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#1
第061回国会 内閣委員会 第7号
昭和四十四年三月二十日(木曜日)
   午前十時三十七分開会
    ―――――――――――――
出席者は左のとおり。
 委員長
 理 事
 委 員
八田 一朗君
石原幹市郎君
柴田  栄君
北村  暢君
山崎  昇君
源田  実君
佐藤  隆君
玉置 猛夫君
安田 隆明君
山本茂一郎君
前川  旦君
山本伊三郎君
中尾 辰義君
峯山 昭範君
片山 武夫君
岩間 正男君
国務大臣
    法 務 大 臣
    外 務 大 臣
政府委員
    法務大臣官房長
    外務大臣官房長
    外務省アジア局
    長
    外務省アメリカ
    局長
    外務省条約局長
事務局側
    常任委員会専門
    員
西郷吉之助君
愛知 揆一君
辻 辰三郎君
齋藤 鎭男君
須之部量三君
東郷 文彦君
佐藤 正二君
相原 桂次君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣送
 付、予備審査)
○外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(八田一朗君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨説明を聴取いたします。西郷法務大臣。
#3
○国務大臣(西郷吉之助君) 法務省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案の改正点の第一は、中央矯正研修所と地方矯正研修所の統合についてであります。現在、刑務所等の矯正の事務に従事する職員に対し、職務上必要な訓練を行なう機関として、中央矯正研修所と八つの地方矯正研修所とが置かれておりますが、この機構を簡素合理化するとともに、統一的な研修の実施をはかる観点から、この際、これら九つの矯正研修所を統合して一つの矯正研修所とするとともに、必要があるときは、法務大臣は、支所を設置することができることとし、支所の名称及び位置を法務省令で定めることとしようとするものであります。
 改正点の第二は、浦和刑務所の廃止と市原刑務所の新設であります。浦和刑務所の施設は、現在川越市に拡張建設中の川越少年刑務所が完成いたしました暁には不要となりますので、これを廃止することとし、また、現在交通関係受刑者の矯正施設としております千葉刑務所習志野刑務支所にかわるものとして、千葉県市原市に建設中の施設が完成しますので、これを市原刑務所としようとするものであります。
 改正点の第三は、宮城県塩釜市ほか四カ所に入国管理事務所の出張所を置こうとするものであります。近時、塩釜港、直江津港、蒲郡港、富山港及び水俣港におきましては、出入国船舶の数が増加してまいりましたので、これらの港における出入国管理事務を一そう適切に行なうため、塩釜市、直江津市、蒲郡市、富山市及び水俣市の五市に、それぞれ入国管理事務所の出張所を設けようとするものであります。
 なお、富山港につきましては、現在、高岡市に所在する伏木富山港出張所においてその事務を処理しておりますが、同出張所は、富山港出張所が設置されました暁には、これを伏木港出張所に改めることとしております。
 最後に、この法律案は、行政区画の名称の変更に伴い、旭川刑務所の位置の表示を改めるため、法務省設置法の別表について所要の整理を行なうことといたしております。
 以上が法務省設置法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
#4
○委員長(八田一朗君) 本案の審査は後日に譲りたいと存じます。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(八田一朗君) 外務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#6
○峯山昭範君 外務大臣に質問いたします。初めてでありますので、わかりやすく答弁をお願いしたいと思います。
 今回の外務省設置法の一部を改正する法律案につきまして、初めの、最近外国要人の国賓または公賓としての接遇及び在京大公使の接受等の事務がますます増加しているようでありますけれども、今日までの儀典官の果たす役割りと申しますか、任務ですか、そういうようなものについて初めに教えていただきたいと思います。
#7
○国務大臣(愛知揆一君) 現在までのところ儀典官というものが三人おりますわけですが、その三人の人たちがどういう仕事をやってまいったかということにつきまして概略申し上げますと、一つは外交使節、領事官の接受ということが一つございますが、御案内のように、現在八十人以上の大使が東京に駐在しております。そのほかに兼任等も合わせますと、相当な公館の数になります。それから領事館その他の数も相当のものでありまして、これらの人たちが新任、離任、あるいはそれらに関連するいろいろの事項につきまして、儀典官がその接遇に当たるわけでありますが、これがなかなかの事務分量であるわけでございます。それからこちら側からの大公使の派遣でございますが、これまた現在わが国の大使館の数は、全部で百十五になりまして、そのうち実際、大使が駐在して、実際に大使館を持って働いておりますところが八十四ある。これがおおむね大体のところ、東京に相手国の大使を迎えておりますものと、大体において対応しているということが言えると思いますけれども、そのほかに総領事館が四十、領事館が九つ、それから国連その他代表部が三つというような規模に相なっております。
 これらの大公使、領事等を派遣いたします場合におきましては、信任状とか、あるいは解任のときの解任状とか、あるいは宮中関係の行事とかということがございまして、いま申しました先方からこういった外交の使節を接受すること、それからこちらから派遣する、これはまあもう通常の事務として相当な事務分量になります。それからその次には、外国から迎える国賓、公賓あるいは国際会議という点でございますが、これは一昨日、北村委員の御質問に対しましても詳細にお答えを申し上げようなわけでございますが、一昨日申し上げましたように、来月、四月からこの夏ぐらいまでの間試みにとってみましても、ほとんどずっとぎっしり日程が詰まっております。中にはダブっておるものもございまして、まあ一昨日申し上げましたことですが、たとえば元首ということであれば、来月、アフガニスタンの国王が国賓として来られて、数日滞在をいたしますし、それから総理大臣級ということになると、西独の総理大臣とか、あるいはインドの総理大臣、あるいは外務大臣級になりますとさらに数多くございます。さらにそのほかに、各種の国際会議が、この三、四カ月の間にも日本で行なわれまするものが相当の数になっております。そういう方々の接遇とか、あるいは接伴に当たる、あるいは接伴事務などの総合的な事務の統括というようなことが非常に多いわけでございまして、そのほか、たとえば外国人に対する勲章の授与でありますとか、あるいは外交団の招待の行事でありますとか、あるいはまた、先方が催します各国の祝祭日の行事というようなことが、これまた通例の事務としてございますので、こういう点にかんがみまして、どうしても、何といいますか、わがほうの機構を拡充というか、あるいは格を上げなければならない。これらに対しまして、まあ私は大臣の立場でありまして、まあこれに全部、平たいことばで言えばおつき合いをいたしますと、たとえば羽田の飛行場の送迎だけでもたいへんな数になりまして、とうていその職にたえ切れない。同時に、外国側も、これも一昨日詳しくお話し申し上げましたけれども、いわゆる主要国といわれるようなところは、ほとんど全部、相当格式の高いチーフ・オブ・プロトコール――儀典長という制度をかねがね設けて、こういう事務の処理に当たっております。日本としては、むしろおそきに失したように考えますので、いまのお尋ねは、将来どうやっていくのかというお尋ねでございましたが、その背景あるいは今後の見通しなどもあわせてお答え申し上げたような次第でございます。
#8
○峯山昭範君 ありがとうございました。もう少し簡単でけっこうでございます。
 今回の儀典長の新設によりまして、この文章の中にもあるのですが、この儀典長が外務大臣に直属して、具体的に言いまして、高位の職ということになるのでありますけれども、どういうような権限を持つのか、簡単でけっこうでございますが、御説明願います。
#9
○国務大臣(愛知揆一君) これは、儀典長というものを大臣直属の職として、いわゆる法律職としまして、法律の上にその地位と資格を明示いたしたいというのが、この法案の趣旨とするところでございます。
#10
○峯山昭範君 関連いたしまして、外務大臣は、ことしの秋に総理が訪米される前に訪米されるということを聞いておりますけれども、その時期ですけれども、時期はいつごろか、お伺いしたいのですが。
#11
○国務大臣(愛知揆一君) これははかねがね、沖繩問題を含めまして、日米間の懸案の処理あるいは両国の世界情勢等に対する情勢分析の意見交換というようなことで、双方の出合いの日程についてかねがね相談いたしておりましたが、わが方の都合から申しますと、ただいま国会の開会中でございますから、国会が済んでからなるべく最近の時期に、まずこちらとしてはニクソン政権の新長官であるロジャーズ氏と私は会談をいたしたいということで、双方の都合を突き合わしておりましたところ、六月の二日から始まる週に会談をすることが、双方の都合から最も適当であるということになりましたので、六月の二日からこの会談を始めることにいたしたわけでございます。
#12
○峯山昭範君 簡単でけっこうですから、もう一回お願いしますが、六月の二日から何日ぐらいの予定でございますか。
#13
○国務大臣(愛知揆一君) ロジャーズ氏との会談は、大体三日間ぐらいということで予定をいたしております。二日、三日、四日の三日間ぐらいを予定いたしております。
