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#1
第061回国会 本会議 第40号
昭和四十四年七月三十一日(木曜日)
   午前零時十四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四十四号
  昭和四十四年七月三十一日
   午前零時十分開議
 第一健康保険法及び船員保険法の臨時特例に
  関する法律等の一部を改正する法律案(内閣
  提出、衆議院送付)(前会の続)
 第二 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避のための日本国とインドとの間の協定を修
  正補足する議定書の締結について承認を求め
  るの件
 第三 議院に出頭する証人等の旅費及び日当に
  関する法律の一部を改正する法律案(衆議院
  提出)
 第四 農林省設置法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第五 失業保険法及び労働者災害補償保険法の
  一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
  付)
 第六 労働保険の保険料の徴収等に関する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
 第七 失業保険法及び労働者災害補償保険法の
  一部を改正する法律及び労働保険の保険料の
  徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の
  整備等に関する法律案(内閣提出、衆議院送
  付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
    ―――――――――――――
#3
○副議長(安井謙君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○副議長(安井謙君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付×前会の続)を議題といたします。
 質疑を続けます。渋谷邦彦君。
   〔渋谷邦彦君登壇、拍手〕
#5
○渋谷邦彦君 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係者に対し質問をいたしたいと思います。
 初めにお断わりしておきたいことは、本件に関する社会労働委員会においての審議は、最重要法案であるにもかかわらず、院議をもって三日間という短期間に限定されたため、意を尽くした質疑が行なわれなかったことは、またまた議会史上汚点を残すものとして残念の至りであります。答弁者側はこの点を考慮されまして、委員会審議と同様、質疑に対しては、具体性に富んだ明快な答弁を要求するものでございます。
 まず初めに、総理が二年前国民に公約した健康保険法などの抜本対策は、なすすべがないまま、ついに成案を見るに至らず、それどころか、保険料率の値上げを本法に織り込んで恒久化し、保険財政の赤字処理を国民に再び転嫁したばかりか、受診抑制などによる制限給付を意図したことは、制度本来のあり方をなしくずしにしようとしていることにほかなりません。したがって、医療危機がますます深刻の度を加えることは必至であります。だれの目から見ても理解のできるところでありまして、この無責任、無策をどう考えておられるのか。
 あなた方は、口を開けば、今日の医療機構の複雑さを理由に改革の困難を訴え、責任をすり変えようとする、また、このことを口実に、政府・与党の立場を正当化しようとする陰険さはとうてい国民の納得するものではありません。改革がおくれている背景と経緯について明らかにしていただきたいのであります。昨日の総理をはじめ、厚生大臣の答弁を伺っておりましても、その辺が非常にあいまいであります。ただ、困難である。今後二年間において抜本対策をやりたい、そういう意向を明らかにしただけでありますが、一体なぜおくれておるのか、この点をはっきりしていただきたい。
 次に、国民はもとより、政府の諮問機関であります社会保険審議会までがきびしい批判をしております本法の審議過程を振り返るまでもなく、たびたびこれがいままでも問題になってまいりましたが、衆議院においては起立採決という異例の強行採決、本院においても先例のない中間報告の強行など、議会制民主主義の道を歩み始めて以来、最悪の事態を引き起こしていると言えるのであります。国民の政治不信というものをますます高めるこうしたゆがんだ議会政治の姿を、ともあれ主導的な立場にある総理、あなたはどういうふうに考えられ、今後いかなる対応策をもって権威の失墜を回復し、国民の理解を得られようとされるのか、明確に示していただきたいと思います。
 次に、医療保険制度の抜本改正は、社会保障の整備充実の上からも、その実現は急を要するものである。これまただれもが認めておるところであります。特に医療保険財政の赤字の原因を探っていくならば、決して単純ではない。非常に根深いものが介在しております。医療保険制度上の構造や条件にまでメスを加えなければおそらくは根本的解決は望めない、二年前に約束したことができなかった。いや二年前といってもこれはむしろ終戦以来の最大の課題であった、こう思うのであります。そうした点をからみ合わせて、ただいま申し上げたことについての総理の所信を伺いたいわけであります。もっとも、あれほどかたい公約を口にしながら、結局は国民の期待を裏切る結果になったのでありますから、今後のビジョンや見通しについてお尋ねしましても、冒頭に申し上げましたように、要領を得ないことになるでありましょうけれども、さしあたって実施可能なものもあるはずでありますから、時間をおかず一つ一つ積み重ねていく努力のほうが、現実的にむしろ改革への足がかりをつくることになると思いますが、どうでありましょうか。
 医療保険制度の理想的なあり方の主体をなすものは、何と申しましても医療給付のいかんによるといってもよいわけでありますが、現状は制度ごとに医療給付の割合に格差があり過ぎるという問題が起こっております。医療受給の機会均等という考え方から見ましても、この矛盾は早急に是正されなければならないわけであります。また、保険料負担の不均衡についても同様のことが指摘されるわけでありますが、これらの対応策をどのように考え、そして検討を進めているのか、お聞かせをいただきたい。
 医療機関の国営、医師の公務員化、薬剤、医療器具器材などの完全統制管理を行なっている社会主義国家においては、医療給付十割といたしましても比較的問題点は少ないとされております。これは一応さておきまして、せめて英国に例を見るような社会化への方向についてはいかなる見解を持っておられるか、お示しを願いたいのであります。さらに、政府は現状分析から抜本改正の過程において最も問題の焦点といわれております給付が、何割ぐらいを妥当とされるか、また可能性があるか、その辺の判断についてお答えをいただきたいと思います。
 次に、昨今人口の老齢化、生活環境の複雑化、疾病構造の変化あるいは医学技術の進歩に伴う医療需要の増大は、国民皆保険下において医療機関のあり方など、まだまだ効率性を欠く面が多々残されているのでございまして、むしろ当面する具体的な問題から伺ってまいりたい。
 初めに、診療報酬体系と支払い方式についてであります。
 医療費制度の内容を見るとき、現物給付と出来高払い方式の二つのやり方に集約されておりますが、しかし、この内容がどうなっているかということをチェックする方法はどこにも見当たりません。それとも、ほかに考えられるチェックのしかたがあるのでありましょうか。
 また、支払い基金においても、診療報酬請求書の審査は、事後において書類審査にとどまるだけだと言われておりますが、実態掌握はこの程度で十分なのか。不備の点についてはどのような行政措置がとられ、処理されているのか、統計の上から明らかにしていただきたいのであります。
 また、現物給付であるために、受診者は、医療費の請求内容がどうなっているかを知ることができない、これも今日までの問題点の一つになっております。また、今日まで、繰り返しこうした問題の追及がなされてまいっておりますけれども、依然として解決ができておりません。したがいまして、これらの問題についての改善策があるのかどうなのか。
 また、医療費は、医療の質よりも、医療行為の量によって支払われるため、ややもすると、乱診乱療の傾向を誘発して、医療費のむだが生ずるという不自然な結果を招くことは、当然予測されるところであります。この点の具体的な防止対策はどうなっているのか。
 また、健康保険組合連合会の調査によれば、出来高払い方式の問題点として、一つ一つ違いのあるはずの診療に対して、病名が同じの場合は同じ額の報酬しか払えない。たとえば盲腸の手術という場合、手術の難易度には関係なく、全部同一点数である。そこでは技術のじょうずへたも考慮されない。したがって、じょうずに手ぎわよく治療効果をあげるよりも、誤診や、へたな治療で病気を長引かせたほうが、結果としては点数が多くなる。技術料が尊重されず、薬剤や注射という物の費用、診察、検査といった頭脳労働への報酬が、一緒に合算された形になっている。さらに、そこで物を多く使えば、頭脳労働や技術より収入が多くなる医療の売薬化を招きやすい。患者の指導や相談に時間を費やしても収入にならないなどをあげておりますが、実際あり得ることであり、これでは、良識ある医者はもとより、患者にとって、たいへんな迷惑であるばかりか、一歩間違えば、患者の生命にまでかかわるゆゆしい人道的問題に発展するおそれが出てまいります。こうした事実を、総理はどうとらえておられるのか、隔意のない意見と方針を披瀝していただきたいのであります。
 次に、患者数の増加、診療報酬の値上げ、新しい治療法の開発は、医療費を年々増大させているわけであります。伝えられるところによれば、保険制度の盲点を利用して、不当に増収をはかろうとする一部の医師がいるということであります。財政危機が叫ばれているおりから軽視できない問題であります。医師自体の倫理感、医業運営上の致命的欠陥もさることながら、ここにも医療行政の重大な誤りがあることを見のがすわけにはまいりません。この点、国民はどのように理解し、安心できる医療を受けられるのか、御答弁をいただきたい。
 さらに言及したいことは、経済成長に伴う物価の上昇、医学の進歩による医療設備の整備、その他医師の生計費や人件費などの実態がどうなっているかを調べることが医療費の合理化をはかる面からの効果的基礎資料になると思われます。しかし、長い間医療担当者側の猛烈な反対で実施できなかったという経緯がありまして、昭和四十二年十月、十五年ぶりにようやく実施の運びとなり、一年がかりで実態調査の結果をまとめることになったといわれております。この予定でまいりますと、昨年の秋には当然出ているわけでありますが、厚生省の係の方に聞いてみますと、この結果はまだ出てない。その実情と、医療保険への影響がどのように今後あらわれてくるか。また、こうした実態調査というものが医療費の軽減をはかる上からも非常に重要であるといわれておりながらできなかった。どうしてできなかったかということについて多大の疑惑を抱く問題であります。この点も明らかにしていただきたい。
 次に、国民皆保険といわれながら、いまだに数多くの無医地区がございます。また、地域により医療機関の整備状況にもかなりの差があることは否定ができません。つまり、医療機関が都市に偏在していること、その上、病院と診療所の機能分化が進まないことに基因すると思われておりますが、申すまでもなく、医療そのものは公的性格の非常に強いものでありますだけに、対応策は非常に急がれている。この点についてはどうなっているのか。よく巷間いわれている中に、病気になったらどの医者に行けばよいのかという不安の声があります。われわれもよく耳にしております。とりわけ専門医制度のない現状においては、なおのことであります。無条件でかけつけられる医師がきまっていないなどの不満が解消されていないのは、先進国家としてまことに恥ずべき姿であります。この基本的課題であります専門医制度をつくる方途にいたしましても、当然抜本改正の中に織り込まれるべき問題だと思いますけれども、やはり国民はこうしたものがないために不安が解消されない。たとえ考え方でもいいから明らかにするということは、その不安を解消することに役立つであろう、そういう観点で伺っているわけでありますから、丁寧に答えていただきたい。
 次に、病院の独立採算制についてでありますが、収支のバランスを保つために、国公立の病院にも差額ベッドができている。これもまたおかしな話でありますが、ここでも社会保障のひずみが顔をのぞかせ、それが医療にまで及ぶということになりますと、もはや公立や公的の意味がなくなってしまうのであります。まさしく営利的企業に堕することは明らかでありますけれども、この点についてはどのように考えているのか、明らかにお示しをいただきたい。
 次に、今日の医療事情における最大の欠陥は、文明国として反省の余地があるとしてきびしい批判を受けている大きな問題点の一つに、医薬分業が全く行なわれていないということであります。先ほどの質疑応答の中でも、ちらとその辺の片りんが出ておりましたけれども、昭和二十六年一月、臨時診療報酬調査会が、物の報酬と技術の報酬に分離する医療費体系をつくるべきだという答申があり、引き続き、臨時医薬制度調査会から、「医師の処方せん発行を義務づける」、「薬剤師の調剤は医師の処方せんによる」、「医師が調剤できるのは、診療上必要があると認められた場合、薬局の普及が十分でない地域に限る」という答申がありました。これらの答申をもとに、政府は若干の手直しを加え、すなわち、「患者やその看護婦が特に希望する場合」という条項を足したわけであります。そして国会の審議を経まして、医薬分業関係法として公布になったわけでありますが、その後紆余曲折をしながら、昭和三十一年四月、やっと実施の運びになったとはいいますものの、実際には、「患者が希望した場合は医師が調剤できる」という項目のみが生きまして、完全な骨抜きになってしまいましたことは衆目の一致した見方であり、当時の立案者であった政府もよく心得ているはずであります。医薬分業が医療費の不当な増加や健保の赤字対策に最も効果的な方法といわれているのは、もう常識であります。政府・自民党はなぜ勇断をもって効果的な医薬分業を示せないのか、なぜ逃げ道をつくったのか、この際、疑惑の多いこの問題について適切に国民の前に明らかにしていただきたいと思います。
 現在、薬局や医薬品販売業は、ほとんど何の制限もなく自由に営業ができるようになっております。ただ、一応もっともらしく、過当競争を抑制するため、全国の地方自治体におきましては、条例によって営業許可を制限しているようでありますが、これはあくまでも名目でありまして、その実態はほとんど野放しといっても言い過ぎではないありさまでございます。したがって、企業防衛という上からも、薬剤の乱売あるいは不当な景品つきの販売と、目に余る傾向があらわれております。これは薬品を製造している会社、工場においても決して例外ではございません。総理や厚生大臣もこの点については重々に御存じの問題だと思います。こうした現象、いわゆる諸外国にも例を見ないこの問題の根本的解決は、明治維新以来の懸案であった、それだけに、すみやかに解決をしなければならない何十年という長い歴史があるわけであります。医師、薬剤師がそれぞれの立場を尊重し、医師の報酬は診断や技術を中心にされるべきであり、医療技術の向上発展の上からも医薬分業が行なわれることは必須条件であります。今日まで放任されている理由がわからない。したがいまして、今後のき然たる方針を示していただきたい。
 さらに言及したいことは、厚生大臣が定めております現在七千六百品目にのぼる薬品が保険で使われているわけでありますが、その薬価基準より医師や薬剤師が購入する実勢価格というのがかなり下回っていると言われております。何回か薬価基準を引き下げたことがございますけれども、いまだにその幅が縮まっておりません。この点だけでも、だれかが不当利潤を得ていることは容易に想像できるわけであります。どうして薬価基準の適正化が行なわれないのか、ここにもまた疑問の点が出てくるわけであります。二兆円を上回ると言われております国民総医療費の約四〇%は投薬や注射代で占められているところに、今回の修正案は薬代の歯どめをはずしてしまったわけでありますから、医療費増大に一そう拍車をかける始末になったと言ってよいと思うのであります。なぜこういう結果になったか。仄聞するところによりますと、政府は医師会の圧力に屈したのではないか、こう言われておりますが、もしそうだとすれば、国民不在の医療政治となることは明白であります。総理の所信をお伺いいたします。
 日本病院協会の資料によりますと、各国の医療保障における薬剤費の一部負担は、スウェーデンでは重要薬品は無料、その他一処方当たり約二百円をこした場合半額負担、フランスでは重要薬剤九〇%償還、基準製剤八〇%償還、特許製剤七〇%償還となっております。西ドイツは薬剤処方について一部負担、デンマークにおいては不可欠または保険者が規定する重要薬剤は全額償還などとなっているのであります。さらに病院協会では、医師、薬剤師が商人のように薬のマージンに目を向ける弊風を一掃するため、スウェーデン、フランス、イギリスなどで試みられているように、重要高価品目に限ってこれを政府または健保組合が医療機関、薬局に対し現物配給する。こうすれば国内では、これらの薬品は空気と同様、無償で必要な患者に与えられるようになり、医師、薬剤師が薬のきき目、副作用などの、彼らの当然の任務以外気を使う必要がなくなり、不心得の患者が給付された薬品を他に転売するなどの不祥事はなくなるという改革案が提起されているのであります。政府はこのような前進的な意見に耳を傾け、国民のひとしく要望している課題の解決に一刻も早く取り組むべきであり、また実施の方向に踏み切るべきではないか。再度この点についてお尋ねをするわけであります。
 また、赤字財政にならざるを得なかった主たる要因は、医療給付が増大したことよりも、医薬分業を行なえなかったところにあったことが明瞭であり、それを国民にしわ寄せして保険料の負担をはかり、赤字解消を仕組もうとしている政府の対策では、しょせんは焼け石に水である。この点については、大蔵大臣、あなたは財政担当者としてどう考えるか、お答えをいただきたい。
 次に、厚生省は、七月十五日、日本製薬団体連合会、日本医薬品卸売連合会など関係四団体に対し、薬品の景品つき販売は、薬品価格のあり方や販売方法について医薬品そのものに不信感を抱かせるから、業界自粛体制を確立するよう要望したと言われております。新聞テレビなどの誇大広告と相まって、何らかの規制が必要とされているわけでありますが、何回かすでに政府としては要望を出しておりますけれども、守られておりません。したがいまして、政府の意図が、そのような要望事項で、はたして反映できるのか、この際、薬事法などの関連法の改革整備を行なう決意はないかどうか。
 また、全国で二千人の薬事監視員が毎年摘発する製造や販売についての違反事件は三万件に達するといわれております。きかない薬、副作用を起こす薬、その上、中身の薄いドリンク剤のはんらん、医学にしろうとの国民にとってみれば、巧妙な宣伝文句に乗せられて、つい薬を買ってしまう。あたかも金をどぶに捨てるようなものであります。徹底した検査、これらの粗悪品に対するきびしい取り締まりの方法はないのか、現行の監視体制で実効をあげることができるのかどうなのか、国民の不安感を除く上からも明確なる答弁をいただきたい。
 次に、病院や診療所では、医師や看護婦の不足が目立っていることは、最近はむしろもう膠着状態に置かれておる。特に医師の場合、現在全国で十万有余の人数でございますけれども、厚生省は昭和四十五年までには十二万人にしたい、こういう計画を持っておるようでありますけれども、実際は非常に困難だ。それでなくても医師や看護婦が不足しておりますと、診療時間が非常に乱れる、診療が非能率的である、サービスが悪い、いまに始まったことではございませんが、こうした当面問題としてどのような対策で臨もうとされているのか伺いたいわけであります。
 次に、頻発する交通事故に伴う救急病院が非常に少ない、専門医師が足りないということは、いまや大きな社会問題になっているわけであります。専門医の養成あるいは医療機関の整備はどのように進められているのでありましょうか。対策がおくれればおくれるほど、死亡しなくてもよい人までを死亡させるということになります。これからも加速度的に激増することは明白であります。ひとしく国民待望の問題でございますだけに、わかりやすく安心のいく考え方を述べていただきたいと思います。
 次に、過去におきましてしばしばひんしゅくを買ってきた問題といたしまして、いわゆる何かというと、一斉休診あるいは保険医の総辞退という人道を無視した異常な行動は、患者や家族をしてこれまでもずいぶん迷惑をしてきている無視できない問題があります。これもまた現行の医療制度の欠陥を如実に証明したものと言わなければなりませんが、政府は今後こうしたような問題が絶対に起きないと保証できるのか、もしこのような事態が発生した場合にどう対処されるのか、明確な態度を示していただきたいと思います。
 次に、最近急速に国民注視の的となっております疾病に、公害病の多発があることであります。産業構造の著しい変化とともに、疾病の内容まで変貌を遂げてまいりました。しかし、これはあくまでも人為的に発生するものであり、工場管理などが厳正に行なわれていれば、未然に防止できる問題でもあります。すでに富山県や群馬県、新潟県などに発生しておりますイタイイタイ病あるいは水俣病は、工場の廃液によるものであることが通産省、厚生省の調査で明らかにされてまいりました。したがって、公害病に対しては、企業に責任があるのは言うまでもございません。政府が今国会に提出しております健康被害の救済法案では、企業が被害者に若干の費用を分担することになっております。しかし、原因者が明らかになったときには全額を負担することが当然ではないか、このように思いますし、また、こうした措置が保険財政の赤字を補てんすることに役立ちはしないかという点について、通産大臣の所見を伺いたいのであります。
 次に、政府は、みずからの失政によって生じた赤字解消の方法として、ややもすると受益者負担の原則を持ち出し、失政を糊塗するきらいが著しいのであります。本来、国が負担すべき健保財政の赤字を保険料の引き上げによって国民に負担させるやり方は、目的税と同じく、実質的な増税になるのではないでしょうか。また、健保財政の健全化を期する上から、国庫の補助率をふやし固定化する考え方はないか。あわせて大蔵大臣の明敏なる見解を求めるものであります。
 以上述べてきましたように、政府一自民党の失政はもはやおおうべくもないのでありますが、社会保険審議会が指摘しておりますとおり、つまり昭和四十二年四月二十一日の答申に際し、審議会が述べた行政努力、薬価基準の適正化、診療報酬体系の適正化、医療制度の近代化等の総合対策について、政府は引き続き審議会の意見を尊重して努力すべきであり、また、公費医療制度の拡大、医療供給体制の整備等については抜本改革の実施をいたずらに待つことなく、予算措置を実施し、前向きの姿勢でその充実をはかるべきであるとの答申を、今日どのように生かしていかれるつもりなのか、猶予を許されない問題も含んでおりますだけに、総理のほんとうの心を伺いたいのであります。
 最後に、公明党提出の修正案につきまして、提案者であります鈴木一弘君に若干の質問をいたします。
 われわれの最も大切なのは、申すまでもなく生命であり、健康であります。医療保障制度もまた、国民の生命を守り、健康を守るためのものでなくてはなりません。しかるに、政府・自民党の強行によるたび重なる改悪は、このような根本理念を無視している点に、われわれは最も強い不満を感ずるものであります。
 質問の第一は、政管健保に対しても国庫負担を定率化すべきだと考えます。現在の国庫負担は、国保が四五%、日雇い健保が三五%でありますが、中小企業を対象とした政管健保もまた大幅の赤字をかかえ、弱体なところから、せめて二五%ぐらいの国庫負担を定率化すべきではないでしょうか。公明党提出の修正案では、国庫負担ではなく、国庫補助となっておりますが、負担のほうが義務づけられて提案者の意思も明確になると思いますが、いかがでございましょうか。
 質問の第二は、分べん給付についてであります。公明党の修正案によりますと、本人四万円、配偶者二万円となっておりますが、もっと実情に即して増額すべきでないでしょうか。出産に必要な費用は、公立病院でも二万円はかかりますし、また、さて出産という場合に入院のできない方が多く、私立病院でははるかに高額の費用がかかるのであります。
 質問の第三は、個人の負担する保険料の軽減であります。わが国の医療制度は多くの欠陥をかかえ、そのために生ずる組合財政の赤字を保険料の引き上げによって穴埋めすることはわれわれは絶対に反対であります。このためには医療制度の抜本改正を急ぐとともに、保険料の負担も会社と従業員の五分五分を六分四分くらいにして、個人負担をできる限り軽減すべきであると考えますが、いかがでございましょう。
 以上お尋ねして、私の質問を終わるわけでございますが、冒頭に申し上げましたように、政府に対しましては、どうか委員会における答弁と同じように――できなかったのでありますから、委員会の審議が。せめて、この本議会において明確に答弁をお願いをいたしまして、私の質問を終わることにいたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(佐藤榮作君) 渋谷君にお答えいたします。
 まず第一に、今回の改正が抜本改正を免かれようとすることを目的としているかのようにおとりになっているようでありましたが、昨日、藤原、中村両君にお答えいたしましたとおり、決してそのような意図を持ったものではございません。このことは政府の意図と違いますから、どうか御理解をいただきたいと存じます。ただ、問題はたびたび申し上げておりますように、また、御指摘がありましたように、非常に困難な問題をはらんでおり、また、関係する利害の調整には、容易ならざるものがあります。それぞれがあくまでも譲らないという態度では、いつまでたっても抜本改正ができるはずはありません。このことは関係各位にもよく御認識いただきたいところであります。
 保険料の値上げは、延長法案に対して国民負担の軽減をはかり、財政措置は当面の必要最小限にとどめるという見地から、若干の軽減を織り込み、修正を考えたものであります。当面する健康保険財政の危機を救い、健保制度の健全な発展をはかるための必要最小限の措置として御理解をいただきたいと思います。
 なお、抜本改正をせずに、政府・自民党は、二年間何にもしないで過ごしたというおしかり、また御批判を受けたのでありまするが、決してそのようなことはありません。問題のむずかしさを真に御理解いただいておれば、このような御発言はなく、むしろ政府につきましても御同情のあることばが聞けるのではないかと、実は期待しておったのであります。まことに残念に思います。政府といたしましては、今後一そう真剣にこの問題に取り組んでまいる決意でありますので、私は公明党の皆さんだけに申すわけではありませんが、どうか建設的な取りまとめ方にお力添えをいただければたいへん幸甚に存ずる次第であります。
 最後に、この修正案の国会審議をめぐって、政治不信を高めているとの御指摘がありましたが、私もこの過程が必ずしも満足すべき状況であったとは考えておりません。国民の間に、いやしくも政治不信を招くようなことのないために、私は政治に携わる者の一人一人がさらに自覚を高め、国会は審議の場であるとの認識に立って、最善の努力を尽くすことが何よりも肝要であると思います。いたずらに党利党略のために審議の引き延ばしをはかり、そのためには手段を選ばない、まあこういうことがもしありとすれば、国民に対してたいへん申しわけのないことと考えます。互いに自粛自戒し、今後の国会の正常の運営のために、一そう努力してまいりたいと考える次第であります。どうかよろしくお願いをいたします。
 なお、また、この際に根本解決などを聞いたり、あるいはまたビジョンなど、今後の見通し等を聞くことは、これはたいへん困難な問題だと、たいへん御理解のあるおことばをいただきました。そうして非常に複雑な問題であるから、一つ一つ解決していく、この方法がいいのじゃないかという渋谷君の御意見であります。私もそのとおり考えております。あらゆる機会に前進的にその方向で取り組んでいくべき問題だと思います。
