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#1
第061回国会 本会議 第11号
昭和四十四年三月十九日(水曜日)
   午前十時四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十一号
  昭和四十四年三月十九日
   午前十時開議
 第一 所得税法の一部を改正する法律案及び租
  税特別措置法の一部を改正する法律案(趣旨
  説明)
 第二 国務大臣の報告に関する件(昭和四十四
  年度地方財政計画について)
 第三 地方交付税法の一部を改正する法律案及
  び地方税法等の一部を改正する法律案(趣旨
  説明)
 第四 公営住宅法の一部を改正する法律案(趣
  旨説明)
 第五 地方自治法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、議員派遣の件
 一、日程第五
 一、日程第一より第四まで
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 来たる四月七日から同月十三日まで、オーストリアのウイーンにおいて開催される列国議会同盟本年度春季会議に、本院から和田鶴一君、西村関一君を派遣いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#6
○議長(重宗雄三君) この際、日程の順序を変更し、日程第五を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 日程第五、地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長内藤誉三郎君。
   〔内藤誉三郎君登壇、拍手〕
#8
○内藤誉三郎君 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
 本案は、都の議会の議員の定数を増加することができる特例を設けるとともに、選挙の公正を期するため、直接請求のための署名の収集行為を、選挙が行なわれる区域においては一定期間できないものとするほか、地方公共団体の行政運営の合理化及び事務処理について規定の整備をしようとするものであります。
 委員会における審査の詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、占部委員より日本社会党を代表して、住民の直接請求についての権利を制限することを内容とする本法案には反対せざるを得ない旨の意見を述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法案は、多数決をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#9
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#10
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#11
○議長(重宗雄三君) 日程第一、所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(趣旨説明)。
 両案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。福田大蔵大臣。
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(福田赳夫君) 所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府は、さきに経済の安定的成長に即応する税制のあり方とその具体化の方策につきまして、税制調査会に諮問をいたしたところでありますが、昨年七月、同調査会から三年間にわたる審議の結果として、長期税制のあり方についての答申、税制簡素化についての答申及び土地税制のあり方についての答申が提出され、さらに昨年十二月には、これらの答申の内容のうち、来年度の改正において実現すべき事項につき、昭和四十四年度の税制改正に関する答申が提出されました。政府といたしましては、これらの答申を中心として、昭和四十四年度の税制改正につきまして鋭意検討を行なってまいったのであります。
 その結果、最近における国民負担の状況にかんがみ、中小所得者の所得税の負担軽減を主眼として、平年度一千八百二十五億円にのぼる所得税の減税を行なうこととし、また、当面の経済、社会情勢に即応して、住宅及び土地対策の拡充合理化、公害対策の促進、原子力発電の推進、中小企業の構造改善等に資するため、税制上の諸措置を講ずるとともに、交際費の課税を強化するほか、納税者の権利救済制度の改善をはかることといたしたのであります。
 今回は、これらの税制改正の一環として、所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
 初めに、所得税法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 まず、中小所得者の所得税負担の軽減をはかることとしております。すなわち、基礎控除を現在の十六万円から十七万円に、配偶者控除を同じく十六万円から十七万円に引き上げるとともに、扶養控除を現在の八万円から十万円に引き上げることとしております。この結果、夫婦と子供三人の給与所得者の課税最低限は、現在の八十三万三千円が九十三万五千円となり、十万円程度引き上げられることになるのであります。
 次に、給与所得者の給与所得控除について大幅な改善を行なうこととしております。すなわち、現在、給与の年収が百十万円をこえる者については、控除額が頭打ちとなり、すべて同額となっているのでありますが、これを改めまして、年収が三百十万円に達するまでは収入の増加に応じて給与所得控除額も増加するようにいたしたのであります。
 さらに、税率について、主として中堅以下の所得者層の負担軽減をはかる見地から、税率の刻みとその適用区分の改善を行なうことといたしております。
 その他、ノーベル賞を非課税所得として法定し、短期譲渡所得の範囲及び予定納税を要しない者の範囲を拡大するほか、小規模企業共済掛金を年末調整の段階で控除するなど、所要の規定の整備をはかることといたしております。
    ―――――――――――――
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 まず、住宅対策等の当面要請される措置について申し上げます。
 第一に、住宅対策といたしましては、住宅貯蓄控除制度について適用要件を緩和するほか、新築貸家住宅の割り増し償却制度等について整備をはかるとともに、その適用期限を延長することといたしております。
 第二に、原子力発電の推進策といたしましては、原子力発電設備について償却準備金及び特別償却の制度を創設し、また、動力炉・核燃料開発事業団が行なう原型炉の建設のために企業の支出する出捐金について、これを損金に算入することといたしております。
 第三に、中小企業の体質強化という面におきましては、中小企業構造改善計画を実施する商工組合等の組合員について、割り増し償却制度及び合併、現物出資の場合の課税の特例を設けることといたしております。また、商工組合中央金庫の抵当権の設定登記について登録免許税を軽減する等の措置を講じております。
 第四に、輸出振興に関しましては、輸出割り増し償却、海外市場開拓準備金、海外投資損失準備金、技術等海外取引の所得控除の諸制度及び外航船舶の保存登記等の登録免許税の軽減措置について、それぞれ適用期限を延長するとともに、中小商社の海外市場開拓準備金の積み立て率を引き上げる等、制度の改善合理化を行なうことといたしております。
 第五に、交際費の節減をさらに進めるために、交際費の損金不算入制度について適用期限を延長するとともに、法定の控除額をこえる額に対する損金不算入の割合を六〇%に引き上げることといたしております。
 以上のほか、ガス事業者の特定ガス導管設備について特別償却制度を創設し、また、地方公共団体の行なう身体障害者扶養共済契約に基づく年金受給権、石炭企業が交付を受ける再建交付金及び日本万国博覧会の会場で行なわれる催しものについて、それぞれ課税しない措置を講ずることといたしております。
 さらに、適用期限の到来するその他の特別措置については、効果が認められないものを廃止し、実情に応じ簡素化ないしは合理的改定を加える等、所要の配意を加えた上で、なお必要とされる措置については適用期限の延長を行なうことといたしております。
 次に、土地税制の改正について申し上げます。
 土地政策全般において、税制の果たし得る役割りは補完的、誘導的なものにとどまると認められ、土地利用のための制度の確立を待たずして、税制上の施策のみによって土地問題の解決をはかることには、おのずから限界があると考えざるを得ないのであります。しかし、現下の土地問題の深刻さに顧みますと、土地税制の改善をいたずらに遷延することもまた許されない状況にあると考えられますので、今回その改正を行なおうとするものであります。
 第一に、土地の供給の促進に資するため、個人が五年をこえて保有している土地等の譲渡所得については、昭和五十年までの間、分離比例課税といたし、たとえば昭和四十五年から二年間は一〇%の軽減税率を適用することといたしております。
 第二に、土地の投機的需要を抑制する等のため、個人の保有期間五年以内の土地等及び昭和四十四年一月一日以後に取得した土地等の譲渡所得につきましては、現行負担を上回る高率の分離課税を行なうこととしております。
 第三に、買いかえ制度の縮減合理化であります。すなわち、事業用資産の買いかえ制度は、期限到来を待って廃止し、その後は、あらためて土地政策または国立政策に合致すると認められる特定の買いかえに限って特例を設けるとともに、居住用財産を取得するための買いかえ制度は昭和四十四年十二月三十一日限りで廃止し、これにかえて、現に居住している土地、家屋を譲渡した場合について新たに一千万円の特別控除を設けることといたしております。
 第四に、収用等を受けた場合については、いわゆる四分の一課税の特例は廃止することとしておりますが、買いかえの特例及び一千二百万円の特別控除はそのまま存置することといたしております。
 最後に、経過措置といたしまして、個人の昭和四十四年中の土地等にかかわる譲渡所得については、納税者の選択により、改正後の新しい課税方式の適用を全面的に受けることができるようにいたしております。
 以上、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を申し上げた次第であります。(拍手)
#13
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。横川正市君。
   〔横川正市君登壇、拍手〕
#14
○横川正市君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました所得税法の一部を改正する法律案外一件に対し、総理大臣並びに関係大臣の所信をたださんとするものであります。
 まず、わが国の経済は、昭和三十年以降、高度の成長をなし遂げてまいりました。同時に、著しい消費者物価の上昇を随伴して、最近では、年々、実質一〇%以上の成長率と四%以上の消費者物価の上昇を示しているのであります。租税は名目的所得に課せられるものであり、物価と租税の間にはいろいろ問題をはらんでいるのでありますが、まず最近、現在のわが国の通貨価値が国際的にどのような評価を受けているか、この問題が重要であろうと思うのであります。
 わが国の為替レートが三百六十円ときまった昭和二十四年ごろの日本の工業能力と現在の日本の工業能力には、比較することのできない相違があります。当時の日本の産業は、終戦後の破壊から十分立ち直っていない、非常におくれたものでありました。このため、現実に三百六十円レートときめられたときには非常なショックがあったといわれるのであります。その当時の日本経済にとって、これは荷が重かったとも言えると思います。しかし、現在では、技術水準、技術進歩の速度から三百六十円レートは割り高レートではなくなっているのであります。また、レートの妥当性の評価の方法は種々ありましょうが、総合してみれば、いずれも最近は円が強くなったことを示しております。
 以上のように、国際的には、好調な貿易を背景として、円が強いものとなっているにもかかわらず、国内的には、消費者物価が異常に騰貴を続けておりまして、昭和三十年から四十三年まで、消費者物価の上昇は実に一・七倍にも上がっておるのであります。一方において、通貨の増発量は、これまた約六倍以上の増大をいたしており、国民所得に対して適正を欠くのではないかという点が出ておるわけであります。日本銀行の金融政策も、従来は国際収支の安定に終始しており、消費者物価の安定が第一義的には考えられていなかったのではないかと、こういうふうに考えられる点があります。このような持続的な消費者物価の上昇は、高度成長期に、金融の二重構造を通じて、投資過剰となり、さらに大企業には、通貨価値の減価のもとでも減価しない企業力の蓄積を増大させているのであります。政府は、国内の通貨価値を安定したものとして、輸出価格に強い影響を持つ卸売り物価の動きのみを重視し、消費者物価の安定を軽視しているのではないかと思われます。この問題は、物価を大企業中心に考え、国民全体の立場を軽視したために起きたものではないでしょうか。政府と日銀は、国際的、国内的な円の地位についてどのような認識を持っているのか、これをまずお聞きいたしたいところであります。
 以上のように、貨幣価値の減価の中でも、借り入れによる設備投資を続ける大企業は少しも痛痒を感じていないのであります。また、税制の面においては、一部利子・配当等による高額所得者に対する特別措置と、大法人に対する法人税の課税方法に不公正とも思われる大きな恩典があります。名目的な所得がふえたからといって、実質的には物価の騰貴があるのですから、税率の一定基準が修正されなければ、この両者から国民生活への影響は非常に大きなものがあると言わなくてはなりません。現実に、その被害者ともいえる所得者の声は無視できないまでに増大をされているのでありまして、この点、政府の納得のいく説明をお聞かせいただきたいと思うのであります。
 さらに、通常、会計的計算というたてまえからすれば、貨幣価値を動かないものとしての前提で、これは成り立っているものと思うのであります。税金の計算もまた同様と思うのであります。ところが、通貨の価値が下がって物の価値がどんどん上がる、これが必要以上に上がるというときに税率が変わらなかったならば、一体これはどうなるか。もちろんこの税は種類によっていろいろ異なる点もありますけれども、その税を負担する納税者にいろいろな点で少なからず大きな影響力を持つことは、これは当然考えなければならない点だと思うのであります。この点についてどう対処されようとするか、具体的にこれはお答えをいただきたいと思います。
 さて、税そのものを分類して、その持っている特異性や変化性というものを拾ってみますと、第一に、物品税のような比例税率による課税の中で、たとえば宝石などでは小売り課税で二〇%でありますから、三万円の真珠が四万円に値上がりしても、税負担は同じ二〇%で、この種の租税では調整を必要といたしておりません。
 第二に、定額税率による税では、一定の名目価値で課税する以上、他の実質価値が動くことによって名目価値に変化が起こり、相対的に税負担が変わるというものであります。昨年政府が提出いたしました酒税法の改正は、これに該当すると思うのであります。当時、政府は、この実質減税になる点を、以上のような税の特異性を説明して、不均衡を是正するというふうな説明をされまました。すなわち、清酒特級に課せられる従量税であります。価格の上昇に伴い、その税負担率が五〇・七%より四三・二%に低下したとして、わざわざ改正し、小売り価格が変わらない場合には、その負担率が四六・三%と引き上げられております。税負担が少な目に変わったときでも、政府は厳格に改正を行なうようであります。
 第三は、課税最低限のあるもの、及び累進税率による税目であります。名目価格で一定の線をひいて課税している場合に、実質の価値が同じであっても、名目価値の上昇によってその額をこえると、課税されてしまうのであります。所得税の課税最低限、税率がこれであります。今年の所得税減税におきましても、千五百億円のうち、政府の計算では、四百二十億円は物価の値上がりによって食われてしまうと言われております。これでいきますと、減税の三分の一が調整される負担額になってしまうのであります。一兆二千億もの自然増収があるといわれておる中で、実質的には一千億円所得税減税とは、一体政府は何を考えているのでありましょうか、この点のお答えをいただきたいと思います。
