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#1
第061回国会 法務委員会 第6号
昭和四十四年四月十五日(火曜日)
   午前十時十八分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
四月九日
    辞任        補欠選任
     重宗 雄三君    和田 鶴一君
四月十四日
    辞任        補欠選任
     占部 秀男君    松本 英一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小平 芳平君
    理 事
                後藤 義隆君
                河口 陽一君
                亀田 得治君
    委 員
                上田  稔君
                堀本 宜実君
                秋山 長造君
                松本 英一君
                山高しげり君
   衆議院議員
       修正案提出者   大村 襄治君
   国務大臣
       法 務 大 臣  西郷吉之助君
   政府委員
       法務政務次官   小澤 太郎君
       法務大臣官房長  辻 辰三郎君
       法務省刑事局長  川井 英良君
       法務省人権擁護
       局長       上田 明信君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   佐藤 千速君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
   説明員
       警察庁警備局警
       備課長      丸山  メ君
       自治省行政局振
       興課長      遠藤 文夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (人権問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小平芳平君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 去る九日、重宗雄三君が委員を辞任され、その補欠として和田鶴一君が選任されました。
 また、昨十四日、占部秀男君が委員を辞任され、その補欠として松本英一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(小平芳平君) 訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。西郷法務大臣。
#4
○国務大臣(西郷吉之助君) 訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、民事訴訟及び刑事訴訟の証人、鑑定人等の日当の最高額を増加しようとするものであります。すなわち、現在、民事訴訟における当事者及び証人並びに刑事訴訟における証人の各日当は、その最古同額を千二百円と定められ、また、民事訴訟における鑑定人等及び刑事訴訟における鑑定人、国選弁護人等の各日当は、その最高額を千円と定められているのでありまするが、最近における賃金及び物価の状況等を考慮いたしまして、いずれもその最高額を引き上げることとし、当事者及び証人の日当につきましては千三百円に、また、鑑定人、国選弁護人等の日当につきましては千百円に、それぞれ改めようとするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#5
○委員長(小平芳平君) 次に、この際、本案に対する衆議院における修正点について、修正案提出者衆議院議員大村襄治君から説明を聴取いたします。
#6
○衆議院議員(大村襄治君) 訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案中衆議院の修正にかかる部分について御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
   訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案に対する修正案
  訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
  附則第一項を次のように改める。
 1 この法律は、公布の日から起算して七日を
  経過した日から施行する。
 ただいまの修正案について、この趣旨を御説明申し上げます。
  「公布の日から起算して七日を経過した日」に改めることにしましたのは、第一に、政府原案は本年四月一日から施行することになっておりますので、施行日を修正する必要があり、第二に、証人等の日当は民事訴訟の敗訴者や刑事訴訟の被告人が負担するのが原則になっておりますので、その施行について七日の経過期間を置くことが妥当であると考えたからであります。
#7
○委員長(小平芳平君) 以上で説明は終了いたしました。
 本案に対する自後の審査は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(小平芳平君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#9
○松本英一君 私は、去る二月六日に徳島県小松島市市議会における教育委員選任議案に反対発言をした尾崎巍議員の未解放部落いわゆる同和地区並びに部落の人々に対する差別事件と、二月二十二日同事件に関連して行なわれました部落解放同盟中央委員の二名及び小松島支部役員四名の不当逮捕問題について、法務省、警察庁、自治省の責任ある見解と措置を問いただしたいと思います。
 国民的最大の課題である部落解放の直接の責任を持たれますのは国と自治体であります。その自治体を統括される自治省の部落解放行政における役割りは大きいと言わなければなりません。そこで、まず自治省から、全国の地方自治体に対して、部落解放への行政指導について御説明を願います。
#10
○説明員(遠藤文夫君) 自治省といたしましては、御存じのように、同和対策関係の事業につきましては、これは単に自治省だけでなくて、関係各省が協力してこれに分担して当たっているわけでありますが、自治省といたしましては、この事業の地域の実態が地域によりまして非常に違っておるという状況がございますので、地域の実情に応じまして適切に実施されるように、機会あるごとに指導しておるというのがこれまでの経緯でございます。
#11
○松本英一君 徳島新聞の報ずるところによれば、三月十二日小松島市議会小林議長が全員協議会に尾崎魏議員の「差別的発言の責任」をはかったところ、席上尾崎議員が「責任を感じる」と議員の辞職願いを提出した。尾崎議員の処置については十七日再開する本会議にはかることにしたとあります。その経過と結果について、自治大臣にかわり責任ある御答弁を願います。
#12
○説明員(遠藤文夫君) 御指摘の徳島県の小松島市におきますところの尾崎議員の辞表の問題につきましては、ただいま御指摘がありましたように、三月の十七日に議会におきまして辞職を許可したというように聞いております。
#13
○松本英一君 それでは、警察庁並びに法務省から、この事案に関して皆さんが把握されておる事実関係及び取り扱い措置についてそれぞれ御説明を願います。
#14
○亀田得治君 ちょっとその前に自治省のほうに、辞職の許可を市会がした、これは全員一致ですか。
#15
○説明員(遠藤文夫君) ちょっとその点までは現在手元に承知しておりませんが、もし希望でしたらまた追って照会してみたいと思います。
#16
