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#1
第061回国会 本会議 第19号
昭和四十四年四月十八日(金曜日)
   午前十時四十四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十号
  昭和四十四年四月十八日
   午前十時開議
 第一 緊急質問の件
 第二 自然公園法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 第三 首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整
  備のための国の財政上の特別措置に関する法
  律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 都市再開発法案(内閣提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、緊急質問の件。
 西田信一君から、岡山大学における警察官殉職事件と学園紛争に関する緊急質問、大和与一君から、緊迫する極東情勢に関する緊急質問が提出されております。
 両君の緊急質問を行なうことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。順次発言を許します。西田信一君。
   〔西田信一君登壇、拍手〕
#6
○西田信一君 私は、自由民主党を代表いたしまして、去る四月十二日、岡山大学学長の告発に基づく学内暴力傷害事件の学内検証、捜査の公務執行中、岡山県警、有本宏巡査が、学生の投石を頭に受け、ついに殉職された痛ましい悲しむべき不祥事件、並びに大学紛争をめぐって日に増し激化する最近の学生暴力について、佐藤総理並びに関係各大臣に対し緊急質問を行なおうとするものであります。
 質問に入るに先立ち、私は、狂暴なる学生暴力のためにとうとき一命を失われた前途有為の有本宏巡査の痛ましい犠牲に対し、深く哀悼の意を表し、心からその御冥福を祈りたいと存じます。
 昨年九月の日大紛争における西条巡査部長の殉職事件に引き続き、わずか半年の間に二件に及ぶこのような不祥事件を惹起いたしましたことは遺憾しごくであります。法治国家において、このような事態の発生は絶対に許さるべきではありません。(拍手)特に理性と良識の府であるべき大学において、繰り返しこのような不祥事態が生じたことについて、総理大臣はどのように考えておられるか、まず、その所信を承りたいと存じます。
 私は、文部大臣から本事件の経緯とその事実について報告を求めるとともに、その真相についてお尋ねをいたしたい。
 岡山大学では、一部教官は、学園の秩序維持にき然たる態度をとらないのみならず、正常化への警察官の協力に反対し、あるいはまた、「警官に守られた入試に協力できない」、かくのごとき声明をも行なっておるというが、これが事実であるのかどうか。これが事実であるとするならば、このような教官の姿勢が学生の暴力を横行させ、今次事件発生の原因をなしていると思うが、文部大臣はどう見ておられるか、お聞きをいたしたい。
 言うまでもなく、国立大学は、人材の養成と学問研究のため、国民の血税からなるところの多額の国費によって設置されているものでありまして、東大のごときは、その額、実に一日八千万円に及んでおるのであります。これら国立大学に国の給与を受けて勤務しておる教官の中に、近時容認しがたい言動をなす者が増加している事実を指摘しなければなりません。京大井上教授は、反代々木全学連に激励文を送っておる。あるいはまた、革命的暴力学生集団に向かって激励演説を行ない、最近は京大に反体制講座を開設しておるという。のみならず、事件発生後の岡山大学において暴力学生を扇動する行動があったと報ぜられております。また、井上九大教授は、テレビを通し、あるいは天下の公器たる報道機関を通して、公然と政府に挑戦し、徹底的に文部大臣と戦うことを国民に向かって宣言をし、はなはだしきに至っては、「警察は大学の敵である」と、驚くべき言動をあえていたしておるのであります。いやしくも国立大学教官の国家組織の破壊を目的とするかかる言動が放任されて差しつかえないものかどうか。なぜ、文部大臣は、厳然としてかかる教官を罷免できないのか、その理由を承りたいのであります。
 捜査当局は、今回の警官死亡事件を殺人事件として扱っており、荒木国家公安委員長は閣議において、「かかる凶器を持った殺人的人物が学生として取り扱われていることに疑問がある」、このように発言されております。日大における西条巡査部長を死に至らしめた学生をはじめ、刑事事件に問われて起訴された数百に及ぶ多数の学生に対しても、いまだ大学当局の処分が行なわれたという事実は聞いておりません。文部大臣は一体これをどのように受けとめておられるのか。さらには、暴力学生が不法なる施設の破壊を行ない、国家にばく大な損害を及ぼしておるこれらに対するところの賠償責任は一体どうなっておるのか、明確に文部大臣からお答えを願いたい。
 次に、法務大臣に伺います。
 学生暴力事件の処理状況はどうなっておるか、西条巡査部長致死事件容疑者の審理状況は一体どうなっているのか。さらにまた、今回の有本事件の捜査の方針、近時、人民裁判にまで発展をしておる過激な学生集団暴力の横行に対する今後の対策等について、法務大臣と国家公安委員長の所見をお聞きいたしたいと思う。
 岡山大学の事件は、単に同大学のみの特殊な問題ではありません。現在わが国の大学紛争の共通の基盤に立つところの問題として理解しなければならないと考えられるが、文部大臣は、大学紛争のよって来たる基本的な原因及びその背景について、どのようにその実態を把握されておるか、お聞きをいたしたい。さらにまた、今次の事件について、大学当局に対して具体的にいかなる措置をとられたのか、今後の対策とあわせてお答えをいただきたいのであります。
 思うに、大学紛争そのもののよって来たる原因の究明、大学制度の根本的な改革等につきましては、慎重、周到な答弁を要するといたしましても、いやしくも、わが国の最高学府たる大学において、過激な学生の暴力行為が横行し、これに対し大学当局が何ら責任ある措置を講じようとしない今日の事態というものは、何としても異常であります。一般国民の間に、文部当局は大学に対して寛容に過ぎるのではないか、指導監督が手ぬるいのではないか、などの疑問を抱くものが多いのであります。また、今日の事態を招いた責任の一半は、文部当局の優柔不断にあるとの手きびしい批判の声さえあがっております。ゲバ棒をかつぐ学生の集団行動が公然と街頭において行なわれて、これが放任されておることについても、治安上国民は割り切れないものを感じており、わが国の民主主義と国家存立の基盤そのものを危くするのではないかと憂慮されるのでありますが、理由のいかんを問わず、このような暴力行為は早急に根絶させねばならないと考えるが、総理大臣の確固たる所信を承りたいと思います。
 さらに、この問題と関連して、せっかく入学試験を実施して新入生を迎え入れながら、入学式に乱入して妨害が行なわれ、さらに暴力学生の施設占拠等によって新学期の授業開始のめどすら立っておらない。しかも、何らなすところなく新入生に自宅待機を命じている大学が数十校にも及んでおります。善良なる学生就学の権利を奪い、父兄並びに社会に重大な不安を与えていることは放置できない問題であると私は思う。文部省はいかなる措置を講ずるつもりか、この問題についても明確にお答えいただきたいのであります。
 大学紛争は、学内から学外における政治闘争に発展しつつある。騒乱罪の適用を見るに至った新宿事件をはじめ、集団暴力行動は次々とエスカレートしつつあります。彼ら全員がヘルメット、軍手に身を固めて、その用いる凶器も、角材、石塊、鉄棒、鉄やり、火炎びん、劇薬、爆薬など、ますます兵器的な要素を加えて、大学を占拠する革命闘争は社会的秩序にまっこうから挑戦し、その戦術はますます強烈先鋭の度を加えております。
 さらに、ここに注目をしなければならないことは、個別的学園紛争から全国の大学を結ぶところの集団的闘争に移行しつつあることであります。来たる四・二八沖繩記念日を中心として全学連、労働者、高校生を結合する大規模かつ同時多発的な騒乱計画が立てられており、さらに外相の訪米阻止、ASPAC粉砕、首相の訪米阻止等、一九七〇年を目ざし、ますます活発化の様相を濃くいたしているのであります。治安当局はこのような情報をどのように把握されておるか、お答えを願いたい。
 長期化し、かつ激化する暴力学生集団の多額の資金源は一体どこに求められておるのか。今後これら国家組織の破壊をねらうところの過激派学生の暴力に対してどのような方針で臨まんとしておるのか、法務大臣、国家公安委員長の所信を承りたいと思います。
 次に、一昨年の第一次羽田事件以来、学園内外における学生の暴力行動による警察官の負傷者はおびただしい数にのぼっております。治安出動の状況、負傷者の数、重傷による入院加療の警察官、あるいは後遺症のため職場復帰不能の警察官、これらはどういう状況にあるのか。これら負傷者に対する見舞い、家族の援護等は一体どのように行なわれておるのか。また、殉職警察官に対する弔慰、褒賞、遺族補償などは遺憾なき措置がとられておるかどうか、国家公安委員長からお答えを願いたいと思う。
 国民の生命財産を守り、社会秩序維持の任務を有するところの警察官にこのようなおびただしい負傷者や犠牲者を出しておる反面、大学当局みずからが紛争を処理しようとする自覚と責任感を欠いて、かえって警察を敵視する言動すら行なわれておる。このことは、国政の任に当たるところのわれわれといたしましても、まことに申しわけのないところである。このようなことにより、警察官全体の士気に影響を与えることがあっては由々しい問題であると思うが、その心配はないのか。佐藤総理大臣並びに国家公安委員長からお答えを願いたいのであります。
