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#1
第061回国会 外務委員会 第13号
昭和四十四年六月五日(木曜日)
   午後二時八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 利壽君
    理 事
                佐藤 一郎君
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
                大和 与一君
    委 員
                石原慎太郎君
                梶原 茂嘉君
                杉原 荒太君
                高橋  衛君
                廣瀬 久忠君
                三木興吉郎君
                加藤シヅエ君
                西村 関一君
                羽生 三七君
                黒柳  明君
   政府委員
       外務政務次官   田中 六助君
       外務省経済局長  鶴見 清彦君
       農林省蚕糸園芸
       局長       小暮 光美君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   説明員
       外務省アメリカ
       局中南米第二課
       長        内田 園生君
       外務省経済局国
       際機関第一課長  小林 智彦君
       外務省条約局参
       事官       高島 益郎君
       農林省蚕糸園芸
       局砂糖類課長   渡辺 文雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○太平洋諸島信託統治地域に関する日本国とアメ
 リカ合衆国との間の協定の締結について承認を
 求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○通商に関する日本国とメキシコ合衆国との間の
 協定の締結について承認を求めるの件(内閣提
 出、衆議院送付)
○千九百六十八年の国際砂糖協定の締結について
 承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本利壽君) それでは、ただいまから外務委員会を開会いたします。
 太平洋諸島信託統治地域に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 を議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。
 田中外務政務次官。
#3
○政府委員(田中六助君) ただいま議題となりました、太平洋諸島信託統治地域に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、かねてより、戦前わが国の委任統治地域であった太平洋諸島信託統治地域の住民が国連に対し提起している戦争損害請求問題につき、このような請求には応じられないとの法的立場を堅持しつつ、その実際的解決をはかるため、同地域の施政権者たる米国政府と交渉を行なっておりましたが、この問題については、日米両国が、第二次世界大戦の結果住民がこうむった苦痛に対し同情の念を表明することとし、他方、住民の福祉のために両国がそれぞれ十八億円相当額の自発的拠出を行なうことにつき合意を見るに至りました。また、この機会に、平和条約に規定されている信託統治地域に関する日米間の財産・請求権の処理の問題につきましても、その最終的解決を確認することに意見の一致を見るに至りました。よって、政府は、米国政府との間にかかる合意の線に沿った具体的な協定案文の作成交渉を進めました結果、その成案を得るに至りましたので、昭和四十四年四月十八日に東京で、わがほう愛知外務大臣と米側オズボーン駐日臨時代理大使との間でこの協定に署名を行なった次第であります。
 この協定は、本文四カ条から成っており、さらに、これに交換公文が附属しておりますが、その内容は、信託統治地域の住民の戦時中の苦痛に対する日米両国の同情の念の表明を前文に規定しつつ、本文において、両国が、住民の福祉のためにそれぞれ十八億円相当額の自発的拠出を行なうことを定めるとともに、両国は、信託統治地域に関する財産及び請求権の処理の問題で平和条約第四条(a)に言う特別取りきめの主題となるべきすべてのものが完全かつ最終的に解決されたことに合意する旨を規定し、交換公文において、このような解決の結果、日本国及びその国民が信託統治地域側の請求から完全に免除されることを確認しております。
