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#1
第061回国会 地方行政委員会 第16号
昭和四十四年六月十日(火曜日)
   午前十一時二十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         内藤誉三郎君
    理 事
                熊谷太三郎君
                吉武 恵市君
                山本伊三郎君
                原田  立君
    委 員
                小林 国司君
                小林 武治君
                鈴木 省吾君
                船田  譲君
                増田  盛君
                安田 隆明君
                山崎 竜男君
                若林 正武君
                竹田 四郎君
                千葉千代世君
                松澤 兼人君
                和田 静夫君
                阿部 憲一君
                山田  勇君
   国務大臣
       自 治 大 臣  野田 武夫君
   政府委員
       自治省行政局長  長野 士郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
   説明員
       自治大臣官房参
       事官      佐々木喜久治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○都道府県合併特例法案(内閣提出)
○地方行政の改革に関する調査
 (都市交通職員の給与問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 都道府県合併特例法案を議題といたします。
 本案は、前回に提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより補足説明を聴取いたします。長野行政局長。
#3
○政府委員(長野士郎君) お手元にお配りいたしました「都道府県合併特例法案関係資料」の要綱によりまして、御説明を簡単に申し上げたいと思います。
 まず、総則に関する部分でございますが、大臣の提案理由説明にもございましたように、この法律の目的を規定をいたしております。この法律は、府県の合併が広域にわたる行政のまあ合理的かつ効果的な処理が行なえるということと、広域の地方団体としての府県のいわゆる自治能力の充実強化ということを、合併がそういうことに資するものであることにかんがみまして、府県の合併に関するところの関係法律につきまして特例を定めることを中心といたしまして、その他所要の特別な措置を定めるということによりまして、府県の合併が自主的に行なわれるということを容易にしよう、こういうことでございます。そして、効率的な行政の確保、住民福祉の増進という地方自治の本来の目的をよりよく達成するようにしやすくしようという目的を考えておるわけでございます。
 その次には、この特例法で考えておりますところの合併の基本でございますが、府県の合併には、やはり自治団体としての合併でございますから、自然的、社会的、経済的に一体性のある区域、あるいはまた将来一体性のある区域として発展する可能性のある区域、可能性の強い区域であって、そして広域行政を合理的かつ効果的に処理することができる、なお、そのほかに、地方制度調査会の答申の趣旨等もございまして、府県間の地域格差の是正に寄与するということができるように配慮する、こういう合併の基本的な考え方を規定をいたしております。
 第三番目は定義でございまして、この合併の場合は、県を単位にして、二つ以上の県が合併するということでございまして、県の区域の一部をさいてどこへ持っていくというようなことは考えていない、こういうことでございます。それから「合併都道府県」というのは、新しい新合併県のことを申しておる法律上の用語の説明でございまして、「合併関係都道府県」といいますのは、合併をしようとする関係府県というものである、こういうことを規定しております。
 それから第二に、府県の合併の手続に関する事項でございまして、これがこの法律の場合、一つの中心の特例手続でもございますが、府県の合併手続は、現在は法律によりまして、個々の合併については法律で定めるということになっております。それにつきまして、そういう地方自治法の六条の規定のほかに、合併関係都道府県が議会の議決を経て内閣総理大臣に申請し、内閣総理大臣が国会の議決を経てこれを定める、こういう手続を新たに自主的な合併の方法として認めようということでございます。ただ、その場合の府県の議会の議決が、過半数ではございますけれども三分の二以上の賛成ということにならない場合には、その県につきましては住民投票に付しまして、その投票において過半数の同意を得たときに申請ができる、こういうことにいたしておるのでございます。そのまた申請につきましては、関係の府県が協議して定めました合併後の計画なりあるいは名称なり、そういうものの規定をいたしました合併計画を添付するものだということにしております。
 第三に、合併に伴う特例といたしまして、国会議員の選挙区等に関しましては、公職選挙法の関係規定が改正されますまでの間は、従前の例による、動かさないという考え方でございます。
 第二番目には、合併府県の議員の取り扱いの問題でございまして、一つは、原則といたしましては、合併が行なわれました場合には、議員なり長なりは当然にあらためて選挙を行なうということを規定しております。それからその二でございますけれども、議員の選挙を行ないます場合には、その協議によりまして、次の一任期間中は従来の関係府県の議会の議員の定数の合計数をもって定数とすることができるという特例を認めております。その次に、議員につきまして、選挙を行ないませんで引き続いて任期を続けることができる。これも協議によりまして引き続き在任することができるということにいたしておりますが、この場合も、したがいまして関係の議員の定数の合計数をもって、新しい、その引き続いております間の定員にするということにいたしておりますが、その定員の引き続きぐあいというものは、合併関係府県の議員の残任期間の一番長いものに合わせるというやり方と、合併が行なわれた日から起算をいたしまして二年以内で、関係府県の協議で定めた期間だけ引き続く、こういうのと、まあ両方のやり方ができるということにいたしております。
 第三番目には、職員の身分取り扱いでございまして、合併府県につきましては、協議によりまして引き続き新しい府県の職員としての身分を保有するように措置しなければならない、こういうことを書いております。
 第四番目は、都道府県の区域をその区域等とする法人がたくさんございます。法令の規定に基づくものがたくさんあるわけでございますが、そういうものについては、政令の定める手続によりまして、それぞれの区域またはその地区としては同一性をもって、合併が行なわれましても存続するんだということの法律の裏打ちをいたしておきたい。
 第五番目には、交付税の額の算定の特例でございまして、合併をすることによりまして算定をいたします場合にも、合併の行なわれました日の属する年度及びこれに続く五年間に限りましては、臨時に合併により増加する行政経費というものを基礎として財政一需要の計算を行なうということと、それから第二番目には、合併府県におきましてそういう計算をいたしましても、その交付税の額が合併しなかった場合と比較をいたしまして、その合併しなかった場合の額の合算額に満たないときには、交付税の交付すべき新しい県に対する額は、その多いほうの額、つまり合併しなかった場合の合計額として交付するということでございます。それから三番目には、そういう合併の日の属する年度及びこれに続く五年間経過した後におきまして、交付税の交付額が急激に減少することを避けますためのいわゆる緩和措置というものを考えているということでございます。
 六番目の地方道路譲与税につきましても、交付税と同様の関係がございますので、合併によって減少することのないように、合併の行なわれた日の属する年度及びこれに続く五年間に限りましては、その比較をいたしまして合併県に対しまして計算が少ないということになります場合には、従来の合算額をもって額とする、こういうことにいたしております。なお、これに関しましては激減緩和の措置も同じようにとることにいたしております。
 七番目は、義務教育費の国庫負担額の算定の特例、これも同様でございまして、同じような考え方で激減緩和をする。それから合併の行なわれた日の属する年度とそれに続く五年間に限りましては従来の額を保障する、こういうことでございます。
 八番目は、公共事業費等にかかわる国の財政措置の特例、これも同様でございまして、合併によって不利益になることのありませんように、合併の行なわれた日の属する年度及びこれに続く五年間に限りまして、不利益にならないように保障したいという考え方でございます。
 第四番目には、合併府県に対する国等の協力に関する事項でございますが、補助金の交付等につきましては、国は、合併都道府県の計画的な建設を促進するために特別な配慮をするということでございます。
 二番目には、地方債についても同様でございます。
 三番目には、公共企業体等も同様な関係でございますので、合併都道府県の建設に対応してそういう業務を行なうことが適当と認めるものにつきましては協力をするという規定を置くことにいたしております。
 第五は雑則でございまして、これは、合併府県につきましては、各種の法令上の、教育委員会あるいは人事委員会、公安委員会等の委員会がございますが、これが合併に伴いまして存続についての取り扱いを特に定める、つまり新しい委員が選任されますまでの間は互選によってその委員会の存続をはかる、こういうことを考えております。海区漁業調整委員会は引き続き存続するということにいたしております。
 それからその次には、国の地方出先機関の所管区域でございます。この区域の数府県を単位としておるものにつきましては、すみやかにそれについて必要な対応する措置を講ずることとするということでございます。
 それから公共的団体につきましては、同じようにこれの整備をはかるようにつとめる、こういうことにいたしております。
 最後に施行期日でございますが、公布の日から施行いたしまして、施行の日から起算して十年を経過したときに効力を失う、十年間の時限法ということにいたしております。
 以上でございます。
#4
○委員長(内藤誉三郎君) これより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#5
○松澤兼人君 第一に大臣にお尋ねしたいのでありますが、この法案の提案に至ります経緯あるいは背景ということについてお教え願いたいと思うわけです。すでに数回にわたって衆議院に提案されておりますが、いずれもあるいは審議未了、廃案等の結果によって参議院のほうに回ってこなかった、そういう点があるわけでありますが、立案あるいは法案提案に至りますまでの経緯というものをまず第一にお伺いしたい。
#6
○国務大臣(野田武夫君) この法案は、いまお話しのように多年その取り扱い、また国会における審議の経過を経ておりますが、やはり今日の地方行政から考えまして、いわゆる経済的、社会的な推移、自然的ないろいろの条件から考えまして、どうしても広域行政の必要の度が増していると、こう考えております。したがって、そういう基礎に立ちまして広域行政を推進する意味におきましては、やはり自主的な立場から府県合併ができるような道を開く、これに特例を設けたほうがよろしい、こういう考えで、また新たに提案した次第でございます。
#7
○松澤兼人君 いま大臣がお答えになりました点は、法案提出の趣旨だと思います。立案に至ります過程、突如として自治省においてこういうものがいいとお考えになって立案、検討されたものではないと思います。私はそれを聞きたい。
#8
○政府委員(長野士郎君) この府県合併に関しましては、戦後におきまして府県の性格が自治体ということに切りかえられてきたわけでございますが、その後におきまして、例のシャウプ勧告に基づくところの行政事務の再配分に関する勧告というのがございまして、地方行政調査委員会議においても行政事務の再配分に関する勧告を昭和二十六年に行なっております。そういう場合にも、すでに現在の府県の区域というものは狭隘に過ぎるので、開発行政なり新しい広域行政というものを十分に行ないますためにはむしろ自主的に合併を進めていくべきだという考え方が行政事務の再配分に関する第二次勧告においてすでにあらわれておりますが、それが昭和二十六年でございます。それからその後におきまして、臨時行政調査会でございますとか、あるいは地方制度調査会におきましても、広域行政に対する取り組みの問題というもので、各方面でそういう検討が行なわれ、そういう御意見があったわけでございますが、地方制度調査会といたしましては、第十次の地方制度調査会におきまして、府県合併に関する答申が行なわれておりますけれども、その前にいわゆる「地方」制に関する答申でございますとか、あるいはこれに対応いたしまして、三、四府県の合併というような考え方でありますとか、いろいろな過程を経まして、第十次の地方制度調査会におきまして、自主的な府県合併の道を開くということが適当であるという考え方が打ち出されてまいっております。
 そういう長い戦後の地方制度におきますところのいろいろな改革なり検討なりという問題の中に、必ず府県の区域の再編成という問題が出てまいっておりまして、そういう意味では長い沿革がある問題でございますが、それを違えて申しますのは――当初は全国的にある意味で画一的と申しますか、そういうかっこうで再編成をするという議論がいずれにしても強かったわけでございますが、それにつきましては自主的な合併から行なっていくほうがいいのではないかというようなことで、自主的な合併の手続きを整理をするというかっこうで持っていくのが最も現実に即するのではないかという考え方が出てまいりまして、昭和四十年九月の答申でございますが、そういう答申に基づきましてこの法案が立案された、こういう経緯でございます。
#9
○松澤兼人君 地方制度調査会におきまして、新たに府県制なりあるいは市町村制度、そういうものの全般的な改革というものは、いま局長がお話しになりましたように、絶えずと言っていいくらいいろいろ検討されてきたと思うのでありますが、この法案が合併という基礎の上に立った地方制度の改革、あるいは広域行政に対応する新たな制度として合併という形をとったと思うのでありますけれども、その前に、同じく地方制度調査会におきまして、先ほど局長が言われましたように、「地方」制度というものが答申になったこともあります。また、同じく地方公共団体の連合制度というものを考えたことがあると思うのであります。これらの団体連合なりあるいは「地方」制の問題は、答申がありましたけれども、自治省としては成案を得るに至らなかったのか、あるいは答申に対して自治省自身が反対的な見解を持っていて採用しなかったのか、その辺のところはわれわれよくわからないのでありますが、第一に連合制でいけないという、あるいは連合制を採用しなかったという点は、どういうことになるのですか。
#10
○政府委員(長野士郎君) 地方公共団体の連合という答申も確かにございました。この場合には、むしろ連合というのは府県の場合にもそういうことが考えられるわけでございますが、同時に市町村につきましても、地域的な連関が非常に強い事態を合併という方法で考えるか、共同処理方式として連合という方法で考えるかというのでいろいろ御意見がありまして、そういう連合という答申もいただいておるのであります。で、これにつきましては、現在地方自治法の中にも、共同処理方式としては、組合でありますとか、協議会でありますとか、事務委託でありますとか、いろいろな方式があるわけでございます。あるいはまた開発事業団のような方式もございます。連合というのは、カナダのトロント等におきますところの連合方式等にも非常に影響を受けて、そういう研究をいたしておるわけでございますが、制度化いたしますには、なかなか技術的に研究、検討を要する問題が非常に多うございまして、なお今後も検討してまいりたいというふうに考えております。
 で、連合はそういう意味で、県や市町村を通ずる共同方式として考えていくという問題でございますが、府県の合併は、合併自体というより、今度の特例法の基礎になりました答申は、府県の合併を府県が自主的に発案をし、府県のイニシアチブによって合併が進められる、こういう一つの考え方を制度化していくことが適当ではないかという考え方でございます。そういう点につきましての考え方に沿いまして、法案としてまとめられて提出をしておるというかっこうでございます。連合については、県市町村を通ずる問題でございますが、今後とも検討いたしまして、成案を得たいと思っております。
#11
○松澤兼人君 連合は、現在の地方制度というものを改革していく手段あるいは方法としては不適当であるとお考えのようですが、そうではない、府県の場合は困る、しかし市町村の場合ならば連合でよろしい、そういうふうに分けてお考えですか、その辺のところを……。
#12
○政府委員(長野士郎君) 連合は、府県の場合にももちろん適用のできる考え方として、地方制度調査会では御議論をいただいたと思います。しかしいずれかといえば市町村というものに重点を置かれた当時の考え方があったように思います。しかし連合が府県の場合に不適当だという結論を持っておるわけではございません。それにつきましては、確かに府県間の結びつきの度合いというものによりまして、統合といいますか、合併という方式がより適切な場合と、あるいはもっと結びつきの弱い場合、一定の仕事に対して地方団体の間でひとつの提携していくという意味での連合体制というものをとっていくという必要ももちろん考えられるところでございまして、制度化のためになおもう少し検討いたしたいと、こういうことでございます。
#13
○松澤兼人君 この答申によりますと、「地方公共団体の連合」「社会経済、文化の発展に伴い、都道府県又は市町村の区域」と書いてありますが、明らかに市町村偏重ということではないと思う。この点は、地方制度調査会の答申は並列的であって市町村に重点を置いて、市町村のほうをやりなさい、道府県のほうはあとでもよいというふうには読めないのです。この点は答申をそのまま理解してよろしいかと思うのです。その点はどうですか。
 それから共同処理方式というものは、現行の法令に基づくものでは十分でないので、「新たに地方公共団体の共同処理方式の一つとして、特別地方公共団体たる地方公共団体の連合の制度を設けることが適当である」、これは府県の場合に適当でない、市町村の場合には適当であるというふうには読めない。この点はいかがですか。
#14
○政府委員(長野士郎君) いま御指摘のとおりでございまして、地方制度調査会の答申にはそのように答申されております。私どもこの発想の過程を多少申し上げ過ぎたきらいがあります。その点は答申の表現とは多少異なるところがありますので、訂正させていただかなければならないと思いますが、もちろんおっしゃいますように、地方制度調査会の答申では、府県、市町村を通じた共同処理方式の新しい方式を考えていくべきだということになっております。現在共同処理方式は、先ほど申し上げましたようにたくさんあるわけでございますが、いずれも特定の業務についての共同処理ということになっております。まあ地方団体の連合というのは、ある程度団体相互においてある幅の仕事というより、むしろ包括的に一つの連合システムを考えていくという考え方をとるべきものだろうと思うわけでございますが、その点については現在もなお検討中であるということでお答えとさしていただきたいと思います。
#15
○松澤兼人君 先ほどおあげになりました臨時行政調査会の答申の中では、簡単に言いますと、「合併方式には、最初からその適用事例と効果に限界があるものといわざるを得ない。」と、これはほかにいろいろのことを言っておりますから、こればかり取り上げて私の意見を申し上げることは控えさしていただきますけれども、最初からその適用事例と効果に限界があるものと言わざるを得ないと、こういうふうに断定して、続いて連合方式につきましては、国との協力関係というものが多少連合方式では不十分なところがあるけれども、しかし連合方式は合併よりも、とは書いてないけれども、「連合方式は特に評価さるべきものといえよう。」、こういうふうに書いてあります。この臨時行政調査会の意見は、合併に対してはいろいろと批判的であって、むしろこの際連合制度を推進していくことが必要である、もちろんそれは国との協力関係が確保されるという条件がついておりますが、もし国との協力が確保される仕組みであれば、連合方式は広域的制度として考えられるというふうに書いてありますけれども、この意味は、行政局長としてはどのように評価されておりますか。
#16