 最後に、総理の決意のほどをお聞きいたしたい。
 いまや最も急を要することは、いかにして大学の管理体制を確立し、破壊的集団暴力を排除して学園の秩序を回復し、すみやかに国民の信頼と期待にこたえるかということであります。もはや政府は、重大な決意をもって対処しなければならない段階に来ておると思う。法と秩序の維持とを重大政策とするニクソン米大統領は、去る三月二十三日、学園の暴力排除に関して重大声明を行ないましたが、その内容は、学園の秩序維持に対し、裁判所、大学当局のき然たる態度を要請するとともに、不法学生については、除籍を含む厳正なる処分の実施を求めるものであって、目下米十八州においてそれぞれ立法措置が講ぜられておるのであります。現下わが国内の現状にかんがみ、国家将来を思うとき、政治の最高責任者たる佐藤総理大臣の責任は重いと思う。佐藤総理大臣の強いリーダーシップと決断が強く望まれるところでありますが、はたしてどのような佐藤総理の決意があるのか、具体的措置をどのようにとられようとしておるのか、国民の前に決意を明らかにされんことを希望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(佐藤榮作君) 答弁に入りますに先立ちまして、有本警部補の殉職につきまして、心から哀悼の意を表し、御遺族に対しましてお見舞いを申し上げる次第でございます。
 昨日も衆議院におきまして申し述べたとおり、大学構内における学問の自由とは全く無縁の暴力が横行し、しかもそれが長期間放置されてきたところに問題の根源があります。私は、民主主義体制を維持することは国民すべての願いであることを確信し、き然として暴力はきびしく排撃する、そうして社会秩序を守り抜く決意であります。
 現在の大学は、一般社会と切り離してこれを考えることは許されません。大学も教師も学生も、それ相応に社会に対して責任を負っており、何人もその責任を免れることはできないのであります。学生だからといって無軌道な暴力を放任することは、やがてわれわれの血と汗の結晶である民主主義国家を根底からくつがえす結果となりかねないのであります。国民各位はこの点をしっかりと認識され、それぞれの分野で暴力を否定する、排撃するその機運を盛り上げていただきたいと念願いたしております。政府は、当然、その責任におきまして、治安の維持にあたりましては、尽くすべきを尽くし、社会不安を一掃して、国民各位の期待にこたえる決意であります。
 大学は、本来、学問をするところであって、暴力とは無縁なところであります。その大学におきまして暴力事件が発生した場合、これを取り締まるのは警察の本来の任務であります。今回の有本警部補の殉職事件によりまして、第一線の警察官は、民主主義を守り抜くというその職責の重大さについての自覚を新たにし、その士気はますます高揚していると聞いております。国民の皆さまも御安心をいただきたいと思います。大学当局者は、その管理責任を全うするために常に警察当局と緊密な連絡をとり、学園の秩序維持に積極的に全力をあげていただきたいと思います。私は、他のいかなる手段を用いましても、民主主義社会にまさる理想社会を達成することは不可能であると確信いたしております。この信念のもと、政治の最高責任者としての責任を遂行する決意であります。
 現在の学園紛争は、大学が急激な社会の変化に対応できなかったということもありますが、同時にあらゆる既成の秩序を否定する破壊主義、暴力主義がこれに乗じて全国各地の学園紛争をリードしているところに混迷の原因があります。しかも、管理者がこれを放任しているところに、ますます事態を重大化し、悪化させていると、かように考えます。もとより学校制度は、国家百年の計を定めるものであり、進歩する社会に対応し得るよう、慎重に改革をはかっていかなければなりませんが、学園の秩序維持という問題は、学園の自治とともに学校当局者の本来の責任であり、義務であります。そこに学園の自治もあるのでありますから、少なくとも学園を、まずあるべき姿に取り戻すよう努力することが、何よりも肝心であります。どんなりっぱな制度、法令をつくりましても、これを守る気持ちがなければ、仏つくって魂入れずのことわざどおり、教育は文字どおり形骸化することにもなりましょう。学校当局、教師、学生、これが一体となって、学校を学問をする場に戻すことにつきましては最善の努力を払い、しかる後に、何ができて何ができないのかということを見きわめる必要があります。いたずらに政府の介入を忌避したり、おそれたり、そら頼みしたりしては、ほんとうの教育の再建ができるとは私は思いません。もとより民族の将来にとって一番大切なこの問題に対し、政府もまたただ手をこまねいて傍観することは許さるべきではありません。今後積極的に適宜適切に、必要な措置はとりますが、もう一度、国民各位に対して現在の学園紛争問題を、自分自身の問題として真剣に考えていただくよう心からお願いいたすものであります。私は、今日当面する政治課題でこのくらい重大な課題はない、かように思い、ただいまこれが対策に心を砕いておる次第でございます。皆さまの御協力をこの上ともお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(坂田道太君) 岡山大学におきまして、学生の暴力によりまして、とうとい人命を失うようなまことに不幸な事態を惹起しましたことに対しまして、文部大臣として責任を痛感するとともに、故有本警部補並びに御遺族に対しまして心からおわびを申し上げる次第でございます。
 この岡山大学における経緯でございますが、岡山大学では、昨年九月以来、校内での学生逮捕事件に端を発し、道路上にバリケードを構築、全学授業放棄、施設の占拠、封鎖など、紛争が続いておりましたが、本年に至りまして、一部学生により、二月十五日学生課長、二月二十五日教養部教官に対する集団暴行傷害事件が発生をいたしました。岡山大学長は、三月三十一日、二つの暴行傷害事件について学生十数名を告発をいたしました。四月の十二日早朝から岡山県警は告発に伴う強制捜査を実施をいたしましたが、学生約百五十人は警官隊に激しく投石をして執行を妨害いたしました。その際、学生の投石により警察官多数が負傷をし、そのうち、有本巡査が頭部に直撃を受けて重傷を負い、同夜死亡されたわけでございます。
 この背景でございますが、大学といたしましても、また国民といたしましても、受験者といたしましても、非常に大事な入試を実施いたします際に、岡山大学におきましては、これに対しまして、警察官に守られるような入試は協力をできないという声明を発表いたしたことは、御案内のとおりでございます。警官に守られなければやれないようなそういう大学自体が自主性を失っておるにもかかわらず、そういう国民的責任、大学人としての責任というものを果たさないで、そうしてそのような非協力の態度を示すというようなこういう考え方の教官が大学人の中におるというところにも問題があるわけでございまして、いわゆる警察官アレルギーで大学の教官がこのような入試実施に非協力の態度をとるということは、私は許されないことだと思うのでございます。今回の事件は、このような警察アレルギーの影響から、大学当局が学内の暴力行為にき然たる態度を示さず、長期間これを放置していたことに根本原因があると私は考えるのでございまして、このようなことが起こらないように十分今後とも強い指導をいたしてまいりたいと存じております。すでにこのことにつきまして、岡山大学に対しても勧告をいたしておるわけでございます。
 また、両井上教授の暴力学生を支援する言動についてのお尋ねでございますが、しばしば私はこの参議院におきましても申し上げておりまするように、国立大学の教官が、学生の暴力行為を容認し支援するがごとき言動を行なうということが伝えられておるわけでございまするが、これはまことに遺憾なことでございます。これらの行為が、しかしながら国家公務員法等の法令に触れるかどうかは、人事院等の関係機関とも協議をして、さらに検討をいたしておるところでございますが、少なくとも、これらの法令の精神から、国家公務員として、また、教育者として妥当な言動ではないと考えております。
 国立大学の教官の懲戒等の処分につきましては、教育公務員特例法の定めるところに従いまして、大学管理機関がこれを審査することになっておるが、大学当局に対しましては、文部大臣として、適切な措置をとるよう、十分指導強化をしてまいりたいと思っております。しかし、教育者としてあるいは大学の管理者として、あるいは国家公務員として、国民に対する奉仕、全体の奉仕者であるべき人が、法令に触れないならば何でもやってよろしいかというところに、私は、問題があると思うのでございまして、最高学府の教官たる者は、むしろ一般社会市民よりも高いモラルというものが要求をされ、それが前提となって、今日のような教育公務員特例法上の恩典があると思うのでございます。しかるに、このような恩典を忘れまして、一般市民社会において、通常常識では考えられないような言動、行動をするということ、ここにこそ今日の学生問題の真因があるのであると、私は思うわけでございます。(拍手)このことは、やはり広く一般国民自体の御協力を願いまして、国民の常識をもってやはり批判をするということこそ、私は、教官にき然たる態度を取り戻させ、あるいは良識を取り戻させ、そうして大学管理に対しましても、き然たる態度をとることができるようになろうかと思う次第でございます。
