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#1
第061回国会 本会議 第24号
昭和四十四年五月十六日(金曜日)
   午前十時四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十五号
  昭和四十四年五月十六日
   午前十時開議
 第一 千九百六十八年の国際コーヒー協定の締
  結について承認を求めるの件(衆議院送付)
 第二 国際水路機関条約の締結について承認を
  求めるの件(衆議院送付)
 第三 海外移住事業団法の一部を改正する法律
  等の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 第四 北方領土問題対策協会法案(内閣提出、
  衆議院送付)
 第五 中小企業近代化促進法の一部を改正する
  法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第六 有線放送電話に関する法律及び公衆電気
  通信法の一部を改正する法律案(内閣提出、
  衆議院送付)
 第七 公営住宅法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
 第八 行政機関の職員の定員に関する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、建設業法の一部を改正する法律案(趣旨説
  明)
 以下 議事日程のとおり
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 建設業法の一部を改正する法律案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。坪川建設大臣。
   〔国務大臣坪川信三君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(坪川信三君) ただいま議題となりました建設業法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 近年におけるわが国の経済の発展と国民生活の向上に伴い、建設投資は国民総生産の約二割に達し、これを担当する建設業界も、登録者数約十四万、従業者数約三百五十万人を数えるに至り、いまや建設業はわが国における重要産業の一つに成長しました。さらに今後も、建設投資に対する需要はますます増大することが予想され、建設業の重要性はいよいよ高まる趨勢にあります。しかるに、建設業界の現状を見ると、施工能力、資力、信用に問題のある建設業者が輩出して、粗雑粗漏工事、各種の労働災害、公衆災害等を発生させるとともに、公正な競争が阻害され、業者の倒産の著しい増加を招いております。加えて、近く予想される全面的な資本の自由化に対処して国際競争力を強化するためにも、いかにして経営を近代化し、施工の合理化を達成するかは今日の建設業界が緊急に解決しなければならない課題であります。
 このような問題に対処するため、建設業に関する重要事項についての諮問機関である中央建設業審議会において建設業法の改正に関する検討が二年有余にわたって行なわれ、公益代表、発注者代表及び建設業界各層代表の委員によって論議が尽くされた結果、昨年一月二十六日全会一致をもって建設大臣に答申がなされたのでありますが、今回この答申に基づき、建設業者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等をはかることによって建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに建設業の健全な発展を促進するため、本法律案を提案するに至ったものであります。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、施工能力、資力、信用のない業者の輩出をもたらしました原因の一つは、現行建設業法の軽易かつ画一的な登録制度にあることにかんがみ、これらを防止するとともに、職別業者の専門化を促進する等、建設業の近代化をはかるため、現行の登録制度を業種別の許可制度に改めることといたしました。また、下請業者の保護育成及び建設工事の施工の改善をはかるため、特に一定金額以上の工事を下請施工させる建設業者に対しては特定建設業の許可制度をしくことといたしております。また、建設業の許可に際しましては、建設業者が、建設業に関する経営経験、技術者の有無、誠実性、財産的基礎等の要件に該当しているかどうかを審査することといたしております。
 第二に、建設工事の注文者と請負人との間において、いまなお見られる不合理な取引関係を改善するため、注文者が取引上の地位を利用して不当に低い請負代金を定めることを禁止する等請負契約関係の適正化をはかることといたしております。
 第三に、建設工事の下請施工の実情にかんがみ、下請業者の経済的地位を強化するよう、元請業者に対して、工事目的物の受領や下請代金の支払いを遅延することを禁止する等の措置を講ずるとともに、特定建設業者に対しては、下請負人を保護するための特に重い義務を負わせることといたしております。
 以上の改正に関連して監督処分の規定等について所要の改正を行なうことといたしておりますが、この法律が円滑に施行されるとともに、既存登録業者に混乱が起こらないよう、改正法の施行は公布の日から一年後とし、施行の日現在において現行法による登録を受けている建設業者は、改正法の施行後二年間は、現行法の登録制度により営業ができることといたしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
#7
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。田中一君。
   〔田中一君登壇、拍手〕
#8
○田中一君 私は、ただいま議題となりました建設業法の一部を改正する法律案について、日本社会党を代表して、若干の質問を行なうものであります。
 わが国の建設投資額は著しい伸びを示し、四十三年度九兆四千億円、四十四年度は十一兆円に達するものと推定されております。
 平和国家とは、国土を民族共有の領土として、あらゆる生産と消費の母体として高度利用することであって、政府は、先ごろ新全国総合開発計画の構想を示しているが、これに対し、建設業界の果たすべき役割りをどう考えておられるか、総理にお伺いいたしたい。
 建設業の現状は、十四万余人の登録業者と、無数の無登録業者がひしめき、過当競争に明け暮れ、その結果は、倒産の増加、粗漏工事、荒川の新四ッ木橋梁工事における悲惨な労働災害の多発等を招き、業界の信用を失墜しております。建設業界の発展は、技術の開発はもとより、労働力の育成確保のため、就労、賃金の安定と常用化、社会保障の完全適用による健全な労働組合運動によらなければ根本的な解決にならないと思うが、この点については、アメリカのユニオンのあり方に学ぶべきものが多いと思う。総理の見解を伺いたい。
 零細な個人企業や大工、左官等、一人親方といわれる人たちの保護を中心とした改正を行なうことこそ急務であります。
 今日、大手、中小、零細、個人にわたるさまざまの十四万の建設業者を一つの法律の中で規制すること自体が無理であります。全面的に再検討して、抜本的な改正を行なうべきでありますが、総理からこの点も御所見を伺いたいと思います。
 次に、建設大臣に、現行登録制度を改め、業種別許可制度を採用した理由についてお伺いいたしたい。
