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#1
第061回国会 本会議 第28号
昭和四十四年六月十八日(水曜日)
   午前十時六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十九号
  昭和四十四年六月十八日
   午前十時開議
 第一 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関
  する法律等の一部を改正する法律案(趣旨説
  明)
 第二 国務大臣の報告に関する件(昭和四十四
  年産の米穀の政府買入れ価格の決定につい
  て)
 第三 宇宙開発事業団法案(内閣提出、衆議院
  送付)
 第四 外航船舶建造融資利子補給及び損失補償
  法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
  議院送付)
 第五 厚生省設置法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、内閣総理大臣の健康保険法及び船員保険法
  の臨時特例に関する法律等の一部を改正する
  法律案についての発言
 以下 議事日程のとおり
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、国家公務員等の任命に関する件につきおはかりいたします。
 内閣から、原子力委員会委員に北川一榮君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#5
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、これに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(重宗雄三君) 内閣総理大臣から、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案について、発言を求められております。この際、発言を許します。佐藤内閣総理大臣。
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(佐藤榮作君) 健康保険特例法は、二年間の時限立法として制定されたのでありますが、政府としては、この期限のうちに抜本対策の実現をはかるべく具体策の検討に全力を注いでまいりました。しかしながら、この問題は、きわめて広範多岐にわたるほか、根深い問題点を有しており、現在のところ、最終的な結論を得るに至っておりません。このことは、この法律の制定経緯等にかんがみ、まことに遺憾に存じます。
 政府としては、さらに一そうの努力を重ね、抜本対策の早期実現を期する決意でありますが、これが具体的な実施に至るまでの間、当面、保険制度を維持し、国民に必要な医療を確保することがぜひとも必要と考えられますので、この際、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案の審議に御協力をお願いいたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#8
○議長(重宗雄三君) 日程第一、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案(趣旨説明)。
 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。斎藤厚生大臣。
   〔国務大臣斎藤昇君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(斎藤昇君) 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律の一部改正部分について申し上げます。
 この点につきましては、ただいま総理大臣から御発言があったとおりでありますが、所管大臣といたしましてもこのたび健康保険特例法の延長について御審議をお願いするのやむなきに至りましたことにつきましては、その間の事情はともかく、深く遺憾の意を表するものであります。
 もとより、医療保険の抜本対策はきわめて難事業でありますが、一日も早くその実現を期するよう総理の御指示のもとに私も今後とも全力を傾ける所存でありますので、何とぞ御了承願いたいと思います。
 さて、右のような事情により、このまま本年八月末をもって健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律が失効いたしますれば、きわめて大幅な単年度赤字を生じ、すでに千二百億円をこえている巨額の累積赤字にさらに上積みされる結果、制度運営に重大な支障を来たすことは必至であります。このため、国といたしましても、昨年度に引き続き財政措置を講ずると同時に、抜本改革が実施に至るまでの間の当面の措置として、この法律の有効期間を延長することといたしたいと存ずる次第であります。
 改正案の内容は、この法律の有効期間を二年間延長し、昭和四十六年八月三十一日までとするものであります。
 次に、健康保険法及び船員保険法の一部改正部分について申し上げます。
 人口構造の推移等に即応して将来のわが国の繁栄を期するためには、次代をになうべき児童の健全な育成と資質の向上をはかることがますます重要な課題となっております。
 このため、政府といたしましては、母性及び乳幼児の健康と福祉の向上を期して、本年度において母子保健対策の一そうの推進をはかることといたしたのでありますが、これに即応して、医療保険の分野においても分べん時における経済的負担の軽減に資するため、抜本改革の問題とは一応切り離して、現行制度のたてまえのもとで分べん給付の改善を緊急に行なうこととし、昭和三十六年以来据え置かれております分べん費の額を大幅に引き上げることといたした次第であります。
 改正案の内容は、健康保険及び船員保険における分べん費の最低保障額を現行の六千円から二万円に、配偶者分べん費の額を現行の三千円から一万円に、それぞれ引き上げるものであります。
 また、この財源につきましては、保険料によって措置することとし、政府管掌健康保険及び船員保険の保険料率をそれぞれ千分の一引き上げることといたしております。
 最後に、この法律の実施の時期につきましては、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律の一部改正部分は公布の日から、健康保険法及び船員保険法の一部改正部分は昭和四十四年九月一日からとしております。
 以上をもって趣旨の説明を終わりますが、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
#10
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。上原正吉君。
   〔上原正吉君登壇、拍手〕
#11
○上原正吉君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明の行なわれました健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案につき、若干の質疑を行ないます。
 そもそも、この健保特例法が一昨年、第五十六臨時国会に上程されるに至りましたその原因、理由となったものは、何であったか。それは、健保の財政に年々数百億の赤字が生まれ、これがすでに累積されている赤字に加われば、健保財政は破綻して、その運営はついに不可能となる。いまにして、抜本対策を樹立しなければ……というところにあったこと、衆目の見るととろであります。したがって、赤字のために健保制度が危殆に瀕することを防ぎとめる、これが抜本対策であると理解し、主張する者が生まれたのは当然であります。一方、抜本対策という大きな看板を掲げたからには、よりよい、より完全な医療給付を目的としたりっぱな根本政策を樹立すべきである。わずかばかりの赤字など気にする必要はないと主張する者があらわれるのもまた当然であります。さらに一方には、学問、技術が猛烈なスピードで進歩発達するため、新しい病気が続々と発見される。新しい治療法も、新しい薬剤もどんどん開発される。そして、それらがいずれも高級、高価なものとなるため、医療費は際限なく高騰していくという、厳然たる事実があります。さらに加えて、財政政策の成功に伴って、国民の所得が増加すれば、診療を求める被保険者の数も、それにつれてふえていきます。こういうことになりますと、せっかく保険料金を引き上げても、国庫の負担をふやしても、赤字が累積するのをがまんしても、実際に行なわれる医療給付の質は悪化、低下するばかりということになるのであります。総理も「この問題はきわめて広範多岐にわたるほか、根深い問題を有しており、現在のところ、最終的な結論を得るに至っておりません」と述べられておりますが、まことに容易ならざる事態であります。
 そこで総理にお尋ねいたします。
 この難問題を解決し、この難局を乗り切るための抜本対策を樹立するには、確固不動の理念と決意とを持って事に当たらなければならないと存じますが、総理はどんな理念と決意とをお持ちでしょうか。お聞かせおきいただきたいのでございます。
 質疑の第二は、政府は、わが国の健保制度を国が財政援助を行なう保険の一種と見ているのか、あるいは国が責任をもって行なう社会保障制度の一環だと考えているのかということであります。
 政府は、しばしば、保険の性質から考えて、被保険者からも応分の負担を願うのが当然で、というふうなことをいわれます。しかし、これは保険という考え方で保険料を支払うのであれば、保険に加入するしないは国民の自由であるべきはずであります。そして、それなれば学校法人のように、あるいは医療法人のように同業同士、互いに反対給付の手厚さを競い合って、国家国民に奉仕できるという制度が樹立されているべきである、極端にいえば、民営の健康保険事業さえも許されてしかるべきだと考えるのであります。しかるに、わが国の健保は、国民皆保険と称して、会社の社長、重役からも保険料を徴収します。おそらく総理も、閣僚諸公も、保険料を徴収されていることと存じます。これは、たとえ徴収者が組合であっても、法律による強制加入であり、法律による料金の強制徴収である限り、一種の税金であります。国民の税金によって国民の医療を行なう、これは保険事業ではなくて一種の社会保障制度であるという考え方も当然出てまいりましょう。わが国の健保は、国の行なう保険事業として完成を目ざしているのか、社会保障制度の一環として完ぺきを期しているのか、これは厚生大臣にお答えをお願いいたします。
 質疑の第三は、巷間、保険料が保険料として徴収されても税金として徴収されても、国民の負担であることに変わりはないのだから、税金のような取り立て方をされるのなら、むしろ初めから税金として取り立てられるほうがすっきりして気持ちがよい。だから保険料などの取り立てはやめて、たとえ税金が重くなっても、医療の給付は一切国費でまかなったらどうか。そうすれば、事業所従業員の業務上の傷害など、公共団体の所管に移した場合、事業主の責任をどうするかとか、交通事故のけが人の健保管掌者はだれかとか、そういうような問題は一挙に解決するという意見があります。これについて総理はどうお考えか、お聞かせおきをいただきたいのでございます。
 質疑の第四は、いずれにしても、国民の税金で医療給付が行なわれるのであれば、最少の税金で最大、最良の診療が行なわれるべきであります。厘毫のむだも許さるべきではありません。国民一人当たりの収入が、世界で二十番目、はるかに後進国だと考えていた国々の国民よりもはるかに収入が少ないというわが国民の担税力の小ささにかんがみまして、診療の実際は、技術としては最高のものであっても、経済的には最低の線でがまんすることとすべきではないか。抜本対策だから、などと唱えて、ぜいたくな診療給付を企てるべきではない。いな、むしろ国費による施療の形に近づくことをさえ、しんぼうすべきではないかという考え方もあると思うが、いかがでしょうか。これは厚生大臣にお答えをお願いいたします。
 質疑の第五は、最少の費用で最良の医療給付を行なうためには、公立、私立の学校病院、その他の公立医療機関をおいおいと拡充していって、将来は、それらを健保診療担当機関の主軸とすべきだという主張があります。これは傾聴すべき意見だと考えますが、総理はいかがお考えでしょうか、お伺いいたします。
 質疑の第六は、薬剤の価格が健保診療の相当な部分を占めているという事実にかんがみまして、その価格の低下をはかるための方策についてであります。健保に使用する医薬品は、健康保険薬局方を制定し、日本薬局方に収載されていない薬品は、すべてこれに収載し、購入にあたっては、化学構造、化学構造の明らかでないものは製法、成分を指定して、広く、製薬業者、化学工業業者に競争入札を行なわせ、それによって公共団体が購入し、健保診療機関に配給するということにしてはいかがですか。これを実施すれば、薬剤の価格は驚くほど低下すること、火を見るよりも明らかであります。
 ただ、ここで問題となりますのは、特許による製品についてであります。特許という制度は、発明者、発見者、開発者の努力と功績に報いるため、一定の期間、独占的な生産と、独占的な価格とを許容する制度でありますから、国が、国民の血税をもって国民の健康と生命を維持するために行なう事業に使用する際、これに適当な制限を加えることは、法律を改正し、あるいは新しく法律を制定する必要はありましょうが、やむを得ないことだと考えます。政府の見解はいかがなものか承りたいのであります。お答えは厚生大臣にお願いいたします。
 以上をもって私の質疑を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(佐藤榮作君) 上原君にお答えいたします。抜本対策は、さきに見解を表明いたしましたように、問題が非常に重大であり、また困難、複雑でありますので、各方面の英知を集め、国民各位の御納得のいただける成案を得るために、この上とも最大の努力を払ってまいります。
 なお、上原君は、赤字対策と医療給付の改善のいずれに重点を置くかという角度から、抜本対策について私の見解を求められましたが、私は給付の公平と負担の公平は、制度の発展のために必要欠くべからざるものであると同時に、保険財政の長期的安定の確保も、本制度の健全な発展の前提であるという意味合いにおいて、両者を当然念頭に置いて論議されるべきものかと考えます。また、医療保険制度の改革にあたっては、医療制度等の関連制度を充実し、その有機的連係を十分考慮することによりまして、国民医療の確保がはかられるものと、かように考えております。
 次に、医療給付は、一切国の責任で行なえとの御意見でありました。上原君は、あるいは英国式の医療保障を念頭に置いておられるかと思います。もちろん、それはそれで一つの方式ではありますが、社会保障制度の重要な柱である医療保障の方式は、世界各国が必ずしもさようではありません。その他の多くの国々がとっているように、社会連帯の思想を基礎とする医療保険制度を中核とした現行制度は、わが国の実情に即したものであり、今後ともこの制度を充実することにより、その発展を考えてまいりたいと、かように考えております。
 最後に、公立医療機関を拡張して、健保診療の主体とせよとの御意見でありました。現在、公立の医療機関は、ほとんどすべてが保険医療機関となり、地域の基幹病院としての役割りを果たしております。一方、開業医も保険医療機関として、地域住民と密着した診療活動を行なっており、私は両者相まって国民の健康が守られているものとして、それぞれの役割りは積極的に評価さるべきものと、かように考えております。今後とも公立機関だけに保険診療を扱わせるよりは、両者のそれぞれの長所を生かして、保険医療を分担していただきたいものと、かように考えております。
