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#1
第061回国会 法務委員会 第9号
昭和四十四年五月十五日(木曜日)
   午前十時二十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月八日
    辞任         補欠選任
     後藤 義隆君     青木 一男君
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     青木 一男君     後藤 義隆君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小平 芳平君
    理 事
                後藤 義隆君
                河口 陽一君
                亀田 得治君
    委 員
                上田  稔君
                木島 義夫君
                近藤英一郎君
                堀本 宜実君
                山本敬三郎君
                山高しげり君
   国務大臣
       法 務 大 臣  西郷吉之助君
   政府委員
       法務省人権擁護
       局長       上田 明信君
       運輸省鉄道監督
       局長       町田  直君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
   説明員
       日本国有鉄道常
       務理事      長瀬 恒雄君
       日本国有鉄道公
       安本部長     木村 善隆君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (鉄道公安職員による人権侵害等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小平芳平君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についておはかりいたします。
 委員の異動に伴い、理事が一名欠員になっておりますので、その補欠選任を行ないたいと存じます。選任につきましては、先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に後藤義隆君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(小平芳平君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#5
○亀田得治君 本日は、国鉄の公安官の人権侵害の問題について若干お尋ねをしたいと思います。
 元来、公安官という制度ですね、一経営者である国鉄、そういう国鉄に警察権を持ったものを置く、そういうものが国鉄の機能の中に入っておる。これは非常に制度的にも相当問題があると私たち基本的に平素から考えております。言うてみれば、国鉄の業務命令に服して、そうして守衛的な立場にあるものに、本来国家が行使すべき警察の捜査権というものを一部渡しておる、こういうところに根本問題が私はあると思います。で、そういう公安官の地位を乱用して、そうして労使の紛争に介入していく。こういうことになりますと、本来これが設けられた趣旨から相当逸脱していると思うのです。国鉄としては便利だからすぐそれを使う。普通の警察の発動を要請するのはなかなか手間がかかる。平素から自分の掌握下にある公安官、それをすぐ使う。こういうことは、非常に根本的に私は再検討をしなきゃならぬと思っているのです。そういう立場でいろいろな批判も出ておることも御承知のとおりでありますが、そこでそういう根本問題なりはあと回しにいたしまして、最初まず、最近起きた事件ですが、その点について一、二お尋ねをいたしたいと思います。
 まあ問題が非常にたくさんあるわけでして、その中から一つ二つ拾うわけですが、その第一は、今年の五月一日午後十時半から翌日の午前二時ごろまでの間に起きた京都駅における鉄道公安員による稲村弁護士の逮捕事件というものがあるわけです。これは新聞でも報道されたことでありまして、まことにこれはけしからぬ事件だと考えておるわけですが、まず運輸省なり国鉄の側から、どういうふうにこの事件を見ておるのか、御説明を願いたい。
#6
○政府委員(町田直君) 具体的な事例でございますので、国鉄から説明さしていただきます。
#7
○説明員(木村善隆君) 私から簡単にお答えいたします。
 先ほども御指摘がありましたが、五月の一日の二十二時二十分ごろ、音戸2号という急行列車が京都駅ホームに到着いたしました際に、列車の側面に約三千枚ばかりのビラが張られておったのでございます。そこで、現地対策本部長の指示によりまして、当局員がこのビラをはがし始めたわけであります。片や公安職員は証拠収拾のために状況を写真に撮影いたしておったのでありますが、たまたま弁護団のうちの一人が写真撮影行為を妨害いたしまして、京都の小川という公安副室長に対して、「君はだれだ」、これに対して公安副室長は、公安手帳を出しまして身分を明らかにいたしたわけであります。反面、今度はその人に対しまして、「君は何者だ、乗車券を持っておりますか」ということを質問いたしましたところが、黙って語らない。そこで、乗車券がなければ鉄道営業法違反であるということを本人に告げまして、鉄道公安室に同行を求めたのであります。本人はこの同行に任意に応じました。ところが、同行の途中におきまして組合員約七十名と出会いました際に、その中の一人が、小川公安副室長に対しまして内またをけりあげて、これに全治一週間のけがを与えました。そこで、この男を公務執行妨害、傷害の現行犯として逮捕いたしたのであります。そこで、このトラブルの間におきまして、弁護人――これはあとで、さっきお話のありましたように稲村さんということがわかったわけでありますけれども、この人がどこに行ったかということを改札口近くでさがしたわけであります。たまたまその改札口近くに行きまして、切符も渡さずに改札口から表に出た。そこで小川副室長は、その人をとめてくれというわけで、警備に従事しておった数名の者に依頼してその人をとめて、「先ほどあなたは公安室へ同行することを承知されたのじゃないか」ということで同行を促して、本人もこれを承知して、そうして公安室へ行った。公安室へ参りましていろいろ事情をお聞きしたわけでありますけれども、氏名、住所、職業その他は全然話してもらえない。その間、約二時間前後経過したわけであります。ところが、その公安室の前へ集まりました数百名の組合員から、「稲村先生がんばってください」ということと、もう一つは、高谷という弁護士の方が、「あの人は稲村さんという人である」という証言もありましたし、事案も軽微でありましたので、お帰りくださいということを促しましたところが、先ほど申しました西田という人と一緒でなければ帰らぬということで、それから約一時間ばかり公安室におられた、こういう事案でございます。
#8
○亀田得治君 いまおっしゃったようなでたらめな中身な報告ですが、いま逐次それを明らかにいたしますが、それはどこからそういう報告が来ておるのですか。
#9
○説明員(木村善隆君) 大阪鉄道管理局を通じまして私のほうに報告があっております。
#10
○亀田得治君 管理局長名で来ているのですか。
#11
○説明員(木村善隆君) 捜査に関することですので、管理局の公安課長でございます。
#12
○亀田得治君 公安課長名で文書で来ているのですね。
#13
○説明員(木村善隆君) 文書と同時に、口頭で説明を受けております。
#14
○亀田得治君 口頭の説明というものは、皆さんのほうで控えてありますか。
#15
○説明員(木村善隆君) メモはいたしております。
#16
○亀田得治君 その報告書並びにメモの写しですね、そこにありますか。
#17
○説明員(木村善隆君) 報告書はここに持ち合わせておりません。
#18
○亀田得治君 それは資料として出していただけますか。
#19
○説明員(木村善隆君) 公安課長から簡単な報告書をもらっておりますけれども、正規の報告書を取り寄せまして、その上で提出さしていただきたいと思います。
#20