○亀田得治君 当然、こういうことは重要なことですから、全員一致であるかないかというふうなこともわかっているはずだと思って、確かめるつもりでお尋ねしたのだが、どうもそういう点の姿勢が悪いですね。これは全員一致なんです、私たちが聞いておるのでは。しかし、自治省がそのことを認識しておるかどうか確かめるつもりでお聞きしたのだが、それはあなたに教えておきます。じゃ、どうぞ。
#17
○国務大臣(西郷吉之助君) 具体的事実の経過につきまして、刑事局長から説明いたします。
#18
○政府委員(川井英良君) この事件は、二月の二十二日に警察において被疑者を逮捕いたしました。そうして翌二十三日に、徳島地検に警察のほうから事件送致がありました。検事は取り調べをいたしまして、翌二十四日に勾留請求をいたしまして、さらに取り調べを続けた上、三月五日に身柄を釈放いたしました。身柄を釈放いたしました翌日の三月六日に、徳島簡易裁判所に対しまして、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反に該当する行為があるということで、略式命令の請求をいたしました。これは一人だけでございまして、その他の人は三月六日に不起訴の処分をいたしております。一名に対して略式命令の請求をいたしまして、三月八日に徳島の簡易裁判所から略式命令が発付になっております。ところが被告人は、この略式命令に不服であるということで、三月十五日に正式裁判の申し立てをいたしましたので、ただいまこの事件は徳島の簡易裁判所において審理中ということに相なっております。
#19
○松本英一君 警察庁のほう、どうですか。
#20
○説明員(丸山メ君) 本件の事件は、二月十九日の午後九時三十分から約三時間でございますが、場所は小松島の市会議員をされております尾崎さんという方のお宅でございます。ここで十数人の方ということで、結局十四人であったわけでございますが、十四人の方が、尾崎さんと奥さん、それから尾崎さんの弟さんが同席されておったそうでございます。で、尾崎さんを囲みまして、脅迫的な言辞があったということで、その後被害者その他の方々から状況を聴取をいたしまして、その結果、暴力行為等処罰ニ関スル法律に違反する疑いがあるということで、六人の方についての令状を得まして、これは血制捜査をしておるわけでございます。それから、成人の四人につきましては、任意取り調べを行ないまして送致をいたしております。それから、これに随行したと見られる少年の四人につきましては、参考人といたしまして事情聴取にとどめたということでございます。
#21
○松本英一君 いま法務省のほうからの御説明では、まあ経過だけでございまして、日記のような報告でございます。それは当然でしょう。ほうの報告では、あまり抽象的過ぎて、私のほうでは理解に苦しむところでございます。私は、この報告を受けられた中で、皆さんが誤った認識によっての事実関係に基づいてとられた警察及びその結果の法務当局の措置は、まきに差別意識による不法逮捕であり、また解放運動に対する不当弾圧であって、重大な人権侵害と断ぜざるを得ません。以下私はその点を事実をたどりながら立証してまいりたいと思います。
 法務省の人権擁護局にお尋ねします。人権侵害事件としていつからこの事件の調査に着手されたか、またその方法、経過について御説明を願います。
#22
○政府委員(上田明信君) ちょっと日にちは忘れましたが――これは調査に着手した日にちはわかりませんが、本年二月六日の徳島県小松島市議会における尾崎市議の発言内容の差別的言辞であるかどうかということについて、これに関連いたしまして、たしか、当委員会であったか衆議院の法務委員会であったか存じませんが、そういう指摘がございまして、ここで二十二、二十七日駒井昭雄さんら六名を逮捕したことがまあ不当逮捕であったかどうかという二件を中心にして調査を進めておる段階でございます。
#23
○松本英一君 人権侵害事件として、この問題について調査に小松島に出張なさったことはないのですか。
#24
○政府委員(上田明信君) ただいま国会開会中でございまして、人手が非常に少ないものでございますから、法務省からは参っておりません。
#25
○松本英一君 それでは法務大臣にお伺いいたします。
 ただいま政府は、部落解放問題、いわゆる同和問題にどういう取り組みをしようとしているのか、御説明を願いたいと思います。
#26
○国務大臣(西郷吉之助君) ただいま、この件につきましては、御承知のとおり、同和対策審議会の答申によりましてわかるとおりに、きわめて重要な基本的人権の侵害の問題でございますが、政府におきましても、従来この同和対策問題については全力をあげまして、おそまきながら最近関係法案を国会に提出している次第でございます。
#27
○松本英一君 法務大臣は、十一月三十日大臣就任の抱負を語られた中で、国民の権利を擁護し、あわせて社会の秩序を守っていくと述べられておられます。ならば、国民の権利を擁護する最も重大な同和対策答申案の中の同和問題に対する基本的な認識の部分をお聞かせ願いたいと思います。
#28
○国務大臣(西郷吉之助君) この問題は非常に大事な問題でございまして、いろいろの観点はあると思いますけれども、わが国の進歩的な新しい憲法にうたってあるとおり、基本的人権の擁護ということはすべての問題に先立つところの大事な問題でございますから、私はいまこういう問題をやらなければならぬということは非常に残念でございます。また、こういう問題が非常に重要課題として残っておりますので、全力をあげまして憲法の趣旨にのっとる結果を出しますように、私自体も人権擁護の立場から全力を傾けていきたいと考えております。
#29
○松本英一君 政府は、同和対策審議会に対して、「同和地区に関する社会的及び経済的諸問題を解決するための基本的方策」について諮問されました。この諮問に応じて審議会は、前進的、具体的、公正的に審議の結果を、昭和四十年八月十一日、「同和問題の根本的解決にあたっては、人権尊重の認識に立脚し、その具体策を強力かつすみやかに実施することが国の責務である。」として答申がなされました。三年八カ月にして不十分ながらやっと同和事業特別措置法案が国会に上程されようとするおりから、この小松島の事件はショッキングな問題であります。
 時間をとりますが、私はいままでの報告の中でこれらの問題になります議会における問題を解明してまいりたいと思います。
 教育委員選任の反対発言をした尾崎巍市会議員は、「最近におきましては、当議員の中に、自分の子弟を金品の収受によって入学させた事実もございます。またそのお世話をした議員もこの中におります。私は、人を批判する以上、腹をくくっております。この問題は刑事事件でございます。司直の手をわずらわして私は対決してみたい」と発言をされました。二月十三日、尾崎市議はそのことを告発しております。そして二月十五日、京都から駒井君、大阪から榎並君の両解放同盟中央委員が小松島に入りこの事件を知って、二月十九日に、いま警察庁から報告のありました、尾崎市会議員の義理の弟さんの讃山勢司氏が午前中両君の旅館に訪れて、兄尾崎市会議員の誤りを認めて、あやまらせることを約束されて、その夜九時過ぎから十四名の代表が義弟讃山氏を立ち会い人として尾崎市議宅で話し合いに入ったのであります。そこで、尾崎市会議員は議会での発言並びに告発及び某議員が同和地区出身の児島市会議員であることを認めまして、証人の議員は仁木市会議員であることも明らかにしました。それでは仁本市会議員からどういう話を聞いたのかとの質問に対して、児島市会議員が徳島西高等学校へ十万円寄付したということを聞いたということを答えました。それならば寄付金をどこで裏口入学にすりかえたのかと質問すると、尾崎市会議員は答弁ができなかったのであります。児島市会議員は徳島西高校へ十万円寄付したことは認めております。そこで、この問題の差別的発言のポイントとなるのは、児島市会議員の子供さんが西高等学校へ入学をしたのは昭和四十年の四月であります。十万円を寄付したのは昭和四十一年の八月であります。