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#1
第061回国会 外務委員会 第11号
昭和四十四年五月十五日(木曜日)
   午前十時十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十五日
    辞任         補欠選任
     矢追 秀彦君     白木義一郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 利壽君
    理 事
                佐藤 一郎君
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
                大和 与一君
    委 員
                石原慎太郎君
                杉原 荒太君
                高橋  衛君
                廣瀬 久忠君
                三木與吉郎君
                加藤シヅエ君
                西村 関一君
                羽生 三七君
                森 元治郎君
                黒柳  明君
   衆議院議員
       外務委員長    北澤 直吉君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       外務省アジア局
       長        須之部量三君
       外務省アメリカ
       局長       東郷 文彦君
       外務省経済局長  鶴見 清彦君
       外務省条約局長  佐藤 正二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   説明員
       外務大臣官房領
       事移住部長    山下 重明君
       外務省経済局国
       際機関第一課長  溝口 道郎君
       外務省条約局外
       務参事官     高島 益郎君
       農林省農林経済
       局食品油脂課長  宮地 和男君
       海上保安庁水路
       部長       川上喜代四君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○海外移住事業団法の一部を改正する法律案(衆
 議院提出)
○所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国とインドとの間の協定を修正補足す
 る議定書の締結について承認を求めるの件(内
 閣提出)
○通商に関する日本国とメキシコ合衆国との間の
 協定の締結について承認を求めるの件(内閣提
 出、衆議院送付)
○千九百六十八年の国際砂糖協定の締結について
 承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○千九百六十八年の国際コーヒー協定の締結につ
 いて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○国際水路機関条約の締結について承認を求める
 の件(内閣提出、衆議院送付)
○国際情勢等に関する調査
 (国際情勢に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本利壽君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 海外移住事業団法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○大和与一君 簡単に二、三お尋ねします。
 一つは、この法律が提案されるに至った経過ですね。どういう経緯があってこれが出されるようになったかというのをひとつ聞きたい。
  〔委員長退席、理事長谷川仁君着席〕
#4
○衆議院議員(北澤直吉君) それでは私よりお答えいたします。
 先般私から趣旨説明をした場合に簡単に触れておきましたが、重ねてこの法案を委員長提案として提出しました経過について御報告します。
 本件につきましては、衆議院外務委員会におきまして全会一致の意向の表明がありましたので、国会法第五十条の二の規定に基づきまして、委員会提出とし、委員長をもって提出者とするということになったわけでありまして、それに基づいて所要の手続をとった次第であります。
#5
○大和与一君 回収率が芳しくないということでこういうふうな手当てをすることになったのですが、一部の人はすでに返済しているわけですね。そうすると、今回他の大部分の移住者の債務を免除することについて、返済済みの移住者の間に不満があるようなことはないか、それをお尋ねします。
#6
○説明員(山下重明君) 中南米の関係のこの経費は、大体五十八億円の貸付金のうち返ったのが千二百四十万円でありまして、この返した人たちに対する取扱い、アンバランスがこの案のときに一番問題になりまして、いろいろ検討しまして、結局、この金のうち一部移住事業団に積み立ててある金がありまするので、その金を移住者全体の利益に還元するということで、現地でいろいろ移住者の援護を行なっている団体に寄付いたしまして、それでその団体から各返済者に懇篤な礼状を出してもらうということにしたらいいのじゃないかと考えております。
#7
○大和与一君 この回収金を移住者全体の利益になるように使用するというので移住者の団体を選定して回収金を寄贈する、こういうふうに言われておりますが、これは具体的に一体どういう計画ですか、もう少し具体的に。
#8
○説明員(山下重明君) これは、一つはサンパウロに援護協会というものがございます。それから、もう一つはパラグアイに日本人会というのがありまして、それで、これらの協会はいずれも移住者の生活保護とそれから医療とそういう仕事をしておりまして、そういう団体に寄付して援護事業を十分やっていただくということがいいのじゃないかと考えております。
#9
○大和与一君 その場合に、団体が幾つかあるとしますね、そうすると、ある特定の団体だけにそういうことをするのか、あるいは、それは十分にその話し合いをして円満にやれるという自信があるのですか。
#10
○説明員(山下重明君) ブラジルにおいて援護協会というのは非常に全体的な会でありますので、もちろん、これはサンパウロにあるのはブラジル全土ではなくて、ベレンというところにもありますけれども、必要に応じてそういうところにも分けて一応全体をカバーするような形で考えていきたい、こう思っております。
#11
○大和与一君 もう一つ。
 最近移住者がだんだん減ってきたのですが、これはいろいろな原因があると思うのですが、政府としてはどのように考えておられ、また、今後逆にもう少し移民をしたいというふうに考えた場合にはどういう方法があるか、それをお尋ねします。
#12
○説明員(山下重明君) 現在移住者が減っているということがいわれておりますけれども、この移住者の減っているのは、いまやどちらかというと、農村においてかなり貧しくて困っている人を政府の費用で一家ぐるみ現地に移住していただいた方があったのですが、最近内地の経済がよくなりまして、農村に貧しい人が少なくなって、そういう移住者が減ってきたわけですけれども、同時に、都会から若い技術者なり、同じ農業でも、現地で農業を経営するという形の移住者がだんだんふえてきておりますので、こういう新しい移住者の方の海外に発展されるのを大いに推進していきたいと考えております。
#13
○森元治郎君 一つ。
 そもそもこの移住者に貸し付ける場合に、回収可能と思って貸し付けたのか、どうせ返す見込みがあまりないから適当な機会に贈与に切りかえようという遠い見通しを持ってやったのか、どっちなんですか。
#14
○説明員(山下重明君) この移住者の渡航に対する渡航費の援助は、戦前においては貸付金じゃなくて交付金になっておりました。それで、戦後も移住が再開された二十七年に、できれば交付金にしたいと考えたわけですけれども、そのときは日本が財政的にも非常に困難な時代であったために貸付にせざるを得なかったわけであります。そこでその後何回か交付金にしたいということを考えまして、四十一年に交付金に切りかえられまして、結局二十七年――四十一年の間だけ、しかたがなくて貸付金になっていたのだというわけで、その貸付金を交付金に切りかえた四十一年のときも、これを免除したいと考えていたわけですけれども、そのときはうまくいかなかったので、それだけ残っていたわけであります。それで今回一括免除するということになったわけであります。
#15
○森元治郎君 そうすると、善意に解釈すると、戦前方式で当初から交付してやるのだと、しかし財政上の理由でできなかったのだが、おりあらばそういうふうにしたいという気持ちは初めから持っておるわけですね。そうでないとすれば、移住政策がきわめて安易のような気がするわけだな。失敗すればまたあとで肩がわりしてやるのだ、今度向こうが金がありそうなら貸付金にすると、そういうふうなことではないわけだな。
#16
○説明員(山下重明君) そういうことではありません。
#17
○理事(長谷川仁君) ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○理事(長谷川仁君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○理事(長谷川仁君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 海外移住事業団法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手をお願いいたします。
  〔賛成者挙手〕
#20
○理事(長谷川仁君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○理事(長谷川仁君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#22