 日本国憲法において職業選択の自由が保障されております。単に業界の過当競争の防止とか、業者の体質改善という抽象的な目的のみで、個人の営業権を制限する許可制を採用することは全く不当と言わねばなりません。業者の乱立によって国民生活の上にいかなる弊害がもたらされたというのでしょうか。また、建設業者がどれほどの法令違反を引き起こし、国民に迷惑を与えたというのでありましょうか。大工、棟梁といわれる多数の人々の生活権や営業権を奪ってまで許可制を採用しなければならない理由は何もないと思うのであります。建設大臣の言う理由は、大手業者の要望をそのまま取り入れて、もっともらしく並べているにすぎません。許可制採用のほんとうのねらいは、末端に広がっている零細企業等を締め出し、大手独占の道を開こうとするものであります。
 次に、現行の登録制度におきまして、五十万円以下の工事を行なう者につきましては適用除外を設けておりますが、今回の改正案におきましても、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者につきましては、許可制の適用から除外する旨定めております。建設大臣は、この適用除外の範囲をどのようにおきめになるつもりでありますか。
 前に述べましたように、庶民の住宅や店舗等を建てる大工、棟梁について許可制をしなければならない理由は何もありません。むしろ、木造や軽量鉄骨工事などをするこれらの人々については、現行の登録制度を存続させるべきであると考えているのであります。なぜならば、木造を主として行なう者は、地域社会に密着し、地域住民のささやかな住宅、店舗などをつくる大工、棟梁であるからであります。しかも、この大工、棟梁は、ある面では建設労務者でもあります。かかる者につき、その財産的基礎の有無等は問題ではありません。
 今日、種々の圧力を加え、不当に低い価格で建設工事を請け負わせているのは、ほかならぬ建設大臣の監督下にある地方建設局であり、住宅公団であり、道路公団であります。大口の発注者として建設大臣は、まず公正な価格による積算を行ない、請負契約の改善に努力すべきであります。現在、建設工事量に占める公共工事の割合はきわめて高く、全建設工事量の三一・九%を占めております。そこで、公共工事に対する積算単価の是正なくして請負契約の適正化はあり得ないと思います。契約関係の片務性の最も著しい例は、官庁契約における自然災害等における危険負担の問題であります。その実態がいかになっておりますか。標準請負契約約款の実施状況もあわせて報告していただきたい。積算単価の是正についてはいかなる方策を講ぜられますか。さらに、積算で重要な地位を占める労務費につきましては、毎年一回定められる「五省協定単価」によっておりますが、賃金急上昇の今日、その内容の改善は急務と考えます。時期的、地域的な補正を行ない得るようにすべきであろうと考えます。
 次に、下請の保護につきましては、今回の改正で若干の進歩が見られますが、これらの規定のみで改善されるほど単純な問題ではありません。各種の中小企業対策を含め、総合的に進められなければならないと思います。これらの下請保護の規定違反に対し、単に大臣に勧告権を与えるだけでは保護の実をあげる保証にはならないと考えます。具体的な対策を示していただきたい。さらに、現在、元請が下請から契約金額の何%かを歩掛け金、手数料という名目で下請業から徴収する慣行があると聞きますが、不当であります。早急に改善すべきであると考えます。
 次に、大蔵大臣にお伺いいたします。
 政府工事の発注方式は、会計法により一般競争入札を原則としておりますが、今日、そのほとんどが指名競争入札によっております。それはいかなる理由によるのでありましょうか。原則たる一般競争入札によるべきであると考えます。現在、指名競争入札の資格の決定につきましては、統一した明確な基準がなく、各官庁が個々に一方的に決定している実情であります。業者といたしましては、これにより指名資格が左右され、事実上入札の機会を奪われることとなり、この指名資格の獲得をめぐって好ましくない事態が発生しております。これが改善策につきまして御所見を伺いたい。
 私はかねてより、ロァーリミット制の確立を主張してまいり、幾たびか法案も提案してきました。三十六年の会計法の一部改正で、不完全ながら最低価格制限制が実現いたしました。これの運用状況について説明していただきたい。さらに、今回の建設業法の改正を機に、この制度の強化を検討される意思がありますか。
 昨年秋、大津地方裁判所が、滋賀上水道工事談合事件に対する判決で、「企業は自らを守る権利がある。官庁単価の低さから身を守る談合は正当である。むしろ責められるべきは積算単価の低さにある。」と述べているごとく、公共事業の積算単価が無謀に近いほど低いことは常識となっております。会計検査院、大蔵当局は、工事の出来高に対して不正、不当を指摘するだけでなく、これら不当に低い発注者の積算内容についても指摘を行ない、厳重に監視すべきと考えます。大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、労働大臣にお尋ねいたします。
 建設業が当面している最大の問題は、技能労働者の不足であり、昨年六月の調査におきましても、その不足率は二九・九%と全産業中最高を示しております。これに対処するため、公共、事業内を問わず、職業訓練の拡充強化が必要と考えます。政府の具体的な施策をお伺いします。
 最も職業訓練に力を注ぐべき大手建設業の経営者がこれに熱を入れていないと聞いております。事業内職業訓練の実情について詳しく説明していただきたいと思います。また、せっかく職業訓練を受け、優秀な技術を身につけ建設業の中へ入った若い労働者が、すぐに転出していくということがいわれております。その定着状況を追跡調査し、必要な対策を講ずべきと考えますが、御意見を伺いたいと思います。
 建設労働者のような不安定な雇用労働者に対する具体的な施策は今日まで何も講ぜられていなかったと言っても過言ではありません。最も救いの手を必要とするこれら労働者の労働条件の改善、福利厚生について、いかなる施策を講じようとしているのか。アメリカにおいて発達している職能別組合――ユニオンの育成によってのみ建設労働者の地位は向上されると考えます。日本における職能別組合の育成策についてお伺いしたい。失業保険、労災保険等の労働保険の適用についても、建設労働者は、その雇用形態が不安定であるため、十分な保護がなされていない。その結果、給付内容も、他の業種に比べて劣悪であります。これが改善策についてお伺いいたしたい。
 最後に、厚生大臣にお尋ねいたします。
 政府は、日雇労働者健康保険法の改正を行なうべく、目下、社会保険審議会に諮問中と聞いております。建設労働者の大部分は五人未満の事業所で働いており、強制適用が受けられなく、やむを得ず擬制的に適用されております。この際、適用関係を明確にし、安心して日雇健保の適用が受けられるようにすべきであろうと思います。さらに、その給付の内容も改善すべきであると思います。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(佐藤榮作君) 田中君にお答えいたします。