これは重大なポイントであります。昭和四十一年の秋に青森において開催された国体に徳島西高等学校が参加することになり、選手の派遣費が不足をしておるために、たまたま同校のPTA体育促進委員長をしていた児島市会議員が十万円を寄付したのであります。自分の子供が入学して一年四カ月後に、裏口入学のための寄付とは、実にナンセンスなつくり話ではありませんか。寄付を裏口入学にすりかえた尾崎市会議員の発言は、裏を返せば、「部落民なら裏口入学もやりかねない」との部落差別感情が潜在をしていると断ぜざるを得ないのであります。市の本会議場で、腹をくくっている、対決をしたいと大みえを切った尾崎市会議員が返答ができない。そこで、「あなたの無責任な発言によって、児島市会議員の家庭は破壊される。子供は卒業して就職しているが、仕事に行きたくないと言っている。成人前の子供が世をはかなんで自殺でもしたらどうするのか」とただしました。これに対して尾崎市会議員は、「子供さんにつらい思いをさせるつもりで言ったのではないのです」と答えています。そのとき大きな声で、「もしそのつもりで言ったのなら、どたまかち割ってもあきたらぬ」と、荒々しい発言がなされたのであります。人権を侵された部落の人たちが、このような誠意のない答弁に対して、大きな声をあげ、荒々しい発言をするのは、私ならば当然だと考えております。この発言が脅迫としての逮捕理由です。同席しておられた尾崎市会議員の奥さんが、主人の行為が軽率だったとわびられたので、一応話を打ち切り、次回の話し合いには、尾崎市会議員から迷惑な証人に指名された仁本市会議員の発言は、同席しておられた公明党の熊沢市会議員もおられたので、三氏立ち会いのもとで次の確認会を持ちたいとして、二十二日の夜八時から開くことをきめ、その夜十一時四十五分ごろ尾崎市会議員宅を辞去しております。そして、二十二日夜から確認会を開く、その朝この逮捕が行なわれました。これは前日、前々日の二日にわたって小松島署の沢田刑事課長が尾崎市会議員を呼び出して取り調べを行なっておる。それで、たいへんこわかったと発言したので、告発をした。これは小松島署の警察のほうがみずから進んで、尾崎市会議員の発言がないのに、警察のほうがこの問題について積極的ではなかったのかと私たちは感じております。したがいまして、庁にお尋ねしますが、犯罪の成立要件について御説明を願います。
#30
○説明員(丸山メ君) 先ほども御説明いたしましたように、問題の犯罪の行なわれたとうかがわれます日は、二月の十九日の午後九時三十分から約三時間、場所は尾崎市会議員の自宅ということで、ここで十四人の方々が尾崎市会議員を囲みまして脅迫的な言辞を行なったということで、つまり団体の威力を用いて脅迫したという容疑が濃厚であった、こういうことでございます。
#31
○松本英一君 いまお話しになりましたが、犯罪の成立要件には、構成要件該当性、あるいは違法性、あるいは有責性があります。しかし、手も当てていない。そのような答弁に対して、大きな声をあげ、あるいは荒いことばを言ったのであります。それがこれらの犯罪の成立要件に該当するのか。この三つの該当性、違法性、有責性において、どのようなものに当てはまるのか、私は理解に苦しむのであります。一般的な、法律的な犯罪の要件について説明を求めたいと思います。
#32
○説明員(丸山メ君) 団体と申し上げましたが、間違いでございまして、数人でございます。数人が共同して脅迫をしたと、こういうことでございます。
#33
○松本英一君 それでは、犯罪の構成要件該当性並びに違法性及び有責性のどれか一つを欠いても犯罪は構成しないとするならば、このうちの一つをとっても、行為について、行為者に対して非難が可能であるという性質の場合、これは一つでも欠ければその犯罪は成立をしません。これは、その行為について、前に差別発言をした尾崎巍市会議員は、これは非難を受けてその議席をやめたのであります。ならば、その点はどのような説明を、有責性のその一つだけを取り上げても、どのように説明をなさるのか。
#34
○説明員(丸山メ君) 恐縮でございますが、御質問の趣旨を……。
#35
○松本英一君 いわゆる阻却事由の点を言っているのです。だから、犯罪の成立要件である三つの構成要件該当性及び違法性、それから有責性、その三つのうちのどれを欠いてもこれは成り立ちません。御承知のとおりでしょう。そうすると、この三つのうちの一つの有責性を取り上げても、差別をした人のほうが非難を受けるのです。ならば、一つを欠いているでしょう。それとも小松島署の警察の人たちはそのような犯罪の構成要件を知らないということならば、それでいいんですが。
#36
○説明員(丸山メ君) ただいま先生御指摘の点は、犯罪の構成要件のうち、構成要件の部分を欠いておるのではないかという御指摘ではないかと思うのでございますが、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、暴力行為等処罰ニ関スル法律の適用上、数人が共同して脅迫をしたという点については、一応事実関係としては構成要件を具備するものと判断をして、捜査に着手したわけでございます。
#37
○亀田得治君 ちょっと関連して。松本委員がお聞きしているのは、実質的な違法性の問題を指摘しているわけです。これは主として、普通は裁判所において判断されることだが、しかし、本件のごとき、あまりにも尾崎市会議員、相手側に不当なことがある事案においては、警察なり検察庁の段階においてもそのことを考慮した扱いをすべきものじゃないか、その点をお聞きしているのだと思います。だから、そういう点を考えたのかどうか。相手の不当な点――不当というか、間違いですね。場合によっては名誉棄損にもなるわけでしょう。その点を警察としてはどう考えたのか。ただ尾崎市会議員の家に行った人たちの行動を形式的に解釈するというのじゃなしに、そういう実質的な判断をしたのかどうか。これは検察庁に聞きたいところですが、まず警察に松本さんがその点をお聞きしているわけです。それはどうなんですか。
#38
○説明員(丸山メ君) ただいま御指摘の点でございますが、もちろん被害者の側におけるその原因になりました言動というようなことは問題になると思うのでございますが、これはいずれにいたしましても、今後かりに公判が行なわれます際には、その点についてのあれが明らかにされると思うわけでございますが、小松島警察署といたしましては、その点の配慮は当然捜査着手の時期に行なっておったものと考えております。
#39
○亀田得治君 松本さんの質問が一応終わってから私また聞きますが、そういうあやふやなことではいけない。われわれの調査によると、十九日の晩にさっきから御指摘のようなことがあって、そして二十日、二十一日とおいて、二十二日にもう一度はっきりと問題点を確認してほしい、それじゃあ確認しましょうと、双方合意の上で別かれている。二十二日のその確認会を待たないで、警察がその日のうちに強制捜査をやったわけですが、その二十、二十一日両日尾崎君の言い分は聞いておるのです。しかし、こちらはむしろ被害者なんですね。こちら側の言い分というものは何も聞いておらぬじゃないですか。中身は後ほど私聞きますがね。形式だけからいったって、相手のことしか聞いていない。二十日、二十一日そんなことで、一切、尾崎市会議員の間違った言動、これが起こりなんですが、その点についても配慮しておったと、そんなことにどうしてなるんです。間違ったことを言われた者の言い分を一応聞きましたというなら、それは多少そういう点についても配慮しておったんだなあ、こう私たちも想像いたします。それを伺っておるんですよ、今回は。だから、その点だけからいったって、考えていただろうと思うというようなあなたの答弁は、これは全くあなたの推測ですから事実に反する。一応、これは関連して言っていることだから、この程度にしておきます。
#40