○理事(長谷川仁君) 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とインドとの間の協定を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件
 通商に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 千九百六十八年の国際砂糖協定の締結について承認を求めるの件
 以上三案件を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。
 愛知外務大臣。
#23
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま議題となりました、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とインドとの間の協定を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 わが国とインドとの間には、昭和三十五年一月五日に署名された所得に対する租税に関する二重課税の回避のための協定が締結されていますが、近年インドが行ないました税制改正を考慮に入れるとともに両国間の二重課税回避の制度の一そうの整備をはかるため、政府は、この協定を修正補足する議定書の締結について交渉を行ないました結果、昭和四十四年四月八日にニュー・デリーにおいて、わがほう在インド法眼大使とインド側セティ大蔵省担当国務大臣との間でこの議定書の署名を行なった次第であります。
 この議定書は、本文八カ条から成り、これによるおもな修正補足は次のとおりであります。すなわち、インドの税制改正を反映してインド側の協定対象税目を変更し、また、恒久的施設の範囲及びこれに帰属する利得の範囲を限定して両国間で産業的または商業的事業に従事する者の利得に対する課税関係を一そう明確にするとともに、船舶所得に対する課税の軽減率を五年間にわたり現行の五〇%にかえて五五%とすることによって海運業者の税負担軽減をはかり、さらに、インドにおける租税の減免等による産業奨励措置の拡大を考慮に入れ、みなし税額控除に関する規定を整備したものであります。この議定書の締結によりまして、二重課税回避の制度が一そう整備され、両国間の経済交流はさらに安定した基礎の上に進められるものと期待されます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
    ―――――――――――――
次に、通商に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 メキシコは、わが国にとってラテン・アメリカ最大の貿易相手国になっておりますが、同国はいまだガットに加盟しておらず、また、戦後、両国間には通商上の諸般の待遇を保障するための協定がなかったので、政府は、通商に関する協定の締結についてメキシコ・シティ及び東京において交渉を行ないました結果、昭和四十四年一月三十日に東京において本大臣とロドリゲス・アダメ在日メキシコ大使との間で本件協定の署名及び関連書簡の交換を行なった次第であります。
 この協定は、本文八カ条及び議定書から成り、さらに、協定に関する交換公文が附属しております。この協定は、わが国がすでに締結している通商協定と同様に、関税、輸出入制限、外国為替等通商に関する事項について相互に最恵国待遇を保障しております。したがって、この協定の締結により、両国間の通商関係は一そう安定した基礎の上に促進されるものと期待されます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
    ―――――――――――――
 最後に、千九百六十八年の国際砂糖協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 従来砂糖は国際価格の変動が激しくややもすればその需給が不安定となる傾向があり、わが国のように国内需要の約七割も輸入に依存する国にとっては、ことのほか関心を持たざるを得ないところであります。この協定は、砂糖の需給を調整し、もって糖価の安定をはかることを主たる目的とするものでありまして、輸出割り当ての実施、最小及び最大在庫量の設定、一定の場合の供給保証、非加盟国からの輸入の制限及び禁止、消費の増大の検討等について規定しております。
 わが国がこの協定に参加することにより、適正な水準の糖価により安定した供給を受けること及び、もし糖価が暴騰した場合には、各加盟輸出国より供給保証を確保することができることは、わが国にとってまことに望ましいことと考えられます。また、わが国は、千九百五十八年の協定にも参加いたしておりましたが、今回もこの協定に参加することとなれば、輸出国たる発展途上国の経済発展のためこれに積極的に協力する態度を表明することともなり、きわめて有意義であります。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 以上三案件につきまして、何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
#24
○理事(長谷川仁君) 以上をもちまして説明は終了いたしました。
 三案件に対する質疑は、後日に譲ることにいたします。
    ―――――――――――――
#25
○理事(長谷川仁君) 次に、千九百六十八年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件
 国際及び水路機関条約の締結について承認を求めるの件
 以上二案件を便宜一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#26
○大和与一君 この協定は、コーヒーの輸出に大きく依存しておる低開発国の経済発展を助けるためにコーヒーの価格を安定させることを目的としておるわけですが、このような目的に照らして、前回の協定、すなわち千九百六十二年の協定は所期の目的を達したと言えるのかどうか。それとも期待したほどの成果はあがらなかった、こういうふうに考えられるのか。過去五年間の統計に基づいて説明をしていただきたいと思います。
#27
○説明員(溝口道郎君) 国際コーヒー協定は、ただいま御指摘のとおり、最初に一九六二年にできまして、六三年以来実行に移されております。戦後コーヒーは、戦前の一時的不足、ヨーロッパ市場の閉鎖などに伴いまして、コーヒーは戦前は非常に生産も少のうございましたが、戦後はいわゆるコーヒー・ブームで需要が拡大いたしまして、それに伴いまして生産も増大いたしまして、五四、五年ごろ高値を呼んでおりましたが、その後高値の時期における栽培がふえましたために、過剰が非常に大きなものとなりまして、その後の国際価格を下落傾向に推し進めてまいりましたが、この対策といたしまして一九六二年に、主要生産国とコーヒーの主要消費国が集まりましてこの協定をつくりましたわけでございますが、この協定の主目的は、コーヒー輸出国の輸出クォータを通じまして国際コーヒー市場を安定させようというというのがねらいでございまして、具体的には協定に規定しておりますように、一九六二年における国際コーヒー価格を維持しようということが目的でございました。それでお配りいたしました資料の十一ページに戦後のコーヒー価格の変動が記載してございますが、これをごらんいただきますと、六二年における価格は――このコーヒーは品種別に四つございまして、高級品種であるコロンビア・マイルドから、一番安いのがアフリカで量産しますロブスタ種で、このコーヒーは主としてインスタントコーヒーの材料になっておりますが、このように六二年の価格はここに書いてございます。これが最近の価格、その後ずっとごらんいただきましておわかりいただけると思いますが、大体においてこの六二年の価格が維持されて、それを上回っておりまして、特に六六年、六七年あたりは四十セント台が維持されておりまして、かなり高くなっておりますが、その後若干下落いたしまして、最近ではコロンビアが四十一セント、アザー・マイルドが三十八セント、アンウオッシュドが三十八セント弱、ロブスタが三十二セントと若干下がっておりますが、依然といたしまして六二年の水準を上回っておりまして、この点から申しまして、価格の点から申しますれば、十分協定の効果があがっていると申し上げられると思います。
 ただ御指摘の在庫の点でございますが、これはこの資料の九ページに在庫の数字が出ております。六二年の在庫をごらんいただきますと、合計が六千七百七十万袋でございますが、これが、一九六六年の数字が八千二百万袋になっております。最近の数字を申し上げますれば、最近の在庫は大体七千六百七十万袋で、六六年よりは若干減っておりますが、六二年当時よりは若干ふえております。これは六二年の協定が輸出のクォータを通じましてコーヒー市場を安定させようということがおもなねらいでございましたが、生産あるいは在庫調整につきましては規定はございましたが、かなりゆるやかなものでございまして、このために特にコーヒー協定ができる前の生産――コーヒーは御承知のように多年生作物でありますから、その後の生産が累増いたしまして、ブラジル等各国におきまして生産が増大し続けまして、その結果、在庫は特にこの六六年におきましてかなり伸びております。しかし、この輸出の面のみを調整いたしまして生産、在庫の面を調整いたさないと、長期的にはコーヒー市場の安定に資さないという反省が起こりまして、六六年ごろからコーヒー理事会の場で盛んに研究が行なわれまして、FAO――食糧農業機構ですとか世銀なとの協力を求めまして、その作付転換基金ですとか、生産の調整という問題の研究が進みまして、今度の御審議いただいております新協定におきまして作付転換基金の詳細な規定が設けられ、あるいは生産と在庫の調整についても規定が設けられております。これは過去の六二年協定が価格問題においてはかなり十分効果があったけれども、在庫の抑制についてはなお不十分な面があったということの反省から出ておるわけでございます。