 以上お答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣斎藤昇君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(斎藤昇君) 医療保険制度は、社会保障かあるいはまた保険事業の国営かというお尋ねに対しましては、総理からお答えがございましたから、私からは省略をいたさせていただきます。
 なお、保険料を保険税として取ってはどうかという御意見でございますが、御承知のように、国民健康保険におきましては、保険料を保険税として取っている公共団体もございますが、健康保険制度におきましては、組合管掌も、また政府管掌もただいまのようなやり方が一番現状に合っているのではなかろうかと、かように考えております。
 また、保険の給付は最もいい給付を、そして、その給付を最少の費用でという御意見には全く賛成でございます。ただ、ぜいたくな診療は抑制していいじゃないかという御意見に対しましては、ぜいたくであるかないかというこの見きわめはきわめて大事だと私は考えます。医師が考えて最善であるという診療の受けられるような保険診療報酬制度というものが最も望ましいと思うのでございますが、同時に、いわゆる乱療乱診というようなことがあるといたしますれば、これは厳に、行なわれないような制度組織の樹立が肝要であろう、かように考えております。
 薬剤の流通機構と申しますか、これを公共団体で一括共同入札をし、そうして、必要な医療機関に配給をしたらどうかというお考えも一応のお考えでございますが、今日の医薬品に関する流通機構におきましても、なお改善すべき余地があると考えますが、これは、公共団体でさようなことをやらせることが適当かどうか、よほど検討の余地があると、かように考えております。ただ、医薬分業はぜひ行なわれなければならないと考えますので、その段階におきまして、最も適当な、いわゆる薬剤の流通機構というものを同時に考えあわせてまいりたい、かように考えるわけでございます。
 また、医薬品の特許制度、いわゆる先発の効果といいますか、新規薬剤を開発した場合に、特許の効果を長く認めることはよろしくないという御意見でございますが、この点につきましては、御承知のように、わが国の新薬の開発は、世界の諸国に比べて相当おくれておるわけであります。私どもといたしましては、やはり薬剤の新しい発見、発明というものをなお促進させる必要があると、かように考えまするので、むしろ、先発の効果というものを十分薬剤については保持をさせたい、かように考えておりますことを申し上げておきたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(重宗雄三君) 大橋和孝君。
   〔大橋和孝君登壇、拍手〕
#15
○大橋和孝君 私は、日本社会党を代表し、ただいま提案されました健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律並びに健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案につき、佐藤内閣総理大臣をはじめ各関係大臣に質問をするものであります。
 第一に、臨時特例法の期間をさらに二年間延長することにつきまして、総理は、その政治的責任をいかなる形でとられるつもりか、お尋ねいたします。
 総理も御存じのとおり、一昨年八月の臨時国会において、政府・自民党は臨時特例法を再延長することをせず、その間に抜本改革をはかると、わが党をはじめ各党に確約をしたのであります。そのことは、第五十五特別国会及び第五十六臨時国会の審議過程においても、佐藤総理をはじめ関係各大臣がしばしば言明したところであります。にもかかわらず、今日その延長を提案することは、明らかに公党の公約を踏みにじり、民主主義を否定するものであり、国会を軽視するものであります。しかも延長の理由を、関係各団体の意見調整ができないためというのは、みずからの政治力の貧困、政府の無責任をたなに上げて関係各団体にその責任を押しつけようとするもので、佐藤総理の政治責任たるやまことに重かつ大なるものがあります。(拍手)総理は、この公党間の約束を踏みにじった事実及びあなたの率いる政府の無能ぶりについて、国会並びに国民に対する政治的責任を一体いかなる形でおとりになるつもりか。総理は、政治責任を感ずるならば、すみやかに特例法を撤回して、国民の健康と生命を守る立場から真剣に抜本対策に取り組むことこそ、最もふさわしい政治姿勢ではないかと思うのでありますが、いかがでありますか。(拍手)
 第二に、この際総理に伺っておきたいことは、国民の医療についていかなる基本的理念を持ち、いかなる政策を持って臨まれるかということであります。
 臨時特例法は申すまでもなく保険財政対策であり、言うなれば、国民の受診抑制をねらったものであります。臨時特例法だけではありません。いままで政府・自民党が打ち出してまいりました健康保険対策は、ことごとくこの理念に貫かれていると言っても過言ではないと思うのであります。もともと健康保険制度というものは、国民の健康と生命を守るための手段でしかなく、その手段でしかない健康保険のそのまた財政対策だけに追われて、総合的な視点も計画性も見失っている現在の医療政策に、佐藤総理、あなたはほんとうに政策的価値ありと考えておられるのか。医療の本質について、政治家としての思想と、それを今日医療政策にどのように具体化するおつもりか、あわせて御所見を伺いたいのであります。
 次に、斎藤厚生大臣並びに福田大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 斎藤厚生大臣がその任につかれましてから、医学教育研修制度をめぐる紛争、夜勤制限を要求する看護婦スト、中医協で難航しておるところの診療報酬引き上げの問題などなど、日本の医療の直面する問題がいかに根深く深刻であるか身をもって痛感しておられると思うのであります。私は、大臣が、そういった日本の医療の直面する諸問題よりは、保険財政の問題のほうがより重要であるとはよもやお考えになっているとは信じませんが、医療の本質そのものが問われている現在に、人の生命よりお金のほうが大切だというがごとき今回の提案について、これ以上不毛な議論を繰り返すことはやめにしてもらいたい。これがむしろ私の率直な気持ちであります。
 そこでまず第一に、国民皆保険の真の目標は、国民の健康をいかにして保持するか、さらに進めてこれをいかに増進させていくかということにあるのであります。ところが、最近この目標と反して、保険経営の効率という問題で押し切ろうとする立場をとって、一方に収入をふやす方法を考え、他方には支出を抑制する方法を考えることによってつじつまを合わせるというこの単純なバランス論が首をもたげておるのであります。ここで、特例法が何ゆえ非難されるか、もう一度顧みたいと思うのであります。非難の核心は、このバランス論だけが織り込まれているところにあるのであります。真に必要である医療需要までも、受診率抑制という手段によって見さかいもなく押えようとしているところにあるのであります。医療需要の増大を防ぐ道は、個々的には予防給付を制度に取り入れることであり、さらに集団的には公衆衛生活動の充実によって行なうことが本筋であります。そうでなければ、健康を増進するという本来の目標を見失うことになるからであります。政府は、特例法成立以来このような努力をどれだけなされたのでありますか。公衆衛生関係の予算を見ますと、四十三年度は一一・四%の伸び、四十四年度はこれを下回って九・八%の伸びでしかありません。直ちにその非を悟られて、おくればせながら来年度予算には大幅な公衆衛生費の充実の予算を組まれる決意をなされますか。さらに、疾病の予防対策を医療保険の中に組み込んでいく方針を明らかにされますか、両大臣の御所見を伺いたいのであります。
 第二に、医療保険制度は、貧困者救済という慈恵的な観点に立つ過去のそれとは異って、社会的責任において疾病を解消しようとする体制であります。
 慈恵的救済の立場から言うならば、必要最小限度の最低医療という基準が生まれてくるかもしれませんが、社会的責任による健康保障という立場は、最低保障という基準を受け付けてはならないのであります。生命に対しては最低保障ということは考えられないことであります。所得保障の範疇において医療保障を考えることは根本的に誤りであります。とするならば、抜本対策の中で給付の統一化をはかるには、現在の制度でやや高いとされているところの組合健保の被保険者本人の水準にまで他を引き上げることが、真の医療保障理念に即することになります。各制度間の格差是正のための水準をここに置くという目標を確立されているのかどうか、厚生大臣の御所見を伺いたいのであります。
 第三に、強制加入という制度をとっている国民皆保険体制における国家の責任についてお考えを伺いたいのであります。
 国民皆保険という体制は、そもそも、負担能力の低い低所得者層を無差別にかかえ込む体制であります。現在の保険体系内におけるそのなまの姿を保険料負担額と給付額との開きについて見ると、次のようなことが言えるのであります。大企業を中心とするところの組合健保においては、加入者一人平均で、保険料負担のほうが給付額に比して八千三百七十九円上回っているのに対しまして、中小企業を対象とするところの政管健保にあっては、逆に、一万八千二百五十七円の給付額超過、すなわち保険料の不足となってあらわれているのであります。この皆保険の仕組みの中で、このようなアンバランスを是正する具体的な対策は、所得再分配機能をできるだけ果たさせていくことにかかっております。そして、その成果は、生活保護法の医療扶助の趨勢にあらわれてきておるのであります。生活保護は、皆保険体制から脱落して、公費負担にかかる姿であるのであります。三十五年に三百六十四億円であった医療扶助は、五年後に二倍の額となり、適用人口も五割の増加を示しておるのであります。このことは、保険料中心の保険体制における所得再分配機能の限界を物語るのであり、保険料に比重を強くかけ過ぎることの誤りを意味しておるのであります。言いかえるならば、社会保障の中に受益者負担の考えを取り入れると社会保障理念が達成できないことを如実に物語っているのであります。いわゆる受益者とされる者の中には、そもそも負担能力のない者があるからであります。自民党調査会の試案作成に当たってこられた鈴木前会長は、抜本対策を実現するために千五百億の国庫負担を用意すべきだと述べられたとか聞いておるのであります。すべての給付水準を少なくとも現在の組合健保水準に引き上げるためには、二百二十五億にこだわることなくして、必要な予算を計上するという方針がここでなされてよいと思いますが、大蔵大臣の御決意を伺いたいのであります。
 第四は、臨時特例法の延長と抜本改革との関係についてであります。
 厚生大臣が、みずからの政治生命をかけても臨時特例法の延長という今回の提案はどうしても撤回することができないとおっしゃっているならば、それは当然、自民党案でなく、政府案としての抜本改革案を、おそくとも実質審議が始まるまでに提案するという確固たる御決意の上に立ってのことであろうと思うのであります。三月四日、衆議院予算委員会において、あなたは、今国会中に抜本改革案を関係審議会に諮問すると言っておられますが、これを実行されるのか。わが党は、問題の本質から言っても、また経過から言ってもそのように理解いたしますが、確認のため厚生大臣の明確な御答弁をいただきたいのであります。(拍手)
 第五に、今回の分べん給付の改正では千分の一の保険料率引き上げを行なっておりますが、これは初年度三十三億円、平年度六十三億円の増収となります。一方、保険給付のほうは、初年度に二十五億円、平年度は四十二億円で済み、このことから千分の〇・七でもって十分であり、千分の一引き上げは多過ぎるのであります。これにつきましては納得のいくひとつ御答弁をいただきたいのであります。
 次に、特例法を成立させた四十二年当時、毎日毎日四億円の赤字を生じているとおどし、また、特例法の実施によってもなおかつ単年度三百二十億円の赤字が生ずるという数字の脅迫をもって強引にこの成立を強行したのでありました。ところが、四十二年度の決算を見て私は目を疑ったのであります。三百二十億のはずであったところの赤字が五十八億円になっているのであります。その減少額二百六十二億円という数字は、まさに八一%の見込み違いということであります。政府は、保険料が予期以上に八十二億円もよけいに入ってきた、利子も二十二億円が節約できた、現金給付が二十六億円減少したと言って説明いたしております。こうした言いわけを一応受け取るといたしましても、なお医療給付の見込み違いによる減少額が百三十一億円もあることであります。これはまさしく成立当時に心配されたとおりの受診抑制と患者負担の犠牲によってもたらされた泣きの涙の節減ではなかったのか。政府が国民に謝する方法は一つあると考えます。私はこれを提案いたします。それは、この見込み違いに基づくところの不当な節減によって患者がこうむっている損害を埋め合わすために、国庫負担の中にこの分だけでも上積みする措置を講ずることであります。毎年、医療費の五%ぐらいの予備費がとられております。それに医療給付費のほうもふくらませてあるはずでありますから、おおよそ二百億ぐらいの操作は可能であろうと思うのでありますが、大蔵大臣と厚生大臣の御所見を伺いたいのであります。
 次に、坂田文部大臣にお伺いいたします。
 今日の大学問題のそもそもの発端が医学教育、医師研修制度の改革問題にあったことは、いまさら申すまでもないことであります。大学医局の封建性、閉鎖性、そのもとにおける無給医問題及びインターン制度に対する改革ののろしが大学のあり方そのものへ燃え広がり、さらに全国の大学紛争へとエスカレートしていった客観的な事実については、ひとしくお認めになるところであろうと思うのであります。ところが、まことに遺憾なことでありますが、いまや文部大臣をはじめ、政府・自民党の力点は、学生の要求を抑圧し、大学運営に関する臨時措置法案で解決しようとしています。そして、大学が自主的に行なう医学教育、医師研修制度の改革に対して、政府がいまの時点でどのような措置を講ずるかという、まさに政策的課題は放棄されているのであります。人間そのものを問い、人間を疎外する現代を告発して、そういう現代における大学のあり方が問われている。今日の大学紛争に対して、単にそれを抑圧するだけで事足りるとするのは、あまりにも政治に進歩がなさ過ぎるのではありませんか。政策なり、それをささえるところの思想が貧困に過ぎるのではありませんか。大臣の率直な御意見を伺いたいのであります。
 最後に、床次総務長官にお尋ねいたします。
 沖繩の医療制度の視察に私も先ごろ参ったのでありますが、御承知のとおり、沖繩の医療保険は悪名高いところの療養費払いであり、本人の七割給付は、実質的には四割程度の給付であると言われております。ところが、一昨年十一月の厚生省事務局試案でも、あるいはまた、先ごろの自民党の国民医療対策大綱においても、受診制限や被保険者の負担増となる療養費払いを導入しようとしているのでありますが、これは医療における本土の沖繩化であり、庶民を医療から締め出すものであると考えなければならないのであります。むしろ本土の医療制度の抜本的な改善を行なって、沖繩の医療をこの高水準に引き上げる十割給付にすることこそ、筋が通っているのではないかと思うのでありますが、長官の御所見を伺いたいのであります。
 以上をもちまして私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(佐藤榮作君) まず、健康保険特例法を延長しなければならない事態となったことは、率直に申しまして、たいへん残念なことであり、遺憾の意を表する次第であります。医療保険の抜本改正は、国民生活に及ぼす影響がきわめて大きく、また問題が根深いので、あえて若干の時間的余裕を再度お願いした次第であります。国民医療を確保するためには、単に医療保険制度ばかりでなく、医療制度そのものや関連の諸制度につきましても総合的に検討する必要がありますので、さらに各方面の御意見を十分聞かせていただき、国民各位の納得のいくりっぱな成案を得るために全力をあげてまいる決意であります。