○松本英一君 警察庁のほうでいつ事件を知られたのか、なぜ強制逮捕に踏み切ったのか、強制逮捕の裏づけ調査はどのようであったか、そのようなことを聞いてもおわかりにならないと思います。ただ言えることは、この事件で小松島署と徳島県警を含む県下の警察官の姿勢について私は指摘をしなければなりません。それは、この事件の直後、接見禁止をいたしております。同時に検事勾留でございます。刑事訴訟法第六十条、勾留の要件として、「被告人が定まった住居を有しないとき。被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」と、このように規定しております。接見禁止の点についても、警察庁ではこれは御答弁ができないでしょうが、面会に行った奥さんに対して、朝会ったのにまたお昼に来ぬでもいいじゃないかと、接見を禁止して、そのような暴言を吐いておるようです。法務省にお尋ねしますが、この問題についての検事勾留のこの三つの要件の中で、これら被疑者の人たちが家を持たなかったのか、罪証を隠滅する疑いがあるのか、逃亡するのか、その要件にかなっておるかどうか御説明を願います。
#41
○政府委員(川井英良君) 具体的な案件でございますし、いま公判中でございますので、あまり詳しい報告は参っておりませんけれども、一般論として申し上げますならば、おそらく本件においては罪証隠滅のおそれありとして勾留請求をし、かつ裁判所がまたその理由ありと認めて勾留状を発付したものではないか、かように考えております。
#42
○松本英一君 正式裁判がありますので、それではそのようなことになりましょう。
 それでは刑事犯としての点について御質問いたしますが、二月十三日に尾崎市会議員の告発がなされております。みずから罪にならないと知りながら告発していれば、明らかに刑法第百七十二条の誣告罪に該当するのではありませんか。したがって、逮捕すべきは尾崎議員ではなかったのか、この点の処理はどうなっておるのか、それを御説明願いたい。
#43
○説明員(丸山メ君) その件に関しましては、私どものほうには申し出があったという報告を受けておりません。
#44
○松本英一君 三月八日の朝日新聞その他によりますれば、徳島地検は、団体役員駒井昭雄君を簡易裁判所へ略式起訴するとともに、他の五人を起訴猶予処分にしたことについて、徳島地検の検事正は、「集団犯罪ではリーダーを罰すれば目的はほぼ達成できた。また、駒井を略式起訴にしたのは、あの程度の犯罪なら罰金刑が妥当と考えたからだ」と談話を報道されております。裁判所の一番上段にある最高裁以下高等裁、地方裁、家庭裁、簡易裁の、この簡易裁判の罰金二万円の略式起訴で駒井君がリーダーとして起訴されました。このような点から考えてみますと、どうしてもこれは警察及び法務省の考え方の中に大きな誤りがあると思われるのでございます。なぜならば、この種の、人間が人間としての当然な権利の要求が、このような集団の犯罪というような意識において、なされるところに、大きな誤まりがあると指摘をいたしたいのであります。したがって、それについて法務省の見解をただしたいと思います。
#45
○政府委員(川井英良君) 本件に関しまして徳島の地検の検事正が談話を発表したということでございますが、私どもの手元にはまだそこまでの報告は参っておりませんが、おそらく大ぜいでやった犯行として警察から事件の送致を受けて、検察庁で詳細取り調べをいたしました結果、刑政の目的を達成するためには、何も事件によってすべてを起訴する必要はありませんので、最も重要だと思われる者、またはこの犯行について最も中心的な役割りを演じたと思われる者のみを起訴いたしまして、その他情状の軽い者につきましてはこれを不起訴にする、こういう処分は、一般的に私ども従来とっておる立場でございますし、またこの種の事件につきましても、そういうふうな方法でもって事件を処理していくということは刑事政策的な目的にも沿うものではないかと、こういうふうに思います。本件につきましては、約十名くらいの人が送致を受けましたけれども、一名のみについて公訴を提起した、その他の者につきましては不起訴処分に付したという報告に相なっておりますけれども、その間の事情につきまして、どういうふうにこの事件を見るかということは、いろいろ見方があるといたしましても、最も重要な責任を負うべき者についてのみ公訴を提起する、こういう方法というものは、私ども中央の法務省の立場として見ておりましても、これら事件の処理としては公正な処理ではなかったかと、こういうふうに思われます。
#46
○松本英一君 法務大臣、人間が人間として要求する――このような問題を、大臣が冒頭にお話しなされたあの趣旨から考えますと、このような種類のものを集団の犯罪と規定されるのは、私は大臣の意思と反するやに考えます。国家の政治がだれの手によって何のためにどうやって行なわれるかを定めたのが憲法であることは、御承知のとおり。国家の政治は憲法のもとに制定される法律や命令によって具体的に運用されるが、憲法に反する法令は効力を持たないとされることを憲法第九十八条一項で規定しております。したがって、法律や命令に対して憲法は最高法規の価値を持ち、日本国の根本法であります。したがって、憲法の運用に直接携わる人々が、憲法に違反するような活動や憲法秩序を侵害するような活動をすることがあれば、その弊害は著しく、ついには国の現在、将来にもかかわる問題であります。ゆえに、憲法第九十九条において、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と、憲法擁護義務を規定しております。これらのことと関連して、憲法第十一条に「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」と規定しております。いま御説明ありましたように、その集団犯罪は適当ではないかということにつきましては、私は理解をいたしかねますが、法務大臣の明快な御説明を願います。
#47
○国務大臣(西郷吉之助君) ただいまの件でございますが、その一名のお方がすでに起訴されておりますから、一切は裁判の過程において明白になると存じますが、ただいま特に御指摘もございますので、いままでの経過につき不当な点がありやなしやという点についても、私のほうから指示をいたしまして調査してみます。
#48
○松本英一君 警察のほうから何の説明もございませんでしたが、実は大きな誤りが警察の中で行なわれております。それは、新聞報道によりますれば、その二十二日の朝逮捕に参りましたおりに、四名の部落の人たちを逮捕するのに百人余りの警官が出動しておる事実でございます。町中にある旅館におった一名に対しては五名行っております。部落内の四名を逮捕するのに百名余りの警官が出動しておるという事実は、これは大きな問題であります。
 西郷大臣よく御承知でございましょうが、明治四年に廃藩置県によって、各府県に邏卒――後の巡査ですね、これが置かれてから警察が始まりました。明治十年の西南戦争が起こると、軍隊のほかに警視庁警視隊というのが九千五百人で組織されて九州に遠征をしました。西郷南洲翁の率いる鹿児島兵は、できたばかりの軍隊、刀を持ったこともない、鉄砲を見たこともない新しい軍隊はおそれません。しかし、さむらい上がりであったこれら警視庁警視隊の九千五百人に対しては脅威を感じております。それが事実となってあらわれました。あの頑強な田原坂の戦いでは、どうしても落とせない。軍隊のほうが落とせないので、警視隊の中から百人余りの抜刀隊が組織されて、薩摩の陣営に切り込みました。逸見十郎太が切り込むときは秋のはやてかいなずまかといわれた、あの豪将すらもとうとう敗走したのであります。そのころ鹿児島で、「警視庁巡査と近衛兵なけりゃ、花のお江戸へおどり込む」、そういう歌がはやったそうです。百人余りですよ。たった四人を逮捕するのに百人余りの警官が部落の中に集中攻撃をかけたのか、包囲攻撃をしたのか、そのいずれかは別として、四人を逮捕するのに百人余りの警官の出動が必要であったかどうかを警察のほうにお伺いし、この問題について、西郷大臣からは、法務の最高責任者としての責任ある御答弁を願いたいと思います。
