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#1
第061回国会 法務委員会 第5号
昭和四十四年四月八日(火曜日)
   午前十一時十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小平 芳平君
    理 事
                後藤 義隆君
                河口 陽一君
                亀田 得治君
    委 員
                上田  稔君
                木島 義夫君
               久次米健太郎君
                堀本 宜実君
                山本敬三郎君
   政府委員
       警察庁刑事局長  内海  倫君
       法務政務次官   小澤 太郎君
       法務省保護局長  鹽野 宜慶君
       法務省人権擁護
       局長       上田 明信君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (連続ピストル射殺事件に関する件)
 (人権問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小平芳平君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 まず、警察庁刑事局長から、このたび犯人の逮捕をみた連続射殺事件について、その概要の御説明をお願いいたします。
#3
○政府委員(内海倫君) 今回、連続射殺事件の被疑者を逮捕いたしました。今日まで約半年間捜査を継続中でございましたが、その間当委員会におかれましても、いろいろ御激励をいただきまして、あるいは貴重な御示唆をいただきましたことを、厚く御礼を申し上げます。
 簡単に今回の事件の逮捕の状況について御説明を申し上げたいと思います。事件が起こりましたのは、昨日――四月七日の午前一時半ごろでございます。場所は千駄ケ谷の一橋ビジネススクール、ここに、教室の窓ガラスをドライバーでこじあけまして中に侵入して、事務室を物色中のところ、ある警備保障会社で装置いたしておりました電子警報器のブザーが鳴りまして、これがその保障会社の警備員のほうに直ちに指令されまして、この警備員が現場に参りました。この人の説明するところによりますと、中に入ってながめたところ、机の陰にうずくまっておった。そこで、突き出すようにして押しながら誰何したところ、立ち上がりざまに拳銃を向けた。その後拳銃を一発発射し、さらにその後外に出て路上で二発を発射しながら逃走した。同時に警備会社のほうでは、通行人に依頼しまして一一〇番を警察のほうにかけてまいりました。警察側で直ちに緊急配備をいたしました。午前五時ごろ、明治神宮北参道から境内に入って捜索をいたしておりましたところ、代々木一丁目一番地の路上で歩行をいたしておる犯人らしき者を認め、これを誰何して職務質問をいたしました。ポケットを見ましたところ、拳銃及び弾丸を発見、強盗殺人未遂、銃砲刀剣類不法所持等取締法違反の現行犯人としてその場で逮捕した、これが当日の状況でございます。
 その後、逮捕いたしまして警視庁の愛宕署にあります捜査本部に連行いたしまして、犯罪について取り調べましたところ、東京、京都、函館、名古屋におけるピストル射殺事件についての犯罪内容を自供するに至りました。現在なお取り調べを継続中でございますが、昨日は、夕刻になりまして、非常に疲労したというので、一応取り調べを打ち切りまして、今朝より再び取り調べをいたしておる段階でございます。
 われわれの指定いたしました一〇八号事件という観点から、これの犯人容疑者としましては、今回の原宿事件において発射いたしました拳銃弾の鑑定により、在来の四事件と同一の拳銃によるものであるということ、それからその拳銃は横須賀の海軍基地の米軍人の宿舎から盗み出したものであるという自供に基づいて、昨日裏づけをとりましたところ、確かに盗難にあっている。盗難にあった拳銃は二二口径の犯罪に使われたものと全く同一のものであるということも明らかになりました。その他、現在本人をもって四事件の犯人と確定し得る証拠の固めをいたしておる段階でございます。
 以上、きわめて簡単でございますが、逮捕に至るまでの状況を御説明申し上げました。
#4
○委員長(小平芳平君) 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#5
○亀田得治君 たいへん世間のほうで関心を持っておる犯人が、いま御説明のような経路でつかまったということについては、たいへん私たちもその御苦労に感謝をいたします。ただ、この問題がずっと昨日からマスコミによって報道されておる中で、若干、今後のこともありますので確かめておきたいというふうなことを二、三感じましたので、この機会にお尋ねをしておきたいと思います。
 報道によりますと、盗まれた弾丸の数と、それから現在その少年が持っていた使い残りの弾丸の数、それらを計算してみますと、四カ所の殺人事件以外にも使われておるのではないかというふうな疑いがありますが、そういう点は現状ではまだ明確ではないでしょうか。
#6
○政府委員(内海倫君) 私も実は新聞でそういうふうな記事を見ましたが、昨年十月に本件の一番最初の東京事件の発生以来、拳銃による殺人事件のようなものはなく、およそ殺人あるいは傷害の事件についてはすべて一応第一〇八号事件との関連を考えて捜査をすることというふうに全国に指示をいたしておりますので、少なくとも警察が承知しておる限りにおける殺人あるいは傷害事件で、この間の原宿事件を含めまして五つ以外のものがあの十月の東京事件以降においてこの犯人によって起こっておるというふうなことは、私どもないと考えております。ただ、もしそれこそ山中その他において全く警察の目の届かないところで行なわれておるような事件があれば、これは私どもも何とも言いかねますが、まずその点は、徹底したそういう指示をいたしておりますので、なかろうかと考えております。
 ただ、拳銃弾のそういう差額があるというふうなこと、これはまだ私ども正式に警視庁その他からの報告を聞いておりませんので、いまここで確定的なことを申し上げる材料を持ちませんが、本人についてどういうふうな拳銃弾を発射しておるかはさらに正確に追及いたしたい。あるいは、そういう差をなしておるものに、場合によるとどこかで試射などのようなことが行なわれているかもしれません、こういうことも想像できるところでございます。
#7
○亀田得治君 本人は十八歳ですか。
#8
○政府委員(内海倫君) 十九歳です。
#9
○亀田得治君 満十九歳。窃盗の前歴が二回ほどあるようですね。それはどういうふうな事件ですか。