#28
○大和与一君 いまちょっと触れましたその生産規制とか多角化基金などについて一応の規定はあるけれども、やはり重点は、その輸出割り当てのメカニズムが違っている感じがします。これは協定で扱う範囲の問題としてやむを得ないかもしれないけれども、むしろ生産規制、作付転換などは、輸出国自身の問題として、コーヒー依存からの脱却の決意いかんにかかっている問題であると思われますね。協定を成功させるために、このような低開発国自身がやるべき仕事として、過去の協定実施中に低開発国側においてどのような努力が払われてきたか、お尋ねいたします。
#29
○説明員(溝口道郎君) 戦前はブラジルがコーヒー輸出の六割を占めておりましたので、主としてこの生産調整、価格の変動によりまして、この生産あるいは輸出を調整するのはブラジルの一国にかかっていたところが多うございましたが、最近はコーヒーの輸出国も多いので、これは終局的には国際協力で解決しなければならない問題だという認識が高まっておりますが、六二年協定におきましては、これはなおまだ非常に強力な規定がございませんでしたので、御指摘のとおり、各国がこれを独自に実施しておりました。具体的にはブラジルは古くからこれを行なっておりまして、最近、あるいはブラジルの在庫などが落ちている、最近の数字は落ちておりますが、これはブラジルは過去におきまして十五億本にのぼる不良な生産効率の悪いコーヒーの木を抜いたことなどが影響しておるといわれております。やはりブラジルが大々的にやっております。ブラジルは具体的には、そのほかに、たとえばコーヒーの輸出にあたって輸出業者から若干の課徴金を取りまして、これを国内に積み立てまして、これを作付転換に用いる基金にするとか、いろいろ古くからやっております。そのほかにも、六七年の春から作付面積をこれ以上ふやさないという措置をとっております。また、メキシコですとかグアテマラなどにおきましても政府の努力で行なわれておると伝えられます。ただ、どうしても作付面積を制限するとかいろいろの努力は行なわれておりますが、同時に、肥料の品質向上ですとかその他農作技術の向上に伴って生産性も上がっておりまして、なかなかこの生産を制限していくということは非常に困難な事情でもあると聞いております。
#30
○大和与一君 協定第五十四条に多角化基金についての規定があるが、どのような国がどれだけ拠出することになっているのか計画をお聞きしたい。
#31
○説明員(溝口道郎君) 今度の協定で初めて正式に協定上基金が義務として発足することにいたしまして、六九年一月から発効しております。この基金の拠金は、協定によりまして、十万袋以上の輸出割り当てを持っております国が十万袋以上の輸出についてコーヒー一袋六十セントの拠金を多角化基金に払い込むということになっております。このほかにまた輸入国も任意的に行なうことができるということになっておりまして、米国はすでに一千五百万ドルの拠金を行なう意図を表明しております。ことしにおきます主要輸出国の拠金額は一袋当たり六十セントで計算されておりますが、一応の去年の予定は、コロンビアが三百五十二万ドル、ブラジルが千六十六万ドル、象牙海岸が百五十一万ドル、エル・サルヴァドル九十一万ドル、グアテマラ八十六万ドル、メキシコ八十四万ドル、エティオピア七十万ドル、インドネシア六十三万ドル、ポルトガル百三十六万ドル、ウガンダ百十五万ドル等、合計二千六百六十四万ドルになっております。
#32
○大和与一君 六二年の協定にも同じような規則がいろいろあったのですが、結局活用されなかったのではないか。今回の見通しはどうか。これはいまのお話がありましたから、今回の見通しというか活用が十分でなかったんじゃないかと、こういうお尋ねをします。
#33
○説明員(溝口道郎君) 御指摘のとおり、前の協定では、コーヒー作付転換基金を設けることができるという規定がございましたが、結局、具体的にどういう形でどういう国が拠出し、どういうふうに基金を使用するかということが、特にアフリカとか中南米の小国にとりましてこれはかなりの財政負担になりますので、いろいろ議論が行なわれまして、結局、具体的な計画はまとまりませんで今日に推移しました。しかし、先ほどの数字でも明らかでありますとおり、在庫がふえましたこともあって、これでは長期的に国際価格がどうしても大きな圧力を受けるといった反省が次第に高まりまして、結局、長期的には多角化基金がコーヒー輸出国全体の利益になるんだという認識が高まりまして、この結果、六六年秋ごろから理事会の場で、世界食糧農業機構ですとか世界銀行ですとかの専門家の助力を受けまして多角化基金の研究が行なわれまして、その研究の成果として今回の協定の五十四条に新しい基金の規定が設けられたものでございます。
#34
○大和与一君 コーヒーのかわりにどのような農作物への転換を考えておりますか。
#35
○説明員(溝口道郎君) これは国によって事情は違うかと思いますが、われわれの得ております情報では、コーヒーのかわりに、トウモロコシとか豆とか、そういう当該国で不足しております食糧生産を補う作物に転換が行なわれておると伺っております。
#36
○大和与一君 附属書Bには新市場国、すなわち輸出国が輸出割り当て以外のコーヒーを輸出できる相手国が掲げられておる。日本もこの中に入っておる。しかし、新市場国のうち加盟輸入国は日本だけで、他はすべて非加盟国である。日本が唯一の加盟輸入国として新市場国に指定されたのはどういう事情でありますか。
#37
○説明員(溝口道郎君) コーヒー協定の第四十条によりますと、コーヒーの消費量を促進するために、一人当たりの消費が非常に少なくてしかも消費の増大の可能性がある国は附属書Bに掲げて、この国に向けてのコーヒー輸出はコーヒー・クォータのワク外とするというふうに規定しております。この理由はお配りしました資料の十ページをごらんいただきますと、ここに「主要コーヒー輸入国の一人当たりの消費量」が書かれてございます。たとえば、米国は一人当たり十四ポンドとございますが、これは、アメリカにおきましては大体一人当たり一日コーヒー二はい飲む計算になります。スウェーデンは一番多くて、一人当たり四はいでございます。大体ヨーロッパはアメリカ並みでございますが、このように、非常にすでに高い水準に達しております。現在世界のコーヒー輸出は、五割がアメリカ、それから四割が西ヨーロッパ向けになっておりまして、その大きな割り合いを占める。欧米市場がすでにかなり飽和状態に達しているという、こういう事実が明らかにされております。これに対しまして日本は、一人当たりこの資料では〇・五ポンドになっておりますが、最近の資料では、すでに〇・五キロにも達している。これは大体日本国民一人当たり一週間に一ぱいという計算になりますが、依然として欧米の水準に比べて非常に低いということでございます。
 そこで、コーヒー協定では輸出クォータを行なっておりますが、クォータを行なうことによってこういう日本のような伸び行く市場のコーヒー消費を押えることになるとかえって協定の目的に沿わないという認識から、消費の低い国は依然として低いけれども、非常に伸び率が高いという国はワク外になっておる。それがこのBに掲げられております。最近までは日本のほかにソ連がB市場国でございましたが、ソ連は今回の協定に参加しないことになっておりますので、いまたまたま日本だけが輸出新市場国になっております。しかし、これはクォータ外になっておりますので、結局クォータ内の国よりも、伝統市場国よりも安い価格でコーヒーが買い付けられるという非常に有利な体制になっております。
#38
○大和与一君 日本が新市場国に指定されるのは、コーヒー取引上日本にとってどういう利益がありますか。
#39
○説明員(溝口道郎君) いわゆる伝統市場国と新市場国と分けてみまして、Bに書かれてございますのは新市場国でございますが、新市場国向けのコーヒーは、輸出国の輸出クォータのワク外でできるということでございまして、数量の天井がないわけでございます。したがって、通常の伝統市場国向けのコーヒーよりも若干安い価格でコーヒーが取引されておるのが現状でございまして、わが国といたしましてはこれは非常な利益となっております。この結果、たとえばヨーロッパにおきます消費国はこのような扱いはもはや必要でないのではないか、日本も新市場国から落としたらいかがであろうかという意見も出ておりますが、幸い、今日におきましてなお日本は新市場国の待遇を受けております。
#40
○大和与一君 今回の協定にソビエトとキューバが加盟していないのですね、これはどういうわけですか。
#41
○説明員(溝口道郎君) 御指摘のとおり、旧協定ではキューバは年間二十万袋の輸出割り当てをもらっておりましたが、交渉に先立ちます三年間におきますキューバの輸出が平均十万袋に達しませんでした事情もございまして、今回の協定におきましてはキューバは基本輸出割り当てをもらわない、そのかわり、ことしにおきましては五万袋の年間の割り当てをもらう、初年度におきまして五万袋の割り当てをもらうということになりました。しかし、これでは旧協定における待遇と比べて不利であるというのがキューバの主張でございまして、これを不満といたしまして協定に参加しないことになっております。そこで、御承知のように、協定上、輸入国は、協定に加盟しない非加盟国からの輸入につきましては、一定の過去の実績の以下でしか輸入できないという制限がございますので、ソ連はキューバから多量にコーヒーを輸入しておりますので、ソ連はキューバが参加しないことと並びましてソ連も参加しないということになりました。
#42
○大和与一君 協定第四十六条にはコーヒーの消費の振興に関する規定があって、このために国際コーヒー機関からわが国へ昨年は二十五万ドル、本年は五十万ドルの金が送られてくるというのだけれども、日本ではどういう機関がこの金を受け入れるか。そしてまた、五十万ドルといえば一億八千万円という巨額であるけれども、その使途はどういうふうになっておるか、これをお尋ねいたします。
#43
