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#1
第061回国会 法務委員会 第3号
昭和四十四年三月二十五日(火曜日)
   午前十時三十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十一日
    辞任         補欠選任
     林田悠紀夫君     重宗 雄三君
 三月十八日
    辞任         補欠選任
     占部 秀男君     林  虎雄君
 三月十九日
    辞任         補欠選任
     林  虎雄君     占部 秀男君
 三月二十日
    辞任         補欠選任
     木島 義夫君     櫻井 志郎君
 三月二十二日
    辞任         欠補選任
     櫻井 志郎君     木島 義夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小平 芳平君
    理 事
                後藤 義隆君
                河口 陽一君
                亀田 得治君
                山田 徹一君
    委 員
                上田  稔君
                木島 義夫君
                近藤英一郎君
                堀本 宜実君
                秋山 長造君
                占部 秀男君
                山高しげり君
   国務大臣
       法 務 大 臣  西郷吉之助君
   政府委員
       法務政務次官   小澤 太郎君
       法務大臣官房長  辻 辰三郎君
       法務省保護局長  鹽野 宜慶君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   寺田 治郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小平芳平君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 去る十一日、林田悠紀夫君が委員を辞任され、その補欠として重宗雄三君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(小平芳平君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。西郷法務大臣。
#4
○国務大臣(西郷吉之助君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。
 第一点は、裁判官の員数の増加であります。これは、高等裁判所における訴訟事件の適正迅速な処理をはかるため、判事の員数を十五人増加し、また、簡易裁判所における交通関係の業務上過失致死傷事件の増加に対処するため、簡易裁判所判事の員数を二十八人増加することにいたしております。
 第二点は、裁判官以外の裁判所職員の員数の増加であります。これは、下級裁判所における事件の適正迅速な処理をはかるため、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び裁判所事務官を増員しようとするものでありまして、合計百十九人を増加することにいたしております。
 以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
 次に、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案による改正の要点は、地方更生保護委員会における仮釈放の審理その他の事務処理の一そうの適正迅速化をはかり、また、同委員会の事務処理の能率化をはかるため、現在三人以上九人以下の委員をもって組織することとなっている委員会を三人以上十二人以下の委員をもって組織することに改めるとともに、法務大臣の指名する委員が事務局長を兼務することとされているのを改め、専従の事務局長を置くこととするものであります。
 これにより、委員八人及び専従の事務局長八人の増員が見込まれるわけでありますが、これは、事務局の内部組織の合理化をはかるため、「地方更生保護委員会事務局組織規程」(昭和二十七年法務省令第三号)の改正により廃止することを予定している事務局部長の定数十六の組みかえ措置によって行なうこととしております。
 以上が、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案の改正の趣旨でございます。
 何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう、切にお願い申し上げます。
#5
○委員長(小平芳平君) 以上で説明は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(小平芳平君) まず、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#7
○亀田得治君 この犯罪者の予防更生法の中の恩赦の問題でありますが、最近、ずいぶんいろんな問題について、新聞等にも報道されたりしておるわけですが、現在当局に出されておる申請状況ですね、これはどういうふうになっているのか、まず概略から御説明願いたい。
#8
○政府委員(鹽野宜慶君) 明治百年記念恩赦の受理の状況でございますが、ただいままでに中央更生保護審査会で受理いたしました数は二千件を少し上回っております。突然のお尋ねでございましたので、本日現在の正確な統計は用意しておりませんが、三月二十日当時で二千百件を少しオーバーしているという状況でございます。
#9
○亀田得治君 その中身といいますか、そういう点は大別してどういうふうになっていますか。
#10
○政府委員(鹽野宜慶君) まだこの特別恩赦の手続の途中でございますので、詳細な統計は準備いたしておりませんが、お尋ねの御趣旨は、おそらく選挙違反事件とその他の事件との割合というようなところにポイントがおありになろうかと存じます。私どももその点だけは若干準備しておりますので、その点を御説明いたしますと、受理総数が先ほど申し上げましたように二千百件を多少上回るという、そのうち選挙違反が約千六百件でございます。七割を若干上回るという状況でございます。
#11
○亀田得治君 それから、二千件を上回っておる申請に対して、結論を出した状況はどういうふうになっていますか。
#12
○政府委員(鹽野宜慶君) ちょうど半分、約千件処理されております。
#13
○亀田得治君 その千件の内訳というのはどういうことになりますか、選挙とその他に分けて言いますと。
#14
○政府委員(鹽野宜慶君) 約千件のうちの、選挙違反は七百七十件程度でございます。その残りがその他の一般事件でございます。
#15
○亀田得治君 これはいつまでに大体終わる見込みですか。
#16
○政府委員(鹽野宜慶君) ただいま申し上げました受理は、審査会の受理でございます。亀田委員御承知のとおり、個別恩赦は本人の出願の手続がございますが、出願は検察庁あるいは保護観察所ないしは刑務所に出願されますので、その出願を受けた庁が必要な調査をいたしまして、中央更生保護審査会に上申するわけでございます。したがいまして、現在のところ、審査会で受理しておりますのは、先ほど申しました二千百件余りでございまして、出願の状況は現在正確に把握いたしておりません。
#17
○亀田得治君 これは相当数あるんだと思いますが、おおよそどの程度あるだろうということは考えられませんか。
#18
○政府委員(鹽野宜慶君) 若干ピントのはずれたお答えを申し上げまして失礼いたしましたが、全体の件数がどれほどになるかという見通しでございますが、これは私どもも正確に申しますと、現在のところまだ見当がついておりません。しかしながら、今回の個別恩赦は、その基準がほぼ前回の皇太子の御結婚の際に行なわれました恩赦の基準と大体一致しております。当時の御結婚恩赦の件数を見ますと、四千件を多少上回っているのでございます。したがいまして、少なくもその程度には達するのではなかろうかというふうに見通しをしているわけでございます。
#19
○亀田得治君 この中央更生保護審査会、そこへ来るまでに検察庁等で下調べをしてくるわけですね。これはやはり可否の意見というようなものをつけてくるんですか。
#20
○政府委員(鹽野宜慶君) 調査いたしました結果、上申庁の可否の意見をつけてまいります。
#21
○亀田得治君 先ほど結論が約千件出ておると言われましたが、上申してくる役所の意見と結論の食い違ったもの、こういうものはどの程度あるんですか。
#22
○政府委員(鹽野宜慶君) この種の統計はとっておりませんので、ちょっとわかりかねます。
#23
○亀田得治君 あまりないんじゃないですか。
#24
○政府委員(鹽野宜慶君) 必ずしもそうも申せないと思います。
#25
○亀田得治君 この上申庁が出してきて、さらに保護局のほうでも事務整理という立場から検討して、事務局としての意見というものはつけるんですか、つけないんですか。
#26
○政府委員(鹽野宜慶君) 審査会で結論を出すのが本来の姿でございますから、事務局が意見をつけないのが本来であろうかと思いますが、明治百年の恩赦は、ただいま申し上げましたように、相当の件数が見込まれるわけでございまして、審査をある程度能率的にやっていただくことも考えなければなりませんし、それから私ども事務局といたしまして、審査会の審査がだんだん進んでまいりますと、審査会の考え方と申しますか、処理のやり方が大体わかってまいりますので、審査の能率化をはかるために、ある程度意見をつけて審査の促進をはかるという方法をとっております。
#27
○亀田得治君 審査会は、これ全部非常勤ですね、委員の方。
#28
○政府委員(鹽野宜慶君) そうでございます。
#29
○亀田得治君 週何回くらい開くのですか。
#30
○政府委員(鹽野宜慶君) 従来は一週二回皆さん方にお集まりを願っておりましたが、現在は一週三回お集まりを願っております。
#31
○亀田得治君 これは一回はどの程度審議するのです、時間的に。
#32
○政府委員(鹽野宜慶君) その日によってかなり違いますが、一日の仕事の時間という御指摘でございます、まあ午前の十時ごろから午後の四時半ないし五時、おそいときには六時ごろまで審査をお願いしているという次第でございます。
#33
○亀田得治君 今度の明治百年恩赦について開かれた審査会というのは何回ぐらいになるのです。
#34
○政府委員(鹽野宜慶君) ちょっと回数は計上しておりませんのでわかりかねますが、最近に至るまで一週二回でございましたが、最近一週三回ということにいたしたわけでございます。
#35
○亀田得治君 それから審査のやり方は、委員全部でやるのか、あるいは各委員がある程度件数を担当して、そうして調べて全体委員会に報告するというふうなことなのか、どんなやり方なんです。
#36
○政府委員(鹽野宜慶君) 審査会の審査は非公開でございまして、審査の際には私ども事務局も出席を許されませんので、こまかい点まで承知いたしておりませんが、ただいま御指摘のように、各委員が分担して担当するということではなくして、全員が一つの事件を全部御検討になるというやり方で審査をしておられるようでございます。
#37
○亀田得治君 これ、犯罪者予防更生法の十条の三項を拝見すると、一人の人に指名して調査をさせるということができるようになっているのだが、そういうことはやっておらぬわけですか。
#38
○政府委員(鹽野宜慶君) 御指摘の規定は、裁判所で申しますと受命判事のような手続かと思いますが、審査会で実際問題としてはこのような手続は行なわれておりません。
#39
○亀田得治君 審査会では、事務当局がこれ全然入らないんですか。やはり説明などいろいろしなければならぬのじゃないですか。
#40
○政府委員(鹽野宜慶君) 事務局のほうで最初に委員さん方に御説明したほうがいいと思われるような事件がございますれば、委員長のお許しを得まして事前に御説明するということも考えられるわけでございますが、こういう場合は非常に例が少なうございます。しかしながら、絶無ではございません。
#41
○亀田得治君 そうすると、実際上は、保護局のほうで書類を整備して、意見をつけてそのまま書類を回してやる、向こうから説明を求められたら入っていくと、そういうやり方ですか。
#42
○政府委員(鹽野宜慶君) 大体御指摘のとおりでございます。
#43
○亀田得治君 それで、これも突然の質問で、あるいは十分お答え願えないかもしれぬが、上申庁の意見と、それから保護局の意見と食い違ったまま審査会に出されるという事例等はありますか。
#44
○政府委員(鹽野宜慶君) 上申庁の意見は、先ほど申し上げましたように、上申の書類に記載しておりますので、はっきりいたしておりますが、保護局の意見と申しますのは、審査会と離れて保護局の意見があるというわけではないのでございまして、審査会の審査の状況を私ども拝見しておりまして、審査会はおそらくこの程度のものは間違いなく許可あるいは棄却という処理をなされるだろうというような事件について、事前に事務当局の意見を付記しておく、あるいは口頭で御説明するということでございます。
#45
○亀田得治君 そうすると、初めは自分らは何も持っておらぬが、若干やってるうちに審査会の基準的なものが出てくるので、それを参考にして事務当局が意見をつけておる、そういうふうなことのようですが、そうすると、まあおのずから一つの基準というものが生まれておるわけでしょうが、それはどういうふうなことになってるんです、今度の明治百年恩赦では。
#46