○亀田得治君 私がなぜそういうことを申し上げるかといいますと、従来公権力を持った方々がいろいろな不当な人権侵害になるようなことをやりましても、なかなかそのとおりのことが報告書となって出てこないわけですね。したがって、私は、どんな報告書が一体来ておるのか。皆さんがここで答弁されるのは、そういうものをもとにしてやられるわけですからね。だから、事実がもし明確になれば、そういううその報告書を上へ出したということで、これは行政上大きな責任があると思うのです、ぼくは。事実がはっきりした場合に、なかなかそういう点が、皆さんの内輪のものなものですから、従来はあまり厳密にそういうことが追及されませんが、私は、本件では、先ほどお答えになったようなそういういいかげんな地元からの報告に基づくお答え、こういうことでは絶対了承できないのです。私いまから事実を申し上げますから。当日は、先ほど長瀬理事からのお答えの中にありましたように、列車のステッカーをはがす、それを公安の諸君が写す、こういうふうなことがありまして、弁護団としては、稲村弁護士としては、そういうことは組合活動に対する介入だ、やめてくれという意味のことを申したわけですね。稲村弁護士の立場は、当日は国労弁護団ということをちゃんとたすきに書いて、一見わかるようにしておるわけです。間違うわけがない。労働組合から依頼を受けて、そうして重要な翌日の闘争を迎えて不当な弾圧なり介入があってはいかぬということで、弁護活動として来ておる人だということは、これはもうはっきりわかる状態です。だから、そういう方ですから、改札を入るときにも切符なしでちゃんと入れてくれているわけなんです、目的がはっきりしておるのですから。切符があるとかないとか、さっきも説明がありましたが、これはスムースに入っておるわけなんです。何もまぎれ込んで入っているわけじゃない、堂々とちゃんと入っている。これは従来の慣例でもあるわけなんです。そういう立場で、さっき申し上げたような注意をしたわけですね。そうしたら、小川副室長なる者が、稲村弁護士に、一切符を持っておるか」、こういうことを言ってきたようです。稲村弁護士はそれに対して、「そんなことは一々答える必要はない、自分は組合の委任を受けてここへ来ておる弁護士なんだ」と言いますと、とたんに小川副室長が、「鉄道営業法十八条で逮捕する」、こう言ったのですよ。さっき長瀬さんは鉄道営業法だけをおっしゃったのです。そうじゃない、「鉄道営業法十八条で逮捕する」、こう言いまして、近所にいた公安職員七、八名に命令をしまして、そうして稲村弁護士をつかまえたわけなんです。稲村弁護士の両わきをかかえる、うしろから押える、こういうかっこうでホームから階段のほうに引きずり上げるようにして連れていったわけなんです。おおよそ、そんな任意同行というようなかっこうじゃ絶対ないわけなんです。そうしておるうちに、さっきもお答えの中にあったように、労働組合員の一人が逮捕されて公安室のほうに連行されたということの情報が入ったもんですから、さらにそちらのほうに稲村弁護士が行こうとしたわけですね。その前にホームで若干トラブルがあったんですか、一たん公安の諸君から稲村弁護士がのがれたようですね、何かざわざわしている間に。のがれたんですが、組合員の一人が公安室に連れていかれたということを聞いたので、今度はその人の弁護活動をしなければならぬということで、小林弁護士と一緒に公安室のほうへ行こうとして改札口を出たんです。公安室はホームの外になっているようですね。そうしたところが、稲村弁護士のうしろから、「逃げるぞ逃げるぞ、ぱくれ」という声がかかって、二名一組、三組の公安職員というんですから、合計六名ですね、六名の人が稲村弁護士をつかまえて、そうして口々に「逮捕だ逮捕だ」と言って連れていこうとしたわけですね。もちろん、弁護士ですから、「何をするんだ、自分は弁護士だ、放せ」という抗議をしたが、さらに公安職員がふえてきて、そうして「そんなことは裁判になってから言ったらいい」というふうなことまで怒号して、両わきのうしろをがっちり押えて、そうして公安室まで無理やりに連れていった、こういう事件なんですよ。稲村弁護士は連れていかれるときに、持ち上げられてさかさにつるし上げられたようなかっこうにまでなっているんです、ある場所では。そうして国労弁護団のたすきが引きちぎられているんです。それから、着ておりましたせびろの右そでですね、これが引き裂かれているんです。一体こんなことがどうして任意同行の場合にあり得るんですか。しかも、口では「逮捕だ逮捕だ」と何べんも言っておるんですよ。任意同行でそういうふうなことになりますか。また、報告書には稲村弁護士のそういう服装がどういうふうになったとかといったようなことは書かれておるんですか、どうなんですか。
#21
○説明員(木村善隆君) 服装等については報告は受けておりません。先ほどお話がありました件につきましても、いろいろ私どもの受けている報告と食い違う点があるわけですけれども、たとえば改札口を出るときの状況なども、小川副室長が改札口付近でさがしておった際に、稲村弁護士が改札口を切符を持たずして足早に走っていくので、その近くにおった警備の公安職員に、それをとめてくれということで、その際に、周囲にも相当多数の組合員がおりました環境の影響もありまして、軽く手を触れた。「手は触れなくてもいい、自分で行く」ということで、任意に承諾されて公安室へ行かれたというふうに報告を受けております。
#22
○亀田得治君 だから、そういう報告を皆さんがいつも土台にして考えておるから、適切な措置ができないわけですよ。いやしくも弁護士がさかさにされたとか――階段を上がるときにはそういうかっこうになるわけでしょう、みんなで持ち上げていくわけだから。たすきがちぎれたり、重要なことじゃないですか。なぜそういう報告が出てこないんです。そうしてね、私も当時、午前一時まで、大阪の鉄道管理局の中にある組合の事務所にいたんですよ。京都からそういう連絡があったから、私と一緒にそこにいた若い弁護士の方に京都へ連絡させたんです。任意だったら、あんた三時間もどうしてそんなところにおるんです。人権のことをやかましく言うて活動しておる弁護士が、そんなばかなことありっこないじゃないですか。そういう報告なんて全くでたらめで、第一、「鉄道営業法十八条で逮捕する」、これははっきり言明している。十八条でそんなもの逮捕できるんですか――できないでしょう。私もそう聞いたから、午前一時ごろ条文を引っぱり出して検討したわけです。罰則はついておらぬわけでしょう。逮捕の根拠規定にならぬわけです。そういうことがこの公安の諸君の中にだんだんわかってきて、それ外”これはえらいミスだということで、今度は開き直って、いやあれは任意同行してくれたんだ、こういう言い方に変わってきているんです。そういう問題が起きてから、ずっと私は大阪にいて、その連絡なり報告を逐次受けておるんだから。そうでしょう、事実は。初めは逮捕だといってつかまえた、無理やりに連れていったんですよ。よく調べてみたら、十八条ではどうにもならない。そういうことを聞いていますか。
#23
○説明員(木村善隆君) 十八条の件ですが、これは乗車券の呈示を求めた根拠規定でございます。任意同行を求めましたのは、鉄営法三十七条「停車場其ノ他鉄道地内ニ妄ニ立入リタル者ハ十円以下ノ科料ニ処ス」、この根拠規定に基づきまして回行を求めたわけであります。
#24
○亀田得治君 そんな報告が来ているの。
#25
○説明員(木村善隆君) そのように報告受けております。
#26
○亀田得治君 そういうふうに都合のいいようにいいように、あとからあとから見解を変えていくわけだ。けしからぬと思うんですよ、そういうやり方は。私は、こういうことが、公安だけじゃなしに、警察が間違いをおかした場合でも、絶えずこういうあとからへ理屈をつけることが行なわれるんです。だからぜひこれは、ちょうど法務委員会法案もあまりありませんので、一ぺん、被害を受けた稲村弁護士並びにその状況を見ていた人、あるいは公安室の関係者をここへ呼んで、真相を明らかにする必要があると思うんです。そうしませんと、どんなことを言っても、あとから、いやあのときはああだったが実はこの条文だったとか。十八条ということを何回もやりとりされたんですよ、大阪と京都の間で。「おかしいじゃないか、どうして十八条で逮捕できるのか」と私も言ってやったんです。そうしたら、そのうちに見解が変わってきたんだ。そうして、事もあろうに任意同行とは、何たることです。それで、弁護士が逮捕されて、その弁護士に対して弁護活動が必要だから弁護士が面会を求めても、それもシャットアウト、錠をかけてしまっている。こんな乱暴なことがあるものですか。大体、鉄道営業法に基づく退去を求める行為、これなども福岡高裁で昨年でしたか判決が出ておるでしょう。警察官の警職法に基づく行動とは違って、決してそんな強いものではないと。これは当然な私判決だと思うんです、法全体の体系からいって。いままたそういうことをおっしゃる。そんなことあなた、京都で事件が起こっておる段階で、一言だって言ってやせぬですよ。直接ずっと私がタッチしておったから、これはっきり言うんですよ。どうせ追及されるだろう、そのときにはどう言おうかと、あとからそんなことを考え出したんだろう。第一、みだりに入っておるわけじゃないでしょうが。三十七条といまおっしゃったね。自分はどういう任務できょうは来ておるからということをはっきりさせて、ちゃんと改札も通って入っているんじゃないですか。どうして三十七条に当たるんです。どこへでも持っていきさえすれば言いのがれができると思ったら、それは間違いですよ。間違ったら間違ったで、はっきりあやまりなさい。この間違いは大き過ぎますから、はっきり処分しなさいよ。