 また、英国の例をとられて、むしろこの保険制度そのものよりも、社会保障的な意味を持たすべきではないか、こういうような御発言があったかと思います。これも昨日お答えいたしましたように、それぞれの国にそれぞれの方式がありますので、私ども英国式の方向にはただいま考えていない、やはり保険を中心にして問題を解決しよう、こういうように取り組んでいる次第であります。
 また、最近の人口構成その他から見まして、いろいろむずかしい問題があります。診療報酬体系、それがどういうようにやるべきかなど、いろいろ行政上の措置につきましてもお尋ねがありました。あるいは乱診乱療を避ける方法はどうか等々のお話がありましたが、これなどは、厚生大臣から、いずれ後ほど詳しく説明さすことにいたします。私もある程度は知っておりますが、十分御満足を与えるような説明はできないように思いますので、厚生大臣に答えさせていただきます。
 また、ただいま御指摘にありましたように、患者数は増加する、医者は足らない、ことに看護婦も不十分だ、あるいは無医地区がある、また適当な診療機関がない、診療機関相互間も整備しておらないと言いますか、不公平がある、そういうことでなかなか国民からは、診療の均等化の機会に恵まれない、そういうところも非常に不満がある、いわゆる診療制度そのもののあり方、根本の問題について、現状はずいぶん不満が多いという御指摘であります。これなども私どもは絶えず気をつけまして、さようなことのないように、国民がひとしく同じような診療が受けられるように整備すべきだ、かように考えておりますが、これらの点についての御指摘がありました。これなども、いずれ後ほど詳しく説明するかと思います。こういう点が、ただいまの基本的な問題であり、これらの問題と取り組んでいくことがいわゆる医療制度の整備というところにあるのではないかと思います。私も不十分ながらも、そういう意味で、医者が不十分だとか、あるいは看護婦の不足、こういうような問題、また医療機関等、病院あるいは単なる開業医等との不均衡等につきましても、これから指導していきたいと、かように考えます。
 また、病院の独立採算を特に強く言う、その結果は公立や国立等のその特異性がなくなるのではないか、こういうことにはやはり限度があるのではないかという御指摘であります。これなども、これから指導する一つの方向ではないか、かように、御意見を私は参考にすべきだと、ただいまうかがっていたような次第であります。
 また、医薬分業の問題、さらに薬価基準の適正化の問題、また、実情の調査など、いろいろこまかな点についての御意見も述べられてお尋ねがありました。これなども私は厚生大臣から詳しく答えさせたい、かように考えております。
 また、この制度を前向きに解決するためには、何といっても外国の例なども十分検討しろと、こういうようなお話で、ドイツやその他の国々のあり方等も御指摘になりました。これなどは、私どもが大いにきめこまかくこういうことに取り組むべきではないだろうか、かように思います。
 また、国民の面から見まして、ただいまは売薬がはんらんしており、その点からも薬事法を改正して、国民が信頼のできるような薬の取り扱い方について、ただ監視人を置くだけではなく、積極的にこれらの改善をはかれ等々の御意見が出ております。これは私はたいへんこまかい御注意だと、かように伺った次第であります。
 また、ことに交通事故が最近は頻発している。この交通事故に対して救急病院や専門医が不足している。そのために落とさなくてもいい命すら捨てる。かような状態になっているが、これらの新しい事態、こういう意味からこれに対する対策を整備しろ。これなども適切なる御注意であったと、かように思います。
 その他、お述べになりました数々の具体的な問題につきまして、私も検討をいたしますが、同時に厚生大臣からもお聞き取りをいただきたいと思う次第であります。(拍手)
   〔国務大臣斎藤昇君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(斎藤昇君) 総理大臣から大体の趣旨についてはお答えになられましたが、私もさらにそれを補足させていただきたいと存じます。
 抜本改正をやるのには、医療保険制度上の構造条件にまでメスを入れてやらなければならないかという御意見に対しましては、全く同感でございまして、われわれも、抜本改正は、単に保険制度のみならず、医療制度あるいは国民の健康管理体制まで整えなければ、これが完全とならないと、かように考えておるわけでございます。したがいまして、これに関連する部面が非常に広うございまするから、一挙にやり抜くということは、とうてい困難であろうと思いますが、かねがね申し上げておりますように、少なくとも二カ年内にはその緒につけるように、抜本改正のビジョンをつくりまして、そうして、それに基づいて着々とやってまいりたい、かような方針でおるわけでございます。この大綱は、近く関係審議会に諮問をいたしたい、かように考えております。この内容につきましては、いま関係者といろいろと折衝中でございまするから、御了承をいただきたいと存じます。
 現在の医療保険制度におきましては、あるいは給付の面に、また、保険料の面において、その格差、不均衡がある。これについてどう考えるかというお尋ねでございますが、まず、抜本改正の一つの大きなねらいは、これらの格差をなくするということが一つの要点になっておるのでございます。今日、保険制度は、その発生の過程からいろいろな制度に分かれておりますために、あるいは保険料の負担におきましても、給付の面におきましても、相当な格差を生じております。国民皆保険といわれます以上は、給付はひとしく均等な給付でなければならぬと存じまするし、また、負担も公正でなければならないと考えますので、この是正が、抜本改正の一番の要点の一つと考えているわけでございます。
 しこうして、これらの給付をどの程度に考えるかというお尋ねでございますが、これは、保険制度でございますから、全額を保険で給付をするということが望ましいわけでありますが、一挙にさようにいたすわけにはまいりませんので、今日、家族給付の面におきまして、七割給付あるいは五割一給付と、違っている点がございます。まず、これらから統一をしてまいりまして、今日、健康保険の家族給付の五割を、できるだけ早い機会に七割に統一をしてまいりたい、まずそれを第一段階の着手といたしたいと考えております。
 また、今日、健康保険組合の適用を受けますのは、御承知のように、五人以上のいわゆる雇用せられている企業に適用しておるわけでありますが、五人未満の企業にも適用をいたすように、ただいま検討中でございます。
 また、いわゆる日雇い保険、いわれております擬制適用、これらにつきましても改善をはかりまして、そうして給付と保険料の均衡を期するようにいたしたい。抜本改正の一つのねらいといたしておるところでございます。
 医師の公務員化あるいは医薬品の国の検定とか、あるいは国でこれを管理をするというような社会主義国の考え方は、日本には適当しないのではなかろうか。総理もお答えになられましたように、やはり自由主義国として、日本にふさわしい医療制度のあり方で進んでまいりたいと、かように考えております。イギリスのあのホームドクター制度というような点を推奨せられるのであろうと存じますが、しかしながら、英国におきましても、今日のあの制度は、はたしてよろしいかどうか、いま再検討に迫られているようなわけでございます。したがいまして、そういった点をも勘案をいたしまして、日本といたしましては、やはり公的医療機関、国営あるいは公共団体の医療機関を中心に、これに配するに自由の開業医制度というものを適当に配置していくのが一番いいのではなかろうかと、かように考えます。
 なお、過疎地帯におけるいわゆる診療機関の不足という点につきましては、われわれも渋谷議員と憂いをともにするものでございます。できるだけ公的医療機関の派出的な考え方をさらに深めてまいりますとか、あるいは国庫の補助によりまして診療所を開設させるとか、あるいはまた、診療車等を適当に配置をいたしまして、患者の輸送また医者の往診に不便のないように、ただいまあらゆる方途を考えて過疎地帯における医療機関の不足に対処をいたしたいと考えておりますことは御承知のとおりでございます。
 今日の診療報酬体系の是正の問題についても詳しく御意見がございました。これらにつきましては、ほとんど御意見をそのままわれわれも同感をいたす次第でございます。
 診療報酬体系と支払い方式につきましても、いま中央医療協議会においていろいろ審議をしていただいているわけでございますが、何といたしましても、まず医薬分業というものを確立しなければならないと存じます。先ほど医薬分業に関する現行法の不十分さの御指摘がございました。私もさように考えております。昨今は日本医師会におきましても、医薬分業を必要とするという方向になってまいっておりまするので、これが実施は五カ年以内の計画的な策定によって実施をいたしたいと、かように考えております。すでに関係方面、関係団体の協力を得ましてその実施方策を、その年次計画をただいま立てつつあるわけでございます。また、地域的にはすでに実施に踏み切りつつあるところもあるわけでありまして、こういうものの指導をいたしますると同時に、その方針のもとにこれを進めてまいりたい、かように考えます。また、乱診乱療等を防ぐために、レセプトの審査、また現実に実態の監査、指導ということを今後一そう強化をしてまいらなければならないと思っておるのでありまして、単に支払い基金においてレセプトを厳重に審査をするというだけでなしに、この点も今日必ずしも十分とは思っておりません。この支払い基金におけるレセプトの審査方式につきましても、今後さらに新機軸を出して考えていかなければならないと考えておるわけであります。同時に、病院、診療所等の実際の監査、指導というものも今日行なっておるのでございますが、しかしながら、これをさらに適正に実施をいたしてまいりたいと思っております。この監査結果のために、年々相当の保険医に対しまして、あるいは指定取り消しその他の行政処分を行なっておるのでありまして、昭和四十三年について見まするならば、個別に指導を行なった医療機関、薬局は六千九百二十一カ所、保険医、保険薬剤師は八千八百六人でありまして、監査を実施いたしました医療機関等は九十六、保険医等が百十六人、監査結果に基づいて指定取り消しの行政処分を行なったものは、医療機関が七十、保険医等が六十二人に達しているわけでございますが、こういった監査もさらに今後充実をさしてまいりたいと、かように考えます。
 今日の診療報酬制度は現物給付になっておりまするので、したがって、受診者にはその内容がよくわからない、そこにいろいろ乱診乱療というような弊も生まれてくるのじゃないかという御意見でございます。この点は、今日の健康保険制度につきものの一つの何といいますか、弱点であると考えますが、これを是正をいたしますために、お話のように、あるいは薬剤その他について一部償還制度を取り入れるということも今日考慮中でありまするし、また、受け取りを出させるということも一つの方途であろう、それらにつきまして、ただいま乱診乱療を防止するための方策を検討中でございます。
 今日の出来高払い制度の問題点としていろいろおあげになられました。それはそのとおりだと思うのでございますが、しかし、保険制度というものをほんとうにあるべき姿において運用をさせてまいりますのには、医師、薬剤師等の倫理観を強化をいたしますると同時に、一般患者、国民に対しましてよくそういった事柄について納得をしてもらう、よく宣伝といいますか、公表をいたしまして、そうしていわゆる被保険者側の自覚というものも今後ますます強化をしていかなければなるまいかと、単に法制だけでは済まない問題のようにも考えられるわけでございます。
 医療経営の実態調査の結果はいかがなっているかというお尋ねでございますが、これは一昨年の十一月に実施に着手をいたしたのでございまして、中医協において実施をいたしたわけでございます。調査がすでに終わりまして、ただいま集計のほとんど大部分を終了いたしましたので、ごく近いうちに中医協においてこの取りまとめの結果の発表があると思っております。われわれもこの結果に基づきまして、適正な診療報酬制度というもの、あるいはその他の医療制度というものを考える一つの大きな資料になることを期待をいたしておるわけであります。近いうちに公表せられると、かように考えます。
 病気になったときにどんな医者にかかったらよいか国民はあまりよくわからぬので困っておる、専門医制度の設置について考えはどうかというお尋ねもございましたが、専門医制度につきましては、厚生省といたしましても、かねてから検討を試みておる次第ございます。なかなか複雑困難な問題がありまして、まだ今日結論に至っておりません。しかしながら、各学会その他の意見をさらに十分検討をいたしまして、当面その制度化をはかるように推進をいたしてまいりたいと、かように考えております。同時に、病気の際に、どこにどんな医者があるかという点を国民の方々に知っていただくということは、これは非常に必要なことだと考えまして、いま医師会ともその点について相談をいたしておるわけでございます。
 国立病院における差額ベッドの実態いかんということでございますが、昨年調査をいたしました結果によりますると、一般病院におきましては差額ベッドのパーセントは一七・八%、一般ベッド総数に比べて差額ベッドの割合が一七・八%という結果でございます。国立病院におきましては六・一%、一般病院に比してきわめて低いのでありますが、厚生省の指導といたしましては、少なくとも国立病院においては差額ベッドを減らすように指導をいたしております。今後ともさらに差額ベッドを減少さして、一般の人たちの利用に供したい、かように考えております。
 医薬分業の点は、先ほど申し上げましたが、薬局の適正配置という問題も、今日自由主義経済のもとでございまするので、したがって、やはり今日の制度といたしましては、一定の距離間隔を置かなければいけないという一つの規制があるのみでございまして、それ以上は、やはり実情に応じて、自由主義経済のもとにおいて薬局の存立する条件のところに自然に生まれてくるということ以外には方途はなかろうかと、かように考えております。
 また、薬価基準が実際の薬剤の実勢と相当離れておるではないかというお尋ねでございますが、御承知のように薬価基準は、毎年薬価の実勢調査をいたしまして、そうして、これに即応するように毎年調査をやり、そうして毎年薬価基準をきめていくということを中医協で決定をいたしまして、一昨年も、また昨年もやったわけでありまして、本年も近く薬価の実勢調査をやり、これに適合する薬価基準の改定を行なう予定でございます。
 また、薬の乱売あるいは不当な景品売りというようなものに対しましては、絶えず指導監督をいたしておるのでございますが、しかし、目に余るものにつきましては、今日公取委員会と相談をいたしまして、少なくとも公取委員会の規定に触れるものは実際取り締まりをやってもらおうということで、先般も衆議院の社労委員会でお話もございまして、答弁もいたしましたが、今日具体的に公取委員会とその方途について検討中でございまして、したがって、いままではやっておりませんでしたが、今後やろうということで話し合いを進めている次第でございます。
 医療従事者の不足の問題につきましては、まずお説のように、給与の改善、労働条件の改善、これがまず第一の要点であろうと存じます。したがいまして、国家公務員であります医療関係の従事者に対しましては、御承知のように、これは人事院の勧告に基づくものでございますが、昨年度も他の一般公務員よりもベースアップの率を高くいたしましたし、ことしも特別医療従事者に対する問題といたしまして、必要な要望を人事院に対していたしているわけでございます。さようにいたしまして、やはり医療従事者も喜んでその職に従事するというようなことになりませんと、ただ養成だけをいたしましても、他のほうに転出していくという事情にありますので、まずこれを第一といたしまして、そうしてなお、看護婦あるいは医師等の充足計画は、本年から抜本的な対策を立てまして、来年度予算から実現をいたしたいと、いま努力をいたしておるところでございます。
 救急病院の問題につきましては、現在全国で四千百カ所の診療施設を指定をして、告示をいたしているわけでございますが、さらに、そのうちでも救急医療センターは、人口百万人に一カ所程度の医療センターの充足をいたしたいというので、計画的に予算をもって医療センターの充実につとめているわけでございます。
 医師の一斉休診を行なう傾向についての考えいかんということでございますが、医師が一斉休診をいたすということは、必ずしも喜ぶべき現象とは考えません。しかしながら、かような際におきましては、救急患者に対して事欠かないように、公的医療病院あるいは民間の診療所におきましても、救急患者に対して事欠かないということだけは、少なくとも確保するようにということで、その確保はさせているわけでございます。しかし、医師の一斉休診というようなことのないようにありたいということで、あらゆる面から指導し、また、一斉休診を行なう必要のないような行政の施策が肝要であると考え、これにつとめているわけでございます。四十二年の社会保険審議会の答申に基づきます諸案件は、その方針に基づきまして、いま抜本改正の中に織り込むべく努力をいたしている次第でございますので、御了承をいただきたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(福田赳夫君) 医療給付の財源構成をどうするか、こういう問題でございまするが、これは被保険者の相互扶助の機関でございますから、これは保険料、つまり利用者負担主義を原則とする、かように考えます。ただ、それだけではないのでありまして、国保だとか政府管掌健康保険、日雇い等におきましては、これは弱体な面がありますので、一般の政府援助もする、かように考えております。
 渋谷さんのお話を聞いておりますと、租税負担をふやしたらどうだと、こういうような御意向のようでありますが、この社会保険負担、日本はそう少ないほうではないのです。アメリカでは五・四、イギリスでは五・五、それからドイツでは一二・七、それからイタリアでは一四・六、フランスでは一八・一。国民所得に対しましてそういう状態でありますが、わが日本におきましては、わずかに三・九%である、こういう状態であります。さようなことも考えなければなりませんが、とにかく保険給付の財源のその構成を、利用者負担にするのか、一般の財源にするのか、これは非常にむずかしい問題でありますので、これは根本改正の際の重要研究課題である、かように考えております。
 それからさらに、財源問題もあるが、医療給付の面にも問題があるんではないか、そういう御指摘であります。確かにそう思います。大蔵省といたしましては、厚生省に対しまして給付の合理化について努力せられたい、こういう要請をいたしておるわけでありまするが、厚生省でも、ただいま厚生大臣からお答えがありましたように、最善の努力はいたしておるのでありまするが、なかなかむずかしい問題であるということも御了知願いたいのであります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(大平正芳君) 公害に対する企業責任についてのお尋ねでございます。社会通念から申しましても、公害対策基本法から申しましても、公害に関する責任は、第一次的に事業活動を行ないまする企業自体にあることは、御指摘のとおりでございます。したがって、企業といたしましては、その責任上、公害防止技術の開発、公害防止設備の整備充実に加うるに、ふだんに工場、事業場の管理にあたって、公害を事前に防止するようつとめなければならないことも御指摘のとおりでございます。不幸にいたしまして、現実に公害病その他公害が発生した場合には、公害罪というものが刑事犯としてまだ成立を見ていない今日におきましては、最終的には民事責任の問題といたしまして、裁判所の判決を得て企業がその全的な責任を負うべきことは当然でございます。しかし、因果関係の究明でございますとか、判決がそのために長引き、また現実に訴訟に訴える余裕のない場合もございます。かかる場合に、現実に治療その他の処理を怠るということは許せませんので、御指摘の公害二法案を本国会に御提出申し上げまして御審議を願っておりまするゆえんのものも、過渡的な企業責任を明らかにしようとしておるわけでございます。したがって、このことによりまして企業の責任が最終的に解除されるというものではないのでございます。また、御指摘のイタイイタイ病、水俣病等につきまして、会社側が事実上、今日まである程度の金員を拠出いたしておりますけれども、これも過渡的な企業の拠出でございまして、このことによって企業の責任が解除されたというものでは決してございません。御指摘のとおりでございます。(拍手)
   〔鈴木一弘君登壇、拍手〕
#10
○鈴木一弘君 渋谷邦彦君にお答え申し上げます。
 医療保険制度が国民の健康を守り、生命を守るものである、こういう御趣旨からの御質問でございましたけれども、この国民の健康と生命を守ることについては、全く同感であります。その点、渋谷君の指摘されたように、今回の強行による健康保険法の改悪ということは、はなはだよろしくない、こう申し上げる以外ないと思うのであります。
 第一の御質問は、政管健保に対しまして国庫負担を定率化せよというのであって、国保が四五%、日雇い健保が三五%というように国庫負担になっている。それと同じく、中小企業対策の政管健保も弱体であるから、国庫補助でなく、国庫負担のほうが義務づけられてよろしいのではないか、こういう御質問でありました。定率の国庫負担とするほうが、なるほど義務づけられてよいということは渋谷君と同じ考えであります。ただ、現状として、政管健保に二五%の国庫支出を加える場合には、財政が黒字になることが予想されております。しかも、給付内容は法律で定められておりますので、ここでさしあたりは国庫負担というより補助金として二五%をきめ、四分の一という、二五%ということにいたしまして調整をするほうがよろしい、こういう考えでございます。
 第二番目の御質問は、分べん給付の、本人四万円、配偶者二万円というのは、実情に合わせて少ないと思うがどうかというのでありますが、わが党は、母子保健法の改正をすでに提案しております。この母子保健法によりますと、いかなる出産の場合にも、四万円を保証することになっております。したがって、本人あるいは配偶者とも、四万円に不足する、そういう部分がある場合には、母子保健法によって支給をしていくということになっております。御指摘のように、現在の公立病院で、すでに都立等でも二万円かかっております。また、高いところでは九万円、中程度で六万円というような費用がかかっておりまして、政府提案の本人二万円あるいは配偶者一万円では、それに足らないということは非常にはっきりいたしております。将来は、私どもは、この提案をしております四万円をさらに引き上げ、実際にかかった出産費用はすべて現物給付にする、こういうふうに持っていかねばならない。その点については、渋谷君と同感でございます。
 第三の、組合財政の赤字を保険料の引き上げで穴埋めをするのでなく、保険料の負担の五分五分を六分四分にして、個人負担を減らしたらどうかと、こういう個人負担の軽減についての質疑でございますけれども、この点については、全く同感でございます。今後、その方向にこれは力を注ぐべきである、このように考えております。
 以上で答弁を終わりたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○副議長(安井謙君) 中沢伊登子君。
   〔中沢伊登子君登壇、拍手〕
#12
○中沢伊登子君 私は、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案につき、民社党を代表いたしまして、佐藤総理並びに関係大臣及び修正案提出者に対し質問をいたします。
 まず、この国会で政府が提出いたしました健保特例法案の基本的性格は、医療保険制度の抜本改正が実現するまでの応急的な赤字対策という点でありました。昭和四十二年の第五十六回の健保国会において、同法律案が成立した時点から、二年間のうちに、抜本改正の実現は政府にきびしく義務づけられていたのであります。しかるに政府は、ここ二年来しばしば国会で国民にその約束を言明しながら、この間抜本改正を怠り、公約をみずから破り、漫然と時を過ごし、ここに特例法の延長を提案してきたのでありますが、審議の途中で突如として方針を変更し、特例法を事実上廃案として、全く性格の異なる健康保険法そのものを修正して提案してきたことは、明らかに詐欺的行為であり、また責任回避の態度で、まさに驚くべき異常な感覚と言わなければなりません。その政治責任はきわめて重大であります。しかも、この修正案によって、政府の抜本改正に対する法律制度上の責任が後退し、昨日からのしばしばの言明ではありますが、現行制度の根本改革を著しくおくらせるのではないかと案ずる次第であります。政府は、この法律案が成立しないならば、わが国の医療制度は崩壊すると申されますが、万一そのような危惧があるならば、それは政府自身が国民の医療を全く軽視し、また関係審議会の勧告、警告を無視した結果であって、全く政府自身の責任に帰するものとわれわれは判断せざるを得ないのであります。(拍手)すなわち、それは政府自身が、抜本改正に対し最善の案を立て、強固な決意を持って臨むならば、すでに抜本改正が実現されていたはずであります。しかるに、政府が今日なおその抜本策を提出しないのは一体いかなる理由によるものでありますか。また、この二年間いかなる努力をされましたか。総理は、最近、必ず二年以内に抜本策を出しますと発言をされていますが、それを保証するためにも、もし機構及び制度に問題があるとするならば、この際それを明確にお答え願いたいのでございます。
 現行の医療制度は、天下周知のごとく、医療費の増大、保険財政の悪化、医療費配分の不合理、それに基づく組織医療の質的低下など多くの問題を含み、今後ますます深刻化することは事実であります。現下の国民医療の危機を早急に立て直すためには、緊急に抜本改正をする必要があるのです。複雑な利害関係に立つ医療関係諸団体の意見をまとめ、抜本改正を打ち出すことがいかに困難であるかは、過去の例からもおよその推察はつきますが、期限づきでさえ提出することができなかった事実からして、期限が廃止になったことにより、政府の努力もいいかげんなものとなり、半永久的に抜本改正が見送られる可能性があるのではないかというのが国民の心配しているところであります。これは政府に、医療や、医療保険について、一貫した方針も、政策もないところからくるものであり、抜本改正について強い熱意を示していないことに原因すると考えるのであります。時限立法のていさいこそ取り払ったとはいえ、医療保険制度抜本改正の作業推進は、政府の免れられない国民に対する厳粛な政治責任であります。このような事情を考えることなく、いかなる理由で立法の性格、主意を急変されたのでありますか、今後抜本改正を行なう意思がほんとうにあるのですか、もしあるとするならば、その時期はいつごろになるのですか、また抜本改正での基本構想が那辺にあるのか、この際国民の前に明らかにしていただきたいのでございます。
 さらに総理大臣にお尋ねをいたします。
 この健康保険特例法案をめぐって、たびたび国会が混乱におちいったことに対して、その政治責任について、どのような御見解を持っておられるのでしょうか、御見解を承りたいのでございます。
 昨朝来しばしば質問に取り上げられていますが、政府・自民党は、健保特例法案の原案を断念し、審議の途中において、突然その方針を変更し、特例法案を廃案とすること、及び健康保険法そのものを改正するというのに、これに必要な手続を省略して、修正という形をとったことは、国会における審議の過程にかんがみて、きわめて重大な政治的背信行為であり、これをもって強行採決したことは、みずからその政治責任を顧みない暴挙であり、多数党、そして政府・与党による議会制民主主義の否定に通ずるものであるのでございます。しかるがゆえに、国民多数の強い反対運動を巻き起こしているのであります。去る七月十日、衆議院社会労働委員会における採決がはたして有効であったといえるでしょうか。修正内容そのものさえ、野党の議員は、新聞報道などを通じて間接的にしか知ることができず、国民生活に重大な関係を持つ法案が一瞬の間に強引に可決されるということはいかなる意味でも議会政治のルールに違反するものであります。この点について総理はどのような見解をお持ちでしょうか、責任ある御答弁をお願いいたします。