 また、いま説明されました税制改正の内容をもってしては、物価の上昇、貨幣価値の変動、これらによるところの所得の変化から生ずる不均衡を考え合わせますと、税負担の不公平の両極端が出ているだけで、改正されているというふうには考えられません。すなわち、土地税制の改正にあるとおり、五年をこえて保有している土地の譲渡所得では、四十四年、四十五年、四十六年の分離比例税率で一〇%の課税であります。給与所得者に対する課税の改正では、五人家族の控除額改正例で、昭和四十四年度分は、課税最低限では約九十一万円となっております。また、年間百五万円の所得者で六万四千円の課税となり、昨年に比して一万五千円の減税であると政府は説明しているのでありますが、この前段と後段との両者の関係を比較してみますと、土地価格は、全国市街地価格指数の動きを、日本不動産研究所の調査で、昭和三十年を基準として、四十三年は、住宅地、商業地、工業地の平均が実に十倍になっておるわけであります。これに比較して、労働者の賃金指数を労働省の統計によって見ますと、全産業で、三十年に比して、四十三年は名目で三倍、実質では二倍程度になっておるわけであります。さらに、消費者物価指数でも、総理府統計で、人口五万以上の都市の調査では、四十三年は二倍程度となっております。これを基準として考えてみますと、昭和三十年当時の百万円の給与所得者は、現在、名目では三百万円の収入、こういうふうになります。一方、近郊農家の方で、当時坪当たり一万円で百坪を売って一年間生活したとすれば、これと大体同じ百万円の収入で生活いたしたと、こういうことになります。これが、いまの調査によりますと、ことしでは百坪売りますと大体一千万円の所得になるわけであります。これを例として課税対象としてみますと、土地の譲渡所得は、三十年に百万円の譲渡がありますと、これは十五万円控除して、二分の一計算で、ほかに全然所得がなければ、五人家族といたしますと、税額は約六万円、百万円に対しまして六%の税負担であります。
 改正案の四十四年分計算ではどうなっているかといいますと、所得税は分離課税ですから、百万円の控除額は一〇%であります。三十年度の百万円であった土地は、今日では、先ほど申し上げましたように一千万円となっているのでありますから、これに対する税額は九十万円で、税負担はわずか九%にとどまっております。これと対比して比較してみますと、給与所得者ではどうなっているかといいますと、三十年当時の五人家族でありますと、百万円の給与収入に対する課税は約二十六万円の税額でありました。二六%の税負担率であります。当時ですら不労所得の譲渡に比しまして実にこれは四倍近い高額な課税となっております。昭和四十四年度の三百万円ではどうでありましょうか。これは名目では三十年と比して三倍となりますが――この名目の中の実際の内容は、たとえば物価の値上がり、あるいはいろいろな環境その他の整備のふくらまり、そういったものを考えてみますと、実質ではこれは二倍にも満たない、こういうことでありますが、他に土地の値上がりのような不労所得というものは、全然これは給与所得者にはありません。それでも税額は三十九万円を徴収されるわけであります。
 三百万円の収入に対して大体これは二二%の課税になります。以上のような数字を、これは実際に対比して、逐次いろいろな面で不健全性から健全性への考え方があり、漸進的な改正がやられると、こういうふうにおそらくお答えになるでありましょうけれども、現実にこういうような点のあることをお考えになって、政府、総理は一体どのようにこれをお考えになりましょうか。土地の譲渡所得でありますれば、昭和三十年と四十四年の税負担率が六%から九%にとどまっている者と、給与所得者にはある程度のアップがなされたといいましても、収入が物価の値上がりに見合わない所得者と、両者を対比して、価格の変動から生ずる利得に対する課税と比べ、実際には非常に大きな差があるのでありまして、これを一体どのように理解をすればいいのか、この点の説明をいただきたいと思うのであります。
 また、別の観点から、たとえば事業所得者についてみますと、今年の改正は、控除額の改正以外に特にありませんけれども、しかし、この場合でも、価格変動に対する順応力が制度として与えられているわけであります。すなわち、三十年当時二百万円の収入に対して百万円の必要経費であれば百万円の所得、四十四年六百万円の収入に四百万円の必要経費であれば二百万円の所得にしかなりません。税額を出しますと、三十年より実額でも負担率でも減少をいたしておるわけであります。これに引きかえて、結局経済価値の変動、貨幣価値の変動、物価の値上がり、税負担の過重、いろいろな面から不利な取り扱いを受けておりますのが給与所得者、こういうことになるわけでありまして、先ほどの例でも申し上げましたとおりに、税負担率で減価されていると説明されても、物価が上昇し、賃金は名目賃金で、その全額に課税されているのでありますから、平均程度に賃金が上がっても、一般に生活費からの負担増となりますので、苦しさはいささかも緩和されておらない、かように思うのであります。私は、現税制のあり方で優遇ではないかとの諸点を指摘しましたが、これは主題ではありません。公平であるべき税に対して、不満を持つ者が多数あることを思い、政府の考えを明らかにしていただきたいと思うのであります。世上、給与所得者の課税に対して、総評は酷税白書、またサラリーマンユニオン・サラリーマン同盟の結成を見ました。異例のことであります。これらの団体の成立に対して、与党の中にも非常な理解者がありまして、声援をおくっておるようであります。また、この問題は、すでに衆議院における論戦でも、また参議院の予算委員会においても審議が尽くされまして、全貌が明らかにされている点であります。特に経済価値の変動や物価の問題等から見て、税負担のあるべき姿について、政府の見解をこの際明らかにしていただきたいと思うのであります。
 私は、給与所得者にも必要経費の控除制度を新設しろ、こういう要望、これは当然であると思いますので、これを強く支持をいたしたいと思います。
 以上をもって、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(佐藤榮作君) 横川君にお答えいたします。
 私からは大綱についてお話し申し上げ、他は大蔵大臣の説明に譲りたいと思います。御了承いただきます。
 最近の国際収支は好調を持続しておりますし、また、海外でもわが国の経済に対する評価は信頼が高まっているから、これらの点から見ましても、円の国際的な信用につきましては、全く問題は現在のところないと、かように私どもも考えておりますし、これはおわかりがいただけると思います。今後とも十分慎重な財政金融の運営によりまして、円の安定を維持するためにつとめてまいりたいと考えております。具体的に、円のレートを変えるのではないかと、また、変えたほうがいいのではないかという御意見でございますが、政府は円のレートをただいま変える考えはございません。また、対外的に、円価値の安定のためには、まず卸売り物価の安定が必要だとして、政府が卸売り物価のみ重視したとの御指摘がありましたが、決してさようなことはありません。幸いにして卸売り物価が比較的安定しているのは、私が申すまでもなく、高度の生産性を持つ産業にささえられたからであり、政府としてもその教訓を生かし、国民生活に直接影響を持つ消費者物価の安定のための構造政策、これと積極的に取り組んで構造改革を推進している次第でありますし、また、この上とも努力するつもりであります。
 次に、所得がふえても、物価の値上がりでほとんど実質的な所得の向上は飛んでしまう、こういうお話でありましたが、そんなことはありません。また、税制としても、十分に物価の上昇を勘案して、なお、実質的な減税が行なわれているのであります。ということで、横川君とは前提条件が異なりますが、私も率直に、特に中堅以下のサラリーマンの税の負担感を軽減していく必要性がこの上あると、かように私は認めており、今後とも一そうの努力をもって本問題に取り組んでまいる考えでございます。次に、具体的な例として、サラリーマンの場合と土地の所有者の場合と、この差別のあることを具体的に指摘されました。この不均衡を直せという御提案でありますが、これは本来課税の問題ではない、やっぱり物価問題なり土地政策であって、その根源を押えていくことが肝要と考え、政府としても鋭意その対策と取り組んでいく考えでございます。土地の所有者とサラリーマンの場合は違うということであります。
 なお、具体的な御提案のありました給与所得者に対する必要経費の控除は、種々問題が多く、実際問題として採用しがたいのではないか、かように考えますが、いずれにいたしましても、税の場合におきましては、税の負担の公平並びに均衡化、これが大事だと思いますので、税制審議会を通じまして、これらの税の公平、均衡化に一そう努力するつもりでございます。その他は大蔵大臣に譲ります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 まず、円の価値についてのお話でございまするが、いま世界じゅうで一番安定していると見られるのはドルとわが円である、かように私も考え、また客観的、国際的にも見られておるのでございます。わが国の経済の発展状況は非常にすばらしいということは、皆さん御承知のとおりでありますが、これは国際社会においてもひとしく驚嘆というか高く評価しておるのでありまして、昨年の十二月末に、イギリスの「フィナンシャル・タイムズ」ですか、優等生というので、日本に優等賞を出すというような状態です。三百六十円――一ドルというレートがきまりましたときは、横川さん御指摘のように、確かにこれは重い荷物だというような状態が続いたのであります。しかし、今日におきましては、日本の経済力が非常に発展をした、ことに昨年は非常に国際収支が好調であったということを受けまして、わが国に対する信頼感、安定感というものが高まってまいりまして、それが端的にあらわれてきているのは、わが国の株式を諸外国の投資家が買うという傾向が非常に出てきておるわけであります。おそらくその買う量が、本年度、昭和四十三年度において、五億ドル余りに至るのではあるまいかと、かように見られておるのであります。また、わが国に流入する中期、長期、短期の資金、これもばく大でありまして、わが国が、本年度、昭和四十三年度の国際収支におきまして、十二億ドルの黒字を出したというゆえんのものは、貿易もよかったが、それよりもさらにこの外国資金が日本に流入する、同時に日本の株を買う、この二つです。しかも、株買いというものが、わが国に深い知識を持つアメリカが、これはわずかであって、おもにヨーロッパ大陸の投資家が日本の株式というものに手を出しておるという、非常に注目すべきことがあるわけであります。さようなことで、円の価値、これはゆるがざるものがありますので、これを改定するというような問題はいま考えられません。ただ、御指摘のように、国内的には消費者物価の高騰があるわけであります。この消費者物価の高騰、これは、ただいまも総理から申し上げたとおり、根本的には構造的要因、つまり中小企業だ、あるいは農村だ、あるいはサービス業だというところのコスト高、これが響いている。そういうような状況でありますが、この問題が、長い間御存じのような状態で放置されますと、ひとり消費者物価の問題にとどまらず、卸売り物価の問題に波及するということに相なるであろうということを深く憂えて、消費者物価問題の克服には全力の尽くさなければならぬ、さように考えているのであります。
 第二に、税の問題でありまするが、今回の減税は千五百億円というが、消費者物価の騰貴で消されてしまうのじゃないかというようなお説でございます。なるほど消費者物価の問題、これが、この価値を減らすという面もあるわけであります。私どもは、それを四百二十億程度と、こういうふうに見ておりますが、それだけに私どもは税制の改正の内容について注意を払わなければならぬ、かように考えているのであります。そういうことを踏まえまして、税制調査会は、昨年の夏、長期税制答申というものをいたしているわけでございますが、この長期税制改正答申におきまして、一つは、なるべく早い機会に免税点を百万円まで引き上ぐべきであるということと、物価の上昇、免税点の引き上げ等の関係から、今日の所得税の税率の刻みが非常に不つり合いになってきている。これを是正しなければならぬということを答申しているわけでありまするが、今度の四十四年度の政府の税制改正案は、この税制調査会の答申にのっとり、おおむねその半分道中までを四十四年度に、四十五年度以降におきまして、その残された部分を実行いたしたい、かように考えておるのでありまして、これがさようなことになりますると、かなり租税に対する負担感というものが変わってくるであろう、かように見ているのであります。今後の展望というか、ということを申し上げますと、四十四年度では、いま申し上げましたように、税制調査会長期答申の半分道中までいく。残り半分は、つまり課税最低限でいうと百万円までというのが九十三万円まででとまるわけです。あとまだ七万円残る。それは四十五年度にこれをぜひ実現をいたしたいと考えております。しかし、税率の改正、これが六割程度残るわけでございます。四十四年度では四割程度しか実現できない。そこで六割程度残りました税率の改正、これは財源の余裕がありますれば、ぜひ四十五年度にやってみたい、かように考えておるのであります。何しろいまは一方において公債の発行をしておる財政だ、そういうようなことで、減税というものにフルに力を注ぎ得ない状況でございまするけれども、この公債につきまして、まあ大体そう気にならない程度にまで発行するというような事態に相なりますれば、今度は全力をあげて減税問題と取り組む、かようなふうにいたしたいものだと考えておるのであります。
 それから、いろいろの事例をあげられまして、給与所得者の課税問題についての御意見でございましたが、私も給与所得者の税については問題のあることを十分承知しております。その第一点は、税率の刻みの問題であります。課税最低限、これがだんだん高くなりますると、課税最低限以上の人との間にすぐ大きな開きが出てくる。それから税率が、非常に刻みがこまかくなっておる結果、まあ昇給がありましても、昇給があった結果、高い税率がかかるということで、払う税の額が一向に減らないじゃないかというような問題もある。それから源泉徴収方式の問題、これが申告所得と比べて不利になっているのじゃないかというような問題、それから給与所得者といえども給与を得るに必要な経費があるはずだ、これをどういうふうにするのだ。こういうような諸問題が横たわっておるわけであります。これらの問題に対する回答、これは昭和四十四年度におきましては中途はんぱです。中途までしかいかないのでありますけれども、なお、これらの問題点を四十五年度以降において逐次解決していきたい、かように考えておるのであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(重宗雄三君) 塩出啓典君。
   〔塩出啓典君登壇、拍手〕
#18
○塩出啓典君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました税制二法案について、総理及び大蔵大臣にお伺いいたします。第一に、自然増収の使い方についてお聞きいたしたいと思います。政府は、一兆二千億円の自然増収に対し、わずか一割程度の千五百億円の所得税減税を考えているわけでありますが、これでは税金の取り過ぎという感を抱くのは当然であります。しかも、自然増収は一兆二千億円をはるかにこえ、一兆三千億円になると見られるのであります。そのうち、常識的に考えても、七千億円は行政政策費の増加に充て、残り六千億円の少なくとも三千億円は減税に残りの三千億円は国債の減額に向けるべきではないかと思うものであります。
 税金において大切なことは公平の原則であり、そのため、自然増収をどう使うかは大きな問題であります。今後、政府は、自然増収の使い方についてどのように考えているのか、御所見を伺いたいのであります。そのときそのときの行き当たりばったりの政策ではなく、国民に納得のいくルールを立てるべきであると思うのでありますが、総理及び大蔵大臣のお考えをお聞きしたいのであります。
 次に、所得税についてお尋ねしたい。
 人事院の発表によれば、昨年四月、東京における五人家族の標準生計費は、一カ月六万六千四百六十円で、一年間七十九万七千五百二十円となっております。現在は、これよりふえていることは当然であります。したがって、昭和四十四年度課税最低額九十三万円の年収では、ボーナスを含めて、かろうじてこの標準生計費の生活が可能という現状であります。しかも、この標準生計費は、住居・光熱費は月額九千百四十円、一人一日の食費は二百七十三円五十銭であります。全国には約四割の借家住まいの人がおり、五人家族ならば二部屋は必要であり、家賃だけでも一万五千円はかかるでありましょう。また、一日食費二百七十三円では、外出して食事をとれば、どんぶりもの一ぱいで一日分となるわけであります。他方では、社用族による交際費の乱用を許し、一方においては、大衆に最低以下と言わざるを得ない生活を強要し、まさに人間不在の政治と言わざるを得ないのであります。憲法で保障された健康で文化的な最低限度の生活を確保するために、公明党は、基礎控除、配偶者控除、扶養控除を引き上げ、標準五人家族、年収百三十万円までを無税とせよと主張するものであります。ところが、政府は、今回の税制改正は中小所得者の所得税負担の軽減を行なうと主張しているにもかかわらず、内容は、全納税者の七割以上を占める年収百万円以下の人たちよりも、それをはるかに上回る二百万円以上の所得者が対象となっていると言わざるを得ないのであります。すなわち、定率の給与所得控除の適用範囲の拡大は、年収百万円の者でわずか五千円、二百万円の者は五万五千円、三百万円となると約八万円の控除額引き上げとなり、国民大衆が実際に、はだで感じている中堅以下のサラリーマン減税には、全くなっていないのであります。これは明らかに、減税に大きな期待を持っている勤労大衆を不当に欺くものと言わざるを得ない。総理及び大蔵大臣はこの責任をどう考えているのか、お聞きしたいのであります。
 また、年収一千万円以上の納税者は約二万人でありますが、これらの高額所得者の今回の税率調整による減税は、一人当たり平年度約十五万円以上であり、そのための財源は約三十億円であります。全納税者二千万人のわずか〇・一%のために、今回の税率改正による減税額四百億円余の一割近くも財源をとっているのであります。これら一部の高額所得者の減税よりも、低所得者の減税をまず重点的に行なうべきであると思うのでありますが、政府のお考えを承りたいのであります。
