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#1
第061回国会 地方行政委員会 第6号
昭和四十四年三月二十五日(火曜日)
   午前十時四十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十二日
    辞任         補欠選任
     佐藤  隆君     小林 武治君
     林田悠紀夫君     増田  盛君
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     千葉千代世君     藤原 道子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         内藤誉三郎君
    理 事
                熊谷太三郎君
                吉武 恵市君
                林  虎雄君
                原田  立君
    委 員
                小林 武治君
                船田  譲君
                増田  盛君
                安田 隆明君
                山崎 竜男君
                若林 正武君
                竹田 四郎君
                松澤 兼人君
                和田 静夫君
                阿部 憲一君
                山田  勇君
   国務大臣
       国 務 大 臣  荒木萬壽夫君
   政府委員
       警察庁長官官房
       長        浅沼清太郎君
       警察庁刑事局長  内海  倫君
       警察庁刑事局保
       安部長      海江田鶴造君
       警察庁交通局長  鈴木 光一君
       警察庁警備局長  川島 広守君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
   説明員
       厚生省薬務局参
       事官       下村  孟君
       通商産業省重工
       業局自動車課長  田中 芳秋君
       自治省行政局管
       理課長      植弘 親民君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方行政の改革に関する調査
 (昭和四十四年度警察庁の施策及び予算に関す
 る件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 三月二十二日、佐藤隆君及び林田悠紀夫君が委員を辞任され、その補欠として小林武治君及び増田盛君が選任されました。
 また、三月二十四日、千葉千代世君が委員を辞任され、その補欠として藤原道子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(内藤誉三郎君) 昭和四十四年度警察庁の施策及び予算に関する件を議題といたします。質疑のおありの方は順次発言を願います。
#4
○和田静夫君 国家公安委員会委員長の所信表明に関連して、若干の質問をいたしたいと思います。
 荒木国家公安委員長は、その所信表明で、冒頭次のように述べられました。「各位御承知のように、現在、国民がひとしく憂慮しておりますのは、過激派集団による相次ぐ暴力行為であり、警察としましても、日夜、その対策に腐心いたしておるところであります。これら過激派集団は、先般の東大紛争をめぐる安田講堂の占拠や神田地区での行動に見られるとおり、過激な破壊行動を繰り返し、ために大学を物心両面から荒廃させたにとどまらず、地域住民にも著しい被害をもたらし、公共の安全と秩序の大きな障害になっているのであります。このような破壊的暴力行為は断じて許すべからざるものでありまして、私は、大学当局をはじめとする関係者の適正な措置を期待しつつ、これが一そう厳正な取り締まりを続けてまいる所存であり、これがため警察官の増員、警察装備の充実など所要の措置を講ずることとした次第であります。」
 そこで私は、まず、荒木国家公安委員長が今日の大学紛争というものをどのようなものとしてとらえておられるかということを問題にしたいと思うのであります。二月十四日の東京新聞に出ていましたように、あなたが、今日の「大学紛争はハゲタカどものヘゲモニー争い」、「革命坊やどものシーソーゲーム」というふうにとらえているのはほんとうでありますか。ことばの問題はともあれ、あなたの所信表明の底を流れる考え方は、大学紛争イコール過激派集団の破壊的暴力行為、したがって、大学紛争の解決のためには、警察官の増員、警察装備の充実が必要であるという単純な論理で成り立っているわけであります。二月二十四日の読売新聞に出ておりましたが、読売新聞が実施した全国学生意識調査によっても、また、その後のNHKの調査によっても、何よりもまず大学教育そのものに対する不満が激増している。無関心層が急進化し、大学改革を熱望している。そういうセクトによるキャンパスの荒廃を忌避し、暴力主義を否定する考えるノンセクト層が大勢を占めてきたこと、大多数の者が何らかの形で学生参加を求めていることなどが明らかにされております。過激でない大部分の学生が大学制度の改革を熱望しているということだろうと思うのであります。ということは、今日の大学紛争が、今日の大学制度に、ひいては社会のあり方に深く根ざしているということであろうと私は思います。そうでなければ、かりにいわゆる過激派集団の学生自治会の組織の引き回しがあったとしても、紛争がこれほど全国化するはずがありません。また、同時に考えるノンセクト層の増大というのは、大学の自治能力、秩序回復能力回復のきざしではなかったでしょうか。とすれば、ますます二月十四日の東京新聞におけるあなたの、大学が自治能力があって、ちゃんと秩序維持しているのに、警察が入っていくのなら問題だ、そんな能力や権限もなくて大学内で乱闘騒ぎを起こしているのに、警察官が入っていくことまで非難して進歩人ぶろうとしている。そんな考え方を大学の先生が振り回しているのは、不謹慎で、いわれなき非難だというあなたの態度こそ不謹慎であるということになりますが、どのようにお考えですか。
#5
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 結論から先にお答え申し上げますと、結論は、御指摘のように新聞に書かれているように思います。教育的な立場から、教育行政の立場からいろいろと問題があることは私も承知をいたしております。私が国家公安委員長として、記者会見等を通じて話しましたことが御指摘のような記事となったと推察をいたしますけれども、ことばの端くれは別として、大筋は間違っていないと存じております。というのは、警察権は、いわゆる大学が本来のあるべき姿である限り、大学と関係があるはずがない、いささかも関係のないことだと私は理解いたしております。ただ、憲法のもと、日本は議会制民主主義を基本といたしていると理解いたしております。それは、国権の最高機関において定められた法律、制度に基づいて、国民生活も、社会生活も、学校生活もあるいは警察官の責任も、権限も全部法定されたものと思いますが、特に警察官の責任なり行使というものは、万々御承知のとおり、警察法ないしは警察官職務執行法、あるいは刑事訴訟法に基づいて行動し、またその法の許す範囲内においての職権を行なう、そうして国家社会から、大学であろうとどこであろうと、法秩序無視の不法行為を予防し、排除するといろ責任を負わされ、それに伴う必要な権限も与えられていると理解しているわけでございますが、不幸にして最近の大学紛争といわれる事柄の中に、いま御指摘になりましたような暴力をふるうことをはじめとして、不法事案が続出をいたしておりますることは申し上げるまでもないところでありまして、それは大学が治外法権の場でない――しょっちゅう新聞にも言われるぐらいに常識的な問題でありますが、そこに不法事案があるならば、法の定めるところに従って、要請がなくても行かねばならず、要請があればなおさら行かねばならずという関係において、警察が初めて関係を持つ、こういうふうに理解しておるのでありまして、不謹慎であるなどということばで評することがぴたり当たるかどうかはいささか疑問があるにしましても、結論的には、私はそう言ってもはばからぬと、こう思うのであります。
 と申し上げるのは、たとえば東大を例にとりましても、昨年の一月以来いろいろな不法事案が山積しておりますが、刑事訴訟法の定めるところによれば、公務員はその職務に関して不法行為があると知ったならば、告発しなければならぬと義務づけておる。にもかかわらず、八千名に余る教職員が、一人として昨年じゅうはその刑事訴訟法の公務員に命ずるところの義務を果たしていない。言いかえれば非協力である。無法許さじとする憲法の趣旨にのっとってこそ公務員にその義務が課せられておるにもかかわらず、義務履行をしないということは、私はまことに残念であり、遺憾であり、非協力であると言わざるを得ない。だから、能力もなく権限もないと申し上げるゆえんのものは、暴力に対して暴力をもって立ち向かう責任と権限が大学当局にあるはずがない、そういう意味で御指摘のようなことを申し上げたと記憶しておりますが、そこに何ら警察がことさら大学に入り込んでいってどうしようなどというばかげた考慮は、いささかも一点も念頭にはない。当然のことを申し上げたにすぎないということが、新聞記事等を引用しながらの御指摘の御質問であると思います。
 繰り返して申し上げますが、そのほかに、大学がいまのままでいいかどうかという純粋の教育的な課題としての改革案がいかにあるべきか、あるいは学生参加が適当であるかどうかなどというのは、国家公安委員長としての守備範囲外のことでありまして、そういうことにはいささかも関与していない立場から私の考えを述べたことを御理解いただけばありがたいと思います。
#6
○和田静夫君 あなたは、二月二十六日の衆議院の予算委員会第一分科会で、井上正治九大法学部長は大ばか者だと発言をされました。二十七日の衆議院地方行政委員会で、用語の適切さを欠いたきらいはあると弁明をされました。引き続いて開かれた衆議院予算委員会第一分科会では、その発言を取り消したわけでありますが、私はここであなたの用語法の適不適を問おうとは思いません。口の悪い人には案外正直な人が多いわけでありますから、官僚的に当たりさわりのないことばではなくて、正直にじっくりとあなたの考え方を私はきょうは聞かしていただきたいと、こう思います。そのかわり、こちらの言うことも真意に誤解のないようにじっくりと聞き分けていただきたいと思います。
 あなたが大ばか者だと言った九大の井上正治教授は、雑誌「ジュリスト」一九六八年十二月一日号でこう言っているわけですよね。「大学は勿論治外法権の特権をもつわけではないから、どんな事態になっても警察力の介入を拒否すべきだというのではない。だが、警察力を導入するまでには、大学の抱える困難な問題に対し、じしんの手でギリギリまで努力がつづけられなくてはならない。それで解決しないばあい、はじめて警察力に頼らざるを得なくなるのだが、こうなったときには大学は自らの手で大学自治を捨てたことになる。どうにもやむを得なかったという理由に救いはあるが、大学自治を放棄したことには変わりはない。」、いま一読して明らかなように、井上教授はここで大学への警察力導入の是非を論じているのではありません。いま先ほどあなたの答弁をされた立場とある意味では変わりません。大学への警察力導入と大学の自治とは矛盾するという事実を言っているだけの、いわば運命的にそうだと言っているわけでしょう。ですから井上教授は論文で次のようにも言っております。「よく世間には、大学が大学自治の名のもとに警察力を排除しながら、一部学生の占拠にあってどうにも処置しきれなくなり、結局大学自治を侵害されているではないかという非難がきかれる。しかしこう考えることには誤解がある。大学の中枢部が彼らに占拠されることによって大学の機能が麻痺することはあっても、彼らは、学問の自由そのものを弾圧してはいない。大学の秩序は乱されても学問や研究はまだ自由にできる。これが警察力による干渉となると、国家権力の介入を意味するから、学問そのものが規制される。大学はそれをもっとも恐れなくてはならない。」、このように、井上教授は大学の自治を学問の自由との関連でとらえ、それと国家権力とは相矛盾すると述べられておるのだと私は思うので、そのことは、東大におけるいわゆる森戸事件に端を発して、大正デモクラシーが崩壊をしていった、ファシズムへの傾斜を深めていったわが国の戦前の歴史をひもといてみるまでもなく、大学自治という概念そのものが、国家権力には、行政の能率性を重んずるあまり、本来的に国家目的に沿わない学問を排除する性格がある。つまり国家権力が本来的に学問の自由と矛盾する傾向にあるというところから、大学自治という不文律をつくって守ってきた、そういうヨーロッパの歴史の中ででき上がった概念であることは私はちょうちょうを必要としないと思うのです。したがって二月二十六日の衆議院予算委員会第一分科会における高辻内閣法制局長官の、学生には労働法上の意味で団体交渉権はあろうはずがなく、学園も治外法権的権限を持っていようはずがないという、あの発言ほど私は官僚的で間の抜けた発言はないと思うのであります。だれもそんなことは言ってはいないわけです。いうまでもなく大学は治外法権の特権を持つものではありませんので、どんな事態になっても警察力の介入をすべきでないというのではありません。大学に警察力を導入しなくてはならない場合ももちろんあります。が、それは、井上教授も言われているように、それまでの間大学自身がぎりぎりまで努力をして解決できない、だから、大学の自治を犠牲にしてまでも機動隊に入ってもらうという、いわば国民的には悲しい事態なのだと私は思うのであります。警察関係者は、この宿命は私は宿命として自覚をすべきだろう、こう思います。私はこうした宿命の自覚こそ民主警察におけるあなたが言う警察教養の基本とも言えると思いますが、どのようにお考えですか。
#7
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 井上法学部長が「ジュリスト」その他の学術的な雑誌等を通じて、これこそ言論の自由、表現の自由、また思想、信条の自由の点に基づいて意見を発表されることは、いささかも警察権とは関係がない。問題は、旧憲法時代の終戦までの日本の国家権力、特に警察アレルギーというのは戦前からあるようですが、いま読み上げられた事案もあるいはそうかと思いますが、正確に存じませんから、おそらくそうだと存じますと申し上げざるを得ませんけれども、それはそうだとしましても、帝国憲法のもとにおけるその当時の日本のあらゆる、政治的な、社会的な、あるいは教育的な諸条件のもとにおいて、そのことが非難さるべきであったといろ課題であろうかと思うのであります。新憲法のもとに、基本的な国家理念が変わってきた、大学制度もその新憲法のもとに存在しておるわけであり、学問の自由はいささかも戦前戦後を通じて変らない国民的な認識であることも、もちろん私もそのことを一点も疑わないことははっきり申し上げます。ところが、学問的に言っても国家権力と学問の自由が相反するものであるという考え方自体、私は認識不足の点があるのじゃないかと個人的には思います。それは国家権力の定義が何であるかわかりませんけれども、おそらく井上教授は、国家権力とは警察権ということに限って理解したような発言じゃなかろうかと想像されますが、国家が国民の名において公務員に与えておる権力というものは、国権の最高機関を通じて主権者から与えられた権力であって、その与えられた権力を、法律の根拠に基づき、法律の範囲内において、憲法十五条の要求する全体の奉仕者としての心がまえでもって厳正公平に責任を果たすということがいまの警察権でありまして、そのことを法律学者が、むろん百も承知であるにかかわらず、あえて学問の自由と警察権と思われる国家権力と相いれない、いわば敵であるというがごとき表現は、それこそが私は大学人として不謹慎じゃなかろうか、ことに法学部長の立場において言われるにおいてなおしかりと私は思います。教授、助教授その他の人々が学者であることは間違いない。学部長というのは、学部の教授会を通じてその大学の学部に関するところの管理運営のことを執行する教育行政官の機能を半分は持っておる学者でもある。講座を担当する限り、研究を指導する限り、学部長は、それは学者でもあり、行政官でもあろうという二重人格とは思いますが、事柄が大学の管理運営に関しての課題を中心に、警察が大学の敵であると言われているようにしか理解できないのです。私は、そのことは行政官としての、法学部という有機体の中の、国民の財産である、国民の税金によってまかなわれた公務員である、教育公務員特例法に基づく特殊の地位を与えられた立場の人である、その人が現職であるときに、警察が大学自治の敵である、学問の自由を侵害する本質を持っておるなどと言われること自体が、警察に対する侮辱であると私は思います。繰り返し申し上げるまでもございません、警察は、法に基づき、法の範囲内において、不偏不党、厳正公平の立場で国民に対して責任を果たす。大学人も国民の一人であることはもちろん。大学に対して責任を果たすということは、国民に対して、主権者に対して責任を果たすという使命と権限を与えられておるものと心得る限りにおいては、私は、御指摘ではございますけれども、どうも場所柄、時をわきまえない失言じゃなかろうか、同時に私が予算委員会でお答えいたしましたことにも関しますけれども、例のエンタープライズ問題で、外人部隊と称するゲバ棒学生が続々と西下いたしまして、大学では拒否したにかかわらず、九州大学の学生寮を不法占拠して、それを根城に汽車をただ乗りをして佐世保まで行って、御承知のような大騒ぎを演じ、へとへとになって帰ってはまた九大の学生寮に侵入して疲れをいやして、また翌日御出勤ということの連続でありました。その、いわば暴力による、内ゲバ外ゲバといわれますが、内外呼応したところの暴力によって学生寮が占拠せられ、その結果九州大学の教育も十分には行なわれ得ない被害を受けた、研究所も思うように研究ができない状態にされた、それこそが、国家権力ではございませんけれども、憲法が禁止するところの、刑法が警告をするところの、刑罰法規に触れる、暴力ざたをはじめとする不法侵入でもありましょうし、国民の財産である学生寮によそ者が不法に入り込む建造物損壊罪でもあるだろうし、器物の毀棄罪でもあるだろうしという状態があるのに、冒頭に申し上げましたような、公務員としての義務づけられた、その不法を告発することを忘れておる、そうして九大それ自体の大学自治が、現実に、権力ではないかもしらぬが、不法行為によって冒涜されておることはたなに上げながら、一段落しましたときに福岡で記者会見をした井上さんの記者会見記事を読みましたが、あんなふうで学内にいろいろとじゃま者が入ってきて迷惑をしたけれども、ただ終始警察官という、不浄役人とは書いてなかったようですが、警察官を導入しなかったということによって、わが九州大学の自治の名誉は保持し得たということを語られたことが記事に出ておりました。記者会見の場での発言ですから、よもや新聞がうそを書くはずがない、こういうふうに私は読んでおりますが、そのものの判断が法律学者としてはたして良識があるだろうか、学部長としての、行政官としての判断に狂いがなければと、私は国民のためにおそれるという気持ちで新聞を読んだわけであります。そういうことが私の念頭にありまして、お尋ねに対して率直に、用語の不適切はおわびせねばなりませんけれども、結論的なことをお答え申したような次第であります。
#8
○和田静夫君 いまもあなた言われたのですが、「ジュリスト」というのは学術論文の集まりですよね。この学術論文の中に書かれた井上教授のいわゆる学問的見解に対して、たいへん不謹慎だ、先ほどあなたはばか者だと、今度はこの委員会で不謹慎だと、学者がその出すところの論文集の中で、学問の自由に基づいて見解を述べることが不謹慎だと、そういうふうに言われるわけですか。あなたはその新聞記事や余分の前提の問題に触れる必要はないのです。私が質問していることに対して……。
