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#1
第061回国会 外務委員会 第17号
昭和四十四年七月一日(火曜日)
   午前十時三十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 利壽君
    理 事
                佐藤 一郎君
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
                森 元治郎君
    委 員
                梶原 茂嘉君
                杉原 荒太君
                廣瀬 久忠君
                三木與吉郎君
                岡  三郎君
                西村 関一君
                羽生 三七君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       防衛施設庁施設
       部長       鶴崎  敏君
       外務省アメリカ
       局長       東郷 文彦君
       外務省条約局長  佐藤 正二君
       外務省国際連合
       局長       重光  晶君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際情勢等に関する調査
 (国際情勢に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本利壽君) それでは、ただいまから外務委員会を開会いたします。
 国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○森元治郎君 きょうは水戸射爆場の返還問題。たぶん大臣は科学技術庁長官もおやりになったのじゃないかと思いますが、事情は若干はお知りになっていると思うんです。ぎりぎりに来まして形勢が悪くなって、例の新島への移転というのは、事務折衝の段階でも非常に困難な形になってきたようで、政府としてもよほど腹をはっきりきめなきゃならぬ段階に来たように、よそからは見えるんです。そこでまず初めに、防衛施設庁関係のほうに、おいでになっていると思いますが、ごく最近の事情、見通し等を伺って、大臣もそれを頭に入れられて御答弁になるのが便利になるかと思うんです。
#4
○政府委員(鶴崎敏君) 水戸射爆場の新島移転問題の最近の経過でございますが、御承知のように、新島の本村が従来射爆場の移転について非常に強い反対をしておりました。何としても地元を説得するということが一番問題のポイントになっておったわけでございます。そこで、従来ともこの地元の説得に政府としていろいろ努力をしておったわけでございますが、ことしの三月に地元に対しまして、政府のこの問題についての基本的な考え方、並びに、地元がこの射爆場の移転を受け入れるならば、こういった対策事業と申しますか、そういったことも考えようというような内容を項目的に掲げまして、何とか射爆場の移転に協力をいただきたいということを、正式に東京都知事を経由しまして地元の新島本村に要請をしたわけでございます。しかしながら、遺憾ながら、地元としましてはこの問題について議会を開きました結果、この射爆場の移転については反対である。要するに、否決するという議決をしまして、これが東京都知事を経由しまして四月に防衛庁のほうに回答が来たわけでございます。それからその後、もう一つの問題点としましては、これは横田の飛行場から新島の現地に米軍機が飛行する場合の民間航空路との調整問題かございました。これにつきましても、米側の出しておる飛行経路、高度等を運輸省のほうに示しましてこの調整をはかっておるわけでございますが、これにつきまして、運輸省のほうからは四つばかり条件を出してきております。このうち一部は米側とすでに調整済みでございますが、何としてもまだ未調整で残っている問題としましては、横田の飛行場から新島に飛ぶ場合に、いま非常にふくそうしておりますところの民間航空路を横断する形になる。そこで、これを横断する場合には、きわめて高いところ、たとえば三万七千フィート以上、あるいはきわめて低い四千フィート以下のところを飛んで横断するということにしないと、非常に民間航空路との関係上危険であるということがまだ未調整で残っております。そこで、米側に対しましては、この高度のほうは実際問題として不可能に近いということから、四千フィート以下で横田から新島まで飛行する案について提案をしておりますけれども、御承知のように、ジェット機というものはたいがい相当高いところを飛ぶ。四千フィート以下を飛ぶということは、燃料消費その他において非常に米軍の訓練上支障があるというような回答が来ておりまして、主としてはこの問題がまだ未調整で残っておるけれども、なおその調整について努力しておるというのが現段階の状況でございます。
#5
○森元治郎君 その同じ役所の中の運輸省が四千フィート――千三百メートルくらいですね――そこらで飛べということは、これは、しろうとが聞いたって、反対ということですよ。天候いかんにかかわらず、あの早いジェット機、しかも、何が飛ぶか私知りませんが、もっと早いのが飛ぶかもしれない。それが狭められた細いところを、何の幅もない――左右何キロ、その上空何千キロくらいの幅とか、いろいろなことがあるならとにかく、四千フィートの下を飛べということは、こんなことは飛ぶなと言うことにひとしいと思うのです。大臣、この反対は、茨城県の場合は、昭和二十七年から今日まで十七年くらい反対。それは自民党をはじめ各党全部一致、県の議会も一致して、反対運動としては珍しい完全な各政党、団体、住民の反対が一致して、乱れず今日まで来ております。東京の議会も反対、新島本村も反対、北は青森から南は鹿児島などの各県の水産の関係者十五都府県の団体も反対です。水産庁は、防衛庁と私たちが過去の接触した記録を振り返ってみると去年あたりのわれわれの打診では、きわめて非協力的であるし、新島問題なんて検討も気が進まないんだというような態度でありました。厚生省は国立公園内に射爆場をつくられるのでは困る、もしそんなことになったら、これは取り消しもしなければならぬ、観光としてねらっておるのにこういう射爆場は困る。運輸省は、ただいま施設部長の御答弁にあるように、だれが考えても、少年でさえわかるような「四千フィート以下で飛べ」というようなことは、「ノー」ということの、反対の表現にしかすぎない。だれもがこれは反対なんですね。そうして技術的に詰めていくのだとこういうことを有田長官もしばしばわれわれ陳情者には申しております。実は防衛施設庁は、昨年の何月だったか、七月ごろですね、水産庁関係を除いてたいした問題はないと答えているのですよ。どっこい、水産庁じゃない。運輸省なんというものが出てきた。参議院選挙が終わったら詰めていこうと。今年の四月になれば、山上施設庁長官は、五月末までに航空路問題について調整を終わらしたい。もういつでもすぐ目の前に解決しそうなことを言って今日まで来ております。新島問題はだれが考えてもこれは無理なことで、詰める、詰めるというのは単なる――努力は多としますけれども、できない段階に来たように思います。そこで施設部長が大臣の答弁ができるかどうか知らぬが、この間の二十三日防衛庁に陳情に行ったときは、大臣は、水戸射爆場の問題は実現するように責任を持ってアメリカ側と交渉する。これはいままでと同じ答弁です。われわれが帰ったあとの記者会見では、新島以外のことを考えなければならない段階が来ることもあわせて考えなければならぬという意味の答弁をされております。施設庁は直接折衝に当たる庁として、もう少しはっきり見通しのある御答弁をいただきたいと思うのです。