 新全国総合開発計画におきましては、予想している建設投資額は、ただいまのところ、二百七十兆ないし三百三十兆、たいへん多額な工事量にのぼるものだと見込まれております。もちろん、これは二十年間に投資するものでありますから、ただいま推測すること自身もいかがかと思います。しかし、工事量が飛躍的に増加することだけは、これはもうはっきりしております。一方におきまして、労働力不足はますます進行していくものと考えられますので、建設業の近代化、合理化は一そう必要になってくるものと考えます。建設業法の改正は、そのためにも有効に役立つことが期待されるものであります。もちろん、これをもちまして新国土開発計画に対する対策だと、かように申すわけのものではありません。私どもは、今日の状況に対応するように、各方面の意見を聞いて、今回、所要の改正をいたしたわけであります。
 また、次に、労働条件を改善するために米国式な職能組合を導入せよ、こういう御提案でありますが、私が申し上げるまでもなく、労働組合の組織は、それぞれの国の労働運動の歴史や、労使関係の実態、産業社会の慣行等を反映して、労働者の自主的な判断に基づき形成されるものと私は考えております。御指摘のように、わが国の労働組合は、多くは企業別組織で、職能別組合は数少ない現状でありますが、組織としてはそれぞれ長所を持っているものであり、長所短所それぞれが入り組んでおると思います。しかし、その基本的な政府の態度といたしましては、介入すべきものではない、かように考えております。ただいまの御意見に対しましての私の率直な意見を申し述べて、お答えといたします。(拍手)
   〔国務大臣坪川信三君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(坪川信三君) 田中議員の御質問にお答えいたします。
 田中議員よく御承知のとおり、現在の建設業界は幾多の問題をかかえておりますけれども、十四万件に及ぶような業者の中にあって、不幸にも年間二千五百件ほどが、一千万以上の負債、赤字を出されて倒産されていく。また、平均一万件、業界から立ち消えていかれる。この不幸な現状を見ますときに、何と申しましても、零細なる中小業者を育成保護いたしながら秩序ある建設業を育成指導するということが、この法案の最終的目標であるということは、御承知のとおりでございます。そうした観点から考えますときに、いろいろの原因がございますけれども、現行の建設業法の軽易かつ画一的な登録制度にあることにかんがみまして、建設業者の資質を向上し、建設業の近代化をはかるため許可制度に改めることにいたしております。
 なお、建設業界において、業者の倒産、賃金不払い事件、労働災害等が多く発生いたし、国民に実害を多く与えている現状を考えますときに、建設業者が法令に違反している事実は、遺憾ながら、あとを断たないような状態でありますので、大きな社会問題にもなっているところであります。
 次に、今回の改正で許可制を採用しましたのは、建設工事の適正な施行を確保し、発注者の保護をはかるとともに、建設業界の合理化に資することを目的としたものであります。したがって、技術、業種、工事対象物等を限定して許可制を採用することは不適当であり、また大工、左官等の一人親方について、一律的に許可制の適用除外とすることは適当でないと考えております。なお、大工、左官の一人親方であっても、誠実、かつ平穏に営業している者に対しては許可が与えられるものと考えておりますから、御安心を願いたいと思います。
 次に、今回の改正におきましては、建設工事の請負契約における、いわゆる片務性を改善するために、請負契約書の記載事項を充実するとともに、注文者は契約上の重要事項を事前にできるだけ具体的に提示しなければならないことと、注文者は、その取引上の地位を不当に利用して、原価に満たない請負代金を定めてはならないこと等を定めることといたしました。
 さらに、今回の法改正に合わせまして、中央建設業審議会において、建設工事標準請負契約約款をより合理化するための検討をいたすことにしておりますが、いわゆる危険負担の問題については、この際十分に検討することを予定いたしております。なお、標準約款は、かなり発注機関で採用されておりますが、まだ必ずしも十分という状態ではありませんので、今後ともその普及徹底を十分はかってまいる考えでございます。
 次に、公共事業の積算単価の適正化につきましては、建設事業の遂行の規範となるべく、でき得る限り正確を期するようにつとめております。具体的には、公共事業の施工に要する労務、材料費その他の経費について、諸種の客観的資料をもとに調査を行ない、それに基づいた積算体系をつくっております。
 次に、公共工事の予定価格については、諸種の調査に基づいた積算の資料によって必要経費を計上し、その地方の諸般の事情を考慮いたしながら、適正な価格で発注するよう指導しておりますので、御了承願いたいと思います。
 次に、公共工事の設計に使用する労務単価は、いわゆる五省協定に基づいて、労働省の行なう屋外労働者職種別賃金調査の結果を統計処理して定めております。この調査は、各都道府県別に行なっており、決定の段階で、労働事情がほぼ同一と見られる地域については、隣接地域との調和をはかって均衡のとれたものとしておりますので、御指摘の地域的要素も十分加味されているものと考えております。なお、この単価は、都道府県内における建設労働者の平均賃金でありまして、工事の実施時期、施工地域の賃金の実態及び他の工事との関連により実情に合わないと認めました場合には、発注者において、この単価の上下二五%の範囲で弾力的な運用ができることになっておりますので、御了承をいただきたいと思います。
 最後の御質問でございますが、今回の改正による下請保護の規定に違反する場合には、同時に私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第十九条、すなわち、不公正な取引方法の禁止に関する規定にも違反することになりますので、このような場合には、建設大臣もしくは都道府県知事または中小企業庁長官が公正取引委員会に対し、独占禁止法の規定に基づく適当な措置をとるべきことを求めることができることといたしております。したがって、法改正後は、公正取引委員会及び中小企業庁と緊密な連絡をとりまして、法の趣旨が十分徹底できるよう措置し得るものと考えておる次第であります。
 なお、元請人が手数料を取ることによって下請金額が原価を割るようになったときは、下請人は改正後の建設業法によって保障されることになるわけでありますから、御安心を願いたいと思います。
 以上お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(福田赳夫君) お答えを申し上げます。
 広く一般競争を採用したらどうか、必ずしも指名競争でなくていいじゃないかと、こういうお話でございますが、なるほど政府が物を売る場合には、そのとおりでございます。物を売る際には、お金を政府は受け取る。お金に差別はございませんから、これは一般競争を原則としなければならぬ。そういたしております。しかし、逆に政府が物を買う、あるいは工事を請け負わせると、そういう際におきましては、その物品がはたして政府の意図するような物品であるか、また工事内容が適正であるか、こういう問題があるわけであります。したがいまして、これはだれにでもまかしていいというわけではございません。そういう趣旨で、今回、建設業法で許可制をしいたのと同じ趣旨で指名競争を採用しておると、かように御理解を願います。
 それから指名競争をする場合に不当に競争が行なわれるじゃないかというようなお話でございますが、これは会計法でも、契約の種類ごとに資格条件をきめております。これは、それでもなお不当競争という傾向はありまするけれども、なるべく不当の競争にならないように適正な資格条件のきめ方をしておりますので、今後も、その資格条件のきめ方につきましては気を配っていきたいと、かように存ずる次第でございます。
