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#1
第061回国会 法務委員会 第13号
昭和四十四年七月十日(木曜日)
   午前十時二十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十七日
    辞任         補欠選任
     藤原 道子君     成瀬 幡治君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小平 芳平君
    理 事
                後藤 義隆君
                河口 陽一君
                亀田 得治君
    委 員
                上田  稔君
               久次米健太郎君
                近藤英一郎君
                山本敬三郎君
                成瀬 幡治君
   国務大臣
       法 務 大 臣  西郷吉之助君
   政府委員
       法務省矯正局長  勝尾 鐐三君
       法務省人権擁護
       局長       上田 明信君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (人権問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小平芳平君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る六月二十七日、藤原道子君が委員を辞任され、その補欠として成瀬幡治君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(小平芳平君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#4
○亀田得治君 人権問題について若干質問をいたします。
 前の委員会で人権擁護局に調査を依頼しておる件が二つあるわけですが、一つは茨城県の原子力研究所の問題、もう一つは京都駅における鉄道公安官による稲村弁護士に対する人権侵害の問題でありますが、二つとも相当日数がたっておりますので、その後の調査の進みぐあいですね、御報告を願いたいと思います。
#5
○政府委員(上田明信君) まず、日本原子力研究所東海研究所の職員及びその家族に関する件でございますが、これにつきましては、東京法務局におきまして目下調査中でありまして、仰せのとおり、相当日時もたっておりますが、それから申し上げますと、何ぶんたくさんの人を取り調べたり、まだ若干残っておるようなありさまであります。大体いままでに調べましたところによりますと、その署名しました職員、家族が大体三百余名でございます。そのうち二十八名、研究所側の人五名、その他十三名、合計四十六名から実は事情を聞いておりますが、なお原子力研究所本部についてその調査が未了でございますので、まだ結論に至っておりません。で、現在までのところ、内容的に申しますと、請願権への署名を禁じたということを確認するに足る証拠はまだ出ていないんでありますけれども、署名の理由等を調査したことは大体認められるようであります。で、調査の理由、必要性等につきまして研究所本部の見解を明らかにする必要があって、その調査を了した上で、さらに調査の必要があればまた調査を始めたいと思いますので、その必要がないと思量するときは、そのときはすみやかに結論を出したいと考えております。
 それから、京都駅における公安官が弁護士を不当逮捕したという件に関してでございますが、これは現在京都地方法務局において調査中でございますが、京都鉄道公安室の三名から事情を聴取いたしましたが、被害者である稲村弁護士さんの御都合がまだつかないので、御説明できないというような状態のようでございますが、報告によりますと、近く稲村弁護士から事情を聴取できるという状態のようでございますので、いずれそう遠くない時期に結論が出るのではないかというふうに考えております。何ぶん被害者のほうの言い分を十分聴取しないと、われわれの仕事としてもいたしかたないような事情でございます。
 そういうようなことで、先生仰せのとおり、わりあいに日がたっているにかかわらず、まだ結論に達しないという事情は、こういうような事情でございます。われわれといたしましては、先生の御提出のこの二問につきまして、すみやかに処理し結論を出すよう、現地へなおさらに本日付をもって早急にやるようにという指示をしたいと考えております。
#6
○亀田得治君 六十一国会で取り上げられた問題ですから、八月五日の会期終了までに結論を出して、そうして報告をしてほしいというのがこちらの希望なんです。それは可能ですか。
#7
○政府委員(上田明信君) 現地の問題もございますが、われわれといたしましては、そういうようなことを言って、現地へできるだけ早く処理するよう努力するように指示したいと考えております。
