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#1
第061回国会 法務委員会 第12号
昭和四十四年六月二十六日(木曜日)
   午前十時二十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     藤原 道子君     大森 創造君
 六月二十五日
    辞任         補欠選任
     成瀬 幡治君     藤原 道子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小平 芳平君
    理 事
                後藤 義隆君
                河口 陽一君
                亀田 得治君
                山田 徹一君
    委 員
                上田  稔君
                近藤英一郎君
                山本敬三郎君
                占部 秀男君
                藤原 道子君
                山高しげり君
   政府委員
       警察庁刑事局保
       安部長      海江田鶴造君
       厚生省社会局長  今村  譲君
       厚生省児童家庭
       局長       渥美 節夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
   説明員
       法務省刑事局青
       少年課長     安田 道夫君
       法務省矯正局医
       療分類課長    樋口 幸吉君
       厚生省環境衛生
       局環境衛生課長  赤穴  博君
   参考人
       東京都婦人相談
       担当職員     兼松佐知子君
       東京都婦人相談
       所長       鈴木 金作君
       全国婦人保護施
       設連合会事務局
       長        山田弥平治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (売春防止対策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小平芳平君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 去る十七日、藤原道子君が委員を辞任され、その補欠として大森創造君が選任されました。
 また、昨二十五日、成瀬幡治君が委員を辞任され、その補欠として藤原道子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(小平芳平君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 本日は、本調査のため、参考人として、全国婦人保護施設連合会事務局長山田弥平治氏、東京都婦人相談所長鈴木金作氏、及び東京都婦人相談担当職員兼松佐知子氏、以上三名の方に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。参考人各位には、御多用中にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。委員一同にかわりまして厚く御礼申し上げます。
 それでは、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#4
○山高しげり君 前回に続きまして、売春防止対策についての質問を続けたいと思います。
 本日は三人の参考人の方に御出席をいただいておりまして、まことに御苦労さまでございます。これからお三人にいろいろ伺いたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。実は、御存じのとおり、現行の売春防止法は制定せられましてからもう十年の上を経過をしておりまして、今までに改正の必要ありという声はいろいろな関係方面からあがっているわけでございまして私及び藤原道子委員は、前回に法務省当局その他の関係当局にその問題をいろいろお聞きをしたわけでございますが、きょうおいでを願いましたのは売春防止のお仕事の第一線的な活動をしておいでになられる皆さま方でございますので、その現実のお仕事の中からいろいろ承りたいと思っておいで願ったわけでございます。まず最初に、東京都の婦人相談担当職員の兼松さんにお伺いをしたいと思います。
 前回の質問におきましても、法務省の刑事局長から、現行法の問題点についていろいろいま検討中であると、たとえば単純売春の問題について、あるいは相手方の処罰について、もしくはひもについて、あるいはいろいろな新しい形の管理売春の取り締まり等について――という問題点がいろいろあげられたのでございますけれども、兼松さんが長い間東京都でこのお仕事の第一線で働いてこられました上で、いま申し上げたような諸点についてあなたの忌憚のない体験を通しての御意見が伺えたらたいへんけっこうだと思います。単純売春を罰せよという声は相当ございます。それからまた、相手方を現行法では処罰をしておりませんけれども、それを処罰をするべきだという声もございます。それからひもの問題はもっと現実的もかしれないと思います。それからこのごろはまた新しい管理売春の形態が東京のようなところにはいろいろ発生をしているように思われますけれども、そういうことについて承りたいと思いますけれども、格別いま私が申し上げたことにこだわらないで、あなたがこの機会にぜひ聞いてもらいたいというか、意見を述べたいと思う点がございましたら御自由におっしゃっていただいてもけっこうでございます。
#5
○参考人(兼松佐知子君) 私は東京都新宿区の婦人相談を担当いたしております。法が施行されまして赤線組合の集団面接から始まりまして一貫してずっと彼女たちと接触してまいりましたが、その間質的にも量的にも移り変わりがある中で、婦人相談の周辺の問題はやはり実際のケースの中から引き出せると思いますので、いま山高先生がお話しいただきましたようなことにも触れると思いますので、最近の売春事犯によるケースの傾向を少しお話しいたします。これは先月初回に売春事犯で検挙されましたケースの一部分でございますが、主婦二十八歳、夫工員、子供六歳、中学卒業後旅館の女中の手伝いをしていましたが、その後親戚のところで同居中に結婚、夫が腸閉塞になり、その金はたくわえた姉に出してもらいましたが、からだが弱くなったため残業ができないので月収五万円ぐらい、本人はバーのホステスを少しやりましたが、夫にとめられましてすぐやめる、現在はパンフレットを折り込む内職を家でいたしております。夫とは年齢の差も少しありまして、工員という仕事に不満もあり、収入も十分ではないということで、子供はたいへんかわいがっておりましたが、女の友だちと待ち合わせたが会えず、そのあと映画を見て午後十時ごろとなり、声をかけられて小づかいがほしいままに応じて、旅館街で検挙、あのときは魔がさしたのだと本人は言っております。訪問いたしますと、部屋もきちんとしておりまして、子供の机はいろいろ整えられておりますけれども、最低限の生活はなされているようです。まあこのような新しい形の売春事犯が多くなります。それから製本工を昼間しておりまして夜バーで働く、両立させながらアパート代を捻出し、また新調した洋服代の三万円の金のために売春した、こういうのがございまして、こういうケースは昔はなかったようなことでして、本人の意思が弱いとかあるいは精神が不安定であったというような個人の問題に加わりまして、お茶を飲みませんかというふうに誘って二人で出ていってもたいしておかしくないといったような都会の雰囲気だとか、あるいは性的な解放感とか、そのような背景の中で、生育歴の中にたいへん欠損した部分もありますために、いいものを着たい、それから子供にさらに高級なものを与えたいというような、その部分を満たすお金を調達するためにということが売春のきっかけとなっております。いま言ったようなことは、昔のあの売春婦といったような特殊な人たちというよりも、ごくありふれた日常性の生活の中で見られるような人たちですけれども、こういったケースを、婦人相談員といたしましては、施設に入れるとかあるいは病院に入れるとかといったような形でなく、居宅指導と申しますが、在宅のままで助言指導をするということが大かたの仕事になっておりまして、私どもの相談処理の統計から申しますと、四七%という、大かたの割合がこういうところに占められております。それから四三%といいますのが、単身者でなく、家族あるいは夫、ひも、それから子供をかかえた世帯持ちでございますので、相談員といたしましては、単に要保護女子の指導のみならず、家族ぐるみ、いわゆる家族病理と申しますか、そういう問題の向かい方で複雑化したケースの指導に当たっております。
 それからもう一つは、先ほどもお話がありましたように、これは暴力団関係でございますが、ひもの半分はやはり元やくざに属していたあるいはいまチンピラであるといったようなものが背景におりまして、本人に売春をさせる、自分は遊んで暮らすというようないろいろな形が、これは昔から引き続いてございます。集団の組織、暴力団組織といたしましては、ポン引きになりまして通行人に呼びかけ、自分たちの一つの事務所の中に何人かの女を囲っておりまして、そこと連絡しまして売春をさせるといったような形でございます。先日新宿におきまして環境浄化運動――ひまわり作戦と申しておりますが、そこでヌードスタジオの検挙がございまして、今回は公然わいせつ罪ということでございましたが、裏には売春をやっておるというようなことも見受けられましたので、私ども積極的に参りましてその人たちの保護更生に当たりましたが、六名のモデルが検挙されておりましたが、そのヌードモデルの経営者はみんな暴力団でございました。そして中には、三ヵ月前に睡眠薬の中毒であった者がやっと切ったところだとか、あるいは肝臓が悪くて一年前に入院したことがある、あるいは弟を大学にやっているとかというような、あまり健康でない顔色の女の子たちがおりまして、大かたがやはりひもつきでございます。その後、このケースに関しましては、そういうスタジオの周辺に団員と一緒に部屋を借りておりますので、いろいろな考慮をいたしまして指導をするつもりでございます。
 それからもう一つは、やはり精薄、異常性格者というのが多くありまして、この異常性格者の中には最近睡眠薬を乱用いたしております。ふだんはわりあい正常に家政婦だとかして働いておりますが、一度仲間と調整が悪くなりますと爆発的になりまして、アトラキシンを一日に二十錠から三十錠ぐらい飲んでいる。それから安定剤、それから鎮痛剤、そういうようなものを大体倍量ぐらい平気で乱用いたしまして、それがだんだんとふえまして、しまいには薬の効果がなくなり、妊娠いたしまして医者のところに中絶に参りましたけれども、麻酔がきかないのでたいへん苦しみまして医者から連絡があるといったようなことがこの異常性格者の中に見受けられますので、相談員といたしましては、精神病院に入れる段階ではございませんので、そういうささいなことで激しい問題が起きないように気を長く指導しておりますわけです。
 それから傾向のもう一つといたしまして、未婚の母親の問題ですが、これはやはり、正式に婚姻をいたしませんで妊娠をいたしました場合に、子供を出生いたしますと、生活ができなくなって、水商売――ホステスになったり、キャバレーに入ったり、そこからまた転落するというようなことが、やはり売春を生む一つの事犯の中にこういう問題が見られますので、ぜひ転落防止という意味で積極的にやっておりますが、一ヵ月に六、七件、六、七名の未婚の母親の相談を扱っております。そのうち八名ほどは子供を遺棄いたします、それから二名は産みます、あとの二名は中絶するというような現状でございまして、私どもとしては、こういう遺棄された子供たちの行くえ、あるいは母性の復帰と申しますか、保護と申しますか、転落を防止する、売春という段階に向かわせないというような方面に手を尽くしております。まあいま言ったような傾向が見られるわけでございますが、その中から、いま山高先生からお話しいただきました法改正の問題を考えてみますと、私ども相談員の立場といたしましては、売春防止法が保護更生のためにつくられたということで、保護更正の面へ力をまず入れていただくということ。それから単純売春につきましては、先ほどの初回のケースなんかを見ましても、どちらが声をかけたかということがお互いに問題がありまして、いろいろなケースがあると思いますが、やはり人権の扱いの上でたいへんむずかしいこともあると思いますが、やはりいまの倫理的に売春をやってはいけないということではなかなか取り締まりはむずかしいように見受けられます。それからひもの処罰につきましては、処罰するケース、それから保護更生の面と、二つに分けられると思いますが、処罰の面としては罰則を設ける。それから更生保護の対象者であるひもに対しては、やはり婦人相談員が、要保護女子のみでなく、家族ぐるみ扱うという体制の中で、保護更生の範囲の中に入れていかなければならないのではないか、このように思います。
#6
○山高しげり君 先日、刑事局長も、検討の一つの方針として、当人の売春行為の問題よりも助長事犯のほうに重きを置いて検討をしていくというお話がございましたのですが、最近の傾向はよくわかりましたけれども、そのひもでございますが、いま最後におっしゃいました、ひもぐるみといいますか、家族ぐるみでその指導をしていきたいということ、ごもっともに思われますけれども、非常にむずかしいのでございましょうね。いままでにそういう家族ぐるみで指導をなさって成功なさったようなケースございますか。
#7
○委員長(小平芳平君) 参考人の方にお願をいたしたいと思いますが、なるべく大きな声で御遠慮なさらないで発言していただきたいと思います。といいますのは、速記がとれない関係もありますので。
#8
○参考人(兼松佐知子君) やはりケース・バイ・ケースですが、昨日夕方私にはがきが参りまして、これはやはり元やくざの仲間でしたけれども、女のほうは低知能で補導院に二回入りまして、子供を連れて施設に入りましたけれども、一応は遺棄して無断逃亡した、それからその後子供を引き取ったというケースでございますが、ちょっとケースの説明をするよりも読んだほうがいいと思いますが、「私たち当会社に移り早くも四ヵ月過ぎました。いま私がいる農場は、生後四十日のひなを百二十日まで育てて市場に売りますまで育てる農場です。ですから、その間の八十日間は休みなしです。でも東京にいたときと違って、希望があり、夢があります。いま一万三千羽の育成ですが、近いうちに四万羽の育成農場ができるとのことですので、その節は来てください。卵からひながかえり、育てて、また卵を生むまでのすべての過程を御案内いたします。正男もこのごろでは一日一日と成長してまいり、楽しい日が送れます。おからだに気をつけてください。」、このようなケースも中にはございます。
#9
○山高しげり君 ひもにも処罰に値する者と保護更生で立ち向かうべき者があるというお話は、なるほどなあと思わせられているわけでございますけれども、先ほどのお話では、やはりひもの半分は暴力団である。そして、先ほどもおあげになりました、男はポン引きになって、そして事務所の中に女を何人か囲っていて、それに売春をさせる。その場合に、女の売春の収入は男にほとんど吸収されるのでございますか、ひもと一緒に共同生活をやっておるわけですか。
#10
○参考人(兼松佐知子君) 共同生活ではございますが、ほとんど最低の衣食住のみでして、男のほうが取り上げております。
#11
○山高しげり君 その場合に、女はその生活に甘んじているのですか、すきがあったら逃げたいというようなことがあるのですか。
#12
○参考人(兼松佐知子君) まあならされていると言ってよろしいのでしょうか。しかし、その生活で自分はしあわせだというふうには考えておりませんで、やはり正常の生活に戻りたい、そのきっかけは求めているようです。
#13
○山高しげり君 その場合に、女は大体地方出身の者が多いですか。
#14
○参考人(兼松佐知子君) はい、そうです。
#15
○占部秀男君 これは兼松さんでも鈴木さんでもけっこうなんですが、扱われた件数の中から、統計的といいますか、数量的にどっちが多いのかということを聞きたいのですが、それは、いま兼松さんのお話の中に、単純売春の際に、たとえば夫が病気である、生活が苦しい、こういうふうに直接生活苦というものが非常に濃い場面と、それからたとえば洋服も買いたいというような、やや虚栄――いずれにしても生活には関係あるのですが、やや虚栄的な傾向と、この二つあるようにお話の中から聞いたのですが、どっちのほうが多いのでございますか。扱われた傾向の中からそういう点の統計的なものは出ておりませんか。
#16
○参考人(兼松佐知子君) 婦人相談月報というものを毎月出しておりまして、その中でなぜ売春をしたかという動機をかなりとったものがございますが、やはり半々ぐらいです。
#17
○占部秀男君 これは全国的な傾向はどうですか。いまの問題、同じようですか。
#18
○参考人(山田弥平治君) 全国的にいたしましては、私は貧困であるほうが多いように考えております、いまの問題だけにしぼりますと。
#19
○山高しげり君 それから未婚の母親の問題ですが、これは前からわれわれも気づいており、いろいろ考えてまいりましたけれども、兼松さんとしては未婚の母に対してはどういう対策がお望みでしょうか。
#20
○参考人(兼松佐知子君) 私ども、女の人が相談に参りましたときに、まず第一に、できるだけ母親と子供が一緒に生活することを望みます。それから中絶でなく産むことを第一に考えますが、その母性としての養育能力といいますか、知能の点、性格の点、いろいろ考慮いたしまして子供のために分離したほうがよろしいという場合もありますので、共に生活させる場合にはできるだけ衣食住の関係は安定させるとか、それからもう一つ、遺棄しました相手方に対して何ら手を打たないということは、これは片手落ちでございますので、私どもとしてはできるだけ、籍の問題、それから将来の養育の問題につきましても調整をとりますようにいたしております。そういう手を打ったあとの問題ですが、やはり子供の施設は、現在もいろいろございますけれども、家庭的なあたたかみのある扱い方で、今後そういう子供たちが成長してくると、これはやはり社会のために役立つことになるわけですから、そういう十分な行き届いた施設、それから心理学者から言いますと、一才のとき母親と離れた子供はあるいは異常性格とか精神病になりやすいというようなお話もございましたので、行き届いた施設を準備したいと思っております。
#21
