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1947/11/19 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 予算委員会第二分科会 第3号
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1947/11/19 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 予算委員会第二分科会 第3号

#1
第001回国会 予算委員会第二分科会 第3号
  付託事件
○昭和二十二年度一般會計豫算補正
 (第七號)(内閣送付)
○昭和二十二年度一般會計豫算補正
 (第八號)(内閣送付)
――――――――――――――――
昭和二十二年十一月十九日(水曜日)
   午前十時三十九分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○昭和二十二年度一般會計豫算補正
 (第七號)
○昭和二十二年度一般會計豫算補正
 (第八號)
 (外務省及び文部省所管)
  ―――――――――――――
#2
○主査(木村禧八郎君) それではこれより第二分科會を開會いたします。本日は補正豫算の中の、文部省及び外務省所管に關する補正確算の提案理由をお伺いするごとになつております。それから尚明日午前中だけ質疑をいたしまして、明日はそれでもうこの分科會は終りになるのであります。從つて明日はどの省に御質問するかということを、後で一應大臣或いは所管の局長、そういう人の御要求を出しておいて頂きたいと思います。
 取り敢ず文部大臣が見えておりますから、文部大臣から提案理由の御説明を聞きたいと思います。
#3
○國務大臣(森戸辰男君) 昭和二十二年度文部省所管の補正豫算の大要につきまして御説明申上げます。
 昭和二十二年度文部省所管の補正要求額は、追加額十六億二千四百十六萬四千圓、修正増加額一億五千二百九十萬七千圓、修正減少額一億五千九百七十五萬圓、修正差引減少額五百八十四萬三千圓、差引補正額十六億千八百三十二萬一千圓でありまして、これをすでに成立いたしました昭和二十二年度豫算額と、今次の國會において成立しました昭和二十二年度豫算追加額との合計額四十九億七千八百五十一萬二千圓に加えますというと、六十五億九千六百八十三萬三千圓となるのであります。今追加又は修正を必要とする事項について申述べたいと存じます。
 第一は、新制中學校整備等に必要な經費であります。公立新制中學校の明年度自然進級によります増加生徒に對しまする不足設備費を、地方公共團體に補助いたします等に必要な經費五千六百八十九萬四千圓を文部省學校教育局に、二十一萬二千圓を文部省教育施設局に、四萬八千圓を行政共通費に追加豫算したのであります。
 第二は財政法及び會計法制定施行に伴う會計事務を處理するに必要な經費であります。財政法及び會計法制定施行に伴つて會計事務を處理するに必要な經費三十八萬二千圓を文部大臣官房に、百六十九萬一千圓を帝國大學に、百十七萬九千圓を官立大學に、千四十四萬五千圓を直轄諸學校に、三十九萬六千圓を帝國學士院外八部局に、千三百八十九萬五千圓を行政共通費に追加豫算したのであります。
 第三は、東京帝國大學天文臺の分秒報時受信の實施等に必要な經費であります。東京帝國大學天文臺及び測地學委員會において分秒報時及び受信を實施するのと、天文臺の大赤道儀の應急修理をするとに必要なる經費八十七萬圓を東京帝國大學附置天文臺に、二十八萬二千圓を測地學委員會に、六十二萬一千圓を行政共通費に追加豫算したのであります。
 第四は、職員の待遇改善に必要な經費であります。政府職員の待遇改善を圖るため四億四千五百九十九萬二千圓と、地方公共團體職員給與措置費を補助するため二百四十七萬三千圓を行政共通費に追加懐算したのであります。
 第五は、小學校及び新制中學校教員の待遇改善に必要な經費であります。小學校及び新制中學校教員の待遇改善費を、地方公共團體に補助するに必要な經費九億五千二十二萬一千圓を文部省學校教育局に追加豫算したのであります。
 第六は、日本育英會補助の増加に必要な經費であります。日本育英會職員の待遇改善のための經費を補助する等に必要な經費六百九十三萬四千圓を文部省學校教育局に追加豫算したのであります。
 第七は、大學院特別研究生の待遇改善に必要な經費であります。大學院特別研究生の待遇改善を圖るため千七百八十五萬三千圓を行政共通費に追加豫算したのであります。
 第八は、直轄の大學及び學校附属病院の運營等に必要な經費であります。直轄の大學及び學校附属の病院において醫薬品、燃料等の値上りに伴なつて必要な經費二千五百一萬一千圓を帝國大學に、千百五十四萬三千圓を官立大學に、三百四十三萬四千圓を直轄諸學校に、又松本醫學専門學校の皮膚泌尿器科の拡充に伴つて設備品を購入するに必要な經費五十萬圓を直轄諸學校に追加豫算したのであります。
 第九は、直轄の大學及び學校の農場及び演習林の運營に必要な經費であります。直轄の大學及び學校の實習農場及び演習林において、人夫賃、肥料及び運搬費等の値上りに伴つて必要な經費千百四十二萬七千圓を帝國大學に、百二萬二千圓を直轄諸學校に、六十三萬二千圓を行政共通費に追加豫算したのであります。
 第十は、直轄の大學及び學校の研究費の増加等に必要な經費であります。直轄の大學及び學校において研究用資材の値上りに伴つて必要な經費二千三百六十八萬一千圓を帝國大學に、五百八十二萬四千圓を官立大學に、七百十三萬四千圓を直轄諸學校に、又民間研究機關の研究事業を助成するに必要な經費四百萬圓を文部省科學教育局に追加豫算したのであります。
 第十一は、教材調査委員會の設置等に必要な經費であります。教材の基礎的資料の檢討及び教材の適否についての研究のため委員會を設置する經費十萬圓を文部省教科書局に、又教育基本法の趣旨を徹底させるため講習會を開催する等に必要な經費十五萬二千圓を文部省學校教育局に追加豫算したのであります。
 第十二は、直轄の大學及び學校職員の特別旅費に必要な經費であります。直轄の大學及び學校職員の赴任旅費と本省への事務打合せのための旅費に必要な經費百五萬一千圓を帝國大學に、六十一萬三千圓を官立大學に、四百六十七萬四千圓を直轄諸學校に追加豫算したのであります。
 第十三は、大學基準協會に加盟するため入會金等に必要な經費であります。直轄の大學が大學基準協會に加盟するための入會金及び會費に必要な經費五十四萬圓を帝國大學に、十六萬五千圓を官立大學に追加豫算したのであります。