○説明員(宮地和男君) 振興資金は初年度の六六年−六七年には二十五万ドル、六七年−六八年に二十五万ドル、第三年目でありますことし六八年−六九年として御指摘のとおり五十万ドルと倍額になっております。これはすべてコーヒーの消費宣伝のために使うということになっております。わが国では、自主機関といたしまして日本コーヒー振興委員会というものをつくりまして、そこで日本コーヒー振興委員会は国内の宣伝会社からこの消費宣伝の計画を提出させまして、それを審査の上、最も適切な案を、この資金を交付いたします世界コーヒー振興委員会の承認を受けまして、宣伝会社に実施をさせるというやり方でやっております。
 その内容は年次によって違いますが、今年度につきましては、雑誌のカラー広告、テレビ宣伝等で約半分、そのほか自動車で各地を回りましてコーヒーの試飲、飲み方を教える、そのような使い方をしております。
 それから、資金の決済につきましては、宣伝の実施をいたした上で、世界コーヒー振興委員会のほうに報告をいたしまして精算をするというたてまえであります。
#44
○大和与一君 その構成の人間の数と、それから給料に支払われる総額は、大体でいいですが、どのくらいですか、いまの振興委員会の。
#45
○説明員(宮地和男君) 振興委員会のメンバーは、コーヒー関係の団体でございますコーヒー輸入協会、あるいは日本グリーン・コーヒー協会、全日本コーヒー商工組合連合会、日本インスタント・コーヒー協会、それからその他ネッスル日本の代表、それから全国喫茶店組合の代表、そのほかブラジル政府のコーヒー委員の代表、コロンビア政府のコーヒー委員の代表、それにコーヒー協会の会長、九名で構成されております。
 それから、その金は全部消費宣伝に使いまして、その事務局の事務費等には使わないということになっております。
#46
○羽生三七君 ちょっといまのに関連して、この種の産品に一種の奨励金みたいな宣伝費ですか、がつくという場合ですね、業者がやるというならわかるのですが、これは国際機関がこういうことをやるというのはほかにも例があるのですか。どういう産品について例があるのですか。あったらひとつ教えてください。
#47
○説明員(溝口道郎君) ただいま五つあります商品協定で商品協定を通じてやっておりますのは、日本が入って商品協定でやっておりますのはこれだけかと存じます。それから非常にはでな宣伝をやっておりますウールマークというものがございます。これは豪州と若干の国が援助して、全く日本政府とは関係なく宣伝を行なっております。それから、綿花につきまして国際綿花諮問委員会というものがございます。これとまた独立いたしました、綿花の輸出国だけからできました綿花振興会というものがございまして、これがやはり日本に代表を置きまして、綿花の消費宣伝を行なっております。政府間の協定に基づきまして行なっておりますのは、日本が入っておりますのは、このコーヒーだけでございます。
#48
○大和与一君 現在日本におけるインスタントコーヒーのメーカーのうちで外資の占める割合は一体どれくらいか。それから、「森永」、「明治」など国内業者が追い込まれておるのが現状ではないだろうか。これは結局、経済力の差と、こういうふうに考えられるわけですね。それらの点についてお尋ねいたします。
#49
○説明員(宮地和男君) 現在日本でインスタントコーヒーをつくっておるのは五社でございまして、このうち外資系が二社でございます。それで、二社の大体のシェアは約九割を占めております。その原因でございますが、日本でインスタントコーヒーの生産を始めましたのは昭和三十五年でございます。三十五年にコーヒー豆の自由化が行なわれまして、それから企業化したということでございます。それに対しまして、外資系の会社は、詳細存じませんが、おそらく戦争中――おそらく十五年ないし二十年の歴史を持っております。国内で生産を始める前も若干の輸入をやっておりましたし、それから、製品の自由化後は、まず一つの企業は国内で生産も始めましたけれども、生産及び輸入で市場を開拓をして、四十一年からは本格的な国内生産を始めておるというようなことで、技術的な歴史あるいは市場調査等について若干差があって現在のような事態になっておると思います。
#50
○森元治郎君 この前もこの協定をここでやったわけだが、どうもしみじみ感ずるのだが、うたい文句は、発展途上国の経済発展に協力するのだという大きな目標を掲げておるのだが、実際は、発展途上国だから低開発国と言ったほうがいいかもしれない。元植民地と言ったほうがいいかもしれぬ。そういう国に対するかつての植民帝国あるいは大きな国際的な商業資本、こういうものの利益のためにいわば協定を結んでおるような感じが非常に強いのです。一体どれだけ発展途上国の一般に生産性の低い南米、アフリカ――どこでも利益をこの協定によってなるほど受けたということがあるのだろうか。それは非常に間接的であって、どうも商売人同士の、あるいは大国の金融資本のきれいごとの協定と感ずるのだが、あなたはどう思いますか。
#51
○説明員(溝口道郎君) 非常にむずかしい問題だと思います。コーヒーは低開発国の輸出商品といたしましては石油に次いで額が大きいものでございまして、最近でも約年間二十億ドルになっております。この協定なかりせば、この価格は半分になったであろう、あるいはもう少し少なく、減ったであろうという、いろいろこれは非常にむずかしいあれでございますが、低開発国にとりまして年間五、六億ドルくらいは少なくとも利益になっておるのではないか、輸出収入の観点からでございますね。ただ、輸出収入のうち、御指摘のように、合弁事業とか世界的な国際資本の支配しておるものがあるのではないかということでございますが、これはそういうものもございますし、たとえばブラジルなんかでは、アメリカの援助を受けまして合弁事業などもやっておりますが、相当部分はやはりブラジルの民族資本によっても行なわれておりまして、たとえばコーヒーからだんだん加工度の高いインスタントコーヒーの生産にブラジルやアフリカでも非常に努力が行なわれておりまして、低開発国諸国の取ります実質的な利益の割合も漸次拡大していく方向にあるのではないかと考えております。
#52
○森元治郎君 それは資本家が言うことでね、もし原住民が質問すればそういう答弁をするわけだな。しかし、この低開発国の耕作農民、一番低い階級、これが、なるほど協定ができたおかげでこれだけよくなったのだということはどこからも聞こえてこないのだ。この点、あまりこの協定のうたい文句どおりには耕作農民に利益が還元されていないか、されてもかすかなものであるという感じが私は非常に強いのだね。印象だけ申し上げておきます。
#53
○大和与一君 この前、水路条約の補足説明を聞いていないのです。それで簡単でいいですから、「水路官庁間の協調」、それから「水路業務に関する情報」、「資料の交換、水路図誌の国際的統一」、この三つについて要点的にお答えを願いたい。
#54
○説明員(川上喜代四君) お答え申し上げます。
 水路官庁間は、海図というものはどうしてもつくりました国の船だけが使うということでなくして、各国の船がそれぞれ使うわけでございますものですから、そういう意味で、非常に昔から仲よくやっておりまして、その関係で国際水路機関というものがつくられております。それで、この機関でいろいろと技術的な話し合いをいたしまして、少なくとも海図の一番下の技術のレベルだけをきめておく、それよりいいものをつくることはさしつかえないけれども、それより以下のものはお互いの航海の危険のためにつくらないというようにして、また、そこまで技術がレベルアップするようにお互いに技術の交換をやるというようにして仲よく仕事をいたしております。
 それから次の、資料の交換でございますが、これは国際水路機関――現在は国際水路局でございますが――これに加盟をしております国は、それぞれこちらから向こうの出している出版物をほしいと申しますと、無料で送ってきてくれます。そして、それをもとにいたしましてわが国でそういうものをわが国に適するようにつくり直すことも許されております。また、特別な二国間の協定を結びますと、ファクシミリを写真でとりまして、そしてそれをやることができます。たとえばわが国は現在いわゆる船が直接航海に使います海図を約千二百版ほど出しておりますが、その中の約五百版ほどはわが国の周辺のもので、わが国が測量してつくったものでございますけれども、残りのものは、たとえばフィリピンにいたしましても、あるいはハワイというような海図にいたしましても、向こうの国のつくったものをこの国際協定に基づきましてそれを資料としてつくっておる、こういうようにお互いに資料交換をいたしております。
 それから、次の「水路図誌」ということばでございますが、これは独特なことばかもしれませんが、水路図誌の「図」は海図ということでございます。それから「誌」というのは、地図には表現できませんで、しかし、地図には表現できないけれども、航海上非常に参考になるいろいろな資料を書きましたものがございます。たとえば、どこの港に入るにはどういうふうにして入るのが一番いいとか、あるいはどこの港に行けば病院がある、そういうことが書いてございます。そういうのを水路誌と申します。そのほか、船は、洋上では天体を使いまして自分の位置をいまでも出しております。そういうときの、何月何日にはどういう星はどこにあるというようなことを書いてある、そういう航海用の参考資料、そういうものを「誌」――雑誌、そういう意味での「誌」でございます。それをあわせて水路図誌と申しております。そういうものを水路部でも発行いたしております。
#55
○大和与一君 わが国は主要な海運国ですから、水路業務に関しては相当発達していると思いますが、従来わが国が国際水路局の加盟国として特に技術的に貢献してきた面があれば御説明を願いたい。すなわち、わが国が開発して他国がこれを採用したとか、たとえばどういうものがあるかとか、そういうことをお尋ねします。
#56
○説明員(川上喜代四君) お答え申し上げます。