#6
○政府委員(鶴崎敏君) ただいまも申し上げましたように、水戸射爆場を新島に持っていくということにつきましては、現地その他にいろいろ困難な問題があるということは、これは客観的な事実でございます。しかしながら、われわれとしましては、いろいろ困難はありましても、政府としてはかなりいろいろな面から検討した結果、新島を候補地として一応決定をしたといういきさつもございますので、今後とも新島への移転ということについて努力をいたさねばならない、このように考えております。しかしながら、大臣が、先生のいまおっしゃったような御発言のあったように、またそれ以外の解決方法といいますか、そういうことについても考えなくてはならないであろうという御趣旨のようですが、われわれとしましても、新島への移転について今後とも努力をするとともに、ほかの可能性の問題についても、あわせて検討をしなくてはならない時期になっておるのではなかろうかというふうには考えておりますが、この問題につきましては、よく上司の御意向も確かめた上で事を進めたい、このように考えております。
#7
○森元治郎君 そこで、防衛庁としてはこれからはどういう段取りになりますか。新島の問題、どうやって詰めていくか。これだけの各方面の反対、運輸省の子供だましの反対――同じ政府部内ですから反対とは言えないから、四千フィートなどと言ったのでしょう。どういうふうな手順で事を運ぶ予定でおるのでしょうか。
#8
○政府委員(鶴崎敏君) ただいま申し上げましたように、新島への移転ということについて、方針を変えてしまったということではもちろんございません。今後とも新島への移転ということについても努力をいたしたい、このように考えますが、まあ、その他の可能性については、まだ具体的にここでどうこう申し上げるところまで来ておりませんけれども、よく上司の御意向も伺った上で、あわせて早急に検討を進めていきたい、このように考えております。
#9
○森元治郎君 いま施設部長の御答弁にあるように、別の手段を考えなければならないかもしらぬという段階にあるようにも思います。そうかといって、新島へ移すのだという松野防衛庁長官と当時のアメリカ空軍司令官プレストンとの共同声明もあるし、新島へ持っていくのだと言った以上、にわかに看板を断念するということをきょう言うことは無理かもしれないが、客観情勢は、政府の高いところでいかにするかという段階にもう来たと思うのです。
 大臣に伺いたいのだが、どうですかね。どこへ移転するということよりも、水戸射爆場の返還の要求、要請が強ければ、お話し合いで返還を求めることと、新島という、どこへ移転するかという問題は御承知のようにむずかしいこともあるので、これを切り離して、ひとつ水戸射爆場を返還をしてもらいたい。これは地元県民、政府、歴代の科学技術庁長官、佐藤総理大臣――佐藤かつての科学技術庁長官、もうみんなこの返還ということについては反対と言った人は一人もないのです。これは完全な国民の合意と解釈してよろしいと思うので、これをぜひアメリカに向って要請をしてもらいたい。こういうのが私のきょうの質問のポイントなんです。
#10
○国務大臣(愛知揆一君) この射爆場の問題は、先ほどお話もちょっとございましたように、私もかつて科学技術庁長官としてこの移転について皆さまと同じ意見で、そして当時も防衛庁、防衛施設庁に非常な御努力をお願いしたわけです。そうして、新島ということについて、いまお話が出たとおり、松野防衛庁長官当時にこの話が基本的にきまった。これの実現、実施をひたすらに早かれと望んで今日まで参っておるわけでございます。このごく今日の最近の状況において、私はあらためて、いま森委員からのお話は、ひとつそういう話は話として、いわば外交折衝で、どけるものだけどかしてくれ、こういう折衝をせよと、こういうお話だと思いますが、それも一つのお考えだと思いますけれども、ただいま施設庁のほうから答弁もありますように、ひとつあらためて新しい線を出せということならば、私といたしましても、政府部内の意見を取りまとめて、とくと防衛庁の側からの意見を承った上でないと、ちょっと動きがとれないのではなかろうかと思います。いままでの基本線というものがございますから、ただいまの御要請に対しましては、私もその気持ちもよくわかりますけれども、いままでの経過から申しまして、そういうことであるならばあらためてとっくり話を政府部内でも詰めなければならないかと思います。
#11
○森元治郎君 いま大臣は「どけ、どけ」という表現をされましたが、そういう意味はないので、各政党も住民も全部が返還をしてくれというのですから、これは静かにもっと上品な表現で申し入れられると思うし、アメリカのある程度の納得は決して得られないわけではないと思うのですね。そこで、佐藤総理がこの二月の参議院の予算委員会で質問に答えた答弁があるのですよ。これを外務大臣は御存じかどうか。アメリカへ行った場合のことに触れて、アメリカへ行った場合特にアメリカ軍の基地の問題について協議しますかと、これに対して総理は、「これを特に交渉する、こういうことではございませんが、おそらくいま最も問題になっておる中心的な問題、たとえば水戸の射爆場であるとか、あるいは王子の病院であるとか、あるいは板付の問題だとか、こういうことは、これはもう当然会えば話に出てくることだと思います」と、きわめて明快に答えておるのですね。ですから、当時総理の頭の中には、この基地の問題は総理としてかねがね地元の岩上知事にも会った際に返還に全力をあげるとか、めどをつけるとか、沖縄への移転の閣議決定もするようにしたいとか言ってきた関係上、手に余るので、直接沖縄返還交渉問題のからんだ機会に持ち出すとかいうふうに私は印象を受けたのですが、高いところで取り上げて、そういうことは総理の頭にあったのじゃないかと思うのです。重ねて伺いますが、私の質問は、とにかく返していただきたいというのが国民全体の総意だということは、沖縄に対する外務大臣、総理の国会におけるその他の答弁と同じでみんなの総意なんだということ、だから、どこへ移すかということは政府が善処するから、とにかく水戸の射爆場は返還してもらえないかということを言うべきだと思うのですね、分離して。どっかへ移転を前提に返還じゃなく、移転がなかなかむずかしいならば、もう長い、十八年ももたついている問題ですから、この際きれいに返還を願って、アメリカに向かっては政府を信頼していただいて政府は善処する。問題をふところに入れて水戸射爆場の返還を要求されるべきではないか。佐藤総理の答弁は、そういうことも含んで国会でこういう答弁がなされたんじゃないかというふうに想像するんですが、外務大臣いかがですか。
#12
○国務大臣(愛知揆一君) 私、先ほどちょっとことばが言い過ぎたかと思いますが、その点はひとつ御了解願いたいと思いますが、私申しましたのも同じことでございますが、ただ、先ほど申しましたように、返還ということ、これはもう全国民の一致した願いであります。同時に、いままでの話は代替地ということがやっぱり常につきまとっておったように思いますから、そこで、ただいまの森委員の御提案、御要請も私はよくわかりますけれども、そういう方向であらためて高度の政治的な折衝をするということになるのが望ましいかどうかということにつきまして、とくとひとつ政府部内でも検討いたしたいと思います。
#13