 この協定の締結は、日米間で多年の懸案であった問題を解決するとともに、経済協力を通じ、わが国と信託統治地域との間の経済関係の増進をはかるものであります。なお、このほかにも、この協定に基づくわが国の経済協力が実施の段階に至れば、わが国の漁船は、信託統治地域のトラック及びパラオへの寄港を認められることとなり、漁船の操業の便に資するところ大と考えられます。
 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件につきましてすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
#4
○委員長(山本利壽君) 以上をもって説明は終了いたしました。
 本件に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(山本利壽君) 次に、通商に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び
 千九百六十八年の国際砂糖協定の締結について承認を求めるの件
 以上二案件を便宜一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#6
○大和与一君 今回の協定はいわゆる通商事項だけに限られております。航海、居住を含む包括的な通商条約になっていないが、その理由はどういうことですか。
#7
○説明員(高島益郎君) この交渉はかなり古うございまして、一九五五年にわがほうから最初通商航海条約の締結をいたしたいということで交渉を申し入れた次第でございますけれども、日本とメキシコとの間の経済交流の実態にかんがみまして、もし通商航海一般に関する取りきめをいたしますと、一方的に日本だけに利益があって、向こう側に不利になるというような観点から、向こうとしては通商に関する取りきめだけにいたしたいという強い希望がございまして、やむを得ずわがほうといたしましては当初の希望を捨てまして、通商に関する取りきめだけにいたした次第でございます。
#8
○大和与一君 それだけ古いいきさつがあって、今回なおこれぐらいなことで、将来はそういうところまでは進めていきたいと、そういう気持ちがあるのか。あるいは、それはいつごろの目安がありますか。
#9
○説明員(高島益郎君) 日本として、はメキシコ側が応じさえすればいつでも通商航海条約というような基本的な条約を締結したい希望を持っております。けれども、実際の問題といたしまして、先ほど申しましたとおり、非常に経済交流の実態が日本の一方的な先方への進出ということになっておりまして、貿易の額自体は日本のほうが実は入超でございますけれども、日本のいろいろな会社その他の進出状況を見ますと、非常に通商航海条約の締結によって利するのは一方的に日本であるという実態にかんがみまして、ここ当分の間、そのような日本の希望が実現される可能性はないのではないかという考えでございます。
#10
○大和与一君 わが国からメキシコへ企業進出しておる現在の状況ですね、それと技術協力の実態というものを幾つか例をあげて説明してください。
#11
○説明員(内田園生君) メキシコに対する企業進出は現在十一件ありまして、そのほかに三件すでに承認済みでこれから企業進出をしようとするものがございます。日産自動車とか、あるいは電気機械とか、そういうようなものでございます。
 技術協力につきましては、専門家の派遣とか、あるいは留学生の受け入れとかいうことをやっておりまして、そのほかに電気通信センターというものをメキシコ市につくっております。
#12
○大和与一君 交換公文によれば、メキシコは中米共同市場諸国と特恵取りきめを結ぶ意向であること、また、その場合には、この通商協定を改正するため日本側と協議することになっている。現在メキシコと中米共同市場との関係はどうなっているのか。また、ここで言う特恵取りきめというのは具体的にどういうものが想定されるのかお尋ねします。
#13
○説明員(内田園生君) 現在のところメキシコと中米諸国との間には通商に関して特に何も法的関係はございません。ただ、メキシコは在来から隣接している中米五カ国との間の通商を緊密化したいという希望を持っておりまして、かつてメキシコ大統領が五カ国を訪問しましたときに、一方的な特恵を五カ国に与えることを検討するということを言っております。しかしながら、これはLAFTAのメンバーでありますメキシコとしましては、LAFTA加盟諸国の承認を得なければできないということでありまして、過去二年来LAFTA当局で検討しておりますけれども、まだこれを認めるという趨勢にはなっておりません。メキシコがこの特恵によって与えたいと考えていますものは、まだ非常にはっきりしておりませんけれども、輸入制限の撤廃と関税の一方的な特恵の譲許ということであると考えております。
