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#1
第061回国会 内閣委員会 第26号
昭和四十四年七月三日(木曜日)
   午前十時四十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         八田 一朗君
    理 事
                柴田  栄君
                北村  暢君
                山崎  昇君
    委 員
                内田 芳郎君
                源田  実君
                玉置 猛夫君
                長屋  茂君
                安田 隆明君
                山崎 竜男君
                山本茂一郎君
                林  虎雄君
                前川  旦君
                村田 秀三君
                中尾 辰義君
                峯山 昭範君
                片山 武夫君
                岩間 正男君
   国務大臣
       農 林 大 臣  長谷川四郎君
       国 務 大 臣  床次 徳二君
   政府委員
       宮内庁次長    瓜生 順良君
       皇室経済主管   並木 四郎君
       大蔵省理財局次
       長        谷川 寛三君
       農林大臣官房長  大和田啓気君
       農林省畜産局長  太田 康二君
       農林水産技術会
       議事務局長    横尾 正之君
       食糧庁長官    檜垣徳太郎君
       林野庁長官    片山 正英君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        相原 桂次君
   説明員
       大蔵省理財局国
       有財産総括課長  斉藤 整督君
       大蔵省理財局鑑
       定参事官     三島 和夫君
   参考人
       新東京国際空港
       公団総裁     今井 栄文君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○宮内庁法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(八田一朗君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 宮内庁法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#3
○北村暢君 前回に引き続いて空港公団の事業内容について若干質問をいたしたいと思います。
 この前の質問で、空港関係の事業計画について説明を願ったのでありますが、その中で、用地の取得に関連をし、その経過もお伺いいたしたのでありますが、まず、用地取得の際における価格の問題でありますが、これについて、一体この用地取得のための公団の提示をいたしました基準価格というのが資料で配付されておりますが、この基準価格は、買収単価はいつの時点における価格であるか、この点まずお伺いいたしたいと思います。
#4
○参考人(今井栄文君) 用地取得につきまして、敷地内の条件派の方々、全体の約九〇%を占める方々でございますが、これらの方々の代表者の方々と長期にわたって交渉の結果、このような価格で決定をいたしました時期は昭和四十三年の四月の六日でございます。
#5
○北村暢君 四十三年の四月ということですが、それ以前に、四十二年の十月ごろに公団は基準価格というものを提示をしているように新聞報道になされておりますが、その時期に公団は提示したことはないのですか。
#6
○参考人(今井栄文君) それ以前にも提示をいたしたことはございます。それはおっしゃるように四十二年の秋ごろだろうと思いますが、敷地内の価格をどれくらいにするかということで、新空港閣僚協議会の御了解も得まして、畑の基準反当たりの価格、最高百十万から、畑と山林、原野等も含めまして、全体として六十万くらいまでというふうなことで、最高百十万というふうな値段で最初の提示を行なったわけでございます。
#7
○北村暢君 その閣僚協議会できめた最高百十万というのは、この宅地、水田、畑、山林等の価格は、そういう地目別の価格はどうなっておるか聞きたい。
#8
○参考人(今井栄文君) 特に地目別の価格というものは細分して決定いたしたわけではございません。全体として、敷地内の値段を百十万から六十万というふうな提示のしかたでございました。
#9
○北村暢君 もう一度お伺いしますが、閣僚協議会のきめたのは六十万から百十万というのですか。百六十万というのですか。どちらですか。
#10
○参考人(今井栄文君) 最高百十万で、最低が六十万と、こういうふうな幅で御了解を得たわけでございます。
#11
○北村暢君 そうしますと、この閣僚協議会できめた六十万から最高百十万というのが、四十二年の秋ごろに提示した価格との関係はどうなっておりますか。
#12
○参考人(今井栄文君) 私どもは大体その線に従いまして、百万から百十万というふうな線で地元の条件派の方々と交渉を開始いたしたのでございます。
#13
○北村暢君 で、いつの時点において交渉を開始したのかですね。四十二年秋ごろ一度提示したことがあるでしょう。その提示したときの価格というのは幾らなんですか。
#14
○参考人(今井栄文君) 空港の敷地内の価格につきまして、畑がほとんど大分でございまして、宅地は全体の三%程度しかないというふうなことで、大体、畑の基準価格というものを中心にいたしまして、各地目別の値段を調整するというふうな考え方に立っておったわけでございますが、私どもは、公団が発足いたしました昭和四十一年の八月以降、現地で条件派の育成、あるいはまた新空港建設の意義等につきましてのいろいろな説明、懇談等を行なっておったわけでございますが、その当時すでに敷地内の価格というものにつきましては一つの考え方が出ておったわけでございまして、というのは、御承知のように新空港が三里塚に位置決定をいたします以前に、富里に一応予定地として検討された時期もございまして、その当時からすでに空港予定地の価格というふうなものについては一つの考え方が地元に生まれておった。これは千葉県当局もそういうふうな点で一つの考え方を持っておったわけでございますが、そういうふうな観点から、公団発足後におきまして、畑反当たり百万というものを基準にしてもらいたいというのが、当時の地元の県あたりの御要望でもございました。
 で、私ども、発足いたしまして二ヵ月後でございますが、九月に千葉市で公聴会を、公聴会と申しますか、説明会を行なった際にも、畑反当たりの基準価格を大体百万円程度にいたしたいと、かようないわば心がまえの値段を発表いたしたこともございます。したがいまして、価格を具体的にいつ提示したかということは、もう公団発足後からすでにわれわれとしては地元の方々といろいろな話し合いをいたしておったわけでございます。で、先生のおっしゃいました閣僚協において、新空港予定地の大体土地価格というものはこの程度の幅であるというふうな御決定をいただいたのは、たしか昭和四十二年の秋ごろではないかと、かように考えておるわけでございます。したがって、価格交渉というものは絶えず続けておったと、こういうことでございます。
#15
○北村暢君 この価格の問題は、大体四十二年の秋ごろに閣僚協議会で六十万から最高百十万ということできめられて、そのときに公団側が提示したものが新聞に出ておる。それによりますと、十アール当たり宅地が百五十万、水田が百二十万、畑が百十万、山林が九十万、こういうふうに提示したものが新聞で報道されておる。ところが、いただいた資料は、四十三年四月で、宅地が二百万、水田が百五十三万、畑が百四十万、山林が百十五万という資料ですね。これ、わずか半年ぐらいのうちに何でこんなに価格上げたか、上がったのですか。しかもそれは閣僚協議会の決定している六十万から最高百十万というのにも、これはどうもそぐわないようですね。こういう点について、当然国有財産等の処分の問題も出てくるわけですから、大蔵省とも協議をされておったんだろうと思う。その際において、大蔵省は当初発表したものですら高過ぎると、まあ閣僚協議会の線からいえば、これは実は高過ぎる。まあ農民の側からいえば、高いほどいいにきまっていますから、この事情からして、どうしても取得しなければならないということから、まあ折り合いがつかなくてこういうふうになったんだろうと思いますが、そこら辺のいきさつですね、大蔵省とどういう協議をされ、どういう意見があり、そして地元とどういう交渉をしてこういうふうな価格になってきたのか、ここら辺の説明、あまりにもこの半年ぐらいの間に価格が変わっております。この点の説明をしていただきたい。
#16
○参考人(今井栄文君) 先ほど私の答弁の中で、閣僚協の御了解を得たのが昭和四十二年の秋と申しましたが、記録を調べてみますと四十一年の秋でございます。閣僚協で御了解していただきましたのが四十一年の秋でございます。四十二年、もちろん先ほど申しましたように、引き続いてその値段で交渉しておったわけでございますが、閣僚協で十アール当たり百十万から六十万の間というふうな趣旨の了解を得たのは、四十一年の九月十二日ということに記録はなっております。それをベースにして長い間私どもとしては現地と折衝いたしたのでございますが、御承知のように、現地には二つの大きな条件派がございまして、一つは、当初条件派として発足した新空港対策部落協議会、それからその後に、反対しておられた方々で次に条件派に変わられた新空港地権者会、この二つが大体二百名程度の会員を擁しまして、政府及び公団並びに県というふうなところと団体交渉をいたしておったわけであります。これについては、私どもほとんど徹宵の交渉等を重ねておったわけでございますが、最終的にきまる以前におきまして、両団体とも、大体畑反当たり二百万というものでなければどうしても売り渡せないというふうな非常に強い要望を出されたわけです。したがいまして、私どもが閣僚協の御了解を得て当時提示いたしました最高百十万というものに対しましては、約二倍に近い値段を地主の方々から提出されたというふうな状況でございまして、これは私自身あるいはまた友納県知事が、もう直接条件派の幹部の方々と折衝いたしまして、それで折衝の結果きまりましたのが、この畑反当たり百四十万という最終的な値段でございます。したがいまして、そういうふうな、これによって十分部落民にも説明できるし、部落民の今後の生活設計にも、これならば確信が持てるというふうなところで、最後まで、これで聞いていただけなければ、もう決裂だというところまで両者の問で話を煮詰めたわけでございます。そういう結論に基づきまして、当時の私どもの監督官庁である運輸省の中曾根運輸大臣に御相談を申し上げまして、どうしてもこういう強い要望を持っておるが、これなら全部まとめ得るというふうに言っておられるというふうな報告をいたしまして、大臣が関係の閣僚の方々とも御相談の上で、それでやむを得ないだろうというふうな趣旨で値段がきまったのでございます。したがいまして、私どもは、それがその当時の完全な土地鑑定の結果、その時点における地価というふうのものだけではなしに、将来における敷地の中の農民の方々の生活設計の問題、それからまた、この決定した敷地内の値段は絶対に変えないということで、当時御決定をいただいたわけでございます。
 現在私どもはどんどん契約を進めておりまして、約七割に近いものはもうすでに支払いを終わっているわけでございますが、これにつきましても、すでに昨年の四月の六日に締結した協定に基づきまして、現在その値段でお買いしておる、こういうことでございまして、私どもはある程度の先を見まして、そういう値段で価格をフィックスした、こういうことでございます。
#17
○北村暢君 これは大蔵省とは御相談されているのですか。
#18
○参考人(今井栄文君) 大蔵省にも事務的には、そういうふうなことで、新空港をつくるために、この値段でなければ条件派の方々と話がつかないということでその結論を持って御了解を得に上がっておるわけでございます。
#19
○北村暢君 それじゃ高根沢の用地取得について、宅地、水田、畑、山林の価格の単価をお知らせ願いたい。
#20
○参考人(今井栄文君) 高根沢におきましては、畑地は反三十万、それ以外の山林、原野等につきましては二十五万、こういうことで全部買収を終わったわけでございます。
#21
○北村暢君 高根沢のほうが畑が三十万、これもやはり民有地を買収したわけでしょう。それが三里塚のほうは畑が百四十万。高根沢の三十万と三里塚の百四十万、これはあまりにも差があり過ぎますね。まあ生活補給とかなんとかいったにしても、こういうことが、同じ公団でて栃木県と千葉県とこれだけ地価が違うのですか。
#22
○参考人(今井栄文君) 先生の御懸念まことにごもっともだと思いますけれども、これはいわゆる用地取得を取り巻く環境が非常に違うということが一つあるのではないかというふうに推測されます。具体的には高根沢のほうの用地取得につきましては、栃木県並びに高根沢町、芳賀町の非常な御協力を得まして、牧場用地を取得いたしたわけでございますけれども、その際に県あるいは町とのお話し合いの結果、大体この程度の値段で仲介の労をとろうということでごあっせんを願ったわけでございますけれども、新空港のほうは、御承知のように、千葉県というものが首都圏の一環として、今後空港を中心にして大いに発展をするというふうに、北総開発についてのいろいろな施策が発表になると同時に、周辺の地価がどんどん上がってくるというふうな状況でございまして、私どもといたしましては、単に空港をつくるということではなしに、空港に関連いたします河川改修であるとか、あるいは下水道あるいは上水道、新しいニュータウン、それから工業団地というふうな、いろいろな近代化の施策というものが行なわれるということで、それに伴って周辺の地価がどんどん上がってきておるというふうな状況下において用地を取得せざるを得ないという立場にあったわけでございまして、高根沢での御料牧場という非常に静ひつな牧場をつくるという環境と、新しい近代的な空港と、それに関連する諸般の近代的な都市化というふうなものを背景にする三里塚の土地とは、そういう点で非常に取り巻く環境が違ったのではないか、その点がこういうふうに具体的な農民の方々の御了承を得る値段にあらわれてきているんではないか、かように考えておるわけであります。
#23