#14
○峯山昭範君 スケジュール等については、まだ詳細にきまってないと思いますが、この三日以外は、どういう方に会われる予定になっているか。また、その訪米の目的ですね。何をしに行くのか、わかりやすく端的にお願いしたいと思います。
#15
○国務大臣(愛知揆一君) 私の主たる目的は、国務長官との会談でございますから、いま申しましたように、国務長官と三日間会談をする。それで、特にこちらから求めてどうということは考えておりません。
 それから、その内容につきましては、ちょうど十七日の参議院の本会議で、佐藤総理大臣も答弁を申し上げておりますように、沖繩の返還ということを主たる内容にして、総理大臣の発言から申しますれば、六月初旬に予定されている私の訪米、七月か八月に東京で行なわれる日米貿易経済合同委員会等を通じて、米国側の意向も打診しながら、総理の訪米までに、沖繩の返還に関する基本方針をきめる考えでありますと、こう申しておりますので、このとおりでございまして、こういう目的に向かってできるだけの成果をあげるようにいたしたいと、かように考えております。
#16
○峯山昭範君 初めのあれ、答弁はなかったのですけれども、ロジャーズ以外の方と会われる予定はないのですね。――それからもう一つは、その会談の主たる目的は、やはり沖繩の問題が中心になるということでございますが、その沖繩の問題について、外務大臣は、どういうぐあいな決意をされているか。初めの話によると、どうも総理の言ったことをいまそのまま申されておられましたけれども、外務大臣自身、ロジャーズ氏と会われるとき、どういうぐあいな決意というか、こういうことを言いたいとかという決意というか、そういうようなものはないのですかね。何も、白紙で行くというのは、どうも感じが、われわれ国民に与える感じといいますか、私たちが受ける感じというのは、どうも弱いような感じがするわけです。人に頼まれて行くという、それよりも、やはり自分の、外務大臣としての決意というものが必要じゃないか。こういうぐあいに思うわけですけれども、そこら辺の決意のほどといいますか、また、総理がこういうことを言ってこいと、やはり何か言われたのかですね。そこら辺のところ、もう少しわかりやすく教えていただきたいと思うのですが。
#17
○国務大臣(愛知揆一君) この沖繩の返還交渉というのは、私は、皆さんがそうお考えになっているかとも思いますけれども、非常にむずかしい交渉であるということを私はわきまえているつもりでございますし、政府といたしましても、相当の日数をかけて、そして終局的日本の国民の世論というものの支持を受け、かつその理解を受けながら、わが国の国益に合致するような実りのある結果をもたらしたいということを考えておるわけでございますから、何と申しますか、異常な決意を持って事に当たらなければならない、かように考えておるわけでございます。
 ただ、いま申しましたように、非常にむずかしいことが予想される。それから、相当の、何べんにもわたっての折衝というものが必要であろうということを前提にいたしておりますから、最終的には、十一月末ごろのニクソン・佐藤会談というものによって最終的な結末を得たいと、こういうふうに思っておりますから、たとえば、わがほうの原案はこれであると、おまえイエスかノーか言えと、イエスと言わずんば決裂というようなアプローチのしかたというものは、私は現在の考え方では、不適当ではなかろうかと、かようにも考えておりますので、いまここに若干の時日の余裕もございますし、国会の御論議を通じて、いろいろ私どもも得るところが多大でございますから、そういうものを十分に整理をし、私どもの考え方を固めて、そうしてそれで折衝に臨んでいくということにしたいと考えております。
#18
○峯山昭範君 国益に合致するような決意ということは、結局、国益ということから考えてみますと、沖繩の返還ということ以外にないと思うのですが、いかがでしょうか。
#19
○国務大臣(愛知揆一君) 早期返還であり、そうして日本と沖繩の安全を将来長く期し得るような、そういうことが国益に合致することであると、かように思います。
#20
○峯山昭範君 ちょっとあれしますが、今度は、アメリカの極東担当の新国務次官補に任命されたマーシャル・グリーンが、現在駐インドネシア大使でありますが、来日されるということを聞いていますが、このグリーン大使の来日は、日本の招待によるものかどうか、この点お伺いします。
#21
○国務大臣(愛知揆一君) これは日本からの招待ではございません。それから、特定の会談の目的を持って来るものでもございません。グリーン氏は現在インドネシア駐剳のアメリカの大使でございまして、アメリカの政府としては、極東担当の国務次官補に内定をしておるようでございますけれども、これは御承知のように、この地位は、アメリカの国内の問題ですけれども、上院の承認の要る、いわゆるポリティカル・アポインティーでもございますから、現在国務次官補としての地位を持っておりませんし、そういう権限も持っておりません。そこで、内定ということを前提にして、将来担当するであろうところの諸国の一般情勢を、インドネシアから帰任するに際しまして、一般的な視察旅行をしたいということで、昨日羽田を通過してその旅行に行ったわけですが、帰り道に短期間滞在すると、こういうことで、特定の目的を持っているものではございませんし、日本が招待したわけではございません。
#22
○峯山昭範君 短期間グリーン大使がこっちへお見えになるわけですけれども、日本に寄った場合、大臣は、大使と会談するつもりがあるのかどうか。もし会談するときは、日本側としてどのような話になるのか。そこら辺のところをひとつ聞かしていただきます。
#23
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、求められれば会います。そういうつもりでおります。向こうさんが求めてきますれば、私も会談いたしますが、向こうの目的がいま申しましたような目的でございますし、また、沖繩問題については、こちらの腹案がまだ固まっておりませんから、いまのグリーン氏の地位や立場に対して、この問題について特にどうということは、こちらも考えておりませんし、先方もそうであろうと考えております。
#24
○峯山昭範君 このグリーン氏が来ることによりまして、当然、その会談の内容等では、沖繩問題が中心になると思うのですけれども、沖繩返還の具体的な交渉の第一歩であると、こういうふうに見ている人もいるわけです。また、外務大臣が訪米するにあたりまして、その足がかりとなるのではないかと、こういうぐあいに見ている人もいるわけですが、いかがでしょう。
#25
○国務大臣(愛知揆一君) そういう見方もあると思いますけれども、しかし外務省の立場として、あるいは日本政府の立場としては、いま申しましたような状況でございますから、特に沖繩問題について話し合うという、こちらにもつもりはございませんし、向こうもおそらくそうであろうと考えております。
#26
○峯山昭範君 それから、沖繩の基地のことについてちょっとだけお伺いしたいのですが、外務大臣の訪米を前にしまして、急に最近、佐藤総理が本土並み返還論を打ち出してきました。今日まで沖繩の基地につきましては、終始極東と日本の安全保障に果たす役割りを重視し、しかも本土並み基地では交渉すら困難という立場で一貫してきたのでありますが、そうした判断に立つ限り、沖繩の返還、基地は返還後も現状どおり、つまり核つきか、あるいは自由使用といった、それに近い形でなければならないことになります。この点、外務大臣はどういうぐあいに考えているのか、伺いたいと思います。
#27
○国務大臣(愛知揆一君) この点はいまお話がございましたが、そういうふうに断定的な政府の意見を申し上げているのではございませんで、いろいろの角度からのいろいろの御論議については、十七日の総理の答弁にもありますように、私なりにだんだんその問題の所在ということについての考え方は煮詰まってまいりました。しかし最初に言っておりますように、最初にということは、この冒頭でも言っておりますが、衆参両院の質疑を通じてお答えをいたしましたとおり、最終的に沖繩の基地の態様については依然として白紙でございますと、こういうことを念のために申し上げておるということで御理解をいただきたいと思います。
 要するに、国会の御論議等を通じて、どういうところを重点として国民の皆さまが関心を深くしておられるか、どういうところに世論の動向というものがあるかということが、総理は私なりにと言っておりますが、私も私なりに問題の所在というものが明確にだんだん掌握することができつつある段階にある、こういうことは申し上げておりますけれども、終局的に政府の腹案はどうかということについては、まだ鋭意研究中というわけでございますから、最終的に白紙と言わざるを得ないというのが政府の態度でございます。
#28
○峯山昭範君 佐藤総理は従来から、基地の態様については白紙だ、また、国際情勢の変化、それから軍事技術の進歩、それから世論の推移を見る、こういうぐあいに言ってまいりました。いま話ありましたけれども、現実に本土並みということがいろんなところで報道されております。今回確かに沖繩の返還については、核抜き本土並み返還ということを示唆するような発言が事実あったわけです。ということは、従来から総理が言ております国際情勢の変化とか、また軍事技術の進歩、世論の推移というこの三条件に変化が見られたために、何かこういうぐあいに変わってきたんじゃないか。現実にこういう三つの点を考えてみますと、ここ数カ月ほど変化してないように思われるわけですけれども、何かほかに意図があるんじゃないか、こういうぐあいに勘ぐる向きもあるわけです。この点についていかがでしょうか。
#29
