くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 本会議 第7号
昭和四十四年二月二十二日(土曜日)
   午後五時五十三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第七号
  昭和四十四年二月二十二日
   午後三時開議
 第一 東北開発審議会委員の選挙
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、日程第一
 一、昭和四十三年度一般会計補正予算(第1号)
 一、昭和四十三年度特別会計補正予算(特第1
  号)
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 奥村悦造君から、病気のため三十日間請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(重宗雄三君) 日程第一、東北開発審議会委員の選挙。
 これより、欠員中の東北開発審議会委員一名の選挙を行ないます。
#7
○船田譲君 東北開発審議会委員の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#8
○小柳勇君 私は、ただいまの船田君の動議に賛成いたします。
#9
○議長(重宗雄三君) 船田君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、東北開発審議会委員に津島文治君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#11
○議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、
 昭和四十三年度一般会計補正予算(第1号)、
 昭和四十三年度特別会計補正予算(特第1号)、
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。予算委員長塩見俊二君。
   〔塩見俊二君登壇、拍手〕
#13
○塩見俊二君 ただいま議題となりました昭和四十三年度補正予算二案につきまして、委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 今回の補正予算は、国内米の政府買い入れ数量の著しい増加に伴う食糧管理特別会計への繰り入れ等、当初予算作成後に生じた事由に基づき、特に緊急に措置を要するものに対し、補正の措置を講じようとするものであります。
 すなわち、一般会計において、食糧管理特別会計の調整勘定に追加繰り入れ三百七十億円、国民健康保険助成費の不足を補うため必要な経費百七十四億円、所得税収入等の追加計上に伴う地方交付税交付金の増加七百三十五億円を歳出に追加計上するとともに、公債金を一千六百二十三億円減額しているのでありまして、その財源としては、租税及び印紙収入において二千四百五億円、税外収入二百四億円を計上するほか、既定経費二百九十二億円を減額しておるのであります。
 この結果、昭和四十三年度の一般会計予算の規模は、歳入歳出とも九百八十七億円を増加し、五兆九千百七十三億円となるのであります。
 また、特別会計は、交付税及び譲与税配付金特別会計において七百三十五億円を一般会計から受け入れ、同額の地方交付税交付金を増額いたしておるのであります。
 これら補正予算二案は、二月十八日国会に提出せられ、委員会におきましては、二十一日福田大蔵大臣から提案理由の説明を聴取し、引き続き本日まで、佐藤内閣総理大臣並びに関係各大臣に対しまして質疑を行なってまいったのであります。
 以下、その質疑のうち、補正予算に直接関係するものにつきまして御報告を申し上げたいと存じます。
 まず、総合予算につきまして、「政府は昨年の財政演説において、従来の補正予算の要因である食管への繰り入れ、人事院勧告について、十分措置しているから、補正なし総合予算主義でいくと言明をしたが、今回の補正の要因には国内米買い入れ数量の見込み違いのための食管繰り入れがあり、総合予算主義は全くくずれたのではないか。また、人事院勧告を完全実施していないなど、幾つかの欠陥があるのをそのままにして補正を組まないとすることは、総合予算ではないのではないか。」との質疑があったのであります。