○北村暢君 これは首都圏で、都市化傾向にあるということを言われますけれども、地価が上がっておると言われておりますけれども、これは畑は畑、山林は山林で評価しているわけでしょう。山林を宅地と同じ評価をしているわけではないでしょう。そうすると、これは何ぼ何でも、高根沢のほうの山林、これは二十五万で、三里塚のほうは山林百十五万、四倍以上でしょう。そういうことが、今後のあらゆるものについての用地買収に非常に大きな影響を与えますよ。それでは、京葉地帯で干拓をして工業用地を造成していますね。あれは十アール当たりどのくらいしておりますか、同じ千葉県ですよ。これは国有地でも造成しているようですから、大蔵省の課長さん見えているようですから、大体あの辺の干拓の造成地の工業地帯の価格というのはどのくらいしておりますか、御存じですか。
#24
○説明員(斉藤整督君) 千葉県で造成いたしております工業用地は、現在千葉県でやっておりまして、海岸地になっておりまして、大蔵省の普通財産として管理しておるものではございませんので、現在のところ資料を持ち合わせておりませんのでわかりかねますので、御了承を願いたいと思います。
#25
○北村暢君 それでは公団の総裁に、代替地の取得の価格はどうなっておりますか。これは非常に飛び地で、また場所的にずいぶん分散しておりますから、一様にはいかないでしょうけれども、大体代替地の取得価格というのはどのくらいになっておりますか。
#26
○参考人(今井栄文君) 三里塚空港に関連いたしましての敷地内の農民の方々の移っていただく代替地、これにつきましては、民有地約三百ヘクタールを県にお願いをいたしまして県に買収をしていただいたわけでございます。で、その値段は、富里村につきましては反当たり七十万、それから成田市内につきましては反当たり八十万というのが県が取得した値段でございます。
#27
○北村暢君 これは大体畑でしょう、いまの価格。これは空港の予定地のすぐ近くでも取得している土地があるわけですがね。代替地、これはあれでしょう、都市化の傾向にある成田市内というのは、富里と成田で十万の差があるようですけれども、それにしても、これもまた安いほうではない、非常に高いですが、この空港区域内よりは安いけれども、これもまただいぶ差がありますね。同じような地帯ですよ。どうもこの説明を聞いていると私しっくりしないわけです。あまりにも差があり過ぎる。そういう点からして、どう考えてみても、これはちょっと納得できかねる数字ですね。それじゃ、大蔵省から資料を提出していただきました三里塚牧場の、御料牧場の価格、これはどうも平方メートルあたりの評価額で全体になにしておりますから、十アール当たりの価格は出ておりませんので、いただいた資料の宅地、畑、山林、これの十アール当たりの価格はどうなっておりますか。
#28
○説明員(三島和夫君) お答え申し上げます。
 山林につきましては、千平方メートル当たり九十七万二千円でございます。畑につきましては、千平方メートル当たり百十三万一千円でございます。宅地につきましては、千平方メートル当たりにいたしますと三百三十五万二千円でございます。全体平均いたしまして、千平方メートル当たり百十三万七千円。以上でございます。
#29
○北村暢君 そこでもまた非常に違うのですね。いま宅地十アール当たり三百三十五万と、こうおっしゃいましたね。空港公団の買収単価が、四十三年の四月の資料によって、宅地は二百万ですよ。宅地ですから、便利なところと不便なところで、これはたいへん違うでしょうけれども、これだけ差があるのですよ。牧場の中の宅地と、それからその付近の民有地を買収した宅地が二百万、最高二百万。大蔵省のほうは三百三十五万ですね。これくらい違うのですが、これは空港公団、安く買い過ぎたのですか。買い過ぎたような感じになりますね、これは。
#30
○説明員(三島和夫君) 宅地について三百三十五万二千円と申し上げましたのは、この宅地の中には三里塚のちょうど十字路のところがございまして、したがいましてあそこは一つの集落をなしておりまして、大体取引価格も、安くても坪一万五千円から二万円といったような数字が出ております。したがいまして、こういう特殊な地域を含んでおるからこういう価格になるわけでございます。したがいまして、そういった十字路のところを除きまして、御参考に申し上げますと、十字路の地域以外のところは百九十四万円でございます。十字路のところは三百九十五万円、かようになっておるわけでございます。御了承願います。
#31
○北村暢君 それで全体の評価額で、この山林、畑の評価ですが、山林が九十七万、畑が百十三万というのですがね。これは全国統計、それから地域別の統計を見ましても、農地の価格で、普通畑で大体十アール当たり十四万三千円、これは昭和四十二年です。全国平均で十四万三千円、関東で普通畑十九万九千何がしですね。それから山林に至っては、これは用材林、薪炭林と違いますけれども、四十二年で用材林で全国平均二万三千円、それから関東で三万八千円、薪炭林になるというと、これは全国平均で一万七千円、関東が三万円、こういう統計が出ているのですよ。こういうものと比べますと、いずれも評価額がばく大に高いですね。これは政府の統計表なんですからね。統計表から見ますというと、もう問題にならないくらい高いのですね。こういうことが一体どうして出てくるのか、私どもにわからないのですが、ここら辺は、土地を鑑定しているのだろうと思うのですが、あまりにも差があり過ぎるのですね。政府の統計が間違いなら別ですけれども、これはずっと毎年出ている統計ですね。それを比較するというと、これは問題にならない。山林なんかは、これは高根沢の買収単価でも山林十アール当たり二十五万ですよ。ところがあれはそのほとんどが雑木林であったと、こういわれているわけです。雑木林であったら、これは統計からいくと薪炭林ですから、関東は全国一高いのですが、それでも薪炭林だと三万円ですがね。関東が一番高くて三万円、ところがこれが二十五万円なんですよ。一体どうしてこんなに違うのですか。
#32
○説明員(三島和夫君) お答えいたします。
 土地の価格は、その所在する場所によりまして相当価格に開差が出てくるわけでございます。したがいまして、山林で見ましても、やはりその所在する場所によって非常に高いもの、あるいは安いものが出ているわけでございまして、ただ山林の山林としての収益還元価格から見れば、非常に安い価格になると思います。現在高根沢、成田、特に成田付近でございますけれども、この山林は相当開拓されまして住宅になっている。したがいまして、当地付近の山林の価格というのは非常に上がっているわけでございます。大蔵省として評価いたします場合には、その付近の山林の――山林と申しましても、これはほとんど平坦地でございますけれども、あるいは多少傾斜がございますが、そういった売買実例をもとにいたしまして、これから場所による比準をいたしまして、品位差による修正と、それから取引時点の相違による時点修正、そういった修正をいたしまして価格を一応出しまして、これにさらに民間精通者の意見を導入いたしまして評価した値段が九十七万二千円でございます。したがいまして、評価は適正に行なわれていると、かように思っております。
#33
○北村暢君 高根沢の場合、牧場は、それは住宅地もありますし、厩舎その他の建物の敷地もありますけれども、大部分はこれは草地ですね。開墾をして草地にしているわけでしょう。そうすれば、使用目的はこれは畑であるわけですね。宅地と畑はそれは確かに違いますよ。そういう点からいって、全く山林を切り開いて宅地造成して、宅地がその付近の時価と均衡をとるというのは、これはある程度わからないわけじゃないが、畑として使用する場合、畑がこれは三十万でしょう。三十万で買っているわけなんです。これは畑地であったものを三十万で買った。それは畑としての評価でいいんじゃないですか。それで、畑の関東における評価額と収益還元方式でいけば、こういう価格にはならないのじゃないですか。平均価格で十アール当たり三十万で買ったというのは、これは高く買い過ぎていないですか。どうなんですか。
#34
○説明員(三島和夫君) 畑は畑として評価すればさような価格になるかと思います。しかしながら、公共用地を取得する場合は、やはり近隣におけるその取引事例等の中庸のものを採用することになっております。したがいまして、近隣における売買実例がやはり基礎になるのじゃないかと思います。したがいまして、畑であっても、かりに畑の売買金額が実際反当三十万近いものである、あるいはこえているというものであれば、幾ら畑として使用するものであっても、取得する場合は、その付近の売買実例というものを参照して売買価格をきめるのが正しいかと思っております。
#35
○北村暢君 したがって、政府の統計というのは、これは全くたよりにならない統計である、そうならざるを得ないと思うんです。したがって、農地の売買価格はやみ価格でもって、実際には売買されている。やみ価格というものはこの統計には出てきておらぬ、こういうことなんでしょうかな。これはあなたごらんになってくださいよ。田畑の売買価格ということで農林省で出している統計です。こんなものは無意味だということになるのですね。どういうことなんですか。
#36
○説明員(三島和夫君) ただいまのお話、統計の算出内容をよく承知しておりませんので、いまここでどうであるという批判をすることは差し控えたいと思います。
#37
○北村暢君 この論議やっていても……。私はとにかく、畑であれば、おそらくこれはやみ価格ですよね、三十万というのは。水田なら五十万ぐらい。やみ価格で取引をやっているところもあるようですね。畑で三十万、これは普通であれば、民間で売買するときはこういう価格でやっているのかもしれません。ところが統計にはそういうものは出てこないのかもしれませんけれどもね。私は、収益還元価格とかなんとかならわかるのですけれども、そうはなっていないのですよ。これは売買価格となっているでしょう。そういう統計が出ているのですよ。だからこれは農地の売買価格なんですから、売買価格であれば当然収益還元方式による畑、水田の評価、これはそれなりに出てくるが、でなくして、これは実際に売買している価格ですね。だから私は疑問を持つのです。売買価格であるならば、当然あなたのおっしゃるような周囲の状況なりなんなり、こんなもので当然取引がされておる、こう思うのですがね。それにしても高根沢の畑三十万、山林二十五万。山林の二十五万というのはちょっと高いですね。それと同時に、これと比較して三里塚の御料牧場の畑が百十三万、それから山林の九十七万、これまた非常に高いですね。これは民有地の売買価格ですね、公団が買い上げた。これの関係でこういうふうに引き上げてしまったのですか。
#38
○説明員(三島和夫君) お答えいたします。
 公団の買い上げ価格というものは、全然私のほうでは考慮いたしませんで、ただ付近のほかの売買実例をおもにして採用いたしました。
#39
○北村暢君 それにしても、この千葉県の平均の山林、それから畑というものがこういう高いものであるのかどうなのか。私はどうも評価のしかたが納得しかねるわけなんですが、これは公団の場合には、どうしても民有地を買わなければならないということで何か、農民の将来の生計費まで含んだような形で買わざるを得ないという場合はあるのだけれども、三里塚の牧場はあなた国有財産なわけでしょう。だから国有財産は国有財産らしく評価していいのじゃないですか。それをこんなに高く評価するというのはどうも私にはわからないのですがね。
#40
○説明員(三島和夫君) いま先生は、国有財産なら国有財産らしく評価したらいいと、こうおっしゃいましたけれども、国有財産は「適正な対価」ということばを使ってあるわけであります。「適正な対価」といいますと、決して安い価格という意味ではございません。また高い価格でもない。いわゆる中庸を得た価格、さように考えているわけでございます。したがいまして、三里塚の牧場の評価をいたします場合にも、そういういわゆる適正な対価を払うという考え方で、いろいろ山林の売買実例が非常に高いのもございましたが、しかしながら、そのうち適正であると思う売買実例を採用したわけでございます。それになお、先ほど申し上げましたように、民間精通者の意見価格を導入して評価したわけでございますので、特に高過ぎるとか、あるいは安過ぎるということではないと、かように思っております。
#41
○北村暢君 これは同じ牧場なんですがね。高根沢のほうの牧場の畑の価格、それから山林の価格、それから三里塚の牧場の価格、これは三里塚の牧場は将来空港になると、そういう前提において、周囲の状況からして牧場としての畑、山林という価格にはならない、そういう説明のようですがね。それにしても、これは、現在のこの三里塚の牧場の山林、畑、それから高根沢の新しくできる――しかも高根沢は雑木林を開墾をして草地をつくっているわけでしょう。それは造成費ももちろんかかっている。そういうものからいって、この評価のしかたについて、同じ牧場になるようなところでこれほど値段が差があるものかどうなのか。どうも高根沢の牧場の造成費二十二億と、それから三里塚の牧場の等価交換するのが価格が約二十一億九千万円でございます。同じような価格でもって交換すると、こういうことになっておるんでしょう。それが何かこう無理に合わせたように私は感じてしょうがないんですがね。高根沢のほうは土地価格が非常に安くて、しかも二百五十二ヘクタールですか、その土地の価格が七億ですよね。ところが、この等価交換をするところの三里塚のほうは、これは山林、畑、宅地合わせて百七十二ヘクタール、これが土地価格だけで十九億でしょう。したがって、三里塚の建物その他は、まるでまあこわすようなものでしょうから、これは評価されない。まあ二十二億のうちの大部分がこれは土地価格ですよね。しかも面積が百七十二ヘクタールで、高根沢のほうは二百五十ヘクタールで七億、そして建設費全部入れて二十二億というんですよね。どうもここら辺の勘定を比較してみるというと、全くこんなに違うものかなという、びっくりするんですよ。これは同じ大蔵省で評価するのに、こんなに違っていいものなんだろうかというふうな、これはしろうと目で見ますというとそう感ずるんです。これは私の感じが無理でないと思うんですがね。それはまああなた方の評価からすればそうなるんだと、こう言えばそれまでなんですけれども、ちょっと私は、これはどういう比較をすればいいんだか、しろうとではわからないですね、これ。理解できないんですよ。ちょっと理解できるように説明してくれませんか。
#42
○説明員(三島和夫君) お答え申し上げます。