#10
○政府委員(内海倫君) いずれも、少年の犯罪でございますので、文字どおりの刑事処分にはなっておらないようでございますが、私どもこの本人の調査票について見ますと、刑事特別法違反、これは横須賀において検挙されておる、それが一つ。それから宇都宮におきまする窃盗犯、これは私いま資料を手元に持っておりませんので、詳細はちょっと説明いたしかねますが、それと、それからもう一つ密出国のことで海上保安部に検挙されておる前歴、私のいま記憶いたしておりますのは以上のようなものであったと思います。
#11
○亀田得治君 これらのことで、これは家庭裁判所に送られて、保護観察に付されておるわけですか。
#12
○政府委員(内海倫君) 保護観察に付されておるものと考えております。
#13
○亀田得治君 その点、保護局長。
#14
○政府委員(鹽野宜慶君) 保護観察に付されております。
#15
○亀田得治君 それはどこの保護観察になるのですか、事件がみんな場所が違うようだが。
#16
○政府委員(鹽野宜慶君) 実は、突然のことでございますので、私どものほうも詳細な資料を入手しておりませんが、ただいままで入手した資料に基づいてお答えいたしますと、家庭裁判所に三回かかっております。第一回が、昭和四十年十一月に宇都宮の家庭裁判所――十一月の二十二日ということになっております。これが先ほど警察庁のほうからお話のございました宇都宮における窃盗未遂事件でございまして、このときには不処分になっております。それから、その次が四十二年の四月の二十八日、これは家庭裁判所の横須賀支部で、保護観察処分で、東京保護観察所の保護観察に付すると、かようなことになっております。そのときの事件が、先ほど警察庁から御説明のありました刑事特別法違反等の――米軍基地に立ち入った、そこで若干の窃盗を働いたというふうな種類の事犯であったようでございます。それから、その後にもう一つございます。その後また密出国を企てまして、その結果、四十三年――昨年でございます――二月の十六日、東京の家庭裁判所で不処分ということになっております。したがいまして、保護観察の関係で申し上げますと、四十二年の四月二十八日に決定されました保護観察処分、これが現在まで継続しておるという状況でございます。
#17
○亀田得治君 それは刑特法違反でありますが、基地の中に入ってどんなものをとったのですか。それは既遂ですか、その窃盗のほうは。
#18
○政府委員(鹽野宜慶君) 実は事犯の内容までまだ詳細把握しておりませんが、私どものほうで聞きました限度では、基地へ入ったということで刑事特別法違反、それから密出国を企てたということで出入国管理令違反、それから基地内で窃盗を犯したということで窃盗、同未遂という罪名になっておりますが、窃盗の内容がどういうものであるか、まだ私ども詳細把握していない状態でございます。
#19
○亀田得治君 これはまあ捜査の段階で、まだ序の口ですから、明確でないかもしれませんが、拳銃とたまを米軍の基地からとったというわけですね。それはいつになっておるのですか。それからそれはどこの基地ですか。
#20
○政府委員(内海倫君) 被疑者の自供と捜査の結果によりまして、昭和四十三年の十月八日、横須賀基地のアメリカ軍人の宿舎でございます、ここにあき巣に入って盗んでおると、こういうことでございます。
#21
○亀田得治君 そこで、この東京の保護観察所に付されておるようですが、あれは担当の観察官、担当の保護司というものはちゃんと特定されてつけられるわけでしょう。
#22
○政府委員(鹽野宜慶君) 御指摘のとおり、保護観察に付されますと、担当の保護観察官がきまりまして、それに続いて担当の保護司がきまるわけでございます。本件につきましては、四十二年の四月に保護観察処分が決定されましたので、担当の保護観察官は、大橋観察官という観察官が担当いたしております。しかしながら、東京の観察所では初期の段階は保護観察官が直接担当すると、そしてしばらくの間本人の様子を見まして、それから保護司を選ぶ、こういう手続をとっておりますので、本件につきましては、まだ保護司を特定するという段階まで行っていなかったわけでございます。
#23
○亀田得治君 保護観察に付されたのが四十二年四月ですね、先ほどのお答えですと。したがって、約二年弱経過しておるわけですね。そんなに長く保護司をつけないんですか、普通。普通どうなってるんですか、何か長すぎるように思いますが。保護観察官では、観察官の人数が少ないわけですから、なかなか目が届かぬと思いますがね。普通はどうなんです。
#24
○政府委員(鹽野宜慶君) 御指摘のとおりでございまして、普通は、大体保護観察官が二カ月ほど様子を見まして、保護司を特定して、保護司に事後の処置をまかせるというのが、普通のやり方でございます。ところが、本件につきましては、四十二年の四月二十八日に保護観察処分の決定がありまして、即日本人は兄同道で観察所に出頭いたしまして、担当の大橋察観官が面接をいたしております。そのときの面接の状況を簡単に申しますと、いわゆる情緒不安定、それから若干の拒否的な、なかなか話を受け入れないというふうな点がございまして、保護観察官が当分これを見ていこうという方向をとったわけでございます。ところが、その後本人を呼び出しても出頭しない、それから兄のところを通じまして呼び出し状を再三出しても出頭しないというようなことが続きまして、主任官がいろいろ自分も出歩いて本人をさがすというような手を尽くしたわけでございますが、ついに本人が出頭するに至りませんで、そのうち同年の――と申しますのは四十二年でございますが、八月には本人が所在不明になってしまうという状況に立ち至ったわけでございます。そうして、さらに引き続いて所在調査を続けておりまするうちに、四十三年――昨年でございますが、一月に三度目の事件を起こしまして、家庭裁判所のほうから観察所のほうに連絡をいただいた、こういうような状況に立ち至ったわけでございます。そのときに、本人がまた兄に伴われまして観察所に出頭いたしました。担当の観察官が不在でございましたので、そのときには東京の保護観察所の次長が面接をいたしております。ところが、その後また観察所との連絡が絶えまして、昨年の五月ごろにはまた行くえが知れない、いわゆる所在不明になる、こういうような状態になってしまったわけでございます。観察所との連絡につきましては、観察所のほうは方々手を尽くしましてその行くえを調査しているということで、ようやく昨年の八月ごろに連絡がつきまして、八月の十二日には本人が一度観察所に出頭いたしております。その際に、観察官が――このときは清田という観察官でございます――面接いたしております。ところが、その後また所在不明になりまして、その間に今回のような事件が起きてしまった、こういうことでございます。観察所といたしましても、できるだけの所在調査、発見についての努力をいたしたのでございます。このような経過で、保護観察中の少年が重大な事件を犯したということで、まことに申しわけない次第であったと考えている次第でございます。