 次に、現在の税体系を乱している元凶は、いわゆる租税特別措置であることは言うまでもありませんが、その中でも、利子及び配当所得に対するものが最も大きな問題であります。
 御承知のように、利子所得の場合は、その額が何百万円であっても、その税率は一律に一五%という低い税率で課税をされる。また、配当所得の場合は、課税最低限は年収二百八十二万七千円で、それに見合う住民税は約七万五千円であります。ところが、それが勤労所得者であるならば、所得税、住民税合計約五十万円近い額が課税されるのであります。これはもちろん、配当分については法人税が課税されることから、所得税の段階で二重課税回避のためとしての配当控除がなされているわけでございますが、このような資産所得に対する課税の方法は、一般国民の納得を得られるところではないのであります。昨年七月出された答申においても、早急に検討すべき事項としているところであり、来年度利子・配当に対する特別処置の期限が到来する時期でもあり、また、配当所得の特別控除の基本となっている法人税の仕組みについても抜本的検討を早急に行なうべきであると思うのでございますが、政府のお考えを聞きたいのでございます。
 次に、交際費の損金算入がいわゆる社用族の出現となっていることは周知の事実であります。その金額は四十二年度には七千億円にものぼる巨額に達しているのであります。これを少しでも押えるために、今回、交際費の一定の控除額をこえる部分に対し損金として算入しない部分の割合を現行五〇%を六〇%と改正しておりますが、本来ならば全額損金不算入とすべきであります。今回の政府案は、国民の目をごまかすための言いわけ程度の改正と言わざるを得ないのであります。交際費の使用については、国民大衆は社用族の飲み食いとして強く批判の目を向けているのであります。交際費についてはすみやかに検討し、損金算入の控除額を大幅に縮小することこそ社用族の浪費防止についての最適の方法であります。七千億円の交際費がありながら、わずか二%程度の損金不算入の増加にすぎない今回のようないい加減な改正では納得ができないところであります。総理及び大蔵大臣の御決意をお聞きしたいのでございます。
 最後に申し上げたいことは、税金の正しい使い方でございます。
 国民大衆が苦しい家計の中より血と涙と汗によって働いて納めたのが税金でございます。この税金を正しく使い、新しい日本の建設に、社会福祉に、一銭のむだもなく使うことこそ、政治家の国民に対する当然の義務と思うものであります。しかし、最近の相次ぐ官僚の汚職や毎年の会計検査院の指摘による税のむだ使い等、納税者の納税意識を害し、政治に対する不信を増大しているのであります。政治の責任者として、総理はこれらの汚職やむだ使いがいつまでもいつまでも繰り返されている事実に対し責任を感じておられるのか、また、今後どう対処していくのか、御決意をお聞きしたいのであります。
 総理は、先般も、「みずからの政治姿勢を正すことこそ第一である」と述べておられますが、われわれも総理のお考えに全く同感であります。総理がほんとうにみずからの政治姿勢を正す決意がおありならば、まず、ざる法と言われる政治資金規正法を、わが党の年来の主張のごとく改正し、証拠をもって示すべきであると思うのでありますが、総理のお考えをお聞きして私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(佐藤榮作君) 私から一般的な御説明をいたします。
 自然増収の使い方についてルールを立てよとの御意見でございますが、その年度の国債依存度の水準がどうなっているか、追加財政の需要、それがあるかないか、また景気の動向等によりまして、そのつど慎重に検討さるべきものである、かように私は考えております。画一的に最初からルールをこしらえて、それに従ってやるものではない。そのときの財政事情を勘案し、また経済事情に対応して処置するものだ、かように考えております。
 次に、給与所得控除の引き上げと税率の軽減について、御意見をまじえてのお尋ねでございますが、給与所得の控除の引き上げと税率緩和がいかにも今回のでは手ぬるい、こういう御批判だったと思いますが、今回これらの分野に手をつけたことは、特に税率改定などは三十二年度以降初めてのことでありまして、むしろ減税についての政府の積極的な熱意のほどをひとつ御理解いただきたいと、かように思います。
 なお、高額所得者でなくて、われわれがいまねらっておる減税は、いわゆる低所得層並びに中堅のところ、ここをねらって税の軽減、税率を緩和するという処置をとったものでありますから、これもあわせて御理解をいただきたいと思います。
 次に、配当課税の問題についていろいろ御批判がありました。配当課税は、私申し上げるまでもなく、資本市場の育成等の政策目的に照らして設けられた特別措置ではありますが、御指摘のように、税負担の公平の観点からは問題があります。税制調査会でも、基本的にはその措置は廃止すべきであるという意見を出しております。ただ、この問題は、法人に対する企業課税のあり方とも密接な関連を持つものでありますし、また、先ほど申し上げた政策効果とのかね合いにおきまして、どのような撤収作戦が望ましいか、これは政府においてくふうを要することだと思います。したがいまして、来年この期限が参ります特別措置についての取り扱い方、これには、われわれは慎重に取り組んでおるつもりでありまして、税制調査会の審議もわずらわして、十分検討してまいる考えでございます。
 次に、交際費課税についての御質問の趣旨は、十分理解できますが、一面、事業の必要上の交際費と、こういうこともございまして、販売拡張での効果を持っていることも無視できません。そのかね合いが問題だろうと思います。今回の改正では、現行の否認割合を二〇%程度強化することが妥当と考えたのでありますが、今後は、このような改正が、交際費の支出状況や、特に社用消費にどういうような影響を与えるか、自主的な規制が行なわれるかどうか、そういうような影響の結果を十分検討いたしまして、そうして、さらに必要があれば、適切な措置をとると、かようにいたしたいと思っております。
 最後に、大事な税、この税は適正に使われなければならない。真にまた国民の要望する方向に使われなければならない。こういう御意見であります。これは、すでに決算を通じてしばしば会計検査院等から指摘され、その使途も使途だが、さらにまた、公務員の汚職などは許すことはできない、強いおしかりであります。また、強い態度でありまして、私も同様に考えます。同感であります。ことに、最近、公務員間に汚職の問題が次々に起こっております。この点はまことに遺憾に思います。私は、政府といたしましても、全公務員に対しまして、公僕としての責任を十分果たすよう、この上とも強く要望し、規律ある職場の確保に努力するつもりであります。もちろん、私自身が、みずからがみずからの姿勢を正すことは、もちろんでございますけれども、いま問題が起きているような事態は、行政に対する信用、ひいては政治に対する国民の信頼をなくす、かような事態が生じてはたいへんだ、かように心得まして、特にこの点では、一般の注意を喚起すると同時に、みずからも締めてかかるつもりでございます。(拍手、「政治資金はどうした」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 まず、一兆二千億もの自然増収があるのに、千五百億程度の減税はどうだと、少し税を取り過ぎておるのではないかと、こういうようなお話、取り過ぎ論というのがしばしば聞かれるわけでございますが、自然増収がありましても、政府はそれを取りっぱなしにしておるのじゃないのであります。今度一兆二千億円の自然増収でありますが、九千億円が歳出、千五百億円は減税、千五百億円は公債発行額の減額、こういうふうにいたしておるのであります。つまり、九千億円の歳出が大き過ぎるというお話だと思いますが、これは、歳出という形におきまして国民にお返しをいたしておる。しかも、その非常に大きな部分は、これは公共事業費と社会保障費である。いま日本の国の財政需要というものは年とともに非常な高い勢いでふえてきておるのでありますが、これはやはり、日本があれだけのいくさに負けた廃墟の中から立ち上がって、ことに、そういう面から見ますというと、公共事業、公共施設の立ちおくれ、これが先進諸国に比べまして目立っておるのであります。それを取り急がなければならぬという問題、それから社会保障の面においてはわが国は後発国である、その回復、そういうことが急がれておるのでありまして、したがいまして、自然増収がありました際にかなりの額が歳出に使われる、これもやむを得ないのじゃあるまいか、さように考えるのであります。
 所得税の問題でありますが、課税最低限九十三万円と、これは低きに過ぎるというお話でございます。私どもは、課税九十三万円でとめるという考えはないので、四十五年には何としても百万円以上に持っていきたいということを考えておるのでありますが、ただいま申し上げましたように、一兆二千億円の自然増収がありましても、その大部分を歳出の需要に向けなければならぬということから、減税幅が少なくなる。そこへ、わが国はまだ公債を多額に発行しておる状態であるということから見ると、まあ四十四年度における課税最低限九十三万円、すなわち十万円アップということは、これは精一ぱいのところじゃあるまいか、さように考えておるのであります。
 それから、所得税改正にあたって、高額所得者よりも低額所得者に配慮すべしというお話でございますが、これは全くそのとおりに考えております。今度の四十四年度の改正におきましても、課税最低限を引き上げるというのはそのためでもありまするし、また、税率の刻みも所得の小さい人に厚くなる。たとえば、百万円の所得者に対し、今回の四十四年度の新しい税率を適用いたしますと、実に六割の減税に相なるというような配慮をいたしておるわけであります。
 それから、利子配当の特別措置の問題にお触れになられましたが、利子は、これは貯蓄を刺激し増強するというところから採用されております。これは来年の三月一ぱいで時限が来るわけでございまするが、その際に検討いたしてみます。
 それから、配当の特例につきましても、同じく来年の三月に時限が到来するのです。しかし、いまわが国の企業全体というものを見ておりますと、非常に寒心にたえない。戦前は、八割が自己資本、二割が借り入れ資本という形で企業運営がいたされたのでありますが、戦後は、それがだんだん、だんだん逆転をしてまいりまして、数年前は七割が借り入れ資本、三割が自己資本、それがさらにだんだん悪くなって、最近のごときは自己資本二〇%を大きく割る、こういういま状態になってきておるのであります。株式の発行、株式による資金の調達、このことはよほど日本経済全体としての立場を考えなければならぬ問題であるというふうに考えております。
 ともかく、それらのいろいろな問題がありまするけれども、来年の三月末をもって時限が来ますので、その際の問題として慎重に検討いたしてみるべきであると、かように考えておるのであります。
 それから、土地税制につきまして、土地を持っておる人がこれを手放すと一〇%課税、非常に有利に過ぎやしないかというお話でございますが、これは有利にならなければお役には立たないのです。有利になるところがこれはみそなんです。まあ一〇%――これはこの際売っておこう、この二年間で売っておこうという人が出てくるのであります。現に私どものところには、ずいぶん、いつこの法律ができるのですかという問い合わせがあるというような状態です。おそらく、一〇%課税、これでは軽いから、この際というので、土地の供給というものがずいぶんふえてくるのじゃないか、さようにいま見通しておるのでありまして、そういう意味において御容赦を願いたいのであります。
 それから交際費課税。交際費というものはもともと会社企業会計上これは会社の営業費であるという見方になっておるわけでありまして、税法におきましても、交際費はこれを損金とするということで、別に特別の定めがないわけであります。ところが、これが社用経費に使われるというような傾向もあり、批判もあり、それらを反省いたしまして、特別措置として、特別措置法において特にこれを引っぱり出してこれに課税をする。特別措置というのは、大体において課税をするほうじゃなくて、これをまけるというほうでございまするけれども、交際費は、本筋ではかかるのではなくて、本来は会社の企業経理上会社の支出、損金と認めるべきものである。しかし、いろいろの実態がありますので、特にこれを重課しよう、課税をしよう、こういうことから特例法の中に組み入れた次第でございます。一定の額を控除した交際費の残額から、いままでは五〇%でありますが、六〇%を否認をするということにいたす改正案でございまするが、この交際費の問題は、さらにこれらの新しい税制を適用したその適用のあとの状態を見まして、お説の趣旨なんかも考えながら慎重に対処してみたいと、かように考えておるのであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(重宗雄三君) 田渕哲也君。
   〔田渕哲也君登壇、拍手〕
#22
○田渕哲也君 私は、民主社会党を代表して、所得税法並びに租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し質問を行ないたいと思います。
 かつてロンドン・タイムスは、わが国の経済の高度成長を称して、「驚くべき日本」と言ったことは、いまだ記憶に新しいところであります。イギリスの年平均三%前後、あるいはアメリカ、西ドイツの五%弱の成長率から見るならば、わが国の経済成長率一〇%強は確かに驚くべき数字であります。しかし、もっと驚くべきことがあります。それは所得税の伸びであります。最近十年間のわが国の所得税総額の推移を見ると、昭和三十五年度は三千九百六億円、それが昭和四十四年度には一兆九千億円、この間実に五倍弱という驚異的な伸びを示しているのであります。政府は、賃金も上がっておるではないかと言われるかもわかりませんが、賃金の伸びは、この間高々二倍強にすぎないのであります。国際的に見ましても、わが国は先進諸国に比べ、同じ水準の所得者の税負担は重いのでありまして、国民の重税感はますます増大し、また、大多数の勤労者は、税の負担が不公平であると嘆いているのであります。今日サラリーマン諸団体の結成も次々に行なわれ、ちまたに減税要求の声が高まってきておりますが、これはむしろ当然の成り行きと言うべきであります。
 ここに、私は現在の税制について次の四つの欠陥を指摘し、総理並びに関係各大臣の見解をただしたいと存じます。
 まず第一は、所得に比べて税金が重いことであります。これは政府が課税最低限度額を不当に低く押えてきたことが原因であることは言うまでもありません。加えて、一方では激しい物価上昇、他方では低所得層における高い累進税率と相まって、国民の生活にとって税金は大きな重圧となっております。すなわち、収入がふえても、物価上昇分は実質的には増収とならないのでございますが、しかし、税金はこの部分にも遠慮会釈なくかかってまいります。もし税制の改正を行なわなければ、実質的には年々増税となるのであります。政府は、来年度に課税最低限度額を十万円引き上げ、また、わずかばかりの税率を緩和して、大幅減税だと説明しておりますけれども、しかし、はたして実際にそれほど減税になるかどうか、計算してみれば決してそうではないのであります。たとえば、現在最も標準的な四人家族で、四十三年の年収が百万円の人を取り上げてみますと、この人の税額は二万三千三百二十二円であります。ところが、この人が、かりに四十四年度に一〇%の昇給をして、年収百十万円になるとしますと、たとえ税制が政府案のように改正されたとしても、所得税は二万六千円となり、昨年より減るどころか、二千七百円ふえるのであります。これは実に収入の伸び率を上回る一一・五%の増加であります。これをもって大幅減税とは何をか言わんやであります。かろうじて増税にならないようにしたという程度ではないかと思います。
 私は、現在の低所得者に重い税制を是正するため、一、昭和四十四年度において、五人家族年収百万円まで無税とするため、課税最低限度額を現行より二十万円引き上げること。二、未成年者は原則として無税にする。そのため、現在地方税に設けられている未成年勤労者控除制度を所得税においても設け、最低二十万円程度を所得控除すること。以上二点を主張するものであります。なお、これに要する財源約一千億円については、後ほど述べる租税特別措置の整理によって十分に捻出し得ることをつけ加えます。これに対する総理並びに大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
 次に、税制の第二の欠陥は、不平等であるということであります。その典型は租税特別措置であります。大多数の勤労者は、生命保険料控除の特別措置が認められている程度にすぎません。しかし、大企業や資産家に対しては、利子・配当の分離優遇課税をはじめとして、実に四十種類に近い特別減税が行なわれており、その減税額は、四十四年度において三千二百二十六億円という膨大なものであります。もともと租税特別措置は、終戦直後の資本蓄積の立ちおくれを取り戻すために一時的、例外的に設けられたものにもかかわらず、例外が例外を呼び、いまやこれが原則となり、一部大企業や資産家たちの既得権と化した感があります。ここで一度ふるいにかけ、再検討する必要があると存じますが、特にその中において、利子・配当の優遇の制度、内部留保充実の特例については、早急にこれ々撤廃すべきであると考えます。また、交際費課税をさらに強化すべきであると存じます。その一つ一つについて、政府の見解、及び廃止する時期、あるいは実施する時期の見通しについて明確にお答えをいただきたいと思います。