 また、健保特例法案は撤回せよとの御主張でありましたが、これを撤回するつもりはございません。先ほど表明いたしましたように、延長せざるを得ないことは遺憾ではありますが、その間これを放置すれば、医療保険制度そのものに大きなひびが入る結果となるので、やむを得ず特例法の延長をお願いした次第であり、何ぶんの御理解を得たいと存じます。心からお願いをいたします。
 次に、国民医療は国の責任で、との御主張でありましたが、これは一般税負担とのかね合いにおきまして考えるべき問題であると、かように考えます。一般税負担を増して医療保障に対する国の責任を重くすることは、もちろん一つの方法ではありますが、現行の医療保険の考え方は、低所得層に対しては過重な負担とならないよう特別の配慮を払いつつ、社会保険方式を中心として組み立てられたものであり、今後ともこのたてまえを変えるつもりはありません。
 最後に、医療保障についての考え方についてお尋ねがありましたが、国民の一人一人が心身ともに健全であることは、福祉国家を目ざす政治の主要な目標であり、それはまた、経済発展、ひいては国家繁栄の基盤となるものであり、医療保障はそのための中核的施策として重視しておることはあらためて申すまでもありません。このためにも、ぜひりっぱな医療保険制度の改革について成案を得るよう、最善を尽くしてまいりたいと、かように考えております。
 お答えといたします。(拍手)
   〔国務大臣斎藤昇君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(斎藤昇君) 医療保険の運営及び根本的改革の基礎的な考え方は、保険経済のバランスを重点に置いて考えておるのではないかというお尋ねでございますが、もちろん保険経済のバランスという点も大事であり、保険経済が安定をしていくということも非常に重要な問題でございますから、これも重要問題の一つの柱として考えておりますが、同時に、負担能力に応じた保険料、いわゆる国民の個々の負担においてできるだけいい医療を与えることのできるようにというのが一番の根本的な考え方でございます。現在必ずしも負担能力に応じた保険料ということにはなっておりません。また、保険給付も保険の種類に応じて相当違いがございます。できるだけ同じような保険給付を同じような能力負担においてやってまいりたいというのが基本的な考え方でございます。
 また、疾病の予防、そのための公衆衛生等に金をつぎ込むことは、いわゆる疾病を少なからしめて保険の費用を少なく済ませる道ではないか、そのほうに力が足りないとの御意見は、これはごもっともに存じます。単に公衆衛生のみならず、環境衛生におきましても、その他万般の社会保障の充実は、結局国民の体位の向上あるいは疾病の予防につながるものでございますので、その方向にますます力を入れてまいりたいと存じます。ことに、抜本改正におきましては、地域の国民の健康の管理体制というものを確立し、これを充実することによって疾病を少なからしめるということが一つの要点である、かように考えまして、そういった関連において抜本対策も考えてまいりたい、かように思う次第でございます。
 さらに、保険給付のアンバランスの点は一番いいところに引き上げていくのが肝要でないかという御意見でございます。これはごもっともに存じます。一挙に引き上げるということはいろいろな条件で困難な点もございますが、逐次最高の水準に引き上げてまいるように努力をしてまいりたいと思います。
 国民皆保険は強制加入である、負担の均衡をはからなければならない、これによって所得の再配分をはかるべきだ、この御意見もごもっともでございます。先ほど申し上げましたように、抜本改正の主眼点の一つのやはり負担の公平という点を考えまして、保険料のアンバランスのないようにやってまいる。同時に、これが保険経済の安定に役立つものだと存じまするし、また、所得再配分につながるものだ、かように考えて、その方向において抜本改正を考えてまいりたい、かように思います。
 抜本改革案をこの国会中に関係審議会に諮問をいたしたいという私の考え方は変わらないかという御意見でございますが、今日もできるならばさようにいたしたいと努力をいたしております。つい先日、わが自由民主党の抜本改正に対する意見の取りまとめが行なわれました。そうして、これらの意見を重んじながら政府内の意向をまとめまして、まとまり次第審議会に諮問をいたしたい、かように考えますが、党の考え方の中にも、相当Aの意見とBの意見と対立するものがございます。したがいまして、これらの調整を考えながらやりたいと存じまするので、できるだけこの国会中に諮問はいたしたいと考えておりますが、余日が非常に少なく相なりましたので、はたしてそのことができるかどうか、私はいま危ぶんでいるのでございますが、今日といたしましては、できるだけさようにいたしたいというので努力をいたしておるわけでございます。
 なお、このたびの改正案で、出産手当を増額することによって、千分の一の保険料率の引き上げをやったのは、これは必要な経費を上回る率である、〇・七でしかるべきだというお尋ねでございます。お説のように、若干は千分の一よりも少ない額でまかない得ると考えるのでありますが、保険料の算定の基準といたしまして千分の一以下の端数をつけることは、いろいろな点で支障がございますので、いままでの慣例に従いまして四捨五入をいたしたわけでございますので、御了承を願いたいと存じます。
 四十二年度の決算報告において赤字の見込み違いがあった、そうして赤字が少なくなった、これは特例法によるいわゆる一部負担のために医療を抑制せしめたけしからぬ効果である、かような御意見でございますが、私は、必ずしも一部負担のために医療が抑制されたとは考えておりません。いわゆる所得の少ない方、約六割近くの方はこの適用を受けておらぬわけでございまするし、むしろ予想外の報酬のアップと、それから最近は診療の総経費が大体横ばいになってきたと、この二つの原因からまいったものだと考えます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(福田赳夫君) 疾病の対策として、受診抑制よりは予防主義をとるべきではないか、こういうお説でございますが、これは全く同感でございます。早期治療でありますとか、あるいは早期発見と、そういうようなことに努力をすべきものである、かように考えるわけであります。一般会計でも保健衛生対策費は累年増加をしておりまするが、今後も努力をいたしたい。ただ、この予防措置を予防給付として法制化するということは、これはなかなか問題の多いところでございますので、抜本対策の一環ということで検討さしていただきたい、かように考えます。
 また、分べん給付に対して今度千分の一の料率引き上げをやる、これは取り過ぎじゃないかというお話でございますが、これはいま厚生大臣からお話があったとおりでありまして、四捨五入というか、端数切り上げでございます。そのとおり御了承を願います。
 四十二年度の保険財政が好転をいたした、今度それを取り戻しをしたらどうだというお話でございまするが、これはそういう事情があったことは事実であります。しかし、当初予定をいたしました二百二十五億円の予算はそのままこれを繰り入れておるわけでありまして、保険財政が予定よりはよくなったから二百二十五億円をちびるというようなけちなことはいたしておりませんから、これはひとつ御了承を願いたいと思います。
 最後に、保険料中心主義でやっていく保険の行き方、これについては是正すべきではないかというお話でございますが、そもそもこの医療保険は、相互扶助によって国民健康を保持しよう、こういう考え方から保険制度が取り入れられておるのです。保険制度でやっている以上、保険制度というたてまえをやめるわけにはいかない。したがって、応分の保険料を徴収をする、これは変えることはできないと思います。しかし、保険の種類によりましては、その対象が小さいもの、弱いもの、負担能力が少ないという人もあるわけであります。それに対しましては、国庫がこれを補助するという方針であります。今後といえども、この方針は堅持してまいる、こういう考えでありますので、これもそのとおり御了承を願いたいのであります。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(坂田道太君) お答えをいたしたいと思います。
 大橋議員御承知のように、昨年医師法を改正いたしまして、従来種々問題のございましたインターン制度を改めまして、新たにこの医師免許取得後二年以上行なう臨床研修医の制度を設けまして、所要の財政措置を講じてまいりましたわけでございますが、特に本年度は臨床研修医につきましては一万五千円の謝金を二万七千五百円にいたしたわけであります。また、無給医局員に対しましても、従来一万五千円の謝金を今回三万五千円に引き上げたわけでございます。このように、確かに御指摘のとおりに、東大の紛争の直接のきっかけとなりましたのは、医局制度あるいは研修医、無給医局員の制度にあったと思います。しかし、その後はいろいろの原因が重なりまして、不法な暴力状況が大学内に行なわれておる。したがいまして、この不法な暴力を排除するということはやらなければならないと思いますが、同時に、御指摘のような教育条件の整備ということにつきまして、文部省としましても、政府としても心がけるべきは当然かと考えておるわけでございます。また、医学教育に関します問題は、臨床研修医の問題だけではなくて、基礎医学と臨床医学との関係、あるいは大学院教育と臨床医養成との関係、あるいは医学博士号のあり方というふうにいろいろあるわけでございまして、医療制度全般の問題あるいはまた大学制度全体の問題、あるいはあり方と関連するわけでございまして、これにつきましては、今後抜本的に検討をする必要があるかと考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣床次徳二君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(床次徳二君) 沖繩の医療制度に対しましてお尋ねがございましたが、現在沖繩では政府公務員、公社職員及び常時五人以上を雇用するところの事業所の被用者を被保険者とするところの医療保険制度が実施されております。しかし、これは本土の政府管掌健康保険制度及び公務員の共済制度の中の短期給付に該当するものでありまして、その内容は療養の給付が特に御指摘のように現金給付方式であることと本土の同種のものと比較いたしまして、必ずしも十分とは言えないのであります。また、現在住民の約半数がこの制度の適用外であるというような事実でありまして、この状態を改善いたしまして、住民の健康を増進し、福祉の向上をはかるということ、これは保険制度の改善のみならず、さらに国保の医療、すなわち医療皆保険の実施が望ましいのでございます。しかし、現在では、医師、医療関係機関の人々もきわめて不足いたしておりまして、その整備等をいたしまして、解決しなければならないいろいろの問題がございまして、このため、目下琉球政府といたしましても、本土政府に準じましたところの国民健康保険制度の確立のために準備を進めております。すなわちそのためには医師の養成のための奨学制度の実施、また、保険職員の養成のための保険学部の設置をはじめ、あるいは新那覇病院の建設等に着手しております。なお、このためには本土政府といたしまして、技術援助及び施設の整備のための財政援助を行なっていることは御存じのとおりであります。何と申しましても、医療皆保険制度を実施すること、これは住民福祉のためにきわめて大事なことであります。本土政府といたしましては、本土との一体化政策の中の最も重要な事柄として、できる限りすみやかに実施できますように努力をしております次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(重宗雄三君) 上林繁次郎君。
   〔上林繁次郎君登壇、拍手〕
#22
○上林繁次郎君 私は、公明党を代表して、ただいま趣旨説明のありました健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、総理をはじめ、関係各大臣に若干の質疑を行なうものであります。
 一昨年健康保険特例法の制定に際し、政府は再三にわたりこの法律の期限内に抜本対策の実現を公約し、再度、暫定対策を繰り返さない旨を国民に表明しておきながら、健保特例法の延長法案をここに提出してきたことは、全く国民を欺瞞した背信行為であると言わざるを得ません。医療保険の抜本対策については、政府は無為無策のままに与党の検討にゆだね、また、与党は右顧左べんして今日なお成案を見ていない現状は、ただただ無責任以外の何ものでもありません。まさにその責任は重大であります。したがって、総理は、今国会に提出しておる特例法案を撤回して、二年前に国民に公約してきた抜本対策を早急に実現すべきであると考えますが、総理の決意のほどを伺いたいのであります。
 医療保険対策を実施するにあたっては、単に医療保険の分野にとどまることなく、あまねく国民に必要かつ十分な医療を確保するため、関係諸施策の整備、充実が肝要であることは論を待ちません。わが国は、国民皆保険がすでに達成され、医療内容は西欧先進国並みの水準に達しておるといわれております。しかしながら、皆保険なるがゆえに、保険料は強制的に徴収され、医療を機会均等に受けられないで、今日なお低医療水準に取り残されておる僻地等が多いこともまた見のがせない事実であります。無医地区解消のための僻地医療対策は、抜本改革にあたっての重要課題であると同時に、今日緊急に取り上げるべき問題であると思いますが、厚生大臣の見解と、その具体策について明示願いたいのであります。
 次に、老人医療対策の問題は、人口構造の老齢化の傾向と相まって、近時ますます国民の関心が高まってきております。このたび厚生省は、中央社会福祉審議会に老人の医療対策に関して諮問されておりますが、厚生大臣は、老人医療対策にどのような方策を持ち、また、どのような見解をお持ちなのか、あわせてお伺いしたいのであります。
 今回の改正案においては、分べん費の改善が織り込まれておりますが、政府は、分べん費の引き上げの財源をすべて保険料によってまかなうという全くおこがましい提案をしております。わが党としては、母子保健の問題は、産前産後を通じて一貫した総合施策を講ずべきであると考え、母子保健法の拡充整備の範囲において国庫負担を増額すべきであると主張して、先般母子保健法の一部改正案を提出した次第であります。現行の救貧対策といわれている母子保健法を全面的に改正して、母子保健対策を拡充強化する決意があるかどうか、厚生大臣に伺いたいのであります。また、園田前厚生大臣は、正常分べんについて、疾病と同様に現物給付とすることを公約しながら、今回、斎藤厚生大臣は若干の分べん費の引き上げで当面を糊塗した理由は那辺にあるのか、将来の方針とあわせて御答弁願いたいのであります。
 次に、弱体な社会保険制度については、定率の国庫負担によって制度をささえるのは常識であります。現に、国民健康保険は四五%、日雇い健保は三五%の定率国庫負担の措置がとられております。今年度予算では、政府管掌健康保険は昨年と同様二百二十五億しか国の財源からは支出されておりません。これは定率にして五%程度の微々たるものにすぎません。このように政府の政管健保に対する配慮はきわめて冷淡であり、受益者負担、患者の薬剤費の一部負担等に過重の負担をしいて、国の負担をできるだけ軽減しようとはかる政策以外の何ものでもないと断ずるものであります。そもそも当然、国が給付費の定率負担を行なうよう改善しなかったために起こった赤字であります。したがって、その財政の再建は焦眉の急を要する問題であります。よって、この際、医療の抜本対策を待たないで、緊急に少なくとも二五%以上の国庫負担を定率化すべきではないかと主張するものでありますが、大蔵大臣及び厚生大臣にその所信を問うものであります。
 次に、社会保険の財政調整について申し上げます。
