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#1
第061回国会 内閣委員会 第22号
昭和四十四年六月十九日(木曜日)
   午前十時五十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十八日
    辞任         補欠選任
     村田 秀三君     松本 英一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         八田 一朗君
    理 事
                石原幹市郎君
                柴田  栄君
                北村  暢君
                山崎  昇君
    委 員
                源田  実君
                佐藤  隆君
                玉置 猛夫君
                長屋  茂君
                山崎 竜男君
                山本茂一郎君
                林  虎雄君
                前川  旦君
                松本 英一君
                中尾 辰義君
                片山 武夫君
                岩間 正男君
   国務大臣
       内閣総理大臣   佐藤 榮作君
       法 務 大 臣  西郷吉之助君
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
       文 部 大 臣  坂田 道太君
       労 働 大 臣  原 健三郎君
       自 治 大 臣  野田 武夫君
       国 務 大 臣  床次 徳二君
   政府委員
       総理府総務副長
       官        鯨岡 兵輔君
       法務大臣官房長  辻 辰三郎君
       法務大臣官房会
       計課長      安原 美穂君
       法務省民事局長  新谷 正夫君
       法務省矯正局長  勝尾 鐐三君
       法務省入国管理
       局長       中川  進君
       労働省職業安定
       局長       住  榮作君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        相原 桂次君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○同和対策事業特別措置法案(内閣提出、衆議院
 送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(八田一朗君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十八日、村田秀三君が辞任され、その補欠として松本英一君が選任せられました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(八田一朗君) 法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本法律案は、衆議院において修正議決されておりますので、その修正部分の説明を聴取いたします。西郷法務大臣。
#4
○国務大臣(西郷吉之助君) ただいま議題となりました法務省設置法の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正の内容といたしましては、本改正案中、中央矯正研修所及び地方矯正研究所を統合して、矯正研修所とする改正部分並びに宮城県塩釜市ほか四ヵ所に入国管理事務所の出張所を設置する改正部分につきましては、昭和四十四年四月一日から施行することとなっていたのでございますが、すでにその日が経過しておりますので、これを公布の日から施行することに改められたものであります。
 よろしく御審議をお願いいたします。
#5
○委員長(八田一朗君) それでは、質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#6
○山崎昇君 政府から提案のありました法務省の設置法の一部改正案に関連をして二、三お聞きをしたいと思うんです。
 第一にお聞きをしたいのは、今回の提案説明を見ますというと、本省の付属機関である中央矯正研修所と地方矯正研修所を統合して一つの矯正研修所をつくる。しかし、従来ありました地方の矯正研修所についてはその支所として省令でこれを置くことにする、こういう内容になっているわけであります。そこで、ずっと説明を見ますというと、何か機構が簡素化されて、たいへんぐあいのいいようになるんだというような説明でありますが、私ども調べてみるというと、単に名称が統一されて中央に大きいのが一つできる。地方にあるのは支所としてそのまま残すんだ。どこにも簡素化されたことにはならないんじゃないか、何にも従来と変わりはないんではないか、こういう気がするんですが、一体これが簡素化になったというならば、どういう点が簡素化になって、どういう点が能率的になるのか、その点をまず大臣からお聞きをしたいと思います。
#7
○政府委員(辻辰三郎君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のとおり、中央矯正研修所と地方矯正研修所とを統合いたしまして矯正研修所とし、地方研修所にある部分は矯正研修所の支所とするということでございますので、それ自体といたしましては、簡素化という点につきましては、形式的には簡素化の結果にはならないわけでございますけれども、この本案のねらいといたしますところは、矯正職員の研修の合理化と能率化をはかる点でございます。現在は中央矯正研修所におきまして、主として矯正の幹部職員となる者につきましての研修を実施いたしており、地方研修所におきましては初任者研修を主として行なっておるわけでございますが、現在はこの中央矯正研修所と地方矯正研修所が、御案内のとおり別個の組織となっておりますために、その間の統一というものが、統一性と申しますか、中央と地方の研修の統一化という点において若干欠くるところがあるわけでございます。これをまず新たな矯正研修所の指揮のもとにおきまして、支所における初任者の研修をも一体化して、幹部職員の研修と一体化して行なっていきたいという点がこの第一のねらいでございます。
 第二のねらいは、現在八つの地方研修所におきまして、それぞれ当該地区の初任者研修その他を行なっておるわけでございますが、この研修の地域格差がございます。これはそれぞれの地方の特殊性もございまして、全般的に統一したことは無理な面もございますけれども、やはりこれを中央の機関におきまして統一いたしまして、地方の実情に応じながらも、地方研修の格差をなくしていきたいということでございまして、結局、新たな矯正研修所のもとに八つの地方支所を置きまして、矯正職員の研修を一体化し、合理化をはかっていきたいと、これが主たるねらいでございます。
#8
○山崎昇君 いま説明ありましたけれども、それは法務省の管轄であって、地方の矯正研修所が何かほかの省の管轄でないでしょう。そうすると、あなたの説明に言うように、機構の運営でこれは解決すべきものであって、地方の矯正研修所だからどうも統一的な運用ができないと、これは私はナンセンスじゃないですか、そういう意見というものは。ただ中央に矯正研修所ができて、統一的にやって、地方の支所ならば運営が何かスムーズにいくのだ、これは私はやっぱりあなたの説明としていただくわけにはいきませんね。そうして、重ねてまあ言えばですね、そのままそっくり残るわけですから、法律論でこれを展開すれば、いままで別表でやっておったものを省令に格下げするだけの話なんです。あと何にも中身変わりがないのですね、やることに。私は、ですからいまあなたの説明では、どうしてもこれは納得できません。そうして、このあなたのほうの出されておる、調査室でこれつくったようでありますけれども、見るというと、「行政機構の簡素合理化の趣旨にそう」と、こうなっておる。何も沿ってないじゃないですか。何も簡素化、合理化になっていないじゃないですか。ただ運営が中央で一本の号令で、何か八つのものがすっと動くような錯覚だけあるようでありますけれども、それ以外の何ものでもない。どうしていままでのものならば統一的な運用できないのか。もっと具体的に、どういう隘路があるか、はっきりしてもらいたい。
#9
○政府委員(辻辰三郎君) 現在の機構でまいりますと、中央矯正研修所長は、この地方の矯正研修所長に対しまして何らの指揮権も持たないわけでございます。したがいまして、地方の矯正研修所におきます研修は、それぞれの地方研修所長の権限と責任のもとにおいて実施をいたしておるわけでございます。もっとも全国的には最約的に大臣、矯正局長という中央の、法務本省の管理機関がもちろんこれに対して指揮監督権は持っておるわけでございますけれども、矯正職員の研修という面だけを考えてまいりますと、中央研修所は、中央研修所長だけで幹部職員の研修を行なっており、地方研修所におきましては、地方研修所長の権限と責任で初任研修その他を行なっているということでございますので、この指揮監督権をここに明らかにするという意味におきまして、今度は矯正研修所長のもとにおきまして、地方のほうはその支所になるわけでございますから、ここに指揮監督権が働いてくるというところに研修の合理化、統一化ということができるわけでございます。
 それから第二点は、現在はやはり地方研修所長でございますから、ここに一つの所長というものが官制上あるわけでございます。今回はそれが矯正研修所の支所長になるという点におきまして、簡素化の点もあるわけでございます。
#10
○山崎昇君 ますます私は疑問を持つのですよ。なるほどいままでのものでしたら、中央の研修所長が地方の矯正研修所の指揮監督権はないだろう。しかし地方の八つの矯正研修所長が、めいめいかってに適当に運営するわけじゃないでしょう。私は法務省でこれはやっぱり指揮監督をして、本年度はどういう研修計画のもとにやるんだということが、中央の段階では中央の計画があり、地方では地方の計画があって、そしてこれは法務省で総括をして私は指揮監督しているものだと思うのです。そうでなければ、法務省が何も指揮監督なしに、各地方の研修所がめいめいかってに、好きかってにやっていいということにはならない。私は少なくとも法務省がそういう答弁をされるということに、逆にいえば少し憤りを感ずるのですよ、私も公務員の経験を持っていますから。あなた全然地方の研修所に対して法務省が何らも意思表示ができない、これは少し言い過ぎじゃないですか。ですから、そういう面からいえば、私はいまの研修所の方法だって、運営いかんによっては十分法務省で掌握もできるし、統一的な研修もできるんではないか。単に中央の研修所長に指揮監督権を与えたら研修制度がいいものだということにならないんじゃないか。先ほどあなたの答弁の中に、地域格差の問題も出ておりましたね。特に地方の矯正研修所というのは、第一線の看守なり、あるいはその地域にマッチした研修をやっておるわけでしょう。そういう面からいえば、機構面だけで、こういうやり方というのは、私は片手落ちではないだろうか、こう思うのです。だから、何もこれは簡素化にならない。それから幾ら強弁しようとも、統一的にはなってこない。ただ省令で格下げをして、地方の研修所を適当にやらせるということの意味はあるかもしれなません。それ以外のものではないんじゃないですか。ですから、いまあなたの説明されるように、中央につくって、地方には支所にしたところで、私は何の簡素化にもならないと思う。むしろ弊害のほうが出てくるのではなかろうか。そして内容を見るというと、従来と何も変わってない、一つも変わってない。ですから、積極的にこういうふうに改正をしなければならぬという理由がないのではないか、こう思うのですが、重ねてあなたに聞きたいと思います。