#9
○国務大臣(荒木萬壽夫君) さっきも触れましたが、学者が学問の自由を主張されるならば、大学内における講義を通じ、あるいは研究室を通じ、あるいは学術関係の雑誌なりその他で述べられるべきもの、そういう意味では、いま御指摘のような不謹慎ということばをそれに関して申し上げたつもりではなかったことを、ことばが足らぬならば補足させていただきます。TBSの放送、直接は私は聞いておりませんので、ビデオテープを持ってこないことには立証できませんけれども、そのことを通じて新聞雑誌等に出ておりますこと、そのことは、学術関係の雑誌やら大学の講義でもって学者としての見解を述べたという場では私はないと思います。そのことと先刻触れました記者会見のことを念頭に置いて考えますときに、一かけ出しの学者ではない、法学部長という管理運営の立場にもある人としての発言としては、私は少なくとも不適当であり不謹慎だと、そう思います。
#10
○和田静夫君 一かけ出しの議員でない国家公安委員長が、大ばか者であるということを言われたことが、それじゃ不謹慎だ、それと同じ意味で井上さんについて触れられた、こう理解しておきます。
 荒木国家公安委員長も、所信表明の中で、警察教養を積極的に充実することをうたっておりますので、この警察教養という点について、具体的事実との関連で私は後ほどゆっくり質問いたしますが、まず、大学紛争イコール治安問題という荒木国家公安委員長的発想が実はどんなにか私は事態を紛糾させてきたかということは、東大問題と日大問題の発端を考えてみれば明らかであろう。今日は、私は日大問題に触れてそのことを考えてみたいと思うのであります。
 二月十九日の朝日新聞によりますと、佐藤総理を総裁に、古田日大会頭を会長とする日本会が、荒木国家公安委員長、新井警察庁長官、秦野警視総監をはじめ多数の有名人の名前を発起人に無断借用して、古田先生激励会なるものを計画し、荒木国家公安委員長らが迷惑をし、訂正を申し入れたという記事が載っておりましたが、荒木さん自身は、日本会のメンバーであり、古田会頭とも知己であると聞きますが、いかがですか。
#11
○国務大臣(荒木萬壽夫君) いま御指摘のことは、私は秘書官から聞いて驚いたわけであります。少なくとも激励会とかいうやつをあらかじめ聞いたこともなければ、その発起人になっておるなどということは夢にも思わなかった。そのことは秘書官を通じてわかりましたから、時節柄でもあると思うから取り消そうじゃないかと、はっきりものを申さぬといかぬぞと、半分冗談まじりではありましたが、寝耳に水で、ばかげた驚くべきナンセンスな会合だなあと思いましたから、そう申しました。
 なお、私があのメンバーであることは知っております。いつであったか忘れましたけれども、私の昔の代議士の同僚から、何か日本会とかいうものができるそうだが、メンバーに入ってくれと言っておるがどうするか。おまえはどうするか。おれは入る。そんならおれも入るかなと言った記憶がうすうすございます。日本会には、できまして以後、昨度でありましたか、一ぺん出てみました。出てみましたが、およそ私なんかが行く場ではなさそうでしたから、十分ばかりおって引き揚げたという、具体的関係は以上で全部でございます。そういうことでございまして、御指摘の点は事実ではございますけれども、解明さしていただけば以上のとおりでございます。
#12
○和田静夫君 後ほど日大の経理その他の今日までの調べられた実情についても若干伺いたいと思うんですが、三月十四日の読売新聞に、自治省の政治団体収支報告書から抜いたものとして、次のような記事があるわけですね。新生政治経済研究会に日大が三十七年十月に十万、十二月に十万、三十八年七月に二十万、同九月、十月に各十万、三十九年二月、七月各二十万、十二月十万。東亜政治経済研究会に四十年八月に二十万、忠政会に四十一年八月に二十万、内外事情研究会に四十二年十一月に五十万、ほかにここの機関紙「内外カレント」三千部の代金として四十五万。寄付を受けているのは、いずれも自民党議員系の政治団体であります。こういう記事が載ったのでありますけれども、これは事実でありますか。
#13
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私存じませんので、政府委員からお答えさせていただきます。
#14
○政府委員(内海倫君) いまの件につきましては、私も正確に承知をいたしませんが、もしそういうものを正確に知ろうとすれば、自治省のほうの所管であります。これに届け出が行なわれておるならばその点は明らかになろう、かように考えます。警察庁といたしましては、そういう問題について所管いたしておりませんので、正確であるかどうかということについての責任ある答弁はいたしかねます。
#15
○和田静夫君 自治省見えていますか。
#16
○説明員(植弘親民君) いま読売新聞の記事を引用なさいまして寄付の指摘がございましたが、私どもは、政治資金規正法によって届け出のございましたものを年二回官報に登載して国民の前に公表いたしております。したがって、読売新聞の記事がその官報から拾ったものだと正確だと思います。一々の団体に対する額は、官報を調べないことには、記憶いたしておりません。
#17
○和田静夫君 私は、忠政会、東亜政治経済研究会、内外事情研究会、新生政治経済研究会、それぞれがこの記事のとおり、自由民主党の中の有力な方々のそれぞれの政治団体であることを確認をしておりますが、いま自治省の側から答弁があったように、官報から転載されたものであるとするならば、これは正しい。そういうことになると、日大の問題のもともとの発祥であったいわゆる金銭問題、これとの関係において、与党との間におけるくされ縁というものがかなり実は明確になっていると考えざるを得ません。
 そこで、日大のバリケードの封鎖は二月十八日をもって解除されて、入試や授業が開始をされましたが、日大の正常化への展望は東大以上に暗いといわれます。それもそのはず、私はたいへんふしぎに思うのは、最近になって日大の不正土地購入問題が明るみに出たり、乱脈経理にさらに新しい事実が加わったり、これらは日大問題に新しい混乱をつけ加えるに十分な要因であります。今日の大学紛争を革命坊やのシーソーゲームとしてとらえて、その解決を機動隊をもってせんとする荒木国家公安委員長でありますが、このように大学の経営側に明らかに存在する不正の追及については、どのように対処をされてきたのか、明らかにしていただきたいと思います。
#18
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お尋ねにないのですけれども、言及されましたから一応釈明させていただきますが、私は、大学問題が警察官導入で解決するとは毛頭考えておりません。先ほども申し上げましたように、法の命ずるところに従って、そこに不法行為があるから、大学であろうとなかろうと、責任を果たしに行かねばならぬという関係で、はじめて大学紛争に関連を持つというだけでありまして、もしその大学が、東大をはじめ不法行為案件というものがゼロになるならば、絶対に警察とは関係を持たない。そういうことでありまして、御指摘の前提になりました教育課題としてのいろいろな将来に向かっての改善案件とか、現状に即しましても、たとえば私が御指摘申し上げたようなことまでが行なわれていくならば、警察とは関係なくなるだろうということを待望している一人であるということを申し添えさせていただきます。
 いま御質問の点は、まあ具体的に申し上げないと答えになりませんでしょうが、具体的な内容は存じませんけれども、これまた東大やその他の紛争とは違った原因があることは御指摘のとおりと私も思います。これだって、不法行為であるが故に法の命ずるところに従って、日大だろうとどこだろうと、捜査すべきものは捜査し、法律上の責任をわれわれが果たすということが国民に対する責任課題だと心得て対処しております。どういうふうな状況であるか、私も逐一には申し上げかねますので、必要とあれば政府委員からお答えさせていただきます。
#19
○和田静夫君 どういう状態ですかね。
#20
○政府委員(内海倫君) 不正事件の状況について申し上げますが、あるいは新聞等ですでに御存じと思いますが、一つは経済学部の七百万円を横領しておるということで、経済学部長から警視庁に対して告発がございました。これは告発されましたのが現在逃亡いたしております会計課長でありますので、現在関係者をいろいろ事情聴取するとともに、会計課長の所在を追及いたしております。この七百万円の横領という告発事案を内容にして、現在経済学部関係の捜査を実施中でございます。それからもう一つは、ただいま日大の関係団体の人から、日大の責任者を被告発人といたしまして、山林取得についての背任事件ということで、時価約四百五十万円ないし五百万円のものを十倍の金額で購入しておるということはきわめて悪質であり、そして背任の行為であるということの告発が出ております。これにつきましても、現在関係者を多数事情聴取を行なっておるところでございます。現在私どものほうで告発を受けまして、捜査をいたしておるものは二つ、以上申し上げたとおりでございます。このほかに、こういうふうな事件に、告発事案に関連するものとして、一人、日大の経済学部の経理長という立場にある人について、いろいろ事情を聴取いたしております。以上が大体警視庁において処理をしておる日大に関する不正事案の問題でございます。
#21
○和田静夫君 それではお聞きしますが、いま出ました日大経済学部の乱脈経理のかぎを握るといわれております富沢広元会計課長を、警視庁捜査二課が全国に指名手配されたのはいつですか。
#22
○政府委員(内海倫君) いま私手元に資料を持ちませんので正確な日時を答えかねますが、後ほど調べましてお答え申し上げます。概略は、たしか今年に入ってからだったと思います。
#23
○和田静夫君 まあ後ほど正確にお答えしてもらいたいと思います。四十四年の二月に指名手配されています。で、いま言われたように、いわゆる告発があったからだと、こう言うだろうと思うのですが、しかし日大の問題というのは、父兄も全部が騒いで、世の中ではだれもが、二十億という問題をめぐって不正がそこに介在する、こういうふうに客観的には考えたわけです。そうすると、告発、告訴がなければ捜査に踏み切れないという筋合いのものではないはずなのに、一年後になって全国指名手配をされる。その間には全く一カ年という長い経過がある。その間放置をされて置いた理由というのはどういうところにありますか。
#24
○政府委員(内海倫君) 御存じのように、日大経済学部の会計課長が所在を不明にいたしましたのはたしか昨年の三月ごろであったと思います。その後家族から行くえ不明人の捜索願いということで警視庁のほうに捜索依頼がございましたということが一つの何といいますか事実でございますが、先ほども申しましたように、確かに告発がありましてから事件に着手したように一般的に考えられ、またそうでございますけれども、告発を受けて間もなく会計課長に対する指名手配をしていくということは、その以前に相当内偵捜査が進んでおらなければ、告発を受けておいそれと指名手配などのできるものではございません。やはり警視庁といたしましては、それ以前にいろいろな風評があり、またいろいろな事情を知りますので、これに対する内偵捜査はかなり十分に行なっておったところであります。されば、先ほど申しますように、告発が行なわれてそう日を置かずして措置がとれておる、こういうふうに申し上げているわけでありまして、決して、風評がありあるいはいろいろなことが伝えられるについて、警視庁が全然無関心でおったというものではございません。
#25
○和田静夫君 つまりそうでしょう。全然内偵がないところにやるということにもならぬでしょう。しかし考えてみれば、日大の事件というのは、そもそもがここに端を発しているわけですから、そういう意味ではもっと適切ないわゆる捜査、あるいはその過程における発表といいますか、そういうものが適切に行なわれているならば、日大事件というものがああいう形に一体発展をしただろうか。そう考えたときに、やはりその警視庁がとった態度のいわゆる適応性について私は問題がある、そういうふうに考えざるを得ません。富沢会計課長が蒸発をした。捜査が壁にぶつかった。その壁を突破するきめ手は、私はだれが考えても、年間経常経費だけで約八億円と言われる経済学部の経理の表・裏帳簿を駆使して富沢会計課長と二人で動かしていた寿乃田経済学部事務局次長の取り調べが一つのかぎだと思います。それが行なわれたのはいつですか。
#26
○政府委員(内海倫君) 先ほども申し上げましたように、申しわけございませんが、資料をいま手元に持ちませんので、正確な日時ということをここでいま申し上げかねますが、あの告発等のありましたときの前後において経理長から事情を聴取いたしておるわけであります。
 なお、先ほどいろいろ警視庁の捜査について御意見がございました。御意見につきましては私どもも十分に拝聴をいたすところでございますが、捜査という問題は、そう私どものほうで考えるほど単純なものではなく、いろいろな条件、いろいろな事情というものの上で犯罪があるかないかということを判定しなければならないところでございます。遺憾ながら現在の捜査の内容を私はここで申し上げる自由を持ちません。持ちませんが、差しつかえない一つのことを申し上げれば、帳簿一つそろっておらない経済学部の経理内容について、あらゆる努力をしてそのいろいろな金の使途等の解明をいたしておるのでございます。容易に犯罪事実を立証できるような、そういう材料が容易に入手できるというふうな事情ではないのでございます。したがいまして、こういうふうなものに対する犯罪の捜査というものは、先ほども申しましたように、非常に長期間をかけ、しかも慎重な内偵を必要とする、こういうことがあるいは一つはお話のように何か特に警視庁がおくらせているというような印象を与えていると思いますけれども、決してそういうことではございませんので、この点は私から釈明をいたしておきます。
#27
○和田静夫君 ひとつ取り調べのいわゆる開始された日時については、後ほど調べて私のほうへお知らせ願いたいと思います。
 ところで二月十日の読売新聞では、「富沢課長の失跡から三日後の二十八日、理工学部経理課員の渡辺はる子さんが、自室で首つり自殺をした。「私は潔白です。渡辺さんが一番わかっておって下さいます。……」という遺書。」「そして五月には経済学部の用務員が宿直室でガス中毒死したが、一応偶発的と思えるこうした事故も、ますます〃黒い霧〃を濃くさせていった。」とこうありますが、自殺した渡辺はる子さんの遺書に出てくる渡辺篤次徴収主任に対する事情聴取、用務員のガス中毒死をめぐる捜査は、どのように行なわれ、結果はどうであったのですか。
#28
○政府委員(内海倫君) この経済学部の捜査については、きわめて多数の人から事情を聞いておりますので、一々私それがだれをどうというふうなことは、報告も聞いておりませんし、承知いたしておりませんが、おそらく必要があれば、事情聴取はいろいろな方面で行なっておると思います。なお、ただいまお話のありました事柄についての具体的な報告は私警視庁からは聞いておりませんので、遺憾ながらここでは申し上げる材料を持っておりません。
#29
○和田静夫君 答えられる人は見えておりませんか。
#30
○政府委員(内海倫君) 答えるとすれば私でございますが、そのことに関する報告は警視庁から聞いておりません。
#31
○和田静夫君 この内容について、後ほど私に明らかにしていただける、そういう用意はできますか。
#32
○政府委員(内海倫君) その問題につきまして警視庁のほうに照会をしまして、事情を説明でき得る内容のものであれば申し上げて差しつかえございませんが、捜査上の問題であり、またその他の個人のプライバシー等の関係で公表をはばかるものであれば、遺憾ながら申し上げかねます。
#33
○和田静夫君 そもそも日大紛争の発端は何であったかということをまあつくづく考えてみるのですが、昨年一月二十六日の新聞紙上、「都内某私大の有名教授、裏口入学で三千万円、謝礼金ポケットヘ」、こういう見出しで、日大理工学部教授で、日大教務部長をつとめていた小野竹之助教授が、裏口入学を主に得た謝礼金五千万円を着服していたことが大きく報道されました。それを通じて、そういうことが、日大幹部教授の腐敗ぶりが明るみに出てきました。また、東京国税局による源泉監査の第三日目の三月二十五日、経済学部富沢広会計課長が突然失踪した。三月二十八日、理工学部会計課徴収主任渡辺はる子が自殺した。それから四月十四日、東京国税局は、三十八年から四十二年までの五年間に二十億にのぼる使途不明金があることが二月からの調査によって明らかになったと発表した。五月五日、新たに十億円余の不明金がわかり、日大の経理には三十億円以上の源泉脱税があると発表。そして日大紛争は、三十四億円の使途不明金の学生による追及という形が始まったわけです。そのことは、当時学生たちがクラス討議に使った資料によって如実にあらわれているが、そして約十カ月が経過して、集団団交、バリケードによる大学封鎖、警察力によるバリケードの撤去という形で事態が進んで、その間世間の人々は警察と学生のゲバルトに目を奪われておりましたが、警察による肝心の日大経理の不正の追及は一体行なわれていたかどうかということを、たいへん客観的にはふしぎに思わざるを得ません。いま緻密に進めていた、内偵をしていた、こう言われるのでございますが、富沢経済学部元会計課長が指名手配をせられたのも、寿乃田経済学部事務局次長の取り調べが行なわれたのも、ときすでに大学がめちゃめちゃになったあとの本年二月です。二月八日の日本経済新聞も「どこへ行った? 会計課長――日大紛争の〃火種〃」という見出しをつけていますが、日大紛争という火事も、火種を早く見つけ出して消していたらこんな大火事にならないで済んだのではないか、私はそういうふうに考えざるを得ません。その点についてどのようにお考えになるかお聞きをしたいのでありますが、どうも荒木国家公安委員長になられてから、警察行政全体というものは、治安あって防犯なしという性格を感ぜざるを得ません。この日大問題においてあらわれ、紛争をいたずらに激化させておるのも、いまいろいろお尋ねをしたように、火種を消す、いわゆる防犯という問題のところに力がいかずに、治安というところに目がいっている結果、こういうことになってきている、こういうふうに指摘をされてもしかたがないのではないかと思われるわけです。今日の全国の大学紛争は、日大と東大から飛び火をしていったといわれるのでありますが、そういう意味においても、荒木国家公安委員長の大学紛争に対する責任は大と言わなければなりませんけれども、三月十日の読売新聞を通じて日大報告書という形のものが記事にまとめられておるのですね。そして日大株式会社が全国的に分布をしておるという図が出されています。私はまさに日大というのは私立大学の企業化の一つの典型である、こういうふうに考えてきますと、大企業化しているところのその他の私立大学に同じような条件の飛び火が起こらないという保証がないような感じがいたします。東大の問題は、医学部を初めとする学内の封建性にもともとあったわけですけれども、どうも日大の場合は、膨大にふくれ上がっていく企業化、そういう形の中から起こったということを感ぜざるを得ないのですが、ところで古田会頭ですか、会長ですかに対する事情聴取というものは行なわれたのですか。
#34
○政府委員(内海倫君) ただいままで私ども報告を聞いておる限りでは、まだ古田会頭についての事情聴取ということは行なわれておりません。
#35
○和田静夫君 古田会頭に対する事情聴取が行なわれていないとは、国民の多くが実は考えていないのではなかろうか、そういうふうに思うのですが、もちろん捜査上のいろいろのテクニックや、あるいは秘密に関するものもあろうと思いますが、将来はどういうふうに見通されますか。
#36
○政府委員(内海倫君) 捜査に対しましては、私どもも将来の見込みをとやかく言う立場にもございません。また、ただいまの御質問にもいかんとも答えようがございません。ただ先ほども言いましたように、日大に関する容疑事実については、警視庁においては的確に必要な捜査と必要な取り調べを行なっておる。この取り調べを進め、捜査を進めておる、こういうふうに申し上げたいと思います。