 第三の欠陥は、税の徴収面についてであります。給与所得者の場合は、いやおうなしに源泉徴収で差し引かれますが、反面、企業者、資産家たちは、いろいろな手を使い、合法、非合法すれすれの節税、脱税を行なっている例が新聞等にも伝えられております。所得のある者のうち、納税人員の割合を調べてみますと、給与所得者ではその六〇%が、自営業者ではその二四%が、農業者ではその七%が納税者であるという数字が出ております。これは全く納得がいかない点でありまして、勤労者は大きい不満を抱いております。この点について、政府は一体どう考えているのか、その見解と対策をお伺いしたいと存じます。私は、給与所得者に必要経費が認められていないこと、また源泉徴収の優遇措置を考慮すること、以上二点を考え、給与所得控除の大幅引き上げを強く主張するものであります。
 第四の問題は、納入した税金に対して反対給付が不十分なことであります。良識ある国民は、単に税が安いことだけを望んでおるのではありません。税が有効に使われ、それが自分たちのしあわせにつながるならば喜んで払うと思います。しかしながら、政府の予算の使い方を見ると、経済の成長を促進することに急で、道路、公園、住宅等の環境整備や社会保障に対しては全く不十分であります。児童手当制度一つを例にとりましても、すでに世界の六十二カ国が実施をしております。それがわが国において、いまだ日の目を見ないのはどういうことでありましょうか。国民は公害や住宅難、あるいは教育費の負担増等にあえいでおります。これではわれわれの重い税金を何のために払わされているのか、こういう不満が起こるのは当然であります。政府は従来の生産力中心の金の使い方を改め、また行政機構の改革を断行して、税金の節約をはかり、国民の生活の安定のための予算をふやすべきではないかと存じます。この点について、また、具体的問題として児童手当の創設について、厚生大臣並びに大蔵大臣の意欲的な御答弁をお聞きしたいのであります。
 以上、私は所得税法並びに租税特別措置法の改正案に対し、意見を交えながら政府の見解をただしてまいりました。私の申し上げたことは、決して架空の論議ではなく、やる気さえあるならば実行できる問題ばかりであると信じます。総理並びに関係各大臣の誠意ある御回答を期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(佐藤榮作君) 田渕君にお答えいたします前に、先ほどの塩出君のお尋ねのうちで、私が政治資金規正法についての考えを述べなかったことをお許しを得たい。この機会にそれを説明したいと思います。
 この点は、たびたび機会あるごとに申しておりますので、もう誤解はないと思っておりましたが、あるいはまだ法案が出ておらないから、そのうちに、政府の考えでも変わったんではないか、こういう意味で重ねてのお尋ねかと思っております。私の考えに変わりはございませんので、政治資金規正法はそのうち提案いたしまして、皆さんの御審議を得るつもりでございます。
    ―――――――――――――
 田渕君にお答えをいたします。
 物価上昇によりまして、課税最低限の引き上げなどは効果が全然なくなっているんだ、かような感じがするというお尋ねがあったと思いまするが、具体的にはこれは大蔵大臣から説明することといたしますが、私からは、過去の減税の足どりをごらんになりましても、この物価上昇、これを補って十分余りあるものだと、この点を御了承いただきたいと思います。政府としては、今後とも 一そう減税につきましての努力を重ねてまいる考えであります。
 次に、未成年者の控除の問題に触れられました。この問題は、未成年者でありましても、相当の所得があるときには、それなりの負担をしてもらうということが、所得税における応能負担の見地から当然のことと考えております。政府としては、従来独身者の課税最低限の引き上げについて特段の配慮を行なっており、未成年者につきましても、このような一般的な所得税の負担軽減によって対処していくべきものだと、かように考えております。年齢だけで税の負担がないと、こういうわけにはいきません。
 次に、租税特別措置についてのお話でありますが、この廃止の時期についてそれぞれ話をしろ、こういうことでありますが、詳しくは大蔵大臣から説明することにいたしまして、先ほど申し上げましたように、租税特別措置というものは、これは御指摘にもありましたように、一定の政治目標があって、それを達成するためにとった異例の措置でございます。いわゆる特別措置でございます。したがいまして、それは目的を達すればもちろん廃止の方向にいかなきゃならない。しかし、どうもそういう措置をとりますと、慢性化する、特権化する、かような状態がしばしば起こりやすいのでありますから、たえずこの特別措置について、これを存続するかどうするか、あるいは新しくつくるかつくらないか、それらの点を考えていかなければならない、こういうものだと思います。したがいまして、今年もある程度の整理をしております。また、しばしばこの特別措置で、利子・配当についての特別措置が問題になりますが、これは来春その期限も来ることでありますから、そういう際に、税利調査会の答申、審議を待ちまして、そうしてこれに対して善処する考えでございます。先ほどお答えしたとおりであります。
 次に、この税は、問題は、国民に対応する反対給付が十分あれば、税に必ずしも苦情を言うわけではないのだ、どうも対応処置、反対給付が少ないからこれは問題なのだと、そこに納税意欲にも響いてくるのだと、こういう御意見でございました。私はそれにつきまして、田渕君、どういうようにお考えになっているか、政府自身が今年の予算なぞは、野党の皆さん方から、これは選挙目当ての予算じゃないかと、各方面に気を配って、たいへんな予算をしておると、こういう批判を受けております。この一事を見ても、いわゆる国民に対する応分の反対給付をしておるのだ、かように私は思いまするので、野党諸君の御指摘になりましたこと自身で政府が苦心しておる点を御理解いただきたいと、かように思います。しかし、この予算は、これは何と申しましても、国民が最も望むような反対給付、ことに社会保障なぞは充実していかなければならないと思います。そういう意味で、特に例として児童手当のお話を取り上げられたと思います。私もこの児童手当の問題についてはかねてから賛成でありますし、何とかして実現したいと、かように考えております。これは今度は一応審議会を設置する段階になりましたので、児童手当実現へ大きく前進したと、かように私は考えております。とにかく、ひとり社会保障の問題ではなく、一般の行政水準を高める方向に、せっかくの税でありますから、そういう方向に使っていく。そして国民の生活を向上さす、充実さすということにいたしたいと思います。そこで、この児童手当については、ただいま申しましたように審議会が設けられますが、他の行政機構の整理等につきましても、これまた特段の努力を払っておる際でございます。皆さま方の御審議をいただいております総定員法、あの法案はぜひとも皆さま方の御協力を得て、行政機構は大事であればあるほど簡素化に努力をしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(福田赳夫君) 賃金が三十五年から四十二年にわたって二倍になったと、そのとおりであります。しかるに所得税が七倍になっておる。非常に苛酷な状態ではないかという話でございますが、まあ経済の構造等が変わりまして、勤労者が非常に多くなってきておるのでございます。そういうことから一人当たりのサラリーマンの税額を見てみますると、二倍じゃなくて、また、七倍でもありません。一人当たり一・七倍、そういう状態であります。ですから非常にその見方から結論も違ってくるわけなんでございますが、しかし、そうだからといって、サラリーマンの減税問題、これは推し進めていかなければならない問題である、そのゆえんは先ほど申し上げたとおりであります。
 未成年者無税に対する提案、またそれと同じようなことになりましょうが、未成年者には二十万円の勤労控除を認めたらどうかという提案、これは、私は、そのお考えの趣旨はわかるような気持ちがするのであります。まあ未成年でも営々として働く、一方においては大学に通ってるという子供もある。そういうようなことを比較してみる場合には、まあちょっと感傷的な気持ちにもなるわけでございます。しかしまた一面、所得のある人が未成年者といえども国家に対して応分の負担をする、こういうことも当然だと、こういう議論もあるわけであります。したがって、そういう議論には、年の問題には触れないで、なるべく未成年者程度の人がサラリーをいただく、それには税がかからないように、課税最低限と税率の引き下げ等を考えていくという方法をとりたい。それによって御提案の趣旨を別の角度から実現をいたしていきたい、お気持ちに沿っていきたいと、かように考えるのであります。
 それからまた、重ねてこの特別措置についてのお話がありました。利子・配当、内部留保、交際費等、かような問題の御提起がありましたが、先ほど申し上げましたとおり、いま何といっても、日本を再建するためには貯蓄が大事であるというので、利子分離課税という制度があるわけであります。それから配当につきましても、やっぱり自己資本の充実、これをはからなければならない、そういうようなことで、これの需要もどうしてもあるわけであります。しかし、その他内部留保の問題もそうでありますが、来年の三月一ぱいで配当に対する特別措置、いわゆる租税特別措置法の大株主――これに対する期限がまいりますので、その際には、総合的に諸制度を洗ってみたい、そうしてその使命を達成した、あるいは環境の変化にそぐわないという特別措置については、果敢にこれを廃止する、また、時代の要求に応じて必要であるという制度につきましては、また、新設を考慮するというような、総洗いということをやってみたいと存じます。交際費の問題につきましては、先ほど申し上げたとおりであります。
 それからさらに、わが国の政策が、生産力、産業中心の政策で片寄ってきたというふうな見方であり、御批判でございましたが、私もさような感じがなきにしもあらずであります。いま何といっても社会資本のほうが、産業資本よりは立ちおくれておる、かような認識を持っておるのでありまして、さればこそ、財政において公債を出してまで社会資本、公共事業費の充実をはかろうということを実行しつつあるような次第でございます。
 児童手当につきましては、ただいま総理からお答えがありましたが、目下審議会においてこれが具体化について検討中であります。何せ児童手当というのは、やり方によりましては、七、八千億もかかると、こういうずいぶん大がかりな制度改正になる問題であります。したがいまして、まあ社会資本の充実という問題もあります。あるいは教育の問題もある、あるいは児童手当以外の社会保障諸施設の問題もある、そういういろいろな新しい国家行政需要の要請のあるその中におきまして児童手当をどういう位置づけをするかということは、かなりこれは慎重に考えなければならぬ問題だと、かように考えておるのでありまするが、いずれにいたしましても、審議会の答申を待ちまして、前向きでよく相談していきたいと、かように考えておるのであります。(拍手)
   〔国務大臣斎藤昇君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(斎藤昇君) 児童手当制度につきましては、総理、大蔵大臣からお答えがありましたとおりでございまして、大体早期実現は約束されたようなものだと私も了解をいたしておるのであります。要は、どういう内容のもの、そして国民の皆さま方の御賛成を得、特に国会の皆さま方の御賛成を得られるいい案ができるかというところにかかってまいっております。いま御提案申し上げております児童手当審議会が成立をいたしましたら、即刻御諮問を申し上げまして、政府の意のあるところをお示しいたして、そうして早期実現をはかりたいと、かように思っておる次第でございます。よろしくその節はお願いを申し上げます。(拍手)
#26
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#27
○議長(重宗雄三君) 日程第二、国務大臣の報告に関する件(昭和四十四年年度地方財政計画について)、並びに、
 日程第三、地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方税法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 自治大臣の報告及び国会法第五十六条の二の規定による趣旨説明を求めます。野田自治大臣。
   〔国務大臣野田武夫君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(野田武夫君) 昭和四十四年度の地方財政計画の概要並びに地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 昭和四十四年度におきましては、最近の経済情勢の推移に即応して、地方財政におきましても、国と同一の基調により、行政経費の重点化と効率化を推進し、節度ある行財政運営を行なう必要があります。
 昭和四十四年度の地方財政計画はこのような考え方で策定いたしたのでありますが、まず、その策定の方針及び特徴などについて御説明申し上げます。
 第一は、地方税負担の現状にかんがみ、個人の住民税、個人の事業税等についてその軽減合理化をはかることであります。これらについての減税の総額は八百七十億円となっております。
 第二は、最近における社会経済情勢の進展に対処して、それぞれの地域の特性に応じて、街づくり及び地域づくりの事業を計画的に実施することであります。そしてその重点は、(一)地方道、下水道及び清掃施設の整備を促進するとともに、(二)土地開発基金の設置などにより、公共用地の先行取得を推進するほか、(三)人口急増地域における公共施設の整備、交通安全対策の推進及び過疎地域における生活環境施設等の整備などに置いております。
 第三は、地方公営企業の経営の基盤を強化して、その健全化をはかることであります。そのため、公営企業会計と一般会計との負担区分を一層合理化するほか、地方公営企業に対する貸し付け資金の増額をはかるとともに、公営企業金融公庫の機能を強化することといたしております。
 第四は、財政運営の効率化を進めるとともに、財政秩序を確立し、地方財政の健全化を推進することであります。そのため、行政機構の簡素化と定員管理の合理化をはかり、既定経費を節減することとするとともに、昭和四十四年度の地方交付税の総額につきまして、地方財源の確保に配慮しつつ、所要の措置を講ずることとし、また、国庫補助負担事業にかかる超過負担を前年度に引き続いて解消することといたしております。なお、地方公務員の給与改定など年度途中における事情の変化に対処するため、あらかじめ財源を留保することといたしております。
 以上の方針のもとに、昭和四十四年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は六兆六千三百九十七億円となり、その前年度に対する増加は一兆三百四十六億円、一八・五%となるのであります。
    ―――――――――――――
 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 第一は、地方交付税の算定方法の改正であります。
 普通交付税の算定に用いる基準財政需要額について経常経費と投資的経費の区分を明確化し、特に投資的経費については、動態的な財政需要の算定を強化する等、基準財政需要額の算定の合理化をはかるほか、市町村道、下水道等各種公共施設の計画的な整備の促進に要する経費、その他制度改正等に伴い増加する財政需要を基準財政需要額に算入するため所要の改正を行ない、地方行政の全般的状況並びに過密地域及び後進地域における行政の特性に即応した財源措置の充実をはかってまいる所存であります。
 第二は、地方交付税の総額の特例であります。
 昭和四十四年度分の地方交付税の総額につきましては、地方財源の確保に配慮しつつ、その特例を設けるとともに、これに伴い、後年度分の地方交付税の総額について所要の措置を講ずることといたしております。
    ―――――――――――――
 次に、地方税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 明年度の地方税制の改正にあたりましては、住民負担の現状にかんがみ、個人の住民税、個人の事業税等について負担の軽減合理化をはかるとともに、市町村が宅地開発に伴い必要となる公共施設の整備に要する費用に充てるため、目的税として、宅地開発税を課することができる道を開くこととするほか、地方道路譲与税の譲与基準の合理化及び日本国有鉄道の納付する市町村納付金の軽減をはかることとしたのであります。
 以下、順を追ってその概要について御説明を申し上げます。
 第一は、地方税法の改正に関する事項であります。
 まず、個人の住民税につきまして、住民負担の軽減をはかるため、課税最低限の引き上げを行なうこととし、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除をそれぞれ一万円引き上げることといたしました。
 次に、個人の住民税及び個人の事業税を通じまして、中小事業者の負担の軽減をはかるため、青色申告者の専従者控除についていわゆる完全給与制を実施するとともに、白色申告者の専従者控除額を四万円引き上げることといたしました。
 なお、土地税制の改善をはかるため国税において譲渡所得に対する課税の特例措置が設けられるのに対応し、土地等の譲渡所得に対する住民税の課税についても、これに準じ特例措置を設けることといたしました。
