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#1
第061回国会 外務委員会 第15号
昭和四十四年六月十九日(木曜日)
   午後二時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     渡辺  武君     野坂 参三君
 六月十九日
    辞任         補欠選任
     石原慎太郎君     土屋 義彦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 利壽君
    理 事
                佐藤 一郎君
                長谷川 仁君
                森 元治郎君
    委 員
                梶原 茂嘉君
                杉原 荒太君
                高橋  衛君
                土屋 義彦君
                廣瀬 久忠君
                三木與吉郎君
                西村 関一君
                羽生 三七君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       外務政務次官   田中 六助君
       外務省条約局長  佐藤 正二君
       外務省国際連合
       局長       重光  晶君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   説明員
       外務省アメリカ
       局外務参事官   大河原良雄君
       外務省条約局外
       務参事官     高島 益郎君
       厚生省援護局業
       務第二課長    村岡 達志君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際情勢等に関する調査(国際情勢に関する件)
○太平洋諸島信託統治地域に関する日本国とアメ
 リカ合衆国との間の協定の締結について承認を
 求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本利壽君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#3
○委員長(山本利壽君) 速記始めて。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 一昨十七日渡辺武君が委員を辞任され、その補欠として野坂参三君が選任されました。また、本日石原慎太郎君が委員を辞任され、その補欠として土屋義彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(山本利壽君) まず、国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#5
○森元治郎君 もうさんざん衆参両院で質問のあったアメリカとの沖繩返還の話し合いに関連して三つ、四つの点を伺いたいと思います。
 大臣、今度のは「交渉」と言うのですか。私がいろんな新聞その他お話を伺っていると、単にこちら側の態度というものを伝えた、御返事は要らない、してくださればけっこうだが、時間もないし、一応一方的に六九年十一月の佐藤・ニクソン会談でめどをつけるということのために日本はこんなことを考えているんだということだけを一方的に伝えたもので、交渉というものではないんですね。どういうふうですか。
#6
○国務大臣(愛知揆一君) これは前々から申し上げておりますように、従来よくあるタイプの交渉の形では私はないと思います。つまり、テーブルに名前を立てて両方に相対してすわって、あるいは文書を読み上げ、あるいは議事録をつけ、そういうふうな会議体の進行ではございませんから、日本語で言えば「話し合い」ということが言えるかと思います。たとえばアメリカ側の新聞などでも、しかし「交渉」ということばが使われております。まあ、そういうスタイルの交渉である、まあ、日本語で言えば「話し合い」ということが一番妥当かと思います。そしてこれはいわば第一ラウンドでありますから、そういうことも合意されて始まっておりますから、最終的に十一月までに相当長丁場でございますけれども、ずっと継続的にこの話し合いが続いていくというふうに御理解願えればしあわせと思います。
#7
○森元治郎君 大臣も戦前は大蔵省におられて、日米交渉というのがありましたね。表面には出なかったが、野村大使、來栖大使なんかが向こうでやられたやつも、最初はアメリカの神父さん、あるいは終戦後何とか協同党の代議士になった北海道出身の方、そういう人がひそかにアメリカへ渡って話し合いの基礎工作をやって、それから交渉――ネゴシエーションになったんです。今度の場合もやっぱり問題が問題ですから、いつまでも感触とかあるいは態度を伝えるというだけでは済まなくなってくると思うんですね。この問題についてはこう、期限の問題についてはこれ、あるいは核抜き、事前協議のこれこれこれについてはこうだというものを示して、さてあなたの案と対比しつつ合意点を見つける努力にならなければならないと思うのですが、そうなるんでしょうね。
#8
○国務大臣(愛知揆一君) そうなるようにいたしたいと考えております。
#9
○森元治郎君 われわれの知っている限り、表面的にはこの間が第一ラウンドならば、七月の日米貿易経済委員会が第二回、第三回が大臣の国連総会出席、第四回が最終回でしょう、総理とニクソン会談。そういう確たる交渉の方針というものが確立して、それに基づいてかっちりした話を進める時期というのは、この次の日米貿易経済委員会の段階でできましょうか、もう少しサウンドしながら九月以降になるのでしょうか。どうしてそういうことを聞きますかというと、ただ態度はこうなんだという話では、ものごとの結着をつける場合にばくとしておりましてね、これに筋目をつけなければならない。話に何か含みのあるような、幾重にもとれるような内容の理解のしかたというものが双方にできてしまったのでは、これは国家間を拘束することにはならないので、そういう交渉の段階が必ず来なければならないと思う。
#10
○国務大臣(愛知揆一君) 必ず結着はいたすようにやってまいる所存でございます。
#11
○森元治郎君 この間大臣はお話をされて、ニクソンさんはよくこちらを知っておられて、予想外な成果であったという喜ばれた様子は新聞の写真にも出ておるし、記事にも出ておったわけですが、この次は向こうが出す番ですか、向こうの態度というものを。大臣が言及された問題についての答えというものは、次回は向こうの番だと思うので、七月の会談はたいへん向こうの情勢を知るのに大事な会合と期待するのですが、どうですか。
#12
○国務大臣(愛知揆一君) まあ、たとえて言えば、会議を五日間と限定して、連続五日間会議を開きます場合でも、一日目を終わったときのそれぞれ印象というものが双方にあり得ると思います。二日日は二日目で、それなりにまた違った印象を受けることもございましょう。まあ、三日目ぐらいからそろそろそれでは合意したものについてこうこうこういうことだということで整理が始まる場合もございましょうし、五日間連続の場合でもそういう経過をたどるのが話し合いであり、会議であると思います。今度の場合は、六月二日に始まって、まあ十一月の某日というところを目途においての相当の長丁場の会談でございます。しかし、やはり五日間連続してやる会議の進行と別に変わるところはない。あるいはこちらが言い、あるいは向こうが言う。しかし、これは議事日程として、本日はこちらが言う番、明日は向こうの言う番、その次の日はこちらの言う番というふうに議事日程をつくっているわけではございませんから、そこはことに日米の話し合いであり、問題は一つなんでありますから、その辺は臨機応変にうまく双方で運営していきたい、かように考えております。
#13
