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#1
第061回国会 地方行政委員会 第3号
昭和四十四年二月二十五日(火曜日)
   午前十一時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         内藤誉三郎君
    理 事
                熊谷太三郎君
                吉武 恵市君
                林  虎雄君
                原田  立君
    委 員
                小林 国司君
                船田  譲君
                増田  盛君
                山崎 竜男君
                若林 正武君
                和田 静夫君
                阿部 憲一君
                山田  勇君
   国務大臣
       自 治 大 臣  野田 武夫君
   政府委員
       自治大臣官房長  宮澤  弘君
       自治省行政局長  長野 士郎君
       自治省財政局長  細郷 道一君
       自治省税務局長  松島 五郎君
       消防庁長官    佐久間 彊君
       消防庁次長    山本  弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のた
 めの国の財政上の特別措置に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣提出)
○地方行政の改革に関する調査
 (昭和四十四年度自治省の施策及び予算に関す
 る件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を聴取いたします。野田自治大臣。
#3
○国務大臣(野田武夫君) ただいま議題となりました首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由と要旨を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、わが国の産業経済等において重要な地位を占める中部圏の建設とその均衡ある発展をはかるため、中部圏の都市整備区域及び都市開発区域の整備及び開発を推進する必要がありますが、このための経費は、膨大な額にのぼり、関係地方公共団体の財政負担も増大するものと予想されますので、これら区域の建設計画の円滑な推進をはかるためには、首都圏及び近畿圏の場合に準ずる財政上の特別措置を講ずる必要があるのであります。
 これが本法律案を提案した理由であります。
 次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。
 第一は、特別の地方債の許可とその利子補給についてであります。
 国は、関係県に対して、中部圏建設計画に基づく国の直轄事業または国庫補助事業で住宅、道路、港湾等の基幹的な施設の整備にかかる事業に要する経費について、当該県の通常の負担額を越える負担額の支出の財源に充てるものとして地方債の増額発行を許可するものとし、その利子支払い額の一部について当該県の財政力を勘案して一定の基準により補給することといたしました。
 第二は、国の負担割合の特例についてであります。
 中部圏建設計画に基づいて行なわれる国の直轄事業または国庫補助事業で住宅、道路、下水道、教育施設及び厚生施設等の基幹的な施設の整備にかかる事業に要する経費について関係市町村の負担額が標準的な負担額を越える場合に、これら経費にかかる国の負担割合を、当該市町村の財政力を勘案して引き上げることといたしました。
 以上が、首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#4
○委員長(内藤誉三郎君) 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(内藤誉三郎君) 昭和四十四年度自治省の施策及び予算に関する件を議題といたします。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#6
○和田静夫君 先日のこの地方行政委員会における自治大臣の所信表明について、総括的に幾つかの問題で質問をし、後、各論に入っていきたいと思います。
 大臣はまず次のように述べられました。「最近における社会経済の急速な発展に即応して、地方行政の広域的運営の必要性は一そう強まっていると考えております。そこで、広域的地方公共団体としての府県の自治能力を充実強化するため、前の通常国会で成立を見なかった都道府県合併特例法案を今国会に再度提出し、皆さま方の御協力を得て是非その成立をはかりたいと存じております。」、このように、大臣は広域行政の必要性からこの法案を出してこられたのであります。そうして、最近の自治省行政局あたりの説明は、この都道府県会併法案を広域行政体制の整備を都道府県の自主的な合併という方法をとりながら進めていくものとして説明することによって、上からの体制整備と地方自治との矛盾という議論を回避されようとしている点に私は特徴があると思います。確かに、この法案は地方自治法第六条の特例として第五条に、「合併関係都道府県は、都道府県の合併をしようとするときは、合併関係都道府県の議会の議決を経て、内閣総理大臣にその旨を申請するものとする。」、その「申請があった場合には、内閣総理大臣は、その申請に基づき、国会の議決を経て都道府県の合併を定め、直ちにその旨を告示するものとする。」ということによって、そうした内容になっております。しかし、問題はこの法案が出てきた背景であります。この法案の成立が執拗にはかられる裏に、工業用水とか住宅用地の確保に頭を悩ます一部財界の圧力があります。現実に阪奈和合併と東海三県合併が考えられているということは周知の事実であります。ここでは当面、財界の意思と住民の意思との不一致を問いはいたしませんが、この法案は、明らかに政府の近畿地方なり東海地方なりにおける上からの府県合併政策と理解せざるを得ません。とすれば、広域行政の必要性ということから導き出されてきた政府の府県合併政策と地方自治との関連という一般論は、ここにも成り立つことになります。そして、このことは、今日の地方自治をめぐる諸問題が、多かれ少なかれ府県制のあり方との関連において発生をしている以上、地方自治の本質論にかかわる問題であろうと思います。そこで、都道府県合併特例法を提案されようとしている自治大臣に、私は、わが国の地方自治の現状をどのように考えておられるのかということをまずお聞きをしたいと思います。たとえば、お見えになっている自治省の官房長宮澤弘さんは、「自治研究」四十三年七月号でこういうふうに述べられております。「国家計画のワクの中で各地域の自主的な形成活動があっていいという感じがします。その意味においては、いわゆる自治権をある程度制限してもさしつかえないと思います。」、自治省の役人がこう言っているのであります。私はこの発言を、たとえば新全国総合開発計画といったような国家計画――私自身、こうした国家計画の実効性についてたいへん疑問を持っておりますが――こうしたものを何としても実現したいという官僚としての良心と熱意のあらわれであると受け取るわけでありますが、しかし、それだからこそまた、ここに警告を発しておかなければならないと思うのであります。そこには高級官僚のうぬぼれがあるのではないかと私は思います。
 わが憲法における地方自治の規定は、憲法構造が全体として保障する民主主義体制との関連において不可分の要素として、わが国の伝統的な官僚制支配に対する深刻な反省を込めたものであることを私は思い起こしていただきたいと思うのであります。もちろん私は、今日の地方自治を、中世の都市のような封建的な割拠性のようなものとして理解をしているわけでは次してありません。近代的な中央集権国家である限り、地方自治をたてまえとする国家においても、そこでの地方自治は、中央とのかかわり合いにおいてのみとらえられるべきであり、問題なのは、その接点をどのような均衡の上に認めるかということになることは言うまでもないことだろうと思うのです。そしてアメリカあるいはイギリスの民主的な地方自治制度を原理的に導入してきたはずのわが国の現行制度が、わが国の政治的、社会的風土の中で所期の効果を十分発揮していないことも認めなければなりません。住民の権利意識の未成熟、あるいは議会や議員活動からいろいろと前近代的なにおいをかぎ分けることもできる一面もあります。だが他方、それにも増して自治体の活動を不満足なものにしているのは、中央政府の官僚的拘束であると言えます。考えてもみてください。「地方団体において自由なる人民の力が宿る。地方自治制度の自由に対する関係は、小学校の学問に対するそれと全く同じである」というトックヴィルの古典的なことばは、地方自治がまず住民の自己教育の場である側面と、住民のための行政手段であるという側面とを持っていることを示したものであります。そして、日本のように伝統的に地方自治の風土を持たないところでは、住民が自治体を意識し近代的な自治意識を持つようになるためには、つまり自己教育するためには、まず自治体が、住民が恩恵を感ずるに足るサービス行政を行なう必要があります。しかるに、現、行財政制度は、それを許さないばかりか、一連の財政統制の展開を通じて、中央・地方の関係を、ある人をして、サディズム的マゾヒズム的支配服従関係」とまで言わしめたほどのものにしているのでありまして、住民自治を圧殺しているのであります。このような関係を保障するものこそ、ギールケが「危険な贈りもの」と名づけたところの機関委任事務なのでありますが、少なくとも地方自治法制定当時は過渡的な一時の便法と考えられていた機関委任事務が、今日の地方自治体の行なっている事務の大半を占めるようになってしまっている裏には、やはり中央各省庁の自治体への根強い不信感があると私は考えざるを得ません。あるいは、地方自治体を中央政府の下級団体視する、言ってみれば、戦前的感覚があるようであります。これらの感覚に裏づけられた中央高級官僚こそが、現行地方財政制度などを通じて、地方自治の、住民の自己教育の場である側面を圧殺しておきながら、現在の自治体が十分住民のための行政手段たり得ていない現状を云々をして、国家的目的のために自治権を少しぐらい制限してもかまわないなどと言うのは、私は盗人たけだけしいと思いますが、この点、官僚上がりではない野田自治大臣はどのようにお考えになるでしょうか。