○山高しげり君 その施設のこと、ごもっともでございます。私どもも、戦前、昭和十二年に母子保護法の制定運動をいたしましたときから、未婚の母の問題は取り上げていて、外国には未婚の母を受け入れる施設はたくさんあるわけですけれども、その当時日本では母子保護法の対象の母子の私生児とその母を省こうというような思想もあったぐらいで、しかし法の制定におきましては公生、私生の別なく包容する母というような表現でまあ無事に私生子も含まれたわけですけれども、その当時から未婚の母の施設の必要性は痛感をしておりましたので、現状はますますそのことをしきりに思うわけでございますが、その遺棄した夫――夫までいかない相手方でございますが、その相手方の責任を問うような指導をなさって成功なさった事例はございますか。
#22
○参考人(兼松佐知子君) はい、ございます。女自身が、あきらめと申しますか、途中で投げたくなる、それから非常に精神的にも体力的にも弱っておりまして、そういう形になりますところを、私どもが本人を呼び、子供の将来のためにここでこういう具体的なことをしなければならないということを話して、これは自分の子供でないというふうにまあ相手方が言い張るものですから、それを法医学の観点から大学の教室に出しまして、肯定度九〇ちょっと――六か七でございましたが、パーセンテージを、血液検査、それから耳のあかですか、それから手相、指紋、いろんな点から調べまして、そのようなデータをはっきり出しまして、養育料、それから母及び子供の生活の安定を獲得したというようなケースも最近ございます。
#23
○山高しげり君 その場合に、そういう法医学的ないろいろな試験をなさったりする場合の経費はどこから出ますか。
#24
○参考人(兼松佐知子君) その経費の場合は、本人と、母親がおりましたのでそこから出させましたが、やはりそういうことも深く考慮しなければならないと思っております。
#25
○山高しげり君 母親というのは、相手方の男の母ですか。
#26
○参考人(兼松佐知子君) 女のほうの母親でして、先ほどの生活のほうは生活保護をかけました。そして話が相手方につきましたことによりまして生活保護は廃止いたしました。その間生活保護法によって安定させました。
#27
○山高しげり君 そのつまり養育料を出させるところへいくまでの経過において、いま言ったようなその医学的な検査などをする経費の出どころをお伺いしたつもりですけれども。
#28
○参考人(兼松佐知子君) それは、現在のところ出るもとがございませんので、個人で負担いたしました。
#29
○山高しげり君 その個人はだれですか。
#30
○参考人(兼松佐知子君) 女のほうの母親が再婚いたしておりまして、そこから援助させました。
#31
○山高しげり君 そうしますと、結局まあいまのケースは、たまたま女の母親に経済力があったからそこまでいかれたわけですけれども、そういう方法をとりたくても、公の立場でそういった検査の費用等の出どころがなければ、その方法はとれないわけですね。
#32
○参考人(兼松佐知子君) はい、現在の場合は公的にそういう意味を持つお金の出どころはありません。
#33
○山高しげり君 ありがとうございました。
 それでは、兼松さんにまだお聞きすることあると思いますけれども、婦人相談所長さんにひとつお願いをしたいと思います。相談員さんはまあ問題の女の人たちに街頭等で接触なさるわけでございますが、相談所に来る女を相手に相談所長さんはお仕事をなさっていると、こんなふうに解釈をいたしますので、先ほど私が申しましたような問題について、おのずから御意見が一致をしている点もあるでしょうし、また多少角度が変わった観点からお考えがあるかもしれませんので、御自由にひとつおっしゃっていただきたいと思います。
#34
○参考人(鈴木金作君) 東京都の婦人相談所はちょうどいまから十二年前売防法ができまして同時に開設されたものです。その当時東京都の婦人相談所で扱ったケースは、大部分が青線、赤線、あるいはまた街娼、こういう数が大体警視庁の調べで七千人近くあったんであるという話なんです。その七千人が喜び勇んで私たちの門をくぐった。そしてそのうちの大部分の人たちが更生して、現在幸福な結婚をしたりあるいは職業についたりしております。まあこういう人たちは、大体昔は貧困というものを前提に置いて、親のため、あるいは夫のため、あるいは子供のためにそういう苦界に身を沈めた人たちなので、喜んでこの売防法ができたときに社会復帰していった。ただその中で、あるいは本人の性行不良だ、その他の環境でどうしても更生しなかった連中が、現在でも数百人残っております。その連中が現在街娼として残っている連中だろうと思う。そういうわけで、東京都には七千人いたところの青線、赤線、そういうところの従業員たちはどんどん更生していっている。この法律によって更生していったということは、われわれとしても喜ばしいと思います。
 その反面、東京都におけるところのそういう人たちはぐんぐん少なくなったかというと、そうでなくして、また新たにどんどん転落していった人がたくさんあるということなんです。まあ私たちの取り扱うケースから見ていると、十年前には大体そういうふうに売春歴のある人が九〇%以上で、それがだんだんと新しい人がふえてきて、現在においては売春歴のある人が六〇%、売春歴のない人が四〇%くらいになっている。ということは、新しくどんどんとそういうふうに要保護女子というふうに落っこっていく人が多いということです。一つは、東京というところは千百万人以上の大都会である。そのために、東京に行けばどうにかなるであろうという軽い気持ちで東京に出てくる。がしかし、現実の東京はなかなかきびしいので、どうしても本人たちが都会生活の荒波からこぼれてしまう、転落していくというようなかっこうになっております。その中で一番大きな問題は――東京都でいま考えている一番大きな問題は、やっぱし家出という人たちが相当多い。昨年東京都の警視庁からもらったところの資料によりますと、昨年にも相当数の家出人が、上野、東京駅、あるいは新宿だ、品川だ、そういうところで鉄道公安官あるいは警察官の手によって保護されておる。その実数というものが一応出ておるのですが、大体そのうちで家出したところの年少女子が――年少女子という意味でこれは少年も入るのですが、四千八百人近くを警視庁が保護しているわけです。ただ、警視庁が四千八百人近くを保護したということは、そのときにちょうどそういう人たちが保護されただけであって、つかまらなかったり、あるいは見つからなかったり、あるいは保護されなかった人たちの家出についてはもっと多いのじゃないか。その四千八百のうちで年少女子というのは、これが三分の一くらいある。その人たちが保護されたとき、私たち一番問題点はここにあるのじゃないか。保護されたとき千円以下の金を持っているというのがそのうちの五〇%近くある。保護されたときに全然お金がなかった、一銭の金も持ってないで警察に保護されたというのが二五%ある。それから百円未満というのが一二%あります。五百円未満が一四%、千円未満が八・六%、この千円以下になってしまうと大体二千九百四十三人、六一%というものが保護された時点においてもう千円以下である、あるいは金も持ってない。東京都においてそういう十七、八の女の子が金がなかったらどこへ行く。これは必然的に、あるいはいま兼松参考人が言ったとおりに、暴力団の手先にひっかかってどんどん落ち込んでいくというケースがたくさんわれわれたちのケースの中にも出てくる。そういうわけで、東京都というところは家出だけでも相当数の人が転落していくのじゃないかというふうに考えております。
 それからもう一つ、集団就職というのが、盛んに東京目ざして就職してまいります。その集団就職の中にも、本人自身が、東京で一生懸命働いて、勉強して、東京で生活していくんだという意欲のある者と、それからもう一つは、いや東京へ来たいのだ。ただ東京へ来たいだけじゃ、親たちが許さない。それじゃ集団就職をすれば親たち、先生たちも喜んで出してくれるという安易な気持ちで出てくるところの集団就職、そういう年少女子が多いわけです。そういう人たちが東京で――今度受け入れる側の統計によって見ると、大体そういう人たちを受け入れる東京の状況は、大会社はあまりございません。どうしても中小工業に行く。中小工業に入ると、あるいは待遇の面であるとか、あるいは人間関係の面だとか、その他の面で、どうしてもその職場になじみにくくなる。そのために、三ヵ月くらいで相当数の人間がその職場から離れてしまう。あるいは東北、北海道、あるいは九州のほうから来られたところの年少女子のそういう小さな子供たちが、三ヵ月後に東京の職場を離れてしまうと、どこへ行くのだ。やっぱり行くところがございません。安易な、喫茶店だとか、あるいはバーだとか、そういうところに流れ込んでいく。そこから転落していくというケースがたくさんあります。
 それからもう一つは、現在、兼松参考人が言ったとおりに、少年の非行ですか、年少女子については、だんだんとセックスというものが、ある程度、新聞とか、あるいは週刊誌とか、そういうもので相当数書き立てられている。悪く言えば、フリーセックスというようなことばもだんだん出てきています。そのために、そういう年少女子の性に対する解放感から、不純異性交遊というものがたくさん出ております。あるいは新宿の喫茶店、あるいは浅草あたりに参りましても、そのためにそういう年少女子の不純異性交遊という面がたくさん出てまいりまして、そういうところがら私たちのところへ落ちていくということです。そういういろいろな東京都には転落する要因というものがたくさんございます。われわれたち一番考えたいのは、将来こういうような転落未然防止に重点が移っていかなければならないのじゃないかというふうに考える。年々新しく要保護女子になる人もふえていく。その中でも、特に年少女子というものが多い。それですから、まずわれわれたちが、一にはそういうとうとう更生できなかった人たちの更生保護をやらなきゃならないのでしょうけれども、将来に向かってそういう人たちの未然防止にもこれは重大な関心がなければいけないのじゃないかというふうに考えております。
#35
○山高しげり君 ありがとうございました。相談所のお立場からも転落の要因というものが三つほどございまして、結論的には、売春防止対策の重点は、転落の未然防止という方向にもっと力を入れなければならない、こういうお考えでございますね。
#36
○参考人(鈴木金作君) そのとおりです。
#37
○山高しげり君 ありがとうございました。
 まだあとで伺うことにして、それでは全国婦人保護施設連合会のほうからおでまし願いました山田さんにひとつお伺いしたいと思います。
 以上お二方の現場の御意見も、転落の未然防止というところに今後の一つの大きな重点が考えられていらっしゃるようですけれども、当局もそのことは認めておいでになることを前回の質問で明らかにされておりますけれども、あなたのお立場は、現在の婦人保護の施設につきまして、当面の問題がございましたらまずそれを承り、それから広く今後の対策等について御意見がございましたら承れるとけっこうだと思います。ひとつ御自由にお話しくださいますように。
#38
○参考人(山田弥平治君) いま山高先生から当面の問題というふうに御質問がございましたので、私は一応全国婦人保護施設連合会事務局長ということでこちらに伺っておりますけれども、全国の状況は厚生省のほうがよく把握されていらっしゃると思いますので、一施設の考え方として申し上げてみたいと思います。
 私のほうは東京で六施設ございまして、それぞれ分類収容の形をとっているのでございますけれども、社会適応度という分け方をいたしておりまして、その社会適応度一、二は、社会生活ができる、もしくは何らかの援助を与えればできるという判断。それから三、四になりますと、援助はしても少しむずかしいと、それから非常に社会復帰が不可能ではないかという線が三、四でございます。そういう分類をいたしまして、私どものところでは社会適応度が二以上というケースを取り扱うようになっております。そうしますと、現在入ってまいります人たちは非常に虞犯ケースが多くなっておるわけでございます。この虞犯ケースと申しますのは、転落のおそれあるというふうなことでございまして、そういう者たちを取り扱っておりますと、いろいろな施設内の処遇上の問題、それから指導上の問題にも、いままでと違った見方をしていかなければならない面が出てくると思います。それは少しあとにさしていただきまして、私どもが住んでおります大都市の特殊性として、先ほど鈴木所長からも、家出の問題とか、集団就職の問題、いろいろ出てまいりましたけれども、家出の問題で私どものところへ参りまして感じますことは、家出をして、保護されて施設へ送られてくればよろしいのでございますけれども、その前時点で、保護者がいれば保護者と連絡をとり、そこへ帰宅させるということ、まあこれまで、ここまでが、何といいますか、非常な御努力でなさっていらっしゃるのだと思いますけれども、そこで問題になりますのは、彼女たちがいる場所ということが非常に問題だと思います。帰るところはあったにしても、いる場所がなかったから家出するのでありまして、ここの調整とか指導とかがなされない限り、何回でも家出というものは繰り返されると思うのです。で、それは集団就職でも同じようなことが言われまして、駅で歓呼の声に送られて、大志を持って上京するんだろうと思いますけれども、何せ精神的にも非常に未成熟な時期であり、また能力的にもこれ中途はんぱであります。そういう人たちが、一方企業におきましては一人前に扱われてしまうということですね。そこへ、青年期に対する自我といいましょうか、そういうものの発生からくるいろいろな人生的な矛盾が起こってくる時期です。そういう時期に、どこに相談したらばいいのか、そういうものを受け入れる場所ということが非常に少ないように見受けられます。で、このような転落要素が一ぱいあります大都市の特殊性といたしまして、それらのもののそれぞれの希望といいましょうか、その点、調整をし、勉強したいものはさせ、技術を身につけたいものはそれを援助さす、それで思考的に安定したものを身につけさせる場所、そういう施設が私は一番必要だろうと思います。これは児童福祉の分野でも、正常な社会人として成長させるために保護育成するんでありまして、保護施策においても、そういうふうな予防的な面――このままにしておいては転落するんではないか、そういうような要因を多く持った人たちが集まってくる都会であります。そういうような人たちを予防的な措置において何らか保護してあげられるような制度にできないものだろうかというふうに考えております。
 現在、一番最後に先生から御質問のありました、どういうふうに取り扱いがむずかしいかという点でございますね。これは虞犯ケースといいますと、まあおそれあるという判定はいたします、いろいろな要因によりまして。それは、家庭環境が非常に不調和であるとか、本人自身が精神的にいろいろな問題があり、性格的にもそういうものが非常に多いという場合、判定をするわけでございますけれども、それをいつまでもあなたたちは人とは違うんだというふうな取り扱いは、施設においては非常にマイナスなんでございます。私たちは、あくまでも、うちにおります娘たちに言うんですけれども、君たちはもう一人前なんだ、りっぱに社会生活できるじゃないかというふうなことを言っているわけでございます。それを、その社会生活をさせるにはどのような指導をし、どのような保護施策であったらばよいか、いま私は考えているところなんでございますけれども、そういう点が、東京におけるといいましょうか、大都市における一つの特殊性、婦人保護の中における特殊性として考えられる分野でありまして、全国的には、もちろん、いま施設に収容されております人たちは、非常に人間性をいろいろな条件で失いまして、そこに安住の地を求めて保護されている人たちでありまして、いまの制度はそういう方たちにとっては非常に大事なものであると思うのです。しかし、一面、そういうような防止の面ということを考えますと、もう一つ違った意味合いのものがあらわれてもいいんではないか、そのように考えております。
#39
○山高しげり君 ありがとうございました。
 それでは、社会局長さん、おそれ入ります。いま山田さんから一つの問題が提起されたように思いますし、そのことについては前回にも局長とお話し合いを少ししておるわけですけれど、全国的に見まして、厚生省の御所管として、全国の婦人保護施設の中に、いま山田さんが提示されたような問題が、まあ主として大都市でございましょうけれども、相当出てきておりますでしょうか、その辺を伺いたいと思います。
#40
○政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。
 さっき東京都の相談所長さんのお話のとおり、この婦人保護施設ができました当時のいわゆる売春歴のある人は六割あるいは七割というのが、最近はどんどん減ってきております。これはお話のとおりでございます。したがって、端的に言いますならば、現状は、婦人保護施設は、環境、性向その他に照らして売春を行なうおそれありと、いわゆる売春にひっかけた施設ではありますけれども、実態は六、七割は実際に売春経歴のない人が入っている。これは見ようによれば、家庭不和とかなんとか、いろいろな性格の問題とかということで、婦人保護施設というできました当時の性格から相当変わってきているのじゃないか。逆に言いますと、二十歳以下がやはり十数%になっております。それから三十代以下というのは相当おりますが、その中でも、いま山田さんが言われたように、いわゆる若い人で、実際は年少女子保護的な意味で入っておるという人も相当おるかと思います。ただ問題は、その場合に、やはり婦人保護施設というのは、いまお話しのように、いろいろ過去の経歴のある人がおりますのに、若い人方をいわゆる転落のおそれありという名前の法律に基づく施設に入れていいかどうかというふうな問題は、われわれも悩んでおりますし、それから施設の方々も、事実上は若干入れております――入れておりますが、その辺でどうも棟も分けなければぐあいが悪いとかいうふうな悩みは持っております。したがって、私どもとしましては、端的に言いますならば、いまの婦人保護収容定員の半分でございますので、それを思い切ってある程度区分しまして、それは婦人保護施設ではないというかっこうでできるのかという問題が一つございます。しかし、東京都のような場合では、六ヵ所もありますので、それぞれ重度、軽度、社会適応度ということで分類収容というようなかっこうでやっておりますけれども、それ以外のところでは、数が少ないものですから、そういうふうな思い切ったこともなかなかできにくい事情にもあるというので、私どもいろいろ労働省その他と検討しております。
 問題はこういう点でございます。その婦人に関する売春のおそれあり、転落のおそれありというのを都道府県知事が認定をしまして、ありということになって初めて施設へ措置をする、これがいわゆる行政面での判断でございます。その判断がないと――施設の事務費でもめし代でもそれに基づいて出ると、こうなっておるのです。ところが問題は、いまお三方お話しのように、地方から出てくる、あるいは集団就職、家出というふうな人方についても、一つの制度として施設を設けます場合には、だれがその判断をするか、つまり、婦人相談所が行なわれるか、あるいは福祉事務所がなさるか、あるいは別個の機構をつくるか、いわゆるその一つのけじめと言ってはことばがおかしいんでございますが、そういう人を保護するという公的な決定を一体どういう仕組みでやるのか。それも、いわば売春に関連したような色合いをつけたのでは、ほんとうはまずいのであります。非常に清純な人であって、ただ都会に失望して半分思想が混乱しているというような人に、その辺をどうするか。これは、この前の委員会におきまして労働省からお話がありましたように、勤労青少年ホームというようなものも出かかっておりますので、その辺との関連で、婦人保護というものと全然縁を切った体系でどう組み立てるかと、この辺をどう詰めるかと、実は迷いながら内部で進めておるという段階でございます。