#11
○政府委員(辻辰三郎君) ただいまの、法務本省におきまして、現在全然地方矯正研修所の研修に対して何もやっていないというのはおかしいじゃないかという御指摘でございますが、これは先ほども申し上げましたように、そうではございませんで、中央におきまして、矯正局におきまして、それぞれ各地方研修所における研修の大綱はもちろんつかんでおりますし、その内容についても指導いたしておるわけでございます。もとよりこの研修計画、予算の点であるとか、人員の点であるとか、こういう点は、矯正本局において十分把握をいたしておりますし、内容につきましても指導をいたしておるわけでございます。
 ただ、先ほど来申し上げておりますようにこの研修部門、いまの幹部職員の研修、それから初級職員の、初任者の研修、その中にまた中級の研修もございますが、やはり矯正職員たいへん数が多うございます。この点につきまして、この初任研修から幹部研修に至る各種の研修というものを、やはり一的に見ていって、研修の能率をあげていくという要請はたいへん強いわけでございまして、そのためには、もとより本省におきましても大綱的な計画指導はいたしておるわけでございますけれども、やはり新たな矯正研修所のもとにおきまして、矯正職員の研修を一体化することが、やはり現下矯正職員の研修としては当を得たものであろうと、かように考えておる次第でございます。
#12
○山崎昇君 そうすると、重ねて聞きますがね。従来中央研修所長というのはあれですか、地方の研修所長といいますか、地方の研修制度そのものについて何にもものが言えない、こういう状態にあったわけですか、それが一つ。
 それから今度のこういう改正をやったら、それじゃどういうふうに研修内容が変わるんですか、具体的にひとつ説明願いたい。
#13
○政府委員(勝尾鐐三君) お尋ねの点について申し上げますと、従来は組織、機構が独立しておりました関係で、中央矯正研修所長が地方研修所長に対して指揮ないしは指示はできない、こういう仕組みになっていたのでございます。
 それからいま一つは、すでに御案内と思いますが、研修の対象者でございますが、これが地域によりまして非常にアンバランスが生まれてきているのでございます。たとえば初任者の研修をやろうとする場合に、従来の組織、機構では、たとえば東北の研修所でございますと、東北のブロック管内の職員を対象にして、ほかのブロックの職員を東北の研修の対象にできないというのが、組織上の制約があったわけでございます。ところが、たとえば初任者研修で申し上げますと、北海道とか東北にはその対象者の数を確保できる。しかしながら名古屋とか大阪では、初任者研修の対象がまあ非常に少なくなってきている、こういう場合に、少ないところのブロックの初任者研修の対象者、福岡とかあるいは東北の、初任者研修の少なくない対象者を北海道に集中的に集めて、統一的な能率的な研修をやりたいというのが一つでございます。
 それからなお、さらに、御承知と思いますが、最近の矯正の処遇の技術が非常にきめこまかくなってまいりまして、単に保安看守の研修のみならず、作業技官とか、あるいは心理技官とか、いろいろの専門分野の技官の研修をやる必要を生じてきたと、その場合に、やはり従来の組織でございますと、その管内の施設の職員しか対象にできなかったということで、非常にその研修上不便が多かったのでございます。これをたとえば初任者研修は北海道の研修所で東北の対象者も集めてやる。そのかわり東北では北海道の作業技官、それから東北管内の作業技官をまとめてやるというように、それぞれ研修の対象者の数と、研修の種類によりまして、この八つの研修所を合理的に動かしていきたい。これが従来感じていた不便な点であり、今回重ねて効率的にやりたいというのが、第二のねらいでございます。
#14
○山崎昇君 いま説明聞いたわけですがね、そうすると一体、いままで研修計画というのは本省では全然知らないわけですか。私は、各地方地方でその年の研修計画を立てられれば、当然本省に相談があるものと、こう思うのですね。それから中央の研修所で計画を立てられれば、これまた本省との私は協議がなされるものだと思うわけです。そうして各研修所に対しては、ことしはどの研修所についてはこういう計画だというような点が、どういう形か知りませんが、私は本省から各研修所あてにそういう知らせがあって、各地方の研修所では、たとえば東北ではことしはどういう研修があり、北海道ではどういう研修があり、あるいはまた福岡ではどういう研修がありということを、全体的なおおよそのことは各地方研修所でも知っておって私はやるんじゃないだろうかと、こう思うのです。そうだとすれば、私はいまあなたの説明で言うように、東北の研修所の研修の対象がきまっておるから、北海道ではこれはできないだとか、これは私は運営論でやれるのではないか。あるいはまた、どうしても規定的にこれを直せというなら、そういう旨のことを、各研修所は相互に協力してやるんだというような趣旨のことを規定で織り込めば当然やれることであって、どうしても今回のようなこういう機構にしなければ、省令でなければできないという趣旨にはならないんじゃないですか。なぜ法律事項でやっておればできなくて、省令ならばできるというのか、これが二つ目、私がまだ疑問を持つところです。
 それからもう一つ、これはついでですが、疑問に思うのは、どうも私はいまの政府の行政機構のやり方というのは、逐次国会の審議からはずして、行政府で適当にやりたいという考え方が濃厚ではないか、こうやって見ますと。今度この研修所についてだって、これは法務大臣が適当と思えば、いま北海道にあるものを別のところへ移すことも可能であり、これは極端な論でありますけれども、減らすことも可能であり、ふやすことも可能である、全然国会では審議できないわけでありますから。ただ、一般国政調査で、あなた方がおやりになったことを、いいとか悪いとか文句を言うことはできるでしょう。権利はない。こういうふうに私ども考えてまいりますと、これは行政管理庁に言うことかもしれませんが、どうも政府のいまの一連の方向というのは、事行政機構等についてはなるべく国会の審議をはずしてしまう、そして政令なり省令なり、行政機関で適当に増減ができるようにするという意図があるのではないかとさえ私は疑うわけです。いまあなたの説明を聞いておっても、運営で片づけ得るものを、どうしてこういうことにしなければならぬか、どうしても私はこれは納得できない。重ねてこの点はお聞きをしておきたい。
#15
○政府委員(勝尾鐐三君) 具体的な例を申し上げながら御説明申し上げたいと思いますが、私のほうで各研修所でどういう研修をするか、またしているかということは、適当に訓令も出します、指示もいたしております。ところが、ここ数年来実情を見ておりますと、たとえば初任者研修、それから作業技官研修あるいは心理技官研修ということを各施設、各ブロックがみな必要なわけでございます。したがいまして、各支所ごとに、ことしはこういう研修をやりなさいということを私のほうで大綱を示すわけでございます。ところが、たとえば初任者研修を各管区ごとにやりなさいといった場合に、北海道では初任者研修の対象者は三十名あります、ところが名古屋の管内では初任者研修は五人しかありません、こういうアンバランスが出てくるわけでございます。これはその年によってかなり動く可能性がございますが、そういたしますと、従来の組織のもとでは、名古屋はやはり五人を対象にした初任者研修をやらなくちゃならぬ、北海道は三十人を対象とした初任者研修をやらなくちゃならぬ、こういうことになるわけでございます。そこで、この壁を取っ払うために、北海道が三十名ならば、ここでは充実した効率的な初任者研修を行なえるということであれば、名古屋の五人は北海道の研修所に委託をして引き受けさせる、こういう問題があるわけでございます。
 それから、さらに最近の処遇技術で、たとえば開放処遇をやろう、そこで開放処遇をやる職員の研修をやろうと考えますと、開放処遇をやっている施設は、たとえば東北の山形県の最上農場で全国的にやっているわけでございます。そういたしますと、今度たとえば大阪で開放処遇をやろう。従来の組織でいいますと、その職員の研修を大阪でやらなくちゃいかぬわけでございますが、それを最上農場で研修をやって、それを終えた者を大阪に帰す、こういう組織の壁を破りたいというのが一つのねらいでございます。
 それから、研修につきましては、私のほうは研修の必要性というのはどれほど強調しても足りないということで、決してこの研修をないがしろにするとかいうことは、絶対に私たちは考えていないところでございまして、どこまでも効率的に集中的に、それぞれの管区の特殊事情を生かしながら、全国的に効率的にやりたいというのがねらいでございます。
#16
○山崎昇君 ますますわかりませんわ。なぜなら、いまあなたの説明したように、かりに北海道に三十名おって名古屋に五名だと、この五名の名古屋の人を北海道の研修でいまの機構ならどうしてできないのですか。本省は計画を立てられてきたときに、あなたのほうのことしの研修はわずか初任者については五名だから、これははずして、北海道でやるようにしたいと思うがどうですかという場合に、いまの機構のもとでは、地方の研修所長は、それはだめです、本省が何と言おうと、私のほうの計画は一切変更できないんですと、こうなるのですか。私は、そんな機構の運営はあり得ない、そんな研修制度というものはないと思う。どうして本省がそういう指導ができないのですか。もしどうしても法制的に必要とするなら、各地方の研修所は相互に協力するとか、何とかそういう条項が一項必要なら、そういうことを規定されればいいのであって、省令で置かなければ、そういう研修の方法がとれないとかいうことにはならないですよ。ですから、あなたの説明を聞けば聞くほど、一体法務省は何をやっているのか、地方の矯正研修所に対して何の発言権もないのか、ますます私はわからなくなってくる。いまあなたの説明で、名古屋が五名という例が出ましたからそれで言うのですが、どうして名古屋に対して、ことしはあまり人数が少ないから、この研修の人は北海道なり、あるいは隣の大阪なり、あるいは高松でもけっこうでしょう、東京でもけっこうでしょう。ほかのおもなる初任者の研修のところでやれないのですか。そうして名古屋の研修計画はこういうふうに力点を置いたらどうですかということを、どうして本省で言わないのですか。それをやれば、研修所長の権限を侵すことになるわけですか。そういう指導は中央でできないのですか。ですから私は、いまのあなたの言われる答弁だけでは、機構上の運営論で片づく問題ではないか、こう思うのです。どうして省令にしなければ、支所にしなければそういう運営ができないのか、それがどうしても私には納得できない。
 さらに、あなた方の出しているものを見ると、新採用の技官等の初等研修については、現場に密着した訓練が必要だとある。それは先ほどあなた、地域格差ということばを使いましたが、地域地域で特色があるのだ、そういうものを生かすために、従来こういう研修所を置いておいたと思うのです。それがどうして今度のようなことにしなければできないのか、運営で十分やれるではないですか。こういうことは、なぜ別表でやったらできなくて、省令ならできるのか。ですから私は、先ほど少し言い過ぎかもしれませんが、勘ぐってものを言えば、どうも最近の政府の行政機構に対する考え方は、国会の審議をなるべくはずして、行政機関だけで適当にやる、こういう考え方のあらわれじゃないかとさえ疑っているわけです。それはさておいても、行政機構の運営は、本省がそういうことについて何にもできないなんということは、私はどうしても理解ができない。あなたが説明されるような研修計画がなぜ変更できないのですか。もう一ぺんその辺聞きたい。
#17
○政府委員(勝尾鐐三君) この地域差の問題でございますが、私のほうが現在痛感いたしておりますのは、たとえば初任者研修の研修の目的と申しますか、内容と申しますか、これはいわゆる初任者研修にあたっては、刑務官としての基本的な事柄を教えるということにあるわけでございまして、その点に関する限りは地域差という問題はないわけでございます。地域差いうのは、むしろ私のほうで心配いたしておりますのは、各ブロックごとでその地域の職員の現状にとらわれ過ぎて、あるブロックの支所ではかなり進んだ研修をやる、ところがあるブロックではやや程度を下げた研修をやりかねない。そこでむしろ低いところを少しでも上に上げたい、そういう意味の地域差をぜひ解消いたしたい、このように考えているわけでございます。
