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#1
第061回国会 外務委員会 第21号
昭和四十四年七月十七日(木曜日)
   午後二時十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月十七日
    辞任         補欠選任
     佐藤 一郎君     徳永 正利君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 利壽君
    理 事
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
                森 元治郎君
    委 員
                石原慎太郎君
                鹿島守之助君
                梶原 茂嘉君
                杉原 荒太君
                高橋  衛君
                廣瀬 久忠君
                三木與吉郎君
                岡  三郎君
                加藤シヅエ君
                西村 関一君
                羽生 三七君
                白木義一郎君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       外務大臣官房領
       事移住部長    山下 重明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   説明員
       外務大臣官房領
       事移住部旅券課
       長事務取扱    林  祐一君
       外務省アジア局
       外務参事官    金沢 正雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○旅券法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本利壽君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。本日佐藤一郎君が委員を辞任され、その補欠として徳永正利君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(山本利壽君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりをいたします。
 旅券法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
#4
○委員長(山本利壽君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
#5
○委員長(山本利壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(山本利壽君) 次に、旅券法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#7
○森元治郎君 政府委員にちょっと技術関係だけ。旅券をもらって海外に出るときに、共産圏に初めから行きたいという場合もあるわけですね、明示して。そのときには渡航趣意書というものを何通か出しなさい、こういうことですね。それを十通とか五通とか持っていくと、外務省がそれを関係筋、官庁に回して、そして出す場合もある、あるいは渋る場合、いろいろな場合があるのですね。
 それからもう一つは、追加というやつ、初めには書いていなかったが、途中で何かの事情で、途中まで帰ってきたらちょっと北鮮に入ってみたいというようなときには、もよりの領事館といってもちょっと遠いが、どっかでそれを申請をする。そういう手続でいいのでしょうね。そして、その場合もまた趣意書を出して審査を待つ、そういうことになるのですか。それだけですか。初めからと、途中ですが。
#8
○政府委員(山下重明君) 東京で初めから共産圏に行かれるという場合には、本省に趣意書を出して、関係省に回してオーケー。大体それがクリアされてから、正式の申請書を出していただくというシステムでございます。
 在外におきましては、渡航趣意書の内容になるものを在外公館に通知していただき、大体において電報で要点を本省へ送ってきて、本省で関係省に連絡してクリアしてから現地で渡航申請の追加を行なうというシステムになっております。
#9
○岡三郎君 初めに、政府の提案それから補足説明の中で、北朝鮮への渡航については申し込みがなかったということで、そういうことはいままでもちろんそういうわけだから旅券は出してないという説明があったのですが、衆議院の旅券法改正に伴う参考人の陳述の中において、具体的に言うと、日朝貿易会の専務理事の相川さんという人が、旅券の申請をしたけれども申請は受け付けられないとして拒否されている現状であるということを言っているわけなんです。つまり、旅券課の窓口で、北朝鮮への渡航については上部の承認がない限りだめだと、こう言って断わられた。ところが、ここの席における答弁としては、そういうものがなかったということで済まされておるようですが、これは事実はどうなんですか。
#10
○政府委員(山下重明君) これは実際には困難だということをお答えしているわけです。だから、実際上はかなりもう拒否に近いものでありますけれども、しかし、正式に、形式的に申しますと、実際には申請書を受け付けてそれをはっきり審査した上でないと拒否という形にならないという意味で申し上げたので、それで実際には困難だということで申請書を出さないで、結局は、どうしても行かれるという場合にソ連行きの旅券を取って行かれたというようなケースがある、そういう意味じゃないか、そういうことをお答え申し上げたわけです。
#11
○岡三郎君 そういうふうにはなっておらないので、外務省のほうとしては、北朝鮮行きの旅券申請はなかった、だからいままで出してないのだ、申請がないものを出せるわけがないからということで出してないのだ、しかし、事実上は、申請をしているけれども、「上部の承認がない限り旅券申請は受け付けられないということで」断わられた。これはだいぶ内容としては違うと思うのです。つまり、受け付けられないということだから、やむを得ずソ連行きならソ連行きのパスポートをもらって、そうして北朝鮮なら北朝鮮に入ったということに私はなるのじゃないかと思うのですがね。だから、その点について正確に答えてください。
#12
○政府委員(山下重明君) 役所としては、正式にどうしても申請を出すという方に申請を受け取らないということは法律的にできないわけで、もし窓口でそういうことを言ったとすれば、これはわれわれのほうで指導が足りなかったわけで、申請を出すというときにそれを受け取らないということは法律上できないという形になっています。
#13
○岡三郎君 いや、「受け取らないことができないことになっておる」とは言っても、海外渡航というのはやっぱり日限があるわけですね。そうすると、日限というものを考えたときに、むずかしいと言われてしまえば――これはやはり時間がかかるにしても何とかなると思えば出すと思うんですが、そういうふうな点について、それは指導が悪いということではなくて、事実上そういうふうにしてきたんじゃないですか。これは外務大臣、この点どうなんです。
#14