 その上、衆議院本会議におけるあの前代未聞の採決に至っては、議会政治の堕落と形骸化、それに対する不信感はここにきわまったというほかなく、われわれは大きな怒りを押えることができないのであります。この点につきまして国民が非常に疑惑を持っておりますので、総理大臣にお尋ねをいたします。
 すなわち、憲法五十七条により、「出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。」とありますことは御承知のとおりでございます。七月十四日、衆議院本会議において、社会党所属議員百三十五名から書類をもっての要求により記名採決が宣言されました。この宣言により、全議員には憲法に基づく議員固有の権利が生ずるのでありまして、これが生かされず、ほごになるということは重大な憲法違反だと思いますが、いかがですか。議長のかってな裁量で起立採決に切りかえられたとき、すでにわが党も共産党も全員投票を済ませ、自民党の一部の議員も投票を済ませていたのです。このような場合、一体これはどのように取り扱われるのですか。国民は自分の選んだ、つまり選挙という厳正な国民の権利を行使して、投票という形で選んだ自分たちの代議士が明らかに賛成したのか、反対したのかを知る権利があるはずであるのにもかかわらず、これがうやむやになったということは重大な問題でございます。この辺の解釈、判断をはっきりとお聞かせ願いたいのであります。このような国会運営は民主主義を破壊し、多数横暴の独裁政治を目ざす憲法違反の行為であり、法と秩序を無視した真昼の暗黒ともいうべきもので、断じて容認できないところでございます。加うるに、衆議院議長、副議長の退任をも余儀なくさせ、その上、本院においてはいまだかつてない例をつくり、すなわち委員会における趣旨説明も行なわれていない法律案に対し、中間報告を求める挙に出てきたなど、全く良識も議会制民主主義もない力の独裁にひとしい暴挙の連続でございました。一体、議会政治の行くえはどうなるのでありましょうか。議会政治をどん底から救う道はいずこにあるのでしょうか。議会政治を立て直す方策は何であるのでありましょうか。このような国会の姿は、国民に政治不信の念を増大させ、その心に貧しさを与え、精神の不毛をつちかうだけではないのですか。私は一人の国民として、特に同じ国会議員の末席を汚す一員として、こよなき不安と焦燥を禁じ得ません。佐藤総理、あなたは与党の総裁として、今後の国会審議についていかなる態度で臨まれるのですか、いかなる決意をお持ちなのですか、国民の前に明快に決意をお聞かせ願います。
 次に、厚生大臣にお伺いいたします。
 ILOは医療保障の終局の目標として、すべての国民に対する医療のための公共サービスを設けることを明らかにいたしています。わが党は、この基本的な立場に立って、予防、治療、リハビリテーションを通ずる一貫した医療保障を国の責任で行なう体制を確立することをかたい方針といたしております。しかしながら、政府は医療保障の問題になると、抜本対策において検討すると簡単に片づけて、公約している医療抜本対策についても、今日まで何らの具体的な構想が打ち出されていない状況にあります。国民皆保険といわれているが、現状では医療が機会均等に受けられず、医療機関の偏在、医療保険の乱立、医療保険の制度による給付と負担の不均衡等々がありますので、この際、政府の確固たる医療保険に対する基本方針及び将来の展望を明らかにされたいと思います。
 次に、総理大臣にお尋ねをいたします。
 今日、最も緊急な問題は、僻地医療対策の不徹底と、医療従事者の不足問題であります。中でも、大学問題の発端となった医学教育の封建制や、旧態依然たる医局や研修制度の状況は、優秀な医師の養成をはばんでいるのであります。これらの問題についても、政府の見解をお伺いしたいのであります。
 次に、医療費の緊急是正について、二十七日の社会労働委員会において、社会党の小野議員の質問に対して厚生大臣の御答弁、並びに去る六月十八日の本院本会議においての私の質問に対する佐藤総理の御答弁によって、診療費の値上げは確実と存じますが、日本医師会は、二〇%の引き上げをあらためて中医協に申し入れたようですが、どの程度引き上げられますか。一%の引き上げで四十三億円必要だと聞きますが、もし、二〇%の診療費の引き上げが行なわれた場合、保険財政にどのような影響がありますか、また、その財源はどう確保されますか、大蔵大臣のお考えを伺いたく存じます。なお、今回の修正案において、薬剤の一部負担を取りやめることとされておりますが、その結果については、政府はどのように判断しておられますか。
 従来から受診抑制とか、手続の煩瑣が問題にされてきましたが、現在は、技術と薬品が混同しています。今後、医療担当者からの薬剤の乱給が再び憂慮されているようですが、これに対して、どのような行政指導を行なわれるのですか。この問題についても、昨日から各議員がそれぞれ質問いたしておりますが、それほどこの問題は重要な意味を含んでおるのでございます。また、医療保険の赤字は、薬をめぐるもろもろの問題に基因しているところが大きいといわれていますので、厚生大臣のお答えをお願いしたいのであります。
 特に、薬剤の一部負担は、低所得層の人たちはいままでも免除されておりますので、今度の修正案の恩恵は何もないのでございます。かえって初診料、入院料の値上がりの恒久化と、保険料率の千分の五アップの恒久化は、大きな負担増となっているのです。提案者は、今度の修正案のプラス面を、再三、薬剤の一部負担を取りやめて三十一億円の減、出産給付の千分の一取りやめで三十三億円の減、合わせて六十四億円の国民負担の軽減といわれますが、さきに申しましたマイナス面には一言も触れておられません。しかも、千分の一すなわち三十三億円の減は、まだ現実のものとはなっていないのでございます。保険料率を千分の七十に修正した場合の満年度の黒字は三百十五億円となるのではありませんか。その上、初診時、入院時の一部負担の恒久化による黒字は三十八億円となり、合計三百五十三億円が、これは臨時特例なら二年後にはなくなるはずであったのでございます。全く財政対策からだけ考えて、医療は国民のためのものであるという基本的認識を欠き、医療を受ける側の意思は尊重されておりません。そして負担させられる国民の立場は無視されているのでございます。せめて、初診料、入院料の値上げ分は、低所得層に限って撤廃すべきではありませんか。修正案提出者のお考えをお伺いいたしますと同時に、総理は、この問題をどう考えられますか、お尋ねをいたします。
 次に、保険料率についてお伺いいたします。
 今日の医療費の中で薬剤が四〇%をこえている現実と、医療制度や医療費支払い制度に欠陥があり、受診者がチェックすることのできないような現行制度のもとにおいて、薬剤の一部負担は薬品の乱用を防止するための方策としての心理的効果があったのですが、この歯どめがなくなれば薬のむだな使用がふえることは避けられないことと考えられているようでございますが、いかがなお考えでございましょうか。時期がずれても、その影響が出てくることは必至であります。しかも、医療費の値上げが実現した場合、この両面から財政が悪化すれば、再び保険料の引き上げということが懸念されるわけですが、財政悪化の場合、またしても受益者負担の原則云々とか利用者負担とかを持ち出されるのではたまったものではございません。大蔵大臣のお考えを伺うと同時に、国庫負担の増額について、あるいはどうしてもこれを定率化すべきではないかと考えますが、お答えを願いたいのでございます。
 事実、このところ保険料率が連続して引き上げられてまいりました。それのみか、厚生年金保険のほうも五年目ごとに保険料率が改訂され、引き上げられております。その他、公共料金、物価の上昇も考えれば、千分の七十という健保の料率の恒久化は、国民にとって二重、三重の負担でございます。今後医療費の増大が世界的な必然の傾向である以上、国庫負担の増大について真剣に考えるべき段階に来ていると言うべきでございます。この点について、今後の長期的な展望をも含めての御見解を厚生大臣及び大蔵大臣から明快にお答えを願います。
 次に、ILO第百三号条約、すなわち母性保護に関する条約について、わが国が福祉国家として国際的な地位を高めるためにも批准すべきではないか。藤原議員への御答弁の中に、いまだ条件の満たない点があるやに伺いましたが、そうであるならば、早急に批准できるように努力すべきであると考えます。
 わが国の母子保健対策は、母子保健法に基づいて実施されてきておりますが、先進諸国に比べて妊産婦の死亡率が現在なお高率にとどまり、戦後著しい改善向上を見た乳幼児の死亡率、体位、栄養状況、妊産婦の訪問指導、母子保健施設等についても、なお努力を要する課題が多く残されております。その中で、今回の改正案の中で、初めて分べん費について最低保障の額を本人二万円、家族一万円としていますが、ようやくここまで引き上げられたことは、同盟と民社党が一体となって運動を展開した四年越しの努力が認められたものとして喜ばしいことではありますが、これは現在の賃金実態や出産費の実情から見て必ずしも適切ではなく、現実的には低いものと思います。しかも、これが恒久的に塩づけになることは、せっかくの朗報も影の薄いものとなってしまうおそれがございます。私どもは、あくまでも十割給付、公費負担が終局の目標であり、全国民の悲願でもありますので、抜本改正にあたって必ず先ほどの御答弁のとおり確約をしていただきたいのであります。出産数が減少しつつある現状をも考え合わせて、前向きの御答弁をお願いいたしたいのでございます。同時に、大蔵大臣のお考えをも伺いたく存じます。
 今日、世界の注目を集めたアポロ十一号の月着陸への成功は、全世界人類の喜びでございました。まさに科学技術の粋と、たゆまない創造力とを集めての成功でありました。しかし、この科学の勝利は、これに乗って行った三名の飛行士の勇気とその健康が成功をもたらしたこともまた事実であります。健康がなければ、科学だけでは成功しないのです。世界に誇るべき日本の経済の成長も、高度な福祉国家の実現も、国民の健康なくしては完成しないのでございます。むずかしい医療問題を、利害関係まことに複雑ではありましょうが、人間尊重の基本的理念の上に立って、どうか国民の立場において、国民サイドに立って解決しようとする熱意をもって、ごく近き将来真の抜本改革案を提示されるよう強く強く要望するものであります。
 最後に、私は、佐藤総理にお願いがございます。静かに聞いていただきたいのでございます。
 昨日の社会党中村議員の質問に答えて、総理は、大学特例法案に対して、政府案にただ反対するだけでなく、みずからの案を持って意見を述べるべきであると答ええられました。私は全くそのとおりだと存じます。したがって、私たち民社党は、現在の大学がこのままでよいとは国民は考えていないと信じております。そうかといって、政府案がよいとは考えていないと存じます。このような見地から、民社党は今国会に大学基本法を提案してまいったのでありますが、政府・自民党はあえて政府案にこだわって、全く審議されず、わが党の主張に耳をかさず、まことに残念でなりません。
 そこで、総理に心していただきたいことは、会期余すところわずかな今日、しかもまだ審議されていない国民生活法案ともいうべきそれぞれの国民の期待する法案が、本院においては三十数件もかかえているのでございます。この際、総理・総裁の英断によって、メンツを捨てて、国民のためにこれ以上国会の混乱を招くことが予想される大学法案を見合わせることはできないのでしょうか。これ以上参議院を混乱におとしいれないでほしいと切に思いますが、いかがでしょうか。そして多くの国民が期待している国民生活に直接つながる法案の成立への決断を要請いたすのでございます。このことは、おそらく心の中では、与党議員といえども、良識ある議員は賛成されることと信じます。私は、国民の名において佐藤総理に猛省を促して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(佐藤榮作君) 中沢君にお答えいたします。
 まず、今回の改正が、さきに私が公約した二年間の抜本改正をたな上げするかの御発言でありましたが、決してそのようなことはありません。抜本改正は、この国会での修正いかんにかかわらず、既定方針どおり実施する決意であることは、いままでの質問者に対してもお答えしたとおりであります。別に私どもの考え方は変わっておりません。
 次に、政府のこの二年間の抜本改正の努力が不十分だとの国民にかわってのおしかりを受けましたが、政府としてこの問題に取り組み、努力してきたにかかわらず、これが実らなかったことは、私としてもきわめて遺憾に存じます。ことほどさようにむずかしい問題でありますので、あえて若干の時間をいただき、各方面の御意見を十分伺いながら、国民各位に御納得のいくりっぱな成案を得るため、決意を新たにしているところであります。
 なお、この場合、この抜本改正の審議のためには、関係審議会の構成が不適当であるとの御意見もありますが、この種の審議会の改組、新設には関係者の一致した意見が必要であり、これは過去の経緯から見てもきわめて困難だと考えられますので、成案を得次第、現在の審議会に諮問したいと考えております。
 また中沢君は、今回の修正が医療制度の大転換であり、関係審議会の議を経るのが当然であるとの御意見でありましたが、その必要のないことは、昨日藤原君にお答えしたとおりであります。また、これは特例法の基本をくずすものではなく、したがって、医療制度の大転換と言うのも当たらないと、私は考えております。
 また、立法秩序の無視として私の政治責任を求められましたが、今回の改正は、国権の最高機関であり、かつ、国の唯一の立法機関である国会自体の御発案であることを御理解いただきたいと思います。
 なお、健保修正案の審議の過程についての所見を求められましたが、昨日、藤原君にお答えしたとおりでありますので、省略さしていただきます。
 なお、衆議院本会議のあの事態は、これは憲法違反だとのお考えを述べられましたが、本会議の直後、衆議院議長が適法だと、かような声明を出しておりますので、私ども、立法府の処置することについて、行政府としては、これを批判することは差し控えたいと思います。
 ただ、先ほどいろいろ所感について申し上げましたが、この機会に、あえてなお一点だけ申してみたいと思います。いわゆる牛歩やさみだれ投票に費やされる貴重な時間とエネルギーを審議のために充てていただくことができないものかどうか。(拍手、発言する者多し)もちろん政府としては、実りのある実質的審議のためであれば、何をおいても国会にはせ参ずる決意であります。(発言する者多く、議場騒然)
#14
○副議長(安井謙君) 御静粛に願います。
#15
○国務大臣(佐藤榮作君)(続) 国民各位も同じようなことを感じているに違いないと考えます。実は、このことは、やじも覚悟の上であえて野党の諸君の御協力を願う次第で、私は発言をしたのであります。どうぞよろしくお願いをいたします。また、今回の修正により抜本改正を引き延ばそうとするものでないことも、繰り返しお答えしたとおりであります。
 次に、僻地医療対策や医療従事者不足問題についての御指摘がありました。いずれも、当面する医療問題のうちの切実な課題であり、私もこれらの改善には努力を惜しまないつもりであります。具体的施策につきましては厚生大臣からお答えいたさせます。
 次に、社会保険診療報酬の緊急是正につきましては、それぞれ関係各団体から引き上げ要求があり、現在内容の審議が行なわれているので、その結論を待って対処いたします。この場合、引き上げの幅につきましては、中央社会保険医療協議会の結論を尊重してまいる所存であります。
 次に、今回の修正案についての提案者に対するお尋ねがありましたが、同時に総理はこの改正をいかに考えるかという、私の感想についてのお尋ねもありました。私は、いずれ抜本対策を検討することでございますので、その際に、今回の修正をも一緒にいたしまして、さらにその際に検討するということを申し上げて、政府の態度を明らかにしておきたいと思います。
 最後に、この大学問題に関することについて御発言があって、大学立法はこの際見合わして、生活関係の重要法案が残っておるから、そのほうを取り上げたらどうかと、そういう意味で大学に関する法案は、この際は見送るようにと、こういう御注意を込めてのお尋ねがありました。私は昨日も藤原君にお答えいたしたとおりであります。民社党自身が一つの案を持っておられた、こういうことについては、これは政党の見識として私もこれを評価いたしますが、しかし、私どもがただいま当面しておりますこの大学問題は、現在の大学のこれからのビジョンをどういうようにするかという問題は、これは別にもう少し時間をかしていただいて検討するのが適当ではないか。また、そういう意味での教育審議会等の御意見も聞くがよろしい。しかし、ただいま何といいましても学校で紛争が続いておって、いわゆる大学らしい授業が行なわれておらない、研究がされておらない。こういう事柄につきましては、国のために非常に深く憂える次第であります。一日も早くその紛争がやむように、正常化ができるように、また、その意味におきまして大学の管理者の方々にお手伝いするような意味で法律をつくろうとするのであります。私は、この法律の条文も読まないで、いたずらに政府が干渉するなどというような、十分この提案した案を理解しないで批判を受けておることを、まことに実は残念に思っておる次第であります。
 私は、国会の会期末にただいま御審議をいただいておるこの健保の改正案、さらにまた、大学に関する重要立法、また、その他生活に関するそれぞれの重要法案を多数かかえていらっしゃる参議院の皆さまに心から御同情申し上げますが、残りの期間をできるだけ有効に御利用くださいまして、活用されまして、そうしてただいま提案しております法案、重要法案の成立をぜひとも期したい、これを心から皆さまにお願いする次第であります。(拍手)
   〔国務大臣斎藤昇君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(斎藤昇君) 医療保険の将来の展望についてのお尋ねでございますが、医療保険制度は、やはり保険というものを中心に考えまして、そうして公的医療扶助の制度をこれに配してまいりたい。したがって、全面的ないわゆる医療保障というのではなくて、今日のように、保険という考え方を中心にして社会保障をそれに配してまいりたい、こういった考え方でまいりたいと存じます。
 今日あります約八種類の医療保険制度を、これを地域保険、勤労者保険、老人保険、大体この三種類に統轄をしていくのが適当ではなかろうかと考えております。そうして各地域の国民健康の保持の諸施策、体制とマッチをさせていきたい、かように考えます。その間におきまして、先ほど申し上げましたいわゆる保険料、それから保険給付、これの均衡をはかってまいりたい。そうして保険給付はできるだけ十割給付に近づけてまいりたいと思いますが、今日、被保険者は十割保険でございますけれども、その家族はあるいは五割あるいは七割ということになっております。まず、家族の七割給付を先に急いでまいりたい、こういった考え方のもとにあるいは診療報酬制度あるいはまた支払い制度等につきましても改善のメスを加えて、医薬分業をこれに配してまいりたい、かように考えております。
 次に、薬剤の一部負担の取りやめは、薬剤の乱給にならないかというお尋ねでございますが、今日、特例法におきまして薬剤一部負担を設けておりますのは、保険財政の赤字を補うという意味でございまして、これによって薬剤の乱給を押えるという考え方ではないと、かように御説明を申し上げておったのでございますが、しかしまた、一部の方々から、これはやはり乱給を押えるのに大きく役立っておる。むしろ必要な薬剤をこれによって抑制をしておる、診療まで抑制をしておるという御意見もございます。若干のそういった役割りも果たしておったと、かように考えますので、一部負担がなくなりましても乱給の起こらないように、先ほど申しましたあるいは医薬分業制度また診療報酬制度におきまして、技術料を高く評価をするように、この緊急是正の際にもそういったものを織り込んでやっていただきたいと、中医協に希望をいたしておるわけであります。同時に、医者あるいは診療所等における実地監査、指導また一般の被保険者に対するPRと申しますか、十分な知識の普及ということを徹底いたしまして、そうして薬剤をあまり使用するということの弊害を、もう少し徹底をいたしてまいりたいと、かように考えます。
 薬価基準の適正化につきましては、先ほど申し述べましたとおり、毎年実勢価格を調査をいたしまして、そうしてそれに合うように薬価基準をきめてまいりたい、この方針は変えておりません。今年もこれを実施する予定でございます。
 保険料の千分の七十、また初診時、入院時の一部負担の増加、これを恒久化をしたということについての御質問でございますが、二カ年以内には抜本改正に必ず着手をいたしたいと、かように考えておりますので、したがって、当初原案としてお願いをいたしておりましたいわゆる二カ年内はこれで今日の赤字対策に対処してまいりたいと考えまするが、その後は、抜本対策の面において十分考えてまいりたいと思います。初診時、入院時の二百円あるいは六十円を低所得に限って三十円、百円、これにしたらどうだという御意見も、抜本対策の際に考慮をいたしたいと考えております。今後保険財政が悪化をいたしましても、この保険料率の千分の七十より以上に保険料率を引き上げるという考えは持っておりません。そういうことのないように抜本改正をいたしますると同時に、必要な国費の導入ということも考えなければなるまいと考えておりますが、いかに今後保険の支出がふえましても、保険料率の引き上げを千分の七十以上には、抜本対策の際にも考えておらないということを申し上げておきたいと存じます。
 ILO百三号条約の批准につきましては、昨日藤原議員にお答えいたしましたとおりでありますが、母性保護の見地から、妊娠、出産時における出費の完全支出ということを、いわゆる分べん費の現物給付とあわせ検討をいたしまして、そうして、これが実施ができるようになれば、百三号条約の批准もまた可能に近づいてくるわけでありますから、これに努力をいたしたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(福田赳夫君) 医療費の緊急是正につきましては、ただいま総理からもお話がありましたが、中央社会保険医療協議会からの答申を待って行ないます。厚生大臣からいずれ相談がありますので、よく相談をいたしたいと存じます。
 また、保険財政が悪化の場合にどうするかということにつきましては、ただいま厚生大臣からお答えがありました。
 それから分べん費につきましても前向きで努力をいたします。(拍手)
   〔衆議院議員谷垣專一君登壇、拍手〕
#18
○衆議院議員(谷垣專一君) 提案者は、薬剤の負担を廃止したり、あるいは分べん費の改善をするけれども、千分の一を減らすんだというようないいことを言っておるけれども、これのマイナス面をあまり言わないが、これに対して提案者はどう考えておるのか、こういうのが、中沢先生の御質問の御要旨かと考えます。
 御存じのように、この修正をいたします私たちの態度を申し上げたわけでございますが、とにかく、臨時特例法を廃止すべきだという有力な御意見が強くございましたし、また、審議の途中におきまして、いろいろ問題点が指摘されたわけでございます。ただ、これを、特例法の延長を認めないということにいたしますというと、どうしても保険財政の致命的な欠陥が大きくなりますので、したがいまして、その点、必要最小限度の財政的な対策を本法でやったと、こういうわけでございます。その結果として、おそらく政府の原案でまいりますというと、全部の料率が千分の七十一になるのを千分の七十にしたと、こういうことになるわけでございますが、これは、当然抜本改正のときにおきまして、これらの被保険者の負担のあり方というものは検討さるべきものだと、私たちは考えておるのであります。
 なお、低所得者対策が従来の政府原案にはあったけれども、これがなくなっているじゃないかという御指摘がございました。これは従来低所得対策といわれておりましたのは、例の薬価一部負担におきまする問題がいままで議論されておったわけでございますが、これはこの際なくなりますから、その点は、初めからもうなくなってしまったと、こういうことになろうかと思います。
 初診、入院時の問題でございますが、これは確かに御指摘のように、このまま残っております。ただ、これは従来の二年間やりました特例法、つまり、政府原案におきましても、そのままになっておるわけでございますので、これらが国民生活の被保険者の上におきまする負担の軽重の度合いというようなものを勘案して、修正案におきましては、これについては、従来どおりの形で本法に繰り入れたと、こういう形でございます。
 なお、問題になっております継続して療養給付を受けております患者がございます。これは、従来の入院時におきましても、六十円ではなくて三十円のままにとどめまして本法に入れておる、こういうわけでございます。
 ぜひ、二年後の、いわれております抜本法におきましては、これらの問題も含めまして、国民負担の問題について、ぜひとも検討をさるべきものだとかように考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○副議長(安井謙君) 渡辺武君。
   〔渡辺武君登壇、拍手〕
#20
○渡辺武君 私は、日本共産党を代表して、まず、何よりも、ただいま議題となった健康保険関係法案の制定と審議の過程においてとられた不法かつ不当な暴挙について、総理並びに厚生大臣の責任をただすものであります。
 すでにすべての質問者も触れられましたように、政府・自民党は、この第六十一国会だけで、衆参両院の委員会を通じて、実に十九回もの質疑打ち切り、強行採決を行なうなど、議会制民主主義の根底を踏みにじる異常な暴挙を重ねております。しかし、中でも、この健康保険関係法案についてとられたような醜悪、不法、横暴なものは類のないものであり、憲法と議会制民主主義の名によって、絶対に許すことのできないものであります。
 まず、この法案は、二年間の時限立法であるという当初の公約を踏みにじって、期間延長を企てたものであり、しかも、特例法の延長であるかのように見せかけながら、与党議員の修正の形をとって、健保本法そのものの改悪を行なうという政治的詐術の積み重ねの上に提案されたものであります。
 さらに、この法案は、衆議院社会労働委員会での国会法第四十九条、五十条などを踏みにじった廊下採決、衆議院本会議での憲法五十七条に違反した起立採決、本院本会議における国会法五十六条の三に違反した中間報告要求決議など、違憲、違法の積み重ねられた不法、無効の法案であります。
 しかも、先日の社会労働委員会の審議にあたっても、また、この本会議での討論においても、政府・自民党は言いのがれに終始して、政治的良心の一かけらも示そうとしておりません。特に佐藤総理は、先ほどの答弁の中で、これは国会のやったことで、政府の関知するところではないという趣旨のことを述べておられますが、総理は内閣の首班であり、与党の総裁であり、この国会史上前例のない暴挙の最大の責任者であります。総理は、国民の疑惑と不信にこたえ、衆議院社会労働委員会と本会議での事態の違法性を認める一片の良心があるかどうか、また、この憲法違反であり無効な法案は、当然廃案とすべきだと思うがどうか、明確な答弁を求めるものであります。
 また、厚生大臣に伺いますが、大臣は、この法案は、議員の修正によるものであって、政府は何らの違法も犯していないと強弁されておりますが、大臣がどのように言いつくろっても、これが公約違反であり、政府・与党共同の政治的詐術であることを隠すことはできません。大臣は、どのような政治的・道義的責任を感じておられるか、伺いたいものであります。
 また、以上の諸点について、社会党修正案の提案者である大橋議員は、どのような見解を持っておられるか、御答弁を願いたいものであります。
 さらに、本院社会労働委員会での審議の最大の焦点であった衆議院での事態の究明がついにできなかった原因はどこにあると考えておるか、吉田社会労働委員長の御答弁をお願いいたします。