#14
○大和与一君 そのいまのLAFTAということをもう少し説明してくれませんか、どういうものかということを。
#15
○説明員(内田園生君) LAFTAは一九六一年の六月にできましたモンテヴィデオ条約というものに基づいてつくってありまして、これは域内の貿易の自由化と、それから産業の域内統合と、二つの柱を目的にしてつくられております。自由化率につきましては、現在のところ約三〇%に達しているというふうに想像されております。これは公表はされておりません。それから産業の補完、これは協定によってつくるわけでありますけれども、これは現在八件になっております。このLAFTAができましてから域内貿易額はかなりふえまして、現在のところ、それの全貿易額中に占める率は一〇・七九%ということであります。アンデス山脈等によって相互間の交通が非常に不便なために、あまり促進されてないということは言えます。それで、最近LAFTAの経済統合ということが十分な効果があらわれないという不満がありまして、アンデス諸国の間で――アンデス諸国と申しますと、太平洋岸及びカリブ海に面した諸国でありますけれども、それらの国の間でLAFTAの中でのサブリージョナルなと申しますか、もう一つ下の地域的な協定をつくろうという動きが進んでおります。
#16
○大和与一君 一九六七年の四月にウルグアイのプンタ・デル・エステで会議があったですね。そのときに米州二十カ国が集まって、それでLAFTAと中米共同市場を統合して、ラテン・アメリカ共同市場というものを結成する構想を明らかにしたが、その後この動きはどうなっているか。
 もう一つは、その前の、いわゆる「進歩のための同盟」というものをケネディが提唱して、去年開きましたけれども、ジョンソンもこの前出ただろうと思うのです。しかし、そのほうは、ベトナム戦争があったものだから、こういう会議をつくったが、さっぱりアメリカが本腰を入れて応援をしない。具体的にあまりやらない。そういうことが一つの南米における排米の一つの要素になってると思うのですよ。話を二つに分けて、その辺を参事官から。前段はそちらのほうから。
#17
○説明員(内田園生君) 一昨年の四月にプンタ・デル・エステで持たれました第二回の米州組織の会談でラ米全体の共同市場をつくろうということがきめられたわけであります。それにつきましては、昨年の十月に第一回のLAFTAと中米共同市場との調整委員会会合というものが開かれまして、そこでこの共同市場の設立のために今後協力をするということを申し合わせて、その後技術的な会議はときどき続けられております。
#18
○大和与一君 それの一つの構想の中で、資金とかその出し方とか、そういうことはまだ何もできてないのですか。
#19
○説明員(内田園生君) 一昨年のプンタ・デル・エステの会議がございました際に、アメリカ前大統領は、もしラ米諸国がこれに向かって進むならば一定の資金援助をすることを惜しまないということは約束しておりますけれども、まだ具体的に話が進んでおりませんので、どういうものに幾らぐらいというところまではさまってないと思います。
#20
○大和与一君 しかし、その「進歩のための同盟」でも、ケネディは初め二百億ドルですか、それから始まったと思うけれども、ラテン・アメリカと中米だけで幾ら集まって金を出し合っても、そんなものでは初めからたいしたことはできないと思うのだけれども、やはりほかから、力のあるところから出してもらうとか、そういう構想がないと、形だけじゃないですか。その辺はどうですか。
#21
○説明員(内田園生君) おっしゃるとおりで、やはりアメリカ及びそのほかの先進諸国がお金を出しませんと、ラ米諸国だけでは何ともならないのじゃないかと思います。それでそれにつきましても、アメリカはIDB――これは米州開発銀行と言っておりますが――これに対する融資とか、あるいはAIDによる融資とか、それから世銀を通じての融資とか、そういうようなものをいろいろ考えておりますし、また、日本も含めて先進諸国に対してお金を出し合うようにということを言っております。
#22