#8
○亀田得治君 どうも人権問題の調査が時間がかかり過ぎるように感ずるんです。これは大臣もちょっと聞いておいてほしいんですが、やはり関係者にとってはなかなか深刻な問題であるわけでして、気が抜けたような時期に何か役所がものを言うと、こういう感じを与えるんじゃ、これは非常にぴんとこぬですわね。だから、どうもそういう点が歯がゆい気がするんです。しかし、軽率な調査、拙速でもこれはいかぬわけです、非常に利害関係のあるところが大きいですから。迅速に、しかも内容を深めて結論をまとめるという立場から考えると、どうも人権擁護の関係の人手なり、あるいはいろいろ調査活動をする面の予算なり、そういう面が相当窮屈なんではないかということを、実際問題を提起してみて感ずるんですけれども、その点局長はどういうふうになっているんですか。
#9
○政府委員(上田明信君) 私のほうで使える予算は、ちょっと正確な数字はわかりませんけれども、大体法律扶助は、これはトンネル予算と申しまして、法律扶助協会への補助金でございますが、これを除きますと八、九千万円ぐらいの予算だと思います。人員は、法務局の総定員が百六十二名、それから本省の定員が十六名、こういうふうな人員でございます。先生おっしゃるとおり、かなり窮屈な人員、予算になっております。
#10
○亀田得治君 こういう仕事というものは、迅速に的確に処理をしていきますと、あああすこはたよりになるということで、よけい仕事が集まってくるわけです。集まってこなければ、これまた問題にならぬわけです。敬遠されてしまうのです。そういうことですから、こういう問題はもっと早く進むように何とか、予算面なり人の面等で隘路があるのであれば、そういう点は大臣においても少し検討してほしいと思うのです。各局各課いろいろ問題があろうと思いますが、どうも私、実際に問題を提起してみて、テンポがのろい、のろ過ぎるという感じを持っているのでして、大臣の考え方を聞いておきたいと思います。
#11
○国務大臣(西郷吉之助君) 御指摘のとおり、人権問題は非常に重要なものでございますが、やはり時期を失せず迅速、的確に事態をつかむことが必要でございます。いま局長の申しましたとおり、こういう点にかんがみまして、人員等も十分とは思いませんが、そういう点も万全の意を配りまして、今後とも人員等をできるだけふやし、予算もつけてまいりたい、かように考えます。
#12
○亀田得治君 そういう窮屈な中で、たいへんこちらも言い渋る点もあるわけですが、しかし問題が新たにまた発生している際ですから、もうひとつその調査を要請したいと思うのです。
 概略問題を申し上げますと、聯合紙器という、これは段ボールのケースですね、紙の箱、ああいうものをつくる会社ですが、資本金三十億、本社は大阪、工場は全国に二十二、営業所が十七カ所ある、こういう会社です。ここで第一組合と第二組合がありますが、第一組合に対していろいろな形の不当労働行為が行なわれてきておるのです。そういうことに対して、裁判所なりあるいは地労委なり等でも、そういう不当労働行為を排除する命令なども出しておるのですが、そういうことを無視して次から次にいろいろなことをやっているのです。最近の状況を聞きますと、いわゆる不当労働行為ということよりも、一歩進んで何か人権侵害事件というふうな感じがするようなことまで行なわれるようになってきているのですね。それで、関係者が非常に憤慨して、要請書を送ってきておるわけです。大阪に淀川工場というのがあるわけです、この会社の。そこでどんな問題が起きておるのかということを具体的に申し上げないとおわかりにならぬと思いますから、概括的にちょっと申し上げてみたいと思います。たとえば、組合の脱退を組合員にすすめる。その人が応じないということがありますと、相当長年つとめた人です――その人がたとえば五年とか、相当古い人であるにもかかわらず、見習いという腕章をここへつけさして、そうして雑用をさせる。それでもなおかつきき目がないということになりますと、非常に重労働になるような仕事に回すというようなことをやるわけです。その人にとっては非常に侮辱された感じを受けると思うのです。そんな入りたての社員ではないわけでして、そういう人に見習いというような腕章をつけさせるなんということは、これはもってのほかだと思うのです。そういうことから、組合を脱退したりあるいは退社した人もあります、退社までした人が。それから第二には、いまと同じようなことをされた人で、くず係――くずもののくず、くず係、こういうのを布に書いて、それを背中にぽっとゼッケンみたいに背負わして、そうして雑用のほうに回す、こういうことをされた人もあるわけです。それから第三は、ともかくたいした理由もないのに出勤停止という処分をやるわけです。そうして三日なり四日なりその出勤停止処分が終わって、会社に出ていく。そうすると、悪うございましたと始末書を書け、こう言われる。しかし、もともと第一回の出勤停止がどうもふに落ちないわけなんです。