 また、大都市近郊市町村における宅地開発の現況にかんがみ、市町村が宅地開発に伴い必要となる公共施設の整備に要する費用に充てるため、目的税として宅地開発税を課することができる道を開くことといたしました。宅地開発税は、市街化区域のうち、公共施設の整備が必要とされる地域として条例で定める区域内で宅地開発を行なう者に対し、宅地の面積を課税標準として課するものといたしております。
 なお、その税率は、宅地開発に伴い必要となる公共施設の整備に要する費用、当該公共施設による受益の状況等を考慮し、条例で定めることといたしました。
 このほか、自動車取得税、料理飲食等消費税及び電気ガス税の免税点の引き上げ、料理飲食等消費税の税率の統一等の措置を講ずるとともに、不動産取得税、固定資産税等についても所要の改正を行なうことといたしました。
 第二は、地方道路譲与税の改正に関する事項であります。大都市における税源の充実に資するため、地方道路譲与税の譲与基準として用いる道路の延長及び面積について、道路交通の実態を反映するよう補正を加えることができることといたしました。
 第三は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正に関する事項であります。日本国有鉄道が通勤輸送、幹線輸送の増強のため実施する設備投資に伴う納付金の負担の増高を緩和するため、一定期間内に新設された線路設備等にかかる納付金について、所要の軽減措置を講ずることといたしたのであります。
 以上の改正によりまして、昭和四十四年度においては、個人住民税について七百十四億円、個人事業税について六十五億円、自動車取得税その他について七十五億円、国鉄納付金について二十五億円、合計八百七十九億円の減税を行なうことになりますが、一方宅地開発税の創設及び国税の改正に伴い九億円の増収が見込まれますので、地方税の減収総額は差し引き八百七十億円となります。
 以上が昭和四十四年度の地方財政計画の概要並びに地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
#30
○議長(重宗雄三君) ただいま報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。竹田四郎君。
   〔竹田四郎君登壇、拍手〕
#31
○竹田四郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました地方交付税法の一部改正案、地方税法等の一部改正案及び昭和四十四年度地方財政計画について質問をしようとするものであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 質問の第一点は、地方財政好転論並びに自治、大蔵両大臣間に取りかわされました覚え書きをめぐる諸点についてであります。
 予算案編成をめぐって大蔵省筋から、地方財政は好転したと称し、地方交付税率の引き下げ、高率補助の切り下げなどを強要し、これに対し地方自治体側の強い抵抗を呼び起こし、その結果、国は六百九十億円を借り、昭和四十五年度に返還をする、四十三、四十四年度に行なわれたかかる特例措置は今後避けることとし、別途年度間調整措置を再検討するなどの自治、大蔵両大臣の覚え書きとなりました。しかし、この覚え書きには、この出発点となりました地方財政好転論についての両大臣の基本的な認識については、少しも触れていないのであります。確かに地方財政計画の数字の面だけを見ますれば、好転したとの印象を与えるかもしれませんが、実態は全くこれと異なるものであります。地方自治体の過去は、長い間、まさに破産の状態でありまして、やるべき事業もやれないで、住民に対する行政水準はきわめて低劣のまま放置をされてまいりました。昭和四十二年度末においての国道の改良率は七〇・六%、舗装率は六七・六%に対しまして、市町村道はそれぞれ一二・一%、四・五%、自動車の交通不能率は三七%にも達しているのであります。要望の強い下水道の普及率は二四%、し尿処理施設の整備は市街地において六五%で、非衛生的な処理が依然として高いのであります。ごみ処理でも、焼却などの衛生的処理は四割でありまして、その他はすべて埋め立て等によるところの非衛生的な処理になっているのであります。大都市では、公園も一人当たり一平米でありまして、基準の六平米よりははるかに低い状態にあるのであります。幼稚園、保育所、これも公私立合わせて四五%しか収容能力がありません。最近問題になっております老人問題についての養護老人ホームに至っては、実に必要の二七%にしか及んでいない状態であります。地域住民はかかる低劣な行政サービスにもかかわらず、最もひどいといわれております大衆重課の地方税の負担にたえてきたのであります。その上、三分の一にものぼる地方自治体の住民は、超過課税という重い税金負担を続けてきているのであります。今回、超過課税解消三カ年計画というものがつくられたことは、一歩前進とは考えますが、先ほど大蔵大臣が述べられましたように、世界の優等生といわれておるような、そうした繁栄した日本経済の中で、国民は強く地方税負担の軽減、行政サービスの向上を求めているのであります。また一方、市町村の超過負担も大きく、地方財政はこのために大きな圧迫を受けておる実情でありまして、地域住民をかかる状況に追い込んでおかざるを得ない実体にあります地方財政は、まさに数字の上だけの「まぼろしの好転」であって、この好転論をもって地方財政の削減を求める態度は、まさに過酷な措置と言わざるを得ませんが、総理大臣及び自治、大蔵両大臣は、この地方財政の現実をどのように御認識されておられるのか、御所見を承りたいと存じます。覚え書きからいたしますと、昭和四十五年度の交付税額は、四十三年度の返済分百五十億円、四十四年度の六百九十億円  これは四十六、七年度へ延びるかもしれませんが、それに主税の自然増による伸びがおそらく二千億ないし三千億出てくるでありましょう。また、本年度だけの措置といわれる土地開発基金の六百億円の需要の落ちを合わせますと、四ないし五千億円ぐらい増加することになります。これは大蔵省筋の願ってもない攻撃目標になることは必至でありましょう。両大臣の覚え書きにもかかわらず、大きな問題となることでありましょう。住民はこの点に不安を覚えておるのであります。
 われわれは、自治体運営の基礎である自主財源たる地方交付税を、かってにいろいろな口実を設けて突きくずそうとする自治体攻撃や、中央政府の地方自治体支配をあくまでも排除すべきであると考えます。また、交付税は、国の一般会計を通すことなく、直接特別会計に入れ、年度間調整は、地方自治体独自の立場において措置すべきであろうと考えます。昭和四十五年度予算編成において、交付税については、どのように今後措置されるつもりでおられるのか。また自治、大蔵両大臣は、覚え書きにうたわれておりますところの年度間調整措置を今後どのように再検討し、措置されるおつもりであるのか、あわせてお答えをいただきたいと存じます。
 質問の第二点は、自主財源の強化と交付税制度のあり方についてであります。今日の地方財政は、ある学者によりますと、「黒字の中の危機」とさえ言われております。地方行財政の基本的な機能は、住民の生活に密着した環境整備や福祉の向上にあります。しかるに過去において、産業基盤の整備強化を主とする国の政策によって地方財政は従属させられ、ゆがめられてまいりました。昭和三十六年から四十年の間に、中央と地方自治体全部によって行なわれた公共投資総額のうち、産業基盤関係の整備に四八%配分され、生活基盤関係整備には一〇%しか配分されていないのであります。いまもこの傾向は、一向に変わっておらないのであります。地域格差は拡大し、過密、過疎という大きなひずみを生み落とし、地方財政は企業化の色合いを深め、施設の利用者に重い負担を要求し、大資本のために積極的に投資を行なってきました。住民の生活基盤整備はあと回しにされただけでなく、公害とか交通事故など、住民の命と健康をさえ脅かすに至りました。重税、税外負担、公共料金の値上げ、高物価などによりまして、生活水準の向上をはばみ、地方自治本来のあり方を破壊してまいりました。過去のこうした政策への厳正な反省も批判もなしに、国はまた新全国総合開発計画をつくり、全国土を大資本の大規模な、かつ広域的な開発のために提供し、集中管理機能を強化し、独占資本の過酷な収奪と搾取の法則にゆだねようとしています。府県合併、広域市町村圏化も、その一環に組み込まれておるのであります。
 このことは、地方財政計画の中で投資的経費の大幅な増加、すなわち四千五百二十四億円になっておることが、その特質を示しております。また、その策定方針においても、新全国総合開発計画の一環となっております町づくり、地域づくり事業を計画的に実施し、一般財源も重点的に充当することにしております。また従来の普通単独事業費を、一般事業費と特別事業費とに分割し、投資に積極的な姿勢を示しております。また、交付税の基準財政需要の算定においても、経常的経費と投資的経費とに区分し、事業費補正方式の拡充、土地開発基金の設置など、地方財政をして産業基盤優先の方向に誘導してきております。かかる方法は、地域格差をますます拡大するおそれすらあります。同時に、交付税制度の持ついわゆる財源調整機能により、行政水準の平準化をはかろうとするこの制度の本質をゆがめ、貧弱地域への傾斜配分ではなしに、富裕地域への配分割合を増加するという矛盾を拡大しております。大都市及びその周辺都市は企業活動の基盤になっております。法人の担税能力はきわめて大きいものがあります。しかるに、現在この地域では国が税金を取り過ぎております。財政需要は無限大でありますのに、税源配分は国七、地方三でありまして、法人所得関係の税金におきましては、一そう市町村への配分は少なくなっております。大都市とその周辺にあっては、法人所得が地方自治体の大きな税源となってしかるべきであると考えます。大都市に税源を与えよというのは、何回にもわたりまして両院の地方行政委員会の附帯決議になっております。この点すみやかに大都市及びその周辺都市に財源を与え、自主財源の強化を行ないまして、この措置と相まって交付税制度の本来の財源調整機能を取り戻し、貧弱後進市町村への交付税の傾斜配分を行なう措置をとるべきであると存じますけれども、御意思のほどを伺いたいと存じます。
 第三のお尋ねは、地方税関係であります。個人住民税の課税最低限は六十二万数千円に引き上げることになっていますが、所得税のそれとの差は約三十万円の開きがあり、明らかに最低生活費に食い込む低さであります。所得税を納めなくてもよいのに住民税の所得割りを納めなくてはならない人が七百八十万人にも達しているのであります。住民は重い税金をかけられてまいりました。物価高騰の今日、すみやかに個人の住民税の課税最低限を所得税の課税最低限と同一にするようにいたすべきであろうと思います。三カ年計画等をおつくりになって、計画的にこの差額を解消する御意思があるかどうか。
 また、国税におけるところの租税特別措置によって受ける地方税減税分と、地方における非課税措置による減税分との合計総額は、二千二百二十一億円にもなるといわれております。これらの特別措置についても整理すべきものが決して少なくないのであります。特に大企業優遇のものは廃止し、自主財源を強化して住民税の軽減に充てるべきであると考えますが、いかがでございましょうか、お尋ねをいたします。
 次に、電気ガス税についてであります。免税額の引き上げによるところの本税の減税分は約十億円、まことに微々たるものであります。企業に対する非課税措置による減税分は、本年度三十四億円の増となりまして、合計三百十八億になる予定であります。これに対しまして徴収見込み額は八百十億円でありまして、まさに大衆負担の悪税と言うべきであります。佐藤総理、あなたは一昨年の五月十二日の参議院の予算委員会におきまして、「悪税である、いつまでも存続させておくべきではない」旨を御発言になっております。また、なくなられた池田首相は、三カ年計画によりましてその税率を三%引き下げられました。高級飲食に対する料飲税率を引き下げるなど、こうしたことはやめて、あなたもこの辺で電気ガス税の廃止に踏み切るべできありまして、これによります市町村税の減収については別途国において財源を与えるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 第四点は、土地開発基金の設置についてであります。公共用地取得の促進のために基金をつくり、特別会計を設定させるために六百億円を交付税で財源措置をするという件でございますが、交付税法第三条においては、その使途について制限をつけたり、条件をつけてはならない旨きびしく規定しております。今回の措置及びその要綱は税法違反となると思いますが、お尋ねをいたします。
 また、この措置は本年度限りのものであるというふうに記されておりますが、これだけの措置によって用地取得難が解消するというふうには思われません。今後いかなる財政措置をあわせて継続ていく御方針であるか、御明示を願いたいと思います。同時に、この措置は、交付税全体の配分を一そう過密地域に片寄らせ、過疎地域を軽視することになると思いますが、その関係についてどのように理解をしてよろしいか、お尋ねをいたします。
 なお、基金の運営についてでありますが、その適正さを欠きますと、地方ボスなどの暗躍の余地を残し、地価の高騰などを招き、黒い霧の発生も懸念されるのであります。どのように対処されるか、承りたいと存じます。
 最後に、公営企業関係であります。
 地方財政計画によりますと、繰り出し金の大幅な増加を行なっておりますが、こうした、びほう的な手段によって公営企業会計が健全化するということは考えられません。公営企業の危機は、国の無計画な測度成長政策の帰結であり、物価政策の大きなひずみに由来しているものであります。国は早急に抜本塞源的に大幅に国費を投入すべきであると考えますが、とりあえず本年度において、地下鉄関係にはその建設費の三分の二負担、上水道については簡易水道並みの助成を実現すべきであると考えますが、その御意思ありやなしや、お尋ねをいたします。
 また、公営企業金融公庫の機能の強化のために、公営ギャンブルの売り上げ金から毎年その一%にあたる九十億円を十年間にわたって公庫に納付し、その運用を通じて五厘の金利の引き下げをはかろうということでありますが、公営ギャンブルは勤労者を収奪するものであり、家庭の平和を破壊し、しばしば社会の混乱を引き起こし、善良な市民に不安を与えておりまして、国民の大多数はその早期廃止を願っているところであります。今回の措置は、国民の期待に背を向け、公営ギャンブルを十年間の長期間にわたって固定化しようとするものであります。こうした手段よりも、国による出資の増額、補給金の支出などを行なうことによって、企業債のワクを拡大し、利子の引き下げをはかり、償還期限を延長するなどの改善をし、水道、交通などの企業の再建をはかるべきであると考えますけれども、御所見をいただきたいと思います。
 以上をもちまして私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(佐藤榮作君) 地方財政は、御指摘にもありましたように、一ときに比べてよほど楽になった、かように私は思いますが、しかし、これをもって十分だというわけではございません。私が申し上げるまでもなく、行政水準におきましても、またその体質におきましても、なお多くの問題が残されております。社会経済の進展に即応して町づくり、地域づくり――ただいまも公園その他についてお話がありましたが、私どもも計画をそれぞれ持っております。それを計画的に推進すべき重要な時期に当面していることは私どももわかっております。したがって、地方財政の需要、これは今日大きいものだ、かように私も思っております。
 ところで、今回行ないました地方交付税の特別措置でありますが、これは来年度の地方財政の運営に影響を与えない方法によって地方交付税の年度間調整を行ない、かつ、国、地方を通ずる財政運営の円滑化をはかる見地から行なったものであります。このことによりまして、明年度の地方財政に支障を来たすことはないものと、かように考えております。その後の処置につきましては、大蔵大臣からお答えすることにいたしたいと思います。
 次に、地方財政政策につきまして、産業基盤の整備よりも生活基盤を優先させろ、こういう考え方についてでありますが、私もそのように考えております。同感であります。すなわち、今回策定した地方財政計画におきましては、町づくり、地域づくりの事業を計画的に推進することとすることを重点の一つとして、下水道、清掃施設の整備や交通安全対策など、住民の日常生活に密着した施設の整備を積極的に進めることとしております。
 次に、交付税が大都市に多く流れ過ぎているのではないか、こういう御批判でありましたが、都市の整備再開発のための財政需要が著しい現状を勘案して普通交付税の算定を行なっているものであり、このため特に交付税制度本来の調整機能が失われている、かようには私は考えておりません。
 次に、大都市に対する自主財政強化の問題でありますが、御趣旨のような観点から、財政圧迫の主因となっている道路整備のための財政の充実をはかるために、地方道路譲与税の譲与基準を改正した次第であります。
 なお、この問題につきましては、国、地方を通ずる財源の再配分とも関連し、今後ともその充実について努力してまいります。
 まだ、いろいろお尋ねがありましたが、私が特に関心のあります問題について一つお答えしておきたいのは電気ガス税であります。これは、私は今日もなお悪税だという基本的な考え方には変わりはございません。ただ、市町村財政の上では重要な財源でございますので、その点も無視できません。しかし、この悪税をいつまでもこのままでほうっておくというわけにはまいりませんので、それらの状態をも考慮しながら、できるだけすみやかに軽減への努力を講ずる、こういう方向でさらに検討を続けてまいりたいと、かように思います。