 第十四は、鹿児島水産專門學校の實習船補修等に必要な經費であります。鹿児島水産専門學校において實習船を修理し、冷凍装置を設置するのと、函館水産専門學校の練習船を修理するのと、福井工業専門學校紡織科の設備品を購入するのとに必要な經費百九十五萬圓を直轄諾學校に追加豫算したのであります。
 第十五は、東京高等學校の土地購入等に必要な經費であります。東京高等學校において専用道路を新設するため有民地を買収するのと、長野女子青年師範學校の寄宿舎用建物を買収するとに必要な經費十九萬八千圓を直轄諸學校に追加豫算したのであります。
 第十六は、行政監察委員會及び同事務局を設置するのに必要な經費であります。行政監察委員言及び同事務局を設置するのに必要な經費十萬圓を文部大臣官房に追加豫算したのであります。
 第十七は、罹災學齢児童生徒に對する學用品の給與に必要な經費であります。昭和二十二年七月及び九月の暴風のため罹災した學齢児童生徒に對し學用品を給與するため、地方公共團體に補助する等に必要な經費一千二萬五千圓を文部省學校教育局に追加豫算したのであります。
 第十八は、義務教育費の國庫負擔金の組替であります。文部省學校教育局教育文化費の部、國民教育費の款、義務教育費國庫負擔金の項中に計上してある負擔金の中、國民學校高等科教員の分一億五千二百七十七萬九千圓を、新制中學校の設置に伴つて、同部學制改革費の款、教員費の項に組替修正したのであります。
 第十九は、教育施設局設置に伴う既定豫算の組替であります。文部省教育施設局の設置に伴つて文部省大臣官房、行政部費の部、文部本省の款、文部本省の項中に計上してある建築營繕等に關する經費百十二萬八千圓を文部省教育施設局の同部、同款同項に組替修正したのであります。
 第二十は、國立博物館設置に伴つて文部本省等の經費の減少であります。脚立博物館設置に伴つて、文部省社會教育局の事務の一部を移し替えたため、七十二萬二千圓を文部省社會教育局において、又美術研究所官制廢止のため二十九萬三千圓を美術研究所において、既定豫算より減少したのであります。
 第二十一は、豫防衛生研究所設置に伴つて東京帝國大學傳染病研究所の經費の減少であります。厚生省所管豫防衞生研究所の設置に伴つて、東京帝國大學附置傳染病研究所の機構を縮小するため三百九十八萬二千圓を帝國大學において既定豫算より減少したのであります。
 第二十二は長崎醫科大學附属醫學專門部の廢止等に伴う經費の減少であります。長崎醫科大學附属醫學専門部の部廢止に伴つて、特設高等學校を設置するため、八十萬九千圓を官立大學において、又徳島醫學専門學校において生徒募集の停止に伴つて特設高等學校を設置するため、三萬七千圓を直轄諸學校において既定豫算より減少したのであります。
 以上は文部省所管におきまする昭和二十二年度補正豫算の大要につきまして御説明申上げた次第でございます。何率御審議の上御協贊あらんことを希望いたす次第であります。
#4
○主査(木村禧八郎君) これより文部大臣に對する御質疑をして頂きます。服部さん。
#5
○服部教一君 ちよつと文部大臣に申上げたいのでありまするが、その外のお方も聞いておいて頂いて、大臣のお答えにならん分を御返事願いたいのであります。實はこの教育は、後に又外務省の問題もありますし、時間が餘計ないから、それで簡単に申上げまして、又書いたものでお尋ねしたいと思つておるのであります。この中學校の改革につきまして六・三制度を今度お始めになつたということは、これは私は日本のために非常にいいことであると思つておるのであります。よくこれをおやりになつたと思ておるのであります。一體この日本の教育は、文部省というものがあつたがために、明治十九年に森文部大臣が大改革をされまして、今日まで殆んどその改革というものはないのであります。それはこの日本の特殊な位置におるこの日本の國の發達をせしむるのに、文部省の規則でいつも縛つておくから、三十年、五十年殆んど改革されずに來るのです、アメリカのように各ステートが殆んど自由で、どこの洲へ行つて見ても教育制度が違う。皆自由に研究をやつおるから、いろいろ國民の間に學校の先生でも誰でも自分で研究して自分で何もかもやると、こういうことになつておるのが、日本では文部省が決めてしまつて、手足を縛つてしまつて、教科書も一定しておるし、教授要目も一定しておるし、自由研究というものをやることのできないようなことにしておるのです、それですから明治十九年以來今日に至るまで改革せずにおる。アメリカあたりはどんどんどんどん改革して、初めアカデミーからハイスクールに發達し、そのハイスクールも今日でも六・三制もあれば八・四もあれば、いろいろの制度をやつて互いに研究して、どういうものが一番いいかということをやつておるのであります。まあ最近は六・三・三の制度がないということで、非常にこの敷が殖えて來ましたけれども、今日といえどもまだ小學校八年中學校四年、その上にカレッジということになつておるのが澤山あるのです。日本は文部省がやつて、それによつてやる。又文部省がやらなければ地方でやれないということもあるのであります。一利一害です。あんまり縛るというと、又これから六・三・三が五十年も百年も續いて、アメリカはすつかり変つておつても日本は変らないで又五十年、百年後にアメリカの制度によつてやる、こういうことになるように私は思うておるのです。學校の教授法でもそうです。教授要目もそうです。文部省が決めるものだから、發達しない。又初め決めてやらんことには、自然の發達を待つておつては、なかなか容易にできないのです。そこがなかなかむずかしいところで、やはり日本としては、アメリカとは違うのですから、文部省なるものが先に立つて、そうして指導してやるということがいいのですけれども、それが指導の仕方が悪いというと、抑えつけてしまつて、もう文部省の言う通りにしておればそれでいいわというふうに、學校の教員でも、すべての、縣において、學務部あたりにおいてやりまして、そうして何年間もその悪いことが続いて行くのであります。それでありますから、ここは一つ日本の文部省の改革をしなければならんと、私は思うておるのでありますが、これが日本か始終發達せん。これは文部省に限らん。鐵道省であらうが、外の省でも、すベてその通り。現に原子爆弾でもそうです。日本のどこで發明しましたが。大學には頭のある物理學者がおる。それを發達させない。研究費も出さんとか、もつと研究費も殖やして貰いたい、研究費を出さんとか。民間もまたやらん。アメリカのルーズヴエルトが二十億からの金を使つて、二千人からの人を使つて、そうして大々的にやつたのであります。日本はそういうことを研究しておつても、共同してそういうことをやるというふうになつておらん。なんでも陸軍省、海軍省の言う通り。陸軍省、海軍省の技術者は互いに喧嘩しておる。そういうところに日本の缺點があると思うのであります。