うについては、所得に直接関係がないという点も確かにございます。これは生活上の経費である。まあそういう点でもし石炭手当を非課税ということにいたしますと、これはいわば寒冷地の特別控除を認めると同じ結果になってまいると思いまして、これがまた基礎控除に地域的な差をつけるという問題にもつながってまいります。そういう点で、石炭手当につきましては、現在、制服その他のような非課税の扱いはしていないということになっているわけだと思います。
#19
○横川正市君 これはここで白黒がつくものではないのですが、私は、いまの説明ではちょっと納得しないから、またあらためていろいろ論議をしたいと思います。ただ、いま問題になっている、給与所得者、サラリーマンに必要経費を認めなさいという要求が出ていますね。これは、亀徳さんの説明によりますと、事業者は仕入れだとかいろいろなものがあって、それを引いたら所得とは違うのだということで説明をされているようだし、それから他との振り合いから見て必要経費というものは何もないじゃないかという言われ方をしているわけなんです。ですから、もし必要経費でなくて何らかの形で認めるとすれば、他の項目を考え出さなければいけないというような言われ方をしているわけなんですが、一体、この必要経費というものは、どういう趣旨で必要経費というものを認められているのかということなんですよ。それはいろいろな要素というものがあると思うんですね。そういう要素を俸給生活者に当てはめて考えるということは全くできない相談なのかどうかですね。いや、この部分ぐらいならば認められるということなのか、こういうやり方もあると思うんですね。たとえば健康保険とか何とかで医者にかかっているとき、本人は別に費用を心配しなくてもいいですが、家族の者が病気になったら、その医療費ぐらいは、医者の証明があればどうなのか、必要経費じゃないのかとかですね。これは全体に言えますね、勤労者だけでなくて。それからその他いろいろ勤めるために必要だと思われるものを他と比べてみて、一様に線を引いたが、それよりか幾らか多い支出をしているというようなものを、必要経費と見ているものと対比をしてみて、全く考える余地というものがないと判断されているのか、検討してみたらなるほどこういう点もあったわいということなのか、その点はどうなんですか。いま相当問題になっている点ですから、検討はされているのだと思いますがね。
#20
○政府委員(吉國二郎君) 給与所得者に必要経費がないということではないのでございます。いまの各所得を通ずる必要経費という概念は、収入を得るために必要な経費という限定をいたしておりまして、これは国民が年々生産する所得というものを課税対象としようとする趣旨でございますので、その収入、所得を発生させるためのコスト的なものを控除して、ネットの所得を課税対象としようという趣旨から、それが税法においては必要な経費という形で表現されていると思います。もちろん、それだけで課税をしてしまえば非常な過酷な結果になりますので、そこで、各個人に応じて担税力というものをある程度測定する基準として、各種の基礎控除とか扶養控除等を中心とする課税最低限を設けてあるわけでありますが、そのほかにも、担税力減殺要因としては、いま御指摘の医療費などにつきましては、これは必要経費という意味ではなくて、担税力を減殺するという点から、所得の五%をこえて医療費を支出した場合には、そのこえた部分については控除をいたしまして担税力に即応した課税をするというたてまえをとっているわけでございます。そういう趣旨から申しますと、亀徳長官が書いておりましたように、ほかのいわゆる事業所得者等に比べると、必要経費というものがかなり限られているのではないか。さっき御指摘がございましたように、仕入れ金額を引いてしまった、あるいは販売経費を引いてしまった後にももちろん必要経費というものはあると思いますが、その部分に相当するぐらいのところが給与所得者についてはまあ必要経費と言うべきところではないか。そういう点から申しまして、現在の定額控除十万円、今度の改正では、それをこえて百万円までが収入の一五%、それをこえれば収入の一〇%、さらに逓減していくということではございますけれども、この額というのは、必要経費と比較してみて、まあ必要経費が何であるかまだ確定できませんけれども、いろいろ当たってみて、必要経費的なものを出してみて比べてみますと、いまの控除というものはかなり大きな控除になっているのではないか。もちろん、社会がどんどん進歩いたしまして、必要経費というものもあるいはだんだんふえてくるという傾向もあるかと思います。そういう意味では給与所得控除を常に見直して適正な額にしていくということは必要だと思いますが、現在の給与所得控除というものがいわゆる給与所得者にとっては収入を得るために必要な経費をまずカバーしておると考えていいのではないかというのが亀徳長官の言った趣旨だと思います。
#21
○横川正市君 これはそういうあれで、たとえば扶養控除とか基礎控除とかいうようなものは、一体それじゃどういうものなんだと言っていくと、またこれはだいぶ論議をしなきゃいかぬわけですが、実際上全体の税収のうちの相当高い分を納めているという自負心を持っているわけですわね。自負心だからまあいいじゃないかというんじゃなくて、それにこたえて幾らか考えたらどうかという気持ちもあるだろうと思うんです、実際には。税の全体の負担率からいって。だから、いま圧力団体が出てその圧力団体が予算のむしり取りをするということではなしに、全くいままで声を上げなかったところで声を上げた。その声を上げたというのは、単に均衡とか不公平論だけではないと思うんですよ。生活は豊かになったじゃないかというのは名目だけであって、実質はずいぶんひどいですね。百円亭主が百五十円亭主になったかという時期ですからね。だから、ある程度の生活の実態というものをとらえて、そして生計費のかさみというものを計算してみたら、いまの生活の実態が必ずしも楽だというふうな言い方ができない実質的な面というものがたくさんあると思うんですよ。そういう点から実は税が高いんじゃないかという声が出てきたわけですね。こいつをどういうふうに見るか、ここが問題だと思うんですが、これは基礎控除にしても扶養控除にしてもどう見るか、それがほんとうに決定的なものかどうかというのはいろいろな論議がある点だと思います。そういうことで、重箱のすみをさがしてでも何か適当なものがあればつけようかというようなそんなものではなしに、大ざっぱに見たって、これは他と均衡のとれたものじゃないという考え方は持つべきじゃないのかと、私はそういうふうにいま思うんですが、この点はぜひひとつ検討していただきたいと思います。これは検討するするとは言っておるわけですから、今度は実質的なものが出てくるんじゃないかと思うんですがね。
 たいへんどうも専門家に質問するのには粗雑な質問で、ただ私の日常疑問に思っていた庶民の疑問を申し上げたわけですが、逐次私のほうも専門家になろうと思っていますから、ぜひひとつこの点はよろしくお願いしたいと思います。
#22
○委員長(丸茂重貞君) 午後一時再開することといたしまして、休憩いたします。
   午前十一時五十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十二分開会
  〔理事青田源太郎君委員長席に着く〕
#23
○理事(青田源太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
#24
○田中寿美子君 もうすでに、本委員会で、わが党の木村委員、戸田委員、横川委員などがいろいろな面から発言されましたし、また、ほかの党の議員たちの御発言からも、所得税法それから租税特別措置法に関連して意見が同じものもたくさんございます。それから衆議院のほうではこちらよりも十分時間がございましたので、非常に詳細にわが党の議員も発言いたしております。それで、あまり同じことの重複を避けて、多少違った面から御質問をしたいと思います。
 第一番に、これは大蔵大臣に伺いたいんですけれども、財政硬直化の問題なんです。最近ばったりと財政硬直化ということばを使われなくなったわけですね。四十三年度の補正予算を通すか通さないかというころまでは、総合予算主義という名のもとに、財政硬直化ということばはまだ盛んに使われていたんですけれども、一昨年から昨年にかけては非常に使われたんですが、このごろになってばったりと使われなくなってしまった。それは、年々膨張していく予算の規模に対して、物価が上昇するために、当然増経費がふえていく、だから年々予算の規模を膨張させざるを得ない、それを押えるのを財政硬直化ということばで押えようとしていたというふうに思うんですけれども、大蔵大臣いまでも財政硬直化という事実は解消してしまっていないというふうにお考えでございますか、どうですか。
#25
○国務大臣(福田赳夫君) 財政硬直化現象は、今日なお解決はいたしておりません。これはもう非常に根の深い問題だというふうに考えております。つまり、年々予算が膨張する。それはまあ確かに膨張させなければならない要因というものがふえてくるわけでございますが、同時に、これがふえるその内容の問題だと思うんです。予算はいろんな制度に伴って膨張しますが、そのいままでの制度が、今日の変化した状態において、なお当初の制度が認められた、また、発案されたそのときと同じように効力を発揮しておるかどうかという反省を常に加え、それに伴って制度の改廃による経費の減額ということをはかりつつ、また、別途新しい施策も生み出さなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけでございますが、私どもずいぶん努力はするのでございまするが、既存の制度の改廃がなかなか抵抗のある問題でありまして、思うようにいかないのであります。そういうようなことから、これが財政から見て硬直化という現象になるわけでございますが、この事態は、私どもの努力にかかわら、ず、まことに残念ですが、私どもが希望しておるような段階まで来ておらないのであります。この上とも努力をしていきたいと、かように考えます。
#26
○田中寿美子君 二月中旬だったと思いますけれども、NHKテレビの国会討論会に出ていられました自民党の根本政調会長が、野党側の質問に対して、このごろさっぱり財政硬直化ということばは使わなくなったではないかと言ったのに対して、いやあれは大蔵官僚のPR用語だったというふうに説明をしたんですが、それをどうお考えになりますか。
#27
○国務大臣(福田赳夫君) まあ決してPRというわけでもないのでありまして、四十三年度は当時見た財源の状況、そういうことから見、また、内外の情勢から見ても、財政に臨む態度が非常にきびしくなければならない、特別にその要請の高い年であったわけでありまするから、特段硬直化という問題についてアクセントがついた、こういうことはまあ言えると思うのでございますが、しかし、これは決して大蔵省のPRというわけではないので、そういう実情は現に存在し、これは政府も国会も両々相まってこの問題には取り組まなきゃならぬ問題だろうと、かように考えておる次第でございます。
#28
○田中寿美子君 四十四年度の予算は、非常に大型予算とされたわけですね。これは、国会解散も考えて、圧力団体がといわれるけれども、大臣みずから非常にたくさん大きくふやされたという感じがしているわけなんです。そのために財政硬直化ということばはだんだんこのごろ避けられてきているような気がします。大蔵官僚というのはなかなか頭がよく働いて、用語をつくるのが上手なんです。ちょうど昨年たばこの値上げの問題を審議しておりました当時、それに先立って物価の上昇しているときに、たばこだけ値上げをしなかったら意図せざる減税になるなんということばをはやらしましたね。そして、税制調査会が意図せざる減税になるからというような答申を出して、全くそれは疎通していると思います、当然でしょうけれども。ですから、財政硬直化ということばが官僚のPR用語であったというふうなことを根本政調会長が言われたのも、まあ事実そういう関係があるんじゃないかというふうに考えます。そういう言い方をすることは、結局、行政府が立法府より先に――それこそ日本の国会のあり方全体に私は問題があると思いますけれども、予算にしましても、法律にしましても、全部行政府のほうで案をつくって持ってくるものですから、それを立法の府でありますところの国会はただ承認するのがおもなる目的であるようになりやすいんです。そういう点では立法府を軽視するものであるというふうに考えるんですけれども、いかがですか。
#29
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、立法府を軽視するというような考えは、毛頭持っておりません。むしろ立法府の御意見を尊重するという心がまえでおるんです。現に、大蔵委員会におきましては、税法その他各般の御所見が述べられるわけでございますが、これは必ずその意見を検討し、そしゃくし、これが妥当である、こういうようなものにつきましてはこれを実現をいたしていく、こういう心がまえをとっておるのでありまして、今国会においても皆さんからいろいろ意見が述べられ、そして国会が閉会になるそのあとにおきましては、全部総復習をいたしましてこれを今後の施政に取り入れる、こういうふうにやっていきたいと、かように考えております。
#30
○田中寿美子君 まあ世論指導といいますか、根回しが上手というのでしょうか、先ほど、大蔵大臣が、膨張要因の中には社会保障とか公共事業費とか教育費をおあげになりましたが、一昨年来、財政制度審議会が、社会保障の問題に関する意見書を出したり、あるいは食管制度についての意見書を出したり、税制についての意見書を出したりしていますけれども、みなそれは財政硬直化ということがまず一番の基本にあって、だから社会保障のほうの費用にはもう出せないというような言い方をしていたわけですね。ですから、やっぱりそれは大蔵省がつくる予算原案を一ぺんに上手に通させたいという考え方でされたのであって、いつもそういうふうにされていると思いますけれども、そういう点では国民の代表でありますところの立法府が議論した政策によって行政府のほうがやっていくというふうな方向に行くべきではないかと考えているんですが、これは簡単には直されない問題だと思いますけれども、大蔵省関係の法律案については前々から大蔵省の内部の方々がいろいろと世論指導しておられるというふうに私は感じますので、その点をここで申し上げておきたいと思ったわけなんです。
 それで、きのう、わが党の木村禧八郎議員の質問に対して、経済企画庁長官は、「経済社会発展計画」の手直しを考えるときだと言われた。そのことが新聞紙上にも報道されておるんです。大蔵大臣は、実質八%という成長率は低目だと。けさも、一二、三%というのは高過ぎる、一〇%ぐらいが安定した成長率だというふうに考えていらっしゃるというふうに言われたんですが、それがいわゆる高能率経済計画の考え方でございますか。
#31
○国務大臣(福田赳夫君) まあ一二、三%も経済が成長すると、どうしても、摩擦熱というか、ひずみ現象というものを避けられないと思うのです。そういうようなことよりは、むしろ、物価に対しましても、あるいは諸施策の均衡ということから見ましても、つり合いのとれた発展というものをやっていくためには、成長率全体として低目のほうがいいのではあるまいか、そういうふうに考えます。ところが、実勢というものを見てみますると、さあその一〇%を大きく下回るというようなところに押え込むということを考えてやっても、なかなかそれができないのじゃないか。できないことを頭からあえてこれを絵にかくというようなことになりますると、そこに実際と計画との間に大きな狂いが出てくる。それがまた国政にゆがみを生ぜしめるゆえんではあるまいか。やっぱりここは理想は理想でありまするけれども、現実性のある理想でなければならない。そういうことを考えますと、まあ一二%というのは二、三%は高過ぎる、しかし七、八%というのはどうも低きに過ぎやしないか、その間の適当なところという程度をにらむべきじゃあるまいか、そういうような感じを持つわけでありまして、今度「経済社会発展計画」をやるという際には、あんまり現実離れをしたことでなくて、実際実績がこの計画とマッチするようなところに頭を置いていかなければならぬだろうと、これがいま私の考えているところであります。
#32
○田中寿美子君 ということは、昭和三十五年以降の実質成長率は大体一〇%くらいを続けてきたわけですけれども、それ以上のときもあったわけですが、その過去の高度経済成長政策と同じようなことを今後高能率経済政策ということで続けられるというお考えなんですか。
#33
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、経済が、過去に見られないようなでこぼこ、一、二年の引き締め基調、それから次いで二、三年の好況、またそれの反動としての不況というような形が出てくることは、これは国家的に見て非常にロスの多いことである。ことに、そういうインフレ、デフレの波に、小さい者、弱い者が押し流される、そういうことであってはならない。やはりこれは安定した速度で経済が切れ目なく行くという形がいいのではあるまいか。それには、過熱現象というものをどうしても避ける必要があると思うんです。過熱ということになりますれば、どうしてもそれが国際収支と物価に影響するわけですが、物価、国際収支というようなことを踏んまえまして経済が行き過ぎないようにそのかじとりが非常に大事なことじゃあるまいか。いままで、戦後、ことに三十年以来の推移、そういうようなことを反省し、行き過ぎがない、したがって切れ目がない成長、そういうものをねらいとしていかなければならないのじゃないか。そうすると、自然にこれはこの三年間の成長よりは低いところをねらわなければならぬ、こういうことになるわけです。そうすることによって、いろんな問題、不均衡の問題、ひずみの問題、そういうものも自然に解決されていくという素地ができてくるのではないか。そういうふうに考え、今後そういう状態が長く続き得るように財政金融のかじとり、このかじとりに大きく力を注いでいきたいというのがただいまの私の考えでございます。
#34
○木村禧八郎君 ちょっと関連して。ただいまの御答弁ですね、これは私きのう問題にしたんですが、それだからこそ、安定成長をしていくためには、国民総生産の構成比が問題になると思うんですよ。構成比を問題にしないで、ただ成長率だけを問題にしたのでは、私は行き過ぎが出てくるのじゃないかと思うんです、大臣の言われるような安定成長の中には。そこで、個人消費割合と民間設備投資と政府財貨サービス購入。さらに、それには、在庫投資、住宅投資。それから貿易の出超がありますね。国際収支のバランスをとることが安定成長の一つの前提になると思うんですよ。いままでは、実質一〇%成長、そのことばかり言っているんでしょう。それがまた行き過ぎた。行き過ぎたのはなぜか。バランスが狂っているわけです。民間設備投資がずば抜けて独走しているわけでしょう。そして、個人消費のほうがずっと低下している。「経済社会発展計画」は五五%ですけれども、四十四年度は実質では五〇%程度ですから、「経済社会発展計画」を割っているんですから、そこのところをどういうふうにめどをつけていくのかということを質問しても、一つも言われない。それの中身、国民総生産の構成比を明らかにしないで、ただ成長率だけを問題にしても私は意味がないと思うんです。そういうところを伺いたい。
#35
○国務大臣(福田赳夫君) その辺が、新しい「経済社会発展計画」というか長朝計画において検討の課題になるわけですね。その際の気分というか感触をきのは申し上げたわけです。木村先生は、この構成比の中で、個人消費を大いに上げろ、こういうふうな意見であり、そのためにはどうしても設備投資を押える、こういう必要があるのじゃあるまいかというような御説でございましたのでございますが、私は、それに対して、どうも社会党の理論的立場としてそういうことになるのだろうかというような一まつの疑問をきのうは投げたわけなんです。とにかく、私どもは、個人消費のシェアが大きくなるということ、これも先々は考えなければならぬが、いま大事なことは、これは社会資本の充実、つまりわれわれの共同の生活基盤を整える問題、これが非常な立ちおくれをしておる。先進国に比べて何十年おくれておりますか、たいへんなおくれだろうと思うんです。そういうわれわれの生活環境ですね、そういうことを整えることが非常に大事なことなんで、私どもが一家をなして、そのマイホームのワク内だけの生活が充実するということで私どもは生活は幸福にはなりませんから、私どもを取り巻く環境というものが整備されてはじめてわれわれ全体の幸福というものがあるわけである、こういうふうに思うわけなんです。私どもは所得がある。われわれのマイホームの支出にもこれは使いますが、また、同時に、税としてその四分の一はわれわれの共同の社会のために拠出をしておるわけです。この拠出がまたわれわれの生活の構成内容である。われわれは、家庭を営むのと同時に、共同の家庭を営んでおる。ですから、私は、国民経済全体における個人消費の伸び、これにそうこだわるという考え方はどういうものだろうか、こういう感じがするわけなんです。適当なバランスはとっていかなければならぬとしても、経済全体が発展する、それにつれて所得は伸びるのです。その上にさらに構成比までどんどんと伸ばしていくということになったら、一体どうなるのだろうかという疑問を抱かざるを得ないのです。ことに、わが国は、戦前は軍事国家である。そこで、一般の施設というものが非常に立ちおくれてきている。その上にさらに戦争を経験しておる。この戦争で国土は荒廃されてきた。それらの取り戻しをいまこそしなければならぬ時期なんで、したがって、私は社会資本の立ちおくれというこれのシェア、これに熱意を持たなければならぬと思いますが、どうもそういうものを犠牲にして押え込んでまでもう何が何でも個人消費のシェアをふやす、この考え方はどうも理解ができないんです。日本が先進国並みにりっぱな生活環境が整う、そういう時期においては今度は個人消費もふやしていく、こういう考え方をとりたい、こういう基本的な考え方です。
#36
○木村禧八郎君 大蔵大臣は誤解されている。私は、民間設備投資と個人消費を問題にしているんです。民間設備投資が行き過ぎているから、社会資本の立ちおくれと物価の値上がりが生じているんですよ。そうでしょう。ですから、社会資本を充実させるためにも、物価を押えるためにも、やはり民間設備投資を押える必要があるというんですよ。それと個人消費と民間設備投資と密接な関係がありますね。これは作業を企画庁はされていると思います。相関関係があります。一番のあれは個人消費が一番ウエートが大きいんですよ。ですから、それが五〇%よりふえる・減ることによって、民間設備投資がふえる。減る、これは蓄積等の関係で非常に重要で密接な関係があると思うんです。ですから、大蔵大臣、私は社会資本を犠牲にしてまでも個人消費を高めろと言っておるのじゃない。そうじゃないですよ。むしろ、いままで設備投資が独走し過ぎてしまって、社会資本の立ちおくれと物価の値上がりがひずみとして出てきておるんですね。ですから、民間設備投資を問題にしておるのです。ですから、国民総生産の構成比のアイテム、個人消費、それから民間設備投資、政府財貨サービスですね。政府財貨サービスの中に資本支出と経常支出が出てくるわけですね。ですから、それと民間設備投資は別なアイテムなんですよ。そこが大蔵大臣は誤解されているんですよ。何も社会資本を犠牲にしてまで個人消費割合を高めろと言っておるのじゃない。民間設備投資と個人消費との割合ですね。ですから、一〇%の実質成長率論を提起された根拠はわかりました。そのときに個人消費の割合のめどをどの辺に置いておるか。それはもう実質では五〇%を割っておるんですから、「経済社会発展計画」で予定している五五%くらいをめどにするのか、あるいは五〇%を割るところをめどにしておるのか、それによって財政なり税制なりいろいろとずいぶん変わってくると思うんですが、そこのところはどうですか。