 以上お答えいたしまして、その他の問題につきましては、それぞれ所管大臣からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣野田武夫君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(野田武夫君) 御質問の数項につきましては、総理からお答え申し上げましたから、重複を避けまして……。ただ、その間、地方財政の好転問題で自治大臣と大蔵大臣の感触がということでございますが、実際においては、地方財政は漸次好転しつつあることは事実でございますが、豊かではない。まだ非常にいわゆる行政需要が多いのでございますから、地方財政というものは、今後ともやはり十分充実、確立しなければならぬという考え方を持っております。
 覚え書きのことがありましたから、これは簡単に申し上げますが、覚え書きにおきましては、従来、地方交付税の税率についての論議があったようでございますが、これは、いまの趣旨に従って、いわゆる地方交付税は地方財政の固有の財源だというたてまえを確立するために、今後当分の間、一切、交付税率について予算編成にあたっては論議をしない。それで、いま一般会計を通すことなく特別会計に入れたらすっきりするのじゃないかというお話でございますが、できますならば、そういたしたいと思いますが、いずれにいたしましても、当分の間、税率問題に触れないという約束を覚え書きでいたしましたから、将来の交付税の税率についての不安がなくなっております。ことさら、いま直ちに、一般会計ではいけない、特別会計だということをやらなくても、これは、地方財政は確立していく、こう考えております。
 さらに、年度間調整におきましても、これは国と地方がやはり相通ずるものでございますから、お互いに年度間調整というものは必要と思いますが、特に、地方財政の今日の状況におきまして、やはり年度間調整はあくまでも地方において自主的にやる、こういうたてまえをとっていきたいと思っております。
 その他につきましては、すでに総理からもお話がありましたとおり、この六百九十億は決してただ貸したとか貸さぬとかいうものではない。四十三年度の自然増収の見込まれる額、その限度内でつまり特別措置をしたのであって、これは自然増収でございますから、当然これは入ってくる、現にもう補正によってあらわれております。したがって、何ら四十四年度の地方財政には影響がない、こういうたてまえであの特例措置をやったのでございますから、四十三年のときの特例措置とは、その内容、質において異なっております。
 次に、土地開発基金に交付税を流すのは、交付税法違反じゃないかということでありましたが、今回の措置は、地方団体における公共用地の取得に対する財政需要に対処するためでございまして、その必要とされる財政需要額を算入しようとするときにおいて、地方交付税の使途に条件を付したり、また制限を加えようというものではないのでございますから、したがって、交付税法に違反するということは言えない。制限も加えないし、条件も付けない、こういうたてまえでございますから、この点は御理解を願いたいと思っております。
 地方公営企業の今日の企業内容が非常に困難であることは、もうお示しのとおりでございます。そのため、その財源にはいろいろ苦心をいたしておりますが、特におあげになりました地下鉄の問題、これは昭和四十二年度以来、純工事費の一〇・五%相当額を補助することになっておりますが、この補助率ではなかなか地下鉄建設はむずかしいし、また、なかなかその結果、運営にも支障を来たす。そこで、この四十四年度予算編成期におきまして、この補助率を相当上げるということで、大蔵当局とも御相談いたしまして、そこで、いま補助の問題は、運輸省がおやりになっておりますが、やはり地方公営企業でございますから、自治省といたしましても、どうしてもこれはこのままほうっておけないということで、大蔵大臣と御相談し、運輸大臣ともお打ち合わせいたしまして、三者の覚え書きをつくっております。相当補助率を高める、こういうことで、地下鉄建設に対してできるだけ政府も手厚い措置を講ずる、こういうことになっております。
 公営ギャンブルの売り上げの一%を公営企業金融公庫に納付するのはどうだというお尋ねでございます。いま申し上げましたとおり、地方公営企業というものが非常に財政上困難をいたしております。いろんな方法によって地方公営企業というものを立て直していかなくちゃならぬ。そこで、特に本年度からは、いままで対象にならなかった、いま申し上げました地下鉄も、これも公営企業金融公庫の融資の対象にするということにいたしたのでございますが、そのときになって一番問題になるのは、もちろんこの金融公庫の資金量、それから償還期限ということもございます。これも手をつけなくちゃならぬ。同時に、金利が高い――何といっても経営をいたしますのに借金してやっておりますから、その金利をも一つと下げてやらなくちゃなかなか経営がむずかしい。こういうことに考えをいたしまして、その金利を、竹田さんもお示しのとおり、少なくとも五%ぐらいに下げたい、こういう目標のもとに資金関係をいろいろ操作してみましたが、特にこの公営競技において収益が年々増してきております。この公営競技の収益というものは、これはいま主催の地方公共団体がその収益を大部分使っておりますが、これらにつきましては、これはやはり全国的に、困ったところに益金を配分する。現にこれは、道路、教育、あるいは社会福祉その他にも相当な公営競技の収益が財源として使われておりますから、この一番いま困っている地方公営企業に対しての金利の引き下げにひとつ公営競技の収益を少し出してもらいたいと、こういう趣旨でございますから、当然これは私は御理解いただけるものと思っております。まだしかし、いろいろな折衝の段階でございまして、それを十年間くぎづけするのじゃないかということでございますが、これは先般来、私はあらゆる場所において申し上げておりますが、公営競技というものは、これは奨励するものではない。だから、その主催の公共団体が自主的に御判断になって、その地域の住民のお考えによって、これは廃止されてもかまいませんから――十年間のくぎづけというのは、一応の法律上のめどをつけただけでございまして、その場合はその場合において、この金利引き下げの資源としては、相当やはり他の方法によって考慮するという大体考え方を持っております。
 その他ありますが、大体これはもう総理からのお答えがございましたから、私は省くことにいたします。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(福田赳夫君) 地方財政の現状をどう認識するか――いま自治大臣から、改善されたが、豊かではない、こういうお答えがありました。私もそのとおりに存じます。まあ昭和二十九年、三十年、さらに昭和四十年、四十一年と、非常に地方財政は苦しかったのですが、その後は非常な改善です。四十二、四十三、四十四と続いて税収が二〇%をこえる収入、また交付税も四十二年度が一九・五%でありましたが、四十三年、四十四年は、ああいう留保措置をとりましたにもかかわらず二四・六%、二五・〇%という激増でありますので、主力自主財源とも申すべき税収と地方税の割合が六四・五%というような状況でございまして、一時の三割自治という事態から見ますと様相を一変いたしております。ただ、国と地方とは、これはもう車の両輪で、国の政治が動く、民生が向上するというふうに考えておりますので、地方が苦しいときには国がこれに協力しなければならぬ。そこで、二十九年度、三十年度、また四十年、四十一年度、この苦しいときには国が大いに地方財政に協力をしております。逆に、四十三年度、四十四年度では地方が国に協力するという結果になっておりますと同時に、交付税というものが、これが所得税、法人税、それから酒税、こういう景気に非常に敏感な税を対象として、その三二%を地方に交付するというたてまえをとっております関係上、この交付税については、景気につれまして非常に上がり下がりがある、こういう状態でございます。したがいまして、地方財政はやっぱり国の財政と政策基調においては同じ歩調をとるというたてまえになっておりますが、そういうところから考えまして、この年度間の調整というものにつきましては、これは考えてみなければならぬ問題があるのであります。そういうたてまえから私と自治大臣との間で覚え書きを交換いたしまして、四十四年には六百九十億円を交付税の算定額から差し引く、四十五年以降においてこれを返す、こういうたてまえにするわけであります。その際、税率三二%は当分の間動かさない、こういうこと。それからまた、年度間調整について両省間で検討するということが一項目入っておるのでございまするが、これは毎年毎年、御承知のとおり、地方財政の認識、したがって、それに伴いまして税率をどうするのか、三二%は動かすのか動かさないのかということが問題になるのです。これはばかばかしいことであり、わずらわしいことでありまするから、もうこの論議はやめよう、そのかわり、年度間でこぼこがないように調整する。こういうことにつきましては、自治省、大蔵省で少し相談をしようじゃないか、こういうことを取りきめた次第であります。まだ、その具体的な結論は出ておりませんです。いま、四十五年度の予算をそれじゃどうするのか、こういう先々へのお話でございまするが、実はいま、こういう四百五十億円四十三年度に借りたような形になっておるのです。四十四年度には六百九十億円も借りたような形になっておる。そうすると、そのしわが大きく四十五年度にかかってくるわけであります。このことを考えますと、大蔵大臣としての私も非常に頭が痛むのでございますが、しかし、これは全体の予算の規模の中で何とか処置しなければならない問題であると、かように考えておるのであります。
 それからさらに、交付税の配分が産業基盤に片寄って、生活基盤を軽視しておるのじゃあるまいかというような御趣旨の御質問でございましたが、生活基盤の軽視、これは私は軽視してはならないと思うのですが、やっぱり、いま道路だあるいは河川だ港湾だ――非常に立ちおくれておるのでありまして、これのおくれというものは、国際的水準から非常におくれておる。このおくれの取り戻しということは、やっぱり中央、地方を通じての最大の責務である。そういうことを考えますと、産業基盤をおろそかにして生活基盤のみに交付税の割り当てが偏重するというようなことに相なりますることは、これはいかがかと、かように思います。いままでのように、その地域地域の実情に応じまして、産業基盤にも生活基盤にも均整のとれた形で作用するというふうにしなければならないかと思うのであります。
 それから、さらに所得税と住民税、その課税最低限が違うじゃないか――確かに違うのであります。改正案によりますると、国税のほうでは九十三万円、地方税のほうでは六十二万円になるわけであります。しかし、それが違うのが私はあたりまえだと思う。国と比べまして、地方は地域社会の維持ということを考えておるわけでございまするから、したがって、この国に対する所得税納税者よりは、はるかに広い納税階層というものが住民税の対象になっているのだと、かように考えますので、所得税と地方税の課税最低限を一致させなきゃならぬという見方に対しましては、にわかに賛同いたしがたい。
 さらに、国税における特別措置、これが地方税に反映して地方税の減収になる。それをやめて、住民税の減税に充てたらどうだと、こういうお話でございまするが、どうも理論的に申しまして、地方は自治でありまするから、国が特別措置をとった、それに連動して、地方でそのとおりの特別措置をとらなきゃならぬ、こういうことはないという一方の議論もありまするが、国の施策には地方も協力をするたてまえになっております関係上、まあ、そう理屈ばかりも言いがたいという面があるのと同時に、所得税を中央において計算した、その計算の中には特別措置なんかもいろいろ加味されておるという際に、それが地方にいきました場合に、今度は特別措置は地方ではやめだというようなことになりますると、計算をまるきりやり変えなきゃならぬ。非常に複雑な事態にもなりますので、そういう実際的見地からも、この問題はむずかしい問題をはらんでおるのであります。しかし、理論は理論でありまするから、なお、お説のような趣旨がいいかどうかということにつきましては、検討をいたしてみたい。
 それから最後に、地下鉄の問題の御提示がありましたが、まだそれは結論は考えておりません。おりませんが、まあ路面交通がやがて行き詰まることになるであろうということを考えますときに、地下鉄の交通における使命というものは非常に重大になってくる。そういうことを踏んまえまして、国が積極的な財政援助をすべきである、そういうふうに考えまして、その具体案を大蔵、自治また運輸三省間でいまやってみたい、かように考えておるのでございます。
 公営ギャンブルにつきましては、自治大臣からるる御回答がありましたので、これを省略さしていただきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#35
○副議長(安井謙君) 阿部憲一君。
   〔阿部憲一君登壇、拍手〕
#36
○阿部憲一君 私は、公明党を代表して、ただいま議題になりました地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案につき、政府の所信を伺いたいと思うのであります。
 質問の第一は、現在の地方財政制度を抜本的に改革すべき時期にきているのではないかということでございます。申すまでもなく、戦後わが国の税制の基本的な性格は、シャウプ勧告によって決定づけられたのであります。シャウプ税制は、戦後の日本経済の復興期にあたって、それなりの効果はあったのでありますが、その後の高度経済成長に伴って、過疎、過密の深刻化、都市化問題、交通難、各種公害等、日本の社会経済情勢は大きく変化したのであります。その変化につれて、ますます財政需要の急増を招き、地方財政の動態化が必要とされるに至っておるのであります。しかるに政府は、部分的な対応策しかとっておらず、まさに継ぎはぎだらけの糊塗政策と言わざるを得ません。そのため財政上の原則はあらゆるところで破綻を来たし、本来の地方自治の理念にはほど遠い全くの中央依存、住民不在の混乱した税制となっているのであります。いまこそ、この新時代に即応する地方税全般の改正が必要であると思うのでありますが、政府は地方税、国税を通じて国民生活にマッチした大改正を行ない、地方財政の安定、充実をはかる決意はないかどうか、まず総理にお伺いいたします。
 第二に、今日の地方税による財源はいまだに歳入の四〇%前後であって、そのあとの約六〇%は交付税、補助金、地方債等の中央依存財源によって占められている現状であり、市町村の税収が都道府県の税収を下回る結果となっているのであります。現に過疎地域においては極度の財政難を招いているのであり、住民税、固定資産税等の超過課税を余儀なくされているのであります。その市町村は全国市町村数の三分の一の多きにのぼっております。また、一方では物価の上昇、社会保障、社会開発等の著しい立ちおくれによって住民、特に低所得者層の税負担はますます過重になっております。しかるに、政府はこのような事態に目をつぶって税財源の適正配分も、事務の再配分も行なわず、大衆課税を強化してきたのでございます。わが党は、地方税と地方財政制度に関しては、まずシャウプ勧告にうたわれている三原則、すなわち、責任明確の原則、行政能率の原則、地方自治尊重の原則、これをあくまで貫き、国と地方との税財源の配分を断行し、この基本原則を踏まえた上で国と地方との協調をはかることが先決であると主張してきましたが、この点について総理、大蔵、自治の各大臣の御所見を承りたいのであります。
 質問の第三は、地方交付税の総額の特例であります。この問題は、地方自治の本質に触れる重大な問題であり、明年度以降の地方財政のあり方について大きな影響がありますのでお伺いしますが、予算編成前にあれほど声を大にして、「おくれた地方行政水準向上のため、びた一文削るべきではない、余裕があるくらいなら住民負担の軽減に振り向けるべきだ」、こう叫ばれていたのに、およそ地方公共団体側の思惑とは逆に皮肉な結果となりまして、六百九十億円の借金方式がまかり通ったのであります。この事態に対して、あ然としたのは私一人ではないと思うのであります。何ゆえに地方は四十三年度の四百五十億円に引き続き二年連続で国へ貸さなければならなかったのか。特に前大蔵、自治の両大臣の間でかわされました貸し借りは本年度限りという覚え書きも無視し、本院地方行政委員会の附帯決議を踏みにじってまでもあえて貸さなければならない理由は、いまもって理解できないのであります。この点について大蔵、自治両大臣の御説明を願いたいのであります。
 さらに、地方が国に協力する手段として、はたして貸し借りの方法しかなかったかどうかということであります。たとえば、国庫補助金の整理や地方債の繰り上げ償還等のお考えはなかったのかどうか。大蔵、自治の両大臣に御答弁を願いたいのであります。
 次に、大蔵大臣にお伺いいたしますが、大臣は、国と地方との財政は、先ほどもお答えになったようですが、車の両輪であり、交互の年度間の財政調整によって景気調整が保たれるのであると、いままで繰り返し述べられております。この御答弁は、全く交付税の本質を見誤り、地方自治の本旨を著しく侵害するものであります。御承知のとおり、地方交付税法第一条は、この法律の目的を明確に規定して、地方団体間の財源格差を是正して行政の均衡化をはかるための地方団体間の調整財源であり、憲法に保障された地方自治の本旨実現のための地方固有の財源であることをうたっております。大蔵大臣の言われるような国と地方との財源とか、景気調整のための財源とかいうことはどこにもうたっておらないのであります。これについて大蔵大臣の所見を伺いたいのであります。
 次に、地方税改正案の具体的問題点についてでありますが、まず自治大臣にお伺いいたします。