 それともう一つは、すでに御案内と存じますが、矯正処遇の技術面が非常に急激に発達をいたしておりまして、いろいろな新しい技術が入ってくるわけでございます。そういたしますと、その技術をこなして教える職員を、各支所に全部配置できるということが、現実問題として非常に困難なのでございます。やはり八ブロックありますと、それぞれのえて、ふえてと申しますか、そういう職員の現実の配置問題があるわけでございます。こういった流動する技術面の変化と、それから適当な職員を十分活用したい、それには、いままでのいわゆるブロック主義というものに、現実にぶつかってみますと、非常にやりにくいということを私のほうでは痛感をしたわけでございます。そういうことで、決して研修の内容を下げるとか、あるいはいいかげんにやるということは、私としては毛頭考えていないところでございます。
#18
○山崎昇君 どうもあなたの説明を聞くたびに、私はまた一つふしぎになってくる。いまあなたは、いまの地方研修所の制度のもとでは指導職員の活用がうまくいかない、これも私はわからないですね。どうして地方研修所が計画を立てて、私のほうではこういう指導を必要とする人がどうしても今回の研修には必要なんで、中央研修所もしくは本省でこういう人のあっせんを願えんかとか、あるいは、こういう人を何とか派遣してもらえんかということが、いまの機構ならばなぜできないのですか。私は、どうして省令で支所になったらそれができて、いまの中央研修所と地方矯正研修所の間柄でできないのか。こんなことはあなた、運営面で幾らでも片づくことじゃないですか。それほどいまの地方研修所というのは独立独歩で、中央研修所とは全く縁もゆかりもなく、関係もなくて、あるいは本省とも何にも関係がなくて、何を言おうとも、地方の研修所は自分だけで、どんどんどんどんやるなんという運営でもなきゃ仕組みでもないんではないか。そんなぎちぎちした別表じゃないんじゃないですか。あなたが説明されればされるほど、私は運営面で片づく問題ではないでしょうか、いまのあなた方の言うのは。どうしてそれが支所になって、省令で設置をしなければ、そういう運営ができないのか。私は説明聞くたびにだんだんわからなくなってくる。そんなに窮屈なものじゃないんじゃないですか、研修所なんというのは、本来。これが行政権限を伴うものなら、セクショナリズムとか、あるいはなわ張りとか、いろんなことばがあるにしても、行政権限が伴うなら、私はある程度理解してもいいと思う。しかし、少なくともこれは八条機関であって、付属機関ですから、行政権限も何も伴うものではない。自分の内部で、ほんとに国民大衆に対してサービスするためには、こういう人をどう教育したらいいかというのが研修所なんですから、その運営にあたって、あなたの言うほど、そんなにぎちぎちして、融通のない研修所制度なんというものは、いままで知らなかった。何にも私は変える必要もないじゃないか。十分こんなものは運営でやれるんではないか。そうして言えば、いままで所長さんであったものが、今度支所長になってくる。格下げされてくる。これはあとでもお聞きしますが、給与上の問題も出てきますよ。格づけの問題も出てくる。なぜこんなことをしなければ、研修所というものは運営できないのか。あなたの説明を聞けば聞くほど、私はわからなくなってくる。ですから、いまあなたに撤回せいと言ったって、これはなかなか撤回もできぬでしょうけれども、私はこういうやり方というものは、どうしても納得できない。
 もっとあなたが、私ども納得させ得るというような内容があるならば説明願いたいし、それから、先ほど来聞くというと、ただ省令で、いまの置かれているものを支所として置く程度であって、研修内容もたいして変わらない。それじゃ何にも統一性もなければ、改革にもなってこない。どっから考えたって、この出されている法案の内容というものは不当だと思うんです、これは。納得できるようなしろものじゃないです。ですから、法務大臣に私はお聞きしますが、こういうやり方というのは改めて、運営面で直してもらいたい。そして、地方の研修所長というのは、やつぱり研修所長として私は権威を持ってやらせてほしいと思っているんです。単に中央で握って、おまえは支所だから中央の言うとおりやんなさいというような研修所では困る。そういう意味でいえば、この法律案は撤回してもらいたいと思うんですが、どうですか、大臣。
#19
○国務大臣(西郷吉之助君) ただいま機構改革の問題につきまして、いろいろ示唆に富んだ御高見を拝聴いたしました。いろいろ御説明も御答弁もいたしましたけれども、いろいろ御心配の点もいま御注意をいただきましたが、そういう点を十分注意をいたして、今回は機構改革の第一歩として矯正研修所を置くのでございますから、その点はあしからず御了承願いたいと思います。
#20
○山崎昇君 あしからず御了承くださいということは、悪いことをある程度やっているわけだな。そこで私は、やはりこれは行政機構だから、一たんつくるというとなかなか自後改正できない。だから私はしつこく聞いているのです。地方研修所長というのは今度支所長になるようですけれども、何も中央の言いなりにやられる筋合いのものではないと思う。ある程度地方は地方なりに独創性といいますか、地方の実情にマッチした研修をやらせるべきではないか。どうしても中央に指導を仰ぐ点あるいは中央の力を借りなければならない点、そういう相互の連絡協調といいますか、そういう運営面ではからなければならぬ点があれば、それは規定的に整備をするなり、あるいは不備があるならば直すなり、そういう形で私はすべきものではないか。いまあなたが出されているようなこういうやり方というのは、どうしても賛成できない。しかし、あなたが提案者で撤回をしないという意思であるということならば、これだけに私かかわっているわけにまいりません。私の意思としてはどうしても納得できない。いまの説明では、私ども納得するだけの中身ではないと思っている。だから重ねてあなたに申し上げておきますが、できるならば撤回して、こういう研修制度というものを改めてもらいたい。これは繰り返しあなたに申し上げておきます。
 そこで次に移っていきたいと思うのですが、先ほど来支所にしても中身は何も変わりませんと言われた。それじゃどういう従来とは違いがあるのかないのか。あるとすれば、どういう点に最も特徴的な違いが出てくるのか。あるいは定員、機構上で、支所となるとどういう関係になるのか。説明を聞いておきたいと思う。
#21
○政府委員(辻辰三郎君) 現在の地方矯正研修所長でございますが、これは各地方の矯正管区長が併任されております。兼任でございます。これは今回の法律によりまして支所長になりましても、人員的にはやはり各その当該地方の矯正管区長がこの支所長を兼任するということを予定いたしておるわけでございまして、所長につきましては異動がないわけで、実質的には異動がないわけでございます。それから教頭その他教官につきましても、それぞれ現在と同じ等級別定数のものを持っていきたいと、さしあたっては持っていきたいと考えておりますので、そこに職員の待遇が悪くなるとか、そういう面はございません。
#22
○山崎昇君 そうすると、先ほど来統一的にするとか、あるいはまた説明による研修所ごとの計画内容等が、私は変わってくるんだろうと思うのです。そうでなければ、先ほど来の説明は矛盾してくると思うのです。だから今度統合して中央の研修所があって、八つの支所ができて、いままでのようなやり方ではどうも統一的な研修ができないと、あなた方おっしゃいましたが、そうすると、いま八つある研修所ごとの研修内容が変わらなければ、私は矛盾が起きてくる。あるいはまた人員その他でも変わってこなければ、何のために、またもとに戻りますが、こういうふうに変えるのかということにもなってくる。したがって、八つある地方研修所というのはどういうふうに変わるのか、変わらないとすれば、何のためにやるのかということですが、研修内容が変わるならば、どういう点が変わるのか。たとえば八つありますが、東京ならどういうふうに変わって、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松にもあるわけですが、ここらの研修計画は、それならばどういうふうにある程度変わろうとするのか、そういう点について説明を聞きたい。
#23
○政府委員(勝尾鐐三君) 現在考えておりますのは、たとえば初任者研修は、仙台、東京、福岡、この三ヵ所で八ブロックの初任者研修対象者を集中的に行なう。それからさらに北海道で申し上げますならば、たとえば農業技官の研修を、その対象者をほかのブロックから集めていくというように、それぞれ特色を持たしていこうと、このように考えております。
#24
○山崎昇君 そうすると八つの支所は、いま説明のあった限りでいえば、目的別といいますか、あるいは事項別といいますか、そういう研修内容に変わってくるわけですね。そうでなければ、どうも私はわからなくなってくる。だからいまのあなたの説明では、初任者の研修というのは、東京、大阪、福岡ぐらいでやりたい。札幌の場合には農業技術関係のものをやりたいと、こういうのですね。そのほかにいろいろあると思うのだ。もちろんこれだけではないと思いますが、そうすると、いま申し上げたように、地方の支所の研修内容というものは目的別に整理をされてくる、あるいは事項別に整理をされてくるといいますか、そうしなければ意味がなくなってくる。そうすると、関連をしてお聞きをしますが、いま言った研修所の指導職員といいますか、そういう人の異動も起き上がってくる。場合によっては教科科目から、機構から、支所のものが変わってくるということも起きなければ、こういうことにはならないと思うのですね。そういう点はどうなるのですか。
#25
○政府委員(勝尾鐐三君) 事項別、目的別と申しますか、これを従来よりもはっきりした形で打ち出したいと思っております。そのほか、そういうぐあいにして整理をすることによって、各研修所の従来の一律な研修計画によるロスが少なくなると思うのでございます。そういう余剰の時間ができた研修所には、一般の職員の再研修というものを取り入れていきたい。それから職員の問題につきましては、異動というよりも、現実のやはりそういう適任のいる、適当な職員のいるというようなこともにらんで、いま言った事項別、目的別というものを乗せていきたいということで、いまいきなり全国的に研修所の職員をそのために配置がえをするというようなことは、いまのところ考えておりません。
#26
○山崎昇君 そうすると支所になって、当分の間はいまのまま残る、そういうことになると思うのです。しかしそれが半年先か一年先かわかりませんが、いずれにしても地方研修所の、支所の目的なり研修のやり方というのは、従来とかなり変わってくる、こうなりますね、それに伴って。ですから、私は人の異動なり機構の異動なりということが起き上がってくるのではないかと思う。いまあなたのほうでは、こういう計画ですと、きっちりしたものがないのかもしれませんが、いま説明を聞いた限りでは、そういうことが予想されると私は思う。違いますか。
#27
○政府委員(勝尾鐐三君) お尋ねの点につきましては、いわゆる各支所の重点的な研修科目といったものは、従来よりもはっきり出るようになると思います。それからこれを動かしてみまして、さらに支所の充実、職員の面なり、その他の充実の面が達成されてまいりますれば、全国的なまた再編成と申しますか、職員の配置がえという問題も将来の問題としては起こると、起こらないということは考えられませんが、いま当分の間は、現在の職員状況ににらみ合わせて、その各支所の重点研修科目といったようなものを定めていきたいと、このように考えております。
#28