○政府委員(長野士郎君) 臨時行政調査会におきますところの広域行政体制へのいわゆるアプローチのしかたと申しますか、それはいわゆる中間の仮説のときに出ておりましたような地方庁方式といいますか、地方開発というものを中心にいたしまして、いわゆるブロック単位と考えられるような地域に地方庁という総合行政庁をつくっていくというような考え方が出されておるようなかっこうもございまして、ある意味で、何と申しますか、全国的に斉一な一つの行政体制、広域行政体制を主として国のサイドから整えていくという考え方がその背後には出ておるように思われます。そういうことからいたしまして、地方団体と国との関連という観点を十分踏まえながら、広域行政というものをどういうふうにやっていくかという問題としてとらまえているように私どもは受け取っておるわけでございます。そういうことになりますと、すべての地方団体に、合併をして再編成をするということはなかなか期待することも困難だし、限界もある。したがって、それを共同処理といいますか、連合方式といいますか、そういう形で国との結びつきを考えていくことならば、ある程度均一に考えていけるのではないかというお考えも、その基礎にはおありであろうと思うのでございますが、この府県合併につきましては、そういう点からいいますと、自主的な合併を進めていこうという考え方でございますから、その点では合併の条件の整ったところが合併をしていくということでございまして、必ずしも全国的に斉一な整い方がすぐできるというわけではございません。その点ではそういう意味で合併というものの効果に、広域行政体制というものを斉一に整えるという観点からいけば、限界があるという御指摘が出ておるようにもうかがえますし、その限りにおいてはそれはそのとおりであろうと思うのでございます。その点では、連合方式といいますか、共同処理方式であれば、相当斉一な形で整えていって、国との関係の協力を確保される限りは相当評価していい、こういうお考えがあるのじゃないだろうか、その限りではその考えも一つの考えだろうと思います。
#17
○松澤兼人君 自主的ということばを非常に強調されております。また、法案の中にもそういう意味のことが出ておりますけれども、自主的な合併ということが一体どういうことを意味するかということはなかなかむずかしい問題だと思います。これは後に触れると思いますけれども、今回の阪奈和の合併であるとか、あるいは東海三県の合併であるとか言われている現在の合併促進の経過から考えてみると、住民の側から自主的にそういう要望が上がってきているとは思われないのであります。むしろ自主的ということからいえば、市町村連合のような形の在来の制度といいますか、あるいは市町村という機構を温存しておきながらできる限り広い広域的な行政、共同事務を処理していくという形のほうがむしろ自主的と言えるのじゃないか、こう思いますけれども、その自主的という意味をこの法律の中で使われておりますが、その真実の意味というものはどういうところにあるのですか。
#18
○政府委員(長野士郎君) 現在の府県の合併の方式におきましては、私から申し上げるまでもなく、大臣の提案理由説明にもございましたように、地方自治法の第六条という規定が、合併の一つの手続を規定をしているわけでございますが、この地方自治法の第六条によりますと、これは府県の廃置分合は法律でこれを定めるのだということになっておりまして、もちろんそういう意味では国が府県の合併というものにイニシアチブをとるという形というふうに考えられるわけであります。特例法におきましては、その点を、市町村が合併しますときの規定が地方自治法の第七条に、そのお隣の条文の第七条にあるわけでございますが、その第七条におきましては、関係の市町村が申請をいたしまして、都道府県知事が議会の議決を経て定める、こういうことになっているわけでございまして、そういう意味で、市町村の合併は、関係市町村の間でその意見が起こりまして、そうしてイニシアチブをとって手続を進めていく、こういうことになっておる点を第一に着目をいたしまして、自主的に行なわれる、行なわれないという考え方を法律でも強くとっておると思います。それから、そういうことの手続的な面と同時に、実体に関しましても、国がイニシアチブをとって行なうということになりますというと、多少国の強い影響力というものを前提にいたすという考え方になりますが、それを関係府県の議会の意思その他によりまして手続を進めていくということの手続上の問題は、同時にまた実体としても、府県の住民あるいは議会というようなところの意向によりましてその問題が進められるという実体をも踏まえたことになる。こういう意味で、形式、実体ともに自主的であるということと、自主的でないというか、他律的であるといいますか、そういう問題との差が出てくるということを考えまして、自主的ということを法律としても規定をするということにするほうが適当だと考えたわけでございます。
#19
○松澤兼人君 この法律は促進法ではありませんし、ただ合併をしたいという府県があるならば、民主的な手続を経て自主的にきめてきなさい、きめてきた場合にはこういう財政上の援助なり、国の便宜をはかってやりましょうということであって、法律は法律、そちらはそちらというふうに形式的には考えられるわけでありますが、しかし自治省がこの法案を出すということであれば、やはりそういうことは望ましいことであり、いわゆる行政指導等を通じまして、そういう方向に関係府県を指導していくということは全然ありません、法律だけつくればいいというものではない。しかも、これは十年間の期限づきの法律でありますから、十年の間に一つも合併が行なわれないといえば、十年たってこの法律は消滅してしまう。単に法律をつくりさえすればいいというものではなく、自治省はそういう方向を望んでいるわけでありますから、やはりそういう方向に行政指導が行なわれるであろうということはわれわれとして当然予想されるわけです。その行政指導が無理を伴うような場合には、またいろいろと反感なり反対なりというものを生んでくると思います。じわじわとありとあらゆる自治省の硬軟両様の行政指導をやられると、どうしてもそうならざるを得ないということになるので、やはり自治省としては十年のうちに阪奈和をやるか、東海をやるか、あるいは二つともやるかしりませんけれども、あるいは問題になっておりますところは広島あるいは島根というものも多少問題になっているようであります。何かやらなければ、やっぱりこの法律をつくった意義というものはないわけであります。そういう点についてお答えをいただきたいと思います。
#20
○国務大臣(野田武夫君) いま質疑応答の中に出ましたが、臨調の答申あるいは地方制度調査会の答申、基本的には現在の経済、社会その他の変動に伴うて広域行政というものに対してみんな大きな関心を持って、それができれば行政の効率化、あるいは行政水準の向上とかいう観点から立ちましても、一応の定論があると思っております。それはいま松澤さんのお話のとおり、合併でいくか、連合体制でいくか、これは私もやはりいろいろ御意見はあると思います。しかし、帰するところは、どうしても広域行政というものが現時点において、いわゆる最も行政の効率化あるいは開発事業の推進におきましても必要性を認める。そこでいまのお話でございますが、十年間のうちにこの法律は自主的にやれと書いてあるから、できない場合は相当強い勧奨をするのかという御意見でございますが、私は、いまおあげになりました阪奈和とか、東海とか、広島、島根というものを目標としてこの法案が出たんではない。これはもういまあげられました三地点は前からいろいろそういう意見もございますが、全国的な視野から見ますと、私は各府県にこういうものの必要性を認めるという意見があると思っております。しかし、これはなかなか従来七十年も八十年も持った、何といいますか、いままでの惰性によって、やはりおれは何の県だというような考え方がなかなか住民には抜け切れない、これもわかります。そこでまずこれらのことを考えまして、私はどの府県が最初この問題を具体的に盛り上げてくるかわかりませんが、やはりこういう法案が出まして、これが御審議の結果成立いたしますとすれば、相当府県のいろいろ執行部とかあるいは議会関係または一般の住民の方に関心が出てくると思っております。これは私は世論というものがどう出てくるか、これは期待する。ただ広域行政が必要と言いながら、また逆に言うと、自治省は何も手を打たぬじゃないか、相当市町村は合併論も前からやっておりますが、このままでいいのかという逆の議論も意見も出てくる。その場合に、やはりこういう府県の合併という一つの方式というものは、私はまず地方自治団体に提供して、十分これに対する検討をしてもらうということも一つの必要ではないか。しかし、これはいまお答えいたしておりますとおり、つまり中央からしてこの県とこの県は一緒になるべしと、これは何といっても地方行政の根本から申しまして誤りでありまして、どうしてもやはり自主的にこれは意見が出てこなければならない。そこでこの法案のねらいは、そういう場合には府県合併の特例を設けておくということでございまして、私はやはり現在の時点におきましてみな必要とは考えながら、これがそういう具体化に対する基本的な動きとか意見というものがあらわれてこない。そういう意味におきまして、この各方面にやはりそういう意見があるのをもっと一歩前進するように期待したい。こういうことでございますから、ただ、十年間でこの法律ができたのに何も出てこないのは、出した自治省の面目にかかわるから強引に何か勧奨しようとか、あるいは指導しようという、これは私はやはり間違っておる。しかし、やはり広域行政に対する全国民の関心を持ってもらうということには相当の意義があると、こう思っております。
#21
○松澤兼人君 どうもはっきりしませんけれども、あまり強引に行政指導をやらない、地元から盛り上がってくる動きを期待するというお話だろうと思うのでございまして、それは一応理解いたします。大臣が広域化というふうに言われますと、どうしても行政の広域化ということが必要であるということは、私どもまたそれに反対するものではないのです。広域行政方式というものは、私がちょっとあげてみましても、相当たくさんあるように思うんですけれども、その利害得失というものはいずれまた御意見を承らなければならぬと思っておりますが、府県合併だけが特に先に飛び出してきて、この特例法をつくって、それで自治省は地元の盛り上がりを期待する、あるいは必要があれば行政指導もするということでありますが、たくさんの広域行政方式というものの中で、なぜ府県合併だけが大きく取り上げられなければならなかったか。しかもこれはいまに始まった問題ではなく、四十一年あたりから法案の形をとって、そうしてたび重なる国会提案があったわけであります。ちょっと私の記憶しているところでも、最初永山大臣が提案理由の説明をし、その後塩見君、それから藤枝君、赤澤君と、それで現在の野田大臣に至っているわけであります。大臣がそれだけかわって、しかも前の法案とほとんど変わりのない法案を出しているということは、何か自治省がこの合併特例法に執念を持っているんじゃないかという感じがするのですが、次官も、その時分奥野君だったと思いますが、その後金丸君ですか、それからいまの柴田君というふうにかわっております。それこそ社会経済の急激な変転があるにもかかわらず、旧態依然たるこの合併法案というものに執着されているという気持ちがどうもよくわからない。端的に申しますならば、こういうふうにたび重なる衆議院におきまして審議未了、あるいは廃案となったということは、やはり衆議院側にも何かそれに対する異なる意見というものがあって、廃案あるいは継続審査にしたものと考えられます。それはそれなりに、やはり一つの国民の意思表示だと思うのです。それが相も変わらず昔の着物のままここにあらわれてくる。今度は衆議院先議じゃなくて参議院先議の形をとられる。従来ならば衆議院先議にしてやってこられたのに、なぜ今回突如として参議院先議に変えられたのか。その辺のこともよくわからない。だから、その執着ということと、あるいは参議院先議をどうしてやられたのか、その辺のところをひとつ承りたいと思います。
#22
○国務大臣(野田武夫君) お話のとおり、ずいぶん、四十一年から取り扱った法案でございまして、御指摘のとおり、だいぶ大臣もかわりました。非常に自治省が執念を持って、面目、メンツ上やっているのじゃないか――まあ広域行政の必要性は、私は四十一年以来ますます増大してきていると思っております。この府県合併の特例法に非常に執着しているという、もちろんこの経過から見ますと、そういう御意見が出ても、そういうように感じられますけれども、これは実は衆議院段階では相当論議がかわされております。結局時間的な意味で、時間切れになってこれは廃案になっておりますが、今回参議院先議にいたしましたのは、一応衆議院の論議は相当尽くされているとは申しませんが、かわされておりますし、まあ一応参議院のほうに先議して御審議を願ったらいいんじゃないか、別に何にも他意はございません。また、これが何か因縁がついているのじゃないか、何か特別の意図があるのではないかというような何か感じを持っておられるようでございますが、率直に言いまして、これはもちろん前の大臣もそのとおりと信じておりますが、私もこれを提案して御審議を願ったのは、いわゆる率直な、何も特別の意思を持っておりません。まあ広域行政の一方式といいますか、これも御意見がありますが、幾つかの方式もある、それはそのとおりだと思っております。しかし、そのうちのやはり一つの方式だと、こういう形態の共同処理方式といいますか、はやはり必要ではないか。そこで、こういう府県合併の特例の道を開くということは、この時代に即応する一つの自治行政のあり方として必要ではないか、こう感じまして、私も今度提案して御審議を仰いでいるような次第でございまして、特別メンツとか、あるいは特別の意図を持っているということは、私は毛頭ありませんので、この点だけはぜひひとつ御了承を願いたいと思っております。
#23
○松澤兼人君 以前は通常、社会、経済、文化の発展に伴いというようなことばで、地方制度の改革が必要であろうということを各調査会なり、あるいは審議会等においては使われておったと思うのでありますが、最近になりましてから、社会経済情勢の急激な変化というように、急激な変化ということが非常に大きくクローズアップされまして、地方制度調査会などにおきましても、やはり社会経済情勢の急激な変化に対応する地方制度のあり方というものが諮問されているわけであります。そういうところにおきまして、今後あるいは東京都区の問題、あるいは東京首都圏の問題であるとか、あるいは市町村の間におきましては広域市町村圏というようなものがいろいろと論議されているときに、これだけ先走ってしまうということはどうかと、全体の制度改革ということから考えてみて、みな足並みをそろえると申しますか、府県の間で合併がただ一つの妥当な方法であるということであるならば、それでもよろしい。しかし、それならば都区の関係はどうなるのか、あるいは首都圏構想というものがどうなるのか、その辺のところも並行的にといいますか、あるいは総合的に判断されて、全体としてはどういうように近い将来改革するのだと、その一つのステップとして、府県はこういうように数府県の合併を推進していくんだということであればわかります。ほかのほうは海のものとも山のものとも全然わからないのに――たとえて言ってみると、阪奈和であるとか、あるいは東海であるとか、まあ広島、島根というところまではなかなかいかないと思いますが、そういうことを大きく取り上げて自治省がその道を開いてやるということならわかる。もしやるならば、全体の制度改革の中において、まあ答申なり意見なりが出そろったところで、その一環として府県合併をそのワンステップとしてひとつ推進していこうじゃないかと、あるいは、自主的な合併をするならば国は財政上こういう便宜をはかってやろうということであれば、よくわかるわけであります。全体の地方制度の改革というものが近い将来にどういうふうになるか、あるいはどういうふうになってもらいたいと期待されるのか、その辺のところをひとつ御意見を伺いたいと思います。
#24
○国務大臣(野田武夫君) 私はいまのお話を承っておりまして、基本的にはそのとおりだと思っております。これはもう全体の地方制度を考えていく、これはもちろん考えております。また現在も地方制度調査会に、大都市問題とか広域市町村圏問題などを検討していただいておるわけであります。しかしまあ常識的と申しますか、たとえば首都圏とか近畿圏とかその他ございますが、これらの問題の解決、まあ一つの具体的な考え方というものは、幾多の意見も出ておるのでございますが、なかなか多岐複雑でございまして、早急にこれが妥当な案というものも望めない、と言うと少しことばが過ぎますが、相当時間的な問題もございますし、われわれはやはりこれは検討すべき大きな課題だと思っております。同時に、いろんなその制度改革を想定いたしましても、やはり現在の地方制度の府県というものは、これは何といってもこの問題に手をまず触れる必要がある。そこで総合的な制度の検討という一環として、やはりどうしてもこのいまお認めになっております、私どももそう考えております広域行政という立場からまいりますと、その一環として、これはその府県合併ができたから完全なんだということは全然思っておりませんが、しかしその制度改革の一環としては当然これはあらわれてくる問題ではないか、したがって、それに矛盾するものでなくて、むしろこういうものを基盤として私はいろんな制度改革というものが具現するのじゃないか、こう思っております。御意見というものは私は十分尊重すべき御意見でございまして、これはもう一ぺんに総合的な制度改革ができればこれ以上望ましいことはございませんが、事実問題としてなかなかこれが困難であると、それならば、繰り返して申しますが、その基本の一環である府県の合併というものにぜひひとつ手をつける、そしてその道を開いておくと、こういう考えを持っております。
#25
○松澤兼人君 先ほど私首都圏と申しましたが、どうもちょっとことばがこのごろたいへんややこしくなりまして、一々注釈がつかないと、ケン域と言っても、首都圏域ということばがあるし、あるいはまたは埼玉県の区域ということもありますし、先ほど私が申しましたのは首都圏庁といいますそういう意味の首都圏のことを言ったんで、行政の制度あるいは組織としての東京都、それから千葉県あるいは埼玉県といった近県と、何といいますか、合併するのか。あるいは新しい圏庁というものをつくるために、都も近県の特定の県も解消してしまって、それで新しい圏庁、圏行政――これは囲いのある圏ですけれども、圏行政をつくるということも一方では考えられているのです。その首都を中心とする新しい行政機構というものはどうあるべきかということが検討されている。それは合併であるのか、あるいは新行政機構をつくり出すのか、その辺のところがまだはっきりわかっていないでしょう。ですから、一方では、こっちは合併すると。一方では、東京の場合、都県を解消して新しい行政機構をつくるのか。その辺のところがはっきりわかっていない。それからもう一つ、今度逆に言うと、東京都を中心とする近県が首都圏庁というものをかりにつくるとすると、そうすると大阪のほうも、中部圏庁というものをつくり得るところの何というのですか、行政上の内容、そういうものがあるのではないか。そういう点考えてみると、片方のほうで首都圏庁というものができるならば、大阪のほうも大阪圏庁という、近県を一緒にして前の府県を解消してということもこれは理論上成り立ち得る一つの構想だと思います。で私はどちらがいいかということを議論しているのじゃなくて、そういう構想もあるときに、片方では首都圏庁というものができる。これは都及び近県の区域を合体しての首都圏庁というものができる。大阪はやはり旧制度によるところの合併をしましても、旧制度によるところの大大阪県、和歌山と奈良を入れた、大阪も入った大大阪県というものをつくって、それで住民は納得するかと。ですから、スタートにみんな一緒に並んで、それからこういうルールでゴールまで飛びなさいと、走っていきなさいというのならわかりますけれども、一方では、首都圏庁という構想がもし熟してきたとするならば、その影響がやはり大阪圏庁という構想で熟してくるのではないか。だから、全体の構想というものができないうちにその府県の合併だけを先に進めるということはどうでしょうかということを申し上げているのです。
#26
○国務大臣(野田武夫君) いまの御指摘になったような意見もあります。ただ、今日の場合、政府といたしましては、首都圏庁というものの構想というような、何といいますかこれは決して道州制とはまた違うのでございますが、首都圏庁をつくって、いままでのやはり府県はそのままで、ただその上に一つ行政機構を乗っけると。それからみんなばらばらにして――ばらばらと言うとおかしいが、みんな一緒になって、一つの大きな首都圏庁というか、それをつくる。まあこういう、ほかにもいろいろありましょうが、いまのところ私どもは、やはりいまの県をそのままにして一つの首都圏という場合、あるいは近畿圏、中部圏というもので新たな行政の機関をつくるという考え方は持っていないのでございます。そういう立場からすれば、たとえばいまの首都圏の、東京都、千葉県、埼玉県その他が一緒になって一つの大きな首都圏と申しますか、そういたしますと、やはりどうしても府県合併ということが基盤になるわけでございまして、新たに、府県を置いておいて、その上に何か新たな行政機構をつくるという考え方がありますれば、この府県合併というものは非常に障害になる場合もある。これは飛び出したようでございますが、いろいろないわゆる広域行政の進め方におきまして必然的に出てくるのは、やはり府県合併というものがあらゆる場合に出てくると、こう考えますから、いろいろな案を想定いたしましても、府県合併の案というものは私はそう矛盾するものではない、こう考えております。