 最近で一番わが国で開発いたしまして注目されておりますのは、わが国では非常に大きな船が狭いところを通るということからいたしまして、非常に精密な測量をしなければならない。そのために、海の測量は陸と違いまして地形そのものを目で見ることができませんものですから、どうしてもたとえば音を出してはかるというような方法でやりますから、地形を線でしか取れない。線でありますと、たとえば五十メートルおきにはかりますと、そのまん中に何か残ってもわからないわけであります。それでわが国では新しく音響測深儀というものを使いまして、なるべく面にしてはかり、残りのないような方法を開発いたしまして、これをどんどんいま実施いたしております。それにつきましては各国とも非常に注目しております。そのほか海図につきましても、海図というのは一回出しましてそのままにしておいていいというものではございませんで、常に現在の状態に――アップ・トゥ・デイトに直さなければならない。その直すときには非常にスピードを要求されておるのであります。せっかく持っておっても、海図が直っておりませんと、船は入れません。特に大きな船は保険をかけております関係上、海図によって水深が保証されませんと入ってまいれませんです。そういうものをどうやってスピードを出すかというような方法については、わが国のほうが各国より非常に進んでおりまして、そういう点、国際水路会議の席上でもいろいろ注目されて質問を受けております。
#57
○大和与一君 いままでの国際水路局に共産圏はポーランドとユーゴスラビアだけ入っておって、ほかは入っていないのですが、これはどういうわけだろうか。たとえばソビエトの船が太平洋、インド洋などを航海する場合、水路に関する適切な情報を入手する必要があると思うのですが、非加盟国であっても加盟国間と同様の情報、資料を事実上は入手しているのかどうかですね。
#58
○説明員(川上喜代四君) お答え申し上げます。
 国際水路局、あるいは今度いま御承認いただきます国際水路機関というのは、あくまでも諮問的な、技術的なものでございまして、政治的なものを含んでおりません。したがって、いまだかつてソ連が入会を申し込んで断わられたというようなことはございませんで、向こうのほうからまだお申し出がないというのが現状でございます。
 それから、海図は一般の国々では公開いたしております。わが国でもどなたでもお買いになることができるわけでございます。そういう意味で、向こうの方が必要ならばお買いになってお使いになっておられるというふうに思います。ただ困りますのは、私のほうが逆に向こうの港の海図が手に入りませんので、そういう点で私たちは困りますが、そういう国々は、大体港の中は向こうの官憲の方が乗船されまして、全部案内されておるというのが実情でございますので、わが国の船も、港に近づくまでは地図がございますからかまいませんが、それから先は、普通ですと、たとえば横浜港のこまかい図がございませんとなかなか入りにくい。同じように、たとえばナホトカに入るにはこまかい図があったほうがいいわけでありますが、たとえばソ連などは入り口からは官憲の方が全部水先をされますので、事実上は困っておらないようでございます。
#59
○大和与一君 わが国が戦後の二十五年に国際水路局に再加入したときに、国際水路局規約は国会に提出されなかったと思います。今回の国際水路機関条約が国会に提出されるその差異はどこにあるのか。今回の条約のどの条項が国会の承認の対象となっておるか、それをお尋ねいたします。
#60
○説明員(高島益郎君) この国際水路局は戦前からございまして、日本は戦争中はこれから脱退いたしました。戦後再加盟いたしましたけれども、この国際水路局規約と今回いま御審議いただきます国際水路機関条約との一番大きな差異は、この水路機関条約の第十三条にございます「機関は、法人格を有する」という点、これが、突き詰めてまいりまして、今回国会の御承認を得なければならない主たる法律的な理由でございます。と申しますのは、外国法人につきましては、民法第三十六条によりまして、法律または条約によらなければ日本では認許されないというたてまえになっておりまして、その関係から申しますと、第十三条の規定は当然いわゆる法律事項でございます。したがいまして、その他の点につきましては、厳密に見ますと、法律的にはあえて国会の御承認をいただかなくても行政官庁で締結できる性質のものでございますけれども、この第十三条のためにどうしても国会の御承認をいただかなければならないということで提出いたした次第でございます。
#61
○大和与一君 今回の条約の第十三条では、「加盟国政府の同意を得ることを条件として、国際水路機関は加盟国の領域において特権及び免除を享有する」ことになっている。これとほぼ同様の規定が、わが国の加盟しておるアジア生産性機構規約にありますが、この規約は国会に提出されてない。すなわち、そのアジア生産性機構規約第四十条によると、「加盟政府は、別個の取極が機構と加盟政府との間に締結された場合には、機構に対して必要な特権、免除を供与する」ということになっているが、これは特権、免除に関する別個の取りきめのみが国会に提出された経緯があります。このように、同じく特権、免除に関する規定が盛り込まれていても、国際水路機関条約は国会に提出され、アジア生産性機構規約は提出されなかったのはどういう理由でありますか。
#62
○説明員(高島益郎君) ただいま御説明いたしましたとおり、この今度の国際水路機関条約を国会に提出し、前のアジア生産性機構規約でございますか、これを提出いたしませんでしたのは、いま申しました「法人格を有する」という点だけでございまして、特権、免除の関係につきましては全く同様でございます。たとえばアジア生産性機構規約の場合は国会の御承認をいただきました。今後も国際水路機関条約につきまして、もし特権、免除につきまして同機関と日本政府との間にあらためて協定を結ばなければならない場合には、当然これは国会の御承認をいただくことになる次第でございます。
#63
○大和与一君 国際水路局と直接関係はないかもしれませんが、最近話題になっているマラッカ海峡のしゅんせつですがね、しゅんせつに関して、日本とマレイシア、シンガポール、インドネシアとの間にそれぞれ取りきめが結ばれて、本年春ごろから一応の調査がなされた、こういうふうに聞いております。今後のこの問題を推進する場合の計画、国際協力の形態、予算規模などについて見通しをお聞きしたいのです。で、もともとこの水路は、わが国の大型タンカーの通路等としても重要な価値を持っているところから、わが国の海運界の要望によってしゅんせつの問題が提起されたと記憶をしておりますが、こういう経緯からして、今後この問題が発展する場合に、海運諸国の協力を求めるとしても、やはり主としてわが国が、技術的にもまた予算面からも中心となっていくと、こういうふうに理解をしてよろしいですか。
#64
○政府委員(須之部量三君) 技術的な面につきましては水路部のほうの方から補足していただくといたしまして、本件、すでに先生おっしゃいましたように、そもそもの初めは、昭和四十二年の末に、国際海運機関IMCOで、日本がこのマラッカ海峡の問題を出しまして、IMCOとして、関係海運国、沿岸国が協力して本件を進めたらよかろうと、進めることが望ましいという決議ができまして、それに従いまして、昨年の暮れから本年の初めにかけまして、わが国が沿岸国――マレイシア、シンガポール、インドネシアと協議いたしまして、一応予備測量というものを行なう。この場合は日本が原則として経費を全部負担するということで行ないまして、その予備測量は、先生も先ほどおっしゃいましたように、三月の末ごろ終了したわけでございます。現在の段階は、いま日本が中心になりまして沿岸国と協議しながら、予備測量の結果を取りまとめておるという段階でございます。それで今後の大きな進め方につきまして、まあ日取り等が必ずしもはっきりしていないようではございますけれども、まず予備測量の結果が取りまとめられますと、次は主たる海運国にも呼びかけまして、主たる海運国及び沿岸国が一緒になって、今後の精密な測量とか、あるいは航路の、航行援助施設の維持管理、あるいは航路のしゅんせつ等々の作業を始めるということになるかと思います。で、現在、どのくらいの経費、どのくらいの規模の作業になるかということは必ずしもはっきりしていないようでございますが、私の了解しておりますところでは、大体二十億円くらいの額になるのじゃなかろうか。それで、そのうち半分ぐらいが海図の作製その他のことで、他の半分ぐらいが航行援助施設の維持管理等々というふうに聞いておりますので、大体いまの予備測量の取りまとめが済みますれば、次の段階は、より広い意味での海運国等々に呼びかけまして、今後の取りきめ、取り進め方を協議していくということになるかと思います。
#65
○大和与一君 スエズ運河でも日本の船がしゅんせつしておりますね。私どもはその船に乗ってみましたけれども、いまこういうふうに中断されておるのだが、一体あれは、政府は全く関係なくて、業者とアラブ連合の開発庁と取りきめをしておるのか。あるいは政府が関係しておるのか、しておらぬのか。それから今度、いまこういうふうな問題中断されておるけれども、おさまった場合には必ずその仕事は継続するのだ、間違いなくできるのだ、こういうことがはっきりしているのか。その点お尋ねいたします。
#66
○政府委員(須之部量三君) これはどうもスエズ運河のほうで、アジア局、私のほうの担当のあれではないわけでございますけれども、いまのですと、初めそのフィデリティー調査のときには日本の技術援助の形で政府が関係したそうでございますが、その後の問題は完全にコマーシャルな問題に移されておりますので、現在のところでは政府は関係しておらないということでございます。
#67
○大和与一君 そのマラッカ海峡ですね、いまの計画が進められると、今度は関係国は当然金をもらう。それから、通る船からももらいますか、それは。そうせぬと、こっちばかり金出してペイせぬということになる。工事費が取れないですがね。
#68
○政府委員(須之部量三君) いまの考えております国は、主要海運国に呼びかけてということでございまして、ちょうど個々の、一つ一つの船からいわゆる通航料を取るという形じゃなくて、その維持機関に、管理する国から拠出金を取るという方式をいまは考えております。
#69
○大和与一君 私の質問は終わります。
#70
○森元治郎君 三九年に脱退したときの理由は何ですか。