#37
○国務大臣(福田赳夫君) 個人消費の構成シェアをどの辺にするか、これはこれから作業する問題です。数字で幾らというふうに申し上げかねる段階でありますが、気持ちを申し上げておるんです。それで、いまお話がありますが、個人消費のほかに、個人の支出する家計費の中にも個人消費でないものがある。住宅投資ですよ。そういうものが大きくなる。私は、個人消費はそう伸びないが、住宅投資が伸びる、これは非常にいいことじゃないかと思うんです。ですから、個人消費の数字にばかりこだわるという考え方はどうもいただけないところがある、こういうことを申し上げておるわけなんです。
  〔理事青田源太郎君退席、委員長着席〕
 ただ、いまあなたが御指摘になった後段の問題ですね。つまり、設備投資が行き過ぎをしていやしないか、こういう点については、そんな感じがいたします。しかし、あまり押えますと、これはまた供給不足になるわけでございますから、消費支出の内容というものにも影響してくる、こういうふうに考えているんです。今後長きにわたって経済のかじとりをするというと、結局、財政と金融が主軸になるんです。財政は社会資本の問題に主として関係をしてくる、これをどういうふうにあんばいするか。また、金融は、あなたのおっしゃる設備投資、これに関係をしてくるわけでございます。そのときの国の物資の経需要、総供給というものを見ながら、設備投資の額というようなものを調整しなければならぬ。経済全体が走り過ぎるという際には、つまり設備投資を押える、また財政を緊縮するというようなことをする。また、どうも経済が沈滞ぎみであるというときには、逆に金融をゆるめるとか、あるいは財政を積極化するというようなことを考えなければならぬわけであります。大体民間の消費の趨勢というものはわりあいに安定した速度で伸びておりますので、これについて調整を加えるということはなかなかむずかしい。むずかしくてもいいだろう、あとは設備投資と財政というものをよくにらんでこれが運営に誤りなきを期するということでやっていけるのではないか、そういう感じでやっております。
#38
○田中寿美子君 いまの問題は、社会資本のとらえ方に問題があると思います。大蔵大臣は社会資本をふやすべきだと言われた。私たち、もちろん、個人消費をふやすだけではなくて、社会資本をふやせということを言っているわけですけれども、しかし、大蔵大臣は社会保障だとか教育費だとかそういったようなものが膨張要因であるというふうに考えてこれを押えようという考え方ならば、社会資本というものはふえていかないと思いますね。それで、「経済社会発展計画」を手直しする。同時に、四十一年の十一月に経企庁が出しました例の二十年後の国民生活のビジョンというんですか、「将来における望ましい生活の内容とその実現のための基本的政策に関する答申」というのがありますが、それによると、例の有名な、十年後に国民生活の面から西欧水準にする。それから二十年後には現在のアメリカ並みに達するというふうに述べられているんですけれども、その中でも、このビジョンに述べているところの国民生活向上の水準というのは、あくまでフローの水準であってストックの水準ではない、ストックでは西欧とまだ差があるのだということを言っておりますね。この差がなくならないというのは、一体どこに原因があるのでございますか。
#39
○国務大臣(福田赳夫君) これは日本の国と西欧諸国とが非常に違う点なんですが、日本は、戦前は経済力が非常に小さく弱い国であった。それにもかかわらず、世界の三大海軍国である、世界の五大陸軍国である、こういういわゆる軍事国家であって、その軍費のほうに国の総生産のシェアが非常に強く割り当てられておる、そういうふうなことで、自然に、われわれの共同の施設、つまり社会資本、これらの面で立ちおくれが来ているわけなんです。これが非常なおくれであるということは、道路一つを見ましても、もうナポレオン三世のころにいまのパリに近い町づくりができ上がっておる。わが日本はどうかというと、今日なおほんとうにごみごみした都会生活をしなければならないような状況です。上水道、下水道を見ても、全く立ちおくれの状態である。あるいは都市の清掃というような面、そういうような面でもかなりおくれておる。そういうわれわれの生活環境、これが長い間おろそかにされてきた。こういうところに根本的な問題があるんだろうと思うのです。戦後それを非常に急速な形で取り戻しをしておるというのが現状、そういう理解であります。
#40
○田中寿美子君 それで、いまの経済企画庁の二十年後のビジョンの中で、だから所得保障の必要があると。たとえば社会保障では、昭和三十五年で国民所得のわずか五%、現在は六%程度だと思います。ヨーロッパ諸国は一四%あげている。それは、特に年金制度のおくれとか、それから決定的に欠けておりますところの児童手当の制度だとか、老齢者の生活不安があるとか、身障者、母子対策、公共保健サービスがおくれている、それからいまおっしゃった生活環境施設がおくれている、こういったようなことを充実させなかったら、ストックにおいても西欧並みまでいくということはなかなか簡単ではないということを指摘しているんですけれども、これにはいまのお話でしたら賛成なさるわけでございますね。
#41
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりと思います。つまり、いま国民の一人当たりの生活ですね、所得水準は、イタリアの次で第二十位だというふうにいわれるんです。ところが、これから経済が発展する、その経済の発展を考えますと、私は十年と言わぬ、五年ぐらいでわが日本の一人当たりの国民所得というものは西欧並みになる、こういうふうに見ます。ところが、その時点において、われわれの生活が西欧並みの水準になったかと、こういうと、そういう私は感じは出てこないと思う。出てこないゆえんのものは、いま私も申し上げ、また、田中さんもおっしゃられましたが、われわれの日本の社会では蓄積がないんです。つまり、家庭においても蓄積がない。その第一は家ですね。これがないと言ったら語弊があるかもしれませんけれども、非常にお粗末である。また、調度というようなものに至っても同様であります。それから同時に、われわれの城、家を取り巻くところの環境ですね、下水だ、道路だ、上水道だ、そういう施設も公共のストックで、これが整っておらぬ。こういうようなことで、生活の年々の資源である所得はふえるけれども、生活の向上感が西欧水準並みに五年たったらいくのかというと、そうはならない。社会資本、また家庭の蓄積、これに努力しなければならぬというふうに私が強調いたしておるゆえんは、そこにあるわけです。
#42
○委員長(丸茂重貞君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#43
○委員長(丸茂重貞君) 速記を起こして。
#44
○田中寿美子君 それでは、所得税のことはちょっと飛ばします。法人税並びに租税特別措置法の関係で大臣にお尋ねすることが最初にあるんですけれども、それは飛ばしまして、今回の租税特別措置法の中で、公害対策の優遇措置があるわけです。それで、これは初めて出てきたものなんですけれども、一体どういう項目が入っているか、そしてどれだけの特別措置による減税を考えているかということについてちょっと御説明を願いたいと思います。
#45
○政府委員(吉國二郎君) 今回の改正におきましては、公害防止施設関係の特別措置といたしまして、従来から置いてございました重油脱硫施設、それから排油処理施設、さらに液化ガスの保安施設、工業用水道の施設、これらのものにつきまして、初年度三分の一の特別償却制度を設けておりましたが、それらが期限が到来いたしますので、それをまた二年間延ばすということにいたしましたほかに、新たに、従来は耐用年数の短縮ということで対処いたしておりました汚水処理施設、それからばい煙処理施設、さらに新たに騒音防止施設につきましても、同様な初年度三分の一の特別償却制度を認めることにいたしたわけでございます。それで、これによります減収額は、従来の制度の延長といたしましては約十二億、新しい制度といたしましては八億、合計で約二十億の減収を見込んでおるわけでございます。
#46
○田中寿美子君 公害対策という形で租税特別措置法の中に項目があげられてきたのはことし初めてだと思いますが、毎年そうしていらっしゃったのでしょうか。私どもはちょっと気がつかなかったのですが。
#47
○政府委員(吉國二郎君) ただいま申し上げました今回延長いたします特別償却は四十二年から入れております。それで新しく入れましたものは、ばい煙処理施設、汚水処理施設、騒音防止施設というものが新しくつけ加えられたわけでございます。
#48
○田中寿美子君 私は資料を見て予算に入っていたことを知っておったのですけれども、最近公害問題が非常にやかましくなったから特に今度の説明資料の中に入れられたのではないかと私は思っているのですが、実は、私、全国の公害の点検運動に参加したものですから、各地で公害問題にぶつかったわけなんです。それで、法律上、公害対策として租税特別措置の適用を受けるという条件ですね、これは政令で定めるということになっているわけですが、これはどういう条件でございますか。
#49
○政府委員(吉國二郎君) 公害防止の特別償却をいたします場合に、対象施設が一般的でございませんので、個々の施設で公害防止に役立つものにつきましては、個々に設備を告示をいたしまして、それに基づいて償却ができるようにということにいたしております。たとえば騒音防止施設などになりますと、機械にそのまま据えつけてあるものもございますし、特別に設備を要するものもございますので、それらを個別に審査いたしまして、特別償却が必要なものについては告示するという形で処理をいたしておるわけでございます。
#50
○田中寿美子君 その政令の基準なんですけれども、私は地方に行きまして、公害防止施設をつくるのに資金がなくて困っている。これは特に中小企業の場合が多いわけなんですが、そうしたら、公害防止事業団というようなものがあるから、そこからの融資を受ける方法があるというようなことを言いますと、いや、適用範囲に入っていない、地域が入っていないとかいうようなことを言われるわけなんですけれども、これはどういうやり方できめていらっしゃるのですか。
#51
○政府委員(吉國二郎君) これは、「法第四十三条第一項の表の第六号に規定する政令で定めるものは、大気の汚染又は海水の汚濁その他の公共の災害の防止のため、その災害基因となる有害物の除去又はその災害による被害の減少に著しい効果がある機械その他の設備で大蔵大臣が指定するものとする。」ということにいたしておりまして、政令ではあまり限定をいたしておりませんで、むしろ実際に必要な施設が今後個々にできていきますから、それを担当の官庁と相談をいたしまして、個々に指定をしていくというやり方をしておりますので、その施設の内容によって必要なものであれば告示を加えてまいるというやり方で現在やっております。具体的には、通産省の公害関係の部局の人が参っておりますから、詳しくはそちらから……。
#52
○田中寿美子君 指定を受けられないというような何か規制みたいなものはないのですか。だれでも申請すれば、どういう人たちがどういう手続でこれは適用しているのですか。
#53
○政府委員(吉國二郎君) これは、個々にと申しましたのは、その施設を掲名いたしまして、それに該当するものであればだれでもできるわけでございます。一々特別償却を受けるための承認を受ける、個々の人が承認を受けるという体制ではございませんで、告示には必要な施設と認められれば告示されるというやり方をとっておるわけでございます。
#54
○説明員(小泉孝夫君) いまの先生の御質問は、租特法の対象施設にどういうような基準でなるのかという問題と、それからもう一つ、中小企業者がいろいろ公害防止施設をするときの融資問題、この対象にはたしてどういうものがあるか、そのときに公害防止事業団というものがあるというようなお話で、その公害防止事業団の融資対象にはたしてどういうものがなっておるのか、ならないのかというようなお話じゃないかと思うのですが、公害防止事業団と申しますものは、いまの業種対象地域というものがもちろん御指摘のようにございます。しかし、これは現在ばい煙規制法による指定地域と、それから水質保全法による指定地域と、それからこれらに準ずる地域というようなことでございまして、たとえばその指定予定でもう調査をしたりなんかするような地域まで広げてやるようになっておりますので、まあ発足当初よりもその運用がある意味ではゆるやかといいますか拡大されております。したがいまして、この地域にあるからこの融資対象にならないというようなことはまあないのではないかというふうに思います。たとえば、先般も、諏訪湖等におきまして、これは別に水質保全法の指定地域ではございませんが、行く行くこれに準ずる地域というようなことで、その対象にもなるというふうな質疑が国会でもなされておるわけでございます。また、それじゃその対象施設というものは一体どうか、こういうことになるわけでございますが、これもやはり同様でございまして、ばい煙規制法なり水質保全法という法律規制の対象になっているようなものはすべてやはり融資の対象にしなければいけない、こういうふうになっておりまして、たとえば形の上では共同公害防止施設をつくる場合、それから工場、アパートのようなものももちろんございます。それから集じん機、それからいまの共同排水処理施設というようなものにつきましても、やはり中小企業、大企業をとわず融資の対象になっておる、こういうふうにお考えいただいてけっこうかと思います。
#55
○田中寿美子君 大企業はいろいろな意味で優遇されておるわけです。だから、いまさら公害について特別償却の措置を受けなくてもやっていけると思うんですがね。一番たいへんなのは中小企業でございまして、そうしてそういうところでの公害が一番また防止がしにくいわけなんです。たとえば、大阪の西淀川地区のように、中小企業の零細工場がずっと取り巻いていて、その中に学校があったり住居地があったりする。あるいは、川崎だって大きいものもあるけれども、小さい工場がいっぱいある。あるいは、東京都内にもそういうところがいっぱいあるわけですね。そういうものに対する租税上の優遇だけじゃなくて、いまもお話があったように、公害防止事業団、あるいは中小企業振興事業団もあるかと思うのですけれども、そういうものからの援助といいますか、金額として非常に少ないわけなんですね。それで、公害防止事業団の貸し付け金額ですが、まず予算のほうはことしどうなっておりますか、四十四年度は。
#56
○説明員(藤森昭一君) ただいまの本年度の予算でございますけれども、公害防止事業団全体の事業といたしましては百六十億というものを予定いたしております。これは大体四十三年度の二倍に当たるものでございまして、この内訳といたしましては、百二十億を造成建設事業、四十億を融資の事業に回すと、かように予定いたしております。
#57
○田中寿美子君 その公害防止事業団の貸し付けた金額で見まして、中小企業と大企業の割合なんですけれども、どんなになっておりますですか。
#58
○説明員(藤森昭一君) 事業団は、御承知のように、四十年から設立されて活動を開始しているものでございますが、四十三年度までの実績から見まして貸し付け事業について申し上げますと、大企業に対する貸し付けが五十億をこえております。それから中小企業向けにつきましては十一億程度でございました。比率から申しまして、大企業に対しては八二・四%、中小企業に対して一七・六%、これが実績となっております。ただし、これは貸し付け事業でございまして、中小企業の場合には、融資を受けて事業を行なうということよりも、むしろ中小企業同士が共同いたしまして公害防止施設をつくる、あるいは移転のための団地を求めるというふうなことになっているケースが非常に多うございまして、そちらのほうを見ますと、四十年以降の実績といたしまして、大企業に対しましては二億三千万、中小企業向けには百四十七億ということでございまして、比率から言いますと、大企業が一・五%、中小企業が九八・五%という実績になっております。造成及び融資両方合わせまして、ちょうど四分の三が中小企業向け、四分の一が大企業向けと、これがただいままでの実績でございます。
#59
○田中寿美子君 絶対額が少ないんですね、ほんとうに。公害防止の設備というのはお金が要るんで、大企業の場合、私はたとえば横浜の日石で見たんですけれども、あそこは横浜市長が飛鳥田さんなものですから、非常に指導しておりまして、設備投資額のうちの三〇%ぐらいまで脱溜装置にかけたり集じん装置にかけたりするようなこともやっております。それは、大企業にはそれだけの力がありますし、それから法人税で十分優遇措置を受けているわけなんですね。昨日も議論になりましたけれども、三百万円以上の収入は三五%という法人税率そのままなんで、それでも優遇を受けているわけなんですから、大企業はいまさら公害についての特別措置を受けなくてもやれる。しかし、それを公害防止の名のもとに税法上のさらに優遇措置を求めているという傾向があるような気がするわけですけれども、絶対的に必要なのは、中小企業に対する単に税法上の優遇措置だけじゃなくて、金融面でも公害防止事業団の全体の予算というのは実にまだまだ少ないものと私は思っておりまして、このあいだの予算委員会のときに公害問題を質問したときに、大蔵大臣に、今後これは非常に重要な問題だから、来年度、再来年度に、倍にも三倍にも国家予算の中での公害防止予算もふやし、公害防止事業団に出す財投からの資金なんかもふやす意思はおありになりませんかと言ったら、重大な問題ですから十分検討すると言われましたが、公害問題について十分認識してくださいますでしょうか。
#60
○国務大臣(福田赳夫君) 公害問題というのは、われわれ日本社会が当面しております最大の問題の一つであると言っても過言ではないと思います。これから数年になりますか、一九七〇年代いっぱいになりますか、この公害問題はほんとうに真剣に取り組まなければならぬ、こういうふうに考えております。いろいろ御意見がありますが、そういう方向で取り組みたい、かように考えるのであります。
#61
○田中寿美子君 この際、ついでに公害防止事業団のことを少しお聞きしたいのですが、私は公害問題では、あまりここではやりたくないと思っております。ほかのときにもつと十分やりたいと思いますけれども、公害防止事業団の幹部といいますか、これのお名前を私事業団の要覧を拝見しましたのですが、この方々というのは、大体皆さん各官庁から天下りでいらっしゃると思うのですが、いかがですか。理事長はじめ全部ちょっとおっしゃってください。いまおわかりになりませんか。――それじゃ、私ちょっと申しますと、理事長の原文兵衛さんは前警視総監ですね。それから理事鈴村信吾さんは前厚生省援護局長、同理事古澤実さんは元通産省工業品検査所長、同じく理事の上東野正二さんは前大蔵省印刷局総務部長ですね。それから監事堀部清さんは前林業信用基金監事といったぐあいですね。役人がなっちゃいけないということではありませんけれども、公害防止というような大きな仕事は、将来予算を非常にふやしたり、それから財投から資金を使ったりするものでございますから、十分公正にやられるように、そうしてほんとうに公害防止ができるような仕組みにしていただきたいということをこの際要望して、この問題はこれで打ち切ります。
 大蔵大臣が戻っていらっしゃいましたので、所得税の問題に入りたいと思いますが、課税最低限の問題であります。昨日戸田さんがたくさん給与所得者の所得税の問題について議論されました。渡辺委員が指摘された問題で大蔵大臣のお答えがあったのですが、長期税制のあり方についての税制調査会の答申を完全に実施しますと、昭和四十五年には、五人世帯で計算を厳密にすると、百二万八千六百七十四円というのが課税最低限の計算として出るんですね。大蔵大臣は、四十五年百万円ということを言っていられます。これは政府、自民党も言っているわけですが、この最低限百万円というのは、一ぺん引き上げたら、そのまま当分は変えない、こういうお考えでございますか。
#62
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十五年においては課税最低限をぜひとも百万円まで上げたい、税制調査会の長期答申を四十五年度において課税最低限につきましては実現いたしたい、こういう考えでございますが、さあ六年度以降をどうするかという問題なんですが、六年以降の問題につきましては、課税最低限をさらに引き上げていくということを引き続いてやるべきか、あるいは、税率調整というか、いわゆる納税階級の負担感という問題、これに大きく取り組むべきか、これは検討を要する問題じゃないか。皆さん方の御意見もよく承らなきゃならぬ、税制調査会の御意見もお聞きしたい、こういうふうにいま考えておるのですが、私はこの前大蔵大臣をしておるとき、田中先生の御質問に対して、四十五年百万円ということを私から申し上げたんです。そうすると、田中先生は、それは実質百万円ということですか、物価騰貴がありましたならばその分だけ上げてという趣旨ですかと、こう言いまするから、私は物価調整を加えた額を考えたい、こういうふうにお答えを申し上げておったんです。ですから、そのお答えから見ますると、いまの答弁はちょっとそぐわないところがありまして、率直にこれは田中さんにあやまらなければならぬと考えておるのですが、いろいろ御意見があるんです。さあ、百万円というところで、西欧諸国にそうひけをとらないところまで来たのだから、この際はひとつ税率調整、サラリーマン減税とか何とか、いろいろ問題が起こっておる、そういうようなことから税率の問題に深く入るべきじゃないか、こういう強い意見もあるわけであります。これは国民全体がどういう方向を選ぶか。最低限の問題は、十万円引き上げますると、千億をちょっとこえる額くらいの財源が必要なんです。千億の財源を持ちますれば、かなり思い切った減税、所得税納税階級に対する減税ができるわけなんです。これはどっちがいいものだろうかと考え込んでおるところなんでありまするが、皆さんの御意見等をよく伺って、また世論の動き等も勘案いたしまして結論を出したいと、かように考えております。
#63
○田中寿美子君 私が攻撃する前にあやまっておしまいになりましたけれども、どうもたいへん残念なことなのでありますけれども、四十一年の五十一国会で、三月、四月、大蔵委員会で再三にわたって私が念を押して、当時の福田大蔵大臣が実質であると、課税最低限は。だから、物価にスライドさせて引き上げるというふうにお答えになったのでございます。それで、四十二年には水田大蔵大臣が百万円構想を本格的に打ち出されたわけですね。ですから、四十二年から計算をしたとしても一、物価の上昇率を政府の上昇率で見ても、四十五年はほんとうは百十六万円です。ですから、あのときのお考えをもし実現したとしたら、百十六万円なり百二十万に四十五年は最低限はしなければならないはずだと思うのですけれども、昨日質問もあったのですが、税制調査会の答申でも物価の上昇に見合った調整の必要はあるけれども、しかし一定の金額を目標に立てて課税最低限を上げるということにはしないで、いろいろなやり方をするというようなことを言っているわけで、いま言われたどっちにするかということじゃなくて、必要ならば両方ともやらなきゃならないことだというふうに思います。