 その第一は、住民税課税最低限百万円までの引き上げはいつごろまでに実現するか、その目標があるのかということでございます。自治省は、四十四年度の地方税減税額は八百七十億円で史上最高の規模と自賛しておりますが、住民税の課税最低限はわずか九万円の引き上げで、いまなお所得税との比較では一〇対六・六で依然として三十万円の開きがあります。しかも所得税免税者で住民税を納める人口は実に一千万人をこえているのであります。所得再配分の性格を持つ所得税と負担分担の住民税とではおのずから課税最低限に差異があることは理解できるといたしましても、中堅所得層及び低所得階層の住民に対する重税感は依然としてきびしいのであります。かりに六百九十億円と国鉄納付金二十五億円のおおばんぶるまいを住民税減税に振り向けるとすれば、サラリーマン標準世帯の課税最低限度額は前年度に比べて二十万円以上に引き上げられ、わが党の主張する百万円減税は可能であると思うのでありますが、この点について大臣の御意見を承りたいのであります。
 第二は、料理飲食税の税率一本化についてであります。政府は一人一回三千円以上の高額消費者に対する現行税率一五%を一〇%に引き下げ、その理由を徴税の簡素化、税負担の軽減と称しておりますが、一般庶民にはおよそ縁遠い、高級料亭、バー、キャバレーなどの減税で、利用する人は一部の特権階級か社用族であり、料亭対策とかお手盛り減税とか、こういう非難が起こっております。高級料亭の門などを一度もくぐることのない、しかも重税にあえぐ納税大衆に何ゆえ報いることをなさらなかったのか、その理由は何かお伺いしたいのであります。
 第三は、住民税の均等割りについてでありますが、都道府県民税の個人均等割りは全廃するかあるいは市町村民税に統合すべきであり、このような一率に所得格差を無視した前近代的な人頭税は廃して、特に低所得者層に対して免除すべきであると思うが、いかがでしょうか。
 最後は、電気ガス税についてであります。
 これは生活必需品に対する大衆課税であり、典型的な悪税であります。電気もガスも、一般家庭においてはますます需要がふえており、したがって税金の負担は一そう重くなっております。電気ガス税はそれこそ一日も早く撤廃すべきだと思いますが総理のお考えを重ねてお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(佐藤榮作君) 阿部君にお答えいたします。
 まず第一に、地方税、税制制度を基本的に再検討する時期にきているのではないかと、こういう御意見であり、またそれについてのお尋ねであります。私も大体今日はその方向にきておるものと、かように考えております。最近における社会経済情勢の著しい変化に伴う地方行政の変貌に対処する行財政上の方策につきまして、現在、地方制度調査会におきましてせっかく審議中でございます。これは政府がお願いして、ここでまず御審議を願う、中央、地方の行政のあり方がいかにあるべきか、それを基本にして、その場合にその財源はどういうような配分をするかということであります。政府は、今後、この調査会の御意見を十分に尊重の上、地方行財政制度の全般について所要の改正を行なうよう検討するつもりでございます。お答えをいたします。
 またいろいろお尋ねがありまして、住民税あるいは均等割り、また料飲税等についてもお話がございましたが、これはそれぞれの大臣にお答えさすことにいたしまして、私は電気ガス税について重ねてのお話がございましたが、先ほど竹田君にお答えいたしましたように、私もこの税はいい税だとは思っておりません。(「撤廃したら」と呼ぶ者あり)したがいまして、この税がもっと軽減されるように逐次努力をすると、こういう方向で検討したいと思います。いま「撤廃したら」という不規則発言がありましたが、その方向にはまだなかなか踏み切れない、この点を申し上げておきます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 地方税収をもっと充実すべきじゃないか、いま総収入の四〇%ぐらいあるが、もっと充実せいと、こういうまあ御質問でございますが、地方税は、数年前まではこれは三〇%ぐらいのものだったんです。だんだんと充実されてまいりまして、今日四〇%をこえる状態になってきておるわけです。一方、地方の自主財源といたしまして地方交付税交付金がある。これはとにかく法人税、所得税、酒税、これの収入額に対しまして三二という定率がかかっている、自動的に地方へ回っていく税になっておるのでありますが、それを合計しますと実に六五%になる。これはもう非常な改善というふうに私どもは考えておるわけであります。地方財政がさらに改善されることはこれを期待しておりまするけれども、まあ現状は先ほども申し上げたように、もう見違えるような改善ぶりになっておるというふうに思っております。
 シャウプ三原則の御指摘がありましたが、これはもとより尊重すべきものである、かように考えます。
 それから、六百九十億円の四十四年度の特別措置は、るる申し上げておりますとおり、二つの目的でやっております。一つは、中央、地方のどちらか一方が苦しいときには他の一方から援助をしろと、こういう趣旨である。それから、第二の点は、地方財政自体の問題でありまするが、地方財政自体の財政のスケールにでこぼこがある、それを調整すると、こういう意味があるわけであります。この二つの目的を達するために交付税を六百九十億円減額をする、そしてあとでまたこれを返す、平たく言いますると借りるという措置をとったわけでございます。地方から見れば、中央に預けておくというような形になりますが、他に方法がなかったかというようなお尋ねでございました。特に、地方債繰り上げ償還ということをあげておられますが、これも一つの方法なんです、しかし、これは年度間調整という一つの目的しか到達できない、中央地方の協力ということにはそう大きな役割りがなかったと、こういうわけであります。
 それから、私が中央と地方の財政両輪論ということを申し上げておるのに対し、疑問符を投げられたようなお話でございましたが、私は両輪論というのにはいささかの間違いはない、これは、国が困って地方だけがいいというものであってはならないし、地方が困って国だけがいいというものであってはならない、両々相まって国民の福祉を向上する、国力を充実させるという役目を尽くしておるというふうに思うのであります。それで、交付税交付金は景気調整の財源だというふうには、また観念はいたしておりませんが、これは先ほど申し上げましたような二つの意味合いをもちまして、ことしは国のほうで預かっておるというような形にいたした次第でございまするが、必ずこれは明年度以降、四十五年度以降において地方に返すことに相なるわけでございます。また、この六百九十億円というものは、ただ単にこれは政府が独断でやるわけじゃない、国会におはかりをいたしまして、国会の御承認を得て法律案といたしまして立法するということに相なりますので、皆さんの御意見も尊重してやるわけであります。
 なお、最後でありますが、住民税の課税最低限が所得税の課税最低限と一緒になぜならないかというお話でありまするが、これは先ほどるる申し上げましたとおり、必ずしもこれを一致させるという考え方はとっておらぬ、こういうふうにお答えするほかないのであります。(拍手)
   〔国務大臣野田武夫君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(野田武夫君) 阿部さんのただいまの御質問のうちに、経済社会の情勢が非常な変化を見つつある。その際、地方財政制度が旧態依然としておるという御指摘でございますが、私も大体そのように考えます。そこで、この変動に備えるところの地方行政のあり方、それから、行政、財政上の方策というものは当然考えなければならぬ段階にきておると思います。現在、地方制度調査会において審議をお願いいたしておるところでございます。この調査会の答申を待ちまして、その上において十分現実に即応した案ができるように検討をいたしたいと思います。
 ただいま大蔵大臣からもお話がありましたから、詳しくお答えいたす必要はないと思いますが、住民税のことが先ほどもございましたが、これは百万円までの、つまり最低限をきめてはどうかという御趣旨、よくわかります。しかし、大蔵大臣も申しましたとおり、また、税制調査会でも答申があったのでございますが、所得税と住民税は性質を異にするから、住民税は住民税としての立場で課税すべきだという答申を得ております。これはやはりできるだけ課税最低限を引き上げるということは、もうわれわれのつとむべきことでございますから、ごもっともだと思いますが、四十四年度の地方税の減税は、先ほど申し上げましたとおり、八百七十億でございますが、今回とりました住民税の減税は、大体そのうちに七百十四億の住民税の減税をいたしております。そこで、これは四十三年度もいたしております。四十四年度もやりますが、私は、やはり年々できるだけ軽くなるように、四十五年度においてもこれを続けてやるべきです。そうしてできるだけ所得税の課税最低限に近づいたものに、いつ一緒になれるかということは申し上げられませんが、なるべく近づくようにいたしたいと、こう考えております。
 住民税の均等割りの問題が出ておりますが、これは住民税は、御承知のとおり、まあ地域住民が広く少しでもお互い自分の町づくりのために負担し合って自分の地域づくりをやりたい、その費用の一端を負担しようという趣旨でございますから、この住民税を負担される方々が非常に広いのであります。そこで、その結果、住んでいる方と市町村というものが非常に密着していく、自分の町だ自分の村だという考えが深くなる、こういう中でいま私どもとしては地方税としてこれは適当なものだと考えております。したがって、今日のところは、均等割りを廃止することは適当でない。しかし、これもさらに検討を加えるという、こういう考え方を持っております。
 都道府県と市町村の財源の問題が出てまいりましたが、最近、都市においては、街路、生活環境施設というものがたいへんな整備が急になっております。特に大都市では急激な人口集中、これはもう申し上げるまでもなく御理解いただくことでありますが、そこで、こういう充実につきましては、どうしても積極的な財政措置を必要とする。今回特にとりました道路の交通激化に伴う整備の道路財源の対応策として、四十四年度の地方税制の改正にあたりましては、地方道路譲与税の譲与基準を改めまして、これらの需要の多いところにできるだけ満たしていきたい。この問題も、やはり国、地方を通ずる財源の再配分とも関連いたしておりますから、今後ともこの充実につきましては努力してまいりたいと思っております。
 なお、料飲税の問題でございますが、これはつまり現在の料飲税の徴収がなかなか不明確でありまして、非常に混雑しております。すなわち、公給領収書というものが、公正にこれが徴税ができないというような事情もございまして、なるべく税金はひとつ公平に徴税する、こういう目的から徴税の簡素化――何かこれは一〇%、一五%といいますと、そこに非常にあいまいなものが出てまいります。また、一人当たり三千円、二人のときにはどうするかと、いろいろなことで非常にややこしい徴税法でございますから、現行の公給領収書を基準とし、なるべく簡単にやりたいというので、一〇%一本にした。同時に、宿泊料、一般の料飲税、これの免税点を引き上げる、ここに多少バランスをとっていきたいということでございまして、いわゆる他意はないのでございますから、御了解を願いたいと思っております。(拍手)
#40
○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#41
○副議長(安井謙君) 日程第四、公営住宅法の一部を改正する法律案(趣旨説明)。
 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。坪川建設大臣。
   〔国務大臣坪川信三君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(坪川信三君) 公営住宅法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 住宅事情を改善し、国民のすべてが健全で明るい住生活を営むことができるようにすることは、政府に課せられた重大な使命であり、政府としては、鋭意住宅対策の拡充強化につとめておりますが、特に政府施策住宅の建設は、低額所得者向けの賃貸住宅に最も重点を置いて進めてまいっております。
 公営住宅法は、昭和二十六年に制定され、以来この法律に基づく公営住宅の供給がわが国の住宅対策の上で最も重要な役割りを果たしてまいりましたことは御承知のとおりであります。しかしながら、法制定以来すでに二十年近くを経過し、現在におきましては、制度上幾多の問題が生じてきましたが、中でも次の事項は当面改善措置を講ずる必要があるものと考えます。
 その第一は、公営住宅の建設に要する費用に関する国の援助の方式についてであります。現在、国は、公営住宅の建設にあたって、その用地費についても地方公共団体に対して補助することとしておりますが、用地費の増大に伴い補助額が地価の実勢とかけ離れ地方公共団体の財政負担の増高を来たしております。現行の用地費に対する補助制度のままで補助単価を適正化し、公営住宅の建設の伸長をはかることは、現在の財政事情のもとにおいては、相当困難と考えられます。したがって、用地費については補助制度を実額に沿った融資制度に切りかえることが適切と考えられます。
 第二は、高額の収入のある入居者の取り扱いについてであります。公営住宅は、低額所得者のための低家賃住宅でありますが、入居後所得が上昇し相当な高額の収入を得るに至った者が引き続き入居している現状であります。このようなことは、住宅に困窮する低額所得者が、多数公営住宅に入居を希望している現状より見て、著しく公平を欠くのみならず、公営住宅法の本来の趣旨に沿わないものと言わねばなりません。したがって、このような高額の収入を得るに至った者に対して一定の要件のもとに明け渡しを請求することができるようにする必要があります。
 第三は、公営住宅の建てかえに関する制度についてであります。最近の公営住宅の建設地は、用地取得難のためややもすれば市街地から遠隔化する事例が見受けられます。一方、相当以前に建設された公営住宅は市街地に建設されたものが多く、その大部分は木造住宅で現在ではかなり老朽化しており、これらを建てかえてその土地を高度に利用し近代的な高層または中層の公営住宅を大量に供給することが、現下の急務となってまいりました。したがって、公営住宅の建てかえに関する規定を整備して、事業の円滑な推進をはかる必要があります。
 以上がこの法律案を提案いたしました趣旨でありますが、次にこの法律案の要旨について御説明申し上げます。
 まず第一に、公営住宅または共同施設を建設するための土地の取得造成に要する費用についての国の援助の方式を改めまして、従来の補助を地方債による融資に切りかえることとし、国は、事業主体がこれらの費用に充てるために起こす地方債について適切な配慮をすることといたしました。
 第二に、ただいま申し上げました国の援助方式を改めたことに伴う家賃の変動を避けるために、国は、毎年度、事業主体に対して家賃収入補助を行なうことといたしました。
 第三に、公営住宅に五年以上入居し、一定の満額の収入を得るに至った者に対する明け渡しの請求に関する規定を設けました。この場合、事業主体は、入居者の明け渡しを容易にするように他の公的資金による住宅への入居等について特別の配慮をするとともに、請求を受けた者が病気で出費が多いこと等、特別の事情がある場合においては、明け渡しの期限を延長することができることといたしております。なお、現在公営住宅に入居している者に対しましては、法改正後二年間は明け渡しの請求ができないものとし、また明け渡しの基準についても相当の配慮をすることといたしております。
 第四に、公営住宅建てかえ事業に関する規定を整備いたしました。すなわち、建てかえ事業を施行できる場合の要件を定めるとともに、建てかえ事業の施行にあたりましては、事業主体はあらかじめ建てかえ計画について建設大臣の承認を得た後、事業の施行に伴い必要があると認めるときは、一定の期限を定めて入居者に明け渡しを請求することができることといたしました。
 第五に、この明け渡し請求を受けた者の住生活の安定を確保するため、事業主体は、必要な仮住居を提供するとともに、新たに建設される公営住宅への入居を申し出た者については、その公営住宅に入居させなければならないものといたしました。
 また、事業主体は、建てかえ事業の施行に伴い入居者がその住居が移転した場合においては、通常必要な移転料を支払うべき旨を定めました。
 第六に、建てかえ事業を円滑に施行するため、車業主体は、事業の概要について説明会を開催する等事業の施行について入居者の協力が得られるようつとめるべきことといたしました。
 このほか、法定の限度額以内の家賃の変更については建設大臣の承認を要しないこととする等所要の改正を行なうことといたしました次第であります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
#43
○副議長(安井謙君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。松本英一君。
   〔松本英一君登壇、拍手〕
#44
○松本英一君 ただいま趣旨説明がありました公営住宅法の一部を改正する法律案に対し、私は、社会党を代表して、基本的な問題を中心に佐藤総理及び関係大臣の所信をただそうとするものであります。
 まず、総理大臣に政府の住宅政策の現状についてお伺いいたします。
