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#1
第061回国会 大蔵委員会 第20号
昭和四十四年六月十二日(木曜日)
   午前十時四十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十一日
    辞任         補欠選任
     野上  元君     松本 賢一君
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     松本 賢一君     野上  元君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         丸茂 重貞君
    理 事
                青田源太郎君
                岩動 道行君
                多田 省吾君
                田渕 哲也君
    委 員
                青木 一男君
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                鬼丸 勝之君
                小林  章君
                中山 太郎君
                西田 信一君
                欠野  登君
                佐野 芳雄君
                野上  元君
                松井  誠君
                横川 正市君
                鈴木 一弘君
                渡辺  武君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       大蔵政務次官   沢田 一精君
       大蔵省主計局次
       長        海堀 洋平君
       通商産業省鉱山
       石炭局石炭部長  長橋  尚君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       通商産業省鉱山
       保安局石炭課長  高木 俊介君
       労働省職業安定
       局失業対策部長  上原誠之輔君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(丸茂重貞君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
#3
○多田省吾君 初めにお尋ねしたいのは石炭の位置づけでございますが、あくまでも石炭は総合エネルギー対策の立場から位置づけをしなければならない、こう思います。第三次答申までは年産五千万トン程度を目標として位置づけがなされたわけでございますが、このたびの第四次答申あるいは政府の施策というものは、はっきりしておりません。しかし、いろいろ審議の過程を通じて、どうしても昭和四十八年度においては三千六百万トン程度を目標としているのではないかと、自然にそういう姿が出てくるわけでございますけれども、政府として一体昭和四十八年度までの位置づけをどういうお考えで立てておられるのか、これをまずお伺いしたいと思います。
#4
○政府委員(長橋尚君) 前回の抜本策におきましては、年産出炭量を五千万トンベースで維持するという前提に立って対策が講ぜられたわけでございますが、その後の石炭鉱業をめぐります内外の状況とともに大きな変化がございまして、今後とも一定の出炭規模を五千万トン程度のものを維持していくというふうなことで石炭対策を考えます場合には、赤字は年々累増する一方でございますし、石炭対策費に限度がないということであればともかくといたしまして、きわめて非能率な形で石炭鉱業を維持するということにならざるを得ないという状況に立ち至ったわけでございます。そこで、石炭鉱業全体としてはこれを再建軌道に乗せる、そして国として石炭対策に割愛し得る今後五年間の財政支出の最大限度を画して、そのワク内で需要面の状況その他を勘案しながら今回の石炭対策が講ぜられた次第でございます。その場合、石炭鉱業全体としては再建軌道に乗せるといたしまして、どうしても非能率な部分が閉山、縮小するのはやむを得ないという判断に立ったわけでございます。
 四十八年度の出炭水準三千六百万トン程度と申しますものは、今後の需要の動向と、原料炭を少なくとも現状程度に維持していく。それからまた、火力発電用炭というものにつきましても、現有火力発電設備の需要にこたえていくというふうなことからいたしまして、三千六百万トン程度の出炭規模というふうなものは妥当なものである、かように考えたわけでございます。しかも、この三千六百万トン程度というのは、一つの助成費積算の基礎でございまして、この助成費のもとで労使一体となって企業努力が営まれていくという限りにおきましては、これを五年後の生産が上回るということも期待されるわけでございます。あるいはまた、状況の変化が意外に悪くなりました場合には、ある程度下回ることもやむを得なかろう、かように幅を持ちまして今後の生産水準を想定いたした次第でございます。
#5
○多田省吾君 需要の面から考えまして、いわゆる第三次答申の中で言われた電発の石炭専焼火力発電所を増設するという考え方がございましたけれども、最近では九州方面の火力発電も石炭からどんどん重油に切りかえられておるような姿がとられておるわけでございまして、まさに逆行の姿でありますけれども、こういった火力発電所のための一般炭をふやしていこうというお考えはこれから全然ないのかどうか。あるいは、鉄鋼における原料炭もだいぶ使われておりますけれども、前にも論議されたわけでありますけれども、そういった今後需要をふやす見通しというものはどのように考えられておるのか。
#6
○政府委員(長橋尚君) わが国の石炭鉱業の置かれております自然条件、それに基づきますコスト条件というふうな点からいたしまして、原料炭につきましては、今後とも現在の年間千二百万トン程度の生産水準を維持していくというところが妥当なめどと考えております。それから火力用炭につきましては、毎年年度当初に立てます合理化実施計画の面におきまして、需要側の状況とも十分突き合わせまして、年々の電力用炭の供給見込みを立てているわけでございまして、今後ある程度一般炭についての供給減というふうなものもやむを得ない、かように考えられますが、しかし、そういった供給減によって電力業界として迷惑を受けないというふうな配意を加えてまいることにいたしております。
#7
○多田省吾君 大蔵大臣にお尋ねいたしますけれども、この前も、戸田委員の質問に対して、大平通産大臣は、総理が衆議院の予算委員会で今度の第四次答申というものが最終ではあるまいということを言ったと。それは、総理としては、最終だというようなことをきめる必要はないという意味で軽く言ったのであるという弁解もあったわけでございますけれども、とにかく、通産大臣としては、行政担当としてはファイナルなものにしたいと言っておりましたけれども、また、一面において、来年の八月まで体制委員会というものを設けてその答申を得たいと、こういうことも言っているわけでございます。そういった一連の政府の考え方を見ますと、大蔵大臣は、衆議院においても、この委員会においても、あくまでも最終であるということをおっしゃっておりますけれども、二年後、三年後においては、どうしてもまた根本的な対策というものが、また予算措置というものが、財政援助というものが必要になるのではあるまいかという見通しになるのじゃないか、こう私たちにも考えられるわけでございます。それで、どういう根拠で、大蔵大臣は、総理も最終ではあるまいとおっしゃっておられるのに、最終ときめられるのか、それをお伺いしたい。
#8
○国務大臣(福田赳夫君) 総合対策といたしましては最終のものである、かように考えておるのであります。おそらく総理もそう考えているに違いない、かように私は見ておるのであります。ただ、三年間特別会計の寿命を伸ばしますが、三年間でそれでは石炭対策は終わりかというと、そうじゃない。たとえば、保安の問題とか、あるいは離職者の問題とか、まだ三年たっても解決しない問題はありましょう。しかし、総合対策として特別会計から特定の財源を充当した形での対策、これは今回をもって終わりであろう、こういうことを申し上げておるわけであります。その後、総合的なものでなく、個別的な意味におけるさような離職者の問題、あるいは鉱害の問題、保安の問題、そういうふうなものにつきましては、一般会計から、他の財源とのかね合い等もとりまして、均衡のある形でこれを支弁する、こういうことであります。
#9
○多田省吾君 いま、大臣のお答えによりますと、総合対策としては今回が最後なんだと。そうしますと、総合対策の中の中心を占める前回の肩がわり金とか、あるいは今回の再建交付金とか、そういった形の財政援助というものはこれで終わりなんだというのか、それとも、個別的であれば考えられる余地がある、こういう意味なんですか。
#10
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま御指摘のような、対策の根本となる問題はこれでおしまいだ、かような見解であります。
#11
○多田省吾君 じゃ、そういったいま言ったような再建交付金あるいは肩がわり金といったようなものはしなくても、今回の対策でもう十分であると、これで石炭産業は必ず昭和四十八年度をめどとして立ち直っていくのだという、こういう厳然たる確信のもとにこの法案が出されているということでございますか。
#12
○国務大臣(福田赳夫君) さようでございます。
#13
○多田省吾君 まあ、そういったことは、私たちには、いまの現状から推してまだまだ納得できない点でありますけれども、次に、通産大臣のおっしゃった体制委員会の答申を来年の八月まで待つということでございますけれども、熊谷通産次官は、これは答申は出ても財政対策は全然しないのだと、こういうことを新聞紙上なんかで見かけたのでありますが、そうなりますと、そういった体制委員会の答申というものは、単なる将来へのビジョンにのみとどまるのであって、その具体的な政策というものは財政援助というものは全然ないのだと、こういう意味なんでありますか。
#14
○国務大臣(福田赳夫君) これから石炭対策が五年続くわけですね。まだ前の計画が残存期間が二年ある。そこで、今度は三年間の延長、こういうことになったわけでございます。この五年間にいろいろ変化もあろうと、こういうふうに考えておりますが、この再建を進める途上におきまして、いままでの体制でいいのか、あるいはこの辺で企業の合同というようなことを考えたらいいのじゃあるまいかとか、あるいはそこまでいかないが協業化というようなことを考えるべきであるとか、いろいろ運営の体質面に問題が出てくるだろうと思うんです。審議会が検討しないにいたしましても、企業そのものの中からそういう体制論というものが出てくるであろう、こういうふうに考えるわけでありますが、そういう傾向を踏んまえながら、どういうふうな傾向を体制問題としてとったらいいであろうかという検討を石炭鉱業審議会でやる、こういうことであります。したがって、その体制問題は、私どもが御審議をお願いいたしましたこの財政計画のワク外の問題である、こういうふうに御理解を願いたいのであります。