 大学は、教育上必要があると認めるときは、教育の手段として、学生の懲戒処分を行なうべきことは当然でございます。特に大学の内外を問わず、秩序を乱した学生に対しましては、大学は、これらの学生を教育するという社会的責任からも、その学生としての責任をきびしく追及し、必要な懲戒処分を行なうべきであると考えます。従来、ともすれば大学が学生の暴力をおそれるあまり、処分の実施をちゅうちょし、あるいは適正を欠き、そのことが学生の暴力行為をさらに激化させる一因ともなっていることにかんがみまして、今後大学が必要な処分を厳正、かつ的確に行なうよう、各大学に対し、強く指導してまいりたいと思います。
 なお、岡山大学におきましては、今回の事件に関し、厳正な処分を行なう決意を表明しております。また、東京教育大学におきましては、自治会の委員長と副委員長とを無期停学の処分にいたしましたことも、あわせて御報告申し上げておきます。
 現在の大学紛争のよって来たる基本的な原因につきましては、ただいま総理大臣からお答えになったとおりでございますが、今日、学生数あるいは量が拡大し、あるいは質的にも変化し、学生の意識が変化し、あるいはこれに対して大学当局が対応できなくなった、社会的要請に対してこたえられなくなってきた、るるございますけれども、やはり何と申しましても、一部狂暴な、暴力でもって自分たちの政治的主張を貫こうとする、そして大学を拠点としてこれを行なう、こういう野望を持つ学生によって、今日の紛争がエスカレートしているというふうに認めざるを得ないのでございます。したがいまして、これに対しましては、ただいま申しましたように、まず第一に、大学人みずからが、き然たる態度でもって、この国民的課題にこたえるということが、私は第一だと思うのでございます。なまぬるいというおしかりも、当然私も甘受いたしまするけれども、しかし私は、やはり大学というところは、どこどこまでも権力的なやり方でなくて、やはり自主的なやり方を待つというととが第一義かと思うのでございます。しかし、どうしても第一義的な、そういうような自主的期待にこたえ得ないような状態に至った場合におきましては、何らかの強い措置をとらざるを得ないことを申し上げておきたいと思う次第でございます。
 入試を実施し、新入生を迎えながら、暴力学生の占拠等によって、授業再開の見通しを持たず、自宅待機をしている学校についてのお尋ねでございますが、許可をしたまま授業開始がおくれておる大学は相当数ございますが、新入生を自宅待機等の形だけで放置しておくことは、単に授業がおくれるばかりではございません。新入生にさまざまな悪影響が及ぶことも考えられますし、父兄等に非常に不安な気持ちを与えるのでございますから、文部省といたしましては、さきに、七日行なわれました学長会議におきましても、一日も早く紛争解決をし、教育を正常化し、そしてやはり文部当局とともに、秩序回復をはかり、かつ教育の正常化にき然たる態度でもって臨んでもらいたいことを、強く指導、説示いたした次第でございます。
 こういうぐあいに、学生の投石により機動隊員の死を招き、あるいは自衛官の入試を拒否する、あるいは大阪教育大学等に見られるように柏原課長の人民裁判みたいなことをやる、あるいは国有財産の破壊、たとえば、東大のごときは、これは四億五千万円以上も損壊する、あるいは東京教育大学がもう長い間授業を行なわない。こういう事実は、結局、何が原因かというならば、大学人の暴力に対するき然たる態度の欠除と言っても過言ではないと、私は思うのでございまして、大学は、先ほども申し上げましたように、本来理性の府として、それにふさわしいモラールのゆえに、その自治が社会的に認められてきたわけであります。しかし、いま、みずからは理性の府からすべり落ちていながら、大学の自主性尊重を叫んでおるのです。大学の自主性は大学人の社会的責任を伴って初めて主張できるものであり、上記の諸事実から考えまして、はたして大学人が暴力学生に対する規制、大学の運営について、その社会的責任を果たしておるかどうか。私は、これにつきまして、今日まであらゆる機会を使って指導、助言をしてまいりましたけれども、国民の期待、あるいは国民に対する私の責任が、もしどうしてもこの指導、助言というようなことによって果たせない場合におきましては、ある程度の強い措置を考えざるを得ないことを申し上げて、御答弁にいたしたいと思う次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣西郷吉之助君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(西郷吉之助君) お尋ねの第一点でございますが、学生暴力事件の処理状況についてお答え申し上げますが、検察庁におきまして、本年一月以降現在まで発生いたしました学生暴力事件の処理状況は、検察庁で受理をいたしました学生総数は二千百十一名でございまして、それに対しまして勾留請求をいたした学生数は千五百六十五名でございます。なお、このうち勾留の容認されたものは千百八十七名と相なっております。なお、今日まで処分済みの学生の総数は千四十八名でございまして、その内訳は、起訴されました学生は六百九十二名、家庭裁判所に送りました者百五十四名、不起訴と相なりました者二百二名でございます。なお、そのほかに現在捜査中の学生の総数は千六十三名の多きに達しております。
 次に、西条巡査部長致死事件容疑の審理状況という御質問でございますが、これに対しましては、東京地検においても、西条巡査部長の殉職事件につきまして、警察と協力いたしまして、警察から送られてまいりました被疑者十名の送致を受けまして、捜査の結果、そのうち九名を公務執行妨害並びに傷害致死で東京地裁の公判を請求いたしておりまして、なお少年一名を東京家裁に送致いたしております。なお、公判請求いたしました九名につきましては、目下東京地裁で審理中でございまするが、そのうち一名の被告については分離いたしまして、去る四月四日懲役二年六カ月執行猶予二年の判決を受けております。
 第三点といたしまして、有本事件の捜査の方針いかんという問題でございまするが、この事件はきわめて重大な事件であると思います。検察庁におきましても警察と緊密な協力のもとに、全力をあげまして本件の捜査処理に当たっておりまして、現在岡山地検におきまして公安係検事を長といたし、そのほかに専属の六名の検事をこれに配置、さらに検察事務官十三名をもちまして岡山大学事件特別処理班を編成いたしまして、万全を期する体制で現在努力しております。
 次に、お尋ねの最近の学生集団暴力の横行に対する今後の対策いかんという点でございまするが、ただいま文部大臣もいろいろお述べになりましたが、最近各地におきまして学生による集団暴力事件が相次いで起こりましたことはまことに遺憾しごくに存じます。いま文部大臣も言われましたが、このような学生による暴力を徹底的に排除いたすためには、いろいろ問題があると思いますけれども、かような学生による集団暴力が大学という特殊の地点に根拠を置いてやっておりますので、私は、この際、学生暴力集団の排除のためには、その大学当局がき然たる態度をもって臨むことが一番大事ではないかと考えております。法務当局といたしましても、これらの集団学生暴力事件に対しまして鋭意努力をしてまいっておりまするが、今後ともこの学生集団暴力に対しましては、暴力絶対排除の見地から強い態度をもってこれに臨む所存でございます。
 次には、いわゆる四・二八沖繩闘争を中心としての学生の集団暴力活動に対する情報はどうかという点でございますが、御指摘のように、最近の暴力集団はますます激しくなり、かなりの資金を擁しておると思うのでございまするが、この四・二八沖繩闘争に関する情報ももちろんつかんでおりまするが、その他多数の情報がございますけれども、なお現在の情勢では、その情報もきわめて流動的でございますので、今後さらに的確なる情報をつかみまして、万全を期してまいりたいという考えでございます。
 さらに暴力学生集団においては多額の資金を使っておるが、その資金源はどうかというお尋ねでございまするが、いわゆる暴力学生集団の資金源につきましては、彼らの団体内部におきましても極秘にするというような慎重な態度でございまするから、的確にその全貌をつかむことはきわめて困難ではございまするが、その中で、おおむねその団体加盟の加盟費あるいは機関誌等の出版物の売り上げ代金、あるいはその他各種のカンパが大体の基本財源のようでございまするが、最近におきましては、個人または特殊の団体からの支援、寄付等も仰いでおるような傾向が強く見受けられるのであります。
 さらにお尋ねの、この過激学生の暴力に対してどういう方針で臨むかという点でございまするが、これらの多数の各地に起こっておりまする学生による暴力行動に対しましては、まことに遺憾しごくであり、法務当局といたしましては、法秩序維持の立場から、今後ともかような過激な学生暴力集団に対しましては、この鎮圧のために全力をあげてまいりたい所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えを申し上げます前に、私もまた治安当局の責任者といたしまして、前途有為な有本警部補の殉職に対しまして、まことに残念しごく、惜しい人をなくしたと、つつしんで冥福を祈り、さらにまた、全国各界から寄せられました御同情に対しまして、この席を拝借して厚く御礼を申し上げます。
 すでに総理大臣その他からお答えがございまして、重複する部分もございますから、なるべく重複を避けまして、治安当局の立場からお答えを申し上げさせていただきます。