#37
○和田静夫君 いままで荒木国家公安委員長の大学問題に関する基本的姿勢についてただしながら、それとの関連で警察教養なるものに触れましたが、私は、今度は警察教養そのものについて御質問してみたいと思うわけです。警察教養規則(国家公安委員会規則第十二号)の第二条には、「警察教養の目的は、警察職員が、警察法の精神にのっとり、民主警察の本質と警察の責務とを自覚し、人格を磨き、学術を修め、実力を養い、もって公正明朗且つ能率的に職務を遂行し得るよう、これを教養するにある。」とあります。私は大学に警察力が導入されなければならないような今日の大学紛争を国民的な不幸であると先ほども申しましたけれども、大学紛争に限らず、こうした国民的不幸を警察官といえども不幸として感ずるそうした知性こそ、民主警察における警察教養だと思いますが、いかがですか。
#38
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 高校を出た者が警察大学に入って、わずか一年訓練を受けまして外勤警察官等になるということを承知いたしましたが、同じ高等学校を出て大学に行けばゲバ棒をふるって大騒ぎをする。民主憲法下にあるまじき大学の乱脈状態の主役を演ずるということと対比いたしまして、いまお読み上げになりました警察法の趣旨に従って国民に奉仕するという考えを中心に教育され、訓練されておる結果、十六万に近い警察官ことごとくが御指摘のような奉仕精神にみなぎって警察責任を果たさんとして、それを通じて国民に奉仕する心がまえでいると信じておるわけであります。そういうことでありまして、前々御指摘のように、私が国家公安委員長になってから、刑事警察やら、交通取り締まり等がおるすになって、警備警察あるいは治安中心になっておるとほうぼうでよくおっしゃいますけれども、これは御冗談におっしゃっていただいていると思うんですが、かりに私がそう思いましても、そんなことが許されるはずがない。すべてこれ法律に基づき、法の範囲内においての責任を果たす責任者の一人が私でございますから、末端の巡査一人一人と同じ気持ちでもって、全体を通じて国民に対する奉仕精神に燃えて奉仕を続けていきたい、かように存ずるのであります。さらに繰り返し申し上げますが、警察が大学に入っていったから大学自治がそこなわれる――大学騒ぎの張本人であるようによく新聞等でとかく言われがちでありますけれども、それは一つの春秋の筆法で、表現の自由で言われることは御自由でございますけれども、警察に対する認識が戦前と戦後で当然変わるべきものであるにかかわらず、変わらないままでいるというPR不足があろうかと思います。警察官に対する訓育等の万遺漏なきを期すると同時に、警察そのものの国民に対する奉仕観念を御理解いただくようなPRも、われわれの立場としても十分やらなきゃならない、かような感想を、御質問を通じて抱いた次第でございます。
#39
○和田静夫君 いやそれなら、私は自治体警察のままで置かれたらいい。私は、一九四一年に西ドイツで、連邦警察に追われましたけれども、自治体警察に守られたという経験をいたしました。民主主義の基礎というものはそこにあるということを私は身をもって体しております。したがって、いまの答弁というのは、逆の意味で私は国家公安委員長その人にお返しをしなければならない。いわゆる新憲法下における警察と、旧憲法下における警察というものは、私たちが誤解をしておるのではなくて、むしろあなたのほうでもっと整理をされなければならないものを持っておるのではないか、そういうふうにさえ実は思うのです。
 ところで国家公安委員長は、朝日ジャーナルの二月二十二日号に裁った「東大構内への警備出動をめぐる総監と機動隊中隊長との座談会」というものをお読みになりましたか。
#40
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 朝日ジャーナルは読んでおりません。
#41
○和田静夫君 お読みになっていなければ、私はぜひ一ぺんお読みいただきたいと思うのです。私は心底そう思うのです。いま言われたことを荒木国家公安委員長にお返しをしましたのも、私はこの記事の中からそのことをうかがい知るからであります。「この親にしてこの子あり」といいますが、週刊誌の記者から、「花咲ける機動隊武士道」と茶化されていますね。まるで武勇伝が語られています。大学紛争を楽しんでしまっている、これがその座談会である、こういうふうに思います。こうした事情を国家公安委員長はどうお考えになるのか、私は質問をいたしたいと思います。準備をされておったならばお答えをください。
#42
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私自身読んでおりませんが、そういう御趣旨の御質問あるやに漏らしていただきましたので、二、三日前から準備をしておりましたものを読ましていただきます。
 御質問の座談会の記事は、東大紛争に際して徹底抗戦を唱えて安田講堂等に立てともった学生たちの排除、検挙に当たった機動隊の中隊長クラスを集めて、その労をねぎらい、あわせて生命の危険をも顧みず、真に身を挺した隊員たちの苦労にこたえようとして、警備終了後間もないうちに、警視総監が催した会合の内容の要領筆記であると聞いております。御承知のように、当時の警備においては、五百発の火炎びんをはじめ、多数の投石、硫酸、塩酸など各種の劇薬物の使用など、学生たちの狂暴な抵抗のため、二日間にわたる警備を通じて、入院三十七名を含む六百五十三名にのぼる痛ましい負傷者をみているのでありまして、文字どおり生命の危険をかけた警備であっただけに、中隊長はじめ隊員が味わった貴重な経験の数々はまことになまなましく、そこから幹部が警備対策上くみ取るべき事柄は数多くあるわけであります。総監が異常な体験を経たばかりの部下から、激励がてら直接なまなましい話を聞こうということで、屈託のない場で率直に意見をぶつけ合ったものという印象を受けた次第であります。一つ一つのことばについては、そのなまなましさに基づく興奮ゆえに、また屈託のない場における発言のゆえに、吟味されないままの生硬なものも多いようでありますが、この座談会自体がただいま申し上げた趣旨の内部的なものであることから、やむを得ない事情もあろうかと存ずる次第でございます。
#43
○和田静夫君 答弁を答弁として承っておきますが、国家公安委員長、一ぺんお読みになっておいていただきたいと思うのです。
 私は警察教養の問題、たいへん座談会とかかわりがある、そういうふうに考えざるを得ません。そうして人間の基本的な人権の問題にさえ私はこの座談会というものは触れている、そういう意味で実は問題にせざるを得ない、こう考えておるわけです。ここに警察庁総務課編の警察官実務提要昭和四十三年版があります。この中に、国家公安委員会規則第七号として、警察官けん銃警棒等使用および取扱い規範というのがありますが、この根拠法は何ですか。
#44
○政府委員(川島広守君) 申すまでもございませんが、警察法及び警察官職務執行法に根拠を置いていることは言うまでもございません。
#45
○和田静夫君 この規則の第二条第二項には、「この規則において、「警棒等」とは、警棒、警じようおよび特殊警戒用具(警棒に代えて使用することを警察庁長官が認めたものをいう。)をいう。」とありますが、催涙銃、放水は、この警棒等の中に入るのですか。
#46
○政府委員(川島広守君) ただいま御質問の催涙ガス及び放水等の装備は、これは警察法にも規定はございません。いま申しましたのは、警じょうは個人装備でございますが、したがって催涙ガスその他の場合には部隊行動として用いる場合でございまして、別個に規定があるわけでございます。
#47
○和田静夫君 その規定は何ですか。
#48
○政府委員(川島広守君) ガスにつきましては、催涙ガス器具の取り扱い及び使用規程というものが長官の訓令で出ておるわけでございます。
#49
○和田静夫君 まず一つは、警察官けん銃警棒等使用および取扱い規範、これで使用基準があるわけですから、それぞれの目的に沿った使い方がなされなきゃならぬと、こう思うのですね。それぞれについての使用基準があるわけでしょう。その基準についていまお答えいただけますか。
#50
○政府委員(川島広守君) ただいまお尋ねがございましたように、催涙ガス等の使用につきましては、いま申しました規程が実はあるわけでございまして、この規程の内容につきましては、毎度衆議院及び本参議院におきましてもたびたびお尋ねがあったわけでございますけれども、実は内容として、使用の相手方に対してその詳細の内容が漏れます場合には、いわばこれに対する防御の手段が講じられるということになりますので、一応公表を差し控えさしていただいてきた経緯がございますので、そのように御了解いただきたいと思います。ただあらましについて御説明申したいと思いますが、先ほど申しましたように、ガスその他は部隊の装備として使用するわけでございます。現実に従いましてガス銃を使用いたしますのは機動隊の中の特科班としまして、これは特別に先ほど申しましたような規程あるいは訓練要領に従いまして練度を高めた、練度を積んだ部隊がこれを使用するわけです。したがいましてガスを使います場合には、当然のこと、その現場の状況あるいは風速、風向というふうなものを慎重に検討いたしまして、その部隊の指揮官の命令によってのみ使用する、そういうふうなのがまず原則でございます。さらにまた部隊行動でございますから、いま申しましたように、指揮官の命令によって使うわけでございますけれども、たとえば銃を発射いたします場合には、仰角は三十度以上、こういうふうに基準をとっておるわけでございます。さらにまたガスの性質から当然のことでございますけれども、いわゆる第三者にも御迷惑がかかる、そういうようないわば性能を持ったものがガスでございますので、その付近の地理環境あるいは建物その他の立地条件、そういうふうなものを詳細に指揮官が判断をした上で使用する、さらにまた一般のガスを撃ちました場合、その着弾――ガスの筒でございますけれども、ガス筒が着弾と言いますか、着地しますが、その結果を一々確認した上でこれを使う、さような慎重な取り扱いの内容に相なっておる次第でございます。
#51
○和田静夫君 東大で使われた場合に、東大のいわゆる周辺の住民の方々にかなりの迷惑がかかっていますよね。その辺の調査というものは、いま言われたような形で十分なされてから使われたのか、かかった迷惑についてはどのような補償をされたのですか。
#52
○政府委員(川島広守君) 東大の十八、十九の両日にわたりましてガスを使ったわけでございますが、これは事前に本富士署長を通じまして署長名で付近の町内会長さんその他にそれぞれ、事案が事案でございまするので、万々が一ガスを使用するようなことがあるかもわからぬということで、事前に一応御連絡を申し上げました。それから当日使いましたのは、御案内のとおりに工学部の列品館、それから法文の研究室から使い始めたのでございますが、当時ほとんど無風状態ではあったのですけけれども、いささか使い始めてから風が出てまいりまして、東大の正門のほうに若干流れました。そこで急拠粉に、従来煙を使っておりましたのを、煙を一応粉に切りかえて一般住民への被害を最小限に食いとめた、こういう配慮をいたしております。事後におきましては直ちに煙の使用を中止したわけでございますけれども、いまお尋ねございましたように御迷惑がかかった向きもございますので、さっそく直後に本富士署長の名前でおわびを申し上げた、こういう経緯でございます。
#53
○和田静夫君 いわゆる町内会長やその他を通じて事前、事後の措置があった。しかし御存じのとおり戦後の町内会的な形のものは、それだけのことで徹底をすると認識をされているところに大きな誤りがあると思いますね。すべての住民の方々がそのことを理解していなかった、したがってその迷惑をこうむった文句を言いたい、しかし相手は警察だ、その辺にさっき公安委員長が言われたように、警察をもっとPRしておいて理解をしてもらえば、だれでも自由に入ってこられるという形になるのだろうが、相手は警察だからなかなか文句は言えない、そういう形でもって住民が泣かなければならぬ、こういう状態というものが起きています。私は今後、もちろんガスを使うことがいいということじゃなくて、使わないことをもちろん求めるのでありますけれども、ガスではなくて、警察全体が、行動を起こす場合に考えなければならないものを含んでいると思うのです。その辺は十分注意をしておいていただきたい、こういうふうに思います。
 公安委員長、先日の東大の安田講堂をめぐるあの攻防のときに、機動隊がガス銃で列品館を攻めた際のTBSのテレビ、はっきり聞こえた。またこれは二月二十六日の衆議院の予算委員会に社会党の楢崎委員がその録音テープを持ち込んだそうでありますが、指揮者の「顔をねらえ、顔をねらえ」という声をお聞きになりましたか。また私の手もとに、あの安田講堂で負傷し逮捕された学生に弁護士が接見をしてできた資料がありますが、十八名がガス弾の直撃によって眼球破裂、口蓋破裂をこうむっていますが、このように、ガス銃が本来の目的を離れて使用されたことについて、国家公安委員長はどのようにお考えになりますか。
#54
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 顔をねらえなどと言ったことはないと承知をいたしております。先ほど一般論的に申し上げましたような心がまえは、指揮者はもちろんのこと、一人一人の警察官も心得ておるはずでございまして、万さようなことはないと信じてもおります。
#55
○和田静夫君 あとの部分……。
#56
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘のようなことはないと承知しております。
#57
○和田静夫君 衆議院の予算委員会の第一分科会のこれは議事録でありますが、楢崎分科員が質問をしたのに対して、川島政府委員が、「さっそくに調査をいたしたいと存じます。」と、こうお答えになりました。したがって、その後調査されたのですね。その結果がいま国家公安委員長が述べられた返答ですか。
#58
○政府委員(川島広守君) ただいまお尋ねの件につきましては、楢崎委員から御質問がございまして、さっそく刑事訴訟法に基づきますところの捜査照会を東大病院にいたしまして、その結果回答がございまして、眼球が破裂するというようなことはないということを回答いただいております。とりあえず救急部で下眼瞼裂傷の縫合を行なった後、眼科病室に収容したということはある、こういうことでございました。したがいまして、いま大臣がお答え申しましたように、眼球を破裂してしまったというふうなことはないと、こういう結果を聞いております。
#59
○和田静夫君 そこで、ガス弾の中に含まれる催涙液の毒性の問題ですが、公安委員長、まずこの写真を見ていただきたい、こう思うのです。これは十八日、十九日の状態の、警察病院でチンク油を塗られた状態ですよね。これは二十六日の状態です。十八、十九日のときには何もなかった。二十二日のこの状態のときにも出ていなかった。二十六日の状態になると、こういう状態になってきた。こういう形で時間を追った病状の進行が明らかになっています。私は、この写真によってその残忍性をはっきり認識をしなければならない、こういうふうに思います。今度東大で使われたガス液でありますが、去る二月二十六日の衆議院予算委員会におけるやりとりを通じて、それがやはり昨年二月佐世保で使われたと同じくクロルアセトフェノン液であることが明らかにされました。これは答弁をされていますから明らかです。そして、このクロルアセトフェノンがモノクロール酢酸からつくられたことも答弁をされました。そこで、厚生省にお伺いをしますが、クロルアセトフェノンとモノクロール酢酸とはどう違うのですか。
#60
○説明員(下村孟君) モノクロール酢酸を使いましてクロルアセトフェノンをつくるというのは一つの方法でございます。御質問の要旨は、私考えますに、モノクロール酢酸は劇物に指定されております。その劇物になっておるモノクロール酢酸を使ってつくったクロルアセトフェノンをなぜ劇物に指定をしていないかという御趣旨だと存じますが、御承知のように、原料といたしましてモノクロール酢酸はいろんなものの合成に使われております。たとえばビタミンB12などの合成にもモノクロール酢酸を使っておりますので、たとえ原料がモノクロール酢酸を使ったものでございましても、最終製品の毒性いかんによって毒劇の指定をする段階となっております。したがいまして、いままでの実験の結果では、モノクロール酢酸は劇物であるけれども、それを使ったクロルアセトフェノンは必ずしも劇物ではないと、こういうふうに考えております。
#61
○和田静夫君 こういう状態になったものがいわゆる劇毒ではないと、こういうふうに言われるのですか。
#62
○説明員(下村孟君) 私どもは、人体実験をいたしましてそうして毒劇の指定をするわけではございませんので、あくまでも人間と非常に近い反応を示します動物を使いました動物実験によりまして毒劇の指定をする立場でございます。で、ただいまお尋ねの点でございますが、国立衛生試験所のほうでクロルアセトフェノンを使いましていろんな濃度で実験をしておりますが、その中間報告から見まして、ただいますぐクロルアセトフェノンを劇物に指定するということは、まだ若干無理があるのではないか。ただ、人体に対します障害、影響、これにつきましては、私どもとして十分慎重に考慮しなきゃならない問題だと考えております。
#63
○和田静夫君 下村さん、動物に使われたのじゃないんですよ。これは人間に使われたのですよ。あなたはこの状態を見てどう考えられるのですか。
#64
○説明員(下村孟君) 人間にクロルアセトフェノンを使いまして現実にそういう障害を起こしているということを見せていただきますと、厚生省といたしましては、やはり何らか処置をしなければいかぬと考えておりますが、ただいま申し上げましたように、まず正確な実験結果に基づいての処置をしなきゃならぬと考えますので、鋭意実験をしている最中でございます。
#65
○和田静夫君 大体やけどの状態が二〇%というのは、大体二度、三度という状態だといわれていますね。これが三〇%のやけどの状態になった場合にはこの人は死亡をするといわれる。したがって、あなたは厚生省という立場でこういう使用が適正だと思われますか。
#66
○説明員(下村孟君) 厚生省といたしましては、そういう事態を起こすようなことを、いろんな方法で、たとえどんな方法であれ、使うこと自体には問題があるとは存じております。しかし、私はあくまでも申し上げますが、動物実験を基礎にしてやはり正確な科学的な判断でものごとを処理したいと考えております。
#67
○和田静夫君 この状態は正確な状態ではないと言われるわけですか、この被害の状態は。薬液によるところの被害の状態は正確な状態じゃない、そう言われるのですか、あなたは。
#68
○説明員(下村孟君) 繰り返すようで申しわけありませんが、実はアメリカで公式の報告といたしまして、皮膚に対する刺激試験は白ウサギが一番いいんだといった報告が出ております。そうして、その白ウサギの皮膚を使った動物実験が非常に人体皮膚実験と密接な相関関係があるという公式の文書がございまして、その結果、私どもといたしましては、クロルアセトフェノンで、いろんな濃度でいろんな条件で塗布いたしまして、いわゆる過酷試験をやった結果をもとにいたしまして申し上げている次第でございます。
#69
○和田静夫君 あなたは、大学の研究室の話じゃないんですからね、生きた政治の話をしているわけですからね、したがって、私は、こういう形で、いわゆるかぶったときには何でもなかった、翌日になったら出てきた、そうしてそれから一週間たったらさらに出てきた、こういう状態で進行をしていく形の薬液が使われていて、そういう形のものは政治道義的に言っても許せることではないでしょう。そのことは確認できますか。
#70
○説明員(下村孟君) 仰せのとおりだと思います。
#71