○山崎昇君 ですから、いますぐこれは半年先、一年先ということをあなたに答弁せいとは言いませんが、いままでの説明を聞けば、いずれにしても、この地方研修所、支所というのですか、この性格は、いまのものと変わってくるということはもう予定をされなければならぬと思うのですね、いずれにしても。どの程度どう、どこの支所が変わるのかは、まだそれは具体案はないかもわかりませんが、現実の地方研修所と、これからでき上がる支所との間は、変わったものになるということだけは明確に私はならなければならないと思うのです。そうでなければ、何度も申し上げるけれども、この提案の趣旨というのが私は不明確になってくる、こう思うのです。その場合に、どうしても機構の問題も、やっぱり触れてこざるを得ないし、それから人員の異動ということがやっぱり起き上がってくるであろうし、そういうことが、あなたは将来というけれども、そんなに私は遠いことではないのではないかと推定するわけです。だからそういう内容を含んで、今度のこの支所という形のものができ上がっているのだというふうに私は理解しておきたいのですが、これは間違いですか。
#29
○政府委員(勝尾鐐三君) いままでのばらばらであった分立したものが、中央の矯正研修所を頂点とした一つの組織になったわけでございますから、やはり従来の支所とは性格が変わってまいります。したがいまして、運営も、中央の矯正研修所を頂点とした全国の矯正研修所の組織が一体になりますので、その間における異動という問題、そういうものも、これは組織が一本になったのでございますから、あり得ることで考えております。
#30
○山崎昇君 それはあなたのほうで、いつごろまでにそういう計画というのは立てられる予定ですか。これはまあ予定でしょうからお聞きをしておきたい。たとえばこれは今国会で成立したと仮定をしますね。そうすると当然再編成しなければならぬと、いまあなたの説明で言うように、目的別といいますか、あるいは事項別というか、そういうふうにこれは急いでやらなければ何の意味もないと思うのですね。そういう意味でいうと、大体いつぐらいの時期に、どういうかっこうになってくるのかという構想でもあれば、ひとつ説明を聞いておきたい。
#31
○政府委員(勝尾鐐三君) これはその各年ですか、毎年具体的な状況をにらみ合わせまして、重点施設、あるいはその年の重点研修科目といったようなものをきめてまいりますので、これを一つの型にはめまして、それでこうずっと長く動かしていくというよりも、できるだけ実情にマッチして、流動的と申しますか、実情にマッチした形でこの研修というものの計画を考えていきたいというようにいま考えております。さしあたりは四十四年度、これが動くというような場合にはどうするかということについては、すでに計画は私のほうで検討いたしております。
#32
○山崎昇君 これはちょっと確認をしておきたいのですが、今度のあなたの説明のように一本の組織になる、少し極端な議論かもしれませんが、地方の支所から中央に人を吸い上げて、中央は何かえらい拡充強化といいますか、整備をされる。地方のほうは、その年その年の研修計画であてがいぶちみたいにと言ったら少し言い過ぎになると思うのですが、ある程度地方の支所というものは、何といいますか、縮小されるといいますか、そういうようなことはありませんね。
#33
○政府委員(勝尾鐐三君) 私のほうはむしろ逆に、こういう組織をすることによって、支所のほうを充実していきたいということで、このために地方の支所を弱体化するということは毛頭考えておりません。
#34
○山崎昇君 そこで重ねてお聞きしておきますが、この間の五%削減で、研修所というものは、どういう影響を受けるのですか。
#35
○政府委員(辻辰三郎君) 各省統一の定員の三年五%削減でございますが、これは具体的には、各省を単位に考えられておりますので、したがいまして法務省としては、この三年間に何人という削減目標が出るわけでございますが、この目標をどういうふうにして消化していくかという問題は、また法務省といたしまして、法務省各組織をなべて考えてまいっておるわけでございます。そのためには、将来出ます欠員数との関係もございますし、業務の繁閑もございます。そのような関係で、これは具体的にどこを減らしていくかということは、一つの将来の問題として残るわけでございまして、この削減計画によって、研修所の支所が削減されるということは、理屈の面では出てこないわけでございます。毎年その年度の初めに、法務大臣の訓令で、ことしはこの欠員をこういうふうに削減して新しい定員でいこう、こういう形になるわけでございます。
#36
○山崎昇君 いまあなたの言うように、五%削減数が四百十九人ですね、法務省の場合。これは第一分類から第三分類まであって、行政管理庁にお尋ねすると、かなり詳細に職まで指定をされて計算をされているようですね。ばく然としたものではないと私どもは思っている。私どもあなたにお聞きをしたいのは、この五%削減と研修制度そのものとの関連についていまお尋ねしているわけです。ですから、法務省全体で四百十九人減ることは私も承知しているけれども、これが研修制度としては一名も減らないのか、減るのか。これはもうすでにある程度の案がなければ、私はおかしいと思うんですよ。そうすると、あなたのほうと行政管理庁のほうと、ただ総数に五%かけてやった私は数字じゃないと見ているわけです。ですから、具体案がないなんということには私はならないだろうと思うけれども、研修制度にはそれじゃ影響ありませんね、五%削減については。重ねて伺っておきます。
#37
○政府委員(辻辰三郎君) この定員の削減は、ただいま御指摘のとおり、法務省としては三年間に五%削減されることになるわけでございますが、同時にまた、新たな行政需要と申しますか、が考えられるわけでございまして、その意味におきましては、削減数は削減数といたしまして、なおまた、それぞれ増員という問題がまた各年度ずつ起こってくるわけでございます。この行政需要の消長という問題は将来のことに属しますので、必ずこの四百十九名は実際の数として削減されるというもとで、いろいろな法務省の企画がされていくわけではございません。これ一般的に申してそうなるわけでございますので、したがいまして、この矯正職員の研修計画につきましても、この三年五%の削減があるから、何か影響が具体的にあるんじゃないかという点につきましては、むしろないと申し上げたほうが適切であろうと存じます。
#38
○山崎昇君 研修制度に関しては、五%削減の影響はないといういまあなたの答弁ですから、そういうふうに確認をしておきたいと思うんです。これはあとで法務省関係の定数外職員のことについてもお聞きをしますが、ことしの増員計画の内容等見ても、私は幾多の問題含んでいると思うからいまお尋ねしているわけです。特に各省で行政権限の持っているところは意外と抵抗が多いから、人は減りませんけれども、研修施設でありますとか、こういうところが、一番先にやり玉にあがるところはどの省でも共通しているところなんです。そういう意味で私は、いま研修制度には影響がないというお話でありますから、そのとおり確認しておきたいと思います。
 次にお聞きをしたいのは、行政管理庁で言っておる行政機構改革の三ヵ年計画というのを盛んに言うわけであります。法務省でもこの行管の三ヵ年計画についてあわせていろいろいま検討されておるように聞いておるわけであります。それでその内容について概略御説明願いたい。
#39
○政府委員(辻辰三郎君) ただいまの御質問にお答え申し上げます前に、先ほど定員の削減がこの研修所の職員の減員には結びつかないというふうに私が申し上げたかのごとくお話がございましたけれども、私が申し上げましたのは、具体的に将来これがどうなるかという問題は、この別の問題でございます。私がお答え申しましたのは、この定員の三年五%の削減というものは、研修制度とは直接関係がないということを申し上げたわけでございますので、その点特につけ加えさしていただきたいと存じます。
 それからただいま御指摘の、法務省の行政機構の改革と申しますか、この点、政府の一体的な施策でございますが、これを法務省のほうではどういうようなことを検討しておるかという点につきましては、大体検討いたしましたのが五点でございます。
 第一点は、先ほど来御議論のございます中央矯正研修所と地方矯正研修所との統合の問題でございます。これは、ただいまこの設置法案に盛り込みまして御審議を願っておるところでございます。
 それから第二点は、地方更生保護委員会の内部組織の合理化という点でございます。これは組織の合理化という点でございますが、この点につきましては、すでに今国会に犯罪者予防更生法の一部改正法案を提案いたしまして、すでに国会の御審議を得まして法律になっておるわけでございますが、これは地方更生保護委員会の事務局の機構を簡素化し、反面地方更生保護委員会の委員のほうを充実するという内容のものでございますが、これはすでに法律になりまして実現されたわけでございます。
 それから第三番目といたしまして、第三、第四、第五と、あと三つばかり検討問題がございまして、これは目下当省におきまして鋭意検討中でございますが、その第一点は、法務局及び地方法務局の支局及び出張所の配置並びに管轄区域の適正化という問題でございます。これは俗に申します登記所の整理統合の問題でございます。
 それから第四点は、区検察庁のやはり整理統合の問題でございます。全国に区検察庁がたしか五百六十ございますが、これをどういうふうに整理統合すべきかどうかという問題でございます。
 それから最後の第五点は、先ほどちょっとお話に出ました、この各矯正管区の内部組織の合理化と申しますか、この機構を簡素合理化いたすべきかどうかという問題、この三つがこの機構の面におきましては、一つの検討事項として研究されておるところでございます。
 以上でございます。
#40
○山崎昇君 そこで一つお聞きしたいのですが、矯正管区の機構改革でいま検討されておるというのですが、現在これ三部制ですね。したがって具体的にはこの三部制をたとえば二部制にするのだ、あるいは四部制にやるのだ、あるいはその下にある課制をどうするのだとか、こういう内容に私はなってくるだろうと思う。それに伴ってまた人員の問題も付随してくる、こう考えるわけなんですが、どの辺まで検討されておるのか、明らかにできるのであればひとつ聞いておきたい。
#41
○政府委員(勝尾鐐三君) 御指摘がありましたように、現在の矯正管区の組織は三部と、それから大小がございますが、三部八課、あるいは三部十三課といったような組織になっております。これはいわゆるライン的な考え方の組織でございます。そこで私どもとしては、矯正の仕事の実態とにらみ合わせまして、管区がライン的な機構のほうがいいのか、あるいはスタッフ的な機構のほうがいいのか、どちらが管区の機能を十分発揮できるのに都合がいいのかという二つの問題にいま焦点を合わせて煮詰めつつあるところでございます。
#42
○山崎昇君 いまのライン的であればどういう点が具体的にぐあいが悪くて、スタッフ的ということになれば、当然、部長制というものをやめて、どういう名称か知りませんけれども、おそらく職というものが中心になって動いてくると思います。そういう点について、私はいまのライン的な組織がまずいというならば、どういう点でいま指摘をしておるのか、重ねて聞いておきたいと思います。
#43
○政府委員(勝尾鐐三君) 私自身が、いわゆるライン的な機構が効率的、合理的に動くには相当多数の人数がやはり前提になるのじゃないかと思うのでございます。ところが現在の矯正管区というのは、大きいところで三十名、小さいところで二十名足らずでございます。こういう小人数のところに、いわゆる相当数の人数を一応前提としたと思われるライン的なものということになりますと、いわゆるかしらばかり多くて手足がいないというような弊害がどうしても現実問題として起こるわけです。それからやはりライン的になりますと、各課なり部門の連絡と申しますか、この点についてやはり問題が生じているように思うのでございます。それといま言った矯正の処遇技術がどんどん発展してまいりますと、むしろ専門職と申しますか、こういうものをずっと充実をしていくという形が十分考慮されてしかるべきじゃないか。しかしながら、じゃその専門職だけで全部済むのかということになりますと、専門職が十人おれば、やはりその専門職の中に主任専門職というか、若干ライン的なものも必要になってくるのではないかということで、現段階で私が考えておりますのは、従来のラインとか、スタッフとかというもののことばをそのまま借用すれば、両者のいいところをかみ合わした組織と申しますか、これを考えたいというように、私自身はいま思っております。