 それから最低価格制度についての御質問でございます。これは、政府が実地検査をする場合、つまり大蔵省の実地検査の際に、その契約内容があまり低い価格でできているんじゃないかというところまで検査したらどうだというような御趣旨と承ったのでありますが、この点につきましては、実地検査の際には、実地検査のほかに契約内容も妥当であるかどうかというところまで検査するのは、これは当然であります。また、その検査の結果に基づきまして、最低価格が適正であったかどうかということも判断をいたす次第でございます。今後とも最低価格が適正であるかどうかということにつきましては、建設省とも連絡をとって十分配意いたしてまいる所存でございます。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣原健三郎君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(原健三郎君) 田中さんにお答え申し上げたいと思います。
 第一は、建設関係労働者の不足に対処して、特に公共職業訓練をもっと強化すべきではないかというお説でございます。建設関係の技能労働者の不足数は、昭和四十三年六月現在で約三十三万人の多きに達しております。このような状態に対処するためには、どうしても公共職業訓練をもっと強化することが必要であると存じます。それで、今回、職業訓練法の全面改正法案を国会に提出して御審議を願っている最中でございますが、この法律によりましても、新たな改正法によりましても、建設技能労働者の養成確保を強力に進めていくようになっておる次第であります。
 それから建設関係を中心とする企業内の職業訓練をもっと強化すべきではないか、現在あまりやっていないというお説でございますが、建設関係の事業内訓練は、昭和四十三年においては三万九千人を訓練いたしております。これを業種別に見ますと、大工の二万人をはじめ、次は左官、建具工、それから家具工という順番になっておるのであります。今後とも建設関係の事業内職業訓練を一そう強化してやっていく考えでございます。それで、四十四年度におきましては、すでに予算が通過しておりますが。それによると、補助額を倍増いたしまして、訓練生一人当たり六千四百円にいたしておるような次第であります。今国会に提案いたしております職業訓練法改正案による職業訓練法人の設立等により、事業主等の行なう職業訓練の永続的かつ積極的な発展をはかる体制の確立につとめてまいりたいと考えております。
 それから職業訓練修了後その定着状態が悪いじゃないか、こういうお説でありますが、訓練生の職業能力の十分発揮できる事業所へ就職のできるよう鋭意つとめておるところであります。職業訓練所を修了して就職した者について、労働省で調査したところによりますと、就職後約七カ月において定着しておる者はおよそ九三%に相なっております。でありますから、定着率はおおむね良好だと思っておる次第であります。なお、今後とも一そう指導を強化して、職場適応、労働環境の改善等をいたしたいと思っております。
 次に、アメリカ等において行なわれておる職能別組合をわが日本においても育成する考えはあるか。こういうお説でございますが、わが国の労働組合の組織形態は、御指摘の職能別組合も若干は存在いたしておりますけれども、もうほとんど大半は企業別組織であることは御承知のとおりであります。このような労働組合の組織は、それぞれの国の労働運動の歴史、労使関係の実態、産業社会の慣行等を反映いたしておりまして、労働者が自主的な判断に基づいて形成をしてきたものであります。このように労働組合の組織は、労働者により自主的にかつ民主的につくられるべきものでありまして、労働省といたしましてはこれに介入すべき筋合いではなかろうと存じておる次第であります。
 さらに、建設関係労働者はその雇用が不安定なために、失業保険、労災保険の適用がうまくいってないではないかということでございますが、失業保険は、現在五人未満の事業所については任意適用となっているため、比較的小零細規模の事業所の多い建設業等におきましては、未適用の事業所が多く見られるところであります。しかしながら、今回この法律の改正法案を提出いたしておりますが、これが成立いたしますならば、五人未満の事業所に対しても適用範囲を拡大いたしていくこととなります。建設業においても、労務管理の近代化も一段と推進されるものと考えております。
 また、失業保険における給付水準は、諸外国と比較しても遜色のないものと考えておりますが、今回の改正案においては、さらに一そう失業者の生活の安定をはかるため、低所得層を中心として給付全般にあたってその内容の改善をはかる考えであります。
 建設業については、労災保険はすでに適用されており、しかも下請の労働者を含めて、元請事業主が一括して保険料納付などの責任を負っているところであります。御承知のとおりであります。
 また、労災保険の保険給付については、昭和四十年の法改正以来、年金制度を取り入れておりまして、労働者の手厚い保護をいたしておる次第であります。なお、最近各方面から、給付改善の要望もあり、現在労災保険審議会に検討をお願いいたしておりますので、政府といたしましては、その結果を待って、さらに善処いたしたいと思っております。
 以上お答え申します。(拍手)
   〔国務大臣斎藤昇君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(斎藤昇君) 田中議員御承知のとおり、日雇健康保険法はただいまその一部改正を関係審議会において審議を願っているわけでございますが、お説のとおり、日雇健康保険の給付は他の保険に比べまして若干悪いのでございます。今回の改正は、分べん給付を大幅に引き上げる、あるいは疾病の治療期間が二カ月になると保険が切れるというのを、継続して続けられるというような点を主にいたしまして、長い間未改正でございましたから、この際緊急だと思う諸点を内容といたしていま審議中でございます。
 そこで、大工、左官のようないわゆる一人親方と称する方々は、本来ならば国民健康保険に入るべきものかと思うのでございますが、しかしながら、業態から考えまして、御指摘のように、ただいま解釈上、擬制適用として日雇保険でやっているわけでございます。このたびの改正は、やはり日雇保険の中でいままでどおりの擬制適用を続けていくという考え方のもとに立って、改正案を諮問をいたしているわけでございます。これが抜本的な改正の際に、大工、左官のような方々をどう取り扱うかという点につきましては慎重に考慮をいたしまして、抜本改正の際に日雇保険とあわせて考えたい、かように思っている次第でございますので、御了承をいただきたいと存じます。(拍手)
#14
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#15
○議長(重宗雄三君) 日程第一、千九百六十八年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件。
 日程第二、国際水路機関条約の締結について承認を求めるの件。
  (いずれも衆議院送付)
 日程第三、海外移住事業団法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(衆議院提出)。
 以上三件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員会理事長谷川仁君。
   〔長谷川仁君登壇、拍手〕
#17