#41
○山高しげり君 東京都も最近、この転落防止、未然防止に重点を置いて体制を整えてやっておられるようでございますけれども、わりあいに急を要するお仕事じゃないんでしょうか。それはむずかしいことはきまっておりますけれども、現状を打破してその必要に向かっていくためには、もうちょっと急いでいただけませんでしょうか。少なくとも、もう現在すでに四十五年度の予算編成に入っておる段階で、まだ仰せのようでは、来年もらちがあかないというふうに受け取れますけれども、その辺いかがですか。そうは簡単に急にはできないと、こうお思いでしょうか。
#42
○政府委員(今村譲君) この前もそういうお話がありまして、内部で詰めておりますが、七月一ぱいぐらいで大体予算編成の体制が固まるわけでございますが、それまでに何とかかっこうはつけたいという気持ちではおりますけれども、やむを得ずという場合におきましては、現在のいわゆる保護施設における――若干矛盾はありますけれども、保護施設における収容能力そのほかを見て、ある程度の収容はできるんではないかと、正式に体系を打ち出すというかっこうになりますれば、どうせ立法事項になるだろうと思いますけれども、これはいわゆる厚生省内部におきましても、児童との問題とか、労働省の勤労青少年の問題とか、いろいろありますので、なかなか短時間のうちにはけりがつきにくい問題も相当あるかと思います。できる限り関係方面と相談してみたいと思います。
#43
○山高しげり君 実はこの売春防止法の改正問題に触れますと、関係方面の中にも、売春防止法というような名称よりも、もう少しある意味で拡大するというか、婦人福祉法とか、婦人保護法とかいった性格の法律に持っていくことはどうだろうかと、こういう意見が、ずいぶん出てまいります。というのは、現行法でおおい得ない部分が非常に大きく出てきているからでございましょうし、また私どもも未然防止というような積極的な方向へ行くことはけっこうだと思いますので、現行法の改正と並行をしてそういう問題を検討もしていただきたいと思っておりますから、いまの局長の仰せのように、ひとつ現状の中からおできになることで何かやってみていただくということは、非常にこれが推進されることではないかと思いますので、立法へ行きます方向においてそういう御努力をひとつ、前回にもその点は伺いましたので、喜ばしくは思っておりますけれども、きょうまた実際のお仕事をなさる方からのお声も出ておりますようなわけで、ぜひひとつお骨折りを願いたいと希望をいたします。
#44
○藤原道子君 私は地方出張からかけつけましたが、天候でいささかおくれまして、まだ十分まとまっていないんですが、せっかく参考人に来ていただいているわけでございますから、何とか売春をなくすると同時に婦人の転落を防ぎたいというのがわれわれの悲願でございますので、それぞれの道で御努力をいただいている参考人の皆さまにほんとうに感謝したい気持ちでございます。
 そこでお伺いしたいと思いますのは、皆さまの希望として、どうしたらよくなるかと、どうすべきかという御希望等もございましたら、鈴木さんからちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#45
○参考人(鈴木金作君) 東京都はこういうふうな大都会ですから、全国的にはこうしてくれということは、ちょっと違うだろうと思いますが、いま、私が先ほどお話したとおりに、実は東京でもだんだんと商売人であるところの売春婦というものが減ってきている。しかし、減ってきたのだが、最後には零になるであろう、ところがそうじゃない。その間にどんどん新しい人が落っこっていく。落っこっていく人がだんだんふえていく。その落っこっていくには、いろいろな状況がある。だから、落っこち、売春婦というふうに要保護女子にならない前に何か手を打たなければいけないのではないか。その手を私たちのほうも努力して打っているのです。関係機関もそれにより一そうの努力をしていただければ、東京での婦人相談所としては喜ばしい次第であるということなんです。
#46
○藤原道子君 一般の家出した子供とかあるいは集団就職の子供たちは、東京都に婦人相談所があるということを知らないのですよ。これをもっと知らしめる方法というものはないでしょうか。
#47
○参考人(鈴木金作君) それは、私のほうの直接の関係ではなくて、実は民生局がやっているのです。参考なんですが、毎年東京都では、「若い手帳」ですか、「婦人の若い手帳」ですか――という小雑誌を八万部くらいつくっております。その八万部を集団就職した人たちに全部渡しております。ですから、集団就職で来られた年小女子については、大体こういう本があって、何かのときにはこういうところに相談に行けということが書いてあります。それですから、その点では周知されているのだろうと思います。これは参考ですが、よく電話で、そういう「若い手帳」を見て、こういうことを相談したいのだというわけで、私のほうにどんどんこのごろ相談に参ります。そのために、集団就職については、私のほうでも打つ手はある。ただ家出となるとなかなか打てませんし、それから四千人近くの家出人があるのですから、この四千人というのも、警察庁あるいは公安委員がつかまえた、あるいは保護したところの四千人です。それ以前に上野駅からそういう人たちに見つからずに外に飛び出してしまう、そういう人たちは、われわれとしてはどういうよなう方法をもっても調べることができない。いまのような現行法規でいきますと、私たちのリーフレットとかパンフレットをつくるときに、売春防止法による婦人相談所ですよというふうになかなか書けないのです。そうなると、一度相談に行こうというのも足踏みしてしまう。そういう問題点は、確かに山田参考人が言ったようにあるわけです。そのリーフレットとか、そういうものをつくるときにも説明いたしております。私たちもリーフレットをたくさんつくりまして、地区の福祉事務所なり、あるいは民生委員なり、あるいは大きな会社にそういうものをどんどん配って、そこから私のほうに相談に来るなり、あるいは福祉事務所の婦人相談員に行くというふうに、周知徹底しております。
#48
○藤原道子君 私は、転落防止に力点を置かなければならないときですから、その手帳に売春のための相談所ということは書く必要がないと思います。
 そこでお伺いしたいのは、相談に来るケースでどういうのが一番多うございますか。
#49
○参考人(鈴木金作君) 私のほうへ来るところの大体一番多いのは、結局いまの若い子――私はこれが全部だとは言えないのですが、集団就職の場合に東京へ出てくる人たちは、住み込みというものをあんまりよく思わない。どうしても住み込みだというと自由が制限されるということです。これはまあ私が扱った一ケースですが、実は東京へ来るんだと喜んで集団就職になって来た。東京へ来たら、東京は東京でも山のほうだ。東京は、御承知のように、山間部を持ってまして、山のほうだ。これじゃいなかとおんなじじゃないかというわけなんです。東京といえばビルの中で、銀座とか、そういうところがテレビに映るもんですから、そういうところへあこがれて来たのに、山間部のほうに集団就職した。こんなのはずいぶん違うじゃないというわけで、そこをもうすぐに飛び出してしまう。それから、私のところで扱ったのは六ヵ月以後なんですが、完全に街娼として成り立ってしまっている、そういうわけでございます。東京に来るときに、あるいは地方のほうでも、ここに問題があるんじゃないか。地方の職業安定所あるいは地方の学校の先生たちが、もう少し東京のいい面と悪い面というものを教えていただければ、こういうふうなものは防げるんじゃないかというふうにわれわれは考えていることもあります。それからまあ一つのケースでは、これは東京へ出て来た。それだけれども、いま何にもやるところがどうやっていいかわからない。ただ、一般の商店だとかそういうところは身元引受人がないと雇いません。それですから、身元引受人とかそういうものがなくて雇えるところは、特殊飲食店だとか、あるいはそういうふうな風紀に問題のあるようなところだけだ。そういうところは簡単に入れるのです。そういうところに入ってしまう。よくその事前に私のほうにもどうしたらいいでしょうということで相談に来られ、私のほうから職業安定所に相談さして正規につとめさす、そういうのもたくさん参ります。
#50
○藤原道子君 山田さんにお伺いしたいんですが、いま施設は半数ぐらいしか満たされていないといわれております。また聞くところによると、精薄者が多いということを聞くんでございますが、その実態はいかがでございましょうか。
#51
○参考人(山田弥平治君) これは確かにふえております。それで、きょう全国的なというお話もあったのでございますけれども、それは厚生省におまかせいたしまして、私がいま考えておりますものは私どもで扱っておりますケースになりますが、そういう点でよろしゅうございますか――私どもで扱いますのは、いま虞犯ケースというものを扱うのでございますけれども、これは非常に社会生活が普通にできる線が強いわけでございます。そうすると、売防法施行当時は、確かにそれを施設によって保護更生ということもできました。それから最近の時点では、もう一つの現象として、IQが非常に低くなっております。社会復帰ということがことに困難な人たちがふえております。そういう人たちは、いまの制度のもとで十分に保護され、また長期にわたるリハビリテーションというものが行なわれておるわけであります。しかし、もう一つの事実の虞犯ケースをどう取扱うかということになりますと、私前にも申し上げましたように、常に、君たちは一人前の社会人なんだ、だからその自覚を持って行動しろと言っているわけでございます。そうすると、実際の具体例になりますけれども、そこで指導上、彼女たちが考えますことは、私たちは被保護者なのだということですね。社会に出まして、一人前に働く能力を持っておりますから、稼働してまいります。しかし、施設に帰ってまいりますと被保護者という、二重の生活は彼女たちにとっていろいろの面でコンプレックスに結びついてくる。これが、指導上非常にやりにくい点がございます。それで、社会と接触を持てと、私たち絶えず申しております。ここが何の施設であるかということをあまり明確にしない。それで、会社の人たちとも、私はこういう寮に住んでいるのだから遊びにいらっしゃいよということで連れてまいります。こんないいところに私も入れてくれないかと言われて非常に困るわけでございまして、それで彼女たちが友だちあたりに聞かれます場合、どういうふうに生活費を出しているのだということをまず普通に聞かれると思うのでございます。この点を説明のしょうがないわけでございます。で、彼女なりに、私ども別に併設の若草寮というものを持っておりますけれども、こちらは有料の勤労単身女子を対象として、東京に働いておりまして、地方出身ということで、経済力も比較的低いという女性、こういう者たちを収容保護して、そこは実費の寮でございます。そこの寮にならったような言い方でうそをつくわけでございますね。これは一般の社会人と見られたい欲望が残っていると思うのです。その一例は、そちらの寮に移行しました一人の女性が、「先生きょうから胸を張って電車に乗れる」、「なぜだ」と言ったら、「自分で食べているからだ」、これは非常にこれからの指導上の問題として、私どもの施設にとりまして、そういうような虞犯ケースを取り扱う場合には、一つの問題点になってくると思います。そのほかに、再三申し上げているように、それ以外にいろいろなことで社会の谷間に落ち込んで不幸な日にあった、ふしあわせな人たちは、いまの環境で十分保護して父として育て上げてやる、そういうものが今後とも必要であろうと思います。それから、これから未然防止という形があらわれますならば、その形の制度と申しますか、これは非常にむずかしいと思いますが、お考えいただきたい点なんでございます。
#52
○委員長(小平芳平君) 山田参考人にちょっとお伺いしますが、やはり山田さんの施設のことでけっこうなんですが、たてまえと実態とあると思うのですが、どれくらいの期間入っている人が多いか、短い人だとどれくらい、平均してどれくらい、長い人だとどれくらい、そういう期間に分けて、こういうケースが多いというようなことを概略御説明願えますか。
#53
○参考人(山田弥平治君) 私どもの施設で取り扱いました場合、四十三年度の統計では三年というのが一番長い期間でございます。私どものほうはきめてないのでございますけれども、寮生間で非常に不文律みたいなものがございまして、ここは三年の間に何とか自立更正といいますか、そうして三年目が一つのチェックであるというふうに女性側も受け取っておるわけでございます。ですから、その時期になりますとある程度自立力も出てまいりますし、こちらも人として生活をするにはどうすればいいかということを絶えず指導しております。そのことと、それから都会の生活にもなれるということでございますね。こういうものを合わせまして、平均して一年半くらいでございますか。短いのはもちろんございます。それは、こちらとの最初のアプローチがむずかしくて失敗しました場合なんかは、一週間以内で無断退寮するという場合も出ます。しかし、大体はそのアプローチは成功しているつもりでございますけれども。それから年齢的には、ただいま二十歳前後というのが九割でございます。大体そういうようなことでございます。
#54
○藤原道子君 所長さんにお伺いしたいのですが、指導なさいます上で、相談した人で更生した人と転落の道をたどった人との割合、追跡調査ということはしているのでしょうか、それはしていないんでしょうか。
#55
○参考人(鈴木金作君) 実は、私のところでは、相談に参った場合、そしてどうしてもそのケースは、相談して調査、あるいは家庭との関係の調整だとか、そういうのをやりますと、大体六日くらい私のほうの一時保護所に入るわけです。その間に、本人の心理的、医学的、あるいは職能的ないろいろの判定をして、どこの施設に送るかということをきめられるわけです。
 それで、いまここでは年少と私のほうで言っているのですが、二十三以下の虞犯ケース、こういうのは隣の山田参考人のいる施設にお願いしているわけです。そこで、そこから指導していただいて、あるいは社会復帰させていただくことになっています。
 それで、私のほうでそれについての、じゃどのくらいが完全に更生したのかというデータというものは、私のほうでは持ち合わせておりません。
#56
○藤原道子君 こちらのほうにあるのですか。
#57
○参考人(鈴木金作君) はい。一つ、参考ですが、私のほうに、山田参考人の言ったとおり、実は七つの施設を持っております。六つなんですが、一つかにた婦人の村というのを入れると七つになるわけですが、その七つの施設の中に、人間が十人十色でいろいろな性格を持っているわけで、七つあるものを、いろいろと人を分類しているわけです。それで、大体現在私たちの取り扱っているケースの中に、まあ知能指数だけですべてを云々することはできないのですが、これは知能指数でいくと、昭和四十二年度が平均ならしてIQ七一くらいです。昨年は六八に減りました。もっと落っこってきているわけです。それで、四十三年が六八くらいに落ちております。ということは、私のほうで大体心理判定しても、IQが八〇以上というものはほんのわずかです。四十二年度をとってみても、IQ八〇以上というのは大体二〇%くらいしかないです。あとはみんな境界線の七○以下、そういう人たちが入っております。そのために、社会適応度一、二――一というのは一〇〇ですね、IQ一〇〇以上ある。まあ大体私のほうでもやっております。それから社会適応度二というのは、大体八〇くらいを標準にしております。ですから、山田先生のところに行かれているのは、大体一般の人とたいして変わりはない。それじゃ、IQの低いのはどうしているかというと、ほかの施設に入れなければならないわけです。ところが、大体私のところに来る連中は、IQが五〇だとかあるいは二五くらいまでなんです。私のほうの施設にいずみ寮というのがあるのですが、こういうところは、定員四十人ですが、いつでも一ぱいです。これは一〇〇%入っている。それで、そういうところの人たちはどうするんだ。どうしても、IQ五〇以下ですから、社会復帰も不可能だ。お手伝いさんに寮から出して、行くんですが、やっぱりうまくいかないですぐ帰ってきてしまう。そのために、先ほど、それじゃ在寮期間はどのくらいだ――短いのは確かに一週間か一ヵ月、そういうのが出てまいりますが、長いのになると私のほうにはどうしても四年か五年というのが出てきてしまう。それはどうして出てくるのか。どうしても、IQが四〇ぐらいであって売春歴がある、そうなってくると、外へ出してもとても一般の生活できません。それじゃ私のほうの施設で精神薄弱児の、あるいは精神薄弱者の施設に移行させればいいではないかということになるのでしょうが、やはり売春歴があるというと、一般のそういう人たちのところへなかなか入るということは、その施設では困るということですね。それでやはりここにいるというわけです。やはり四、五年の連中がいる。それからもう一つ、IQが高くても、七〇ぐらいで外へ出せるといっても、いま東京で私たちがアパートでもって独立していくには少なくとも二万五、六千円の金は必要であろう。ところが、私たちのほうの保護施設で幾ら働いても、パートに行っても、現在東京では一日千円です。最高限度働いても二万三千円ぐらいしかとれません。外へ出して更生させよう、じゃどこかに会社なりパートの職を見つけてやって、ここを出ていきなさいと言うのですが、やはり二万三千円ぐらいしかとれません。そうすると、一般の人なら二万三千円なら二万三千円の中で生活はできるのですが、知能が低い、あるいはいままで売春とかそういうもので生活していた連中、経済的観念のない連中をすぐ出せるかというと、なかなか出られないということで、どうしても長い人は三年、四年という月日をかけなければならぬ、そういうふうな面が出てまいります。
#58
○藤原道子君 すみません、ちょっと私、兼松さんに。
 私きょうはおくれてきて、あなたのお話を伺っておりませんので、一つだけお伺いしたいのですが、婦人相談を担当されている婦人相談員ですね、今度常勤で婦人担当職員ということでお仕事なさいまして、どこが一番問題点だということがありましたら、お聞かせ願いたい。とにかく、何とか皆さんが働きいいように、そうして効果があがるようにと念願してお出ましを願っているわけであります。やりにくい問題という点があれば、それを言っていただきたい。
 それからもう一つ、どうしたらいいかというあなた方の切実な御希望があるはずなんですから、厚生省がいたって遠慮は要りませんから、ほんとうのことをそのものずばりお聞かせ願いたいと思います。