○国務大臣(愛知揆一君) 岡委員のおっしゃるのはそのとおりと私は思うんです。実際上、従来は受け付けておりませんし、それから、正式に申請しても許可される見込みはない、こういうふうに実際上の申請者が思われたから、したがって、その人たちは横流れ旅券を使っていたというのが実情で、当局側から言えばやみではありましょうが、黙認されたやみ行為であったと、こういふうにお答えすれば一番正確だと思うんです。行きたい人、行きたいつもりで旅券課というか外務省の顔つきを見に窓口に来たけれども、これは正式に出しても実際上許可にはなりそうもない、こう判断をして、したがって、正式に申請書を出すところまではいかなかった。しかし、旅行する必要があり、どうしても行きたいという考えの方は、そこで横流れ旅券の活用ということに思いつかれてこれを利用されてきた、こういうのが実情だろうと思います。
#15
○岡三郎君 この問題は横へ置いといて、あとでまた言いますが、昭和三十六年四月の二十日に政府のほうとして韓国に対して、北朝鮮との貿易の問題について口上書というものが出ていますね。この内容をちょっとお聞かせ願いたいと思うんですがね。
#16
○説明員(金沢正雄君) 三十六年の四月の二十日に口上書が出ておるかおらないかということについて、申しわけない次第でございますが、いま資料を持っておりませんので、そういうものがあったともなかったともお答えできないわけでございます。
#17
○岡三郎君 私のほうで申し上げますと、口上書の中で、前段を受けて、「日本国政府は日本国と北朝鮮との貿易に関しては、大韓民国政府のこれに対する特別な関心にかんがみ、日韓両国関係に及ぼすべき影響を考慮して、従来、例外的に、全面禁止の措置をとってきており、これは大韓民国政府の承知しておられる通りである。しかるところ、日本国政府において近来貿易及び為替自由化の一般方針を推進するに伴い、国内関係方面より、北朝鮮との貿易の一部緩和に対する強い要望が提起され、政府があくまでかかる要望を容れない場合には、却つてこれが日韓会談に対する反対ないし日本国と北朝鮮との交流促進を提唱する等の好ましからざる結果を招来すると認められるに至った。よって、日本国政府は、大局的見地から、この際前記一般方針の一環として、北朝鮮との貿易の一部緩和を実施することとしたものである。日本国政府は、大韓民国政府が以上に述べた如き理由により、日本国政府としては今次措置をとることを必要とするに至ったものであることを了解せられるよう要請するものである」、こういう内容になっておると思うんですがね。これは知らないんですか、ほんとうに。
#18
○説明員(金沢正雄君) 私、ちょっと存じません。
#19
○岡三郎君 これは外務省としては知らぬのかな。いまの点について知らぬでは済まされぬと思うのでね。
#20
○説明員(金沢正雄君) いまの点につきましてお調べして御返事申し上げたいと思います。
#21
○森元治郎君 関連。
 まあ、表に出したくないのかもしらぬが、こうやって問題が表になってみれば、アジア局関係だと思うから、この委員会は午後四時まで開いているので、二時間の余裕があるから、取り寄せることは決してむずかしいことじゃないと思うのですね。委員長、取りはからってください。
#22
○委員長(山本利壽君) どうですか、金沢君。
#23
○説明員(金沢正雄君) すぐに外務省のほうと連絡いたしまして、そういうものがありましたら提出いたしたいと思います。
#24
○岡三郎君 この口上書をいまお調べいただくことになったわけですが、この内容は外務大臣は承知しておりますか、事実として。
#25
○国務大臣(愛知揆一君) 三十六年当時といえば、かりにあったとしても、韓国政府と国交が結ばれる以前のことかと思いますが、私は実はそういうことがあるかないか私自身は存じません。それから、現在私の意見はどうかというお尋ねでございますれば、これはいずれにしても日本が主体的にきめるべきことであって、他国の干渉等を受けるべき問題ではない。これはまず第一の原則だろうと思います。しかし、韓国と正常な国交関係を結び、前回の当委員会でも率直に申し上げましたように、現内閣といたしましては韓国政府との間の親善友好関係を一そう緊密にし、かつ増進したいと考えておりますから、そういう気持ちで本件に対しても対処をしてまいりたいと、かように存じます。
#26
○岡三郎君 この口上書の中にある、一部北朝鮮との貿易の緩和、交流はある程度認めるというふうな内容になっていると思うんですが、これを知らないということになると、「黙認」という先ほどのことばと一体どういうことになるのが。知っておればこそ表立ってはうまくないから「黙認」ということばが出てくるのだろうけれども、こういうことを一体知らないで黙認ということができるのですか。主体的に日本の外務省のやることだから向こうとは関係がないんだと言っても、事実行為としては北鮮行きの旅券は幾ら言っても出ないよと、そういうことで、ソビエトに行ってそれからまた横すべりで北朝鮮に入る。そういうことについては内々黙認してきたんだ、こういう答弁があったのですね。その根拠が一体どうなっているのか。黙認の根拠ですよ。
#27
○国務大臣(愛知揆一君) これは私が従来から申しておりますように、日本の政府として、これは外務省だけではございませんが、主体的に考えて関係各省とも十分相談をして認めるべきものは認めるということでいく態度を今後もとりたいと思っておりますが、その際に、やはり未承認国との関係が、承認国との関係よりも一般的に、何と申しますか、心持ちから言えば薄いことはこれは当然のことではないかと思います。それから、この前私取り消しましたけれども、とにかく朝鮮半島には緊張が続いておって、三十八度線を間にして南北が対立の状況にある。日本としては現内閣は韓国政府を承認し、かつ、これと友好親善関係を結んでおって、これは将来ともに大切にしていきたい。これを外交政策の基調にしておりますから、その考慮のほうが北鮮に対する考慮よりも厚くなる、あるいはそれとの関連を十分慎重に考えていくということは現内閣としては当然の態度である、こういうふうにいま私は考えております。
#28
○岡三郎君 いままで中共に対しても政経分離ということをしばしば言ってきたのですが、北朝鮮、ベトナム、中国、こういうところに対しても、やはり政経分離の方針というものはあるでしょう、外務大臣。
#29
○国務大臣(愛知揆一君) 中国に対しましては従来しばしば申し上げておりますように、経済の関係とか人的交流については、中国本土との関係を事実上結び、かつ、これを守っていっておるわけでございます。渡航の関係その他においては一つの定着したやり方がございますから、一がいに、分裂している国家であるからといって日本の主体的な取り扱いが画一的なものじゃないということは当然だろうと思います。それから北ベトナムに対しましては、これはまたベトナムの状況がそれとは違った要素や条件もございますから、北ベトナムとの間の人間の行き来ということについても、従来だんだんこの考えというものが定着してきている慣行がございます。こういうところに比べまして、北朝鮮と韓国との関係というものは、地域も直接接触し、かつ、三十八度線をめぐって現にゲリラの潜入というようなことも具体的な事実としてあるわけでございますね。それに対して韓国側としては非常に困っておるというか、国勢の発展のためにずいぶんと苦心惨たんをして国づくりに当たっておる。その韓国と日本とが親善友好関係にある。こういうふうな状態でございますから、日本周辺にいわゆる三つの分裂国家がありますが、そのそれぞれに対して適宜に対処していかなければならない。したがって、画一的に分裂国家に対してみなこうやるのだというようなことを一がいに言うことはできませんし、またそうすることは不適当である、私はかように考えております。
#30
○岡三郎君 私の聞いていることはそうじゃなくして、具体的に中国とそれから北朝鮮と北ベトナムと――分裂国家であるかどうか別として――貿易が行なわれているわけですね。この事実は認めますね。
#31
○国務大臣(愛知揆一君) 具体的なお尋ねかもしれませんが、これはやっぱり基本的な考え方、姿勢の問題であろうかと思います。それから、北朝鮮との問に貿易がある程度行なわれている、これも私も事実上知っております。認めておるわけでございます。
#32