○大和与一君 もう一つのほうの「進歩のための同盟」の現状といいますか、初めえらい調子よくいったのですけれども、私はベトナムなんかの影響でアメリカがほんとうに本腰を入れて応援ができていないと思うのです。だから、この前――去年か、ジョンソンが、やっぱりここで、プンタ・デル・エステでやったのだけれども、しかし、南米におけるアメリカに対する考え方が、最近新聞でもありますように、相当これは激しい。私は、一つは、いまの軍事政権なり資本と結託した政権が国民をあおり、一つは、アメリカとも縁を切っちゃ困ると、こういう二またをかけてやってるような気がする。政治自体が正常でないと思うのです。その辺はいいけれども、「進歩のための同盟」の現状なり見通しなり、それと南米との関係ですね。
#23
○説明員(高島益郎君) 内田課長が実は政治のほうも両方担当しておりますし、地域の主管課長でございますから、内田課長から。
#24
○説明員(内田園生君) 「進歩のための同盟」につきましては、十年間に二十億というものをアメリカそのほかの国ないし国際機関から集めて援助するということになっておりまして、その目標は一人当たりの国民所得二・五%ずつ毎年ふえるということであったわけであります。これはなかなか予定どおり進まなかったわけでありますけれども、昨一九六八年度に至りまして、ようやく目標たる一人当たり二・五%というところに到達したわけであります。しかしながら、これは全体を通じてのことでありまして、メキシコとか、ブラジルとか、そういう非常に経済成長の早かった国もありますけれども、また、経済成長が一人当たりではマイナスになるというような国もあります。そういう国も含めて、すべての国が同じような比率で経済成長するという段階にはまだ行っていないわけであります。それで、やはり中南米諸国にも、アメリカが最近ベトナムのほうに少し気をとられてい過ぎるのじゃないかという批判もないわけではないわけでありまして、新しい政権になりまして、ネルソン・ロックフェラー特使を派遣して、各国から不満ないし将来に対する希望というようなものを聞いて歩く旅行を目下やっている最中であります。
#25
○大和与一君 メキシコは、ラテン・アメリカの国の中ではアメリカに対して一番独自性を持っている国だというふうにいわれておると思います。それだったら、特にキューバとの関係について、一体メキシコとキューバの関係はどうか、それに対する、アメリカのメキシコに対する風当たりというか、態度、理解度はどうか、こういうことをお尋ねします。
#26
○説明員(内田園生君) おっしゃるとおり、メキシコは中南米諸国の中で、特に米国からの独立ということを含みとする自主性ということを強く主張しておりまして、キューバとの間にも国交関係を残しております。しかし、通商関係はそれほど大きなものではございません。これに対しましてアメリカとしましては、その点においてはOASで決議をしているにもかかわらずメキシコだけがこういう行動をとっているということについて、もちろん喜んでいるわけではないのでありますけれども、そういう民族の独自性の主張ということに対してあまり圧力をかけるということはしておりませんし、現在、アメリカとメキシコとの関係というものは非常にうまくいっていると、一言にして言えば言えると思います。
#27
○大和与一君 そこで、トインビーの本を続んだら、これはおもしろいことを言っているのですね。太平洋岸の、メキシコ、日本、オーストラリア、これが将来、この組み合わせというか、形は非常におもしろいというか、大きくなるというか、そういうことを書いておるのですよ。いまはメキシコはアメリカと比べてうんと問題にならんけれども、メキシコ自体のマイニングとか、あるいはその他の力、生産力というのは、いま、あなたが考えても、相当伸びるものを持っておるのか、国民性が、南米のほうは少したるんでいますし、気候がよくて遊んでいても食えるらしいのですけれども、メキシコは、その辺の国民性というのはもっとしゃんとしているとか、その将来性、それはどういうふうにお考えですか。
#28
○説明員(内田園生君) おっしゃるとおり、メキシコは中南米諸国の中でも現在経済成長率が一番高い。しかも、政治的にも一番安定している国の一つであります。一九一〇年に社会革命がございまして、それ以来中産階級も育っておりますし、その意味において社会的にかなり安定しているということであります。また鉱産物も、おっしゃるとおり非常に埋蔵量が豊富であり、しかも、その開発につきましては非常に長期的な見地から見ておりまして、とにかくどんどん掘ってどんどん売るというようなことはしておりません。そういうことで、政治的にも、経済的にも非常に力がある国として、将来非常に有力な国になるものと思っております。メキシコ政府の人自身が、「メキシコは中南米における日本である」というようなことをしばしば言っているような次第であります。
#29
○大和与一君 この点に関しては、私はもう質問はないのです。