 これに対し、大蔵大臣並びに農林大臣から、「四十三年度予算編成にあたっては、予備費の充実、義務的経費の適正な計上及び食管特別会計の糧券発行限度額の引き上げ、弾力条項の改正等の措置を講じたのでありまするが、四十三年が史上最高の四十二年の大豊作に次ぐ史上二番目の豊作で、政府買い入れ量が一千万トンをこえる異例な事態になり、食管会計に約六百億円の赤字増加が予想されるに至ったのであります。政府は極力会計内操作並びに成立予算のワク内で処理する努力を払ったのでありまするが、結果的に三百七十億円の追加補正が必要となったのであります。総合予算主義は、従来の補正予算を予定した予算編成とは基本的に異なり、年度当初に年度間を通じる必要経費を見積もり、もろもろの政策のバランスをとった予算を編成するという点で、一歩前進した財政運営だと確信しており、今後ともこの基本方針は堅持したい」との答弁があったのであります。
 また、補正予算の財源となった年度内自然増収二千四百億円に関連をいたしまして、「政府は当初予算の税収を故意に過少に見積もって、減税財源がないとして、実質減税ゼロの政策を国民に押しつけたのではないか、また、年度内自然増収が明らかになった段階において年度内減税を実施すべきではなかったか」などの質疑があったのであります。これに対し、内閣総理大臣並びに大蔵大臣より「税収見積もりは四十三年度に限らず、科学的、合理的に適正に見積もっているが、四十三年度のわが国内外の経済が、大かたの予測をこえる高い成長をした結果生じた自然増収で、決して過少見積もりをしたということではない、年度内減税は技術的にも時期的にも困難であって、四十四年度は四十三年度の二千四百億円の自然増収を織り込んで大幅減税を行なったものであると御理解を願いたい」旨の答弁があったのであります。
 最後に、本補正に計上の地方交付税七百三十五億円に関連をいたしまして、「これは四十四年度予算で国が地方から借りることになっている六百九十億円を引き当てにして組まれたものではないか、また、地方自治体の財政状況が表面的に改善を見たといっても、必ずしも豊かではなく、これは地方住民の福祉や行政水準の向上を犠牲にして行なわれたものであって、国に貸せるほどのゆとりはないはずではないか。四十四年度の交付税減額の特例措置を四十五年度以降も続ける考えであるのか」との質疑がありました。
 これに対し、大蔵大臣並びに自治大臣から「六百九十億円は、四十三年度の三税の増収の限度内で貸したのであって、補正予算提出を前提としたものではない。ただ、食管を中心とした補正が行なわれることになったので、計上されたものである。地方自治体の財政需要は非常に強く、いまだ財源にゆとりがある段階とはいえない。ただ中央、地方の財政は別個のものと見るべきではなく、相互に助け合って円滑な運営をはかる必要があり、交付税の年度間調整など、今後検討すべき事項も多い。なお、今回のような借り入れの特例方式は好ましくないので四十五年度以降はやらない。」旨の答弁があったのであります。
 質疑は、このほか、沖繩返還問題、米国の対日輸入規制問題、防衛問題、消費者物価の見通し、公共料金問題、消費者保護の問題、国債の減額、人事院勧告の不完全実施、大学問題、婦人少年労働行政の機構改革などにつきまして熱心に行なわれたのでございまするが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて本日をもちまして質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して竹田委員が反対、自由民主党を代表して内田委員が賛成、公明党を代表して鈴木委員が反対、民主社会党を代表して片山委員が反対、日本共産党を代表して岩間委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、昭和四十三年度補正予算二案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#14
○議長(重宗雄三君) 両案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。竹田現照君。
   〔竹田現照君登壇、拍手〕
#15
○竹田現照君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十三年度補正予算二案に対し、反対の態度を表明するものであります。