#7
○国務大臣(野田武夫君) ただいま和田さんの御意見を拝聴いたしておりまして、地方自治体のあり方というものに対してのお話のように傾聴いたしました。
 お話しのとおり、地方自治を国家機関の下部組織として考えるということは、これはもう基本的に間違っておりまして、お話しのとおり、地方自治のあり方というものは、申すまでもなく、いまお話しになりました、民主政治の基本はやはり地方自治から生まれると言っても過言ではございません。地方自治の根本の考え方は、地域住民のいわゆる福祉と申しますか、これを基礎として、その地方住民のできるだけ自由意思によって自分たちの地域を守り、また地域の発展をはかる、こういうことが地方自治制度のあり方と思っております。したがって、いま御指摘のとおり、国家の意思によっていたずらに地方自治を侵すということは、これは地方自治制度の根本からいって矛盾がある。しかし、今日の地方公共団体全体のあり方を見てみますると、たとえば、いまお示しのありました府県制の問題、これはもう明治初年にできた制度が今日そのまま行政区域として地域住民のためになるかどうか。むしろ、御指摘のありましたように、まだそこに封建的な割拠主義というものが残存していやしないか。水の問題もお取り上げになりましたが、私は、水の問題一つ取り上げましても――これは決して水だけじゃございませんが――これは府県制の今日までの割拠主義、そういうものに非常に災いされていることは事実であります。しかし、それで私ども地方行政をあずかっておるものといたしまして、いまお話のありましたとおり、行政面において、国家の行政の下部組織として、ただいたずらに国家の一つの命令系統といいますか、指導系統といいますか、それに地方行政が従属している、こういう考え方は、これはもう全然成り立ちませんし、また、あるべき姿じゃない。しかし、いま官僚の意識云々ということでございましたが、これはおそらく私は、いま官房長の意見について具体的にお話しになりましたので申し上げますが、やはり国家の目的と民族の要望、また民族の発展、こういう総合的な大きな意味から考えますと、やはり国の行政と地方の行政というものは相関連して運営する面が出てくると思います。これは私は否定できない。ただ地方行政上、地方の公共団体が企画し、またいろいろな計画をする場合に、一連の関係は、どうしても国家全体の関連がなければ、ただその地域だけの問題として取り上げた場合には、やはり国家そのもの、民族の発展そのものから大きく考えますと、そこに調整する必要がある。しかし、いまおそらく和田さんのお話は、国家の権力によって地方自治を侵害するような傾向があると御指摘になっているのは、その点だと思います。私は、その点は絶対排除すべきだと思います。しかし、大きな意味における国と地方との関係は、これは全然無視することはできませんし、そこに相調和し調整して、そうして国家全体の問題、国民全体の問題、民族の発展、こういうことになりますと、やはりそこに制約ということじゃなくて、お互いそこに強い一つのきずなを結んで全体的な動き方をしなければいかぬ、そういう意味におきまして、今度企画されております新全国総合開発計画のごときも、私は、これはやはりその目的とするところは、各地域と申しますか、地方団体、地域住民、これがいままで相当全国を見ますると、たとえば経済的にも文化的にも相当アンバランスがある。これはやはり国家全体から見てそのバランスをとっていって、全国民がやはりおんなじような立場で、おんなじような経済生活をする、おんなじような文化の程度の生活をするというように、そういう国家目的としてこれを考えていいんじゃないかと思いまして、ただ新しい総合計画ができて、これが、国家がただかってに地方行政に圧力かけて、そして、つまり国家の権力によって支配しよう、こういうのとは私はむしろ違った、私が申し上げましたように、民族全体の生活権を守る、こういうところから出ていると思っております。そこで、私も和田さんと同様に、これはもう地方自治がほかの圧力によって、地域住民の意思を無視して行政を行なうなんていうことに対しては、私は絶対これは許すべきことでない、こういう考えでおります。ただ、いま著書のお話がございましたが、これはおそらく私ども自治省の者が、常にそういう、私のいま申し上げましたように、つまり、地方自治というものは単に国家の行政の下部組織としてあるのではなくて、やはり地方自治の独自性の、しかも住民の自由な意思を尊重してこれを総合的に運営するという基本的な考え方は、私はいまの著書にあらわれましたことばがどういうことばで表現しているか知りませんが、気持ちはそこにあると思いますから、それは和田さんの多少誤解ではないか、これは要らぬことかもしれませんが、一言つけ加えておきます。
#8
○和田静夫君 都道府県合併特例法案を再度提出されるという大臣の所信表明に対して、私がなぜいまのような議論をまず冒頭にしたかといいますと、わが国における官僚制化の進行と伝統的な官僚制支配の残存との二重の面から、政策形成過程における官僚の指導権の確固たる状況というものは、これはもう一面否定できないと思いますね。その政策の下降過程において、少なくとも府県と市町村の二段階に当該住民の政治意思を結集した民主的是正の場を確保しておく必要性を、行政の能率化の必要性以上に私は痛感をするからであります。そして、私がこの都道府県合併特例法案に反対をするのは、この法案の直接的契機になっている阪奈和やあるいは東海三県の合併政策が、さっきも述べましたが、財界の工業用水や住宅用地確保といった広域化の要請に基づいたものであるからです。この要請に便乗して地方を中央の権限体系の中に組み込んでいく、これに対する監督を強める伝統的な官僚的方式をこの法案の中にどうしても見ざるを得ません。いま自治大臣、絶対にそういうことは排撃をいたしますと、こういう明快にお答えになりましたから、そのことを信じておきたいと思うのですが、自治大臣に具体的に次の点をお聞きをしたいと思います。いわゆる大臣の言われる地方行政の広域的運営、あるいはそれの平均的運営、こういう形のいまの答弁にとって、どうして府県合併が必然なんですか。自治体間の協力方式といったことはこの際考えられないのですか。
#9
○国務大臣(野田武夫君) 前にも府県合併法案を提案いたしましたが、これは成立に至りませんでした。これは和田さん先ほどお話の中にもあったと思いますが、それを拝借しますと、これはこの法案の内容からいたしましても、つまり、地方の自治体が自主的に合併を考える。これはどの県とどの県と一緒になれというようなことは昔はありました。私は、古いころ道州制なんていうものがありましたが、それとは全く根本的に違う。自主的に合併したいところは合併したらいいということが第一。これは明らかであります。と申しますのは、私は率直に申し上げまして、東海とか近畿の問題があるものですから、和田さんは何か、このために法案をつくったと言う。これは非常な誤解です。たとえば、これは私個人のことを言って恐縮でございますが、私は九州でございますが、九州地区におきましても、たとえば、いま北九州、南九州、一部には中央九州というものがございまして、九州総合開発計画というものを見ますと、これが常に総合計画でございますが、やはり県単位に計画の中心を持ってまいりますので、どうも名前は総合計画でございますが、なかなか文字と事実が合わないところが多い。私はそういうことをずいぶん前から指摘しております。そこで、そういう場合にはこれは各県の立地条件がありまして、これは食糧を担当する県とか、あるいは産業を担当する県とか、いろいろある。あるいは文化面とか、こういろいろございますが、だからむしろ、これはある程度それぞれの行政的な立場からいいますと、非常にいまの、現在の府県制で、いろいろな経済活動でも、産業的な振興問題でも、なかなかうまくいかない点が多いことは事実でございます。そこで、しかも、これが先ほど申しましたように、何十年古いときの行政区域でございますから、今日のような激動している、しかも非常にすべてが国際的になっている今日ですから、産業でもあるいは経済でもすべての面におきまして、従来の一つの行政区域だけで事を運ぼうということにつきましては、いまの経済社会の動きから考えますと、きわめてそこに困難な点が多いというので、各方面からこういう問題が出ております。したがって、非常に誤解が和田さんにおありのようでございますが、この府県合併というのは、そういう意味において、自然発生的に各地域の要望も出ております。しかし、なかなかこれはできません。市町村合併は相当成果をあげまして、いまもまだ市町村の合併が続いておりますが、府県になりますとなかなかむずかしいことは私も存じております。しかし、これは実情からして、また現実の意味の地域住民の生活を守るという意味からいたしまして、いたずらに封建的な割拠的な傾向のあるところ――ないところはけっこうですが――そういうところではやはり是正していく必要がある。それにはやはり思い切って府県合併もやったらいいじゃないかというような意見は相当に古くからある意見でございます。そこで今度の府県合併の法案につきまして、これはいたずらに一部の財界人が何か計画しているとか、財界人の要望がどうだということ、これは私どもとしてはほとんど問題にいたしておりません。それは、もう重ねて申しますが、自主的に府県が希望しなければ、上からもって、役所からもって、国の機関からもって慫慂するなんということは、これは一切やるべきことではない。したがって、いまのお話は、くどいようでありますが、どうも東海とか近畿の問題もあることは承知しておりますが、そういうものに動かされて府県合併案を出すというようなことは、全然私自身は考えておりませんし、私はやはりいまの経済圏、文化圏といわれまた生活圏と申しますか、そういうものがただこの古い制度によって災いを受ける、その住民の生活が伸びないというようなことであれば、これはやはり私どもとしては、その一つの障壁を次々にはずして、そうしてその地域住民の生活の発展、こういうものに向かって行政の指導をするということは当然じゃないか。だから、その点はひとつ誤解のないように、一部の計画とか一部の人の要望でもってただ役所が動いてこういう本を出すということは、私は非常に心外でありますから、その点は特に申し上げておきます。
