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#1
第061回国会 外務委員会 第18号
昭和四十四年七月八日(火曜日)
   午前十時十四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 利壽君
    理 事
                佐藤 一郎君
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
                森 元治郎君
    委 員
                梶原 茂嘉君
                杉原 荒太君
                高橋  衛君
                廣瀬 久忠君
                三木與吉郎君
                岡  三郎君
                西村 関一君
                羽生 三七君
                白木義一郎君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       外務省アジア局
       長        須之部量三君
       外務省アメリカ
       局長       東郷 文彦君
       外務省条約局長  佐藤 正二君
       外務省国際連合
       局長       重光  晶君
       大蔵大臣官房審
       議官       細見  卓君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際情勢等に関する調査
 (国際情勢に関する件)
○所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国とインドとの間の協定を修正補足す
 る議定書の締結について承認を求めるの件(内
 閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本利壽君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○森元治郎君 大体三十五分ばかりあるようですね。時間の関係もあるから、この間、朝海代表のジュネーブの軍縮委員会初登場の演説がありましたが、あれに関することについて三点くらい聞いてみたいと思います。
 大臣が好きなことばで感触というのがあるようですが、ずらっと、さっと読んでみた感じとしては、日本がいかにも五大国の一員であるかのごとき、おっとりした、核兵器でも持ちそうな、あるいは持っているような、大国みたいな、大国代表の演説の感じがいたします。もう少し強い線を高らかに軍縮についてあげられたほうがよかったのじゃないかということを感じます。だいぶ地元の外国新聞では評判がいいそうですけれども、全体のトーンはそんな感じがいたします。なるほど、朝海代表も、可能なところから着手するのがわが国の現実的アプローチであるとは言っておりますが、そんなような感じがいたします。大臣のこれに対する御感想を伺いたい。
#4
○国務大臣(愛知揆一君) 軍縮委員会での日本代表の発言につきましては、前回、当委員会におきましても羽生委員から御質疑がございまして、そのときにも私申し上げたわけでございますが、従来のこの軍縮委員会をわが国から見ておりましても、核兵器を全廃に導くということが終局の目標であるはずなのに、それに対する努力が、率直に言って、足りない、あるいは成果があがっていないということを第一に指摘しておるわけでございます。そして、日本の立場から言って、これもまた私どもが前々から言っておりますように、日本国民が、日本は核兵器の惨禍を唯一の被爆国であるという立場から核兵器絶滅への願望をきわめて強く持っているということを中心として、日本国憲法あるいは原子力基本法に言及をいたしまして、わが国の立場を明らかにいたしております。それから、その目標、究極の念願は念願といたしまして、現実的にアプローチでき、また日本としてお役に立ち得ると思うことが具体的にありますので、それにその次に言及して、決意を表明いたしております。たとえば、地下核実験禁止の検証問題解決のためにわが国のすでになしてきた努力、また、それが成果をあげ得る見通し、あるいはまた、化学細菌兵器に関するすでにウ・タント国連事務総長に対する報告の作成についての協力の事実などから言っても、具体的にアプローチできる、また日本がお役に立ち得るという点に触れておるわけでございます。ただいまもおことばをいただきましたように、いろいろの立場の諸外国がこの朝海演説に寄せてくれました論評、あるいは各国の新聞等の取り上げ方が、私が予想したよりもよかったということを喜びといたしますと同時に、なお一そうこうした点について着実な努力を前向きに積極的にやっていきたい、かように存じておる次第でございます。