だから、そんなものを書くわけにいかないと言うと、またもっと長期の出勤停止をさらに食らわす、こういうことをやっている。これはもう人権問題だと思うのです。こういうことはそれからまだいろいろありまして、こういうのもあります。先ほど申し上げたように、不当労働行為についての提訴を裁判所にしておる事件があるわけです。たとえば、組合を脱退せいとすすめられた、応じない、それで重労働に回された。これも提訴をされておるのですが、その資料にするためにあるいは裁判所から要求されたのかもしれぬと思いますが、資料にするために、どういう重労働であるか、これは写真が一番いいわけですから、写真をほかの組合員にとってもらったわけです。それがいかぬというてまた出勤停止をされるというようなことも具体的に起きておるわけです。それから、生産性向上の本を職制の者が持ってきて、そうしてその職制の前にすわらして声を上げて読めと、こう言うわけです。そうして読ますわけです。ある人がそういうことを三、四日続けられておるのです。読むほうもそんなものを読まぬでもいいと思うのですけれども、しかしそこがやはりなかなか割り切れないような妙なやはり雰囲気の中でそういうことが行なわれる。それは読まぬでもいいかもしらぬが、読まぬでもいいようなことを命令するほうがよけいおかしいわけです。読まされた人の立場をむしろやはり考慮してやるべきである。こういうことがいろいろ行なわれているわけですよ。これはみな名前わかっているのですが、概括的――名前を申し上げるとこれは十件にも二十件にもなりますから、いろいろ類似なやつがありますから、私類似なやつをずっといろいろな類型にまとめて五つ六つにして申し上げたわけです。だから、これはぜひひとつ人権問題として調べてほしいと思うのです。
 調べるについての問題点ですが、まず第一に、裁判所並びに地労委あるいは労働基準監督署、ここからいろいろな命令なり処分が出ているのです。これを全部こまかく一ぺん調べてもらって、そうしてそれらが守られているかどうか。裁判所の命令なんかというふうなことを公然と言うらしいのです。だから、そうなったのでは、これはもうそれじゃ圧迫をされるほうは何をたよりにしていいのかということにまで発展するわけでして、その点が一つ。それから人権侵害の各種の事実は、これは何といっても具体的じゃなければいけませんから、組合員一人一人についてひとつ調べてほしいのです。そうしてそれに対する会社側の言い分というものを両方具体的に調べてほしい。概括的に組合長を呼んできていろいろ聞く、それから会社のえらい人を呼んできて全体的に聞く、そんなものじゃそれはとてもはっきりしません。局長は裁判のこつがおわかりですから具体的にやってほしい。これは時間がかかるけれども、しかたがないのです。そうすれば私はこの間の問題は非常にはっきりしていくと思います。もちろん、こういうことが行なわれるについては、会社側と労働組合の長い間のいろいろな問題はありますよ。これはまあむしろ社会労働委員会なりもっとほかの委員会の問題になるかもしれぬと思うのですから、そういう問題に巻き込まれないで、どんなことがあろうと、こういうことをいまごろやっておるということは、これはもう絶対了承できないことですから、たんねんにひとつ調べてほしい、どうでしょうか。
#13
○政府委員(上田明信君) ただいま先生のお話を伺っておりますと、確かにいわゆる地労委なり裁判所にのらないような部分も相当あるようでございますが、そうするとわれわれ人権問題になってくるわけでございます。いまおっしゃいましたように、まず、裁判所、地労委等の命令が一体どういう命令が出ているかということを全部調査し、組合員一人一人について具体的に、またそれに基づいて会社側にも具体的にいろいろ調査させていただきたいと思っております。
#14
○亀田得治君 そうすると、まあ参考までに私の預かっておる書類をこれは渡しておきます。これはもちろん、労働組合のほうで被害者である方が、具体的に日時などを明らかにしてくれと私が申し上げたものですから、回答がきたものです。だから、まあ双方の言い分を聞けば、このとおりであるかどうか、また若干違ってくる場合もあるでしょうが、これは参考として見てほしいと思います。
 次に、人権問題に関連して、いわゆる在監者の人権問題ですね。つまり、監獄法の改正ということが、これは長年の課題です。せんだっても、日本弁護士連合会からも文書による要請が法務委員の皆さんにもあったわけです。かねがね法務省のほうでは問題を検討されておるようですが、現在どういう程度にその作業がなっておるか、最初に明らかにしてほしいと思います。
#15