○岡三郎君 昭和三十六年を一つの境にして、北朝鮮とは貿易がかなり進展してきている。北ベトナムも貿易が進められてきておるし、中国においても、いろいろと問題があってもそのつど努力によって継続されてきている。しかも、全体から言って、アジアの平和とか善隣友好とか、ことばではいろいろと言われているけれども、未承認国といってもこれは日本の敵なんだというふうに考えて――率直に言ってですよ――やむを得ずやっているけれども、それは本来はやるべきものではないのだ、こういうふうに考えておられるわけなんですか、基本的な姿勢から言って。
#33
○国務大臣(愛知揆一君) 基本的な姿勢は「どこの国も敵視しない」というのが基本的な姿勢ですが、その基本的な姿勢のもとにおいても、先ほど申しましたように、承認国との間の関係、未承認国との間の関係、これは考え方の姿勢におのずから厚薄があるということは私は自然な姿ではないか、客観的に見ても私はそう考えるわけでございます。いわんや主観的、政策的な問題から言いますれば、一方が非常に大事であって、一方はそれほどでもない、こういうふうな程度の厚薄のつけようは当然じゃないでしょうか。私はそういうふうに考えます。
#34
○岡三郎君 ある程度の差をつけるのが当然だ、こう言われておるわけですが、それは事実上においてつけられているわけですね。いま外務大臣が言ったことは事実として受け取っておきますけれども、事実上に日本と北朝鮮との貿易というものが、現在三十六年から四十三年度までにかなり進んできている。こういうふうなことを考えていった場合に、その口上書の内容にあるように、こういうものを全部シャットアウトするというと、いろいろとまた別のむずかしい問題が出てくる。そういうふうなことによって、ある程度北朝鮮との貿易の一部緩和を実施したい、「実施することとしたものである」、こういうふうになっているということになれば、旅券の交付の指導といいますか、そういうものがおのずからそういう方針の中から生まれてきている、生まれてくるものだと常識的に考えるわけです。そうでないからわざわざ遠回りして横すべりなんということが行なわれてきている。日本と直接朝鮮との関係において行き来をするということをある程度認めるならば、これは費用においても時間においても非常にむだが省ける。ところが、従来のやり方を見ているというと、さまざまな迂回経路をとってきている。こういうふうなことをやってきて、今回の旅券法の改正においては、横すべりは罰則になるのだ、そうして、なお三万円以下の罰金と同時に、旅券の発給をとめるというような懲罰的なものがこれに加わってきている。こうなるというと、提案の趣旨にありますように、「わが国の旅券制度を改正し、国民の便宜を図るとともに増大の一途をたどる旅券事務の合理化」云々とあるのですが、「国民の便宜を図る」ということにはならぬじゃないか。旅券法の一部を改正する法律案の提案理由説明の中にあることばですが、この改正によって国民の便宜をはかるのではなくして、ますます不便というか、禁止条項を強めていくというふうなていさいにこれがなっていると思うのですが、この点は、提案の説明とそういう具体的な事実とからめて、これはどういうふうにお考えになっていますか。
#35
○国務大臣(愛知揆一君) これは、法案の内容を十分御審議いただければおのずから結論がだれにも明白だと思いますが、大多数の海外旅行者にとっては、これほど善政はないと私は確信いたしております。だれしもが喜んでくださる改正だと思っております。北朝鮮という一つの限定された特定のところに特にこの問題を当ててそこだけのところで御論議をいただくのは、政府側としても非常に残念なことであります。現状より悪くは全然しておりません、その限りにおきましても。そして、この地球全体の上の、北朝鮮というところ以外のところに対しては、そこに旅行を希望される方からは大歓迎される。北朝鮮との間におきましても、政府の考えから言えば、現状より悪くするつもりはございません。
#36
○岡三郎君 まあ、いま画期的なサービスと言われたが、私はこれはおそきに失して、こういうことは当然諸外国の例に徴して旅券法の改正というものはしかるべくやるべきことでね。だから、そういう点については何も異議をはさんでないわけです。そういう点については、五カ年間にしたとか、あるいは数次の旅券を発行するということについては、これは大サービスでも何でもなくて、当然こういうふうになるべきであるし、諸外国の例に徴してもそういうふうにやらざるを得ない状況にいまなってきてる、それはすなおにわれわれ受けとめてるわけです。しかし、「国民」というのは「すべての国民」ですからね、北朝鮮なり、北ベトナムなり、あるいは中国に行く人も、これは国民の一員であることは間違いないわけです。そうするというと、やはり総括的に言って利便を、便宜をはかるということになれば、すべての方面にやっぱり利便をはかるということが強調されなければいけない。そこに、法の前にすべての国民が平等の便益を受ける、便宜を受けるということは、これは当然のことだと思うんですがね。まあ、そういう中で、残念ながら、未承認国といわれてるそういう国々に対してどうもからっとしない。日本国外務省が主体的に立って、貿易については北朝鮮ともやらせるんだ、そういうふうに昭和三十六年四月二十日に一部緩和を唱えている外務省がですよ、北朝鮮に入るのに大回りして時間と経費のむだを国民にしいて、黙認してやってきたということ自体、これ、主体性の問題として大臣が言うことをそのままとってお返しするならば、これはおかしいんじゃないですか。この点どうなんですか。
#37
○国務大臣(愛知揆一君) ちょっとその、「この点」とおっしゃる「この点」が、私によく理解できないんですけれども、もう少しお話し願えませんでしょうか。
#38
○岡三郎君 つまり、昭和三十六年四月の二十日に出している外務省の口上書というものがおわかりにならぬから――知らぬというか――だから、そういうことになってくるんだろうと思うんですがね。いま、これは調査中だから、これ以上触れませんがね。少なくとも貿易という面については一部緩和をして貿易をさせると、貿易を実施するというたてまえをとっておる外務省としてですよ、旅券の申請に行くその目的は貿易である。そうするというと、指導が悪いかどうか別にしてですね、それは申請しても、受け付けないわけにはいかぬが、出る見込みがないというふうな形で、横すべりの方式を無理じいしてきてるような形の中で、横すべりというものはぐあいが悪いんだと、こういうふうな形の行政指導というものをいままでやってきたっていうこと自体、これはこの点一体おかしいんじゃないかと言ってるんです。「この点」というのはそういうことなんです。
#39
○国務大臣(愛知揆一君) よくわかりました。
 先ほども申したように、それから、本件が当委員会で御審議いただくようになりまして、冒頭から私率直に申し上げているのですが、従来のようなやり方はいかぬと、これは間違いであったと、これを前提にしているわけです。したがって、日本として主体的に考えまして、こういうものは理由もわかるというものに対しては道を開く、その道がなければ、この黙認しておいたやり方に対して罰則をつけて罰を科するということは非常におかしいことなんです。だから、そことの関係で、そんなおかしなことをこの改正案で考えているわけではございません。ただ、さりとて――これも率直に申し上げますが――さりとて、るる申し上げておりますように、北鮮行きの旅行を奨励するなどという気持ちは政府は持っておりません。
#40
