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#1
第061回国会 法務委員会 第4号
昭和四十四年四月一日(火曜日)
   午前十時四十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小平 芳平君
    理 事
                後藤 義隆君
                亀田 得治君
                山田 徹一君
    委 員
                井野 碩哉君
                上田  稔君
               久次米健太郎君
                近藤英一郎君
                堀本 宜実君
                占部 秀男君
                山高しげり君
   国務大臣
       法 務 大 臣  西郷吉之助君
   政府委員
       法務政務次官   小澤 太郎君
       法務大臣官房長  辻 辰三郎君
       法務省矯正局長  勝尾 鐐三君
       法務省保護局長  鹽野 宜慶君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   寺田 治郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小平芳平君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 まず、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対し御質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○亀田得治君 それでは、せんだっての質疑の中で若干尽くしておらぬ点につきましてお聞きします。
 最初に、この書痙と頸肩腕症候群、この二つがいま問題になりますが、この違いですね、これをひとつどう見ておるのか、その原因、症状、治療法ですね、この三つに分けて見解を承りたいと思います。
#4
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 前会の委員会で、亀田委員からいまお話しの書痙と頸肩腕症候群との違いについてお話がございまして、その際、私まあ常識的には承知いたしておりますけれども、かような公の席で申し上げますのにはもう少しよく勉強いたしましてというふうに申し上げた次第でございます。そういう点から申しますと、本日は、相当医学的と申しますか、専門的に申し上げなければならない筋合いになるわけでございますが、まあだいぶ勉強はいたしましたけれども、しろうとでございますので、結局は表現はしろうとっぽくなるかと思いますけれども、まあ私どもの見ておりますところでは、書痙といいますのは、結局腕から手のほうにかけて痛みがあり、そうしてまたけいれんをする。で、これは多分に神経的なものが原因になっておる。まあ職業的な神経病というようなことも言われておるようでございますが、精神的な、あるいは神経的な素因というものがかなり大きな原因をなして、いわば事務をとるについての不安と申しますか、圧迫感あるいは責任感というようなものが入りまじりまして、そういうところから、特に場合によりますと、普通に字を書く場合にはそういう症候が起こらないのに、職務上字を書こうというような場合に特にけいれんがしたりするという例もあるようでありまして、そういう点で、相当精神的と申しますか、神経的なところに原因があるというふうに言われておるようでございます。一方頸肩腕症候群のほうでございますが、これは症候群というような表現からもうかがえますように、特定の病気というものとしてまだこれは必ずしも医学的に十分には解明されていない。むしろそういう一つの症候群というような感じの病体でございまして、いろいろ医者によっても見解も違うようなところもあるようでございます。しかしまあ、大体といたしましては、肩から腕のほうにかけまして、さらには頸部のほうにかけまして痛みがあり、また麻痺と申しますか、しびれと申しますか、そういうような症状を呈するというようなことでございます。まあ書痙のほうはごく俗ぼく申しますとけいれんというような表現がとられておりますが、頸肩腕症候群のほうは俗ぼく言いますとしびれというような表現がとられておるようでございまして、まあそういうふうに多少症状が違うようでございます。で、医学的には、頸肩腕症候群の主病体は頸部の変形性脊髄症、これに髄膜の肥厚癒着などの変化が寄与しているというようなことを言われておるようでございますが、要するにこれも腕から手のほうにかけましてのそういう痛みなりしびれなりという症状のようでございます。このほうは原因はいろいろあるようでございまして、その頸椎の異状によるというような場合もあるようでございますし、また精神的な要素が入ってきておる場合もあるというふうに言われておるわけでございます。
 ただ、両者の治療法でございますが、これはそれぞれ、いま申し上げましたように、原因が必ずしも一つではございませんので、その原因、原因によりまして多少ずつ治療法が違うようでございまして、書痙の場合には何よりもそういう神経的あるいは精神的な要素が主でございますので、まず休ませて緊張を解くということが非常に重要な治療法でございますし、さらには精神科の専門医による精神的な療法というようなこともきわめて有力な治療法のようでございます。そのほか、たとえば精神安定剤というようなものを使用するということも用いられておるようでございます。ただそのほかにもう少し具体的な――いま申し上げましたのはきわめて抽象的な治療法でございますが、もう少し具体的な治療法としては、場合によりましてマッサージとかあるいは超短波なり赤外線ということも用い、あるいは筋肉を弛緩させる弛緩剤というようなものを使いまして、それによってこの肉体的な条件をいろいろ緩和していくということが、ひいては精神的、神経的なほうにも影響をして、そしてその病気の治療に役立つというような面もあるようでございます。一方頸肩腕症候群のほうでございますが、先ほども申し上げましたように、たとえば頸椎の異状によるような場合には、牽引療法というような方法もとられるようでございますが、しびれを除くというような対症的な療法としては、先ほどの書痙と同じように、マッサージとか、あるいは筋肉の弛緩剤、あるいは精神安定剤、その他温熱療法、あるいは超短波療法というようなものを用いる場合もある。まあ一般的にごく大まかに申し上げれば、大体かような治療法がそれぞれについてとられるというふうに承知いたしておる次第でございます。
#5
○亀田得治君 この書痙のほうは、まあ御説明があったように、神経的な素因というものが相当重要な要素で、したがってこの頸肩腕症候群の場合と違った取り扱をしなきゃならぬというふうにお答えになってるわけですが、私はまあそのとおりなんだと思います。そこで、したがって、どちらに認定をするのかということが非常に重要になってくるわけですね。それでお尋ねしたいんですが、どれかに認定されれば、治療の段階においては適宜その人に適した方法として各種の手段を用いていいのかどうか、そういう点ですね。というのは、治療費の補償という問題に結びつくわけですから、書痙と認定され、あるいは頸肩腕症候群と認定されたのに、ほかのほうの治療法をこの人としては併用したほうがいいというふうに思われるような場合にはそういうふうにやっていいのかどうか、その場合にちゃんとその医療の補償等はされるのかどうか、その点どうです。
#6
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) いま亀田委員からお話のございました点がきわめて重要なポイントであろうと存じます。先般のお尋ねの御趣旨も、実はそこに起因しておったものとうかがった次第でございます。先ほど申し上げましたように、典型的な書痙と典型的な頸肩腕症候群というものを比較いたしますと、確かに別個の病態でございます。しかしながら、要するにこれは、先般亀田委員御自身のお話にございましたように、たとえば胃が悪いのと頭が痛いのというような、そういう関係ではむろんないわけでございまして、要するに、腕から手のほうにかけましての痛み、しびれ、あるいは麻痺、けいれん、こういう一つの常識的にはきわめて相似たものを持つわけでございます。一応病気として認定いたします場合には、これは書痙なら書癖というふうに認定いたしましても、それが、必ずしも典型的な書痙だけではなしに、そこにいろいろな病態がまじっておるということは当然あり得るわけでございますし、そういう場合に、御本人に最も適した治療方法をとるということは、これは医者としても当然やるべきことでございましょうし、また、私どもが、特定の方の特定の部分、そういう腕なり手の部分について公務災害を認定いたしました限りは、これは御本人に不利にならないように十分配慮していくという方針で従来もやってまいっておりますし、今後ともそういったような線でやらなければならないと、さように考えておるわけでございます。
#7
○亀田得治君 その点ひとつ、従来もそういうふうにやっているというお答えですが、今後ともやはりそういう立場でひとつ扱っていってほしいと思います。
 それから、最高裁では、いままで書痙の認定はあるが、頸肩腕症候群の認定ですね、これはなかったようですね。
#8
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 頸肩腕症候群として公務災害と認定した事例はございません。
#9
○亀田得治君 常識的に考えると、書痙の場合には重い、平たく言うと、頸肩腕症候群の場合には、これは質が違うから重い軽いという言い方は多少語弊がありますが、まあしかし、常識的に見れば、多少症状が軽いのかもしれません。したがって、最高裁としては、どうもそこの認定についてきびし過ぎるんじゃないかという感じがするわけですね。だから、相当重いものでないとなかなか認めない、それからはずれると。しかし、職務上そういう状態になっておるということが推定されておるのに、なかなかそれを認めようとしない。ほかの何か原因かもしれないといったようなことを考え過ぎる。ちょうど民事の損害賠償請求を受けたような感じで、裁判官が裁判をされる。その辺が少し――私は、病気ですから、本来病気であれば、これはどなたがなおしてくれたっていいんですよ、最高裁でなくてもだれだって。そういう考え方ですよね。保険制度なり、社会保障制度なんかも、そういうことなんですから。ともかく速記なり、そういう仕事に関連しておるということが大体推定されれば、それを認められれば、それを認めて、早く治療していこうと、こういう態度で私はいいと思うんですけれどもね。そういう点がどうもきびし過ぎるように思いますが、どうでしょうか。たとえば、ほかの人事院、あるいは地方公務員の場合、あるいはまた民間の関係で労働基準監督署などがタッチする場合には、そういうところではやはり頸肩腕症候群というような認定をしておる事例もあるわけですね。最高裁だけがそれをしないというのは、どうもそれに該当するものがないと言ってしまえばそれっきりかもしらぬが、やはり私は、認定、見方が少しきびしいのじゃないかと、一般に比べて思いますが、どうでしょう。