○国務大臣(愛知揆一君) やはり前々から申しておりますように、国際情勢の変化あるいは科学技術の進歩、そして国内の世論、これは大きく分ければこの三つが非常に大きな考えなければならない点であると思いますが、国内世論の動向ということについては、国会内外の御論議を通じまして、先ほども申しましたように、私なりに問題の所在というものはだんだん煮詰まって、考え方を煮詰めつつありますということは申し上げられると思います。
 それから国際情勢の変化については、やっぱり私どもとしては、ベトナムの行くえというものが、これはお互いの問題でありますが、非常に期待もされていることで、拡大パリ会談のなり行きというものが、戦闘行動の停止ということがすみやかにできれば、これは国際情勢の一つの大きな変化ではないかと考えるわけでございますが、これはどうもごく最近の状況では、必ずしも早急に大きな変化が起こるかどうか、私どもは大きな期待を持ちながら、これに対しての情勢の推移は、ほんとうにいろいろの大きな関心を持ちながら、推移を見守っているという状況でございます。
 それから科学技術の進歩ということにつきましては、いろいろ軍事科学の問題については、アメリカの中にもいろんな議論があるということは、私もできるだけ掌握するようにつとめております。そういう点は今後とも十分考え合わせて、そして国内の世論にこたえ、国益に沿う点からいって、こういうことが最も日本にふさわしい結論であるということを、腹を固めつつ、そして相手のあることでございますから、慎重に、多少の時間をかけて、先ほど申しましたように、まあ六月の私がロジャーズ氏に会うというところからいわば本格的な下交渉が始まる、そういうふうに考えていきたいと思っております。
#30
○峯山昭範君 もう一つだけで終わりたいと思いますが、ということは、いまの三条件にどうも変化が見られたので、ちょっと言っている意味がわからないんですが、要するに国内のいろんな情勢、世論の動向、または国際情勢、軍事情勢もいろいろと変化している。だから総理の発言も多少は変わってきている、こういうぐあいに断片的にとると受け取れるわけですけれども、その点もう一ぺんあとでお願いしたいと思います。
 それから今度の佐藤総理の本土並み返還論というか、こういうふうな、いわゆる従来から言っていることが多少変わってきた、返還示唆といいますか、ということは、これは多分に国内向けというか、いわゆる政略的な面がずいぶんあるのじゃないかと、私はこう思うわけです。近い将来にもし解散、総選挙というか、そういうものがあるとすれば、本土並みということが、そういうことを少しでも発言して、報道機関等に載せられるということは、それ自体が国民の支持を得られることを見通して言っているのじゃないか、そういうぐあいに考えられるわけです。もしそういうようなことであるとすれば、いわゆる大臣がいつもおっしゃるように、国益というところから考えてみますと、外交本来のいわゆる原則を踏みはずしたということになるのですけれども、ここら辺のところはいかがでしょうか。ここら辺のところをがっちりわかりやすくお話をお願いいたします。
#31
○国務大臣(愛知揆一君) まず一つの国際情勢の変化ということのお尋ねの中には、かりに総理やわれわれの言動が変わってきたんだとお思いになっていると――私はそういうふうに変わっていないと思いますけれども、変わってきたんだとおとりになる向きから言うと、これは何かアメリカとの事前折衝かなんかで、何か新しい線が出てきたのではなかろうかと、そういうふうに御想像なさる向きもあるようでございますけれども、これは事実としてそういうことはないのでありまして、アメリカ側の態度も、おそらくはいままで言っておりますように、私のほうも実は白紙なんだ、考えなければならぬ問題がたくさんあるので、そういう問題を整理し、かつ日本がどういうふうに出てくるかというような点について、いろいろ検討はしておるけれども、自分のほうも、もちろんいまのところは白紙でありますという態度には、全然変わりはございませんし、また、それが当然かと思っておるわけでございます。まあ六月のいま申しました本格的な下交渉ということの時期までには、そういう点は変化が私はないと思います。要するに、アメリカ側に何らかの変化があったから何か政府の言動が変わっているのだと、こう想像される。これも御想像される向きからいえば、私はそれもごもっともなことだと思いますが、事実としてそういうことはございません。
 それから第二は、内政的に解散を考えて、できもしないことを何か耳に心よく響くようなことをことさらに言っているのではないかという趣旨のお尋ねだと思いますけれども、解散はまあこれは総理の権限でございますから、私がとやかく言うべきことではございませんが、総理を含めてわれわれは、解散というようなことを今日考えておりませんということは、日常の言動によりましても御了解いただけると思います。またそういうふうな意味で、いいかげんな内政的な次元の低い考え方でこの大問題に当たる態度をとやかくするということは、私どもとしては断じて考えていない。まあ非常にこれは大切なまた困難な問題であるということをよくわきまえているつもりでございまして、ほんとうにこれは真剣勝負というか、からだを張っての大交渉である、こういうふうに私は考えているわけでございます。
#32
○中尾辰義君 関連、ちょっと一つだけ。沖繩の返還問題についていろいろと御意見聞いていますけれども、だんだん煮詰まってきたということばを聞くのですが、総理もそうおっしゃっているし、煮詰まってきたというのはどういう意味なのか、その辺もう少しわかりやすくおっしゃってください。どういう点が煮詰まってきたのか。
#33
○国務大臣(愛知揆一君) これは参議院の予算委員会でも、たとえば野上委員が先般来言っておられますように、自分たちから見れば大体五つぐらいの点に焦点がしぼられてきて、そういう中からだんだん政府の考え方というものがわかるような気がするというふうな御指摘もございましたが、これはまあ五つなり六つなり、あるいは十なり問題がしぼられるということは、しぼり方にもよると思いますが、要するに早期に返還を求めたい、これはもうほんとうにコンセンサスだと思います。それから同時に沖繩が返ってくれば、沖繩は本土と全く同一にその安全、そしてわれわれがいままで享受し得ているような自由や平和を繁栄を沖繩の人にももう安心して享受していただきたい、それにはどういう形態がいいかということが、結局いろいろの形態の問題になってくるのではないかと思います。基本的にそういう考え方に立って、もうおそらく考え得るあらゆる角度からその点に集中していろいろの御質疑があった、こういう点から、こういう点はこういうふうに考えたらどうか、ああいうふうに考えたらどうかということをもっともっと政府としても分析し、そしてわが方のまあ抜け目のないというか、周到な腹がまえをがっちり固めなければならないわけでございますが、時間的に言いましてもその腹固めはそうのんべんだらりとしておれるものではない、こういう意味におきまして煮詰めなければならない、むしろ、そういうふうな気持ちもわれわれとして強く持っておるということを率直に私どもは申し上げておるつもりでございます。
#34
○岩間正男君 最初に資料要求しておきたいのですが、第一に、各国駐在の日本大使館の規模、それから人員及び構成、これは駐在国別にお願いしたいと思います。さらに防衛駐在官、これはやはり駐在国別にその人数と氏名及びその階級、これを、きょうは用意なかったでしょうから、資料として出していただきたいと思います。
#35
○国務大臣(愛知揆一君) それはいまできるだけお答えいたします。
#36
○岩間正男君 時間がちょっと。ぼくはほかに何があるので、あとに。いまやっている時間ないから、資料で、同じことですから。
 それじゃ外相にお聞きしますが、この前、十七日の参議院本会議で北村議員が総理に質問した。その中で総理はこういう答弁をされている。沖繩返還後は、日本憲法はもちろん安保条約も特別の取りきめがない限り適用されると解釈願いたい、こういう答弁をされているのですが、これは外務大臣も同じお考えですか。
#37
○国務大臣(愛知揆一君) 沖繩が祖国に復帰すれば憲法はそのまま沖繩にも適用されるのは当然であります。それからまた特別の取りきめというものをしない限り、おそらく安保条約もそのまま適用されるものと御理解をお願いしたい、これは私ももちろんそう考えております。
#38
○岩間正男君 ところが憲法も安保も適用されると、こういうふうに国民が考えているのだが、ここで特別の取りきめがない限りというところ、ここが非常に問題点だと思うのです。特別の取りきめをする場合もあるのだということをこの答弁は含んでいるんだと思いますが、そう考えてよろしいですか。
#39
○国務大臣(愛知揆一君) これは先ほど申しましたように、要するに、特に基地の態様につきましてはいろいろの考え方が、――まあ岩間委員からごらんになれば一本かもしれませんが、御意見として。政府といたしましてはいろいろの角度から検討しなければなりませんので、先ほどもお答えいたしましたように、まあ白紙というとしかられますけれども、白紙なんです。そういう状態でございますから、特別の取りきめがない限りということをいつも念のためにお答えのときにはつけることに政府としていたしておるわけでございます。そういうふうな環境にあることを御理解いただきたいと思います。
#40
○岩間正男君 特別の取りきめをするというこのことばは非常に重要なんですから、しない限りということは。これについて私たちはいまの段階では想定の段階になりまするが、特別の取りきめをすることもあり、しないこともあり、いろいろなものを含んでいるのですが、その特別の取りきめをする場合をも現在の段階では含んでおるのだというふうにこれは当然考えられるわけでしょう。その点はどうなんです。
#41
○国務大臣(愛知揆一君) これが基地の態様については白紙でありますということをあわせてお考えをいただきたいと思うのでありまして、特別の取りきめをするのか、それに対してイエスと言うのか、ノーと言うのかという答弁を求められているわけですが、これはイエスともノーとも言えない、だから白紙だということになります。