 反対の理由を申し述べるにあたって、私は、まず政府のいわゆる総合予算主義なるものが完全に破綻したという事実を指摘しなければならないのであります。いわゆる補正なし総合予算主義というものは、今日のように経済変動が激しく、物価上昇の著しい時期において、政府の経済見通しすら大幅に狂うという状況の中で、国の財政を当初予算でしばりつけようとすること自体、全くナンセンスなものであるというほかありません。今日の財政法の原則が、もともと必要な場合は補正予算を組むというたてまえであって、正しい意味での総合予算主義をとっており、財政政策の根本的理念であって、総合予算主義そのものは、こと新しいものではなかったのであります。そもそも、一国の財政政策は、その予算をもって裏づけられるものであり、当然のことながら、予算案の作成いかんによっては、国の繁栄か、もしくは衰退かが背負わされるものであります。繁栄への道をになおうとすることは、しごく当然のことでありまして、そのためには財政の経済性並びに効率性から経費の優先順位を論ずべきものと思われます。
 しかるに政府は、財政硬直化を打開するという視点のみを重視し、本来あるべき姿の財政の経済性、効率性を軽視した予算編成の姿勢そのものからして、すでに総合予算主義なる財政の根本的な理念は失われていたといってもよいと思うのであります。また、政府の総合予算主義の真のねらいは、一方において生産者米価据え置き、公務員給与の抑制、医療費、国鉄運賃、酒、たばこの値上がりを許すなど、国民負担のしわ寄せにより、他方、防衛力増強、海外経済協力の名によるアメリカの東南アジア経済援助の肩がわりなどの財源を確保する点にあったのではないかと思うのであります。私は、今回の補正予算に象徴された、不合理な総合予算主義の破綻と、そのねらいを指摘し、正しい財政法の原則に立ち返ることこそ、いま政府のとるべき態度であることを強調し、以下具体的に反対の理由を申し述べます。
 その第一は、今回の補正において、国民大衆に対する重税の実態が、一そうはっきりしたことであります。政府は本年度千五十億円の減税を行なうにあたり、あたかもたいへんな善政を行なうかのごとく宣伝したのでありますが、経済成長を続ける限りにおいて、税の自然増収は当然のことであり、必要以上に取り過ぎている税を修正するのはあたりまえのことであります。二千四百億円以上の税の自然増収追加によって、四十三年度当初における六千五百七十六億円にあわせて約九千億円もの巨額な自然増収があったにもかかわらず、これに対し実質減税ゼロとされたことは、租税政策そのものが不法不当と言わなければなりませんし、元来、国民に返すべき税金の返還を怠っているものと言えましょう。真に均衡ある予算とは、資源の適正配分をもとにして、政府の財貨・サービス等購入に対する正当なる税の見返りを期待するものでありまして、国民総生産の対前年度伸び率が一五%以上になれば、税収は階段的に上昇することは明らかであります。私の計算によれば、この三年間に税金の取り過ぎ分ともいうべき税の自然増収の累計額は、実に五兆八千億円をこえているのであります。しかるに、鳴りもの入りで宣伝された減税額は、わずかにその九%程度にすぎず、まさに苛斂誅求の実態を具体的に示しています。四十四年度においても一兆二千億円の自然増収見込みに対し、千五百億円の減税であります。世間ではいざなぎ景気とうたわれているにもかかわらず、このような重税政策と物価高の中で、一般勤労者の生活は楽になるどころか、むしろ苦しくなっております。これは最近の労働組合に対するアンケート調査で、賃金、物価に次いで、減税要求が第三位を占めていることは、これを明らかに物語っていると言えましょう。
 反対の第二は、今回の補正にありますところの公債一千六百二十三億円の減額であります。これは当然国民に返すべき巨額の税の自然増収にささえられて公債削減ができたというよりは、むしろ直接的には金融界、産業界の根強い資金需要圧力によって、削減分を民間設備投資に振り向けようとする要求にこたえるものとなっているのであります。さらに重視しなければならないのは、四十三年度発行の国債実質四千七百九十億円も、この一年間に約四千億円の日銀の買いオペによる引き取りという、たらい回しが行なわれたということを考えると、日銀引き受けによる国債発行はしないという原則も完全にしり抜けとなり、事実上、日銀引き受けの国債発行となっていることであります。これは単に四十三年度分についてのみ言えることではなく、四十四年度に発行するという四千九百億円の公債も、実はまさに財政法に禁止している日銀引き受けによる国債発行となるのであり、形式論理をこえた重大な財政法侵犯の問題と言わなくてはなりません。
 反対の第三の理由は、税の自然増収二千四百億円という財源が生まれた以上、公務員給与については、人事院勧告を尊重し、これを完全に実施するための措置を講ずべきにもかかわらず、それがなされていないことであります。さらに、また、生活保護費、失対賃金についても、最近の物価上昇と格差是正のための予算計上を行なうべきであり、国民健康保険事務費の完全補償と、累積赤字の清算分、さらに公害対策等、国民の緊急課題に対する予算の増額を行なうべきであります。また、沖繩の財政事情が悪化している現状に対する財政援助も緊急に配慮すべきと考えるのでありますが、本補正予算はこれらを全く無視しておるのであります。