○森元治郎君 佐藤総理のこのときの答弁の頭の中でどういうことが描かれていたのか総理御自身じゃないからむずかしいかもしらぬが、私はどうもこの問題はアメリカと直接高いところでやるほかないかなという考えが底にあって出たんじゃないかと思うが、外務大臣の御想像はいかがですか。
#14
○国務大臣(愛知揆一君) これは私は想像でございますけれども、たまたまその当時におきましても、相当努力を関係者が続けておりましたことが、あるいはうまくいくのではなかろうかというような見込みも腹中にあっての説明ではなかったかと、これは単なる想像でございますけれども、そういうことも私は考えられるかと思うんです。
#15
○森元治郎君 総理がしばしば国会の沖縄問題の審議の際に、基地などというものは地元の人々の協力がなくしてはその機能も十分に発揮することはできないんだということを、かねがね返還交渉に、沖縄問題にからんでお話しになっておった。それと同じようで、あの地区の日本人全部がアメリカに対しても決してよい感情は持ち得られないような環境である。すべての面でこれは日米関係を阻害するんじゃないかということをアメリカへ申しても悪くないと思うんです。ことにアメリカの在日米空軍のリン中佐とかいう方の話では、水戸射爆場は演習地としては適当でないんだと言っている。ただほかにいいところがないから使っているんだ。適当ではないんだ。――適当でないという表現は非常に強いことばだと思うんです。われわれがよく簡単に使いますが、こういう外人の陳情団に対して適当でないということを言うのはほんとうに大きな意味があると思うので、決して日本は要請するのに遠慮する必要はないと大臣思うんです。
#16
○国務大臣(愛知揆一君) 一般的に総理も私もそう思いますので、日本の基地というものがほんとうに理解と快き協力なくしては効果をあげるものではない、そういう点を常に注意していかなければならないということで、日米協議会におきましても、御案内のように、昨年も相当の私どもとしても成果はあがったと思います。そういうことは、原則論として全く御同感で、そういう方向に私も今後努力を進めてまいらなければならない、かように考えております。
#17
○森元治郎君 基地の整理問題で防衛庁に伺うが、アメリカとの間で話し合って、五十ヵ所ぐらい整理しようと、そのうち、新聞その他では十九ぐらいは何とか返還のスケジュールはきまったが、あと残りはきまってないんだという中には、水戸射爆場は入っていませんでしたね。
#18
○政府委員(鶴崎敏君) 昨年の暮れに日米安保協議委員会が開かれました際に、日米間で検討すべき項目としてあげた基地の整理統合問題ですが、これについては約五十の施設区域というものが一応検討の爼上に上げられたということでございますが、そのうち十九の施設について、現時点までに日米間で返還等の問題について合意が成立しております。そこで、この水戸の射爆場の移転問題についても検討すべき事項の中にあげられておりますが、遺憾ながら現時点までにはまだ解決がついていない、こういうことでございます。
#19
○森元治郎君 けさの新聞では、九日に日米安全保障協議委員会が外務省で外務大臣、防衛庁長官、新しく来られたマイヤー大使とマッケーンというアメリカ太平洋統合軍司令官の四人の方が相談をされる。いろいろな議題があるんでしょうが、その中で基地問題も一つの議題になるんだというんですが、いい機会だから、しかも、去年相談の、いかに整理すべきかという五十ヵ所の中に入っているとすれば、この協議委員会の活用ということはよい場所ではないかと思うんです。大臣のお考えを伺いたい。
#20
○国務大臣(愛知揆一君) 実は九日の会議は、ようやく日取りがきまったのでありますが、議題等まだ十分私も検討しておりませんのではっきり申し上げるわけにいきませんけれども、ただいまのお話はお話として私もごもっともと考えます。
#21
○森元治郎君 大臣、これからも何回も沖縄返還の交渉でアメリカの最高の当局にお話しになるわけですが、先ほどのお話にありましたように、むずかしいんだと、新しい線を出さなければならぬようなことがあるかどうか検討して、そういう際には新しい措置をとらなければならぬというような意味の御答弁だったと思うんですが、われわれ県民としては、ぜひとも、安全保障協議委員会であろうとその他の会合においてであろうと、この沖縄に関連する交渉の中でひとつどこどこ移転という前提なしの返還を強く請求してもらいたいと切望するんですが、もう一ぺん大臣のお話を伺いたい。
#22
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまの御要請につきましては、私ももうほんとうによくそのお気持ちは理解できるわけでございます。まあ、ただいま沖縄の返還問題の一環としてというようなお話がございましたが、私は必ずしもそうでなくても、何とかしてこの解決についてはこの上とも努力を新たにいたしたいと、かように考えております。
#23
○森元治郎君 重ねてしつこいようですが、やはりもういまの段階では、正直に防衛庁のメンツとか政府のメンツをかりに捨てたと仮定すれば、もはや言いのがれは、新島移転などということはとてもできっこないんですよ。先ほどのように、大臣も、専門家でなくても、四千フィートの下をマッハ二くらいとか一・五とかいうやつが飛んでみろ、とても過密地帯に横なぐりに、横のほうから飛んでこられたんじゃあ、どんな事故が起きるか。演習も十分にできない。民間航空も国際航空もそれはめちゃくちゃにおっかなくなるんですから、だめなんですから、やっぱりはっきりと分離する段階だと思うし、防衛庁の施設部長も、もはや逃げ口上は要らないから、断言すべきものははっきり断言して、新しい返還にまっすぐに向かわれたほうがいいと思うのです。施設部長として大臣の分まで答弁ができないだろうが、非常に困難だとは私は思うのですが、いかがですか。
#24
○政府委員(鶴崎敏君) ただいま先生のおっしゃる御趣旨、私としてもよく理解できると思います。先生のおっしゃった御意図を大臣、長官によくお伝えをしまして、われわれとしてもできるだけの努力をしたい、このように考えます。
#25
○森元治郎君 直接水戸射爆場に関係しませんが、たまたま安全保障協議委員会の話に言及したから伺うのですが、この安保協議委員会設置に関する書簡の往復がありましたね。ハーター国務長官に岸総理大臣からの書簡の往復です。この第二チャプターのところに、「本大臣は、両政府間のこれらの協議のために時宜により使用することができる特別の委員会を設置することが非常に有益であろうと思います」、こういうくだりがあります。この「時宜により使用する」、それでときどき思い出したように委員会が開かれているわけですが、これを「常時協議する」というふうに直すようなお考えがあるのかどうか。「時宜により」というのを、もっと気やすくお互いに責任ある外交、軍事の代表が常時にこのコミッティを持っていく、こういうお考えがあるのかどうか。
#26
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまそういうことを念のために事務当局に聞きましたが、そういう意見は出ておりません。私のレベルでは全然出ておりませんから、あるいは事務レベルでそういう話があるのかと思って確かめましたら、そういうことはございません。
#27
○森元治郎君 水戸射爆場に関連する私の質問はこれで終わっておきます。
