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#1
第061回国会 大蔵委員会 第22号
昭和四十四年六月十九日(木曜日)
   午前十時五十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十九日
    辞任         補欠選任
     瓜生  清君     田渕 哲也君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         丸茂 重貞君
    理 事
                青田源太郎君
                戸田 菊雄君
    委 員
                青木 一男君
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                鬼丸 勝之君
                小林  章君
                中山 太郎君
                矢野  登君
                木村禧八郎君
                田中寿美子君
                松本 賢一君
                横川 正市君
                鈴木 一弘君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       大蔵政務次官   沢田 一精君
       大蔵省主計局次
       長        相沢 英之君
       大蔵省主税局長  吉国 二郎君
       自治省財政局長  細郷 道一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(丸茂重貞君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、瓜生清君が委員を辞任され、その補欠として田渕哲也君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(丸茂重貞君) ただいま御報告いたしましたように、田渕君が一時委員を辞任されたことに伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないます。
 選任は、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(丸茂重貞君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に田渕哲也君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(丸茂重貞君) 交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
#6
○鈴木一弘君 私は、最初に、地方財政の問題で大臣に伺いたいんですが、昨年の十一月二十一日に財政制度審議会が報告をされた中で、「地方財政対策についての報告」というのは、国の立場から主として地方交付税のあり方を示唆したものでありまして、これから見ると、現在のフイスカル・ポリシーの必要性から地方もこれに協力していくべきじゃないか。そこで、地方財政が好転した機会をとらえて、四十四年度の予算の編成では、交付税率の修正、年度間の財源調整、そういう措置を行なうべきであるというふうに要請しているわけであります。それと同時に、十二月十八日に地方制度調査会が答申を出しました。それによると、地方の財政収支は若干改善が見られているけれども、弾力性が非常にない。また、行政水準も非常におくれている。そういうことから、地方財政に景気調整策を織り込むということは非常に困難ではないか、また、範囲というものが非常に限定されているんではないか。交付税については、地方固有の財源であるから、税率の引き下げ、そういうような措置を講ずべきではないと、こういうように相対するところのものが出たわけです。そういうように、両方がまっこうから国並びに地方という立場から見解が対立してきたわけですけれども、その調整が本年一月六日の大蔵大臣と自治大臣との覚書というふうになると思います。ところで、覚書では、そういう具体的な解決策というものはあまり出なかったわけですね。そうして、ただ、四十四年度の交付税額から六百九十億円を国が借り上げる、交付税率の問題や年度間調整の問題は今後の課題に譲るということで、当面の課題が何となくごまかされたように思うんですが、そういうことで、その覚書の内容がこの法律案には今回そのまま織り込まれておる。財政制度審議会では四十四年度予算で基本的な問題の解決をと、こういうことを言われておるわけですけれども、これに対しても十分な解決というものがなされていないのじゃないか。