それだから、これは大いに改革しなければならんと思います。これは文部省に限らん。すべての省がそうであると思つておるのであります。そこでこの六・三制度の問題もそうです。私は誠にこれはいいことをやられたと思つております。これによつて日本の教育は非常に發達をして行くと思います。これから大學制度を改革して、日本に一新紀元を開くごとになつたと思つて、この文部省の御英斷に對しては、非常に敬服しておるのです。併しながら又餘り六・三制度を括つてしまうというと、そうすると、又これが日本に非常な弊害を來して來るのでありますから十分にこれをゆつくりと日本全體の進歩を妨げないように、より御研究を願いたいのです。そのことを今から申上げたいと思うのですが、一つは、六・三・三、それでいいが、八・四というような、小學校八年、中學校、高等學校、合せて四年、こういう制度もやはり研究する必要があると思うのです。この日本という國は山國で、御承知の通り耕作地面というものは一割六分程で、あとは皆山で、非常に交通が不便で、アメリカのごとく何百里行つても山一つ見えんというような所とは違うのであります。それからもう一つ、アメリカを見て見るというと、もう中學校の生徒でも、自分の家の自動車に乗つて通學している。日本の自轉車と同じことであります。自動車で通學している。學校にバスがあつて、方々から生徒を集めて來る。日本ではそれができないから、制度においても、やはり日本の國情に適するようにやらなければならんと思うのであります。なんでもアメリカの眞似をする、ドイツの眞似をするというようじや、どうも具合が悪いと思います。それで學校も六・三・三に決めるというようなことは、少しやり過ぎたように私は思つておりますけれども、初めはどうせ急いでやられるのでありますから、これは無理のないことで、おいおいとよくなると思います。それから初め百億以上の豫算を豫定し、それが六十億となり、それが三十億となり、十四億となり、七億となると、こういうふうになつて来たんですから、文部省のこれを計畫された人の實行したいと思うことが、金のためにできないという状況に陷つておりまして、來年の通常豫算においては、もつと大いに金を取つて貰いたいと思うのであります。私どももできるだけお助けしたいと思つておりますが、併し國民が食うことに困つておるから、そんなに澤山取れんと思つております。そうすると、今年から來年、再來年へかけて非常に困ると思います。そこで融通をもつと利かしてやらなければならん。學校教員にしても、今俄かに教員を養成しようとしても急には間に合わん。そこで教員の兼務というものを十分に許すと、當分だけでも宜しい、許すということにしなければならん。例えば校長のごときも、小學校長でも中學校長を兼ねてもいいということにしなければならん。そういう又必要なところもある。五十歳、六十歳で立派な人格者で、立派にやつて行ける人がある。そこへ向けて、二十代や三十代の大學を出たような者がその下へ附いてやることもできる。だから校長の兼務を自由にし、教員の兼務を自由にし、それから經濟上から申しますと、一週間に、これは世界どこの國も困つておるのでありますが、教員の兼務など、又、一週間に二十五時間なら二十五時間ぐらいに大體決めておきまして、そうして小學校の教員は中學校も兼務できれば、中學校の教員も小學校を兼務できる。一つの學校で余つた時間があれば、隣りの村の學校へ行つて兼務するというように自由にしておきまして、そうして經濟上の困ることを助けて行くというようにせんと、これは私はいかんと思うておるのであります。おいおい完備して來れば、又改革できます。初めから窮屈な規則を作るというと、非常にやりにくい。私はこの四月以後の實際現在實施されておる状況は、まだよく調べませんから分りませんが、私のちよつと見たところによつても、例えば八年の小學校、尋常科と高等科とありましてやつておつたものが、今度止まつて中學、六・三になりました。そこで六年以後の高等科の二年というものを中學校にしておけばよいのでありますけれども、それをやめてしまつて隣の村へ合併した。その合併したについて、その間に山がある。冬になつたら、私はこれは五月頃であつたのですが、冬になつたら女の子供をどうして通學させるかと思つて心配しておるのであります。アメリカあたりではそういうことはせんのであります。その學校はなんでもよいのであります。小學校へ行つて中學校になつて、當分の間、二年や三年は、本當の中學校にならんでも大目に見て、そうして實際にできるようにしておかなければならんと私は思うのであります。だから金も澤山あるときの考えで、理想的のものをやるというと、行き詰まつて來ると思うのであります。それから教員も自由に、教室も足りなければ、お寺でやろうが、どこでやろうが、これはまあそうなつておるようでありますが、教室の兼務、それから都會地において理化學の教室の兼務、體操場の兼務、兩方兼ねてやらせるというように、自由自在にして、地方の人に任せておけば、各府縣に任せておけばよい。文部省なんか餘り世話せずに、勝手にやれというふうにしておけば、やはりよくやりたいというのは人情でありますから、自然にやらしておいて、そうして悪い所があつたら監督し、それはやめたらどうか、これはこういうふうにしたらどうかというふうにすれば、自然によくなつて行くと思うのであります。それから教員の養成ですが、大きな問題だと思うのであります。これは御承知の通り、アメリカなどにおきましては、日本で言う文理科大學、高等師範學校というような所は、晝の生徒よりも夜の生徒の方が多いのであります。東京の文理科大學へ行つたら夜は眞つ暗で、晝だけで僅かの生徒でやつておりますから、今度は急の時に間に合わん。アメリカへ行つて見ると、晝の生徒より夜の生徒の方が多い、夜はどういう生徒が來るかというと、小學校の先生が來ておる。そうして文學士にもなれれば理學士にもなれれば、又試験を受けて中等學校の教員にもなれる、私はああいうふうにやらなければならんと思うんです。これから少なくも十年、或いは永久に続くかも知れせんけれども、どんどん小學校の教員でも呼んで、そうして何年か研究して、試験を受けて中學校の先生になる資格を取るというようなことにせんと、晝だけの制度ではなかなか追つつかないと思われるのであります。又それが教育の機會均等、それから又各自が、小串校の先生が中學校の先生になるというように、上の方へ進んで行く人のために便宜を開くことになります。それから大學も……これは大學の制度のことで申上げたいと思いますが、どうも日本のやり方はいけないと思うんです。それだから夜學というものを大學でも、文理科大學、高等師範學校で夜學を盛んにして、どの教室も電燈をつけてやるというふうに考えては……まあ電氣も少ないですけれども、そうやらんというとこの急場に應ずることはできんと思うのです。