 そこで、給与所得者の必要経費の問題がだいぶ議論されたのですが、実は昨日私聞いておりまして、主税局長が何回か言っていらっしゃったことば、つまり、給与所得者が、たとえば大島教授の裁判問題を引き合いに出して、ああいうふうに裁判を起こす、そうすると、うまく言いくるめる者は、その巧拙によって必要経費が認められたりなんかするんだというふうなことをおっしゃったんです。このことばは非常に問題だと思うんです。給与所得控除は、必要経費をもし考えるとしたら、ある一定額とするほうが妥当だという考え方、これは私わからないでもないんです。しかし、立証技術がうまければ必要額が認められて、まずい者は損をするからだめだという言い方は、実はこれは国税通則法の一部改正案を衆議院のほうでは出しておられますが、あれに関連してですけれども、大体税金の通達主義ということはほんとうはよくない、通達行政は。本来税金というものは租税法律主義であるべきものなんだけれども、なぜ日本でそういうふうに通達主義で発達してしまったか。これは、給与所得者の場合でなく一般の事業所得者の場合は、税務署から受けた通達をそのままうのみにして払う方が多くて、日本の納税者というのは異議をあまり申し立てない、こういう慣習がある。だから、税制調査会の税制簡素化に関する第三次答申の中にもありますけれども、今度の簡素化ということは、同時に通達行政、通達主義をやめなければならぬということになると思うのです。それは納税者がみずから自分の所得を発表して、そして税務当局と話し合いをして、自分のものはこれだけであるということを主張し、そして税務行政のほうがこれに対して、これだけが妥当だというふうに話し合いをして納めるという習慣がないものだから、税務署のほうで非常にこまかく細則をつくったり、一律の画一的な通達をしたりするわけでしょう。だから、煩雑になってきた、日本の税務行政は。税務行政を簡素化するためには、この通達行政を改めなければならない。これが趣旨だと思うんです。それで国税不服審判についての法案が出てきたわけでしょう。それなのに、それでは給与所得者は文句を言う権利が全然ないのかということが私は一つの問題だと思う。だから、その底に流れている思想というのは、本来納税者がみずから自分の収入を申し立てるべきがほんとうであるべき姿なんです。しかし、給与所得者全部にそうされたらたいへんだから、源泉徴収をしているのでしょう。そうしたら、必要経費を申し立てる権利もほんとうはあるはずだと思うんですね。そうしますと、私は大蔵省主税局の総務課長の大倉さんという方の書かれたものを「財経詳報」で読んだんですけれども、その中に、主税局長さんのおっしゃったと同じことばがあるんです。結果として立証技術がうまくて税務署を説得する能力がある人だけが税が安くなるという奇妙な結果になるということが懸念されると、こういう言い方をしている。通達行政を廃止する、なるたけ通達主義にならないようにしていくというのが税制の簡素化にも通じ、納税者の意識を高める方向であるという、その方向に向かわなければならないのに、こういう言い方をするというのはどうかと思うので、きのうから何回も主税局長が技術がうまい人が得をすると言うことは、これは納税者として非常に不服なんですけれども、どうでしょうか。
#64
○政府委員(吉國二郎君) 御指摘のように、税法について通達がこまかいことを規定し過ぎるという点は、確かにございます。ただ、この通達はあくまでも非常に複雑な規定を実施していくために税務行政の指針として与えているものを通達として公開をしている性質のものでございまして、法律、政令と違いまして納税者を拘束するものではないわけでございますが、大体において税務執行上はそれが基準となるであろうというところからいえば、納税者がそれにのっとって計算をしているという性質のものだと思います。そういう意味で、今回の通則法におきましても、具体的なケースが通達と合致しないという点があれば、審判者はそれを具体的ケースに妥当な解決をして始末をつけることができるというような措置をとるようにして御審議を願っているわけでございます。昨日、私が、給与所得者について必要経費の控除を認めた場合に、その立証技術の巧拙によって差が出るということを申し上げましたのは、実はその前に給与所得者についての必要経費というものの控除の基準を法律で明確にすることが非常にむずかしいという前提がございまして、そのために、非常に抽象的な規定が置かれた場合には、その解釈上非常に大きな問題が出てくるであろうと思いますし、また、御指摘のように非常にこまかい通達が出るのではないかと思うわけでございます。そういう意味で、前々から申し上げておりますように、給与所得者の必要経費というのは、一般の事業者の必要経費のようないわゆるコスト概念なんというものがないだけに、千差万別でもあろうと思います。非常に個性的な面もあるかと思いますので、それだけにもう少しこれを概念を明確に整理をして共通の地盤というものが出てこないと、これをいきなり明確な基準なしに必要経費というものを控除するという制度をとりました場合には、結果としてはかなり主観によって左右されるし、そうなれば立証技術の巧拙というものによる差が非常に大きくなり得る分野ではなかろうか、その辺を前提として申し上げたわけでございまして、確かに立証技術の巧拙によってという言い方にやや不適当な点があろうと思いますけれども、そういう前提で申し上げたわけでございます。
#65
○田中寿美子君 これも、先ほど申し上げましたように、大蔵官僚がことばをはやらせるというのはほんとに各所にあるんですね。それは気をつけていただきたいと思うのですけれどもね。
 要するに、私は、給与所得者にも異議を申し立てる権利があるはずだと思うんです。それはお認めになるんですね。給与所得者にも異議を申し立てる権利がある。すべての納税者の持っているのと同じようにあるんでしょう。
#66
○政府委員(吉國二郎君) もちろん、いまの制度でございますと、源泉徴収制度でございますのと、給与所得に対する計算原則としては、収入から給与所得控除を行なったものが所得であるということになっておりますから、その計算に誤りがあれば、これは当然異議の申し立てもできるということになるのでございますが、本来給与所得者については必要経費――収入に必要な経費を控除する規定がございませんので、必要経費を引いてくれという意味の異議申し立てば、これは法律上不可能ということになると思います。
#67
○田中寿美子君 要するに、納税者にはみんな通達に対して異議を申し立てる権利があり、そしてその異議が認められなかったら不服審査を要求する権利がある。そこで、給与所得者の場合には、やはり必要経費の問題で、いま訴訟もあちこちで起こっているわけですけれども、たとえば、昨日から提案されていましたように、交通費とか、教育費とか、あるいは医療費といったものを必要経費として、一定の階層あるいは収入の場合にはこのくらいというようなことを考える余地はないのかどうか、これは大蔵大臣からお伺いしたいと思います。それは政治的な判断が要ると思うんです。
#68
○政府委員(吉國二郎君) 技術的な点で申し上げたいと思いますが、前々から申し上げますように、御指摘のございました教育費とか医療費という問題は、これは収入を得るための必要経費ではないのでございまして、そういう意味では事業所得者にも認められない性質のものでございます。したがって、これは担税力を相殺するものとしての判断から控除を与えるかどうかという政策的判断になると思いますけれども、必要経費というものであれば、むしろこれは必要経費そのものを収入を得るに必要な経費というものをなまで認めるということになれば、これは業種別に法律で率をきめるというのは、むしろ盛んに非難されております社会診療報酬と同じようなことになるので、必要経費として認めるという場合になれば、それは個々の具体的計算によらざるを得ないと思います。担税力減殺要因としての各種の控除として新しくものを考えるかどうかは、これは政策の問題だと思っています。
#69
○木村禧八郎君 関連して。先ほど最低課税限と物価の問題について田中さんから質問があり、また、その質問前に大蔵大臣から釈明があったのですが、物価と減税の問題について三点だけ伺っておきたい。どうも割り切れない点がありますので、今後の減税につきましても必ず物価の問題がつきまとってくると思うんですよ。だから、物価の問題と減税と切り離して考えたら全く意味はないと思います。
 そこで、第一点は、これは衆議院の大蔵委員会でもおそらく問題になったと思うんです。前に一応私が問題を提起しましたが、昭和三十八年の税制調査会の答申、中山さんが委員長のときのあの答申では、物価が五%程度上がったとき、所得税の自然増収の二九・八%、約三〇%はこれは増税になる、したがって、所得税の自然増収の約三〇%、これは減税すべきであるという答申ですね。そうしますと、これを単純に前提として計算しますと、四十四年度の所得税の自然増収が五千八百五十五億です。そうすると、その三割となりますと、千七百五十六億になるわけですね。ところが、政府の所得税の減税は千五百億ですから、これからいえば、減税といいながら、物価調整を考えると二百五十六億増税になる計算になるんです。これは間違っておると思うのですね。まずそれが第一点ですね。
 それから第二点は、この物価調整のためには、どうしても私は税率をかけるときに、相当の、何というのですかね、所得の次の税率へ移る場合の額の開きですか、これをもっと大きくする必要があると思うんです。たとえば、現行、十万円以下から、三十万円以下、六十万円以下と、こういう刻みですね。ところが、物価調整を考えた場合、この刻みについて見ると、今度の改正についてですよ、税率は下げたけれども、刻みが小さくなっているんです。それから高額所得層については刻みが大きくなっている。これは、私は、物価調整を考えたとき非常に不公平じゃないかと思うんですよ。高額所得の場合、刻みが、たとえば現行では四千五百万円から六千万円でしょう。ところが、四千五百万円から六千五百万円になっちゃっているんです、刻みがね。そうなりますと、高額所得の人のほうが、名目所得がふえたけれども、刻みが大きいのですから、同じ税率なんですよ。ところが、所得が小さい人のほうは、名目所得がふえたとき、刻みが小さいから、高い税率がかかってくる、こうなるでしょう。ですから、この刻みについても非常に不公平があると思うんです。ですから、今後物価調整を考える場合、この刻みも同町に考える必要があるのじゃないですか。そうしないと増税になってしまう。あるいは、減税になっても、政府の予定した減税も実質的にはもっと減税が少ないものになる。だから、この刻みも非常に重要だ。だから、今後は、物価が上がらないと前提すれば別ですけれども、やっぱり五%、六%上がっていくというような場合には、予算をつくるとき政府が発表しますから、四十四年度は五%を前提にして物価調整をやる必要があるのじゃないですか。そうしなければおかしいと思うのですね。それが第二。
 それから第三は、私が計算してみたんですが、私の試算なんですけれども、物価が上がった場合、これは減税にならぬという結果が出てくるんです。たとえば夫婦子供三人百万円の場合、改正前では一万三千三百十円の所得税です。ところが、今度は、改正後については、物価が五%上がったら、かりに名目所得が五%上がって百五万円になったとするんですよ。そのときには、改正による所得税は一万二千三百円なんです。そうすると減税は千十円ですよ。ところが、政府が減税という場合には、一万三千三百十円に対して、百万円が変わらないと、七千二百六十一円が所得税になる。約六千円ばかり減税になるというんですよ。ところが、名目所得が五%上がった場合には、六千円の減税じゃない、千円程度なんです。それを、今度は、物価が七%上がって、名目所得が七%かりに上がったとしますと、むしろ増税になっちゃうんですね。一万三千九百円になるんです。こういう関係で、物価と減税との関係をやはりきちんとしませんと、ごまかしの減税になると思うんです。
 この三つの点について……。
#70
○政府委員(吉國二郎君) 昭和三十八年に税制調査会が出しました算式は、これは当時として非常に所得税の減税のむずかしいときに、なぜ減税をしなくちゃならないかということを説いた文献であるわけでございます。ただ、この場合問題になりますのは、高額所得者ももちろん物価変動によって実質的な増税ともいうものが起こり得るということは計算上出てくるわけです。この計算をやりますと、上のほうの所得者もすべて物価による増税現象というものが起こる。それを全部調整すべきだということになると、はたしてそれでいいのかという問題が残るわけです。そういう意味では、私ども課税最低限を中心にした物価調整額というものを計算し直したことがございます。これがいつも申し上げておる四百二十億という数字でございますが、そこで、一応先生の御指摘の算式で計算をいたしました場合、私どもの計算ですと、大体八百億という数字になるわけでございます。これは、なぜかと申しますと、御承知のように、ことしの自然増収と申しますのは、去年の当初予算に対しての自然増収でございますから、去年中に実現してしまった期中の自然増収を含んで差額が出ているわけでございます。ですから、昭和四十四年中の所得上昇による分、あるいは物価上昇による分と言ってもいいかもしれませんが、それによる自然増収は三千九百二十七億円でございます。さらに、ことしの予算をはじきます場合の消費者物価の伸びと所得の伸び率、これによる物価調整所要額の割合、いわゆる税制調査会が言っております三割に相当する部分は、ことしの計算でございますと二六・四%になりますので、それで調整所要額というのが千億程度と出まして、さらに、ことしは前年度の減税が平年度化して約二百億行なわれております。実質上出てまいります。そういう関係で、差し引き八百億というのが税制調査会の算式によることしの計算ということになると思います。もちろん、この場合の総所得の中で、三千九百二十七億というのは、ことし実現する分の中から利子配当に関する所得は除いております。これは比例税率でございますから、物価調整の関係はございませんので、この分を除きますと約四千億、さっき申し上げました三千九百二十七億になるわけでございます。そういう計算で例年差し上げております計算をやったのが八百億という数字でございます。政府で申しております四百二十億は課税最低限だけを動かした数字でございますから、その辺は相違がございます。
 それから第二点でございますが、確かに税率の刻みは幅が広いほうが物価の変動があった場合のいわゆる実質所得と名目所得の差による増税現象と申しますか、自然増税現象というのを防ぐにはいいと思います。それで、税制調査会の答申も、そういう意味で、一方においては税率を下げ、そうして幅を広げるという案でございますけれども、実は、今回実施をいたしましたのは、この税制調査会の案の一部を実施したために、ややその点では従来と違った形がございます。従来よりも幅が狭まったように見えますけれども、これは従来の幅を分割いたしまして軽減の率を間にはさんだために刻みが小さくなったわけでございますから、おっしゃるような意味で物価騰貴があったら不利になるという形で刻みの幅を狭くしたのではなくて、軽減した率を間にはさんだために刻みの幅が狭くなった部分がございます。しかし、これは、長期税制答申の内容を全部実現すれば、吸収されて、下のほうの税率の刻みは低くかつ幅も広くなるという結果になると思います。過渡的な現象だと思います。したがいまして、ことしは少なくとも心配は要らないと思います。
 それから三番目の問題は、いまおっしゃいました一万三千三百十円で、五%名目所得が引き上げがあった場合には、千十円という減税でしかないとおっしゃいましたが、これは本来五%――両方とも五%伸びた場合の計算でございますか。ちょっと私間違えておりました。五%所得が伸びて、五%物価が上がった場合をおっしゃったんですか。
#71
○木村禧八郎君 そうです。そういう意味です。
#72
○政府委員(吉國二郎君) そういう意味では、実所得が上がっていないから、本来減税は幅が少ないということにはなると思いますけれども、これはほっておけば五%所得が伸びれば税金も五%はふえているはずなんでございますから、そういう意味ではやはり減税であることは間違いないということになると思います。また、七%も伸びるという御指摘がございましたが、七%とかあるいは一〇%というふうに物価が上がると想定をすれば、これはいかなる税制でもかなり増税現象が起きるので、ことし五%で考えていけば、いまのところそういう意味の増税現象は起きないと、かように考えております。
#73
○木村禧八郎君 関連ですから、もうこれだけにしますが、さっきの第一のほう、税制調査会の答申どおり計算して八百億というんですね。問題は、やはり高額所得者のほうも物価調整をやるかどうかという問題です。しかし、減税の場合は高額所得者のほうの減税も加わっているのです。減税という場合、千五百億の場合は。そうすると、千五百億の減税と言いながら、かりにあなたのほうの計算を前提にして、千五百億から八百億引くでしょう。七百億じゃないですか。物価調整すればそういうことになるでしょう。ただ、それをみんな高額所得も調整するかどうかというけれども、千五百億の減税の中には高額所得者の減税も入っているわけですよ。そうして減税と言っているんですから、そうすれば、物価調整をやれば、七百億じゃありませんか。それが一つ。
 もう一つは刻みですね。私は、上のほうが大きくなっているのはどういうわけかと言うんです。現行は四千五百万円から六千万円までの刻みが、今度は四千五百万円から六千五百万円になる。現行の刻み幅が五百万円であるのに、改正の場合は上のほうが一千万円の刻み幅になる。だから、税制調査会の答申の高額所得層に有利な部分が取り入れられているというように見受けられる。さっき言われましたように、低いほうの刻みが縮んでいることは、やはり税率を低めるためにそうなっているのであって、物価が上がったら不利になるという形で刻みの幅を縮めたんじゃない、こういうようなお話ですが、それは一応認めるとしますよ。ですけれども、高額所得層のほうが刻みが非常に大きくなっちゃっているんですね。
 それからさっき物価が七%上がったらと言ったら、そんなに物価が上がれば税金が高くなるのはあたりまえですと。しかし、これは政府の五%というのは平均ですよ。ですから、個々の勤労者の家計について見ると、やはりエンゲル係数の高いところは五%じゃないと思うんですよ。経済企画庁の所得階層のなにがありますけれども、しかし、あれなんか私は統計はどうも信用できない。エンゲル係数の高いところは相当の影響があると思う。ですから、そういうことを考えると、やっぱり物価が上がったときの物価調整については十分もっときめこまかい配慮をすることが今後必要なんじゃないかということなんです。別に責めているわけじゃないんです。今後物価はどうしても上がるんですから。上がっていいというわけじゃないですけれども、幾らわれわれが反対したって上がるんですから、いまの体質からいけば。負債過剰のいまの経済体制からいけば、不可避的にインフレ的になるんですよ。そういう場合のときには、やはり減税のときにきめこまかなところをよくあれしていただきませんと、善良なる国民がだまされると思うんですよ。ほんとうに減税だと思ったら、実際はそうじゃないということになるから、そういう点はわれわれもよくこまかく気を配って実質的な減税になるようにやはりしなければいけないと思うんです。
#74
○政府委員(吉國二郎君) 今回の改正で高額所得の部分がややずらされているという点は、御承知のとおり、長期答申が、七五%、八千万円超まで持っていくことにしておりますので、一どきにそこにつなげることは不可能でございます。そういう意味で、調整的に間をとったということでございますので、御了承いただきたいと思います。
 それから確かに御指摘のように物価の問題はあるのだと思いますけれども、政府がいままでやってまいりました課税最低限の引き上げはかなり速度が速いわけです。物価騰貴率が、たしか三十五年からでございますか、三十五年から四十四年までに大体五五%消費者物価が上がっておりますが、その間に課税最低限は大体二倍半まで引き上げております。そういう意味では、物価の上がったことによる増税現象というものは、かなりいままでの減税で追い越しちゃっておるということも考えているわけでございますが、もちろんその段階その段階で問題を考えるということも必要だと思います。しかし、政府がいままでやりました課税最低限の引き上げというのは相当速度が速かったという点から、そういう意味では、単年度単年度で考えずに、長期的に見ますと、物価騰貴の速度を追い越した課税最低限の引き上げが行なわれたように思います。税制調査会が、百万円まで来て、今後は所得、物価水準の調整ということを考える必要があるけれども、大体よかろうと言ったのも、そういうところからではなかろうかと思います。もちろん、今後とも、物価、所得水準の変動というものを考慮に入れないということは適当でないと思いますが、そういう趣旨から申しますと、昭和三十五、六年ごろに比べると、課税最低限というものは実際の消費者物価の上昇に比べてかなり高くなってきておると、かように考えます。
#75
○田中寿美子君 実は私の時間が来てしまったんですけれども、でも木村先生が私がやるよりは有効な関連質問をしてくださいましたので、あと私ははしょりますので、多田さん、御了承ください。
 それで、現在のままで経済が成長していって、物価が上がっていく、そういうかっこうですと、税収というのは上がる一方だと思うわけです。それで、毎年減税しなかったら、増税になるわけなんです。先ほど、大蔵大臣が、課税最低限を上げるべきか、それとも税率でもって操作していくべきか、いい知恵があったらということでございましたので、例の二分二乗方式のことなんですけれども、これを採用なさる意思があるようなお答えも衆議院かどこかでやっていらっしゃったと思うのでございますけれどもね。それで、四十三年度税調の答申のほうでは、課税単位の問題ということで、あまりはっきり出ていないんです。三十九年のときの長期税制の答申のほうには、二分二乗方式ということばも出ているわけですね。ですから、収入を共同の所産と見て、半分は妻のものとして別々に課税するという方式は、こうすれば累進率が低くなって有利になる、こういうことを検討する気持ちがあり、また、これを採用する気持ちがあられるのか、四十六年度ごろから実施する気持ちがあるかのようなことを言われたように聞いておりますが、そうでございますか、大蔵大臣。
#76
