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#1
第061回国会 本会議 第22号
昭和四十四年五月九日(金曜日)
   午後三時六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十三号
  昭和四十四年五月九日
   午前十時開議
 第一 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避及び脱税の防止のための日本国とグレー
  ト・ブリテン及び北部アイルランド連合王国
  との間の条約の締結について承認を求めるの
  件
 第二 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避及び脱税の防止のための日本国とオースト
  ラリア連邦との間の協定の締結について承認
  を求めるの件
 第三 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避のための日本国とイタリア共和国との間の
  条約の締結について承認を求めるの件
 第四 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職
  員定数の標準に関する法律の一部を改正する
  法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第五 公職選挙法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
 第六 訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法
  律案(内閣提出、衆議院送付)
 第七 公衆電気通信法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第八 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第九 日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案
  (内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、日程第一より第九まで
 一、通行税法の一部を改正する法律案(内閣提
  出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。野坂参三君から病気のため十一日間請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(重宗雄三君) この際、国家公務員等の任命に関する件につき、おはかりいたします。内閣から、土地調整委員会委員長に谷口寛君、同委員に近藤武夫君を、
 運輸審議会委員に仲原善一君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#7
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、いずれも同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#8
○議長(重宗雄三君) 日程第一、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の条約の締結について承認を求めるの件。
 日程第二、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオーストラリア連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件。
 日程第三、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とイタリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件。
 以上三件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長山本利壽君。
   〔山本利壽君登壇、拍手〕
#10
○山本利壽君 ただいま議題となりました二重課税の回避のためのイギリスとの条約、オーストラリアとの協定及びイタリアとの条約につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。
 これらの条約は、わが国とイギリス、わが国とオーストラリア及びわが国とイタリアとの間で、相手国にある支店等の恒久的施設を通じて事業を行なう場合の利得に対する相手国の課税基準、船舶、航空機の運用利得に対する相手国の課税免除並びに配当、利子及び使用料に対する課税軽減等について取りきめるとともに、二重課税を排除する方法について規定したものでありまして、このうちイギリスとの条約は、イギリスの税制改正に伴い、現行条約に全面的改正を加えたものであります。
 委員会におきましては、これら三件に対し熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 五月八日、討論採決の結果、三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#11
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 三件全部を問題に供します。三件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#12
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、三件は承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#13
○議長(重宗雄三君) 日程第四、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教委員長久保勘一君。
   〔久保勘一君登壇、拍手〕
#14
○久保勘一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、義務教育諸学校の学級編制と教職員定数の標準について所要の改善を行ない、もって義務教育の水準の向上をはからんとするものであります。
 委員会におきましては、学級編制のあり方、教職員の職務の実態、養護教諭、事務職員等の充実、僻地教育、特殊教育、産炭地教育等につきまして、熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、討論もなく、採決の結果、本法案は多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#15
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#16
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#17
○議長(重宗雄三君) 日程第五、公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。公職選挙法改正に関する特別委員長中津井真君。
   〔中津井真君登壇、拍手〕
#18
○中津井真君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案について、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 選挙人名簿の登録については、住民基本台帳の記録に基づいて行なう制度を本年七月二十四日までに実施しなければならないことになっておりますが、この法律案は、そのため、選挙人名簿の登録を住民基本台帳に記録されている者で選挙権を有する者について行なうこととするとともに、登録の時期を、現行の年四回から、毎年一回九月の定時登録及び選挙時の臨時登録とし、別に補正登録の規定を設けるほか、登録の抹消手続の改正など登録方法の整備合理化をはかろうとするものであります。