○岡三郎君 私は、毛頭外務大臣が奨励するなどということを期待もしていなければ、そういう答弁をいただこうとも考えておりません。ただ問題は、やはり合理主義といいますかね、やはりいま外務大臣が言ったことばでもうわれわれは納得したわけですから、それ以上言いませんがね、やはり一応筋目を通していろいろと諸外国との折衝交流というものを、まあ気に食わぬところでも、開いてきているという現状ですね。そういうところで、それを実際行政的にそれぞれの窓口で取り扱わせる場合において、やはり趣旨一貫しておいてもらわないと、要らざる混乱と、もう一つは憶測と流言というものが出てくると思う。それはプラスにはならぬと思うので、私はそういう点についてお願いをしたわけですが。そうするというと、いまの大臣のことばで、奨励はしないけれども、従来の方向とは違って北朝鮮との貿易関係という面については旅券を発行するのだという点については、これはよろしゅうございますね。
#41
○国務大臣(愛知揆一君) 要するに私の申し上げたいのは、わが国として適当だと認められるような旅行者が、旅券法上違法な行為をしてまで出かけていかなければならないような不便さ、あるいは罰則にかけられるような法律の適用を受けるというようなことは避けていきたいと、こういうわけです。
#42
○岡三郎君 それでですね、もう一点、たとえばソビエトなりあるいは中国へ行って、まあ、行く当時は北朝鮮に行く必要性を感じなかった、ところが、たまたまモスクワなり北京でいろいろと商談をした、その中においてにわかに北朝鮮なり北ベトナムへ行く必要性が出てきた、そういう場合には今回のあれはどういうふうに取り扱ってくれますか。
#43
○国務大臣(愛知揆一君) これは事務的に詳しくそういう場合のやり方を御説明したほうがよろしいと思いますが、たとえばモスクワ滞在中にハノイへ急に行きたくなった、また行かねばならない用件ができた、あるいは平壌に行かねばならない商談ができたという場合には、モスクワ所在の日本国の大使館あるいは領事館を通して申請をしてもらいます。そして日本の東京におきましてその許否をできるだけ早く決定いたします。そういうふうにしたいと思っております。
#44
○岡三郎君 その場合に、商談とかいろいろなそういうふうな話し合いということは、かなり時間的に制約される場合があると思うのです。したがって、そういう道は開けておっても、許可とかそういう問題が時間的におくれるということがあると、事実上は意に反して役に立たなくなってしまう。そういう点については申請者の意向というものを聞いて、日限的に、時間的に間に合うように措置してもらえますか。
#45
○国務大臣(愛知揆一君) いま申しましたような考え方でございますから、善意適切な希望に対してはできるだけ迅速にお答えするようにしたいと思います。これは実はお尋ね以外になりますけれども、北朝鮮だけじゃなくて、たとえば北京行き等の場合におきましても、従来いろいろと審査が手間どっておった実情のようでございますから、そういう点も改正の機会にできるだけ簡素化するようにいたしたい、かように考えております。
#46
○岡三郎君 その点は一応終わったわけですが、次に、従来の旅券法の中にある十三条第一項の第五号ですね、これがずいぶん問題になってきたわけですが、具体的にいま言ったような問題についてはっきりしたわけですが、たとえば親善友好という場合ですね、よくそういうふうな話が各国との間にあって、交流しようと、これは端的に言うと、貿易だけではなくて、商売上だけではなくして、親善友好のために行くんだということについてはどういうふうにお取り扱いになるんですか。
#47
○国務大臣(愛知揆一君) これは、これこそ非常にむずかしいところで、やっぱりケース・バイ・ケースでないと、あらかじめこういう場合はどうかということがなかなかきめ切らないと思います。たとえば政府として、これは私外務省の中での経験ではございませんけれども、かつて内閣としても非常に苦労したことがございますが、たとえば、ある国が非常に多くの少年少女を日本から招待をする、旅費も滞在費もみんな向こうのまる持ちである、そして、いわば革命教育を旅行中に施すことを実際は目的としておりながら、そういう招待が来た場合に、これに対して出国を認めるか、旅券を与えるかどうか、これは非常に真剣に慎重に考えまして、そしてこれは拒否することにいたしました。こういうことも表面的には親善友好関係でございます。少年少女が国境を越えてお互いに交わり合うということは、そのことだけに限定してみれば、まさに友好親善関係でございますけれども、そのときの事情が、少年少女たちに革命教育をやる、そして、日本のいわば反体制運動の一つのよすがにするというような目的なり環境が見取れますような場合には、これは拒否しなければならぬのじゃないか。非常に苦しい真剣な検討をやったこともございますので、一がいに親善友好はどうだとお尋ねございましても、これはけっこうでございますと一がいには言えないと思います。
#48
○岡三郎君 それは過去にソビエトの関係であったというふうに承知しておりますがね。まあ、中国よりの招待の中に、若い人たちを招請するときに、一応断わって、あとでまた旅券を発行したという事実も聞いておるわけですが、これは仮定の問題ですけれども、現状においてソビエトがそういうふうに少年少女を招待するということになった場合については、これはケース・バイ・ケースとして、いまは違うと、こうお考えでしょうか。
#49
○国務大臣(愛知揆一君) やはりこれは時代の流れ、それぞれの国の政策自身が流動的でございますから、やはり今後の問題としてはケース・バイ・ケースとして考えざるを得ないと思います。わが国の場合でも、十年前には当時の政府が少し危険だなと思ったことも、今日では全くそのおそれがなくて、むしろ友好的になってきているという場合もございます。逆に、今日友好的であると思っても、今後において逆になる場合だって予想されないこともないと思います。これはどうも一がいには申し上げられない、こういうふうに考えます。
#50
○岡三郎君 そうすると、まあ十三条第一項第五号の解釈のしかたというものは、その時々刻々、時代の流れの中で解釈は違うのだと。そうなるというと、外務大臣の考え方によって左右されるということになってくると、これは一般的にやはり渡航の自由とかそういう問題から言って、そういう点の境目というものは非常にむずかしいと思うのですが、そういう判断は外務大臣がどういう資料に基づいてやるのですか。
#51
○国務大臣(愛知揆一君) まず十三条の問題はですね、これは未承認国とかなんとかいう場合だけではございません。全般にかぶっているわけでございますから、たとえば西欧の諸国に行くような場合でございましても、どうもこの人はその国に行って、その国の、何と申しましょうか、現在の体制に対してこれを転覆させるような活動を大いにするために行きそうだと、そして、そういうことが現実に起こったならば、これは日本国のやはり国益にも著しく直接に重大な関係が起こってくると認められるような場合には、これはやはり時の政府としてはとめざるを得ないのではないか、かように存ずるわけでございますが、実はこの条文は現行の旅券法の中にある条文で、それをそのまま置いているわけでございます。ずいぶんこれは政府側といたしましても検討いたしましたが、やはりいま申しましたようなことを考えますと、この運用はもうできるだけきわめて厳格に制限的に運用しなければなりませんが、さりとて、こういうものを全然やめてしまうということは国益上非常に害がある、あるいはまた、他国の旅券法あるいはそれに準ずるようなものをずいぶん研究してみましても、やはりこの種の規定というものは必要である、こういうふうに考えましたので、現行法をそのままにいたしておりますが、先ほど来申しておりますように、どういう基準かとおっしゃられると、事の性質上、この条文にございますとおり、非常に限定的にこの法律が書かれておりますから、これをまあやはり良識をもって運用するよりほかにしかたがないと思います。なお二項において「法務大臣と協議」ということが法律上の義務としてあります。これなどもこの種の規定としてはきわめて厳格な規定であります。それから運用上は、先ほどもちょっと触れましたが、外務大臣だけで専決的に恣意的に運用する気持ちは毛頭ございません。また、それがこの法の命ずる趣旨でもないと私は確信いたします。法務大臣については法律上の義務として協議いたします。それから、実際上関係各省庁とは十分連絡をいたしまして、この種の規定が実際上発動しないように心すべき条項である。かように考えておるわけでございます。