 そこで、こういう解決の方向というものは四十五年度においては確実に行なおうというのか、その辺のところを一つ伺っておきたいのと、それから財政制度審議会と地方制度調査会の報告、答申、こういう二つの問題についてどういうようにお考えになっていらっしゃるか、この点についてまず大臣から伺っておきたいと思います。
#7
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまお話しのように、一月の初めに私と自治大臣との間で覚書の交換をいたしたのであります。その覚書の趣旨は、これはまあ大蔵省と自治省との間の意見の食い違いがあります。その背景といたしましては、また、財政制度審議会と地方制度調査会との間の意見の食い違いというものもあるわけであります。
 元来、地方財政と中央財政との調整の問題というものは、非常に大事な問題でありますだけにむずかしい問題でありまして、過去十数年間、予算の編成という際になりますと、この問題が予算の編成の中の最大の難関であるとされてきておりまして、昭和四十年度ごろまでは、ほかの予算は全部きまるが、地方財政の問題だけがあとにひとり取り残されるというような情勢、次第であったわけであります。しかし、私は、そういうことはよくない、こういうことで、まず中央、地方の財政のあり方を先決しなければならぬ、そうしなければ正しい予算の編成とは相ならぬ、こういうふうに考えまして、私が前に大蔵大臣になった昭和四十一年ですか、そのときから地方財政先議方針というものを立てまして、そうしてやってきておるのであります。
 ことしも、一般財政が論議されるというのに先立ちまして、いち早く中央、地方の財政調整をやったのであります。その中央、地方の財政調整には、二つの問題があります。一つは、両方の財源調整の問題、それからもう一つは、国の景気政策というものと関連をもって地方財政自体における年度間調整、こういう問題があるわけでありますが、中央、地方の財政調整、この第一の問題につきましては、ことしはとにかく六百九十億円政府が借り入れをしておく、こういうことにしまして、交付税をそれだけ減額いたすという措置をとっております。また、年度間調整の問題につきましては、私どもも意見を述べ、自治省においても善処していく、こういう結論にいたしたわけでありまするが、これからどういうことをするかということになりますと、特に年度間調整について一つのルールをつくったらどうかというふうに考えておるのであります。覚書にもその趣旨が盛られておるわけであります。それを一体どういうふうにしようかということは、国会で毎日々々忙殺されておりますので、まだ自治省とお打ち合わせをする段階に至っておりませんけれども、国会でも済みましたならばそういう相談に移りたい、かように考えております。
#8
○鈴木一弘君 大蔵省に聞く前にちょっと自治省に伺いますが、いま大臣のほうからも年度間調整のルールということが出てきたわけですが、自治省のほうで現在その年度間調整のルールについて何か構想なり下相談なんということをなされておられるのか、もしあるとすればその内容を伺いたい。
#9
○政府委員(細郷道一君) まだ私のほうも具体案を検討中でございまして、成案を持っておりません。
#10
○鈴木一弘君 成案はまだできていない、具体案を検討中ということですが、その検討の中でもいろいろあると思いますが、いわゆる景気調整について地方財政に機能を持たせるべきであるというのが一つの問題点だと思いますけれども、そういう点については、何か具体的に、やはり受けざるを得ないであろうとか、あるいはそういう機能を持たせ得るであろうか得ないであろうかとか、その点についてもまだ何らかの結論は出ていないんですか。
#11
○政府委員(細郷道一君) 具体的にまだ出ておりませんが、考え方としては、地方財政に景気調整を持ち込むについては、国の場合と違って、その仕事の守備範囲その他から見て、範囲が非常に限定されるのではないかというふうに私どもは考えております。また、景気調整を地方財政に持ち込むにあたっても、それがどういう方法でやるのか。御承知のように、地方財政も、その財源の面からいえば、地方税、地方交付税、国庫支出金、地方債といったいろいろの歳入の科目があるわけでございますから、そのどれを通じてそれができるのかといったような問題もよく考えてみなければならぬであろう、かように考えております。
#12