 委員会においては、選挙権の有効適切な行使の確保に関して、運用上の諸問題について熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、岩間委員から反対意見が述べられ、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 続いて高橋委員から附帯決議案が提出され、全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上御報告をいたします。(拍手)
#19
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#20
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#21
○議長(重宗雄三君) 日程第六、訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長小平芳平君。
 〔小平芳平君登壇、拍手〕
#22
○小平芳平君 ただいま議題となりました訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案について、法務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
 本法律案は、最近における賃金及び物価の状況等を考慮して、民事訴訟及び刑事訴訟の証人、鑑定人等の日当の最高額を増加しようとするもので、当事者及び証人の日当については千二百円を千三百円に、また、鑑定人、国選弁護人の日当については千円を千百円にそれぞれ改めようとするものであります。なお、衆議院において施行期日を修正し、「昭和四十四年四月一日」を「公布の日から起算して七日を経過した日」に改められました。
 委員会においては、日当の性格と日当請求の実情、国選弁護人の報酬の支給基準、日当値上げの根拠、訴訟費用に関する法律の一本化等について熱心な質疑がありましたが、その詳細は、会議録によって御承知を願います。
 質疑を終わり、討論採決の結果、全会一致をもって本法律案は衆議院送付案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#23
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#24
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#25
○議長(重宗雄三君) 日程第七、公衆電気通信法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長永岡光治君。
   〔永岡光治君登壇、拍手〕
#26
○永岡光治君 ただいま議題となりました法律案の内容を申し上げますと、本案は、電話料金体系の適正化をはかるため、料金収入に影響のない範囲内において電話の基本料及び近距離の通話料を改定するとともに、集団電話を法定するなどの改正を行なおうとするものであります。
 まず、基本料につきましては、現在、料金の区分が十四段階に分かれているのを五段階に統合簡素化するとともに、料金の水準を引き上げ、大局小局間の料金格差を縮小することにいたしております。
 また、これによって生ずる増収の範囲内において近距離通話料を安くすることとし、準市内通話料を引き下げるとともに、新たに、低い料金の近郊通話制度を設けようとするものであります。
 次に、現在、試行的に実施されている農村集団自動電話及び集合自動電話を新たに集団電話として法定し、その提供条件等を定めることとしております。
 このほか、本案には、公衆電話の市内通話を三分で打ち切ることなどの改正が含まれておりますが、改正法の施行期日は本年十月一日となっております。
 逓信委員会におきましては、政府並びに日本電信電話公社当局に対し、基本料改定の理由、積滞電話の解消、第四次五カ年計画遂行の見通し、市町村合併の進展に伴う市内通話区域の統合拡大等について質疑を行ない、慎重審議をいたしましたが、その詳細につきましては、会議録により御承知願いたいと存じます。
 かくて質疑を終局し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本案は多数をもって衆議院送付案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 次いで、日本社会党の鈴木強委員より本案に対する附帯決議案が提出されましたが、採決の結果、全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#27
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#28
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#29
○議長(重宗雄三君) 日程第八、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案。
 日程第九、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案。
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長岡本悟君。
   〔岡本悟君登壇、拍手〕
#31
○岡本悟君 ただいま議題となりました国鉄関係二法案につきまして、運輸委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
 これらの法案は、いずれも、現在危機に瀕している国鉄の財政を再建するために提案されたものでありまして、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案は、普通旅客運賃の基本賃金率をおおむね一五%引き上げるとともに、旅客運賃の等級を廃止する等の改正を行ない、これによりおよそ一〇%程度の増収をはかろうとするものであります。
 また、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案は、国鉄をして、将来とも国民経済及び国民生活におけるその使命を遂行させるため、近代的経営体制を確立しつつ、昭和五十三年度までに損益計算上黒字に転ずることを目標として、国鉄財政の再建を促進することとし、このために必要な政府の基本方針及びこれに基づく国鉄の再建基本計画並びに国のとるべき援助措置等について定めようとするものであります。
 委員会におきましては、二法案を一括議題とし、終始慎重に審議を重ねましたが、その間、地方行政委員会、大蔵委員会、物価等対策特別委員会及び産業公害及び交通対策特別委員会と連合審査を行ない、また、公聴会を開催して広く識者の意見を聴取するほか、審議の参考に資するため、過密及び過疎地帯における国鉄輸送の実情を視察いたしました。
 二法案に関する質疑のおもなものは、国鉄財政の破綻の原因、国鉄財政再建の基本方針と基本計画の内容、国鉄財政再建の見通し、運賃値上げの物価に及ぼす影響、国鉄経営における公共性と企業性との関連、公共負担に対する政府の財政援助の拡大、国鉄経営の合理化方策、特に赤字線対策、要員対策及び増収対策、わが国の総合交通政策樹立の必要性、運賃法改正案と通行税法改正案との関係等の諸点でありますが、その詳細につきましては、会議録により御承知願いたいと存じます。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党木村委員、公明党三木委員、民主社会党中村委員及び第二院クラブ市川委員よりそれぞれ反対の旨の、また自由民主党谷口委員より賛成の旨の討論が行なわれました。