 健康保険及び失業保険の保険料は、同一事務所の被保険者から徴収しております。現在、失業保険の財政は、近年における雇用情勢の好転を背景として、連年多額の剰余金が約二千億をこえているとのことであります。一方、健保の赤字は、特例法の措置をしなければ、累積赤字は昭和四十四年末には千八百八十億になるといわれております。同一被保険者でありながら、わが国の社会保障制度がばらばらなるがゆえに、いまだ財政調整されずにいるのが実情であります。
 昭和四十三年十一月に発表された財政制度審議会の意見では、「最近のように、失業保険は経常的に多額の剰余を生じ、他方、同じ短期の社会保険である医療保険は、経常的に大幅な赤字を生じている状況にかんがみると、社会保険制度相互間において費用負担の調整を行なう必要がある」と述べているのであります。財政制度審議会においてすら、このように言っておるのでありますが、大蔵大臣はこれを早急に実施する用意があるかどうか、はっきりお答え願いたいのであります。
 最後に、社会保障の充実、統合、調整についてであります。
 社会保障制度の充実は、長期にわたる展望のもとに施策を行なわなくてはならないのは当然であります。しかるに、わが国の社会保障計画は、国民にいまだかつてそのビジョンを明らかにされたことがなく、全く政府の怠慢以外の何ものでもありません。社会保障制度を現状のままで当面の安易な態度を持続することは、制度のひずみをますます拡大し、その発展を阻害して、やがては制度自体を崩壊に導くことにもなりかねないと思うのであります。
 このときにあたり、わが公明党は、今国会に社会保障基本法案を提出して、社会保障の長期計画と、国の責任給与と費用のバランス、整備、統合等々を明確にしたのであります。平和国家、福祉国家の建設は、わが国の国民的な終局の願望であります。そしてその進歩の指標は、具体的には社会保障の整備、統合をおいてはないのであります。
 政府はこの際、社会保障の統合、調整のために、わが党案による社会保障基本法の実現を期すべきであると考えるが、総理及び厚生大臣の所見を賜わりたいと思うものであります。
 以上、国民が深く注目を寄せているこの重要法案に対し、明快な御答弁を願って私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(佐藤榮作君) まず、医療保険の抜本改革案を早急につくれとの、御批判というよりもおしかりでありますが、先ほど大橋君にもお答えしたとおり、私もそのために最善を尽くしてまいる決意であります。
 本案を撤回しろ、こういう御意見もございましたが、でき得る限り早急に具体案を固め、審議会の審議など所要の手続を経て、国会の御審議を願いたい、かように考えております。何とぞよろしくお願いいたします。
 次に、上林君は、政府には社会保障の長期的総合的ビジョンがない、こういう御批判でありましたが、決してそのようなことはありません。これだけ大きな問題が将来のビジョンが全くなくして動かしていけるものではありません。ただ、社会保障の重要な一翼をになう医療制度について、なお論議が戦わされている現段階におきましては、これをがっちりした形でお示しできないのはまことに残念でありますが、私どもとしては、総合的ビジョンを常に念頭に置いて施策を考えてまいります。その場合、公明党の社会保障基本法案は有益な示唆に富んだ御提案であると考えますので、その趣旨は十分に参考にいたしたい、かように考えております。
 以上お答えいたしました。(拍手)
   〔国務大臣斎藤昇君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(斎藤昇君) 僻地診療対策についての御意見は、全く御同感に存じます。政府といたしましても、あらゆる知恵をしぼりまして、あるいは国立、公立の医師の派遣、あるいはまた、診療車による巡回診療、また、患者の輸送車、その他あらゆる対策を考えているわけでございますが、なおこの上とも僻地診療に事欠かないように、最善の努力をいたしてまいりたいと存じます。
 老人医療対策についての意見いかんというお尋ねでございますが、今後ますますふえてまいります老人の方々が安んじて医療を受けられるようにということがますます必要になってまいると思うわけでございます。したがいまして、保険の一部負担につきましても、できるだけ老人につきましてはこれを軽減してまいるように、公費負担を増してまいる方向で、抜本改正の際に織り込んでまいりたい、かように思う次第でございます。
 母子保健の重要性は申し上げるまでもございません。本年度の予算におきましても、妊娠初期から、妊娠中の母体の管理をはじめといたしまして、乳幼児あるいは新生児の保健その他、いままでにない措置を講じつつあるわけでございます。今後ともこれを一そう充実をいたしてまいりたいと思います。
 正常分べんを現物給付にしなかった理由いかんということでございますが、現物給付にいたしますためには、診病報酬の点数制を考えなければならないわけでございますが、分べんに関係するいろいろな医療あるいは所要の経費を点数化いたしますことは、今日の状態においてはまだ困難な事情がございます。全国十分調査をいたしまして、それができますならば現物給付も可能であろう、かように思うわけでございます。そういう方向で検討いたしたいと存じますが、その検討を待つために時間をあまりに待つことが適当でないと思いましたので、さしあたって現金給付の額を引き上げることにいたした次第でございます。
 政管健保の二百二十五億を今度の特例法で依然引き継いでいくことはこれは妥当ではない、定額の補助を、これをむしろ定率の補助に改むべきではないかという御意見も、これは御意見といたしましては一応ごもっともに存じますが、何ぶん二カ年間の暫定措置をそのままにもう二カ年間延長していただきたいという趣旨でございまして、あの暫定措置の内容それ自身は現行のままでもう二カ年ずらしていただきたいという考えでございましたので、定率化の問題は考慮に入れなかった次第でございます。
 社会保険相互間の財政調整の問題は、大蔵大臣からお答えをいただくはずだと思っておりますが、厚生省といたしましては、抜本改正におきまして、まず医療保険の分野の中で財政調整を考えたい、かように思っているわけでございます。医療保険と他の社会保険の間の財政調整はただいまのところでは考えておりません。
 社会保障基本法の問題につきましては、総理からお答えになられたとおりでございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(福田赳夫君) 政府管掌の健康保険に定率補助制度を取り入れるべきじゃないかと、こういう御意見でございます。保険は、申し上げるまでもないのですが、これは相互扶助の医療制度、さようなことでございますので、これは保険料中心になるということ、これはもう当然のことなのでありますが、しかし、保険給付の対象となる人が、どうも弱い小さい立場にあるという者につきましては、これは政府が補助をすることがよろしい、こういうようなことで、あるいは国民健康保険につきましても、あるいは日雇い保険につきましても、かなり高額の定率補助をしておるわけなんです。しかし、政府管掌健康保険につきましては、さような措置をとっておりませんので、そのときどきの保険財政の状況を見ながら、必要にして十分な額の援助をしておる、これが今日の実情でございます。これを定率補助にいたしますかどうか、これは非常に考え方のむずかしいところでございますが、抜本対策ということがいま進行中でございますので、その一環としてこれを考えてみたい、かように御了承願います。
 次に、失業保険また健康保険、失業保険は黒字であるのに健康保険は赤字である、この間の調整をなすべきじゃないかというようなお話でございますが、これは理論的原則論としては、この調整は、これは私は賛成でございます。しかし、実際問題といたしますと、まずその先に、ただいま厚生大臣からも御指摘がありましたように、医療保険の中での調整、これとてもなかなか容易じゃないのでございますけれども、これをやってのけなければならぬ。これが抜本対策の非常に大きなねらいというところになっておるわけでありまするが、まず医療保険の中での調整ということに努力して、その後におきまして一般の社会保障制度、社会保険間の調整というものに移っていくべきかと、かように考えておるのであります。ことに失業保険などは、いま黒字とはいうけれども、景気がいいものですから黒字なんで、いつ何どき景気が悪くなるかもしらない、その状況も楽観を許さない状態であることも御承知願いたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○議長(重宗雄三君) 中沢伊登子君。
   〔中沢伊登子君登壇、拍手〕
#27
○中沢伊登子君 私は、ただいま趣旨説明のありました法律案に対し、民社党を代表いたしまして総理並びに関係各大臣に質問をいたします。
 昭和三十五年以来、わが国の経済は著しい成長を見せ、産業の近代化もまた目ざましいものがあります。この異常なまでの発展は、国民生活及び家庭生活に急激な変貌を余儀なくさせてまいりました。しかし、政府がこれまでとってまいりましたその政策は産業優先でありまして、物価、住宅、公害、交通、医療等、国民の実生活のすべてにわたって著しい立ちおくれのあることはいなめない事実であります。特に目まぐるしい社会の変化、産業、経済の発展は、事故の頻発、公害の多発、交通事故の増加等を招き、その上、食品添加物のはんらん、農薬の残留、あるいは平均寿命の延びは罹病しやすい老齢人口の増加に見られる等、日常生活全般にわたって、人間の生命、健康をめぐる不安感が日々拡大していることも、けだし当然のことでありまして、いまや国民が安心して託せる医療制度の抜本的改革こそ、切実なる国民的要求となっているのでございます。
 この国民的要求と、古い内容を持つ現行医療制度との間に多くの矛盾があるからこそ、衆参両院は、過ぐる昭和四十二年八月の健康保険の改正に際し、わが党は、同法案を単なる赤字解消のための暫定策に終わらせないため、二年間の猶予を付して医療制度の抜本改革案を提示し、もって国民の不安を取り除くよう政府に義務づけたのであります。しかるに、政府は、今日までの義務を全く履行せず、健保特例法の延長を企図することは、明らかに責任回避であり、政府の政治責任はまことに重大であります。一体何が基本的障害であったのですか。鈴木前調査会長が「どうしたらいいかわからない」といって会長をひかれましたが、だからといって、特例法を延ばしてよいということにはならないのでございます。特に健康保険の一部を政府みずから経営していながら、佐藤内閣はその責任をどのような形でとろうとされるのか、総理より国民の前に明らかにしていただきたいのでございます。
 次に、国が行なう医療制度とは、まず国民の生命を優先し、よい医療を保障し、病気の予防、早期発見、早期治療によってその健康を守ることはもちろんのこと、さらに一歩進めて、生活に安定感を与え、国民生活の質的向上をはかるものでなければならないと思います。およそ国民の健康保持は、国の将来を左右する重要なかぎであり、日本の経済的活力であるばかりか、民族繁栄の基礎をなすとともに、社会の進歩を促す原動力たることは申すまでもないところであります。したがって、政府は、この観点からも、積極的に医療制度の改革に取り組まなければならない使命があると思うのであります。しかるに政府自身、いまだに改革案の構想すら持たないのは、まさしく国民に対する公約違反であり、怠慢のそしりを免れません。しかし、この際、現在までに立案されてまいりましたでしょう政府案の内容、対策等の骨子を、本院を通じて明らかにしていただきたいのでございます。
 さて次に、医療の三つの柱ともいうべき点についてお尋ねをいたします。
 まず、その第一は、医療の機会均等についてであります。国民皆保険である現在、いつでも、どこでも、よい医療が確実に国民に与えられるべきであります。そのためには、まず何よりも医療機関の適正な配置が根本問題であります。しかるに、過疎地域、辺地においては容易に医療の機会に恵まれず、医師不足の悩みは全く深刻であります。これでは国民皆保険の名題はほご同然ではありませんか。政府は、これをどのように考え、どのような対策、方針を持っておられますか、明快にお答えを願いたいのでございます。
 第二は、患者と診療担当者についてでございます。医師と患者との関係は密接で、相互に信頼されなければなりません。再三診療報酬の是正がなされながら、いまなお医療を担当する側である病院や医師から、常に医療費が安いという不満が訴えられ、医療費値上げの要求がございます。事実、廃業のやむなきに至った公立病院もありますが、医療費の是正に対する政府のお考えをお示し願いたいのであります。
 一方、患者の側に、医師の技術に関する問題、患者の扱いに関する苦情、また医療サービス全般にわたる各種の不満が聞かれ、医師と患者の相互信頼感が十分ではありません。その上、昭和四十二年度の国民全体の医療費は一兆五千億円、四十三年度は一兆八千億円といわれますが、このような多額の医療費が支払われていながら、医師の側からも患者の側からも、多くの不平不満、苦情の出るのはどういうことなのでしょう、どこに根本原因があるとお考えでございますか。
 ついでながら、現在社会保障に占める構成比が、医療で五六・八%、老後保障の厚生年金がわずかに七・九%、このように社会保障費が医療中心に行なわれているところにも問題があると思いますが、御答弁をお聞かせ願いたいのでございます。
 第三に、医療に必要欠くべからざるものは看護婦の存在でございます。近年看護婦不足は、一部で医療に麻痺を来たし、深刻な社会問題となっておりますが、これは現在、医療の屋台骨をゆすぶっていると言っても過言ではありません。看護婦不足問題は、毎国会、衆参両院の各委員会で繰り返し繰り返し取り上げられながら、一向に進捗しない現状に、政府の真意は那辺にあるのか疑いたくなります。本院の社会労働委員会におきましては、去る十日「看護職員の不足対策に関する決議」を全会一致で採択いたしましたが、その場のがれの答弁ではなく、責任あるお答えを願いたく存じます。
 次に大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 現在、政管健保の財政は、ここ数年来深刻な赤字に悩まされ、すでに千二百億円にも達しており、制度自体が大きな危機に直面しております。日雇い健保にしても、健康保険料収入に対し給付費が五倍以上となっておりますが、こうした今日の事態を招いたことについて、政府の責任は大きく問われなければなりません。もし政府提案の健保特例法延長案を認めるならば、国民は新たな保険料の引き上げを押しつけられるばかりか、これまで二年間負担を余儀なくされてまいりました初診料、入院料、薬価などの受益者に対する過重負担、また受診抑制等による制限給付を恒常化、制度化させる結果ともなり、政府怠慢の赤字を国民に転嫁するものであって、絶対に許さるべきものではありません。国民の健康や生命を維持向上していくために、また、医療内容や水準を高めていくためには、政府はその財政負担を決して惜しむべきではないと思います。国の財政規模は年々増大していくにもかかわらず、国庫の支出は昭和四十二年度以来依然として二百二十五億円であり、実質的には国の負担は低下しているのであります。その上、物価は五%前後上昇しているのでございます。この事実をどのように考えられますか、御答弁をお願いいたします。
 組合健保は、被保険者の負担を最高千分の三十五に法的に押えてあるのに、低所得者も多い政管健保、日雇い健保は、組合健保を見習うわけにはいかないのでございますか。さもなくば、あるいはまた国保のように定率化する考えはありませんか。あわせて御答弁をお願いいたします。