○政府委員(鹽野宜慶君) 個々の事件の審査の間に、たくさんの件数を処理していかれますうちに、おのずから基準的なものが出てきたように思います。しかしながら、それは必らずしも、審査会がこれが基準だというふうに指示しておられるわけではないのでございまして、その内容は、御説明するほどのすっきりした内容ではございません。
#47
○亀田得治君 そうすると、説明するほどきちんとしたものじゃないというと、なかなか、意見をつけるというのがほんとうはむずかしいわけなんですがね。ある意味においては、そんな不明確なものなら、意見などをつけない、材料だけをそのまま審査会にあげる、こういうことでなきゃならぬようにも思うんだが、やはり、まあ事務当局が意見つけりゃ、それに相当重きが置かれると私は思うのですよ、実際上。まあお答えはないのですが、その事務当局と審査会の結論との食い違いというふうなことはあまりないんじゃないか。これはまあ想像するんですが、いやそうじゃない、非常にあるんだというなら、これまた見直しますけどね。そういう何も基準がないようなもんだったら、あってないような基準であれば、審査会が意見をつけるというのは、これは少し行き過ぎじゃないかと思う。いわんや経由庁がいろんな意見を付してくる、そんなものに中央の審査会が拘束されるわけじゃない、法律的には。確かにそうなんですが、しかし、それはやっぱり重きをなしているわけですよ、どうしたって。そういうわけですから、ともかく下から上がってきたら、それをそのまま審査会へ出しといたらどうですか、途中の経由庁の意見をつけたり、そういうことをしないで。そのほうが私は公平だと思うのですがね、それはみんなだれでも申請する権利はあるんだから。それはどうなんです。
#48
○政府委員(鹽野宜慶君) 本来のたてまえは、御指摘のとおりだと思います。したがいまして、最初に申し上げましたように、本来の審査会のやり方は、上申庁のほうで意見をつけてまいりますので、その書類を整理して、審査会の審査を仰ぐというのが本来の姿であろうと私も思っております。しかしながら、先ほど申しましたように、事件数が相当たくさんございまして、ある程度能率的に審査をやっていただくということも、また事務当局として考えなければなりませんので、従来の例から見て、この程度のものはこういう結論になるだろうというようなものにつきまして、便宜意見をつけていくということでございます。したがいまして、新しい形の事件、あるいは非常に複雑な事件、問題のある事件というようなものにつきましては、意見をつけないで、そのままで御審査を仰ぐということをしているわけでございます。
#49
○亀田得治君 これは後ほどちょっとお調べになって、委員会外でもいいのですが、資料をいただきたいのですが、経由庁、それから事務当局の意見と結論というものが反しておるというふうな事例が大まかに言ってどの程度あるものなのか、そういう点。これは非常に公平なとにかく機関でなければならぬわけですがね。いやしくもこれは判決の効力に影響を及ぼす機関ですからね。裁判所などはみんな白紙で各種の材料を受け取るわけですからね。だから、そこの扱い方が不明朗ですと、いろいろやっぱり疑惑を招く。そこでお聞きしますが、経由庁なり事務当局が意見をつける、恩赦の申請の前に、こういうものはうまくいくだろうかというふうに打診をする、こういうことはちょいちょいあるのじゃないですか。公正取引委員会のいまやっている合併の事前審査みたいなものですね。非常に長くやっているから、あれに対しては非常に批判が出ていますわね。しかし、同じようなことが恩赦などの場合においても行なわれているのじゃないですか。
#50
○政府委員(鹽野宜慶君) 恩赦の出願の場合に、事前に私どものほうにお尋ねになるというようなケースはございます。
#51
○亀田得治君 それについては、やっぱり意見をおっしゃっているわけでしょう。
#52
○政府委員(鹽野宜慶君) 本来事務当局はそういう問題につきまして意見を述べる筋合いではないと思いますが、実際問題として、とうてい恩赦の見込みがないと、審査会がとうてい恩赦の許可という結論をお出しになる見込みがないと思われる事件がございますので、そういうようなものにつきましては、私どももその種の意見を申し述べたことがございます。
#53
○亀田得治君 それは全然問題にならぬものはね。これはまあ、法律上許されておるおらぬは別として、それはいいと思うんですよ、常識的に。しかし、全然問題にならぬものは、初めから出してこぬ場合も多いだろうし、みんな出す人はそれ相当法律家とも相談をやっておるだろうし、そういうことですから、やはり微妙なやつですよ、事前審査というものは。だから、そういうことをおやりになるということは、私はちょっと越権じゃないかと思うのですがね。それは事前審査で、いやこれは事前審査だから効力がないのだというわけには私はいかぬと思うんですよ。その際意見を言えば、やはりそれは物を言うていくわけですわね。それは私はちょっと、制度の趣旨から見て、いい慣習じゃないと思うのですが、それはどうなんですか。
#54
○政府委員(鹽野宜慶君) 御指摘のとおりでございまして、私ども事務当局といたしましては、具体的な事件につきまして、俗に申しますと、見込みがあるとかないとか、かようなことはとても言えないのでございまして、さようなことは一切申しておりません。
#55
○亀田得治君 まあ愛媛県で某県会議員の問題が新聞で非常に取り上げられ、問題になっていることは、御存じでしょう。で、これは新聞に出た関係者の談話などを総合しますと、どうも明らかに、事前に打診をしてオーケーをとって、その上で上告を取り下げ、犯罪を確定させて、直ちに恩赦を申請しているというふうに思われるんですね。思われるんですよ。だから、そういうことになりますと、この制度の運用というものについて非常な疑惑が私は起こってくると思うのですよ。これは事前に打診があったんでしょう、どうなんです。いま具体的に名前まで言うのははばかりますが、これはもうこれだけ言えばわかるでしょう、その件については。
#56
○政府委員(鹽野宜慶君) この件につきましては、事前に話を聞いたことはございます。しかしながら、これがどういう取り扱いになるかというような点については、一切お答えいたしておりません。
#57
○亀田得治君 それは、法務省のどなたがお話を聞いたのですか、事前に聞いたことがあるというのは。
#58
○政府委員(鹽野宜慶君) 私も聞いております。
#59
○亀田得治君 それは、聞かしてくれたのは、やっぱり相当偉い人なんでしょう、本人じゃなしに。
#60
○政府委員(鹽野宜慶君) あまり具体的な事件の取り扱いになりますので、私が聞いたことがあるということで御了承いただきたいと思います。
#61
○亀田得治君 そうすると、局長ともあろう者が、私は意見を言わぬはずがないと思うのですよ、これは。ほかの単なる一事務官という立場とは違うわけですからね。といいますのはね、それは必ず本件はいついつまでに恩赦になるんだと非常に有力な方が堂々と発言をさておるわけです。それが新聞に載っているわけなんです。もしそうならなかったらわしは腹を切ると、自分の現在の地位を捨ててもいいと、そこまで言い切っておるわけですからね。これはまるでちゃんと結論を事前にとっているような感じですわね。だから、恩赦について、ことにそれはまあ、犯罪は犯したが、非常に事情から見て気の毒だとか、そういうケースもたくさんありますよね。そういうことについてなら別だが、なかなか、政争の渦中に入って、それは賛成者がおれば反対者もおると、そういうケースについて、私はよほどこれは慎重にものを扱ってもらいませんとね、この制度そのものが疑われますわ。せんだっても私まあ委員長にはお会いして感じを聞いたのですがね、委員長は自分としては公正にともかくやっていくというふうにこれはおっしゃっておりますが、それから委員長自身はお会いになっておらぬのだ、それははっきり言うておられた。そうするとね、結局まあ法務省の偉い人が会う、こういうことになってきて、そこで非常に今度は疑惑が集中していくわけだね。ぼくが陳情受けている諸君から、そういう疑惑を非常に聞かされるわけです。あの新聞の記事はごらんになったんですか。それに関してあなたどう思いました、率直に言って、あんなことを言われてだね。
#62
○政府委員(鹽野宜慶君) 私どもも非常に驚いたのでございます。先ほど来のお話によりますると。何か審査会の結論が事前にわかっているのじゃないかということのようでございますが、さようなことはないのでございまして、審査会では現在まで調査を行なっているわけでございまして、審査の結果がどうなるのかというようなことは私どもとしても見通しがつきませんので、私どもとして審査の結果の見通しというようなことをほかの方にお話するというようなことは、とうていできないのでございます。
#63
○亀田得治君 そうでしたら、実際あなたいまお答えになっているようなことなら、そういうことをおっしゃる方に対して何か言わなきゃいかぬわけですよね、そんな軽率な発言困るとか何とか。だから、私が委員長であれば必ずそうしたいと思うということを委員長には話しておきましたがね。それは何にも言わぬで黙っておると、あれは相手がかってに受け取るのだと、これでは暗黙にやはり認めたような社会的な印象を与えるわけだな。まああなたが言いにくかったら、法務大臣はみんな知っている人ですから、法務大臣から注意してもらうとか。言われっぱなしじゃ、私はやはりちょっとおかしいと思うのですよ。これは法務大臣御存じですか、この愛媛県の。
#64
○国務大臣(西郷吉之助君) 知っております。
#65
○亀田得治君 ああいうのは、大臣、やはり発言がきわめて軽率だと思うのですね。だから、法務省がきちんとしているのであれば、すでに大臣としては言われるまでもなく内々わしから注意しておるということかと思いますけれどもね、やはりそれはしかるべく善処してもらわなければ、ぼくは、ああいうものを耳にしてそのまま黙っておるというのは、法律家として割り切れぬ感じがするのです。まあ大臣に注意したかせぬかというようなことをいまここで問い詰めるのも何ですから、これはやはり私のいまお尋ねしておる気持ちを体して善処してくださいよ大臣、どうですか。
#66
○国務大臣(西郷吉之助君) ただいまの亀田委員の御質問の件につきましては、先般衆議院の法務委員会でもお尋ねがございまして、いろいろ釈明等もございましたので、それで御了承願いたいと思います。
#67
○亀田得治君 それでは少し問題を変えていきましょう。
 この昭和四十年五月二十四日ですね、行管のほうから、矯正及び保護に関する勧告ですか、こういうものが出されておりますが、この保護関係に関する部分についてだけちょっとお聞きしたいわけですが、これは局長この勧告は御存じですね。
#68
○政府委員(鹽野宜慶君) 承知いたしております。
#69
○亀田得治君 どういう趣旨の勧告ですか、ちょっとあなたのほうから説明してください。
#70
○政府委員(鹽野宜慶君) 四十年五月の矯正保護に関する行政監察結果の勧告でございますが、保護行政につきましての部分は、地方更生保護委員会の保護観察所に対する指導監督機能が必ずしも十分ではないように思われる、この点の改善方を必要とするという点と、それから保護観察等の実施面が各庁間に若干のアンバランスがあるのじゃなかろうか、これを調整する必要があるという点、それから更生保護会に対する許認可の権限が法務大臣の権限になっておりますが、これを地方更生保護委員会に委譲をすることが適当ではないかということ、それから地方更生保護委員会の一般行政事務について、委員長と事務局長の権限が必ずしも明確になっていない、これをはっきりさせることが相当だというような点が中心でございました。
#71
○亀田得治君 それで、ことに保護観察所に対する指導監督についての問題点ですね、この点はどういうふうにこの勧告を受けて措置をされておるのでしょうか。
#72
○政府委員(鹽野宜慶君) 御承知のとおり、地方更生保護委員会は、委員会組織をとっておりまして、その委員会が仮釈放等の審査を行ないますと同時に、保護観察所の業務についての指導監督を行なうということになっておりまして、保護観察所の指導監督業務が委員会制度のもとにおいて行なわれているというところにいま一つの問題があるかと存じます。行管のこの勧告に従いまして、さらに観察所に対する指導監督を徹底しようということを検討いたしました結果、年に一回定期的に観察所の事務監査を行なうということにいたしました。以来、毎年一回は必ず各観察所の事務監査を行なっております。それから、各委員に観察所を分担させまして、まあ委員会全体が各観察所を監督するわけでございますが、分担を一応定めまして、その委員がその観察所に出張したなどの場合に、現地について指導監督をするという方向をとることにいたしたのでございます。
 それからもう一つは、今回の犯罪者予防更生法の一部改正案の内容でございますが、事務局長の専従制度ということを計画したわけでございます。これは、御承知のとおり、従来は委員のうちの一人が事務局長を兼ねるということになっているわけでございますところが、委員の仮釈放の審査事務が非常に多忙なために、委員の事務を一生懸命やっていると、事務局長としての事務がやや手薄になってくるという実情にあったわけでございます。ところが、各観察所の指導監督ということになりますと委員各自はもちろんでございますけれども、事務局がこの面にも積極的に力を注ぐということが必要になるわけでございまして、そのために事務局を強化しようということで、この際委員と事務局長というものを分離いたしまして、事務局長は専従の事務局長を置く、こういうことにいたしたわけでございます。これによりましても、管下の観察所に対する監督機能というものは従来よりも強化されるであろうということを期待しておる次第でございます。
#73
○亀田得治君 今回の改正で、委員の数がこれは何名ふえますか。
#74
○政府委員(鹽野宜慶君) 今回八名増員するわけでございます。
#75
○亀田得治君 この地方更生保護委員会の委員の方ですね、これは大体どういう経歴の方がいままで任命されていますか。
#76