 それから實業學校であります。農學校、商業學校というような實業學校、これもです。六・三・三になつたから皆六・三にせいということでなしに、これも段々と改革するというようにしたいと思うんです。何も商業學校、工業學校、そういうものを皆中學校の名前に変えなくてもよかろうと思うんです。御承知の通りアメリカあたりには、コンマーシヤル・ハイ・スクールとテクニカル・ハイ・スクールということになつておりますから、又別にやはり商業學校、工業學校というものも、やはりやりたい者にやれるようになつておつてあるのです。皆一律になつておるのではない。でありますから、もつと自由にして、各自が新工夫を出し得るように、教育制度を餘り細かく限定しないようにして、經濟上もやり得るようにしたい。又實際に教育の上に差支のないようにしたと、こう思うんです。それから六・三まではこれでできますが、来年は六・三・三、それからその上に専門學校、大學の制度、これらのものについてもこれから段々と都合好くやつて頂きたいと思うておるのでありますが、このことを一つ……もう考えになつておると思いますが、私の切に感じておることを一つ、申上げたいと思うのでありますが、東京には帝國大學以外に大學の數が澤山……御承知の通り三十も四十も五十もありましてやつておりますが、このやり方は非常に不經濟なやり方でありまして、二ユーヨークへ行つても、主なる大學は二つしかない、シカゴであるとか、或いはロンドンであろうが、パリーであろうが、ベルリンであろうが、日本のようなところはないのであります。これはどういうところから起つたかしらんと思つて、いろいろ考えて研究して見たのでありますが、それは日本の文部省が悪いのであります。この五十年、六十年来の文部省、何故かというと夜學をやらないのであります。それだから夜學をやらないで入學試験をやるというのでありますから、入れない者は行くところがないから私立大學を作る。夜やる學校に經費がないから帝國大學の先生が夜そこへ行つて教える、一つできる、又足らんから又できるというようなふうになつてこういうふうになつたのでありまして、この六、七十年間にできた大弊害をもつと經濟的に、もつと有効にする方法をこれから考えて行かなければならんと思うのです。これはなかなか大問題でありまして今度戰災で燃えた私立大學も澤山ありますが、これがどういうふうになりますか、なかなかこれは困難だと思うのであります。それで文部省の官費で金を出すのも、私立で國民の懐から寄附金などを出してやるのも、やはり日本で言えば、同じ日本の金を費すのだから、これは經濟上どうしていいかということも考えなければならん。それについては私は帝國大學等の教室も夜學を盛んにしてやる、これが初めからそういうことをやつておつたら、こんなふうに私立大學が澤山できなかつたと思うのです。何故に帝國大學の先生が、立派な帝國大學の教室を夜空けて置いて、そうして下駄履きの汚い、埃の多い私立大學へその同じ先生が教えに行かなければならないか。その理由はどこにあるか。これは日本全體から観て見たならば、非常な不經濟なことであります。大學の中で立派な教室を使つて、電燈の下でやればいいと思うのです。それにつきましてはなかなかこの改革しなければならん點は澤山あると思うのです。私はどうしてもこの大學制度は、ドイツの大學の制度を採つて、あの大きなドイツが二十一の大學で大體皆收めております。何萬という生徒が一つの大學におる。日本のようなああいう小さな組織とは違うので、これは追い追いと實行をして行かなければならんのでありますけれども、日本のこの大學制度は私は非常な不經濟にやつておると思うのです。もつと經濟的にやるようにしなければならんと思います。それには學校の先生の待遇も惡いのですから、これは困つたものでありますが、私はこういうことを考えておるのであります。ドイツのように授業料は先生の收入にすることにしまして、その細かい規則は、最大限は五千圓までとか、上を決めなければならんですけれども、教員の俸給の出し方ということについて、組織を変えて行かなければならんと思うのであります。で朝の九時から夜の九時、十時まで學校の教室を活かしてやるということにつきましては、一人の先生でそれを皆やれませんから、一人の先生がどれくらいの時間をやるかということ。先生の數、いろいろの點をこれを変更して行かなければならんと思うのであるが、この先生の方はやはり今のような講座をきちつと決めずして、いくつかの同じ講座も作り得るようにし、又同じ先生が講義を同じ大學で一日に二回やるようなこともやる。教授器具から機械を何回も利用し、そうして經費を少くし、日本の今のようなやり方でないように、この大學制度を一つ変えなけばならんと思う。今ここで詳しく話しておりますと長くなりますから、又別のときによく申上げたいと思うておるのでありますが、お分りにくいかも知れませんが、要點だけを申します。
#6
○主査(木村禧八郎君) ちよつとお諮りいたしますが、餘ほど質問は長くなりますか。
#7
○服部教一君 簡単に……。
#8
○主査(木村禧八郎君) それでは甚だ恐縮ですが、外務省の方から見えておりますので、外務省の補正の方の説明をここで一應やつて頂きまして……。
#9
○服部教一君 大臣もお忙しいでしようから簡單にして置きます。そうして詳しいことは又書いたものでも、又別のときにでもお話したいと思いますから、簡單にいたします。これは大問題でありますからよくここは聞いて頂きたいのです。又書いたものでも詳しいことは差上げますが、要するに研究から言つても私は學閥というものを止めてしまつて、全部轉校自由の制度にし、それから聴講自由の制度にしたいと思うのです。これはドイツの制度が一番いいと思つておる。アメリカ人もそう言つておりました、私の聞いた所ではまだ日本の制度はアメリカの制度よりも惡い。それでそういうように經濟をもつと引緊める所は引緊めて、教員の俸給はよくして又先生のごときものも、講師の採用の仕方からもつと自由にやるようにして、學問の發達を助けると共に、經濟上も節約する所は節約し、伸ばす所は伸ばすようにしてやらなければならんと思うておるのです。私立大學なんかもこれから大きな問題でありますが、これも整理しなければならんけれども、人工的に下手な政治はなかなか困難だと思うのです。それからもう一つは中學でも大學でもどこでもありますが、夏期講習、夏期休業なんというものは、私はやはり今日までの日本の制度を変えまして、夏期休業も三ケ月ぐらいにして、そうして夏は實地に就いて農業とか工業とかやるようにしまして、學校だけの机上の講義を、長い學年を延ばすということのないようにじたいと思うておるのです。飛び飛びでいけませんが先ずこのくらいにして置きまして、これを一一今ここで詳しく又御返事して頂くということにすれば時間も長くなりますから、ちよつと要點を話して置こうということだけにいたしまして、又あとは別のときにお話を伺つてもよろしい、今この場で一々私の申上げたことを一々議論しておるということも又私が聞かなければならんということになりますから、これだけは言うて置こうということがありましたらそれだけを一つお答え願いたいのであります。