○政府委員(勝尾鐐三君) 監獄法の改正につきましては、現在矯正局内に、矯正局長を会長とする監獄法改正準備会というのが設けられておりまして、おおむね週二回改正作業を進めております。現在までの進行状況は、この改正準備会で第三次案を作成いたしまして、その三次案の条文の数は大体百六十条前後でございますが、そのうちの百二十条程度――四分の三程度、その第三次案についての検討を終わりまして、あと四分の一程度が残っている。このあと四分の一をことしの秋、九月末ごろまでに一応検討を終えまして、それが終わりましたら、法務省内の刑事局、保護局、あるいは人権擁護局といった関係の当局との間で意見の調整をはかり、さらに法制審議会に諮問をして、国会の提案にこぎつけたいと、このように考えておりますが、いま言及されました弁護士会からの監獄法改正に関する要望書、私のほうにも届いておりまして、現在弁護士会から私のほうに要望されている事項については、一応全部第三次案の中に条文としてこれを取り上げられております。そういう現在の作業の状況でございます。
#16
○亀田得治君 次の通常国会には提案されますか。
#17
○政府委員(勝尾鐐三君) 十分御承知のことと存じますが、作業をやっておりますと、たとえばまあ作業の償与金の問題、これは現在は償与金となっておりますが、これを賃金的にすることが相当であるかどうかといったような問題、さらに作業を確保するために何か特別な手当が要らないか、さらに外部交通の問題、通信とかなんとかといった問題、非常に理論的にも現実的にも十分検討する問題が少なくございませんので、目下の私の推測では、あと一年ぐらいはやはりかかるのではなかろうか、率直に申し上げますとそういう感じでございます。
#18
○亀田得治君 これは基本的な立場は、いわゆる在監の目的ですね――まあ既決囚も未決囚もあるでしょうが、在監の目的に反しない限りは、憲法上保障された基本的人権というものは認める立場で考えていく、こういうことが基本線でしょう。
#19
○政府委員(勝尾鐐三君) 現在の監獄法には、監獄法の目的というものを明文に書いた条文はございませんが、新らしい監獄法では第一条に、いま申されました基本的な目的、性格というものを明らかにしたいと思っております。その立場は、在監者の基本的な人権尊重、社会復帰ということを明確にうたう、こういう基本的な考え方で全部の条文を貫きたいと考えております。
#20
○亀田得治君 まあそういう基本線がはっきりしておれば、わりあい各条文の作業はスムーズにいくのじゃないかと思いますがね。
#21
○政府委員(勝尾鐐三君) 率直に申し上げまして、私も当初もっとスムーズにいくだろうという考え方を持って作業に取り組んでみたのでございますが、実際に取り組んでみますと、いわゆる犯罪者というものが五万人おれば、五万人千差万別である。いわゆる精神的に欠陥のある者もあります。それを数百人一つの集団管理をしていくという現実の問題、その現実といまの基本的な思想といったものをどの程度にいま調和をとっていくかという問題が、予想外に非常にむずかしい問題であるということを痛感をいたしております。それからさらに、医療の問題一つ取り上げてみましても、事はやはり現在の医療関係全般に関連をしてくる医者の確保の問題等、そういう非常に現実的にはむずかしい問題をかかえている。また、賃金制をとるとかという基本的な考え方を持って進めてまいりますと、やはり賃金といったものの性格とそれから刑法にいう矯正労働という性格との関連をどのようにして解決をしていくかということで、理念を通すという点については変わらないのでございますが、これを具体的な条文に書くということになりますと、予想外に解決をしなければならない問題があるということを痛感しているというのが現状でございます。
#22
○亀田得治君 しかしまあ、外部交通の問題にしても、あるいは作業をした場合の賃金という体系をとるという場合でも、いろいろ諸外国にもそのケースがあるわけでしょう、それをまあ参考にすれば、大体こういいところが出るように私思いますので、やはりなるべく早くこういうものは踏み切って進めてほしい。実際に実行してみて、どうも若干足らないとか、行き過ぎるとかいう面があれば、実際の経験を踏まえてさらに改めてもいいことであるし、なかなか、実験しないで、紙の上でこの程度がいいとか悪いとか言いましても、それはほんとうに主観的なことですよ。だから、あまりそれにとらわれ過ぎていると、結局延び延びになっていくわけですね。明治四十一年ですからね、これはできたのが。長いですから、監獄法というのは。実際これ、だれでも言われていることなんで。だから、とにかくある程度のところは踏み切ってやっていく。原則だけを明確にして、政令等で扱うという部分もできるでしょうし、やり方いろいろあると思うのです。
 それから懲罰の方法などは、これは相当詳しくされる予定ですか。それからもう一つは、開放施設なり、あるいは一時的に帰宅するとかいったような問題なども、これは議題になっておるのですか。
#23
○政府委員(勝尾鐐三君) 懲罰の問題につきましては、これは弁護士連合会の御意見にもございました。整理をして、かつ懲罰の手続についても必要なことを条文の中に盛り込んでいくという考え方でおります。
 それからさらに開放処遇、一時帰住、あるいは釈放前の特別な処遇等につきまして、明文で条文を全部置くつもりで作業を進めております。
#24