#44
○山崎昇君 これはまだ正式にあなたのほうから出されたものではありませんから、あまり深く私のほうでお聞きするのもどうかと思いますから、別の機会にお尋ねをしたいと思います。しかし、いずれにしても、最近の傾向からいえば、逆にスタッフからラインのほうに移りつつあるという傾向もかなりあります。しかし、法務の場合は、ある意味でいえば特殊性もあるでしょうから、私は一がいには申し上げられませんが、いずれこの問題については深くお聞きをしたいと思います。
 そこで、それに関連をして、地方法務局の問題についてもいま官房長から説明がありました。ところが私ども聞いておるところによれば、そういう方針は方針としてあるけれども、実際にはそれが置かれておる地域の人の反対であるとか、あるいは今日までの歴史的なものもあるでしょうし、いろいろな点からなかなかそれができないではないかというようなこともかなりあるというふうに私ども聞いております。そこで地方法務局の問題について、いまどの程度のことが考えられておって、またそれは実現性はどの程度のことがなされるのかという点があれば、この機会に聞いておきたいと思います。
#45
○政府委員(新谷正夫君) 法務局の出張所の整理統合につきましては、過去、数年来の懸案でございまして、御承知のように最近の経済事情の変動、あるいは公共事業の活発化、そういったことによりまして、地域の的に登記所の事件の趨勢に非常な変化が生じておるわけでございます。現在の登記所はおおむね明治のころに設立されまして、その当時の社会事情、経済事情のもとで設置されたものでございまして、自来、相当の年数も経ております。いろいろの情勢の変化もございますので、この際私どもといたしましてはいろいろの事情を検討いたしまして、登記所の適正な配置というものを再検討する必要があろう、このように考えておるのでございます。
 それに関連いたしまして、具体的な場合に、登記所の整理統合を行なうことによって事務の能率も向上し、いろいろの面において利便も生じますので、そういうことも考えながらやってきたのでございますけれども、市町村あるいは一般のその地域の住民の方の非常に強い御要望もございまして、これが必ずしも円滑には整理統合が推進できないという状況にございます。そこで、さらに私どもといたしましては、もう少し基本的な将来の理想図というものを法務局について考えてみまして、それにのっとった適正な配置を考えようということで、現在その検討を進めておる段階でございます。整理統合と一口に申しましても、いろいろの事情によってこれが困難を伴いますので、もう少し時間をかしまして慎重に対処をいたしたい、このように考えている次第であります。
#46
○山崎昇君 この地方法務局、登記所の整理統合ということについては検討中ということでありますから、これも別な機会にまた聞きたい。
 ただ、関連をしてお聞きをしたいのは、登記事務がここ四、五年といいますか、急激に膨張しているのではないかと私は思うのですが、数字があれば、登記事務のふえ方と、それからそれに従事している職員のふえ方とについて説明を願いたいと思います。
#47
○政府委員(新谷正夫君) 登記事件が最近非常にふえておりますことは御指摘のとおりでございまして、昭和三十年を基礎にいたしまして件数と従事職員の趨勢を申し上げますと、昭和三十年に登記所の総件数が二千二百六十九万件でございました。これを一〇〇といたします。そのときの従事職員、これは登記事務についての従事職員でございますが、これが六千八百七十七名でございました。これを基礎にいたしまして一〇〇といたします。そういたしますと、昭和四十三年におきましては約一億五千万件くらいになっております。その伸び率が約六・五、六倍以上になるのではないかと思います。人員は八千二百二十四名でありまして、昭和三十年に比べますと一・二倍ということになっております。
#48
○山崎昇君 いま説明があったのは、これは正規の職員だと思うのです。ところが私どもが聞くのは、法務省全体では登記関係に相当な定員外職員がおる。一説には一万人おるともいわれ、あるいはそうでないともいわれていますが、総理府の出した資料を見れば、これはほんとうのパートも入れての話だと思うのですが、法務関係はかなりな人数になっておるわけですね。そうすると、こういう定員外職員の存在というものは、一体いまのあなたの説明とどう関連づけて私どもが理解をしておけばいいのか。ある意味で言うと、そういう人がいなければいまの登記事務というものはできないのではないか、こうも思うのですが、そこらの関係について説明願いたい。
#49
○政府委員(新谷正夫君) 法務局につきましては、主として登記関係でございますが、本年の四月一日現在で九百八十九名の臨時職員と申しておりますが、これが仕事に従事いたしております。これはもちろん定員外の賃金職員でございます。貸金職員でありますけれども、現在これを採用せざるを得ない事情が法務局についてはいろいろあるわけでございます。人事が最も不足いたしております状況下で登記事務が迅速に行なわれるようにいたしますためには増員も必要でありますし、施設なり制度の合理化というふうなことも必要でございます。しかし、それのみではとうてい足りませんので、いろいろの作業を現在実施いたしております。これは事務の簡素化、あるいは登記制度の合理化、あるいは機械化というふうなことを総合いたしまして、できるだけ事務がすみやかに処理できるような体制をつくろうということで、すでに十年ぐらい前から逐次その計画を実施に移しておるわけでございます。その中で最も大きなのが登記制度と台帳制度との統合と申しますか、これは一元化と申しております。これをやることによりまして非常にロスが省けるわけでございます。これも間もなく完成する段階にまいっておりますが、これは各登記所を個別に指定いたしまして、その作業を実施いたしますので、これは一般の定員内職員でやる仕事ではなく臨時の仕事でございます。したがって、これは定員の増加で処理することは適当でない。
 さらにもう一つ例を申し上げますと、登記簿の用紙が戦後できましたのが非常に粗悪なものが使用されております。このために、これを機械に乗せて謄抄本をすみやかにつくるということが不可能な状態にございますので、現在その粗悪用紙を精度のいい紙に移しかえる作業をいたしております。これが完成いたしますと、すべて機械に乗りましてきわめて迅速に、かつきれいな謄抄本ができるわけでございます。これも臨時の仕事でございます。これも各登記所を指定いたしまして、緊急性のあるところから逐次実行に移しております。このような臨時の仕事のために予算化されました範囲内でこの臨時職員を採用いたしてみるのでございます。したがいまして、一般に言われておりますように、定員外の職員をかってに法務省で採用しておるというのではございません。私どものほうも、その点は従来非常に注意して見守っておるのであります。予算化されましたので、それを有効に使って、その範囲内で十分効果を上げるような指導をいたしておりますので、そういう趣旨でいまの臨時職員がかなりの数、登記所に配属されておる、こういうことになっております。
#50
○山崎昇君 いまの局長の説明で、登記事務の件数でいくと六・五倍ですね。人間でいくと一・二倍ですね。したがって、労働強化になっていることは明らかです。それからことしの四月の現在で九百八十九名の臨時職員がおるというが、これは単なる臨時職員ではなしに、私の理解としては一般職員と同様の仕事をさせておる臨時職員である、名前は臨時職員でしょうけれども、定員内職員と同様の仕事をさせておる人間だと思う。そこで、あなたはいまこれは臨時職員であるけれども採用せざるを得ないと、こういうのですね。そう考えてみますと、登記制度、台帳制度の一元化あるいは登記簿用紙の改善と、いろいろあるでしょう、制度論の上での改善も。しかし、そこで私は大臣にお聞きをしたいんだが、昭和四十四年度の予算を見ると、法務省は四百十九人、五%、人を切ることになっているが、ことしは四百五十四人ふえておる。そのふえた中身は、差し引きすれば三十五人ふえるわけでありますが、そのふえた中身は何かというと登記関係で百八十五人ふえたことになる。あとは検事、公安調査、これが全部で百八人ふえておる。いま局長の答弁された人数を私は書いておりますが、現実にいま九百八十九名の臨時職員を置かなければどういうふうにしようとも仕事ができないんだが、片方ではいま言うように定員削減をこれから三ヵ年でやる。そしてふえた内容は登記関係で百八十五しかふえていない。やっていることは私はちぐはぐじゃないか、きわめて矛盾があるんじゃないかと思う。一番ふえているのは、なるほど数字の上では百八十五です、登記関係ですが。検事の八十八名、公安調査関係の二十名と治安関係がふえて、日常やらなければならぬこういう登記事務関係というのは臨時で押えられておる、こういうやり方を私ども調べてみますと納得できない。そしていまあなたの説明では、この十三年間に件数で六・五倍、人員はわずか一・二倍しかふえていない。これでは労働強化になって、人事院月報をみると法務省関係の病人が非常に多い。からだをこわしている職員は、あなたのほうと郵政関係が非常に多いわけです。私は職員の健康管理からいっても納得できない。そこで大臣に聞きたいんですが、どうしてこういう矛盾したことを法務省はやられるのか、大臣として、あなたはこれでいいと思うのか、だめだと思うならどういう改善方法をとるのか、聞きたい。
#51
○国務大臣(西郷吉之助君) いまお話のとおりの実情でございまして、私も就任早々、一番忙しい法務局をたずねまして現状も見ましたが、御承知のとおり非常に仕事の数が激増しておりまするが、法務局の職員をなかなかふやすことができませんで、いま局長の説明いたしましたように、過去十年ぐらいそういう定員外の賃金職員がおりまするが、御承知のとおりの実情でございまして、今回も四百十九名はふやしましたけれども、五%削減の第一年度でございますので、差し引きいたしますと、わずか三十五名しかふえなかった。中でも忙しいので法務局のほうに百九十名は回しましたけれども、これも削減で百二十二名を削減し、百九十名を増員いたしましたが、その差し引きは六十八名でございます。しかし、これも法務省としては非常に不満足でございますけれども、人事はどこも各省削減いたしまして、法務省と外一省だけがわずかに増員があった。そういうような非常に人員の増加についてはきびしいので、私も実情はよく承知しておりませんけれども、現在のような臨時職員もおりまするが、これもこのままにしておくわけにもまいりませんので、これをどうするかという問題で非常に腐心いたしておりますが、できるだけ最善の努力をいたしまして御指摘のような点を解消しなければならぬと痛感いたしておる次第でございます。
#52
○山崎昇君 痛感することはいいとしても、具体的にあなたどういうふうに解決するのですか。これは総定員法のときに総理府から出された資料を私ども見て、これから数字を申し上げたいと思う。法務省はパートもおるでしょう。去年の七月一日現在で五万三百二十四名の定員外職員、そして職種別に分けるというと事務補助職員が千二百八十七名おって、その中の六百三十四名というのはこれは一年以上雇用の、俗に言う定員内職員と同様のものです。あと技術補助職員、技能職員、あるいは医療職員、教育職員と多種多様にわたっておりますが、総計で五万三百二十四名定員外職員がおる。そのうち登記関係だけで、いまの民事局長の答弁では一般職と思われるような人がことしの四月一日現在で九百八十九名いる。そしていま大臣の答弁を聞けば、実際は百八十五名ふえたかっこうにはなっておるけれども、五%削減を差し引けば、わずか六十八名しかふえていない。仕事は六倍半になっている。私は単にこれは遺憾でありますとか、困っておりますなんということで済まされる問題ではないんです。きょう私は人事院月報をここに持ってきておりませんから、職員の健康管理の問題については数字をあなたに申し上げることはできないけれども、健康を害している職員の数は他の省に比べて法務省関係は多いんですよ。そういう点考えて、大臣、まことに遺憾だとか、そういう答弁だけでこれは私は済ますことはできない、こういう矛盾をあなたはどう解決するんですか。現実に仕事がこんなにふえて、これだけの定員外職員をかかえて、それで片や五%削減で人間を切って、あなたは矛盾を感じませんか。具体的にどうされるんですか。
