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#1
第061回国会 本会議 第10号
昭和四十四年三月十七日(月曜日)
   午前十時四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十号
  昭和四十四年三月十七日
   午前十時開議
 第一 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正
  する法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 以下 議事日程のとおり
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 佐野芳雄君から病気のため十五日間請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(重宗雄三君) 日程第一、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(趣旨説明)。
 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。有田国務大臣。
   〔国務大臣有田喜一君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(有田喜一君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 わが国の防衛力の整備は、日米安全保障体制を基調としつつ、国力、国情に応じて漸進的に行なうこととしております、この基本的な考え方のもとに、逐次防衛力の整備をはかってまいっておるのでございます。特に、陸上自衛隊につきましては、第一次防衛力整備計画以来、十八万体制をとることになっていたのでありますが、諸般の事情により、やむなく、その整備を第三次防衛力整備計画まで持ち越した次第であります。このたびの改正案の定員増のうち、おもなるものは陸上自衛隊に関するものでありまして、日米安全保障体制を前提といたしまして考えるとき、陸上における自衛力としては最小限度必要な人員であります。
 防衛庁設置法の一部改正の内容は、自衛官の定数を七千七百二人増加するものであります。
 増員の内訳は、陸上自衛隊については六千人で、普通科部隊等の整備に充てることとなりますが、これによりまして、三個連隊等の増設が可能となりまして、現在十三個師団ございますが、その十三個師団のうちで九千人の師団が四個師団あるのでありますが、その四個師団が七個師団に増加することとなるわけであります。
 海上自衛隊については千二百二十二人の増員でございますが、艦船の増加に伴いまして必要となる人員、並びに航空関係の部隊、及び後方支援部隊等の充実のため必要な人員であります。
 航空自衛隊については四百八十人の増員でありますが、ナイキ部隊の編成及び警戒管制、救難等の部隊の充実のために必要な人員でございます。
    ―――――――――――――
 次に、自衛隊法の一部改正について御説明をいたします。
 第一は、海上自衛隊の航空集団の編成を改めることであります。
 現在、航空集団は、司令部及び五つの航空群からなっておりまするが、今回の改正は、これらの航空群と並列する直轄部隊を設けることができるようにするためのものであります。さしあたっては、これらの航空群のうちの一つの航空群に属している部隊のうちに、各航空群に共通する航空機の運用等の研究、試験及び訓練指導を行なっている部隊がありまして、これを直轄部隊として加えることを予定しております。これは、海上自衛隊に属する航空部隊の任務遂行の円滑をはかるためでございます。
 第二は、自衛隊の予備勢力確保のため、予備自衛官を三千人増員して、合計三万三千人とするものであります。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
#8
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。北村暢君。
   〔北村暢君登一壇、拍手〕
#9