○国務大臣(福田赳夫君) この問題につきまして、時期を限っていつ実行したいということを申し上げたことはありません。どこかの新聞にそういうふうな趣きのように報道されましたが、そういうふうには申し上げてないんです。つまり、夫婦は相協力して家の所得を生み出す、これはそのとおりだと思うんです。ですから、その所得を生み出す上における夫人の影響、これは尊重し評価されなければならない、そういうふうに考えます。でありますが、これを一律に二分二乗というところまで持っていくということは、現在の税体系から見まするとなかなか大問題であります。つまり、税収にかなり大きな減収を来たすことになるわけなんであります。さようなことを考えますと、現在の所得税体系をかなり思い切って根本的な改革をするというときでないと、この問題は取り入れられないのじゃないか、取り上げにくいのではあるまいか、そういうふうに考えるわけであります。確かに、これは、夫人の地位、また夫婦協力体制ということから見ますると、二分二乗方式ということは一つの考え方だ、こういうふうに思っておるわけでございますが、まあしばらくこれは検討問題にして預からしてもらいたい、かように考えております。
#77
○田中寿美子君 税率の調整だけで、はたして毎年上がっていく税収の伸びの中から増税にならないようにできるかどうかと思うので、二分二乗方式を使った場合に、アメリカやイギリスや西ドイツなんかもやっておるわけですが、かりに百万円の収入の場合にもし二分二乗方式にしたら、どのくらい所得税が給与所得者の場合違うでしょうか。百万円、百五十万円、あるいは二百万円の場合、どのくらい納税者の側からいいますと違っていくか。それから給与所得者全体を二分二乗方式で税を取るとしたら、どんなに減収になるのですか、いまの四十四年度で。
#78
○政府委員(吉國二郎君) 二分二乗方式をやってみたらどうかという点でございますが、これは百万円のところでやりますと、百万円の方は課税所得に対する適用税率が一番下の税率でございますので、二分二乗にいたしましても結果は同じなんです。ですから、五千三百十円が五千三百十円になる。結局同じなんです。今度は百五十万円になりますと、ちょっと上の税率が適用になりますから、六万三百十七円が五万一千六百五十四円で、八千六百六十三円の減税になりまして、一四・四%の軽減になります。二百万円になりますと、さらにそれが影響いたしますから、十四万四百七十二円が十一万三千二百五十六円で、二万七千二百十六円、一九・四%の減税になります。これでおわかりいただけますように、この制度は、ほかの税率を動かさずに直ちにやりますと、上のほうの所得者が非常に得をして、下のほうのほとんど最低の税率を使われておる大多数の所得者には影響がないのです。そういう点で今後課税の単位の問題、あるいは税率その他の形とそれらをあわせて検討しなければならないということを税調が言っているゆえんでございます。
 全体の計算は、実は私も仮設がたくさん要りましてちょっと計算できないものですから、いま明らかになっておりません。
#79
○田中寿美子君 それじゃ、所得税のほうはそれだけにしまして、租税特別措置のことは先ほどちょっと大臣のいられないときに公害関係のほうに触れましたけれども、ほかのことを触れている時間がございませんが、ただ一点だけ、私、租税特別措置法に関しては、最初シャウプ勧告によって資本の蓄積のために採用された制度だというふうに思っておりますが、何年か前ころまでは税調の会長の中山伊知郎さんも、これは税の公平という観点からすると悪法であって、できるだけ早くなくすべきであるということを言っていられたのですが、最近むしろ後退してきたような気がするんですね。ことしは、租税特別措置の期限が切れてしまったものが二十三ですか二十二ですか、それに対して新たにまた二十三できたということで、租税特別措置は、整理していく方向に、はたして向いているのかどうかという一点を大臣にお答え願いたいと思います。
#80
○国務大臣(福田赳夫君) これは、先ほど硬直化という話がありましたが、もう硬直化があってはならない制度だと思うのです。つまり、一般原則に対する特例でありますから、これはもう常にその特例のねらうところの政策効果、これを検討して、その検討の結果に従って改廃というものをてきぱきとやっていかなければならない、そういうふうに考えるわけです。まあそういう方針のもとにこの問題を扱っていくわけでございますが、大体これは期限がそういう性質ですからついているわけです。いま大口の特別措置、これは貯蓄に関係するものでございますが、来年の三月いっぱいで期限到来、こういうことになるのであります。ちょうどいい機会でありますので、この特別措置につきましては、そういう効率機能、そういうものの再審査を徹底的にしてみるということをやってみたい、こういう段階でございます。
#81
○田中寿美子君 それじゃ、租税特別措置は将来廃止するという基本方針は変わらないというふうに考えてよろしゅうございますね。
#82
○国務大臣(福田赳夫君) はい。
#83
○田中寿美子君 それじゃ、飛ばしまして、租税特別措置を受けている事業ですね。私、公害関係のことをやったんですが、公害の点検をしておりますと、今日では、石油産業、石油を基本にした公害が非常に多いわけなんですね。石油精製業ももちろんそうですし、それから石油化学、それに関連してコンビナートをつくっているところ、あるいは火力発電所などで公害の問題が非常に激発しているわけで、各地で住民の運動が進んでいるということも御承知のとおりだと思うのですけれども、公害を防止するためには、石油に関連して特別措置はどういうことを今度はやられているかということなんですが、それを石油関係の通産省のほうから御説明いただきたいと思います。
#84
○政府委員(吉國二郎君) 今回は、先ほども御説明申し上げましたが、重油の脱硫装置の特別償却をさらに二年間期限を延長いたしまして、これが石油関係の特別措置としてあげられるものでございます。
#85
○田中寿美子君 時間がなくなりましたから、内容につきましては、私調べたので、この辺は省くといたしまして、各地で公害が起こっております地域の自治体の長から、たとえば千葉県市原にコンビナートがありますが、さらに新たに姉崎に発電所が来ようとしている、そういうような地域、あるいは、兵庫県でも、和歌山でも、石油から発生する公害なんだから、石油の関税収入を公害防止に使うようにしてほしいというような要望が出てきているんですけれども、これは可能性がありますでしょうか。
#86
○説明員(上林英男君) 御存じのように、関税率の決定につきましては、国内産業の保護に必要な限度にとどめるのが原則でございます。また、ことに原重油につきましては、エネルギー資源として国民経済の基本的な物資でございますので、関税負担はできるだけ安いのが望ましいと考えております。また、一般的に申しますと、租税収入は、あらゆる歳出目的を総合的に検討いたしまして、その優先度に応じて配分するのが原則でございます。したがいまして、おっしゃいましたような原重油関税を公害防止というような特定目的に使用することは、適当でないと考えておるわけでございます。もっとも、御存じのように、原重油関税の相当部分は、すでに石炭対策特別会計の財源として使用をいたしておりまするけれども、これは石炭鉱業の直面いたしております深刻な事態に対処いたしまするために特別に集中的に施策をいたします臨時的なものでございますので、こういう措置をとっておるわけでございまするけれども、公害対策につきましては、できるだけこのような手段によらず、一般会計の予算、あるいは財政投融資等によりまして極力配慮をいたしておる次第でございます。
#87
○田中寿美子君 私も、関税を公害防止に使えというふうにいますぐには考えないわけです。各地でそういう要求がありましたけれども、石炭対策に使われていることも存じておるわけですが、そこで、硫黄分の少ない原油を輸入したりすることと、それから重油の脱硫をちゃんとやるということが一番大切なことだと思うのですけれども、それらの費用というのは、先ほども申しましたように、石油企業にはたしてそれほど負担する能力がないかどうかということは、私はたいへん疑問として残しておきたいと思います。むしろ小さい中小企業のほうに公害関係の援助はしなければいけないということがさっきからの私の議論でもございますが、かつて、昨年の十月ごろでしたか、園田厚生大臣が、重油の消費税を取って、これを公害防止に使えというようなことを言ったことがありますが、このことはどのようにお考えになりますか。
#88
○国務大臣(福田赳夫君) 何か財源を求めて公害防止を大いにやれと、こういう御趣旨で、特に公害と関係の深い重油に消費税をかけたらどうかと、こういうお話かと思いますが、私どもは、特定の財源、ひもつき財源というものを設定して、そして特定の支出をする、これはまあ極力避けているのです。これこそがいわゆる財政硬直化の一つというふうにも考えられるわけであります。さようなことで、特別財源という構想につきましては、財政当局は極力これに抵抗していきたいと、かような考えを基本的に持っております。しかし、公害というのは、先ほどから申し上げておりますように、これはわが国の社会の当面しておる最大の問題の一つである、そういうふうに考えますので、必要があれば何も特定財源なんということを考える必要はありませんから、これはもう一般の財源の中から何としても捻出しなければならぬ性質のものである、それぐらいに考えておるのであります。いま園田さんの構想というようなお話がありましたが、私どもはそういう考え方は持っておりません。
#89
○田中寿美子君 これで最後にいたしますけれども、いまの園田さんの重油消費税という考え方は、電気、ガス料金を引き上げるような効果を起こすという意味で、私はそういうことをやってもらいたくないという考え方です。
 それでは、間接税のことを最後に一つだけ伺いますが、きのう、間接税と直接税との比率、間接税の比率がだんだん下がってきている、将来どうするのかという御質問があったときに、これもまだはっきりとお答えにならなかったんですが、サラリーマン・ユニオンなどは両方五〇%ずつにせよということを言っている。しかし、間接税というのはほんとうに大衆課税になりますので、そういうふうな間接税の比率を引き上げるという方向には向かわないでいただきたいということを要望したいと思いますが、最後に大蔵大臣のこの御意見を伺いまして、終わりたいと思います。
#90
○国務大臣(福田赳夫君) まあ長い目の問題でありますが、直接税がだんだんとふえていく、税の比率が非常に多くなるというときには、企業に対しましても、個人に対しましても、税の負担感というものが大きくのしかかるのじゃないかと、そういうことを心配するわけです。そういうことに対しまして、何か直接税のそういうシェアというか直接税依存度を緩和する方法はないものだろうかということを考えるわけなんでありますが、そういう際にも、直接広く国民の一般消費に関係するというようなものを対象にすることは適切でないかもしれませんけれども、あるいは奢侈的なものとか、あるいは特殊な事情のあるものとか、そういうものに対して間接税を考えるというようなことは、私はこれは理解していただける問題ではあるまいか、そんなふうに思います。とにかく、いま、奢侈品にいたしましても、重課するというようなことになると、物価問題との関連が出てきますので、今日この段階で間接税にすぐ手をつけるというわけにはまいりませんが、これは少し物価情勢でも落ち着いたそのときには何か考える必要があろうと考えております。
#91
○木村禧八郎君 最後にちょっと関連して一点だけ。きのう共産党の渡辺さんから質問があったんですが、入場税の問題ですが、前から何回も何回も問題になっておりまして、本年度は無理かもしれませんが、来年度からこれは取り組んでいただきたいのですが、四十四年度はどのくらいの税収を予定しているんですか。あまり大きい税収じゃないと思うんです。四十二年度で百十八億ぐらいですがね。ですから、これはもしすぐ撤廃が困難なら、段階的に、たとえば免税点を千円ぐらいにして、そうしてあとに税率をなにするとか。しかし、百億ちょっとぐらいでしょう。ですから、文化国家としてこんなものが残っているのがおかしいと思うんですよ。四十四年度に一兆二千億もの国税の自然増収があり、この入場税は地方に移譲されるものですが、その程度の額は減税しても財政上はほとんど影響はないと思うんですが。
#92
○国務大臣(福田赳夫君) 税収は本年度は百三十億見込んでおります。この問題は、かねがねお話を承っている問題でもあり、また、各方面からいろいろ御意見を承っております。そういうようなことを踏んまえまして、積極的にこの問題の解決に取り組んでまいりたいと考えております。
#93
○木村禧八郎君 来年度ね。
#94
○国務大臣(福田赳夫君) はい。来年度。
    ―――――――――――――
#95
○委員長(丸茂重貞君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、土屋義彦君が委員を辞任され、その補欠として久次米健太郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#96
○委員長(丸茂重貞君) 引き続き質疑を行ないます。
#97
○多田省吾君 最初に経済成長率の見通しについてお伺いしたのですが、この前の三月二十九日の予算分科会におきまして、福田大蔵大臣は、初めて今後五年間実質一〇%程度は維持したいと、こう申されたわけです。しかし、日銀総裁なんかは、その立場もありましょうけれども、海外経済の関係もあるからちょっとむずかしいのじゃないかというようなことも言っております。もともと、大蔵大臣は、安定成長派といわれておりました。しかしながら、社会資本を充実しなければいけないというような立場からおっしゃったのだとは思いますけれども、物価上昇もありますし、あるいは国際通貨の流動性とか、さらには、労働力不足、二重格差の増大、こういったいろいろな要因もあります。国内的にも、大きな設備投資の反動で、二、三年後には供給過剰時代を迎えるのじゃないか、こういうことも懸念されております。また、貿易を見ましても、結局、東アジアとか東南アジアヘの出超が非常に多い。四十二年度で十二、三億ドル、四十三年度にはおそらく十五億ドルぐらいの出超があるのじゃないか。それも、南ベトナムが二億ドル、沖繩が二億ドル、タイが二億ドル、韓国三億ドル、台湾二億ドル、香港三・五億ドルというような、こういうような不健全な基礎に立っているわけです。こういった貿易の状況を考えましても、五年間に一〇%の成長を持続するというような現在の時点における御発言は、将来大きな禍根を残すのじゃないかということも懸念されておりますけれども、こういった心配はないのかどうか。それからアメリカの景気の動向なんかも考えあわせてお答えいただきたいと思います。
#98
○国務大臣(福田赳夫君) 確かに、今後の経済政策をどういうふうにやっていくか、これは重大な問題だと思います。
 まず第一に、日銀総裁が、国会で総理が一〇%ぐらいかなというような答弁をされ、また、私も、どうも一二、三%は高過ぎる、しかし、従来の七、八%というのは低過ぎる、まあ一〇%ぐらいがしばらく続くのじゃないかということを申し上げたのに関連いたしまして、それはどうも賛成できないかのごとき発言をしたということが報ぜられておりますが、その報ぜられました直後、日銀総裁から私のところへ、何かそういう報道があるが、そういうことを私は申しているわけじゃない、非常にとっさの間に聞かれたものですから、まあどうかなというような答弁をするにとどまったわけでありますということで、決して日銀総裁と私どもの発言と矛盾対立があるわけじゃありませんから、この点はひとつお含みおきを願いたいのであります。
 私はこの前から申し上げておるわけなんですが、今後の日本経済、これをどう運営していくかということで一番大事な問題は成長と安定の両立である、こういうふうに考えておるわけなんです。いたずらに成長率が高く、その成長の中にひずみを生じ、不均衡を生ずるというようなことがあってはならないし、また、高きがゆえにその反動として谷間を生ずるというようなことがあってもならないし、やはりこれは適当の高さでなければならないと、こういうふうに考えます。しかし、従来の七、八%、これまで押え込み得るかどうかということになると、必ずしも押え込めないんじゃないか、そういうふうに考えるのであります。やはり、日本経済の爆発的なエネルギー、こういうことを考えますと、まあ一二、三%は高いにいたしましても、七、八%は若干上回るようなことに持っていかなきゃならぬのじゃないか。とにかく、現実性のあることを考えて、それに基づいて計画ができませんと、計画と実績との間に狂いができる。それがまた国政の上に非常に支障のあることなんです。「経済社会発展計画」はまさにそういう過誤をおかしている、こういうふうに考えます。今後、長期的な展望を立てる場合には、そういう点に十分気をつけて立案をいたしたいと、かように考えます。
#99
○多田省吾君 次に、租税負担率の問題ですが、昭和四十四年度は一九・七%を見込んでおりますけれども、税調の答申等もございましたので、今後昭和四十五年度からどのようにやっていくかということについて、きのうも二〇%をこえてもやむを得ないんじゃないかというような御答弁もあったようでございますけれども、今後それをどの程度にやっていかれるおつもりか、お聞きしたいと思います。
#100
○国務大臣(福田赳夫君) 租税の負担率につきましては、いま二〇%をちょっと割る傾向にあるわけなんです。それで、この数カ年の移り変わりを考えてみますると、四十一年ごろからちょっと下がりかけて、四十、四十一年は少し下がったんですが、また多少四十三年、四十四年と頭を持ち上げてきておるというのが現状でありますが、今後の国政の運営というか、そういうものを考えてみまするときに、国の費用、また地方自治体の費用と、こういうものがかさんでくる傾向はどうしても否定できない傾向であるように思うのであります。そういうことを考えまするときに、そうその二〇という標準を大きく上回るようなことはいたしたくありませんし、そういうことはないと思いまするけれども、多少ゆるやかな上昇という傾向を持つであろうということは私どもとして心得ておかなきゃならぬ問題かなというふうに存じておるのであります。
#101
○多田省吾君 われわれはもともと租税負担率の増加は好ましくないわけでございますけれども、どうしてもそういう傾向になった場合に問題は歳出の中身になるわけでございますが、最近いわゆる財政硬直化が非常に激しくなっております。食管制度の問題、あるいは防衛費なんかも年々増加しておりますし、本日も外務省とアメリカの間にF4ファントムの国産化決定の交換公文も取りかわされるというような報道もされておりますけれども、私たちは社会保障関係費につきまして今後頭打ちになるんじゃないかというような懸念も持つわけです。そういう方面から。今後財政支出中における社会保障関係費というものは従来以上に比率は伸ばしていくんだ、従来から比率はおろさないんだと、いままでの政府の御答弁を聞きますと私たちはそのように理解しておりますけれども、今後どういうお考えでこれをなされていくか、伺います。
#102
○国務大臣(福田赳夫君) まだ財政の中身の展望はいたしておりませんけれども、御指摘のように、社会資本の問題、それから社会保障の問題、文教の問題と、こういうようなことが歳出として力を入れていかなければならぬ問題であろう、こういうふうに考えております。
#103
○多田省吾君 この前もお尋ねしたんですが、最近、自主防衛強化という面で防衛費がだんだん高くなるんじゃないか、四次防については四兆円をこえるのじゃないかというようなこともいわれております。また、この前の新聞報道では、大蔵省の方針でいわゆる防衛計画を毎年更新するローリング・システムに切りかえたほうがよろしいのじゃないかという方針を非公式に防衛庁に伝えたという報道がなされているわけです。たしか松野防衛庁長官の時代も、二次防の最終年度は三次防の初年度として、五年を六年として三年三年にしていくんだというようなことも、これは実現されませんでしたけれども、松野元防衛庁長官からはっきり話があったわけでございます。こういった点で、防衛予算というものをふやしていく、あるいはF4の製造なんかも長期的にわたるわけでございます。こういう面で考えていらっしゃるんじゃないかということを私たちは懸念するわけでございますけれども、毛頭そういったことはお考えになっていないのか、また、お考えに少しはなっておられてもそういったことはするおつもりはないのか、その辺のことをお尋ねしておきたいと思います。
#104
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、寡聞にして、まだローリングシ・ステムを大蔵省がとるべしという主張を大蔵部内では聞いておりません。おりませんが、ローリング・システムというのは、平易に通常の理解をいたしますれば、一つの計画を立てておく、五カ年計画なら五カ年計画を立てておくと、それから今度初年度が済んだ、第二年度になったというと、またそこでその最初の五カ年計画を検討して、また今度は二年目を初年度とする五カ年計画、こういうことを指してローリングというふうに通常は言うわけです。そういうような意味のローリングということは考える意図はございませんです。ただ、こういう意図でありますれば、もう当然のことなんですね。五カ年計画ができた、できたがその初年度の実績をよく検討して二年度目の予算化に当たる、これはもうあたりまえなことで、今日までもそれをやってきておるような次第でございます。
#105
○多田省吾君 いますでにローリング・システムはアメリカの国防予算や西ドイツの方式でもこれを採用しておりますから、その懸念をしたわけでございますが、そういうことはないということで納得しておきます。
 次に、所得減税についてお尋ねしたいと思います。
 減税の規模が初年度で千五百億円は、いつも言われるように、自然増収見込み額の一兆二千億のわずかに一二・五%にすぎない。これは過去十年間の平均の減税率二二・二%に比べて大幅に後退している。昨年の水田大蔵大臣のときには、一兆円の自然増収見込みのときでさえ、初年度の所得減税は二千八百億にするとか二千五百億にするとかいう報道もなされたわけでございますけれども、今回は一兆二千億のうち五千八百数十億が所得税の自然増収分なのに、わずか千五百億だけで、それも物価調整減税として約四百二十億が政府試算でその中に含まれていると計算しているとすれば、実質減税はわずか千億程度になってしまうのじゃないか。こういった面から見て、私たちは非常に納得できないわけです。今度の改正案も、俗に部課長減税とかいわれて、年収二、三百万円程度の階層が最も手厚い保護を受けているわけです。こういった現状からすれば、百万円以下の低所得者に対する減税としては非常に少ないのじゃないか、私たちはこのように思っているわけでございます。
 まず、基礎控除でございますけれども、もともと独身者一人当たりの一年間の最低生活費を意味するという意味を持ちながら、十七万円ということでございます。一万円しか増加しなかったわけでありますが、大蔵省自身が昭和四十二年度において個人の最低生活費をエンゲル方式で計算して、二十一万九千八百十六円と、こうなっているんです。四十三年度の試算をなされているかどうかわかりませんが、そういった点から、私たちは、最低少なくとも二十四万円ぐらいの基礎控除があってしかるべきではないか、こういう考えでございます。そのほか、配偶者控除あるいは扶養控除につきましても、私たちの考えでは、政府の十七万円、十万円を、それぞれ二十四万円、十二万円ぐらいに引き上げていくべきである。また、定額控除につきましては、政府案の十万円を二十万円に引き上げ、二〇%適用を百万円までと適用範囲を広げる。こういう独自の方法で課税最低限を百三十万円まで引き上げることを私たちは主張しているわけでございますけれども、そのためにはもちろん財源も必要でございましょう。それからまた、租税特別措置の問題も出てまいるわけでありますけれども、ここで私たちの主張を申し上げます。