#15
○多田省吾君 そうしますと、結局、第四次答申においてわれわれの期待したいわゆる体制問題というものが植村構想すらもほとんど論議されないで葬り去られてしまったような姿があるわけでございますが、外国の例を見ましても、イギリス、フランス等は国営あるいは協業化されておりますし、西ドイツ等も鉄鋼会社自体が原料炭を確保しているというような有利な状態がありますが、とにかくそういった姿において合併している。もう合併してないのはアメリカと日本だけであるというような現状ではないかと思うわけでございます。そういった世界的な趨勢の中で、非常に不利な条件にある日本の石炭産業が、体制問題で全然進展がない。この前も参考人の方に質問したわけでございますけれども、経営者側から見ましても、そういった三社案とか一社案とか植村構想とかいろいろあるわけでございますけれども、そういったものに対しても非常に消極的であるという姿も見られたわけでございます。そして、また、来年の八月の体制委員会の答申が出たとしても、財政的な措置はしないんだということになりますと、おのずからその体制委員会の答申というものも政府の意向に沿うたような消極的なビジョンにとどまるのではないかと私たちはいまから危惧しているわけでございます。そういった点において、外国の例等もやはり対象として考えながらもっと積極的な姿勢を示さなければ、たとえこれから個別的などんな対策をとろうとも、抜本的対策なしには今後石炭産業の前途というものはますます暗いものになるのではないかと思われますけれども、こういった点に関してどうお考えになっておられるのか、お答え願いたいと思います。
#16
○国務大臣(福田赳夫君) 体制の問題でありますが、政府がいま御提案申し上げており、すでに御審議を願ったこの行き方というものは、これは企業の創意と責任を基軸として石炭産業の再建をはかるべきである、こういう基本的な考え方に基づいておるものであります。これを石炭産業がどうあるべきだということを画一的にきめて押しつけるということは、これは企業の創意、責任というものを著しく阻害する、こういうふうに考え、自然発生的に企業の中からそういうふうな盛り上がりが出てくるということを期待する、こういう態度をとっておるわけでございます。私どもは、必ずやこの五年間の間には再建の諸構想を通じましてそういう動きが出てくるであろう、こういうふうに考えておるのであります。かたがた、そういう空気を醸成するためにも、体制問題を鉱業審議会という場において審議するということは有効であろう。しかし、あくまでもこれは企業の創意と責任に立って行なわるべき問題である、かような見解でございます。
#17
○多田省吾君 現在の私企業である以上は、これは大臣がおっしゃったように、崩壊の危機に瀕している石炭産業でありますけれども、あくまでもいまの段階では国の助成は経営者の努力のほうが最優先してそれをカバーする立場にあるような状況でありますけれども、状況は、政府の助成だけを期待して、経営者の努力というものが優先していないという傾向がいま現在見られるわけであります。大臣は、そういう姿ではならない、あくまでも経営者の考え方が、再編成とか統合とかあるいは企業努力とかそういったものを推進していくようなふうに醸成する、かもし出すというようなお考えと思いますけれども、現状では、経営者の姿勢というものはまだまだそこまでいっていないのじゃないか、ただ自社の体制を何とかしてという姿のみにとらわれているのじゃないかと思いますけれども、こういった状況で政府の助成が数年間なされているということは大きな問題であると、こう思います。それで、政府としては、そのお考えはお考えとして、それじゃそういった方向にどうやって持っていくか、その確固たるお考え、方針というものは、国が助成している以上はおありだと思うのです。そういう今後の具体的なお考えについて、もう一歩立ち入ってお聞きしたいと思います。
#18
○国務大臣(福田赳夫君) 今度、政府は、特別会計を三カ年延長し、したがって、五カ年以内に石炭産業を抜本的に再建するという構想を固めましてこれを内外に示しておるわけであります。ワクがきまったんだ、そこが大事だと思うのです。いま多田さんからのお話がありますが、これがさらに五年たってもさらに延長されるんだとか、そういうような状態でありますと、企業は政府に寄りかかって再建の意欲を示さない、こういうことになろうかと思うのです。そうじゃない、これはもうワクはこれだけなんだ、この中で生きるか死ぬかひとつ考えてみないか、こういうことになってきておるわけであります。現に、このワクではとてもやっていけない、この措置にのっとって閉山をしよう、廃山に持ち込もうというような動きが出てきておることは御承知のとおりでありますが、また、同時に、企業を再建するためには、その企業を分解いたしまして、そうして石炭鉱業自体が生き残るという方途をいま考えているという会社も出てきておるし、まだ具体的に合併というところの話は聞いておりませんけれども、おそらくそういう動きも強く押し出されてくるであろう、かように考えておるのであります。問題は、大事なことは、ワクはこれきりなんだ、政府の援助の限界はこれだけなんだ、これを示しておく、これが大事だ。そういたしますれば、その中において必然的に自己努力というか、みずからの創意工夫という線が出てくるであろう、かように考えておるのであります。
#19
○多田省吾君 ですから、そういうお考えであれば、第四次答申並びに政府の施策というものが、そんな二年後また手直しが行なわれるのじゃないかというようなことを言われるような対策ではなくて、なるほど体制問題もあるいは位置づけとなされたところも最終対策なんだと思わせるようなものじゃないと私は本物じゃないと思うのでございます。
 この問題は、時間もとりますので、次の問題に移らせていただきますけれども、特別会計の収入増の運用についてでございますが、今回の原重油関税収入の実績、見通し、それから関税収入の増加も見込まれておりますけれども、この増収分も石炭対策特別会計の中に繰り入れられていくのか、あるいはこの会計の今後のあり方、こういったものを、要点だけでけっこうですから、お知らせ願います。
#20
○政府委員(海堀洋平君) 御存じのように、原重油関税のうちで、石炭対策に充てられるもの、この特別会計の歳入とする部分は、おおよそにおいて十二分の十という部分がこの対策費に充てられるということになっております。それは、現在の措置法によりますと、四十五年で一応その関税関係の特別措置は切れるわけでございますが、石炭対策特別会計の期限が四十八年度までになっておりますので、その期間に必要な所要の改正はその時点において行なうことになろうかと存じます。
 それで、現在見込まれております関税収入の見込みでございますが、これは一応現在の特別会計に充てられる部分をそのままということを前提といたしますと、四十四年度から四十八年度までに四千五百億円程度のものは確保できるであろう。これは現在ここに御提案申し上げております石炭対策の五カ年間の所要額を十分にまかなえると存じます。なお、四十四年度におきましては、前年度の剰余金も含まれております。
#21
○多田省吾君 次に、災害のことでちょっとお尋ねしたいのですが、北海道だけでここ一年間で百七十三名の尊い人命が失われているわけでございますが、特に北海道の場合は、炭鉱災害の死亡率は国際水準の十倍以上だといわれております。それが、特にコスト引き下げのための、あるいは出炭量増加のための会社の方針というものが人命第一主義というものをおろそかにしている姿もありますし、また、閉山等の動きがあるためにそういった混乱が見られるということも考えられるし、その他幾多の条件はあろうかと思います。特にこの前の五月十六日の住友石炭鉱業歌志内砿のガス突出による災害においては十七名の犠牲者を出しているわけでございます。それで、会社側は、もう法律を守っていては石炭は出ないんだというような考えもわれわれには見えるわけでございます。この前も、一月に行なった調査でも、北海道の炭鉱の坑道の広さが、全体の七〇%、一つの山でも七〇%の違反を発見したというような調査結果も出されているわけでございます。今回のガス突出にあたっても、五月十三日に昭和四十四年度の全国鉱山保安表彰式で表彰されたばかりの優秀なはずの歌志内砿でものすごいガス突出事故が見られた。三十九年には技術研究所もつくっている、四十年から四十三年までに千二百億円の政府補助のガス突出のための基礎研究もなされているというような炭鉱においてこういった事故が起こった。いろいろ政府の御答弁を聞いておりますと、学術的にもまだ未知の分野が多いのだし、根本的究明の対策はまだまだこれからであるということもあるわけでございますが、とにかく十五万立方メートルというようなものすごい量のガス突出をまだ予知さえできなかったということは、これは今後の石炭労務者の方々の作業においても重大な問題であろうと思います。こういったガス突出を含めて北海道はじめ全国の相続くいわゆる炭鉱事故を政府としてどのように防いでいこうとしておられるのか、あるいはこういった方々の遺族補償は労災保険も含めてどのようになっているのか、それをまずお尋ねしたい。
#22
○説明員(高木俊介君) ただいま御指摘になりました炭鉱の災害でございますけれども、昨年、美唄炭鉱をはじめとしまして相次ぐ災害が発生いたしまして、実は、石炭鉱業のほうの合理化の「今後の石炭対策はいかにあるべきか」ということが通産大臣から諮問されましたときに、同時に、保安面におきましても、「今後の石炭鉱山における保安確保対策はいかにあるべきか。」ということが諮問されたわけでございます。七月から十二月まで中央鉱山保安協議会の石炭委員会におきまして慎重審議いたしました結果、十二月の上旬に今後の石炭鉱業の保安のあり方というものが答申されております。その中には、経営者の姿勢の問題、あるいは各炭鉱の坑内構造の整備の問題、あるいは保安教育の充実というような数多くの点が指摘されているところでございます。その答申に基づきまして、政府といたしましては、保安面におきまして現在まで年間三億数千万円の予算でございましたものを、本年度は、ガス抜き、あるいは密閉、あるいは保安機器というような直接炭鉱の保安につながるものにつきまして、大蔵省のほうから約十四億の予算をいただき、各山の自主保安の上になお政府としても補助金を出して、自主保安のたてまえである現在各山の保安確保に一そうの努力を願うというつもりで予算面におきましても多大の援助をしているような次第でございます。