○亀田得治君 懲罰の方法は、もちろん、異議の申し立てをしたり、上のほうにさらに持っていくというふうなことまで考えておるわけでしょう。
#25
○政府委員(勝尾鐐三君) そこまで検討いたしております。
#26
○亀田得治君 そこで、もう一つの問題は、刑務官吏の教育だと思うのです。新しいこういう法律ができましても、なかなか昔からの惰性がありますから、だからこういう点は、法律の施行に先立って、私は一年や二年はかかるのじゃないかと思うのです、実際は。だから、ちょうど立案にまだ一年もかかるということであれば、その期間等を利用して、やはりこういうことがこれからの趨勢なんだというようなことを徐々に浸透さしていく、こういうことが非常に大事だと思うのです。いままでは非常に古いやつでやっているのだ。それで、国会で新しい法律が通った、あしたからこれだ、こう言うても、これはなかなか簡単には私はいかぬと思います、この法律に関する限りは。だから、幸い立案でまだ時間が若干かかる。それを利用して、そういう点の教育徹底をやはりはかっていく。立案の途中において、半分くらい従来の監獄法とそして新法との切りかえができておらなければ、なかなか新法が施行されても、今度はむしろ新法が浮き上がってしまうのですね。だから、ぜひこれはいずれの日にかきちんとしなければならぬやはり問題なんですから、そうである以上は、もう徹底的に早く手をつけていく。そういう点はどうなっているのですか。たとえば、刑務所長の会同というものが年に何回かあるだろうと思いますが、そういう際等に、現在の監獄法の改正作業はこうなっているとか、こうこうこういう点が問題になっているとかといったようなことを、やっぼり同時に知らしていけば、非常に大きな私は中間的な教育になると思うのですね。どういうふうにやっていますか。
#27
○政府委員(勝尾鐐三君) 御指摘の職員の研修の問題は、私といたしましては、監獄法の改正の立案作業、場合によっては作業以上に重要な問題であるというように考えております。そういう観点から、昨年から職員の研修ということを、従来の研修のやり方を少し整理をいたしまして、若い職員――これから幹部になっていく職員、こういった者を重点的に研修所に集めまして研修をやり始めております。さらに、改正作業の方向等につきましては、昨年も、刑務所長、拘置所長の会同におきまして、私のほうの考え方を伝えまして、六つばかりの分科会をつくりまして、そこで十分われわれの考えを伝え、またその考えを議論してもらっております。本年度の刑務所長会議におきましても、同様に、その後の作業状況を伝達すると同時に、ことしもまた六つの分科会を設けまして検討をさせていく、そのほか部長会議あるいは課長会議等も予算の許す限りひんぱんにやりまして、私のほうから直接行政の方向というものを示して、それになじんでいくような努力を重ねております。ぜひ、この監獄法の改正案ができたときには、職員もそれを十分こなし得るという体制をつくり上げるということを目途としてくふうをこらしたいと、このように考えております。
#28
○亀田得治君 最後に、大臣にちょっとお伺いしておきますが、これはだいぶん時間がまだかかるようで、大臣の在任中の仕事になるかどうか、これはわかりませんが、しかし、これはずっと続いていっておる仕事ですから、ぜひこの作業を促進するようにしてほしい。せんだって、占領期間中の七名の死刑囚について恩赦の検討をするという御発言等もありまして、私その点は非常に共鳴しておるわけです。同じようなひとつあたたかい気持ちで、在監者の基本的人権の問題、したがってこれは監獄法の改正の仕事につきまして、できるだけひとつ力を入れていただくように要請しておきたいと思うのです。ちょっとお考えを承っておきたいと思います。
#29
○国務大臣(西郷吉之助君) 先ほど矯正局長が御答弁いたしましたとおり、九月くらいには終了予定でございますので、私も、いま御指摘の近代的な要素を織り込んだ、また基本的人権を十分に尊重した監獄法の国会提案をできるだけ急いでまいりたい、さように考えております。
#30
○委員長(小平芳平君) 矯正局長にお尋ねしますが、この刑務所が市の中心部から郊外へよく移転しております。非常に都市計画等においては大きなプラスになっていると思うんですが、また職員のほうは、非常に遠距離になって、通勤・通学等に非常に不便なところもあるようです。
 で、具体的に私一つ取り上げますのは静岡刑務所ですが、これはたんぼか畑か、ずうっと広いところに、刑務所と、それから市のし尿処理場と、この施設がちょうどぴったりくっついて建設されている。こういうのは、もう少し初めから計画を考えてやったらいいじゃないかと思うのですが、できてしまった以上は、何かできるだけの――道路を舗装するとか、そういうようなことが必要じゃないかと思いますが、その点いかがですか。
#31