○鈴木一弘君 大蔵大臣、いままで政府で諮問機関がありまして、そういうところで税制調査会であるとか金融制度調査会とかかなり答申をなされたわけですが、おおむねその答申が生かされてそうして実行されてきた。そういう点で、かなりの権威を持つ答申というふうにわれわれも受けとってきたわけですが、財政制度審議会の今回の報告によることがこういうような中途はんぱな覚書で終わったということは、私ども非常に意外であるという感じを受けるわけです。そういう点については、何となくこれは糊塗策ということになってしまうと、いまの財政局長の答弁からすると、景気調整の役割りについてもかなり積極的とは言いがたいものがあるのではないか。ところが、財政制度審議会のほうのは、かなり積極的な意図で地方財政に景気調整の役割りをということがはっきり出てきて、年度間調整をうるさく言われるわけです。こういうところが、いままでの大蔵省の行き方とかなり違った感じを私は受けるわけです。権威あるものとするということになれば、政府のほうがかなり支持しなければいけないだろうし、また、もしそうでないとすれば、政府の見解とは大いに異なるものであるというふうに理解をしなければならない。そういう点ではどういうふうにされますか。
#13
○国務大臣(福田赳夫君) 地方財政に関する問題は、これは地方自治体に関する問題でありまして、その自主性というものが尊重されなければならない。そういう意味において、地方財政に関する政府のいろいろな意見というものは、政府自体が処置できる諸問題とは趣を異にしておる点があると思うのです。それで、政府の審議会はもとより政府がその意見を尊重するというたてまえになっておるのでありまするが、事地方財政に関しまする場合には、そういうむずかしい問題がある。また、先ほど申し上げておりまするとおり、中央、地方というそれぞれの立場に立っての意見の食い違いというものも出てきておるということを考えますと、なかなか財政制度審議会が答申をされたという線でそのままいくということのむずかしい場合が出てくるのは自然の勢いだろうと思います。しかし、私どもといたしましては、財政制度審議会の答申の精神は、これを取り入れる、どこまでも実行していきたい、こういうふうに考えておるのでありまして、実行においていろいろな問題が出てくるということもまたやむを得ないのではあるまいか、さような考え方でおるわけでございます。
#14
○鈴木一弘君 具体的なことで伺いますけれども、衆議院の大蔵委員会で、大臣は、今回のいわゆる六百九十億の借り入れというようなやり方でありますけれども、この方式については非常に評判がよくないから今後やっていきたくない、とりませんということをはっきり言われたんですが、そうなると、四十五年度以降は国が地方から財源を借りるという方式は行なわないと確認してよろしゅうございますか。
#15
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりに考えております。
#16
○鈴木一弘君 いまの答弁から考えると、ことしの一月の初めごろに、記者会見で、国と地方の今後の財源調整に備えて、国と地方財政との間に調整資金をつくる構想を提案する、こういうことがちょっと一部の新聞に載っておったのでありますけれども、これは、今後の中央、地方の財政のあり方、あるいは財源の配分の問題、こういうことに非常に大きな影響があると思うんですけれども、この構想はお出しになるわけですか。
#17
○国務大臣(福田赳夫君) まだ具体的にどういうことをするかということは相談もしていないんです。でありまするから、一月の初めの新聞云々のお話がありますが、それは私どものほうから出た材料とは考えられません。ただ、一部の国会議員の間にそういう構想はどうだというようなことを言っておる人があるようでありますが、政府のほうの考え方は、これから国会でも済んでその段階でぼつぼつ相談を進めよう、こういうことでございます。
#18
○鈴木一弘君 大臣のいまの立場はわかりますし、現在相談が詰まっていないことはよくわかるのでありますけれども、やらなければならぬということだけははっきりしている、具体的なことについては煮詰まっていないから答弁ができぬということだろうと思いますが、何となくそれだとぼくら不安があるわけです。そういうような構想でいくのか、交付税率の調整ということでいくのか、あるいは中間においても交付税率を動かすということをやるのか、そういういろいろな方法の問題もあるだろうと思いますけれども、税率そのものを動かしていくやり方、つまり、前に交付税率を引き上げるときには、非常に国債をかかえたところの財政になったということで交付税率の引き上げが行なわれたことは、これは大臣御承知のとおりだと思います。また、政府側もそういう答弁であったわけです。それがだんだん国債の予算総額に占めるパーセンテージが下がってきている、絶対額も下がってきているということになりますと、これはそのときの答弁に固執するわけじゃありませんけれども、裏返していえば、これは交付税率をいじるのかというふうに考えざるを得なくなります。だから、その辺あたりは、大体お考え方として何かおありになるんではないか。それとも、全然相談してないし、これから詰めなきゃならぬので何とも言えぬというだけのものなのか。大臣のほうから何か方向というものを示さなきゃならぬだろうと思いますが、その辺の構想は全然ございませんか。
