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#1
第061回国会 地方行政委員会 第20号
昭和四十四年六月二十六日(木曜日)
   午前十一時二十八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         内藤誉三郎君
    理 事
                熊谷太三郎君
                吉武 恵市君
                山本伊三郎君
                原田  立君
    委 員
                小林 国司君
                小林 武治君
                鈴木 省吾君
                鍋島 直紹君
                船田  譲君
                増田  盛君
                安田 隆明君
                山崎 竜男君
                若林 正武君
                竹田 四郎君
                千葉千代世君
                松澤 兼人君
                和田 静夫君
                阿部 憲一君
   国務大臣
       自 治 大 臣  野田 武夫君
   政府委員
       自治政務次官   砂田 重民君
       自治省行政局長  長野 士郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○都道府県合併特例法案(内閣提出)
○地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 都道府県合併特例法案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#3
○原田立君 今回の都道府県合併法案を一体どういうようなお考えで提案なさったのか、基本的な問題をまずお聞きしたいと思うんです。というのは、地方自治法に、現在合併するにはこうこうこうあるべしというふうにちゃんと法律がきまっておる、また憲法にも住民投票ということが明らかにうたわれておる、そういう既定の方法があるにかかわらず、今回またこういう特例法を出した趣意は一体那辺なところにあるのか、その点をまずお伺いしたい。
#4
○政府委員(長野士郎君) 都道府県合併特例法は、大臣の提案理由の説明にもございますように、現在の都道府県の合併の方式というものは、法律をもって具体的に個別的に規定する、こういうたてまえをとっておるわけでございますが、これに対しまして、やはり都道府県の関係の地元におきまして、自発的に合併の促進をしていくという、合併のできる道を法制度的にも開くことが適当であるという考え方が地方制度調査会等でも御議論がありまして、そういう考え方に従いまして、府県の合併手続を府県の自発的なイニシアチブに基づいて行なえるという道を開くということが第一でございます。
 それから第二番目には、府県合併に伴いますところのいろいろな法律上、制度上の変更が合併に伴って起こるわけでございますが、そういうものについての合併のそういう変更のことを、合併をスムースに行ないますために障害にならないように必要最小限度の特例措置を設ける。こういう二点を中心にいたしまして、府県合併特例法というものは組み立てられておるということに相なるわけであります。
 府県合併そのものの必要性につきましては、これは戦後の地方制度の改革以来繰り返し唱えられておるところでございまして、言ってみれば広域行政の合理的、効果的な処理のために府県の現在の規模というものを再編成していくということが適当である。そういうことによりまして、合理的なかつ能率的な広域行政体制というものを整えていく。あわせて府県の自治能力の樹立をはかる。これが今度の改正特例法におきますところの、手続関係の背後にありますところの基本的な考え方でございます。そういうことがございますので、その最初のところには、合併の基本というような考え方も明らかにしておるわけでございます。そういう言ってみれば三つの柱のもとに特例法が構成されておる、こういうことでございます。
#5
○原田立君 まあ旧法の場合には、国から発議してやるという形になっておりまして、明らかにそこに地域住民の過半数の同意を要すると、こういうふうにつながっておるわけですが、問題は国から発議するか、あるいは自発的に発議していくかという、入り方の問題になるのですが、憲法の上からいけば、地域住民の過半数の同意を要するということは明らかに憲法に載っておるわけです。それで、今回の特例法を見てみると、議会で三分の二に満たない場合には地域住民の住民投票を要するということのみが規定されておるのは、憲法で規定されておる住民投票ということを非常に軽く見ているのではないか。極端なことばで言えば憲法違反になるような問題ではないか、こんなように思います。その点、そういうような立法措置はいけないのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、どうですか。
#6
○政府委員(長野士郎君) これは、過日の参考人からこの委員会で御意見を聴取されました際にも、一橋大学の田上教授のお話にあったのでお聞き取りになられたと思いますが、現在の地方自治法の第六条の規定におきますところの法律というものは、具体的に府県の合併を法律で個別に規定するということになるわけでございますが、いまお話のように、たまたまそういう個別立法につきましては、憲法九十五条におきますところの一の地方公共団体のみに適用される法律に該当するから、住民投票というものが認められておる、住民投票をやらなければならぬということになっておるからということでございますが、むしろ自治法の合併方式というものから考えますと、法律で定めるというところが一つの問題だと思います。地方自治法の中には、市町村の合併につきましては、関係市町村の申請に基づいて、府県知事が議会の議決を経てきめるという方式もあるわけです。いわば特例法は市町村の合併の方式を府県の合併にもそういう道を開いたということも言えるわけです。そういう意味で、憲法との関係というものは、それ自身が直接に、九十五条との関係というものはありますけれども、この立法そのものが憲法に抵触するということには考えられないというふうに私どもは思っております。また同時に、憲法に言いますところの特別法というものは、通常の言い方といたしますというと、地方自治特別立法というような言い方を学界等ではされているようでありますが、この九十五条の意味はいろいろに言われておりますけれども、多数の考え方としては、結局これは、国が法律によりまして地方自治というものを尊重しないような特別な立法を特定の地方団体にのみ押しつけるおそれがあり得る。そういうことは地方自治の原則に対する侵犯といいますか、そういう問題である。あるいはまた地方自治の個別性といいますか、特殊性というものを、そういう国法が特定の地方団体に対しまして強制をされることによって無視されるおそれがある。あるいはまた、地方自治の不平等性と申しますか、そういう意味で、地方団体は一般的に同等に扱われるべきものが、特定の立法によりまして特定の地方団体が不平等に扱われるおそれがある。あるいはまた地方行政というものの独自性というものをそこなうおそれがある。こういうような立法をかりにもせよ国が行なうということがあれば、これを住民投票という形でチェックをすべきだという考え方が、これが地方自治を尊重するという考え方につながるわけでございますが、こういう考え方で実は出ているわけでございます。したがいまして、一般的な取り扱いと違った取り扱いを特定の地方団体に対して行なうというような、そういう特殊な立法に対するところのチェックのシステムであるということは、これは通常の学説が認めておるところであります。それは何かと言いますと、結局そういう立法によって自治の原則が侵される、あるいは自治の平等性が侵される、地方行政の尊重が侵されるというおそれがあるからチェックするという考え方でございます。したがいまして、学説の中には、いまの地方自治法におきますところの府県の合併方式というものは、個々の府県についての合併を法律できめるということになっているけれども、これは一般的制度としてなっておるのでありますが、たまたまある県とある県と合併の際だけ個別の立法をするというのではなくて、一般的な制度としてなっておるのだから、これは個別法とは言えないのじゃないかという学説さえあるわけでございます。そういうことでございまして、他の団体との特別な取り扱いによって自治の原則を侵すおそれがあるという場合にチェックするという一つの予防措置といいますか、そういうたてまえで憲法九十五条というものはできているように私どもも理解しているわけであります。したがいまして、府県の合併につきまして、府県の自発的意思によって合併を進める道を開くということでありますならば、それは個別立法によりまして府県の自治性をそこなうとか平等性をそこなうという問題はないわけでございますから、そういう意味で、町村の合併と同じような手続をとり得る道を開くということは、何ら憲法のこの関係に抵触することはない。もちろんこの規定の適用がなくなることは当然でございますけれども、それ自身は合併の手続そのものが民主的な手続による自治の原則にのっとった手続によるということでございますので、当然それで解決をされている、こういうことになると思うわけでございます。
#7
○原田立君 九十五条のところの、「その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」、ここのところを重要視するわけですよ。それで、こういう府県の区域を変えるだなんというのは、これは明らに大きな問題である。だからこれは、いま局長からいろんなことの話があったけれども、住民投票は必須条件にすべきでないか、必ず要すると。たとえ議会の議決が三分の二以上になったような場合においても、住民投票を行なうことが、明らかにこれは地方自治の本旨を尊重することに通ずるのじゃないか、こう私は思うのです。何かいまの局長のいろんな話をずっと聞いてみると、住民投票の件については、別にやらなくてもいいんじゃないかというようなニュアンスの意味に受け取れている。それは基本的に考え方が間違いじゃないか、こう思うわけですけれども、どうですか。
#8
○政府委員(長野士郎君) 先ほども申し上げましたように、この憲法九十五条におきますところの一の地方団体のみに適用される法律と申しますものは、地方団体一般の取り扱いと違った取り扱いを国が立法によって特定の地方団体に強制するというようなことは、地方自治の原則、あるいは平等性の原則、あるいは地方行政の尊重というたてまえが侵される、適当でないという場合があり得るから、そういうような国法の一方的な押しつけというものをこれでチェックするという考え方が基本になっておるわけであります。これは先ほども申し上げましたように、その考え方でこの九十五条ができておるということは、多数の学説が支持しておるところであります。つまり今度の特例法はそうじゃなくて、地方団体の自主的な発意によって合併がきめられるということでございますから、地方自治の原則に自主的な発意によって行なわれる合併が反するはずはないわけでございます。したがいましてそういう意味で、憲法九十五条の規定の適用がなくてもそれは当然矛盾背馳することはないではないかという考え方のことを申し上げたわけであります。したがって、こういう特例法を開くことが九十五条の違反であるとか、そういう議論は起きないということを申し上げたわけであります。ただ、この合併手続の中に、三分の二以上の同意が得られない場合にのみ一般投票ということになっておりますが、それにつきまして、そうでなくて、あらゆる場合に合併をこの特例法の中で一般投票という道を開くということはどうだというお話であれば、これはまあ立法論の問題でございまして、そういう制度というものを考えるということは全然考えられないというわけではございません。ただ、この府県合併の関係の規定は、御承知のように、この第六条の規定の特例でございます。現在地方自治法には第七条という規定がございまして、市町村の合併に関する手続をきめておるのでございます。これは府県、市町村、いずれも憲法上におきますところの地方公共団体であることは同じでありまして、法律上の取り扱いは、市町村の合併の手続が妥当だということであれば、府県の合併手続にも当然にそういう制度の道を開くことができるわけでございますが、この法律といたしましては、市町村の場合には、地方自治法の七条では、いわゆる関係市町村の議会の過半数の議決によって都道府県に申請をし、都道府県議会の過半数の議決によって知事が定める、こういうことになっておりますが、府県の合併でございますから、その合併の意味の重要性というものもあわせて考えて、第十次の地方制度調査会におきましては、答申としては過半数議決でよろしいということになっておりまして、ただし過半数議決を得るについては、やはり住民の理解と協力を得るための周到な配慮が払われなければならないということが答申でつけ加えてあったわけでございまして、そういうこともかれこれ勘案をいたしまして、三分の二に満たない多数で議決をされたときには住民投票に付するという規定を、市町村の合併の場合とは違って、府県合併の重要性にもかんがみまして特に規定として入れておるわけでございます。まあ私どもといいますか、提案をいたしました政府としては、これで、市町村の合併よりも特に手厚い合併方式、そういうことによりまして、府県の自治体としての自発的な意思、住民の意思というものとの調和というものを考えるのには適当ではないが、こういうふうに考えておるわけでございます。それでは不十分だ、むしろ住民の一般投票でよろしいのだということであれば、それも一つの考え方だと思います。
#9
○原田立君 一つの考えだ、ではなしに、私は市町村でも、あるいは府県でも、一つの地方公共団体である。だから、それは大小はありますけれども、一つの地方公共団体である。だからその議決については、法の定めるところはよく尊重しなければならない。ところで、府県の場合と市町村とは、明らかに実際問題は比較できないほどの差が大きいわけです。だから特に府県の問題と、市町村の問題と、こうはっきりと地方自治法に分けてあるのだろうと思うのです。それで、局長はどのように理解しているのだか知らぬけれども、議会の議決がもし三分の二以上になったような場合には、住民投票を要しないということなんだけれども、それは明らかに地域住民の意思が十分に反映されたものとは思わない、私は。局長は、地域住民の意思が反映しているのだというようなお話であったけれども、それはなぜそんなことを言うのかというと、およそ普通の地方議会議員、いろいろ政党を支持する場合もあるだろうし、あるいは各個人を支持するような場合もあるであろうし、実際自民党の議員を支持したからといっても、それは府県合併の問題についてまでも支持したという意味の、そういう意味の票が入っているとは思わない。そういうものも入っている場合もあるだろうけれども、議員を支持したということと、この合併問題を含んでいるかどうかということとは、これは明らかに別問題だと思う。だからなお私が言いたいのは、要するに議会の議員の三分の二以上が賛成すれば民意が十分反映されたのだというふうな、そういうふうな見方をするのは早計である。それは明らかに住民投票は絶対に必要とすべきである、こういうふうに強く私は思っております。それで、大臣忙しくてまたすぐ行かれるそうだが、行かれる前にお聞きしておくのですが、いまの局長のお話の中にもあったが、この住民投票は必須条件にすべきだと思う。こういう強い意見は、いろいろ大かたの学者の中にもある意見です。私も今度大阪へ行って、公聴会のときに木下教授は、住民投票は必須条件にすべきであるというようなことをはっきり言っております。そういう面について、ここのところは三分の二以上あれば住民投票を要しないという、この一項は十分変更することを考えられてしかるべきではないかと、こう思うがどうですか。
#10
○国務大臣(野田武夫君) 地方の、つまり府県合併に対する地域住民の意思の反映ということは、これはまことに非常に大事なことであります。この特例法案は、御承知のとおり地方制度調査会の答申に基づいて法案化することになりました。そのときの答申には、いま局長がお答えしましたとおり、もちろん地方地域住民の意思を反映するようにということが相当その意思が出ておりますが、方法としては、地方議会のいわゆる過半数以上の合意と決議、これは市町村の場合と同じような考えであると思います。私は、いま原田さんの御意見のように、できるだけ地方地域住民の意思を反映する方法をとるということは大事なことだと思うことは同じでございますが、この法案の内容につきまして、いわゆる非常にその点に留意いたしまして、地方議会において過半数ではいけないと、三分の二以上でない場合は、やはりこれは公正な地方地域住民の意思を反映する方法として住民投票をすべきだというような案に、つまり地方制度調査会の答申以上に心を配りまして、この法案はできておるのでございます。この特例法は、先ほど御論議がありましたように、憲法上また地方自治法でもって、国の発意でもって府県合併ができるということは明らかでございますが、この特例法の根本の考え方は、自発的に府県が発意せねばならぬというところに私は非常に重点が置かれているんじゃないかと思っております。国がかってに国の都合でこれを示唆するとか、あるいは国の権力を用いて地方公共団体に一つの指令を下すということを避けたい。やはり重要な地域の合併でございますから、これは行政上はもとより、経済上、社会上、いろんな面においての大きな影響がございますから、やはり最も民主的な考え方として、地方自治体の自発的な、自主的な発意がまず第一に必要だと、そこで、その方法としては、やはりその地方の地方議会というものはその地域の住民にかわって代表しておられる方々である。その方々の決議をまず必要とすることはもとよりでございますが、その場合において、いま申しました三分の二までの賛成が得られなければ、地域住民の直接の住民投票に待つべきだと。これは、原田さんの最初から地域住民の住民投票というお考えは、やはり一つの考えられる意見でございますが、まあ同感いたしますけれども、まず自発的にやるということが出てきて、それから三分の二に達しないときは地方地域住民の投票に待つ、大体こういう段階的に私は地方自治体の意思というものを非常に尊重して織り込んである案だと思います。したがって、この地方議会における三分の二ということは、私はやはり地域住民を代表する地方議会としては、きわめて民主的な、いわゆる地域住民の意思を尊重するというところからきているものと思いますので、したがって、この法案の内容全体とこの案の仕組み方を考えますと、私はやはり原田さんの御意見に近い、住民の意思というものを非常に強く尊重して、自主的な意思によってこの府県合併が実現するような方向に持っていくべきじゃなかろうかと、こう考えておりまして、一応この程度まで織り込んでおりますれば、私は地域住民の意思というものは反映ができるのだと、こう解釈いたしております。
#11