 なお、本年に入りまして、先ほど御指摘のように、歌志内ほか前に茂尻の災害もございますけれども、相次ぐ災害が起きております。これに対しまして、政府側としましては、厳正なる態度で臨むということで、現在保安法でいろいろ規制されておりますけれども、直接の災害原因になる責任問題というものは、とりあえずあるいは現場の検証なりあるいは聞き取りというものを完了いたしましたあとで、検察庁のほうと十分打ち合わせて送致するなり、厳格な処分をするという考えでおります。ただし、かような十七名あるいは十九名というようなたくさんの罹災者を出しました災害につきましては、経営者の責任という点を強く追及いたしまして、茂尻におきましては統轄者、あるいは歌志内におきましては鉱長である技術管理者というものの自発的な退職――保安法上は解任ということができるのでございますけれども、山側から自発的に退くということを了承し、保安局といたしましても強い姿勢で臨んでおります。
 なお、各山のほうでも石炭協会の中に保安対策委員会というものをつくりまして、ここを中心にいたしまして今後の災害の撲滅ということに多大の努力をいたしておられます。
 ただいま申し上げましたように、なお、政府といたしましては予算面、会社におきましては自主的な保安努力ということによりまして、労使一体あるいは官民一体という形で今後災害の撲滅に進もうという気がまえで現在努力しておるところでございます。
#23
○多田省吾君 次に、労働力の確保の問題で質問したいのでありますが、住宅問題についての対策とかいろいろ今度の施策は出ているわけでございますけれども、この前も参考人の方々の御意見では、たとえば医療設備なんかは非常に困っておるんだ、これはどうしても国の施策にまつ以外にないということを労使ともに申されているような現状でございます。また、最近は、若年労働者の不足に悩んで、現在七万九千人しかいない、最盛時には四十六万もいたのにということも言われておりますし、結局、そういった離職された方々が、じゃ次のビルド鉱に就職するかといえば、それもないようであります。これは、やはり、労働条件が過酷であり、労働力をそのために確保することができないという姿が明白に見えているわけでございます。こういった労働力確保のための措置について、政府は、住宅問題以外にも、こういった医療問題、あるいは文教問題等もあると思います。いわゆる産炭地の文教政策というものは非常におくれている。僻地学校並みの財政措置を講ずるべきだ、あるいは国の補助をもっと充実して教材費や保護児童生徒対策費の国庫負担率を十分の八まで引き上げるとか、あるいは当面の産炭地に対する財政措置、特に文教対策についてはもっと施策を講じて、学校給食なんかもやはり僻地学校以上に考えるべきではないかということもずいぶん言われているわけでございますけれども、こういった労働力確保のための諸施策について、政府は具体的にどのように考えていらっしゃるのか。
 それからもう一つは、やはりこれはうしろ向きの姿ではありますけれども、自発的な退職希望の人に対しても、会社側は、労働力を確保するために、半年間強制的に離職証明を出さないで何とか説得しようとしているというような姿も一部では見られるようでございますが、こういった姿をどう考えていらっしゃるのか。前向きの姿勢をもう少しとっていかなければ、いろいろなこういった問題が起こってくるんじゃないか、こう考えられます。そういった問題についてどう考えておられるのか。
#24
○政府委員(長橋尚君) 炭鉱におきます雇用の安定が石炭鉱業にとってきわめて重大な問題でございますことは、御指摘のとおりでございます。そのために、今回の石炭対策におきましても、特に労働対策面への配意をいろいろ加えたわけでございます。
 まず、住宅につきましては、今後とも石炭生産をになっていくような企業を中心といたしまして、建設省のほうともいろいろ打ち合わせをし、住宅金融公庫、福祉年金事業団あたりの住宅融資制度とタイアップいたしまして、石炭鉱業合理化事業団の無利子融資をそういった面に加えていくことを目下検討しているわけでございます。
 それから文教問題につきましては、文部省にもかねがね諸般の産炭地の事情をお話ししまして、いろいろな面で御協力を願っておるわけでございますが、特に非行化防止のための教職員の充実というふうな面につきましては特段の配意を願っておるわけでございます。
 その他、労務者確保のために、賃金の上昇、ベースアップというふうなものにつきましても、財政援助面におきましても一定限度までは可能であるように積算を助成費に加えていくというふうなことを考えておりますし、また、最後まで閉山まで残った労務者が十分に退職金を支払われないということが今後残る山におきます労務者の不安をかき立てておるというふうな状況が一時ございましたのに対処いたしまして、今般の新石炭対策におきましては、そういった閉山を余儀なくされる山におきます退職金の確保という点におきましてもできるだけの配意が加えられた次第でございます。
#25
○多田省吾君 この問題にもまだいろいろ問題があるわけでございますが、次に、この前も、昭和四十二年度からのいわゆる債務の一千億円財政資金の肩がわり、あるいは安定補給金を中心とした第三次答申に対する対策というものをやられたわけでございますけれども、特に昭和四十二年九月三十日から肩がわりした大手十三社、中小十四社がありますけれども、その直後のもう十月十六日には大日本炭鉱が倒産して、その他これから閉山、廃業しようというような杵島とか明治とか麻生とかそういうものがあるわけでございますが、その当時も水増し再建整備計画という話がありまして、通産大臣も再建計画を再検討する用意があるというようなことを述べざるを得なかったわけでございますが、今回の再建交付金につきましても、そういった点についてはやはり厳重に監督してもしきれないと私たちは思うわけでございますが、これに対してどういう考え方をしておられるのか、お伺いしたいと思います。
#26
○政府委員(長橋尚君) 今回の再建交付金の交付に際しましては、前回の肩がわりの場合と同じように、法律に基づきまして交付を希望する各企業から再建整備計画の提出を求めまして、それがほんとうにその再建のめどの具体的裏づけを持った地についた計画であるというふうな点を確認し、また、企業としても最大限の自己努力を織り込んだものであるという点についても確認されます場合に交付金の交付を考える、かようなたてまえにいたしております。先ほど御指摘の保安の面につきましても、今回は再建整備計画の中で特に保安確保のための長期計画というものを一項目加えることにいたしまして、今後の先行きの保安の確保のめどという点にも十分配意することにいたしております。かような、御指摘のような、前回の再建計画が背伸びした、水増し的なものであったのではないかというふうな御批判にもこたえまして、今回はほんとうに地についた計画、地についた再建のめどというものを前提にこれを解決するようにいたしたいと考えております。
#27
○多田省吾君 今度は安定補給金が増額されまして、いままでは中小のみであったのでございますが、今度は大手も受けられるようになったわけでございますが、ほんとうにそれはカバーできるのかどうか。それからまた、今回の再建交付金からは相当厳重な査定もしていくし、経理区分をして、いわゆる兼業と専業を分けて再建法人には安定補給金がほかに流れないようにしていくということにしておるということであります。そういった査定をする通産省なり会計検査院なんか増員されたかといえば、全然増員されていない。こういった膨大な事務、相当たくさんの事務の増加があるわけでございますけれども、会計検査の人員を少しもふやさないでやり切っていく能力があるのかどうか、また、実際やっていけるのかどうか、われわれには非常に不安に思えるわけでございますが、どう考えていらっしゃいますか。
#28
○政府委員(長橋尚君) 石炭対策に従事いたします行政要員としましては、漸次山の数も減ってまいります中で、今度は御指摘のような新しい仕事も加わってまいるわけでございまして、適正な要員を今度とも十分に確保できますように十分配慮をし、財政当局とも打ち合わせをしてまいりたい、かように考えております。
#29
○多田省吾君 ですから、いま質問した会計検査の人員なんかは、それで十分やっていけるという見通しはあるのですか。
#30
○政府委員(長橋尚君) 現員をもちましてこういった新しい石炭対策の実施に必要な要員を十分確保されるものと、かように判断いたしております。
#31
○多田省吾君 そういった点にわれわれは具体的な面にも相当不安を持つわけでありますが、次に、予算の中で、炭鉱離職者の援護対策費いわゆる産炭地域の開発雇用対策費というものの内訳ですね、それをどうなっているかおっしゃってください。
#32
○説明員(上原誠之輔君) 労働省関係の石炭特別会計の中におきます事項は、炭鉱離職者援護対策費と、それから産炭地域開発雇用対策費ということになっております。この産炭地域雇用対策費の内訳でございますが、これは産炭地域開発就労事業を実施いたします地方公共団体に対しまする補助金といたしまして二十五億二千三百万円でございます。なお、また、事業の適切な運営をはかるための指導監督事務に要する経費といたしまして九十万円でございます。
#33
○多田省吾君 ですから、もっと詳しく、この設立の背景、あるいは、具体的に、人員とか、補助率、吸収率、事業の内容、そういったものをあわせて御答弁願います。
#34
○説明員(上原誠之輔君) 産炭地域開発雇用対策費でございますが、この関係の経費は、今回の新しい石炭対策の中におきまして、特に産炭地域の中で従来からも失業者が停滞しておる地域につきまして、今度の石炭対策によりましてさらに閉山が行なわれるということで雇用関係に非常な重圧が加わる地域につきまして、その地域の開発と雇用の安定をはかるという趣旨のもとに新しく設定されました事業でございます。事業の内容といたしましては、一般の公共事業的な内容のものでございまして、当該産炭地域の開発と振興に十分役立つように事業を考えておるのでございます。
 事業の単価といたしましては、一人当たりの事業費といたしまして三千六百円でございます。
 なおまた、失業者の吸収率でございますが、七〇%でございまして、この七〇%の吸収率によって吸収をいたします人員の数は三千二百人ということに相なっておる次第でございます。
 これを実施いたします地方公共団体でございますが、産炭地域のうち、先ほど申し上げますように、失業者が非常に停滞をしておって、今後さらに新しい石炭対策によりまして失業者がまた出てくる、そういう地域を対象にいたしまして、その地域の中の地方公共団体、これは県とそれから市町村というものが事業の主体になるわけであります。
#35
○多田省吾君 この問題でちょっと具体的なことが不明であるということでいろいろいわれているわけでありますけれども、これは福岡県だけで三千二百名が吸収人員として出されたのかどうか。