 以上で討論を終わり、二法案について採択の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 また、瀬谷委員から提出されました国鉄財政の再建促進にあたって遺憾なきを期すべき旨の各党共同の附帯決議案は、全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上御報告を申し上げます。(拍手)
#32
○議長(重宗雄三君) 両案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。瀬谷英行君。
   〔瀬谷英行君登壇、拍手〕
#33
○瀬谷英行君 私は、日本社会党を代表して、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案に対し、反対の討論を行ないます。
 両法案提案理由の説明によれば、国鉄財政が昭和三十九年度以来大幅な欠損を続け、昭和四十三年度においては、定期運賃の改定を行なったにもかかわらず、なお一千四百億に及ぶ欠損が見込まれ、このまま推移すれば、遠からず破局的な状態に立ち至るであろうことを指摘しております。
 要するに、赤字が累増する一方だから運賃を上げなければならないと述べているのであります。しかしながら、この二法案が提案されて以来、衆参両院の審議を通じて明らかになったことは、国鉄の赤字が決して単純な収支のアンバランスによるものではないということであります。赤字の原因は借金政策であり、輸送力増強、サービス改善等のための費用の大部分を借金でまかない、その額が今日二兆円を突破するに至ったということであります。借り入れ金が二兆円をこえ、利子を含めた返済額が一日七億二千万円では、いかに企業努力を積み重ねたところで財政が立ち行かなくなることは当然であります。しかも、この借金が、国鉄に課せられた国家的要請にこたえるためのやむを得ないものであることを政府も国鉄当局も重々承知の上とあれば、国鉄財政の破局的状態はいまになって気づいたことではなく、すでに前々から十分に計算されていたということになります。これでは国鉄の財政構造は、初めから底に穴をあけてあるたると同様であって、どんなに一生懸命水をくみ込んでも絶対にたまらないようになっているのであります。今回の値上げ案による国鉄の予定増収は九百十億でありましたが、四十四年度の国鉄予算では、見込み収入が実に一兆一千億に達しております。この中で、借金の利子だけでも一千五百億を払うことになっておりますから、もしも利子の分だけたな上げをすれば、運賃値上げをしなくとも六百億のつりがくる計算になります。逆に国鉄の借金をそのままにしておけば、雪だるま式にふくれ上がり、やがては、毎年のように運賃の大幅な値上げを繰り返さなければならなくなります。これは火を見るよりも明らかであります。このように国鉄財政の赤字の原因はきわめてはっきりしており、財政再建の道は、借金政策をずるずる続けるのか、区切りをつけるのか、どちらを選ぶかにかかっております。
 ところが、政府の考えた今回の処置は、なるほど従来に比較をすれば、幾ぶんの前進であることを認めるのにやぶさかではありませんが、しかし、しょせんは借金政策にその場しのぎのわずかな手当てを施したにすぎず、問題の根本的解決には全くほど遠いと言わなければなりません。たるの底の穴にちり紙をまるめて、一時のせんをした程度で、これは水漏れを完全に防ぐことはむずかしいのであります。国民は、現在国鉄に多くの期待と注文を持っております。安全で、正確迅速な輸送機関としての使命を果たすことが望まれております。
 政府は、今回の国会審議の席上、しばしば運賃値上げを正当化する論法として、利用者に負担してもらうことを強調いたしました。われわれもその原則を否定するものではありませんが、それならば、国鉄の公共負担をどうするかという問題、地方の赤字線の問題は、なおさら政府が責任を持って処理すべきではないかと思うものであります。
 国鉄の公共負担の中には、通勤通学をはじめ、身体障害者、戦没者遺族、勤労青少年割引、戦傷病者等の旅客関係から、新聞雑誌輸送、貨物輸送に至るまで多岐にわたっております。米、麦、野菜、雑穀、魚等の農産物、海産物から、日用品、木材、鉄材、肥料等を数えるならば、連休を利用して汽車に乗る人だけが国鉄利用者とは言いがたく、国民全体が利用者になっているとみなしても差しつかえないと思うのであります。多岐にわたる公共負担と独立採算制を両立させることは、だれが考えても至難のわざであり、財界から総裁を迎えたから解決できるものではありません。これは言うなれば、高利貸しから金を借りて慈善事業を継続するにひとしいことでありますが、こんなことができることかできないことか、この辺で、政府並びに自民党諸氏も十分反省をしてしかるべきではないかと思うのであります。国鉄は民間企業ではありません。したがって、政府が金を貸して、高い利息を取り立てるというようなことは、まことに不可解なことでありまして、これは親が子供に学資を出して、そのせがれから利息を取り立てようとしているのと同じことであります。(拍手)
 今回の二法案提案の政府の考え方が、国鉄財政の帳じりを合わせるためのきわめて消極的な一時しのぎのもので、これでは国民の期待にこたえることはできないことをわれわれは指摘し、社会党は、日本国有鉄道の鉄道施設の整備に関する特別措置法案を提案をいたしました。残念ながら政府・自民党のいれるところとならず、衆議院の強行採決の際にうやむやにされてしまったことは、返す返すも残念であります。
 しかし、われわれは、日の目を見ることができなかったとはいえ、あくまでも社会党提案の妥当性を強く訴えたいと思います。いま国鉄をしてその本来の任務を遂行させることが、国民経済上いままで以上に必要であるとするならば、経営の安定と将来の発展が期待できる内外の条件を整備するための基本的な施策が実行に移される必要があります。
 そのためには、第一に、鉄道施設の整備であります。国鉄の受け持つべき輸送分野は主として都市間の旅客輸送、中長距離大量貨物輸送及び通勤輸送でありますが、国鉄の現状はいずれもその責任を果たすことが困難であり、計画的整備が急がれます。そうして非能率な幹線及び亜幹線の輸送力増強をはかることが物資の円滑な流通や地域開発等のためにも必要であります。また、国鉄の貨物輸送は、経済の発展、自動車の急激な普及等、時代に即応する輸送力増強、近代化に取り残され、本来国鉄が果たすべき役割りを果たし得ないのであります。
 次に、通勤輸送の増強があげられます。都市における路面交通の渋滞を緩和し、通勤地獄を解消するために、都市高速鉄道の建設促進を含む鉄道輸送力の増強は、今日特に急を要し、国鉄の果たすべき役割りは大なるものがあります。
 通勤輸送の問題は、国鉄のみならず私鉄、公営交通等を問わず国民生活にとって重要な日常問題となっております。したがって、企業の採算ベースのワク内で処理することは不可能であることは明白であり、道路政策と同様の熱意を持って政府が助成すべきものと考えます。
 以上の鉄道施設整備事業を昭和四十四年度以降七カ年間に実施しようとすれば、二兆八千億の経費を要しますが、その三分の一相当額を政府が助成するとしても九千三百億を要する程度であります。
 次に、以上のような諸政策を円滑に遂行するためにも、国鉄の長期負債に対する利子負担の軽減措置を必要といたします。国鉄が本来の任務を果たし得る形態になるまでは、既往の債務について政府関係のものは利子相当額、その他一般のものについても年利五分をこえる相当額を政府が助成するならば、財政面からの再建を促進することは十分可能であります。
 以上の考え方を骨子とした代案をわれわれは用意したのでありますが、運賃問題について付言をさせていただくならば、われわれの主張する財政再建は、運賃値上げ等を含む運賃制度の改正を考えておりません。なぜならば、今日、国鉄経営悪化の原因の大きなものは、すでに述べましたとおり、無責任、無計画な借金政策であり、戦後、経済復興のため資産を食いつぶしてきたことと、独立採算制のワク内での公共負担であります。底に穴のあいたたるに水をくみ、高利貸しから金を借りて慈善事業を営むにひとしい向こう見ずの経営であります。したがって、今日、利用者である国民大衆に、運賃値上げという形で避けられない負担をしいることは、どう考えても公正妥当なものではありません。(拍手)