いやしくも弁護士を全く理由のない条文を示してつかまえて、新聞で出されているんだ。大きな不名誉でしょう、本人にとっては。あやまりもせぬで、人の洋服までくしゃくしゃにしておいて、任意同行なんて、そんなことよう言えますな。こんな速記録、組合員の人が見たら、ともかく国鉄の上層部なんというものはうそつきばっかりだという感じを私は持つと思うんです。どうなんです。私がいま申し上げているのは不自然ですか。任意でどうして――三時間も弁護士がそんなところにおるわけがないでしょうが。それでもあなたたち任意でいたと言うんなら、あまりにも非常識だ。それが三十分とか二十分ほどそこに閉じ込められたというんなら、あるいは任意でいたとかいないとか論争の余地があるだろうが、しかし稲村弁護士の立場ははっきりしているんだ。当日は何のために来ているか。人権の何たるかはよく知っておる。そして明日の統一行動に向けていろいろな諸君が外にもおるわけでしょう。任意でそんなところに行くわけがないじゃないですか。皆さんがそんな報告を受けて、ああそうですかなんて聞いているような頭じゃ、そんなものは公安官に対する適正な取り締まりなんかできるものじゃないですよ。そう思いませんか。それでも任意だと言い張るのですか。服装のことは報告ないとあなたはおっしゃった。これから調べなさい。ところが、そういう立場の弁護士が、任意で三時間もどうしてここにおるんだ。任意であなたおると思うのか。思うんだったら、大体そういう頭でこららも考えていかなければいかぬですな。これは長瀬理事どうだ。鉄監局長も。
#27
○説明員(長瀬恒雄君) 先ほど木村本部長が申しましたとおりでございまして、当時の模様につきまして私も報告を受けておりますが、先ほど本部長が申しましたとおり、本人はそこにおりまして、そしてお帰りくださいと言ったにもかかわらず、先ほどの逮捕された者が帰らなければ――釈放しなければ私は帰らない、こういうふうに言っているということを私も伺っております。
#28
○亀田得治君 待ってください。逮捕されておる者が帰らなければ私も帰らぬとは、公安室に入っている人のことですか。−それじゃ、結果はどうしたんですか。結末は。
#29
○説明員(木村善隆君) 結果的には、時間的な経過を申し上げますと、稲村、西田、二人の人物がおります。西田はこれは現行法で逮捕したわけでございます。公務執行妨害と傷害の疑いですね。稲村弁護士につきましては、二十二時三十五分ごろ同行を求め、公安室へ参ったのが二十二時四十五分ごろでございました。それから零時二十五分に、お引き取りください――それは、先ほどお答えいたしましたように、稲村弁護士であるということがはっきりわかったからであります。
 片や、逮捕しました西田につきましては、二十二時四十分ごろ逮捕いたしまして、二十二時四十五分ごろ公安室に連行いたしました。これを釈放いたしましたのは一時四十分ごろでございます。したがって、稲村弁護士に零時二十五分にお引き取りいただきたいと促してから一時四十分まで約一時間十五分、公安室にとどまっていた。その理由としては、逮捕された西田が釈放になるまではわしもここにおるということで、一時間余りそこに残っていたというのが実情でございます。
#30
○亀田得治君 あとの部分がそのとおりだとしても、お帰りくださいと言うまでは強制的に逮捕しておるのでしょう、監禁しておるでしょう。それは時間がどれだけになるのです、入ってから。公安室に入ったのは何時ですか、もう一ぺん。
#31
○説明員(木村善隆君) 二十二時四十五分ごろでございます。
#32
○亀田得治君 そうすると、二十二時四十五分から零時二十五分までは、あなたの答えからいうても監禁しているじゃないですか。
#33
○説明員(木村善隆君) まあ、稲村弁護士に来ていただいたところは二階の公安の事務室でございます。そこで、先ほど申しましたように、住所、氏名、あるいは乗車券を持っておられなかったということから、その事情をお聞きしたわけでありますけれども、全然黙して話をしてもらえないということで、若干時間的に手間どったことはあります。その間におきまして、稲村弁護士は外の組合員に対しまして話しかけたり、アピールしたり、自由に行動をされておりましたし、その状況は不当監禁という事実には該当しない、そういう意図ももちろんございません。また、そもそもこれは逮捕でなしに任意同行でございます。
#34
○亀田得治君 逮捕ということばを使ったことはないと言うのか、君は。
#35
○説明員(木村善隆君) そういうことは聞いておりません。
#36
○亀田得治君 報告を聞いておらぬというのだろう。
#37
○説明員(木村善隆君) はい。
#38
○亀田得治君 いやしくも責任のある者が、こういう憤概した上申書を、うそのことを書けるものではないよ。もっとそういう問題が起きたら客観的に調べなさいよ、客観的にね。弁護士だということはわからなかったのかね。では零時二十五分までわからなかったの。
#39
○説明員(木村善隆君) 弁護団というたすきをかけてはおりましたけれども、あなたはどなたですかと聞きましても、全然名前も言いません。弁護士のバッジもつけておらないということもありまして、なお、さらに詳細に事情をお聞きしょうということで、任意に同行していただいたわけでございます。
#40
○亀田得治君 大阪から電話があったでしょう、公安室に。稲村弁護士がそこに行っているからという。そんな調査だめですよ。もっとこまかく調べなさい。調べてその報告書を出してください。相変わらずいいかげんなものがある以上は、ぼくら承服できない。これは法務省側にひとつ聞いておきたいのですが、重大な人権侵害事件だと思うのです、これは少なくとも特別公務員の職権乱用に私はなると思うのですね。どうですか、人権局長。
#41
○政府委員(上田明信君) 職権のことで、実は鉄道営業法自体をちょっといま見ているわけでございますが、事実関係とあわせて法律関係その他については十分調査をした上でお答えをしたいというように考えます。事柄が重大でございますので、まず事実関係を固め、その上で法律関係を同時に検討したい、こういうように考えております。
#42
○亀田得治君 まあ順序としてはそういうことになろうかと思いますが、最近は人権擁護局はたいへん忙しいようですけれでも、しかし全くこれは珍しいケースでして、京都の法務局を使うなりして、ぜひ関係者を調べて、人権侵害事件になるかならないか、はっきり見解を出してほしいと思うのです。
#43
○政府委員(上田明信君) 仰せのとおりに、法務局に至急指示いたしまして、本件について詳細に調査をするようにというふうに命じまして、その上で結論を出したいと思います。
#44
○亀田得治君 私が指摘するような事実がはっきりしてきた場合に、運輸省はどうするんでしょう。運輸大臣でしょう、最高の監督権は、公安官に対する。
#45
○政府委員(町田直君) 鉄道公安官がその職務を行なうに際しまして人権侵害にわたるようなことをいたさないということは、これは当然のことでございますので、ただいま事実関係につきまして先生からも御指摘がございましたし、国鉄からも説明がございました内容につきましては、十分調査する必要があると思います。その上で、よく調査した上で考えたいと、こういうふうに考えております。
#46
○亀田得治君 もう一つ具体的な案件をお聞きしておきましょう。それは、今年の四月二十七日、大阪鉄道管理局の前で起きた事件ですが、同日は午前十時から国労の大阪地本とそれから国鉄当局とが集団交渉をすることになっておったんですがね。これは支部も参加して交渉をする。交渉は、賃金問題など六項目。そのことは、すでに四月二十一日に組合から大鉄局長に申し込んで、そうして二十七日の午前十時から交渉をしましょう、こういう話し合いがついていたんです。ところが、その日になって、国労の大阪地本の委員長などがその交渉の現場に行くことを入り口のところで公安官約五十名によって阻止された。そのために、団体交渉が三時間もおくれたんです、三時間も。何にも問題が起きておらぬのに、どうしてこういうことまで起こるのか。あまりにもこう出しゃばり過ぎていると思うんだな。事前に申し上げておったからお調べになっていると思うが、あなたのほうの見解をひとつ聞いておきたい。
#47
○説明員(木村善隆君) 二十七日というお話ですが、私のほうは二十四日の件ではなかろうかと思うんですけども、もし間違っておりましたら御了承いただきたい。四月の二十四日の十三時ごろの件でございます。賃上げと反合闘争の一環といたしまして、組合員約二百三十名が局長に対しまして集団陳情を行なったのであります。そのうち代表三十五名とは会見することといたしましたが、組合員は所定の三十五名のほかに約七十名も一緒に入ろうといたしたわけであります。そこで、局の文書課長から要請がありまして、公安職員がその入室を阻止したという事案であるわけでございます。その後、一たん入りました坂田という大阪地本の委員長が、一たん入ったんですが、表へ出まして、そうしてさらに多数の組合員と一緒に中に入ろうとした。その際に組合代表を阻止するとは何ごとだという抗議があったことを報告として受けております。