#42
○岩間正男君 だから、その白紙の中には二つの場合があるわけでしょう。先にいって考えてみれば、そうでしょう。それ以外にないでしょう。特別の取りきめをしない、あるいはする、両方含めて特別の取りきめをしない限りと、こう言っているのですね。そこのところ、あなた、ことばでは、言われるのがいかにも苦しそうでありますけれども、答弁を総合すれば、これはそういうことにはっきりなりますよね。それはそう言われたって私は差しつかえないことだと思うのですが、非常に外相は慎重を期しておられるからそういう答弁をされる。もう一度お聞きしますが、これは入っているでしょう。現在まだきまらないと言うのだから、きまらないから、だから、それじゃそういうことをやる場合もあるし、やらない場合もある、こういうことだと思うのです。どうでしょうか。
#43
○国務大臣(愛知揆一君) これは横文字を使って恐縮ですが、ノーコメントということになるわけです。
#44
○岩間正男君 じゃ、これは取っちゃえばいいのです。取っちまわなければいかぬのだ。
 それじゃお聞きしますが、特別の取りきめをした場合、これは安保条約の内容は当然変わる。これはいままで予算委員会で何回もはっきり答弁されたことですが、これは確認してようございますね。
#45
○国務大臣(愛知揆一君) この特別の取りきめということばには……。
#46
○岩間正男君 仮定でいいです。
#47
○国務大臣(愛知揆一君) 仮定ですけれども、非常に何というか、いろいろの場合が予想されると思うのですね。たとえば、いまおあげになりましたように、安保条約を改定するのかと、まあこれは、さあどう申し上げたらいいのでしょうか、仮定の問題ですから、そういう場合もあると思いますし、それから昨日、予算委員会での質疑にもお答えをいたしましたけれども、安保条約は本条約とそれから交換公文と、交換公文も国会の御承認を得ているわけですから、これは一体なものですね。だから仮定の問題ですが、交換公文について特別の取りきめということだって仮定の問題としてはあり得るわけですね。そうやりますという意味じゃございません。いろいろの、何といいますか、形態が仮定の問題としては考えられる。仮定の問題としてはそういうことがあり得るということも言えると思います。
#48
○岩間正男君 まあいま非常にいろいろの場合がありましょう。これは私もこの前、予算委員会で質問したが、安保条約そのものを変える場合、あるいは岸・ハーター交換公文というようなやり方をやる場合、あるいは沖繩返還協定ですね、そういうものの中で安保の内容を変えるような取りきめをやる、あるいは返還協定の付属文書でやる場合、そういうことが考えられる。あるいはまた、この秋に向こうに行ったときに日米共同声明、当然これはその段階で出るでしょう。そのときやはり何らかの形で、たとえば沖繩の基地の機能をそこなわないように、そういう返還だと、こういうふうにうたう。これは安保とは直接関係ありませんけれども、そういう意思表示はいろいろされるわけです。いずれにしろ、それは安保条約が持続される限りは、その安保上での取りきめになるわけですね。それは当然いま承認されたように内容は変わってくる。安保条約の内容は変わってくる。これについても国会にかけるということは、これは従前にもしばしば言明されたわけです。そこで私お聞きしたいのですが、憲法も安保も適用されるという前提で、ここだけが非常に国民に大きく映っているわけです。いま峯山さんも指摘されて、これは十日以後そうなっているのですね、十日以後の予算委員会でいわばちょっとした旋風が起こった。そして、これはいかにも本土並み、このためには憲法も安保も適用される、こういうことが国民の間に入った。ところがその前に書いている、特別の取りきめをしない限りというところ、ここがちょっとあいまいだ。いまの御答弁がはっきり示しているようにあいまいだ。われわれはむろん本土並みということは、これは不賛成で、はっきり無条件即時全面返還以外にないと考えていますが、ただ、国民に与えている影響から考えて、本土並みというなら、当然、私は政府としては特別に取りきめをしないというはっきりした意思表示がこれに伴ってこない限りは、これは国民にまゆつばものだと、こういわれてもしかたがないと思うのですが、この点どうなんですか。この点非常に何といいますか、ことばというやつはあいまいで、国民にすかっとする事実が伝わらないので、大まかなところだけ映るというので、非常にそういう意味じゃ危険だと私は考えます。どうですか。反日共というといかにも共産党と同じだと考えている人もあるように、これは特別の取りきめをしないということが見のがされる。だから本土並みというような考え方に立つなら、当然これは特別の取りきめをしないということを言明しないといけないと思いますが、いかがでしょうか。
#49
○国務大臣(愛知揆一君) 特別の取りきめをしない限りというのは、先ほど申しましたように、いろいろの様相といいますか、態様が、仮定の問題ですけれども含まれているわけでございますね。で、特別の取りきめをしないのだといってしまえば、それは一つの案としてきまりましょうが、特別の取りきめをこうこうこういうかっこでいたしたいと思いますといえば、それで態度が明らかになるわけですが、そこまでのところまだいき切っていない、腹が固まっていない、こういう状況ですから、きわめて誠実に、特別の取りきめをしない限りというのを、いつでもこれはつけて申し上げておる、これが政府の態度でございます。
#50
○岩間正男君 そこのところ、政府はそういう腹でこれはほとんどその点については変わっていない。しかし、白紙という名前で、いろいろな条件は検討しておるということで、憲法とか、あるいは安保を適用するという面を政府はこれは出してきている。二面なんですね。そうして国民の世論というやつは、そうかということで、そっちの方向にこれは巻き込んでいく。これはさっき党内の操作の問題や、選挙向けという問題がありましたが、そういう形では一定の役割りを果たしているのであって、私はここのところはそうじゃいかぬと思うんですよ。ここのところを私はやはり明らかにすることが必要だと思って、このような、いま焦点になっておりますから、この点についてまず政府の態度というのははっきりと、やはりそういう点については徹底をしていないんだと、そういう特別の取りきめをしない限りという、そういう段階にあるのだということを確認しておきたい。
#51
○国務大臣(愛知揆一君) そのとおりなんです。
#52
○岩間正男君 その次にお聞きしたいのは、この前、外務大臣は、事前協議でイエスという場合、この判断の基準は国益に合致するかどうかであるというふうに答弁されましたね。それならば、その国益というものは一体どういうものなのか、これはできるだけ具体的にお示しを願いたい。
#53
○国務大臣(愛知揆一君) まず、事前協議全体の問題ですけれども、事前協議においてはノーという場合もあります、イエスという場合もありますということは、岸内閣以来、歴代の内閣の一貫した態度であることは御承知のとおりでございます。それならば、どのような場合にイエスと言い、ノーと言うかということは、あくまでもわが国の国益の面から政府が自主的に判断してきめることでありますから、こういうことも歴代内閣の一貫して御答弁を申し上げておるわけでございます。
 そこで、いまの御質疑で、沖繩の返還、基地の態様について国益はいかに考えるべきであるかということは、基本的な考え方としては、先ほど申し上げましたように、沖繩の県民の人たちが、日本の本土の国民が、従来、安保条約ができましてから十九年でございますが、この間に享受し得たような、自由であり、安全であり、繁栄する、これと同じような安全と自由と繁栄を享受し得るようにするのにはどうしたならばいいかということが主体的な判断の基礎でなければならない。その主体的の基礎で、まずその事前協議という問題までいく前に、それを論議する前に、どういう姿で沖繩の安全が期し得るかどうかということから判断すべきであって、それについてはこうこういう形態がベストであろうということを私どもは真剣に検討しなきゃならない。その立場に立って、交渉ごとですから、相手方との交渉に強く当たっていかなければならない。どうしてそれが、これも仮定の事実でありますが、だんだん話が煮詰まり、かつわが方の国民的な支持を背景にしての態度について、相手方の合意を得られるようになれば、その姿において今度は何といいますか、法律的というか、条約その他の運用について、こうこうならということを考えるべきじゃないか。私は事前協議をまず取り上げて、それについてどうこう言うよりも前に、その論議よりも前にもっと重大なことは、沖繩県民の人たちに末長く安全で自由を享受し得る、こういう体制をつくってあげるということが、やっぱり国家存立の第一の要件ではないかと、私はこう考えておるわけでございます。そうして、それに対して十分な備えがこういうかっこうならばできるということを判定し、そうしてそれに基づいてアメリカがどういう考えを持っているか、現在のところはわかりませんけれども、それに合意をさせるように交渉を進めるというのが私どもの基本的態度じゃなかろうかと、かように考えているわけでございます。
#54
○岩間正男君 やっぱり私の問いにまともに実は答えておらない。外相の立場でいろいろ解釈されるのはいいんですが、私は国益の問題、それの具体的な内容に、いま沖繩のことに限定されて、沖繩県民の安全と繁栄が招来されるようなやり方をしたいのだということをあなたはお答えになって、それを基礎にして進めたいと言う。私が聞いているのは、これはひとつこの前の答弁、法律的な関係なんですが、事前協議でイエスという場合と、ノーという場合がある。イエスという場合はどういうときですかというのに対して、あなたは予算委員会では、これは国益に合致する、国益によってこれをきめるのだ、つまり、イエスといっても、何でもイエスというわけにはこれはいかないだろうから、そうすれば、当然これを判定するところの基準、いわゆる歯どめがこれは必要になってくる、それが国益だというふうにあなた言われたので、それならその国益とはどういうものですかとお聞きしているのですから、その点についてやはりかみ合うような御答弁をいただきたいと思います。