 それからもう一つ、今度東京都ではあれが変わりましたね――常勤ですか、こういうことになられて、たしか仕事は四日間やるのですか、売春関係の相談を。何か一般の事務もおやりになるわけなんでしょう。間違ったらごめんなさい。それで仕事がやりいいかやりにくいか、この三点をお聞かせ願いたい。
#59
○参考人(兼松佐知子君) 私は当初から婦人相談員として仕事をしております。それで考えてみますのに、福祉事務所の中で婦人相談員として仕事をいたしまして、やはり福祉六法の谷間の中で、女であるがゆえに問題を持つ、そこから売春に至るというケースがやはり一番多いと思います。ですから、いま施設あるいは相談所の参考人の方のお話にもございましたが、婦人相談員というのは縁が切れないわけです。離れるということがなくて、私としては十年も続いているケースがございまして、追跡ができるわけです。関係が切れないわけでして、四七%のものが居宅指導に当たっておる。その中で、やはり転落防止とはいいながらも、売春そのもの、ずばりというその危険、それから梅毒の問題とか、そういうような中で仕事をしておりますので、身分の安定の中で終始、売春事犯による要保護女子、あるいは今後発見いたします転落未然防止のケース、その両面にわたって安心して仕事することができるように、それが一番考えられていることだろうと思います。
 それからもう一つ、家出とかあるいは防止的なケースの収容のお話がありましたが、先ほど未婚の母親のお話をいたしましたように、いろいろ調査をいたしましたりする間、住まうところのない、いわゆる浮浪母子のような形のケースがございまして、現在の母子寮と申しますのは、児童福祉法で一応男と分けているとか、健康の点であるとか、いろいろな点で、もう少し上のお仕事――浮浪母子でまだ男と完全に別れ切ってなくていろいろとごたごたがある、しかも転落のおそれの十分にある、もしかしたら母親も子供も梅毒であるケースも窓口に参りましたら、まずどうすることもできない。それで、東京都ではいまそういう施設を活用しておりますけれども、やはり十分な体制の中で、五時ごろ来てもすぐどこかに連れていかれるというような、母子も含めた、それはやはり分類された形でどこかに必要でございます。
 それから、転落防止活動を婦人相談員がいたしまして、つまり相談所あるいは施設に持っていくわけですから、やはりどのような施設が完備いたしましても、それをしていきますのは相談員でございますので、転落防止活動がやりいいような方法を考えたいわけですけれども、現在の売春防止法の中に一番初めの総則に転落防止活動ができるような一行が入ることができないものか。それは、私は前に社会福祉協議会の婦人保護委員会に出ておりましたときに、やはりそのような地方からの声がありましたようでございます。そのようなことがうたわれておりましたら、発見ということばで転落未然防止活動ができますし、おそれのあるということでもできます。もう少し積極的にできるかと思います。
#60
○山高しげり君 それでは少し補足的に伺いたいのですけれども、兼松さんに伺いたいと思いますけれども、補導院を出る人たちでも性病が治癒しないままで出る人が五〇%もあるということをこの間も矯正局長が言われまして、そして補導院、あるいは少年院、女子刑務所等を出てきた人たちの受け入れの問題が一つの問題点だという御指摘があったのですが、あなたのお仕事からごらんになってそういう点はどうお思いですか、ちょっとつながりが悪いですがね、いろいろな行政が。
#61
○参考人(兼松佐知子君) 補導院を出ますときに、拘束状態から離れますと、当然今度社会の中での問題になるわけで、相談員がいついつ補導院を出るというときに迎えに行くというくらいのことはタッチがあってよろしいと思うわけですが、現状ではやくざの車が迎えに来るというようなことがあったようでございまして、その辺が相談員の引き継ぎ、制度の上の問題になるかと思いますが、やはりせっかく補導院の中で訓練したわけですから、それを十分受けとめて今度社会の中への復帰をやりたいと思います。治療は、やはり本人がその気にならなければ、現在のところ病院へ通わせるということはできませんで、極力行くように行くようにというふうに電話をかけたり、出向いて誘ったりということをいまいたしておりますが、なかなか困難でございます。
 それから、その本人だけでなく、梅毒の場合は相手方の治療もしなければなりませんので、どこへ行ったかわからないが梅毒を持っているというような人に対してたいへん心配を持っております。
#62
○山高しげり君 それではもう一つ伺います。
 トルコぶろのケース、相当ございましょうか。トルコぶろの中で働いている娘さんたちに売春の実体行為があるということはもう大体わかっているわけですが、婦人相談員のお仕事では、トルコぶろのいわゆるトルコ嬢というようなものはお仕事の対象として接触なさる機会が案外少ないもんでしょうか。
#63
○参考人(兼松佐知子君) 売春事犯の中で、検挙されました者がトルコで働いていたということがあります。そのケースから話を聞きますと、当然売春はやっているようです。ただ検挙の上で、なかなかその証拠が困難であるというふうに担当の方は言っていらっしゃいます。それから、一昨年ですか、あるトルコぶろが廃業をするということをちょっと聞きましたので、私は積極的に参りまして、十名くらいとおこたの中で話し合いながら面接をいたしました。それからそのときにアンケートもとりました。やはり売春は行なわれているようです。それから、それぞれに悩みですね、健康のことだとか――神経痛が大部分でしたけれども、それから胃が悪いとか、あるいは仕送りしているとか、やはりいろいろ問題があったようで、当然要保護女子として考えられる対象なんですが、そういう人たちと私どもがどのようにして接触するかということで、先ほどの発見といいますか、転落防止活動とつながるわけです。
#64
○山高しげり君 トルコのことはわかりましたけれども、先ほど、きょうのお話の最初のケースに出てまいりました、通行中の男子から肩をたたかれて、そうして旅館に行って、入口でつかまった。それはたいへん単純のようですけれども、そういう街頭で女をつかまえて旅館等に行くというケースは非常に多いし、それからコールガールですとか、いろいろこのごろ新しい形が、たいへん簡単なあれがあるようですが、それについては御存じでしょうか、一、二教えていただきたいと思います。簡単でけっこうです。
#65
○参考人(兼松佐知子君) やはり、コールガール組織といいますか、電話を備えていて、そこで何人かの女の人が待機している。男のほうから連絡がありますと、次々に出ていって売春をしている。簡単には姿をあらわさないので、やはりなかなか取り締まりはやりにくいというようなことを、女の子のほうから話は聞いております。
 それから、ガイドクラブといいますか、チラシを渡しておりまして、いま新宿では、やはりひまわり作戦の中にあれも考えていられるようですけれども、やはりその行為自体によって、法が変わるのでむずかしいということですが、あれも簡単に一度電話で呼び出したからすぐその場で売春が成立するというのではなくて、いろいろ段階があってむずかしいようですけれども、やはりそれにつながるのではないかと思います。
#66
○藤原道子君 ありがとうございました。いろいろ伺いたいのですけれども、参考人の方から伺いましたことを、また午後は当局にお考えをただしていきたいと思います。なかなかやりにくいお仕事で御苦労さんだと思いますが、さらに追跡調査というようなこともひとつ考えてほしいし、いま伺いました浮浪母子の問題は非常に重大だと思います。だから、知能の高い者は巧みになっているからつかまらないで、知能の低い者だけが網にひっかかる、こういうふうな状態のように思えるわけです。これは、対策は当局でも真剣に考えてもらいたい、私はこう思っております。
#67
○山高しげり君 お三人の方々ありがとうございました。
 最後に、言い残したこと、これは一言言って帰りたいとお思いのことがございましたら、おっしゃっていただきます。どなたでもけっこうです、要望があれば。
#68
○参考人(山田弥平治君) これはお願いなんでございますけれども、先ほど鈴木参考人からもお話があったと思いますけれども、比較的、最近、知能が低いといいますか、社会復帰性が非常に低い段階の娘たちが一ぱいおります。それで、ある程度の指導によってある程度の社会生活はできる、しかしそれ以上の何らかのやはり一本立ちするにはできないというのが、全国で一ぱいいるわけでございます。さような者たちにも社会人としての資格を持たせ、また、その自立という意味からも、なるべく社会に近づけてあげたい。しかし、そう一足飛びには出られないという子供たちが多いわけでございます。そういう人たちを何か段階的に収容できるような施策ができましたら非常にありがたいと思うのでございますが、これは全国の会議などでよく要望に出てまいります問題なんで、特にこの席をかりましてお願い申し上げる次第でございます。
#69
○山高しげり君 終わります。
#70
○委員長(小平芳平君) 本日は参考人の方々には御多用のところ長時間にわたり種々御意見を賜わり、まことにありがとうございました。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#71
○委員長(小平芳平君) 速記を起こして。
 午後一時まで休憩いたします。
  午後零時四分休憩
     ―――――・―――――
  午後一時十五分開会
#72
○委員長(小平芳平君) 委員会を再開いたします。
 午前に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#73
○山高しげり君 それでは、警察庁の保安部長にまずお伺いをしたいと思います。
 前回の部長のお話の中にもトルコぶろの問題が出てきたんですけれども、きょうはひとつ、お骨を折っていらっしゃるトルコぶろの取り締まり、その他トルコぶろに関するいろいろな問題につきまして一応お立場から承りたいと思います。
#74
○政府委員(海江田鶴造君) トルコぶろにつきましては、まず最初に現在トルコぶろがどのくらいあるかということから申し上げ、さらにその取り締まりについての状況あるいは取り締まりの困難性等について御報告をいたしたいと思います。
 ことしの五月の末に私のほうで全国的にトルコぶろの営業がどれくらいあるかということを調査いたしてみましたところ、七百四十八軒全国でございます。これを昨年に比べますと、三十五軒増加いたしております。ただ、御承知のように、三十八年、三十九年、四十年と急速に増加したのが、四十一年の風俗営業法改正によりましてトルコぶろの規制が行なわれましたので、その後はほとんどふえておりません。その内訳で、御承知のように、トルコぶろにつきましては、禁止地域と、これをやっていい地域とございますが、禁止地域では三十三軒減少いたしております。反対に禁止地域外では六十八件増加しておりまして、したがって現在の総数が七百四十八軒になるわけでございます。
 このトルコぶろの取り締まりでございますけれども、風俗営業法でトルコぶろの規制がきめられました四十一年から本年の四月までにこれを風俗営業法あるいは売春防止法等の法律違反として検挙した数が百五十四件になります。これは業者総数の約二割になるわけであります。昨年は一年間で十七件を検挙いたしております。また、売春防止法等の違反がありましたトルコぶろにつきましては、公衆浴場法による許可を得ておるわけでございますが、これに対して警察のほうで営業停止ができるようになっておりまして、そういう法律違反があって取り締まりをした結果営業の停止をした数が六十六件に及んでおります。約一割でございます。この処分は、大体一ヵ月以上六ヵ月ぐらいまでの営業停止をしておるわけでございます。昨年一年間では十六件の行政処分をいたしております。なお、このほかに、先般来からいろいろ御指摘がございます全国の警察で売春関係事犯として内偵捜査をしておる数が全国で約百六十四件でございます。ただ、あとで申し上げますように、こういう捜査はきわめてむずかしいので、なかなか実を結ばないのが実情でございます。売春防止法違反等の捜査をやる場合の、現実にそういう仕事をやっておりまして苦労しておる点等を御要望がございましたので申し上げますと、まず第一に、トルコぶろの中でトルコ嬢が売春をしておるということをまず最初に立証しなければならないわけであります。これがきわめてむずかしいのであります。お客として中にいる者の人権もございますので、ただ任意捜査の過程で踏み込むわけにはまいりません。したがって、トルコぶろの中で特定のトルコ嬢が売春をしておるということを立証することは、これはきわめてむずかしいのであります。また、たとえ売春をしておったとしても、それがトルコぶろ営業者の指示したものであるもの――いわゆる管理売春であるのか、あるいは少なくともトルコぶろの営業者が情を知って場所を提供しておったのかどうか、いわゆる売春法違反の立証というのは、これはまたきわめてむずかしいのであります。御承知のように、トルコ嬢の中にはほとんどが被害者意識がない。したがって、現在働いておるトルコ嬢が警察の調べに対して「私は売春をやっておりました」と言う者はほとんどいないわけであります。もし万が一売春をやっておる証拠を警察が握ったといたしましても、それは平生から業者から教育を受けておりまして、私はただ自分の好きかってにやりました、業者から指示を受けてやったわけじゃありませんというふうに言うわけであります。そうすると、これは犯罪として成り立たないということになります。したがって、現実には、東京の例で申し上げますと、現在まで警視庁が相当な労力を要しまして三件しか検挙いたしておりません。しかし、そのためにはいろいろな苦労しているわけでございまして、まず第一に、いろいろ付近の風評あるいは情報等から、このトルコぶろがきわめて悪質であって、相当な売春をやっておって、不当なもうけを得ておるというような情報が入りますと、まず第一に浴客――そこの張り込みをいたしまして、お客を見つけ出して、そのお客からいろいろ売春をやっておるということの資料を得るための努力をするわけであります。ところが、浴客は、自分がそういうところに入っていっておるということが恥しい、あるいは自分の立場上困るということで、ほとんどが警察の調べに対して協力しないわけであります。一つの例を申し上げますと、本年二月に吉原地区並びに御徒町地区で二軒のトルコぶろを経営しておる者がありましたが、これを捜査するために、一月の十日ごろから一月末まで約十五日間、毎晩午後八時ごろから翌日の午前一時ごろまで、この御徒町のトルコ本店周辺に張り込みを行なって、浴客を確認し、住所氏名を質問し、あるいは自動車の登録ナンバーを記録して、浴客に売春の有無を聞いたわけでありますが、十五日間でこれはと思う対象者五十人に当たったわけでありますけれども、住所氏名を偽ったり、協力してくれなかったりで、結局相当苦労をして事情聴取に応じた者は一割の五人であったわけであります。また同じように、吉原地区にあるアヅマトルコ支店についても、四人の刑事を投入して、一月二十日から三十日まで約十日間、午後八時ごろから午前三時ごろまで張り込みをして、十五人の適当な浴客を確認したわけであります。このときは比較的うまくいきまして、五人――三分の一の協力を得ることができたわけであります。こういうふうに、まず売春が行なわれているかいないかということについての聴取はきわめてむづかしいわけであります。それからまた、売春が行なわれているようなことについては、供述だけではなくて、やはり若干の物的証拠が必要でありますので、結局売春に使われると思われる衛生器具等を収集する必要があるわけでございまして、これにつきましては、当委員会で御報告するにはあまりに問題が不適当かと思いますので、詳細説明は避けますが、きわめて言うに言われぬ苦労をしてそういう証拠の収集に当たっておるわけであります。なお、そういう衛生器具につきましては、最近業者は全部これを知っておりまして、ごみ箱には捨てない、一ヵ所にまとめてできるだけ早くこれを焼却するという方法をとっておりますので、この証拠資料の収集も今後は容易でないと私どもは考えております。また、業者を売春防止法で検挙するためには、トルコ嬢に売春をさせておることを証明しなければならないわけでありますが、さっき申し上げましたように、現在働いておるトルコ嬢は全然これを言わないわけでありますので、どういうふうにしてトルコ嬢が業者から指示を受けて売春をしておったかということを立証するために警察がとっておりますのは、もと働いておった、いまその店にいないトルコ嬢をさがし求める。これは東京でございますと、場合によりますと、群馬県、神奈川県、静岡県へ足を伸ばさなくてはならないわけですが、トルコ嬢の移動は激しいので、もと働いておったトルコ嬢を発見することはきわめて困難であります。また、発見しても、なかなかこれを言わない場合が多いわけであります。そういうふうに、浴客から事情聴取をして、それから証拠を集め、さらにもと働いておったトルコ嬢を発見して、これの協力を得て、それの資料に基づいて初めて捜索令状あるいは場合によっては逮捕令状の請求ができるわけであります。そうして、その令状によって捜索あるいは逮捕いたしまして、さらにいろいろな証拠を得、また被疑者としての取り調べから売春防止法違反の確証を握っていくわけであります。この取り調べにあたりましても、業者はほとんどと言っていいくらい売春の場所提供あるいは痴情性については否認をいたします。ほとんどが否認のまま検察庁に送致をするというのが実情でございます。
 なお、警察の内偵あるいは取り締まりが行なわれますのに対抗しまして、業者側でも非常に警戒をいたしまして、取り締りに備えまして、マネージャーからトルコ嬢に対して、こういう場合にはこうしなさいという教育がほとんど連日のようになされております。また、施設におきましても、先ほど申し上げました手入れしたトルコ本店はもちろんでありますが、全国のトルコぶろの約三二%が、警察の取り締まりに備えて、何らかの警戒の設備を備えておりまして、たとえば各個室に赤電灯をつけて、それを警察が入ってきた場合にはすぐ点滅させて警察の手入れを知らせる。その間にトルコ嬢はあらゆる売春をやめる、また証拠を隠滅するということが行なわれるわけでありますし、また各個室にチャイムを備えつけておりまして、警察が入っていきますと、玄関のところでチャイムを鳴らす、それによって証拠隠滅をはかる、こういうことのようであります。
 なお、トルコぶろの現場の中で、私どもが売春取り締まりから得ましたところでは、売春以外にも、いろいろなわいせつな行為が行なわれているわけでありますが、悪質な業者になれば、できるだけ売春料を安くする、トルコ嬢に対しても、安くすればお客が来るから、うんと安くするということで、強制して安くさせるような例があります。したがって、安いところでは三千円、普通でありますと、五千円くらいが普通の売春の料金であるように私ども見ております。