○森元治郎君 そうすると、こういうことにはならないのですね。私ら昔の例、昔の経験を基礎に話をするのですが、よく「不動の国策」とか「不動の政策」とか言いましたね。これ以上は譲らないのだと。軍縮交渉は主力艦は五・五・三でよろしい、補助艦はパリティでやる、そういうような軍縮方針をきめて折衝をしていった。したがって、これを読む者はよく彼我の主張が明快にわかるわけですね。そういうふうな基本的方針というものを確立し、折衝をする。そうして折り合うか折り合わないか、ある場合には相互互譲の精神ということでまとまるものはまとまるのですね。今度の場合は、やり方によっては決裂ということはないのじゃないか。理由は、もちろん大臣の答弁では、日米友好の基礎に立ってやるのだという大方針があるから決裂はないといいますか、根本の方針が確立していなければ、決裂しようにも決裂できないあやふやな交渉になると思う。意地悪く見れば、すべての問題が相関連し、事前協議と年度の問題、たとえば事前協議の例の自由発進の問題とか核の持ち込みとかいう問題と、七二年というそれまでに返せということの取り引きがあってみたり、そんなふうに自由発進させないならば七五年あるいは七八年でなければ返さないと言うかもしらぬ。すべてが相関してもやもやとしたような交渉になるように見られる。したがって、やはり交渉の方針というものを確立しなければ、案外日本の方針を貫くこともできないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
#14
○国務大臣(愛知揆一君) 私の交渉の基本線は、もうすでに明らかにいたしました。早期返還、これはおそくも一九七二年。日米安保体制、条約その他一連の法体系は、そのまま本土並みに沖繩施政権返還後適用する。核は困る。沖縄を本土と差別してはいかぬ。これが交渉の基本線であります。これは内外に明らかにしたことであります。
#15
○森元治郎君 大臣、ただいまそうやって伺ってみるとほんとうにわかるような気がするのですが、だんだん国会論議だ、座談会だ、記者会見だというものを寄せ集めてみるとそうなるのであって、一つこれ、一つこれというふうなぴしゃっとしたものがいままではなかったのですが、これはいま初めて私は大臣がそこに明快に基本方針だということを言われましたから、これからこれを基準にやっていくわけですが……。
#16
○国務大臣(愛知揆一君) これは衆参両院本会議で私は御報告申し上げたとおりでございますから、新しいことを言っているわけではございません。
#17
○森元治郎君 それはそのとおりではありまするが、すべてその間に質問されたり何かして、もやもやした中にその要点が入っているので、すかっとした、一つこれ、一つこれというふうなきちんとした態度が見受けられなかったのですが、いま大臣が整理されたからそれは……。
#18
○国務大臣(愛知揆一君) いや、そうじゃありませんよ。報告書をごらんくだすったって、議事録だって、はっきり出ておりますよ。この御審議の前に私報告しましたときに、それははっきり明確にしております。
#19
○森元治郎君 それでは、それをあなたの基本方針だということにいたします。そうしてこの間アメリカに行かれて非常によい印象を持って帰られたようでありますが、その中に、しかし前途にはなお幾多の困難が予想されるのだということをしばしば言っておられます。交渉ですから容易なことばかりでないことは当然でしょうが、どういう点が困難の予想される点なのでしょうか。
#20
○国務大臣(愛知揆一君) 報道その他でいろいろのとられ方をしておりますけれども、私は自分で正式に御報告しているのは国会に御報告しておるのでございます。前途が明るいとも明るくないとも申してはおりません。それから、基本線は先ほど申し上げましたとおり、その基本線を貫いて、すべて日本にアメリカ側の合意を取るということについては、前途まだまだ第二、第三の会談も控えているから、これはアメリカ側としてもなかなか真剣に討議をしなければならない。向こうの内部としても討議をしなければならない問題でございましょうから、ある程度の時間がかかるわけでございます。それだけにこれからもなかなかむずかしい問題があろうと予想するわけでありますから、私としてはさらに真剣に対処しなければならないと心を固めておるわけでございます。
#21
○森元治郎君 いま大臣が述べられた芸本的方針というものは、あくまでこれを曲げないというふうに了解してよろしいのですね。
#22
○国務大臣(愛知揆一君) ですから、交渉の基本線と申し上げていると同時に、しばしば私もお答えしておりますように、率直に申しまして、先ほどもお尋ねがありましたが、たとえばそれなら核の問題は片づいたのかと言われれば、それも片づいてはおりません。これに対して明確なアメリカ政府の意思表示というものはもちろんまだありませんし、また私の心証としても、こういうふうな心証であるともまだ申し上げる段階ではございません。こう、もうしばしば申し上げているところでございます。
#23
○森元治郎君 交渉になりまして、しかも、同じ考えの者ばかりではない。いろんな立場の者があるのですから、これをつらくてもやはり納得さして引っぱっていくというのが国務大臣、外務大臣の責務でありますから、あまりいらいらされないほうがよろしいかと思います。
 そこで、事前協議というのはよく問題になりますが、われわれが一九六〇年の改定交渉のとき以来の説明を伺っておりますと、装備、配備、人員の重要な変更等は、日本からの作戦行動は事前協議の主題とするということに交換公文ではなっておる。ところで、配備という中には核兵器、核が含まれておるのだ。当然これはそういう了解になっておる。たしか当時マッカーサー・アメリカ大使と藤山外務大臣との間でそういうはっきりした了解があったと思うのです。この事実は御記憤になっていると思うがいかがですか。
#24
○説明員(高島益郎君) ただいま先生申されました「配備における変更」ですが、「配置」ということばではないかと思います。「配置における重要な変更」及び「装備における重要な変更」でございまして、これもしばしば国会で政府からお答えしておりますとおり、「装備の重要な変更」というのは、核弾頭、その他中長距離ミサイル及びその基地という説明をしております。それからまた、「配置における重要な変更」につきましては、陸上においては一個師団程度、海上においては一機動部隊程度、それから航空機につきましてはちょっとはっきり覚えておりませんので……。大体そういうふうなことで国会で政府から説明しているとおりであります。
#25
○森元治郎君 いま、「装備」ですね、失礼しました。当時、いわゆる核の問題、これはマッカーサーと藤山さんとの話し合いではっきりしていると思うのだが、たとえば陸軍は一個師団とか、飛行機が一航空師団だとか、海軍も一機動部隊だと、そういうものが日本に配備されるということになれば、いま現在あるものの配備の重要な変更だから事前協議の対象になるのだと政府はしばしば答弁をしてきましたが、この点に関してはアメリカ側との条約改定のころに話し合いではっきり話がついたものではなかったと思うのですが、どうですか。
#26
○説明員(大河原良雄君) 御質問の点につきましては、事前協議の対象になります三つの項目につきまして米側と了解はできております。
#27
○森元治郎君 装備の点についてはマッカーサー大使と藤山さんの間で話がついてはっきりしておるのですが、陸軍あるいは海軍の一機動部隊とかというような話は、いつだれとの間に、いつこれを主題とするという話し合いがついているのですか。それはついてないんですよ。国会で責められて責められて、そうしてその責められた人が外務大臣であったか総理であったかどなたであったかはつまびらかにしませんが、だんだん責められて専門家などに聞きながら、おそらくこの辺だろうという答弁がいつの間にか固定しただけで、決してこれが日米間の話としてきまっているんじゃないんですよ。言ってごらんなさい。いつだれとどんな話をしたのか。
#28
○説明員(大河原良雄君) 事前協議の問題につきましては、四十三年の四月に外務省から国会のほうに資料を提出してございまして、その中に、事前協議の点につきまして、「「配置における重要な変更」の場合」、「「装備における重要な変更」の場合」、それから、「わが国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての使用」、こういうふうな問題につきまして政府としての統一的な考え方を国会のほうに資料として御説明いたしております。その際に、それに関連いたしまして、「配置における重要な変更」、並びに「装備における重要な変更」というものにつきまする了解については、口頭により了解が行なわれておって特別に文書による了解が取りつけられておるわけじゃない、こういうことも御説明いたしております。
#29
