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#1
第061回国会 内閣委員会 第6号
昭和四十四年三月十八日(火曜日)
   午後一時十二分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
   委員長     八田 一朗君
   理 事     石原幹市郎君
   委 員
           柴田  栄君
           北村  暢君
           山崎  昇君
           源田  実君
           佐藤  隆君
           玉置 猛夫君
           長屋  茂君
           安田 隆明君
           山本茂一郎君
           前川  旦君
           村田 秀三君
           山本伊三郎君
           中尾 辰義君
  国務大臣
   外 務 大 臣 愛知 揆一君
   国 務 大 臣 床次 徳二君
  政府委員
   総理府人事局長 栗山 廉平君
   外務大臣官房長 齋藤 鎭男君
   外務省アメリカ
   局長      東郷 文彦君
   外務省条約局長 佐藤 正二君
   外務省国際連合
   局長      重光  晶君
  事務局側
    常任委員会専門
    員      相原 桂次君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○外務省設置法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○国家行政組織及び国家公務員制度等
 に関する調査(官庁綱紀の粛正に関
 する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(八田一朗君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 外務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○北村暢君 外務大臣に、外務省設置法の一部を改正する法律案の直接の質疑に入る前に、私は、昨日の本会議で、アメリカのABM問題に関連をいたしまして、核抑止論が破綻を来たしておるのではないかと、こういう問題について昨日本会議で質問をいたしたのですが、そのときの外務大臣並びに総理大臣から答弁もございますが、ABM網の配置によってICBMの基地が防御されることは、第二撃力の能力というもの、つまり報復能力というものを一そう有効にし、アメリカの核抑止力が高められた、こういう趣旨の答弁がなされておるのでありますけれども、私は、そういう一つの見方もあるし、一昨日のニクソン大統領のこの問題に関する声明においてもそのようなことを言われておりますが、そういう見方は確かに一つにはあると思うのでありますけれども、私は、この問題については簡単にそういう答弁で了承するわけにいかない、こういうふうに強く感じているのであります。特にこの問題についてニクソン大統領が決断をするまでに、今日まで延びておったということ、それが結論を出したわけですが、アメリカの国内においては相当な批判というものがあるわけであります。将来においてこの問題については、やはり私はアメリカの国内においても問題が出てくるのじゃないか。したがって、ニクソン声明にありますように、一応ICBMの二つの基地についてだけABMの配置をする、こういうことを決定をしたようでありますけれども、将来の問題については、まだまだ問題を残しておると思うのです。そういう非常に苦しい立場で私はこの結論が出ておると思うのですが、そういう意味からいって、昨日の本会議の答弁で、何かしら無条件にこの問題を支持するかのごとき、またそのことによって核抑止力というものが強化されたと簡単に判断せられているということについては、私は簡単に納得はいかないのでありますけれども、昨日の答弁をされた根拠になっている理由というものを、ここで明らかにしていただきたい、こう思うわけです。
#4
○国務大臣(愛知揆一君) 昨日の本会議で北村議員から、アメリカのABM計画について御質問がございまして、その節、佐藤総理大臣が申しましたように、ニクソン大統領のABM配備計画については、その大綱が発表され、それからニクソン大統領の記者会見もあったわけでございますけれども、その計画実施によって、将来米国の核戦力がどのように変化するかを、いまの段階で予測することは困難でありますということを前提といたしまして、いままで伝えられておるような情報をもとにしての意見を申し上げたわけでございまして、要するに米国のICBMの基地が他の攻撃から防御されることは、米国のいわゆる第二撃能力、つまり報復能力を一そう有効にするものであるということでございますから、これによってアメリカの核抑止力というものは、さらに高められたものと判断する。したがって、われわれとしては、核を持たずつくらないということを基本方針にしておって、それをアメリカの核抑止力によって補完しているのだという、いままでの基本的な考え方をわが方として変える必要はない、かように申し上げたわけでございます。私からも同様の趣旨を御答弁いたしたわけでございます。
 なお、いまもその根拠はどうかというお話でございましたが、先ほど申し上げましたように、アメリカ政府の発表あるいはニクソン大統領の声明といいますか、言明といいますか、それらを基礎にして意見を申し上げたわけでございます。
#5
○北村暢君 声明等を基礎にしてということでございますが、この第二撃力を強化するという意味においては、確かにそういう可能性は出てくるでありましょうけれども、今日そのICBMというものが、まあ九五%まで第一撃力によって壊滅したとしても、五%残っているだけで相手に十分大きな報復をできる。そして、今日アメリカのICBMというものは、第一撃力にたえ得るように、装備としてはもう地上に出ているICBMというものはないわけです。したがって、そういう意味においては第二撃力というものは当然持っておる。にもかかわらず、ABM網を配置するということは、これはABMは弾道弾要撃ミサイルですから、相手国から大陸間弾道弾が飛んでくるということが前提になっているわけですね。抑止力論というのは、この第二撃力を持つことによって、相手側に第一撃の先制攻撃というものを思いとどまらせるということになっていて、現在のこの第二撃力があることによって先制攻撃を思いとどまらせるというところに理論的根拠があるわけでしょう。ところが第一撃力が来るのであるから、先制攻撃が来るということになると、来るからこれはまた要撃すると、理論的にはそういうふうになっておりますから、これは明らかに私は抑止力というものは、抑止論というものは成り立たないでしょう。したがってアメリカにおいても、ABMの配置に対して、最初は十都市についての防御網というものをしこうということのようでありましたが、ボストンの市民が立ち上がって来ないと思っていたものが来るということになると、これはたいへんだということで、反対運動が起こったわけでしょう。したがってそういう点からすれば、私どもは、明らかにこの抑止理論というものは破産をしたと、こういうふうに思うのです。この論理というものについて、あなたは納得いくように御説明ができるのかどうなのか。論理は、私は明らかに抑止論というものは破産をしたと、こう理解をするのですが、いかがですか。
#6
○国務大臣(愛知揆一君) まあそういう御議論やあるいはそういう議論がアメリカの中にもあるということも承知をいたしますが、まあどう申し上げたらよろしいでしょうか、やはり抑止力というものは、相手方といいますか、想定される仮定の相手方の軍事的な進歩、あるいはそのほかの情勢の変転ということに対処して、いつでも、どういう場合でも、二段がまえでも三段がまえでも、こういうふうに備えてあるのだぞということが、やはり私は大きな抑止力ではなかろうかと思うのでございまして、そういう意味から言えば、なるほどお話のような点もありましょうけれども、どういう場合でも絶対にこれで防御ができるのだということが、第二撃の場合を考えてもだいじょうぶなのだという体制をしいていることが、ますます私としては抑止力が強くなったと見るべきではないかと思うのでありますが、まあ先ほど申しましたように、これは主としてアメリカ大統領の声明、アメリカ政府の発表、それに対して、とりあえず出た質疑応答等を通じて私どもが受けた印象でございますので、大統領の言っておりますことも、まあ新聞等にもかなり詳しく出ておりますから、詳しく申し上げる必要もなかろうかと思いますけれども、要するに今後十年間に、これから予想される国々の進歩、それからセンチネル計画が立案された一九六七年以来の各国の進歩によって、見ようによっては脆弱になったかと思われるアメリカの抑止システムをより強くすること、それから偶発的、もしくは無分別な攻撃に対する防御を強化すること、こういうような三点がその目的あるいは理由として取り上げられておるわけでございますし、それから今度のこの新しい組織というものは、センチネルのような固定した展開計画ではなくて、毎年検討される柔軟性のある組織であるということが強調されておるわけでございまして、そのときどきの各国のこの種の組織の強化というようなことをにらみ合わせて、こちらも抑止力を高めていく、それに即応して柔軟性のあるような計画であると、こういうことから見ますると、私は第二撃力というものを中心にして、抑止力というものはより高くなったものだ、こう見るのが妥当ではなかろうかと思うわけでございます。そしてまた中には、こうやりましても必ずしも完全なものはあり得ないので、今後におきましても、情勢の変化に即応してまた考えていかなければならないというようなことも、大統領の質疑応答等にもあらわれておるようでございますから、それらを総合して、私どもは、先ほど申しましたような判断に立ったわけでございます。
#7
○北村暢君 いまの大臣の考え方は、私は全く納得いたしません。大臣は、核拡散防止条約に対してどういう考えを持っておりますか。私は、核拡散防止条約は次善の措置として、私ども社会党といえども、核拡散防止条約には賛成するという気持ちを持っております。それに対して政府も、おそらく核拡散防止条約の成立については、今後も私は努力されるのではないかと、このように思うのですが、いかがですか。
#8
○国務大臣(愛知揆一君) 核拡散防止条約につきましては、私も公に申しておりますように、その精神とするところ、趣旨とするところには、政府として賛急を表しておるわけでございます。ただ、その後のいろいろのやはり国際的な動きなどを見ますると、十分これに対していろいろの点を考えていかなければなるまい。もう少し状況を見きわめて、最終的な態度を決定いたしたいと考えております。まあ、精神についてはけっこうである。それから、条約の内容については、かねがね日本側としても、何といいますか、クッドハブ・カントリーの一つとして、いろいろの点から、もっとこうもありたいという意見は、ずいぶん国際場裏でも出してきたわけでございます。その中の一部は取り上げられておりますけれども、十分にはまだ日本の考え方というものは取り上げられていませんから、そういうことを含めまして、今後とるべき措置について、もう少し検討の期間を置いたほうがいいのではなかろうか、かように考えております。
#9
○北村暢君 いまの核拡散防止条約に対しての考え方は、まあ非核国としての日本の権利というものが、西ドイツが言っているように、認められないというところに、いま大臣のもう少し情勢を見てというのはあるだろうと思うんです。しかし、趣旨、精神においては賛成だと、こうおっしゃる。その精神は何かといえば、第六条で言っておる、アメリカとソビエトの二大核保有国の無制限な核競争というものを固定化する、今日以上競争をやらせない、固定化するというところに、私は大きな核拡散防止条約の精神があると思うんです。これが拡散防止――ほかの国は持っていけない、いまの核保有国五カ国以外は拡散しない。持っているものは無限に競争をやって強大にしていい、この理屈は私は成り立たないと思います。
 そういう意味において、横に拡散することを防止すると同時に、縦の拡散も防止する、これが核拡散防止条約の精神ではないですか。それがひいては拡散防止条約から核軍縮にいき、核完全軍縮に、廃棄までいくというのが理想であろうと思うんです。そういう点からして、今日のABMの配置というものは、これはニクソンは新聞記者の会見においても、いま外務大臣がおっしゃられたように、二撃力を持つので、核拡散には発展しないだろう。また、抑止力が強化されるだろうということは、いまおっしゃられるとおり言っているのですよ。しかし、これは有名なラップ博士の記事も翌日の朝日新聞にちゃんと出ている。ラップ博士はこの考え方について、法律的には核拡散の条項には触れないかもしれないけれども、精神においては明らかに触れるということを言っておりますね。したがって、私は、ニクソンの言っていることそれ自体が全部正しいとは考えておらないのです。そういう意味において、いまの核二大国のアメリカとソビエトが、ABMを配置したならば、それをなおかつくぐり抜けて、攻撃可能な方向へ拡大していく、核競争が行なわれていくということは考えられるのです。そういう意味において、これは決して私は核拡散防止条約の精神に合致しておらない。ニクソンの言うように、核の拡大にならないということの証明には何らの裏づけもない、私はそう思っている。したがって、今日核保有国のアメリカとソビエトは、もうこれはけた違いにグループとしては巨大な核保有国です。そのあとの中国、フランス、イギリスという国は、とても近い将来においてABMを配置するような能力は持っておらない。この群との差というものもまた拡大をする、そういう性質のものなのだ。だからABM網が設けられるということによって二撃力が強化されるから、抑止力はさらに強化されるのだということにはならないと思うのです。そういう点については、私は、ニクソンが言ったから、新聞記者と会見をやって出ておるから、そういう情報だけで、簡単に日本政府が、ニクソンの言っておるとおりだということでは、これは私やはり対米従属の外交だといわれても、オウム返しに、一日か二日、まだろくな情報がないうちに、ニクソンがそう言っておるのだからそうであろう、こういうことを国会で答弁するということについては、私は大いに問題があると思うのです。先ほど答弁ありましたように、まだはっきりしたことはわからないけれども、という前提があるということでありますけれども、私は軽卒にこの重大な問題について、ニクソンが言っておるから正しいのだろうという論法では、私は納得できない、こう思うのです。どうですか。大臣のこの問題についての答弁について、そういう意味において私は納得していないのです。見解を承りたい。