#55
○国務大臣(愛知揆一君) 従来は沖繩が日本の施政権下になかったわけですが、その状態においては、御承知のように、事前協議については、前々から、いま申し上げましたように、制度的にはノーとも言えるし、イエスとも言える。ところが、実際上の運用はどうであったかといえば、これはそういう事前協議にかかるようなことをアメリカ側から提案したことは全然なかった。それから、岸・ハーター共同声明等においても補強されているとおり、日本の欲せざるようなことについては事前協議にかけても日本は断わるのだからそういうことはいたしませんという趣旨が共同声明でも補強されていることは、御承知のとおりでございます。そういう意味合いにおきまして、一応観念的には、沖繩という問題を別にして、観念的に考えていただければ、従来の日米間の安保体制をめぐる事前協議の問題については、一つの定着した私は運用の状態というものが展開されている、現実の問題でイエスと言ったことはないわけでございますね。そういうことも、私どもとしては十分お互いに考えていかなければならないと思います。
#56
○岩間正男君 そうすると、国益というのは、ばく然とした、まだ抽象的な概念の域を出ないということになりますか。どうもそれでは、私はやはり、重大な安保論議の場合、ぐあい悪いと思う。イエスという問題は、非常にこれは大きな問題です。これはもう、先ほど申しましたように、特別の取りきめの中の重要な問題でしょう。事前協議どうするかということになれば、その場合、その事前協議がノーかイエスかと、イエスの場合についてこれは聞いているわけです。それについて、どうもいままでイエスと言ったことがない、したがって、国益ということは一応言っているけれども、これについてははっきりした概念がないというような答弁では、これは非常にこの論議は固まらないと私は思う。私は非常に心配しているのは、結局は国益だということになると、これは当時の政権をになっている政府がこれは判断するわけでしょう。そうすると、政府の判断にゆだねられるということになるわけだ、国益ということは。私は、そういうような形で、非常に抽象的なことばで、どうもぐあいが悪いのじゃないか。政府の判断一つでこれが、その国益の問題がイエスになる、こういう事態がこれは起こるのですから、この点についてやはり当然、沖繩返還、安保を論議するときには、私は明確にするのはわれわれの任務だというふうに考えているわけです。ですから、どうなんでしょうか、もう一度お聞きします。国益というのはどういうものですか。
#57
○国務大臣(愛知揆一君) 国益というのは、安保体制によって、いわゆる抑止力にたよっていく安保条約を前提にして、安保条約の円滑な運用をはかるということが、日本の安全保障ということからいって国益である、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
#58
○岩間正男君 それでは、いまの御答弁ですと、安保条約を持っている、安保条約そのものの目的は、これは国益になっていると、こういう御判断ですね。
#59
○国務大臣(愛知揆一君) そのとおりでございます。
#60
○岩間正男君 さらにお聞きしますが、総理は、この前、安保の目的以上についてはノーだという答弁をされているわけですね。そこで、米軍が安保条約の目的内で日本を基地として行動を起こす、こういう場合は、これは極東の範囲内でございますが、これはイエスだと、こういうことになりましょうか、いかがでしょうか。
#61
○国務大臣(愛知揆一君) 安保以上の問題というようなことは、これは質疑応答ですから、その質疑の内容の文脈等をたどり、それから答弁の内容の文脈をたどっていかないと、正確なことは出てまいりませんし、私も安保以上というのはどういうことを意味するのかよくわかりませんが、かりに一部の方が言われるように、アメリカ帝国主義は世界制覇の戦略構想を持っている、その一環に日本国民をかり立てる、こういう目的のために日本を活用しようと、一部の方はそういう意見を持っておられるようですね。しかし、そういう意味の安保条約以上のことで日本の基地を云々する、あるいは日本の人民をかり立てるというような意味は、もしそういうこととも含めてのお尋ねなら、これは安保条約の範囲外ですから、何ともお答えのしようはございません。安保条約下における事前協議その他の問題を論ずるにあたっては、それは全然別の範疇の問題ではないかと思います。安保条約の範囲外でございます。
#62
○岩間正男君 私のお聞きしているのにお答えにならぬと思うのですが、私は、目的以上に――いまあなたが解釈されたような目的もあるでしょうが、そういう場合にはノーだというのだ、しかしこれは裏返せば、安保の目的によって、そうして日本を基地として行動する場合には、これはイエスということになるのかどうか、こうお聞きしているのですよ。
#63
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一に、ノーとかイエスとかいうことを前提のお尋ねならば、それは安保条約の範囲外の問題については、これはちょっと論ずべきでないので、安保条約のワクの中からいうノーとかイエスとは範疇は別の問題だと思いますが、そういう意味で、もっと大きな意味でのノーということが私は言えるのじゃないかと思います。
 それからその次は、安保条約のワクの中でのイエス、ノーの問題については、先ほども申しましたように、歴代の内閣が言っておりますように、安保体制下における事前協議という制度は、制度としては、イエスということもあるし、ノーということもある、制度としてはそういうことになっておる、それをわれわれは承認しているわけだ。それは、交換公文にその基礎があり、さらに安保条約第六条にその基礎があるわけでございます。しかし、いわゆる歯どめ論ということや、日本国民の戦争に対するユニークな考え方なり、平和憲法の趣旨に沿うて、できるだけ事前協議というものに歯どめ的な役割りを持たせたいというのが日本側の体制であり、その趣旨は、先ほど申しましたように、岸・ハーター共同声明によっても補強されているし、それから、よくおしかりを受けておるのですが、交換公文には、重要な装備の変更、重要な配備の変更、これだけでは不明確ではないか、歯どめ論からいって。そこで、調印当時におきましても、合同で、相方が重要なというのはかくかくのことを意味するということで、両国代表間に了解ができておって、その了解は日本の最高の国権であるところの国会に印刷をして御配付をしておるというのは、従来からよく御承知のとおりでございます。そういうことで運営しておりますから、またそういう必要も幸いにして起こらなかった、これはやはり抑止力のメリットだと私は思いますけれども、事前協議は、日本の大体欲せざるようなことが起こらなかった、事前協議にかかってこなかった、こういうことが先ほども申し上げましたような従来からのずっと定着した考え方だと、こういうことを申し上げておるわけでございます。
#64
○岩間正男君 私は、国益ということばが出されてきているので、今度の論議でやはり一つの新たなものが加わってきたように思うのですが、いままでの解釈よりも国益という何か抽象的なわからないようなものが入ってくる。ところが、先ほど外務大臣は、安保の目的、安保条約そのものは、これは国益に合致するということを言われたわけですね。ところが、事前協議の場合、イエスというのは国益によってきめる、こういうことになれば、これは推理していけば、安保条約の行動全部が国益に合致するということになっておるのですから、そうなれば、全部安保での目的、安保の目的に従って日本の基地を使う、それからいろいろな行動を起こすということは、国益に全部合致するからイエスという、こういう危険さえ出てくるのじゃないかと、こう思うのです。あなたは歯どめの問題を出されたわけですが、そうすると、国益といっても、これは安保の目的の中にはいまのようなことを取りきめておるということになると、国益に反することもあり得ると、そういうことになるわけですか。ノーということは、国益に反するからノーということになるんだから。そうすると、安保の目的で動いたんだが、米軍はそういう形で事前協議にいったんだけれども、しかし日本政府は了承できないという事態が起これば、安保の目的として行動したとしても、これは国益に反する場合もあり得る、したがってノーという発動があるのだ、こう考えてよろしゅうございますか。
#65
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一に、私は国益ということは、日本の安全と平和が末長く維持できるようにということが一番の国益であると、かように考えております。これをもう少し具体的に言えば、いかなるところからも脅威を受けない、日本を対象にして戦争というものが起こらないようにこれを未然に防遏すると、こういうことが国益の具体的内容である。そういう目的に沿うために日米安保条約はできておる。ですから、日米安保条約は国益に合致するものである。ですから、狭く解釈すれば、日米安保体制の中における事前協議というものは、安保条約の目的とするところが達成できるように考えればよろしい。そこで、今度は、その安保条約の体制下においても事前協議というものがあるということは、協議なんですから、運用についてはアメリカと日本の意思が合致しなければならないんです。ところが、その場合には、日本もアメリカも意見の違うということもあり得るということが前提になっているからこそ、事前協議という制度ができたわけです。これが日本からいえば歯どめなんです。その歯どめの役をどういう場合に活用したらいいか、あるいは歯どめは要らないんでイエスという場合はどうかというようなことについては、日本の主体的な判断で、安保条約の目的が日本のために達成し得るような条件においてはこれは考えなければなるまいということだろうと思います。しかし、実績上においてもそういうことが起こらなかったということなんですから、さっき申しましたように、安保条約というものは、一部の方は根本から御反対だけれども、私はこの考え方はもう定着したものだ、かように思っております。