 なお、現在のトルコぶろの経営におきまして問題かと思われますのは、私どもが手入れをいたしましたトルコぶろに関しましては、ほとんど固定給が全然ないのが実情のようであります。これは手入れをした限りにおいてわかったことでありますが、固定給はゼロ、しかも、お客をとりますと、一人お客に要するタオル代その他の名目で、少ないところで百円、多いところで三百円ぐらい女から徴収するわけであります。そのほかに、一日平均四、五人、五、六人扱いますが、一日大体千円また別個に、これはぶっ込み代ということで徴収しているようであります。したがって、こういうところで働いておるトルコ嬢は、一日お客を四、五人、五、六人とりますと、大体少なくとも千五百円から二千円ぐらいを業者に払うわけであります。したがって、これはどうしてもある程度、売春とまではいかなくても、それ以外のサービスをしてなければならない。まともに働いていれば、御承知のように、入場料のほかに、お客はトルコ嬢にサービス代というのを払います。これは別にきめられたものじゃありませんが、サービス代として三百円ないし五百円払います。結局これが収入になるわけでありますが、それから払わされますと、何にもしないであたりまえのトルコ嬢としての入浴しておる客の背中を流すという程度ではほとんど収入にならないというのが実情のようであります。この点、私どもも、関係官庁と協力いたしまして、できるだけそういう給与体系についても側面的に協力いたしまして是正する方向に持っていくことが売春を予防する上で必要ではないか、こういうふうに考えております。先ほど申し上げましたが、現在七百四十八軒のトルコぶろがございますけれども、トルコぶろのない県が全国で八県ございます。
  〔委員長退席、理事山田徹一君着席〕
前は山形県がございませんでしたので九県でございますが、昨年山形県もつくりましたので八県でございます。トルコ嬢の数は、先般調査したところでは約一万三千名ぐらいと思っております。
 以上でございます。
#75
○山高しげり君 いままで送検されて、営業停止は行政処分でございますね、それで裁判になっておりますものはどんなような様子でございますか。それ一つでも二つでもけっこうでございますから。
#76
○政府委員(海江田鶴造君) まことに申しわけありませんが、いま手元に持っておりませんが、ほとんどが売春防止法でいきますと業者は罰金であるわけでございます。額についてはまたあとで調べまして御報告いたします。
#77
○山高しげり君 結局、罰金もたいした額ではないようですし、まあ刑に触れても格別業者は痛くもかゆくもないのではないでしょうか、それはどうお考えでしょうか。
#78
○政府委員(海江田鶴造君) おっしゃるとおりでございまして、たとえ罰金を払っても、またわずかな体刑を食っても、あまりこたえるようには感じないのでございまして、先ほどちょっと言い忘れましたけれども、これは正確な資料じゃございませんが、トルコぶろ営業の二、三割は暴力団関係の者によって経営をされておるということからいいまして、罰金ではなかなか目的を達せられないと思います。したがって、私どものほうでは、できるだけ証拠捜査その他によって固めまして、取り締まりその他についてはきびしい行政処分をもって臨みたいということで、昨年来強力行政処分を行なっておるということでやっておる状況でございます。
#79
○山高しげり君 七百四十八軒の中で、その営業を一人の業者が何軒も持っておるというようなケースはどうでございますか。
#80
○政府委員(海江田鶴造君) 私どもも、たとえばことしの二月に摘発しました先ほどのトルコぶろにつきましては、同じ人間が二つ持っておりましたし、昨年これは非常に大きなトルコぶろを摘発したわけでございますが、この業者はトルコぶろ六軒を都内に経営をいたしておりまして、約百名のトルコ嬢を使ってやっておったわけでございますが、そういうふうに一人の業者が幾つも経営する、あるいは自分が名前を出さなくても自分の輩下の者とか、あるいは卑俗なことばで言えば二号にやらせるとかというようなものも相当あるようでございます。ただ、私どものほうはこの許可のほうを直接扱っておりませんので、あまりそれがどの程度の、業者の数がどれくらいであり、一人がどれくらいやっているかということは、詳しい資料を実は手元に持っておりません。
#81
○山高しげり君 それから、たとえば営業形態と申しましょうか、浴室があってそこへ客が入るという単純なそれだけのことでなくて、女に、まあ昔の遊郭なぞの源氏名と申しますか、何かいろいろな名前をつけるとか、あるいは女の名入りのちょうちんが下がっていて、そうして女が欠勤しているときにはそのちょうちんの火が消えているとかといったような、なかなか手の込んだ新しいくふうなんかを業者がしているようなことも聞きますけれども、その辺いかがでしょう。
#82
○政府委員(海江田鶴造君) 店によりましてはそういうところもあるようでございまして、たとえば服装につきましても、古来の日本的な服装をして客にサービスをするというような店もあるようでございます。また、源氏名と申しますが、大体ああいうところで働いておる女の名前というのはみんな本名ではないのが普通でございまして、全部まあ平たく言えば源氏名を使ってやっておるのが実情でございます。それから、女が休んでおるか、あるいはいまお客が来てふさがっておるかということにつきましては、ほとんどの店でやはり名札をぶら下げてあって、差はあれ、いまこの女が欠勤であるかあるいはふさがっておるかということが玄関のところでわかるようになっているのがかなり多いのが実情でございます。
#83
○山高しげり君 それで、私どもは前に藤原先生と見に行ったときにもそういう実例はあったのですけれども、指名でお客さんがどの女の子を指名する――芸者さんでもお茶をひくということばがあるようですけれども、あんまり名ざしでかかってこないという子供とたいへんはやる子供と、そういうものも当然できますですね。そういう場合に、はやらない子供に対して、罰金といいますか、何かそういう制裁みたいな措置が講じられているのじゃないかと思いますけれども。
#84
○政府委員(海江田鶴造君) いまおっしゃいましたようなことは、やはりわりあい行なわれているようでございます。それで、非常に指名の高い者――これは指名料というのは大体、一定はしておりませんけれども、かなりトルコ嬢本人の収入になるわけですが、そういう指名の多い者については表彰をしておる、それから指名の少ない者についてはよくしかられたり、毎朝の点呼のときにしかられたりあるいは罰金をとられているケースもあるということのようでございます。
#85
○山高しげり君 結局、さっきのお話にもございましたように、たてまえは、自由意志で女はやっている、業者はただお客から入浴料を徴収をしている、こういうたてまえになっているわけでございますね。しかし、事実におきましては、いまのような問題とか、あるいはその入浴料は一定の時間の制限できめられておる、それを延長するような場合とか、こまかいことで、結論的に言えば、女がやはり経営者から搾取されるという結果になっているとみなさるようでございますが、それはいかがでしょう。
#86
○政府委員(海江田鶴造君) 厳密に申しますと、先ほど御報告申しましたように、いろいろな名目で業者がトルコ嬢から金をとっておるわけでございますから、その面に関する限りやはり搾取があるのではないかと思います。ただ、トルコぶろに働きに来る女の子あたりは、率直に申し上げますと、わりあいよくそういうことを知っておる。知っておって来ておるのが一つと、それから本人さえ努力すればかなりかせげるわけでございます。一日にお客六人――六人というのは普通でございますが、もうちょっととろうと思えばとれるわけでございますが、場合によれば三万ないし四万の金が一日に入ってくるトルコ嬢もいるわけでございまして、やはり搾取されておるという感じはあまり持っていないようでございます。
#87
○山高しげり君 それで、前回にもお話がございましたけれども、結局、こういう非常にいかがわしい、まじめな国民から言えば困ったような商売が繁盛しておりますが、すでに最初から、トルコぶろの規制をやるときから、もう少し強い規制の問題が出ておりましたが、公衆浴場法の許可を得ているものがその当時六百軒ないしは七百軒もあった、その程度の数字の、業者の営業権というものが相当大きくものをいっているようなお話でございましたけれども、七百人の営業権と、それから国民のもっと多数の人たちの風俗が乱される――いろいろトルコぶろから派生してくる困った問題が多々あるわけでありますけれども、それとはかりにかければ、七百軒の営業権をそれほど大きく認めなければならないということは納得がいかない国民も多数いるわけでございますが、その辺はどういうふうにお考えでしょう。
#88
○政府委員(海江田鶴造君) 非常にむずかしい問題でございます。やはりトルコぶろの歴史を見てみますと、もちろん二十八、九年ごろから出始めたわけでございますけれども、これが急速に大きな数になったのは、売春防止法が施行されて、そうして旧赤線、青線業者を転廃業させるということで、そのころ旅館になったりあるいはトルコぶろになった業者が相当あったようでございます。そういう歴史的な経過で生まれたものが相当あるように私存じております。そういう点で、そのころ相当な努力をしてトルコぶろに転廃業させたものを、今度はそれがいかぬというのは若干無理ではなかろうかという意見も若干あったように承っております。しかし、四十一年ごろまではやはり業者の憲法で定められた営業権というものに相当大きなウエートがかかっておったようでございます。最近私行政を担当いたしておりまして痛感いたしますのは、むしろ国民の福祉なりそういうものがだんだん重視されるべきであるという方向にいまの方向が動いておると思いますが、あの当時は営業権がきわめて重視されておった段階で、やはり既存の業者の営業権を無にはできないということで、あの程度におさまって、むしろこれ以上ふやさない、この程度はしようがない、これ以上ふやさない、減少こそすれふやさないという方向であの措置がとられたというふうに承っております。
#89
○山高しげり君 それで、先ほどのお話の中に、トルコぶろがない県が八県とおっしゃいましたね。それを一ぺんあげていただきます。
#90
○政府委員(海江田鶴造君) 北から申し上げまして、青森、群馬、長野、富山、奈良、島根、佐賀、宮崎の八県でございます。
#91
○山高しげり君 先ほど、山形県が前にはなかったけれどもできたと、こういうことで九県が八県になったというお話でございますが、まあ山形県の余目のことは私も多少は知っておりますけれども、たとえば長野県なんかで、だんだんできようとしているのを、地元の市民運動でつくらせない、また県の御当局も積極的に御指導なり協力がありまして、県民の福祉のためにそういったものをつくらせないという力が相当伸びている傾向もあるように思うわけでございますけれども、かたわら東京のようなところはますますいんしんをきわめているのじゃなかろうか、このこともやはり大都市問題の一つのようにも思われますけれども、しかし前回の場合に、大阪は少し違うと、兵庫県などは相当盛んなほうかと思いますけれども、今後、いま部長がおっしゃったように、ウエートのかかり方に変化が生じてきているらしいという、私どもの立場から考えますと望ましい方向に動いているように考えられますけれども、このない県が減るというようなことはいまのところなさそうでございますか。
#92
○政府委員(海江田鶴造君) 先ほどちょっと申し上げましたけれども、四十一年の法改正のときに、この辺にはトルコぶろがあってもしょうがなかろうという地域と、それからこの地域にはトルコぶろは絶対つくらせないという地域を、それぞれの県で判断をして条例をきめたわけでございます。ところが、その判断に若干甘さがあったのではないかということを実は考えるわけで、それは私どものミスと申しますか、モータリゼーションというものがこのように世の中を変えていくことについて実は予想がつかなかったわけでございます。それで、たとえば山形県の例をとりましても、それからそれ以外の県をとりましても、山の中だったらだいじょうぶだろうということで、山の中は許可してもいいということで残してあった。たとえば愛知県でありますと、愛知県は町という町はほとんどにつくらせない、現在あるものはしょうがないけれどもそれ以上はつくらせない、ただ山の中は許可してもつくらないであろうということでやっておったところが、山形県では余目をやられ、また長野県でも若干そういうきらいがあるわけでございます。それで、かなりな県で、たとえば東北でございますと、ちょっと私ここに資料を持っておりませんけれども、山形県もそうでございますけれども、さらに改めてほとんどの地域について今後はトルコぶろの新設許可を認めないというような条例改正をしております。したがって、私どもは今後ふえることはないであろうと思っておりますが、むしろ減る一方であろうと思いますが、ただ、たとえば東京でございますと、大部分は禁止地域で新設はできません。ただ、吉原地区と池袋、新宿、この三地区だけが許可地域でございますが、やはり需要が多いのか、こういうところで、あるいは全国的にも、ここはやむを得ないと認められておる地域でそういうものをつくる者が、従来ありませんでしたが、去年あたりからまた少し出てきておりまして、若干ありますけれども、禁止地域にありますトルコぶろは、これは減ってきておりまして、先ほど申し上げましたように三十三件減っておりますから、環境浄化の上ではかなり役立っておるのではないか、こういうふうに存じます。
#93
○山高しげり君 営業停止は一ヵ月から六ヵ月ぐらいの期間と、六ヵ月がまあ一番長いわけです。その一番長いようなのを何回も受けた場合がございますか、いままでの例で。まあそんなのがあればよほと悪いということだと思いますけれども。
#94
○政府委員(海江田鶴造君) 行政処分はいまおっしゃったように相当受けておるのがございまして、全国の統計で見てみますると、三回以上受けておりますのが五件ございますし、二回受けておりますのが十三件、一回が八十八件ということになっておるようでございます。
#95
○山高しげり君 そうすると、それは県別はどうなりましょう。
#96
○政府委員(海江田鶴造君) 県別では、総計で申し上げますと、北海道が三件、それから東北では、秋田が一件、山形が一件――これは余目でございます。福島が一件、それから警視庁が六十三件、茨城が一件、栃木が三件、埼玉が八件、千葉が二件、神奈川が四件、静岡が二件、石川が三件、愛知が三件、京都が一件、兵庫が七件、岡山が三件、以上でございます。ちょっと申し忘れましたが、この行政処分の中には県の衛生部で行なったものも含まれております。それでちょっとこの統計がはっきりいたしませんが、私のほうで申し上げました百五十四件よりはあるいは上回るかと思いますが、県の衛生部が行なったものが含まれております。
#97
○山高しげり君 それで、環境衛生局からもお出ましをいただいておるのですが、個室のついたトルコぶろというものをいつまで公衆浴場とお認めになっておられるのでしょうかね。その辺、公衆衛生局としてはお話も出ておりませんのでしょうか。公衆浴場に個室の必要がどうしてもあるとは思えないんですけれども。
#98
○説明員(赤穴博君) 個室つきの、特に異性の役務提供のありますいわゆるトルコぶろ営業については、公衆浴場の中でその営業の許可をしていいかどうかという問題はいろいろございます。確かにございますけれども、現在の体系としては、一応、衛生上の問題は公衆浴場のほうから一般的な規制をしていく、その他の風紀保安上の問題は風俗営業法の点から必要な規制をしていただく、こういうことで、現在の体系としてはかような方向で進んでおるわけでございます。確かに、先生のおっしゃる個室つきの、こういう個室の浴場というだけの浴場営業というものが公衆浴場としての体系として考えるべきであるかどうかという問題いろいろあります。これは特殊浴場全般を通ずる問題でございます。この点につきましては、公衆浴場業これ全体といたしましていま非常に大きな曲がりかどに来ておりますし、そういう問題を踏まえまして、公衆浴場法をどうするかということは、私どもといたしましてもいま基本的に検討いたしております。これは物統令の問題を含めて、料金制度もからんでおります。そういう問題を含む際に、基本的に公衆浴場法というものをどういうふうに持っていくかということを考えさせていただきたい、かように考えております。
#99
○藤原道子君 私はこの問題はもう前々から問題になっておると思う。いつごろこれの考えがまとまるかと実は見守っていたのです。個室があって女がサービスする、これを公衆浴場と言うのがおかしいので、どこから出てきたのか私にはわからない。それでしばしば問題になっておる。それで、あなたのほうは衛生問題だけを取り締まっておると、こうおっしゃるけれども、どういう取り締まりをしているか、私はおかしいと思う。これは一日も早く公衆浴場なんということは名前を取ったらいいと思う。
 それからもう一つお伺いしたいのは、せっかく苦心をしてお調べになるということの御苦心はほんとうにわかるのです。そうだろうと思います。そういうことで罪状が明らかになって営業停止が行なわれる、それを一ヵ月で再開させるというのも、これまた少しあたたか過ぎると思う。あまりにも業者に対して寛大な措置じゃないですか、苦労に値する処罰ではないと。あの人たちはね、一ヵ月や、それから五千円や一万円の罰金なんかへいちゃらですよ。私、今度は社労委でカネミ油についても考えているのですが、まだ処置がつかないうちにあれは製造の再開も許しておりますね。ことにトルコの場合、捜査の苦労から考えますと、業者の体質等から考えて、もう少し処罰のあり方がきびしくていいのじゃないか、こう思うのですけれども、いかがでしょうか。
#100
○政府委員(海江田鶴造君) 私も先生の御意見に全く賛成でございます。ただ、トルコぶろにつきましては、県の公安委員会の営業停止の処分というものが、売春防止法の罪を犯した者と、こういうふうになっています。したがって、売春防止法の罪をはっきり犯した悪質の者については六ヵ月ぐらいの行政処分は可能ですけれども、その辺が弱くて、犯罪としてたとえば検察官のほうで起訴猶予等になりますと、どうしても行政処分を重くすることができない。また、行政処分を行なうにあたりましても、聴聞をやりまして、そして最終的には公安委員会がどの程度の行政処分を行なうかということを決定するわけでございますが、その間いろいろ諸般の事情を聞かれた上で決定されるわけです。私どもとしては、やはり少し軽過ぎるのではないかといつも思っておりまして、できるだけ事務的にはきびしい行政処分で臨むようにという指導をいたしております。最近は、そういう方向で、だんだん処分が重くなってきているようでございます。
#101
○藤原道子君 私は、営業権よりも福祉関係のほうにだんだん重点が置かれるようになってきたというおことばがあって、非常にうれしいと思うのです。そうでなければならぬと思うのです。現在のトルコが社会の福祉に貢献しているということはまあないと言ってもいいくらい――ということになれば、もう営業権取り上げてしまってもいいというくらいに私は思う。その点を、どうか今後の検討でその方向でもっていっていただきたいということをお願いしておきます。