 なお、出発前に、われわれとも最初の発言についてはいろいろ打ち合わせては参りましたけれども、同時に、その委員会の雰囲気等を見て最善と思われるドラフトによって演説をいたしておりますが、御必要によりましては、その最終的に行ないましたものの写しなどをごらんいただければしあわせと思います。
#5
○森元治郎君 この中で、地下核実験条約成立への大きな障害になっておると言われている、地下実験の検証――識別といいますか、検証の問題について朝海代表は、日本の地震学の力によって人工地震と自然の地震というものの識別は可能であるということで、いろいろこれに対する具体的な策も用意し、この方面での貢献ができると、自信を持った発言をされております。これに関連して、私かねがね、この前もちょっと大臣に申し上げたのですが、よその国では――スエーデンとかイギリスとかアメリカでは、地下実験がどこかで行なわれると、地震計に触れたものについては随時発表している。なぜ日本では発表しないのだろうと思って、その筋に当たってみますと、いや、爆発とおぼしき人工地震も自然の地震も同時に地震計に反応しておるようで――もちろん、程度は、朝海代表の言うように、四・七五マグニチュード程度のものでしょうけれども、いずれにせよ、地震計に触れておる。それならば、地下実験をやめろという全国民、全世界の――米ソを除く全世界の国々の強い希望があるならば、日本でも認知したデータは時々刻々発表すべきじゃないか。そうすれば、なるほど、またやったのか、またやったのか。大陸でやっているらしい、アメリカ大陸でもやっている、アジアでもやっているということがわかり、地下核実験というものは困るものだ、何とかしなければならぬという空気が世界的にも出てくると思うのですね。これがためにも日本の地震研究、地震の識別の力、地震学の強さというものを利用して発表すべきだと思うのです。東大の地震研究所のいろいろなグラフも見せてもらいましたが、明快にわかっている。こういうものは、また運輸省管轄の気象観測所あたりでもそういうものがぴたりとグラフで明らかに出ておる。こういうものはやはり発表すべきだと思うのです。しかし、当事者の学者先生なんかに聞いてみると、われわれは地震――いわゆる自然の、ナチュラルな地震を研究するのが目的で、それに反するものは、地震計に記録は取ってあるが、発表してどうこうというふうに関心がないのだ、別な機関でおやりになれば助力もいたしましょうということなんですが、大事な資料が眠っているのですね。それをやはりこれから出すようにされることが、核実験を押えていく上にまた大きな啓蒙的な手段になると思うのですが、大臣、いかがでしょう。
#6
○国務大臣(愛知揆一君) これはお話しのとおり、また、前回にも私もそれに触れたと思いますけれども、国内の、主として運輸省所管ということになるかと思いますが、同時に、文部省、大学の関係もあろうかと私は思いますが、国内的に現に日本がやっております実験その他についてこれをできるだけ公表して、そして世界的な検証問題に資するところあるべくやりたいということは、私などはかねがねの念願でございますから、今後も大いに関係各省の協力を得てそういうことにいたしたいと思います。同時に、やはりその点においても、今回ENDCに加盟をして朝海君からすでにこのような演説もしたわけでございますから、これがそういう面への大きな刺激になるし、また同時に、責任も日本としては大きくなったわけでございますから、こういうこの新しいできごとといいますか、これを契機にいたしまして、たとえば予算の問題にいたしましても、あるいは人員や施設の問題にいたしましても、私は従来に比べられなかったような積極的な意欲がこの研究者の間にも興ってくるし、また行政的にも、機構面が拡充されて、大きく言えば、人類のお役に立つような仕事が意欲的に展開することができる、そういう条件の一つが新たにできた、こういうふうに理解して進めるべきだ、私はかように考えております。
#7
○森元治郎君 そこで、この地震のそういう地殻波動あるいはそういうものに関連する官庁というのは、運輸省もあり、あるいは文部省、大学研究所その他研究所もおられるのですが、直接のこの官庁、研究者の目標が、本来のそれぞれの目標で手一ぱいなんですから、これはやはり国際的な問題ですから、外務省が中心になって、こういう資料を公表するように各省に連絡をして吸い上げていくようにしなければできないと思うのですが、運輸省が核実験がありましたなんて発表するのはおかしいことだろうと思うので、これは外務省が中心でこれからおやりになったほうが軍縮委員会の席上で口で言っているよりは非常に地下実験についての関心を高めていくだろうと思うのです。どうでしょう。
#8
○国務大臣(愛知揆一君) そういう点も、今後の日本としてのやり方の最善の道はどうしたらいいかということも当然予想されましたので、今回の代表団の中に宮村教授に初めから参加してもらっておりますのも、そういう点を含みとしておるからでございます。すなわち、必要に応じては外務省でそういうことを取りまとめてもよろしゅうございますし、あるいはまた別個の方法がさらにあるということであれば、そういう方法によることもまた可能ではないか、かように考えております。