#10
○国務大臣(愛知揆一君) 北村議員のお説の前段については、私も同感いたします。ということは、拡散防止条約の、まあ精神というか、この条約のいまの案文というものについては、私は全面的に賛成はいたしかねます。もっともっと核軍縮というようなところにいくだけの考え方というか、今後のプロセスがもう少し明確になっていなければいけないと私は思うのです。そうでなければ、ほんとうの目的というものは達成できないのじゃないかと思いますが、とにかくそういう方向にいっておるという精神については同感なんです。しかし、これは理想論とやはり現実的なものの見方、考え方というものをやはり分けて考えなければいかぬのではないかと思います。私どもの、ことに日本の立場から言えば、核というものに対しては一つの、何といいますか、独特なユニークな考え方を持っておる国民としましては、やはり理想というものは一つ明確に持っておるはずだと思います。しかし、現実の事態は、理想だけを言っておるわけにはいかないので、過去十数年の実績からいいましても、私どもとしては、安保体制というものが日本の安全に非常に寄与しておる、これを続けるべきであろう。したがって日米安保条約を今後も継続をいたしますということが、まあ御批判はいろいろございましょうが、現内閣の基本方針でございます。その考え方の内容というものは、やはり現実にも米ソの対立というか、あるいは東西の対立という、この現実の状況を踏まえて、アメリカの抑止力というものが高いほうがより安全であるという見地に立っております。そういう見地からすれば、アメリカの抑止力というものが、先ほど申しましたように、今後とも他国の進歩に相応じて、抑止力の体制というものが強いほうが、現実の問題として望ましい。そういう角度から、このニクソン大統領の発表とか、あるいは応答とかを見てみますると、日米安保体制の一つの当事者であるアメリカ側が、こうこういうわけで、抑止力はさらに強まったということを言っておることに対しては、私はそのとおり受け取って間違いないのではなかろうかと思います。そういう考え方から、とりあえず意見を御質問に対して申し上げたのでありまして、なお、このABMというものが、今回の新しい計画に対し国際的にどういう反響を受けるであろうか、あるいは、どういう反応があろうかということについては、十分われわれといたしましても、常に検討を怠らないということが必要かと思いますが、私もこの計画の発表に際し、当事国であるところの国の立場というものに対して、この大統領の言明がどうであるとか、ここはどういうふうに思うかということを、いまにわかにコメントすることは、それはお説のように、十分慎重に今後とも扱わなければならない、こう考えております。
#11
○北村暢君 いまあなたがおっしゃいますけれども、ほんとうに二撃力が強化され、核抑止力が強化されるのだ。二大対立のもとにおいて、現実には核競争が行なわれている、これも事実でしょう。しかしながら、今日このABM網の配置というものを決定したという裏には、これはやはり見のがせない、産軍複合体の、いわゆる産業界からの非常に強い圧力がある。アポロ計画が一応終われば、そのあとにはこのABM網である。ABM網というのは、都市まで含めば四百億ドル、最初の計画で四百億ドル。しかもスプリントミサイルは、これは大気圏内ですから、スパルタンは大気圏外ですけれども、そうすれば、これは絶対的に被害が撃ったものにいくので、みずから受けるわけですから、待避壕というものが必要になる。したがってABM網の配置と同時に、地下壕というものを設けないというと、これはいかぬということになっているのです。それに五百億ドルかかるだろうといわれていますね。したがって、今度のABM網の配置にあたって、第一に問題になったのは、産軍複合体からの要求が非常に強くて、そうしてアポロ計画後におけるABM網に対する、いわゆる宇宙産業というものの圧力によってこれを決定したということが――これは出ておりませんけれども、ラップ博士が第一番にこれをあげているのです。しかもこのABM網というのは、アメリカ自体の防御のためなんですよ。あなたのおっしゃるように無理解な――ソビエトとアメリカとの間には平和路線がしかれて、ある程度の信頼関係があるから、これはこの抑止力論というものもある程度成り立つ。ところが、中国が大陸間弾道弾を持つようになると、信頼関係というものはない。したがって、これに対するABM網をつくるのだ、こういうことであれでしょう、アメリカの北極に面する方面からじゃなしに、南のほうまで、太平洋に面したほうまでABM網を配置しよう、こういう考え方が出てきているわけでしょう。そうすれば国際間における信頼関係というものがないものであって、突如としてくるということになると、そういうもののためにABM網というものは配置をするのでありますから、しかもそれはアメリカ一国の防御のためにでしょう。したがって、かりにこの問題が、ほかの国々に抑止力なり何なりというものが強化されたというけれども、強化されても、なおかつむちゃにくるものがあるからABM網というものを設けるのですから、ABM網を設置しないところは、これはくるということについては、これは日本にくるかどこにくるかわかりませんけれども、防ぎようがないのじゃないですか。
 こういう論理の矛盾なんですよ。ABM網は大体において、しかもそれはアメリカのエゴイストであり、ソビエトもいま、そのアメリカで言ったようにABM網を配置をしているということが伝えられておるのです。核二大国のエゴイストなんです。それでお互いの連合国に対して――連合国というか、条約国に対し、必ずしも条約国を守るという意味にはならなくてなってくる。かえってABM網を配置したことによって、条約国に不信感を与えるのではないかという、外交配慮が欠けているのではないか、アメリカのエゴイストと受け取られるのじゃないかという意見すら出ているので、そういう点からいって、このABM網の配置というものは、非常に大きなやはり今後における核戦略、核政策の中において、世界全体に与える影響というものはきわめて深刻なものがある。そういう問題のあるものについて、私は、ニクソンが言っているからといってそれを簡単に支持した形をとるということについては、非核国としての日本、核は持たないのですから、持たない日本としてこれを支持する。安保体制下にあるから、アメリカの核抑止力にたよっているのだから、それでこのABM網の配置に対して、抑止力を強化されたといって、それで大統領がそう言っているからといって、これをもう簡単に支持するということについて、自主性の上において、私は非常にこれは自主性のないやり方じゃないか、態度じゃないか、こう思うのです。いかがですか。
#12
○国務大臣(愛知揆一君) いろいろの角度からのお尋ねでございますが、まず第一に、私どもは核を持たない、核に対する国民的な考え方というものは世界独特のものである、これはもう先ほども申し上げましたとおりでございます。それだからこそ現実の国際情勢の中に対処していくのには、補完的に安保条約に、抑止力にたよるというのが現在の最もよき選択であるという考え方が私どもの考え方です。したがっていまお話しのように、これはなるほど見ようによれば、アメリカ自体の防御のためであり、あるいは安全のためであるという見方もできるかもしれませんが、その日米安保条約の相手国であるアメリカ自身が抑止力が強くなるということは、現状においては――理想論はともかくとして、現状においては、われわれとしてはそのほうが、強くなるほうがよろしい、そういう点からいって、私はこの考え方、ABMの考え方に現在の時点においては賛成してしかるべきである、私はこういうふうに考えるわけです。
 それから第二には、条約国に対してかえって不信行為になるのではないかというような点については、たとえばソ連ということがその中に含まれるのではなかろうかと思いますけれども、かりにソ連ということをひとつ頭において考えますと、これも世間周知の事実かと思いますけれども、モスコー周辺に六十七個のABMサイトを持っておるわけでございますね。それが防御用であるということになっておりますが、決してこれは軍備競争をエスカレートするものではないというふうにモスコー側からもいわれておる。それからアメリカが昨年センチネル展開に踏み切りましたとき、そのすぐ直後にソ連は軍備制限交渉を提案しておるわけです。
 ですから、こういうふうな経過をたどってみましても、こういうふうなABMの計画の決定によって軍備競争がエスカレートすることではなくて、逆にそこにまた軍備制限というような、核軍縮というようなことに対してのムードが出てくることも私は考えられるのではなかろうかと、これは非常に微妙な国際情勢の展開であると思いますけれども、そういう点を考えてみましても、現在のような状況下において、アメリカがこういう態度に踏み切ったということについては、私は今後ともいろいろの意味を込めて注視していってしかるべきものではなかろうかと考えております。
#13
○北村暢君 いまのソビエトのモスコー周辺の問題については、私もそういうようなことが書かれているものを見て知っております。知っておりますが、これはソビエトにしてもアメリカにしても、もう二大国は、これは超核保有国ですから、これはお互いに、私は今日までのソビエトとアメリカとの競争状態からいって、これは飛び抜けて今日まで競争してきたのですから、そういうことは言えるけれども、ソビエトにしてもアメリカにしても、これは核超大国としてのエゴイストだと、こう思うのですよ。いまそれにあきたらないから、それを、核をおどしの材料にして外交が行なわれているから、フランスも独自に持たなければならないというものが出てき、中国も持つと、こういう結果になっておるわけでしょう。だから私は、そういう意味においては決して、ソビエトがそう言っているし、アメリカもそう言っているのだから、核の今後の交渉において、拡張していくということにはならないのだと、防御用なんだと言っているけれども、防御用にしても何にしても、ばく大なあなた核を持つことは事実ですから、攻撃用であろうと防御用であろうと、持つことは事実なんですからね。そういう点においては、これは私はそれをそのとおり受け取るというわけにはいかないのです。今日フランスなり中国なりというものが核保有国となったいきさつを見、なお核保有能力を持っている西ドイツなり日本なりというのは、その次に位する国でありますから、そういう能力を持っている国が、なおかつ核拡散防止条約によって持たないということにしようというのでありますら、そういう点からいっても、私はやはり非核保有国としての自主性のある批判なり何なりがあってしかるべきだと思う。そうでない限り、この核の脅威というものに対して、私は除かれていかないと思うのですね。
 そういう意味において非核保有国としての自主性ある核に対する外交政策というものが、日米安保条約があっても、なおかつ私は言うべきことは言って差しつかえないだろう。それがほんとうに非核保有国の外交のあるべき姿じゃないか、こう思うのです。この点は、もう時間がきましたから、論議は論議としてあれですが、どうも私は、いままでの外務大臣の説明では納得できかねる。アメリカの国内においても、国会の中においても反対意見がありますし、さらに有識者の中に非常に強く根強い反対があるわけです。そういう意味においても、私はいまの大臣の答弁では納得いたしません。
#14
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、先ほども申しましたように、北村委員のおっしゃることは、私もわかるのです。つまり日本が主体的に考えた場合に、もうほんとうに世界じゅうに核なんというものはなくしてもらいたいですね。だからこそ二大保有国はもちろんのこと、それから、それ以下の核の保有国も、何とかもうつくることをやめ、廃棄してもらいたい。それが私たちの終局の望みだと思うのです。その点においては、もう全く私は同感なんです。
 しかし、現実になまの政治、政策の問題として現在の状況から見ました場合には、それは精神的あるいは理想論からいけば望ましくないことであっても、現在の姿がこういう状態であって、しかも、日本はあくまで核を持たない。それだからこそ日本の安全を守るということは、実績においても示されたように、安保体制にたよらざるを得ない。その安保体制というのは何かといえば、やっぱり現実に世界の中で一番抑止力を豊富に強く持つところである。この観点に立ってわれわれは現実の政治をやっておる面から申しますれば、ニクソン大統領が言うからとか、言わぬからということは別にいたしまして、考え方として、アメリカが今度ABMに踏み切った気持ちはわかると、私の気持ちはこういう気持ちなんです。