 まず第一に、今度の岡山大学事件の背景、原因ないしはそれに対する対策、総理から総括的にすでにお話がございましたが、私の立場に立ちましてお答えを申し上げさせていただきます。岡山大学におきましては、昨年九月十七日より過激派学生によるバリケード封鎖が行なわれており、その後、これらの学生の暴行は、次第にエスカレートしていたのであります。そのため、卒業式も中止のやむなきに至ったばかりじゃなく、今年二月十五日には学生課長が、また三月二十五日には教養部長事務取扱が、暴力学生によって暴行を受けるという事案まで発生したのでございます。したがって、大学当局もようやく、三月三十一日に至りまして、これら教職員に対する暴力事案についての告発を赤木学長名で行ない、岡山県警察ではこの告発に基づきまして、逮捕状、捜索差押令状、検証令状を得まして、去る四月十二日、学内の強制捜査を実施したのでございます。
 御存じのとおり、有本警部補の殉職事案は、この強制捜査を妨害しようとした暴力学生の投石によって引き起こされたものでありまして、このような事態となりました原因につきましては、いろいろな問題が伏在しておることは、申し上げるまでもないところでございますが、当面特に重要な原因としましては、すでにお話も出ましたように、この際指摘される問題といたしまして、大学の自治や学問の自由と何のかかわりもない、しかも有害な過激派学生の暴力を長期間放任してきた岡山大学に限らず、全国のあまたの大学当局の姿勢であると考えるのであります。すなわち国立、公立の大学について申せば、「官吏又は公吏は、その職務を行なうことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」という刑事訴訟法第二百三十九条が公務員に課しておりますところの告発の義務をすら履行しないでまいっておるのであります。国民からその管理を付託された大学施設が、暴力学生によって不当、不法に占拠されても、それを排除して国民に対する責任を果たそうともしない。さらにまた、警察官等に当たったならば死に至るであろうという殺人的な投石その他の暴力行為をあえてした学生の処分もしないままに、これらの暴力学生を放任してきたということでございます。このような大学当局の姿勢が、過激派学生の暴力行為をエスカレートさせたところの最も重要な原因の一つであると存ずるのであります。したがいまして、この種事件についての今後の対策としましては、最も必要だと思いますことは、これまたすでにお話は出ましたが、全国の各大学当局が大学管理者としてなすべきこと、つまり犯罪の告発、学内における不法占拠等に対する退去命令等の措置、警察活動に対するアレルギー症をなくした立場からの協力、暴力学生に対する処分等の諸措置を的確に行なってもらうことによりまして、暴力排除についてのき然たる態度を示してもらうということであります。そして同時に、総理のすでに答えられましたとおり、国民一般、各界各層におきましても、暴力許すまい、不法行為を許すまじという国民的信念を議会制民主主義の根底をつちかう意味において、もっともっと高めていただくという背景のもとに、警察の責任も行なわさしていただきたいと念願するものでございます。(拍手)
 なお、申すまでもないことでございますけれども、本来警察は、最高学府といわれる大学とは無関係であるべきものであります。何にも問題がないのに、のこのこ出ていくなどという警察権の越権行為は法律上許されない、あくまでも法の命ずるところに従いまして、法の範囲内において不法行為があるとしますならば、当然に大学といわず、大学の内外を問わず、あるいは町の問題にいたしましても、あらゆる不法行為に対しましては、あらかじめこれを予防し、あるいは制圧し、あるいは犯人を逮捕し、ということで国民生活を守り、大学を守るという立場であることは申し上げるまでもないことでございますが、とかく大学アレルギーなどということが、いかにも民主的な進歩的な発言であるがごとく誤認されているやにも懸念いたしますので、あえてこのことを蛇足ながら申し添えさせていただきたいと思います。
 第二番目には、今回の事件の捜査の方針、考え方、人民裁判まで発展している問題もあるようだが、そのことについてどう考えるか。このことについては、すでに法務大臣からもお話がございましたが、有本警部補殉職事件は、暴力学生の投石によりとうとい人命が失われたきわめて重大な事案でございますので、殺人事件として捜査いたしております。岡山警察では、当時現場にいた警察官、大学教職員、学生などの目撃者の取り調べや現場写真などの証拠の検討を行ない、県警の全力をあげて犯人を検挙すべく鋭意捜査を進めているところであります。
 また、先般の大阪の教育大学の問題につきましても同様人権がじゅうりんされ、自由に対する侵害的事案が起きておりますので、これに対しまして、刑事訴訟法の規定により、告発義務を課せられている教官からの告発もございませんけれども、捜査協力もむろん得られませんけれども、当初の捜査は難航したにもかかわらず、これについても警察の職責を果たすべく全力を尽くしておるということをお答え申し上げます。
 第三番目に、七〇年を目ざしまして活発化した様相を呈しておる、このような事案についての考え方、これは法務大臣から万々お答えがございましたから、重複を避けまして、お答えすることを省略さしていただきます。
 一昨年の第一次羽田事件以来の治安出動の状況等、負傷者、重傷者の入院加療その他の問題についてのお尋ねでございますが、第一次羽田事件から現在までに、警察が治安警備に出動した件数は、約一万九千件でございます。これに出動した警察官数は、延べ二百万名をこえておるのであります。このうち相手方の投石、角材、火炎びんなどによって負傷した警察官は、殉職者が二名、これを含みまして一万二百五名に及んでおります。(発言する者多し)
 さらに、このうち十一名は頭部の打撲、頸骨骨折などの重傷により、現在もなお入院中であります。
 なお、後遺症が残り、執行務に支障のある者につきましては、職場復帰訓練を施し、軽度の作業に配置がえをさせるなどの措置をとっておるのでありますが、今後さらに、このたび建設されることとなっておりますリハビリテーションの施設の運用とあわせて十分に配慮してまいる所存でございます。
 以上、重複を避けまして、私の関係する立場からお答えを申し上げる次第であります。(拍手)
#11
○議長(重宗雄三君) 大和与一君。
   〔「ちょっと待って……」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
    ―――――――――――――
#12
○議長(重宗雄三君) 大和与一君。
   〔大和与一君登壇、拍手〕
#13
○大和与一君 私は、日本社会党を代表しまして、米軍機撃墜を中心とした質問をいたします。ただいまは、政府並びに議長さんの不手ぎわによって、たいへん混乱をしましたが、私は、質問を少しくらい超過しても、議長さんも、総理も、文句を言う資格はないという確認をして、質問に入りたいと思います。
 私は、まず、外交の基本姿勢について、次に、核抑止力と安保体制について、次に、安保条約と事前協議について、詳しくお尋ねをいたしたいと思います。
 第一に、今日ただいま、最も重要なことは、かつて日本帝国主義は、中国民族主義を敵として敗れたという認識に立てば、直ちに、日中戦争状態の終結、日中国交回復による両民族の平和共存を考えることが、日本外交の第一義であると思う。これに反して、敗れたのは原爆のためで、中国には勝ったのだという認識に立てば、アメリカの核のかさの下にいさえすれば、中国の復讐から安全だと思うようになる。私は、日本国民の圧倒的多数の真実の声は、前者を賛成すると信じているが、佐藤総理の見解を承りたいのであります。
 第二に、佐藤総理は、核の抑止力が、日本の安全にとって絶対だとしているが、あとの質問によって明らかにするように、私は、それは間違いだと思っている。それよりも、いまからでもおそくないから、非核三原則を世界に宣言するために、国会ですみやかに議決することが、日本の平和と安全にとって、まずとらるべき第一の道だと思うが、いかがですか。
 第三に、今回の事件に関して、まだ真相が十分に判明していないのに、総理、外相は、朝鮮人民民主主義共和国の過剰防衛という意味の発言をしたが、さきに政府は、プエブロ事件のときには、何となく、アメリカの言い分だけを聞いて、公海上にありと勇み足をした経過がある。総理は、この発言を取り消すつもりはないか。アメリカが、常時日本を基地として、スパイ行為じみたことをしていることを、政府は認めておるのか。いかなる報復処置がなされるかと、国民は非常に不安におびえている。この行為に対して、アメリカと、情報収集その他のことについて、国民の不安を除くために、あらためて具体的に協議をする意思はないか。
 第四に、佐藤総理は、政府が非核三原則を政策として打ち出したことは、可能にする前提として、沖繩基地を含むアメリカの戦争抑止力が、アジアの平和と安全に有効に働くという保証があったからだと言ったが、私は、初めからアメリカの核抑止力を認めた上で、沖繩の返還について対米交渉を行なうというのでは、沖繩の復帰に対して、核抜き要求をできる筋合いも権利もないと思うが、首相はどうか。
 第五に、きょうだいである岸元首相のワシントンでの発言に対し、あわてて取り消した総理の腹を、私はこのように読んでいる。すなわち、十一月にニクソン大統領と会う、その取りきめた結果を条約や交換公文にすれば、国会の議決を必要とするので、共同声明として、運用上は、米国の要請によってはイエスのあることも認めたら、米国の主張であるとされている核潜在権――持ち込み配備自由と、沖繩からの自由発進も、事前協議のワク内で法的には処理できるのではないかと考えておるのではないかと思う。この予想が当たるかどうか、総理の見解を承りたいのであります。