#53
○国務大臣(西郷吉之助君) よく実情は御承知のとおりでございますし、私自体もその実情はよく承知しておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、増員ということは非常にきびしく制限されておりますために、いま御指摘のとおり、千名近いものがおるのに、こんなものでは何にもならぬじゃないか、こういうおしかりを受けましたが、甘んじておしかりも受けますけれども、これは最大の努力をいたしまして、ようやく法務省と厚生省でございましたか、ふえたのはその二つであります。実情にはほど遠いものがあることは私もよく承知しておりますけれども、きびしい削減をされ、また増員はきびしい態度でございまして、なかなか承知をしてくれませんので、不十分なことは百も承知でございますけれども、この程度にとどまりましたが、なお、るる御指摘になりました臨時職員の問題にいたしましても非常に重要な問題でございますので、いま検討するというぐらいじゃいかぬじゃないかということでございますが、むずかしい定員法の関係等もございまして、なかなか、すみやかに解決はしたいけれども、名案というものがございません。しかし、今後ともどういたすかについては最善の努力を払ってまいりたいと考えます。
#54
○山崎昇君 情勢のむずかしいことはもちろん私も総定員法の審議のときにいろいろ聞きました。しかし、残念ながらこの定員外職員の問題等については、私どもが指摘するまで佐藤総理は知らなかったというんですね。そして総定員法が通ったら、バラ色のようになるような説明ばかりされておった。当時、行管長官もそうでありました。ところが、いまあなたに聞けば、まことにきびしくてどうにもならぬと、こういうんですね。そこで、大臣に重ねて伺いますが、かりにあなたの説明される九百八十九名、これが俗にいう長期の臨時だとしても、同じ仕事をして、そして片や定員内職員で、給与から、身分から、あるいは共済制度から一切保障されておる。同じ机を並べて仕事をしておっても、この人は臨時という名前がつくからまるっきり不安定な状況に置かれる。それならば、そういう人たちの身分なり、給与なり、あるいはその他の労働条件というものをどういうふうに大臣は守ろうとされるのか、これを伺っておきたい。
#55
○国務大臣(西郷吉之助君) そういう実情に実際にございますが、なかなかやっかいな問題等も含んでおりまして、いま御指摘のとおり、一緒に机を並べておって、片方は定員内の職員であり、お隣が定員外ということになりますと、同じ仕事を机を並べてやっておって、ほんとうにお気の毒な状態であるわけでございます、が、いま私も申しましたが、早急に全部をなかなか解決できませんが、定員に対しまして可能な限りの努力をいたしまして、少しでも早くそういうものを解決し、いやな思いを解消したい、かような点に対しまして、私自身も責任を感じておりますので、熱意を持ってこれを解決したい、かように考えます。
#56
○山崎昇君 決意はいいですよ。しかし、いまあなたの説明で四十四年度登記関係で実際にふえたのはたった六十八名ですね。そうすると、来年以降もかりにこの数字を基礎として考えたら、九百八十九名を定員内に入れるだけで十年かかりますよ。十年でおさまりませんよ。十五年かかります。そうすると、十五年の間、この九百八十九名の人の何百名かは毎日不安な状態で仕事は一人前させられる。しかし、身分、給与、労働条件は不安な状態に据え置かれる。私はさらに仕事はふえていくと思う。すなわち登記事務がそんなに急激に減るなんという情勢ではないと思う。そうなった場合に大臣どうするのですか。幾ら先ほど局長の答弁されました登記制度、台帳制度、これは整備されるにしても、私は限度があると思う。なくならない限り限度がある。そうしてこの対策を具体的にどうされるのですか。決意だけでこの人の生活が安定するなら私は何も文句は言わない。しかし、あなたの決意だけではどうにもならぬでしょう。だから具体的にこういう人をどうされるのか、明確にしてください。
#57
○政府委員(辻辰三郎君) たいへん詳細な技術的な面もございますので、数字その他を含めまして、先に定員外職員の定員内へ組み入れの問題について御説明いたします。先ほど大臣から定員外職員を可能な限り定員内に組み入れる方針をとっていくという御答弁がございましたが、この実情は現在おります職員が離職いたします。そういうことで欠員が逐次発生いたしてくるわけでございますから、そういう年間に発生いたします欠員、これについて新たに定員外職員から定員に組み入れていくという努力をかねてからいたしておるわけでございまして、昭和三十五年から昨年の十二月までにつきまして法務局の臨時職員の定員組み入れの状況を調べてみますと、合計で九百五十七名の臨時職員を定員のほうに組み入れた。本職員と申しますか、定員内職員に組み入れておるわけでございます。そこで、先生御承知のとおり、定員内職員につきましては、国家公務員の初級試験なら初級試験、あるいは中級試験なら中級試験という試験を受からなければ一応堂々とは採用できない。堂々といいますか、原則としては公務員試験に受かった者から採用することになっておりますので、法務局におきます定員外職員を定員に組み入れます場合に、定員外職員には極力公務員試験の受験を平素からすすめております。公務員試験を受験さして、合格いたしました者につきましては、欠員が発生いたしました場合には定員のほうに組み入れていく。さらに、なお公務員試験の受かりません場合でありましても、人事院規則の定めるところによりまして、人事院の承認を得ました場合には、いわゆる選考任用ができるわけでございます。この例外的な方法をも活用いたしまして、極力定員外職員を定員に組み入れておるわけでございまして、その総数が、先ほど申し上げましたように昭和三十五年度から昨年十一月一日までの間に、法務局につきまして合計九百五十七名の組み入れをいたしておるという状況に相なっております。
#58
○山崎昇君 人事院の出しておる資料によると、一般公務員の年間の退職率はおおむね四%ですね。省によって多少は違います。しかし、三ヵ年で五%という説明がありましたから、そのうち一年間に約一・六%くらいはこれは定員として落とされるわけです。だから、欠員で使われるのは法務省全体としても二・五%くらいしか使えないのですね。ですから、私は定員繰り入れ措置をやることに反対するわけではありませんが、いわばスズメの涙みたいのものですね。いまあなた得々として説明されましたが、八年間で九百五十七名入っている。それじゃ、いまある九百八十九名、かりにいままでのテンポで入れたとしても、これはこれから八年間かかる。しかし、そのうち三年間はどうしても五%削減で、これは欠員全部使えない。全部使ったとしても八年かかる。使えない。そうすればどんなにあなたがうまい説明しようとも、この九百八十九名のいまいる人がかりに定員内に入るとしても十年かかりますよ。その間一体こういう人たち、同じ仕事をさせられて、扱いは不平等なわけですね。これはもっと言うならば公務員法違反になると思う。国家公務員法の平等の取り扱い原則にこれは違反すると思う。給与法にも違反してくると思う。そういうことを放置して、ただ遺憾でございますとか、むずかしいとか、これはこういうことだけで済まされる問題ではないんです。これは大臣、いつまでにどうするということをきぱっとしてください。私はもう八点くらいの質問要項ありますが、これはまた後日にして、これできょうの午前中終わりたいと思いますが、この定員外職員の問題を大臣から決意をもう一ぺん述べてもらいたい。
#59
○国務大臣(西郷吉之助君) 御承知のとおりのこれは非常にやっかいな問題でございますし、定員のワクというものもございますが、いまはっきり具体的にというお尋ねではございますけれども、そうおっしゃるお気持ちも私も全く同じでございますけれども、すぐさまここに御答弁できるような名案があればけっこうなんでございますが、逆に非常にむずかしい問題がたくさんございますが、先ほど来申し上げておりますとおりに、実情はまことに気の毒な状況にもございますので、私自体におきましても何とか妙案を出しまして、できるだけすみやかに解決する、そういうことを申し上げておきます。
#60
○北村暢君 関連して。いまの定員外職員の定員化の問題については、各省について総定員法審議の際に、まず行政管理庁も内容を明らかにしておらない。総理府の人事局も明らかにしておらない。したがって、政府としては早急に各省の実態を調査をして善処をしたい。まず、その実態を把握しなければいけないということからやりたいということが、これは総理大臣からも答弁されているのですよ。したがって、その中で法務省はいま指摘されているように、置いてはならない定員外職員が実はおるわけですね。これは北海道開発庁の実態についてもこれは明らかになったのですが、三年三十一日まで使っておって、四月一日一日だけを退職させる。四月二日からまた使っておる。定員外職員というのは六ヵ月以上継続して使っちゃいけないという通達が出ているわけです。それで、そういうような苦肉の策をやって同じ人を継続して使っているということが明らかですね。おそらく法務省も何かの処置をとって、そういう定員外職員を置いているんだろうと思うんです。したがって、これはあなた方の法務省の立場からすれば非常に環境は困難であるけれども、実際に閣議決定なり何なり通達に対して違反をしても置かなければならないという実態にあったから、こういうふうにおるんだろうと思うんですね。したがって、私は非常に困難だから、努力はするが非常に困難で、いま山崎さんの質問されておるのを聞いておっても、八年かかるか十年かかるかわからない。こういう答弁しかできないわけだけれども、これは私はせっかく行政管理庁としてもその実態をすみやかに調査をして対するということを言っておるんですから、したがって、法務省としてはやはりこの問題を積極的に解決するという態度は、やはり確認しておいていいんじゃないかというふうに思うんです。困難だ困難だということだけで、実際にはどうするのかといって方法がさっぱりない。これじゃ困るんで、政府全体がこの問題について対処しようというときであるから、少なくとも積極的な方針を立てて、この定員外の問題を解決していくということについて、積極的な姿勢を示していただきたいというふうに思うんです。そういう点でひとつもう一度大臣から答弁を求めます。
#61
○国務大臣(西郷吉之助君) 民事局長から申し上げます。
#62
○政府委員(新谷正夫君) 臨時職員のことにつきましてたいへん御心配をわずらわしまして恐縮に存ずる次第でございますが、先ほども申し上げましたように、法務省、ことに登記所の臨時職員はすべて予算化されましたその範囲内で運営いたしておるのでございます。中には仰せのように数年間にわたって継続して雇用しているものもございます。これは、しかし仕事になれたということ、あるいはいなかにまいりますと、優秀な職員だから、もし希望するならばなるべく継続して雇用していこうという、そういう人情もからまってこようかと思うのでございます。しかし、それはそれといたしまして、少なくとも臨時の職員でございまして、定員にはなじまない職員であるということを、私どもはつとに承知をいたしております。したがいまして、会同その他の機会がありますつど、長期の臨時職員の雇用ということは極力差し控えるように、でき得べくんば、そういうことの絶対ないようにしようじゃないかということを相談いたしておるわけでございまして、つい先般も法務局長の会同がございました際に、特にこの問題を私取り上げまして、長期の雇用は今後しないようにするということを厳に申し渡したような次第もございます。現状を申し上げますと、先ほど申し上げました九百八十九名の臨時職員でございますが、このうちの六一・七%は一年未満でございます。一年をこえて二年以下のものが一八%ちょっとこえるくらいでございます。それ以上の長い雇用期用を経ておりますものは、ずっとパーセンテージが落ちてくるわけでありまして、今後はこれをさらに短縮していく、できるだけその用務が終わり次第、雇用をやめてしまう、こういう方針で、真に臨時の仕事に必要な範囲のものだけを雇用していこう、こういうことを申したわけでございます。それから同時に、長期雇用の職員につきましては、いまお話のように、できるだけ定員内に組み入れていこう、そういうことによって職員の処遇を考えていく必要もあろうと思いまして、官房長が先ほどお答えしましたように、できるだけ勉強して試験に合格するように、また特殊な事情がある場合には、人事院の承認を得て定員内の職員に組み入れることも可能である。これはしかし現在のそういう長期のものについて特に考慮すべきものであり、原則的には長期雇用すべきものでないから、今後はそういう運用をしていこう、こういうことをついせんだって厳に私から申し渡した次第でございます。