#19
○国務大臣(福田赳夫君) 交付税率を動かすという考えは持っておりませんです。まあそういう前提でいろいろ調整の道はないかということを相談したい。まだ相談も始めていないんです。御承知のとおりな国会情勢でございますので、そういういとまがないんです。
#20
○鈴木一弘君 大臣、いとまがないというんですが、開かれてもなんにもしないなんて雑誌にまで書かれているんですから、いとまがあるんじゃないかと思っておりますが……。
 ことごとくノーコメントになってしまうと、やるであろうということを信用する以外に手がなくなってくるので、何とも審議の進め方が困ってしまいますけれども、そこで、これは異質の問題になりますけれども、現在の国のほうの年度というのは四月から三月、地方財政においても四月から三月まで、こういうことになっております。ですから、地方団体での予算の編成、予算議会も三月に行なわれる。そのときには、いろいろ確定しないままでもって、国からこれだけ出るであろうということを予想した上でやるわけです。ですから、どうしても、組まれておりましても、その中身はスケルトンのようなものであると、こうならざるを得ないわけです。この国の年度を暦年制に持っていく、そうして地方公共団体の年度は四月から三月というふうにずらす、こういう措置をとると、地方団体の行政の行き方というものもすごくよくなるであろうし、予算そのものもかなり充実した内容のもの、実行的なものに近くなってまいりますので、そういう点についての大臣のお考えはございませんか。
#21
○国務大臣(福田赳夫君) 会計年度を、いま四月から三月までと、こういうふうになっておりますが、これを改めたらどうかというような考え方につきましては、過去においてもすでに何回にもわたってその利害得失を検討したのですが、いまのところは、現行の制度がよかろう、こういうふうになっております。しかし、中央と地方との会計年度を違えたらどうかという議論はきょう初めてお伺いをするようなわけですが、これは中央、地方の会計年度が違うということはかなりいろいろ支障があるのじゃあるまいか、さような感じがいたします。なかなかこれは簡単な問題じゃないような気がいたすのであります。
#22
○鈴木一弘君 その点については、大臣も、唐突な質問でありますので、今後検討していただきたいと思います。
 地方財政が今回六百九十億云々ということになりましたことは、これは地方財政に余裕があるという考えを政府側が財政当局のほうで持っているのか、これは私は大きな問題だと思うのです。余裕があるというようなものの見方をなさっているのか、それとも、万やむを得ずこうせざるを得ないというふうになっておやりになったのか、その辺のところをお伺いいたします。
#23
○国務大臣(福田赳夫君) 交付税というものは、この税額の算定方式が、国の有力財源である所得税、法人税、酒税、こういう主力税を対象とし、その三二%ということにきめられておるわけでございます。この主力税は景気によって非常に変動をするわけであります。しかも、いわゆる租税弾性値というような問題がありまして、景気のいいときにはばかにこれが伸びる、経済の成長以上に伸びていくという傾向を持つのでありまして、それが国の財源として国の財政をささえるわけでございますけれども、国の財政全体として見るときに、まあ四十四年度でいいますると、特別の調整措置を講じませんと三〇%こえるような伸び率を示すわけであります。そういうことは、国の財政全体の規模から申しましてかなり問題がある。そういうようなことから、調整を加えたらどうだと、こういうような意見が出てくるのはまた自然の勢いだろうと思います。一方、地方財政の面はどうかと、こういいますると、地方財政は四十年のあの非常な落ち込みから立ち上がりができまして、そして交付税が累年増額をされる、それから地方税自体の伸びもどんどんよくなる、さようなことから、いま、国債、地方債の依存率から見ましても、国は七・二%の国債依存率、地方は四・三%の依存率だと、こういうふうになってきておる。ここで調整を加えても、地方財政にそう支障を生ずる状態ではない。中央、地方は車の両輪のごとく社会のために尽くしておるわけでございまするから、ときにこれは総合的にながめる必要がある、こういうような見解から調整措置をとったわけであります。