○原田立君 大臣はそういう話だが、私はそうは思わない。なんとなれば、これはちょっと例として引用するのだが、憲法第九章の第九十六条には、「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」、過半数の賛成を必要とすると、こういうふうに、法を重んじるがゆえに、そういう住民の投票ということをきちんとつけている。そういう点を受けて、九十五条の場合においても、「地方公共団体の住民の投票において」というふうに、住民の意思というものは尊重しているわけです。で、現行法でそういうふうにあるのに、こうやって地方議会の議員、議会の議決のみで合併ができるというふうなのは、早い話が、お手軽に合併ができるような方途を講じた、まあ平易に言えばそういうことになるだろうと思うのです。そういうふうにすることは必ずしも民意を代表していない。それは、議会の意思というものは表決によって出てくることは、これはわかりますけれども、それははたして民意を表明しているかどうかということについては非常な疑義がある。だから、憲法の場合においても住民投票というのは必ず必須条件としていると同じように、府県合併のような、日本の場合で言えば大きな問題については、住民投票というのは必須条件にすべきではないか。そうすることが法を尊重するという精神に通ずるのではないか、こういうふうにぼくは思うのですけれども、大臣、どうですか。
#12
○政府委員(長野士郎君) 現在のこの地方自治法の六条の規定は、この地方自治法に変わります前は、いわゆる府県制という法律がございました。この府県制におきましても同じような形で、府県の廃置分合や境界変更は法律をもってこれを定むと書いてありました。どちらかといいますと、そういう考え方での法律の規定をそのまま地方自治法の中に引き継いでおるというふうな沿革上のこともあるわけでございますが、その意味は、やはり府県という地方団体の重要性、国家的重要性というようなものが強くこの中にはあらわれているということが言えると私どもは思うのです。そういう意味で、国家的な必要から、国家的な問題として考えるということでございますが、現在の府県の廃置分合、境界変更は、そういう意味で国家の立場といいますか、国という立場からきめていくという考え方が出ておりますから、そこでたまたまそういう場合に、地方団体とのいろいろの不一致を見る。地方団体、特定の府県についての問題でありますから、特定の府県の意思の尊重といいますか、そういうものとの意思の不一致というものは起こりやすいというおそれがあるわけであります。それがそういうことでございますので、地方自治特別法というものに該当するとすれば、それは九十五条の地方自治の全体の保障のための住民投票にひっかける、ひっかけると言っては語弊がありますが、そういうことになっていく、ものの順序はこういうふうに考えるべきだと私は思います。したがってそういう意味で、現在の地方自治法の法律できめるというのは、明らかに法律によってきめるというところに意味がある。したがってこれは国家の意思によって府県の合併を行なうということに一つの意味があったと思いますが、それを今度は地方公共団体の側の意思によって合併の手続が進められていくということになりますと、地方団体の意思の内容の問題としては、議会の意思、住民の意思ということはございますけれども、そういうことで一致をしていくということになれば、憲法上の特別立法というものでのチェックシステムということを考える必要のないことは、これはもう理論上当然のことであるということになるわけであります。
 そこでお話は、まあ議会の意思と住民の意思をどういうふうに調和するか、合併ということについては、議員を支持しておっても、住民の意思とは必ずしも一致しない場合があるじゃないかというお話でございますが、しかし、やはり議会制民主主義といいますか、そういう制度を地方自治の大原則にも取り入れております以上は、やはり議会の過半数の意思、つまり、いまの市町村の合併は過半数の意思で合併がきまることになっております、それでかまわない、それが正しいんだという考え方だろうと思うんですが、それを三分の二以上の絶対多数、圧倒的な多数による議会の意思の合致があるということにまで保障をいたしまして、そしてその三分の二以上の賛成が得られないときには住民投票をやる、ここまで保障をすれば、議会の意思と住民の意思というものが当然に合致するものだということをこれは言っても差しつかえないという考え方があるわけでございます。逆に申しますと、これは三分の一の反対がありますというと、議会の意思だけではきまらないということになるわけでございまして、そういう意味でも、この前参考人として述べられました田上教授の話を聞いておりましても、そういう含みで、むしろ住民投票という形より、こういう重要な合併については十分に議論を尽くしていくという過程が非常に大切だと、教授の御見解はそういうことで、したがって住民投票と議会の議決というものに上下の考え方をとるべきじゃないということもお述べになったように私ども拝聴いたしておりましたけれども、それはともかくといたしまして、一方では地方制度調査会が、過半数議決でいいけれども、つまり、それは、いまの市町村の合併方式でもいいけれども、住民の理解と協力を得るための周到な配慮をしなければならない、その当時、地方制度調査会での議論の中には、速記録等を見ておりますというと、いわゆる公聴会を開くとか、あるいは世論調査をするとか、いろんな方法によって住民の意思はやはり十分につかまえる、そういう上で議会としての行動を考えていくというふうに、そういう配慮をしようということになっておったのでございます。しかし、それだけではやはり運用というものにまかせ過ぎるということもございますので、三分の二以上の議決ということであればそれでいいけれども、それに満たない場合には、つまり僅少の差でいかぬ、その場合には、すべて住民投票にかけるという保障をいたしておるわけでございます。まあ地方制度調査会の心配よりも、むしろそういうことを制度的に保障いたしまして、議会の意思と住民の意思の不一致にならないことにつとめておる。まあ、府県合併というのは明治以来初めてできるような大事件でございますので、御指摘のように大事件でございますから、そういう意味で、議会といえども周到な調査と研究と見通しなり結論を得た上でなければそういうものの合併に踏み切るはずもないというようなことかと私ども思っておりますから、そういうことで考えますと、ここで過半数議決、三分の二議決ということをしなくても、地方制度調査会のような御配慮でいいのではないかということにもなるわけでございますが、その点のいまのようなお話ももちろんあるわけでございまして、ここで議会に、住民の意思の合致した保障の制度として現在の法律案は非常に手厚くしておる、これで十分ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#13
○原田立君 まあ局長は提案する側なんだから、これが一番いいと思ってやるのだろうから、そういう説明をするのだと思うのです。明らかに話をする基盤が違うもので、幾らあなた懸命になって納得させようとしたってだめだ、これは。
 そこで問題は、局長のお話の中には、大臣、よろしいですか、一つだけお聞きしますが、いま局長のお話では、三分の二以上あれば議会民主主義制度のもとにおいてその地域住民の大かたの意見を代表するのだと、だから住民投票は要らないのだと、まあ明らかにそういうふうな言い方なんだけれども、先ほど憲法九十六条の話を、あるいは九十五条の話をしているように、これを尊重する、手厚くするためには住民投票を要する、そういうことによってぴたっと一体化しているわけなのです、現行法のものの考え方は。ですから、この都道府県合併という大きな事件ですか、大きな問題を扱うときには、住民投票を必須条件にすべきである、必ずやるべきである、三分の二以上あったとしても必ずやるべきである、そしてその同意を要して、そうして法は施行されていくのだと、こうすることがほんとうに民意を尊重する、それこそ民主的な制度であり、そういうところででき上がっていく地方自治体、議会民主主義制度、民主的な制度であると、こういうふうにぼくは思うのです。それで、大臣にお聞きしたいのは、そういう住民投票を必須条件にすべきであると、こう私は主張するのだけれども、大臣は三分の二以上あれば住民投票は必要としないと、こういうふうになさるのか、必須条件になさるのか、どちらですか。
#14
○国務大臣(野田武夫君) 重ねて大体同じことをお答えして恐縮ですが、私は原田さんの御意見はよく理解できます。ただ、憲法の条文とそれから自治法から出ている市町村、都道府県合併の一貫した考え方でございますが、憲法上住民投票の問題は、先ほどもお答えいたしましたとおり、国の発意で、国の便宜でやろうという場合に、どうしても地方公共団体の自主性といいますか、その本来の地方自治団体のあり方というものを無視した場合があり得ると思います。全然希望もしていないところに、国の都合によって国が発意でやると、これはやはりどうしてもその場合には、いわゆる地域住民の意思というものがどうかということを探知いたしませんと、もう地方公共団体の本来の姿といいますか、そのあり方というものは無視されると、これはやはり抵抗せねばならぬ、抵抗するということばは少し当たりませんが、つまり住民の意思の一致というものを見なければ、国が発意した場合においては、これはただ形式的な国の意思によって動くということは、これはやっぱり地方自治体の本来のあり方として地方地域住民の投票というものがやはりそこに条件として必要じゃないかと、こう思っております。今回の法案は、御承知のように国は特別何らのいわゆるイニシアチブをとるのではなくて、都道府県が自発的に合併したいと、こういう発意、地方公共団体の発意によって行なわれる府県合併というのが一番の基本的なたてまえの法律でございます。それに対して、その手続として、やはりいま原田さんがおっしゃった点、地域住民の意思というものがどこまで府県合併に対して議会と協力をするのか、賛成するのかと、こういうことが次の段階に入ってまいります。その際は、いまお話のありましたとおり、いまの議会民主主義のたてまえからして、一応地域の住民は地方議会の代表者に、つまり自分たちの代表として選んでいる。しかし、いろいろな、先ほど原田さんも御指摘になりましたが、それならば、ただ住民の代表であるから議会のほうで決議しただけでいいんじゃないかと、これは一つのやはり考え方でございまして、地方制度調査会も一応それに近い考え方を持っております。現に市町村合併がそういう意味で行なわれております。しかし、いま憲法にも出ておりますとおり、その国の発意が自主的かということは、まず根本的な違いがございますが、できるだけやはり地域住民の意思というものはその府県合併に反映させるのが、これは地方公共団体のあり方として当然だということからして、単なる地方議会の過半数の賛成があったからそれでよろしいということでは、まだはたしてこの地域住民の意思というものが完全に反映しているかどうか、もちろん地域住民の投票をいたしましても、結局これは過半数でございまして、もちろん反対票も出ましょうし、一人一人完全にするということはこれはなかなか不可能なことでございますが、しかし、過半数の地方議会の決議だけならば、まだ少しそこに何か地域住民の意思というものをはかるのに少し丁寧ではないと、もう少しひとつ地域住民の意思を尊重し、その意思を反映させる方法としては、三分の二の同意、こういうこと、したがって三分の二をこえない場合は、これはどう見ても、過半数は賛成があっても、三分の二の賛成がないということならば、一応ひとつこれは地域住民の方々の直接投票を仰いだがいいと、こういう仕組みでございまして、相当丁寧にこの法案の内容は、その意味からいたしましてでき上がっていると思っております。いや、地方議会のいまの表決のあり方は別だと、やはり何でもこれは地域住民の住民投票がいいんだと、こういう御意見、私はこれを決して間違っているなどと、そういうことは全然思っておりませんし、また非常に深い理解を持っておりますが、ここまで丁寧にこの法案ができ上がっておりまするから、一応私はやはりこの地域住民の意思というものを反映するということを考えまするのは、都道府県が自発的に合併を申し出るということにつきましては、相当やはりそれまでに、発議するまでに私は地域住民の意思というものはあらゆる方法によってその都道府県はこれを行なっている。また行なわなければ、なかなかかってに知事か何かが思いつきでもって府県合併に踏み切るということは私はできないと。したがって、それまで踏み切るまでにもすでにいろいろな方法によって考えるのと、またその地方議会も、決議をする経過におきまして、私もこれはいろいろな各種の方法によってその地域住民の意思が、あるいはまたいろいろな学識経験者とか、各界、各層の御意見を私は聞いて決議に入るのじゃないか、こういうことを考えまするから、まあ相当この法案の趣旨は、これはやはりいま原田さん御指摘の地域住民の意思が反映しなければできないようなふうになっていると、こう考えますので、この程度の配慮をいたしておりますると、大体原田さんのお考えに、そのままじゃありませんが、近いものがこの法案の中に盛り込んであるのじゃないか、そう考えますので、私はこの法案でひとつ御審議を願いたいと、こう思っております。
#15
○原田立君 いまの大臣の答弁、もう三分の二以上あれば住民投票を必須条件にしなくてもいいのだというような考えでありました。
 局長ね、先ほどから何度も言っているのだけれども、この住民投票を、いままでの憲法では、いままでの法では、住民投票を要すると、こういうふうな方式があった。それを今回は、議会の議決を経て申請する簡便な方法をつくったと、かつて局長のお話の中に、府県合併をしたいという場合に、そういう考えを持っている地域団体があるときに、現行法ではなかなかたいへんなんだから、もっと簡単にできるような受け皿を用意しておいてやるというような意味のことが何かのときに私はちらっとお伺いしたことがある、そういう姿勢ですね、お手軽に合併ができるような、そういう受け皿をつくるという、そういう姿勢自体が、これは非常に法を曲げてつくられるおそれがあるのじゃないか。私が言いたいと思うのは、大事な問題であればあるほど、こうやって住民投票を要するという二重の足かせといいますか、かせを、ワクをつくって、そうして法というものは施行されているのだ、そういうような考え方からいけば、議会で三分の二以上の賛成があったから、だから住民投票は必要としないのだという考えは、それは間違いじゃないかと思う。住民投票は必ず要すると、こういうふうにすべきだと思うのです。重ねてお伺いしたい。
#16
○政府委員(長野士郎君) 憲法との関係におきましては、第一の問題としましては、先ほど来申し上げましたとおり、従来の府県合併の手続というものが特別の法律によって行なわれる、そうしてそれが特定の府県にのみ適用されるというようなことでございますので、その点で国家意識というものと地方の意思というものの合致といいますか、そういうものを保障いたしますために、また同時に、国の一方的な押しつけを拒否いたしますために、憲法九十五条の適用がたまたま、たまたまと言うと語弊がありますが、ひっかかってくる、ひっかかってくるという安全弁というものがあると、こういうことでございます。今度の改正法は、地方の発意で合併を行なっていくということでございますから、そういう意味で、そういう不一致があるという、国家意識と地方の意思との間に不一致があるという発想というものは初めから出てこないわけであります。そういう意味で、憲法九十五条との関係はなくなる、これは当然のことだと思います。そこで今度は、地方の意思というものを確かめる方法として、議会なのか、いわゆる住民投票という意味での住民なのかという問題がいまいろいろと御意見のあるところだと思うのでございます。そこで、その議会の意思と住民の意思とをこの府県合併という問題でどういうふうに考えていくか、取り扱っていくかということに相なるわけでございます。これは状況が違いますから同じように考える必要がないということももちろんわかりますが、現在の地方自治法の、府県合併は第六条に規定しておりますが、町村の合併は第七条に規定しております。町村の合併につきましては、関係の議会の単純過半数の議決で合併ができるようになっております。これとの関係から考えますと、同じ方式を用いても法律上はちっとも差しつかえないわけだと私ども思いますけれども、やはり先ほど来申し上げておりますとおり、府県は何と申しましても広域的な団体でございます。そういう意味で、住民との間に距離があるという議論ももちろんあり得るわけでございます。そういうことでございますから、議会の議決ということだけでは不十分だという場合がある、そういう場合をどの辺までだと考えるかという問題になると思うのでありまして、その場合に議会の三分の二以上の賛成を得るということであれば、これはまず住民の過半数以上の賛成という意思を代表しているものと考えてもいいのじゃないかという考え方を一つはとっておるわけでございます。しかしながら、それに至らないというような場合には、やはり直接に住民の意思を聞くという方式を併用することによりまして、議会の意思と住民の意思との不一致というものをなくするということで考えていくということでございます。そういう意味で、住民投票に付さないことは間違いである――これはちょっと、お考えとしてのことはよくわかりますけれども、これは考え方の相違ではありましても、制度的にそれは間違いだとは私は言い切れないのじゃないか。
 それからまた、こういう制度をとることが非常に手軽な合併を考えるということではないかということでございますが、法律でA県とB県をやめてC県を置くという方式のほうが手厚くて、A県とB県の関係議会、関係住民の発議をもとにした関係議会での議決をすることが手軽であるとは言えないのでありまして、むしろそのほうがほんとうに地方団体としての府県が合併をしていくという体制にふさわしいことであるというふうな考え方で特例法がつくられておるというふうに御了解をいただきたいと思うのであります。
#17
○原田立君 局長、話を誤解しちゃいけないと思うんだ。議会の発議を、これを私は否定しているんじゃないのです。それはあり得るだろう。議会の発議で合併問題ということが取り扱われることは、これはもう十分あると思う。ただし、そこで住民投票ということは必須条件にすべきだ。そのうしろのほうの話をしているわけだ。前のほうは私は了解なんです。それで、その地域が府県合併をぜひしたいという地域住民の非常な盛り上がりがあって、そして議会でそれが発議されて、そして賛成が非常に多かった、だから住民投票をしたいでいいのじゃないかということは筋が通らないと思うのです。というのは、市町村のように小さな区域の場合には、地域の一体化、効率化というようなことで、そういうもし合併というような問題があれば常々議論されるし、一番身近な問題ですから、だからそういうことは容易にできるとしても、府県の規模というのは非常に大きいし、その規模が非常に大小違うわけですよ。で、市町村の場合に合併が地域住民の盛り上がりによってできていくと同じように、やっぱり府県合併ということも、地域住民の意思の盛り上がりというものがあって当然できていくべきだ。それで、じゃ実際問題として、お話の出る大阪、奈良、和歌山、阪奈和三府県合併などのその地域において、はたしてこの阪奈和の三府県合併ということが、地域住民の切なる願いによって、そうしてやっていきたいというふうな、そんなふうな意思の盛り上がりになっているかというと、それは全然なっていない。一生懸命なのは経済団体ぐらいのものであって、地域住民はほとんど無関心の状態、そういうふうなところで議会の議決が三分の二以上あったから府県合併していいのだ、こうは当たらないと思うのです。やっぱり住民意識を盛り上げるというためにも、議会の議決と同時に住民投票を必須条件にしていったほうが地域住民の意思というものは強く反映していく、反映されていくべきものだ。また、そういうくらい手厚くしていくのが府県合併という地方自治にとって大きな問題――大事件ですよね、これを取り扱うにふさわしい方法ではないか、こう思うのですが、どうですか。
#18