 ですから、後段の点におきましては、どうもお互いに考え方がまだ違うようでございますけれども、そういう点については、先ほども御指摘がありましたが、これから世界の核政策というか、核戦略というものが、どういうふうに展開されていくのであろうか、それに対してひとつ理想的な立場からいって、われわれが日本の立場で何をなすべきであるか。たとえばその一つの方法論としては軍縮会議に――まだはっきりしたあれがないにしても、いま一生懸命努力を傾倒しておりますが、その中に入り込むことも一つでございましょうし、あるいは核の全面実験停止ですね、そういうことについての日本の独自の提案をすることとか、あるいは国連の中に、もうできれば安保常任理事国として登場するようにするとか、いろいろのことが私考えられるのではないかと思いますが、そういう点を大きく外交政策としても展開していくことにつとめたい、かように考えておるわけでございます。
#15
○委員長(八田一朗君) それでは、議事の都合により、本案の審査は後刻にいたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
#16
○委員長(八田一朗君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査のうち、官庁綱紀の粛正に関する件を議題といたします。
 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#17
○山崎昇君 最近相次いで公務員の汚職事件が発生をしまして、国民の信頼を裏切っておる状態が出ているわけでございまして、全く遺憾だと思うわけです。この問題は――私の立場を初めに明らかにしておきますが、野党だから政府を追及するという意味ではありません。私も国民の代表の一人として、いかにりっぱな政策が論ぜられても、それを実行する行政官に不正事件があって、そして国民の信頼を失うということになれば、私はゆゆしい問題だろうと、こう考えますから、私ども野党としても一緒に正すべきものは正して、こういうことのないようにしていきたいというのが私の立場で、これからお聞きをするわけであります。しかし、何といっても、いま与党の皆さん方が直接公務員の皆さんを指揮し監督をしているわけでありますから、そういう意味では、与党の皆さんの責任はまことに重いと私は思うわけであります。そういう意味で、十四日に綱紀粛正についての通達が出されたようでありますので、二、三総務長官にお聞きをしたい、こう思うわけであります。
 第一に、最近起きました事件の概要等については、新聞だけでしか私ども知っておりません。したがって、総務長官から概要について御報告を願いたい、こう思うわけであります。
#18
○国務大臣(床次徳二君) 最近、公務員の汚職事件が発生いたしましたことにつきましては、まことに申しわけなく考えておる次第であります。閣議におきましてもこの点が話題となりまして、その結果、総務長官名による通牒をいたしました。そうして官紀の粛正をはかる手続をとってまいったのであります。従来からときどき機に応じまして通牒が出てまいりましたが、今回におきましては、さらに具体的の処置等を講じまして、そうして汚職の絶滅をはかりたい、かような考えにおいて通牒を出しましたことをまず申し上げる次第であります。
 それから、最近の汚職事件につきましての発生状況の御要望でありまするが、最近のものは、厚生省薬務局薬事課薬事専門官松吉でありますが、四十四年三月十一日に起訴になりました。
 なお、次に、農林省中国四国農政局建設部災害復旧課長一色某でありますが、四十四年三月八日に起訴になったのであります。具体的の問題につきましては、必要がありまするならば、政府委員からわかりましたことは御説明申し上げたいと思います。
 なお、新聞によりますると、通産省通商局国際経済部通商関税課、通商関税官の堀田関税官に対しまして問題があったことが新聞に出ておる次第であります。
 以上最近の事情について御報告申し上げます。
#19
○山崎昇君 政府委員でけっこうでありますが、もう少しひとつ内容をお聞きしたいと思います。
#20
○政府委員(栗山廉平君) それでは私のほうから補足をさしていただきます。
 まず最初にあげられました厚生省の薬事専門官の関係でございますが、これ、先ほどお話がありましたように、起訴に十一日になったばかりでございまして、起訴状を請求しておりますのですが、まだそれがきておりませんので、起訴状による詳しいところまでは申し上げるわけにはまいりませんが、おおむねの点を、省にいま確かめました結果を簡単でございますが申し上げます。
 四十年の夏から四十一年の九月ごろまでの間に、薬事専門官として在職している間に、製薬会社等からこの薬事申請にあたって、審査期間を早めるというような目的で現金を受けたと、こういう疑いによって起訴をされておるわけでございまして、詳しいものは、また起訴状が参りますれば、はっきり申し上げることになろうかと存じます。
 次に、農林省の関係でございますが、中国四国農政局の建設部災害復旧課長一色課長でございますが、三月八日に起訴になっております。そうして十五日に休職ということに相なっております。
 ちょっと申しおくれましたが、先ほどの厚生省の関係は、起訴になったばかりでございますけれども、休職の予定で目下進めておるそうでございます。
 で、いまの農林省の関係は、三月八日起訴で、その起訴状によりますと、関東農政局建設部かんがい排水課課長補佐に在職中、四十二年の二月六日から四十三年八月五日まで、七回にわたり計十六万二千五百五十五円の供応を大東建設会社副社長から受けたという疑いによって起訴をされておるわけでございます。
 それから次に通産省の関係でございますが、通商局国際経済部通商関税課の堀田通商関税官でございますが、三月一日に任意出頭になっておりまして、四十八時間の取り調べを受けた。で、目下三月の十日から刑事勾留中でございます。したがいまして、起訴はまだされておりません。起訴になりますれば休職にするという意向を聞いております。ですからまだ取り調べ中でございまして、確然たることを申し上げるわけにまいりませんけれども、大体のこととしまして、この通商関税官としての在職中に、製紙会社ほか二十数社から輸入関税を免除するというような目的で供応を受けたという疑いにより目下取り調べ中というふうに伺っております。
#21
○山崎昇君 いま事件の概要をお聞きをしたのですが、去年の二月から三通の通達が出ているわけなんで、この内容については後ほどお聞きをしますが、今度出されました通達を見ますというと、直接の上司や、あるいはまた、二階級上くらいまでの上司までを、何か責任論としてですね、処分をすべきでないかというようなことで、総理府から案を求めておるようであります。そこで、いまお聞きをしますというと、これらの内容が明らかになった上でありますが、これらの上司について、じゃあどういう処分がなされたか、あるいはまた考えられておるのか、それをひとつお聞きをしたいことと、もう一つは、昨年二月六日に通達が出されておりますが、それからほぼ一年経過しておるわけです。この間に一体どのくらいのこういう汚職事件があって、そうしてこの事件を起こしている階層というのは、課長補佐であるのか、あるいは整理職であるのか、あるいは係長であるのかという、そういう意味の大ざっぱでけっこうですが、階層別の数字があればひとつ明らかにしていただきたい。
#22
○国務大臣(床次徳二君) 後段のお尋ねでありますが、昨年二月、総務長官通達以後の件数とか、あるいは該当者の階層等のお尋ねでありまするが、この問題に対しましては、人事院で報告を受け取っておるわけでありますが、総理府におきましては実は報告を受け取っておりません。したがって、今回依命通牒を出すにあたりまして、やはり総理府におきましてこの現状を把握する必要があると存じまして、現在この点を照会いたしております。過去二年間におけるところの件数、処分状況あるいは監督者の責任等に対しまして照会いたしまして、そうして今後の汚職の絶滅に役立てたいと考えております。
#23
○山崎昇君 それじゃ総理府のいま集められているのは、後ほど資料として出していただけますか。
#24
○国務大臣(床次徳二君) 大体この問題に対しましては、今回の通牒とともに、四月一ぱいを目途といたしまして回答を求めることになっておりますので、まとまりましたならば御発表できるかと思います。
#25
○山崎昇君 そこで、私自身も公務員の一人でありましたから、こういう問題については特に関心があるわけでありますが、私の知り得ておる関係では、今日までの公務員のこの種の汚職事件では、ほとんど一般的にいう、生活が苦しくてこういう事件が起こったというのはほとんどない。九割九分までが遊興飲食になっておる。いわば自己の欲望を達成するために誘惑に乗っておる、こういうことで私は事故が起きておると思う。その限りで言うと、この事故を起こしやすいポストはどこかといえば、課長ないし課長補佐、あるいは政令等で置かれておる整理職、こういうところにいるポストの諸君が、これまたほとんどと言っていいくらい事故を起こしておる。こう私は見るわけでありますが、それに間違いがあるかどうか。間違いがもしなければ、なぜその階層だけがこういう事故を繰り返し繰り返し起こすのか、そういう点について総務長官はどう判断されておるのか、お聞きをしたいと思います。
#26
○国務大臣(床次徳二君) 大体の傾向としましては、仰せのごとき現象があるのではないかと思うのであります。したがって、今回の通牒等におきましても、その点を十分糾明いたしたいと思っておる次第であります。御指摘のようなポストが比較的誘惑を受けやすいということは予想されますので、あるいはそういうことがあるかとも想像しておる次第であります。
#27
○山崎昇君 そこで長官にお聞きしたいんですが、第一は、昨年二月六日は総務長官通達、去年十二月三日は内閣官房長官の通達、ことしの三月十四日の通達は総務長官通達なんですね。そこで一体この三つを並べてみると、この種の問題は内閣官房で扱うのが本筋ですか、それとも総理府が扱うのが本筋なのか、あるいはまた十二月に内閣官房長官から通達が出ているわけなんですが、これはどういう意味で内閣官房長官から出されたのか。どうもこの三つを並べてみて、いずれも中身はたいした違いのないことが書いてある。違ったことを書いてあるならいざしらず、ほとんど中身は、昨年の二月六日に出された通達の骨子が中心になって書かれておる。そこでこの三つの通達で、どれが重くてどれが軽いということはないでしょうけれども、どういうわけでこういう形になるのか、まずお聞きをしておきたい。
#28
○国務大臣(床次徳二君) 総務長官が出したり、あるいは官房長官が出したり、いろいろ過去の例もまちまちになっておりますが、しかし事務的の、公務員の人事所管という立場から申しまして総務長官が出しておる、総務長官が出しますのはさような意味において出しておる。官房長官が出しておるのは、内閣全般のいわゆる政治的姿勢と申しますか、施政方針等の立場から総括的に出しますのは官房長官から出しておる。まあいままでの実例から見ますると、そういうふうな扱い方をいたしておると思います。
#29
○山崎昇君 私はどこから出ようと、あまりこれを追及しようという意味じゃありませんが、しかし内閣官房長官から出されたものが、総理府総務長官から出されたのと、どう違いますか。内閣全体の政治姿勢をあらわしたような文章ではないんです。これは総務長官の出したものを焼き直して、ただ官房長官の名前で出すにしかすぎないんじゃないですか。というのは、私は少し形式ばっているんじゃないかと思うんですが、しかしいずれにしても、この三つの通達が出ているわりにはほとんど実効がない。そうしてますます汚職事件の内容を見るというと、金額も膨大になり、悪質になっておる。一説によれば、通産なんかの場合は一千万も遊興したんじゃないかといわれる。だんだんこの汚職事件というのは巧妙になっておるし、また金額も大きくなってきておる。こういうふうに考えてみますというと、この通達の効力というものについて、私はどうも首をかしげざるを得ないわけです。一体政府は、こういうものは出したら出しっぱなしで、あとはいまさっきお聞きをしましたように、人事院に対する報告だから私のほうはあずかり知りません、何もありません。今度の通達を出すについても、そういう資料も何も総理府はとっておらない。そういうことで、単に新聞に報道されて国民から指弾をされるから、まあ通達を出しておきなさいという意味のような私はこの通達ではないだろうか、こういやみたらしく思うわけですが、あなたのほうは真剣かもしれませんが、どうもそういう印象に受け取れる。その点はどうですか。
#30
○国務大臣(床次徳二君) 通達に対しまして御批判のありましたことにつきましては、ごもっともの点だと思うのでございます。過去におきましてたびたび出しましたけれども、結局どこまでこれが徹底しておるかということに対しては十分でなかったかと思うのでありまして、したがって今回の通達におきましては、その点を十分考えまして、将来の措置等に対しまして、積極的な具体的な方法等を指示して、しかも報告を得るという形にいたしたのでありまして、従来の通達とお比べをいただきますならば、その点はかなり具体的な考え方を中に織り込んでおると考えます。
#31
○山崎昇君 私はこの通達を見ると、おおむね政府の考えているものは三つになるんだろうと思うんです。それは一つは事故が起きないように、この原因がどこにあるのか、あるいは起こさないためにはどういう法規上の規制をすべきか、そういう点が一つだと思うんですね。二つ目には、起きた事故に対してどう処置をするかというのが二つ目であろうと思う。ところが私が三つと申し上げたのは、三つ目が今度の通達では、何かあれをとってあなたのほうで分析をするんだ、こういうことになっているようでありますが、行政監理委員会等の見解を見れば、三つ目の手段として、公務員が事故を起こす相手側があるわけでありますから、その相手側に対する規制をどうするのかということが、これはあとでお聞きをしたいと思っておりますが、声明文として出ておる。そういうことについてはこの通達においては全然触れておらない。したがって私は今度の通達を見ましても、何かしら内部規制だけ強めて、働きかけがあった相手に対しては何も政府は手を打たない、野放しである、こういうような内容に私はなっておるのじゃないかと思うのですが、事故を起こさした相手に対して、どういうふうに政府はやろうとするのか、行政監理委員会の声明とも関連をして、お考えをまず聞いておきたい。