#27
○松澤兼人君 一つだけ。どうも私の言うことを……、私もそういう議論が学界なりあるいは政界なりにあるということだけでして、それが地方制度調査会の中でどういうふうに進展をたどっていくものか、現在の段階として断定的に申し上げるわけにはいかない。しかし、地方制度調査会の中におきましても首都制度というものが考えられておりますし、また区議会も完全自治体として取り扱うべきだという意見が出ている。そうしますと、都は現在のままでいいかという議論が出てまいります。そこで大臣は、いま地方庁あるいは道州制みたいなことをおっしゃいましたけれども、そうでなくて、やはり東京都を中心とした近県の新しい府県的な制度、そういうものも当然考えられるのではないか。そういうものを考えるならば、やはり大阪のほうもそういう形のものが、希望されるといいますか期待されるといいますか、意見の中に出てくるのではないか。一時は大阪都というような構想が出たことがありました。ですから、片方で可能な道を開いていくんだということになれば、それは直接間接、大阪のほうにも影響を与えるであろう。だから、大阪府の合併と首都構想という新しい府県制、そういうものとを同時的に解決して、こちらはこうだ、首都であるからという特別の権限なり、あるいは権能なりというものを認めていい。しかし、大阪のほうではもうどうしてもそういう、首都として特別な権限を与えた東京のようには与えることができないから、これはこの程度の権限、現状のままの権限でいきなさいというなら、それはまた地元の人は納得するだろうと思う。片方が進めば、やはり片方も進みたいというのがこれは一般の常識といいますか、じゃないかと思います。そういうことで、みんな足並みをそろえたほうがいいのじゃないか。一方では地方制度調査会の中においてそういう全般的な検討も続けられておるときであるから、府県合併だけ先に進むということは考えものではないかということを言ったわけであります。先ほど私がことばの意味で、同じケンでもいろいろのケンがあるということを申しまして、私はできるだけ用語の区別をしておるつもりでありますけれども、大臣がひょっとすると大きい囲いのある圏というふうにおとりになったかもわかりません。そこのところはひとつよく速記録をごらんになって検討していただきたいと思います。
#28
○国務大臣(野田武夫君) よくわかりました。いまのお話の首都圏とか近畿圏というと、なかなか何といいますか、構想が幾つもあるものですから、私のお答えも、あるいはそういうところに間違いがあるかもしれません。私は素直にいまの御意見は承っておきます。よくわかりました。
 そこで、かりに大阪を中心としますか、あるいはこれは私の誤解かもしれませんが、よく言われております阪奈和の合併ということは、これは実は私はあまり……、これを出す前後に聞いたことは聞いたのですが、これは私の誤解かもしれませんから、これだけお断わりして前提を置いておきますが、この合併案が阪奈和合併案のために急いでやるとか、東海地区のためにやるとか、そういうことは私は全然考えておりません。そこでたとえば大阪を中心として、ちょうどいま松澤さんが御指摘になりました、東京を中心とした首都圏、こういう場合に大阪もやはり、極端に言えば、阪奈和どころではなくて、相当大きな広域な団体が一緒になって広域行政を進めていく、これはやはり出るだろう。またそれはいいか悪いか、そのときの地域住民の判断にもよるし、また実情に照らさなければわかりませんが、したがって首都圏のほうができて、大阪を中心とする中部圏では、何といいますか、首都圏と違った権限があるとかないとか、こういうものはやはりそのときにより、その内容により、その実態によってやはり違ってくるのじゃないか。それだから特別の目的を持ってある数県の合併を慫慂するためにこの法案を出しておるという点は、そうじゃないということをよく私は御了承願いたい。
 また、つけ加えてくどいようでございますが、いまうわさになっておる府県合併につきましては、私は特別な指導もしないし、助言もする意思もございません。これは公正な意味において、ひとつその地域、地域のお考えによってきめることでございますから、これは絶対に私はそれだけはここでお約束申し上げて、私はこれに対して指導するなんて毛頭考えておらぬということを特につけ加えて申し上げておきます。
#29
○委員長(内藤誉三郎君) 暫時休憩いたします。
   午後零時三十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十九分開会
#30
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 都市交通職員の給与問題に関する件を議題といたします。
 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#31
○山本伊三郎君 都道府県合併特例法を審議中でありますが、特に明日、十一日に指定全国主要都市でストライキを実はやる決定をされております。この際ひとつ自治大臣、この問題について見解を聞いておきたいと思います。
 まず自治省として、主要都市で相当交通が混乱する見通しでありますが、これに対して自治省としてはどういう対策を持っておられるか、この点まず聞いておきたいと思います。
#32
○国務大臣(野田武夫君) 全国主要都市のストライキは極力避けてもらいたいと思っております。いま各主要都市に対し、組合側と折衝して、なるべく避けてもらいたいというふうなことで、折衝してもらっております。
#33
○山本伊三郎君 折衝するといっても、組合側と当局との間のいわゆる接点というものがあると思うのですね、問題点が。ストライキまで追い込んでおる現時点における問題の焦点は、どういうところにありますか。
#34
○説明員(佐々木喜久治君) 組合と当局側との間におきまして、昭和四十三年度の人事院勧告に準じます地方職員の給与改定につきましての実施をめぐっての問題が問題点となっておるわけでございます。
#35
○山本伊三郎君 その九賃が問題だということは知っておりますが、なぜ四十三年度、いわゆる九賃が実施できないという問題点がどこにあるか。財政的な問題ですけれども、具体的にどういうところが解決でき得ないか、その点をひとつ詳しく御説明願いたいと思います。
#36
○説明員(佐々木喜久治君) この内容につきましては、各都市によりまして、いろいろ事情がございます。交通事業の中で路面電車についての赤字が相当多額にのぼりますために、財源的に非常に困難だ、あるいはバス事業につきましての赤字の問題がその原因となって、一般給与改定財源というものが相当ひねり出すのに苦労しておるというような団体もございます。その内容につきましてはいろいろあるわけでございます。
#37
○山本伊三郎君 それは六大都市を含めて札幌、それから相当たくさんの都市ですが、特にその中で指定都市における問題点のあるところ、たとえば横浜、大阪、東京、そういうところについてはどういうことになっておりますか。
#38
○説明員(佐々木喜久治君) 六大都市につきましては、その分類は三つに分かれるかと思います。東京、大阪につきましては、路面電車はおおむね再建期間中の見通しを見ましても黒字でございますけれども、バス事業について赤字要因が相当大きいものがある、こういう点でございます。それから横浜、名古屋、京都、この三市につきましては、路面電車の事業の部分が大きい赤字をかかえております。バス事業は、バス事業単独で考えました場合には、現段階におきましてはおおむね黒字を維持することができるというような状態でございます。それから最後の一つが神戸でございますが、これはこの都市の実態から見て、路面電車並びにバス双方とも赤字である、こういうことになっておりまして、大体まあ三つのグループに分けられると思います。
#39
○山本伊三郎君 大体そういう点はわれわれも知っておるのですが、しからば、現在の赤字というものは、いま都市交通の実態から、そう簡単に解消するという段階でないと思いますね。自治省として何らかの手を打たなければ、独自のこれらの都市――これは指定都市だけではございません。その他の都市を含めて、解決でき得る方法というものは、自治省としてはどう考えられているか。何らその見通しはないのだ、ただ各都市にまかせ切りだということではないと思うのですね。これは大臣からでもひとつお聞きしておきたいと思います。
#40
○国務大臣(野田武夫君) それは私も山本さんの御意見と大体同様に考えております。実は内容的に調べまして、このままの状態でほったらかして、特に都市交通なんというものは、たてまえは御承知のとおり独立採算制、自分でやれ、そうして何といいますか、給与なんかもそれで考えてやれ、こういうたてまえでございますが、まあいろいろ合理化その他のことも相当やっているところもありますし、まだ足りないところもございます。ありますが、総体的にいって、このまま自主的に財政の立て直しができるかというと、私もなかなか困難だと見ております。そこで最近、そういう観点で、この際ひとつ何か基本的な対策をせなくちゃならぬということ、私は深くそういう感じをいたしております。
#41
○山本伊三郎君 私も大阪出身ですから、もうすでに戦前から大阪交通の実態をよく知っているわけです。まあそれは大阪だけでなしにほかのもいろいろ知っておりますが、相当合理化を進めておるはずです。路面電車は全部廃止してしまって、地下鉄も相当大じかけでやっておりますから、ここ十数年になりますが、やがて私は都市交通としての面目を一新すると思う。しかし、現段階において、それに携わる従業員の賃上げを犠牲にするということについては、私は政府は考えなくちゃならぬと思うのです。
 一体そういう非常に赤字が出てきたという原因は、従業員じゃないですよ。いまの日本の経済の変貌による、特に都市の経済情勢の変貌によるところのものがあると思うのですね。そういうものを考えずに、ただ単に当面都市だけの問題を解決しようということは無理だと思う。現在私は十分まだ資産関係は調べておりませんが、営業収支よりも資本収支が非常に大きいと思います。これは当然だと思うのですね。これらを政府が何かてこ入れしない限りは解決しない。いま大臣が言われましたが、抜本的な改革については、私はいろいろ案を持っておりますが、当面従業員、労働者に対する賃上げをやはりやってやらなくちゃいけない。路面電車を廃止しているところも相当ありますし、また廃止しつつありますが、そういう路面電車から出たところの赤字というものは、ある長期間やはりたな上げするとか何かによってこれを解決しなければならぬと思うのですよ。これは経営上の一つの常道としてもできると思う。それらを考えずに、その都市都市においてこれを解決しようと思っても無理です。したがってストライキをやるぐらいですから、ぼくはせっぱ詰まっておると思うのです。
 大阪交通では戦前、大正何年にもストライキがありまして、私も参加したことがあるから経験はあるのですが、その当時のストライキとはだいぶ違います。いまのやつは構造的な問題から起こってきているストライキですから、労働者の責任というよりも政府の、いわゆる経営者といいますか、当局なり政府の責任だと私は思うわけです。したがって、政府はこれを解決する力をかしてやらなくちゃいけない。したがって、私は、あしたどのくらいの大きな混乱を生ずるか知りませんが、ひとつ混乱をやらしてどうこうということでなくして、積極的に政府あるいは自治省が何らかの方法でこれに対して援助と申しますか、てこを入れてやる必要があると思うのです。その点についてどうですか。
#42
○国務大臣(野田武夫君) これは山本さんは十分何でもごらんになって御存じですからあれこれ申しませんが、基本的にはこれは経営者の責任でございます、この態勢から言えば。しかしそれは理屈であって、私はそういうのはきらいですからざっくばらんに言います。これは相当政府が手を出して何かの方法を考えなければ、責任論であるとか、いま言う法律論、独立採算制というのは、これはたてまえはそうですが、それだけでいかぬところに、そこに今日のいろいろのストライキということも出てくるのですから、政府が無関心どころじゃなくて、何かの措置を考えなければいかぬという段階にきております。いまの仰せの大阪の路面電車がしょっておった借金をこのまま肩がわりする、それじゃたな上げしたらいいのだというような、私はそうするとは――私の申すことはそれは政府全体のことですから、そうは言えませんが、まあいろいろな案が出てくると思います。それで積極的にひとついろいろな善意な御注意を願いたい。これは希望です。これはまじめです。
 たとえば、私は都市交通に対してあまり知識がないときでございましたが、四十四年度予算編成期に、少なくとも一つの地下鉄の問題でも相当真剣に取り組んで、援助政策がなまぬるいと、そんなことではとてもいかぬということで、実は買って出たわけです。そこでなかなか、あれは運輸省ですから、運輸省のやり方は、結局まあ最後に運輸大臣、大蔵大臣、私と覚え書きなんかして、四十五年度では大体われわれの方針のようなふうに、つまり積極的に行こうということまで覚え書きをかわしております。その後だんだん事態を見まして、私も全くそういう基本的なことを考えなければ、こういう事態に追い込んできたことは、ただ経営者の問題、理事者の責任とばかり言っておったって、また労働者諸君をかれこれとばかり言っておったって、これはひとつ根本的な問題を検討したいということは私は考えております。そしていまのさしあたりの問題ですが、これも東京都なんかしばしばお会いしております。私の気持ちも知っております。たとえば、これは大阪にはまるとか東京にはまるということではありませんが、あの八賃のときですね、やっぱり内輪でもって何とかお互い労使間で了承してください、しましょう、こういうこともあります。私はいつも言うのですが、また山本さんも私が答弁して、おられたと思いますが、何も一〇〇%こうするということじゃないが、努力をするということだけはしてもらいたい。それがただ理事者だけでなくて、組合の方も率直にお考えになって、私はほんとうに真剣に考えているから何かやはり――その実をどこまでという注文をしませんけれども、そういうやはりまじめな真剣な姿勢をとっていただけないかと、こういう御注文をしているわけです。それできょうはここでかれこれ言うのは、これいまやっている最中でございまして、いろいろ苦心してやらせております。私もいろいろな、さっきも総評の方とか、ほかにもお会いする方――いろいろそういう点もあるもんですから、それで山本さんにここで言うのは早計だと思います。私はよく考えて対処したいと、こう思っております。
#43
○山本伊三郎君 野田大臣は相当そういう点理解があると思うのですがね、大体都市交通のこの歴史を見ましても、戦前は実は収益を一般会計に組み入れたときがあるのです。そういう時代があったのですね。その当時は地方公営企業というのじゃなくして市の経営ということでありましたが、むしろ一般会計に組み入れてやっておった時代も実はあるのです。そういうときから、戦後こういう状態になりまして、自動車が非常にはんらんした。路面電車の回転数というものが非常に悪くなった原因はそこにあると思うのですよ。都市交通のいわゆる経営難を来たした原因というのは自動車にあると思うのです。したがって、そういう歴史を考え、またもう一つ、これは福田大蔵大臣の、予算委員会かどこかと思いますが、横浜とか東京、大阪あるいは名古屋、神戸、その市だけを考えておってはだめだ。日本の経済を明治から今日までささえてきたその力というものは非常に大きいのですね、大きい。日本の経済の発展の支柱というのは、いまの指定都市が全部とは言いませんけれども、そういう日本の経済発展の支柱としてささえてきた都市交通が、今日ここまでいわゆる落ちたと申しますか、経営難になったということについても、これは政府は相当責任があると思う。私は大阪のことについては十分調べておりますが、昔は実は市電といえば、八割ぐらいが大阪市の市民の利用だったのですね。八割ぐらいは市民自体が利用しておった。ところによってはもう十割が市民だった。今日はそうではないのです。もう都市交通、前は市営といいますか、都営でも、それを利用するというのは周辺の市民が利用してそうして経済活動をやっておるというこの実情ですね。それを単に大阪なら大阪、東京なら東京、あるいは横浜なら横浜というその市の責任だけでそれを解決しようというのは、理論的に言っても私は無理だと思う。非常に形態が変わってきておるのですね。
 したがって私は、政府が十分財政援助をする義務があると思っている、理論的にですよ。一都市でそれを解決しようと思っても、それはできませんよ。また市民もこれにひとつ問題がある。そこに独立採算制ということが発展してきたかどうか知りませんが、そういうことから見て私は、大臣には一つの腹案があってこれから折衝されるというのでありますから、ここであなたの案を示せとは言いません。ただ私は、もうあしたのストを避けるために、各市の理事者に対して自治省がある程度将来を的束するようなことを言えば、金繰りは私はできると思う。言えばやりますよ。それは東京でも大阪でも、あの大都市の理事者ですからね、金のあなた何億ぐらいは、そんなものはできる。ただ将来の保証がないと、これは問題だ。その点だけ、私はこれ以上言いません。あと竹田さんがちょっと質問されますが、これ以上言いませんが、ひとつきょうじゅうに野田自治大臣の腕を見せてもらいたい。そうすれば、あとの地方行政委員会の運営もまたあなたの腕を信ずるわけですからね。その点をひとつ十分お考え願って……。これは答弁要りません。あなたの腕をひとつ見せていただきたい。これだけ私はあなたに注文つけまして一応私の質問を終わります。
#44
○竹田四郎君 いま山本委員から大綱については質問がありましたから、そういう面は避けていきたいと思いますが、あしたストライキをやるわけですが、一方国鉄は、この間も話が出ましたが、かなり大きな赤字をかかえていながら、本年度の賃金について、政府としても仲裁裁定をのむということになったわけですが、考えてみれば、都市交通の場合には、去年の実は賃金問題では、都市交通だけが賃金がおくれているというようなことで、横浜あたりでも、市につとめる職員は、についてはかなり長い間、実は都市交通の人だけがその責任を負うべきでないということで、かなり長い間実は待ちに待っていたわけです。しかし、これはおのおの生活を持っておりますから、あるいは他の民間企業あるいは地方自治体でも、県との関係というようなことで、ようやく今度の市会で都市交通の人を除く人たちの九賃については解決をしたわけでありますが、依然として都市交通の人は相変わらずまだめどがつかない。こういう情勢というのは、地方自治体としても私は正常な形ではなかろうと思うのです。いま大臣のほうから前向きな御答弁をいただいたわけでありますが、それにしても、大臣がどういうことをお考えになっているのかあまり明確ではありませんが、まず一つは、路面電車の問題というのは、これはどうにもならないから線路をはずせと言っていると思うのですよ。もうかるもうからないということではなしに、むしろ赤字を累積するからこれは線路をはずせと、こういうことを自治省のほうとしておそらく御指導をなさっているはずだと思います。しかし、その累積してきた赤字を再建計画によって不良債務は一応たな上げをして、利子補給を国のほうではやっているということでありましょうけれども、その後に発生した赤字というもの、これは一体どういうふうな考え方でいらっしゃるのか。バスによってその赤字をなくしていけと、こういう考え方であるのか、あるいはバスについては料金を値上げすることによってその赤字を埋め、さらに路面電車の赤字をなくしていけというのか、その辺はどのようなふうにお考えになっているのか、これを明確にしていただかないと、九賃はまあいまおっしゃられたように、臨時的に解決したとしても、国家公務員及び地方公務員については、七月ないし八月以降本年度のベースアップの問題がさらに出てきて、重なっていくということになれば、また来年も同じような状態というものがおそらく続いていかざるを得ないと思いますが、そうした面では抜本的な解決をしていく一つの時期にもきていると思いますが、その辺の基本的なお考え方、さらに本年度のベースアップに対してもどう考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
#45
○国務大臣(野田武夫君) 最初竹田さんから国鉄のことでありまして、私が先般国鉄の仲裁裁定の決定の閣議で発言したのは、大体再建団体としての国鉄の賃金問題がああいうような形できまった。それに私は、国鉄職員の給料上げるのは反対というのではなくして、あなた方は国のほうの経営しているいわゆる公営企業ばかり考える、地方公営企業はこうですよということを書いたいために私が発言した。間違いないですよ。それでなければ、何も私がひとり国鉄のことを反対したって、反対通るわけじゃありませんが、それは私は何も自分でむだじゃない、政府全体の注意を喚起すると、こういう姿勢をとって私は発言したのであります。
 それから、都市交通の方々の賃金問題、竹田さんと同じように心配しております。これには先ほどの山本さんにもお答えしたとおり、当時自治省が中に入ったわけではありませんが、労使間もいろいろ努力してみようと、こういうお話があったから、何でもかんでもだめだ、自治省ひとつ何かやれということではなくて、やはりそこはひとつ経営者も組合も、やるだけやってみようという姿勢を見せていただきたい。そこはどこまでできるかどうか、そこまで私は注文をつけていない。もっと率直に言いますと、私の発言と、はたしていままでの成り行きと、事務的にいえば多少食い違っているかもしれませんが、私は多少、現実政治家ですから、やはりなるべく現実に立って判断したいということですから、事務当局の正しい議論と思いますことでも、ひとつ現実的に見てくれということをむしろ事務局には頼んでいる状態です。