#25
○亀田得治君 ちょっと保護観察所の手抜かりがあるように感ずるわけですが、その第一回の家庭裁判所の決定によって保護観察に付されて、なかなか出頭してこないので困っていた。そのうち、ほかの問題でまた観察所にやってきた。こういういきさつのようですが、だから、そういう前の事件でなかなか連絡がつかぬで困っていたわけですから、とりあえず保護司をつけるなり、もう少し何かそういう手だてをしておくべきものじゃないかというふうに思うんですね。そうして、いまおっしゃったような経過であれば、その保護司の方が、特に居所などが転々としないかどうか――まあ観察官ではなかなかそこまで時間的には無理な点があろうと思うんですが、保護司のほうでそういうことを考えるべきじゃないか。最初の説明では、その観察官がよく観察をして、そうして自分の考え方をきめて、適当な保護司にゆだねるというふうなことも言われたわけですが、しかし、その接触自体が観察官ができておらぬわけですからね、自分の考えをきめようがないわけでしょう。そうして二年間も経過してしまうと。だから、こういうことはもう少しきめこまかく考えてもらわないといかぬと思うのですね。ことに出頭しない、居所が絶えず変わるといったような、そういうことがわかったわけですから、二回目のときには。二回目にわかっておっても、まだそこの措置ができておらないということは、やはりそこが私は扱い上ミスがあると思うんですが、その点どういうふうにお考えですか。
#26
○政府委員(鹽野宜慶君) 私どもも本件の状況を十分に把握いたしておりませんので、何とも申し上げかねる次第でございますが、最初のときに観察官が直接担当ということで面接いたしました。その後何回も本人と連絡をとろうと努力したにもかかわらず、先ほど申し上げましたような経過で連絡がつかないと、その間に、昨年の一月また密出国事件を犯した、こういうことでございます。昨年の一月の密出国事件を犯しまして、東京家庭裁判所で不処分の決定がされた際に、先ほどもちょっと申し上げましたが、本人は兄に伴われて観察所に出頭いたしました。そのときに再び連絡がついたと、こういうことでございます。その後間もなく兄から連絡がございまして、本人が杉並の牛乳屋に就職したと、こういうことがわかったわけでございます。そこで、住居が特定したと、住み込み先が特定したということで、実はその段階で観察官から保護司のほうに手続を移すという処置をとったわけでございます。それが昨年の三月でございます。ところが、間もなく本人はまたそこから飛び出しまして所在不明になってしまったということで、担当の保護司をきめましたけれども、十分保護司としての保護観察の活動をしていただく前にまた所在不明になってしまったという状況があるわけでございます。そこで観察所といたしましては、とにかく本人の所在地を確認するということが先決問題であるということで、本籍地が青森県でございますので、青森のほうに再三照会すると、あるいは豊島区に兄が住んでおりますので、そこを一つのたよりにして所在地をさがすというようなことを続けていたわけでございますが、ようやく八月になりまして兄の手を通じて本人との連絡がついた。先ほど申しましたように、八月十二日に本人がようやく出頭してきたというような状況でございます。本人の所在をまず掌握するということが保護観察の第一歩でございまして、その点に十分目的を達することができなかったというのがこのケースの非常に不備なところであったと思うのでございますが、観察所といたしましてはそれなりにできるだけの手を尽くしていたというふうに考えられる次第でございます。
#27
○亀田得治君 そういう観察所が預かっておる少年について居所がわからない、現在そういうのは相当数あるんですか。
#28
○政府委員(鹽野宜慶君) はなはだ遺憾なことでございますが、相当数ございます。概数でございますが、東京の保護観察所の状況を聞いてみますと、東京の保護観察所で扱っております少年の保護観察事件、私ども一号観察と申しておりますが、家庭裁判所で保護観察処分に付された少年、これが約六千人あるそうでございますが、そのうち現在四百五十人ぐらいが所在不明で所在の調査を続けているという状況でございます。まず八%ぐらいになりましょうか、そういうような実情でございます。
#29
○亀田得治君 全国的にはどうですか。
#30
○政府委員(鹽野宜慶君) 全国的に申しますと、一号観察では五%余りぐらいが所在不明というような状況でございます。これは、御承知と存じますが、東京、大阪というような大都会地の場合に、人間の移動が非常に激しゅうございますので、大都会地あるいは大都会周辺の、たとえば横浜というようなところで所在不明者が多く出るということでございまして、実は観察所といたしましてもこの所在不明者をどういうふうにして掌握していくかということが現在非常な大きな問題になっているわけでございます。
#31
○亀田得治君 それはどういうふうにしたら幾らかでもよくなるのですか。人数の問題ですか、どういうことです。
#32
○政府委員(鹽野宜慶君) 一つは、亀田委員すでに御承知のとおり、観察所の職員が非常に少ないということも一つでございますが、それと同時に、観察所間の連絡を緊密にするということも前前から大きな問題になっておりまして、この点について私ども非常に努力をしているわけでございます。たとえば、横浜と東京ということになりますと、若い少年が働く場所というものは両方にかなりたくさんあるわけでございまして、それが本人の気分に応じてあっちへ行ったりこっちへ行ったりするというようなことは当然あるわけでございまして、その間の、たとえば東京の観察所と横浜の観察所の事務連絡というものをもっともっとできるだけ緊密なものにしていかなければならないというふうに考えております。
#33
○亀田得治君 保護司のあり方ですね、待遇なり、そういったような点は問題はないのですか。
#34
○政府委員(鹽野宜慶君) 保護司は、現在全国の定数は五万二千五百名でございます。実員は大体四万八千名程度でございます。これが全国の各地区に分かれて活動しておりますので、数としてはまずまずそう足りないことはなかろうと思います。これは、保護観察の対象者が、先般来問題になりました仮出獄とか、それから少年院からの仮退院というようなものも保護観察の対象になります。それから保護観察つきの執行猶予というのがありますので、これらを全部ひっくるめまして常時対象者が十万をこえているわけでございます。これを保護司の方が保護観察の実務を担当してくださっているわけでございますが、十万に対して四万八千名おりますので、割り算いたしますと、