 生きるための三要素、衣食住、その中で、戦後二十四年間衣食は需要をやや上回ってまいりました。しかし住宅政策に関する願望は、いまなお満たされていないのであります。言うなれば慢性的な住宅の飢餓状態が続いているのであります。総理は、昭和四十一年一月、第五十一回通常国会の施政方針演説で「社会開発のうち、第一の急務は、立ちおくれている生活の場の改善であり、特に住宅政策の拡充である、住生活の安定なくして国民生活の安定はない」と強調し、「住宅の整備を生活安定の基本と考え、これを強力に推進する決意である」と言明されました。総理大臣は「一世帯一住宅」の公約をキャッチフレーズとして、四十一年度より住宅建設五カ年計画で六百七十万戸の住宅を建設すると言ってこられましたが、最終年度を明年に控えてこの公約は実現されるのでありましょうか。まずこの点について責任ある御答弁をお願いいたします。
 第二の点は、住宅政策の中身についてであります。
 今日までの住宅政策は極端な民間依存であります。公営住宅の受け持ち分は五十二万戸にすぎないのであります。民間の自力建設とは、血のにじむような犠牲を払って持ち家を持とうとすることであります。事実、昭和十六年には二〇%にすぎなかった持ち家が、昭和四十二年には五〇%に増加をいたしております。逆に借家は七〇%から三〇%に減っているのであります。政府は持ち家増加のこの数字だけを見て、持ち家政策が普及したと喜んでおられるようですが、とんでもないです。国が本腰を入れて住宅政策を立ててくれないために、自衛手段として必死になってわが家を持とうとしておるのであります。いまなお十世帯に二戸の割合で住宅が不足している現実、それに人口の集中の激しい大都市における深刻さ、この結果が大都市周辺では、どのような現象を起こしておるか。一歩郊外に出れば、農地がつぶされ、宅地造成をしておる現場にしょっちゅうお目にかかるではありませんか。このようななまぬるい住宅政策では、昭和四十五年度までに一世帯一住宅どころか、住宅難の解決は不可能と言わざるを得ないのであります。佐藤総理は、この公約を果たすために、今日までどのような政策をどのように推進し、どのように実行されたか、明確な御答弁を願います。
 第三点は、住宅予算と国の総額予算について、総理大臣と、大蔵大臣に所信をお伺いするものであります。
 住宅政策の目的は、国民のすべてが健康で文化的な住宅に住めるようにすることであるのは言うまでもありません。ところが、低収入の人たちや、これから結婚しようとする若い人たちは、とても自力で土地を求め、家を建てる資力はないのです。しかたなく高い権利金や敷金を払って、条件の悪い民間アパートに住まわなければならないのであります。いま国がとっておられます住宅無政策によって、居住水準が低下し、住宅の環境の荒廃が加速度的に進んでいる現在、国の総額予算に占める住宅予算の割合は、一%台ときわめて少なく、しかも、それが四十二年度には一・三一%、四十三年度の一・二〇%からさらに本年度に至っては、一・一八%に落ち込んでしまっているのであります。去る二月二十八日、衆議院の本会議におけるわが党の島上議員の質問に答え、佐藤総理は「おおむね計画の線に従って順調に進捗している」と発言され、また大蔵大臣は「住宅予算は前年度に比べて実に三四%と大幅な拡大になる、いかにその効用が大きいかという一端を示すものである」と答えられております。単に住宅予算のみをとらえれば、物価上昇率の激しい現在、前年度より比率が拡大するのは当然ではありませんか。総理みずから「社会開発の第一の急務」と言っておられる。住宅予算が国の総額予算に示すこの低下を――しかも、いま大蔵大臣がここで港湾、道路、河川の立ちおくれを言われましたけれども、それらのような他の公共事業予算に比較して大幅な拡大でないことは、大蔵大臣みずからよく御承知のはずであります。このような冷たい住宅政策で来年度までに一世帯一住宅が実現されるのか、住宅難は解消されるのか、総理大臣の今後における基本的な方向と、大蔵大臣の住宅政策に対する熱意をお伺いいたします。
 次に、大蔵大臣と自治大臣にお伺いいたします。
 私は、最初に慢性的な住宅の飢餓状態が続いていると言いましたが、これを解決するためには、公営住宅の大量供給以外にはないのであります。これから世帯の細分化は進み、長男でも嫁を持ったら独立した家を持とうとする時代であります。政府は、ここで真剣に住宅政策を考え、公営住宅の大量供給をはかるべきであります。ところが、こうして今後の住宅政策を考える最も重大な時期に、ショッキングな問題として出されてきたのがこの公営住宅法改正案であります。
 この中でまず追及しなければならないのは、用地費の補助の打ち切りであります。地方公共団体の超過負担の解消とか、用地確保など、事業量の増大を利点として政府は考えられているようですが、返済が義務づけられている融資制度と、返す必要のない補助とではどちらが得であるのか、小学生でもわかることであります。要は、公営住宅本来の性格に戻り、国の補助率をもっとふやすのが本筋であって、用地費の地方債切りかえはむしろ逆行するものであります。なぜならば、公営住宅法の目的に「国及び地方公共団体が協力して、」とはっきり明記されているからであります。本件は協力の目的から逸脱し、国の責任を地方公共団体に転嫁しようとするものにほかなりません。この目的が貫かれていたならば、事業量は合意によってきめられ、不足はないはずであります。超過負担でも、建設費は建設大臣がきめていられるのですから、そのきめ方が実情に合っているならば超過するはずはないのであります。このことは、用地費に対する建設省の要求と政府決定の大幅な開きが原因であると言わざるを得ません。大蔵大臣、自治大臣、超過負担に苦しむ地方公共団体が、融資制度によって一時的には持ち出し分が減り、資金調達が楽になっても、結局は借金が雪だるま式にふえ、過大な負担がかかることになり、ひいては公営住宅の大量建設も阻害する要因となることは必至であります。このことが今日全国的に高まりつつある学校用地に対する補助金要望の悲願をも葬ることになるのであります。建設大臣はこの声に耳をふさぐことなく、強い態度を堅持していただきたいと思います。
 なお、本案に関する住宅宅地審議会の答申には、「融資制度の円滑かつ適確な実施を図るため用地融資特別会計を設けること。」と、その創設を打ち出していますが、これの創設は実施されたのか、もし実施されていなければ、ただ単に人員を要するからというのではなくて、今後の見通しを含め、責任ある御答弁を願います。
 次に、建設大臣にお伺いいたします。
 明け渡し請求についてであります。対象となる二百万円以上の所得者は、現在百万戸の公営住宅の中で二千三百戸であります。これは〇・三%にも満たないのであります。改正案では、これらの明け渡し請求を受けた者に対し、他の公的資金による住宅等への入居について特別の配慮をするとしてありますが、明け渡し請求権を一方で持つのならば、特別の配慮などと言わずに、入居者にも入居請求の権利を持たすべきではないでしょうか。これこそが明け渡しを容易にするための措置であると考えるのであります。そもそもこれは現在まで、入居者の資格のきめ方に欠陥があるのです。現在の方式のように、一定のワク内ならばすべて一様の資格があるというところに出発点の誤りがあります。世帯ごとの個別的能力に応じ、最も家賃負担に苦しんでいる世帯から優先的に入居させるという方式を採用すべきであります。また、高額所得者に対しましては、これを締め出すという方針ではなく、その前に、住宅の規模や場所などについて満足のいく公共住宅を十分用意することが先決であると考えます。要は、公共住宅を大量に建設し、同時に、現行の公共住宅の家賃体系を根本的に検討されることを主張するとともに、強制明け渡しが全入居者に多大の不安を与えていることを直視され、建設大臣並びに大蔵大臣の所信をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、住宅の建てかえにあたって、老朽住宅をこわし、中・高層住宅ができ上がるまでの仮住宅、つまり簡易住宅に国の補助がない点であります。これでは、地方自治体が土地の高度利用をはかり、老朽住宅を建てかえようとする意欲をそこなうことになるのです。
 最後に、居住水準の引き上げをはかるべきであることを要望いたします。このほど建設省と総理府が行なった住宅に関する世論調査の結果でも明らかなように、住宅の狭さを訴えた声が非常に多いのであります。これは、明るい健康な暮らしがそこで営まれることを願う声なき声であって、ただ、ねぐらを与えればいいという今日までの施策は、大いに反省さるべきであります。寝食の分離、公営住宅にも公団住宅のようなダイニングキッチンぐらいは認めてやるべきではないか。また、共同施設の充実も、そうむやみに費用がかかるものではありません。住まいとは、寝て食べるとだけでなく、人間の文化が育ち、生産の生まれる営みの場であることを特に指摘して、政府の所信を求めるものであります。
 以上、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(佐藤榮作君) 松木君にお答えいたします。
 御指摘のように、衣食住、この三つのうちで、やっぱり衣食は一通りは需要を満たしておる。しかし、住は慢性的になお不足しておる。そのとおりでございます。私どもも、まことに残念に思っております。そこで、現状はどうなっているかというお尋ねでありますが、住宅建設の五カ年計画につきましては、四十四年度末までに、公営、公庫、公団住宅等の公的資金による住宅が百九十四万戸でございます。これは進捗率七二%。それから民間自力による住宅に対しましては、宅地の供給、また、そのほか、住宅融資保険制度による民間金融の円滑化等によりまして、このほうは三百三十五万戸、進捗率としては八〇%強と、こういうことになっております。この建設の状況から見ますると、大体五カ年計画の目標である六百七十万戸、これの建設につきましては、四十五年度末までには予定どおり達成ができるんではないか、できる、かように、この機会に申し上げておきます。衆議院の段階で数字、額を申さないために、あるいは政府はまたいいかげんなことを言っておるのじゃないかというおしかりを受けたかと思います。そこで、その中身につきましても、国あるいは公共団体等がつくるいわゆる公営住宅で、そのほうに重点を置いて、民間のほうにたよる現状を切りかえろと、こういう御意見でありました、私も、その方向で一そう努力したいと思います。したがいまして、予算の充実等につきましては、他の諸条件も見ますが、これはやはり優先的にこの住宅問題解決と取り組むと、かように御了承いただきたいと思います。
 最近は、いまのような、まず最初の五カ年計画の充足はできるといたしましても、今度は、国民の生活水準が非常に上がっておりますから、ただいま御指摘になりました、最後に御要望になりましたように、いままでのような住宅基準ではどうも国民も納得されません。私どもも、いままではただ雨露をしのぐその場所を与える、こういう急に迫られた建築基準でありましたが、今度は国民の要望にこたえて、その生活水準の向上にこたえていくと、こういうことでなければならない、かように思いまして、これからは質の向上の点につきまして特に重点を向けて計画を進めていきたいと思います。
 また、御指摘にありましたように、都市への人口集中が非常に激しい、また結婚適齢人口も急激にふえております。それらのことなどを考えますと、いままでと同様、あるいはいままでより以上にこの住宅に対する需要は強いのであります。ただ慢性的な飢餓状態というだけではなくて、積極的なこの住宅の不足を痛感せざるを得ないのであります。そこで政府といたしましては、こういう新しい需要に対応いたしまして、引き続いて第二期の住宅五カ年計画を立てる、ただいまそういう意味で、この計画をいろいろ検討中でございます。そうして御指摘ありましたように国民の生活の向上をはかる、それに対応する住まいを提供する、そうして住生活が安定し生活の向上をもたらす、そうしてりっぱな社会をつくるように努力する、かような考えでございます。
 以上、私についてのお尋ねをほぼ答えさしてもらいました。
   〔国務大臣坪川信三君登壇、拍手〕
#46
○国務大臣(坪川信三君) 松本議員にお答えいたします。
 公営住宅の建設事業は、松本議員御承知のように、低所得者を対象とする住宅政策の中において最も重要な問題であります。住宅建設五カ年計画の達成、地方公共団体の持ち出しの解消、公営住宅の高層並びに不燃化などの質の向上をはかることが必要であります。現在の財政事情のもとでこれらの諸点の実現をはかることが相当困難であると考えられ、また、公営住宅の用地が地方公共団体の永久資産となることも考慮いたしまして、この際、用地費については補助から地方債に切りかえるものといたしました。これによって、昭和四十四年度においては用地費の単価を大幅に引き上げ、地方公共団体の持ち出しの解消をはかることとしていますほか、別途、家賃収入補助を新たに行なうこととしていますので、総合的に見ますと、地方公共団体の負担は当面著しく軽減され、公営住宅の建設が促進されるものと考えております。
 次に、住宅は御指摘のとおりに生活の本拠であります。居住の安定性については十分配慮しなければなりませんことはもちろんでございますが、低額所得者のための低家賃住宅であるという公営住宅の趣旨、性格からいたしまして、公営住宅の入居者の位置については、一般の借家の場合と異なりまして、一定の制限を設けることは必要やむを得ないと存じます。収入超過者の中には相当高額者の方もあり、引き続き入居している者も相当数にのぼっている現状でございます。これは、一方では住宅に困窮する多数の低額所得者が公営住宅に入居を待ち望んでおられる著しい現象を見ますときに、公平を欠くものと私は考えます。したがいまして、この際、公営住宅本来の性格を明確にし、住宅に困窮する低額所得者により多くの入居の機会を与えるため、高額所得者に明け渡しを請求することができるようにすべきであると考える次第であります。
 なお、明け渡しを求める高額所得者には、公団住宅等への入居のあっせんなどについて特段の配慮をすることとしております。この制度は、特に入居者に不安を与えるものではないと考えるのであります。
 次に、建てかえ事業は、幾棟かの中高層住宅を順次建設していくものであります。建てかえ事業により建設された住宅に直接に入居できる場合が多く、また、近くの公営住宅に住んでもらうこととしており、通常、仮り住居として、仮設住宅を建設することは少ないので、当面、仮り住居の設置費についての補助は行ないませんが、事業の実施状況を見ました上で、十分検討したいと考えている次第であります。
 以上お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#47
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 まず、予算の問題でありますが、住宅対策費に国がほんとうに取り組んだのは、昭和四十一年度からかと思います。一方において五カ年計画を打ち出す。それに伴いまして、予算、また財政投融資等におきまして、飛躍的なここで手当てをするということになったわけでありまするが、自来、引き続いて住宅対策費は増強されまして、ことしは、一般会計のほうは七百九十四億円でありますが、財政投融資におきまして四千二百六十億円、また、地方債におきまして六百九十八億円、合計すると五千七百五十二億円という巨額の経費がここに投入されておるわけなんです。これを前年度に比べますると、二一・七%の増加であり、特に一般会計の七百九十四億円というものは、その伸び率が一三・三%でありますが、これは、あとで申し上げます融資への切りかえが、これがもしなかったとしまするならば、実に三四%の増加ということに相当するのであります。かなり住宅対策には意を用いている予算となっております。
 それで、特に公営住宅の用地買収費、これを一般会計から出さないことにして、融資に振りかえたのはけしからぬじゃないかという話でありますが、これは、もし一般会計からだけの補給でこの公営住宅の土地買収をやるというと、これは限られていることは、皆さん、減税をせい、減税をせいとうるさく言われるのであります。いろいろな、社会保障の要請等もあるわけであります。そういう、あれもこれも、何もこれもやるわけにいかない。そういうようなことから、やはり土地買収、用地買収の金額、スケールが制限をされるということになるのを憂えまして、特に融資制度に切りかえ、利子補給をやって、一般会計、一般財源を使ったのと同じ効果を発揮させようと、こういうことを考えた次第でありまして、これによって、初めて大量建設の道が開かれるのであって、これが阻害原因になるというふうには考えておりません。
 他の問題につきましては、建設大臣からお答えいたしたとおりであります。(拍手)
   〔国務大臣野田武夫君登壇、拍手〕
#48
○国務大臣(野田武夫君) 御指摘になりました公営住宅用地費の起債に切りかえた点でございますが、この公営住宅用地の今度の起債額は、大体二百八十六億円を計上いたしております。これは、四十三年度は五十九億円でございましたから、二百二十七億円の大幅な増加となっておるのでございます。この額はかねてから超過負担問題の一つとして論議されておりましたもので、公営住宅用地についてその所要額を起債に切りかえたと、しかも大幅な起債を認めたと、こういうことからいたしますと、今後の公営住宅建設には、プラスにこそなりますが、決して支障はないものと存じておるのでございます。(拍手)
#49
○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後一時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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