#9
○森元治郎君 きょうは専門家の政府委員も来ておられるようだが、いまのところは、マグニチュード四・七五より大きいぐらいのは、いまできている地震計で識別できるが、米ソもだんだん発展して、より小さい爆発をし、地震計に触知されないような実験のしかたも当然進んでいると思うのだが、これに対しては地震学をもって世界に誇り得る日本としてはどういうふうに考えておられるか。朝海さんがこれだけ大言をしたわけですが、限度というものが残念ながら現在はあると言わざるを得ないのか、いや、それも開発資金の投入、国際的協力によればさらに小さいものも遠からずできるのだということになるのか、その辺の科学的事情はどうですか。
#10
○国務大臣(愛知揆一君) 御案内のように、昨年ストックホルムにおいて国際平和研究所の主催によりまして開催された研究会がございますが、その研究会には四つの核兵器保有国を含む十カ国の専門家が参加したわけです。そのときに、お話しのように、マグニチュード四・七五以上の地下の事象については、事象の起こった国の外から地震か爆発かを識別することがほぼ一〇〇%可能だと、こういう結論が出たわけです。で、そのことをそのまま正直に――正直にと申しますか、ありのままこれを朝海演説には引用しておるわけでございます。しかし、それから先に進んで、四・七五以下のものについて事象の起こったところのものが地震か核実験であるかということについては、まだこうした十カ国の研究会でも結論が得られておりませんから、これは今後日本を中心にして――と言ったら言い過ぎるになるかもしれませんけれども、日本の科学技術も大いに活用してもらって、十カ国なりそれ以上の国々の研究者がほんとうに真剣に研究を積むことによって検証の可能性というものが必ず私は開かれるに違いないと思います。しろうとのお互いから見ましても、四・七五マグニチュードというようなものが絶対的な限界ではないんじゃないかとだれしも考えるわけでございますから、そういう点をこれから開発していきたい。どうしてもこれはしかし国際的な協力ということも前提に相なるわけでございますから、場合によって日本だけが一人よがりでこうこうやるということに不適当なこともあろうかと思いますが、そういう点につきましては、先ほど申しましたように、この軍縮会議の中に仲間入りができたわけでございますから、関係国との協力の上に立って、そして日本の知恵が最も円滑に生きるような姿にしたらどうだろうかと、こういうふうに考えておりますが、いずれ、前々申し上げておりますように、第一回といいますか、日本が参加できた第一回の会議も、三週間あるいは四週間で一応休会になるわけでございます。朝海代表はじめみんなが帰ってまいりますから、そこでひとつ今後のやり方について関係国の意見もあらためて正確に把握できるわけでございますから、それをもとにして今後の行き方を十分考えてまいりたいと思っております。
#11
○森元治郎君 それは、また代表は海底の利用禁止について日本の意見を述べておられる。海底利用禁止については、米ソがそれぞれ案を提出しておる。伺いたいのは、海底利用禁止ということは、もうすでに海底をどこかの国が軍事利用をし、あるいは核兵器らしいものを置いているような形跡があるというので利用禁止というふうなことを米ソが出してきたのか、何もまだないが、これから海底に大量殺戮兵器のようなものを置きそうな形勢にお互いにあるので出してきたのか、あるいは、もうすでにたくさん置いてあって競争になっている、もうこれ以上やったのではお互いが容易じゃないから禁止しようじゃないかといって出してきたんだろうか、この背景が私はっきりつかめないのです。その点を伺いたい。
#12
○国務大臣(愛知揆一君) 私も正確に詳細にわたって政府の見解としてこうこうだというところを申し上げるまでの情報がさだかでございません、事の性質上から申しまして。ただ、軍縮委員会のことしの春の会議におきまして海底軍事利用禁止問題が焦点になったことは御承知のとおりでございます。そのことは、軍備拡張競争の予防措置として私は会議としては取り上げられたと、こういうふうに理解していいのではないかと思います。まあ、常識的に言っても、地球の七〇%を海底が占めるわけですから、そこに軍拡競争が波及するのを防止するというのは、人間の発想として当然じゃないかと思うのであります。したがって、どこかの国が海底について相当の軍備をしているかどうかということについては、私は正確な情報を把握しておりません。そういう点につきましても、私は軍縮委員会などに日本が正式に参加し得たことは、少なくとも機会均等的な意味で、諸外国と同様の立場に立ち得たかと思います、情報収集の面におきまして。しかし、ともかくも軍事に海底が利用されてはならないという予防措置として取り上げられている。私は、現在のところ、そこまでのところは正確なことだと思いますし、また、これに対して島国である日本として重大な関心を寄せ、現在までの米ソ双方の提案その他については、すでに政府におきましても、軍縮委員会参加以前においても、どういう案が考えられるのかという点においては、専門家にお願いをしてある程度の研究を積んでおることは御承知のとおりだと思います。