 さて、貧困に突き落とされる原因は、病気やけがだといわれます。国民は病気になったら医者にすがるより方法はないのです。健保の自己負担金や差額ベッド代、輸血代や検査料、あるいは交通費等々、いつの間にか保険のきかない部分がふくらみ、公的援助にもたよれなくなっているケースが多くなってまいりました。そしてただおろおろと成り行きを見守っている者も多くなりました。お金がなければ、世界でも一流水準といわれる日本の医学の恩典にも浴せないという全く皮肉な事態になっています。この事態をどのようにとらえ、どのように考えられますか。
 さて、一昨年から昨年にかけて、民社党と同盟の婦人たちは、全国的に立ち上がり、正常分べんにも分べん給付をと、百万人の署名を集め、不十分ながらようやく今回の改善までこぎつけたのでございますが、分べん給付に名をかりて保険料率を千分の一アップすることは納得できません。二十一億円の余分の収入があるはずですから、これは取り下げるべきだと思いますが、いかがですか。
 最後に、園田前厚相が発言されました七十歳以上の老人の医療無料化は、老人に大きな期待を与えましたが、考人を取り巻く生活環境の急激な変化や、現代の老人生活を根本的に不安定な状態におとしいれている社会的背景等から、いつも孤独と病気の不安につきまとわれておりますので、園田発言は非常な朗報でありましたが、ほんとうに実施されるのか、いつからやるのかを伺い、あわせて老人を失望させないことを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(佐藤榮作君) まず特例法の延長についてのお尋ねでありますが、さきに大橋君、上林君の両君にお答えしたとおりであります。私も今回再び特例法を延長せざるを得ないことは、たいへん遺憾に思いますが、問題の根本的解決につきましての成案を得るまでは、この延長はまことにやむを得ないものと考えます。どうか御了承をお願いいたします。
 次に、厚生大臣から詳しくは説明をいたすと思いますが、医療機関の偏在は御指摘のとおり、きわめて大きな問題であります。政府といたしましても、従来より病床増設の規制や僻地診療の補助等を通じてその解消に取り組んでまいりましたが、今後とも医療機関の機能に応じた適正配置の観点から、医療機関の整備を進めてまいる考えでございます。
 僻地医療対策等は、厚生大臣からお答えすることにいたします。
 次に、医師と患者との人間関係の確保が重要であることも御指摘のとおりであります。今後医療保険の抜本対策の樹立にあたりましても、十分考慮に入れなければならない問題であると考えます。特に診療報酬体系につきましては、医療担当者の技術を正当に評価することを主眼として、中央社会保険医療協議会の専門的な審議が進められる予定であります。今後ともその適正化につとめてまいりたい、かように考えております。
 その他の問題につきましては、担当大臣からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣斎藤昇君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(斎藤昇君) よい十分な医療を提供することはもちろんであるが、早期発見、あるいはふだんからの国民の健康管理体制が肝要でないかというお尋ねは、先ほど上林議員にもお答えいたしましたとおり、まことに同感でございます。抜本改正の際にも、その点を一つの重点の考え方といたしまして、地域の国民の健康管理体制、そしてこの保険とが将来マッチし得るような考え方で進めてまいりたい、かように存じまするとともに、国民の健康管理に対しましては、今後もさらに十分の国費をもって努力をいたしてまいりたいと、かように考えます。
 医師あるいは看護婦の問題につきましては、先般社労の委員会で決議をちょうだいをいたしました。各党、満場一致の御決議でございまするし、その内容もわれわれのやりたいと思うておるところにちょうど一致をいたしております。全力をあげまして、その決議の内容の実現に邁進をいたしたいと、かように思います。そういう意味からも、さらに医師、看護婦の処遇の改善というような点に触れて、診療報酬も是正の必要性の御意見がございました。ただいま中央医療協議会におきまして、医療報酬制度の点を審議をしていただいているわけでございますが、その御審議の内容あるいは経過におきましても、そういう点を一つの大きな重点として、診療報酬制度の適正な改正の答申をいただきたいと念願をいたしているわけでございます。
 医師と患者の信頼関係は総理からお答えがございました。私からお答えを付加する必要はないと思いますが、まことにむずかしい問題だと思います。保険制度の中に、こういった関係を阻害するものがなきにしもあらずと考えます。したがいまして、診療報酬制度の点に関しましても、また、その他の保険制度全般の問題を考えます際にも、この点も重点の一つとして、抜本改正の際に考慮に入れてまいりたいと、かように思います。
 それからわが国の社会保障制度は医療中心ではないかと、年金保険は、その金額から申してもまことに微々たるものであるというお尋ねでございます。今日の社会保障制度は、おっしゃいますように、医療保険、国民の皆保険、それから年金――世界各国におきまして、医療保険におきましても、年金におきましても、国民皆保険の制度をとっている国は、私は、日本がその最たるものだと考えるわけであります。年金制度は、まだ出発いたしまして間がございません、厚生年金にいたしましても、国民年金にいたしましても。したがって、受給者はいま少ないわけでございますから、その経費といたしましては、いわゆる給付金といたしましては、まだ、パーセントは少ないわけでございますけれども、これが年限がたってまいりますと、相当大きな、膨大な数字になってくると、かように考えます。まだ、制度が出発して間もないという点をお考えをいただきますれば、アンバランスでないという点は、十分御了解いただけるのではなかろうかと、かように考えます。
 健保の特例措置の延長法案の中において、二百二十五億の負担をそのまま継続している。また、保険料の点についてもお触れになられましたが、この点は、現在の臨時措置法をそのまま延長をしていただくということで、提案をいたしたということを申し上げたわけでございますが、先ほど、上林議員にお答えをいたしましたとおりでございます。
 医療の完全な給付をいたすということは、われわれの念願でございます。これも、前にお答えをいたしましたように、できるだけ十分な医療を、しかも、国民の負担としては低額にというのが、保険制度の念願でございます。これに耐えられない方に対しましては、いわゆる生活保護、その他の点から、いろいろと公費で援助をいたしておりますことは、御承知のとおりであります。全額保険でない面につきましても、できるだけ引き上げてまいりたいと思いますが、しかし、所得の相当多い方に対しましては、一部負担を現在の制度どおりしてもらうということも、これまた私は、今日の日本の現状、またわれわれの医療はまずみずからの責任においてという、この体制をくずさないことが適当と考えまするので、今日の制度を維持してまいりたい、かように思います。
 分べん費の現物給付あるいは老人保険の点につきましては、上林議員にお答えをいたしましたとおりであります。いずれも抜本改正の際に十分考慮をいたしたいと、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(福田赳夫君) 政府管掌健康保険に対して二百二十五億円の補助をしておる、これは低きに過ぎないかという御意見でございますが、四十一年度にはこれが百五十億円であったんであります。それを一挙に四十二年から、暫定措置とも並行いたしまして二百二十五億円の繰り入れということにいたしましたので、これはかなり大幅の増額であります。その線を維持しておるというようなことで、決して私は、今日の健康保険の状態から見て少ないものとは考えておりません。
 また、政府管掌の健康保険に対しまして、定率補助をやったらどうかというお話でございますが、これは先ほど繰り返し申し上げたとおり、ただいまからなかなかむずかしい問題がある。にわかにこれを取り入れることはできませんが、しかし、ただいま抜本対策を考えておりますので、その際の一つの問題点としてとくと検討してみたいと、かように考えております。(拍手)
#31
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#32
○議長(重宗雄三君) 日程第二、国務大臣の報告に関する件(昭和四十四年産の米穀の政府買入れ価格の決定について)。
 農林大臣から発言を求められております。発言を許します。長谷川農林大臣。
   〔国務大臣長谷川四郎君登壇、拍手〕
   〔議長退席、副議長着席〕
#33
○国務大臣(長谷川四郎君) 昭和四十四年産の米穀の政府買い入れ価格の決定について御報告申し上げます。
 米は、農家経済及び消費者家計にとって重要な問題であるばかりでなく、広く国民経済全般にとっても重要な意義を持つものであります。特に農民各位の長年にわたる努力と、農業技術の改善によって、生産力が画期的に向上し、完全自給の段階に到達し得たことは喜びにたえないところであります。しかしながら、最近における米の需給緩和に見られるように、農業をめぐる諸情勢はきわめて困難な状態になってきております。このような状況のもとでは、米価のあり方のいかんは、農業生産の均衡のある発展という点から見ても、重要な意義を持つに至っているのであります。
 そのような意味におきまして、昭和四十四年産の米穀の政府買い入れ価格につきましては、去る六月四日、米価審議会に対しまして、「昭和四十四年産の米穀の政府買入れ価格については、生産費および所得補償方式を基本とし米穀の需給事情を考慮して決定することにつき、米価審議会の意見を求める。」旨の諮問を行なうとともに、この考え方に立った試算を提出して審議の参考に供しましたところ、同審議会における熱心な審議の後、会期を一日延長した同月七日、諮問に対する答申を得たところであります。
 答申のあらましを申し上げますと、「生産費および所得補償方式を基本とすることは差し支えない。」とし、米穀の需給事情を考慮することにつきましては、「米穀の需給事情を考慮することは食糧管理法の趣旨にもとるので、米穀の需給事情を考慮することなく、労賃、物価の上昇を適正に反映するよう従来の生産費および所得補償方式により決定すること」という意見が表明され、他方、「需給事情を考慮することは妥当である」との意見が多くの委員から表明されるとともに、これに関連して、政府試算米価につきましては、「これには全く反対であり、これをさらに引き上げるべきである」との強い見解があり、これに対し、需給事情を考慮することは妥当であるとの立場の多くの委員においては、「この際試算米価でやむを得ない」とする見解が有力でありましたが、そのほか、「政府試算米価を引き下げるべきである」との強い見解が述べられたのであります。
 政府といたしましては、この答申の趣旨に即し、最近における米をめぐる諸事情を考慮して慎重な検討を続けました結果、六月十日、次のように決定をいたしました。
 一、昭和四十四年産の生産者米価は、据え置くこととし、うるち一〜四等平均包装込み生産者手取予定価格を一五〇キログラム当たり二、六四〇円とする。なお、消費者米価も据え置くこととする。
 二、暫定加算は、諸般の事情を考慮して、本年度に限り昨年どおりとする。
 三、等級間格差、歩留加算、もち米加算および陸稲格差は、昨年どおりとする。
 なお、稲作農家がこれまで国民の基幹的食糧である米の生産に努力してきたことに配慮するとともに、米価据え置きの稲作農家に与える影響等を考慮して、稲作対策特別事業費として、昭和四十四年度において、二百二十五億円の補助金を支出することといたしました。
 この補助金は、過去三カ年間の米の政府売り渡し数量に応じて市町村に配分し、米生産者の肥料、農薬その他資材の購入等に必要な財源として交付するものであります。
 また、関係各省の緊密な協力のもとに新しい時代の趨勢に対応する農業の均衡ある発展を推進するため、内閣に農政推進閣僚協議会を設け、農政の総合的推進をはかるよう最善の努力をいたす決意であります。
 なお、食糧管理制度につきましては、もとよりその根幹を維持してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔「数字が一けた違っている」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
   〔国務大臣長谷川四郎君登壇〕
#34
○国務大臣(長谷川四郎君) たいへん失礼いたしました。数字を一けた間違いました。二万六百四十円でございますから、御了承賜わりたいと思います。(拍手)
#35
○副議長(安井謙君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。足鹿覺君。
   〔足鹿覺君登壇、拍手〕
#36
○足鹿覺君 私は、日本社会党を代表して、ただいま報告のありました米価に関しまして、基本的な問題にしぼって政府の所信をたださんとするものであります。
 私は、まず初めに、米価をめぐって示されました総理の政治姿勢について伺います。去る十三日、わが党の石田宥全君は衆議院本会議において、自民党根本政調会長が農協主催の米価要求大会において、農民の納税額は百八十八億にすぎないのに、農林予算は七千六百八十八億円である、米価据え置きもやむを得ない、と言わんばかりの発言を行なったことに対する見解を総理にただしたのに対して、総理は、「自分は聞いていないから答えられない」と答弁しておられます。しかし、この根本発言は、いやしくも自民党の要職にある者が党を代表して発言を行なったのであります。このような根本発言に対して、自民党総裁の地位にある総理が衆議院で行なった答弁は、無責任な逃げ口上以外の何ものでもありません。総理は、政党政治の立場に立って何と考えておられまするか。根本発言に対する総理の責任ある見解を伺いたいのであります。
 総理はまた、本年一月の施政演説において、両米価据え置きを明らかにされました。これは食管法及び農林省設置法の定めたルールを無視した違法不当の行為であります。また、諮問案において食管法に何ら規定していない需給事情を理由に、生産費及び所得補償方式を全然数理的根拠のない算式に改ざんいたしました。これも食管法を無視した違法不当の行為であります。さらに決定米価に至っては、いろいろコストアップの要素を認めながらも、農家平均手取り価格は一円の変動もないという手品師まがいの算式改ざんを、おくめんもなく行なっておられるのであります。要するに、米価据え置きをめぐる根本的問題は、佐藤内閣の農政の本質が、これによってきわめて明白になったことであります。すなわち、政府は最近、総合農政を打ち出し、これと引きかえに米価を据え置き、財界あたりの主張に押されて農産物価格政策を大きく後退せしめつつありますが、このことは、農民を経済の激しい競争場裏にさらし、現在でもとうとうとして進んでいる農民の階層分解を激化する以外の何ものでもありません。これは農民同士の競争に勝った者だけの所得を補償する選別政策でありまして、独占資本はふところ手のまま、低廉な労働力を入手できるという基本法農政の本質をいままでいろいろカムフラージュされてまいりましたが、この米価据え置きによりまして、いよいよ赤裸々にむき出しにされたことを物語っているのであります。総理のいわゆる総合農政とは、この独占資本奉仕の基本法農政と根本的にどこが違うのでございますか、また、農業基本法を再検討すべきだとお考えになるのでありますか、御所信のほどを伺いたいのでございます。
 また、政府は、食管制度の根幹堅持を相変わらずうたっておられますが、これはどういうことでありますか。政府は昨年、規格外米及び等外米の統制をはずし、本年から食管法を無視して自主流通米制度を発足させて、なしくずし統制撤廃はいよいよ本格化しようとしております。その上、米価据え置きにより、自主流通米制度はこの上なく補強されました。このような勢いのおもむくところ、食管制度の形骸化は火を見るよりも明らかでありますが、国民食糧の確保さえ何とかなれば、あとは野となれ山となれというのが根幹堅持の趣旨でございましょうか。農民は、あとにくるものは買い入れの制限、作付の制限、米価の据え置き継続ないしは引き下げではないかと心配をいたしておるのであります。過去における米の必要以上の輸入と、年々の麦のばく大な輸入によって生じましたうわべだけの生産過剰のしわを農民だけにかぶせようとするのがこれら一連の措置でありまするが、政府のいう食管制度の根幹堅持とは、買い入れ制限、米価据え置きの継続等を含むのでありますか、あるいは含まないのでありますか。これは最も重大な問題でありまするので、総理のその所見を明らかにされたいのでございます。