#10
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) まあ病気のことでございますから、これは何といっても病気をまずなおすということが大事であるということは、これはもう異論のないことでございますし、先般来からも御説明申し上げましたように、速記官等につきましては、定期検診のほかに、特別の健康診断というようなものも行ないまして、早期に病気を発見するようにいたしておりますし、また、病人につきましては、それ相当の休養も与え、また共済組合等で治療についても十分な配慮をいたしておるということは、御承知のとおりでございます。で、これは従来ともいたしてまいっておりますが、今後ともさらに一そう職員の健康管理については配慮してまいらなければならないと、かように考えておるわけでございます。ただ問題は、公務災害として認定するかどうかということになろうかと思います。実は私もきわめて常識的に、手なり腕なりの病気で重いのが書痙で、それよりやや軽いのが頸肩腕症候群ということかというふうにも前に考えておったこともあるわけでございますが、これはいろいろまあ研究と申しますか、勉強してまいりますと、必ずしもそういう、何と申しますか、量的な差、程度の差ということではなくって――そういう面もないでもないようでございますが、若干質的な違いがあるというようなことのようでございます。で、先ほど申しましたように、書痙は、これはかなり、いわゆる職業的神経症といわれておりますように、そういういろいろなものを書くという職業に非常に結びついた病態のようでございますが、それに対しまして頸肩腕症候群は、現在の医学の研究の程度では必ずしもそうもとられておらない。でまあ、具体的に詳細には存じませんけれども、場合によりますと、たとえば主婦のような者がこういう病態になる場合もあるようでございます。これは職業なりあるいは字を書くということとは直接結びつかない原因に出発しておるようでございますが、そういう例もないではないというようなことのようでございます。で、そういうことが、先般来も亀田委員からもときどき御指摘のございました、人事院規則で書痙のほうはそれ自体が職業病として掲げられており、頸肩腕症候群のほうはそれ自体としては職業病として掲げられてはおらないで、さらにそこに職業との間の相当因果関係というものを必要とする。そういうものがあって初めて職業病と認定するという現行法制になっております。その区別であるようでございます。でまあ、そういうことでございます関係から、従来裁判所で、書痙についてはかなり公務災害に認定しておりますのに対しまして、頸肩腕症候群につきましては、先ほど申し上げましたように、職業病と認定した事例がないということになっておるわけでございます。
 そこで、人事院のお話がございましたので、時間を取って恐縮でございますが、ちょっとその点について説明さしていただきたいと思うわけでございますが、人事院で頸肩腕症候群について公務災害に認定した事例があるようでございます。これはいずれもいわゆるパンチャーの事例のようでございます。パンチャーは、御承知のとおり、これはいわばそのキーをたたくということが徹頭徹尾職業でございます。つまり、いわば四六時中と申しますか、執務時間中ずっといわばたたき続けておるわけでございます。そういたしまして、かりに一日五時間なら五時間やるとしますれば、一週で二十数時間になりますか、その時間もっぱらキーをたたくということがその仕事になるわけでございます。それに対しまして、いま問題になっております裁判所の速記官の場合には、これは御承知のとおり、速記官がいわゆる速タイプを操作しますのは一週間大体三時間前後――二時間ないし三時間、こういうふうにきめられておりますし、また実際にもそうなっておるわけでございます。したがいまして、それ以外の時間はもっぱらその反訳をしておるわけでございます。反訳というのは、これは普通に字を書くわけでございますから、書記官とか事務官の職務内容と少しも変わらないわけでございます。また、そのパンチャーの場合のキーのスピードなり、それからそれの重さといいますか、そういうものと、速タイプの場合のスピードなり重さというものとも、かなり差があるわけでございます。そういう点で、人事院がパンチャーについて御認定になりましたことが、直ちにもって速記官に適用されるというわけにまいらないように思うわけでございます。しかしながら、同時にまた一面から申しますと、速記官について、先般来いろいろ御指摘のありましたような病人が――公務災害かどうかはともかくといたしまして、ともかく病人が出ておる。そして一方手書きの速記者のほうに必ずしもそう多い病人がないといたしますれば、あるいは速タイプの構造その他に問題があるということも考えられないわけではないわけでございます。そういう点で、どこに原因があるのか。これがパンチャーでございますとかタイピストのように、いわばもっぱらそのキーをたたくということを職業とする場合には、そこに原因があると考えるのが当然でございましょうが、速記官のように、速タイプを操作する時間は一週の中のきわめて限られた時間であり、その以外の時間はもっぱら書記官や事務官と同じように文字を書くという職業であるといたしました場合に、しかも速記官にのみそういう病気が多発するということにつきましては、あるいは速タイプの構造に問題があるのかもしれませんし、あるいは、これまた先般来問題になっています一回の執務時間と申しますか、速記時間と申しますか、そういう継続性に問題があるということも考えられるわけでございますし、そういう点にわたりまして、私どもとしても、いわば今後の速記制度の基本にも触れる大きな問題でございますので、健康管理の問題を含めまして、根本的にいま検討いたしておりますし、また病気につきましては労災病院等で精密な検査をしていただいておるような状況でございまして、そういうところからすみやかに結論を得て、健康管理を含めまして全般にわたり対処してまいりたいと、かように考えておるような状況でございます。
#11
○亀田得治君 裁判所関係のタイピストについても、そういう認定なり、頸肩腕症候群の認定が出ていないですね、そうでしょう。
#12
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) してございませんが、ただタイピストのほうは、そう多い数ではないように承知いたしております。
#13
○亀田得治君 それから、いまお話の中で立ち会いの時間ですね、この継続、長さですね、これがやはり非常に問題があろうと思うんです。国会の場合ですと、こう複数でやっていますわね、それだけでも非常に気が楽なわけですよ。しかも十分で交代しているわけです。しかし、裁判所で、私たちたまに法廷にも行くんですが、長いですね、なかなか早口でしゃべる弁護士もおるし、あれずいぶん気を使うと思うんですよ。あれを長時間やられたら、そうしてまた聞き漏らしたりしたら、あとまた非常に証言の中身については問題起きますからね、ずいぶんこれは精神を集中していると思うんです。だから、人間のそういう精神の集中の持続時間というようなことを考えますと、少なくともいまのああいう一連続時間というものは非常に酷だと思うんです。現実はどの程度になっているんですか、平均して。統計なり調査したものはあるんでしょうか。
#14
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) おそらくいま亀田委員の御指摘になりました点がこの問題についての一つのキーポイントであろうと私も考えておるわけでございます。で、私どもとしては、国会でいまおやりになっておりますように、十分交代というところまではなかなか、遠い将来はともかくとしまして、むずかしいと思いますけれども、少なくとも三十分ぐらいで交代するということが好ましいのではないか。これは、国会の場合は手書きの速記でございますし、裁判所の場合は速タイプでございまして、手の動かし方を見ておりますと、やはり速タイプのほうが余裕のあるような印象も受けるわけでございます。そういう点で、三十分程度ならばさほど苦労は少ないんじゃないか、こういうことで、従来からできれば三十分程度にというふうにいろいろ話してはいるわけでございます。私自身も、大阪の裁判所におりましたときに、もっぱら速記官に立ち会ってもらって裁判をやっておったわけでございますが、その際にも、なるべく証人尋問の直前に法廷に入ってもらい、そうしてできれば一人の証人で交代する。それから、非常にそれが長い場合には、主尋問と反対尋問で交代するというふうにして、まあ三十分を一つのめどとして運用したつもりでございますが、ただ、これはまた速記官の諸君の意見をいろいろ聞いてみますと、やはり速記をするためには、ことに国会の場合も同様かと存じますが、特に裁判所の場合は、ある程度事件を知っていないと非常にやりにくいようでございます。固有名詞が非常にたくさん出てまいりますので、固有名詞についてあらかじめ勉強しておいたほうが非常に能率があがる。そうしますと、固有名詞を勉強した速記官がついでにある程度までやってしまったほうが全体として能率的だということを言う速記官もあるわけでございます。御本人自身は別に一時間半なり二時間なり継続してやってもさほど苦痛に感じない例が多いようでございます。それはいろいろであろうかと思いますから、状況によって違いますけれども、こちらから三十分で交代にしてはどうかというふうに申しましても、いやせっかく勉強した事件だから、この事件は自分がきょうは全部やる、こういうことを申す速記官もあるわけでございまして、その辺はできるだけ速記官の諸君の意見を取り入れながら訴訟の進行をはかってまいったつもりでございますが、そういう点については平素裁判長にいろいろお話は申し上げておるわけでございますが、まあ何と申しましても、裁判の実際の場におきまして、やはりいろいろ左関係で速記の交代ができずに進める場合がないでもないようでございます。また同時にスピードの点も、私自身が非常に早口の人間でございますが、速記のついております場合には極力速度を落としてしゃべっておるつもりでございますけれども、これは証人によりましてはそうでない者もおりまして、この辺も裁判長が適宜、きょうは速記をやるからスピードはゆっくりということを注意するのとしないのとだいぶ違うわけでございまして、そういう点のこまかい配慮をやはり裁判官がいたしますことが、職員の健康管理についてもきわめて重要な関係を持つということで、これは常々連絡はいたしておりますが、まだ必ずしも満足すべき状態にはあるいはいっていない面もあるのではないかというふうに考えられまして、今後とも十分配慮してまいりたいと思っておるわけでございます。
 それから、その点についての統計でございますが、これは一週間どのくらいという点については大体の統計がございまして、これはまあ、裁判所なりそれから時期によっても違いますが、大体二時間半から三時間以内というのが実情でございます。しかし、一回の継続時間という点については、あるいは書記官研修所等で資料があるかもしれませんが、ちょっといま私手持ちはいたしておりません。これはかなり長い場合もあろうと思います。しかし、同時に、相当注意をして短く区切ってやらせている例もございまして、絶対的左統計はいまちょっと持っていないような状況でございます。