#52
○岡三郎君 この十三条の五号の「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由」と、そうするというと、具体的にかくかくだからこれはだめなんだというふうに、基準というよりも、その「ノー」と言う場合における相当の理由が明白でなければならぬというふうに書いてあるわけですね。だから、そういう場合においては、当然それに基づくところの資料とか、そういうものがあると思うのですが、概括的に外務大臣があれは危険だと思うということで一方的にやられるということではないと思いますが、これは旅券法が制定されるときに、前の大橋法務大臣が、いま大臣が答えておるように、厳格に運用しなければならぬということも言っております。しかし、事実として厳格に運用すると言うても、この法文上から言えば、「虞があると認めるに足りる相当の理由」というのだから、抽象的なものであってはならぬわけですね、そういう点について。革命教育が行なわれるのだというそういう資料が出てきて、そういうことによって、かくかくの理由によってこれは「ノー」となったのだというふうなことをきめられると思うのですがね。その場合における資料というものは、大臣の判断のもとになる資料、それはどういうふうに整えられるのですか。
#53
○国務大臣(愛知揆一君) これは非常にむずかしい問題だと思います、率直に申しまして。私はこの条項を発動しないで済むようにしたいと思っておりますけれども、実際、しかし考えてみれば、観念的に発動しなければならぬような事態も考えておかなければならない。それで、決して顧みて他を言っておるわけじゃございませんけれども、たとえば諸外国の旅券の発給の制限の事由などにつきましても、あらためて今回ずいぶん勉強してみたのでありますけれども、やはり国家、公安を害するもの、あるいは国家、公安を害するおそれがあると認める場合というのが一番多いのです。それで、それについて一体どういう基準でやっておるかということが、こういう事柄の性質上、あまりこまかい基準とか、どんな証拠書類が必要だということをあらかじめきめられるような問題でもないようでございますので、大体他国の立法例も、前回――昭和二十六年ですか、当時の政府としてもずいぶん検討したようでございますが、結局、今回もその当時のこともあらためて勉強し、あるいは周辺の事情なども考えてみて、結局こういう条項になりましたので、ただいまも御引用がございましたけれども、当時の法務当局の責任者の意見と全く同様な意見でまいりたいと思っております。
#54
○岡三郎君 だから、北ベトナム、中国、北朝鮮自体、いままで特に中共等には、親善友好を促進するという形でかなり行かれている方もおると思うのです。北ベトナムのほうにもそういうことがある。北朝鮮の場合において、在日朝鮮人の方々が祖国往来で向こうに帰りたい、お祝いがある。そこで外務省がこれを断わった。裁判になって高裁からいま最高裁に行っておりますね。そういうふうな関連で、特に北朝鮮に厳格にするということはいかがかと思うのですが、私はやはり未承認国といえば未承認国としても、北朝鮮あるいは中共あるいは北ベトナム、差等があってはならぬと思うのですが、これはどうでしょう。
#55
○国務大臣(愛知揆一君) まず、ただいまのお尋ねの中の前半は、在日韓国人の問題かと思いますので、これはちょっとわきにのけますが、ここの直接の問題ではございませんから、必要に応じてあとでお答えすることにいたしたいと思います。
 あとの御質問は、これはどうも岡委員と私の意見はすれ違いであるか、あるいは反対になるかもしれませんけれども、私は、やはり先ほど申しましたように、三十八度線というものが現に具体的にここに存在して、そうして両方が相対峙状態におって、そうしてわが友好関係にあるところの韓国側から言わせれば、ゲリラその他のおそれが常住座臥あるような緊張下にある、こういう状態でございますから、これを日本側から見てその両者を同等に扱うということはこれは現内閣としてはできないことである、かように存じております。
#56
○岡三郎君 現にベトナムにおいては北と南が交戦しているわけですね。しかし、北ベトナムには友好親善で行かれている事例がある、この前取り消されたけれども。南北間の緊張状態というものは一応ここにはっきりしていることは認めます。ただし、これは北ベトナム自体よりも現実の状態は明らかに平和的ですね。ですから、そういう点についてベトナムと朝鮮と区別する理由というものは私はないのじゃないか、事実行為として。だから、韓国との関連において北朝鮮を敵視しなければならぬということにも、先ほどの答弁から言えば、ならないと思うのですがね。一体、どうして北朝鮮に対して親善友好の使節とかそういうものが行くことをお断わりになるのだか理由がはっきりわからないのですよ。それは緊張状態にあってゲリラが来ておるということもわかっておりますがね、南北ベトナムにおいては交戦状態にある。しかも、親善友好の使節というものは行った例がある。朝鮮の場合それを断わるというわけにいかぬと思うのですがね。特に緊張状態を緩和するという意味ならば、やはりそういう点について、アジアの平和とかそういう問題について、日本の国民が行って交流する中において親善関係を深めるとともに、平和に対するところの話し合いをするとか、そういう面についての活躍というものを毛ぎらいする必要はないのじゃないか。また、それを私は積極的にやるということも、やはり現在の日本国憲法から言うても有意義なことであろうというふうに考えるわけですが、それは平行線ですか。
#57
○国務大臣(愛知揆一君) どうもこの点は平行線だと申し上げざるを得ません。それからベトナムの場合も、先ほど私申し上げたつもりなんですけれども、やっぱり朝鮮半島あるいは朝鮮の人たちのものの考え方と、ベトナムの南北の人たちのものの考え方というものには、やはり国柄が違い民族が違うとずいぶん私は違いがあるように存ぜられます。なるほど、ベトナムでは大戦争が現実に行なわれております。行なわれておりますけれども、また朝鮮とは違った雰囲気というものもそこにあるように感ぜられる場合もございます。やはりこれは真剣に、慎重にその状況を見ながら、やはり日本としてとるべき態度を間違いないようにすることが大切でありまして、私は主として韓国と北朝鮮との関係について申し上げるとするならば、あくまで私は、現状において韓国政府並びに韓国民の立場、ものの考え方というものをできるだけ擁護し育てていくようにするのが日本の現内閣の態度でなかろうかと、かように存じております。
#58
○岡三郎君 その方針はわかっているのですがね、たとえば先日もお答えがあったわけですが、国会議員が行く場合においては親善という形でこれはよろしい、こういうことなんですか。
#59
○国務大臣(愛知揆一君) その「親善」ということよりも、裏から言って、十三条第一項第五号、これの適用のお尋ねがございましたので、ここに該当するような範疇に属するようなことを国会議員の方々がなさろうとは私は思いません。したがって、これに該当して外務大臣が旅券の発給を国会議員に対してお断わりするというようなことは考えられませんということを申し上げたのでありまして、法律論から申せば、もちろん十三条第一項五号も、国会議員といえども日本国民でございます以上は法の前には平等で、適用がございます。運用についての、何と申しますか、御意見やお尋ねがございましたので、さように申したわけでございます。
#60
○岡三郎君 そうするというと、たとえば、親善の一種として日本の卓球の選手が向こうへ行って親善試合をするとか、あるいはその他の種目においてもひとつ親善試合をしようとか、そういうふうな問題について、どうしても行きたい、そういう場合についてはこれはどういうふうに取り扱われるわけですか。