#48
○亀田得治君 二十七日  私の報告書には二十七日となっていますが、別な問題があるのかな。
#49
○説明員(木村善隆君) 先生、この事案は内容的には食い違いはございませんですか、事実において。そういう事案として。
#50
○委員長(小平芳平君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#51
○委員長(小平芳平君) 速記を起こして。
#52
○亀田得治君 まあ日が食い違っておっちゃ、これはナンセンスになりますから、一応問題を指摘しておきますが、ともかく事前に組合から国鉄の管理局長に申し込んで、いついつか団体交渉をやろう、支部の人も参加します。したがって、これは相当な人数になるわけです。そういう約束のもとに開かれようとしたものなんです。ところが、それに対して、一部の者は中へ入ったが、委員長以下入ろうとするのを入れない、こういう事態が起こったわけですね。いまのお話を聞くと、何か文書課長から要請があったという話でありますが、いずれにしても、これは憲法二十八条に基づく団体交渉権なんですね。その交渉はやろうと、こうなっておるのだ。そうでしょう、両当事者間で。人数が多少予定より多いとか少ないとか、そんなことは枝葉末節ですよ。枝葉末節なんだ、言うてみたらね。まあ経営者のほうから見たら、なるべく少ないほうが楽でいいかもしれぬ。しかし、組合のほうから見れば、いろいろなところに組織があるわけですから、どうせ交渉妥結といっても、なかなか現在の物価なり、そういうものに比べたら十分なもんが出てこぬわけでしょう。したがって、当然、少数の幹部だけが交渉をやっているっちゅんじゃ、これは運ばぬわけですよ。だから、どうしても参加したいという数がふえる、これは私は当然だと思うんですよ。これは民主主義の土台の問題ですわ、これはね。まあたくさんいるからといって、ちょうどこのごろ学校でやっているような、そういう乱雑な交渉をやろうというわけじゃありませんよ。ちゃんと訓練された組織なんですよ。あるいはそういう人数のことがどうなっておったか、これは私よく知りません。知りませんが、そんな程度のことで公安官が出しゃばって、そうして交渉を――この報告書によると、交渉がそのために三時間もおくれているんだ、三時間も。まあ公安官が三時間も入り口をふさいでおったということではないようです。ないのですが、そういう事態が起きたのだから、本交渉に入る前にそのことでいろいろ紛糾したようです。それは従来公安官が、実際に紛糾が起きておるときに、警察官にかわってそこへ出てくるとか――まあその出方がいろいろ問題にもなっておるが、そういうことはありましたが、こんな団体交渉に、予定された交渉にいまから行くんだと、それに対して出てくるというようなことは、全くこれは私は行き過ぎだと思う。文書課長がそんなもの要求したって、断わるべきですよ。文書課長が出てきて交渉したらいいのだ。何でもかんでもちょっと何かあるとすぐ使う。使われるほうも使われるほうだ。これは国家の公の権限ですよ、そういう面では。それをあなた、一経営者のまるで私兵みたいな感じですわね。国鉄当局も勘違いしているかもしれぬし、公安の諸君もそういうところがちょっとおかしいと思うのですよ。だから、いろんな公安官の紛糾聞きますけれども、正規の団体交渉に行くのを、しかも代表の委員長を入り口で相当長い間食いとめておった。こんなことは初めて聞くので、もう放置できぬと思っているのだが、そこまで公安官というものは出しゃばるのだったら、制度そのものをこれは廃止しなきゃいかぬですよ、制度そのものを。だから、日が違うから、事案が似ておるようでありますが、しかし、あのころは何回も団体交渉やっていますから、あるいはもう一つの案件がある、都合の悪いほうはあなたのほうに答えておらぬということかもしれぬから、そこを一ぺん調べてください。そして、前の報告、五月一日から二日にかけてのやつと一緒に、あなた方の見解を詳しくひとつ出してほしいと思うのです。その上でまたこの点は質疑することにいたしたいと思います。いいですね。
#53
○説明員(木村善隆君) はい、承知いたしました。
#54
○亀田得治君 そこで、私は公安官の問題について若干一般的にお尋ねをしてみたいと思うのです。鉄道公安職員ですね、これは現在どの程度おりますか、総数。
#55
○説明員(長瀬恒雄君) 現在約三千四百名おります。
 諸外国におきましては、問題もございますが、大体同数程度でございます。
#56
○亀田得治君 いろいろと伝統があるわけでね、どんな制度でも。そうしてまた、運用の実情だって違うわけでね。運用がちゃんとうまくいっておれば、もっとふやしてくれという要求も出てくるだろうし、それが越権行為などをちょいちょいやるようでは、そんなものやめてくれという声にもなるだろうし、安易にこっちの問いもせぬ諸外国のことなどを何もあんたのほうから答える必要はない。おそらく諸外国にもこれだけたくさんありますからというようなことを言いたかったのだろうと思うけれども、そんなことはよけいなことです。そこで、約三千四百名と言われましたが、役員で鉄道公安職員という肩書きを持っている人はあるのですか。あるとしたらだれです。
#57
○説明員(長瀬恒雄君) 役員ではございません。
#58
○亀田得治君 この鉄道公安職員の職務に関する法律の第一条によると、「役員又は職員で、」となっておるものですから、役員でもそういう肩書きを持っておる人があるかと思ったのだが、ないと。職員の中の一番上級のクラスはどういうことになるんです。
#59
○説明員(長瀬恒雄君) 現在は運輸大臣の指揮監督を捜査に関して受けているわけでございます。国有鉄道の中におきましては、公安本部長が本社におりまして、地方におきましては、地方の局の営業部長、支社の次長と、それから三支社――三支社と申しますのは、四国と中国、それから新潟の営業部長、これが地方部長でございます。
#60
○亀田得治君 そうすると、全部を統括しておるのが本庁の公安本部長、そして地方では三支社の次長とそれから局の営業部長ですか、部長と言いましたか、次長と言いましたか。
#61
○説明員(木村善隆君) 支社の次長です。
#62
○亀田得治君 支社の次長――これは三つあるわけでしょう。
#63
○説明員(木村善隆君) いや、支社はもっとあります。
#64
○亀田得治君 各ブロックにあるわけですか。八つですか、幾つですか。
#65
○説明員(長瀬恒雄君) 現在、支社は、北から申し上げますと、北海道の支社がございます。ここの次長。それから東北でございます。それから関東、中部、関西、それから九州でございます。その支社以外に、先ほど申しました四国、新潟、中国と、こういう支社がございます。
#66
○亀田得治君 この支社の次長というのは公安職員の肩書きを持っているわけですね。これは念を押しておきますが。
#67
○説明員(長瀬恒雄君) 持っております。
#68
○亀田得治君 鉄道管理局長というのはどうなんです。
#69
○説明員(長瀬恒雄君) 非常に複雑になっておりますが、先ほど申しましたのは、支社の次長、さらに鉄道管理局長、これが警備の関係の公安職員としておるわけでございます。捜査に関しましては、これは公安本部長の下に、地方に支社の次長、それから管理局の営業部長が捜査に関する公安職員としておるわけでございます。
#70
○亀田得治君 管理局長は警備に関すると言いましたが、公安職員になっておるのですか、なっておらぬのですか、肩書きは。つまり、運輸大臣の指定を受けておるのですか、公安職員として。
#71
○説明員(長瀬恒雄君) 公安職員ではございません。要するに、総裁からの警備に対する指揮権を持っているわけでございます。
#72
○亀田得治君 基本規程というのがありますね、公安職員の基本規程。これの第二条によりますと、配置が書いてありますね。この第二条にこういうふうに書かれておりますが、現在では多少違っておるのですか。さっきの説明と少し違うように思いますが、この規定が古いので、現状は違っておるわけですか、改正になっておるのですか。
#73
○説明員(木村善隆君) 三十九年に改正になっております。先生のお手持ちのものは古いものではないかと思いますが。
#74
○亀田得治君 新しいのにはどういうふうに書いてあるのですか、ちょっと正式に読んでみてください。
#75
○説明員(木村善隆君) 第二条でございますね、「鉄道防護の任務」……。
#76
○亀田得治君 いや、古いやつの配置に当たる部分です。
#77
○説明員(木村善隆君) 「配置」、「鉄道公安職員は、公安本部、支社、鉄道管理局及び鉄道公安室に配置する。」ということになっております。
#78
○亀田得治君 そうですが、わかりました。
 もう一度念を押しますが、支社の長というのは警備の関係は管理局長と同じような扱いになっているのですか、なっていないのですか。
#79
○説明員(長瀬恒雄君) 支社に二つございまして、先ほど申しましたとおり、三支社と申しますのは、四国、中国、それから新潟におきましては、これはそういうような立場にございますが、それ以外に先ほど申しました支社は役員でございますので、権限を管理局長に委任いたしております。