○北村暢君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました防衛二法案につきまして、総理並びに関係閣僚に対し若干の質問をいたします。今回の改正は、第三次防衛計画の進展に伴い、防衛力の強化のため、自衛官七千七百二名を増員することを中心とするものであります。
 まず、わが国の防衛と密接不可分の関係にある沖繩返還問題について質問をいたします。
 去る十日、本院の予算委員会において、わが党の前川旦君の質問に対し、沖繩返還後の基地の態様について、総理は、従来の白紙の態度から一歩を進め、「核抜き、本土並み」と受け取れる答弁を行ない、大きな反響を呼んだのであります。しかし、沖繩返還問題は、戦後二十数年間、同じ日本人である沖繩県民が、外国の支配下にあって言うに言われぬ苦しい体験の中から、みずから見出しました無条件全面返還こそが、対米交渉の基本でなければならないと信ずるものであります。
 しかるに、下田大使は、本土並みすらきわめて困難であることを盛んに吹聴し、無条件全面返還を打ち消すため、悪らつな世論操作を行なったことは言語道断であり、断じて許すことができない問題であります。なお、このことは、下田大使個人の問題であるばかりでなく、政府の責任もまた重大であることを指摘し、反省を求めるものであります。また、この重大な時期に、本院議員がわざわざアメリカまで出かけて、総理の国会答弁とは正反対の、本土に核基地を持てば沖繩はひとりでに本土並みになる、これも一つの解決策であろうなどと、不謹慎な言辞を弄する者がいるに至っては、論外であります。総理の国会答弁は、世論操作をねらうような無責任なことは許されず、きわめて権威のあるものでなければなりません。この際、総理は、沖繩返還は「核抜き、本土並み」を出発点とするのかどうか、対米交渉の基本方針を国民の前に明らかにすべきであると考えますが、総理の責任ある答弁を要求いたします。
 さらに、内容について二、三お尋ねいたします。
 事前協議は、沖繩にも、当然本土並みにそのまま適用すべきであると考えます。総理は、協議は文字どおりに解し、イエスの場合もノーの場合もあるような発言をし、その態度があいまいであります。交換公文を確認した当時の趣旨は、拒否的、歯どめの役割りを持たしたことは明らかであります。イエスの場合は、核の持ち込み、戦闘作戦行動の自由発達を認めることになり、事前協議は有名無実になる可能性があります。総理の見解を明らかにしていただきたいのであります。
 次に、非核三原則についてであります。
 政府は、アメリカの核持ち込みは違憲ではない、また、戦術的核兵器は自衛隊が持っても違憲ではないが、国民感情を考え、「持たず、持ち込まず」の方針をとっている、これは政策の問題である、と説明しているのであります。われわれは、憲法解釈上も、非核三原則は当然守られなければならないと確信を持っております。しかし、政府のあいまいな答弁のため、返還後は戦略核兵器は残らないが、戦術的核兵器は残るのではないかという不安を国民に与えております。非核三原則は、本土・沖繩の区別なく、断じて守り抜くという決意が総理におありになるかどうか、承りたいのであります。
 次に、返還後の沖繩基地の縮小と自主防衛の問題についてお尋ねいたします。
 これは、無条件全面返還の場合は問題でないわけでありますが、政府の立場に立てば、対米交渉の裏づけとして当然準備しておかなければならない問題であります。沖繩は今日までアメリカの極東戦略基地のかなめとして重要な役割りを占めてきたが、政府は、返還によって基地の性格がどのように変わると判断しているのか、そして、基地の縮小と自主防衛計画についていかなる構想を持っておられるのか、この際、その概要を説明願いたいと思うのであります。
 次に、核抑止力の問題についてお尋ねいたします。
 現在、アメリカをはじめとする核保有五カ国の保有原水爆の数量は、爆発力に換算して約四万メガトン、つまり、火薬で四百億トン分であります。世界の人口一人当たり十トン以上の爆弾を背負っているということになり、これを効果的に爆発させますというと、世界の人間を何十回もみな殺しにすることができる、おそるべき量に達しているのであります。ポラリス潜水艦一隻の破壊力は、第二次大戦の両陣営の使った爆薬の約二倍といわれております。しかも、われわれ日本人は、日米安保条約のもとにアメリカの核戦略体制と密接不可分の関係に置かれているのでありますから、危険千万と言わなければなりません。世界で唯一の被爆国民として、核に対し敏感であるのは当然であります。日本人は核アレルギーにかかっていると宣伝するものがおりますが、今日の情勢では、核アレルギーにかかるのがあたりまえで、かからないほうがよほどの異常体質者と言わなければなりません。