 それから事業種目が、いま言われたように、土地整備とか、道路整備とか、河川整備とか、営造物整備事業、こういったものであるのかどうか、そのほかにも、若干、住宅用地の造成とか、工業用地、あるいは公園、プールの設置事業なども含まれているのかどうか、その辺をもっと具体的にお答え願います。
#36
○説明員(上原誠之輔君) 事業の内容は、ただいま先生から御指摘になりましたように、道路整備、あるいは河川整備、土地造成といったようなことが内容になっています。
 それから事業を実施いたします地域でございますが、先ほど申し上げましたように、失業者が従来も石炭対策の遂行の過程におきまして停滞をしており、また今度の措置によりまして多数の失業者が発生してくる、こういう地域でございます。この地域の典型的なものは、筑豊でございます。なお、筑豊のほかにこういう措置を講じなければならぬ地域としては、佐賀あるいは長崎等を一応の対象にいたして考えております。なお、また、その他の地域につきましても、失業情勢が悪化してこの事業をやることが非常に適当であるという事態が出てまいりますれば、これも対象として考えなければならぬ、こういうふうに考えております。
#37
○多田省吾君 最近、石炭大手十社の――いわゆる廃業をきめ麻生・杵島、明治の三社を除いた大手十社の三月期の決算がまとまったわけでありますけれども、出炭の量が前期比五%増であると、また、トン当たりの赤字もこれでわかったわけでありますが、その現状と、それから実際に政府の補助によってこれがどの程度に具体的になっていくか、それから来期の見通しはどうなのか、これをお答え願います。
#38
○政府委員(長橋尚君) いま手元に三月期決算の大手十社の数字をちょっと持ち合わせておりませんが、昭和四十三年度におきます大手十六社――四十三年度におきましては、御指摘のいまの明治ほか三社も操業をいたしたわけであります。大手十六社のトン当たりの平均赤字は、六百三十円程度、かように推算をいたしております。四十四年度におきまして新石炭対策の実施と相まちまして御指摘の大手の残存企業は、純損益面におきましておおむね収支相償うというふうな推算をいたしております。
 それから今後におきましても、引き続きまして機械化の推進、あるいはまたどうしても助成のもとでやっていけない非能率な炭鉱のやむを得ない閉山、あるいはまた管理部門の簡素化等々の合理化努力と相まちまして、今後五年間、今次対策によりまして大体収支相償うというふうに進むものと、かような判断でございます。
#39
○多田省吾君 最後に、来期は、春の賃上げ等もありまして、それだけでもトン当たり二百五十円のコストアップになるのじゃないかということがいわれておるのであります。ですから、政府の安定補給金なんかの新しい再建策を盛り込んでも、来期も急速な経営の改善というものは期待できないのじゃないかということもいわれております。また、来期だけではなくて、今後五年間、そういった点でとんとんだというお話でありますけれども、そういう見通しが今後立っていくのかどうかですね、これはどうですか。
#40
○政府委員(長橋尚君) 今回の石炭対策のもとにおきまして、労使一体となりまして最大の企業努力が発揮されていくということが必要なわけでございまして、こういった面につきましては、十分今後とも企業を通産省といたしまして指導監督いたしまして、新石炭対策のもとでほんとうの意味での石炭鉱業の再建安定が確保できますようにいたしたい、かように考えております。
#41
○渡辺武君 今度の政府の石炭対策によりまして、今後五年間、一千億円に及ぶ再建交付金をはじめとして、安定補給金、閉山交付金、特別閉山交付金、それから合理化事業団による無利子融資、さらには電力会社や、鉄鋼会社に対する増加引取補給金など、総額でいえば四千三百五十四億円と、一般会計からの支出だけでもそれだけの非常にばく大な金が出されるということで、至れり尽くせりの助成が行なわれるというふうに考えられます。私どもの党は、日本の石炭産業が今日深刻な危機にあって、どうしてもこれを復興再建して、生産はいまよりも拡大させるようにしなければならないというふうに考えまして、すでにそのための政策を発表しておりますが、政府の今回の石炭対策をよく検討してみますと、これでは石炭産業のほんとうの再建はできないのじゃないだろうかというふうに思います。
 そこで、伺いたいと思いますが、まず、閉山交付金それから特別閉山交付金など、閉山縮小のためには昭和四十八年度までにどれほどの財政支出を考えておられるか。また、閉山縮小のために必要となる離職者対策費それから産炭地振興費、これらは総額どのくらいになるか、この点をお伺いしたいと思います。
 なお、ついでに、出炭規模はどのくらいになるか、それから炭鉱数や労働者数はどのくらい減少するか、この点についてもあわせてお答えいただきたいと思います。
#42
○政府委員(海堀洋平君) 先ほどからの御質疑の中で通産省から御説明のありましたように、今回の対策は、私企業ベースに立ちまして、石炭企業が自己の責任に徹して自己の最大努力を発揮することを前提としてとられたものでございます。他方、政府の助成というものも、先ほど先生からお話のありましたように、助成にはおのずから一定の限界がある。国が私企業に対して与える助成の限界、あるいはある産業に対して与える助成の限界というものがございます。そういった限界は、おのずから、エネルギー政策といいますか、コスト面をどの程度まで国がささえて補助すべきかという限界を探って、そこに一つの助成の幅をつくります。その助成のワクの中において私企業ベースでどこまで努力をしていただくかということが今回の対策の基本になっているわけでございます。したがいまして、現在考えられております四十八年度三千六百万トンというのも一応の想定でございまして、私企業の努力によりましてはあるいはそれを上回ることもあり得ますし、あるいはそれを下回ることもあり得る。要するに、政府はこういう政策をとります、この範囲内において各企業は最大限の努力を行なっていただきたいということをいたしておるわけでございます。したがいまして、どういうふうにするんだということは、今後の労使一体となりました企業の努力いかんにかかわるわけでございまして、四十八年度三千六百万トンと想定しておりますのも、その三千六百万トンの前提が一応いろいろなことを試算する場合の想定にすぎないわけでございますが、一応三千六百万トン程度と考えました場合における、昭和四十八年度における、人員は約五万人程度、月の能率が一人頭約六十トン程度というふうに考えておるわけでございます。しかし、これとても今後の推移いかんによっては変わり得るわけでございます。したがいまして、また、対策費自体も閉山の規模その他によりまして非常に異なってまいりますわけでございますが、一応現在想定されております閉山に伴う経費というものは、約四百五十億程度から五百億程度の間ぐらいのところに落ちつくのではなかろうかというふうに考えられております。
 それから産炭地振興対策費でございますが、これもどの程度産炭地の振興をはかるかという政策の問題でございまして、今後にかかる問題でございますが、石炭産出の地域におきます閉山が相当進んでまいりますと、やはりこの面に重点を置いていかざるを得ないのではなかろうか。したがいまして、四十四年度には五十七億円計上しておりますが、これは相当程度ふえるであろう。したがって、五カ年間というものを考えてみました場合に三百億程度のものは必要ではなかろうかというふうに考えております。
#43
○渡辺武君 鉱害などの対策費はどのくらいになりますか。
#44
○政府委員(海堀洋平君) 鉱害につきましては、これをどの程度のスピードで復旧を行なっていくか、社会的にどの程度のことが要請され、どの程度のスピードで復旧していくことが効率的、経済的であるかというふうないろいろなかね合いから出てまいります問題でございますので、いま直ちに幾らを充てることを予定しているということを申し上げるのは困難かと存じますが、四十四年度の鉱害対策費は約百七億円でございます。したがいまして、これも相当今後増加してまいらなければならないと考えますので、五カ年間を通じて見れば少なくとも五百億円以上のものは必要ではなかろうか、五百億から六百億円の間というふうな程度の金額になるのじゃなかろうかと存じます。
#45
○渡辺武君 私、この質問の準備をする前に通産省からおいでいただいていろいろ伺ったところによりますと、閉山交付金は、これは特別閉山交付金も含まれると思いますが、いまおっしゃったように約五百億円、正確に言えば五百九億円ということでございまして、また、離職者対策費それから鉱害などに四十八年度までに使うと見られる費用は一千二百七十二億円だというふうなお返事があったわけです。いまおっしゃった数字とは差がだいぶ大きいわけですけれども、とにかく四千数百億円の対策費を組むわけですから、通産省としては、大まかではあるけれども、一応の見通しを持たれてやられていることだと思うのですね。いま私が申した数字を計算しただけで合計して一千七百八十一億円、これが閉山縮小などに伴って出てくる費用というふうに見れるわけですから、したがって、四千三百五十四億円の中でその占める比重を見れば、四〇・九%、四割以上というかなりばく大な数字になるわけです。つまり、私が申し上げたいのは、政府はこれが石炭鉱業再建のための費用だということで予算を組んでおられるわけですけれども、これは再建というのは全く名ばかりであって、そのうちの四割近くは実は閉山縮小のために使われるということじゃないですか。それからまた、出炭の規模も、私が申し上げるまでもなく、四千六、七百万トンが昨年あたりまでの水準であったのが、三千六百万トン程度まで下がる。労働者の数も三万数千人も数が減る。炭鉱数にしても百ぐらいの炭鉱がつぶれるだろうというふうにいわれているわけですね。これは全く再建とは名ばかりだと思う。むしろ日本の炭鉱が五カ年の間にいわば整理縮小されていくということではないかと思うのです。
 そこで、伺いたいことは、通産大臣は、衆議院の本会議での答弁の中で、今回の措置による対策効果は、四十四年度でトン当たり九百円程度だというふうな趣旨のことを述べておられますけれども、このトン当たり九百円という対策効果はどのような効果があるのか、九百円の内訳を教えていただきたいと思うのです。それからまた、四十四年度以降四十八年度までのトン当たり対策額と、それによる対策効果はどれほどなのか、特に企業自身の努力による効果はどのくらいに見ておられるか、また、四十八年度のトン当たりの黒字はどのくらいになると考えておられるのか、その辺を教えていただきたいと思います。
#46
○政府委員(長橋尚君) 四十四年度の対策効果でございますが、これはまず二つの種類に分けられるかと思いますが、第一は、原価計算の中に織り込まれてくる分でございまして、前回の肩がわりに伴います金利負担の軽減効果、それから今回の再建交付金に伴います金利負担軽減効果、それから今後設備長期金融につきまして、合理化事業団の無利子融資がその大宗をなすわけでございます、それに伴います無利子効果というふうなものが一つございます。これは、四十四年度におきまして、百円余り、百九円程度という一応の試算をいたしております。それから第二に、前回の肩がわり及び今回の再建交付金の交付に伴います借り入れ金に対する元本を国が肩がわって支払うということになるわけでございます。その元本補給効果というのが一つございます。それからあとは、安定補給金、坑道掘進補助金等の補助金の交付額でございます。これを合計いたしますと、四十四年度におきまして八百十億円程度、かように推算されるわけでございます。両者合わせまして四十四年度約九百億円の対策効果ということでございます。