○政府委員(勝尾鐐三君) 刑務所の移転問題につきましては、刑務所といったものがその目的を達成するためには、やはりその地域社会と緊密な共助関係がなければならないと、このように基本的に考えておりますので、都市計画その他の必要性があった場合には、私のほうはそういう要請に対しては前向きで現在取っ組んでいるところでございますが、御指摘のように、職員の生活問題が、これまたきわめて大切な問題でございますので、その職員の生活に支障があるような場所は避けていかなければならないと、このように基本的に考えております。
 御指摘の静岡刑務所につきましては、すぐ近くに静岡市の東部し尿処理局がございます。それで、先般、委員長から幾つかの問題点について御指摘があり、また御意見を承りましたので、さっそく私のほうから、その後、係官を現地に派遣をいたしまして、問題点について検討をさせた結果、この東部し尿処理局のし尿処理の過程におきまして、平素は臭気もなくそれほどの問題はないようではございますが、やはりときには臭気を発する場合があるということで、これはやはり職員あるいは収容者に対する心情の問題もございますので、この臭気を発する原因等について早急に究明をするように手はずをいたしておりますが、目下のところ、天候の影響にもあるかとも思われますが、あるいはその処理装置の不備がその原因ではないかと思われる節もございまして、いずれが原因か、その原因については明らかでございませんので、ともかく市当局に対して根本的に改善するように申し入れを行なうように指示してまいったところでございます。
#32
○委員長(小平芳平君) その点、私もこのし尿処理施設がどういう構造でどういう欠陥があるかということはわかりかねるんですが、計画するときに、まあ広い土地があるわけです。そこへ刑務所がまず移転するわけです。それとぴったりくっついて、まあ細い川が一本あるのですが、し尿処理施設があるわけですよね。それは刑務所ですから、し尿処理とあまりにもそうくっついて、ただ二つの施設をそこにつくるというのも、どうもおかしいですね、ちょっとね。で、そういう臭気のほうは、今度何かガスが発生して、ときどき火をつけて燃やすのだそうですが、メタンガスですか。ちょうどその公務員住宅が、職員の住宅があるわけです。その燃やす煙突と住宅がまたぴったりくっついているということです。ですから、実際一番条件が悪いわけです。で、道路が装舗されていないものですから、市内からのバキューム車がひっきりなしに入ってくる、そのほこりを今度まともに受ける。それから、今度その近所に生コンの工場ができまして、まあ生コンの工場は建設過程みたいですが、そのまたものすごい騒音が起きている。そういうような悪条件が重なっているのですが、そういう点をもう少しくふうして、将来の問題としてもやはりくふうしたほうがよろしいと思いますが、大臣いかがでしょうか。
#33
○国務大臣(西郷吉之助君) 私も現状のことはよく存じませんでしたが、いま委員長のお話を伺いまして、非常にそれは困ったことでもございますしいたしますので、さらに実情をよく把握いたしまして、善処せしめたいと考えております。
#34
○成瀬幡治君 私これ勉強不足でよくわかりませんが、名古屋で中学校の――これある中学校ですが、あるいは小学校でもあったかと思うのですけれども、指紋を警察がとっているわけです。それは防犯と、それからやはり災害のときに死亡したような場合指紋があったほうがいい、そういう説得がありまして、学校も、校長さんたちも、教育委員会も黙認をしておるというのです。それからPTAの役員会などでも、まあやったほうがいいじゃないかというような意見の人もあるようなんですね。それでやっているのだと。ところが、これは非常に父兄のほうからも反対の声が出てきているので、最近やめられたというのです。全体として警察行政の中では、防犯などの意味もあって、日本全国全部指紋を登録しておいたほうがいいじゃないかというような、いろいろな意見もあるだろうと思うのですが、そういう一つの流れもあることは確かです。一体、人権擁護の立場からいえば、指紋をとるということは好ましいことじゃないだろうと思うのです。あるいはそういうこともあるかもしれませんが、一体法務省として、いろいろな理由があると思いますけれども、結論的に言うと、そういう指紋をとることをいいとしておられるのか、あるいはそれをいけないこととしておられるのか、そのいずれなのか、ちょっと承りたいと思います。
#35
○政府委員(上田明信君) これはいろいろ問題があるようでございまして、私のほうも十分必ずしも研究した結果ではございませんけれども、もちろん強制ということは許されないと思います。それから任意性の問題ですが、任意の場合に一体どうかという問題は、その指紋をとるという必要性との関連においてきわめねばならない問題だというふうにわれわれは考えております。これがまあ一応の考え方でございまして、なおさらにこの問題については研究をさしていただきたいと思います。
#36