 次に、砂糖の世界市場の取引量は年間約二千万トンといわれておりますがね、この協定の対象となる自由市場となる分はその四割ぐらいで、いわゆる特恵市場のほうが六割を占めて、はるかに多いと思います。これでは世界における砂糖の需給関係について、この協定によって所期の効果があげられるかどうかお尋ねいたします。
#30
○政府委員(鶴見清彦君) ただいま先生御指摘のとおり、世界で流通しております砂糖の中で、いわゆる自由市場と申しますのが約八百五十万トンばかり、千万トンばかりというものはいま特恵市場になっております。ただ、先生も御案内のとおりに、特恵市場の場合は普通の自由市場価格よりかなり高い価格でもって取引されております。あるいは砂糖法に基づくものとか、あるいはイギリスと英連邦諸国との間の砂糖取りきめに基づくもの、あるいはソ連等とキューバとの間というふうに、大体一ポンド当たり六セント前後のような取引がされております。したがいまして、自由市場価格のほうはそれよりずっと下回っております。自由市場価格の糖価をある程度安定さしてそれを安定的に供給もし、たとえば日本のような大きな輸入国にとりましては、安定的な価格で供給を確保するということをねらいといたしましてこの砂糖協定というものができているわけでございます。同時に、砂糖協定の中に三十四条四項というような規定がございまして、特恵市場から自由市場に対して横流れをして、したがって、自由市場の価格に影響を及ぼすようなことがないような措置もとられておりますので、先生がただいま御指摘になりましたような御心配はないんではないかというふうに考えておるわけでございます。
#31
○大和与一君 特恵市場としては一体どういうものがあるか、それが一つ。
 それから、その取引状況を説明してもらいたい。その特恵市場においては糖価がどのようにきめられておるか。性質上需給関係によるよりは政治的配慮によってきめられるような気がするわけですけれども、その辺も含めてお尋ねいたします。
#32
○政府委員(鶴見清彦君) 特恵市場につきましては、先ほどちょっと触れましたごとく、アメリカとの場合ではアメリカのシュガー アクト――砂糖法によりまして、主として中南米諸国、アジアではフィリピンでございますが、こういう国々との間の特恵市場での購入というものが行なわれますし、またさらに、先ほど申し上げましたが、イギリスと英連邦諸国との間で英連邦の砂糖協定というのがございまして取引が行なわれております。また、キューバがああいう状況になりましたあと、ソ連とキューバとの間でそういった特恵的な取引が行なわれております。
 その価格構成でございますが、これはむしろ、簡単な需給というよりも若干政治的な考慮があるのではないかと私は思っておりますが、専門的な点につきましては、説明員から説明いたさせます。
#33
○大和与一君 わが国は国内需要の約七割を海外から輸入しておるわけですね。そうすると、その国内の増産計画は一体あるのか。また、国内の糖価というのはどのようにしてきめられておるのか、これをお尋ねしたい。
#34
○説明員(渡辺文雄君) お答え申し上げます。
 まず、国内の砂糖価格の動向でございますが、先生御承知だと思いますが、三十八年に砂糖の自由化を行ないました以降とそれ以前というものと大きく分かれるわけですが、以前におきましては、おおむね卸売りベースで百二十円あるいは百三十円前後で比較的安定しておったわけです。自由化以後国際糖価の変動を直接反映するようなことになりまして、一時は百七十円あるいは百八十円に高騰したり、あるいは百円を割るというような状態まで二、三年間はなはだしく揺れ動いたわけでございます。そういった国際糖価の変動を受けまして国内の糖価が著しく動くのはうまくないということで、四十年に御承知の砂糖の価格安定法に関する法律というものをおきめいただきまして、その後輸入糖につきましては糖価安定事業団によります瞬間タッチ方式で価格の調整を行なっておる次第でございます。それ以降国内糖価は、平均いたしますと、おおむね百円台から百四、五円の間になると思いますが、そういうような状態で今日まで推移しておるというようなことが言えると思います。