#24
○鈴木一弘君 確かに、国税三税が伸びたとき、あるいはへこんだときというこれは、景気によってものすごく三税は動きます。それは大臣の言われたとおりだと思います。それだけに、この伸び縮みによって交付税も伸び縮みをしていくということですから、これは、はっきり申し上げれば、年度がどうしてもずれてきますから、その当年度の分のまま伸びるということはありません。そういう点では、やはり、会計年度は、地方関係だけは四月、国は暦年というほうが調整しやすいのではないか、そういう点を申し上げたいと思ったわけであります。
 次に伺いたいのは、先ほどの地方交付税の税率の問題でありますけれども、これは動かさないということを大臣ははっきり言われたのですが、覚書では、「当分の間」は動かさないと。その当分の間というのは、いつまでをおさしになっているわけですか。当分の間というのは、まあ多少の変動があっても、三二を三五に引き上げるとか、あるいはそれを引き下げるとか、こういうふうなことはないという、そういう意味なのかどうかですね。いままで十年間を見るというと、三十七年、四十年、四十一年と交付税率は変わってきている。今度はここではっきり当分の間と言いますので、その点がどういうようにこれから先を見通していらっしゃるのか。
#25
○国務大臣(福田赳夫君) まあ「当分の間」はそのとおりでございまして、当分の間ということでございます。つまり、時間的に言いますとしばらくの間はということでございますが、そのしばらくはどのくらいになりますか、これは中央、地方の財政のバランスとういうものが激変をする、こういうことがない限りこの比率は変わらないと、こういうふうに御承知願いたいと思います。
#26
○鈴木一弘君 激変がない限りということは、まあ前回のときに二九・五%でしたか、それから三二%に引き上げた、そのときは確かに激変であった。それは、地方財政の窮迫という激変だったわけですけれども、今度は六百九十億も借りるということになってくると、今度は逆の国の財政のほうがたいへんであるという激変、その変化の一つみたいな気もする、そういう心配を私はするわけです。ですから、交付税率を引き下げられるのではないか、それでは困ると、そういう点で激変の点をいま伺ったんですけれども、そういうことも全部考慮されているということですね。
#27
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、国の財政から言うと当面は引き上げがあっちゃ困る、それから地方のほうから言うと引き下げがあっちゃ困る、その間の妥当なバランスが当分の間これを動かさないと、こういうことになった次第でございます。
#28
○鈴木一弘君 地方財政では、まあ国が指摘するのは財政上の余裕が多少あったというような考え方ですが、ないとしていながらも一方では地方交付税の額の中から六百九十億円を国に貸していると、結果論からいえば、地方のほうが財政上ゆとりがあるということを認めることになる。そこで、地方制度調査会のほうの答申の主張を進めていけば、国は国の力で財政硬直化の打開をし、景気調整をはかる、地方には充実すべき事業が山積をしているんだから、四十三年あるいは今回とられたような――これは答申からいえば四十三年になりますが、四十三年にとられたと同じような国との貸し借りの制度をやるなということがその精神になると思うんですけれども、そういう点で、むしろ六百九十億を貸し付けるだけの余裕がもしあれば、逆にそれを地方における住民税、個人住民税、こういうようなものの軽減の方向に進めるという必要があったんじゃないかと、そういうようなふうに考えられるのですけれども、その点についてはお考えにならなかったのかどうか。また、こういう考えについてはどうなのか、ちょっと伺いたいと思います。
#29
○国務大臣(福田赳夫君) 住民税の軽減はやっておるわけなんです。やっておるわけなんですけれども、やはり地方財政もその年度年度一時限りの財政じゃございません。長期にわたってこれをながめていこうという考え方をとらなきゃいけないことは当然なんです。現に、地方財政は、いい年ばかりじゃないんで、四十年のごときはたいへんな落ち込みがありまして、国でも二千億余り財政援助をいたしまして、つないだと、そういうようなことなんです。ですから、いいときに地方財政が余力をたくわえておく、こういうこともまあ長い目から見まするときには当然の処置だというふうに考えられるわけであります。そういう考え方から、国に六百九十億円を預けておくというような措置をとったわけなんです。今後といえども、そういう考え方、つまり一年度間だけで財政をながめるということじゃないという、この考え方は地方財政についても一応堅持してまいらなきゃならないと、そういうことだと思います。