○森元治郎君 ですから、四十三年――この半年前、それまでずっと同じ答弁をしてきておったのですよね。これは前に申し上げました核の問題装備の問題のように、外相とマッカーサー大使との話し合いではっきりしただけで、その他のものはずっと六〇年から六八年まで一方的にこちら側だけでそういう答弁をしただけで、確たる基礎がなかったわけです。しかし、八年も同じことをしゃべっていれば定着するんでしょう。アメリカとしてもやむを得ず、そういうことでいいだろうと返事をしたんでしょう。それは口頭でお話しになったのは外務大臣対だれ大使とか、あるいはアメリカ局長なり、関係者の話し合いなんですか。その点をちょっと聞かしていただきたい。
#30
○説明員(大河原良雄君) 現行安保条約をまとめます交渉が行なわれました際に、日米の交渉当事者の間で口頭で了解されております。
#31
○森元治郎君 まあ、こまかい問題ではあるが、事前協議の中に関連するのですが、今後ともただいまの対米交渉の方針の中における事前協議の取り扱い、事前協議の問題点、装備、配置、作戦行動、こういうものについての、ただいまお話しになったような従来の解釈のしかたでいかれるつもりですか。あるいは変わるのか。大臣の国会答弁によれば、一切そういうものに手は触れないでいくのが根本方針だと伺ったのですが、理解はそれでよろしいですか。
#32
○国務大臣(愛知揆一君) そのとおりでございます。
#33
○森元治郎君 核に対して日本人は特殊な感情を持っていることはよくアメリカも理解してもらいたいということは、大臣初日のニクソン会談では懸命に強調をされたようです。核抜き・本土並み――本土と同じようにすなおなきれいな姿で返してもらいたいということは、現在あるものを撤去――あるとすれば撤去してもらわなければならぬ、それが七十二年までに一体できるのかどうか。私は向こうのことですから知りませんが、「置かない」ということにも、よく考えてみると、発射する機械、あるいはロケットですかミサイルですか、そういう胴体に当たるもの、核の頭−弾頭、こういうもののうち、どれか一つとってもこれは不活動になるのですね。核の頭だけ取って、土台はそのままに置いて帰るということもあるでしょうし、いろいろ能力を持たせないでそのままにしておく。金銭上の予算、費用の問題もあるだろう。いろいろの将来のこともあるだろう。しかし、そこに核の頭は置いてないが、胴体、飛ばせるもの、飛ばせる兵員、必要な資材は置いておく。いろいろあるのですが、こういうものはこれからの交渉ではありましょうが、やはりきれいに、大臣がいつかすなおにということばを使われましたが、私もその表現は好きでして、すなおにきれいにそういうものを撤去してもらうというお考えかどうか伺いたいと思うわけです。
#34
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほどからのお尋ね、相互関連しておりますから、関連してお答えをいたしたいと思いますが、この点もすでにしばしば申し上げておりますので何も新しいことではございませんが、せっかくのお尋ねですから繰り返して申し上げるわけですが、私の考え方ですでに明らかにし、かつ、米側に対しても申し入れておりますのは、安保条約及びその一連の現在の取りきめ、やり方、考え方はそのまますなおに施政権返還後の沖繩にアプライせらるべきことというのであります。その中には、先ほど政府委員からお答えしたように、それは森さんからごらんになればまだまだ不明確な点があるとおっしゃるかもしれませんが、私の理解では、国権の最高の機関であるところの国会に対して、書類をもってかくかくのとおり口頭で米側と了解しておりますということを配付いたしておりますものは、これは非常に重要なやはり了解事項だと思います。その了解事項をも含んで一連の安保体制というものがすなおに沖繩に適用せらるべきことである、これが全うされれば、私はそれだけで核の問題に対する考え方も、いわゆる本土並みの考え方も、これによって法理的には確保されるのです。しかし、特に核の問題は重要でございますから、アメリカ側に申し入れました場合におきましても、これは文書でこそございませんが、文書で言えば、別項において特定の項目として特に核についての申し入れをしておるわけでございます。その私の考え方から、ただいまの御疑問の点あるいは御懸念の片は、私はただいまの私の交渉の基本線をお話しいたしましたその中ですべてお答えが出ているつもりでございます。
#35
○森元治郎君 最近の新聞あるいは一般、国会の中においてもわれわれの話題になるのは、だんだん焦点がしぼられてきて、極東の平和と安全、日本の平和のために安全のために沖繩の果たす役割りは大であるという点と、日本人の、核をいかなる形でも置いてもらいたくないという点の相克、それから、それだけの大きな任務を負わされているアメリカとしては、ほんとうに安保条約の五、六条の具体的な目的を完遂するためには、あまりしばられたのでは、不十分では困る、何とか自由の幅を広げてもらいたい、こういうこと。これに対して、そう自由にかってにされてはあぶない、引き込まれるおそれもあるという反対。そういうところの調整がぎりぎりの今度の交渉の問題点のように報道もされ、お互いの話題になっておるのですが、この辺が突き詰めて言えば一番の問題点になるのでしょうか、あるいはそのほかに何かが想像されるのか。およそ人間の考えというのはそうかけ離れてはおりませんから、先ほど申し上げたようなのはぎりぎりにいかに調整するか、こちらには根本方針もあり、向こうにも根本方針がある、どこで折り合いをつけるか。こちらでは紙の上、条約文、協定文などを変更したくない。向こうに言わせれば、いや、変更したくなければしたくなくてもいいから、実質でもいいからおれの方針を受け入れてくれないかということにもなるでしょう。なかなかここらが困難な問題だと大臣及び政府が言うのだと思うのですが、その辺が私のやっぱり困難な問題と言う点で、本交渉における一番の根本問題だと理解してよいかどうか、その点だけ伺います。
#36
○国務大臣(愛知揆一君) そのとおりでございます。
#37
○森元治郎君 いいです、私は。ちょっと思いつきだけを伺ったので、これ以上やりません。
#38
○西村関一君 私は、きょう少し角度を変えましてベトナム問題と十八ヵ国軍縮会議の問題についてお尋ねをしたいと思うのでございます。それも時間の制約がございますから、きわめて簡潔にお伺いしたいと思います。
 政府は今回十八ヵ国軍縮会議に参加するにあたって首席代表として朝海氏を起用なさるということでございますが、どういう方針で、またどういう態度でこれに望まれるお考えでございますか。ただ核拡散防止条約に参加するということだけでなしに、この問題は御承知のとおり、核の問題を中心に非常に長い期間折衝が続けられてまいりましたのでございますが、核の完全撤廃というのは国連の決議にあるのでございまして、唯一の核被災国でございますところのわが国といたしましては、この点を強くこの十八ヵ国で――今度は二十ヵ国軍縮会議になるわけでございますが――この点を強く主張していただくべきではないかと思うのでございます。そのことが国民の悲願であり、また、世界平和への非武装・平和憲法を持っているところのわが国といたしましては、核完全撤廃の国連の決議を実行させるということのためにイニシアチブをとっていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。あるいはまた、場合によれば議長国として立候補なさるということも大国日本として必要なことではなかろうか。こういう特殊な使命を持っている現在においてこの意義は重大であると考えますが、大臣の御見解はいかがでございますか。
#39
○国務大臣(愛知揆一君) これは私もかねがね一家言を持っております問題でございますので、私の意見を申し上げますとたいへん長くなって恐縮でございますが、ごく簡潔に申し上げたいと思います。