#49
○説明員(丸山メ君) 私どものほうで受けております報告によりますと、当日動員をいたしましたのは、私服につきましては、先ほどもお話がありましたように、一人について大体四人ないし五人ぐらいということで、二十二人を動員しております。それから制服につきましては、二十五人を小型の輸送車二台に便乗させまして、万一に備えまして、逮捕現場から約三百メートルほど離れたところに路上待機をさせるということでございまして、結局制服私服を合わせまして四十七名ということでございます。
  一般的に申しまして、今回の罪名にもございますように、集団的な暴力を行なったという容疑の事案でございます。また、逮捕の際には、同じ地域で多数一度に逮捕するというようなことでございますので、こういう場合には、被疑者の逃走、あるいは逮捕時の妨害というようなことが、万一の場合に考えておかなければなりませんので、このような体制をとりますことは一応警察の措置としては通例になっておるのでございます。
#50
○国務大臣(西郷吉之助君) いま警察の説明もありましたが、これは国家公安委員長の所轄する問題でございますので、私がとやかく批判は差し控えたほうがいいかと思いますが、なお御指摘がございますから、その点について後日確かめてみたいと思います。
#51
○松本英一君 警察庁の答弁で、このような集団犯罪とかあるいはこのようなことにはこういうことが通例である。人間が人間として生きられない、そのための要求で、逃亡をしたりするようなことが考えられますか、私ならば絶対に逃げません。
#52
○説明員(丸山メ君) この場合に逃走が予想されるかというお話でございますが、一応私が申し上げましたのは、一般論として、万一の場合に備えてということでございまして、本件について当然そういったことが予想されるかどうかにつきましては、私からはっきり申し上げられる段階ではございません。
#53
○松本英一君 最後に、私は、国民生活の利益や価値は法によって守られています。犯罪は、個人の法益あるいは社会の法益あるいは国家の法益たるとを問わず、これを侵害する行為であります。その侵害に対する制裁として、法はその行為に刑罰を科しております。自治省からの報告にありましたように、この問題の張本人である尾崎巍議員は、十七日の市議会で発言をして、申しわけない、おそろしくて警察に届けたが、指導的立場にありながら相すまないとして、辞表を提出して責任をっとております。しかもこれは全員一致で可決をいたしております。このような問題に対して責任を感じて、自分は公職から身を引いております。いまの警察の話を聞くたびに考えますのは、何らこの問題に対しての人間の当然な権利の要求に対する理解もなければ、この部落解放という悲願に対する認識もないと断ぜざるを得ません。したがいまして、部落問題については、今後もなおこの問題その他について、私は政府に迫ってまいるつもりでございます。総括をするにあたりまして、私はこの部落問題がいかに深刻な問題であるか。私のところに昨日参りました手紙にすら、いまだに若い青年がその問題で苦しんでおります。悩んでおります。そのために、同和対策事業特別措置法案が曲がりなりにもやっと出てこようとするときに、きょうのような答弁では、私は全く不満足と言わざるを得ません。
 以上をもって、私は人間尊重の精神を特に強調をして、質問を終わります。
#54
○亀田得治君 二、三関連してお聞きしますが、先ほど警察のほうに若干お聞きしましたが、法務省のほうですね、検察庁の関係、検察庁では調べの段階において、尾崎議員が児島議員並びにその子供のことについて全く事実無根のことを発言した、公の場で。こういう点について、十分な調べというものがなされておるんでしょうか。警察では、そういうことをもうほったらかして、形だけを見て送検されたようであります。検察庁はどう見ますか。
#55
○政府委員(川井英良君) 具体的にだれを呼んでどういうことを聞いたかということを申し上げるのはまだ適当でないと思いますけれども、先ほども申し上げましたとおり、数名につきましては勾留を求めて、十日間の勾留をした上で取り調べをいたしておりますので、この種の事件につきましては脅迫による暴力行為等処罰ニ関スル法律違反という形になっておりますので、このことばが刑罰に該当するかどうか、こういうことでございますから、私は、担当検察官において、ただいま御質問のありましたような点については、十二分にその間の事情を捜査した上でもって、なおかつ本件につきましては犯罪の容疑がありと、しかも起訴すべき事案であるという結論に達して、一名について公訴を提起した、こういうことであろうと考えます。
#56
○亀田得治君 しかし、それは刑事局長のどうも推定のようですね。そういうきちんとした報告が来ているのですか。
#57
○政府委員(川井英良君) きちんとした、だれをいつ調べてどういう供述があったという報告は参っておりません。概括的にどういうふうな事件の処理をして、どういうふうな公訴事実について公訴を提起したという程度の報告しか参っておりません。
 なお、国会で質問があるだろうということが考えられましたので、その報告以外に私のほうから直接現地について二、三の事項について確認をした事実はございます。その確認したことと報告が参っていることと総合いたしまして、ただいま申し上げましたとおり、十日間の勾留をした上で起訴、不起訴をきめるという態度をとっているわけで、その辺のところは検察官として十分捜査をした上でそういう結論に達したものと、こういうふうな確信でございますが、それは具体的に申し上げるまでもございませんが、正式裁判を申し立てて、今日公判が進行中という段階になっておりますので、その段階におきまして証人を通じてその間のいろいろな事情が漸次判明してくるのじゃなかろうかというふうに考えましたので、ここで確認をした事項をすべていろいろこまかいことにつきまして具体的に申し上げることは、やがて開かれる公判との関係においてしばらく御猶予を願いたいという趣旨も含まっております。
#58
○亀田得治君 最終的には公判に待つということはやむを得ないことだと思いますが、きわめて明白な問題については、これは検察の段階で十分な検討があってしかるべきだ。そのために私は起訴便宜主義というものが刑事訴訟法ではとられていると思います。形式的には法条に該当するとしても、相手方にこれだけの非がある以上は起訴すべきじゃない、あたりまえのことじゃないですか。ともかく、自分のやったことを合理化するようにするように理論づけることは、私は好ましくないと思う。
 そこで、もう少し突っ込んで聞きますが、尾崎市会議員の発言ですね。これについては、国会の場合と違って、憲法五十一条の適用というか、拡張解釈して適用するとか、そういう問題はないのですね、法律的にどうですか。
#59
○政府委員(川井英良君) 一応そのとおりであると解釈しております。
#60
○亀田得治君 そうすれば、尾崎議員の行為自身が、名誉棄損が私ははっきりこれは成立すると思います。言っておることの内容は、多田君にとってはこれは収賄罪、そうでしょう。いま社会的にも非常に批判されておる事柄だ。それを提起したということなんでして、どうですか、発言の内容というものは、不当な発言というものじゃない、全く違法なことを内容としておる。しかも事実でないことを言っておる。これは明確な名誉棄損罪じゃないですか。どうですか、刑事局長。
#61