 なお、今後企業自体としていろいろな合理化を行なっていくわけでございます。当然、機械化の推進等によりまして能率が向上する、これがまた損益計算の面でプラスに働く、こういうふうなファクターが一つございます。もう一つは、管理部門の簡素化、これを今回の再建整備計画の中で特に企業側に求めたいと、かように考えております。その効果が一つあるわけでございます。これ一は四十四、四十五年度、二年度にわたって管理部門の縮小簡素化をするということで、その間は退職金支払い等、負担の増となるわけでございます。それが、四十六年度以降になりますと、非常に大きなコストの減少効果を呼ぶのじゃないかということでございます。それからもう一点、四十五年度以降は、第二次肩がわり――つまり、再建交付金の関係が四十四年度におきましては半年分を計上しておりますけれども、四十五年度以降は、平年度ベースになりますので、その面の対策額が若干ふえてまいります。こういった点を総合いたしまして、先ほども、四十八年度までの間、大体再建交付金の交付を受ける企業につきましては収支相償う、かような見当をとっていることを申し上げたわけでございます。
#47
○渡辺武君 四十八年度の各企業のトン当たりの赤字、黒字ですね――ばく大な金をつぎ込んでいるわけですから、四十八年度、一番最終年度で一体トン当たりの赤字がどのくらいになるか、それを伺ったところによりますと、トン当たりの赤字は百二十円くらいじゃないかというようなことも伺いましたけれども、その辺はどうですか。
#48
○政府委員(長橋尚君) 五年後の赤字がどうなるかという点につきましては、今後の企業成績がどのように現実に展開してくるか、たとえば、能率につきましても、一応三千六百万トン四十八年度という段階でかた目に押えて六十トン程度ということをお答えしているわけでございますが、これも、いままでの趨勢からいたしますれば、もっと上回るかもしれない。いろんな予測できないファクターがあるわけでございます。そういう意味におきまして、いまここで具体的な数字をお答え申し上げるのはかえって妥当ではない、かように考えるわけでございますが、五年間通じましておおむね収支均衡がはかり得るもの、かような前提に立ちましての今回の助成策でございます。
#49
○渡辺武君 そうしますと、私が通産省の方から伺った数字によりますと、いろいろ対策を講じてなおかつ昭和四十四年度でトン当たりの赤字が百三十七円、四十五年が五十五円、四十六年度が三十四円、それから四十七年度が三十円、四十八年度は百二十円ということになる模様だ、そんなふうな想定の上でいろいろ対策を講じているのだというような話があったわけですけれども、その辺はどうですか。
#50
○政府委員(長橋尚君) 申し上げられますことは、大手企業の場合にいろいろな形態があるわけでございまして、石炭部門のウエートの非常に低い兼業会社が三社ほどございます。それから石炭部門が大宗をなしております石炭専業に近い形の会社が十社程度残るわけでございます。それで、石炭部門のウエートの低い会社におきましては、過去の合理化その他によりまして、過去の合理化の負担が大きくなっている向きもかなりあるわけでございまして、全体でこの段階として推算を行なうか、あるいは石炭部門のウエートの高い十社程度をベースに推算を行なうかというふうなところで若干の異同が出てまいるわけでございます。ことに、今後の石炭生産をになってまいります専業的な会社、石炭部門のウエートの高い大手企業というふうなことで考えれば、今後の合理化効果と相まちまして十分に五年間を通じて総合的に収支償うもの、かように判断いたしているわけでございます。
#51
○渡辺武君 どうも、四千数百億円というばく大なお金をつぎ込んで石炭産業の再建をやるのだやるのだというふうに言っておられるその点から言うと、まことにいまの御答弁は不明確だと思うのですね。一体、企業がどうなっていくのか、ほんとうに産業の再建になっていくものかどうか。五年間を通じてほぼ収支償うものと思いますというようなことでは、これは全くよくわからないじゃないですか。むしろ、私が質問の準備のためにいろいろ伺った方のほうが、通産省としていまこういう計算をしておるのだということで、 かなりはっきりいろいろ詳しく教えてくださった。あなたの答弁は、ここはもう正式な答弁ですから、通産省としてもこう考えておるのだと、もう少し具体的な数字をあげて事情をはっきり説明していただきたいと思うですね。
#52
○政府委員(長橋尚君) いまもお答え申し上げましたように、石炭を兼業として行なっている大手企業も含めました場合には若干の赤字が出るという試算が一つ成り立ちますけれども、専業的な十社について試算いたしましたところでは、若干の異同はございますが、五年間を通じて平均的に収支相償う、かようなことを責任をもってお答え申し上げる次第でございます。
#53
○渡辺武君 どうも、不明確な御答弁で、これでは審議のしようがないと思うのですね。そんなあいまいなことでもって四千数百億円ものお金を石炭会社に出すのか、私は非常に疑問に思います。しかし、時間がないので、これ以上追及しませんけれども、そういうことではほんとうに困ると思うですね。
 次に移りますけれども、いまおっしゃっていることを伺っておりますと、とにかく政府が四千数百億円のお金をつぎ込んで、石炭会社はほぼ収支とんとんになるかもわからぬ、なるものと確信するというようなことだったと思うのですが、そうしてみますと、私ども非常に強く印象を受けるのは、わずか五年間に、出炭規模は、四千六、七百万トンから三千六百万トンまで一千万トン以上も生産が縮小する、炭鉱もつぶれる、労働者も三万数千名も首を切られるというわけですね。これに伴って、産炭地の人たちが非常に大きな被害を受けるというようなことも明らかだと思う。ところが、あなた方の考えていらっしゃるのは、石炭会社の経理がどうなるか、収支が償うだろうかということを中心として考えておられるということが非常にはっきりしてきた。これでどうして一体石炭鉱業の再建と言えますか。出炭規模は下がるばかり、労働者も大量に首切られる、炭鉱はどんどんつぶれる、これでは石炭産業の再建じゃないと私は思う。この問題は後にさらに取り上げたいと思います。
 次に伺いたいことは、衆議院の石炭対策特別委員会に参考人として出席された北海道石炭鉱業協会副会長の町田叡光さんという方は、次のようなことを言っておられます。「トン当たりの助成金が結果的に大手と中小と相当開きが出てくることと思います。」というふうに述べております。そこで、大手と中小と分けて、トン当たり助成金はどれほどになるのか、あるいはまた、大手と中小と分けて、対策効果はどういうことになるか、その辺をお答えいただきたいと思います。
#54
○政府委員(長橋尚君) 今回の石炭対策におきまして再建交付金を受ける企業の中心になります大手企業と、それからまた、中小企業、中小炭鉱につきましては、大部分が再建交付金を受けないで、安定補給金のほうを選択するであろう。もともと、再建交付金を受けるか受けないか、そうして再建交付金を受けない場合には安定補給金のほうを上乗せ格差を設ける、その間、各企業の実態、借り入れ金の多寡とか各企業の実態に応じていずれかの道をお選びなさいというのが今回の石炭対策の考え方でございますが、答申におきましては、安定補給金を受ける企業と受けない企業の差等をトン当たり百五十円ということで考えられたわけでございます。その後、さらに検討いたしまして、再建交付金になじむ大手企業と、これになじまない中小企業とのバランスをさらに検討いたしたわけでございます。その場合、再建交付金の対象となります大手の場合のトン当たり対策額と、それから再建交付金を受けません中小のトン当たりの対策額というふうなものを比較いたしますと、トン当たり約百円の違いが出てまいりますので、中小のほうが百円程度不利になると、こういうふうな面がございますので、安定補給金の額におきまして中小企業と大手企業の格差をさらに考えることにいたしたわけでございます。百円の上乗せ格差を、再建交付金を受ける大手企業と再建交付金を受けない中小企業との間に設けることにいたしたわけでございます。かようなことによりまして、今回の石炭対策におきまして十分中小企業と大手企業のバランスが確保されたものと考える次第でございます。
#55
○渡辺武君 バランスがとれるように考えたとおっしゃるけれども、現に、北海道石炭鉱業協会の副会長の方は、主として中小炭鉱の立場を代表して発言されておられるわけですが、公式に、「トン当たりの助成金が結果的に大手と中小と相当開きが出てくることと思います。」と、こういうことを言っておられるのですね。これは私は事実だと思うのです。実際いまあなたのおっしゃることを聞きましても、再建交付金を受けておるのは大手が多いと、こういうわけですね。中小は再建交付金を受けない場合が多いので、その場合に安定補給金で比べてみれば、中小のほうが若干高くなっておるけれども、しかし、再建交付金という借金肩がわりがあるのでということを言っておられるわけでして、私はやはりこの町田さんが言われておるように大手と中小との間ではトン当たり補給金に百円程度の開きがあるということをはっきりあなた認める必要があると思うのですね。
 時間もないので、私はここのところをあまり追及できないのですけれども、大手、中小の差別のできた原因ですね、これはどこにあると思いますか。
#56
○政府委員(長橋尚君) 結果的に多元的な対策が講ぜられまして、その間に各企業の選択ということに相なるわけでございますが、結局、大手企業の場合には、たくさんの山をかかえて、そしてその間過去十年の間に非能率な山を逐次整理しながら能率のいい山に生産を集中する、かような政策をとってまいったわけでございます。中小炭鉱の場合には、大体一山一社というふうなのが中心でございまして、中には大手に近いような企業形態の会社もあるわけでございます。逐次部分的に山を閉山をしていく、つまりエネルギー革命のもとで企業としての合理化努力を行なっていく過程におきまして、退職金の支払いあるいはまた債務処理というふうな面で借り入れ金が異常に累積いたし、また、企業としての除却損その他の累積赤字というふうなものをかかえるに至ったわけでございまして、一言で申しまして、大手企業と中小企業の体質あるいはまた構造の違いというふうなものがその原因になっておると、かように考えるわけでございます。
#57