 次に、大蔵大臣に伺います。
 大蔵大臣はかつて「だれよりも農民を愛す」と言われたそうでありますが、最近の御心境はいかがでありましょうか。すなわち、大蔵省には米価について平均反収方式を固執する傾向が強いとされておるということであります。これは反収が平均以下の農家には所得を補償しないということであります。ところが、生産費調査から推定いたしますと、この方式は、おおむね水稲作付面積一ヘクタール以下で、全販売農家の七七・五%に及ぶ零細農家の所得は補償しないという、まことに冷酷むざんなことになるのであります。その上に、最近の国鉄運賃の引き上げ、春闘の大幅ベースアップ等は、米価算定方式の仕組みからいって、ほとんど織り込むことができないのであります。だれよりも農民を愛されておる大蔵大臣は、本気で平均反収方式に移行することを考えておられるのでありますか、伺いたいところでございます。
 また、本年は、米価据え置きとともに、二百二十五億円の稲作対策特別事業費が決定をされました。元来米価は、食管法に基づいて厳正に決定されるべきであり、総合農政費や今回の二百二十五億円とは無関係のはずであります。つまり、米価をこれらの問題にすりかえるのはごまかしであります。しかも、これはわずか二・一八%相当の金額にすぎず、今後の農政はこれから検討するというのでは、あまりにも農民をばかにした話ではないかと断定をせざるを得ません。
 次に、この決定により、どうしても補正予算を組む必要が生じ、これが財政法違反と考えられることであります。すなわち、本年は少なくとも、公務員のベースアップが一〇%程度七月実施とした場合四百四十三億円、六月実施として六百七億円、並びに例年種々の雑件に必要な二百数十億円を除くと、予備費は二百億円ないしは五十億円しか残らぬことになり、今年の災害対策と、この二百二十五億円とをどうまかなうかは不可能であります。ところが、補正予算は、財政法第二十九条により、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」について組むことができるのであって、衆議院での答弁のように、あと二、三カ月検討しなければならぬ支出が「特に緊要」と買えるのでありましょうか。また、米価据え置きは予算作成時の決定事項であり、このために必要となった二百二十五億円は「予算作成後に生じた事由」によるものではありません。したがって、第二十九条だけでなく、予備費について規定した第二十四条にも違反する疑いがあるのでありますがいかがでありますか。
 もし、補正予算を組むことになれば、政府が昨年来財政政策上の最重点事項としてきた総合予算主義は、本年も崩壊するのであります。特に本年は米価を据え置いたのに崩壊するのであります。その責任たるや重大と言わねばなりません。これらの二百二十五億円をめぐる諸問題に対して大蔵大臣はその見解を明らかにしていただきたいのであります。
 次に、農林大臣に伺います。
 政府は、算定方式を改ざんして米価を据え置いた理由を需給事情の緩和に置いております。しかし、もともと食管法は、食糧不足のときも食糧過剰のときも政府が直接統制を行なう法律でありまして、食糧不足時代には需給事情を考慮しないけれども、過剰時代には考慮するという考え方は、あまりにも御都合主義ではありませんか。この点は、一種の間接統制方式をとる、たとえば、農産物価格安定法や畜産物価格安定法などには「需給事情」なることばが法文に明記されておるのと、著しく異なるところであります。御所見はいかがでありましょうか、伺いたいのであります。
 また、昨年の方式を完全に採用しますと、米価は八・六%程度引き上げなければならぬはずであります。しかるに、この昨年方式すら全く理論的根拠もなく改ざんをしてしまわれました。昨年のマイナス・シグマ方式は、平均的な反収の水田のうち最も条件の悪いものを補償するというきちんとした数理的根拠がございましたが、本年のマイナス・〇・五四シグマ方式というのは、何を考えているのかまるで見当がつかないのであります。このような場当たり政策ほど農民を欺瞞し国民を毒する政策はありません。算定方式改ざんの積極的な理論的根拠を承りたいのであります。
 次に、稲作対策特別事業費及び総合農政の内容について伺います。
 今回の米価決定までの間、総合農政対策あるいはまた新農政などといって、一年二兆円、あるいは五年間十二兆円といった景気のよい情報が流れましたが、これは一体どうなったのでありますか。決定されたのは、いわば農民への手切れ金二百二十五億円だけであります。従来の基本農政がヤマブキ農政であったことから見て、これから検討するという総合農政の中身が農民にとってきわめてきびしいであろうということは容易に想像ができるのであります。総合農政をあと回しにして二百二十五億円を計上した趣旨、並びに、どんな形でこの二百二十五億円を農民に助成する方針であるか、その要領、具体的方法、時期等を明らかにされたいのであります。またこの際、総合農政の方向、規模、スケジュール等を明確にしていただきたいのであります。
 この総合農政に関連して厚生大臣に伺いますが、最近産業公害や農薬被害等がきわめて甚大でありまして、かてて加えて農村労働力の老齢化、婦人化が目立ってまいり、特に疾病が多発しつつありまするが、その対策について具体的にどのような施策を講じておいでになりますか。並びに、先日国民年金制度審議会で一応結論が出たと聞いておりまする農民年金の構想及びその実施時期について、厚生大臣から明らかにしていただきたいと存ずる次第であります。
 経済企画庁長官に伺います。
 それは米価と消費者物価との関係であります。しばしば指摘されておるように、三十七年の引き上げまで、消費者米価は約五年間据え置かれましたが、その間、消費者物価は、たとえば、三十五年から三十七年の二年間に年率約六%も上昇しております。また、農林省農村物価賃金調査によりますと、昭和三十年から三十五年の五年間に、生産者米価は年率〇・四%下落しているのに、消費者物価は年率一・五%の上昇であり、さらに四十年から四十三年までの農産物の生産者価格は年率三・七%、米を除けば二・九%の上昇に対し、消費者物価は年率四・八%もの上昇をしておるではありませんか。この事実こそは、米価が企画庁がいうほど一般物価に密接に関連するとは考えられないのでありますが、佐藤内閣は物価問題として本年の両米価を据え置いたのでありますが、私は、独占資本に対し豊富に資金を供給する高度成長だけにあまりにも傾斜した政府の財政金融政策こそ、物価上昇と地域間、産業間、その他あらゆる格差の拡大の元凶であると考えます。また、米価を据え置きながら、政府は消費者物価を〇・二%も引き上げる国鉄運賃の値上げを行なったため、私鉄、バス、タクシー等の運賃引き上げ要求がメジロ押しでありますが、これを押える旨御言明を願いたいと存じます。米価抑制下における物価政策の具体的な方針を経企長官から明らかにしていただきたいのであります。
 最後にもう一度総理に伺いますが、米価を据え置かれたにもかかわらず、公約である物価の上昇が五%以内に押えることができなかった場合の政治責任をどうしてとられる御所存でありまするか、責任ある御答弁をわずらわしたいと存ずるのであります。
 なお、総理は、衆議院において、「農業を新しい時代に適合させるには、米価だけではだめだ」と答えておられます。しかし、米価を押えるだけでは何の解決にもならぬどころか、弱肉強食のおそるべき暗黒時代を農業に持ち込むことになるだけであります。さすがの農協も、政府・与党のやり方に対して選挙を通じて対決すると声明しておるではありませんか。私は、ここに全国農民の怒りを込めて申し上げたことを特に付言いたしまして、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇一、拍手〕
#37
○国務大臣(佐藤榮作君) 足鹿君にお答えいたします。
 まず、農協大会における根本政調会長の発言についてでありますが、私はさきに衆議院本会議で、その発言を知らないと申しましたのは、その発言を私自身が聞いたものでもありませんし、また事後において直接報告を受けたものでもないという意味合いにおきまして、そのように申し上げたのであります。しかし、その後、根本君からいろいろ話を聞いてみますると、根本君が言いたかったことは、農民は手厚い保護を受けている、こういうことを実ははっきり申したというのであります。私はそのとおりだと思います。
 米価据え置きは、単に物価対策や財政上の観点からだけで申しておるものではなく、長期的視野に立って日本農業の将来を考えるときには、米価の据え置きこそ、むしろ食管制度の崩壊をも食いとめる力となるものであることをよく御理解いただきたいのであります。そういう意味で、農民諸君の目先だけの利益に迎合することなく、真に日本農業の将来を憂えての根本君の発言は、勇気ある発言として高く評価したいと、かように私は思います。(拍手)
 次に、両米価の据え置き方針を早くから言明したのは法律違反であるとの御意見でありますが、今回の生産者米価の決定にあたりましても、食管法の規定に基づき、かつ、米価審議会の答申の趣旨に即して適法に決定したものであり、決してルール違反を犯したものではありません。また、両米価据え置きの方針は、米穀の需給の状況及び日本農業の将来に思いをいたすときには、生産者米価の据え置きが最も時宜を得た政策であること、さらには、物価対策の観点から見ても、消費者米価の据え置きが何よりも望ましいことをつとに決意したからでありまして、むしろ国政をあずかる者として、その所信を明らかにすることは当然の義務であると私は考えるものであります。(拍手)
 次に、総合農政と基本法農政との関連でありますが、総合農政と申しましても、基本法農政と異なるものではありません。最近の農業と、農業を取り巻く情勢の推移に対処して、農政を一段と推進しようとするものであります。いずれも需要に即応した農業生産を進めることを基本とし、価格政策ばかりでなく、生産政策や構造政策を並行して進め、農業の生産性を高め、さらに国民生活を充実させるために、流通・消費の各面にも力を注ごうとするものであります。私がさきに衆議院で新しい時代に適合した農政と申したのも、基本的な考え方におきましては、以上の点で何ら変わりはありません。問題は、具体的な地域ごとに適宜に時宜に即したきめこまかい行政をいかに行なっていくかであり、農政審議会をはじめ各方面の意見を十分伺いながら、政府は一体となって農政の一そうの推進につとめてまいる所存であります。
 次に、足鹿君はよく御承知のことだと思いますが、食管制度の根幹についてでありますが、国民の基本的な食糧である米の必要量を確保し、政府が責任を持って米の需給及び価格を調整し、米の配給について必要な規制を行なうものであり、国民経済の安定をはかるため、今後ともこの根幹は維持してまいる考えであります。自主流通米は米の需給事情に即応した改善措置であり、この根幹をくずすものとは考えておりません。
 なお、来年度の生産者米価をどうするかとのお尋ねでありましたが、その方針を明らかにするには時期尚早であり、それこそおしかりを受ける種になるのでありますから、見解の表明は遠慮させていただきます。
 また、米の需給の調整のためには、良質米の生産あるいは作付転換を行なうことは必要と考えますが、直接的な買い入れ制限や作付制限については、現段階では考えておりません。私は、農民諸君の十分な御理解を得て、米の生産調整の実効があがることを期待したいと思います。
 次に、物価の問題について、これは詳しくは菅野君からお答えをいたすと思いますが、この物価を安定さす、またこれを高くささないようにすると、そのためには、われわれは、ただこの米価だけの問題ではありません。あらゆる面でただいま苦心し、いろいろくふうをこらしておる最中であります。最近は国際情勢が、必ずしも物価安定という点から見まして、そこに危険なきを得ないというような国際経済情勢でもありますので、政府は、今後とも一そうこの点に重点を置いて対策を考えてまいる決意であります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(福田赳夫君) だれよりもだれよりも農民を愛す、この信念にはいささかも変わりはございません。(拍手)私は、農民はこの狭い国土の中で、小さい農地の上に非常に環境の悪い状態に置かれておる弱い立場にあると思うのです。しかも、工業を中心とした高度成長、その中の農村というものはこれは同情しなければならぬ、そういう弱いものという立場の農村に愛情のある政治をする、これがほんとうの政治だと思います。しかし、いままで保護政策として価格補償方式をとってきたわけです。これが今日の需給から見ると限界にきておるのです。この点をよく反省しなければならぬ。私は農村の方もおわかりになっておられると思うのです。そこで、今回は据え置きという方式をとることにいたしたわけでございまするけれども、これにかわって生産性向上、総合農政という施策を強力に推進すると、こういうふうにいたしたわけであります。農村は価格の引き上げを要求いたしておりましたが、この要求に応ずることは、当面見てくれは、これは農村から見るとまことにいいようなかっこうでございますけれども、ほんとうに農村のことを親切に考えれば、これはよろしくない。やっぱり農村のほんとうの願いは、食糧管理政策の維持である。これが崩壊寸前にある。これをどうすればいいか。そういうことを考えまするときに、米価の問題につきましては、やっぱりこの辺で転換しなければならぬ、こう考えることこそが私は正しい考え方である。愛すればこそだと、そういうふうに考えております。さような考え方から、政府は、ただいま平均反収方式の議論がありましたが、常識的に考えれば、平均反収方式、これが私は結論として出てくる考えだろうと思うのです。いままでは平均反収よりは低い反収、つまりマイナス一シグマというような算式をとっておりましたが、これは食糧が不足の時代の食糧増産のためには必要であったと思います。しかし、需給が変化してきた、これをだんだん平均反収にいまは持っていくと、しかし、急に持っていくという考えは、これは急に過ぎまするから、そこで中間的な〇・五四シグマというような考え方になる、これは先ほど申し上げました農村を愛するという考え方からは御理解をいただけることかと思うのであります。
 二百二十五億円の補助金の性格いかん、こういうお話でございまするが、これは米価ではございません。これはあくまでも農村の生産を刺激し維持するという対策の経費でありまして、したがって、これは食管特別会計から支出もいたしません。一般会計から支出をいたす次第でございます。まあ非常に端的に申し上げれば、十二年ぶりで米価が据え置かれた、これは理論としてはまあ私が申し上げたとおりの措置でございまするけれども、これは大きな変化である、激変に対して緩和措置をとったと、こういうような性格と御理解を願いたいのであります。また、その二百二十五億円を支出した結果、補正予算が必要になるのではあるまいか、こういうようなお話でございますが、この財源、これはいま私、検討いたしておりますのですが、二百二十五億円支出することになりまして、当初予定もいたさなかったこの経費でございまするから、非常にこれは総合予算主義に対しましては重圧になってきます。これは事実であります。しかし、私といたしましては、何とかして総合予算主義堅持の方針のもとにその財源を捻出をいたしたい、かように考えておるのであります。ただいま予備費を使うということをきめておるわけでもありません。しかし、かりに予備費を使用することになりましても、これが予算編成後生じた緊急の事由でないというわけにもいかないと思うのです。ことし春闘であんなに賃金が上がったと、ああいうようなこともこの問題と深くからめて考うべき問題じゃないか。これは、予算編成後に生じておる事由であります。予備費から支出することはきめてはおりませんけれども、しかしながら、予備費で支出することがありましても、これは違法ではない、財政法違反ではない、かように確信をいたしております。(拍手)