 まず第一に、私はこの核の問題、特に核兵器の問題に対しては、日本が唯一の被爆国である。まことに残念なことですが、これはもう歴史的、客観的事実、そして、それだけに、先ほど沖縄の問題についてもお話しいたしましたように、私は非常にこの国民的の感情というものは大事に育て上げていかなければならないものであると思っております。同時に、いわゆるクッドハブ・カントリーの尤なるものであると思います。やろうと思えばやれる。それだけのポテンシャル――潜在力を持っていながらなおかつこれを持たない。核兵器を憎悪しているところに非常な私は特色があるし、国際的な説得力もあるはずだと思っております。私はかねがねこの立場に立って、日本は国際的に出るべき場所を与えられて、その土俵の上で堂々と主張すべきところを主張し、かつ、世界的な、何といいますか、おこがましいようでありますけれども、一つの指導的な立場をとって世界のために働くのが日本の立場であり使命であると、かように私は考えておりました。したがって、今回ENDCに参加できましたことは非常に大きな喜びであると思います。したがいまして、この点は佐藤総理もきわめて同感であって、この会議に参加がかなったこの機会に、日本としては外務大臣みずからか、あるいはそれに本当にかわり得る、国際的に評価のあるような者を代表として送って、ひとつこれからの決意のほどを披瀝すべきではないか。私も総理の意見と全くその点において一致しております。まだ人選は最終的にきまっておりません。しかし、そういう意欲でこれに臨もうとしております。したがって、ただ単に二十ヵ国の中に一つの議席を持ったというだけのことで喜んでいるわけではございませんで、積極的にこの中に入って、日本としての意見を大いに用いてもらうように活躍しなければならないと思っております。かねがね、ささやかながら軍縮室というものが外務省にあります。関係者は非常に熱心にこの事あるを期して勉強もしておったつもりでありますが、それから、省外の知識もずいぶん吸収につとめまして、かねがねこの事あるを期しておりましたから、ある種の考え方を早々にこのENDCの中に開陳していくことが可能であると私は考えておりますが、しかし、いよいよ正式の場のことでもございますし、また、十分に慎重なやり方でなければいけませんので、今日ただいまここで、どういうふうな提案をしていくかということを確定的に申し上げる段階ではございません。しかし、かつて、御承知のように、たとえば核探知クラブというものが北欧等の国々からも提案されまして、日本はいち早くこれに参加したわけですが、あのときにも日本としては考えたことの一つに、たとえて言えば、核の地下実験の禁止については従来米ソ両国ともやる気があるのかないのかわかりませんが、とにかく技術的な妙案がないということで、核の地下実験停止の提案がなされなかった、あるいは採択されなかったという経緯もありますが、日本では、直接これに役に立つかどうかわかりませんけれども、地震学の世界的権威者もおることであり、こういう知識や経験というものがあるいはそういうところに役立ち得るならばというので、核探知クラブの中で参加をして意見を出したこともあり、ある程度の反響を受けたことも事実でございますから、こういうことなどは、さらにこれに力を入れていくということも一つの考え方ではなかろうかと思っております。
 それから、この考え方は、私はこういう際に一つの大きなねらいは、一面において国際緊張というものを起こさないようにするという努力、これが私は終局的な日本民族のねらいでなければならないと思います。私は現実の日本を取り巻く状況が、ここは認識の違いがおありかと思いますけれども、私の認識としては、現状は安心ができないから安保条約によって危険を未然に防止しようというところに安保条約の私どもは重要性を認めておりますが、終局的にはこうした緊張がなくなることなんです。沖縄を例にとれば、事前協議というようなものが予想されない状況がまず必要なわけですね。それを私はクリエートしたい、そういう方向に少なくとも考え方を持っていきたい。国際緊張の緩和ということに役立てるためには、この核の軍縮の問題というようなことが一番基本の問題ではなかろうかと思いますから、それに結びつけてまいりたい。
 それから、もう一つのお尋ねは核散防止条約でございますが、これはもう私は精神的にもちろん前々から内閣としても意向を表明しておりますように、趣旨にいわば賛成でございます。しかし、これは先ほど申しましたように、日本の立場というものは、クッドハブ・カントリーであるが軍事利用を絶対しないということを世界に誓っているわけですが、同時に、平和利用というようなことについては、持てる国米ソあるいはその他の国と完全に同じでなければならない。そのほかやはりいろいろ考えなければならぬ問題もあると思いますから、私は、政府として態度をきめるときには、国会の中でも御承認がいただけるような、十分国民に核散防止条約についての啓発と認識についてのコンセンサスができるときにこれを取り上げるのが一番誠実な行き方ではなかろうかと思います。世の中には、たとえば核抜きを私どもが主張しておりますから、それと何か核散防止条約とを取引の具に供するのであろうかとか、あるいは、ENDCに入れてもらったのでその御返礼にNPTの調印をするのだろうかとか、いろいろの説もあり、その中にはもっともらしい説もあるかと思いますけれども、やはり私は核散防止条約についてはもう少しほんものの論議が日本の国内においても必要ではないだろうか、それの行き方によって最終的に態度をきめるべきものではないか、まあ、私はかように考えて、まずじっくり腰を落ちつけて本件に対処いたしたい。ただ、昨日衆議院の委員会でも申し上げましたが、率直に申し上げて、関係国から見れば、日本のこういった各種の主張、あるいはENDCに参加したというこの現実の状況に即して、米ソ両国をはじめ日本にNPTの調印を早くしてもらいたいなあという空気は従来より一段と強まってくるであろう、このことだけは否定はできませんと、こうは申し上げているわけでございますが、要するに、日本の主体的の立場をきめるのにはもう少し時間がほしいというのが偽らざる私の現在の心境でございます。
#40
○森元治郎君 ちょっと関連して。
 事実を聞きたいんだが、大臣、いま、日本の核探知能力、地震研究の世界的な権威ある国だということはわかったんですが、よくストックホルムあたりの電報あるいはアメリカの電報で、どこどこで、シベリアの奥のほうで大きな実験があったらしいということをときどき発表しますね。日本は一回もどうも発表したようなことないんですが、ああいうことは聞いてはおるんだけれども発表しないのか。あるいは、さようなことには触れないようにつとめておるのか。どうなんですか、その間の事情をひとつ。
#41
○国務大臣(愛知揆一君) これはまことに情けないことでございますけれども、自信を持って、科学的な根拠を持って発表するだけの施設も研究設備もない、まだそこまで行ってないということは言えると思います。
#42
○羽生三七君 実はいまのその問題で、松代に地震研究センターをつくりましたね。これは佐藤総理と私直接懇談の機会を持たしてもらって、いまのお話にあったように、松代地震の研究だけでなしに、核探知クラブに加入したちょうど直後でありましたから、それに最大限に利用するようにうんと費用をかけて十分おやりになったらどうかと言って、総理も約束されたけれども、これは気象庁が当時非常に――やめた方のことを言っちゃいかぬけれども――当時の長官が、予算関係のことでいろいろなめんどうなことがあって思うようにいかなかったわけですね。これは非常に残念なことで、ぜひこの機会にこれの拡大と、それからもう一つは軍縮室、これはやはり世界の十八ヵ国に参加しておる国々は相当の規模の組織を持っておると思うのです。ですから、外務省としても軍縮室をほんとうに参加に値する活動ができるような規模にして責任を果たしてもらいたいと、これは希望申し上げておきます。
#43
○西村関一君 いま羽生委員からのお話もございましたが、私も軍縮室が室長以下わずか八名ぐらいの人員でやっておられるということに対して、任務の重大性にかんがみましてはなはだ弱いじゃないかと、仙石室長が長くこのENDCに対して非常に日陰の状態にありながら、わが国は加盟してないのですから、非常に苦労してこれにフォローしておられた状態を、私はしばしばジュネーブに参りましてよく承知しております。それだけに、きょうのこの日が迎えられたということに対して、仙石氏はその労が報いられたことを感じておると思うのであります。私は、できるならば軍縮室を軍縮局にまで引き上げていただきたい。かつて移住局を廃止なすった例もあるのでございますから、省内のそういう格上げとか格下げとかいうことも、大臣のお考えによって、これは行政機構の整理の問題とも関連いたしますけれども、ぜひそういうお考えをお持ちいただいてこれを重視していただきたいということと、先ほど御質問いたしました中で、将来――いますぐにとは言いませんが、――ENDCの議長国に立候補なさるというくらいのお考えをお持ちになっておるかどうか、その点をお伺いしておきたいと思います。