○政府委員(鹽野宜慶君) 従来の任命はいろいろでございますが、現在のところを申し上げますと、現在全国で委員が四十四名いるわけでございますが、そのうち更生保護関係の出身者が大部分でございまして、三十一名になっております。それから矯正関係、刑務所、少年院等でございます。こういう関係の出身の方が七名おられます。それから検察官の前歴を持った方が三名おられます。その他は一般の行政官庁、たとえば経済調査官をなさったとか、あるいは行政監察局におつとめになっという方が三名おられる。合計四十四名ということになっております。
#77
○亀田得治君 これは、報酬はどういうふうになっているんです。
#78
○政府委員(鹽野宜慶君) 常勤の国家公務員でございますので、行(一)の俸給表によって俸給を受けておるわけでございます。
#79
○亀田得治君 いや、それで実際にはどの程度支給されていますか、四十四名について。
#80
○政府委員(鹽野宜慶君) 委員長が一等級、その他の委員が二等級ということになっております。
#81
○亀田得治君 ちょっと金額で言ってください。
#82
○政府委員(鹽野宜慶君) いろいろございますが、大体のところを申し上げますと、委員長が月額十二万円程度、その他の委員が十万円程度ということでございます。
#83
○亀田得治君 このいわゆる委員会ですね、これはどの程度開かれてますか。各ブロックによって若干違うだろうが、どうなんです。
#84
○政府委員(鹽野宜慶君) 委員会ごとに若干違うようでございますが、大体二回程度というのが多いように考えております。
#85
○亀田得治君 そうすると、その委員会日以外も役所に出て委員会の準備なり関係の仕事をしておると、そういうわけですね。
#86
○政府委員(鹽野宜慶君) この委員の仕事は御承知のとおり、仮釈放の審査事務が中心になっておりますが、この仮釈放の審査事務は、委員のうち特定の者が主査委員ということで事件を分担するわけでございます。したがいまして、事件の分担を受けまして、自分の事件ということになりますと、関係記録の調査をこの方が責任をもって行なう。そして、データの調査の進んだ段階で、対象者の本人面接をするという手続に入るわけでございます。そして、面接が終わりまして、さらに必要な調査をして、調査を進めて結論に達する。結論を出すときに、合議制の委員会で検討する、こういうことでございます。実際問題といたしましては、面接の仕事が非常に手がかかるわけでございます。全国で八カ所の委員会でございますから、ちょうど高等裁判所の所在地と同じところに委員会が置かれておりまして、高等裁判所の管内を自分の管内といたしておりますために、その管内にあります刑務所、少年院というものに出張いたしまして、対象者に面接をするわけであります。したがいまして、一週二回合議をしているという場合には、その他の日は、自分の主査事件の記録の検討、あるいは出張しての面接ということに時間をかけているという実情でございます。
#87
○亀田得治君 結局仮釈放関係のことに仕事が集中していて、なかなかいわゆる保護関係といいますか、そういうところには手が回りかねる、こういうことが実情ですか。
#88
○政府委員(鹽野宜慶君) 若干その傾向がございまして、その点を行管に指摘をされた、かようなことになろうと思います。
#89
○亀田得治君 仮釈放関係の件数ですね、これは最近四、五年分でいいんですが、どういう件数になっていますでしょうか。
#90
○政府委員(鹽野宜慶君) 大体、最近数年は横ばいと申しますか、若干の出入りございますけれども、大きな出入りは見えないのでございます。現在の件数は、お手元に犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案参考資料という数枚の資料を差し上げてございますが、お手元にございますでしょうか。その一番最後のページをめくっていただきますと、付表として上下の対照表がございます。この下の欄が現状でございます。旧委員数と書いてありますのが現在の委員数、その下が、若干統計が古いのですが、昨年の統計がまだできておりませんので、一昨年の統計を使っておりますが、四十二年度の処理件数、一番左の欄に合計が書いてございますが、三万一千六百七件、これが全国の件数でございます。したがいまして、これだけの件数を四十四人の委員で担当していただいておる、一人平均いたしますと、七百十八件という数になるわけでございます。
 さらに一言、つけ加えて申し上げさせていただきますと、これは仮釈放等の事件でございまして、刑務所や少年院から仮釈放する、出すほうの事件でございます。御承知のとおり仮釈放になりました者が再犯に陥る、あるいは行状がよくないという場合には仮出獄の取り消しを行なうとか、少年院仮退院の場合には家庭裁判所に対して戻し収容の申請をするというような、行状の悪い者についての再収容の手続があるわけでございまして、これはこの統計に計上されておりません。それが年間大体三千件でございます。したがいまして、出すほうと入れるほうと合わせますと、大体三万四千件余りが実際の仮釈放関係の処理事件、かようなことになるわけでございます。
#91
○亀田得治君 この受刑者の数は最近の趨勢はどうなっておりますか。
#92
○政府委員(鹽野宜慶君) 矯正局関係の事務でございますので正確に存じませんが、やや減少ぎみのように聞いております。現在五万前後ではなかろうかと考えております。
#93
○亀田得治君 犯罪件数はどうです。
#94
○政府委員(鹽野宜慶君) 犯罪件数もちょっと正確には申し上げられないのでございますが、交通関係の事犯を除きましては、やや下降ぎみではなかろうかというふうに考えております。
#95
○亀田得治君 だんだんよくなっておるわけですか。それでは過去五年間でいいから、交通関係はのけて犯罪数と受刑者数と、そうして最後にあなたのほうで扱う仮釈放の関係ですね、これがむしろ減る傾向だということであれば非常にけっこうなことですが、これを別にひとつ資料を出してください。
#96
○政府委員(鹽野宜慶君) できるだけ努力いたしまして、早急に御提出いたします。
#97
○亀田得治君 今度八名ふやしますね。これはどういう方面からとるわけでしょう。
#98
○政府委員(鹽野宜慶君) 今回の八名は純粋の増員ではございませんで、定員の振りかえの形になるわけでございます。と申しますのは、先ほどの提案理由の説明の中でもちょっと触れましたが、審査会の事務局には部長制をしいておりまして、総務部長と審査部長という二人の部長が各委員会にいるわけでございます。そこで、審査会の事務局の職員と申しますのは、一番大きい関東でも四十数名しかおりません。その他の庁は大体二十名前後程度が事務局の職員でございます。その中に四課分かれておりまして、その上に二部長がいる、その上に事務局長がいる、こういうことで、人数の割合に監督段階と申しますか、決裁段階と申しますか、こういうものが非常に重複しているわけでございます。そこで機構の合理化を考えまして、この部長制を廃止することにいたしたわけでございます。したがいまして、この部長制、現在部長になっております――十六名おりますが、このうちの半分の八名を委員のほうに振り向ける、それから八名を専従の事務局長にする、こういう定員の振りかえ操作でございまして、新しく人を採るということではないのでございます。
#99
○亀田得治君 それは給与はだいぶん上がるわけですか、どうなんですか。
#100
○政府委員(鹽野宜慶君) ただいま申し上げましたのは、そういう形で定員の振りかえをするということでございまして、現在、総務部長あるいは審査部長になっている者が、そのまま両方に分かれるということでは必ずしもないのでございまして、保護関係の職員全体を見まして、適任者を委員の増員分のほうへ持っていこう、事務局長としての適任者を事務局長に充てよう、こういうわけでございまして、その間の異動をただいま計画している次第でございます。
#101
○亀田得治君 いずれにしても内部関係から採用するということのようですが、委員のほうが給与が一番高いわけでしょう。だから、どこから採用するにしても給与、待遇はよくなるわけでしょうな。委員になったたために、引き上げられたために下がるというようなものはないのでしょう、それを聞いている。
#102
○政府委員(鹽野宜慶君) 部長は二等級の者と三等級の者がおります。したがいまして、委員、事務局長ということになりますと、いずれも二等級と、こういうことになりますので、待遇は従来より上がる、かようなことになるわけでございます。
#103
○亀田得治君 それから仮釈放の審査に関する問題ですが、これはこの八つのブロックにおいて不均等といったような問題は起きておりませんか。
#104
○政府委員(鹽野宜慶君) これは各ケースごとに検討して結論を出すわけでございまして、相当の数を扱いますので、統計的に見ますと大体一致しなければならないはずでございますが、委員会によって若干食い違うところもございます。したがいまして、もしも同じようなケースが委員会によって取り扱いが違うということではまことにぐあいが悪いので、その点に留意いたしまして、従来からいろいろ改造のとき等に指示をいたしておりますが、昨年の年末に委員協議会というものを開きまして、委員長でない委員を各委員会から一名ずつ集めまして、そこでこの種の仮釈放についての基本的なものの考え方というようなもの、それから各庁の実情というようなものをそれぞれ披露してもらいまして、委員相互で討論をいたしまして意思の統一をはかった次第でございます。これは出席しました各委員の話では非常に参考になった、各庁の実情がよくわかったということでございまして、この種の協議会というものは将来とも続ける必要があるというふうに考えております。
#105
○亀田得治君 それらの協議会、研究会等を通じて一つの基準的なものが生まれてきているんだと思いますが、これはちゃんと紙に書いてあるような、そういうものはあるんですか。
#106
○政府委員(鹽野宜慶君) 具体的な基準のようなものはございません。
#107
○亀田得治君 そうなりますと、これまたどうしてもばらばらになる危険性というものが絶えず伏在するわけですが、やはり抽象的でもいい、こういう点、こういう点といったようなものがなきゃいかぬと思うのです。ないなら、ある程度のものはつくらなきゃいかぬだろうし、ちょうど保護関係で、これは監督も十分しなかったということだからばらばらになったのでしょうが、仮釈放のほうはこれは非常に重要なやはり人権に関する問題ですから、もっときちっとしていいんじゃないですか。
#108
○政府委員(鹽野宜慶君) 先ほど申し上げましたように具体的な基準のようなものはないわけでございますが、いま仰せの抽象的なと申しますか、一般的なものの考え方の基準というようなものは示しているわけでございます。たとえば、いま問題になっております仮出獄でございますが、仮出獄につきましては、本人の性格、行状、態度、能力、施設内での成績、帰住後の環境等により判断して、これこれの各号に該当するものについて最も適当な時期に仮釈放を行なうということで、その各号と申しますのは、御承知のとおり刑法で仮出獄の場合は刑期の三分の一を経過するということになっておりますので、それをひとつうたいました。それから二つ目の、これも刑法の規定にございます改俊の状があるときこれをうたいます。そのほかに刑務所から社会へ出るわけでありますから、再犯のおそれがないかどうかということを注意する。それから社会に戻るわけでございますから社会感情が仮出獄を受け入れるかどうかということを考えなきゃならぬ。こういうことで、この四つの柱を一応抽象的な基準として立てておるわけでございます。
#109
○亀田得治君 そこで刑法の二十八条によると、三分の一の経過ということが規定してあるんですが、これはなかなか実行されておりませんね、実際上。若干具体的な、いま突然だから私もこまかいものまで覚えていないんですが、特殊な人というものがあるわけだ。これは気の毒な事情だと、これは有罪判決言い渡すことそのものが気の毒なんだ、裁判官自身がそう考える。ただしかし、前後の事情からやむを得ないというような案件だってあるわけですね。ところがそういうものについても、一応問題を出しまして、三分の一きちんとではすぐ処理しないことにしておるというふうな意見を私聞いたことがあるんです。そういった硬直したものの考え方はよくないと思うのですね。さっきあなたが四つの条件を出されたわけですが、やはりもっと具体的に、三分の一過ぎれば仮釈放、仮出獄を求める権利があるんだ、客観的に見てそれが妥当だと思われる場合にはまさしくそれは権利ですね。だからそういう点は、非常にそれは行き過ぎたら私は刑法の規定の無視になると思うのですよ。第一、三分の一過ぎてから初めて各種の仕事に着手しますね。そうすると、短期の受刑者であればその手続をいろいろやっている間にずっと過ぎてしまうのです。もう少しちゃんとしてやれば、たとえば正月前に出れるとか、条件のない人は別ですよ。それが間に合わない。刑法には三分の一となっている。もちろん三分の一過ぎたら全部出すとは書いてない。もちろん私は一番事情がいいのについて言うている、いいのについてもそういう扱い方がされていますね。その点どうでしょうか。三分の一過ぎて間もなくというのはほとんどないでしょう。
#110
○政府委員(鹽野宜慶君) 正確に統計を調査したわけではございませんが、御指摘のとおり三分の一程度ちょっとで仮釈放になるというのはほとんどないと思います。たまに半分ぐらいで出るものがあるということで、大体は七割程度は執行を受けてから仮釈放になるということでございます。七割以上を受けてから仮釈放になるというのが実情のようでございます。
#111
○亀田得治君 仮釈放を受けないで出てくるという件数と、仮釈放を受ける期間は別として、受けて出てくる、どれぐらいの比率になるのですか。
#112
○政府委員(鹽野宜慶君) 私は記憶でございますが、仮釈放で釈放されるものが五五%ぐらいかと思います。その他の四〇数%が満期釈放だということだと思います。