#32
○国務大臣(床次徳二君) 今回の通牒には、相手方のことが書いてありませんが、業界自体に対する粛正ということは、むしろ社会自体から十分な反省を受け得るものと考えておるのでありまして、ここには具体的に業界に対してどうしろということは指示いたしませんでした。しかし、各官庁におきまして、そういうことを十分考慮しながら公務員に対して自粛を求めるものと思います。また、業者におきましても、相次ぐ事件によりまして、相当の反省をいたすことと思うので、まず公務員自体正しくするということから出発いたしたいと思っております。
#33
○山崎昇君 業者の問題はあとでお聞きしますが、それでは、昨年の二月六日の通達を私は見ますというと、第一番目に、「常に公私の別を明らかにし、職務上利害関係のある業者等との接触にあたっては、会食、贈答、遊技その他国民の疑惑を招くような行為は厳に慎しむこと。」、これは十二月の通達にもそのまま載っておる。今回の通達もまたそれが骨子になっておるわけです。そこで私はここに、「遊技その他国民の疑惑を招くような行為は厳に慎しむこと。」と、こうありますが、なぜこれが禁止できないのか。どうして業者とめしを食わなければならぬのか、どうして業者とゴルフをしなければならぬのか、どうして業者とマージャンをしなければならぬのかですね。そういうところが温床になっておるわけですから、事故への道につながっているわけでありますから、そして一番極端なのは、さっきも申し上げましたように、権限の持っているところ、もしくは中堅職員が事故を起こしているわけです。いわば通達を受けて、みずからそれを禁止しなきゃならぬ諸君がほぼ事故を起こしているわけです。ですから、私はこの通達を見て、「厳に慎しむこと」ということを三回も書いておるが、慎しまれてない。むしろこれは禁止をすべきではないか。特に高級公務員の場合は、日中ゴルフをやって指弾を受けておる。あるいは日中、会議と称していろいろなことが起きて、これまた国民の指弾を受けておる。そういう意味からいうと、私はこの業者との関係というのは一切禁止をする、業者から物をもらわなくても行政行為はできるわけでありますから。したがって、私は長官の気持ちとしては、「慎しむこと」というふうに書いてあるのだが、ほんとうの気持ちは、これは禁止だというふうに私は理解をするのですが、どうですか。
#34
○国務大臣(床次徳二君) ただいま仰せのごとく、これは厳に慎しむということばで表現してありますが、禁止するということばは書いておりませんが、趣旨においては、私は同じ気持ちを公務員に訴えたものであります。
#35
○山崎昇君 そうすると、重ねて私は確認しておきますが、文章表現上は「慎しむこと」になっておるが、あなたのほうの指導としては、これはもう禁止同然だ、むしろ禁止だ、こういうあなたのお気持ちだというふうに理解しておいていいですか。
#36
○国務大臣(床次徳二君) 疑いを招くようなことをするということに対しましては、仰せのとおりだと思います。
#37
○山崎昇君 疑いを招くって、あなたね、一緒に酒飲んだり、めしを食ったり、遊び歩くから事故が起きているのでしょう。これ以上の疑いありますか。そしてあなたのほうは単に、今度の通達見ても、一番力点を置いているのは、事故が起きたあとじゃないですか。規制をきびしくするとか、チェック方式だとか、いろいろなことが書いてありますけれども、事故対策ではないですか。だから私は、事故につながっておるこういう業者との関係はきっぱりする、以後一切こういう行為はやらせない、禁止をするんだ、こういうあなたの考えだということを私は理解をしておきたいと思うのですが、どうですか。
#38
○国務大臣(床次徳二君) 今度の通牒の第二項にも書いてありますごとく、やはり事前において、十分なこの点の注意を怠らないようにするということは大切なことでありまして、この点を特に通達いたしたわけであります。気持ちにおきましては、厳にかかることは慎む、同時にこれはすべきものでない、こういう趣旨と、私どもは考えております。
#39
○山崎昇君 どうもあなた、歯切れが悪いね。何回もこういう通達を出して、そうして繰り返し繰り返し事故が起きているでしょう。そのたびにあなたは同じことを言っている。どうしてこれが禁止できないのですか。この次事故が起きた場合、またあなた同じ答弁をすると思う。だから業者との関係については一切こういうものは禁止いたします。しかし、それは文章の表現上は「厳に慎しむ」になっているけれども、あなたの政治姿勢なり、公務員に臨む態度としては、これはもう禁止だ、こういうふうな理解を私はしておきたいのだが、いいですか、こう言っている。
#40
○国務大臣(床次徳二君) 十分そういう趣旨で今回は通牒の趣旨を徹底させたいと思います。
#41
○山崎昇君 たいへん強い意思があらわれましたので、私は少し今度は技術的な点についてあなたにお聞きをしたいと思う。
 一つは、これはどこの官庁でもそうでありますし、自治体もそうでありますが、特に食糧費の支出について、あなたの見解を聞いておきたい。これは総務課長なり総務係長なりというところのポストというと、そういう方々は、いかにして食糧費の支出をうまくやるか、あるいはいかにして宴会費をうまく捻出するか、極端に言うならば、これはあまりいい表現ではありませんが、公文書偽造の場合もあり得る。そういうことをやっても、苦心惨たんをしてそういう支出に当たっている職員がたくさんおります。こういうことがやがては、業者との関係でなしに、内部の問題として私は汚職になる点があると考えているのですが、長官はそういうものについて知っておりますか。
#42
○国務大臣(床次徳二君) 食糧費の支出に関しましてはよく存じませんが、これが汚職につながるような原因になるべきことは、ひとつ十分に慎むべきだと考えております。
#43
○山崎昇君 実際ね、長官、どこの官庁でも、この食糧費の支出なり、局長なり大臣の宴会費の費用の支出というのは容易ではないのですよ。なぜならば、予算単価がまず低い。予算編成上では十分な費用は組んでない。だから、こういうものをうまく捻出した者が能吏になる。こういうものをうまく処理をする者が出世をしていく。これはどこの官庁でも、おおむね総務課に勤務する者は、そういうものなんです。私はこれだけが優秀な公務員という意味で言っているのじゃありませんが、かなりウエートを占めている。したがってこれはやがて、業者との関係でない意味の汚職ができる要素の第一だというならば、この食糧費のことについては、処理の方法を誤まればたいへんなことになります。だからこの辺は、大臣は雲の上の人ですから、あまりこまかいことは知らないと思いますが、私のほうで指摘をしておきますから、内部指導の場合に、予算のやりくりの問題で、実際事故が起きた場合には事務職員が責任を問われるわけですから、そうして司法処分に処されるわけですから、そこで、そういう公務員の立場からいっても、この食糧費の問題やら、あるいはその他のこれに類似する支出問題について、私は十分ひとつ配慮しておいてもらいたいという意味でこの点は申し上げておきたいと思う。
 第二に、これは今度の通達に出ておりますように、権限の明確化だとか、あるいはチェックだとか、いろいろのことを考えられているようであります。ところが、私は、これにも二、三問題があると思うのは、一つは、官庁機構として課長なり係長なり、行政機構上の権限が明確になっているのに、総括整理職でありますとか、その他の職能的な職がたいへん乱れている。したがって、権限からいえば、一体そういうものと課長との職務がどうなるのか、あるいは係長との関係がどうなってくるのか。ここに私は一つ機構上の問題があるのではないかと考えております。たとえばいまの厚生省の事件でも、何とか審査官ですか、ですから課長という職はありますけれども、ほとんどこの審査官が許認可については実権を持っておる、課長はつんぼさじきみたいなものである、こういうところに私は一つは問題があるんじゃないかと思っているんです。ですから、これは行政管理庁にほんとはお聞きをしなきゃならぬ問題でありますが、しかし、きょうは管理庁おりませんから、総理府としても、この国家行政組織法上の職と行政機構というものとをどうされるのか、この辺のことが一つ問題点だと思う。
 もう一つ、これに関連して問題になりますのは、責任の明確化ということになれば、当然専決処分なりなんなり、権限上のことが明確になってくると思う。しかし、これも私はけっこうだと思いますが、そうなれば能率的に処理はできますけれども、あなた方の心配される事前のチェックという問題はなかなかむずかしくなってくる。で、この点は責任の明確化と、そしてチェック方式との調整という問題がきわめてむずかしい問題だと私は思うんです、行政技術的にいって。だから、そういう点についてはどういうことをお考えの上でこの第二の通達が出されておるのか聞いておきたいと思う。
#44
○国務大臣(床次徳二君) ただいまの点はまことにむずかしい問題でありまして、ここに特に通牒の1に掲げましたが、職場の実態によりましてこれはだいぶ違います。また人事等の取り扱いによりましてもかなり違う。上の者がしょっちゅうかわって、専門の人にまかせっきりだというような人事もあると思う。したがって、ここに掲げましたところの権限の配分とか、チェックの機能の強化とか、あるいは人事配置の問題、それぞれこれは十分にその場その場において検討しなければならないんじゃないか、一がい的にはなかなか言えないし、また各省庁の何と申しますか、慣行等もあるんじゃないかと思うので、そういう意味におきまして特にこの事項をあげまして、そして今後の検討の資料にいたしたい、また注意を促したいと、かように考えた次第であります。
#45
○山崎昇君 そうするとあれですか、私はこれはほんとは行政管理庁だと思うんですが、行政機構面を通じてものごとを処理するというのが私はたてまえだと思うんですが、最近は仕事が専門的になるのかどうかわかりませんが、専門職的な機能がかなり入ってきておる。しかし、その専門職的な機能というのは、一つは給与上の制約があって、そういうものをつくらなければなかなか給与が上がらない、こういうことが私はある程度原因をしていると思っている一人なんですが、いずれにしても、課長の下に総括整理職でありますとか、何々調整官だとか、参事官だとか、審議官だとか、まあいろんな名前、これ洗ったらたいへんな数になると思うんですが、そういうものの整理というものを、これはこれから各省から案を取ってあなたのほうはお考えになると、こう言うんだが、国家行政組織法上の問題は行政管理庁でありますけれども、総理府としてはそういう問題についても検討されるということなんですか、あるいはひとつ各省からこういう方法だというものが来れば、ただそれでやっていこうというのか、いわば国家行政組織法上の問題にも関連をして長官の考えというものを聞いておきたい。
#46
○国務大臣(床次徳二君) ただいまの問題につきましては、これはまあ各省非常にいろいろ慣習――慣習と申しまするか、行ない方が違うんじゃないかと思うのでありまして、そういういろいろの材料を取り寄せまして、私どもの立場から申しますると、いわゆる不正防止という意味におきまして検討をしてまいりたいと思っておる次第であります。一がいにはなかなか参事官――何ゆえその参事官のところに権限が集まっているか、あるいは監督官――専門の者ができているかというような問題もいろいろあると思うのであります。この点はいわゆる役所の代決の権限の委譲の問題にも関連しているんじゃないか。軽々しく代決を認める――事務の進捗上はいいのでありまするが、反面において欠陥もあるんじゃないか。そういうような点におきまして、やはりもう一度各省庁が現行のあり方に対して洗い直してみるということも必要なんじゃないかというふうに考えまして、特にこの事項をあげたわけであります。
#47
○山崎昇君 そうすると、総理府は各省からそういう案をとって、そして根本的にそういう問題についての見解を示されるんですか、それを聞いておきます。
#48
○国務大臣(床次徳二君) この点は不正防止をひとつ十分に効果をあげたいと思っている次第であります。あと行政管理上どうなるか、その他の問題につきましては、その後の問題として処理いたします。
#49
○山崎昇君 もちろん行政管理庁の権限内のことでもありますけれども、いまあなたは代決規定等から始まって事故防止のためのチェックをすると、こう言うから、そのうちの原因の一つに私が考えるのは、どうも行政機構と機能というものが入り乱れておるのではないか。しかし、これは各省によって事情の違うことは私は承知しております。そこで、あなたのほうは、通達で各省からそういう案を取るのでしょう。なぜそうなったか、今後どうするかという、そういうものを取って、総理府としては、公務員全体についてどうあったらこういう事故が行政機構上なり機能上から起きないのかという案を、あなたのほうでまとめなければ意味がないと思うのです。まとめられて、総理府なら総理府の見解として、行政管理庁の権限に属するものは行政管理庁と話し合いするでしょうけれども、そういう点についてまとめられたら国会に私どもやっぱり示してもらいたい。そして私どもも意見を持っておりますから、その際にまた申し上げたいと思いますが、総理府長官としては、そういう方向にやろうとしておるのか、しておらないのか、この機会にそれだけ聞いておきたい。
#50
○国務大臣(床次徳二君) 今回、各省庁の報告を求めますのは、実は根本的に官紀の粛正をはかりたい、その材料を十分に得まして対策を樹立いたしたいというところに主眼がありますので、かような趣旨におきまして十分に活用いたしたい。
#51