#10
○和田静夫君 そこでですね、自治体間の協力方式というようなものについては考えられないのですか。検討を加えられていないのですか。
#11
○国務大臣(野田武夫君) そこで私お答えしようと思って、ちょっとはずしておりましたが、それは府県合併案というものの基本的な考え方は、やっぱりもし合併できなければ、必要性があれば、共同体、これは私は非常に歓迎すべきことだと思っております。といいますのは、やはり私どもの考え方というものが、やはりこの府県合併の考え方というものが、いま申し上げたようなことでございますから、府県合併ができなければつまり共同的な運営をやる。これは私どもは役所といたしましても、むしろ歓迎する傾向でございます。
#12
○和田静夫君 昭和二十五年の国土総合開発法の制定後再編された国土総合開発審議会の中にあって、調査に参加された辻清明教授は、「この調査に若干参加した体験からいえば、総合開発を妨げる最大のガンは、府県の境界というよりは、むしろ中央各省、たとえば建設省、農林省、通産省などの割拠性とその複雑なる出先機関の存在であった」、こう述べられておることは御存じのとおりです。要するに、産業基盤整備に見られる広域化の要請というものは、具体的には、たとえば水系別、あるいは道路別の一体的運営の確保という点で、その妨げになる府県間のアンバランスの是正とか、あるいは府県のセクショナリズムの克服を意味するものであります。だが、府県セクショナリズムの弊害一つをとってみても、水資源開発に端的に示されますように、往々にして中央各省のセクショナリズムの反映にすぎません。そうだとすれば、幾ら行政の広域化をはかったところで、それだけでは根本的な解決にはならないと思いますが、自治大臣、いかがでしょうか。
#13
○国務大臣(野田武夫君) この国土総合開発を推進する場合に、いま御指摘になりました中央の各機関のセクショナリズムといいますか、これは私も認めます。これは多年の宿弊として指摘してございますが、私が自治省におるからといってそんなことはないなどということは言えたことではありませんが、これは広域行政という立場のみならず、地域住民のサービスとしてやはりこの際行政改革を断行したらいい。それには、出先機関の整理とかその他のいろいろな案が出ております。その意味におきまして、私は、いまの御指摘になりました各役所の出先機関その他の弊害は認めますから、自治省といたしましては、できるだけこれを整理して、そうして多年主張しておりますいわゆる行政改革を実現したいという熱意を持っております。これはひとり、いま申しましたとおり、広域行政というだけでなくて、地域住民に対するサービスとして、また地方行政の水準を引き上げるためには、やはりこの際、ひとつできますならば行政改革をやりたいという考え方を持っております。
#14
○和田静夫君 どうも答弁の的がはずれておるんですけれども、府県の最も重要な役割りですが、いわゆる域内格差の是正、こういうところにあるわけですね。この面は、私は、さっきも大臣述べられたが、たいへん重要性を増しておると思うのです。しかし、この域内格差の是正のためには、府県の能力の点で市部より劣るいわゆる郡部の町村行政に対する補充、こういうものをしなければなりません。これに万全を期そうと努力すればするほど、どうしても区域を広げないようにするのがあたりまえじゃありませんか。末端にまで常識的に考えて目が届く。そういうような状態にする。そのことがやはり一番必要なことでしょう。したがって、これ以上府県の区域を広げてならないと考えるのは、私はこれは童子といえども常識とする、こういうように思うのですが、いかがですか。
#15
○国務大臣(野田武夫君) 市町村、ことに末端行政に対する補完行政、これはお話しのとおり、やはり手の届くだけこまかくやる。これは必要でございます。しかし、この広域行政の考え方とはそれでは矛盾するんじゃないかということのようですが、私は必ずしもそう思っておりません。と申しますのは、補完行政というものは、これはなるべく小さい部落部落のあるほうがいいと、広域行政に持っていって統合なんかすると、手が届かないのだと、こういう御心配のようでありますが、これはやはり行政の事務の問題もございまして、広域行政そのものと補完行政というものがマッチしないというのは、私はこれはマッチするように持っていくのがほんとうに地方行政でございますから、それはちょっと感じますとそういう御心配もおありかもしれませんけれども、私は、必ずしもこれと矛盾する、広域行政をやるからそれはできないというようには考えておりません。
#16
○和田静夫君 まさに自治大臣、さっき私、本音を吐かれたと思うのでが、自治大臣のほうが常識的だと私は思うのですが、何かこの都道府県合併特例法案が無理があると、できなければ、私が言うように、自治体間の協力方式、それが望ましいのだと、さっきお答えになったのだから、そういう意味で、私はこの法律案を問題にすることはないのだ、こういうふうに思うのですが、どうも気になるものだからあれですが、さっき答弁されたその辺のことを一ぺん中心に置かれてもう一ぺん再検討され、まだ出されてないわけですから、そういう形のことをひとつお願いを実はしておきたいと思うのですが。
 そこで、区域の問題ですが、私は、いまの府県が、その区域においても、そのままであってよいと考えてはお互いいないと思うのです。しかし、何ですか、ホワイト教授が言っておるように「行政学徒の研究を期待しつつある未開拓の分野は、行政上の区域の問題である」、こういうように述べられておりますが、とすれば、私はちょっと考え方が違いますが、対処のしかたの道というのは、府県にほんとうの意味での自治能力を大幅に回復してやる、このことが少なくとも自治当局なり私たちが一番基本において考えなければならぬことだと思うのです。この原則がくずされる考え方というのは、やはり困ると思うのです。そのために、今日「いわゆる乱立ぎみの地方出先機関を徹底的に整理し縮小する。そのことの御答弁に対しては大いに敬意を払いますし、われわれも協力をして努力をさせてもらいたいと思うのですが、将来の地方制度のいわゆる明確な展望は、現在ある地方自治体の、自治体機能のいわゆる真実なる発揮とでもいいますか、そういう中からだけ開けるとするのが、少なくとも私の立場です。したがって、長野自治省行政局長の次のことが問題になるのであります。「自治研究」の四十三年九月号で、現行の地方自治法第六条の規定による法律による府県合併方式は、憲法第九十五条の「一の地方公共団体のみに適用される特別法」に該当するがゆえに、住民の一般投票においてその過半数の同意がなければ法の制定がなし得ないから住民自治の本義に即する民主的な制度ではないかとする」議論と、「府県合併については市町村の場合と異なって広域の地方公共団体であるから、特別に住民の一般投票によって合併の可否をきめることとすべきではないかとする」議論とを、立法論として批判をしておられます。しかし、この議論は必ずしも私は立法論ではないと思うのです。まさに県民の自己教育の場としての府県自治体の自治体機能の回復にとって、住民投票による府県の境界変更という手続は必要なのではないでしょうか、大臣どうですか。
#17
○政府委員(長野士郎君) 府県あるいは市町村が合併をする、境界の変更をする、そういうときにどういう方式が一番ふさわしいかということになりますと、これはまさに立法政策の問題、法律の制度として考えます場合には、立法政策の問題だという感じがするわけでありますが、現在の地方自治法の中には、もう御説明するまでもございませんけれども、二つの方式を予定しております。一つは、府県については、具体の府県の合併について、国が法律できめる、そういう方法であります。もう一つは、市町村の合併については、それぞれの関係市町村の議会が議決をいたしまして、そして、それを都道府県の議会でも議決をして、そして合併のことをきめる、こういうやり方であります。そういう意味からいいますと、さらにいまの御指摘の御提案は、地方団体の合併なり境界変更に住民投票というものを与えることのほうが政策上いいのじゃないかという御意見だと思います。これはいろいろな考え方というものがもちろん出てくるわけであります。けれども、その意味では、府県なり市町村の合併方式におきまして、いろいろな考え方ができますが、現在あります方式は、府県についての合併の方式と市町村についての合併の方式が違う。府県合併特例法は、その市町村の合併方式というものを県という自治団体にも適用をするという道を開こう、つまり、関係の府県の議会が議決をいたしまして、そうしてこれを国会の承認を得て内閣総理大臣がきめる、こういう方式を開こうとしているわけであります。そういう場合に、先ほども申し上げましたように、合併の方式の中に住民投票を入れるということが絶対にできないというものではございません。それは、そのほうがむしろ適当だという御意見もあり得るかと思います。これは、いろいろなものの考え方、あるいは政策の立て方の問題ではなかろうかと思います。