 ただ、一点だけ確かめておきたいのは、いまこれからは軍縮委員会花盛りの時代に入るわけで、核防条約その他については追って一条一条がっちりと御質問をして相互に理解を深めていくべきだと思うので、これは抜きますが、ただ、その条約に入る。朝海さんが演説をする。ていさいのいいことを言うという何か手軽な感じがする。その一つの例が、例の今年の三月ソビエト、五月のアメリカの海底軍事利用禁止の決議案みたいなものですね。あれに関して新聞紙上では、それに日本の対策と申しますか、態度と申しますか、そういうのができ上がったのだと。こういう大きな問題に対案とかいうものがそう簡単に一体できるかどうか。そういう作業をしたのかどうか。だれがそんな作業に携わったのか。軍縮会議に入ったばかり、しかもスタッフもいなそうに見えるのに、向こうが練りに練っていろいろな策略、戦略を織りまぜてつくったものに、ちょっと飛びついて対策を持ち出すということは、私はちょっと軽率だと思うのです。内容は何か相互査察とか領海外には置いていけないとか、あまりにも安直なものが紙面に出ているのですが、軍縮委員会に臨むにあたってはもっとがっちり落ちついてやる態度がまず望まれるのだろうと思うのです。ちょっと伺います。
#28
○国務大臣(愛知揆一君) 私もそのとおりに考えております。安直に飛びついて何かやるというようなことでは、せっかくの場がもったいないと思います。ただ、この間のこの委員会でも御説明したと思いますけれども、軍縮室というのは人員もわずかでございますけれども、各国の実は軍縮局というようなところでは、そんなに多くの専属の職員を集めておるわけではございません。むしろ、各方面の技術や学術やあるいはものの考え方やこれを総合する英知を結集してコーオーディネートしていくというところに各国がそれぞれ苦労しているようでございます。そういう意味で、日本としては主として外務省が中心となりまして、数年来といいますか、二、三年来と申したほうがもっと正確だと思いますが、軍縮委員会に出ましたいろいろの意見はもちろんございますが、かなり黙々として勉強をしてきたということも事実でございますから、そういう中からあるいは新聞等に対しましても考え方の一端があるいは出たこともあろうかと思いますけれども、日本政府としての提案というような場合におきましては、まずENDCの中の状況も、今度初めての中に入り得たわけでございますから、十分中で状況を見た上でできれば、日本としての恥ずかしくない態度で恥ずかしくないような提案ができるようにしたい。これは拙速であってはいけないんじゃないか、こういうふうに思いますが、ただ、たいへんありがたいことに、国民的な期待が軍縮委員会参加ということに集まっておりますだけに、いろいろの意味で話題がこういった面で豊富になってきておるということは、私は歓迎すべきじゃないか、こう思っております。
#29
○森元治郎君 それで、新聞に出ておったのは領海外に核兵器とか大量殺戮兵器などの関連施設なんかは置くことはやめる、それから、水中で音を聞く聴音機など防御的な兵器を領海外には設置することはできない、相互査察を行なうというような三点が大きく出ておったんですが、この点は、こういう案なり態度なりができ上がっておるんですか、ないんですか。
#30
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま申しましたように、政府の案として固まったものはまだございません。ただ、やはり海底の問題については、もうすでに米ソその他においていろいろの案がございますから、その案に対してたとえば朝海君が個人的なコメントをしたような事実はあろうかと思いますが、これは、ただいま申し上げましたように、一つのプロセスをいろいろ検討しているその状況のあらわれであって、政府としての態度をきめたというところはまだございません。
#31
○森元治郎君 そこで、おおむねというか軍縮委員会に望む国民の気持ち、これはだれの気持ちも一致するのは、軍縮委員会というのが国連の各国から期待を寄せられてつくられたわけですね。そのうちにだんだん方向が軍縮という方向とは離れていってしまっているのが現状で、米ソかってなことをやっている。弱国は何も言えない。ただ、賛成賛成と言わさせられる。そうでなくて、やっぱり本来の国連の総会の各国の期待にこたえて軍縮をするのだ。核の軍縮であるとか、地下核実験の禁止であるとか、核実験を地震学的にこれを探知していくというような方法とか、本来の軍縮作業にいくべきだという大方針をジュネーブの席上において声を大にしていくちょうどいいチャンスではないか。これは各国、米ソを除いては全部そんな気持ちじゃないかと思うので、その点にひとつ重点を置いて、本来の軍緒委員会、国連から委託された使命に立ち返るという点を、もう大原則から出発してもらいたいと希望するわけです。
 これで質問を終わります。
#32
○国務大臣(愛知揆一君) まことにありがたいおことばでございまして、私は全くそういうふうに考えております。
#33
○羽生三七君 いまの森委員の質問に関連してですが、新聞報道等で見ると、今度の軍縮委員会に臨む日本の態度として、たとえば地下実験の禁止とかあるいは海底の軍事利用反対、平和利用、そういうことに重点を置くというようにも見えるし、それから今度は逆に、何かへたな発言をすればかえって均衡、バランスをくずすと、そういう意味にもとれる記事も出ておるわけですね。一体、その本意がどこにあるのかよくわからないわけです。これはしばしば当委員会で私のみならず各委員から申されたことでありますが、また、ただいまも大臣から御発言ありましたが、日本の政府のはっきりした態度はまだきまっておらない、基本的な方針がきまっておらないような意味の発言をなされましたが、しかし、しばしば当委員会で申し上げたように、このジュネーブ軍縮委員会に参加する基本的な日本の態度というものがあってしかるべきではないか、あった上で参加を求められたのではないかと思うのです。それは、しばしば大臣が言われるように、漫然と参加を求めたわけではない、これに貢献したいという意思からだということは、これは大臣からもお話があったし、総理からもお話があった。それはわかりますが、それならば、もう明後日ジュネーブで開かれる当軍縮委員会に臨む基本方針というものが何なのか明らかにしていただいてもいいんではないかと思う。先ほど申し上げたように、地下実験の禁止とかあるいは海底軍事利用反対とか、そういう部分的なことでは何らかの発言をなさるだろうと思いますが、じゃ、本質的に核兵器の全面禁止なり、あるいは将来――いますぐとは申しません――核兵器、通常兵器を含む完全軍縮、そういう方向を指向して日本が全力をあげてそういう目的の達成のために努力しようとされるのかどうか、その基本方針が必ずしも明確でないと思うのです。それで、十八カ国の軍縮委員会――日本及びモンゴルも参加して二十カ国になる。日本自身も熱意を持って参加する。また、関係各国も何らか日本に期待があったのかもしれない。その場合に、一体日本が何を言おうとするのか、何をなさんとするのか、その基本的な問題がどうもはっきりしない。熱意とか、国民の願望をしょってとか、そういう御発言はしばしばありますけれども、それだけでは私どもは必ずしも理解することはできないのであります。したがって、明後日軍縮委員会に臨んで一体どういうことを言われようとするのか。それは朝海さんにまかしてあると言えばそれまででしょうが、しかし、朝海さんが四、五日前に急に任命されて、それで、だれがつくった案か知らぬけれどもそれを向こうで代読する。――代読ということもないでしょうが、大臣にかわって言われるのか、あるいは全権大使のような形ですから、そういう発言をなさるのでしょうが、少なくとも、長い用意をして十分な確信を持ってする発言なのか、あるいはそれに臨む基本的な態度があってのことなのか、その辺は必ずしも明らかではない。ですから、その間の事情をできるだけひとつこの機会にお聞かせいただきたいと思います。
#34