#30
○鈴木一弘君 いまの年度間だけに限らないでというのは、一つの考え方として私はよくわかるんですが、また、一つのヘッジのようなかっこうになっておりますから、保険的な考え方でいいんですけれども、しかし、これは、大臣、地方財政だけについてそういうような年度を越えてということをお考えになっておるのか、それとも、国の財政計画そのものも今後はそういうような年度を越えてというところまでの一つの体系に持っていきたいという考え方をしているのか、そこのところを伺いたいと思います。
#31
○国務大臣(福田赳夫君) 国においては、もちろん先々のことを考えて当該年度の財政運用を考える、そういう方針でございます。
#32
○鈴木一弘君 単年度制はやめるということじゃないですね。
#33
○国務大臣(福田赳夫君) さようなことではございません。
#34
○鈴木一弘君 住民税についてですが、課税最低限が今回の改正で約九万円ばかり引き上げられて、標準世帯で六十二万円ということになってきたのですけれども、国税の九十三万に比べるとこれは非常に低いということを言わざるを得ない。したがって、最低生活費にも課税をしているということにならざるを得ないというふうな気がするのですが、いかがですか、これは早々に改善をすべきじゃないですか。そういうように課税の最低限が住民税は低いし、比例税率も非常に軽度な累進税率だし、また、したがって、どうしても低所得層のほうに負担が大きい、こういうことがあるんですけれども、そういう点についてはどういうふうに考えておられるか、これは自治省のほうからの考え方と大蔵大臣の考え方と両方伺っておきたいと思います。
#35
○国務大臣(福田赳夫君) 国税と異なりまして、地方税のほうはこれは地域社会の維持発展という目的をもって運営されるわけであります。その地域社会に広く協力をしていただく、こういう考え方に立つのは自然の勢いかと思いますが、そういう考え方からいたしますと、国税のほうでは納税者が少ないが、地方税においては幅広く納税者が考えられるということ、これもまた私は当然なことかと思うのであります。結果として、中央、地方におきまして、所得課税が、まあ地方では地方税と言いますが、その間に最低限の開きが出てくることはやむを得ない、かような考えであります。
#36
○政府委員(細郷道一君) ただいま大蔵大臣からお答え申し上げましたとおり、地方住民税と所得税の機能の違いということから、課税最低限に差があることはやむを得ない、かように考えております。かつて政府の税制調査会におきましてもこの問題についてかなり真剣な討議をいたしましたが、その点についてもいま申し上げたような結論を得ておるわけでございます。
#37
○鈴木一弘君 それは、税制調査会とかあるいはいまのようないろいろの御答弁等の考え方は、大衆課税の論拠が、地方税というのはあくまでも応益負担であるというそういうことですから、結局、地域社会の要求に応じてというそういうことが大きな原則になっていると思いますけれども、いまのように交通が発達したり経済圏が拡大してくると、市町村によっていろいろ違ってきたり、あるいは地方だから特に取らなきゃならないというそういう考え方というか原則は改める必要があるんじゃないか。これはまた一つの例でありますけれども、不交付団体であるけれども制限税率いっぱいにまで取らないと、いつ交付団体に下がるかわからない現在現状である。交付団体になったときに十二分にもらえるようにするためには、どうしても制限税率いっぱいというようにしなきゃならぬというので、市長等でもそういう点でえらく努力をしているというところもあるわけです。どうしても、東京なら二十三区等に比べると三多摩地域なんかになると税金が高くなる、そういうことが起こる。しかし、見てみると、経済圏としてはもう単一なものになっている。いわゆるベッドタウンと職場という違いはあるかもしれませんけれども、同じになってきている。交通の上でいえば、わずか一時間足らずで行けるというようなところになってきている。ですから、そういう点で、ほんとうに大衆負担というような考え方をやめて、そういう社会情勢の変化、経済圏の変化、こういう点から、大衆負担という考え方よりも、やはり一定の所得以上というように、少なくも国税並みにまで課税最低限を押し上げていく、そういうような考え方に根本的に考え直す時期に来ているのじゃないかと思うのですが、その点についてはどうお考えですか。
#38