#61
○国務大臣(愛知揆一君) やはりケース・バイ・ケースだとお答えするのが適当だと思いますけれども、ただ、スポーツというようなことに限定して申しますならば、これはもう具体的、客観的にスポーツの試合が行なわれるわけでございます。まあ、そういうことまでとやかく言わぬでもいいではないかという考え方も私はあり得ると思います。
#62
○岡三郎君 その点はよくわかりましたが、そうするというと、ケース・バイ・ケースという、いろんな問題がここにあるわけですがね。逆に、明確に十三条一項五号に該当しない形という中で親善をしていきたいという問題については、また別途考慮するという余地もあるわけですね。
#63
○国務大臣(愛知揆一君) 北朝鮮の場合に限定して申し上げますと、何しろ北朝鮮と韓国とは対峙状態にある。まあ、私、「戦争状態にある」ということは念のため取り消さしていただいたわけでございますけれども、こういう対立状況にある。そして、韓国政府は、韓国政府からの説明、言動によれば、もう常時北鮮から侵入するゲリラに悩まされておる状況にある。こういう状況下にあって、この北朝鮮と日本国民が何でことさら親善友好関係をつくり上げる必要があるんだろうかということも、また裏から考えなければならないものではないでしょうか。そういう点もひとつ十分お互いに考えてまいりたいと考えております。
#64
○岡三郎君 人にはいろいろと考え方があるので、民主主義の中においても――私が言う必要もないと思うんだが――やっぱり少数意見を尊重するということもあるので、まあ、韓国を好きな人もあればやっぱり北朝鮮を好きな人もあるんですよ。だから、それは、韓国とどうも仲が悪いから北のほうはうまくないんだと、これはまあ外務省が言われることについて、韓国との親善友好を進めるという立場にあるからそうなんだと言っても、憲法に保障されている渡航の自由というようなことから言って、明らかにこれは十三条の一項五号に該当しないということがある程度明白に看取されるならば、これは無理にとめる必要もないというので、その場合に、こういう規定があるんだから旅券を取られるようなことをしては困りますと言って、気に食わないけれどもやはり出すというくらいの度量というか、そういうふうなことがなければいけないのじゃないでしょうか。
#65
○国務大臣(愛知揆一君) これは度量という問題ではなくて、韓国政府との間は、御承知のように、正式な国交があるわけですね。しかも、わずか三年有余の間でございますね。そして韓国としても現在異常な条件のもとにおいて国づくりにほんとうに一生懸命に国民が私は努力奮闘していると思うんです。これをやはり日本という、何といいますか、これも常識的なお話で、前に大きくなっていたところの兄貴分とでもいいますか、そういう立場から言えば、できるだけ韓国がすくすくと育ち上がるようにできるだけ配慮をしていくことが今日における私は日本の外交政策の一つの支柱であると、これは私の確信でございますから、意見の違う方は幾らもおありかと思います。私はそれで外交政策を推進してまいりたいと、かように考えておるわけでございますが、その韓国の立場が、何度も申すようでございますが、事実上相対峙している状況の一方のほうにことさらに何かしかけていくということは、いささか私といたしましては、度量の問題じゃなくて、考え方の問題あるいは日本の国益という問題からして賛成いたしかねるわけでございます。それから、憲法上の人権というお話でございますが、これも最初から私率直に申し上げておりますように、そもそも旅券というようなものはやはり世界的な人権の尊重の問題であって、したがって、一種の身分証明書のようなものであると私は断じてよろしいと思うんです。ただ、しかしながら、この旅券は持っている自国民が外国において待遇やあるいは生命の保障をしてもらう便宜を依頼しているわけでございますから、そういう点から言って、相手国が未承認国であったり、あるいはまた、その日本国民が旅券を与えるのにはふさわしくないような、たとえば重罪人であるとかというような場合においてこれを制約するということは、やはり憲法で認められている公益のためには裸の人権が何でも無条件で尊重されなければならないというのじゃなくて、裸の人権というものがときには公共のため、あるいは国益のために制限を受けるということは当然でなかろうか。あるいはまた、「裸の人権」と言うとことばが悪いですが、ほんとうの意味の人権を尊重するという立場から言って、その人のためにかえって、政府の立場から言えば、行動を制限したほうがより安全であり、人権を守るゆえんであると考えられる場合もあるのではなかろうか。そして、まあこれは御賛成いただけるかどうかは別問題として、この法律が成立いたしますれば、憲法に定められた手続によって成規に国民から選出された国会の方々の御承認を得ることができますれば、完全なこれは公権の法律であるということになるわけでございますから、私はそういうふうな御審議をしていただいて、御賛成をいただいて、そして同時に、立法府としては行政府のやり方に対して監視していただく。最終的にはその運用が正しいか正しくないかは司法権の判決に待つ、こういう行き方でいくべきじゃないかと考えます。
#66
○岡三郎君 ずいぶんそれは固苦しい考え方でね。私は「しかける」ということは一体どういうことなのかということを考えるわけですよ。たとえば親善使節として明らかに公安を害するおそれはない、国益を損することはないと、そういうふうなことが明らかに証明されて行く場合において、韓国のほうが、一にも二にも、行くこと自体がけしからぬと言う。そういう立場を日本政府が尊重してそういう一つの事例をしかけるというふうに解釈するのでは、それは話にならぬと思う。だから、私は、まあ大臣の答弁にあった中において、普通未承認国の場合は、その未承認国のほうから入国の招待とか許可とかそういうものがあって行くのが現状だと思うんですよ。そういうようなことを考えるというと、生命の危険とかそういうものについては、向こうのほうから「来てくれ」と言うんだから、だまし打ちして来たらやっつけるんだ、そういうばかげたことは私はもうないと思う。そういうことは、向こうのほうとしては、外務省のほうで頼まなくても、相手国のほうで、招待し入国許可するということになれば、当然生命の安全とかそういうものについては保障しているというふうに考えるのが、これは常識じゃないかと思う。だから、そういうふうに考えていった場合に、それを心配して出さないという理由は当らないのではないかと思うんですが、これはどうですか。
#67
○国務大臣(愛知揆一君) いまのお尋ねの点についても、私は遺憾ながら所見を異にするわけでございます。と申しますのは、入国先からの招待とは言えないかもしれませんが、それに準ずるものとして、現にある未承認国におきましては、日本の新聞記者あるいは通商会社の、定められた話し合いに基づいて派遣されている人たちが、生命、所在すらも判明しておりません。これはまことに悲しむべき事実でございます。政府としては全力をあげてその安否を確かめ、あるいは救出をはかろうとして万策尽きんとするくらい努力をいたしておりますが、こういう事実もございます。
 それからもう一つは、これは先ほど申し上げましたように、招待だから国益に反するという場合が私はあると思うんです。たとえば観念的な例ですけれども、数千人の日本の青年少女を、滞在費も旅費も全部まる持ちでもって、そして日本の現在の体制に対する反体制の考え方を吹き込むというような訓練をするために招待されるというような場合は、これは断固として拒否しなければならぬ場合も私はあり得るかと思います。したがって、招待だから生命が安全だとかいうことではなくて、やはり日本の主体的な立場で応ずべきか断わるべきか、ここは私は日本側の非常に大事なところじゃなかろうか。私見でございますけれども、さように考えます。
#68
○委員長(山本利壽君) ちょっと速記をとめて。
#69
○委員長(山本利壽君) 速記を始めて。