#71
○説明員(高島益郎君) 現在の国際水路局と戦前ございました国際連盟との関係がございまして、日本が国際連盟脱退後、国際連盟との関係に基づいて水路局を脱退することになったというのが実情でございます。
#72
○森元治郎君 軍事的な理由じゃないのですか。
#73
○説明員(高島益郎君) 軍事的な理由は全くございません。
#74
○森元治郎君 国際水路というのはどういうことですか。そしてハイドログラフィー――何か国際水路という名前から受ける印象では、別の通俗的な表現があってもいいのじゃないか。ハイドログラフィーというのはどういうことですか。
#75
○説明員(川上喜代四君) ハイドログラフィーということばは非常に日本語にまだなじんでおりませんのですが、海に関するいろいろな科学的な調査、それを申しますと、海洋学と似てくるわけでございますが、その中で特に航海の安全ということを目的とした海に関するいろいろな学問並びに調査、そういうことをハイドログラフィーということばは意味している、こういうふうに御理解いただいて大きな誤りはないかと思います。それで、そういう水路に関する、ハイドログラフィーに関する国際間の集まりという意味で、最初のインターナショナルということばが「国際」ということばに訳されております。
#76
○森元治郎君 公海といったような感じを受けるのですね。あなた、「日本語になじんでいない」と言うが、昔、戦前ならば枢密院なんかといううるさいところへ行って、「なじんでいません」なんて言ったら内閣が引っくり返ってしまうよ。まだこれはいまだからいいんだけれども。きざなことを言ったらやられてしまう。そういうふうに説明しないとわからないが、私ら、国際水路というと、常識的に、公海をナビゲートする道だという感じがするが、それはその一部の意味ですか。
#77
○説明員(川上喜代四君) いわゆるいま御指摘になりましたように、航海する道というものも一部入っておりますけれども、道でないところも測量しますけれども、あるいは海洋の波を観測したり、流れを観測したりする場合も入っております。
#78
○森元治郎君 アメリカの軍艦プエブロ号を初めとして、日本海に押し込んでいくのは、だいぶ水路の――水路というのは公海を航行できる道と、海洋学的な研究、両方を兼ねて押し込んでいるのだろうと思うが、もしあるとすれば、戦前の、日本の海軍省なり、鉄道省あたりで水路図を持っていたはずだが、それを見ているのだろうが、さらにその上にまだ測量をしているということは、先ほど御答弁にあったように、そういう研究というものは年とともに変わるのだ、いつもアップ・トゥ・デイト的なものを調べなければならないからということでやっているのかどうか。
#79
○説明員(川上喜代四君) アメリカから入っていってどういうことをやっているかは私存じておりませんけれども、たとえばいままで国際的に黒潮などというものの研究をやっておりますけれども、こういうものはやはり黒潮というのは非常に時々刻々変わるのだということがだんだんわかってきております。しかも、非常に広い地域だということで、どうしても各国が協定してそれを調べる。協定というか、共同して調べるというような機会が多うございます。それで、やはり昔調べたものといま調べたものが、黒潮についてもずいぶん流れる道が違っているというようなことがわかるので、そういう海洋観測とか測量といいますものは、いつまでも続けていかなければならない。特に測量の場合には、海が非常に広い関係で、測量が全部終わったというようなことがまだございませんで、太平洋の中でもときどきいままで知らなかった山だとかが見つかってくるというような状況でございます。そういう意味では、日本でも日本の周辺の測量あるいは海洋観測というものを常時続けております。
#80
○森元治郎君 あと一つほど伺うが、この加盟を批准している国が二十一とか書いてあるが、西ドイツ――昔ならドイツあるいはオランダとかイタリーとか、そういう海洋に深い関係がある国は案外入っていないのですね。もと入っていていま抜けたのか。ドイツとイタリーは戦前の枢軸国だから、戦争のときに抜けたきり戻らないのか。これでは片ちんばだと思うのだけれども、共産圏の入らない国は一応別として、この点はどういうものなんだろう。
#81
○説明員(高島益郎君) いま先生がおっしゃった国は全部署名済みでございまして、日本と同じように、国内手続が済み次第当然加盟するものと考えております。
 現在の国際水路局には四十一カ国がメンバーでございまして、ただこの国際水路機関条約のほうは、これまでに批准の済んだ国がまだわずかに二十二カ国という状況でございますので、残りの国の中に、いま先生のおっしゃった国がみな入っております。
    ―――――――――――――
#82
○理事(長谷川仁君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日矢追秀彦君が委員を辞任され、その補欠として白木義一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#83
○理事(長谷川仁君) ほかに御発言もなければ、二案件に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#84
○理事(長谷川仁君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより二案件について一括討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#85
○理事(長谷川仁君) 御異議ないと認めます。
 それでは、二案件につきまして順次採決を行ないます。
 まず、千九百六十八年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#86
○理事(長谷川仁君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、国際水路機関条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#87
○理事(長谷川仁君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、二案件の、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#88
○理事(長谷川仁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#89
○理事(長谷川仁君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある力は、順次御発言を願います。
#90
○森元治郎君 大臣に伺いますが、きのう衆議院で曽祢君が質問したようですが、私も聞こうと思っていた例の核拡散防止条約の取り扱い、それと今度の大臣の六月の渡米との関係、これをまず伺いたいのです。どういうふうにこれを扱うつもりか。条約ができてもう十カ月近くになるわけですが、鳴かず飛ばずで、政府のほうからどうするとも声も聞こえないし、いかに処すべきかという検討も特に深くなされているような様子はないのですが、趣旨において賛成と言っておられた政府はどういう順序で処置していくつもりか、一般的なことを伺います。
#91
○国務大臣(愛知揆一君) 拡散防止条約につきましては、かねがね政府としては基本的な態度を明らかにしているつもりでございます。つまり、趣旨において賛成でございます。そして各国のその後の取り扱い等の状況も見ながら署名の時期を考える、こういう態度で来ておるわけでありますけれども、最近、御承知のように、西ドイツあるいはインドの首相が相次いで来日をされる。これらの国々は日本とある意味では同じ立場、またある点においては日本とは考え方が違う点もあるようでございますが、こういった問題についても話し合うというのには非常にいい機会ではないかと思います。
 それから、私の渡米にいたしましても、やはり拡散防止条約についての今後の扱い方、あるいは核軍縮等についての考え方というようなことも、私としても直接米首脳からも聴取いたしたいと思います。それらの段階を経ました上で、そろそろ私は日本政府としての態度を明らかにすべきではないか、かように考えておるのであります。
#92
○森元治郎君 ドイツは調印を、いまの閣内の意見の違う点もあることで承認はしない方向のように見える。インドは安全保障上のもっとはっきりしたものを保有国からもらわない限りは賛成調印をしないというふうに大体きまっている。日本はこれに趣旨において賛成、具体的に調印をするにあたってどれとどれの条件が充足されるならばよかろうという腹づもりはどの辺にあるわけですか、いろんな反対意見は。政府の考えは、これまでの軍縮委員会における審議の経過の中で申し入れて、いろんな形で容認されたものもだいぶあるというような立場ですね、政府としては。ですから、特に入らないという障害は政府の目の前にはないように見えるのだが、どういう条件が満足させられるならばサインできるのですか。
#93
○国務大臣(愛知揆一君) 条約そのものの修正とかあるいは条約論的な留保とかというところの段階は私はもう過ぎておると思うのです。しかし、この条約の国際的な審議の場において日本として主張したり希望したことのうちのある部分は入っておるけれども、たとえば、核保有国が核を持たざる国についての安全保障の問題とか、あるいは、持てる国相互の核軍縮でありますとかというような点については、もっとさらに進んだ国際的な取りきめというようなものができるということは非常に望ましいことである。それから、一方において、平和利用ということについては完全な平等性というものが確保されなければならないという問題も私はあろうと思います。それらの点について、この条約は条約として将来さらに好ましい方向に日本として国際的な機運が前進できるような環境というものはつくっておくべきじゃないかと思います。また一面、日本はENDC――軍縮十八カ国会議への参加も非常に期待し、希望しているわけです。そういったようなことをいろいろ考えまして、私はそろそろ調印ということを考えていい時期が近づいているような感じを持っておる。いつどういうふうな形で、どういう段取りになったら調印をするかということまでまだきめておりませんけれども、前向きに取り組むべき時期がそろそろ近づいているような感じが私はいたします。