#44
○国務大臣(愛知揆一君) 前段のお話、それから羽生さんの御意見ですが、これはたいへんありがたい御激励のおことばで、この問題について社会党の先輩の各位からこういうお話をあらためて伺いましたことは、ENDCに加盟ができたこの機会でありますだけに、非常に私はありがたいことだと思います。どうか、本件についてはほんとうに国民的なコンセンサスが生まれてくることが望ましい。また、それだけに政府としても最善の努力をしなければならないと思っております。で、軍縮室の拡充についてもいろいろ事務的な案もございます。それから私も各国の状況などもずいぶん調べてみたのですが、必ずしもそれ自体としては膨大な機構でない。しかし、この問題の性格上、何と申しましょうか、ことばは悪いかもしれませんが、官・民というかあるいは政・官・民というか、その他の各界各層の衆知を集めてそれを国としてまとめてこれを提案しあるいは推進するという、その何と申しますか、組織力というかコオーディネーション、そのメカニズムに各国は非常な苦心をしております。たとえば軍縮室という名前のところだけとってみれば、日本の軍縮室と人数においてはあまり変わりのないくらいな、極端に言えば、そういう組織のところであっても十分の働きをしているところがある。なぜそれができるかといえば、関係各省はもとよりのこと、この軍縮とか核の問題ということになりますと、ありとあらゆるところが一本にまとまって国としての動き方ができる。これは非常に私は日本の場合にも参考にしなければならぬことだと思いますから、十分ひとつあらためて組織の拡充については努力をいたしたいと思っております。
 第二段の議長国立候補の問題、これも御意見として承っておきますが、まあ、これ何ぶんにも多年の努力が実ってようやく入ったばかりのときで、入って最初の総会を前にして、おれは議長国になるぞなどと言うのもいかがと思いますので、その意欲を私どもも大いに尊敬申し上げ、そういう気持ちでひとつやってまいりたいと思います。
#45
○西村関一君 大臣の時間が迫ってきましたので、私は非常に残念に思うのでございますが、この問題につきましてはこのくらいにいたしまして、ベトナムの問題について、他の政府委員の方にはあとからお聞きをいたしますけれども、大臣にどうしても聞いておかなければならぬと思う点だけをお伺いしておきたいと思います。
 パリにおけるところのベトナム和平拡大会議がかなりの経緯を経まして今日まだ難航をいたしておりますが、しかし、一方ベトナムの情勢というものは、ここしばらくの間に非常な変化を来たしておることは御承知のとおりでございます。南ベトナムにおきましてはファト人民政権なるものが樹立されまして、四十四省のうち二十一省、三つの都市――サイゴン、ユエ、カント等にそれぞれ州及び都市の政府が樹立されておるわけでございます。そういうような非常な変化を来たしておるときに、また一方南ベトナムの南ベトナム共和国内において和解政府の動きが出ておる。これに対する弾圧も起こっておる。実は最近私のところに、南ベトナム共和国、すなわちサイゴン政府の国会議員の一人がたずねてまいられまして、非常な決意のもとに、いまのチュー・キ政権に対してアメリカは手を切ってもらいたいという、アメリカ政府及び国民への要望書を持って私のところへ来られました。いま名前は伏せておきたいと思いますが、そういう動きが出ておるということに対しましてどういうふうに政府としてはこの情勢を見ておられるかということと、それから、いよいよ交渉が成立した場合に、アメリカ軍隊が引き上げる、また北が南から北へ引き上げるということに対する国際的な監視機関を置くということにつきましては、これは南ベトナム解放民族戦線の十の提案の中の第十項にそのこともあるのでございまして、アメリカのニクソンの演説の八項目の中にもあるわけでございます。そういう点に対して、先般佐藤総理は、シビリアンならばよかろうと、日本がこれに参加するかせぬかという質問に対して、そういうあいまいなことをサイゴン政府の外務大臣に対して答えておられる。愛知外相は、これは日本としてはなかなかそう簡単にきめられぬというお話でございますが、この点につきまして、いまはちょうどデンマークのハートリング外相が来ておられますから、北欧五ヵ国及びカナダ等がとっておりますところの国連警察隊――セキュリティー・パワーに対して義勇――つまりヴォランティーアを募って、これをそれぞれの国の政府の軍隊とは別にそういうものを待機させる。そして訓練させる。そして国連の用にこれを供する。こういう方式をとっておられることは御存じのとおりだと思うのでございます。カナダもこれと同じことをやっている。その中には、ただ制服の軍人ではない、またいわゆる制服であっても軍に関係するものではない、たとえば警察官、ニュージーランドからキプロスに派遣しているように、警察官がそれに参加しておるとか、あるいは測量の技術者であるとか、あるいは調停官であるとか、法律家であるとか、そういう人たちをもって待機せしめて、国連のそういう監視機構に参加せしめるというような方式も考えられるわけでございますが、憲法に抵触しない形で国連の監視機関に参加させるという方式も、私はハートリング・デンマーク外相と大臣がお会いになったときにもあるいはそういう話が出たかもわからぬと思いますけれども、そういう点について、もう時間がありませんから簡潔にお答えいただいて、あとは政府委員の方に御質問いたします。
#46
○国務大臣(愛知揆一君) ベトナム問題についてまず最初のお尋ねは二つに分かれると思うのですが、一つはいわゆるシースファイア――戦闘行動の停止ということ、それから一つは南越の政治形態の問題、この二つについて。まあ、私どもとしては、御承知のように、参戦国でもないし当事者でもございませんから、求められれば場合によってお手伝いということもありましょうが、さようなこともないと思いますので、ただ、何といいますか、横から、戦闘行動が一日も早くパリ会談の結論によってとまること、それから、政治問題というものも双方の話し合いによって煮詰まって決着がつくこと、これをひたすら望んでおることは御承知のとおりでございます。それから、幸いにしてパリ会談で一つの結論が出た場合に予想される問題として、ICCですか、国際監視機関の問題が出てくるであろうことも、これも予想されるわけですが、しかし、一体どういうふうな国際会議のようなものが結成されるのか、どういうような態様の、ICCが改組されるのか新設されるのか、全くいままだ見当もつかない問題でございますから、政府としては、おそらくそういうものができればかなりの資材、機械類も必要であろう、十分お手伝いしなければなるまい、あるいはずいぶん資金もかかるであろう、資金のお手伝いもしなければなるまい、また、現行の法制の許す中では、人的お手伝いもしなければならない場合もありましょうと。ただ、これは憲法に許されるとしても、自衛隊法その他の関係もございますから、軽々に私は意見を言うべきではないと思います。現在の法制のもとにおきましては、相当の大ぜいの組織体が出かけて行ってお手伝いをするということが、私は非常に問題だと思いますから、そういうことを南越政府のほうのみならず、求められた場合にはそういう意見を私は申しておりますことは御承知のとおりでございます。今後の研究にまつべき問題が相当多いと思います。たとえば国際会議がこういったような問題について持たれる。その会議の中には、非同盟も、中立も、共産も、自由主義もというような、全部が参加をするようなところが、そこの発議でICCが改組されるとか、そうしてその国際会議が一致して日本国に協力を求めるといったような、たとえてみれば、これは観念的な仮定の問題ですが、そういうふうなことにでもなれば、また私は日本としても考えざるを得ないこともありましょうが、しかしその場合でも、いろいろ日本としては手続その他で慎重に検討しなきゃならない問題もございましょう。要するに、これは今後の仮定の事実を仮定しながら結論を言うべき問題ではない。政府としてはそういう態度であるべきであると、私はこういうふうに思っておりますが、ただいまたいへん示唆の多い前向きのお話を承りましたことは、私としては非常に参考になりますことを申し上げておきたいと思います。
#47
○委員長(山本利壽君) それでは、外務大臣はお約束によりまして退席されますから、続いて他の係官に御質問をどうぞ。
 いま大臣は退席されましたが、続いて田中外務政務次官がかわって出席されました。