 さて、佐藤総理は昨年の国会で核四政策を発表し、国際的な核の脅威に対してはアメリカの核抑止力に依存することを明らかにしました。そもそも、核抑止力論とは、大量核攻撃を受けた際にも生き残り、圧倒的な報復を行ない得る核攻撃力、いわゆる第二撃力を十分持つことによって、相手国に核攻撃を断念させるというものであります。アメリカは第二撃力に自信があるならば、相手国は核攻撃をあきらめるはずであります。弾道弾迎撃ミサイル、ABM網の配置は必要ないわけであります。にもかかわらず、ABM網の配置を決定したととは、核抑止力に不安があることをアメリカ自身が認めたことになり、核抑止力論の破綻を意味するのであります。今日、核兵器の著しい発展は、その有効性を高めるどころか、矛盾を拡大し、深刻化する一方であります。このように、人類の破滅に通ずる究極兵器の無限の発達と拡大は、兵器の持つ本来的意味を抹殺し、戦争の概念を超越して、絶対平和主義の重要性を立証したと考えるのであります。ここにおいて、わが党の立党以来の基本方針である核武装中立の積極平和外交の展開が真に現実的意義を持つに至ったことを確信し、強く主張するものであります。(拍手)
 そこで、総理並びに外相にお尋ねいたします。現実に、核抑止力論は破産をしておるのであります。アメリカ自身が不安を抱いておる核抑止力に依存して、日本の安全が保たれておると思い込んでおるとするならば、これ以上の悲劇はないと思うのであります。対策は、まず、憲法の絶対平和主義の精神に立ち返る以外に道はないと考えますが、政府は一体いかなる方策をとろうとするのか、国民の納得のいく説明を要求するものであります。
 次に、自衛力の限界の問題についてお尋ねいたします。
 この問題は、しばしば国会でも取り上げられましたが、そのつど、政府の答弁技術で切り抜けてまいりました。そうして、自衛力の限界とはかかわりなく、三次防まで防衛力整備計画は着々と実績をあげてきたのであります。従来、通常兵器と核兵器とを問わず、攻撃を主とするものは持てないが、防御的兵器は持てるという見解をとってきたのでありますが、兵器体系が複雑化し、兵器の性能で攻撃的であるとか防御的であるとかを区別することは、きわめて困難になってきているのが現状であります。たとえば、F4E戦闘爆撃機のように、兵器の性能では説明がつかず、持つ者の意思によって攻撃的兵器であっても防御的兵器になりかねないありさまであります。政府は、憲法第九条の戦力との関係から自衛力の限界を設けてきた経緯にかんがみ、自衛力の限界の基準を、国民にわかりやすい方法で明らかにする責任があると思うのであります。政府にその意思があるかどうか、はっきりしていただきたいのであります。
 また、最近の自衛隊の装備には、核・非核両用兵器が目立ってきました。たとえば、F4Eの装備のファントム、ファルコン、ブルパップ、ナイキハーキュリーズ、護衛艦搭載のアスロックなどは、核装備可能の兵器であります。政府は、政策上核兵器は持たないと言明してきましたが、両用兵器の導入は、将来、政策変更とともに核装備に転換されるのではないかという疑問が持たれるのでありますが、将来とも政策転換はやらないと確約できるかどうか、政府の見解と決意を明らかにしていただきたいのであります。
 次に、ナイキ部隊の配置に関連してお尋ねいたします。
 政府は、新たに第三高射群を、北海道の千歳、長沼に配置を決定いたしました。しかし、長沼は地元民の反対運動が強く、保安林解除の手続で難航している模様でありますが、見通しはどうか、お伺いをいたします。
 千歳空港は、昭和三十四年五月、衆参両院で、第一種空港としての整備についての請願が採択されており、一九七二年の冬季オリンピックの催しを控え、地元民は、国際空港に昇格するよう熱心な運動を続けられておりますが、今後の方針と見通しについて、運輸大臣の見解をお伺いいたします。
 このように、千歳が民間空港としてその重要度が急速に高まっていること、先般の自衛隊機の墜落事故以来、千歳の都市化傾向と関連し、千歳空港の自衛隊使用が再検討を迫られていることなどを勘案すると、ナイキハーキュリーズの千歳配置は妥当を欠くのではないかと考えられますが、防衛庁長官の今後の見通しについて承りたいと思います。