#80
○亀田得治君 管理局長に委任するというと、支社長は権限自体は持っていて、委任しているということなんですか。
#81
○説明員(長瀬恒雄君) 警備に関しましては、総裁、それから公安本部長、支社長、鉄道管理局長、こういうようなことなっておりますが、実態的には、支社長で役員になっておりますのは、これは鉄道管理局長に一部権限を委任いたしております。
#82
○亀田得治君 それを一ぺんわかりやすく表にしてみてください、図表に書いて。それで、鉄道管理局の下にあることになるのでしょうが、鉄道公安室ですね、これはどういう配置になっていますか。
#83
○説明員(長瀬恒雄君) 具体的な場所でございますか。
#84
○亀田得治君 はい、どことどこに置くのですか。
#85
○説明員(長瀬恒雄君) 現在は、公安室たくさんございますが。
#86
○亀田得治君 幾つぐらいあるのですか。
#87
○説明員(長瀬恒雄君) 現在は鉄道公安室は八十一ございます。それから公安分室が二十五で、これは全国の輸送の主要拠点に配置してございます。
#88
○亀田得治君 そうして、公安官の階級というか、段階があるわけでしょう。これはどういう呼び方になっているのですか、室長以下。
#89
○説明員(長瀬恒雄君) 公安室の室長というのがそこにおりまして、そのほかに副室長というのがおります。
#90
○亀田得治君 それからまだあるのでしょう、主任とか、班長とか。
#91
○説明員(長瀬恒雄君) それから主任、班長、それから公安員と、こういう組織になっております。
#92
○亀田得治君 この公安官を任命する際に、国鉄の総裁の推薦に基づき運輸大臣が指名すると、こうなっておるようですが、これはどういう規準で推薦しているのですか、別に規準ってないんですか。
#93
○説明員(長瀬恒雄君) 公安職員の任命に関しましては規準を設けておりまして、二十歳以上の男子であること、それから運輸大臣の承認を得た教科課程を修了する、それから運輸大臣から有資格者の認定を受ける、それから運輸省の告示に定めました欠格条項に当たらないというような規準がございまして、運輸大臣の承認を得て定めた教科課程、これは鉄道学園の普通課程の公安科に入学するということでございます。修業年限は三カ月半でありまして、科目につきましては、各種の国鉄に関する規程、法律、そのほか実技というもので、五百四十六時間の指導時限を受けております。
#94
○亀田得治君 運輸大臣の定めた欠格条件というのはどういう条件ですか。
#95
○政府委員(町田直君) 「鉄道公安職員の指名に関する告示」というのがございまして、それによりますと、「(一)禁治産者及び準禁治産者。」、それから「(二)禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終るまで又は執行を受けることがなくなるまでの者。」、「(三)第四条第二号から第五号までに定める事由により指名を解除されその指名解除の日から二年を経過しない者。」――第四条の第二号から第五号までと申しますのは、二号が「職務上の機密をもらしたとき。」、三号が「職権を濫用し、又は人権を侵害したとき。」、四号が「鉄道公安職員として品位を傷つけ、又は信用を失うような非行があったとき。」、五号は「前各号の外著しく不都合な行為があったとき。」、これが四条二号から五号までです。「四日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者。」、以上でございます。
#96
○亀田得治君 これは運輸大臣が国鉄から推薦してきた者を認めなかったというような前例はあるんですか、ないんですか。
#97
○政府委員(町田直君) 現在まではございません。
#98
○亀田得治君 まあ国鉄の、言うてみたら、言いなりということですね。実際上、審査もしておらぬわけでしょうね、実質的な。
#99
○政府委員(町田直君) 本件に関しましては、ただいまお読みいたしましたように、「鉄道公安職員の指名に関する告示」というものが出ております。そういうものに照らして具体的に調べました上で、運輸大臣の指名を受ける、こういうことでございます。
#100
○亀田得治君 しかしまあ、その条件といいましても、抽象的に書かれておる条件もあるわけだし、実際上はそういう中身について運輸省が調べるというようなことはしてないんでしょう。やってますか、やってないでしょう。
#101
○政府委員(町田直君) 非常にたくさんの数がございますから、個々について一つ一つ審査をするということはでき得ないことがございますけれども、しかし、国鉄から推薦をされます際に、よくその話を十分に聞いておりますので、具体的にというか、実際に審査をしていないということはうそになります。実際に審査をしていると申し上げてよろしいかと思います。
#102
○亀田得治君 それはまあ審査をした形式にはなっているんだろうが、一人一人について実質的に当たるということはないんでしょう。それほどの大体陣容もないんでしょう、そういうことのための。
#103
○政府委員(町田直君) 実際の当たり方でございますけれども、申請が出てまいります際には、履歴書等もついてまいりますし、そういうものもよく調べておるということでございまして、具体的に個々にわたって非常にこまかい調査をしているということではございませんけれども、しかし、少なくとも運輸大臣が指名いたす場合には、そういう手続を経てやっておる、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
#104
○亀田得治君 まあ普通、重要な役職であれば、履歴書に書いてあっても、その裏なり、関連したことを調べるわね、だれでも。そんなことはやらぬわけでしょう。履歴書に書いてあることがほんとうであるかどうか、そんなことまで調べないんでしょう。
#105
○政府委員(町田直君) もちろんそれは、一人一人についてその裏のところまで調べるということはいたしておりません。ただ、たとえば申請が出てまいりました中でもしそういうことがあったとして、非常に過去に重大なことがあったというような人がもしあるといたしますれば、その場合には履歴書以外のことでも調べるというたてまえでやっております。
#106
○亀田得治君 そうなると、結局、中身に入ってまでやっておらぬということですよ、こちらが受ける印象は。しかし、私はこれは相当重大な問題だと思うのです。運輸大臣の認定によって、国家の警察権の中の、捜査権の一部を渡すかっこうになるわけですからね。これは私は運輸大臣に一ぺん聞いてみたいと思っておるところなんですよ。わりあい軽う考えられておるようだけどね。警察官を任命する場合には、相当厳重にいろいろ調べてやっていますよ。しかし、国鉄から出してくるものについてはまるで形式的な審査だけで通る、これは多少問題があるんじゃないかと思うのですね、そういうやり方は。事の重要性というものについてあまり重く考えておられぬような感じがするんですよ。局長もあまり重きを置いていなかったんじゃないですか、実際こういうことを質問するまでは。
#107
○政府委員(町田直君) 「鉄道公安職員の指名に関する告示」をお読みいただきますとわかりますけれども、先ほど長瀬常務理事からもお話がございましたように、非常に詳細にその資格等も書いてございますし、ただいま申し上げたような欠格条項も書いてございます。したがいまして、決してこれは軽々しく扱っているわけではございませんで、国鉄からもちろん推薦してまいります場合でも、厳重にそういう点を審査の上で申請してまいります。私どもそういうことで指名をしている、こういうことでございます。しかも、この告示というものは、法律にございます「法務大臣と運輸大臣が協議して定めるところに従い、」という内容でございますので、まあ先生のおことばでございますけれども、決して運輸省といたしましては軽々しく鉄道公安官の指名を考えているということではございません。
#108
○亀田得治君 公安官との接触は、運輸省としてはだれにするわけですか、公安本部長ですか。
#109
○政府委員(町田直君) 運輸大臣の監督権というのは、私どもの理解しておりますところでは、これは一般的監督権であろうと存じております。個々の事案のケースにつきましては、それぞれ司法警察職員の捜査に関する規定を準用する、刑事訴訟法の捜査に関する規定を準用する、こういうことで、具体的な問題については警察庁の指揮を受けるということになると思いますので、個々のケースについて一々私どもが公安関係につきまして公安本部長等から報告を受けあるいはその監督をするということではございませんと思っております。ただ一般的には、私どもが公安職員を指導監督するという意味では、公安本部長直接、こういうふうに考えております。
#110
○亀田得治君 公安本部長から運輸大臣に対して直接、あるいはまあ局長に対してということになるかもしれませんが、何か年間なりもっと短い期間のほうがかえっていいのですが、報告というようなものはなされているのですか。
#111
○政府委員(町田直君) 形式的に具体的に資料をもって、正式な資料をもって報告するということはいたしておりません。実質上それが、公安本部長をお呼びするなり、あるいは公安本部長のほうからおいでいただきまして、全般的な状況その他についてのお話を伺っている、こういうことでございます。
#112
○亀田得治君 それは何か事件があったときにそういうことが行なわれるのですか、定期的に行なわれるのですか。
#113
○政府委員(町田直君) 特に事件があったときに、そのときどきにお話を伺っておりますけれども、一般的には、具体的に何カ月に一ぺんということではございませんで、随時お話を伺い、また私のほうからもいろいろお話し申し上げる、こういうことにいたしております。
#114
○亀田得治君 公安官の動き方等については、何か指示をしたことがありますか、運輸省として。
#115
○政府委員(町田直君) これはもう鉄道公安職員の職務に関する法律その他それに関係します一連の告示等で、本質的に公安官の行なうべき事項についての考え方なり心がまえというのは当然出ております。それに従って公安職員というものは仕事を実施している、こういうふうに考えておりますので、最近において特に具体的に指示いたしたことはございません。
#116
○亀田得治君 それは公安官の動き方については、職務に関する法律もあるし、そこで準用しておる刑事訴訟法といったような根拠規定があるわけですが、そういうものの適用については、これはおのおの専門の警察、検察庁等があるだろうし、あまり問題はないと思うのですが、ただ問題は、公安官が労使の紛争に介入してくる、こういうことがしょっちゅう年来問題になっていることなんです。こういう点につきましては、やはり私は任命権者である運輸大臣がもっと関心を持たなきゃいかぬと思うんですね。そういう問題についてもあまり突っ込んだ検討などなされておらぬように思うんですね。ほとんどもう国鉄のほうにまかし切りにしておる。ずいぶん社会的に非難される公安官の活動もあるし、また判決等によってそういう点の手きびしい指摘などを受けておるものもあるわけですね。そういう大所高所に立ったこの公安官の正しいあり方、姿、こういうことについてはやっぱり運輸省はもう少し関心を持ってしかるべきだと思うんですが、どうも積極的でないように思うんですが、どうですか。
#117
○政府委員(町田直君) 量的に申しまして、運輸大臣が直接に公安職員を一般的に監督をいたしますのは、司法警察職員としての職務内容についてであろうと思います。先ほど来お話ございますように、それ以外に公安職員の職務内容としてはいわゆる警備職務というものがございまして、これはむしろ国鉄総裁の指揮によって公安職員が動いておる、こういうふうに考えるべきであろうと思います。で、ただいま御指摘の公安職員が労使の問題に介入することがあるというような事態があることは、決して好ましいことではございませんし、本来の仕事でもございませんが、そういう面の監督につきましては、むしろ直接公安職員というよりも国鉄総裁を監督する、国鉄を監督するという運輸大臣の一般的監督権に基づきまして、労使関係についての適正な、何と申しますか、運用をするという意味の監督をいたすべきだというふうに一応考えております。
#118
○亀田得治君 運輸大臣が二つの立場があるような御説明ですが、まあその二つの立場に立って考えてもらってもいいんですがね、このことが国鉄の職場というものを非常に暗くしておるわけですよ。それは何といっても、公安官が警備関係にも関与してくるというその根拠は、やはり公安官という肩書きを与えられたところにその大きな土台があるわけですよ。これが単なる社内だけの警備、いわゆる企業内の警備、守衛といったような立場にとどまっておって、いわゆる公安官という肩書きがなかったら、なかなかそんな出過ぎたことは私はできないと思います。肩書きがあるから出過ぎやすいわけですよ。で、その境目がわからぬようになる、こういうことなんですから、公安官の運用、動き方、これはもう運輸大臣の国鉄全体に対する監督の立場でもいいし、あるいは公安官を監督するという立場からでもいいし、いずれでも結論は一緒ですよ。その辺について、どうも国鉄まかせという感じがするので、これは何といっても、当初申し上げたように、国鉄まかせであるべきものじゃないんです。国家の警察権力なんですから、本来。国鉄という特殊な職場なもんだから、例外的な措置としてとられておるにすぎないわけですね。これが間違えば、国家の警察権の行使がやはり間違ったということになってくるわけですよ、国民から見ればね。だから、そういう意味で、国鉄まかせというふうな姿勢は直してほしいと思うんですね、直してほしい。そういう積極的な気持ちというものはあるんですか。そうしませんと、国鉄がまるで私共のように使うわけだな、管理経営上。それはほかの職場の守衛にこういう肩書きを与えたって、やっぱりそんなトラブルは起きますよ。どこだって権力というのはそういうものですよ。それだけにやはり、職務に関する法律第六条ですかね、ここでちゃんと運輸大臣の監督権というものを書いておることの意味というものは非常に私は大事だと思う。公安官が間違ったら、一般行政上並びにこの職務に関する法律の監督権、そういう立場から、運輸大臣も相済まぬのだ、こういうやっぱり姿勢になってこぬと。そうなれば、国鉄だってやっぱりだいぶん注意しますよ。団体交渉めんどうくさい、じゃあこれでゆけというような、そんなことじゃなしに、どこの経営者でもみんな苦労しているのと同じような気持ちで苦労するようになる。その辺どうも安易であったように思いますが、どうですか。
#119
○政府委員(町田直君) 公安職員の服務に関する問題につきましては、先ほどもお話が出ました鉄道公安職員基本規程というのを国鉄自体が定めておるわけでございまして、その中に第一条、第二条、第三条というふうに、基本的な考え方あるいは任務というようなものをはっきりと書いております。この基本規程を、運輸大臣が重要な規程として認可いたしております。したがいまして、公安職員の行動は、先ほど先生が御指摘になりました、いわば国鉄の内部の警備業務としての仕事をやる考え方といたしまして、こういうふうにはっきり規定いたして、これに従ってやっておりますので、私どもとしては、まあいろんな事例がございますと思いますし、御指摘を受けるまでもなく、十分ふだんから注意をしなければならないとは存じておりますけれども、第一次的にはやはり国鉄総裁が御自分で定められたこの基本規程に従って公安職員が動く、こういうたてまえでいくべきであるということを考えておりまして、それがもしこの基本規程に反するようであれば、それ自体、すでに国鉄総裁として考え方が間違っておるということでございますので、そういう点では十分指導していきたいと思っておりますけれども、一般的にはこの基本規程に従って、公安職員はその点公正な判断に基づいて事務を実施しておる、こういうふうに判断いたしております。
 それから、繰り返しになりますけれども、公安職員の職務に関する法律の部分、要するに犯罪の捜査という点につきましては、当然運輸大臣が直接公安職員を監督するという立場にございますので、先ほどから申し上げるような趣旨に従いまして、十分な監督をいたしていきたいと、こういうふうに考えております。
#120
○亀田得治君 まあ警備の関係のことを第一に言われ、その際、公安職員の基本規程――国鉄総裁のきめた、これで公安職員が動いておる、こういうふうに言われますが、これは単なる企業内の一つの規則ですわね、言うてみたら。しかし、警備活動というものは第三者に影響を及ぼす活動なんです。だから、国鉄総裁がきめた規程さえ守っていればいいというものじゃないのであって、やはり根本的には憲法三十一条、ともかく人の自由を奪うような事柄は法律によらなければできないんだ、これがもう大原則ですわね、国鉄の場合だけじゃなしに。そのことが一番大事なんで、いま局長がおっしゃったような、総裁の通達さえ忠実に守っておればいいというような考えでは、結果においては行き過ぎが出ますね。といいますのは、総裁がきめたこの基本規程を見ても、職員の動き方についてきわめてこれは抽象的に書いてあるわけだ。たとえば、第二条「鉄道防護の任務」というようなことが書いてある。これを見ても、ここだけ見たら、えらい何か何でもやれるような感じもするわけですよね。ほかにもそういう条文があります。これだけを見ておると。これだけを諸君が読んでおったら、いやここに書いてあるんだというようなことになるわけで、それはもっと局長、憲法三十一条に基づくワク内のこれは規程なんだ、それに反すると思われるような行動は、抽象的にはこの基本規程に書いてあっても、そんなことはしてならぬのだ、このことが私は一番大事だと思うんですがね。福岡の高裁判決でも、それを指摘しているんです。公安の諸君は基本規程基本規程と、こう言う。それは全くほんとうに自分の内輪だけの問題であれば、内輪できめていいでしょう。外部に関係のあるようなことは、当然これは人権の問題であり、したがって、憲法の基本的人権の問題です。その点はどうなんです。そういう点はっきりしているんですか。運輸省なり国鉄にまず聞いてみましょう。長瀬さん、どうなんです。まさか基本規程が憲法に優先するというようなばかなことは考えておらぬと思いますが、実際にそういう点がよく徹底しておるんですかね、どうなんです。
#121
○説明員(長瀬恒雄君) 先生の御指摘のように、国鉄の鉄道公安職員基本規程、これは内部の規程でございますので、しかし心がまえとしては公安職員がこの精神に沿ってやるということは、これは事実でございます。憲法云々の問題がございましたが、もちろん、先ほど申しましたとおり、公安職員に対しても憲法についても指導いたしております。そのほか各種の法律につきましても十分指導いたしておりますので、この精神を体してやっているというふうに考えております。
#122
○亀田得治君 福岡高裁の四十三年三月二十六日の久次米事件についての判決ですが、これは国鉄当局はどういうふうに見ておるんです。公安官の行動に対するいままでのいろんな判決がありますが、一番明確にいろんな問題点について触れて法律解釈を下した判決だと思いますがね。どういうふうに国鉄当局はこれを受け取っておりますか。
#123
○説明員(長瀬恒雄君) いま先生の御指摘の福岡高裁の判決につきまして、まだ私詳細に実は読んでおりませんが、十分研究いたしたいと思いますが、考え方としましては、国鉄の公安職員のあり方と申しますのは、やはり国民の財産である施設を警備し、あるいは旅客、公衆の秩序を維持していくというたてまえでこれができているわけでございます。もらろん捜査に関しましては各種の法律によって規制を受けるわけであります。捜査に関しての問題につきましてはこの法令に従っていくというふうに考えなきゃならぬと思いますが、もちろん営業法その他いろいろな法律ございますので、その適用につきましては十分今後検討しなければならないと考えております。
#124
○委員長(小平芳平君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#125
○委員長(小平芳平君) 速記を起こして。
#126
○亀田得治君 長瀬理事、公安担当だということでお越し願ったんですが、ああいう判決はあなたもっと熟読してもらわぬといかぬですよ。非常に苦心して、公安官の活動についての問題点をよく浮き彫りにして、そして皆さんの主張されることも念頭に置きながら結論を出しておる判決なんですね。私は非常に説得力のある判決だと思うのですよ。おそらく最高裁でも私は認められると思うんです。その根本は、やはり憲法三十一条、第三者に対するそういう強制力の使用というものについての限界というものを書いておるわけですね。捜査面も、これはわりあい、職務に関する法律というようなものがあり、そこで刑事訴訟法も引用されたりして、これは基本がはっきりしている。ただ、警備関係のことですね、主として。その段階でいろいろ動く、そのことが一番問題になっておるわけです。だから、それについては、やはりこの判決は――警察官の場合であれば警職法という問題になった法律があり、それに基づいて警備活動をやるわけですね。しかし、公安官には警職法は適用されないわけです。警職法を使えない立場にある。そういうところに、公安官というものは例外的な制度だから遠慮してもらわぬといかぬのだぞ、根本的に必要があったら警察官を呼びなさいということで、逆に言うと、どんな事態があってもそんならほったらかし――そんなこと判決が言っているわけじゃない。必要があったら警察官にお頼みしなさい。しかし、経営者と権力者が一緒だということは、はなはだ例外的な措置ですね。そういうことはやはり強く指摘し、これは私は皆さんも一応そこは納得すると思うのです。ところが、問題は鉄道営業法ですね。三十七条、きょうも皆さんあればかり後生大事に引用するんだけれども、それに基づく四十二条の退去させる権利というものを営業法には一応書いていますね。これを皆さんが、退去させる権利がここにあるからこれでやるのだということで、しょっちゅう問題を起こすわけです。この判決はその問題にも触れていますね。これはもともと、きわめて軽微な刑罰、軽微な問題に対して適用していることですね。営業法の、信号機の破壊、これは別ですよ、あとのやつは全部軽微なことなんで、こんなものは犯罪になるかならぬかわからぬ。そんなようなことまで入っているわけですよ。そういうことに対する、何というか、退去してもらうという権限なんだから、したがって警察官が警職法等で発動できるような強い退去強制権はないんだ。これは憲法第三十一条の大原則からいって当然そう理解しなければいけない、こういうことが中心ですね。この点はどうですか。
#127
○説明員(長瀬恒雄君) 私自身も不勉強で先生からおしかりを受けたわけでありますが、今後十分勉強いたすわけでありますが、現在最高裁のさらに決定を持っているわけでございますが、私どもとしましては、先ほど申し上げましたとおり、警備ということの基本的な概念は、やはり旅客、公衆の秩序を維持する、あるいは国鉄の国の財産である施設なり車両なりの警備という点に問題があるわけです。さらに不正行為の防止、いろいろ鉄道の業務の運営におきましては複雑なものがあるわけでありますが、そういう点について営業法の問題とのからみが出てまいるわけです。この点について、今後私どもとしても十分適用につきましては考えなければならぬ点があると思いますが、まだ最高裁の決定が出ないという点で、今後十分検討いたしたいと考えております。
#128
○亀田得治君 都合の悪い判決が出ると、まだ上のほうが出ないからというようなことじゃなしに、やっぱり判決の中身だと思うのですよ。裁判官が一生懸命心血を注いで調べて出しておる結論を、最終結論が出ぬからといって行政上の措置について一顧だにも与えない、それは私はよくないと思うのです。これは民間の人がそういう態度でいろいろ対処するというふうな場合、これはある程度気持ちはわかりますがね。とにかく警察権の一部でもまかしてもらおうかというふうな国鉄が、そういう態度では私はいかぬと思う。それはこの鉄道営業法違反とかそんなものにも増して悪い影響を与えますね。三権分立という、お互いにやはり立場を尊重していくということで、第二審の判決まで出ている問題については、もっと真剣に考えてほしいと思います。それで、もう少しこれは議論をしたい点でありますが、先ほどから警備警備とこう言いますが、捜査のほうは、この職務に関する法律、これによってひとつ逸脱がないようにやっていく。ところが、警備のほうは、何かきわめて幅広くやれるような認識がどうも国鉄側にあるようなんですね。その点が、私は一つは勘違いしてやせぬかと思うのです。警備、これは一般的にはやはり警備につきましても警察官の職務なんです、何といったって。これは間違いない。あらためて質問をすれば、だれだってそう言います。ところが、警備に関して例外的な規定というものは何でしょう。こういう職務に関する法律、これは捜査に関する――そういうふうなきらんとしたものが警備にはないわけですよ。そうでしょう。鉄道営業法、この古い法律を若干そういう目で見れば見れぬことはない。しかし、これはもともと法律も古いし、再検討の余地もたくさんあるから、新しい憲法秩序のもとで警備の部分についての特別な規定がないんですよ。そのことを忘れちゃ私は困ると思うのです。そうでしょう。ないのだからどこまでもというようなことかもしれぬが、ないのであれば、これは憲法三十一条に直結した考えでやってもらわなければいかぬ。多少それに色をつけるのが鉄道営業法でしょうが、これはもう内容も再検討の余地があるし、もともとそういう立場だけでこれつくったものじゃないですわね、この鉄道営業法は。その点はどういうふうに考えていますか。捜査のほうは厳重にやるが、警備のほうは何かもう総裁が訓示を与えればどんどんそれでやっていくようなどうも錯覚があるように思うのですが、そういう感じを持っていませんか。
#129
○説明員(長瀬恒雄君) 国鉄の警備の問題につきましては、先生御指摘のような点があると思うのでありますが、御承知のとおり、国鉄は七十億人の旅客を運んでいる、あるいは一億トンの貨物を運んでいる。これは全国的な規模になっております。しかし、その間におきましていろいろな事件が発生するわけでございます。そういう点から、われわれといたしましては、職員の問題とかいろいろな問題がございますので、警備というものにつきましては徹底的にこれはやりたい。基本的な考え方としましては、国鉄の業務の正常な運営を阻害する、これを排除するということがポイントでございます。その点から私どもとして警備というものを考えておりますが、もちろん、先生御指摘のように、営業法の考え方というものもございますが、営業法の適用というものも、当然これは現在、法律があるわけでございますから、その精神に沿って適用しているわけでございます。お答えとしましては、私どもとしましては十分運用の点につきましては慎重に行動いたしておるわけでございます。しかし、現実におきましては、警備というものについては、基本的な考え方としては、正常な運営を阻害しないように、これを防止していくということが基本ではないかと考えております。