 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#48
○委員長(山本利壽君) 次に、太平洋諸島信託統治地域に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 を議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#49
○羽生三七君 この問題が国連の信託統治理事会で審議されたこともあるのかどうか、審議されたとすれば、どういう点が問題になったのか。あるいは、これは純然たる日米間の話し合いが中心なのか、あるいは現地住民との間に話し合いがついておるのかどうか。現地住民との間の話し合いがついているとすれば、現地住民とはどういう形で話がつけられたのか。その間の事情をひとつお聞かせ願いたい。
#50
○政府委員(田中六助君) お答えいたします。
 国連との話し合いでございますが、国連の中で話し合いがあっておるかという点でございますが、昭和二十五年以来たびたびこの問題は取り上げられておりますし、現地の調査にも数回国連から派遣されておりまして、現地住民の意見というものを国連のメンバーが聞きまして、そうしてわが国にも、あるいはアメリカにも勧告しておりますし、国連内部でもたびたび議題になっております。
 詳細につきましては説明員から答えさせます。
#51
○説明員(大河原良雄君) ただいま政務次官から御説明、御答弁ございましたように、この問題が初めて国連で取り上げられましたのは昭和二十五年でございまして、自来今日に至るまで、毎年の国連信託統治理事会におきまして議題として取り上げられております。その間、国連の信託統治理事会といたしましては、三年ごとに現地に調査団を派遣いたしまして、現地の実情調査並びに現地住民の要望の聴取と、こういうふうなかっこうをいたしまして、現地の事情は国連の信託統治理事会におきまして十分把握されておったと、こういう状況でございます。
#52
○羽生三七君 いや、その問題は、国連のことはわかりましたが、この案件の処理そのものが日米間の話し合い中心なのか、現地住民とはどんな形で接触があるのか、その点です。
#53
○説明員(大河原良雄君) 国連の場におきまして、先ほど申し上げましたような形で毎年国連信託統治理事会の議題になってまいっておったわけでございますけれども、信託統治理事国のアメリカといたしましては、現地住民の要望に対しましてしかるべき措置をとるという責任があるわけでございまして、信託統治理事会におきましては、現地住民が戦争中にこうむりました被害、損害、こういうものに対する措置を求める声が逐年高まっておりまして、その観点におきまして日米間におきまして数年来折衝が行なわれました結果、今回用地住民の福祉をはかるという見地から日米間の協定が取り結ばれたと、こういうことでございます
#54
○羽生三七君 それで、この十八億円はアメリカ側が自由に使うのか。これ、使途は住民の福祉ということだけで、特別の明示がないわけですね。ですから、何か、そういう抽象的なことだけなのか、特別に一定の計画があって、現地住民も参加し、了承して使われるのか、その辺はどういうことなんですか。
#55
○説明員(大河原良雄君) 日米双方が五百万ドルずつ拠出いたしまして、現地住民の福祉のために使うという大前提があるわけでございますが、米側といたしましては、現地住民に直接支出をいたしたいという考え方であり、日本側といたしましては、役務並びに生産財の提供という原則でこの交渉をまとめておりますので、この拠出をいたしました合計一千万ドルの金が、施政当局であります米側によりまして現地住民の福祉のために使われるということになるわけでございます。したがいまして、今後日米間におきましてこれを具体的にどういう形で何に使うのかということは、細目取りきめを結ぶ段階において固まっていくと、こういうことでございます。
#56
○羽生三七君 このミクロネシア地域における日本側の財産及びその請求権というものはどういうことになっておるのか、お伺いします。
#57
○説明員(高島益郎君) この協定に書いてございますとおり、平和条約の第四条に……。
#58
○羽生三七君 いや、どの程度か。
#59
○説明員(大河原良雄君) 現地の住民が訴えております戦争中の被害額につきましては、いろんな数字がございまして、信託統治理事会の調査団がまとめ上げました数字でも約二千万ドルから五千万ドルの間ぐらいに広がっております。大体信託統治理事会の調査団は二千数百万ドルという見当の調査をいたしております。
#60
○羽生三七君 そうでなしに、逆に、日本側がこうむったといいますか、日本側がそこに残してきて、何か処理しなければならぬというような、そういうものがあるとすればそれはどの程度のものか。それは全部放棄しちゃって何もないものか、あったとすればどの程度のものか、こういう意味です。
#61
○説明員(高島益郎君) お答えいたします。
 日本側の現地に残してきました財産につきましては、占領軍でありました米海軍が全部没収措置をとりまして没収されておりますので、具体的に戦争の結果、もし若干の残ったものがあるとしますれば、その財産も含めまして一切の財産が没収されたというのが事実でございます。そのことが平和条約の第四条の(b)項によって日本に義務として認めさせられておりますので、そのことを今回の協定によってさらに確認しているというのがこの協定の規定でございます。
#62
○説明員(大河原良雄君) いまの高島参事官からの御説明に補足いたしまして、先ほど金額についての御質問がございましたので、わかっております数字を申し上げますと、米軍の命令によりまして引き渡しました旧南洋委任統治領におきます郵便局の保管の現金が約百八十六万円、それから、戦時中米軍に押収されたものと認められる郵便局の保管現金これが約四百八十万円余、合計いたしまして郵便局関係で約六百六十八万円、こういう数字が記録されております。
#63
○羽生三七君 次に、この協定と漁船の寄港問題とは一体どういう関係があるのか、これをこの議案の中に含めないで参考とした理由は一体何なのか。これは、実はこれで日本の漁船が寄港できることになるわけですが、私の知り合いの人がこの島々の近くへこの間行ったわけです。詳細に見てきた。ところが、もうこれはアメリカの専有漁場みたいになってしまって、絶対にいままで日本の漁船は寄りつけなかった。アメリカのその使っている船は全部沖縄ですね。沖縄から低賃で漁船をチャーターしてそれを使ってアメリカが独占的なこの漁場を形成しているわけです。それは私の友人が詳細にそれを調べてきたわけですが、これは、ほかに大学の学生を引率して海洋問題の調査ということで行ったついでのことです。まあ、それはいいとして、それが一体、漁船の寄港という問題がこの協定とどういう関係を持つのか。これは木に竹を継いだような気がするのですが、これをひとつ。
#64
○政府委員(田中六助君) 大体このミクロネシア諸島の賠償というものは、日本側としてはその義務がないということを根本的に主張しておったわけでございます。しかし、住民それから国連の信託統治理事会、そういうものの客観的なまあ裁判といいますか、そういう第三者の公平な見方ということの判決が非常に強い動きとなってあらわれてきた結果でございますが、そうすると、日本側に何もメリットがないのじゃないかという疑問が当然わくわけでございます。しかし、羽生委員のおっしゃるのは、詳細に調べた結果日本の漁船の働く余地がないような調査でございますが、私どもが知っておる限りではやはりカツオ、マグロの大きな漁場でございますし、日本の漁船もかなり行っておりまして、この寄港とか油の補給、そういう面につきましては十分利用できますし、わざわざ日本に帰って補給あるいは帰港などをするよりもずいぶん経済的に助かるというメリットがあるわけでございますので、そういう点を内容の中に織り込むことはちょっと問題がありますが、そういうわけで附属部分でそういう点も述べたわけでございます。
#65
○羽生三七君 いや、その利益はいいのですよ。今後起こるべき利益はいいけれども、その協定の体裁上、突然これ入ってくるのおかしいということを言っているのです。
#66