   〔国務大臣長谷川四郎君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(長谷川四郎君) 総理からこまかな御説明がございましたが、私に対する質問は三点でございますので、お答え申し上げます。
 本年産の生産者米価の決定は、食糧管理法の第三条第二項の規定に基づき、「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」適正に行なったものでありまして、その際、最近の需給事情を考慮し、これを据え置くことにいたしましたが、米穀の需給事情は、同条第二項の「経済事情」に当然含まれるものであり、需給事情を米価決定にあたって考慮したことは、何ら食管法に反するものではない、このように考えておりますし、なお、従来の米価の決定にあたりましても、米穀の需給事情は、いろいろな形で考慮されておったものと考えられます。
 次に、昨年の算定方式によれば、米価は八・六%の引き上げになるにもかかわらず、〇・五シグマとおっしゃいました。これはただいまも大蔵大臣からも申し上げましたが、本年の米価の算定において、いわゆる限界反収の取り方を修正したのは、最近における米の需給事情を考慮して、米価は平均生産費に基づくものに近づけるのが適当であるというような考え方のもとに、米作農家の経済事情をも配慮しながら行なったものでありまして、価格政策の立場からは適切な措置であると考えられるのでございます。
 それから諮問案の試算と政府決定の試算の内容が相違をしているというお話でございますが、本年産米価は、生産費及び所得補償方式を基本として、最近における米穀の需給事情を考慮して適正に算定したものでございまして、なお、米価審議会の審議の参考として提出した試算と決定米価の算出基礎は若干は異なっておるのでございますが、これは生産性向上、利益の還元の扱い方や算定に用いるところの収量の取り方等にいろいろ論議があった点を考慮したものである、このように、大筋のことでありますので、御了承賜りたいと思うのでございます。(拍手)
   〔国務大臣斎藤昇君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(斎藤昇君) 農村における健康状態は必ずしも良好でないことはお説のとおりであります。ことに農村人口の老齢化、また農業労働の過重あるいは生活環境の劣悪、また栄養が低いというような事柄から、いわゆる農夫症といわれているような目まい、息切れあるいは肩のこり、腰の痛みというような潜在病にかかっておられる人が多いわけであります。これらの問題は、まず、何といいましても、農村の生活環境の改善、栄養の改良、それから適当な治療並びに健康の保持体制の確立ということでございますが、厚生省といたしましても、これらの面につきまして十分配慮をいたしまして、農村の栄養指導、あるいは巡回診療、またその他健康診断をはじめといたしまして、本年も相当の予算をもって農村の国民の栄養改善その他に努力をいたしておる次第でございます。国民の健康管理体制に重点を置いているわけでございます。
 農薬被害につきましては、これも最近の重要な問題といたしまして、ことに農薬の取り扱いについての知識の普及啓発ということはもちろん、毒物劇物の取り締まりに万遺憾なきを期しますると同時に、農薬の毒性を十分研究をいたしまして、そうしてたとえば水銀農薬というようなものは今後排除をしていく、その他新しく起こってくる農薬につきましても、一時的なあるいは慢性的な毒性というものを十分研究をいたしまして、農民の健康、被害にあやまちのないように期してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
 なお、農民年金の点につきましては、先般、国民年金審議会から、何といいますか、中間的なメモの発表がございました。今後、当審議会におかれましても、さらにいろいろ農村の実情を調査をしながら、最終的な結論を出されるものと考えます。厚生省といたしましても、日本の農政に役立つ農民年金制度をできるだけ来年じゅうには実現をいたすように努力をいたしてまいりたいと、農林省とともどもにさような考えで検討を続けている次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣菅野和太郎君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(菅野和太郎君) 米価と消費者物価との関係について御質問があったと思いますが、直接お答えする前に、なお質問があったことでありますが、物価対策としてどういうように考えておるかという一般的な御質問がありましたから、まずそれからお答えして米価と物価との関係をお答えしたいと、こう思います。
 物価対策につきましては、これはもうたびたび申し上げておることでありますが、昨年度は四・九%の消費者物価上昇率であったのでありますが、決してこれをもって妥当とは考えていない。これは消費者物価としては高いとわれわれは考えておるのでありますからして、できるだけ消費者物価を下げたい、そうして国民の生活を安定せしめたいというのが政府のとっておる政策なのでありますが、最近の情勢からして、消費者物価が非常に高位であるということは、決して喜ばしい現象ではないと考えております。
 そこで、物価対策に対してどういうような根本策を持っておるかといえば、まず、私は、問題は三つあると思うのでありまして、一つは構造上の物価対策でありまして、これは経済が成長するに従いまして、経済構造の変化、それに伴うところの物価の騰貴という問題があるのでありますからして、それに対してどういう対策を講ずるかという問題で、これは、毎年、それについては低生産性の産業に対してはその生産性を高めるようにするということが物価を押える対策でありますので、そういう対策を講じておりますが、しかし、その結果は、そう即効薬みたいにきくものではありません。これはやはり多年の政策によってその実現を期したいと考えておるのであります。
 それから最近の物価騰貴につきましては、政府主導型であるということをよく言われるのでありまして、政府が公共料金を上げるから物価が上がるのだ、こういうような御批判を受けておるのであります。したがいまして、政府といたしましては、公共料金を上げないという方針をこの際はっきりいたしまして、そうして、決して物価は政府が主導していないということを国民に知らしめる必要があるということで、公共料金を押えるという方針をとっておるのであります。
 それから先ほどもお話がありましたが、物価の騰貴については、財政金融上についてとるべき策があるのじゃないか、これはお話しのとおりでありまして、やはり、物資の需給バランスをとるがためには、やはり財政金融上の政策をとる必要があると考えております。が、しかし、いまのところでは、私は、まだ金融財政上の政策をとるまでにいっていないと思いますが、しかし、今後は、私は金融財政上の政策を適宜にこれをとるべきであるという考えをいたしておるのであります。
 そこで、話が初めに返りまして、米価と物価の問題でありますが、先ほど、米価と物価と関係ないというお話がありましたが、なるほど、お示しになった昭和三十二年から三十七年の間あるいは三十年から三十五年の間、これは米価はそのままであるが、物価が上がっておるじゃないかというお話、これはお説のとおりであります。たとえば、三十二年から三十七年の間に、消費者米価は六年間据え置いたが、消費者物価は年率三・三%上がったじゃないか、このときは、日本の経済が非常に成長した年でありまして、これはやはり構造上の関係から物価が騰貴したのでありまして、これは米価によって影響されたものではありません。それからまた、三十年から三十五年の間に米価は年率〇・五%で、大体横ばいであるが、消費者物価は一・五%上がったじゃないか、一・五%といえば大体物価騰貴とは言わない、こう思うのでありまして、米価が横ばいであるに従って消費者物価も大体横ばいであった、こういうことが言えると思うのであります。が、しかし、三十八年からその後においては、生産者米価も上がり、消費者米価も上がっております。したがって、その結果、やはり消費者物価が上がっております。これは数字を申し上げますと、たとえば三十八年に消費者米価が一二・四%上がっておりますが、それによっての消費者物価への上昇の寄与率が六.八%です。それから四十年は、消費者米価が一六・一%上がっておりますが、消費者物価への寄与率は八・八%です。三十九年は、消費者米価は上がっておりませんので、寄与率はゼロです。それから四十三年――昨年、実は米価は一二・六%上がっておりますが、米価の消費者物価に対する寄与率は一〇・九%、約一割寄与しているのでありますからして、米価が上がれば大体物価が上がるという傾向であるということをひとつ御了承をいただきたいと思うのであります。(拍手)
#42
○副議長(安井謙君) 農林大臣から答弁の補足があります。長谷川農林大臣。
   〔国務大臣長谷川四郎君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(長谷川四郎君) 先ほど、総合農政については、総理からこまかにお話がございましたが、総合農政費と稲作対策特別事業費の二百二十五億円、これの使途、こういう点についての補足をいたしたいと思うのでございます。
 本年産の生産者米価の決定に関連する稲作対策特別事業費として二百二十五億円の補助金を支出することにいたしまして、これは今回の米価の決定にかかわる取り扱いにかんがみまして、稲作農家がこれまで国民食糧の大宗たる米の生産に努力をしてきていただいたことに対する報償といいましょうか、お礼というか、こういう意味や、あるいは稲作経営に対する影響の緩和に資することなどの諸事情を考慮いたしまして、大局的立場からこれを行なうこととしたものでございます。なお、その実施にあたりましては、稲作生産に不可欠な肥料、農薬、あるいはまた、生産資材の購入等に必要な財源として交付することといたしております。その具体的方法については、目下検討中でございますけれども、米価決定の際の状況に見られますように、最近の農業及び農業をめぐる諸情勢はきわめてきびしいものがございまして、そこで政府としては、総合農政を展開することにしておりますけれども、今後の農政推進上留意すべき基本的事項については、目下農政審議会において調査、審議を願っているところでございますが、さらに今般、内閣に農政推進閣僚協議会を設けまして、農政審議会をはじめ、各方面の意見を十分に承るとともに、農政推進閣僚協議会の場において、政府部内での協議を十分に行なうことといたしておりますし、農政の具体的方向を明らかにして、政府一体となって農政の強力な展開につとめてまいりたいと思うのでございます。(拍手)
#44
○副議長(安井謙君) 菅野国務大臣から答弁の補足があります。菅野国務大臣。
   〔国務大臣菅野和太郎君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(菅野和太郎君) 答弁漏れがありましたので、お答えします。
 先ほど、国鉄の料金の値上げに便乗して、タクシーその他の交通料金の値上げをしないかという御質問がありましたが、それに対するお答えを忘れましたので、お答えしたいと思います。
 先ほど申し上げましたとおり、最近の物価騰貴が政府主導型であるということからして、公共料金はできれば全部押えたいという考えをしておったのでありましたが、国鉄の状況からして、これは必要最低限の運賃値上げを許して、その前提には国鉄の体質改善をやってもらうということ、それを前提に求めて国鉄の料金の引き上げを認めたのでありますが、しかし、それに便乗しての、他の交通関係の公共料金の値上げは極力押えるという、この方針を堅持するつもりであります。
    ―――――――――――――
#46
○副議長(安井謙君) 藤原房雄君。
   〔藤原房雄君登壇、拍手〕
#47
○藤原房雄君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま農林大臣より報告のありました昭和四十四年産の米穀の政府買い入れ価格の決定につきまして、総理並びに関係大臣に対して若干の質問をいたしたいと思います。
 政府は、本年度の生産者米価を据え置き、二百二十五億円の稲作対策事業費の支出を決定したのであります。この生産者米価据え置きの理由は、米の需給事情の緩和にあるとされております。しかし、米の需給緩和は基本法制定当初から指摘されていたところであり、今日に至って急に大騒ぎするのは、基本法農政の失敗をほおかむりし、そのしわ寄せを農民に押しつけようとする政府の冷酷な政策と言わざるを得ません。そもそも米の需給緩和は、過去数年にわたって必要以上に米を輸入したこと、数百万トンに及ぶ麦を毎年無反省に輸入したことなどによる面が強いのであります。私は、食糧問題の重要性をこの際根本的に洗い直し、自給体制を中心に確固たる食糧政策を打ち立て、その上で米価その他諸般の具体策を練るべきであって、米価の据え置きのみが先行する政府の政策は、本末転倒もはなはだしいと思うのでありますが、総理の見解をお伺いしたいのであります。
 さらに、総理にお伺いしたい。現在農家にとって、米作以外に有利な作物があるでありましょうか。畜産は規模の利益が大きいと言われておりますが、そのためには、個々の農民では不可能なほど膨大な土地と資本が必要であり、また、価格がきわめて不安定なのであります。ミカンも昨年来、生産過剰に悩まされております。作付転換も、かりに予定どおり行なわれても、その効果は疑わしいのであります。このようなときに、政府は口を開けば総合農政云々と言いながら、その実態は、単に作付転換を米作農家に押しつけているだけであります。すなわち、作付転換奨励金は十アール当たりわずか二万円で、しかも三カ年しか保証されていないのであります。農家にとっては、十アール当たり約七、八万円の米作収入を捨てて、どうして作付転換ができましょうか。もし政府が作付転換政策を推進するのであれば、具体的に何に転換させるのか、農家の収入を保証し、生活水準を上げることのできる具体策を明示することは、政府の責任であると思うのであります。このようなときに、米価据え置きだけを先にきめて、あとはこれから検討するというのはどういうことでありましょうか。まさに農民を無防備のまま転落の危険にさらすというのほかはないのであります。佐藤内閣の人間尊重もここに言行不一致の姿を暴露しているのであります。総理は、農家の経済をどう立て直ししようとするのか、明快なる御答弁を願いたいのであります。
 さらに、政府は食管制度を維持すると言いながら、米価を据え置き、自主流通米を認めるなど、直接統制をなしくずしにくずそうとしておるのであります。この際、食管制度は改廃の方向に持っていくのか、それとも堅持していくのか、政府の食管制度に対する態度を明確に示していただきたい。
 次に、米の過剰問題はきわめて緊急な問題であります。たとえば、完全な貯蔵を行なえば、古米、古々米でも変質の心配はほとんどないといわれております。この点についてわが党は、貯蔵倉庫や水中貯蔵の拡充について、再三にわたって主張し続けてきましたが、政府もやっと今年になって琵琶湖で水中貯蔵の実験を開始したようでありますが、これらの対策について、政府はどう対処しようとするのか、お伺いしたいのであります。
 次に、稲作対策特別事業費についてであります。二百二十五億円は与党内の二・一八%上昇論に妥協した産物であるといわれております。日ごろ何かにつけてきびしい査定を行なう大蔵大臣が、つかみ金的な支出を認めたことは理解に苦しむところであります。過去の例からしても問題の多いこの種の措置をとるより、米価を引き上げるほうがはるかにベターであると思うが、この予算はどこから捻出し、どんな方法ないし名目で農民に渡すのか。その趣旨と、二百二十五億円の根拠とを大蔵大臣にお伺いしたい。