○和田静夫君 いまいろいろの説明があったのでありますが、少しでも化学の素養のある人であれば、両者の、実はさっき言ったクロルアセトフェノンとモノクロール酢酸の構造式を見ればその違いは明確です。実験の問題についても、しろうとだと思ってあまりのものの言い方だと思って私はさっきから聞いているのでありますが、無機と有機の違いだけでしょう。有機物質であるクロルアセトフェノンは、無機であるモノクロール酢酸に比べて吸収性も強い。毒性も強い。しかるに、モノクロール酢酸は毒劇物の取締法の対象に入っております。クロルアセトフェノンが厚生省による劇毒物指定になっていないのは、昭和四十三年三月三十一日の衆議院予算委員会で当時の園田厚生大臣も認めましたように、それが一般工業用、農業用、薬用になっていないからの話です。これは厚生大臣認められたわけです。国家公安委員長、こういうものが人間のからだにぶつけられているわけです。その点どのようにお考えになりますか。
#72
○国務大臣(荒木萬壽夫君) まあ、相なるべくは使わないで済めばそれにこしたことはないと存じます。不法事案の内容次第であろうとも考えられます。純粋に化学的に考えまして学問的にどうであるかはいま話が出たとおりでありますが、私の承知しておりますところは、ああいう集団暴力、しかも警察側が致命的な被害を受けるような集団暴力に対しましてはこれしかないという結論に到達して、欧米諸国でも慣用しておるものであるというふうに承知しておるわけでありまして、繰り返し申し上げますが、できるならば、使わないで済むものならばそうしたい。しかし、それにかわる適切なものがないならば――いまお示しの症状も写真を見せていただいてそうかなとはむろん思いますけれども、それとても、一つも後遺症を残さずに全治しておるということも聞きますから、できるならば使いたくないと思いましても、他に有効な手段がなければ、やむを得ず今後も使わざるを得ない、かように思っておるのであります。
 さらに、私は内部でいろいろ質問したりしておりますが、ああいう集団暴力に対して、警棒とか警繩とかピストルを使うべき場合じゃないともちろん思いますけれども、警棒にしましても、警繩にしましても、それを個人個人の警察官が使ってあの集団暴力を制圧する過程においては、たいへんなけが人が出るおそれこそあれ、むしろ催涙ガスを使ったほうが不法違反者に対しましても傷害等を与える程度が少なくて集団暴力を制圧できる、そういうふうなことが選択されまして、いまも申し上げましたように、諸外国でもそれしかないということで慣用もしておるし、日本でもそれを使っておる、こういうことだと承知いたしております。
#73
○和田静夫君 諸外国の話がありましたけれども、それもまたずいぶんとぼけた話で、後ほど国際法の問題に触れますからその問題は後に譲りますが、ちょっとアサヒグラフというのを……。それからもう一つは、全治していると言われました。全治しているのなら、全治している材料を出していただきましょう。
#74
○政府委員(川島広守君) 東大の事件に限ってお答え申し上げたいと存じますが、東大事件の両日にわたりましての学生の負傷いたしました数は、私のほうで詳細に、くまなく調査を、消防庁その他の御協力を得て調べたのでございますが、負傷者の総数が百四十一名、うち十一名が入院をしたわけでございます。その百四十一名の中で、いま御指摘がございましたアサヒグラフ、あるいはいまお示しになりました写真等に出ておりますような接触物による皮膚炎その他やけどというようなもの、これにつきましては、申し上げるまでもございませんけれども、ついでながら申し添えさしていただきますが、自分で火炎びんあるいは硫酸その他を相当使っております。現に火炎びんでやけどをしたということを自供している学生もおります。それからまた、自分がそばにおって火炎びんでやけどしておる者を見ておる学生も相当数おるようでございます。したがって、すべてがいまお尋ねのガス液を受けてそれだけの理由で皮膚炎を起こしちゃったという者はどれくらいいるか実は判然といたしません。これは東大病院にも、警察病院にも、関係方面にも詳細御依頼して調べたわけでございますが、担当医師の御意見でもはっきりいたさない。しかし、そういうような一切を含めまして、皮膚炎その他やけどを含めて八十八名という者がけがをしておる。それらはいずれも、いま申しましたように、入院した者を含めまして全員全治をしております。
 お手元にいまお示しになられましたアサヒグラフの中にありますのは三鷹署に入った被疑者でありますが、これは終始黙秘権を使っておりましたが、後日氏名もわかりました。これはもう現にあちこち動いて、デモなんかにも参加しておる、そういう実情でございますので、参考までに申し上げておきます。
#75
○和田静夫君 生命に異常はなくて動ける状態になったその状態は、あなたは全治だと言われるのですか。
#76
○政府委員(川島広守君) いま申しました、やけどその他についての警察病院の担当医師にも伺いしましたけれども、全然ケロイドその他の症状が残っておらないという報告を受けております。
#77
○和田静夫君 これは後ほど触れます。
 この記事によりますと「もののべながおき」というお医者さんが写真を解説をしながら、「はげしい皮膚炎がおきるとはどういうことか?毒物が皮膚に吸収され、そこのタンパクと結合したもの(抗原)がリンパ管を通じて肝臓、脾臓、リンパ節などに運ばれる。こういう内臓でそれを中和する物質(抗体)がつくられ、それが皮膚に送りかえされる。そこで炎症がおきて毒物の新しい侵入を阻止する。こう考えられている。一種の防御反応である」。そうすると、ガス弾の直撃というのは何を意味するか。皮膚に防御反応を起こさせる間を与えずに直接クロルアセトフェノンが血液の中に入る可能性をたいへん大きくすることだ。幸いにして血液の中に入らなかったからある意味では元気になり得た。しかし、血液に入っておったならばどういう状態になるのだろうかということを考えてみる必要があるのではないか。このクロルアセトフェノンが直接血液に入り込めば一体どういうことになるのか。アナフィラキシーという現象が起きて数時間で死亡します。こうしたガス弾の直撃を指示した部隊の指揮者は当然処罰さるべきだと思いますが、いかがですか。先ほどの朝日ジャーナルに出た座談会によれば、列品館を攻めたのは八機で、その中隊長は田崎という名前が明らかになっていますが、いかがお考えになりますか。
#78
○政府委員(川島広守君) 先ほど大臣からもお答えしたわけでございますが、今回の東大事件に限りませんけれども、警察がガスを使います場合、これは通常の状態を越えた状態でございまして、法律的に申しますれば、警職法の五条がガスを使います根拠法規でございます。制止のためにガスを使うわけでございます。しかしながら、具体的には、使用いたします場合には警職法第七条の本文に使用要件という規定がございますが、この使用要件を十分に充足した場合において使う、こういうふうに内部的には規定をしておるわけでございます。さらに、申すまでもございませんけれども、今回の東大の事件につきましては、御案内のとおりに、先ほども触れましたけれども、火災びんが五百発も警察官の頭上に飛んでくる。さらにまた硫酸、塩酸というような劇薬が投げられ、現にそれによって警察官が、先ほどお答えしましたが、入院が三十七名、六百五十二名が実はけがをしておるわけであります。そういうふうなまさに異常、特異な事態でありまして、警察官がこの職務を執行いたします場合に、生命、身体の危険をおかして実はあの排除行為を行なったわけでございます。そういうような場合においてガスを使ったわけでございまして、まさに警職法の使用要件を十分に充足しておる、そういう状態でございます。それから、ちなみに、お尋ねの中にもございましたので申し上げさしていただきますが、ねらい撃ちというようなお話が出ましたけれども、ガス銃と申しますものは元来らせんのない銃でございまして、三十メートル飛んだらとたんにスピードが落ちるわけでございます、回転していくわけでございますから。照星、照門はございますけれども、とてもそれはねらい撃って当たるようなしろものではないのでございます。結局、三十度の仰角で撃ちますと、通常の場合は七十メートルから八十メートル飛ぶわけでございます。したがって、ガスは煙及び粉でございますから、うしろ側からあるいは上から離れて下へぱっとガスがかかる、こういうような状態でございます。
 お尋ねの列品館なり法文の研究室等は、屋上が限られたスペースしかございませんから、そこに落とさなければ意味がないわけでございます。そういう意味で、かなり大きな角度で撃っております。一部新聞では低いように見えますけれども、これは規則どおり三十度以上でございますから、むしろ近距離でございますから、七十メーターの角度をつけまして撃っているのが通常でございまして、したがって、ねらい撃ちと申しましても、実際上ねらって当たるようなそんな精巧なものではないのでございます。御理解をいただきたいと思います。
#79
○和田静夫君 三十度でしょう。三十度のところにいる人はねらい撃ちですよ。決して私は並行的に直線でねらって撃ったとは言っていない。三十度の角度にいる人はねらい撃ちになる。ですから、そういうことはやはり十分考えられていなければならぬと思う。そういう意味で私はねらい撃ちと申しました。で、先ほどの処分の問題お答えなかったですが、あとで一緒にやってもらいます。
 厚生省なりでいわゆる使われているところの分析結果が出るまではこの使用やめるべきだ、こういう主張が衆議院の予算委員会その他で多くなされている。佐藤総理はそれに対して、それも含めて慎重に扱う、こう答えられているわけです。ところが国家公安委員長は、いや、使うのだ、こう言われている。佐藤総理が慎重に扱うと答えられている。その答えも含んで検討された結果、使い続けるのだ、こういうふうに佐藤内閣としてきめられた。私は二十七日に佐藤総理を決算委員会へお呼びしておりますが、そのように理解してよろしいですか。
#80
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 総理がそう答えられたことは私も承知しておりません。おりませんけれども、慎重にというのは、ガス銃を使うことに訓令でもって基準を定めていることを御披露しましたが、それを着実に実行して、直撃などということはやるはずもありませんけれども、万に一つもそういう使い方をしないというふうに末端にも徹底するようにする。そういう条件のもとに慎重に使用することを考えながら使うなら使うのだということも総理の御答弁の中には入っておろうかと推察をするわけでございますが、政府として、この問題について、総理を含めて統一見解的なものを導き出してお答えしているわけではむろんございません。
#81
○和田静夫君 答弁残っているんですよ。
#82
○政府委員(川島広守君) 先ほど使用した者の処分の問題をお尋ねがございましたけれども、これも法律問題に入るわけでございますが、警察官が武器を使います場合、これは警職法七条に規定があるわけでございます。それから、五条に根拠を置きまして、各般の制止行為等につきましても五条に根拠がある。警察官が行ないますととろの武器あるいは制止の用具も含めまして、警察活動の内容というものはあくまでも警察比例の原則にのっとるわけでございます。したがいまして、今回の場合には、ただいまの御質問はあくまでも仮定の御質問でございますけれども、結果として当然刑法三十五条の正当行為ということになってこようかと存じます。ただ、あくまでも仮定の御質問でございますから、具体的にどういうふうな状況でだれがそれをどういうふうに受けており、そしてその結果はどうなったかというような、個々具体的なケースについて特別の調査をした上でございませんことには、いまここで結論を申し上げるわけにはまいりません。一般的には、いま申しましたように、法律の根拠に基づいてわれわれとしては制止の用具なりなんなりを使っていくというのが実情でございますので、御了解いただきたいと思います。
#83
○和田静夫君 それじゃ、具体的に調査をされる、そういうふうに理解をしておきます。調査をされますね。
#84
○政府委員(川島広守君) ただいまのお尋ねのアサヒグラフのその件でございましょうか。お尋ねの趣旨は、ねらい撃ちをしろと言った者がおるということでございますか。
#85
○和田静夫君 そうです。
#86
○政府委員(川島広守君) これにつきましては、もちろん私のほうの報告を受けております範囲内では、そういうことをした者はないという報告を受けておりますけれども、せっかくのお話でございますから、もちろん調査はいたすことにいたします。
#87
○和田静夫君 そこでさっきの厚生省の答弁と関連するところに戻るのですが、動物実験をやられておると、アメリカの例を出されてお話がありました。まあ、一般的にウサギの皮膚は特別であって、たとえばかみつかれた場合なんかには皮だけを残して逃げるといった習性をウサギは持っておる。したがって、ウサギでいわゆる厚生省が実験をされたということでもって私は実験にはならぬというふうに聞き及んでいますがね。言ってみれば、ビーバーが一番適切である。ところが、厚生省はビーバーを持っていない。そこで私は、やはりビーバーでこういう状態が出ているのですから実験をやられる、そういうことが好ましいと思います。その用意があるかないかが一つです。私は高いというようなことを言われても、それは、これだけの物を購入する予算が組めないはずがないし、事生命と人権に関する問題でありますから、その点はどうお考えになりますか。
#88
○説明員(下村孟君) ビーバーを皮膚刺激試験の動物実験の動物に使うという件でございますが、専門の学者に意見を聞きましたところ、どうもビーバーが一番皮膚刺激試験の動物として適切であるということが何としてもわかりかねておりますので、もしそれが最も適切であるということになれば、当然ビーバーを使いました実験をしなければならぬ、こう考えております。
#89
○和田静夫君 衆議院の予算委員会で社会党の楢崎議員とあなたとの間のやりとり、そして結果的に分科会の橋本主査代理がまとめた答弁は、実験をいたしますという返事になっておりますよね。したがって私は、あれこれ学者の意見を聞かれて、結果的には、アメリカでこういう結果があったから大騒ぎになったのだと、そうするとビーバーでという学説がある以上、それでやってみるということがやはり一〇〇%の可能性を生む道でしょう。そういう意味においてやられる、そういう態度というものをとっていただきたいと思うわけです。いかがですか。
#90
○説明員(下村孟君) 私、実は正直なことを申し上げますが、楢崎委員から皮膚実験にはビーバーが一番いいのじゃないかというお話がありましたときに非常に驚いた次第でございます。それで、はたしてそれがほんとうであるかどうか全くわかりませんので、私としてはたぶんそうだと存じますが、もし御要求があるならば動物実験をさらに濃い濃度のものについてやる準備はございます、こういうようなことでお答えしたと存じております。
#91
○和田静夫君 私は、やはりあなたが驚かれても、一面ではそういう学説が明確にあるわけです。私も調査をいたしました。したがって、要求があればされる、こういうことでありますから、私は要求をいたします。
 引き続いてジュネーブの、毒ガス・細菌学的戦争方法を戦争に使用することを禁止する議定書に、「窒息性、毒性またはその他のガス及びすべての類似の液体を戦争に使ってはならない」と規定しています。クロルアセトフェノンはアメリカの毒ガス一覧表に載っております。アメリカがそれをベトナム戦争で使った。それが暴露されて、アメリカも「使わない」というだけのことは言ったくらいであります。したがって、先ほど国家公安委員長は、世界的にこれが使われているというような形のことを言われましたが、いま申し上げたような形のことを十分にお考え合わせになっていただかなければ困ると思います。日本の警察は、国際法が戦争にさえ使うことを認めていない非人道的毒ガスを使っている、こういうことになります。使用をすぐやめるべきだと私は思います。先ほど荒木国家公安委員長からあのような答弁がありましたが、佐藤総理が、それらの意見を含んで慎重に考えると言われたものは、やはり人権擁護という立場からの答弁であろうと思うのであります。したがって、基本は人権擁護という立場に立って誠意を示される、そういうことが私は必要なのではないかと、こう思います。そこで、クロルアセトフェノンを使って傷つけられた。私は当然、国家賠償法によるところの賠償要求がもしあるときには、それに政府はこたえていかなきゃならぬということになろうと、こう思うんです。また、四十三年の三月十一日の衆議院の予算委員会で佐藤総理大臣は、「私は、ときに犯罪人といえども、国家に補償の要求がある、そういう事実がございますから、こういう事柄につきましても十分考えなければならない。まあ、大体いままで見舞いで済むような場合もございますし、そういう処置についても善処したいと思います。」と答えておられますが、当然催涙弾のクロルアセトフェノンの毒性による皮膚炎の治療費というものは全額国費で負担すべきものであると思いますが、いかがですか。
#92
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘の国際条約との関連においてのお尋ねにお答え申し上げます。
 現在警察が使用しております催涙ガスは、御指摘のとおり、クロルアセトフェノンでございますが、これは一時的に催涙――涙を催させて人の行動を抑制する効果を有するにとどまっておりまして、人体の組織に何ら障害を残すものではないと存じております。御質問のように、毒ガスの戦争使用禁止を取りきめた国際条約等については一応のことは承知しておりますが、これらの条約等に言うところのいわゆる毒ガスの中には、現在警察が使用している催涙ガスのごときものはその性質上含まれないと解されます。このことは、これらの条約の加盟当事国におきましても催涙ガスを警察装備として使用しておるところから見て明らかだと存ずるのでございます。したがって、今後におきまして、悪質な集団犯罪等の制止検挙にあたりましての必要がありますれば、慎重な配慮はむろん必要でございますけれども、当然のことと存じますが、その使用を一切差し控えるというわけにはまいらないと存じております。なお、御指摘の、佐藤総理が本院の予算委員会の村田委員の御質問に対しましてもお答えいたしましたとおり、総理も、むろん慎重でなければいかぬがやむを得ないという場合もあり得るという趣旨の答弁をいたしておると承知いたしておりますことを申し添えてお答え申し上げます。
#93
○和田静夫君 治療費の答弁はどうなっているんですか。
#94
○政府委員(川島広守君) 治療費の問題でございますけれども、法理論的に申し上げますれば、その受けた結果が警察官によりまするところの故意または過失によって起こったものであるということがはっきり確定いたしました場合においては、いまお尋ねのようなことが起こってこようとは存じますけれども、警察といたしましては、先ほど申し上げましたように、それぞれ正当な根拠に基づいて使っているわけでございますから、いまのお尋ねについては法理論的なお答えしかできないことを御了解いただきたいと思います。
#95
○和田静夫君 法理論ということになれば、健康保険法ですがね。健康保険法というのは、第三者の行為によって受けた疾病、障害については、いわゆる行為者に請求する権利を保険者が持つ、こういうことになっていますね。そうすれば、いわゆるたとえば三鷹署のあの人を見たお医者さんが健康保険に基づいて請求をする、その被保険者は警視庁に対して請求をする当然の法的根拠がありますよね。
#96
○政府委員(川島広守君) 繰り返しになりますけれども、いま設問のございました問題は、あくまでも警察官が行なっておりますのは、法の根拠に基づいて正当な行為として行なっているわけでございますから、したがって、繰り返しになりますが、武器を使用しても差しつかえない――ことばが過ぎますけれども、あのような状況下におきましては、拳銃の使用も許される。拳銃の使用と申しますのは武器の使用でございますから、相手方に対して死に至らしめる場合もある、あるいは重大な傷害を与える場合もあり得る。そういう場合において使ってもよろしいというような条件を満たした上で使ったことは、先ほどから繰り返し申し上げているとおりでございますから、そういう場合には、いまお尋ねのようなことが起こってこないと思います。
#97