 第四に、地方交付税について七百三十五億円の補正が行なわれていることでありますが、いわゆる地方財政の好転論を振り回し、地方自主財源である交付税を国の景気政策に組み込んで、その使い方をも制約しようとしていることは、地方自治の本旨に反し、地方自治体を国の下請機関に組み込もうとする暴挙であると言わなければなりません。地方財政の好転は単なる表面上のものにすぎず、高い住民負担と低い行政水準を前提として、なお借金でやりくりしているのが実態であります。政府はこの現実を見ることなく、一面的な解釈による住民への犠牲強要はとうてい納得し得ないところであります。
 最後に、今回の補正の最大要因でありますところの食管会計への繰り入れでありますが、政府側の一貫した説明または答弁の中では、米の買い入れ量の異常な増大ということであります。確かに前年度に引き続き米は豊作でありましたが、このことは年度当初予算において十分考慮されるべきであり、当初政府買い入れ量の八百五万トンに対しては、わが党委員が審議の過程ですでに疑問を呈したところであります。しかるに、政府は八百五万トンに固執し、今日の事態を招いたものでありますが、このことはもとより、昭和四十三年九月二十日前後において、すでに九百三十三万トンという数字が新聞紙上に報ぜられておりました。このときすでに補正なかりせばとうてい解決されるものとは思われない事態にもかかわらず、まだ補正の意思なしとがんばってこられたのは、当時公務員給与の改定が問題となっていた時期であり、人事院勧告を踏みにじるための不当の手段としか考えられないのであります。さらに重大な問題は、すでに衆議院及び本院の審議においてもわが党が強く指摘してまいりましたとおり、食管会計への繰り入れに伴う補正予算が提出されていない点であります。すなわち、政府は、一般会計の歳出の中で食管会計への繰り入れ三百七十億円の増額補正をしているのでありますが、これを受け入れる食管会計の補正は何ら行なわれておらないのであります。政府は、これに対し、予算総則による食管会計の予備費、弾力条項の運営によって処理できるとの見解を示しておりますが、これは明らかに財政法の精神を逸脱した行政権の乱用であり、国会軽視、国民無視の誤った考え方であるといわなければなりません。
 わが党は、すでに、予算制度及び予算審議の改革に関する具体的な提案を行ない、憲法、財政法の定める財政民主主義の原則に立って、予算の内容、税財政の実態が国会を通じて国民の前に公開され、その執行が民主的に行なわれるよう、根本的な改善を主張してまいりましたが、今回の補正予算にあらわれたように、政府の姿勢はこれに全く逆行するものであり、民主的議会政治にそむくもので、断じて容認できないのであります。
 以上申し述べましたように、今回の補正予算は、政府のいう総合予算主義は完全にくずれ去り、同時に、そのねらいが明らかに国民の前に暴露されたものであるといわなければなりません。しかも、このことによって、昭和四十三年度予算が、完全に、増税による大衆収奪と、インフレによる国民生活圧迫の予算であることが決定的になったことを証明するものであります。
 私は、このような見解から、本補正予算に対し反対の意思を表明し、討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(重宗雄三君) 米田正文君。
   〔米田正文君登壇、拍手〕
#17
○米田正文君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和四十三年度一般会計補正予算及び特別会計補正予算の二案に対し、賛成の意を表明するものであります。
 さて、本二案につきましては、さきに福田大蔵大臣より説明がありましたように、一般会計における追加の要因は、食糧管理特別会計への繰り入れ、国民健康保険助成費及び地方交付税交付金の三項目であり、また、特別会計においては、一般会計の予算補正に伴い、交付税及び譲与税配付金特別会計について所要の補正をしようとするものであります。
 以下、二、三の点について簡単に所見を申し述べたいと存じます。