○山崎昇君 続いて長官にお聞きしますが、先ほど事故を起こした者の階層をずっと見ると、おおむね課長なり課長補佐なり、いわば参事官とか調査官という、こういう職にある者、あるいはこれに準ずるような者がそのほとんどであるということは、あなたもお認めになったわけであります。そこで、私はこの事故を見た場合に、こういうポストにおる方々がやっていることについて、上司ももちろん気がつかなかったでしょう。しかし、下級公務員は気がついておってもものの言えないような職場になっているのではないか。いわば上意下達という形がきわめてきつい形でいま職場におりておって、公務員全体として何かしらそういうものをチェックするような気風に欠けているのではないだろうか、こういう気がします。さらに勤務評定等の問題ともからんで、あの課長補佐はどうもおかしい、あるいはあの調査官はどうもおかしいと思っても、もしもそれを指摘をしたら、その指摘した者は何かの報復手段を食う。たとえば給与上で不利益を食う、あるいは人事配置上でどこか飛ばされる。これは現実に行なわれているわけです。ですから職場全体としては、何かしらくさいものにはふたをしておく、触れない、自分だけが見て見ないふりをしておく、こういう気風に私はいまの職場というものはあるのではないか、こう思うのですが、長官としてはどう感ぜられておるか、お聞きをしたいと思うのです。
#52
○国務大臣(床次徳二君) 非常な公務員の実情に対する御心配でありますが、私はいまの公務員が必ずしもそういうふうになっているとも考えないのでありまするが、しかし、そういうようなことがありまするならば、はなはだこれは遺憾なことだと思って、十分、上司といたしましては自分の部下を完全に把握いたしまして、そうして一部の部下が不正をしないように、絶えずその点は広い意味の監督の責任があるのではないか。監督者に足らぬところがあってそういうようなことも出てくると思うし、また部下である者が上司の不正を見ながらこれを黙っておる、こういう風がありましたら、これも遺憾なことでありまして、今日におきましては、人事院に対しましてそういうことを訴える道もあるわけでありますから、十分そういうことも周知徹底させまして、官庁綱紀の粛正をはかってまいりたいと思います。
#53
○山崎昇君 しかし、長官、たとえば局長が局長室にいて、課長の指摘監督せいと言ったって、それは書類の決裁なり、あるいは政策の指示なり、そういう意味における指揮監督は私はあり得ると思う。しかし、日常的にその課長がどうなっているのかという勤務体制なぞ局長にはわかりませんよ。ただ勤務評定にしても何にしても、こういう監督の通知が出ると、上の者が下の者を監視することは強化をされるけれども、下の者が上の者についての行為について何ら発言できない。だから私の言うのは、まだまだ官庁の職場というのは、本来の意味において民主化されてないのではないだろうか、こう思うのです。だから、私は何より総務長官が、この公務員の服務その他を統括するわけでありますから、一体、官庁の民主化ということが、ほんとうにあなたやられていると思いますか。特に、私は労働組合の出身でありますから、労働組合をずっとながめてみても、中央の労働組合なんていうのはほとんどあってないような存在になっている。労働組合の幹部として活動すれば、何かしら不利益をこうむる。あなたのほうはそんなことないと言うけれども、実際はそういう状態になっておって、中央における労働運動なんぞというものは、組織はありますけれども、ほとんど活動自体はやれないというような状態になっておる。だから、そういうことを私は考えてみるというと、官庁の職場というのはまだまだ民主化されてないのではないか、そして秘密保持の問題でありますとか、職務専念義務でありますとか、さまざまな規定があって、上の諸君に下級公務員は縛られておる、何もものが言えない、うちへ帰って文句を言う、あるいはうちへ帰る途中で一ぱい飲んで上司の悪口を言う、そこら辺が不満のはけ場所みたいになっておるんじゃないか、こう私は考えるのです。これは事柄は小さいことでありますけれども、何か事故が起きましたら大きい事故につながってくる。そういう意味で、長官は職場の民主化というものについてどういうお考えを持つのか、あるいはどういうことをなされようとするのか、この通達と関連をしてお聞きをしたいと思います。
#54
○国務大臣(床次徳二君) 私、しばらくぶりで官庁づとめを、戦前の経験しかありませんので、戦後はよほど民主化したのじゃないかと実は考えております。私どもの公務員時代は、組合なんかもなかったのでありますが、今日は組合も組織されておる、よほど空気は変わっておるんではないかという気持ちでもって今日おりますが、しかし、御指摘になります、もとよりこの点は民主化が十分行なわれておってしかるべきもの、もしも行なわれておらなければ、もっともっと民主化いたしまして、ほんとうにお互いが手を携えて、公務員としての国民に奉仕するということができるようにいたしたい。やかましいことだけ言っておるというのでなしに、もっと和気あいあいたる空気のもとに、公務を行ない得るようにありたいものと私は考えております。現実の制度そのものについて、まだ空気が、十分存じておりませんので、徹底しないと思いまするが、しかし、民主化を徹底させるという趣旨におきましては、まことにお説のとおりで、私もそういう気持ちでやってまいりたいと思います。
#55
○山崎昇君 それじゃ、人事局長にお伺いしますが、いま長官は、もしも民主化されてなければ、されることについては異議がないと、こう言っている。こういうことばはあなたは御存じだと思うのです。いま公務員については三ない主義というのがある。遅刻しない、仕事しない、休まない、これさえやっておれば公務員というのは御安泰だという、こういう批判もある。そこで、なぜこういうような批判が生まれてくるのかというと、どうも私は職場というものが完全に民主化されておらない、下の者はほとんどものが言えない、これは私の経験でもそうでありますが、ものを言えば日本の公務員制度の場合には人事というのが握られておる、給与というのも握られておる、一ぺん定期昇給がとまれば永久にこれは回復できない、本人にとっては、この人事制度なり給与制度を押えられるということは、生活そのものを押えられることになるんですね。そういう日本の公務員制度になっておりますから、したがって、下級公務員というのはほとんどものを言わないで、はいはい主義になってしまう。そういう意味から、こういう三ない主義なんていうことがいまの公務員の実態だということで批判をされるわけであります。そこで、私は人事局長にお聞きをしたいのは、いまの長官のことばを受け、中央官庁が完全に民主化されてないとするならば、どういうふうにしたらあなたは官庁の職場というのは民主化されるのか、あるいはどういう方針で民主化ということをやられようとするのか、これは政府委員でありますから、少し具体的に、抽象的なことは要りませんからお聞かせを願いたい。
#56
○政府委員(栗山廉平君) ただいま官庁内部の民主化のお話がございましたが、私のいまおりまする局におきましては、いわゆる若い方も活発に意見を述べられまして、非常におっしゃいますような上意下達といったような一方通行ということは全然見られないのでございますが、まあ広く見回しますと、いま発言なさいましたようなことがやはりあるところもあるかと存じます。私の考えとしましては、やはり係員なり係長、あるいはまた課長補佐なりの、われわれのところでそうやっているわけでございますが、意見を、各階級と言いますか、階層別に定期的に意見を聞く、活発な気がねをしない意見を出していただくということがまず第一に必要なことではないかというふうに痛感している次第でございます。われわれの部局におきましては、定期的にそれをいたしておりまして、非常にその点で気持ちも通じ、また仕事の上でも張りが出まして、いろいろうっせきしたようなことでもございますれば、その話のいろいろのやり取りあるいは応答によりまして、気持ちも解消し、また新たな心がけで仕事に励むというようなことをやっている次第でございますので、まずそれをしていただくことが一番大事ではないかというふうに、私は経験からしまして感じている次第でございます。
#57
○山崎昇君 ILOの八十七号条約が通ってから、組合というのは管理職が抜けたのですね。したがって、私はいまの労働組合、公務員の組合というものは、下級職員が結成をしているのであります。そういう意味から言うと、下級職員の声というものを、管理運営事項をあなた方きらいになるから、一応それは除くにしても、あなた方がお聞きになって、そして日常の行政の執行上の参考にするなり、あるいはまたそれらに関して行なうなり、こういう観点から私ども物を見るというと、一体、中央官庁の場合、労働組合と各職場なり各省で、どの程度の話し合いが持たれたり、あるいは交渉されたりされているのか、私ども聞くところによると、ほとんどそれが絶無である。ほとんどない、こう私どもは聞いているのですが、これは人事局長として、あるいは総務長官として、そんなことはない、ずいぶんやっておりますと言うなら、そうでもけっこうでありますが、今後そういう労働組合と密接にあなた方連絡をとって、あるいは交渉を受けたり、あるいは話し合いをしたりして、そうして公務員の問題について執行していく用意があるかどうか、この機会にこれも承っておきたい。
#58
○政府委員(栗山廉平君) 各省のことをこまかく具体的に実は調べているわけではございませんけれども、たとえば総理府におきましては、これは人事課のほうで所管でございますが、よくいろいろ話し合いをなすっておるということは聞いております。また各省におきましても、さっき申しましたように、具体的にどこでどうこうということを詳しくわれわれ知っているわけではございませんけれども、人事課長会議等ではいろいろそういう話もあっているという話が出ております。なお、われわれ人事局長のほうといたしましては、先生よく御承知のように、各省のそれではなくして、連合体と言いますか、共同と申しますか、そういった方々とは時宜に応じまして、なるべく会うようにいたしておりますので、御了承願いたいと思います。
#59
○山崎昇君 そうすると、かりに各省等で組合との関係がうまくいかない、あるいは合わない等々の問題が起きたときには、これは総理府が中心になって、ひとつそういうことのないように私は指導してもらうということを申し上げておきたい。
 その次にお聞きをしたいのは、通達の(2)を見ると、「本省庁等指導監督の地位にある機関の職員が出先機関または地方公共団体の職員と接触する場合においても、上記の趣旨にのっとり厳に自粛すること。」と、こうあります。この文面から私は考えることは、そうすると、中央のおえらい方が地方に行った場合、あるいは自治体に行った場合にも(1)と同じようなことがやはり現にある、だからやめなさい、慎みなさい、こういう私は趣旨になるだろうと思いますが、一体これを書いた趣旨というのはどういう意味なのか。あったら困るから書いたのか、どうも私は官庁同士の間で業者との関係のようなことが起きておったとすれば私はゆゆしき問題だ、業者以上にたいへんな問題だと、こう思うんですね。この(2)の趣旨についてひとつお聞かせを願いたいと思います。
#60
○国務大臣(床次徳二君) この通牒を出しましたときには、特に問題があって触れたのではないのでありまして、ただ、出先機関や地方公共団体との関係におきましても業者というような関係、同じような関係に入ったんではいけないという趣旨において触れただけであります。具体的な事項があったわけではないようであります。
#61
○山崎昇君 そうすると、これは参考までに書いたといいますか、何か注意を喚起するという意味で書いたといいますか、その程度に私は理解をこれはしておきたいと思うんです。そうでないと、これは私はたいへんだと思うんですね。中央の方方が地方へ行って業者と同じようなことをやったり、これはたいへんだと思うんです。ですから、これはひとつ現になかったというふうに私は理解をしておきたいと思います、善意に。しかし、いずれにしても今後こういうことの起きないようにさらに私は指導をしてもらいたいと、こう思うわけです。
 そこで、次にお聞きをいたしますが、きのうの朝日新聞の社説を見ますというと、「汚職防止の根本的対策を望む」という題で社説が出ておる。これは幾つか問題点を提起をしております。私もこれを読んで全くそのとおりだと思う一人なんですが、そのうちの一つに、行政監理委員会が意見を出しましたが、その中に、先ほど申し上げたように、事故を起こすには相手もあるわけです。相手の業者に対することが一つも触れられていない。そこで、政府に対して汚職に関係した業者は二年間関係官庁と一切の契約を結べない、こういうことをやったらどうかという提起をされておりますが、これはもちろん総理府の範疇をはみ出るかもしれません、権限としては。しかし、私は指摘をされているこの事項はきわめて重要な事項だと思うんですね。こういう点は、閣議において総務長官からこういう問題についてどうされようとしたのか、あるいは何にもしなかったのか、今後もしないつもりなのか、あるいはこれぐらいの規制を業者にもするというお考えなのか、長官の決意を聞いておきたい。
#62
○国務大臣(床次徳二君) 実はこの総務長官通牒は事前に出まして、この後におきまして行政監理委員会の意見書が提出されたような形であります。しかし、意図するところは、監理委員会でもって考えておりますることは、私どもの通牒の中にも十分踏んまえておるつもりでありまして、したがって、業者との関係におきましては、具体的の問題につきましては行政監理委員会において処置されるものと考えておる次第でございます。
#63
○山崎昇君 いや、処置をされるつもりと思いますと、こう言うが、あなたの出した通達にはそういうことが何にもないわけです。ですから、公式的には総理府の見解の中には入ってこない。しかし、世論はこういうことを指摘をした、特にまた行政管理庁の一つの機関である監理委員会から、政府がだいぶ渋ったようでありますけれども、こういう内容の意見書が出されておる、こういうものを受けて、この通達にはなるほどありません。ありませんけれども、政治的に判断しても、ほんとうに政府がこの公務員の汚職をなくするというならば、これぐらいのことをやらなければならぬのではないかと私は思うんですが、今後、閣議等でこういう指摘をされた事項について総理府としてはどうされようとするのか。