○長谷川仁君 ただいま議題となりました条約二件及び法律案一件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、「千九百六十八年の国際コーヒー協定」は、「千九百六十二年の国際コーヒー協定」に継続する協定でありまして、コーヒーの輸出に大きく依存している低開発国の経済発展に協力する見地から作成されたものであります。すなわち、この協定は、コーヒーの需給を調整し、もって価格の安定をはかることを目的とするものでありまして、輸出割り当ての設定、生産規制、非加盟国からの輸入制限等について規定しております。
    ―――――――――――――
 次に、国際水路機関条約は、従来の国際水路局にかわり、法人格を備えた新たな政府間機関として国際水路機関を設立することを内容とするものでありまして、この機関は、世界の航海の安全をはかるため、海運国の水路官庁間の協調、水路業務に関する情報、資料の交換、海図等の統一を促進することを目的としております。
    ―――――――――――――
 最後に、海外移住事業団法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案は、かつて渡航費の貸し付けを受けて移住した人々の、渡航費の返済という心理的負担を除き、もって営農定着をはかる見地から、昭和四十一年の海外移住事業団法の改正によって、それまでに政府が事業団に貸し付けた渡航費貸し付け金債権を免除した際、除外された米国向け移住者にかかる渡航費貸し付け金債権約四百六十万円を免除するとともに、事業団が移住者に貸し付けた渡航費貸し付け金債権を一括して免除しようとするものであります。
 委員会におきましては、これら三案件に対し熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 五月十五日質疑を終え、討論採決の結果、条約二件は、いずれも全会一致をもって承認すべきものと決定し、法律案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#18
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 まず、千九百六十八年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#19
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本件は承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#20
○議長(重宗雄三君) 次に、国際水路機関条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#21
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#22
○議長(重宗雄三君) 次に、海外移住事業団法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#23
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#24
○議長(重宗雄三君) 日程第四、北方領土問題対策協会法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。沖繩及び北方問題に関する特別委員長山本茂一郎君。
   〔議長退席、副議長着席〕
   〔山本茂一郎君登壇、拍手〕
#25
○山本茂一郎君 ただいま議題となりました北方領土問題対策協会法案につきまして、沖繩及び北方問題に関する特別委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 この法案は、従来、北方地域旧漁業権者等に対する融資機関であった北方協会を発展的に解消して、新たに特殊法人北方領土問題対策協会を設立し、北方協会の従来の業務をそのまま引き継がせるとともに、北方領土問題に関する啓蒙宣伝、調査研究、援護等の業務を、この協会を通じて全国的な規模で行なわせようとするものであります。このため、協会の組織及び業務等を規定するほか、北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律等に所要の改正を加えるものであります。
 委員会におきましては、参考人の意見を聴取した上、総理府総務長官、外務大臣等に対し、熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録で御承知願いたいと存じます。
 五月十四日、質疑を終え、採決の結果、本案は全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案に対し、河口陽一委員より、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党の四派共同提案として、北方地域の諸問題に対する予算措置、行政措置等について、政府に特段の配慮を求める趣旨の附帯決議案が提出され、全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#26
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#27
○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#28
○副議長(安井謙君) 日程第五、中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。商工委員長八木一郎君。
   〔八木一郎君登壇、拍手〕
#29
○八木一郎君 ただいま、議題となりました中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案について、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 この法案は、中小企業を取り巻く経済環境の変化に対処して、業種、業態に即応した構造改善を促進するため、現行法の指定業種のうちから、特に構造改善をはかることが緊急に必要であると認められるものを、特定業種として指定し、これらの業種について構造改善計画の承認制度を新たに設け、この承認を受けた計画に従って構造改善を実施する中小企業者に対し、金融並びに租特法による二分の一割り増し償却制度の適用等、課税の軽減をはかろうとするものであります。
 委員会では、構造改善の目標と内容、特定業種の指定基準、指導、診断に関する人材の養成、その他中小企業施策の全般にわたって質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法律案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。なお、共産党は反対をいたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#30
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#31
○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#32
○副議長(安井謙君) 日程第六、有線放送電話に関する法律及び公衆電気通信法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長永岡光治君。
   〔永岡光治君登壇、拍手〕
#33