#18
○和田静夫君 ところで、二月十九日の主要な新聞にほとんど出たと思うのですが、東京二十三区を一本化したいという自治大臣の談話がありました。その行政的効果はいま問いませんけれども、住民の区長公選運動という形での自治の目ざめがほうはいとして、御存じのとおり、東京では起こっておるのであります。これに水をさすものとして、私は大臣が述べられた二十三区の一本化論というのはきびしく批判をいたしたいと思いますが、どんな趣旨ですか。
#19
○国務大臣(野田武夫君) 東京都政というものが、これは私が申し上げるまでもなく、非常に行き詰まっていると申しますか、非常に運営に困難を来たしておるのは事実であります。これは必ずしも東京都というだけでなくて、いわゆる大都市の過密都市、今日大きな過密都市の問題が政治問題になっているのもおそらくそういうところから来ていると思います。
 そこで、一つの、東京都をどうするかという問題は、これも幾多の論議が出ております。また、地方制度調査会におきましても、いま諮問をいたしておるところであります。この東京都の都政全体から考えて、長い間首都圏問題、きょう御審議を願うように提案いたしましたが、中部圏の問題もそうでございますが、これは首都圏という構想はどうしてできたかということでございます。首都圏行政というものが出てまいりましたのは、やはり東京都を中心としてのことでございまして、これはまたいまの二十三区とは少し内容が違いますが、これはここでかれこれ首都の内容を私から申し上げる必要もないと思いますが、それと関連しまして、やはりすべてがこの東京都を中心とした考え方から首都圏問題が起こっておる。同時に、東京都の内部の行政の内容を見ていると、二十三区の問題というものが、いま区制ですが、変態的と申しますか、財政上においてもほとんど力がない。区の職員もほとんど大多数は都の職員の人がやっておられるというようなことで、区そのもののあり方、また、いまの二十三区のおのおのの区民の自由意思によって区の行政が行なわれているかというと、これはほとんど都の、極端に言うと、支配下にあるというようなのが実情でございます。で、私は、別に、この間の委員会で申しましたのは、二十三区を一つの共同体とするとか、新たな行政区域とするとか、そういう私どものほうの、つまり、私の考えでなくて、そういう意見が相当に出ているということ、また、いまお話しになりました区長公選のことも知っております。だから、区長公選制をつくってほんとうの区の行政を確立するとかというようなことも一つの考え方かもしれませんが、まあ幾多の区制のあり方についての意見が出ております。これは御承知のとおりだと思います。したがって、自治省としましては、これをどうすべきかという結論はもちろん持っておりません。ことに、いま地方制度調査会に諮問いたしておりまして、この答申を得たい、そして、ひとつ、その答申に基づいて、本格的な考え方をまとめたい、こういう段階でございますから、私が二十三区を一緒にして云々と言ったことが記事に出ておりますが、私はいろいろな意見があるということを申し上げたのでありまして、いま自治省がこういうことに向かって二十三区を一緒にしてあるいは東京市をつくるとか、こういう構想を持っているというようなことではございません。これは誤解のないように、ひとつ、していただきたいと思います。
#20
○和田静夫君 まだ自治大臣としては二十三区を一本化するという、そういう結論を出して話しをしたのではないと、そういうことですね。
#21
○国務大臣(野田武夫君) そういうことです。
#22
○和田静夫君 実はこれからが本題なんですが、市町村合併特例法案は後ほどまた論議をする機会があるわけですが、以上、大体申し上げたような観点に立って、広域市町村圏なるものについて私は考えてみたいと思うのです。
 新全国総合開発計画実現のためにする宮澤自治大臣官房長のいわゆる自治権のある程度の制限そのものとしてとらえることが、私はできる、広域市町村圏なるものはですね。この広域市町村圏については、後ほど具体的に各論の中で少し御質問をしたい、そうして、その内容を明らかにしていきたい、私の考え方も述べたいと思いますので、委員長、その辺は少し時間が延びるかもわかりませんが、お願いをしておきたいと思うのです。
 次に、大臣が「地方行政の簡素化、合理化につきましては、さきに地方公共団体から聴取した結果によりまとめた地方行政の合理化に関する行政改革の意見に基づき、その推進をはかっているところでありますが、引き続き、なお一そうの努力を重ね、各省庁の協力も得て行政改革の実現につとめてまいりたいと存じます。」、これに関連をして質問をいたしたいと思います。
 行政改革に対する私の基本的な考え方は、前にこの委員会においてもすでに明らかにしたところでありますが、いま問題になっている行政改革が当然に中央と地方の行政事務再配分を伴うものである以上は、行政改革のこれからの動向が、私は、ここの委員会の主題である地方自治の将来にとってきわめて重要な意味を持つものであることは言うまでもないと思うんです。そこで、昨年六月の二十日、行政監理委員会は、「行政改革三年計画の初年度において実施すべき事項に関する意見」というのを提出をしました。「国の行政事務の地方移譲と地方出先機関の整理廃止」という項目を掲げ、その趣旨を読んでみますと、第一に、「現在、自治省において地方制度調査会の答申に基づく行政事務再配分案の実現が推進されつつあり、また地方行政の簡素化・合理化案が作成されつつあるが、政府は、この案を強力に推進するため、早急に必要な措置をとるべきである。」こと、第二に、「行政事務再配分に伴い、現業を除き、府県単位以下に設置されている各省庁の出先機関は全廃すべきである。」こと、第三に、「地方事務官制度は、さきに委員会の提出した意見」「に従い、速かに廃止すべきである。」ことをあげているのでありますが、自治省の行なった行政改革にかかるアンケート調査が、こうした方向への推進としてなされたものである以上、このアンケート調査結果に基づく行政改革の推進は、まさに「全面的な行政改革の長期計画のうち差し当り早急に実施すべき緊急事項」という指摘に当てはまると考えられますが、そのように理解してよろしいですか。
#23
○政府委員(長野士郎君) 行政改革は長期計画で実施をしていくということでございまして、その中で昨年の八月の終わり、正式には九月の半ばであったと思いますが、閣議決定を経ました第一次の行政改革というものがございました。これは許認可事務の整理でありますとか、そういうものを中心にした行政改革が行なわれました。次いで第二次の行政改革といたしまして、補助金の整理でありますとか、共管競合行政の一元化でありますとか、あるいは地方事務官制度の問題でありますとか、さらに民間へ行政を委託すると申しますか、公社、そういうものによる事務の能率化の促進についての検討とか、そういうものが第二次の行政改革として考えられておりまして、そうしてそれが昨年の十二月の半ばころに第二次というものを考えていくということに政府としての大きな方針は立てられたのでございます。それが今日に至っておりまして、今日行政改革の第二次の措置を完了するということにいたしますためには、地方事務官制度とか補助金の整理でございますとか、共管競合行政の一元化というものは、これは早急に解決をしなければならぬという問題になっておると思います。
#24
○和田静夫君 まあ、行政改革のための自治省のアンケート調査というのは、地方自治体側のたいへんな期待と協力のうちに行なわれた、そういうふうに聞かされておりますが、反面、すでに前の委員会でも指摘をしたのですが、アンケート項目にかかる事務を担当する中央各省庁からたいへんな反感を買った、あるいは調査が開始されるや、あらゆる手段を使って妨害工作をした。妨害工作の事実も前の委員会で二、三答弁をいただきましたが、その妨害工作の最も激しく行なわれたのは、どうも縦割り行政の弊害の最も著しいといわれる農林省であったそうですが、別の機会に農林大臣には幾つかの具体的事項で改革すべき問題点をあげながら質問をするつもりですが、ともかく自治大臣は、昨年七月二十九日付の行政監理委員会意見書、「行政改革の今後の課題と方針」にも指摘されておりますように、各省庁には「行政改革の目標と課題とに対する積極的な姿勢は認められず、多年の懸案たる行政改革に対する熱意と誠意を欠いている」、こう指摘をされているのでありますが、そうした中にあって、行政改革にかかるアンケート調査結果に基づいて行政改革を推進するにあたって、いまの閣内にあって自治大臣はどのような展望をお持ちですか。
#25
○国務大臣(野田武夫君) 行政改革という問題は、これは国の行政面におきましても、また地方自治団体の行政におきましても、これはもう当然手をつけなければならぬ大きな問題だと思います。したがって、自治省は、特に地方自治体、自治団体の今日のいわゆる実情からいたしまして、いま行政局長申しましたとおり、事務の合理化、簡素化、地域住民に対するサービスの面からいたしましても、いろいろの具体案を、いま申し上げましたとおりの考え方を持ってやっております。実はこの行政改革につきましては、率直に申し上げますと、各役所の中の抵抗もあるかもしれませんが、また、関係の団体とか、いろいろなものの非常な実は抵抗があります。私のほうにも、役所から文句を言ってくるのじゃなくて、ほかのほうから、民間団体その他から文句を言ってくるほうが多いんです。これはありのまま申し上げます。やはりそれは、おのおのの御意見がありますから、言ってこられることを一々間違っているとは思いません。それだけに、ただ役所同士の抵抗ということでなくて、一般的に、行政改革に手を染めますと、非常な困難さがあるということをことに最近痛感いたしております。しかし、先般も閣議で行政改革の問題が出てまいりました。自治省から出しました行政改革意見につきましては、行政改革本部を中心として、関係省庁との意見を調整しております。私は、自治省の立場としても、強く主張したいと思います。政府全体、総理を中心としまして、やはり行政改革をできるだけすみやかに、一歩ずつつまり前進しようと、全部一ぺんにはできないかもしれないが、しかし、できるだけ早く手をつけて具体化しようという熱意があることを私は認めております。したがって、いま申しましたとおり、最近、特にこの行政改革本部を中心として、関係各省に、自治省の改革意見を実現しますように積極的に折衝いたしておる段階でございます。