 また、物価安定が至上命令であるにもかかわらず、一向にこれが実行できない政府が、みずからの手によってさらに物価上昇の導火線に点火しようとすることは、国民に対する大きな背反行為と言わなければなりません。時に今回のように、旅客運賃のみを機械的に引き上げ、貨物運賃の赤字分まで旅客に負担させることは、政府がしばしば答弁していた利用者負担の方針にもみずから反する結果となり、地域によっては私鉄よりはるかに高い運賃が出現することとなります。
 一昨日の新聞によれば、地下鉄東西線の貫通によって国電の利用者が大幅に移動したことが伝えられておりました。国民は安いか便利かで乗りものを選びます。値上げがそのまま増収にはつながらないわけであります。また、国鉄運賃が私鉄運賃を上回れば、私鉄運賃の引き上げも時間の問題と見るのが当然であり、物価の安定という庶民大衆のささやかな期待は間違いなく打ちくだかれるでありましょう。
 国民所得と税収の伸びは国民の汗とあぶらの結晶であります。国の動脈である国鉄が動脈硬化の症状を呈し、コレステロールの付着に悩んでおるとき、本来の使命を果たし得るよう有効な投資を行ない、治療に努力をすることに国民は決して反対をいたしません。特にこの動脈硬化は、明らかに政府自身の過去における不摂生が原因であります。責任は政府にあるのであります。
 昨日の運輸委員会における各党共同提案の附帯決議は、今回のようなその場しのぎの措置に甘んずることなく、すみやかに国土総合開発計画の構想に基づいた基本的交通政策の確立の急務を強調しております。そうして一刻も早く、通勤輸送の改善をはじめとする輸送力の増強、安全の確保に万遺憾なからしむるよう、国民の鉄道としての使命達成に、政府及び国鉄の積極的政策を強く要望し、私の討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○議長(重宗雄三君) 江藤智君。
   〔江藤智君登壇、拍手〕
#35
○江藤智君 私は、自由民主党を代表して、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案外一案につきまして賛成の討論をいたします。
 国鉄が、わが国交通の動脈であり、産業、経済、文化並びに国民生活に及ぼす影響のきわめて大なることは申し上げるまでもございません。しかるに、最近の国鉄の現状を見まするに、かつての国鉄の独占時代は去り、運賃収入は伸び悩み、一方、人件費の増高、資本経費の増加等によりその財政は著しく悪化し、昭和三十九年度以降連続五カ年赤字決算を続け、今年三月末には三千億円に近い累積赤字を生ずる見込みであります。
 このような事態に対処して政府は、さきに、国鉄財政再建推進会議を設け、抜本的な諸施策について検討をいたしました結果、同会議は、一つ、「国鉄みずからの徹底的な経営の能率化、合理化」二つ、「国及び地方公共団体の財政援助」三つ、「運賃改定」の三本の柱によって国鉄の再建をはかるべきであるとする意見書を提出したのであります。わが党におきましても、慎重に検討の結果、国鉄の公共性を十分考慮することを前提として、全面的にこれに賛成したのであります。けだし、経常的な国鉄運営から生ずる赤字まで税金で補てんすることは、企業の本質に反するものであります。したがって、まず国鉄が企業努力に徹するとともに、それでも足らない部分について最小限度の運賃値上げをすることは、まことにやむを得ぬところであります。さりとて、ばく大なる投資を要する通勤対策や、廃止困難な地方赤字線の経営等、公共的使命に対しましては、国あるいは地方公共団体がこれに協力すべきことも当然であります。すなわち、国、国鉄及び利用者が三位一体となって国鉄再建に当たるという基本的な考え方は、まことに適切であるとともに、この方針を立法化して、危殆に瀕している国鉄の財政再建にまっ正面から取り組まんとする政府の態度に対して賛意を表するものであります。
 今回の運賃法の改正は、貨物運賃には手をつけず、旅客運賃のみ平均一五%の値上げを行ない、運輸収入全体において約一〇%の増収をはからんとするものであります。これは過去三回の運賃改正中最も低率のものでありまして、改定後も、戦前に比し、貨物運賃は二四四倍、これは据え置きであります。旅客運賃は二六九倍となり、平均卸売り物価指数三八二倍に比し相当低位にあります。これは従来とも政府が消費者物価に対する影響を十分考慮した結果であり、この程度の運賃改正は、現状においては真にやむを得ぬものと存じます。
 次に、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案は、前述のごとく国鉄の財政再建をはかることを目的として立案されたもので、その内容は、再建期間を今年度より向こう十カ年間とし、その間に国鉄財政を漸次黒字に転向せしめることを目標としております。そのため、運輸大臣は、国鉄の財政再建に関する基本方針を定めて、閣議決定をとり、これを国鉄に提示し、国鉄はこれに基づいてその再建をはかることといたしております。これらのことは、従来、国鉄再建という難事業を、国鉄あるいは運輸省のみにまかせ過ぎたきらいがありましたことを改め、内閣全体が協力して国鉄再建の責任に当たることを明示したものであります。
 なお、本法は、国の財政援助として、現在国が有する債権約六千三百億円に対する利子を実質的にたな上げするとともに、工事経費に対し補助金を出す道を開いております。また、別途地方税法の一部改正により、現在国鉄が固定資産税に相当して、所在市町村に納めている納付金につきましても、一部その軽減措置をとることになりました。
 以上の諸施策は、従来、国の助成がきわめて少なかったことを思えば、まさに画期的な施策であると高く評価するものであります。(拍手)
 最後に、一、二要望を申し上げたいと思います。
 その第一は、国鉄は、今回の助成措置によって、その責務が一そう重大になったことを深く自覚し、決意を新たにしてその能率化、合理化に努力せられたいということであります。運賃改正によって利用者の協力を得、国の助成によって納税者の協力を受けます以上、国鉄もまた率先してこれにこたえなければならぬと思います。
 その第二は、合理化の実施にあたっては、利用者の犠牲は極力これを避けるよう努力されたいということであります。たとえば赤字線の道路輸送への転換は、当該線区の採算上の観点のみから行なうべきではなく、当該地域の実情、代替交通機関の状況等を慎重に考慮して、地元便益の確保に遺憾なきを期せられたいのであります。
 以上をもって私の賛成討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#36
○議長(重宗雄三君) 木村美智男君。
   〔木村美智男君登壇、拍手〕
#37
○木村美智男君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま議題となっております国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案並びに日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案に対し、重ねて反対の立場から討論を行なうものであります。
 まず、反対の理由を述べる前に、今回の国鉄運賃の値上げ法案は、今日の国民生活にとって最も重要な影響を持つ物価問題のかぎを握るものであるだけに、委員会審議は徹底して慎重審議をたてまえとしてきたにもかかわらず、佐藤総理が委員会に出席して、十分政府の基本的方針とその問題点の指摘に対して、直接耳を傾けるべきが政治姿勢としてきわめて大事な点ではなかったかと思うのであります。しかるに、わずか一時間程度しか出席をしなかったことはきわめて残念であり、総理並びに政府の反省を求めたいところであります。また、運輸委員会の審議継続中にもかかわらず、四月二十四日には、突如として与党議員から質疑打ち切りの動議が提出をされ、委員会審議が中断される事態が発生し混乱をしましたが、これは議会制民主主義を否定した政府・自民党の暴走であり、そのためにかえって議事運営の円滑を欠くことになったことは、きわめて遺憾であると思うのであります。この点何のための質疑打ち切り動議であったのか、通行税法との関係をもあわせ考え、今後のあり方を含めて与党の猛省を促す次第であります。