○政府委員(川井英良君) 私の立場から、名誉棄損というものはどういうもので、どういうふうな構成要件で、どういうふうな程度の違法性があった場合に名誉棄損となるかどうか、また、名誉棄損は親告罪であって、告訴がなければそう起訴ということは必ずしも適当でないというふうなことはよくおわかりのことでございますが、そういうふうな一般論的なことであるならば幾らかの御説明はできますけれども、具体的な案件について、個々の市議会で某議員がこういう趣旨の発言をした、それが法務省の刑事局長という立場から見て名誉棄損罪になるかならないか、こういうふうな立場になりますというと、簡単にその具体的事件が名誉棄損になるとかならないとかということはなかなか判断しにくい、また申し上げにくい立場だと思います。要は、具体的にその行為を管轄するといいますか、その行為が犯罪になるかどうかということについて、当該市会議員、あるいは市会が存在しておる土地にはやはり具体的な捜査権を与えられているものがありますので、そういう具体的な捜査権を与えられているものが、その具体的行為についてどういう判断をして、どういう措置をとるかということにまかせなければならない。またまかせるのが適当ではないか、こう思います。私の立場からそれを抽象化して、こういうふうな場合にこういうふうな発言をしたら、刑法にいうところの名誉棄損罪になると思うかならないと思うかという一般論でございますれば、私はそれについて幾らかの御説明を申し上げることができる、こういうふうに思います。
#62
○亀田得治君 あなたがここで名誉棄損罪になると言えば、検事はどうしてもこれは起訴しなければならぬことになるから、それはなかなかあなたとしても説明しにくい立場にあることはわかりますが、ただそういう立場で本件を検察庁が検討してみたかどうかということを聞きたいのです。これは名誉棄損は親告罪だとおっしゃるかもしらぬが、これだけ激しい抗議をしておるわけですから、これは当然やってくれという意味も含まっているのです。だから、そんな書類を出してくれというなら、いつでも出しますよ。だけれども、初めからともかくこちら側だけを問題にしていく、そういう姿勢の中では出してもむだだと思ってあるいは出しておらないかもしれぬが、その辺のことは私はよく存じませんが、この抗議行動自身に、私はちゃんと親告の意味が含まれておると思うのです。形が欠けているといえば、いつでもこれは出すと思うのです。だから、ほんとうに私は公平な立場で尾崎議員の発言というものについて検討されたのかどうか。したけれどもこうこうこういう理由で取り上げなかったのか、いやそこまではやっていなかったのか、どっちかなんです。それを明らかにここでお答え願えますか。
#63
○政府委員(川井英良君) そこはいまの段階で明確に具体的に申し上げることには少し猶予をいただきたいと、こう思います。ただ、先ほどもちょっと関連質問の中にも出ましたように、犯罪の構成要件の中で最近最も団題になっておりますのは、御指摘にもありましたとおり、まさに違法性の問題でございます。特にこの大衆運動にからまる事件とか、あるいは言論を中心とする事件というふうなものにつきましては、私どもたくさん経験しております事件の中で、常に法廷において違法性の問題、実質的要請があったかなかったかというふうな問題、違法性阻却の理由があるかないかというふうな問題が常に大きなウエートを持って争われております。私ども、この二、三年来、いろいろ中央から現場の検察官に資料を流したり、あるいは中央に集めたり、あるいは高等検察庁単位で検事を集めて中央からいろいろの指示をいたしたり研修をいたしておりまするけれども、その要点は、最近はもうほとんど違法性の問題について議論が、研究がなされておる、こう申し上げましても過言ではございません。そういうふうな背景と基盤の上に立ちまして、私、地方の地検ではございますけれども、徳島地検につきましても、かなり有力な検事正、次席ないしは検事を配置いたしておりますけれども、それらの人々がこのような事件を処理するにあたりまして、通り一ぺんの構成要件の該当性だけをもって足れりとして公訴を提起した、こういうふうにはとても私は信じられないのでございまして、あくまで一般論でございまするけれども、御指摘がありましたような実質的違法性の有無の点につきましても、いろいろな証人を調べ、いろいろな観点から証拠を総合判断いたしましてかような結論に達したものと私は確信をしている次第でございます。
#64
○亀田得治君 話がいつの間にか、尾崎市会議員のほうから、起訴されたほうの実質的違法性の問題に移っておりますが、そうじゃなしに、この尾崎議員の行動そのものをもっと究明してみるべきじゃないか、問題の起こりはそこなんですからね。それが非常に不当だ、違法だということになれば、そのことは、駒井オルグなり、そういう人たちの判断に大きく響くわけでしょう。だから、どうもその点が、いまの答弁を通じても感ぜられるのは、あまりやられておらぬのじゃないか。ところが、問題を起こした者があまり究明されない。警察段階は確かにそうだったでしょう。尾崎市議の一方の言い分だけしか聞いていやせぬですよ、さっきもちょっと報告しましたが。だから、検察段階でも多少はこれは慎重になっていると思うのです。たくさんの人を逮捕しているから、逮捕された人が当然そのことに触れているでしょう。だから検察官もそのことに関心を持たざるを得ぬと思うのですよ。持ったのであれば、それをもっと独立の問題として深めてみるべきじゃないか。私たちが間接に聞くのでは、どうもそういう態度はとられなかった。ともかくこちらの事件だけを、いろいろ抗議もあるし、だいぶ問題もあるようだからというので、人間をしぼったりいろいろされたあとはわかりますけれども、そういうやり方は中途はんぱだと思うのです。結局は、最終的にはどうもちょっとこれはぐあが悪いところがあると検察庁も考えた。それはあなた、たくさんの警察官を動員して強制捜査までやって、最後は一人だけ、しかも略式と、こんなことは異例ですよ。検察庁もそれはちょっとおかしいと考えたに違いないですよ。そうであれば、何も急いで起訴しなくたって、もっと両方の問題というものを深めて検討すべきじゃないか。特に部落問題の本質というものまで、こういう機会に、なぜその部落の人がこれだけ憤慨しておるかということの問題にまで深まった検討をやっていいんじゃないかというのが、私の受ける印象なんですよ。そういうところまではとてもされていませんよ。これは日時的に言ったって、そういうかっこうになっておりませんよ。通り一ぺんのことです。だから、私の最終的な要求は、こんなことはめったにないことですが、もう一ぺん検察庁でよく、尾崎市会議員の発言の問題、あるいは部落問題の本質等もお考えになって、再検討してほしいと思うんです。これはいつまでもこういう公訴を維持して法廷で争っているのは愚の骨頂だ。私は最終的にはこんなものは無罪になると思うのですよ。だけれども、そういう最終結論が出るまではたいへんだ。たいへんだが、しかし法務省としてはもっと大所高所から考えて検討する余地のある問題じゃないか。手続的には、提起した公訴を、検察庁が早まってやったんだから、これはあなた取り下げてもらう以外にないわけですよ。そういうふうに思うんですが、これはまあなかなか刑事局長もお答えにくいでしょうが、これはやはり大臣が、こういう問題についてはもっとこまかい資料もお取り寄せ願って、じっくりひとつ考えてみてほしいんですよ。これは大きな立場から検討する以外に、私がいま言ったようなことを取り上げるということはなかなかできるものじやありませんよ。大臣がそれをおやりになれば、検察官もこういう社会的に問題のある事柄についてはもっと慎重になると思うんです。警察の顔を立てるためにちょっと妥協的にやっておこうとか、そんなことでは私はいかぬ、大臣のひとつ腹を聞かしてください。
#65
○国務大臣(西郷吉之助君) 先ほど来両先生が非常に御心配でもございますので、いま進行中でございますが、念には念を入れまして、どういう経過であるかということを調査をしまして報告を求めたいと思います。
#66