#10
○國務大臣(森戸辰男君) 非常に細部の點に亙つていろいろ御意見、御質問かありまして、これを一々お答えいたすことは時も許しませんので、いずれ他の機會に私又は政府委員からお答えいたすことにいたしまして、大きな點だけをお答えいたして置きます。在來の日本の文部行政につきましては、いろいろ御批評がありましたが、その點多く當つておるところもございまして、これはただ文部行政が惡いというよりは日本の國の全體の政治の仕組に聞違いがあつたようでありまして、教育は屡々教育權が尊重されずに、殊に戰争のために非常に軍部の干渉が強く、又地方の末端では内務省の教育に對する、殊に人事に關する内務官僚の干渉も相當にあつたので、こういう點で實は民主化の方面に缺けるところが非常にあつたのでありますけれども、教育刷新の後においてはかような方向が一新されたのであります。軍部、内務等の方面からの教育への干渉はなくなりまして、教育権の獨立が確保されますと同時に、他面では文部省における、いわゆる官僚的な集中行政というものも漸次非常に改めまして、殊に教育委員法ができますると、教育の仕事の多くのものが地方に移讓されるということになるのであります。
 尚教科書等におきましても、從來は國で定めてそれを中心に教えていたのでありますが、今日差當りまだ指定教科書がありますけれども、これはいずれ檢定の制度になつて、自由に檢定を得たものの教科書が使われるようになりまするし、又教科書中心でなく、教師と生徒との人間的な繋がりを中心にした體系に向つて行く大きな方法を採つておるのであります。尚最近の六・三制について非常に御賛成に與かつたのでありますが、尚これが固定したものとなつては困るということでありまして、これは在來の文部省の日本の學制のように特別に官僚的にできたものではなくして、民主的な國會が最高の権威を持つて法律でできたものでありますから、國民の意向がそれでいけないということになれば、直ちに変ることができるのでありまして、この點固定されたわけではないのであります。
 尚豫算が非常に少なく、豫定より少なくなつて、それでもやつて行くべきだから實際の實行は弾力性のある實情に即したものとしなければならんので、ただ理想的なことを追つておつてはいかんという御注意も至極尤もでありまして、その線に沿うて私どもも努力いたしておるのであります。ただ先生の兼務等のお話がございましたが、大変尤もでありますけれども、今日は先生が實は相當過重な負擔をしておりまして、なかなか二つの學校を兼ねるというような事態には行かないような事情が多いのでなかろうかと思われるのであります。更に教員養成について夜學をやつたらよからうということであります。教員養成の必要なことは誠にお説の通りでありまして、その點におきまして、教員養成機關を完備充實いたしたいと最善の努力をいたしておりますが、夜學の點におきまして、來春からは東京の文理科大學でお話のように夜學を始めるような段取になりつつあるように承つておるのであります。尚大學についてのいろいろ細かな御注意でございまして、誠に東京には三十、四十はちよつと多過ぎますけれども、二十ほど大學がありまして、相當に全國大學生の過半が東京におるということであります。併しこの私學の非常に殖えたことはただ夜學だけの問題ではなく、私學には私學の特質がありまして、そういう點で私學の存在の理由があると私は存じておりますが、夜學の不足の點ということも一つの理由であつたろうと存じまして、最近私共は新らしい教育制度の下では官立學校の夜學制、殊に大學の夜學ということも、教員養成ということとも離れても考えておりまして、現に神戸の經濟大學では既に始めておりまするし、その他諸地方でも漸次その方向に向うようになつておるのであります。
 尚大學の轉校、聽講の自由ということも努力いたしたいのでありますけれども、只今のところこれをいたしますと、一つの大學に牧容以上の人が集まるというようなことにもなりますので、非常にいいお考えではありますけれども、現在の事態では直ちにこれが實行できるということは多少考えなければならんと存じております。その他大學の制度についてのいろいろ細かな御注意については十分御意見を参酌しながら、實際の事情を調べて新らしい大學の構想の参考にいたしたいと思います。
#11
○服部教一君 今ちよつと大臣が誤解されたように思いますから一言だけ……。今の大學の聽講の自由ということは、一般の者の聽講を自由にせよという意味ではないのであります。學生の聽講の自由ということでドイツでは學生は必修課目というものがなくして、自由にどの講義を一週間に平均七時間ぐらいということになつておると思います。聽こうと聽くまいと勝手で、ただ試験を受けるだけであつて、義務時間というものは極く少くして、一週間三時間ぐらい聽けばそれでいいということになつておりましたが、そういう意味の聽講自由でありまして、一般の人の、學生以外の人の聽講自由ということを申上げたのではないのであります。ちよつとこの點を言い方が惡かつたからもう一度申上げて置きます。
#12
○左藤義詮君 簡単にお伺いいたします。昨日豫算委員會で総理大臣に質問いたしましたら、講和會議に備えて列國の日本に對する認識を深めて講和會議を有利にするために經濟の民主化、教育の民主化、精神的方面の民主化の徹底、この點において全力を打込んでおるというこういう御趣旨でありました。
 精神的な方面の民主化というものを豫算面に表わすのは教育費の外ないのであります。その肝腎な教育費がこんな事情で、最小限度という十四億が七億に削減された。これに對して総理はどういうふうの方針をお持ちかとお尋ねしたら、はつきり追加豫算にするか、豫備金にするかはまだ決定しないが、必らず本年度においてあとの七億を何とかしたい、こういう御言明であつたのでありますが、もう一度文部大臣から責任を以てこの七億を必らず實現する、或いはその方法等につきまして、文部省としてお見透しができておると思いますが、その點に對してもう一度お見込を伺いたいと思います。
#13