○政府委員(長野士郎君) 私ども繰り返し申し上げますように、住民の意思というものは、この特例合併の手続によりまして十分に発揮することもできるし、また府県合併というものは、ただそういう手続――手続ということももちろん大切でございますけれども、同時にまた合併をする意味内容、その変化の与える大きさというようなものを考えてまいりますと、極端な言い方をいたしますと、過半数議決であろうが、三分の二議決であろうが、やはり県政上の最も重要な問題としてこの研究討議というものが熱心に行なわれ、そうしで合併是か非かといいますか、そのための各般の資料が整備され、そのメリットなりデメリットなりというものが深く検討されていくというような相当な準備と、それからいろいろな意見なり各方面の知識なりというものをほとんど県を総動員いたしまして、そうしてその合併に進むかどうかという問題を考えていくということになることは、これは当然と思いますし、そこまでいかなければ、この自主的な合併手続というものはとうてい進まないものだというふうに、いま実態問題としては思うわけであります。現実に盛り上がっていくかどうかということは、これはやはりいろいろな機会を通じて、この合併あるいは府県の広域化に対する要請というものは、これは時間がたてばたつほどますます現実の問題になってくるわけでございますから、そういうものから考えますと、私どもはやはり現在、お話がございましたけれども、十分に民意といいますか、住民の盛り上がりの中でしか、この合併というものは行ない得るものじゃないというふうに思うわけです。そういう意味で、三分の二をこえるような多数の議会の賛成の意思があらわれているということは、その点ではもう住民の過半数の意思というものをあらわしていると受け取ってちっとも差しつかえないではないかというふうに考えておるわけでございます。しかし考え方として、さらに全部を一般投票に付してもいいじゃないかという考え方等もないとは思いません。それは一つの方法であります、一つの考え方であります。ただ、これはいろいろ言いますと差しさわりもありますけれども、住民投票というもののあり方そのものについても、やはりそれだけにたよるということだけでも私は適当でない面があるということも十分考えなければいけませんので、やはりこの法律のように、議会の意思と住民の意思というものの調和をとった場所が、三分の二というところに線を引くというのが適当ではないかというふうに思うのでございます。
#19
○原田立君 最後のほうのお話で、住民投票は必ずしも民意を表明しないのだというような意味の発言があった。そんなふうに理解していいですか。もしそうだとすれば、これは非常に重要な発言なんだな、確かめておきたい。
#20
○政府委員(長野士郎君) 私は、住民投票というもののあらわれ方については、いろいろあらわれ方というものを考えていく必要があるという意味で申し上げたのでございます。と申しますのは、これは一つの約束でございますから、住民投票というものにつきましても、この関係についてどういう扱いを具体的にきめていくかということになるわけでございますが、たとえばこの関係で申しますと、この投票において過半数を得るということは、全有権者の過半数ということには必ずしもならないということがあり得るわけでございます。これは通常の選挙の場合でも同じでございますけれども、そこで、あらわれ方がそういう意味で非常に少なくあらわれてきたというような場合はしかたがないじゃないかという御意見もあるかもしれませんが、かりに少なくあらわれた中で、しかし過半数は賛成であるというような場合というものもこれはあり得るはずであります。少なくあらわれた場合に反対であるという場合もあります。少なくあらわれた場合に賛成であるという結果が出る場合もございます。したがって、あらわれ方の中には、いろいろとそのあらわれ方自体として分析検討してみる必要というのが私はあると思います。そこで、そういうことが唯一の手段ということだけで合併の問題というものを考えていくという考え方等もございますけれども、やはりそれはむしろ一つの手続きの過程あるいは結果というものとして受けとめなければならないという場合も多いのじゃないか。むしろその前に、合併のための利害得失、いろいろなものが十分によく住民に理解をされたかどうか、その十分さが足りなかったのではないかというようないろいろな問題を考えて、その積み上げの結果が住民投票というところにあらわれてくるということは当然考えていく必要がある。したがって問題は、結果も大切でございますけれども、その過程における合併の利害得失に伴う議論というもののほうが相当重視されなければならないんじゃないか、こういう意味も含めまして申し上げたわけでございます。
#21
○原田立君 地方議会で十分討議するのは、これは何も私は否定するものじゃない。だから、局長の言うように大いに討議に付すべきだ。だからといって、議会が三分の二以上になれば住民投票を必要としないのだという、そこにはつながらないということをさっきから何度も言っておるわけです。それで、選挙の場合だっても、これは市町村の選挙の場合には九五%とか九六%とかの投票率があります。府県議会なんかになると、六〇%、七〇%という投票率になる。この都道府県合併を行なうというふうな、合併などという、その地域にとって一番重要な問題になれば、おそらく投票率だってぐっとよくなるに違いない。そうなると、そこで表決されてくるものは明らかに地域住民の意思である、こういうことは一言えると思うのです。だから、議会の議決も――まあそれはいいとして、やはり法を手厚くする、法を尊重する、そういう面からいって、あるいはまた、現在の府県区域は、これが制定されてすでに八十数年、これをいま初めてやろうとするのですから、そういう重大な問題であればなおさらのこと、そういう法を尊重するという意味において、住民投票というものを必須条件にしたほうが、むしろ民意を手厚く保護し、手厚く表明させていく、こういうことになって、この法律も一段と光彩を放ってくるのではないか、こう思うのです。
#22
○政府委員(長野士郎君) お話の意味は私もよくわかります。でございますから、先ほど来申し上げておりますとおり、それはもう確かに一つの御意見だということを申し上げておるわけでございます。一つの意見というのは、非常に軽い意味で申し上げておるわけではございません。ただ、まあここまで、この法律のような規定を設けておけば、それで議会の意思と住民の意思の不一致というようなことをこれ以上心配する必要もないのではなかろうかというようなことで――これはいまの町村合併の手続との関係もございます。しかしながら、府県合併というものについては従来法律でしかできないというような、これは国家的な見地からの重要性というものに着目し過ぎたきらいがややございますが、しかしながら重要度ということの意味も含めて、法律でしかできないということになっておったところでございますから、そこを手続として手厚くするということも十分に考えるべきであるということで、いまのような規定を置いたということでございます。
#23
○原田立君 その問題は幾らやっても先に進まないから、これでその問題は終わりにしたいのだが、それは局長が幾ら答弁しても、また大臣が幾ら言っても、明らかにぼくは反対だ、納得しがたい。で、今回のこの法律はただ単に手続上の問題ではない法律だと、こういうふうに理解するのですけれども、それでいいかどうか。それはどうしてこんなことを言うかというと、この法律の目的のところには、今回の「都道府県の合併が広域にわたる行政のより合理的かつ効果的な処理」、それが一つと、それから「都道府県の能力の充実強化とに資する」ためと、この二つがあるのですね。この合併された場合に、明らかにこういうふうに、よりプラス面が見える、プラス面があるのだ、こういう考えで法律を施行しようと思うのだね。で、第三章のところに、「合併に伴う特例」として、県会の議員とか、職員とか、地方交付税、地方道路譲与税、義務教育費、公共事業費、第四章のところに地方債、公共企業体等、いろいろとこう特例措置がきめられているわけです。で、こっちの中身のほうはまたいろいろとお聞きをしたいと思うのだが、この法律がただ単に手続上の問題ではなしに、その合併することがよりプラスになる、そういう面に資するためにつくるのだということだと思うのだが、その点はどうですか。
#24
○政府委員(長野士郎君) お話のとおりでございまして、この法律は府県合併というものを肯定するというよりも、むしろ府県合併というものが府県の広域行政体制を整えるために非常に大切と申しますか、非常に効果的であることをもちろん認めた上で、そういう前提に立っておることはもうそのとおりでございます。そこで、そういう前提に立っておりまして、先ほど申し上げましたように、その基本の考え方を持っておるその前提に立ちまして、現行制度のままでは、合併に伴うところのいろんな障害、と申してはあれでございますけれども、まあ障害に近い、合併に伴う障害といいますか、そのことがありますために合併に対応するということが十分できていない諸制度がありますために、むしろ合併そのものの阻害になる、こういうものをやはり円滑な合併が行なわれるためになるべく除きまして、そして阻害要因というものにならないようにするという意味の特例を開いていくという考え方がこの法律の一つの組み立てになっておるわけでございます。その中で、いまお話のありましたような選挙関係の問題でありますとか、交付税の特例でありますとか、それぞれのものがあるわけでございますが、まあそういうことの特例と、もう一つは、合併手続そのものにつきまして、いわゆるこの府県の合併が地方団体本来の形で進め得るという意味での自主的な合併の進め方ができるような特例措置というものを規定しておるということで、その意味で地方自治法のこの六条の一項の特例を開いておるということになります。しかし同時に、したがいましてこの合併は、地方自治法の第六条の特例は合併手続の特例でございますが、地方自治法の第六条もそのまま生かされておるわけでございますから、合併手続に両方の道がこれによって開ける、こういうことになります。まあいずれの道をとった合併でございましても、それ以外の合併の特例というものは適用があると、こういうことにいたしまして、つまり合併の阻害要因というものを除くということでございます。しかしその根本には、合併が広域行政体制というものを整える必要と、それによって府県の自治能力の充実というものに資するということを前提にしていることは、おっしゃるとおりでございます。
#25
○原田立君 それでね、そういうプラス面があるからこの法律を通すのだということのように思うのです。この「都道府県の合併の基本」のところに、一体性のある区域、将来発展していくであろうという区域と、区域のことがあり、また、広域行政が効果的に処理できる区域、そしてあと結論的なふうに言われているのが、合併関係都道府県間の地域格差の是正に寄与することができるように配慮されなければならない、こういうふうに「基本」で出ているのだが、この消極的な意味のプラス面なのか、積極的な意味のプラス面なのか、そういう、まあ私あえて聞きたいと思うのは、積極的な意味のプラスというのはこの法律で盛られているのかどうか。それから、ここで言われる地域格差の是正ということが、ちゃんとこの法律でできるという確信がおありなのかどうか。この点はどうですか。
#26
○政府委員(長野士郎君) この法律は、いま申し上げましたように、合併手続の特例以外はほとんど、その合併の円滑な実現に支障のあるようなものをなるべく取り除いて支障をなくしようということを大体考えておるわけでございますから、この法律のその他の特例があることによりまして合併が積極的に進んでいく、あるいは合併をして、えらいこの法律自体から何かの力が加わっていくということではないと思います。その点は合併の阻害要因を除いている。したがって、この法律は合併促進法では実はないのであります。その意味で合併特例法でございます。まあ法律の名前も、そういう意味でわざわざ特例法になっておる。つまり、それはなぜそういうことになったかといいますと、府県という団体の自主的な判断によって、合併というものの決意をするしないということがきまっていくべきであって、国が積極的に指導し勧奨し、そのためのいろいろな方策を加えて全国的に合併を進めていくというようなことではない。つまり、合併というものについての理解というもののよく進んだ関係の府県が合併をしていくということでありまして、そういう意味で、積極的な要因というものにまでこの法律が措置をしておるわけではございません。そこで、いまお話のございました、いまの格差の是正とか合理的な効果的な処理というものがこの中から出てくるか。これは出てこないのであります。つまり、はっきり言いますと必ずしも出てこない――出てこないと申し上げたほうがいい。ただしこれは、府県が広域な規模になり体制をとるということの結果から出てくる行政の合理化能率化というものの効果を非常に期待をする、こういうことでございます。
#27
○原田立君 じゃもう明らかにね、局長、これはこの法律の「目的」あるいは「都道府県の合併の基本」のところでいろいろと書かれているけれども、これは明らかに欺瞞だというふうになっちゃう。欺瞞になっちゃうですよ。ここにある、合理的かつ効果的な処理ができるようにするのだとか、能力の充実強化に資するためだとか、あるいはまた、地域格差の是正に寄与することができるようにするのだとかと、効果ですよね、プラス面ですよね、これは。私は、合併によるとこういうふうなプラス面があるのだと、こういうことがうたわれている、いわれていると理解するのです。今度大阪に行って、奈良の奥田知事ですか、それから和歌山の大橋知事等の意見なんか聞いてみると、今度の合併が一体どれだけ自分の地域住民のプラスになるのかということを実は最大の焦点として注目しているのだと、こういうことを何度も言っていました。東海三県のほうもおそらくそうではないかと思うのですが、そういうふうな、地域住民にどれだけプラスになるのかということを最大に見ている、考えているという、そういうことに資するならば、この法律の「目的」「都道府県の合併の基本」に書かれているのは明らかに合致するのですよね、プラスの面ですから。ところが、いま局長の話があるように、実際にはこの法律ではそういう積極的な意味でのプラス面というのはないのだと。そうなるとこれは明らかに欺瞞になっちゃうじゃありませんか。ぼくは欺瞞と指摘したい。どうですか。
#28
○政府委員(長野士郎君) この法律はいま申し上げたような組み立てと考え方になっておりますが、府県合併そのものの効果というものはこの第一条や第二条に私は規定して期待しておるとおりだと思っておりますから、決して欺瞞だということには私はならないと思っております。まあ具体の県の話になりますといろいろ語弊がありますけれども、たとえば大都市圏域というものにおきまして合理的な合併というものが考えられたといたしますと、そういう場合にはおおむねこの中心部というものは過密に悩んでおるような状況でございますが、そういうときに考えられますことは、やはり重要な公共施設なんかの統廃合なり合併後の分散配置なりということは、今日過密の解消というものでも焦眉の急だろうと思います。そういうものが非常に合理的な規模と範囲で解決されていくという大きな、広い見通しに立ち得るというようなことになっていくことは、合併というものにつき非常に効果が期待できる。また同時に、そういうことによって、過疎と申しますか、まだスペースの広いところについての公共投資というものも合理的な形で促進される、そのことがまた過疎の問題の解消にも寄与するということにもなっていくわけでございまして、ある特定の名前をあげることははばかりますけれども、かりに極端なことを言いますと、福岡県と佐賀県というようなものがかりに初めから一つだった、あるいはこれから一つになるということになれば、両県のいろんな地域計画というものは当然に改定をし直さなければならない、一つのものにつくりあげられると思うわけです。そういうことになりますと、両県の中だけで考えておった考え方でなくて、もっと規模の広い範囲において最も合理的な計画というものが立ち得るということは当然出てくるわけでございます。そういうことがこの法律の中で、直接それをエンカレッジするといいますか、それに援助するということは、それほどたくさんはございません。抽象的な文句しかございません、そういう場合は。しかしながら、それは合併の効果としては当然に考えられることでございますから、そういう意味で、この法律自体は、合併の実現の障害になるものを除いていくということを基本にしております。それによって合併された結果の合併の効果というものは、この法律の一条、二条が規定しているとおりに実現されるものと私どもは考えております。
#29
○原田立君 要するに第二段階でこういう効果がある、こういうことのようですね、趣旨説明が。それじゃ、私思うのは合併に伴う特例というのは、いわゆる合併によって積極的にプラスになる面がうたわれるんだ、こういうふうに実は理解しておった。だけどもそうじゃないようですな。たとえば、この五の「地方交付税の額の算定の特例」というのがあるんですけれども、このところは、具体的に阪奈和の三県合併した場合に、地方交付税はよりプラスの面が、そのような意味のプラスの面がうたわれているのかどうか。これは、マイナスになる面をマイナスにならないように食いとめている、そういう特例であって、積極的な意味のプラスになる特例ではないんだ、こういうふうに私は理解するんですけれども、その点どうですか。
#30
○政府委員(長野士郎君) この地方交付税につきまして、合併に伴い臨時に増加する行政経費というものを当然に財政需要の中に算定をするという考え方をひとつ明らかにしておりますが、それは一応年限が区切ってございまして、合併が行なわれた日の属する年度と、及びこれに続く五年度に限るということに一応はいたしております。しかしながら、そういうことで合併に伴って増大する行政需要を計算をいたしました結果と、合併前の各府県に交付されておりました交付税の総額というものと比較いたしまして、それでも合併をするということになりますと、やはり交付税の計算上の測定単位の数値とか、そういうものにおきまして、やはり合併をして規模が拡大するということは行政を合理化し、能率化し、ある程度節約になるという考え方が交付税制度の中にありますものですから、そういうことで合併後の需要を満たけれども、それよりも、いまもらっている交付税の関係の総額というものが満たないという場合が起こり得るということになっている。そういう場合には、それまでのこれはやはり合算額で考えようということでございまして、積極的な考え方で合併後の需要に伴う経費というものは当然に計算するということになっておりますが、その結果の受け取り額というものが合併前のその県が受け取った交付税の額に満たないという場合もあり得るわけでございます。それは一体どのような状況になるかということになりますと、これはそういう意味での合併後の需要というものをいま検討しておるところでございまして、まだその点は明らかになっておりませんが、そこでかりにそういうことを考えますと、いまの阪奈和の例で申し上げますれば、四十三年度の数値で一応阪奈和が合併をしたと申しますか、合併をした場合と合併をしない場合ということで考えますと、大阪府は現在いわゆる不交付団体でございます。財源計算におきましては、財源のいわゆる超過額というものは百五十億くらい、四十三年度の計算でございますが、あります。それから奈良県におきましては、いわゆるこの財源不足が、つまり交付税の当たります額が、大体四十三年度計算で九十五億くらいございます。和歌山県が同じような計算で百四億くらいあります。これを今度は阪奈和地区が合併したということをかりに想定をいたしまして、したがって現在合併後の需要がまだ計算ができないわけでございますが、かりに阪奈和地区が一つの県であるということで総体としての計算をいたしますというと、いわゆる財源超過額というものが三億七千万円というふうに出てくるわけでございます。これでありますというと、阪奈和が合併すると交付税は一文もいかないということにこのままでまいりますとなるおそれがあるわけであります。これは現在の単位で、現在の補正係数で補正をしたということでございますから、合併をしたときとはちょっと違いますけれども、一応試算をいたしますとこういうことになる。したがいましてそういうことで結局関係の府県が受け取った額より少なくなるということは困るということで、それは合併後五年間は少なくともその分は保障をいたします、かりに大阪府の超過財源がある計算がありましてもそれは保障する、こういうことにしておるわけでございますしたがって絶対額をさらにそれ以上にふやすということにしておるわけではございません。これは他との、交付税制度における他の府県との関係というようなもの、他の地方団体の関係というものを考えました場合には、合併府県だけを特別手厚く見ていくということを理屈抜きに考えていくというわけに交付税制度の世界ではできない。しかし合併に伴う需要がふえてくるということについては、交付税としても当然に考えていかなければならぬという考え方だけはこの第十二条の第一項に明らかにしております。