○渡辺武君 結局、再建交付金が主として大手に集中的に入るということが大きな差別のできておる原因だと思うのですけれども、この再建交付金の対象になる長期債務あるいはまた累積赤字ですね、それがどこから出てきたのかということについていろいろ論議したいと思うのですが、それははしょっておきまして、私はこの点あなた方にもっと考えていただきたいと思うのは、今度再建交付金の算定方法ですが、これがただ債務――長期債務を負っておるというだけじゃなくて、出炭比率を勘案して計算するようになってるでしょう。そうですね。そうしますと、これはどうしても出炭比率の高い大手に有利になってくる。この点が一つあると思う。もう一つは、従来の元利補給金ですね、これは御承知のように赤字の会社に主として補給されるということになっておりましたけれども、今度は黒字の会社も受けるということになるわけでしょう。私は、長期債務が大手に集中しているといういまあなたおっしゃったことと、同時にまた、再建交付金の計算方法、これが大手に非常に有利になっているというふうに考えざるを得ないのです。そこに大手と中小の大きな差別が出てきた原因があるのじゃないかと思うけれども、その点はどうですか。
#58
○政府委員(長橋尚君) いま御指摘の点でございますが、今回再建交付金の配分基準といたしまして出炭量を加味することにいたしましたのは、これは単に借金の多い者だけが大きなシェアを持つというふうなうしろ向きの債務処理というふうなことにとどまりませんで、むしろ前向きに石炭鉱業の長期にわたる再建の基盤づくりということに再建交付金制度の主たるねらいを置くことにいたしたからでございます。それで、中小の場合、大手とその借り入れ金の額で比較いたしますと、むしろ出炭の量で比較いたします場合よりもシェアが小さくなるというふうなことはその面では言えるわけでございまして、先生御指摘の点は、もともとあまり銀行からの一般市中金融というふうなものに特に長期資金の面におきましてなじんでおりません中小企業炭鉱の場合にはかえってシェアが少ない。それからまた、同時に、再建交付金を選ぶよりは、安定補給金の厚みで今後前向きの経営を進めてまいるというふうな判断が出てきておるものと存じております。
#59
○渡辺武君 ですから、結局、今度の補給措置というのは、大企業に非常に有利になっているということが結論として出てこざるを得ないですよ。それに加えて、いま安定補給金のことについて言われておりましたが、従来は、安定補給金は、中小炭鉱か、そうでなければ再建指定を受けた会社にだけ支給されるということになっておったわけですが、今度はその制限を取っ払っちゃって、黒字の出ている大手にまで安定補給金を出すということになっているわけでしょう。たいへんなおおばんぶるまいだと考えなければいけない。本来、こういう政府の助成というのは、もう言うまでもなく、一般的に考えて、経営難の非常に激しい中小炭鉱にこそ厚くしなければならぬと思うのです。資力も十分にある大手、これは、私は、国の助成ということは中小に比べてみればもっと少なくてかまわないのじゃないか、そうすべきだと思うのです、国の政策上。
 それで、いまの再建交付金ですけれども、こういう資力のある大手に長期債務を負っているからといって再建交付金などを出す必要は私はないと思う。むしろこれは大銀行に対して企業の再建ができるまで元利の支払いは一時たな上げを政府として要求していく。そうしてまた、金利などの引き下げも大幅に行なうなどの要求をすべきだと思う。そのことをやらないで、全く大企業本位におおばんぶるまいをやっているのじゃないか。そういうことをやるおつもりはありますか。
#60
○政府委員(長橋尚君) ただいま御指摘のような意図は新しい石炭対策のもとでは全くないと信じているわけでございまして、大手企業につきましても、過去十年間の急激かつ大規模な合理化の過程におきまして、非常に大きな借り入れ金また多額の累積赤字というふうなものを持つに至りまして、先ほど申しました石炭部門を兼業として持っております三社を除きましては、全く無配を長期にわたって続けているわけでございます。石炭専業の大手企業のうち二社程度は昨年以前は黒字を計上いたしておりましたけれども、その後ついに赤字になると、こういうふうなことで、目下のところ、再建交付金の申請を予想されます企業に関します限り、黒字の会社はないわけでございまして、先ほど御指摘の今回の再建交付金においては赤字要件をはずしたではないかという御指摘に関しましては、そのとおりでございますけれども、目下のところ黒字企業が再建交付金の該当企業にはないという実態でございます。それから今後かりに黒字企業が出るといたしましても、それは再建整備法におきます利益金処分の認可制度の運用にあたりまして、かりに一時黒字が出たといっても、これは長もちをするめどはないわけでございます。そういった黒字はさらに蓄積に回して、ほんとうの意味の石炭鉱業の再建整備に資するように企業経理を運営させるよう指導する考えでいるわけでございます。それで、かような考え方でございまして、大手企業といえども、ここ数年来もう新しく金融を受けるだけの担保には枯渇し、全体として資金繰りが苦しい状況に相なっていたわけでございまして、今回の再建交付金にあたりましては、またそういった経理基盤の安定回復という点を大手企業に対しましても考える必要があったわけでございます。
 また、金融機関に対する協力の面につきましては、金利については国として再建交付金によって利子補給をいたしますのは三%でございまして、金融機関は一般八%なり何%なりでいままで金利を取っていたわけでございます。それを三%にカットをさせるという犠牲を要求しているわけでございます。また、返済期間に関しましても、一年以上の長期の借り入れ金を再建交付金の対象といたしますが、これを十五年年賦、据え置き期間を含めまして十五年の長期にわたる国からの交付金の交付を考えるわけでございまして、その意味におきましても金融機関に対してやはり応分の協力を求めることといたした次第でございます。
#61
○渡辺武君 どうも、お答えを聞いておりますと、大企業の立場に立ってるる陳弁これつとめているという印象が非常に強いのですね。特にいまおっしゃった配当制限の問題は、あなたそんなふうにおっしゃるけれども、法の条文をよく見ますと、一〇%の配当までは普通償却をしろと、一〇%以上の配当をやる場合には特別償却をやった上でやらなければならないということが書いてあるわけです。そうでしょう、内容は。つまり、黒字が出て、そうしてもう一〇%の配当ができるまでになっても、普通償却程度でいいんだということなんですね。そうして、安定補給金その他は十分に出すということなんですよね。黒字会社にまで国が補給する、とんでもないおおばんぶるまいだと私は思う。
 私は、石炭産業は、こんな大企業のためにだけばく大な金をつぎ込んで、しかも、出炭規模は下がるばっかり、労働者は首を切られる、山はつぶされる、何がこれが石炭産業の再建かというふうに思います。そこで、四十八年度までは一応三千六百万トンというふうにはおっしゃっておられるわけですが、四十九年度以降の見通しはどうなりますか。出炭規模は、縮小をするのですか、それとも、四十九年度以降になるとふくらんでくるのですか、この点はどんなふうに見通されておりますか。
#62
○政府委員(長橋尚君) 四十九年度以降の出炭規模につきましては、なお未知の不確定の要素が大きいわけでございます。その段階におきましての需要状況、あるいはまた、需要家として鉄鋼用の原料炭あるいは火力用炭というようなものをもっと高くてもいいからほしいというような情勢が出てまいったらどうかというふうな、いろいろな不確定な問題があるわけでございますけれども、私どものこの段階におきます判断といたしましては、少なくとも四十九年度以降におきましては石炭企業全体として基盤も安定いたしまして、その後引き続き安定した出炭を続け得るもの、かように考えるわけでございます。
#63
○渡辺武君 どうも、まことに不明確ですな。安定した出炭ですか。規模が大きくなるか小さくなるか、そのことは言えないのですか、どうですか。
#64
○政府委員(長橋尚君) 非常に良心的にお答え申し上げまして、数字は三千六百万トン程度の安定した出炭が期待されるところでございます。先ほど申し上げましたようなその段階での需要状況等々によりまして、上回ることも下回ることもあろうかと思いますが、企業の経理基盤もその段階までには安定回復いたしまして、石炭鉱業として安定出炭を続け得る、かような判断でございます。
#65
○渡辺武君 石炭の出炭規模が小さくなるということについては、これはもう待ったなしにそうなります、四十八年度まで。ところが、その後どうなるかということについては、まことに良心的な御返事で、どうもはっきりしたお答えができない。そんなことで四千三百億以上の国のお金をつぎ込むことができますか。とんでもないことだと思いますね。いま、あなたは、石炭会社は経営も安定するだろうというふうな趣旨のことを言われました。また、いまこの大蔵委員会で議題となっている法案は石炭対策特別会計は四十八年度まで延長するということになっているわけですね。ですから、国の補助はもう四十八年度で終わるのかというふうに私ども考えて、よく調べてみますと、案に相違して、どうもそうでないような答弁も政府首脳からちらほら聞かれるわけです。たとえば衆議院本会議での首相の答弁では、四十九年度以降も体制問題など石炭対策を検討する必要があるというような趣旨のことを言っておられる。それからまた、石炭鉱業審議会の答申も、「われわれは、今次の対策が政府が石炭鉱業に投入しうる財政資金の極限であると考える。」とは言っておりますけれども、「四十九年度以降は、これを減少することを前提として今後の事業の運営に当たるべきである。」というふうに言っておられて、国の財政措置は減少するとは言っておられるけれども、打ち切るとは言っていない。先ほども、大蔵大臣も、御答弁の中で、総合的な対策としては今回限りだというふうなことをおっしゃっておられる。どうも、いろいろと御答弁が食い違うような感じが強いわけです。そこで、四十九年度以降の国の財政措置はどうなるのか、特に再建交付金のような借金の肩がわりですね、これは今回限りで、もう四十九年度以降は打ち切りになるのか、それからまた、安定補給金、閉山交付金、あるいは特別閉山交付金、さらには無利子融資、これらは一体どうなるのか、その点をお答えいただきたいと思います。
#66
○政府委員(海堀洋平君) 今回の措置は、特別会計を三年間延長しまして五カ年間の対策費として一応四千億余りということを試算いたしておるわけでございますが、今回とります措置の中には五カ年間で終わらないものがあるということは、前にも御説明いたしましたように、たとえば再建交付金は、その措金を十五カ年、三%というふうにしまして、半年賦で支払っていくわけでございますから、五カ年間で支払いを了しなくて十五年間かかるということは当然のことと存じます。
 それから閉山が行なわれるか行なわれないかという問題は、先ほど石炭部長からお話もございましたように、三千六百万トンがその後どうなるかという問題にかかるかと存じますが、もし閉山が行なわれれば、やはりそれに伴った現在とっておる程度の措置は続けなければならないのではなかろうかと存じます。