 次に、反対の理由を申し述べます。
 その第一は、国鉄運賃の値上げは、消費者米価と並んで他の物価値上げを刺激し、物価上昇ムードに一そうの拍車をかける大きな要因となる点であります。
 すなわち、国鉄運賃の値上げを認める以上、これと競合する私鉄、バス並びに三年来申請の出ているタクシー代の値上げを押えることがいかにむずかしいかということは、われわれの過去の経験によっても明らかであり、政府自身「公共料金は国鉄運賃を除き極力これを押える」と言明をしているが、はなはだ自信のない態度であり、いわんや国鉄運賃の値上げを口実に、一般の日用品、雑貨、食料品に至るまで値上げムードの中での便乗値上げを誘発することは間違いないのであります。これでは四十四年度の物価上昇を五%以内に押えるという政府の方針は、歯どめを失った車が坂道を下るにひとしく、国民の物価抑制に対する願望がかなえられない状況に立ち至ることは必至であります。本来、公共料金こそは、政府が関与するものであるだけに、税の自然増収が一兆二千億も見込まれる今年のような財政事情にあるときこそ、政府の財政措置によって一般的な物価の値上がりを押える有効な手だてができるにもかかわらず、あえて大衆課徴による運賃値上げという安易な道を選び、利用者たる国民の負担増加によって財源の調達をはかり、国鉄財政の再建をはかろうとすることは、まさしく政府主導型の物価値上げの典型ともいうべきものであって、今国会冒頭の佐藤総理の施政方針演説における「物価安定こそ佐藤内閣の最重点施策だ」といった政府の公約違反であり、自殺行為であって、国民を欺瞞するもはなはだしいと言わねばならないのであります。(拍手)
 反対理由の第二は、国鉄の赤字は決して運賃が安いから財政の危機に直面しているのではないという点であります。国鉄は、経済の成長に見合う輸送力の増強のために、毎年四千億円に及ぶ設備投資を行なっていますが、歴代の自民党政府は、国鉄に対して今日までほとんど見るべき財政援助を行なわず、もっぱら運賃収入と高利の借り入れ金によって、その経営をやらせてきたのであります。その結果、利子負担は、いまや年間千五百億円の巨額に達しているのであります。このように国鉄の赤字の主要な原因は、借金政策による資本費の負担の増大に基因している要素が大きいのであります。
 一方、政府は、公社、公団など政府関係法人に対しては、二兆円近い出資もしくは財政補助を行なっているにかかわらず、国鉄への出資はわずかに八十九億円、この二年間における補助は、孫利子を含めてわずかに百四十一億円にしかすぎないのであります。また、定期割引、農林物資の割引をはじめ、各種の過大な公共負担を背負わせ、本来国が行なうべき諸政策を国鉄に肩がわりをさせながら、財政的措置を全くやらなかった政府の怠慢によって、今日の赤字が累積されてきたのであります。したがって、今日の国鉄財政の危機を招いた主要な責任は佐藤自民党内閣にあると言っても過言ではないのであります。にもかかわらず、この責任を国民に転嫁し、運賃値上げという大衆収奪によってつじつまを合わせようとする不当性については、断じて了解できないからであります。(拍手)
 第三の反対理由は、諸外国の鉄道事情に徴しても、最近は、道路、航空機、モータリゼーションの進展に伴って、交通事情は著しく変化し、鉄道経営の多くはいずれも赤字となっているのであります。
 しかしながら、イギリス、フランス、西ドイツ等においては、その赤字の大半を政府の補給金によって処理しているのが実情であります。ところが、今回の国鉄財政再建十カ年計画によれば、三方一両損と称して、国民には運賃の値上げ、国鉄に対しては内部の合理化、政府は若干の財政支出を行なうことによって、一応形式的には三位一体のていさいをつくろってはいますが、実質的には運賃値上げによる増収を最重点とし、その負担割合は三・五対二対一となっておるのであります。この点、ひとりわが国鉄のみが政府補助を切り詰められ、そのしわ寄せを一般国民大衆や勤労者の負担に押しつけられており、この点からも政府の交通政策と交通問題に対する熱意を疑わざるを得ないのであります。
 反対理由の第四は、国鉄運賃の値上げはもとより、その波及効果としての物価上昇によってどの階層に最も生計費への影響を与えるものであるかについて、あまり重視をされていない点であります。
 多数の家族をかかえた低所得層、恩給や年金をたよりに短い老い先を細々と生活している人たち、通勤費の会社負担を受けられない中小零細企業に働く勤労者たち、あるいは生活保護世帯など、これらの人々に対して何らの救済措置もないままに、大の虫を生かすためには小の虫は犠牲になれという、血も涙もない官僚的な財政至上主義的なやり方に対して賛成できないのであります。
 反対理由の第五は、国鉄財政再建推進会議が示した十カ年計画は、総合的な交通政策の裏づけを持たないところに致命的な欠陥があります。
 しかも国鉄財政圧迫のネックとなっている公共性と独算制という矛盾した経営のあり方に何らのメスをも加えることなく、国鉄の公共負担の軽減のしかたについても、単に利用者負担すなわち安易な運賃値上げ方式に依存して、公共性のきわめて顕著な国民のための国鉄再建の視点を欠いているところに多くの問題があります。さらに、政府自身が社会経済発展計画の手直しを必至としているにもかかわらず、その更改もできないまま、不安定な展望のもとにお先まっ暗の十カ年計画を描いても、それは極言をすれば一片の机上プランにしかすぎないと思うのであります。事柄はきわめて具体的であり、国鉄財政の破局のよって来たる原因もまた明白であります。しかるに旧態依然たる借金政策と運賃値上げの方策によって、国民経済の発展が要請をする輸送力増強をなし遂げ、なおかつ財政再建を達成し得るかいなかは明白であります。今日の過密過疎の問題、都市化現象の急速な進展を思うとき、政府みずからが本腰を入れずして、はたして再建計画が実を結ぶかどうか、はなはだ疑わしいのであります。すなわち、国鉄財政再建促進特別措置法案によれば、国民経済の高度成長に対応する大動脈としての国鉄に対する近代化投資や、首都圏をはじめ大都市における通勤輸送力増強は、ひとり国鉄のみに背負わせて解決できる問題ではないにもかかわらず、政府はわずかに向こう十カ年間政府貸し付け資金の利子のたな上げと、利子補給の財政援助を行なうにすぎない状態であります。しかも運輸大臣の諮問機関である国鉄財政再建推進会議の意見書を受けた再建計画においては、今後四十八年と五十二年の二回にわたり運賃値上げを予定しているのでありますが、これでは相も変わらず旧来の大衆負担による財源確保のこそく的手段を一歩も出ないのであります。一方、地方ローカル線の廃止や小駅の取り扱い廃止を計画をし、国民へのサービスを切り下げる施策も計画されているのでありますが、このように一見抜本的な国鉄財政再建方策を樹立したかのごときスタイルを装いながら、基本的な問題はほとんど解決をされないまま、国民には運賃値上げとサービスの低下という措置をとり、国鉄に対しては、合理化という美名のもとに過大な企業努力を押しつけ、輸送機関に最も大事な安全の確保すら懸念をされるのであります。これで、はたして国鉄の財政再建が明るい展望のもとに実を結ぶに至るであろうか、はなはだ寒心にたえないのであります。
 私は、いまこそ政府は、ゆるぎなき経済社会発展計画を策定をし、それを基礎として、将来を見通した総合的交通政策を確立をし、日本社会党が提案をしております国鉄施設整備特別措置法案を骨子とする建設的かつ最も現実的な国鉄の財政再建と社会の進展、経済の高度成長に即応する施設整備を、運賃値上げによらず、国の責任による財政上の負担と援助によって断行する以外に、ほんとうの意味での国鉄の再建の道はないと確信をするものであります。