○成瀬幡治君 私は、名前は任意ということになると思うのですよね、小学校などでやればね。しかし、実際上は強制になっていますね、結果は。ですから、私は、一つの指針というものがなければ、警察行政とそれから法務行政との関係の上で、やはりぐずぐずしておると、時局に便乗して片っ方でやられると非常に問題だと思うのですが、まあいま突然な話だというわけでなくて、十分あなたのほうは検討されて、ぼうぼつ結論がもう出てきて、そうして法務行政としてはかくかくですよという一つの見解が表明されてしかるべきときが来ておるんじゃないか。もう一、二年前から起きている問題ですから、この問題について先生も非常に困っております。父兄も困っておる。教育委員会も困っておるんです。警察のほうもどうだと、防犯の立場からはほしいと、しかし片方じゃ困ると、こういう問題だと思いますから、何らかの――きょうはここでこのままにしておきますが、なるだけ早い機会にぜひひとつ結論を出していただけば、非常に一線の人たちが、学校でいえば、断わるにも断わりやすいし、あるいは協力がしやすいということなんで、非常に混乱が起きていると思いますから、ひとつそういう点でお願いしたいと思います。
#37
○政府委員(上田明信君) 承知いたしました。早急に解決するようにいたしたいと思います。
#38
○成瀬幡治君 もう一点だけ。ぼくはこれも全然しろうとで、刑務所の内部に立ち入って検査しておるわけじゃございません。ところが、最近非常に交通事犯が多いわけですね。そして交通事犯の刑務所というものがあるわけですが、満員になってしまって、とても交通事犯のためにつくった監獄だけでは収容力がなくなってしまったと、ためにまた別に建てられたということは、一つの適正指導を何かやるんだという特別な意味であるからこそ、任務があるからこそつくられたと、ところがこれだけ自動車がふえてくれば同じように事犯もふえてくると、しかも今後きびしく取り締まっていかなくちゃならぬという大体方向にあり、そして服役期間等も、いままでは半年だったやつが一年、一年だったやつが一年半、二年というふうに長期化してくると、いろいろな問題があると思うんです。そういうときに、満員だからというので、一般の刑務所に収容せざるを得ないということになってくるわけです。とても予算がかかる。好ましいことじゃないが、予算をうんとつけて刑務所をうんとつくりなさいというのもおかしい話だけれども、そういうときに、一般刑務所のほうに収容されると、片方でそういうときの適正指導を行なうというか、実社会に復帰させるのに適応させるように指導しているんじゃないかと思いますが、そこいら辺のところはどんなふうになっているでしょうか。
#39
○政府委員(勝尾鐐三君) 御指摘のように、現在いわゆる交通事犯で体刑の言い渡しを受ける数は逐次増加しつつございます。一方、いわゆる交通事犯の収容者と他の刑事犯との収容者との間に、科学的にいろいろ検討いたしますと、やはり異なった面がございます。それで、やはり交通事犯の受刑者については、一般の受刑者と切り離してそれにふさわしい処遇をしていくというのが行刑の本筋であろうと思っております。そういう意味で、先般も千葉の郊外に交通事犯専門の約四百名収容の新しい処遇をする刑務所をつくったわけでございます。
 今後この種の収容者がふえてきた場合の対策でございますが、目下の状況といたしましては、全国に七十三の刑務所がございます。それに対して受刑者の数というのは、現在のところ収容定員をかなり相当に下回っている状況にございますので、その七十三の施設を、いま言った観点から、収容者の入れかえと申しますか、整理をする余地が考えられるかと思いまするので、たとえば現在一般の受刑者が入っている施設を一カ所あけて、そこに入っている受刑者を他の余裕のある一般刑務所のほうに移すと、そして交通事犯受刑者だけを集中して処遇をしていくと、こういう方法をいまさしあたりのところ検討いたしております。
#40
○成瀬幡治君 収容のしかたはそれでいいと思いますが、社会に復帰するために交通事犯を二度と犯さないような適正指導というものがあるだろうと思います。もう一つは、よく言われていることは、交通事故を一ぺんやった者は二度やる、三度やる、こんなふうなことがあるのです。もう一つ、交通事故をやるような人は、何かどこかに一つの特色があるだろうと思います。ですから、これは運輸行政になってくるのか、あるいは政府全村の方針になってくるかと思いますけれども、そういうせっかくたくさんの人を交通事犯のところに入れているのですから、そこには何か共通した欠陥というものを見出すことができるだろうと思います。もしそういうことになれば、運転免許をやるときに、その欠陥のある人にはやらないというような、いまの試験科目の中に入れるということも考えられる。単に収容をして――これは運輸行政にかかってくるのかどうなるかよくわかりませんが、そういうような立場に立って一度あなたのほうでも何らか対策を立てていただくということが必要じゃなかろうかと思っておりますが、そういうようなことは全然考えておいでになりませんか。
#41