#15
○亀田得治君 そういう点は、個人差というのは相当私はやはりあると思うのです、性格などもね。だから、一律に全部処理してしまうのがかえって合理的でない場合もあるかもしれぬ。だから、個人差があるならあるなりに、その人に応じた作業のし方というものがきまってこなければいかぬわけですね、ほんとうの健康管理をしていこうと思ったら。それが狂っていると、ついやはり長い間に無理がかかる、病気になる、こういうことだと思います。平均以上に長いほうがかえって自分はいいんだと、回数よけいやるよりも、そういう性格の人はきちんとそれに合っているわけですから、それでいいかもしれぬ。そうでない人にとっちゃ、これは毎日が非常な無理の積み重ねということになるわけですね。だから、その辺の科学的な、しかも個人個人についての具体的なやはり検討ですね、こういうものはやはり確立しなきゃいかぬと思うのですね。めんどくさいことのようだが、やはりそういう基礎的な研究というものをやっておけば、新しく速記官を採用した場合に、どういうふうにして調べるかが、やはりなかなか問題があると思うのです。調べ方自身をやはり確立して、そうしてこの人にはこのタイプでやっていってもらおうというふうに、ほんとうの意味で一人一人に即した科学的な扱いができると思うんですね。そこまで私は研究すべきだと思うんですよ。あまりそういうかまえになっておらぬのじゃないですか。大体裁判所に、あるいは裁判官にしかるべくまかしておくというふうなことじゃないですか。
#16
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) いまのお話の御趣旨は、私も全く同感に存ずるわけでございます。そうして、できる限りそういう趣旨で従来もやってまいっておるつもりでございまして、速記官の本人の個人差、さらにはその日のコンディションということもございます。それからまた事件の性格ということもございますので、そういう面を総合して、これは裁判長が十分配慮して、その速記の使用方法というものに取り組むということを、いろいろな機会に、指導と申しますか、お伝えしておるわけでございますし、多くのところでそういうふうに行なわれておると信ずるわけでございますが、ただ一つには、その点は、結局科学的に本人がどういう健康にあるかということを時々刻々把握しますということはなかなかむつかしい関係で、どうしてもやはり御本人の申し出を中心にする。そうなりますと、やはり職員のことですから、つい無理をして、だいじょうぶですという場合も出てくるので、その点は十分配慮しなければならないと考えております。それと同時に、また一方裁判長は、これは亀田委員つとに御承知のとおり、何と申しましても、法廷全体の進行と申しますか、証人の尋問あるいは証人から心証を取るという、そういう実体的な面にどうしても主たる力が入りますために、そういう職員の健康管理の面がそれに比べますと二次的になりがちなものでございまして、そういう点は十分注意しなければならないというふうにいろいろ申し合わせはしておりますが、不十分な点もあるいはあろうかと思うわけであります。
 それから、さらに進んでもう少し根本的な研究という点では、先ほど来申し上げました、現在書記官研修所に速記専門の部がございまして、そこで養成をいたしているわけでございますが、そこにおきましていろいろできる限りの科学的な調査をしてもらうようにしたいと、かように考えておるわけでございます。
#17
○亀田得治君 この前もちょっとお聞きしたのですが、昭和三十六年に最高裁が労働科学研究所に委嘱をして、そうして速記官の問題について調査をされた、何かそういうものはないようなこともその後総務局長から聞いたのですが、これは私のところにその抜粋のようなものがあるのですがね、それはないのですか。これは拝見しますと、なかなかこういういろいろな問題点についてずいぶん詳しい検討をやっているのだなあというふうなことを感ぜられるわけですが、どうなんですか。
#18
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 先般亀田委員からお話のございましたのは、フリッカーテストというものであったと存じますが、それにつきましては、私のほうとしても、また人事局のほうとしても、最高裁判所としてそのフリッカーテストをやったことはないと、いまのところその資料は見当たらないわけでございます。これは、お話のとおり、疲労度の検査でございまして、疲労度の検査としてはいろいろなことをやっておるのでございますが、そのフリッカーテストをやったことはないというふうに資料の上でなっているわけであります。ただ、亀田委員のお話もございまして、その後いろいろいたしておりますが、最高裁でなく、何か一部の速記官についてフリッカー検査をやった例があるということも聞いておりますので、もし亀田委員がその資料をお持ちでございますれば、何と申しますか、標目的なものでもお見せいただきますれば、さらにそれをもとにして調査いたしますれば、最高裁として統一的な検査としてそういうことをやった事例はございませんけれども、あるいは一部の速記官についてそういうことをやった例もあるかもしれませんので、その点は、さらに時間をかしていただいて、十分詳細に調査をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
#19
○亀田得治君 これは、検査を受けた対象が、速記官五名について三月六日から四月二十八日まで三十五日間ですか、ずっと継続的にフリッカー検査をやった、そうして労働科学研究所が最高裁の委託を受けてやった、こういうふうに聞いておるのですがね。で、これによりますと、なかなかいろいろな問題点が指摘されておりまして、こういうことが昭和三十六年にすでにやられておるのであれば、もっと速記官についての考え方なり扱い方というものがきちんとしていていいのじゃないかというふうにぼくは思っているわけです。あとでちょっと見てもらいますがね。これに限らず、何かそういう一連のことをやっておるのであれば、これは委員会外でいいですが、ひとつ教えてほしいと、こういうふうに思うわけです。これは要望しておきます。
 それから次は、これは以前にもだいぶん申し上げたことがあるのですが、やはり最高裁のこの公務災害の認定がどうもほかに比べておそい。ほかはたいてい一年内ぐらいには結論を出しているようですが、どうも最高裁の場合は受け付けてからでも相当かかるが、受け付けるまでに、現場の各庁で診断をしたりいろいろして意見をつけて上へいくわけですね。本人にとっては最初の発病のときからこれは計算するわけだ。現場の職場において自分のからだぐあいが悪いと、そのときに診断書を取ってそこの所長等に訴えるわけでしょう。それから比べるとものすごく長いのですね。現在、最高裁にかかっていてまだ結論が出されておらないものの中で一番古いものをとると昭和三十六年からのやつがありますね。これじゃちょっとあまりにも長過ぎる。それはもっと早くとにかく結論を出してやるということじゃないと納得いかぬと思うのですね。どういうことなんですか。なかなか複雑な要素もあるようだけれども、複雑なら複雑で、やはり人手をたくさん集中的にかけて行なうとか何とかしませんと、これはあまり相手にせぬようになると思うのだ、今度は。どうも最高へ出してもいつまでもほっておかれてしようがないから、それじゃますます状態が悪くなるのだね。まあ認定される場合もあるでしょうし、されぬ場合もあるでしょう。いずれにしても、やはり早くこの結論を出してやるということが私は必要だと思うのです。この点、何か思い切った措置をして、いまたまっているものを全部早急にひとつ片つけてしまうということはできないのですかね、どうでしょうか。
#20
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは裁判と同様、適正迅速ということであろうと思います。できる限り早くやらなければならないことは、もう亀田委員お話しのとおりでございますが、また同時に、その結論が適正でなければならないということも、人権に非常に関係する問題でございますから、そういう意味で、どうしても当局としてある程度慎重になるという面が出てるのであろうと思います。現在、先般も申し上げましたとおり、三十九年以来約二百件くらいの申し立てがございまして、未済になっておりますのが二十数件ということで、大体九割ぐらいのものは処理されておりますし、その大部分のものはかなり短い期間で処理されておるわけでございます。ただ、たまたま、いま亀田委員から御指摘のございました東京地方裁判所の速記官から出ました申し立てが、ある年度に集中して多数出まして、しかもそれがかなり同様な症状と申しますか、要するに、先ほど来問題になっておりますような関係の病気でございまして、これにつきましての病気の把握、さらには因果関係の認定というところに非常に慎重を期しておることが、ある程度の期間を要しておる結果になっておるわけでございます。しかしながら、これまた先般も申し上げましたように、最近二、三人ばかり公務災害の認定をいたしたわけでございまして、これはおそらくもう少し早い時期にやっておれば公務災害ということまでいかずに、あるいは結論が出てしまったかもしれないわけでございますが、その後、労災病院その他で相当慎重な検査をいたしまして、いろいろ詳細な診断の結果を集めまして、その資料に基づいて公務災害というふうな認定になったわけでございまして、そういう意味ではひまはかかりましたけれども、認定されますれば、これはある程度さかのぼるわけでございますし、そういう意味では御本人には不利をそれほど与えずに済んだわけで、この点は何と申しましても、単に早くというわけにもまいりません。むろん亀田委員の御趣旨もそういうことではなかろうと思いますが、今後とも十分適正かつ迅速にやってまいりたい、かように考えるわけでございます。
#21
○亀田得治君 意識的に悪いことをした場合でも、裁判所では疑わしきは利益に考えるわけですから、それはあなた、私早くやってくれというのを何もそんな悪いほうに早く認定してくれというわけじゃないので、それは逆で、逆のことを言っているわけです。最近、三名、ことしの二月ですか、書痙に認定されたことは、これは私も承わっておりますが、それが早かったら認定されなかったかもしれぬぞというような意味のことをいまおっしゃっておるわけだけれども、それはちょっとおかしいと思うのですよ。それはともかくも、もっと早くやってもらわなければいかぬですよ。いろいろ医者にも頼まなければならぬということになれば、それは一時的に頼むのも、だらだら頼んで仕事をしてもらって、そうしてだらだらお礼を出すのも一時に出すのもこれは一緒ですから、国としては。それはやはり少しこれを何とかともかく一ぺん一掃してくださいよ。何もなくなったというふうに一度ならなければいかぬですよ。裁判所がそういうことになったら、廃止運動など起きて困るかもしれないけれども、これは病気ですから、そんなものはなくなったほうがいいのですよ。これはお願いしておきます。
 それから認定されなかったものがありますね。却下されるというか、そういうものについては、この理由というものがちゃんと本人に説明されておるのでしょうか。これは認定されなかったら、審査請求ができるわけですね。