 一人の方が二人ないし三人を担当していただければいいということで、まずまず人数の点からいえばある程度行き届いた保護観察ができるのじゃなかろうかと考えられるわけでございます。これも地域によってかなりアンバランスがございまして、そういう対象者が都会地に非常に多いということもございますので、ただ全国平均だけでは必ずしも正確には掌握できないと思います。まず数としては十分であろうかと思います。
 保護司の方の活動でございますが、現在は保護司の方には御承知のとおり報酬はございません。いわゆる実費弁償金というものを差し上げる、まあ交通費程度のものでございます。これが昨年までは、一人を保護司の方に委託するという場合に、一カ月最高八百五十円の実費弁償という額でございました。四十四年度から予算上増額されまして、一カ月千円以内というところまで上がったわけでございます。で、保護司の方々はほんとうに社会奉仕という気持ちでこの仕事に従事してくださっておりますので、報酬がないから、あるいは実費弁償金が少ないから活動が不十分だということはまずなかろうというふうに考えております。ただ、しかしながら、非常にむずかしい仕事でございますので、私どもとしては、できるだけ実費弁償金を十分に差し上げたいというふうに考えて、予算の際に毎年努力を続けている次第でございます。その実費弁償金なり報酬なりの問題よりは、やはり保護司の方の熱意によって対象者が次第に更生し改善されていくということであろうかと思います。したがいまして、予算面あるいは組織面につきましては、それほど大きな問題はないのではなかろうかと思います。ただ、その保護司の相談相手になる保護観察官が現在非常に少のうございます。大体観察所におります保護観察官が約六百名程度であろうかと思います。そのうち課長等の監督者を抜きますと、実際に保護観察を担当している者は五百名程度でございます。したがいまして、十万の対象を五百名でみるということでございますので、観察官を中心にして考えますと、一人の観察官が二百名をこえる対象者を掌握しなければならないという状況でございます。この点には、かなりもの足りないものがあるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
#35
○亀田得治君 そこで、内海さんにもう一ぺん聞きますが、これも昨日来の報道を聞いておりますと、京都で事件が起きたときに、犯人が十七、八歳の少年だと思うという意味のことをおっしゃった方があるようですが、その点はどういうふうになっているのですか。
#36
○政府委員(内海倫君) 京都で事件が起きましたときに、結局死亡しましたが、被害にかかられた八坂神社の警備員の人が、死ぬ前に、犯人はどういう人相等であったかということを警察官が聞きました際に、十七、八歳の男ということばを残したのが、いわゆる十七、八歳の男というふうに言われておるところでございます。なお、京都府警察におきましては、この十七、八歳の男という被害者のことばがほんとうに間違いないだろうかということをいろいろな角度から検討いたしましたが、京都府警察としては、これについては確信を持っておるということをしばしば私どもには申しておった次第であります。
#37
○亀田得治君 そこで、こういう犯罪の捜査を担当する警察の関係と、それから保護観察を担当している法務省との連絡の問題ですね、そういう点にも、本件をずっと振り返ってみると、検討の余地があるのじゃないかという感じがするわけです。保護観察者の特に住居の定まらないで困っておる者、そういうのがまず問題になるんだろうと思います、こういうあっちこっちでやるやつは。そうすると、相当範囲がしぼられてくる。それから、ピストルですから、どこで入手するか。米軍基地なども、これは一つのやはり対象ですね。そうすると、そういう居所のわからぬ少年で、そうして基地へ忍び込もうとしたようなのがいなかったかどうかというふうにこまかく調べていくと、あるいはその段階で、保護観察所のほうから、うちのほうにはこういうのが二、三あるというふうな連絡等があれば、これは非常な助けになっただろうと思うのです。まああとの祭りですけれどもね。しかし、今後とも――おそらく本件ではそんな連絡等はなかったのでしょう、どうなんです。まずそこを両方からちょっとお聞きしておきますが、連絡はあったけれども行き届かなかったというのか、どういうことなんでしょう。
#38
○政府委員(内海倫君) いまの御質問の件で、保護観察の当局側から警視庁なり各捜査本部に具体的に連絡があったかどうかということについては、私具体的に聞いておりませんが、各捜査本部におきましては、保護観察に付されておる少年につきましては、一応容疑事実該当するようなことがあるかどうかということの調べは、それぞれの捜査本部では着手いたしておりました。ただ、具体的に今回の少年の名前が、保護観察の側から、あるいは警視庁の調べの中から出ておったかどうかということについては、いまちょっとここではっきり申し上げかねます。
 たいへんついでで恐縮でございますが、にもかかわらず、当該少年の名前は、警視庁の大きな調べのワクの中には入っておりました。おそらくさらに今後、あの事件が起きなくても、調べを圧縮していけば相当濃厚な容疑対象にはなったのではないか。いまの亀田先生の御意見の中にもございましたが、全国的に今回の犯罪容疑者の、何といいますか、対象として、年齢の点、これは十七、八歳から二十五、六歳、それから基地荒らしというものを対象として検討すること、それから蓄膿症の関係、それから家出人、所在不明者、あるいは青函連絡線の乗客、それから不法出国等を含む海外渡航者、窃盗前歴、それから高校生などの中で特に不良と目されるようなことで補導などを受けておるような者というふうなものについて、かなり基礎的な調査もいたしております。ほとんどいま申し上げたようなのは、やはり今回の少年に該当するような事項でございます。いずれも犯人を検挙してからのことではございますけれども、捜査の方向というのは、いま申し上げたように、かなり的確に向かっておった、こういうふうにも私どもは考えておる次第でございます。
#39
○亀田得治君 ああいう米軍基地で拳銃がとられたというような場合には、日本の警察はその報告を受けることになっているのですか。
#40
○政府委員(内海倫君) おそらく、きちっと米軍側のほうで盗難の届けが各個人から米軍側に行なわれておれば、それに対する捜査依頼、あるいはこういうものが盗難にかかったということを、当該警察署のほうにはアメリカ側からも連絡をしてまいっておるところでございますし、また?次の連絡会議を持っておるところでございますから、そういうふうな連絡も具体的にあるものと、こういうふうに考えております。残念ながら今回のものはアメリカ側にも本人からの申告がなかったようでございますから、私どものほうが接触するアメリカ軍当局は承知をしてなかったように聞いております。