 それから鉱害復旧のごときは、五年間で現在持っておる鉱害を全部処理し得ないので、これもやはり続けていかざるを得ないと存じます。
 ただ、これが最後の対策であるという意味は、現在のとった措置によりましてこれを続けていくことによって石炭鉱業が安定するであろう、したがって四十九年度以降においては新たなる措置を必要としないであろうという意味において、最後の対策と申し上げておる次第でございます。したがいまして、金額等につきましても、閉山がここ五年間にやはり相当程度ふえるというふうなことによりまして、金額的にも相当減少するであろう。その四十九年度以降の対策費がどの程度になるかというものは、現在試算できる面もございますが、試算し得ない点が多いと思います。その時点におきましては、当然特別会計はなくなりまして、一般会計から他の財政需要とも勘案いたしまして所要の措置をとっていくということになるのだろうと存じます。
#67
○渡辺武君 そうしますと、四十九年度以降も国民はかなりばく大な税金を石炭産業のために使わせられるということになるわけですね。それは、規模は多少少なくなるかもわからぬとおっしゃいましたけれども。つまり、新しい対策は四十九年度以降とらぬということなんですね。そういうことだったら、一体企業経営が自立するなんということがどうして言えますか。たいへんなことだと思うのです。
#68
○政府委員(海堀洋平君) 先ほど石炭部長から御説明申し上げましたように、現在こういう所要の対策をとるということを前提といたしまして、通産大臣は衆議院の本会議での答弁でトン当たり約九百円の対策費ということを申し上げたそうでございますが、大体八百五十円から九百円程度の対策費になるのだろうと思います。そういう企業に直接利益する対策を前提としまして、そのもとにおいて企業が安定的に経営できる形に四十八年度までになる。したがいまして、その対策でもって立っていかないところは、石炭鉱業審議会の答申にありますように、勇断をもって進退を決していただくというのが今回の対策の趣旨ではなかろうかと存じます。したがいまして、この対策を前提といたしまして、四十八年度までにこの対策による効果によりまして各企業が安定的な経理になるということを目ざしておるわけでございます。
#69
○渡辺武君 大体、いまおっしゃったことも含めて、私は、今度の答申にしても、政府の対策にしても、これは非常に無責任な対策だと思うんですね。たとえば昭和三十四年の十二月に石炭問題についての第一次答申がありましたね。あの第一次答申のときは、出炭規模は五千万トンから五千五百万トン維持するということを一応の目標にしておったと思うんです。しかも、私が問題にしたいのは、この第一次答申のときに、五千万トンから五千五百万トンの出炭規模を維持するということの理由ですよ。時間もないので詳しくは述べませんけれども、出炭規模をたとえば四千万トン前後に縮小すると限界コストが反転上昇する、したがって価格引き下げの可能性が少なくなるんだというようなことや、投資中断のロスが大きいとか、あるいは国民経済的にマイナスの面が大きくて選びがたいのだ、五千万トンから五千五百万トンというのは経済合理性という点からしても維持すべきだということを非常に強調している。それからそのあと三十六年の十二月に出た緊急対策、これまた五千五百万トンというのを確認しているわけですね。四十一年七月のいわゆる抜本的安定対策というふうに銘打った例の答申、これまた五千万トンの出炭ということで、その際もやはり経済合理性ということを強調している。私、きょうここへ通産省石炭局炭政課が出した「石炭政策の概観」という本を持って参りましたけれども、この本の中にも、四十一年七月に五千万トンの出炭だということを言っているその根拠づけをいろいろ詳しく説明している。その書いていることのおもな点はどういうことかといえば、出炭規模を縮小するとかえって社会的な出費がたくさんかかるんだと。たとえば、離職者対策だとか、あるいは産炭地振興対策だとか、その他等々社会的出費は非常に大きくなる、五千万トン程度がちょうどいいんだということを非常に強調しているんですよ。これはあなた方よく御存じのとおりだと思う。ところが、今度の答申の中には、またそれに基づく政府の政策の中には、こういういわば経済合理性なるものの見地なんというものはなんにもない。答申の中には、出炭規模をどうするかというその数字さえも出ていない、こういう状況です。これは全く無責任きわまりないと言わなければならない。
 そこで、四十八年度に出炭規模を三千六百万トンとはじき出した根拠は一体どこにあるのか、どういう理由で三千六百万トンというふうにはじき出されたのか、その点をお答えいただきたい。
#70
○政府委員(長橋尚君) 前回の抜本策で、五千万トン維持という前提での対策を立てられたわけでございます。その後、急激な状況の変化によりまして、供給側からいたしまして、経済合理性あるいは国の負担限度というふうな面とかね合わせながら、今後とも五千万トンを維持していくということは、無制限に国費をつぎ込み得るならともかくといたしまして、不可能である、かような判断が出てまいったわけでございます。出炭側の事情からいたしましても、出炭力のほうの衰えと申しますか、五千万トン維持がむずかしい。現に、四十二年度の出炭量は、四千七百万トンというふうな数字に相なっている次第でございます。そこで、今後できるだけ石炭鉱業を能率的な姿で、また、国のさき得る助成費の限界というふうなものをワクをここで示しまして、その中で石炭鉱業をできるだけ能率的な形で再建していくという前提を踏まえまして、需要面の状況等も勘案しながら想定いたしましたのが四十八年度三千六百万トン程度、かような出炭水準でございます。
#71
○渡辺武君 いまあなたは予算のワクというふうに言われましたけれども、中川石炭局長が昨年九月二十六日に参議院の石炭対策特別委員会で答えられたことも、予算ワクということを非常に言っておられるわけですね。この財源内でいろいろな助成を加えるということを前提に置いて、そうして考えるのだということを強調している。そうしますと、つまり、石炭会社にくれてやる金が予算としてどのくらいあるか、そのことが出発点であって、以前の答申や以前の政府の石炭対策に一応うたわれていたような、何千万トンの出炭規模を維持することが経済的に合理的かどうかというようなことの見地は全然もうなくなってきているわけですね。これは、私は、全く無責任きわまりないことだと思うんです。だったら、予算のワクでもって維持できる範囲内で三千六百万トンということを計算したとすれば、金の切れ目が縁の切れ目、四十九年度以降はどうなるかです。四十九年度以降はもう国の助成は額が少なくなるだろうと言われましたけれども、そうだとすれば、出炭規模は、安定するどころか、ますます縮小するという結果にならざるを得ないと思います。
 結局のところ、今度の石炭対策というのは、石炭大手を中心として、また石炭大手にばく大な金を貸している大銀行、これらに国民の血の出るような税金をつかみ金でくれてやる。そうして、急激ななだれ閉山が起こらないように、いわばなだらかな閉山と縮小――これは答申の中でもはっきり言っている。なだらかな閉山、縮小、これをやるための葬式料にすぎないというように考えざるを得ない。一体、こういう政策の中にどうして真剣な石炭産業の再建対策というようなことがあるか。私はないと思う。こんなものに四千数百億もの国の金を使う、全く私は言語道断だと思います。きょうは、予定していた時間がだいぶ縮小されて、十分な質問ができません。これで大蔵省と通産省に対する質問を打ち切ります。
 なお、労働省からお見えになっていらっしゃるので、一言だけ労働省の方に伺いたいと思います。
 それは産炭地域開発就労事業のことですけれども、先ほど、御答弁の中で、産炭地域就労事業で、国の助成率三分の二と地方自治体の負担率三分の一程度だというふうにおっしゃいましたですね。ところが、現状はそうなっていないですよ。このあいだ、私、田川を中心として筑豊地帯へ行っていろいろ調べてきましたが、六月九日に今度の対策の第一号として起工式をやりました遠賀川のサイクリング道路の建設ですね、これの事業費は一億七千万円、そのうち、国の補助は七千八百万円、市の負担は九千二百万円だということになっております。これで計算しますと、市の負担は、三分の一どころか、五四%――半分以上ということになっております。これでは、いま炭鉱地帯の地方自治体は非常に疲弊しているということは皆さん御承知のとおりだと思うのですけれども、このせっかくの新しい事業が地方自治体の財政上の理由で十分に起工ができないということになる可能性が大きいと思う。もう少し国の補助をふやすことができないか、その点をまずお聞きいたしたいと思います。
#72
○説明員(上原誠之輔君) 産炭地域開発就労事業の事業費に対します補助率でございますが、いま先生のお話もございましたように、三分の二ということになっているわけであります。先ほども申し上げましたように、補助金の対象になります事業費の単価は、一人当たり三千六百円ということにいたしております。この一人当たり三千六百円の単価でまいりますと、ほぼ産炭地域の開発のための事業をやっていくことにつきましては十分な単価だというふうに私ども考えているわけであります。
 いま御指摘の現実の地方自治体の負担状況でございますが、私どもまだ詳しくその内容を知悉しておりませんので、正確にはお答えできないのでございますが、おそらくはかなりの超過負担をやっているのじゃなかろうかというふうにも見受けられるのでございます。先ほど申し上げましたように、一応の基準といたしましては三千六百円ということで考えておりますけれども、事業内容によっては地方自治体といたしましてもっといい事業をやりたいという場合には超過負担があろうというふうに考えております。
 ただ、三分の二の補助率で、あとの三分の一ということにつきまして、地方自治体の財政上非常に困るではないか、こういう御意見もあろうかと思います。特に産炭地域の市町村でございますから、財政的には非常に困っているというのが実情でございまして、私どもといたしましては、この三分の一の義務負担分につきましては、起債だとかあるいは特別交付税というような措置によりまして地方自治体の義務負担分に対する負担というものをできるだけ軽減したいということで、関係の省にも十分申し入れをしているという状態でございます。
#73
○渡辺武君 その起債と特別交付金ですね。起債は、結局のところ、地方自治体の負担になるわけですね。問題になるのは特別交付金なんですが、特別交付金が出ても三分の一にはならぬのですね、地方自治体の負担率は。これは時間がないので詳しいことは申し上げませんけれども、田川市の中央団地の環状道路工事、これは総額三億一千四百五十四万円の工事費のうち、地方自治体の負担が特別交付金三千五百万円を差し引いても四千九十万円の負担になっておる。そうしますと、とても三分の一どころじゃないんですよ。こういう実情をあなた方はよく調べられて、できればこれは全額国が負担をして工事を起こすというようにしていただきたいと思う。その点を強く要望しておきたいと思います。