#66
○岩間正男君 どうもそこのところ、はっきり私の質問に答えられていないと思うんです。事前協議の中にノーと言う場合があるということをはっきり言っておられるんですが、ノーと言うことがあるというのは、政府の言い分によれば、国益に合致しない面――安保の目的で行動されたんだが、国益に合致しない面もあるということを想定しなければ、これはノーという条項は要らぬ。全部が安保条約によってこれは国益が達成されると、そういうことだったら、ノーの条項はこれは要らなかったはずだ。ノーという条項があなたたちあると言っているから、そこで聞いているんですが、この国益というのは非常にあいまいなんだ、非常に危険ですよ。これ何ぼでも移動するし、時の政府の判断でどんどん変わる。こういう概念を入れてきて、そうしてこの安保条約の実質的な内容が変わるような、そういう事態では、これは非常にまずいと思うから、私は特にこれを念を押しておるわけです。だから、どうも答弁が明確になっておりませんけれども、あなた自身の中にもこれはやはり問題の把握とこれの解明がちょっと不明瞭なところがあると思う。国益という概念というやつは非常にくせ者だ、この点を指摘しておきたいと思います。
 次にお聞きしますが、保利官房長官は、三月十五日の記者会見でこういうことを言っていますね。極東の範囲以外はノーということになるのではないかと思うと、こういうことを言っていられるわけですね。極東の範囲以外に対する行動については、これははっきりそのようなことを外相も認められますか。
#67
○国務大臣(愛知揆一君) それは正確にどういう応答があったのか私も知りませんけれども、内閣は一体で行動しております。そういう点から申しまして、考え方が変わるはずはございません。同時に、極東――いわゆる極東条項等についての考え方は、これもまたかねがね政府の統一見解として、もう書面においてもごらんいただいておるとおりでございまして、それを逸脱する解釈というものは考えておりません。
#68
○岩間正男君 ここのところ、極東の範囲についての論議をここでやりだしたらたいへんですけれども、ベトナムの問題ですね、国民の間に極東の範囲の問題が、結局極東の安全のためだということで、その周辺地区もということで、どんどんどんどん伸びていく、ここが問題になっているから、非常にわれわれも問題にするわけですが、しかし、保利官房長官のおことばでは、極東の範囲内というわけですから、政府の統一見解があるわけです。それ以外の場合については、これはノーだ。それ以内については、これはイエスという場合が非常に多い。先ほどからの考え方からいえば、国益に合致する安保条約だということでございますから、安保の目的以内では、これはイエスということになる、こういう推論をしてもいいわけだと思うんですが、いかがですか。
#69
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申し上げましたように、安保条約の体制ということについては、私はもう国益の最大なる要件であると思います。しかし、その具体的な問題については、両方に意見の違いということもあり得るからこそ事前協議という制度ができているわけですね。ですから、事前協議を受けた場合に、日本の理解する安保条約体制の中で、日本が主体的に判断して、これにノーと言うべきであるというときにはノーと言うんでありますということが、私は定着した考え方である、かように考えるわけで、それなら国益に安保条約は反する面があるかどうかなどとおっしゃることは、少し論理の飛躍があるのではなかろうかと、私はあえて率直に申し上げるわけでございます。
#70
○岩間正男君 いや、あなたが予算委員会で、つまりイエス、ノーの基準は何だ、これに対して、国益だ、こう答えられているんですからね。だから、これを私たちは新たな問題として確認する必要がある。そうすると、イエスというのは、国益に合致する場合にはイエスと言うんでしょう。それから国益に反する場合はノーと言うんでしょう。そうじゃないですか、そう考えるのが普通だと思いますけれどもね。そうすれば、ノーという条項がある限りは、安保条約の目的で行動しながらも、しかしそれは国益に反する場合があり得るんだということなしにこれはノーという条項は存在しない。当然でしょう、私の言っていることにどこか無理がありますか。
#71
○国務大臣(愛知揆一君) まあ、あなたと私の応答を冷静な第三者が聞かれたらば、どういうふうに判断をなさるか私わかりませんけれども、私はあなたのおっしゃることがどうも理解できない。結局、これはあれじゃないんでしょうかね、基本的なものの考え方が根本で違うということからじゃないかと思います。
 それから、事前協議につきましては、先ほどから申しておりますような、ノーという場合もありイエスという場合もあるということは、岸内閣以来歴代の内閣の一貫した態度である。だから何も、おまえが国益ということばを発明したかのように言われるのは、私は困るんで、これは歴代の自由民主党内閣の一貫した態度なんであります。その点がまず一つ。
 それから、国益に合致するからこそ、私どもは安保条約を結び、かつ事前協議制度というものも設定したわけです。何事でも、大きなフレームにおいては完全に意思が合致しているけれども、具体的な問題については、何といいますか、運用ということになりましょうか、そういうことについては意見の違いもあり得る。それですから事前協議なんです。あなたの御意見をあれすれば、おまえが言うように国益ということなら事前協議なんか要らないじゃないか、これはいわゆる旧安保体制ですね、それでは日本の主体性というものがないから、これを変えようじゃないかということは、おそらく当時共産党も含めて非常にそういう御議論をなさったから、それにこたえ、世論にこたえて、事前協議という制度もつくったわけですね、内乱条項ということもやめたわけですね、アメリカは日本を守る義務があるという趣旨が盛られたわけですね。そうして、それに対して日本が基地を提供する、これは双務関係になったわけですね。こういう環境をお考えになりましても、いまの国益論というものはしかしどうでしょうか、論理の飛躍があるのではありませんでしょうか。結局私は基本は返って、私どもは、国益とは何ぞやという、もう少し幅広く言えば、一つは、安保体制は独立と自由と安全を守ることであるし、それから国益の一番基本は、自由主義、民主主義の上に議会制民主主義を擁護していくのだ、私は革命的なことを考えたくない、これが私の国益論でございます。
#72
○岩間正男君 これは判断してもらいたいのですが、どっちが論理の飛躍があっておかしいことを言っておるか明らかだと思うので、あなたはぐあいが悪くなると、基本的なものの考え方が違うとか、共産党の安保に対する態度云々ということを言われましたが、これは非常にそういう議論やっちゃまずい、そんなことここで議論しておるわけじゃない。
 それから、何も安保事前協議そのものを、あなたは何でもイエスでないか、そんなことない、それは共産党が言ったというが、何かおかしい言い方です。当然いま現実的な問題として出されておるわけです、事前協議の問題が。そしておそらく取りきめの実態は、これは事前協議というものは、実際的には大きなウエートを占める課題なんです。それについてイエスとノーがある。そこでイエスの場合についてはどうだということが、いま予算委員会で追及されたら、あなたはそのときは国益によってきめるのだ。そうすると、国益について、結局安保条約は国益に合致するということは認められる、そういうことになると、イエスが発動することは非常に多いのじゃないか。しかしノーもあるということでございますから、ノーもあるということは、ノーの場合は国益に合わない、こういうことがあり得るのですね、こう聞いておるのですから、何もおかしいことはないので、それをあまりこんがらがって、そして変な発言をされてはまずいと思います。だから私はそういう点で心配しておるのは、これは国益の判断というのは、たとえばエンタープライズの入港一つ見たって、これは事前協議にかからなかったのだけれども、これはどうなんですか、原潜の入港はどうなのか、あるいは緊急事態の場合には、これは入ることをイエスを与えるかもしれないといった、ポラリス潜水艦の場合はどうなるのか、核持ち込みの問題だってこれは新たに起こってくる。この国益の判断というのは、あなたたちの時の政府の判断によるわけですね。そういうふうになったら、これは非常に私は重大な問題だから、この国益というのは非常にに危険な概念だ。どうでもこれは使い得る。その当時の情勢の変化によっては移動する。こういう点を質問の中で明確にしておかなければならぬと思うのです。そうでしょう。この点はいろいろに答弁されておりますけれども、私の言う点は、これははっきりしておると思います。
 もう一つお聞きしたいのですが、韓国、台湾で問題が起きた場合に、結局こういう場合には、いまの現状からいうと、国益という上から考えてもイエスと言わざるを得ない、こういうふうに考えられるのですが、これはいかがでしょう。
#73
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一に、私は、何をいかなる角度から誠実にお答えしても、結局あなたは満足されないのです。
#74
○岩間正男君 いやそんなことはないです。
#75