 各年度の租税の増収見込みを優先して使用すべきだ。あるいは、現行租税特別措置の百七十項目を大幅に整理すべきだ。あるいは、交際費の損金算入ワクを大幅に縮小する。あるいは、企業からの政治献金の損金算入を認めない。利子・配当所得の分離課税を撤廃する。各種補助金の整理。不当不急予算を減額する。あるいは、累進税率を改定し、高額所得者に対する課税を強化すべきだ。また、防衛費をもう少し削減する。あるいは、行政機構を改革し、行政経費を節減する。こういったことで課税最低限を百三十万円まではやるべきじゃないかという私たちの主張でございますけれども、こういった千五百億減税にとどまった理由、そうして今後のお考えというものをまずお聞きしたいわけでございます。
#106
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、昭和四十四年という年は非常に重大な年だ、こういうふうに考えているわけでございます。つまり、日本の経済成長、これが第四年目を迎えるわけであります。今日のように戦後いまだかつて四年目の成長というものが続いたためしがない。しかし、ここで経済が落ち込むということは、国政の上において非常に大きなマイナスになります。何とかしてこれを続かせなければいけない。続かせるためには、財政も金融もここで総力を発揮する。また、その総力を発揮するためには、そういう態勢を整えなければならぬ。その態勢というのは何だというと、私は、財政面におきましては、いま金融のほうの御質問はありませんから財政面だけ申し上げますが、財政面におきましては、どうしてもここで減債つまり公債発行を大幅に減らしておくことである、こういうふうに考えます。つまり、いまかげり論争だとかなんとかがありますが、これからのわが国をめぐる内外の経済環境というものは非常に予測しがたいのであります。その予測しがたい経済環境に機動的に対処していかなければならぬ。それには、やはり財政の活躍し得る天井を高くしておく必要がある、こういうふうに考えまして、何としてもまず第一に公債発行額を減額をしておく、こういう考え方をとったわけであります。しかし、一兆二千億円の自然増収が見られるわけでございまするけれども、歳出のほうを考えてみますると、いわゆる当然増加経費、これが七千億もあるし、そうして政策費に二千億はどうしても最低要るということを考えると、一兆二千億円の自然増収ですら三千億しか残らない。また、一方、国民生活を改善すべしというほうはいたる国民の期待もあるわけです。そういうことを考えまして、三千億円の額の剰余財源を、とにかく公債に千五百億、減税に千五百億、この辺がまずまず国民感情から見てまた同時に今後の国の経済の運営という面から見て適切なところではあるまいか、こういうふうに考えて裁断を下したわけであります。
#107
○多田省吾君 ですから、こういったサラリーマンの所得減税に関してはあまり前進はしなかったのでございますけれども、従来からいわれているように、企業からの政治献金などを損金に算入している面が非常に多いわけです。こういったものから政治資金規正法にも関係してくるのじゃないかと思いますけれども、やはり政治姿勢としても考えていかなければならぬのじゃないか、私はこういう前提で御質問したかったわけでございます。
 そこで、自治省に聞きたいのですが、ここ三年間でどの程度会社法人から政治献金が出ているのか、その辺のところをちょっとお尋ねしておきたいと思います。自治省は来ておりませんか。
#108
○委員長(丸茂重貞君) 自治省はどなたかお見えになっておりますか。
#109
○多田省吾君 それでは、それはあとの問題にいたします。
 もう一つは、今度も租税特別措置で土地減税についてたいへん優遇されているわけであります。しかし、土地価格の値上がりというものは、市街地では毎年二〇%近い速いテンポで上がっております。結局、この地主の利益というものは譲渡所得の増大となるわけでありますけれども、これに対して課税を強化するのが、公正な課税のたてまえからいっても、また開発利益の吸収という点からいっても、当然であると思います。ところが、今回の提案というものは、土地を売り出す地主に対しては、初め二年間は一〇%の分離比例課税、続いて二年ごとに五%ずつ高めた税率での分離課税を導入して、従来以上に優遇を与えたわけです。こういった点は、かえって土地成金を多くつくることになるのじゃないか。あるいは、短期の譲渡所得に対しては譲渡益の四〇%以上という高い率を適用した結果、結局売り惜しみを奨励することにならないか。ですから、政府の意図に反して、かえって害毒だけが強調される面があるのじゃないか。しかも、政府の総合的な土地対策が確立していないという点においてこういったことが行なわれますと、最近は大企業の子会社なんかが土地の開発をやる、こういう法人の投機的な土地の取得に対する抑制手段というものが全然講じられていないといううらみもあるわけなんです。こういった点からこの土地減税について、大きな疑問点があるわけでございますが、これをどのように考えておりますか。
#110
○国務大臣(福田赳夫君) いま、大きな問題の一つというか、もう最大の問題と言ってもいいのは、物価問題であります。その物価問題の中でも、むずかしく、かつ重大な問題は、地価の問題であります。地価を一体どうやったら下げ得るかという問題ですが、地価もまた需要供給の関係で決定される、こういう性格のものでございます。そこで、地価をどうするかということにつきましては、供給をふやすということ、需要を抑制するということを考えなきゃならぬ。いま多田さんがおっしゃるように、確かにそれに対して分離課税を低率課税を取るということにいたしますると、その結果土地の所有者には利益を与えるということになるわけです。しかし、地価問題から見ると、私はこれはかなりきつい効果を持つであろうというふうに考えるわけです。いま、土地を持っている人が、土地の売りに出ない、処分に出ない、これはなぜかというと、土地を売った場合に税が一体どうなるのか、これは総合課税になるわけです。そして、その税率は、所得税の税率に従って緊進ですから、高い課税になる。そういうことで、せいぜい売りに出しても切り売りにするというようなことで、土地の利用度を非常に下げておるという面もあるわけなんです。そこで、多少土地の所有者に利益を与えるという面がありますれば、その面は目をここでつぶって、とにかく地価の安定に力を入れなければならぬ、こういうことから分離低率課税ということを打ち出したわけです。そのかわり、今度は、短期に投機的に土地を求めて利益を得ようとする人には、通常以上の高率の税を課するということにいたす。大体これでバランスが大きく見るととれているのじゃないか。こまかいことをつついておりまするといろんな問題が出てくると思いまするけれども、これは大きく地価対策に貢献する、こういうふうに見ておるわけでございます。
#111
○多田省吾君 一つは、先ほど申しましたように、大企業の子会社なんかが投機的に開発するという面をどのように抑制するか。
 それからもう一つは、これは去年の衆議院の大蔵委員会で土地問題でいろいろ話があったわけでございます。不動産所得にからむところの脱税問題ということで、全国の地主さんの脱税額が一兆円にも及ぶのではないかということも言われました。いわゆる借地権の更新がちょうど三十年、二十年で、終戦直後に契約されたので去年、ことしあたりずいぶん更新されているようでございます。その更新期に、地主側は借地人に対して五〜一〇%の借地権更新料というものを取っているわけです。それからそのほかに、判こ代として手数料を取っているというような例が非常に多いわけですが、これをほとんどとらえていないということになっておる。試算によりますと、東京の二十三区でも、民有宅地が四百億平方メートルのうち、借地は三分の一に及ぶだろう。一坪三十万円としても、地価総額は十二兆に及ぶ。更新料は一〇%としても一兆二千億だ。その四割に税金をかぶせても四千八百億の財源となるのではないかというようなことも去年はいろいろ論議されたわけでございますが、国税庁として、まじめに納税する方が困らないように、こういった脱税問題に対してどういう方針をこの一年間とってこられたか、また、今後の見通しはどうなのか、この二点をお尋ねしたいと思います。
#112
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のように、現在、個人の譲渡所得は二分の一課税となっておりますが、法人のほうは全額課税となっております。そういう意味では、アメリカなどが法人についても二分の一課税をしていることと比較いたしますと、日本ではかなりきつい課税をしているということにもなると思います。
 なお、従来法人の土地取得の大きな原因をつくっておりました事業資産の買い換えという制度を、今回は期限の到来と同時に廃止することにいたしました。ごく限られた土地政策に適用するような買い換えだけを認めることにいたしまして、これによってかなり法人の土地取得に対するチェックができるのではないかと思っておりますが、なお、その他といたしましても、将来効果的な方法があればなお追加してやっていきたいという気持ちはございます。
#113
○政府委員(亀徳正之君) 不動産所得の特に先ほど先生おっしゃいましたようにちょうど終戦後の借地権の更新期に来ておりまして、いろいろ私の耳に入りますことは、借地料を引き上げる、そのかわり、この程度だから税務署に言うな、こういうことがあるのではないかということが率直に私たちの耳に入っております。やはりこういった点が漏れてはならないということで、かねがねそういった土地の譲渡、そういったものにつきましては相当重点的に調査をいたしておりまして、それらの納税者の数も逐年ふえております。また、私たちの税務署の体制といたしましても、そういった不動産所得の関係の把握のために、全体の数が限られておるのでございますが、重点的に人を配置するということで努力をいたしております。
 それからもう一つ具体的な作業といたしまして、実は相当手がかかるのでございますが、土地とそれから建物との所有者が違う場合は、どういうところにあるかということもある程度調べまして、そしてその実体がほんとうかどうか、むしろ借りておられる方々からできればそういう数字も出していただきまして、それが真実であるかどうかというぐあいになかなか苦労いたしております。ただ、これが先ほど先生のお話の一兆あるとか、そういうことはちょっとわからないのでございますが、とにかく漏れがないようにということで努力いたしております。今後ともこういう点にも十分力を入れて調査したいというふうに考えております。
#114
○多田省吾君 サラリーマン減税でもクロヨン(九・六・四)とかトーゴーサン(一〇・五・三)とかいわれておる現状もございます。去年問題の出た東京二十三区内だけでも、大体の民有宅地とかあるいは借地とか、そういったことをあらかじめ計算もできましょうし、また、それによってどのくらいの税収になっておるのか、そういう計算も当然なされておると思うんです。ですから四十二年度あたりはその辺は大体計算どおりになっているのかどうか、そういった点、それから、そういった計算は全然なされていないのか、これをお尋ねしたいんです。
#115
○政府委員(亀徳正之君) それはむずかしい問題でございまして、現在表面上あらわれております借地料が幾らかということはわかっておりますが、裏でどのくらい取っておるかというところはやはり当たってみなければわかりませんので、まあどれだけが漏れておるのかという数字を、幾らかというような話でも、その点は率直に申して無理でございます。むしろ、借地権が更改される時点において相当値上げを地主のほうが要求するというのが普通でございますので、更改されるような時点で前と同じだというときには、それはおかしいなという疑問が出てくるわけでございます。そういった点をしっかり調査していきたい、こう考えております。
#116
○多田省吾君 自治省の方が見えたようなので、先ほどお尋ねしたのですが、ここ二、三年政治献金による損金算入の額はどの程度になっているか、お伺いしたいと思います。
#117
○政府委員(皆川迪夫君) 私のほうでは、政治献金のうちどれだけのものが税法上損金算入がなされておるかどうかということは調査いたしておりません。また、非常に困難じゃないかと思っております。
#118
○多田省吾君 そうすれば、損金に算入されているかされていないかは別として、大体全額を……。
#119
○政府委員(皆川迪夫君) 実は、公表いたしております献金の内訳でございますけれども、会社とそれからいろんな民間の団体あるいは個人というふうに区分しておらないのでございまして、そのために会社の分が幾らであるかということは明確にはちょっと申し上げかねるのでございますが、大きなところだけをとってみて計算をいたしたわけでありますけれども、昭和四十二年で、これは全期一年間でございますが、五百万以上の寄付をした会社の合計が七億一千百万円余りになっております。それから四十三年では、これは上期だけでございますが、同じように五百万以上で一億九千二百万円と、こうなっております。
#120
○多田省吾君 先ほどからいろいろな控除の問題がたくさん出ておるわけですが、この前の政治資金規正法の案でも、こういう政治資金に対する控除というものを認めようという意見が世間にずいぶん強かったわけです。私たちは、政治姿勢の上からも、こういう政治献金は損金算入にすべきではない、こういう姿でいかななければならないのじゃないかと、こう思いますけれども、大蔵大臣はいかがでございましょうか。
#121
○国務大臣(福田赳夫君) さあ、それは非常にむずかしい問題でありまして、会社といえども生きた社会単位である。これが政治に関心を持つ、こういうことは当然じゃないか、こういう有力な議論もあるわけです。ですから、会社が政治献金をすることを抑制する、これはどうだろうか、こういうことになるわけであります。多田さんのほうとその点は対照的に違った意見でありますが、今度の政治資金規正法でどういうふうに措置しますか、これで御論議を願わなければならぬかと、かように存じます。
#122
○多田省吾君 まあこの問題はあらためてやらしていただきたいと思います。
 先ほど話があったのですが、いわゆる所得減税法の一つとして所得分割法、二分二乗法、これは内助の功を高く評価するという点でかなり有効であると思います。しかし、高額所得額による適用制限というものを加味しないと、どうしても高額所得者のみの減税になってしまうような傾向があります。ですから、大臣も前向きに御検討なさるようなお話がありましたが、こういった高額所得額に対する適用制限を設ければ――もうすでにアメリカ、西ドイツ等も採用しているわけでございますので、考えておられるのじゃないかとも思います。
 それからもう一つは、西ドイツで採用している特別被用者控除というようなものは非常に合理的だと思いますけれども、どのようにお考えになっておられましょうか。
#123
○政府委員(吉國二郎君) 先ほども御説明申し上げましたように、二分二乗の制度は、確かに高額所得者ほど現在有利になる形になると思います。それを制限したらどうかという御意見でございますが、この二分二乗制度の思想そのものが、アメリカの州憲法におきまして夫婦間の所得は夫婦の共有財産になるという憲法規定に基礎を置いているわけでございます。そういう意味で、アメリカにおいて長い論争の結果として二分二乗というのが憲法上の制度として当然であるということで採用された経緯がございます。そういう意味では、高額であるからそこで二分二乗の制限をするというのは、またある意味では平等の取り扱いとして適当でない面もあると思います。そういう意味から申しますと、先ほど来申し上げておりますように、課税単位の問題もあわせましてさらに税率の改正等を通じて、これが実施できるという時期というものを十分に慎重に判断する必要があるかと思います。
 それからドイツの被用者控除につきましては、かなり低い額、金額にいたしまして二万一千六百円という額で、ドイツのやり方は、被用者控除のほかに、必要経費控除と概算控除の選択とか、いろいろこまかい控除を抱き合わせてやっております。これも一つの非常にきめのこまかいやり方だと思いますが、非常に複雑になるかと思います。そうなりますと、被用者控除の部分というものは、わが国でいえば、給与所得控除の一部に相当するものではないかと思います。御指摘のように、給与所得控除をもう少しきめこまかく考えるということも考えられると思いますが、西独のこの方法は、そういう意味では、かなり、きめのこまかいものだと思います。研究の余地がある問題だと思います。
#124
○多田省吾君 次に、法人税の問題を若干お尋ねいたします。
 一昨年、三七%から三五%の減税がございまして、だいぶ反対も強かったわけです。昭和四十四年はどうかと思いますが、四十五年ごろから法人税の税体系の変更ということは考えるべき時期ではないかと、このようにも思いますし、また、最近の株価高騰あるいは企業の立ち直りというような現況から見まして、法人税に対する考え方も、この辺でもう少し、たとえば二段階を四段階にするとか、あるいは大々企業に対してはもう少し率を上げてもいいんじゃないかというような気もするわけです。それに反して、中小企業なんかは、法人税もたいへんだと思います。
 たとえば、東京では、年間所得三百万円の中小企業で、法人税、事業税、住民税を合算しますと、合計百十六万円で、その税負担率は三八・七%に達する。ところが、大企業では、租税特別措置で大きな恩恵を受けておりますから、その税負担率は三一・三%、こういう差も生じております。こういう税負担の不公平を解消し、中小企業の税負担の軽減をはかるため、私たちも改正案というものも一応出しているわけでございますが、大蔵大臣として、この法人税の問題はどうお考えになっておられるか、まずお聞きしたいと思います。
#125
○国務大臣(福田赳夫君) お答えをいたす前に数字をいま述べられましたが、どうもちょっと合点のいかぬ節がありますので、政府委員のほうからお答えいたさせたいと思います。
#126
○政府委員(吉國二郎君) ただいま御指摘のございました数字、中小法人の三八・幾つは、これは事業税、住民税を加えればその程度になるかと思います。大法人のほうは、御承知のように、特別措置の適用がある場合には、その部分を除いたのが所得でございますから、除く前の所得で計算をすると低くなるということは当然でございますが、そのかわり、特別措置も、特別償却などございますと、翌年度はそれが償却不足で所得になって出てまいりまして、結果においては最終的にその機械が償却し尽くされるまでの間にはフルに課税が行なわれるわけでございますから、その意味では決してそういう差があるわけではないと思います。
#127
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま局長から申し上げたように、いま、中小の方は三六%ですかにもなるが、大企業は三一%だ、こういうことは、これは非常に誤解を招く数字だろう、こういうふうに思いますので、なおこれはそういう誤解を招かないように、精査した資料をごらんいただきたい、かように存じます。
 そこで、法人税をどうするかと、こういうお話でございますが、これは法人税問題を検討する一つの機会があるのです。ありますのは、来年の三月いっぱいで配当に対する特別措置の期限到来、こういう問題があるわけです。これの解決のしかたいかんによっては法人税の体系自体に触れてくる問題になってくるわけでありますが、これはそういうところまでいくか、あるいは特別措置の範疇内での措置にとどめるか、こういう判断の問題はまだ残されておる、これからそういう問題を検討するということになろうかと思います。
 それで、法人税につきまして重課したらどうだというような御意見でございますが、法人税もなかなかこれは地方税を入れますとかなり重いところに来ておるわけでございまして、そうそうこれに重課するという結論にも直ちになりかねるわけであります。しかし、税の合理化というような見地からこの上ともこの問題には取り組んで検討してみたい、かように考えております。
#128
○多田省吾君 少なくとも現在の体系では、中小企業も大企業も同じように三五%という比率は、やはり中小企業に不利であるということはいなめないと思います。むしろ、私どもは、中小企業育成のためには中小企業のための特別控除措置もなすべきではないか。あるいは、資本金一億円以上の大企業で年二千万以上なくらいの利益を得ているところは、三七%とか四〇%という税率でもいいのじゃないかというような気もするわけでございます。結局、昭和四十五年度以降においても、法人税については、現在のままでよろしいと、あまり考えない、こういう税体系の変更はあまり考えておらない、こういうことでございますか、端的に申しますと。
#129
○国務大臣(福田赳夫君) 法人税をいま多田さんのおっしゃられるような趣旨で改正するということは、これは非常にむずかしい問題です。むずかしい問題でありますのは、かりに資本金で適用税率が違うのだというふうにいたしますと、会社は幾らでも会社の事業を分割してそうして低い税率が適用されるような幾つかの会社組織に分けてしまう、こういうようなことも行なわれることになるだろうと思います。いろいろな不自然なことが出てくるわけです。だから、所得やあるいは資本金の額によって税率を変えろというような主張をなす人がありますが、また、そういう御主張のようでありますが、これはなかなか実際問題とするとそう簡単にはまいらないと思います。しかし、法人税問題というのは、国会でもいろいろ御議論があります。それらを総合いたしましていろいろ検討してまいりたい、かように考えております。
#130
○多田省吾君 次に、租税特別措置について若干お尋ねをいたします。
 この租税特別措置は百七十項目ほどございますし、また、隠れた補助金というようなことをいわれて既得権化もしております。こういった面から、もうちょっと整理すべきじゃないか。今日期限が切れた特別措置が三十八項目ありますけれども、ほとんど利用されていない特別措置二件を廃止しただけで、残りのものは一部拡張をはかっただけではなくて、また新しい制度ができております。こういった面でもっと整理すべきではないか、こういう意見が非常に強いわけです。今後この租税特別措置の整理に関してどういう態度で臨まれますか。
#131
○国務大臣(福田赳夫君) 特別措置はあくまでも特別措置でありまして、本則と違うわけであります。でありまするから、これは、その特別措置という制度ができたときの趣旨が生かされて運用されているかどうか、また、それが所期の効果をどのくらいあげておるかどうか、こういうことを常にレビューいたしまして、そうしてその存在価値を評価してまいらなければならぬ、そういうふうに考えておるわけです。なかなか税の特別措置をやれという御要請も国会では非常に強いわけです。たとえば、今度、公害問題で、税で措置せいという、これは強い要請があるわけなんです。そういうようなことで、特別措置をとることにいたしておりますが、決して特別措置だからといって機能は発揮していないのだ、それはどうもぐあいが悪いのだというふうにも考えることはできないと思います。しかし、特別措置は特別措置でありまするから、常にその存在理由を検討評価して、これが改廃を活発にやっていきたい。ことに来年三月末には期限の切れる特別措置がかなりたくさんありますので、いい機会でありまするから、よく検討をいたすことにいたします。