 それからもう一つは、先ほどの御答弁の中で、この事業で吸収する人員は三千二百人ぐらいを予定いたしておると。これは、四十四年度ですか、それとも、四十八年度まで全部ですか。
#74
○説明員(上原誠之輔君) 産炭地開発就労事業の規模をどの程度に持っていくかという点につきましては、もっぱらその地域における雇用、失業情勢にかかるわけでございますが、とりあえず私ども四十四年度の予算といたしましては、六月からの事業実施ということを目安にいたしまして、吸収人員は三千二百人ということにいたしておるわけでございます。
#75
○渡辺武君 そうしますと、上原さん、この前参議院の石炭対策特別委員会で、今度の石炭の整理縮小で五年間に三万六千人の人員整理が見込まれるということを言っておられましたですね。これは、私、調べてみますと、田川だけでも、田川には六つの炭鉱があります。御承知のように、三井の新田川炭鉱、ここには千二百名ばかり働いており、そのほか五つの炭鉱がありますが、新田川はもう閉山がきまっておる。そうすると、あそこの揚水ポンプがストップになりますと、その水圧で残った五つの炭鉱も全部水があふれちゃって稼働できなくなる、いやでもおうでもこれはやめざるを得ないということになってまいりまして、少なくとも二千名以上の炭鉱労働者が今年中に失業するということになります。関連企業の倒産その他で失業する労働者がふえてくるので、これを合わせると、ことし中に田川だけで三千二百名ではとても足らぬという状態が当然出てくる。なお、いままで、おとうちゃんが勤めていたから奥さんは内職ぐらいはやっていたけれども勤めていなかった、子供が高校あたりに行っていたという家庭が、おやじさんが失業したために奥さんや子供も働かなきゃならぬというようなそういう新しい形の関連失業というものが出てくるんですよ。現地に行ってみれば、そのことがよくわかる。したがって、三千二百名吸収するという予定では、とうていこれが吸収できない。その余った人たちをどうするか。私は、これはやはり一般失対事業などにあなた方がどしどし吸収するという道を開いていただく以外に、一時的にもせよ急増する深刻な失業問題を解決することはできないんじゃないかというふうに思う。いままでだって田川市あたりはそうでしょう。広域職業紹介で他地方へ行けといったって行くことのできない滞留している人がたくさんいる。その点をよくお考えになって、一般失対などに入れるおつもりがあるのかどうか、私はぜひそういう道を開いていただきたいと思うんですが、その点をお答えいただきたい。
 それからもう一つは、この産炭地開発事業で就労する人たちの賃金ですね、これをどのくらいに考えておられるのか、この二点をお伺いして終わります。
#76
○説明員(上原誠之輔君) まず、産炭地開発事業就労の規模が、発生する失業者の数から見て非常に少ないのじゃないか、こういう御意見でございますが、私どもの昭和四十四年度におきますところの今回の合理化によります炭鉱離職者の数は大体一万一千名程度を見込んでおります。もちろん、われわれが対象として就職援護措置をやってやらなければならぬ者の数は、前年度からの繰り越し分を含めまして一万五千名を考えております。ただ、失業者が出てまいりますけれども、一方においては人手に対する要求が非常に強いわけでございます。最近の炭鉱における閉山の場合の状態を見てまいりますと、求人者が殺到してくる、こういうような実情にあるわけでございます。失業者が出たからまるまるそれが何らかの形で国で措置しなければならぬというものでもないわけでございます。過去の合理化解雇を受けました者の就職状況を見てまいりますと、黒い手帳を受けました者の就職率は九四、五%という非常に高率な状態を示しておるのでございまして、この傾向は今後なお一そう続いて、雇用、失業情勢は好転していくというふうに考えておるわけでございます。
 しからば、筑豊地帯においてこれがはたして救えるかどうか、この程度の数字でいいかどうかということになりますわけでございますが、地域的には特に筑豊地域におきましては現地から広域紹介で外に出られないという人がかなりあることは事実であります。しかしながら、一方におきまして、いま申し上げましたように、黒い手帳の発給を受けまして就職促進措置の手厚い措置を講ずることによりまして広域紹介で就職できるという分野もあるわけでございまして、私どもといたしましては、四十四年度予算で計上いたしております三千二百名という事業規模で大体うまく事業が運ばれていくんじゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。これが第一点でございます。
 それから第二点の、就労事業に就労する者に支払われる賃金でございます。これは、この事業そのものは市町村が建設業者に請負の形で請け負わせまして、そして事業を施行するわけであります。現実に支払われます賃金につきましては、一般の労使関係と同じように、労使自治の原則によりまして労使間の話し合いによってきめる、こういう形になるわけでございます。国といたしまして幾らの賃金を払えと言うことはできないわけでございまして、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
#77
○委員長(丸茂重貞君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#78
○委員長(丸茂重貞君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#79
○渡辺武君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案に反対するものであります。
 本法は、本特別会計の存続期間を昭和四十九年三月三十一日に延期し、昭和四十四年度から四十八年度の五年間の原重油関税収入を財源とし、総額四千億余円の国民の税金を、石炭大手企業及び石炭鉱業の事実上の支配者である銀行に、再建整備という名目でくれてやり、あわせて炭鉱の縮小と炭鉱労働者の首切りを容易にするため従業員関係債務等に支出しようとするものであります。
 政府は、このような措置をもって石炭産業の再建策と称していますが、再建されるのは石炭経営者と銀行経営にほかならず、日本の唯一のエネルギー資源であり、日本の産業及び日本国民のために発展させなければならないはずの石炭産業は、一部大手炭鉱を残して最終的に取りつぶされ、再び炭鉱労働者は三万余も首切られ、残った労働者も苛酷な労働条件と頻発する炭鉱災害に苦しめられることは、過去の石炭合理化の実績を見れば明らかであります。それだけではなく、産炭地域の市町村財政、石炭産業関連企業に及ぼす打撃は甚大なものがあり、このような冷酷無比な政策をとり、日本のエネルギー市場をアメリカ石油独占資本に明け渡そうとする措置について、わが党は断固反対するとともに、かかる政策を財政的に保障する本法案に反対するものであります。
 わが党は、日本の石炭産業は今後も発展し得るし、また、発展させなければならぬという立場に立ち、新しい民主的な政府のもとでの石炭産業の国有化を主張するとともに、現在の自民党政府のもとでも、電力用重油の使用を抑制し、石炭消費をふやすことによって、石炭需要を大幅に拡大し、炭鉱の骨格構造を近代化し、保安を確保し、炭鉱経理を規制し、国の財政援助と相まって、炭鉱労働者の生活水準を大幅に引き上げ、産炭地市町村の財政を健全化するなど、石炭産業の拡大発展と、炭鉱労働者を中心とする勤労者の生活向上の政策をとり得ると考えており、このような観点から、政府がいまの石炭政策を撤回することを要求して、私の反対討論を終わります。
#80
○委員長(丸茂重貞君) 他に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#81
○委員長(丸茂重貞君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#82
○委員長(丸茂重貞君) 多数と認めます。
 よって、本案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
#83
○青田源太郎君 私は、ただいま可決されました法律案に対しまして、自民、社会、公明、民社の四党共同提案による附帯決議案を提出するものであります。
 決議の案文は、お手元の印刷物により御承知願います。
 なお、附帯決議案の内容につきましては、すでに質疑の中で尽くされておりますので、説明を省略させていただきます。
 何とぞ、御賛成くださいますよう、お願い申し上げます。
 また、政府におかれましては、この附帯決議案の趣旨を十分尊重されまして、石炭鉱業再建について万全を期せられるよう期待するものであります。
#84
○委員長(丸茂重貞君) ただいまの青田君提出の附帯決議案を議題といたします。
 青田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#85
○委員長(丸茂重貞君) 全会一致と認めます。
 よって、青田君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、福田大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。福田大蔵大臣。
#86
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
#87
○委員長(丸茂重貞君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#88
○委員長(丸茂重貞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十三分散会
     ―――――・―――――
 〔参照〕
  石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
 今次石炭対策の実施に伴う本特別会計の運営に当つては、巨額の国費を支出するものであること、これを負担する国民の感情及び他産業との不均衡等を考慮して、左記の諸点に留意し、公正かつ効率的に執行すべきである。
    記
一、金融債務にかかる再建交付金の交付に当つては、石炭関係以外に投融資されたため生じたと認められる借入金を、その対象から除外すること。
二、再建交付金の交付により解除された担保物件の処分については、当該会社の再建整備の目的にもとらぬよう規制すること。
三、閉山する炭鉱を取引先とする資材等納入業者への債務の返済等について特段の指導を行なうこと。
四、炭鉱労務者の雇用の安定を図るため、住宅をはじめ生活環境を整備するとともに、保安体制についても万全を期すること。
ソース: 国立国会図書館
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