#113
○亀田得治君 そうしますと、仮釈放という制度はずいぶん活用されているわけですよ、判決を縮めるのだから。だから活用されておる、それはまあ乱用しちゃいかぬですよ。当然だというような顔してもらっちゃこれは困る、だけれども、事情によってはちゃんと三分の一、ともかくこれはだれが見ても、本人もちゃんとしているし、社会的にも是認されるというものは三分の一そこそこでさっと処理するというぐらいの積極的な姿勢がなきゃ私はいかぬと思うのですよ。ほとんどが二分の一過ぎてから、そういう全定というか、確固たる基準のようにぼくは聞くんですけれども、これはやっぱり間違いだと思いますね。それなら刑法のこれを改正したらいいんですよ、そんな固くいうなら。悪い者を出せというんじゃないですよ。各ケースによってみんな違うわけですから、御承知のように。半分もその制度を活用しながら、その中にほとんど三分の一過ぎてすぐというものは取り上げられておらぬということは、これはやっぱり受刑者に対する思いやりに私は欠けていると思うのですよ。そういう悪い者は全部つとめさしなさいよ、それは。いいほうを私は言っているんだ、一人もないというのは、それはちょっとおかしいですよ。そう思いませんか。
#114
○政府委員(鹽野宜慶君) 状況によってケース・バイ・ケースで処理されるわけでございますから、法律上許された最小の限度で仮釈放されるという者も観念的にはなければならないはずでございまして、そういう意味でございますれば、まことに御指摘のとおりだろうと思います。ただ、一般に先ほど申しましたように、刑期の七割、八割執行を受けてから釈放される者が多いということは、これは最近の執行猶予制度と若干関係があるんじゃなかろうかという感じがいたしております。執行猶予ができないような長期刑を受けるような重大犯、あるいはまた累犯者のために執行猶予の言い渡しが法律上できない。法律上は執行猶予の言い渡しができる場合でも、犯行自体が常習性が認められるというような者が実刑になりまして、その他の者は執行猶予が非常に活用されているという実情でございますので、刑務所に送られている者は、いわゆる所内処遇と申しますか、そういうようなものではまかない切れないというものが大部分を占めているのではなかろうか。そういうふうな執行猶予の制度との活用とのバランスで現在ではかなり仮釈放がきびしくなっているんじゃなかろうか。これは一般論でございますが、そういう感じがいたしているわけでございます。
#115
○亀田得治君 だから寛厳よろしきを得ないといかぬわけだ、法務行政は。そうでしょう。いかぬことについてはきちんときびしく、事情のある者にはそれをちゃんとわきまえて。これは全制度を見ればそういうたてまえになっているわけですね。私の言うのは、たとえば執行猶予にしたいのだけれども、たまたまこれも何でもないことで前科があったりして、それで、したいのだけれども、できないというようなケースがやはりあるのです。いま話している間に私思い出しました、そういうケースです。だから、もっと早くそのことがわかっていたら、起訴自身も検事が待ってくれたかもしれないというふうなことを言われたようなケースなんです。しかし、これは裁判所へ上がってしまったら法律どおりにやらなければならぬわけでして、そういうものは多数の中には必ずあるのですよ、若干は。だから、そういうことについてはやはり注意を向けていく、こういうことをまたひとつ考えてくださいよ。それは必ずそれで喜ぶ人があるはずです。法律上どうにもならない関係をそういうことによって若干でも緩和していく、これはいいことですから、そういう基準をひとつそこへ入れてください、どうですか。ともかくこの問題については、どこの刑務所へ行ってもかたいのだ。いや、それは先生、早い話が、とてもあれはいい男だとほめておって、しかし、これはかたい。それは私はいかぬと思います。そういうことは、それなら法律をかえなければいかぬのですよ、どうですか。あまりルーズにやれという意味じゃない。そういうのがあるのです、現に。
#116
○政府委員(鹽野宜慶君) 御指摘の寛厳よろしきを得なければならぬというのは、まことにごもっともで、私どももそのとおりだと考えております。多くの事件の中には非常に仮釈放がきびしく扱われてやむを得ない事件もございましょうし、また非常に早い時期に釈放してやるというのが相当な事件があると思います。やはり具体的なケースごとに慎重に検討して結論を出す、その結果最も公正妥当な結論が出ると思いますので、私といたしましては、基準と申しますのは現在のように考え方の基礎を示すということで十分で、あとは運用に寛厳よろしきを得るということにさらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#117
○亀田得治君 三分の一過ぎてすぐ仮釈放したなんというと、どうもあすこの委員会は甘いというふうなおしかりが出るじゃないですか、あなたのほうから。そんなことはないですか。
#118
○政府委員(鹽野宜慶君) さようなことは絶対にありません。
#119
○亀田得治君 それじゃまあひとつ、そういうことはないのだというから、やってもいいということですから、裏から考えたら。そういうふうにこれは理解しておきましょう。
 それから手続ですが、大体、刑務所の長とか、そういうところから出してくる、これは手続はどうなっているのですか、本人からは出せるでしょう。刑務所が反対しても本人はちゃんと刑法上そういう権利を持っているのですから、更生委員会に直接書類を送っていいわけでしょう。それはどうなんですか。
#120
○政府委員(鹽野宜慶君) 仮釈放の申請につきましては、本人には権利がございません。
#121
○亀田得治君 それはおかしいじゃないですか。実体法の刑法でちゃんと規定していることについて、それに対して申請権がないということはおかしいじゃないですか。
#122
○政府委員(鹽野宜慶君) 御承知のとおり、仮釈放の制度は刑法に規定があるわけでございますが、刑法の第五章に仮出獄という規定がございますが、その内容は、「懲役又ハ禁錮ニ処セラレタル者改俊ノ状アルトキハ有期刑ニ付テハ其刑期三分ノ一無期刑ニ付テハ十年ヲ経過シタル後行政官庁ノ処分ヲ以テ仮ニ出獄ヲ許スコトヲ得」ということになっておりまして、行政官庁の裁量によって処理をきめられるということで、本人には仮出獄の申請をする権利はない、こういうふうに考えられているわけでございます。
#123
○亀田得治君 それはおかしいですよ。許可権はそれは役所のほうにある。申請権がないというのはおかしいじゃないですか、申請をする権利がないというのは。申請を認める認めないはこれはまた別問題。ともかく法律上一つの道が開かれているわけですよ。開かれておれば、それを利用しようと思うのはこれは人情でしょう。そのことを権利がないとか、そんなおかしな解釈はどこから出てくるのですか、これはこれだけじゃないですよ。
#124
○政府委員(鹽野宜慶君) 私の申し上げましたのは、この二十八条の刑法の解釈から当然さようになるということでございまして、私のいま申し上げましたような解釈が刑法の解釈の通説であると考えております。
#125
○亀田得治君 いや、その通説がおかしいね。こんなところの私は刑法の条文の解釈を見たことありませんよ。だれとだれがそんな解釈しているのですか。よほどそれは古い解釈じゃないですか。申請権がないというは、たとえば刑事訴訟法の議論にもなりますが、検察官が起訴をする、それに対して起訴の取り消し撤回を求める、これはあなた裁判所が許しているじゃないですか。そんなことは何も訴訟法に書いてあるわけじゃない。だから、それだってやはり申請する権利がある、それに応ずる応じないは別ですが。だから、そういうふうに理解されておるわけなんですから、いわんや仮出獄についての申請をする権利がない。それだったら、ともかく君らじっとしておれ、わしの言うことに従わぬ以上はもう書類の取り次ぎもできないのだ、こんなことになるんじゃないですか。それはおかしいですよ。それはそんな解釈でやられているとしたらおかしいですなあ。現実的には、ともかく本人から書類を出そうとしても出させないわけですか、いま現実の取り扱いは。
#126
○政府委員(鹽野宜慶君) これは仮出獄の場合には、刑務所に収容中でございますので、収容中の受刑者が書類を出そうと、こういう場合になろうかと思います。おそらく仮出獄の申請権はないというふうに考えておりますので、刑務所のほうでは受理しないだろうと思います。
#127
○亀田得治君 では、たとえば受刑者が、私は三分の一過ぎたし、これは本来こういう事情なんだから、早く出してもらいたいということを書いて委員会のほうに送る、その点は認めるのですか、刑務所は。どうなんですか。
#128
○政府委員(鹽野宜慶君) 審査委員会のほうに書類を送ることを刑務所が認めるかどうかというお尋ね、実はよくわからないのでございますが、もしもそういうような書類が審査委員会のほうへきますとすれば、これは委員会の職権の発動を促すというような書類になろうかと思います。つけ加えますと、委員会の仮釈放の審査は、原則としては施設の長の申請に基づいて審査が行なわれるわけでございますが、そのほかに、場合によっては職権で審理を開始するということもあり得るわけでございますので、そういう手続にあるいは乗ってくるかと思います。
#129
○亀田得治君 だから私がお聞きするのは、そういう手紙を書いた場合に、刑務所は出させないのか。これは矯正局長に刑務所の管理の問題としてお聞きしたほうが適切なのかもしれませんが、八海事件では裁判官なり弁護士、検察官に対する手紙を押えたということでずいぶん問題になったんだが、この種の自分自身に直接関係することについての手紙が出せないというのは、それはおかしいですよ。権利であるかないかは、それは別にしましょう。実際にそういう手紙を書いた場合に押えるという私は法はないと思うのですがね。押えているのですか、現に。
#130
○政府委員(鹽野宜慶君) 押えておると申し上げたわけではないのでございまして、先ほど申し上げましたのは、刑務所長に対して申請する権利があるかどうかということで申し上げたのでございまして、委員会に対して申請あるいは申し出という手続の書類を送ろうという場合に、刑務所がこれを押えるかどうかということは、私は存じません。おそらく押えることはないのではなかろうかというふうに私は思います。
#131
○亀田得治君 だいぶ答弁が変わってきた。そんなのを押えるはずはないですよ。押えないということは、それは一種の権利なんですよ、背後にある。それは権利じゃない、職権の発動を促している手紙にすぎないと、こうおっしゃるかもしれませんが、まあその辺のことは別として、ともかくしかしその考えですと、そういうものを申請しても、いやもう独自に出してきたものは初めから問題にしないと、こういうふうな不親切な扱いになるおそれがあると思うのですが、それはどうなんです。
#132
○政府委員(鹽野宜慶君) おそらくさような例がないと思いますのではっきりお答えいたしかねますが、その書面の内容が合理的なものであれば、やはり職権を発動するかどうかという検討は一応いたすと思います。
#133
○亀田得治君 しかし、先ほどからお聞きをしておるような、君らは無権利者なんだというふうな底意がありますと、それはやはり軽くあしらうということにこれはどうしてもなりますよ。これは刑務所の担当者がすべて公正なわけでもないわけですからね。だから、そういう場合に、なかなか自発的には刑務所自身がやってくれない、自分が出すと、そんなことは当然なんですからね。だから、それは両道がなければ私はいかぬと思うのですよ。申請のルールというもの、これははっきりそういうふうにしていいと思うが、どういうことなんですかね。どうしても刑務所のそれを通じなければいかぬということが事実なら、刑務所の人が委員の意見よりも優先することになる。そうでしょう。委員の人があとから考えたら、何だこんなものをいままで刑務所が押えておったのかと、それはやはり委員のほうが経験もあるし、考え方では高いわけですからね。だから、ここは受刑者というもの、第一刑務所の人に弱いわけでしょう、弱い立場だ。だから、そういう点から考えましても、通常はそれは刑務所を通じ、刑務所のほうから出していくということでいいと思うのですが、本人もやはり刑務所がどうしても承知しない場合には、しかも十分な理由があれば出してきてもいいんだというふうに、はっきりしておくべきですよ。そのほうが私は刑務所の役人も注意すると思うのです。そうなるでしょう。理不尽によく感情的になるのがおるのですよ。刑務所の人と受刑者の関係ですからね。何でもへいこらへいこら言っておればきげんのいい人もおるし、やはり受刑者としてあまりばかにされたら、それはおかしいじゃないかと言われた場合に、すなおな人なら、ああなるほどと気がつく人と、つかぬ人といろいろあるですよ、それは。だから、ともかく本人には申請の権利がなくて、担当の刑務所の者がうんと言わなければもう絶対だめなんだと、それじゃ私はいかぬと思いますな。だから、そのルートをあけてくださいよ、この際、従来の慣習というものを改めて。そのほうが刑務所に対しても一つの大きな教育的な効果がありますよ。筋の通っていることはみな不公平な扱いをしちゃならないと、こうなってくる。それは事実上本人から出さぬでもいいようになるかもしれませんがね、そうなれば。これは矯正局の所管事項になるかもしれぬがね。そういうふうにしてくださいよ、これは。私はいままでどっちでもいいもんだと思っておったのだ。
#134
○政府委員(鹽野宜慶君) いま御指摘の点は、先ほどもちょっと申し上げましたが、委員会にも職権で審理を開始する手続きがございますので、かりに刑務所当局で非常に不合理な扱いをしているというような場合には、委員会が職権でこれを取り上げて審議を開始するということができるわけでございます。事務の段取りとしては、制度としては合理的に組み上げられているわけでございます。
#135