#41
○亀田得治君 これはやはり米軍側にも要求をしておいてほしいですね。拳銃なんというものをとられるというのは、まあ目的があまりいいことではないわけですからね。そういうことは当然日本の警察には連絡をするというふうな慣習にしておいてほしいと思いますね。本件をお聞きしますると、現実にとられたのは横須賀、その前にも横須賀の基地に入ろうとしたといったようなことで、だいぶん警察の捜査に助けになるわけでしょう、そういったような情報が入ってくる仕組みになっておればね。だから、そういう点も、本件を機会に米軍のほうにやはり要求してほしいと思います。それから、米軍の基地の中でそういうとられたものがあれば、やはり米軍当局自体に報告してもらうと、そういうことも米軍の内部でやってもらわないといかぬ。何も干渉がましいことを言うわけではないのです。結局、日本の領土の中でそういう物騒なものが動き歩くことになるのですからね。こちらの立場としては、当然要求していくべきだ。これはお願いしておきます。
 それからまあ、いまのお話ですと、警察としては広い容疑者の名簿の中には本人も入っていた。これは保護観察とかそういうものをこえて広く検討して入れておったんだろうと思いますが、しかし、保護観察ということを担当しておる法務省のほうでは、もう少し自分らなりにしぼって、参考に状況を一応説明するということがあってもいいんじゃないかと思いますがね。しかし、これは保護観察の目的が違いますからね。一方では広い意味で保護していこうというので、こっちのほうは犯罪捜査という立場ですからね。あまり人を色目で見ることは、保護のほうの目的と必ずしも合致しない。だから、そんなことをどんどんやる必要はないと思いますが、まあ特殊なケースについて、何と言っても行くえ不明の、しかも非常に心身の落ちつかない、そういう諸君をかかえて持っておるわけですからね、保護観察所のほうは。その辺のところは多少研究の余地があるように思いますがね。私を、あまりそれを制度化してどうこうということは、これはちょっと保護観察制度の趣旨に反しますが、しかし凶悪犯罪については、これはどんな制度の中におろうと、あるいは一般市民であろうと何であろうが、それに協力していくというのもこれまた当然なことですからね。せっかくそういう材料を持っておるのですから、ちょっとそこを検討する余地があるように思うが、どうでしょうかね、保護局長。
#42
○政府委員(鹽野宜慶君) 亀田委員の御指摘のとおりでございまして、要するに犯罪の重大性と更生保護の目的というこの両者のバランスの問題であろうかと思います。御指摘のとおり、更生保護の対象者は、これによりますと、前歴関係を秘して就職をしているというようなこともございますので、何かの機会に犯罪の容疑者というようなことで、それが内偵の対象になるというようなことで、前歴が発覚して職を失なうというようなことがありますと、更生保護の目的からいいますと、非常にマイナスになるわけでございます。しかしながら、更生保護の目的だけを達すればすべてそれでよろしいというわけにもいかないことは当然でございます。たとえば、保護観察の対象者につきまして重大犯罪を犯したと認められるような具体的な状況があるというような場合には、積極的に警察に連絡することは、これは私どもとしても当然のことであろうと思います。しかしながら、今回のような種類の重要犯罪の際に、何か自分の対象者がおかしいのじゃないかというようなことで、保護観察の対象者をある角度からリストアップをして、これを警察に提供するというようなことは、これまた更生保護の目的から若干はずれてくるのじゃなかろうか。先ほど御指摘もございましたように、どの程度警察に協力したらいいかということでございますが、私どもといたしましては、この種の重要犯罪につきましては、ある程度具体的な資料のある場合と申しますか、あるいは具体的な事項を特定して御照会があったというような場合には、できるだけこれに御協力しよう。しかしながら、ただ、まだあまりはっきりしないという段階で、何かおかしいものはないか、もしもあったら参考のために聞きたいというような程度では、私どもとしてはまだ具体的に氏名をあげて御協力するには早い段階じゃなかろうかというふうに考えております。先ほど申しましたように、やはり具体的な資料があるとか、あるいは具体的な事項を特定して御照会があったというような場合には、重大犯罪についてはできるだけ御協力をするという方針で将来ともまいりたいというふうに考えております。
#43
○亀田得治君 まあ私も扱いとしてはいま局長が答弁されたようなやり方で適当だろうと思うのですが、これはやはり具体的には警察が一番握っているわけだから、警察のほうから具体的な質問を発する、そういうことじゃないといかぬと思うのですね。だから、そういう点を今後ともやはりいろいろ研究するようにしていってください。いままであまりできていないのでしょう、どうなんですか。
#44
○政府委員(内海倫君) まあ事少年に関する問題でございますので、私どものほうの組織機構からいいますと、少年担当の部においていろいろ連絡申し上げ、あるいは御協力もいただいているものと思いますが、純粋なわれわれの担当しております成人に関する刑事犯罪というものを主としてやっております者からは、ただいまの保護局長のお話のように、少年の処遇という問題とりわけ保護という問題を、凶悪犯罪の成人あるいは少年を問わざる容疑という関係で問題を見ていくということになりますと、いろいろ微妙な点もございますので、十分なそういう連携というものはなかなかできておらないのじゃなかろうか。しかし、少年担当のほうでは十分いろいろ連絡はいたしておるものと、かように考えております。
#45
○亀田得治君 まあきょうは、非常な重大事件が一応めどがつき、当初申し上げたように、私のほうからもたいへんこれは感謝いたしておきます。まだだいぶあるわけですね。ああいうのもひとつ逐次このようにいくように努力してください。
 それでは人権擁護局長に、例の大阪の法務局の問題ですがね。十二月の二十日に第二回目のお尋ねをしたわけですが、その際に明確でなかった一、二の点についてだけもう一度確かめておきたいと思います。根本的に本件がどちらの言い分が正しいのかというふうなことになりますと、これはなかなかこういう場所の質疑等に必ずしも適当じゃないと思いますね。ただ、お尋ねしておる要点は、人権擁護局としての扱いにまずい点があるじゃないか、これはやはりきっちりしておかなければならぬことだというふうに私は思うのです。そういう角度からぜひ確かめたいのは、第一は川上並びに上野のほうから申し立てといいますか、申し出をしておるわけです。局長のほうでは、それも立件されておると思うというふうにこの前お答えになっておったんだが、しかしまあ詳しくは調べてみるということであったのですが、その点はどうなっているのですか。