#26
○和田静夫君 さらに、大臣は、公務員行政については、「従来から近代的な人事管理の確立をはかるため、各般の努力を払ってまいったところでありますが、今後一そう公務員秩序の確立と正常な労使関係の樹立につとめるとともに、地方公共団体に定年制を採用し得る途を開き、あわせて適正な給与制度の確立及び運用、地方公務員の福祉の増進などを通じて、公務能率の向上をはかってまいりたいと考えております。」と述べております。昭和四十二年八月十八日の衆議院地方行政委員会における当時の藤枝自治大臣の確認事項にもかかわらず、そうしてこの確認事項は、前の委員会でも、前の大臣と再確認したところでありますが、自治省公務員部がどうも労働運動に不当に干渉される、地方公共団体といわゆる職員団体等との関係における紛争について、地方公共団体の自主性を侵すような介入を再三行なってきたことについては、すでに何度も指摘をしてきたところであります。残念ながら、私、新しい資料を入手いたしましたので、この点については、他日さらに追及をいたします。
 次に、地方公務員の定年制法案でありますが、私はこの法案に絶対反対であります。公務員に定年制をしくことは法律違反であるとするいわゆる分限条項は、戦後公務員制度を規定する公務員法の中で、職員にとっての唯一の保護条項であります。したがって、臨時行政調査会が公務員に団交権、争議権を与えることを前提にして定年制をしくことを答申したのもゆえなしとしません。民間企業においては、労使対等の原則のもとで、労働者に団交権、争議権があり、定年制は、退職給与の条件とともに、労働協約によって具体的にきめられるわけですが、今回やられようとしている法改正は、地方自治体の議会で、条例によってこれを設定する趣旨のものであり、ここには全く職員組合が介入できないわけであります。そういう意味では、まさに民主主義の基本に、ある意味では触れる問題であります。勧奨による退職という従来の制度のほうが、その条件を職員組合の事実上の交渉を媒介としてきめるという意味において、より近代的であります。まあこれもどっちみち後ほど大きく論議する機会がありますからこれ以上触れませんが、大臣、定年制強行論者であった前松本市長降旗氏は落選の憂き目をなめられました。いま、総選挙を前にしているといわれておりますが、ひとつ野田大臣は他山の石とすべきでありましょう。
 次に、地方財政問題について三点ほどお伺いをいたします。四十四年度の地方交付税をめぐる大蔵大臣と自治大臣との折衝は、例の覚え書きという形で妥結したことにつき、自治省は、地方六団体は一応満足できる内容、と受け取っている向きが多いようであります。確かに、大蔵省の当初の要求であった補助金等の整理統合も、国鉄納付金の廃止も、ほぼ地方側の反対どおり食いとめられ、地方交付税率の引き下げも結局は実現しなかったのですから、その限りでは地方側の成功といって差しつかえないと思いますが、六百九十億円の金を地方が国に貸すことになったことの意味は、私はかなり重大だと思うのであります。すなわち名目のいかんを問わず、地方が国に金を貸すということは、国がしきりに宣伝している地方財政富裕論を事実上認めることになるからであります。その点、自治大臣はどのようにお考えになりますか。
#27
○国務大臣(野田武夫君) 地方財政が豊かであるという、これは財政当局がときどき使うことばであります。私は、臨時国会のさきの参議院の予算委員会と思いますが、大蔵大臣からそういう意見がありましたから、大蔵当局の地方財政に対する認識が違うということ、同意しかねるということを申し上げたのですが、その考え方はいまでも一貫しております。そこで、今度の予算編成にあたりまして、大蔵当局と自治省との間でいろんな折衝がありました。これはもう大体御承知と思いますけれども、一応御参考に申し上げておきますが、いまお話しのとおり、財政当局は、まず、地方財政が相当よくなったから、地方交付税の税率を引き下げたいというのが第一、第二は、四十二年度にやったと同じように、地方財政から七百五十億の金を回してくれと、こういうことでした。そこで私は、いま申しましたとおり、地方財政は豊かではない、府県によって多少の相違が出ておっても、それはなすべき仕事をしないでやっているんだ、地方の財政の需要というものは非常に満たされないで困っているのだ、こういうことで、交付税の税率の引き下げというようなことはもう絶対まかりならぬ、同意できない、そういうことからいたしまして、まず、私の一番考えましたことは、地方交付税というものが地方財政の中核といいますか、固有の財源として、これを基礎として地方財政計画を立てなければならぬ、基本的な財政計画をくずすということは絶対これは同意できないということでありまして、その関係で、覚え書きにおきましてはこれを財政当局も了承いたしまして、大蔵大臣との話し合いの結果、大蔵大臣もよく理解いたしまして、当分の間、一切地方税率に対して財政当局はいろんなことを要求しない、つまり税率の引き下げ等は言わないということをまず第一に約束いたしました。第二は、四十二年度のような、国のほうにひとつ地方財政から金を貸してくれ、そういう安易なつまり財政当局の要求は、これも絶対まかりならぬ、何となれば、四十二年のときは、あのとき四百五十億の金を貸したわけですが、それは一種の出世払いであって、どの財源でどうするかについては目標がない、まあ三年間で払うことになりまして、払っておりますが、そこで、ただ地方財政から、国の財政硬直化ということからして、予算編成に困るから金を貸してくれということでは、 これはいま私の主張している――地方財政が豊かであるという考え方と、豊かではないということ、さらに多くの財政の需要があるのだという立場からすれば、一切それも応じられない、そこで、いろいろな折衝がございました結果、すなわち四十三年度あらわれてくる自然増収、これは、これもまあ財政の技術でございますから、予算編成後にあらわれてくる自然増収でございますから、来年度には使えないので、この金は四十五年度で使うということになる、こういう金が、大体そのときに推定いたしますと、七百数十億の金が出てくるということが予想されました。そこで、この自然増収は、当然予算編成のまぎわでございますから、四十五年度でなければこの金があらわれてこないということでございましたから、それなら、この自然増収の目安、これを限度として、その中の金ならば融通してよろしい、当然これは四十五年度で入ってまいりますから、しかも、これが現実にどのくらい入ってくるかということは、補正を組むとわかってまいります。その目安としては大体七百数十億の金ということでしたから、そこで私は、六百九十億のつまり特例措置を行なったので、来年度予算、四十四年度の地方財政計画には何ら影響はない、そのお金は、出てきても四十五年度以降でなければ使えないという見通しをつけましたから、そこで、四十四年度の財政計画には影響はない、それから同時に、この金は、四十五年度には地方交付税も増額する、こういうことが大体まあ明瞭になってまいりましたから、そこで特例措置として、そういうことを行なったのでございます。決して豊かであるから金を貸した、いつでも払えるときに払え、そういうような無軌道な、無定見な貸し方は一切いたしておりません。しかも、この地方財政におきましても、これも大蔵大臣と話しましたとおり、ひとつ今後は自主的に年度間調整をするという考え方は、私は、これはもちろん自主的にやることでございますから、これはこの意味からしても、年度間調整という意味からいたしましても、この六百九十億は私は調整できる、こう考えまして今後の措置をいたした次第で、決して豊かであるからということは一切ございませんから、特にこれは申し上げておきます。
#28
○和田静夫君 いまも言われたとおり、本年度の予算編成に際して、四百五十億円の貸し付けを行なった、大蔵省はあのとき、もう考え方が出ておったように、これに財源調整の意味を大蔵省としては込めたいところだ、しかしまあ自治省の反対で実現をしなかった、三カ年の均等償還と結果的にはなった、今度は、六百九十億円の借金は一応四十五年度に、いまも言うとおり、しかし場合によっては四十六、七年度までの繰り延べで返済することになったものの、覚え書きの第一項で、「別途地方交付税の年度間調整の措置を検討する。」ということを、しかし公式的には約束をさせられてしまっていますよね。「地方交付税の年度間調整」ということが何を意味するかは、まだ私たちは必ずしも明確に把握はしておりませんけれども、大蔵省では、国と地方が金を出し合ってプール勘定をつくり、それに一定の基準を設けておいて、どちらかの収入が足りなくなったらそこから補給する、これによって景気調整をしようというような構想を立てているといわれますが、これは、さっき大臣は、交付税率の引き下げはやらないのだという約束をしたのだと言われますけれども、こういう構想というのは全くていのいい交付税率の引き下げそのものではないでしょうか。また、四十三年十二月十八日付の地方制度調査会、昭和四十四年度の地方税財政対策についての答申が、「地方団体が景気調整に協力するに際しては、それぞれの地方団体がそれぞれの地域の実情に応じて自主的に行なうべきであり、国の立場から一律、支配的に強制することは避けなければならない。」としているのは、私は正しいと思いますが、その点、自治大臣はいかがお考えですか。