 以上の理由により、両法案に対して反対の立場を明らかにして私の討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#38
○議長(重宗雄三君) 三木忠雄君。
   〔三木忠雄君登壇、拍手〕
#39
○三木忠雄君 私は公明党を代表して、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案外一案に対し、反対の意見を表明するものであります。
 討論に入る前に、去る四月二十四日の参議院運輸委員会における委員長及び自民党理事による質疑の強行打ち切りについて、議会民主主義を守るためにも一言触れておかなければならないと思うのであります。
 わが党は、国鉄二法案が運輸委員会に付託された当初より、重要法案として特に慎重審議を主張し、委員長並びに与野党間の約束として、公党の信義を重んずる立場を貫き通してきたのであります。しかるに、衆議院の運輸委員会理事会及び四党国対委員長会談の申し合わせを一方的に踏みにじり、委員会において審議も十分に尽くさないまま強行採決を行ない、続いて参議院においても、またもやこのような暴挙を繰り返し、国民の心に政治不信の種をまた一つ植えつけてしまったことは、まことに遺憾にたえないのであります。与党の理不尽な態度に深い反省を求めるとともに、わが党は今後も議会民主主義を守り、国会の正常化と話し合いを期待する国民大衆の負託にこたえていかんとするものであります。
 さて、まず第一に、国鉄運賃法の改定は、佐藤内閣の物価政策の矛盾をさらけ出し、いよいよ内閣不信を招くことは必至であります。
 運賃そのものの上昇率もきわめて高く、平均一五%とはいうものの、これはあくまでも基本運賃の上昇率にすぎず、たとえば、大衆、特に都市生活者が最も多く利用する二十円区間は三十円となり、五〇%もの値上げであります。三十円区間は四十円となり、これまた三三%という大幅の値上げになるのであります。さらに定期代においては、昨年四月の改定以前から平均七〇%の値上げとなり、中にはここ数年足らずのうちに三倍から四倍近い値上げとなる区間もでき、通勤通学者や都市生活者は、実質的に五〇%から六〇%もの値上げを押しつけられ、不当に生活を圧迫されることになるのであります。また、総合原価主義のたてまえからはずされており、いわば独立した路線を走り、国鉄のドル箱とまでいわれる東海道新幹線のような大幅黒字線においても、運賃値上げをきめており、このような無謀な運賃改定は断じて認めるわけにはいかないのであります。
 次に、一般物価への影響についても深く憂慮するものであります。
 国鉄運賃は公共料金の王様といわれ、値上げが直接、間接に一般物価に波及していくことは火を見るよりも明らかであります。バス、タクシー、地下鉄等は便乗値上げをねらって、その動きはきわめて活発な上、一昨年十月から鉄道部門の経営悪化を理由に、大幅な値上げを申請している私鉄大手十四社には、政府みずからの手によって、値上げへの有力な口実を与えることになるのであります。すなわち、今回の値上げは、並行区間の従来の運賃格差をさらに大きくし、たとえば新宿―八王子間の定期運賃で比較するならば、国鉄は一カ月四千二百八十円と、実に千八百四十円も高くつくのであります。また、品川−横浜間は、国鉄が一カ月二千六百四十円に対して、京浜急行は一カ月千六百三十円と、千十円も格差が生じてくるのであります。運輸委員会においても、並行区間の料金問題についての政府の態度は、当然のことながら歯切れも悪く、経済企画庁長官は、便乗値上げを認めないとしながらも、運輸省は、すでに値上げを認めざるを得ないとの考えに立っておるともいわれており、運輸大臣は、「国鉄と私鉄料金の格差についてあくまでもバランスというものが必要ではないかという御意見は、私もそのとおりであると思う」とか、あるいはまた「物価に影響しない程度で別途検討する」などと発言をしており、これによっても明らかなように、私鉄運賃値上げ抑制は不可能であるということを示す以外の何ものでもありません。
 このように、自由経済の基本原則と政策上のジレンマにおちいった政府は、すみやかに総退陣すべきことを主張するものであります。こうした公通料金の一斉値上げは、消費者物価を〇・一%上昇させ、これに国鉄運賃の値上げ分を合算すると、〇・三%の物価上昇になると予想されるのであります。さらに、物価全体の輸送費の値上げへとはね返り、生鮮食料品を中心に、ほとんどすべての物価を引き上げることになるのであります。このような無謀な運賃改定は、断じて認めるわけにはいかないのであります。物価安定という国民の切なる願いは、常に佐藤内閣の手によってつぶされており、今回の値上げは、残念ながらまことに無謀な政策と言わざるを得ないのであります。
 次に、国鉄財政とその経営について申し上げるならば、政府の国鉄を含む総合輸送政策の欠除が、今日の国鉄の大幅な赤字の根本原因となっているのであります。
 すなわち、戦前はむろん、戦後しばらくの間、国鉄は中長距離の輸送と大都市の通勤通学輸送を独占した時代がありましたが、最近のモータリゼーションの発達は、鉄道輸送から自動車輸送へと大きく輸送革命が進行し、特に貨物輸送の分野における比率が大きく変化し、いままでの鉄道輸送の地位は次第に失なわれ、その結果、今日の国鉄は、旅客輸送が全体の四二%のシェアを保っているのに対し、貨物輸送は全体のやっと二四%を確保するにとどまっているのであります。この国鉄の輸送量の変転は、政府の総合輸送政策の欠除と、過去における近代化と合理化への投資不足がもたらしたものであり、これが今日の国鉄財政の悪化となってあらわれたのであります。
 この根本対策としては、何よりもまず、輸送機関の各分野での基盤を明らかにした総合政策を確立し、その中における国鉄の地位とその特性を十分に生かした中長距離輸送、高速幹線輸送、大都市通勤輸送を主体とする全国的輸送網を確立することであります。しかるに政府は、この総合交通輸送政策の確立なく、ただ運賃の値上げのみをもって国鉄の再建だけをもくろもうとすることは、みずからの無策無能を証明するものであり、国民大衆にその責任を転嫁し、何ら抜本的改正にならないのであります。たとえば政府は、今日まで国鉄に対して独立採算制をたてまえにさせ、かつ受益者負担の原則を振りかざし、何ら財政面での積極的な援助を講じなかったのであります。ヨーロッパ諸国の国鉄に対する財政援助額は、日本の二十倍から六十倍以上に達しているのであります。このように国鉄財政が悪化し、独立採算制がその限界を越えた原因は、国鉄自身の放漫経営はもとより、政府の総合交通輸送政策の欠除によって生じたことは明らかであります。しかるに政府並びに国鉄の財政政策に対し、わが党は終始一貫、国鉄四十七万職員の日夜の懸命なる国民へのサービス確保の努力を多としながらも、国鉄経営のあり方について、残念ながら幾つかの問題点を指摘せざるを得ないのであります。たとえば、昭和三十六年を初年度とする第二次五カ年計画は、内容的にも、計画の見通しについてもきわめて無理があったため、中途挫折を余儀なくされ、その結果、昭和三十九年、それまで続いてきた黒字がついに赤字に転落し、以降、第三次七カ年計画においても多額の設備投資を続け、今日では一兆数千億をこえる負債を背負い、民間企業であるならばとっくに破産しているはずであります。そのほか、国鉄の用地売買に見られる放漫でずさんな処分や、民衆駅の用地貸し付け契約の不当に安い貸し付け条件と駅ビル等の民間団体への高級幹部の天下り、さらに電力会社と国鉄が相互に電力を供給するときに見られる不平等な電力料金の処理等、われわれ国民にはどうしても納得できない点が数多くあるのであります。(拍手)
 以上、国鉄財政と政府の姿勢について幾つかの問題点に触れましたが、最後に、あの殺人的なラッシュ対策の確立や、さらに国鉄の資産の再評価等々、国鉄の一そうの企業努力を望むとともに、わが党がかねてより主張するように、国鉄に対する政府の大幅な財政援助によって、国民への過大なる負担をなくし、国鉄の再建をはかるよう強く政府に望み、私の反対の討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#40