 ただいま先生、同じ農地でありながら高根沢と三里塚は相当差があるではないか、こういうお話でございますけれども、いわゆる土地というものは、やはりその付近が発展してまいりますと非常に値上がりが激しいわけでございまして、特に公共施設、たとえば地下鉄がある農村の一角に東京から大和町なら大和町にできたと仮定いたしますと、その付近は猛烈に価格が上がるわけであります。あるいは地方におきまして公共団体の役場が、現在町の中心にあったけれども、狭いからというので、少しはずれた、いわゆる農村地帯のほうに移った場合に、その付近の地価というものは上がってくるわけです。かように公共機関とか、あるいは公共施設ができます場合には、それに伴いましてその付近の地価というものは相当急激に上がってくるというのが実情でございます。この三里塚牧場、正式には下総御料牧場でございますが、この御料牧場に新空港ができる、相当の公共投資が行なわれる、こういったことがすでに計画されているわけでございます。その計画に基づきまして一般の民間の取引というものは、その計画を見込んで取引が行なわれている。したがって、それが中には一時投機的に非常に高い価格で取引される人もありましょう。しかしながら、これは当然そういった投資に基づいて地価が上がるということをはっきり予想できる、非常にかた目に見ている人もありましょう。しかし、いずれにいたしましても、そういった投資が行なわれることによって地価というものは上がってくるわけでございます。したがって、その上がった地価によって一般の取引がされているわけでございますから、国有財産だけはそこで安く評価するというわけにまいらないかと思います。したがって高根沢につきましても、そういった特殊な投資が行なわれれば、あるいはもっと高くなるかもしれませんけれども、高根沢の場合は、現在はこれから御料牧場ができるという程度でございますので、まあ向こうのほうはあまり値上がりしていない。かような結果のために相当そこの価格に相違があるのはやむを得ない、かように考えております。
#43
○北村暢君 高根沢も私現地に行ってみましたら、宇都宮市からわずか三キロしか離れてないところですよ。三里塚は成田市から何キロぐらいあるんですか、空港ができるということはありますけれども、そう違うものですかね。宇都宮市の三キロで周辺、すぐですわね。それでこのように違う。二十二億に何か合わせたような感じがしてならないものだからお伺いしたんですがね。まあこの論議は幾らしても、しろうと目ではちょっとこれ幾ら何でも違いすぎるような感じしますね。
 それから御料牧場の敷地外の残地を代替地として県有林と交換することになっているわけですね。県有林の評価と、この代替地との評価、これも等価交換でしょう。そういうふうなことになっておりませんか。
#44
○参考人(今井栄文君) 敷地の中の県有林と、それから御料牧場の残地で、主として代替地として農民の方々に提供する地域との交換でございますが、現在大蔵省の御了解を得て、県と大体話がつきました線は、県有林の面積は約九十八ヘクタールでございます。それと代替地として県に提供する面積は約九十二ヘクタールでございます。これは、したがいまして等積の交換ということではなくして、私どものほうで敷地の中を地目別に農民の方々からお買い上げいたしました基準と全く同じものさしを当てはめまして、畑がどれだけある、山林が幾らある、宅地がどれだけあるというふうなことで評価いたしますと、いま申し上げましたように、代替地として県にお渡しする部分が約九十二ヘクタール、それから県有林として私どもが空港用地としていただく分が約九十八ヘクタール、こういうことになっております。
#45
○北村暢君 その県有林百三十ヘクタールのうち、空港敷地になるのが九十八ヘクタール、交換するのは九十八ヘクタールだけでしょう。残った県有林は交換にはならないんでしょうか。
#46
○参考人(今井栄文君) 県が留保しておるという状況です。
#47
○北村暢君 それを等価交換するということなんでしょう。この御料牧場の残地の代替地九十二ヘクタールと等価交換をする、こういうことになるんですか。
#48
○参考人(今井栄文君) 先ほど御説明申し上げましたように、敷地の外になる県有林の部分につきましては、県が今後ともこれを留保するということになっておりまして、代替地として御料牧場の残地と交換する県有林は、先ほど申し上げましたように敷地の中にある九十八ヘクタールでございます。
#49
○北村暢君 だから交換をするのは等価交換で、出入りに県有林のほうが価格が評価したら少なかった、評価額が低かった、代替地のほうが価格は高かったということは、これはやはり計算してやったわけではないですか。それで交換するというのは、噂に交換するということで、したがって、私の聞いているのは、等価交換で県からこの代替地のほうが土地的にもいいという場合でも、評価の面からいくというと、私は差があるように聞いておるんですが、これは土地鑑定委員会の鑑定に基づいて一体どういう結果になっておったのか、そしてどういういきさつでこの等価交換をするということになったのか。ここら辺の手続ははっきりしているんですか。
#50
○参考人(今井栄文君) これは御料牧場のほうが、現在の下総御料牧場が一応公団の権利に移りますれば、その代替地を県の敷地の中にある県有地と交換するということで、県と公団との間に正式に交換契約を結ぶと、こういうことになっているわけです。先ほど私が値段の問題を申し上げましたが、必ずしも値段ということではなくして、空港敷地として県有地を提供していただく、そのかわり、県が農民に配分すべき御料牧場の残地の代替地を県のほうにお渡しするということでお約束ができておるわけでございます。したがって、代替地のほうの中にある農民の方々に配分すべき畑地並びに宅地の総合計が、先ほど申し上げましたように九十二ヘクタール程度になるわけでございまして、これが、私どもが敷地の中で地目別に農民の方々からお買い上げをした値段のものさしではかった場合に見合うということでございまして、実際に現金の収受等が行なわれるわけではございません。それで全体として県有地として九十八ヘクタールを提供していただく、御料牧場残地の代替地を農民の方々に提供すべきものが九十二ヘクタールある。これが大体私どもが使ったものさしで計算しますと、地目別に計算して集計いたしますと大体見合う、こういうふうなことでございます。
#51
○北村暢君 あなた方交換をした契約は、合わせたような形で計算をすれば等価になる。同じような価格になる、こういうことのようですが、実際にはこれは土地鑑定委員会で鑑定をしてもらってというような手続は経てないのですか。
#52
○参考人(今井栄文君) これは県当局と公団の関係者との間でお話し合いをした上できめたという問題でございまして、その土地価格は初めから評価してお互いにどうしようというふうな話ではございません。というのは、元来空港予定地がここにきまりました際に、この中に約百町歩の県有地があるわけでございまして、これはもう県が空港敷地として提供するということがすでに決定をいたしておったわけでございます。御料牧場の残地のほうも当初から農民の方々に代替地として提供する、こういうことになっておったわけでございます。おのずから両者を交換すれば足りるというのがわれわれの考え方でございました。
#53
○北村暢君 大蔵省にお伺いしますが、土地を交換するような際に、民有地でも県有地でも、国有地でもですが、交換するような場合に、やはり一応評価をするわけなんでしょう。評価をして、そうしてこれに見合うものはこれだというふうなことで交換をする。その場合に、評価した際に評価額がぴったり一致すればいいけれども、評価額が一致しない場合には、交換の際にお金で取引する、清算する。そういうことをやるのが普通だと私は理解しておるのですが、頭から評価も何もしないで、これとこれと交換だということで契約したから、そういう交換のしかたでいいものなんですか、どうなんですか。
#54
○説明員(斉藤整督君) 国有財産を交換いたします場合には、ただいまおっしゃいましたように、それぞれ評価をいたしまして、差金があれば決済をいたす、そういう手続を踏んでおります。
#55
○北村暢君 それが普通の交換のしかただと私は思うのですが、公団の県有地と、これは代替地といいますけれども、大体御料牧場は国有財産であるわけなんですよ。したがって、国有財産であったものを、公団はこの農地の取得ができない、これはどうなっているのですか。公団が取得したのか、しないのか知りませんが、当然これは評価をして交換をする、これがあたりまえのことですね。いま説明のありましたように、どうも総裁の御答弁を聞いているというと、頭からこれは大体九十八ヘクタール、代替地の予定が九十二ヘクタールだと、見合っているものだからこれで交換するのだということで、評価を抜きにしているような感じを受けるのですがね。そういうずさんな交換ということで手続上いいものなんですか、これは。
#56
○参考人(今井栄文君) 先ほど私の説明が足らなかったかと思いますが、評価をいたさなかったわけではございません。ですから面積等につきましても、県有地のほうは九十八ヘクタール出していただく、それから代替地としては九十二ヘクタール出していただくということになるのですが、それの評価の基礎になりましたものは、空港敷地内における地目別な農民との交渉の結果確定した価格につきましてのものさしを、同じように両方に適用した結果、そういうふうな面積の差異が出てきたということでございまして、私どもは評価をいたしておらないわけでは全然ございません。
#57
○北村暢君 これを評価する場合に、国有財産を交換するわけですからね、当然そこの財務局なり何なりが評価するわけでしょう、これの価格というものをね。そういうものを基準にして公団もやらざるを得ないわけですね。その評価したのが、私どもちょっと聞くところによるというと、そういう評価のし方について、計算上ちょうどよろしいということになったという御説明ですけれども、どうも土地鑑定委員会等の評価と違っているのじゃないかということを聞いておるのですがね、そういうことはないんですか。
#58
○参考人(今井栄文君) 土地鑑定につきましても、公団は、敷地内の用地の価格を提示する際に、数回にわたって権威のある鑑定機関に調査を依頼いたしておるわけでございますが、そういったふうなものと、それから、先ほど御説明申し上げましたような地元との交渉の経緯、それから一般の公共事業と違いまして、空港敷地につきましては、ほとんど農家の方々が一切の土地並びに家を全部外に移さなければならないという将来の生活設計の問題等もございますので、ああいうふうな値段に確定したわけでございますが、そういうものを最終的に私どもがきめる際にも、権威のある鑑定機関の鑑定というものを全然無視したわけではございません。十分頭に入れて、そういうふうな最終的な妥結に至ったわけでございますけれども、したがって私どもは、そういうふうなことできまった空港敷地内における宅地、山林、原野、あるいは畑、水田、こういうふうなものに用いました基準価格というものを、県有地の中の畑あるいは宅地、あるいは山林と、それからまた代替地として提供すべき御料牧場の残地における畑あるいはまた山林、宅地というふうなものに、全部面積的にこれを適用いたしますと、全体として価格的には県有地九十八町歩と、それから代替地としての御料牧場残地の九十二町歩というものが見合うということでございまして、私どもは、いま言いましたように、権威のある鑑定等につきましても、当初からやはりそういうものを念頭に置きながら交渉をいたしてまいった次第でございます。
#59
○北村暢君 この問題はそれくらいにしまして、いずれにいたしましても、いままで質問した結果からいって感じを申し上げますと、どうもこの評価のし方について、だいぶ説明はいただきましたが、納得のいくような、事情は大体わかりましたけれどもね、大蔵省のほうの説明を聞いても、実際にどうもふに落ちない点が多々あります。これは単純に幾ら説明されても、あまりに違い過ぎるので、私は簡単にはあ、そうでございますかと、こう納得するわけにいかないと思うのですね。
 これはやはり私どもは、地価の高騰というものについて、これは建設大臣ともこの前やったのですけれども、非常に神経質なくらい感じている。そういう点からいって、こういうことが、都市化するところは高くなるのはあたりまえなんだという考え方、これで私はたいへん周辺の地価というものを大きく刺激したのじゃないかと思うのです。公共用地の取得というものについて一つの例を出すと、私は問題があるので、地価は地価として評価をし、そうして何というのですか、農民の将来の生活の保障なんというやつを地価に入れていいのかというのは、ちょっと私その説明は納得しかねるのですね。そういうものはそういうもので何か出したらいいのじゃないか。土地の価格というものはこれだということでなければ、付近の土地がべらぼうに上がってしまうという結果になるのじゃないか。そういう点で公共用地の取得という問題について私は非常に疑問に思いますので、こうやってこまかく聞いているのです。これは非常にほかにも影響してくるわけですね、そういう意味でお尋ねしたわけです。したがって、いままでの説明では、資料をいただいたものから見れば、私はなかなか納得がいかない、このことだけは申し上げておきたいと思います。
 それから、あと代替地の点について岩間さんからも質問がございましたが、代替地は、これは公団が取得できないので、県が取得をして、大体造成が三百ヘクタールですか、これはやっているということのようです。民有地三百ヘクタールくらい造成が終わっている、こういうことのようですが、ところが希望者が、空港周辺の代替地、御料牧場のあとの残地の代替地等には非常に希望者が殺到しておるという御説明でしたね。そうして三町歩持っている人に七反歩幾らしか割り当てられない。約束は現在所有の一・五倍くらいの農地を代替地として提供しよう、こういうようなことでやっている。いろいろ御説明ありましたが、不便なところの代替地はなかなか希望者がないということのようですね。そうして県としてはばく大な金をかけて、十七億五千万円ですか、買収費だけです。造成費まで加えるというとまだ高くなると思いますが、そういう資金を投下しているわけですね、県として。その利子だけでも負担がたいへんだということを言われているわけです。そういう点について今後の見通しをお伺いしたいのと、それから御料牧場の代替地としての予定地が希望者が殺到しているというのは、これは一体農業をやる意思で――この七反歩だとか五反歩だとかいうものを割り当てておりますけれども、ほんとうに農業をやるつもりで代替地をもらっているのか、土地の値上がりを待っているというのか。私は、どうも農業政策上からいっても、五反だの、七反だの二月当たりやって、それで農業がうまくいくというふうには考えられないんですよ。したがって、ここら辺の農家だというと畑が多いわけですから、二町歩、三町歩持っている人はたくさんいるわけです、開拓で入ってね。そういう人が七反歩の経営規模に一度に落ちて、それでうまく農業経営が将来やっていけるのか。営農計画が立つはずはないと思うのですよ。そういう点で、希望者が殺到したから、話し合いで七反歩ですと、こういうことのようですが、この割り方についても、一体どういう方針で配分をしているのか。代替地をもらう人の希望がそれだから、それでいいんだということなのか、どうもそこら辺がはっきりしません。で、その配分の方針なんかは一体どういうことでそういうふうになるのか。また先ほど言ったように、農業をやるつもりなのか、土地値上がりを待つために、それでもよろしいというのか、どうもそこら辺がわからない。この点についてひとつ説明を願いたいと思います。
#60