 第二に、今日、国民の健康と生命はきわめて深刻な事態に置かれております。たとえば、政府統計による日本人の有病率は、昭和三十五年の四・二%から四十一年の八・三%に、六年間に約二倍となり、特に労災保険の給付者数から見た労働災害も、同じ期間に八十七万人から百六十七万人に約二倍となり、交通事故に至っては、昭和三十五年の三十万人から四十三年の八十四万人に二・八倍となっている状態であります。労働者の新しい職業病や、農民の農夫病、都市での公害による罹病者なども激増しております。政府は、健康保険財政の赤字の原因は乱診乱療にあるなど、責任を被保険者や医師になすりつけておりますが、以上の事実は、国民の健康の破壊と健保財政の赤字の最大の責任が、大企業と大企業の高度成長に奉仕し、交通事故や公害を野放しにしている佐藤内閣にこそあることを物語るものと思うけれども、佐藤総理並びに厚生大臣の見解を伺いたいものであります。また、この点についての大橋議員の見解もお聞かせいただきたいと思います。
 第三に、二年前に制定された健保特例法は、保険料の千分の五の引き上げ、被保険者本人の薬代負担、初診時、入院時の一部負担の引き上げなどの不当な措置を強行して、健康と生命の危機にさらされている被保険者に大きな経済的負担を背負わせ、医療保障制度の根底を破壊してまいりました。たとえば、政府資料によってさえ、まさにこの特例法が制定された昭和四十二年度以来、被保険者本人の受診率が低下し、医療中断が急増しております。また、全国の開業医の団体である全国保険医協会は、特例法は、本人十割給付の原則を完全にくずしてしまった。短期の疾病では、給付率は四割五分、長期疾患でも七割二分となったという趣旨の報告をしているありさまであります。国民は、高い保険料を払っても医者にもかかれない、こういう状態に追い込まれてきたのであります。しかも、今回の自民党の修正案は、健保本法そのものを改悪して、このような医療保障破壊を固定化し、制度化しようとしているのであります。総理大臣、厚生大臣、並びに与党修正案の提出者は、国民の健康と生命がかつてなく脅かされている現状のもとで、国民の医療をどのように保障しようと考えておられるのか、明確な御答弁を願います。
 また、先ほど谷垣議員は、分べん給付を引き上げても保険料を引き上げないために、特例法で行なった保険料の引き上げと、入院時、初診時の一部患者負担の引き上げを本法に繰り入れたのだとの趣旨を答えておられます。しかし、自民党医療基本問題調査会小委員会が発表した国民医療対策大綱は、今後の医療保障制度について、いわゆる自己責任原理を強調して、保険料の大幅引き上げ、本人十割給付の切り下げ、医療費現金先払い制の導入や差額徴収制度の拡大など、医療保障制度そのものを根本的に改悪する方針を示しております。今回の谷垣議員などの修正案の内容は、この自民党の対策大綱の方向を目ざしたものと思われるが、どうでしょうか。また、政府の言明する抜本改正なるものも、同じ方向を目ざしたものと思われるが、どうでしょうか、御答弁を願いたいものであります。また、この点についての大橋議員の御見解も承りたいと思います。
 特に、わが党は、今日の国民の健康を脅かしている最大の責任者が、大企業と佐藤内閣であるという事実からして、健康保険のすべての費用は、国と資本家の負担とし、国民には一銭の保険料負担もかけず、しかも、なおるまで無料で医者にかかれる制度にしなければならないと考えております。そして、この立場に立って、さしあたりは、保険料の引き上げをやめ、薬代や初診時、入院時の患者負担など、一切の負担をやめ、被保険者本人だけではなく、家族全員に至るまで十割給付とし、分べん給付などの国民の望む諸給付を引き上げるべきだと考えておりますが、厚生大臣は、これを実行する誠意があるかどうか。また、大橋議員は、この点をどのようにお考えか、御見解を伺いたいと思います。
 第四に、わが国の健康保険制度は、社会主義諸国に比べてはもとよりのこと、西ヨーロッパの資本主義諸国に比べてさえも、きわめて貧弱なものであります。たとえば、わが国の政管健保の費用負担は、被保険者本人五〇%、資本家五〇%で、国の負担は義務づけられておりません。ところが、西ヨーロッパ諸国では、被保険者負担率は、フランス二五・二%、イギリス一一・八%、イタリア一・一%であり、あとはすべて国と資本家などの負担となっているのであります。政府は、国民総生産が資本主義世界第二位であることを誇っておりますが、健康保険制度のこの恥ずべき状態を改め、被保険者負担を、さしあたり三〇%程度に引き下げ、同時に、国の負担を法律で義務づけるべきだと思うが、総理並びに厚生大臣の見解を伺いたいと思います。また、この点についても、大橋議員の御見解を承りたいと思います。
 第五に、現在、健康保険医に対する診療報酬がきわめて低いことは、周知のところであります。昭和三十七年以来、消費者物価は三八・二%上がったのにもかかわらず、診療報酬はわずか一三・二%引き上げられただけであります。これでは保険医、特に個人保険医の経営と生活が苦しくなることは当然のことであります。このような状態で、国民の健康を守ろうとする医師の良心にこたえることができると、政府は考えておられるのでしょうか。診療報酬を適切に引き上げること、特に医師の技術評価を適切に引き上げるべきだと思いますが、厚生大臣の見解を伺いたい。また、大橋議員の御見解もあわせて伺いたいと思います。
 第六は、財政問題についてであります。大蔵大臣は先ほど、財政の余裕がないので、国民の要望にこたえられないとの趣旨の答弁をされました。けれども、いま政府が租税特別措置その他によって大企業に行なっている約二兆円に及ぶ特別な税の減免をやめて、正当にこれを取り立て、さらには、また、防衛費四千八百三十八億円など、戦争と侵略のために使われている支出を徹底的に削るなら、保険料を引き下げ、診療報酬を引き上げ、しかも、国民の医療を保障するに必要な財源は容易につくり出すことができることを強く指摘するものであります。特にわが党は、健保財政健全化のために、大製薬会社の不当に高い薬品価格の引き下げを要求するものであります。今日、国民総医療費の中に占める薬剤費の割合は約四〇%、総額六千億円の巨額に達しております。大薬品会社は、その製品の価格を原価の二倍、三倍に引き上げて販売し、ばく大な利益をあげ、その上、武田薬品工業一社だけでも四十二年度には百二十億円をこえる広告宣伝費を使っております。しかも、今日の薬価基準制度においては、この大会社の不当に高い薬品価格がそのまま薬価基準に取り入れられ、彼らの大もうけを保障するような仕組みとなっているのであります。今日、タクシー料金までが公共料金として政府の統制のもとに置かれているとき、わが党は、薬価を公共料金として国会の統制下に置き、当面約二〇%引き下げることを主張いたします。このことによって国民総医療費では約一千二百億円、政管健保では約三百億円を節約することができるのであります。このことを実行する意図があるかどうか、総理、大蔵大臣並びに厚生大臣の見解を伺いたいと思います。また、この点についての大橋議員の見解もあわせて伺い、私の質問を終わりたいと思います。
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(佐藤榮作君) 渡辺君にお答えいたします。
 修正法は国会法及び憲法に違反するもので無効であるという御意見につきましては、昨日来、藤原君をはじめ各質問者にお答えしたとおりであります。私は、何ら違法なものであるとは考えておりません。したがって、廃案にすることなどは全然考えておりません。はっきり申し上げておきます。
 次に、渡辺君からは、今日の健康破壊の真の責任者は政府・自民党及び大資本家であるとのたいへん珍しい、新しい説を御披露になりました。私は、国民の健康が破壊されているとも思いませんし、御意見は御意見として伺っておくことにいたします。
 次に、国民の生命と健康を守る根本には、国民の一人一人が自分の健康は自分で守るという自己責任と国民相互が助け合う相互扶助の自覚がなければ制度の円滑な発展はない、かように私は思います。そういう意味で、自由主義を基盤とする社会経済体制の上に立っているわが国におきましては、今後とも社会保険方式を中核として国民医療の推進をはかってまいりたい、これがわが国の実情に最も即した行き方であると思います。この点は、まことに残念ながら共産党の諸君とは考え方が違う、このことをはっきり申し上げておきます。
 最後に、薬価基準を国会の議決で決定して、国会の統制下に置いて薬を安くする。たいへんけっこうな御意見であるかのように一見考えられる御提案であります。これはまだなお十分に検討を必要とすると私は考えるので、この際は、御意見を文字どおり承っておくことにいたしまして、十分検討することにいたします。(拍手)
   〔国務大臣斎藤昇君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(斎藤昇君) このたびの衆議院における修正に関して、厚生大臣はいかに政治的・道義的責任を感じているかというお尋ねでございますが、私はこのたびの衆議院の修正によりまして、いわゆる二カ年以内に抜本改正をやりますと、こう申しておりました政治的・道義的責任、これを果たすことにあると、かように考えております。この修正によってそういった責任を免除されたものではない。したがいまして、抜本改正は、既定方針どおり、早急に大綱を審議会に諮問いたしたい、かように考えております。
 医療費は大資本と国費でやるべきではないかという御意見でございますが、今日の保険体制を堅持してまいりたい。まだ社会主義的な考え方の医療体制というものは日本に適当しない、かように考えております。
 保険料の負担について、事業主と労働者の折半のこの方針も堅持をいたしてまいりたいと考えております。
 診療報酬の引き上げ、技術料の適当な評価、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、中医協においてせっかく審議中でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(福田赳夫君) 租税特別措置を廃止したらどうだというお話でございますが、これは渡辺さんの御持論でもございますが、いろいろの効用をしておるのであります。これをにわかに廃止するということは、これはなかなかむずかしい問題である。
 それから防衛費の削減論でございますが、これまた渡辺さんの御持論でございますが、私どもは、防衛費はこの際削減どころじゃない、いよいよこれを増強していきたい、かように考えております。社会福祉ももとより大事でございます。社会福祉も、それからまた安全保障も、これを両立させなければいかぬというのが政府の考えでございます。(拍手)
   〔吉田忠三郎君登壇、拍手〕
#24
○吉田忠三郎君 渡辺君にお答えをいたします。
 私に対する御質問は、委員会の運営について支障を来たした点は何か、こういうことだと思います。私は、率直に申し上げまして、最大の原因は、第一に、わが国の国会が始まってから初めてだといわれる院議をもって期限付きで委員会に送付をされてきたことがその最大の支障を来たしたことだろうと考えております。
 第二は、何と申し上げましても、衆議院段階における憲法違反ではないのか。さらには、参議院におきましては、異例の、これまた初めてでございますけれども、中間報告を行なったことが国会法違反ではないのか。そして相次ぐ強行採決というのは不当ではないのかという法律論がその第二の理由であったと思うのであります。
 結果的には、この法律論に対する答弁の適格者が当委員会に出席することが非常におくれたことにも原因があろうと思っております。しかし、このことにつきましては、たびたび私はこの演壇からそれぞれの質問者に答弁をいたしておりまするから、この点は会議録で御承知を願いたいと思います。
 委員長といたしますれば、もっと積極的に、しかも先ほどの報告にもございましたように、かような重大な問題だけに、少数意見等々も尊重して、できるだけ委員会に少数意見をいわゆる反映させながら、実りある、国民の期待に沿えるような委員会にしたいという熱意がございました。その観点からいたしますれば、衆議院の議長あるいは衆議院の事務総長、そしてまた衆議院の社会労働委員会の森田委員長が当委員会に出席をいたしておりますれば、こうした問題がかなり前向きのかっこうで出てまいったのではないかと思いまするけれども、この点につきましては、諸般の御事情がございまして、委員長といたしましても最大限努力をいたしましたが、これができなかったのであります。この点は当委員会に委員外の発言者として渡辺君が常時出席をいたしておりましたから、この点は御理解のいくところではなかろうかと思っております。
 以上であります。(拍手)
   〔大橋和孝君登壇、拍手〕
#25
○大橋和孝君 渡辺君の質問に対しまして、ごく要領よく簡単に御返答申し上げたいと思います。
 第一番目の違憲、あるいはまた、違法性の点でありますが、私は、やはりこの憲法違反、法律違反の上に立っておると思うのであります。
 第一には、七月十日の、この衆議院社労委員会における無効採決という点も認めざるを得ないし、また、七月十四日の衆議院本会議における憲法違反の起立の採決という点も悪い点だと思わざるを得ないのであります。
 なおまた、本院におきまして、趣旨説明もなくして中間報告になった。これもまた国会法、あるいはまた、参議院規則違反であり、第四には、また自民党のこの修正案は、衆議院本会議の提案説明が不十分であったり、修正動議が無効の状態であると、私も認めざるを得ません。このようにして、この違法性は、なお今後に残されるものではないかと考える次第であります。
 次に、労働災害の問題につきましても、私は、いまの労働基準法、あるいはまた、労災法を見ますと、非常に給付が悪く、あるいはまた、交通災害に対しましても、ほかの自動車賠償保険などに比較をして、非常に劣悪な状態にあると思うのであります。また、このような公害の問題を見ましても、やはりこの企業には大きな責任があると思うのでありまして、今後こういう問題に対しては、十分政府としては、考慮をしなければならない点ではなかろうかと思うのであります。
 そのほか、第三の本法に固定化する問題も、これは非常に今度の改正は不当なものだと考えざるを得ません。また、十割給付をして保険料を上げないように、これは非常にわれわれもそう思うところであります。
 また、労使の負担の問題でありますが、外国にもその例は、私が趣旨説明の中にも申し上げましたように、外国にも行なわれておるわけでありまして、わが党は、労働者三割、あるいはまた資本家が七割――七対三を主張しておるわけでありまして、この負担区分も改善をしなければならない、これは抜本改正において特に考慮してもらわなければならない点だと思います。
 その他診料報酬の引き上げ、あるいはまた、技術評価を適正にせよ、われわれも同感であります。この診療報酬体系の中で技術を十分に尊重し、そして薬あるいはまた、それの占める分を少なくすることが当然必要だろうと考えておるわけであります。
 国庫負担に対しましては、当然この政管健保におきましては三割国庫負担導入、定率化ということは、われわれ絶えず主張しておるところでありまして、その点も抜本改正に十分これを入れなければならない点だと思います。
 薬剤の負担の問題に対しましても、この総医療費の中に四〇%を占める点は非常に問題があると思いますので、この点も抜本改正に対して十分配慮をし、薬価の適正化をはかるべきではなかろうかと考えております。
 以上かいつまんで御答弁を申し上げました。(拍手)
   〔衆議院議員谷垣專一君登壇、拍手〕
#26
○衆議院議員(谷垣專一君) お答えいたします。
 受診抑制等の状況が特例法の結果として起きておるが、これを恒久化するようなかっこうになるのじゃないか、修正提案者はどう思っているかという点が第一点だと思います。今回の修正は、できるだけ国民負担の軽減をはかる立場から、薬価の一部負担のこれを取りやめる、あるいは分べん費の大幅給付改善を行ないますけれども、千分の一の料率のアップを取りやめる、こういうようなことをいたしたわけでございます。で、いままで受診抑制の問題としてよく議論されておりました薬剤の一部負担の問題は、このたびの修正ではなくなっておりますから、その点の受診抑制は解消しておるものと考えます。
 それから入院時の負担、あるいは初診時の負担等の問題がございます。で、これは確かに原案のとおりになっておるのでございますが、いずれ行なわれるでありましょうこの抜本改正等の際にこれは検討さるべきものだと考えております。なお、自民党の出しておりまする医療対策大綱というものと今回の修正がどういう関係にあるかという点のお尋ねがございました。この医療対策大綱は、単に医療保険の問題にとどまりません、医療全体の問題に対しまして長期の展望に立った方針、大綱を示しておるものでございます。このたびの修正は、この大綱と別に関係を持って修正をしたわけではございません。(拍手)
#27
○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。
 これにて午前九時まで休憩いたします。
   午前三時五分休憩
     ―――――・―――――
   午前九時十分開議
#28
○議長(重宗雄三君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
 沢田実君から、賛成者を得て、
 本案を社会労働委員会に再付託することの動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#29
○議長(重宗雄三君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#30
○議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#31
○議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百七票
  白色票           九十七票
  青色票            百十票
 よって、本動議は否決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      九十七名
      原田  立君    峯山 昭範君
      田渕 哲也君    塩出 啓典君
      藤原 房雄君    萩原幽香子君
      山高しげり君    市川 房枝君
      三木 忠雄君    内田 善利君
      上林繁次郎君    矢追 秀彦君
      阿部 憲一君    中尾 辰義君
      松下 正寿君    沢田  実君
      多田 省吾君    黒柳  明君
      宮崎 正義君    中沢伊登子君
      片山 武夫君    田代富士男君
      鈴木 一弘君    二宮 文造君
      渋谷 邦彦君    向井 長年君
      高山 恒雄君    山田 徹一君
      柏原 ヤス君    北條  浩君
      白木義一郎君    小平 芳平君
      中村 正雄君    村尾 重雄君
      上田  哲君    和田 静夫君
      松本 英一君    安永 英雄君
      竹田 四郎君    杉原 一雄君
      達田 龍彦君    小野  明君
      森  勝治君    鈴木  力君
      小林  武君    松本 賢一君
      佐野 芳雄君    松永 忠二君
      大矢  正君    横川 正市君
      小柳  勇君    加瀬  完君
      秋山 長造君    藤田  進君
      北村  暢君    成瀬 幡治君
      須藤 五郎君    渡辺  武君
      小笠原貞子君    春日 正一君
      河田 賢治君    岩間 正男君
      前川  旦君    戸田 菊雄君
      竹田 現照君    山崎  昇君
      木村美智男君    村田 秀三君
      川村 清一君    大橋 和孝君
      田中寿美子君    沢田 政治君
      松井  誠君    矢山 有作君
      瀬谷 英行君    西村 関一君
      鶴園 哲夫君    野上  元君
      山本伊三郎君    武内 五郎君
      森中 守義君    近藤 信一君
      鈴木  強君    森 元治郎君
      阿具根 登君    永岡 光治君
      中村 英男君    久保  等君
      岡  三郎君    羽生 三七君
      亀田 得治君    占部 秀男君
      大和 与一君    木村禧八郎君
      田中  一君    藤原 道子君
      松澤 兼人君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百十名
      任田 新治君    内藤誉三郎君
      高橋雄之助君    田村 賢作君
      小林  章君    伊藤 五郎君
      後藤 義隆君    白井  勇君
      横山 フク君    小山邦太郎君
      山崎 五郎君    若林 正武君
      安田 隆明君    矢野  登君
      増田  盛君    長屋  茂君
      永野 鎮雄君    中山 太郎君
      高田 浩運君    中村喜四郎君
      西村 尚治君    八田 一朗君
      宮崎 正雄君    柳田桃太郎君
      佐藤  隆君    黒木 利克君
      楠  正俊君    岡本  悟君
      高橋文五郎君    土屋 義彦君
      船田  譲君    江藤  智君
      大竹平八郎君    柴田  栄君
      青田源太郎君    栗原 祐幸君
      藤田 正明君    梶原 茂嘉君
      大谷 贇雄君    青柳 秀夫君
      増原 恵吉君    鍋島 直紹君
      徳永 正利君    新谷寅三郎君
      石原幹市郎君    上原 正吉君
      杉原 荒太君    剱木 亨弘君
      安井  謙君    山崎 竜男君
      平泉  渉君    玉置 和郎君
      沢田 一精君    近藤英一郎君
      玉置 猛夫君    大松 博文君
      鈴木 省吾君    今  春聴君
      小林 国司君    佐藤 一郎君
      山内 一郎君    中津井 真君
      林田悠紀夫君    鬼丸 勝之君
      内田 芳郎君    大森 久司君
      岩動 道行君    河口 陽一君
      丸茂 重貞君    二木 謙吾君
      鹿島 俊雄君    長谷川 仁君
      井川 伊平君    櫻井 志郎君
      谷口 慶吉君    村上 春藏君
      田中 茂穂君    堀本 宜実君
      西田 信一君    平島 敏夫君
      山下 春江君    山本 利壽君
      八木 一郎君    田口長治郎君
      平井 太郎君    寺尾  豊君
      古池 信三君    松平 勇雄君
      郡  祐一君    青木 一男君
      重政 庸徳君    吉武 恵市君
      木村 睦男君    植木 光教君
      亀井 善彰君    長田 裕二君
      上田  稔君    佐田 一郎君
      菅野 儀作君    源田  実君
      久保 勘一君    川上 為治君
      米田 正文君    森 八三一君
      三木與吉郎君    塚田十一郎君
      高橋  衛君    迫水 久常君
      斎藤  昇君    廣瀬 久忠君
     ─────・─────
   〔議長退席、副議長着席〕
#32
○副議長(安井謙君) 近藤信一君外一名から、賛成者を得て、
 この際、暫時休憩することの動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#33
○副議長(安井謙君) すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。(「議長、時間制限」「打ち切り、打ち切り」と呼ぶ者あり)すでに一時間半を経過しております。すみやかに御投票願います。(「どこの時計かね、まだ一時間三分だ、時計を間違わないように」「打ち切り、打ち切り」「ゆっくり、ゆっくり」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。(「時間制限」と呼ぶ者あり)まだ投票をなさらない諸君は、すみやかに御投票願います。(「投票中だよ」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。――ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間がまいりますれば投票箱を閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――まだ投票をなさらない諸君はすみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――まだ投票なさらない諸君はすみやかに御投票願います。
 制限時間に達しました。投票箱閉鎖。(発言する者多く、議場騒然)
   〔投票箱閉鎖〕
#34
○副議長(安井謙君) ……(発言する者多く議場騒然)投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。(議場騒然)
   〔参事投票を計算〕
#35
○副議長(安井謙君) 投票の結果を報告いたします。(発言する者多く、議場騒然)
  投票総数         百……票
  白色票          七十…票
  青色票          …………
 よって、……は否決されました。
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      七十四名
      原田  立君    峯山 昭範君
      田渕 哲也君    山田  勇君
      塩出 啓典君    藤原 房雄君
      萩原幽香子君    山高しげり君
      市川 房枝君    三木 忠雄君
      内田 善利君    上林繁次郎君
      矢追 秀彦君    阿部 憲一君
      中尾 辰義君    沢田  実君
      多田 省吾君    黒柳  明君
      宮崎 正義君    中沢伊登子君
      片山 武夫君    田代富士男君
      鈴木 一弘君    二宮 文造君
      向井 長年君    高山 恒雄君
      山田 徹一君    柏原 ヤス君
      北條  浩君    白木義一郎君
      小平 芳平君    村尾 重雄君
      上田  哲君    和田 静夫君
      松本 英一君    安永 英雄君
      竹田 四郎君    杉原 一雄君
      達田 龍彦君    小野  明君
      森  勝治君    鈴木  力君
      中村 波男君    小林  武君
      松本 賢一君    佐野 芳雄君
      林  虎雄君    松永 忠二君
      大矢  正君    横川 正市君
      小柳  勇君    加瀬  完君
      秋山 長造君    藤田  進君
      成瀬 幡治君    須藤 五郎君
      渡辺  武君    小笠原貞子君
      春日 正一君    河田 賢治君
      岩間 正男君    前川  旦君
      戸田 菊雄君    竹田 現照君
      山崎  昇君    松井  誠君
      瀬谷 英行君    吉田忠三郎君
      西村 関一君    永岡 光治君
      中村 英男君    羽生 三七君
      大和 与一君    田中  一君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百十六名
      任田 新治君    内藤誉三郎君
      高橋雄之助君    田村 賢作君
      小林  章君    伊藤 五郎君
      後藤 義隆君    白井  勇君
      横山 フク君    小山邦太郎君
      植竹 春彦君    山崎 五郎君
      山本敬三郎君    若林 正武君
      安田 隆明君    矢野  登君
      増田  盛君    中山 太郎君
      高田 浩運君    中村喜四郎君