○議長(重宗雄三君) 田渕哲也君。
   〔田渕哲也君登壇、拍手〕
#41
○田渕哲也君 私は、民主社会党を代表して、現在上程されております国鉄二法案に対し、反対の討論を行なうものであります。
 反対の理由のまず第一は、国鉄運賃の値上げが物価の上昇に及ぼす影響が大きいことであります。
 今日、国民生活に最も大きな脅威を与えている問題は、物価高であることは言うまでもありません。しかも、最近の物価上昇の中心的な役割りを果たしているのが、政府みずからその価格を決定できる公共料金であり、政府主導型物価上昇といわれるゆえんもここにあります。このような情勢の中で、ここにまた国鉄運賃を引き上げようとするのは、まさに暴挙と言うほかはなく、政府の物価抑制に対する熱意を疑わざるを得ないのであります。なるほど国鉄運賃の値上げによる消費者物価の上昇率はわずか〇・二%で、微々たるものだと言われるかもしれません。しかし、国鉄運賃の値上げを待ちかまえて、私鉄、バス、タクシー等の値上げ要求はメジロ押しに並んでおります。しかも、その実情を調べてみると、国鉄以上にその必要性が存在するものも少なくないのであります。政府は、国鉄のみ例外的に値上げを認め、他は極力抑制すると繰り返し答弁しておりますが、私は、国鉄運賃を上げておきながら、私鉄、バス、タクシー等の値上げを認めないのは、片手落ちもはなはだしいし、また、現実にその抑制は困難であり、近い将来上げざるを得なくなると判断するものであります。そして、国鉄運賃の値上げが連鎖的に他へ波及し、次々と物価が上がっていくことは明白であります。国有企業であり、政府資金をもって援助し得る国鉄こそ、他の何よりも、その値上げを押え得る立場にあるにかかわらず、率先してこれを上げようとするのは、何としても理解しがたいことであります。
 反対の第二の理由は、国鉄運賃の値上げを含む国鉄再建計画は全くずさんであり、国民の納得できないものであることです。
 今日の国鉄を財政面から見ますと、過去の累積赤字は二千七百億円にも達し、建設投資のための借り入れ金も二兆円をこえております。そのための支払い利息は年額一千五百億円にも達し、運賃収入の六分の一に当たるという最悪の状態に置かれております。このような状態に立ち至った原因はどこにあるか。
 その一つは、何といっても国鉄経営者の責任であります。すなわち、競争相手としての自動車、内航船、航空機等の各種運輸機関の成長発展など、交通産業の変革に対する長期展望を欠いたこと、また、運輸機関の発達に即応する国鉄の積極的経営施策が顧みられなかったこと等があげられます。換言すれば、国鉄経営者がかつての独占的経営の安逸になれ、当面する危険がなければ、現状を維持することで事足れりとする官僚の習癖から抜け切れず、当面を糊塗することで日を過ごしてきた責任をまず指摘しなければなりません。
 もう一つは、政府の責任であります。鉄道建設の歴史は、利権と政治の結びつきの歴史であるともいわれているように、政治路線といわれる赤字路線の無計画な創設、また、地域開発に対する総合計画の欠除、さらに政府の無秩序な高度成長政策による都市周辺の輸送需要の増大に対応するための膨大な設備投資の負担等々を考えた場合、政府の責任はまことに重大であると言わざるを得ません。
 総理はじめ関係各大臣は、国鉄の再建は、一に、公共的な役割りのゆえの非経済性については国がめんどうを見るべきである、二に、国鉄自体の企業努力で経営の効率化をはかる、三に、適正な運賃は利用者が負担する、の三つの柱、すなわち三位一体で国民みんなが協力して再建を行なうべきだと述べております。この基本的な考え方を否定するものではありませんが、いままで各委員会で行なわれた審議を見ますと、運賃の値上げだけは明確でありますけれども、それ以外は、きわめて内容が空疎であります。
 まず第一の公共負担につきましては、通勤通学定期の割引、貨物運賃の特別割引等で年額六百十億円、さらにこれに政治赤字路線の損失分のうち最低限政府が負担すべき分を加えると、年額一千億円をこえるといわれております。これらの分まで旅客運賃におっかぶせて一般利用者に負担させることは、どう考えても不合理であります。今回の特別措置法で政府は多額の補助を出すと恩着せがましく言っておりますが、先ほど述べた金額に比べれば、はなはだしく僅少と言わねばなりません。国鉄に企業としての独立採算制を要請するならば、まず、国の責任として持つべきものは、はっきりと負担すべきであります。
 第二の、国鉄経営の合理化、近代化について考えてみたいと思います。まず、国鉄の経営者が国民の財産を預かり、また、わが国経済の基幹ともいうべき国鉄の運営をまかされているという責任感に基づいたシビアな経営姿勢を持つべきであることは言うまでもありません。また、企業の再建は労使の合意に基づく協力体制がなければそれは不可能であります。現在、国鉄の労働力の構成は、平均年齢三十八歳と、他産業に比べて高く、いわゆる労働の質的過剰の傾向が見られ、今後もさらにこの傾向は強まると思われます。これは労働力の新陳代謝が行なわれにくいところにその原因がありますが、これが賃金水準の上昇率、それと労働生産性の伸びが大きな開きを来たした一因となっております。国鉄運賃の値上げ分の大部分が人件費によって食われておる現状を考えるとき、労働力の効果的な活用をこそ真剣に考えるべきであります。そのために関連事業の拡大や、他の公共企業、民間産業の協力も得て適切な配置転換を行ない、国民経済全般の見地から見た労働力の適材適所の配置を積極的に進めるべきだと思います。また、国鉄当局は、今後十年間に省力投資その他の合理化を進め、六万人の人員を削減する方針を打ち出しておりますが、設備の近代化をはかり、少数の人員で効率をあげる努力は当然なされなければなりません。しかし、配置転換にしろ、人員の削減にしろ、労働者の理解と協力なくしてこれを円滑に進めることは不可能であります。今日、国鉄の労使関係には大きな問題があり、こうした合理化に対しては、国鉄労組、動力車労組等の反対が強く、順法闘争やストライキが繰り返されてきたのが過去の例でありますが、私は国鉄経営者が今後ほんとうにこれら労働組合の理解と協力を得て、経営の近代化、合理化を進めていく自信があるかどうか疑わざるを得ないのであります。
 こうして考えてみると、三本柱とか三位一体と言いながら、第一、第二の柱はぐらぐらしておるのであります。もう一つ、「国民みんなの協力で国鉄の再建を」というキャッチフレーズは非常にけっこうでありますが、私は、ここに大きな抜け穴があることを指摘しなければなりません。それは国鉄財政再建推進会議でも意見として出されておる開発利益の還元の問題であります。鉄道が敷かれ、駅ができると周辺の土地は著しく値上がりいたします。その膨大な利益が一部土地所有者のふところにころがり込んでおるのであります。すなわち、公共の投資によって一部の私的利潤を増大させる結果となっており、これを放置しておく法はないのであります。土地税制の検討等によりこれを吸い上げる方法は幾らでもあるにかかわらず、自民党政府は言を左右して、これに対してはきわめて消極的な態度を示しております。国政をあずかる政府として怠慢もはなはだしいと言わざるを得ません。
 このように考えてまいりますと、今回の国鉄再建計画の中で最も明確なものは、国鉄運賃の引き上げによる利用者負担の増大のみでありまして、政府並びに国鉄経営者の責任にはほおかむりをして、国鉄利用者の過重な犠牲において再建を行なおうとするものであることは明らかであります。
 以上述べましたとおり、国鉄運賃の引き上げが物価上昇への影響が重大であること、国鉄再建計画がずさんで、利用者の過重な負担においてこれを進めようとしておることは納得できないものであるの二点において、この法律案には反対の意を表明するものであります。あわせて政府がこの際、衆議院運輸委員会における与党の強行採決、一部野党の暴力による審議阻止、参議院運輸委員会における強行採決等、わが国議会制民主主義に数々の汚点を残したこの法案をすみやかに撤回し、もう一度頭を冷やし、国民の納得できるものに練り直してから提出されることを要望して、私の討論を終わりたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#42