#63
○国務大臣(西郷吉之助君) 私といたしましても、先ほど来いろいろお話を伺いましたが、この上とも関係省庁ととくと相談をいたしまして、何とかこれを迅速に解決したいと考えております。
#64
○山崎昇君 ただいま局長から説明がありましたが、私はきょう時間がありませんから、次回にあなたにもう少し聞きますが、あなた臨時職員、臨時職員と言うけれども、これは一体どういう規定に基づいて採用しているのか御承知の上で言っているのでしょう。これは公務員法から始まって、私は根拠をあなたにいずれ聞きますよ、一体、定員外職員というのは何のために置かれて、どういう法規に基づいて置かれているのか。これはこの前の総定員法のときも明らかにしたけれども、ないんですよ、根拠法規は。あなたが臨時職員ということばを使われるならば、国家公務員法の臨時職員というのは三つの条件のあるときしか使えない、候補者名簿がないとき、あるいは災害が起きてどうしても緊急に雇わなければならぬとか、三つの条件以外には臨時職員というのはないんですよ、国家公務員法上には。ただ、予算があるから予算の範囲内で適当にやっていますという答弁で許されるしろものではないんです。しかし、きょうは時間がありませんから、これは次回にあなたにもう少し内容を聞きたいと思いますが、いずれにしても、この定員外職員の問題については、大臣、この次には明確なあなたの態度をもって出てきてもらいたい、このことだけ要望しておきます。
#65
○委員長(八田一朗君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#66
○委員長(八田一朗君) 速記を起こして。
#67
○岩間正男君 関連。ちょっと法務大臣に伺いますが、いまのは努力するとか何とかで解決する問題ではないので、この前、当委員会で問題になったのはこの定員外の臨時職員で、そうして実際は全く常勤と同じ仕事をやっている職員、これを定員にやっぱり組み入れるという、そういう政治的な大きな努力がなければ解決できませんよ。いま人事局長の答弁もあったけれども、これは私はいまやりませんけれども、いまの答弁でこれは事態の解決はできないですよ。そういう政治的なこれは努力をするというのですか、どうなんですか。法務大臣はそのことをやらなければ、定員化の問題というのは政治的に努力しなければ解決つかぬです。われわれはっきりしていると思うのです、この問題については。その決意があるかどうか、これはもしきょう答弁できなければこの次の答弁でもいいですが、もう決意をきめて答弁してもらわなければ困るのですね。
#68
○国務大臣(西郷吉之助君) 岩間君も実情を十分御承知だと思います。私、決意と申しましたら、決意だけでできないとおっしゃいますが、やはり非常に、御承知のとおりに、むずかしい問題でございますので、私はこう申し上げたので、何らかここに取り得る妙案があれば私も迅速にやりたいのでありますけれども、しかし、そういう妙案もないし、しかし、なかなか重要な問題でありますから、先ほども関係省庁ともよく相談をいたしまして、最善を尽くしたい。現在の段階では、あした、あさってとおっしゃってもそういうことは不可能だということは、そういうことはよく御承知だと思います。
#69
○委員長(八田一朗君) 本案に対する質疑はこの程度にいたします。
 午後三時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時十六分開会
#70
○委員長(八田一朗君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 同和対策事業特別措置法案を議題といたします。
 質議のおありの方は御発言を願います。
#71
○松本英一君 私は、ただいま議題となりました同和対策事業特別措置法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党、四党の意向をそんたくし、無量の感慨をこめつつ質問をいたしたいと思います。
 明治四年の太政官布告から九十七年、同和対策審議会発足から八年、そして同和対策審議会答申が出されてより三年十ヵ月、思えば本法案誕生への道はあまりにも遠くきびしいものがございました。しかし、これまでに時の政府が歴史的、社会的、文化的差別が現存することを認め、部落解放のために法案をつくったことはいまだかつてその例がありません。法案自体にはまだまだ不十分なところはあるにしましても、本法案が過日、満場一致、衆議院を通過し、いま参議院において最終審議が行なわれ、成立の日の目を見るということは、まさにその意味においても画期的な歴史的な意義を持つものであると確信いたします。他の施策についての批判はいろいろあるにいたしましても、少なくとも本法案に関する限り、佐藤内閣における善政の一つとして、佐藤栄作総理の各は永久に歴史にその名をとどめることでありましょう。また、本法案誕生の過程には部落解放同盟を中心とした差別と貧困に苦しむ六千部落、三百万人の人々の血と汗と涙の戦いのあったことを私は忘れることができません。本法案の成立のため御協力いただきました佐藤内閣及び関係機関の方々、各政党及び同僚議員の方々、地方自治体と同議会関係の方々及び各民主団体に対し、この際、心から敬意と感謝の意を表したいと存じます。ここに、人間尊重の部落解放運動にその八十年の生涯をささげました父治一郎をはじめ、多くの先覚者に対する報告の意味を兼ねまして、以下、具体的な質問に入ってまいりたいと思います。
 まず冒頭に、本法案の成立を一日千秋の思いで待ち望んでおりますそれから部落の人々や理解深き人々に思いを寄せて、衆議院内閣委員会における審議との重複を避けるため、社会党八木一男委員、民主社会党吉田之久委員、公明党沖本泰幸委員と関係閣僚との間でかわされました質疑並びに答弁を本委員会においても確認いたしたいと思います。
 それぞれ、床次総務長官、福田大蔵大臣、野田自治大臣から確認の御答弁を願います。
#72
○国務大臣(床次徳二君) 衆議院におきまして御質問がありましたときにお答え申し上げました趣旨におきまして、私はこの問題の解決のために十分努力いたして御趣旨に沿って実施いたしたいと思います。
#73
○国務大臣(福田赳夫君) 衆議院における質疑に対しまして私がお答え申し上げましたとおり、心得て実施に当たりたいと、かように存じます。
#74
○国務大臣(野田武夫君) 本問題に関しましては、さきに衆議院での質疑の際にお答えいたしましたとおり、今後もその実施につとめたいと、こう思っております。
#75
○松本英一君 そこで、衆議院内閣委員会で具体的施策がまだ明らかにされていない点にしぼって質問をいたしておきたいと思います。
 御承知のとおり、答申の内容は、特に現代における部落差別を、「市民的権利、自由の侵害にほかならない。市民的権利、自由とは、職業選択の自由、教育の機会均等を保障される権利、居住および移転の自由、結婚の自由などであり、これらの権利と自由が同和地区住民に対して完全に保障されていないことが差別である」とし、しかも、「これらの市民的権利と自由のうち、職業選択の自由、すなわち就職の機会均等が完全に保障されていないことが特に重大である。」と指摘しております。
 本法案の内案については、環境の整備にはたいへん具体的なものがありますが、第六条第五項に、「対象地域の住民の雇用の促進及び職業の安定を図るため、職業指導及び職業訓練の充実、職業紹介の推進等の措置を講ずること。」としておりますが、特に就職の機会均等についてはどのような労働省が指導と施策を考えておられますか、具体的な内容の説明を願います。
#76
○国務大臣(原健三郎君) いま松本先生の主張されました点でございますが、われわれといたしましては、この同和関係者へのいわれのない就職の差別、そのようなことを撤廃し、広く就職の機会均等を実現することは労働行政面における同和対策の基本であると考えております。その労働の基本行政の一つとして、ぜひ機会均等を実現いたしたい。そのためには労働省といたしましては、教育機関とも連絡をとるし、その他労働省関係の職業安定所、あるいは職業訓練所等も動員いたしまして、また指示を与えて、そして同和地区出身者がいわれのない差別による就職の機会が狭められるようなことのないように、いわゆる就職の機会均等が達せられるよう、必要な施策をきわめて積極的に推進してまいる所存でございますので、この決意のほどを御報告申し上げたいと思います。
#77
○松本英一君 文部大臣にお尋ねします。人間の形成の上から教育がその重大な役割りを果たすことは言うまでもありません。同和教育の問題は部落解放同盟の組織としても、この問題を重点として取り上げております。同和教育問題について文部省の指導を施策をどのようにお考えであるのか、御説明を願いたいと思います。
#78
○国務大臣(坂田道太君) 同和教育の中心的課題は、法のもとに平等な原則に基づきまして、社会の中に根強く残っておりまする不合理な差別をなくし、あるいは人間尊重の精神を貫くことであると考えておるわけでございます。これは単に学校教育のみならず、社会教育全般にわたりまして、全教育活動を通じて行なわなければならないことは申すまでもないことでございます。人間の尊厳を尊重し、合理的な精神をつちかい、人と人との間に存する偏見を解消し、ことに不合理な差別を排除し、基本的人権を尊重する精神を育成するようつとめてまいりたいと考えておるわけでございますが、特に同和地区につきましては、地域の実情に即しまして具体的に教育上の格差を是正し、教育と文化の水準を高め、青少年の健全な成長をはかり、もって差別を解消する教育を実践するよう指導をしておるわけでございます。
 具体的施策といたしましては、同和地区子弟に対しまする高等学校等の進学奨励措置、あるいは同和教育推進地域及び同和教育研究学校の指定、同和教育に関する指導体制を強化するための充て指導主事等の配置、教職員の定教の加配等の措置を講じておるわけでございますが、推進地域の指定の予算は本年度から初めて創設をいたしたわけでございます。また社会教育におきます同和教育におきましては、同和地区の教育水準の向上をはかるとともに、同和地区と直接関係のない地区におきましても、社会教育のあらゆる場を通じまして個人の尊厳を重んじ、合理的精神を尊重する教育活動を積極的に進めるよう指導しておるところでございます。また、同和地区におきます教育水準の向上のための社会教育の施策といたしましては、一つには住民を対象とした社会教育の学級、講座等の開催及び団体の育成について援助をし、また集会所の整備をはかるためにその建築費、設備費等を補助することをやっておるのでございます。また、都道府県教育委員会を通じまして同和教育の指導に当たらせ、その指導者の研修等においても力を用いておる次第でございます。
 今後とも同和問題につきましては、文部省といたしまして最善の努力をはかってまいりたいと考えておる次第でございます。
#79
○委員長(八田一朗君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#80
○委員長(八田一朗君) 速記を起こして。
#81