 それで、先般東京都のほうからもありまして、これは大阪のほうからもありますけれども、一応例を引きますと、やはり私の言ったことも理事者もわかっていただきまして、最初はそうではなかったけれども、やはりこれは労使間で相当真剣に取り組んで、経営者もがまんしてもらうし、組合もがまんしてもらわなければならぬこともあるかもしれない、それはあたりまえです。また政府もできるだけのことをやる。三者一体でなければだめですということの言い分は、私が言わなくても、むしろ向こうからそういう意見も出てきているのです。これは常識論だと思います。どうするかわかりませんが、具体的にどうするか、お互いに真剣な姿勢で取り組んでいきたい。それは一方的に言いますならば多少意見あります。私自身も多少の常識を持っていますから、これは何とか理屈を言って、独立採算制だからどうだということで、一方だけ押していったって解決するものじゃありません。だからいままでのいきさつもございますから、そのいきさつは全部何もかにも捨てていくということも、従来の経過から、ずっとやはりこれは、相当これらに対する関係を持っております政府として注意を喚起することは必要だと思う。
 そこで、次の特に抜本的な解決の問題で、路面電車が持っておった借金をどうするのだ、バスの賃金を上げてやるのかどうかということでございますが、バスの賃金を上げて、それに見合うだけのことをやれば、これは簡単でしょう。しかしこれは経営者は別として、これを利用されるその地域の住民の方に非常にこれは負担をかける。物価の問題もありましょうけれども、私は自治省としては、物価という前に、地域住民の方にやはり迷惑をかけたくないというのが私の考え方でございます。
 そこで、そういう安易なことになりますと、何も頭をひねらぬでもいいのですが、なかなか安易でないところにこの抜本的解決については十分私は考える。それにはやはり政府のいろいろな施策というものが必要になる。しかし、それだけでいくかどうか、あるいは賃金問題に触れるかもしれません。しかし、そこで私は、山本さんにも竹田さんにもお願いするのですが、できるだけひとつ、われわれの知らぬこともあるだろうから、そういうことをひとつ注意してくださいと、これは私は端的に言ってるんです。決していいかげんに返事してるんじゃありません。役所のほうにも聞きます。皆さんの経験も持っていれば、また非常に関心を持っていただいて熱心に御討議いただいた御意見というものは、ひとつ尊重すべきことがあれば尊重する。それで、ちょうど私は責任者になっておりますから、こういう方向でやってみよう、政府全体がまたひとつこれをはかってみようというようなことで、いろいろな苦心が要るので、いま竹田さんのように、どっちでやるのだと、こうなりますと、私の返事はきわめてあいまいにならざるを得ない。私は誠心誠意やっておりますから、いまおまえここでもってどっちでやるのだと言われても、それは無理だと思います。お互い話し合って真剣な態度でやろう。しかし経営者、理事者の意向も聞かなければならないし、あるいは金の始末ですから、組合はいいことですから反対しないでしょうけれども、理事者側は理事者で、やはりあなたもこれだけ借金してやれ――山本さんおっしゃるとおりに、東京や大阪のほうには、それは相当ある。しかし理事者の責任で借金してもどうにもならないことですから、これはどういうふうな案を出すかということが私はやはり今後の大きな一みんなができるだけの知恵を集めて妥当な案をつけていく、私どもはそういう考えを持っているものですから、そういうお答えにならざるを得ない。こう思いますから、こうお答えします。
#46
○竹田四郎君 この前も個人的に大臣とお会いして、六月の初めごろだったと思いますけれども、そのときもいまおっしゃられたと同じようなお話を私は承ったと記憶しております。しかし、あれからもう約十日間というようなものが大体過ぎておるわけです。あのときもひとつ大臣としては部内でよく検討をいたしましょう。いまもおっしゃられましたけれども、大臣の考え方と他の事務局のお考え方と必ずしも合致をしていないというお話が当時からあったと思います。きょうもいまお話を聞いていますと、その辺の食い違いがあるんだけれども、私は政治家として本問題は解決したいという非常に前向きな御答弁で、私もその点は了としたいと思うのですけれども、しかし事態は私はそんなに簡単ではないような気がするわけです。そうした意味では少なくとも最終的な決定が六月末までにはこれ出されないと、これはやはりまたその次に同じようなストライキの決行というような問題が私は出てくるんじゃないかと、こういうように思うのですが、そうした点をまず部内のひとつ意見の調整というものを私は早くやっていただかなければ、いつまでも同じようなところでぐるぐる回りをしているという感じを受けるわけです。きょうはこの前よりも若干前向き、一歩前に踏み出した御答弁が実はいただけるのではないだろうかという期待を持っていたわけですが、前とほとんど同じ状態でありますけれども、もう少しひとつ部内の意見をまとめていただいて、一歩でも二歩でも前に出る御努力を払っていただきたいと、こういうふうに思いますが、あまり期限をつけるということも問題はあろうかと思いますけれども、おおよそのめどというものは、やはりこういう時期にあるならば大体つけていただかなければならないと、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
#47
○国務大臣(野田武夫君) それはごもっともです。しかし竹田さん、これもやはり何と申しますか、私はことばが出過ぎますからおこられますからなんですが、事務当局も真剣にかかっておりますので、これは意見も相当これを聞かなければいけません。これは当然なんです、私として。したがって抜本策ということになりますと、竹田さん、何か十日や一週間でいくべきじゃない、とりあえずいまの問題は九賃問題に一応の片をつけようと、これに事務当局も主力を注いでおります。ここに佐々木参事官もおりますけれども、大体私の意思を十分事務当局も理解してくれておりまして、漸次私と事務当局の意見というものはそう差がないような段階まで入ってきております。これはやはり竹田さん時間がかかりますので、あと五日や一週間でやれというのは――抜本策ですよ、私の言うのは。これはそう容易なものではない。いまのところまずあしたストライキがあるから、そういうのであわてたのではありません。私は前もって、九賃問題というのはひとつ前向きで考えていく、特にそれには理事者、組合、みんながやはりひとつ真剣に取り組んでいただきたいと、私ももちろん真剣に取り組む、こういう考え方でいま給与問題にかかっております。抜本策につきましては、先ほどから私のほうからお願いしているとおり、山本さんや竹田さんの言う御意見を、これはこの委員会でなくてもよろしゅうございます。やはりよいほうへぜひ持っていこうというようないろいろとひとつ御注意なりいい案を提起していただきますれば、そのままやれるかは別として、非常に重要な参考にしたい。これはこちらからむしろお願いする。そういうふうでこの問題やりませんと、なかなかこれは抜本策というものは三日や五日でもってできるものではない。そこで御意思はよくわかりますから、私のほうでもひとつ十分その点を御意思を勘案いたしましてこれに取り組んでまいりたいと思っております。
 実はここで何と言いますか、さっき山本さん、竹田さん、なんでございますから、実はきょう都市交通の本部と私どもとの間で覚え書きというものを作成しております。これは当委員会で発表すべきかどうかと思いましたけれども、先ほど山本さんや竹田さんが熱心にこの問題御心配でございますから、これは私は一つの感情論じゃない、お互い感情論で言ったってしょうがないのですから、だから私はそれを非常に敬意を払って、御存じかと思いますけれども、ここで申し上げていいかどうかわかりませんけれども、一応きょう取りかわしました組合本部と交通機関の、きょうやっとさっき取りかわしてまいりました。きのうあたりずいぶんおそくまでやっておったものですから……。それで一応これ読んでみます、御参考に。きょうはどうかと思いましたけれども、やはりこれは、私はそういう自民党とか社会党、そんな考え毛頭ありませんから、これは率直にお互いに解決しなければならぬと思うから申し上げます。やっときょう取りかわしまして、これはいまこれをもって各都市の組合と本部でやっておられますから、こうなりますということも断言できません。こういう経過でおやり願っておりますということを御了解願いたいと思います。その取りかわしました覚え書きは、「一、昭和四十三年度の給与改定については、本年七月を目途に解決すること。二、公営交通事業の財政再建を図るため、各都市の実情に応じ、撤去する軌道にかかる赤字に対する配慮等合理的な一般会計からの繰入れを考慮すること。三、公営交通事業の改善と発展を図るため、労使双方(必要に応じて学識経験者の協力を求める。)が協力して調査研究機関を設置し、すみやかにその経営に関する問題を解決すること。」、こういう覚え書きを一応きょう取りかわしました。これに基づいて各都市の組合と御折衝願うということまではかどりまして、私はこういう点からひとつ出てまいりまして、いまここにありますとおりのことでございますから、ひとつこれこそいいかげんにはできませんから、ここまで踏み切って私どもも組合本部とお話をした以上、いいかげんな逃げ回るようなことは絶対許しません。私自身がそういう事態を放置することは忍びないという感じを去年の実は予算編成期から持っておりますので、この段階に入ってまいっておりますので御了承願いたいと思います。
#48
○竹田四郎君 たいへんいまの覚え書きをおつくりになって、これは双方ともたいへん御苦労をされて、確かに私一歩大きな前進であろう、しかも七月というものを大きなめどにされたことについても私は敬意を払いたい、御苦労を感謝したいと、率直にそのように思います。ただ問題は、確かにこれは九賃の問題に関しては一応の明るい曙光が見えてきたような気がいたしますけれども、ただこれだけでは、またこの次の一年というものがまたかなり同じような繰り返しにならざるを得ないと思うのですが、佐々木参事官にお聞きしたいと思うのですが、いままで確かに私どもお話をいたしましても、交通問題の再建というのはケース・バイ・ケースでおやりになるというようなことをかなり強く強調をしておられたわけでありますが、今回はそのケース・バイ・ケースということばがあまり強く表面に出てきていないような感じを私は受けるわけですけれども、その辺には何か若干方針において御変更されたものがあったのではないか、お伺いしたいと思います。
#49
○説明員(佐々木喜久治君) 先ほど山本委員の御質問にお答え申し上げましたとおり、各市の交通事業の実態並びに赤字の状況というものは、それぞれの市によりまして相違がございます。そういう意味におきまして、その財政措置につきましてはどうしてもケース・バイ・ケースにならざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。したがいましてこの覚え書きにもございますように、「撤去する軌道にかかる赤字に対する配慮等」というような表現を使っておりますのは、市によりましてはその配慮のしかたに相違があるという意味で、まあ特に組合あたりから問題にされております軌道の赤字問題を一つの例示にいたしまして、いわば「合理的な一般会計からの繰入れを考慮する」ということで結んでおるわけでございまして、やはりケース・バイ・ケースによって措置せざるを得ないというふうに考えております。
#50
○国務大臣(野田武夫君) ちょっとそれに補足して。いま佐々木参事官からお答えいたしましたそのケース・バイ・ケース、これは竹田さん、私この問題最初から相当タッチしてやっておりますけれども、このケース・バイ・ケースというのは、段階的に延ばしていこうというのじゃありませんで、実情、やり方が違うということでございますから、決して誤解のないように。決して引き延ばすためのケース・バイ・ケースじゃないということをちょっとつけ加えて申し上げておきます。
#51
○松澤兼人君 ちょっと関連して。いま大臣から、また佐々木参事官からお話がありましたが、大体路面電車の撤去等いろいろの事情を考慮して、一般会計から繰り入れというものを認める、それを財源として九賃を七月目途に実施するという話であります。この場合は、従来の再建計画の変更計画というようなものは必要でないと思います。一応事情を聞いて、自治省が、それでは困る、ここんとここうしなさいというような行政指導といいますか、相談に乗るぐらいなことで、七月の九賃実施ということができる。あるいはそういうむちゃな案を持ってこられても困るので、もう一ぺん考え直してきてくれということで、七月の実施時期というものがさらに先に延びるという含みがあるのか、その辺のところはどうなんですか。
#52
○説明員(佐々木喜久治君) 六大都市の場合におきましては、交通事業は全部再建団体になっておりますので、この給与改定を実施いたします場合には、当然に財政再建計画の変更という問題が生じてまいります。東京都を除きまして、五大市におきましては、おおむね九月の議会を目標にいたしまして財政再建計画の改定を行ないたいということを申しておるわけでございます。したがいまして、原則的な話し合いというものは、この七月を目途にして解決をはかりたい、かような気持ちでございまして、その後におきまして、再建計画の変更に伴う手続、あるいは予算の編成ということが行なわれまして、正式にはそれぞれの市議会におきまして、議決によって再建計画の変更が行なわれてくることになってまいります。
#53
○松澤兼人君 そうしますと、九賃の七月実施ということは、これは申し合わせによりまして実施すると、それから再建計画の変更がその後になる、あるいは議会の開会等、そういう関係で、その後になりましても、九賃の実施ということは七月をめどとするというふうに了解してよろしいのですか。
#54
○説明員(佐々木喜久治君) この覚え書きにございます「本年七月を目途に解決すること。」ということでございまして、いま各市で、組合との間におきまして問題になっております事項の解決のめどを本年の七月というところに置いたのでございます。それで、この給与改定につきまして、いつからこの給与改定を実施するかという問題は、これは各市におきまして、組合と理事者側との話し合いによることになるかと思います。おそらくこの実施の時期は、一般職員の給与改定の実施にあわせて行なわれるであろうということは私どもも想定いたしております。
#55
○竹田四郎君 先ほどのケース・バイ・ケースの話は、私もそう言っているわけじゃありません。ただ、いままでの話ですと、こうした都市ごとの給与の体系をつくるという、全体的な形というものはあまりお考えになっておらなかったような気がするわけです。今度はそういう意味では都市交と自治省とがお話し合いになってきた、ここは私は一歩前進のような気がするわけです。私もケース・バイ・ケースが延ばすということと同意義には実は解釈しておりません。そういう意味で、確かに具体的なことについては、これはケース・バイ・ケースで――数字の問題でありますから――いかなければならないと思いますけれども、そうした意味で私はその覚え書きを実は評価をしたつもりであります。ただ問題は、先ほどから申し上げておりますように、いまさら一つ調査機関をつくって検討するといっても、大綱の問題は、調査機関をつくってあれやこれや話をしても、そこで結論が出る問題ではなかろうと私は思うわけです。結論的には一体そうしたいままで生まれてきた赤字をどう処理するか、それを国のほうがどう考えるか、おそらくここに問題の焦点というのは定まってしまう、こういうふうに思うわけです。したがって、その問題に自治省が取り組まない限りは、私は調査機関というものをつくってもそれはいけないのじゃないか、こう思うわけですが、先ほども大臣のおことばの中に、理事者も組合も努力してほしいということばがあったわけですが、佐々木参事官にお聞きしたいと思うんですが、これは結局給料表の適用を変えてほしいということを一つは言っていらっしゃるんだろうと思うんですが、給料表の適用を変えることによって、具体的にどのくらい赤字というものが少なくなっていくのか、どうでしょうか。
#56
○説明員(佐々木喜久治君) この覚え書きの3項にございます調査研究機関で一応調査を予定しておりますのは、地下鉄の問題、これは当然路面電車にかわって地下鉄が今後の都市交通の主力になってくる見通しにあるわけでありますから、こうした地下鉄問題、あるいは大量輸送機関でありますバス等の運行確保をどうするか、あるいは最近におきまして特に問題になってきておりますところの若年労働力の雇用の対策についてどういうふうに考えていくべきかといったような、各都市における共通的な問題について労使間に十分な意思の疎通をはかりたい、こういうことで設けるものでございます。
 いま御質問の給料表の適用の問題でございますが、私どもがいま交通関係職員につきまして、給料表の問題について問題にしておりますのは、給料表を、現在ありますところの、たとえば前から問題になっております行政。表を適用するといったような形の給与体系の給料表の適用関係を変更するというようなことは、現在の段階では考えておりませんで、むしろ現在置かれておる経済環境から見て、今後新しい職員を採用するについては、民間バス等との競争において、はたしていまの給与体系というものがそうした新しい人たちを雇用し得る給料表になっているかどうか、こういう点について十分検討する必要がある、こういうことで私どもは問題にしているわけでありまして、いまお話しのように、現在ありますところの給料表の適用を変えるということは考えておりませんし、またそうした計算はいたしておりません。
#57
○竹田四郎君 いまのお話ですと、むしろ若い人をどう雇用していくか、おそらくいままでの給料表の体系でありますれば、当然若い人の給料というものは比較的安い、年とった人の給料が比較的高いという年功序列賃金であろうと思います。いま佐々木さんがおっしゃられたことは、若い人が入って来れるためにはどういうふうにしたらいいかということを重点に考えていらっしゃるということでありますれば、これは給料表の下のほうの若年層を高くしていく、こういうことによって補いがつくはずだと思います。しかし、そのことばと先ほど大臣がおっしゃられた組合も努力してほしいという問題とは、どうもだいぶその辺がかけ離れているような感じがするわけです。大臣の言われた組合も努力してほしいというのは、おそらく賃金問題についてもがまんをしてもらわなければならない人についてはがまんをしてくれ、こういうことを私はおっしゃったのではないかと思いますが、どうもその辺の意味合いが非常に違っているように思うわけですが、佐々木参事官のおっしゃるとおりに、確かにいまバスの運転手なんかは、この前も松澤先生がお話になったように、なかなか来ない、運転手の確保すら実は困難だ、こういう実態にありますから、若い人たちが雇用できるような給料体系にするということでありますれば、これは私どもももっともだと思うわけですが、どうもその辺がおっしゃるとおりではなさそうな気がするわけですが、先ほどの佐々木参事官のおことばはそのとおりとってよろしゅうございますか。
#58
○説明員(佐々木喜久治君) 初任給関係につきましてはただいま申されたようなことになると思うのでございますが、ただ、現在の交通事業の置かれております環境からいたしますならば、その給与改定に要する財源というものにはそれぞれ限界があるわけであります。そうした給与改定の所要財源全体についての限界があります環境において、現在の民間バスとの関係においてそうした初任給をできるだけ確保しよう、こういうふうなことを考えます場合には、どうしてもその給与体系につきましてはある程度そういうものを織り込んで考えざるを得ないというふうな状況になるわけでございまして、初任給だけ上げてそれで済めばもちろんけっこうなわけでありますが、そうした環境には交通事業は置かれておらないわけであります。その点において、こうした給与関係についていろいろ検討する上におきましても大きな問題がある。そういう意味で十分そういう問題も調査機関を通じて検討していただきたい、かように考えておる次第でございます。
#59
○竹田四郎君 どうもよくわからないのですがね。若い人の初任給を上げていくということははっきりおっしゃっておるわけですね。そういうふうにのみ理解してよろしゅうございますか。そういう理解ならそれでたいへん私はよろしゅうございますが……。
#60
○説明員(佐々木喜久治君) やはり給与の改定はこうしたベース改定の時期を機会にしなければ、実際の給与の引き上げ、初任給の引き上げというような問題は解決できないであろうというふうに考えられるわけであります。したがって、その給与財源がどうしても一定額以内に押えられる以上は、初任給を通常のアップ率以上に引き上げるということになりますれば、どこかの部分でこのベース改定率をある程度抑制せざるを得ないというような結果が出てくるのは当然であろうというふうに考えております。そういう意味でこの給料表のつくりかた自体につきましてもいろいろ研究を必要とするであろうということを考えておるわけであります。
#61