#29
○国務大臣(野田武夫君) 詳細は財政局長から申し上げますが、私はいまの後半の御意見、全く同感でございます。景気調整を国の財政の都合によって支配的に圧迫するというようなそういう景気調整は、地方公共団体としての財政計画ではこれは受け入れるわけにはいきません。
 そこで、私は、先ほどの六百九十億の問題につきましても、これはひとつそれにつけ加えておきますが、やはり景気調整という国全体の考え方について自主的に考えて、これにやはり同調する場合も私はあり得ると思います。ただ、われわれ、地方はかってだということでなくて、やはり自主的に地方財政のあり方、地方行政のあり方を考えて、あくまでも、しかしその景気調整に相応ずる場合も、自主的にやっていく、したがって、いまのこの今後の年度間の調整というものも、先ほど私が申したように、自主的にやるという考え方でありまして、その点につきまして財政局長から一応御説明を申し上げさせておきたいと思います。
#30
○政府委員(細郷道一君) 本年度、もし補正予算がなかったといたしますと、御承知のように交付税の精算は四十五年度に出てまいるわけです。ところが、国の都合で、補正予算を組むことになりまして、すでに御審議をいただきましたように、七百数十億出てまいったわけでございます。地方の自主的な財政運営という立場から、理論的に申し上げれば、このお金を地方団体に全部渡して、地方団体がそれをどう使うか、後年度に繰し越しをするのか、今年度これからすぐ何かに大急ぎで使うのか、それは地方団体がきめればいいと、こういうことだろうと思います。私も、そういう理屈でいくことができるのならそれも一つの方法だと、こう思っております。ただ現実問題として、もう二月も終わりの時期に交付税の再算定を全部やって、どういう配分のしかたをするかということが、年度内にやることが事実問題としては不可能でございます。また反面、それぞれの団体が、本年度は、年度の初めにおきましていろいろ御批判があった四百五十億を減らして、減らした交付税で、ことしはとにかく不満ながらやっていこうということで財政運営のスタトを切りまして、すでに年度の終わりまできていると、こういう際に、形式的に出てきた補正予算の額をすぐ、じゃあ地方が受け取ってこれをこなしていくと、またそれは地方団体それぞれの財政運営のしかたを今後一年とってまいると、そういったようなことを考えてみますと、これを、補正なかりせば四十五年度に出るお金であったということから、これを四十五年度に繰り延べをすると、こういうことは、私は広い意味での一つの年度間調整であろうと思います。
 年度間調整ということは、個別の団体がそれぞれ年度間を調整することが本則でございますが、こういった事態になってまいりますると、全体としてやることも一つの方法ではなかろうかと、こう考えて処置をいたしたわけでございます。今後年度間調整について検討するという約束を行政当局間でやっております。これにつきましては、これから検討することでございますから、私どももいま具体的にどういうしかたをしたいということは申し上げかねます。しかしながら、ここ数年の税収の動きというものを見てまいりますと、交付税だけをとってみましても、年度当初に予算を編成した額だけ年度途中において景気の後退から税収があげられなかった、借金をして地方交付税をまかなったということもございまするし、反対に、いままでの経済成長率から予想される以上に交付税が伸びてきたという事態も予想されたわけでございます。したがいまして、今後そういった事態が全くないということを断定することもいかがかと思います。
 そこで私どもとしては、今後の検討問題でございますが、地方財政の運営にあたって、やはり財政の運営というものは、あったときは何ぼあってもみんな使う、ないときは全然使わないんだというわけには私いかないだろうと思います。したがいまして、地方財政の将来の持っていき方は、できるだけ私は計画的に持っていきたい。ある仕事をどの程度までやったらいいだろうかというような計画を立てて、その計画に沿った財政措置ができることが一番好ましいことだろうと思います。そういう意味で、そういう計画的な年度間を通ずる財政運営というような観点から、年度間調整ということは将来検討するに十分値するんではなかろうか。年度間調整ということは、常に出過ぎてこれをためておくということばかりでなくて、逆に、足りないときにそれをまた何とかするということも考えなければならぬのじゃないだろうか。そういったようなことから、今後検討をしてみようじゃないかと、いずれの主張が勝ったとか負けたとかという問題じゃなくて、やはり地方財政を運営していく責任の立場にあるわれわれとして、地方財政を検討するに値するだろうと、こういう考え方でございます。
#31
○和田静夫君 地方税問題や地方公営企業問題などがまだ所信の中にたくさんありますけれども、関連法案審議の際にあらためて質問させていただくこととして、最後に、消防行政についてお伺いをします。
 去る二月五日、福島県磐梯熱海温泉に火事が起こり、三十一名の死者と二十七名の負傷者が出ました。四十一年三月十一日の水上温泉の火災といい、昨年十一月五月の有馬温泉の火災といい、温泉における火災は、多数の死者を出すことに特徴があるだけに、事が起こるたびに国会で議論をし、若干の制度上、財政上の改善が行なわれて、また火事が起こるといった繰り返しをいつまでも続けていくわけにはまいりません。どこかでこの悪循環を断たねばならない。
 今度の磐光ホテルの場合、有馬の池之坊満月城と違って、そう目に余る建築基準法違反や消防法違反はなかったようでありますけれども、やはり従業員に対する教育、訓練の不備があったこと、この一体指導の責任、また今後の指導のあり方、あるいは前委員会でも指摘をし、長官がその非を認められたように、消防水利に欠ける点があったこと、これは全く当局側の責任である。避難器具、避難通路の不備、消防用設備の管理が不十分であった、これも日常的ないわゆる連絡、防火指導のたいへんな怠りであろう。消防機関への通報がおくれたことなどなど、あげればたくさんありますが、やはりたび重なる惨事の経験が十分生かされていなかったという点が残念でたまりません。しかし同時に、水上温泉のときも今度の場合も、目に余る法違反がないにもかかわず、こうした惨事が起こったことをよく考えてみる必要があると思います。つまり、ちっとやそっとの基準の改正では、こうした事故は防げないということであります。
 しからば、温泉地自治体の財政力を強化して、十分なる消防施設を整備することが緊急の課題となるわけですが、補助金の面で、あるいは交付税の面で、あるいは起債の面で特別に考慮していることがありますか、これは第一であります。
 さらに、財政面での充実はもとより必要でありますが、基本的な点は、行政の面にあるのではないでしょうか。建築は建築、消防は消防、食品衛生は食品衛生といったような縦割り行政の弊害については、有馬温泉の火災の際、本委員会においてわが党の松澤兼人委員が指摘したことでございますが、この弊害は二つの面から考えることができると思います。
 一つは、総合的行政の欠除という点であります。旅館などが営業を開始する際、消防法上問題がなかった、建築基準法上の条件も満たしていた、そうして、旅館営業法に基づいて許可されるわけですが、その結果はどうですか。消防ポンプも通れないような細い迷路のような道をはさんで旅館がぎっしりと立ち並ぶという、そういうような状態であります。これでは大火にならないのがふしぎなくらいであります。
 一つは、縦割り行政にはすき間ができるという点であります。有馬火災の際の本委員会における質疑の際、山本弘消防庁次長が指摘をされていましたが、旅館が増築をした場合に、竣工検査が行なわれてない前に営業権をすでに持っているといったような点は、一つの例であります。今度の磐梯熱海の火事の場合にも、その欠陥が私は出ていると思うのです。今度の場合には、出火の原因が金粉ショーがそのもとになっている。たいまつの、金粉というのはどういうのか知りませんが、金粉ショーというのだそうですが、そのホテルで行なわれるショーの規制、旅館などで行なわれるショーが、火を使う場合の規制が実際的には不十分なものになっていたと思われてしかたがありません。このような縦割り行政の弊害を除去をして、総合行政を回復をさせるにはどうしたらよいのだろうか。私は、都道府県自治体機能のこの面における拡充しかない、こういうふうに思われてしかたがありません。災害対策基本法の制定以来、防災の事務は、ほとんど大部分の都道府県において、消防担当課または消防係の所管になっております。近年、消防防災の事務量の増加に伴って、単独の防災担当課を設置するところがふえてまいりましたが、特にこの機能を拡充をして、西ドイツにおける防火査察委員会的なものにしていく。ひいては、私も臨時国会のときに、当時の船田理事などと、いわゆる四日市なんかの小湊地帯を視察をしました。そこにおける工場消防隊、あるいはこれは全く新しいつくりことばでありますが、温泉消防隊のようなものをその管轄のもとにおいて、防火、消防の両方の役割りを兼ねさせるといったようなことが考えられないものだろうか。私は十分検討の余地があるのではないだろうかと思うのですが、以上大きく二つの点について、その後の報告を含んで、長官の答弁を求めたい。
#32
○政府委員(佐久間彊君) 第一の御指摘の点でございますが、温泉地帯市町村の財政力を強化をして消防施設の拡充をはかれという御趣旨、私も全く同感でございます。それの一つの方法といたしまして、温泉地市町村におきまして消防本部及び消防署を設置するところをふやしていこう、できるだけ優先的に消防本部、消防署を設置する政令指定をはかっていこうということで、この点につきまして、明年度もさらにその方針で、現在財政当局のほうとも、個所につきまして相談をいたしております。