○説明員(高島益郎君) この交換公文の法的な説明をいたしますと、一般的に申しまして、国際法上漁港を外国の漁船に開放するかどうかという問題は、いわゆる主権の行使といたしましてかってに禁じたり許したりすることができるわけでございます。この交換公文では、もっぱらアメリカ側が日本に対しまして開放をする意思を有するという通告でございまして、日米間にこのような趣旨の合意をしたということは必ずしも法的には申し得ません。アメリカ側がそのような意思を有するということをこの交換公文で確認しただけのことでございまして、日米間のいわゆる法的な意味での合意ということは必ずしも申し得ないと思います。そういうかっこうで、実は実態的には、ここに書いてございますとおり、日本の漁船が、日本が金を拠出し得るようになってから引き続きずっとトラックとパラオに寄港できるようになるわけでございますけれども、そのことを法的に合意したというものではございません。その意味でその点を参考としまして提出いたした次第でございます。
#67
○羽生三七君 そうすると、都合が悪ければ向こうはいつでも拒否できる権利を留保しているわけですね。
#68
○説明員(高島益郎君) 法的に申しまするとそういうことになります。しかし、その点はわれわれの交渉の過程におきまする米国側の態度から判断しまして、そういうことは考えられないというふうに考えております。
#69
○森元治郎君 関連して。
 政府委員ね、これはもともとアメリカが施政権者として払うべきものを、ああでもない、こうでもないと言って問題を避けるものだから、時間がたつにつれ責められる。信託統治理事会でも行き帰り責められる。そうかといって、よく考えてみたら、非武装であるべき委任統治地域を日本が武装して、そしてとうとう戦闘が行なわれるようになったのだ。なるほど自分のほうも爆弾をたくさん落としたけれども、もともと日本が戦争をしかけなければ戦争にならなかった。アメリカひとりばかり払わせられる理由はない。そうして、日本にも応分の支出をしろときた。そうしたら日本は、法律的には平和条約で済んでいる。平和条約などをめぐってやっさもっさやっているうちに、法律論はやめにして、戦争はお互いにやってこの地域住民に災害を与えたのだから、お互いに半分出そうということできまった。アメリカとしては、日本が応じてくれたので、船で魚をとりにきたものはこの地域の島々にちょっと寄ってくれてもいいということでそういうことになった。そうだろう。
#70
○説明員(高島益郎君) 事実は全く逆でございまして、昭和二十五年以来、信託統治理事会でもっぱら要求しておりましたのは、日本に対する戦争損害の賠償を請求していたのが真相でございます。そういうことで、従来ずっと日本に対する戦争損害賠償請求という形で提起された問題も、アメリカが一手に引き受けて何とかいたしましょうということで日米間の交渉に出てきたわけでございます。しかしただ、あまりに長く続くと、最近の信託統治理事会におきましては、アメリカもこれに対する応分の措置をとるべきだという空気は最近出てまいりましたが、その結果、日米双方で等分の額を出すことによって住民の福祉に貢献しようということに取りきめたわけでございます。
#71
○羽生三七君 同じくこの交換公文に沈船引き揚げの件がございますね、これはどの程度の船が引き揚げられる可能性があるのか。
#72
○説明員(大河原良雄君) 沈船につきましては、詳しいデータが必ずしもはっきりいたしませんですが、大体今日までにつかんでおります資料によりますと、約七十隻余、三十万トンちょっとくらいのものになるのではなかろうか、こういう算定がございます。これがはたして現在引き揚げました場合にどの程度の経済価値を持っているかということにつきましては、具体的な資料を持ち合わしておりません。
#73
○羽生三七君 ある程度の可能性があるからこそこの交換公文の中に入れたと思うのですが、全然なければ問題にならぬと思うのですが、これはよろしゅうございます。
#74
○西村関一君 関連。
 沈船の問題につきまして、経済的な価値がないということだけでは済まされぬと思うのです。この沈船の中には、相当多数の犠牲者の遺骨が海底に沈んでいると思う。それは経済的な価値を度外視して、戦争処理という立場からこの引き揚げをやるべき責任がやっぱり日本政府にあるのじゃないかというふうに考えるのですが、その沈船の中にあるいはどういう種類の船が沈んでいるかは私はわかりませんが、そういう調査をなさったことがございますか。
#75
○説明員(村岡達志君) ただいま外務省のほうからお話がございましたように、この地域で沈んだ船が約七十隻余ということになっておりますが、このうち現在までに引き揚げられました船が十一隻ございまして、その際に収容いたしました遺体が二百二十八柱でございます。なお、戦没者がございましてまだ沈んだままになっております船がございますが、これは二十八隻、それでその関係の戦没者は約一千名でございます。かようにこの方面の海域で引き揚げられた船が十一隻あるわけでございますが、残る艦船につきましては、今後の現場の調査を待たなければその実情は判明しないような状況でございます。したがいまして、今後は外務省と連絡を密にいたしまして、現場の実情を調査いたしまして、その上で遺体の収容につきましても十分検討をし考慮してまいりたい、こう考えておるところでございます。
#76
○西村関一君 田中外務政務次官、いまお聞き及びのとおりでございますが、まだ幾多の恨みをのんで海底に沈んだ犠牲者の遺骨があるということですね。これは調査の結果、その数はまだふえるだろうと思います。この交換公文によりますと、三年間の猶余期間しかない。ぐずぐずしているうちに三年間たっちゃうと、もう引き揚げることはできないという事態になるわけでございますから、その点については、ただ経済ベースに乗らないから引き揚げないというようなことでなしに、違った次元に立ってこのことを政府としては意欲的に取り上げてもらいたいと思いますが、政務次官の見解をただしておきたいと思います。
#77
○政府委員(田中六助君) あと調査の段階を待たなくちゃいけませんが、現在の調査の段階で、すでに千名程度のまだ遺体が沈んでおるという厳粛な事実がございますので、私ども政府といたしましては、委員のおっしゃるように、十分できるだけこの期間中に千名の遺体の引き揚げられる方策をとりたいというふうに考えます。
#78
○羽生三七君 このミクロネシアの原住民が、将来の自分の地位、これについて国連に対して何らかの要望なり希望を述べておるというような事実はありませんか。
#79
○説明員(大河原良雄君) 現地では、現在ミクロネシア議会というものが設けられておりまして、両院組織となっておりますが、しかしながら、現地住民といたしましては、国連に対しまして、政治的地位委員会というものを任命いたしまして、これをもとに、信託統治理事会の機関に現地の意向はしかじかである、自治並びに独立というふうな方向を目ざすものであるというふうな働きかけを年々いたしております。
#80
○羽生三七君 信託統治地域となっているところが戦略地区、非戦略地区と分かれておるようですが、閉鎖されておるところは一体どこなのか。それから、現在軍事基地はどういうところにあるのか、その辺のことをわかったら聞かせてください。
#81
○説明員(大河原良雄君) ミクロネシア諸島全部が戦略地域として指定はされておりますけれども、現実に閉鎖地域として指定されておりますのは、ケゼリン方面だけでございます。この地域にどういう施設があるかにつきましてはつまびらかにいたしておりません。
#82
○西村関一君 ただいまの、ケゼリン地区についてはつまびらかにすることができないという御答弁でございましたが、そこには何か秘密な核基地がつくられておるというふうにいわれておるのでございます。沖縄返還後における米軍の基地としてこのミクロネシア群島地域、海域が重要な戦略地域になるということに対して、原住民も、また日本を含めてアジアの諸国民の中に相当な危惧の念があると思いますが、そういう点に対してはどういうふうにお考えになっておられますか。
#83
○説明員(大河原良雄君) 先ほど私申し上げましたケゼリン島につきましては、ミサイル関係の基地であろうというふうに伝えられておりますけれども、それ以外の地域につきましては、現在米側が軍事的な基地を持っているということはないというふうに承知しております。
#84
○西村関一君 最初、ミクロネシアのほうから国連を通してアメリカ政府に要求したのは二千四百万ドルと伝えられておりますが、それが五百万ドルずつになったという経過についてはいかがでございますか。
#85