○竹田四郎君 そうすると、調査機関というのは何か地下鉄の問題が一つあるとおっしゃるのですが、あとはバス運行の確保、給料表の問題と、むしろこういう問題は企業者とそこの従業員をもって構成する組合との間で話し合えばそれは話のつくことじゃありませんか、わざわざそういう第三者を含めた機関というものをあえてつくらなくても私はいいような気がするのですが、どうしてそこに学識経験者を入れなければならない理由があるわけですか、あるいはこれを純粋な第三者機関として考えておられるわけですか。
#62
○説明員(佐々木喜久治君) この調査研究機関は、いまの公営交通の置かれております環境から見て、各交通事業をやっております都市のいわば共通的な問題について、労使双方が協力をして、まず主体は労使が主体になるかと思います。それに必要のある場合には学識経験者を加えて、そうした共通問題を調査研究をするということでございます。ただこれにつきましては、給与の問題自体は、これは御承知のように団交事項でございます。この給与自体について各市がどういう給与体系をとっていくかということは、それぞれの市の理事者と組合のほうの団体交渉によってきめられるべきであります。ただ、いま申しましたような共通的な問題についての考え方を取りまとめていく、共通的な問題の解決をはかっていきたい、こういうための機関でございます。
#63
○竹田四郎君 この問題、あまりやるのをやめますけれども、どうも自治省のその辺の認識というのが、私は非常に何といいますかどうもこういう機関をつくらんがための考え方にすぎないと思いますが、バス運行の確保の問題にいたしましても、若年労働力の確保の問題にしましても、これは実は各交通労働組合の間で企業者との間にかなり話は煮詰まってきているし、考え方もかなり統一されてきている、こういうふうに思うわけです。そういう段階で、このバスの運行の確保の問題にいたしましても、たとえば大衆輸送の優先をするかどうか、あるいは交通規制をどうするかというような問題が当然これは主体的な問題にならなければならない問題だろうと思うわけです。そういう意味では、何か調査機関の設置というのは、何か余分なこぶがついているという感じを私は非常に強く持つわけでありますが、これは各企業でそういうものを持つか持たないかということは、おそらくある程度の独自性は持つはずだろうと思いますから、あまり強くお聞きしてもいたしかたないと思うわけですが、要は私はやはり路面電車のその後の欠損状況を見ますと、再建計画――当時不良債務としてたな上げになった額、そういう額にもうすでに達しておる、欠損額がその額に達しているという都市が非常に多いわけです。ですからこれを早く征伐しなければ、幾ら従業員が一生懸命働いても、理事者が幾ら経営問題に頭を使っても、私はこうした債務というものがどしどしふえていくことによって、同時にそれは利子がさらに赤字を生んでいくことによって、この問題を解決しない限り私は赤字の問題というのはいつまでたっても解決のめどはつかないと思うわけです。先ほども給料表をいじくることによっておそらく赤字をなくするということはほとんどできないところであろうと思うのですが、もう少しそういう点で、累積される赤字の対策というものを抜本的に考えていかなければいけない、私はこの辺の考え方に自治省が及んだということは、実は先ほども申し上げました各都市ごとのケース・バイ・ケースではなしに、一括して都市の交通問題を考えなければいけないという、そういう御認識に立たれた結果、あまりケース・バイ・ケースということばをお使いにならなかったのではないか、こういうふうに実は善意に解釈をしたわけでありますけれども、いまのお話を聞いていますと、どうも、その辺のポイントというものがかなりはずれているんではなかろうかという感じを受けるわけですが、この点について再度ひとつお答えをいただきたいと思います。
#64
○説明員(佐々木喜久治君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、路面電車の赤字は、東京、大阪を除きまして各市に出ております。この赤字額も市によりまして相当の差がございます。ただ、いずれにいたしましても、現在の路面電車はこれを撤去していこうという方向に向かっておるわけであります。こうした撤去をする段階におきまして、やはりその撤去に伴っての赤字というものも出てきておることも事実であります。そういう意味におきまして、この赤字問題についてどう処理をしていくかということは、今後さらに抜本的な方策を検討する必要があるであろうというふうに考えておるわけでございますけれども、当面、この赤字につきましては、実質的にこの赤字額がたな上げに近い方式をとりまして、これ以上の赤字がふえないような対策をまず講じてまいる必要があるだろうというふうに考えておるわけでございます。
#65
○竹田四郎君 大体近いところへきたわけでありますけれども、たな上げに近い方式をとっていきたいというのはやはりかなりはっきりされた方針だろうと思いますが、これはまだ具体的にその点がおきまりになっていらっしゃらないわけですか、きまっていなければ私はあえて聞こうとは思いませんけれども、その辺どうなんですか。
#66
○説明員(佐々木喜久治君) この軌道についての赤字対策につきましては、各市とそれぞれの実情に応じた相談をして対策を講じてまいりたい。この各市の考え方が、私どもに提示されているところもありますけれども、まだ大部分の市は提示されておりませんので、この点につきましては、具体的に各市から出てまいりました意見等を総合いたしまして考えてまいりたい、かように思っております。
#67
○竹田四郎君 その点わかりましたけれども、電車の赤字についてはそういうお話でありますが、バス部門についても、私はかなり大都市においては交通混雑ということで、バスのスピードが落ちる、あるいは他の車に囲まれてしまってなかなか運行ができないという形で、おそらく多くの都市で、バス事業はいまの形では赤字が累積をしていくというふうに思いますけれども、その辺、バスの赤字についてはどのようにお考えですか、御答弁をいただきたいと思います。
#68
○説明員(佐々木喜久治君) バス事業のみをとらえてその収支を見てまいりますと、現在段階で黒字基調を持っておりますのが横浜、名古屋、京都でございます。東京、大阪、神戸の三都市は、バス部門自体が赤字でございます。それで、このバス部門の赤字は、一つは、ただいま御意見のありましたとおり、路面交通が非常に渋滞をしておりますために時速が低下をする。そのために乗客人員の減少が見られるといったような事態でございます。この対策といたしましては、バス事業限りでやります場合には、特に東京、大阪等におきましては、他の交通機関との交通網――いわばバスについてはバス路線の再編成ということは当然に考えていかなければならぬ問題たろうというふうに考えるわけであります。現在のように一つの系統路線が相当長距離に及ぶようなバス路線の現状は、やはり近い将来においてどうしてもこれを編成がえをせざるを得ないというふうに考えております。そのほかバスのスピードを維持していくという方策につきましては、やはり路面交通全体問題についての対策というものをとっていただかなければならないわけでありまして、この辺その解決は非常にむずかしい問題が含まれておりますので、各省ともいろいろ協議をしてもらって、特に大都市におきます交通規制等をいま検討してもらっている段階でございますけれども、非常に多くの問題が含まれているというふうに考えております。
#69
○竹田四郎君 大体わかりましたがね。そのいまの中でちょっと気にかかることは、長距離のバス路線はこれを短縮していくのだというお話なんですが、これはなかなか問題があるような気が私はするわけです。バスを二路線なり三路線なり乗りかえていくということになりますと、これは通勤時間にも関係いたしますし、料金にも当然はね返ってくるわけです。その辺は、赤字対策だから住民にそれだけの負担をしてもらうのは当然なんだという考え方なのか。あるいはそうした長距離通勤というものがいま実態でございますから、そうした問題についてはこれはやむを得ないので、たとえば何らかの形で鉄道に乗り継げるような形にすることによって切っていくのか、その辺はどうお考えですか。あるいはこの問題も私は非常に問題があると思うのです。御承知のように、国鉄運賃は上がってきておりますから、しかしバス料金のほうは相変わらず上がらないというようなことになりますと、片方の鉄道による料金の半分ぐらいでいまバスで行っているようなところもあると思うのです。そういうところを一律に切ってしまうということになると、私はかなり問題が出てくるのじゃないかと思うのです。その辺の考え方だけを聞いて終わりたいと思います。
#70
○説明員(佐々木喜久治君) ただいま申しましたバス路線の再編成の問題は、バスを乗り継ぎしなければならないようなやり方でのバス路線の再編成ではございませんで、他の交通機関との調整をはかった上でのバス路線の再編成という問題でございます。たとえば大阪市の場合を考えますと、ことしの後半から来年にかけまして、大阪の場合には地下鉄路線の完成が相当行なわれてくるわけでございます。その場合に、地下鉄路線とバス路線とが並行して走行しているような部分については、どうしてもバス乗客というものは減ってまいる。それをこうした地下鉄のターミナルとバスとをつなぐというような方式で、いわば時間的経済的に十分現在のバス交通にかわり得るような形での路線の再編成ということを考える必要があるだろうというふうに思っておるわけであります。
#71
○委員長(内藤誉三郎君) 本件に関する質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#72
○委員長(内藤誉三郎君) 次に、都道府県合併特例法案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行ないます。順次御発言を願います。
#73
○松澤兼人君 先ほどお聞きしたのでありますが、大臣のおことばに広域性ということばがあった。それからさらに、行政局長は盛んに自主性、自主的ということを非常に強く力説されておりますが、もう一ぺん自主的あるいは自主性ということを検討してみたいと思うのでございます。
 この法律第五条の中で、議会が、過半数ではあるけれども三分の二の賛成を得られないという場合には、住民の投票によって過半数を得なければ合併の申請をすることができないというふうになっております。その後段の、住民の一般投票で住民の意思、つまり自主的な合併に対する賛否というものが究極的に決定されるのだ、そういう意味では自主的あるいは住民の自主性ということはよくわかるのですけれども、これは過半数であるけれども、賛成が議会の中で三分の二に達しない場合に限ってこの方法が採用される。議会でもし三分の二以上を賛成派がとったとすれば、もうそれで一切の手続というものは終わってしまう。民主的な時代でありますから、議会の意思は尊重しなければなりません。場合によっては議会の意思と住民の意思とは必ずしも一致しないということがあると思うのです。そういう場合に、住民の自主的な発意あるいは自主性ということは、どちらに重点を置いて自治省としては考えておられるか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
#74
○政府委員(長野士郎君) 合併の方式といたしまして、一つは現在の町村合併の手続が御承知のようにあるわけでございます。町村合併につきましては、合併をしようとする関係の市町村が、議会の議決を経て、そして合併の申請を都道府県知事に対してする、こういう方式がとられておるわけであります。議会制民主主義と申しますか、地方自治体におきましても、議会が住民の意思を代表するというたてまえをとっておるわけであります。今回の特例法におきましては、町村合併の場合なら、まあ過半数議決でそれが進んでいくわけでございますが、特にいまお話のございましたような住民の意思というものに非常に重きを置いておる、そういうことで、単なる過半数議決の場合には、さらに直接住民の意思に聞く。しかし三分の二以上の多数と申しますことは議会の圧倒的な多数、これが住民の大多数の意思を具現しておるものと考えていいのじゃないか。そういう意味で、町村合併の手続を土台にいたしておりますが、さらに住民の直接の意思というものを非常に重んずる。その重んずる保障といたしまして、議会の議決は単純な過半数議決ではない、この辺のところまでそういう自主的な合併についての住民の意思というものを尊重するということが適当ではなかろうか、こういうことに考えておるわけでございます。
#75
○松澤兼人君 それだけでは第一条にいう「自主的」ということがどうも納得に困難だという気がするわけであります。なるほど市町村の場合には、そういう手続をとらないでも、いわば市町村議会というものなりあるいは市町村議員というものが、全く市町村の住民と身近な関係にあるのです。大きな都市もありますけれども、普通の場合は、どこのだれがどういう仕事をしているとか、あるいはこの議員さんがどういう行動をとっておるかということは、すぐうわさのように広まっていって、どうもあれのすることは気に入らないとか、けしからぬとかいうような批判がすぐに出てくると思います。大都市の場合あるいは県議会の場合には、必ずしもそうではなくて、たとえば兵庫県の場合、言ってみれば但馬の海岸のほうから神戸へ出てきてそこで仕事をするわけです。ですから、いろいろ身近であるということは必ずしも保障されないと思います。また国会、あるいは特に衆議院の場合などは、たとえば大学管理法案というものに賛成か反対かという、自民党の方も、もちろん社会党その他の野党の方も、それについては必ず一言触れると思いますし、またあなた方どう考えるかというようなことで、それを解散選挙の一つの争いのテーマなりあるいは題目なりにすることができる。しかし府県会の議員選挙の場合に、合併是か非かというような選挙の争いをしないのじゃないかと思いますけれども、やっぱり身近な川はどうだ、道はどうだというふうなこと、あるいは学校、住宅の問題、その辺まではお互いに議論し合いますけれども、それから先、合併是か非かというようなことで選挙を争うようなことはわりあいにないのじゃないかと思いますけれども、それについてどうですか、市町村の場合と府県議会の場合とはちょっと違うのじゃないかなと思いますが。
#76
○政府委員(長野士郎君) まあ県会の場合は、住民との距離が市町村の場合と違って少し遠いのではないかというような趣旨を含めてのお話であろうかと思いますが、県会議員につきましても、これは私が申し上げるまでもなく、これは郡市の単位による選挙区を基本にいたしておりまして、それぞれの地域というものの意思を十分代表して県議会において県政の審議に当たっておるという関係におきましては、住民との直結の度合いというものはそれほど希薄なものと考える必要はないというふうに私ども思っておるわけでございます。
 また府県合併というふうな問題は、これはもう明治以来の現在の府県の行政区画というものが九十年以上同じ形のままきているわけでございます。したがいまして、どこの府県でこの合併問題というものが論議されるにいたしましても、これはおそらく地方の行政区画の変更という意味では最大の私は事件だろうと思うわけでございまして、そういう意味では、やはり住民各層の御意見というものも十分議会に反映されながら、また県といたしましても、府県の将来の運命を決する重大問題でございますから、各方面に当たって意見も聞き、また科学的、総合的な調査もするというような周到な準備の上にこういう論議というものは行なわれていくということに相なると私どもは思っておるわけでございます。そういう意味では、まあ極端に言いますと、過半数議決でもその趣旨は十分に達するということも言えないわけでは私はないと思いますが、ただ何さま重大な、県の、自治体の将来をトするといいますか、決する問題でございますので、やはり単純な過半数ではいかぬ。議会できめるという場合でも、圧倒的多数が賛成だという実証の上で、議会限りできめる場合にはそういう手続をとることができる、こういうことで考える。また、多少にもせよ、そういうことで議論が分かれまして、そうして非常な問題になるという場合には、住民の投票に付する、こういう手続を重ねることによりまして、十分住民の意思というものは法制度的にも保障されていると考えてよろしいのじゃなかろうかと考えておる次第でございます。
#77
○松澤兼人君 私も局長のおっしゃるように、ただ居住地あるいは選挙地と県庁所在地というものが多少距離的に、市町村の場合と違い、距離があるのじゃないか。そのために住民との接触がややうとくなる心配があるのじゃないかというようなことを申し上げましたけれども、制度の上からいって、もちろん局長のおっしゃるとおりです。しかし、やはり何といっても、市町村議会であれば住民自体が議会の議員と一緒になって考えるということも非常に多いけれども、府県議会の場合は、そういう距離的な関係もありまして、十分ではないということを申し上げたわけですが、それでも三分の二に足らない場合は住民投票に付するのだ。自主的ということは十分担保できるというお考えであろうと思いますけれども、府県合併の問題の関係県であります、たとえば、ここに東海三県の合併案に対する、あるいは合併問題に対するアンケートの結果があります。東海三県合併推進の経過、中部経済連合会、これによってみますと、中部日本新聞が二回にわたった東海三県合併問題に対するアンケートは次のとおりである。そこで、対象になりました人数でありますが、最初の場合は五千七百四人。それからあとの場合、三十九年の場合は二千九百五十四人、しかも回答率は三十八年のときには書いてございませんけれども、三十九年のときには七〇%、その限られた人々にサンプル調査をいたしまして、知っている人、あまり知らないが、少し知っている人、全然知らないというようなふうに、さらにわからないという人がある。これはほとんど半数に近いくらいはあまり知らない、わからないというような人でありまして、約半数くらいの人があまり知らない、全然知らない、あるいはわからないというような回答のようであります。さらに賛成か反対かという調査を見ますと、やはりわからないというのが三十八年のときには五六%、これは三十九年に五五%、数千人の人がこの回答を受けて、わからないという人が半数以上だ、こういう状態になっているわけであります。こういう問題は非常に大きな住民の関心事であるから、議会で議決をし、あるいは三分の二の賛成を得られない場合に住民投票に付するというような、いわゆる手続が民主的であっても、しかし、住民の発意と申しますか、あるいは意思というものが十分に反映するかどうか。特に住民が直接に投票する場合でない議会の議決というものが、住民の意思を真実に代表しているかどうかということを非常に疑問に思うわけであります。この点につきまして行政局長はどのように考えておられるか。もちろんこれは三十八年、三十九年でありますから、最近になりましてはわからないという人が減ったり、全然知らないという人が減ったり、あるいはまた賛否を保留する人が減っているということも想像できますけれども、何か最近こういう調査をお持ちになっていらっしゃるか、その点を明らかにしていただきたい。
#78
○政府委員(長野士郎君) これはいまお尋ねでございますが、ちょうどそれに適切に合うかどうか少しあれでございますけれども、自治省といたしまして国土計画協会に委嘱をいたしまして阪奈和関係の調査をいたしたのがございますが、その中で昭和四十二年の十一月に、大阪、奈良、和歌山等におきますところのいろいろな事業団体――事業団体と申しますのは第一次産業の関係の団体とか、第二次産業の関係の団体、あるいは第三次産業の事業団体でございますとか、労働消費者の団体、あるいは教育文化団体、あるいは各種の公共団体、あるいは地域団体というようなものを対象にいたしまして、約九百四十ばかりでございますか、そういうのでアンケートをとっておるものがございます。そういうものを見ますと、その地域におきましては、団体なり企業等でございますが、阪奈和合併に対する関心の有無ということを調べておりますが、団体におきましては六三・八%が関心がある、企業におきましては三九・二%が関心がある、合計いたしますと五四・七%が関心があるというようなことになっております。そうしていろいろその調査がございますが、中で端的に申しまして、阪奈和合併に対する態度というような中で、団体等によりましての推進すべきと思うか思わないかというようなアンケートも入っておるわけでございますが、その中では、たとえば総合的な事業団体は推進すべきであるというアンケートの回答がきましたものが八〇%でございます。それから第一次産業、つまり農林漁業事業でございますが、そういうところの産業の事業団体で八二・四%、第二次産業の事業団体で六六・七%、第三次産業の事業団体で四四・八%、労働消費者団体で五五・六%、教育文化団体で六二・五%、社会福祉団体で六〇・六%、公共団体で六二・九%、その他の地域団体で八〇・〇%、合計して平均いたしまして六三・二%、こういうような数字も出ております。これはもちろん最初にお断わり申し上げましたように、一般の住民というわけじゃございません。むしろ、ある意味では関心があるといいますか、やや関心の高いそういう職能団体とか、あるいは労働消費者団体とか、教育団体等でございますから、一般の住民というわけではございませんが、そういう広域行政の必要という問題につきましては、府県合併の問題をも含めましてその必要が一般的に申しましてますます痛感されてきておるというのが、きわめて常識的な言い方ではございますけれども、そういう現状であろうと思うわけでございまして、そういう意味で住民に対する理解なり、強力なるあるいはPRと申しますか、そういうものもところによってはなおなお不十分なところもたくさんあることは、もう御指摘のとおりだろうと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、いままで府県合併ということはもう府県制始まって以来、これは戦前の制度は性格が違いますけれども、少なくとも府県の境界が変わるということは明治以来これは九十余年動かなかった制度でございますので、これは大変革でございますが、そういうものに対する一般の住民なり、関係団体の関心、その変化によって生ずる影響というものについての受け取り方というものは、きわめて真剣なものではなかろうかと私ども思うわけでございまして、その点ではこの合併特例法、先ほども大臣がお答え申し上げましたが、そういう特例法によって合併の論議というものが出てくるということが一つの大きな意味と価値のあることだというお話もございましたが、私どもはそういう意味で、やはり相当程度強い関心を期待できるのじゃないか、それがほんとうに進めるべきだという意見が多いようなのは、どうもくみ過ぎておるのじゃないかという御指摘があるかもしれません。そういうのじゃなくて、関心を持っている度合いというものはもっと高いということからいたしますと、やはり直接の住民の意向というものも相当くみ取って議会とじての判断材料としての有力なものにしていくことができるのじゃないだろうか、こう考えておるわけでございます。