○國務大臣(森戸辰男君) 御尤もな御質問でありまして、文部省は先頃三十一億の中十四億を國費支辨といたしたいという最小限度の要求をいたしまして、七月十五日の閣議でそれが内定いたされたのであります。大體これを豫想しまして諸般の設備をいたしておつたのでありますが、御承知の通り豫期せざる水害が起り、その分に多大の資材を必要とするような事情も起りまして、いろいろ檢討した末、差當り七億ということがこの度の追加豫算に認められたのであります。ところでこれでは十分には豫想した最小限度も實現できませんので、私どもはあらゆる努力をいたしてこの足らない額を満たして行きたいと存じております。併しその額を満たす方法が追加豫算によるか或いは豫備金支出によるか、そうして今年度、暦年度中に行われるか或いは會計年度の終るまでに行われるかという點につきましては、残念ながら只今申上げることができない状態にあるのでありまして、私どもは少くとも本會計年度中にはこの額を是非共獲得いたしたいという考でおります。これは單に一文部大臣としてのみならず政府としてもさような考を持つておるということを申上げることができるに止まるのは甚だ遺憾であります。尚この點については、去る十二日の對目理事會において、シーボルト議長の日本教育制度の根本改革に對する報告がありましたが、その結論の中に、日本の教育制度改革の基本的な機構はすでにでき上つた、その成否は國民が引続き向上を求める意思と新制度を運營する技術的能力の發展、そうして最後にこの教育計畫が必要とする財政的支持と必需資材の割當の程度にかかつておるということを結論とされておるのであります。對日理事會の議長の見解も實は私どもの考えておりますところと符節を一にしておるかのごとく感ぜられるのであります。旁々私どもはこの線に沿つて最善の努力をいたしたいと存じておる次第であります。
#14
○左藤義詮君 文部大臣が最小限度として要求されたものが半分になつて而も敢然その職に止まつておりますのは私は必らずあと七億を實現する、こういう信念を以て我が國文教の最後の線を護るために私はその職におられると信ずるのであります。私は是非私は本暦年度において又それを國民に示されますのは少くとも本年度において示されますように、對日理事會の意向も一つ有力なバツクとせられまして、資材の問題もありましたが、終戰處理費は勿論止むを得ませんが、それに便乘しておる相當資材があると思います。又日本の教育を民主化することによつて、シーボルト議長の話もありましたように、それが非常に列國の日本の將來の見透し、講和會議が有利になれば少々私は今水害復奮その他の點が若干延びましても取戻せると思います。私は総理大臣が言われたように教育の民主化ということが講和會議を有利にする根本だと思います。今朝の朝日新聞にもいろいろの窮状が出ております。又各地から非常に悲壯な愬えが私どまのところに來ております。これは文部省も十分御承知だと思います。一つ命懸けでおやり下さるようお願いして置きます。
#15
○藤田芳雄君 今の問題についてちよつとお聽きしたいと思います。私は左藤さんと同じ意見であります。現内閣においてはそうしたことを明確に御意見の發表がございますので、恐らくはあとの七億は責任を以て出されることは明確になつたと思います。甚だ失禮な申し分ではありますけれども、或いは又何の機會に内閣が迭るというようなことも考えられないこともない。その際に迭つたがために、これが又流れることがあつては、私は誠に國家の立場から遺憾と思うので、このことについて附帶條件というようなものをこの豫算につけて出すというような事柄は、政府當局としてどんなふうにお考えでしようか。その點をちよつとお聞きしたいと思うのです。要するに内閣がどう迭ろうと、この國會の要求するところであるというような附帯條件です。
#16
○國務大臣(森戸辰男君) 私どもは、正常の事態の続く限り、この豫算の實現されるときまで、されるときを越えても存続するものと存じております。併しどういう事態が起るかも知れませんから、できるだけ内閣はその内閣の、日本の再建、殊に教育に對する認識如何によつて決めるのでありますが、どういう内閣ができましても、私は日本の現状を眞實に考えるならば、この教育刷新の線に副うた六・三制の政策は堅持いたすものと、實は期待いたしておるのであります。今日特にそれを拘束するようなことは、ちよつと豫算の上ではむずかしいのではないかと存じております。
#17
○左藤義詮君 苦しい中から六・三制を一年々々と實施して行くのでありますが、現在でも相當私立學校を六・三制のために利用しておりますが、更に三年度、四年度として行きますれば、非常にその必要があると思います。私立學校を六・三制のために活用して行く點において、文部省としてはどういうお考え、御方針でありましようか。
#18
○國務大臣(森戸辰男君) これは私立學校がいろいろの事情で、これに適し、又はこれに協力して頂くならば、當然、殊に六・三制の中學では設備等も足らないのでありますから、私立學校が協力して貰うことは、大いに望ましいことと存じております。
#19
○左藤義詮君 そういうように私立學校の非常に重要であるのに對して、失禮な言い分でありますが、文部省が私學というものを振興して行くのに、趣旨としてはいつも御賛成下さるのでありますが、それを具體化する上において、特に関係筋との折衝等の連絡におきましても、甚だ私はお力の入れ方が足りないと思う。具體的なことは段々申しますが、その點において私は非常に私學に對して……、非常に窮乏な際でありますので、積極的な、これを盛り育てて行くような力強い努力を私は要求するのであります。その一例としまして、同僚大隈信幸君から政府に質問書を出しまして、軍施設を私立學校に拂下げ等をする場合に、何か有利にすることはできないかという趣旨に對しまして、片山総理大臣から、憲法八十九條があるので、それはできないというような答辯書が來ておるのでありますが、併し教育基本法、學校教育法によつて、國家の教育の施設の一環として私立學校があるのでありまして、公の國の方針によつてやつておるのでありまして、こういう場合に八十九條を持ち出しますることは、私どもが昨年教育基本法、學校教育法を協賛いたしますときの趣旨とは違うと思うのであります。その點に對して、文部省としてはどういう御見解をお持ちでありますか。
#20