○国務大臣(愛知揆一君) 基本方針が何もないとおっしゃられるのは、私としては非常に情けなく思うのでありまして、これはしばしば申し上げておりますように、この委員会に入る入らないは別として、私は、わが国民の願望というものは、核というようなものが戦力に使われて人類殺戮の場面を現出するというようなことをとめたいというのが、一番基本的な国民的願望ではないかと思います。具体的に言えば、核軍縮というようなこと、あるいは核軍備というものがなくなるということを目ざしていくのが私は国民的な願望ではないか。そういう意味から、こういう席を私どもが与えられたというか獲得できたことは、非常な私は喜びだと思います。そういう線に乗っていきたいというのが私は一番基本的な方針であると思います。同時に、これは一朝にしてそういう理想に到達できないかもしれません。そこに至る道程におきまして、すでに軍縮委員会でもいろいろやろうとしてやれなかったということ、あるいは研究の足りなかったこともあるようでございますから、そのプロセスにおいて、日本の知識その他がお役に立つならばという、どちらかと言えば、次元の低いと言われるかもしれませんが、そういう点にも積極的な努力をしたい、こういう考えでいくわけでございますが、先ほど申しましたように、入れたからといって、拙速に何かこう世間受けのするようなことをやるというのも、私はいかがかと思いますので、そういう点はさらに慎重にいきたい。それと同時に、いままで外からながめていましただけに、なかなか真相のわからない点もございましたが、中に今度は入って、この委員会というものをどういうふうにしていくことか日本の立場として望ましいかということなどは、むしろこれからの問題になってくるのではなかろうか。その辺は練達なる朝海君に私も託してあるわけでございます。まず最初の会議は三週間で終わるわけでございますから、また、帰りましてからもとっくりさらに方途を策することが適切だと考えております。
#35
○羽生三七君 奇想天外な妙案があるとは思いませんし、また、そんなことを行ってやれと私は言っておるわけではないのです。問題は、一部新聞等にもありましたが、へたな核軍縮がかえってバランスをくずすというような考えも外務省の中にあるという記事が出ておったから私お伺いしておるわけで、そういう考え方に立つと、結局は、最初の意図はよかったけれども、一年たち二年たつうちに、自然、軍縮委員会の環境になれてしまって、本来の基本的な目標というものが失なわれて、結局、米ソその他大国の意向をくみながら適当にその間を泳ぐ。――と言っては語弊があるかもしれませんが、適当にこの会議に対処していくという、そういうことになるのではないかという私の杞憂が思い過ぎであれば、これはまことにしあわせな話で、こんなけっこうな話はございません。ただ問題は、いま申し上げたとおり、基本的な方針がないと言われてははなはだ心外だと大臣おっしゃったが、その基本的方針というものが、ばく然とただ軍縮と言われると、これは軍縮に反対な人はないのですから、その場合のこまかいこと一々はいいですが、一番の柱となるようなものは一体何なのか。そういうことを承っておるわけなんです。
#36
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほども申しましたように、これから大いにこれは国民的な話題になることだと思いますから、そういう中からいろいろの意見が出てくるということも私は大歓迎だと申したわけでございます。羽生さんが基本方針を具体的に言えとおっしゃることはよく理解できないのです。それなら、ひとつお教えをいただいて、われわれに知恵をつけて、こういうことが基本方針だ、こうやれとおっしゃっていただければたいへんありがたいと思います。
#37
○羽生三七君 具体的な一つ一つについて言うのじゃないのですよ。だから、核軍縮、全面核停なり、核禁止なり、あるいは通常兵器を含む完全軍縮というような基本線を踏まえて、そういう方向に近づけるための努力をするのか、それとも、いまの核時代のこういうバランスというものはやむを得ないものと見て、各国の間のそれぞれの主張に対して適当に対処していくというやり方をするのか、そこを言っているわけで、一議員の私が、世界的な難問題である軍縮の一々について、この問題はこうすべきだ、ああ、すべきだ、そんなことを私申し上げる余裕を持っておりません。持っておらなくても、いま申し上げたように、一体基本的なそういう姿勢というものを日本が持って臨むのか臨まぬのか、これははっきりおっしゃっていただいてしかるべきではないかと思います。
#38
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、その点は先ほど非常に明確に申し上げたつもりでございます。それが基本的考え方でございます。
#39
○羽生三七君 これはあまりこの質問しておっても意味のないことですから、これ以上申し上げませんが、しかし、朝海さんが発言する時間、時はいつになるか知りませんが、もう明後日、それに対処するのは朝海さんまかせということでなしに、大臣としては、自分としてはまずジュネーブの第一回の発言としてはこういうことに重点を置きたい、こういうことをさせたい、こまかいことは朝海君にまかしてあると、こういうことならわかりますが、いまのような御発言では了解いきません。
#40
○国務大臣(愛知揆一君) そういうことでしょうか。私は、実はおことば返すようですけれども、これは非常に大事な会議で、第一回ですから、私自身が行きたいと思ったぐらいですが、国会も延長になりましたし、まことに私としても残念でございましたが断念したわけでございます。先ほどのお話は、要するに、基本方針と言われるけれども、基本方針は私全く同じだと存じます、お考えと。ただ、現在の米ソ両国あるいは大国主義に対して、何かタクティックスとして、日本はどっちについたらいいかとかなんとかと、こういう次元の低い外交、タクティックスでもって臨むのか、そうでありそうな感じがするぞと、こういう警告を含めての御意見だと思いますが、私はそうじゃないので、しかし、抽象論を幾ら戦わしてみてもしようがございませんから、私といたしましては、ほんとうに核というようなものが、兵器として使われるということを絶滅するということは日本国民の願望ではないか、これをこういう機会において、世界的にリードできるような態勢でいきたいという、これが基本方針だと私は思います。そのことはかねがね私の信念として申しておるわけですが、政府といたしましても、そういうことでこの委員会に参加したことを喜びとしているわけでございます。なお、それを基本的な考え方にいたしまして、現在軍縮委員会も、ここ数年来、もう汗牛充棟と言ってもいいくらい、いろいろのリュメンデーション等も、いろいろの考え方というものが書類だけだってたいへんなものです。そういううふうな中で、まずこういうところから日本としては御協力できそうだというものを選んで、そういうところから入っていく、理想論だけをぶっていても始まりませんから、そういう面からも具体的に入っていきたい。この二つが基本的立場である。そして朝海君は今晩出発いたしますが、十分私とも意見を交換して出発いたしますわけですが、同時に、先ほど申しましたように、この委員会がどういうかっこうでどういうふうに運営されているかということも、いままで場外から取材はしておりましたが、中でどういうふうに発言の場が、まず最初の新しく入れられた国の代表として扱われるか、そういう点に至るまで実はわからぬ点もあるわけです、これは率直に申しまして。要するに、政府の代表として臨む人が基本的な気持ちが合っていれば、そこでどういう表現でものを言うかということについて一々一言一句についてまで訓令というようなものをつくって渡しているわけではございませんから、その限りにおいては政府代表に任命した朝海君の良識と見識に待つと、こういう姿でございます。