#13
○森元治郎君 いま大臣の言うその予防的なものだとおっしゃるならば、まだ米ソがそれほど海底にそのしかけをしていないとするならば、公海は禁止するが領海内はいいとかというこまかい分け方でなく、いま兵器が配置されておらないというのが現状ならば、一切海の中にやるなという大きな原則論でもいいと思うのですね、いまやってないのならば。領海はいいと言って、それからもう今度は、国際条約においていいのだからと言って、各国がまた海の中へ穴掘って、いろいろなことを各国がそれぞれ始めるということは、これは軍縮でありますから、きょう現在のステータスでとめるということのほうが軍縮だと思うのです。ところが、朝海代表の演説を見ると、具体的に触れて、海底が核基地にならないように措置せよということのほかに、海からの攻撃に対しては純防御的措置を条約で禁止することには問題があるというような、何か少し先走ったようなことも、決定的な言い方ではありませんが、問題があるというふうに問題点をこまかく掘り下げておる演説もあるのですね。これは私は非常に遺憾なことで、予防的というならば、この際きょう現在のところで一切やるな、領海はもちろん領土だからやってもかまわないというのではなく、きょうやって配置してないならば、きょう現在でやるなというふうに、まず軍縮委員会入会の第一声は大原則論で終わりにして、その後だんだん会議が進むにつれて、米ソが配置してどうだこうだということで、初めてこれに対応する具体的な策を第二段に打ち出していくというのが順序ではなかったかと思うのです。大きい問題に小さい問題をつけ加えて、便乗して何か言って留保しておかないと損だというような感じを代表の演説から受けるのですね。どんなものでしょうか。
#14
○国務大臣(愛知揆一君) 御意見は御意見として……
#15
○森元治郎君 大事な意見ですよ。
#16
○国務大臣(愛知揆一君) 私の意見を申し上げます。
 これは非常に重大な問題なんです。同時に、私は先ほどお答えいたしましたように、現在ある国がどの程度海底を軍事的に利用しておるかということについては、私は先ほどお断わりいたしましたように、情報を十分つかんでおりませんからお答えはできません。したがって、領海の問題にもお触れになりましたが、領海内はどう、領海外はどう、領海内についてどういう施設をどこの国がしているのであろうか、領海外についてどこの国がどういう施設をしているのであろうかということを込めまして、私は情報としていまここに提供するだけの用意を持っておりません。したがって、朝海代表の演説というものは、それがどういうものであろうが、とにかく現在までこの問題が取り上げられていたことは軍拡競争の予防措置であるということ、そこまでは私は正確だと思うのです。しかし、それから先は、いろいろの事態を頭に想定しながら、日本が主体的に本件についてどういう考え方をとるべきかということの考え方を披露したのでありますから、私は何の差しつかえもない、むしろ触れておかなければならないのではないか。四方海に囲まれているわが国としては、海からの攻撃に対する純防御措置までを条約により禁止することは問題があると、問題を提起した発言は、私は当然のことだと思うのです。
#17
○森元治郎君 大臣、事実の確認といいますか、確認といったってなかなかそれは人が言ってくれなければそれまでの話ですが、海底はいかに軍事的に利用されているか、されんとしているかという、おおよその前提がなければ、これに対応する日本をはじめその他の国の対策も、確たるものは立てようがないんですね。事実の確認といいますか、おおよその現実というものの把握がなくて、ただ、海底軍事利用禁止、そのときには日本は海に囲まれているから防御的の、と言うのは少し早過ぎやしないかということを言っているわけなんです。事実がわからないで軍縮をやっていても、これはあまりばくたる、空たるものになりゃせぬかと思うんですが、もう一回その点を。
#18
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、あらゆる可能性ということを、あるいは考えられる事態というものを頭に置きながら日本の立場というものを表明したものでございますから、正確な海底利用、軍事的利用の現状については確たる情報を御説明するまでの用意はいたしておりませんと申し上げたわけでございます。
#19
○西村関一君 関連。
 いま森委員の質疑に関連いたしまして大臣から、海底の軍事利用については確たる情報をつかんでいない、ただわが国の安全の立場から朝海代表がこの問題に触れたんだというお話でございますが、御承知のとおり、ウィーンには国際原子力機関というものがありまして、これは主として原子力の平和利用を取り扱っておる機関であるというふうに了解いたしておりますけれども、しかし、原子力の問題に関しては国際機関としてこれが置かれており、わが国からも東京工大の西脇安教授が出向いたしておりますが、そういう方向からも、原子力がどういう方面に、平和的のみならず軍事的に利用されておるか、また、されようとしておるかというような情報が当然入っていると思うのでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