 もう一つ、御指摘ございました国内の増産対策はどうなっているかということでございますが、これも御承知のように、砂糖に二つ種類がございまして、寒冷地でとれますビート糖と、熱帯地方でとれますサトウキビ、甘蔗糖があるわけでございますが、前提としまして、やはり植物の性質上、ビートにつきましては北海道だけ、それからサトウキビにつきましては南西諸島だけに地域を限定しまして、そこで生産の振興を行ないます一方、価格差が外糖との間にかなりございますため、先ほど申し上げました糖価安定法によります売買を通じまして価格の調整を行なって価格差の補てんをいたしておるわけであります。現在のところ、先生お話しございますように、国内で二百二、三十万トンの需要のうち、北海道で約三十万トン、南西諸島で十万トン、沖繩を含めますと沖繩が約二十万トンから二十五万トンばかりできますので、全体で約六、七十万トンということで、自給率がおおむね三割前後ということになっております。植物の性質からいきまして、そのようなことで地域を限定しまして今後とも生産性の向上につとめまして、極力外糖との価格差を縮めるという形での生産対策を進めていきたいというふうに考えております。
#35
○羽生三七君 関連。
 そういう日本の事情であるにもかかわらず、資料によると、ほんのわずかですが日本が輸出があるようですが、これはどういうことなんですか。何か事情があると思うんですが、ほんのわずかですけれども。
#36
○説明員(渡辺文雄君) 輸出は大部分精糖でございまして、ごくわずかの数量が、たとえば年によっても違いますが、香港とかマレーシアとかごくわずかずつあちらこちらの国に輸出しております。やはり多少製品の特性を生かした場合というようなことも輸出先との間にあるだろうと思います。
#37
○羽生三七君 それからもう一つ。ビートやサトウキビ、甘蔗糖の場合ですが、そういう国内産が、統計によると、一九六五年、六六年、六七年と漸減しているわけですね。この事情は、労働需給関係とかあるいは価格の問題なのか、最近の産業の近代化等の事情によるのか、その辺ちょっとお示しいただきたい。
#38
○説明員(渡辺文雄君) 農産物でございますので、干ばつであるとか冷害というようなことで、年によってかなりの動きはございます。大まかに申しまして三〇%前後というふうに申し上げたわけでございますが、先生ただいま御指摘ございました三年間について申しますれば、一つは、やはりビート糖につきまして、従来内地でもビートをつくっておったわけでございますが、御承知のように、内地におきますビート生産が必ずしも十分うまくいかなかったということで生産が停止されました。そのことが一つ大きく響いておると思います。その間南西諸島におきましてはかなりの努力も行なわれたわけでありますが、やはり干ばつが一年か二年ほど続いたというのが数字の上にあらわれたのではないかというふうに考えております。
#39
○西村関一君 関連。
 いまお話しの北海道以外のところにおけるビートの栽培ですね、暖地ビート、これがうまくいかないというのは、いまは、やめてしまったんですが、なぜやめたんでしょう。どういう点でやめたんでしょうか。それから、研究は農林省においてやっているのですか。その点いかがですか。
#40
○政府委員(小暮光美君) 暖地ビートにつきましては、やはり南九州の畑作の中でビートにかわるべき作物がいろいろございます。北海道の場合には、御承知のように寒冷地でございますので、ビートが畑作で最も適当な作物であるのでございますが、南九州におきましては、イモ作とかさまざまな対比で考えなければならない問題でございます。それともう一つは、もともと寒冷地の作物として適したものでございますので、暖地においてこれを栽培いたします場合に、病害の問題あるいは栽培の時期の問題、工場の採算を最も適当とするような時期に集中的にこれをとることが必ずしもうまくまいらないというようなこともございまして、結果的には失敗に終わったわけでございます。
#41
○西村関一君 結果的にはうまくいかなかったと言われるけれども、一応農林省としては奨励して九州の南部地帯でやらしたと思うのです。そういうふうに私は理解しておるのですが、その後の暖地ビートの研究は、栽培の可能性があるのかないのか、どうでしょう。
#42
○政府委員(小暮光美君) 農林省といたしましては、暖地ビートにつきましては可能性があるというふうには考えておりません。甘味資源対策といたしましては、やはり地域の特性をできるだけ生かそうということで、南九州につきましては、離島を中心にサトウキビの生産振興に努力を集中することに方針を確立いたしました。
#43
○大和与一君 さっきのあっちの課長さんの話のときは増産計画というふうに言ったような気がしたのですが、品質がもし悪ければ別ですけれども、悪くない場合は、日本に砂糖は足りぬのだから、もっと本腰を入れて増産に努力をしていくべきじゃないか、これが一つ。その場合に一般的な国際経済から言うと、いろいろ圧力がありまして、役所だけではなくいろいろなところからあって、そのためにそううまくいかんというのか。もうすでに小笠原が返った。沖繩が返る。そうすれば、北海道はビートは残念ながら少し失敗したかどうか知りませんけれども、これは本気でやればできると思いますが、その一、二、三の関連を含めてお尋ねいたします。