○和田静夫君 私は、前提を肯定する立場じゃありませんけれども、そういうことじゃなくて、第三者行為によって起こったところのものにつきましては、第三者に対する請求権を持つんですよ、あなた法的法的と言われるから。そのときにはお払いになるんですか。
#98
○政府委員(川島広守君) はなはだ申しわけございませんけれども、警察の所管外でございますので、私も法理論的にどうなりますか、保険の問題はよく存じませんので。
#99
○和田静夫君 とにかく警職法第七条第一項、第二項に該当するのだという論拠というものには、私はその肯定の立場に立ち得ませんが、とにかくガス銃の使用にあたって明らかにやはり考えてみなければならないのは、人に危害を与えてはいけない。あなたもさっき、なるべくうしろのほうに落とすというようなことを言われたわけですけれども、私は、とにかく指揮者の指示いかんを問わず――とにかく後ほど調査してもらうんですが、顔をねらって撃つというようなこと、こういうようなことというのは、警職法の七条に正に違反をしているのだ。これはもう調査をした結果の論議になりますが。したがって、そういう形のものというのは明確に処罰されなければならない、こういうふうに思います。まして、私がこういう問題にしたのは、抵抗力のなくなった学生を連行していくときに、暴力をふるってけがをさせる。これは供述に基づくものですから、後ほど裁判所における争いの中で明らかになることでありましょうが、私の手元にある資料によれば、一月十九日、学生が講堂から退出させられる際に、第四機動隊の十名ほどが学生百名ぐらいを演壇に整列させて、先頭から一人おきに鉄パイプ、角材、警棒で殴打をしています。供述の中で明らかになっています。また、残りの学生は石で頭や顔をなぐられています。そういうことをした機動隊員の氏名、所属もいま除々に判明をしてきていますから、それがはっきりした段階では、私はやはり前段の段階と一緒に処罰も当然行なうべきだと考えます。特に、私は、国家というような名前で、秩序という名前でこういうような暴行、暴力がまかり通るということは私は許されない、そういうふうに考えます。
 さっき国際法の話をしたのでありますが、国際法では戦争に使うたまでさえその物質を御存じのとおり制限をしています。ということは、戦争でたまが体内に入り戦力でなくなったときの個人を私は考えているからだと思うのであります。また、わが国の憲法も、その第十三条に「すべて国民は、個人として尊重される。」とうたって、個人に神秘的、倫理的価値を認めています。あらゆる政治現象の評価基準を国民個人の幸福の実現の程度に求める個人主義を宣言をしているわけです。そして、それに続いて「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」という規定は、第十二条の国民の側における基本的人権保持義務、乱用禁止条項に対応し、政府の側における基本的人権尊重義務を定めたものであって、そこでは公共の福祉という政策的配慮によって基本的人権も制限できるということを一般的にいっているのではないかと実は思うのであります。公共の福祉という政策的配慮によって基本的人権も制限できるかできないかは各個別の基本的人権保障規定の中に定めているわけですけれども、それはたとえば憲法三十七条三項と二十三条一項とを対比してみれば明確なことだろうと思うのです。先に述べた非人道的ガス液の使用などに象徴される最近の警察行政は、国際法や憲法に保障された個人の尊厳ということを全く忘れ去ってしまっているかのような感を与えます。警察行政にこそ、私は個人の尊厳を認め、新憲法的感覚が必要であるにもかかわらず、警察行政には、先ほど国家公安委員長の御答弁ではありますが、最も行政能率のみを重んずる戦前的発想が根強く残っているように考えられます。それが、私の見解で言えば、戦時国際法でさえ禁じている毒ガス液を使わせるようになったり、あるいは数々のデッチ上げ事件を生んだりというようなことになっているのではないか、こういうふうに思うのです。そうしたような事態というのは一体どこから来ているのだろうかということを考えてみると、私は、三月十八日の本委員会において、自治省幹部職員の府県への天下りについて触れ、その面からも地方自治が危機に瀕していることを指摘したのでありますが、警察行政における特権官僚グループの横行はさらに一そう目に余るものがあります。警察庁長官新井裕氏は昭和十二年紀です。次長の後藤田正晴氏は十四年紀、そして官房長は十七年紀、警察局長十六年組、刑事局長十六年組、警備局長十七年組、警察大学校長は十六年組といった状況であります。また、警察庁の管区警察局長のポストは九州を除いて全部が特権組で占められております。このようにわが国の警察行政は、治安グループといいますか、旧内務省でも中枢だった戦前警察グループの手に実は握られているわけであります。これでは民主警察もくそもあったものではない、こういうふうに私は考えざるを得ないのであります。したがって、時間がなくなりましたからあれでありますが、私はさきの地方行政委員会において過去十年間の幹部職員名簿の提出を求めましたが、警察を調べてみてこういう状態であるということがわかりましたので、とても戦後の調査だけでは間に合いません。戦前旧内務省時代からの名簿を私は御提出をしていただいて、そして私は、私が議員である限り継続してこの問題を取り上げて、毎年こうした幹部職員の異動の状況を確認をしながら、国民の前にその実態を明らかにしていく所存であります。
 警察教養ということに触れて、ピストルの暴発事件についてお聞きをしておきます。去る二月十七日、派出所の巡査が取り落としたピストルを拾おうとしたときそれが暴発して民間人一人がなくなるという事件がまた起きました。こうしたピストルの暴発事件は、三十九年に六件、四十年十五件、四十一年に八件、四十二年に八件、四十三年に九件起こっておりますが、警察教養の高揚にもかかわらず、どうしてこうした事件があとを断たないのですか。三十九年以降相次いで起こった暴発事故の八割は米軍が朝鮮戦争のころまで使っていたSW口径四五のセコハンピストルで、安全な国産ニューナンブ回転式ピストルへの切りかえがおくれているのは、機動隊の経費に食われたとのことでありますが、落としただけで暴発しやすいピストルが日常市民と接触している警官の腰に締められているということは危険きわまりないと思うのですが、いかがですか。
#100
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 具体的には政府委員からお答えさしていただきますが、御指摘の暴発――あやまって暴発いたしまして罪とがもない人の命を奪ったことをはじめとする事案につきましては、つい最近の問題を特に御指摘のようでございますが、ほんとうに申しわけないことに存じた次第でございます。正式に自分の責任を果たすべき場所に公に立っておる、もしくは行動しておるときは慎重であるくせに、つい心のゆるみからではなかろうかと、まあせめて推察をしたわけでございますが、そういうことすらも命を奪うような武器を持っておるものは二十四時間いついかなるときといえどもこれを許さずに、人さまに迷惑をかけないようにする心がまえの不足を指摘されても一言もないという案件だと思います。当時直ちに警察庁にも要望いたしまして、あらためて全国に、いま申したような趣旨での自粛、自戒、慎重な心がまえの育成のためにさらに努力してもらうように要望したような次第でございまして、今後あらゆる努力をして、今後はもう一件もそんなことを起こさないということを念頭に置いて御質問にこたえねばならぬ、かように存じております。
 その武器そのものにつきましては、政府委員からお答え申し上げます。
#101
○政府委員(浅沼清太郎君) お答えいたします。ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、いまだ暴発事故があとを断たないことは、たいへん申しわけないと思っております。ただいまお話しのように、警察で現在持っておりまする拳銃は大半が米国からの貸与品でございます。おっしゃるような暴発事故、つまり拳銃を非常にコンクリートの上でありますとか固いところに落とした場合にたまが出るという暴発事故が戦後若干発生をいたしました。それでさっそく全部の拳銃につきまして点検をいたしまして、特にそのような危険のありまする老朽度の高い一万五千丁につきまして、昭和四十年度からこの更新を計画をいたしまして、現在まで約一万丁を更新をいたしております。したがいまして、現在は落としてたまが出るという、暴発をするというような危険のある拳銃はございません。
 それからなお、いまお話しのように、これは四十年から計画を立てておりまして、四十四年で一応五カ年計画が終わるのでありますけれども、さらに老朽度が高まっております分から引き続いて更新計画を立てたいというふうに考えております。
 それから、ただいまも大臣からお話がございましたが、拳銃の暴発事故につきましては、極力先ほどの規定にありまする――拳銃の安全規則というのがございますが、たとえば回転式の拳銃でありましたならば、その授受は必ず弾倉をはずして渡す、あるいは射撃のとき以外は目標物をねらわないとか、あるいは射撃をいたします場合以外には引き金に指をかけないというような安全規則が定められておりまして、この安全規則を頭だけでなくからだでもって覚えるように、学校はもちろん、一般の教養の場におきまして鋭意高揚いたしております。幸いにして、先ほど御指摘がございましたけれども、暴発事故は全体といたしましてはきわめて少なくなっておるということでありますが、さらにこの絶無を今後期していきたい。
#102
○和田静夫君 時間がなくなったものですからあれですが、一つは三億円強奪事件について今日の現状について実は簡単に答弁を願いたいんですが、警察庁の刑事局でつくってもらった未解決重要凶悪事件一覧表を持っています。四十年から四十三年、この一つ一つについて実は質問を用意しておったのでありますが、四十件ありますよ、四十件。私は、これは一体、警察庁発足以来の重要凶悪事件の未解決の、この四十件というのは全体の何割に当たるか。治安のほうにはたいへん熱心だけれども、保安のほうというのは非常に手落ちになっているんじゃないかということを指摘をしたかったんであります。たとえば一つ言ってみれば、三億円強奪事件に人々の目が行っているときに、忘れそうになっていますが、昨年三月富士銀行の上野支店から一千万円強奪された事件、それから十月から十一月にかけて連続ピストル射殺事件――いわゆる一〇八号事件、その経過、それから最近のやつですね、私はこれだけの未解決事件がとにかく山積していることについて、一体どのようにお考えになっているのかということを明らかにしていただきたいと思うのであります。これが大きく一つですね。
 それからもう一つは機動隊、大学に入るのには、これはたいへんいろいろの説明を受けたんですが、去る二月十二日トヨタの試走車が走行テスト中に国際レーサー福沢幸雄さんが死んだ事故、この際に鑑識写真さえとれなかったというじゃありませんか。大学問題のときにはたいへんなことをやられるのでありますが、大企業を相手にしては警察は全然中に入っていって調査もしない、こういう形のものが実は出ているんじゃないですか。弱者については強くて、資本企業には弱い、こういう形のものを、私はトヨタの試走車の国際レーサーの死の中に実は見なきゃならぬ、そういうふうに思うのであります。一人の人がとにかくなくなっているのであります。その証拠になるところの鑑識写真さえ手に入れることができない、こういうふうに伝えられている事件について、どのように処理されているのか明らかにしていただきたい。
#103
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 再度お触れになりました、大学問題には熱心だが、警備警察には熱心だが、防犯等には不熱心だという御指摘ですけれども、これはそんなことはないとさっきも申し上げましたが、と申しましても、なおかつ御忠言としてありがたくちょうだいいたします。現実には、十六万の警察官がそれぞれの部署について、法の命ずる、国民のための奉仕理念に燃え立ってベストを尽くしておることをかたく信じております。
 それから、いろんな凶悪犯罪、あるいは三億円事件等が続出しておりますが、それをことさら警備にかりに私が熱中しておるとしましても、担当の警察官は、絶対に自分の持ち場、職責を果たしております。いわんや私自身は、御指摘ではございますが、そう思っておりますから、御懸念の点はないということを申し上げてお答えにしたいと思います。
 なお、具体的な事案についてのお尋ねでもございますから、担当の政府委員からお答え申し上げます。
#104
○政府委員(内海倫君) 未解決の重要事件、御要望もございましたので、ここ数年間の、昭和四十年以降のものを拾い上げて四十数件あげておるわけですが、未解決といいますよりも、重要凶悪事件というのは、まあ私ども一応凶悪犯、こう言っておるわけです。まあ参考までに数字を申し上げてみますと、昭和四十三年一年間で凶悪犯といわれるものは一万二千七百三十四件起こっておるわけであります。その中で殺人事件が二千百九十五件、あるいは強盗事件というのが二千九百八十八件、その中でさらに今度は凶悪強盗というものが千三百五十七件等々、まだございますが、要するに凶悪犯と認められる事件が一年間で一万二千七百三十四件、昭和四十年は一万四千二百七十九件、四十一年が一万三千七百六十件、四十二年が一万二千八百三十六件、こういうことでございまして、いわゆる凶悪犯の検挙、解決率は例年大体九一%前後という数字を示しております。いわば一割が未解決になっておるわけです。私どもはもとより一〇〇%検挙したいし、またそのための努力をいたしておりますが、遺憾ながら総数において約一〇%の未解決事件を持っておるわけです。その中に、いま資料として差し上げましたもの等を含んでおります。しかし、未解決であるということは、すなわち犯罪捜査のむずかしいものであり、また同時に社会的にも非常に注目を要する犯罪でございます。私どもはこういう犯罪こそ的確に検挙し解決しなければならない、こういう使命を強く感じております。そういう意味で、現在もたいへんな努力を払っておるわけです。先ほど御質問のございました三億円強奪事件、あるいは私ども重要広域事件として指定いたしております連続ピストル事件、あるいは富士銀行における一千万円強奪事件、いずれも未解決でございます。三億円事件につきましては、多くの遺留品、あるいは聞き込みその他によりまして、鋭意警視庁において捜査を進めております。遺憾ながらいまだ解決という見通しは立っておりませんが、警視庁におきましては全力をあげてこの事件解決のために努力いたしております。この種事件は、非常に捜査上むずかしい事件でございます。過去における経過におきましても、約一年半をかけてこの種事件を検挙した経験もございます。そういう意味で、遺憾ながら早急の解決が困難でございますが、現状におきましては各種の資料を詳細に分析しつつ捜査を続けております。いわゆる一〇八号事件――連続ピストル射殺事件でございますけれども、これはもう四カ所に――東京、京都、名古屋、そして北海道というふうに発生し、いずれもきわめて遺留したものの少ない、しかも犯人を見た者が被害者の一人以外にはほとんどないというふうな事件でございます。たいへん捜査上困難をいたしておる。一々申し上げると時間がかかりますから申し上げませんが、この捜査のためにわれわれは異常な努力を払い、たとえば北海道における青函連絡船の乗客の約二万名における追跡調査というふうなものをはじめとしまして、およそこの犯罪として考えられるものについては、ことばどおりしらみつぶしの捜査を行なっておりますが、現在のところまだ犯人を得るに至っておりません。はなはだ遺憾でございます。
 富士銀行事件につきましても、いろいろな捜査を継続いたしましたが、犯人に到達し得えておりません。これにつきましては、捜査本部を一応縮小いたしまして、継続事件として、少数精鋭によって事件の捜査を継続する所存でございます。
 以上のようなことで、御指摘のありました事件については、遺憾ながら検挙いたしておりませんが、まあ自慢するわけではありませんけれども、ほとんど捜査不可能といわれた横須賀線事件なども克明な苦心惨たんの捜査を遂げて犯人に到着いたしておりますし、また同じ金銭拐帯事件も室蘭で起こりましたものは犯人を特定するまで至っております。私どもとしては能力の全部をあげて捜査に当たりたい。
 それから、先ほどもいろいろ御配慮をいただきました、警備事件のほうが忙しくて刑事事件のほうがおろそかになるのではないかというふうな御意見でございますが、刑事事件に関する責任を一応分担いたしております私としましては、そういう点について決して支障を受けるような状態でなく、全警察機能をあげてそれぞれ努力をいたしておるところでありますので、この点は十分に御了解を願いたいと思います。
 それからトヨタの事件でございますが、いままでいろいろな衆参両院の委員会でも質問を受けております。率直に申し上げまして、警察官が写真をとらなかったという事実はございますが、しかしこれは、コースにつきましても、あるいは死体につきましても、警察官による写真撮影が行なわれております。自動車体について、その現場におりました立ち会いの者から、できることならば私どもの写真機で、私どものフィルムでとらしていただきたいということでございました。したがって、警察側で克明に指示をいたしまして、必要なものは全部撮影せしめまして提出をさせておりますので、捜査その他についての支障は何ら生じておりません。じゃなぜとらなかったんだ、こういうことでございますが、もちろんとってとれないものでもございませんが、もし相手方がそういうふうなものを強硬に拒否するというものであれば、やはり令状を持ってこれに臨まなければならないものでございます。まだ犯罪であるかどうか明確にならないものでございますし、そういうふうな任意に十分目的を達し得るものでございますから、警察官の判断としてそういう措置をとったものであり、決して捜査の妨害を受けた、あるいは企業に対する遠慮であったと、そういうものでは決してございませんので、この点は申し上げておきます。
#105
○和田静夫君 二月十四日の東京新聞によりますと、荒木国家公安委員長は、京大の奥田学長は正当防衛論者で民青と同じだ、そういう点では加藤代行のほうがましだ、京都府の蜷川知事は機動隊アレルギーがないらしいから美濃部よりましだ、美濃部は五十点ぐらいだと語られたそうでありますが、機動隊増員問題に触れて一月十日の記者会見で美濃部都知事が、この問題は基本的には地方自治の問題で、自治体が機動隊の増員をするかどうかきめるべきだという立場を明らかにされている。あなたはそのことについて五十点と採点をされたんですか。増員そのものは政令できめられ、都自身がきめるたてまえになっていない。しかるに、増員費用中国庫から支出されるのは整備費だけで、人件費は都が負担しなければならないようになっております。そうして警官一人について都が負担する人件費は百万円となっております。二千人ふえれば、二十億円経常増となります。もっとも首都警察強化特別補助金として十億円おりるそうですが、それでも十億円の経費増です。それはともかくとして、警察法第三十七条で国と都道府県の経費負担区分を定めていますが、そしてそれは国の支払いについて多くの項目をあげていますが、問題はその実態、とりわけ負担の比率であります。四十一年度の都の警察費総額四百二十億一千百万円のうち国庫補助は三%弱しかないわけです。とすれば、警察行政が費用の大部分は都民の税金でまかないながら、それを管理運営する権限が地方自治体にほとんどないということは、地方自治の観点からおかしいということになります。したがって、私は、そういう意味で、さきの美濃部都知事の発言というのは正しいものであろうと、こう思うのですが、あなたはそれでも五十点しか採点されませんか。
#106