#79
○松澤兼人君 いまお話になりました国土計画協会でしたか、その調査報告につきましてはまた機会をあらためていろいろとその根拠なり、あるいは分析のしかたなりについての御意見を伺いたいと思いますけれども、いまお話を聞きましたところは、対象人員が千人、わずか千人です。しかも、いろいろ団体の人々というふうになっておりますから、いわば住民のうちの関心の高い、あるいはエリートクラスの人々が選ばれたのか、アトランダムか、そこのところよくわかりませんけれども、エリートクラスの千人の人に調査をすれば、わりあいにいい結果が出てくる、平均して六三%、推進すべきであるという意見があったというようなこと、これはまことにけっこうなことでありますけれども、しかし、その数字を検討する場合にはまた別にそれだけ割り引きして考えなければならないと思うわけでありまして、私は阪奈和の隣の県に住んでおりますので、一般の住民の中からそれほど関心のある見解も聞きませんし、また私自身がそれについてどういう考えを持っているかということを尋ねられたことがないわけであります。
 そこでもう一つの問題は、一体性の問題でありますが、自主的にとか、自主性ということは一応、私、疑問を持って終わりますが、先ほども申しましたように、地方制度調査会の調査報告なり、あるいは国土計画協会の報告書なりにつきましては、いずれまた数字を分析して質問いたしたいと思います。
 もう一つのねらいは、「一体性のある区域」、あるいは「将来一体性のある区域として発展する可能性ある区域」というふうに、一体性がすでにあるか、さもなければ、「将来一体性のある区域として発展する可能性のある区域」、まあ言ってみるならば、非常に生活的にも経済的にも社会的にも近い関係にある区域ということだろうと思うんでありますけれども、しかし、一体性ということはまた非常に定木ではかることは困難な、気持ちの上ではよくわかりますよ、しかし、私、兵庫県に住んでいて、阪奈和と大阪の一体性ということと、あるいは兵庫、大阪の一体性とどちらが一体的かということになると、局長ちょっと返答に困るのじゃないですか、どちらが一体性があると思いますか。
#80
○政府委員(長野士郎君) 確かに御指摘のようなところはございますが、そういう意味では阪奈和という区域だけが区域ではないじゃないか、むしろ阪神というものを一体的に考えていくべきであるというような御意見もございますし、また、いや、そうじゃない、もうすでに京阪神というものでひとつ考えていくべきだというような御意見もございます。もちろんそういう意味で、どういう見方で一体性というものを考えるかということは全く御指摘のとおりだと私も思いますが、同時にまたこの法律なり、これは地方制度調査会の答申でもそういうことが述べられておるのでございますけれども、やはり広域的な団体として、広域行政の合理的あるいは能率的な処理をはかるというような意味での府県の大きな合併ということになってまいりますと、どうしてもそういう地域的な一体という意味では、大都市を中心にした府県の区域を越えた広がりというものが一つ確かに問題に相なります。それから同時に、広域的な行政を任務とする府県といたしましては、やはり地域間の均衡というものを考え、あるいはまた過密地域とそうでない地域との間の相互の欠陥を補いながら、今後の開発なり施設の整備なり、事業を経営していくというようなことを全般として考えていくというような高い一つの視野といいますか、そういった考え方も必要だというような意味で、関係の都道府県の格差の是正に寄与することができるような配慮が望ましいということが答申にもあるわけであります。その点につきましては、この法案の第二条にもそういう趣旨の、地域間の格差の是正に寄与するということもひとつ含めて考えてみるべきではなかろうかという合併の基本という考え方を打ち出しておるわけでございますが、そういうことから考えまして、将来そういう一体性を確保し得るという見込み、つまりそれは大きく言えば全国総合開発計画なり、地域ブロックにそれをおろしました場合のブロックの計画等におきましても、そういう一応の青写真が次第にできておるわけでございますが、そういうものをにらみ合わせながら、そういう将来の発展、一体的に発展する可能性のある区域というものを考える、そういうことを取捨選択といいますか、考えながら、合併というものを進めるところでは基本にしてほしいという考え方が出ておるわけでございます。そういうことでございまして、したがいまして、阪奈和地区、あるいは阪神地区、いずれについても議論が成り立ち得るということはもう御指摘のとおりだと思います。
#81
○松澤兼人君 一体性のほうを押えると今度は格差のほうを持ってくる、格差のほうを押えると今度は一体性のほうを持ってくる、そういう考え方じゃないかと思います。これは読んでみれば、一体性もあるし格差の是正ということもあるしするから、それは両方ともあるわけです。しかし、一体性ということから考えてみると、これは四十年の国勢調査の数字なんですけれども、大阪市に外の県から流入してくる昼間人口ですが、八十八万二千人、そのうち兵庫県から来るのが二十万一千人、それから、これは関係ありませんけれども、京都府から三万四千人、それから奈良県から五万三千人、和歌山県からは八千六百人だと、こういう数字はこれ真実なんですか。ほんとうにこんなようなものが昼間人口として、これは大阪市ですけれども、流入しているのですか。
#82
○政府委員(長野士郎君) いま手元に資料はあると思いますが、ちょっと見当たりませんので、後ほどお答えさせていただきたいと思います。
#83
○松澤兼人君 この資料のことが出ましたけれども、あなたのほうはりっぱな資料をたくさん持っているけれども、こっちのほうには資料がないんです。この前、衆議院で配られた合併の資料という分厚いやつがあるでしょう。お持ちのやつはそうじゃないの。参議院の審議に際してそういうものをお配りになるのですか、ならないのですか。出してくださいよ、これはいろいろと参考になることがたくさん出ているのですから。それはそれで出していただけますね。
#84
○国務大臣(野田武夫君) もちろん出します。ちょっと手違いで行き届きませんで。
#85
○松澤兼人君 その貴重な資料を配付していただけばわかることだと思いますが、いま手元に私のほうが持っておりませんので、そこでお尋ねするのですけれども、かりに阪奈和という三府県を例にとって考えてみますと、大阪の人口が六百六十三万、それから奈良が八十二万、和歌山が百五万、合計して八百五十一万、で、愛知が四百八十万、岐阜が百七十万、三重が百五十万、合わせて八百一万、こういう数字はほぼ正確ですか。
#86
○政府委員(長野士郎君) 先ほどのお話でございました大阪府へ近畿六府県から流入する昼間人口は、この国土計画協会の調査によりますと四十万六千五百四十八人でございまして、府県別に見ますと、兵庫県からの流入が最高でございまして、二十四万三千六百五人、全体の五九・九%占めております。次いで奈良県の七万二千二十三人、一七・七%、京都府の五万六千八百八人、一四・〇%、以下和歌山県、滋賀県、三重県というような順になっております。兵庫県から大阪府への流入のほとんどは尼崎、西宮、神戸、宝塚、伊丹、川西、芦屋の各都市からでございまして、これらの七市で二十三万六百十六人、こういうことになっておりまして、兵庫県からの流入人口の中で占める割合は九五・六%ということに相なっておるというふうに記録に出ております。
#87
○松澤兼人君 これもまた資料をいただいてからあれですけれども、私の聞きましたのに、大阪市に大阪市外から八十八万ほど昼間人口が入っておりますというようなことだったのですが、兵庫県からの流入は大体二十万ということで数字が合っております。これはまた私も検討いたします。
 そこで、先ほどお話のありました格差の是正に寄与する、これは当然まあそうなければならないわけでありますけれども、しかし、その関係府県の間の格差の是正ということはある程度まで期待することはできるし、また達成することもできると思います。逆に、それでは合併をしない県と合併をした大きい大阪県と申しますか、そういうものとの間の格差はどうして是正されるお考えですか。
#88
○政府委員(長野士郎君) 御指摘のとおりの面は確かにございます。合併いたしました県と合併をしない県とではそういう意味では合併県というものは行財政能力が平均化され、またある面で充実されるということでございますので、格差が開くというようなところが出てくるということは確かにございます。したがって、そういう合併をいたしません県につきましては、合併という方法ではなくて、それ以外の後進地域に対する財政的な面で申しますというと、補助率のかさ上げでございますとか、あるいはいろいろの過疎的な地域についての過疎対策でございますとか、あるいはそういう意味の行財政的な措置を講ずることによりまして、そういう未合併と申しますか、未合併の府県というもののそれ自体の行政水準の引き上げということについては別の方法で努力しなければならぬ、こういうことになると思います。
#89
○松澤兼人君 そういう個別の施策というものは従来からもとられておりましたし、またこれは別にお尋ねしたいと思うのですけれども、自治省自体が広域市町村圏というようなことで一つの圏の中の後進的あるいは過疎的な地域に対する行政指導をおやりになるということもよくわかっております。従来からやはり国としましてはそういう後進県に対する施策というものはいろいろとやっておられる。にもかかわらず、やはり人口急減でなくとも、人口の漸減していく県というものは相当たくさん出ておると思うんです。で、県の場合、人口がどうしてもふえない。現状維持である、あるいはどうしても漸減するんだという県はどういうふうになっておりますか。
#90
○政府委員(長野士郎君) 府県におきましての人口の推計はいろいろあるわけでございますが、現在まで私どもの見ておりますところでございますというと、お話のように人口の増加いたします県と人口の減少してまいります県とは、人口調査の結果からいきますというと次第にその差といいますか、そういうものが顕著になっておるようなところがございます。ただ、人口問題のいろんな専門家の御意見を伺いますというと、たとえば東京の場合でございますと、二千万近くのところまでいく、大阪もやがてそういう、まあ極限にはその辺までいくんじゃないだろうか。しかしながら、それ以後はそれほどのことにはならないというようなお見込みも、これはまあいろんな計算や推計のしかたがあるようでございますが、そういうようなお話も伺っております。しかし、一般的に申しまして、たとえば東北地方でございますとか、北陸一帯の地域でございますとか、あるいは山陰地方でございますとか、あるいは四国地方、九州地方、まあこういうところにおきましては、なお今後とも人口の流出ということが相当程度続いていくというふうには予測をされておるようでございます。
#91
○松澤兼人君 町村などにおきましては、人口が五年間に一〇%減るようなところは決して珍しくありませんし、ひどいところになると一五%以上も五年間に減っていくというところがあるわけであります。まあこういうところは後進的なところでありましょうし、あるいは過疎の地域というふうに最近では呼んでいるんだろうと思いますけれども。いまお話しの、まあ合併されました阪奈和県というものの中においては、和歌山、あるいは奈良が何かの、国からの、あるいは大阪の財政力の援助なりあるいは協力なりによりまして、だんだんと後進的な状態から前の大阪府並みに是正されて、あるいは格差が少なくなってくるという、そういう期待は持てるわけなんですけれども、いまお話しのありました東北各県なり、あるいは北陸、山陰、あるいは四国、九州というようなところにおける――これはまあ県の場合、そういうところにおける人口の漸減傾向というものはもう顕著であるし、これはもうほとんど必然的な傾向である。これをこのままに放置しておいて、そして持てる者のところへさらにお金を回すとか、あるいはその財政力を強めていくということは、全体から考えてみて非常に片手落ちと申しますか、あるいは法のもと平等という憲法の精神からいいますと、非常に差別待遇をしているんじゃないかというような気がしますけれども、いまお話のありました個々の、たとえば農山村の振興であるとか、あるいはまたは積寒地帯に対する特別の補助であるとか、その他いろいろのそういう後進的な地域に対する財政援助なり、あるいは国のめんどうを見るというその度合いが相当高まっていきましても、人口の漸減傾向というものは是正できないと思うわけであります。いま局長が言われましたような別途の方法で、あるいは施策で、そのほうはそのほうとして格差をなくしていくのだというようなことをはたして期待ができるかどうか、非常に疑問に思うわけです。
#92
○政府委員(長野士郎君) まあ府県の合併に伴いまして格差が是正できるという意味の見方でございますが、これはいろいろ考えられるわけでございますけれども、先ほどもお話がございましたように、それには国が合併に際して、必要な需要があれば需要も、まあ合併というものの一体性を確保するという意味では特に考えなければならぬという面も確かにございますが、恒久的には、例として言えば、財政力の強いところと弱いところが一緒になりますというと、弱いところのほうが強いほうの恩恵を受けるといいますか、そういう意味で均衡化されて弱いところのほうの水準が上がるということに寄与ができる、こういうことになります。これは合併に必ず伴う問題でございまして、町村合併の場合でも同じような問題があったわけでございますが、たとえば、変な言い方で恐縮でございますけれども、財政力の弱いところ同士が集まってみても、しょせんは楽にならないではないか、これはもう合併に伴う常に言われる事柄でございます。しかしながら、そうは言いましても、その中でもやはり行政の合理化あるいは能率化というようなものからくみ取ってくるところの効果というものも、私どもは相当に期待をしても差しつかえないし、また大いに期待することもできるのじゃないかという感じもいたしますが、しかしながら、この合併という問題だけで後進的な地域と先進的な地域との格差が全部が是正できるという性質のものでは私ももとよりなかろうと思います。そういう意味では別個の問題として考えなければならない。それからまた合併によりまして大きな府県ができると、そこにいろんなものが集中するかといいますと、合併した効果というものの一つは、やはり財政力の強いほうの力が弱いところを均てん化するという意味が非常に大きいわけでございますから、特にそこに他のものを差しおいて投資をし、あるいは財政力の付与のために措置をするということでは必ずしもない。むしろそういうことで均てん化してまいります結果は、まあいろんな交付税制度その他の制度を通じまして、他のそうでない団体に対する財源付与というものに力を回すこともある程度は可能になってまいる。たとえば不交付団体と交付団体とが合併をいたしまして、これはあとの交付税制度その他の考え方にもよりますが、現状におきましてそういう合併を考えました場合には、府県の組み合わせによりましては、なお不交付団体になってしまうというようなところも場合によっては出てくるわけでございます。そうしますと、交付団体に回っておりました財源というものは、別の交付団体のほうへ振り向けるということも可能にはなってくるわけでございまして、そういうことがまたそういうことになるからというので、逆に合併をはばむ理由にも実はなる面もあるわけでございますけれども、全体としてはそういう影響というものは確かに出てまいります。しかし、それだからと言って、合併をしない府県というものとあるいは合併した府県とが、合併のあるなしによりまして、それによってまた著しい格差を生ずるということにはならないのでありまして、むしろいい影響を合併しない府県にもそういう面から間接的ではございますが、与える。しかし、それは本筋ではなくて、むしろそういう意味の格差は、合併の県についての格差是正ということは言えますが、それ以外のところには別個の施策というものを事前に手厚く考えていかなきゃならないだろう、こう考える次第でございます。
#93
○松澤兼人君 別個の施策ということをおっしゃるんですけれども、どういう施策をするかということがはっきりしませんし、また財政力の貧弱なものが三つ集まっても、四つ集まっても、それは決してよくならない、まあ言ってみると、北陸三県であるとか、あるいはまたは四国四県であるとか、こういうものはそういう意味では合併の対象には考えられないということになりますか。何か核になるようなものがなければ、財政力の豊かな核になるようなものがなければ、結局関係府県の格差是正にもならないし、また近県に対して貧弱な県同士が合併したって何にもならないということになるんですか。
#94
○政府委員(長野士郎君) 財政力の観点からの格差是正ということの見方の問題でございますが、非常に大きく均てん化するという意味では、たとえば不交付団体と交付団体が合併するなんていう場合は、そういう意味では著しいだろうということを申し上げたわけであります。しかしながら、府県の合併におきましての大きな問題は、一つは広域行政を合理的、効率的にやっていけるということでございまして、府県間を通ずる道路でございますとか、港湾でございますとか、あるいは住宅の配置でございますとか、あるいは環境整備でございますとか、そういうようなものにつきまして、あるいはまた産業立地等の関係の行政につきましても、現在は府県ごとに計画を立てまして、そうして府県の区域内での問題として考えて、その地域全体の統一性というものをはかるという点では非常に欠けておるうらみがございます。したがいまして、その地域全体の総合的、合理的な計画の中で考えていくということになってまいりますというと、その場合に非常に効果もあがりますし、能率も向上していくという面はこれは否定できないわけであります。また合併に伴いまして、極端なことを申しますと、いろんな関係の機関が三県には三県それぞれにあるわけでございますが、そういうものも統合され、そして一つの県の立場でものを見ておりましたものが、三県をひっくるめた広い立場でものを見ていくということも出てくるわけでございますから、そういう意味の行政の合理化、効率化というものは非常に大きな効果をあげることも私はできるだろうと思います。そういう意味で、必ず核になる県がなければ、府県合併というものはやってみたってあまり意味がないということは、一がいには言えないというふうに思っておるわけでございますが、財政力の均てん化と申しますか、そういう点だけに着目いたしますと、それは一番効果があがりますのは、不交付団体と交付団体などが統合されることが一番効果があがるということには、これはなるだろうと思います。
#95
○松澤兼人君 府県の規模が適正である、適正規模の府県というものは一応自治省としてはめどを持っていらっしゃるんでしょう。
#96