#132
○多田省吾君 いままでにも利子配当分離課税の問題はずいぶん論議されたわけでありますけれども、昭和四十五年度において全廃もしくは廃止するという方向で総理大臣のほうもしたいということはおっしゃっておる。大蔵大臣もおっしゃっておるようでありますが、この問題は積極的になくす方向に持っていくのかどうか、もう一回お述べ願いたい、
#133
○国務大臣(福田赳夫君) これは総理も私も十分検討いたしますと、こういうことを申し上げておるわけで、廃止するとまではまだ言明をいたしておるわけじゃございません。しかし、時限が来るいい機会でございますので、これがどういう働きをなしておるか、これが全体の税制体制の中でどういう扱いをなすべきか、そういうようなことをよく検討いたして公正なる結論を得たい、かように考えております。
#134
○多田省吾君 それはもう廃止するということは私たちもなかなか考えられないことであるということは十分承知しております、いまの政治姿勢から見まして。(笑声)しかし、少なくともだんだん廃止していく方向に向かって少しでも努力すると、そういう確約ぐらいは国民の皆さんになさったほうがいいのじゃないかと、こう思うのですが、どうですか。
#135
○国務大臣(福田赳夫君) 本国会を通じ、また、さきの累次の国会におきましても、皆さんのお考えというものはよく承知しております。ちょうどその期限が来年度は到来するわけでありまするから、よく税制調査会等の意見も聞き、先ほど申し上げたように、これはもう率直に申し上げますが、公正なる解決をする、かように御理解願います。
#136
○多田省吾君 次に、交際費課税について若干御質問いたします。
 結局、四十二年度分で課税対象になった分は千三百億前後でございますが、そのうち大企業と中小企業に分けるとどの程度になりますか。
#137
○政府委員(吉國二郎君) 中小企業を一億円未満といたしまして、一億円以上と分けてみますると、損金不算入額が四十二年度で千三百二十一億九千三百万円でございますが、そのうち一億円以上の法人が八百九十六億四千九百万円、一億円未満の法人が四百二十五億四千四百万円という割合になっております。
#138
○多田省吾君 結局、交際費の面においてもやはり大企業が相当多く用いているということは、この面でも私はわかると思うのですが、アメリカ、イギリスの例を出すまでもなく、交際費については全額課税対象にすべきだという意見も強いわけでございます。給与所得のほうは所得控除が過小のため過大に算出され、事業所得や法人所得のほうはこの課税によってもなおさら必要経費の中に入れられて過小に算入されているという二重の不公平が生じているわけでございます。今回は五〇%から六〇%とわずかしか前進しなかったわけでありますけれども、また、この交際費の内容も非常に問題があると思うんです。リベート等の問題もありましょうし、また、業種別でも非常に混乱があるように思います。たとえば、交際費に似たものに宣伝広告費というものがございますが、薬とか自動車とかそういったものは宣伝広告費でまかなっているような傾向がありますが、逆に機械とか建設とかそういった面ではどんどん交際費の中に入ってくる。ですから、交際費もこういった職種は非常に多くなっております。それからリベートも、交際費に入れるもの、あるいは全然損金算入にしてしまうもの、こういった問題もあります。そういった解釈は国税庁はどうなさっているのか、お聞きしたいと思います。
#139
○国務大臣(福田赳夫君) いま多田さんのお話、そういたしますと、大企業にばかに有利で、中小企業のほうは酷ではないかというようなことが一貫して流れておりますが、その立論の基礎がたいへん誤解があるように思うんです。でありますので、政府委員のほうからちょっと説明さしていただきます。
#140
○政府委員(吉國二郎君) 先ほど交際費の支出額が大法人が多くて、損金不算入割合つまり税がかけられている割合が有利になっているようにお話がございましたが、交際費総体の四十二年度の支出額は、端数を切り捨てまして六千九百三十三億でございますが、そのうち一億円末満の法人の支出している分が四千七百九十六億、それ以上の法人つまり大法人の支出しておりますものが二千百三十七億で約半分でございますが、これで否認される額になりますと、先ほど申し上げましたように、大法人のほうが八百九十六億で、小法人のほうが四百二十五億、逆に否認される額は半分である。したがいまして、損金不算入割合、つまり課税対象に取り入れられている割合は一億未満の法人の場合は九・四%でございます。交際費のうち九・四%だけは損金否認されている。それに対しまして一億円以上の法人になりますと四二・三%、ですから五〇%否認のぎりぎりまでいっているという姿になっております。
#141
○政府委員(亀徳正之君) 交際費の課税のいろいろ実体に即して問題がないかという御質問でございますが、確かに一がいに交際費課税と言っておりますが、各業態に分け入って見ますといろいろ問題がございまして、先ほど先生もちょっとお触れになったかと思いますが、特に具体的な例を申し上げますと、たとえば建築業あたりから、起工式といいますか地鎮祭といいますか、そういったものが交際費という形に処理されておって困るとか、いろんな話が率直に言ってございます。現在法人税の基本通達の検討をいたしておりますが、この問題だけ切り離しまして、やはりもう一度交際費の各業態の取り扱いその他がこれでいいかどうか検討したいと、これは具体的にそういう作業を考えておるような次第でございます。
#142
○多田省吾君 私は、先ほど国税局長がおっしゃいましたけれども、そういったことは十分承知の上で申しているわけです。ただ、大企業のいわゆる課税対象分になっているのが非常に多いということは、相当たくさん使っているような傾向が見えるということで、中小企業もそれは交際費だってあることは承知しております。ただ、現在、中小企業の倒産等に比べて大企業の利益が非常に上昇しておりますし、また、さらに株価等も上昇している、そういった面から見て申しておるのでございまして、そういう面の強調がなされたのではないかと、こう思っております。それで、この交際費の問題についてもこまかく言えばいろいろな問題がたくさんあると思いますが、時間もございませんので、最後に、間接税について若干御質問をいたします。
 私は、間接税、特に物品税につきましては、もう見直すべき段階に来ておるのではないかと、こう思います。まあいろいろ問題もありましょうけれども、私は、原則的には、高級品あるいは奢侈類にはいまの五〜一〇%多く税金をかけても、その分だけいわゆる大衆課税のほうは少なくして、たばことかあるいはお酒なんかでも若干少なくできれば物価問題にも影響はないと思うのです。そういった面で根本的に物品税を見直すお考えはないのかどうか、これをお伺いしたいと思います。
#143
○国務大臣(福田赳夫君) さきにも申し上げたところでございますが、どうも、いまの経済発展の状況を考えてみますと、わが国の財政が、その財源において、直接税が圧倒的に多くなる、そういう時期が来ると思うわけです。そういうふうなことから考えまして、間接税のほうをどうしても考えていかなければならない時期が来ると思うのでありますが、いま現段階で間接税ということを考えることは、物価政策上なかなかむずかしいのです。しかし、局部的に、お話のように、奢侈品がどうとかこうとか、これは考えられないことはございません。が、体系的にはなかなかまだ間接税に手をつけるという時期には来ておらぬ、こういう見解でございます。
#144
○多田省吾君 特別なものとおっしゃいますけれども、これはいつも言われることでございますけれども、たとえば、百万円以上の高級呉服、あるいは一万円以上の真珠指輪、高級塗物、こういったものが全然非課税だ、こういったことは、たとえいろいろ輸出上の問題等もありましょうけれども、これはどうしても納得できないんですね。それに反して、いわゆるゴルフ道具なんかは、四千円のものでも八百円、二〇%にすぎませんし、また、高級乗用自動車なんかも一八・八%、モーターボートなんかも相当少ないわけであります。それからダイヤの指輪が二八・七%、マージャンパイが一二%と、こういったものはもっと税率を上げてもいいんじゃないかと、こう思います。そして、それを踏まえて、そのほかの大衆課税の面が強いものはそれに比例して下げていく、そういったことは当然考えていいんじゃないかと思いますが、これはいかがでございましょう。
#145
○政府委員(吉國二郎君) わが国におきましては、御承知のとおり、間接税の体系は、西欧諸国と非常に違いまして、一般的な売上税という形をとらずに、特殊嗜好品についてはかなりな重課をいたしますが、同時に、一般的な物品につきましては、高級な消費に属するものを選び出しまして、いわゆる一般売上税ではなく、個別売上税方式をとっておるわけでございます。しかも、選び出しました対象につきましても、大衆の使用するようなものを避けるためにかなり高い課税最低限を設けまして、いわば担税力に応じた課税というものを間接税の面でもできるだけ実現しようとしておりますので、そういう観点からすれば、わが国の間接税というものは、御趣旨のように、高級消費というものを対象とする方向ででき上がっているわけでございます。もちろん、中には、高級織物というようなものが欠けておるという点は、税制調査会でも指摘をしておりますが、一方において物品税というものは転嫁をされるということが前提でございます。転嫁の可能性のないものに課税するということについては一つの問題がございます。そういう意味では、高級織物が実際は非常に零細な製造業者によって行なわれているというようなことが、現在まで課税に取り上げられなかった一つの原因ではなかろうかと思いますが、これについてはなおくふうの余地があるかと思います。いずれにいたしましても、現在の間接税のあり方としては、税制調査会は、やや全体の消費生活が向上してきたわりあいに課税対象に取り入れられているものは少ないのじゃないか、また、課税最低限についてももっと考え直す必要があるのじゃないかということを指摘しております。物品税をある時期にはかなり思い切って見直す時期が来るのではないかと思いますが、大臣が申されましたように、直ちに考えるには時期的にまだ現在は熟していないという感じでございます。
#146
○多田省吾君 先ほど木村先生からも重ねて入場税の問題はあったわけでありますけれども、衆議院の大蔵委員会でも、佐藤総理自体が、もう間接税の問題といえば、入場税の免税点三十円はずいぶん重荷だ、これは引き上げたいということは言っておられるわけでございます。いま大臣からも積極的にお話がございましたけれども、まさにこれは時代おくれのナンセンスな恥ずかしい体系だと思いますけれども、昭和四十五年度からはこれを絶対引き上げる、この引き上げ幅も、私どもは三百円ぐらいまで無税にしても恥ずかしくないのじゃないか、こう思うわけでございますけれども、そういうこまかい点はお答えは願えないかと思いますが、重ねてこれは大事な問題でございますのでお伺いしたいと思います。
#147
○国務大臣(福田赳夫君) 積極的な姿勢で考えてみます。
#148
○多田省吾君 最後に、所得減税につきまして、課税最低限を先ほどのお話でも昭和四十五年には百万円にしたい、こういう話がございました。税調の答申等もございましょうけれども、昭和四十六年以降においてもやはり課税最低限は引き上げてもらいたいと、こういう強い希望を国民全体が持っているわけでございます。わが党も百三十万円ということは本年度においても主張しておりますけれども、そういう課税最低限の引き上げを四十六年度からは全然考えないおつもりなのか、くどいようでありますが、この一点を最後にお伺いいたしまして、質問を終わります。
#149
○国務大臣(福田赳夫君) 四十六年度以降の税制をどうするかということにつきましては、課税最低限問題を一体みして税率問題のほうに行くか、あるいは、両方やるようなことで重点を税率のほうに置くか、あるいは、重点を最低限のほうに置くかと、こういうようないろいろな考え方ができると思うのでありまするが、もちろんそのときの財政需要、財源の事情にもよることであります。これはどの道を選ぶかなかなかむずかしい問題で、いろいろ国会においても各種各様の御意見を承っております。でありますので、時間もあることでございますので、よくひとつ検討いたしまして誤りなきを期していきたい、かように考えております。
#150
○渡辺武君 租税特別措置法の一部を改正する法律案について伺いたいと思います。
 この法律案の中の土地税制ですけれども、これは土地投機を防ぎ、地価の安定に資するというような趣旨で採用されたものだというようなお答えがあったようでありますが、先ほども多田委員のほうからも質問がありましたけれども、この措置で、たとえば短期譲渡の場合四〇%の税金がかけられるという措置をとられているのは、個人だけですね。法人については何らの措置がなされていない。個人でも、不動産業をやっている者については特別の措置がない。特に、不動産会社とか、大きな建築会社だとか、あるいはまた最近土地を買い占めている私鉄だとかいうような大法人が除かれていると思うのです。ところが、こういう大法人こそが、土地投機をやっている元凶じゃないか。したがって、この大法人の土地投機を押えるためにこそ税制などについても考えなければならぬというふうに思いますけれども、どうでしょう。
#151
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のように、土地税制は、土地の所有、それを譲渡するという問題を中心にして考えておるわけでございまして、不動産売買を業とする者の持っておりますたなおろし資産、こういうものは他の事業用資産と同じものでございます。営業の公平から申しまして、不動産業者の事業所得に特別の税率を課するということは困難でございます。これは譲渡所得の特例でございます。事業所得自体には及ぶわけにはまいらぬというのが、不動産業者に関して従来の事業所得でまいった点でございます。
 それから法人につきましては、法人は容易に不動産業の登録等もできますし、そういう意味では、法人を特別に譲渡所得として別扱いをいたしましても、実際上はいまの宅建業者の免許のあり方等から申しますと、容易に宅建業の免許がとれるということになりますと、実際上は不動産売買業者と同じ結果になるわけであります。御承知のように、従来から、短期譲渡所得につきましては、二分の一課税をいたしておりません。当時から法人税は同じ課税をしておるわけです。法人税について二分の一課税をしていないという点は、実を申しますと、日本の法人の課税ではかなりきつい点であったことは事実でございます。そういう点から申しまして、今回は事業資産の買い換えというものを押えることによって法人の土地取得を制限するということをもって一応制度を考えたわけでございますけれども、将来法人の土地取得を効果的に押え得る制度ができれば、これは私どもも考えたいと思いますけれども、主として実体法的にこれを押えていただくことが実は必要ではないかという感じを持っております。
#152
○渡辺武君 どうもそれでは土地投機を押えるなどということはとうていできないのじゃないかというふうに思います。これは野村証券の「野村週報」という資料で見たものですけれども、昭和四十一年九月の決算期から昭和四十三年九月の決算期までの間に、保有している土地の面積が、三井不動産や東急不動産で、これは不動産を主として扱っている法人ですけれども、どのくらいふえたかといえば、三井不動産の場合は二・一倍、東急不動産の場合は二・〇倍になっております。金額で申しますと、三井不動産は三・三倍、東急不動産は二・一倍。販売用土地所有面積で申しますと、三井不動産が七百七十三万平方メートル、東急不動産が七百五十三万平方メートル、こういうことですね。わずか二年ぐらいの間に土地を二倍にも買い占めるというのがこういう大不動産業者のやっていることだと思う。その上に、もう私が申し上げるまでもなく、皆さんがよく御存じだと思いますけれども、最近は、三井、三菱、住友というような旧財閥系の企業集団がくつわをそろえて住宅建設のほうに進出している。あるいはまた、伊藤忠とか東棉だとかいうような大手商社、東芝、松下、日立などの家庭電器業者、これらがくつわをそろえて住宅建設のほうに進出しようとしつつある。ところが、個人の短期譲渡については四〇%、これはとんでもない高い税金ですわね。法人税の最高限度が三五%、個人が短期に土地を売った場合四〇%。たいへんな税金をかけておいて、大きな土地業者が土地を買い占める。そうして、これを持っていて投機をやって土地の値上がりを促進している。これに対して特別に押える手段をなんにも講じない。こういうようなことで、一体、地価の安定だとか、土地投機の抑制だとかいうことができますか。いま吉國さん言われましたけれども、事業用資産の買い換えについて今度措置を講じたと言うけれども、こういう大不動産業者の問題は、事業用資産の買い換えの問題じゃないんです。あなた御存じのとおりです。従来の税法でいっても、たいへんな土地を買い占めて土地投機をやっている。それについて、やれ二分の一課税でないから外国に比べてきついんだとか言っているけれども、たいへんなもうけを出している。そこのところを押えないで、どうして土地投機を押えることができますか、地価の安定をはかることができますか。その点をお答えいただきたいと思います。
#153
○政府委員(吉國二郎君) 先ほどの御質問は、私は、普通の法人が土地取得をした場合のことを中心に言われたと思いまして申し上げたのでございますが、不動産業――土地を取得して開発して土地の分譲をするということ自体、これがいま免許事業として認められておりますが、この事業自体を不当とするならば、実体法的に問題にすべきであろうかと思います。税法においては、事業の一形態としてなされているものでございますから、これが土地を取得するのが不当であるということになりますと、これは事業そのものが不当であるという判断をしなければならぬ。これは不動産売買ということを通じて住宅を供給し宅地を造成しているわけでございますから、さような事業として運営されているものまでいわゆる一般の土地を温存して値上がりを待つというものと同一視するわけにはいかないのではないかと思うわけでございます。
#154
○渡辺武君 土地の売買を禁止しろと言っているんじゃないんです。先ほど多田委員のほうからの御質問の中にもありましたけれども、こういう大不動産業者こそが、土地の買い占めをやり、土地投機をやって、土地の値上がりを促進さしている、そこのところを押えろと私は言っている。それについて何らの考慮がない。こういう大法人は野放しにしておいて、個人が短期に土地を譲渡した、それについて四〇%の税金をかける、これは不当じゃないですか。こんな措置がやられたらどうなりますか。いま、間代や家賃が高くなって、勤めている勤労者たちは何とか自分の家がほしいと思っている。ところが、一生懸命でもって金をためて預けたって、預金の金利はどのくらいです。五・五%程度でしょう。土地の値上がりは年に一八%から二〇%近く上がっていますよ。こうなってくれば、防衛上、どこでもいいから土地を買っておいて、そらしていよいよ家が建てられそうなところまで金がたまったというようなときには、その土地を売って通勤に便利なようなところへ家を建てようとする。これは大体みんなそういうことをやっている。生活防衛上やむを得ずやっていることです。ところが、今度の措置をやられたら、どういう人たちは土地の買い換ができなくなる。やっても四〇%もの税金がかけられるということになる。他方では、大不動産業者は野放しにしている。これは、不動産業者だけじゃない、建築活動に進出している大企業が軒並み土地を買いあさろうとしている。いま新都市計画法などによって民間デベロッパーを都市計画の中に導入する、これを新しい政策だと佐藤内閣は言っておりますけれども、まさしく大資本を中心とした民間デベロッパーに土地を自由自在に買い占めさせるということがこの新しい土地税法の一つのねらいじゃないだろうかと思うのですけれども、その点はどうですか。
#155
○政府委員(吉國二郎君) そういうような意図のないことは、従来どおり課税をしているということからおわかりだと思います。
 なお、個人が土地を取得いたします場合にそれをあとで売ってということでございますけれども、普通は土地を取得して家をつくりたいということでその土地を取得するのが普通だと思いますけれども、その場合には売らないわけでございますから四〇%課税ということは適用にならない。あくまでもこれは転売をしてもうけようという人に考えているわけでございますから、住宅を苦心してつくろうとして土地を取得し、その上に家を建てるという人は、これは問題がないわけでございます、売らない限り。売るときになりました場合には、自分が居住したものを何らか転勤というような都合で売る場合には、御承知のように一千万円の特別控除が買い換えのかわりに用意してございますから、普通の大衆である限りは一千万円控除であればまず住宅を売った場合に課税になる例は非常に少ないと思います。
#156
○渡辺武君 こまかく論駁する時間がないので一言だけ言いますけれども、何でそういうふうに個人だけを目のかたきにするかということです。大法人が土地買占めをやり、土地の投機をやっている。この点を従来の税法のままでもって野放しにしておくということを私は追及しているんです。
 そこで、個人については、他方で、長期の土地保有者については、分離課税として特別に所得税を軽くするようにしているわけですね。しかも、昭和四十五、六年が一〇%で、四十七、八年に売ったときは一五%、四十九年、五十年に売った場合は二〇%ですか、売る年が近いほど税率を低くしている。これは、つまり、長期に土地を持っていた農民や市民が土地を手放しやすくする、いわゆる土地の供給を促進するという目的でつくったものでしょうね。
#157
○政府委員(吉國二郎君) それがこの制度のねらいでございます。
#158
○渡辺武君 そうしますと、農民や市民が長い間土地を持っていた。ところが、それが今度の税制でもって手放しやすくなった。一方でもって、先ほど来言っているように、大きな不動産業者その他が野放しにされている。ますますもって買い占めるのに都合がよくなるのじゃないですか。私が申しましたように、こういう大不動産業者、あるいはまた、いままさに住宅建設に進出している大企業、これらが個人の土地をどしどし買い占める。これに都合のいいような税制が今度の土地税制だというふうにしか思われないじゃないですか。
 ところで、伺いたいのは、長年持っていた土地を売る場合でも、わずかな土地を売る一般の農民や市民には減税額はまことに少ない。ところが、大きな土地を売る大資産家には大きな特典が与えられております。これは「ファイナンス」の四月号に迫水さんが計算して出している数字ですから皆さんもお読みだと思いますけれども、たとえば収入金額一千万円の人は、現行税制では百四十三万円の税金がかかるけれども、改正案では八十五万円の税金になる。差し引きして減税額五十八万円、こういうことになっておる。ところが、収入金額が多くなるに従ってこの減税額もますますふくらんできて、たとえば収入金額一億円の場合は、現行税制では二千八百七万円の税金がかかるのに、改正案ではわずか九百四十万円、その差額千八百六十七万円、つまり大きな土地を持っている大資産家にはまことに至れり尽くせりの減税、こういうことになっていると思うんです。一体、何でこんなやり方をしたのですか。