○亀田得治君 しかし職権でと言うたって、本人からも申請する道を開いておかなきゃですね、職権の発動の機会もないでしょう。わからないのですから、刑務所の中のことまでこまかく、そうでしょう。
#136
○政府委員(鹽野宜慶君) 仮釈放をするかどうかということは、まあ先ほど申し上げましたようないろいろな基準に従って判断するわけでございますが、そのやはり一番基礎になりますのは、本人の現段階におけるものの考え方とか、それから行動、それから刑務所内の成績というようなものが一番基礎になって、仮釈放の可否というものが論ぜられることが多いと思います。したがいまして、職権審査の道が開かれておりますけれども、実際問題としては、やはり刑務所の申請を待って、刑務所長が一番よく受刑者の状況を掌握しているというふうに考えられますので、この申請を待って審査を開始するというのが、普通の手続になっているわけでございます。しかしながら、それじゃ受刑者の状況を委員会は全く知る道がないかと申しますと、そうではないのでございます。
 これはちょっと長くなりますが、仮釈放申請の手続をちょっと簡単に申し上げますと、受刑者が刑務所に入りますと、刑務所のほうで本人についていろいろ調査いたしまして、身上調査書というものをつくるわけでございます。その調査書を、本人が将来釈放された場合に帰る、帰住地と呼んでおりますが、帰住地を管轄する保護観察所にその身上調査書というものを刑務所から送ってくるわけでございます。そこで観察所のほうでその身上調査書を受理いたしますと、内容を検討いたしまして、保護司に帰住地の環境の調査ないしは調整の委託をするわけでございます。そこで委託を受けました保護司が、帰住地、普通の場合は家庭でございますが、雇い主の場合もございますが、その帰住地におもむきまして、その帰住地の環境をうまく受け入れができるかどうか、再犯防止ができるような環境であるかどうかということを調査いたします。必ずしもその環境が思わしくないという場合には、その段階から環境の調整に入るわけでございます。たとえば家庭にいろいろ問題がある場合には、それをできるだけ本人が帰ってくるまでに解消しておくというふうな努力をするわけでございます。その結果を環境調査調整報告書というものにまとめまして、観察所に送ります。観察所はこれを刑務所のほうに戻しますと同時に、最初にきました身上調査書と環境調査調整報告書を担当の地方更生保護委員会のほうにも送るわけでございます。したがいまして、その段階で地方更生保護委員会では、自分の管内の刑務所あるいは少年院にどういう対象者がいるか、これが将来仮釈放の問題になってくるであろうかということは、その段階でわかるわけでございます。そうしているうちにだんだん刑期が進みまして、三分の一たちますと、法律上の応当日を過ぎたということで、刑務所のほうからまた通知がきます。それからさらに進みまして、刑務所のほうで見ていまして、行刑成績もいい、まあ社会に戻しても問題なさそうだという段階で、刑務所のほうが申請してくる。これが普通の手続でございます。
 いま申しましたように、もっとはるかに早い段階から、将来この受刑者が仮釈の対象になるかということは、委員会のほうではわかっているわけでございます。しかしながら、先ほど申しましたように、現実の人を目の前に見ておりませんので、やはり現実の人を掌握している刑務所長の職権の発動を待つというケースが大部分だと、こういうことになっているわけでございます。さらに委員会の活動が充実いたしてまいりますれば、その事前に送られてくる書類の検討によって、そろそろ仮釈の時期であるかどうかということを委員会としても考えまして、おそらく刑務所長の申請と委員会の考え方とが大体一致したころに仮釈の申請が出てくる、かようなことになるのではなかろうかと思うのでございます。現在の段階では、御承知のとおり、現実に出てきた申請の処理ということだけでも、先ほど申しましたように三万一千という状況でございまして、そこまで現実問題として委員会の手が回っていないというのが実情でございます。
#137
○山田徹一君 この資料によりまして、一点だけお尋ねしますが、部長制の問題ですけれども、これをいつごろから部長制はしかれていたんですか。
#138
○政府委員(鹽野宜慶君) この委員会制度が発足いたしました当初から部長制は置かれていたと承知しております。
#139
○山田徹一君 何年ころからですか。
#140
○政府委員(鹽野宜慶君) 昭和二十五年です。
#141
○山田徹一君 先ほどのお話で、決裁の段階で簡素化にするという意味で部長制をなくすると、こうなるのですか。
#142
○政府委員(鹽野宜慶君) 簡単に申しますれば、そのとおりでございます。機構簡素化しようと、こういう考えでございます。
#143
○山田徹一君 それではもう一つ、第十七条の改正のところで、現行規定の2を省く点ですが、この事務局の内部の組織、これの指揮監督という面においては、事務局長をだれが監督指揮するようになるのですか。
#144
○政府委員(鹽野宜慶君) その点はただいまの十七条の第二項の規定と同じで、地方更生保護委員会の指揮監督を受ける、かようになるわけでございます。
#145
○山田徹一君 わかりました。
#146
○委員長(小平芳平君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#147
○委員長(小平芳平君) 速記を始めて。
 本案に対する質疑は後刻行なうことといたします。
    ―――――――――――――
#148
○委員長(小平芳平君) 次に、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#149
○亀田得治君 今度判事の増員を十五名、これは高等裁判所の判事、こうなっておりますが、高等裁判所に限った理由というのは、どういうことでしょうか。
#150
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 亀田委員御承知のとおり、判事は高等裁判所及び地方裁判所等に配置されておりますが、そのうち地方裁判所の判事が若干高等裁判所に現在応援に行っているわけでございます。これは俗に職務代行ということばで呼んでおりまして、職員録等にも出ておりますから御承知と思いますが、そういうものがおりますので、高等裁判所の判事を増員していただきますれば、その十五名のうちの一部分の数は地方裁判所のほうへ戻す、そういうことによって地方裁判所の増強もはかりたい、かように考えておるわけでございます。
#151
○亀田得治君 現在応援に行っているというのは、もう少し具体的に説明すると、どことどこ、どの程度応援に出ているのですか。
#152
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 御承知のとおり、ちょうど年度末でございまして、大幅な人事異動の行なわれております最中でございますので、正確な数字を申し上げかねます。大体五十名前後でございます。そうしておそらく大部分の高等裁判所に現在代行者がいると思います。
#153
○亀田得治君 だから年間でいうと何日ですか、日で計算すると。
#154
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) いま申し上げましたのは継続して行っておるわけでございます。つまり一定期間を限って行っておるわけではございませんで、いわゆる職務代行判事という制度が認められておりますので、そういう形で継続的に行っているわけでございます。
#155
○亀田得治君 そうすると職務上は高等裁判所の人になっているわけですね、これはどことどこですか。
#156
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 先ほど申し上げましたとおり、これはほとんど高裁で、多いところは十名前後、少ないところでも一、二名であろうかと思います。たとえば大阪の例をとりますと、大阪地方裁判所判事という肩書になりまして、そうして大阪高等裁判所判事職務代行、こういうことで、もっぱら高裁の仕事をしておるわけでございます。でありますから、これはある意味では定員を組みかえまして、地裁を減らして高裁をふやすということも一つの案として考えられるわけでございますが、決して地裁に組みかえるほどの余裕があるわけではございませんので、結局高裁のほうを増員していただきまして、そのうちの一部を地裁に戻す。こういうことによって数年来操作してまいっておる、これが実情でございます。
#157
○亀田得治君 そうすると十五名職務代行で地裁から行っているという意味ですか。
#158
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 先ほど申し上げまたしように、もう少し多いわけでございます。現在行っておりますのは五十名近いわけでございます。それで今度十五名増員していただきますと、その職務代行のうちの一部分、十五名に限りましては高裁判事の本務にかわることになるわけでございます。そしてそのままほうっておきますれば、高裁の十五名が実質的に増員になりますが、そのうち一部分は定員を地裁のほうへ戻す、そういうことによって地裁の増強をはかりたい、こういう趣旨でございます。
#159
○亀田得治君 だからその趣旨はわかるんだが、いまお話しのように、五十名行っていると言うのでしょう、職務代行。それなら五十名ふやさなければいかぬじゃないですか。
#160
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) でございますから、それは引き続きその残りの三十五名は職務代行として置いておく、ごく端的に申せばそういう勘定になるわけでございます。
#161
○亀田得治君 いや、それは十五名という場合にはそういう勘定になるでしょうが、職務代行というのは第一おかしいわけですからね。やむを得ずやっておるわけでしょうから、だから高裁の裁判官の増員を求めるのであれば、五十名でなければいかぬわけでしょう。五十名これは要求しておったわけですか。
#162
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 要求はもう少しいたしておったかと思いますが、その五十名増員いたしましても、それではただ、いまの職務代行が高裁判事になるだけでありまして、つまり実勢力の純増にはならないわけでございます。その純増しますためには、具体的な人間が必要になるわけでございます。そういう点を見合いまして、いま十五名これは純増になるわけでございます。したがいまして、十五名増員いたしますと、これはその分は純粋に増員になる。
 もう少し先ほどの説明を補足して申し上げますと、かりに十五名増員になりまして、いまの職務代行の判事を五十名そのままにしておきますれば、これで純粋に高裁で十五名勢力がふえると、こういうことになるわけでございます。そういうことをねらっておるわけでございます。ただ、そのままにいたしましたのでは、地裁のほうもやはり忙しいことは間違いございませんから、若干は地裁のほうへ戻そうかと、こういうことでございます。
 亀田委員のお話のように、五十名かりに増員いたしまして、そうすればその職務代行判事はほとんど判事にはなりますけれども、今度は、それはいま地裁の定員を食っておるわけでございますから、地裁のほうに五十人の欠員ができるというだけのことでございまして、それは、私先ほどちょっと申し上げました、つまり定員を地裁から高裁へ組みかえると、こういうことに帰するわけで、それでは実際の勢力の増強にはならないと、こういうことでございます。十五名の増員と申しますのは、非常に職務代行の関係で話が混乱しているようにお聞きとりじゃないかとも存じますけれども、これは純粋の増員でございます。組みかえではないわけでございます。
 いま、亀田委員の御疑問のような点を解消するためには、地裁の定員を高裁に組みかえますれば、たとえば五十名組みかえますれば、これはそれで代行というものがなくなるわけでございますけれども、そうしますと、それは組みかえと申しますのは、つまり地裁のほうの定員減ということでございますから、それでは実際問題として裁判所の増強にはならないと、こういう趣旨で申し上げておるわけでございます。
#163
○亀田得治君 地裁はこの五十名なくてもやっていけるんですか。
#164
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、地裁のほうにその五十人がぜひほしいわけではございます。ただ現在、高裁と地裁と、全体を見渡しまして、そうしていろいろ考えました関係から申しますと、やはり高裁の忙がしさというもののほうが、裁判官に関する限り強いということで、そういうことをいたしておるわけでございます。
 それにつきましては、なお地裁は、御承知のとおり小さなところへ参りますと、簡裁と兼務というようなことも可能になるわけでございます。簡裁判事のほうは、比較的ほかに比べますれば事務量が少ないので、簡裁判事の中には地裁の仕事のできる有資格者も相当おりますので、これが小さいところでは応援をする、そういうことによって地裁のほうは処理しておる、こういうのが実情でございます。
#165
○亀田得治君 自分が足らぬのに人のところへ応援に行って、そうしてまた下のほうから応援を求める、えらい複雑ですな。だからそういうことじゃなしに、やはりなんでしょう、五十名返すなら返す、高裁で、それではやっていけぬというなら、高裁のほうで六十五名でちゃんと置いておいて、そういうことになっていかなければ、本質的に解決せぬのじゃないですか。
#166