 それから、公衆浴場というものは、これはどうしても切り離さなければおかしい。この前も質疑のときに、トルコぶろそのものは云々という答弁がございましたが、トルコぶろそのものが本来のトルコぶろなら私はいいと思う。だから、大阪あたりのように、オープンで全部並んでそこで女がサービスするというようなもの、普通のあんまですね、マッサージ、これなら私はそう深入りはしない。そういうようなふうに指導はできないものでしょうか。そういうことでは営業が成り立たないから業者がやらないのか、そういう指導したことがあるのか、その点はどうでしょう。どこへ聞くのでしょうか、適当なところで御答弁をお願いします。
#102
○政府委員(海江田鶴造君) 指導によってある程度できると思います。大阪でああいうふうになりましたのは、やはり前に「大阪府特殊浴場取扱内規」というものがあったようでございまして、ここでは「各室は二コ以上併設し、浴室内の相互の部分の上部は開放的とし、脱衣場はスクリーンで仕切りをすること」というような内規がきめられて、これで行政指導しておったということが相当いい効果をあげたのではないかと思います。ただ現在あるものについてはなかなかこれはむずかしいと思いますが、今後できるトルコぶろにつきましては、ある程度こういうような行政指導を厚生省当局とも相談いたしましてやっていく必要があるのではないかと思いますが、なかなかむずかしいとは思いますが、努力の余地はあると思います。
#103
○藤原道子君 どうも業者になまぬるいのですよね、あらゆる面で。私は、先ほどのお話の一日で三万、四万の収入になる、それでいまのいろいろな点から若い人たちの間に性に対する考え方が非常に違ってきておるということもあると思います。と同時に、一晩で三万も四万もかせげるということが、その人の人間性喪失になるのですね。拝金主義というか、金さえもうかれば何をしてもいい、自由じゃないかという、こういう考え方が社会を毒することは想像以上のものがある。集団就職してきて、思うようにいかない。そうすると、知り合い等から誘われる。そういう人から誘われる。こういうことで転落していくという事実はずいぶん多いと思います。そういう点から、好ましからざる業種であるということは皆さんもおわかりになっていらっしゃると思うので、特段の勇気をもって処理をされるように希望したいと思います。いかがでしょうか、勇気ありますか。
#104
○政府委員(海江田鶴造君) 私もわりあいに勇気のあるほうだと思っておりますが、相当思い切ってやっておるつもりでございますけれども、やはり何と申しますか、いまおっしゃったように、全体の風潮というものがありますし、またお客もそういう方向にわりあいに、あまり罪を感じないでそういう遊びをするというような方向にありますので、私どもの態度というものがいかにも時代おくれのような感じがすることもときどきあります。こういう点について、一線の警察もいろいろ忙しい仕事をかかえておりますので、ついほかの仕事のほうに手が回ってしまうということもあろうかと思いますけれども、やはり私は一種の国辱だと考えておりますので、できる範囲内で努力をいたしたいと思います。
#105
○藤原道子君 特にやかましく申し上げたいのは、国辱なんです。外国なんかへ宣伝ビラまで行っている。日本に行けばトルコがある、トルコへ行けば女が自由になる、男子天国だ、いろいろな面で宣伝されている。私は、もうそういう面で有名にならなくても、日本は日本の正しい方向でさらに躍進することはできると思います。ですから、そういう面は特に強くやっていただいてもいい。ときには営業権の侵害だぐらいな声があがっても押し切っていただきたい。と同時に、厚生省の公衆浴場ですか、そのほうでも一日も早くこの問題のけりをつけてほしい。だれがどう聞いても、個室があって女のサービスつきの公衆浴場なんということは通らないですよ。きょうは課長さんにきびしいことを言って申しわけありませんけれども、ぜひそういう方向で進んでほしいと思います。
#106
○説明員(赤穴博君) トルコぶろができました当時におきまして、どのようなとらえ方で営業の問題を処理したらいいかということでいろいろ問題があったのです。当時、公衆浴場法で、営業許可ということをいたしませんで、全くの自由にしてはたしていいものであろうかどうかというような、いろいろな問題もございまして、まず第一には、公衆浴場法で営業の許可、少なくとも許可制をしいているわけでございます。このほうでとらえながら、行政指導を進めていかざるを得ない、こういう客観的な事情もあるように私どもは承知しております。公衆浴場では全くないということで、しからば全くの自由営業だということになれば、だれもチェックできないという全くの自由の営業の問題であるということもございますし、いろいろ営業の形態が変わってくるたびごとに、浴場法とかいろいろな法律――営業法でございますけれども、それをどのように解釈しながら、現行法で少なくとも弊害をなるべく少なくしていこうということで、公衆浴場法で一種の規制をし、できない限界につきましては風俗営業法のほうで、後に改正していただいて、必要な風俗関係の規制をさらに加える、かようなことでいままで進んできたのであろうと思います。その点は、きわめて経過的な問題でございますが、先ほど私が申し上げましたように、公衆浴場法自体につきまして、基本的にここ一、二年の間にその問題を、制度全体をどのようにするかという問題の解決が一つ迫られている課題でございますので、その際に、先生方の十分御希望等も考慮いたしまして、基本的な問題の処理を警察庁等にも十分御相談して考え方をきめたいと、いまはさようなことで御猶予いただきたいと思います。
#107
○藤原道子君 とにかく、どこの国へ行っても、裸体の男性のところへ半裸の女性が行ってサービスしているという国がありますか。そういう点から考えても、もっときびしく行なってしかるべしだということを強く要望して、私は関連でございますから終わります。
#108
○山高しげり君 大体トルコぶろについては承りました。地方の声などを聞きましても、その七百軒ほどある業者の中の特別えらい方々に政治に御関係の方もあるということをやいやい言われますので、まあ国民の声はそんなふうに私どもの耳に響くわけでございますけれども、現行法においてあえて御苦労をしておってくださいます当局のお骨折りも十分にお察しをしておりますので、ひとつ、だんだん方向はいいほうに向かっておるようにも感じられないこともございませんので、今後のお骨折りをお願いをいたしまして、次に伺いたいと思いますことは、トルコぶろも万国博の世界の客寄せの一つに使われているらしいのでございますけれども、万国博目当てに環境浄化にさからうような傾向が出てきている。そうして、それは売春に直結しているといったような問題があることは、いままでにもしばしば予算委員会等で指摘をしてきたところでございますけれども、最近私が見聞をいたしました実例もございますので、その問題を少々伺いたいと思うわけでございます。
 私が最近にぶつかりましたのは、大阪府の高槻市の一角、松原町というたいへん静かな住宅地域でございますが、そこに百二十一戸ほどのマイホームがほんとうにきれいに、平和に並んでいるのですけれども、その一角に、ちょうど扇形の地形の扇のかなめのようなところにマンションをつくると称して建てられた一つの建物が、実はあいまい宿になりかかっておりまして、地域住民の方方のたいへんな強力な反対運動が起こっているのでございます。そのことにつきまして、警察庁はどんなふうにお耳に入っておりましょうか。
#109
○政府委員(海江田鶴造君) 最初に、万博が来年三月から開かれるわけでございますが、それをめぐっていろいろ、トルコぶろなり、あるいはモーテルなり、あるいは売春なり、そういうものの動きがあるのではないかということの指摘もありますし、また一部の週刊誌等で書かれておりますので、私どものほうでは、近畿の各県警察本部に対しまして指示をいたしまして、不必要なあるいは不法なそういう行為が行なわれないように事前からよく行政指導なり取り締まりをやっておくように指示いたしておりまして、現在私のほうの担当課長をいまそのために現地に派遣いたしております。その報告によりますると、各県ともとにかく一生懸命にやっているので、特に万博のために特別な表面的な動きが出ているということはない、こういうふうに昨日私報告を受けたわけでございますが、ただ万博と関係あるかいなかは別といたしまして、最近のモータリゼーション、あるいは高速道路の開通、それから先ほどから話が出ております性の解放の問題等に関連いたしまして、いろいろ、ホテルなり、あるいはモーテルなり、あるいは市内に連れ込み宿というようなものができている。これは必ずしも万博とは言えないかもしれませんが、あるいは万博に関係ないこともないであろう、こういうようなお話がございまして、これはしかし、近畿方面のみならず、全国的な傾向と私どもは見ておりまして、万博ということじゃなくて、全体的に何かこれでいいのかという心配は実はいたしているところでございます。
 で、問題の高槻につきましては、御指摘の件は、去る六月二日に旅館業法によるホテルの許可を受けたモーテル高槻というホテルではないかというふうに存じ上げます。これは高槻市の松原町にあるものでございまして、おっしゃったとおり、住宅街にございまして、地上四階、鉄筋コンクリートづくりでございます。このモーテルの宣伝看板が相当の高いところに出ておりまして、モーテルとネオンサインが入っております。このモーテルの所在地は、先ほど申し上げましたように住宅街にありますが、約百メートルくらい離れたところに高槻高校、それから中学校、大阪医大病院があるようでございます。このモーテルの設置につきまして、松原町の自治会を中心にして反対期成同盟ができておるようでございまして、このホテルの設置反対について関係官公庁に陳情が出ておりまして、去る六月二日許可がなされた以後、大体六月五日以降市役所に対して営業の許可を取り消すように陳情があるように聞いております。また、私どものほうの高槻警察署に対しましても、六月三日に許可の取り消しについての陳情がございました。なお、この反対期成同盟による反対運動等も行なわれているようでございまして、モーテルの周辺に、横が二メートルで幅がO・四五メートルくらいの看板が約二十枚、これは「悪質モーテル団結追放、青少年を正しく導きましょう」というような看板でございますが、これが張り出されております。大体そのように拝聴いたしておりますが、この問題につきましては、すでに六月五日にホテル営業の許可がおりているというふうに私ども承知いたしております。
#110
○山高しげり君 部長さんおっしゃるとおり、必ずしも高槻の事例が万博目当てというふうにも言えないかもしれませんし、それから全国的の傾向であると、そのことそれ自体がこれでいいのか私どもが非常に憂慮しなければならないと思っている点でございます。午前中にも婦人相談員が申されましたように、格別売春の常習犯でない一人の主婦でも、うろうろ歩いていれば、街頭で人に肩をたたかれ、並んで旅館の入り口まで行ったら検挙をされたというようなことも、やはりその温泉マークといいますか、あいまい宿というものが都市の周辺には非常に多いと、それが今日の売春問題に、あえてトルコのみならず、そういう小旅館の存在が非常に重要な問題であったことはもう数年前からでございますが、この傾向が非常に強化をされてきていると、しかもだんだん住宅街、教育の環境を脅かすといったような傾向が強くなってきていることに対して、ちょうど高槻のは一つの単なる事例でございますけれども、地域住民の方々が結束して子供たちのために立ち上がっていらっしゃる姿はほんとうに涙ぐましいように私ども思うわけでございますが、六月五日の営業許可がその旅館業法でおりてしまっておると、しかし現行の旅館業法でも、百メートル以内に学校がある場合には禁止されてもよろしいのじゃなかったかと思いますけれども、その点どなたかお答えいただけますか。
#111
○説明員(赤穴博君) いまの先生の御質問にお答えを申し上げます。
 先生の御指摘のとおり、旅館業法の営業の許可に際しまして、学校教育法に定めますところの、学校の周囲からおおむね百メートル以内にホテル、旅館等が設置されまする場合には、所轄庁――これは教育委員会の場合もございますし、それから都道府県知事の場合もございますが、教育環境が著しく阻害されるおそれがあるかどうかということをそれぞれの監督庁に意見を聞きまして、その上で許可ないし不許可にすると、こういう処分をいたすことに旅館業法上なっているわけでございます。
#112
○山高しげり君 私どもの耳に入る声でございますから、おのずからそういうような営業を好ましくないと思う人の側から聞こえてくる声でございますけれども、百メートル、もう少し広げてほしいねという声もあるのでございます。というのは、東京なんかでももう非常にこういう小旅館がだんだんふえてきておりますので、これ以上ふやさないためには規制をもう少しきびしくしたいという考え方が、百メートルを二百メートルなり百五十メートルなり、もっと広げることはできないですかというようなおかあさん方の声も耳に入るわけでございますけれども、環境衛生局としてはそういうことはお耳に入りませんですか。
#113
○説明員(赤穴博君) 百メートルがいいか悪いか、いろいろなそれをさらに広くしてほしいということは、直接的に私いまのところ聞いてはおりません。間接的にはそういうお声があるということはいろいろ拝聴いたしておりますけれども、直接的に聞いたことはございませんけれども、この点につきましては、旅館業の許可というものが、やはりいわゆる連れ込み旅館だけの問題ではございませんし、旅館全体からいたしますと、万博その他の際にはかなり旅館数が不足するというような、日本全体の旅館数につきましても、必ずしも地域的には十分でないというところもございますので、それをこのような面からどのように規制していくかということは、なかなかむずかしい面があることは、先生方も御承知のとおりであろうと思います。ただ、百メートルをさらにどうこうするかという問題は、さらに非常にむずかしい問題であろうかと思います。
#114
○山高しげり君 課長さんも連れ込み宿ということばをお使いになりましたが、これはたいへん通俗的にわれわれが使うことばだと思うのですけれども、普通の旅館と、それから連れ込み宿と、何も建物に違いはない。普通の旅館であっても、その中で行なわれる行為が、いわゆる連れ込み宿的な行為になる場合と、それから最初から多少そういうことを意識をして建てている――たとえば壁の色が全部ピンクであるとか、あるいはおふろに何か特別の装置があるとか、装飾品云々とか、そういうある一つの目的を意識をして建てます場合と、それから全くビジネス・ホテルと変わりのない、そこにおいて商談が行なわれるとか、地方から上京してきて宿泊をするとかいう目的のために、素朴に設備されている場合と、ずいぶん違いがあるのですが、その点はどうお考えでしょうか。
#115
○説明員(赤穴博君) 旅館の構造、設備だけの問題と、それからもう一つは、旅館業法では、利用基準ということで、風俗的な問題を多少加味いたしておるわけであります。これについては、善良の風俗が害されるような文書その他の物件を掲示したり備えつけることはいかぬ、こういうようなことをして、多少の手だてはいたしておるわけであります。具体的にそれでは当該物件が善良な風俗を害するかどうかということになりますと、なかなかこれ実際のものに当てはめてみます際には、はなはだむずかしい点があろうかと存じます。現在でも一応、利用基準という観点から、ある程度その規制をいたしておるわけでございます。
#116
○山高しげり君 その利用基準ですか、何基準……。
#117
○説明員(赤穴博君) 利用基準です。
#118
○山高しげり君 われわれがしろうとで考えますと、普通の商談のためとか宿泊のために、何も壁を桃色に塗り立てなくても、裸体の女の彫刻を持ち込まなくても、どうもよさそうに思うのですけれども、何かそこに、普通の旅館と、それ以外の目的を意図している場合に、おのずから建築の上に差別があるものを、ただ旅館として営業許可をなさるというのが現状かと思いましたら、多少は何かお考えと、こういうことですか。
#119
○説明員(赤穴博君) 先ほど御説明申し上げましたように、利用基準ということで、善良な風俗が害されないというようなために必要な防止がある程度できるような基準があるわけでございます。
#120
○山高しげり君 基準はあるけれども、必ず一つのここにホテルが建つときに、それを当局が立ち会ってごらんになるとか、そういうことまでなさるのですか。
#121
○説明員(赤穴博君) 旅館業の許可をいたします際には、最終的に個々に立ち会う場合と、それから建築基準法によりますところの建築確認書をもとにいたしまして、それで仕様書どおりにできているかどうかというのは、これはもう建築基準法のほうからチェックをされるわけでございます。その確認書をもとにいたしまして許可する場合と、両方あると思います。
#122
○山高しげり君 そうしますと、まあたいていちまたのおかあさんたちは、初めからちょっと心配をしていると、あれは何が建つのだろうか、おかあさんたちのこれは勘でございますけれどもね。で、おかしいおかしいと思っていたけれども、聞いてみたらマンションになるのだそうだとか、普通の旅館だそうだとかいっているうちに、あやしいものが建ち上がってしまう。しかも営業許可がおりてしまった。そうすると、今度はもうそれを阻止するためには、また新しいいろいろな方法で、たいへんな苦労をして、しかも、たとえば高槻市の運動のごときも、まだそれで成功するかどうかということはわからないわけですけれども、おかあさんたちから見れば、鼻の先に少なくともあいまい宿らしきものが建った以上は、それがたとえ壁がピンクであろうとも、正しい旅館として経営されることを最小限度望んでいるというのが、運動の現時点の動きのように私どもには見えるのですけれども、あえて高槻のことだけを私は言うのでなくて、東京にもたくさんこういうことは過去においてございました。千駄ヶ谷の場合なんかもそうでございますけれども、ある場合には多少の成功もいたしましたけれども、またずいぶん苦い杯も干しております。しかも国として、一面、青少年の健全育成とやらいうことばがはんらんをしていながら、健全育成をしたいにもできないような現象が起こってきておるということについて、まあ御当局はそれぞれのお立場がございましょうけれども、国民としてはたいへんに歯がゆい思いをしているようでございます。これでよいのかということばは、保安部長のおことばとしても先ほど出ましたけれども、国民はみんなそんなふうに考えておりますので、まあひとつ、トルコぶろからのずっとつながりにおきまして、温泉マークというような一列の問題としてこれを申し上げているわけでございますけれども、もう少しきびしく取り締まるということはできないものでございましょうか。どなたでもけっこうでございます。
#123