#64
○国務大臣(床次徳二君) ただいまの問題は行政監理委員会において提案されておりますので、十分検討いたしたいと思いますが、この通牒を出します際におきましては、すでにああいう意見が出たということを知って書いておるわけでありまして、十分、御指摘の点につきましては今後検討いたしたいと思います。
#65
○山崎昇君 いや、今後検討するといっても、こういう禁止をするこの行政監理委員会の意見はもっともだ、ですから、これに沿ってあなたのほうが具体的にやりますと、こういうんですか、そういう意味の検討ですか。ただ、そういうものありましたな、それじゃ検討してみましょうかと、こういう意味ですか。
#66
○国務大臣(床次徳二君) ただいまの指摘のありましたときには、私どもといたしましても公務員の綱紀の厳正という問題に対して関係のあることである、そういう問題を処置すべきものである、検討すべき問題であるということを承知してこの通牒を出しておるわけで、行政監理委員会からも各省へ、私のほうの省へもその意見書が出ましたことを通知してまいっておるわけであります。したがって、当然これは行政監理委員会で検討されるものと考えておる次第であります。
#67
○山崎昇君 そうすると、いま長官の答弁を聞いていると、どうも私はすかっとしないわけです。やるようなやらぬようなですね。ですから、はっきりひとつ聞いておきたいんですが、こういう意見があって、それを受けてあなたはこの通達を出したんだから、この問題も含めて処置をすると、こういうことですか、その辺はどうなんですか。
#68
○国務大臣(床次徳二君) ちょうどこの通牒を出すときに、実はああいう問題が出てまいりました。したがって、ああいう意見が出たということも知ってこれも出しておるわけであります。当然私は行政監理委員会におきましてもあの問題に対して処置されるものと私は考えておるわけでございます。
#69
○山崎昇君 これは行政管理庁にあらためてまた聞きますけれども、しかし、いずれにしても、いまあなたの答弁ではそれも含めて処置をされるものだと、こう思うと、こう言うんですから、総務長官の見解としてお聞きをしておきたいと思うんです。
#70
○北村暢君 関連してお伺いしますが、どうなんですか、綱紀粛正の問題については行政管理庁がああいう通達を出したわけなんですけれども、行政管理庁としては、行政監理委員会がああいう天下り人事の問題その他含めて意見を出すのは越権行為であるというようなことまで問題になったんですよね。したがって、こういう通牒を出すのは、官房長官が出すのか、総務長官が出すのかという論議も当初ありましたがね。一体この官庁の綱紀粛正の所管官庁はどこなんですか、最終的な総体的な所管官庁は。
#71
○国務大臣(床次徳二君) 公務員の職員としての立場におきましてはこれは総務長官が所管しております。なお、機構といたしましては行政管理庁が所管するものと思っております。
#72
○北村暢君 だから、機構は行政管理庁だから、公務員の汚職の防止策だの何だのについて行政管理庁がこうしろああしろということは、そういう原因について、機構はこういう機構にしたらいいとか何とかいうことはあっても、最終的な綱紀粛正の問題を取り扱うのは総理府でしょう。したがって、行政管理庁にそういう問題をまかしておくのでなくて、いわゆる贈わいをしたような業者については制裁措置として二年間なら二年間官庁の仕事は一切受注はさせない、これはもうたいへんなことなんですよね、業者とすれば。つぶれてしまうかもしれませんよね、それで。したがって、そういう具体的な意見がいま出ているわけだから、そういうことを各省に対してこういう方針でやりなさいということをやるのは行政管理庁ではなしに、やはり総理府がきめなければそんなことはきめられないのではないですか、どうなのですか。
#73
○国務大臣(床次徳二君) この点はひとつ関係各省ともよく相談しまして処置いたしたいと思っております。
#74
○北村暢君 関係各省と相談をしてといったって、あれじゃないですか、まあ建設省とか農林省とか、事業をやっているところが一番問題になるわけだけれども、そういうことの可否はこれは簡単に禁止するなんということは営業権を剥奪する結果にならないとも限らないですから、そういう意味においてはこれは重大であることは事実なのだ。事実なのだけれども、そういう意気込みで一つの具体的な意見として行政管理庁から出てきたわけですからね。どこの所管かと言えば、最終的に結論を下すのは、私は総理府総務長官が各省に対してそういう方針でやるべきだと、こうあなた通牒を出しているのだから、それの一つの具体策としての方法なのだから、そういうものを含めているとか含めないとか、あなた何かややこしい、含んでいるような含んでいないような答弁をしているけれども、これはあなたたいへんなことなのだから、簡単に答弁できないと思うのです。したがって、あなたは各省とも協議してと、こうおっしゃるのだろうと思うけれども、各省と協議されるのもいいけれども、最終的にはやはり総務長官が、総理府が各省に綱紀粛正の問題として指示を与える、そういうあなたは任務を持っているのじゃないですか、どうなのですか。
#75
○国務大臣(床次徳二君) この通牒の末尾にもありますごとく、各省庁のいろいろ意向、具体的なものも聴取するようになっております。あるいはその中にも御意見のようなことも出てくるのじゃないか。たまたま行監の委員から出てまいりましたけれども、今後出てくると思います。そういうような際におきましては、十分私どもといたしましては検討いたしまして、総合的なものはやはり総理府でもって公務員の粛正問題を取り扱いますから、その処置をいたしたいと思います。
#76
○山崎昇君 いま長官からお答えありましたけれども、この通達からいくというと、その辺があいまいなのです。これはなぜ私がこれを聞いているかというと、あたなのほうは各省に対して「綱紀粛正の実効をあげるための具体的措置について四月末日までに報告されたい。」、そうすると、各省では、たとえば内部規定をこういうふうに改めました。あるいはいままで専門官で決裁をしておりましたものを課長まで決裁をとるというようにしましたと、そういうことは行政技術的なことだけが上がってくる。ところが先ほどあなたに私が質問したように、行政機構と機能がごっちゃになっているものをどうするかというようなことはこの報告では上がってきませんよ、これでは。だから、私は人事管理をする総理府はそういう問題についても検討をするのですか、検討して行政管理庁の権限に属するものは行政管理庁とお話し合いをやるのですか、そういう点はどうなのですかということをさっきから聞いているのだけれども、どうもその点があいまいである。この通達からはほとんどそういうことは出てこないのです。どうですか、その点は。
#77
○国務大臣(床次徳二君) この通達からさような結論が出るかどうかという点でありますが、十二分にお話になりました問題等に関しましてはやはり最終的に検討いたしまして、そうして処置いたしたいと思います。
#78
○山崎昇君 この問題はまだまだありますので、これだけやっておったのではとても時間がありませんから、次に進みたいと思うのですが、そこで、この社説を見ると、その次に幾つか指摘をしておりますが、天下りの問題についてこれもまたかなりここに指摘をしております。そこで、この天下りの問題は、もう最近の新聞どれを見てもやはりこれは問題のあるところだということで指摘をされている。そこで、私は公務員が民間に出ていくのも天下りであるけれども、中央の公務員が地方自治体に行って人事を通じて支配をするのも天下りの一つだと思っている一人なのです。そこで、私は二、三、この機会でありますから総務長官にお聞きをしておきたいのだが、いま各省でやっておる各省別の採用試験というのは、一体あなたのほうでは整理をされるおつもりがあるかどうか。たとえば自治省なら自治省で自治省の採用試験というのをやる。これは上級職試験を通った者をさらに自治省で採用試験をやり、これは幹部として登録される。そして形は地方自治体からほしいと要望されたかっこうはとっておるけれども、実は配置がえで二年ぐらいいると全部引き上げている。北海道に二年おった者は今度は大阪だとか、和歌山におった者は今度は奈良だとか、こういう配置表がもうきまっておる。そして、私はこれは自治労という組合でつくった配置表でありますから、これを詳細にあなたに申し上げることはできませんけれども、これを一つ見ても、自治体の課長以上の数は約五千だそうでありますが、そのうちの七割は中央官庁でおさめられていると言われておる。そして一番極端なのは、そういう試験を通って、何にもまだわからぬけれども、二十四、五歳から三十歳前後でどんどん地方の課長におろされていく。二年くらいたつとまた引き上げられてくる。こういういわばある意味で言うと、中央でエリート職員というものをものすごく養成するのか、つくるのか知りませんけれども、そういうかっこうで固めていく。これが先ほど申し上げましたように職場の民主化ですが、これに関係をしておるわけです。職場では課長の天下りに反対だと、そこでトラブルが起きるというのがどの府県でもいま起きておる状態であります。だから、私はこの天下り人事ということは、公務員が公団、公社、民間に出ていくのもさることながら、こういう中央のやり方、人事行政のあり方そのものについてメスを入れない限り、別な形でまた私は問題が起きてくるのじゃないか、こういう気がしておるのですが、総理府として、これは人事院とも関連をいたしますけれども、昔の高文の試験みたいなこういうことをあなた方は今後もやらせようとするのか、あるいはそういうものは廃止をして、人事院の上級職試験なら上級試験を通った者は不公平のないように採用していく、こういうことをあなたのほうは考えるのかどうか、その点について長官に聞いておきたい。
#79
○国務大臣(床次徳二君) この中央と地方自治団体との公務員の問題でありますが、これが天下り人事と一がいに言うべきかどうかということであります。これは人事の交流面でもあるし、これによって双方が十分に事務の連絡調整というものをはかるという趣旨にも合うと思っておるのでありますが、直接にはこれは自治大臣の所管じゃないかと思うので、私どもよくつまびらかにいたしておりませんが、しかし、将来のいわゆる人事行政の立場から見まして弊害があるようなことがありまするならば、その点は十分指導いたしたいと思うのであります。今日のところは、やはり地方自治体と自治大臣との間に十分話合いをしてお互いに人事の交流をしておるのではないかと、かように考えております。
#80
○山崎昇君 もう外務大臣も来られたようでありますから、そろそろおりたいと思うのですが、私はこの問題は、同じ人事院の上級職試験を通った者でも、たまさか中央に職を奉ずる者と地方に職を奉ずる者で一生の間の人の運命はきまってしまう。中央に就職した者はやがてエリート・コースを歩いて地方の課長とか部長とか、本省の重要ポストにつく。しかし、地方に一たんついた者はなかなかそういうコースに行かない。だから同じ人事院で採用試験をやられたものでも、その者の配置先によってその者の運命はきめられてしまう。それを修正する何ものもない。ですから私はこれはやはり人事管理上の一つの問題点だと思う。そういう意味でこの問題を提起しているので、これは私はもちろん人事院にも聞かなければなりませんが、人事管理を責任を持って行なう総務長官としても、こういう問題について配慮を願っておきたい、こう思うわけです。
 それから最後に、私はこういう機会でありますから、総務長官にひとつお聞きをしておきたいと思いますのは、人事院月報の三月号を見ますと、これは四十二年の数字でありますけれども、ずいぶん公務員が死んでおる。これを見ますというと、たいへんな数です。一年間に約三百七人ぐらい死んでいる。そしてその死んでいる内容を見るというと、二十歳から五十歳ぐらいの入が全部で約九〇%を占めておる。私は、この職員の健康管理というものについて、一体総務長官はどういうお考えを持っているのか、あるいは日ごろどういう指導をされておるのか。これはかなり私は無理な仕事をさしておるのでないか。これはあとでまた総定員の問題とも関連をしてまいりますけれども、いずれにしてもこれはたいへんな数字であります。この健康管理についてどう総理府でお考えになっているのか聞いておきます。
#81
○国務大臣(床次徳二君) 健康管理等に関しましては、当然これは総理府の所管であります。公務員のいわゆる給与その他身分の安定の問題、厚生施設というのは、まことに大事なことだと思っております。で、人事院におきましては、各省の人事管理官並びに人事課長会議というものを常時開催いたしまして、そしてできるだけのこれの向上と申しますか、公務員の待遇のために努力している次第であります。
 なお、御指摘の自殺者の問題でありますが、相当の数にのぼっておりますが、しかし、わが国の全体の自殺死亡率というものから見まするならば必ずしも大きいわけじゃないので、自殺死亡者の率は、一般の人口百万に対して十四でありまするが、職員に対しましてはこれが八・九というわけで、比率の上から見ますと必ずしも多いとは言えないのでありますが、しかし、その原因等につきましては十分よくわかっておりませんが、これだけの自殺者があるということにつきましては、やはり相当の問題があろうかと思います。特にこの点は、職員の健康管理、なかんずく精神衛生の立場から見ましてもこれは大事なことだと思うので、十二分にこの点は今後人事院と協議いたしまして、そうして検討してまいりたいと思います。
#82
○政府委員(栗山廉平君) 先生いまおっしゃいました人事院月報でございますが、われわれも拝見させてもらっておりまして、いま三百七名とおっしゃいましたこの数は確かにあがっております。これは、御承知のように、四十二年、四十一年、四十年、三十九年と四年間の合計でございますので、ひとつその点……。