 第六に、逆に総理の耳には痛いことばだが、アメリカは核の自由使用を認めなければ沖繩を返す意思は全くない。これを佐藤内閣がのめば、日本国内は騒然となって、佐藤内閣はつぶれる。だから、返還されないでこのままでも、佐藤内閣はつぶれるが、あとは保守党内閣が続くのだから、アメリカとしては痛くもかゆくもないという観測があるが、総理はいかにお考えになりますか。
 第七に、第四次防の技術研究開発の中で、予算措置として渡洋輸送師団の編成があげられている。また、空中レーダー基地、移動レーダー基地をつくるために、AEW機が電子機械を一ぱい積むことになっている。また、日本には、アメリカの通信基地が四十七カ所、自衛隊の基地が百十八カ所もある。国内のメーカーである明和産業では、PX1という輸出用の飛行機をつくる計画もある。そこでお尋ねするが、今回の軍用機の墜落でぴんとくることは、アメリカと一緒になって情報収集やスパイ行為的なことをやらせるのではないか、これをお尋ねをする。
 次に、国内では移動ということばが普通使われるが、渡洋とは一体どこまで出張するのか、範囲と、何をするか、内容を聞きたい。
 次に、近代戦のためのヘリボーン作戦のため、ヘリ空母の計画はどこまで進んでいるか、教えてもらいたい。
 次に、明和産業のPX1は武器の輸出ということで指導しているかどうか、返事をもらいたい。
 次に、通信基地の態様と機能を詳細に公開してもらいたい。これは防衛庁長官からもお願いしたいと思う。
 第八に、アメリカは少なくとも、中国あるいは他の社会主義国が必ず攻撃してくるという前提で、一貫して敵視政策をとってきたために、これに対応する軍備力の充実と核戦力の完全な配備をしているということは、総理もすなおに認めざるを得ないと思うが、いかがであるか。
 次に、核の抑止力についてお尋ねします。
 私は、核の抑止力が侵略の起こらなかった理由であるという政府の意見は間違いだと思っている。たとえば、ソビエトの核の開発が、初めのころは核の脅威が少なかった。一九五〇年代後半にはソビエトの核が大きくなってきたので、それ以来今日まで、アメリカの核抑止力があっても、もう日本の安全を保障するためには十分な条件でなくなったと思うが、総理の見解を承りたい。
 次に、キューバの事件は、核があるために危機になった。ソビエトの立場からすれば、日米六〇年安保の改定があったので、万一核戦争になったとしたら、日本国民は全滅し、当時でもアメリカの国民の三千万人以上を蒸発できた。私は、皮肉にも、核を十分に持っている両国が、核は絶対に使ってはならない、人間の命はとうとい、核ほどおそろしいものはない、できたら核はなくしたいと悟って、人間の知恵が戦争を回避させたと思う、核兵器の抑止力ではないと思うが、総理の見解を聞きたい。
 次に、この教訓は、一九七〇年代の米中関係にも全く同じことが言えると思う。アメリカが、いままでと同じように、中国に対する核抑止力政策を続ける限り、日本は安保体制を廃棄し、一切の軍事基地を撤去しない限り、日本の安全は絶対に保障されないということは、明快な論理だと思うが、総理の見解を承りたい。
 次に、沖繩が返還されて本土一本になったときに、アメリカにどんな形でも核の自由使用を許したならば、アメリカがソ連に要望したように、中国がのど元に突きつけられたあいくちを取り除いてくれとアメリカ並びに安保体制下の日本にも要求してくるだろう。そのときに総理は何と答えるか、見解を聞きたい。
 次に、中国は過去において核の開発をしたときに、中国から先に使うことは絶対にないと世界に宣言した。そのとき中国は、アメリカにも先に使わぬと宣言をしなさいと要求したが、アメリカは今日に至るまでその要求を拒否している事実がある。アメリカはなぜしないのか。日本は、アメリカにその宣言を迫って、確言を今日までなぜとらないのか。これでは、日本はみすみす戦争へのどろ沼にすでに一歩足を踏み込んでいることになるではないか。核兵器は抑止力ではなくて戦争挑発への兵器であると私は確信するが、総理の明快な答弁をお願いしたい。
 次に、仮説の一つは、もしアメリカが、ロストウ氏が実際にあり得ると言ったように、中国に核限定攻撃を加えた結果、中国の反撃があれば、日米安保体制下の日本列島は瞬間に蒸発してしまうというケースが考えられるが、それでもなおアメリカの核のかさの下の抑止力にたよっていさえすればよいと考えるのか。ぼつぼつ、私の話を聞いて、安保をやめたいという気持ちになってきたのではないか。総理の見解が承りたい。(拍手)
 次に、仮説の第二は、日本の安全保障が最大の危険におちいるのは、中国の核能力が日本列島を蒸発させる実力を持ったときである。すでに力があるかもしれない。この危険が実現する条件は、中国の長距離ミサイルがアメリカ本土に届き始めるか、潜水艦からのアメリカ本土へのミサイル攻撃の力を持ったときである。なぜならば、そのときにアメリカの軍関係者はいわゆる予防戦争を考えるのが常識である。いまのうちにたたいてしまえと考えるに違いないと思うが、総理の見解を承りたい。
 次に、以上、核抑止力が「へ」の突っぱりにもならぬことを明快に解説したつもりだが、私は政府に対して一つの考えを提示したい。日本から一切の核をいかなる理由があっても取り除く。自由使用も絶対にいけない。政府は、まず安保条約離脱の方向で日本の中立化に良心的に努力をする。条約廃棄の時期は、私は今日ただいま直ちに廃棄せよと強く要望するのだが、核抑止力の好きな総理といえども限界がある。その時期は、おそくとも米中関係がこのような核の勢力の均衡状態に近づく前でなければならない。これは絶対不可欠の大原則である。そうでなければ、一刻も早く日本社会党に政権を譲る以外に日本の平和と安全を守る道はないと確信をするが、総理の大胆な見解を承りたい。
 次に、事前協議についてお尋ねします。
 沖繩が日本に返れば、憲法、安保条約、事前協議体制も適用される。政府は米側の抵抗を予期してか、「別段の定めがない限り」と留保をつけている。私は事前協議の運用面での変質を考えている印象を持つが、どうであるか。
 次に、三木前外相は、軍米の装備、配置や作戦行動については米軍がイニシアチブをとるのは当然だが、第四条によって随時協議ができると言うが、私は、その随時協議はベトナム戦争以後、何べんいかなる内容の随時協議をしたか、結果はどうであったかを明らかにしてもらいたい。
 次に、事前協議にかかる事項で、日本の意思に反して行動する意図のないことを、岸・アイク共同コミュニケできめたが、私は、その中の「ウイッシェズ」ということばは、安保条約あるいは交換公文を上回って事前協議の内容を拘束するものではないと考えるが、いかがであるか。
 次に、アメリカの戦闘作戦行動はいかなる場合に事前協議の対象となるか明らかでない。私は、その判断基準を協議によってすみやかにきめるべきだと思う。これが事前協議の抜け道であり、基地内への立ち入り調査もできなければ、核があるかないかもわからない。これについての見解を承りたい。
 次に、事前協議は双方が必ず合意に達するとは限らない。不調のまま、一方の当事国が自己の権能を行使することもあるというのが国際通念であるといわれておる。私は、一九二八年の日ソ漁業交渉の実例を見ると、現在の日米事前協議のやり方もそのとおりだと思うが、どうであるか。
 次に、事前協議をしたときにノーと言えば強行しないかというと、なるべくしないという約束があるだけである。私は、緊急の場合に守られなくても条約違反にはならないというのが日本とアメリカ政府との一致した見解だと思うが、これはほんとうであるか。
 次に、核の持ち込みも万やむを得ない場合は、本土や沖繩に核の持ち込みはあり得るという観念が私は両国政府の意中に一致した見解としてあると思うが、これはどうであるか。
 次に、緊急事態のときに、事前協議をする時間は全くない、戦争宣言なき戦争のときに、軍事的に支配しているアメリカが事前協議をしないことは軍略のイロハである。私は、事後承諾はいままでも釈明ということばとしてあったし、また論理的にも、現在の事前協議の公文のもとでは必ずあると思うが、これに対する明快なる見解を承りたい。
 事前協議規定が「同意」の場合もあるとするなら、同規定の存在そのものが、第三国からすれば、米軍の行動に対する日本の意思参加と認められる。万一米軍の出撃が行なわれた場合には、日本は対外的に米国と共同責任を負わされ、明らかにその瞬間から、戦争あるいは宣言なき戦争に巻き込まれたことになると思うがいかがか。
 次に、事前協議の内容の大きな欠陥によって、戦争に巻き込まれるかもしれないという危険は、協議の仕組みや運用のしかただけではない。わが党はもちろん条約そのものを廃棄する強い主張を続けているが、一つには極東条項のあることが危険をより大きくしていると思う。私は、日本が米軍の出撃に同意しないということが事前協議の実質を確保するものであれば、極東条項そのものが存在理由を失ったことになると思うが、首相の見解を承りたい。
 次に、政府は、極東条項は、極東周辺が脅威にさらされる場合、米国が対処する範囲は、脅威の性質いかんであって、極東の区域には局限されないと言うが、私は脅威の判断をだれがするのか、軍隊を動かすアメリカだけが一方的に持っているのか。それでは戦争に巻き込まれる心配への歯どめは全くないので、攻撃する脅威がある。この判断をする協定を必ずアメリカと協議しなければならないと思うが、総理の見解を承りたい。