 それからその次に、補助金、起債等の措置でありますが、これも、今回の事故がございましたので、さらに明年度におきましては優先的に温泉地帯の消防力の整備のほうに向けてまいるという方針でおります。
 それから第二の御指摘のございました建設省あるいは厚生省、運輸省、関係省庁の縦割り行政の欠陥をためていかなければいかぬという点は、これ全く同感でございます。そこで、先般有馬温泉の火災がございましたあとで関係省庁の連絡協議会を設けまして、私どもが世話役になりましていろいろ検討いたしましたその結果は、前回御報告を申しましたが、さらに今回の事故がございましたので、連絡協議会を再開いたしまして、すでに二回いろいろ相談をいたしておりますが、さらに近日中にまた開催をする予定にいたしております。その際の議題の一番大きな問題は、ただいま御指摘のありましたような関係省庁が連絡をよくとって、そうして事故防止の万全を期したいということであります。建築当局と消防機関との間におきましては、御承知のように建築確認をいたします際に消防機関の同意を求めるということにいたしておりますが、厚生省関係の旅館営業の許可の際には、従来消防、建築当局の関係は何もなかったわけであります。しかし、営業の許可とこれらの許可とがばらばらでありますことが、今回のような事故にかんがみて最も反省しなければならぬ点でありますので、厚生省もとりあえず通達を出しまして、営業の許可をする際には、消防機関の防火上の施設を具備しているという書類を徴して、それから許可をするというような指導をすでに始めております。それから、さらに運輸省の関係で、政府登録国際観光旅館の登録につきましても、消防、建築の関係で防災上の規定を遵守してないというような理由も、登録取り消しの理由として今後やるようにしていこうというような了解もいたしております。これらの行政指導上、運用上とりあえずそういう措置を取っておるわけでありますが、なお、これを法制上ももっと緊密な関係を持たせるようにする必要もあろうと思いますが、これらは今後ともさらに検討をしてまいりたいと思います。
 それから、最後に御指摘のありましたように、こういうような防災行政を拡充してまいりますためには、どうしても府県における指導の態勢を強化する必要がある、私どもは全く同感でございます。そこで、先般都道府県消防主管課長会議も、さっそく事故のあとで招集をいたしまして、そういうような点についてもいろいろ指導をいたしたわけでございます。現在この消防防災課は、全国で四十県近くできております。まだ数県設置してないところもございますが、これも早急に設置をするように私どもも指導して、そうしてただいまお話のありましたように、消防に限らず災害対策基本法の施行全体の仕事について、もっと消防防災が中心となって、県庁内各部課の有機的な共同作業もできるようなふうにしていきたい、かようなふうに考えております。
#33
○和田静夫君 補償の問題は、さらに今後検討されるというふうな前の委員会の答弁でしたね。それはその後どうなっていますか。
#34
○政府委員(佐久間彊君) 前回御報告しましたように、とりあえずの措置としまして、県、市からの見舞金、あるいはまた旅館側から被災者に対するお見舞い金を出しておりまするが、その後本格的な補償の折衝につきましては、現在まだ関係者の間で協議中でございます。
#35
○和田静夫君 自治大臣の所信表明に対する総括質問は大体以上で終わりますけれども、先ほど申し述べましたように、幾つかの各論にわたって質問を用意しています。時間も非常に経過してきていますので、二、三の問題について、しぼって幾つかの質問をしたいと思うのですが、第一は、広域市町村圏についてであります。これは、新全国総合開発計画の中にいわゆる広域生活圏の具体化として考えることができますが、全国におけるこうした生活圏をどのように認識したらよいのですか。
#36
○政府委員(長野士郎君) 広域市町村圏の構想は、いま御指摘のございましたように、全国総合開発計画などの一日生活圏といいますか、広域生活圏といいますか、そういうものと、考え方は大体一致するものと私ども思っております。全国的にどれくらいのものを考えるかという点につきましては、これはまあいろんな関係機関とか、そういうところといろいろ協議をして、相談をしておるところでございます。大体そういうことで、まだ具体的に、全国的に何カ所というようなことまでははっきりとしたものを持っておりませんけれども、まあ現在までのところは、おおむね、たとえば人口規模で申しますと、まあ十万人くらいのところを基準にするのがいいのではないかというようなことで、関係のところ、あるいは府県、あるいは市町村の意見も聞いております。
#37
○和田静夫君 自治省の遠藤振興課長も、たしかどっかで言われておったのでありますが、水の流れに従いつつ水を制するのが治水の要諦であるとするならば、国際環境に規定されて日本の産業構造も変わる、それに規定されて、地域構造、したがって生活圏も形成されていくということであれば、そうした生活圏を、私はいま言われたような形で恣意的に設定するわけにはいかないと思うのですが、要するに広域市町村圏というのは、地方の中心都市と、この周辺市町村が一体となって広域行政を行なうため、道路網を主軸とする諸施設をつくっていこうということでありましょうが、その計画の主体は一体それではどんなものなのか。それと、県、市町村との関係はどういうふうになっていくのか、御説明願います。
#38
○政府委員(長野士郎君) いま御指摘ございましたように、広域市町村圏と申しますか、考え方は、まあ最近の経済の発展とか、交通通信機関の発達に伴いまして、それぞれの地域の現状は、次第に都市の地域と、あるいは農山村の地域とを一つにしたような社会生活圏というようなものが形成されつつある。したがいまして、これは無理につくるとか、つくらぬとかいうものじゃございませんで、そういうものを、まあどう見出すかといいますか、そういうもので形づけるといいますか、そういう考え方でございますから、先ほど申し上げました、十万の単位だといいましたところで、地域によってはずいぶん事情が違う。また同時に、そういう一日日常社会生活圏というようなものでも、地域によりまして、緊密度、濃淡というものはおのずから違う場合がたくさんあるわけでございます。そういうことでございますけれども、お話がありましたように、そういうところについて広域の社会生活圏というものが認定されるようなところにつきましてのこれは市町村の共同処理体制と申しますか、協力体制と申しますか、そういうものを主体として考えるわけでございますから、したがって、この計画、立案といいますか、そういう意味で、地域に即した総合的な計画を立てるということは、結局市町村が共同してそういう作業をする、こういうことになるべきものだと思っております。
#39
○和田静夫君 いずれにしても、この計画実施の場合には、しかし、住民参加という点でどうも危惧がある。したがって、その住民が参加をしていくという原則がどうもそこなわれる危険性が、いろいろ書かれたものやら、言っておられることを読んでみると、感ぜられます。住民自治の原則に照らして一体どうなのかというのが、私は最大の広域市町村圏の構想の中の疑問点であります。この広域市町村圏には、その中核となる都市の存在が、いまも言われたとおり前提になっていますが、そういう中核都市のない農山村地域、これを一体どう扱われようとしているのか、これは当然過疎対策との関連がやはり出てくると思うのですが、遠藤振興課長が「自治研究」四十三年十一月号で、「地域産業自体の振興・再編成により当該地域における雇用力の増大なしに当該地域の人々の流出を止めうることは困難であろうが、同時に、地域生活環境の整備により或程度高度のしかも都市的サービスを確保することなしには次代を担う青年に故郷にふみ留まることを期待することは困難であろう。過疎地域についてのもろもろの問題についてきめの細い措置を講ずることの必要性を否定するものではないが、同時に極力広域市町村圏の傘の中にくみ入れることにより、そのネットワークによるサービスを確保することが基本的な過疎対策の方向であはあるまいか」と述べておられますけれども、これもまた、拠点都市を開発し、それをその周辺の過疎地帯の都会的中心とし、そうすることによって、いわゆる過疎の定義と言われている、人口減少に伴って従来の地域生活を維持できなくなった状態、ないしはなりつつある状態、その過疎状態を回復させるという従来からの国の過疎対策の踏襲にすぎないのではありませんか。こうした対策にいままでどれほどの実効があがったと言われるのですか、私はたいへん疑問なんです。私は、大分県のある村で、村長の音頭で梅の栽培を開始し、それによってもうけた金で、毎年村民がハワイ旅行をしている例を聞いたことがありますけれども、いわゆる過疎地帯が復興した数少ない例といえば、こうした国や自治体の政策によるものはなくて、その地域に主として民間のアイディアマンがいて、地域に適した産業を起こした場合に限られています、いままでは、とにかく。よしそうした政策が長期的にみれば有効であったとしても、その有効性が発揮されたときには、現在過疎地域といわれる全地域がゴーストタウン化してしまっているかもしれません。ある県の開発課長の、「とにかくもう総合的な国の過疎対策なんていうのは待っていられないんです。何はともあれ、離農資金、新生活扶助、名目は何であれ、人間が生存し得る最低限以下の環境にいまなお住んでいる人たちの土地は国が全部買い上げ、それからあとじっくり過疎対策を考えたらいいのではないでしょうか」という、実感に基づく発言が出ているほどでありますが、どのように一体お考えですか。
#40