#83
○山崎昇君 たいへんその点は申しわけないと思います。しかし、いずれにしても、いま総務長官のほうから、自殺が七十五人とこう出ている。病気を見ますというと、一番多いのがやっぱり総称してガンとなっておりますが、脳の疾患、それから心臓、それにノイローゼ、こういうのを私は見ますと、それがこの四年間の総計ではありますけれども、年齢別に見るというと、二十歳から二十四歳が多い。三十五歳から三十九歳が多い。あるいは三十歳から三十四歳が多い。いわば一番働き盛りのところがこの死亡率が多いんです。ですから、私は、公務員の健康管理について、これはいずれ人事院にもお聞きをしなければなりませんし、総務長官の権限の内部だけでは問題にならぬ点もあるでしょう。しかし、いずれにしても、これだけ公務員が年間死んでいく。そのほか、これには公務災害の補償を受けている数字も載っております。これを見ますと、かなりな数字になるわけでありますが、けがをする者、あるいは死んでいく者、時間がございませんからやめますが、そういう意味で、公務員の健康管理という問題については相当私は力点を置いてもらわなければ、特に定員をだんだん減らしていくというあなた方のお考えでございますから、だんだん労働強化になっていくのですから、この点十分お考えいただきたいと思います。
 そこで、当初の綱紀粛正の問題でありますが、もっともっと私はこまかい点でお聞きしたいと思っておりましたが、外務大臣が参りましたからこれでやめます。いずれにしても、私は、単に通達が出ただけでこの問題は終わるものでもないし、今度汚職が出たときには、あなたの首が飛ぶくらいではおさまらない問題だと思います。これは国内政治の上でもたいへん重要な問題だと思いますから、どうか十分ひとつあらゆる点から検討されて、こういう問題の発生しないように特に要望して、私の質問を終わりたいと思います。
#84
○委員長(八田一朗君) 本件に関する本日の調査はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#85
○委員長(八田一朗君) 外務省設置法の一部を改正する法律案を議題に供します。
 先刻に引き続き質疑を行ないます。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#86
○委員長(八田一朗君) 速記を起こして。
#87
○北村暢君 大臣に、いま綱紀粛正の問題が総務長官と問題になっておったのですが、私は綱紀粛正の問題は汚職や何かだけじゃないと思うのです。どうも外務省は、最近特に、下田大使の問題、それから牛場次官の問題と、続いているのですよ。特に外務省の高級官僚が、政府の意思に反するようなこと、あるいは大臣の国会答弁と違ったようなこと、これを平気で――平気でというのはあれかもしれませんが、すぐ出て新聞に報道されているという問題について、一体綱紀粛正、綱紀粛正と言うけれども、汚職だけの問題ではなしに、これくらい私は綱紀粛正の乱れているということはないと思うのですよ。この点は、特に外務省が多いのかどうなのか知りませんが、問題が出てきておりますね。これに対して、一体大臣はどう考えておられるのか。これは具体的には私は予算委員会の関係もありますからお伺いしませんけれども、予算委員会であす御答弁なさるそうでありますから、その点はその点でいいと思うのですけれども、一般的な概念の問題として、最近こういう問題がちょくちょく出ておりますけれども、お伺いしておきたい。これは一国の外交政策の問題として、下田大使は、最近の言動についてはまあ外務省の指示に従ってやっておられるようですけれども、衆議院の段階における下田大使の問題についても、これは召喚をするということの問題についての決着であって、私は下田大使の発言した内容そのものについてはまだ決着ついてないと思うんですよ。そういう意味においては、外務大臣の責任の問題なり下田大使自身の責任の問題というのは一向に解決してないと思うんです。まあ指示に従って注意しましたとか何だとかということで出ておりますけれども、そういう簡単な問題で、注意したとかしないとかという問題で解決する問題じゃないと思うんですよ。そういう点において、私は大臣の基本的な考え方をこの際お伺いをしておきたい。
#88
○国務大臣(愛知揆一君) 基本的には、仰せのとおり、まことに下田君の発言問題以来、非常に恐縮いたしておるわけでございますし、私自身の責任として十分責任をとり得るような体制でやっていかなければならないと、この上ともに注意をいたしたいと思っておりますが、客観的なこうした情勢をお話しいたしますと、やはり、日米関係に限らず、外交問題等については、実に報道界も熱心でございますし、いろいろの機会にまあ何回となく求められ、あるいは接触をするという機会が多いだけに、重要な問題についての説明のしかたその他がおりおり問題になりますので、どういうふうにしてやっていこうかということについて、私も実は非常に苦慮しておるわけでございます。というのは、一面におきましては、秘密外交というようなことはゆめゆめあってはならないということであります。できるだけオープンにわがほうの主張というものも十分報道してマスメディアで問題にしてもらわなければなりませんし、またそれを吸収して国の立場といたしましても十分世論の理解を得たい、こういう気持ちが一面において一ぱいでございますので、いわば報道管制のようなことをすることは策を得たることではございませんで、結局それぞれの立場における人が良識をもって、しかも大臣なり総理大臣の訓令といいますか、これを体して行動してもらわなければならない。最近しかし、衆参両院を通じて、この種の問題については非常におしかりもいただき、また御批判もいただいておりますので、私はもちろんでございますが、その衝にある者も十分そこは心得てやってくれているはずでございますが、今後とも、いま申しましたような一面においては、できるだけ報道関係その他との協力関係をよりよくしながら、しかもきまらない問題等について訓令以外の意見を発表するというようなことは厳に慎んでもらわなければならない、こういう体制でいかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
#89
○北村暢君 まあ大体考え方はわかります。しかし、このニュアンスの違いとかなんとかいうならば、私どもも、その人の持ち味持ち味で違いとかいうことはあり得るかもしれませんけれどもね、全く違う、内容的にも違うことが出てくるということについては、一体外務省というのは省議なり何なり開いて意思統一をやっているのかいないのかということをおそらく疑われるんですよ。大臣と事務次官が全く違った意見を吐くだなんということは、ニュアンスの違いだとかいうんなら別ですけれどもね、これはどうも綱紀紊乱じゃないかというふうに私は疑われてもやむを得ないんじゃないかと思うんですよね、そういう気がいたします。したがって、これはやっぱり、いまおっしゃるように、外交問題は新聞記者も注意していますしね、また接する機会も非常に多いと思うんです。ですからね、やっぱり外務省は、新聞記者なら新聞記者に会う――大臣が直接会う場合は別としてね、スポークスマンなり何なりがやはりおって、ある程度大臣の意思に沿うた新聞発表がされるというのでなければ、何かこうちぐはぐなものが出てきたりじゃ、おかしいんじゃないか。これは要らざる紛争なんですよ、国会においても。大臣の答弁とすぐ違ったものが新聞に出ちまうというようなことではね。また、新聞記者のほうからいえば、言ったから載せたんで、これは間違いだと、新聞のほうが間違ったようなことを言ったら、これまた新聞が承知しないようなことになってしまいますしね。非常にやっかいな問題です。ですから、何かしらそこら辺に私は欠陥があるんじゃないかというふうに思われてしょうがないんです。ですから、そういう点について、いま外国に派遣している大使等については、訓令に基づいてやれ、このことはわかりましたがね。まあその後に下田大使も若干改まっておるようですから、その実績が出てきたのかどうかわかりませんけれども、まあそういうふうな感じも受けますけれども、最近の問題では、下田大使の問題が出てやかましく言われているときに、また問題が起こると、続いてくるわけです。だから私どもどうも信用できないというのは、そういう感じを端的に持っているわけですね。だから、どうも大臣の統率力が行き届かないのかどうなのか、そこら辺のところが疑わしい。ただ省議をやっているのかやっていないのかということすら疑問を持たざるを得ない、こういうふうな感じを持っているわけです。ですから、ひとつそういう点は、綱紀粛正の問題としても私十分考えていただきたい、こう思うんですがね。
#90
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま申しましたように、私も全くその点は苦慮しております。結局私が無能であるからということと思います。同時に、先ほども申しましたような環境でございますから、私自身もまあとてもこれは体力的にも続かぬと現在も思っておるのですが、できるだけいまは例外なしに報道界と一日一回は私直接接触しておりますから、私の申しますことが、政府として、外務省としての私が責任をとる発言である、少なくともこれだけは私の責任としてやらなければならぬことである。それから、外務省では省議ということばは使っておらないようでございます、慣行上。しかし、幹部会あるいは幹部連絡会ということで思想統一は十分やることにつとめておりますけれども、何しろ報道界は、日本だけではございませんで、外国記者団との接触もございますし、この点が実にむずかしいところでございますので、その辺のところは大いに、微力でございますが、これからも努力をいたしたいと思いますが、率直に言って、足らざるところは、まことに申しわけなく思っております。
#91
○北村暢君 それじゃ、どうも私は出席率が悪いので非常に不満ですけれども、若干法案の内容についてお伺いしておきたいと思います。なお、先ほどのABM問題について、実はまだやりたいのですけれども、納得したわけではございません、まだ論議ありますけれども、しかし、委員会は内閣委員会で、それが本筋でございませんから、私もしろうとですからあれですが、また機会を見てこれはやることにしまして、きょうは若干法案の内容に入って御質問しておきたいと思います。
 まず、改正案の中で、儀典長の新設というものが法案の中心になっているようですが、いま大臣もおっしゃられたように、大臣そのものも今日まで全く国会にくぎづけのような形でお疲れだというふうに、まあこれはもう理屈抜きに非常に御苦労である。疲れて失言することも出てくるというふうに、そのくらい御同情申し上げますが、そういう意味において、儀典長というものも何かそういうような趣旨で置かれるようでございますが、大臣直属の儀典長を置かれたのでありますけれども、あとの儀典官は官房にそのまま残るわけですね。これの儀典長とあとの儀典官とのつながりは一体どういうことになるのか、その点についてまずお伺いいたしたいと思います。
#92
○国務大臣(愛知揆一君) 儀典長につきましては、大体ただいまお話がありましたような趣旨でございます。それから、儀典官が現在三人おりますが、そのうちの――そのうちのというと語弊がありますが――一人儀典長ということになりますと、いわゆる儀典官は儀典長の部下であると、こういうふうなやり方でやってまいりたいと思います。
#93
○北村暢君 しかし、組織的には、儀典長だけがまず直轄になって、他の儀典官は組織的には官房長の指示を受けるような形になっておりますね、官房において。いまの大臣の答弁だというと、儀典長が儀典官を直接指揮をする、こういうふうな御説明のようですが、組織図見ますというと、そうなっていないのですがね。どうなんですか、その関係は。
#94
○国務大臣(愛知揆一君) 儀典官というのは、事務としましては、儀典関係の事務が各局にわたっておりますから、そういう各局で分掌しておることを統括する意味で、事務としては官房長の指揮監督のもとに置いてあるわけであります。
 それから儀典長は、官房を含めまして各局で行なう「交外上の儀礼に関する事務を総括整理する。」ということになっておりますが、儀典官は儀典長の指揮を受けて儀典関係の仕事をする、こういう関係になっております。まあしいて法律的に言えば、身分上の監督は官房長の監督下にあるが、仕事の上からいえば儀典長の指揮を受ける、こういうふうに御理解いただければけっこうだと思います。
#95
○北村暢君 そこでですね、大体この「外交上の儀礼に関する事務」を取り扱うということですが、この公賓という外国の要人の接遇、接受というのですか、こういうことをされるというのですが、いまお伺いしますと、そういうふうなものの事務関係ということと、実際のこの接遇、接受というのが大体の任務だろうと思うのですが、一体年間どのくらいの件数があるものなんですか。
#96