○参考人(今井栄文君) 代替地につきましては、すでに御説明申し上げたと思いますけれども、民有地として取得いたしましたのは約三百ヘクタールでございまして、全部を県が造成いたしたわけではございませんので、その中で造成を必要とする約二百五十ヘクタールを造成しております。これは御料牧場の残地等も含めてでございます。したがいまして、全部合わせますと五百ヘクタールに及ぶ代替地を用意したわけでございます。そうして敷地の中の民有地が全部で六百七十ヘクタールございますので、全体として転業される方々、あるいは兼業農家でいかれる方々等もかなりあるのではないかというふうな観点に立てば、五百ヘクタールの用地を用意すれば、十分敷地の中と同じような面積は提供できるはずでございます。で、現にまだ未配分の代替地が百六十ヘクタールばかりあるわけでございまして、今後でも御希望の方々があれば、未配分のところも全部増反分として配分することは可能でございます。
 それで先ほど先生が、三町歩提供したものが七反歩というふうなことは、方針としていかがかというお話がございましたが、これは、こういうふうなことを決定したのは、必ずしも私ども公団あるいは県がイニシアチブをとってやったことではございません。むしろ先ほど申し上げました条件派の対策部落協議会、あるいはまた空港地権者会というふうなところで、皆さんが御相談の結果、そういうふうにしてもらおうというような御意図のもとに、県や私どもとの間で話しをして、そういう配分を内定いたしておるわけでございます。現にどうしても純農で行くのだと、だから敷地の中で二町歩提供したから三町歩の畑地がほしいのだというふうなことでいかれた敷地内の、特に天神峰と申しますか、空港予定地の東側でございますが、こういうところの方々は、現に富里の県有林に入って、それだけの土地をもらって、農耕に専念しておられるという状況でございまして、私ども現地の人々に聞いてみますと、単に将来の宅地の値上がりを待つということだけではなしに、やはり成田市に住んでいたいというふうな御希望もあるいはあったのじゃないか。それからまた、従来のような北総のいわゆる落花生、サトイモ、スイカというふうな粗筆な農業から近代的な高級蔬菜農業に転換しようというふうな考えを持っておられる方々もあるし、また県も実際にそういうふうに指導しておられるわけです。ですから、そういうふうな観点からすれば、七反歩持てばかなりの収益は上げ得るというふうな点もあったのではないか。現に県といたしましては、空港を中心として都市化する北総の今後の農業というものについては非常に近代化に力を入れておるわけでございまして、そういうふうな観点から、決してその約束を私どもがたがえたということではなくて、こういうところに、われわれとしてはこういうふうな配分でけっこうだから、ひとつ五十世帯あるいは八十世帯入れてほしい、こういうふうな地主の方々の御意向と、われわれのほうのそういうふうな御意向をくんでの配分計画というものが一致した、こういうことでございまして、当初から一町歩やるべきを七反歩にしたとか、三反歩にしたとか、そういうふうなことではございません。いまでもかりに純農でもっていきたいから、もうさらに二町歩増反してほしいという申し出がありますれば、これは私どもとしては、まだ百六十町歩以上の未配分の畑地を持っておるわけでございますので、配分が可能でございます。
#61
○北村暢君 この代替地のこの不便なところね。造成して、農地を移転をするという人が予定どおり埋まれば、そうすれば県の代替地を取得したことの経理関係も大体ケリがつくだろうと思うのですが、とにかくいまばく大な金をかけて、これらの利子等について県でも相当負担になっておると思うのですがね。こういう点については、公団のほうでは何かめんどうを見るというようなことはやっておられるのですか。また、どういうような方針をとっておられるのか、今後の見通しを一つお伺いをしたい。
#62
○参考人(今井栄文君) 公団といたしましては、従来県に対して代替地の取得、造成をお願いいたしております関係上、事務費につきましてはすでにお支払いをいたしておるということでございまして、問題は、いま先生のおっしゃいます金利であるとかいうふうな問題、あるいは取得費全体の問題というふうなことになると思いますけれども、これは農民の方々に対して代替地を提供する際に、売り渡し価格の中へ原則として含ませて計算される、かように私どもとしては考えております。
#63
○委員長(八田一朗君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決を行ないます。
 宮内庁法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#64
○委員長(八田一朗君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○委員長(八田一朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十三分開会
#66
○委員長(八田一朗君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#67
○山崎昇君 いま議題になっております設置法の改正案に先立って、二、三大臣にお聞きをしたいと思うんですが、実はちょうどいまから一週間ぐらい前だったと思いますが、朝のモーニングショーに、前の農林大臣でありました西村さんと、自民党の代議士の方二、三人出ておりまして、今度の米価をめぐる処置について農民との間に激しいやりとりをやっておりました。私もこれを実は見ておったわけでありますが、その際に農民から主として主張されたのは、戦争が終わって食糧がないときに、食糧増産ということで一生懸命農民に対して政府がいろんな政策を講じた。農民また政府の政策を受けて一生懸命食糧増産をやってきた。あるいはまたこのテレビでは、その他果実といいますか、ミカン等々のくだものの生産に転じた人もおるようでありますが、こういう方々も、政府の政策に基づいてわれわれは一生懸命やってきたんだが、一生懸命やればやるほど、何か農民は泣かなきゃならぬような状態になってくる。こういうことについて一体政府はどう考えるんだ、あるいは自民党はどう考えるんだ、こういう激しいやりとりがありました。さらに、戦後のあの食糧のないときには、強制供出ということで農民はひどい目にあわされておる。当時の供出価格を知っておるか、こういうようなこともあって、盛んに責めておりました。
 私はこのテレビを見ておって、私も少ない経験ではありますけれども、戦前、少年期、青年期を通じて小作のせがれに育ちましたから、多少農業問題についてはからだに感じているものがあるわけです。いずれにしても、私は、時代が違っても、農民というのは必ずあまりいい待遇を受けておらない。戦前、大ざっぱに言えば、もう小作のためにたいへん農民というのは泣かされておる。じゃ、戦後農民はよくなったかといえば、たいしてよくならない。そういう状態等私ども考えると、いま政府が盛んに言っている総合農政というものについて疑問を感ずるわけなんです。そこで、農林大臣なども、ことしの米価を境にして、総合農政をやるんだ、総合農政をやるんだ、総合農政をやらなければ農民はよくならないんだ、こういうことをテレビでも盛んに西村さんからも言われておりました。そこで大臣にお聞きをしたいんですが、一体総合農政というのはどういうものなのか、なぜいまになって総合農政ということが強調されなければならぬのか、そういうことについてまずお聞きをしたい。
#68
○国務大臣(長谷川四郎君) 総合農政をやらなければならないような事態にまさに入ってきたと申しましょうか、最近の農業をめぐる諸情勢というものは、国の内外を問わず非常なきびしいものがあるということだけはお認めいただくことができるだろうと思うのでございます。したがって、国内農政におきましても、先ほどお話がございましたように、あの少ないときの米が現在では非常に需給緩和され、したがって、もう古々米も出るというようなことにもなり、本年の十一月になれば五百六十万トンも余るというような事態も生じてきておる。こういうような点につきましては、何らかここにさらに考えなければならない問題が当然起きてくるだろうと思うのでございます。したがって、国民全体の食糧構造というものに大きく変化があるということは見のがすことのできない事実だと思うのであります。
 そういう上に立って生産と消費生産とはと言えば、何といっても消費というものが第一に考えられて生産が行なわれていかなければならないだろう。そこで消費者が好むもの、そしてそういうふうに食糧構造が変わってきているということになりますと、米ばかりではなくて、たとえばリンゴの一例をとっても、山崎さん自身がおわかりのように、もういままでの種類のリンゴというものを一般市民が好まなくなってきているという実情もございましょうし、夏ミカンなどはほとんど食べてくれないというような実態の上に立っておる。そこでそういうような面に消費者の好むものをいかに今後つくって供給しなければならないかというような点については、あらためて総合というふうに申し上げなくとも、いままでの基本農政で十分その点にはあらわれておるのでございますけれども、こういう中に立って、たとえばお米の一例をとりましても、お米というものに非常なウエートがあった。そういう面でまず安定をはかる、まず食糧の基幹である米の安定をはかろうというところに重点が置かれておった。
 こういう結果がもうこうなってきておるのでございますので、そこで少ないもの多いもの、こういうものをいかに高びっこのあるやつを背をそろえて消費者の供給を満たすことができるか、こういうような今後のやり方をしていきたい。それには今後はやはり何といっても価格という面にばかりとらわれないで、構造政策とか、あるいはまた生産政策、こういうような点に重点を置いて総合的に農政を発展をさしていきたい、こういうことがすなわち総合農政というわけでございまして、別にこれぞといって決して新しい問題ではない、新しいことばでは私はない、こういうふうに考えるんです。
#69
○山崎昇君 いま説明ありましたけれども、いまの大臣のお話聞いておっても、私どもしろうとですから、よけいそうだと思いますが、やっぱり総合農政といったら何なのかといったら、何にもないという、こういうことしかわからないんですね。ただ、いまの情勢にきびしいものがある。じゃあどういうきびしいものがあるのかという点に、いま説明聞いていると、消費構造が変わってきておる、だから直さなきゃならぬのだという意味にも聞き取れる。それ以外のじゃあ理由があるのかというと、たいした理由もないようです。いま盛んに述べられておる、消費を考えながら生産をという、消費と生産のバランスという論だと私は思うんです。しかし、いまの一般的な経済のやり方は、消費と生産のバランスなんというやり方とってない。農業にだけこれをとれといっても、私はおかしいのではないか。いまの日本の経済というのは、一口で言えば、生産依存の経済だといわれておる。大量生産をやって、あとは宣伝戦を開始をして、どうやってそれを売り込むか、そういういま経済の仕組みに全体がなっておるのではないだろうか。そういう中で農業だけは、何か知らぬが、消費と生産のバランスをとって、消費をはかって生産をやるんだ、それが総合農政なんだという言い方のようでありますけれども、わかったようで私どもやっぱりわからない。
 新しくあなた方がことしの米価問題にからんで総合農政、総合農政という言い方をするからには、それにふさわしい私は具体的な内容がなければやはり意味がないんじゃないかと、こう思うんです。もう少し、この総合農政という中身について私はやっぱり聞きたいと思う。二時に本会議に行くそうでありますから、さらに聞ければ聞きたいと思うのは、それならば、いま経済企画庁から新国土総合開発計画というのが出されてきておる。あれによると、たとえば北海道は食糧の供給地になるんだが、そうするといまの米作を全部酪農にかえるということでもないようでありますけれども、全体的に北海道は酪農地にして、東北はその他の食糧の生産地にする等々の計画が大ざっぱに言えばはかられておる。そういうものと、それでは総合農政というものと、どういうふうに関連をしてくるのか。これまた私どもそんなに多く研究しているわけではありませんからわかりませんけれども、ごく簡単に考えてみても、この総合農政ということがどうもぴんとこない。だから私はあれだけ農民から激しい突き上げがきておるのではないだろうか、こう思うんです。そういう意味でこの総合農政というものについてもう少し農民も、まあしろうとである私どももわかるようにひとつ説明をしてもらいたい、こう思う。
#70
○国務大臣(長谷川四郎君) 総合農政をはっきり申し上げるならば、いままでのような価格政策ばかりではなくって、生産政策構造政策、これらに重点を置いて今後の農政を行なってまいりたい、こういうようなことと、いま北海道の一例が出ましたから申し上げますが、これと合わせまして、何といっても主産地制と言いましょうか、適地適作ということばがございますように、そういうような生産地制というものをこの中に十分加えたものにして、その生産政策を行なっていきたい、構造政策を行なっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#71
○山崎昇君 どうも聞くほうが抽象的だから答えるほうも抽象的なのかわかりませんが、それだけでは私は、いまに始まってこれほどあなた方が総合農政、総合農政と主張する、そして農民に、総合農政をやればあなた方の生活は安定するんだということには、説得力がないのではないか。主産地制なんというのは、何もいまに始まったことではない。適地適産についてもいまに始まったことではない。農業基本法ができるときに、すでにこういうことは議論されておる。また農業基本法も、私もしろうとでありますが、ながめてみても、第二条にはきわめてりっぱなことが書いてある。何もことさらいま総合農政、総合農政と言わなんでも私はいいような気がする。政府が総合農政、総合農政と強調するからには、いままでと違った農政があるのではないか、いままでではやれなかったことをやろうとするものがあるのではないか、そういうように私ども考えるわけです。特に米価の問題とからんでこの総合農政ということばが出てきた。だから、米の生産だけは何か押える。いままで米作をやっておった人をほかの農産物の生産に変える。あるいは、何といいますか、新しい水田の開発はやらせない。何かそんなことが内容として総合農政のようにも受け取れる。だから、いまの大臣の答弁だけでは、政府がこれほど総合農政ということばを使っても、その中身といいますか、裏といいますか、そういうものではなかなか説得力がないのではないかと思う。事務当局でもけっこうでありますが、もう少しいままでの農政と違う点、総合農政になればどういうふうになるのか、具体的に明らかにしてもらいたい。
#72