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、たまたま現在の定員法では判事、判事補、簡裁判事というものがそれぞれ独立の官ということになっておりますので、いろいろそういう御疑問が出るわけでございますが、しかし御承知のとおり、小さいところへまいりますれば、これは当然簡裁と地裁と相互協力することは当然でございます。そういう点で、どちらが本務としておるかということはさほど大きな問題ではないわけでございます。私どもとしては、要するに判事、判事補、簡裁判事を通じまして、純増を少しでもよけいにとれて、それで全体としての仕事が円滑にいくわけでございます。ことしの場合は、先ほどからお話ございましたように、判事十五人のほかに、簡裁判事二十八人、合計四十三人の増員をしていただくように定員法上なっておりますので、これが入りますれば、その程度に全体として増強される。それではさらに、判事をもっと三十も五十も増員すればというお話、これまたごもっともでございますが、御承知のとおり、判事については給源がございまして、弁譲士から大幅においでいただくという見通しでもつけば別でございますけれども、一応現在は判事補からのルートが主たるルートになっておりますので、そういたしますと、四十四年度におきましては、十五人を埋める程度の限度であろうと、このような見通しになったわけでございます。
#167
○亀田得治君 職務代行五十名というのは、これは高裁別にちょっと答えてください。
#168
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、少し前に調べた数字のものでございますから、現在の時点でこれと一致いたしておりますかどうでございますか、正確に申し上げられませんが、その少し前の時点の数字ということで御了承いただきたいと思います。東京が判事十四、判事補二、大阪が判事六、判事補二、名古屋三、広島が判事四、判事補一、福岡が七ということになっております。ただし、これは現在の時点においてこのとおりでございますかどうか若干疑問です。ちょっと失礼いたしました。いま少し書類を間違って御説明申し上げましたので、もう一度あらためて申し上げたいと思います。東京は十四でございます。二と申し上げましたが、間違いでございます。大阪が六、名古屋が三、広島が四、福岡が七等で、合計四十六ということになっております。
#169
○亀田得治君 これは、おのおの大阪なら大阪地裁、東京なら東京地裁、その場所の地裁の人がいっているわけですね。たとえば支部とか、遠く離れたところじゃなしに。
#170
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 御指摘のとおりでございます。
#171
○亀田得治君 それで、地裁について、簡裁の有資格者の応援といいますか、援助を求めておる、その関係ですね、それはどういうふうになっておりますか。
#172
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、たとえば大都会の裁判所でございますと、地裁と簡裁というものがかなりはっきり分かれておりますけれども、小さな支部のほうになりますと、いわば共同の世帯のようなものでございまして、そして相互に事務分配でもっていろいろやっておる場合もございますので、具体的に何人が応援にいっているというような形にはならないわけでございます。
#173
○亀田得治君 しかし、それは調べたらちゃんとはっきりするわけでしょう。
#174
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは調べましても、たとえばその簡裁で三分の二の仕事をし、残りの三分の一の事務は地裁でやる、こういう判事もおりましょうし、その逆の場合もございましょうから、そういう意味で、つまり特定の人が、先ほど高裁について申し上げましたように、一〇〇%高裁へ行きっきりでやっておるというような形ではございませんので、ちょっと数字的には申し上げられないわけでございます。
#175
○亀田得治君 それじゃ、たとえば東京の場合をつかまえてみますと、その応援関係はどうなっております。これは建物も違うので、地方のいなかの簡単な裁判所と違うわけだし、十四名分を簡裁のほうから応援させるということはなかなかむずかしいのじゃないですか、それはどうなんです。
#176
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 東京のような場合には、若干その簡裁判事が本務で、そうしてかなり継続的に地裁の仕事をしておる者もあると存じます。いなかのほうではそういうことはございませんけれども、東京では、先ほど高裁について申し上げましたように、やや近いような、つまり身分上は一応簡裁判事で、判事補を兼務いたしまして、そうして、実際には地裁の仕事をしておるという者も若干おります。
#177
○亀田得治君 だから、私の聞きたいのは、きっと地裁としては、ちゃんと一つの定員を持っておるわけですから、そのうち十四名が上へとられておるというのでしょう。だから、その補充というものは、ちゃんと、東京の簡裁からどういう形であるのか。いや、それはたいしてないんだけれども、そこは無理してもらっているのだという説明なのか。それじゃ私はやはりいかぬと思うのだな、そういう大ざっぱなことじゃそこを聞いているのですよ。だから。人によっていろいろの形態があるのかもしれませんがね、簡裁からの援助のしかた。だからそれならそれなりに、十四名の程度ですから、ずっと一つずつ並べてもらえばはっきりするわけですよ。
#178
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) それは私の先ほどの御説明がやや不十分であったかと存じますが、現在裁判所の、特に裁判官の定員の配置のやり方を御説明申し上げればある程度御理解いただけるかと存ずるわけでございますが、御承知のとおり、裁判所の仕事は原則として事件の件数を中心にして配置をきめるわけでございます。その場合に、新受、つまり新しく受けます事件の件数を基準にするのが基本でございます。若干未済事件等を考慮する場合もございます。そこでそういうことで、これは全国の統計を数年間にわたってとりまして、そうしてその事務量をはかるわけでございます。そうして高裁と地裁との均衡についても、それは計算を出すわけでございます。集計等につきましては、コンピューター等を使いまして、いろいろ複雑な計算をいたしまして、どの程度の事務量がどの程度の裁判官を必要とするかということをきめるわけでございます。そうしていよいよ具体的に判事を配置いたします際に、この初めから、いま東京で十四名と申し上げましたのは、十四名は、形式的には地裁判事ということになっておりますけれども、実際上は高裁要員の地裁の判事ということで配置定員の中に織り込んであるわけでございます。そうして、つまり、初め、東京地裁の判事の事務量ではかって定員を配置して、その中から高裁が強引に十四人を引き抜いていった、こういうことではございませんで、最高のほうで配置定員をきめます際に、それを織り込みまして、つまりこれだけ分は高裁要員ということで地裁の中に織り込んでおる、そういうことでございますから、それをとられますことによって、直ちに地裁の裁判官が十四人分忙しくなる、こういう計算で配置をきめておるわけではないわけでございます。計算いたします際に、全体をどう配置すればよいかということが出てまいります。そのときに、もう少し言い方を変えますと、出てまいりました数字を合計いたしますと、現在の高裁の予算定員よりは若干オーバーするわけでございます。そこで、その分は地裁の予算定員の中から、配置定員としては高裁要員として織り込んできめるわけでございます。したがいまして、別にその限りで東京地裁に十四人分迷惑をかけておる、こういうのではないわけであります。これは端的に申しまして、何度も申し上げますけれども、予算定員を組みかえしますればきわめて簡単なことでございますが、そういたしますよりは、逐次増員をはかことによってバランスをとってまいりたい、こういうのが私どもの考え方の基本になっておるわけでございます。
#179
○亀田得治君 そんな初めから実態と名目が違うようなことをやられるというのは、これは裁判所らしくないと思うのですよ。地裁のほうで十四名というものは要らぬのだという御説明ですわな、初めから。それならそういうふうに、ほんとうに要らぬのなら定員を減少したらいいでしょう。そういうふうに配置してしまったものだから、そういう説明されるんだろうと思うけれども、この要らぬものをわざわざ置いておいて、それに対して今度は職務代行というような肩書きをつけて、そうしてほかの役所で仕事をしてもらう、そんなことはおかしいですよ、要るんでしょう十四名は。要らぬのですか。ほんとうに要らぬものなら早くそれは直さぬといかぬでしょう。
#180
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは御承知のとおり、定員法の上では、判事というものは一本で、別に高裁がどう、地裁がどうということにはなっておらないわけでございます。でございますから、それはどう配置いたしましても、別に定員法と抵触するわけではないわけでございます。ただ予算書の上で、一応高等裁判所に掲示をされております判事の数と、地方裁判所のほうに掲示をされております判事の数がきまっておる、これはあくまでもそういう意味で、予算定員上の問題で、裁判所職員定員法上の問題ではないわけでございます。そこで、いまそういうふうに実態に合わせるというお話もきわめてもっともでございますけれども、ただ御承知のとおり、事件と申しますものはきわめて流動しておるわけでございます。さらに、いまはお話に出ておりませんけれども、家裁の関係もあるわけでございます。そういう全体をにらみながら、最高裁で定員をきめます際には、やはりある程度のそこに幅をこちらに持たせていただいておりませんと、それを一々予算上毎年変更していくこともなかなかたいへんなことでございます。むろん全然職種の違うものを流用するとかなんとかいう問題ではございませんで、ただ予算書の上で、定員法のワクの中において、そういう予算区分になっておりますものをまあ相互に協力するという形でございますので、その程度はまあ司法行政を相当している最高裁判所におまかせいただいてもいいのではないか、方向としては、逐次それをそろえる方向に持ってまいりたい、かようにいたしまして、数年来高裁の増員をはかってまいっておる。今年もそういう方向で掲示してもらっておる、こういうことになるわけでございます。
#181
○亀田得治君 その程度に聞いておきましょう。それで十五名は、高等裁判所別にいうとどういうふうな配置の予定ですか。
#182
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、大体いま事件が非常にふくそうしておりますのは大都会でございますので、大都会を中心に配置いたしたいと考えております。東京、大阪、名古屋、広島等が主たるものでございます。
#183
○亀田得治君 福岡は入るのですか。
#184
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) いまのところ福岡も一名配置したいと考えております。
#185
○亀田得治君 入らぬのは高松だけと、そういうことですか。
#186
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 現在の案といたしましては、仙台、札幌、高松に配置する予定はございません。
#187
○亀田得治君 簡裁判事の二十八人ですね。これは交通関係の業務上過失致死傷事件の増加に対処するため、こうなっておりますが、具体的にはどういう配置になりますか。
#188
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 簡裁が配置する裁判所名のことでございましょうか。
#189
○亀田得治君 はい。
#190
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これまた実は先ほど申し上げましたように、一般的には簡裁の事件はむしろそうふえておらないわけでございますが、ただ大都会の業務上過失事件に限って、かなりふえておりますので、そういうところを中心にして配置いたしたいと、こういうことでございまして、やはり東京、大阪、名古屋等が主たるものでございますが、もう少し申し上げますと、高裁所在地と、六大都市というところへは大体配置することになろうかと思います。
#191
○亀田得治君 それから職員のほうが十九名ですね、これはどこに配置するのですか。
#192
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 職員は百十九名でございます。
#193
○亀田得治君 百十九名、その内訳はどうなっております。
#194
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 百十九名の内訳はお手もとの参考資料の三ページにございまして、書記官が四十三名、家裁調査官が三十名、事務官、事務雇いを合わせまして四十六名、こういう内訳でございます。
#195
○亀田得治君 この高等裁判所、裁判所別にとりますと、高等裁判所が十九名、地裁が八十三と、こうなっておるんですが、高等裁判所で裁判官を十五名増員するとしたら、その職員のふえ方というのは十九名ではこれは足らぬのじゃないですか。
#196
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これはいろいろな考え方があろうかと思いますが、高裁の判事十五名と申しますのは、大体において五部に相当するわけでございます。そういたしますと、大体その書記官十五、事務官四ということになれば、一部四名程度の補助職員が配置できるということで、これはまあ大体見合った数字であろうと考えております。ただまあいろいろ高裁の場合には、一部という形で配置せずに、四人構成にしたりする場合もございますので、そういう関係で、これと裁判官と書記官とがぴたりといろんな関係で常に一致させるということもいろいろ問題がございますが、一応定員の上で裁判官十五名、すなわち五部ということと、一般職十九名というものは大体見合った数であろうと考えております。