#31
○原田立君 そうするとね、私、法律の要綱の、ころでいまいろいろな質問しているのだが、臨時に増加する行政に要する経費の需要というと、これは合併に伴って臨時に増加する私は非常に微々たるプラス面のことだと、こんなふうに実は理解しておりました。それで、いまの説明があったように、超過額が三億七千万、そうなると、いままで奈良に九十五億、和歌山に百四億行っていたのが、法律のたてまえからいえば行かないことになってしまう、行かなくなったのではたいへんだから何とか保障しよう。そうすると、これが約百九十九億ですね、従来の計算のしかたからいって。そうすると、経過措置として五年間に限り百九十九億というものは保障されていくのか。いくんですか。
#32
○政府委員(長野士郎君) そのとおりでございます。保障されるということでございます。それからさらに、その期間が経過した後におきましても、いわゆる激変緩和措置というのがございまして、これは要綱の中にも六ページのところに書いておりますが、経過後も激変緩和措置というものは必要な場合にはとり得るということにいたしております。
#33
○原田立君 そうすると、それは合併になって要するにマイナスになる面ですね。奈良及び和歌山は不足額が交付税で保障されているのが、普通だったらばもらえないのが保障される。要するに、マイナス面になるやつが保障されて従来どおり得をする、こういうような意味であって、いわゆる積極的なプラス、合併によってプラス面が出てくると、こういう意味ではない、そういうことになると思う。それで、まあ交付税ですから、交付税は全体の総額がすでにきまっていることですから、その中であっちこっち移したりするだけのことに実はなるんですが、ここだけ考えてみても、要するに積極的なプラス、合併によって受けるその地域住民の恩恵的なプラス面、こういうことはこれでは見られない。マイナス面をマイナスにならないように保障している、それだけだというように理解する。そうなると、何だかこういうような大きな問題を含んでいるのを、一番最初の問題に実はむし返して聞きますけれども、ただ議会の議決を三分の二以上だけで通すというのは、これはもう本質的にもおかしいのじゃないか、こうなってくる。それで、今度のこれが積極的なプラス面というものがないんだというようなことは、これは非常に不満とする点なんです。より積極的に合併によって地域住民にプラスになっていく。財政的な面でもプラスの面が出てくる。こういうふうにするための地方交付税の額の増額というようなことが合併県にはある程度行なわれてもいいのじゃないだろうか、こういうふうに思うのだけれども、そういう点についてはどういうふうに理解していますか。そういうようなプラス面などというようなものは全然考えないでやっていくのが正しいと思っているのか。その点はどうですか。
#34
○政府委員(長野士郎君) この特例法は、先ほども申しましたように合併をしていく上で阻害要因になるというものを排除するということをたてまえにしておりますから、合併後の状態というものにつきましての考え方というものがこの中だけでは全部完結しているとは私どもは思っておりません。したがいまして、つまり合併後の府県における今後の新しい財政需要というようなものをどのように考えていくかという問題になりますというと、交付税としても、この法律としても、そういうことは当然考えるのだという趣旨のことは明らかにしておりますけれども、それがどの程度のものになるかということは、これは今後の問題としてさらに検討をしていくという考え方をとっております。したがいまして、お話のようにこの法律だけからは積極的なプラスというものが出てこぬじゃないかということはそのとおりでございます。しかし今後の新府県といいますか、合併県に対する行財政両面のいろんな体制の整備ということは、これは当然に考えていかなければならない。ただ特例法の世界ではそこまでのことに及んでいないということは御指摘のとおりだと思っております。
#35
○委員長(内藤誉三郎君) 暫時休憩いたします。
   午後一時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時十七分開会
#36
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 都道府県合併特例法案を議題といたします。
 休憩前に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#37
○原田立君 午前中に引き続きお伺いするんでありますが、地方交付税のことについては午前中お伺いしました。その結論は、いわゆる合併になった場合に想定し得るマイナス面をマイナスにさせないようにするというのが今度の特例法であるということで、積極的な意味の合併によって起こる効果、プラスというような面がこれはないんだというようなことが、午前中のお伺いした点ではっきりした点であります。同じようなことが言えるのではないかと思い、これからまた質問するのでありますが、第六番目に「地方道路譲与税の額の算定の特例」というのがあるわけですが、これが合併になった場合にどれだけのプラス面が考慮されるのか。そういう点について説明してもらいたいと思うんです。
#38
○政府委員(長野士郎君) 地方道路譲与税につきましても、考え方といたしましては、現在の地方道路譲与税法によりまして、地方道路譲与税は都道府県や指定市に対しまして、その区域内にありますところの一般国道、都道府県道の延長面積に按分をいたしまして譲与するわけでございますが、この場合に、特例といいますか、例外が一つございまして、つまり、いわゆる不交付団体に対しましては、いわゆる基準財政収入額が基準財政需要額をこえることとなる金額の十分の二に相当する金額というものを、交付さるべき道路譲与税の額から控除いたしまして交付する、こういうことに実は相なっておるのであります。そういうことがございまして、現在不交付団体につきましては、やはり二割相当額というものが打ち切られておるという状況がございます。そういうことでございますので、この合併が行なわれた日の属する年度とそれに続く五年間に限りまして、新府県というものにつきましても、関係府県の合算額に満たないときには、合算額までを保障する、つまり交付税において考えましたと同じ考え方を地方道路譲与税にも特例として考えていきたい、こういうことでございます。
#39
○原田立君 ちょっと聞き漏らしたんですけれども、それでは具体的に阪奈和が合併した場合にどういうマイナス面、プラス面があるのか。先ほどの地方交付税の場合には、四十三年度の数字をあげて具体的に御説明があったが、そういう説明をしていただければと思います。
#40
○政府委員(長野士郎君) 四十三年度の地方道路譲与税の決算見込みでいまお話のありました阪奈和について申し上げますと、大阪府は地方道路譲与税区分といたしまして四十三年度の決算見込みでは二億七千六百万円の交付を受けることに相なる予定でございますが、その場合に大阪府は不交付団体でございますので、いわゆる二割分が控除された後の額にその二億七千六百万円がなっておるわけでございます。つまり、大阪府は五億四千五百万円を打ち切られておるのでございます。そういうことでございまして、奈良県は七億八千九百万円、和歌山県は十億五千八百万円、現在の大阪、奈良、和歌山の四十三年度の決算見込みでは二十一億二千三百万円に相なります。これが、交付税計算におきましても、合併した後のことでいま計算することができませんので、午前中に申し上げましたように、現在の規定で計算をいたしましても、三県が合併をいたしました場合にはなお不交付団体になるという見込みが現在の計算ではするわけでございます。そういたしますというと、道路譲与税の関係におきましても打ち切られるという部分が出てまいるということに相なりますので、その点の計算をいたしますときに、合併前の関係府県の合算額より交付額が少ないという場合には、その合算額までは保障する、まあこういう考え方であります。つまり、二十一億二千三百万円までは保障するという考え方をとっておるわけでございます。
#41
○原田立君 そうすると、やはりこれも積極的な合併によってプラスになる面というものではなしに、やはりマイナス面になるであろう、そういう面をマイナスにさせないように保障する、そういう特例であるというふうに理解するのですが、今度実は公聴会に大阪に行ってきたのですが、先ほども、午前も申し上げましたけれども、自分の県にどれだけプラスになるのかということを最大の重要課題として見ているのだというように、どの知事もどの議会の議長も盛んにそのことを強調しておりました。そうすると、いまの局長の説明ですと、積極的な意味のプラスの面というのではなくて、マイナスになっていくものが減らされるだけ、明らかに法としてはマイナス点が非常に多いのではないか、こう思うのですよ。そのほか義務教育や公共事業費等なんかのことについても一々お聞きしたいのですけれども、あまり時間かけてくだくだしてもしようがないから、局長のほうで一括して義務教育の場合はこうだ、公共事業費の場合はこうだ、地方債及び公共企業体においてはこうだと、具体的に数値をあげて一括して説明してもらいたい。あと結論的なものはまた次にお伺いをしたいと思いますから。
#42
○政府委員(長野士郎君) 義務教育費国庫負担法によります場合にも、いわゆる実額に対する国庫負担という考え方が原則でございますけれども、不交付団体につきましては政令で一定の基準を設けまして、その基準を上回る分というものは差っ引くといいますか、最高限度額というものを政令で定めておるわけでございます。そういうことでございますので、具体の例で申しますと、四十三年度の決算額におきまして、大阪府の関係で言いますと、大阪府は現在打ち切られております額が二十六億六千二百万円ということになっております。そういうことがございますので、さいぜんから申し上げますように、この三県が合併いたしますと、全部が不交付団体になるということが現在の交付税法の計算だけから考えますと予想されるわけであります。そうなりますと、義務教育費国庫負担法の最高限度額に全部ひっかかるというおそれが出てまいるわけであります。先ほどの道路譲与税の関係と同じでございまして、そういう場合には、この関係県において、この関係県が存続するものとして算定される額というものを保障する。合併県になりましたときに、義務教育費国庫負担法による国庫負担が最高限度額を定める政令にひっかかりまして、打ち切りということが出てくるというようなことの結果、合併しなかった場合に計算をした場合の三県の受け取り額の合計額より下回るようなおそれが出てきます場合には、これは下回らないように保障する、こういうことでございまして、考え方は、交付税に関する考え方あるいは地方道路譲与税に関する考え方、義務教育に関する考え方と、大体同じような考え方をとっております。
 その次に公共事業費でありますところの国の財政措置の特例でありますが、この点も考え方としては同じような考え方でございまして、この十五条の法律に書いておりますように、後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律、その他新産都市とか低開発地域とか、いろいろ地域開発立法に関連をいたしまして、負担割合の特例を定めておる法律がございます。こういうものも結局は財政力というものに関係をつけまして国の負担割合を、財政力の弱い府県については負担割合を高めるというような制度をとっているわけでございます。そういうことでございますので、この三県が合併しました場合に、たとえば四十三年度の後進地域の関係の補助率の引き上げというものは、奈良県におきまして四十三年度は七億一千八百万円、和歌山県におきまして六千七百万円という額があるわけでございます。合計いたしまして、七億八千五百万円ありますが、三県が合併いたしまして、財政力指数が合併県としては非常に上がってまいるというようなことになりますと、後進地域の補助率の引き上げということが適用がなくなるおそれが出てくるわけでございます。そういうような場合には、合併によって、この要綱に書いておりますように、その点については少なくとも財政措置という面で不利益になるおそれが出てまいりますので、そういう場合は、先ほどから申し上げました考え方と同じ考え方に基づきまして、合併が行なわれた日の属する年度及びこれに続く五年間については不利益にならないようにしていく。同じような関係は公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法についても同様でございまして、そういう財政力指数が合併の結果上がってまいるというような場合には、その不利益になるようなおそれが出てくるというようなことになります場合には、これを災害の起きました年度と、それに続く五年度以内に起きました災害につきましては不利益にならないような措置の特例を講じまして、そして公共事業費の補助の関係の最低保障額といいますか、従来の関係府県が受けましたと同じ額を受けるという考え方でございます。これらの考え方は、いずれもいま申し上げましたような公共事業費の特例、道路譲与税の特例、義務教育費国庫負担法の特例、同じような考え方をとっているわけでございます。
 その次には、「合併都道府県に対する国等の協力」という第四章の規定でございますが、この第四章の合併都道府県に対する国の協力というものにつきましては、これはいままでの例、考え方とはやや違いまして、合併府県の計画的な建設を促進いたしますために合併都道府県にかかわる国が行ないます事業とか、国がその必要な事業の経費について補助金を交付いたしますような場合には特別の配慮をするということで、規定の表現は抽象的でございますが、合併府県に対する協力という基本の原則を打ち立てるということにいたしております。
 それから、その次の関係は地方債に関する関係でございますが、この面につきましても合併府県の計画的な建設を促進するために合併府県が行なう事業に要する経費の財源としての起債につきまして、地方債につきましては適切な配慮を講じなければならないということを考えておるのでございます。
 それから十八条の関係が「公共企業体等の協力」でございます。府県が合併いたしますと、合併県としての広域な新県としての根幹的な事業の実施というものが行なわれていくわけでございますが、それらの仕事に直接ないし間接関連をいたします公共企業体の事業がございます。公共企業体と申しますのは、ここに書いておりますように、国有鉄道とか電電公社あるいは住宅公団、道路公団、水資源開発公団等のそういう公共企業体は、その建設の方向に沿って事情の許す限り協力をしなければならないという協力義務を規定をいたしておるのであります。したがいまして、この第四章に書いております「合併都道府県に対する国等の協力」といいますのは、合併府県になりました場合の合併県の計画的な建設を促進するということの基本的な考え方というものを法律上明らかにいたしまして、いま合併後の建設の促進という点についての法的な規定を整備をしておるという関係になっております。
 その次に、第五章に雑則というところがございますが、この雑則は、一つは合併府県の関係におきまして法令上いろんな委員会等が設けられておるわけでございますけれども、そういうものも、たとえば教育委員会なりあるいは人事委員会、公安委員会等は、一つの府県になりますと一つの委員会になっていくわけでございます。一つの委員会になるためには、合併後最初にそういう委員なり委員会の構成についての方針が行なわれる必要があるわけでありますが、それまでの間は、委員相互の原則としては、互選によりましてそういう機関の継続をはかっていくということを考えておるのが一つでございます。第二番目は、海区漁業調整委員会とございますが、海区漁業調整委員会の任務は、これは直接には関係府県の区域と直接一致するというわけでございませんで、それぞれの担当の海区というものを持った漁業調整でございますから、これはそういうことでなお同一性を持って存続するという規定を置いているわけでございます。それから第二、第三につきましては、国の地方行政機関あるいは公共的団体の統合整備、これは、合併によりまして府県を単位として管轄しておりますところの国の行政機関、一府県でありますとか数府県でありますとか、いろいろな管轄は地方の出先機関によって違うわけでございますけれども、いずれにしても合併をいたしますと、所管区域というものの変更のみならず、出先機関の統廃合というものも当然に起こってくるわけでございます。その辺についての必要な措置を講じなければならないという、これは当然の原則でもございますが、その考え方を明示するということでございます。それから公共的団体等につきましても、府県の地域を単位とするところの経済団体等も多いわけでございますから、そういうものにつきましては統合整備というものは当然に出てくるわけでございまして、そういう関係の措置を講ずるということを法律の上でも明らかにしておくというようなことで、関係規定を置いたということであります。
#43
○原田立君 先ほど道路譲与税及び義務教育費あるいは公共事業費の関係等も若干説明がありましたけれども、やっぱり一貫して、合併に伴うマイナス面を、そのマイナスにならないように保障しようというだけであって、積極的な意味の、府県合併によってプラスになるという面がこの特例の中にはうたわれていない、こういうふうに実は理解します。それで、この前公聴会に行ったときの各関係の知事さん方の意見等は、実は局長が考えているようなそういうものじゃありません。たとえば奈良の奥田知事の意見等は、奈良県住民の生活が単に経済的だけでなく、住みよい環境で、楽しい生活ができるようになるかどうかを総合的に考えねばならない、こういうようなことを言っておる。要するに、地域的にどれだけプラス面が出てくるかということを常に考えていく。そうなると、ただ単に府県というワクだけを合併するだけでは、はたして今度のこの特例、簡単な特例が出ていますけれども、こんな程度のことで、いわゆる基本構想にもあるように都道府県間の地域格差の是正だとか、あるいはその地域のプラス面を都道府県の能力の充実、強化に資するだとかいうことがはたしていえるのかどうか。そこら辺はどうですか。
#44