#70
○岡三郎君 それでは、きょうは他に質問があるので、あと少々でやめますが、その行く本人が、かりに、先ほど言ったように、向こうのほうで入ってよろしいと言って帰ってこれなくなったという事例があるという話です。たとえば、ベトナムなりあるいは北鮮なり中共なり、本人のほうが自分で行きたい。そうして、そういう点についてはいろいろな問題があることについても十分覚悟している。しかし、いずれにしても行きたいんだ。こういうふうな場合において、明らかに政府なら政府に対して国益なりあるいはそういうふうな問題については厳に慎むというふうな形で、旅券の交付を願いたいという場合においては、私はやっぱり考えるべきであるし、それで、かりに向こうのほうでいろいろと問題が起こった場合においても、その問題については十分本人が納得しているんだというふうなことで措置ができると思うんですが、そういうふうなことを考えていった場合に、行かれる人が、どうしてもやはりいまをおいては他に機会がなかなかないから行きたいんだというふうなときには、もしもその本人がうそを言っている場合においては、後刻調査して自後の旅券の差しとめもできるわけです。だから、そういう面については、ある程度の余地というか、余裕があってしかるべきではないかというふうに考えるわけなんです。十分後刻この問題についてはチェックができるんじゃないか。これは明らかに虚偽の申請とか、そういう問題については旅券法違反ということでこれを処理することもできるわけですね。この点どうなんですか。
#71
○国務大臣(愛知揆一君) それは御提案申し上げておる法律案で、もし虚偽の申告をするということがあれば、現行の旅券法同様に二十三条第一号で処罰の対象になること、これは懲役もかかります、旅券の没収もできるわけでございますから、それはお話しのとおりでございます。しかし、とにかくやってみろ、そして何かあとになってから十三条に該当しそうなこともあるかもしれないというくらいのところで未承認国に旅券を発給するというのは、私は政府としてはいささか行き過ぎではなかろうかと考えるわけでございます。
#72
○岡三郎君 私は取り越し苦労をして言っているわけで、そういうことがないという場合を言っておるんですね。ただし、政府が心配しているように、万が一そういうことがあってもちゃんとできるんじゃないか。だから、正常な形においてそういう杞憂というものはないんだと言うに足るそういう本人の誓約書とか、あるいは、そういう点について心配かけないというふうにはっきり言ってきているものについて、その時期をおいてはなかなか他に機会がないというふうな場合においては、やはり率直に言って、出してしかるべきじゃないかと言っておるわけです。あとのことばはチェックする場合の一つの問題として言ったにすぎない。だから、親善関係についてスポーツの関係は別だと言われたが、実質において親善というものは非常に幅が広いわけです、いろいろな面について。だから、そういう点については一がいに全部門戸を閉ざすわけではなくして、やっぱりある程度の余地を残こす必要があるのじゃないかということを私は先ほどから言っておるわけです。これは外務省のほうの大臣の判断によってということになると、大臣が頑強になれば実際むずかしくなってしまう。情勢の変化ということによってそういうものが一方的に処理されていくということになれば、この法律自体の解釈の問題が非常にむずかしくなるのではないかというふうに考えるるわけです。一切がっさい、表はこのとおりで、あとは大臣の取捨選択、裁量によるということでは私は相ならぬと思うんですがね。
#73
○国務大臣(愛知揆一君) いまのお尋ねの中にいろいろの要素があるように考えられますけれども、その中心は、要するに十三条一項五号の問題に結局また戻ってくるのではないかと思いますが、これは「著しく且つ直接に、」「害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者、」これは法制局当局からもお聞き取りいただきたいと思いますけれども、この条文の字句はきわめて限定的に書かれておる。おそらく文言としては、これ以上の、外務大臣の権限を縛る最大限度の私は表現はないかと思います。しかも、「前項第五号の認定をしようとするときは、あらかじめ法務大臣と協議しなければならない」とさらにこれで縛ってある。これは内閣法制局の見解といたしましても、これだけやっておけば、外務大臣がその恣意によってこれを乱用することはできないはずである、こういうふうに、法制的にもそういう見解でありますことは昭和二十六年以来の見解でございます。そして、事実過去をお調べいただきましてもわかりますが、この項を引用してお断わりしたという中には、一つ例外が、国会議員の場合でこれはずいぶん問題になりましたものがございますけれども、それ以外は、まずまず件数もほとんど少ないというか、ないにひとしい。ありましたものも、まずまず全国民的に御納得をいただいたようなケースではなかろうかと思います。私は先般衆議院でも申し上げたのでありますけれども、過去における経緯の中で、特にある国会議員の方がこれで迷惑をされた、そういう不幸なる前例もございますので、そういうことはいたしませんと私ははっきり申し上げたわけでございます。
#74
○岡三郎君 非常に厳格に規定されておるといっても、現実に旅券申請しているほうから見るというと、非常に拡大解釈されてきている。これは具体的な事例で衆議院の参考人の意見としても述べられておるわけですがね。だから、大臣はそういうふうに言われておるけれども、この解釈が非常にときによって拡大されてきている、こういう問題が具体的にあるわけなんです。しかし、きょうはこれはこの程度にとどめて、この問題その他、次の機会に譲りたいと思います。きょうはこれで。
#75
○白木義一郎君 従来貿易業者の横すべりという問題がいま話題になっているわけですが、いわば正規のストレートの北鮮行きの旅券がなかなか入手できないということで、やむを得ず横すべりというような不便な方法で貿易業者が北鮮と取引をしていた。これをこの今回の改正案の趣旨から言いますと、「国民の便宜を図るとともに増大の一途をたどる旅券事務の合理化と旅券制度の適正な運営を図ろうとする」趣旨でこの法律を改正しよう、こういうわけですが、その改正の点については、先ほどもお話しのあったように、おそきに失すると、このように私も思っておるわけですが、なぜこの際無理してまでも、横すべりをして取引をしていた、いわば国益に反しない旅行者の不便を来たすような問題をここに持ち出してきたかという点について、もう少しはっきりお答えを聞きたいと思うのです。
#76
○国務大臣(愛知揆一君) どいうふうに申し上げたらばいいか、さらにお尋ねをいただきたいと思いますけれども、まず、今回の改正の目的は、いろいろ出ましたし、御理解いただいておると思いますが、未承認国に対してマルティ旅券を発給しない、一ぺん切りの旅券で、未承認国に対してはそのつど発給することにいたしたいというのがこの関連する問題の中の第一の前提でございます。これを、おりおり申しますように、旅券というものは日本国民の身分証明書のようなものだ、基本的人権の問題である、だから徹底的に自由にしろ、制限をつけるのはおかしい、こういう議論に徹するならば、もう未承認国、承認国の区別なしに、どこへ行くのでも申請があれば旅券はみな出す、それから種類も、一般旅券は一般旅券でマルティのものとシングルのものと区別をしない、こうやるのが私はその点から言えば理想的な非常にすっきりした考え方だと思います。しかし、この点については未承認国と承認国――日本人が渡航する先が承認されている国交の正常にある国としからざる国との間では、やはりこれは厚薄がつくのは自然だし、また、いろいろの点から見て無理はない、諸外国の例も大体そうだということで、こういう区別をいたしたわけでございます。そこで、それなら、一回限りの旅券の発給についてはどういう考え方でいくか。具体的に言えば、北朝鮮、北ベトナム、それから中国本土、あるいは東独というものがそれに入りますが、主としてこの三つの極東の地域だ。ところが、中国に対する関係、北ベトナムに対する関係では、従来もあまり問題が起こっておりませんし、むしろ、この旅券の扱い方はいわば定着した慣行がもうできてきておる、こういうふうに考えます。しかし、その慣行の中でも、いままで各省との連絡が必要であった関係から、書類の写しをずいぶんたくさん申請者からいただいております。それから、決定するまでにずいぶん多くの日数もかかっておりましたから、これは簡素化をしてなるべくすみやかに御要求に応ずるようにいたしましょうというので、ただいまのところ、中国本土や北ベトナムについてはあまり問題は起こっておりませんし、将来についての御懸念も私はあまりないように思います。そこで、北朝鮮ということが問題になる。この北鮮に対する考え方は、随時申し上げておりますとおりでございます。