 次に、きょうまで事前協議は一度もなかったと言うが、たとえば、戦闘作戦行動とは、日本の基地を発進する瞬間までに命令を受けている場合しか事前協議の網にかからないという、飛び立ったら、新たに命令を受けて、どこに行って何をしようと自由だという、私はこのような抜け穴があったからこそ、事前協議の必要が実際上なかったのだと思う。このおそるべき抜け穴は、「別段の定めなき限り」という政府の留保意思をつながっており、戦争への危険を十分に内容としているので、この穴埋めのための協議を直ちにやると断言を総理はできるか、明快にしてもらいたい。
 次に、政府は、米軍の配置の重要な変更の中で、日本国内における配置の変更や日本からの移動、撤退は含まれず、原則として増強される場合だとしているが、私は、それでは沖繩を返還された場合、現在沖繩におる米軍の配置の変更、撤退については、アメリカと全く協議をされないのか、また、核抜き本土並みになった場合、どれくらいの軍事力を残すつもりか、そのことも全く協議をする必要もないのか。あるいはまた、日本の自衛隊の増強は何の目的で、どれくらい派遣することになるのか。これも具体的に明快にお答えをいただきたいと思う。
 最後に、総理が最も尊敬し信頼していた故吉田元首相は、憲法第九条をたてにとって、当時、米国の再軍備要求をはねつけた。りっぱな行為であった。その故知にならう決意で、核抑止力では日本の平和と安全が守られぬ。いな、むしろ戦争に巻き込まれる危険性が間違いなくあるのだから、ここで大悟一番して、真に国民を愛し、奉仕に徹する誠意があるのならば、日米安保条約を廃棄する勇断と不退転の決意を表明していただきたいのである。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 大和君は、緊迫する極東情勢に関する緊急質問ということで、わが国の安全保障問題を中心に御意見をまじえながら多くの問題を取り上げられました。御質問の多くは、すでに両院の予算委員会やあるいは本会議等でたびたびお答えしたところでございます。なるべく重複をしないようにお答えいたしたいと思います。しかし、特に重要な事項につきまして私が落とした点があれば、重ねてお尋ねをいただきたいと思います。私は、この問題はわが国の基本問題であると、かように考えますがゆえに、あるいはただいま申し上げるように、お尋ねに直接そのまま答えたものではないにいたしましても、基本問題は十分ひとつ理解していただきたいと思いますから、この点は重複いたしましてもお答えをいたすつもりであります。
 私が申し上げるまでもなく、わが国の外交の基本方針、これはもうたびたび――これこそたびたび申し上げて、よもやお忘れではないだろうと思います。これはいまの平和憲法のもとで、私どもはこれからはどこまでも隣あるいは各国それぞれの政治形態は違っておっても、いずれの国とも仲よくする、そのためにはお互いに主権を尊重することにしようじゃないか、こういうことでいわゆる善隣友好、平和外交を推進しておること、これは御承知のとおりだと思います。しかし、さような考え方を持ちましても、国が存在する以上、やはりその国の安全は考えていかなければなりません。そこで、日本の安全保障に対する考え方といたしまして、私どもは国力、国情に応じて自衛力を整備し、その足らざるところを日米安保条約によって補うということであります。この点は、社会党のいわゆる非武装中立論とは基本的に違っております。また、国際情勢に対する認識にいたしましても、私どもは、自由陣営の総合的な力がいわゆる東側の力を上回っているという現実が大戦争を抑止する結果となっているという判断に立っております。したがいまして、かような大前提、基礎条件が違っております社会党の方とどうも意見が一致しない。また、私どももたびたび申し上げたにかかわらず、重ねてかような機会にお尋ねがある。どうも私はその点をまことに残念に思っておる次第でございます。私どもは、日米安保体制は大きな戦争抑止力であり、わが国が戦争に巻き込まれるおそれのないことをしっかりと認識していただきたいのであります。この点は特に立場は違っておりましても、ぜひそうしてもらいたい。国民の選択、これが正しかったということは、今日まで私どもが平和に過ごしてきたこと、それからもおわかりだと思います。また、この事柄は、安保体制をとったということは、わが国民大多数からも支持されております。この点が、わが党がいつも選挙において大勝するゆえんであります。(拍手)
 次に、大和君は、米国、ソ連、中共の核の問題について触れられました。キューバ問題、米ソの核均衡、七〇年代の米中関係などを取り上げて、米中ソの谷間にある日本は非武装中立であることが最も安全なんだという論旨を展開されました。これは直接の御議論ではありませんが、論旨を展開されました。しかし、私はこの機会に思い起こしてもらいたいのは、故ケネディ大統領が一九六一年、最初の防衛特別教書で述べているとおり、軍備の主たる目的は、平和であって戦争ではない、軍備を使う必要が決して起こらないことを確実にすることであって、全面戦争と限定戦争、核戦争と通常戦争、大戦争と小戦争、それらの区別なく一切の戦争を抑止することにありますと、かように申しておりますが、私どもはやっぱり軍備はかような意味であるべきだと思っております。したがって、日米安保体制を堅持することこそ、冷厳な国際情勢に対処し、私どもが戦争に巻き込まれないそのゆえんだと、かように私は確信しております。
 沖繩問題について、岸元首相のワシントンにおける発言等を取り上げて、種々な角度からお尋ねがありました。沖繩につきましては、しばしばお答えしておりますが、返還後は、わが国の憲法が全面的に適用され、特別な取りきめをしない限り、安保条約もそのまま適用されるものと考えております。この点は委員会において、しばしばお答えしたことであります。特別な取りきめをするかどうかいうことにつきましては、基地の態様の問題と関連するのでありまして、目下研究中であって、まだ結論を出しておりません。したがいまして、幾多この点に関してのお尋ねがありましたが、それらにつきましては、沖繩の基地に関する限りまだ結論を出しておらぬので、その意味においてお答えのできないことを御了承をいただきたいと思います。しかし、この問題の取り組み方といたしましては、私は国民の支持を得、日米友好関係を維持発展さす、その方向で解決すべく米側と話し合いたいというのが私の基本的な考え方であり、また折衝をいたします私の態度ででもあります。
 沖繩返還後の沖繩の防衛の第一義的責任は、もとよりわが国の領土になるのでありますし、また、憲法がそのまま適用される、安保が適用される、こういうことから申しましても、わが国が第一義的な責任を負う。ただ暫定的には米軍の協力を得なければならない面も生ずることも考えられるのでありまして、こういう点が、まだまだ私がはっきりものごとをきめ得ない、具体的にきまっておらない点であります。したがいまして、渡米をいたしましたら、十分こういう点について意見の交換をし緊密な協議を遂げたい。そして私の先ほど申したような政治姿勢、そのもとにおいて解決の交渉を果たしたい、かように思っております。
 さらに、安保条約の事前協議を主としたお尋ねがありました。事前協議におきましては、ノーの場合もあり、イエスの場合もある。こういうことは岸内閣以来の歴代政府の一貫した態度であります。どのような場合にイエスと言うか、これはあくまでも、わが国の国益の面から政府が自主的に判断をしてきめることであります。事前協議の諾否の基準、岸・アイゼンハワー共同コミュニケとの関係等につきましては、その解釈及び取り扱いは岸内閣以来一貫して不変でございます。安保条約第四条に基づく随時協議に関しましては、政府は、従来から常時、米側と種々のレベルとルートによりまして、ひんぱん、かつ、緊密に協議しており、その経緯につき一つ一つ申し上げることはとうていできないことであります。
 米軍の戦闘作戦行動につきましてのお尋ねがありましたが、その典型的なものは戦闘任務を与えられた航空部隊、空挺部隊、上陸作戦部隊等の発進基地として施設・区域を使用する場合であります。いずれにせよ、米国が事前協議の趣旨に反するとは考えられません。これは条約違反であります。もし、事前協議しないでかってな発進行動をするとすれば、これは条約違反であります。したがいまして、さようなことは考えられない。これが私どもの態度でもあります。
 次に、あまりはっきりはお尋ねございませんでしたが、いまの、米軍偵察機が北朝鮮に撃墜された事件であります。この問題がただいまの全体の質問の中心をなす問題でございますから、これは一とおりお聞き取りをいただきたいと思います。
 政府は、この問題が平和的に処理されることを心から希望しております。遭難機の捜索状況等から見まして、撃墜された米軍機は米国政府の言明どおり、終始公海上において行動していたものと見られます。また、死体が発見されたともいわれておりますが、これまた公海上であります。かような公海上における偵察活動は、世界各国が行なっているところであり、このことから、伝えられる北鮮の行為に対する国際的非難は免れないものだと私は思います。また、大和君は、その瞬間から米国と北鮮は交戦状態に入ったのだから、米国に基地を提供しているわが国は戦争に巻き込まれるのだとして、危機感を特にあおられたのでございますが、国際政治の現実は、そう簡単なものではありません、昔ならばいざ知らず。また、今回の問題につきましては、米国も慎重でありますし、また、関係国もそれぞれが慎重に自重しておると、私かように思いますので、これは米国に対しまして賢明な処置を望むとともに、事憲の推移をわれわれも、何といいましても、やはり平静に慎重に見守るべきではないかと思います。この場所、ことに国会の本会議場におきまして、各種の意見が率直に述べられることはけっこうでありますが、ただいまの最も私どもも心配しておる事件でありますだけに、平静である、慎重である、それを私は野党の諸君にも望みます。重ねて申し上げますが、このようなことでわが国が戦争に巻き込まれるようなことは絶対にないと、かように私は確信しております。