#41
○羽生三七君 それで、この前外務省の軍縮室、この機構のことを申し上げましたが、これは世界を調べたところが、必ずしも外国がそんな大きな機構あるいは大ぜいの人数ではないという大臣のお話でしたが、それは私も外国のことはあまり詳しく知りません。知りませんが、いまの日本の外務省の軍縮室というものが、私は、外務省自身のスタッフも大事だけれども、もっと民間の中にもずいぶんかなりこういう問題について詳しく検討されている専門家もあると思うのですね。そういう人たちも利用されるような――別にこれは外務省の役人にする必要はないのですが、適当な機関として御利用なさることもお考えになってはどうかと思います。それから、そういうことも考えられて、少なくとも権威のあるものとしないと、結局、基本方針は大臣お持ちになっておるといっても、これはやっているうちに一種のマンネリズム化して、先ほど私が申し上げましたようなものになりかねない。そんなことは杞憂だとおっしゃるかもしれません。しかし、よほどの決意や、一つの大きな理想なり、あるいは日本なら日本として十八ヵ国委員会に参加したその当初の気魄というものが失われれば、必ずそういうことに、――いま私が申し上げたような心配というものは絶無とは言えないと思う。ですから、そういうような将来の展望も含めて、この軍縮室というものが権威あるものになることを希望して私の質問を終わっておきます。
#42
○森元治郎君 関連。
 大臣、軍縮委員会の軍縮、これは昔も今も、内容は違うかもしれませんが、在るものを減らす、削減する、害のないハームレスなものにする、在るものを減らす、縮小するという意味がディザームということばであると思うのですがね。ところが、昔はワシントン会議を見てもロンドン海軍会議を見ても、主力艦は五・五・三であるとか、そうして三にきめたが、日本は八八艦隊などで計画しておった軍艦、戦艦などを廃棄して減らしたのですね。ところが、戦後国連で始まった軍艦というものは、減ったというもの、減らしたというものはないのですね。やはり大原則は、羽生さんが何べんも聞いておられて、大臣は何か意味がわからないというような御答弁であったのだが、ストップする、減らす、それが軍縮なんだと、そういう方向に行っていないのですよ、どの分野でも。だから、もとのディザームの原義にさかのぼって、初心に返って、減らすのだということを世界に示さなかったならば、ほかの参加十八ヵ国――米ソを除いたほかの国はもうこれは興味を失ってしまって、わが道を行くということになりかねない。核拡散防止条約がかりにできたとしても、いやだと言ってつくる国も出てくるだろう。やはり大きい国も犠牲を忍んでもらえば小国もこれに伴ってやります。減らすのだということ、初心に返って軍縮をやるのだという方針で臨まれたならば、私は気がね、しないで堂々と世界を引っぱって、核絶滅はもちろんのこと、いままで核兵器なんというものは一つも減る様子はない。ますます、複数の核弾頭であるとか、ABMであるとか、ふえることはあっても減ることは少しもないのです。これは声を大にして叫んでもらいたい、初心に返って、軍縮について。これをお願いしておきたいと思います。
#43
○国務大臣(愛知揆一君) よくわかりました。
#44
○西村関一君 二十ヵ国軍縮会議の問題が出ておりますので、まず、それに関連して私も意見と希望を申し述べて大臣の御見解を伺っておきたいと思うのでございます。
 先ほど来質疑応答の中で、大臣が、ただばく然とした態度でこれに臨むのじゃない、多年にわたるわが国の願望が達成したのであって、この機会を利用して真の軍縮問題に取り組もうというお考えであるということは、大臣のおことばの中から十分くみ取ることができると私は思うのでございます。ただ、この前も申し上げましたように、世界唯一の被爆国でありますところのわが国といたしましては、これは核を含むところの全面軍縮という面にぜひ力を入れていただきたい。特に議長国が米ソ二大国である。核保有国である。まあ、中国は国連におきましてはいまだにああいう状態になっておりますが、これも将来は国連の中に入れて、やはり核を持てるところの国が、進んで核を捨てるという姿に持っていかなければ、これは人類の共滅の悲運に遭遇しないとは保証できないと思うのでございます。三メガトン級の核弾頭が爆発するならば、百五十万の人間が死ぬ、広島の百五十倍からの地域がどろどろの火の海になってしまうというようなことがいわれておる今日におきまして、核を含むところの全面軍縮という点に対して非常な決意を持って――まあ参加した当初からそういう問題に触れるということはできませんが、これは部分的な核軍縮協定、実験協定――実験というものをやめようという話し合いにつきましても、核保有国の米ソが幾ら言いましてもほかの国がまだ十分に賛成の態度を示さないのも、私はそういうところに原因があるのじゃないかと思うのであります。でありますから、私はそこは非常な決意を持って、大臣みずからこの会議に臨もうということをお考えになったくらいでございますから、そういう方向のもとに今後のこれが運営に日本としての特殊な役割り、特に憲法の立場から申しましても、世界に類例のない憲法の立場から申しましても、ぜひその点を強く主張していただきたいと思うのでございます。核を持てる国が議長国でどうして核軍縮を行なうことができるかと、そういうところにも問題があると思うのでございます。核を持たないところの国、特に平和憲法の立場に立つ、また、大臣がいまお話しの中にございましたように、どちらの側にも加担しない、これは私は日米安保条約下にある日本としての大臣の御発言に敬意を表するのでございますが、どちらの側にもつかないという立場からこれに臨まれるということであるならば、いますぐとは言いませんけれども、むしろ平和憲法を持つ日本が、世界の唯一の被爆国であるところの日本が議長国になるというくらいの考え方を持って、米ソ両国の大国エゴイズムといいますか、大国主義といいますか、そういうものに対して強い発言をしていくかまえが必要だと思います。私は大臣の御答弁のおことばの中から深い御決意のあることはくみ取りますけれども、ぜひそういう点についてわが国の特異な使命というものをお考えいただきたいということを思うのでございますが、いかがなものでございましょうか。
#45
○国務大臣(愛知揆一君) 私はもうまこに御同感でございます。ただ、この前も申しましたように、まあ入っていきなり議長にしろと言うのもいささか実際的でございませんので、とにかくこれは代表団の組織が私、非常に重要なことだと思います。参加国の他国から尊敬されるような考え方あるいは提案の能力というようなことから申しましても、代表団の人選というもの、結成というものは非常に大事なんではなかろうかと考えておりますが、これらは、参加後第一回の三週間ほどの会議状況を見まして、朝海代表の意見も徴して、真剣に考え、りっぱな今後代表団を組織するようにしたい。先ほど羽生委員からもお話がございましたが、同時に、東京のほうの側においても、この前、外国の例なども申しましたけれども、外務省といたしましても従来、科学課というものがございますが、これと合わせて一つの独立の部局にすることが望ましい、こういうふうに考えて、今度はそれらの点については事務的の面におきましても関係省との間の相談を始めようとしているところでございます。要するに、他国から尊敬され、信頼されるようなこちらが態度をつくり上げることが大事であって、おのずから将来、それではひとつ指導的な立場になってもらいたいというような、何と申しますか、自然にそういう動きになることを期待していきたいと思っております。