#22
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これはそれぞれの所属長を通じまして御本人に説明いたしておるはずでございます。
#23
○亀田得治君 それはやはり文書か何かでされるのですか。
#24
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 現在やっておりますのは口頭でやっておるようでございます。
#25
○亀田得治君 それは文書できちんと説明する必要があるのじゃないですか。ほんとうの公務災害であるということなら、当然その認定を受ける権利があるわけですから、一方から見たら権利行為なんです。それが認められぬということなんですからね。文書でやってもらわぬで、口頭で言うたらあとから変わるおそれもあるし、聞き違い、言い間違いということもあるし、あと審査に持っていく場合にやはり困るわけですよ、御本人が。だから、それは裁判所のことですから、決してそんなあいまいにするために口頭でやっておるわけではないでしょうが、それはやはり文書できちんと出すように今後できますか。申請はちゃんと文書で来ておるのですからね。
#26
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これはいま亀田委員からお話のございましたとおり、決してあいまいにするという趣旨で口頭でいたしておるわけではございませんので、その理由を明確かつ詳細に伝えるということは当然のことであろうと思います。それにつきまして、文書でするかどうかという点につきましては、私、直接の担当でございませんので、そういう亀田委員の御趣旨を十分所管の局長のほうに申し伝えたいと思います。
#27
○亀田得治君 それからもう一つは、審査の場合のことなんですが、これは前に一度もっと改革したらどうかというお話を申し上げたことがあるのですが、いまだに改革されておらぬようです、構成がね。五名のうち、裁判所の事務当局の関係の方が三名入っていらっしゃるわけですね。これでは結局、事務総長の代行みたいなものなんですね、事務総長の下の人が入るわけですからね。だからちょっとおかしいと思うんですよ。やっぱり審査請求という以上は、独立の、最初の認定の影響を受けないような形のものが調べてくれる、これじゃないとやっぱり本人は納得しませんね。これは裁判所の名誉のためにもむしろ早急に改革されたほうがいいと思いますが、できませんか。
#28
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) いまお話の点は、いわゆる災害補償審査委員会の構成の問題かと存じますが、その構成が、確かにその中に裁判所の職員が三名入っておりますことは御指摘のとおりでございます。ただ、これは現在の法制では最終的な決定権は最高裁判所にあるわけでございまして、それについてのいわば資料提供と申しますか、報告機関的なものでございまして、そういう意味で、従来のいろいろな例から、こういうふうな扱いになっておるわけでございます。この点につきましては、おそらくこれが、結局、裁判所のことでございますから、ほかのたとえば人事院にやらせるというわけにまいりません関係が、自然こういうことになっておるのであろうと思います。同様に、おそらくこの国会でありますとか、人事院でありますとかの職員についても、おのずからそういういろいろなことにならざるを得ない面があろうかと思います。ただ、具体的な構成につきましては、いま亀田委員からの御指摘もございましたし、その点はさらに十分検討することはいたしたいと存じますが、一応そういう法制的に申しますれば、裁判所は独立の機関としてかようなことにならざるを得ない、こういうことに考えておるわけでございます。
#29
○亀田得治君 だからほかの国家機関にやらすということは、これは私は問題があろうと思うのです。そうじゃなしに、裁判所独自の判断で民間のしかるべき権威者にゆだねる、こういうことだと、これは最高裁が自分の判断でそういうものをつくるわけですから、決してそんな最高裁の独立性に矛盾するものでは私はないと思う。だから研究してほしいと思うんですよ。いつも問題になる。ことに事務総局の中から三名も入るというのは、これは連絡とかいろんな意味で一名だけ入れておくということなら、これはまた多少必要もあるかもしれませんけれども、五名のうち三名も入れてしまっておる。これじゃあとから入ってきた二名だってあまり熱意が出ませんわね、何か結論がわかっているようなもので。これじゃいかぬと思う。裁判所であるだけにやはりそういうことはきちっとされたほうが非常にかっこうがいいと思いますよ。研究してくれますかな、これは毎回お願いしておることですが。
#30
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは多少おことばを返すようになりますけれども、事務局の職員と申しましても、出ておりますのは大体民事局とか行政局とか、こういうところのいわゆる裁判官有資格者でございまして、これは御承知のとおり、平素労働法というものを非常に勉強しておる諸君でございます。それからまた同時に、私ども長年、裁判官として生活をしてまいっておりますので、これはある意味では事務総局としては短所になる場合もあろうと思いますけれども、ほかの各省と違いまして、事務総長がこう言うからどうだとかいうことは、必ずしもそういうふうにはならない、それぞれ一家言を持った人間がいるわけでございます。ことに労働法を専門に勉強しております行政局の連中になりますと、なかなか、事務総長がそう言っても、労働法ではこうだという一つの見識を持っておる場合もありまして、外からごらんになりますと、同じ穴のムジナというふうな印象をお受けになる面もそれは十分あろうと思いますので、そういう意味で、いま御指摘のような点についても十分配慮しなければならないと思いますけれども、内実は必ずしもそうではありませんで、それはある意味では最高裁事務総局のウイークポイントかもしれませんけれども、ほかの行政庁のように、大臣の命令一下というようなことでは実はないのであります。ことにこういうふうに委員として選ばれますと、そこにやはり法律家というものの良心というものが出てまいりまして、そう簡単に言いなりになるというものでないということをまずお含みいただきたいわけでございます。そして、それと同時に、先ほど申し上げましたように、要するに、最終の決定権は最高裁判所自体が持っておるわけでありまして、決してこの委員会が最終の決定権を持っておるわけではございませんで、そういう意味での御懸念はある程度なくしていただかなければと思うわけです。しかし、その上でさらにまたいろいろな、この点を研究してみろという御指摘につきましては、これまた所管のほうに十分申し伝えまして、そういう御意見がございましたということをよく伝えることにいたしたいと思います。
#31
○亀田得治君 いままで審査請求は何件くらいあったでしょう。
#32
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) その点の資料は、私ちょっといま手持ちいたしておりませんので、調べますれば、それはわかるかもしらぬと思います。あるいはまたその機会にお願いしたいと思います。
#33
○亀田得治君 それでどうなんですか、ほとんど却下しているのと違いますか。
#34
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 判定の変わった事例は相当にあるようでございますが、その具体的な数字は、何でございましたら、あとでしかるべき時期にお目にかけたいと思います。
#35
○亀田得治君 相当ありますか――そういうことなら割合公平にやられておるのかもしれませんが、その資料をください。
#36
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 私自身がいま知っておることでございませんので、確信をもって申し上げられませんが、そういうふうにいま係の者から聞いたわけでございます。
 なお、資料につきましては、可能な範囲でしかるべき方法でお目にかけることにいたしたいと思います。
#37
○亀田得治君 固有名詞はいりませんから資料をお願いしておきます。
 それから法政大学の芝田ゼミナールで東京地裁の速記官について調査したものがここにあるのですが、それで拝見しますと、たとえば病気になったとき十分療養できるか、こういう発問に対して、できると答えておる者が五四・二%、できないと答えておる者が四五・七%あるのですね。半分近くあるわけです。普通の世論調査なら、半分というのは、これは政党の支持率でも何でもたいへんな数字ですが、そんなものと違ってこれは病気ですからね。平生はぜいたくはせぬでも、病気のときだけはともかく気やすく治療をしたい、それはもうだれでもの念願ですわね。半分近くこういう答えをしておる。で、その四五・七%のうちの理由を調べてみると、第一が人手不足、その理由を出したのが八三・三%、それから二番目、これはだいぶ数は少ないわけですが、昇給とか手当に差しつかえる。ほとんどが人手不足。だから自分が休むと同僚に迷惑をかけるとか、そういう配慮から遠慮をせざるを得ないというふうなことがありありと出ておるわけですね。これを見ますと、結局はいろいろ書痙病者なり職業病がたくさん出る。結論的には人手が非常に不足しておる、速記官の問題では。なかんずく速記官についてはそういうふうに思われるわけですね。だからわれわれも、こういうこまかい資料を見るまでは、たとえば週二時間か三時間程度だと、こうやるのは。あとずっと反訳すると、そんなにかかるかなと、ばくはしろうと目にはそう思っておりましたが、いろんなこまかい資料を見ると、なるほどという感じがするわけですがね。一般的な認識が非常に軽く考えておるだけに、なかなかその人員の補充といったような場合でもむずかしい点があるんじゃないかと思いますが、この辺の認識が根本的に改まってこぬと、少ない速記官が、これ一人そんな病気にかかったら、全体の能率に非常に響きますわね。そうして無理しておる。無理しておるからまた次にかかる、さらに残った人に無理がかかるというふうに、まるで加速度的に悪い状態になるわけで、だから根本的に人の不足という点は、まあ裁判所全体についてもいろいろ問題あるでしょうが、この速記官の点については早急に改善方を考えませんといかぬと思いますが、そうしませんと、結局速記官が、そんな何も同じ働くのに、自分たちの特徴を認められないそんなところでやらなくたって、どこにおったって働けるんだと、こういうことになってしまって、それじゃ裁判所から速記をだんだん少なくしていかなければならぬ、また裁判の真実発見という重大な問題にまでこれは響いてくるわけです。響かざるを得ぬわけですね。ないものは使うわけにはいかぬのですから。だからこれはそういうことに関連した非常に重要な問題をはらんでいると思いますがね。これは特にひとつ徹底的にこの問題を掘り下げて、大蔵省等ももっと理解を深めるようにしていただいて、努力をしてほしいと思っておりますがね。その辺の根本認識をひとつ承っておきたいと思います。
#38