○秋山長造君 ちょっと関連して。この機会にお伺いしておきたいんですが、私は国会図書館で、ローカル新聞のつづりがずいぶんありますが、あれをときどきめくってみて、依然としてこの種の差別事件あるいは差別問題を中心にしたいわゆる刑事事件的なものがあちこちありますね。これは実際、お互いにはなはだ遺憾だし、実に悲しい気持ちがいつもするんです。いまの問題についても、先ほど松本、亀田両委員からいろいろな角度からお尋ねがあったんですが、尾崎議員の差別的発言、なるほどこれは物理的な暴力じゃないかもしれぬけれども、しかし質からいいますと、これは一つや二つ頭をなぐられたよりもつらいんですよ、こういう差別的な発言を投げつけられるというのは。これはもうお互いよく考えてみればわかることだけれども、これは物理的な暴力以上のはるかに大きい暴力ですよ、差別的言辞を弄するということは。だから、そういう事情が前提にあってのことですから、ですから、なるほど警察のほうでは、刑事事件、何か暴言、乱暴なことばを吐いたというそこだけを取り上げてやられれば、それはあるいはおっしゃっておるような暴力行為等処罰ニ関スル法律というようなものの適用になるという解釈も成り立つのかもしれぬけれども、しかし、やはりこういう差別問題というようなものに関連して起こった刑事事件というようなものの扱いについては、これは警察のほうもよほど慎重にやはり配慮をされてしかるべきじゃないかという感じがするのです。だから、さっきも松本君が質問されましたが、これは尾崎議員のほうからはよく警察のほうで話を聞かれて、しかしまあこれを客観的に見れば、尾崎議員の一方的ないわば自分に都合のいい発言だけを聞かれたと言われてもこれはしかたがないと思います。それで、警察のほうが直ちに判断をされて、それでいきなり機動隊を動員して逮捕という荒っぽいことにすぐ出られたということは、どうもいまの話だけ聞いておって、ちょっとそこらの、さっき言ったようなこまかい心づかい、配慮というものが十分でなかったのじゃないかという感じがするのです。亀田委員のおっしゃったとおり、やはり尾崎議員のほうが差別的言辞を弄しておらなければ、何もこんなことは起こることはないのですから、種をまいた当人の話だけ聞いて、それに激高して尾崎宅へ行ってやりとりをしたという片一方の話は何も聞かないで、いきなり暴力行為等処罰ニ関スル法律によって逮捕というのは、ちょっと一方的でもあるし、この種の事件の扱いとしては、私はこまかい配慮、特に部落問題なんかが国の大きな政治上の問題として取り上げられて、総理大臣以下、いまも西郷法務大臣再三おっしゃられたとおり、人権問題としては一番深刻な重大問題としてお互い取り組んでいこうとしておるときですから、なおさらやはり警察の面でもそういう配慮というものを十二分にぼくはやってもらいたいという気がするのですが、だからそれはなかなか単なる法律論だけで片づかぬですよ。この差別問題というのは、これだけ深刻な問題ですから、どうもこの場合にもうちょっと配慮が足りなかったのじゃないかという気がしますね。つり合いがとれぬですよ。だから、こういう問題についての扱いについて、警察庁なり何かで地方の県警をどのように指導しておられるのかどうか、あるいはまた、法務省のほうでも、一線の検察庁あたりに、この種の問題の扱いに対する何か一つの指導というものがなされておるのかどうか、そこらを聞いておきたいのです。
 それから同時に、前段の中で、事前に任意出頭とかなんとかで呼んで、片一方のほうの話も十分聞いた上で、なおかつやはりこれはこの法律をやるべきだというふうに判断されるなら、そのときに身柄を拘束されたらいいことじゃないかと思うので、しかも初めての問題ではないでしょう。新聞を見ると、小松島というところは、従来何回か、市会議員の不用意な言動、差別的な言辞を弄したために大きな差別事件を起こしてきているんですから、警察当局にしても、検察庁あたりにしても、そういう事情というのは当然御配慮の中にあってしかるべきだと思うんです。にもかかわらず、どう見てもつり合いのとれぬ、一方的にいきなり乱暴にぱっとやられた感じなんですね。だから、なかなかこれは納得せぬと思うんです。私ら聞いておって、どうもしっくりせぬ、いかがですか。
#67
○国務大臣(西郷吉之助君) ただいま秋山先生の特に御心配もございますので、この件につきましては、詳細に現地から報告を求めまして、われわれも可否について検討してみたいと思いますが、いまお尋ねの一つの上役でございますけれども、御承知のとおり、徳島地検の検事正の上に高松高検の検事長がおりますので、重要な問題は検事長の意見なり指揮を仰ぐわけでございますが、そういう点どうだったかということもいまわかりませんので、なお事情を聞いてみたいと思います。
#68
○秋山長造君 刑事局長、法務省のほうとしても、こういう問題については、特にいろいろな面を慎重に、人権擁護の面その他慎重に配慮して扱えとかなんとか特別な指導をなさっておるんですか、どうですか。
#69
○政府委員(川井英良君) これは、ただいまの御質問の中にもありましたように、きのうきょう起こった問題ではございません、何十年も前からあった問題でございまして、大きな問題でございます。特に刑事事件の処理をめぐっていろいろまた紛糾を生じた事例というのは非常にたくさんあるわけでございます。私ども、そういうふうな事例につきましても、それを収録したりいたしまして、過去に再々にわたりまして、このような問題の事件の処理というふうなものについては、あらゆる面からの慎重な配慮をしばしば要求してきておるところでございますので、おそらく徳島の地検の取り扱った事例の中にも、今回が初めてじゃございませんで、過去にもたくさん同種の事件がございますので、徳島の地検といたしましては、私の立場からは、ただいまいろいろと詳細に御指摘がございましたように、いろいろな観点を必ず十分に考慮の上でああいう結論に達したものと考えております。ただ、先ほど大臣も申されましたので、私はさっそく現地に連絡いたしまして、ただいまのような点について、どういうふうな配慮とどういうふうな捜査の結果こういう結論に達したかという点につきまして、できるだけ詳細な報告を一回求めてみたいというふうに考えております。
#70
○説明員(丸山メ君) 私どものほうも、個々の事件につきまして具体的に警察庁のほうから指示をするということはないわけでございます。一般的な指示といたしまして、もちろん捜査については、人権を尊重し、合理的、公平な捜査を進めるということを繰り返し指示しておるわけでございます。また、各県警につきましては、それぞれの府県の特殊事情があるわけでございまして、庁のほうで総括的にどうという形で打ち出せない問題もあると思うわけでございますが、そういった特殊事情に対応いたしましては、先ほど申し上げました一般原則にのっとってあくまでも慎重な取り扱いをするということでまいっておるわけでございます。
#71
○秋山長造君 重ねて申しますが、これは私言わなくても、あなたのほうもよくおわかりだと思うけれども、ただ一般的な人権尊重というと、それはもう人権尊重には違いないんだけれども、ただ普通に言っている人権尊重というのは、もういまではまくらことばのようなことになっているだけに、内容がなくなってしまって、ただ拝啓述ぶればぐらいなことになってしまっていると思うんですよ。だから、ただ人権を尊重して捜査をやれという程度のことでは、なかなかこういう問題の扱いはよほど慎重な態度をもって取り扱えという意味になって響かぬのですよ、ただ通俗的に人権尊重ということだけでは。だから、特にいまいい機会だと思うんですよ。同対審の膨大な答申が出て、それを根拠にして、与野党各党がとにもかくにも一致して、内容は不十分ですけれども、とにかく国会の各党が一致して、政府も一致して、そうしてこの特別措置法というものをここでつくったんですからね、これはやっぱり一つの画期的なできごとだと思うんですよ。だから、こういう機会にひとつ、一般行政の面はもちろんですけれども、まあただいまの場合は法務行政なり警察行政について言っていることですけれども、その面でもやっぱり、ただ普通の人権尊重というようなまくらことばでなしに、もうひとつ掘り下げた指導を私はやられるべきじゃないかと思うんですよ。その御用意があるかどうかということと、それからさっき前段で申しました、この事件についての、私もこれは自分が直接タッチしたわけじゃないんですから、いまの話を聞いての私の感想で質問しておるわけですからね。ですけれども、いまの尾崎議員のほうは警察署へ呼んでいろいろ慎重に話を聞いておりながら――いわば加害者ですよ、もとを言えば、尾崎議員が。それに反発してこの二月十九日夜の尾崎邸での一件というものが起こっているんですからね。ですから、もとをつくった人の話だけ聞いて、それであとの人の話を全然聞かずにいきなり機動隊で包囲して逮捕というのは、ちょっとつり合いを失しはせぬかということの配慮が足らなさ過ぎるんじゃないかということですね。その前段の具体的な話ですけれども、ちょっと両点をお答え願いたい。