#197
○亀田得治君 従来の裁判官と職員との比率というようなことは、どういうふうになっておるんですか。
#198
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、実は裁判所によりまして非常に差があるわけでございます。と申しますのは、高等裁判所は、いま申し上げましたように、三人構成がたてまえで、まれに四人構成ということもございますが、それでございますから、一部に何人というような計算のしかたになるわけでございます。これに対しまして地方裁判所の場合には、合議と単独とに分かれておりますので、その関係はきわめて複雑になってくるわけでございます。簡易裁判所は常に単独でございますから、一人について二人とか三人ということでございますが、これも純裁判部的な集まりと申しますか、公判部の場合と、それから略式事件とをやります場合とでは、そこに多少事務の量も変わってくるわけでございまして、そういう点はなるべく実情に適するように配置いたしておるというのが実情でございます。
#199
○亀田得治君 そうすると、上のほうへいくほど職員の裁判官との数の比率というものが少なくなる、こういうことですか。
#200
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これも必ずしも一がいに申せませんのは、地方裁判所には未特権判事補というようなものもございまして、御承知のように未特権判事補がふえましても、必ずしもそれに伴って書記官なり事務官なりの増加を必要とするかどうかという点にはやはり問題もございますので、そう端的には申し上げられませんが、先ほど申し上げましたような限度では、ややそういう傾向になろうかと思います。
#201
○亀田得治君 最高裁はどうですか。どんな比率になっておりますか。
#202
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 最高裁も裁判部に関します限りは、要するに小法廷に何人ということになるわけでございますが、ただ御承知のように最高裁判所は、相当膨大な事務総局、それに各研修所というようなものもかかえておりますので、そういうものと裁判官の数と比較しますと、ちょっと計算が簡単にまいらないわけでございます。
#203
○亀田得治君 裁判官の人数、職員の人数、それから調査官というような特別なものがありますか。最高裁は非常にその点が、大まかに見たところ不足しておらないというような印象と違いますか、職員の数が。
#204
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは必ずしもそうではございませんで、ことに御承知のとおり司法研修所などは、数年前までは二、三百人の修習生でまかなっておったわけでございますが、最近は五百人をこえるようになってまいっております。しかし、それに伴いまして必ずしも一般の職員の増員ということも十分ではございませんので、全体として最高裁が職員が余裕があるということではないと考えております。
#205
○亀田得治君 いや、高裁とか地方裁などに比べての話です。全部不足していることはわかっております。
#206
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは部外の方からどういうふうに御観察いただいているかということかと思いますが、何ぶん、たとえば事務総局にいたしましても研修所にいたしましても、そういう仕事と、それから高裁や地裁の、特に裁判部の仕事とは、相当に性格が違うわけでございます。それのどちらが忙しいかということを比較いたしますこと自体がかなり困難でございまして、行政事務のほうは、御承知のとおりある程度の波もございます。たとえば予算シーズンとか、国会シーズンというようなときの非常な波と、それから比較的波の少ないとき、こういうのがございますが、裁判部は、その点かなり継続的にある。しかし特に大きな波がくるということも少ないというような点もございまして、これは私どもとしてはできる限り公平になるように配置しておるつもりでございますが、外部からどういうふうに御観察いただいておりますか、必ずしも最高裁のほうが余裕があるというふうには考えておらないわけでございます。
#207
○亀田得治君 端的にいって地裁の関係が一番不足しているんじゃないですか、職員の数が。
#208
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これはやはり全体といたしますと、まあ事件では高裁にかなり渋滞も見られるわけでございます。それから諸外国と比較いたしましても、審理期間の点で高裁にやや問題があろうと思います。しかし、同時に地裁も相当忙しいというのが実情でございます。
#209
○亀田得治君 だが、私の感じでは、地裁と高裁がやはり非常に負担が大きい。それに比べたら最高裁、簡裁のほうは比較的ゆるいんじゃないかという感じを持っておるわけです。そこで、その高裁に今度は十五名裁判官増員でしょう。そうしますと、相当密度が高くなっているところに十五名さらにふやす。これはそれなりにいいことでしょうが、これは事務量というものが非常にふえるんじゃないですか。十九人程度の増員でなかなか処理できぬのじゃないですか。そこを心配するわけですがね。
#210
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 事務量がふえると申しますか、私どもとしては、お手元の資料にございますように、高裁の審理期間が非常に延びてきているわけでございます。そこで、その審理期間を少しでも短縮しよう、それには高裁の裁判官なり職員をふやすことが必要である、かような趣旨で、高判の増員をお願いしたわけでございます。
#211
○亀田得治君 だから、ふやせば、裁判官をふやせば必ず仕事がふえるわけですから、それに伴う職員の、それは十五人ふやして十九人という程度にならぬのじゃないですか、ちょうどいいところが。それは現になんでしょう、裁判官の数と高裁の職員の数とどうなんですか、三倍ぐらい多いでしょう。現状はどうなっておりますか。
#212
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 私、先ほど申し上げましたように、裁判官を十五人ふやすということは、すなわち部五つふやすということに該当いたしますので、部を五つふやすためには、書記官、事務官合わして二十人程度で大体見合うのではあるまいかという考えでございます。一方、しかし現在の比率が違うじゃないかというお話ももっともでございますが、しかし現在のいわゆる補助職員の中には、これは高裁の事務局に勤務している者もあるわけでございますし、その他共通の職員という者もあるわけでございますから、そういう意味で、現在の比率どおりにふやすということは必要では必ずしもないように考えております。
#213
○亀田得治君 現在はどうなっておりますか、現在の比率は。
#214
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 現在は、お手元の資料にございますように、高裁の裁判官は定員上は二百六十三ということでございますし、書記官は三百四十三ということでございますから、一人よりは若干書記官のほうが多い、こういうことになっているわけでございます。
#215
○亀田得治君 それから、地裁を今度八十三名ふやしたのはどういうことですか、裁判官ふやせないのに。
#216
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 地裁は事務官が三十人であったと考えておりますが、これは強制執行のほうの関係でございます。先般国会で御審議いただきまして可決していただきました例の執行官法に基づまして、執行官の会計事務を裁判所みずからやる、従来は執行官にやらせておりましたのを、執行官にやらせないで裁判所の会計職員がやる、これによって会計の公正を期したいということでございますので、そういう趣旨で事務官を三十人増員するようお願いしておるわけでございます。
#217
○亀田得治君 三十人じゃないでしょう。この三ページの表ですが、書記官二十八名、事務官が五十五人、五十五人の中にこの三十名入るのですが、合計八十三と書いてあるのですが、これはどうなんですね。
#218
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは予算上は簡裁という項がございませんで、簡裁の関係は地裁が統一的に処理する、こういうたてまえになっております。地方裁判所となっております中に簡裁の定員も入っているわけでございます。
#219
○亀田得治君 ちょっと分けてください。分けておっしゃってください。
#220
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) いま申し上げました三十人が地裁でございまして、それ以外は簡裁ということになるわけでございます。
#221
○亀田得治君 そうすると簡裁は書記官二十八名ふやすのですか、それはどういうふうにふやすのですか。結局まあ八十二のうち三十だけが執行官の事務の関係で地裁だと、あとはどういうふうになるんです。
#222
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 八十三のうち、いま申し上げました三十だけが地裁でございまして、残りの五十三が簡裁ということに、まあ基本的になるわけでございます。
#223
○亀田得治君 で、それはどういう配置です、五十三人は。
#224
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは大体裁判官一人につきまして書記官は一名ということで二十八人ということになっておるわけでございます。それから事務官のほうは、これは一人弱になっておりますが、実は、これでは少し不十分でございまして、一人強、むしろ二人近く必要とするであろうと考えておるわけでございます。したがいまして、この純増ではそれがまかない切れないので、いわば配置転換と申しますか、定員上の配置転換でもって処理すると、こういうことになるわけでございます。
#225
○亀田得治君 そこで、たとえば、いま新聞等でも書いておりますね。東京地裁の刑事部、現状でもずいぶんオーバーなんですね、仕事が。いろんな執務上の病気、疾病などの問題がある。その上に学生事件などが大量に来ておるから、そういうことに対する裁判所側の対策というか、これは相当長期にわたることでしょうし、それは無理してやってれば、ずいぶん病人などがふえるんじゃないですか。これは後ほど聞きますがね。ずっと前から懸案になっておるタイピストとか、そういう職員の負担というものは非常に過重されてくるわけですね。そういうことは、今度の法案なりあるいは予算等では全然考慮されておらぬように感ずるんですが、どうしてそういうことになってるんでしょう。
#226
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 私どもとしては、この予算をいたします際に、具体的に今回の東大事件のようなものが起こりますことを予想してはおりませんでしたことは間違いございません。ただしかしながら、いろいろな世相その他からいって、ある程度刑事事件がふえるであろうということも十分念頭には置いておったわけでございます。ただ、それはそれとして、現在すでに相当多忙であるわけでございますし、また、事件がおくれておるわけでございますから、これを解消するということが、同時に今後参ります事件の処理の円滑ということにもなる、こういう考えであったわけでございます。で、お手元の資料の八ページ等にもございますように、実は刑事事件というのがかなり減ってまいっておるわけでございます。四十年が七万九千件でございましたのが、四十二年には七万五千件というふうにお手元の資料に出ておりますが、さらに四十三年には七万二千件と、つまりさらに減りまして、つまり、四十年から比べますと七、八千件近くも地裁の事件が減っておるわけでございます。簡裁も略式命令以外の普通事件は大幅に減っておるわけで、つまり刑事事件といいますのは一般的には減少してまいっておるわけでございます。ただ、先般来のような事件が起こりますと、これはまあ相当なしわ寄せを受けることになる。これも実は件数で申しますと、千人というのは千件でございますから、ここへ千件プラスをいたしましても、まだ四十年当時よりはかなり低いわけでございますが、しかしながら、同じ千件と申しましても、ただいま起こっているような事件は相当の事務量になるだろうということは考えられますので、その点につきましては、増員の配慮と同時に、応援体制につきましても、より予算上、旅費その他の手当は万全は期しておるわけでございます。何と申しましても、裁判官の場合は、旧件で縛られますために、本年はそのような程度にとどまった、これが実情でございます。
#227
○亀田得治君 このタイピストとか、キーパンチャー、こういう諸君の職業病について、従業組合のほうからもずいぶん最高裁のほうに要請をしておるのですが、その処理がてきぱきいかぬようですね。昨年でしたか、一昨年でたしか、私一度お聞きしたのですが、その後あまり進んでおらぬように思うのですが、それからの処理はどういうふうになっているのですか。
#228