 御承知のとおり、昭和四十三年度の予算は、初めて総合予算主義の原則のもとに編成され、恒例的な予算補正の慣行を排するという方針に基づいて運営されてまいりました。これは全く硬直化した財政運営の慣行を打開しようとする政府の努力によるものでありまして、私はこれを高く評価するものであります。すなわち、四十二年度予算以前におきましては、公務員給与費、食糧管理特別会計繰り入れなどにつきまして相当多額の補正要因を残したまま当初予算を編成するのが恒例となっておりましたが、このような編成の態度は、適正な経費の配分を妨げるきわめて不健全なものであることは、論をまたないところであります。幸い、従来におきましては、順調な経済成長を背景に、年度の途中において大きな自然増収に恵まれることも多かったのでありますが、今後常に、このような自然増収を当てにすることができないことは言うまでもないところであります。わが国の経済は、国民の勤勉とわが党の政策を背景とした政府の経済政策のよろしきを得まして、まことに順調な発展を遂げつつあります。御承知のごとく、すでに四十一年度以降連続三ヵ年の好況を見ておりますが、さらに、四十四年度も順調な拡大を遂げるものと見込まれております。このような四年続きの好況は、戦後われわれが初めて経験するところでありまして、わが国経済はまことに力強い次第であると申さなければなりません。
 しかしならば、世界の経済情勢はなお楽観を許さないものがあるのであります。アメリカの景気後退は一時よりやや回復に向かったかにも見えるのでありますが、なお予断を許さないものがあります。ヨーロッパ諸国の通貨不安もいまだ根本的な解決を見たわけではありません。ひるがえって、わが国内におきましても、消費者物価の上昇傾向は依然として根強い上、最近においては、一部におきまして、いわゆる景気のかげりも懸念されているところであります。もちろん、これらは政策のよろしきを得て持続的成長が確保されるものと存ずるのでありますが、それにしても、今後のわが国経済の前途を冷静に展望するならば、国際経済の不安定、国内における物価問題、労働問題など幾多の課題が山積いたしておりまして、決して安易な態度をとるべきではないのであります。この際にあたり、政府が総合予算主義の原則をとり、財政運営の筋目を正されたことは、まことに時宜を得た意義深きものであると考えます。
 従来、補正のおもな要因であった給与改善費や食管繰り入れを、限られた当初予算のワク内に組み入れるについては、一段ときびしい重点主義に立って既定経費を見直すことも必要となるのでありまして、あえてこれを実行されたことは政府の勇断であると言うべきであります。
 さて、わが国のような生成発展していく経済におきまして、総合予算主義を堅持しようとする場合、幾多の問題が生じてくることもまた事実であります。四十三年度におきましても、わが国経済の成長が予想以上のものとなったために、二千四百億円にのぼる税の自然増収が見込まれるに至ったのであります。今回の補正におきましては、これを安易に歳出の追加に回すことなく、千六百二十三億円に及ぶ大幅な公債発行額の縮減に充てております。これは、税の大幅な自然増収が見込まれるような景気の上昇期には、公債を削減して財政面からする景気調整の実をあげるというフィスカルポリシーの本旨に沿うものでありまして、きわめて適切な措置であると考えるものであります。野党の一部には、この自然増収は減税として国民に還元すべきであるという意見がありますが、これはわずか一年の間に税制の改変をすることになり、税制の混乱を起こすおそれもあり、現実の問題として実行困難であり、わが党のとらざるところであります。減税は、別途根本的な見地より総合的に改善を進めるべきであります。
 次に、野党の諸君の一部には、総合予算主義は、米価を抑制し、公務員給与の改善を抑制するための手段ではないかと主張する者がありますが、まことに適当ならざる考えと申さなければなりません。すでに、昭和四十三年度におきましても、米価は、諸般の要素を慎重に検討の上、適正に定められたものであり、また、公務員給与につきましても、民間との格差を十分考慮し、諸施策との均衡を勘案の上、財源事情の許す限り最大限の配慮を行なったところであり、現に四十三年度においても、人事院勧告の実施時期を一ヵ月繰り上げたのであります。したがいまして、総合予算主義は、決して米価や公務員給与を抑制するものではなく、これらについては、諸施策との斉合性ないし均衡のもとに、財政の許す限り最大の配慮を払うべきことは当然であります。
 次に、補正のおもな内容について申し述べてみたいと思います。