#46
○西村関一君 沖縄の返還の問題につきまして伝えられるところによりますと、沖縄にある米軍の施設を日本が買い取らされるというようなことが伝えられておりますが、その点はいかがでございますか。
#47
○国務大臣(愛知揆一君) 買い取りというふうに私は問題を考えるべきでないと思いますし、そういう発想は私は日米双方ともにないと思います。ただ、御承知のように、小笠原返還のときにおきましても、米軍の若干の施設については日本側が買い取ったような事実もございます。そういう問題は起こり得るであろうと、こうは思っておりますけれども、金をもって施政権を買うなどと万が一にも国民に理解されるような考え方があるとすれば、これは頭から絶対に否定しておきます。そんな考え方は毛頭ございません。こういう態度でございます。
#48
○西村関一君 私の申しておりますのは、ことばのあやではなくて事実問題を言っているのでございまして、アメリカ側が米軍の施設としてつくりました基地、これに附属するところの水道施設、道路、そういったようなものがあるわけでございます。これをそのまま返還の場合に、たとえば政府が七十二年ということを一応想定しておられるようでございますが、交渉の中でそういうものを無償で日本に渡すというのでありますか。買い取るとか、買い取らぬとかいうような問題でなしに、そういうものを一体どうするアメリカの考えであるか。また、日本側としてはどういう考えであるか、そういう点をお聞きしているのでございます。
#49
○国務大臣(愛知揆一君) 要するに、ことばの問題ではございますけれども、えてしてこういうことは誤り伝えられる問題でございますから、私、明確にしておきたいと思いますのは、かりそめにも沖縄の施政権を銭で買うというようなそんなけちな考え方は持っておりません。これだけは明らかにしておきたいと思います。そういう意味で誤解が起こるようでは、これたいへんなことだと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、小笠原返還の場合におきましての協定、その後の措置におきましても、ある種のものは無償、ある種のものが有償というようなものもありましたから、そういう範囲の、あるいはそういう範疇の問題が、沖縄返還交渉がだんだん細部の話になれば起こってくる可能性はあると思いますけれども、ただいままでのところ、特に沖縄についてアメリカ側がこういうようなことを希望するというようなことはまだ全然出てきておりません。また、これはこちら側から積極的にそんな点についてまだ向こうに話をするという段階でももちろんございません。
#50
○西村関一君 沖縄県民の側に立って考えましても、また、われわれ本土にある日本国民全体の側から考えましても、アメリカ軍基地として使用されて現在もおるところの沖縄基地、そのために沖縄県民が利便を受けているという点よりも、むしろ被害を受けておるところの面が非常に多いということは、これは否定できないと思うのでございます。たとえば、農民が農地を接収されて基地にされておるというようなことなどを考えましても、返還の場合には、基地をもとの農地に返してくれるかどうか、もとの耕作農地に戻して、そういう状態に戻して返してくれるかどうか。現在米側が使用しておりますところの施設の中で、たとえば送電施設、発電施設、水道施設でありますとか、これなどは、沖縄県民の利益よりも米軍の、米側の利益に供せられておったのでありまして、わずかにその残りをもらっておったというような状態で不満が積もり積もっておる。返還の場合には、そういう問題に対する補償がむしろこちらから要求されてしかるべきではないかと思うのでございます。そういう問題に対して、あるものは無償、ある場合は有償というような考え方では、私は沖縄県民を納得させることができないというふうに思うのでございますが、政府の考えはいかがでございますか。
#51
○国務大臣(愛知揆一君) そういう点も、問題になってまいりました場合には、十分考慮していかなければならないと思っております。
#52
○西村関一君 問題になってまいりましたならば考慮するとおっしゃいますけれども、すでに現状を考えてみまするならば、沖縄が全土基地になっておるという現状で、本土復帰後の沖縄県民が、米側が撤退したあと、一体ここで何ができるかということとも関連して、当然、農業を含むところの経済開発の問題等も、これは政府としては考慮に入れて返還交渉をなさるべきだと思うのでございまして、問題が起こってきたならば考えるというような消極的な態度じゃなしに、むしろ積極的にそういう面について取り組んでいただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
#53
○国務大臣(愛知揆一君) アメリカ側でまだ何のそういう提案も話もないのでございます。同時に、沖縄は本土並みに再建していかなければなりません。これは日本側の責任でもございましょう。
#54
○西村関一君 沖縄が本土並みに返還されるという場合に、先ほど来の問題になっておりますところの、本土におけるところの米軍基地の問題とも関連してくると思うのでございますが、アメリカ軍が日本の安全と極東における安全のために日本の基地を使用できるという条項があるわけでございます。そういう立場に立ってどこの個所に基地を置くというんじゃなくて、全部どこへでも――もちろん、それは日本側との交渉の結果ではございますけれども、どこにでも基地が置けるというような体制になっておる、全土基地化という体制になっておると思うのでございますが、逐次、先ほどのお話によりますと米軍基地は縮小されつつあるということでございますけれども、そういう点につきまして、沖縄には絶対に米軍の基地を置かないという、「本土並み」というおことばの中でそういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
#55
○国務大臣(愛知揆一君) 沖縄の施政権が返還された後におきましても、日米安保条約によって必要な基地が残ることは私は当然だと思います。その基地の態様が本土並みである、これが政府の見解でございます。
#56
○西村関一君 そういう場合に本土並みの基地が沖縄にも置かれるということもあり得るという御答弁でございますが、日本にあるところの基地は、日本の安全と極東におけるところの安全のために置かれるものであるという条文に従いまして、一体、日本の安全、極東の安全というのは現時点において何を想定されておるわけでございましょうか。
#57
○国務大臣(愛知揆一君) 日本の安全を確保するために必要な極東の安全であると思います。
#58
○西村関一君 そういう御答弁では満足ができないのでございます。伝えられるところによりますと、国民所得の二%までは日本の防衛力を増強してもらいたいというアメリカ側の要請もある。できるだけ日本の自衛力に肩がわりをしてもらいたいそういう考え方のもとに米軍基地の縮小が考えられているというふうにわれわれは受け取っておるのでございますが、そういう点は非常に危険性を帯びているというふうに考えずにはおれないのでございますが、その点はいかがでございましょうか。
#59