#44
○政府委員(小暮光美君) 南西諸島のサトウキビにつきましては、やはり南西諸島における農家の所得の確保という観点からきわめて重要な重点作物であるということで生産を奨励いたしておりますが、率直に申し上げまして、サトウキビはあたたかい地帯の作物でございまして、南に参りますほど生産の条件はよろしいわけでございます。その意味で言いますと、台湾のサトウキビ、あるいは沖繩本島のサトウキビ、南西諸島のサトウキビと、北上するに従って生産地としてはやや不利であります。しかし、政府がある程度のこれに保護を加えることによりまして、あの地域の換金作物として十分確立し得るものだと考えましてやっておりますが、これはおのずから面積にも限りがございます。それから、地域の労働力にも限りがございますので、南西諸島であまり大幅な増産が今後見込めるというふうには考えておりません。
 それから、北海道のビートの場合には、寒冷地の畑作の輪作体系を考えます場合に、酪農と総合して考えました寒冷地畑作というものにおきまして、ビートはきわめて確立した地位がございます。その意味で、今後とも北海道のビートにつきましては、寒冷地の畑作振興上まさに戦略的な作物であるというふうに考えておりますが、ただ、今日の技術では、輪作体系の中でやはり四、五年の単位の輪作が必要であると考えております。かつては七年輪作ということを申しましたけれども、ただいまの技術では大体四、五年で輪作ができるようであります。それにいたしましても、かりにある面積が与えられました場合に、最も理想的にしても、その面積の四分の一か五分の一程度までしか広げられないという作物の性格がございます。他の作物と適切な組み合わせを持ちながら、できるだけビートを増産してまいりたい、さように考えておるところでございます。
#45
○大和与一君 米国とEECが一九五八年の協定には加入していたと思うのですが、今度の協定には加入していない理由はどういうわけですか。
#46
○政府委員(鶴見清彦君) ただいま先生御指摘のとおり、前には加盟していたわけでございますが、今度の新しい、ただいま御審議をお願いしております協定に入っておりません理由は、EECの場合には、輸出クォータ――紳士協定によりまして輸出クォータというものをそれぞれきめるわけでございます。EECの砂糖の会議におきましては三十万トンというふうに条約国の間できまったわけでございますが、EEC自身といたしましてこれには非常に不満があるということで、結局、正式には加盟しないということになったわけでございます。
 もう一つのアメリカのほうでございますが、これはもう先生御案内のように、キューバというものとの関係がございまして、キューバに非常に利するような協定に直接入りがたいという、これはむしろ政治的な考えからこの協定に入ってこないという状況でございます。しかしながら、入ってはおりませんけれども、この砂糖協定の精神に従ってこれに基づく価格の安定ということに協力的な態度をとるということは声明いたしておる状況でございます。
#47
○大和与一君 協定第四十一条によればインドネシアとフィリピンには特例としてそれぞれ八万一千トン、六万トンというふうに最大限の輸出数量を認めておるようですね。その理由はどうですか。
#48
○説明員(小林智彦君) 御指摘のとおり、四十一条にはインドネシアとフィリピンにつきましては特別の規定がございます。本来ならば、輸出国は、四十条のほうに規定してあります基準輸出トン数というものがあてがわれて、それに基づいて国際価格の動向いかんによってその実際の輸出数量を増減させられるわけでございますけれども、インドネシアとフィリピン、特にインドネシアの場合について見ますと、本来ならば潜在的に非常に輸出能力のあり得る国なんですけれども、戦後のインドネシアは、政治的な荒廃、いろいろな社会的な事情等によりまして、戦前に比べますと生産力が現在では非常に落ちておりまして、その貿易の状況を見ますと、たとえば一九六五年でございますと、九万九千トンを輸出し、六六年には三万四千トン輸出し、六七年――一昨年には輸出がゼロになって、逆に少量ながら三万八千トンの輸入をしているということで、現状では、まだ輸出余力が潜在的にありながら輸出力が非常に不安定な状態にある。したがいまして、四十条のほうのクォータに入れられますと、原則として価格の動きによって輸出クォータを増減させられることのほかに、もしその年にそのクォータを満たすことができないような場合に、罰則としてその次の年からはクォータを減らされるということになりますので、こういう不安定でゼロになったりマイナスになったりするようなインドネシアの場合に、それではどうしても困るというインドネシア自身の特殊な事情がございまして、ほかの輸出国もそういう事情を認めてくれたということで、ここに特別に規定されたわけでございます。