○國務大臣(森戸辰男君) 私立學校の問題でございますが、私立學校の存在理由は、官公立と違つた形で、國家の教育の方針の線から逸脱することはできませんけれども、その枠の中で、自由な立場で教育を行なつて行くというところに、私立學校の存在理由があると思うのであります。そうしてその獨立の大きな基礎は、私は財政的の基礎であろうと思つております。ですから私立學校の本格的な存在基礎は、やはり獨立の財政があつて初めてそれができるものと考えておるのであります。憲法も又そういう建前に立つておるのであります。ただ日本では特殊の事情がありますのは、私立學校の校舎か戰災にかかつて、これは私立學校の損失でもなんでもないことになつております。又その他資金が封鎖になつたとか、インフレーシヨンのためにその固定の資金が非常に減價されたというような事情もありまして、經營の上で非常な困難に當面しておるという事情も存在しておるのであります。こういう點についてはなんらか國家として考慮する必要があるのではないかと存じておりまして、本年度も、僅少でありま下るけれども、そういう方面の豫算も實は組まれておるのであります。尚併しこの問題は、やはり先程の憲法の問題とも關係いたしますので、そういう形で問題の起らないような方法で、できるだけ私學がこの窮状を回復するようなふうに努めて行くことが必要ではないかと存じております。尚この中等學校を、新制中學のために私立學校が協力頂くのについては、これも必ずしも十分とは言えませんけれども、費用は支辨するという方針をとつておる次第であります。
#21
○左藤義詮君 時間もありませんが、もう一つこの機會に、教員組合の方から日曜、祭日以外に、研究日を二十日ですか、慰勞日を二十日ですか。それを教えますと、殆んど一週間六日が、もう一つ食い込んで、五日出動するというような要求がある。すでに大阪等では公立學校でそれを實施しておる。校長會議において、府の當局から、私立學校にも、それを一つ成るべくやるようにというような勧奨があつたという事實を伺つておりますが、言うまでもなく、戰敗れて、國民が歯を食いしばつて働いて、大いに勤勢の効率を擧げなければならん時に、夏休み、冬休みを一般の勤勞者から羨まれておるような時に、更にそういう休みを持つことが、果して文部省として、それに對してどういうお考えを持つておられますか。
#22
○國務大臣(森戸辰男君) 只今のお話は、まだ私實際の事情をよく知つて、報告を受けておりませんので、詳しい御答辯はできませんけれども、お説のような日本の状況でして、殊に先生の數が足らんのですから、先生も今日の事情に即して、十分教育のことに勵んで頂きたいという考え方は持つておるのでありますが、大阪の事情については、まだ詳しい報告を受けておりませんので、いろいろ又報告を得れば、お返事いたします。
#23
○左藤義詮君 できるだけ早い機會に御調査頂きまして、豫算委員會又は文教委員會において御答辯頂きたいと思います。これだけの大きな教育の改革をいたしますのに、設備が勿論足らないのでありますが、それを補つて行くのに、なんといつても立派な教員を必要とするが、今年の豫算において、教員養成のための、今服部さんからも御意見が出たが、それが豫算に出ることが非常に少いと思いますが、これを追加豫算にお出しになる御意思があるか、或いは來年度においてこれを強力にやる御意思があるか。教員養成に關する、豫算面から文部省の御答辯を伺いたい。
#24
○國務大臣(森戸辰男君) 學校の教育は、制度と設備も大事でありますが、中心は人間でありまして、その點も教員というものが、新らしい教育制度の重大な要素をなすことは、お説の通りでありまして、その養成については、教育刷新委員會でも愼重に考えて、それを基礎として、當局も亦教員養成機關の新らしい形を、具體的な姿を考えておるのであります。同時に現在の教員の質的向上についても、十分考慮いたしまして、今年度は再教育、或いは認定講習會を開きました。かような方法、或いはもう少し集中的な方法も用いて、教員の、現在している教員の質の向上ということに力強い努力をいたしたいと存じております。
#25
○左藤義詮君 それくらい力をお入れになるというように、この豫算に出ております分が非常に少ないと思うのであります。例えば講習會と今仰しやいましたが、僅か十九萬二千圓という豫算であります。こういうことで果して十分できるかどうか。私はこれは非常な不十分で、甚だ佛作つて魂を入れないものだ。教員養成に力が入つていない、この豫算面からかように思うのであります。追加豫算その他の方法においてこれをもつと拡充なさる御意思があるかどうか。
#26
○國務大臣(森戸辰男君) 講習會につきましては實は本豫算の方に六百萬圓が組入れてありまして、その補足として追加磯算に加えられたわけであります。來年度におきましては更に大きな額をこれに振向けたいと考えております。
#27
○左藤義詮君 もう一つ日本育英會の職員の待遇改善費というのが六百九十萬、約七百萬ばかり要求されているのでありますが、本豫算との關係は私はよく存じませんが、本豫算はどれくらいになりますか。どれくらいこの職員がおりますのですか。甚だ私は只今の講習會その他の費用からみますると、均衡を失した厖大な職員をお持ちになつていると思います。實際に育英をして行くのにそんなに必要であるかどうか。その内容を一つ伺いたいと思います。
#28
○國務大臣(森戸辰男君) これは政府委員の方からお答えいたしますが、大體においてその費用は千八百圓ベースに引上げたということです。
#29
○政府委員(日高第四郎君) 育英曾の事業は徹底を缺いておりまして、各府縣その他に支部を置きまして、そういうところへ参りましてよく事情を話をし、新らしい制度運用の精神を徹底させること等について相當旅費その他についても必要なわけであります。
#30
○左藤義詮君 當初豫算は……。
#31
○政府委員(日高第四郎君) 當初豫算は八百二十萬圓であります。で育英會の仕事そのものが中央だけで采配を振つたのでは迅速に的確に参りませんので、地方に支部を置いて、而も各府縣の常事者を督促しながら纏めておるような事情でありまして、なかなか趣旨が徹底いたし兼ねるので、非常に骨を折つておることを承知いたしております。で職員の待遇につきましては、政府の職員の待遇と同列のものをいたしておるのでありましで、それ以外には特殊の待遇はいたしておりません。
#32
○左藤義詮君 中央官聽が地方に出張所を作ることに對しては國會において非常な問題がありまして整理を要求しているのでありますが、これが徹底しないと仰せられますが、實際貧窮で學問がしたいという者は補助を求むることは非常に望んでおるのでありまして、それが徹底しないというのは甚だやり方が官僚式であるからであると思います。地方に出張所を置くと仰せられますが、こういう問題こそ府縣にお任せになつた方がいいと思います。それをなにもかも中央で握つて行くことは間違いだと思います。當初豫算が八百萬圃、今度追加が七百萬圓、一方只今お尋ねしました教員の基本を徹底させる講習會が、六百萬圓に對して僅か十九萬圓しか追加豫算が出ないということは、私は甚だ均衡を失していると思います。そのほかにも問題が多々あると思いますが、この問題に關してはこのままでは私は通すことができないと思うのでありまして、もつと失禮なことを申しますれば、文部省をお罷めになつた方々が、こういう所に澤山入つてわざと仕事を複雑にしたのではないか、地方に出張せず各府縣に育英の費用をお任せになればいいと思います。私は折角貧しい人を助けようというのに、それに便乗しておるこの費用が餘りにも當初豫算と両方合せまして千五百萬という……、それだけのものを貧しい人に假に實際の育英に使いましたならば、餘程仕事ができると思います。これに對する文部大臣の御意思を伺いたいと思います。尚事務當局から詳細にどういうふうに出張旅費を出し、どういうふうに地方に事務所を作つておられるか、私は詳細なる豫算の内容を後刻御提示頂きたいと思います。これに對して文部大臣に一つお考えを伺いたいと思います。