○永岡光治君 ただいま議題となりました法律案の内容を申し上げますと、
 有線放送電話は、放送・通話兼用の通話手段として広く農林漁業地域に普及しておりますが、現行法では、その業務区域は同一の市町村内ということになっており、また、電電公社の電話回線と接続して通話することのできる範囲も同一都府県内というふうに制約を受けております。これに対し、本案は、地域社会の実情に即するよう、これらの制約を緩和しようとするものであります。
 すなわち、有線放送電話の業務区域につきましては、隣接する市町村内の地域であっても、社会的経済的に一体化しているところは、その業務区域に含め得ることとしております。
 次に、電電公社の電話回線との接続通話の範囲につきましては、県外でありましても、相互に隣接する市町村の住民が社会的経済的に緊密な関係にある場合には通話ができる道を開いていることであります。
 逓信委員会におきましては、政府並びに日本電信電話公社当局に対し質疑を行ない、慎重審議をいたしましたが、その詳細につきましては、会議録により御承知願いたいと存じます。
 かくて質疑を終局し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって衆議院送付案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#34
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#35
○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#36
○副議長(安井謙君) 日程第七、公営住宅法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。建設委員長岡三郎君。
   〔岡三郎君登壇、拍手〕
#37
○岡三郎君 公営住宅法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、本案のおもなる内容を申し上げます。
 第一に、公営住宅の土地取得等に要する費用について、従来の国の補助を地方債による融資に切りかえることとし、これに伴う家賃の変動を避けるため、国は事業主体に対して家賃収入補助を行なうこととしております。
 第二に、公営住宅に五年以上入居し、一定の高額収入を得るに至った者に対し、明け渡しを請求することができることとし、この場合、事業主体は、入居者の明け渡しを容易にするよう特別の配慮をすることとしております。
 第三に、公営住宅の建てかえ事業に関する規定を整備し、事業を施行できる場合の要件を定め、事業を施行しようとするときは、あらかじめ建設大臣の承認を得ることとしております。
 本案は、衆議院において、施行日を公布の日に改める修正がなされた上、本委員会に付許され、公聴会の開会、現地視察等、慎重な審査を重ねたのであります。
 質疑のおもなる点は、住宅建設五カ年計画の達成の見通し、地方公共団体の超過負担の実情と用地費の地方債切りかえによる影響、入居者の収入実態と明け渡し基準のきめ方、家賃体系の適正化、国・公有地の活用の実績等でありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
 かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して沢田委員から反対、自由民主党を代表して山内委員から賛成、公明党を代表して二宮委員から反対、日本共産党を代表して春日委員から反対する旨の発言がありました。
 討論を終了し、採決の結果、本案は多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 続いて、自由民主党の大森委員から、明け渡しの収入基準等について、定期的に検討を加えることなど、五項目にわたる附帯決議案が提出され、採決の結果、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上で報告を終わります。(拍手)
#38
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#39
○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#40
○副議長(安井謙君) 日程第八、行政機関の職員の定員に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長八田一朗君。
   〔八田一朗君登壇、拍手〕
#41
○八田一朗君 ただいま議題となりました行政機関の職員の定員に関する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法案は、行政機関の定員の合理的な管理をはかるため、各省庁別に定員を法定している現行制度を改め、内閣の機関並びに総理府及び各省を通ずる定員の総数の最高限度を法定し、その数を現行の各省庁設置法等で定められている定員の合計数である五十万六千五百七十一人とするとともに、これらの機関別の定員は政令で定めること、大臣、政務次官等及び自衛官並びに五現業の定員は、いずれも定員の総数の最高限度の対象には含めないこととし、従来どおり法律または政令で定めることを内容とするものであります。
 なお、本法律は、公布の日から施行することとしておりますが、衆議院において、四月一日に遡及適用する旨の修正が行なわれております。
 委員会におきましては、本法案の重要性にかんがみ、佐藤内閣総理大臣をはじめ、関係各大臣の出席を求めて質疑を行なうとともに、職場視察を行なうなど、慎重に審査を尽くしたのであります。
 この審査の段階で行なわれました質疑のおもなる点は、行政改革についての政府の基本的な考え方、定員と組織とは本来一体的なものであるのに、あえて現行制度を改むるゆえんは何か、憲法の理念、国家行政組織法制定の精神から見て、本法案に妥当性があるのか、出血整理や不当配置転換はしないと約束できるか、三カ年五%削減は、行政の遅滞と公務員の労働過重を来たすおそれはないか、などでありますが、そのほか、今後の定員管理についての運用方針、定員外職員の問題、国家行政組織法検討の必要性、人事院勧告の完全実施、政財硬直化との関連等、広汎多岐にわたる事項について、熱心に論議がかわされたのでありますが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して村田委員、公明党を代表して峯山委員、日本共産党を代表して岩間委員より反対の旨、自由民主党を代表して佐藤委員、民主社会党を代表して片山委員より賛成の旨が、それぞれ表明されました。
 次いで、直ちに採決の結果、本法案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律の運用に際し、公務員の身分保障の確保と処遇の改善を要望する趣旨の、自民、社会、公明、民社各党共同提案にかかる附帯決議が付されました。
 以上をもって御報告を終わります。(拍手)
#42
○副議長(安井謙君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。村田秀三君。
   〔村田秀三君登壇、拍手〕
#43
○村田秀三君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました行政機関の職員の定員に関する法律案に対し、反対の討論を行なうものであります。(拍手)