○国務大臣(愛知揆一君) そうですよ。それは基本的に違う。だからさっき申しましたように、これは公正な判断を国民に求めるよりほかにしかたがない。さりとていま解散するというわけではございません。ございませんが、これは公正な国何が判断することでございます。私はどうしてもあなたのおっしゃる論理構成がわからない、国益論ということは。
 それから事前協議という問題については、私はいつもよく言うことですが、いまエンタープライズとか、原潜とか言われたけれども、これは事前協議にならないのです、いまの一連のあれからすれば。しかし原潜の入港などにつきましては、日米間におきましては、日本の政府の立場において、日本の国民の人たちにできるだけこれは安心をしてもらう必要があるというので、長い間かかって、あれは昭和三十九年のできごとであったけれども、日本としてなすべき最高の手段をとりまして、そうしてエード・メモアールの交換ということまでやりまして、十分の手配をして入港、寄港を認めたわけです。こういう点からお考えになりましても、安保条約というものの趣旨、精神から申しましても、法律的な事前協議というものをこえて、日本政府といたしましてできる限りのことをやっておるということもひとつ御記憶にとどめていただきたいと思います。
 それから、韓国、台湾のお話が出ましたが、これは安保条約上、先ほどこの議論をすれば長くなるというお話、まさにそのとおりでございましょうが、これはやっぱり極東地域の問題と相関連しているわけですが、それはそれとしまして、やはり本土内の基地から出撃行動を、米軍が作戦戦闘行動を発進するという場合におきましては、これは事前協議の対象になるわけですから、事前協議に対してノーというかイエスというかということは、まさにこの点は岩間さんの御判断のように、日本の自主的な判断による。自主的な判断はだれがするか、時の政府がする。これは安保条約に基づいて、私はその条約が両国間で批准されておる、そうして国会の御承認を得ているということから基づいてくるところの政府の判断にこれはゆだねられているものである、かように考えます。
#76
○委員長(八田一朗君) 岩間君、時間が少し……。
#77
○岩間正男君 時間がないようですから、最後に、これは昨年八月二十一日の官報に掲載されているのですが、「日米安全保障条約について」という外務省の文書が出ております。これによると、「わが国と一衣帯水の朝鮮半島の動向を対岸の火災視することは、日本の安全を確保する見地からは、非現実的な見方と断ぜざるを得ない。」「このためにも米軍の基地を維持することが不可欠といえよう。」こういうふうにこれはいっている。こういうような資料から考えて、外務省の意向というものは明らかだと思う。こういう点から、韓国、台湾で問題が起きた場合には、どうしてもこれは安保の発動、そうして、それに対して事前協議がかけられてもイエスと言う、言わざるを得ない。そういう点が非常に大きく出てきているというふうに思うわけです。こういう点で、今度の沖繩の返還、安保の問題で非常に論議されている問題の一端に触れたわけでありますけれども、非常に外相の答弁納得できないところが多いのです。ことにあなたは、事前協議にいままで原潜がかからないとか、エンタープライズはかからないとか、そういうことを言ってきましたが、国民はそれを了承していないのですよ。あれは事前協議の対象となるはずだ。ただ向こうから提案しない。提案しないし、それから実際は、核をはずしてくるとかなんとかいうことで、これは立ち入り検査権もないですから、向こうの言いなりになっている。そういう形でもって、実際は事前協議の条項というものはいまだかつて一回も使われたことはない。使うべき場合というのが非常にあったのです。そうでしょう。そういうことは先ほども答弁がありましたけれども、そういう事態で、国民がいま何を要求し、そうして最近の動勢、ことにベトナム戦争をめぐっての情勢の中で、何を一体要求したかということを明らかにすれば明白ですよね。だからそういう点で、国益の論議というものは今後も時間をかけて論議しなければならないが、非常にあいまいだ。そうして沖繩返還交渉を前にして重大な問題だということを私は最後に指摘して、私の質問を終わります。
#78
○北村暢君 いまの事前協議の問題についての論争は、私は避けますけれども、事前協議の対象になる部隊の配置の問題、これは従来も陸上部隊であれば一個師団、海上の場合は一機動隊、航空の場合は一個師団以上のものは事前協議の対象になるということはっきりしているわけですね。
 ところが装備の重要な変更というものについては、核兵器というものが一つあるのです。そのほかに、いわゆる誘導弾的なものというような、ある程度の説明はなされておりますけれども、装備の重要な変更というのは、一体事前協議の対象になるのはどの程度はっきりしているのか、これを一つ。
 それからまあ一個師団であっても、一機動部隊、航空母艦五隻以上というのですけれども、そういうものが一つの横須賀なら横須賀、あるいは佐世保なら佐世保を母港として部隊の配置になった場合には、事前協議の対象になるけれども、一時寄港をするというときには事前協議の対象にならない、こういうふうに言っておりますが、しからば装備が――核兵器を持っておって、原子力潜水艦が入ってきているわけですけれども、推進力は原子力であるけれども、核兵器は積んでいない。原子力潜水艦であるけれども、装備していない。だから一時寄港の場合でも、補給、休養等で入ってくる、これは事前協議の対象にならない、こう言っているのですが、核兵器を積んでおるポラリスなら一番はっきりしているわけですから、ポラリスは断わると言っておりますが、ポラリスでなしに、他の原子力潜水艦で、核兵器を装備しているものは、寄港する場合も事前協議の対象になるのかどうかということですね。この点をひとつお伺いをしておきたい。
 それから戦闘作戦行動の場合、この場合も、どういう場合が事前協議の対象になるかということは従来の論議ではっきりしております。そこでイエスかノーかの問題が出てくるわけなんですけれども、これは論議いたしません。いたしませんが、いまの装備の問題と、それからいま申しました原子力核兵器を積んでいる場合、寄港はどうなるのか。母港として配置でなくて寄港する場合、事前協議の対象になるかどうか。この点を二点だけはっきりお答え願いたいと思います。
#79
○国務大臣(愛知揆一君) 一つの核の問題は、いま仰せになりましたように、事前協議の運営についての両国の了解がございますが、核弾頭ということばを使っておりますが、これは一般の艦船が寄港する場合と違って、そこで押えますから、核を装備しているものは、寄港の場合でももちろん事前協議の対象になります。それから単なる寄港は、核を搭載していないということならば、寄港ということは事前協議の対象にならない。これは仰せのとおりでございます。
 もう一つ、何でしたでしょうか。
#80
○北村暢君 装備は事前協議の対象になるというのは、核弾頭をつけたものか、それだけですか。それ以外にあるのですか。
#81
○国務大臣(愛知揆一君) それだけじゃございませんで、了解によりますと、装備における重要な変更というのは、核弾頭及び中距離ミサイルの持ち込み、並びにそれらの基地の建設、こういうふうになっております。
#82
○北村暢君 それじゃ、この論争は岩間君がだいぶやりましたから、私はもうやりません。いつかの機会にまたやらしていただきましょう。
 そこで、法案の具体的な内容について若干質問いたします。きのうは、この前は儀典長に関連する問題を聞きましたが、今度の設置法の改正の中で南イエメン、モーリシアスの大使館が新設されるわけでありますが、その国々の政治状態、経済状態、それからアラスカを含めて、それからもう一つザンビアに実館を新設するということが、これは法律ではございませんが今度うたわれているようであります。このザンビアの問題は、南ローデシアとの問題と関連をして、だいぶこれは新聞でも報道されている問題ですが、この実館を持つに至った理由、それから最近における南ローデシア問題を中心とする政治、経済の情勢等について、まずお伺いいたしたいと思います。
#83
○国務大臣(愛知揆一君) こまかいことは政府委員から詳細に説明いたしますが、まず南イエメンの国情とでも申しますか、これを簡単に申しますと、御承知のようにかっての英領アデンを中心としたアラビア半島の南の端の国でございます。昭和四十二年の十一月に独立いたしまして、国情としては、彼らの言っておることをそのまま申し上げますと、非マルキスト社会主義を唱える民族解放戦線の一党独裁の政治が現に行なわれているようでございます。それから国際的には非同盟政策を標榜いたしております。国民のほとんど全部がアラブ人で、人口約百五十万、主として農業に従事しております。わが国との関係は、貿易面では輸出が大体二千五百万ドル、輸入が千万ドルというほかに、本邦の水産会社との合弁会社の設立の動きもありますし、アデン港には従来から本邦の船舶がたくさん寄港しておる。そういうような国情であり、日本との関係は概略申し上げますとそのとおりでございます。
 それからモーリシアスは、マダガスカルの東方約八百キロのインド洋上にある島国でございますことは御承知のとおりでございまして、ごく最近、昨年のいまごろ三月十二日に独立いたしましたが、英国の女王を元首としておって、英連邦の一員ということでございます。国連には昨年の四月加盟が認められております。原住民というのはありませんで、インド人、それから黒白混血のクレオール人、中国人、白人が住みついておるようでございます。一人当たりの国民所得はまだ二百ドルという程度ですが、アフリカとしては非常に多いほうでございます。一次産品、特に砂糖に依存した経済でありますけれども、こうした不安定な状況を克服するための産業の多角化政策、それから気候がよく風光明媚なので、観光事業が相当に発展しているようであります。
 わが国との関係では、一九六三年以来、海外漁業会社がモーリシアスの首都にマグロ漁業の基地を開設いたしております。これは三大マグロ漁業基地の一つでございまして、わが国の漁業関係者の出入りが相当多いところでございます。貿易額はまだわずかでございますけれども、そういう関係で、わが国との関係はかなり深い。将来も発展が予想されておる。