 最後に、自衛官の定員増加についてお伺いをいたします。
 昭和四十三年十一月末現在の自衛官の充足状況は、定員二十五万三百七十二人、現員二十三万二千三百六人、欠員一万八千六十六人、充足率九二・八%で、特に陸士の充足率は悪く、八七%であります。防衛庁は、毎年二十数億の、充足率向上のための経費をかけて、宣伝これつとめているのでありますが、それにもかかわらず成績があがらず、欠員は慢性化しているのであります。今回の増員要求は七千七百二人でありますが、ばく大な欠員をかかえているところに増員要求をして、充足する自信がおありになるのかどうか、はなはだ疑わしいのであります。防衛庁長官、あなたは関西の御出身です。万博の労務者不足は十分御承知のはずであります。これに協力する意味においても、自衛官の増員は一時見合わせて、万博終了を待って、ゆっくり要求されるのが賢明かと存じますが、いかがでしょうか。
 さらに、陸上自衛官の階級別人員構成を見ますと、四十三年十月末現在、幹部一万九千二百七十六人、陸曹六万一千八百五十一人、陸士七万六千五十七人で、幹部、陸曹の合計は八万一千百二十七人で、陸士の人員より多いのであります。幹部一人に対し、陸曹三人強、陸士四人弱の割合となっております。これでは何と弁解しようとも、平時は幹部養成に重点を置き、非常時には徴兵制度を復活し、強制的召集によって戦時編成に切りかえる計画を持っているに違いないといわれても、反論の余地はないと思うのであります。政府は非常事態の場合、現有装備でどの程度部隊編成の規模を拡大することができると判断しているのか、お伺いをいたします。これくらいのことは当然検討していると思いますし、もし検討していないとすれば、怠慢のそしりを免れません。慎重な御答弁をお願いいたします。
 これをもって私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(佐藤榮作君) 北村君にお答えいたします。
 衆参両院の質疑を通じてお答えしたとおり、最終的には沖繩の基地の態様については依然として白紙であります。しかしながら、今国会の冒頭の施政方針演説で述べたとおり、わが国の安全をそこなうことなく、かつ国民の納得のいく解決をはかるというのが、私の基本的な態度であります。
 国会における質疑や、その他のマスメディア等を通じて、国民の世論の動向は私なりにつかんでいるつもりであります。したがって、沖繩返還後の基地の態様については、依然として白紙だとはいっても、内容的には私の考え方もよほど煮詰まってきたことを、この際、率直に申し上げる次第であります。(拍手)
 今後、六月初旬に予定されている愛知外相の訪米、七月か八月に東京で行なわれる日米貿易経済合同委員会等を通じて、米国側の意向も打診しながら、私の訪米までには、政府の沖繩返還に関する基本方針をきめる考えであります。
 すでに、予算委員会で申し上げたとおり、沖繩が祖国に復帰すれば、わが国の憲法はそのまま沖繩にも適用されるのは当然であります。また、特別の取りきめをしない限り、安全保障条約もまたそのまま適用されるものと御理解願います。というのは、いつも申し上げるように、相手のある外交交渉でありますから、政府としては交渉上のフリーハンドを維持することが、国益に沿うゆえんであると私は考えるからであります。
 いずれにいたしましても、私は第一義的には沖繩の早期返還を実現することに全力をあげる考えであり、そうしてこの交渉は、国民世論を背景に、後世においても正しい選択であったと評価される成果をおさめたいと念願しております。この機会を通じて国民各位の御理解と御声援を切にお願いする次第であります。(拍手)
 事前協議においては、ノーという場合もあり、イエスという場合もあるということは、岸内閣以来歴代政府の一貫した態度であります。それならば、どのような場合にノーと言い、どのような場合にイエスと言うのかということだと思いますが、それはあくまでも、わが国の国益の面から政府が自主的に判断してきめることであります。この問題は、これまで繰り返し論議されておりますから、各党においても十分御認識いただいているものと考えております。