○政府委員(海江田鶴造君) いまの連れ込み旅館と申しますか、温泉マークと先生がおっしゃいましたがけれども、これはもうこういう情勢は刻々に変化いたしておりまして、いまやさかさクラゲとかあるいは温泉マークなどというものは実質上存在しないのでございまして、かなり豪華なホテルあるいはモーテルというものに進んでおるわけでございます。先ほど環境衛生課長からも話がございましたけれども、やはり旅館あるいは一般のホテル、こういうものをどういうふうに区別するか、これは非常にむずかしいところでございます。ただ、一般のホテルなり旅館がそういう場所に使われる、これはある程度やむを得ないとして、最初からそういう目的のためにつくられておるものについては、法律によるかあるいは行政指導によって何らかの措置をとらなければなるまいということを私どもはいま考えて、現在実態調査をいたしております。
 問題になりますのは、市街地にあります、あるいは住宅地の近くにあります、いわゆる連れ込み宿と申しますか、宿泊ではなくて、もっぱら男女の不純な性交の場所に利用されるための場所、それから市街地ではなくて、むしろ郊外に自動車を利用していく連中が使うモーテルというもの、これがいま問題でございまして、特に最近問題になっておりますのは、やはりモーテルでございます。これが実は急速にふえておる状況でございます。モーテルと市街地内の連れ込み宿がどのように違うかについては、若干自動車を伴うか車庫つきであるかによって差がある程度でありまして、最近のそういう新しくできるものは、旅館なりホテルという、宿泊というよりは別の目的でつくられているものが相当多いようでございます。
 私どものほうで調査いたしましたところでは、特殊な設備をして、本来の宿泊の場としての姿が失なわれているものがかなりある。たとえば岐阜県の調査では、これは岐阜県だけで約百五十一軒モーテルがございます。これは市街地の連れ込み宿を別にしたモーテルでございますが、この客室の壁や天井に鏡を張っているのがかなり多い。それから回転式ベッド、ローリング・ベット等を備えつけておるものがかなり多くある。また、徳島県の調査によりましても、ほとんどが鏡を張っておったり、特殊なベッドを備えつけておるものが大部分であります。中にはスクルーン・ベッドというので、ベッドの頭部にスライド映写機がセットされ、客の操作によって天井にヌードのスライドが映写される装置になっているものや、浴槽に細工を加えているもの――たとえば浴槽の底に鏡を備えつける、または赤、青、黄等の色電気を照らしているものがあります。また、モーテル等の多くは衛生器具を用意しておるというのがございます。こういうモーテルが――これはモーテルだけでございますけれども、これを四十二年の三月末に私どものほうで調査したときには九百八十軒、昨年の十月末に調べたところでは千四百十三軒、四四%増加しております。その後高速道路の発達によりまして非常にこれがふえております。私ども、現在モーテルというものだけでも二千軒になっておるのではないか、こういうふうに思いますが、こういうところに行く人たちが、ほとんど自動車を使った男女の同伴客ということでございますので、いわゆる善良な風俗と申しましても、非常に幅の広いことばでございますが、全然このままでいいかどうかについては問題があると思います。なお、現在のモーテルでは、やはりできるだけ自動車なり顔を見せないようにすることにしてございまして、全部ではございませんが、大部分が宿泊者名簿等をつけておらない。また、モーテルの中に車で若い少女をだまして連れ込んで、そこでみなで悪いことをする、あるいはこの中でけんか等がある、しかもそれを営業者が全然知らないというふうなことも出ておりますので、実態調査の結果に基づきまして、またいろいろとるべき点があるかどうかを考えたいと思っております。
#124
○山高しげり君 モーテルのことは私も伺いたいと思っておりましたが、いまあらましのお話を伺いまして、新しい問題がここにこんなにはっきり提供されてきている。それに対する対策は全くないにひとしいのではなかろうかという感じがいたします。実は、全国の婦人団体等におきましても、地方から、モーテルを何とかしてもらわないと、ほんとうに風儀を乱される一方だ、しかもおかあさん方の力でどうにもならない、しかもみんなよそから来てかってなことをしていくのだからという嘆きの声は日に日に高いわけでございます。売春防止法そのものについて改正点を前回刑事局長もおあげになりましたけれども、そこにまたこれらの問題も加えていただかなければならないように思いますわけで、さらに一段と当局の御努力を願いたいわけでございます。
#125
○占部秀男君 いま山高先生から、いわゆる連れ込み旅館、この問題について何らかの措置を早急に厳重にしなければならぬじゃないか、こういうことですが、全くそのとおりだと思うのです。私、きょうはそれに関連して、具体的にいま問題となっておる問題点を出して、ひとつぜひ御答弁いただきたいと思うのですが、それは五月十九日の朝日新聞に、渋谷でもって――あそこには大向小学校あるいは山手教会というキリスト教の教会がある、そこの幼稚園等があるのですが、そのそばに、しかも山手教会の幼稚園からわずか二十メートルのところくらいにいわゆる連れ込み宿らしいものができた。その内容は、いま部長さん言われたように相当豪華な形のものだ。そこで地元では大騒ぎをして、いま一千名以上の署名が集まって、結局保健所がこれの許可のあれをするわけでしょうが、区役所のほうへ運動しておる。こういうのですが、先ほど山高先生のおっしゃったように、都市の過密化というのは、これは東京だけの状況じゃないので、したがって、やはりこの種の問題は従来もあったのですが、依然としてあとを断たない。ついこの間の問題ですね、これは。こういうようないざこざをなくするために、一体どういう扱いが必要なのか、またどういう措置が必要なのか。われわれ見ていても、ただあれよあれよというだけなんですけれども、そういう点について、警察当局としてはどうお考えになっておるのか、お伺いしたいのです。
#126
○政府委員(海江田鶴造君) 問題が警察だけではなくて、むしろあるいは厚生省の問題かと思いますが、私どものほうの立場から申し上げますと、やはりこういうホテルなり、あるいは場合によったらボーリング場というようなものが住宅地にできることについて、土地の住民の方々から強い反対運動が起こっていることはしばしばございます。これに対して考え方がいろいろあるわけでございますけれども、一つは、法律によってそういう営業の制限をして、それによってその場を何とか解決していくか、あるいは別にもっと大きな立場で、そういうようなものが栄えないような方向に、教育なりあるいはそのほかの措置をとっていくかという問題で、率直に言いますと、法律で権限をもって許可しない、あるいは黙ってやれば、これを国家の刑罰権によって阻止していくか、あるいは一般的な道徳運動によってこれをなくしていくか、二つあるだろうと思います。法律的にいえば、なかなか現状ではむずかしいですけれども、先ほど山高先生がおっしゃいましたように、やはり地元の住民の善意というものによって業者に反省を求める、それによって現実にそういうものをなくしていく、こういう方法もあろうかと思います。
 現に婦人議員の方々の御努力によって、長野県ではやはりトルコぶろが二つできるのを阻止された事例がございまして、私ども非常に高く評価しておるわけでございますが、もう一つは、やはり法律によってこれをどうするかという問題でございます。しかし、これにつきましては、先ほど厚生省からの話もありましたように、旅館の数が非常に不足している段階で、最初からこれを悪いことをする、いかがわしいものであるというふうにきめつけてやっていっていいかどうかという点については、私は問題があろうと思います。ただ、私はやっぱり明らかにそういうことだけを目的にしてつくられておるというものについては、法律によるかあるいは現実の行政指導によるかによって、善意と良識を期待しながら、そういうような営業というものをできるだけ健全な営業に切りかえていく。たとえば、モーテルというものをつくって、これを全くお客が好むように、顔も見えない、何もわからぬようにしてやって、そしてこれを誘発していくような施設その他については、やはり行政指導その他によって何らかの手を打っていく必要があるのではないかと考えておりますし、住宅街におきましても、明らかにこれを目的にしたものについては、行政指導なり、法律の運用によってできるだけ阻止していくというような方法が望ましいのではないかと私は思っております。
#127
○占部秀男君 そこで、環境衛生課長に聞きたいのですが、これは先ほど山高先生の御質問の中にもちょっと触れられておったのですが、これが完全に連れ込み旅館であるかどうかということは、一つにはどこに基準を置くかという問題もあるわけですが、特に学校の百メートル以内のところにあるかどうか、それがまた地元にどういう影響を及ぼすか、こういう問題に関連をして、旅館業法では三条で、関係官庁にもこれを聞いて、その意見も含めて営業を許可するかどうかこれをきめると、こういうことになっていると思うのですが、その点はどうですか。
#128
○説明員(赤穴博君) ただいま占部先生の御指摘のとおり、旅館業法の三条は営業の許可についての規定でございますが、これで、学校から百メートル以内にあって、しかもそれが学校の清純な教育環境を著しく害されるおそれがあるという場合には、許可しないでもいい、こういう規定があるわけでございます。その際に、そういう点についての意見を、教育委員会なりあるいは監督庁――私立学校については監督庁の御意見を求めて、その判断を基礎にいたしまして許可する、あるいはしない、こういう判断を都道府県知事がいたしておるわけでございます。教育的な立場から十分意見が反映された上で、少なくとも百メートル以内に設置されるようなものにつきましては、そういう許可がなされておるはずでございます。渋谷の件もそういう問題で、結局教育委員会なりあるいは監督庁の意見がそういうような方向で出れば、これは自動的に都道府県知事はおそらく許可しないということになろうかと思うのです。
#129
○占部秀男君 この事情を二、三調べてみますと、初め保健所のほうから、これは監督庁というのは、御存じのように、東京の場合は特別区ですから、したがって知事よりは直接には区長の問題になる。区側に聞いたところでは、いいだろうということで内諾をしたのですが、その後調べてみてびっくりして、この二十三日の日に区長のほうから保健所長あてに公文書で、地元の反対意見を反映するように措置してもらいたい、こういう公文書が来ておるということなんですね。そうなると、これは監督庁としては、不適当だと、こういう点も含めて、つまり公文書として意見を保健所に、許可するかどうかの官庁である保健所にそれをやったわけなんですが、そういうような経過の中で、現在まだ営業許可がおりていない、こういうような情勢だそうでありますが、こういう点は一度、保安関係もそうですが、先ほど実態調査も、非常に調査もされておるというように、実態調査のいい材料じゃないかと思うので、これは保安関係も、また厚生省関係としても、ひとつ調査をしていただいて、都知事を通じてなり、あるいは当該区長なりにこれに対する処置の問題についても、適当な処置ができるようにはかってもらいたいと思うのですけれども、こういう点はどうなんですか。
#130
○説明員(赤穴博君) 許可権限は、最終的には知事がお持ちでございますので、東京都知事がどのような判断を最終的にお下しになるかということになろうかと思います。したがいまして、その点の経緯につきましては私ども十分聞いてみたいと思いますけれども、最終的な判断につきましては、やはり教育環境が著しく阻害されるおそれがあるというふうな意見が出ておれば、おそらくその所轄庁の意見に従って通常処分がなされるという状態から見まして、おのずからそのような処分がなされるものであろう、こういうふうに考えておりますが、最終的には都道府県知事の権限でございますので、東京都知事の御判断になろうかと、こういうことでございます。
#131
○占部秀男君 いや、さらにぼくの言うのは、許認可の権限は、これは都道府県知事にあるし、まあ東京の場合は、たしか三年くらい前の条例改正で、保健所長に委任というか、委託されているのじゃないかと思います。いずれにしても都道府県関係にあるのは事実なんで、そこまで厚生省のほう、あるいは警察庁のほうで入ってくれということを言っておるわけじゃないのでして、ただ問題がそういうように非常に地元のほうで騒いでおる問題で、しかも営業許可がまだおりていないという中で、この旅館業法三条に基づくこの関係官庁としての区長も、あまり適当ではないという公文書を保健所長にやっておる。これ二十三日ですから、きのう、おとといですか――出ておるというホットな話ですから、そういう事情を調査して、よくひとつ万遺憾ないように行政指導をしてもらいたい、こういうお願いなんです。
#132
○説明員(赤穴博君) その点につきましては、都道府県知事を通じまして十分事情を聞きまして、従来の方式どおりになされるというふうなことに十分私どもとしても意向を伝えたいと、かように考えております。
#133
○占部秀男君 基本的な問題は、もう山高先生が質問していますから、ぼくはもうこれで打ち切りたいと思います。
#134
○藤原道子君 旅館の問題が相次いで出たわけですが、厚生省に伺いますが、旅館の取り締まりは厚生省ですね。これはどういうふうにやっているんですか、ほんとうに調査したり何かしているんですか。
#135
○説明員(赤穴博君) 旅館業法に基づきます許可は、都道府県知事が通常衛生部局、保健所を通じてやっておるわけでございます。許可につきましては、先ほども申し上げましたように、新設の場合につきましては、通常土木関係の系統と十分御相談いたしまして、最終的には建築確認を経た上で、さらにその構造、設備が衛生的に十分合っているかどうかを十分確認した上で許可処分をいたしておるわけでございます。それから通常の場合におきましては、もっぱら旅館業法に定めますところの構造、設備の基準に許可後におきましても合致しているかどうかということにつきましては、大体年に二回程度は随時監視をいたしておるわけでございます。
#136
○藤原道子君 私は、許可とかなんとかを通って現に営業している旅館、その営業している旅館に対する取り締まりというんですか、そういうことはあなたのほうじゃないの。
#137
○説明員(赤穴博君) いまの先生の御質問が取り締まりとおっしゃいますが、旅館業法による取り締まりであれば、保健所を通じて保健所等が年に一、二回、少なくとも一、二回程度は旅館業法に定める必要な設備基準に合っているかどうか等々の点について、十分監督をいたしているわけでございます。
#138
○藤原道子君 私はどうもじれったいような気持ちがするんです。私は、先ほど来保安部長さんからお話がございましたように、このごろの旅館というものはずいぶん内容が変わってきているんですよね。旅館にあるまじきことが平気で行なわれているんですよ。こういうことに対しての指導監督というようなのが、はたしてなされているんだろうか、こういう気がしてならない。それでお伺いをしているわけでございまして、もう時間がございませんので、そういう点は今後十分やってほしいんですよ。ことに売春のことだって、おたくのほうも関連している省でしょう。ところが、このごろの旅館は、この間の委員会でも申し上げましたように、アメリカ軍などと契約して堂々と売春宿しているところありますよ。それから旅館のおふろとしてはいかがであろうかというようなものが平気で行なわれている。いまお聞きをすれば、鏡を張ったり、回転ベッドだなんだって、そういうことが旅館業として必要かどうかということはまことに問題があると思う。こういう点もしっかり監督してもらいたいと思う。
 で、私は、朝から児童家庭局長お待たせいたしましてまことに申しわけない。ちょっとその点でお伺いしたいんですが、私は不勉強で、精薄施設、これ成人の精薄はやはり社会局だと思って、この間今村さんに質問したら、このごろは児童家庭局でやっておりますと、統一いたしましたということで、ちょっと恥ずかしかった。そこでお伺いいたしますが、最近の売春は、補導院行きだとか、施設へ行く昔は、ほとんど知能指数の低い者なんです。ところが、補導院にかりに入ったとしても、六ヵ月でもって出ていくわけですね。ところが、知能が低いから、ひもの自由自在になって働かされて、そうして補導院に行ったと、ところが知能指数の低い者が半年でどうにもならないでしょう。それがそのまま出されておる。そこで、私がお伺いしたいのは、成人の精薄施設というものはどうなっているのか。知能が低い者が出されていくということは、局長だって知っていらっしゃるはずだと思いますが、それらに対して局長はどのように考え、どのように指導されてきておるか、この点をまずお伺いしたい。
#139
○政府委員(渥美節夫君) 精神薄弱のおとなの対策でございますが、精神薄弱児対策が昭和二十三年の児童福祉法で発足いたしまして、子供の精神薄弱の対策が先行したわけでございますが、昭和三十六年になりまして精神薄弱者福祉法、おとなの精神薄弱の方々に対する対策が、その法律によりまして、おくればせではございますが発足したわけでございます。しかしながら、それだけおくれをとっておりますために、おとなの方々のこのような収容施設、いま急遽整備を急いでいるわけでございますが、昭和四十三年の十二月一日現在、全部で百二十九ヵ所、定員といたしまして約八千九百人、こういうふうな状態でございます。子供の施設が約三万人の収容能力を持つに比べますると、たいへんおくれております。しかしながら、これからの問題といたしましても、このような施設の拡充を急ぎたい、そのように思っております。
 そこで、先ほど婦人保護施設におきまして、知能指数が低い方々が相当おって、そうしてまた短期に世の中に送り出される。したがいまして、その間一体どういうふうなそのアフタケアといいますか、が必要であるか。そうしてそれと精神薄弱者との間の関係、施設についての御質問だと思うのでございます。私どもといたしましては、一般的に申し上げますことは、やはり婦人保護施設におきまして、ある程度の日常生活の訓練を受けていただく。そうして、社会復帰といいますか、他の施設あるいは社会復帰することができるようにしていただきたい、かように考え、お願いしているところでございます。したがいまして、私どもの精神薄弱者の施設で受けとめる際には、ある程度のといいますか、相当程度の一応の日常生活ができるまで指導していただいた者を施設におきまして、私どもの精神薄弱者施設におきましてさらに訓練をする、あるいは社会復帰あるいは作業の訓練をする、そういうふうな考え方でございます。しかしながら、どうも婦人保護施設のほうで一生懸命おやりになっていますが、そこらのバトンタッチにつきましては、確かにその提携が必ずしもうまくないということは言えるのじゃないかと思います。私どもといたしましては、これは精神薄弱者の施設が非常に不足しているというふうな問題もございまして、そういった現状もございまして、一般の売春等、そういったことを伴わないような多くのおとなの精薄の方がいらっしゃるものですから、勢いそういうふうな方々を優先してといいますか、そういった方々を施設に収容して、いろいろな社会復帰の訓練をするということに相なっておるわけでございます。今後ともそのような問題点を十分意識いたしましてまあやっていきたいと思いますが、何せ精神薄弱者の施設の拡充というものが大至急行なわれなくちゃいけない、こういうふうに考えております。