 次に、消費者米価は据え置く方針をきめられたが、自主流通米の価格は自由でありますから、実質的な価格の上昇は避けられないだけでなく、混米、格上げ等による品質低下も実質的な価格上昇であります。これらに対する対策を農林大臣にお伺いします。
 最後に、私は総理にお聞きしたい。今回の米価据え置き措置の経過を見まして、米審から国会議員を除いたこと、食管法の精神を著しく不当に解釈して米価を据え置いたこと、国会における緊急質問の要求を米価決定後まで引き延ばしたことなど、非民主的な行動が政府・自民党にあったことは、最も憂えるものであります。この点について総理の見解を伺いたい。
 以上、米価据え置きが農民の生活水準の低下を来たすことは明瞭であります。政府の具体性のある答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#48
○国務大臣(佐藤榮作君) 藤原君にお答えいたします。
 農産物の需要と生産の長期見通しにつきましては、農政審議会の意見も伺って、明確な見通しを立てております。政府は、先々の農産物の需給状況をも勘案し、日本農業の将来はどうあるべきかを真剣に討議した結果、米価据え置きが妥当との結論に達したものでありまして、言われるような本末転倒というその御批判は当たらないものだと、かように私は思っております。
 次に、米価据え置きは、農民生活を置き去りにするものとのきびしい御批判がありましたが、藤原君もここ数年間の農民諸君の生活水準の目ざましい向上の事実までは否定されないものと私は思います。米価は物価の上昇の約二倍の上昇率で伸びてきたのであります。しかしながら、今後の問題としては、このような高米価を基本とする農業を続ける限りは、むしろ食管制度、ひいては日本農業そのものに危機をもたらし、かくてはむしろ農民諸君の生活が置き去りになってしまう、そのことをおそれて、あえて米価据え置きの方策をとったものであります。今後は、需要に即応した農業生産、農業構造の改善を一そう積極的に推進し、生産性の高い、環境のよい農村の建設のため総力をあげてまいる考えであります。ただいま申しますように、価格ばかりではありません。農村における生産性の向上もこれまた見るべきものがあります。それらが農村の諸君の生活向上に大いに役立っておると思います。この点をよく見きわめていただきたいと思います。
 最後に、米審から国会議員を除外し、米価決定まで緊急質問を引き延ばしたのは、議会民主主義に反し、国民を愚弄するものと、たいへんなおしかりを受けましたが、いまごろこういうことを言われることは、むしろ私にはふしぎであります。
 米価審議会から国会議員を除いたのは、すでに三十九年の臨時行政調査会の答申に基づいて、昨年度から行なっているものであります。ことしが初めてではありません。おしかりを受けるものなら、昨年その際に受けるべきであったかと思います。この措置につきましては、国民世論も、立法と行政とがせつ然と区別されてたいへんけっこうだ、という支持すら得ているような次第であります。
 また、米価に関する緊急質問を政府がいかにも避けて引き延ばしたかのような御発言がただいまありましたが、まず、これは国会のおきめになったことであります。私も党の総裁でありますが、国会の運営につきまして、全然知らないこともございますし、知っていることもあります。これは国会においておきめになった、その点は間違いのないようにしていただきたいと思います。
 また、米価を据え置く方針であることは、今国会冒頭にことしの施政方針演説でも明らかにしたところであります。この方針についての政府の考え方と野党諸君の考え方は、これは本会議あるいは予算委員会等における論議の過程で明確にされてきたところであります。私はさような点を考えますと、ただいまのおしかりはどうも当たらない、これまた御返上を申し上げる以外にない、かように考えます。(拍手)
   〔国務大臣長谷川四郎君登壇、拍手〕
#49
○国務大臣(長谷川四郎君) お答え申し上げます。
 麦の輸入が多いからというようなお話でございました。国内でもずいぶんかなり麦の生産には奨励をしておると思います。たとえば三千二百九十一円で政府が買った麦を、これを千九百四十一円で政府は売り渡しておるのであります。そのほか保管料、運賃等また別途にかかっております。さらに裸麦などは、三千四百十円で農民から買い上げたものが、政府の売り渡し価格は千八百八十七円でございます。このようにして麦の生産にも大いに努力をしてもらっておるんでございますけれども、なかなかその生産が上がっておりませんことと、かつて粉食を奨励し、それこそ口のかわかないうちに、今度はパンをやめなさい、粉食は、うどんは食ってはいかぬという、そういう極端な問題は、取り組むことが非常な困難だと思うのでございます。これほど、パン食においても定着したものを徐々に米食に変えていくよりほかにとるべき道がないのではないでしょうか。このように考えて、その点につきましては、徐々にその方向に向けるようにいたしておるのでございます。
 米穀の管理につきましても、最近における米の需給の事情、米の管理の現状にかんがみまして、制度の根幹を維持しながら、実態に即応した所要の改善を行なってまいったところでございますが、食糧管理制度の問題は、農家経済、国民生活に深く関連をする重要な問題であるので、制度の根幹は、これを維持してまいる考え方でございます。
 次は、過剰米に対してでございますが、最近における米穀の需給の大幅の緩和の状況にかんがみまして、基本的には、需給の均衡を回復するよう生産対策、価格対策の運用につとめてまいり、また、持ち越しせざるを得ない多量の古米の処理につきましては、米穀管理の合理的運営と消費者の選好等を考慮して、今後の需給の動向を見きわめながら適切な処置をしてまいりたい。したがって、今後の取り扱いにつきましては、主食としての活用のできる分は主食としての活用を行ない、飼料としてでなければならないものは、新規用途への充当など、実態に即して、その処理を進めてまいる考え方でございます。
 米の備蓄につきましては、米の生産が安定しつつある現状でもありますので、大量の過剰米を保有している現状では、食管制度の運用をもって、その機能を果たし得るものと考えられます。とにもかくにも、大量の過剰米を持ち越さざるを得ない状態となっているので、長期保管のために、各般の施策を講ずる必要がございますので、それらにつきましては、大いに努力をしておるところでございます。それらにつきまして、また、たとえば、農林漁業金融公庫からの資金の百九十億円を昭和四十三、四十四年の両年にわたって融資し、長期保管倉庫の建設を進めております。また、新しい貯蔵方法として、先ほど御指摘があったような、本年四月から琵琶湖において水中貯蔵の試験も行なっております。
 稲作の転換計画の半分は達してないじゃないかというお話でございますが、稲付転換対策につきましては、本年度においては、一万ヘクタールを対象に実施していたのですが、転換規模面積は、各地方農政局が最近取りまとめたところによりますと、目標面積の半分程度となっております。したがって、なお今後の進め方については、米の需給という事情に照らしまして行なう考え方でありますが、本年の作付け面積は、これによって昨年度と比較しまして約二千ヘクタール作付け面積はふえておることになっております。
 最後に、自主流通制度の発足ということでございますが、政府の配給米については、消費者価格は据え置くこととなっておりますが、自主流通米については、嗜好に応じて選んだ米を食べたいという消費者の需要に応じて流通するものであって、こういう性格でありますから、その価格は特に規制はしておりませんが、その場合、自主流通米は政府の財政負担が伴わないから、その分、政府配給米よりは幾ぶん高くなることは避けがたい、このように考えます。配給米の大部分を占める政府管理米の適切な操作によって、消費者米価の安定については不安のないように十分配意するつもりでございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#50
○国務大臣(福田赳夫君) 二百二十五億円の補助金についてでありますが、まずその性格は、稲作対策事業費でありまして、これは米価ではございませんです。支給の要領でございまするが、これは市町村に交付するものであります。市町村は、どういう目的にこの補助金を使うかと申しますると、過去三カ年、四十一年度、四十二年度、四十三年度、三カ年の平均供出量を基準といたしまして、それらの農家に配分をする。配分には目的がきめられておるのでありまして、農薬あるいは肥料、そういう農業生産資材あるいは個々または共同で農家がいたそうとするところの農道でありますとか、あるいは倉庫の建設でありますとか、そういう施設、そういうものに使うということを考えておるわけであります。
 これは米価ではございませんから、したがって、その財源は食管会計からは求めません。一般会計の支出にするわけでございます。この一般会計の二百二十五億円の財源をどうするかということは、総合予算主義を堅持しながら、何とかそのワク内でひとつ調達をいたしたいということを検討をいたしております。今後、一般会計におきましては、あるいは給与の問題でありますとか、あるいは秋、台風が来るか来ないか、こういうようなことが非常に大きく影響されるわけでありまするけれども、まあ秋の気候がほんとうに台風のないような状態であってほしいということをお祈りしながら、何とか切り抜けてみたいと考えておる次第でございます。(拍手)
#51
○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#52
○副議長(安井謙君) 日程第三、宇宙開発事業団法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。科学技術振興対策特別委員長宮崎正義君。
   〔宮崎正義君登壇、拍手〕
#53
○宮崎正義君 ただいま議題となりました宇宙開発事業団法案について、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 近年、米ソをはじめとする先進諸国においては、宇宙の開発、利用を国家の一大事業として取り上げ、強力にその推進をはかっておりますことは御承知のとおりであります。こうした情勢を反映し、わが国におきましても、宇宙開発を本格的に推進するため、その体制整備の必要性が各方面より強く要請されております。
 本法律案は、こうした要請に対処して、人工衛星及びその打ち上げ用ロケットの開発、打ち上げ及び追跡を総合的、計画的かつ効率的に行なう中核的な実施機関として、現在の科学技術庁宇宙開発推進本部を発展的に解消し、新たに特殊法人宇宙開発事業団を設立して、その業務と組織を引き継ぐとともに、これに郵政省電波研究所の一部を加え、機構を強化しようとするものであります。
 なお、衆議院において、第一条に規定しております宇宙開発の目的を修正して、「平和目的に限り」が新たにつけ加えられております。
 委員会におきましては、逓信委員会と連合審査会を行なうなど、慎重に審査し、わが国における宇宙開発の目的、目標、定義、民間出資問題、人材の確保とその処遇、宇宙開発基本法制定の見通し、インテルサット問題等、宇宙開発に関する諸問題について熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
 質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案に対し、森元治郎理事より、「宇宙開発基本法の検討を進め、その立法化をはかること。また、わが国における宇宙の開発、利用は、平和の目的に限り、かつ、自主、民主、公開、国際協力の原則のもとで行ない、その実施にあたっては、各種研究機関との連携を密にし、人類社会の発展などをはかること。なお、結集する人材の処遇等についても十分配慮すること。」との趣旨の附帯決議案が提出され、全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#54
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#55
○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#56
○副議長(安井謙君) 日程第四、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長岡本悟君。
   〔岡本悟君登壇、拍手〕
#57
○岡本悟君 ただいま議題となりました法律案は、海運業の再建整備期間終了後の新海運政策の目標とされている今後六年間の外航船舶建造量二千五十万総トンを達成するため、船主負担金利の軽減等の措置を講じようとするものでありまして、そのおもなる内容は、
 第一に、政府は、昭和四十四年度以降六カ年間に限り、外航船舶建造融資について利子補給契約を結ぶことができることとし、その利子補給率は、日本開発銀行に対しては、融資利率と年利五分五厘との差、一般金融機関に対しては最優遇金利と年利六分との差の範囲内とされております。
 第二に、利子補給にかかる国庫納付金及び猶余利子の返還条件の合理化をはかろうとするものであります。
 委員会におきましては、現在の海運会社の経理内容から見た国家助成の必要性、新海運政策による船舶建造目標達成の見通し、船腹増強に対応する船員需給対策及び港湾整備の推進、その他当面の海運政策全般にわたって質疑が行なわれましたが、詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終了し、討論に入りましたが、別に発言もなく、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#58
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#59
○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#60
○副議長(安井謙君) 日程第五、厚生省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長八田一朗君。
   〔八田一朗君登壇、拍手〕
#61
○八田一朗君 ただいま議題となりました厚生省設置法等の一部を改正する法律案について、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法案の改正点は、第一に、本省の附属機関として児童手当審議会を設置すること、第二に、医師、歯科医師等の試験の実施に関する事務を新たに設ける試験委員に行なわせることとし、現にこれらの事務を所掌している審議会の整理等を行なうこと。
 第三に、精神薄弱者福祉審議会を廃止し、その取り扱っていた事項を中央児童福祉審議会に調査審議させること等であります。
 委員会におきましては、児童福祉行政に対する基本的な考え方とその施策、児童手当制度の創設時期、審議会の整理統合の方針と新設する試験委員の性格、看護婦の処遇改善等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終わり、討論なく、直ちに採決の結果、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上をもって御報告を終わります。(拍手)
#62
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#63
○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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