#46
○政府委員(上田明信君) お答え申し上げます。
 泉好枝からの申告の分につきましても、それから川上さんからの人権相談といいますか、申告に対しましても、両方ともいわゆる人権相談として扱っておりまして、人権侵犯事件としては立件しておりません。両件とも相談事件――私たちが申すいわゆる相談のお相手をするという段階のようでございます。
#47
○亀田得治君 そうすると、相談事件として両方とも議題にしておる――立件というのが多少正確でなければ、議題にしておる、そういうことですか。
#48
○政府委員(上田明信君) さようでございます。
#49
○亀田得治君 ところが、実際の扱いがどうもそうはなっていないわけですね。本件の扱い全体の経過においてそういうことが言えるわけですが、もっと具体的に申し上げますと、金沢の法務局で本件についての嘱託調査をやったわけです。その際には、泉からの申し立があったので調べるんだ、こういうことを、これはもうはっきり言うているわけです。だから実際上、扱っておるのは一方だけなんです。その調べの内容も、この前もちょっと申し上げたかと思うんですが、川上なりのほうに何か落ち度がないかというような点の追及をもっぱら事としておるわけなんですね。だから、そういう点は表と中身が違う。金沢の嘱託問題について、どういうふうにその点は受け取っておられますか、これをおっしゃってください。
#50
○政府委員(上田明信君) お答え申し上げます。
 両方とも相談事件でございますが、いわゆる立件事件と相談事件の相違は、相談事件だと、ただ相談に応じて、ほうっておけばそのまま済む、最終の結論は私どものほうで出さないでもいい、こういうような考え方でやっております。立件いたしますと、あと結論として、これは人権侵犯になるとかならぬとか、あるいは告発するとか、勧告するとか、説諭するとか、そういう何らかの行政庁の意思表示といいますか、そういうことが行なわれる、そこの相違があるわけでございますが、本件は泉、川上さんの両名のそれぞれ人権相談があったものとして扱ったわけでありますが、ただ相談の場合にも嘱託ができるのでありまして、その場合にも、金沢に嘱託いたしましたのは、人権侵犯事件そのものとして実は嘱託していないのでありまして、人権侵犯情報収集事件調査嘱託書という、ちょっとしろうとにはわかりにくいということで、実はこれは相談事件の段階についての調査ですよということを、法務局同士ならわかるのでありますが、そういう意味の嘱託をいたしておるわけであります。その理由を聞きますと、泉さんのほうが、どうも川上さんからの要求――慰謝料要求ですが、慰謝料要求がきついと、しかし自分は何も加害者でも何でもない、その兄貴が加害者であるのに、妹のほうに、加害者でも何でもない人間に対してしつこくやったというので、人権侵犯の若干の疑いを持ったと、大阪のほうではそう考えまして、相談の段階ではあるけれども、嘱託いたしますと、こういう趣旨のようでございます。
#51
○亀田得治君 局長は金沢の調査嘱託書をごらんになりましたか、並びにその回答。
#52
○政府委員(上田明信君) 読みました。
#53
○亀田得治君 どういう調べになっているのですか。私が指摘したように、川上に上野がまかしたことがあるのかどうか、これを何べんも聞いているのですね。
#54
○政府委員(上田明信君) 私の読んだ限りでは、相当詳しく聞いておるようであります。
#55
○亀田得治君 いや、その委任関係をでしょう。
#56
○政府委員(上田明信君) 委任関係その他相当詳しく聞いておるようであります。
#57
○亀田得治君 本件のもとになるこの上野とそれから中吉の関係ですね、そういう関係まで詳しく書かれておりますか。
#58
○政府委員(上田明信君) ちょっと失礼いたします。もう一度。
#59
○亀田得治君 上野、中吉ですね――つまり泉好枝の兄貴ですね、その関係というものは詳しく調査できておりますか。
#60
○政府委員(上田明信君) 調査書によりますと、相当詳しく書いております。つまり、なれそめから上野さんが捨てられたという段階まで、あるいはその間、土地をやるぞと言ってだまされたというようなことも、相当詳しく回答が参っております。
#61
○亀田得治君 それが双方の言い分がどうだろうということの土台になるわけですね。そこの判断がなくして、どう言うようもないのですよ。多少形式的に言い方が強過ぎるとか、いや形式的には私のほうは第三者だとか、それは通り一ぺんの理屈である。やはり根本は、中吉と上野の実際の関係ですね、そういうことの調べが一体――私はそれを調べるべきだと、こう思っているのですよ。こういうような問題は、私が人から相談を受けたってそこに少しもタッチしないで意見なんか言えるものではないですよ。それを願っていたんだが、それがですね、いつまでも調査の報告がないわけですね。おかしいじゃないですか。十一月十五日に私が法務局に行ったのですよ。そうして、あれは七月の嘱託だからもう来ているはずだと思って聞いたら、それから何かうろたえて取り寄せたようですよ、二、三日して。だから、一体本気に取り組んでおるのかどうかだね、その点がどうしても納得いかない。
#62
○政府委員(上田明信君) この上野初枝さんの発言調書ですか、嘱託調書によると、上野初枝さんには非常にお気の毒なような状態であるということは、調書の上で十分出ていると私は考えます。
#63
○亀田得治君 だから、それであれば、夏、ずっと問題がああでもないこうでもないと言うておるときに、その調書が間に合わなければいかぬわけでしょう。大体もうしょうがないということになってしまってからその調べてあるのが来ると、これでは、ちっとも大阪のほうじゃそれわかっておらぬことになるでしょう。で、私も最終的には何とか、両方が大きく傷ついている問題だから、お互いに譲り合って話がつくものならいいと、しかし、そのためには、法務局自体が実体に触れる必要がある。嘱託して調べたいうのだから、それは来ているでしょうと言うたら、まだだと言うのです。だから、そのとき、私はがっかりしたのです、実は。何でそんなものおくれるのです。おくれた理由をひとつおっしゃってください。忘れておったのか、金沢の法務局が忘れておったというのか。忘れておったといったって、嘱託したほうが催促しないというのもこれおかしいことだしね。
#64
○政府委員(上田明信君) 嘱託いたしましたのは昨年の七月二十七日で、嘱託の回答が金沢から参りましたのは同年の十一月十八日でございますから、約三カ月――四カ月足らずになっておるわけでございまして、これは確かに嘱託としては、この種の事件としては、まあ事件の性質にもよると思いますけれども、この種の事件としては確かにおそいと思いますが、ちょっとそこ、なぜこうおそくなったかということは、私のほうで、申しわけありませんけれども、まだ調査いたしておりませんが、ちょっと私が見ましても、三カ月半以上、四カ月足らずというのは、まあ事件の性質にもよるとは思いますけれども、この種の事件としてはいささか長過ぎるというふうには感じております。