○政府委員(長野士郎君) この合併特例法は、いまお話が出ておりますように、合併によって、主として財政的な措置につきまして、マイナス面を防ぎまして、そして最低限度額というか、従来関係府県の受け取っておりましたものは少なくとも保障するという考え方でございますから、この面に関する限りは、積極的にさらになおプラスしていくというような財政援助措置をとっていないということは御指摘のとおりだと思います。財政的なプラスをとっております面はやや抽象的に法律としては規定をしておりまして、合併県に対する国等の協力、合併県の事業の計画的な遂行のための国の補助についての特別な配慮だとか、起債についての特別な配慮、公社等の協力とかいうものはやや抽象的なことになっておりますから、全体としてはそういうことが御指摘のようにいえると思います。ただ、この合併によりますところの効果は、この法律から直接出てくるというよりは、合併によりまして一つは広域行政というものの合理的な、効率的な体制がとり得るということで、行政の運営なり行政の計画的な総合的な執行というものの基盤が非常に変わってくるということが一つ。それから、さらには関係機関の合理的な再編成、統廃合ということもまあ当然出てくるわけです。国の出先機関も、先ほど申し上げますように一つに統合されていくということが原則でありまして、公共的な団体も一つに統合されていくということが原則であります。そこでそれらの広域的な新しい県におけるところの計画的な事業の遂行、大規模の開発事業の推進なりあるいは大きな規模の生活環境事業の整備というようなことを通じまして、合併県の合理的な行政運営というものが展開されていく。考え方の基盤も違ってまいるわけであります。そういうことから合併の効果というものが、直接には組織の統廃合による合理化というような面ももちろんございます。それから同時に合併後の新県の行政運営というものの合理的な、あるいは効率的な運営というものの効果というものが非常に大きいというふうに考えられるわけでありまして、したがってこの法律は直接そういうものをプラスアルファーとして、この法律が直接財政援助というような形で規定をしているわけじゃございませんけれども、そういう合併の効果というものは当然出てくるということはいえると思います。
 それから、さらに地方制度調査会の答申でも指摘をいたしておりますように、広域県というものの体制が整えられるに従って、やはり行政事務の再配分、財源配分というものを強力に行ない、同時にそれは一つには市町村に対しても事務の配分をして、市町村の充実強化をはかりながら広域県としての体制を整えるために、また国からの事務、財源の配分というものを逐次考えていくことによって府県の自治能力の充実強化、またそれが同時に市町村の能力充実強化にまで資するようなかっこうで逐次整備をしていくんだという、こういう答申がございますが、合併県というものが実現するようなかっこうになっていきますに伴いまして、やはりそういうような全体としての地方の行財政制度の再編成、再検討というところへこれは持っていく必要が当然に出てくると思っております。
#45
○原田立君 局長のいまの意見ですね。非常に重要なところに来ているわけです。なるほどそのとおり、ただ府県のワクだけを拡大したからといって、それが地域住民のプラスになるとは毛頭考えられない。それでまた、だからそのあとには必ず行政面においても財政面においても権限の委譲等、それらを考えなければならないというお話、地方制度始まって以来の長らくそれが大きな課題なんですよね。今回それじゃこの特例法を出して府県合併を進めていく、そうすると、従来から言われている国から都道府県に対する権限の委譲、地方財政の財政力の拡充のための税源の再配分、あるいはまた県から市町村に移すべき仕事等があるならばそれを移す、その行財政面の再配分、これはこの法律があがることによってその糸口はできると、またなさると、そういうふうに受け取ってよろしいんですか。非常に重要な問題なんで、重ねてお伺いしておきたい。
#46
○政府委員(長野士郎君) 地方制度調査会でもその点については指摘を受けておるわけでございまして、合併県というものの育成強化ということをめぐりまして当然私どもはそういう問題が出てくるということは先ほど申し上げたとおりでございます。じゃ、どこから出てくるかということになりますと、現に合併県になりますと、たちまち国の行政機関というものの統廃合、行政改革ということが必至のことに一面なってまいるわけでございます。それから府県を単位とする法令上の制度がたくさんございますが、こういうものもすべて再検討していくという端緒が当然出てくるわけでございます。そういう際に、やはり広域県にふさわしい事務の配分というものは私どもは当然に行なっていかなければならない。それで、それに応じて市町村との関係の調節というものも考えていかなければならぬということは、これは調査会の答申が指摘をしておりますとおり、今後この合併県というものをめぐります条件を整備する、それが全体の府県制度についても好ましい影響を与えることは間違いないと思いますが、そういう一つの推進体制というものがこの合併ということを通じて整えられていくということははっきり言えると考えております。
#47
○原田立君 国で行なうべき事務、府県で行なう事務、市町村で行なうところの事務、それらを現行の状態をみて、それぞれこのものについては国から府県に、府県のものを市町村に、こういうふうに委譲したらいいじゃないかという研究ですね。それは局長のほうは専門なんだから、当然こうあるべきだ、地方自治を確立する意味において事務の再配分はこうあるべきだというその研究等はもうなさっておりますか。あわせてまた税制のほう、財政のほう、あなたのほうに関係が大部分あるわけですから、その研究はなさっておるわけですか。
#48
○政府委員(長野士郎君) 従来から行政事務の再配分と申しますか、こういう考え方は地方行政調査委員会議というようなものができまして、その行政事務の再配分は、戦後非常に早い時期から着手されてきておるわけでございます。地方行政調査委員会議がたしか昭和二十七年ごろに勧告をいたしました際にも、行政事務の再配分に伴うところの地方団体の再編成ということもその当時から指摘をいたしておるところでありまして、行政事務の再配分と、それに見合う地方団体側の受け入れ態勢の整備というものは一貫して唱えられて今日に至っております。行政事務の再配分自体につきましては、その後も地方制度調査会あるいは臨時行政調査会等いろいろのところで再配分の研究なり勧告が行なわれております。自治省におきましても常時それらの関係の研究を重ねて今日にきておりますし、また地方行政に関するいろいろな制度改正が行なわれますたびに、私どもは地方制度調査会、臨調等の行政事務等の再配分の勧告の線との調節というものについては随時関係各省とその線での折衝を続けて今日に至っております。政府も長期にわたる行政改革というような検討を総理府の行政管理庁を中心として行なっておりますが、それにもそういう意味の再配分の勧告等が上台になって現在検討をされておるという状況でございます。これらの関係の具体的な実現の過程というものは、いろいろの事情がありましてなかなか進んでいないという御指摘も受けておるわけですが、この府県合併というようなものが出てまいりますというと、いやおうなしにそういう再編成、再検討というものをちょうど迎えるかっこうにもなってまいるわけでありますから、そういう機会に、行政事務の再配分として従来言われております勧告の内容で府県にふさわしいもの、市町村にふさわしいものというふうに、ぜひそういう線に沿って実現をしていくべきだと私どもも思っております。それに応ずる財源措置その他の関係も、全体の形が整うにつれて具体の問題として具体化していくということになってまいろうと思います。
#49
○原田立君 岐阜県知事の平野三郎君は、権限委譲等による国、都道府県及び市町村の事務の再配分、これはぜひやってもらいたい、こう言っておりますし、それから三重県知事の田中覚君も、市町村の行財政能力の拡充をはかり、県との機能分担を明確にすべきである。合併後の県は完全自治体としての機能を備える必要があり、国の権限の委譲をはかり、いささかも中央集権化があってはならない、こういうふうな意見を言っておる。それからまた和歌山県知事の大橋正雄さんは、行政事務の委譲、それに伴う財源付与等、合併を促進する積極的な方策が織り込まれていないことが今度の法案については不満である、というような意見を言っております。そうすると、これらを受けて、政府はただ単に形だけこういう府県合併の法案を出すというのは無責任のそしりを免れないと思う。当然府県合併を推進するというその裏には、では事務の再配分であるとかあるいは税財源の再配分というものが当然その裏できちっときまっていなければならないと思う。それを表面に出しておらぬで、マイナス面にならないようなところをマイナスにならないように保障するというような、いわゆる積極策が出ていないそういう法律というのは、明らかに不満の気持ちが非常に強い。だから午前中、失礼だとは思ったけれども、合併の基本及び法律の目的等から見れば、明らかにこれは法不備である、欺瞞的な法案なんだと、こういうふうに実は指摘しているわけです。それはそれとして、先ほどの各公聴会における関係知事の意見、これらをあなた方も尊重なさるんだろうと思うけれども、その意向を受けて、今後どういうふうに事務の再配分、税財政の再配分、これらをどういうふうに進めていこうとなさるのか、そっちのほうのことがない限りにおいては、ただワクだけきめたっても意味をなさない、こういう議論なんです。
#50
○政府委員(長野士郎君) 確かにこの法律は、一つの何と申しますか、合併に伴う障害というものを除去するということに重点があるということは御指摘のとおりでありますし、私もそのようなことでお答えを申し上げておるのでありますが、それは一つには、あくまでこの法律の考えておりますのは、府県合併というものを、府県の自主的な発意によりまして合併というものをやっていくという考え方を基本にしております。全国を画一的に県の再編成をやっていく、そうしてそういう計画的な再編成を整えていくというような考え方じゃなくて、合併ということの理解なり合併の必要性というものを十分認識した府県が合併を自主的にやっていくために最小限度必要な道を開くという法律の根本的な姿勢といいますか、態度というものをそういうところに置いておる。したがいまして合併県に対して特別に、直ちにこの法律によって力を与え、事務の委譲をし、財源の配分を特別にしていくということではございません。しかしながら、同時に、合併県というものができ上がってまいりますときにおきましては、やはり先ほどからお話がございますように、事務の再配分とか財源配分とかいうものをどうしても考えていくというようなことは避けられないといいますか、当然にぶつかってきまして、解決をすべき課題に当然なってくるというふうに私どもは思っております。そこで、そういう意味での全体の制度の整備というものは、一般的な制度とも関連するわけでございますので、これはそういう合併県というものの具体的な、何と申しますか合併に至る準備が整ってまいるということに応じましてそういう制度的な整備の必要というものが出てまいります際に、それをやはり逐次整備をして確立をしていく。その際の考え方としては、いま関係県の知事のお話がございましたが、あくまで自治能力というものを充実する、そして国、府県、市町村の事務の合理的な分担というものを考えていくという基本線に立って措置をしていくべきものだというふうに思っております。
#51
○原田立君 そこまではっきりしているのだったら、いまここでただ都道府県のワクだけをきめるだけの特例なんか出す必要ないのじゃないですか。
 大臣にお伺いしたいのですけれども、いま局長のお話があったが、都道府県合併というこのことが一つの突破口になって、従来から言われている財政及び行政の事務の再配分、税源の再配分ということが、今回の法律を突破口として近き将来に具体化される見通し等がおありなんですか。
#52
○国務大臣(野田武夫君) この法案自体は先ほど局長が御説明したとおりでございますが、消極的に合併後の何といいますか、予想されるいろいろの障害に対してこれを満たす、しかしそれだけでは、原田さんのおっしゃったとおり、ただ合併して形だけが大きくなっていく――この特例法の合併そのものはこれでいいと思いますが、意義というものがやはりこれは伴わない。当然、いま御論議があったように、もう今日の場合世論と言っていいけれども、ほとんどこの点は一致しておると思うのですが、その前提は広域行政という形からきておりますが、同時にまたその広域行政というものの考え方、これはまたその行政の運営につきましていろいろありますが、その一つとして、いまお話のありました事務の再配分、ことにいま問題になっている都道府県と市町村の関係、さらに国と都道府県との関係、事務の再配分というものが、これはもうどうしても現在の自治行政を持っていく上において断行せねばならぬ時期に来ておると思います。いろいろ先般来この行政改革の一環としてもそういう問題が起こりましたが、なかなか思うようにいっていないこともこれは御承知のとおりでございますが、これはひとつ方向として当然考えなければならない。
 それから、せっかく合併して、この合併の力をもって行政の水準を高めようというその場合におきまして、財政力というものがこれは何といっても不可欠の条件になりますが、その財政力をどうしてつけていくか、これもいまお話しになりましたとおり税制の問題がございます。そこで、行財政、税制の再配分というのはもう当然これは具現しなくちゃならぬときに来ておる。それでもなかなかそう言いますけれども、いままでは御存じのとおり、まあ多少いろいろ動きはございますけれども、期待どおりいかなかったのも事実でございます。いま三県の知事の公聴会のお話も承りましたが、すべてこういう希望を持っておりますことも私どもも承知しております。そこで、現実的に合併を行ないました場合、これをどうして運営するかということは、実際いままで各県がやっておったと同じことを、三つの県か四つの県か知りませんが集まりましてやるということは、これは何人が考えてもむしろむだなことである。行政はかえって運営が退化する、複雑になる。そこで、いまの原田さんの御指摘になりましたように、いわゆる突破口と申しますか、それを基本として、そういういわゆる再編成の機運が起こるし、また自治省といたしましてもそういう方向でやはり各関係省との折衝をし、協力してこれを推進していく責任があると思っております。今日までも、新たな問題でございませんで、もう多年言われたことを相当内蔵したと申しますか、ことに行政上の問題なんかというのは、これは多年の懸案ですから、その点につきましても、また財政、税制の面もさようでございます。私はその際における、この合併後の新県というものが新たに国内で生まれてまいりますと、これに対する国の協力、補助の問題、起債の問題その他におきましても、新たな観点からこれに対処するということはこれは当然なことだと思っておりまして、またそうすべきだと、こう考えております。
#53
○原田立君 あまりよくわからないのだが、実は大阪の左藤知事も、ただ単に阪奈和が合併することにより広域行政の問題が根本的に解決されるとは考えられない、こう言っているのですよ。そのあとで何を言っているかというと、生活環境や道路交通網の整備のおくれ、多くの都市問題等があるから、財政需要もまた膨大である、そういう面からももっと充実してくれなければ、合併問題やったって何も意味をなさないのだというような意見なんです。ですから今度の法律の、府県のワクだけをただ広げればいいというのは明らかに粗漏だと思うのですよ。野田大臣がどっかの知事さんであった場合、こんな不完全な法律で、あなた目分みずから知事となって、合併しますか、おそらくなさらぬと思うのです。だってプラスになる面がどこにも書いてない、マイナスになる面をマイナスにならないように保障しようというだけの話なんだ。また、私はむしろそういう都道府県合併というものよりか、現行の方向でもっともっとやる仕事は幾らでもあるのじゃないかと、かように考えるのです。だからそこいら辺の意向もお伺いしたいのと、それからもう一つは、昔あった地方行政調査委員会議、神戸委員会というのですね。二十六年には答申を出して、人口二百万で府県の単位を再編成したらどうかというようなものだったし、あるいは第十次の地方制度調査会の答申としても、府県連合制度という考え方を明らかにしております。その後、同じこの地方制度調査会で府県合併の答申を出しておる。現在左藤知事が言っておるお話の中に、当面は近畿地方行政連絡会議や近畿ブロック知事会等を有効に活用して、府県行政の広域処理に努めておりますということだった。こういうようなところから総合してみると、今回のこの特例法、すなわち府県のワクだけを何とかきめようというような、それだけの法案では明らかに内容が粗漏である、こう指摘せざるを得ない、だからそういうような法律をつくるのじゃなくて、もっと地方財政、地方行政を充実する面により前向きに向くようなそういう法制度を、法律をつくるべきだ、こんなふうに考えるわけなんです。それで、そこいら辺の所見をお伺いしておきたい。
#54
○国務大臣(野田武夫君) 私は、原田さんの御意見、また各公聴会に出席した知事諸君の御意見、そのとおりだと思っております。というのは、府県合併だけしても、そこに何といいますか、その府県合併後の新県が活発に行政の運営ができて、水準を上げる。それはいままでもお話がありまして、私もお答えして、行政問題あるいは税制、財政の問題でありますが、また大阪の知事が言っておりましたところでございますが、まあ近畿知事会とかいろいろございます。これは一つの広域行政の一端でございまして、地方制度調査会がかつて府県連合制度ということを唱えたことがあります。まあ私は現在でも、府県連合制とか共同処理方式というものはやはりそれは非常に有効に使われる場合があると思っております。要するに合併というのは、いま申しましたとおり、今日の社会経済の進んだ立場と地域住民の関連というものは、これは非常にまあ変動し、密接になってきております。一つの県でやると、隣の県にぶつかるところがある。それを共同してやれば仕事がうんと進む、こういうことは私は当然であると思っております。そこでそのためには、やはり府県連合制でそれがいければ、私はそれでもけっこうだと思っております。共同処理ができれば、私はそれで無理することもないと思っております。たまたま私は実際ここで二、三の体験を見ますと、たとえば中部圏の知事会、近畿圏の知事会、また九州は九州の知事会やっておりますが、なかなか、連合した、一貫した近畿全体の発展ということになってまいりました場合に、必ずしも歩調が合わぬ点がよく見られます。これはしかし全部ではありませんから、決してそれを否定するものではありませんし、またそれは有効であるということは思っておりますが、どうも各県、各県が全部の、私は地域の連合知事会なんというものは存じませんけれども、大方やはりやってみると、自分の県というものが主体でございますから、そこに意見の統一、主張の統一というものが非常に困難であるということはこれは現実でございます。そこで、この府県合併というものは、そういうものを踏まえて、まあそこに二県でも三県でも一緒になってやったほうが力が出る。力が出るということはどうしてかと申しますと、原田さんに私が申すことじゃありませんけれども、やはり行政上の事務のさばき方あるいは財政力をどうしてつけるかというようなことは国に対するまた一つのまあ力と申しますか、こういうものがいろいろ私はあげられる。そのほうが便利だというような地域は、これは私は県連合でもいけるならばいいし、そのほうがより便利ならば、合併のほうがいいというものも出てくると思います。私は一々地域的にどれがどれだか、どっちがどっちだか存じません。そこでそういう意味におきまして、これはいわゆるこの法案にありますとおり、自主的、自発的に合併をしたい県は、なさっていいように特例を設けるというので道を開くということでございまして、これがやや御意見の中にもありますとおり、自治省が、どの県とどの県が一緒になれというように、一つの役所の案をもって押しつけるのじゃないかというような、まず原田さんそういう誤解はないと思いますけれども、ありとすれば、私は非常に不本意に思うわけでありまして、ないと思いますが、よくそういうのが出る場合がありますものですから。そこで、この特例法は合併後のことについてちっともお示しがないじゃないかという御指摘は――この法案から見るとそういう解釈はできます。これは私は決して否定いたしません、否定いたしませんが、その力、ここでやるということが、やはり日本のまあ百年近い府県制というもののいろいろいいところもあるのでしょうが、ひとつ多少のまだ行政上に阻害面もあると、そこで再編成のチームをつくるというような行政上の一つの新しい動きの拠点となっていくのじゃないかと、そこから突破口という、私もそう思います、そこに集まった力によって地方行政の水準を上げていくと、それには、上げていく以上は国は黙って見ているわけにはいきません。どう進むかと、こうなりますと、やはり国といたしましても、その現象に対しては注意をせねばならないと、同時に国、都道府県、市町村と一貫した考え方を持たなければならない。一貫というか、つながりがあるわけですから、どうするかと、たとえばいま都道府県の財政と市町村の財政問題も、もう御承知のとおり税金の問題でも、市町村のほうがよくなって府県が悪いとか、いろいろな問題が、アンバランスが出ております。これはもうよほどこういう点に検討を加えなければならぬと国会でもずいぶん御指摘を受けまして、私ども非常に教わるところもあるし、また検討すべき題目も与えられております。またこんな複雑になりました社会情勢に対応する、経済の動きに対応するために、いま申しますとおり、もしこの府県合併をしていったほうがいいという府県があれば、これは自発的にひとつおやりになった場合に、われわれは道を開いておいて、おやりになった場合には何もそれに対するマイナス面はないようにこれを補充すると同時に、おやりになったあとの、つまり行政上の力、また地域の開発、地域住民の福祉その他を考えて、やはり地方自治体に対しての開発計画が出てくると思います。そういう場合にどうして国が対応していくかということは、これは当然の責任でございますから、私はこの法案自体から、いま御指摘になったようなことでまことに消極的だという御意見は私もすなおに受け取っております。しかしその結果においては私は相当期待し得る部分があるのじゃないか、またそうすべきだ、こう考えておりまして、ただどうするこうするという、具体的にはここで私は申し上げるなにはありませんけれども、私は自然的にそういうものが生まれ出てくるし、国もそこまで力ができたものに対してどう対処するかということは、当然私はそのときによって考えなくっちゃならぬことだし、また考え得ると思っております。また自治省のものといたしましてはそうすべきだ、こう考えております。この案そのものについての御批判は、私は決して原田さんの御批判は無理だとは感じません、すなおに受け取っておりますが、しかしその結論といたしましては、やはり結果によっては相当大きな力の、地方行政の水準が上がるような方向に持っていけるのじゃないか、こう考えております。