○国務大臣(長谷川四郎君) 冒頭の山崎さんのお話のように、つくれるんだから何でもたくさんつくらせていけばいいじゃないかというようなお考えは、また持ち方によれば当然だと思いますけれども、しかしお米のような場合、たとえば米をたくさんつくっていって、はたして輸出先をどこに求めるかというような点、また国内の買い上げ価格というものと国際価格というものに大きな相違がある点、こういう点をどういうふうに持っていくかということは、なかなか問題が残されるところだと思う。したがって、御承知のように、皆さん方におかれましても、農民におきましても、食糧管理法というものはどうしても置きたいんだという、そういう観念の上に立って、言われるようにたくさんどんどんつくって、十四万円で買い上げたお米が五万幾らでなければCIF価格にならないというようなこと、ことに輸出がかりにできたとしても。そういう場合、それをはたして国民が許してくれるだろうか、何年も何年もということを許してくれるだろうか、国民感情というものはどうだろう、そういう上に立った政治は何と考えられるだろう、こういう面もあわせて政治を行なう上には考えなければならない問題だと思うのでございます。したがって私は、お米で損がいくからどうだ、経済的にどうだとかいう問題を、財政的の面を申し上げている意味ではないんでありまして、そういうような上に立って、つまり総合農政といっても、決して、私は、先ほど冒頭に申し上げたように、新しいことではないんです。基本農政そのものなんです。私はそう思っております。私は昨年の十二月から大臣を拝命したのですけれども、総合農政といってもやはり基本農政なんです。おっしゃるとおりなんです。ですから、その基本農政というものを行なう中に立って、食糧というその一番基幹であるところのお米に重点が置かれてあった、こういう点について、つまり今日のような、あの苦しい時代からお米が余るようにまでなった、生産が高まっていったという、そして日本の農業技術が非常に向上してきたという、こういう現実の上に立って、決してこれが私は悪いと言っている意味でも何でもないのでございまして、要は、しかしそういうような事態の上に立つと、どうしても食管法というものをわれわれはあくまで堅持していかなければならない、そこでお米の量という、生産というものに対しましても、もうすでに何でもつくればいいという時代ではなくなってきているから、消費者の嗜好に応じて、消費者が好む米をなるべくつくるようにかえてもらいたいという、これはまた当然だと思うんです。消費というものがあって生産が行なわれている。かつて米のないときは、イモのつるを食うときには、何でもあればいい、食糧であればいいというときとやっぱり違ってきておりますから、そういう上に立って、消費者はうまい米を喜ぶ、好む。これはうまい米を好むのはだれも同じことでしょうが、そういう要求に応じたやはり品種をつくってもらいたい、こういうような考え方、こういう上に立ってのいろいろの施策を加えておるわけでございます。
 そこで総合農政の問題でございますけれども、総合農政もそういうように非常に、かつてはそうであったけれども、先ほどリンゴとミカンのお話を申し上げたように、それが今日ではもう消費をされなくなってきたとするならば、といってそれでは果実類なんてものを比較しましても、果実は売れてないかということになりますと、相当に果実の消費というものは数字で見ますと高まっていっておる。やはり消費者が好む、食糧構造の改善というか、食糧構造が変わってきた。それにやっぱり合うような生産をしてもらいたい、こういうような政策を進めていくということであって、別にことばは総合といいましても、決して別に新しいものではございませんけれども、そういう上に立った今度は主産地形成をやるにいたしましても、あるいは適地適産主義をやるにいたしましても、国はやはり構造政策、生産政策、こういう面に重点を置いて、そして国民生活を充実させるために、流通、消費の面にまで力を入れていかなければならぬ。そうして思い切った財政投資を今後そういう面に行なっていきたい、こういうことが、ことばで言われておる総合農政でございますので、基本農政とはほんとうに私はここが違うということはないと思います。
#73
○山崎昇君 そうするといまの大臣の答弁を私のほうなりに要約すると、どう言おうとも、いままでとってきた農政の結果として米が余っちゃった。そこでいまの大臣の答弁を考えてみますというと、米を重点にしてきた政策は転換をしなければだめな時代になってきた。いわば、ある意味で言えば、農業の政策転換をはからざるを得ない。さらにいま果実の問題も出ました。しかし、これは農民が、何でもつくれば売れるという意味でやったのではない。この間のテレビ見ておっても、政府の果実に転換をさせる政策にのっとって果実業者というのはつくってきた、こう言っているわけです。そして、多額の借金をして政府の政策に忠実に従ってきた。その結果いま農民は生活ができないようなところに追い込まれておる、こういうものを政府はどうするんだというのが、この間のテレビの一つの主張でもあったわけです。そうすると、私からいえば、今日までの政府の、果実業者を一つとってみても、そういうものについての指導の誤りがあった。そういうものをこの機会に、総合農政という名前で農業政策の転換をはからなければたいへんなことになるんだと、こういうふうにも私はいまの大臣のことばはずっと聞いているとなると思う。
 ですから、大臣は、そういう意味で言うならば、いままでの農業政策は全部が誤りだとは言えないでしょう。しかし、いずれにしても、かなりな部分について農業政策というものはやっぱり誤っておった。だからそれらをこれから改めて、農民を生かすためにはどうしたらいいかというのが総合農政なんだ、こういうふうに理解をされるんですがね。私の理解のしかたが誤りならば誤りと指摘してもらってもけっこうでありますが、いずれにしても総合農政という響きはですね、裏にいままでの政府の農政の誤りがひそんでおる、そういうふうに私は思うのですが、どうですか。
#74
○国務大臣(長谷川四郎君) 私は、全部私も否定をいたしません。政府のとってきたその政策にも誤りが全然なかったということは、私は言えないと思います。私も認めます。したがって、その政策の転換に対しましても、ただ単に総合農政でやるのだから転換だという意味ではないのであって、やはり経済力が高まっていけば高まっていくだけ、消費というものはおのずから相違を来たしてきておる。それに合ったやはり生産をしてもらわなければならないから、それに対するところの政策転換ということは当然行なうべきだと、こういうふうに私は考えます。
#75
○山崎昇君 いま一部であってもですね、やはり政府の農業政策というのは重大な欠陥があった、誤りがあった。だからそれを直さなければ、これからの農業政策というのはたいへんなことになる、まあこういうお話でありますから、私もやっぱりこの農業政策は、何と言おうともやっぱり誤りがあったんであろう、こう考えておるわけです。 そこで、この政府の、たとえ一部にしろ、どの程度の欠陥かは別にして、これに従って農民は今日まで農業を営んでまいった。それによって農民はたいへんなこれまたいま不利益をこうむろうとしているわけです。こういうものに対して、それならば政策を変えて、農民をその被害から守ることももちろん問題でありますが、現実にいま起きておる、たとえばミカンの生産に携わっておる農民でありますとか、そういうものに対してですね、具体的にそれならばどうされようとするのか。この問も、まあ再三再四私はテレビのことを申し上げるのだが、ある一人の人が、和歌山かどこかだったと思うが、現実に五百万ぐらいの借金を背負ってミカンを一生懸命つくった。売れない。これはどうしてくれるということで、かなりきびしい表情で西村さんに迫っておりました。これは二元放送でありますから、一堂に会しての放送ではありませんでしたけれども、そういう点考えますと、それでは結果として起きておる農民のそういう苦しさというものを、どういうふうにじゃあ政府は救済されようとするのか、あわせてこの機会に聞いておきたいと思います。
#76
○国務大臣(長谷川四郎君) 夏ミカン、いまさしあたってそういうような窮地といいましょうか、追い込まれているのは夏ミカンの問題でございまして、夏ミカンは高つぎをしてもらうとか、あるいは品目を変えて植えかえをしてもらうとかやっております。そういう点については、国ができるだけこれらの指導援助を申し上げるようにやっております。リンゴにおいてもそのとおりでございます。ただ、一般のミカンだというと――何というのかな、温州ミカンか、あの一般にわれわれがミカンというもの、これに対してはまだ私はミカンが生産過剰で云々ということにはなっておらないだろう。本年度は御承知のようにミカンの生産過程において非常に気候が不順でございまして、消費者が、われわれがみな好むようなミカンができなかった。いいりっぱなミカンができたところは全部、損をするどころでなくて、逆に非常な高値で売れておったのでございますから、そういうようなわけでございますので、またこれが現在のミカンは過剰で毎年これでもってどうするのだというような、いま現在の生産ではそういうようには考えておりません。
#77
○山崎昇君 そこで私は、別な角度からまたひとつ聞いてみたいと思うのですが、冒頭に申し上げたように、この農民というのは、あるいはまあ農業といってもいいですが、時代の変遷があろうとも、絶えず資本主義の続く限りはどうも私はやっぱり犠牲にされておるのではないかというふうに考えている一人なんです。なぜならば、戦前の場合には大半が小作である。いわば大農主義をとって、小作というのはもう塗炭の苦しみを味わっておる。そうして、ほとんど当時は富国強兵でありますから、当時の軍隊の大半は百姓の子供が兵隊に取られておった。こういう実情を私ども考えてみるというと、この農民の生活というのはきわめて苦しかった。あるいは小作に携わっておる者は他のところへ賃仕事に行かなければ生活の維持ができなかったことも、また歴史の示すところです。
 それじゃ戦後はこの農業に携っておる者は楽になったかといばえ、これまたそんなに楽になっていない。最近においては農地法の改正なり、農地管理事業団の制定なり等々を見ますと、再び資本主義的に私は再編成をいま農業はされていくのではないか。ことばをかえて言えば、また大富農制度にこれは逆戻りしつつあるのではないかとさえ思う。そして最近の傾向を見れば、ほとんど農業だけでは生活が維持できない。日本の経済政策がそうでありますから、ある意味ではやむを得ない点があるにしても、ほとんど兼業農家、出かせぎをしなければ農業に従事するものの生活が維持できない、これもまたいま実態だと思う。そうしてほとんど農業地帯には、次代を背負う者、あるいは農業に喜んで従事する者がいないというのがいまの実態だと思うので、こういう点について大臣は、これからの農業政策についてどうお考えになるのか、ひとつ聞いておきたいと思うのが一つと、それからこれはある人のことばでありますけれども、いまの農民には職業選択の自由がない、こういうきびしい批判をした人がある。それはどういうことかというと、人間は長年問にわたって職業に自由につきたいという市民の権利を獲得したが、農民は出ていくことには自由があるが、再び農業に入ろうという自由は存在しない、現実に再び農業に入るような可能性もない。こういうきびしいいまの農業について批判した人がおります。 私もいまの農政を見ていると、確かにその一面はあるのではないか、こう思うんです。これは後ほど農業者大学校とか、あるいは研修制度とか、盛んにあなた方のほうでは次代の農業後継者を養うためにいろいろなことをやっておるようでありますけれども、しかし、それもいま現実に農業をやっておる人、あるいは自分で自営しておる人を何とか教育するということであって、新たにこれからこれを一生の仕事として農業についてやっていこうという、そういうたぐいのものではない。そういうことを考えてみますと、確かに農業から出ていく自由はあるけれども、農業に入るという自由は現実に存在しない。こういうことを考えますと、これからの農政というものをどういうふうに考えたらいいか、これは深刻なものがあると思う。そういう意味で前の質問と関連して、これからの農政の基本をどうされようとするのか、大臣の見解を聞いておきたい。
#78
○国務大臣(長谷川四郎君) 出かせぎに行かれるような状態――かつては家族そろって全部で労働力を、朝暗いうちから夜おそくまでつぎ込んでやって、そうして生産をやった。同じ反別でも、このごろは農業技術の向上と、農業に機械が入ってきておる、こういう点に立って農業を行なうものですから、非常に省力的になってきておる。ですから半面自分はおつとめに出て、家族の者だけで生産がやっていけるというような実態、その点はひとつお間違いのないようにお願いしたいのでございます。
 さらに、再び農業に帰れない、私たちの今度のたとえば農地法をごらんになっても、そういうような考え方ではないのであって、いままでの農地法のように、ひとたび自分が小作といいましょうか、借りさえすれば、自分もせがれも、孫の時代までずっといつまでも借り受けていられるのだというようで、本人がやりたくなっても、おれはくにへ帰って農業をやりたいと思っても、やることができないような状態もあるわけであります、半面には。しかし今度の農地法におきましては、こういうような点、たとえば自分は他に職業を求めてやっていきたい。しかしながら、ひとたび貸し付けてしまえばもう再び返ってこない、こういうような点があるものですから、こういうものはなかなか農地を手放さないで、草をはやらせておくというようなことがなおたくさん見受けられると思うのでございます。こういうようなことをなるべく避けなければならない、農地というものをもっと高度に利用してもらいたい、こういうような考えの上に立って、もし自分が農業を離れて他に移っても、あなたの代理に農協なら農協がお預かりして、その生産を高めましょう。しかしあなたが帰ってきて実際農業をおやりになるというときにはお返しをいたしましょう、こういうようなことにつくられておるのでございまして、農地法の面から考えますと、昔の小作といいましょうか、大農主義に戻るという御判断は私は当たらないんじゃないだろうか、こういうふうに私は考えます。
 今後の農業でございますが、したがいまして、こういう面に立ちますると、何といっても農業を取り巻くこの諸情勢の中に、私は大きな農業になれという意味ではないのであって、少なくとも、なるべく生産コストというものを低めていかなければならない、それにはもっと省力化されなければいけない。それには共同化し協業化すというようなこともやっていくということになりますると、非常に人間の手間というものが省かれていくので、そういう面においての生産性を高めていくことができるから、そういうような今後の指導をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#79