○議長(重宗雄三君) 渡辺武君。
   〔渡辺武君登壇、拍手〕
#43
○渡辺武君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました国鉄関係二法案に反対するものであります。
 そもそも、国鉄財政を今日の破綻に追い込んだ最大の責任者は、歴代の自民党政府であり、国鉄首脳部であります。しかるに、この二法案は、佐藤内閣と国鉄首脳が、国民と国会に対する一片の責任さえも感じていないこと、むしろ、国民と国鉄労働者にすべての犠牲を押しつけて赤字のしりぬぐいをし、さらには、国鉄の公共性を一そう踏みにじって、営利企業化し、大企業と米軍に一そう奉仕させようとすることを示しています。しかも、政府は、法案審議に欠くことのできない国鉄財政再建のための政府及び国鉄当局の計画案をはじめ、その他の必要な資料さえも国会に提出せず、答弁も道理に合わない言いのがれに終始するなど、全く無責任な態度をとり続けてまいりました。あまつさえ、強行採決、質疑の打ち切り、発言の制限など、議会制民主主義の原則さえも踏みにじる暴挙を重ねてまいりました。これらのことは、政府・自民党が、法案のほんとうの内容を国民に知られることをどれほどおそれているかを示すものであり、かえって、法案の悪質さをよく証明するものと言わなければなりません。
 議題となっている二法案は、第一に、国鉄旅客運賃を大幅に引き上げ、さらには、今後四年に一回といわれる長期連続的な引き上げの突破口を開こうとするものであります。今日、すべての勤労者が物価の値上がりに苦しんでいるときに、消費者物価の根幹の一つをなす国鉄運賃をこのように引き上げることは、勤労者に大きな負担となることは言うまでもありません。しかも、国鉄旅客運賃は、原価をはるかに上回って高く定められ、大幅な黒字の要因となっており、反対に、主として大企業、米軍の支払う貨物運賃は、原価よりはるかに安く定められ、国鉄財政赤字の最大の原因となっております。国鉄の公共性に基づいて国民の生活を守るためにも、また、国鉄財政の赤字を正しく克服するためにも必要なことは、黒字の旅客運賃は安く据え置き、大企業、米軍の貨物輸送の運賃は、国鉄運賃法が定めるとおり、原価を償う公正妥当なところにまで引き上げることであります。しかるに、政府は、この貨物運賃を据え置き、旅客運賃だけを上げようとしているのであります。
 第二に、今日、国民が求めているものは、国鉄が公共企業にふさわしく、通勤通学定期や農産物に対する特別割引などのいわゆる公共負担を強め、通勤輸送の増強やローカル線の改善など、国鉄を安く便利で、サービスのよい国鉄にすることであります。国鉄の再建は、このような方向によってなすべきであります。しかるに、二法案は、この公共負担をなくし、ローカル線、小駅などの廃止、無人化を目ざしております。さらに、旅客運賃引き上げによる収入を赤字のしりぬぐいと、主として大企業や米軍に役立つ中長距離大量貨物輸送や、もうけ本位の新幹線の増強のために投じようとしているものであります。
 第三に、国鉄財政の今日の赤字の最大の原因は、国鉄の労働者の賃上げにあるのではありません。大企業への原価を割った貨物運賃、大銀行などに対する一日四億円に及ぶばく大な金利の支払い、大企業からの物資の高値買い入れなどが根本原因であります。国鉄財政を正しく再建するためには、このように大企業の食いものになっている国鉄の経営と財政を民主化しなければなりません。しかるに、この法案は、賃金の抑制と十六万人合理化など、国鉄労働者の犠牲によって、大企業への奉仕を一そう強めることを目ざしています。
 第四に、国鉄の公共性を強め、一そう国民に奉仕する方向で財政再建を進めるためには、国鉄の管理、経営、財政などの根本的な民主化と結びつけて、日本国有鉄道法の定めるところにより、国の出資と補助を大幅に行なうべきであり、また大銀行などへの金利は大幅に引き下げて、元利返済は再建期間中はたな上げにすべきであります。しかるに、法案は、いわゆる孫利子方式など、全くの欺瞞的な、スズメの涙ほどの財政援助を行ない、しかもこれと引きかえに、政府が国鉄に全面的に介入する権限を握ろうとするものであります。国鉄財政を破綻させた最大の責任者である政府が、このように強力な権限を持って国鉄経営に介入することは、運賃決定権その他の国会と国民の権利をも、国鉄労働者の民主的権利をも踏みにじり、国鉄の公共性を消し去って、営利企業化、大企業・米軍奉仕の方向に、さらには公社もしくは民営の方向に根本的に変えていこうとするものであります。
 わが党は、このたびの政府・自民党の相次ぐ暴挙に厳重に抗議するとともに、このような悪質な二法案に絶対に反対するものであります。(拍手)
#44
○議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより採決をいたします。
 両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#45
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、両案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#46
○議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、
 通行税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることについておはかりいたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#47
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長丸茂重貞君。
   〔丸茂重貞君登壇、拍手〕
#48
○丸茂重貞君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、今回、日本国有鉄道の旅客運賃及び料金につき、等級が廃止されることに伴いまして、現在の一等車両を利用する乗客が支払うことになる特別車両料金について一〇%の課税を行なうとともに、現在の二等寝台料金に相当する料金の免税点を現行の千四百円から千六百円に引き上げて、引き続き非課税とするほか、所要の規定の整備を行なおうとするものであります。
 委員会における質疑の詳細は、会議録によって御承知願いたいと存じます。
 なお、国有鉄道運賃法の一部改正案との関連から、運輸委員会等四委員会と連合審査会を行ないました。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党の戸田委員、公明党の多田委員、民主社会党の田渕委員、日本共産党の渡辺委員より、それぞれ各党を代表して反対の意見が述べられました。
 次いで採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告を終わります。(拍手)
#49
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部々問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#50
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
#51
○議長(重宗雄三君) 田渕哲也君の発言中に不穏当な言辞がありますれば、議長において速記録を調査の上、適当な処置をとります。本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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