#159
○政府委員(吉國二郎君) これは、一つは、大臣が申し上げましたように、土地の供給をふやすという大目的のために、ある程度の不公正は忍ぼうということと、それからもう一つは、先ほども申しましたけれども、過去の譲渡所得の課税の実績を見ますと、いま御指摘になった譲渡所得の大口は七、八〇%までが非課税でございました、買い換えをいたしまして。しかも、そのために、大きな土地売った場合には、いかにして一年以内にそれに相当する土地を取得し家を建てるかということで非常に苦心しておられるというのが実情でございます。私も国税局長をしておりました時代に一番大きな陳情はそれでございました。結局、国民経済として考えてみますと、非常なむだがそこで行なわれているわけでございます。したがって、居住用資産の買い換え制度とか事業用資産の買い換え制度を合理化しない限りは、土地問題の解決はできない。そういう点から申しますと、この制度を改革することによって急激な負担がふえる限り、この制度の改革がなかなかむずかしいわけです。土地の供給をふやすという大目的にあわせまして、同時に、これを機会にこれらの弊害を除去する意味で買い換え制度を改革する、これがねらいでございますので、実際上いままでもほとんど課税になっていなかったものが、一〇%でも、さらに二〇%でも課税になるようにという点では、むしろ前進であろうかと思っております。
#160
○渡辺武君 どうも、私の伺った趣旨がよくおわかりになっていないようですね。つまり、わずかしか土地を持っていない人が土地を手放した場合には、現行税制よりも今度の改正案のほうが若干は減税になるけれども、その額は非常に少ない。ところが、収入金額が一億円というのは、これはずいぶんたくさんの土地を持っている人ですよね。この人が土地を手放した場合は、減税額が非常に大きい。なんでこんな差をつけたのかということです。それは土地の供給を促進するということもわかりますよ。事業資産の買い換えというのは、この問題とはちょっと別の問題ですよ。
#161
○政府委員(吉國二郎君) ただいま申し上げますように、減税になるとおっしゃいますけれども、実際にいままで大きな土地を売った人は課税になっていなかったということを申し上げているわけでございます。居住用の資産の買い換え、事業資産の買い換えということを行なうことによってほとんどが非課税なんです。小さいものほど課税になっているのです。なぜかと申しますと、小さい人は大体それを売って売り食いをするために、譲渡をするわけでございますから、そうすると、買い換えができませんから、そこで課税になっているわけです。この非常な不公平を是正することが一つの目的でもあったのであります。
#162
○渡辺武君 それは説明になりませんね。小さな土地を持っている人たちが従来課税されるのを軽減するとかおっしゃいますけれども、迫水さんの計算されたのは収入金額が一千万円以上ですが、一千万円以下の人たちはどうですか。たとえば三十坪程度の土地を売ったというような人たちは、現行税法と今度の改正案を比べてみますと、たとえば三百万円くらいの収入金額の人は、それはかえって税が重くなりますよ。
#163
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のように、今度は百万円控除というものをつくっておりますから、従来よりも重くなる例はございません。
#164
○渡辺武君 どうも、計算方法をやりとりしている時間がないので、いずれあなた方の計算の資料をいただきたいと思うんですが、私が計算した限りでは、一つだけ例を申し上げておきますと、土地を売って、譲渡金額三百万円の人が、従来の制度によっては、まあこれは若干の計算のあれもありますが、大体十四万二千円の税金です。ところが、今度の改正案によりますと、十八万五千円ということになります、これは初年度の計算で。あなた方がどういう計算をされたか知りませんけれども、あなた方の発表した資料でもって私が計算するとそうなります。結局のところ、たくさんの土地を持っている人が一括して土地を売る場合は減税額がまことに大きいというのは、だれの利益になるか。私は両面あると思う。一つは、たくさんの土地を持っている人たちには特別の減税をやる。このことによって何が生まれるか。これは税法上非常に重大な問題が生まれると思います。あなた方は、すでに、利子、配当分離課税、有価証券譲渡益非課税という措置をもうとっている。それに加えて、大土地所有者が土地を売った場合には分離課税にして特別の税の軽減をやるという方法をとる。この手段によって、大資産家、たくさんの資産を持っている人は、土地であれ、株券であれ、あるいはまた銀行預金であれ、とにかくたくさんの資産を持っている人は特別な税法のもとで特別に税を軽減されるというシステムの一貫した体系ができ上がってしまう。所得税は、たくさん金をもうけた人にはたくさんの税金をかけて、分に応じた税を負担させるというのが民主主義の原則である。それを、その累進を一番頂点のほうをはずしてしまって、特別に税金を軽減する、こういう措置をとったのがこの土地税制の第一のねらいです。
 第二には、たくさんの土地を一括して売る。その場合に、一般の市民はそんなにたくさんの土地を買うことはできません。これは切り売りのほうが一般市民にとっては都合がいい。では、一括して買うのはだれなのか。それは、先ほど申しました大きな不動産業者、それからいままさに建築業界に進出して行っている大企業、これは一括して土地を買うことができるでしょう。私先ほど申しましたように、今度の土地税制は、個人については、特に小さな土地を持っている一般の庶民に対しては、まことに激しい重税を課している。そうして、たくさんの土地所有者、それからまた大きな不動産業者、あるいはその他の大法人、これについてはますます有利だということになっている。そこに今度の土地税制の特徴があるのじゃないか。
#165
○政府委員(吉國二郎君) 数字の点でございますので私から申し上げておきますが、三百万円の場合は、かりに下に全然所得がないという場合、三百万円だけが所得という場合に、現行法でございますと二十二万七百四十二円でございます。これが改正案では十八万五千円で安くなりますし、下にもし百万円くらい所得が別にあったといたしますと、その場合百万円に上積みが三百万円ということになりますと、現行法だと三十四万八千二百八十円、今度の改正法では十八万五千円でございますから、いずれにしても現行法よりも重くなるということはございません。
 それからいまいろいろ御意見がございましたが、土地の切り売りを防止するというのは、確かにこの税法のねらいの一つにあるわけです。土地の切り売りに対して譲渡所得を年度に分割しようという動きをなくして、土地供給をふやそう。また、土地供給が不動産業者あるいは造成業者の手によってやられるということが常に悪いという前提でお話しのようでございますけれども、土地の造成が行なわれて多量の住宅適地が供給されるというシステムは、これは私は決して悪いことではないと思いますので、その辺は見解の相違ではないかと思います。
#166
○渡辺武君 時間がきたので、残念ながらもう一問くらいでやめざるを得ないのですが、私がさっき申しましたように、大不動産業者の人たちが商売するのをやめろと言っているじゃないんです。先ほど一番最初から申しましたように、それこそが土地の買い占めをして投機をやり、値上がりをあおっている。そこのところを何で押えようとしないのか。そこを押えようとしないで、やれ、土地投機を押えるためだとか、あるいはまた地価の安定をはかるためだとか、どんな宣伝をしても、それは偽りになる。こういうことで、私は、大法人の土地投機、これこそ押えるような土地税制をあなた方は考えるべきじゃないかということを申し上げている。
 そこで、最後に一問だけ申し上げますと、今度の所得税法の一部改正のいわゆる減税法案でございますけれども、今度の措置によって課税最低限が約九十三万円になるというふうに言われているわけですね。それから四十五年度に、昨日も大臣が言われましたが、課税最低限を百万円程度に引き上げるというふうに言われているわけですが、あなた方の言われる課税最低限、この中には給与所得控除は入っているのですかいないのですか。
#167
○政府委員(吉國二郎君) 給与所得者の課税最低限には給与所得控除が入っているわけでございます。
#168
○渡辺武君 給与所得控除を入れた課税最低限というのは、これはまことにおかしいと思うんです。所得税法の二十八条には何と書いてありますか。 「給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。」と、はっきりうたわれているじゃないですか。いいですか。給与所得控除を控除して、抜いてです、そうして所得金額を計算しろと。給与所得の場合は、課税最低限というのは、課税所得の最低限でしょう。それなのに、なんで給与所得控除も加えて計算するのですか。これは税法違反じゃないですか。
#169
○政府委員(吉國二郎君) 私どもが昔からお示ししているのは、給与所得の収入金額により世帯構成別の課税最低限という表現をいたしておりまして、従来からこの方法をとっているわけでございます。
#170
○渡辺武君 従来からとっているからといったって、所得税法に違反している、従来からとっているのは。これは所得税法違反を従来からやってきたということですよ。大体いま、四十四年度の九十三万円で給与所得控除はどのくらいになりますか。
#171
○政府委員(吉國二郎君) 二十六万五千二百六十四円でございます。
#172
○渡辺武君 だったら九十三万五千九十三円から、いま申した二十六万五千二百六十四円ですか、それを引いたら、税法どおりいえば、課税最低限は六十六万九千八百円ということでしょう。ほんとうならば六十六万九千八百円の課税最低限でございますと言わざるを得ない。あなた方はそれがいかにも九十三万五千円だというふうに税法を踏みにじって宣伝している。そうじゃないですか。
#173
○政府委員(吉國二郎君) これは、給与所得につきましては、御承知のとおり給与所得控除をやるという前提になっておりますけれども、他の所得の場合は御承知のようにそういう控除はございません。そういう意味で、給与所得者の課税最低限というものが他の所得者と違うという意味で、収入金額を基礎にして出しておるというのが従来からの慣例でございます。外国との比較も、外国でこういう制度があるものも、それを織り込んでやっておるわけでございます。
#174
○渡辺武君 それがおかしいんですよ。給与所得控除というのは、これは費用ですよ。当然引いて、そうして課税所得を出すべきですよ。それを、これを含めてやっている。だから、いかにも課税最低限をうんと底上げしているようなそういう印象が出ている。たとえば事業所得者は、白色申告者の場合には、いまあなたの言ったとおり、給与所得控除というのがないわけです。だから、課税最低限は六十五万七千五百九十一円。同じ所得税で、課税最低限が、事業所得の場合と給与所得の場合と違っている。つまり、給与所得の場合は、引くべきものを引かないでもって課税最低限だと言っている。税法違反ですよ。
 大体ですね、もう時間がないから結論を申しますけれども、政府が宣伝している減税というのは、まことに政治的な宣伝だと思う。そうでしょう。第一は、先ほど田中委員も質問されて、大臣が釈明されたそうですけれども、物価はどんどん上がっている。それにつれて名目所得はふえていっている。われわれは、三年も四年も前から、課税最低限百万円にせよという要求を出している。そのときに課税最低限百万円ということを出せば、これはそれでかなり大衆課税は克服できたと思う。それが、四十五年度、三年も四年もたったあとで、名目所得の額が非常にふえたところで課税最低限百万円、これはなるほど百万円という額には違いないけれども、しかし大衆課税という点ではそういう引き延ばしによって依然として残されている。これが一つ。
 もう一つは、現在は四人家族というのが家族構成の中でも最大の比重を占めている。あなた方は五人家族で計算している。大臣の委員会での答弁では、四人家族で計算すれば課税最低限はほぼ九十万円でございますと言ったけれども、いま言った給与所得控除を引いてごらんなさい、幾らになります。九十万円じゃない、税法どおりの課税最低限は。その点でもいかにも減税をやっているような印象を与えようとしている。その上に、いま申した税法違反の課税最低限の計算のしかたです。私は、あなた方がそんな苦労をなさってまでもいかにも減税をやっているような風をしなさらなくてもいいと思う。私どもは、四人家族、年所得百二十万円もしくは百三十万円まで即座に課税最低限を引き上げろという要求を出しておりますが、それを即座に実行してごらんなさい、そんな無理な宣伝をしなくても、国民は十分に喜んでくれると思う。その点を要望して、私の質問を終わります。
#175
○岩動道行君 私は、本二法案の施行日が四月一日を予定しておる、そうして私どもはその年度内に、つまり昭和四十四年の三月三十一日にこの二法案が成立することを予定して審議をするための努力をしてまいったわけでございますが、遺憾ながら四月一日を過ぎて、もうすでにきょうは四日に相なっております。このことはまことに遺憾にたえない点でございますので、まあ昨年は四月の十九日に成立しているからまだいいじゃないかというような考え方も出てまいってきますると、今後このような会計年度と合わせて予算と一体となったこのような重要な法案がおくめんもなくおくれてまいるということは、国民生活にとっても国民経済にとっても大きな悪影響を及ぼすものと私は考える次第でございます。かような意味におきまして、今後はそのようなことのないように、われわれ国会のほうにおきましても、各党の御理解、御協力を得まして年度内に成立するように努力工夫もいたしまするが、政府におかれましても、さらに一そうの御工夫御努力を願いたいと思うのでございますが、この点についての大蔵大臣の御所見をまず承っておきたいと思います。
#176
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまはまことにありがたいおことばをいただきまして、まことに感謝にたえません。予算の裏づけの法案でございますので、ぜひとも年度内に成立さしていただきたいと念願をいたしておったわけでありますが、今後はおことばのとおりぜひ年度内成立ということにいたしていただきたい。われわれは、それに向かって、全力を尽くして御説明に当たりたい、かように存じます。
#177
○岩動道行君 そこで、所得税につきましては、税減というような点、あるいは、特別措置法につきましては、わが国経済の体質の改善でありまするとか、あるいは対外経済競争力を強化するとか、あるいはまた中小企業対策等のきわめて重要な国民経済、国民生活に影響のある内容の法案でございます。したがって、法案の成立がおくれたことによっていろいろな悪影響が及んでまいる。これをできるだけ最小限度に食いとめるためには法案の修正が必要に相なると、かように考えるわけでございまするが、修正により原案どおりその内容を実行できるにはどうしたらよろしいかというような点、また、施行期日を公布の日等に直してもなおかつ救われないものはどのようなものであるか、救われない場合には行政的にどのような措置をとってできるだけその弊害を少なくするか、このような点についてやや具体的なわかりやすい御説明をいただきたいと思うのでありまするが、たとえば所得税法におきましては、日雇い労務者の減税はおそらく救済ができないのではないだろうか。これはまことに零細な所得者に対して過酷な結果に相なって、私どもはこれらの日雇い労務者に対してまでも、減税の恩恵を与えるように努力をしてまいらなければならないにもかかわらず、おくれたことによって悪影響を及ぼし、減税の恩典が受けられない、このようなことになるのはまことに残念だと思うのでありまするが、この点はどうなるのか。
 あるいはまた、特別措置法関係におきましては、交際費課税を強化する。これは野党の各党におかれ、ましても非常に強い御要望もあり、ただいままでの御審議においても相当の重点が置かれた質疑が行なわれたわけでございまするが、一体、この点についてはどうなるか。いままでは百分の五十が、今度百分の六十とやや強化されるわけであります。そのような増税のものが遡及適用ができるのかどうか、法理論上一つ問題があると思いまするが、これらについてはどのような措置を講ずるように政府としてはお考えになるのか。
 また、中小企業対策の中でも、今度は、たとえば商工中金の貸し付けに対する受ける担保、それに対する登録免許税の減免という画期的な制度を盛り込んだわけでございます。これは、過去十年間政府与党の中におきましても非常に論議のあった点でございまするが、ようやくこの問題にケリをつけて、大幅な登録免許税の軽減をはかって、それによって中小企業者に対する負担の軽減をはかるという、きわめて重要な法案もこの中に盛ってあるわけでございまするが、一体これがどうなるであろうかという点を私どもは心配するわけでございます。
 また、先ほど来の土地の問題についても、譲渡所得につきましては、かなり思い切った土地を供給させるための一つの施策が盛られておるわけでございまするが、これらの点につきましても、たとえば附則八条の規定が一体どうなるのか。
 このような点も含めて、できるだけ簡潔にわかりやすい御答弁をお願いしたいと思います。
#178
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま岩動さんからの御指摘のように、本法案の成立がおくれておるためにいろいろ支障が出てくるわけであります。その支障の出る諸点につきましては、おおむね岩動さんから御指摘がありましたが、何とかこれは遡及して適用いたすように修正願うとか、その他のいろんな措置を講じなければならぬ、こういうふうに考えて、また、その措置をお願いをしなければならぬというふうに考えておりますが、いま主税局長のほうからその点を簡潔に御説明申し上げます。
#179
○政府委員(吉國二郎君) 今回の法案の成立がおくれましたために、所得税法につきましては、これは年分課税の改正でございますので、具体的にこの期間中に問題になりますのは源泉徴収の規定だけが問題になります。ただ、源泉徴収の規定は、旧法によりましても年末調整で救えるという問題がございますが、御指摘のございました日雇い労務者の場合は、年末調整の方法がございませんのと、しいて言えば申告納税ということになりますが、これもほとんど不可能でございますので、昨年もそうでございましたが、本年もこの期間は旧税率による高い徴収が行なわれざるを得ないという結果になると思います。それは遺憾ながら救済の方法がほとんどないと言わざるを得ないと思います。
 その他、所得税法は、公布の日に施行するという改正をしていただけば、大体すべて解決するのではないかと思います。
 租税特別措置法におきましても、所得税と同じような年分適用のものは、公布の日から施行していただきまして、適用の期日を四月一日からと直していただけば、ほぼ解決をすると思いますけれども、登録免許税のように登録の際に課税要件が確定してしまうという性質のものにありましては、さかのぼって直すことができませんので、この点には支障が出てまいりますのと、間接税の一部につきましては、引き取りの際に課税要件が終了してしまうものがございます。今回新たに認めました外航船に対する接客用の酒類の積み込み等の規定は、これはやはり施行の日以後でなければ適用できないという結果になりまするので、これらは適用の日がおくれるわけでございます。
 先ほど御指摘がございました商工中金等の登録免許税の改正は、施行日以後にせざるを得ないということになりまして、現在商工中金にはこの点連絡しておりますので、零細な借り手が損をしないように、できるだけ登記手続をおくらせるように指導をしてもらっておるわけでございます。
#180
○委員長(丸茂重貞君) 他に御発言もなければ、両案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#181
○委員長(丸茂重貞君) 御異議ないと認めます。
 両案に対し、岩動君から委員長の手元に修正案が提出されておりますので、この際、修正案を議題といたします。
 岩動君より修正案の趣旨説明を願います。
#182
○岩動道行君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま提案されております所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨について御説明申し上げます。
 修正案はすでに各位のお手元に配付してございますので、その朗読は便宜上省略させていただきます。
 これらの法律案は、昭和四十四年三月三十一日までに成立することを目途にいたしまして審議を進めてまいりました次第でありますが、御承知のような事情によりましていまだに成立を見ておりませんので、これに伴う調整措置を講じようとするものであります。
 すなわち、所得税法の一部を改正する法律案につきましては、昭和四十四年四月一日から施行することを予定しておりましたが、成立が延びたことによって四月一日に施行できなくなりましたので、「昭和四十四年四月一日」から施行するとされているのを、「公布の日」から施行することに改めることとするものであります。
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案は、所得税法の一部を改正する法律案と同様の趣旨により、まず、施行の日につきまして、「昭和四十四年四月一日」を「公布の日」と改めることといたしました。また、これに伴い、租税特別措置法の改正規定の適用の時点につい工まず、法人税の特例に関するものについては、施行日以後開始する事業年度について適用する旨の規定を、昭和四十四年四月一日以後開始する事業年度について適用することに改めるほか、減価償却に関するもの等については、施行日以後に取得しあるいは施行日以後の取引による収入金額とあるのを、昭和四十四年四月一日以後に取得しあるいは昭和四十四年四月一日以後の取引による収入金額と改めることとしております。
 また、所得税の特例に関するものについては、外貨借り入れ金利子の税率の軽減措置に関し、施行日以後に支払われる特殊の外貨借り入れ金の利子についてこの措置を適用することに改め、さらに、譲渡所得等の課税の特例に関し、保有期間五年以内であっても長期譲渡所得課税の対象となるものについて、昭和四十六年三月三十一日までの土地等の譲渡による譲渡所得とあるのを、施行日から起算して二年を経過する日までの土地等の譲渡による譲渡所得と改める等、所要の修正をはかっております。
 さらに、間接税の特例につきましては、航空機の燃料用揮発油等に対する揮発油税及び地方道路税の免税措置並びに黒糖に対する砂糖消費税の非課税措置に関し、その製造場から移出される揮発油または黒糖についてのこれらの措置を四月一日から適用することとしております。
 なお、登録免許税に関する軽減措置につきましては、施行日の翌日以後に登記を受ける場合に適用することとしております。
 以上が、改正案によって納税者が受けることを期待していた税法上の特典について、法律案成立の予期しなかった遅延によって思わざる不利益をこうむることをできる限り救済することを目的とした本修正案の大要であります。委員各位の御賛同をお願いいたします。
#183