 まず問題なのは、本法案の示す性格とその本質が、佐藤内閣の憲法無視、国民不在の政治姿勢を象徴しているとみなされることであります。
 そもそも、民主主義制度におきましては、単に政治のみならず、行政においてもまた、常に、人民のための人民の手による行政が行なわれなければなりません。その意味において、政府は、行政の現状を国民の前に明らかにするとともに、その質と量に対応する適正な人員配置を行ない、かつ、国民の行政に寄せる要望を可能な限りすみやかに実現する義務を有するのであります。これが憲法の精神であり、国家行政組織法制定の原則であろうかと考えます。しかも、この原則に従って、行政紬織と定員とは表裏の関係にあり、それゆえにこそ、行政の機構、組織を規定する各省設置法の中の重要な部分として定員を法定したものと理解できるのであります。しかるに、今回、この法案によって、国家行政組織法第十九条の定員に関する規定を削除し、各省設置法の定員規定を排除して、一片の政令によって自由自在に定員を移動せしめ得る道を講じようとすることは、国会の審議権を無視し、国民の行政に対する意思表明の道をはばみ、行政が内閣の恣意のままに行なわれる結果を招くものであり、行政の民主化に逆行する措置であると言わねばなりません。このことは、官僚のばっこを許し、専横政治への道を開くものであり、憲法の精神を踏みにじるものとして、断じて許すことのできないところであります。
 また、この法案が提出されるに至った背景は、佐藤内閣の主たる政策である行政改革の推進がその根拠になっておるようであります。しかしながら、その経緯を見るに、国民が望む真の行政改革を行なわんとする意欲を見受けることはできないのであります。すなわち、昭和三十九年、臨時行政調査会は、社会の進展に伴って必然的な行政改革の課題に対して一定の答申を行なったのでありますが、佐藤内閣は、発足以来、口で行政改革を唱えながら、緊急を要するこの課題に対して抜本的な施策を講じようとはしなかったのであります。
 しかるところ、昭和四十二年十二月、財政制度審議会が、財政硬直化打開のための諸方策を打ち出すや、直ちに、行政機構の簡素能率化をはかると称して、一省庁一局削減の方針を明らかにし、かつ、定員の三カ年五%削減の計画作成を指示したのでありました。その結果を見るに、一省庁一局削減に至っては、なるほど局という名称は十八局減少し、課、室二つの減と、事務局次長一名の減員はあったものの、これに伴って、むしろ局中の部五、官房中の部四、部と官房それぞれ一の新設となり、総括整理職及び分掌職が十七名も増員される結果となりました。その上、組織系統は前よりも複雑になったと見られる向きもあって、政府のいう簡素能率化の事実は見受けられないのであります。政府は、この措置を行政改革の起爆力とすると言っておりましたが、起爆どころか不発に終わったと見ることができるのであります。脚さらに、問題なのは、五%定員削減計画でありますが、その内容を見まするに、さきの一省庁一局削減と同様、削減をしなければならない理論的背景はないにひとしいと言わざるを得ません。あるとすれば、ただ許認可、報告事務の整理がわずかながら進められているにすぎないのであります。申すまでもなく、本来定員算定の基礎は、行政の末端の単位における仕事の質と量を前提に積み上げられなければならないのは当然であります。しかる後、行政の規模に応じ職を置き、恒常的に必要な定員を算定配置することは、行政の初歩的理論と言わねばなりません。しかして、複雑多岐にわたる今日の行政の実情と機構の実態の上に立って行政改革を進めんとするならば、いかに困難であろうともその事実を明らかにし、どの部分に行政需要の消長が存在し、どのような変革を加えるべきかについて考究するなど、行政の内容と規模、人事管理のあり方、定員算定の基準などについて抜本的な検討が加えられ、国民と、そしてまた、現在その職にある公務員の理解と納得の上に行なわれるべきものであります。
 審議を通じ、政府はこの立論の正当性を認めました。佐藤総理も、また荒木行政管理庁長官も、その作業の手順について木末転倒であることを肯定いたしたのであります。このように行政改革と新定員配置は不可分のものであることが立証された現在、「社会経済の進展に相応する行政需要にマッチして定員配置を行なうために総定員法が必要である」とする政府の説明は、抜本的な、しかも民主的な行政改革案の前提なくしては成り立たないのであります。
 では一体、何ゆえこの理論も根拠もない総定員法の制定を強行しようとするのでありましょうか。思うに、その真のねらいは、一省一局削減に見られるごとく、行政改革に期待する素朴な国民の目をそらし、かつは財政硬直化打開への見せかけの姿勢を示しながら、実は五%定員削減計画の中で政府の隠された意図、すなわち治安、徴税など、国民を支配管理する体制の一そうの強化をはかろうとするものであると看破せざるを得ないのであります。すなわち、この五%削減計画をしさいに検討するに、具体的な行政改革の構想もないままに、各省庁別の削減率は、高い省で、行管、建設、農林など八%台を占め、低いところは、総理府の二・三七%、法務、国家公安委員会関係、大蔵などの三%台と、いずれも企画、管理部門の削減率は低いのでありまして、警察官五千名の増員措置とあわせ考え、政府の意図するところを明らかにしているのであります。
 また、この計画は、「適正定員の配置」、「行政サービスの向上」という政府の宣伝文句とは逆に、すでに予想されたごとく、弱い、しかも国民からあまり目立たない行政部門にしわ寄せされてきております。大阪管区気象台における気象観測の回数削減は、もちろん観測課員の減少によるものでありますが、関西地方全域、とりわけ港湾関係の地域に大きな不安を与えております。また、ある三種飛行場の航空管制官の定数引き揚げによって、その飛行場を利用する人々に動揺を与えている事実があります。いずれも根拠のない五%定員削減を押しつけた結果にほかならないのであります。このような人命軽視の定員配置は許すことができません。国民は必要な業務をカットしてまで行政改革を望んではおらないのであります。この事例は、もちろん定員が法定されている今日の問題であります。定員が法定され、その配置が義務づけられているにもかかわらず、単なる行政措置によって、定員の保留、補充及びその配置を思うままに進めてきた政府は、本法案の制定によって強権的に政令を発動し、ますます恣意のままに国民不在の行政を進めるであろうことは想像にかたくないのであります。
 特に問題なのは、防衛庁の職員(非自衛官)を防衛庁設置法第四条に定められる自衛隊の職員定数より除外し、政令によって行政的に増加せしめることができることであります。現在の防衛本庁の非自衛官職員は、防衛庁設置法及び自衛隊法によって、その任務と服務は自衛官と全く同一に規定をされております。でありますから、防衛庁設置法に自衛官のみの定員を法定し、その定数が表面上今日よりも減少したとしても、実質は政府の恣意のまま大幅に増加できることとなり、政令による防衛力の増強が遺憾なく発揮できる道を講じたことは、憲法違反の上乗せをするものであり、絶対容認できないのであります。もしかりに、政府の説明のごとく、全く一般公務員と同一であるとするならば、その職員組合の結成を許し、団結権を保証すべきであります。