#33
○國務大臣(森戸辰男君) 只今御質問の點は至極御尤もであります。できるだけ若しやる必要がありますならば、これは最大限に節約をして、本來の目的にできるだけ多く使えるようにするのが、本筋であると思います。詳細についてはいずれ事務當局から……。
#34
○小野光洋君 先程の視學の問題に關聯したことでありますが、八十九條の解釋に疑義が生じたために、積極的に私立學校に對して助成する方法というものが現在塞がれておるのでありますが、それで私立學校は現在持つておるところの権利はこれを保留するという、これを生かして行くように願いたいと思いますが、と申しますのは私立學校の持つておつた第二封鎖の預金が、現在中等學校及び高等専門學校を合せますと、二千八百萬圓、約三千萬圓に近い金があるのであります。六大學の持つておつたこれらの第二封鎖は全額解除されておるようでありましたが、併し専門學校及び中等學校の方面は今申します通り、封鎖解除の手続が現在行われておらん、それで大藏省におきまして、これについての審査委員會が從來あつたのでありますが、これだけが残されたままもうこれで完了してしまつたということで、委員會が一應解散になつたということを伺つております。文部省が積極的に私立學校に補助助出するということができない現在におきまして、もつている第二封鎖を生かすというような消極的な方法でも、もつと熱心に支持して頂くことができないものか。實はこの問題に關して大藏大臣にも度々交渉いたしたのでありますが、大藏大臣はそれは文部當局から強力な要請があれば、自分の方は動くので、こちらの方から積極的に行くわけにいかん。併し何とか至急にその問題の解決に協力をいたしたいというようなことは言つておるのであります。今朝も實は言いましたときに、年内に何とか解決するようにしたいと思うが、伴しやはりそれは文部省の方から強力にこうして貰いたいという具體案を示されないと困るということを言つておりましたが、果してその間の政治的の懸引きはどうなつておるか分りませんが、その言葉の通り受取るわけにいかんか知れませんが、是非その點についても一つ強力な方法をとつて頂くようにお願いをいたしたいと思います。
#35
○國務大臣(森戸辰男君) 至極御尤もであります。只今交渉中でございます。
#36
○主査(木村禧八郎君) それでは文部大臣に對する御質疑はこの程度で一先ず打切りまして、これから補正豫算に關する外務省所管の分について、外務省政務次官の松本瀧藏君から御説明を伺いたいと思います。
#37
○政府委員(松本瀧藏君) 外務省所管昭和二十二年度追加豫算の説明を簡單に申上げます。
 昭和二十二年度一般會計豫算補嘉第七號及び第八號をもつて外務省の既定豫算に對し追加又は修正減少いたしまする金額は、補正第七號におきまして次に申し述べる理由によりまして、丁度八千二百四十三萬一千圓を追加いたしました。他方補正第八號におきまして、閣議決定に基き、當初豫算に對し、その一割に該當する千八百十八萬四千圓を修正減少せんとするものでありまして、これをすでに成立いたしましたところの豫算額一億九千百九十二萬八千圓に加減いたしますると、二億五千六百十七萬五千圓となるのであります。追加要求額の八千二百四十三萬一千圓の内容を大要御説明申上げます。この追加要求額は六項目に分かれておるのでありまするが、第一は、渉外事務等に要しますところの六百二萬圓であります。最近著しく増加して來ましたところの渉外事務等の處理に必要なるこれは金額でありまして、主として旅費、通信費等の料金の値上りによて齎らされたところの費用であります。
 第二は、ドイツ、イタリーの外交官、領事等の送還に要するところの經費でありまして、八十三萬四千圓になつております。この度元外交官並びに領事等の送還ということが決定いたしまして、すでに一部分は完了しておるのでありまするが、百三十九人おりまして、一人につき六千圓を計上いたしまして、主として荷物運搬等の費用であります。
 第三は、財政法及び會計法の制定施行に伴い、會計事務虚理に必要なるとろの経費十五萬六千圓でありまして、曩に財政法及び會計法が制定公布されましたために、會計事務が著しく複雑多量となつて参りましたために、會計事務機能を充實整備するに必要なこれは金額であります。
 第四は、行政監察委員會の設置に伴う経費十萬圓であります。行政監察委員會法に基きまして、今般外務省にも監察委員會及び事務局を設置することになつておりますので、各省一律に計上いたしましたところの經費であります。
 第五は、終戰連絡中央事務局設管部の機構整備に必要なるところの經費二十六萬八千圓であります。御承知のごとく聯合軍のための諾施設の維持、管理業務及び監査機構を整備、強化しなければならないことになつたのでありまして、殊にこの査定に必要といたしまするところの技術家の増員等がこの經費の増加の中に伴つております。
 第六は、政府職員の給與改善費七千五百五萬三千圓でありまして、外務省職員並びに外地官職職員等の給與を改善いたしますために、必要な経費であります。
 以上合計追加要求額八千二百四十三萬一千圓になるのでありまするが、何率御審議の上、速やかに御承認下されんことをお願い申上げます。尚極めて簡單でありましたが、詳細に亙りまして必要でございますれば、御質問にお答えすることにいたします。
#38
○主査(木村禧八郎君) 本日はこれて散會いたします。
  午後零時十五分散會

 出席者は左の通り。
   主査      木村禧八郎君
   委員
           カニエ邦彦君
           小野 光洋君
           左藤 義詮君
           服部 教一君
           姫井 伊介君
           藤田 芳雄君
  國務大臣
   文 部 大 臣 森戸 辰男君
  政府委員
   外務政務次官  松本 瀧藏君
   文部事務官
   (學校教育局
   長)      日高第四郎君
ソース: 国立国会図書館
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