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 冒頭に申し上げましたとおり、速記の問題は、裁判所としてもいまきわめて重要な、また深刻な問題であると考えておるわけでございます。で、これはまあ将来非常に録音機の精巧なものが発達でもいたしますれば別でございましょうけれども、しかし、まずさしあたり考えられるいまの段階では、何らかの形で速記的なもので証言を録取するということの必要性というものは、ふえこそすれ減ることはなかろうと思います。その場合に、現在裁判所では、いわゆるソクタイプ方式でございますが、これと国会の手書き方式との優劣ということも一つの問題であろうと思います。ただ、私どもとしては、現在はまだやはり、ソクタイプというものの合理性、進歩性というものを信じておるわけでございます。同時にまた、ある程度外部速記の併用ということも前々からも考えておりますし、ある程度は実行もいたしておるわけでございます。しかしながら、これまたある程度の部内速記の確保ということも、これも裁判所としてぜひとも必要な問題でございます。その場合に、先ほど、どこかのゼミナールでの調査の話がございましたが、私実はまだそれを拝見いたしておりませんけれども、速記官の諸君が非常に忙しく感じ、そしてその理由として人手不足ということをあげておられるということであるといたしますれば、それは増員ということになるかということでございましょうけれども、私はやはりそこにはまだいろいろ検討しなければならない問題があると考えているわけでございます。
 で、なかなか休めないということは、いわばこれは本人の気概の問題でもあるわけでございますし、こういういろいろな組織に組み込まれた人間が、たまたま少しからだの故障があるからといってすぐ休むということでは、なかなかこれは組織員としてはいかないわけでございます。しかし同時にまた、ある程度のそれには限界もあろうと思います。その辺は私ども自身がやはり常に自分の健康と、それから職務ということのかね合いということを考えながら仕事をしておるつもりでございますが、速記官の諸君もそれなりに、やはりそういう自覚と責任感を持ってやっておられるものと考えるわけでございます。
 そうしてその人手不足という点につきましても、これは先ほど亀田委員からお話もございましたように、一週間に二時間ないし三時間の程度でございまして、反訳の場合には、これは特定の某日ということではないわけでございます。たとえば平日に休んで日曜日に反訳しても別に悪いということのものではないわけでございます。ただしかし、立ち会いとなりますと、これはどうしても開廷日がございますから、私どもがこうやって国会にお呼び出しを受けて出てまいりまするその日は動かしようがない、しかしそれ以外の日は多少余裕ができる、こういうようなことと同じことで、速記官の諸君も立ち合い日はこれは多少からだのぐあいが悪くてもがんばってもらう、しかし反訳は健康の状態のいいときにやる、そういうやりくりということもある程度できるわけでありまして、それに加えまして、先ほど来お話のございました反訳に八倍ないし十倍要するということがやはり一つの問題点で、これを何らかもう少し合理的に能率的にやる方法が考えられればということも、一つの研究問題としていたしておるわけでございます。それにつきましては、すでに、たとえばコンピューターを利用するというようなことについても、これは一部で研究も出ているようでございます。なかなか実用化するまでには容易ではないかと思いますけれども、そういう問題も速記制度にからむ一つの問題として、本年度の予算でコンピューターの研究費を計上していただいておりますけれども、広く見ますれば、そういうところにも関連を持ってまいっておるわけでございまして、これは決してこの場での方便として申し上げる趣旨ではなしに、裁判所としては速記制度については根本的に取り組むべき時期であり、また現にそういうことを考えつつあるということを申し上げておきたいと思うわけでございます。
#39
○亀田得治君 それじゃだいぶ時間もたちましたから、せんだって三月十二日でしたか、神戸の裁判所のことで、この速記官のことが、毎日新聞だったと思いますが、大きく取り上げられていたんですが、ああいう事態に対して、どういうふうに手を打っておられるわけでしょう。
#40
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 御指摘の三月十二日の新聞の夕刊に神戸地裁の速記官のことが出たようでございます。ただ実はこれは東京のほうの新聞には、あるいは版によって出たものもあるかもしれませんが、私が見ました版では出ておらなかったので、直接見ましたのは、神戸の裁判所のほうから簡単な報告がございまして承知したわけでございます。しかしながら、まだこれは第一回のきわめて簡単な報告の程度でございますので、さらに詳細につきましては、今後とも十分調べてみたいと思っておるわけでございますが、その報告によりますと、その記事の中には若干不正確な点もあるようでございます。しかしながら、速記官の中に相当数の病人が出ておるという限度におきましては間違っていない、事実そういう状況のようでございまして、いまそれに対していろいろ所長のほうで対策を講じておられる、こういう実情でございます。
#41
○亀田得治君 そういう方々が、公務災害の申請の手続などは従来とっておらなかったんですか。
#42
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) いま神戸の裁判所のほうから参っております報告によりますと、病気の中で比較的程度の重いというもの、Aに当たるものは一人もないようでございます。比較的軽症のほうのBなりCなりに当たる者が数名おるわけでございます。それについてはそれぞれ医者の診断に基づきまして、立ち会い時間を制限したり、あるいは交代時間について配慮したり、もとより通院治療というようなことは十分いたしておるようでございますが、公務災害の点につきましては、現在までのところ、まだ上申はないようでございます。
#43
○亀田得治君 まあ、そういうところに、先ほど法政大学のゼミナールの諸君が調べた結果というものを参考までに申し上げましたが、やっぱり同じような気持ちがあらわれておると思うんですね。新聞にああいうふうにでかでか書かれるような状態になっておりながら、無理をしてつとめてきたという、結局はそういうことなんです。だから、そういうことは遠慮しないで、むしろ軽いうちにどんどんなおすようにお互いすべきなんだと、これくらいのやはり通達を、人事局長もそれぐらいのものを出すぐらいにしてほしいんですね。それを出したからといって、何でもない人が続々出てくるというわけのものでもなかろうと思う。何でもない人がそんなものを出したって、それはすぐわかることですから、そういうことじゃなしに、ああいうことが新聞に出されるということは、たとえば最高裁で事務官でも募集するといっても大いに響きますよ、ああいうことは。もうあんなところへいったらえらい目にあう、こういうことではいい人が集まってきませんよ。こういうことの扱いなんかがやはり大事だと思うのです。だから、そういう通達ぐらい出して――出しただけでも私はだいぶ朗らかになると思うのです。ああ最高裁こういう気持ちでおるのかということで。ところが、問題が起きたら、なるべくそれを小そう小そう、軽う軽う扱おうとする――しておるわけじゃないでしょうが、そういう印象を与えるようなことになってはいかぬです。そのくらいの通達を出せませんか、どうですか。
#44
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 決してこの問題を小さく扱おうというような気持ちは毛頭持っておりません。それから私、先ほどの御説明がちょっとあるいは不十分であったのかと思いますけれども、公務災害の上申は、現在のところまだ参っていないというふうに申し上げただけでございまして、これは新聞に出ますずっと以前から、たとえば立ち会い時間を、非常にこの中での比較的程度の重いものについては三十分に制限する、つまり一週間三十分ということでございます。でございますから、これはきわめて軽勤務になるわけで、そういうふうに週の立ち会いを三十分に制限する。それからまた、もう少し程度の軽いものには、一週の立ち会いを一時間に軽減する。そうしますと、一週間に一時間立ち会えば、あとかりに八時間反訳するとしても、まあ十時間前後の勤務時間と申しますか、それになるわけで、そういうふうに執務上の措置は十分所長のほうでとっておるわけでございます。
 それから、さらに治療につきましても、これは程度の重いものは毎日通院し、あるいはそれ以外のものは週何回というふうにして、注射、薬物療法、その他をいたしております。詳しい薬物療法の内容等はまだ照会いたしておりませんが、一応そういうような治療につきましても万全の措置はとっておるわけで、つまり執務上の措置と治療の措置とは、十分とってまいっておるということを御理解いただきたいわけでございます。私、先ほど申し上げましたのは、公務災害については、現在のところ、まだ上申がきていないように承知している、こういう趣旨で申し上げたわけで、治療なり執務の配慮は十分いたしておるわけでございます。その点はひとつ御了承願いたいと思います。
#45
○亀田得治君 そういう執務上の措置までとってもらっているということについては、私感謝しますが、そうすると、残りの人は、またそれだけ今度は負担が重くなるわけですね。それをやるとまたそれが倒れる。確実に倒れるとは言えぬでしょうが、おそれが出てくるわけで、そういう場合にはどうしても外部速記、臨時の人をそこに入れて、外部の速記を使うというようなことも同時に措置をしてもらわなければ私はいかぬと思います。そういうようにやっておるのですか、神戸は。
#46
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) まず、この速記の場合には、付速記率というものがある程度浮動的でございます。つまり国会のようにすべての発言を速記するというわけではなくて、特定の証人等について速記をする、そういうことでございますために、必ずしも付速記、要速記事件というものが、事件数と比例するわけでもないわけでございます。ある程度流動的でございます。それから同時に、速記官が各部に数名ずつ配置されておりますが、特定の部の病人が多く出ますれば、これはやはり非常に執務に差しつかえが生じますので、何らかの形のプール的の配置をするということも一つの問題になるわけでございます。それから同時に、本庁以外に支部にも速記官が配置されておりますので、かりに支部で付速記事件が、要速記事件が少ないような場合には、相互に応援するということも、ある程度可能になるわけでございます。そういういろいろな方法をとりました上で、さらに不十分な場合には、外部速記というものも十分考えなければならない問題になると思います。こういうことであろうと思います。
#47
○亀田得治君 まあ理論はそういう順序になると思うが、しかし最高裁としては、まあいろいろ手を尽くして、なおかつ従来の事務量がさばけないという場合には、外部の臨時速記を入れていいんだと、それに対する予算の裏づけはするからというくらいの通達をしてやりませんと、なかなか地元の所長は、そういうことはしたがらぬ。これは人によると思いますがね。人によってそんなこと遠慮しない、どんどんやって、そうしてこれだけ