 以上で大体お尋ねになりましたことは私お答えしたつもりでございますが、一つ核の自由使用の問題については、本土におけるいわゆる核三原則についてしばしば申し上げておりますから、いままでのところではもう誤解はないと思います。
 沖繩が返った場合にそれがどうなるかというお尋ねでありますが、それは先ほどお答えしたように、沖繩の基地の態様をまだきめておらないということであります。
 次に情報基地、いわゆるPX1の問題についてのお尋ねがありました。情報収集で日本はアメリカと共同的な動作をしているのではないか、こういうお尋ねであります。私どもは、いま、そこまで出かけてはおりません。日本海の奥地における情報活動などは日本はいたしておりません。ただ、日本自身は、日本の安全確保上当然必要な情報収集に努力しておる、これは職責上当然なことでありますから、その点は御理解をいただきたいと思います。
 また、PX1が通信機械かどうか、また武器かどうかというようなお話がありましたが、それについては私はよく存じませんから、またの機会に申し上げます。
 また、私はこの機会に重ねて申し上げますが、日本はどこにもいわゆる仮想敵国は持っておらない、このことをたびたび申し上げております。したがいまして、いまどこかから来る、日本が攻められる、そういうものはこれこれの国だと、かような仮想敵国はいま持っておらない。ただ、わが国の安全を確保する、どこからとはなしにある力がわが国に襲撃したら、それに対すると。この態度、これはひとつ御理解をいただきたいと思います。
 また、米ソ両国は核の威力を知っておるから、ただいまは大戦争を起こさないというその立場にございます。しかし、米ソ両国にいたしましても、核の拡散防止条約を締結しない国はフランス並びに中共、これはなかなかそれに加入しない。わが国ももちろんまだ態度をきめておりません。おりませんが、この二国には最初から相談されないといいますか、相談を拒絶しておる。そういうような状態にあることを考えて、私どももやはり安全確保について十分気をつけていかなきゃならぬ、かように私は思います。先ほどケネディ大統領が核兵器はもともと戦争するためのものじゃないと申しておりますから、中国自身が先に使わないと申しても、米国もやはり同じことを言っているのだと私は理解しております。したがって、これもお答えができたことだと思います。しかし、中国の反撃を受けるような危険がどうもあるから、安保があったらそんな反撃を受けるのだ、安保はやめろ、安保はやめたほうがいいじゃないか、この点を重ねて言われましたが、私は、安保の体制は堅持する、いままでもたびたび申し上げております。また、極東条項の削除、いわゆる安保の実体というものについて十分の御理解をいただいておらないようでありますが、これはもちろん私が申し上げるまでもなく、社会党の方は、日米安全保障条約には反対でありますから、そういう意味でこれを無力化しようとするいろいろの考え方からのお尋ねだと思います。私の尊敬する吉田さん、これはサンフランシスコ条約を締結されると同時に日米安全保障条約を締結された方であります。全責任を負って自分だけで署名して、そうして帰られたのであります。私はその後継者でございますから、ただいま安全保障条約はやめません。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣有田喜一君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(有田喜一君) 日本における米軍並びに自衛隊の通信機能と態様を明らかにせよと、こういうお尋ねでございますが、米軍の通信基地の機能及び態様は、一般的には、在日米軍の部隊相互間、それから極東における米軍部隊との間及び米本国との情報連絡業務等に使用されておる、かように考えられるのであります。わが自衛隊の通信基地は、言うまでもなく、陸、海、空各部隊間及びわが航空機、艦船等との間を指揮系統に従って情報連絡に従事いたしている、また、防空警戒管制組織を主軸といたしまして、レーダー設備等によって日本上空の防空警戒に必要な情報を得ておるのであります。なお、わが国と米軍とのその関係につきましては、防空管制所及び防空指令所に米軍から派遣されている連絡員がございます。これらの連絡員を通じて情報提供あるいは交換をやって、密接な連絡調整を行なっておるのであります。
 次に、四次防で渡洋輸送師団のことをどこまでやっていこうとしておるのか、こういうお尋ねであったのですが、御承知のとおり、現在はまだ第三次防の三年目に入ったばかりでありまして、第四次防の構想はまだできていないのです。渡洋輸送師団といわれることがよくわからないが、それが海上護衛能力というような意味であったならば、私どもも、わが日本は原材料、ことに大事な原油とか鉄鉱石、そういう原材料をほとんど海外に仰いでおりますから、海上輸送の円滑確保のためにその護衛能力の整備につとめつつありますが、将来も逐次その整備をはかりたいと思っております。しかし、それはあくまでも海上交通の確保の範囲を出るものでない、かように考えております。
 次に、さきの渡洋輸送師団については、先ほど申したとおりですが、AEW、あるいは通信基地によって自衛隊はアメリカと共同作戦をやろうと考えていないかということでありますが、それは先ほど総理もおっしゃいましたし、私も通信網のことについて申し上げましたとおり、互いに共同作戦をやろうというような系統にはなっていない。ただ、緊密な連携は安保条約の関係上とっておりますけれども、それが直ちに共同作戦行動に出るというようないまの段階ではないのです。
 なお、ヘリ空母の計画はどこまで進んでおるか、こういうお尋ねでありましたが、実はヘリ空母につきましては、第二次防の計画の段階におきまして検討されたことがあったことは事実であります。しかし、どうもヘリ空母では、わがほうとしては欠点があるというので、具体的にその計画に織り込むところまではいかなかった。そこで、現在の第三次防計画におきましては、 ヘリコプター搭載の護衛艦を整備する、こういうことで、いま進めつつある次第であります。
 最後に、PX1を輸出するとの話があるが、これは武器輸出にならないかというお尋ねでございましたが、PX1は、御承知のとおり、非常に高性能のものでありまして、アメリカ側もこれに注目しておるようでございますが、まだ具体的に輸出の話は起こっておらないのです。今後輸出が具体化したときのことを考えてみますれば、PX1が武器を装備した、いわゆる対潜哨戒機のままで輸出される場合は、いわゆる武器輸出に該当するものと考えられるのですが、武器を取りはずして、海難救助機として輸出されるような場合は、武器輸出とはならないものと考えられますが、いまのところは具体的に話が進んでおりませんので、私どもは、そういうような考え方でいまおることをお答え申し上げまして、私のお答えにかえる次第であります。(拍手)
   〔大和与一君発言の許可を求む〕
#16
○議長(重宗雄三君) 何ですか。
#17
○大和与一君 答弁漏れがあります。
#18
○議長(重宗雄三君) 御登壇願います。
   〔大和与一君登壇、拍手〕
#19
○大和与一君 二つお尋ねします。
 一つは、危機感を何か私があおっておるようなことをおっしゃいましたけれども、それは間違いで、国民がほんとうにあれだけのことが起こると、ほんとうに心配しているんです。ですから、私も兵隊の経験があるんだけれども、あれだけの事件が起こった場合に、日本は――あなたでなくて、アメリカは、それがまた反復してくるかわからぬですから、万全の態勢をとっておることはあたりまえです、兵隊としては。そうなると、今度はアメリカから言ってくる、日本にちょっと何をよこせということは当然起こる。いまそこにはまっちゃったんではないけれども、いま準備態勢――それは、そんなことは普通なことなんです。それがあるから、そんなことでばかっとはまってしまうという心配がある。それを私のほうに罪をなすりつけるというのは、あまり総理らしくないと思う。
 もう一つは、日本の民主主義が発展していないために、議場の多数決、これはわかります、選挙による多数決はわかります。しかし、日本の国の民族の運命、実に重大な問題についてはほんとうに国民が――あなた方多数によってあぐらをかいているけれども、それに全部従うんだ、そういうことにはなっていませんよ。もしそうだとするならば、憲法改正について、第九条について、あるいは沖繩返還について直ちに国民の民意を問うてごらんなさい。そのことをほんとうにやってから言いなさい。それをどうしてもやらんで、そうして国会だけは多いんだからと――それはもうロジックなんだ、そんなものは。だからそんなこと心配ない、国民は全部おれについてくるんだと――そんなことになっていないんだから、事、問題はきわめて国の運命を決する問題だから、そういううぬぼれは持たんで、それをやるなら、沖繩問題、憲法第九条改正についてちゃんと国民に総投票をやらせる、そういう決意があるか、いつやるか、その二つをお尋ねいたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(佐藤榮作君) 二つ落としたというようなことで、まことに相すまぬことです。この際、あらためてお答えをいたします。