○政府委員(長野士郎君) 適正規模がどれくらいであるかということについてのはっきりしためどというものは、私どもは現在のところまだ持っておりません。と申しますのは、府県につきましては、単に地域による実情とか、いままでの沿革とか、府県の区域とかいうようなものが非常に違ってまいりますので、なかなか一般的のものさしができにくいわけでございます。ただ午前中にも申し上げましたが、昭和二十六年に地方行政調査委員会議で、府県の区域の合理化ということを考えました場合には、おおむね人口二百万以上というものを一つのめどにすべきだという考え方をとっておりました。それから地方制度調査会におきまして地方制の議論が出ました場合に、少数意見としていわゆる三、四府県合併構想というものが発表されましたが、そういう場合の意見によりますというと、大体二百万から三百万くらい、その当時でございますけれども、そういうもので全国を区分すると言いますか、そういう関係でのひとつの標準をつくっておったようでございます。しかし、そういうふうに人口でのみ考えるということがなかなかできませんのは、府県の区域の一部を二つの区域に分けるというようなことを考えることは、これはまあ実態にそぐわないということで、今度の府県合併特例法における府県の合併と申しますのは、府県の単位ごとにそれを分割するとかいうようなことでなくて、統合するということのほうが実際的であろうというような考え方、これは地方制度調査会の考え方でございますが、そういうことでございますので、必ずしもそういうことには、必ずぴしっとしたものにはなかなかならないわけでございます。また逆にリミットがどこであるかということも一つの問題でございますが、これは無際限に合併ということでどんどんと区域を広げていけば、それは人口規模が幾ら大きくなっても合理的なんだというわけにはまいらない。やはり地方団体としての合併でございますから、住民意識ということまで詰めて考えるわけではございませんが、やはりその地域社会におけるところの共通した意識と申しますか、何らかの一体的な基盤とか、住民意識というものとの関連を見落とすわけにはいかない。単に機械的に統合して行政能率の側面だけから合併ということを考えるわけにいかない。また同時に地方団体としての管理能力と申しますか、目の届き得る範囲というものも、最近のようにいろいろ通信、交通事情というものが発達いたしましても、おのずから限界がある、こういうことから考えますというと、私どもやはりなかなか申し上げにくいのでございますけれども、やはりいままでにおいて、たとえば近畿地方で言いましても、近畿が一体だという議論は近畿圏の議論などでよく出ておりますけれども、まだ近畿を全部一つにすべきだというところまではいかないのではないだろうか。
  〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕
そういう意味では、自治体としての広域的な府県を考えましてもやはりそこまではなかなかいかないのじゃないか、こういうふうに考えております。
#97
○松澤兼人君 適正規模は私も二百万というようなことを聞いておりました。たとえそれが二百万でなくて三百万としましても、今度かりに阪奈和の合併を考えてみますと、先ほど申しましたように大阪の六百六十三万、奈良が八十二万、それから和歌山が百五万、合計八百五十一万、これは標準的区間ということばは私が使っているのですが、かりにそういった人口なり規模なりということを標準的に考えてみると、標準的あるいは適正規模ということから考えると、むしろ過大県だというふうに言えないこともないのじゃないですか。先ほどから広域行政ということをいろいろ言われておりました。市町村から見れば府県は広域であるし、またその府県が三つ集まればさらに広域である。しかし、先ほど申しましたように、阪神経済圏とか、あるいはいまもお話がありました昔の畿内――近畿の中という点を考えてみると、さらに広域になるということですから、広域であるかないかということは一応のものさしに過ぎない。ですから適正規模がもし三百万程度が望ましいということであれば、阪奈和の合併で八百五十一万という県が新たにできるということは、これはむしろ過大県というふうになるのじゃないですか。大阪のごときは、たとえそれが六百万であり八百万であり、あるいは一千万になっても、それは過大県というふうには言えない。そういうお考えですか。
#98
○政府委員(長野士郎君) もう御指摘のような点は人口の点だけから考えますと確かでございますが、やはり地域、規模、人口、いろいろな要素から勘案をいたしますというと、地域的には、たとえば北海道のような広大なところも現在一つの府県として経営がされているわけでございますが、人口から考えますと、たとえば東京のような巨大な人口を持っているところにおきましても、さらにその再編成というものを問題にせざるを得ないというような状況もございます。そういうことでまあ上限はどこまで考えたらいいかということについてはいろいろな議論があると思いますが、大阪の場合は、御指摘のように阪奈和におきましても八百五十一万でございます。あるいはいわれておりますように、東海三県の場合で八百一万三千くらいの、人口調査の集計はまあそういうことに相なっているようでございまして、その点で考えますと、人口は相当大きな規模になっておりますが、地域的な関係その他から考えますと、まあ御指摘ございました二百万、三百万と申しておりました時代の状況より、昭和二十六年あるいは三十年当時よりもさらにまた一段と交通網なり通信網なりの整備というものは行なわれておりますから、そういう点ではその程度の人口、あるいは現在ほかの自治体に例がないわけでもございませんし、広域行政の範囲としてはまあ処理可能な範囲ではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  〔理事熊谷太三郎君退席、委員長着席〕
#99
○松澤兼人君 どうもその辺のところがだんだんと弱気になってこられたようなんですけれども、やはりこれから合併をしよう、あるいは合併の促進はあなたのほうはやらないということでありますが、合併をしたいという、そういう関係府県がある。それに対してやはり自治省としては、大きいものがさらに大きいものをくっつけても一向さしっかえないということであるのか、あるいはまたかゆいところに手が届くような行政をするということを考えるならば、一応は適正規模であるとか、あるいはまたは広域の範囲とかというものはものさしとして持っていてもいいのじゃないかと思いますけれども、いまのお話では全然そういうものはない。言ってみるならば、財政能力のあるところはどんなに人口が大きくなってもそれは差しつかえないと、まあ上限をどこにするかということもあるけれども、しかし、東京都を分割するというようなことは全然考えない。さらに、そうじゃなくして、千葉県をあわせ、あるいはまた埼玉県をあわせても財政能力があるならばそれはそれでやっていけるじゃないかということなんですか。
#100
○政府委員(長野士郎君) まあ東京都の場合の一千万と申しますのは、ちょっとほかの例には必ずしもなり得ないと思います。と申しますのは、東京都の場合は二十三区というところにつきましては御承知のように特別区という特別な制度をとっておりまして、その区域につきましては、都は、まあ言ってみれば市役所のかわりをしておるわけでございまして、そういう意味では都政の相当な部分が都市行政という基礎的な地方団体が行ないますような意味でのきめのこまかい行政面も都の任務に入っておるというような点もございます。しかるにもかかわらず、一千万もありますところの巨大な人口をかかえているというかっこうでの行政を行なっておりますから、その行政の困難性というものはたいへんなものだというふうに推測もしておりますが、まあ府県の場合になりますというと、やはりそこは基礎的な地方団体としての仕事、任務というものは、市町村が担任をいたしまして広域的な行政というものを主体として行なっていく、つまり言ってみれば府県間、市町村間の調整でありますとか、大規模な、相当規模の程度の公共投資でありますとか、公共事業とかいうものを広域的、計画的にやっていくということが府県の大きな任務になります。それから産業行政等におきましての指導なり援助なりというものを整えていくというようなことが府県の任務になりますので、その点では広域団体としての府県の任務と言われておりますところのいわゆる広域性とか、統一性とか、あるいは市町村との間の連絡調整でありますとか、あるいは市町村の能力を補充する意味での補完行政でありますとかいう面での県の任務がなし遂げられるかなし遂げられないかというようなところで府県の規模というものを考えていくということに相なるのじゃなかろうかというふうに思えます。そういうことで考えますというと、人口規模等につきましても、市町村の基礎的な団体におけるところの問題とはやや違って、相当まあ許容範囲というものは考えていいのじゃないだろうかというふうに思うわけでありまして、都を引き合いに出すわけじゃございませんが、八百万前後、あるいは九百万、それじゃ一千万はどうだという議論になりますけれども、その程度のところでの広域的な団体としての新しい府県というものができ上がるといたしましても、これは府県行政を府県の任務としておりますところの行政を執行するのにはまずまず支障なく、むしろ広域的な機能を十分に発揮できる範囲ではなかろうか、こう考えておるのでございます。
#101
○松澤兼人君 それで阪奈和にこだわるわけではございませんけれども、一応期待される府県合併の一つのモデルとして阪奈和があげられておるわけであります。この場合まことに変な質問でありますけれども、ここでは関係府県議会が議決をすると、その議決は先ほどお話のありました過半数をこえて、三分の二に達しない場合には云々と、こういうふうにあります。もちろんこれは府県合併だから府県議会の意思なり、あるいは府県住民の意思なりを知ればそれでいいわけでありますが、大阪府の中にある大阪市の意向というものはもう全然形式的に、手続的に聞かないでもよろしいということですか。大阪市民は大阪府民でありますから、また大阪府議会には大阪市選出の府議会議員がいるわけですから、先ほどのお話のような形をとれば十分に大阪市民の意思というものは大阪府議会に反映されるからよろしいのだと、そういうことで、まあ指定市である大阪市の意思、大阪市議会の意思というものは全然聞かないでもいいということなんですか。
#102
○政府委員(長野士郎君) 大阪市の場合、大阪市のみならず、大阪府下の市町村あるいは奈良県下の市町村、和歌山県下の市町村の意向というようなことも考えられると思うわけでございますが、まあ府県が府県としての意思をきめますという場合に、議会と住民ということを、住民の基本的な権利というものが議会によって代表されているという考え方に立って、府県は府県としての、自治体としての考え方というもので、その合併についても府県議会の意思というもので考えていくという体系をとっておるわけでございます。したがいまして、法制上、大阪市の意見をこの中に反映させるということの保障はないといえばそのとおりでございます。ただ、まあ大都市だけに限って申し上げるのもいかがかと思いますが、大都市の従来の傾向といいますか、意向と申しますものは、むしろ府県から独立するといいますか、府県を排除するといいますか、そういう歴史なり運動の沿革もあるわけでございまして、そういう意味では大阪府も、その中にある大阪市の意向というものははっきりした形では出ておりませんけれども、十分そういういろんないままでの沿革なり動きなりから考えまして、阪奈和の合併ということの問題が具体の問題となりました場合には、大阪市の議会あるいは大阪市の意思というようなものが、議会等を通じて私どもは当然表明されるものだろうというふうに思っております。
#103
○松澤兼人君 いまお話の大阪市議会としては、まあ府県行政を排除するということばをお使いになりましたけれども、排除ということばはあまり適当なことばではないと思います。まあ結果においてそういうことかもしれませんけれども、やはり指定市の市長なり指定市の権限というものをもっと拡大してくれと、こういうことじゃないですか。それとも排除するという、そういう現実の動きがあるわけですか。
#104
○政府委員(長野士郎君) どうも少しことばが過ぎまして。実は沿革的には五大市は地方自治法ができまして以来、例の特別市運動というのでたいへんに活発な運動をいたしておりまして、これは御承知のように、現在、地方自治法の中には特別市という規定はございませんけれども、それはまあ府県の区域から脱するといいますか、独立するというものの考え方を基本にしておったようでございまして、そういう沿革等から考えまして、特別市という制度はなくなりましたが、同時に市の独立というような考え方というものは一貫して、市の自治権の拡充という考え方からいえばそれも当然だろうと思うのでございますが、それが出ておるということを少し強調し過ぎたきらいがございますが、まあそういう趣旨でございます。
#105
○松澤兼人君 これは名古屋市でもあるいは大阪市でも同じことですが、これは市域の拡張ということは、どの市におきましても非常に痛切な希望を持っているわけですが、市域を拡大するということは、結果的にみれば、いま局長のおっしゃったように、府県の行政を排除するということになるかもしれませんけれども、市域を拡張するということそれ自体は、別段、府の行政権能というものを排除することにもならないのじゃないかと思いますけれども、その辺のお気持ちはどうなんですか。
#106
○政府委員(長野士郎君) 私が申し上げましたのは、五大市というもののいままでのあり方と申しますか、考え方というものが、大都市としての自治権の拡充、つまりそれは府県におけるところの行政支配というものが、政府があり、府県があり、それがすべて大都市についていわゆる二重監督、二重行政というような形で行なわれるということは、市の自治権に対する非常に制約であるというものの考え方が一貫してあるわけでございます。そこで、そういうことではなくて、府県行政の監督なり、行政支配というものを、できるだけ整理をして、府県の力をできるだけ市に譲って、そうして県と相なるべくは対等と申しますか、そういう地位を得ることが都市の自治権の拡充にふさわしいことだという考え方を一貫してとられておったわけでございます。そういうことは、直ちにもって府県というものをじゃまにするということでないということはもちろんでございますが、そういうことが市としての一貫した態度ではなかろうか、これもそれなりの十分の理由もあるし、理解できる考え方だとも思います。それから市域の拡張という問題もそれに関連をいたしましていろいろといわれておるわけでございます。これにつきましてもいろいろ沿革がございまして、そういうことが大阪市におけるところの一つの自治権拡充というようなものと不可分な問題として出ておる。それが間接的には府県のあり方、あるいは府県の行政というものにやはり徴妙な影響を与えていくということは、これは避けられないだろうと考えているのでございます。
#107
○松澤兼人君 私は逆に申し上げたいです。たとえば阪奈和の合併が行なわれるという場合には、この際、大阪市という指定市、財政力を持った、経済実力を持った大阪市というものを引き上げていくべきじゃないか。府のほうは和歌山と奈良と一緒にした地域の非常に大きなものになるわけです。地域の非常に狭い、大阪市だけにこだわっている必要はない。だから、この際向こう側が府県合併をやるならば、市の立場ももう少しめんどうみてやって、あなたもおっしゃるように、自治権の拡大という措置をこの際とってやることが親切なやり方じゃないか。ちょっと国税のあがりぐあいを調べたものがありますけれども、大阪府全体で、これは四十四年の四月、大蔵省からいただいたのですけれども、大阪府全体で五千百五十一億九千九百万円、大阪市はそのうち三千五百五十八億三千万円、その割合は六九%、すなわち七〇%まで、大阪府全体からあがる国税の中で七〇%ぐらいの国税が大阪市からあがっているわけです。財政力の点だけから、大阪市の行政能力と申しますか、あるいは権限というものを判断するわけにはいきませんけれども、これだけの経済実力を持っている大阪市、大阪府の中における大阪市、府税の場合、これは調査したものはありますか。府税全体で、大阪市からあがる部分と、それから大阪市以外の大阪府から府税があがる金額及びその割合。
#108
○政府委員(長野士郎君) いまちょっと手元に資料を持っておりませんので、後ほど調査いたしまして御報告申し上げます。
#109
○松澤兼人君 これは国税ですから、これから申し上げることに必ずしも妥当しないと思いますが、かりに府税が、大阪府全体であがるものと大阪市からだけあがるものと、その割合というものが、もし、いま申しました六九%、あるいは七〇%であるということであるとすると、府税の正確な数字はわかりませんけれども、それだけのものが大阪市から府税を吸い上げて、大阪市と関係のない、たとえば和歌山県の橋をつくるとか、あるいはまた奈良県の何か住宅を建てるとか、回り回ってそれは大阪市に関係ないとは言えませんけれども、そういうことは今後行なわれるわけでしょう。先ほど申しましたように、富裕府県である大阪府の財政力を奈良県あるいは和歌山県に持っていって、そして格差の是正をするということもあり得るし、それはけっこうなことだというお話があった。しかし、大阪市民――府民でもあるわけですが、大阪市民の率直な、また素朴な感じから言うならば、これだけの府税を吸い上げておいて、ああいう関係のない橋をこしらえたり、の修築に新しい阪奈和県ですね、阪奈和県の財政力を使うというのはどうも納得がいかぬ。それなら図書館を建ててくれとか、あるいは市民体育館を建ててくれというようなこと、それは市でもやっているでしょうけれども、市民の立場からいえば、体育館が必ずしも一つでなければならぬということはない。市立の体育館があってもいい、まあ行政の権限の問題は別として、市民の立場からいえば府立の体育館があり市立の体育館があってもちっともさしかつえないわけです。これだけ府税を大阪市から吸い上げておいて、そして自分たちとあまり生活上つながりのない奈良県なり、あるいは和歌山県へ持っていって公共事業をするというようなことに、ちょっとふに落ちないような素朴な感じが出てくるのじゃないかと思いますが、そういう市民の素朴な感情というものはどういうふうにお考えですか。
#110
○政府委員(長野士郎君) 確かに御指摘のような点は私どもも十分理解できますが、大阪市自身の日常生活というものをささえ、大阪市自体の経済活動や文化活動をささえているのは大阪市の区域内の居住人口に限らない、むしろ流入人口が非常に多いわけでございまして、大阪市の昼間流入人口がわかったのでございますが、たとえば八十八万二千三百四十八人ということになっております。それで、大阪市の昼間流入人口の中で、大阪府内から、つまり市域外でございますが、市域外から大阪市に入ってまいりますものが五十七万五千五十二人でございまして、圧倒的に大阪府内の市町村から大阪市に入ってくるものが多いわけでございます。まあ、あとは兵庫県の、先ほどお話がございました二十万人、あるいは京都府の三万人、和歌山の八千六百余人、奈良県の五万三千人、なお滋賀県、三重県からも入ってきておりますが、そういうことでございますので、大阪市自体の文化活動、経済活動、いろいろな活動というものは、大阪市内の住民だけの成果によるわけではない。むしろその地域全体としての大拠点という地位を持っておるのが大阪市でございますから、そういう意味では近畿全般に大阪市というものの影響力というものは及んでおるというかっこうでございますから、お話のような気持ちも大阪市民にはあり得るかと思いますが、同時にそれは、結局大阪市域内からあがる関係の税金というものによって和歌山県の橋がつくられる。これは先ほど先生のお話になりました大阪市内からあがる五千百五十一億のお金というものの大部分は、あるいは和歌山県の橋どころじゃなくて、鹿児島県の橋をつくっておるかもしれないわけでございまして、やはりそういうことは全体の調節というもので考える。むしろそういう意味では、阪奈和地域等のごく大阪市に関係の深いところにおいての行政活動に使われるということのほうが、むしろ大阪市民としては逆に言えば受け入れやすい点もあるのじゃないかという感じもいたすわけでございまして、したがいまして、この大阪市というものを大阪府なりそのほかの隣接府県というものから全く切り離して大阪市というものを考えるという実態ではない。最近の人口調査のたびごとに大阪市の中の人口はどちらかといいますと、いわゆるドーナツ化現象でございまして、だんだん減っておりまして、むしろ府下の市町村に移住をしております。都市集中という人口の集中、あるいは産業の集中も現在では大阪市内というものはとまってきておる状況でございます。むしろ人口も産業も府下の市町村に集中をしておるという状態でございますが、これが一体として大阪市を中心とした大都市圏をつくっておるというふうにも考えられるわけであります。さらに広い見方をいたしますというと、阪奈和の合併という問題が起きますのも、大阪という大拠点というものの波及効果といいますか、そういうものの関連性におきますところの一体化現象というものがそういうところに及んでおるということと考えても、相当部分、大部分はそういう影響であるということを考えてよかろうかと思われるくらいでございますので、この関係は大合併がかりに行なわれたといたしましても、なかなか切り離しがたい関係にむしろなるのではないかというふうにも思われるわけでございます。しかしながら、確かに御指摘のような点もございますから、府県の区域というものが再編成をされるというようなことが出てまいりました場合に、新しい府県と大阪市、具体の例で申し上げますと、大阪市との関係におきまして、あるいはその区域の再編成の問題とか調節の問題というものは、これはもう相当同時に相関連して適正な措置が講ぜられなければならない問題だろうと私どもも思っております。
#111
○松澤兼人君 一番最後のところが非常に気に入った答弁ですけれども、それまでのやつは、なるほど大阪府なり大阪市にそれだけ国税があがるということは、大阪市民だけがやっておるわけじゃなくて、ほかから昼間流入してくる人口の生産力にもよるのだという意味のことはごもっともです。そのかわり、そういう昼間人口のために大阪市がいわゆる財政需要というか、そういう点で負担しておるところが非常に多いのでしょう。そのために、大阪府は黒字だけれども大阪市は赤字になっておるのじゃないですか。そういうところでそれだけ昼間の人口を抱えて、いわば大阪府のために、あるいは近畿のために一生懸命やって、そうして大阪市自体が赤字をしょっていかなければならない。そういうことなんでしょう。先ほど申しました国税のあがり、それはなるほどそれがあちこちの橋に使われておるということはよくわかります。全体として国に収納される税金でありますから、それがどこにどういうふうに使われるということは私たちはわかりませんけれども、しかし、府税と市民の関係から言えば、先ほども申しました素朴な納得のいかない感じというものはやはり残るのじゃないかと、こう思うのです。その最後、そういう大阪奈和県というものができたら、そういう場合にはやはり大阪市の問題も現在のままでいいというふうには考えない、何か検討しなければならぬということでありますから、それを大いに期待いたします。