#94
○森元治郎君 そうすると、私は一つ条件らしきものを、政府の立場からこんなことを考えているのかなと思うのは、十八カ国軍縮委員会のメンバーになれること。してくれるならばサインの方向に進める情勢ができるんだということ。アメリカ及びソ連など核兵器を持っている国が正式に批准書を寄託し終わったという時点。もう一つは、これからが問題になりまするが、沖繩の返還にからめて、もし日本国民の大多数が望んでいる核抜きの返還というようなこともアメリカが深く考慮するというような態度を示すならば、この拡散防止条約に調印するというおもな要因が一つふえたこと。これが三つ目。四つ目には、いまあなたのおっしゃった三つのこと、持たない国への安全の保障、兵器を持っている国同士の軍縮、そういうようなことを米ソなどの大国が真剣にやるんだというあかしを見せてくれるならば調印するにやぶさかではない。こんなふうに私はそろえてみたんですが、一つ一つお考えを聞きたい。
#95
○国務大臣(愛知揆一君) 私は率直に申しまして、ENDCへの加盟問題、あるいは対米交渉の沖繩問題、そういうものの取引でやるとか、それに引っかけていくとかいうような考え方は毛頭持っておりません。要するに、取引の具に供して、これをやればこれはどうだということは、私は日本の外交としてそういうふうなやり方はとるべきでないとかねがね考えております。しかし、ENDCに参加したいということは日本国のかねがねの希望でございます。それから、沖繩の返還問題をできるだけ早期に、国民的な願望にこたえるような処理をしたいということも、かねがねの政府の考え方でございます。それはそれ、これはこれでございます。私は先ほど申しましたように、やはり核防条約については日本国としての希望する事項がたくさんあったわけでございます。その中には日本の意見がいれられた部分もあるけれども、その他の部分はいれられなかった部分もある。それから、条約的には私もたんねんにいままでの経過も調べましたけれども、現在の条約案というか条約といいますか、これについてはいわゆるクローズド・イッシューといいますか、これの修正をはかろうとしても、あるいは条約論的な留保をつけようとしても、これは国際的にもうできない状態に私はなっておると思うんです。当面のところはこの現在の条約に対してどういう態度をとるか、要するに、署名をするかしないか、形式的に言えばそれにもなっていると思うんです。しかし、政治的に見れば、やはり今後さらに引き続いてこの問題については私は日本としてもうんと努力を積み上げていくべきだ。これが、極端に言えば、日本の平和外交の終局的な目標だ、私はそんなふうにも考えておりますから、そういう努力がだんだん実が結んでいけるように関係国を引っぱっていく、あるいはその協力を求めるという意味においては、今回間近に西独やインドの総理大臣を日本に迎えることができるということは、非常に私はいい機会ではないかと思っております。それから、私自身もアメリカの首脳部から核防条約をめぐる今後のいろいろのものの考え方について彼らの考え方を聞くということも、これはちょうどいい時期が来たように思います。それらの段階をろ過して、この条約に対する当面の態度というものをそろそろきめるべき時期に来たのではないかと、こういうふうな気持ちを持っていることをすなおに、率直に申し上げておるつもりでございます。
#96
○森元治郎君 新聞の報道、すなわちきのうの衆議院の委員会でもお聞きになった記者の方の感触いまはやりことばの感触でいくと、これは取引の具にはするつもりはないかもしらぬが、インドや西ドイツのキージンガーの来訪、話を聞く、意見交換もする。アメリカへ行ってアメリカの話も聞く。そうして、だいぶ話がよさそうならば、あるいは佐藤さんが行かれる十一月あたりに調印までに進むんだろうか、目当てなしにぶん流しておくということもどうかと思うので、批准はとにかく、調印だけはしておくというくらいのことになりそうに思うんだが、いかがですか。
#97
○国務大臣(愛知揆一君) そういうことも含めて検討をいたしておるというのが現状でございます。
#98
○羽生三七君 関連して。
 いまの森委員の質問に対して外相が、しかし実際に条約的にはなかなかこれをどうこうするというのはむずかしい状況にあるという意味の答弁をされておるわけですね。が、取引はしないと、日本外交としてそういうことはやらない。事実はそのとおりだと思います。まあ取引するしないは別として。条約的には固まっておると私たちは解釈しておるんです。――いい悪いは別ですよ。賛成反対の基本的態度は別として、ほぼ固まっておると。そうすると、希望的なことをいろいろ言ってみても、これが実質上変更される可能性はないと。もしあるとすれば、たとえば安保理事会等で何か新しい申し合わせをする、そういうことでもすれば、これは格別ですがね。あのきまったものを日本の考えているような、先ほど外相が述べられた幾つかの希望的な条件というものをいれ得る条件がまだ幾らでも多少でも残っておるのかどうか。ほとんど私は現状ではむずかしいんじゃないかという印象を受けるわけですね。したがって、もし先ほど来述べられたような希望的な条件をいれるとすれば、いま申し上げたような、安保理事会等で何かの新しい申し合わせとか、あるいは米ソ間の声明とか、何かそういうことにしぼられてくるんじゃないかという気がする。それからもう一つは、結局来年の国会ということですね、かりに事がきまるとしても。その辺をお答えいただきたい。
#99
○国務大臣(愛知揆一君) この条約といたしましては、もうすでに調印――批准を寄託している国も相当出てまいりましたししますから、今日の問題の核防条約それ自体に手をつけるということは、先ほど申しましたように、これはクローズド・イッシューと申し上げざるを得ない。そこでですね。これは希望が相当入るわけで、これを率直に申しておりますわけですが、日本が態度をきめ、次のまたよりよき、何と申しますか、取り上げ方ができ得るような素地はできるだけつくっておいたほうがいいのじゃなかろうか。それについてはいわゆるクッドハブ・カントリーズの西独とかインドとかいうところのたまたまとの時期に最高首脳部が来日されるということも非常にいい機会ではないか。十分それらの人たちの意見も徴し、また将来の体制づくりについての萌芽をつくりながら、本件に対する処理方針を政府としてきめたらどうだろうかと、これはまあ私の考え方でございます。しかし、ただいま羽生委員の仰せのとおりでありまして、これは国会の御審議をお願いするといたしましても、まあ来通常国会以降のことにタイミングとしてなることは、自然の成り行き、そうなるだろうと考えておるわけです、それより早くきめるということはできないと思いますから。
#100
○森元治郎君 まあ、大体そんな順序になるんでしょうが、ふしぎなことは、アメリカも一向に日本がいつやってくれるのだという催促をした様子もないようですし、ソ連もそういう方向の働きかけはない。日本が入るか入らないか、非常な関心を持っているが、どうするのだということは聞いてもこないようだ。こちらもまた、日本も西ドイツもその他も、何かこう世界の様子を見ながらどうかしようというところで、一向に乗り気でない。ふしぎな条約だと思うのですね。六十九カ国ぐらいサインしたと思うのだが、いままで批准をしたのが十一ぐらいですか。まして寄託をしたものは米ソをはじめとしてない。一向熱が上がらない条約ですね。何かみんなそれぞれの思惑で取引をやろうとしていないかもしれないが、結果は取引のように見えるのですが、この大きな動きについて大臣はどう見られますか。
#101
○国務大臣(愛知揆一君) なるほど、いつどこで関係国から日本に対して態度をきめることを督促してきたとか要請があったとかいうことは、あまり顕著ではないかもしれませんけれども、しかし、日本が調印してくれる、参加してくれるということを期待していることは、私は相当な程度であろうと観察いたしております。
#102
○森元治郎君 いまのような御認識ならば、何もそうあわててあと六カ月過ぎて調印に踏み切ることもなく、ゆっくりと各国の動きを見て、そうして日本の思うつぼのほうに大きく誘導していく。何といったって日本は力を持っているのですから、各国も日本の動向には非常な注目をすると思う。ソビエトは西ドイツ、同時に、ソビエト、中国その他世界は日本のほうを見ているのですから、高く売りつけるにはまことにいい時期だと思うのですね。ですから、あわてないで、何も行ったついでにサインをしないで、もう少しじっくりおやりになったほうが大勢はよくなっていくのじゃないかと、いまこそ私は切り札の感が出てきたと思うのですね。どうですか。
#103
○国務大臣(愛知揆一君) そういう角度で、ほんとうに慎重に様子を観察しながら、わがほうの立場というものができるだけ世界的に指導的な役割りができるなら果たしたい、そういう方向で活用していきたいという気持ちは私御同感でございます。
#104
○森元治郎君 御同感でございますが、来国会以後に国会の御審議を願うなんというのでは早いのでね、すぐそういうぐあいに出てくるから私は伺っているので、じっくりと行ってもらいたい。これは一佐藤内閣だけの問題ではなく、日本、世界の問題です。
 そこで、先ほど大臣が沖繩の返還とこれを取引の具にはしないと。大臣のお考えでは取引の具になりますか。
#105
○国務大臣(愛知揆一君) 私はそういうことは考えておりません。
#106
○森元治郎君 かりに日本が調印をし批准をしたあと、要するに、この条約のメンバーになったあと、その国に、アメリカ――同じメンバーにそのころはなるでしょう――の核兵器なるものが返還された日本の領土に残っているということは、条約のこまかい解釈論は別として、核拡散をしない、プロリファレートしないのだという精神からいくならば、これは非常に背馳するものになるのじゃないか。いかがでしょう。
#107