 ただいま国民がこの米国の偵察機の撃墜事件について多大の関心を持っていること、これは毎日の新聞でも国民に大きく報道されてきている、最近にないことであります。したがいまして、これは御指摘になるまでもなく、たいへん心配な問題であると思っております。だからこそ私ども、先ほどお答えしたつもりでありますが、この問題では米国がさらにこれを発展させないようにと、こういう意味で米国の行動について注意すると同時に、私はどうか平静にものごとをひとつ考えてもらいたいということで、これは出先ではありませんが、お互いに報告も受けるが、同時にそういう意味の話し合いも実はしておるのであります。このことはこれからどんなに発展してまいりますか。しかし、これが大きく発展しないことをほんとうに心から願っております。これは何といいましても、三十一名の米軍の将校も兵隊も――そういうものがなくなった、これはたいへんなことであります。したがって、そういうものが激化しないようにと、かように実は私自身も心配しております。しかしこの際に、そういうことを申しましても、日本がどうこうできる問題でも実はない。ただ、日本自身がこういうことについて関心を示して、そうしてこれがやはり危機感を、まあ、みずからが騒ぐことによって危機感が去ればよろしいですけれども、こういうことがあればこそ平静で対処することが望ましいんだと、そういうことで、私は何度も平静だということをくどく申し上げました。これはひとつ御了承いただきたいと思います。
 次に、ただいまの、多数を持っている、多数の上にあぐらをかいているのが、これが自民党のいまの姿だと、かように言われる。もしもその多数をはっきり主張するなら憲法改正の時期や沖繩問題を明示しろと、こういうことでございますが、いままで私は憲法改正するということを申したことはございません。さようなことがありましたら、もう一度お尋ねをいただきますが、そういうことは私は申しておりません。私どもは過半数を得ておる。多数を持っておる。そこで日米安保条約を選んだことは国民の支持を得ておるゆえんでもあるのだ、そういうことを申したのであります。どうかその点は、もし誤解があれば誤解のないようにお願いをいたします。またこのこと、沖繩の返還の問題、それについて国民の世論を問えというお話でありますが、私は、いまさら国民の世論を問う必要があるかどうか、国民全部が、ただいま早期に日本に返ってくることを希望しているのじゃないかと思うのです。私はそういう意味でこの問題と取り組んでおる。そのためにただいま問題を紛糾さす、そういう意味で選挙に問うという筋のものじゃないと思います。それは政治家がそれぞれ適当なときには国民の意思を聞かなければならない場合もある。しかし、現在の段階で私はこの問題で国民の意思を問うということ、そういう考えは持っておりません。これはそのときにならないと申し上げるわけにいかない。御了承いただきたい。(拍手)
     ―――――・―――――
#21
○議長(重宗雄三君) 日程第二、自然公園法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長吉田忠三郎君。
   〔吉田忠三郎君登壇、拍手〕
#22
○吉田忠三郎君 ただいま議題となりました自然公園法の一部を改正する法律案の社会労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、国立公園と国定公園における海中の景観を保護するために、新たに海中公園地区を創設して、必要な規制を行なおうとするものであります。
 委員会におきましては、第一に、全般的な自然公園制度に関する今後の基本的方策、特に自然の開発利用と自然保護との調整策。第二には、自然公園整備のための財政的裏づけと管理体制の拡充。第三には、海中公園地区の指定基準と海中景観の保全施策。第四には、東海自然歩道計画の構想等を中心に質疑が行なわれました。
 質疑を終了し、別に討論もなく、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上報告いたします。(拍手)
#23
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#24
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#25
○議長(重宗雄三君) 日程第三、首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長内藤誉三郎君。
   〔内藤誉三郎君登壇、拍手〕
#26
○内藤誉三郎君 ただいま議題となりました首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
 本案は、わが国の産業経済等の面で、重要な位置を占める中部圏の、都市整備区域及び都市開発区域にかかる建設計画の円滑な推進をはかるため、首都圏及び近畿圏の場合に準じ、関係県に対する特別地方債の許可とその利子補給、関係市町村に対する国の負担割合の特例等について、財政上の特別措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、中部圏基本開発整備計画の概要、財政特別措置の効果、首都圏、近畿圏及び中部圏の整備計画等の実施のための事業計画の早期策定等について、熱心な質疑がありましたが、その詳細は、会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、発言もなく、採決の結果本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#27
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#28
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#29
○議長(重宗雄三君) 日程第四、都市再開発法案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。建設委員長岡三郎君。
   〔岡三郎君登壇、拍手〕
#30
○岡三郎君 ただいま議題となりました都市再開発法案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、第五十八回国会において審査未了となりました法律案に、住宅問題等若干の手直しを加えて、去る三月十七日に再度提案されたものであります。
 まず、本案のおもなる内容を申し上げます。
 第一に、市街地再開発事業は、建築物の容積及び建築面積の最低限度が定められた高度利用地区内において施行することができることとしております。
 第二に、市街地再開発事業に関する都市計画におきましては、公共施設の配置及び規模等に関する計画を定め、さらに、住宅不足の著しい地域においては、住宅建設の目標を定めなければならないこととしております。
 第三に、市街地再開発事業は、都市計画事業として施行することとし、その施行者は、市街地再開発組合、地方公共団体及び日本住宅公団としておりますが、市街地再開発組合につきましては、施行地区内の土地所有者及び借地権者の三分の二以上の同意を得た上、都道府県知事の認可を受けて設立することとしております。
 第四に、市街地再開発事業の手法は、権利変換計画の定めるところに従い、従前の土地及び建築物についての権利を新しい建築物と、その土地に関する権利に変換せしめつつ、建築物の共同・立体化と公共施設の整備をはかるものであります。
 なお、権利変換計画を定めるにあたっては、審査委員または市街地再開発審査会の議を経なければならないこと等、関係権利者の権利を保護することとしております。
 第五に、市街地再開発事業を促進する措置として、事業に必要な資金について国または地方公共団体は補助金の交付、資金の融資等の配慮をすることとし、施行者は公共設施の管理者に対して費用の負担を求めることができることとするほか、地方税法、租税特別措置法等の一部を改正し、本事業に対する課税上の特例を定めることとしております。
 本委員会におきましては、参考人から意見の聴取を行ない、また、佐藤総理の出席を求め、慎重な審査を重ねたのであります。
 質疑のおもなる点は、市街地再開発事業の施行に伴う私権の制限と憲法第二十九条との関係、都市再開発のあり方、従来の防災建築街区造成事業等の実績、土地所有者及び借地権者の三分の二以上の同意による市街地再開発組合の設立と、これに対する強制力付与の問題、権利変換に際しての弱小権利者の保護及び生活補償、本事業による住宅建設のあり方等でありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
 かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して沢田委員から反対、自由民主党を代表して山内委員から賛成、公明党を代表して宮崎委員、日本共産党を代表して春日委員から、それぞれ反対する旨の発言がありました。
 討論を終了し、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 続いて自由民主党の大森委員から、附帯決議案が提出され、採決の結果、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 附帯決議の内容は次のとおりであります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#31
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#32
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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