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘の新聞記事は、私も読みました。私そんなふうな記者会見での雑談したことを思い起こします。五十点と申しましたのは、機動隊二千三百五十名をできれば一ぺんに都議会で通していただければありがたいなと内心思っておりました。それは予算が通った後に御指摘のような政令に基づいて正式の御要望は申すわけですけれども、その当時の雑談の中に話題に出ましたのは千百名――二千三百五十名の内部的な連絡に対して千百名だけは認めて提案しようという話があるそうだという話に端を発したことである。そこで、二千三百五十に対して千百は四七か八か何ぼになって、大体四捨五入すれば五十点になるかなというふうな話をした。はなはだどうもこういうところで申し上げるのは恐縮ですけれども、一応いわゆる記者会見を終わりましたあとの雑談の中に出たことが記事になったと思いますが、記事になったことを否定する意思は毛頭ございません。そんなふうなことを申しました。申しました趣旨は、そういうことを根拠に、四捨五入で五十点と言ったことであるということだけは申し上げさしていただきます。美濃部さんの、都知事としての、地方行政の責任者としての能力評価、勤務評定をしたのが五十点というのじゃ毛頭ございません。ただ、いま申したような算術的なことを言ってみればそうだという、真意がそこにあったことを申し上げて御了承を得たいと思います。
#107
○和田静夫君 国家公安委員長、さっき私も言ったのですが、ある意味では正直なんでしょうけれども、やはりもっと全体に与える影響というものを考えてものを言ってもらわないと、たいへん迷惑をすると、こう思うのです。この二月二十五日の衆議院地方行政委員会における荒木国家公安委員長と民社党の門司さんとの質疑応答の議事録を読みました。ここでは私は、全く荒木さんは荒木さんらしくない、きわめて官僚的な法解釈しか行なっていないと、一向に問題提起に答えが与えられていない。私も実は全部用意してきたのですが、時間がありません。したがって、こういうふうに申し上げたいと思うのです。あなたは地方自治法と警察法と警察官の定員の基準をきめる政令とのつなぎを実はあそこでは説明されておるにすぎません。しかし、あのとき問題になっていたのは、いわゆる民主的警察行政のあり方の問題であったのであり、その観点からの自治体警察的性格の強調であったのです。それは私が先ほど述べたわけであります。しかるに、荒木国家公安委員長の答弁の中で問題の核心に少しでも触れたと思われるのは、都道府県の治安は、一都道府県内部の問題にとどまらず、国全体としての治安に影響するところがきわめて大なので云々というところだけで実はあります。しかし、今日国全体とのかかわり合いを持たない地方行政は一体どこにあるのでしょうか。日本経済が予測以上に高度成長ししてまった。それとともに、産業の振興が太平洋ベルト地帯に過度集中してしまった。そして過密だ過疎だと騒ぎ始めている。自治省の前の行政課長の久世氏でさえ、昭和四十二年の「自治研究」の第四巻六号、七号で、連続、上下に分けて、「地方自治の絶対的危機」と題し、自治省の役人でさえこのように言い始めているわけです。何のことはありません、国家政策が能率的に進行し過ぎてしまった結果であろうと思うのです。国家政策に対する地方自治というチェックが憲法で期待されておるとおりに機能をしていたら、こんなことに私はならなかったと思う。したがって、この問題についても、別の側面で論議をするわけでありますが、警察行政においても私は同様のことが言えると思います。自治体警察の不能率さは、あるいはあるかもしれません。しかし、それ一九七〇年だ、それ大学問題だ、まさに国家政策で自治体の意向も聞かず機動隊の増員を行なっていったりするうちに、気がついてみたら民主主義がなくなっていた、こういうことになりはしないかということをたいへん私は戦前の歴史との関係で危惧をするのであります。国家公安委員長は、さきの衆議院での質問に答えて、機動隊を増員した意味は、何も一九七〇年――昭和四十五年というものを浮き彫りにして、それを対象にして考えたわけじゃありませんとはっきり答弁をされておられます。しかし、警察そのものは、もうひとり歩きをしています。明確に一九七〇年のみを意識しているのであります。先ほどお読みになっていないと言われたからあれでありますけれども、「ジャーナル」の座談会はその辺のことを全く浮き彫りにしているのですよ。一九七〇年問題というものを意識をしていますよ。警視総監も意識をしている。そして、たいへんなことをこれ言っています。私は、その辺についてやはり考えておかなければたいへんなことになる、こういうふうに基本的に思います。
 最後に、最近起こった二つの事件について質問をします。
 一つは、新聞は警視庁の外事一課が一人の予備校生を銃砲等所持取締法違反の疑いで二月十五日逮捕した旨を報道しています。昨年十一月五日北海道釧路市で捕えられた米軍脱走兵の証言によってそれが行なわれたそうでありますが、予備校生はわずか三日で釈放されたわけです。警察が逮捕状の発行を裁判所に請求するときは、そうすべき要件が存在することを示す資料を裁判所に提出をしなければならないはずですが、その際警察としてはどういう資料を一体裁判所に提出をされたのですか、またこの事件のその後の経過は一体どうなっているのでありますか。
#108
○国務大臣(荒木萬壽夫君) いまのお尋ねなり御注意なりと思いますけれども、お述べになったことについて簡単に申します。自治体としての固有事務としての警察機能があることは、私も及ばずながら承知しておるつもりでございます。同時に、国の立場においての、国としての警察庁という具体的な行政機関を通じての警察に対する責任課題も特別立法で定められておる、そして、自治体警察と、警察庁を中心とします国の立場から、警察についてのものの考え方の相互関係、協力関係等が具体的に、有機的につながりを持つような制度のもとに日本の現在のいわゆる自治体警察というものが運営されておる、これは言うまでもないことでございます。国家公安委員会だけがかってに独走してどうなるでもなし、警察庁が法に違反して何をするというものでもない。あくまでも法の定める範囲内において自治体警察ともども地域的な住民に対する警察機能を通じての奉仕をせなければならぬと同時に、交通通信関係の発達に伴いまして、また不法事案そのものが、交通事故に関連することももちろんですけれども、大学騒ぎにいたしましても広域的になり、また県相互間で協力せざるを得ない。国の立場で総合的に判断をつけ、お互いに知恵を出し合って、自治体警察の立場においても住民に対する使命を果たし、あるいは国家全体、あるいは府県相互間の関係においても妥当な奉仕をするという必要性があればこそ特別立法もある、そういう関係だということを申し上げたつもりで御指摘の答弁はした記憶でございますけれども、ことば足らないために誤解を招いていることがあれば、いまのような意味だと補足をさしていただきたいと思います。
 それから、一九七〇年というのは、これは警察官が言い始めたことでなく、学生の代々木系とか反代々木系とかいわれる集団をはじめとして、総評といえども七〇年を目標としてゼネストを組んだのだというととはもう天下に公表しておるというふうなことで、警察以外の人々が、暴力を伴う、集団暴力を行なうところの学生集団までがそんなことを言うものですから、現在すらもこれはたいへんなことだと思うのに、さらに来年はもっとあばれてやるぞということを言っておるのが、うそであることを欲しますけれども、現実であるならば、それは何も事を好んで七〇年のことを念頭に置くのじゃなしに、これこそが国民全体に対する警察の責任を果たす意味合いにおいて無関心ではあり得ないということにすぎない。警察機能からいえば、現在すでに七〇年が始まっておりましょうし、来年になれば七〇年であろうし、再来年になれば七一年であろうし四十六年であるであろう。国家の生命は永遠でありますから、永遠に国民のために警察の機能をまた果たさねばならぬという角度からものは考えるべきであるということを私は就任以来考えておるわけでありまして、警察庁の幹部をはじめ、警察官の一人一人も、七〇年問題をみずからつくり出せるわけじゃ毛頭ないわけなんで、対症療法的に、お医者さんみたいな、消防署みたいな機能を果たすべき性格を持っておると私は思いますから、そういう不法事案がなければ、何も準備することは要らない、国民の税金も使わぬでよろしいというふうになってほしいものだと一面念願もいたしておることを申し添えさしていただきます。
 第二の問題については、政府委員からお答えをさしていただきます。
#109
○政府委員(川島広守君) お尋ねの予備校生の問題でございますが、私もこのような事件の報告は聞いた記憶はございますけれども、手元に詳細な資料ございませんので精細なお答えができないのでございますが、一般論になりますけれども、まあ逮捕令状をもらいますためには、刑事訴訟法あるいは刑事訴訟規則に従って、犯罪ありと思量するその十分なる証拠の資料を提出して、初めて客観的な令状交付を受けるわけでございますから、その点についてはあくまで資料を十分整えた上で発付を受け入れたものと考えております。
 なお、事案が現在捜査中であろうというふうに考えておりますが、最初に申し述べましたように、手元に詳細な資料がございませんので、以上のようなことで御了解をいただきたいと思います。
#110
○和田静夫君 これはできる限りにおいて資料として私に提出していただきたいと思います、その後の経過。それはなぜかというと、この予備校生がピストルを持っていたということをあれにしながらいわゆる強制的な逮捕が行なわれた。それは結果的に、私が調べた範囲では、あの脱走米兵が証言をした、その証言以外にない。そうなれば、米軍との関係において警察はどれだけの措置をしながらこの事実というものを一体確認をしたのか、その後米軍に対してどういう交渉をしているのかということを明らかにしなければならないと、こう思うからであります。
 また、先ほどの荒木国家公安委員長の答弁でありますが、どうも私の質問の本質とは離れたところに行ってしまいました。いわゆる民主警察とは何かということを基本に置きながらもっと考えていただく、そういう姿勢というものはどうも国民の目から見るとはずれていってしまっているのじゃないかということを危惧されます。その基本というものを大切にしていただきたい、そういうことであります。
 二月の十八日の午後八時四十分ごろ砂川基地のそばにつくられた反戦ざんごうに基地内から二発のピストルを撃ち込まれたという証言がありますが、これに対して警察はどのような調査なり抗議を行なわれましたか。
#111
○政府委員(川島広守君) ただいまの事件につきましては、他の委員会でも御質問があったわけでございますが、この問題につきましては、さっそく関係者について警察のほうに出頭していただいて、当時の御本人が現認された状況等を詳細に聞かせていただきたいということを、いままで三度ならず四度ならずお願いをしておるにもかかわらず、一切御出頭なさらない、それが事実でございます。しかしながら、当時の現認関係についてもいろいろ周囲から捜査を進めてまいりましたけれども、御本人と関係のあると思われる方々、そういう方々にもお話聞きましたが、御本人、たしか私の記憶に間違いがなければ森田さんとおっしゃったと思いますけれども、森田さん自身しか知らないのだというようなお話でございまして、一向に捜査が前に進んでいかない、こういう事情でございます。簡単でございますけれども、そういう経過でございますので、御了解いただきたいと思います。
#112
○和田静夫君 最後ですが、三月十七日の午後一時から人事院の前に看護婦さんたちが陳情に出向かれました。で、出向かれたときに、すでに人事院のあそこは鉄さくでもって閉められて、中に入れない、こういう状態でありました。相手は女性であります。しかもその人たちは白衣の姿でありまして、何のために行かれたかというと、実は人事院が出した職務に関する四年前の判定、それが守られていないが、その後、人事院はどういう指導をしているかというのがおもな陳情の内容でありました。ところが、その約八十名くらいの看護婦さんの中に、すでに警察官が入っている。そして、そこで上京してきた看護婦さん以外、看護人、男の老人の方が、六十才くらいの群馬の山口テツオさんという方が、ちょっとの時間を利用して、まあ初めておそらく東京に出てこられたのでしょう。なごませようという一つのものを持ちながら、歌唱指導をされた。歌にもなっていない。ところがそれをにわかに逮捕されて麹町署に留置をされた。こういう事件が起こりました。私は、これは警視庁の過剰な介入だと、こう思うのです。昨日、東京地裁は、目的の正しいものについて表現の自由をもっと大切にしなさい、こういう形の、下級審でありますが、判決を、公務員共闘会議の人事院の賃上げ勧告実施の問題をめぐる動員やその動きについて出していることは、御承知のとおりであります。デモの目的、行為の正当性を認めて無罪を言い渡しました。そこで人事院の前というのは、御承知のとおり、あそこは鉄さくを設けなければ道路に人ははみ出ない、人事院の建物とあの間に八十名ぐらいの看護婦さんを置いたところで、何の障害にもならないはずなんですね。それに対してこのような理不尽な形のものが行なわれた。また、その後十分間にわたって警察官、トラック二台と、こういわれているのでありますが、べったりくっついたりしている。その中には、相手が女性でありますから、故意に乳房を押えるというような形のいわゆる攻撃が行なわれている。警察教養との関係において、こういう状態というものは一体正しいと判断をされるのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
#113
○政府委員(川島広守君) 御案内のとおりに、いまも御指摘がございましたけれども、人事院の前の広場のところは普通、おいでになってごらんになればわかりますけれども、いまあそこは全然車庫が中にございませんで、普通でございますとあの広場はほとんど一ぱい車がとまる場所でございます。それから、かねて人事院といたしましては、基本的な管理方針といたしまして、あそこには人を入れないということが管理方針でございます。その管理権に基づいて、あの場合においてはきわめて明確な退去要求が数度にわたって行なわれております。さらにまた、いま御質問のように、いろいろ看護婦さんの方々に警察官が乳房にさわった云々というお話がございましたけれども、実は私のところの下でございましたので、私は見ておりましたが、これはきわめて警察側のとりました処置は、これは事前に何度も何度も警察官の側でも警告をいたしました。きわめて静かに、裁判所のほうから参りますと右側のほうに非常に静かに押していったわけでございまして、私、五階におりますが、私、目の前で見ておりましたから、私の申し上げておることをお信じ願いたいと思います。
#114
○和田静夫君 あなたはよほど目がよくて、五階からどの辺さわったかおわかりになるのだろうけれども、実際こういう訴えがあります。で、きのうの判決などの関係で、私は十分考えなければならぬものを持っておると思うのです。正当に人事院が判定をしたものを各省庁が行なっておれば、あの動員はなかったのですよね。そうでしょう。いわゆる人事院というものは、基本的な労働権、団体交渉権、団体行動権その他を取り上げたときに、いわゆる公務員の皆さんに対する保護機関として登場した。その保護機関が出した判定というものを誠実に行なっていたならば、こういうことはなかったわけですよ。この逮捕した者をその後どうしました。その後、もう一名逮捕しておるわけですが。
#115
○政府委員(川島広守君) 逮捕いたしました罪名については、実は詳細私も報告を聞いておりませんので、おそらくあれは公安条例によって逮捕したわけじゃないと私は思います。間違っておれば後ほど直さしていただきますけれども、おそらく、これは私の推測になりますが、公務執行妨害等の罪名ではなかろうか、こう判断いたします。したがって、文部省の先ほど御指摘になりました公安条例の運用とは、おそらく別個のものであったろう、こういうふうに考えております。
#116
○和田静夫君 いまの問題について事後の処置は後ほどお調べになって、担当の方でけっこうですが、ぜひ私に知らせていただきたいと思うのです。
 たいへん時間をかけましたけれども、どうもやっぱり横暴的なものが警察の態度の中にあるという感じがいまのような問題を含んでするのです。まあ釈迦に説法ですが、十九世紀最後の四半世紀より二十世紀にかけて、客観主義応報刑説に対応する新派刑法思想としての主観主義保護刑説が胎生してきた。そういう学問的な事実さえ私たちはあることを知っているわけですから、そういう立場というものはもっと生かされなければならない、こういうふうに考えます。私は実は、この荒木さんの井上教授に対する大ばか者呼ばわりを聞いたとたんに、実は国会の関係筋を通して第七十三回帝国議会の速記録を取り寄せました。たとえばあの発言ですぐ私の頭に浮んでくるのは、昭和十三年三月三日に衆議院国家総動員法案委員会における佐藤賢了陸軍中佐のだまれ事件でありました。私はそのことを感じ取った人たちがかなり多いと思うのであります。そういう不幸が起こらないように、十分私たち全体がまじめに論議を通じてつとめていかなければならぬと、こう私は思っておるのでありまして、そういう点について、十二分に国家公安委員長も、今後のすべての政治の歩みの中で参考にしていっていただかなければ困る。そういうふうに要望を申し上げて質問を終わりたいと思います。
#117
○阿部憲一君 自治省は昨年、行政の簡素化についての百二項目にわたるアンケート調査を各地方団体に行ないましたが、この地方団体の意見の調査について、中央の各官庁の出先機関は協力するどころか、陰に陽に妨害しまして、補助金を打ち切るとかいって非常に脅迫したように私承っておりますが、この事実について長官はどういうふうにお考えになりますか。
#118
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その御指摘のことの事実は私存じません。ただ、その当時、新聞記事におっしゃるようなことがちらっと出ておったことを読んだ記憶はございます。それ以外には御指摘のことに、私のいまの立場から明確にそれがどういう内容であったということは申し上げる材料がございませんので、お許しをいただきたいと思います。
#119
○阿部憲一君 そういった妨害行為があったとすれば、それに対してのお考えはどうですか。
#120
○国務大臣(荒木萬壽夫君) まああったとすれば、当時新聞にも書いておりましたように、アンケートにまともなことを答えられたんじゃ自分のほうが損すると思っただれかが、あまりまともなことを言うなという電話でもかけたか何か知らぬ、そんなことかいなと当時新聞の読者として想像したにとどまりまして、そのことすらもが真実であるかどうかはむろん保証の限りではございません。感想にしかすぎないことをお許しいただきたいと思います。
#121
○阿部憲一君 地方団体におきましても、行政改革の内容は、国の出先機関の縮小、地方事務官制の廃止、国の権限の大幅地方移譲、零細補助金の統廃合、許認可事務の簡素化、米穀通帳の廃止など、九十二項目にわたっております。知事や県会議長、市町村長などが切実にこれを要望しておりますが、中央各省庁はこぞってこれに反対しているといいますが、長官はこのような事態をどういうふうに思っておられますか。国民やまた地域住民に対して、なぜ血の通ったあたたかい行政ができないのか。お伺いしたいと思います。
#122
○国務大臣(荒木萬壽夫君) これは、私まだ党の政務調査会の中の行政調査会の会長をしておりました時分に、アンケートの話は前長官から聞かされた。それはまあ非常におもしろいことだなと、ついては党がいきなり出しゃばって、直接法でそれを取り上げるのは少し出過ぎてはいないだろうか。したがって、行政管理庁の課題として、特に具体的に言うならば、行政改革の対策本部があるから、あすこの課題でまずもって取り上げるというようなことでいったほうが現実的じゃなかろうかという話をしたことがあります。