○国務大臣(愛知揆一君) たとえば、いま三月でございますが、来月からの若干の例を申し上げますと、来月は、四月の九日にアフガニスタンの国王が国賓として来日されるわけです。で、これは九日から十五日まで。そうすると、十六日から引き続いて二十日までは、日加閣僚会議がございまして、カナダの相当数の閣僚が東京に参ります。これが十六日から二十日まで。それからその次、引き続きまして二十二日から二十八日まで、これは公賓の扱いでございますが、イランの外務大臣が来日いたします。それから、それと若干ダブりまして、これはこちらから出かけるほうでございますから、儀典長と直接は関係ございません、間接には関係ございまするが、日英定期協議がロンドンで五月の初めに行なわれます。それから、五月の十一日からASPACの常任委員会が十五日まであります。それから、五月十七日から予定されておりますが、西独のキージンガー総理が公賓として来日いたしまして、二十一日まで滞在いたします。それから、同じく五月の二十七日からは、万博関係の政府代表者会議が京都で行なわれます。これが大体五月一ぱいかかります。それから六月に入りますと、これは私がアメリカへ参りますのは別といたしまして、六月九日からは、やはり日本におきましてASPACの第四回閣僚会議がございます。これが九、十、十一日、若干その後残る人もございます。十カ国以上の関係国の閣僚が来日いたします。それから次いで十八日からは、デンマークの外務大臣が公賓として参ります。これが二十五日まで滞在ですが、それにダブリまして二十三日からインドのガンジー首相が国賓として来日いたしまして、二十八日まで滞在いたします。それから七月には、日時ははっきりきまっておりませんが、あるいは八月にかかるかもしれませんが、日米貿易経済合同委員会、これがいわゆるアメリカの関係閣僚の来日でございます。七月下旬か八月を一応予定いたしております。それから八月は日韓定期閣僚会議が東京で行なわれますが、これは一応一日から五、六日間の予定でございます。
 まあ、こういったように、この四月から、四、五、六、七、八、その数カ月の例を若干申し上げましたわけでございますが、まあ実にたいへんなものなんでございまして、この人たちに快く会談に応じ、かつ日本の国益を十分主張して成果をあげるということのためには、その内容的な問題のハンドリングももちろん一番大事なことではございますが、儀典関係としてもこれは非常に重要な役でございまして、こういう例をごらんいただきますれば、儀典長の必要性ということも何とか御理解いただけるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
#97
○北村暢君 そういうふうに、いま申したようにたいへんお忙しいようでございますが、儀典長は相当高い身分のように受け取れるのですけれども、まあ大臣にかわるべきぐらいの身分のようにも受け取れるし、儀典長というのは地位的にいけばどういう地位にあるような人と考えているのか。これ、大臣に直接かわって儀典長として国賓を接待される、接遇されるというようなことですから、まあ相当地位としても高いように思うのですけれども、外務省の中における人事関係の問題と関連をして、一体どの程度の地位、身分の人と考えているのか、この点をお伺いしたい。
#98
○国務大臣(愛知揆一君) これは実は率直に申しますと、認証官の儀典長が実はほしいところなんでございますけれども、まあ各省設置法、あるいは人事院の関係、行管の関係等もいろいろございますから、外務省は特殊の立場であるとだけも主張できませんで、やはりある程度妥協をしなければなりません。特に法律職として儀典長を置くということを閣議でも最終的に認めてもらったような経緯もございますので、そこまでは参りませんでした。したがって、法律職の指定職乙ということになっておりますから、そういう機械的なあれからいえば、まあ局長クラスの上位というふうなことでとりあえず発足せざるを得ないわけですけれども、各国その他の例を見まして、少なくとも特命全権大使として相当の経歴を積んだような人、そうしてこういう関係に向いておる、適材であることはもちろんでございますが、実は儀典長の仕事柄、まあ率直に申しまして、夫人についても相当の考慮を払わなければならぬ。これは夫婦そろっての重要な役割りだと存じますから、そういうことで適任者を選びたい。これは具体的な人選は、まだ法律も通っておりませんから、まだ考えが御披露するまでに至っておりませんけれども、そういう角度で適材を選びたい、かように考えております。
#99
○北村暢君 どうも局長クラスの上位くらいでは、特命全権大使を何回もやったような人が落ちつかないのじゃないですか。大体いま言われました認証官というのを望むというのですが、特命全権大使くらいの人は、認証官に大体値するくらいの何回もやったような人なら、年輩からいってもそういうような方になるような感じがしますがね。それが局長の上位なら、さっぱりさえないじゃないですかな。これはどうなんですか。
#100
○国務大臣(愛知揆一君) ですから、格もできれば認証官ということにしたいのですけれども、外務省はさなきだに特命全権大使というのがみな認証官でございますから、そういう点から申しましても、いまのところは法律職ではっきり格づけをしてもらうというところで一応満足をして、あとは人事のほうでこれは十分ひとつ考えなければなるまいと思っております。将来の問題としては、できれば認証官ということにお願いをしたいと思うのですけれども、そうなると事務次官よりも上位になります。そういう関係も、省内の全体のバランスや統括ということからいいましていかがかと思いましたので、とりあえず今日のところはこういうかっこうで出しましたわけですが、対外的にも、何といいましょうか、外国流に言えば、通称はエンバシー、アンバサダーといっても、名実伴わないわけですけれども、名がそこまでいっておりませんから。しかし、そういう人で、慣行上相当の格式のあるものということに定着するように運営していきたいと思っております。
#101
○北村暢君 これは私は、儀典長ということで、そういう地位の高い人を置くというのであれば、もっと考えなければならないと思うのですが、外国の例で儀典長に該当するような方はどうなっておるのですか。相当高い地位にある人がつかれておるのかどうなのか。いま便宜主義で、何かこう局長の上位クラスで、人事でもってやろうといったって、大体うんと高い人は、おれは局長の上位くらいのところじゃ行かねえという結果になるんじゃないかというような感じもしますがね。相当高い人を人事面で運用するといったって、省内の三人のうちの一人というのだけれども、現在おる人という意味じゃないでしょうからね。現在おる人ならそれでいいかもしれませんけれども、そうじゃなしに、相当地位の高い人、それにふさわしい人というならば、外国の例との関係で、外国では一体――外国といったっていろいろありましょうけれども、まあまあ先進国における儀典長というものはどういう地位にあって、どういう方がなっておられるか。それと比べて、今度できる儀典長というものは、比較してどういうものなのか、国際的に儀典長として認められるようなものなのか、こういう点お伺いしたい。
#102
○国務大臣(愛知揆一君) 実は、儀典長の制度というのは、むしろ日本が非常におくれておったように思います。ですから、ほかにもよく調べてみなければ、まだあるかもしれませんが、現在はっきりしておりますのは、大きな国というとぐあいが悪いかもしれませんが、十五カ国の中で十四カ国までは、国際的に主要国と言われるようなランクの国で置いております国が十四カ国になっております。その中には、もういわゆる先進国は全部、それから最近ではアジアの諸国でもそういうものがございますが、試みに例をあげてみますと、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ブラジル、オランダ、それからベルギー、インド、タイというような国々は、全部相当格式の高い儀典長を置いております。むしろ日本がまあ少しおそきに失したのではなかろうかと思っております。
#103
○山崎昇君 ちょっと関連して。大臣ね、いま、たいへん儀典長というのは身分の高い人だと、こう言うのですが、説明の資料を私ども見ますというと、どうもそのようになってないのでね。「定員等については、儀典長の新設に伴う増員は行なわれず、現在の儀典官三人(一等級一人、二等級二人)のうち、一人(一等級)を新設の儀典長(指定職乙)の職に振り替える。」と、それじゃ、大臣の言うように、大臣にかわってどうだと、認証官になるような人がするなんていうことにはならないですね、この説明からいくと。だから私は、やはりこういうものを新設するときには、きちっとその職に適当なものを新設をしませんと、何か途中でまた都合が悪くなればかえる、こういう便宜主義ではまずいのではないか。特に、一国を代表して外国のそういう方々を接遇するということで設けられるなら、むしろ私はやはり、いろいろな行政法上の問題もあるでしょうけれども、この機会にやはりきちっとすべきじゃないか、こう思うのですがね。どうもこの説明と大臣の言っていることとは違うんじゃないですか。
#104
○国務大臣(愛知揆一君) それは違うところがあると御理解いただいてもやむを得ません。それは、先ほどもるる申し上げましたように、いま内閣としてはとにかくいろいろ御審議を願っている問題がございますけれども、とにかく定員はふやさない、予算はふやさない、むしろ定員は減らしたいという基本方針に対しまして、外務省としてのやりたいということをやっていくためには、ある程度やはり政府部内でも妥協ということが必要ではなかろうかと思いますので、私としては、もちろんこれが百点とは申しません、ただ及第点はとれるように運営していこう、そういう点で、私の気持ちと現にこの制度的な法律上の文理解釈からごらんになれば違っているところがあると、これは私も承認せざるを得ません。その点におきましては、私もこれで満足しておるわけではございませんで、妥協の所産でございますから、先ほど申しましたように、人事の上でくふうをこらしたい。そして、いま、御承知のように、ほかの省にございませんが、外務審議官というのは対外的には次官補ということになっておりますが、対外的には外務審議官二人は次官補――横文字で言えば、デピュティー・バイス・ミニスターという称号を使っておりますが、少なくともそれと同格の人を選ぶ。それから、相当な大使の経験者であるということを条件にして、本人には場合によれば気の毒かもしれませんが、そういう選び方をしていく。同時に、これは年齢等ばかりではいけないので、必ずしも年寄りの、相当の年配の練達たんのうという人ばかりでは、外交事務には練達たんのうかもしれませんが、儀典という特殊な点に考慮いたしまして選んだ結果は、あるいはこんな若くてどうかということもあり得るかもしませんが、しかし、先ほど申しましたように、本人はもちろん、夫婦そろって儀典長として大いに期待できるような人選をしたい、かように考えております。
#105
○山崎昇君 大臣ね、あなたの気持ちはよくわかりますがね。私は、何か政府部内の妥協とか、そういうことだけでこれは片づかないのじゃないですか。単に一等級の人を指定職の乙に切りかえるということは、給与上の扱いを一ランク上げるというだけのことであって、何もあんた身分上でどうしたわけでもなければ、対外的に何のあれもないですよ。やはり、一等級ということになると、公務員法上の制約が出てくるわけですよ。ですから私は、やっぱりこういう問題は、単に政府部内の妥協だという答弁だけで私ども納得することはとても無理だと思う。ですから、できるならこれはもう一ぺんお考えいただきまして――私ども野党で何でも反対する意味で言っているのじゃありませんで、せっかくこういうものをほんとうに外国の方々に対して日本を代表してやられるというなら、それにふさわしいような制度をつくり、待遇をして、そしてその人が十分に活躍できるような環境をつくらなければ意味がないと思う。これは単に妥協だけで済まされる問題ではありません。給与上の待遇を一ランク上げただけです、この案は。これで、あなたの言う説明は、とても私どもを納得させることはできない。ですから、もう一ぺんひとつ政府部内で御相談願ったほうがいいんじゃないですか、どうですか。
#106
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、儀典長というものに対して御理解を示してくださる方々に対しまして、非常に率直にお答えをしているわけです。ものごとには私は妥協がなければ成立はしないと思いますから、現内閣といたしましては、定員の増加とかあるいは予算の増加とかいうことは極力避け、むしろ減らさなければいけないという基本体制をとっている中で、特に閣議でも相当の議論があったような問題でございますから、法律職としてここに特定をするということで、まずもってこれである程度の目的は達した、これを補うのに人事をもってする、これが現在なし得る私としては最善の道でございましたから、これは考慮の余地はございません。この原案で御審議を願いたいと思います。
#107
○北村暢君 先ほどお伺いしたその外国の例というもの、儀典長を置いていますということを聞いているのじゃないのですよ。外国に置かれている儀典長はどういう地位の人で、いま置こうとする儀典長とどういうふうに違うのか、こういうので、外国も大体指定職の乙くらいの人がやっているのじゃないだろうと思うのですよ。そういう内容のことを聞きたかったのですよ、外国の例を聞かせてくれと言うのは。
#108
○国務大臣(愛知揆一君) それは、各国それぞれの法制なり行政組織なりございますから、中にはこれに近いようなきめ方をしているところもあるようでございますが、要するにこれは、一つは、対外的に定着して、日本の儀典長というのは相当な人であると、相当な格も持っていると、こういうことが、その運用の妙を発揮することが大事だと思います。先ほど申しましたように、私の知れる限りでも、だから通称大使、大使とお互いに呼ばれるような、そういう人がチーフ・オブ・プロトコールとしてつとめておる、これが現在の慣行のようでございます。先ほど申し上げました十四カ国も大体そういう例で、これは大体――大体じゃなくて全部が、各国ともキャリアの――専門の外交官を置く、そして儀典に明るいこういうことに向いているような適材を起用しておる。これは年齢等にはいろいろ、老齢の人もありましょうし、若い人もございましょうが、これは日本もその人たちと対等につき合い得るような人を選ぶということが大切なことであろうかと思います。
#109
○北村暢君 きょうはこの程度にとどめておきます。
#110
○委員長(八田一朗君) 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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