 フィリピンの場合には、大体貿易のほとんど全部が特恵取引でアメリカに出されております、百万トン強のものが。実際に特恵取引以外の輸出というものは最近ではございません。しかし、これも潜在的な輸出能力のあり得る国ということで、たとえば実際の輸出割り当てが基準輸出トン数の総計を越えるような場合――といいますのは、国際価格が四セントくらいを少し上向いているときだと思いますが――そのような状態になった場合には、ある程度輸出することができるというような規定を設けてもらいたいという主張をいたしまして、それも非常に少量でございますので認められた次第でございます。
#49
○西村関一君 関連。
 農林省の当局に伺いたいと思います。この協定が締結される結果、わが国のサトウキビまたビートの生産に従事している農家の生産意欲を圧迫する、阻害するというような懸念は毛頭ございませんか。
#50
○政府委員(小暮光美君) 御承知のように、糖価安定事業団によります糖価の安定の仕組みは、外国産の粗糖の価格が変動いたしましても、そういう国際変動を糖価安定機構で吸収いたしまして、国内の糖価との間に調節をはかるという機能がございます。したがいまして、国内のサトウキビあるいはビートの生産農家は、年々私どもがそれぞれの法律に基づきまして決定いたします、その年のたとえばビートの最低生産高といったようなものを、生産に従事します場合の目安として考えて営農をすればいいように国内の措置はございました。かたがた、外国産の価格変動を糖価安定事業団のサトウキビで調整すると、こういうことをやっておりますので、砂糖協定の成立それ自体は国内の甘味資源関係の農家の営農に何ら支障はないというふうに考えております。
#51
○羽生三七君 関連。
 ちょっと一つ。こまかいことで恐縮ですが、この統計によると、一人当たり砂糖消費量は、先進国間では日本が最低、二分の一から三分の一、あるいはそれ以上ですが、これは生活水準というよりはむしろ食生活関係ですか、コーヒーとか紅茶とか、そういう食生活の関係かどうか。
#52
○政府委員(小暮光美君) 御指摘のように、嗜好性飲料でございますお茶と附随して砂糖が消費される量がかなりの量でございます。日本人は大勢としては依然として緑茶にかなりの消費が向いておりますので、その面での消費が少ないということは一つ言えると思います。
 それからもう一つは、日本人の食生活が、御承知のように、でん粉質の食糧を依然として主体としておる。その比重が、下がっておりますが、まだかなりのものがある。したがいまして、でん粉質食糧を摂取いたしますこととの関連としてそれほど砂糖を必要としない。両々相まって、欧米の食生活とはかなり違うというふうに思います。
#53
○委員長(山本利壽君) 他に御発言もなければ、二案件に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○委員長(山本利壽君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより二案件について一括討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べをお願いをいたします。
 別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○委員長(山本利壽君) 御異議ないと認めます。
 それでは、二案件につきまして順次採決を行います。
 まず、通商に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#56
○委員長(山本利壽君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、千九百六十八年の国際砂糖協定の締結について承認を求めるの件
 を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#57
○委員長(山本利壽君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、二案件について本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○委員長(山本利壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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