#55
○原田立君 大臣の合併になった後のいわゆる期待感ですね。それはまあお話があったから、それはそれでお聞きしておきますけれども、だけれども、まあこれは、やはり行政はただ単に精神論だけの期待感では何にもなりませんからな。やはり具体的に表面に出てこなければ何にもならない。
 それでこの本旨と裏表になるのですが、さっきから何度も言っておりますが、地方財政、財源の再配分あるいは地方行政事務の再配分ですね、それは従来から何度も言われているわけですよ。先ほどの神戸委員会のことなんかも、さっきちょっと申し上げましたけれども、それを受けて行管でつくったのがたいへん後退したものが出ているのだけれども、それすらもいまだ実現の方向に向かっていない。これほど根強い大きな壁にぶつかった問題だと思うのです、事務の再配分とか税源の再配分という問題は。それで率直にお聞きするのですが、この都道府県合併特例法を通して、そのあと、そういう年来長年言われてきた再配分の問題が近き将来に具体化できる、こういうふうに自信を持って言われるのですか。言われるのなら、先ほどの大臣のいわゆる合併になった後の期待感、これは非常な厚みを持って私はそのままお受け取りしたいのだけれども、ただ精神的な期待感だけであって、事務の再配分も税源の再配分もまだ全然見通しがつかないのだとなると、その期待感はとうてい信用しがたいという気持ちなんです。どうですか。
#56
○政府委員(長野士郎君) まあ行政事務の再配分につきましては、私どもも当然積極的にその措置が進められなければならないということは、これは合併といなとにかかわらず、日ごろ一応そういう考え方で考えていくべきでもありますし、まあ、考えて努力をしているつもりでございますが、十分な実をまだ結んでいないということは御指摘のとおりだと思います。特例法ができまして、合併県というものについての具体的な問題が、日常の論議として、県民の盛り上がりといいますか、関係住民の間でも非常に合併県についての評価なり研究なりというものが進んでまいります場合には、やはり具体的な措置、具体的な項目というものがだんだんとはっきりいたしてくるわけでございます。また、国の行政との関係の調節というものの必要性というものも、十分にはっきりした形で要求としても出てまいるわけでございます。私どもは、そういうような事態に応じますために、この特例法が成立をいたしまして、そうして合併についての具体のプログラムがだんだん進行していくというようなことが当然予想されますから、それについての必要な合併後の段取りというようなものを含めました行政事務の再編成、改革というものを含めた全般的な制度の再検討を行ないまして、そうして、その上で必要な制度の整備をはかるために準備を進めてまいりたい、こう考えております。
#57
○原田立君 それは局長の御意見だけれども、それは非常に不満なんです。実際に事務を行なっている三重県の田中知事ですね、田中知事の意見は、「合併後の県は、完全自治体としての機能を備える必要があり、国の権限の移譲を図り、いささかも中央集権化があってはならない。この立場を特例法のうえで明確にすべきである。」、こういう意見がある。先ほども言いました「市町村の行財政能力の拡充を図り、県との機能分担を明確にすべきである。」という、こういうことは明記もされていない。それから明確に区分もされていない。そんな状態で、ただ府県のワクだけを、大きくするなら御自由にというのは、ほんとうにおかしいのじゃないですか。行政局長どうですか。話の筋が通らないのじゃないですか。
#58
○政府委員(長野士郎君) この特例法はまあ自主的な合併というものを中心にしておりますことは、繰り返して申し上げておるとおりであります。合併の促進ということで、合併をすればこういう効果がある、これだけのことを国は措置をしてあげます、これだけのめんどうを見てあげます、手を取り足を取りということで、合併についての宣伝をしていくという方法もございます。町村合併促進法等におきましては、そういう考え方が非常に強く出ておったわけでございますが、この都道府県合併特例法におきましては、そこが促進法でない特例法たるゆえんであるということを申し上げましたが、合併の障害になる問題をはずしていく、積極的な合併の手続を進める上での障害をはずしておるだけでございまして、合併後の新しい府県のあり方というものについてこの中で問題を展開しておるわけではございません。したがって、御批判がありますように、特例法の中にそういうものを付け加え、あるいは整備をしていく必要がある。また、特例法自体がそういう態勢であるべきじゃないかという意見というのは確かにございます。そこがこの法案をつくります際の、促進法にするか特例法にするかという性格論もずいぶんあった点でもございますが、これはそういうものを付け加えることをほとんどいたさないで、障害除去という点にのみとどまっております。しかし府県合併というのは、私どもはやはりかつて行なわれなかったところの合併統合ということに踏み出していくということでございますから、今後いろいろな問題というものを具体のケースに当たって考えていかなければ、とうてい解決が直ちにはつかない問題もあるだろうと思います。そういうものも今後必要な措置としてこの特例法の中に加えていく方法をとるのがいいのか、あるいは合併県というものの一つの規模というようなものがだんだんとはっきりしてきます場合に、それに準ずる一般的な制度的なものとして、そういう府県のあり方、地位というようなものを整備するということの中でそういう体制を整えていくことがいいのかということは、今後なお研究しなければならないと思いますが、形式的に特例法の中に入れろという御意見もあるだろうと思います。しかし問題は、同じような規模、同じような対象をとって考えられるところというものを、やはり一般的な国、府県、市町村関係として考えていくことも必要でもあるし、また、やはり特例法の中に入れるような合併県固有の問題というものも出てくるのじゃないかというふうにも思いますが、そういう場合には、必要な場合の措置を、これから特例法の充実という形をとりましたり、あるいは一般的な制度としての改革という方向で考えていくというようなことは、これはとらわれないでひとつ考えてまいるべきものではなかろうか、こう思っております。
#59
○原田立君 さっきからだいぶ何度もやっているけれども、どうもだめだ。話にならない。それで大臣も、先ほど午前中は、中途はんぱなところであなた大蔵委員会に行っちゃったからあれですが、大阪での奥田奈良県知事の意向ですね、住民投票のことなんですけれども、「都道府県合併特例法案について一言すれば、府県議会の三分の二の多数の賛成があれば住民投票は不要であるとの考えは地方自治の根本からみて間違いであって、住民投票の手続きはふむべきであると思う。慎重な審議を望む。」と、こういうふうな意見を奥田知事は言っております。それからまた和歌山県の大橋知事は、「最後に住民の意見を十分聞くことが必要であると思う。」と、これは当然住民投票というふうな意味だと思うのです。期せずして三人の知事のうち二人の知事が、こういう住民投票を要するという意見を言っております。これはいろいろな面を知事は考えてこういうふうな意見を言ったのだろうと思うのです。国のほうは、あんまり周囲のこと考えないで心配しないから、すぱっと、三分の二以上ならば住民投票なんか要らないということを言っているんだろうと思う。立場が軽いというか、自由ですからね。だけれども、地方自治体の長ははっきりと、住民投票をする、要するという、ぜひそうしてもらいたいということを二人の知事が意見をるる述べている。これは、こういう考え方は尊重してやるべきじゃないかと、こういうふうに思うんです。どうですか。
#60
○国務大臣(野田武夫君) 私はもう午前中にお答えいたしたと思いますが、今度の特例法は、国の発意で合併を慫慂する、こういう出方でございますと、当然これは住民投票をする必要がございます。これは、各府県がいろいろな住民の意向その他を尊重して、そして合併をしたいという自発的な申し出に基づく法律上の手続を書いたものでございまして、私は、本質的、基本的に政府が施行するものと自発的に合併の問題を取り扱うものとは違うんじゃないかと言っているのでございます。しかし、それだからといって、政府といたしましても、住民の意思というものが反映しておるかどうかということは見なくちゃならない、大事なことでございますから。そこで、発議する以上は、相当住民の意思を尊重して、府県の長というものは、ただ自分のかってな考え方でやり得るものではない。特にそういう段取りをつけていよいよ踏み切った場合は、地方議会にこれをかける。地方議会は、住民代表の議会でこれを審議いたしますが、その際やはり過半数だけのことでは――どうもやはりできるだけ住民の意向を反映させたい。そこで三分の二に満たない場合はひとつ住民投票をしてもらいたい。こういう経過をたどっておるのでございます。それで、最初から住民投票ということもまた一つの方法であります。私どもの法案を作成するにあたりまして、いわゆる自発的ということが非常にその各都道府県の長としては、住民の意向をいろいろな方法においてこれを調査し、また実際に意向を聞いてやる段取りにいきませんと、ここまで、つまり自発的な発意が出てこないであろう。そういうことでございますから、市町村合併みたいに地方議会の過半数でいいとかというようなこともこの地方制度調査会では言っておりますが、しかし、何といっても、都道府県というものは市町村よりも大きな行政の母体でありますから、やはりできるだけ地方住民の意向を浸透さした結論を得たい。こういうのでこういう法案の内容になったものでございます。そこで、各府県の長が、住民投票ということ、人民投票、こういうことを言っておられるのでございますが、私もわかりますから、やはりそれならば、その長は自分の責任において、その住民投票のやり方は別として、これはやり方は幾つもございましょうから、地域住民の意見を十分わかるようにすべきその責任があると思います。発意される以上は、人に頼まずに自分のほうでやるべきだ、私はそういう意見を聞いておりましておかしいと思う。それならば、発意ですから、だれかこれに強制すれば別です。その長が発意して持ってくる場合に、住民投票したいと言って持ってくれば、住民投票のしかたはどうするか知りませんが、住民の意向をくむ。たとえば市町村にある町内会を集めてやるとか、いろいろな手がありますから、自分の責任でやる。いかにもいまの話を聞きますと、知事が国の権力や圧力によって自分たちが動くというような根本的の考え方は違うと思います。それはすべての強制はいけない。地域なんというものは、自分の責任でやればいいんですから、国の圧力なんかちっとも受けない。ですから、いまの原田さんの御注意はよくわかります。しかし、つまり発意するほうの知事は、それを自分が発意しなければいいんですから、何も法律にたよることは要らない。自由にやればいい。私はそういうふうに感じます。ですから、この法案ができれば、住民投票によったほうがいいんじゃないかということは私はすなおに受け取っております。なお、そういう点は、私は重ねて考えたら一つの方法だろうと思いますけれども、発意する知事が、住民投票をやってくれ、それでなければ自分がやらなければいけない、自主的考え方ですから。私は、知事の意向というものはあまり参考にならないと思うのです。自分たちが判断すればいいんですから。自主的ですから、自発的なんですから。そう考えます。しかし、原田さんの御意見、御注意はよくわかります。そういう考え方でございますから、知事の意向なんというものは、そうですがと言ってあまりそう尊重してするのは……。私本人来たらそう言おうと思う。私は表裏のない男ですから、来たらそう言います。自発的だからやりたくないことはやらなくてもいいんじゃないかということです。私の考え方はそういう考え方を持っていますし、原田さんの御意見は私はすなおに理解いたしておりますから、それだけお答えしておきます。
#61
○原田立君 自治大臣、後半のほうだいぶ強調なさっておられたけれども……。
#62
○国務大臣(野田武夫君) 知事が言うからとおっしゃるから。あなたの御意見は尊重するのだ。
#63
○原田立君 それはちょっと大臣、筋違いじゃないですか。いまやはり知事もその地域住民の一人であって、そうしてこういう意見を述べた……。
#64
○国務大臣(野田武夫君) だから、それは聞きますけれども、それは別です。
  〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕
#65
○原田立君 だから問題は、午前中のことも言っておきましたけれども、私あまり議論をべたべた続けたくない。それで結論的に言うのです。知事がこういうふうに言っておるのだ。その意見というのも、そんな大臣おこったようなこと言わないで、やはり尊重すべきだと思う。それで住民投票をしてくれというような強い要請もあるし、それはぼくは理論的にいけばたいへん筋の通った意見であると思うのです。むしろ憤慨される大臣のほうが少しおかしいんじゃないかと、たいへん失礼なことですけれども、そんな感じがするのです。じゃ、いまの答弁で、住民投票、三分の二以上の場合でも、要するに合併については住民投票は要しないのだと、こういう一貫した基本的な態度だと、こういうふうに受け取っておきます。これは基本的には反対ですがね、私たちは。それから、この問題はまた別に譲るとして、局長、聞きますがね、合併になった場合の職員の身分の取り扱い、これについては、合併になって首切り、人員整理が行なわれるようなそういうことはしないと、このように法文にあるのだが、そういうふうに理解してよろしいのですか。
#66
○政府委員(長野士郎君) 一般的な規定の書き方でございますけれども、職員が引き続いて合併府県の職員としての身分を保有するようにという趣旨は、おっしゃるとおりのことを法律としても期待をしておるということでございます。
#67
○原田立君 最後にもう一つお伺いしておきたいのは、都道府県会の議員ですね、これは現在自治法で定限百二十、都の場合においては百三十と定限が定められているわけですが、阪奈和の場合には現在の県会議員の数が約百九十六ですか、そのぐらいあるし、東海三県の場合も約百七、八十ぐらいございます。そうすると、県会議員の定限が百二十で押えられている場合に当然減少になってくる、こういうふうに思うのですが、やはり県会議員というものが選出されるというのは、その地域地域を代表して、地方行政を充実するために、内容をよくするために各地の地域代表というものが出ているわけです。そうすると、県の幅が非常に大きくなった場合、現在の地方自治法で百二十に押えられているから当然減少が出てくるということ、そこに地域住民の意思の反映が粗漏になるおそれはないか、こんなふうに考える。ちょうど大阪、奈良、和歌山なんかの場合で言えば、人口の大半が大阪である。奈良、和歌山は当然割り振り等からいけば議員の数が少なくなり、地域住民の意思の反映というものは当然薄くなってくる、そういう心配を実はするわけです。それで、前回の自治法の改正のときに東京都の定数十の増加ですね、これは前回この委員会でもやりましたけれども、そういうようなことが阪奈和の合併あるいは東海三県の合併、そういう大きな区域が出た場合、特例等はまた考えられ得るかどうか、その点はどうですか。
#68
○政府委員(長野士郎君) この特例法の中で考えておりますことの特例は二つございます。つまり、それは一般原則に従いまして府県が合併した場合には、新しく府県の設置が行なわれるわけでございますから、一般選挙を行なうのが原則だという考え方を一つは出しておるわけでございますが、その場合に、その四年間、次の一般選挙によって出ました議員の四年間は、関係県の議員の合計数をもって、現在の合計数をもって定数とするという意味で、四年間だけは合計数で定数とするという特例を開いている。それからもう一つの特例は、そういう形でなくて、この関係県の中で合計数でやるのだけれども、それは一番在任期間の長いものに相当する期間だけ合計数でやる。あるいはまた協議をして二年間だけやる、こういう特例があります。これ以外の特例はこの中にないわけでございますから、当然に一般制度に返っていくわけであります。一般制度に返っていくということになりますというと、御指摘のように、八百万の人口をこえるようなところでございますから、百二十人の定数頭打ちということに相なります。その点で代表との関係が非常に希薄にならないかという御指摘でございますが、これはやはり一定の期間そういう特例を設けたあとは、なるべく一般の制度として新しい府県の一体的な府県としての考え方、つまり、それは現在ほかの府県におきましても相当面積、人口におきましても同じ一般原則を適用しておるので、一般原則にならうという考え方をとるべきであるといろ考え方で、四年間あるいは二年間でございますか、二年間ぐらいの特例以外には認めていないというかっこうであります。
#69