      西村 尚治君    八田 一朗君
      宮崎 正雄君    柳田桃太郎君
      佐藤  隆君    黒木 利克君
      楠  正俊君    岡本  悟君
      高橋文五郎君    土屋 義彦君
      船田  譲君    江藤  智君
      大竹平八郎君    大谷藤之助君
      柴田  栄君    青田源太郎君
      藤田 正明君    梶原 茂嘉君
      青柳 秀夫君    前田佳都男君
      増原 恵吉君    鍋島 直紹君
      徳永 正利君    西郷吉之助君
      新谷寅三郎君    石原幹市郎君
      河野 謙三君    上原 正吉君
      杉原 荒太君    剱木 亨弘君
      山崎 竜男君    平泉  渉君
      玉置 和郎君    沢田 一精君
      近藤英一郎君    玉置 猛夫君
      大松 博文君    鈴木 省吾君
      今  春聴君    小林 国司君
      久次米健太郎君    佐藤 一郎君
      山内 一郎君    中津井 真君
      林田悠紀夫君    鬼丸 勝之君
      内田 芳郎君    大森 久司君
      津島 文治君    岩動 道行君
      和田 鶴一君    河口 陽一君
      丸茂 重貞君    二木 謙吾君
      鹿島 俊雄君    長谷川 仁君
      井川 伊平君    櫻井 志郎君
      金丸 冨夫君    谷口 慶吉君
      村上 春藏君    田中 茂穂君
      西田 信一君    平島 敏夫君
      山下 春江君    山本 利壽君
      八木 一郎君    田口長治郎君
      平井 太郎君    寺尾  豊君
      古池 信三君    松平 勇雄君
      郡  祐一君    青木 一男君
      重政 庸徳君    吉武 恵市君
      木村 睦男君    植木 光教君
      亀井 善彰君    長田 裕二君
      上田  稔君    佐田 一郎君
      菅野 儀作君    源田  実君
      熊谷太三郎君    久保 勘一君
      川上 為治君    山本  杉君
      米田 正文君    温水 三郎君
      森 八三一君    塚田十一郎君
      赤間 文三君    高橋  衛君
      斎藤  昇君    廣瀬 久忠君
     ─────・─────
   〔拍手、「議場開鎖、議場開鎖」と呼ぶ者あり〕
#36
○副議長(安井謙君) 議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔副議長退席、議長着席〕
#37
○議長(重宗雄三君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。中村英男君。
   〔中村英男君登壇、拍手〕
#38
○中村英男君 私は、日本社会党を代表して、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案について反対し、大橋君提出の修正案に賛成の意を表明するものであります。
 御承知のとおり、政府提出の法律案は、七月十日夜八時、衆議院社会労働委員会が理事会開会のため休憩中に、森田委員長ら自民党の議員二十一名が、衛視に守られて、突如第三委員室に突入して、谷垣專一理事が修正動議を出したと自民党が言っている法律案であります。しかし、その発言時間はたった三秒か四秒、可決したというときには自民党の委員諸君はたった七名しかいなかった。衆議院社労委員会委員部の事務総長への報告では、九名出席となっているが、それでも過半数に達しておりません。開会の放送も退去後に行なわれたもので、可決したと称すること自体、違法である法律案であります。
 また、この法律案は、七月の十四日未明、記名投票を中断、起立採決に切りかえるという、いまだ前例を見ないやり方によって採決の強行をはかった法律案でもあります。このことが憲法の第五十七条第三項の「出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。」とあることに違反する違憲、無効の採決であります。衆議院正副議長を辞任に追い込んだそのような法律案なのであります。正副議長が辞任したからといって、違法違憲が消えるものではないのであります。採決の以前に戻すことが、この際当然の措置であることは申すまでもありません。
 私は、このような意味から、政府案はすみやかに撤回されることが、しごく当然なことと考えるわけであります。このような前提に立って、この法律案の中身についても触れてみたいと思います。
 これまた、御承知のとおり、医療保険制度の抜本改正は、すでに天下の声となって久しいのであります。社会保障制度審議会及び社会保険審議会においても、今日の政府管掌健康保険の赤字危機の原因は、再三にわたる勧告または意見答申にもかかわらず、依然として無為無策に過ごした政府の責任に帰することを指摘し、抜本改正の早期実現は、もはや一内閣、一大臣の問題にかかわるものではないことを強調しているのであります。それにもかかわらず、政府は、抜本改正は広範多岐で根深い問題があるとか、あるいは政情の変化ということを理由にいたしまして、毎年同じ理由を繰り返し、じんぜん今日に及んでいることは、国民の失望を招くばかりではなく、まことに遺憾にたえない次第であります。そこでなお、このまま無為無策に過ごせば、医療保険制度が破綻するという理由で、政府は、政府管掌健康保険の窮迫した保険財政に対処する臨時応急の措置を講ずるために、一昨年、第五十六回臨時国会において、昭和四十四年八月三十一日までの時限立法として、多くの矛盾と問題点をかかえながらも、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律を強行成立さしたのであります。
 その内容は、保険料率千分の六十五を千分の七十に大幅に引き上げること、初診時、入院時の本人負担分を倍額に引き上げること、新たに外来投薬時の本人一部負担を設けたことなどでありまして、あくまでも懸案の抜本改正に移行するまでの臨時財政対策にすぎません。しかもその期間は二年という歯どめがしてあることは、すでに御承知のとおりであります。この二年間という歯どめは、従来から久しく批判の的になっていた抜本改正に対する政府の姿勢を前向きに正すという国民と国会の総意の表現であることは申し上げるまでもありません。
 これに対して、佐藤総理及び厚生大臣は、再三再四にわたって抜本改正の早期実現を公約し、その誠意を披瀝することによって国民及び国会の要請にこたえたことは、諸記録によっても明らかな事実であります。この公約は、抜本改正の検討を行なうということでなく、抜本改正の実施に移ることの意味であることは、国会における質疑、答弁の記録に照らしてもきわめて明瞭なことであります。
 このようにして臨時特例法の実施による財政効果は、当時政府が予想したよりはるかに良好な成績をあげ、保険財政は好転したのであります。すなわち、政府管掌健康保険財政の収支状況は、昭和四十二年度特例法成立時における赤字見込み額三百二十億円が、決算ではただの五十八億円にすぎず、四十三年度では予算編成時の赤字見込み額百四億円が四十五億円に減少したのであります。このままでいけば、四十四年度は黒字になるのではないかと思われたのであります。このように、財政収支で赤字見込みに大幅な狂いを生じたことは、収入を過小に支出を過大に見積もっているという批判があるにいたしましても、確かに特例法の効果、特に一部負担の受診抑制による波及効果の予想外に大きなもののあったことを如実に示すものであります。この事実は、特例法が被保険者本人の過重負担によって――もちろん保険料負担の増と一部負担の増でありますが――特例法が意図した保険財政における臨時応急の使命をみごとに果たしたことになるのでありまして、被保険者本人も、また二年間の過重負担をりっぱに耐え忍んだことになるのであります。
 この間にあって政府は何をしていたか。公約の抜本改正はどうなったか。驚くべきことには、政府はその責任を果たすべき代償として、特例法により臨時措置をさらに二年延長するというのであります。その提案理由の説明によりますと、「政府は与党と一体になって抜本対策の検討を続けている」、「今日なお抜本改革の成案を得るに至っていないことはまことに遺憾である」、そうして「この特例法が失効すれば、制度運営に重大な支障を生ずるから、特例法の延長はやむを得ない措置である」というのであります。さらに驚くべきことには、特例法による波及効果の予想外に大きいことに自信を得た政府は、特例法の延長に加えて、健康保険法及び船員保険法の一部改正を抱き合わせたことであります。その内容は、被保険者分べん費の最低保障額の現行の六千円から二万円に引き上げ、配偶者の分べん費の額を現行の三千円から一万円に引き上げるものであります。しかしながら、この財源については、保険料によって措置することとし、政府管掌健康保険及び船員保険の保険料率をそれぞれ千分の一を引き上げることとなっております。したがって、特例法が延長された場合には、保険料率は千分の七十一に引き上げられた結果となるのであります。保険料率の千分の一は、毎年の平均標準報酬月額の伸び率を一〇%として計算すれば、平年度分として、四十四年度では分べん費の給付額四十二億円に対して保険料の増収額は六十三億円、四十五年度では給付額四十五億円に対してその増収額は七十一億円、四十六年度では給付額四十八億円に対して増収額は八十一億円となって、分べん費の給付額と保険料の増収額との開きは年々大きくなり、保険料の差額増収分は有力な保険財源となるのであります。これは分べん給付の改善と称して、実は保険料の増収を企図するもので、まさに羊頭を掲げて狗肉を売るのたぐいであります。
 臨時特例法成立の経過にかんがみましても、この法律の内容には多くの欠点や問題点を内蔵しているのでありまして、その状態を長く続けることは許されないのであります。したがいまして、政府の公約は、二年以内に果たされなければならないものであります。それにもかかわらず、このような正常でない状態をさらに延長するばかりでなく、給付改善の美名のもとにさらに保険料の増収を企図して、抜本改正に対する政府の責任をすりかえようとするものでありますから、われわれとしては断固反対せざるを得ないのであります。今回の政府の特例法延長案につきましては、厚生大臣の諮問機関である社会保険審議会においても、異例な並行答申の形をとり、公益委員は、やむを得ないとするものの、政府及び与党の怠慢を強く責め、きわめて遺憾の意を表し、その延長を率直に肯定することができないと答申をしております。また、総理大臣の諮問機関である社会保障制度審議会におきましても、臨時特例法の成立の経緯、その後の経過に照らしまして、心から遺憾の意を表しておりますとともに、医療保険の前途に対して、まことに憂慮にたえないと、きびしく答申しております。
 このようにして、政府の抜本改正に対する政府の責任を回避し、一切の批判に目をおおい、提出された政府の延長案は、四十四年度における赤字二十七億円を見込んだものでありますが、これも従来のごとき数字の魔術を蔵しているのであります。
 四十一年以降、保険給付の伸び率は、保険料額のそれを下回っているのでありまして、政府の見込んだ平均標準報酬月額の増加率は平均一〇・五%で、労働省労政局調べの事例の調査より二・四%減となっております。かりに、本年の中小企業の春闘のアップ率を一七%であるといたしますれば、本年度の保険料の収入は七十四億円程度の増加であり、一六%であるとすれば、五十六億円程度の増加となりまして、四十四年度の保険財政は黒字であります。また、政府の固執する本人外来投薬時の一部負担の財政効果は、四十四年度は十八億円のほかに七十億円以上、四十三年度では五十億円のほかに百七十五億円、四十四年度は六十一億円のほかに二百億円以上の波及効果を有するものと推定されます。保険財政に影響することのいかに大なるものがあるかは窺知することができます。
 このような欺瞞に満ちた特例法延長案の実態をきびしく追及していた衆議院の社会労働委員会における審議の過程において、修正案なるものが一方的に強行された結果、政府案の実体はあえなくついえ去り、それまでの総理及び厚生大臣の国会答弁は、四十四年度予算案及び特例法延長案などを成立させるためのそらぞらしい方便であり、抜本改正に対する政府の誠意を疑わざるを得ないのであります。
 今回の与党みずからの手によって強行されたいわゆる臨時特例法等の修正案なるものの内容は、国民も知らず、いわんや総理大臣の諮問機関である社会保障制度審議会も、また厚生大臣の諮問機関である社会保険審議会も予想だにしなかったことであります。これが突如として、一回の審議も許されずして、与党の多数をもって強行されたと称しているものであります。
 もちろん、この修正案なるものは、政府提出案の単なる大幅修正ということにとどまらず、その基本的な性格をがらりとすりかえたものであり、言うならば、男女の性別の転換手術であります。その理由とするところは、政府原案に対する野党連合による熾烈な反対によって、延長案の成立困難に苦悩した自民党が、臨時特例法を廃止することによって野党攻勢を弱め、外来投薬時の本人一部負担を削除することによって与党内の反対を静め、抜本改正の責任根拠となる二年の時限を取り払うことによって、政府の政治責任を緩和することを意図するものであります。結局は、臨時特例法の実質廃案という形をとりながら、一方では、保険料率の千分の七十、初診時、入院時の一部負担倍額を本法に繰り入れ、恒久化、固定化して、保険財政の赤字をカバーしようとする苦肉の策であることは言うまでもありません。
 これは、党利党略に基づく政治の豹変であって、政府・与党が今日まで国民と国会に公約してきた政治責任をたな上げするものであり、臨時特例法の延長を目的とする政府原案を根本的にくつがえし、制度を大改悪するたちの悪いすりかえ修正案であります。
 厚生大臣の諮問機関である社会保険審議会は、このような、さきの政府諮問事項にもないような大幅修正が行なわれるということは、将来、社会保険審議会としても、諮問に応じて審議する意欲を全く失うものであると、その反省を強く厚生大臣に要望し、また厚生大臣は、さきの衆議院本会議においても、政府としては原案を最良と考えたが、党の修正案を示されてやむなしとしたと答弁をしております。その圧殺によるものであることをみずから告白をしております。
 申すまでもなく、この修正案のねらっている重要なポイントは、二年の時限をはずすことによって、医療保険制度の抜本改正の時期について、法的な歯どめを取りはずすことは明白であります。しかも、政府の抜本対策なるものは、人の命よりは金が大切だというがごとき保険財政の健全化だけにしぼってこれを考え、被保険者の負担を増加して、全体としての財政が安定すればよいというのが基本的な考え方となっているのであります。つまり、一番貧弱な政府管掌保険の財政が安定しさえすれば、もう一つ極言すれば、抜本改正の必要性はさほどなくなるというわけであります。この点は臨時特例法で措置されている千分の七十という保険料率を固定化、恒久化し、初診時、入院時の本人負担分を倍額に規定することによって、政府管掌健康保険の、いわゆる財政健全化に大きな役割りを果たすもので、患者、被保険者の負担のみによって制度の存立をはかるというものであり、一体、政府・与党は、本気で抜本改正をする気であるかどうかということに疑問を抱かざるを得ないのであります。たとえ、総理大臣が、さきの衆議院の本会議において必死に弁明をしたように、この修正案にかかわらず、抜本改正の早期実現を期する政府の決意に変わりはないと、大きな声で約束をいたしましても、今日までの実績と言行とによって、その疑惑は国民の間から消えないということを私どもは確信するものであります。
 今日、この法案が、私ども強く反対をし、また国民も重要法案であると受けとめておるのは何であるかということです。これは保険料が高いとか安いということもありますけれども、今日、日本の医療制度が後退をして、保険制度が先行した中に、非常に保険がたくさんの矛盾を内包してまいり、国民から言わしたら、なるべく安い保険料で、早くりっぱな治療をして健康を保持したいというのが国民の念願。したがって、この抜本改正は一番大きな眼目なんです。これをやってもらいたいというのが国民なんです。ところが、この改正によって歯どめはなくなった。そうして総理大臣は、抜本改正はしますと言う、厚生大臣も必ずやりますと言うが、一体、佐藤内閣は、いつまで続くんです。まさに寿命がなくなっておる内閣総理大臣が幾ら約束したって、私ども国民も信頼しない。この前のときでしたら、まだ佐藤さんも二年続くだろうと、こう思うたから、実は、国民も佐藤さんのことばを信じて、時限立法反対ではあったが、この抜本改正に期待を寄せておった。これを裏切った政治的責任はきわめて重大なんです。
 今日、日本の医学は非常に進歩しておる。せっかく進歩した医学が、今日の日本の保険制度では国民に適用されないという矛盾、不満が出ておる。これを直すことなんです。これが根本なんです。いま、自民党は何を考えておるか。きょうも佐藤総理は、あるいは厚生大臣は、直せるところから直す――そんなことはあたりまえのことです。だれだってやる、そんなことは。直せるところから直す、楽なところから――難儀なことをやるのが総理大臣の責任なんです。楽なことをやるんなら中村だってやるんだ。これが問題なんだ。具体的に抜本改正というのはきわめてむずかしいのです。非常にむずかしい。このむずかしいことを佐藤内閣は二年間でやるという約束をしたから、なかなか佐藤さん、よろしいと思って、法案には反対したけれども、男ぶりを見直した。今度はどうなんです。全くけしからぬ。この臨時特例法を廃案にして、この間、何を言うかというと、政府管掌保険法、船員保険法等の一部を改正する、この「等」だけで本法にすりかえておるのですね。こういうごまかしをやってはいかぬです。これが国民が信頼しないゆえんなんですね。
 いま日本の医学はどんどん進んでおる。この進んだ医学を国民に適用して健康を保持し、日本の生産に参加できるようにするのが政治です。また一人一人もそういう医術を適用してもらって健康を保持したいのですね。これが抜本改正の根底なんです。もちろん職域や地域、非常に複雑多岐です。こういうことを統合することもいいでしょう。しかし、それはその程度なんです。簡単にするというだけなんですね。事の本質じゃないのです。そんなことをいじくっていてはつまりませんよ。
 これは医療担当者にしてもたくさんな不満があるでしょう。技術は適正に評価されない。診療報酬は適正でない。大学を出て六年も七年もたって開業しても、あるいは三十年開業した熟練者も同じ評価なんですね。非常に矛盾をたくさん持っておる。しかも、どんどん医学は進むけれども、この日本の保険制度の中では制限をされて、りっぱな修得した医術というものが適用されない。そろばん勘定しなければならぬような保険制度、また、政府も財政のバランスを合わすことだけを考えておる。ここに間違いがある。で、医療担当者はどうかというと、一生懸命やってみたところで、数でこなさなかったら生活できぬような仕組みにしておる。なるべく数を少なく見て、りっぱな手術をして、りっぱなことをしたらいい――それができぬような保険制度にしてしまった。医療担当者の身分も保障されていない。医療担当者はみんな人間がいいから一生懸命働いておる。一生懸命働いて、そうして患者から信頼を受けないような、そういう仕組みにしておるのです。これがよくない。やはり患者が医者を信頼していくところに、初めて治療が行なわれるのです。
 言うなれば、これはたくさんなそういう矛盾を持っている。だから理屈の上で、いや、日本の国は資本主義経済、自由経済ですから保険制度です。――あたりまえの話だ、そんなことは。ただ、端的に素朴に思うことは、病気になっても、ぶらっと医者のところに行ったら、何にも持たずに手ぶらで、保険証書か何か、通いを持って行ったら、そのままりっぱな治療がしてもらえることが、理屈は保険でも保障できる、それでなければいかぬ。何もそれは社会主義制度でなければいかぬ、資本主義制度でなければいかぬという問題じゃない、幾らでもできる。そういうことにこだわっておるから、りっぱな政治がなされない。食糧問題でもそうでしょう。自由主義経済ですよ、自由主義経済ですけれども、ちゃんと米を生産する生産者は、安心して米ができるように、つくれるような生産価格、消費者は、国民が安心して安い米が食えるような消費価格、この二本の柱で食管法があるんでしょう。自由主義経済でもあるんです。幾らでもそういうものができるんです。医療だってできるんです。何も私どもは、医療の国営を言っておりません。言っておりませんけれども、自由主義経済においても、幾らでも、医者も喜び、国民も喜ぶという方法は、やり方一つによったらある。何も資本主義だ、社会主義にこだわることはないのです。これがまともな政治――間違った政治なんですから、こういう答弁をしてくれたらみんな納得するんですよ。何か法律にこだわって、こむずかしいことを言いよるから、わしらみたいな頭の悪い者はわかりゃしない。
 そういうことですから、少なくとも国民は何を要求しておるかということは、端的に言えば、手ぶらで行って、りっぱな手術がしてもらえる、治療がしてもらえることを望んでおる。これをしなきゃいかぬ。ところがむずかしいでしょう。行ったって、自分は掛け金はかけるけれども、何ぼか金を出せとか、何かこむずかしいことばっかり言っている。お医者さんにしてもそうです。一生懸命治療しても、数をこなさなかったら――むずかしい事務をさせられておる。医者をやっておるか、事務屋をやっておるか、わからぬような制度です。
 こういう、言えば一時間でも二時間でも、この保険制度の間違いというものはあるのです。この間違いをこういうようにすりかえて、目先をごまかして、そんなことでやろうというところに問題がある。一番悪いことは、こういう根本に目を移さずして、これは重大法案だ、通さなきゃいかぬ、何が重大法案か、政府は知っておるかというと、重大法案であるのは、掛け金が千分の六十五が七十になるとか、薬代がどうこうというということだけではないんです。この抜本改正を政府がやるかやらぬかということが、この法案の重大な部面なんです。(拍手)これをはずすところに、私どもはけしからぬと言っているんです。もちろん、医療保険制度はありますよ。そんなことだけで私どもはこだわっちゃいないのです。それは、政治を動かす者としてよろしくないというたてまえをとっておるだけの話で、この法律そのものは、抜本改正を早く、いろいろの人の意見を聞いて、いろいろな機関にかけて、早く、国民が待望するような、それが保障であり保険であって、へ理屈はどうでもいいから、ぶらっと行って、お医者さんのところへ行って、早く病気がなおせるような、しかも医者が、そういうことをしながら自分の生活が安定できるような、安心して医療ができるような、そういう仕組みにしてもらいたいというのが、素朴な国民の念願なんです。
 時間がありませんから次はもう言いませんが、こまかなことはもうたくさんの諸君が言ったから申し上げませんが、少なくとも、きょうは佐藤総理が見えておりませんが、私は佐藤総理が見えておったらこっちを向かずに言うつもりでした。こういう間違ったことをしないように、これは保険だけじゃないんですよ。大学法を通す。それはいろいろ言うでしょう。理屈はいろいろありますけれども、少なくとも、そのことによって国民はどうなる、国はどうなるかという大局によって法案の処理をしたいというのが私どもの念願なんです。そういう意味で、(「賛成か反対か」と呼ぶ者あり)この健康保険法及び船員保険法の法律は、修正案を私どもは……(「賛成か」と呼ぶ者あり)しまいを言います。真に、先ほど申し上げましたように、国民のためになる医療保障、医療保険を決定されることを強調いたしまして、大橋君提案の修正案に対して私は賛成討論をするものであります。(拍手)
#39
○議長(重宗雄三君) これにて午後四時まで休憩いたします。
   午後二時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時八分開議
#40
○議長(重宗雄三君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
 討論を続けます。上原正吉君。
   〔上原正吉君登壇、拍手〕
#41
○上原正吉君 私は、自由民主党を代表いたしまして、衆議院から送付されました健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案に賛成の意見を開陳するものでございます。
 過ぐる五十六臨時国会におきまして、医療保険制度に関する抜本改正が行なわれるまでの臨時応急措置として、二年間の時限法として臨時特例法が制定されたのでございますが、医療保険に関する抜本改革の問題はきわめて広範多岐にわたる複雑な問題であり、各界の意見も大きく分かれているため、ついにこの期限内に成案を得て、実施する見通しは困難となったのであります。しかし、抜本対策が実現するまでの間、何らの対策もなく放置するわけにはまいらないので、健康保険及び船員保険の特例措置をさらに二年間延長するとともに、出産時における被保険者の経済的負担を軽減するため、健康保険及び船員保険の分べん給付の改善をはかる必要があるとして、政府より本法律案が提案されたのであります。しかしながら、以上の政府提出案に対し、衆議院におきまして、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律の延長は取りやめ、これに伴い、政府管掌健康保険等の財政対策については、最小限度の必要な措置を健康保険法等本法に規定する内容の修正が行なわれたのであります。
 修正の具体的内容の第一点である薬剤の一部負担を取りやめることについては、各方面から非常に強い要望が従前からございましたので、これにこたえたわけでございまして、衆議院社会労働委員会における参考人からも、薬剤の一部負担は取りやめるべきであるという意見が述べられております。
 また、厚生大臣の諮問機関である社会保険審議会の答申書の中にも、「一部負担は医療保険制度のたてまえから全廃すべきであり、特に薬剤の一部負担は、医学の立場からも、事務負担の関係からも解消すべきである。」との意見が委員のうちでも表明されております。薬剤一部負担については、従来、診療抑制に関連して問題とされておりましたが、これは、元来、もっぱら当面の財政対策として設けられたものであり、統計的にも診療抑制の事実は明確ではありません。もし、かりに診療に対して何らかの影響があったという立場に立ってみても、一部に言われているように、これを廃止すれば、乱診乱療におちいるといった性質のものではないと思うものであります。したがって、この修正は各方面の要望に沿うものであり、きわめて妥当な措置であると思うのであります。
 修正の第二点である分べん給付の大幅な改善も、従来から要望の強いところでありましたが、これの実施にかかわらず、その財源措置としての保険料率千分の一引き上げを取りやめたことは、これまた、国民要望にこたえるとともに、その負担を大幅に軽減するものであり、妥当な措置であると思うのであります。
 次に、修正の第三点である、臨時措置法で健康保険等の財政対策としての必要措置として規定されておりました保険料率千分の七十及び初診時、入院時の一部負担を健康保険本法に規定した点は、健康保険等の抜本対策を実現するまでの暫定措置であり、斎藤厚生大臣も入院時、初診時の一部負担についても、抜本改正のとき、これを前提とせず検討する趣旨の、また本院及び衆議院における審議の際、佐藤総理は、抜本改正は非常に困難な問題をはらみ、影響も大きいだけに各界の意見を十分聞き、国民が納得するよう努力する。改正を二年以内に実施することに最善を尽くす所存であるとの、また、福田大蔵大臣も、修正案により約六十四億円の収入減になるが、被保険者の昇給等による保険料収入増で、政管健保の保険財政も著しい影響を受けないであろうとの、また、二百二十五億円の国庫負担の将来については、抜本改正の一環として慎重に考えたい旨の答弁があったこと等を考慮すれば、これまた妥当な措置であると思うのであります。