○政府委員(長野士郎君) 広域市町村圏の考え方は、いまの都市的な地域、中心となる都市的な機能、こういうものを、ある面では周辺の市町村にも及ぼしまして、そうして、そういう意味の行政水準の向上をはかりながら、近代的な地域社会の水準の引き上げ、住民の福祉の向上というものに資していくと、こういうことが非常に有効ではないであろうかと、そういう意味で、広域市町村圏内の市町村の計画、あるいはいろいろ施設整備のその他の計画と、広域圏計画というものとは必ず密接な結びつきを持って、地域内、圏域内の行政サービスというもののネットワークを築き上げるほうがいいのではないかという考え方であります。その場合に、過疎地域についても有効な働きをするということがある程度期待できるのではないだろうかというふうに考えているわけでありまして、このやり方をもってすべてが、万事解決をするというふうには、もちろんそれは考えられないと思います。ただ、私ども過疎地帯を多少排見しましたけれども、おおむねそれは、いわば陸の孤島といわれるようなところで、遠くて、いわゆる中核と申しますか、地域の中心的なところとの結びつきが断絶されておる、そういうところに一つの大きな過疎になっていく根本的な事情があるような場所が多いと思います。したがって、そういうところについては、やはり圏域の地域計画を総合的に実施するということによって地域の中心とのつながりをつけるということは、非常にそうい意味で日常社会生活圏域の中に組み入れるということになりますから、その点での効果というものはあるのじゃないか、そういうふうに考えておりますが、もちろんお話のように、これだけで万事がきまるわけじゃございません。むしろ産業基盤の整備というようなことぐらいまでは、ある程度のことはできると思いますが、それ以上の、新しい産業なり企業なり、あるいはそういうものの近代化とか高度化というものは、これは地域の人たちの自発的な努力というものにまたなければならぬだろうと思います。
#41
○和田静夫君 次に、自衛隊機の金沢市の墜落事故の問題について、二、三伺いたいと思うのであります。
 F104自衛隊機が金沢市に墜落した。そして大惨事を引き起こした。まあ当然決算委員会等で、私は防衛庁長官にその原因や被害の全貌等は質問いたしますが、私も、生まれ育ったところでありますから、現地をつぶさに見てまいりました。一番政府が言っておられる、新興市街地であるなんというのは、全くのうそでありまして、私はあの道を五年間旧制中学に通った道であります。当時から住宅があったところでありまして、新しく立ち並んだ――コースは、もともと住宅のなかった上にあったのだというような論法は全然通用しないんでありますが、これはなにも自治大臣を責めようとは思いませんが、閣議で将来この問題はなお論議をされる機会があろうと思いますから、その辺のところは、現状の認識として自治大臣も十分に知っておいてもらいたいと、こう思います。
 前に、九大に米軍のジェット機が墜落したとき、アメリカのパイロットの態度には、明らかに日本人の命を軽視したところがありました。今度も、高度千メートル前後で脱出をしていますが、機首を無人の山岳地帯から海の方向に向けられなかったものか。まあいわゆる私が乗っておった戦時中の飛行機の状態と今日とはたいへん違いますから、そういう感覚でなかなか判断はできかねるのでありますけれども、私は、やっぱり脱出時期が早過ぎたという疑問を深く自分の経験上からも持たざるを得ません。今度の事故は、自衛隊機が民間に被害を及ぼした最大の事故となりました。そこで、そもそも市街地周辺に軍事基地があることが問題であるということがあらためて問われたわけです。まさに一番平和であるべき家の中にいてなくなられなければならない、しかも当日は、町内の慰安旅行という形で多くの主婦の方々が旅行に出られていたから、ある意味では最小限度の形になったと思われます。もっと悲惨な状態になった。あと一時間も時間が食い違っておれば、子供たちが給食を終えて家庭に帰っておるわけでありますから、たいへんな事故になった。そういう状態でこの実際問題はあるのでありますが、私は、この米軍の基地の問題、あるいは米軍の飛行機のコースの問題、自衛隊の基地の問題、そのコースの問題、それらを含んで、自治大臣も、まさに住民の立場に立って、閣議で検討される場合に、住民の立場に立った考え方というものを十二分に吐露していただきたいと、こう思っております。
 また飛行コースの総点検というようなことも、私たちは住民の生活、生命を守るというそういう立場に立ってやっていくべきだと思う。同時に、日本の全軍事基地の一つ一つについて、この飛行コースが一目りょ然にわかるように書いた、そういうようなものも私たちはつくり上げる必要がある、そういうふうに思うのですが、そこで自治大臣にひとつお伺いをしておきたいのは、大臣が二月十四日の参議院の本会議において、わが党の杉原議員の質問に答えて、地域住民の福祉と安全に関する重大な問題であり、地元の意向を十分聞き、その対策を講じていく。基地周辺市町村の町づくりについては、基地周辺整備計画を行なっており、基地交付金の増額などを考えている、と述べておられますが、地方自治体が防衛庁に基地を提供する場合、まさに地域住民の福祉と安全に関する重大な問題に関係するわけでありますから、さきの飛行コースも含めてもろもろの問題について、全く防衛庁の方針にゆだねているということはおかしいと思う。もっと自治体側の発言を取り入れるような形にすべきだと思うのですが、現状は何か一片の覚え書き程度の取りかわしがあるだけであります。自治大臣の御見解を承りたいと思います。
#42
○国務大臣(野田武夫君) 先般の金沢における自衛隊機の墜落事故について、政府の見解は本会議、委員会で申し述べたとおりであります。自治省といたしましては、お話のとおり各地域の基地と地域住民の生活というものは非常に密接な関係を持っております。したがって、その住民の福祉安全、これはもう第一に考えるところであります。従来からも、基地住民のいろいろのこれに対する基地の関係における住民との関係で、非常に生活そのものに影響をこうむっておることもよく知っております。したがって、自治省のいままで基地に対する接触は、やはり基地周辺の方々がその生活に影響を持っている基地の存在というものに関連いたしまして、まあできるだけ何かの手を差し伸べてその生活を守っていきたい、こういうことで、いま自治省が突き当たっておりますのは、基地交付金の問題であります。これも、当時予算折衝にあたりまして、前年度よりも増額するという問題につきまして、つまり基地は予算編成までに大体五十カ所ぐらい整理する見込みがついたわけでありますが、交付金の問題は、前年度よりもそう増額しなくても大体間に合うのじゃないか、こういう御意見がございましたが、しかし私は、いかに数十カ所が整理されても、現在の基地住民の皆さんが非常に困っておられることが多いのでありますから、財政の許す限り手厚いひとつ態度をもってこの交付金を育てていく、これは国の予算の問題でもございますが、前年度十九億、いろいろこれは十分折衝いたしまして、まあ約二十六、七億ぐらいに増額をみまして、基地の関係の方には、御満足はいきませんけれども、非常に喜んでいただいたのであります。これは、私は金の問題ではなくて、私どもの持っている、自治省の持っている基地住民に対する考え方でございます。これも金額は、予算上の金額としてはわずかでございますが、基地交付金のために三回ぐらい大蔵省と折衝した。その熱意はどこにあるかというと、金額ではなくて、基地住民に対する私どもの差し伸べる手をできるだけ手厚くしたいということからきたことでございます。したがって、いまのお話にありますとおり、この地域住民の福祉、しかも一番大事な安全、これから考えまして、まあ飛行コースなんかについても、まあ自治大臣として関係したらいいというような意味のおことばでございました。よくおことばはわかります。また御意見も十分聞きました。ほんとうに尊重すべき御意見でございますが、何しろこの自衛隊の防衛計画からきているわけでございまして、どこまで自治省がこれに関係できるか。しかし今日までの基地のありさま、またこういう不幸なできごと、これを考えまして、ひとつこういう問題につきましても、自治大臣として、防衛庁長官に対して、こういう危険がないように、地域住民ができるだけ安全に、安心していけるようにということは、これはもう私どもとしては当然それを考えることでございますから、まあどこまで自治大臣としてそういうことに入り込めるかわかりませんが、意見だけはひとつ申し述べておきたいと思っております。
#43
○和田静夫君 防衛庁の関係ですが、三次防、四次防を通じて、小松基地というのは、今度のいわゆるファントムがさらに一飛行隊あそこに常駐をされるという計画があるわけです。一飛行隊といえば十八機ぐらいのものが常駐されていく。そうすれば、金沢、小松、まあ石川県におけるところの全く中心的な都市に住む住民はたいへんな恐怖の中に置かれる状態です。
 金沢は、第二次大戦では、ある意味では唯一の空襲を受けなかった都市でもあります。そこの住民が、まさに平和という名前で命を奪われ、そして安全という名前でますます生活が破壊されたことを経験をしたわけですね。私たちは、したがってこの補償というものは十分になされなければならない、こう思うのです。
 金沢市の当局も、防衛庁に対して、あるいは県の当局も、防衛庁に対して、いろいろの努力、要求をされているようであります。自治大臣としてもですね、防衛庁がいわゆる一定の素案を持って閣議に臨まれましょう。したがってその閣議の席上ですね、大きくやはり住民の生活破壊、そして生命がないがしろにされた、その悲惨さ、もちろん金でもってあがなえるものではありませんけれども、そういうまさに人命の尊厳という立場に立った主張というものを強くなし続けていただくように、私は強く要求、要望をいたしておきたいと思います。
 以上で質問を終わりたいと思います。
#44
○委員長(内藤誉三郎君) 本日はこの程度にとどめます。本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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