○国務大臣(愛知揆一君) 御高見は私なりに理解できますけれども、取引云々というふうなことは外交の常道としても私はすべきではないと考えます。
#108
○森元治郎君 そうじゃなくて、取引じゃなくて、核条約に日本が入りましてメンバーになります。アメリカも同じ友だちのコントラクト・パーティになるわけですね。それには非拡散――拡散しないのだ、よその国に渡さないのだ、情報も渡さないのだ、非核拡散――核燃料物質も渡さないというのに、でき上がった兵器を非核散条約の中に、アメリカから見れば、置く、日本から見れば持ち込ませるということは、拡散につながらないか。そういうふうに解釈できないか。沖繩に核が置けないのじゃないか、条約の精神から見て。これはいかように御理解になりますか。
#109
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申し上げたとおり、御高見は私なりに理解できます。
#110
○森元治郎君 御高見なんといったって、何も高い見解ではないので、ちょっとわからないのですがね。もう少し御説明願えませんかね、大臣の御高見を。
#111
○国務大臣(愛知揆一君) 私の卑見をまだこの機会に申し上げる時期ではないと思います。
#112
○森元治郎君 そうすると、大臣の御高見は拝聴できないけれども、沖繩問題までには入っちゃ損だということにもなりますね。いや、拡散にはならない。ならないと言えばそれでもあっさりだけれども、どうも、「御高見はこの座に拝聴するにとどめておかれる」ということになると、国会というところはいよいよ聞きたくなるものでしてね。ですから、そうすれば核防条約に入らないで、あと一、二年じっとしていたほうが世間ていも、条約上の趣旨からもよろしいのだ。核防条約はもう少し延ばしておく。一方では核兵器を置けるようにきれいに座敷を掃除をしておく、置けるようにスペースをあけておくのだということにも通じるのですが、違えば違ったで、大臣明快に、森君違うとおっしゃってください。
#113
○国務大臣(愛知揆一君) ですから、私としては御高見は私なりによく理解できます。
#114
○森元治郎君 どうもよくわからないね。私は何も調べてきた勉強でもない。常識的にふっと浮かんだから御質問申し上げたので、それじゃもう一ぺんうちへ帰ってから考え直してきましょう。(笑声)核拡散防止条約というものは、持っているのは、フランスは別として、英米ソはちゃんと持っている。ほかの国は持たないでくれ、そのかわりあぶないときには助けてやるからとまではっきりは言わないが、安保理事会の決議でもって心配するくらいまでにはいっているわけですね。ほかに持たせないと言うのに、そこへ置いたのじゃ、これはおかしなことになるのだな。そういうことをアメリカへ行って相談するのですかね、何か抜け道はないものかねと言って。そこのところがちょっとわからない。非拡散条約に入ったものが、その辺にどんどん置いたのじゃ拡散でしょうよ。それだから、ソビエトは西ドイツが調印しない限りは自分のほうは批准したかもしらぬが寄託するという手続は控えて見ているのじゃないか、西ドイツどう出るかというわけで。だから科学的核戦略で一ころ大騒ぎして、アメリカがNATO各国に核兵器の持ち込みをしそうな様子があったときに、猛烈に欧州政局は緊張したわけです。これはやはり一種の拡散であるというソ連の立場だと思う。条約論で攻めてこられると私はほんとうに弱いのじゃないかと思うが、大臣、強い面がありますか。
#115
○国務大臣(愛知揆一君) その強いとか弱いとかいうふうに取り上げるということは私はちょっとまだ理解できないのですけれども、要するに、先ほど来申し上げておりますように、たとえば西ドイツはこの核防条約について非常に真剣な討議が行なわれているわけでありますし、それからソ連は批准したばっかりですから、これからどういうふうな段取りで寄託をするかどうか。これはまだソ連がどういう態度に出るのかわかりません。しかし、そのドイツの、非常にこの問題に真剣に取り組んだ、そしてその最高の責任者である人が現に日本に来つつあるわけですから、どういう点をどういうふうに問題にし、どういうふうに苦心をしたのか、将来の見込みはどういうふうに見込んでいるのか。こういう点を聞きただすということは、私は絶好の機会が目の前に来ておるように思います。あるいはインドも先ほど申しましたように、いわゆるポテンシャルとしては持ち得る国ですが、インドとしてはどういうふうに考えているのかということも非常にこの際よく聞きただす絶好の機会が目の前に来ている。同時にまた、日本のものの考え方というものをアメリカに対しても主張し、あるいはアメリカの考え方も聞くということにもいい機会がここに当面しておる。それらを通していろいろ考え方を固めながら、そろそろ日本政府としての態度をきめる時期が来つつあるように思われるということを申し上げていることによって、ただいまの御意見なども、そういう場合に十分私といたしましても御高見を拝聴をして私なりに理解できると申し上げたのでありますが、そういうような気持ちで応待をしていき、その間に日本としての態度を固める、こういうふうに考えておるわけでございます。
#116
○森元治郎君 これで終わります、何度も御高見を拝聴で終わってしまうから。どうもこれまで時間をはかったところ、八分ばかり同じことをしゃべっておるようだけれども、核非拡散条約の加盟国にしかも新たに核兵器を持ち込むということは、条約の精神及び条約の規定に合致しない、そぐわない、こういうふうに私は結論をつけるのですが、これにイエス、ノーをはっきり言ってもらいたいと思います。
#117
○国務大臣(愛知揆一君) これは先ほど申し上げましたように、いろいろの角度から検討しなければならない問題でありますから、簡単にイエスとかノーとかいう結論を申し上げるのにはもう少しやはり時間をかしていただきたいと思います。
#118
○森元治郎君 もう少し時間をというが、非常に、この沖繩返還、安保のエクスパイヤーする時期がもう目の前に来ておるのですが、時間といえば、どのくらい待てば伺えますか。
#119
○国務大臣(愛知揆一君) それを、ですから、私は中身のほうから率直に申し上げているわけで、西独とかインドとかあるいはアメリカ自身とかいうところとの間の意見交換と申しましょうか、そういうことが私どもの態度をきめるのに非常に役立つ。それで、そういうことを、何といいましょうか、経過して後に態度の決定を考えていくと先ほど来申し上げておりますから、そういうところから、何月何日に態度を決定するということは申し上げられませんけれども、そろそろ態度決定をしてもいい時期が近づいているのではないかということを私先ほど申し上げたのですが、その程度の期間ということに御了解を願いたいと思います。
#120
○羽生三七君 いまのお答えの一番最後のところですが、条約そのものに日本が賛成、反対の意思をいつごろ表示するかということもさることながら、日本一国だけで、先ほど外相が述べられたような希望的な意見を国連に持ち込んでもなかなか通りがたい。そこで西独、インド等と意見を交換するだけでなしに、何らかの共同の歩調というようなことをとることを考えられておるのかどうか。たとえば意見交換しただけで、西独は西独、インドはインド、日本は日本、それぞれ別々の意見を出しても、条約そのものは直りっこない。じゃ意見がどういう形でいれられるかという場合に、それこそ今度の西独首相の訪日等を機会に、政府は何かさらにインド等とも意思疎通をして、そして特別なことをお考えになっておるのか、全く単純な意見交換なのか、その辺だけを伺っておきたい。
#121
○国務大臣(愛知揆一君) その点は、これも先ほど申し上げた中に私申し上げたつもりなんですけれども、この条約自身については、私はこの際としては、中に手をつけるということはもうできない状態になっていると、こういう認識に立ちまして、まず条約に対する態度を日本としてかりにきめたといたしまして、そのきめて、この条約に参加をしたとかりに仮定をして考えた場合には、それから先は、この条約は前々から申し上げておりますように、私どもとしてもまだまだ不十分であるし、また日本の意見も十分には取り入れられていないわけですから、この条約も将来、さらによきものに改善できればしたいし、あるいはまた条約だけの問題じゃなくて、核というものに対して将来国際的にどういうふうにしていったらいいか、あるいは日本の望むような方向に協力国として協力を頼み得るような素地を十分つくっておくということは将来のために有効ではなかろうかと思いますので、そういう点をも含めて、西独とかインドとかいうところと十分ひとつ話し合うと、これは有意義であろうと、かように考えているわけでございまして、相当将来も踏んまえながらこの核問題というものに対処していく素地をつくる、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
#122
○大和与一君 この前の委員会で大臣は、いろいろな質疑の中で、対米交渉をやる場合に、第一に日本周辺の情勢についてきわめて正確な、緻密なそういう分析なりをうんとしなくちゃいかぬ、それが非常に大事だ、こういうふうにむしろ強調しておっしゃったのです。それで質問の準備も私もしつつあるのですが、ちょっときのうラジオで聞いたのですから正確でないかもしれぬが、きのうの衆議院の外務委員会で、アジア情勢と沖繩問題とは何か切り離してやるというような、そういうふうなラジオの放送があったのですが、それはちょっとその辺が正確でないからお尋ねしたいのです。
#123
○国務大臣(愛知揆一君) アジアの情勢判断ということが沖繩問題の処理についても非常に重要な前提となる基礎的な要件であるということは、この委員会におきまして私も申し上げたとおりでございます。それと趣旨が変わることを衆議院において申し上げているはずはないのでございまして、これは相互きわめて密接な関係がある、かように考えております。
#124
○理事(長谷川仁君) 本件に対する本日の質疑は、この程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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