 行管長官を拝命しまして、後に当時の状況等もレクチャーを通じて承知いたしましたが、いま申し上げたとおり、対策本部で取り上げ、さらに先月の半ばごろであったと思いますけれども、行政監理委員会におきましても、これを取り上げるということに決定いたして検討中でございます。なお、各関係省庁にそのアンケートを示しまして賛否を問うたという過程もございますが、これもほとんどノーというのが多くて、イエスというのはわずかであったということも一応聞かされて承知しております。したがって、いろいろな経過はありましょうとも、何県の何部長がどうだという名前を出さないでの、純粋に自由な意思で真実を答えてもらうという形のアンケートでありますから、よしんば中央の省庁でノーと言いましても、客観的に見ればイエスと言うべかりしものではなかろうかということもあると思います。だから、そういう意味合いで、対策本部で取り上げ、かつまた行監委員会で取り上げつつ、双方の意見をあらためて究明しながら、客観妥当性のある裏づけをもって、取り上ぐべきは取り上げ、具体策に移っていくべきものと、かように考えて、せっかく検討推進中でございます。
#123
○阿部憲一君 これらの改革内容は、ごらんになってもおわかりのとおりで、かねてからの問題になっているものばかりでございます。時代に相応しない制度や複雑無用とされている行政事務でありまして、格別新しいものは一つもない。出先機関の縮小とか権限の大幅委譲だとか、許認可事務の整理など、終戦以前からの課題にすぎません。それから何十年たってもさっぱり実施されないというのはなぜでしょう。結局役人のなわ張り根性がじゃまをしているのであると思います。それを打ち破るのが政治家の仕事であり、どの政府も行政改革を重要政策に掲げるが、一向に日の目を見ないのである。長官はこの問題について本気で取り組む決意があるかどうか、お伺いしたいと思います。
#124
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 行管長官を拝命しました以上、微力ではございますが、ベストを尽くさねばならぬと自分自身にも言い聞かしておるような次第でございます。御指摘のとおり、これはもう明治以来のむずかしい課題であり、本気で取り組んで断行しようとならば、内閣はぶっつぶれると戦前もよく言われたことでございますが、その病源の一番大きいのは、なわ張り根性であると私も思います。ただ一面なわ張り根性というのは、商売熱心であるという面もございまして、その間の、はたして客観的に妥当性のある根拠に立っての反対であるのか賛成であるのかというのが、さっき申し上げましたような意味合いにおいてこそがきめ手であろうと思うのであります。第三者機関的な立場に立ってこそ、初めてその判定ができるという職責を念頭に置きまして、なかなか微力で、御要望にいきなり沿いかねる困難性を痛感しますけれども、着々と前進してまいりつつあります。
 ついでながら、PRするようなことを申し上げておそれ入りますが、臨時行政調査会設置法が衆参両院を通過させていただきましたときに、超党派で行政改革は断行しろ、しかしながら、人員整理、なま首を切ってはいけない、配置転換でいくべきだという附帯決議を満場一致でおつけいただいている。その設置法に基づいて臨時行政調査会が二年越しの慎重調査の結論が、総理大臣に対する答申として出ていることは、万々御存じのとおりでありまして、その中に、これを実行するについては、国会の御意思もあり、そのことを念頭に置いて、人員の配置転換――終戦以来のことを考えましても、すでに二十四年目でございますが、その間、当初は必要があったからこそ予算をつけ人員を配置して行政需要に応じておったであろうけれども、あるものは目的を果たした、あるものは重点が他に移行した、かんこ鳥が鳴くようなことになったものがあるはずです。であるにもかかわらず、増員、増員だけしかあらわれてこない、減員というものは一回も出たことはないというふうな状態を念頭に置いてのことと思いますが、配置転換によって行政改革ができるような制度を考えよという趣旨の一項がございます。それを受けまして、前、前、前長官のときでございますけれども、御案内の、いま御審議をお願いしつつあるところの通称いわゆる総定員法案なるものが考えられまして、当時私も、いま申し上げました行政調査会長をしておって、御説明を聞きながら、なるほどこれは妙案というか、本気で行政改革に取り組む、一番むずかしい問題の焦点に、なま首を切らないで問題解決をしていく焦点にぴたりとはまる制度だなと、党をあげ、与党をあげて賛成をいたしたわけでございますが、それはまあ自由民主党の内部事情でございまして、そんなことをこんなところで申し上ぐべき筋ではむろんございませんけれども、今日、行政管理庁長官を拝命しましても、なるほど、あの総定員法といわれるものを御審議願って、制定していただきまするならば、ほんとうに合理的な、客観的な裏づけの行政改革について、関係省庁に理解を求める上にも非常に便宜であろう。不急なところを省いて、その省庁だけの内部におきましても、忙しいほうへ転換していくということが可能でございましょうし、省庁相互間におきましても、その責任者同士の緩急、軽重を考えた真剣な、大激論をしてもけっこうですけれども、そこに国民の期待にこたえる線が出てくるであろう。そのよすがになる意味におきまして、非常に地味な法案ではございますけれども、行政改革の基本線を打開する一つの課題じゃなかろうか。
 ついでながら、これに関連いたしまして、御審議のときに申し上げねばならぬことを、言い過ぎますけれども、お許しをいただきますが、やれ首切りをするのだとか、あるいは不当な配置転換を強制するのだとかいう意見も一部にはあるようですけれども、そんなことが行なわれるはずがない。やっちゃいけないと同時に、行なわれるはずがない。万一そんなことがあろうとしまするならば、それは法律違反でもある。同時にその省庁の責任者たる者、自分の部下の掌握ができないということになるはずでございまして、国民的な冷徹な批判も国会を通じて展開されましょうし、杞憂にすぎないと思っておりますが、まあそういうこともあわせて御質問のような趣旨に対しまして、微力を尽くしたいと存じております。
#125
○阿部憲一君 総定員法の御趣旨もちょっとお伺いしましたが、この際、総定員法については、またいずれ御質疑申し上げることとしまして、この今度の行政改革、私が申し上げました行政改革につきまして、客観的立場といいましょうか、から判断して、正しい行政改革に向かって取り組んでいただきたいと思います。いま長官は、非常に微力だということを御証言でしたが、なかなか強力だと拝察しております。ひとつしっかりがんばっていただきたいと思います。
 それからいまのに関連してですが、いまの農林省は、いまどき不用になっている米の通帳を配付しようとしているのは、これは地方団体側の切実な意見を聞けない一つの姿ですけれども、地方団体が、この一例を申し上げますならば、九十一あげました項目を実施しただけでも、国費が七百億円も節約になり、しかもそれは住民に喜ばれるのであります。ですから、政府はかけ声ばかりでなくて、これはしっかりとこれをやっていかなければならない、こう思いますが、長官、もう一度ひとつこれに対する考えを述べていただきたいと思います。
#126
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 農林行政それ自体に私がかれこれ申し上げる立場じゃむろんございませんが、御指摘のアンケートの中にもその課題はとらえておりまするし、臨時行政調査会の答申の中にも指摘されていると記憶しております。そういうことで、食管法をどうするのか、管理制度をどんなふうに改善していくかという、農林行政プロパーの、国会を通じての法律改正等を通じてお示しいただきませんと、法律上どうにもならない課題でも一部あろうかと推察しておりますが、そういうことはそれといたしまして、さっき申し上げたような角度から、お示しのような具体問題につきましても、要らないものをいつまでも意地ばって温存しておくという手はないはずでございますから、そういうことを片端からひとつ解決していきたいものだと、念願をいたしておりますことだけを申し上げさしていただきたいと思います。
#127
○阿部憲一君 行政管理庁は、ことしの四月から機動行政監察班を設置して、地方行政の苦情を総点検すると伺っておりますが、まず前述の苦情処理事務の簡素化、公務員の綱紀粛正について国民の声を聞いてもらいたいと思いますが、この点について大臣の御見解を伺いたい。
#128
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘のようなことはいま考えております。考えつつありますが、まだ成案を得ているわけではございません。その途中で新聞か何かに出たのかと思いますが、方向としては、いまお示しのような、御質問のような方向で努力したいと思っております。
#129
○原田立君 前にも当委員会で国家公安委員長にお伺いしたと記憶しているのですが、また春にもなって、シンナー遊びがだいぶ始まったというようなことが新聞で報道されております。この問題と、あとちょっとつけ足してお伺いするのもたいへん申しわけないのですが、通知をしてないので、いまここでお答えいただければと思うのですが、国家公安委員長のこの中に、「一時緩慢状態にあった暴力団が再びその勢力を取り戻し」云々と、こういう一項があります。この関係で御説明いただければ、それも御準備願いたいと思います。それから交通事情のことについて二、三ここで触れられておりますけれども、その関係、交通局長おいでになっておるから、おわかりだろうと思いますけれども、以上三点について若干お伺いしたいと存じますので、御用意願いたいと思います。
 一番最初のシンナー遊び、及びボンド等使ってのあの青少年の不良化の傾向が漸次増高している。たいへん憂慮している一人でありますけれども、ことしになってどんなふうな発生状況になっておるか。この数年間の発生状況と対比して御説明いただければ幸いと思います。
#130
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員からお答え申し上げます。
#131
○政府委員(海江田鶴造君) 御質問にお答えいたします。
 昨年のシンナー乱用による死者が、総計いたしまして、少年が六十四名、成人が四十六名、合計百十名死者が出ております。一番盛んでございましたのは、昨年の七月ころからでございまして、死者が一番多く出ましたのは十一月でございます。警察その他によるシンナー乱用少年の発見、補導いたしました数が、昨年一年間で約二万八百名余を数えております。全体としての趨勢から見ますると、大体、昨年の夏ころからしょうけつをきわめて、それが関東近辺から地方に漸次及んでいったと、そして十一月段階、十二月段階の寒い時期に入って死者が激増したと、こういう状況でございますが、本年に入りましてから、いろいろ私ども関係各省庁あるいは府県市町村の団体と協力いたしまして、これが防止の運動を続けてまいりました結果もありまして、本年に入りましてから、死者が一月が十四名、二月が十一名、三月が昨日までで八名、まあ大体十名程度で終わるのではないかというように見ております。昨年に比べますとやや、昨年の一、二、三月に比べますとふえておりますけれども、従来の七月以降からの趨勢から見ますとかなり減少をしてきております。なお昨年の十月、十一月、十二月段階では、毎月約二千ないし三千名の乱用少年を発見、補導をいたしておりますけれども、本年の一月が約千三百五名、二月が千四百五十七名ということで、三月はまだ統計とっておりませんが、府県の報告等によりますと、若干春先になってふえてきておるようでございます。実情は以上のとおりでございます。
#132
○原田立君 公安委員長、なかなかお忙しいようですから、公安委員長にまとめて御質問します。この遊びがあまりよくないととは、すでに長官もそういうお考えだろうと思うわけですが、これに対して、こういうようなことが発生しないようにどういうふうな処置をなさるお考えか、またどういう処置をなさってきたか。その点いかがですか。
#133
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 警察プロパーの立場から申し上げれば、いま保安部長が申し上げましたような事態も十分把握しながら、青少年、特に少年の補導の使命も警察は持っておるわけでございますから、その点に立ちまして、全国的に警察庁が中心になりまして、みずからの努力をしますと同時に、何さま学校の生徒の年齢が多うございますので、学校とも、それぞれの現場では、警察当局の補導担当警察官と協議会等を持ったりいたしまして、緊密な連絡のもとに補導をしていくというやり方でやっておるわけであります。これはもともと学校教育の場において、教育者みずからが関心を持っていただくべき課題でもあろうかと、これは私の単なる感想、推察にすぎませんけれども、それと同時に親が、一体何しているんだ、多くは自分の子供がそんなことをしているとは知らなかった。重体になりましたときに、初めて気づくような人が多いそうですけれども、私は、家庭の最愛の子供についての親の何というか、補導、監視が足りない。また学校教育の場におきましても、先生の立場でも、およその挙動等、平素の行動等によって推察のつく場合もあり得るはずですから、教育の場、家庭の場においても、自主的にもやってもらいたいし、さっき申し上げたように、警察みずからの国民に対する責任、家庭との、補導関係者との連絡、協議を十分にいたしまして、何とかこれを絶滅したいと、かように存じます。
#134
○原田立君 どこからでも入手しやすいということが、たいへん事故を押えられないということになっておりますが、何か厚生省に対して、その取り扱いについて国家公安委員会のほうとして指示をなさる、御相談なさる、そういうことはございますか。
#135
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そういう話も、私の拝命前から話が出ていたことを承知しておりますが、いま申し上げましたように、これが塗料、その他の建築資材として一般市販されておる。だれでも買えるという状態のために、それを未成年者には売らないとかいうことをやるといたしましても、どこにでもあるようなことになっておるので、押えにくいんだというふうな状態だということを聞かされておる状態でございまして、もっとこの的確なことは、政府委員からひとつ答えさせていただきます。
#136
○政府委員(海江田鶴造君) ただいまの大臣の御答弁に若干つけ加えさしていただきますけれども、やはり薬品が、シンナーあるいはボンドがかなり自由に少年の手に入るということは事実でございますが、最初、昨年の前半のころには、薬局あるいは文房具店など、その他の販売しているところが何もそういう自覚がなかったようでございまして、その点で私ども、通産省、厚生省、さらには総理府に対しまして、この点についての善処方を要請いたしまして、何よりも販売について、明らかに少年が買うような場合、乱用に買うような場合、売らないように販売店の自粛方を再三申し入れまして、その結果、最終的には昨年の十月三十日に、シンナー販売業界とも最終打ち合わせを行ないまして、四項目、二十歳未満の者には原則として販売しない、またそれ以上の者であっても、正当な用途でないと見られる場合には売らない、どんな場合でも売る場合には住所、氏名――これは法律によってきめられたことではございませんけれども、住所、氏名をできるだけ確認するようにする。また正当な用途として販売する場合には、よく有害性を説明して、管理を厳重にするように話すというような、四項目を業者自体も認めてくれまして、業者からもそれが下部に流されました。したがって、現在はかなり業者の間にその実情、その必要性が認識されまして、実情はよくなっておるように、一線からの報告を受けております。
#137
○原田立君 学生が多いと思いますけれども、やっぱり実際に仕事を持っているそういう未成年者、そういう連中も多いように聞いております。先ほど一、二、三月までの死者四十三人ということで、これはたいへん去年から比べてみれば少ないということでありますが、年間から見れば、四半期の一つで四十三ですから、四倍にしても百六十人ですよ。去年は百十一人ですから、たいへん少ないんじゃなくて、多いんじゃないですか。そこら辺訂正してもらいたいと思うが、まあいずれにしても、こういうようなことが青少年に起きるということは、たいへん残念な話でありますし、これはやっぱりしっかり、よい意味のこういう危険な状態であることの宣伝、啓蒙ということにもっと力を入れなければいけないんじゃないか、こう思うんでありますが、犯罪に関係することになるとたいへんな問題でありますし、公安委員長としても、せっかく御努力願いたいと、こう思うんですが、いかがですか。
#138
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど申し上げましたように、全国の警察なり交番なり、それぞれの地域の住民に比較的密接な立場において、少年補導の責任も持った組織もあるわけですから、先ほども申し上げたような線を通じましての地道なPRというか、理解を深めるということをまず第一にもっと積極的にやらねばならぬかなと存ずるのであります。同時に、繰り返し申し上げますが、家庭がこれに無関心であるということ自体が、根本的には私はまずいのじゃないか。したがって、学校でもPTAの会合等はしょっちゅうやっておるわけですから、文部省からも通達等はいってはおると思いますが、そういう場を通じて、シンナー遊びのいかに愚かにして危険であるかということを認識してもらうという点の努力も、必ずしも十分ではないのじゃないだろうかと 推察でございますが、それらのことをあわせてやっていくことによって認識を深めさせることが一番的確じゃなかろうか。マスコミで取り上げていただいて、その危険性を時に応じてやってもらうのもいいけれども、それは一ぺんきりに終わるおそれがあるし、これは三百六十五日注意しなければならない課題であると思いますから、くどいようでありますが、先ほど申し上げた線でもっと努力する余地が残されておる、かように考えるのでございます。
#139
○原田立君 努力なさるというわけですね。
#140
○国務大臣(荒木萬壽夫君) いたします。
#141
○原田立君 冒頭に申し上げましたが、暴力団が再び勢力を増してきたと、ここにあるのですが、具体的に列挙してもらえれば幸いです。また、これらはどういうふうな生業を立てているのか、また最近の事件発生はどういうものであったか、死者等はなかったのかどうか。あるいは火器銃砲等の所持もあったのかどうか。こういうことで非常に暴力団のことについては国民は不安におののいている。この不安ははっきり除かなければならない、かように思うわけであります。いろいろ通報制度等もあるということでありますが、国民はお礼参りがこわいから、なかなかそういうこともようやらないということもあるのですが、暴力団の実態及び今後の取り締まり等を一括してお答え願いたい。
#142
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員からお答えいたします。
#143
○政府委員(内海倫君) 詳細な資料を手元に持っておりませんので、御要望の事柄にすべて答え得るかどうかわかりませんが、暴力団が最近力を盛り返しつつあるということは事実でございます。これはどういう点からかといいますと、ここ数年来、暴力団に対する取り締まりをきびしく行ないまして、その結果、暴力団で解散するものも出る、あるいはそれぞれの団体の幹部で刑を受けまして、社会から隔絶されているというふうな状態を続けてきたわけですが、最近になりまして、そうした幹部が再び刑期を終えて出所してくるということが目立ってきております。これに伴って、解散したと思われる暴力団が再び組織を新たにして生まれつつある、こういうことが一つ言えるだろうと思います。
 そういうふうな事柄を物語るものとしては、たとえば大分県だとか、あるいは福島県、あるいは兵庫県等で拳銃等を使用してのお互いの暴力団内部の争いというふうなものが発生したというふうな事例からも類推ができるところでございます。