#20
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、もう一度正確に申し上げますが、海底が軍事的にいかなる程度に利用されておるかということについての確たる情報を、政府として責任を持って御説明するだけの資料は持っておりません、こういうわけでございますから。
#21
○西村関一君 その点は先ほどお答えになったとおりでございますが、私の聞いておりますのは、ウイーンにある国際原子力機関という国連を持つところの国際機関があるわけでございますから、そこへ日本の専門家も行っているわけなんでございますから、そういう方面と外務省はどのような連絡をとっておられるか、その点を伺っておる。
#22
○国務大臣(愛知揆一君) IAEAにつきましては、私はまあ公式、非公式にいつも申し上げておるのでありますが、日本は実にりっぱな優等生でございます。したがいまして、IAEAについては、日本は非常に尊敬されておりますから、あらゆる情報その他は十分に日本としてはちょうだいをいたしております。ただ、御承知のように、IAEAというものは、その性格、制度上から申しますと、もう平和利用に徹しているわけでございますね。各国が軍事的に海底を核爆発によってどれだけ利用しつつあるかというようなことについて、日本政府は、先ほど申しましたように、確たる情報としてここに国会で責任を持って報告を申し上げるだけの情報は掌握しておりませんと申し上げているのもそういうわけでございまして、IAEAは平和的利用の機関である。そしてこれが査察その他の重要な任務を負っておりますけれども、海底の核爆発についての利用の程度ということについては、いまだIAEAとしては権限的にもそこまで行っておりませんから、自然、かりにそこに情報があるといたしましても、これを確たるものとして御披露するほどのことはないのではなかろうか、私はこういうふうに考えております。
#23
○森元治郎君 そこで大臣、確たる情報――確たるといったって相手があることですから取れないけれども、ある程度わからなければ対応策もできないじゃないかということを申し上げておったんです。そこで、海からの攻撃に対する純防御的措置を条約で禁止することに問題があるという問題提起をされましたが、時間もないから、こういうことを言う場合には、自分のおかに近いところ、すなわち領海内ということが暗に含まれておると思うんですが、純防御的措置を各国が条約でもってとる場合に、領海の幅の広いところも狭いところもあるんですが、この問題を提起した裏に、領海は、日本の領海で三海里でいくのか。相手は十二海里でもかまわないのか。この辺についてはどういうことを頭に置かれて発言をされておるのか。
#24
○国務大臣(愛知揆一君) ここには、具体的になれば、領海の問題が大きく浮かび上がってくることはもう当然のことでございます。同時に、領海というものは、これはしばしば国会でも御論議がございますけれども、国際的な約定として彼我ともに合意をする領海の限度でなければ、これは意味をなさない。したがって、領海の問題はまた別個に国際的に十分検討し、審議をすべきものであると思います。一部には、何か領海といいますと、相手国が十二海里を言ってるのにこっちは十二海里にしなきゃ損だというふうに単純に考えられやすいのですが、国際的に認められていない十二海里をこちらも国際的に認める必要がないことは、いろいろの漁業協約その他の場合に御承知のとおりでございまして、国際的に現在確立しており、どこの国も異論がないというのは三海里説である。しかし、これについては、日本にももちろんこれでは一般的に狭過ぎるという意見もあり、また、領海の問題については、従来もいろいろ国際的な会議その他で論議をされ、ある場合には、三海里より広くするということで合意をされかかったという事実もございますが、これはこれとして、政府としては別途に前向きに国際的協力関係の上に検討をいたしておりますというのが従来からの政府の正式見解でございます。そういうふうなことになりました場合には、当然、この海底についての考え方もその領海はよりまして規定すべきものじゃないか、かように存じております。
#25
○森元治郎君 それで時間ないから一つだけ簡単な問題をもう一回お願いをするのは、もう一点触れてるのは、朝海代表が核の軍縮というのは、ことにすべての核兵器国が軍縮討議に参加するよう希望するということを声を大にしたわけですね。これは一般的に日本の立場を言っただけなのか。中国――北京ですね、中共及びフランスに向けて軍縮委員会の場をかりて聞こえるように大きい声に言ったのか。軍縮委員会として何かステップをとれということを含みとして言ったのか。それが一つ。
 もう一つは、軍縮討議に参加せよという討議の場は、日本政府の代表の意図は、軍縮委員会に出てきてくれるならそれもけっこう、あるいはまた、核を持っている五大国が入ってきてもけっこうであるということなのか。