 第一は、食糧管理特別会計への繰り入れであります。これは、四十三年産国内米の政府買い入れ数量が著しく増大する見込みであること等によって、食糧管理特別会計の食糧管理勘定における損失額が、当初予算において予定した額より大幅に増加する見込みとなってまいりましたので、同特別会計の経理運営の改善をはかるため、一般会計から同特別会計の調整勘定へ三百七十億円の追加繰り入れをするものであります。これにつきましては、これが総合予算主義の崩壊を意味するものであるという意見もあるのでありますが、これまた、大いなる誤解であると言わなければなりません。そもそも総合予算主義は、恒例的な予算補正の慣行を排除して、財政運営の節度を回復しようとするものでありまして、たとえば、異常の大災害などの場合におきまして、とうてい予備費をもってしては対処し得ないような事態が発生いたしました場合にも、補正をしないという趣旨のものではございません。今回のように、国内米の政府買い入れ数量が一千万トンにも及ぶというような異常な事態におきまして必要最小限度の補正を組むことは、まことにやむを得ないものであります。もし、本年度当初、総合予算主義をとらなかったならば、おそらくその補正額は相当大きなものとなったでございましょう。したがって本補正を行なうことによって、総合予算主義をくずしたという議論は、大局を見ざるの言であって、われわれのとらざるところであります。しかしながら、食糧管理特別会計の内容については多くの問題があります。政府はその改善方策を具体的に確立するよう一そうの努力を切望します。
 第二に、国民健康保険助成費の昭和四十三年度不足見込み額として百七十四億円を計上しておりますが、これにつきましては、他方において、二百九十三億円の既定経費の不用額を捻出しておりますので、実質的には、組みかえによって措置したものと見られるのであります。総合予算主義のもとにおきましても、事情の変化に対処して既定経費の配分を見直すという、いわゆる組みかえ補正は当然認められるものであります。なお、医療保険制度におきましては、膨大なる赤字の累積など、多くの問題をかかえておりますので、政府は、一日も早く抜本的改善策を樹立され、実行に移されるよう希望するものであります。
 第三は、地方交付税交付金であります。これはさきに申し述べましたとおり、この補正の機会に、公債発行額の大幅な縮減を行なうこととしておりますので、税の自然増収の見込みを歳入に計上して財源事情を明らかにすることとし、それに見合う交付税額七百三十六億を計上したものであります。なお、これにつきましては、現下の地方財政の状況並びに経済情勢を勘案し、地方財政の健全化を促進し、かつ景気動向に刺激を与えざるよう、適切な措置を講ずることとなっております。
 なお、今回の補正予算は、第一に、歳出に追加される規模が千億円未満であること、第二に、食管繰り入れと国民健康保険助成費にあっては、実体的な経済行為はすでに行なわれており、新たに国民経済上の実需をつくり出すものではないこと、第三に、地方交付税については、前述のようにたな上げの措置がとられること、さらに第四に、大幅な公債発行額の縮減を行なっていること等によりまして、全体として景気に対し刺激を与えるものではないと考えられます。
 以上、今回の補正は、当面、国民生活と財政健全化に欠くべからざる当然の措置をとらんとするむのでありまして、本補正予算は、きわめて適切なものであると思います。健全なる財政なくして、均衡のとれた経済の発展はありません。最後にあたり、政府が今後とも総合予算主義を堅持され、将来補正要因となるおそれのあるものについては、十分なる対策と見通しとをもって対処され、健全なる財政運営の確保に努力されんことを切望して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(重宗雄三君) 二宮文造君。
   〔二宮文造君登壇、拍手〕
#19
○二宮文造君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております補正予算二案について、反対の討論を行なうものであります。政府は、昭和四十三年度の予算編成にあたり、財政の硬直化を打開し、あわせて財政の体質を改善するという理由から、いわゆる総合予算主義の立場をとり、従来、例年の補正要因でありました食管対策費と公務員給与改善費を当初予算に計上し、よほどの事態が起こらない限り、追加補正はしないと表明したのであります。予算編成にあたっては、予見できるすべての財政要因を当初予算に計上すべきことはけだし、当然であります。にもかかわらず、政府は、毎年の財政規模を、経済見通しに合わせて過小に見積もり、その反面では、膨大な自然増収を当てにして、主要な財政需要を補正予算に組み込むなど、安易な予算編成に終始してきたのであります。したがって、今日の財政硬直化はなるべくして起こった当然の帰結であり、物価高、国民福祉の脅威を引き起こすなど明らかに政府の財政運用の誤りとして指摘せざるを得ないのであります。