#140
○藤原道子君 おとなの精薄施設が足りないということは、まあ社労委員会でもしばしば論議されてきている。いまおとなの精薄の数から比べまして、あまりにも貧弱なんですね。来年度予算でどのくらいできる見通しですか。
 それからもう一つは、補導院その他で社会復帰のまあ教育ですか、こういうものをしてほしいと言われておる。たった六ヵ月なんですね、補導院は。出てから保護施設へと思っても、保護施設には強制力がないものですから、入ったと思ったら出ていくと、自由なんです。こういうところに問題があるのです。しかも、この正常な知能を持っている人はなかなかつかまらない。巧妙に立ち回っている。つかまってくるのは、しかもひものよきえじきとなっているのは精薄なんですよ。これがわずか半年では、私たち社会復帰するまでの訓練は不可能だから、もう少し訓練が必要ならば、さらに、何と言いますか、考慮して、六ヵ月くらいずつ裁判所の判定のもとに更新をして、そうしてせめて一年半くらいが必要じゃないかというので、この前法改正出しましたけれども、これは没でございました。ですから、相変わらず六ヵ月で出されてしまう。迎えにくるのはひもなんです。ところが、この人が出てきた場合に、ひもを逃れたと仮定しても、行く場所がないのですよね。それを思うと、私はあまりのんびりされていちゃ困る。おとなの精神薄弱施設、このもう一つの問題点は、普通の精薄と同じように、売春歴のある人を入れるのは困るというようなお考えがあるのですね、施設にでも。こういうこともありますから、それならそれで簡単なところをもっとつくるとか何とか考えていただかなければ、こういう者は永久に救われない、こういうことになりますが、いかがでございますか。
#141
○政府委員(渥美節夫君) 第一点の、精神薄弱のおとなの方々の施設、まあ大車輪でやっておるわけでございますが、特に私どもの児童家庭局におきましても重点の一つでございます。その整備につきまして、昭和四十四年におきましても、大体二千ないし二千五百床程度は、国庫補助によりまして増設いたしたい、かように考えております。
#142
○藤原道子君 何ヵ所。
#143
○政府委員(渥美節夫君) ベット数でございます。収容能力といたしまして、二千ないし二千五百くらいまでは国庫補助によって拡充いたしたい。そのほか、これはほかの社会資源、たとえば自転車振興会あるいは船舶振興会、このような益金の配分を受けましての、そのような収容能力を増していきたい、かように考えております。いまこういった施設が不足しておりますので、なかなかお話のような、精薄で売春の経験のあるような人に対するバトンタッチがうまくない、こういうふうに申し上げておるわけでございますが、この点につきましては、さらに婦人保護施設の御担当の方々と、どういうふうにすればいいか、これらをさらに研究を続けてまいりたい、かように思うわけでございます。そのように施設が足りないものでございますから、どうしても一般の精神薄弱のおとなの方々を引き受けて訓練をすると、そのような傾向にあるということはいなめないわけでございまして、なるべく一般の生活になじむように訓練をしていただきたいと、そういった方を引き受けたい、かように考えておるわけでございます。さらにこの点につきましては、そのようにもっと関係の局と御相談を申し上げたいと、かように思っておるわけでございます。
 以上でございます。
#144
○藤原道子君 私は、ぜひお考え願いたいのは、このごろ非常に、先ほど来のお話を伺いましても、複雑な内容にだんだん変化してきておる。ところが、いままでやっているやり方は一律なんです。これでは効果があがりにくいと思います。たとえて言えば、また売春歴のある人が、何回か重ねた結果が補導院へいきますね、補導院で六ヵ月の間に、児童局長の言うように、そんな訓練ができるはずないでしょう、六ヵ月で。何のために補導院があるかと言いたくなるのです。そうすると、そこを出すときに、補導院を六ヵ月で出たら、たとえばこの保護施設にバトンタッチができるようなことは考えられないだろうか。そこにある程度の強制力――それが不可能なら、やはり補導院長の申し出によって裁判長が判定をして、これは六ヵ月さらに延長することが必要だというような場合には、期間の更新というのですか、そういうことはできないものでしょうか。いまのままで、六ヵ月でほうり出して、はいさようならじゃ、これ意味ないでしょう。何のために金を使っているのだかわからなくなっちゃう。ちょっとお考え聞かしてくださいよ。これは矯正局の樋口課長さんですか。
#145
○説明員(樋口幸吉君) 確かに、精神薄弱の売春婦について、六ヵ月という期間で成果をあげるということは、いろんな意味で困難があろうかと思います。しかしながら、精神薄弱にもいろいろ種類がございまして、これはたとえて申しますと、医療少年院では精神薄弱を専門に収容いたしまして、そして教育を施している結果、出院後の再犯状況を見ますと、一般の非行少年よりもむしろ更生率がいいという結果が出ておりまして、御承知のように、精神薄弱は、知能の欠陥はございますけれども、精神構造は非常に単純でございまして、そういう精神的外傷による非行化といいますか、そういう傷の深さという点では、むしろ一般の売春婦よりも浅くて、矯正的な効果はあげやすいということが、医療少年院などではそういう結果が出ております。また、婦人補導院におきましても、過去十年間、六ヵ月という目安でいろいろ矯正教育のプログラムがたてられております。現実の問題として、先生方御承知のように、婦人補導院の収容者は年々減っておりまして、現在一年間で出る者がたかだか百三十名そこそこ。ことしはさらに減るのじゃないかと思います。その中でほんとうに精神的に矯正困難なものは精神病質的傾向を持っている者で、それはそんなに数は多くはないのじゃないかと。したがいまして、矯正の立場としては、どうしても矯正が困難で、それ以上引き続いて矯正をやりたいと思う者につきましては、また何らかの方法を考えるといたしまして、一般の矯正施設といたしましても、ある程度の教育が行なわれましたら、これを中間施設へ持っていって、そこで開放的なところで社会復帰をはかるというのが、最近のこういう矯正の動向かと思いますし、また、少年院などにおきましても、一年あるいは一年三ヵ月の収容では、家庭裁判所あたりでは長過ぎるから、むしろ六ヵ月、あるいはさらには三ヵ月の短期収容施設をつくれというようなことがいわれております現状からいたしますと、やはり矯正行政と、それから精神薄弱者の福祉行政の中間的な施設を設けることによって、その社会復帰をはかるということがむしろ望ましいのではないかと、私どもではそういうふうに考えております。
#146
○藤原道子君 それならば、その中間施設はつくるお考えですか。
#147
○説明員(樋口幸吉君) それにつきましては、先ほど児童家庭局長のお話がございましたように、それを精薄施設の中でどういう形で受け入れるかということで、今後両方の局でお話し合いの上でつくられていくものではないかというふうに考えております。
#148
○藤原道子君 あなた方のいうお話し合いが長過ぎてね、困るんですよ。ですから、私はそういう方法がいいという皆さん方のお考えならば、至急にそれをやってもらいたい。でないと、繰り返し繰り返し行なわれているんですよね。それでそのひものいいえじきになっているんです。
 さらにいま一つは、補導院で、まだ梅毒等がなおらないままに出所しているのがある。それで出所している人がまた売春に走る。そうすると、いま三百万人とか五百万人とかいわれている日本の性病が、さらにそれのふえることに貢献する形になる。ですから、私は、せっかくできた補導院のそのあり方としては、せめてその人たちが社会復帰ができるように、中間施設が必要ならそれをつくっていただく。あるいはまた、性病がなおっていないならば、なおるまではめんどう見ていただく。出したら最後、もうひもが玄関へ迎えに行っているんですからね。こういう場合には同じ道へ落ちていく。みんな落ちていっているわけなんです。こういう点をひとつお考えいただいて、せっかく国費を使って更生のために努力しているなら、それを実りあるものにしていただきたいと私どもは思うのです。と同時に、この女性はかわいそうですよ。だれもIQが低いことを望んでみずから生まれたわけじゃない。IQが低いがゆえにひものえじきになって、あたら肉体を滅ぼしていく。本人はそれが悪いことと思えないままにいる人もいる。そういう点から、売防法の精神にのっとりまして、そういう点をお考えいただきたい、強く要望しておきます。
 児童家庭局長も、せっかくこちらが協議してと言っているのですからね、ひとつ至急にこれをやっていただきたい。特に私がきょう児童家庭局長にお出まし願ったのは、このごろ集団就職とか、それから家出してきた少女、これらが、けさほど来のお話を聞いても、転落する者が多いのです。風俗営業に走るチャンスが多過ぎるのです。そして指導がちょっとよろしきを得ればそういうほうに行かないで済む。大切な日本の宝である子供たちが落ちていって、さらに悪の花を広げていく、こういう状態にあるのをじっとして見ているわけにはいかないので、皆さん方に憎まれ口をきくわけですけれども、ほんとうに子供を愛するならば、そういう方法をお考えいただき、さらに児童からおとなに移った年齢の人たち、この人たちにも更生できるようなチャンスをお与えいただきたい。
 このごろおとなの精神薄弱者なども、更生施設に入れてみると、なかなかよくやっていますよ。そういうこともあるのじゃないでしょうか。精薄者のコロニーというようなものも考えて、もっと進んでいいのじゃないか、こういうふうに私は考えますので、御覚悟のほどをお聞かせいただきたい。
#149
○政府委員(渥美節夫君) 藤原先生のお話は、まことにそのとおりだと思います。これからの日本を背負って立つ子供たちの健全育成ということは何よりも大切である、かように私も考えるわけでございます。ただ、いままで私どもの所管に属します精神薄弱者の施設で、なかなか売春の歴史を持った精薄の方々が受け入れられないというその事情は、先ほど来御説明いたしましたように、施設が足りない、それから施設におきましても、やはり施設長をはじめ運営の方々が何となく尻込みするという実情があったものであろう、かように私は考えております。しかしながら、先ほどの法務省の方々のお話にもございますように、その点施設の拡充と関連いたしまして、私どもも大いに勉強してまいりたい、かように思います。
#150
○藤原道子君 それから法務省の青少年課長さん、私たちきのうも館山のほうに行ったんですけれども、このごろの青少年の風潮というのは、まことに嘆かわしい面があると思うのです。最近の青少年の犯罪、こういうもので一番何が多いでしょう。
#151
○説明員(安田道夫君) 最近の少年非行の動向を見ますと、数字的には昭和三十九年をピークとしまして、最近若干の減少傾向にあるわけですけれども、しかし、これは検挙の件数だけでございまして、潜在的な非行というものがはたしてどれだけあるかということは、数字だけではわからないわけでございます。したがって、私どもも統計面の数字の増減によって一喜一憂するわけにはいかない。結局実態というものをよく見きわめなくちゃいけないと思うわけですが、少年の統計面のところがら見ますと、少年非行の中で一番数の多いのはやはり窃盗ということになっておりまして、大体半分以上が窃盗になっておりますが、その次には粗暴犯と申しますか、そういうものが多くなっております。
 しかし、もう一つ注目すべき事柄は性犯罪でございまして、これにつきましては、件数はそれほど多くはございませんけれども、やはり強姦、特にその形態において輪姦が多くなっておるとか、あるいはまた、これは検挙の対象にまでならない、補導の面で不純性交遊の件数が非常に多いとか、あるいはこれは件数はそれほどではございませんが、わいせつ関係が増加率としてはかなり激しいものがある。そういうことで、いわゆる性犯罪関係の面もこれは注目すべきものがあるというふうに考えております。
 ただ、最近の非常に特徴的なこととしては、一面において非常に粗暴な形もございますけれども、それはどちらかといえば、少し影をひそめてまいりました。その反面、いわゆる逃避的なと申しますか、反社会的というよりは非社会的といわれるような、いわゆる売春、あるいは薬物乱用というような、そういう形で現実から逃避して、自分の心も結局は傷つけていくというような、そういう憂うべき現象もあらわれてきておるということが指摘されております。
#152
○藤原道子君 私も身近かにその年ごろの子供がいるんですけれども、見ておりますと、子供の気持ちがわかるような気がするのです。非常にさびしいですね、何だか。そういう点からぐれていくというようなのも多いようでございますが、一たんぐれると浮かび上がるこことができないような仕組みになっているようでございまして、たいへんお骨の折れるお仕事をお願いしておりますけれども、ひとつよき御指導がいただきたい、こう思うわけです。
 過日いろいろ伺っておりますので、きょうは時間もございませんので、最後に社会局長にお伺いしたいのですが、きょうは薬務局長に来ていただけなかったのですが、最近問題になっております売春と麻薬、これの傾向はどうなんでしょう、それと性病、三悪追放。
#153
○政府委員(今村譲君) 麻薬の最近の数字を聞くのを忘れましたが、表面ば非常に消えているんだ、実際の表面、検挙とか事件とかいうもの、それはどうも消えたにしてはおかしいのだということで、麻薬取締官事務所を中心として、警察もそうでありますけれども、もぐったとか、実質減っておるとか、その辺をいろいろつかまえようとしておるが、どうも表面からは、だいぶ小さくなっておる、こういうことのようでございます。
 ただし、それと売春との関係というので、これは数字ははっきりしたものはわかりません。しかし、実際は、ひもとかなんとかいうふうなもので、麻薬を使ってというのは相当件数としては従来どおり残っておるのではないか、こういうふうに思います。ただし、麻薬事件というふうなものはどうも減っているらしい。施設に参ります人も二十年代、三十年代とは違って、数は減ってまいりましたが、もう肉体的には麻薬を使って使いものにならぬというふうな者を施設の玄関に預けて、どっかに逃げていくというふうな例がよくあったわけです。いまでもないわけではございません。それで、からだが一応なおってくると、また呼び出していって、またいろいろやる……。
#154
○藤原道子君 この間ちょっとお伺いしてしり切れトンボになったのですが、性病ですね、性病でも出てきたのは、そのまま、追跡調査というのですか、診療を受けているかどうかというようなことに対する対策は考えてくれましたか。
#155
○政府委員(今村譲君) ちょっと私のほうでは説明できかねるわけですが、追跡調査、これは終戦直後、私少しタッチしたのですが、追跡調査というものの、基本人権の問題にひっかかる非常にむずかしい問題、たとえば終戦直後から二十五、六年までに、基地なんかの場合において、いろいろどうしてもせざるを得ないような情勢があって、若干手をつけた例はありますけれども、非常にトラブルが多い、それからそれは人権の問題にすぐつながってくるというので、現在はいろいろ方法は考えておられるだろうと思いますけれども、非常にやりにくいといいますか、なかなか手がつけられないというふうな実態ではないか、これは保健行政の問題でございますので、ちょっと私から申し上げるのは推測だけでございます。
#156
○藤原道子君 いろいろお聞きしたい点はまだございますけれども、またいずれこの問題は社労でやれますので、この程度にいたしまして、とにかく売春というとせせら笑うような、いまの世相の中で取っ組んでいただいている皆さんの御苦労は、よくわかっておりますけれども、さらにこれをよりよくしていただいて、売防法がある日本として恥ずかしくない対策を立ててほしいということを強く、要望しておきたいと思います。
 最後に一点、今村局長に聞いておきたいのですが、婦人相談員さんの問題ですけれども、これはいろいろ、ところによって要望なんかあって、いろいろな措置がとられているようですけれども、これはあくまでも正式ではないので、やはり法改正か何かで、婦人相談員を常勤にすることができる、これだけでも改正の意思はないでしょうか。これは全国的に要望があるわけです。だけれども、非常勤でやりたいという人もいるわけです。ですから、これをひとつ常勤にすることができるよう、母子相談員のように、同じ性格のものでございますなら、お考えがいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
#157
○政府委員(今村譲君) この問題、非常に入り組んだ話でありますが、結論から先に申し上げますと、母子相談員のような法律を書くのは簡単だと思います。しかし、母子相談員ならば、交付税交付金でも県や市町村は置きやすいのでありますけれども、婦人保護という問題になりますと、地方公共団体は進んで置こういう気持ちが薄いというきらいがあって、地方行政の面におきまして、大都市は別でありますが、現在補助金制度でいわばこれを守っているというふうなかっこうのものがくずれるおそれがあります。婦人保護問題を都市部だけに集中して、農村部などについてはあまり集中しないということになるならば、そこまでの覚悟をするならば、法律の改正ということに踏み切る手も一つあるかと思います。というのは、いわゆる保健所でも、保健所といいますか、福祉事務所でも何とか相談員、そういうことでもってほとんど全部いわゆる常勤的な、恒常的な公務員というものは、交付税交付金でいくのだという一つの大きな壁があるわけです。したがって、こっちは非常勤で特別の人に来てもらって、それに対する謝礼であるという名目で補助金制度をとっておいて――私は東北でありますけれども、東北あたりでも、とにかく婦人保護問題がないわけじゃないのですから、置いてくれということで、そういう専門の人を置いてもらっているわけです。その辺の姿がどうなるかということが非常に心配なものですから、実はそれが交付税交付金の問題との関連をどういうふうに見きわめするかということが一つの大きな問題かと思います。大都市では、これは、補助金といいましても、交付税といいましても、たいした財政力がありますから、一向にどうってことはないと思います。その辺の問題が非常にむずかしいので、財政当局なり自治省なりの問題なんかとかみ合わせて考えてみたい、こういうふうに思っております。結論がおそくなりまして、非常に申しわけないと思います。
#158
○藤原道子君 この問題は、売春を犯した者を対象にするよりも、むしろ転落防止にこのごろは婦人相談員さん非常な熱意を燃やして働いていてくれるわけなんです。だから、転落防止ということになれば、これは非常に大きな仕事だと思うのです。そういうふうな価値判断からして、さらに御検討が願いたい、こう思います。
#159
○理事(山田徹一君) ほかに御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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