○委員長(丸茂重貞君) 別に御発言もなければ、これより両案を一括し、原案並びに修正案について討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#184
○戸田菊雄君 私は、日本社会党を代表して、所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置の一部を改正する法律案の二法案、並びに自民党修正案の両案に対し、反対の立場を明らかにし、討論を行なうものであります。
 初めに、国民所得に対する租税負担率は、戦前の昭和九年−十一年には一二・九%であったのが、戦後は、二十四年の二八・五%をピークに、三十年以降は大体一九%前後に推移し、三十六年に二〇%台に回復、四十年、四十一年ごろには、景気後退と四十一年度の国債発行による減税とが相まって四十一年度の租税負担率は一八・六%に下がった。その後、再び上昇に転じ、四十二年度は一八・五%、減税ゼロの昨年四十三年は一九・三%、本四十四年度も一九・七%と継続して増加の方向をたどっております。その結果、国民一人当たりの税金は、国、地方税合わせて三十五年二万五千四百五十七円が、四十四年は実に八万九千六百円にもなっております。
 税収の中軸であります所得税と法人税の税収の推移を見ますと、三十二年以降終始法人税収が所得税収を上回っていましたが、四十年の不況を境にその構成比が所得税二九・六%、法人税二八・三%となり、四十二、四十三年度には、法人税が回復し、法人税がやや高くなっていたが、四十四年度当初予算では、所得税収一兆九千六億円に対し、法人税収一兆八千五百八十億円で、所得税収が大きくふくれ上がっております。
 日本の工業生産力は資本主義世界で第二位であり、その発展と恩恵を全面的に受けている法人に対する課税が世界二十一位の低迷にある国民所得に対する課税よりも低いということは問題であります。
 また、国民所得の伸び方と税金の伸び方を比較いたしますと、三十五年から四十二年までに、国民所得は二・六六倍であり、これに対し全産業の平均賃金は名目二・〇三倍、実質では一・三八倍にしかなっておりません。所得税は、三十五年以降三・二四倍にもなっております。一方、法人所得はほぼ国民所得並みに二・六五倍伸びているのに、法人税は二・二五倍にとどまっております。
 かりに、所得税の伸びを国民所得並みにとどめるとすれば、四十二年度は二千二百億円の減税が必要となるはずであります。さらに、税の自然増収と減税の関係を見ますると、四十三年度ば四十二年度補正後予算に対し六千五百七十五億円の自然増収を見込んでいたが、その後の税収の伸びによりさらに二千四百五億円を追加し、合計九千億円にのぼる自然増収を見るに至りました。これに対し、減税額は、たばこによる増税分を除外しても、六百億円程度にすぎません。まさに酷税と言わなければなりません。四十四年度も自然増収が一兆一千九百六億円を計上されておりますが、減税総額はわずかに千五百億円、うち物価上昇分四百二十億円を差し引くと、実質一千八十億円しかないわけであります。
 自然増収のうち、半分の五千八百五十五億円は所得税の自然増収であります。当然、物価調整をして減税に向けなければならないのであります。税調が指摘する物価調整減税による最低一千八百億円の減税がなければ実質増税になることは、疑いのないところであります。
 昭和四十二年、四十三年、四十四年の三年間で自然増収累計は五兆八千億円をこえております。その減税割合は九%にすぎません。いかに勤労者に対して重い税金をかけているかがわかります。
 以下具体的にその反対の理由を申し上げます。
 第一は、所得税や住民税の課税最低限が、国民生活を無視し、生活費に食い込んで課税されていることについてであります。政府は、五人家族給与所得者の課税最低限を八十三万円から九十一万円(平年度九十三万円)に、独身者は現行三十一万五千円から三十二万五千円に引き上げたとしておりますが、総理府の家計調査でも明らかなごとく、年収九十一万円の人の一日の食費がおおよそ八十円見当では生活していける数字でしょうか。課税最低限の引き上げを希望いたします。また、五人家族で年収百万円の人は六千四十九円、五百万円の人は十二万千二百三十五円、一千万円の人は十七万五千円の減税となるのであります。独身者では、年収五十万円の人はわずかに四百五十円、三百万円の人は七万円の減税であります。今回の減税対象はもっぱら中堅以上の高額所得者に向けられている事実は、まさに不当と申さなければなりません。税率の緩和も全く同趣旨のもとに貫かれております。
 第二は、住民税の重税は一そうきびしくなっているということについてであります。都道府県民税の税率は二段階の比例税率となっており、また、市町村民税も、累進税率とはいえ、最高税率は一三%と低く、条件によってその税率を一・五倍まで上げることができるようになっております。今回、課税最低限を九万円引き上げたとはいえ六十二万円にすぎず、逆進的性格が強くなりつつあります。
 第三は、租税特別措置法に見られる大法人や資産所得者に対する過大な優遇措置を直ちにやめ、応能、公平、法定の税制の原則に立ち返ることについてであります。勤労者は、前述をいたしましたように、生計費まで食い込んで課税されておりますのに、配当収入だけで生活をしている人は、五人家族で年収二百八十三万円まで税金がかからないのであります。また、株式の売買による所得も無税でありますほかに、土地の譲渡所得などにも税の軽減が行なわれております。ことに、利子所得は、他に幾ら所得があっても一五%の分離課税だけで済み、配当所得も前述した配当控除をやめて一五%の分離課税をはじめ、大企業や資産所得に片寄った税の優遇制度の根源は、租税特別措置にあります。この租税特別措置は、価格変動準備金とか、輸出割り増し償却、海外市場開拓準備金、合理化機械化等の特別償却といった大企業や資産所得向けのものが大部分であります。
 特別措置による減収額は、四十四年度国税だけで実質三千九百九十一億円、地方税で二千億円の合計五千九百九十一億円の巨額になっておるのであります。
 利用面では、中小企業に比較的利用されやすいといわれる価格変動準備金、貸し倒れ引き当て金、退職給与引き当て金では、資本金一千万円以下の会社数は九〇%をこえるのに、利用額はわずかに一五%、資本金一億をこえる会社数は二%に満たないのに全体の七〇%を利用しているにすぎません。
 このように、税制制度の優遇の上に租税特別措置が行なわれていることを見のがすわけにはまいりません。利子配当優遇措置は直ちに廃止すべきであります。昭和四十四年三月十四日、衆議院大蔵委員会でのわが党の広瀬君外十一名による社会党修正案を十分検討の上、善処されることを希望いたしまして、私の反対討論を終わります。
#185
○青田源太郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題になっております所得税法の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、修正部分を除く原案及び修正案に賛成の意を表するものであります。
 これら二法律案は、昭和四十四年度税制改正として、中小所得者の負担軽減に重点を置いて、平年度一千八百億円の所得税減税を行なうとともに、土地税制及びその他の特別措置の合理化を講ずるものであります。
 まず、所得税法案につきましては、この改正により、夫婦子三人の標準家族で所得税を課せられない限度額は、給与所得者の場合、現在の約八十三万円から九十三万円までに引き上げられ、物価値上がり分の調整は十分に配慮されておりますし、また、わが党公約の百万円まで非課税の線へ大きく近づいたものとして、喜ばしい限りであります。さらに、例年と比較して大きな改正は、税率改正による負担の軽減であります。ただいまの課税最低限引き上げとあわせて、夫婦子三人の給与所得者で年収百五十万円から二百万円の人は、平年分現行と比して約二三ないし二四%の大幅な軽減となるものであります。
 以上のように、所得税法案では、年収二百万円以下の人々を中心とするサラリーマン減税に重点を置いた改正でありまして、野党委員にも御反対のありようがないものと私は信ずるものであります。
 次に、租税特別措置法の改正についてであります。
 今回の改正の重点の一つは、土地税制の改革に手をつけている点であります。その大筋は、土地の投機に対しては抑制的に、資産として古くから所有していた土地を放出する者に対しては奨励的に、税制を変えようというものであります。税制の改革だけでわが国の当面している土地問題が解決することはできませんし、税制面からまだ打つ手はあると思われますが、これだけでも土地対策は一歩前進と評価し得るところであります。他の地価対策と相まって問題の解決に資するところ大であると信じます。
 その他、当面の経済情勢に即応してとられております住宅対策、公害対策、中小企業対策、原子力発電推進のための助成措置等、いずれも緊急に必要とされ、時宜にかなったものであります。また、課税強化の面で、世論の批判のきびしい企業の交際費について損金不算入割合を引き上げていることも、支出を抑制し、企業の体質強化、合理化に資するものであると思われます。
 なお、本年度の改正においては、昨年度と同様新設、拡充を極力押え、その財源は既存の措置の整理、合理化によってまかなわれ、初年度において新たに財源を要しないことも、特別措置の整理、合理化の方向に沿うものであると思います。
 以上、四十四年度税制改正は、減税額から見てこれで必ずしも十分であるとは言い得ないと思いますが、国民経済の動向や財源事情からすればかなり厚みのあるものと言い得るところであります。
 次に、修正案は、法律案成立の遅延に基づく施行期日の関係でありまして、施行についての事務的に最小限度必要なものと認め、賛成するものであります。
 以上をもって、修正部分を除く原案及び修正案に対する賛成の討論といたします。
#186
○多田省吾君 私は、公明党を代表いたしまして、所得税法の一部改正法案、租税特別措置法の一部改正法案並びに自民党提出の修正案二案に対しまして、反対討論を行なうものであります。
 現在、国民一人当たりの所得は世界第二十一位であり、数々の矛盾をはらみ、富国貧民といわざるを得ない姿であります。しかして、この四十四年度税制改正二法案も、相変わらず大衆を犠牲にしていくものといわざるを得ないのであります。
 初めに、租税特別措置法改正案についての反対理由を申し上げます。
 租税特別措置法は、大企業優遇措置として悪名高いと言われておりますとおり、税負担の公平を大きく阻害しているばかりではなく、政策効果が不明確であるばかりか、既得権化し、長期的固定化していく傾向があります。したがいまして、租税特別措置については徹底的に洗い直しを行ない、給与所得者の減税財源を少しでもふやすよう常に経済動向と効果、利用状況等について絶えず研究努力し検討を加えていくべきであります。政府はこのような不均衡な租税特別措置にきびしく規制整理すべきであると強く主張するものであります。
 交際費については、四十三年度の支出総額は約七千億円、本年度は八千億円に達するといわれております。したがって、損金不算入割合を現行の五〇%を六〇%に引き上げた改正は、庶民から見ればほんの手先のごまかし程度といわざるを得ません。現在の交際費の実態は、企業経営上のマイナス、はては社会問題へと発展すると極論する人もおりますが、このような交際費課税については、損金算入限度をこえたものに対しては断固強く全額課税措置をとっていくべきであると主張するものであります。
 土地税制については譲渡所得の根本的な改正を行なうとのことでありますが、総合的な土地政策がきまっていないため、土地開発の供給として地価の安定のためにその効果が発揮できないうらみがあります。内容を見ますと、譲渡所得は長期保有土地に対して毎二年ごとに五%ずつの増税率で分離課税を行なうこととしております。値上がりが課税より大きくなると、さきに述べましたように、税負担の不公平のみならず、供給に大きく支障を来たし、将来もその効果に期待できない法案となるのであります。
 今回の改正案が新設される租税特別措置は、約百七十種類に達するといわれております。また、これによって四十四年度の減税額三千二百二十六億円という、四十三年度より二三%も伸び、所得税の増収は四千二百五十億円で、つまり三〇%もふえ一兆九千億円という巨額になっているのであります。
 このような税制の不公平や特権的な特別措置を整理して、その財源によって勤労者所得税減税に振り向けるべきであります。
 第二に、所得税法改正案についてであります。
 まず、初年度の千五百億円の減税は、来年度の増収見込み額一兆二千億円に対して一二・五%にすぎず、過去十年間の二二・二%の平均減税率から見ると、はなはだ乏しいものと見られるのもしかたがないのであります。税制調査会の答申に述べられているように、今日のような物価値上がりが著しいときには物価調整減税が必要あり、また、給与のベースアップが毎年一〇%をこえているような状態では、来年度の消費者物価の上昇率を五%と押えた場合でも、実質減税はわずか千億円程度になってしまう。また、その実質減税がさらにこれを下回ることも明らかでありましょう。さらに、視点を変え、四十四年度における国民所得に対する租税負担率は一九・七%であり、前年度に対し〇・四%も上昇する見通しとなっているのであります。政府は、「一千五百三億円にのぼる史上最高の所得税減税」また「よりよい高い福祉の水準は国民の負担につながる」等言っておりますが、しからば、一億円の定期預金者の利忠収入五百五十万円に対して八十万円の税金を支払えば済むが、年間五百万円の給与所得者なら標準世帯百二十一万円の税金を払うことになるのであり、また、たとえば、利子所得の分離課税は貯蓄増強のためという大義名分のもとに行なわれているというものの、配当所得については税負担の極端な不均衡を招いているのであります。これでは全く不公平きわまりないと言えるのであり、さらに実質減税がゼロとなるおそれもあり、イザナギ景気とはいえ、国民の肩に重くのしかかっているのであります。
 改正案の内容を見ますと、今回の法案は、世間では部課長減税と呼ばれ、その恩恵を受ける者は年収百五十万円から四百万円程度の階層に最も厚く及んでいるのであります。なぜならば、わが国においては、百万以下の低所得者階層が厚く、七割近く占めている者よりの税収が最も大きいことであります。給与所得控除は、給与所得の捕捉率が高いサラリーマンに対し、給与所得者の特別所得税率を別につくるか、給与所得控除の課税最低限をわが公明党の主張する百三十万円まで引き上げるべきであります。そのために、防衛費の削減、大企業優先の措置、利子配当所得の優遇、交際費課税の強化、税率の調整を行なって財源を捻出し、大衆福祉優先の施策を行なうべきであることを主張しまして、私の反対討論を終わります。
#187
○田渕哲也君 私は、民主社会党を代表して、所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案並びに両案に対する自民党修正案に対して、反対の意見を表明いたします。
 まず、所得税法の改正案に反対する理由は、第一点としましては、減税の幅が少ないことであります。政府の改正案は、夫婦及び子供三人の五人世帯の給与所得者において、課税最低限度額を十万円引き上げ、九十三万五千円としておりますが、これは最近の激しい物価上昇を考えるとき実質減税額はあまりにも少ないものであります。わが国の経済情勢、景気見通し、外貨保有高、財政状態などから考えた場合、また、国民の強い減税要求の声に耳を傾けるならば、この際、四十四年度において、少なくとも五人家族の課税最低限度額を百万円に引き上げるべきであるし、また、それは可能であると信じます。
 第二点としましては、給与所得者に対する税の過重、不平等が改められていない点であります。政府改正案では、給与所得控除にわずかの手直しを加えておりますが、この程度では、俗にクロヨン(九一六・四)あるいはトーゴーサン(一〇・五・三)といわれる徴税面の不平等、給与所得者に対する過重な税金は改められず、これに対するサラリーマン層の不満が解消されるとは考えられないのであります。
 次に、租税特別措置法の改正案に反対する理由は、まず第一点としましては、既存の特別措置の再検討と整理が不十分であることであります。特別措置の中には、政策目的の合理性や、政策手段としての有効性がすでに失なわれているものも少なくありません。しかし、それらに対する抜本的対策が立てられず、一部階層の既得権と化し、慢性化しつつある点は、きわめて遺憾であります。
 第二点としましては、交際費課税の強化が不十分であることであります。交際費については、今回若干の課税強化をはかることとしておりますが、最近の交際費は年間七千億ないし八千億円といわれ、社用族の乱行、汚職の温床となりつつあることを考えれば、一〇%程度の増税は一般庶民から見るならば全くの申しわけ程度で納得できないものであります。
 第三点といたしましては、土地税制についてであります。この税制ば、土地値上がりによる不労所得に対する優遇策であり、社会主義に反するばかりでなく、政府のねらいとする土地供給の促進についてもその効果ははなはだ疑問であります。土地譲渡所得に対する優遇策よりも、土地保有税の合理的な設定こそ、より適切であると考えます。
 以上、要約して理由を申し述べ、反対の討論といたします。
#188
○渡辺武君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となった所得税法の一部改正法案、租税特別措置法の一部改正法案、並びに両法案に対する自民党修正案に反対するものであります。
 まず、所得税法の一部改正法案に反対する第一の理由は、物価値上がりに伴う名目収入の増加のために、今回程度の諸控除の引き上げでは、最低税率の引き上げと相まって、納税人口の八〇%を占める年収入百万円以下の低所得者には事業上増税となり、依然、生活費に食い込む課税となるからであります。政府資料でも四十四年度の納税人口は二千五百四十万と戦後最高となりますが、これがいかに低所得者にも重税を課しているか、その否定し得ない証拠であります。
 第二の理由は、低所得者には生活費に食い込む課税をしておきながら、年収二百万から三百万円以上の高額所得者に対しては、給与所得控除の適用対象の拡大、控除額の引き上げなどによって特別の優遇措置を講じているからであります。同時に、この措置は、社会の批判によって交際費課税の強化を租税特別措置法でやらざるを得なくなったのを、所得税法で事実上補おうという措置と考えざるを得ず、全く不当といわなければなりません。
 第三の理由は、低所得者に対しては最低税率を引き上げながら、高額所得者には最高税率の適用対象を現行の課税所得六千万円から六千五百万円に緩和し、高度累進課税の原則を踏みにじろうとしているからであります。
 かかる性格の法案には、断固反対するものであります。
 次に、租税特別措置法の一部改正法案に反対する第一の理由は、この法案が、原子力発電施設の特別償却、動力炉。燃料開発事業団に対する電力会社の出指金の損金算入制度を新設したほか、輸出割り増し償却、海外投資損失準備金制度の期限延長など、アメリカと日本の独占資本の強化と海外進出等のために役立つものだからであります。現在、租税特別措置その他によって自民党政府が大企業、大資産家に行なっている税の特別な減免額は、実に一兆数千億円に達しております。
 第二の理由は、土地税制と称し、農民及び市民の土地を民間開発会社、国の収用事業などに集中させ、特に大企業による土地の買い占め、土地投機、地価の値上がりを激しくするものであり、さらに大土地所有者には課税を軽減させ、これによって利子・配当分離課税、有価証券譲渡益の分離課税など、大資産所得者への優遇措置をさらに大土地所有者にも及ぼそうとする全く不当な措置といわざるを得ないものであるからであります。
 わが党は、このような大企業、大資産家に奉仕する二法案に反対するとともに、この二法案の実施を促進するための自民党修正案に対しても反対するものであります。同時に、わが党は、租税特別措置法を全廃し、さらに大企業、大資産家には高度累進課税を強めることを主張します。また、所得税の課税最低限を夫婦子供二人で百二十万円に即時引き上げることを要求して、私の反対討論を終わります。
#189
○委員長(丸茂重貞君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#190
○委員長(丸茂重貞君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 まず、所得税法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 まず、岩動君提出の修正案を問題に供します。岩動君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#191
○委員長(丸茂重貞君) 多数と認めます。
 よって、岩動君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#192
○委員長(丸茂重貞君) 多数と認めます。
 よって、修正部分を除いた原案は多数をもって可決されました。
 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 まず、岩動君提出の修正案を問題に供します。岩動君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#193
○委員長(丸茂重貞君) 多数と認めます。
 よって、岩動君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#194
○委員長(丸茂重貞君) 多数と認めます。
 よって、修正部分を除いた原案は、多数をもって可決されました。
 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#195
○委員長(丸茂重貞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 福田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。福田大蔵大臣。
#196
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま、重要なる租税関係諸法案を御採決、ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
 私、先ほど委員長並びに理事の皆さんにごあいさつを申し上げたのですが、この十日、十一日、十二日とシドニーでアジア開発銀行の総会があるんです。これは各国とも大蔵大臣が出席する模様であります。さようなことで、まあアジアの日本でございますので、私にぜひ出席せいという各方面からの要請があるわけであります。つきましては、まことに多端のおりでございますが、出席をさせていただきたいと思います。八日に出発して、一週間、十四日に帰る予定でありますから、何とぞ留守中よろしくお願いいたします。
#197
○委員長(丸茂重貞君) 本日はこれにて散会いたします。
  午後五時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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