○阿部憲一君 大臣にお伺いしますが、経済社会上の著しい発展や環境条件の変化に伴いまして、府県合併だとかあるいは広域行政の必要性ということは当然考えられますが、政府は、この府県合併とか広域行政に対処する具体的な何か長期ビジョンというものをお持ちになりますか。
#70
○国務大臣(野田武夫君) いまお話しのありました広域行政の必要性はおっしゃるとおりでございます。そこで、今後の行政の進め方におきまして、さきに政府で新しい全国総合開発計画を発表いたしました。これらにつきましても、全国総合開発計画の中にも、行政の広域化ということを非常にその必要を強調いたしております。特にその第三部におきましては、都道府県の区域を越える広域的な開発行政を円滑に進めるためには広域行政の体制を整備して、地域開発に関する権限で現在都道府県や国で持っているもののうち、その広域行政体制が真にふさわしいものを処理するようにすべきであるとの提言が行なわれております。これに基づきまして新たな全国総合開発をやっておりまして、これは御承知のとおり、二十年を目途とする長期展望に立っております。この意味からいたしましても、今後のやはり地方公共団体のあらゆる経済社会、住民の福祉、その他の開発の計画というものは、その広域行政に基づいてこれを基本として進めたほうが最も合理的であるし、最も効果的であると、こういう観点に立ちまして、それには、これは一つの広域行政のやり方として府県合併も一応大きなものであると、こういう考え方を持っております。
#71
○阿部憲一君 府県合併が必要であるというようなお考えでございますが、その中で具体的にお伺いしたいのですが、望ましい府県の規模とかあるいは人口だとか面積、これはどの程度かといったような、こういった具体的なビジョンを当然持っ必要があると思いますけれども、また、そういうことを前提としないで、地方制度調査会の答申があったからこの法案を提出するというようなことだけでは、どれほどの実効をあげ得るかということは疑問であります。納得ができませんので、その辺のことを、具体的なビジョンといいましょうか、府県合併についてのお考えを承りたいと思います。
  〔理事熊谷太三郎君退席、委員長着席〕
#72
○国務大臣(野田武夫君) ごもっともな御意見と思いますけれども、私どもの考えといたしましては、必ずしも画一的な制度を予定しないほうがいいじゃないかと、やはりあくまでも地域の特性に応じて整備したほうがいいという、こういう考え方を持っております。したがって、あらかじめ、全国のうちどの地域がどうあるべきかというようなことは、画一的な考え方はいま私どもの案として持っておりません。その意味において、やはり各地域の特性というものを中心にして、その地域の住民の福祉のためには、やはり各都道府県の理事者が、これは非常に必要だ、また非常に効果的だ、能率的だ、行政の水準を上げるのにこれがいい、こうお考えになった場合には、そこで自主的にひとつやっていただきたい、こういう考えでおりまして、いまここで画一的な、どの程度の範囲か、どの程度の人口がいいかということは、私は、これは一応の行政水準から申しますと一応の考え方があってもよろしいと思いますけれども、いま申しますとおり、地域の特性というものがございますから、それを尊重していったほうが地域住民の方々に私はプラスになるんじゃないかとこう考えておりますから、いま政府としては、こういう府県が合併してもらいたい、こういう地域がいいという具体的なことは政府からは考えを出さぬがいいし、また、こちらは考えぬでもいいと、私ども政府といたしましてはそういう意向でいま進めております。
#73
○阿部憲一君 そうすると、ビジョンがないというわけでございますね。やはりそれは自主的に、あるいは各地方自治団体からの、都道府県から合併したい何のという申請があって、それに基づいて政府としては当たるわけでございましょうけれども、何も考えがなくて自然発生的なものを待っているというようなことではないと私は思いますけれども、ただほんとうにおまかせ――たとえば極端な言い方をするならば中部圏全部一つになって中部県にしたいと言ったら政府はどうするのか。九州なら九州は一つだ、九州県になってしまう。政府はそれを何も考えてないと、それを持ち出されたときに初めてあわてるとか、あるいは対策を講ずるということはいけないと思います。またそんなことではなくて、やはり自治省におかれては、自治大臣としては新しい日本の府県地図といいますか、これは描かれていると思うのですが、その辺いかがですか。
#74
○国務大臣(野田武夫君) 私は阿部さんの御意見もごもっともとは思いますけれども、地方団体の本来のあり方というものを考えました場合に、国の施策に沿うて地方自治団体の姿勢をくずすということは、私は自治大臣としてもこれは避けたい。あくまでやはり地方自治団体の主体性を尊重してやるべきじゃないかと、こう感じております。その点におきましては国の総合計画の中にも出ておりますが、また一面、それでは、どうも何といいますか、開発計画としても非常になまぬるいんじゃないか、また、そのくらいの考え方で相当自治省が指導してもいいんじゃないかというお考えも私はわかりますけれども、しかし、そこが非常に大事な一線じゃないか。私は、地方自治団体の主体性というものはやはり私どもとしては堅持したい、こう考えておりますから、ことさらにこの県とこの県とこうしたほうがいいという物理的ないろんなことから考えますと、それは机の上では出ます、間違いなく。たとえば九州はどれとどれが一緒になったらいいとわかります。わかりますけれども、それはやはり国の計画に地方自治団体を引きずっていくという姿勢は、私はどうしても私の任務といたしまして同意できませんで、やはり地方において今日までいろんな開発計画が行なわれておりますので、何も、今度新全国総合開発計画と申しましても、これはもうすでに多年にわたって各地方、たとえばさっきお話が出ましたとおり、中部圏はどうだとか、近畿圏はどうだとか、首都圏のごときはずいぶん古い。これは行政区画じゃございませんが、連合体みたいにしてやっております。そういうことでございますから、もう地方開発の案というものは幾多これは重なって出ておりますし、そういうことを踏まえて考えますと、やはり新たにこの地方開発を国が叫ぶのじゃございませんで、ことに地方地方におきましては自主的にいろんな開発計画をお持ちでございますから、そういうところから考えますと、自然発生的と言うと、いかにも、何といいますか、無責任のようでございますが、おのおの各地方でビジョンを持っておられます。そこで、そのビジョンを達成するにはどういう手を打ったらいいかということは、私は日本のこの地方公共団体の姿を拝見しておりまして、もうそこまで成長している、こう信じますから、そこはやはり地方自治団体の主体性を尊重して、その発意によってやったほうが、私は、私どもの立場としてはあくまでもそういう姿勢でもっていきたい。だから、つまり、先ほども原田さんからもお話がございましたが、これは府県合併促進法でなくてやはり特例法と。これは確かにいろいろな御指摘になりますれば、私どももごもっともな点はわかります。わかりますが、これは促進法となりますと、どうしてもそこに国の何かこうえさをつってやるというような、そういうのは私はあまり好まない。しかし、できたものについては地方開発に国が協力するのはあたりまえのことでございますから、そこにも私どもの任務がある。したがって、これはいわゆる特例法をつくっておいて、そういうことをみずからお考えになった都道府県の方々は、ひとつ向こうで十分地域住民とも語り合い、また関係府県ともひとつお話し合いになってやろうというところにこの特例法が生きていきやしないか、こう感じておりますから、阿部さんの御意見もよくわかりますけれども、私は自治大臣としてどうしてもこの自主的な線はくずしたくない、こう考えております。
#75
○阿部憲一君 いまの大臣のお考えのように、現在の府県の区域を前提にしているだけで、合併が自然に進んでいくのを待っているようなかっこうになりますが、これじゃほんとうに理想的な地方行政区画というものをつくることができるかどうか私は疑問に思います。と言いますのは、私、都道府県の合併なんかにつきまして、具体的にはこの間名古屋にヒアリングに行かしてもらいましたけれども、東京都だとか名古屋市、愛知県ですかというような、あるいはまた大阪府というような、まず九州じゃおそらく福岡あたりだと思いますけれども、そういった、要するに戦国時代で言えば強国ですか、それらが主導権を握るというか、言い出しっぺになっていく。そういうことになりますと、結局、いま申し上げましたように、ただ県同士、弱肉強食と言っちゃ悪いかもしれませんが、実はそういった県が中心になっていくようなものしかできない。そうすると、大臣のおっしゃるようにそれを放任しておくようなかっこうになりますと、中心のないようなところはどうなるか。たとえば日本海側の各県だとか、あるいは北海道だとか、こういった取り残されたものが出てきてしまう。そんなことについて、どうも政府が何も考えないでおられるという言い方自体に私非常に疑問を持つわけでございますけれども、大臣に重ねてその辺のところをお伺いしたいと思います。
#76
○国務大臣(野田武夫君) 私はいまの阿部さんのお話しのとおり、各地域においていわゆる主導権を持つといいますか、私もその弊を存じております。そこで、たとえいろんな国の開発計画が出ましても、どうしてもそういう指導県を中心とするような弊がいまでも残っております。これは事実であります。そこで、その意味において、やはりどの地域とは申しませんが、その主導権を持っている強力な府県と申しますか、あとは取り残されていくという御心配でございますが、そこを逆にこれを考えました場合、そういうものと拮抗するにいたしましては、やはりほかに別ないわゆる一つの行政区画をつくって、それに対抗するぐらいの強力な力を持つと、それには遺憾ながら、今日やはり先進県と後進県とございますから、いまの公聴会においでになりました近畿地方あたり、それから中部あたり、これは別でございますけれども、いま日本海のほうとか、あるいは九州もそうでございますが、この後進県の人々が、これはひとつわれわれ何県かかたまってひとつ強力な行政の水準を高めるために努力しようと、一つのそういう動きも出てまいります。それには相当具体的なものがあらわれてきやしないか、こう考えております。いまのお示しの各地方におけるいわゆる指導県というおことばお使いになりましたが、私も全くそう思います。これを中心としてのみの開発計画やっておりますれば、いつまでも後進県はどこまでいっても後進県である。それらの点につきましても、やはり自発的なお考えでもってひとつ自分たちの力を合わせて強力にしようというお考えが出る私は地域もあるんじゃないかと、こう考えております。
#77
○阿部憲一君 私、いま大臣のお答えですけれども、どうも自由にしておいたんでは、なかなかうまく、理想的なといいましょうか、合併して地域の住民が非常にそのためによかったとか、あるいはまた、国全体としてこの府県合併というものを推進されてきた場合、推進ということばでなくて、自然発生的な合併が行なわれた場合におきましても、非常にアンバランスなおかしなものができ上がるんじゃないかというような気がいたします。これはもうおそらく各国の例だってそうですけれども、うんとでかい県は国の三分の一も、非常に小さな県はその十分の一にもならないというような、こんなところは世界じゅうにもおそらくないと思います。大体みんなバランスとれたもの。この点は市町村の合併よりもっと重要性も持っているし、また、そういった大きなもの小さなものができた場合のアンバランスということは、国の経済あるいは行政上に非常にマイナスになるのじゃないかというそんなふうに懸念されますので実はお伺いしたのです。それから、やっぱりいま大臣が、いかにも自然に調節されて理想的なものができるようなことをおっしゃり、また期待されているようでございますけれども、やっぱり各府県間の格差というものはむしろそのために強まるんじゃないか。具体的に言うとなにですが、たとえば非常に産業のふるわない県とか、そういうところとは合併したがらない。要するに、極端に言えば、相手がない。こんなようなことになった場合、やはり国として介入するとか、あるいはそれに対してあっせんするとかいうような問題も起きてくると思いますし、また、そういうときになって、相変わらずこれはもう自主的に地方団体にまかせる、府県当局にまかせる、あるいは住民にまかすんだというような態度をとっていくということはどうかと思いますが、その辺についてひとつもう一回大臣にお伺いしたいんですが。
#78
○国務大臣(野田武夫君) これはもうつまり総合的に地域の格差をなくそうということは、これは国も望み、地域住民の人もみな望むところでございます。ことに経済、財政上の格差というものは非常にわれわれ相当顕著なものがあると思っております。したがって、これらについてやるにはどうしてもやっぱり国の企画というものがあってやったらいいじゃないかという御意見、私は一つの御意見としては非常に理解いたしますが、先ほどから申し上げるとおりであります。その場合に、そういうことは、ことにいわゆる後進県と申しますか、格差のひどいところ、これらの方々は痛感されておると思いますから、やはりそういうところでもって、どうすれば自分たちの力を培養することができるか、こういうところからスタートすると思っております。その場合に、まあいろいろ複雑な事情があって、一番いい案と思うけれども、なかなかいままでの慣習、伝統、歴史、これらについてむずかしい。しかし、一緒になったほうが非常にいいと、いい市をひとつくどいてくれぬかと、こういう場合もないとは限りません。しかし、その場合は、やはりくどくといいましても、自治省の、何といいますか、一つの強い指導力でやるということは、私は本法制定の趣旨に違っておりますが、しかし、話し合いは、これはいいことですから、これはひとつ話してみましょうと、これは私はその程度のことはちっともかまわない。お互いこうすれば非常にいいからどうだ、そうですが、それじゃ話してみましょうと、それなら私は、何も強力に指導するわけじゃありませんから、避けなくちゃならぬというわけじゃありません。理解を得て、なるほどこれが一番いいと、隣の県もおっしゃるようにあなたのほうもどうだと、これくらいの話は、これは私はまたお互いの、何といいますか、目標、目的がその地域住民の福祉という目的でございますから、その話は私は避ける必要はない。しかし、こっちから進んで、この県とこの県とをやったがいいというようなことは、これは私は、先ほど申し上げたとおり、避けるという考えを持っております。やはり自治省と各地方公共団体とが密接な関係を持っておりますから、一ぺん話してみてくれないかとおっしゃるのを何も逃げ回る必要はない。これは、行政をやっていく上に、お互いに親切に、お互いにサービスをしていくということの一面として私は避ける必要はない。進んでどうだと言うことは、やはり何といいますか、地方自治団体の姿として、また行政の基本として、私は避けたいと、こう考えておるのでございます。
#79
○阿部憲一君 まあいま申し上げましたように、やはり富裕県あるいは強力な県と比較して、何と申しますか、貧乏県といいますか、それとのうまい調節というのは非常な無理のような気がいたします。それと、実は最初お伺いしたのは、何か計画をお持ちじゃないかと言ったけれども、これはむしろ、あると言えば、何といいますか、そのためにかえって政府が指導するような、あるいはまあ促進するような感じを受けるために、ことさらにないと言っていられるような気が私はいたしますのですが、その辺どうでしょうか。私はある程度、政府がどうこうと言うのではなくて、やはり日本の地図、新しい地図になると思いますが、それに対してどういうふうになるのが理想的であり、またこうなるのがいいのじゃないかということは、政府でなくても、やはりそういったような計画、そういったようなものをつくっておくということも必要じゃないかと思います。それで初めて私はほんとうに新しい、まあいわゆる今後の合併がこういうものに基づいてでき上がる、理想的な都道府県というものができ上がるのじゃないか。ただ、何といいますか、自由放任といいましょうか、いいことばで言えば自主的なんですね。それでは、どうもいいところはいいけれども、四十六県のうちで非常にまあ貧乏くじ引くとか、あるいは粗略にされるところの県が生じやしないか、それを非常におそれているわけでございます。ですから、しつこくお尋ねしたのですけれども、何か理想的な案が、たとえば自治省でもってこういう案があるのだというふうなことがあったらお示しを願いたい。
#80
○政府委員(長野士郎君) この前に地方制度調査会におきまして、二、三件統合案というものが、少数意見ではございましたけれども、かなり多数の人が支持なさった少数意見、そういう地方の統合計画というものはまあございます。けれども、現在それを新たに手を加えまして、まあ将来の県のあり方というようなもので新しい地図を書いたものを用意しておるかということであれば、いまのところ、はっきりして用意をしておるわけではございません。ただ、まあ先ほど大臣のお話がありました、たとえば全国総合開発計画その他におきまして長期のビジョンとして考えておりますところが、まあ一つのそのブロックというものを一番大きな区画として考えておるということは、総合開発計画の中にもあらわれておるところでございますが、ブロックの中におきまして、この中をまあどういうふうに統合をするのが一番合理的かということがまあ出てくるわけでございますが、その点につきましては、どうも総合開発計画などは広域行政体制というものをブロック単位に考えていくというような気持ちが少し出過ぎているようなところがございますが、自治体としての県というもので考えてまいります場合には、御指摘がございましたように、ブロック単位の自治体というものまで一足飛びに考えるということは、むしろ自治体ではなくて、ある意味では道州制というようなものに近いものになっていくという、そういう心配もあるわけでございます。したがいまして、そういうブロックというものの中での合理的な範囲というものについてはどの辺が限界になるか、これはいろいろな議論ができるわけでございますが、従来いろいろ二、三県の統合などもございますけれども、結局現在一番人口で大きいものは東京都でございまして、面積で一番大きいのは北海道でございます。で、そういうもののあり方というものとの関連から考えましても、一定の限界というものは、これはもう管理能力あるいは地方自治という側面からの限界というものはあるわけでございまして、そういうものの面積なり規模なりといったものとの関連というものを踏まえながら、先ほども大臣申し上げましたが、いろいろの地域開発計画との関連等々見合いながら、その母体となってその促進のための統合ということを考える、そういうことになりますから、ブロック単位の中でのそういう関係から統合を適当とするという範囲というものがおのずから限定をされてくるのではないかというようなくらいのばく然とした考え方を持っておりますけれども、具体的な地図を新しくつくってはおりません。
#81
○阿部憲一君 この都道府県の合併運動についてですけれども、いま指導的に動いているのは、まあ私らの感じでは、先ほども申し上げました強力な中心者になる県、その県の理事者、当事者というものが強く動いているような感じがしますが、そのほかに、この間愛知県へ行って感じたのは、やっぱり経済団体とかあるいは大きな資本、まあ財界人といいますか、そういった団体とか会社とかいうものが中心に相当推進力になっておる感じがしますが、この辺いかがにお考えになりますか。それとまた、こういう傾向が今度のいまの府県合併とか広域行政というものに対して好ましい傾向であるかどうかということについてお考えを承りたいと思います。
#82