 第三点は、だれがすべての核兵器国の中で参加しない国に参加するように慫慂するのか、首に鈴をつけるというのか、つける役目はだれがするのか、日本が、参加していないすべての核兵器国に軍縮討議に参加してくれということを、外交機関は無理とするならば、その他の機関を通じてでも向こうにわかるように申し入れでもしようとするだけの強い熱意があるのか、この三点で質問を終わります。
#26
○国務大臣(愛知揆一君) 日本代表の態度やその演説の当然の帰結として、核を持てる国、武器として持っている国がこれに参加しなければ終局的な意味はないことは私は当然だと思います。その当然なことを申しておる。つまり、中国もフランスも参加してこの約定の中に入ってくれなければその目的は到達できません。これはだれが考えてもそうだ。そのことを特に強調したわけです。どういうふうにしてその考え方をエスタブリッシュしていくかということは、これはただ単なる軍縮委員会の政府代表だけの力ではどうにもなるわけではないわけでありますから、それは、あとの第二、第三の問題につきましては、また別に私政府としての見解を表明いたしたいと思います。
#27
○委員長(山本利壽君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
#28
○委員長(山本利壽君) 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とインドとの間の協定を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件
 を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#29
○佐藤一郎君 租税協定の関係につきましては、各国ずいぶんこのところやっておりますし、あまり質問することはありませんが、一、二お聞きしたい点があります。それは、一つは船舶についてですが、これは本来相互免税になっているという原則はないんですか。
#30
○政府委員(細見卓君) 大多数の国とは相互免税になっておりますが、御承知のように、国際租税条約、何が原則、何が非原則ということではなくて、やはり両国の主張の調和したところで条約を結ぶという意味で、後進諸国との条約はおおむねこうした形になっているのが多いようであります。これは先進諸国と申しますか、西欧諸国のこれらの国との条約におきましても大体同様な型になっております。
#31
○佐藤一郎君 その軽減率ですが、これはいろいろなタイプがありますか。
#32
○政府委員(細見卓君) 税金のかけ方にいろいろなタイプがございまして、たとえば運賃収入の何%とかいうやり方、それからインドのように運賃所得に本来かかる税を軽減するというようなやり方、いまの二つの型が、大きく分けまして、あると思います。
#33
○佐藤一郎君 伺っている意味は、五〇%と従来なっていたのを五五%と軽減するとあるのですが、ほかの諸国は大体みな五〇%なんですか。その率を聞いているのです。
#34
○政府委員(細見卓君) いずれも五〇%でございます。なお、申し上げますれば、日本が結んでおるもので五〇%になっておりますものは、タイとかセイロンとかいう国がそうなっております。
#35
○佐藤一郎君 そのほかの後進諸国について、大体五〇ですか、あるいは別の率がありますか。
#36
○政府委員(細見卓君) 別の率はございませんで、国によりましては、後進国ということばが適当であるかどうか知りませんが、たとえば従来のマレーシアとの条約のように、相互免税になっておるもの、あるいは韓国との間は、条約ではございませんが、今回の協定によりまして、相互免税というようなことになっておりまして、一律にどういうふうということではありませんが、軽減税率があるものはいずれも五〇%になっております。
#37
○佐藤一郎君 五五%というのは、何か異様な感じですが、どういうことでこういう率になったのですか。
#38
○政府委員(細見卓君) なるべく軽減してほしいということが進んで五%になった、金額で五千万か六千万程度のものになろうかと思います。
#39
○佐藤一郎君 それからもう一点ですが、インドの税制改正ですが、どうも中身を見ると、英国の税制改正に歩調を合わした税制改正のようでありますが、そうですが。
#40
○政府委員(細見卓君) 考え方はかなりイギリス的なものを取り入れているように思いますが、税制の仕組みということになりますと、やはりインドはインドの税制というような感じがいたします。
#41
○佐藤一郎君 同じように、税制改正の行なわれた英国についてもこれに似たような改正がありますか。
#42
○政府委員(細見卓君) 先般御承認を願いました日英租税条約の改定条約におきまして、イギリスの新しい法人税制に対しては手当てをいたしたわけでございます。
#43
○委員長(山本利壽君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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