#72
○説明員(丸山メ君) 第一の点でございますが、私ども第一線の指導の際には、人権尊重という意味はあらゆる問題を含んで言っておるわけでございまして、当然本件のような場合においても考えられるべき問題でございます。特に個々の事案を特定してどうしろという指導はなかなかまいらぬと思うわけでございますが、今後もより一そう慎重に人権尊重の問題については配慮するように、指導を強化してまいりたいと考えておるわけでございます。
#73
○秋山長造君 前段のほうの一方的なことだけ聞いていきなり逮捕のやり方は、ちょっと不用意じゃないかということ。
#74
○説明員(丸山メ君) 一般的に捜査の問題については、その犯罪の実態を客観的につかむということが私どもの使命であるわけでございまして、その客観的に把握するための必要な措置ということは十分にとらなければならないと考えておるわけでございます。したがいまして、当然本件の場合も、徳島県警においてはしかるべき措置をとったものと考えておりますが、今後もより一そう、いま申し上げましたような点について、第一線の慎重な配慮をなすよう指導いたしたいと思っております。
#75
○秋山長造君 まあ県警でやられたことですからね、あなたが国会へ出てきて、ただ文書の報告だけ聞いて、直ちにそれは軽率だったとか間違いであったとかいうような批判的なことは、それはおっしゃれぬでしょうから、あなたの立場でそれはおっしゃれぬだろうと思う。それはわかります。わかりますがね、どうも配慮が足らぬようにどうしても私は思えてならぬ。ですから、それもまた国民の声ですから、あなたのほうでも、警察のやられたことはいかなる場合もすべて客観的に絶対間違いなかったと、正しかったとはおっしゃらぬと思うのですよ。それは人間のやることですからね。それはときに判断を誤ったり、不用意であとからもう一つ手を打っておけばよかったというようなことも、それはしばしばあるだろうと思う。だから、そういうふうに考えてくださって、ひとついまの差別問題をこの日本から、社会からなくしていくんだ、これはもう国民一致してなくしていくんだということが一番根本ですからね、そこから出発をして、警察のほうでもひとつ十分、一そう慎重を期して、深い配慮をしながらひとつ問題を扱っていただきたいということを重ねて要望しておきます。
#76
○亀田得治君 人権擁護局長にちょっと聞いておきますが、先ほど人権擁護局としても調査しておるというお話でしたが、ぜひこれはこちらの注文として、二つの点を特に要請しておきたいと思うのです。
 その一つは、やはり尾崎市会議員の発言、行動ですね。まあこういう問題が起きますと、えてして、これはああいう意味だったとか、こういう意味だったとか、関係者はみんな言いわけするんですよ。しかし、そうは言うけれども、ほかの人であったならば――児島議員じゃなしに、ほかの人であったならば、もっと慎重に発言したろうということは、私ははっきり言えると思うのです。そういうところにやはり問題があるわけなんです。だから、これはまあ人権局としてはこの種の問題はいろいろ手がけておられるわけですから、そういう立場で、形式的な調べじゃなしに究明してほしい。
 それから第二の問題は、警察権の発動のしかたですね。これは私は新しい人権問題であると思うのですよ。これは、本件の人たちでなければ、おそらくこんな発動は私はしておらぬと思うのです、一般市民の方だったら。だから、あの発動が法的に行き過ぎであったかないかというところだけを見ておると、いや向こうはやむを得なかった、証拠隠滅を防ぐためにやむを得なかった、いろんな理屈は言いますよ、そんなことは聞かぬうちからわかっているんだから。しかし、じゃ一般の国民の間でこういう問題が起きたら、そんな簡単に出動しますかという立場から究明してほしい。これは明らかに職権乱用――そうなれば、いや普通にもやりますよというようなことになったら、これはたいへんだ。またそんなことが公然と言われるようだったら、本件の事態において。
 だから、その二つの点から、ひとつ人権問題として、せっかくいろいろやっておられるんでしょうから、これはやはり地元にもまあ優秀な方もおられるでしょうが、なかなか問題も深い問題でもありますから、ひとつ局長も関心を持ってタッチしてほしい、これを要望しておきます。
 それから、ちょっと一緒に言います。刑事局長のほうですがね、次官も来られたから、ちょっと聞いておいてほしいのだが、さっき大臣はきょうの質疑をお聞きになって、若干気持ちも持っておられるようだ。何とかひとつ収拾できるものならしたいという、私はそれは政治家として当然だと思うのですよ。こんなものは裁判やっておってごらんなさい、検察庁も警察もみなぐるになっておれたちと対立しているのだというかっこうが数年続くわけですよ。それは一方では同対審が出てくる。全くそれはナンセンスですよ、そんなことをやっているのは。しかも、検察庁の言うとおりにしたって罰金二万円だ。その裁判費用だけだってたいへんでしょう。検察官や裁判官の使う、国のほうが使う裁判費用だけにしたって。だから、こういうところをひとつ、ただ警察があすこまでやったのだから顔を立ててやらぬとどうもぐあいが悪いという、そんなちっぽけなことじゃなしに、もっと大所高所、私は、起訴前であれば、ほんとうに法務大臣にも直接会い、刑事局長にも会って説明したいくらいの事件ですよ、これは実際は。起訴になってしまったものを、ですからなかなか処理がむずかしくなったものだからしかたないわ、これじゃいまの全体の国政の方向から見て矛盾があると思うのですよ。だからぜひこれは検討してほしい。それはなかなか一線の検事やそんな諸君に言うたって、そんなことそれは同意するものじゃありませんよ。その点ひとつ刑事局長に要望しておきます。この要望に対し、人権局長と刑事局長と両方から答えてください。
#77
○政府委員(上田明信君) ただいま仰せの二点につきましては、特にこれを指示いたしまして、現地へ申してやります。なお、先ほどの御質問もありましたのですが、私のほうから直接人を派遣するといいのでございますけれども、人権擁護局は人が非常に少ないものでございますから、直接本省からは派遣できませんけれども、あすこの監督官庁である高松法務局というのがございます。高松法務局とも連絡をとりまして、ちょうど検察庁で言えば高等検察庁に当たるわけですが、高松法務局からも調査の応援をせしめて、特にこの二点について調査せよという指示をいたしたいと思っております。
#78
○政府委員(川井英良君) あらゆる一切の事件がそうであるけれども、特にこの種の事件については、その背景なりそれから経緯なりというふうなものについて十二分に配慮をして遺憾のない処理を心がけよ、こういうふうな御要望であり、またおさとしである、こう理解いたしまして、その趣旨におきまして、今後さらにあらゆる事件について、またこの柿事件につきましては格別に遺憾のない措置をとるように心がけてまいりたい、こう思います。
#79
○委員長(小平芳平君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十二時散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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