 こうなったのだからと、下から請求してくれれば、それでいいわけですね。だからそこまで私は配慮してやるべきだと思う、さっきの通達と同じように。だから、どういうようにやっているのかということをまずつかんでほしいですね。事務量をそういうように減らしたというなら、減らした分をどういうようにこなしているかということを、具体的にやはり最高裁として報告に対する質問というか、聞いてほしいと思います。
#48
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) いまの亀田委員のお話は、新聞に、裁判進行に響くという見出しが出ておりまして、これがまずお考えの基本にあるように承るわけでございますが、この点は実は所長の報告によりますと、確かに証人を一度ばかり帰したことがある。それはこの問題が関連しておるので、それには多少の手違いがあったという報告でございます。そういう点は、しかしながら非常にまずいことで、これは十分今後とも考えなければならないというように考えておるわけでございます。
 それから、それに関連いたしまして、今後神戸の速記についてどう対処するかという問題は、実は私どもこの報告を受け取りまして、初めて新聞のことを承知したわけでございます。また速記官の病気の実態も詳しく知りましたのは、この報告で初めてでございまして、これはまだほんの三、四日前だと思います、受け取りましたのは。そういうことでございますので、それをいまいろいろ検討しておる段階でございまして、神戸の所長と十分連絡をとりまして、裁判の進行、職員の健康管理に遺憾のないようにいたしたいと考えておるわけでございます。
#49
○亀田得治君 結局、そういう手当てがされませんと、速記すべきものを省いてしまうということにならざるを得ぬのですよ。それはそれでも一応裁判は進行するかもしれませんが、それじゃほんとうの解決ではないわけですから、だからぜひ私がいま申し上げましたようなことも含めて、ひとついい解決をはかってほしい、いいですか。
#50
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 十分神戸の所長と連絡をとることにいたしたいと思います。
#51
○亀田得治君 それじゃもう一つ最後に、三重県の尾鷲の簡易裁判所ですが、ここで最近職員が二人に減ってしまった、こういうことのようです。で、ここの簡裁では、何か家庭裁判所の出張所もあったり、また交通切符の問題も取り扱っておるといったようなことで、簡裁としてはずいぶん事件が多いらしいですね。金曜日以外は公判とか調停がある。公判、調停があれば、二人のうち一人は当然そこへ行くわけでしょうし、それから、金曜日だけ一日そういうもののない日があるわけですが、しかし、そういう日にも、いろいろ家庭関係の相談事項なりたくさんあるようですがね。とにかく、そんな、職員が二人というような裁判所というのは、一体これ、ていさいがちゃんとそれでついているんですかね、どうなんですか。
#52
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 尾鷲の問題は、組合の新聞にかなり大きく取り上げられましたこと等がございまして、非常に国会でも御心配をおかけすることになりまして、恐縮いたしておる次第でございます。尾鷲の場合は、これは確かに、多少、いろいろな関係でこういう状態になりまして、私どもの指示なりあるいは措置が必ずしも適切でなかった場合もあったのかもしれないというふうに考えるわけでございますが、これは本来三人庁でございますし、また尾鷲の事務量からすれば、これは当然三人維持しなければならない庁でございます。たまたま昨年の八月に書記官の一名をどうしても他に転勤させなければならないということになりまして、そこで、その際すぐ補充すれば問題はなかったわけでございますが、新しい卒業者から優秀な者を採りたいということで、その間に約半年近い間があいたと、その間に、所長としては、公判の開かれます場合には必ず書記官を填補に出しておったようでございます。つまり、開廷日には必ずその近くの支部から填補を出すという方法でやっておりまして、そういう点ではある程度の配慮をしておったわけでございますが、一、二度その填補を出さないときに法廷が開かれた場合がありまして、その点について非常に御指摘を受ける関係になったわけでございます。しかしながら、これはきわめて一時的の現象でございまして、実はもうすでに現在は三名になっておるわけでございます。そういうことで、尾鷲に関します限りは、まあ二名というのはきわめて一時的な問題であり、その際填補によって応援の措置はとっておりましたが、その場合におけるこまかい配慮にやや欠けるところがあったかというふうにうかがわれる面があるということでございまして、今後とも、こういう裁判所について二人庁というようなことが起こらないように、もし起こりました場合には、填補その他で十分な措置をとるようにいたしてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
#53
○亀田得治君 どうしてもこういう小さい職場というものは目こぼしがありがちなんですよ。しかし、当事者にとってはこれはたいへんなことでして、たとえば東京なり大阪なり、こういう大きな裁判所では、一人、二人欠けてもそれは何とかやりくりがつきやすいでしょう。だけれども、あなた、三人のうち一人欠けたといったら、百人おるところで三十人がごっそりと抜けたようなもんですよ。それはたいへんなんですよ、あと残った者は。だから、そんなことは、もうやめる前にきちんと措置をする、そういう申し出を聞いたら。そうでなければいかぬと思うのです、こんな、半年もほっておくというのは。わいわい騒いでから初めて片づけると、そんなこっちゃ、私はほんとうの人事管理というものはできておらぬと思うのですね。で、宿直もみんなかわるがわるやるのですね、ここでは。それだけでもたいへんな負担になってくるでしょう、三人でかわるがわるやるというのを二人でやるというのでは。だから、こんなことは今後絶対起こさないという約束できますか。
#54
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 尾鷲に関します限りは、先ほど申し上げましたとおり、私どもとしても、こういう状態になったことは遺憾であったと考えておるわけでございます。ただ、御承知のとおり、この種の職員は最高裁判所で採用して現地へ回しますものではございませんで、現地採用でございますので、現地の所長に対して、その点について今後十分配慮していただくようにこちらから指示をいたしたいと考えておるわけでございます。ただ、しかしながら、また全体として申しますと、これはあるいはよけいなことかもしれませんけれども、実はまあ前に、率直に申し上げて、衆議院でもお尋ねがあって申し上げましたのでちょっと申し上げさしていただきたいわけでございますが、たとえば和歌山県の本宮というような裁判所は、訴訟事件が一件もなくて、略式事件だけで一年に三十件、つまり一月に三件と、こういう裁判所が、現在とにかく現実にあるわけでございます。そういうところにも、やはり何とかして三人は配置しなければならぬと、こういうことになっておりますのが現在の実情でございます。しかし私は、それであるから本宮の裁判所を廃止したほうがいいというように申し上げているわけでは決してございませんけれども、しかし、やはり裁判所の配置というものは、ある程度、事件の多寡にかかわらず、一つの法の象徴と申しますか、法の支配の一つのあらわれとして厳として存在するということに十分の意義もあると思いますと同時に、またいろいろ執務なり職員の管理の面から申しますと、訴訟事件が一件もなくて略式だけで一年に三十件という裁判所の維持管理ということには、私どもとしても非常に苦慮しておるところでございます。そういう点、これは総合的にいま考えなければならない問題で、裁判所の配置の問題は法律事項で国会でおきめいただく事項でございますので、十分その国会の御意見も伺いながら今後処置してまいらなければならないと考えておるわけでございますが、そういう裁判所もとにかくあるということ、一方で東京のような膨大な裁判所もございます反面、こういう裁判所もございますということを、御承知と存じますけれども、一応お耳に入れておきたいと、かように考えるわけでございます。しかしながら、先ほどもお話しのありました点は十分今後とも配慮してまいりたいと、かように考えております。
#55
○亀田得治君 尾鷲の場合は事件が非常に多いと聞いておるのですが、その点どうでしょう。
#56
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 事件が特に多いということではございませんが、いわゆる三人庁の中では比較的多いほうでございます。訴訟事件が年間三十件ぐらいでございますから一月に二件余りでございますが、略式事件がやはり千件を少しこえておりますので、略式の処理が問題だろうと思います。訴訟のほうは、先ほど申し上げましたように、近隣の裁判所からの書記官の填補によって大体は処理しておったわけでございます。問題は、略式事件千件余りというものの処理、これにやはり三人確保しなければならないわけで、略式の応援をどの程度やっておったかというようなこまかい点についてはまだ必ずしも十分あれしておりませんが、それから、先ほど、問題が大きくなってから補充したというようなお話でございましたが、これはもう決して毛頭そういうことはございませんので、所長としてはちゃんと計画をして、そうしてことしの新卒から補充するというので、それは問題になります前にちゃんと選考もやってそうして準備も進めておったわけでございますから、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
#57
○亀田得治君 そのあなたのほうから御説明になった非常にひまな裁判所ですね、ひまな裁判所でこういうことが起きても、それは問題は起きてこぬと思うのです。忙しいところでそういう事態が起きたからこれは問題になるわけで、そこはやはり、何でしょう、所長のほうで全体をやっぱりつかんで善処しなければいかぬわけでしょうね。ひまなところならほっておいていいという意味じゃないが、それは多少ほかにも検討すべきことがあればそっちを検討してもいいと思う。だけれども、尾鷲のような状態で半年もおいておくということはこれはよくないです。
 まあこの程度にしておきましょう。
    ―――――――――――――
#58
○委員長(小平芳平君) 次に、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案に対し、御質疑のおありの方は順次御発言願います。
#59
○亀田得治君 これもせんだってだいぶお尋ねしたんですが、時間の関係等で多少中途はんぱになっておる点がありますので、少し補充してお尋ねしておきたいと思います。それで、犯罪者予防更生法の二十九条と三十条の運用について若干お聞きするわけですが、刑務所長の申請ですね、普通は。それと委員会の自発的に取り上げる場合、この二つの割合というものがどの程度になっておるんでしょうか。
#60