 政府管掌健康保険は、今日の時点でどうすることが被保険者、国民にとって最も妥当な措置であるかを考えますとき、抜本対策の実現が諸般の事情で困難となった今日、臨時特例法がこのまま廃止されるようなことがありましては、保険財政は破綻し、制度の崩壊のおそれすらあるのであります。政府が明確に約束しておる抜本改正の実現まで、今回の衆議院修正案によりまして健康保険の破綻を防止するとともに、薬剤の一部負担を取りやめ、被保険者に対する分べん給付の改善をはからんとする衆議院修正は、妥当な措置と考えられるのであります。
 なお、以上の措置を船員保険等にも準じて修正を行なうこともあわせて妥当な措置だと思うのであります。
 以上、今回衆議院において修正されました送付案に対して、私は賛成の意を表するものであります。したがって、大橋和孝君及び鈴木一弘君提出の修正案には反対するものであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#42
○議長(重宗雄三君) 山本伊三郎君。
   〔山本伊三郎君登壇、拍手〕
#43
○山本伊三郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、社会党の大橋和孝君の修正案に対し、賛成の意を表すると同時に、政府・自民党の案に対し、絶対反対の意思を表明するものであります。(拍手)
 本日、佐藤総理大臣の出席されないのは、まことに残念でありますが、私がこれから申します問題点について、厚生大臣は、とくと総理に伝えていただきたいのであります。
 そもそも本法律案ほど奇々怪々なしろものはございません。先日、本院――この本会議で、この本案を説明されたときの法律案の題名は、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案と呼ばれておったのであります。しかるに、先日中間報告を強引に求められたときの法律案は、すでにその姿を変えまして、健康保険法及び船員保険法の一部を改正するという内容に、しかも題名も変えられておるのであります。このような法律を呼んで風来坊法律というようであります。どこに所在があるかわからないということらしいのであります。このようなえたいの知れない法律案を、良識の府である本院において審議することは、私個人といたしましても、末代までの痛恨事であります。(拍手、笑声)何を笑うのです。
#44
○議長(重宗雄三君) お続けください。
#45
○山本伊三郎君(続) また、その立法過程を見ても、全く異常な経過をたどってきたのであります。
 私は、本法案に対する反対の理由といたしまして、二つの大きな問題を指摘したいのであります。
 その第一は、まず立法過程であります。衆議院における審議の実情は、たびたび論じられていますが、衆議院社会労働委員会では、ほとんど内容の審議を行なわれず、しかもその採決に至っては、出席議員の何人なるかをつまびらかにされず、強引に可決されたと聞いております。また、本案の衆議院本会議における採決も、違憲の疑いのある暴挙にひとしいものであるに至っては、言語道断と言うべきであります。
 また、本院における審議の実態も、国会史上初めての中間報告を強行せしめ、また、期限つき委員会審議の強行は、多数党の暴挙の悪先例として、千古にその悔いを残すものと私は思います。(拍手)
 さて、私は、本案の実態と内容について論じたいと思います。この法律の源は、健保の抜本改正に端を発しているのであります。いまからちょうど二年前の第五十五国会に健保特例法として姿をあらわしましたが、野党の反対で成立せず、次の第五十六国会で再び提案されて、難航の末、八月の十八日についに成立したものであります。当時の政府の説明は、医療保険の抜本改正の行なわれるまでの暫定措置として、二年間の時限立法として提案されたのであります。そして二年後には、健康保険制度の抜本改正を必ず出すとの約束であったのであります。私は、当時本院の社会労働委員長といたしまして、この政府の答弁に全くその真意を理解することはできなかったのであります。それよりも一種の当時怒りを感じたほどでありました。これほど一時のがれの政府の答弁はなかったのであります。
 そもそも健康保険制度の抜本改正とは、一体何を意味するものでありますか。若干でも医療保険の実態を知る者においては、その抜本改正のいかに容易でないものかということは知っているはずであります。今日、健康保険の抜本改正を望む声は、一つの国民の世論となっていることは事実であります。しかし、抜本改正抜本改正といっても、その立場立場において三者三様であります。おのおの異なった希望と構想を持っていることは御存じのとおりであります。被保険者である労働者は、労働者としての要求があります。社会保険よりむしろ社会保障への道を進むべきであるという意見であります。また、診療担当者としての医師会は、医師の立場としての要求があります。また、健保連合会または事業主は、支払い者の立場から、診療担当者、すなわち医師会との間に鋭い対立のあることは、皆さん御存じだと思います。このような三者三様の対立意見を十分知りながら、二年間の期限で抜本改正とは全く国民を愚弄したものであると、その当時、私は考えておったのであります。しかも、この際も強引に健保特例法を、しかも、臨時国会を開いてまでこれを成立せしめたものであります。私は、二年前のこの健保特例法成立の際に、すでに政府の許すべからざる責任を責めなければならないのであります。
 しかるに、また、昨日の総理の答弁の中にも、いまの上原君の自民党の賛成演説の中にも、二年間の延長はまあ修正されて時限立法でなくなったけれども、二年後の通常国会には抜本改正を出す決意を表明されたのであります。そのことをよく吟味いたしますと、きのうの佐藤総理のことばの端には、きわめて語尾が明らかになっておりません。抜本改正案の提案できるよう努力すると結んでいるのであります。さすがに自民党の総裁であります。――ほめている意味で言っているんじゃないですよ。非常にのがれ道をいった答弁をしておられます。私は、現在の政府も、昭和四十六年八月までに抜本改正の困難なことを自覚しておると思うんです。それは、私が推測はできます。もし、政府が真に抜本改正を断行する意思があるなれば、すでに、その要綱を示して、社会保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問しておらなければなりません。このような重要な、利害関係の相反するものを同審議会において、一年、二年ぐらいで結論の出るはずはございません。もし、それを出すとするならば、政府のメンツを立てて、中間答申として、ほんの一部、抜本どころか、ほんの枝葉末節な改正案を答申さして国会に出すことは火を見るよりも明らかであります。もし、政府・与党の諸君が、私のこの断言に対して反論があるならばやってもらいたいと思うのであります。私は、自信を持って言えるのであります。もう二年といえば、来年は安保条約改定のときであります。この政治問題の大問題のときに、おそらくこの健保抜本の改正に関する答申が出せるような政治情勢では私はないと判断しておる。かりに、来年春に出ましても、その年末の予算にどう組むか、政府部内の意見も対立すると思います。先ほど申しましたように、医師会対支払い者の関係というのはきわめて微妙であります。これをどう調整するか。いまの佐藤内閣には、それだけの力はないと、私断じておるのであります。
 次に、私は、今回政府が説明した、また、昨日の厚生大臣の答弁に従って出されたところの抜本改正の要綱について、政府の考えておることの間違いを指摘しながら、論じたいと思います。
 昨日、厚生大臣、また総理大臣が衆議院で言われました抜本改正の要綱が、四つ出ております。第一は、負担の公平化と給付の均等化であります。第二は、地域保険と職域保険及び老人保険の組織の再編成、第三に、診療報酬の体系の是正、第四に、医薬分業を検討するということであります。これは、医薬分業について結論を出すといっておりません、検討するということで逃げております。私はそれもそうだと思うのです。医薬分業の問題がうわさされてからすでに数十年になります。戦前から医薬分業がいわれておりますけれども、これは実現しない。あとで私は申し上げますけれども、医薬分業というものがはっきりしない限り、医療保険の抜本的な改正はあり得ないと私は信じておるものであります。
 そこで、第一の負担の公平化と給付の均等化の問題であります。一体、負担の公平化と給付の均等化とは何を意味するものでありますか。政府は、おそらく保険料または保険税の統一をよもや考えておるとは思われないのであります。また、給付の統一化を考えているとも現在の段階では思えないのであります。このこと自体、きわめて困難な問題であります。御存じのとおりであります。
 現在、医療保険の範疇に入るものは、まず健康保険法があります。この健康保険法には、また政府管掌と組合管掌という、同じ法体系でありますけれども、問題を含んだ、いわゆる被保険者が存在しておるのであります。そして、海上労働者を対象とした船員保険法があります。次に、日々雇用という変わった形の労働者を対象とした日雇労働者健康保険法があります。また、公務員及びこれに準ずる労働者を対象とした各種の共済組合法があります。以上は、称して被用者保険として雇用労働者を対象とした医療保険であります。
 また、これに対して、地域保険と称して、農民、自営業者を対象としての国民健康保険があることは御存じのとおりであります。しかし、この地域保険の中には、例外として――これは厚生省の怠慢とは思いますけれども、五人未満の零細企業の被用者労働者が含まれておること自体も問題があります。これまた後に触れますけれども、政府の便宜主義によってかようなものが残っておるのであります。これが医療保険の体系を非常に乱しておることも、また抜本改正に支障のあるところであります。
 以上述べました五種類の医療保険は、その内容は医療を主体として、国民の健康保持を目的とするものであるが、その立法の趣旨は、おのおの違っておるのであります。ここにもまた、医療保険の抜本改正の困難な問題が伏在しておることは、御存じのとおりであります。この立法趣旨及びその歴史の相違が、抜本改正の困難な重要な要素になっているのであります。
 たとえば、健康保険法の立法過程を見ますると、この法律は、社会保険の先駆として大正十一年に成立したものであります。当時は、わが国の社会情勢は、労働運動の勃興期でありました。当時の政府は、労働者の懐柔策として、資本家の労務対策の必要上から、実はこの健康保険――内容は医療保険でありますけれども、その立法趣旨でつくったものであります。衆議院の、戦前、大正当時のこの衝に当たったのは、かつて自民党の総裁になられた鳩山一郎氏が特別委員会の主査をされておったと記録が出ております。したがって、労働対策の立法趣旨が重点でありますので、保険財政の組み立ても事業主に多くこれを課するという方法をとっておるのであります。これは当然のことであります。その当時、資本家陣営、いわゆる経営者陣営から、この健康保険法すら立法に対しては猛烈な反対があったのであります。いかに日本の資本陣営の方々が社会保障制度に対する認識がなかったかということは当時を見ましても明らかであります。このことは被用者保険、単に健康保険だけではありません。被用者保険の特徴となっております。したがって、保険料の負担は被保険者には軽く事業主には重いというのが、これが通例であります。それだけではないです。今日の大企業の健康保険組合の実情を見ましても、自己の企業の経営上の利得を考えて、従業員の健康管理の必要上保健施設も比較的充実されております。このことをもって医師会の方々は、健康保険組合管掌の組合は財政が非常にいいんだ。したがって、その財政を、財政の悪い国民健康保険のほうに流すことによって医療の内容が充実するという主張をされておることを散見しておるわけでありますが、それは私は基本的に間違いだと思うのです。このような立法趣旨と歴史を持つ健康保険法の被保険者と、他の医療保険の対象者との負担の公平化、給付の均等化といっても、これはとうてい言うべくしてなしがたい問題がその底にひそんでおるのであります。そのことを政府がはっきりと認識して、二年後にこの抜本改正の第一の要項をどう実現するかということが問題であります。しかも、今日の自民党は大産業、大企業の基礎に立っておる政党であります。すなわち、独占に支配されておる現政府でありますので、この大資本の厚い壁がいまの自民党の力で破れるかどうか、私は注目をしておるのであります。私がここで論ずるだけじゃない。事実二年後にこれはあらわれてくるのでありますから、私の言うことが間違いであるかどうか。二年後にはこれは証明されるという事実があることをはっきりと皆さまに言っておきたいと存ずるのであります。
 また一方、日雇労働者健康保険法でありますが、これは御存じのように、別な立法趣旨があります。これはいわゆる戦後、失業対策の一環としして生まれたものであります。日々雇用の労働者はきわめて低賃金であります。しかも、その就労も安定性がないのであります。したがって、この対象の被保険者に対しては負担を軽くし、主たる財源は国がまかなうという立法の趣旨でなければなりません。その意味において、負担の公平化、給付の均等化ということは、被保険者たる日雇い労働者の保険料をむしろ低く押えて、そうして給付水準を一定の線まで上昇さすことが負担の公平化であり、給付の均等化と、私は信じておるのでありますけれども、はたして、そういうものが二年後に出てくるかどうか、これも参考のために覚えておいていただきたいと存ずるのであります。
 また、次に、各種共済組合、これは公務員あるいは公務員に準ずる公社、これらの働く方々を対象としたいわゆる医療保険の体系の一部であります。この方々が、民間の健康保険の被保険者と同じ体系であることは言うまでもありません。ただ、その雇用主が国または地方公共団体、その他、特殊な団体に雇われておるという特殊な関係から、保険料なり給付も若干の相違のあることも認めざるを得ないのであります。このように、被用者保険のみをとってみましても、負担の公平化、給付の均等化という抜本改正の第一要項を実現するにしても、なかなか困難な問題を含んでおることは、私だけでなくして、自民党の中にも、医療保険、社会保険のたんのうなベテランがおられますから、私の言うことに腹の中で賛意を表している方もあると思うのであります。
 次に、問題の地域保険といわれる国民健康保険であります。この法律は、昭和十三年成立したものであります。しかし、この成立までにはいろいろな論議過程があります。当時は、御存じのように、シナ事変が起こり、大東亜戦争に日本が突入しようという、きわめて軍国色の強いときでございました。したがって、政府は、強兵策の必要なことを痛感しておったのであります。特に、農村の医療及び健康対策というのは、強兵策に重要な役割りを演じておるということを痛感しておったのであります。当時の内務省の社会局の国民健康保険創立の要綱を見ましても、その意味が十分にじみ出ているのであります。その立法精神も、戦争遂行、強兵策が目的であったことは、当時のいま申しましたいろいろの政府の要綱案によっても明らかに示されておるのであります。
 しかし、戦後は、この国民健康保険も、国民皆保険の基盤として運営されて発展してきたことは、私も認めざるを得ないのであります。しかし、その給付の内容はきわめて低く、この国民健康保険が抜本改正の根源をなしておると言っても過言ではないのであります。すなわち、この国民健康保険の対象者は、さきに述べましたごとく、農民、自営業者、そして五人未満の零細企業の労働者でありますため、一部には、なるほど、高額所得者も含んでおりますけれども、ほとんどが低所得者の一般市民であります。したがって、その保険財政はきわめて悪く、その給付も劣悪であることは、御存じのとおりであります。
 以上、抜本改正の第一の要項である負担の公平と給付の均等化を通観して得られる結論は、低所得者を対象とする国民健康保険、政府管掌の健康保険の両者と、他の比較的進んだ健康保険あるいは共済組合の財源と給付水準をどう調整するかということが、これは一番重要なポイントであります。政府は抜本改正として、この負担の公平化と給付の均等化をどう打ち出してくるかは、私は火を見るよりも明らかであります。それは比較的財源の豊かな医療保険から、給付水準の低い財源の乏しい医療保険に対しての財源のプール制であります。しかし、単純なプール制ではおそらく各種医療保険の被保険者は納得しないので、それに似通った制度を持ち出してくることは十分警戒しなければなりません。おそらく厚生当局でもすでにそういうことを考えておると私は推測をしております。また、給付水準にいたしましても、この受益者負担という論理を拡張いたしまして、いわゆる一部負担金という制度が私はまた出てくると思うのです。薬代に対する一部負担金は、どういうことか自民党の修正案でこれを取った。またあとでこれを述べますけれども、これもひとつ重要な伏線があると私は見ておるのであります。そのことは、私がいま申しましたことの立証として、第二の抜本改正の要項である地域保険と職域保険の組織の再編成を主張されておるところにその含みがあるのであります。なぜ職域保険と地域保険の組織の再編成をするかということは、おのずから私が先ほど申しました意図を含んでおるところを忘れてはならぬと思うのです。いま質問の時間でありませんから政府にただすわけにいきませんけれども、そういうことはありませんという政府の確言が得られるかどうかであります。厚生大臣はここにおりますけれども、討論の時間でありますから答弁ができないことを喜んでおられると思いますけれども、そういうことを十分胸におさめてもらいたいと思います。
 私は抜本改正とはそのようなものであるとは考えておりません。まず今日の最も問題になっておるこの国民健康保険――地域保険、国民皆保険の重要な役割りを演じておるところのこの国民健康保険の財源を政府がどこまで負担するかということであります。現在、給付費の四五%、市町村に対して事務費の負担をしておりますけれども、これに対してはそう大きな負担は必要はございません。私の経験からいきましても、もう五%、五〇%に引き上げれば、特殊なところは別でありますけれども、給付水準も引き上げ、財源的にも私はいけるという自信を持っておるのでありますけれども、それがなかなか政府はやらない。そのように、もしこの国民健康保険、地域保険のこの経営がスムーズにいくようになれば、あえて政府は苦労して国会でいじめられて、いじめられても抜本改正を出すということを言わなくてもいいのであります。現在、市町村に対する事務費の負担も実は超過負担の原因となっているわけなんです。いわゆるこの実績どおりの補助金を出さないために市町村は非常に苦しんでおることは自民党の諸君も御存じのとおりであります。皆さん方も非常に運動されておるのです。したがって、五〇%まで政府の補助金を引き上げ、市町村に対する事務費を、十分とは言いませんけれども、必要な実績だけ負担すれば私はこの国民健康保険も一応自律的に給付を引き上げ、運営も私はスムーズにいくと信じておるのでありますが、以上述べましたこのことから、一体健康保険自体、その制度上に抜本改正の必要がどこに大きな問題があるかということであります。
 抜本改正を叫ぶ政府の意図が、政府の財政負担をできるだけ押えて給付水準を実質的に引き下げるものであるならば、われわれは断固反対せざるを得ないのであります。かつて一昨年だと思いますが、私がまだ社労委員長のときだと思いますが、厚生省試案を出して世間の非常な批判を買うたことは御存じのとおりでございます。これを追及いたしますと、あれは事務的な、事務の間の問題であって、それが新聞社にスクープされたということで断わりを言っておりましたけれども、その一端をのぞかしたものも、私のいま言ったような被保険者なりあるいは保険者の犠牲によって抜本改正をやろうという意図のあることはうかがえるのであります。われわれの言う抜本改正とは、まず、各種医療保険の先頭をいく給付水準に引き上げることであります。そして所得の再配分の理論を含んだ負担の公平をはかることであります。社会保険か社会保障かの論議は学者の間にもあります。また、国会の審議にも出てきますし、それは観念的な問題として私はいずれでもよい、政府がこの社会保険に対し、医療保険に対しどれだけ力を入れるかどうかの問題であります。
 そこで私は、以上健康保険の制度組織についての抜本改正の問題点を指摘したのでありますが、私は、この抜本改正を考えるならば、現在の日本の医療制度を改革しなければとうていいかないと思うのであります。前にも若干触れましたけれども、今日の日本の医療制度では、いかにその上に乗っかっておる上層建築物の健康保険制度をいらおうとしても、改正、改革しようと思っても、それはだめです。泥津の中にビルディングを建てるようなものであります。したがって、今日の医療制度は自由開業のたてまえであります。私はそれをいいとか悪いとかいう論議をきょうしたくはありません。したがって、そのような自由開業主義でありますから、きわめてその診療機関が偏在しております。しかも、現在いまだ、厚生省の調べでは無医部落が二百数十もあるということであります。町村合併で区域が広くなりましたから、無医村という村単位の医者のおらないところはございませんけれども、部落部落を検討すると、まだお医者さんのおられない部落が二百以上もあるということであります。また、診療機関の設備にいたしましても非常に不均衡であります。一方、例をとりますけれども、今日教育機関である小中学校はどんな山間僻地にも設けられております。教師もりっぱに派遣されております。教育の機会均等がほぼ国民に徹底しておるのであります。しかるに、人間の生命を守る医療機関が、なぜ僻地の国民に機会均等が行なわれないのでありますか。国民総生産が世界第二位と誇らしく言っておりますけれども、これで文化国家と皆さん言えますか。
 私は、この原因は、医療関係者、すなわち医師、薬剤師及び看護婦等、その他多くの診療従事者の処遇の問題と人員不足に帰するものと思うのであります。特に、診療の第一線で働いておられる看護婦さんの人員不足は、すでに叫ばれて久しいものがあります。しかるに、政府は一体どんな手を打ったのでありますか。今日、看護婦の夜間勤務が大きな社会問題となっておることは御存じのとおりであります。
 政府はこの際、医療制度の根本的な改善を考えるべきであると私は思うのであります。いわゆる健康保険制度の抜本改正の基盤として、医療制度の改革というものが重要な要素である。これを私は十分皆さん方に知っていただきたいのであります。
 次に、私は医薬分業について少し触れておきたいと思います。
 今日世間では、お医者さんが薬を商い、薬剤師が化粧品を売っておる、こういう悪口を言う人があります。しかし、これはあってはならないことでありますが、この悪口は、今日のわが国の医薬制度の実態をあらわしておるんじゃないですか。薬剤師さんは化粧品を売らなければ生活できないという実態であります。私は、あえて欧米の実情を引例することはいたしませんが、なぜこのような医師が薬を扱うことに多くを費やし、薬剤師が薬種製造業者の手先として、その商品の小売りに、また化粧品の小売りに奔走しなければならないんですか、私は理解に苦しむものであります。高度な学問をして世に出た人材は、もっと国が大事にしなければならぬと思います。日本人は、物に対していろいろ大事にする観念がありますけれども、人に対してはきわめて冷酷であります。特に現在の政府・佐藤総理は人命尊重を言われますけれども、人間に対する考え方はきわめて冷酷であります。社会保障の現状を見ましても、私はそれを立証できると思うのであります。願わくは、政府は勇気を持ってやっていただきたいと、まだ希望はつないでおります。
 政府は、医療保険の抜本改正と称して、先ほど触れましたように弱い老いじめの保険料の引き上げとか、受益者負担の意味を取り違えて一部負担金を考え出すとか、こそくなことばかりに気を配らずに、医療制度の抜本改正と社会保障の原則に立って抜本改正を考えていただきたいのであります。
 次に、私は、本案の内容について、反対の意見を若干述べたいと存じます。
 本案が最初国会に提出せられたときは、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案となっていたことは、先ほど申したとおりであります。そうして、この法律の内容の主体は第一条であったわけであります。第一条の臨時特例の期間の延長というのが、この法律の主体であったわけであります。それが突然衆議院で自民党の一方的な修正でこの第一条を削除されたわけなんです。私は、長い国会生活で、法律の第一条を削ったというような法律は見たことがないのです。御存じのように、法律の第一条は、その目的なり、その法律の基本を規定したものであります。その第一条を削除して、しかもこれが修正だというようなことに至っては、法制上の問題はこじつけてもいいのでありますけれども、少なくとも立法府に身を置く者としては、これは避けるべきであります。この第一条が削除された瞬間に、この法律はその性格が変質したのであります。その法律はなくなってしまったのであります。そして新たなる法律ができたのであります。このようなものを、しかも先ほど申しましたように、強引に、十分な審議をせずに、本院においても委員会における一回の趣旨説明もやらずに中間報告をするとは、少なくとも今後私らのあとあとに、国会議員として参議院に籍を置く人があるでしょう、いまこの法律を審議しておる与党、野党を問わず、いまおる国会議員のいかに能足らぬかを暴露することであります。その性格が変形して、母法である健康保険法及び船員保険法の改正案となったのであります。このような修正は、先ほど申しましたように、法制上は無理をしてもできると思いますが、なかなかわれわれ立法論としては納得できないのであります。このことにつきましては、本院においても同僚諸君が何回も触れられましたので、こまかいことは省略をいたします。
 私は、いま問題になっています健康保険法の特例法が第五十六回国会で審議されたときの社会労働委員長として、一言触れておかなければならぬことがございます。当時厚生大臣は坊秀男氏でありました。私は坊厚生大臣と数度議論をいたしました。委員長でありますから、委員会においての正式な議論をいたしませんけれども、大臣からも私的に意見を聞かれたこともあります。それは「政府は二年後に抜本改正を必ず出すと言うが、そんなことは一体あなたできると自信を持っておりますか。」、私はいまだから言っていいのでありますけれども、「この二年間の時限立法は衆議院で修正されてつけられたのであるので、私は自信がありません。」、私は坊厚生大臣は正直だと思っておる。おそらく医療保険の今日の実態を知る者としては、それは当然です。当時はこの健康保険特例法の重要な問題点は、実は政府管掌の被保険者の保険料を千分の五引き上げるということよりも、制度的には薬代の一部負担の新設が大きな問題であったのであります。また、健康保険に対して若干の知識を持つ者は、保険料については労働者の掛け金を取るのでありますから、基本的に反対であるけれども、健康保険の制度として薬代に一部負担金を課するということは非常な問題があったわけであります。それを実は今度は簡単に、自民党は内部でどういう話があったか知りませんけれども、あっさりこれを削除したわけであります。私はこの点については問題がありますけれども、それは別にいたしましょう。