○説明員(大河原良雄君) これも先ほど申し上げましたけれども、現地住民の申し立てます被害額につきましてはかなりの幅がございまして、一番大きい額につきましては約五千万ドルという数字が出ておりますし、いま御指摘の二千四百万ドルという数字も、信託統治理事会の調査団によって報告されておりますけれども、これを具体的に確認する手段がございませんので、これをそのまま被害額として対処するということもどうかということでございまして、米側との交渉におきましては、そういう現地の被害額をも十分考慮に入れました上で、日米間でこの地域の住民福祉のために経済協力をやるという観点から五百万ドルずつ支出するという協定ができたわけでございます。
#86
○西村関一君 次に、土地問題についてでございますが、もしアメリカ側が軍事基地に使用するというような場合には、ミクロネシア議会の同意を得る必要があるということを現地では言っているようでございますが、その点に対してアメリカの軍当局は驚きの念をあらわしておるということが新聞に報ぜられておるのですが、この点はいかがでしょうか、土地の使用の問題。沖縄の問題とも関連いたします。
#87
○説明員(大河原良雄君) 現在、サイパン島に上院十二名、下院二十一名より成りますミクロネシア議会が設けられておりまして、これが住民の一般投票によって選出されました議員によって成り立っておりますけれども、これが島民がこの地域の施政に参加する一つの方策となっているわけでございますが、軍事基地にするかどうかという問題につきましては、先般来いろんな新聞情報等が流れておりますけれども、五月の初めにこの地域を訪問いたしましたヒッケル内務長官は、アメリカに帰りましたあとで、米側としてはこの地域の経済社会面での開発を重点的に考えているものであって、軍事基地化というふうなことは自分は全く承知しておらない、こういうふうに述べております。
#88
○西村関一君 現地住民の不満といいましょうか、不平といいましょうか、それはアメリカ本国との間に物的、人的ないろんな差別があるということでございます。物的にいえば、貿易上の差別があってアメリカ本土並みの自由な貿易ができないという点がある。人的な制限から申しますと、旅行、移住、つまり居住の制限があるし、福祉の面においても非常に劣っている。また、言論の自由につきましても、現地新聞に対する弾圧が行なわれている。土地問題もかなり起こっているということが伝えられているのでございますが、そういう点に対してはいかがでございますか。
#89
○説明員(大河原良雄君) 経済的な地位につきましては、御指摘のとおりに、たとえばグアムに比べましてもこの地域のほうが生活水準が劣っておりますとかいろんな問題があることはそのとおりかと存じます。ただ、この地域の住民は、先ほど申し上げましたように、一応ミクロネシア議会というものを通じて行政に参画いたしておりますのみならず、独自の政治的地位委員会を設けまして、将来のこの地域のあり方というものについてのいろんな調査を自分たちの手で現にやっておりまして、プエルトリコでありますとか、バージン諸島でありますとか、あるいは米領西サモア等々、アメリカの施政下にこの地域とかなり同様の問題を持っておる、あるいは同様の関係にあります地域の実情を検討調査いたしまして、そういうものをもとに将来のこの地域の政治的な方向というものの調査報告をまとめるというふうなこともやっておりますが、その委員会は、将来自分たちの進むべき政治的方向としては、アメリカとの間に自由な連合関係を設定するということが第一であり、それができない場合に、この地域としての独立を考えたい、こういうふうなことも言っているわけであります。
#90
○西村関一君 独立に対する希望が非常に強くなっているということでございますが、現在までこのくらいの、人口十万そこそこの、あるいは人口二十万あるいは十万以下で独立をしているところの国が世界に幾つくらいございますか。
#91
○説明員(大河原良雄君) 手元に具体的な資料を持ち合わせませんので的確な御返事をいたしかねますが、国連が現在持っております信託統治地域といたしましては、このミクロネシアとニューギニアと二つだけでございまして、したがって、全世界におきまして独立を希望する諸国はそれぞれほぼその目的を達して独立を行なっているということが言えるかと思いますが、最近比較的新しい段階で独立いたしましたナウルなどは、やはり人口的にも相当小さい地域でございましたし、あるいはわずか十万足らずのこの地域としても、人口の面では独立ということが考えられるのかもしれませんですが、その点はちょっと資料持ち合わせませんので、はっきりお答えできかねます。
#92
○西村関一君 先回の委員会においても伺ったのでございますが、一九七二年に国民投票を行なうということをジョンソン前大統領が一応認めたのでありますが、議会でこれがまあ圧殺されたといういきさつがあるやに聞いておりますが、ニューギニアにおきましても同じような事態が起こっている。一九七二年には国民投票を行なう、大体そういう方向に向かっているというふうに考えられるのでございますが、その間に対する見通しはどうでございますか。
#93
○説明員(大河原良雄君) ただいま御指摘の七二年に住民投票という問題につきましては、実は一九六六年にミクロネシア議会が上下両院共同の決議をもちまして、高等弁務官を通じ、米国の大統領に対しまして、ミクロネシアの政治的将来を検討するための委員会を任命してもらいたい、こういう要請をいたしました。この要請に沿いまして、米国政府としましては、一九六七年に議会に対しまして、一九七二年の六月三十日までに、ミクロネシアの政治的将来について住民投票を行なうという内容を盛りました上下両院の共同決議案を提出したのでございますけれども、この決議案は議会の承認を得ないままで不成立に終わったという経緯があるわけでございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、ミクロネシア住民の政治的将来に対する強い希望は依然として残っておるわけでございますから、いろんな機会にこの政治的将来をはっきりしたいという動きは引き続いて出てまいるものと、こういうふうに考えております。
#94
○西村関一君 最後に一問だけ。
 この問題につきましては、過般の太平洋戦争においてミクロネシア住民の上に重大な犠牲を払わしたというわが国といたしましては非常な大きな責任があると思うのでございます。ただ十八億円の金を出すということだけでは責任が果たされたとは言えないんでございまして、いま政府委員のお答えのうちにありましたように、いろんないきさつがございますし事情がございますけれども、わが国といたしましては十八億円を拠出するというだけでなしに、地域住民の独立への意向を援助する、経済的に援助する、あるいは福祉的に援助する、あるいは資材をもって援助するということことだけでなしに、精神的にエンカレッジしていく。そして一日も早く独立せしめるように物心両面からの努力をしていかなければならぬと、こういうふうに私は考えるのでございますけれども、政務次官、いかがでございますか。
#95
○政府委員(田中六助君) 仰せのように、ごもっともなことでございます。特に御承知のように、この島には日系の島民もかなりおりますし、私どもも、この十八億円を出すということの趣旨の中には、今後の経済協力、つまり後進国を開発するという意味が十分含まれておりますし、島民を独立へエンカレッジするということは私ども十分考えの中に入れて今後ともいきたいというふうに考えます。
#96
○委員長(山本利壽君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#97
○委員長(山本利壽君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#98
○委員長(山本利壽君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 太平洋諸島信託統治地域に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#99
○委員長(山本利壽君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#100
○委員長(山本利壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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