 沖繩に非核三原則を適用するかどうかの問題は、従来あらゆる角度から議論してまいりました。しかしこの問題は、返還交渉の最大のポイントである基地の態様と関連する問題であります。というのは、現在沖繩基地に核兵器が配備されているということは国際的な常識となっており、これを今後どのように取り扱うかは、さらに検討を加えなければならない問題であります。しかしながら沖繩の米軍基地がその機能を有効に発揮するためには、沖繩県民の理解と協力が必要であることは申すまでもありません。そうであるからには、返還後の沖繩基地の態様は沖繩県民の協力を得やすいような形にしなければならないというのが、私の交渉に臨む気持ちであります。以上御理解をいただきたい。
 次に、沖繩が返還されたら、その防衛責任を全面的にわが国が負わなければならないのは当然であります。基本的には小笠原の返還の場合と同様であります。ただし小笠原の場合と違って、住民の数からいっても、面積の点からいっても問題にならないくらい広大であり、今日まで果たしておる役割りはたいへん大きいのでありますから、その防衛交渉につきましては、返還の時期、返還後の米軍基地の態様ともにらみ合わせながら、今後慎重に検討してまいる考えであります。
 また、米軍の肩がわりをするのではないかとのお尋ねがありましたが、わが国の自衛隊は憲法及び自衛隊法で定められたことを逸脱するようなことは絶対にありません。ざらに沖繩は、米国の施政権下においては、御承知のように米華、米韓、米比、ANZUS等の相互防衛条約の適用下にありますが、返還後はこれから脱して日米安保条約の適用を受けるのみとなり、本土と何ら変わるところはありません。
 最後に、ABMの問題についてのお尋ねがありました。ABM網の整備により米国の核戦略に変化が起こっているが、これをどう認識しているか、また米国の核抑止力にたよるという政策を変える気はないかとのお尋ねであります。ニクソン大統領のABM配備計画についての決定は、このほどその大網が発表されたばかりで、その計画実施によって将来米国の核戦略がどのように変化するかを、いまの段階で予測することは困難であります。しかしながら、いずれにせよ、米国のICBM基地が他の攻撃から防御されることは、米国の第二撃能力、つまり報復能力を一そう有効にするものであり、これによって米国の核抑止力はさらに高められるものと思います。わが国は核兵器をつくらず、持たないということを基本方針としているが、現に世界には核兵器が存在しており、このきびしい国際情勢のもとにあってわが国の安全を確保するためには、自衛力を整備し、その足らざるところを日米安保体制のもと米国の戦争抑止力によって補うことが、最もわが国の国益に合致するものと確信いたしております。(拍手)
 以上お答えいたしまして、その他の点についてはそれぞれ関係大臣からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(愛知揆一君) 私に対するお尋ねはほとんど総理大臣からお答えがございましたので、一、二だけ補足いたしておきます。
 一つは、アメリカのABM網の配備の問題でございますが、これは、ただいまもお答えがございましたように、配備されない場合に比べまして、アメリカのいわゆる第二撃能力というものは一そう有効になったと考えるのが普通ではないかと思うのでありまして、これによってアメリカの核抑止力が低下するようなことはないので、むしろ、さらに抑止力が高められることになる、かように考えてしかるべきではないかと思います。したがいまして、ただいま御指摘がございましたが、政府のとっております核抑止力論というものが破綻するというようなことはございません。むしろ強化されるものと、かように考える次第でございます。
 なお、わが国の平和と安全を確保するためには、国際緊張緩和のための外交をさらに促進することが妥当である、この点は御同感でございまして、安全保障体制を確立しながら国際緊張緩和のための外交を展開する。そのためには国際連合の強化でありますとか、軍縮の促進でありますとかいうような点につきまして、あらゆる施策を講じてまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣有田喜一君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(有田喜一君) 私に対するお尋ねの第一点の防衛力の限界についてでございますが、わが国は御承知のとおり、その整備する防衛力は国力、国情に応じて、自衛のために必要な限度のものであることは皆さん御承知と思うのです。また防衛力は、そのときの国際情勢あるいは軍事科学技術の進展状況などの条件による相対的なものではございまするが、わが国におきましては憲法上の制約がございます。したがいまして、通常兵器による局地的侵略を未然に防止するためのものでありますから、この点に大きな限界があるのであります。