○国務大臣(野田武夫君) いま愛知県のお話が出ましたが、私もそういう動きがあることを聞いております。この合併特例法案は、これは長く前から問題になっておるものでございますが、これらについてやはり地域関係の経済人とか、いろいろと意見を出しておるということも聞いております。また、地域開発にはどうしても経済的開発が伴うわけですから、関心を持っているということは、私は無理もないと思っております。しかし私は、これはいまお話ししましたとおり、各地域のあらゆる面の開発ということがあくまでも主目的でございますから、ただ経済人の考えだけでその県が一緒になっていくというようなことは、それは相当私自身は異論を持っております。やはり、これこそもう大きな意味の総合的な地域住民の福祉ということが基本でございますから、いろいろの経済団体でも、文化団体でも、あるいは社会福祉団体でも、こういう団体が御意見をお出しになることはこれはもう自由だし、また十分お聞きすることにもわれわれはやぶさかじゃございませんが、一部の、一つの力によってこの府県合併を進めろなんということは、これは私はその合併の本旨上間違っているとか間違っていないとかではございませんが、そういう軽率なことをやりたくない。やはり総合的な住民生活をどう持っていくかというのが基本でございますから、総合的ないわゆる計画、総合的な意思というものがそこに生まれておりませんければ、おそらく自主的と申しておりますとおり、その各県でもそれに動かされてやるというような知事、その首長というものは私はないと非常に信頼しております。われわれもそういう態度をとりたい、こういうふうに考えております。
#83
○阿部憲一君 この経済界と申しますか、財界と申しますか、これが推進力になっていることにつきましては、大臣もある程度お認めになっているようでございますけれども、結局、先ほど申し上げましたように、地方の強力な県知事なり理事者、それから、それに結びついた――結びつく結びつかぬは別といたしまして――同調している財界人というような者が合併の推進力になると、ややもすると非常に地域住民の利益をそこなうものがあると思います。私が特に感じますのは、被合併といっては申しわけないのですけれども、結局、合併には合併県と被合併県ができるわけでございますが、被合併県の住民の利益というものはそこなわれる感じがします。ことに、先ほど来問題になっている例の地域代表である県議会の議員の数なんかも、結局愛知県の三県の場合には、旧愛知県の出身者というものが多数を占めるようになると、勢い愛知県中心主義的な、言うなれば、名古屋市中心のような合併の姿になってしまう。そうすると、岐阜県あるいは三重県あたりの、特に山奥あたりにいる過疎地帯の人たちはよけい恵まれない環境になりまして、かえって都道府県の合併が地域住民の、特に恵まれない過疎地帯にいる人たちなんかに非常にマイナスになる。こういうふうなことが非常に懸念されますが、この辺については十分にお考え願いたいと思います。それから、この今度の法案を十年間の時現立法とした根拠は何かを伺いたいと思います。
#84
○政府委員(長野士郎君) 合併特例法として考えております関係で、特例措置というものが、これはちょっと一般論的な考え方が入っているわけでございますが、元来特例措置というものが恒久的なものになるということは法律の立て方として適当ではない。やはり特例措置というものは一応の期限をつけるべきである。もちろん、この特例法の中にはある意味で恒久法にしたほうがいいというものもたくさんありますし、今後も出てくることは予想されるわけでございますけれども、特例というものを立てるということが法律の性格といたしまして適当ではないかということで、一応十年間の時限ということにいたしておるのでございます。
#85
○阿部憲一君 そういった慣例といいましょうか、法案に対する態度だと思いますが、しかし、十年間で一体どれだけ立法の趣旨を満たすことができるかちょっと疑問である。ということは、十年というのは非常に期限がそういう意味では短いのです。ということは、先ほど来申し上げましたように、結局推進グループというものと、一般の無関心な、あるいはまたそれに反対する人たちの現状から判断いたしますと、あまり効果をあげることができないのじゃないか。――あげることができるできないという意味ではない、もちろんできたらよろしいわけですが、この法案をつくっても、期限的にも効果のあげられないような法律じゃないかと、こういうふうに考えておりますが、この辺はいかがですか。
#86
○政府委員(長野士郎君) これは考え方でございますけれども、いままでのようなテンポで、府県合併という問題がただ一部の関係者で論議されておるというような状況が続いていくということでございますと、御指摘のようなこともあるかと思います。しかし、まあ府県合併というものにつきまして、この特例法の成立を機縁にいたしまして、府県としての研究なり検討なり、府県の住民の側におけるところの研究なり、そういうものも進んでまいることでございますし、また、経済社会の発展のスピードというものも今後ますますその早さを加えていくということも考えられるわけでございますので、これからの十年間というものが過去の九十年に匹敵するかどうかは別にいたしましても、やはり相当な変化と相当なそういう移り変わりというものがますます合併を必要とする方向に動くということは、実は私は間違いないだろうと思うわけでございまして、そういう意味ではやはり相当な期間ではないかと思っておるのであります。
#87
○阿部憲一君 そうすると、まず私、この法案がかりに成立いたしましたとしまして、自治省ではどのようなものがまず具体的に出てくるかおそらくよく知っていられると思いますけれども、それを伺いたいと思います。
#88
○政府委員(長野士郎君) どこら辺から合併が始まるかというお話でございますが、これは具体的には、かなり世間では、いまの阪奈和の関係でありますとか、東海三県とかいろいろいわれておりますけれども、そのほかには、私どもが存じておりますところでは、広島・島根、あるいは福岡・佐賀・長崎というようなことは昔からいわれておりますけれども、それはまあいわれておるということを申し上げるだけでございまして、具体的には、はたしてその地域が当然その十年間に合併に進んで、完了してしまうということになるのかならないのかということは、今後の推移を待つということでございます。また、その他の地域についても同様だと思っております。
#89
○阿部憲一君 府県合併によりまして、いままでの府県制度というものの性格がだいぶ変わってくると思いますが、これらについて、どんなふうに変わるか、いまお考えになっているところを聞かしていただきたいと思います。
#90
○政府委員(長野士郎君) 府県合併は、これは現在の地方公共団体のあり方といたしまして、府県と市町村という二つの組織でわが国の地方団体が構成されておるわけでありますが、府県合併を考えます場合も、自治体としての府県というもので考えていくということは当然のことでございますから、まずこの府県と市町村の二重構造というものがこれによって非常に大きく影響を受けるということは考えておりません。ただ、広域的な府県ということになってまいりますと、やはり府県の担当しております行政の中で、市町村の補完的な仕事というものも相当担当しておるわけでございますが、そういうものにつきましては、市町村も相当規模の拡大も遂げられてまいっておる現状でありますので、できるだけ市町村にそれは譲っていく。それから、広域的な府県の体制が整います限りにおきましては、府県の区域を越える問題であるから、そういうものは府県で処理するのじゃなくて国で処理するんだというのがいままでの考え方でございますけれども、そういうものも府県の中で十分処理可能なという体制ができてまいりますことになってまいりますと、そういうものは当然に府県の任務として府県が国から委譲を受けて、府県の権限として、そして地域の総合行政として処理をしていくことが適当であるというようなことになります。実質上の、国、府県、市町村が担当いたします、分担いたしますところの行政なり事業の内容というものにつきましての変化というものは、そういう府県が広域的なものに移っていきますにつれましてこれはもう出てくるし、また出てくるのが当然ではないだろうかと考えております。
#91
○阿部憲一君 この府県の合併について当然各当該府県として考えることは、行政の簡素化だと思います。三県なら三県が一県に集まるわけですから、その行政の簡素化について、私たち従来の例をよく思いますけれども、結局具体的に言うなら、阪奈和なら、大阪に今度新しい阪奈和県なら阪奈和県の県庁ができるとしますと、今度は古い、たとえば旧和歌山県だとか、あるいは旧大阪市内、府内、ここらにもそれぞれ出張所みたいなものが残って、案外行政の簡素化というものは実現されない事態が多いような、それをまた懸念しておるわけですけれども、もちろんこれは何も、先ほども御質問に対してお返事があったように、首切りとかなんとかということじゃなくて、そういうことなしの行政簡素化というものの実現に対して、どのようなお考え、またどのようなことを期待されておりますか。
#92
○政府委員(長野士郎君) 自治省が調査を委託いたしました国土計画協会などによりますところの専門の学者の研究などによりますと、やはり新府県として発足する当初は、旧県単位のひとつのブランチというものがどうしても必要であろう。しかし、これは一定時期においてはそういうものは発展的に解消をして、一体化のほうに持っていくべきものだというような指摘をいたしておりますが、具体のところでの具体の問題はいろいろ考えなきゃならないと思います。それで、同時に、そういうことでかえって簡素化を害することになるというおそれはないかというお話でございますが、確かにそういう面がともすると起こりがちでございますから、これは合併の重大な効果の一つを失うことにもなりますので、十分考えていかなければなりませんが、たとえば先ほども公共施設の統廃合とか再配置とかというようなことを申しましたけれども、そういう問題も実は少なからずあるわけでございます。具体の例を申すと差しさわりございますが、大県であるということで、それほどの需要がなくても農業関係の非常にりっぱな施設を持つ。しかしながら、近隣県であるがそれだけの力がないからそういうものが十分じゃないというようなところもございます。そういうところについては、そういうものの統廃合なり合理的な利用計画なりというものを考えることが、全体の県の農業関係の技術指導なり、試験研究というものを引き上げていくことにもなります。これは一つの例でございますが。そういうふうに、いまは府県を単位にいたしまして、いろんな施設なり試験研究機関なりというものが、ある面では重複をし、ある面では足りないというような面もあるわけでございます。統合に伴いまして、行政組織あるいはそういう施設なり、そういう機関というものを、もっと合理的な、全体のバランスのとれたものに次第に移していくということは行政上も必要でございます。また、それが合併の効果をあげるわけでございますので、行政の簡素化ということについては、簡素化ということと同時に、合理化、能率化、機能強化という面を含めまして考えていかなきゃならないと思っております。
#93
○阿部憲一君 この合併が行なわれた場合に、府県会議員、この数が暫定的には現状維持でしばらく――四年間ですか――いくというような措置をお考えのようですけれども、最終的には結局最高百二十人で頭打ちになってしまう。これはそうなんですけれども、この場合、一人区というのが非常に多くなるのじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、そんなようなことを考慮しておられますか。
#94
○政府委員(長野士郎君) 議員定数が当然に百二十人、たしか六百十七、八万以上の人口のところは百二十人で頭を打つわけでございます。そこで選挙区というものも、そういう新しく縮小された定員に対して当然に割り振られてまいります。現在、公職選挙法の規定で、県会議員の選挙区は郡市の区域というものを原則にいたしております。そういうところから、御指摘のように、関係のいわば周辺県と申しますか、そういうところについては定数が、旧県の区域として、単位として考えますと非常に減るわけでございますから、そういう意味で、郡市の区域ごとの定員というものも、いままで二人区、三人区であったところが一人区になるということが多く出てきやしないかということは、確かにそういう一人区が多くなるということは、これは具体の場所で検討したことはまだございませんけれども、多くなるだろうと思っております。
#95
○阿部憲一君 いまの議員の定数が減るということは、結局、それだけ合併されたほうの県の代表の数が現在より非常に少なくなっていくというようなことでありまして、これはやはり地域住民の意思が結局行政に反映しないというようなこともおそれるわけでございます。まあ私、先ほどからずっと原田委員がいろいろと御質問申し上げて、それに対しての御答弁も承っておったのでございまするが、それからもう一つは、この間名古屋で伺ったこと、その他新聞等々によると、私の感覚から言いますると、このはやり都道府県合併というものはまだまだ機が熟さないような感じがいたします。そしてまた政府におかれてもそれを積極的に推進するのじゃないのだということになりますと、いよいよこの法案をいますぐ通さにゃいかぬというようなことは結論づけられないのじゃないか。ですから、むしろ地方の側の、いわゆる先ほど来御説明のあったように、ほんとうに地域住民からの盛り上がり、地方の府県からの盛り上がりがうんとあった時点において、このような対策、法案をつくるなりなんなりする。それでもおそくないのじゃないかと思いまするけれども、その辺いかがお考えになりますか。現時点ではちょっとこの特例法案はむしろ私は無用だと、このように思います。大臣の御答弁をいただきたいと思います。
#96
○国務大臣(野田武夫君) いまお話しのありましたとおり、各地域住民の間で府県合併に対する盛り上がりが見えないじゃないかと、そのとおりであります。私も認めます。ただ、各地域に参りまして、広域行政の必要ということを、地域住民が言っているかどうかは別でありますが、全国的な空気と申しますか、その必要性を認めつつあることは事実でございます。そういうことからいたしまして、いまこれこれと合併したいからという希望も、まあいろいろ意見はございましょうが、その時期がまだ来てないじゃないかということでございますが、私もそれは相当そう感じます。感じますが、先ほどの原田さんの御質問のときにもありましたけれども、やはりこれは広域行政のあり方に対する一つの突破口をつくるといいますか、先駆的な役割りをするといいますか、それにつきましては、広域行政上やはり府県合併がいいのだという結論が出る地域があった場合、そのときでいいじゃないかという御意見でございます。それも一つの考えでございましょうが、しかし私は、やはり広域行政の必要性を認め、かつては市町村の合併も促進する、それから大体、これもきのうきょう出た意見ではございませんで、百年近い今日の都道府県制度をそのままでいいのかどうかという議論は、これは長い間出ております。しかし、これはいまお話しのとおり、やはり自分の地域というものは、歴史や伝統、生活環境その他からいたしますと、それを今度ほかの県と一緒になるということに踏み切るということは、これはたかなか困難だと私も存じております。しかし、何らかのこういう一つの方法をあらかじめ講じておくことは私は無用ではない。無用よりも、私は有効じゃないか。広域行政を進める上におきまして私は非常に有意義じゃないか。そうして、そういう場合においては常にいわゆる門戸を開いておくという措置は、最初阿部さんもお話しになりましたとおり、今日の広域行政の必要性は大体これはみな認めておりますから、その際において、もう百年近い都道府県制度でもってこのまま進めていぐのがいいかということがありまして、こういういわゆる特例法を設けましてそうして一つの道を開くということは、私は無意義ではない。きわめて私はやはり将来の広域行政を進める上において意義があるのじゃないか、こう感じております。
#97
○委員長(内藤誉三郎君) 本日の審査はこの程度にとどめます。
 暫時休憩いたします。
   午後四時三十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後五時三十四分開会
#98
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 地方公務員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提案理由の説明を聴取いたします。野田自治大臣。
#99
○国務大臣(野田武夫君) ただいま議題になりました地方公務員法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
 第一は、職員の離職に関する規定を整備するものであります。職員の身分変動の最も重要な態様である離職につきましては、従来地方公務員法の中に統一的な規定がなく、その運用に関しての疑義もありましたので、今回その整備をはかったものであります。すなわち、職員は、分限免職、懲戒免職、失職、定年退職、任期満了退職及び辞職によって離職するものとし、離職の態様を明らかにするとともに、この離職の事由、手続及び効果については、その重要性にかんがみ、法律に特別の定めがある場合を除き、条例で定めるものとすることであります。この結果、定年退職は、分限免職とは別の離職の態様であることが明らかになり、地方公共団体は、条例で定年退職の制度を採用することができるようになるものであります。
 昭和二十五年に地方公務員法が制定される以前には、相当数の地方公共団体が定年制を設けていたのでありますが、同法施行後におきましては、定年制を設けることは解釈上疑義があり、定年制を廃止せざるを得なくなり、その結果、地方公共団体の中には職員の年令構成が老令化し、人事の停滞に悩んでいるものが相当多数存在しているのであります。
 民間企業におきましては、職員の新陳代謝を円滑にし、能率を維持向上するため定年制は広く採用されているものであります。また、地方制度調査会、公務員制度調査会等政府関係の各調査会はつとにその答申において定年制の必要を認め、地方公共団体からも定年制実施の要望が繰り返されているのであります。
 この法律案は、地方公共団体が定年制を採用することが地方公務員法の下で可能であることを明らかにし、地方公共団体が人事管理の適正化のため、定年制を設けることができる途を開いたものであります。
 第二は、定年退職後の再雇用者を特別職としたことであります。定年退職者の退職後の生活保障及び高年労働力活用の見地から、これらの者を地方公共団体が特定の業務に期間を定めて再雇用する場合には、これらの者を特別職の職員として弾力的に活用できるようにするものであります。また、定年退職後の再雇用者は、地方公務員共済組合の組合員でないこととし、退職年金等を受けつつ勤務することができることといたしました。なお、県費負担教職員につきましては、その身分及び任用の特殊性を考慮し、これを再雇用すべき地方公共団体を都道府県内のすべての市町村としたのであります。
 以上が本改正案提出の理由及び内容の概略でございますが、何とぞよろしく御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#100
○委員長(内藤誉三郎君) 本案についての質疑は後日に譲りたいと存じます。
 これにて散会いたします。
   午後五時三十八分散会
     ―――――・―――――
六月二十四日本委員会に左の案件を付託された。(予備審査のための付託は六月十九日)
 一、地方自治法の一部を改正する法律案(衆)・
ソース: 国立国会図書館
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