 また、犯罪の面につきましては、これはまあ罪種を言えばいろいろございますけれども、暴力団の者が犯したと思われる犯罪が、昭和四十三年で三万八千八百余件、昨年に比べまして三百件ほどですけれども増加いたしております。そういう意味では犯罪の面でも増加しておる。とりわけ一、二の数字を言いますれば、暴力団員の関係した殺人事件というものが、昭和四十二年は四百十二件、四十三年は四百四十四件というふうなものが計上されております。また、先ほど御質問の中にもありました銃砲刀剣類所持等取締法に違反する犯罪というものが、昭和四十三年は千四百四十件、これは前年に比べますと件数は減っておりますけれども、そういう数字があります。その他各般の犯罪が行なわれておりますが、そういうふうな点で見ましても、暴力団員による犯罪は漸増の傾向にある、こういうふうに考えられます。とりわけ、最近における暴力団員あるいは暴力団の犯罪の特徴というのは、在来の切った張ったというふうな犯罪ももとより犯しておりますけれども、たとえば金融犯罪、手形を詐取して、あるいはその手形を回り回ってこれを取り立てる、取り立てる方法として、たとえば一億円の詐取した手形を一千万円で買い取れというふうなことを詐取された者に要求するというふうな形の犯罪、あるいは不動産の犯罪、あるいは興行場等に伴う犯罪、たとえばいかがわしいストリップショーとか、あるいはそういうふうなものを上演させるというふうなこと、また、政治犯罪と言うとたいへんことばは適当でございませんが、あたかも政治的な行為であるかのごとくに見せかけて暴力行為を行なうというふうなことも少しずつ目立っておるように思われます。その他、どちらかといえば知能犯的なものに組み入れられるような犯罪のほうがだんだん増加する傾向がある。これは要するにきびしい取り締まりによりまして、いろいろな形で警察の手によって資金源が徹底的に壊滅されましたために、新しい資金源を得る方法として、ときには合法的な形をとりながら、その裏側で非常に不法な行為を行なうというふうなものがふえておるように見受けます。以上が最近におけるたいへん大ざっぱな暴力団についての傾向でございます。
 これに対する警察側の対策でございますが、すでに数年にわたる私どもは暴力団に対する多くの体験とまたこれらに関する資料を得ておりますので、それらについて暴力団の動向を察知しながら、先手を打って、これらに対する組織の壊滅、要するに組織を解散させるところまで追い込んでいくというふうな措置を、いろいろな方法、たとえば犯罪があれば直ちに検挙する、あるいは不当な資金源があればそれに対する措置をとるというふうなことで、組織の壊滅ということに力を注いでいく、それらの例としまして、大阪あるいは神戸その他におけるかなり全国的な規模を持った暴力団が、いま壊滅寸前にきておるというふうな例もあるわけでございます。今後におきましても、警察としましては、そうしたき然たる態度をもって、暴力の一掃ということでその組織の壊滅につとめたいと、かように考えておる次第であります。
#144
○原田立君 死者はどうですか。
#145
○政府委員(内海倫君) その死者といいますのが、どういう意味か、ちょっと理解しかねますが、先ほど言いましたように、暴力団員が関係した殺人事件というのは昭和四十三年において四百四十四件ある。もしそれが暴力団員の中でどれくらいのやつが殺されたり、あるいは殺したりし合っているかということになりますと、いまちょっと手元に資料ございません。
#146
○原田立君 先ほど一括して申し上げましたけれども、こういう風潮に対して国民が非常に不安におののいておりますことは事実御承知かと思いますが、これにどうかひとつこたえて、こういうふうな事故が絶滅するように、せっかく御努力願いたい。
 それから交通事故の激増は非常に心配していることでありますが、去年とことしとの事故比率はどういうふうになっているか、その点、どうですか。
#147
○政府委員(鈴木光一君) 手元に、本年に入りまして二月までの事故件数がございますが、二月末までに事故件数といたしましては、昨年の一、二月に比較いたしまして一七・八%増でございます。それから死者につきましては、これが一番いま私ども関心を持っておるわけですが、死者の増加が一五・二%、負傷者につきましては一八・三%ということでございまして、昨年、死者につきまして一万四千台の数字になりまして、たいへん死者が多いということになったわけでございますが、それにいたしましても、若干、死者というのは最近二、三年横ばいの状態でございましたが、ことしに入りまして、先ほど申しましたように一五・二%の増ということで、死者の増が非常に多くなっていることにつきまして、私どももいろいろな観点から分析いたしまして、それに対する対策を講じていこうということで取り組んでおる次第でございます。
#148
○原田立君 運転する者に対する交通規則教育とか、あるいは実務講習、そういうものを免許証の切りかえ等のときにやるのだろうと思いますが、それの受講状況は一体どうなっているとか、あるいはまた今後基本的に自動車はどんどん増加していくわけです。もちろん道路もしっかりよく直さなければいけないということもわかり切った話ですけれども、それはだいぶまた時間がかかりそうだ、そうなると、実際ドライバー自身に対する教育をしっかりやらなければいけないと思う。それに対して現在どうなさっているか、今後どうなさるのか、その点、お伺いしたい。
#149
○政府委員(鈴木光一君) お説のとおり、ドライバーに対する教育は非常に大事なことでございまして、まずドライバーが免許を取得する際に安全な運転者に免許を与えるということがまず第一だと思いますが、このことにつきましては、御承知のように指定自動車教習所制度をとっておりまして、ここでみっちり教育をしてもらって、その上で免許証をやるというたてまえできているわけでございます。指定自動車教習所の運営につきましていろいろな方面から批判もございまして、私ども近く各指定自動車教習所を通じてのカリキュラムを作成いたしまして、全国的に同じレベルで、しかも安全な運転者となって巣立つことができるようなカリキュラムを組みまして、これによってやってまいりたいというふうに考えております。
 それからドライバーとなって巣立って外に出た場合のことが問題になるわけですが、御指摘のように、三年ごとの更新時に、任意ではございますけれども、更新時に講習を全国的にやるようにしております。手元に詳細なる数字はございませんが、約九〇%ぐらいはこの任意講習に参加して講習を受けているということになっております。
 それからいろいろ違反なり事故を起こした際に、安全教育の一環といたしまして、これに行政処分を加えると同時に、それにあわせて違反者講習というものをやりまして、自後再び違反なり事故を繰り返さないような講習、安全講習といったものを実施している次第でございますが、そのほか、まあいろいろな機会にドライバーの安全教育をやっていかなければならぬと思いますが、二千五百万ものドライバーのことでございますので、なかなか行き届かない面がございますけれども、できるだけいろいろな機会をとらえて安全教育をやってまいりたいというふうに考えております。
#150
○原田立君 これで終わりにしたいと思いますけれども、四つかどや何かで非常に混雑するようなところ、ちょっと見たんでは事故が非常に起きそうなところに、たまたま警官が二人、三人立っているんですが、非常にスムーズに行っているんですね。あるいはまたパトカーを見たりすると、とたんに正常化するみたいなんですね、たいへんいいんじゃないかと思うんですよ。私があっちこっちそういうたいへん混雑しそうだなというところを見てみると、また立っているところもあれば立っていないところもあるし、あれは混雑時、ラッシュアワーなんかも必ず立てるみたいですね。そういう強力な施策をしたらばどうかと、こんなふうに思うんですが、その点はいかがですか。
#151
○政府委員(鈴木光一君) 御指摘のような問題がございまして、先ほど申しましたような二月までの事故の激増の状況にかんがみまして、極力、警察官を街頭に出したいということで、一現在、都道府県にそういう趣旨で指示をしておる次第でございますが、一般的に申し上げまして、まあ事故が非常にふえますと、事故の処理に交通警察官が追われてしまうということで、街頭監視のための活動がどうも十分なされないうらみがあるわけでございます。しかし、まあお説のようなこともございまして、極力交通の要点には警察官を出したいということで、先ほど申しましたように警察官の合理的な運営をはかって、お説のような趣旨に沿ってやりたいと思います。
#152
○山田勇君 先ほど和田委員からも一部触れましたが、テストドライバー死亡事故について警察庁及び通産省の方にお尋ねいたします。初めに事故の状況、原因、またいまの捜査過程がわかっておれば説明していただきたいのですが。
#153
○政府委員(内海倫君) まあ、どういう形で事故が起こったかということも現在さらに詳細に調査をしておるところでございますが、私どもがいままで捜査あるいは調査の結果承知しておりますところを申し上げてみますと、場所は静岡県のヤマハの試験コースで起きた事故でございますが、最初に本人によっていわゆるならし運転というものを行ないまして、そのコースに十分慣熟する運転を行なったようであります。その後テストに入ったわけですが、そのコース全体の距離は約五キロ程度でございますが、試験を行なういわゆるテストコースというものはその間における直線距離の約二百メートルのところでございます。そこで自動車に対する風圧を調べるためのテストというものを行なったわけでございます。たまたまそのテストコースを終えて、二百メートルを過ぎて、本来であれば、そこでスピードをスローダウンするはずのところ、そこに立ち合っておった人たちの見ておるところでは、スピードダウンしないまま車が面こうに向きまして、そのコースの外に、コースの接続しておる安全地帯に立っておる木製の標識にぶつかって、さらにそれからスピンがかかったままで右側にある土手に衝突して、同時に火災を起こして、運転をしておった福沢運転手が死亡する事故があった、こういうふうに私どもは聞いております。
 それから、次に捜査の状況という御質問でございますが、警察におきましては、その発生直後、警察官を現地に派遣いたしまして事故の実態を詳細に見聞させまして、自後今日に至るまで各般の面についての捜査を継続中でございます。
#154
○山田勇君 まあいろいろな交通事故という問題で捜査が長引いているということもよくわかるのですが、大体一カ月以上たっているのですが、その原因がいまだにわからない、捜査が長引いているという原因は何かございますでしょうか。
#155
○政府委員(内海倫君) 要するに、どこにこういう事故の起こった原因があるのかと言えば、自動車そのものに原因があるか、コースに原因があるか、あるいはこれを運転した人に原因があるか、大ざっぱに言えばそういうふうに、あるいはそれら三つが複合してできた場合、いろいろ考えられると思います。そういうものをすべてについて克明な調査あるいは捜査を行なっておるわけでございますが、とりわけ車両の原因解明ということで、いま車両事故の起こりました車両自体についての検分を詳細行なっておる。私どももこういうものについてあまりいい事例が手元にございませんので、外国等の経験等も聞きましたが、外国等におきましても、こういうものの最終的な結論が出をのにはおおむね六カ月程度は要しておるということで、非常に事案が異なりますけれども、飛行機等の事故につきましては一年、二年、あるいはそれ以上の年月を要してやっと結論が出るというものでございまして、私どももそういう意味で慎重に、しかしながら、間違うことのない調べを行ないたいということでございます。
#156
○山田勇君 先ほど和田委員からも触れられました、大企業に弱い警察力というようなことですが、それはそういうことはなかったというんですから、これは割愛させていただきます。
 次に進みますが、このようなケースの事故で、どんな場合にでも業務上過失致死ということが成り立つかどうかお聞かせ願いたいし、もう一点、安全限界を越えたテストということは考えられるか、その二点についてお聞かせ願いたいと思います。
#157
○政府委員(内海倫君) 業務上過失致死罪あるいは業務上過失傷害罪というようなものは、いわゆる交通事故の場合には一応考えられる問題でございます。あるいは機械を操作するような場合にも考えられる、飛行機の場合も、あるいは船の場合もそういうものは考えられるわけでございます。したがって、こういうふうな事故が起きました場合は、警察はそういうふうな容疑をもって対処いたしますが、実情を調べ、あるいは検分した結果、業務上過失致死罪あるいは業務上過失傷害罪の容疑を認めない場合も、もとよりしばしばあるわけでございます。したがって、すべてそういうものが起こればその犯罪が成立する、さようなものではございませんが、警察の場合はそういう容疑をはさむ余地ありやいなやというところから取り調べは進むものである、こういうふうに申し上げておきます。それから安全の限界を越したそういうテストというものはどうかということになりますと、これは非常にむずかしい問題でございますが、いずれにしてもその結果が人間を死に至らしめ、あるいは傷害に至らしめるようなことの予想されるようなテストというのは、その出発において私は間違っておるのではなかろうか。しかし、その限界をどこに設定するかということは、これはたいへんむずかしいことでございますから、私どもいまここで抽象的にどうこうということはなかなか困難であります。話はたいへん飛んで申しわけございませんが、真珠湾攻撃の場合においても、山本元帥は生還する可能性のないいわゆる特別攻撃というものは許さない、生還という可能性を見込んでのみ許されなければならないという話を、真偽は知りませんが、聞いております。少なくともそういう単なる危険というもの、人間の生命にかかわることが予測されるような、あるいはそういうものを前提とするようなテストというのは私は問題があろうと思います。
#158
○山田勇君 次に、通産省のほうにお尋ねをいたします。いまこの社会というものは企業競争というより企業戦争とまで言われておる。最近の企業家のモラルの低下、そういう企業の争いで弱肉強食の観を呈しておりますが、そういった争いの渦に巻き込まれて犠牲になる人間というのは非常にこれはあわれであると思います。技術革新とか、未知の分野への挑戦ということになれば危険はつきものかもしれませんけれども、やはり安全が第一だと、私はそう思っております。この事故でテストコースの規格とか、安全基準という面では、当然企業自体が万全を期しているはずだということで規制はしていないということですが、いやしくも人命尊重という立場から、企業まかせでは済ませないと思いますが、この点いかがですか、御見解を承りたいと思います。
#159
○説明員(田中芳秋君) こういう企業の実験、これは非常に危険な問題ではございます。同時に、こうした技術を開発することによって危険を避ける技術をまた見出していくという目的もあるわけであります。その限界は、先ほど警察のほうから話がございました限界を守らなければならない、こういう点は私ども全く同感でございます。しかし、今回の事故が発生いたしまして、その後、実ははなはだ遺憾なことに似たような事故も頻発いたしております折柄、こうした点につきまして安全管理のあり方、これをぜひ自動車業界の中で検討し確立してもらいたい、こういう要請をいたしておるわけでございます。御承知かと思いますが、部課長会議にこの問題を取り上げ、かつ具体的に自動車工業会にございます技術委員会が目下検討を進めておるわけでございます。こうした点を確立いたしまして、この種の事故の絶滅に私どもも一そう努力をいたしたいと思っております。
#160
○山田勇君 聞くところによれば、民営を除いてのサーキットといいますか、テストコースというものは約七つあるわけでありますが、民営の場合ですと、私もかつてはこういうスピードのある車にたいへん興味がございまして、鈴鹿、また富士サーキットで走ったことがありますが、ガードレールというものが危険だというふうにわかれば、国際基準によって金網に張りかえられたり、徐々に安全基準というものはいつも変えられて、より一そうレーサーに対しての安全基準ということを一生懸命考えております。そういう点、企業内のテストコースということですから、それは通産省のほうで今後とも確実な安全を期する行政指導を続けていっていただきたいと思います。
 これから私が申すことは、これは推測なんでございますが、そういう点を踏まえて御返答願えればけっこうかと思います。事故の原因は運転上のミスではない、設計上のミスとされているんですが、実際アール三百六十を直線コースに入りまして、二百五十キロのトヨタの車で走りましてシフトダウンいたしましても、そういうふうに山側へぶっつけるというようなことは、ぼくはおそらく技術的にはないということですから、ぼくの見解といたしましては、車のほうの整備に若干欠陥があったんではないか。そういう点はちょっとこれは推測でございますが、申し上げておきますと、前輪のリフトアップを上げています。ということは、トヨタ・セブンというものは後輪駆動の車でございますから、当然スピードが上がれば前部分が浮き上がることが予測されるし、また考えられます。これの抑止として、同型のポルシェという車にはビラがついておりまして、風の方向とか、そういうものの調節をいたします。事故車にはそれがついていなかったということでございます。それは私もコースを見てないんですが、どうも山あいと山あいにコースがございまして、風という問題について――車が二百五十キロ出ればちょっとした風でも車は浮き上がりますから、そういう点、テストコースとしての基準としてどうかという点、またこのような危険なテストの場合、普通一般に考えて、大体室内の風洞テストというものは慎重に行なわれるんですが、トヨタにおいては室内であまりテストを行なわず、室外テストを主としておるということを聞きましたが、そういう傾向はなかったんでしょうか、それが第一点。
 それからこれも推測の域を出ていませんが、トヨタでは日産の車が五千CCのエンジンテストをしたのを聞き、事故車にも五千CCのエンジンを積み込んだ結果、重量配分に狂いを生じ事故を招いたとも聞いておるのですが、この点いかがでしょうか。どうもテストレーサーに危険はつきものというか、車のテストに人間も機械の一部分としてテストされているような感があるんですが、そういう点、まあ人命尊重という観点からどうお考えになりますか。
 それと、テストドライバーというものの契約書というのは、私もまだ入手しておりませんが、このテスト走行において生命が危険にさらされて、死ぬようなことがあっても、企業側またはこのテストコースに一切文句は言いませんというような、何かわからない条文が書き込まれていると。これは労働省の基準局、また人権擁護という立場からの問題があるんですが、まだその契約書というのを入手しておりませんのではっきりしたこと言えません。そういう点も兼ねてもう一度捜査していただきたいと私は思うんですが、そういう二点についていかがでしょうか。その日産の車とのかね合い、二千CCの車に五千CCを当然搭載するということ自体の危険性、そういう点についてわかる範囲でけっこうですから、お答え願いたいと思います。
#161
○政府委員(内海倫君) ただいまいろいろお話がございましたが、そういうことも当然調べに当たっておる者としましては検討の中に入れて、現在取り調べを行なっておるところでございます。先ほど申しましたように、慎重な取り調べを経て結論が導かれるものと、かように考えております。したがって、現在それが一方どうであるかというふうなことを申し上げる私材料も持っておりませんし、また申し上げる場合でもなかろうと思います。
 それから二番目の御質問の問題は、そのことだけに局限して申し上げるならば、そういうふうな事実は、現在の取り調べ、あるいは車両を調べた範囲からは、事実はございません。
#162
○説明員(田中芳秋君) 御指摘の点につきましては、現在警察で捜査中のことでもございます。何かそれに影響を与えるようなことを申し上げるのもどうかと存ずるわけでございます。したがいまして、ここでは最後の御指摘のありました契約の条件の問題でございますが、先ほど御指摘のありましたように、たとえこれにどういうことがありましても文句を言いませんというような、そういう何と申しますか、一方的と申しますか、そういう条項はないように私どもは聞いております。
#163
○委員長(内藤誉三郎君) きょうはこの程度にして、これにて散会いたします。
   午後二時三十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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