 それからアラスカ州は、これはもう御承知のとおりでございますが、わが国にとりましては森林資源、これはまあ非常な資源としてすでにアラスカ・パルプ会社も相当の業績をあげております。そのほか石油、鉄鉱石などの長期の資源の安定供給源を確保したいということから、わが国の各界で高く評価されておるわけでございまして、対日関係も、地理的にも比較的近いし、また、すでに昭和四十年の一月には東京にアラスカ州の東京事務所を開設しておりまして、アラスカ州と日本との関係というものは、多くを申し上げませんが、非常に深い関係に最近ありますし、今後発展もいたします。また、先方からも在外公館の設置ということはかねがね強く要望されておるところでございます。
 ザンビアの実館設置の問題、これはローデシアとは関係ない状況にございます。
 以上、ごく簡単にお答えいたしましたが、詳細は政府委員から答弁いたします。
#84
○政府委員(齋藤鎭男君) 御質問のうちのザンビア大使館の設置でございますが、これは先生御指摘のとおりで、前から法律には入っておりましたけれども、実際に設置する必要上、その土地の環境がはたして大使館の設置に適当かどうかということを考慮してまいりましたが、最近はわが国の企業進出が非常に活発になりまして、存留邦人も二十八名、約三十名近くになりました。合弁会社も火災保険会社あるいは肥料工場等の設置がございますし、先生が御承知のとおりに、銅の生産の非常に盛んなところでございますので、その銅を見返りにわが国からも輸出が行なわれているということで、小さくてもいいからひとつ大使館をこの際設置しようということに踏み切ったわけでございます。この国の政党は、御承知のように、統一国民独立党と申しまして、南ローデシアとは違いまして黒人の国でございます。野党もやはり黒人でございまして、御心配のような、いわゆる白人と黒人の関係というものはこの国においてはございません。そういう意味で、御心配の南ローデシアとの関係でございますけれども、南ローデシアは、英国のウイルソン首相と現地のスミス首相との間でしばしば交渉が行なわれましたけれども、合意ができませんので、ついに南ローデシアは英連邦から離れて現在関係は非常に緊迫しているわけでございます。これに対して国連が経済制裁をやるということで、わが国もこれに協力をいたしまして、総領事館を南ローデシアから引いております。そういう関係で、まあいわば南ローデシアは孤立しておりますけれども、いわゆる昔の北ローデシアであるところのザンビアとの関係はますます深くなっているというのが現状でございます。
#85
○北村暢君 ザンビアは港もない国でしょう。それで、ローデシアを通らないと銅の輸送もできないのじゃないですか。そういう意味でローデシアの紛争というものがザンビアに影響しているのじゃないか。今後そういうことが貿易等に影響しないのかどうか、そういうことを聞きたかったのです。
#86
○政府委員(齋藤鎭男君) その点、われわれも非常に心配いたしまして確認しておりますが、まあ、わが国と南アとの関係は依然として継続しておりまして、そういう関係でも、南アに対して政治的にはこれを非難しておりますけれども、経済的には関係を続けておるということで、わが国とザンビアとの関係に関する限りは、経済関係においては南ローデシアないしは南アとの間は問題は起こらないというように確信しております。
#87
○北村暢君 次にお伺いしたいのは、一般のことになるのですが、外務省の組織令が改正を行なっているようですが、その内容を簡単に説明願いたいのと、それから、これは臨調の答申でも触れているのですが、経済外交を強化する意味においての外交機能の強化という面が取り上げられているのですが、どういうような配慮をなされているのかということ。
 それからもう一つは、今度外務省の情報支化局の報道機関との協力を通じて広報活動が非常に充実されるということで、四十四年度予算においても相当重点が置かれているようなんですが、これの予算がこういうふうにふえてきているのは一体どういう理由なのか。この点をお伺いしておきたいと思います。
#88
○国務大臣(愛知揆一君) あとで政府委員からも補足していただきたいと思いますけれども、まず外務省の機構改革の問題でございますが、これは二月からすでに実施いたしております。それで、まだ考えたことを一〇〇%には行ない得ておりませんけれども、やはり経済外交という点から申しまして、関係各省がそれぞれ経済関係の仕事をいろいろやっておりますが、外務省には外務省らしい協力のしかたがあるはずであるし、そういう方向に持っていきたいというのが基本的な気持ちでございます。たとえば二国間の経済関係の事務というようなものは地域担当の局にこれをやらせる。まあ、たとえばA国ならA国と日本との関係ということならば、これはそのAがまあイギリスとすれば、イギリスの政治関係等を担当するいわゆる地域局の欧亜局でこれを所掌することが、これは非常に外務省的な機能の発揮ということからいって望ましいことである。そして地域局が総合的かつ統一的に当該国なり地域に関する情勢判断と政策の企画を統一的、総合的に行なう。こういうことが適当だと思いますので、経済局が従来行なってきておりました二国間関係事務の移管ということをやったのが一つでございます。経済協力局が行なってきました二国間関係事務の移管につきましても、その一部をそういうふうに改編をいたしたわけでございます。それから、経済問題についての企画調整機能と申しますか、経済政策全般としても企画調整機能が非常に必要であると思いますので、そういう点を集中的に経済局と経済協力局を整備充実することにしたわけでございまして、これはいわば機能の面を重視した機構の改革、こういうことで二月から実施をいたしておりますが、ただ、まあ、こまかいことを申し上げますと、たとえばいまアメリカ局のごときは政務関係の仕事で一ぱいでございますから、こういう点が一段落いたしましたら、アメリカ局におきましても、日本とアメリカとの二国間の経済関係の仕事は将来アメリカ局のほうに移管をすると、こういうことでやってまいりたい、これが一つの考え方でございます。
 それから、その次は情報関係の問題でございますが、これは従来からもやっておりましたことを、今回の予算で多少ふやしてもらうことに相なりましたが、これは日本の国情といいますか、いろいろの点を対外的に啓発、広報活動をするということ、それから、外国の情報等を日本の国内にも的確に客観的に啓発といいますか、することが、これほど外国との交流が盛んになり、また政治問題だけではなくて、経済問題でも、文化的にも、いろいろ国民的な関心が非常に高まっておるときでございますから、正確なそういう情報活動をやる必要があると、かように考えたわけでございます。それから、重要な外交問題等に対するラジオやテレビ等によるところの啓発というようなこともあわせて考えてみたい、こういうふうなことが主たる内容になっておるわけでございます。
#89
○北村暢君 それから最後に、時間も来たようですから、一つだけお伺いしておきますが、今度の外務省の定員ですがね、減員と増とで約十名ちょっとですかね、減員になっているようですが、この減の分が一体どういうところが主体なのか。それから、在外職員のほうは増員が行なわれているのですが、これはどういうところでふやそうというのか、この点を明らかにしていただきたい。で、外務省というのは、定員全体について、将来政府のとっております五%人員削減の問題と関連してどういう見通しを持っているのか、この点を最後にお伺いいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
#90
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまも御指摘がございましたが、一律五%削減というのが、外務省のように世帯が比較的小さくて、しかも、在外公館の増設などが国際的にも要求されておる時期におきましては、非常に率直に申しまして、頭の痛い点でございます。これを適用いたしますと、今後三年間にさらに百二十三名の定員を削減しなければならぬので、これをどういうふうに処理するかということで実は非常に頭を悩ましておるわけであります。今年度の場合におきましても、増設の在外公館は、これは行管その他でもきん然と認めてくれたわけですが、それに伴う増員等合わせて増設分についての定員増が九名ほかを入れてです。それから、新設公館について増員七名それから既設の公館に対する増員十八名というところで、どうも四十四年度の在外公館定員増は満足ではもちろんございませんが、これでいわば手を打ったというわけでございますが、いま申しましたように、向こう三年間に百二十三名の定員削減、これにどういうふうに協力できるかどうか、現在頭を悩ましておる問題であることを申し上げたいと思います。
#91
○委員長(八田一朗君) ほかに御質疑はございませんか。――別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
 御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○委員長(八田一朗君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決を行ないます。
 外務省設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#93
○委員長(八田一朗君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#94
○委員長(八田一朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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