#65
○亀田得治君 それで、ともかく、この係長の大橋君が、六月十二日でしたか、泉と川上が一諸に出頭したとき――六月十二日でしたね、そのとき大橋係長が、ともかく川上君にぽんぽんこうどなり散らしたわけですよ。だから、その辺がともかくふに落ちないのだ。初めて会う人に、そんなあなた、話も十分聞かないで、ぽんぽん、お前の言うことはもう問題にならぬようなことを言うて、そのあとにこれ嘱託しておるのでしょう、実態調査。逆じゃないですか。実態調査をまず握って、それから君の言うことはちょっとおかしいと言うなら、これは言われたほうだって、まあいろいろ人の見方があるわけですからね。そんなあなた、実態調査があとから来る、悪く勘ぐると、どうもその実態調査の内容を聞いてみると、上野もそれから上野のおとうさんも、川上の言うことを裏づけるような中身のようだと、だからそんなものはもう必要ないと、送ってもらわぬでもいいというぐあいにほったらかしておいたのじゃないかと思うのですよ。そこまであなた勘ぐりたくなるのですよ。せっかくあなた調べておいてね、それがわからぬのだもの。自分の、法務局の気に食わぬ書類は引き取らぬというようなことでは、はなはだこれは不愉快な問題ですよ。
#66
○政府委員(上田明信君) いま御指摘になりましたけれども、自分に都合悪いからほったらかしておったというふうには私は考えないのでありますが、ただ、職員の数が少ないことだとか、ほかに多忙で、あるいはひょっとしたら若干期間忘れたのじゃないかと、そういう事情があったのじゃないか、これは私の推測でございます。これは、なぜこういうことになったのかということを具体的に大阪並びに金沢は調査しておりませんのでわかりませんが、まさか何ぼ何でも、組織で動いている官庁でございますので、都合悪いからほっておこうと――嘱託した以上は必ず返ってまいりますので、そういうことは私は考えられないのでございます。
#67
○亀田得治君 私も、それは裁判所なり法務機構というものは一通りは知っておりますからね。それは普通は局長のおっしゃるとおりです。そうでなければならぬわけなんです。だけれども、なければならぬのに、こういう奇妙なことが起きておる。おそらく私のこれも勘ぐりになるかもしれぬが、金沢で上野並びにその父親を調べた、いや川上にそんなものをまかしたことがないとかね、そういうようなことでも言うてくれたらね、さっそくこれは大阪へ連絡するだろうと私は思うのです。そうして川上を追及する、逆に。その材料をとるためにとられた、そんな嘱託はよくないですよ、それは。思うようにならぬからといって、あなた、こっちが法務局へ行って聞くまでほったらかしておくなんて、これはもう絶対に許されぬことですからね。これは一体何でおそくなったのか、その弁明だけ私は正式に聞いておきたいと思うのです。
#68
○政府委員(上田明信君) その点は、なおあらためて調査いたしまして、なぜこの七月二十七日に調査嘱託したのに対して、金沢から十一月十八日に嘱託書が送付されてくるようになった、回答があったかという、その期間が少し長過ぎるではないかという点につきましては、その間の事情を大阪並びに主として金沢に問い合わせてみたいと思います。
#69
○亀田得治君 それからもう一つ聞いておきますが、川上が大橋係長の弾劾書というものを法務局に出しましたが、弾劾書の原文、局長ごらんになったでしょうか。
#70
○政府委員(上田明信君) だいぶ前に読みまして、いま見て思い出しましたが、だいぶ前に、前回のときに――前回といいますか、最初ごろに読みましたが。
#71
○亀田得治君 そこで、結局法務行政としての問題点としてしぼってくれば、大橋係長の態度、これが適正であったかどうかと、ここへしぼられてくるわけだ。ほかの実体的な関係まで私は触れることをもうやめますが、したがって、大橋君の言うのがほんとうか、川上君の言うのがほんとうかと、これは私はやっぱり、局長としてきちんと明確にすべき問題だと思うのですよ。ほんとうに明確にするのは、局長が両者から直接事情を承る以外に私はないと思うのです。あなたはもう優秀な裁判官ですからね、直接主義でね。そんな、あなた、役所の下のほうから大体ていさい整えて送ってくる文書、そんなものにたよらないでね。直接どうしてもあなたがおやりにならぬということであれば、これは行きがかり上しかたがないですからね、参考人としてここへお二人来てもらって、私も忙しくてたいへんなんだが、私からでも質問を発して、そしてあなたが横で聞いてもらう。あるいは、それもどうかということになりゃ、今度裁判所、こういうようなことになるわけでしてね。しかしこれは、私は一々そういうことをする必要はないと思うんですが、非常に具体的な問題等で訴えがある、要請がある場合、これは、私は一罰百戒で、直接みずからおやりになったらいかがかと、こういうふうに思っておるんですが、その点どうでしょう。これを最後の質問にしておきます。
#72
○政府委員(上田明信君) この問題になった大橋係長の直接の監督官は、大阪法務局長の池川氏なんでございます。そして、人事権も池川氏が持っております。私は法務大臣の補査役でございまして、横から大阪法務局長を差し置いて私が直接調べるというのは、いささか私としては現段階では妥当を欠くと思いますが、なお検討いたしたいと思います。本件につきましては、何ぶん両者の言い分が全く食い違っておりまして、大阪法務局長としては、現段階においては、大橋係長にいわゆる懲戒その他を加えるというだけの資料はないというような報告が参っておりまして、私自身の調査ということについては、いささか私としてちょっと即答しかねるし、横から、人が監督しているものを、私が直接監督するわけじゃございませんので、やるのはいささか問題があろうかと思いますが、一応は検討してみたいとは思っております。
#73
○亀田得治君 これは、もちろん法務局長の上に法務大臣がおるわけだ。それはあなたがおやりになるということは、法務大臣の立場でおやりになることですよ。法務省としてやることですから、それは実際上、あなたが法務省を代表して法務局長というものをやっぱり監督しておってもらわんといかぬですよ。こんなことになると、何か少し権限があるのかないのかというようなことをおっしゃってるけれども、平生はあなた大臣にかわっていろいろな指示や何かやっているじゃないですか。そうでなけりゃ、大臣が一々そんなこまかいことまでやれるわけがない。逃げたらいかぬですよ。
#74