 なお、非核あるいは核両用の兵器があるがどうするのかという、こういうことでございますが、先ほど申したような立場から、わが自衛隊におきましては、たとえ核、非核両用に使えるものがありましても、その装備は、いずれも核を持たない、すなわち非核専用のものに改修して使うことになっておるのであります。
 また、わが国の今日の防衛力が、周辺の諸国に脅威を与えておるというような、そのようなところまで防衛力が進んでおるとは、私どもは考えておりません。
 また、北海道におけるナイキハーキュリーズの問題ですが、これは御指摘のように、千歳とそれから長沼を予定しておりますが、長沼につきましては、農林省で保安林解除の問題がございますので、その解除を待って対処したいと、かように考えております。千歳におきましては、国際空港の問題は、いずれ運輸大臣からお答えがあると思いますので、省略いたしますが、千歳におけるナイキ部隊は北海道中央部における防空能力の充実強化をはかるためのものであります。防空上の重要地点にこれを配置することは、わが国の防衛上当然必要なことであります。したがいまして、千歳におけるナイキ部隊につきましては、地元と摩擦を起こしておるような事態はございません。
 また、自衛官に欠員がある。それに増員を要求するのはどうか、こういった趣旨のお尋ねでございますが、陸上自衛官の充足は最近だんだん向上いたしまして、現在は九一%程度まで上がっております。今後一そう充足の向上につとめていく考えでございますが、自衛官の定員は、いわゆる部隊編成上の定数でありまして、他の公務員などとは趣を異にしております。平時若干の欠員がありましてもさして支障はない。本来、自衛隊の編成は、有事の際に即応できるような体制を、平素から装備の面において、また教育訓練の面において行なっておるのでありまして、万一の事態に備えることができたらいいのでありまして、その万一の事態のときに徴兵なんということは毛頭考えておりませんから、その点は御安心を願いたい。
 また、万博に労務者が必要だから、これに協力してはどうかということでございますが、もちろん万博も必要でございますが、この自衛隊の充実ということもきわめて大事でありまして、私のほうは、万博の人間が足らぬから自衛隊の増員をやめるなんということは毛頭考えておりません。どうしてもこの自衛隊の増員はやっていただきたい、そうしてその充足をはかっていきたい、かように考えております。
 また、陸上自衛隊の階級の構成にアンバランスがあるじゃないか、こういうようなお話でございますが、私どものほうは、いろいろと専門的に装備や技術あるいは階層の積み上げを研究してまいっておりまして、その結果、自衛隊の現在の階級別構成は、幹部一人に対して陸曹が三・二、陸士が四・三となっておりまして、決して階級別構成がアンバランスになっておるとは考えておりません。したがいまして、部隊訓練もそのような編成に即して、それぞれの部隊の任務達成のために必要な訓練を実施しておるような次第でございます。
 以上を私に対する御答弁といたします。(拍手)
   〔国務大臣原田憲君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(原田憲君) 北村さんにお答えをいたします。
 千歳空港の問題につきまして、運輸省といたしましては、当面、昭和四十七年の札幌において開催される冬季オリンピックに備えて、外国大型機の受け入れを可能とするよう現千歳飛行場の整備を行なうこととしております。北海道国際空港問題につきましては、昭和四十一年七月二十二日の運輸大臣、防衛庁長官及び北海道開発長官の申し合わせに基づきまして、三省庁連絡会議において審議検討を進めておりますが、長期的には前述の申し合わせの趣旨にかんがみ、防衛関係施設と民間関係施設を分離する方向で国際空港を設置することについて、さらに検討を続けていくことにいたしております。(拍手)
#14
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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