#130
○亀田得治君 警備活動の基本法は何ですか。具体的にどの法律でやっておりますか。
#131
○説明員(長瀬恒雄君) 公安職員の職務内容としまして、日本国有鉄道法の九条、十三条、あるいは三条、こういうものの精神として、現在鉄道公安職員基本規程が設けられております。その中に公安職員の職務というものが規定されているわけであります。
#132
○亀田得治君 ちょっと待ってください。いまおっしゃった条文の点、ちょっと速記をとめて。
#133
○委員長(小平芳平君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#134
○委員長(小平芳平君) 速記を起こして。
#135
○亀田得治君 これはどうですか、上田さんに参考に一ぺん聞いてみたいのだが、いま御指摘になった日本国有鉄道法の各条文は、これは全く手続的なことなんですよ、言うてみたら。こんなことはあってもなくても、総裁あるいは理事会であれば当然なことですわ。中身が問題なんですよね、中身が。その点については何らの法的根拠がないんですわ。何かそれがあるかのごとき一般的な錯覚を与えている。それはおかしいんですよ。それは普通の個人が経営しておる工場にしたって、自分の所有権に基づく警備活動というものは予想されるわけですよ。根本はだからそういう一般論からきておるものなんですよ。特別強いものではないんですよ、一般論からきている。これは個人の工場だってあるんだからね、国鉄にだってあるはずなんです。あって何もふしぎじゃない。ところが、いわゆる捜査に関して特別な公安官という肩書きが与えられたがために、何か警備活動のほうでもえらい相当なことをやってもいいんじゃないかというような常識的な考えが知らず知らずのうちにずっとエスカレートしていった。そのほうが経営者には便利ですからね、使うのに。しかし、この点は、そういう一般の工場経営と同じようにいかぬというなら、警備活動の面でも特別な立法をしたらいいんです。しなさいと言うんじゃないよ。どうしても必要なら、私はしてですね、そうしてそれに基づく一般とは多少違った警備活動をやられるんなら、それはまあ法律によってやられることだからしかたがないんだが、どうも現状ではおかしいんですね。総裁の内部の訓示規定みたいなものでやっておられる。上田さんどうですか、人権局長のやっぱり基本問題に関することですよ。
#136
○政府委員(上田明信君) 突然こう言われましたので、いま日本国有鉄道法の三条、九条、十三条を見た感じでは、ただここで問題になるのは、おそらく警備活動に関連して問題になるのは、一条の「公共の福祉を増進することを目的として、」というのがある。三条がこれを受けているというようなことぐらいを根拠にされているんじゃなかろうかなというぼんやりした方え方で、もう少し厳格な意味では検討する時間を与えていただきたいと思いますけれども、そこら辺のことをお考えじゃないかと思いますが、ただ九条、十三条あたりは普通のいわゆる法人の機関の問題なんかを書いていられるにすぎないと思いますので、もし運輸省の方が言われるなら三条で、それが一条を受けていると、「公共の福祉を増進する」――その福祉の中に広く解釈されるのかなというようなぼんやりした考え方をいま考えていたところでございますが、突然のことでございますので明確なお答えがちょっといたしかねるのでありますが、まあ運輸省の言うのならここらあたりに根拠でも持ってくるんじゃなかろうかなという程度でございます。
#137
○亀田得治君 いや、そういうところに根拠を持ってくるのが適当であるかどうかというのを聞きたいんです。それは実際、そんなあなた簡単な、公共の福祉が一条にあるからというて、それを何にでもかんにでも使うと、しかも第三者の基本的人権に影響を及ぼすようなことにまで使うと、そんなことはこれはもう立法としてありっこないわけですね。それはここに書いてあるのは、何といったって、たとえばこれは公の人が使う交通機関だから、そういう立場で大事にしなきゃならぬ、そういう一般的なことですよね。それは公共の福祉など、第一条に入れようと思えば、いろいろな企業に入れることできますよ、今日のような時代に。それがあるからといってね、一般の工場とは違った警備活動をやる、そのための内部規定をつくると、こんなことは私はちょっとできぬと思うのですね。そのためには、やはり警察の場合でもね、警察官は本来警察法第一条にちゃんと書いてあるじゃないですか。これよりもっとはっきり書いてありますよ、警察の目的の中に。しかし、それだけではやはり警備活動はいけないので、ちゃんと警職法というものによってやり得る限界というものをはっきりさせてやっているわけですね。だから、それから見ても、本来あなた警察官じゃないですからね。そういうものが警備活動をやる場合には、私はこの捜査に関して特別な例外規定が設けられたと同じようなものがやっぱりなきゃいかぬと思うのですよ。ないから、行き過ぎたり、いろいろな問題が起こるのですよ。そう思いませんか、人権局長。
#138
○政府委員(上田明信君) どうも、鉄道営業法全般についてよく読み直してみないと、国会の席上でございますし、即答して間違ったことを申し上げても何なので、ちょっと答弁を遠慮さしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#139
○亀田得治君 しかし、これはまあ私は一般論として申し上げておるわけでありまして、いま国鉄から答えてもらっても、結局一条と三条、何条と、こんなものですわ、根拠規定というのは。で、ここからすぐ法律でない内部の訓示規定のようなものが飛び出ているわけだ。やっぱりその間に一つの法律がなきゃいかぬわけです、それほど重要な警備活動であるというのであれば。いやもう法律をつくるまでもない、普通の所有権に基づく常識的な警備活動、それでいいんだということならば、まあそれでいいのですがね。ところが、そのワク内にとどまっておらぬから問題が起きているのだからね。私はこれは重要問題だと思いますがね、法務省としては。それから運輸省としても。それはもともと、何回も言うように、公安の肩書きを捜査で与えておらなきゃ、こんな問題起こらぬのです。一方で警察官みたいなような肩書きを与えておるものだから、警察官になったようなつもりで、それで警備活動もあたりまえじゃというようなことにまた発展しているのだ。ところが、そっちのほうは、いまお答えになったように、何にも法的根拠はないのですわ。だからこれは、制度の不備といいますか、まあ制度の不備をいいことにして大いに活用されておるということかもしれませんがね。このままでは、私はやっぱり不明朗でいかぬと思います。どうですか、運輸省、法務大臣、ひとつこの辺再検討する考え方ありませんか。
#140
○政府委員(町田直君) 国鉄の警備につきましては、御指摘のように、法律上、警備全般についての体系的な法律というのは確かにございませんけれども、まず第一には、国有鉄道という営造物でございますので、営造物管理上の警備権というのは、これは当然あり得ると思います。これは何も国鉄に限ったことではございません、先生御指摘のように、すべてのものにございます。ただ国鉄は、これは先ほど議論の一条に関連してくると思いますけれども、実態といたしまして、非常に大きな輸送を行なっているし、また非常に大衆一般に対する影響力が大きいと、そういう意味で、国鉄の営造物管理権の範囲というのは、おのずから一般の工場その他とは違った、より以上にある意味では広い警備の必要があるのではないかということが言えると思います。なお、具体的に法律的に非常に必要なものにつきましては、確かに、古いと先生おっしゃいましたけれども、鉄道営業法の中で一部はきめられている。それ以外につきましては、本来本質的に持っている国有鉄道という営造物の営造物管理権の範囲内において警備をする、こういうような考えでいいのではないかと思います。したがいまして、その営造物管理権の範囲を越えた警備を具体的にしているというようなことになりますと、これは実際上問題になりますけれども、私どもの解釈といたしましては、本来そういう性質のものであるというふうに考えてよろしいのではないかと思っております。
#141
○国務大臣(西郷吉之助君) 亀田さんの御意見をよく拝聴しておりましたから、法務当局といたしましても検討さしていただきます。
#142
○亀田得治君 きょうはこの程度にいたします。
#143
○委員長(小平芳平君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十一分散会
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ソース: 国立国会図書館
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