○政府委員(鹽野宜慶君) 二十九条の一項に基づく施設の長の申請による仮釈放の審理、それから二項のいわゆる職権の審理との関係でございます。実際問題といたしましては、二項による職権の審理はほとんどございません。
#61
○亀田得治君 全然ないんですか。委員会としては全く刑務所長まかせというような態度じゃないかな。一件もないというのはどうしてでしょう。
#62
○政府委員(鹽野宜慶君) 一件もないということになりますと、ただいま亀田委員の御指摘のような疑問が起こるわけでございますが、実情は先般も若干申し上げましたとおり、仮釈放の審理をいたします場合に、本人の刑務所における行状なり、最近における本人の心がまえというようなものが仮釈放の許否を決します中心の問題になると考えられるわけでございます。したがいまして、現在の運用におきましては、まず施設の長が当該本人について仮釈放の時期が来たというふうに判断するかどうかということをまず第一に考えまして、まず施設の長の申請を待つということを主にいたしているわけでございます。御承知のとおり、二項の職権審理の場合におきましても、あらかじめ監獄の長または少年院の長の意見を聞くという、こういう規定があるわけでございまして、やはりとの規定自体から見ましても、施設の長の意見というものが非常に重要視されているということになろうかと思うのでございます。
#63
○亀田得治君 本人から委員会に対して、仮釈放してくれ、こういう手紙などは来ませんか。
#64
○政府委員(鹽野宜慶君) 本人からさような申し出があった事例はございません。ただし、本人の家族等、本人が早く帰ってきてもらいたいというふうに考えている家族等の人たちから、委員会に対して嘆願書というようなものが出た例はあるようでございます。
#65
○亀田得治君 幾つぐらいあるんですか、そういうものが。
#66
○政府委員(鹽野宜慶君) ただいま詳細な資料持っておりませんけれども、そうたくさんの数はないようでございます。
#67
○亀田得治君 わずかにしろそういうものが出た場合に、委員会としては自発的に調査するなり、せっかく第二項によって権限が与えられておるのですから、それを、言うてみたら黙殺みたいなものですな、そういう点は特に委員会の運営としてよくないと思うがどうでしょう。
#68
○政府委員(鹽野宜慶君) 家族等から、嘆願と申しますか、その趣旨の申し出のありました場合に、委員会は決して黙殺するというような態度はとっていないようでございます。さような嘆願に基づきまして一応の調査をいたします。仮釈放の審理をするのが相当かどうかという検討はいたしておるようでございます。
#69
○亀田得治君 いや、私それを最初聞いたわけですが、それじゃそういうふうにしてやって調査して――調査ということは、一つの案件として正式の議題になっておるわけですね――そうして認めたものは一つもないというわけですか、最初、一件もないという意見のお答えがあったのは。
#70
○政府委員(鹽野宜慶君) 結論的にはさようでございます。ただ、この手続は、先ほども申し上げましたように、施設の長の意見を聞くと、こういう手続もございますので、その間に施設の長から仮釈放の申請が出るというようなケースもあろうかと思います。
#71
○亀田得治君 そういう嘆願書が出ますと、それを施設の長にも知らすわけですね。施設の長の意見も聞くのだから、その過程からも知れるわけでしょうが、そういうこともやっている。やっているうちに、施設の長から正式に第一項のルートで出てくるものもあるわけですか。
#72
○政府委員(鹽野宜慶君) そのとおりでございます。
#73
○亀田得治君 まあ、矯正局長、ちょっとお伺いしますがね。外部にいる者がそういう嘆願書を出すのに、本人が出さぬということは私はないと思うのです。本人がその意見を持っておらぬことはないと思うのです。しかし、そういう手紙というものを本人が委員会のほうに出そうとしても、刑務所長の意見と食い違いがあるとなかなかその手紙を出さぬのと違いますか。そういう点はどういうふうに刑務所では扱っておりますか。
#74
○政府委員(勝尾鐐三君) 在所中の収容者がそういう嘆願書を出す際には、施設といたしましては、これをとめるというようなことはいたしておりません。
#75
○亀田得治君 だけど、委員会始まって以来一件もそういう手紙が来ぬというお答えをさっきいただいたわけですがね、おそらく私は、そんなものを出しても所長が認めない以上はだめだとか、おまえがそんなことを言うのならわしのほうで反対してやるとか、もうちょっと待ったらわしがちゃんとしてやるからまかしておけとか、いろいろなことを言って、結局出ささぬのと違いますかね。八海事件のときでも、手紙押えた、押えぬでいろいろな問題ありましたわね。そういうことなんじゃないですかな。どうなんですか。
#76
○政府委員(勝尾鐐三君) お尋ねの点につきましては、私のほうではやはり公務所あての一つの文書でございますので、これについては制限をしないようにという私の通達も出して徹底をはかっておるつもりでございます。
 また、余談でございますが、家族の面会等があった場合に、そういう相談があった場合には、家族には、そういう趣旨ならば委員会のほうへ書類を出しなさいというような指導もいたしておりますので、私のほうが故意にそういう手紙を制限をするとかいうことは私はやっていないというふうに考えております。
#77
○亀田得治君 まあ、ともかくこの間も保護局長と多少法律論争になったのだが、まあ刑法によって、三分の一の刑期を過ぎたら、成績のいいものは仮出獄できる、こうなっているわけですからね。だから受刑者から見たら、それを請求する権利は私はあると思うんですよ、法律上そういう道が開かれておるわけですから。請求権も、それを却下されたからといって訴訟を起こすとか、そんなことは私はこれはちょっと問題があると思うのです。だけど、自分はこれだけきちんとつとめておるのだ、つとめておる。刑法でいう三分の一は過ぎた。ほかの例からいうならば当然自分は出してもらえるべきはずだ。ところが、どうも何か特別なことで意地悪をされて出してくれないというような場合に、本人が出す、申請を直接する、そんなことが一つもないというのは、これはちょっとおかしいのですね。押えている以外にこれは考えられませんよ。一つや二つはあるはずですよ、これは。いま矯正局長から聞くと、いやそんなものは押えませんという答弁だ。やっぱりそのとおりであるべきですよ。どうもそういうことでは……。普通入管問題だって何だって、本人が陳情書を出す。隣近所いろいろの人がまた出してくる。肝心の本人が、この場合には一つもないというのは、これはちょっと解せぬですわね。政務次官どうですか。これは政治家なら大体わかると思う。こまかい議論じゃない。
#78
○政府委員(小澤太郎君) 常識的に、私のような法律のしろうとから考えますと、亀田委員のおっしゃるようなことが――おっしゃるようなことというのは、本人からも申請するというようなこともあり得るように思いますけれども、一面またわれわれのようなしろうとから申しますと、まあ自分から頼むよりも、親きょうだい、親戚から頼んでもらったほうがという心情もあろうと思いますね。だから一がいに何とも言えないと私は思います。しかしできるだけ、本人に与えられた権利といえば権利ですから、できるように、それを阻害させないような措置は当然やるべきだ、かように考えております。
#79
○亀田得治君 だからこの点は、何かの機会にやはり矯正局長のほうで、手紙の扱い、なかんずくそういう法律上認められたルート――一種のルートですわ、これは。こまかい手続規定は書いてありませんが、仮出獄なんていうのは一つのルートですから、こういうものと、ほかの信書、ほかの信書ということになると、まあ職務、処遇上の立場とか、いろいろのことを考えなければならぬことはたくさんあると思います。監獄法の立場というものは、原則として禁止するという立場をとっておりますが、しかしこの規定自体が憲法の立場から見ておかしいのじゃないかという批判も受けておるわけである。したがって一般の信書についても、これは相当私は大まかに考えていいと思いますが、いわんやこの役所に対するやつですね、こういうものは、とめたり、直接とめなくとも、引っ込めざるを得ぬような印象を与えるような言動を刑務所の役人の方がとることのないようにと、こういうことをやはり徹底してほしいと思うのだが、どうですか。
#80
○政府委員(勝尾鐐三君) たとえば仮釈放の問題でございますが、収容者が施設に入所してまいりました際に、この仮釈放制度の趣旨、その手続等について、印刷物でその周知の徹底をはかるという措置を現在とっております。
 なお、公務所あての文書につきましては、その内容に脅迫的な言辞があるとかそういうような場合には、その部分についての訂正を求めることはございます。またもしそれにがえんじない場合には、その部分だけを削除するということはございますが、それ以外は、これを押えるというようなことはしないという方向で、あらゆる機会にこの徹底をはかっているつもりでございますが、御承知のように現在監獄法の問題を私のほうで議論をいたしておりますので、この問題については十分論議を尽くして適切な結論を出したいというように現在考えております。
#81
○亀田得治君 その辺はひとつ、受刑者から手紙が一本も来ぬというようなそんなんじゃ、やはり結論的には納得できません。やはり何かがあるというような感じを持たざるを得ぬです。どんどんそういうものが出てくるような、親しみを持たれるようなものじゃなければいかぬですよ、ある意味では。だから私の質問の意味をひとつ御理解願って、正しい運営をお願いしておきます。
 それからもう一点は、刑務所長から仮釈放の申請が委員会に上がってきた、委員会がそれを調べるわけでしょうが、刑務所長の申請を認める場合と認めない場合、その割合というものはどういうふうになっていますか。
#82
○政府委員(鹽野宜慶君) 施設の長からの申請に対して、その申請にかかる仮釈放を認めるか認めないかという割合でございますが、大体八五%くらいまで認める、認めないのが約一五%というのが大体の傾向のようでございます。
#83
○亀田得治君 この三分の一の刑期が過ぎますと、刑務所長は全部委員会に通告することになっていますね。その点はこの委員会ではちゃんと見るというか、目を通しておるのかしら。三分の一過ぎるとその連絡がくる――相当こう離れておるわけですな、現在の取り扱いは。ともかく二分の一じゃなければいかぬ、刑務所長の考え方は大体そういうことのようですよ。これはおかしいと思うのですがね。いい人は三分の一のところで、個人的な事情から言うならば四分の一くらいででも出してやりたいというような人も、多くの人の中にはあるはずだ。そういう場合には、もう三分の一の経過を待って直ちに手続をするというようなものが、一つや二つあってこれはいいですよ。ところがほとんどないといっていいのだ。だから、ちょうど法律が改正されているようなぼくらは印象を受けるのです。だから悪い者は、それは満期でやりなさいよ。いい者は、思い切って法律の許された範囲内の優遇措置をとっていく。これが、私はやはり生きた法律の運用であると思うのですね。それがほとんどないのですよ。そうして、話をしても、いやともかく半分過ぎませんといかぬことになっておりますから――そんなことは法律で少しも書いてないですよ。この点、私はこの前も申し上げましたが、改善する必要があると思うのです。ただ一様にルーズにせいという意味じゃないですよ。どういうふうに思いますか、それは。