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) いま御指摘の問題は人事局の所管に属する事項でございますし、先般この委員会で亀田委員からお尋ねがございました際にも、人事局長から詳しく御説明申し上げたと記憶しておるわけでございます。突然のお尋ねでございますし、私も詳細は存じておりませんが、私の承知いたしております限りで御説明申し上げたいと存じますが、昭和三十九年から四十三年までに一般的に公務災害についての申請がありましたのが合計二百五件でございまして、そうして、そのうち処理が終わっておりますのが百七十八件ということでございますから、大体九割程度は処理がされている、こういった数字になると考えておるわけでございます。まだしかし、二十数件の未済が現在あるわけでございます。
#229
○亀田得治君 現在未済になっている二十数件というのは、これ最高の受理が昭和四十一年でしょう。それから、最高へ行くのに、所属の裁判所等から問題になった、その時点から計算すればずいぶん長いわけですよ。どうしてこう結論が長引くか、自分のところで働いてくれておる職員についての、しかもそれは公務上の職業病ですがね、そういう関係で発生しているわけですよ。遊びに行ってどこかでけがしたとか、そういう問題じゃないわけなんだ。だから、普通なら、私は基準をルーズにしてどんどん認めたらいいと、そんなことは言いませんけれども、以心伝心、もう少しそこに愛情がなければ私はいかぬと思うんですよ。それはなかなか微妙な問題のようですよ。だから、そういう問題について、どうも科学的にきちっとせんからどうじゃとか、最高の方が言うのだろうと思うが、しかし、その科学がしからばすべて解決できるかというと、必ずしもそうじゃないわけですよ。科学科学とみんなやっておりながら、毎日の新聞でたくさんの失敗、それによる人命の損傷がたくさん起きているわけです。みんな科学的な計算をしてやっておって起きているんですよ。だから、そんなことを言うと、お医者さんにはなはだしかられるかもしれませんがね、しかし、現実にはともかく指のぐあいが悪くなったりしているわけなんですよ。だから、そういう点はどうも最高のほうがかた過ぎると思うのですね。それは裁判はすべて証拠主義だと、そういうことになれているのかもしれぬけれどもね、刑事事件だって、寺田さん御承知のように、疑わしきは当事者に有利に解釈するのが原則ですね。疑わしいやつはもう不利益に解釈している。何かあいつら要らぬことをごちゃごちゃ何でもないちょっとしたことを言いよってというふうな卑しい感を持ってやっているように私思うのです。東京地裁の例の二十二名ですね。そのうち二名について、これはことしになって結論が出された報告は私も聞いております。ところが、その結論の出し方が、本人たち並びに本人たちが見てもらった医者は、これは頸肩腕症候群と言うのですが、書痙であるか頸肩腕症候群かということでもめておるわけなんですね。それを全部軽いほうの書痙に、片づけてくれたのはいいが、その書痙にしてしまっているのですね、その二人とも。これじゃともかく治療のことですから、そんなにきびしくせんだって、いや、これはもう頸肩腕症候群になっておると、そういう立場で処置すべきだと言う専門家もおるわけですから、場合によっては私は二つの認定をして、二つの治療の方法は違うようですから、どちらでもやれるようにしたらいいじゃないですか。病気のことですから、本人がよくなればいいんでしょう、よくなれば。だから、それはあなた何も余分に金を使ってやったって見当違いしておったら何もこれは生きないのですから、この金は。それは本人だってわかっているわけです。こんなことは慰謝料の額をふやせとかなんとかの問題と違って、もう少し幅のある見方をしていく。とにかくどっちでもいいから早くなおるように、両方の疑いがあるから両方の面でひとつやってくれ、こういうふうにどうしてもできぬものか。二つ名前が出ておるのに、金のかからない一つだけに認定する、これでは何にもならぬじゃないですかね。ほかの人事院とかそういう関係を私たち聞いても、これは相当そういう点は幅を持った考えでやっておりますね。幅を持たせておくべきですよ、それは。では、それが見当違いしておったら最高裁ほんとうに責任を持ちますかいな。持てぬでしょう。持つと言ったって、それは口で言うてみるだけのことで、それは治療のしやすいように幅を持たせた決定をしてやるべきです。いや、もう全然そんな現象が少しもない、明らかにこれは無理言うておるのだと。それなら全部はねたらいいんですよ。そうじゃないのですよ。また、そんな毎日職場でつとめておる人が――裁判官だって知っているのだ。そんなむちゃくちゃなことを言えるわけがあなたないじゃないですか。だから、どうもたくさんの職員の中のほんのわずかの人がこう言うてやむにやまれず申請しておるわけです。これはもっと大まかにやれぬものですかね、こういうのはどうですか。
#230
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) いまのお話しの点、先般もこの法務委員会で亀田委員と私のほうの矢崎人事局長との間にいろいろお話しのあった問題でございます。私も横で伺っておりまして、亀田委員のお話しのような点も気持ちとして非常に同感いたしますような点を感じますと同時に、また、人事局長の言いますことも非常に筋を通した一つの議論であるというふうに伺っておったわけでございます。それで、その際は特に長引いておるということについての御指摘があったわけでございまして、人事局としてもその後鋭意調査を進めたわけかと存じますが、いま亀田委員のほうからもお話しのございましたように、東京で二人、そのほか浦和で一人と聞いておりますが、公務災害の認定をしたケースがあらわれておるようでございます。相当慎重に審理いたしまして自信を持って公務災害の結論を出した、こういうことであろうかと思いますので、いま残っております懸案につきましても、十分慎重に自信を持って出せる、結論を出す方向でいま現に鋭意努力いたしておることでありますし、今後ともそういうふうな方針でまいるように私からも十分人事局長に伝えたいと考えるわけでございます。
#231
○亀田得治君 その三名――浦和の一名入れると三名ですな、最近結論を出された。いずれも書痙のみと、こうなっておるわけですが、その理由をひとつちゃんと説明してくださいな、われわれしろうとにもわかるように。
#232
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは私としては、医師の診断の結果に基づいてさような認定をしたという程度にしか御説明申し上げられないわけでございます。
#233
○亀田得治君 医師の診断といいましても、本人が納得しないわけだし、ほかの医師は二つの病名を書いておるわけだし、その点をやはり説明する私は必要があると思うのですよ。こちらがあんたおなかが痛いと言うておるのに、それはおなかと違う、それは胸だぞと、そんな極端な離れ方はちょっとおかしいですけれども、そんなことを言われたって、判定されたほうは動きようがないでしょう。だから、それならそれでちゃんと丁寧に説明をしてやるべきでしょう。医師の診断の結果じゃと一方的にいかぬと思うのですよ。これは数年悩んでおる人なんですから、説明を委員会でしてください。
#234
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 私としては、要するに、医師の診断の結果に基づいて書痙ということで公務災害の認定をしたという程度にしか存じておりませんので、書痙と頸肩腕症候群というものの症状の具体的な違いというものも必ずしも十分には存じませんし、また、その認定の違いについて御本人が不満があるということについても必ずしも十分に承知いたしておりません。そういう点について十分聞いておりません。したがって、そのこまかい点につきまして、ちょっと私説明するだけの資料を持っておらないわけでございますが、適当な機会に人事局長からその点についてあるいは御説明することもあろうかと思います。私は、要するに、公務災害に認定がされたということで、一応職員としては、何と申しますか、そういう申請をされたことがそういう結果になったのだというふうな理解であるわけでございますが、その病気の内容のこまかい点につきましてちょっと説明するだけの自信を持たないわけでございます。
#235
○亀田得治君 これは人事局長は呼んでなかったわけですか。
 寺田さん、この書痙と頸肩腕症候群の違いだな、これはあらわれる症状はよく似ている。頸肩腕症候群のほうが重い。こうなっているのだが、質的に違うもんだというふうにぼくらは聞いておる。だから、したがって、当然それに対する治療方法も違ってこなければならない。そういうものなのかどうか。この違い、それに対する対症治療の方法、その関係を一ぺんはっきりさせてください。これは今後とも裁判所にはどうしてもつきものですわね、この問題はね。その説明も。
 それから、医師の診断書によるというが、医師の診断書というものは単なる結論だけのものじゃないと私は思う、これだけ長期間詰めているのだから。だから、どういう理由で頸肩腕症候群でなく書痙なのかという点がいろいろ説明がされているのだろうと思うのです。だから、それもひとつ説明してください、われわれがわかる程度に。あなたのほうも、だから消化しておいてもらって、十分。それはあなた、最高裁のやっぱり責任ありますよ、今後人事をやっているほうとしたら。まあ、人事局長ではないですが、総務局長は何でも知っていなければいかんわけだから、それをやってくれますか、ひとつ調べて。
#236
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 私も頸肩腕症候群と書痙との違いについてはある程度承知いたしているつもりでございますし、また若干の資料はここにも持っておるわけでございますけれども、しかしながら、また不正確なことを申し上げましてかえってあとでおしかりを受けてもいかぬと思いますので、もう少し勉強いたしました上で御説明申し上げたほうが間違いがなかろうかと思います。ただ私、従来伺っておりますところでは、むしろ書痙で公務災害に認定されたケースはあっても、頸肩腕症候群のほうはむしろそういう認定をされていない事例のほうが多いように聞いているわけでございますが、その辺のところにつきましても、もしかりに間違っておりますと申しわけございませんので、さらにもう少しよく調査いたしまして申し上げたいと思います。
#237
○亀田得治君 いま頸肩腕症候群がないというのは、それは裁判所のことですか。裁判所以外においてもそういうものはないと、人事院あたりでも。そういう意味でおっしゃっているの。どっちです。
#238
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 私、裁判所以外のことは現在のところあまり詳しくは存じておりません。
#239
○亀田得治君 そうすると裁判所ですわ。裁判所がだから書痙しか認めないというのがおかしいと、こういう疑問が出ておるわけですよね。ほかで認めてくれるのになんで裁判所だけが認めないんだろうか。
 それからもう一つついでに報告願いたいのですが、最高裁判所が昭和三十六年ですか、労働科学究研所に委嘱しましてフリッカー検査というのですか、疲労度の調査ですね、速記官などこれをやったわけですね、タイピストとかそういう人たちの。これはまあやはりそういう科学的な調査に基づく対策が必要だ。たとえば公判の立ち会い時間がどれぐらいが適正かとか、いろいろなことをやるにしても、これは大まかではいかんですわね。やはり科学的な研究の結果に基づく対策でなきゃいかん。こういうことで労働科学究研所に委嘱して調べてもらったはずですよ。そういう事実ありますね、裁判所で。
#240
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) そういうことを聞いたように記憶いたしております。
#241
○亀田得治君 それは聞いたようにというふうなことじゃなしに、裁判所がそこまで科学的にいろいろなことを検討されるということについては、ぼくも非常にこれはいいことだと思っているのです。そういうものがあるということを聞いているのです。それからちょっと書かれたものもあります。しかし、これは部分的でしてね、だから、そういうりっぱな国費を使ってでき上がったものがあれば、これひとつ、公務災害に関するいろいろな問題の審議の参考として、資料として提出願いたいと思っているのです。ぼくらもそういう問題大いに勉強しなきゃならぬ。
#242
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 職員の健康管理、特にこういう速記官とかタイピスト等健康管理につきましては、前々からいろいろ特別な配慮をして、特別の健康診断等を実施いたしておるわけでございます。その点は従来からも御説明申し上げ、また亀田委員から御指摘のあったとおりでございます。ただ、いま御指摘のございました具体的なものにつきましては、私、詳細に存じておりませんし、それがどういう形でまとまっておりますかも、ちょっといまはっきり記憶いたしておりませんので、その点は所管のほうに連絡いたしまして、十分その御趣旨に沿う形で検討することについて連絡いたしたいと存じます。
#243
○亀田得治君 次回にまでひとつ間に合うようにお願いしますよ。なかなかいいこと書いてあるらしい、その病人から見るとね。どうもそういうのをわざと隠しているのじゃないか、最高裁たるものがそんないじましいことされると思わぬけれども。
#244
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) ちょっと私いまここで、責任を持ってそれを次回までに提出いたすかどうかということはお答えいたしかねるわけでございますが。
#245
○委員長(小平芳平君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#246
○委員長(小平芳平君) 速記を始めて。
 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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