○政府委員(上田明信君) 私決して逃げたわけじゃございませんので、御指摘のとおり、私がおもむいてこの両者から聞くということになりますと、もちろん法務大臣の代理として行くということで、権限も法務大臣の代理として権限があるわけでございますが、本件については、私が法務大臣の代理として行くのが一体妥当かどうかという問題を検討したいと、私の真意はそうなんでございますが、若干ことばの言い回し方がまずかったようでございます。私も、法務省側であり、その法務大臣の部下である。池川を、大阪法務局長ということになりまして、私がどう判断しましても、何と申しますか、身びいきというようなおそれは、私はもと裁判官をやっておりまして、公正にやったつもりでも、結論によりましては、おまえはやっぱり法務省側の身びいきではないかというような色目で人から、他から見られると私は思っております。それが私は、先ほどから申しましたように、私が直接両者を調べるというのは必ずしも適当ではないであろう。どうせこの両者の言い分というものは全く食い違うということでございまして、私としましては、ほんとうの意味で最終的に黒白をつけるのなら、これは根本にいって、相手方を侮辱したというかっこうになるので、裁判所の判定を受けるのが一番公正、妥当だという、ここからは個人的になるんですが、それのほうが一番すっきりするんじゃないか。もちろん損害賠償といたしましては、ノミナルダメッジになると思います。しかし、川上さんとすれば、金高の問題じゃないので、要するにおれのほうが正しいんだということがわかればいいんだというお心持ちなら、金額にこだわらぬなら、裁判所に慰謝料請求ですか、あまりぽんぽん言われて、自分に精神的障害が加えられた慰謝料である、こういう事件だと、ノミナルダメッジも――御承知のようにノミナルダメッジになると思いますけれども、そういうような方法が一番妥当じゃないかと私自身は考えております。もちろん、当委員会に両者を呼んでお聞きくださるのも、けっこうだと存じます。
#75
○亀田得治君 ともかく他人のことについてこういう派生的な問題が起きているわけだ。川上にしてみたら、これはたいへんな苦労なんですよ。こういうことをほっておいちゃいかぬ、役人に対してこういうことを泣き寝入りしているからよけいつけ上がるんだ、こういう気持ちで、これはほんとうに少しずるい気持ちある人なら、こんなこといつまでもやりませんよ。それも弁護士にも相談はしている。しているが、なかなかあなた期間もかかるし、今度、あなたおわかりのように、また一苦労しなければならぬわけですね。だから、法務省がほんとうに、いや自分のところで起きている問題だから自分のところでさっぱりケリをつけるようにしようというのが、これは私はほんとうだと思うのですよ。それがそうじゃないというなら、これはしかたがない、別なことを考えなければなりませんがね。しかし、それがはたして法務行政全体のためになるのかならぬのか、そのことも検討しなければならぬでしょう、実際のところ。そんなことを一体裁判所へ引き出されてね、法務大臣だってあまりいい気もせぬだろうしね。だから、その辺は何ですよ、やはりその国民の気持ちがおさまるように、こうみんな考えてやらぬと私はいかぬと思うのですよ。どうもそういう点が足らぬように思うね。
#76
○政府委員(上田明信君) 私のほうといたしましては、川上さんの気がおさまるようには、大阪法務局長にはちゃんと言ってはあるのでありますけれども、なかなかその大橋係長との発言が全く食い違っておるので実は弱っておるわけなのでありまして、なお大阪法務局長にその間の調整をとるように、なお一そうとるように、もう一度命じてみたいと思います。
#77
○亀田得治君 それは川上君だってね、そんなむちゃくちゃを言う人じゃないんですよ。八月十何日でしたか、二十日過ぎでしたか、ともかくまあ両者の言い分は違うけれども、局長がしかるべく川上君にあいさつするからと、それでともかくおさめろということで私もだいぶ説得しましてね、おさまることになっておったんだよ、これ。ところが、その日行ったら、この前もお話ししたように、一方のほうからは二、三カ月も前にちゃんと法務局は事情を聞いておって、こっちにはそんなこと一つも言わぬでやね、扱っていたと、いまから言うと、本人には隠しておいてくれと言われたというのだけれども、しかしものごとを調べるのにそんな隠しおおせるものじゃないですわね。第一、何も隠さなくたってけっこうなんです。私はそんなことは単なる言いわけにすぎないと思っているんですよ。本人からそう言われても、もし言われたのが事実だとしても、受けるほうはそんなことにとらわれる必要ない。それでおじゃんになったわけだ、そんなことがあって。あいさつしてさっと帰ればよかったんだが、そこでごちゃごちゃ話している間にそういう問題が出てきた、そういうことですよ。だから、それらも含めて、どうしてもしょうがないという場合は、あすこまでやる男だから何かやると思いますがね。局長としてもう一ぺんよく研究してください。
#78
○政府委員(上田明信君) なお十分検討いたします。とりあえずは、大阪法務局長に対して、もう一度両者の話し合いといいますか、話し合いの場をつくって、もう少し率直にあやまるものならあやまれと、あやまらぬでもいいものならあやまらぬでもいいのは当然なんですから、もう少しなお重ねて調査をやって、そうしてでき得べくんば話し合いがつくように、十分大阪法務局長に指示いたします。
#79
○亀田得治君 それから、茨城県の原子力研究所の問題ですね。調査中だと思いますが、どういうふうに運んでおりましょうか。結論なり中身はきょうはけっこうですが、ちょっとその点だけ概略お聞きしておきたいと思いますが、地元の法務局が調べに行っていることは、これは聞いているのです、私も。
#80
○政府委員(上田明信君) いまここに記録がありませんのでちょっと申し上げかねるのですが、若干の報告は参っておるようでありますが、いま調査課長にどの程度来てどうなっておるかということだと、調査課長もちょっといまよく覚えてないと、しかし調査書が若干来ておるというような状態でございまして、記録がありますとすぐわかるのでございますが、いま記録がございませんので、この程度のことでございます。
#81
○亀田得治君 それじゃ追ってお願いしましょう。
#82
○政府委員(上田明信君) 追っていたします。
#83
○亀田得治君 まだ最終にはなっていないのでしょう。
#84
○政府委員(上田明信君) 最終にはまだ……、中間調査の段階でございます。
#85
○亀田得治君 じゃ中間の報告として、また追ってお聞きすることにいたしましょう。
#86
○委員長(小平芳平君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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