 この健康保険制度上非常に問題があるということを、これを投げ捨てて削った以上は、あとに残るものは財政問題だけであります。二百二十五億の赤字、もう今日二百二十五億は、本年度も二百二十五億負担することでありますが、実際は、決算の上では、それは非常に変わってくると思うのです。私の試算では、おそらく四十四年度においては百五、六十億の赤字でないかと思っております。もっと減るかもわかりません。したがって、この制度上の一番問題の薬代の一部負担を削って、財政上の問題だけで、これほど騒動をしなければならないんですか。政府管掌被保険者は二千万以上おられる。それらの方々に、わずか二百億以下の傘を出すのが、政府はそれほど問題がありますか。この点が、私はどうしてもこの法律案審議の過程の問題――一応別途にいたしましても、政府はなぜ強引にこれまで押してこなければならないんですか。私は、この問題はあとに含んでおると見ておるわけであります。いわゆる抜本改正とつながる問題であります。もし、この特例を廃止して、もとの健康保険法の姿に返れば、政府管掌被保険者の保険料率は千分の六十五になります。特例を廃止するんでありますけれども、実質的には千分の五の保険料の引き下げになる。これが次にくる健康保険法の抜本改正に大きな支障のあることは認められるわけであります。したがって、わずか二百億程度の問題で衆議院は数日徹夜をし、参議院も徹夜をして、これほど大騒動しなければ、自民党の皆さん、皆さん方は二百億程度の金を政府から引き出すだけの力はないのですか。私はこの際、自民党は意地になっておられてはいかぬと思うのです。低賃金で苦しんでいる、また、物価の上昇で生活難にあえいでいる政府管掌の被保険者、中小企業の労働者が主体であります。農民が主体であります。それらの方々に対して、なぜ私は、政府は財政的に寛容な措置はとれないかと思うのであります。健康保険のこの問題で、廊下で自民党の皆さんとお話しいたしますけれども、個人的に会うと、私の意見に賛成の方が相当あります。私はよく考えていただきたいと思います。皆さん方は政権を取っているんですよ。野党が幾ら言ったところで、おそらく政府は聞きませんけれども、皆さん方が一丸となれば、このような問題は消えてしまうのであります。そうして、きょうもあしたも徹夜をせずに済むわけであります。私はいま申しましたように、わずか千分の五の引き下げについては、おそらくこれだけの問題であれば、福田大蔵大臣もおそらく無理をしてでも出すと思うのでありますけれども、これが今後の抜本改正につながるという、大きな綱のかかっておることをよく御存じであると思うのです。それが今日この健康保険の改正案に対して、執拗に、強引に自民党・政府が打ち取ろうという考えがここにあるということを、私は指摘しておきます。皆さんの中には、自民党の諸君でも、そういうことを知らない人があるかもしれませんので、特に、忠告をしておくわけであります。
 私は、最後に政府・自民党の皆さんに申し上げます。
 医療保険は、一億国民がすべて該当する問題であります。また、国民の生命にもかかわる問題であります。真剣に考えていただきたいと思う。私の演説に若干やゆ的なことがありますので、お笑いになる方もあると思いますけれども、きわめて真剣に考えていただきたいと思う。わずかな財源の出し惜しみによって、政治の不信を買うもとになることを私は心から悲しむのであります。
 以上、政府・自民党の猛省を促して、撤回を要求するのであります。
 最後に、社会党の修正案につきましては全面的に賛成するものであります。
 これはおそらく自民党の諸君は、腹の中で、何だと思われるかもしれませんけれども、真剣にこの修正案を玩味してもらいたいと思う。社会党と公明党の修正案の内容には、若干の相違はありますけれども、この医療保険が、国民の生活にどれほど重要であるかということを身にしみた修正案であります。直ちに、財政的にそれが実現するかどうかは、われわれ政権はとっておりませんけれども、その線に前向きに進むことこそ、日本の社会保険の発展の大道であるということを宣言いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
     ―――――・―――――
#46
○議長(重宗雄三君) 近藤信一君外一名から、賛成者を得て、
 本日はこれにて延会することの動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#47
○議長(重宗雄三君) すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。(「早過ぎるぞ」「それじゃおことばに甘えて、あなたがよしと言うまでここに立っているよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)私語を禁じます。――すみやかに御投票願います。――投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#48
○議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#49
○議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百十五票
  白色票           九十四票
  青色票          百二十一票
 よって、本動議は否決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      九十四名
      原田  立君    峯山 昭範君
      田渕 哲也君    山田  勇君
      塩出 啓典君    藤原 房雄君
      萩原幽香子君    山高しげり君
      市川 房枝君    三木 忠雄君
      内田 善利君    上林繁次郎君
      阿部 憲一君    中尾 辰義君
      沢田  実君    多田 省吾君
      黒柳  明君    宮崎 正義君
      中沢伊登子君    田代富士男君
      鈴木 一弘君    二宮 文造君
      渋谷 邦彦君    向井 長年君
      高山 恒雄君    山田 徹一君
      柏原 ヤス君    白木義一郎君
      小平 芳平君    村尾 重雄君
      上田  哲君    和田 静夫君
      松本 英一君    安永 英雄君
      竹田 四郎君    杉原 一雄君
      達田 龍彦君    小野  明君
      森  勝治君    鈴木  力君
      中村 波男君    小林  武君
      松本 賢一君    佐野 芳雄君
      林  虎雄君    松永 忠二君
      大矢  正君    横川 正市君
      小柳  勇君    加瀬  完君
      秋山 長造君    藤田  進君
      北村  暢君    成瀬 幡治君
      小笠原貞子君    春日 正一君
      河田 賢治君    岩間 正男君
      前川  旦君    戸田 菊雄君
      竹田 現照君    山崎  昇君
      木村美智男君    村田 秀三君
      川村 清一君    大橋 和孝君
      田中寿美子君    沢田 政治君
      松井  誠君    矢山 有作君
      瀬谷 英行君    吉田忠三郎君
      西村 関一君    鶴園 哲夫君
      野上  元君    千葉千代世君
      山本伊三郎君    武内 五郎君
      森中 守義君    近藤 信一君
      鈴木  強君    森 元治郎君
      阿具根 登君    永岡 光治君
      中村 英男君    久保  等君
      岡  三郎君    羽生 三七君
      亀田 得治君    占部 秀男君
      大和 与一君    木村禧八郎君
      藤原 道子君    松澤 兼人君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百二十一名
      任田 新治君    内藤誉三郎君
      高橋雄之助君    田村 賢作君
      小林  章君    伊藤 五郎君
      後藤 義隆君    白井  勇君
      横山 フク君    植竹 春彦君
      木内 四郎君    山崎 五郎君
      山本敬三郎君    若林 正武君
      渡辺一太郎君    安田 隆明君
      矢野  登君    増田  盛君
      長屋  茂君    永野 鎮雄君
      中山 太郎君    高田 浩運君
      中村喜四郎君    西村 尚治君
      八田 一朗君    宮崎 正雄君
      柳田桃太郎君    佐藤  隆君
      黒木 利克君    楠  正俊君
      岡本  悟君    高橋文五郎君
      土屋 義彦君    船田  譲君
      江藤  智君    大竹平八郎君
      大谷藤之助君    柴田  栄君
      青田源太郎君    栗原 祐幸君
      藤田 正明君    梶原 茂嘉君
      小枝 一雄君    前田佳都男君
      増原 恵吉君    鍋島 直紹君
      徳永 正利君    西郷吉之助君
      新谷寅三郎君    石原幹市郎君
      河野 謙三君    上原 正吉君
      杉原 荒太君    剱木 亨弘君
      安井  謙君    山崎 竜男君
      平泉  渉君    玉置 和郎君
      沢田 一精君    近藤英一郎君
      玉置 猛夫君    大松 博文君
      鈴木 省吾君    今  春聴君
      小林 国司君    久次米健太郎君
      佐藤 一郎君    山内 一郎君
      山本茂一郎君    中津井 真君
      林田悠紀夫君    鬼丸 勝之君
      大森 久司君    津島 文治君
      岩動 道行君    和田 鶴一君
      河口 陽一君    丸茂 重貞君
      二木 謙吾君    鹿島 俊雄君
      長谷川 仁君    井川 伊平君
      櫻井 志郎君    金丸 冨夫君
      谷口 慶吉君    村上 春藏君
      田中 茂穂君    西田 信一君
      平島 敏夫君    山下 春江君
      山本 利壽君    八木 一郎君
      田口長治郎君    平井 太郎君
      古池 信三君    松平 勇雄君
      郡  祐一君    青木 一男君
      重政 庸徳君    吉武 恵市君
      木村 睦男君    植木 光教君
      亀井 善彰君    長田 裕二君
      上田  稔君    佐田 一郎君
      菅野 儀作君    石原慎太郎君
      源田  実君    熊谷太三郎君
      久保 勘一君    川上 為治君
      米田 正文君    木島 義夫君
      温水 三郎君    森 八三一君
      三木與吉郎君    塚田十一郎君
      高橋  衛君    迫水 久常君
      斎藤  昇君
     ─────・─────
#50
○議長(重宗雄三君) 討論を続けます。原田立君。
   〔原田立君登壇、拍手〕
#51
○原田立君 私は、公明党を代表いたしまして、政府提案の健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案に反対、社会党大橋和孝君より提案説明のあった修正案に対し反対、公明党鈴木一弘君から提案説明のあった修正案に賛成の意見を表明し、討論を行なうものであります。
 さて、全国民周知のとおり、本法律案は全く異例の内容を持ったものであり、自民党の党利党略的姿勢が随所にうかがわれる改悪法であると断ずるものであります。私は、その悪法たるゆえんを討論をもって論及し、政府の政治姿勢についてきびしく追及するものであります。
 申すまでもなく、この健保特例修正案は、去る七月十日の衆議院社会労働委員会で強行可決され、同院本会議では、延々四日間に及ぶ徹夜審議の後、十四日未明に至り、国会史上に前例を見ない記名投票から起立採決に切りかえられるという異例の手続の中、大混乱のうちに強行可決され、本院へ送付されたいわゆるいわくつき法案であります。しかも、このような異常な国会の混乱は衆議院から本院へと舞台を移し、議会政治の形骸化をさらに一段と深めようとしている現状なのであります。この異常なる国会運営の責任を負って衆議院正副議長が辞任するという結果を生じ、後任の松田新議長が健保修正案の異常採決による衆議院の混乱収拾に全力を傾け、努力していた最中に、自民党はまたまた参議院内閣委員会で防衛二法案を強行採決し、今国会における強行採決の回数のレコードを更新したのでありました。しかも、同法案は、足かけ三日にわたる参議院本会議の徹夜審議を経て成立させたのでありますが、息つく間もなく、突如、健保法案の中間報告を求める動議を提出してきたのであります。従来、中間報告は、委員会審議が長引き、しかも重要法案であり、会期切れになるおそれを防ぐ唯一の手段として議長職権で委員長に報告を求め、本会議にかけ、一挙に可決するという政府・自民党の用いてきた多数権力を頼む戦術であります。それはただし、あくまでも委員会での審議がある程度進行していることを前提としているものであります。しかるに、今回の健保改正案は、衆議院本会議における前例のない起立採決で可決され、本院へ送付されたものであり、したがって、本法案の処理には重大な憲法上の疑義が残されているのであります。あまつさえ本院社会労働委員会では、
いまだに提案理由の説明さえ行なわれていなかった段階で中間報告を求める動議が提出されたことは、これまた国会史上前例がないのであります。
 しかもまた、理不尽にも三日間の期限づきで社労委員会に差し戻し審議せしめたという、いわゆる形を取りつけるという卑劣なやり方を行なうに至っては、あきれ果てて憤りを持つのであります。
  思い起こせば二年前の健保国会においても、本院では中間報告が求められ、時の委員長は、このような形で委員長として中間報告をしなければならないのはまことに不本意であり、残念であると、痛憤な面で、絶対多数を頼みとする与党の権力にふんまんやる方ない気持ちで報告をされたのもついこの間のことでありました。このときも徹夜審議で成立を見たのでありますが、この場合でも、質疑はもちろん、参考人の意見聴取も行なわれていたのであります。いままでにも幾度かこのような中間報告は行なわれてきましたが、その最悪の例は、去る昭和三十三年の特別国会で成立した市町村立学校職員給与負担法の改正のときであります。このときは、本院文教委員会で提案理由の説明があっただけで、一回の審議も行なわれないうちに、自民党が突如中間報告を求め、一挙に可決してしまったのであります。提案理由の説明があれば、審議をしなくても中間報告を求めることができるという先例がこのときつくられたわけでありまして、国会運営の最も中心となるべき委員会制度を無視し、これを踏みにじるおそるべき悪例を残したのであります。政府・自民党が去る七月二十三日の本会議で防衛二法案が成立するや、直ちに健保修正案の中間報告を求める動議を出したことは、この悪例をさらに上回るおそるべき理不尽の暴挙であり、いまや言うべきことばさえ出ないのであります。ルール違反に次ぐルール違反を積み重ねたあげく、憲政の道義感覚を全く喪失してしまった狂気のさたと申す以外に何ものもないのであります。
 いまさら申すまでもなく、国会は国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関であります。さらにまた、本院は最高の言論の府であり、良識の府であります。したがって、二院制の議会制度の本質からしても、衆議院の行き過ぎを是正し、あるいは補足する等、特に法案の審議省略等については、慎重に審議すべき使命を有する独自のチェック・アンド・バランスの機関であります。しかるに、国会史上に全く前例のない、本院における本法案の中間報告を求める自民党の動議は、まさに二院制を無視し、参議院の存在をも抹殺する暴挙であって、議会民主制を多数という暴力で破壊するものであると言わざるを得ず、絶対に容認できないところであります。
 もとより、民主議会政治においては、多数決は否定することのできない鉄則であります。しかしながら、一たび国会を通過し、成立した法律は、与野党を問わず、賛否を問わず、いかなる人々もこれを順守すべき義務があります。いわんや、法律の審議に参画して、国会を通過させた以上、与党のみではなく、反対した野党議員においても、重大な責任を負うことは、理の当然であり、責任の回避は免れないのであります。ばく大な予算を伴う法案は当然のこと、国民生活に重大な影響を与える法案等は、そのゆえこそ、理を尽くして審議せねばならず、加えて、衆議院におけるあのような混乱からしても、本院における審議には、慎重審議と重大な責任が負荷されているのであります。
 佐藤内閣及び与党・自民党は、一体何を考えているのか。私なりに推測を加えてみると、まず、防衛二法案を成立させたあと、健保、大学の二法案を、来月五日までの会期内にごり押しで、是が非でも強行突破、成立させようとするのを至上命令とし、あわせて、七〇年安保問題に対処するためには、野党の抵抗の多い重要法案は、すべて今国会で成立させ、極力荷を軽くして、明年の通常国会に臨むかまえのように感じられる。このような既定のスケジュールのもとに、政府・自民党は、健保、大学法案の審議を急ぎ、世論に背を向け、耳も傾けず、手段を選ばず、法案成立に持ち込もうとしているのであります。議会政治の破壊も、憲法無視も、安保堅持の目的のためには、すべて正当化され得るのだと考えている佐藤内閣の政治姿勢には、一点の謙虚な反省などはなく、まさに、みずからの手で首を締め、議会民主主義を足げにし、平和憲法に弓を引く行為であって、ちょうど十年前の六〇年安保の大混乱を引き起こし、みずから崩壊していった岸内閣の姿に全く相通ずるものがあると思うのであります。
 以上の観点から、私は、まず、政府の基本的な政治姿勢に対し、きびしく批判するとともに、猛省を促し、本法案の討論に入るものであります。
 わが国の医療制度は、形の上では国民皆保険が実施され、一応世界の水準を歩んでいるようにも見えます。しかし、そこにはいろいろな制度が乱立しているため、多くの欠陥や問題点が山積しています。これらの諸問題を解決することが、抜本改正であり、現在強く要望されているところであります。
 まず、その第一は、乱立する制度と運営形態がばらばらな現状にあって、いかにこれを統合していくかの問題がある。さらにまた、社会保障の原則からして平等であるべきはずの制度に、数多くのアンバランスがある。
 第二の問題点は、医療保険には、それに関係する団体が非常に多く、それぞれの立場から、抜本対策に対する意見や主張が述べられる。それは当然のことでありますが、立場を異にするため、意見、要望が相反したり、矛盾するようなものもかなり見受けられ、その調整は容易でない。そうして多くの審議会や調査会でも、その入り口で激突し、内容の具体的審議に入れないことすらたびたびであった。
 第三には、国民自身が健保そのものに深い関心を寄せるように政府は格段の努力をする必要があります。すべての国民が現在何らかの保険に入っていながら、多額の保険料を取られていること以外には、保険のシステムについてほとんど知らないというのが現状であります。一般国民の健保に対する関心の度合いが、そのまま抜本改正案の内容を大きく左右すると考えるからであります。医療と医療保険、医療保険と社会保障などの関係から見ても、医療界ほど込み入ったものはないと思います。このような医療界のすべてから合理性、共通点を見つけ、取捨選択しつつ医療制度のあるべき姿を求め、確立していく以外にありませんし、政府の努力もそこに集中すべきであることは論をまちません。審議会方式は、その代表的な仕組みと言えますが、従来の審議会は必ずしもわれわれの期待に沿うものではなかったと思います。ある一部の圧力団体などの力が影響してその本意を曲げた傾向があったからであります。一般的に取り上げられる抜本改正の骨子としては、次の五項目があげられると思う。
 一つに、保険財政の長期安定、二つに、医療給付の割合の是正、三つに、保険料負担の均衡化、四つに、診療報酬体系の適正化と支払い方法の合理化、五、医療保険に関連ある制度の整備、近代化の五つであります。
 この五項目は、医療制度の改革を願う人々の共通して指摘する点であります。医療保険の中心は、病気になったときの診療が対象であり、疾病の予防、社会福祉行政の中に関連を持たせてこれを推進することが最も大事な点であります。したがって、戦傷病者の病気、原爆被害者の医療、公害病、ハンセン氏病、精神病、老人病などは当然公費負担として取り行なわれるべきであり、その予算を十分組み込むことが政治の要諦であると主張するものであります。しかるに、今回衆議院より送付された違憲の疑いある特例法の修正改悪案は、被保険者の国民に保険料率を健保本案に引き上げて、恒久化して、その赤字を解消しようとするものであり、断じて反対であります。
 また、今回の分べん給付は矛盾きわまりない。千分の一の料率引き上げは取りやめても、実際に出産に要する費用は実情に沿っておりません。特に配偶者に対する定額一万円は、あまりにも低いと言わざるを得ません。また、政府・自民党の修正案は、国庫負担についても、従来どおり二百二十五億となっております。これでは、保険給付費の準備や保険料収入の増加と対比すると、むしろ国庫負担は実質的には減額になっていると言えますし、据え置きは矛盾そのものであります。政府管掌の健康保険は弱体な社会保険であり、財政措置が必要であることは当然であります。わが党の修正案では、二五%の国庫補助を提案しておりますが、この点についても政府の猛省を促すものであります。
 現行の健保特例法は、しばしばいわれてきたように、去る昭和四十二年第五十六国会において抜本改正ができず、二年間の時限立法として、世論の反対にもかかわらず、強行可決されたものであります。しかも、その条件としてきめられた二年間の期限が切れる本年八月までに、政府が責任をもって健康保険制度の抜本改正を行なうことになっていたわけであります。政府も、この点に関しては、かねてより本会議やあるいは委員会で繰り返しその実現を公約してきたのであります。ところが今日に至るも、政府はみずからの抜本策を示すことなく、無為に月日を費やしてきたのであります。これは、一にかかって政府の保険制度の抜本改正に対する熱意の欠除と、国民の利益を第二義にしていることは、だれの目にも明らかなことであります。しかも、期限切れの間近となるや、政府は国民に対する公約など全く忘れたかのごとく、再び健保特例法の延長を提出してきたのであります。佐藤総理をはじめとする政府の恥も外聞もない厚顔ぶりには、全国民があいた口がふさがらないのであります。
 また、健保特例法延長法案の今国会提出にあたっても、総理並びに厚生大臣は、衆参両院本会議においてひたすら低姿勢を示し、二年間の延長を乞うたのであります。総理はいま私がここに立っているこの壇上において、国民に向かって異例の陳謝を行なった事実を、われわれはいまだ忘れるわけにはいきません。ところが急に、健保特例法延長法案を廃案にするような修正案を急遽衆議院社会労働委員会に提出し、しかも提案理由の説明もなされず、採決したと称し、衆議院本会議で違憲の強行採決をし、また、参議院本会議においては、委員長の中間報告を求める動議を出されるという、およそ常識では想像のつかない暴挙をあえて強行しています。しかも、廃案にするような特例法延長法案を何ゆえに今国会に提出したのか、全く理解に苦しむものであります。
 次に、健康保険制度の抜本改正に対する政府の姿勢、取り組み方について、さらには、健康保険制度運営の姿勢について、その誤りを指摘するものであります。
 健保制度の抜本改正については、二年間の期限つきで検討されて今日に至ったにもかかわらず、時限立法たる特例法延長案を廃止し、自民修正改悪案によって恒久化することは、抜本改正の意欲を失ったものと判断する以外にないのであります。たとえ抜本改正の実現が困難だからといって、安易に本法の改正によってお茶を濁そうとする態度は、決して許されるべきものではないのであります。政府みずからがすでに世間で言うがごとく、さじを投げていて、一体だれが現行の医療保険制度のさまざまのひずみと、保険財政の赤字を解消するでありましょうか。ましてや、その解決策として、保険料率、入院料、初診料の引き上げを恒久化し、国民大衆にしわ寄せを行なおうとする本修正案は、断じて承認できないところであります。
 さらに重大な問題点は、今回の修正案が社会保険審議会の審議を経ずして提出されたということであります。もちろん医療保険団体の意向や、要望は全く無視されたわけであります。原案については一応問題点を指摘しながらも、原案延長やむなしとした同審議会の答申をも無視した態度は、社会保険審議会の存在理由を失わしめるものであります。これは、政府・自民党が党利党略のために、みずからの手で健保制度運営のルールを破壊する行為であり、何ら弁解の余地のないところであります。さらに言うならば、このことは、政府・自民党に医療や医療保険について一貫した主体性も対策もないことを、あらためて国民の前に立証したものであります。
 私は、いまここで、総理はおいでになっておりませんが、斎藤厚生大臣、どうか総理にもお伝え願いたい。関係大臣に次の点を特に指摘しておきたい。あなた方に現在必要なことは、現行の健康保険制度の抜本改正を実行するという決断を持てということであります。肝心な決断なくして場当たり主義的な方法論に終始している限り、ますます悪化することは明らかであります。
 このように提出経過に不可解な要素をはらみ、法案自体にも数々の問題を持っている法律案が、この上、正常な国会審議を経ることなく通過するならば、一体、国会の使命は、そして本院の使命はどこにあると言えるでありましょう。政府・自民党のたび重なる暴挙に慣激しているのは私一人だけではありますまい。佐藤総理の実兄である岸元総理は、いみじくも「声なき声に耳を傾ける」という名言を残されました。私は「声なき声に耳を傾けよ」とまでは申しますまい。せめて、「声ある声に耳を傾けよ」と言いたいのであります。しこうして、声ある声に耳を傾けて、すみやかに本法律案の撤回をはかるべきことを強く主張するものであります。
 また、このたびの自民党・政府の数々の暴挙は断じて許すことはできないのでありますが、議会制民主主義を守る立場から、百歩譲ったとしても、本法案を委員会に差し戻し、議会制民主主義のルールに基づき、十分な慎重審議を実施すべきことを強く主張するものであります。
 このように、健保特例法案に対する自民党修正案は、特例法制定の経緯から政治的にも、道義的にも明らかに不信行為であり、また、これは公党間の公約である抜本策を怠り、本法である健保法を改悪し、保険料率の引き上げ策を恒久固定化するもので、断じて容認できないところであり、政府・自民党は、この際、健保特例法改正案を廃案とし、あらためて成規の手続のもとに、すみやかに抜本的健保改正案を提出することを強く要求するものであります。
 以上が、政府原案に対し反対する理由であります。
 次に、公明党提出の修正案に対し賛成する理由を申し述べます。
 すでに趣旨説明で明らかにされたとおり、本修正案の内容は、第一に、健保案の保険料率を千分の六十五に修正しようとするものであります。第二に、分べん給付は、本人四万円、配偶者二万円と修正しようとするものであります。第三に、政府管掌健康保険事業の執行に要する費用の国庫補助については、四分の一と修正しようとするものであり、そのいずれもが、制度運用にあたってこれまで政府がなおざりにしてきた当面最小限の修正であり、当然のことと、賛成の意を表明するものであります。なお、大橋和孝君提出の社会党修正案につきましては、わが党といささか趣を異にいたしますので、残念ながら反対するものであります。
 以上をもって私の討論を終わります。(拍手)
#52
○議長(重宗雄三君) これにて午後九時三十分まで休憩いたします。
   午後七時十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後九時四十分開議
#53
○副議長(安井謙君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
 討論を続けます。萩原幽香子君。
   〔萩原幽香子君登壇、拍手〕
#54
○萩原幽香子君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となっております健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、反対の意見を申し述べたいと存じます。
 なお、社会、公明両党御提出の修正案につきましては、おのおの、まことに傾聴すべき点、多々あるわけでございますが、わが党は、抜本改正が一日も早く実現されますことを願っておりますので、残念ながら、両党の修正案には賛成いたしかねます。
 本論に入るに先立ちまして、まず、政府の公約不履行、ごまかしの政治姿勢に対し、不満の意を表し、政治的責任を追及するものでございます。
 昭和四十二年のいわゆる健保国会におきまして、政府は、健保特例法を二年間の時限立法とし、その間に医療制度の抜本改正を行なうことを国民に誓ったのでございました。よもやお忘れになってはいないでございましょう。自来、国民は、政府が、二年後に必ず抜本改正をする、と言ったことばを信じ、苦しい生活の中から、政管健保の赤字解消に協力を続けてまいりました。かくて、特例法実施以降、政管健保の財政状況は明らかに好転をしてきております。