#84
○政府委員(鹽野宜慶君) 三分の一経過いたしますと、受刑者の場合には、仮釈放を受け得るという一つの条件が成就したことになるわけでございますが、亀田委員御指摘のとおり、現在ではその段階で仮釈放になる者はほとんどないという実情でございます。そこで、委員会におきます仮釈放の調査と申しますか、審査の段取りでございますが、ちょっと時間をいただきまして、簡単に御説明させていただきます。
 まず、受刑者が刑務所に入りますと、刑務所のほうで、本人からいろいろ事情を聞きまして、身上調査書というものを作成するわけでございます。そしてその身上調査書を、本人が刑務所から釈放された場合に帰る場所、私ども帰住地と申しておりますが、その帰住地を管轄いたします保護観察所に送ってくるわけでございます。そこで、保護観察所では、その身上調査書の中に本人が将来帰る場所が記載してございますので、担当の保護司をきめまして、その帰住の場所が本人が刑務所を出たときに帰るにふさわしい場所であるのかどうかという、いわゆる環境の調査ということをいたさせるわけでございます。保護司にその調査を委嘱するわけでございます。さらにその環境――普通の場合には家庭へ帰るというケースが多いわけでございますが、その家庭の環境が本人を迎えるに必ずしも適当でないというような場合には、保護司の方ができるだけ努力して、本人が釈放されるまでに、その環境を調整していくということを努力するわけでございます。さような環境の調査、調整という一つの手段が講ぜられまして、その結果が環境調査調整報告書として、保護司から保護観察所へ送り返されてくるわけでございます。そこで観察所では、その環境調査調整報告書を、本人の収容されている刑務所の長へ送るわけでございます。同時に観察所は、その環境調査調整報告書の写しと、それから刑務所から来ました身上調査書の写し、これを添えて、将来仮釈放の審理を担当する委員会に送るわけでございます。その段階で、委員会は、将来この受刑者が仮釈放の審理の対象になるかもしれないということが把握できる、こういうことになります。
 それから、続きまして、先ほど亀田委員の御指摘のとおり、刑期が三分の一経過いたしますと、そこで一つの形式的な条件が満たされますので、施設の長から担当の委員会のほうに、三分の一経過した、私どもはこれを応当日通告と申しておりますが、いわゆる三分の一の応当日がきたと、こういう通報を受けるわけでございます。そこでいよいよ仮釈放の一つの形式的な条件は満たされたということを委員会のほうで確認するわけでございます。この段階から、委員会としては積極的に事案の検討を始めるというたてまえでございます。
 それから、さらに続きまして、先ほど申しました保護司の帰住地に対する環境の調査、調整でございますが、これは六ヵ月ごとに続いて行なうということでございますので、まず、受刑者が収容されて間もなく第一回の調査、調整が行なわれます。続いて六ヵ月ごとに環境の調査、調整が行なわれていくと、かようなことでございます。その環境の調査、調整の報告書は、引き続いて施設にも、委員会のほうにも送られてくるという状況でございます。かような次第で、刑務所のほうも本人の帰住地の状況というものを逐次承知いたします。委員会のほうでも、いまのような書類を受け取ることによりまして、将来自分のところで担当する仮釈放を受ける受刑者というものを掌握することができるわけでございます。積極的に調査を進める、こういう段階になるわけでございます。ただ、前回も申し上げましたように、ただいまのところ、仮釈放の申請事件関係だけでも非常な数でございまして、前回申し上げましたように、年間三万一千件という数が仮釈放の審理の対象となっておりますので、そのほかにさらに進んで、ただいまのように応当日通告のきた事件について、そのすべてを積極的に調査していくというだけの余裕がないのが実情でございます。決して全く調査を進めていない、ほったらかしておくということではないのでございますけれども、十分に現在のところ手が回り切らないというのが実情で
 ございます。
#85
○亀田得治君 結局、まあ人手不足だ。だから、したがって結論的には短期の受刑者にとっては、三分の一経過による仮出獄の可能性というものが、いろいろ調査に手間がかかるとか、いろんなことによって事実上三分の二ぐらいになっておるのじゃないですかね、短期の人が。
#86
○政府委員(鹽野宜慶君) 大体御指摘のとおりで、刑期の七割ぐらい経過しているんではなかろうかというふうに考えております。
#87
○亀田得治君 これはやっぱり刑法の精神というものは実施面においてゆがめられていると思います。それに反して、あなた、長期の受刑者のほうが今度は得をしているというかっこうになる。そうすると、罪の軽い者が損をして、重い罪の者が得をしていると、比率から言うたらね。そんなことはともかく不自然なことであって、何とかもう少しそこをスムーズにいかぬものだろうか。非常に気の毒なやっぱり事案もあるんだ。なかなか、ほんとに気の毒な受刑者、それが年末家へ帰りたい、そしてまたそのことが今後の処遇の上からいっても非常に好ましいことなんだと関係者もみんな言っているんだが、なかなか手続が間に合わないということが非常に多いのでしてね。これは少し、ひとつ刑務所の中の仕事にも関連があるのだろうと思うが、問題点として研究してくださいよ。これは前から私が痛感していることなんです。どうですか。
#88
○政府委員(勝尾鐐三君) ただいま御指摘のように、短期刑の者の刑の執行の問題でございますが、私は、現在この短期刑の執行についての考え方、現在私の個人的な見解にとどまっておりますが、刑の執行方法そのものについて新しい執行方法を考えるのが適当なのではないか。たとえば、いま御指摘のあったような年末年始に帰したほうがいいといった場合には、帰休制度、ファーロー・システムといわれております、そういう制度を刑の執行方法として採用できる道を開く、あるいは個人個人の分類を徹底させて進んでまいりますれば、刑期の当初から拘禁状況に置かなくっても、いわばまあ開放的な刑の執行方法というものを取り入れていくというような、短期刑については、仮釈放の問題とは別個に、刑の執行方法自体について適切な手段というものを考えたいというのが、現在私が考えておるところでございます。
#89
○政府委員(鹽野宜慶君) 短期刑の仮釈放の問題でございますが、私どもの観点からも一言御説明させていただきたいと思います。仮釈放の審理に若干の期間がかかりますと、長期収容の場合には仮釈放の審理が長くかかっていいというわけではございませんけれども、短期刑の場合と長期刑の場合とは、同じ仮釈放の審理の期間でございましても、刑期に対する割合は非常に違うわけでございまして、先ほど亀田委員の御指摘のとおり、かりに仮釈放の審理に二ヵ月あるいは三ヵ月かかったといたしましても、その刑期が一年でございますれば、もう四分の一かそこらがそのために費やされるという状況になるわけでございまして、これは私どものほうといたしましても、やはり短期刑の受刑者はそれなりに仮釈放を考えてやらなければいけないんじゃないかということでございまして、これは先般の業務上過失致死傷事件の刑の引き上げの刑法改正が行なわれまして、そのときにも、業務上過失致死傷事件の刑は比較的短期刑のものが多いために、仮釈放の機会が非常に少ないんじゃないかというようなことが御指摘になりまして、たしか衆議院でございましたか、仮釈放の問題についてもよく検討しろという附帯決議をいただいたわけでございます。私ども従来からさような観点について検討をいたしておりました。さらに、さような附帯決議もございましたので、昨年いろいろこの問題を研究いたしました。各委員会の考え方もひとつ聞いてみようということで、この問題を中心にいたしまして委員協議会というものを開きまして、各委員会八ヵ所でございますが、委員を一人ずつ集まってもらいまして、この問題、ただいま御指摘の短期受刑者の仮釈放の問題、これを中心にしていろいろ協議いたしました。その際は、法務省自体から特段の指示をいたすところまではいっておりませんでしたが、それぞれ委員からいろいろ適切な発言がございました。委員相互に非常に有意義な協議会であったということを申しておりました。そうして、各委員はそれぞれできるだけ短期刑については、短期刑の仮釈放審理の促進ということに努力しよう、こういう段階になっているわけでございます。したがいまして、まだ統計的にどうこうと申し上げる段階にまで行っておりませんけれども、御指摘の点は次第に仕事が円滑にはかどるようになるであろうということを私どもも期待いたしている次第でございます。
#90
○亀田得治君 ぜひこれはひとつ、いまおっしゃったような方向で研究を願いたい。それから、矯正局長がおっしゃった、ああいう臨時に帰郷させるというふうなことも、本格的な仮釈放には多少時間がかかるから、とりあえず臨時に帰っておれというふうなことをやって、その間に仮釈放の手続が完成するということなら、ずっと続くわけだね。ともかく法律には三分の一と書いてあるんだから。そうすると、平生法律を知らぬ者でも、あそこへ入るとみんな法律を勉強しよるんですよ。わしはこんだけ一生懸命きちっと反省もしてやっているのに、何でこれが認められぬのだろうと、これはあなた、そういうのありますよ。いやこれは法務省の扱い方が間違っておるんだということを私もなかなか言いませんけれども、そういうところでは言いませんが、それはやはり、なるほどわしも悪かったが、反省してこういうふうにやっているものだから、三分の一でぱんと処理されたんだと、こういうことが、大きなやはり影響を持っていくわけだ、個人的に、本人にとってみれば。ですから、私はこの点、いま、ひとつおっしゃったような立場で具体化するように進めてもらいたい。要請しておきます。
#91
○委員長(小平芳平君) 他に御発言もなければ、二案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。
 まず、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認めます。
 それではこれにより採決に入ります。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#94
○委員長(小平芳平君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案について御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#95
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#96
○委員長(小平芳平君) 全会一致と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出すべき二法案についての報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#97
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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