 それから、その次の問題ですが、午前中の質問で、この法案提出に至る由来ということについてお聞きしたわけでありますが、それを制度的にいえば、地方制度調査会の答申があったということでありました。それを尊重して今度の法案を立案したのだということはよくわかります。しかし、地方制度調査会、私も籍を置いたこともありますし、現在もそうなんですが、その答申がときどき突拍子もないものが何の脈絡もなく出てくることがあることは、私が指摘しないでもよくおわかりと思います。この点についてどういうお感じを持っていますか。
#112
○政府委員(長野士郎君) この府県の関係の制度につきまして、地方制度調査会の答申で、いままで答申が実現されていないというようなものの一番大きなものは、たしか三十二年でございましたか、例の地方制の答申がございましたけれども、この答申は実現されておりません。それはそのときにはかなり有力な少数意見がございました。多数意見が、地方制は御承知のとおりブロック単位に地方という地方団体を置くということでありますが、同時にその職員は国家公務員でありまして、そしてその地方の首長は内閣総理大臣が任命するというような形の制度でございます。有力な少数意見のほうは、たびたび御紹介申し上げておりますような三、四府県の合併という府県合併を提唱されておったわけでございます。そういう関係でございますから、その答申は実行に移されていないという状況でございます。それ以外には午前中御指摘のございました地方団体の連合という制度につきましても、これはその趣旨はよくわかります。なお、いましばらく検討をさしていただきたいというようなことで今日まで及んでいることはそのとおりでございます。最近、広域市町村圏その他の考え方の中に、どういう制度的なものが必要になってまいるかということで、この地方制度調査会も御検討いただくわけでございますが、こういうときにやはり従来答申をいただいておりますところの地方団体の連合というような考え方が、一つは大きな制度的にも意味を持って出てくるような検討をいたさなければならぬということで、鋭意検討しておるような状況でございます。そういうところにつきましては、確かに答申の実現ということができておりません。それから行政の事務の再配分、それに伴う財源配分というようなものの答申もございましたが、これも政府の行政改革本部等でもいろいろ検討していただいておりますけれども、なお十分でないという点が確かにございます。
#113
○松澤兼人君 地方制の問題は、こういう実現が不可能と言わないまでも、実現の見通しのないような答申が突如として出てくるわけであります。これを採用されなかったということは自治省としては当然なことだと思います。この地方制というものは、もちろんこれは自治法を改正してできる問題ではないと思うのですけれども、かりに地方制度調査会が考えた地方という団体というものは、もしやれば地方自治法の改正でやれるような問題ですか。
#114
○政府委員(長野士郎君) これは非常にむずかしい問題でございますが、憲法に申しますところの「地方公共団体」は、憲法の規定にも明らかでありますように、憲法九十三条によりまして、地方団体の長、議会の議員というものは、住民の直接の選挙によって選ばれるべきであるということになっておりますから、先ほど申し上げましたような国と市町村の間の中間団体としての地方、そうしてその地方というのは、地方団体としての性格と同時に国家的な性格を持つものだ。しかも、地方の長は地方の議会の同意を得て内閣総理大臣が任命する、こういうようなことでございますと、それだけで全部を尽くしたわけじゃございませんが、少なくとも憲法にいいますところの「地方公共団体」ではない、こういうことに相なろうかと思います。しかし、地方自治法の体系からいいますと、憲法上の「地方公共団体」だけを地方公共団体と申しておるわけではございません。そこで問題は、憲法が考えておりますところの「地方公共団体」というものは、府県と市町村という二重構造を憲法は予定しておったのか、あるいは「地方公共団体」として憲法が注文しております「地方公共団体」は、一重の構造でもいいのかということが実は問題になるわけでございます。つまり地方という中間団体は特別な地方団体であって、市町村という団体が憲法上の地方団体であれば憲法上の要請を満たしておるのではないか、こういう議論も議論としては成り立つのではなかろうかという感じがいたします。そういうことになりますというと、そういう意味で地方という特別なる地方団体を、憲法上の地方団体とは言えないだろうと私は思いますが、そういうものを市町村と国との間に設けていく。それを地方自治法という中に入れるのが正しいのか、あるいは地方制という特別な制度をつくり、地方自治法の体系からはずして考えるのが正しいのか、これは別個な体系の問題がございますが、そういうこととして、体系上の問題もありまして大きな問題ではございますが、地方制度調査会としては、そういうことを予定をある程度しながら答申をしたのではなかろうかと思います。
#115
○松澤兼人君 いまお話しのように、地方制というものは、地方自治法のワクをはみ出しているものであるというふうに考えますが、これは国の機関であるということであれば別でありますけれども、しかし議会がある、そうして理事者としては地方長というものがある。その地方長は総理大臣がその議会の同意を得て任命する、そこのところに問題があると思うので、憲法及び地方自治法では、長や議員も直接の住民の選挙によって選挙されるのだというたてまえというものはくずしてはならないのだと思うのです。そこでいろいろ疑義があったけれども、この地方制度の問題はとうとう流れてしまったと思うのであります。したがって、これはもう問題外でありますけれども、この地方制度の構想の中に、府県はこれを廃止するという文句がありましたけれども、これは憲法にも違反するし、また地方自治法にも違反する、こういうものであると私はその当時考えたのですけれども、それは法律的に言ってそのとおりでいいのですか。
#116
○政府委員(長野士郎君) 先ほども申し上げましたが、まあこれは憲法議論の中でも、実は両説あるようでございます。たしか、「註解日本国憲法」という書物がございますが、それの最初のほうの記述には、憲法の地方公共団体というのは、何も地方自治の二重構造を考えたのではない、したがって、それについては一重でもよろしいんだという考え方が出ておりました。それを、「註解日本国憲法」というのは途中で改版をいたしまして、憲法制定当時の考え方から言えば、府県、市町村の二重構造を憲法は予定しているんだ。したがって、二重構造がない限りはいかぬというような考え方に学説の変更をしております。しかしながら、それは私は一般論とは必ずしも考えられない。やはり両論があるというふうに考えられるのでございます。したがいまして、その関係との上で府県制を廃止できるかどうかという議論、憲法論としてはそういう問題が出てくるのではなかろうかと思うのでございまして、その点では、政府の考え方として出ておりますのは、たしか都の特別区の制度の改正のときにそれが問題になりました。その当時は、やはり憲法にいうところの地方団体というのは、日本国領土の中ではすべてが憲法が要求する地方団体でおおわれていなければならない。これはまあ原則だ。そこで特別区というものはしからば何だということでございますが、特別区というものは、そういう意味で憲法上の地方団体ではない。あくまで自治法上の特別な団体である。言ってみれば都の内部的な自治組織であるという考え方が、たしか昭和二十七年の改正でございますが、特別区の改正の際にとられた考え方であったと記憶しております。その意味では、そのとき一回そういう考え方が出たわけでございまして、そのときには政府の考え方と申しますものは、憲法にいう地方公共団体というものは、必ずしも府県、市町村の二重構造でなくてよろしいんだという考え方をとっておったというふうに見られるのではなかろうかと思います。
#117
○松澤兼人君 まあ憲法はもちろんですけれども、地方自治法の中におきましても府県の性格というものは非常にはっきりしないといいますか、これはもう既定の事実として書いてあるようでありますけれども、府県、市町村、こう並べて書いてありますから、おのずからそれでわかっていることだと思うわけでありますけれども、しかし、これはいろいろ法理論的に考えてみると、市町村が基礎的な地方公共団体であるということは、これはもうだれしも認めるところであるし、そして市町村が非常に地域共同社会といいますか、あるいは地域性に非常に富んでいるといいますか、そういう点では私どももはっきり、あるいは身近に、あるいはぴったりとはだをもって感ずることができるわけでありますが、府県の場合には補完的な地方公共団体であるとか、あるいは広域的な地方公共団体であるとか、あるいは調整的、あるいは国の出先機関的な、そういう地方公共団体であるとか、その性格については網羅したといいますか、一通りなでるような、そういう形で表現されているようでありますけれども、もちろん市町村と府県とは法律的に同じ権限、あるいは職能を持っているとは考えません。しかし、市町村と同じ地方公共団体であるともまた言えないと思うのです。そういう点で府県が――これから問題なんですけれども、府県が地域性ということをあまり考えず、いま言った、私が府県の性格として申し上げました補完的、あるいは広域的、あるいは調整的、あるいは国家の地方機関的、そういう役割りを持っている地方公共団体が府県である。逆に言うことはどうかわかりませんが、府県というものはそういうものであるということにすると、市町村の場合には、先ほど申しましたように、基礎的な地方公共団体、あるいはまた地域的な地方公共団体ということは明確である。同じ地方公共団体でありながら、府県の場合はいま申しましたような性格が先に出て、そうして地域的とか、地域性とか、あるいは地域共同社会的、そういった性格が浮き彫りにされないということ、それはやはり府県の持っている何といいますか、基本的といいますか、あるいは運命的と申しますか、そういう性格なり構造なりからくるものである。それとも先ほどお話がありましたような、府県といえども住民と密着した公共性を担当しているのだというふうにお考えになりますか、その辺お聞かせ願いたいと思います。
#118
○政府委員(長野士郎君) どうもなかなかむずかしい御質問でございまして、十分お答えできるかどうかわかりませんが、お示しのように、府県は地方自治法に規定されておりますように、市町村を包括する団体、したがいまして、お話の広域的な性格、あるいは調整的な性格を持っておるわけでございます。そういう意味では同じ地方団体としては府県と市町村は同格といいますか、地方団体としては並列的に考えてもいいのだという考え方がございますけれども、地方団体のあり方としましては、やはり府県というものは国と市町村というものを対比して考えます場合には、そのまん中、中間にあるという団体であることは、これはもう何人も認めざるを得ないところだというふうに考えます。したがいまして、その府県の中間的なあり方、これがそのまま府県の地方団体としての性格にも非常に反映をしておるということは、これは否定することのできない点だろうという感じがいたすわけでございます。しからば、しかし、府県を廃止するということのいろいろお話がありましたが、考えるかどうか、地方制度調査会等でも、自治省なんかでも考えておりますところは、やはり府県、市町村という二重構造というものは堅持をしていきたいという考え方を少なくとも現在も持っておるわけでございます。と申しますことは、ある意味で、やはり市町村の現状におきましては、自治行政というものの補完的な府県の作用というものを認めざるを得ないという一つの現実論もございます。もう一つは、現在の行政が非常に縦割りの行政になっておりまして、やはり地域の総合的な歩調というものを考えます場合の府県の役割りというものは非常に大きな作用をいたしておると思いますし、それから府県が広域団体としての地域開発なり、あるいは市町村間を結ぶところの生活環境整備の事業なり、あるいは産業指導なりというものも無視することのできない大きな作用をしておることも事実でございます。もしこういうことをはずしますというと、必然的には国の出先機関というものが何らかの形で強化されていく、そして縦割り、分割的な出先機関を併存するというかっこうになりまして、やはり行政の総合性とか、地域の住民の意向を反映したいわゆる民主的な処理というようなもの、あるいは行政の総合的、計画的な運用というようなものは全く不十分な形になりはしないかというふうにも考えるわけでありまして、そういう意味では府県というものは、しょせんある意味では中間的なあり方をしておりますから、市町村の基礎的な団体ほど明確な性格を持っておるというわけにはなかなかまいりませんけれども、やはり全体としては広域的な自治体としてそれにふさわしい機能が発揮できるようなあり方を進めていくということが必要ではなかろうかと考えております。
#119
○松澤兼人君 先ほど市町村の場合は基礎的であり、非常に地域に密着するという地域性というものを非常に濃厚といいますか、強く持っている。府県の場合はどうも広域性というものが、あるいは補完的、そういう性格が非常に出てきている。県民あるいは住民の立場からいえば必ずしも地域性というものが強調されているふうには見えない、それはその府県というものが自治体と異なるところであって、いわゆる二階層式な地方公共団体であるということ、これは否定できないと思うんです。それですら現在の府県の中における住民との密着性あるいは地域性というものが希薄である、それにもかかわらず、今度は阪奈和県というようなものができると、さらに地域住民との密着性あるいは地域性というものが薄れてきて、元来は和歌山県人、和歌山県、奈良県人、奈良県、そういう関係で長い間、これはおそらく封建的な時代から、藩のあったときからずっとそういう形で続いてきて、自治省の法案の中には歴史的という要件が入っていませんけれども、私は歴史的あるいは伝統的といいますか、そういうものも一体性の中には必要な要件だと実は思っているんです。そういう藩の時代からずっと統合され統合されて現在の和歌山県なり、あるいはまた奈良県なりというものができてきた、そういう歴史があって、住民の密着性、地域密着性、あるいは共同社会性、そういうものができてきたのに、今度は全く水に油といいますか、あるいは木に竹をつぐといったような、そういう全く異質とは言えませんけれども、必ずしも運命共同体といったような、そういう共同社会的な意識がなかったものと合体するということは、この点は府県の場合でも地域性というものがある程度まで希薄である、それが阪奈和県という非常に大きな合併県ということになってくると、いよいよその地域性というものがなくなってしまって、憲法で言う地方公共団体としての性格がさらに薄くなってくるんじゃないかということを心配するんです。そういう心配は全くの杞憂ですか。
#120
○政府委員(長野士郎君) その点はもう確かに御指摘の点はたいへん考えなければならない問題だと思います。しかし、一面、現在たとえば住民の日常の社会生活圏と申しますか、大都市等を中心にした場合を考えますと、大都市圏域というものは非常に広がっておりまして、先ほど申しました大阪市に対する昼間就労人口で考えましても、たとえば奈良県からも五万人以上の人が毎日通っておるというような新しい経済社会の変動というものの実態から考えますと、おそらくこの奈良に住んでおられる五万三千人、家族を含めると十五万人以上の人がおられると思いますが、こういう方は奈良県人とお考えなのか、それとも大阪を中心にした大都市圏、いわば大阪人といいますか、とお考えなのかということになりますと、やはりそういう大きな圏域についての、大阪市に向かってすでに生活をし、大阪市との関係における大阪市民意識に近いものを持っておるというような状況というものが次第に出てきておるのではなかろうかという感じもいたすわけであります。したがいまして、市町村の区域、さらには府県の区域を越えまして、そういう大きな日常社会生活圏でございますとか、経済流通圏域でありますとかいうものが広がってまいっております状態から考えますというと、むしろそういう大きな広域圏的な圏域に所属しておるという、そういう大きな帰属意識というものが次第に芽生えてきておるということも一面考えていくべきものではなかろうか、そういうことを考えながら、広域行政というものが時代の一つの変化に対応できるという行政能力充実なり、広域行政の合理化というものを考えなければならぬのじゃないか、こういう面も一面考えなければならないのではなかろうかと思うのでありまして、たしかお話とは逆になるわけでございますが、地方行政調査委員会議の府県の合併の勧告におきましても、むしろ逆に藩その他の沿革にとらわれるなというようなことも、むしろ昭和二十六年当時から実は指摘を受けているようなかっこうで、新しい地域社会の変動なり、現在の経済成長に伴う新しい市民意識と申しますか、広域住民意識というものに着目するという点もこれからの広域行政では考えていかなければならない。そういう意味では確かに旧来の奈良県人意識、あるいは和歌山県人意識というものをある意味では分断するといいますか、希薄にしていくという点は確かに御指摘のとおりだと考えますが、これが新しい広域的な体制を整えるときの一つの過渡期の問題としてはどうしても避けられないことではなかろうかと考えるのでございます。
#121
○松澤兼人君 いま局長の言われたことは、私もある点では同感なんです。私も何も藩とか、あるいは運命共同体とかいうことにこだわっているわけではありません。これはもう進歩的な地方制度の改革ということであればもちろん賛成であります。しかし、もし府県というものが地方公共団体として基礎的でないにしても、地域性を持っているとか、住民に密着した行政団体でなければならないということが地方公共団体の一つの条件なり、あるいは要件なりということになれば、やはり地域と離れるような、私はその地域の共同社会的な考え方というものは、どうしてもやはり伝統とか歴史とかいうものにつちかわれたものであるわけです。それこそ社会学者の話じゃないけれども、都会においては利益社会的な結ばれかたでしょう。それで農村的にいえば共同社会的な結ばれかた、だから、もうすでに現に現実の問題としてそういう共同社会的な結ばれかたというものがだんだんと希薄になってきて、もうそういう農村においても利益社会的な構造なり性格になってきておるということはよくわかるのです。それから大阪市において他府県からどんどん人口が流入してきて、そうして昼間稼いで夜はまた自分の家へ帰っていくということ、これも何も住民意識とか、あるいは共同意識とかいうものはないにしても、やはり利益的な社会における経済行動をやっているわけです。そういう関係で現実の社会がそういう共同体的なものから利益社会的な傾向にいっているという事実、これを否定するわけじゃない。ですからほんとうに前向きというか、住民のためになるようなそういう地方制度の改革であるならば喜んで賛成したいと思います。この中部経済連合会の本の中に、「理解出来ぬ社党の反対」というのがありまして、この一番おしまいのところに、「すでに小域分立のため、いろいろな弊害を生じている現行府県制度に固執し、地方自治を大きく前進させるための進歩的政策に賛成できないということは、私どもには理解できないことである。」とあります。これはいずれ実地調査に行きまして、こういう考えを持っている中部経済連合会の方に承ったら、実際よくわかると思うのです。われわれもどういう立場でこれに反対しているかということは申し上げるべきだろうと思うのです。私は決して藩の共同社会にまで戻れということを言っておるわけじゃないけれども、ただ地方公共団体に欠くべからざる一つの性格、あるいは職能というものばかりでなくて、住民に密着するというものが必要な要件であるとすると、現在の府県ですらもその密着性あるいはその地域性というものが希薄になっているのに、さらに大きくなるというと、適正規模の問題でもそうですけれども、地域性というものは希薄になっていく。こういうものは法律上はもちろん府県という地方公共団体ですからやむを得ませんけれども、しかし、実質的府県行政の効果というものを期待する場合に、その法律で書いてあるのと逆になるんじゃないですか。財政力も豊富でありますから、それはできるだけのことはできると思いますけれども、そういう点心配するから、衆議院におけるわれわれの同志諸君もこれに反対して、中部経済連合会からおしかりを受けているんだろうと思うんです。
 いろいろありますがきょうはこれで終わります。
#122
○委員長(内藤誉三郎君) 本日はこの程度にして、これにて散会いたします。
   午後五時十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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