 それからもう一つは、北朝鮮は従来ある程度の貿易が行なわれておる。人数は必ずしも多くございませんが、どうしても北鮮貿易をしなければならない業務関係の方が若干数北朝鮮に渡っておられる。この方々は、外務省に持っていったって発給をしてくれないであろう――事実、従来の外務省はストレートの申請があっても発給をしないかまえがありましたから無理からぬことですが、しかし、商談は大事なので、モスコー行きその他の旅券を申請されて、それでいわゆる横流しという形で北朝鮮に入っておられました。その事実を完全に掌握しているかどうかは私自信はございませんけれども、おおよその状況は外務省当局でも掌握しているようでございます。これがいわば現在行なわれている北朝鮮と日本との関係を物語っておるのではなかろうか。これは今後の運用の上におきまして相当の参考資料になると考えております。そこで、これを重要な参考の資料としまして、今度はこの改正案ができましたら、北朝鮮の平壌に行きたいと申請される方は、審査の上これを原則的に拒否するというような態度ではいたしませんということを申し上げておるわけでございます。そのことがなければストレートに来られた方に申請におこたえする道をあけないでおくならば、横流しに三万円の罰金を新たにつくるということは、これは不当であると思います。そういう考え方は政府にはございません。つまり、国益をいかなる意味でも害するおそれがない、あるいは国益のためになるという方に北鮮向けの旅券を発給するという覚悟をしない限りは、従来公然と行なわれていた旅券の横流しに罰金を科するということは成り立たないわけだと私は考えます。しかし、私はるる申し上げておりますように、この際、北鮮行きの旅行を奨励する気持ちは政府には全然ございません。そのことだけはどうぞ御了解をいただきたい。まあ、こういうふうな考え方であります。いままでるる申し上げておりますことを取りまとめて申しますと、ここが今回の旅券法の御心配をかけている点ではないか、それに対する政府の態度はいま申し上げましたとおりでございます。
#77
○白木義一郎君 そうしますと、従来の横すべりの入国というような件数の中には、政府あるいは外務大臣が国益に反するというようにとられるようなケースがあったわけですか。
#78
○国務大臣(愛知揆一君) 従来の問題は成規の手続を経ていない、事実上のいわばほんとうに文字どおりの横流しでございますから、それに対してここでそれがどうであったかということを申し上げるのは適当でないと思うんです。ただ、先ほど申し上げましたように、これは大きな今後の運用上の参考になります。かように私は考えておるということを申し上げておるわけでございます。
#79
○白木義一郎君 そうしますと、あくまでもこの改正案を出す政府の趣旨としては、国益に反しない限り未承認国への旅券の発給は、積極的ではないけれども、発給すると、こういう大臣のお答えであると了解してよろしいでしょうか。
#80
○国務大臣(愛知揆一君) これは先ほどるる申し上げましたように、たてまえといたしましては、北鮮に限りません。特定のある地域に対して旅券を発給しないという目的を持って少なくともこの改正案を御審議願っているわけではございません。こういうわけなのであります。
#81
○委員長(山本利壽君) 他に御発言もなければ……。
#82
○森元治郎君 ちょっと一問事実関係で。
 一回限りの旅券の渡航先の表示はどんなふうになるか。それから五年ものの表示はどういうふうに予想されるのか、官報にそれは公示されるのか。それはいつか。
#83
○政府委員(山下重明君) 表示のほうは官報に告示するつもりにしております。それでそれはどう書くかというと、「すべての国及びすべての地域」として、カッコして、たとえば「北鮮、中共、北ベトナム、東独を除く」というふうに書くつもりにしております。それから一回限りの旅券の渡航先は、いままでのところは、中華人民共和国、北越民主共和国、それから東独、それから平壌と、こういうふうに書いております。それを一応続けるつもりで検討しております。
#84
○森元治郎君 その五年もののほうね、大韓民国の管轄の及ばない、「韓国の管轄の地域を除く朝鮮」という表現は五年ものには出てきませんか。
#85
○説明員(林祐一君) 御質問の点につきましては、そういう場合においては発給をしないつもりでございます。
#86
○森元治郎君 そういう表現は使わない。
#87
○説明員(林祐一君) はい。
#88
○森元治郎君 そこで、平壌というのは国ではないですね。一つの地理上の名前ですね。そこへ行くんですから、特に一国に迷惑をかけるのではないのじゃないかという感じがします。そこで大臣に伺いたいのは、「私、政府といたしましては北鮮に行くことを奨励するつもりはさらさらございません」と。その気分が要らざる反発を買うので、どこともつき合うというのだから、特に奨励しようと言って奨励することはないのだ。あそこに行ってくれと言う国はありますか。ないのなら、それを特に北朝鮮をつかまえて「奨励するつもりはさらさらない」と言うから、聞いた連中はぐっと来てしまって、無用に神経をいら立てる。これは大臣まずいですよ。それがこの旅券法の気分になっているんだな。しかも、地名を平壌と明書するとなれば、いよいよもって北鮮なんていうことばは使う必要はないんですね。国会の論議で北朝鮮人民共和国とぬけぬけと国会でしゃべれるようになったのは最近ですね。前は「何だかそう称する国がある」というのが日韓条約のころの一貫した政府の答弁だったんです。いつの間にか北鮮と言う。それだけ現実に事態が進んできているということを政府みずから認めているんだから、しかも、平壌と言い、何もそんなに韓国まで引き合いに出して旅券問題を神経いら立たせておやりになることはないと思うんですが、大臣のお気持ちを。
#89
○国務大臣(愛知揆一君) 非常に適切な御意見で、まことにどうも恐縮に存ずるわけでございます。あまり私が率直に申し上げたこともあり過ぎるかと思いますけれども、ひとつ政府の意のあるところというものはぎりぎりのところまで申し上げているつもりでございまして、ひとついままで申し上げておりますことを十分善意で御解釈いただいて、御信頼をいただきたいということをあらためてお願い申し上げる次第でございます。
#90
○岡三郎君 ちょっと資料ですが、衆議院のほうで要求されて出していると思うんですがね、世界各国の罰則例といいますかね、それから、旅券発給の制限規定ですか、というものが各国にあると思うんですがね。そういうものについての資料、それから、世界各国の出入国管理上の順守事項、こういうものは衆議院で要請されておるので、こちらのほうにも御提出願いたいと思います。
#91
○国務大臣(愛知揆一君) 承知いたしました。
#92
○委員長(山本利壽君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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