○松本英一君 本法案は両刃の剣としての性格があります。引き戻そうとする人々にはより多くの人を死なせる武器となり、推し進めようとする人々にはより多くの人を生かす武器となるのであります。この法案があるからといって最低の施策にとどまるならば、自由の原則や人権と民主主義を根底から破壊する武器の役目を果たすことになるからであります。部落解放へのほんとうの意味での足がかりになるよう、この法案の精神に基づいて具体的施策の発展を期していくべきだと考えております。なぜならば、それは明治四年八月二十八日発布されました太政官布告第六十一号によって、一応部落民に対する財称が廃止され、身分制の廃止が部落の解放にとって何の切り札にもならなかったという事実によって示されているからであります。この解放令が布告された翌明治五年に、同じ太政官布告による二つの問題が提起されております。驚くべき事実がこの中にひそんでおります。
 それは、明治五年二月一日施行された太政官布告第百七十号による壬申戸籍が、明治百年を謳歌した昨年の一月に、正月早々にこの壬申戸籍が各市町村に眠っておったという事実であります。この壬申戸籍のゆえに長野県の女性と四国の男性が東京在学中に知り合い、お互いに青年としての理解のもとに長野県の部落の女性と結婚いたしました。夫の里である四国に嫁に行きました。周囲の人がそれを名古屋の興信所に頼んで女性の身元を調べて壬申戸籍の中から部落であるということが報告をされました。そのことによって理解しておったはずの夫からもかばってもらえず、親戚からはいびられ、とうとう長野県の親に長距離電話をかけて井戸に飛び込んで自殺をした。この一つの事実は七年前に起こりました。その戸籍が百年に近い間、市町村に残っておったという事実であります。
 もう一つは、同じ明治五年に太政官布告第三百五十八号によって官幣大社以下各神社の儀式として「神武天皇御陵遥拝式」の布告が出されたことであります。実は神武御陵を見おろせる畝傍山の山すそに被差別部落があったのです。明治二十三年、官幣大社橿原神宮が建設され、日清戦争後の明治三十一年、神武御陵拡張と橿原神宮の拡大の工事が進められ、ここに洞部落の移転が強制される事件が起きたのであります。どれだけ苦々しいことであっても、大正二年、後藤秀穂という人があらわした「皇陵史稿」の一節を紹介しなければなりません。「驚くべし、神地聖蹟この畝傍山は、甚だしく無上極点の汚辱を受けている。事実はこうである。畝傍山の一角、然も神武御陵に面した山脚に御陵に面して新平民の墓がある。どだい神山と御陵との間に、新平民の一団を住まわせるのが不都合此上なし」としるしております。解放令によって身分、職業とも平民同様たるべきこととされた部落の人が新平民と呼ばれた事実がここにはっきり出ておるのであります。皆さんも御承知のように、御陵と部落の関係は所々方々で散見されるところであります。特に古墳においてもしかりであります。この畝傍山の山ろくにあった洞部落が御陵を見おろす位置にあるということで移転が始まったのは大正六年のことであります。奈良県庁の書類によりますと、移転をさせることの理由に五つの項目をあげておりますが、一、二、三の項目は省略して、四項目には、居は気を移すということわざにもあるように、場所が変われば気が変わる。五項目には、神武御陵を見おろす位置にあることはおそれ多いというのです。移転をすれば差別はなくなる。一番御陵に近かったそれらの人々がなぜそのような差別を受けなければならないのか。そうして、移転をすれど差別がなくなると考えておったのか、当時、この奈良県高市郡白橿村洞部落は戸数二百八戸であります。約一千人の村であり、宅地、田畑等合わせて約三万坪であります。翌大正七年の初めから県の移転強制は速度を早め、高市郡役所の書類によれば、「各人より承諾書提出方を命ず」としるされておりまして、これは話し合いではありません。明らかに命令であります。最終的に移転地が決定され、山すそから神武御陵の東のほうに追われたのが大正七年九月十三日であります。時あたかも米価がウナギ登りに上がり、生活困難が日増しに高まり、各地で米騒動が広がっていたときであります。県の計画は、移転に六千坪の新しい村をつくりました。ここに二百八戸のうち百三十戸を移転させるというのです。洞部落の全面積が三万坪であるのに、移転地が六千坪、約五分の一に押し込められる。幾ら詰め込んでも二百八戸すべてを入れることができないのは自明の理であります。だとすれば、残り七十八戸は奈良周辺の各県に分散せよとの計画であることはこれまた明白であります。
 一方、移転のための農地の提供を命ぜられた一般部落の人々は、洞部落民の移転雑居をきらい、郡役所に苦情を申し入れております。これこそ差別が差別を生むということでありましょう。こうして洞部落の人々は、差別の二重苦に涙をのみながら、山すその美しい場所から低い湿地に移転を強制されていったのであります。洞部落の中にも強制移転に強く反対していた者がいたことは当然であります。それは青年団を中心とした少数の人々であります。このことが奈良県を中心に、京都、大阪、兵庫、三重、和歌山の近畿の部落の人たちが、みずからの手によっての解放を願い、大正十一年春三月三日、京都岡崎公会堂において、人の世の冷たさがどんなに冷たいか、人間をいたわることは何であるかをよく知っているわれわれは、心から人生の熱と光を願求、礼讃するものである――水平社はかくして生まれた。人の世に熱あれ、人間に光あれと宣言をした全国水平社の創立に結びついていったのであります。これが、政治的にも社会的にも部落問題に対する関心の集められた時期であります。
 この法案の過程におきましても、同和という問題が長い間四党協議会の中で論議されました。あるいは、眠った子を起こすなという人々もおられます。しかし、それは眠った者は必ず起きてしまうのです。眠っている子供は死んではおりません。部落の者は死んではいないのです。また、差別の意識は死んではいないのです。部落の人たちが眠っても、差別をする人が起き上がれば、そこにいつまでも差別が残されるのであります。
 本法案の成立にあたって、冒頭に、佐藤内閣の善政の一つであり、人間尊重の歴史の中に佐藤榮作総理の名前が残るであろうと申しました。私もまた、父、治一郎と特に党派を越えてじっこんでありました松野鶴平翁に兄事される佐藤総理に、これまでの御苦労に対しての敬意を心から表しておるものであります。
 山に登るには幾つかの登り口があります。大蔵口もあり、総務口もあり、教育口もあれば労働口もありましょう。どの登り口を選ぶかは問題ではありません。問題は二つ、方向を誤らないこと、最後まで登ることであります。そうすれば、必ずや、みんなが人間解放の頂上で握手することができるのであります。
 この同和対策事業としての法案を、ほんとうにこれまでの過程の中からいろいろなものを積み重ねて生かしていただくことを心から念願し、そうして、人間が人間を尊重する部落解放への念願を、悲願をよく御承知いただきまして、民主主義と人道主義の立場に立って、長い長い部落差別の歴史に終止符を打っていただくよう特に指摘して、総理の御答弁を求め、御配慮賜わりました委員各位に対しお礼を申し上げ、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
#82
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま松本君の熱情をもっての御意見に対しまして、心から敬意を表する次第であります。
 今回の法案ができ上がりますまでに、ずいぶん長い経過をたどっております。各党とも話ができて、そしてようやく一致して、それでこの法案が取り上げられた。まあ、私から率直に申しますならば、いまさらこの種のことばをつかうこと自身、たいへん恥ずべきことではないか、かようにすら思っておるのであります。しかし、どうもこのことばは必要だと言われ、あるいは、もう一つは、部落解放同盟というようなことばもぜひ必要だと、こういうふうに言われたものであります。しかし、ことば自身からすでに差別をつけたような扱い方をする、私はこの点をまことに残念に思います。いまも言われましたように、明治の初年に解放されて、実際は百年近くたってもそれが解放を実現しておらない。いま例にあげられたようにその最もはなはだしいできごとが青年男女の心を痛ませるようないわゆる結婚問題にあらわれておる。私はこの結婚問題がもうこれからはそんな心配なしに、いわゆる若い者が結びつき得るような、そういう時代に、ぜひともしなければならないと思うし、また文部大臣もここにいますが、学校等のおさない子供の気持ちをそこなうことのないように実は願っておるのであります。私は各党で話し合いができて、そしてこの法案がいまでき上がろうとしている、とにかく基本的に各党で話し合ったこと、そのことを最も高く評価するものであります。まあそれぞれの立場があります。それぞれの立場がありまして、それぞれが主張する限りにおいてはこの日本国民の不幸な大問題、これはなかなか解決されなかったと思っております。しかし、ただいまようやくこの問題の扱い方が各党の間で話し合いができたということはたいへんうれしいことであります。そこで、ただいま松本君が言われたように、冒頭に返って、法律はできたがその結果差別が差別を生んだ、こういうようなことになったらこれはたいへんだと思います。そのためにも十分成果があがるように法を運用していかなければならぬと思います。お互いがどうもまだ法律の名前自身に気に食わないものがありますが、この法律のできたことに立ち返ってみて、そうしてほんとうに運用においてりっぱな差別のないもの、そして成果をあげようじゃありませんか。政府もそういう意味で真剣に取り組んで、せっかくできたこの平等の考え方、これを押し進めて、そして十分成果をあげるようにしたいと思います。私は皆さま方の御協力を得て原案ができ上がり、同時にまた、ただいま成立寸前にあるこの機会に各党の協力を得たことを心から喜び、どうかこの協力を続けていって成果をあげていただきたい。これを政府が率先してそういう立場で法の運営に当たりますが、同時に皆さま方の御協力を何としても願わなければならぬと思いますので、この点をお願いをして、そしてわれわれの同僚、あるいは先輩等がいままでなめてきたような苦しい思いをすることなく、あるいは創作の小説の種になったり、あるいは不幸な悲劇を生んだ結婚問題や、あるいはいたいけない小さな子供たちがこれで精神的な打撃を受けることのないように、そういう世の中にしたいものだと、かように思います。
 ただいまいろいろ意見をまじえてお話がありましたが、私も感動を持って松本君のお話を聞いた次第であります。ことに名前の出ました松野鶴平翁、これは私の大先輩で、政治指南番でもありました。この松野鶴平先生は松本治一郎先生ともたいへん仲のいい方でありました。私はまだ政界入りする前にいろいろむずかしい問題があるんだが、これを一体どうするか、こう言って松野さんにお話したときに、まあ自分には松本治一郎というたいへん仲のいい友人がいる、それとひとつ、とくと相談してみよう、こう言って党派の違い、これを乗り越えて二人で解決された問題をいま思い起こすのであります。ちょうど名前が出ましたから、そのお二人の名前を私も借用さしていただいて、ただいまの御意見にお答えいたしたいと思います。
#83
○委員長(八田一朗君) ほかに質疑もないようですから、質疑は終了したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。
 同和対策事業特別措置法案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#84
○委員長(八田一朗君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 審査報告書の作成につきましては、委員長に御任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#85
○委員長(八田一朗君) 御異議ないものと認め、さよう決します。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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