 すなわち、昭和四十年の単年赤字は四百九十七億でありましたのが、昭和四十二年度では五十八億、さらに四十三年度では四十五億、四十四年度の赤字見込み額は二十七億と激減を続けております。このように政管健保の財政を好転させた主役は、中小零細企業に働く勤労者並びに農民であったことは肝に銘じていただきたいと存じます。
 ところが、こうした人々の努力をよそに、政府は、漫然と二年間、なすことなく過ごし、長い国会のどたんばになって、突如として、国民の大方の期待にそむくような大修正案を提出されました。この与党の案が発表されますや、国民の落胆と憤りの声は日を追うて高まり、私の手元にも、この法案の粉砕を訴えるはがき、手紙、電報が毎日のように寄せられております。この国民大衆の願いを踏みにじり、また、二年前にわが党が、時限立法の際に尽くした努力への裏切りを思いますとき、ふつふつたる怒りが込み上げてまいります。この政治的にも、道義的にも許すことのできない背信行為について、強く反省を求めたいと存じます。
 今回の修正にあたって、与党は、薬代の一部負担を廃し、分べん給付改善のための保険料率の引き上げを取りやめたことに対して、あたかも国民の期待にこたえ、善根を施したかのごとき言を弄しておられますが、内容をつぶさに検討すれば、決して自慢に値するようなものではございません。すなわち、昭和四十四年度は、賃金ベースの大幅引き上げにより、小中企業を主体とする政管健保におきましても一六%ないし一七%の引き上げが予想され、それだけの増加分を見れば修正された六十四億の赤字は解消されるはずであり、さらに、最近の受診率の横ばいの傾向から見て、政管健保は単年度黒字に転ずるであろうことは、大方の見通しでございます。船員保険におきましては、すでに四十三年度以降黒字になっておりますことは、いまさら私が申し上げるまでもございません。このように、前述の修正は当然過ぎるほど当然のことであり、むしろ、薬代につきましては、最近の薬価値下がり傾向にかんがみ、薬価基準改定を行ない、薬価値下がり分を保健財政に充当すべきだと存じます。
 さらに、分べん給付問題につきましても、このたび予定されておりました分べん費引き上げに伴う給付分に要する保険料率は千分の〇・七以下であり、この母性保護のやかましく叫ばれております現在、総生産世界第二位を誇るわが国が、コンマ以下の保険料を一にまで引き上げて取るなど、狂気のさたと言えるのではございませんでしょうか。こうしたことで、自慢がましくおっしゃることについて、私たちはむしろ憤りを感じるのでございます。
 次いで医療費の現状について考えていただきたいと思います。
 昭和三十八年以降、わが国の医療費は年々二千億の増加を見ており、国民所得の平均伸び率に対し、医療費の伸び率は約二倍、二〇%に達している実情でございます。本年度について申してみましても、医療費は約二兆円で国民所得の五%になっており、これはヨーロッパ先進諸国と比べましても決して少ない額ではなく、しかも総医療の中に占める薬剤費の割合は、ヨーロッパ諸国が二〇%以下であるのに対し、わが国は四〇%をこえているのでございます。このことは、わが国診療報酬体系のひずみを端的にあらわしていると言えましょう。また、医療機関は都市に偏在し、「保険あって医療なし」というまことに深刻な問題を投げかけております。
 こうした実情に対して、社会保険審議会は、去る三月、その答申の中で、政府が厚生省事務当局試案を発表しただけで、一切を与党にゆだねていることをきびしく非難しておるのでございます。また、社会保障制度審議会は、去る四月三日の答申で、抜本対策について、従来のような手段によってはとうてい筋の通った成果を早急に期待することは不可能である、政府は、英国の王立委員会のような機構をつくり、少なくとも原案作成はこれに一任することを勧告したいと指摘していますが、この答申に沿って十分検討すべきだと思います。
 とにかく、いままでは、特例法という歯どめがあり、二年の時限で政府は医療制度改革を義務づけられておりましたが、今回の修正でこの歯どめさえ失われてしまったのでございます。国民の不安と怒りはますますつのるばかりでございましょう。昨日来の質問者への御答弁の中で、繰り返し抜本改正の意思のあることを表明されておりましたが、そのおことばは信じてよろしいのでございましょうか。国民はもうだまされないぞという気持ちを固めております。政治不信これに過ぐるものはございません。
 さて、これから私は修正の問題点に触れてまいりたいと存じます。
 まず第一の問題点は、今回の衆議院修正は、健保特例法の延長法案を事実上廃案にして本法の改正を行なおうとしている点でございます。これは、当初の原案である二年間の時限立法であった特例法の性格を本質的に変えるもので、いわば新しい立法措置を講じたことになります。このような大修正をするのであれば、まず社会保障制度審議会及び社会保険審議会にはかるか、または、あらためて提出し直すべきでございましょう。そうした手続もとらずに、政府は事前に閣議決定を行ない、やむを得ないと述べておりますが、これは修正案に政府が関与していたことを示すものとして、まことに許しがたきことでございます。しかも、健保特例法の延長のかわりに本法を措置することになれば、長期固定化されて、健保特例法延長以上の改悪と言わなければなりません。
 次いで、保険料と国庫負担について考えてみたいと存じます。
 今回の改正では、わずかばかりの分べん費を引き上げて、保険料千分の七十や、初診時、入院時の一部負担を本法に規定して恒久化をはかったことは、被保険者や患者に過重な負担をしいる結果になり、社会保障の本旨にももとることであることは論をまたないところでございます。
 一方、財政対策では、政府は二年前の二百二十五億をそのまま据え置いています。この額では、保険給付費の伸びや保険料収入の増加と対比して、実質的には逓減していると言うべきで、ここにも大きな問題がございます。つまり、政府の考え方は保険主義に徹したものであり、社会保障の精神には全く相反した態度と言うべきでございましょう。(拍手)
 ここで特に私は、分べん費の問題で政府の怠慢をつきたいと存じます。昨年七月、私たちは同盟の女子従業員とともに全国で百万の署名を集め、お産の十割給付を園田前厚生大臣に申し出たのでございました。園田前厚生大臣は、全国から集まった百万の女子の願いを込めたその署名に驚かれて、期待に沿うべく努力する旨を約束してくださったのでございました。私たちは喜びに胸をふくらませたのでございましたが、さて、このたび私たちの前にあらわれた額は、本人最低保障額二万、被扶養者は定額で一万という、まことに要求とはほど遠いものでございました。
 さて皆さん、この物価高の中でこれだけの額で子供が産めるとお考えでございましょうか。一体、いま一人の子供を産むためにどれほどの費用が要りますか、男性諸君御存じでございましょうか。(拍手)零歳から十四歳までの子供の数が十年連続して減り続けている国はわが国を除いてはほかにないということは皆さん御存じのとおりでございます。日本の前途を思いますとき、まことに憂慮にたえません。心身ともにすこやかな子供を安心して産める措置を講ずることは、現在のわが国にとって急務とはお考えになりませんか。斎藤厚相、どうぞきょうお見えでない佐藤総理並びに福田蔵相に、十分この旨をお伝えいただきたいと存じます。
 次いで船員保険法については、現行船員法では、二十トン以上の漁船の乗り組み員が適用を受けることになっておりますが、これはどうしても五トン以上の漁船に適用範囲を拡大することが必要であり、理由は、あらためて申し上げるまでもないと存じます。また、船員労働の特殊性にかんがみ、療養給付における一部負担制度の改善を早急にやるべきだと存じます。
 なお、今後の問題といたしまして、抜本改正を待つまでもなく、緊急にやるべきものを申し上げてみたいと存じます。
 まず考えたいのは母子保健法の改正でございます。さきにも申し上げましたように、わが国の妊産婦または乳幼児の死亡率は、先進諸外国に比べて二倍ないし三倍の高率を示しているのでございます。これはわが国の母性保護対策が著しくおくれている証拠ではございませんでしょうか。人道上からも、民族発展の上からも、すみやかに対策を立てるべきだと思います。
 なお、働く母親たちの最近多くなってきた現状にかんがみ、育児休暇、つわり休暇制度の立法化も急ぐべきだと存じます。
 また、ILO第百二号条約につきましても、わが国は福祉国家を唱えながら、また国際的に地位を高めるためにも、この批准はぜひ急ぐべきでございますが、いまだに積極的に批准しようとされないことはまことに遺憾でございます。
 昨日のこの種の御質問に対しての御答弁の中で、まだ機が熟していないといった意味のことの御答弁がございましたが、やる気がなければいつになっても機は熟さないと存じます。早急に機を熟させるよう御努力を願います。
 また、この際、医療費の適正化をはかる方途として、社会保障制度審議会の答申でも提案されておりますように、官給レセプトを採用すべきだと存じます。
 また、自己の責めに帰することのできない疾病や不慮の災害などにつきましては、健保などの社会保険とは別の公費による医療体系の中で処理するよう具体案を出すべきだと存じます。こうした点にも何ら配慮なされていない現状に対して、私は不満を感じずにはおられません。
 さらに、成人病対策、僻地医療対策、看護婦などの充足対策等々、当面緊急な問題が山積しており、これらの施策は抜本改正を待つまでもなく早急に解決をはかるべきだと考えます。真に国民のしあわせを願うなら、手をこまねいている怠慢は一瞬たりとも許されないところだと存じます。
 最後に、「健康は人間活動の源泉である。それは、経済発展の原動力であり、民族繁栄の基盤である。疾病は、人生の破綻であり、生活転落の因であるとともに民族衰亡につながるものである。」このりっぱなおことばは一体どなたがお出しになったものでございましょうか。ほかならぬ与党の国民医療対策大綱の書き出しなのでございます。私は感銘深くこのことばを拝見いたしましたが、さて、ひるがえって、その裏づけになるものはと考えましたときには、まことにむなしいものを感ぜざるを得ないのでございます。「ことばのうるわしきは花のごとく、実のなきことヤマブキのごとし」、これが佐藤内閣にささげる私のことばと申し上げては失礼になるでございましょうか。
 今国会におきまして、今日までに幾たびか強行採決、審議が繰り返されてまいりました。民主政治の前途に深い憂いを禁ずることができません。
 以上述べてまいりました点に加えて、さらにいま一度、民社党は、本法案に断固反対せざるを得ない理由を付言させていただきたいと存じます。
 いずれの法案につきましても、それぞれ野党各派には異なった意見のあることは当然でございますが、本法案に対しましては、期せずして社会、公明、民社、共産、第二院クラブと、全野党が一致して反対行動をとってまいっております。それは法案の内容についてのみではなく、相次ぐ政府・自民党の暴挙に対しての強い憤りのあらわれと存じます。そうした中で、わが民社党に対してささやかれていることばの中に、平素の民社党らしくないではないか、他の野党と同じ行動をとるのはおかしいではないか、等々。しかし、そのことばは、民社党の真髄を御存じないところから出たものでございましょう。民社党は、あくまで議会制民主主義を貫くことがその党是でもございます。それを破るものに対しては断固戦いをいどむものでございます。
 皆さん、二年前のことを思い起こしてください。衆議院の健保法案審議の段階において、各党の意見が一致せず、ために政府は窮地に追い詰められたことがございました。その際、わが民社党が一策を案じ、二年間の時限立法として提案して、政府及び各党間にあっせんの労をとり、政府に協力をいたしました。その結果、前述のように、政府は国民の前に二年間を期して必ず抜本改正を行なうことを誓ったのでございました。そのいきさつをお忘れになったのではございますまい。にもかかわらず、その公約をほごにし、国民に犠牲をしいようとしているのです。政府に力をかし、国民に抜本改正を誓わせたわが民社党を完全に裏切った今回の措置は絶対に許すことができません。皆さん、民社党のこの怒りがおわかりいただけるでございましょうか。法案の内容とあわせ、政府・自民党の不誠意とその責任を追及し、猛省を促して私の討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#55
○副議長(安井謙君) 須藤五郎君。
   〔須藤五郎君登壇、拍手〕
#56
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案に反対の討論を行ないます。
 反対の第一の理由は、この法律案がそもそも憲法違反のものであり、無効の法律案であるからであります。
 政府・自民党は、この六十一国会では、わが国の国会史上前例のない数々の暴挙を重ねておりますが、特にこの法律案ほど違法、不当の限りを尽くしたものはほかに類がありません。すなわち、この法律案は、二年間の時限立法であるという当初の公約を踏みにじって、特例法の延長という形で提案され、さらに、与党議員による特例法の修正という形で合法的な手続を無視して本法そのものを改悪するという政治的な術策によって生まれたものであります。それだけではありません。本院での討論で追及されたように、この法案は、衆議院社会労働委員会では全く審議もされないままに、しかも、国会法の根本を踏みにじった違法な廊下採決が行なわれ、さらに、衆議院本会議では、憲法に違反した起立採決が行なわれるという全くの憲法違反の法案であります。また、参議院においても、社会労働委員会に付託されたままで、国会法の定める審査はもとより、政府・与党議員の提案理由説明も行なわれない段階で、委員長の中間報告を本会議で求め、さらには、審査期間さえ制限するという暴挙が行なわれたものであります。昨日の委員長報告では、社会労働委員会での審査がきわめて不十分であるとされているのも当然のことと言わなければなりません。
 このような政府・自民党の前例のない暴挙に対しては、商業新聞すらその社説で、「国会史上前例のないできごとをあとからあとから引き起こし、議会政治を荒廃させ、どん底に突き落としても、なおかつ、反省の色を見せぬ多数党の横暴ぶり」と、きびしく批判しております。私は、公約を平然と踏みにじり、あまつさえ、憲法と国会法にさえ違反し、議会制民主主義を破壊してはばからない政府・自民党のこのような独裁的議会運営を断じて許すことができません。政府は、直ちにこの違法、無効の法律案を撤回すべきであります。
 本法律案に反対する第二の理由は、これが政府・自民党による医療保障制度の抜本的改悪の重大な一歩であるからであります。
 今日、日本とアメリカの大企業の横暴と、彼らに奉仕する佐藤内閣の大企業本位の政策のために、国民の健康と生命は大きな危険にさらされております。交通事故による死傷者は、昭和三十五年から四十三年までに二・八倍となり、一年間に八十四万人を数えるありさまであり、公害はすべての都市の住民の健康をむしばんでおります。労働災害や職業病、農民の農夫病なども急増する一方であります。政府の統計によりましても、日本人百人につき八・三人は病気にかかっていると言われています。また、病人がふえる一方で医療の荒廃が進行しています。患者に対する診療制限はきびしくなり、医療従事者の待遇は悪くなっております。病人は二倍にふえているのに、医師は一・二倍、看護婦は一・八倍にしかふえておりません。このため、医師や医療従事者の労働強化もますます激しくなっております。国民の健康のこのような深刻な状態の最も大きな責任が、高い物価、安い賃金や労働強化などによって労働者をしぼりあげる大企業や大企業に奉仕して、交通事故や公害を野放しにしている佐藤内閣にあることは言うまでもありません。
 このような状態のもとで、二年前に制定された特例法は、健保財政の赤字を口実に、健康保険料を千分の五引き上げただけではなく、初診時や、入院時の患者負担を二倍とし、薬代までを負担させ、被保険者に大きな経済的負担を負わせました。だから、わが党はこの特例法に反対し、その撤廃を要求してきたものであります。
 本院での審議の中で明らかになったように、この政府の無謀な措置は、医療保障制度の根底を破壊する措置であり、国民の健康を一そう危険な状態におとしいれるものであったのであります。この措置が実施されて以来、健保本人の十割給付は完全にくずれて、事実上、長期患者は七二%、短期患者は四五%給付となり、健康保険受診率は下がり、診療中断がふえているという事実が、何よりも雄弁にこれを物語っておるではありませんか。国民は高い保険料を払っても医者にもかかれないという状態にさせられておるのであります。
 しかるに、ただいま議題となっている法律案は、この特例法の保険料率と初診時、入院時の患者負担を本法に繰り込むことによりまして、この深刻な状態を恒久化し、制度化しようとするものであります。国民の健康と生命を守る立場から、このような措置を絶対に許すことはできません。
 自民党医療問題調査小委員会が発表した国民医療対策大綱は、今後の医療保障制度について、いわゆる自己責任原理を強調して、保険料の大幅引き上げ、本人十割給付の切り下げ、医療費現金先払い制の導入や、差額徴収制度の拡大など、医療保障制度そのものを根本的に改悪する方針を示しております。今回の与党修正案がこの方向に第一歩を踏み出したものであることは明らかであります。
 また、政府は、いま抜本的改正なるものをしきりに公約しておりますが、これもまた自民党の対策大綱を内容とする反人民的なものになることは言うまでもありません。
 わが党は、健康保険のすべての費用は、国と資本家の負担とし、国民には一銭の負担もかけず、しかもなおるまで無料で医者にかかれる制度にすべきだと考えております。そうしてこの立場から、さしあたっては保険料の引き上げをやめ、薬代や初診時、入院時の患者の負担などをやめ、被保険者本人だけではなく、家族全員に至るまで十割給付とし、分べん給付、予防給付など、国民の望む諸給付を引き上げるべきだと考えます。
 福田大蔵大臣は本院での答弁で、予算がないと言っておりますが、本年度一般会計予算は六兆七千億円であります。問題は、この予算をどこに使うか、どう使うか、バターか大砲か、どちらをとるかの選択であると思います。このような立場に立って、国民の健康と生命を一そう踏みにじるところの本法律案に絶対に反対するものであります。
 第三の理由は、現在の医療制度が、この法律案によっても、国の支出を極力押え、被保険者に重い負担を押しつけるばかりか、医療機関に対しては低い診療報酬しか認めていない反面、製薬資本には高い薬価を野放しにして、膨大な利潤を保障、するものとなっていることであります。
 まず、国庫負担の問題を見るならば、高度に発達した資本主義国にあって、わが国ほど国と資本家の負担の少ない国はほかにありません。医療保障制度において、ヨーロッパの、国と資本家等の負担の割合は、イギリスでは八八・二%、フランスでは七四・八%、イタリアでは九八・九%となっております。わが国では、特に赤字が問題となっている政府管掌健保では、国の負担の法的規定さえなく、わずかに赤字補てんを意味する国庫補助が、四十四年度では四・四%あるにすぎません。さらに、一般健保では資本家の負担が三一・三%、国保では国庫負担は四〇%、日雇い健保では三五%にすぎないのであります。
 しかも、わが国の健康保険制度での薬価基準は、大製薬会社が原価の二倍、三倍にも引き上げた薬品価格をそのまま取り入れて、大製薬会社にばく大な利潤を保障するような仕組みになっております。大製薬会社のつくる薬品の値段は、たとえば高血圧用薬品のヘクサニシットの場合は、一錠の原価二円、卸売り価格五円五十銭、市場価格七円三十銭となっており、この高い市場価格がそのまま健保の薬価基準とされているのであります。これは全く不当なことといわなければなりません。このために、大製薬会社は、笑いのとまらないほどの高利潤をあげ、払い込み資本に対する利益の率は、大正製薬が七二%、武田薬品が六六%など、きわめて高くなっております。この反面で、まさにこのためにこそ、健保財政の赤字が生まれているのであります。
 わが党は、健保財政の健全化のため、この不当に高い薬品価格を、公共料金として国会の監視と統制のもとに置き、さしあたり二割を引き下げることを主張いたします。こうすれば、政管健保だけで約三百億円を節約することができるのであります。
 また、わが党は、政管健保に対する国の支出を法律で義務づけること、被保険者の保険料負担をさしあたり三〇%程度にまで引き下げ、同時に、医師に対する診療報酬を適切に引き上げることを主張いたします。そうして、そのための財源として、佐藤内閣が租税特別措置その他によって大企業に与えている約二兆円に及ぶ特別な減税、免税をやめて正当に取り立てること、軍事費や海外進出のための支出を徹底的に削ることを主張いたします。
 以上の立場に立って、医療保障制度を根本的に破壊しようとする本法律案に反対するものであります。
 なお、社会党及び公明党より提出されましたそれぞれの修正案については、これに賛成できないことを付言いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
     ―――――・―――――
#57
○副議長(安井謙君) 藤田正明君外一名から、成規の賛成者を得て、
 討論終局の動議が提出されました。
 これより、本動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#58
○副議長(安井謙君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#59
○副議長(安井謙君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#60
○副議長(安井謙君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百二十二票
  白色票          百二十一票
  青色票            百一票
 よって、討論は終局することに決しました。
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名     百二十一名
      任田 新治君    内藤誉三郎君
      高橋雄之助君    田村 賢作君
      小林  章君    伊藤 五郎君
      後藤 義隆君    白井  勇君
      横山 フク君    小山邦太郎君
      植竹 春彦君    木内 四郎君
      山崎 五郎君    山本敬三郎君
      若林 正武君    渡辺一太郎君
      安田 隆明君    矢野  登君
      増田  盛君    長屋  茂君
      永野 鎮雄君    中山 太郎君
      高田 浩運君    中村喜四郎君
      西村 尚治君    八田 一朗君
      宮崎 正雄君    柳田桃太郎君
      佐藤  隆君    黒木 利克君
      楠  正俊君    岡本  悟君
      高橋文五郎君    土屋 義彦君
      船田  譲君    吉江 勝保君
      江藤  智君    大竹平八郎君
      大谷藤之助君    柴田  栄君
      青田源太郎君    栗原 祐幸君
      藤田 正明君    梶原 茂嘉君
      前田佳都男君    増原 恵吉君
      鍋島 直紹君    徳永 正利君
      西郷吉之助君    新谷寅三郎君
      石原幹市郎君    上原 正吉君
      杉原 荒太君    剱木 亨弘君
      山崎 竜男君    平泉  渉君
      玉置 和郎君    沢田 一精君
      近藤英一郎君    玉置 猛夫君
      大松 博文君    鈴木 省吾君
      今  春聴君    小林 国司君
      久次米健太郎君    佐藤 一郎君
      山内 一郎君    山本茂一郎君
      中津井 真君    林田悠紀夫君
      鬼丸 勝之君    内田 芳郎君
      大森 久司君    岩動 道行君
      和田 鶴一君    河口 陽一君
      丸茂 重貞君    二木 謙吾君
      鹿島 俊雄君    長谷川 仁君
      井川 伊平君    金丸 冨夫君
      谷口 慶吉君    村上 春藏君
      田中 茂穂君    西田 信一君
      平島 敏夫君    山下 春江君
      山本 利壽君    八木 一郎君
      田口長治郎君    平井 太郎君
      古池 信三君    松平 勇雄君
      郡  祐一君    重政 庸徳君
      吉武 恵市君    木村 睦男君
      植木 光教君    亀井 善彰君
      長田 裕二君    上田  稔君
      佐田 一郎君    菅野 儀作君
      石原慎太郎君    源田  実君
      熊谷太三郎君    久保 勘一君
      川上 為治君    山本  杉君
      米田 正文君    木島 義夫君
      温水 三郎君    森 八三一君
      三木與吉郎君    塚田十一郎君
      赤間 文三君    高橋  衛君
      迫水 久常君    斎藤  昇君
      廣瀬 久忠君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百一名
      原田  立君    峯山 昭範君
      田渕 哲也君    塩出 啓典君
      藤原 房雄君    萩原幽香子君
      山高しげり君    市川 房枝君
      三木 忠雄君    内田 善利君
      上林繁次郎君    矢追 秀彦君
      阿部 憲一君    中尾 辰義君
      沢田  実君    多田 省吾君
      黒柳  明君    宮崎 正義君
      中沢伊登子君    片山 武夫君
      田代富士男君    鈴木 一弘君
      二宮 文造君    渋谷 邦彦君
      向井 長年君    高山 恒雄君
      山田 徹一君    柏原 ヤス君
      北條  浩君    白木義一郎君
      小平 芳平君    中村 正雄君
      村尾 重雄君    上田  哲君
      和田 静夫君    松本 英一君
      安永 英雄君    竹田 四郎君
      杉原 一雄君    達田 龍彦君
      小野  明君    森  勝治君
      鈴木  力君    中村 波男君
      小林  武君    松本 賢一君
      佐野 芳雄君    林  虎雄君
      松永 忠二君    大矢  正君
      横川 正市君    小柳  勇君
      加瀬  完君    秋山 長造君
      藤田  進君    北村  暢君
      成瀬 幡治君    須藤 五郎君
      渡辺  武君    小笠原貞子君
      野坂 參三君    春日 正一君
      河田 賢治君    岩間 正男君
      前川  旦君    戸田 菊雄君
      竹田 現照君    山崎  昇君
      木村美智男君    村田 秀三君
      川村 清一君    大橋 和孝君
      田中寿美子君    沢田 政治君
      松井  誠君    矢山 有作君
      瀬谷 英行君    吉田忠三郎君
      西村 関一君    鶴園 哲夫君
      野上  元君    千葉千代世君
      山本伊三郎君    武内 五郎君
      森中 守義君    近藤 信一君
      鈴木  強君    森 元治郎君
      阿具根 登君    永岡 光治君
      中村 英男君    久保  等君
      岡  三郎君    羽生 三七君
      亀田 得治君    占部 秀男君
      大和 与一君    木村禧八郎君
      田中  一君    藤原 道子君
      松澤 兼人君
     ─────・─────
#61
○副議長(安井謙君) 本日はこれにて延会することとし、次会は明日午前九時より開会いたします。
 これにて延会いたします。
   午後十一時三十分延会
ソース: 国立国会図書館
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