 次に問題なのは、本法案の制定によって、職員の身分が著しく不安定になり、生活権が脅かされるという問題であります。すでに、いま進められている根拠のない五%定員削減計画が、職員及びその家族に対し大きな不安と動揺を与えております。本法案審議の中で、総理及び荒木行政管理庁長官は、出血整理は考えていない、また本人の意に反する不当な強制配転はあってはならない旨、再三言明をされました。しかしながら、現在の公務員は、憲法によって労働者に保障されている労働基本権が著しく制約されており、みずからの労働条件について交渉する権限も与えられておらないのであります。しかも、現在の国家公務員法では、その第七十八条において、「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」、本人の意に反して降任及び免職ができる、と規定されているのでありまして、いま進めようとしている政府の定員管理方式は、この機会を今日まで以上につくり出される結果となることによって、職員の不安の増大もまた理解できるのであります。政府はすみやかにこれら不安を解消するために、職員団体と誠意ある協議を進め、真に職員の納得の上に計画が進行できるような体制を確立することを強く望むものであります。
 以上申し述べました点を総合して判断いたしまするに、抜本的な行政改革は総定員法の成立を待って行なうとの政府の答弁は何らの保障がないのみか、総定員法の成立はただに行政権の拡大を意味し、官僚のばっこを許し、一党独裁専横政治への道を開くものであると断言せざるを得ないのであります。よって、わが党は、本法案に断固反対をし、その撤回を強く求めるものであります。
 以上反対討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#44
○副議長(安井謙君) 柴田栄君。
   〔柴田栄君登壇、拍手〕
#45
○柴田栄君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました行政機関の職員の定員に関する法律案、いわゆる総定員法案に対しまして、賛成の討論を行なうものであります。
 御承知のとおり、行政は、社会経済の進展に即応して、これに柔軟に対応していかなければならないものであります。したがって、行政の硬直化を解きほぐし、体質をやわらげ、社会経済情勢への適応能力を高めるように常に意を払い、制度の改善をはかることが何よりも大切なことであります。
 今回の定員制度の改正は、まさに、その趣旨に沿った第一歩であると思うのであります。行政を担当するものは人であり、その数を規定するものは定員であります。この定員管理制度の改善なくして行政の体質改善はあり得ないと思うのであります。
 今回の総定員法案は、年々一万二、三千名、予算にして百数十億円もの増加傾向にある国家公務員の定数増を押え、内閣の機関並びに各省庁を通ずる定員の最高限度を、昭和四十二年度末の国家公務員の定員である五十万六千五百七十一人と法定し、各省庁別の定員は政令で定め、行政需要の消長に伴う定員の配置転換を合理的かつ弾力的に行なおうとするものでありまして、定員一人の増減でも一々法律の改正を必要とするような現行制度より、きめのこまかい、流動する社会情勢に適合するきわめて有機的な制度であると思うのであります。
 そもそもわが国の官庁は、社会経済情勢の変動や国民福祉の向上のための施設などによる新しい行政需要に対処して、機構の拡大や人員増をはかることについては機敏でありまして、それはそれなりに国民生活、国民経済上の必要から意義があることであります。しかし反面、すでに不要不急化した部門は積極的に縮小されないで温存される傾向のあることもまた否定し得ないところであります。そのため、機構は拡大し、定員は年々増加し続けてまいっているのであります。
 そこで、公務員の増加を押えながら、社会経済情勢の変動に伴う新しい行政需要に対処して行政の体制を整備するためには、一方において各省庁の事務の合理化を促進し、他方において不要不急化した部門から必要な部門、たとえば国立学校の教職員、国立病院の看護婦、法務局、特許庁の職員など、国民生活にどうしても増員が必要な部門に定員を回す等の弾力的かつ合理的な定員の配置転換を行なうとともに、各省のセクショナリズムを押えて、無秩序な機構や定員の膨張を防ぐ必要があるのでありまして、このためには、総定員法の制定を急がなければならないと思うのであります。
 本法運用にあたって、政府は向こう三カ年間に公務員の定員の五%、約四万五千人の定員削減を行なおうといたしているのでありますが、この措置は、定員の総数をふやさず、自然退職による欠員を保留し、出血整理を行なわずして当面の行政需要に対処せんとするものでありまして、これこそ定員の弾力的運用の具体策であると思うのであります。
 現在、法律で定めておりまする定員を政令で規定することは、国会の審議権を軽視するのではないかとの意見もありますが、定員の最高限度は国会で審議することになっており、各省庁別の定員は毎年度の予算で十分審議でき得るのでありまして、その懸念は全くありません。アメリカをはじめイギリス、フランス、西ドイツ等、諸外国における定員管理制度を見ましても、公務員の定員は予算だけで定められているのであります。わが国のごとく、予算のほかに、法律でも定員を定めている制度をとっている国はないのでありまして、行政整理のためにできた、定員を法定する現行制度は、戦後二十年を経た今日、もはやこれを維持していく意義は全く失なわれたと言わざるを得ないのであります。
 さらに、各省庁別の定員を政令で定めることになるに伴い、公務員の身分保障がそこなわれるのではないかとの意見があります。この点につきましては、委員会の審議を通じまして、政府から、弾力的な定員管理制度にして、常に行政需要にマッチした定員配置が実現されていれば、出血整理は避けられ、出血整理をしない前提に立っているからこそ、弾力的な定員制度が不可欠であることが表明され、また、定員の配置がえを行なうといっても、欠員を留保して、その欠員相当の定員を振りかえることが主体であり、不当な配置転換を行なうものでないことが明確にされましたことは、本法案に対する危惧を払拭させるものであると思うのであります。
 先ほど来、いろいろ申し上げてまいりましたとおり、本法案は、行政の簡素化、能率化を推進し、行政需要にマッチした定員配置を円滑にするための重要な制度的基盤として、行政改革の主要な柱をなすものでありまして、臨時行政調査会の答申におきましても、「人員の効率的、機動的な配置を確保するための配置転換制度を早急に確立すべきであり、これが整備されないかぎり、合理的、計画的な人員配置の体制の確立は、ほとんど不可能といえる。」と述べており、また、行政監理委員会の委員六氏をはじめ、世論を代表するいわゆる新聞の解説、論説等におきましても、ひとしく本法案の早期成立を要望しているのであります。したがって、私は、この意味からも、本法案のすみやかな成立をはかり、これを一つの基盤として全面的かつ実質的効果のある行政改革を漸次、着実に推進し、国民の声にこたえるべきであると思うのであります。
 現代の行政に要求されるものは、その本質において多少の異なりはあるとはいえ、民間の場合と同様に、少数精鋭主義による能率的な運営であります。そしてそのことが、結果として公務員諸君の十分なる待遇改善、すなわち人事院勧告の完全実施へつながる最短距離であると思うのでありまして、政府もこの点につき一そうの努力を払うことを要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#46
○副議長(安井謙君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#47
○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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