○国務大臣(愛知揆一君) まず日本の自衛力についてアメリカが何の二%というようなことを要請するとか、押しつけられる、そういう事実はございません。日本はりっぱな主権国でございます。しかし、同時に私は、まあそう言うとまた論争になりますが、非武装で中立などということはあり得ない。これはもう何と言われても私の信念を曲げることはできない。わが内閣はそういう観点に立って政策を実行しているわけでございます。したがって、憲法に認められた適正な規模の自主的自衛力というものは、今後といえども十分充実していかなければならない。それでも私は日本の安全を守ることはできない。少なくとも脅威を未然に防止する抑止力としては足りないと思いますから、安保条約のメリットはそこにあるのじゃないかと思います。こういう観点で日本の自衛力はあるいはGNPの二%で足りるのか、足りないのか、そういうことは自主的にきめればよろしいことで、安保条約との相関関係において日本が自主的にきめるものである、かように考えております。
#60
○西村関一君 そこは見解の相違のあるところでございまして、いまここで非武装中立か自衛中立という問題につきましてきめこまかな論議をする時間がございませんから、それはいずれ他日われわれの考えもとくと大臣に聞いてもらいたいと思うのでございますが、アメリカ側が表向き防衛力を増強してもらいたいという公式の要請をしたことはないかもしれません。しかし、アメリカの要路にある人たちの言動の中で、あるいは国会の議論の中でそういう言論が間々伝えられておるということは大臣も御承知だと思うのです。そうであっても、これは自主独立国であるところのわが国独自の立場できめるべきものだという御見識は当然のことだと思うのでございますが、私、日米安保条約の性格から申しますと、これも見解の相違だと言われればそれまでだと思いますけれども、アメリカの世界戦略、つづめて言うならば極東軍事戦略の一環として日本の自衛力というものに期待をかけておるということも考えられる。そこに米軍の基地が本土にもなお残存しておるし、米軍基地の縮小という点とからんで日本の自衛力の増強ということが考えられるわけでございますが、そういう点については大臣はどうお考えになっておられますか。
#61
○国務大臣(愛知揆一君) その点が私もほんとうにとっくり私どもの意見を聞いていただきたいと思う点でありますけれども、いまおっしゃるように、世の中の一部には、日米安保条約というものがアメリカ帝国主義の世界制覇戦略体制の一環として、日本の人民を戦争に押しやるためにつくられたものである、したがってこれは一日も早く廃棄すべきである、こういう意見がありますが、私はこれはどうかと思うのですね。私はやはり日米安保条約は日本の側から見れば日本のためにある。日本がここまで来たのは、いまも申しましたように、日本のユニークな憲法下にあって、その制約のもとに、徴兵もなく、核も持たない。しかも、防衛費も各国に比べて全く問題にならないほど低い。しかも、日本がどこの国にも負けない自由を完全に享受している。世界のどこの国に比べてもこれほど言論の自由のある国は私は絶対にないと思う。また同時に、これほど経済成長率が目ざましかった国は世界じゅうに歴史上もない。なぜであったか。私は、一〇〇%と言いたいけれども、そうもいかないでしょう。少なくとも、相当の部分は安保体制のおかげです。これは政治的なお立場でいろいろございましょうけれども、深夜ひそかに胸に手を当ててお考えになれば、私はそれはよくおわかりになると思います。そういうわけでございますので、私はこれは死んでも私のこの信念は変わりません。どうせこれ以上は言いましても時間のむだになると思いますから、そうして同時に、いずれ国民が味方をされるかということは、民主主義社会では成規の手続による選挙によって民意というものがはっきり明らかになる。いずれそういう時期においてこの雌雄は決します。
#62
○岡三郎君 ちょっとこの際大臣に。
 先ほど軍縮会議について大臣が、基本方針は核兵器の絶滅という問題だと、しかし、理想論ばかり言っておられないので、現実の問題に取り組まなければならない、こう言われたのですが、その真意はどこなんですか。要するに、一応、初めに参加した軍縮会議においては、いま言ったような、憲法のもとに日本が原爆の最初の洗礼国でございますという意味において、核兵器絶滅ということについて軍縮会議でやるような措置をとられているわけですが、これは理想論だけで言っておられないということで、現実にどうするかという問題があると思うのですが、この点がやはり羽生さんが言ったように、はっきり基本方針を打ち出していないと思うのですね。
#63
○国務大臣(愛知揆一君) 私の申します基本方針が基本方針で、これが最終のターゲットだと思うのです、日本民族の。しかし、そこに二つの問題がある、現実に考えて。一つは、それを主張していっても、それが実らない限りにおいては、私は、安保条約でも、国連憲章でも、あるいは日本憲法も、とにかく国際的な手段方法によって平和が確実に守られるのだと、そこを理想にしているわけですね。同じだと思うのです、軍縮委員会に対して日本の態度は。しかし、それと現実の姿というものは私は違うと思いますから、やはり国民の安危を最大の国家の基本的な存立の要件として守らなければならない。現実の政府の責任から言えば、今日の日本で言えば、やはり安保制が必要だ。自分は核を持たないが、核抑止力は必要だ。一つはこれだと思うのです。
 それからもう一つは、その理想に沿うていくために、たとえば地下の核実験停止ということは、学術的、専門的にできないのだということにされておりますけれども、かねがねの核探知クラブにおける日本の有力な立場から言いましても、これはもう少し検討すればあるいはできるかもしれない。そうすれば全面実験停止ができるわけです。空中や地上だけじゃなくて、海底、地下においても実験禁止ができるということになって、お互いに査察ができるのだということが証明され、これが具体的な取りきめになれば、大きなやはり最終目標に対する前進じゃないかと思うのです。これは一つの例でございます。そういう面において、やはり実際的には、基本線に対する主張と同時にいまこれを進めていくということは私はできるのじゃないか、これは日本の行き方だと、こういうふうに考えるのであります。
#64
○西村関一君 時間もありませんし、私も隣の部屋で災害対策特別委員会の理事会を開くことになっていて行かなければならない、待っておりますから。しかし、さっき大臣が、深夜ひそかに胸に手を置いて考えてみてくれ、そうするならば自分の言っていることがわかってくれるはずだ、そこまで真実を込めておっしゃったことに対して、私も大臣の御信念に対しては敬意を表するのでございますが、しかし、そういう点につきましては、日本の繁栄が安保条約のおかげである、日本の非常な奇跡的とも言うべき経済繁栄はそのおかげであるという御議論に対しましては、私はそうでないと思うのであります。むしろ、攻めてくる国があると想定していたから、安保条約のおかげでそうなったんだということになりますけれども、そういう想定それ自体に私は問題があると思います。また、日本の高度経済成長というものの陰には幾多の犠牲がある、日本国民全体としての繁栄になっていないということも考えなきゃなりませんし、社会保障や社会福祉の面から申しましてもアンバランスがある、社会的に見てアンバランスがあるという点等も、これは考慮に入れなければならぬ点でございまして、こういう点は、私はもう時間がありませんから、大臣と論議をかわすつもりはきょうはございませんけれども、大臣の先ほどのおことばに対しまして、私も深夜ひそかに胸を手を置いて考えますが、大臣もひとつ深夜ひそかに胸に手を置いて考えていただきたい。これだけのことを申し上げて私の質問を終わります。
#65
○委員長(山本利壽君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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