 反対の第一点は、税収の自然増が二千四百五億円、税外収入が二百五億円もありながら、減税もせず、国債減額に千六百二十三億円を引き当てていることであります。今回の補正によれば、租税の自然増収二千四百五億円のうち、所得税の増収は千五百五十六億であり、実に税収の六五%を占めているのであります。反面、四十三年度の所得税減税は、酒、タバコの値上げにより実質減税ゼロとなっており、加えて四十四年度の税制改正では、自然増一兆二千億円といわれる中で、所得減税はわずかに千五百億円にとどまっているのであります。したがって、四十三年度の実質減税ゼロを補なう意味においても、今回の補正において、所得税の減税をはかるべきであったと主張するものであります。
 反対の第二点は、公務員給与について考慮が払われてない点であります。当初予算における政府の説明によれば、人事院勧告を忠実に実施するためにこそ総合予算主義をとり、予備費を充実したとのことでありました。ところが、実情はどうか。人事院勧告の完全実施は行なわれなかったばかりでなく、政府の提案は、実施時期を昨年並みの八月としたのであります。国会の修正により七月実施とは変更されたものの、これは明らかに政府の怠慢であり、憲法に保障された労働基本権を奪うものと言わざるを得ないのであります。政府は人事院勧告を忠実に実行する、すなわち完全実施に踏み切るべきであります。しかもそれらの配慮が、今回の補正には全くなされていないのであります。
 第三点は、地方交付税交付金についてであります。去る一月六日における大蔵大臣、自治大臣の間にかわされた覚え書きについて、疑問が残るのであります。自治省としては、今年度の自然増収分を補正に計上すれば、国税三税の三二%分として、七百三十六億円が追加配分されることとなり、四十四年度に六百九十億円を国に貸したとしても、地方財源には実質的に大差がないとの判断に立ったと思われるのであります。また大蔵省当局としては、これを補正に計上することによって、四十五年度予算編成にあたり、財政規模の膨張、肥満型のそしりを免れることになるのであります。ここに両者の合意が覚え書きとなった根拠がうかがえるのでありますが、地方においても、当然増経費の増加に伴う財政硬直化の問題は深刻な様相を呈しているのであります。しかも、住民福祉に直結する重要な施策が財源難に逢着していることもまた事実であります。まさしく、予算編成のテクニックから、住民福祉が侵害され、かつまた、将来における交付税率三二%を減額するおそれさえ出てくるのであります。
 第四点は、食管対策費についてであります。政府は、今回の補正要因として異常な豊作をあげ、政府米買い入れ数量の増加をあげているのであります。しかし、作付面積、被害予想、あるいは逐年増加を遂げている収穫量等々から、これらは当然予見でき得るものであり、いわゆる総合予算主義が単なる歳入歳出のつじつま合わせに終始していることを明瞭に物語るものであります。さらに、国内産米の売り払い量が予算見積もりに達しないことは、最近の傾向としてわかっていたはずであります。にもかかわらず、単に予算面の上だけで、毎年の売り払い見込み量や、収入金を増加させ、いわゆる粉飾し、操作された食管会計予算が作成提出されているのであります。したがって、政府のいうように、食管会計が異常な増産に基づく、いわゆる財政法第二十九条による、予算作成後に生じた事由とはいえないのであり、ここにも政府のいう総合予算主義の根拠が崩壊するのであります。
 以上の点により、補正予算案に対し反対を表明し、討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(重宗雄三君) 萩原幽香子君。
 〔萩原幽香子君登壇、拍手〕
#21
○萩原幽香子君 私は、民主社会党を代表いたしまして、このたび政府より提案されました昭和四十三年度一般会計並びに特別会計補正予算案に対し、反対の討論を行なわせていただきます。
 私がこのたびの補正予算案に対して反対をいたします理由は三点ございます。
 その第一は政府の財政政策に対する姿勢、第二は本補正予算案の内容、第三は補正予算案提出の時期の問題でございます。以上の三点について、順を追って意見を申し述べてまいりたいと存じます。
 まず、第一の財政政策に対する政府の姿勢の問題でございますが、大切な国家の財政に対して、政府の態度は著しく一貫性と計画性を欠いているものと考えられるのでございます。このことは、最近数年間における政府の財政に対する姿勢が明白に示していると存じます。具体的に申しますと、佐藤内閣は、池田内閣のあとを受けて、高度成長のひずみを直すことを旗じるしに出発されたはずでございました。すなわち、昭和四十一年の予算編成にあたって、当時の福田大蔵大臣は、「財政新時代」をうたい文句に、本格的な公債政策を取り入れ、総花的な膨張予算を強行されて、その場を糊塗してこられたのでございます。しかし、これはわずか二年足らずで公債の累積という事態に追い込まれてしまったのでございました。すると、今度は一転して、昭和四十三年の予算編成では、「財政硬直化の打開」という、まことにもっともらしい表現で総合予算主義を打ち出されたのでございます。硬直化の最大の原因が公債の累積であるにもかかわらず、これを、社会保障や公共事業などの民生的支出にしわ寄せられたのでございました。佐藤総理の常に申される「人権尊重」や「日の当たらぬ場に日を当てる政治」とは、一体、この財政政策のどの点を見てうなずけとおっしゃるのでございましょうか。