○山崎昇君 そこでいま大臣から――農業技術は確かに進んだと思うんです。それから機械化も、これは本人の考え方よりも、むしろ外の理由でしゃにむに機械化のようなかっこうになっておると思うのです。そのためにまた農民が反面えらい負債をしょっているということも事実だと思うのです。しかしいずれにしても、昔の農業と違って、大筋において機械化に進んでいることは、私も現実の問題として認めざるを得ないと思う。ところが、いまそれが、何か農業が発展するような大臣の答弁でありますが、私はそうではなしに、いま政府のとっている各種の農業政策を総合して言えば、せっかく自作農創設法で自分の田畑になった。しかしいまの経済政策の続く限りは、なかなかそれが維持できなくなってきておる。あるいはさっき大臣の言われたような別の理由もあるでしょう。しかしいずれにしても、これだけ多くの農家が離農する、あるいはまた兼業する、あるいは出かせぎをやらなければならない。そういうふうに考えるというと、政策として私はいわゆる大富農政策に徐々ではあるけれども転換されているんではないだろうか。いま、帰ってきたらどうぞお使いください、こういう話であります。帰るなんということは事実上できないような仕組みになっておって、帰ったらどうですかと法律上ではきめても帰れない。こういうことを考えると、私は資本主義下における再編成に入ってきているのではないか、こうどうしても考えざるを得ないわけです。そういう意味でやはり大富農制というものがとられるのではないか、こう私は心配するわけです。いまそういうふうに聞いたら、共同化、協業化を指導すると言う。ではいま日本の農業で、どのくらい共同化が進んで、どのくらい協業化になっておるのか、御説明願いたいと思う。
#80
○政府委員(大和田啓気君) 先ほど大臣の言われましたように、個別経営が大きくなって経営を近代化する道と、なかなかそうはまいらない多数の農家を対象として協業化を進めるという、構造政策の二本の柱ということで、これは農業基本法にも明らかにされているところですが、協業化といいましても、全部いわば経営を合体いたしましての完全な協農経営というものは、たとえば豚とか稲とか、あるいは乳牛とかいう、そういう部分的な協業を含めまして現在約五千でございます。その中で部分的な協業ではありませんで、農業経営全体を一まとめにして経営をやっておりますのが、そのうちの約一割でございます。これは毎年新しくつくられると同時に、古いものがつぶれていくという形で、きわめて現在流動的でございます。
 それからもう一つは、そういう経営を全く完全に一つにするということではなくて、作業の協業化あるいは機械の共同利用あるいは品種の統一、水かけの統一という、そういう意味での協業作業を含めますと、稲その他について相当進んでおりまして、稲の集団的生産組織というものは、現在約一万四千ございます。
#81
○山崎昇君 いまの官房長の答弁を聞いても、政府がいま言うように、共同化あるいは協業化でもけっこうですが、かりに部分的にしろまだ約五千ぐらい、実際に経営まで全部共同化しているというものは五百ぐらいしかないんですね、一割といいますから。そうすると、日本のいまの農業経営者数は正確には私わかりませんが、幾ら減ってもかなりな数になると思う。あるいは農業戸数にしても相当な数であります。おそらくこれパーセントにあらわしたら、出てこないぐらいのパーセントだと思うんですね。そういう意味でいうと、私は、政府が共同化だの協業化なんて言ってみたところで、全くこれは政府の政策としては知れたものになっている、あとは野放しになると言ったら少し言い過ぎになりますが、全く自営だと思う。しかしそれも、第一種の兼業やら第二種の兼業まで入れれば、ほとんどがいま兼業農家になってきている。そういう意味からいうと、私は農業政策というのは、やはり再編成をされなければ、農業の経営というのは困難になってきているのではないか。そういうものを側面から多少は、土地はいま管理をしておいて、あとで返しますとは言うものの、どうも農地法の改正なり、あるいは農地管理事業団の発足なり、一連のいまの農業政策を見れば、農業の再編成になってきているのではないか、もっときつく言えば、富農制度に返りつつあるのではないか、これはどう言おうとも、やがて私はそうなっていくんじゃないだろうか、こう見ているわけです。私どもの見方が誤りなら、それは決してそういうことにならない、政府がしないということなら、それでもけっこうでありますが、私はどうもそういう方向にいっているのではないかと、こう思う。その点についてはどうですか。
#82
○政府委員(大和田啓気君) いまの御意見が誤りだという意味で申し上げるのではございませんけれども、日本の農家戸数は現在五百四十一万戸でございます。それで耕地面積というのは約五百九十万ヘクタールであります。一戸当たりにいたしますと、平均一ヘクタールとちょっとということでございます。それで、私ども日本の農業の特色として、とにかく非常に経営が小さいということ、経営は小さいけれども、農家の所得水準はなかなか高いわけでございます。四十二年の所得から申し上げますと、一戸当たり百三万円、これは農業所得と兼業所得を含めてでございますけれども、一ヘクタールの農家で百万円の所得をあげているという国はどこにもございません。また技術、機械化の段階等、相当すぐれておりますけれども、いかんせん一ヘクタールの農業であるということの壁はなかなか厚くて、その一ヘクタールの農業の中でどのように農業政策を進め、また農家所得を高めるかということは、これは大問題であります。
 ただ私は、先生のおっしゃることがそこにはないと思いますけれども、現状を維持さえすれば、それで日本の農業はよくなるというふうには私は考えないわけでございます。したがいまして、農家が農業所得を高めるためには、当然ある程度の経営規模が必要でございますから、個別経営で大きくなるものがあれば、それは大きくなってもらって大いにけっこうでございます。無理に土地を取り上げたり、農村から人を出すという政策をやっておりませんから、個別経営として大きくなることはけっこうでございます。しかし、御指摘のように、専業農家は約二割で、八割が兼業農家でございますから、八割の兼業農家がそれでは土地をふやして、全部一人前の農家になるかといいますと、それを希望しない人たちもまた非常に多いわけでございますから、そういう人たちを対象にして、大きな機械を入れて協業を進めていくというのが私どものねらいでございまして、ともいたしますと、兼業農家というのは土地を荒しづくりをして農業生産を低める、あるいは主婦や老人が過労におちいるということがあるわけでございますから、それを防いで、農業生産をあげながら経営規模を大きくする。個人個人の農家がやるのではなくて、多くの農家が土地を集めて協業作業によって進めるということ。これは私ども相当機械の補助等をやっておりますけれども、個人個人の機械の補助では決してございませんで、全部そういう協業化でございます。先ほども申し上げましたように、稲作だけにつきまして、全国に部落単位等々で一万四千ほどの集団的な生産組織があるわけでございますから、この動きは決して過小に評価さるべきものとは考えておらないわけでございます。
#83
○山崎昇君 さっき私は、農業を見ておってある人が、出る自由はあっても入る自由はない、現実的にですね。それは権利として制限されているわけじゃありませんから、入ろうと思えば法律上はいれることにはなっている。しかし現実には、みずから進んで自分の一生の職業として農業を選ぶ者がおるかといえば、なかなかいまないのではないか。戦後は緊急開拓ということで、政府の政策として、北海道でもどこでも、開拓者という意味で未墾地の開拓にずいぶん全力をあげて、新しい職業として農業に従事する人を送り込んだ。しかし、緊急開拓も今日になると、もうそういう時代ではない。むしろ開拓に入った者がいま離農している者が多い。こういう現状からいえば、私は日本の農業の将来を考えても、農業を自分の職業として選んでいく者がはたして出るのか出ないのか、こういうことも私ども考えてみますと、日本の農業政策というのは、よほど真剣に考えませんと、たいへんなことになってくるんじゃないか。単にいまそれだけ考えているわけじゃないでしょうが、米価の問題に関連して、急に何か総合農政ということを言って、何か農業のことを考えるようなことだけでは、私は日本の農業は行き詰まる時期が来るのではないか。あるいはその他の生産物の需給計画にしても、よほど緻密にやらなければならないのではないだろうか。そういう意味で言うと、私はいまの説明だけでは、やはり今後の日本の農業についての展望というものはなかなか全体的につかみ得ない。
 そこで、もう少しお聞きをしたいんですが、先ほど説明ありましたように、専業農家がわずかに二〇%、兼業が八〇%、この兼業の人がほとんど主人公もむすこも出かせぎに行っちゃう。奥さんと多少残った者でやっていく。それじゃ将来兼業農家の人がどれだけ専業農家に転化するか、あるいは転化するであろうとあなた方見ているか、そういう点について、もう少しよく説明願えるならしてもらいたい。
#84
○政府委員(大和田啓気君) 専業的な農家が約二割で兼業農家は約八割ということを先ほど申し上げましたが、専業的な農家の中で、私どもが基本法で自立経営と称しまして、勤労者の生活水準と同じような生活水準を農業所得によって営むことのできる家族農家、そういうものを規定しているわけでございますが、それが四十二年で大体二二%、これは農家経済調査の数字で申し上げておるわけでございますが。そこで今後の専業農家、兼業農家の問題でございますが、私は、専兼の区分といたしましては、まだ多少兼業化が進むのではないかというふうに思うわけでございます。約二割ある専業農家の中で、統計上一三%のものがとにかく農業で食えるという、まあ勤労者と同じ程度の生活ができるという農家で、それ以外は、専業農家でございますけれども、そこまでいかないということですから、この人たちが兼業農家になるチャンスというのは私は相当まだまだあるのではないか。兼業農家から当然専業農家にかわってくる人もおりましょうけれども、それよりはむしろ兼業化がまだやや進むのではないかというふうに思います。
 これは一体農業政策として、兼業農家をどう見るかということはなかなかむずかしい問題でございますけれども、先ほども申し上げましたように一ヘクタール平均の経営で、一ヘクタール、小さい農家が一ぱいあるわけでございますから、農業だけで都市の勤労者の生活と同じような生活を営むことができるということは、これはたとえば、温室栽培でありますとか、あるいは果樹栽培でありますとか、特殊な農家は別といたしまして、稲作を中心とした一般の農業では、なかなかこれではむずかしいのではないかというふうに思います。したがいまして、そういう兼業の機会があって、兼業農家になっていく人に対しては、私ども農林省の直接の仕事ではございませんけれども、兼業先の雇用条件の安定あるいは賃金の問題、社会保障等々を、やはり農林省として十分配慮する。それから、そういう農家全体の福祉向上ということから、生活費の問題だけをあげつらうのではなく、やはり道路、下水道、その他農家の、農村の生活環境の問題がありますから、これも農林省だけではございませんけれども、各省共同してそういう社会投資を進める。それから農業所得で今後りっぱな生活ができるように農家の数を、現在統計調査の資料で約一三%と申し上げましたが、それをふやすことは、これまたなかなかむずかしいことでございますけれども、それをふやすことに努力する。兼業所得――兼業農家について兼業所得を高めるということを農林省として本格的に努力をすると同時に、農業所得でとにかく都会並みの生活ができるような農家を数多くそろえる。そのためには個別農家の経営規模拡大のために、やはり現在、何といいましても、農地法がある程度の桎梏になっていることは、これは疑うことのできない事実でございますから、農地法の改正、その他一連の構造政策を進めるということで、私ども、とにかく農村生活あるいは農家生活の水準を向上させるということは、農林省の使命でございますので、いろいろ、現在五百四十一万戸農家がございますが、昔と違いまして、決して質が同じものではございませんので、いまは農業を一生懸命やる農家から、完全に農業から足を抜いて、できるだけ土地を高く売って、農業から早く離脱しようという農家もたくさんあるわけでございますから、そういういろいろな層に応じていろいろ複雑な政策を組み立てて、農家あるいは農村の生活向上のために努力をいたしておるわけでございます。
#85
○山崎昇君 重ねてお聞きしたいのは、経済企画庁から出された新全国国土総合開発計画ですか、これによる食糧の供給地と、それから農林省でお考えになる将来の食糧の需給計画と関連をして、総合農政というか、たとえば、あの計画でいう、北海道なら酪農と、こういうのですが、そういうものと、現在の農業に従事しているものとの関係を、どういうふうに農林省ではお考えになるのか。
 何かどうも私どもあれだけ読んだんでは――もちろん大ざっぱな計画でありますから、具体的にはこれから肉づけされるのだろうと私思いますが、あれだけではどうも納得できないし、わかりませんものですから、一体あの計画の中における農林省の総合農政というのですか、そういうものとの関係は、どういうふうに私ども理解をしておいたらいいのか、この機会に、簡単でけっこうですけれども、お聞きしたいと思います。
#86
○政府委員(大和田啓気君) 経済企画庁の計画は昭和六十年のいわばビジョンでございまして、現実的な足がかり、手がかりというものは、いま各省これからということでございます。私ども現実の政策につながるものといたしまして、実は昨年十一月に、農産物の需要及び生産の長期見通しというものを出しております。そこで米麦、その他主要農産物についての需要と生産の長期見通しを出しておるわけですが、たとえば米について申し上げますと、平年作で、昭和五十二年には、生産千四百二十万トン、消費千二百四十万トン、百八十万トンの過剰になるということで、開田の抑制あるいは作付の転換を行なわなければ、とても需給のアンバランスがひどくなり過ぎるのではないかという問題を提起をしております。
 それから、私どもできるだけ、先ほど大臣が言われましたように、主産地を形成して、生産の選択的拡大を進めるわけでございますが、自給率、自給の関係といたしましては、米は当然完全自給でございます。米、野菜、卵、それは完全自給でございます。それから肉類、牛乳、乳製品、くだもの、これは大体八割ないし九割程度の自給、そういうことでトウモロコシとか大豆とか麦とかいうのは、これは残念ながら日本のような小規模の集約的な生産では、生産を比較的安い価格で進めるということは無理でございますから、いま申し上げましたように、米、畜産物、果実、野菜等々の増産をやることを第一といたしまして、そういうもので輸入に依存せざるを得ないようなものも明らかにして、それで昭和五十二年の見通しを立てたわけでございます。先ほど大臣が言われました、需要に合わして生産を進めるということは、ただ農林省が空で言っていることではございませんで、そういうものを前提といたしまして、これは全国的な計画でございますから、現在いま地域別、地方農政局単位、それから北海道についての生産の見通しの作業をいたしておりまして、それができるに従いまして、県あるいは県内で同じような作業が進みますので、農業団体等が自主的に生産と出荷の調整をだんだんに行う気組みにいまなってきておりますので、私ども政府の施策と、そういう農業団体の活動と相まって、農業生産ができるだけ需要に見合ったようなもので、しかも能率的な生産ができることを期待をいたしておるわけでございます。
#87
○山崎昇君 これは閣議決定になったわけですが、これからそれぞれの省で具体化を私はされると思います。ただ、私ども心配しておりますのは、何といっても、北海道は酪農の供給地みたいにあの計画ではなっている。そうするといま米麦に携わっている農業従事者は一体どうなっていくのだろうか。それからまた東北等にかけましては、これは主として主食の産地に考えているわけですね。そういう意味で、私はあの計画がもちろん二十年に及ぶビジョンでありますから、あのとおりにはなかなかいかぬにしても、かなり農業計画を政策転換といいますか、ある人は米麦から酪農にかえる、あるいはそうでない人は果樹にかえるとか、こういうことがかなり進まなければ、いずれにしてもあの計画というのは進まないと思う。そういうものに対して、私は農林省で一体どういうふうに考えられるのかということを、これは農民もかなり不安を持っているのじゃないかというのが、私の聞きたい第一点なんです。
 第二点は、自主流通米とも関連するわけでありますが、何といってもうまい米がやはり食いたい、先ほど大臣の話ではありませんけれども。そうすると、いま盛んにどこの県でとれた米はどうだこうだということがたいへん宣伝されて、消費者のほうもいろいろ選ぶと思うのです。そうすると、消費者の考え方をある程度いれながら米の生産もやっていくということになれば、俗に言ううまい米の増産をはかって、そうでない米というのはやはり捨てられていくという私は運命にあると思う。そうすると、同じ米麦の中でも、政府の指導で伸びていく農家と、あるいは廃業するか転業するかしなければならぬような農家も出てくるであろうと思うのですね。そういう点は一体どうなっていくのだろうかというのが、私の第二の心配点になるわけです。
 それから二十年間のビジョンでありますから、ある程度あの計画がいった場合に、いま政府は食管制度を堅持する堅持というのだが、私は食管制度を堅持できなくなってくるのではないだろうか、こう考える。そこで、食管制度とあの計画というものとの関係を農林省はどういうふうにお考えなのか。
 さらに時間の節約の意味でお聞きをするわけですが、私も自主流通米というのを、いろいろ本を読んだり図解してみたりして理解をしようとつとめたのですが、新聞報道だと、なかなかうまいことばをつくったものだ。しかし、これは配給米でもないし、やみ米でもないし、その中間ぐらいだ、こういうのですね、自主流通米というのを一口で言ったら、一体どういう部類に属するものなのか、お聞きをしたいと思います。
#88
○政府委員(大和田啓気君) 自主流通米、あるいは食管制度との関係につきましては、食糧庁長官が来ておりますから、そちらからお答えをいたします。
 それで、新総合計画の関係についてだけ私から申し上げますが、私ども先ほど昭和五十二年を目標にしての長期見通しで申し上げましたが、米の問題は、昭和五十二年に百八十万トンの過剰になる、これは平年作といたしましてです。それからことしの十月末に、先ほども大臣が言われましたように、五百六十万トンの玄米の持ち越しがある。これは配給量にいたして十ヵ月分でございます。さらに、ことしかりに平年作といたしますと、三百十七万ヘクタールの作付といたしまして、約千三百六十五万トンの収量。消費はおよそ千二百四十万トン程度だろうと思います。したがいまして、米の問題は、昭和五十二年で百八十万トン余るとか、五百六十万トンの持ち越しとか、十ヵ月分あるということだけではなくて、何かの手を尽くさない限りは、平年作においても百万トン以上毎年毎年余っていくという、そういう状態でございますので、私どもことしの予算で約三十五億ほどの手当てをいたしまして、一万ヘクタールの作付の転換をいたそうとしたわけでございます。これは完全に自主的にやってもらう。政府が強制的に権力をもって介入をしないで、米の情勢、農家経営の実態から見て、農家の自主的な判断でやってもらうということで、きわめて行政としてはうしろに退いた形でやりましたということもございまして、最近の集計によりますと 一万ヘクタールにはなかなかいかないで、おそらく五千二、三百ヘクタールということだろうと思います。
 北海道の問題は、北海道の稲作では経営面積が大きい、あるいは機械化が行なわれやすい、あるいは生産性が高いという、そういう点の長所もございますし、また非常に無理してつくっているところがかなりあるという短所もございますし、あそこがまずいという問題がございますので、私ども性急にこれをどうするというふうに考えておりませんけれども、長期的な問題としては、酪農との関連で、私は北海道の稲作についても相当程度の検討が必要であろうというふうに思います。
#89
○政府委員(檜垣徳太郎君) 自主流通米の問題と食糧管理制度の問題について御質問があったわけでございますが、自主流通米を政府として構想するに至りましたのは、現状のような米の需給関係のもとでは、消費者は、総理府の家計調査の上でも明らかなんでございますが、いわゆる画一的な政府の配給米というものにあきたらなくて、必ずしも消費者米価に関心をそれほど持つのではなくて、自分の選択した米を買いたいという傾向が明らかに出ておるのでございます。そういう傾向に、食糧管理制度の中でどういうふうに対応するかという一つの方法として考えたものでございまして、いわゆる政府配給米という形では対応できない面について、消費者の需要の動向に応じて、食糧管理特別会計を通じないで、政府の流通規制のもとに消費と需要を直結する形の流通を認めようとするものでございます。したがって、世に言う自由米、だれに売ってもよろしいというような形としては認められない。食糧管理制度のもとではそういうことは認められませんから、流通の経路につき、また配給の方法につき規制を加えるということをいたすと同時に、政府が責任を持ちますいわゆる政府配給米の配給との関係における調整をはかるということにいたしておるわけでございます。
 食糧管理制度は、将来国土総合開発計画のビジョンというものとにらみ合わせて、一体持つのかというお話がございましたが、私の理解するところでは、国土総合開発計画というのは、日本の限られた国土資源の最高度の有効利用をはかろうとするところにその目標があるわけでございますから、したがって、米の生産につきましても、需要に対応する合理的な生産というものを念頭に置いて国土利用をするということが最終の目標であろうかと思うのでございます。したがいまして、米につきまして現在のような著しい過剰状態というものが継続すれば、むしろ食糧管理制度の維持が非常に困難になってくる。この需給の調整というものがはかられるという前提のもとに、私どもは、現在におきましても、将来におきましても、実際面において米が国民の基幹食糧としてのウエートを持つ、また日本の農産物の中の最大の作物としてのウエートを持つ点から考えまして、わが国の農政が経験的に採用いたしましたこの食糧管理制度の根幹は維持をしてまいるべきであるというふうに考えておりますので、国土総合開発計画の推進と食糧管理制度の維持という問題との矛盾は、むしろなくすべきであるというふうに理解をいたしておるのであります。
#90
○山崎昇君 重ねてお聞きしますが、いまの長官の説明では、食管制度は将来とも維持できる、こういうことになると思うのですね。
 そこで、私が聞きたいのは、ことしで五百六十万トン、配給の月に直すと十カ月分ぐらい余っておる。そうすると、いまの政策そのままでいけば、来年もかなりな数になってくるし、再来年もそうなると思うのですね。そこで、食管制度を維持して、この自主流通米なんというものをなくするために需要と供給、消費のバランスをとると、こういうのです。そうすると、いま農政を転換して、新しい畑の開発をやめさせるのだとか、あるいは米作をやっている方にはある程度転換をさせるとか、政府はこれからいろいろな政策をとるのだろうと思うのです。
 そこで、これからの見通しになりますが、それじゃ、この食管制度というものを完全に守るために、自主流通米も要らなくなるような時期は、一体あなた方はいつごろと見ておるのですか、いつそうなるのですか、逆算をしてお聞きをしたいと思うのです。
#91
○政府委員(檜垣徳太郎君) 先ほど官房長が触れました、昨年農林省が公表いたしました農産物の需要と生産の長期見通しにおきましては、現在の作付面積に変動なかりせば、先ほど申し上げました昭和五十二年に百八十万トン程度の米の供給過剰になる。したがって、そういう状態が政策的にも、あるいは経済的にも継続するわけはないというふうに考えられるから、政府としては昭和五十二年には米の需給の関係はおおむね均衡するような状態になるという前提の公表をいたしておるのでございます。したがいまして、私どもは、食糧庁のみの問題ではございませんで、農林省全体としては、おおむね昭和五十二年までには米の需給関係の均衡が得られるように持っていくということが、政策の基本的なスケジュールであろうというふうに思うわけでございます。
 ただ、自主流通米制度は、ただいま申し上げましたように、供給が窮屈な事情になりますれば、これは当然このような形の流通は認めるべきではないというふうに思うのでございますが、供給にゆとりがありますときに、自主流通米がどの程度定着をするかは需要の動向いかん、あるいは供給側のそれに対する対応いかんということに相なろうかと思うのでございまして、農林大臣のお話を受け売りをいたしますと、消費の動向に即応して政府管理米がすべて消費者に歓迎されるような質のものになるということになりますれば、むしろ自主流通米というようなものが実効上なくなる、あるいは減少するというようなことになるという可能性もあろうかと思います。
#92
○山崎昇君 そうすると、あなたのあげを足取るわけじゃありませんが、昭和五十二年になれば百八十万トン程度の供給過剰で終わるようになる。そうすると、昭和五十二年までは、残念ながら自主流通米制度というのはなくならない。これは政府がなくしようたってなくならない。ことしは昭和四十四年ですから、だから八年間にわたってこの自主流通米制度というのが続いた場合に、五十二年になって百八十万トンの供給過剰で終わるから、もとの完全な食管制度に戻りますよということで戻し得るかどうか、これは私は、一つは政策の問題でありましょうし、一つは現実の問題考えてみて、私はそんななまやさしいことにならないんではないか。新聞報道でありますから、どこまで真かどうかわからないにしても、こういう批判をしている。自主流通米は自由米への道を開いていくだろうというのが専門家の推測だ。自主の主の字に二本棒を立てただけで由の字になるので自由になる。つまり自主流通米というのは自由米ときょうだいだと、こんなものは、早急に食管制度はくずれていきますよということが、専門家筋の推測だと言うんですね、一致した。これから八年間も自主流通米が続いていく。さらにだんだん古米がまたふえる。そういう限りにおいて、厳密な意味の食管制度に戻るなんということは至難のわざではないかと思うんですよ。だから、需給の関係だけでいけば、昭和五十二年にはなるほど百八十万トンで数字の上では終わるかもしれない。しかし現実の流通は、食管制度はもうどこかへ行っちゃって、自主流通米のほうが主力になるような私は関係になるのじゃないかと思う。この点は大臣どうですか。あなた責任持って、昭和五十二年にはわずか百八十万トンの供給過剰だから、去年までのような食管制度を守っていけるんだ、自信ありますか。重ねて聞いておきます、これは。
#93
○国務大臣(長谷川四郎君) いま長官のお答えのように、五十二年になると百八十万トン、何にも手を打たないでいると余るということになるわけです。ですから、私が先ほど申し上げましたように、一方こういうふうに余るもの、少ないもの、そのバランスを十分とっていくつもりですと、こういう考え方なんです。ですから、御承知のように、作付反別を制限せいというわけにもなかなかまいりませんし、今日まで農民が御苦労なすった点、また食管制度というものができたゆえんというものは何だ、消費者というものに、いかに食糧供給を平等に、そして安定させるかという、こういう上に立って食糧管理法というものが誕生をしたのでございます。したがって、これに合わせるために、農民にもいろいろの保護政策はいたしましたけれども、いろいろな御苦労を願ったわけでございますから、ただ米が余ったから米をもう規制するんだ、これではなかなか通るものではない。やはり血の通った政治と言いましょうか、農政と言いましょうか、なかなかどうやってもお気に入らない点ばかりでございましょうけれども、でき得る限りはこれをやらなければならないと私は考える。それがわれわれの使命であると考えておりますので、そのような考え方で進んでおります。
 そこで、なくなるとか、なくならないとか、これは子供だましみたいだとおっしゃるかもしれませんけれども、いま全県下をあげてうまい米づくりの競争をしていることは御承知のとおりでございます。うまい米づくりの競争でうまい米ばかりになってくるということになれば、自主流通米も管理米も同じだといったときに、わざわざ高く金を出して自主流通米を買ってくれるだろうか、こういうような点もひとつ一点はあると思うんでございまして、すみやかに自主流通米制度というものはなるべくなくし、そして管理米を主として、そして消費者の喜ぶうまい米をつくり出す。つくらせて、そして消費を増大していきたい。さらに消費面の拡大をはかっていきたいという考え方であります。なかなか、昭和五十二年に必ずやこれが自主流通米はなくすか、もっと早くなるかもしれませんし、まあなかなか想定でございますので、五十二年になるんだとはっきり申し上げることもどうかと思いまして、それを目標として、いまいろいろな手を打っておると、こういうわけでございます。
#94
○山崎昇君 だんだん大臣の考えが明らかになってきた。いまあなたの答弁で、各県をあげてうまい米づくりの競争をやっている。そうすると、さっき私が質問したように消費者の側から言えば、うまい米をやはり食べたいですね。そうすると、これは政府で指導するのかどうかは別にして、うまい米をつくっている農家は生き延びるけれども、そうでない農家はどうしても沈んでくる、これはどう考えても沈んでくる。あなたはいま、自主流通米も管理米も同じ品質になったら、高い金を払って自主流通米を買う人がいなくなるだろう。そうなったら需給の関係を考え合わせると、食管制度は守り得るのだというのが、いまのあなたの考えだと思います。現実にいま農家のほうは、うまい米づくりの競争だということでありますから、残るのはうまい米で、まずい米は消えていく。その場合に農政として、先ほどあなたに聞いたように、消費者の動向を主力に考えるならば、消えていく農家、犠牲になっていく農家もできるし、生き延びていく農家もできるのじゃないか。ある意味では農家が犠牲になるのじゃないかと思う。先ほど別の角度から聞いたわけですが、いまあなたの説明を聞くと、そうなってくるでしょう。
 そこで私は先ほど総合農政とは何ですかと、こういう問題と関連して聞いておるのです。だからこれはこれからの農政のやり方いかんによっては、たいへんなことになると思います。農地の再編成もさることながら、専業農家としてやっていく人も、この米だけに限ってやっていく人は、消されていく人もあるという農政になるのじゃないか、そういう心配があるから先ほど来聞いているのです。特に新国土総合開発計画を見ますと、いま食糧庁長官からお話がございましたように、北海道は米作から、全部やめるというのじゃありませんが、大筋として酪農に返れというのですね。あの案を見ると、東北あるいは北陸の一部は米作地帯――主力の生産地帯として大体残すということですね。そうすると、農業政策のとり方いかんによっては、たいへんなことが起こってくるのじゃないかということを心配している。そういう意味において、この新国土総合開発計画との関連を聞いている。また、いまの自主流通米についても私は心配している。
 だからだんだん質問してお答えを聞いていくというと、いかにあなた方うまいことを言っても、食管制度を守ると言っても、現実には消費者によってそれが変えられていく、政府は消費者がそうなんだから、これはある程度変えなければならぬのだということで、なしくずしにいけば、食管制度というものはくずれていく運命にあるのじゃないか、こういうふうに考える。その第一のはしりがこの自主流通米で、新聞で言っているように、自主という字に棒二本立てれば自由米になる。自主流通米と自由米と、やみ米と、すでにきょうだいの関係にあると指摘している。それが専門家の一致した推測だと言っているのです。そういうふうに、食管制度を守ると言いながら、そうなっていかないのじゃないか、逆な方向にいくのじゃないかと思います。こう思うから、少ししつこいけれども聞いているのですが、どうですか。
#95
○国務大臣(長谷川四郎君) 私は山崎さんの御心配になるような事態がくることはいけないから食管制度を置くのだという考え方です。そうでしょう。たとえば北海道の米を例に出して申しわけないが、三十何品種もあった北海道では十九品種にしぼって、うまい米づくりをやっております。しかし全国の中で消費者に売れない米ができては困る。だから食管制度というものは堅持しなければならないという責任がある。あなたの議論からいくと、食管制度は要らない、私の議論からいうと食管制度が要るということになる、そのところが違いがあるのです。あなたは要らないと言う、私は要るほうなんです。そこのところはちょっと違いがあるのですが、いずれにいたしましても、そういうふうにして、何といってもうまい米をつくるというこれだけはやってもらわなければならぬ。その中において、比較的まずい米があったとしても、その米の使用方法は、いままでの粉食を米に、麦を使っていたものをどうやって米にしてやるとか、あるいは学校給食をやるとか、他の方法に――学校給食にまずいものを食わせるという意味じゃないですよ。これは間違わないでください、またあとでおしかり受けるから。うまいこといろいろな加工をいたしまして、そして最も経済力の高まっていく時代に合った食品加工をして、そして食べてもらうようにしていきたい。しかしながら、私はあくまで、そういう時代に沈みができるとおっしゃるから、いや、消されていくですか、消されていくというようなことのないような措置を置くのには、どうしても食管法の必要性があると、こういうことを私は申し上げておる。ですから食管制度というものは置かなければならぬ、消費者のためにつくったんじゃないか、それがいま不必要になった、米が余るようになったから要らないというのは、とんでもない話だ。これが私が先ほど来申し上げているゆえんでございます。まあそういうような点を御心配になることは当然だと思います。そういうことのないような方法を切り開いていかなければなりません。こういうふうに考えております。
#96
○山崎昇君 いや、私はね、政府が食管制度を守るということに何も異議を言っているわけじゃないし、つぶせと言っているんじゃない。しかし、現実にあなた方がいまとられている方向を進めば、いつの間にかなくなるようなことになりはしませんかということを指摘をしているだけであって、その点はいま大臣がもう声を大にして食管制度を守ると言うんだから、私は信用しておきたいと思うし、ぜひ守ってほしいと思うんです。それは確認をしておきたいと思う。
 そこで、重ねて大臣にお聞きしますが、ことしの米価と関連をして、二百二十五億出るわけですね、金が。何かそういうかっこうになったそうでありますね。この二百二十五億という金は、どういう性格の金で、一体これはどこからどういうふうに出すのか、聞いておきたい。
#97
○国務大臣(長谷川四郎君) 二百二十五億は、一般会計から支出をしてもらうことになりました。したがって、その理由は、先ほどから申し上げますように、食管制度をつくらなければならないような事態、イモのつるを食うような事態から今日まで、お米が余るほどの生産にいそしんでいただいたその農民に対しまして、過去三年間といいますと、一番米の生産が高まったときが入るわけでございますから、このときに三ヵ年を通算をして、出荷者一人一人に、肥料、農薬、農機具、これらに対する援助を行ないたいと、こういうことで、いま各市町村を通じてその実施が行なえるように、せっかくの努力をしておるところでございます。
#98
○山崎昇君 そうすると、目的はわかりました。この二百二十五億は一般会計からというんですが、いまの四十四年度の予算書で、どの科目からこれは出るんですか。どういうふうにこれは流れていくのか、お聞きをしたい。
#99
○国務大臣(長谷川四郎君) それは、私のほうとちょっと今度は違ってきますね。大蔵省のほう。私のほうは、予備費からでも出すんだと思いますが、何から出すかということは、私のほうは大体予備費から出すだろうということだけは申し上げられますけれども、どうもそのほうは、私のほうから、おまえのほうは金持っているからどこから出せと言うわけにもまいりません。それは大蔵省のほうが予備費から出すだろうというふうに、いろいろお話はしております。
#100
○山崎昇君 どうも私はふしぎなんですね。農林省が米価の責任官庁ですね。その農林省が米価をきめるにあたって、大蔵省といろいろ話し合いわれたでしょう。閣議でもそれは議論されたでしょうね。しかし、いずれにしても、二百二十五億という金は、過去三ヵ年の農民の苦労に対して、一部機械の補助やその他の関係で出す、こういうのです。しかし、出すことはあなたも大蔵大臣と相談されてきめておって、さて、じゃそれをどこから出すのか。農林省はそれはあずかり知りません、それは大蔵省の話です。それは通る話じゃありませんよ。じゃあ大蔵省は直接大蔵省の予算から出すのか。大蔵省は予備費をかってに市町村におろせるのか。そうなると予備費の性格の問題にもなってくる。だから農林省は大蔵省と話をして、どういう予算からどういう形でこの予算というものが市町村に配賦されていくのか、もう少し説明してほしいと思います。
#101
○国務大臣(長谷川四郎君) 私が知る範囲、いろいろ折衝した範囲においては、予備費から出しましょうということに一応は話をつけたつもりであります。
#102
○山崎昇君 そうすると大臣ね、予備費というのはね、これは年度当初で予期し得ないもののために組んでおくわけですね。ところが米価の問題については、もう予算編成のときから、あるいは佐藤総理の演説からいっても、ことしはもう上げません、そういう形で、この予備費については昭和四十三年度は千二百億だったが、ことしは九百億になっておる。予見し得ないこれは支出内容を含んでいるものではないのですね。そういうものをあなた方、予備費でやります、こういう話なんですが、一体この予備費というのは、それじゃどういうこれは配賦方法をとるのですか。私は寡聞にしてわからないのです。予備費というのは、市町村にどういうかっこうで出ていくのか。私は予備費からある程度農林省の予算に組み入れて、農林省の予算として市町村におりていくのではないか、こう思うのだが、そういうやり方についてもできれば説明してください。
#103
○政府委員(大和田啓気君) 大臣がお答えいたしましたように、私ども予備費として支出する方向で、大蔵省と話し合いをいたしておりますけれども、まだ予算が執行いたしてわずかでございますし、どういう形で出すのか、これからこまかく詰めるつもりでございます。まだ決定はいたしておりません。
#104
○山崎昇君 これから出し方を詰めると、こういう話なんですね。そうすると農林省としてはどういう方法をとりたいとお考えになっているのですか、あなたのほうとしては。たとえばあなたのほうの何かの補助金の科目に予備費を流用して、その科目で市町村に補助費として出すのか、あるいはそうでない科目で出すのか。私はこれ、予算の執行上できわめて興味を持っているのです、正直なところ。もう少しひとつ説明してください。
#105
○政府委員(大和田啓気君) いま申し上げましたように、私どもこういう目的で支出するという大綱をきめておりますけれども、予備費をかりに使用するといたしますれば、農業振興費の中に費目を起こしまして使用するということになるだろうと思います。ただ前々申し上げておりますように、こういう費目をいろいろな対策費として二百二十五億を米価決定に関連して出すという大ワクをきめて、詳細の事項につきましては、大蔵、農林がこれから詰めるということでございますので、私からまだ詳細を申し上げる段階ではございません。
#106
○山崎昇君 それではこの問題は、きょう大蔵省呼んでおりませんから、私あらためて予備費の支出なり、二百二十五億一般会計からやるというのだが、補正予算との関係もありますし、これはあらためて私聞きたい。もしそれまでの間に農林省でも確たる方針が出ると思うので、これは後日に私は譲りたいと思うのです。それで大体本日の約束の時間もきているようでありますから、また八日に詳細に機構面についてもかなり私は聞いてみたいと思っておりますので、あと一問できょうのところは打ち切っておきたいと思います。
 そこでお聞きしたいのは、米価審議会の問題についてお聞きをしたいと思うのです。米価が上がれば一般の物価にもかなり影響するというので、米価審議会というのはきわめて国民から注目されている審議会なんですね。ところがこの審議会はずいぶんたくさんあるのですが、どういうわけか、農林省関係の審議会の委員というのは、ほとんど国会の承認事項になっていない。政府任命なんです。そこで、私これほどの問題提起をする米価審議会の委員というのは、当然国会の承認を経て私は任命すべき筋合いのものではないだろうか。そうしなければ、公共料金と言われる中のうちでも米価というのは一番中心になっているわけですが、そういうものが内閣だけできめられている。国会はきめられたあとで議論はいたしますけれども、きめるについての国会の意思表示というのはなかなかできない仕組みになっている。そういう意味等もあって、米価審議会の委員の任命制を変える考え方はないか。国会の承認人事にする考え方はないかどうか。この点ひとつ聞いておきたい。
#107
○政府委員(檜垣徳太郎君) 大臣からもお答えがあるかと思いますが、米価審議会は、確かに所掌せられます事項は、行政上重要な問題であることは言うまでもございません。しかしながら、これは食糧庁の付属機関として、農林大臣の諮問に対して答申をするという純然たる諮問のための審議会でございます。特に行政執行権的なものは何ら付与されていない諮問機関でございますから、その委員の任命につきましては、主管大臣であります農林大臣の権限に属させておるということでございまして、事の性質上、国会をわずらわすようなものではなかろうというふうに私どもは考えております。
#108
○山崎昇君 いまあなたの説明で、行政組織上付属機関的なもので、何も行政的な権限はない。そういうことを言うならば、行政監理委員だってそうです。行政管理庁のこれは一付属機関にすぎないのですよ。あるいはその他の審議会にしてもたくさんありますよ、そういうのは。しかし、それでも国会の承認案件になっている、委員の任命については。私はずいぶんここに持っている。ところが、どういうわけか知らないけれども、農林省関係はたった一つか二つしかない。漁港審議会の委員は、これは農林省関係だと思うのですが、国会の承認になっておる、委員の任命については。あとは農林省にずいぶん審議会があるが、一つもなっていない。特に私はあとで、後日聞きたいと思っておる農業基本法にいわれておる農政審議会というのが設置をされておりますが、この委員についても、これは政府任命だけに終わっている。ところがやることは、農業基本法に基づく重大な任務がある。あるいはその他の法律に基づいての任務も与えられておる。そういうことを考えますと、これだけ国民に影響を持っておる農業関係の事項を審議するのに、国会が全然タッチできない。ただ政府でやられたことをあとでいい悪いで国会で議論するにすぎない。こういうやり方は、私は改めるべきじゃないか。特に米価審議会のごときは国民注視の的ですね。したがって、私はその他の省の審議会の委員等のバランスから見れば、当然、米価審議会の委員等は国会の任命承認を経て任命するのが妥当じゃないか、こう思うのです。しかし、これはいますぐここでできる問題ではありませんが、少なくともそれぐらいのことを考えてしかるべきじゃないかと思うので、重ねてあなたの見解をお願いしたい。
#109
○政府委員(檜垣徳太郎君) 私どもとしては、いろいろ審議会もございますし、また審議会の所掌にも、関与のしかたの違いがあるのではないかと思うのでございますが、浅学非才にしてその辺が明らかでないのであります。したがって、その比較においてものを言うことは控えさしていただきますが、米価審議会委員について学識経験者としてふさわしい人を任命すべきであるということは、これは農林大臣も常にお考えになっていることと思いますけれども、純然たる諮問機関である審議会の委員について国会の御承認をわずらわすということは、どうも私どもとしてはいかがかと思うのであります。
#110
○山崎昇君 これは平行線をたどることであって、いますぐ解決する問題じゃございませんが、私は、かりに諮問的な審議会であったとしても、これほど国民に重大な影響を及ぼす――内部の意思決定であっても、深刻な影響を及ぼすほどの審議会ですね、実際は。その委員の任命について国会が全然タッチできないということについて、私は不満を持っているわけなんです。また、さっき例にあげました農業基本法にいう農政審議会についても、基本法でも六条の三項、八条の三項、十一条の三項等で重要事項を審議することになっておる。あるいはまた土地改良法の第四条の二で、土地改良長期計画を審議することにもなっております。こういう重要な農業の基本に関するようなものを審議する審議会の委員が、ほとんど政府任命だけで終わっておるというところに私はひとつ問題があるのじゃないかというので、きょうは問題提起だけ私はしておきたいと思います。これは農林大臣、十分私は考えてもらいたいと思うのですよ。きょうはここでどうするという答弁は要りませんが、考えてもらいたい。ようやく大体の時間になりましたので、きょうはこの程度でやめておきたいと思うのです。八日に予定されておりますが、八日には行政機構を通じましてもっとこまかに聞いてみたいと思うのです。
 きょうはこれで一応終了したいと思います。
#111
○委員長(八田一朗君) 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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