○政府委員(勝尾鐐三君) 御指摘の点は、全く私のほうも同感でございまして、現在行なっておりますのは、交通違反の受刑者につきましては、精神医学者、心理学者、それから社会学者という専門の技官に、いわゆる心身――身体、精神の状況を鑑別をさせるわけでございます。そういたしますと、大体交通違反受刑者のうち二〇%近くがやはり心身に何らか欠陥があると認められる者でございます、私のほうの鑑別の結果だけを申し上げますと。
 そこで、こういった人たちにつきまして今後の釈放後の生活の指針を与える問題でございますが、そういう人たちについては、身体上こういう欠陥があるように思われるので、できれば運転をやめて他の職についたらどうだろうかということを相談的に勧告をするわけでございます。その結果を現在までまとまった資料から申し上げますと、おおむね三〇%の人が運転をやめますということを言うようでございます。それから約三〇%の受刑者が、やはり生活ということを考えた場合に、運転以外に自分としては食っていけないので、やはり運転を続ける、このように申します。残りの四〇%近くがどうしようか決定いたしかねる、こういうようないまのところ結果が出ておるようでございます。そこで、運転をやめて他に転職をするという者につきましては、その当該刑務所におきまして、また別の観点から、この人間にはこういう職業が向くのではないかといういわゆる職業の適正といったものを検討されまして、そのことを本人に伝えて、そうしてその職業に入り得るような教育をやらしております。それから、やはりどうしても運転をしなければならないといった者については、別途その施設の中で、運転の法規関係や実技、これを指導いたしまして釈放するようにいたしております。いままでのところ、約千三、四百名釈放になっておりますが、その後いわゆる交通事犯で再犯を犯して入ってきたという者は一名だけでございます。これは非常にいい私は再犯率であると思いますので、ただいま申し上げましたような方法をさらに充実をして実施していきたいというふうに考えております。
#42
○成瀬幡治君 再犯が一名というのは、私も初めて承りまして、非常にいいことだと思います。問題は、そういうふうに至れり尽せりの鑑別をされるなら、これをもう一歩進めて、あなたが指摘された、私は防犯のほうに立ちますと、事故防止のほうに立ちますと、心身の欠陥者が、そして約三〇%は、運転をやめたらどうかと、むしろ不適格な者が運転免許をとってたと思う。このデータが、心身の欠陥者ということであるとすれば、今度は免許のときにそういうような心身の欠陥者は免許をせないんだという、一つの何というのですか、試験場か何かでやりますね、そちらのほうとも連絡をとって、こういう心身の欠陥者が事故を起こしてきますよということを報告されて、そちらのほうに、欠格条項に一つ入れるような――まだ科学的データにはならないかもしれない、まだ検査等も十分じゃないとおっしゃるかもしれませんが、そこまで推し進めていただくような、そういう運輸行政との連絡はございませんでしょうか。
#43
○政府委員(勝尾鐐三君) 現在のところ、そこまではいっておりません。と申し上げますのは、いま先生からも御指摘がございましたように、私のほうの、何か鑑別というものの客観的な的確性と、それが職業の選択の自由という問題との関連において、どの程度まで私のほうがそれを結びつけ得るかということについては、法律的にもなお検討する余地があるように思っておりますので、そこまではいまのところまだいっておりません。
#44
○成瀬幡治君 ぼくは、方向として、実はあれだけのスピードと、とっさの判断、それに適応性というものがなければ、非常にあぶないものと思っているんですよ。片方では動く凶器と言われているのですから、防犯という立場に立てば、深刻な問題としてうんと力を入れていいと思うんですよ。死亡者が一万とか二万とかという、けがをした者は八十二万とかなんとかという、昨日の本会議で交通基本法を承っていると、たいへんな問題だと思うのですがね。うんと私は力を入れるのがいまの政治の一つの目標になっていいと思うんですよ。ですから、大臣、どうでしょうか、せっかくのこうした鑑別等をやっておみえになるわけですから、もう少しそれを科学的にまとめて、そうして、なるほど職業の選択の自由はございましょう。しかし、片一方では、そういう危害を加える意思はないけれども、結果的には加えてしまったということになるのですから、防犯の立場からいえば、実はたいへんなことだと思うのですが、うんとこの点に努力をしてもらいたいのですが、どうですか。
#45
○国務大臣(西郷吉之助君) たいへん示唆に富んだお話を承りましたが、そういう点を尊重いたしまして、十分事故防止対策を検討してまいりたいと考えます。
#46
○委員長(小平芳平君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑はこの程度にとどめます。本日はこれにて散会いたします。
  午前十一時三十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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