○国務大臣(福田赳夫君) これは、せっかくの御所見でございますが、地域社会を運営していくという地方税つまり住民税と、国の経営に当たる所得税とは、これは性格が違うと思うのです。そういうようなことで、その間に課税最低限において格差が出てくる、これはもうどうしてもやむを得ないことであり、この考え方を変えるということは適当ではない、さようにかたく信じております。
#39
○鈴木一弘君 だから、地方の財源が不足するというならば、いまのように一方は九十二万円、片方は六十二万円というそういう課税最低限というのは、これはだれが見ても国民の側からするならば納得ができない。ですから、そういう点では、国のほうで九十三万円が一つの課税最低限であるということは、それ以上であれば生活は十二分であるということの証拠になるわけですから、それ以下のところまで取っているということになれば、これは住民のほうが細っても財源は負担しなさいと、大衆負担というような形になる。そうではなくて、国と地方を通じての税源配分というそういうものの考え方でこれを直したらいいのではないか。私は、最低限だけは所得税と同一水準に上げたらいい。こういう点について、いま、大臣は、そういうことは絶対考えておりませんというのですが、しかし、もう少し根本的に一ぺん考えたほうがいいのではないかということがあるわけです。いままでも、税調の答申でも、税源配分の問題が言われてきたわけです。それが根本的には指摘をされておりながらも行なわれてきていないという点があり、私はどうももう一度考え直していただかなければいけないのじゃないかと思うのですけれども、そういう点について大臣は全然硬直されたようなかっこうで、地方税については絶対大衆負担のそういう応益原則というもののままでいくということです。しかし、税源配分そのものを考えれば一緒にしていけるだろうと思うのですけれども、そういう考え方はありませんか。
#40
○国務大臣(福田赳夫君) 中央、地方の所得税的課税ですね、その高さ低さ、これは社会の進歩に応じて弾力的に考えていく必要があると思います。しかし、考え方としてこれを一緒にしなければならぬという考え方については御賛成いたしかねる、こう申し上げておるわけなんです。地域社会を維持するための税、これは地域社会の人になるべく多数の人に負担していただく、こういう考え方は適当な考え方である、そういうことを申し上げておるわけです。
#41
○鈴木一弘君 法案そのもので、六百九十億円の算出の根拠、これは一体どういうところから来ておりますか。四十三年度の補正予算で追加された七百三十億円のうちから四十四年度に繰り越すこととしている六百八十億円というものとの見合いということから来ているのか。算出の根拠は、借りるにしても、ただつかみ金をよこせ、八百億よこせ、いやです、それで六百九十億になったと、こういうものでもないだろうと思うのです、これは。
#42
○国務大臣(福田赳夫君) 大体、その額は、昭和四十三年度において交付税の自然増収が行なわれたわけでありますが、これを目途といたしたわけであります。それからこれを政府が借りる際に、一年で返すのかあるいは三年で返すのかということが議論されたわけでありますが、まあ三で割れる数、こういうことも考慮いたしまして六百九十億円、こういうことにいたしたわけであります。
#43
○鈴木一弘君 それは解消を三カ年間と、そういうことで大臣は非常におもしろい答弁をするんで、私はもうこれ以上聞きたくないんですが、はっきり申し上げて、地方交付税のこういうような六百九十億円の国から貸す、国から借りるという形でありますけれども、そういうものは、積極的に、本来ならば、申し上げましたように応益原則ということもあるでしょうけれども、地域社会の経済圏も大きくなっておるのですから、できる限り地方税そのものの改革のほうに回していただく、そういう方面の姿勢というものをはっきりしないと、いつまでも財政当局のほうは財政オンリーを考えていてよろしいということになってしまったのでは話にならない。そういう点、たとえ国と地方との税体系は違うとしても、ほんとうに大衆のところから出発した税体系に持っていってもらいたい。これは要望でございますけれども、そういうように考えるわけであります。
 以上をもって私の本日の質問を終わりたいと思います。
#44
○委員長(丸茂重貞君) 本案の質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午前十一時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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