 ところで、その総合予算主義もまた、一年を経過しない今日、突如として補正予算案を提出されたのでございます。このように、財政政策が年ごとにネコの目の変わるように変わるということは、政府に長期の財政計画のないことを暴露したものと申さねばなりません。近代国家の財政は、まず政府が長期の計画を立て、広く国民に明示して、理解を求めていくべきではないではございませんでしょうか。そうして、単年度予算は、この長期財政計画の一環として運営されるべきものであると思考いたします。世の変動が激しければこそ、最高の頭脳をお集めになった政府で将来を十分見通した計画を立て、国民の信頼をかち得ていただかなければならないと存じますが、いかがでございましょうか。
 申し上げたい第二点は、本補正予算案の内容そのものでございます。まず、本補正予算案の歳入の中心は、租税及び印紙税収入の二千四百五億円であり、その内訳を見ますと、一番多いのが所得税の一千五百五十六億円でございます。ということは、当初予算編成の際に故意に過小見積もりをされ、国民の切実な減税要求を押えられたのではないかと勘ぐりたくもなるのでございます。しかも、この一千五百五十六億円は、すでに国民から取り立てたものでありまして、言うなれば事後承諾のような性格のものとも考えられる次第でございます。これこそ物価高の中で重税にあえいでおります国民の減税分として返していただくべきものではなかろうかと存じますが、いかがでございましょう。それでこそ国民を大切にする政治の姿かと存ずる次第でございます。
 また、歳出の面では、地方交付税交付金七百三十五億円が計上されておりますが、そのうち、六百九十億円はすでに政府が借り入れをするように決定されており、地方にはわずか四十億円程度しか回らぬことになるわけでございます。昨日の質問者への御答弁の中で、中央と地方はお互いに持ちつ持たれつ助け合うべきであると強調されました。このお考えは私も全く同感でございます。ところで地方財政の実態は、政府がお考えになっておりますそれほど豊かなものでございましょうか。私のながめるところでは決してそのようではございません。年々ふえてまいります産業公害や交通事故の対策費、あるいは地域別格差の是正、教育施設の充実費、割り高な住民税の引き下げ対策などなど、ずいぶん苦しい台所を懸命に切り回しているのが実情のように考えられるのでございます。本案に賛成いたしかねる最大の理由は、以上の二点でございます。
 第三点は、本補正予算案の提出の時期に問題があることを指摘させていただきたいと存じます。ここに提案されております内容からいたしますと、少なくとも昨年十二月の臨時国会において提案されるべきものであったと考えるわけでございます。それをこの押し迫った段階において突如として提案され、十分な審議の時間的余裕も与えないというやり方は、政府の事務的、形式的な態度のあらわれとしてまことに不満でございます。これは財政法第二十七条にうたわれております「毎会計年度の予算を、前年度の十二月中に、国会に提出するのを常例とする。」という点にも反するものであり、国会軽視のそしりは免れないところと存じますが、この点いかがでございましょうか。先ほどから私はるる申し述べてまいりましたように、重要な国家予算案を取り扱う態度といたしましては、慎重さに欠け、また国民を愛する親心にも欠けていることを、まことに遺憾とするものでございます。
 ここに政府の反省を強く促し、私の反対討論を終わらせていただきます。(拍手)
#22
○議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより採決をいたします。
 両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#23
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、両案は可決せられました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト